シンジ「僕が?」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

688 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 20:08:28.07 ID:IkuP/UIq0
- 翌日 リツコ宅 -

リツコ「…………はぁ」

シンジ「お帰りなさい、リツコさん」

リツコ「あぁ、シンジくん。ごめんなさい、少し休むわね。昨日は使徒の対応で徹夜したのよ」

シンジ「使徒? 使徒って僕たち行かなくてよかったんですか?」

リツコ「えぇ。もう殲滅したから問題ないわ。MAGIを侵食し、内部から支配しようとした使徒だったの」

シンジ「そんな使徒もいるんですね……」

リツコ「あなたは、予定通り、今日は本部にいって。私も午後から合流するわ」

シンジ「綾波は?」

リツコ「レイは、たぶん、ネルフで寝てるんじゃないかしら。あの子もエントリープラグ内で暇疲れしてたはずだから」

シンジ「……わかりました。それじゃ僕は――」

リツコ「……? シンジくん。ちょっと待ちなさい」

シンジ「はい?」

リツコ「私のじゃないタバコの吸い殻があるけど、誰か来てたの?」
689 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 20:20:52.42 ID:IkuP/UIq0
シンジ「あぁ、それ加持さんですよ」

リツコ「加持くんが⁉︎ ここに来てたの⁉︎」

シンジ「えぇ、と言ってもすぐに帰りましたけど」

リツコ「なにを話したの?」

シンジ「リツコさんは元気にしているか、とかそんなとこですよ、あとミサトさんのことも」

リツコ「それだけ? あなたに何か話したいことがあると言っていたんじゃなくて?」

シンジ「……いえ? なにかあるんですか?」

リツコ「(加持くんは、シンジくんに何か用があってここに来たはず、なにかを話したがっている節があったし)」

シンジ「細かく聞きたいですか?」

リツコ「そうね、詳しく聞きたいわ」

シンジ「それだったら、リツコさんの部屋に行ってもいいですか?」

リツコ「私の部屋?」

シンジ「一度見てみたいなって。仲良くなりたいから」

リツコ「シンジくん。ふざけないでもらえる」

シンジ「ふざけてなんかいませんよ。僕は本気です」

リツコ「尚更タチが悪いわね。私は仲良くなる気なんてこれっぽっちもないわよ」

シンジ「そうですか? 同じ目的があれば歩みよるんじゃ?」

リツコ「……怒るわよ」

シンジ「それじゃ、僕からの質問にいくつか答えてくれたら、いいですよ」
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 20:36:04.63 ID:IkuP/UIq0
リツコ「シンジくん。疲れてるのよ、子供の遊びには――」

シンジ「これ、なんですけど」スッ

リツコ「…………」

シンジ「リツコさんが気分を抑えると言った薬、これの効果はなんですか?」

リツコ「そのままよ」

シンジ「嘘はつかないでください。効果はなんですか?」

リツコ「シンジくん、いい加減に――」

シンジ「記憶障害を起こさせる薬であってますか」

リツコ「……っ!」

シンジ「……やりたいことは、なんとなくわかります。父さんの命令ですね」

リツコ「…………」

シンジ「この部屋の配置がミサトさんの所と酷似しているのは、おおかた、ミサトさんとアスカのことをリツコさんと綾波にそっくり置き換える為でしょう。違いますか」

リツコ「シンジくん、なにを言ってるの? そんな薬は存在しないわ」

シンジ「もちろん、薬だけでは無理です。でも、洗脳を行えばどうですか」

リツコ「し、シンジくん。あなた……」

シンジ「僕、ちょっと色々あって、酔わなくなったり、薬に対する抵抗力があがってたり、成分がわかったり、まぁ、いろいろあるんです」

リツコ「な、なにを言ってるの?」

シンジ「リツコさん。すみません。本当は、リツコさんも守りたかった。父さんに協力しないでほしいとお願いしても無理でしょうから、こっちに来てもらっていいですか」
691 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 20:47:19.13 ID:IkuP/UIq0
- リツコ 部屋 -

リツコ「シンジくんっ! やめなさい!」ジタバタ

シンジ「昨日、加持さんが帰った後、考えてみたんですよ。たしかに僕は汚れようとはしていない。みんなを守りたいから」ギュッギュッ

リツコ「縄をほどきなさい! 大声あげるわよ!」キッ

シンジ「でも、それじゃ、どうしても無理なんだろうなって思ったのもあるんです。それだったら、せめて、僕が手を汚すべきだろうって……これガムテープです。口塞ぎますね」ベリッ ピト

リツコ「んーっ!」

シンジ「リツコさん、今から僕はリツコさんを犯します」

リツコ「んんっ⁉︎」

シンジ「それから少し、話をしましょう」

リツコ「んんっ! んっ! んーっ!」ジタバタ

シンジ「荒いかもしれません、覚悟してくださいね――」
692 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 20:56:43.05 ID:IkuP/UIq0
- 10時間後 リツコ宅 -

ガチャ

レイ「……ただいま」

シンジ「おかえり、綾波」

レイ「碇くん。今日はネルフじゃないの?」

シンジ「リツコさんが熱出して倒れちゃったから、その看病してたんだ」

レイ「……そう」

シンジ「なんか、定期検査? 近いから今日は風邪がうつると悪いみたいで、リツコさんから綾波は自宅にいてほしいって伝言頼まれたけど?」

レイ「今も、部屋で寝てるの?」

シンジ「うん、ようやく寝ついたところだから」

レイ「わかった。他にはなにか伝言ある?」

シンジ「ううん、特にないよ」

レイ「それ、おかゆ?」

シンジ「あぁ、うん。起きたら食べさせようと思って」

レイ「……そう。それじゃ、私、もう行く」

シンジ「もう少しゆっくりしていったら?」

レイ「命令だもの……碇くん、また」
693 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 21:03:15.96 ID:IkuP/UIq0
- リツコ 部屋 -

ガラガラ

リツコ「ぁっ……んぁっ……はぁはぁっ……」

シンジ「リツコさん、綾波帰りましたよ」

リツコ「ひっ⁉︎ もう、やめて……もう、いや……」

シンジ「そんなにこわがらなくていいですよ」スッ

リツコ「い、いやっ! さわらないでっ! こないで!」

シンジ「これで時間はたっぷりあります」

リツコ「無理なのよ……っこれ以上は無理……」

シンジ「言葉を発しなくなるまで続けますよ」

リツコ「だ、だれか、たすけ……」

シンジ「――さぁ、リツコさん」
694 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 21:18:03.77 ID:IkuP/UIq0
- 翌日 リツコ宅 -

チュンチュン

シンジ「……もう朝か」

リツコ「ぁっ……あっ……」ピクピク

シンジ「リツコさん、僕の目を見てください」

リツコ「…………」

シンジ「目が赤くなってるのわかりますか? あなたにとって父さんはもう不要です。ゴミクズ以下でしかない。代わりに僕がいます」

リツコ「……ぁっ……」

シンジ「僕が守ります。あなたは、いや、あなたにとって僕しかいない」

リツコ「…………はい」

シンジ「復唱してください」

リツコ「……碇司令は、ゴミクズ、私には、シンジくんしか、いない……」

シンジ「そうです。では、そのまま目を瞑って」

リツコ「…………」スッ

シンジ「心地いい眠気があなたを包みます。深く、深く、意識を失っていきます……」

リツコ「……すぅー……」

シンジ「起きた時には、あなたは風邪をひいていたということだけを覚えています」

リツコ「…………」

シンジ「おやすみ、リツコさん」ナデナデ
695 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 21:22:57.99 ID:OFKkHTa5o
(年増を抱く的な意味で)いやーキツいっす
696 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 21:29:06.77 ID:IkuP/UIq0
- ネルフ本部 -

ミサト「リツコは今日も休み?」

マヤ「はい、さっきシンジくんから連絡があってだいぶ熱さがったそうなんですけど」

ミサト「風邪なんてめずらしいわね。先の使徒のやつで糸がきれちゃったか」

マヤ「よっぽど辛いんでしょうね。熱があっても出てきそうですし、先輩なら」

ミサト「そうね……」

マヤ「シンジくん、良い子ですよね。先輩たまに、嫌な当たり方する時あるけど、こんなに献身的に看病するなんて」

ミサト「良い子よ。でも、シンジくんまで休む必要ないと思うけど」

マヤ「あ、それなら問題ないです。先輩が落ち着いたから本日よりテストに復帰するって合わせて連絡ありました」

ミサト「そっか、そろそろシンジくんも学校に行かせてあげたいなー」

マヤ「現在のシンジくんの監督官は先輩ですから、とりあえず、回復してみないことにはなんとも……」

ミサト「マヤちゃんも協力してくれる?」

マヤ「そうですね……後押しだけなら……」

ミサト「ありがとー! 助かるわぁー!」
697 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 21:47:03.97 ID:IkuP/UIq0
- 第三新東京市立第壱中学校 昼休み -

ヒカリ「はぁ……」

アスカ「ヒカリ? 昨日もずっとため息ばっかりだったけどなんかあったの?」

マナ「そうだよ。2日も引きずるなんて、どうしたの?」

ヒカリ「はぁ……」

アスカ「また聞こえてないわね」

マナ「うーん」

ケンスケ「トウジ? 今日も購買パンか?」

トウジ「おう、委員長が作り忘れたらしくての」

ケンスケ「たしかに、様子がおかしいな、トウジ聞いてみろよ」

トウジ「なんでワシが」

アスカ「この鈍感っ!」スパーンッ

トウジ「いっ⁉︎ おまっ! いつのまにハリセン作っとんねん!」

アスカ「どぉ? これ授業中暇だったから作ってみたのよ」ブンッブンッ

ケンスケ「器用な……よく先生にバレなかったな……」

アスカ「まぁ、なんでもいいからはやく聞いてみなさい。このハリセンが振りかぶられる前にね」

ヒカリ「はぁ……」

トウジ「……ちっ、なぁ! 委員長!」

ヒカリ「はぁ……」

トウジ「おーい! おーい! ブース!」

アスカ「……っ!」スパーンッ

トウジ「なんやねん!」

ヒカリ「(碇くん……)」

トウジ「……ちょい、委員長」チョンチョン

ヒカリ「……? 鈴原。なに?」

トウジ「あー、様子がおかしいみたいやが、なにかあったんか?」

ヒカリ「なんで鈴原がそんなこと気にするの?」

トウジ「なんでって、そらまぁ、弁当作って貰っとるからの」

698 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 21:56:25.27 ID:IkuP/UIq0
ヒカリ「……?」

トウジ「なんか、あったんなら、相談のるぞ」

ヒカリ「心配してくれてるの?」

トウジ「まぁ、弁当作ってもらっとるからのー」ポリポリ

ヒカリ「お弁当だけなんだ……」

トウジ「……悪いか?」

ケンスケ「おい、トウジ」

ヒカリ「別にあんたの為に作ってるわけじゃないわよっ!」

トウジ「あぁ、ついでやったのぅ」

ヒカリ「……っ! もういい!」ガタンッ


タタタタッ


アスカ「はぁ……」

マナ「鈴原くん、追いかけなくちゃ」

トウジ「なんでワシが」

アスカ「ヒカリ泣かしたら、あんたとは二度とご飯食べない。たとえシンジの友達でも」

トウジ「ワシが悪いこと言うたわけやないやろ!」

ケンスケ「………トウジ」

マナ「とにかく、追いかけてあげて。ね?」

トウジ「ちっ」ガタッ


タタタタッ


ケンスケ「許してやってくれよ。トウジも悪いやつじゃないんだ」

アスカ「相田の気持ちもわからないでもないわ。でも、ヒカリか鈴原だったら私はヒカリの味方」

ケンスケ「…………」

アスカ「私がなに言いたいかわかるでしょ?」

ケンスケ「あぁ……わかる」

マナ「まだうまくいくってこともあるから……」
699 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 22:09:03.13 ID:IkuP/UIq0
- 第三新東京市立第壱中学校 屋上 -

ガチャ

トウジ「…………」

ヒカリ「なにしにきたの?」

トウジ「……みんな心配しとるぞ」

ヒカリ「言われたから来たんだね……」

トウジ「まぁ、それも、ある」

ヒカリ「――鈴原、私、鈴原のこと好きだった。優しいところ」

トウジ「は、はぁ⁉︎ なんでそんなこと……」

ヒカリ「お弁当も鈴原の為に作ってきたの」

トウジ「あ……」

ヒカリ「でも、もうやめるね」

トウジ「…………」

ヒカリ「私、もうやめることにしたから」

トウジ「……なんでそんなこといまさら」

ヒカリ「ううん。言いたかっただけ。今さらだけど、私のために言わなくちゃいけなかったの」

トウジ「…………」

ヒカリ「さ、戻ろう? 私たちこれまで通り、友達だよね?」

トウジ「まぁ、そやな」

トウジ「…………」
700 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 22:20:11.14 ID:IkuP/UIq0
- 第三新東京市第壱中学校 教室 -

ヒカリ「あの、アスカ。マナ、ちょっといい?」

アスカ&マナ「…………」コクリ

ヒカリ「鈴原、相田くんと向こう行っててもらえる?」

トウジ「……おう、わかった……」

ケンスケ「おい、トウジ! どうしたんだよ」

トウジ「ケンスケ、今はなんも言わんといてくれ。とりあえず、ワシらは話の邪魔や。今日は屋上にでも行くか」

ケンスケ「……わかったよ」


スタスタ


アスカ「――それで? どうしたの? 大丈夫?」

ヒカリ「うん、平気。不思議と全然悲しくなかった」

マナ「それって……振られた?」

アスカ「あいつっ……!!」ガタッ

ヒカリ「ま、待って! 違う、違うの。私からもうやめるって言った」

アスカ「……え」

ヒカリ「私から好きだったけど、お弁当作るのもうやめるって言っちゃった」

マナ「あ……」

アスカ「ヒカリはそれでいいの?」

ヒカリ「うん。いつまでも続けてもしかたないもの」

マナ「そっか……」

ヒカリ「だから、これまで通り、お友達」

アスカ「しっかたないわねぇ! ヒカリがそう決めたなんなら! 私も賛成よ!」

ヒカリ「アスカ……ありがと、えへへ」

アスカ「じゃあ、ずっとそのこと考えてたのね?」

ヒカリ「え?」

マナ「え? 違うの?」

ヒカリ「あ、うーんと、考えてたのは――」


シンジ『ありがとう、今日は楽しかった』


ヒカリ「……っ!」ボンッ

アスカ「ヒカリ? 顔真っ赤よ?」
701 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 22:32:29.33 ID:IkuP/UIq0
- ネルフ本部 -

ミサト「シンちゃーん! お疲れ様!」

シンジ「ミサトさん、どうも」

ミサト「調子はどぉ?」

シンジ「変わりはないですよ。ミサトさんとアスカも元気ですか?」

ミサト「こっちも大丈夫よ」

シンジ「それならよかったです」

ミサト「リツコが熱だしたって聞いてるけど、本当?」

シンジ「はい、もう落ち着いてますから、明日はでてくるって言ってましたよ」

ミサト「そっか。明日、シンジくん、学校行けるように頼んでみるから」

シンジ「ありがとうございます。僕も学校行きたいですし」

ミサト「そうよね。シンジくん、リツコのこと、ずっと看病してくれてたんですってね? ありがとう」

シンジ「立ち上がるのも辛そうだったので、できることをしただけです。インフルエンザかと思ったんですけど、熱が下がったのでその心配もなくて」

ミサト「……本当にありがと。あいつ、一人で抱えこんじゃう所があるから。内心ではシンジくんに感謝してると思うの」

シンジ「いえ、そんな」

ミサト「なんかおごるわよ」

シンジ「大丈夫です。今日は帰っておかゆ作ってあげないと」

ミサト「し、しんちゃ〜ん!」ギュウ

シンジ「うわぁ⁉︎ ちょ、ちょっと! ミサトさん、離してくださいよ!」

ミサト「きっと大丈夫よ! リツコもそのうち優しくなるわ!」
702 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 22:41:35.50 ID:IkuP/UIq0
- リツコ宅 夜 -

シンジ「……ただいま」

レイ「おかえり」

シンジ「リツコさんの様子はどう?」

レイ「リビングでドラマ見てる」


トタトタ


シンジ「リツコさん、ただいま」

リツコ「あら、おかえりなさい。シンジくん」

シンジ「風邪の具合はどうですか?」

リツコ「起きた時は体がダルかったけど、時間がたつにつれて良くなったわ。薬が効いたみたいね」

シンジ「そうですか」

リツコ「――シンジくん。レイから聞いたわ。ずっと看病してくれてありがとう」

シンジ「いえ、大丈夫ですよ」

リツコ「なんだか、気分もスッキリしてるのよ。シンジくんのおかげね」

レイ「…………」

リツコ「明日に、ゴミ……碇司令に報告があるから、それが終わったら学校に行けるようになるわ。もう少し我慢してちょうだいね」

シンジ「わかりました。すみません」

リツコ「いいのよ。それじゃご飯の支度でもする?」

シンジ「あの、リツコさん」

リツコ「なに?」

シンジ「僕が守りますから」

リツコ「あ、ありがと……」

レイ「……?」
703 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 22:53:03.31 ID:IkuP/UIq0
- 翌日 ネルフ本部 ??? -

ゲンドウ「報告しろ」

リツコ「シンジくんの洗脳ですが、完了いたしました」

冬月「なにっ⁉︎ 予定よりずっとはやくないか⁉︎」

リツコ「止むを得ず、私の独断で決行いたしました。経緯は文書でまとめております」

ゲンドウ「うまくいったのか?」

リツコ「はい、徐々にではありますが、レイをアスカと捉え、置き換えていきます」

冬月「すぐにではないのかね?」

リツコ「あまり無理をしないようにとなると、急激な変化は脳への負担になります。まだ時間はありますし、結果が変わらなければ同じことかと」

ゲンドウ「完璧に刷り込ませるにはどれぐらいかかる」

リツコ「長い期間は擁しません。準備期間と同じく一週間もあれば完了いたしますわ」

ゲンドウ「それならばいい」

冬月「ふぅ……これでサードチルドレンとセカンドチルドレンの問題は解決したな」

リツコ「シンジくんは明日から学校に登校させます。接触における変化も見たいので」

ゲンドウ「わかった。さがっていい」

リツコ「(簡単ね。ゴミが)」
704 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 23:01:31.21 ID:IkuP/UIq0
- ネルフ本部 ラボ -

ミサト「お邪魔するわよん」

マヤ「…………」ビクビク

リツコ「ミサト? マヤ?」

ミサト「風邪がなおって何よりだわ。けっこう大変だったみたいね」

リツコ「ほとんど意識がなかったわね。記憶もおぼろげよ」

マヤ「そんなに? 病院で検査を受けた方がいいんじゃないですか?」

リツコ「一応、私だって医師のはしくれでもあるのよ。今朝方、メディカルチェックは済ませてある。何も問題なかったわ」

マヤ「それじゃぁ、完全に治ったってことですね」

ミサト「ちょっとまってよぉ〜。誰のおかげか忘れてない?」

マヤ「ソ、ソウダー。シンジくんのオカゲダー」

ミサト「若いツバメに看病してもらったご感想は?」ニマニマ

リツコ「……ふぅ。ミサトもあいかわらずね」

ミサト「人間そんな簡単に変わりゃしないわよ」

リツコ「シンジくんには感謝しているわ」

ミサト「おっ?」

マヤ「先輩?」

リツコ「明日から学校に行かせる。これでいい?」

ミサト「リツコぉ〜〜っ!」ギュウ

リツコ「私、懐かれるのは苦手。猫派なのよ」
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 23:10:55.62 ID:IkuP/UIq0
- 第三新東京市立第壱中学校 昼休み -

アスカ「ヒカリ、それひとつもらっていい?」

ヒカリ「うん、いいよ」

マナ「いいな、私も交換したい」


トウジ「……」もぐもぐ

ケンスケ「なぁ、トウジ。あいつらと一緒に食べないのか?」

トウジ「まぁな」あむっ

ケンスケ「やっぱり昨日なんかあったんじゃ?」

トウジ「なんもない言うとるやろ」

ケンスケ「そんなわけないけどなぁ〜」

トウジ「お前もしつこいやっちゃのー。別にええやろ。あいつらと食べへんでも」

ケンスケ「はぁ……碇はまだ来ないのかなぁ……」
706 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 23:19:41.22 ID:IkuP/UIq0
- 夜 ミサト宅 -

アスカ「それ本当⁉︎ シンジが明日から学校に来るの⁉︎」

ミサト「そうよ。リツコから許可がでたわ。よかったわね」

アスカ「はぁ〜〜〜長かった」

ミサト「あんた達ぐらいの歳の1日って密度濃いものね」

アスカ「また、ばばくさいことを」

ミサト「ハタチを超えたら時間の流れなんかあっという間なんだからね! 気がつけばもう年末とかあるのよ!」

アスカ「はいはい」

ミサト「まぁ、言ってわかるもんじゃないか」

アスカ「私にだってわかることぐらいあるわよ」

ミサト「なに?」

アスカ「ミサトはね、スレてんのよ」

ミサト「こ、こらっ!」

アスカ「きゃあ! あははっ」

ミサト「……アスカもよく笑うようになったわね」

アスカ「そう?」

ミサト「シンジくんのおかげ?」

アスカ「そうよ。今の私は変わったところも、前の私もそれしかないわ」

ミサト「おーあついあつい」

アスカ「ミサトも次の恋愛見つけたら?」

ミサト「余計なお・せ・わ!」
707 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 23:34:05.70 ID:IkuP/UIq0
- 夜 リツコ宅 -

リツコ「シンジくん? 起きてる?」

シンジ「はい、起きてますよ」

リツコ「なんだか、眠れなくて。話し相手になってもらっていいかしら」

シンジ「僕でよければ」

リツコ「少し、勝手に喋らさせてもらってもいい」

シンジ「はい」

リツコ「……ふぅ」

シンジ「…………」

リツコ「私はね、あなたのお父さんにレイプされたことがあるの。碇司令は、私の母とも関係を持っていたけれど」

シンジ「…………」

リツコ「母さんはね、女でありたかったんだと思う。いくつになっても。……私も同じね。研究者という傍で、男日照りな毎日を億劫に過ごしてきた」

シンジ「…………」

リツコ「研究に没頭することで、煩悩を忘れたふりをして、そうしている内に、またズルズルと碇司令と関係を持ってしまった」

シンジ「…………」

リツコ「人間としては失格なんだと思うわ。私も、あなたのお父さんも。笑っちゃうわよね。息子のあなたにこんな話をしてるんだもの」

シンジ「僕は平気ですよ」

リツコ「でも、不思議なの。碇司令を愛していたはずなのに今はゴミクズだと思える。シンジくんが、その、ずっと素敵に見えるの。異性として……」

シンジ「嬉しいです」

リツコ「シンジくんの歳からしたらおばさんでしょ?」

シンジ「いえ、そんなこと。ここ、さわってみてください」

リツコ「……? ……あら……私で?」サワサワ

シンジ「はい。ここは綾波の部屋と近いから、リツコさんの部屋行きませんか」

リツコ「えぇ……」
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 23:54:14.25 ID:AjVZ9CFzo
>>687
オーバーザレインボーってどんな予測変換やねん
709 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 23:58:54.70 ID:Nrmd+oAQO
ガギエル戦のときの戦艦の名前やないの?
710 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 23:59:44.91 ID:IkuP/UIq0
- リツコ宅 リツコ部屋 -

リツコ「――これが、あなたのお父さんの計画の全てよ」

シンジ「人類補完計画は起こすつもりなんですね」

リツコ「えぇ。ゼーレも碇司令も変わらないみたい」

シンジ「リツコさんの担当は?」

リツコ「私は実務的なことを除いた裏方的なことを言えば、レイの管理ね」

シンジ「それだけですか?」

リツコ「シンジくん、さっきからあなた、驚かないのね」

シンジ「まぁ父さんのやることですから」

リツコ「レイは碇司令の奥様、つまり、あなたのお母さんであるユイさんに似せて作られた。まだ奥さんを忘れられないのね、碇司令」

シンジ「出自については?」

リツコ「母さんの実験からスタートしているから、私もわからないことが多いんだけど、魂はリリスのものよ。あの子の肉体と精神はただの器でしかない」

シンジ「…………」

リツコ「ネルフの最深部に磔にされている、第2使徒と融合することによって本来の形になるの」

シンジ「だから、父さんはレイに固執しているんですね」

リツコ「えぇ。奥様とリリスの、いうなればハイブリッドですもの」

シンジ「僕のこと、洗脳されてるって誤魔化してもらえます?」

リツコ「今日済ませてあるわよ。報告と同時にね」

シンジ「ありがとうございます」

リツコ「いいのよ。私にはもうシンジくんしかいないもの」

シンジ「リツコさん……」

リツコ「あっ……元気ね……碇司令とはやっぱり違う……」
711 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 00:04:57.56 ID:W2DJH0790
>>708
>>709
そうすね
戦艦の名前がオーバーザレインボーです
712 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 02:50:59.94 ID:W2DJH0790
- 翌日 リツコ宅 -

シンジ「(リツコさんは僕の味方になった。人の感情を暗示まがいとはいえ操作できるなんて、ますます人間じゃなくなってくな……)」

レイ「碇くん」

シンジ「(これで、やってることは結局、父さんと変わらなくなってしまった。僕は、目的の為にリツコさんを利用してるんだ。アスカや、みんなを騙して)」

レイ「…………」

シンジ「(せめて、誠意を尽くそう。父さんとの違いを感じたいからじゃない。僕がそうしたいからそうするんだ)」

レイ「碇くん?」

シンジ「――あ、うん? どうしたの? 綾波」

レイ「今日から、学校、行くんでしょ」

リツコ「えぇ、そうよ」

レイ「私と一緒に行く?」

リツコ「そうね。レイと一緒に行ってもらうわ」

シンジ「わかりました……」
713 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 02:59:53.81 ID:W2DJH0790
- 第三新東京市立第壱中学校 -

アスカ「…………」ソワソワ

ヒカリ「アスカ、おはよう。今日ははやいね」

アスカ「えぇ、今日からシンジがまた来るからね」

ヒカリ「えっ? 碇くん来られるようになったの?」

アスカ「本当、ようやくよね。ネルフの実験に付き合わさせられてばかりだったから」

ヒカリ「(碇くん、来るんだ……)」

マナ「おはよう、アスカ、ヒカリ」

ヒカリ「マナ、おはよう」

マナ「今日ははやいね」

ヒカリ「同じこと言ってる」

マナ「え?」

ヒカリ「今日から、また碇くんが来るんだって」

マナ「あぁ〜そうなんだ」
714 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 03:12:51.33 ID:W2DJH0790
ガラガラッ

シンジ「なんだか、久しぶりな気がするな」

レイ「私、席に行くから」

シンジ「わかっ――」

アスカ「シンジっ!」ギュウ

マナ「……わぁ……」

ヒカリ「…………」

トウジ「シンジ、おはよーさん」

ケンスケ「待ってたぞ、碇」

シンジ「トウジ、ケンスケ。久しぶりだね」

トウジ「まぁ、そんなでもないけどな。なんだか久しぶり会う気がするのー」

ケンスケ「ほんとほんと。碇もいないとな」

アスカ「お邪魔虫はあっちいって、シッシッ」

ヒカリ「あの、アスカ、みんな見てるよ」

アスカ「別に気にしてないからいいの」ギュウ

ヒカリ「ひっつきすぎだよ……」

アスカ「ヒカリ?」

シンジ「とにかく、席につこうよ」

マナ「碇くん、おかえり」

シンジ「ありがとう、マナ」
715 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 03:22:32.24 ID:W2DJH0790
- 第壱中学校 昼休み -

アスカ「結局あんた達、シンジの金魚のフンなのよねぇ」

トウジ「なんやと!」

ケンスケ「まぁまぁ」

アスカ「だって、シンジにかこつけてまた私達と机囲んでるじゃない」

トウジ「ふん!」

ヒカリ「あの、碇くん、これ食べる?」

シンジ「いいの?」

ヒカリ「うん、食べて」

アスカ「シンジ、あんまりヒカリのとっちゃかわいそうよ」

シンジ「そうだね。僕は、自分の食べるから洞木さんも食べなよ」

ヒカリ「あ……うん」シュン

マナ「…………」

シンジ「アスカ、少し話たいことがあるんだけど、いいかな?」

アスカ「もちろんいいわよ。今?」

シンジ「食べ終わってからでいいよ」

トウジ「おっ。もう夫婦でデートか」

ヒカリ「…………」

マナ「……ヒカリ?」

シンジ「マナも、例の件で放課後話たいんだけどいいかな?」

マナ「あっ! うん! なにか進展があった⁉︎」

シンジ「そういうわけじゃないんだけど、今後の計画とか話あいたいから」

マナ「わかった!」
716 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 03:38:48.61 ID:W2DJH0790
- 第三新東京市立第壱中学 屋上 -

アスカ「シンジ、どうしたの?」

シンジ「……会いたかったよ、アスカ」ギュウ

アスカ「あっ……どうしたのよ」ギュウ

シンジ「(アスカ、ごめん。僕はリツコさんと……)」

アスカ「シンジ……私も会いたかった」

シンジ「アスカに話さなきゃならないことがあるんだ」

アスカ「な、なに? まだ結婚は」

シンジ「いや、そうじゃなくて、父さんことでわかったことがあるから」

アスカ「あっ。そ、そうよね。うん、大丈夫。全然、期待なんてしてなかった」

シンジ「……実は、父さんはリツコさんを使って僕のことを洗脳しようとしていたみたいなんだ」

アスカ「えぇ⁉︎ 洗脳⁉︎」

シンジ「アスカとミサトさんがリツコさんと綾波に置き換わるようにね」

アスカ「…………」

シンジ「部屋の間取りもほとんど同じなんだ。だから刷り込ませようとしてたんだと思う」

アスカ「……許せない」

シンジ「アスカにも協力してほしいことがある」

アスカ「なんでも言って!」

シンジ「僕が洗脳にかかってるふりをして、アスカに素っ気なくしても大丈夫?」

アスカ「あっ、そっか、誤魔化す為には、そうなるわよね……」

シンジ「うん。だから事前に話し合いをしたかったんだ。アスカのことは大切だから」

アスカ「シンジ……」

シンジ「アスカが嫌なら別の方法を考えるよ」

アスカ「ううん、それが一番いいと思う。わかった。ただ、サインを決めておきましょ」

シンジ「サイン?」

アスカ「人指し指と薬指でXの文字を作るの。私にだけ見えるようにしたらそれでかまわない。シンジが洗脳にかかってない証拠にもなるし、私もそれで我慢する」

シンジ「わかったよ」

アスカ「もう、洗脳にはかかってることになってるの?」

シンジ「そうだね、かかってることにはなってるけど完全にかかりきるまで一週間てことになってる」

アスカ「それなら、今日は大丈夫だったってことね」

シンジ「うん、でも気をつけるに越したことはないから」
717 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 07:00:46.74 ID:trTFKVGAo

読者としては次スレでも続けて欲しいのが本音
718 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 12:25:50.32 ID:CaT87TYEO
あと2回戦以降はともかく、初回ぐらいは絡みは読みたいかなあ。

せっかくのRだし。超パワーを手に入れて犯して洗脳しましたの一文だけだと寂しい気もする
無理にとは言いませんが
719 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 16:32:58.39 ID:W2DJH0790
書くこと自体は問題ないすよ
次回あれば初回はやりとりを書きます
なぜいれなかったのか理由は、全体的にワンパターンになりつつあるのであえていれず省略しました

では続けます
720 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 16:49:12.71 ID:W2DJH0790
- 第三新東京市立第壱中学校 音楽室 放課後 -

マナ「あっ! シンジくん! お待たせ!」

シンジ「待ってたよ、マナ」

マナ「……え?」

シンジ「どうしたの?」

マナ「シンジくん、カラーコンタクトでもいれたの?」

シンジ「え?」

マナ「片目、真っ赤だよ。宝石のルビーみたいですっごくキレイ!」

シンジ「……っ!」バッ

マナ「あ、あれ? どうしたの? なんで隠すの?」

シンジ「夕日のせいじゃないかな?」スッ

マナ「……え……本当だ、元に戻った……でも、さっきはたしかに……」

シンジ「気のせいだよ。それより、学校生活はどう?」

マナ「……そうかな。学校? アスカたちともうまくできてるよ!」

シンジ「仲良くなれたみたいでよかった」

マナ「うん、アスカもね、話したらすごく面白いの。ヒカリは良い子だし」
721 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 17:00:18.78 ID:W2DJH0790
シンジ「そっか」

マナ「ムサシとケイタの話だったよね?」

シンジ「うん。2人のことは何も心配いらないよ。僕が助けてみせる」

マナ「……シンジくん。ありがとう。私、なにもできないのに」ペコ

シンジ「いいんだ。それより、その後の生活のこと聞いてる?」

マナ「あ……まだなにも……」

シンジ「逃走用のルートは確保されてる。逃げる分には心配いらないよ。ただ――」

マナ「――ここにはもう、いられないんだね」

シンジ「そうなるかもしれない」

マナ「うぅん。はっきり言ってくれていい。シンジくん、優しいから言いずらいよね」

シンジ「…………」

マナ「私ね、助けられても、追求はきっと厳しいものになるってわかってた」

シンジ「たぶん、3人は死んだことになると思う」

マナ「それって、戸籍とかもなくなっちゃうの?」

シンジ「本人としてはね。別人の戸籍が用意されて、別人として生きていく」

マナ「…………」

シンジ「顔がわれてるから、他にどうしようもないんだ。あとは、整形でもするしか……」

マナ「いいの。覚悟はしてたことだから」

シンジ「ごめん」

マナ「謝らないで。助けてくれるだけでも充分だよ……」

シンジ「…………」

マナ「私ね、ずっと自由に憧れてた」

シンジ「自由?」

マナ「うん、籠の中で生活してる鳥みたいに、いつか大空に羽ばたいてみたいって」

シンジ「それは、叶うよ」

マナ「うん! 別人になっても私は私だものっ!」
722 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 17:19:51.58 ID:W2DJH0790
- 帰宅中 -

マナ「シンジくんと2人で帰るのってはじめてだね!」

シンジ「……そうだね」

マナ「ん〜元気ないな、私のこと気にしてくれてるの?」

シンジ「僕が、なにかもっとできることがあるんじやないかって」

マナ「アスカ達と別れるのはさみしいけど……卒業したら、もしかしたら疎遠になることもあるかもしれないよ? だから、先に私が旅立つの。そう考えない?」

シンジ「うん」

マナ「シンジくん、何も怒らないんだね」

シンジ「ん?」

マナ「私がなにを目的に近づこうとしたかも、全部聞いてるんでしょう?」

シンジ「あぁ」

マナ「私は情報、その代わりに助けてもらえる。お互いに有益かもしれないけど、シンジくんにとってなにが得になるの?」

シンジ「損得じゃないよ」

マナ「えっ」

シンジ「助けたいから助ける。僕はそれだけ」

マナ「え? でも、なにか得があるから取り引きっ……シンジくん、もしかして情報いらなかったの?」

シンジ「必要としてる人はいるだろうけど、僕自身は全然」

マナ「えぇっ⁉︎ そんな、だって、それじゃ、話が」

シンジ「いいんじゃないかな。必要としてる人がいれば」

マナ「あっ……」

シンジ「…………」テクテク

マナ「ごめんなさい。もっとはやくにシンジくんに聞くべきだった。勝手なことばかり言って……」

シンジ「いいよ。マナにとっては2人の安全が大切だと思うから」

マナ「うん……」

シンジ「もうすぐ、会えると思うよ」

マナ「うん、ありがとう――。あ、そうだ、あのね、話飛んじゃってもいい?」

シンジ「ん?」

マナ「私、さっきの赤い瞳のことがどうしても頭から離れなくて、あれって綾波さんと似た色だったなって」

シンジ「マナ」

マナ「あ、ん?」

シンジ「こっち見て」ガシッ

マナ「え? し、シンジくん? ……あっ……」

シンジ「赤い目のことは忘れるんだ」

マナ「……はい……」
723 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 17:34:50.56 ID:W2DJH0790
- リツコ宅 近くの公園 -

マリ「よ〜、ワンコくん」

シンジ「マリさん」

マリ「なんだか、悪いことしちゃってるねぇ〜」

シンジ「…………」

マリ「その目、使いすぎると、どんどん人に戻れなくなるよ」

シンジ「いいんだ、僕はどうなっ――」


ガンッ!!


シンジ「いつっ!」

マリ「勝手なこと言うなっ! 人の気持ちを操作するなんて最低なことしてるってわかってんだろうな!」

シンジ「僕が手を汚さないと」

マリ「はぁ。ワンコくんにはガッカリだよ。そんなもんなんだね」

シンジ「…………」

マリ「いい? 人には適材適所ってある。手を汚すなら私たちが汚してあげる。ワンコくんはそのままでいな」

シンジ「……なんでだよ……」

マリ「その目使い続けたらワンコくんの感情がなくなるって! 融合が進むと人の感情がなくなるんだよ!」ガシッ

シンジ「そうしなきゃ助けられないんだ! 仕方ないだろう⁉︎」グイッ

マリ「……ゲンドウくんと同じじゃん。ほんと、ガッカリ……」

シンジ「……っ!」

マリ「あんな大層な口きいて、加地くんにちょっとなんか言われたらそうなるんだにゃ〜」

シンジ「ぼ、僕だって!」

マリ「せめて姫だけは助けろ!」グイッ

シンジ「……っ! なんでアスカだけなんだよ!」

マリ「自分を守れないやつに、他人なんか守れるはずないじゃん? あはっ。もしかしてまだ大勢を守れるなんて思ってる?」

シンジ「…………」

マリ「私たちは勝手にやるから、ワンコくんもご勝手に〜」ヒラヒラ
724 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 17:56:10.14 ID:W2DJH0790
- 第三新東京市 某所 -

マリ「……はぁ」


コツコツ


加地「余計なことしちまったかな」

マリ「いいんじゃん? あんな程度で揺らぐならどっちみち無理な話なんだし」

加地「えらくご機嫌ななめじゃないか」

マリ「べっつにぃ〜かったるいだけ」

加地「人の気持ちを操作する、か。使徒でさえありえないことだな」

マリ「汚いだけだよ。あんなの」

加地「しかし、効果だけを見れば絶大だ。頼りたくなる気持ちもわかる」

マリ「帰っていい〜?」

加地「まぁ、待てよ。シンジくんがこのままズルズルと力を使い続ければどれくらいで人じゃなくなる」

マリ「……もって一ヶ月、ってところかにゃ」

加地「見てみたい気もするね。完璧な融合、歴史の創設者誕生の瞬間を」

マリ「次のステージも救済もないよ。そうなれば、一旦、無に帰すだけ」

加地「どっちみち見られないってわけか」

マリ「さてと、帰ろっと」
725 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 18:07:52.78 ID:W2DJH0790
- リツコ宅 シンジ部屋 -

ハレルヤ、全能者であり、わたしたちの神である主が王となられた。
黙示録19:6

シンジ「………くそっ!」ガンッ

この世の国は、我らの主と、そのメサイアのものとなった。主は世々限りなく統治される。
黙示録11:15

シンジ「くそっ!くそっ!」ガンッガンッ

王の中の王、主の中の主。
黙示録19:16

シンジ「……はぁっはあっ……」

シンジ「なにやってるんだ、僕は!」ガンッ
726 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 01:57:37.13 ID:RjIOA7Qm0
- 洞木宅 ヒカリ部屋 -

アスカ「なにこれ? 新刊?」

ヒカリ「うん。あんまり人気はないみたいなんだけど絵だけで買っちゃったんだ」

アスカ「ふーん」ペラペラ

ヒカリ「それ、読んでみたら面白いんだよ。優しい青年が女の子を救う話なんだけど」

アスカ「王道ってやつね」

ヒカリ「まだはやいわよ。それでね、なんていうか、普段は頼りないけど、ここぞって時はちゃんと決めるっていうか」

アスカ「だから、王道でしょ」

ヒカリ「んもう! たまには私の話最後まで聞いてよ!」

アスカ「あははっ、ごめんごめん」

ヒカリ「もー」

アスカ「でも、なんとなくこれシンジに似てる気がする」

ヒカリ「えっ? そ、そうかな」

アスカ「まぁ所詮漫画だけどね。他にはっと」

ヒカリ「あ、これもおすすめ」

アスカ「どれどれ」ペラペラ

ヒカリ「それも最近ハマってるんだ、えへへ」

アスカ「……ヒカリ、これ、さっきのやつと何が違うの?」

ヒカリ「ぜ、全然違うじゃない!」

アスカ「そお? どんな所が?」

ヒカリ「顔立ちとか、あと、こっちはみんなを守ろうとするし」

アスカ「付け加えただけじゃない。それに絵のテイストは一緒よ」

ヒカリ「だ、だって、そういう絵が好きなんだもん」

アスカ「前ってもっと元気系が好きだったじゃない。さっきのもこれもかわいい系だし」

ヒカリ「あ、そ、それは……」

アスカ「……?」

ヒカリ「漫画だし! 元気系はもう飽きちゃっただけ!」

アスカ「ま、そういうもんかしらね」
727 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 02:03:58.31 ID:RjIOA7Qm0
- マナ宅 -

マナ「……もうすぐ、助けられるからね」


ピンポーン


マナ「あ、はーい」


ガチャ


加地「こんばんは」

マナ「えっと……?」

加地「失礼、ネルフ関係者の者です。伝言をお伝えしにきました」

マナ「あ、ネルフの……」

加地「こちらが身分証明書になります」ピラ

マナ「……はい。たしかに、間違いないですね」

加地「玄関先だと話づらい内容なので、上がってもよろしいでしょうか?」

マナ「わかりました、どうぞ」
728 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 02:16:42.71 ID:RjIOA7Qm0
- マナ宅 リビング -

マナ「粗茶ですが……」コト

加地「おかまいなく。なんの連絡もなく、突然お伺いして申し訳ない。それに不躾にお邪魔までしてしまい……」

マナ「いえ、それで特別監査員の方が私にどんなご用件ですか?」

加地「戦略自衛隊に配属されている少年兵の件です」

マナ「ムサシとケイタに何が⁉︎」

加地「いえ、そういうわけではなく、ロボットについて動きがありまして」

マナ「…………」ホッ

加地「ロボットは試験段階のテストを終え、いよいよ実用化に向けての最終フェイズにはいりました」

マナ「……っ! そんな⁉︎ 早すぎます!」

加地「我々としても困惑しております。お話だと、実用化の目処は6年後だったはずでは?」

マナ「それは間違いありません。技術的にも先を見越して採用された案が数多くあり、パイロットも合わせて選定されました」

加地「つまり、あなたの言葉を信用すれば、未完成品のまま実戦運用されるかもしれないということになりますが」

マナ「……そうなりますね」

加地「しかし、これはあくまで信用すればの話です。ネルフがあなたを保護している理由はご存知ですよね?」

マナ「どういうことですか……」

加地「オフレコの話になりますが、あなたをもう保護できないという意見もでています」

マナ「そんな⁉︎」

加地「情報が間違っていたという事実は、すなわち、あなたの価値の低下を意味する」

マナ「…………」

加地「情報屋というのは信頼が全てです。正確性とね」

マナ「新しい情報があればどうですか?」

加地「まだなにか聞いてないことでも?」

マナ「いえ、私が情報を探ります」

加地「…………」

マナ「それなら、価値はでますか?」
729 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 02:37:20.59 ID:RjIOA7Qm0
加地「なんでもいいという話ではないんですよ」

マナ「……なにが、必要なんですか」

加地「人事部からはこういう意見もでています。あなたを戦自との交渉に使うと」

マナ「身柄を引き渡すつもりですか⁉︎」

加地「どうでしょうか、この機会に一度戻ってみられては」

マナ「そ……そんな……」

加地「我々が調べた結果、戦自のロボットは対エヴァンゲリオン用に開発された兵器だと判明しました。表向きは対使徒になっていますがね」

マナ「私はエヴァに対抗して開発されたと聞きました」

加地「わかったでしょう。例え新しいネタを仕入れたとしてあなたの情報に信頼性がないんですよ。精査しなければならない。そうなれば、弱者の使い道はひとつ、駒としての役割です」

マナ「……っ!」ギュウ

加地「我々としても残念です」

マナ「……お願いします。助けてください、戻ったら、私はきっと……」

加地「内部告発者の待遇がとうなるかはこちらの関与するところではありません」

マナ「…………」

加地「あなたを助けられるとしたらサードチルドレンでしょうか」

マナ「……え?……シンジくんが……」

加地「彼は碇司令のご子息ですからね。ま、私には関係のないことですが。それでは、失礼します」
730 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 02:44:08.22 ID:RjIOA7Qm0
あらら>>723からの人物名は誤字です
加地→×
加持→○
731 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 03:01:41.91 ID:RjIOA7Qm0
- リツコ宅 リビング -

シンジ「…………」

リツコ「シンジくん? どうかしたの?」

シンジ「あ、いえ。リツコさん、最近ははやいですね」

リツコ「あら、帰ってこない方がよかった?」

シンジ「そういうわけじゃないですよ。大人数で食べた方がおいしいですから」

リツコ「ふふっ。気をつかわなくていいのに」

シンジ「嬉しいのが本音ですから、気をつかってるわけじゃありませんよ」

レイ「………」もぐもぐ

リツコ「素直に受け取っておくわね。……レイ」

レイ「はい」

リツコ「明日は予定通り、地下で定期検査を行うわ。碇司令立ち会いのもとでね」

レイ「はい、あの、赤木博士」

リツコ「なに?」

レイ「地下の件、碇くんの前でお話してもいいんですか?」

リツコ「ええ。そのかわりこの事は他言無用よ。例え碇司令相手でもね。できる?」

レイ「……はい」

リツコ「結構。信じましょう」

シンジ「ダミーシステムは綾波をベースに?」

リツコ「そうよ。レイの性格思考プログラムを取り入れてある。エヴァの遠隔操作が目的ね。実用化されれば無人機と同様にパイロットは必要なくなる」

レイ「…………」

シンジ「最終的な目標はやはりはそこですか」

リツコ「パイロットのコアを書き換えるのは大変ですもの。シンクロ率管理ひとつとっても効率的とは言えない。その点、ダミーが掲げるシステムはメリットが大きい」

シンジ「エヴァは何体開発が進められてます?」

リツコ「私が知る範囲だと6体ね。ネルフに配属されてる3体を含めずに」

シンジ「…………」

レイ「あの、赤木博士」

リツコ「どうしたの?」

レイ「いいんですか?」

リツコ「ええ。全て他言無用よ? いい?」

レイ「……はい」
732 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 03:28:03.11 ID:RjIOA7Qm0
- リツコ宅 レイ部屋 -

シンジ『綾波、ちょっといい?』

レイ「……どうぞ」


ガラガラ


シンジ「お邪魔しま……やっぱり、簡素な部屋なんだね」

レイ「必要ないもの。それで、なに?」

シンジ「あぁ、うん。リツコさんから聞いたんだけど、近く移植手術が行われるんだって?」

レイ「……ええ」

シンジ「そっか。嫌じゃないの? 手術」

レイ「命令には逆らえない。するしかない」

シンジ「うーん、そういうことじゃなくて、綾波がどう感じてるか」

レイ「私が?」

シンジ「うん、なにを移植されるか聞いてる?」

レイ「…………」ふるふる

シンジ「そっか。それじゃ嫌かどうかもわからないね」

レイ「与えられた命令に疑問をもつな。そう教わったわ」

シンジ「僕は教えてるんじゃないんだ。綾波がとう感じるか、それを理解して共有したい」

レイ「共有?」

シンジ「そう、なにを考え、どう感じるか。それを知りたかっただけだよ」

レイ「……私の、考え」

シンジ「僕はなにも命令しない。だから考えを言ってもいいんだよ」

レイ「わからない、嫌なのかも、しれない」

シンジ「そっか、綾波、手をかして」

レイ「……?」スッ

シンジ「…………」ギュウ

レイ「……なに、碇くんの手のひら、熱い」

シンジ「……っ!」グッ

レイ「碇くん、熱でもある?」

シンジ「……ふぅ……熱はない、もういいよ」スッ

レイ「……? 碇くん、汗、かいてる」

シンジ「ちょっとした、おまじないをかけておいたんだ。手術をするのは避けられないかもしれないけど、受けても大丈夫だよ」

レイ「どういう?」

シンジ「気にしなくていいよ」
733 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 04:13:08.29 ID:RjIOA7Qm0
- 翌日 ネルフ本部 ??? -

ゲンドウ「レイ、調子はどうだ」

レイ「問題ありません」

リツコ「…………」カキカキ

ゲンドウ「赤木博士、アダムの移植手術の件はどうなっている」

リツコ「いつでも開始できますわ。本日、行われますか?」

ゲンドウ「レイの肉体はどれくらいもつ」

リツコ「レイにはすでにリリスの魂がはいっています。そこに胎児とはいえ、アダム本体が移植されるとなると器たる肉体のキャパシティを超えます」

ゲンドウ「具体的にいつまでもつか聞いている」

リツコ「一か月ほどで新しい器が必要になります」

ゲンドウ「老人たちはまだ、我々にアダムとリリスがあると気がついていない。今後気がつかれないためにも、然るべき時までレイの肉体に隠すのは必要なことだ」

リツコ「はい」

ゲンドウ「移植手術を本日執り行え。新しい器については赤木博士に一任する」

リツコ「承知いたしました。手術自体は簡単なものです。日帰りできますわ。ただ、性格について一点。移植することにより、アダムの影響を受けることが考えられます。狂暴性を持つかもしれません」

ゲンドウ「かまわん」

レイ「…………」

ゲンドウ「レイ、上がっていい」

レイ「……はい」
734 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 04:47:50.83 ID:RjIOA7Qm0
- 第三新東京市立第壱中学校 昼休み 屋上 -

マナ「ごめんね、急に呼び出して」

アスカ「かまわないわよ」

シンジ「なにかあった?」

マナ「実は、昨日、ネルフの人が家にきて、もう、保護できないって言われたの」

シンジ「なんだって?」

アスカ「情報を渡してるからその見返りに保護してもらえるんじゃなかったの?」

マナ「情報が間違ってたみたい。だから、もう価値はないって言われちゃった……」

アスカ「えぇ……どうするの?」

マナ「この前の、名前聞いてないんだけど、メガネかけてた人となんとか連絡とれないかな?」

アスカ「……私も連絡先知らないのよ」

マナ「そんな……。あの人からネルフに話してって言われたのに……」

アスカ「まぁ、擁護するわけじゃないけど、話したお陰で今まで保護は受けられてたわけでしょ」

マナ「うん……だけど」

シンジ「…………」

マナ「シンジくんのお父さんに頼んだらなんとかならないかな?」

シンジ「え?」

アスカ「ちょっと、マナ」

マナ「お願い。内部告発者が出戻りなんかしたら、生きていけない……」

アスカ「……っ! いい加減にしなさいよ! つらいのがあんただけだと思ってるの⁉︎ シンジの父親はね!」

シンジ「いいんだ。マナ、辛いね。僕の父さんに話してなんとかなるなら、そうしてあげたいけど、僕の頼みは聞いてくれそうもないんだ」

マナ「そ、そうかな? シンジくんがお願いすれば、きっと……親子だもの」

シンジ「うちは、ちょっと違うから」

マナ「私のこと、シンジくん、見捨てるの?」

アスカ「こいつっ……!」

シンジ「アスカ、おさえて。見捨てるつもりはない、なんとか助けたいと思ってるよ」

マナ「だったら、なんとかして! 私、不安なのっ!」

シンジ「…………」

マナ「お願い! できるなら……」

バチンッ!!

アスカ「……あんた、私が思ってたやつと違う」

マナ「なによっ! なんでぶつの⁉︎」キッ

アスカ「わからないの?」

マナ「シンジくんに頼んでなにが悪いのよ!」

アスカ「人って、追い詰められると本性見えるって言うけど、ほんとね」
735 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 04:58:52.48 ID:RjIOA7Qm0
マナ「アスカ、嫉妬してるの? 私は頼みごとをしてるだけだよ」

アスカ「軽蔑してるだけよ。あんたを」

マナ「嘘。嫉妬してるんだわ。シンジくんが私の頼みごとをきくのが嫌なんでしょ。アスカ、最初の頃、私にシンジくんに近づかないでって言ったし」

アスカ「その件については謝ったわ。あんたも許してくれた。今さら蒸し返すつもり?」

マナ「蒸し返すつもりなんかない! 嫉妬してるって言ってるだけよ!」

アスカ「…………」

マナ「シンジくんが他の子の目にとまるのがこわいの?」

アスカ「ふぅ……。バカね。あんたがシンジを友達としてではなく、利用しようとしてるのに私は怒ってるのよ」

マナ「命がかかってるのよ⁉︎」

アスカ「私たちパイロットは、いつも命をかけてるわ」

マナ「……っ!」

アスカ「シンジを好きな女としても、シンジの友達からでもどっちでもいい。シンジを大切に思ってる身としては、あんたは許せない」

マナ「私のことだって大切にしてくれていいじゃない!」

アスカ「どうして大切にしていないことになるのよ」

マナ「助けてよ!」

シンジ「アスカ、マナ、もういいよ」

アスカ「……わかった」

マナ「シンジくん、お願い、助けて」スッ

アスカ「シンジにさわるな!」バシッ

マナ「……っ!」キッ

シンジ「マナのことは、僕が助ける」

マナ「ほ、本当⁉︎」

アスカ「でも、どうやって? 個人が組織を相手取るには難しいわよ」
736 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 05:08:25.31 ID:RjIOA7Qm0
シンジ「父さんは無理だけど、頼める人がいないわけじゃないから」

マナ「……ありがとう、シンジくん」

アスカ「シンジがやりたいようにやって。協力して欲しい時は声かけてね」

シンジ「ありがとう、アスカ。とりあえず、マナはこれまで通り生活して。なにか進展があれば、すぐに連絡するよ」

マナ「わかった。あの、本当にありがとう」ペコ

アスカ「お礼なんて言うだけタダですもんねぇ」

マナ「……アスカ、喧嘩売ってるでしょ」

アスカ「どうとでも。最初の頃と違ってずいぶん強気じゃない、戦自隠すために猫かぶってたの?」

マナ「別に。ただやられたらやり返すよ」

アスカ「上等よ。こちとら負けるつもりなんかさらさらないわよ」

シンジ「2人とも、そこまでにしておきなよ」

アスカ「シンジ、先に戻ってて。私はこいつと少し話がある」

マナ「誰がこいつよ」

シンジ「…………」ポリポリ

アスカ「心配しないで、友達だってたまにぶつかりあうの」

マナ「…………」

シンジ「……わかった、僕は先に戻ってる」
737 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 05:18:40.47 ID:RjIOA7Qm0
アスカ「……さて、2人しかいないわよ」

マナ「だからなに?」

アスカ「猫被る必要ないってこと。それともまだ被る?」

マナ「最初から被ってなんかないわ。嫌味な言い方をされたら誰だってムッとする」

アスカ「私はあんたの言い方にムッとしてんのよ」

マナ「シンジくんはあなただけの物じゃないでしょ⁉︎」

アスカ「利用するつもりしか最初からないくせに」

マナ「そんなことない!」

アスカ「だったらあんたはシンジになにをしてあげるの?」

マナ「できることは、わからないけど、困ってたら助けようって思うよ! それでいいじゃない!」

アスカ「……ふぅ。だめね。やっぱりもう一発ぶたせて」ブンッ

マナ「黙ってさせるわけないよ」パシッ

アスカ「…………」

マナ「クスッ。シンジくんを誘惑しちゃおっかな」

アスカ「なんですって?」

マナ「私、できることないから身体で慰めようかと思う。それもお礼になるし」

アスカ「…………」

マナ「どうせこのまま戻ってもレイプされるかもしれないんだもん。それなら知ってる相手の方がいいな。シンジくんなら優しくしてくれそうだし」

アスカ「あんたの、その全部打算なところが……っ!」

マナ「やっぱり嫉妬なんでしょ?」
738 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 05:34:55.00 ID:RjIOA7Qm0
アスカ「……もういい」

マナ「逃げるの?」

アスカ「これ以上喋ったらあんたの腐った性根がうつりそうで嫌なだけ」

マナ「なんでそうなるの!」

アスカ「あんた、女すぎるのよ。男がなにを求めてるかわかってる。だから演じことができる。その点は私達似た者同士ね」

マナ「…………」

アスカ「でも、私はあんたみたいに計算で身体を許したりしない。プライドも高い。あんたと同じ状況になってもなりふりかまわず頼ったりしないわ」

マナ「私が弱いって言いたいのね」

アスカ「とてもしたたかだわ。計算できる程度には頭がいいし、ルックスもかわいい」

マナ「…………」

アスカ「誘惑したいならすれば? でも、シンジが乗るとは限らないわよ」

マナ「ふふっ。強がり。本当は不安でいっぱいなくせに。シンジくんのこと信じてる自分が好きなんでしょ」

アスカ「…………」

マナ「私のこと分析していい気にならないでよ! 私だってアスカのこと見てきたんだから!」

アスカ「鏡を見てるみたいで嫌な気分だわ」

マナ「奇遇ね。私も、アスカのことムカつく!」

アスカ「やる気?」

マナ「やったらやり返すってさっき言ったよ」
739 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 05:43:40.49 ID:RjIOA7Qm0
アスカ「ふん、勝手にすれば」

マナ「勝手にするわよ。シンジくんのこと誘惑してやる」

アスカ「あっそ。シンジのこと傷つけたら許さないわよ」

マナ「喜ぶんじゃないかな? ねえ、アスカ。シンジくんになんで誘惑するか聞かないの?」

アスカ「アホらし。私、先に戻るわよ」

マナ「余裕ぶらないでよ! クラスの男子達に輪姦させるぐらいまた言えば⁉︎」

アスカ「ファーストが私にかわいそうって言った意味が少しわかる。かわいそうね、あんたって」

マナ「……っ!」
740 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 05:59:47.08 ID:RjIOA7Qm0
- 第壱中学校 教室 -

ヒカリ「アスカ、マナ、黙っちゃってどうしたの?」

アスカ「なんでもないわよ」

マナ「うん! ちょっと考えごとしてただけ」

ヒカリ「そう? 様子おかしいから喧嘩でもしたのかと」

トウジ「こいつと喧嘩したら、マナはか弱いからすぐやられるやろ」

マナ「そんなことないよぉー」

アスカ「…………」

トウジ「いいや! 誰が見ても明らかや! なぁ、ケンスケ」

ケンスケ「まぁそうだろうなー」

マナ「そ、そうかな」

ケンスケ「マナのブロマイドの売り上げは今やアスカをおさえてナンバー2だぞ!」

マナ「えぇ⁉︎ 私の写真なんか売ってるの?」

ケンスケ「小遣い稼ぎにさ。いいだろ? ちょっとぐらい」

マナ「いいけど、今度なにかおごってよね」

ケンスケ「へいへい」

ヒカリ「んもう、鈴原達は本当にバカなんだから」

トウジ「売れるもの売ってなにが悪い!」

マナ「……あはは。でもアスカに勝つなんて思わなかったな」チラッ

アスカ「…………」

トウジ「あ? そらー、ルックスはどっこいやけど、中身がな。マナは男子ウケめっちゃいいし」

マナ「ルックス? そうかな?」

トウジ「ま、まぁ、その、ワシも悪くないと……」もごもご

マナ「嬉しいな! 鈴原くんにそう言ってもらえると!」

トウジ「お、おう」
741 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 06:16:18.49 ID:RjIOA7Qm0
マナ「シンジくんも、その、私、悪くないと思う?」

シンジ「誰が見てもかわいいと思うよ」

マナ「わぁっ! 嬉しいなー!」ギュウ

ヒカリ「ちょ! ちょっとマナ!」ガタッ

マナ「どうしたの?」

ヒカリ「碇くんには、アスカが。それにひっつきすぎだよ」

アスカ「ヒカリ、いいのよ」

ヒカリ「え? アスカ?」

アスカ「そいつはね、やり返してるつもりなだけ。相手にする必要なんかないわ」

ヒカリ「……やっぱり喧嘩してるんじゃない。でも、碇くんにくっついてていの?」

アスカ「別にぃ」

ヒカリ「私、アスカだから我慢してるのに」ボソ

アスカ「ん?」

ヒカリ「はぁ……。なんでもない」

マナ「ねぇねぇ、シンジくん。これ食べて。あ、食べさせてあげよっか?」

シンジ「いや、悪いからいいよ」

ヒカリ「…………」

マナ「えー、遠慮しなくていいよ。あ、ハシ、私の使う?」

ヒカリ「……ちょっと! マナ!」バンッ

マナ「ひ、ヒカリ?」

ヒカリ「あんまりすぎると迷惑になるよ!」

マナ「……ごめん」シュン

シンジ「(こんなことしてる場合じゃないと思うんだけどなぁ)」
742 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 06:43:39.32 ID:RjIOA7Qm0
- 女子トイレ -

ヒカリ「アスカ、なにがあったの?」

アスカ「ちょっと言い合いしただけ。そのやり返しにシンジにベタついてる感じ」

ヒカリ「碇くん巻き込まれてるだけじゃない」

アスカ「……そうね。でも、それが女のやり方なのよ」

ヒカリ「2人だけで、話つかなかったの?」

アスカ「もう少し時間がたてば、折り合いがつけられると思うわよ」

ヒカリ「…………」

アスカ「それに、ちょっと事情があって、これからシンジにあんまり話しかけられなくなるし」

ヒカリ「え? ど、どういうこと?」

アスカ「ヒカリにも言えないんだ、ごめん」

ヒカリ「なんだか、私、仲間はずれにされてる気がする……」

アスカ「あ、え? そ、そんなつもりは全然ないわよ!」
743 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 07:13:54.21 ID:RjIOA7Qm0
- 第壱中学校 授業中 音楽室 -

先生「今日は弦楽器の音についてがテーマです。そこの君。弦楽器というとなにを思い浮かべる」

男子生徒「ギターです」

先生「じゃあそっちの君は」

女子生徒「私はバイオリンです」

先生「2人とも正解だ。他にもピアノなども弦楽器の一種になる。これらの楽器特有の音は、弦の張り方や出し方、箱になるものの空洞によって決まる。この中で弦楽器を弾ける者はいるかな?」


シーーーン


先生「吹奏楽部員は? いないかね?」

シンジ「あの、少しなら」スッ



ザワザワ


トウジ「おっ?」

ケンスケ「え? 弾けるのか?」

ヒカリ「アスカ、碇くん。なにかできるの?」

アスカ「わ、私も知らない。はじめて聞いた」



シンジ「チェロです」

先生「ふむ。たしか、裏にあったな。チューニングはできるかね? メトロノームぐらいしかないが」

シンジ「できますよ」

先生「それでは碇くん、前に来なさい。あとそこの君、裏の準備室にチェロがあるから持ってきたまえ。弓も忘れるなよ」

男子生徒「え? 弓ってなんですか?」

先生「バカモン。そんなことも知らんのか。弾くための細長い棒状のものだ」


アハハハ


男子生徒「だったら最初からそう言ってくれりゃいいじゃないすか」ブツブツ
744 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 07:28:15.38 ID:RjIOA7Qm0
先生「松脂はここにある。これを使いたまえ」

シンジ「ありがとうございます」



トウジ「ほんまに弾けるんかいな?」

ケンスケ「さぁ? 先生も前にでて弾かせるとか鬼畜だよなぁ。これで下手だったら笑い者だぞ」



先生「練習曲はなにをしていた?」

シンジ「エチュードです。それからベートヴェンのソナタやバッハの無伴奏にはいりました」

先生「ふむ。そこそこできそうだな、楽譜読みで弾いてみたまえ」

シンジ「はい」


カチャ カチャ


シーーーン


ヒカリ「ど、どんな感じになるのかな」

アスカ「シッ。ヒカリ、黙って」



シンジ「…………」スッ


「無伴奏チェロ組曲」第1番ト長調、BWV.1007. 第1楽章プレリュード
(Suiten fur Violoncello solo Nr.1 G-dur, BWV.1007 1.Vorspier)
745 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 07:37:52.26 ID:RjIOA7Qm0
―――
――



パチパチパチパチッ


トウジ「やるやんけ! めっちゃうまいな!」

ケンスケ「へぇ」

マナ「わぁ……凄かったね」

ヒカリ「ほんと、凄いね、碇くん、こんなこともできたんだ」

アスカ「うん……まぁまぁね」

ヒカリ「惚れ直した?」

アスカ「ちがっ! べ、別に私は!」

ヒカリ「今さら照れなくてもいいのに」

アスカ「はぁ……はいはい」


先生「はいはい、静かに。碇くん、深みがあり、いい音色でした。席に戻ってよろしい」

シンジ「はい」

先生「いいですか、チェロというものは――」
746 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 07:52:42.72 ID:RjIOA7Qm0
- 放課後 教室 -

女子生徒A「あの、碇くん、音楽の授業の時、かっこよかった」

女子生徒B「うんうん! それでさ、よかったらなんだけど――」

ケンスケ「ちょぉっとまった! マネージャーを通してもらおうか!」

女子生徒B「相田? なんでシャシャリでてくんの?」

ケンスケ「そりゃ親友だからさ!」

トウジ「せや! ワシたちを通してもらわんとのぉ」

女子生徒A「きもーい」

シンジ「僕は先に帰るよ」

女子生徒B「あ、あのっ、碇くんっ」

ヒカリ「ちょっと、迷惑になるよ」

女子生徒A「委員長? いーじゃん別に。減るもんじゃないしさぁ」


アスカ「なにやってんの……?」


女子生徒A&B「げっ」

アスカ「あんた達、ヒカリいじめてんじゃないでしょうね」

女子生徒A「そ、そんなことしてないよ」

女子生徒B「い、碇くん。またねー」ソソクサー

トウジ「アスカの評判にビビっとるなあいつら」

アスカ「私の評判?」

トウジ「この前お前、綾波押し倒して殴ったり男3人がかりじゃないと止められんかったりしたやろ」

ケンスケ「あれ、学年中にひろがっててさぁ」

アスカ「あぁ、そんなこと」

トウジ「それにしても女っちゅうのはほんま現金やのー」

ケンスケ「まぁ、今回は仕方ないんじゃないか。チェロ弾けるなんてなかなかいないだろうしさぁ」
747 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 08:12:46.97 ID:RjIOA7Qm0
- 放課後 下駄箱 -

女子生徒C「あの、碇くん」

女子生徒D「あのさ、よかったらなんだけど、これから暇?」

シンジ「ええと」



トウジ「――あれ? あそこに見えるのは……なんや? シンジまた捕まっとるで」

マナ「うわぁ……なんか一気に爆発してきたね」

ヒカリ「……かっこよかったもん。弾いてる姿が不自然じゃなかったし王子様みたいだった」

アスカ「…………」

マナ「アスカ、不安でしょ?」

アスカ「あんたがそう感じてほしいんでしょ」

マナ「ふぅん。あの女子生徒Dって男子がすぐヤレるって話てたの聞いたことあるよ」

ヒカリ「やだ……そんな話してるの? 私たちまだ中学生なのに」

マナ「最近は中学生でもあるんだよー。なんかね、キス魔らしいよ、あの子」

アスカ「へー」

マナ「シンジくん、意外とそういうとこ隙だらけ――」


ガンッ!


アスカ「あんたね、私への当てつけにしても、シンジに助けてもらえるって忘れてない?」

マナ「…………」

アスカ「シンジに感謝してるんだったら、やることあるでしょ」

マナ「……そうだね、ごめん」

トウジ「おー、こわ。マナ、気にすることないで」

マナ「今のは、シンジくんに対して私が悪いの」

トウジ「シンジに?」

マナ「うん、ちょっとごめん」タタタッ
748 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 08:25:11.62 ID:RjIOA7Qm0
マナ「シンジくん、ごめんね。待った?」

シンジ「……マナ?」

女子生徒C「霧島?」

女子生徒D「えー、霧島と約束してたの?」

マナ「そうなんだ、ごめん。ちょっと相談事があって」

シンジ「……あぁ。そゆことか。いや、僕の方こそごめん」

女子生徒D「それじゃ、次は遊びいこうねぇ〜」

女子生徒C「またねぇ碇くん」

シンジ「うん、またね」

マナ「…………」

シンジ「マナ、ありが――」

マナ「シンジくん! 無防備すぎ!」

シンジ「えぇ?」

マナ「あのねぇ、世の中には男子だけが悪い人いるわけじゃないんだからね。女子にもいっぱいいるよ」

シンジ「はぁ……」

マナ「さっきの子、良くない噂いっぱいあるから、気をつけて」

シンジ「うん、まぁ、気をつけるよ。でも、マナは大丈夫なの?」

マナ「私は八方美人だから。うまく付き合ってるし、なんとか誤魔化すよ」
749 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/11(土) 19:14:02.99 ID:RjIOA7Qm0
ご報告

シンジくんスゲーの一辺倒になりすぎてしまい人間模様がワンパターンになっていると感じています
なので、少し時間を置きたいと思います
別なものをスレ立てして書いてみたいのでトリップつけることにしました
750 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/12(日) 01:01:04.67 ID:ThtKAN8m0
報告その2

新しく立てたスレで書いてたら気分的に少しリフレッシュできたので2つのスレを並行して進めてきます

要するにあっち書いたりこっち書いたりします

あと、やはりどうしてもシンジくんスゲーの流れからは逃れられないのでそっち方面で突っ走ります

では続けます
751 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/12(日) 11:19:13.47 ID:fJTux5oTo
まあどうしてもそうなっちゃうよね。
過度に流され展開だとQになるし。

ある意味ではいかにシンジを縛るかってのが腕の見せ所でもあるわけで。
期待してます
752 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/12(日) 19:17:38.50 ID:ThtKAN8m0
- ミサト宅 夜 -

ピンポーン

ミサト「はーい」

ガチャ

シンジ「こんばんは。ミサトさん」

ミサト「あら?シンジくん。アスカに会いに来たの?」

シンジ「いえ、そういうわけでもないんですけど、上がってもかまわないですか?」

ミサト「た・だ・い・ま。でしょ? 今はリツコの家に住んでるけと、ここはあなたの家よ」

シンジ「はい……。ただいま、ミサトさん」

ミサト「よろしい♪ それじゃどーぞ」

アスカ「ミサトぉ〜? 新聞の勧誘?」

ミサト「シンジくんよー」


ドタドタドタドタッ


アスカ「シンジっ⁉︎」

シンジ「こんばんは。アスカ」

アスカ「我慢できなくなって私に会いに来てくれたのね⁉︎」

シンジ「うん、まぁ、それもあるけど」ポリポリ

アスカ「嬉しい! 私も会いたかった……」

ミサト「さっきまで学校で一緒だったんでしょ」

アスカ「家の中で会えるのはまた違うのよ」

シンジ「アスカ、今日はミサトさんと話しにきたんだ」

アスカ「えぇ〜⁉︎ 私に会いに来たんじゃないのぉ⁉︎」

シンジ「もちろんアスカに会いにきたよ。ミサトさんに話があるのも本当だけど」
753 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/12(日) 19:35:03.68 ID:ThtKAN8m0
- ミサト宅 リビング -

ミサト「それで、シンちゃん。話って?」

シンジ「マナのことなんですけど、現状確認しておきたいんです」

アスカ「あぁ、そのことだったの」

ミサト「霧島、マナちゃん? どうしたの? 突然」

シンジ「マナから聞いたんですけど、保護を解除されるかもしれないって」

ミサト「そんな話は初めて聞いたわね……」

アスカ「そうなの?」

ミサト「えぇ。人事からはそういった決定は降りていないはずだけど」

アスカ「それなら簡単ね。ミサトが知らされてないか、マナの勘違いか。このどちらかよ」

ミサト「そうね……。それじゃ、シンちゃんとしては保護が解除されると仮定してそのお話なのかしら?」

シンジ「はい、保護が解除されるなら、野に放たれたウサギと同じですから。いつ襲われるか」

ミサト「……わかったわ。私も人事に確認してみる」

シンジ「あまり時間的猶予があるわけではないので、急かすようで悪いんですが」

ミサト「いいわ。マナちゃんも不安だろうし、ちょっと待ってて」スタスタ


プルルルルッ


ミサト「葛城です……日向くん、ちょっと確認してもらいたいことがあるんだけど」
754 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/12(日) 20:06:05.87 ID:ThtKAN8m0
- 1時間後 リビング -

ミサト「……えぇ……間違いないのね……わかったわ……ありがとう」


ガチャ


アスカ「シンジ、この唐翌揚げどう?」

シンジ「おいしいよ。どんどん料理が上手になってくね」

アスカ「まぁね! どんどん食べてっ!」

ミサト「う〜ん」

シンジ「ミサトさん、もう今の電話」

ミサト「えぇ。日向くんからだったわ。急ぎで調べてくれたみたい」

シンジ「それで……?」

ミサト「結果だけを先に言うと、保護解除の動きはたしかにある」

アスカ「…………」もぐもぐ

ミサト「ただ、決定的というわけでもないんだけど」

シンジ「なにか問題が?」

ミサト「えぇ。彼女の持ちこんだ情報に誤りがあったみたい。それで、今後の取り扱いについて様々な意見がでている」

アスカ「ミサトが知らなかったわけね」

ミサト「そうね。まず1つ目はネルフとの関係を断つ。2つ目は戦自との交渉に使う。3つ目はこのままネルフで保護して使う」

シンジ「…………」

ミサト「割合的には4:4:2と言ったところかしら。単純にネルフとの関係をなかったことにするか、戦自との交渉に使うか、この2つで意見が割れてるみたい」

シンジ「価値がないと判断されたわけですか」

ミサト「一般企業でいうところの事実上の戦力外通知ね。つまり、クビ。ネルフとしても自分達で調べた方が都合がいい」

シンジ「なんとかならないですか?」

ミサト「普通の人なら、なんとかすることはできる。だけど、マナちゃんは普通とは違う。情報屋という立場でしょ」

シンジ「…………」

ミサト「ネルフが骨までしゃぶる為に、マナちゃんを戦自に引き渡すというのも納得できる面もあるわ。それで得られるものがあるから」

シンジ「マナを引き渡した場合、ネルフはなにを得るんです」

ミサト「交渉が進む仮定で駆け引きはあるからまだわからないけど、おそらく、ロボットに関することか、それとも使徒が来た時に、これまで以上に戦自が協力してくれるか、どの可能性を考えても、ネルフにとって悪い話ではないわ」





755 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/12(日) 20:20:32.87 ID:ThtKAN8m0
シンジ「流れを変える方法はありますか?」

ミサト「厳しいわね……。マナちゃんが新しい情報を提示したとしても、人事が交渉のテーブルにつくとは限らない」

シンジ「テーブルにつかせるには?」

ミサト「うぅん。私よりもっと上の立場の人間が必要になる。人事の決定に口を挟めるような。それこそ、碇司令や冬月副司令クラスのね」

シンジ「…………」

ミサト「シンジくんは、マナちゃんを助けたいのね」

アスカ「じゃなかったらこんな話しないでしょ」

ミサト「大人の世界は、時には非情よ。感情だけではない、損得勘定で物事が判断されることもある」

シンジ「わかってます。組織ってそういうものでしょうから」

ミサト「どうするの?」

シンジ「待つだけでは、もったいないですから。父さんに話してみます」

アスカ「し、シンジ⁉︎」ガタッ

ミサト「碇司令が会ってくれるとは限らないわよ?」

シンジ「駄目もとですよ。できることだけやるだけです」

アスカ「……みわかんない」

シンジ「アスカ?」

アスカ「なんでそこまでするの? たしかにかわいそうだけど、あいつがもっと情報を精査してネルフに提示してればこんなことにならなかった」

ミサト「…………」

アスカ「自業自得ってやつよ。あいつからシンジが得られるものなんて何にもないのに」

ミサト「アスカの言うことももっともだわ。シンジくん、あなたが父親に頭を下げるのは生半可ではないでしょう?」

シンジ「いえ、そんな大袈裟な。アスカも」

アスカ「理由を説明して」

シンジ「……マナはきっと助けたいだけなんだよ。友達を」

アスカ「…………」

シンジ「ネルフに亡命みたいな形で逃げこんだのだって友達を助けたい一心だよね」

ミサト「…………」

シンジ「悪い子じゃないと思うんだ。ただ、少し、友達のことになると必死になりすぎてるだけで」
756 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/12(日) 20:30:01.09 ID:ThtKAN8m0
アスカ「あいつは、私たちよりもテストパイロットの友達を選んでるのよ」

シンジ「……そうだね」

アスカ「あいつにとって、シンジも私たちも、友達なんかじゃないわ。本当の友達が戻ってくるまでのただの繋ぎ」

シンジ「わかってる」

アスカ「あいつの中でテストパイロットを助けるまでという線引きがあるから、私たちに本当の意味で友達になりきれないのよ」

ミサト「…………」

アスカ「あいつ、たまに私たちのやりとりを見て寂しそうな顔をするもの。自分でもわかってるんだわ。馴染みきれてないってことに」

シンジ「…………」

アスカ「少し仲良くなったけど、上っ面だけ。だから、いつまでたってもあいつは、転校生の霧島マナなのよ。クラスメイトじゃない」

ミサト「それでも、シンちゃんはいいの?」

シンジ「はい、それでも僕は助けたいと思います」

アスカ「シンジッ!」バンッ

シンジ「アスカ。全部をわかってくれとは言わない。僕たちは突き詰めると他人だから」

アスカ「…………」

シンジ「アスカが僕のことを考えてくれてるって感じる。ありがとう。だけど、守れるなら、守りたいんだ」

アスカ「どうして?」

シンジ「僕は友達と思ってるから。マナがそうじゃなくてもいい」

アスカ「……あんた、本当にバカね」
757 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/12(日) 20:38:48.79 ID:ThtKAN8m0
アスカ「あいつは、シンジに感謝しても、口先だけなのよ。あんたもわかってるんでしょ」

シンジ「いいんだ」

アスカ「はっきり言って、いくらシンジでも理解できない」

ミサト「アスカ……」

シンジ「アスカにはアスカの考えがあるのもわかる」

アスカ「私は! あんたがそこまでやる必要ないって言ってるの!」

シンジ「なにもなにがなんでもって言ってるわけじゃない。できることをやるだけ」

アスカ「それ、本当?」ジトー

シンジ「うん。本当だよ。無理だったら諦める。アスカだったら諦めないけどね」

アスカ「あ……そ、そんなんで誤魔化されると……っ!」

シンジ「アスカ、部屋に行かない?」

ミサト「あらあら」

アスカ「え、えぇ?」

シンジ「少し話たいんだ。だめかな」

アスカ「い、いいけど……」

シンジ「ミサトさん、音楽でも聞いておいてください」

ミサト「……はいはい。シンジくん、女の扱いばかりうまくなってもどっかのバカみたいになるわよ」
758 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/12(日) 20:58:28.43 ID:ThtKAN8m0
- リツコ宅 リビング -

シンジ「……ただいま」

リツコ「あら、シンジくん。今日は遅かったのね」

シンジ「はい、用事があってミサトさんの所に寄ってました」

リツコ「ミサトの? ……あまりアスカと馴れ馴れしいところを見られてはダメよ。例えミサトでもね。そうしないと誤魔化しきれなくなる。人の口に戸は立てられないもの」

シンジ「すみません」

リツコ「アスカに会いに行ったの?」

シンジ「いえ、リツコさんは霧島マナっ子をご存知ですか?」

リツコ「あぁ、戦自の。内部告発をした子よね。資料には目を通してある」

シンジ「その子がネルフの保護下から外されそうで、ミサトさんに相談しに行ってたんです」

リツコ「ふぅん。なにをやらかしたの?」

シンジ「情報の間違いですね。そんな子には思えないんですけど」

リツコ「ありきたりな話ね。情報というものは生き物だから、状況によって変わることもある」

シンジ「なるほど……」

リツコ「例え現時点で間違っていない情報を渡していたとしても、後で変わる可能性もある。しかし、情報をソースとして扱う側には間違った情報はいらないもの」

シンジ「ふぅん。そこで、僕は彼女を助けたいんですが」

リツコ「保護下をはずれる理由と他の話があれば詳しく話してごらんなさい」
759 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/12(日) 21:07:54.50 ID:ThtKAN8m0
シンジ「――というわけなんですが」

リツコ「人事の動きとしては正しいわね。個人なんか考える必要ないもの」

シンジ「やっぱり、リツコさんもそう思いますか」

リツコ「えぇ。ミサトも同意見でしょ。腐っても作戦司令ですからね」

シンジ「腐ってはいないと思いますけど、そこで父さんか冬月副司令に面談したいんです」

リツコ「ふん……はっきりと言ってもかまわないかしら?」

シンジ「はい」

リツコ「話をしても無駄よ」

シンジ「…………」

リツコ「シンジくんになにか好材料があるわけでもない、ただお願いするだけでの状況では碇司令や副司令は会ってさえくれないでしょう」

シンジ「そう、ですよね」

リツコ「霧島マナって子が人事との交渉のテーブルにつくのが難しいのと同様に、シンジくんが碇司令達との交渉のテーブルにつくのもまた、難しい」

シンジ「なんとか、なりませんか?」

リツコ「私も表向きはシンジくんに肩入れしているというのを隠さなければならないのよ。マナって子のために私を危険に晒す気?」

シンジ「…………」

リツコ「私はシンジくんのためなら危険をおかしてもかまわないけれど、誰かれかまわずでは嫌よ? せめて私のためという名目がほしい。私だって女ですもの」

シンジ「たしかに、マナのために、リツコさんを危険には晒せません」

リツコ「マナって子を捨てられる?」

シンジ「……少し、考えてみます」
760 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/12(日) 21:44:30.85 ID:ThtKAN8m0
- リツコ宅 マンション 屋上 -

シンジ「……ふぅ」

マリ「なんか用?」

シンジ「あぁ、やっぱり来てくれた」

マリ「別にワンコくんの為に来たわけじゃないけど」

シンジ「それでいいんだ。少し話ができるなら」

マリ「なに?」

シンジ「この間は、ごめん」

マリ「ワンコくんが謝る相手がいるとすれば私じゃない。もっとも赤木リツコが事実を知ったら謝っても許さないだろうけど」

シンジ「うん、そうだね」

マリ「で?」

シンジ「リツコさんは、このままにする。父さんと添い遂げても、どうせロクなことにはならない」

マリ「……っ! だからいいってわけ⁉︎」

シンジ「そうじゃないよ。僕はリツコさんにしたことを死ぬまで誰にも言わない。やったことの罪悪感を抱えて生きていく」

マリ「人としての意思は? 赤木リツコに選ばせないの?」

シンジ「それは僕のエゴだ。リツコさんには知らないままでいてほしいだけ。どんなに綺麗事を並べても意味がないから」

マリ「…………」

シンジ「僕は、僕のエゴでひとりの人生を僕の思いのままに歪めてしまったんだ」

マリ「あっそ」

シンジ「マナについて話たいことがある」

マリ「その目を使えばいいんじゃん。ゲンドウくんにも使えば?」

シンジ「マナはともかく、父さんに使えば1人では済まない。冬月副司令をはじめとして次から次に使わなけれいけない状況に追い込まれる」

マリ「…………」

シンジ「そうなってもいい。僕なんかどうなってもいいんだから。でも、完全に融合してしまえばなにもかも意味がなくなる」

マリ「ふぅ、まぁそうだね」

シンジ「僕の中にある3つの魂は、本来なら1つの肉体では共存できない。魂に肉体が耐えられないから」

マリ「…………」

シンジ「それが融合してしまえばどうなってしまうのか、僕も、わかるよ」

マリ「ま、気がつけたってことね」

シンジ「うん、今後はできれば協力したい」

マリ「それは、私たちの計画に?」

シンジ「そうじゃない。僕はやっぱり、みんなを守りたい。だから、道が違えるまでの間は共同戦線をとらない?」


761 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/12(日) 21:56:52.41 ID:ThtKAN8m0
マリ「私たちにメリットないじゃん」

シンジ「マリさんや加持さんは僕が目的なんでしょ。アスカもはいってるみたいだけど」

マリ「うーん」

シンジ「共同戦線の間は僕も全面的に協力するよ。といってもこのまま使徒を倒し続けることが、協力になるんだろうけど」

マリ「あぁ、もう! わかったよ! それで? 霧島のなんの話?」

シンジ「あの子も僕も交渉のテーブルにつくことは難しい」

マリ「ま、反則技を使えばできないこともないけどにゃー」

シンジ「僕が人でいられなくなるようなマネはしたくない。だから、別の方法を考えたんだ」

マリ「なに?」

シンジ「使徒とロボットをぶつけてほしい」

マリ「ワンコくん、正気かにゃ? 次の使徒はディラックの海だよ」

シンジ「うん、わかってるよ」

マリ「戦自のロボットなんて一瞬で詰むよ? もちろんパイロットも」

シンジ「うん」

マリ「どうするの?」

シンジ「ロボットの無力化を知らしめたいんだ。使徒にはエヴァしかいないってことを」

マリ「……ワンコくん、その情報は古いよ。ロボットは対使徒じゃない。どういうわけか、対エヴァ用兵器になってる」

シンジ「えぇ?」

マリ「前に話たルートの話覚えてる?」

シンジ「あぁ、AとがBとか?」

マリ「そう、私たちが知るのをAだとすれば、今はBになってる。ロボットもそういう感じ。結末は変わらないけど」

シンジ「うぅん」

マリ「ロボットの無力化を知らしめるならエヴァでやっちゃえば?」

シンジ「それだと、改良をくわえて再チャレンジって話にならないかな」

マリ「予算がある内はそうなるね。だけど結果がでなければ予算を取りずらくはなるよ」
762 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/12(日) 22:09:46.70 ID:ThtKAN8m0
シンジ「そもそも、なんで対エヴァなんだろう」

マリ「メンツだよ。戦自は顔を潰されるのを1番嫌うから」

シンジ「…………」

マリ「え? もう万策尽きたの?」

シンジ「いや、思いついたことがあるんだけど」

マリ「おっ? なに?」

シンジ「やっぱり、使徒にはぶつけよう」

マリ「えぇ? なんで?」

シンジ「ディラックの海に飲みこませる直前に僕が助けて戦自のメンツを潰すんだ」

マリ「……逆撫でしちゃうんじゃないかにゃ?」

シンジ「まだ、終わらないよ。ディラックは海は、とてつもない物だから、それを僕、エヴァが撃破して戦自にネルフには敵わないと思わせるんだ」

マリ「エヴァに対する恐怖心を植え付けるの?」

シンジ「うん、どうかな」

マリ「ふーん…………」

シンジ「もしかしたら、結果が変わるかもしれない」

マリ「え?」

シンジ「さっきの話、AでもBでも結果は1つなんだよね」

マリ「まぁ……」

シンジ「でも、全てがうまくいけば、ロボットはいなくなり、テストパイロットとマナは少年兵としての価値がなくなるかもしれない」

マリ「それは甘いよ。駒はいくらあってもいい。捨て駒にできるからにゃ」

シンジ「でも、そうならない未来を作ることができるかもしれない。ほんのわずかな可能性でも、生みだすきっかけになる」

マリ「…………」

シンジ「どう?」

マリ「そうだねぇ〜。ま、考えておくよ。期待はしないでね」
763 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/12(日) 22:16:03.72 ID:ThtKAN8m0
- リツコ宅 シンジ部屋 -

シンジ「(マナに戦自が執着してるのは、少年兵としてよりも情報を持っているからなのかな)」

シンジ「(でも、マナはもう、ネルフに情報を全て渡してるはず。だとすれば、情報源としてマナの存在を戦自が危険視しているわけではない)」

シンジ「(……と、すれば、メンツを潰されたからなのかな。でも、メンツを潰されたからマナに復讐したい、そんな理由で戦自がネルフとの交渉のテーブルにつくだろうか……)」
764 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/12(日) 22:35:18.42 ID:ThtKAN8m0
- 第三新東京都市 某所 -

マリ「やっほー」

加持「お前から会いにくるなんてめずらしいな」

マリ「うん、まぁ、 次の使徒なんだけど、ワンコくんからロボットぶつけないかって提案があってさ」

加持「シンジくんから? ……おおかた、霧島マナ絡みか」

マリ「加持くんがあの子の家に行ったんしょ?」

加持「あぁ、ネルフ関係者と言って偽造の身分証を提示したらあっさり信じたよ。ま、渡してる情報は本物だから信じていいんだがね」

マリ「どーでもいいけど、それ絡みなのは正解」

加持「なぜだ?」

マリ「戦自のメンツを潰すこと、エヴァに恐怖心を与えたいみたい」

加持「ふむ……」

マリ「どうしよっか」

加持「しかし、戦自がロボットを作りはじめるきっかけとなったのは日本政府による意向もあるとちゃんと伝えたのか?」

マリ「あ、忘れちった」

加持「おいおい、まぁ、予算が降りてるのかどこからと考えれば辿り着けるかもしれないが」

マリ「政府がネルフのこと嫌いなんだよね」

加持「利権争いさ。醜いね。ネルフは政府にとって目の上のたんこぶだからな」

マリ「ま、私たちが協力するなら、ワンコくんも協力するって言ってたよ」

加持「ようやくかっ⁉︎」ガタッ

マリ「あくまでも一時的にってだけ。使徒殲滅ぐらいしかないけど」

加持「……ふぅ。ぬかよろこびをさせるなよ」
765 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/12(日) 22:51:56.57 ID:ThtKAN8m0
- 翌日 第三新東京都市立第壱中学校 昼休み 屋上 -

シンジ「マナ、聞きたいことがあるんだ」

マナ「……?」

シンジ「どうして、マナに戦自は執着するの?」

マナ「どういうこと?」

シンジ「考えてもどうしてもわからなかったんだ。裏切った相手を取り戻したいって思う理由が。ネルフに有利につけられてもなぜマナを取り戻したいと戦自は思うの?」

マナ「あぁ……」

シンジ「なにか、心当たりあるんだね?」

マナ「シンジくんは慣例って知ってる?」

シンジ「当たり前に行われてること?」

マナ「うん、ずっと続くしきたりみたいなこと。戦自はね、少し変わってるんだ」

シンジ「……?」

マナ「脱走兵に対して地の果てまで追っかけてくるの。ずっと昔から。敵前逃亡や裏切りは、死ぬよりも罪が重い」

シンジ「だから、マナを取り戻すためなら、ネルフに有利になってもいいの?」

マナ「きっと、交渉を重ねて行く上で落とし所があると思う。私なんか個人だもの。ネルフもきっと私に対した価値がないことわかってる」

シンジ「…………」

マナ「でも、なにも引き換えにできなければ、ネルフの保護下から外れた瞬間、私は戦自に拉致される。そうなれば、ネルフにとって得られるものはなにもない」

シンジ「最初から、お互いに限度が見えてる交渉だってこと?」

マナ「うん。戦自が提示する条件もさして痛手にならず、ネルフが提示する条件もあったらいいなぐらいのもの。予定調和なのよ。それが、理由なんだと思う」

シンジ「(じゃあエヴァに対する恐怖心を植えつけてもロボットを無力化しても、マナは……裏切り者は許されることはない……)」

マナ「私、どうなりそう?」

シンジ「まだわからない。今は色々と手を尽くしてる」
766 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/12(日) 23:12:42.45 ID:ThtKAN8m0
マナ「ありがとう……」

シンジ「いいよ」

マナ「ムサシやケイタを助ける前に、私が、ダメになりそうだね……」

シンジ「そうはならない。マナは友達に会って普通に生活したい。それだけじゃないか」

マナ「うん……」

シンジ「なんとか、してみせるよ」

マナ「ありがとう。本当に、ごめんなさい」

シンジ「(やっぱり、交渉のテーブルにつけるようにするのは必要ってことか……)」

シンジ「ん……?」

マナ「……?」

シンジ「マナ、ロボットの予算てどこから降りてるの?」

マナ「予算? ええと国防費から特別会計されてるはずだよ」

シンジ「国防費の枠の中でやりくりしてるわけじゃないんだ?」

マナ「うん、別に予算が組まれてる」

シンジ「どうしてかな? 国がロボットの製作を援助してるってこと?」

マナ「そうみたい、かなりの金額が動いてるみたいだよ」

シンジ「へえ……ロボットの計画が失敗すれば、それだけ動いてるなら、誰かが責任とらなきゃいけなくなるね」

マナ「……それは間違いないと思うけど。責任のなすりつけ合いがはじまると思うよ」

シンジ「なるほどね……」

マナ「……?」
767 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/12(日) 23:48:06.16 ID:ThtKAN8m0
- 教室 昼休み -

女子生徒F「あ、やっともどってきた。霧島、邪魔」

マナ「きゃっ」

女子生徒D「ねぇねぇ碇くん、たまには私たちと食べようよ」

シンジ「あぁ、うん、でも」

マナ「あの、私、ヒカリ達と食べるね」


タタタッ


トウジ「モテ期到来やな〜」

アスカ「…………」もぐもぐ

ケンスケ「アスカはいい気しないんじゃないか?」

アスカ「別に」

ヒカリ「……アスカと碇くん、なにかあったの?」

アスカ「ん?」

ヒカリ「なんか、アスカ、碇くんに冷たい」

マナ「……?」

アスカ「(シンジが洗脳されてるふりだから、とは言えないわよね。本当は昨日、エッチしちゃってるし。あ、ちゃんとサイン送ってくれてる。もう、シンジったら……)」

ヒカリ「喧嘩でもした?」

アスカ「あいつは、ファーストがいるでしょ」

ヒカリ「え? 綾波さん」

アスカ「…………」もぐもぐ

ケンスケ「おぉ、シンジって綾波を選んだのか?」

ヒカリ&マナ「えぇ⁉︎」

ケンスケ「今のってそういうことじゃ?」

アスカ「そうとは言ってないわよ。だけど、なんとなくそう思っただけ」

ヒカリ「あ、アスカ……」
768 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 00:24:51.99 ID:eF8qQWge0
- 授業中 -

シンジ「(まいったな……マナにそれほど価値がないのはネルフも戦自も折り込み済みなのか)」

シンジ「(だから、ネルフ内でもこのまま保護解除するか、取り引きするかで意見が割れてるんだ。取り引きしたところでメリットは微々たるものだから)」

シンジ「(ううん……)」

トウジ「おい、シンジ」コショコショ

シンジ「ん?」

トウジ「アスカとなんかあったんか?」

シンジ「はぁ……トウジ。悪いけど今はそれどころじゃないんだ」

トウジ「……?」

シンジ「マナのこと考えなくちゃいけないから」

トウジ「マナ⁉︎ おまっ! マナやったんか?」

シンジ「……?」

ケンスケ「ダークホースのご登場か……」
769 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 00:46:01.24 ID:eF8qQWge0
- 放課後 教室 -

ケンスケ「碇は?」

トウジ「シンジなら、もうネルフに行きよったで」

ケンスケ「ふーん、それにしても碇がマナをねぇ」

マナ「なんの話っ?」

トウジ&ケンスケ「わあっ⁉︎」

ヒカリ「また悪だくみしてるんでしょう?」

トウジ「そんなことするか!」

ケンスケ「あれ? アスカは?」

ヒカリ「ネルフに行ったよ。テストがあるんだって」

トウジ「……なぁ、霧島。シンジのこと、どう思ってる?」

マナ「シンジくん? え、なに、どして?」

ケンスケ「実は! シンジの頭の中はマナのことで一杯なんだよ!」

マナ「…………あぁ」

ヒカリ「…………」

トウジ「あぁって! なにかシンジから言われたんか⁉︎」

マナ「たぶん、あのことだと思うよ」

ケンスケ「愛の告白か⁉︎」

マナ「あはは。ちが――」

ヒカリ「……そんなわけないじゃない」

トウジ「……?」

ヒカリ「マナに碇くんがそんなこと言うはずない」

マナ「むっ! そりゃないかもしれないけどー」

ヒカリ「わかってるならいいんだ、えへへ」

マナ「だけど! 絶対ないってことも言い切れないと思うけどなー」

ヒカリ「ううん、ないよ。だって、マナはずっと後だもの。アスカよりも私よりもずっと後」

マナ「……? 仲良くなったのが?」

ヒカリ「(好きだって気がつくのに決まってるじゃない! 私にだってわかるよ! 碇くんのこと好きでもなんでもないくせにっ!)……そうだね」

マナ「うーん……そうかもね」

ケンスケ「なんだぁ、碇の告白て話でもないのか」
770 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 20:45:03.99 ID:eF8qQWge0
- ネルフ本部 発令所 -

冬月「昨日キール議長から、計画遅延の文句が来たぞ。相当苛ついてたなぁ。仕舞いにはおまえの解任も仄めかしていたぞ」

ゲンドウ「エヴァ計画もダミープラグに着手している。ゼーレの老人は何が不満なのだ」

冬月「肝心の人類補完計画が遅れてる」

ゲンドウ「全ての計画はリンクしている。問題はない」

冬月「日本政府から支払いはどうなっていると矢の催促も止まらんよ」

ゲンドウ「充分に割り当てられてるはずだが」

冬月「ハゲタカどもはな、金の匂いのするところにはたかるものだ」

ゲンドウ「そういったことは冬月にまかせる」

冬月「また仕事が増えるのか」

ゲンドウ「…………」

冬月「そういえば、明日か。ユイくんの命日は」
771 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 20:57:58.65 ID:eF8qQWge0
- ネルフ本部 ラボ -

アスカ「あ〜ぁ、テストテストばっかりで肩がこるわね〜」

リツコ「平和を喜んだら?」

アスカ「退屈なのもつまんないじゃない。停滞は」

シンジ「…………」

リツコ「シンジくん? どうかした?」

シンジ「……いえ。少し考え事を」

リツコ「あまり考えすぎないようにね」

レイ「赤木博士、今日はもうテストは終わりですか?」

リツコ「あなた達3人のアンケートをとったら終わり。その為にここに呼んだのよ」

アスカ「アンケートぉ?」

リツコ「チェックシートに該当する項目にレ点をいれていってちょうだい」

アスカ「どれどれぇ……なんだ。なにかと思えば健康チェックシートじゃない」

リツコ「なんだと思ったの?」

アスカ「意外なの期待しただけ」

リツコ「遊びじゃないのよ。終わった子から帰っていいわ」

シンジ「…………」カキカキ

リツコ「シンジくん? 明日は碇司令と会うの?」

アスカ「…………」ピクッ

シンジ「え? 父さんと?」

リツコ「お母様の命日でしょう?」

シンジ「あ、そうか……ありがとうございます。リツコさん」

リツコ「いいえ、ただの確認よ」
772 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 21:06:33.93 ID:eF8qQWge0
- ミサト宅 夜 -

プルルルルッ プルルルルッ

アスカ「ミサトー? 電話ー」

ペンペン「クェー」

アスカ「あ、まだ帰ってないのね」

ガチャ

アスカ「ヘロー、じゃなかった。はい、もしもし」

ヒカリ『もしもし。洞木といいますが……』

アスカ「ヒカリ?」

ヒカリ『あ。……アスカ?』

アスカ「えぇ、そうよ」

ヒカリ『よかった。アスカに電話するの初めてだから少し緊張しちゃった』

アスカ「どうしたの?」

ヒカリ『あのね、明日ってアスカ暇してる?』

アスカ「明日? そうね、明日はなにもないけど」

ヒカリ『よ、よかった。お願いがあるんだけど』
773 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 21:13:10.21 ID:eF8qQWge0
アスカ「――えぇ〜〜⁉︎ ダブルデートぉ⁉︎」

ヒカリ『うん、コダマお姉ちゃんにどうしてもって頼まれちゃって』

アスカ「断ればいいじゃな〜い」

ヒカリ『それが、バイト先で良くしてもらってる人だからって……』

アスカ「これだから日本人は……」

ヒカリ『私とアスカと2人なんだけど』

アスカ「妹を売る姉ってのもどうなのよ」

ヒカリ『そんな、深刻な話じゃないよ。ちょっとお茶して帰るだけ。もちろんお金は男の子達持ち』

アスカ「はぁ……」

ヒカリ『アスカには、碇くんがいるのはわかってるけど、お願い』

アスカ「……わかった。ヒカリの頼みなら。お茶するだけよね」

ヒカリ『ありがとう! うん! そうだよ!』
774 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 21:24:56.00 ID:eF8qQWge0
- 夜 リツコ宅 レイ部屋 -

シュルシュル パサッ

レイ「…………」

シンジ『綾波。はいるよ』

レイ「……っ!」

ガラガラ

シンジ「ん? どうしたの? 手を隠して」

レイ「……見られたくないから」

シンジ「(そうか。アダムのことだな)」

レイ「少し、出ててもらえる」

シンジ「いや、そのことできたんだ」

レイ「……?」

シンジ「手、見せてみて」

レイ「……い、嫌」ギュ

シンジ「大丈夫だよ」スッ

レイ「あっ……」

シンジ「…………」ジー

レイ「あの、碇くん、気持ち悪くない?」

シンジ「そんな。綾波の手じゃないか」

レイ「あ、ありがとう」

シンジ「おまじないはうまくいったみたいだ」

レイ「……?」

シンジ「綾波は少し、気味がわるい模様だと思えばいいよ」

レイ「え……?」

シンジ「それじゃ、確認しにきただけだから」スッ

レイ「(碇くんの手が離れるのが、さみしい?)」

シンジ「おやすみ、綾波」

レイ「……おやすみなさい」
775 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 21:50:43.21 ID:eF8qQWge0
- 翌日 墓地 -

『IKARI・YUI 1977〜2004』

シンジ「…………」

ゲンドウ「三年ぶりか。2人でここに立つのは」

シンジ「父さん。来たんだね」

ゲンドウ「ああ。毎年きている」

シンジ「そう、来なかったのは僕だ」

ゲンドウ「…………」

シンジ「今日は少し、父さんと話がしたい」

ゲンドウ「なんだ」

シンジ「母さんのこと、覚えてないんだ。どんな人だったの?」

ゲンドウ「人は思い出を忘れることで生きている。だが、決して忘れてはならないこともある。ユイはそのことを教えてくれた」

シンジ「確認をするために来てるんだね」

ゲンドウ「そうだ。……シンジ。思い出は心の中にある。今は、それでいい」

シンジ「僕は母さんの思い出なんかない。だけど、今の学校で仲の良い友達ができたんだ。だから、思い出が大切だってことも、忘れちゃいけないことがあるのも、わかる気がする」

ゲンドウ「…………」

シンジ「……父さん。お願いがあるんだ」

ゲンドウ「…………」

ピリリリリッ ピッ

ゲンドウ「私だ……あぁ……わかった」

シンジ「…………」

ゲンドウ「シンジ、時間だ」

シンジ「わかったよ……わかった」


シンジ「(なにを期待しようとしてたんだ。僕は)」
776 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 22:03:22.16 ID:eF8qQWge0
- 第三新東京都市 繁華街 -

ヒカリ「今日はありがとね」

アスカ「まぁ、ちょっとお茶して帰るだけなんだし」

男A「お、きたきた」

男B「待ってたよーん」

ヒカリ「おはようございます」

男A「おはよ、そっちの子も」

アスカ「……おはよう」

男B「とりあえず自己紹介は後にして店はいろっか。ほら、あそこ。すぐ目の前にあるとこだよ」

ヒカリ「あ、近いんですね」

男A「まぁね。移動させるのも悪いから近場でセッティングしたんだ」

男B「それじゃはいろー」グイ

アスカ「……っ!」

ヒカリ「あの! 会ったばかりでいきなり手は!」

男B「あ、馴れ馴れしかった? ごめんごめん」パッ

ヒカリ「アスカ、大丈夫?」

アスカ「……平気。行きましょ。店はいるんでしょ」
777 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 22:11:02.00 ID:eF8qQWge0
- 1時間後 喫茶店 -

男B「――やっちゃってさぁ」

男A「ぎゃはは、それお前が悪いんじゃん!」

ヒカリ「あ、そ、そうなんですね」

アスカ「……はぁ」

男B「ちょっと俺ら、トイレ行ってくるわ」

男A「お。そうだな、ちょっと失礼♪」

ガタッ

ヒカリ「……ちょっと、疲れちゃったね」

アスカ「私、あいつらの笑い方嫌い。見てよ、ケーキ、食べ方も汚い」

ヒカリ「うん……。でも、もう少しだと思うから」

アスカ「…………」

ヒカリ「――あれ? 碇くん?」

アスカ「え、えぇ⁉︎」

ヒカリ「ほら、窓の外、歩いてるの……」

アスカ「し、シンジ⁉︎」ガタッ

タタタタッ

ヒカリ「えぇっ⁉︎ アスカ⁉︎ 待って!」

タタタタッ
778 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 22:16:26.11 ID:eF8qQWge0
- 喫茶店 外 -

アスカ「シンジッ!」

シンジ「……?」

アスカ「あんた、こんなとこでなにやってるの?」

シンジ「アスカじゃないか。僕は母さんの墓参りの帰りだよ」

ヒカリ「ちょ、ちょっとアスカ! ……はぁ……はぁ……」

シンジ「洞木さんも?」

ヒカリ「碇くん、こんにちは。あの、アスカ、戻らないと」

アスカ「……嫌」

ヒカリ「えぇ? もうちょっとだから……」

シンジ「どうしたの?」

ヒカリ「ええと、あのう……」

アスカ「……ヒカリと遊んでただけ」

ヒカリ「あ、アスカ……」

シンジ「だったら、僕のことは気にしなくていいよ」


男A「――なんで外にいるんだよ?」

男B「いないから焦っちゃったよ、俺ら」


シンジ「え?」


アスカ「ちっ……」

ヒカリ「あぁ……」
779 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 22:28:07.26 ID:eF8qQWge0
男A「どっか別のとこいく?」

男B「そいつは友達?」

シンジ「(あぁ、そういえばこんなこともあったようななかったような……)」

アスカ「もうおしまい! 私こっちと遊ぶから!」

ヒカリ「あ、あの、その……」

男A「えぇ? だってまだ1時間だぜ?」

男B「この後もどっか行こうよー」

シンジ「…………」

アスカ「しつこい! タイプじゃないのよ!」

男A「なんだと?」

アスカ「……」キッ

男B「うひゃひゃ、タイプじゃないとか言われてやんの」

アスカ「あんたもよ、このサル」

男B「……あぁん?」

ヒカリ「アスカ! ご、ごめんなさい、私たち、次の予定があるから……」

男A「いいじゃん、別にさ」グイ

ヒカリ「えっ、あのっ、やめて」

男B「そうそう、これからこれから」グイ

アスカ「……っ! 私になに触って」


シンジ「あの、そこまでにしといた方が」


男A&男B「……あぁん?」

アスカ&ヒカリ「…………」


シンジ「2人とも嫌がってますし」


男A「ぷっ、ぎゃははっ」

男B「あー、はいはい。良いとこ見せたいよなぁ〜」

シンジ「はぁ」

男A「わかった、わかった。ちょっとそこの路地裏行こうか」

シンジ「いいですよ」

男B「強がるねー、さっさと済ませようぜ」


スタスタ


ヒカリ「……アスカ!」

アスカ「……え?」

ヒカリ「なにボーっとしてるのよ! 碇くんが!」

アスカ「あっ、だって、シンジが入ってくるなんて思わなくて、ヒカリこそ、目が点になってたじゃない」

ヒカリ「男の人2人相手に声かけるなんて思わなかったんだもん!」

アスカ「追いかけるわよ!」

ヒカリ「うん! あ、警察大丈夫かな?」

アスカ「あんなの2人ぐらい私がいれば楽勝よ!」
780 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 22:38:08.10 ID:eF8qQWge0
- 第三新東京都市 繁華街 路地裏 -

アスカ「――シンジッ!」

ヒカリ「碇くん!」

男A「ちょっと待っててねー、すぐ終わるからさ」

アスカ「男2人でなんて卑怯とか思わないの⁉︎」

男B「別にー」

ヒカリ「……っ!」キッ

アスカ「ヒカリ、あんたの姉さんには悪いけど……」

ヒカリ「ううん、いいよ。アスカ、やっちゃって」

男A「なんだぁ?」

タタタタッ

アスカ「このっ!」ブンッ

男A「――ぐっ⁉︎」

男B「うぉ⁉︎ なんだこいつ⁉︎」

アスカ「シッ!」ゴンッ

男B「がはっ!」ドテン

アスカ「……あっけない、シンジ、平気?」

シンジ「まぁ……」ポリポリ

アスカ「あんたねぇ、弱いんだから――⁉︎」


バチバチッ


ヒカリ「アスカッ!!」

アスカ「……っ⁉︎」

男A「……へ、へへ。持っててよかったスタンガン」

男B「いでー」

男A「ほら、立てよ」

アスカ「くっ……雑魚のくせに。油断した」
781 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 22:47:26.24 ID:eF8qQWge0
男A「やってくれたな」

男B「ちっ、高いのにこのズボン。泥ついてるじゃん」

アスカ「ヒカリ、足に力がはいらない、誰か呼んで――」

スッ

男A「逃がすわけないだろー」

ヒカリ「アスカ……」

アスカ「わかった……。私を殴っていいけど、2人のことは……」

男B「殴るだけじゃなぁ?」グイ

ヒカリ「……っ! いや! 離して!」

アスカ「クズね」


シンジ「あの……」


男A「まぁ、俺らもこんなつもりなかったよなぁ」

ヒカリ「……離してってば!」

男B「離さな――あいだだだだっ⁉︎」


シンジ「そこらへんで」グイ


ヒカリ「え?」

男A「なにやってんだよ! はやくふり払え!」

シンジ「洞木さん、アスカのとこに」ググィ

男B「ち、ちが。すげぇ力で」

ヒカリ「あ、う、うん」
782 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 22:52:17.45 ID:eF8qQWge0
タタタタッ

ヒカリ「アスカ? 大丈夫?」

アスカ「…………」

ヒカリ「アスカ?」

アスカ「……あれ、誰?」



ドゴッ バキッ


男A「――ぐはっ!」

男B「」

シンジ「どうします?」



ヒカリ「碇くんって……凄いんだね。前に痴漢から助けてもらったことあるんだけど」

アスカ「……そうなの?」

ヒカリ「うん、だけど、喧嘩、強かったなんて知らなかった」

アスカ「私だって、知らなかったわよ……」
783 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 22:59:56.03 ID:eF8qQWge0
男A&B「」


アスカ&ヒカリ「…………」

シンジ「2人とも、平気?」パンッパンッ

アスカ「あ、はい」

ヒカリ「う、うん」

シンジ「痺れはどう? アスカ」

アスカ「……うぅん、まだ少し痺れるけど、あんまり」

シンジ「洞木さんは、腕、どう?」

ヒカリ「わ、私は、強めに掴まれただけだから」

シンジ「それなら、少し休めば平気そうだね」

アスカ「…………」

シンジ「(やりすぎたかな。でも、保安部はどこまで助けてくれるかわからないからな)」

アスカ「シンジ、あんた、格闘技やってたの?」

シンジ「いや、違うよ。僕は、護身術みたいなもの(ということにしておこう)」

ヒカリ「そうなんだ……かっこいい」

アスカ「……もっとはやく言ってよね。そんなに強いなら」

シンジ「ごめん、隠してるつもりはなかったんだけど」ポリポリ

アスカ「いい。助けてくれてありがと」

シンジ「うん、いいよ」
784 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 23:08:04.29 ID:eF8qQWge0
- 1時間後 繁華街 -

アスカ「疲れた」

ヒカリ「ほんとね。でも碇くんがいてくれてよかった」

シンジ「(あ、思い出した。たしかアスカと誰かがデートした日だったな。でもこんなことにはなってないし、また、ズレてるのか)」

アスカ「……まぁ、そうね」ひょこひょこ

シンジ「アスカ、まだ足痺れてるならおぶろうか?」

アスカ「えぇ?」

ヒカリ「(アスカ、いいなぁ)」

アスカ「い、いい。別に」

シンジ「遠慮することないよ、さ、どうぞ」スッ

アスカ「…………」

ヒカリ「アスカ、甘えたら?」

アスカ「ふん……」ギュウ

シンジ「よっと」

アスカ「おんぶしたりして洗脳のこと、大丈夫なの」コショコショ

シンジ「……いいんだ。アスカの方が大事だから」

アスカ「…………」ギュウ

ヒカリ「あ、そうだ、2人とも、私のうちにこない?」
785 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/14(火) 12:06:14.94 ID:NUocTCpBO
よく続くな
786 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/14(火) 13:18:51.87 ID:4prqPJ6so
楽しみにしてる
787 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/16(木) 19:26:29.84 ID:KWdk4OjR0
続けるのが楽しくなくなってきたので、急にですが風呂敷をたたみはじめます。

でははじめます。
758.42 KB Speed:0.3   VIP Service SS速報R 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)