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シンジ「アンケート?」完結編
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1 :
◆y7//w4A.QY
:2017/05/05(金) 14:26:17.71 ID:gcjTKVgH0
■前スレ
シンジ「アンケート?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1491130975/
このスレでは続きから開始しています。
これまでの流れは全年齢板にある前スレをお読みください。
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/05(金) 14:37:22.43 ID:7N6RxPzlo
期待
3 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/05(金) 14:37:46.69 ID:gcjTKVgH0
【ネルフ本部 来賓室】
ミサト「さ、三号機をうちに、ですか?」
大統領「日本政府と必要な詰めは全て済ませてある。あとはこの書類に責任者のサインを書くだけだ」
ミサト「しかし、ネルフは既に三体のエヴァを保有しています。過剰な戦力になるのでは……」
大統領「政治的な話だよ。現在、我が国では経済的に不安定な状態が続いている。それに伴い、市民の暴動や生活水準の低下が懸念されていてね」
ミサト「つまり、予算がないと?」
大統領「情けない話だが、その通りだ。貧困層は医薬品でさえ手に入れるのが困難な状況になりつつある。そのような経済で、軍備にまわす余裕はない」
ミサト「WHOに支援を求めては……」
大統領「スイスのジュネーブ本部には発展途上国から連日問い合わせが殺到しているよ。大国たるアメリカが世界に恥部を晒すわけにはいかん」
ミサト「……受け入れるにしても理由が必要になると思われますが」
大統領「その点については問題ない。先ほど君がいったが、日本は既にエヴァを三体も保有している」
ミサト「はい」
大統領「過剰な戦力ではなく、実績があると捉え、アメリカと日本、友好国という建前を使えばどうとでもなるだろう」
ミサト「お話は承知いたしました……私の一存では決めかねます。碇司令の判断を仰いでからになりますが、よろしいでしょうか」
大統領「キミの言う碇とは、碇ゲンドウかね?」
ミサト「は? はぁ、そうですが」
大統領「彼は本日付けで退任してある」
ミサト「え、えぇっ⁉︎」
大統領「後任を務めるのは、彼の妻である、碇ユイ博士だ。なにも聞いていないのか?」
ミサト「ぞ、存じません。事実なのでしょうか?」
大統領「嘘をついてなんになる。碇ゲンドウ氏はアラスカにて調査を行うと私は聞いている」
ミサト「どなたの意向でしょうか?」
大統領「私が知るのは結果のみだ」
ミサト「(左遷? いいえ、それはないわ。ネルフは治外法権よ。日本政府でさえ特権を与えられてるネルフに人事の口だしできないはず……ゼーレ?)」
大統領「作戦司令」
ミサト「は、はっ!」ビシッ
大統領「余計な詮索はしないことだ」
ミサト「ですが、ユイ博士は、たしか、資料によると亡くなっているのでは……納得のいく説明を求めます」
大統領「ネルフの上層組織によるゼーレの決定だ。キミも噂ぐらいは聞いたことがあるはずだな?」
ミサト「やはり……ですが、ゼーレの実態はほとんど存じません」
大統領「私も同じだ。世界は、一部の組織が動かしているに等しい。まったく、なにが大統領だ、傀儡だよ。これではな」
ミサト「……」
大統領「ともかく、命が惜しかったら、私の忠告を受け入れた方がいい。これは善意だ」
ミサト「はっ、ご忠告、痛み入ります」
4 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/05(金) 15:17:18.20 ID:gcjTKVgH0
【シンジ宅】
加持「よっと」
シンジ「……」ゴロン
加持「やけに軽いな。ちゃんと食ってんのか?」
ユイ「そこに寝かせて」
加持「はいはい、しかし、良かったんですか?」
ユイ「なにが」
加持「父親の死という本人にとって、衝撃的な結末を見せつけられてます。ショックで気絶してますが、意識を取り戻した際にパニックになる恐れも」
ユイ「そうね」
加持「心を閉ざしたまま……エヴァに乗ってくれますか」
ユイ「シンジの意向をできるだけ汲み取ってあげたいけど、やるべきことはやってもらう」
加持「それはつまり、多少強引な手段をとってでも?」
ユイ「……この子は純粋ですもの。ショックは大きいだろうけど、乗り越えて立ち向かう勇気を持ってくれる」
加持「我が子可愛さに買い被りすぎでは? トラウマを乗り越えるのはそう簡単には……」
ユイ「私たちはネルフを掌握したのよ。シンジが父親の死と向き合いやすいように、環境を作ってあげればいい」
加持「どういう意味です?」
ユイ「嫌われてる者が元気をださせる必要はないの。直接手をくださずとも、間接的にそうなるようにする」
加持「なるほど、裏方に徹するわけすか」
ユイ「トリガーはこの子なのよ。私の夫は初号機に固執するあまり、シンジをないがしろにしてしまったけど、私は違う」
加持「(これもまた、狂気だな)」
ユイ「シンジさえ無事であれば、世界の創造は始められる。他はどうなってもいい。そう、どうなってもね」
加持「ふぅ……それで、具体的には誰を当てがるんです? やはり、アスカを?」
ユイ「そう気を急かさないで。私が今すべきは、ネルフへの就任の挨拶ね」
加持「シンジくんをこのまま一人に?」
ユイ「そうよ。少し、観察をしたいから」
加持「了解。それじゃ、俺もまた自由に動かせてもらいますよ」
5 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/05(金) 15:45:39.91 ID:gcjTKVgH0
【ネルフ本部 執務室】
ユイ「失礼いたします」
冬月「……もう済んだのかね」
ユイ「はい、滞りなく」
冬月「ならばもうすでに」
ユイ「ひとつの終わりを迎えました」
冬月「……この世にはいないか。人の生き死には儚いものだな。死とは、突然訪れる」
ユイ「忍び寄る影に気がついていなかっただけです。先生ほど長生きされても死が恐ろしいですか?」
冬月「ふっ、年寄りには良い冗談だ」
ユイ「私はこわくはありません。ですが、志し半ばで死ぬのは辛い」
冬月「碇もそうだっただろう。まさか、キミの手で葬りさられるとはな」
ユイ「来世、というのは変ですが、またきっかけはあります。あの人の願いは、死の間際に私とシンジに託されました」
冬月「そうか、では少なからず救われたのかもしれんな……これからどうする」
ユイ「補完計画をよりはやく、そして完遂します。使徒の襲来を待つ必要はありません。彼ら個体が目指すべきはアダムであり、種の生存闘争がなくなればどうなるか……」
冬月「お手並み拝見させてもらうよ」
ユイ「先生には、夫の時と同様に私の右腕として補佐をして頂きます」
冬月「ああ、その為に俺を生かしておいたんだろう。それでは、行こうか」
ユイ「はい、よろしくお願いします」
6 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/06(土) 10:51:29.54 ID:SRPuRow50
【第三新東京都市第壱中学校 昼休み】
アスカ「えぇ〜〜〜⁉︎ 三号機ぃ〜〜⁉︎」
レイ「ええ」
アスカ「エヴァ三体が配備されてるのにまだ増えるのぉ⁉︎」
レイ「葛城一尉から連絡があった。セカンドチルドレンへの通達を指示されたから伝えただけ」
アスカ「やれやれね。使徒が来ないのにエヴァばかり増えてどうすんのよ。それでパイロットは? なんか言ってた?」
レイ「聞いてない」
アスカ「肝心なところでしょ! なんで聞かないのよ!」
レイ「言われなかったから。それともうひとつ、伝達事項がある」
アスカ「……はぁ、なに?」
レイ「司令が交代になった」
アスカ「は、はぁ⁉︎」
レイ「碇司令はアラスカに。後任になったのは碇ユイ司令だそうだよ」
アスカ「碇? ファミリーネーム?」
レイ「碇司令の奥さん。碇くんの母親」
アスカ「……そう。あいつのママって生きてるんだ。なによ、恵まれた環境じゃない」
レイ「詳しいことはネルフに行ってから。私達にも就任の挨拶があるそうよ」
アスカ「わかった。それで、シンジがまた学校にきてないのもそれが理由? 家族水入らずで談笑でもしてるのかしら」
レイ「碇くんについてはなにも……」
アスカ「それも言われなかったからってわけね」ガックシ
7 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/06(土) 11:08:08.79 ID:SRPuRow50
トウジ「シンジの話か?」
アスカ「なんであんたがしゃしゃりでてくんのよ」
トウジ「いや、妹からさっき連絡があってな。昨日、シンジが病室に帰ってきとらんみたいなんや」
アスカ「妹? 学校にわざわざ連絡してきたの?」
トウジ「ワイも驚いたんやが、えらい心配しとってのー。なんや様子がおかしいとこがあるっちゅうて、手を気にしとったそうや」
レイ「……」
アスカ「ちょっと待って。そもそもなんであんたの妹がシンジの状態知ってるの?」
トウジ「そら同じ病室に入院しとるからな。そんなにひどい怪我なんか?」
アスカ「そうなの? ……酷い感じには見えなかったけど? どうせママのおっぱい吸いたくて浮き足立ってたんじゃないの?」
ケンスケ「それより、さっきの三号機の話って本当か?」ズイ
アスカ「げっ、次から次へと」
ケンスケ「なぁ、パイロットってもう決まったのか? どうなんだよ?」
アスカ「あぁ、もう、うっとーしい! 決まってないか知らない!」
ケンスケ「……そうかぁ」
トウジ「なんでケンスケがそないなこと気にするんや?」
ケンスケ「いや、なんでも」
レイ「それじゃ、放課後。ネルフに」
アスカ「はいはい、了解。ほら、あんた達も散って、シッシッ」
トウジ「ち、ワシ達を犬猫と同じにすなっ!」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/06(土) 20:07:59.26 ID:SRPuRow50
【ネルフ本部 発令所】
マコト「……どうなってるんだよ……」
シゲル「あぁ……変だな」
マヤ「い、生きてたというのも驚きね」
冬月「お前達、新司令に対して失礼だろう」
マコト「し、失礼いたしました!」
ミサト「二点、質問をしてもよろしいでしょうか?」
ユイ「どうぞ」
ミサト「まず、今回の異動はあらかじめ決められていた? それとも……」
ユイ「……」チラ
冬月「……葛城一尉。上層部の決定は作戦司令たる君の与り知るところではない。立場をわきまえろ」
ミサト「失礼いたしました。では、次の質問ですが、資料によると碇司令は初号機に取り込まれたとあります。実験中の不幸な事故は、末端の職員ですら把握している有名な話です」
ユイ「ええ」
ミサト「しかし、碇司令は現にこうしてここにいらっしゃいます。この相違点についてご説明を求めます」
ユイ「それは、今後の円滑な業務内容に関わる質問?」
ミサト「いえ、個人的な質問です」
ユイ「仕事に関わる話でないのならば、差し控えてもらえると助かる。プライベートを詮索されるのは好きじゃないの」
ミサト「ですが、職員全体が困惑しているのも事実です」
ユイ「そう、全く関係ないとは言えないのね。であるならば、データを開示します。気になる職員は後で見なさい」
ミサト「……承知しました」
ユイ「私達の目的は使徒殲滅。皆、忘れないで。夫であろうと私であろうと、それは不変だということを」
マヤ「……」
ユイ「命をかける覚悟をもってここに立っています。あなた達が自分の仕事に誇りを持っているように、私も人類の為に働く一員なのです」
マコト「……」
冬月「彼女の能力については、私が保証しよう。碇に負けず劣らずのキレものだよ、敬うようにしたまえ」
ミサト「(そのようね)」
ユイ「では、バタバタして申し訳ないけど、赤木博士」
リツコ「はい」
ユイ「最初の命令になります。零号機を現時点をもって凍結」
ミサト「と、凍結っ⁉︎ 待ってください! 零号機はようやく予備のパーツを換装し終えた所で!」
リツコ「指示に従います」
ミサト「リツコっ⁉︎」
リツコ「ミサト? 副司令のお言葉を忘れたの? 最初から命令違反を犯すつもり?」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/06(土) 20:19:00.12 ID:SRPuRow50
ミサト「命令違反なんかするつもりはないわ! 必要な戦力でしょ⁉︎」
ユイ「……葛城一尉も三号機が配備される話は聞いているわね」
ミサト「はい」
ユイ「アメリカ側がなんと言おうと、過剰な戦力にはかわりない。周辺国からの反発を抑える為、建前上だと思ってくれる?」
ミサト「では、使徒が襲来した有事の際には解除されるのでしょうか?」
ユイ「投入やむなしと判断した場合にはね。その采配は、作戦司令たるあなたに一任します」
ミサト「なぜ、零号機を? それなら三号機でもよろしいのでは」
ユイ「零号機はプロトタイプ。試作品なのよ、弐号機で完成したエヴァシリーズの後継機が三号機」
リツコ「なるほど、研究の為にもデータを取るならば三号機の方が都合が良いというわけですわね」
ユイ「その通り、他に不明な点は? 葛城一尉」
ミサト「いえ、ありません……取り乱してしまい、失礼いたしました」
ユイ「以上よ、業務をはじめなさい」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/06(土) 20:55:55.91 ID:SRPuRow50
【1時間後 ネルフ本部 テラス】
シゲル「しっかし、あの見た目で碇司令の妻とは信じられないねぇ」
マヤ「たしかに。若作りしてるっていうメイクでもないみたいだけど」
シゲル「あれは着痩せするタイプだぜぇ? 服の下はけっこうなボインと……」
マヤ「う、不潔」
マコト「だけど、やっぱり妙じゃないか?」
マヤ「そう?」
マコト「公開されたデータに目を通してみたけど、サルベージに成功していたとあるだろ?」
マヤ「ええ」
マコト「こんなの伏せておいた目的はなんだ? エヴァに取り込まれて生還した事例も初だが、研究としても歴史に残る成果だろ?」
マヤ「だからこそ非公開にしておいたんじゃない?」
マコト「どういう意味だ?」
マヤ「MAGIもそうだけど、重要な情報はほとんど開示されてないじゃない。多くに知らす必要はなく、水面下で研究すると判断されたのよ」
マコト「そうかなぁ……」
ミサト「好意的な受け取り方ね」
マコト「か、葛城さん」
ミサト「昼食中にごめんなさい。私も相席させてもらっていい?」
シゲル「……まぁ、俺たちは」
マヤ「どうぞ?」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/06(土) 21:13:16.46 ID:SRPuRow50
マヤ「ここのラーメンおいしいですよね」
ミサト「え? ええ、そうね」コト
マヤ「私、味噌ラーメンが好きで」
マコト「マヤちゃん」
マヤ「あ、ごめんなさい。なにかご用件があるんですか?」
ミサト「かまわないわ。私もさっきの話に加わりたかっただけだから」
マコト「と、いうと、新司令の話ですか?」
ミサト「ちょっち、気になるのよ。あまりにも用意周到すぎない?」
マヤ「人事ですか?」
ミサト「ええ。それもあるけど、業務の引き継ぎに関しても、堂々としすぎてるというか」
マヤ「私はそうは思いません。ネルフの代表ですから、有能であるのは当然だと考えます」
ミサト「……そうね」
マコト「素性に何点か疑問が残るのを除けば、経歴については文句のつけようがありませんよ。ネルフ創設者の一人ですし、エヴァ研究の第一人者でもあります」
シゲル「加えて、副司令の口添えもあるんすから」
ミサト「だぁっ! 私の考えすぎかしらん?」ガシガシ
マヤ「なにか、他に気になる所でも?」
ミサト「うまく説明できないけど、女のカンよ」
マコト「またですか……」
ミサト「そーよ。でもね、なんかヤバそうな気がする」
シゲル「やばいって言ったって使徒が来るのが一番やばいっすよ」
ミサト「そう……なんだけどねぇ」
12 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/06(土) 21:55:21.54 ID:SRPuRow50
【ネルフ本部 ラボ】
ミサト「お邪魔してるわよん」
リツコ「……サボるなら自分のデスクを使ったら?」
ミサト「まぁまぁ。勝手知ったるなんとやら、でしょ?」
リツコ「親しき仲にも礼儀あり、とも言うわよ。不在の時に勝手に入られるのは勘弁願いたいわね」
ミサト「新しい司令についてなんだけどさ」
リツコ「ふぅ、どうせそのことだろうと思ったわ」
ミサト「さっすがリツコ。私の内心を察するのがお上手」
リツコ「怪しい点は見受けられないわよ」
ミサト「……ふぅん……」
リツコ「情報の開示は既に目を通しているだろうけど、あとは時間が解決してくれる」
ミサト「行動で見ろってこと?」
リツコ「ミサトの抱く不信感は状況の変化に対する戸惑いでもあるのよ。ついていけない、と言ったら正しいかしらね。そうならないように事前に周知されればよかったけど、今回はそうじゃなかった」
ミサト「……」ギシ
リツコ「私たちは仕事をしているのよ。納得できることばかりだと思わないで。組織というのは有り体にそういうものでしょう?」
ミサト「そうね……」
リツコ「新参者は基盤が不安定だわ。多くの職員が彼女の性格や方針を真に理解しているとは言えない、それがわかるのは、もっと時間が必要。あなたに限った話ではなくてね」
ミサト「うぅん」
リツコ「葛城一尉。いたずらに邪推するのはやめなさい。あなたと新司令が対立すれようであれば、部下に不安をひろげるわ」
ミサト「……そうよね、わかった」
13 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/06(土) 22:21:10.03 ID:SRPuRow50
【ネルフ本部 第三ゲート前】
アスカ「よっと」カシャ
シーン
アスカ「……あれ?」カシャカシャ
アスカ「ちょっと? なんで反応しないのよこれぇ⁉︎ このカードキーぶっ壊れてんじゃないのぉ⁉︎」
ユイ「そのカードキーじゃ開かないわよ」ピッ
アスカ「……えっと」
ユイ「はじめまして。お母さんそっくりね」
アスカ「誰?」
ユイ「あなたの母親の古い友人よ」
アスカ「ママのっ⁉︎」
ユイ「行きましょうか、新司令の元に案内するように言われてるの」
アスカ「待って! ママの古い友人ってどういうこと? ママを知ってるの⁉︎」
ユイ「ええ。知ってる、一緒に研究していたんだもの」
アスカ「はん、それじゃあ、ママを軽蔑してるのね」
ユイ「どうして?」
アスカ「どうして⁉︎ 大人達は私を哀れんだわ! ママは頭がおかしくなったって! みんなが同情の視線を向けてきた!」
ユイ「私はそう思ってない。キョウコは頭の回転がはやく、聡明な女性よ」
アスカ「嘘よ! 甘い言葉を囁いて信じさせようして結局、パパもママを見捨てたわ!」
ユイ「あなたは見捨てなかったの?」
アスカ「見捨てるわけない! ママを辞めないでほしかっただけ!」
ユイ「……危ういバランスで成り立っているのね、あなた」
アスカ「カードキーちょうだい!」バシ
ユイ「あっ」
アスカ「新司令には挨拶する! もう二度と会わないことを願うわ! じゃあね!」タタタッ
ユイ「……ふぅん……」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/07(日) 13:44:42.05 ID:kyb7lV9bO
基地司令とパイロットが親子で、司令の後継が前司令の妻とか。
実際にはゼーレの支配なんだが、それを知らないほぼ軍隊組織では現場は納得しないだろうなあ。
傍目から見て碇親子の私物化と見られてジュレ旗揚げコースでもおかしくない
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/07(日) 14:30:32.42 ID:I378UD5Q0
そんな邪推をしようものなら、急な転勤が命じられるか
それともそんなことを考える人間はそもそもネルフに入れないのか
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/07(日) 15:21:52.73 ID:On01zewCO
一族経営は実際にやってる会社も多いからな
ネルフは軍隊組織ではなく技術者集団だぞ
だから旧劇場版で戦自に歯がたたず一方的に殺されまくった
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/07(日) 15:48:25.67 ID:GYhpK7rWO
たとえ私物化が事実としても政府や世界各国の認可を受けてる以上、旗上げなんかしたら反逆罪でしょ
ゼーレが裏にいることを知らなくても戦自と協力体制にあることや政府と連携してるのは在籍してればわかることだ
多少もやもやはするかもしれんが選出自体に文句言えるのなんていないんじゃね
問題は地位に見合った能力であるかどうかだろ
18 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/07(日) 22:48:52.98 ID:vZoag1F80
【ネルフ本部 エレベーター内】
ミサト「アスカ、機嫌悪いの?」
アスカ「別に。司令って更迭になったの?」
レイ「……」
ミサト「詳しい理由についてはわからない」
アスカ「どうして?」
ミサト「……そうね。特務機関ネルフは、軍隊でも民間企業でもない。でも規則や階級は重んじているの、発令には絶対遵守。さしたる例としてはこれがある」
アスカ「……」
ミサト「ネルフの前身は研究所だったと聞いてるわ。軍隊色が濃くなったのはセカンドインパクトと使徒のせい。各国政府による後ろ盾によって強固な地盤になっていったの」
アスカ「……」
ミサト「だから、一国が内部事情に口を挟むことは禁じられてる。さらに上の各国代表団、ゼーレという組織に決定権がある」
アスカ「軍隊でいいのに。ミサトの襟にだって階級章のピンバッチついてるじゃない」
ミサト「私たちは戦争をするための軍隊じゃない。あくまで対使徒用の集団なのよ。職員の多くは、拳銃の射撃訓練を受けていても、実際に人を撃った経験はない、だから、銃器の扱いについては戦自に協力をしてもらってる」
アスカ「要するに前司令の異動については機密扱いってこと?」
ミサト「そうじゃない、すこし、ややこしい話になるけど、普通の企業だって異動については辞令がでるだけ。理由についてまで説明されるなんて通常はなかったりすんのよ」
アスカ「結局、サラリーマンみたいなものね、なんだか現実的で嫌な感じ」
ミサト「幻滅した?」
アスカ「すこしね。軍隊を動かす力があるのに、組織の内部は民間と変わらないなんてさぁ」
ミサト「民間と軍隊の融合体みたいなものね。使徒に関係すると判断されれば、外部に対して影響力や発言力はかなりのものよん?」
アスカ「わかってるわよ。弐号機運搬の時に連合軍の艦隊を護衛にしてたじゃない」
19 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/07(日) 23:05:30.26 ID:vZoag1F80
アスカ「新司令ってどんな人?」
ミサト「初対面の印象はそうね、柔らかい人ってところかしら」
アスカ「もっと具体的なのないのぉ?」
ミサト「前の碇司令よりはとっつきやすそうって感じ?」
アスカ「あの人以上だったら驚くわよ……。経歴は?」
ミサト「データによると、エヴァの開発責任者はリツコだけど、システムを作りあげたのは現司令みたい。自分自身が率先して実験台になったり、貢献については計り知れないわ」
アスカ「あぁ、そういえば取り込まれたっていうの?」
ミサト「この業界では有名な話よね。まるで悲劇のヒロインだもの」
アスカ「よく戻ってこれたわね」
ミサト「サルベージ計画が成功していたらしいの。なんで伏せてあったのかは機密扱いだけど」
アスカ「……」
ミサト「もし、アスカやレイが取り込まれたとしても帰ってこれる方法が見つかってよかったわね」
アスカ「うげっ、そんなのないほうがいいんですけどぉ」
ミサト「もちろんないにこしたことはないわ。だけど、万が一って話もあるし、暴走されたら制御は難しいのよねぇ」
アスカ「赤木博士よりエヴァに詳しい人か」
ミサト「そ。さ、そろそろ執務室のあるフロアにつくわ。失礼のないようにね」
20 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/07(日) 23:19:03.13 ID:vZoag1F80
【ネルフ本部 執務室】
ミサト「失礼します。セカンドチルドレンとファーストチルドレンの両二名を連れてまいりました」
冬月「ごくろう、下がっていいぞ」
ミサト「はっ!」ビシッ
アスカ「ちょっと、帰っちゃうの?」ぼそ
ミサト「とって食われたりはしないわよ。いつも通りやんなさい」ポン
アスカ「はぁ……」
冬月「葛城一尉、どうした?」
ミサト「いえ! では、失礼いたします」スタスタ
冬月「パイロット両二名は近くに来たまえ」
アスカ&レイ「はい」
冬月「此度、司令が交代となった。前司令であるゲンドウ氏はアラスカで調査を開始している。新司令は彼の妻であり、ネルフに多大な貢献をしているユイ氏が就任した」
ユイ「……どうも」ギシ
アスカ「いっ⁉︎ あ、あ、あ、あ」パクパク
レイ「……」
冬月「セカンドチルドレン。なにを驚いている?」
アスカ「だ、だって、さっき」
ユイ「騙すつもりはなかったんだけど、改めてよろしく。あなた達パイロットには人類の希望として期待しています」
21 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/07(日) 23:39:11.82 ID:vZoag1F80
アスカ「……了解」
ユイ「どうしたの? 最初みたいにくだけた態度でもかまわないわよ?」
冬月「ユイ君、それでは他に示しが」
ユイ「この子達はパイロットですわ。それにまだ中学生でもあります。上下関係については多少、容赦してあげましょう」
アスカ「……馴れ合いは必要ないわ。私は私のやるべきことをやる、それだけよ」
ユイ「やるべきはエヴァに乗るだけ?」
アスカ「はぁ?」
ユイ「今言ったけど、あなたは中学生でもあります。エヴァに乗るばかりで他を疎かにしないように」
アスカ「ぶっ、あたしはこれでも大卒なのよ! 資料読んでないの⁉︎」
冬月「口のききかたに……」
ユイ「いいんです、先生」スッ
アスカ「……」
ユイ「なにも勉強ばかりが全てじゃないわ。たくさん遊び、友達を作り、恋をしなさい。必要な経験よ」
アスカ「それも命令?」
ユイ「斜めに構えないで、あなたの母親の古い友人として言っているだけ。おばさんのお節介ね」
アスカ「公私混同してるんじゃないの? ママの話題はだされたくない」プイ
ユイ「……そっちの子は、綾波レイね?」
レイ「はい」
ユイ「身体の調子はどう?」
レイ「赤木博士に診てもらっています。問題ありません」
ユイ「そう。二人ともよく聞いて、私は前司令の妻であり、サードチルドレンの母親でもあります」
アスカ「……」
ユイ「しかし、職務に関して血縁は一切関係はありません。エヴァパイロットとしての義務を果たしなさい」
アスカ「ふん、そうは言ってもシンジを特別扱いするんじゃ?」
22 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/08(月) 00:15:55.59 ID:NZkIySs50
ユイ「立場は理解しています。ナナヒカリ扱いはしないと約束しましょう」
アスカ「……」
ユイ「口約束だけでは信用できない? なら、こうしましょう。副司令、セカンドチルドレンのシンクロ率は?」
冬月「50前半だ」
ユイ「……70にまで高めることができれば、私の権限で希望をひとつ叶えてあげます」
アスカ「もので釣ろうって魂胆?」
ユイ「私としても良い成績を望んでいるし、あなたにとっても悪い話ではないはずよ。なにもないよりは」
アスカ「……いらない。私はプライドを持ってエヴァに乗ってるのよ、良い成績を残し、エースパイロットでいたい。それがなによりの褒美だわ」
ユイ「誰に褒められたいの?」
アスカ「……」ピクッ
ユイ「あなたの母親はもういないのよ」
アスカ「やめて、聞きたくない」
ユイ「……いいわ。もし、希望を思いついた時にほしくなったら言ってちょうだいね。ただし、好調を維持しているのが条件。台風と同じで最大瞬間風速だけ高めても意味はないからそのつもりで」
冬月「ユイ君、そろそろ」
ユイ「ええ。二人とも、下がっていいわ」
アスカ&レイ「……了解」
23 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/08(月) 15:39:48.23 ID:NZkIySs50
冬月「じゃじゃ馬め、可愛げのないやつだ」
ユイ「ふふ、あの年頃の子は思春期が重なっています。色々、繊細なんですよ」
冬月「レイはともかくとして、セカンドチルドレンの資料は事前に把握してあるのだろう?」
ユイ「ここに」パサ
冬月「では、なぜトラウマをつつくようなマネを?」
ユイ「赤木博士がまとめてくれた書類は簡潔明瞭、幼少期にあった母親の自殺。その目撃が、その後の人格形成に強い影響を及ぼしたと記載されています」
冬月「ああ」
ユイ「精神の脆さと危うい均衡のバランス、どれほどの拒絶を見せるのか、その確認をしたかったんです」
冬月「それで、ユイ君はどう見る?」
ユイ「想像以上の嫌がり方ですね……」
冬月「ふむ」
ユイ「あの子の大人への強い憧れは、幼い自分に対する嫌悪感の裏返しでもあります。最初はそれだけだったでしょう、しかし、いつしか嫌悪感は強迫観念へと変わり自身を追いつめはじめます」
冬月「では、それがエースパイロットに誇りという部分かね」
ユイ「成績は良いにこしたことはないですけど、エヴァの場合は違いますもの。A10神経で接続している以上、生身の人間では波がある。でも、あの子は不調な自分を許せない。なぜならば……」
冬月「今は亡き母親の影を追い求めているからか」
ユイ「……恐ろしいのでしょう、自分が必要とされなくなるのが。母親亡き後、残ったのは努力と虚栄心という拠り所。パイロット候補に選出された時、母親は喜んだそうですわ」
冬月「だが、パイロットに選ばれたからこそ、母親を死に追いやってしまった。コアにいるからな」
ユイ「キョウコがおかしくなってしまったのにも理由があります。どちらにせよ、あの子の運命です」
24 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/08(月) 15:52:01.66 ID:NZkIySs50
冬月「いっそ、母親がコアにいると打ち明けてしまったらどうだ?」
ユイ「面白い考えです。弐号機の覚醒、そして精神の安定化につながるでしょう。ですが、懸念がないわけでもありません」
冬月「なんだ?」
ユイ「先ほども申しあげましたが、エヴァはA10神経、つまり多幸感がシンクロの鍵です。数値を高めるには深く深く、一体感を求めコアに近づかなければなりません」
冬月「潜りすぎるのか?」
ユイ「歯止めがきかなくなれば、取り込まれるのみ。つまり、数値が高くなるにつれてその危険深度に近づいていくのです」
冬月「諸刃の刃か」
ユイ「L.C.Lには麻薬に似た成分が入っています。あくまでも補助的にですが、いずれ身体に害をなすことも」
冬月「……わかった、判断はユイ君次第だ。候補はあやつにするのか?」
ユイ「いえ、その点はまだ検討中です。私がほしいのはエースパイロットではない、英雄はいりません。ふさわしい伴侶です」
冬月「息子はどうしてるんだ?」
ユイ「そろそろ目を覚ましていてもおかしくないのですが……寝坊してるのかしら」
25 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/08(月) 16:17:58.01 ID:NZkIySs50
【シンジ宅 夢の中】
ゲンドウ「シンジ、起きろ」
シンジ「と、父さん⁉︎ ぼ、僕の身体、十三年前の時と同じ、子供の頃に戻ってる……はっ⁉︎ 待ってよ! どこに行くの⁉︎」
ゲンドウ「お別れだ」
シンジ「なんでだよ! 僕たち、ようやく、ようやく話はじめたところだったじゃないか! 僕がちゃんとできるか見なきゃいけないんじゃないの⁉︎」
ゲンドウ「すまなかったな」
シンジ「嫌だよ! 僕は父さんに褒められたかったんだ! こんなの、はやすぎるよっ!」
ゲンドウ「俺に縋るな、後ろを振り返るのはいつでもできる。今は前に進め」
シンジ「消えないで! お願いだよ! 僕は父さんがいなきゃ目的がまたわからなくなっちゃうんだ! だから、お願い!」
ゲンドウ「ふ、こんな嫌われ者の父親でもか」
シンジ「そんなの関係ないよ! 僕にとっては父さんなんだ!!」
ゲンドウ「その情熱を、まわりに向けろ。いなくなってしまった喪失感に耐えきれず、勘違いしているだけだ」
シンジ「と、父さん……」ポロポロ
ゲンドウ「十三年前も、蝉が鳴いていたな」
シンジ「どうしてだよ」
ゲンドウ「顔を上げろ。前を向け、最後に俺はお前に賭けた。どういう結果になってもいい。後悔はするなよ」
シンジ「……ぐす、父さんは、後悔してないの?」
ゲンドウ「していないというとウソになるが、信じた道を突き進んできたこと自体に間違いはないと今でも思っている。人は迷いながらも正しいと思う道を選ぶしかないのだ」
シンジ「僕には、難しくてわからないよ」
ゲンドウ「いずれわかる時がくる。いや、受け入れられる時がな」
シンジ「大人って、なんでもわかるんだね」
ゲンドウ「目の前だけに捉われすぎるな。わかったな」
シンジ「うん……」
ゲンドウ「さぁ、もう起きろ」
26 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/08(月) 16:35:45.06 ID:NZkIySs50
【シンジ宅】
シンジ「父さんっ!」ガバッ
ミーンミンミンミンミーン……
シンジ「……蝉の鳴き声、ここは、アパート? そうか、あの後、僕は気絶して……」
ゲンドウ『ユイ、シンジを頼む』パァンッ
シンジ「うっ」バタバタ
シンジ「げぇっ……うぇぇ……」ビチャビチャ
カヲル「……大丈夫かい?」
シンジ「はぁ、はぁ……き、きみは……うぇぇっ!」
カヲル「胃の中にあるものは全て吐き出すといい。とてもショックな光景だっただろう?」
シンジ「ふーっ、ふーっ」
カヲル「そんなに死にそうな顔をしないで。やはり、純粋なんだね、キミは」
27 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/11(木) 09:52:40.59 ID:WFuBBOSl0
シンジ「う、うぷっ」
カヲル「吐けるものがなくなったようだ。胃液しかでなくなってるね」
シンジ「……はぁ、はぁ……」
カヲル「水でうがいをするといい。口の中に匂いが残っているとまた吐き気がせりあげてくるよ」スッ
シンジ「あ、ありがとう……」
カヲル「お安い御用さ。少しは落ち着けそうかい?」
シンジ「……ん……おかげさまで。君は、たしか」
カヲル「カヲルだよ、シンジくん」
シンジ「……カヲルくんは、どうしてここに」
カヲル「お父さんのところに向かったシンジくんのことが心配でね、様子を見にきたところだったんだ」
シンジ「なんで、僕がここに住んでるのが?」
カヲル「ネルフの関係者だから。といっても、僕が関係するのはゼーレだけど」
シンジ「……そっか」
カヲル「ゼーレを知ってる?」
シンジ「知らない。けど、そんなことはどうだっていいんだ。僕がわからないなんてたくさんあるから」
カヲル「急すぎた父親の死。それはシンジくんにとって理解できない現実ばかりだっただろうね」
シンジ「父さんは、なんで死ななくちゃいけなかったんだろう」
カヲル「辛い?」
シンジ「つらいよ。僕は、父さんのことがこわかったんだ。向き合うにもどうしたらいいか、わからなくて。だけど、かまってほしかった」
カヲル「世間的に良い父親ではなかったようだけど、シンジくんは父親を追い求めていたんだね」
シンジ「父さんは、不器用なだけだったんだ。いなくなってしまうと、もう会えないとわかると、もっと他になにかできたんじゃないかって思う」
カヲル「……ボクは、君に会うために生まれてきたのかもしれない」
28 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/11(木) 10:14:35.64 ID:WFuBBOSl0
【ネルフ本部 エスカレーター】
アスカ「嫌なやつ、嫌なやつ、嫌なやつ、嫌なやつ!」ズンズン
レイ「……」
アスカ「あれのどこがとっつきやすい感じだってのよ⁉︎ いちいち癪にさわる言い方しちゃってさ! ねぇ、そう思わな……」
レイ「……なに?」
アスカ「……あんたに言ったところで無駄よね……」
レイ「……」
アスカ「はぁ、司令が変わるのはいいんだけどさぁ、なんでこうめんどくさいんだろ。シンジって恵まれてるわよね」
レイ「碇くんが?」
アスカ「だってそうでしょ。前の司令は性格に難ありだったけど、父親だし。次の司令も嫌なやつだけど、母親だし」
レイ「家庭事情は、一見だけじゃわからないわ」
アスカ「両親が健在だってだけで贅沢よ。嫌な思いをするとしても、親がいるからできる……私のママは、もういないのに」
レイ「……私は、碇くんはかわいそうだと思う」
アスカ「はっ、人形のあんたがどういう理由があってそう言うのよ」
レイ「碇くんは、生き方を強いられているから。私と同じ」
アスカ「シンジが?」
レイ「ええ。選択肢をあたえられているようで、実際は誘導され、ひとつしか選ばせてもらえていない」
アスカ「……なんの話?」
レイ「流れの話」
アスカ「わっけわかんない。それって神の選択肢みたいね」
レイ「神?」
アスカ「あー、選択肢をあたえられてるようで、ひとつしか選ばせてもらえてないってやつ。神様はね、いつもそうなのよ」
レイ「……?」
アスカ「汝、主を愛せ。これが根底にあるの。だからどの選択肢を選んでも、神様は尊いになってしまうのよ」
レイ「……そう」
アスカ「ま、シンジが迫られてる選択肢なんて夕飯の献立ぐらいの話ね」
29 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/11(木) 10:40:30.51 ID:WFuBBOSl0
【ネルフ本部 第一開発部技術室】
マヤ「よいしょっと……」パタン
リツコ「マヤ、お疲れ様」
マヤ「あ、先輩。めずらしいですね、ラボにいかないでここに寄るなんて」
リツコ「様子を見にね」
マヤ「嬉しいです。それに、少し安心しました」
リツコ「安心?」
マヤ「なんだか、最近の先輩を見てると張りつめている雰囲気を感じたので」
リツコ「……」
マヤ「でも、大丈夫みたいですね、私の取り越し苦労だったのかな」
リツコ「誰にでもそういう波はあるものよ。マヤでも私生活に限らず、仕事でストレスがたまるのってあるでしょ」
マヤ「はい、そう、ですね」
リツコ「……以前話した、シンジくんのアルバイトの件、いいかしら」
マヤ「あ、その件ですか……」
リツコ「命令ならば引き受けると言ったわね」
マヤ「はい……たしかに、言いましたが」
リツコ「納得はできないでしょうけど、まずはお試し期間だけでもいいから受け入れてもらえない?」
マヤ「……はい」
リツコ「なにかあれば報告して。できるだけ対応できるようにさせてもらう」
マヤ「あの、いつからなんでしょうか?」
リツコ「質問に質問で返すけど、なぜ?」
マヤ「男の子に部屋を見られるので。ちょっと片付けをしておこうかなと……」
リツコ「シンジくんの仕事を奪うつもり?」
マヤ「いえ、そんなつもりは」
リツコ「ある程度散らかしておきなさい」
マヤ「あぁ、はい……了解」
リツコ「司令から指示があったら伝える。それまではいつも通りで」
マヤ「はい、わかりました。あの、先輩」
リツコ「なに?」
マヤ「シンジくんって、私物、漁ったりしませんよね……?」
リツコ「……ふぅ」
30 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/11(木) 18:10:07.06 ID:WFuBBOSl0
【第三新東京市内 教会】
神父「あのような子にこそ、手を差し伸べなければ」
修道女「ですが、なんだか、気味が悪くって。私、こわいんです」
神父「はぁ……どうしろと言うんです」
修道女「ご存知のはずです。あの子の赤い瞳はなに吉凶を孕んでいます」
神父「私は、まだ諦めたくはありません」
修道女「先延ばししているだけでは?」
神父「例えあの子が誰の子でも、私たちは……」
カヲル「……ただいま」
修道女「ひっ」
神父「おかえり。遅かったじゃないか」
カヲル「友達を連れてきたんです。上がらせてもいいですか?」
神父「友達? 君が?」
シンジ「……」こそっ
修道女「あら」
神父「そうだったか……何もない寂れた教会だが、ゆっくりしていってくれ」
シンジ「……はい」
カヲル「ありがとうございます、神父さま」
神父「私たちは失礼するよ。さ、早く君もこちらに来なさい」
修道女「は、はい」
31 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/11(木) 18:20:03.47 ID:WFuBBOSl0
シンジ「さっきの人たち、なんだか、よそよそしかったね」
カヲル「……」
シンジ「カヲルくんは、ここにすんでるの?」
カヲル「そうだよ。僕はここの屋根裏部屋を使わせてもらってる」
シンジ「そっか。大変、みたいだね」
カヲル「そうでもない。大変なのはあのヒト達の方さ」
シンジ「そうなの?」
カヲル「ヒトは理解できないものを恐れるからね。ボクという超常的な存在を受け入れようとすればするほど、恐ろしいんだよ」
シンジ「え……?」
カヲル「シンジくん、あれを見てごらん」
シンジ「あれって……」
カヲル「そう、十字架に磔にされたままの聖人。ヒトは生まれながらにして罪を背負ってしまう」
シンジ「……」
カヲル「死によってでしか罪を浄化できないんだ。生き続ける限り罪を犯してしまうからね」
シンジ「救いだって言いたいの?」
カヲル「……そう言ってるのはボクじゃない。死という概念から逃れたいヒト達さ」
32 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/11(木) 18:39:15.22 ID:WFuBBOSl0
カヲル「シンジくんは父親の死に悲しいという感情を持った」
シンジ「……うん」
カヲル「だけど、ヒトはいつか死ぬだろう?」
シンジ「そ、そうだけど」
カヲル「ほしかったのかい? 寂しい時、反芻できる思い出が」
シンジ「誰だって、突然の不幸には悲しむよ」
カヲル「どうやって乗り越えるの? 加持リョウジや母親に対してどう接する?」
シンジ「そ、それは」
カヲル「シンジくんはまだ、割り切れていない。だから、ボクについてきたんだろう。大人達に対する不信感が強くて」
シンジ「……」
カヲル「思い出がほしかったと素直になればいいのに、自分自身が、純粋に悲しい気持ちだけではいられなくなるからだろう?」
シンジ「……違う」
カヲル「寂しさを埋める為、父親を利用しようとしていた。縋り、泣きつきたかった自分を認められないんだ」
シンジ「違うっ!」
カヲル「手をかして」スッ
シンジ「……な、なに……?」
カヲル「ふぅー……心臓の鼓動が、わかるかい?」
シンジ「う、うん」
カヲル「心の壁は見えないものだ。殻に閉じこもるか、勇気をもって開くか。シンジくん次第だよ」
シンジ「……わからないんだ。誰を信じたらいいのか」
カヲル「こわいんだね」
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/11(木) 19:14:35.82 ID:nhMHv0MpO
ちょっと待てや
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/11(木) 19:26:45.34 ID:pGd3lc1HO
誤爆なら誤爆と書いてけ
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/11(木) 19:38:13.52 ID:3EOQRUhco
まだ慌てる時間じゃない
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/11(木) 19:45:51.55 ID:cRJ4hXixO
この展開は、まさか、ホモォ
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/11(木) 20:52:19.26 ID:E3EH4VX/o
アンケートの結果、カヲルくんとなりました!
38 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/11(木) 22:45:19.08 ID:WFuBBOSl0
シンジ「そう、なのかな」
カヲル「シンジくんの手にあるアダム。そしてボクはいずれひとつになれなければならない」
シンジ「ひとつに?」
カヲル「生と死は等価値なんだ。ボクにとってはね」
シンジ「カヲルくん、キミがなにを言ってるかわからないよ……」
カヲル「お願いだよ。シンジくん、いつかキミの手で、ボクを殺してくれ」
シンジ「や、やめてよ!」バッ
カヲル「ボクはね、いずれ滅ばなければならない運命にある。そうしなければ、人類が滅んでしまうんだ」
シンジ「……もうたくさんだ」
カヲル「救いは誰しもに訪れる。シンジくんに会えた、それがボクにとっての救いであるように」
シンジ「みんな意味がわからないよっ! なんで、なんで僕にばっかり押しつけるんだよ……押しつけないでよ……」
カヲル「……」
シンジ「誰か、誰か、優しくしてよ……」
カヲル「シンジくん」スッ
シンジ「もういいよ!」バチッ
39 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/11(木) 23:02:30.15 ID:WFuBBOSl0
カヲル「……行っちゃったか」
ピリリリリ ピッ
カヲル「はい」スッ
ユイ「ファーストインプレッションは失敗したみたいね」
カヲル「……」
ユイ「監視がついてるのを忘れてない? 一部始終はモニタリングさせてもらってたわ」
カヲル「すみません」
ユイ「あなたはシンジの為に存在するのよ。あなたもそれが身に染みてわかったはず」
カヲル「はい。ボクは彼の為にいます」
ユイ「アダム本体に対する帰省本能は抗えるものではない。わかっていると思うけど、必ず、シンジに殺されなさい」
カヲル「わかっています。どちらにしろボクは死ぬ。ゼーレかシンジくんならば彼の手にかかって死にたい」
ユイ「良い返答です」
カヲル「次はなにを?」
ユイ「まだ嫌われたわけではないわ。電話を切ってすぐに追いかけなさい」
カヲル「わかりました」
ユイ「タブリス。ヒトの心を学ぶと同時に、あなたにも救いがあると願っています」
カヲル「……」ピッ
カヲル「勝手だね。シンジくんの気持ちが少しわかった気がするよ」
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