シンジ「僕が?」

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588 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/07(火) 17:30:13.95 ID:K9j1+Tdp0
- 第三新東京市第壱中学校 ホームルーム -

アスカ「…………」ソワソワ

ヒカリ「碇くん、まだ来ないね」

マナ「うん、いつもはアスカと一緒なのに。今日は違かったの?」

アスカ「シンジ、引っ越しちゃったのよ。昨日」

トウジ「そらほんまかいな⁉︎」

ケンスケ「1人暮らし?」

アスカ「ネルフの人と一緒」

ヒカリ「そうだったんだ……でも、突然なのね」

アスカ「…………」

トウジ「なんや、1人暮らしだったら遊びいこうと思ったのに」

ケンスケ「新しい人もミサトさんみたいに綺麗な人なのかなぁ〜? くぅ〜! 碇ぃ、羨ましいぞぉ!」

トウジ「大人の女性の魅力! ワシらにはわかるからなぁ!」

ヒカリ「鈴原と秋田くんってなんでいつもそうなのよ……」

トウジ「そら、ワシらは人の心っちゅーもんがあるからなぁ!」

ケンスケ「そうだよ! 君たちには人を思いやる気持ちというのがないのだろうか!」

マナ「どういうこと?」

トウジ「マジに聞いとるんけぇ? 冷たいやっちゃのぅ」

ケンスケ「ミサトさんだってまだ若いんだぞ! 中学生2人の面倒を見るのがどんなに大変かっ!」

アスカ「……はぁ。逆に私達がミサトの食事の面倒を見てたわよ。あんた達はどうせ性欲の塊なんでしょ、このサル」

トウジ「なんやと? ワシらだけやで、人の心を持っとるんわ」

ケンスケ「そーそー」

アスカ「ふぅん」チラッ

ケンスケ&トウジ「おっ⁉︎」

アスカ「ふん……ちょっとスカートめくったぐらいで反応しちゃって。口だけね」

トウジ「あ、いや、今のは」

ケンスケ「じょ、条件反射ってやつだよ!」

トウジ「せや! それや!」

ヒカリ「本当に最低……」

マナ「……あはは」
589 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/07(火) 19:41:53.77 ID:K9j1+Tdp0
- ネルフ本部 ラボ -

リツコ「火傷の傷はだいぶ癒えてるわね」

シンジ「はい、痺れもそこまでは。思っていたより支障はありません」

リツコ「シンジくん、口数が増えたわね」

マヤ「あ、それ、私も思いました」

シンジ「自分では、よくわかりません」

リツコ「そう」

マヤ「それより、先輩。さっき、葛城三佐から聞いたんですけど、シンジくんと住み始めたんですか?」

リツコ「ミサトから……。ええ、そうよ」

マヤ「わぁっ! いいなぁ、シンジくん」

シンジ「…………」

リツコ「マヤ、余計なことは慎んで」

マヤ「あ、す、すみません」シュン

リツコ「今日は学校に行かなくてもいいわ。新兵器のテストがあるから、シンジくんにやってもらいます」

シンジ「僕がですか?」

マヤ「伝達です。先の第4使徒で使用されたポジトロンスナイパーライフルの開発が進み小型化運用の目処がたったので、そのテストを行ってください」

シンジ「……わかりました」

リツコ「と、いっても機械が全てをやってくれるからあなたは指示に従って操作すればいいわ。パレットライフルの時と同じ要領ね」

マヤ「陽電子砲の準備は完了しています。ヒトヒトフタマル時より、テスト開始予定です」

シンジ「なぜ、今なんです?」

リツコ「これからの使徒との激化する戦闘に向けて兵器は数多くあった方がいい。それ以上になにがあると思う?」

シンジ「…………」

リツコ「機械に全てをまかせるわけにもいかない。さっきの言葉と矛盾するけれど、マヤ、なぜだかわかる?」

マヤ「プログラム、だからですかね。機械は与えられた行動しかできませんから」

リツコ「MAGIという例外もあるけどね。あれは特別中の特別。臨機応変に対応できるのは、人間の特権なの」

590 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/07(火) 19:58:50.10 ID:K9j1+Tdp0
シンジ「決められたパターンしか、行動できないから、人の手でやるわけですか」

リツコ「全ての可能性をあらかじめ入力していれば機械も人間に追いつくことができるでしょうね。しかし、それでは自立思考型のAIでない限り、天文学的数字になってしまう」

マヤ「目標までの距離や弾道の湾曲計算などは機械がやった方が圧倒的に効率がよく、また、はやいですけどね」

シンジ「じゃぁ、結局、僕が覚えるってことですか」

リツコ「そうね。機械の補助と人間の知恵。それらを掛け合わせることでより確実なものへとなっていく」

シンジ「…………」

リツコ「シンジくんは物を覚える時に、読んで覚える、書いて覚える、聞いて覚える、様々な方法があるけど、どれが一番忘れにくい?」

シンジ「どれかな……」

リツコ「中学生には難しかったかしらね。マヤ?」

マヤ「はい。手続き記憶ですね。身体に覚えさせることです」

リツコ「そう。1度、自転車の乗り方を覚えてしまえば、乗れなくなるようなことはないと言われている。どれだけ間隔をあけようと、身体が覚えているということは感覚で覚えていること。つまり、できていた自分をイメージしやすい」

シンジ「操作を身体に染みこませるってわけですか」

リツコ「それも目的のひとつってわけね」

シンジ「……わかりました」

リツコ「今後、シンジくんには実験に積極的に参加してもらいたいんだけど」

シンジ「どうしてですか?」

リツコ「親睦を深めるため、ではどう?」

シンジ「今朝と矛盾してますけど。仲良くならないんじゃなかったんですか?」

リツコ「目的があるなら話は別。ある程度、仲良くなれるかもしれない」

マヤ「先輩がこんなに積極的なのもめずらしいですね」

リツコ「同じ目的があれば、お互いに歩みよろうとするものよ」
591 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/07(火) 20:17:00.27 ID:K9j1+Tdp0
レイ「――赤木博士」

リツコ「レイ、いらっしゃい」

シンジ「綾波?」

リツコ「レイも実験に参加してもらうことが多いのよ。これからは、レイと一緒に行動する機会が増えると思うわ」

シンジ「(そうか、そういうことか。父さん……)」

レイ「…………」

リツコ「不満がなければ、話を進めてもかまわないかしら?」

シンジ「拒否権はあるんですか?」

マヤ「あっ……」

リツコ「嫌ならば別の方法を考えるけど、レイ、シンジくんはあなたと行動するのが嫌らしいわよ」

シンジ「…………」

レイ「……はい」

シンジ「ち、違うんだ、僕はそういうわけじゃ」

リツコ「では、話を進めてもかまわないということね?」

マヤ「せ、先輩……」

リツコ「マヤ、目的があるなら手段は選ばない。時には必要なことよ」

マヤ「…………」

リツコ「潔癖症はね、つらいわよ。生きていくのが」

シンジ「……なにをすればいいんです?」

リツコ「零号機と初号機のパーソナルデータがほしいのよ。互換性をたしかめたいの」

592 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/07(火) 20:33:59.43 ID:K9j1+Tdp0
- ネルフ本部 第三通路 -

シンジ「(このままじゃだめだ。なんとか、リツコさんを牽制しないと)」

レイ「……碇くん」

シンジ「ん? どうしたの?」

レイ「私と行動するの嫌で、ごめんなさい」

シンジ「あっ! さっきのは、違うんだ! そういうことじゃないんだ!」

レイ「…………」

シンジ「……綾波になにか悪いところがあるわけじゃない。ただ、その、色々納得できないところがあって」

レイ「無理強いされるのが嫌なの?」

シンジ「あぁ、ううん、そういうんじゃないんだけど」

レイ「使徒の時、支えてくれてありがとう」

シンジ「いいよ。僕も綾波がいてくれて助かったから」

レイ「…………」

シンジ「綾波は、父さんとはどう?」

レイ「どうって?」

シンジ「僕よりは一緒にいる機会、多いと思うんだけど。話せてる?」

レイ「良く、してくれてると思う」
593 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/07(火) 20:42:00.01 ID:K9j1+Tdp0
シンジ「そっか。それならいいんだ」

レイ「…………」

シンジ「綾波、僕は綾波も助けたい。守りたいんだ、だから、自分の命を簡単に投げ出しちゃだめだよ」

レイ「……碇くんが、私を守る?」

シンジ「守ってもらってばかりだったから、今度は僕が助ける」

レイ「……?」

シンジ「綾波は綾波しかいない」

レイ「私? 私しかいない?」

シンジ「うん」

レイ「違う……だって、私は、3人目だと思うから」

シンジ「殻に閉じこもってちゃだめだ。綾波は人形なんかじゃない。自分で考えられるんだ」

レイ「いか、りくん?」

シンジ「誰も綾波の代わりになんかなれない。いい?」

レイ「あ……う、うん……」
594 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/07(火) 21:01:53.19 ID:K9j1+Tdp0
- 第三新東京市第壱中学校 昼休み -

ヒカリ「碇くん、こないね……」

マナ「う、うん……そうだね……」

アスカ「…………」カタカタカタカタ

トウジ「うっさいのー! 貧乏ゆすりやめーや!」

アスカ「……ちっ」ピタ

トウジ「シンジには何の心配もあらへんやろ! ネルフの用事かもしれへんし!」

ケンスケ「一緒に住んでないから予定がわからないんだろぉー?」

ヒカリ「あんたたち! いい加減にしなさいよね!」

トウジ「なんや! たかだか数時間いないぐらいでなんやっちゅーねん!」

ケンスケ「会えないってわけでもあるまいしさぁー」

トウジ「せや! だいたい、一緒に住んどることがおかしかったんや! なぁ⁉︎」

ケンスケ「そーそー」


アスカ「……ふぅ」


ガンッ!!!


トウジ「うぉっ⁉︎」

ケンスケ「お、おい! 椅子が飛んだぞ! 女の脚力で飛ぶもんなのか⁉︎」

ヒカリ「アスカ! だめよ! 落ち着いて!」

マナ「鈴原くんたちも謝って!」

トウジ「ワシらなにも間違ったこと――」

アスカ「…………」

ケンスケ「お、おい、なんかやばいぞ。いつもと違って一言も発しない!」

トウジ「な、なんや? それがなんや!」

ケンスケ「いいか! 本当に人間やばいときは言葉を発しない時なんだよ! ジェットコースターに乗ってる時だって怖かったら喋る余裕ないだろ!」

トウジ「それとこれとは話が」

アスカ「…………」ガシッ

トウジ「い、う、息が……」

ヒカリ「ひっ⁉︎ アスカ首をしめちゃだめ! 相田くんも引き離して!」

ケンスケ「――うぐぐっ、なんでこんなに力が……」

トウジ「……が、がはっ」

マナ「だめ! アスカ! 離して! ……くっ、強い」グイッ

595 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/07(火) 21:10:05.84 ID:K9j1+Tdp0
ヒカリ「ちょっと男子達! 見てないで助けて!」

男子生徒「な、なんだあ?」

ヒカリ「アスカを引き離して! はやく!」


トウジ「……ぁっ……あ……」

アスカ「……っ!」ググッ


男子生徒「ちょっと! これマジで力強いぞ! もう1人こい!」グイッ

ケンスケ「うああっ!」グイッ


ガタタッ


トウジ「ひゅーひゅー……か、かはっ……」

アスカ「…………」

ケンスケ「ぜぇぜぇっ、男子3人がかりっておかしいだろ……エヴァのパイロットでこんななのかよ」

ヒカリ「アスカ、平気?」

トウジ「……げほっ……げほっ……」

ケンスケ「お、おい。トウジ? 平気か?」

マナ「鈴原くん? ……気動確保しなきゃ。落ち着いて深呼吸して」

トウジ「……すぅー……はぁー……」
596 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/07(火) 21:21:54.33 ID:K9j1+Tdp0
男子生徒「細腕のどこにそんな力が、アニメや漫画の世界じゃあるまいし……」

ケンスケ「僕たちが悪かった。だから、許してくれ」

アスカ「…………」

マナ「……鈴原くん? 意識ある? 聞こえる?」

トウジ「……あ、あぁ……」


ガラガラ


レイ「…………」チラッ

アスカ「……っ! ファースト、ちょっと待って」

レイ「なに?」

アスカ「シンジはどこ?」

レイ「ネルフにいたわ」

アスカ「いたってどういうこと? なんで過去形なの?」

レイ「兵器の試験のため、今はネルフにいない」

アスカ「本当にそれだけ? 他になにか理由ない?」

レイ「……ないわ」

アスカ「じゃあ、今日は学校にこないのね?」

レイ「なぜ?」

アスカ「なぜって、知りたいからよ!」

レイ「答える必要がないわ」
597 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/07(火) 21:32:08.42 ID:K9j1+Tdp0
アスカ「……っ!」ギリッ

レイ「…………」

アスカ「ふぅ。私も聞き方が悪かったわ。ただ、知りたいだけ。教えてくれると助かる」

レイ「他に理由はないわ」

アスカ「わかった。ありがとう」

ヒカリ「……アスカ、明日になれば、会えるわよ」

アスカ「そうね、鈴原も、悪かったわね」

トウジ「……あぁ、まぁ……」

ケンスケ「ま、マジで止めなかったらどうなってたんだ?」

アスカ「さあ?」

トウジ「お前、実は体重100キロ超えてるとかあるんか?」

アスカ「はぁ?」

トウジ「どう考えてもおかしいやろが。力あるように見えへんし、持ち上げるのも軽そうやし」

アスカ「ま、ちょっとしたコツがあんのよ」

ケンスケ「こ、コツねぇ」

マナ「アスカ、戦自にはいったら?」

アスカ「はいはい、バカなこといってないで、続き、食べましょ」
598 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/07(火) 21:53:17.60 ID:K9j1+Tdp0
- ネルフ本部 発令所 -

放送『弐号機と零号機のアポトーシス作業は、MAGI-SYSTEMの再開後予定通り行います』

シゲル「作業確認。450より670は省略」

マコト「発令所、承認」

リツコ「さすがマヤ、早いわね」

マヤ「それはもう、先輩の直伝ですから」

リツコ「あ、待って、そこ。A8の方が早いわよ。ちょっと貸して」

マヤ「さっすが先輩……」

ミサト「…………」

リツコ「葛城三佐、今日のテストには間に合わせたわよ」

ミサト「了解、ご苦労さま」

リツコ「シンジくんなら、新兵器テストのため技術班と一緒に今頃は二子山よ」

ミサト「聞いてる。ポジトロンライフルの小型化が実現できそうね」

オペレーター「MAGI-SYSTEM、再起動後、自己診断モードに入りました」

マヤ「第127次、定期検診異常無し」

リツコ「了解。お疲れさま。みんな、テスト開始まで休んでちょうだい」

ミサト「リツコ、ちょっと、話、いい?」

リツコ「えぇ、かまわないわよ」
599 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/07(火) 22:06:50.68 ID:K9j1+Tdp0
- ネルフ本部 ラボ -

リツコ「なんのご用?」

ミサト「短い付き合いじゃないから、単刀直入に言うわ、シンジくんをどうするつもり?」

リツコ「どうもしないわよ。貴重なパイロットですもの。ミサトもそのことは重々承知しているでしょ」

ミサト「見え透いた嘘はいいのよ! あんた! 碇司令と寝たんでしょ⁉︎」バンッ

リツコ「…………」

ミサト「碇司令には、奥さんがいたでしょ⁉︎ ちゃんと応えてくれそうなの⁉︎ 私たちの歳で不倫はズルズルいっちゃうわよ!」

リツコ「本筋からズレてると思うけど? 聞きたいのはシンジくん? それとも私と碇司令の関係?」

ミサト「どっちもよ。碇司令からなにを命令されてるの?」

リツコ「守秘義務があるわ」

ミサト「そう、あんたっていつもそう。なんでそんなに不器用な恋愛ばっかり選ぶの?」

リツコ「余計なお世話よ……っ!」

ミサト「私はあんたのことを思って!」

リツコ「ミサトっ! 自分のことを棚にあげるつもり⁉︎」

ミサト「なんですって!」

リツコ「加地くんから逃げ出したのはあなたでしょ⁉︎ 本当は加地くんは受け入れてくれるつもりでいたのに!」

ミサト「そ、それは……」
600 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/07(火) 22:12:36.91 ID:K9j1+Tdp0
リツコ「あなたは父親の怨念にとらわれすぎているのよ! まわりをよくごらんなさい!」

ミサト「……っ! あんたがそれを言う⁉︎ 親についてコンプレックスを持ってるのは同じじゃない!」

リツコ「私は母さんのようにはならないわっ!」

ミサト「いいえ、そうなるわ。あなたの生き方を見てきた私だからわかる」

リツコ「ミサト! 不愉快だわ!」

ミサト「シンジくんをどうするつもりなのよ、愛した男に捧げるつもり?」

リツコ「パイロットなのよ! そんなことするはずないでしょう!」

ミサト「本当にそうかしらね。ただ、乗れればいいと考えてるんじゃないの?」

リツコ「……っ!」

ミサト「碇司令の残酷なやり方は私にだって少しはわかる。だからこそ、あんたと! シンジくんのことが……私は心配なのよ」

リツコ「葛城三佐……もう、さがって」

ミサト「リツコ……」

リツコ「下がりなさいっ!」ガシャンッ
601 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/07(火) 22:42:35.84 ID:K9j1+Tdp0
- 第三新東京都市第壱中学校 放課後 屋上 -

アスカ「…………」

マリ「ふぅ、まだ帰らないの?」

アスカ「あんたを待ってたのよ。ようやく現れたわね」

マリ「うーん、私、お便利屋さんじゃないんだけどにゃ〜」

アスカ「ありったけの情報を今すぐ渡して。わかるように。シンジを狙ってるのは碇司令なのね?」

マリ「ふぅん」

アスカ「でも、なぜ? どうしてシンジなの? シンジとメガネが話してたことに関係あるんでしょ?」

マリ「さぁ、知らない」

アスカ「知らないってことないでしょ⁉︎ あんたは全部知ってる! 加地さんもあんたから聞いたって言ってた! シンジのことも全部知ってるんでしょ⁉︎」

マリ「それよりもー、大事なのはワンコくんの安否じゃにゃいのー?」

アスカ「シンジに危険でもあるの⁉︎ わからないのよっ! なんにも!」

マリ「…………」

アスカ「知りたくてもわからない、このもどかしさがあんたにわかる⁉︎」

マリ「はぁ……まぁ、そんなマジにならなくても」

アスカ「だったら説明しなさいよ!」

マリ「言えることと言えないことがあってさぁ〜」

アスカ「言えることってなに?」

マリ「まず、ワンコくんなんだけど、ちょっとピンチかもしれない」

アスカ「どういうこと?」

マリ「ゲンドウくんがいよいよ本腰あげてきたみたいだから、どうなるかまだわからないけど」

アスカ「……シンジのお父さんなんでしょ?」

マリ「うん。でも家庭によっては様々な事情があるからさぁ。他所は他所、うちはうちって言うじゃん?」

アスカ「シンジと碇司令ってそんなに?」

マリ「うーん、道具と使う者って感じ? ワンコくんはねぇ、あくまで道具なんだよ。ワンコくんも、それに気がついた」
602 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/07(火) 22:51:04.32 ID:K9j1+Tdp0
アスカ「それで?」

マリ「それでぇ、ワンコくんは道具で終わるつもりがないみたい」

アスカ「それがシンジのやりたいことってことね」

マリ「まぁ、そーだね。この前話してたのはそのこと。そんなのは無理って私が言ってたの」

アスカ「……私はどうしたらいいの?」

マリ「うーん。自分で考えてみたら?」

アスカ「……っ!」

マリ「姫、なにかを待ってるだけじゃだめだよ。ああしなさい、こうしなさいでは私の操り人形になっちゃうよ?」

アスカ「でも、どうしたらいいかわからない」

マリ「だから、考えるんでしょ? バックアップはしてあげるよ」

アスカ「…………」

マリ「考えて、悩んで、また考えて。それで悔いのない選択をする。私たちができることってそんなに多くないんだよ、姫」

アスカ「…………」

マリ「はぁ、やっぱりこういうのガラじゃにゃいな〜。疲れちゃうわ、もう帰っていい?」

アスカ「シンジは、どうなるの?」

マリ「わからないって言ったっしょー。姫がどうするかもわからないけどねー」
603 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/07(火) 23:04:49.94 ID:K9j1+Tdp0
- ネルフ本部 ??? -

リツコ「長旅お疲れ様でした。碇司令」

ゲンドウ「報告をしろ」

リツコ「はい。シンジくんは予定よりはやくセカンドチルドレンと引き離しました」

ゲンドウ「…………」

リツコ「現在は私と同居させており、洗脳は準備を進めております」

冬月「時間はどれぐらいかかる」

リツコ「薬剤の投与を開始いたしております。一週間もあれば全て整います」

冬月「まわりに怪しまれてはいないだろうな?」

リツコ「申し訳ありません。葛城三佐が勘づいているようです」

冬月「……ふぅ。どうする? 碇」

ゲンドウ「放っておけ。どうせなにもできん」

リツコ「…………」

ゲンドウ「サードチルドレンは今どこにいる?」

リツコ「兵器テストの為、本日は二子山にて試験を行っておりました。現在はまだネルフ本部にいるかと」

冬月「レイと行動を共にさせていたのか?」

リツコ「本日は同行していませんが、そちらも滞りなく、これから機会は増えるでしょう」

冬月「廃人にさせるのはできれば、避けたいのだが」

リツコ「はい。あくまで可能性のひとつとしてそういう恐れがあるということだけ。シンジくんの洗脳がうまくいけば、レイしか見えなくなるはずです」

ゲンドウ「わかった。シンジをここに呼べ」
604 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/07(火) 23:25:34.30 ID:K9j1+Tdp0
- 初号機 格納庫 -

放送『第1ロックボルト固定。排水作業は第2フェーズへ移行します』

シンジ「……ととっ」

ミサト「シンちゃ〜ん、お疲れ様!」

シンジ「ミサトさん? どうしてここに」

ミサト「仕事がひと段落した時に、初号機が帰ってきたって連絡あったから様子見にきたのよ」

シンジ「わざわざありがとうございます」

ミサト「どお? 昨日はあれからなにもなかった?」

シンジ「特に、なにもなかったですよ。寝ただけです」

ミサト「なにかあったら、遠慮なく――」

リツコ「シンジくん」

シンジ「リツコさんまで?」

リツコ「碇司令がお呼びです、一緒に行きましょう」

シンジ「父さんが?」

ミサト「リツコ、待って」ガシッ

リツコ「なに? 今急いでるんだけど」

ミサト「私も一緒に行くわ」

リツコ「葛城三佐は呼ばれていないわ」

ミサト「報告したいことがあるからそのついで。行っちゃいけないってことはないでしょ?」

リツコ「はぁ、勝手にしなさい、行きましょう。シンジくん」

シンジ「…………」
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/07(火) 23:43:41.21 ID:K9j1+Tdp0
- ネルフ本部 ??? -

ゲンドウ「シンジ、そこに座れ」

シンジ「…………」スッ

ミサト「碇司令、ご報告がございます」

冬月「あとにしたまえ」

シンジ「…………」

ゲンドウ「初号機のシンクロ率が300%付近まで上がったと聞いたが」

シンジ「はい」

ゲンドウ「なぜ、そこまで上げることができた」

シンジ「わかりません。無我夢中だったので」

ゲンドウ「初号機はお前が思っているほど軽くはない」

シンジ「…………」

ゲンドウ「初号機を傷つけるな」

ミサト「ま、待ってください! 先の戦闘では初号機の戦果は褒められたものであって――」

ゲンドウ「作戦司令。子供に決定権を与えるとはどういうつもりだ」

ミサト「も、もうしわけありません……!」

シンジ「いいんです、ミサトさん」

ゲンドウ「シンジ……お前の仕事はなんだ」

シンジ「エヴァに乗ることです」

ゲンドウ「そうだ、お前がやる気になる必要はない」

シンジ「――だったら今すぐ僕を降ろせばいいだろっ!! 僕を降ろせばっ!!」
606 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/07(火) 23:53:45.58 ID:K9j1+Tdp0
シンジ「父さんは初号機しか頭にないんだろ!!」

ゲンドウ「…………」

シンジ「乗る気になったら乗る気になったで、今度はやる気を出すなだって⁉︎」

ゲンドウ「…………」

ミサト「シンジくん……」

シンジ「乗るしかないんだろ、父さん」

ゲンドウ「そうだ。お前が乗らなければ人類は滅ぶ」

シンジ「だったらひざまづいてお願いしてみろよ!」

リツコ「シンジくん! 口の聞き方に気をつけなさい!」

冬月「…………」

ゲンドウ「葛城三佐。シンジを連れてさがっていい」

シンジ「父さん、僕は初号機に乗る。初号機パイロットだから!」

ゲンドウ「…………」

シンジ「だけど! みんなを守るって決めたんだ!」

ゲンドウ「子供の戯言は充分だ。はやく退がれ」

リツコ「はい。葛城三佐、なにしてるの、さがりなさい!」

シンジ「くそっ! 僕の話を――」

ミサト「シンジくん、行きましょう……」
607 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/07(火) 23:58:54.77 ID:K9j1+Tdp0
冬月「――碇、お前の息子は変わったな」

ゲンドウ「ただの稚魚だ。綺麗事を並べているだけにすぎん」

冬月「若さとは、えてしてそういうものではないのかね」

ゲンドウ「理想と現実は違う。到達できないものに時間を割いている余裕はない」

リツコ「…………」

ゲンドウ「赤木博士、シンジの洗脳を優先事項にしろ」

リツコ「了解いたしました」

ゲンドウ「――以上だ」
608 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 00:09:44.00 ID:BconFYhG0
- 車内 移動中 -

ミサト「……リツコのマンションまで送るわ」

シンジ「ふぅ……ミサトさん、なにか食べて帰りますか?」

ミサト「あ、あら? へこんでないの?」

シンジ「まぁ、いつものことですから」

ミサト「へぇ、シンちゃん! 強くなったじゃない!」

シンジ「(これで、父さんの僕に対する印象は変わらないはずだ)」

ミサト「でも、そっちのがいいかもね。ちょっと心配してたけど」

シンジ「ミサトさんも大変ですね」

ミサト「うん、まぁ、色々あるからね」

シンジ「人間関係って大変ですよね」

ミサト「だっはっは! やだぁ! やめてよー! 面白いこと言うじゃなーい!」

シンジ「そうですか?」

ミサト「シンジくんの口からそういうこと聞くのは意外だわー」

シンジ「僕も思う時あるんです。分かり合えたらいいなって、でも全部は無理ですから」

ミサト「……そうね、みんなそれぞれペースがあって、やりたいことがある。したいようにしたいのはみんな同じだもの」

シンジ「うまくいくといいんですけどね」

ミサト「たまに噛み合う時はあるんだけどね。ボタンのかけ違いをする時もある」

シンジ「仕事だとまた違うんですか?」

ミサト「うん? まぁ、似たようなもんよ。仕事は学校と違って、気の合う仲間だけで集まれるわけじゃないもの。趣味や気性が違う人がいて当たり前なの」

シンジ「そっか。大変そうですね」

ミサト「まぁ、シンちゃんも働くようになればわかるわよ」

シンジ「そうですね」
609 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 00:23:40.07 ID:BconFYhG0
- 夜 ミサト宅 -

ミサト「たっだいまーん」

ドタドタドタッ

アスカ「ミサト! シンジの様子どうだった⁉︎」

ミサト「シンちゃんなら、なにも心配いらないわ。あの子、前に比べれば本当に強くなったわね」

アスカ「本当⁉︎ なにかされてない⁉︎」

ミサト「今のところは、なにも心配ない。といってもまだ1日目だけど」

アスカ「……よかった。明日は学校にくる?」

ミサト「あっ、そうね。うーんどうかしら」

アスカ「えぇ〜〜⁉︎ まだなんかあんのぉ⁉︎」

ミサト「リツコがね。マヤちゃんに聞いた話だと実験に協力させれることが多くなるみたい」

アスカ「……赤木博士が?」

ミサト「まぁ、すぐにどうこうって話じゃないと思うけど」

アスカ「シンジが変わったってことがまずいのなら、碇司令達がなんかするんじゃないの?」

ミサト「……アスカ、誰かからなんか聞いた?」

アスカ「う、うぅん。なんとなく、女の勘」

ミサト「そう……。シンジくんの変化は隠そうと思ってもできるほど些細なものではないわ。自己主張しなかった子がするようになった、これだけでも大きな変化だもの」

アスカ「…………」

ミサト「碇司令に見破られてるかもしれないわね」

アスカ「(どうしたらいい、考えなくちゃ)」

ミサト「そんなに深刻そうな顔しないで。アスカがシンちゃんを変えたのよ」

アスカ「わ、私が?」

ミサト「そ。女で男にしてあげたんでしょ。もっと信じて待ってあげなさい」
610 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 00:30:57.06 ID:BconFYhG0
ミサト「――そうだ。リツコが近くにいるなら、レイと行動を共にすることが多くなるかもしれないわね」

アスカ「ファースト?」

ミサト「ええ。元々、リツコの実験に協力してたのは、レイだから。そこにシンジくんが加わるってことになるんじゃないかしら」

アスカ「ファースト……が……」


レイ『言う必要ないもの』


アスカ「……っ!」ギリッ

ミサト「レイに色々聞いてみたら? 近況わかること増えると思うわよ」

アスカ「……えぇ、わかったわ。そうする」
611 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 00:52:28.03 ID:BconFYhG0
- リツコ宅 -

シンジ「(どうしようかな、これから。ここも監視されてる可能性があるけど、リツコさんがいるからなぁ)」



ガチャ



シンジ「あ、おかえり――」

レイ「お邪魔します」

シンジ「あ、綾波?」

リツコ「驚いた?」

シンジ「り、リツコさん。どうして綾波が?」

リツコ「たまにこうして連れて帰ってきてるのよ」

シンジ「(嘘だっ! そんなことあるはずない!)」

リツコ「レイ、いつも通りラクにしていいわよ」

レイ「はい」

シンジ「……わかりました。今日は泊まるんですか?」

リツコ「そうね。レイはシンジくんの向かいの部屋を使って」

シンジ「(そこって間取り的にアスカがいた部屋と同じ)」

リツコ「それじゃ、シンジくん、今日の分のお薬」スッ

シンジ「これって、毎日飲むんですか?」

リツコ「常服する薬はなんでもそうだけど、最初から多めに飲ませたりはしないわ。徐々に体を慣らしていくの」

シンジ「…………」

リツコ「アスカには、同じ薬を明日、渡すわよ」

シンジ「本当に気分抑える薬ですか?」

リツコ「そうよ。シンジくんが自力でシンクロ率を操作できるなら飲む必要はないけど」

シンジ「……わかりました」
612 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 01:08:15.06 ID:BconFYhG0
- 翌日 第三新東京市立第壱中学校 ホームルーム -

ガラガラ

レイ「…………」

アスカ「ファースト! 待ってたわよ!」

レイ「なに?」

アスカ「……ふぅ。平常心、平常心。シンジのこと考えれば大丈夫」

レイ「…………」

アスカ「昨日、ミサトから聞いたの。赤木博士とシンジ一緒にいること多くなったって」

レイ「えぇ」

アスカ「それで、あんたも一緒にいること増えるって本当?」

レイ「そう命令されてるわ」

アスカ「そっか。命令じゃ仕方ないわよね。シンジの近況のこと、できるだけ教えてほしいんだけど」

レイ「昨日、赤木博士のマンションで一緒にいたわ」

アスカ「……え?」

レイ「碇くんの向かいの部屋で私は寝た」

アスカ「な、なに言って……」

レイ「これから、そうなることが増えるかもしれないわ」

アスカ「…………」

レイ「近況はこれぐらい。席にいっていい?」

アスカ「そこ、私の場所よ」

レイ「……私は、命令されてる」

アスカ「そう、命令じゃ、しかたないわね」

レイ「だけど、碇くんのことを考えると、前より、胸があたたかい」

アスカ「……っ!」

レイ「もう、席にいくわ」
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 01:19:42.98 ID:BconFYhG0
トウジ「お、おい。今の話聞こえたか?」

ケンスケ「聞こえてしまった」

ヒカリ「ど、どうしよう……」

マナ「アスカってもしかして合気道とかやってるのかな」

ヒカリ「マナ、いきなりなに?」

マナ「昨日、男子でも引き剥がせなかったことあったでしょ。コツだって言ってたけど、もしかして重心じゃないかって思って」

トウジ「それよりも今は血の雨がふる心配をやな」

マナ「違うの。アスカが暴れた時、止める方法は必要だよ」

ケンスケ「たしかにそうかもな。でも、ドイツで合気道なんか教わるのか?」

マナ「アスカってエリートなんでしょ? 私から見てもよく足あがってるし、なにか格闘技やってたのは間違いないと思うんだけど」

トウジ「私から見てもって、マナもなんかやっとったんか?」

マナ「あっ! いや、あの、ダンスをすこし」

ヒカリ「碇くん、今日もこないのかな。アスカ、碇くんと話をすれば我慢できると思うんだけど」

ケンスケ「そうかぁ? シンジがいた時も暴走気味なとこあったけど」

ヒカリ「見れば安心できることってあると思うし……」

マナ「見たから不安になるってこともあるけどね……」




トウジ&ケンスケ&ヒカリ&マナ「…………はぁ」
614 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 03:06:25.50 ID:AwFh9qqI0
615 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 03:41:18.25 ID:au+NQwCLO
もう600。ひとつひとつの使徒戦の合間によくこれだけ詰めこめるな。
無理やりに感じさせないで繋げてんのしゅごい。
616 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 11:22:31.42 ID:fn5lYb1yo

綾波がすでに3人目なのか
617 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 14:59:32.04 ID:BconFYhG0
細かく読んだらけっこうちぐはぐだと思うんすけどね
台本形式のSSなんで推敲もあまりしていませんし読んでる人と原作に助けられてる部分が多いと思いますよ

面白かったと思ってもらえるにはラストでの持っていきかたで決まるのかなと思ってます

では続けます
618 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 15:22:40.39 ID:BconFYhG0
- 夜 リツコ宅 -

シンジ「ただいま……」

レイ「おかえり」

シンジ「リツコさんは?」

レイ「まだ」

シンジ「そっか。……ふぅ。綾波お腹すいてる?」

レイ「いえ。碇くん、疲れてる?」

シンジ「……うん、少しね。色々データがほしいらしくて注文が多いから」

レイ「そう。今日、弐号機の人から近況を聞かれたわ」

シンジ「アスカから?」

レイ「…………」コクリ

シンジ「心配してくれてるんだな……」

レイ「なぜ、嬉しそうな顔をするの?」

シンジ「あぁ、えっと」

レイ「碇くん、弐号機の人を考えると胸があたたかくなるの?」

シンジ「そうだね……。綾波のことを考えてもそうなるよ」

レイ「私も……?」

シンジ「うん。誰かに心配してもらえるのは嬉しい。それは、感情なんだよ」

レイ「感情……」

シンジ「すこしずつでいいんだ。綾波が感じたこと、見たこと、それは綾波だけのものなんだから。他の誰でもない」

レイ「誰でもないこと……」

シンジ「夕飯作ってあげるよ。なにがいい?」

レイ「なんでも、いい」

シンジ「お肉嫌いだったよね、お味噌汁でいいかな」
619 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 15:32:44.93 ID:BconFYhG0
- 夜 ミサト宅 アスカ部屋 -

ガンッ!!!


アスカ「ふーっ、ふーっ」


レイ『昨日、赤木博士のマンションで一緒にいたわ』


アスカ「嫌なやつっ――」


レイ『碇くんの向かいの部屋で私は寝た』


アスカ「――そこは私の場所だったのにっ!!」ガシャンッ

アスカ「なんで⁉︎ なんでシンジと一緒にいちゃいけないの⁉︎ なんでファーストなの⁉︎」

アスカ「碇司令のお気に入りだから⁉︎ ファーストが! 私はいちゃいけないの⁉︎」

アスカ「……はぁっ……はぁっ……シンジ、会いたい。会いたいよ」
620 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 15:48:38.09 ID:BconFYhG0
- ミサト宅 リビング -

ガラガラ

アスカ「…………」

ミサト「ふぅ……落ち着いた?」

アスカ「ミサト、明日、私もネルフにいく」

ミサト「その方がいいみたいね。シンジくんの顔を見たら落ち着くわよ」

アスカ「明日も学校に来ないの?」

ミサト「そうね……。明日はオートパイロットのテストになってるから、シンちゃんが代表して参加するみたい」

アスカ「……わかった。それじゃ、放課後にいく」

ミサト「アスカ。物にあたるのはやめなさい」

アスカ「ミサトは知ってたの? ファーストと一緒にいたって」

ミサト「……いいえ、知らなかった。リツコが突然、連れて帰ったらしいの」

アスカ「昨日だけなんでしょ?」

ミサト「……リツコの部屋の鍵をレイも渡されたそうよ」

アスカ「……っ!」ギリッ

ミサト「シンジくんなら大丈夫よ。一緒に暮らしてたアスカがよくわかってるはずでしょ。なにも起きる心配なんかないわ」

アスカ「そういうことじゃないの! 私の場所だったのに!」

ミサト「……まぁ、そうね」

アスカ「でも、まだ2日目だから。わかってるわよ」

ミサト「シンちゃんにもアスカの近況、話しとくわ」
621 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 16:18:06.70 ID:BconFYhG0
- 翌日 ネルフ本部 ラボ -

レイ「…………」

リツコ「ふぅん、肢体に異常はない?」

レイ「はい」

リツコ「腕を肩まであげて、手を開いて閉じてみて」

レイ「…………」グー パッ

リツコ「動きに劣化はなさそうね。次の定期検査は3日後よ」

レイ「赤木博士」

リツコ「なに?」

レイ「私、いつまで生きられますか?」

リツコ「……なぜ?」

レイ「次の私に、今の気持ちは引き継がれますか」

リツコ「気味の悪いこと言わないで。あなたはただの器なのよ」

レイ「はい……」

リツコ「近く、話しておいた移植手術が行われるわ」カキカキ

レイ「はい」

リツコ「それと、今日は昼休みに間に合うように学校に行きなさい。これをセカンドチルドレンに届けるように」スッ

レイ「……?」

リツコ「ウォークマンよ。あなたは内容を聞かなくていいわ」

レイ「はい……」
622 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 16:30:23.12 ID:BconFYhG0
- 第三新東京市立第壱中学校 昼休み -

ガラガラ

レイ「…………」

スタスタ

ヒカリ「それでね――」

トウジ「なんや?」

アスカ「……?」

レイ「…………」ピタ

ケンスケ「綾波が僕たちのところに来るなんて……」

アスカ「ファースト、なに?」

レイ「……これ」スッ

アスカ「……なに、これ」

トウジ「ウォークマンやな」

ケンスケ「もしかしてシンジが持ってたやつか?」

アスカ「シンジに頼まれたの⁉︎」

レイ「…………」

ヒカリ「アスカ! よかったね! 碇くんも気にかけてくれてたんだよ!」

マナ「うんっ! そうだねっ!」

アスカ「……シンジ」

トウジ「お熱いこっちゃのー」

ヒカリ「聞いて見たら? なにか録音されてるかもしれないし」
623 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 16:41:19.19 ID:BconFYhG0
アスカ「うん……でも、聴いていいのかしら」

マナ「いいんだよー! せっかくもらったものなんだから!」

アスカ「そ、そうよね。あ、ファーストも、ありがと……」

レイ「…………」

トウジ「これなら丸く収まりそうやのー。ほんま現金なやっちゃで」

アスカ「それじゃ、ちょっとごめん。イヤホンするから」


カチッ


ジーーーッ



レイ『……男の人は、我慢できない時があるんでしょ?』

シンジ『だめだよ! 僕たち、そんなんじゃ!』

レイ『――碇くん、見て、私、なにもつけてない!』



アスカ「――………っっっ⁉︎」


シンジ『綾波! ベットに乗ったら感染症が……!』


アスカ「…………な、なによこれ…………」

ヒカリ「……? アスカどうしたの?」

トウジ「感動しとるんちゃうか?」


レイ『大丈夫。怖がらなくていい……』


アスカ「――このクソやろうッッッ!!!!」


ガシャガシャガシャガシャガーーーンッ


ケンスケ「うわあああっ⁉︎」
624 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 16:42:48.88 ID:v7sqihv/O
一瞬ギター引き始めたんか思たわ
625 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 16:50:19.86 ID:BconFYhG0
マナ「な、なに⁉︎」


アスカ「殺してやる! 殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやるッッッ!!!」ガンッ

レイ「……あぅっ!」ドサ


ヒカリ「アスカ⁉︎ 鈴原、相田くん!」

トウジ「止まれっ!」グッ

ケンスケ「またかよ!」グッ

マナ「まずい! アスカ、マウントとろうとしてる! 綾波さん下になっちゃだめ! かえして!」


アスカ「このクソビッチ!! よくも、よくも、よくもよくもよくもシンジに!!!」
ガンッガンッ

レイ「かっ……かはっ……」ゴンッゴンッ


トウジ「ケンスケ! 力めいっぱいこめたらんかい!」グィ

ケンスケ「やってるよ!」グィ

マナ「腕を掴んで!」

トウジ「よしきた!」


アスカ「――離せッッ!!」


トウジ「止まれこのじゃじゃ馬!」グィ
626 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 16:51:09.10 ID:BconFYhG0
>>624
わろた
効果音て難しいですね
627 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 16:55:24.47 ID:+QJVRjfeo
引き離したいのか逆撫でしたいだけなのか
628 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 16:55:38.56 ID:BconFYhG0
だめだ笑ってしまって続きが書けないギターにしか見えなくなってしまった
ちょっとすこし時間おきます
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 17:03:56.12 ID:LSv0NNICO
>>628
すまない........
630 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 17:06:52.84 ID:BconFYhG0
いやいやw
おもしろかったから全然いいんですツボにはいってしまったんで申し訳ない

続けます
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 17:17:25.86 ID:BconFYhG0
アスカ「チッ!」

トウジ「……っ! 肘をつかめばよかったちゅーことか!」

ケンスケ「それでも僕の力じゃ……!」

マナ「綾波さん! 今のうちに!」グィ

レイ「…………」

ヒカリ「だ、大丈夫? 鼻血でてる……これハンカチ」スッ

マナ「水で濡らした方がいいよ」


アスカ「この! 離して! 離してってばぁ!」ブンブン


トウジ「暴れるなっちゅーに!」

ケンスケ「綾波をここから連れ出して!」

マナ「うんっ! わかった!」

ヒカリ「……行こう」


アスカ「まだ、私の話が終わってないのよっ!!」


トウジ「お前話する気ないやろ!」

レイ「…………」カシャ

ヒカリ「それ、碇くんのウォークマン? 壊れちゃったね」

レイ「いい……私が持っていく」スタスタ


アスカ「待てっ!! 逃げるな!」ジタバタ


レイ「ネルフで待ってる」
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 17:24:26.56 ID:BconFYhG0
アスカ「……はぁっ……はぁっ……」

ヒカリ「アスカ、綾波さん、もう行っちゃったよ」

マナ「突然どうしちゃったの? なにか録音されてたの?」

アスカ「……ぅっ……うっ………」

トウジ「な、なんや? 今度は泣き――」

アスカ「いつまでも触んなっ!! うっとうしいわねぇ!!!」

ケンスケ「わぁっ⁉︎」

トウジ「うぉっ⁉︎ わ、悪かったって」

アスカ「……悔しい。こんなことってある?」

ヒカリ「アスカ……」

アスカ「私、ネルフに行く」

マナ「う、うん……」
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 17:57:32.33 ID:BconFYhG0
- ネルフ本部 ラボ -

リツコ「――渡せたみたいね」

レイ「ウォークマン、壊れました」

リツコ「シンジくんには新しいのを買ってあげるから、なにも心配ないわよ」

レイ「…………」

リツコ「血がついちゃってるわね。新しい制服なら家にあるから、帰ったら着替えなさい」

レイ「赤木博士」

リツコ「ウォークマンの内容?」

レイ「はい」

リツコ「シンジくんが入院してた時のあなたとの情事のやりとりよ」

レイ「……っ!」

リツコ「アスカは最大級のショックを受けたでしょう。シンジくんはあなたとのことを夢だと思っているし、はじめて知った事実だもの」

レイ「…………」

リツコ「中学校には刺激が強すぎたかしらね。他人に寝取られるのは」

レイ「なぜですか?」

リツコ「アスカはね、あなたの存在に怯えているのよ」

レイ「…………」

リツコ「自分の好きな人を取られてしまうんじゃないか、とね。アスカは自分に自信を持っているけど、それが揺らがないかといえばそうではない」

レイ「…………」

リツコ「今までアスカがいた場所にあなたがはいりこんできた。そこに追い討ちをかけるように、身体の関係があるのがアスカだけではないと知らしめる必要があったの」

レイ「…………」

リツコ「人を信じるって持続させるのが難しいものよ。シンジくんからなにも聞いてないことがアスカの疑心を募らせる」

レイ「でも、碇くんは……」

リツコ「あなたは何も疑問を抱かず、命令に従っていればいい」

レイ「私は……」

リツコ「――さて、アスカが追いかけてくるでしょうね」


カチャ プルルルル


リツコ「私よ。オートパイロットのテストを切り上げて、サードチルドレンを家に帰して。今すぐに……えぇ……そうよ……」
634 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 18:06:58.60 ID:BconFYhG0
- ネルフ本部 第三通路 -

タタタタッ

アスカ「……はぁっ……はぁっ……」

マヤ「あら? アスカ?」

アスカ「シンジは⁉︎」

マヤ「シンジくんなら、さっき、先輩のマンションに帰ったわよ。テストの疲れがあるだろうって」

アスカ「(……タイミングがよすぎる。操作されてるのね)」

マヤ「シンジくんなら、明日――」

アスカ「いい。赤木博士はどこ?」

マヤ「シンジくんじゃなくて? 先輩なら、ラボで作業を……」


タタタタッ


マヤ「――なんなのよ」
635 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 18:14:30.22 ID:BconFYhG0
- ネルフ本部 ラボ -

リツコ「(まだまだ追い詰めなくちゃね……)」


バンッ!!!


アスカ「……ぜぇ……ぜぇ……」

リツコ「あまり走りすぎると心臓に負担がかかるわよ」

アスカ「お生憎様。ばばあと違って若いから心臓も強いのよ」

リツコ「それは結構。でも誰だって老いるのよ」

アスカ「今の時点で私は十代よ。そんな先の話はそうなってから考えればいい」

リツコ「……それで? なんのご用?」

アスカ「シンジと話させて」

リツコ「もう帰ったわ。話があるなら明日にしなさい」

アスカ「――嘘ね。話をさせる気なんかないんでしょ。最初のデートをするだけならかまわないって話も全部ウソ! 徹底的にやるつもりなのね!!」

リツコ「被害妄想はよくないわよ」

アスカ「だったらシンジと話させてよ!!」

リツコ「今日は、無理と言ったでしょう。明日なら大丈夫よ」

アスカ「明日になって話せるという保証は?」

リツコ「それは約束できないわね」


ガンッ!!


アスカ「もう一度言うわ……。シンジと、話をさせて」
636 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 18:22:25.73 ID:BconFYhG0
リツコ「シンジくんなら帰宅して、レイと夕食の準備にとりかかっているかしらね」

アスカ「……っ!」

リツコ「2人で仲良く、アスカの存在なんていつのまにやら忘れているかも」

アスカ「煽ってるつもり⁉︎」

リツコ「いいえ、ただの独り言」

アスカ「シンジは、私のこと忘れるはずない」

リツコ「シンジくんからアスカがどうしているか、この2日間、聞かれたことないけど」

アスカ「――嘘よっ!!」

リツコ「事実よ」

アスカ「あんたの言うことなんて信じない!」

リツコ「あんな引き裂かれ方したら普通、聞くものよね」

アスカ「全部嘘なんでしょう!! いい加減にして!!」

リツコ「ウォークマンの中身、どうだった?」

アスカ「……っ!」ギリッ

リツコ「あれ、合成なんかじゃないわよ」

アスカ「……お願いよ……シンジと話させてよ……」ポロポロ
637 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 18:34:09.71 ID:BconFYhG0
リツコ「できないわ。今日はもう帰りなさい」

アスカ「お願い……少しだけでいいの……」

リツコ「保安部に連絡するわよ」

アスカ「…………」

リツコ「シンジくんのことは、できるなら諦めなさい。足掻いてみてもかまわないけど、その時は誰が相手になるか覚悟しておくことね」

アスカ「……なんでファーストなの……」

リツコ「あなたには関係のないことです」

アスカ「関係あるわ! 私だって、シンジのことが好きなのよ!」

リツコ「純粋ね。痛々しいぐらいに。しかし、叶わない恋もあるということを知る機会よ」

アスカ「私は、諦めないわよ」

リツコ「どうぞ」

アスカ「…………」

リツコ「強気な台詞がいつまで持つか見ててあげるわ。今日、このまま帰って1人になった時に、あなたに孤独感と敗北感が襲うでしょう」

アスカ「……っ!」

リツコ「好きだけで耐えられる?」

アスカ「……耐えてみせる」

リツコ「ラクになる方法は次にいくことよ。忘れないことね」

アスカ「帰るわ」

リツコ「次は、録音じゃなくて、映像であげるわね」

アスカ「うあぁぁあっ!!」ガシッ

リツコ「殴りたければ殴りなさい、そうしてもなにも変わらないのよ。今この瞬間も、シンジくんとレイは2人でいる」

アスカ「……ふー……ふー……」

リツコ「あなたは頭の良い子よ。アスカ」
638 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 18:59:33.91 ID:BconFYhG0
- 夜 リツコ宅 -

ガチャ

レイ「…………」

シンジ「綾波。おかえり」

レイ「た、ただいま」

シンジ「僕のウォークマン知らない? 探してるんだけど、見つからないんだ」

レイ「わからないわ」

シンジ「うーん、そっか。まだ荷物で届いてないのかな。そんなに多くなかったはずだけど」

レイ「碇くん」

シンジ「ん?」

レイ「悪いことをしているときってザワザワするのね」

シンジ「どうしたんだよ、急に」

レイ「いいえ、私、どうしたらいいのか」

シンジ「……なにかあったの?」

レイ「…………」

シンジ「言いづらいこと?」

レイ「碇くんは、どうしたい?」

シンジ「僕?」

レイ「私は、碇くんが悲しむことはしたくない」

シンジ「……ありがとう。その気持ちだけで充分だよ」

レイ「違うの、私、どうしたいの、言いたくない」

シンジ「綾波……?」
639 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 19:07:54.37 ID:BconFYhG0
レイ「私、3人目だから、でも道具じゃない、人形じゃない」

シンジ「綾波は綾波だよ。何人目でもそれは変わらない」

レイ「こわいの。なくなってしまうのが、死ぬのがこわい」

シンジ「そうだね。僕も死ぬのはこわいよ」

レイ「そうじゃない。私には代わりがいるもの。器だもの。私の価値はそれだけ――」

シンジ「綾波っ!」ガシッ

レイ「……っ!」ビクッ

シンジ「何人綾波がいようとも、今の綾波は、ここにしかいないんだ。だから、死ぬのがこわいって感じるのは同じだよ」ギュウ

レイ「ぁっ……」

シンジ「大丈夫だよ」

レイ「(……ごめんなさい、弐号機の人、私、言いたくない)」
640 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 19:25:39.31 ID:BconFYhG0
- ミサト宅 アスカ部屋 -

マリ「窓からお邪魔するよ〜ん」

アスカ「…………」

マリ「あっちゃぁ〜部屋の中で竜巻でも発生したのかってぐらい荒れてるね」

アスカ「…………」

マリ「おーい、お姫さまぁ〜、もしもーし」

アスカ「…………」

マリ「だめだこりゃ。姫って意外に弱っちいよね。あれ? 意外ってこともないか。ま、どっちでもいいか」

アスカ「…………」

マリ「……ワンコくんと綾波シ……っとと、綾波レイのことは、私、知ってたよ」

アスカ「…………」ピクッ

マリ「ワンコくんが入院してる時にさ、逆レイプされかかってたって言ったの覚えてる? あれがウォークマンの中身」

アスカ「……どういうこと?」

マリ「おっ? 反応あった? だからー、ワンコくんを助けたのがわたし! すごいだろー! えっへん!」

アスカ「シンジを襲った?」

マリ「あらら、褒めてくれないのかにゃ。うん、そう。ワンコくん綾波レイに襲われてた。薬盛られてた。赤木リツコに」

アスカ「……っ!」

マリ「許しちゃっていいのかにゃー? 泣き寝入りしちゃうのぉ〜?」
641 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 19:39:12.09 ID:BconFYhG0
アスカ「そう、なんでもありってわけね」

マリ「だから言ってるじゃん、道具なんだって」

アスカ「もっとはやく言いなさいよ!」

マリ「聞かれなかったからさぁー」ブーブー

アスカ「でも……私、今日、あいつの前で泣いちゃった」

マリ「あーらら」

アスカ「かなわないのかもしれない」

マリ「ふぅん……ここにワンコくんからの手紙預かってきてるんだけどにゃー」

アスカ「シンジから⁉︎ 見せて!」

マリ「おっと」バッ

アスカ「なんで渡してくれないの⁉︎」

マリ「諦めるなら見る必要なくない?」

アスカ「……見てから決めてもいいでしょ」

マリ「らしくないにゃー、諦めきれないんでしょー、素直になりなよー」

アスカ「…………」

マリ「負けたからなんだってならないとぉー。負け癖がつくのはね、心が折れた時だよ? あんなのでさぁ、簡単すぎるよひめぇー」

アスカ「なんであんたがやりとり知ってんのよ!」

マリ「いたるところに情報源があるもんで」

アスカ「ちっ」

マリ「プライドが高いエリートって一度の負けで終わっちゃうわけー?」

アスカ「うっさいわねぇ! わかったわよ! 諦めない!」
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 19:47:49.06 ID:BconFYhG0
マリ「それじゃ足りないにゃー」

アスカ「うっとおしい……!」

マリ「ふふん♪ 目を閉じてくださーい」

アスカ「はぁ?」

マリ「いいから、やるやる」

アスカ「……はぁ、閉じたわよ」

マリ「ワンコくんのこと思い浮かべてごらん」

アスカ「…………」

マリ「オーバーザレインボーではじめて会った時のこと、姫に言葉をかけたこと、浅間山で大火傷を負ったこと、はじめてのエッチのこと」

アスカ「……うん」

マリ「どれもこれも姫にとってかけがえのないものだよねぇ」

アスカ「もちろんよ」

マリ「他の人でもいいの?」

アスカ「……いいえ、違うわ。シンジがいてくれたから今の私はいる。シンジじゃないとだめなのよ」

マリ「それじゃ、はいこれ」ピラ

アスカ「……?」

マリ「手紙、読みかったんでしょ?」ヒラヒラ
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 19:58:06.91 ID:BconFYhG0
アスカ「……っ!」バッ


シンジ『アスカ。元気にしてる? まだ短い日数だけど、僕は、アスカに会いたくてたまらないんだ。こんなこと言うのおかしいよね。
離れてくらしてみて、改めて思ったんだ。
僕は、アスカのことが好き、いや、愛してるんだって。
なかなか会えないけど、はやく会いたいと思ってるよ』


アスカ「…………」プルプル

マリ「(ワンコくんの筆跡マネて書いてみたけどどうかにゃ)」

アスカ「メガネ! 今すぐ準備して!!」

マリ「な、なにを?」

アスカ「決まってんでしょ! シンジを助けだすのよ!!」

マリ「お、おぉ〜。効果すごいね。どうやって?」

アスカ「乗りこむ! 手榴弾とか用意して!!」

マリ「それで助けた後は逃避行?」

アスカ「あっ……」

マリ「そうなんだよねー。連れ出すこと自体は簡単なんだけど、逃げきるのが難しいんだにゃ」

アスカ「でもこのままだとガードが堅いし……」

マリ「ワンコくんが現状知るだけでも変化あるかな?」

アスカ「それなら、なんとかなりそうね」

マリ「それじゃいこっか、姫」

アスカ「どこに?」
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 20:06:50.46 ID:BconFYhG0
- 空輸機 高度1万5000 -

アスカ「――な、なんなのよこれぇ〜〜〜!!」

マリ「姫、スカイダイビングの経験ないんだっけ? はいこれ、ゴーグル」ヒョイ

アスカ「わっ、とと」パシッ

マリ「私が先導してあげるから、あとについてきて。夜って昼間と比べて難易度高いからね」

アスカ「スカイダイビングは、一度しか……!」

マリ「ぶっつけ本番も大丈夫っしょ♪ ねっ♪」

アスカ「えぇーーーっ⁉︎」

パイロット「まもなく降下予定地点です!」

マリ「はーい! ほら、いくよ! 姫! 王子様の元に!」


ウィーン

ガシャン


アスカ「い、いやぁ〜〜〜! 風が強い〜〜!」

マリ「しかたないにゃー、手繋いであげるから」

アスカ「えっ⁉︎ ちょ、ちょ! うそっ⁉︎」

マリ「――ワン、ツー、スリー……! ゴー!」
645 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 20:23:00.82 ID:BconFYhG0
- リツコ宅 シンジ部屋 -

コツンコツン

シンジ「……?」

コツンコツン

シンジ「なんだ? 窓?」

ガララ

マリ「やっ!」

シンジ「ま、マリさん――て、あす……むぐぐ」

マリ「シーっ。声が大きいよ。夜は音が響くから音量さげて」

アスカ「し、シンジ……」

シンジ「わかった、小声で話す」

マリ「ワンコくんに会いに姫が空からやってきたのだ。普通逆だけどね」

シンジ「アスカ、髪がすごいことに――」

アスカ「シンジっ!」ギュウ

シンジ「どうしたの……アスカ」

マリ「あ、ここは監視カメラないから好きなだけ抱き合っていいよ。葛城宅にも、もう監視カメラないからね。言うの忘れてたけど」
646 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 20:34:45.45 ID:BconFYhG0
マリ「――というわけでぇ、入院中のことは夢ではなかったのだよ」

シンジ「そうだったんだ……父さんとリツコさんが……」

アスカ「……う……ぐすっ……ぐすっ……」ギュウ

シンジ「アスカ、ごめんね。僕、あの時のこと夢だと思ってて」

アスカ「……シンジも男だから……」

シンジ「あの時、綾波には悪いけど、僕、アスカのこと思い浮かべてたんだ」

アスカ「……えっ?」

シンジ「本当だよ。その後、その、アスカとした時も、我慢ができなかった」

アスカ「本当?」

シンジ「うん。本当だよ」

アスカ「シンジ……」

マリ「一発やっといたら?」

シンジ「えぇ?」

マリ「姫、声我慢できる?」

アスカ「え、えぇ?」

マリ「エッチっていうのも欲にまみれてなければ愛情表現だからね。次いつできるかわからないよ?」

シンジ&アスカ「あ……」

マリ「見張っといてあげるからさ、どーぞ」
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 20:40:27.81 ID:BconFYhG0
アスカ「ちょ、ちょっと、あんたもこの部屋にいるの⁉︎」

マリ「だっていなきゃ見張れないじゃーん」

アスカ「人がいる状況とか無理に決まってんでしょ!」

マリ「見ないからさー、そっち」

シンジ「たしかに、次いつ会えるかわからないなら」

アスカ「し、シンジ?」

シンジ「アスカはしなくていいの?」

アスカ「え、えぇ? だって、メガネもいるのよ」

シンジ「うん、だけど気にしないって言ってるから」

マリ「どーぞどーぞ」

アスカ「ぁ……」

シンジ「どうする?」

アスカ「メ、メガネ、絶対こっち見んじゃないわよ」

マリ「はいはーい。でも誰か来た時は別ね」

アスカ「……わかった」

シンジ「アスカ……」
648 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 20:48:30.42 ID:BconFYhG0
アスカ「ん……待って、シンジ。声我慢できるかわからないから……」

シンジ「うん。わかった。タオルでいい?」

アスカ「う……まかせる」

シンジ「口あけて」

アスカ「あー」

シンジ「……よっ」ギュ ギュ

アスカ「ふー、ふー」

シンジ「きつくない? 声大丈夫そう?」

アスカ「ん」

シンジ「なんか、アスカがタオルくわえてるのってゾクゾクするね」スッ

アスカ「んっ……ふぅ……ふぅ……」

シンジ「耳さわられるの好きだったよね」

アスカ「……ふぅんっ……ふぅ……ふぅ……」

シンジ「アスカ、かわいいよ」

アスカ「ふぅ……ん……ふんふ……」トロン
649 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 21:01:46.91 ID:BconFYhG0
マリ「はぁ、何回するつもり?」

シンジ「はぁはぁ……」

マリ「途中から姫タオルとれちゃって必死で声我慢してるのはかわいかったけど」

アスカ「ぁ……あ…っ……んっ……」ピクピク

マリ「まだ帰りもあるんだよー? そんなに痙攣してて足腰大丈夫?」

アスカ「み……見ないで……」

マリ「しっかしワンコくんのおっきいね、日本人にしては」

シンジ「そ、そうかな」

マリ「硬さも良さそうだし、姫どうだった? って痙攣してるの見ればわかるかー」

シンジ「アスカ、もう一回したい……」

アスカ「だめよ、シンジ。もうだめ。私壊れちゃうから――」

シンジ「アスカ、僕のアスカ」

アスカ「シンジ。好き。好き。受け入れてあげる。きて、私を壊して。シンジの証つけて……」



マリ「――帰って寝たいなー」
650 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 21:13:08.93 ID:BconFYhG0
シンジ「アスカ、帰り、大丈夫?」

アスカ「ん。平気」

マリ「もうさー、やりはじめて終わるまで5時間だよー勘弁してよー」

アスカ「悪かったわよ」

マリ「途中で姫失神しちゃってたね」

アスカ「うっ」

マリ「その間もワンコくん腰ふるの止めないし」

シンジ「えぇと」

マリ「まぁ、もう終わったならいいけど。妊娠してたら知らないけどね」

アスカ&シンジ「…………」

マリ「いちおー、薬飲んどきなね、これあげるから」

アスカ「終わった後でいいの?」

マリ「うん、ただ、あんまり身体には良くないよ」

アスカ「わかった」

シンジ「アスカ、次はゴムしよう。薬にはあまり頼りたくないから」

アスカ「うん。そうね」

シンジ「リツコさんは、僕がなんとかする。学校に行けるようにしてみせるよ」

マリ「頑張ってね、あと綾波レイにも気をつけて」

シンジ「綾波は……うん、でもわかった。マリさん、ありがとう」

アスカ「シンジ……。待ってる」

シンジ「うん……アスカ」ギュウ

アスカ「中にだされたのがたれてきてる……」

シンジ「えっ」

アスカ「シンジ、もう一回………」



マリ「もういい! 帰るよ!」

651 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 21:39:47.13 ID:BconFYhG0
- 翌日 リツコ宅 -

リツコ「おはよう、レイ、シンジくん」

シンジ「おはようございます」

レイ「…………」

シンジ「リツコさん、そろそろ学校に行きたいんですけど」

リツコ「ごめんなさいね。今日もテストよ」

シンジ「毎日テストじゃ、息が詰まっちゃいますよ」

リツコ「そう? ネルフの中でなら自由に生活してかまわないわよ。勉強なら私かマヤが見てあげるし」

シンジ「学校の友達にも会いたいですし」

リツコ「そうね……」

シンジ「どうですか?」

リツコ「一週間たてば、かまわないわよ」

シンジ「どうしてその期日なんです?」

リツコ「特別委員会から監査がはいるのよ。それまでにできるだけのことは処理しておかないとね」

シンジ「(一週間か……)」

リツコ「……どう? それ以降であれば、こちらとしても何も言うことはないわ」

シンジ「3日でお願いします」

リツコ「そんなに行きたい理由でもあるの?」

シンジ「いえ、息抜きがしたいだけですよ。窮屈すぎるのはちょっと……」

リツコ「(準備期間としてはギリギリね)」

レイ「碇くん、昨日、夜中誰かいた?」

シンジ「ん? 誰もいないよ」

レイ「……そう」

リツコ「では、3日で許可します」

シンジ「よかった」
652 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 21:49:02.34 ID:BconFYhG0
- ミサト宅 -

ミサト「まったく、連絡もよこさないでなにやってたのよ!」

アスカ「だから言ってるじゃない、ちょっと1人になりたかったの」

ミサト「あんたまだ中学生なんだからね! ちったー考えて行動しなさい!」

アスカ「はいはい、わかったわかった」

ミサト「シンちゃんとは昨日も会えなかったでしょ……」

アスカ「そうね」

ミサト「リツコが私を避けてるみたいでね。なんとか会えるようにしてあげるから、もう少し待って」

アスカ「期待しないで待ってるわ」

ミサト「……あんたなんで顔がにやけてんの?」

アスカ「は? なにが?」

ミサト「いや、隠せてないわよ」

アスカ「別に。なんでもない」

ミサト「はぁ……?」
653 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 22:01:14.46 ID:BconFYhG0
- ネルフ本部 ラボ -

リツコ「シンジくん、ホルモンバランスがおかしいわよ」

シンジ「はい?」

リツコ「若いからあまり自家発電するなとは言わないけど、ほどほどにね」

シンジ「あ、えっと、その、気をつけます」

リツコ「溜まってるの?」

シンジ「いや、そういうわけでは」

マヤ「…………」

リツコ「男子ですもの。恥ずかしがることはないのよ。特にあなたの年齢では正常だと言える」

マヤ「あの、先輩」

リツコ「ふぅん。マヤ、あなたシンジくんとしてみる?」

マヤ「えぇ⁉︎」

リツコ「冗談よ。本気にしたの?」

マヤ「あぁ……なんだぁ。私そういう話題ちょっと苦手で……」

シンジ「これセクハラになりますよ」

リツコ「誰に対して?」

シンジ「僕とマヤさんです」

リツコ「わりと真面目な話なのよ。男性パイロットはシンジくんだけだけど、必要だと決定が降れば女を当てがうわよ」

シンジ「必要ありません」

リツコ「性欲が旺盛だとわかっただけでいいわ」

マヤ「先輩、あのそろそろ今日のテストの話を……」
654 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 22:07:26.88 ID:BconFYhG0
リツコ「(試してみる価値はあるわね)」

マヤ「先輩?」

リツコ「本日の実験を変更します。B9は省略してサードチルドレンの疲労回復のため午後からに繰り下げて」

シンジ「え? 僕は大丈夫ですよ」

リツコ「テストは行ってもらうわよ。午前は点滴を投与するから休みなさい」

マヤ「了解。では、そのように手続きします」
655 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 23:05:35.96 ID:BconFYhG0
- ネルフ本部 ??? -

シンジ「(午前中が空いたのはちょうどよかったな……よっと)」タンッ


第2使徒リリス「…………」


シンジ「(やっぱりターミナルドグマにいるのはリリス……)」

シンジ「(ということは、父さんが持っているのはアダムか)」

シンジ「(綾波、3人目だって言ってたもんな。僕が会った2人目の綾波はもう……やめよう。綾波は綾波だ)」

シンジ「(リリスがここにいるならガフの部屋は2つとも空なんだろうな……)」


マリ『マテリアルは揃うよ』


シンジ「(……もう既に遅かったんだ)」



シンジ「――いるんだね、月に。カヲルくん」
656 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 23:57:04.31 ID:BconFYhG0
- 第三新東京都市第壱中学校 昼休み -

アスカ「あ、これおいしい」

ヒカリ「あ、う、うん。よかったら食べて」

マナ「……アスカ、なにか良いことあったの?」

アスカ「なにが?」

トウジ「あーもう考えるのやめや! やめ! こいつに付き合っとったらこっちの身がもたんわ!」

ケンスケ「はぁ……。なんだったんだよ。昨日のは」

アスカ「別に。なんてことないわよ」

ケンスケ「最近、ブロマイドの売り上げ落ちてきてるしさぁ」

トウジ「そら中身が知れ渡っとるからなぁ。こんな凶暴な女を相手にすんのセンセだけやで」

アスカ「ふん、別にシンジ以外に相手してほしいわけじゃないのよ」

トウジ&ケンスケ「……はぁ」

アスカ「あんた達みたいなバレンタインに義理チョコのひとつも貰えないようなのとシンジを一緒にしないでくれる? 月とスッポンよ」

トウジ「さよーですか」

ケンスケ「僕だって義理チョコぐらい!」

アスカ「家族とかやめてよね。キモいから」

ケンスケ「うっ」

アスカ「はんっ」

マナ「……でも、これで一安心かな」

ガラガラ

レイ「…………」

アスカ「…………」ピクッ

レイ「…………」スタスタ

アスカ「ちょっと待ちなさい、ファースト」

レイ「……なに?」

アスカ「こっちで少し話さない? 鈴原、相田、席あけて」

トウジ「お、おい」

ヒカリ「だ、大丈夫?」

アスカ「暴れないから大丈夫よ。ファースト、座って」
657 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 00:07:02.15 ID:IkuP/UIq0
アスカ「話というのはシンジのことなんだけど」

レイ「……あなた、そればっかりね」

アスカ「そうね。それは認める。それで、私はあんたがシンジのことどう思ってるか聞いてないと思って」

レイ「……?」

アスカ「胸があたたかくなるって言ってたわよねぇ。でもそれってライクなの? ラヴなの?」

レイ「…………」

アスカ「命令に従ってるのかそうじゃないか。それによっては今後の付き合い方が変わってくると思うのよ」

レイ「…………」

アスカ「私はあんたとはソリが合わない。あんたも同じでしょ。だから、パイロット同士という繋がりがなければ話をすることもない。だけど、今はパイロットということもあるし、シンジということもある」

レイ「私は、好きとか、よくわからない」

アスカ「自覚がないだけじゃないの?」

レイ「……自覚」

アスカ「気がついていない気持ちってわりとあるのよ。私もシンジのこと好きって認めるまですこしかかったからそれはわかる」

ヒカリ「アスカは好きになるまでがはやかったけどね」

アスカ「ヒカリ」

ヒカリ「あ、ごめん」

レイ「碇くんは、私と対等に向き合ってくれる」

アスカ「私と同じね。それで?」

レイ「碇司令は良くしてくれる。けど、道具」

アスカ「…………」

レイ「碇くんのことはまだ、時間が必要、だと思う」

アスカ「そう。でも、様子じゃ好きになるのは時間の問題ね」
658 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 00:16:31.44 ID:IkuP/UIq0
レイ「好き? 私が碇くんを?」

アスカ「その話はいい。あんたには何度か言ってるけど、私はシンジが好きなのよ」

レイ「ええ」

アスカ「あんたにも、誰にも渡すつもりはない。だから、奪いにくるなら私も全部をかけて守ろうとする」

レイ「……そう」

アスカ「あんたはそういうやつだもんね。打てば鳴くわけじゃなく、受け流す。だからあんたと私は絶対に仲良くなれない」

レイ「…………」

アスカ「私にとっては一方的に喋るぐらいでちょうどいいってわかったわ。反応を期待するからイラついてたのね」

レイ「…………」

アスカ「シンジは誰にも渡さない。それだけ。話は終わりよ」

レイ「わかったわ」

ヒカリ「はぁ……」

マナ「色々すごいね……」

トウジ「センセはホンマ伝説の男かもしれへんなー」
659 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 00:31:56.29 ID:IkuP/UIq0
- 放課後 バス 車内 -

ヒカリ「(はぁ、この時間のバスってサラリーマンと被っていつも混むからやだなぁ……)」

ヒカリ「(晩御飯なににしようかな。コダマお姉ちゃん今日バイトだっけ)」


ビーッ ガチャン

運転手『発車します』


ヒカリ「…………」

サラリーマン「…………」サワッ

ヒカリ「(……ん?)」

サラリーマン「…………」チョンチョン

ヒカリ「(え、うそ、やだ。痴漢? だ、誰?)」ソォー

サラリーマン「……ふひ」

ヒカリ「(……き、気持ち悪い。……え、こわい)」

サラリーマン「……ふぅ……ふぅ……」チョンチョン

ヒカリ「(やめて、触らないで! だ、だれか!)」

サラリーマン「…………」サワサワ

ヒカリ「(ひっ⁉︎ やだ……スカート……やだやだやぁ)」
660 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 00:39:31.98 ID:IkuP/UIq0
ガシッ

サラリーマン「……っ⁉︎」

シンジ「もうやめたほうがいいですよ」

サラリーマン「な、なんだキミは!」

ヒカリ「えっ……碇くん」

シンジ「この人、痴漢です」


ザワザワ


サラリーマン「勝手な言いがかりをつけるな! 失敬な!」

シンジ「洞木さん、大丈夫?」

ヒカリ「あ、う、うん」

シンジ「次の停留所で降りましょう」

サラリーマン「いい加減にしろ!」

シンジ「またするんでしょ? 逃げたら」

サラリーマン「……おい! 運転手! 今すぐ止めろ! 俺は降りる!」

シンジ「……っ!」ググッ

サラリーマン「いっ⁉︎ いだだだっ! ぼ、暴力はやめて!」

運転手「面倒ごとは勘弁してくださいよー、止めますから降りてください」

シンジ「僕も降ります。洞木さん。気をつけて帰ってね」




ヒカリ「……は、はい」ポー
661 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 00:46:19.35 ID:IkuP/UIq0
- 第三新東京都市 派出所前 -

サラリーマン「だからぁ! 俺は何度も言ってるだろう! バスに乗ってたらこのガキがいきなり腕掴んできたんだよ!」

シンジ「はぁ……」

警官「しかしですねぇ、バス会社に問い合わせた所、目撃者もいるんですわ」

サラリーマン「こういうのって現行犯が原則だろ! そんなの当てにすんのかよ!」

警官「面倒ごとを嫌う人っつうのも多いもんでね。痴漢被害は見て見ぬふりをするまわりも問題なんですわ」

ヒカリ「あ、あのっ!」

シンジ「――洞木さん?」

ヒカリ「私っ! この人に痴漢されました! 間違いありません!」

警官「少年、この子は?」

シンジ「被害者です」

サラリーマン「ぐっ!」

ヒカリ「……っ!」キッ

警官「よく名乗りでてくれた。勇気がいっただろう。調書を取るから待ってくれ」
662 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 00:55:31.55 ID:IkuP/UIq0
- 第三新東京都市 市街地 -

シンジ「よく、あの交番だってわかったね」

ヒカリ「ここらへんだとあそこぐらいしかないから。停留所止まったら追いかけてきたの」

シンジ「でも、大丈夫だったの? わざと呼ばなかったんだけど」

ヒカリ「うん。だって、逃げられたら被害増えるでしょう」

シンジ「そっか」

ヒカリ「碇くんは今帰り?」

シンジ「うん。最近は学校にいってないから、なんだか会うの久しぶりな気がするね」

ヒカリ「えへへ、そうだね。それにしてもびっくりしちゃった。碇くんって大人の人にも物怖じしないとは思わなかったし」

シンジ「あぁ、いや、その、見てられなかったから」

ヒカリ「それに、あんなの、腕掴んで」

シンジ「(ちょ、ちょっとまずかったかな)」

ヒカリ「――漫画の主人公みたい」

シンジ「え?」

ヒカリ「う、うぅん。なんでもない」

シンジ「とりあえず、うちまで送るよ。よければだけど」

ヒカリ「えっ、そんな、悪いよ」

シンジ「さっき、怖い目にあったばかりだろうし、ほっとけないから」

ヒカリ「あ、うん……それじゃお願いしようかな……」
663 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 01:05:41.70 ID:IkuP/UIq0
- 洞木宅 ヒカリ部屋 -

ヒカリ「あ、あの、ごめんね。上がってなんて馴れ馴れしくて……」

シンジ「いや、かまわないよ。洞木さん、女の子らしい部屋なんだね」

ヒカリ「あの、あんまりジロジロ見ないで……」

シンジ「ごめん。つい」

ヒカリ「うちは、三姉妹だから、おさがりも多いんだ。私はちょうど真ん中だからコダマお姉ちゃんのおさがり」

シンジ「へぇ、女の子ばかりだと大変そうだね」

ヒカリ「みんなで協力してやってるの。私は家事全般してるけど」

シンジ「洞木さんは料理上手だもんね」

ヒカリ「碇くんも上手だって聞いてるよ。男の人で料理するのって嫌じゃないの?」

シンジ「抵抗はなかったよ。特別上手ってこともないと思うんだけど、人並みにはできるってだけで」

ヒカリ「そうなんだ」

シンジ「トウジには、まだ弁当作ってるんでしょ?」

ヒカリ「うん」

シンジ「そっか。うまくいくといいね」

ヒカリ「でも、鈴原は、今は恋愛に興味ないみたい。妹さんのこともあるし」
664 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 01:13:18.88 ID:CikMLxOXo
たしか生徒全員が候補者なわけだし、このおっさんは消されるのかなー
665 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 01:16:59.06 ID:IkuP/UIq0
シンジ「そうなんだ……」

ヒカリ「あ、ごめんね。お茶もださずに、持ってくるからちょっと待ってて」


トタトタトタトタ


シンジ「普通の一般家庭ってこんな感じなのかな」

シンジ「いや、あのクラスにいる時点で……みんな母親がいないんだ」

シンジ「苦労してるのかも、しれない」
666 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 01:23:13.43 ID:IkuP/UIq0
- 洞木宅 台所 -

ヒカリ「麦茶でいいのかな。りょ、緑茶? それともジュースかな?」

ヒカリ「(男の子部屋に上げたのはじめてだからわからない。どうしよう。聞きにいくべきかしら)」


シンジ『もうやめたほうがいいですよ』


ヒカリ「…………」トクトクトクトク


シンジ『この人、痴漢です』


ヒカリ「…………はぁ」ドボドボドボドボ

ヒカリ「つめた……あっ⁉︎ やだ! いけない! フキンどこだっけ!」
667 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 01:35:05.01 ID:IkuP/UIq0
- 洞木宅 ヒカリ部屋 -

ヒカリ「おまたせ……」

シンジ「うん」

ヒカリ「ごめんね。待ったでしょ?」

シンジ「大丈夫だけど……すごい量だね」

ヒカリ「あの、わからなかったから緑茶、麦茶、オレンジジュース、アップルジュース持ってきたの」カチャカチャ

シンジ「だ、大丈夫? 重そうだし、受け取るよ」

ヒカリ「いいの、お客様なんだし、あのどれがいい?」

シンジ「それじゃ、アップルジュースで」

ヒカリ「うん、わかった」カチャカチャ

シンジ「洞木さん? 動きがかたいよ?」

ヒカリ「へぇっ⁉︎ な、なにがぁっ⁉︎」

シンジ「いや、なんでもないんだ、ごめん、忘れて」

ヒカリ「あ、うん――あっ⁉︎」


ガチャーーン


シンジ「…………」ビッチョリ

ヒカリ「た、大変! 碇くん! すぐ脱いで!」

シンジ「えぇ⁉︎ いや、大丈夫だよ!」

ヒカリ「制服、染みになる! はやく手洗いしなきゃ!」

シンジ「だって、脱いだら……」

ヒカリ「あっ……!」

シンジ「あの……」

ヒカリ「わ、私のシャツが、えっと、ここのタンスの中に……」

シンジ「…………」

ヒカリ「これ、洗濯してあるやつだから! 柔軟剤使ってるし、変な匂いしないと思うんだけど!」

シンジ「あ、わかった。ありがとう」

ヒカリ「部屋、でてるね! でも、なるべく急いで」



668 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 01:42:57.73 ID:IkuP/UIq0
シンジ「――やっぱりすこしピチピチだな」

コンコン

ヒカリ『碇くん? はいってもいい?』

シンジ「どうぞ」

ガチャ

ヒカリ「……ぷっ、あははっ! やだ! すごいサイズ感おかしい」

シンジ「洞木さんが着ろっていったんじゃないか」

ヒカリ「あはっ、あはははっ、ご、ごめんなさい。碇くんって細いから、私のサイズで問題ないかと、あはははっ」

シンジ「はぁ……」

ヒカリ「ご、ごめんね。あ、そうだ。制服、シミ抜きしてくるね。すこし待ってて」

シンジ「洞木さん」

ヒカリ「ん?」

シンジ「カーペットはいいの?」

ヒカリ「あぁ、うん。仕方ないよ。目立たない柄だから、先に制服やっちゃう」

シンジ「……わかったよ。でもどうやって帰ったら」

ヒカリ「ドライヤーで乾かせばそんなに時間かからないと思うよ。あの、ごめんね?」

シンジ「いや、気にしてないよ」
669 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 02:00:01.98 ID:IkuP/UIq0
今日はここまで
ずっと見ないふりしてきたんすけど、このスレの1000までに終わらないのが確定してます
しかしこのスレ中に終わらせたい
どーーしても終わらせたくなったら本来予定してるラストとは違い三行で終わらすかもしれまへん
670 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 02:06:43.87 ID:FDM+ljwv0
671 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 02:13:23.22 ID:rxvg1uJ2o
おつ
672 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 02:51:38.76 ID:rXK8qET1O
>>664
痴漢ぐらいで消されるわけないだろう
673 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 03:17:40.03 ID:ui645y1pO
次いってもいいんだよ
674 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 10:44:55.88 ID:r5xSWhhwO
ヒカリたんかわゆす
675 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 12:54:57.14 ID:gY3EHiumO
おめでとうエンド
676 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 13:14:53.51 ID:IkuP/UIq0
楽しんで書けてるんで次スレは立てるかと思いますけどね、たぶんですけど

では続けます
677 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 13:32:46.19 ID:IkuP/UIq0
ブォーーーッ カチッ

ヒカリ「ん……どうかな。だいぶ、乾いたと思うけど」

シンジ「……うん、本当だ。帰るぶんなら問題なさそうだね」

ヒカリ「あっ、そうだ。アイロンもかけなくちゃ」

シンジ「いや、そこまでしてもらうのは悪いよ」

ヒカリ「気にしないで。私、得意なんだ」

シンジ「わかった、洞木さんって本当にいいお嫁さんになりそうだね」

ヒカリ「そ、そうかな……」コトッ

シンジ「うん、家庭的だし。幸せになれそうな気がする」

ヒカリ「こういうの、得意なだけだよ。アスカみたいにかわいくないし、そばかすも……」

シンジ「ん?」

ヒカリ「肌、荒れやすいんだ。アスカはキレイで、本当に羨ましい。綾波さんも白くてお人形さんみたいで……」

シンジ「うーん」

ヒカリ「あ、今かけるね、このアイロン古くて、熱持つまで少し、時間かかるから――」カチッ

シンジ「洞木さんも、かわいいと思うよ」

ヒカリ「えっ?」

シンジ「見た目にコンプレックス持つのちょっとわかるんだ。僕、かわいいって言われることたまにだけど、あるし。そんな時、僕男なのにって思ったりする」

ヒカリ「あっ……ごめん、私さっき。線が細いって」

シンジ「気にしてないんだ。羨ましいって思うことは普通って言いたかっただけで、なんか変な話してごめんね」

ヒカリ「うぅん、私のこと気づかってくれたの?」

シンジ「うん、というか、自信持っていいんだと思う。洞木さんもかわいいよ」

ヒカリ「か、かわいいだなんて、そんなこと、言われたことないからっ!」


ヴィーーンッ ヴィーーンッ


シンジ「……?」

ヒカリ「……? 碇くん?」


ヴィーーンッ ヴィーーンッ


シンジ「洞木さん? なにか聞こえない?」

ヒカリ「ん……? なんだろうね。ほんと、なにか震えてる音がする」
678 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 15:40:19.75 ID:IkuP/UIq0
- ネルフ 本部 -

リツコ「レイ、右手を動かすイメージを描いてみて」

レイ「はい」

オペレーター「データ収集、順調です」

リツコ「もう時間が遅くなってるわ……MAGIを通常に戻して。ジレンマか……作った人間の性格が伺えるわね」

マヤ「前任者の、赤木ナオコ博士ですか? 先輩のお母様の」

リツコ「……そうね……私はシステムアップしただけ。基礎理論と本体を作ったのは、母さんよ」


ポチャン ポチャン


リツコ「また水漏れ?」

シゲル「3日前に搬入されたパーツです。ここですね、変質しているのは」

リツコ「第87蛋白壁ね」

マヤ「拡大するとシミのようなものがあります。何でしょうね、これ」

マコト「浸蝕だろ? 温度と伝導率が若干変化しています。無菌室の劣化はよくあるんです。最近」

シゲル「工期が60日近く圧縮されてますから。また気泡が混ざっていたんでしょう。杜撰ですよ、B棟の工事は」

冬月「そこは、使徒が現れてからの工事だからな」

マコト「無理ないっすよ、みんな疲れてますからね」

冬月「明日までに処理しておけ。碇がうるさいからな」

マコト「了解」

冬月「赤木博士、あとはまかせたぞ」スタスタ

リツコ「はい……。テストに支障は?」

マヤ「今のところは何も」

リツコ「では続けて。このテストはおいそれと中断するわけにいかないわ」

マヤ「了解」

オペレーター「シンクロ位置、正常」

マヤ「シミュレーションプラグを模擬体経由でエヴァ本体と接続します」

オペレーター「了解、エヴァ零号機、コンタクト確認」
679 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 15:47:30.69 ID:IkuP/UIq0
ビーッ ビーッ


シゲル「シグマユニットAフロアに汚染警報発令!

リツコ「なに⁉︎」

オペレーター「第87蛋白壁が劣化、発熱しています。第6パイプにも異常発生」

マヤ「蛋白壁の浸蝕部が増殖しています。爆発的スピードです!」

リツコ「実験中止、第6パイプを緊急閉鎖!」

マヤ「はい!」


ガシャン ガシャン ガシャン


オペレーター「60、38、39、閉鎖されました! 6の42に浸蝕発生!」

マヤ「だめです、浸蝕は壁伝いに進行しています」


ビーッ ビーッ


リツコ「ポリソーム、用意! レーザー、出力最大! 侵入と同時に、発射!エマージェンシーコール止めて! うるさい!」

マヤ「……浸蝕部、6の58に到達、なにか……ここに、来ます!」



シーーーーーン



リツコ「……?」

レイ「きゃあっ⁉︎」

リツコ「レイ⁉︎ 異常を報告して!」

マヤ「レイの模擬体が、動いています!」

リツコ「まさか⁉︎ レーザーは⁉︎」

マヤ「応答ありません! 浸蝕部、さらに拡大、模擬体の下垂システムを侵しています!」
680 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 15:53:24.46 ID:IkuP/UIq0
マヤ「浸蝕部、さらに拡大、模擬体の下垂システムを侵しています!」

リツコ「レイのプラグを緊急射出! レーザーを手動に切り替えて………発射!」

ジュゥ

パキーーン

リツコ「A.T.フィールド!? マヤ、解析急いで!」

マヤ「……っ! 解析パターン出ました!」

リツコ「分析パターン、青。間違いなく、使徒ね」

冬月「使徒? 使徒の侵入を許したのか!?」

リツコ「冬月副司令……申し訳ありません」

冬月「騒しく思い戻ってみれば……言い訳はいい。セントラルドグマを物理閉鎖、シグマユニットと隔離しろ!」

シゲル「セントラルドグマを物理閉鎖、シグマユニットと隔離します!」

冬月「総員退避! ここはこのままで、発令所に急げ!」
681 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 16:00:42.54 ID:IkuP/UIq0
- ネルフ本部 発令所 -

『シグマユニットをBフロアより隔離します。全隔壁を閉鎖、該当地区は総員待避』


ゲンドウ「警報を止めろ!」

シゲル「はぁっ……はぁっ……りょ、了解!」

ゲンドウ「誤報だ。探知器のミスだ。日本政府と委員会にはそう伝えろ。他のオペレーターどもは何をやっている!」

シゲル「ま、間もなく」

マヤ&マコト「お、遅れました……!」

ゲンドウ「仕事をしろ!」

マコト「……汚染区域はさらに下降! プリブノーボックスからシグマユニット全域へと広がっています!」

ゲンドウ「汚染はシグマユニットまでで抑えろ。ジオフロントは犠牲にしても構わん。エヴァは?

マヤ「第7ケイジにて待機、パイロットを回収次第、発進できます!」

ゲンドウ「パイロットを待つ必要はない。すぐ地上へ射出しろ」

シゲル&マコト「え?」

ゲンドウ「初号機を最優先だ。そのために他の二機は破棄しても構わん」

マコト「初号機を、ですか?」

シゲル「しかし、エヴァ無しでは、使徒を物理的に殲滅できません!」

ゲンドウ「その前にエヴァを汚染されたらすべて終わりだ。急げ!」


『シグマユニット以下のセントラルドグマは、60秒後に完全閉鎖されます。真空ポンプ作動まで、後30秒です』
682 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 16:10:35.60 ID:IkuP/UIq0
- 洞木宅 ヒカリ部屋 -


ヴィーーンッ ヴィーーンッ


シンジ「バイブ音、かな……こっちの方から」

ヒカリ「……?」

シンジ「――ベットの方?」ギシッ

ヒカリ「あっ! い、いいいい碇くんっ! だ、だだだだだめっ!」ガシッ

シンジ「え? う、うわぁ⁉︎」

ヒカリ「違うの、そ、それは違うの。本当になんでもないの。気にしないで。お願い。お願いだから、気にしないで、忘れて。お願い!」ギュウ

シンジ「わ、わかった、わかったから抱きつかないで」

ヒカリ「あ、ごめん! 私、アスカいるのになんでこんなこと! 抱きつくつもりなかったの! 本当にごめん!」バッ

シンジ「あぁ、いいよ――」


ヴィーーンッ ヴィーーンッ

コトッ コロン

ヴィーーンッ ヴィーーンッ


シンジ「……? これ……」

ヒカリ「あ〜〜〜っ! あ、あの、それ違うの! 違うんだってばぁっ!」

シンジ「(ろ、ローター?)」

ヒカリ「……あぁ、終わった……」ヘナヘナ

シンジ「あぁ、えぇと……」

ヒカリ「ごめんなさい……気持ち悪いよね……うっ……ぐすっ……」

シンジ「あぁ、これ玩具なんだね。妹さんの?」

ヒカリ「えぇっ?」

シンジ「違うの?」

ヒカリ「……あ……」

シンジ「(ちょ、ちょっと苦しかったかな)」

ヒカリ「そ、そうなんだっ! もうノゾミったら! し、仕方ないなぁ!」

シンジ「しまった方がいいと思うよ」

ヒカリ「そうだねっ! そうする!」カシャ

シンジ「……そろそろおいとましようかな」

ヒカリ「えっ? あの、アイロン」

シンジ「遅くなっても洞木さんに悪いし、気持ちだけで」

ヒカリ「あ……ごめんね。落ち着いて話せなくて。…………あの、ほ、ほんとに知らないの?」

シンジ「……?」

ヒカリ「し、知らないんだったらいいんだ」ホッ
683 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 16:22:02.24 ID:IkuP/UIq0
- 洞木宅 玄関 -

シンジ「(お姉さんのおさがりってことはないだろうし、通販かなにかで買ったんだろうな)」

ヒカリ「あの、碇くん。今日は色々とありがとう。助けてくれて」

シンジ「僕こそ、洞木さん責任感強くて助かったよ」

ヒカリ「……あの、さっきの……もし、知っても……」

シンジ「誰にも言わないよ」

ヒカリ「えっ⁉︎ あ、あのっ!」

シンジ「今日は楽しかった、ありがとう。近い内に学校に行くから」

ヒカリ「……や、優しいんだね……うっ……ぅっ……」グスッ

シンジ「あぁ、あの、大丈夫だよ」ポンッ

ヒカリ「うぅ……ぐすっ……」

シンジ「それじゃ、また」

ヒカリ「うんっ! またね!」
684 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 16:29:29.52 ID:IkuP/UIq0
- ネルフ本部 発令所 -

リツコ「ほら、ここが純水の境目、酸素の多いところよ」

マヤ「好みがハッキリしてますね」

シゲル「無菌状態維持のため、オゾンを噴出しているところは汚染されていません」

ミサト「つまり、酸素に弱い、ってこと?」

リツコ「らしいわね」

マコト「オゾン注入、濃度、増加しています」カチカチ

シゲル「効いてる効いてる」

冬月「場所が問題だな」

ゲンドウ「あぁ。アダムに近い」


ピピッ


マヤ「0Aと0Bは回復しそうです」

シゲル「パイプ周り、正常値に戻りました」

マコト「やはり、中心部は強いですね」

冬月「よし、オゾンを増やせ」


リツコ「変ね……」

シゲル「あれ? 増えてるぞ」

マコト「変です……発熱が高まってます」


ビーッ ビーッ


シゲル「汚染域、また拡大しています!」

ゲンドウ「警報を止めろ。二度と鳴らないようにしておけ」

マヤ「了解、だめです、まるで効果が無くなりました!」

マコト「今度はどんどんオゾンを吸っています」

リツコ「オゾン止めて! ……すごい……進化しているんだわ。この短い時間に」
685 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 16:59:50.24 ID:IkuP/UIq0
- リツコ宅 夜 -

シンジ「ただいまぁ、あれ? 電気ついてない……綾波? いないの?」


パチッ


加持「よっ。色男」

シンジ「――加持さん?」

加持「久しぶりだな。シンジくん。こうして会って話すのはいつ以来か」

シンジ「本当に久しぶりですね。ネルフは大丈夫なんですか?」

加持「俺が指名手配されてるのを知ってるのかい?」

シンジ「僕も、いろいろと調べてますから」

加持「今頃、ネルフは使徒対応でてんてこ舞いさ。こういう時じゃないと自由に動けないんでね、寄らせてもらった」

シンジ「なにか飲みますか?」

加持「そうだな、タバコ吸ってもいいかい?」

シンジ「かまいませんよ」カチャカチャ

加持「……ふぅー」

シンジ「酒にします?」

加持「いや、やめとくよ。シンジ君に潰されそうだ。酔わないのも体質変化のせいかい?」

シンジ「わかりません。僕自身、まだ全てに慣れたわけじゃないんです」

加持「全てを思い出してもかい?」

シンジ「できることの把握と実感はまた別です。情報が多すぎるんですよ。今はひとつひとつ答え合わせをしています」

加持「…………」
686 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 19:30:41.78 ID:IkuP/UIq0
シンジ「あまり見たくないんですよ。僕が人じゃないみたいで」

加持「過去やこれから起こることを知ってる時点で普通ではいられないさ。現実と向き合う覚悟はできたんだろう?」

シンジ「踏ん切りがついていない部分もあります」

加持「そうか」

シンジ「すみません」

加持「シンジくん、俺たちは5年前から秘密裏に準備を進めてきた。君が融合を果たした時に遅くならないためにね。俺たちの計画では不満か?」

シンジ「僕のやりたいことと必ずしも一致するとは限りません」

加持「甘いな。シンジくんは。時には汚れ仕事も必要だぞ」

シンジ「それじゃ父さん達と何も変わらない、それに、そんなのは屁理屈です。僕は僕のやり方でみんなを守ってみせます」

加持「…………」

シンジ「加持さんが、僕が思い出した時に繋がりやすいよう種を蒔いていたのはわかりました。でも、マリさんがわからないんです」

加持「…………」

シンジ「彼女は何者なんですか?」

加持「それは俺の口からは言えない。マリに直接聞いてくれ」

シンジ「なぜ僕と同じ視点なんです。そんなことはありえないはずなのに」

加持「ひとつだけ言えるのは、イレギュラーだからさ」

シンジ「…………」

加持「俺は、マリにセカンドインパクト、E計画、そしてきたるべき人類補完計画の全容を聞いた時、その真相に愕然とした。全ては仕組まれていたことにな」

シンジ「…………」

加持「碇司令やゼーレにとって望むべき補完は初号機による遂行だが、俺たちにとっては、シンジくん。君こそが鍵なのさ」

シンジ「勝手に頼りにされても困ります」

加持「ふー。なぜそんなにはやく記憶を取り戻せた?」

シンジ「……答えようがないんですよ」

加持「マリからも言われたかもしれないが、予定外なのさ。君の覚醒は。俺たちは参号機こそがターニングポイントになると考えている。シンジ君はどうだい? どう乗り切るつもりだ?」

シンジ「考えはあります」

加持「ガフの部屋は空だというのには気がついただろう」
687 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 19:44:38.33 ID:IkuP/UIq0
シンジ「…………」

加持「リリスの器たる綾波レイ、そしてアダムの――」

シンジ「やめましょう」

加持「もう一度オーバーザレインボーでしたお願いをしたい。シンジくん、俺たちに協力してくれないか?」

シンジ「…………」

加持「君さえ、君とアスカさえいれば俺たちが汚れ仕事をなんでもやってやる、約束する」

シンジ「――目的のために利用するんでしょ⁉︎ アスカはなぜです? なぜ彼女を巻き込もうとするんですか!」バンッ

加持「必要だからだ。流れは止められない」

シンジ「止めてみせますよ。その為なら、僕はどうなったっていい!」

加持「……わかった。しかし、頭の片隅には置いておてくれ。俺たちは、シンジくんとアスカの味方だということを」

シンジ「いつかは道が違えますよ。その時も味方でいるんですか?」

加持「さぁな。それを決めるのは俺たちじゃない。シンジ君。キミの方さ」
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