勇者「幼馴染がすごくウザい件」

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49 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/21(火) 01:06:05.60 ID:xkDY8utw0
カルア「それだけじゃありません。カケル様の精霊は……」
ベニ「うん。カケルの精霊は格が違う。私達が力を借りる精霊にも属性と品格がある。属性については前に説明した四大元素だけど、カケルのは、私達から見ても、はっきり言ってこわい」

と、言われてもなあ。背後霊がついているとかそういう感覚としか思えないんだが?
俺からすれば、なーんにも現実味なんか沸いてこない。隣国の姫様と同じ、あっそ、の3文字で終わる内容だ。
俺はこれまで魔法を使おうと思ったことがないわけではない。落ちこぼれ認定されるまではそれなりに努力をしていたつもりだったし、それでも使えた試しがないほど才能がないのだから諦めた。
そんな俺の今の将来設計は、村人Bと結婚して幸せな家庭を築くことである。間違ってもお前らのようなやつとつるむことではない。

ベニ「あなたは人が持ちうるリーサルウェポンと言っていい。勇者だから持ちうる力なんだろうけど、勇者で本当によかった」

安堵した表情で、にこり、とベニが俺に微笑んだ。

カルア「わ、私も、優しそうな人でよかったと思います」
ベニ「サポートはできる限りさせてもらう、なんでも言って頼ってほしい」

んぐ、んぐ、んぐ、がつん! と、テーブルにあった水を注いだグラスを煽り、ヒビが入りそうなほど音が響く。ミラが握り拳を作り肩を震わせていた。

ミラ「わ、私も! 師匠までとはいかないけど、ずっと新しい魔法見せてきたでしょ⁉︎」

おい、ちょっと待てコラ。おま、毎回俺に生傷をつけてた実験台のような行為は、まさか。
ミラの視線が一点にとどまっていることに気がつく。
辿ると、先には俺の手があった。――試しに手のひらを上げてみる。すると、ミラの視線もあがった。
手を左右に振ってみる。すると、ミラの視線も左右に揺れる。
なにこいつ、キショイ。

ミラ「か、カケル。私を置いていなくならないよね?」

と、聞く以前に既に俺の両手首は捕まれていた。電光石火の早業である。おい、俺が勇者ならこうはならないんでない?
逃げられないんですけど?

ミラ「カケルが勇者だって、私の魔法でこことか、ここも。この傷はまだ新しい……。あ、この前の魔法でできたやつよね。私もカケルの力になれるよね?」

ひいいいい。なんだよこいつは。
ぽつぽつとミラの口から古傷の列挙がはじまっていた。魔法以前にミラには身体能力でも敵わないので、この状況には耐えるしかない。
ベニとカルアに助けてという視線を送るが2人は一方的とも言えるやりとりを見守っていた。ふざけんな。
――瞬間、手首を引かれ、身体ごとミラに引き寄せられ抱きつかれる。さながらブラックホールに吸い込まれている気分だ。

ミラ「カケル……」

や、やめろ。熱の籠った瞳をむけるな。潤ませるな。
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/21(火) 18:06:34.93 ID:7skstmZ00
さっさと魔法覚えて死ぬ気で逃げるしかないな!この幼馴染サイコパスの可能性あるぞ...!
51 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/21(火) 19:52:04.69 ID:xkDY8utw0
- 謁見の間 -

むっちりと肉づいた身体つきは太すぎず、男なら誰しもが目で追ってしまう有様だった。
生まれたままの姿で、女が左の乳房をゆっくりと揉んでいた。
バンドギア王は言葉もでなかった。
垂れてはおらず、それでいて手では収まりきれない乳房を鷲掴みにし、指に力を込めながら円を描くように揉み上げる。
乳房に指が食い込み、揉むたびに、やわらかそうに歪み、揺れた。上にピン、と立ちあがった乳首をくりくりと刺激すると身体がピクンと震える。
やがて、手つきは激しく、指と指の間ですり潰すように高めている。
女は、バンドギア王に見せつけるように舌舐めずりをして、ぽってりとした肉厚の唇の中で自身の指を咥えた。

バンドギア王「……」

たまらず、王は生唾を飲み込む。
その反応に恍惚とした表情を浮かべた女は笑い、唾液で糸の引く指を、するすると悩ましげな身体を這わせて、開いた足の間に埋めた。
「あっ」と小さな嬌声が響く――。
ピンクに色づいた女の秘部。ぷっくりと盛り上がり、周囲には陰毛が生えておらずつるりとしていて細部までよく見えた。
女の指が、裂け目を左右に開いた。
――あと、もうひと押しでこの男は堕ちる。
目が充血し、荒い息を吐く様子を見て確信を得た女は四つん這いの格好のまま、王の膝下に寄り添った。

「まだ、おあずけですか?」

王の自制心はこの言葉で崩壊した。
唇に貪るように吸いつくと、舌で無理やりこじ開け、どろりとした唾液を流しこみ、無我夢中で女の口内を犯した。
女も王に応えるように肉厚のある唇で王の唇のまわりを包み、ねっとりと舌で舐め回していく。

まるで、それは捕食者の罠にかかったようだった。
野生動物がわけのわからないまま、知識や理性ではなく肉欲にすべてを預けるような感覚。
全身がしびれるような、それでいて指の一本一本まで過敏になり、かすかに吹く風が、自分の腹の上に馬乗りになった女の体温がふしぎなくらいはっきりと王には感じられる。

目を閉じる王にぴたりと女は身体を重ねる。キスを何度も繰り返し、お互いの鼓動と鼓動とが共鳴して高鳴っていく。
王は、自身が着ているシャツのボタンごと左右に引き裂いた。

「ああ、たくましい身体。でも、こんなに興奮して。指で乳首をかりかりってひっかいちゃう。かわいち王様の乳首……」

王を上目遣いで見上げ、口を大きく開けて、伸ばした舌で乳首をべろりと舐め上げた。じゅるると唾液を啜りながら乳首を吸い、前歯でかりかりと引っ掻くように噛みつく。ぴりぴりとしびれるような、いっそ掻きむしりたくなるようなその刺激に、王は少女のようにか細い声を上げた。

「ふふっ、さっきまでの威勢がまるでウソのよう。快楽の前には誰しもが無力……。さぁ、ヒトの王よ、このひと時をもっと楽しみましょう」

じっと女を見つめるバンドギア王に、もはや正気の光はない。欲望にかられ、はやく続きをと泣きそうな顔をしている。

不気味な甲高い笑い声が辺りに、ひびく。
王以外には、杖を振りかざしたまま石化したジョルと、深い眠りについている衛士たち。
そして、バンドギア王にまたがっている、この女、サキュバスの王、トモエだけであった――。
52 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/21(火) 20:29:45.18 ID:xkDY8utw0
トモエ「王のだらしないおちんぽを見せてごらんなさい」

瞳が妖しく輝く。
うすい生地はすでに内側から持ち上げられ、テントのように盛り上がっていた。トモエはトランクスの上から両手できゅっと陰茎を握る。そうかと思うと、お預けを食らっていた犬が許しをもらったように、パンツの上から王のペニスの先端を咥え込んだ。

トモエ「んふふ」

ぴちゃぴちゃ、水音が湿り気をもって王の耳に響く。
すっかり硬くなって張り出した亀頭を、パンツ越しに咥える。トモエはすぐさま舌をペニスに絡みつかせ、ねっとりとした唾液でパンツを濡らしていった。
王の下着はすぐにトモエの唾液で湿り、濡れ、よりぴったりと亀頭に張りつく。
その上から亀頭の裏側や陰茎の裏筋を舌で舐め上げられると、一枚布を隔てているじれったい感覚に叫び出しそうになる。

トモエ「ああん、びくびく震えて……。はやく咥えてほしい? じゅぽ、じゅぽって。私の口おまんこで包まれたいんでしょう?」

もはや、王は首を縦に降ることしかできなかった。

ずるり、とパンツを下げて露わになった王の熱い陰茎にトモエは顔を歪める。

トモエ「このおちんぽ、くさぁ〜い。ひっどい、オスの匂いがする。種づけしたくて、女を犯し、我が物にしたいオスの匂い……」

トモエの唇に亀頭の表面がこすれる。そのまま、陰茎がずるずると暁美の口のなかへ消えていく。トモエは一気に根本までペニスを咥え込むと、喉の奥にこすりつけるように頭を左右に振った。
トモエはまるで棒アイスを舐め上げるように、舌の表面で味を楽しんだ。何度も、何度も、王の硬くなった陰茎に舌を這わせる。

トモエ「んっ…んっ…」

かと思えば、じゅるる、と音を立てて王の陰茎を吸い上げる。
刺激の波に王は目の前がチカチカと白くなるのを感じて一瞬、理性が戻る。
興奮と、後悔と、怒りと、それがぐるぐると終わらない輪廻のようにくるくる、くるくる、回り続けた。一瞬たりとも安定しない。
刹那的に蘇った理性すらも狂気に包まれ、王の思考はついに、切れた。

トモエ「……愚かな人間どもよ。対等だと思っていた? 私達が滅ぼせないと思っていた? その気になればいつでも滅ぼせたの。でも、しなかった。滅ぼせば魔王様の暇つぶしがなくなる。たったそれだけの理由でね」
53 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/21(火) 21:58:06.82 ID:xkDY8utw0
ただ、それだけのことだと言い終えると、陰茎を手でシゴきながら王を果てさせる。

バンドギア王「あ、あっ」

涎をダラリと垂らし、半ば呆然とした顔でトモエの声が脳髄に染みこんでいく。
サキュバスが持っている特性、『魅惑(チャーム)』はこれ以上ない形で王を捕えた。
もはや、王がトモエに抗う術はない。自殺しろと言われても、肉親を殺せと言われても従ってしまうだろう。催眠という生半可なものではなく、性欲と瞳を武器に相手を意のままに操り人形にしてしまう。
それこそが種族の、トモエの最大の強みである。

トモエ「ふふ、最後までしてほしい? ……図にのるな下等なヒトが」

トモエの表情はこれまでとは一変して厳しいものに変わっていた。肌を離し、王の陰茎を踏みつける。

トモエ「――勇者を呼べ、愚鈍な王。今すぐにだ」
54 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/21(火) 22:42:14.55 ID:xkDY8utw0
今日はここまでにしときます。
55 : ◆y7//w4A.QY [saga]:2017/03/22(水) 22:15:50.56 ID:hzBy34Hj0
- バンドギア城 広間 -

カケル「――大丈夫だよ」

もちろん嘘である。こう言わないと刺されそうな、というのは比喩ではない。
俺が何度、命の危険を感じたかおわかりいただけるだろうか。いや、これは、経験してみなければわからないだろう。
よく思い返せば、ミラがこのように思い立ったように縋る節を見せたのは初めてではないような気がする。
これまでに少なくない回数で経験があった。

ただ、まさか俺が勇者だと勘違いしていて、その為に自分の実力を披露していたとは考えつかなかった。落ちこぼれの俺に対して天才級のミラが嘲りを言っているとさえ思っていた。
泣きそうな顔をするやつへの対処法はひとつ。俺は取り繕ってミラの頭に、ポン、と手を置く。すると――

ミラ「ありがとう……」

穏やかな笑みを浮かべて、安心した表情のチョロい女がいた。たまらなく、たまらなく嫌ではあったが、そのまま頭を撫でてやる。あくまで保身のためだ。

ベニ「少し、羨ましい」
カルア「ふふ、私たちにも勇者さまみたいな幼馴染がほしかったですね」
ベニ「うん」

助けもせずなに言ってやがる。
俺がこんな爆弾みたいなやつを幼馴染に持った気持ちをわかってるのか?

「宮廷魔術師ベニ様、王様がお会いになられるそうです」

――コンコン、とノックの音から少し遅れてくぐもった声が聞こえてきた。
ようやくか。勇者じゃないと証明してはやく村に帰りたい。しかし、宮廷魔術師だの、五大魔術師だの大層な肩書きばっかりだね。
本当にこんな子達が村人からすれば、雲の上みたいな地位にいるのだろうか。

ベニ「どうしたの?」

じっと訝しむ俺にベニは首を掲げて聞いてきた。まぁ、ちょっと聞いてみるのもいいかもしれない。どうせ今後会う機会もないだろうし、母さんへの土産話にたしかめておくか。

カケル「宮廷魔術師と五大魔術師って……」
ベニ「あぁ、宮廷魔術師は役職の名前。五大魔術師は通り名みたいなもの」
カルア「私たちはそれぞれ仕事がありますから」

控えめにカルアが頷く。
初めて会った時から思っていたが、このオドオドした雰囲気といい、控え目した態度といい。容姿こそ控えめに言っても美少女で魔法に関しても天才なんだろうが、俺と通じるものがある。ミラよりは全然タイプだ。
カルアは俺と相性が合いそうな気がする。
地味目だからという理由では考え方が卑屈かもしれないが、これが落ちこぼれ目線というものだ。
――さて、たいして得にもならない情報を仕入れた所で、王様に会いに行きますか。
56 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/22(水) 22:49:14.14 ID:hzBy34Hj0
- バンドギア城 謁見の間 -

バンドギア王「余がこの国の王であ〜る」

無言で跪く俺を前に、憧れをぶち壊す物体が目の前にいた。
バンドギア国では、賢王とされている人物である。
幼少期から比類なき才能を見せ、凍えるような寒さだった不作も善政を敷き乗り越えた。
この国で生きるものならば、少なからず尊敬の念を抱く象徴的存在、ヒエラルキーの頂点がこんな巻き舌で喋るとは。
背が今よりも半分以下の歳の頃、王都には一度来たことがある。その時もこの王が民の前で精霊神の演説をしていたはずだが、語尾はしていなかった。
あらかじめ用意された原稿でも読んでいやがったのかね。

ベニ「王様」

粛々と、こうべを垂れてベニが口火を切った。

ベニ「ジョルが、見当たりませんが」
バンドギア「やつには所用を申しつけたのであ〜る」
ベニ「では、そちらの方は?」

視線だけで見た先には、露出度の高い服をきた女性が佇んでいた。
歳は俺よりも少し上ぐらいだろうか。興味津々といった瞳を輝かせ、俺たちを眺めている。

バンドギア王「彼女は来賓であ〜る。勇者を拝見したいと言うから立ち会わせているよであ〜る」

いちいち気にさわる喋り方すんじゃねぇ!

トモエ「――ご挨拶もせずに失礼いたしました。宮廷魔術師ベニ様。わたくし、ユーク国から使者として来ましたトモエと申します」
バンドギア王「よい、よい。これ、ベニ、失礼であ〜る」
ベニ「……はい。失礼、いたしました」

なんだか、変だ。ベニは謝ってはいるものの、その表情はなぜか、警戒しているように見える。不思議に思い、カルアとミラを見ると、二人も同様にトモエと名乗った女性にきつい視線をぶつけていた。

トモエ「うふふ、まだ洗礼を受けていないのでしょう?」

――トモエの怪しく光る瞳が、俺に向けられようとした、その時だった。視線と視線が交差する線上に、ベニが仁王立ちで立っていた。手には杖をかまえている。
俺からはベニのトンガリ帽子しか見えなくなってしまった。

ベニ「今、なにをしようとした」
トモエ「なんのことでしょう?」
ベニ「王様……この人、本当に、ユーク国の?」
57 : ◆y7//w4A.QY [saga]:2017/03/22(水) 23:31:37.72 ID:hzBy34Hj0
ベニの疑惑に王は沈黙をもって応えた。
いや、応えたというよりは、今までとは態度が一変し、糸の切れた操り人形のように、玉座でガックリとうなだれた。
かなりホラーな現象だった。
なにが起こっているのか理解できず、目を白黒とさせていると、隣から凄まじい風、まるで台風を思わせる暴風が吹き荒れ、俺はその場に踏ん張った。

カルア「貴様、王様になにをしやがったコラァ!」

驚いて見れば、カルアがこれまでにない乱暴な口調で喋っていたので思わず二度見してしまった。

ベニ「あ、まずい。カルアのスイッチが入ってる。防壁張るからカケル、私の後ろに」

な、なにそれぇ。あの子も面白人間ってこと?

トモエ「そよ風ね……」
カルア「――上等だ! 後悔しても遅ぇぞ! 精霊よ、吹き荒れろっ!」

風が幾多ものカマイタチになってありえない速度で放たれていた。大理石でできた床を爪で抉る痕な跡をつけ、ベニが展開した魔法陣にも切り傷をつけている。
まともに受ければ、コマ切れ肉の出来上がりではなかろうか。背筋に嫌な汗が流れる。
しかし、そのような状況にも、トモエは、余裕の笑みを浮かべ、右手を構えるだけで打ち消している。

カルア「うぁあぁあああっ!!」

凄まじい雄叫びが大気を振動させる。
眉間にシワをよせ、憤怒の表情を浮かべたカルアのまわりにさらに風が集まる。心底から血が滾っているらしく、ギラギラと輝いていた。
その有り様は、アドレナリンを分泌し、バカにされたと明らかなムカつきを表していた。

――キィィィン――

耳鳴りの音がする。
台風では、ない。カルアを中心に竜巻が発生しようとしていた。
足元の地面には、ボコン! と爆弾でも爆発したかのようにクレーターができあがった。

ミラ「く、凄い」

一連の攻防を見ていたミラがぽつり、と呟く。自分とのレベルの違いを見せつけられて悔しそうだ。安心しろ、俺から見たらお前も充分危険だ。

ベニ「もう少し、さがる。カルア、本気出す気みたい」

ちょっと待って。これまだ本気じゃないの?
なんだか謁見の間がすでにボロボロになりはじめてるんだけど? というかこんな惨状に他の兵はなにやってんの?
俺の胸の中はいきなりはじまった戦闘に不安しかなかった。恐慌状態である。
――疑問も虚しく、グルグルと天に向けて杖を振り回し、カルアがトモエに向けて叫ぶ。

カルア「風と共に塵と消えよ!! グランドクロスッ!!!」
58 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/23(木) 00:01:29.91 ID:7IE/7chP0
今日はここまで
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/23(木) 00:04:46.75 ID:1nxaDbz/o
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/23(木) 01:41:47.83 ID:Ro/7DN3j0
いいところで切りますねぇ!
61 : ◆y7//w4A.QY [saga]:2017/03/23(木) 12:13:23.05 ID:7IE/7chP0
荒れ狂った暴虐の塊に、気がこれでもかと練り上げられているのは素人目に見てもわかる。

ドォーン、ドォーン。

衝撃波がソニック・ブームを生み音速の壁を貫き破る不特定な音が二回、鳴り響いた。
装飾品や胴回りが数十メートルはあろうかという巨大な柱たちでさえ、圧に耐えられず、ガラガラと音を立てて崩れはじめていた。
目を閉じて、額から汗をたらしはじめたカルアを前にして、それでもなお、トモエの表情からは恐れを読み取ることができない。

ベニ「ミラ、防壁はることはできる?」
ミラ「はい!」
ベニ「最大級の魔法陣を展開して。アレは戦術級の魔法だから私も、防げるかちょっと自信ない」

戦術級と言うベニの言葉に戦慄する。それは、一度発動すればひとつの都市が滅ぶと言われる威力がある。いわゆる、戦争なんかの大規模戦だとしても戦術のひとつとして通用しうる威力を誇る魔法のこと。
それが、今まさに対個人で使用されようとしている。
ベニの魔法陣が風の勢いを弱めているおかげで、なんとか地に足をついて立っていられるが、まだ激しくなると、隅まで吹っ飛ばされるんじゃないかと身構える。

ミラ「王様は⁉︎ 城は大丈夫なんですか⁉︎」
ベニ「城の外壁には、戦術魔法を遮断する耐圧、耐爆、洪水に特化した結界が貼ってある。けど……」
ミラ「――けど?」
ベニ「内部から発動されたらどうなるかはわからないし、王様も無事じゃ済まない」

ば、馬鹿なこと言ってんじゃねぇ! 止めないと!

くらり、と視界が揺れるのを感じ、状況についていけず、ついに俺が防衛本能として気絶することを選んだかと思えば、そうじゃなかった。
俺は今、プリンの上に立っているかのように重量を感じることができなかった。ゆっくり床が溶けてなくなり、不安定な場所にいる感覚。
地震が起きているとわかった。
大地が、城が、これから起きる厄災を前に震えているようだ。黄金色に輝く粒が、雪のようにひらひらと舞い降る。

カケル「(これはミラが魔法の発動する直前と同じ……いや、もっとやばい!)」

ベニがブツブツと詠唱とはじめると同時に、ミラも集中力を高める瞑想にはいった。粉塵を巻き込みまともに目を開けるどころか、顔を正面に向けられないほどの風が吹きすさぶ。轟音を響かせて風の渦ができ、破砕音と共に巨大な十字架ができあがる。

トモエ「十字架なんて趣味悪いわぁ。まだぁ?」

場にそぐわないのんびりとした声が耳にはいる。待ちくたびれたと言わんばかりに、うんざりしているといった感じに聞こえた。
何食わぬ顔で立っているのはありえない。昨日のゴブリンなら巻き起こっている風だけでとっくに絶命しているだろう。
瞬間、視界の全てを覆うほどのまばゆい閃光があたりを真っ白に染め上げた。目をつぶらずにはいられないほどの強烈な光だ。

音。音。音。

風で持ち上げられたような、ふわりとした無重力の感覚も束の間に破壊音の蹂躙が遅れてこだまする。

ベニ「ぐっ」
ミラ「きゃぁっ⁉︎」

二人の叫び声で、ついに極大魔法が放たれたのだと悟った。なにかできることがあれば自分の命を守るためにやりたいが、俺にできることはなにもない。
ベニとミラに無数の切り傷ができたのか、血飛沫が俺の顔にかかる。

ミラ「こんなの無理です!!」
ベニ「倒れられると困る! 受け止めようとしちゃだめ! 私に合わせて!」

ザァァァ――。
ベニが耐えるように苦悶の表情を浮かべたまま杖をふりかざすと水のヴェールがなにもない空間からあらわれ俺とミラと王様を前に半透明の壁ができあがる。

ベニ「我が盟約に従い、水の精霊よ。清らかな水を集い、我らを守り給えっ!!」
62 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/23(木) 13:27:12.68 ID:7IE/7chP0
――“死”
現実味のわかない単語が頭の中で浮かんでは消えていく。それを悟らせるほどの圧倒的な力。
しかし、そうはならなかった。
物が崩れる破壊音の中、もくもくと煙のように立ちこめた粉塵が次第に晴れてくると、光が一点に集まり、収束していた。俺たち三人は、呆然と立ち尽くす。ぽかん、と口を開けたままその光景に一時停止していた。

トモエ「うふふ」

輝く極大魔法がトモエの右手にボールの形を淵作り集合体になっていた。

カルア「う……うくぐっ……!」

振り下ろした杖を伸ばしている腕はプルプルと震え、デコには血管が浮き上がり破裂しそうなほど膨らんでている。

ベニ「そんな……うそ……」

唖然とした呟きをベニが発する。ミラは蒼白になり、歯をカチカチと鳴らし、恐怖していた。
無造作に開いた手のひらをグッと握ると、バーーン! と、花火のように弾けて飛んだ。トモエの紫の瞳が弧を描く。

トモエ「格が違うのよ。あなた達と私とじゃ」

悪魔的なささやきは、カルアに膝をつかせるには充分だった。格が違う、言ってみれば、子供と大人ぐらいの差があると瞬時に理解した。きっと、トモエにしてみれば、少し、襟首を掴んでやっただけぐらいの感覚なのかもしれない。悔しさからか唇を噛み血がつう、とアゴに垂れる。

次はこちらのターンだと、闇が、あたりを覆う。トモエの底冷えするかのような笑い声とともに、裂けた地面の隙間から影が噴出し、手が這い出した。

トモエ「ダークハンド」

一本の巨大な手。カルアの視線が足元に向かう。握り拳を作ると、俺がまばたきした瞬間にカルアの腹を突き上げていた。

ゴォンッ!

衝撃波が爆ぜ、数メートルはある天井にカルアの身体はめりこんだ。だが、それでも、拳の動きは止まらない。
音が一つ爆ぜ、また一つ爆ぜた。物理的な暴力。それは、無抵抗な相手をいたぶるための振るわれる一方的な力。
何度も、ラッシュを繰り出し無慈悲に、見えなくなったカルアに向けて破壊をしている。
やがて、衣服も身体もボロボロになったカルアが地面に落ちてきて小さくバウンドする。さらに追い討ちをかけてまだ拳の雨は続く。トモエはチラリと俺たちを一瞥した。

トモエ「――邪魔をしたいならどうぞ?」

ビクリ、とベニの肩が震えた。突如として現れた、正体不明の敵。敵なのは明らかなのに、対抗手段がない。

トモエ「私の見たてでは、ベニもこの子と同じぐらいの魔法しか撃てないわよねぇ」
63 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/23(木) 14:44:37.42 ID:7IE/7chP0
俺は思った。
これは、一体、なんの冗談だろうと。
頬をつねる。
やはり、夢ではない。
このままでは、間違いなく、カルアは死んでしまうだろう。

産毛が逆立つのを感じる。もし、あのトモエという女の敵意が自分に向けられたら、一瞬で俺は死ぬ。そんなのはわかりきってる。誰だって死ぬのはこわい。最後には自分がかわいいものだ。
偽善者であれば、ここで自分の命を投げ捨てでも助けようとするのかもしれない。
だが、俺は現実をよく見てるし、どうせ俺が殺されたら他のやつも殺される。順番が後か先かの違いでしかない。きっとこいつは、誰も生かすつもりなんかない。国そのものを滅ぼそうとしにきたのだと否応なしにわかる。

カケル「(くっそ、童貞のまま死ぬのか……)」

開き直ってみれば、心に安定が訪れた。こんなことなら村人Bちゃんに告白しておくべきだった。どうせ落ちこぼれの俺は振られてたんだろうけど。

カケル「もういいだろ」

俺の発した言葉にピタリと漆黒の手を止める。
さっさとトドメをさしてやれ。そんなにいたぶらなくてもいいじゃないか。そう俺は思っていたのに、ミラが余計な口を挟んでくる。

ミラ「ダメ! 敵わないよ!」

アホか。敵うわけないのは俺が一番よくわかっとるわい。

ベニ「洗礼がまだ、終わってない」

何度目かわからないが、どうしてこうも俺の考えとは真逆にこいつらは捉えるんだ。俺が立ち向かう気まんまんに見えているらしい。自分達に都合の良いフィルターで判断しすぎだろ。

トモエ「さすがは勇者、といった所かしらね」

お前もかい。

トモエ「うっふふ、あなたは最後のデザートよ。魔王さまは勇者の覚醒を望んでおられるけど、私はそれを望んではいない」
ミラ「魔王さまって……やっぱり……こいつ」
トモエ「今さらとは愚かなるヒトよ。私は魔王さまに仕える四天王のひとり、サキュバスの王。トモエだ」
ベニ「な、なんてこと」

魔王とか勇者とかどうでもいい。どうせ俺はここで死ぬんだ。その場にあぐらをかいて座る。

トモエ「私の瞳を見なさい?」

もうさ、付き合いきれないんだよね。勝手に盛り上がって巻きこまれるこっちの身を考えたことある? いいや、ないね。弱者の都合を強者は考えない。だって感覚がわからないから。
考えたとしても上から目線で助けてやってるとかそういうもんだろう。うーん、なんかこれまでの人生の怒りが湧きだしたぞ。

ベニ「うっ……」
ミラ「な、なにこれ……」

自分についてふけっていると、突然、ベニとミラが困ったように内股を擦り合わせて頬を高翌揚させていた。

トモエ「勇者、お前も見るのよ」

言われるがままに、瞳を見る。紫のかすみがかった色をしているが、別になんてことはない。その中に俺がはっきりと映っていた。

トモエ「え? ちょ、ちょっと。ちゃんと見てる?」
カケル「(見てるだろうが!)」
トモエ「そんな、まさか、効いてない?」

狼狽えるトモエを前に、首をかしげる。俺に駆け寄ってくると両頬をむにゅっと挟まれ、今度は覗きこむように見つめ合った。

トモエ「性欲高まってきた……?」

おずおずと、まるで普通の女の子のように聞いてくる。いい匂いがするから刺激的ではあるが、それだけだった。

トモエ「あ、ありえない。こんなのサキュバスの王としてのプライド、いえ、沽券にかかわる問題よ!」
64 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/23(木) 14:51:38.56 ID:7IE/7chP0
とりあえずここまで
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/23(木) 17:57:00.59 ID:rmumnJMYO
>>100までに終わるのかい?
66 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/23(木) 20:15:28.07 ID:7IE/7chP0
>>65
どうしようかなーと思ってます
終わらそうと思ったらいつでもできるのでとりあえず書きたいネタやりきるか飽きるまでは続くと思いますよ
67 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/23(木) 21:57:06.33 ID:7IE/7chP0
カケル「(それにしても、でけえおっぱいだな)」

ちょっと俯いて、豊満な胸を直視してしまう。谷間ができている乳房は手におさまりきらなそうで、抱き心地の良さそうな肉付きもちょうどいい。

トモエ「……なんだ。しっかり効果でてるじゃない」

視線に気がついても恥ずかしそうにも、嫌がる素振りも見せなかった。ただ、俺の肩をぽんぽんと叩いて、なぜか、安堵した表情をしている。
トモエは柔らかく、優しく微笑んで、あぐらをかいている俺にまたがって腰を下ろした。

トモエ「どう? 私の身体」

腕がぬっと伸びてきて首にまわされる。そして、身体をわざとらしく密着させ、顔に押しつけられるふたつのふくらみ。
その柔らかさといったら童貞にはかなりの破壊力だった。
少し、ほんの少し身動きするだけでふにふにとした感触がダイレクトに伝わってくる。

トモエ「おっぱいに挟まれて気持ちいい?」

たしかに気持ちいいし良い匂いがする。だが、若干、息苦しくもあった。逃げようとすると、両手でさらに乳房を押しつけ、ふふんと笑う。

ミラ「カケルになにやって……っ!」

言い終わる前にミラの両の手足がパキパキと石化した。驚愕と、やられたと悔しさを滲ませる。ぬかりなく、ベニも同時に石化させられていた。

トモエ「雑魚はそこで見てなさい。自分でイジりたいでしょうけど、我慢してね?」

俺の首に人差し指を這わせて、鎖骨、胸、腹へと下がっていく――。トモエは視界を落とし、盛り上がった部分をジッと見つめる。

トモエ「うふふ、勇者も男」

荒い息と、悩ましげな声が耳元で囁かれる。大きな、やわらかな乳房が、俺の顔に当たり、変形して歪み、マシュマロのような弾力ではじけている。
68 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/23(木) 22:21:42.91 ID:7IE/7chP0
カケル「(気に入らねえ)」

俺が童貞だと見抜き完璧にバカにしているんじゃないのか。穿った考えと俺の中で先ほどからくすぶっていた劣等感による怒りがまさに爆発しようとしていた。上目遣いで見ると、トモエはクスリと笑って耳たぶに熱い息がかかる。

トモエ「極上の体験をさせてあげるわ。私にまかせて」

まかせてだって? やっぱり童貞だと気がついてて、筆下ろし宣言しやがったなこいつ。

カケル「(気に入らねえ気に入らねえ気に入らねえ気に入らねえ!)」

禁欲をモットーにしているわけじゃない。このような状況は普通であれば大歓迎だ。しかし、今の現状をかえりみるに、セックスが終わったら待っているのは死だろう。それならば、最後に気持ちいい思いをして死ぬのも悪くない。
しかし、最後の最後がバカにされたセックスなんてのは嫌だ。俺が嫌いなことのひとつ、人から上から目線で見られること、この項目に目の前のメスブタは思いっきり引っかかっていた。

カケル「(なめるなよ……)」

身体能力や魔法ではかなわない。
――だが、今からやることはなにか、それはセックスという動物的行為である。経験のない俺が唯一、努力と知恵で勝てるかもしれない土俵に上がりこんできたことに内心でほくそ笑んだ。

トモエ「いいのよ。我慢なんかしなくて、今は2人で楽しみましょう?」

どうやら、考えているのをまた勘違いしたらしい。トモエはズボンの上から俺の陰茎をしごき、ぼろん、と手で掴んで取り出した。

トモエ「まぁ……いいおちんぽ……」

手のひらで包み、脈うつ感触をたしかめて、ふーっと息を吹きかける。指の一本一本が陰茎に絡みついて、カリ首や裏筋を這い回る。
はっきり言ってかなり気持ちいい。俺も負けてはいられないとトモエの乳首を刺激しだした。

トモエ「あ、んぅ、あん、あぁんっ」

感度が良いらしい。少しつまんだだけで、身体を反り、目がとろんとしてきていた。

トモエ「あ? え? 少しさわられただけで」

敏感なのは好都合だ。経験のない俺にとって、プラスな材料だった。きゅう、と乳首をつまんでひっぱる。瞬間、身体をビクッと震わせる。

トモエ「いや、まって、あんっ、あぁ」

手からはみ出そうなほどのやわらかで重たい胸をぐにぐにと揉む。こんなにしっかりと丸い形を保っているのに、指で押すと、簡単にふにゃふにゃと形を変える。女性の身体の神秘だ。

トモエ「こ、この……」

ここで手を緩めてはいけない。目的は俺がイクことではないからだ。さあ、行こう。敵は弱みを見せている。ならば攻める時だ。
押しだすように両手で胸をぐっと掴むと、露出度の高い服を引っ張り、乳首をださせる。俺はそれにしゃぶりついた。

トモエ「あ! んあ、あ! なんか、おかしい、吸っちゃだめ! いや、あ、そんな強く……、あ、あ、んあ! ああん!」

トモエは乳房に吸い付く俺を必死に引きはがそうとするが、俺はさらに強く吸い付き、抵抗する。
69 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/23(木) 22:43:17.38 ID:7IE/7chP0
トモエ「あ、あ、あ、あああー!」

乳首を吸っているだけで、それ以外は全く刺激を与えていない。それなのに、トモエの表情は恍惚とし下半身はがくがくと痙攣しだした。
耳の奥にひっかかるような、甘い嬌声をあげ女が鳴いている。この時、はじめて、トモエの表情から余裕が消えていくのを見た。
まるで、なにか得体の知れないものを見ているような、しかし、快楽に抗えないのだろう。強く目を瞑り、必死に耐えているのか。
試しに、少し甘噛みをしてみたり、口の中で乳首を転がしてやる。

トモエ「ひっ⁉︎ う、うそ、きちゃう、まって、まって、まってぇぇ、あぁぁぁ」

激しい波と電撃がトモエの身体に走っているようだった。つま先をピン、とはり、しばしの間を置いて、俺の膝に生温い水の感触がある。

カケル「(こ、こいつ、小便漏らしてね?)」

尿道口から黄色い液体が、じんわりと広がっていっていた。おそらく、イッたのだろう。乳首に刺激を与えられた。たったそれだけのことで。トモエは赤い顔と荒い息の後、睨んで俺を見る。

トモエ「はぁっはあっ、なにかやったな! 勇者!」

とんでもない言いがかりだ。俺は無能中の無能。落ちこぼれ組である。なにかしたくてもできやしないが正解。トモエが離れようと立ち上がろうとする。しかし、足腰に力がはいらなかったのか、その場にへたりと倒れてしまった。

カケル「(ふはは。なんという無様なやつだ)」

バカにしたやつにやり返すのは実に気持ちがいい。これではどちらが悪かわからなくなってくるが、俺は俺のやりたいことをやる。それは最初からなにも変わってない。まわりが勝手に勘違いしてるだけだ。
逃げようとするトモエの両足を掴み、左右に広げ、じっくりと観察してやる。すると、ひくひくと濡れた秘部は小便なのか、それとも愛液なのかわからないが濡れていた。

トモエ「いや、まって、今はまだ……っ!」
70 : ◆y7//w4A.QY [saga]:2017/03/23(木) 23:06:34.91 ID:7IE/7chP0
下着をずらし、指を膣の中に挿入する。

トモエ「まってって言ったぁ……っ!」

うねうねと絡みついてくる指の感触のせいで説得力がない。きゅうきゅうと締め付けるそこは、触れた個所から溶けていくかのようにどろどろと濡れていく。

トモエ「イッたばっかりなの! これいじょ、んあ、はぁ、刺激しないれぇっ!」

舌足らずな声で懇願するが、そんなもの、興奮させるだけだ。言葉を無視して腰を動かす。それほど勢いはつけていないのに、じゅぷじゅぷと淫らな水音は簡単に響きだす。止めどなく膣から愛液がどろどろと溢れてきていた。さらに指の出し入れを激しくする。
膣は何度も収縮と緩和を繰り返していて、そのままガクガクとトモエの全身が震えだした。

トモエ「し、知らない、こんなの知ら……あっだめだめ、イク、だめえええぇっ!」

ぷしゃ、と今度は潮をふいた。自分の顔を両手で掴み、白目を剥きそうになっている。いや、ここまで感じられると俺、若干ひいてきたわ。簡単すぎるだろ。

ミラ「カケル……」
ベニ「す、すごい」

外野もなにやら高揚させ発情期にはいっているらしい。その顔は明らかにメスになっていた。お前らの相手なんかしたくないわ。
まずは目の前のこいつ。屈服させてこそ俺が生き残る道も見えてくるというもの。

トモエ「ふぅふぅ……な、なんなの、なんなのよぉ……これぇ……」

膣口はクパクパとまだ痙攣していた。もうここまですればいきなり殺される心配もないだろう。身体を持ち上げ、うつ伏せにする。

トモエ「う、うぅん……な、なにする気……」

ぷりんとした丸みのある尻の肉を左右に指で広げると、アナルが見えた。きゅうっとすぼまった形の綺麗だ。そのまま舌を這わせてやる。

トモエ「ん……そっち、私、まだっ……」

尻をパシン、と思いきり叩く。

トモエ「あひぃっ! ご、ごめんなさい」
71 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/23(木) 23:45:13.96 ID:7IE/7chP0
ジュン、と愛液がまた溢れだした。この反応、もしかしてこいつ、マゾじゃないのか。
思わず手がでてしまったが、もしそうなら勝ったも同然。にやりと笑いかけてやると、トモエの表情が曇った。なにをされるかわからないという不安があるようだ。

トモエ「あっ……」

アナルに指をぐぷっと潜らせる。苦痛でも覚えたかのように、表情を歪めるが、生憎下半身は喜んでいることを主張している。溶けたようにドロドロの秘部は熱く、俺の指の動きに合わせてひくひくと蠢いていた。

トモエ「ん、んっ、あっ、あっ、人間なんかに」

指の動きに合わせてトモエが腰を揺らす。戸惑いと快楽がトモエの思考を破壊していく。アナルに指を出し入れしながら、秘部を舌で舐めあげることにした。
濃いピンク色のひだをチロチロと舐め、愛液をすくうように吸いつく。

トモエ「ま、あ、やあ、あ! あ、ふあ! んあ、ああああ!」

狂ったように叫んだかと思えば、なにかを諦めたかのように、沈んでいく声。こいつ、感じることを受け入れだしたな。

トモエ「も、もう許して、イキたくないぃぃ」

腰をくねらせ、指と舌から逃げようと歯をくいしばる。とどめとばかりにかたくなったクリトリスを噛んだ。

トモエ「そこはぁっ⁉︎ イグぅぅぅっ!」

ひゅーひゅーとか細い息をしている。意識があるのかわからないが、がくがくとカエルのような格好で全身を震わせていた。
トモエの髪を引っ張り口下手な俺ができる、最小限の言葉で囁く。

カケル「お前がほしい」

なにか間違った言い方をした気がするが、俺が生き残るのに必要だ。であるならば、この欲望に身をまかせてもらって本日はお帰りください。そうすれば、俺は勇者でないから狙われる心配もないし。
トモエは驚いた目をしてバッと振り返り俺をまじまじと見た。

トモエ「ふ、ふざけないで、誰が人間なんかの……」

やはり、まだまだ征服させねばならないようだ。俺としも無理やりなんてのはレイプしてるみたいで好きじゃないから穏便に済ませたかったのだが。

トモエ「おちんぽ、まさか、今いれるの? 私を堕とそうとしてるのね……」
72 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/23(木) 23:51:33.46 ID:7IE/7chP0
あかん眠い、今日はここまで
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/24(金) 00:06:29.39 ID:rucdjhKR0
勇者補正すげー!
74 : ◆y7//w4A.QY [saga]:2017/03/25(土) 12:01:21.42 ID:FmZTuUXi0
ベニ「――今、謎が解けた」
ミラ「え……?」
ベニ「あの女は魔に属する者。それは疑いようがない。でも、あの感じ方は異常」
ミラ「たしかに……私も気持ちよかったけど、あそこまでは……」
ベニ「今のは聞かなかったことにする。おそらく、私達の高ぶりから推測するにサキュバスの類。それもかなり高位な存在」
ミラ「あ、はいっ、す、すみません……」
ベニ「カケルはあの女よりも高位な存在。だから、抗えない」
ミラ「えーと? でもそれだったら、私達も同じようになるってことですか?」
ベニ「そうだけど、厳密には違う。カケルの存在を強く感じるには、相手もカケルの実力に近くなければならない」
ミラ「どうして?」
ベニ「強くないと、相手との実力差を実感できないから。近くなれば近くなるほど、カケルとの力の差を肌で感じる。全体像が見えてしまう」

ゴクリ、とミラが唾を飲み込む。

ミラ「それじゃ、一般の、例えば村にいた人たちがカケルに陰口を言ってたのも」
ベニ「魂レベルで凄さの片鱗がわからないから。蟻が空まで突き破る大きさの巨人を見ても、なにか壁があるとぐらいしか認識できない。肩書きがあれば別だろうけど」
ミラ「じゃ、じゃあ、カケルってあいつよりもさらに強いってこと?」
ベニ「あいつが私達に言った、格が違うという言葉がそっくりそのままあの女にかえってきてる。魂が屈服したがってる証」
ミラ「そ、そんなに凄いんですね……」
ベニ「もしかしたら……カケルが無口なのは、そのせいなのかもしれない」
ミラ「え?」
ベニ「カケルの発する言葉は私達にとって気の本流を感じるのと同じなのかも。ほんの些細な一言でさえ、私達みたいな実力者の魂を掴んで惹きつけてしまう。カケルもそれがわかっていて……」
ミラ「そ、そんな。私、これまで、カケルが無口だとか愛想がないとかひどいことばっかり!」
ベニ「ミラはカケルの幼馴染。ずっと一緒にいた。だから、カケルはミラのことを大切に思って」
ミラ「――……私、なにも知らなかった……」

ミラとベニは、カケルを、己を殺し孤独な人生を自ら選び歩んできた男を想い視線を交わした。

「強い」と一言で終わらせればそれまでだが、一端に強さと言っても様々な形がある。腕っ節の強さ、負けん気の強さ、忍耐力の強さ。人知を超えた神にも等しい力を手に入れたらどうなるか。
――人間は、清廉潔白な生き物ではない。
邪な考えを持つし、気分によって浮き沈みする。誰しもが持つ隙を極力抑え生きてきたのは並大抵のことではないはずだ。カケルのように綺麗なままでいられるだろうか、そう考え、目を伏せた。

ミラ「私達は、勇者のために、カケルのために何ができるのでしょうか」

カケルは、この世に遣わされた希望そのもの。
これまでの勇者が成し遂げられなかった魔王打破ですらも達成してしまうに違いない。
しかし、ここまでの実力差が露見してしまうと、足手まといになるだけだ。それはベニも同じ気持ちだった。

ベニ「五大魔術師なんて言われてる自分が恥ずかしい。世界は広いね」

自嘲的な乾いた笑みが、ミラに向けられる。一筋の涙が、ベニの頬を流れていた。
75 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/25(土) 12:39:18.64 ID:FmZTuUXi0
カケル「(外野がぶつくさうるせぇっ!)」

どうも、また勝手なことを言っている雰囲気がする。意識を向けそうになるが、痛いほどはりつめて脈打つ陰茎を掴むと持ち直した。

トモエ「な、なによ、いれないの? こすりつけるだけ……な、んて」

この女の寝そべった後ろ姿――。
口ではまだ強がっているが、足腰に力がはいらないのは明白であり、秘部はくわえこみたそうに波うっている。擦るだけで下手をすれば射精してまいそうな熱さと気持ちよさだった。
わざとではない。童貞にとって、知識はあれどなかなかに挿入しずらい体位であった為に手間どっていた。
しかし、悟られてはまずい。このままでも気持ちいいので秘部の表面だけを陰茎でヌルヌルと腰をふり続けた。

トモエ「あんっ、あんっ、じ、焦らしてるっ、焦らされてるっ」

子犬がきゃんきゃんと鳴くような矯声があたりに響き、トモエは口からヨダレをたらしていた。頭がくらくらする興奮がある。さらさらとした髪が乱れてるたびに女の匂いがたまらない。心臓が痛いほど脈打って、耳元でシンバルをけたたましく、鳴らされているようだ。俺も、この快楽に没頭することを決めた。

トモエ「ほ、ほし、硬い、だめっ言わないんだからぁっ、ぜ、ぜったい、いれてなんてぇえぇっ」

すべすべした尻を撫でまわし、指で尻穴をほじってやる。時折、秘部の穴にも陰茎がはいりそうな感触があった。

トモエ「ま、魔王さ、ま、お助け、んっ、ください、
、サキュバスの、王の、私がぁっ! ぅ……うぅっ……」

鼻水をたらして、トモエは涙をうるうると目にためていた。どうやら、かなりプライドを傷つけているらしい。こいつ、サキュバスの王とか痛いこと言ってるから、もしかして自分が責められ慣れてないんじゃないのか? いつも自分優位で男を弄んでいた?

トモエ「も、もうやぁっ……いやなのぉ……あんっあん、お尻の穴でも感じるぅぅ」
76 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/25(土) 13:19:58.62 ID:FmZTuUXi0
口では嫌がっていても、むにっと手で尻肉を開けば閉じていた秘部が、ぱっくりと開く。
むわぁっと、まるで口のなかのように、そこは赤く濡れていて、光っていた。
おれは指でさらに押し開く。
すると、秘部の下側、膣の入り口まで覗けるようになり、そこは呼吸でもするようにひくひくと蠢いていた。なんとなくやってみたが、これなら入れる場所もわかるし、挿入できそうだ。

トモエ「ご、ごめんなさい、魔王さま、も、我慢できません、クリもかたくされちゃって、尻穴にも、これから犯されるなら、いっそ、もう」

自分に言い訳をはじめていた。それは、納得させるという諦め。トモエのとろけた表情は、快楽がほしいと物語っていた。今まで自分が操っていた快楽に飲まれるのだ。秘部の縦線に陰茎を押しつける。すると、亀頭の先端がなにか、肉の壁をおしのけて埋まっていく感触があった。トモエがわずかに腰を浮かせた。ここに間違いないだろう。

トモエ「らめぇっ、入り口ばかりされて子宮おりてきちゃう、ガマンできないっ……いれて、いれてくださいっ」

バシン、とまた尻をたたく。

トモエ「きゃうっ! ゆ、勇者さまのぶっといおちんぽをわたくしのおまんこにいれてくださいぃぃっ!」

おうとつがある肉の壁をペニスが押し開き、ぬるぬると奥へ入っていった。脱童貞の瞬間である、しかし、俺にとっては生き残る為の命がけセックスという考えが頭の片隅にあるからなのかイマイチ嬉しくない。
根本まですっかり入ってしまうと、トモエは何度も細かく身体をふるわせる。

トモエ「あ、ああぁぁぁ〜〜、きたぁ、ぶっといやつ、身体がよろこんで、いれられただけなのにぃ、いくにょ、とまらにゃい〜」

つくたびに、ぴゅっぴゅっ、と潮をふいている。膣の入り口がぎゅうぎゅうと締まり、膣全体が蠕動するようにペニスを締めつけていた。トモエなかは熱く、ぬめぬめとした液体であふれていて、無数のひだが前後左右からペニスをこする。

トモエ「あふぁ、あんっ、あたまっ、きれる、なにも、かんがえられっ」

トモエは泣くように言って、腰を自らも揺らしていた。ペニスが膣のなかでぐいぐいと動き、やわらかな肉の壁にこすれて刺激にある。熱い肉と肉の交わりだ。俺はトモエの腰を掴み、腰を根元から奥までズルズルと打ち続けた。

腰をぶつけるたび、ぱん、ぱん、と肉を叩く音が響く。
はちきれそうなまっ白な乳房はぶるんぶるんと前後に揺れ動き、おれは手を伸ばしてそれを鷲掴みにして、乳首をきゅっとつまみ上げた。
トモエの膣はきゅんきゅんとよく締まる。
まるで何十本という指でいっぺんに陰茎をしごかれているような快感だった。

トモエ「あっ、あっ、あっ、あっ、すごいなみ、くる、もう、またイク、いくいくいくいくぅ」

全身が魚のようにびくんと跳ね上がり、膣の締めつけはさらに強くなる。
足の指まで緊張させたトモエの身体をしっかり抱きかかえ、俺は腰の動きを止めず、むしろ自分の射精に向けてさらに早めた。

トモエ「えへ、えへへへっ、これ、しゅごい、いったままでつかれるの、しゅごい」

達したばかりの敏感な身体を肉棒が貫く。
ぴりぴりと電気が走るようなクリトリスの包皮をぐいと向き、撫で回す。
大きすぎる快感はトモエの神経回路をちりちりと焼いて、全身を凶暴に暴れさせた。

カケル「うっ」

俺が小さくうめくと、トモエの瞳に、正気の色が戻る。

トモエ「あ、だめっ! 外に! 外にだして! 今、イキすぎて子宮おりてきてるからぁっ! 孕んじゃうからぁっ!」

トモエの足がバタバタと本能的におれから逃げようとする。
俺は腰をしっかり掴んで逃がさないようにしながら、力任せにがしがしと突き上げた。

トモエ「あっあっ、人間に、種つけ、やだぁっ! 魔王さま、わたし、こいつのものに、なっちゃうぅ!」

脈打つ陰茎が膨らみ、射精が間近だと悟っているトモエは唾を飲み込み、カチカチと歯を鳴らし、怯えきっていた。空気をもとめてあえぐ。

トモエ「やだやだやだやだやだやだやだ、たすけてたすけてたすけてたすけてたすけてぇ!」

俺は腰からペニスを駆け上がってくる精液を、そのままトモエの膣の奥深くに放った。

トモエ「いやああああああっああっ――」

射精されているのを感じるのか、トモエはぞくぞくと身体をふるわせ、握り拳をぎゅうと握りつぶした。
精液が勢いよくトモエのなかへ注ぎ込まれていく――どくどく、どくどくと、悪い薬のようにトモエの体内へ注がれ、混ざり合っていく。

トモエ「はぁ、はぁ、あぁ、だされた。サキュバスの王が、人間に、種づけされたぁ」

射精を終え、おれはゆっくり腰を引き抜いた。
ペニスは愛液にまみれてコーティングされたようにきらきらと光り、飛び散った愛液で内股までぐっしょりと濡れていた。

トモエ「勇者、人間の王はお前だったの……ね……」

そこまででトモエは力なく息をはき、がくり、と気絶してしまった。
77 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/25(土) 13:33:39.44 ID:FmZTuUXi0
とりあえずここまで
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/25(土) 20:16:43.18 ID:5gfEQedg0
これは100までには終わらないな
違いない
79 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/25(土) 21:51:32.86 ID:FmZTuUXi0
もうちょっとで全体でいうとこの序章〜旅立ちまでっていう感じになります
で、そこで一旦句切ろうかなと思ってます
文字を詰めすぎてあんまりにも話が進んでなくてまだ予定していた登場人物すらでてきてません
80 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/25(土) 22:37:34.62 ID:FmZTuUXi0
カケル「はぁ……」

まるで今までの出来事が嘘のように、トモエは床をベッドにして、裸の状態で膝を抱えて横になっている。
悪夢のような、官能的な出来事がようやく終わったと、俺は疲れ切った表情でその場にへたりと座りこんだ。
血がすーっと引いて、次第に動悸がおさまってきた。張り詰めていた緊張と気力がここにきて切れたのかもしれない。
ゴソゴソと手探りで腰巾着から、あらかじめすり潰しておいた煎じ薬を飲むと、幾分かは疲労感がマシになったが、顔の筋肉はまだつっぱっているのがわかった。自分で思っていたよりもいっぱいいっぱいだったらしい。

ミラ「カケルっ!」

手をひらひらとあげて応える。あ、そういやこっちの2人は両手足が石化したままだったな。

ベニ「そいつ、起こして」

ぎょっ、と目を剥く。なぜに? また襲いかかってきたらもうセックスバトルみたいな誤魔化しは通用しないぞ。

ベニ「大丈夫。サキュバスには魂に刻まれたから、私たちを守る必要はない。足手、まといで、ごめん」

俺のたどたどしい態度からなにかを察したのだろう。歯切れが悪く、足手まといとかわけのわからないことを言っているが、ベニは苦笑して、気恥ずかしそうに俯いていた。

カルア「……う……ぅ……」

俺たちの話声以外に物音がひとつとしてしない広間からクレーターができた底から呻き声が聞こえる。そうだった。すっかり存在を忘れていたがボコボコに殴られたこいつもいたんだった。放置してたらマジに死んじまうだろうな。
このまま死なれちゃ夢にでてこられでもしたら目覚めが悪い。
仕方ない、起こすか。
できれば放置しておきたかったのだが、ベニの言葉を信じよう。髪を乱雑にかき上げ、そうと決まれば早々にトモエの頬をペシペシと叩いた。

トモエ「……ん……」

なるべく、機嫌を損ねないように細心の注意を払った。かなり優しくしたということだ。
何度か叩いたあと、俺の手に反応して、トモエがうっすらと閉じていた瞳を開く。

トモエ「あ……わたし……あのまま……」

内心俺はビクビクだ。レイプまがいの行為をしたことといい、いつ復讐されてもおかしくない。しかし、トモエは床を見つめるだけで何かをしてくるという気配はなかった。ただ、無気力というか、諦めたように笑みを浮かべていた。
俺にとってみれば、これは奇妙な光景だった。
さっきのセックスは屈服させるために行ったことではあるが、実力差は埋まるものではない。ちんぽの力で勝ったはいいものの、腕力とか魔法でこられたらその瞬間に俺は詰む。
それぐらいわからないわけではないだろう。

トモエ「わたしをどうするつもり……?」

はて? どうするもこうするも俺の命を握ってるのは俺じゃないのだが?

トモエ「サキュバスは、種つけされた相手には死ぬまで逆らえない。……あなたも知っているんでしょう?」

初耳だった。これが魂に刻まれるって意味か。

トモエ「魔王さま、愚かな人間に敗北してしまいた。どうぞ、この世に絶望を……」

深い息をはいて、遺言のようなものを呟きはじめていた。ふぅん、いや、待てよ。この女、実力的には申し分ない。
――なんと言っても五大魔術師を圧倒するほどの力だ。だとすれば、俺のボディーガードをお願いしたりできないだろうか?
村に帰った後は、もう悪さをしないと約束させて解放すればいい。俺も若干罪悪感があるし、それでお互いにいいんじゃないかな。
だから、もう一度、肩に手をあてて――。

カケル「(村に帰るために)お前がほしいんだ……」

真摯に呟いた。

トモエ「私を慰めものにでもする気? 人間の相手なんか」
カケル「そうじゃない」

それきり、押し黙ってしまった。トモエは一言も口を発せず、視線を合わせようともしない。しかし、ひどく悩んでいるようにも見える。やっぱり、だめなのかな。

トモエ「人間なんて、屑よ。魔族にしてきた仕打ちをあなたがなかったことにできるつもり⁉︎」

ガシャン!
凄まじい気の流れを感じ、トモエがいる辺りの床が割れた。おお、恐ろしい。ちょっと怒気をはらんだだけで大理石を破壊するなよ。
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/25(土) 23:01:08.26 ID:brFe2R59o
ぷよぷよのシェゾみたいだなwww
お前が…欲しい!
82 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/25(土) 23:50:03.15 ID:FmZTuUXi0
金切り声をあげて、あきらかに苛立ちを含んでいた。俺はといえば、恐ろしくて身体が硬直していた。小便漏らしてないだけたいしたもんだね。

トモエ「勇者にこんなこと言っても無駄ね。私を慰めものにするつもりもない。そうでしょ? 私を純粋にほしいのね……」

別段驚いた様子はなく、何も言わない俺を呆れ半分という感じで、苦笑で返していた。また、妙な成り行きである。とにかく、ここは機嫌を損ねないのが大事だ。怒ってる人に否定をしちゃいけない。ゆっくりと頷いた。

トモエ「サキュバスをほしいだなんて、瞳の力がなく言ったのはあなたがはじめて」

淡々とトモエは続ける。

トモエ「わかった。あなたを我が王と認める。今後はマイマスターと呼ぶわ」
ベニ「魔王はどうするつもり?」

厳しい声で質問を投げかけるとトモエは眉を釣りあげた。

トモエ「……あら、まだいたの」
ベニ「ここから動けないから、いる。魔王もあなたの王だよね?」
トモエ「魔王さまは私が好きで従っていただけよ。そのカリスマ性にね。魂が屈服して従っていたわけじゃなかった」
ベニ「魔王って、まさか、女?」
トモエ「察しがいい。その通り、だから私の魂はまだ無垢なままだった。でも、それも過去の話、これからはマスターに身も心もささげる。サキュバスはね、性に奔放だけど、それは主人が現れるまでの話なの魂に刻まれれば、一途でもある」

パチン、と指を鳴らすとベニとミラの石化が解けた。

ミラ「あ……」
トモエ「ほら、解いたわよ。雑魚でも我がマスターの糧になりなさい」

ちょっと待て。今なんつったこいつ。茫然として、開いた口がふさがらなかったが、まずはひとつずつ、疑問を整理しなければならない。何から尋ねるべきか、しばらく迷ってから、言った。

カケル「魔王には?」
トモエ「元々、私たちは弱肉強食の世界。弱いものは淘汰され、強いものが生き残る。あぁ、人間のように陰湿ややり方はしないわよ? 勇者に負けて従うのなら、それで納得されるわ。いえ、むしろそれほどならと喜ぶかも」
カケル「どういうことだ?」
トモエ「マスターは間違いなく、歴代最強の勇者だもの。魔王さま、いえ、魔王は、暇つぶしに飽きて、好敵手の登場を心待ちにしているのよ」

うわぁ、なにそれ。

トモエ「でも、私も一度魔王城に帰る必要がある。残ってる仕事があるから」

ちょ、ちょ! いなくなるの⁉︎ それじゃ意味ないじゃん!心の揺れ動きようなど知らずにトモエは、改めて俺を見上げる格好で顎に手を添えた。

トモエ「うふふ、心配そうな顔をしないで。危険なことはなにもないから」

俺は自分の身の安全を心配しとるんじゃい!

トモエ「でも、そうね。私の覚悟を、サキュバスに種つけした意味を知ってもらうためにはこれじゃ足りない。そこを動かないで」
ミラ「な、なにする……っ!」
トモエ「儀式に近づくなっ!」

駆け寄ろうとしたミラにトモエのけたたましい喝が炸裂する。言葉に力をのせたのか、ミラはその場に直立不動のままビーン、と立ち止まった。もちろん俺も。

トモエ「命に息吹を。生命に力を」

すると、トモエから光があふれ、髪が輝きだしていた。
われわれは神の名の下に平等なのだ。
さあ、互いに手をとり、よろこびの園へと進もう。
呟くような声で、静かに言葉を紡ぐ。これは、どこかで聴いたことがある。精霊神をたたえる賛美歌だ。

ベニ「その呪文はっ!」

唐突に慌てはじめたベニが割りこむ隙間もなく、トモエの髪は白銀になり、瞳は紫から澄んだ色をした金色へと変化していた。もはや、これは魔ではない、あきらかに神聖な儀式のような雰囲気がある。
83 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/26(日) 00:00:22.47 ID:+afMFJY80
今日はここまで
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/26(日) 00:39:19.84 ID:TmSQ8+qS0
85 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/26(日) 12:47:18.47 ID:+afMFJY80
賛美歌。
神話の時代、大地を生み出した際残されたもっとも硬い金属と太陽の元となったドラゴンの炎をもちいて、大地に生まれた生き物達が精霊神に捧げるため作詞されたと言われる唄である。
昼が人の世界ならば、夜は神の世界。太陽の光を閉ざし静かに横たわる神はこの唄を聞いて、実りを与えたという伝説だ。しかし、そうした表向きの意味以外に、もう一つ、裏の顔がある。
この唄を詠唱することによって生まれる、禁呪文「リバース」である。
魔族が使うことにより、存在が反転する。つまり、魔から神聖な者へと裏返るのだ。呪文を使用するためにはいくつかの制約がかせられる。

ひとつ、魔族が使用すること。
ひとつ、心の底から願うこと。
ひとつ、力の封印を受け入れること。

これらの条件を全て満たした時のみ、効果は発動する。魔族にとって神族は、気性も、性質も、ありとあらゆる意味で正反対の位置にある。お互いに持ち合わせている敵対心よりもそりが合わない者同士なのだ。ゆえに、リバースを使う、それはなりたくない自分になると同時にこれまでの自分を否定することにも繋がる。
死よりも重い選択である。
そんな大それたことを、一時の気の迷いではないと、覚悟と誓いを持ってトモエははじめたのだ。

全ては、カケルの側にいるためだった――。

伝説の存在である勇者は神の代理人でもある。そちらの都合を考慮すれば、神属性である方がいい。
カッと瞳から、口から、耳の穴から、まるでレーザーのような閃光を放つ。

トモエ「ああぁぁっ! 神よ! 魔族たる私は誓う! この者の為に生き、生涯尽くすことを!」

言葉と共に地に拳をつきたてた。

ズズーンという、重い衝撃音とともにトモエの身体に輝く粒子が纏われる。そこには、着ている衣服は露出度の高いものから、極力身を隠したものへと、まるで袴のような白と赤を基調にしたものへ変化していた。
そして、眩いほど輝くさらさらの白銀の髪、金色の瞳。体型に変化はないが、雰囲気がガラリと変わっている。

トモエ「はぁ……さようなら、魔族の私」

そっと、カケルに近づいてトモエは手を重ねる。うすいヴェールのような微笑みでそのまま撫でた。

トモエ「よろしくお願いします。マスター」

桜色の唇がカケルの鼓膜を震わせる。誰もが、声がでなかった。裏返しはここに成ったのだ。これよりさらに数万年後、トモエの意志を継ぐ子孫が、ある島国で巫女と呼ばれることになる。
しかし、それはまた別のお話――。
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/26(日) 13:36:07.02 ID:+afMFJY80
- 謁見の間 扉前 -

フラン「……ぜぇ……ぜぇ……この、結界、破れない……ぜぇぜぇ……」

大きな円を描いた魔法陣の内側に円と線をつないだ小さな魔法陣が描かれ、その中心にオリハルコンが置かれ、その周囲に12の宝玉と呼ばれるプレートが置かれている。もっとも大きな大円の魔法陣の外に小さな魔法陣がもう一つ。仕掛けておいたのはトモエである。これが、誰も謁見の間に入ってこない理由だった。

兵士「あの、大丈夫ですか?」

恐る恐る声をかける。この場には既に数百人が駆けつけていた。通路に入りきらない数も含めればもっといる。剣士、魔法使い、それぞれが戦闘態勢なのは言うまでもない。その先頭に立っているフランが先ほどからずっと魔法を唱えたりしているのだが、結界はビクともしない。

フラン「こんな強力な結界、どうしたら……」

その時だった。魔法陣の中央に置かれたオリハルコンが小さく震え、地の底から魔翌力を吸い上げるかのような音が響いたのは。
とっさにフランが杖をふりかざし、場の制御に精神を張り巡らせる。
ゴゥと豪炎があがる。
慣れた仕草で気の流れを操り、そのエネルギーを増幅された方向へと導いていく。

フラン「バランスが崩れた! 中でなにか動きがあったんだわ! 総員! 撃てっ!」

号令を合図に次々に結界に各属性の攻撃魔法が打ちこまれる。すると、小さなほころびはやがれ亀裂へと発展し、徐々にではあるがひび割れの範囲を広げていっていた。

兵士「おぉっ、いけるっ!」

剣士達は唾を飲み、いつでも戦えるように鞘から刀身を抜き出す。瞳には闘志がやどり、やる気まんまんである。

フラン「撃ち方やめ!」

火と水の魔法の余波で、あたりに水蒸気の煙がもうもうとたちこめる。しばらくの後、煙が晴れると結界はもはや、維持しているのがやっとの状態であった。

フラン「ここに古より蘇れ精霊よ、太古の炎よ、純粋なる穢れなき炎よ、焼きつくせっ!」

直径10メートルはあろうかという巨大な火球がフランから放たれる。トドメの一撃だった。直撃と同時に、ガラスのようにパリン! と、音を立てて割れる。
そして、フラン達は謁見の間に雪崩れ込んだ。
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/26(日) 14:16:00.78 ID:+afMFJY80
- 30分後 謁見の間 -

ベニ「――と、いうわけで、四天王の1人はカケルの信徒になった」
フラン「はぁ」
ジョル「いやはや、面目ないのぅ。手も足もでんかったわい」
カルア「は、はいぃ」

時は少し進み、見渡す限りの人の波に、俺は酔いそうだった。部屋の広さに対して、人口密度が濃い。皆、口々に魔王の直属の側近である四天王という言葉に恐れ慄いている。発端であるトモエは、玉座の裏に全身石化されたジョルを解除して王にかけてある催眠を解くと、すぐに飛び立った。空まで飛べるというのだから村に途中で降ろしてほしかったが、それを言う暇はなかった。

ジョル「勇者どのがおらんかったら、この国は滅びておったのぅ」
フラン「にわかには信じられないけど、私達が手も足も出ないレベルなの?」
カルア「間違いまりません。極大魔法でさえ、片手であしらわれました」
フラン「……悪夢ね……」
ベニ「でも、希望もある。それは、カケル」

全員の期待の籠もった注目を集める。はっきりいってセックスで勝ったなんて詳細を知られると思うと恥ずかしい。

バンドギア王「そこまでにしておくのであ〜る。勇者が困っておるであろう。この国を、民を救ってくれて礼を言わせてほしいのであ〜る」

いえ、ちんこぶっさしただけですからね!

フラン「王様。魔王軍が予想以上の強さだとわかったのなら、勇者さまに真の力を取り戻していただかねば」
バンドギア王「洗礼を行なってやりたいのだが、それは困難なのであ〜る」
ジョル「先ほど、あの女が乱入してくる前にワシと王様で検討していたが、ここに今、伝説の剣がないそうじゃ」
ベニ「えっ?」
バンドギア王「剣は、打ち直しが必要だったのであ〜る。ゴダイク王国に保管されておるはずであ〜る」

王には後悔の念が浮かんでいた。ちょっと待って。ここで洗礼をして俺が人違いだと証明できないとなると――

バンドギア王「勇者と五大魔術師達は、ユミル姫も同行させて、これからゴダイク王国に向けて出発してほしいのであ〜る」

――そう、俺が気がついた通りの言葉を言われた。やっぱり、そうなるんじゃねぇか! ばかやろう、もう付き合ってられるか。こんな命が何個あってもたりないようなのから俺は降りる。そう考え、いの一番に振り返り、人混みの波を掻き分け、帰ろうとする。
すると、移動することさえ苦しいだろうに、人の並が、まるでモーゼの十戒のように縦に割れ、俺が通る道を開けてくれた。

カケル「(な、なんだ?)」

異様な雰囲気を感じ取り、警戒心を丸出しにする。

フラン「王様、勇者様は最初からそのつもりだったようです」
ジョル「誰よりもはやく決断し、行動する、まさしく勇者じゃの」
ベニ「……私達も、あの背中においつく、もっともっと強くならなくちゃいけない」
カルア「はい。勇者さまに栄光を、平和のために行きましょう!」
ミラ「私も、頑張ってついていく!」

ギギギ、と錆びた音がなるように振り返ると、満足気な頷きをしている王とバカどもがいた。

カケル「(か、勘弁してくれええぇぇ〜〜っ!)」

心の中で声にならないさけびは、いつまでもいつまでも止むことはなかった。
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/26(日) 14:20:36.62 ID:+afMFJY80
これにて、旅立ちまで完ということで、区切りになります。
五大魔術師の残りの1人とか、魔王四天王の残りの3人とか予定していた登場人物が全てでているわけではないので、続きはどうしようかなーと考えてます。
ここで終わりということにしてもいいと思うので、しばらく時間置いてから続けるかどうか決めます。
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/26(日) 15:26:24.91 ID:M8EM7cxDo
>いえ、ちんこぶっさしただけですからね!
ワロタ

個人的にはとても続けてほしい
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/26(日) 22:43:11.40 ID:aK76nBUYo
面白いので続けて欲しい
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/27(月) 01:32:16.79 ID:136yPjkSo
続けて、どうぞ
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/27(月) 02:22:48.58 ID:+44EHf/9O
全部同じ松尾でわろた
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/27(月) 18:34:50.47 ID:VTSi2DMgo
書籍化できるくらいの量書いてください
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/28(火) 10:03:37.70 ID:TQjqY1ELo
…ふぅ
続けたまえ
95 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/03/28(火) 20:34:36.39 ID:+DgGkP3j0
レスありがとうございます。
続けるか考えたんですが、ここで終わりにしておきます。たぶんあんまり人気もなさそうですし、なによりこれはこれでそういう短編としてキレイに終わってるとも思えるんで。
HTML化依頼だしておくのでこれにて終了ということでお願いします。
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/29(水) 01:33:19.84 ID:ibmo6NIIo
まじかよ お疲れ様です。
魔王とカケルとの絡みがどんなものかすっごい気になってたからこれで終了なのは個人的に残念です。
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/31(金) 00:44:48.39 ID:ChuzgUPsO
面白かったのにちょい残念だな
気が向いた時にでも続き書いていいのよ?
お疲れさま
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 19:24:16.56 ID:prcFTYA9o
続きはよ
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