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幼馴染「好きだよ、女ちゃん」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/16(月) 23:50:53.83 ID:Mn5Uh7/+o
※百合エロ注意
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/01/16(月) 23:51:51.01 ID:HE1vRF/4o
おう
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/16(月) 23:52:48.53 ID:Mn5Uh7/+o
幼馴染「ふふっ、そうなんだ」
いつからだろう。
幼「あ、わかるー! でも、それって……」
こうして……遠巻きにしか、彼女を見られなくなってしまったのは。
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/16(月) 23:55:13.07 ID:Mn5Uh7/+o
女「はぁ……」
昔は、あんなに楽しくお喋りできたのに。
昔は、たくさん遊んでいたのに。
今は……同じクラスなのに、挨拶を交わすことすら滅多にない。
当たり前だ。
この状況を作ったのは、あたしなんだから。
女「はぁ……帰ろ」
カバンを掴んで、友達にまた明日ねと別れを告げて教室を出る。
彼女は……別にいい。
楽しくお喋りしてるんだし、あたしが、あたしなんかが横槍を入れる訳にはいかないから。
幼「あ……」
「ん、どしたの?」
幼「……ううん、なんでもない」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/16(月) 23:57:49.49 ID:Mn5Uh7/+o
―――――――――――――――――――――――
あたしと幼ちゃん……幼馴染さんは、産まれた日も病院も同じで、家もすごく近くに住んでいて、姉妹みたいに育った。
ずっと仲良しで、喧嘩なんてしなくて。
公園は近くにないから、家の前の道路で遊んだり、お互いの家に遊びに行ったりしていた。
小学校では、6年間ずっと同じクラスだった。
やっぱり、ずっと一緒にいた。
でも……中学生になってからは、クラスが別になってしまって。
それから、色々あって。
高校生になった今では、あたしと幼馴染さんの関係は、ただのご近所さんってだけ。
女「ただいまー」
妹「あ、おかえりー」
家に帰ると、制服姿の妹が迎えてくれた。
あたしより結構年下で、まだ中学生になったばかり。
女「……ぷっ、やっぱまだ制服に着せられてるなぁ」
妹「むっ! 幼お姉ちゃんは可愛いって褒めてくれたよ!!」
あたしと同様、昔から幼馴染さんと仲が良かった妹は、今でも幼馴染さんと仲が良い。
それが少し……羨ましく感じることもある。
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/16(月) 23:58:59.94 ID:Mn5Uh7/+o
女「会ったの?」
妹「うん。 今朝、家の前で」
女「ふうん……」
妹「たまに、だけど……朝にいるよ。 家の前に」
女「……」
知ってる。
彼女が家の前で待っている日は、何となく胸の中がもやもやしたような感覚があって。
その時に部屋の窓から外を眺めると、決まって家の前に彼女がいたから。
それで、いつもいつも、遅刻ギリギリの時間に家を出てしまう。
その頃にはもう、家の前に彼女はいなくて。
学校に着いて、教室に入ると……決まって彼女は、ほんの一瞬だけ、寂しそうな表情であたしを見る。
妹「お姉ちゃ……わぅ」
何かを言おうとした妹の頭に手を乗せて、そっと撫でる。
女「……むずかしーんだよ、高校生って。 妹は、こうなっちゃダメだからね」
妹「ん?……」
まだ何か言いたげな表情をする妹だけど。
あたしはその表情が見ていられなくて、その場から逃げ出すように自分の部屋に向かった。
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 00:01:56.47 ID:tLlctUQG0
>>6
文字化けしてしまったので修正します
女「会ったの?」
妹「うん。 今朝、家の前で」
女「ふうん……」
妹「たまに、だけど……朝にいるよ。 家の前に」
女「……」
知ってる。
彼女が家の前で待っている日は、何となく胸の中がもやもやしたような感覚があって。
その時に部屋の窓から外を眺めると、決まって家の前に彼女がいたから。
それで、いつもいつも、遅刻ギリギリの時間に家を出てしまう。
その頃にはもう、家の前に彼女はいなくて。
学校に着いて、教室に入ると……決まって彼女は、ほんの一瞬だけ、寂しそうな表情であたしを見る。
妹「お姉ちゃ……わぅ」
何かを言おうとした妹の頭に手を乗せて、そっと撫でる。
女「……むずかしーんだよ、高校生って。 妹は、こうなっちゃダメだからね」
妹「ん〜……」
まだ何か言いたげな表情をする妹だけど。
あたしはその表情が見ていられなくて、その場から逃げ出すように自分の部屋に向かった。
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 00:05:05.92 ID:tLlctUQG0
―――――――――――――――――――――――
先生「おはようございます、皆さん。 一ヶ月後には修学旅行ですね。 高校生らしい振る舞いを心がけるよう、今から心の準備をしてくださいね?」
女「修学旅行、かぁ……」
思い出すのは、小学生の頃の修学旅行。
本当に楽しかった。
幼馴染さんの家族とウチの家族で一緒に旅行、というのは何回もあったけど、二人きりで見て回ることってなかなか無かった。
でも、そのときの修学旅行中は、自由行動の時に二人きりで見て回ることができた。
川が流れているだけとか、花が咲いているだけとか、チョウチョが飛んでいるだけとか、そんな些細なことでも、二人きりで見ると宝物みたいにキラキラ輝いて見えた。
今でも……その思い出は、あたしの宝物。
女「あの子は……覚えてないだろうなぁ」
ちらりと、窓際の席にいる彼女に視線を向ける。
幼「……」
真剣な表情で、先生の話を聞いている。
さすが、真面目だなぁ。
品行方正、穏やかな性格で、成績も良い。
まさに優等生を絵に描いたような女の子。
そのくせ外見は可愛らしくて、男子の話によると少なくとも学年ナンバーワンの逸材らしい。
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 00:09:12.73 ID:tLlctUQG0
女「……アホらし」
男子の話はアホらしいものばかり。
でも……学年ナンバーワン、というのは頷ける。
だって、あたしも憧れているから。
絵に描いたような優等生と女の子らしさを持つ、彼女に。
でも……あたしには、何もない。
カオは普通だし、彼女みたいにスタイルも良くない。
嫉妬してるわけじゃない。
ただ……あたしじゃ、彼女と釣り合わない。
だから、彼女から離れた。
それが間違いだったのかどうかなんて、わからない。
でも、そのほうが彼女の為になるはずだからって、信じて。
「あ、あの……」
女「ん? あ……」
机に伏せていた顔を上げると、彼女がいた。
いつの間にか、朝のホームルームが終わっていたようだ。
彼女を前にすると、思わず身構えてしまう。
幼「先生が、女ちゃんを呼んでたよ? 職員室に来いって」
女「うげ、なんか出し忘れた課題とかあったかな!? ごめんね、ありがと、……『幼馴染さん』」
幼「あ…………ううん、女、さん……」
最初に変えたのは、呼び方だった。
ずっと幼ちゃん幼ちゃんって呼んでいたのを、高校生になってから『幼馴染さん』に変えた。
初めてそう呼んだとき……彼女は、傷ついたような表情をしていた。
今でもあたしがそう呼ぶと、同じ表情をする。
そしてそれに合わせてか、彼女もあたしの呼び方を『女ちゃん』から『女さん』に変えた。
それでも、たまに……あたしのことを、昔のように女ちゃんと呼ぶ。
まるで昔の、仲が良かった時代を取り戻そうとするかのように。
でも、もう、あの頃には戻れない。
だってそれは、彼女の為にならないから。
どんなに彼女が辛そうな表情をしても。
あたしが、辛くても。
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 00:11:14.58 ID:tLlctUQG0
―――――――――――――――――――――――
「じゃねー、女ー!」
女「おー、部活頑張ってー!」
昇降口で、ジャージ姿の友だちと別れる。
いいなあ、何かに打ち込めるって。
あたしにはそんなに熱中できるものがないから、羨ましい。
女「……ん?」
校門付近まで歩いていくと、ふと、校門に寄りかかっている女の子に気が付いた。
……彼女だ。
幼馴染さんが、校門を出ていく生徒たちをぼんやりと眺めていた。
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 00:12:48.17 ID:tLlctUQG0
幼「あ……っ」
その彼女と、目が合う。
彼女の顔がぱっと明るくなって、慌てたように駆け寄ってきた。
女「あれ、まだ帰ってなかったんだ」
幼「あ、うん……えへへ。 ちょっと、人を待ってて」
はにかみながら、彼女が言う。
本当に、こういう表情が人の心を鷲掴みにするのだろう。
女「そか、早く来るといいね。 幼馴染さんを待たせるなんてって感じだし。 それじゃ、また明日」
幼「あっ、待って待って! あのっ、待ってたのっ、女ちゃんのことだからっ!」
女「……え? あたし? なんで?」
幼「その……今帰るところ、だよね? 一緒に帰っても……いい?」
女「……」
これは……初めてだ。
少なくとも高校生になってからは、一緒に帰ろうなんて言われたことないし、言ったこともない。
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 00:14:44.64 ID:tLlctUQG0
女「……ごめん、ちょっと用事があって。 寄らなきゃ行けないところがあるんだ」
嘘、本当は用事なんてない。
幼「あ……」
女「ごめんね、また次の機会に」
幼「そっか……そうだよね。 うん、私もごめんね、無理言っちゃって」
女「ううん、気にしないで。 また明日、幼馴染さん」
幼「うん……またね、女さん……」
逃げるように、足早に校門を出る。
……決して振り返らずに。
去り際に見えた彼女の表情を再び見るのが、あまりにも辛すぎて。
今振り向いたら、やっぱり一緒に帰ろうって、言い出してしまいそうな自分がいて。
それは、まだ一緒に帰ろうって言ってくれることが、嬉しいからで。
それら全てを振り切って、あたしは走り出した。
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 00:15:38.80 ID:tLlctUQG0
―――――――――――――――――――――――
女「ただいまー」
妹「おかえり。 ……遅かったね?」
女「ん……まあね」
妹「……幼お姉ちゃんは、一緒じゃなかったんだね」
女「ん? なんで?」
妹「幼お姉ちゃんが言ってたから。 今日、一緒に帰ろうって言ってみるって。 わたし、よく幼お姉ちゃんの相談にのってるから」
女「……」
妹「幼お姉ちゃん、お姉ちゃんと仲直りしたがってるよ。 不安がってるよ。 幼お姉ちゃんが、お姉ちゃんに何かしちゃったんじゃないかって。 お姉ちゃん、怒ってるんじゃないかって」
女「あはは、そんなことあるわけないのに」
妹「じゃあ、どうして?」
女「……」
あたしだって、昔みたいに仲良くしたい。
ずっと一緒に笑っていたい。
でも……。
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 00:17:31.53 ID:tLlctUQG0
女「あたしじゃ……ダメだから」
妹「それってどういう……んぅ」
妹の頭に手を乗せて、撫でる。
女「ごめんね、板挟みにしちゃって」
妹「……気にしないで。 わたしも、昔に戻りたいだけだから」
女「……そっか」
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 00:18:47.02 ID:tLlctUQG0
―――――――――――――――――――――――
あたしには、大切にしてる写真がある。
写真立てに入れて、机の上に立てて、時折眺めてる。
それは、中学校の入学式のときの写真。
あたしと彼女が着慣れない制服を着て、中学校の校門をバックに並んで立っている写真。
彼女との写真はたくさんあるけれど、その中でなぜこれを選んだのかはわからない。
わからないけど、たぶん……彼女と写っている写真は、これが最後だから。
彼女との、最後の思い出だから。
女「……行ってきます」
毎朝それに声をかけて、あたしは部屋を出ている。
彼女と話さなくなってから、ずっと。
女「おっ、おはようねぼすけ」
玄関に行くためにリビングを通ると、眠そうな表情の妹が朝食を食べていた。
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 00:19:39.13 ID:tLlctUQG0
妹「おはよお……ちょっと夜更かししちゃって」
女「こらこら、夜更かしは肌の大敵だぞ?」
妹「うえっ、用心します……」
女「んじゃ、あたし行くから」
妹「行ってらっしゃーい」
家を出て、学校に向かう。
今日はいい天気だ。
夏が近づいてきてるから、少し暑いけど。
女「少しっつーか、フツーに暑いんですけど……」
ぱたぱたと手で顔を仰ぎながら、通学路を歩く。
しばらくすると、結構先の方に、見慣れた後ろ姿を見つけた。
女「あ……」
肩にかかるくらいの、黒くて綺麗な髪。
姿勢よく、穏やかに歩く姿。
……彼女だ。
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 00:20:11.79 ID:tLlctUQG0
女「どこで見ても、キッチリしてるなあ」
学校内でも外でも、相変わらず彼女は優等生のままだ。
あたしなんかとは違う。
女「……バレてないうちに、別の道から行こう」
一緒に登校するくらい、別にいいじゃん。
昨日だって、一緒に帰るくらい、別によかったじゃん。
そんな気持ちを抑えて、あたしは別の道から学校へ行くことにした。
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 00:21:21.98 ID:tLlctUQG0
―――――――――――――――――――――――
女「ふえ〜、もう下校時刻間近だし!」
放課後。
友だちと喋っていたら、下校時刻を告げるチャイムが鳴り響いた。
部活があるその子は慌てて部活に向かったけど、部活に入っていないあたしはさっさと下校しないといけない。
女「下校時刻なのに、まだ外は明るいなあ」
そんなことを言いながら、校門に向かう。
すると……。
幼「……」
女「あ……」
……昨日と同じように、彼女が校門に寄りかかっていた。
幼「あ……」
彼女はあたしに気がつくと、弱々しく微笑んで、近づいてきた。
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 00:23:29.24 ID:tLlctUQG0
幼「今、帰るところ?」
女「うん、まぁ……」
幼「今日は……一緒に帰っても、いいかな……?」
縋るような目で、あたしを見上げる。
女「っ……ごめん、今日も、ちょっと用事があって」
その目を見ていられなくて、駆け出そうとする。
幼「ま、待ってっ!」
しかし、彼女に手首を掴まれ、阻まれてしまった。
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 00:24:57.45 ID:tLlctUQG0
幼「あのっ、その用事って、私が付いていっちゃだめかな……?」
女「え……」
幼「無理を言ってるのはわかってる……途中まででもいいの。 私……女ちゃんと、お話したくて……」
女「……」
幼「お願い……」
ここまで食い下がってくる彼女は、初めてだ。
今まで何度もあたしは彼女の前から逃げ出してきたけど、彼女はあたしを追いかけなかったし、止めるようなこともしなかった。
幼「……私のことを怒ってないなら、一緒に帰ろう?」
彼女にはわかっているのだろう。
わかっていたのだろう。
今日も、昨日も、用事なんてなかったことが。
ただ、どうして昨日は引き下がって、今日は食い下がるのかが、あたしにはわからなかった。
女「……わかった。 行こ」
幼「……! うんっ」
彼女が微笑んだ。
本当に、嬉しそうに。
胸が痛んだ。
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 00:25:33.60 ID:tLlctUQG0
幼「……久しぶりだよね、一緒に帰るの」
彼女と並んで、帰り道を歩く。
女「そだね。 中学校の時以来じゃないかな」
幼「うん、それくらい……だね」
女「……」
幼「……」
それきり、しばらくあたしと彼女は黙り込む。
でも、彼女の表情は嬉しそうだった。
幼「……ね、女ちゃん」
女「うん?」
幼「女ちゃんじゃダメ、って……どういうこと?」
女「……」
妹から聞いたのだろう。
答えようかどうか迷ったけれど、答えることにした。
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 00:27:10.01 ID:tLlctUQG0
女「……そのまんまの意味だよ」
幼「それじゃ、わかんないよ」
女「だから、あたしなんかじゃダメなの。 ……幼馴染さんの側にはいられない」
幼「どうして?」
女「ほら、あたし、幼馴染さんみたいに可愛くないし。 成績も良くないし、なんにもない。 釣り合わないもん、一緒にいると」
幼「……誰かに、そう言われたの?」
女「それもある……よ。 でも……」
中学生のころ、さんざん言われた。
どうしてあんな普通な子が、幼馴染さんといつも一緒にいるのかって。
男子からも、女子からも。
それだけなら、別にいい。
でも……ある日、見てしまった。
放課後に、別のクラスの教室で。
幼馴染さんと女子生徒が、口論しているところを。
内容は、あたしについて。
女子生徒のほうは、あたし……女ちゃんなんかといるのはやめろって言っていた。
それに対して、幼馴染さんは、いろいろ言い返していた。
その光景を見て、思ってしまった。 考えてしまった。
あたしといると、彼女は孤立してしまうって。
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 00:28:53.74 ID:tLlctUQG0
幼「でも……なに?」
だから……離れた。
唯一無二の親友から。
女「……あはは、あたし自身もそう思うし。 釣り合わないよねーって」
幼「そんなこと……」
女「ううん、あるの。 だからさ、あたしなんか放っとけばいいよ」
幼「どうして……どうして、そんなこと言うの……?」
女「ほら、幼馴染さんには友だちがたくさんいるし。 みんな良いひとたちじゃん」
幼「そう、だけど。 でも、でも……!」
女「えへへ……だから、ごめんね。 あたし、先帰るね。 ……サヨナラ」
幼「! ま、待ってよっ!!」
あたしが駆け出すと、幼ちゃんもあたしを追いかけようとして駆け出す。
……あたしは、昔から運動神経にだけは自信がある。
だから、足の速さで幼ちゃんがあたしに敵うはずもなくて。
ぐんぐんと、あたしと幼ちゃんの距離が離れていく。
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 00:30:08.63 ID:tLlctUQG0
幼「女ちゃ……あうっ!」
女「!!」
突然、幼馴染さんが盛大にすっころんだ。
女「幼ちゃんっ!!」
慌てて駆け寄って、幼ちゃんを抱き起こす。
幼「はあっ……はあっ……やっぱり女ちゃん、足速いね……?」
弱々しく、幼ちゃんが微笑む。
女「うわ……膝、擦りむいてる。 痛くない?」
幼「ちょっと痛いかも……」
女「ちょっと歩けば公衆トイレがあるから、そこで傷口洗おう。 幼ちゃん、そこまで歩ける?」
幼「あ……幼ちゃんって……」
女「あ……」
慌ててしまって、昔の呼び方に戻ってしまった。
でも今は、それどころじゃない。
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 00:31:24.53 ID:tLlctUQG0
女「そんなことより、歩ける? 歩けない?」
幼「……歩けないって言ったら?」
女「ん。 乗って」
幼ちゃんに背を向けて、しゃがんで背を差し出す。
幼「……ん」
手を肩に乗せて、幼ちゃんがあたしに負ぶさる。
幼ちゃんの膝裏を抱えて立ち上がって、あたしは歩き出した。
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 00:32:39.03 ID:tLlctUQG0
幼「……重くない?」
女「全然。 ちゃんと食べてる?」
幼「ちゃんと三食食べてるよ。 たまに甘いものも食べちゃうけど」
女「ぷっ……甘いもの大好きだもんね」
幼「ん……♪」
すりすりと、幼ちゃんがあたしの後頭部に頬を擦り付けた。
幼「女ちゃん、やっぱり変わってない……優しくて、カッコよくて……」
女「……」
幼「今なら、逃げられないよね? さっきの話の続き、してもいい?」
女「……幼ちゃんを置いてくことだって、できるかもよ?」
幼「ううん、女ちゃんにそんなこと、できるわけないよ。 だって、優しいもん」
女「……わかった、降参。 でもその前に、ひとつだけ聞かせて」
幼「うん?」
女「わざと転んだ?」
幼「……バレちゃった?」
女「こうやってあたしが逃げられないようにするためか……そんなことで、綺麗な足を傷付けて。 割に合わないでしょ」
幼「……女ちゃんとお話できるなら、なんだってするよ」
女「何言ってんの。 だいたい、あたしが見捨ててたらどーするのさ」
幼「それを確かめたかったの、嫌われてるのかもって思ってたから。 妹ちゃんから嫌ってないって聞いたけど、本当はどうかわからないし……」
女「……結果は?」
幼「嫌ってたら、こんなことしてくれないもんね? ……はっ、もしかして、誰にでもこんなことしちゃう!?」
女「……しないよ。 幼ちゃんだけ」
幼「ふふ……♪」
思えば、昔から幼ちゃんは策士なところがある。
あたしを困らせて、あたしに恥ずかしい思いをさせることがとにかく得意なのだ。
今みたいに。
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 00:34:22.25 ID:tLlctUQG0
幼「こんなに女ちゃんにくっついたの、本当に久しぶり……」
女「……」
幼「ねえ……釣り合わないなんて言わないで、昔みたいに側にいてよ。 確かに友だちはたくさんできたし、そのひとたちは本当に良いひとたちだけど……私にとって女ちゃんは、かけがえのない存在なんだよ。 唯一の、存在なんだよ」
女「……着いたよ」
幼「ん……」
女ちゃんを降ろして、公衆トイレに入る。
ハンカチを水道で濡らして、幼ちゃんの患部を軽く擦って汚れを落としていく。
幼「んっ……」
女「……あたしもね、昔みたいになれたらいいなって思うよ」
幼「……え?」
女「取り敢えず、今はこんなものかな。 帰ろっか」
幼「あ、うん……」
女「まだ歩けない?」
幼「ううん……でも、支えてくれると嬉しいな」
女「……うん、いいよ」
公衆トイレを出ると、幼ちゃんがあたしの片腕に両腕を絡めてくる。
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 00:35:55.67 ID:tLlctUQG0
女「……これはちょっと、恥ずかしいんだけど?」
幼「おんぶよりはマシじゃない?」
女「……確かに、今考えると相当恥ずかしいことしたねあたし」
幼「ふふふっ」
あたしが歩き出すと、幼ちゃんもひょこひょこと足を庇うように歩き始める。
女「……ごめんね。 あたしのせいで、怪我させちゃって」
幼「私のわざとなのに、どうして謝ってくれるの?」
女「あたしが逃げなければ、怪我することもなかったでしょ」
幼「……うん、そだね。 女ちゃんのせいだ」
女「うん、ごめん」
幼「だから、これからは側にいてよ。 昔みたいに、いっぱいいっぱいお喋りして、いっぱいいっぱい遊ぼうよ」
懇願するように、幼ちゃんが言った。
思わず顔を逸らしてしまう。
女「……それは無理、かな」
幼「どうして?」
女「……見ちゃったんだよね、幼ちゃんが喧嘩してるところ」
幼「喧嘩?」
女「うん。 中学生のとき……」
幼「……ああ、聞いてたんだ」
女「それを聞いて……あたしといると幼ちゃんがハブられるんじゃないかって、怖くなっちゃったの。 だから、幼ちゃんから離れた」
幼「……そうだったんだ」
女「ほら、みんなから言われてたし。 幼ちゃんも言われたでしょ? どうしてあんなのといるのって」
幼「……うん」
女「だからね、これからは一緒にいられないなって思った。 あたし一人のせいで、幼ちゃんのこれからを滅茶苦茶にするわけにはいかないから」
女「だから……ごめん」
幼「……そ、っか……」
それきりお互いに黙ったまま、あたしたちの家の前に着いた。
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 00:40:21.26 ID:tLlctUQG0
女「……今日はごめんね」
幼「……ううん、私もごめんね」
辛かった。
幼ちゃんの顔を見るのも、声を聞くのも。
幼「……もう、戻れないのかな」
女「……いいんじゃない? それでも。 人生に別れは付き物でしょ?」
幼「どうして、女ちゃんは平気でいられるの?」
女「そうしなきゃいけないから、だよ。 もう、何年も前に諦めてる。 だから……バイバイ、幼馴染さん」
幼「あ……女ちゃん!」
幼ちゃん……幼馴染さんの制止の声を振り切って、家に駆け込む。
結局、最後まで逃げっぱなしだった。
でも、伝えたいことは伝えられた。
だから……。
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 00:41:22.50 ID:tLlctUQG0
女「これで……いいんだ……」
玄関のドアに背を預けて、閉じた目に手の甲を当てる。
妹「……お姉ちゃん」
女「ん……妹……」
すると、心配そうな表情をした妹が、リビングから顔を出した。
妹「……幼お姉ちゃんと一緒に帰ってきたんだ」
女「……うん。 やっぱ……うまくいかないね」
妹「お姉ちゃん……」
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 00:42:38.54 ID:tLlctUQG0
―――――――――――――――――――――――
翌日、彼女は学校を休んだ。
原因はきっと、昨日のことだろうな。
以前も……彼女を『幼馴染さん』と初めて呼んだときの次の日も、彼女は学校を休んでいた記憶がある。
でも、伝えるべきことは伝えたから。
あとは……彼女がわかってくれることを、待つしかない。
―――――――――――――――――――――――
その翌日、幼馴染さんはちゃんと登校してきた。
みんなには風邪を引いちゃってたと笑っているが、ずっと彼女を見てきたあたしには、それが取り繕った笑顔であることがよくわかる。
でも、それに気付かないフリをして、いつも通り、彼女と関わることなく時間は過ぎていった。
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 00:43:57.98 ID:tLlctUQG0
続きはまたのちほど
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/01/17(火) 07:44:40.54 ID:SXqm+l/Po
乙
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/01/17(火) 08:04:23.99 ID:ji7V6KElO
久しぶりの正統派百合いい......
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/01/17(火) 10:47:53.20 ID:hII4pp9YO
期待してる
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/01/17(火) 22:16:14.35 ID:vyMgfv7Lo
乙
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 22:24:30.69 ID:tLlctUQG0
―――――――――――――――――――――――
そして、修学旅行が近くなってきたある日のこと。
先生「今日はこの時間を使って、修学旅行のグループ分けや部屋割りを決めたいと思います」
その日の最後の授業は、グループ分けと部屋割りを決めることになった。
先生「グループ分けは問題ないのですが、部屋割りのほうは部屋に入ることのできる人数の都合上、一部屋だけ女子が二人だけの部屋になってしまうことに注意してください。 さて、グループなどの決め方ですが……」
「はいっ! 好きな人となれるようにしたほうが良いと思いますっ!」
男子の一人が、元気よく発言した。
他のクラスメイトたちも、そうだそうだと賛成の声を上げる。
女「好きな人と、か……」
小学生の頃のグループ分けとかは、同じく好きな人と集まる方式で。
もちろんあたしと彼女は、真っ先に一緒になった。
懐かしいな……。
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 22:27:19.54 ID:tLlctUQG0
女「……ん?」
ふと、窓際の席にいる彼女が視線に留まる。
珍しく、俯いていた。
女「……?」
妙に気になって、じっと見ていると……。
女「……!」
ぽたり、と。
彼女の机に、雫がこぼれ落ちた。
女「え……泣いて……?」
よく見ると、微かに肩が震えている。
彼女の周囲にいたクラスメイトたちもそれに気が付き、慌てたように彼女を気遣い始めた。
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 22:32:52.28 ID:tLlctUQG0
「ど、どうしたの幼馴染ちゃん!?」
「何か辛いことでもあったの?」
幼「いや……ううん、大丈夫、大丈夫だから……」
大丈夫と言いながらも、溢れる涙は止まらない。
先生「……幼馴染さん、少し保健室で休んでいなさい。 とはいえ、一人で向かわせるのも心配ですね。 ええと、保健委員は……」
げっ。
なんとも都合の悪いことに、あたしが保健委員だった。
「はいはいはいっ!! 俺です!! 俺保健委員ですっ!!」
「うわ……あいつ、保健委員とかめんどくせーとか言ってたくせに、こういうときだけこれだよ」
もう一人の保健委員(男子)が、元気よく名乗り出た。
よし、君が行け。
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/01/17(火) 22:33:46.86 ID:tLlctUQG0
先生「いえ、ここは女子に連れて行ってもらいましょう。 女さん、お願いします」
女「……はい」
……ですよね。
渋々立ち上がって、彼女のもとに向かう。
女「……歩ける?」
幼「……うん」
女「じゃ、行こっか」
彼女の手を取って、教室を出た。
女「大丈夫?」
幼「っ……うん。 少し……昔を思い出しちゃって」
女「……そっか」
今度は、わざととかではなさそうだ。
そのまま何事もなく保健室に辿り着いて、中に入る。
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