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シンジ「アンケート?」完結編
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95 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/29(月) 19:04:23.59 ID:XIK0BrDd0
【シンジ宅】
ピンポーン
シンジ「……」ノソ
ピンポーン
シンジ「……」チラ
ピンポーンピンポーン
シンジ「……しつこいな」
ピンポピンポピンピンピンピンポーン
シンジ「なんなんだよもう! 誰だよ連打してるの!」バタバタ
ピンピンピンピンピンピンピンピンピンピンピンピン
ポーン
シンジ「うるさい! でるよ! でる!」ガチャガチャ
アスカ「……なによ、いるんじゃない」
シンジ「……アスカ?」
アスカ「はぁ、ったく。いるならさっさと出なさいよ。この私様を待たせるなんてなに様のつもり?」
シンジ「そ、そんなに待たせたわけじゃ……」
アスカ「Shut up! あんたが一秒でも待たせるなんて数十光年はやいの。いい? わかった? わかってんの? バカシンジ」
シンジ「……はぁ」
アスカ「風邪でもひいたの? 顔が土色じゃない」
シンジ「いや……」
アスカ「そ、なんでもいいからいれなさいよ。女の子を玄関先に立たせておくつもり?」
シンジ「あぁ、ど、どうぞ」
96 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/29(月) 19:15:59.94 ID:XIK0BrDd0
アスカ「なにこれ、荷解きも全然進んでないの? あんた、なにやってたのよ」
シンジ「あ……」
アスカ「カーテンも閉め切っちゃってさあ。陰気くさい。あけるわよ」シャ
シンジ「う、まぶし」
アスカ「体調が悪くてもお日様は浴びるようにしときなさい。循環サイクルが崩れるから」
シンジ「う、うん」
アスカ「きったな。こんな埃ぽい部屋によく女の子あげられたわねぇ」
シンジ「アスカが勝手にはいってきたんじゃないか」
アスカ「いつ来てもいいように清潔感を保っておけって言ってんのよ。あいかわらずバカね。……窓、割れてるわよ?」
シンジ「いや、その、ちょっと」
アスカ「破片大丈夫なの?」
シンジ「えっと、たぶん。近づかなければ」
アスカ「あんた、私が立ってる場所、見えてないの?」
シンジ「うん、窓際に立っちゃってるねぇ……」
アスカ「刺さってたらどうしてくれんのよっ! もぉ! あんたから家事をとったらなにも残らないんだからしっかりしなさいよぉ!」
シンジ「……とりあえず、そこは危ないからこっちにおいでよ」
アスカ「その布団のところ?」
シンジ「警戒しなくても、そんなに不潔なわけじゃないよ」
アスカ「変な匂いしたら首絞めるわよ」
シンジ「わかったよ。とにかく、そこホウキではくから。それまではこっちで」
97 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/29(月) 19:27:35.99 ID:XIK0BrDd0
シンジ「……」サッサッ
アスカ「……なんで、学校に来なかったの? 熱?」
シンジ「……」サッサッ
アスカ「鈴原たちが心配してたわよ。聞いてる?」
シンジ「うん、聞いてるよ」トントン
アスカ「ちょっと痩せたんじゃない? 倒れてたの?」
シンジ「色々、あったんだ。アスカは、なにも知らないんだね」
アスカ「……?」
シンジ「いいんだ。今はそのほうが安心できるから」
アスカ「よくわからないけど、ミサトには報告しときなさいよ」
シンジ「ありがとう、アスカ。いつも通りでいてくれて」
アスカ「なにが?」
シンジ「わからなくていいんだ。僕がお礼を言う意味をわからないのがいいんだ」
アスカ「び、病院、いく?」
シンジ「いや、そんなんじゃないよ。なんだか、アスカと久しぶりに会った気がする。もっとアスカと話したい」
アスカ「は、はぁ?」
シンジ「アスカは嫌? 僕と話するの」
アスカ「な、なに言いだしてんのよ」
シンジ「自己完結してばかりだったから、話相手がほしいんだ」
アスカ「はぁ、なんだか調子くるっちゃうわ。あたし、お昼途中で抜けてきたからお腹すいた」
シンジ「……?」
アスカ「なんか作れって意味よ。バカシンジ」
98 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/29(月) 19:51:30.95 ID:XIK0BrDd0
シンジ「ペペロンチーノしか作れなかったけど」コト
アスカ「この部屋に必要なのはテーブルね」
シンジ「ダンボールをかわりにすれば……」
アスカ「あんたねぇ、引っ越したばかりだからしょうがないけど、そんなの続けてるようじゃドン引きされるわよ」
シンジ「どっちみち、僕の部屋に女の子なんか来ないよ」
アスカ「……は?」
シンジ「え?」
アスカ「あたしは女の子じゃないって言いたいわけね?」
シンジ「えっ! いや、だって、アスカは、たまたまっ」
アスカ「なにキョドってんのよ。そんなに頻繁に来るわけじゃないけどあんたはスキルがあるでしょうが」カチャ
シンジ「スキルって?」
アスカ「もぐもぐ……こふぇの」
シンジ「これって……料理?」
アスカ「んぐ……そうよ、あんたの作るものはまぁまぁおいしい。それは認めてあげる」
シンジ「それは、どうも」
アスカ「バイト先でもしっかりやんなさいよ」
シンジ「……アルバイト?」
アスカ「ミサトから連絡があった。その為に今日はわざわざきたのよ。もっと駅近なかったの? 駅からバスってさぁ」もぐもぐ
シンジ「ミサトさんが?」
アスカ「オペレーターのマヤ少尉のとこ。あんたはそこで家政婦」
シンジ「……そうなんだ、ミサトさんが……」
アスカ「ミサトも抜けてるところあるけど悪いやつじゃないし、善意でしょ」
シンジ「うん、そうだね」
アスカ「……」もぐもぐ
シンジ「……」
アスカ「……なにか喋りたいんじゃなかったの?」ごくん
シンジ「いや、おいしい?」
アスカ「まぁ……」カチャ
シンジ「そっか」
アスカ「……」もぐもぐ
シンジ「……」
アスカ「見られたままだとすっっごく食べづらい」
シンジ「あぁ、ごめん」
99 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/29(月) 23:34:39.97 ID:lePWPFtRO
細かい誤字脱字は気になるが話の組み立ては上手だね
100 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/30(火) 01:57:38.26 ID:gvwKSKzQO
シンジがいきなりヤク中になったのかと思ったわ
しかしミサトに近況知らせてないのは悪手だろ
101 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/30(火) 22:07:11.64 ID:yufY+DnN0
今日は書かないのでネタバレになりますがお答えします
つけいる隙がなく完璧なユイだと、ミサトだけが浮いたままになっちゃうんです
なんで、ユイはミサトを舐めているということになりますねこの時点では
舐めているので傲慢になりがちです
>>68
でそのあたりは少しわかるかと思います
今後の続きを読むとミサトの出番を含めてわかるかと思いますよ
102 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/30(火) 22:12:32.44 ID:m3H8UjUOo
日向も結構疑問を持ってるよね
この辺でなんとか一矢報いて欲しい所
103 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/31(水) 13:08:55.58 ID:KWmhRsomO
>>101
なるほど、ゲンドウも舐めてはいたが作戦に影響がでる程ではなかったな。
乙です
104 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/31(水) 19:54:46.24 ID:hvE3MKtb0
アスカ「ふぅ、ごちそうさま」
シンジ「……」
アスカ「……料理を作れるのはいいけど、その辛気臭い顔なんとかしなさいよ」
シンジ「……」
アスカ「喋るなら喋る。喋らないんだったら、わざわざ引き止めないでくれない? 食べた心地しないのよね」
シンジ「……アスカは」
アスカ「はぁ、なに?」
シンジ「大切だと思っている人との別れがきたら、どうする?」
アスカ「……」
シンジ「大切……僕にとって、かけがえのない人と別れなくちゃいけなかったんだ。僕は、その現実を受け入れられなくて」
アスカ「……なんかあったの?」
シンジ「うん、まぁいろいろ。たくさんのことが一度に起こって。いや、僕が知らなかっただけなんだろうけど」
アスカ「要領を得ないわね。なにも死んだわけじゃ」
シンジ「……」ピク
アスカ「……え? 誰か死んだ?」
シンジ「いや、あの、お世話になってた人が」
アスカ「そうなんだ……それってこっちに来る前の?」
シンジ「うん、ごめん。詳しくは話できないんだ、その、アスカに迷惑がかかるかもしれないから」
アスカ「……? あんたは、その人が亡くなったから学校に来なかったの?」
105 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/31(水) 20:05:03.84 ID:hvE3MKtb0
シンジ「納得できないんだ。なぜ死ななくちゃいけなかったのか、いきなりいなくなってしまった。僕は、自分が許せなくて、まわりも許せない。受け入れる為には時間が必要だって頭ではわかってるつもりなんだけど」
アスカ「……」
シンジ「この、胸に、どうしても。どうしても、気持ちが蠢いてしまって」ギュウ
アスカ「……なんで受け入れようとすんの?」
シンジ「え?」
アスカ「死んだ人は帰ってこない。それはどうしようもない。だけど、悲しんだっていいじゃない」
シンジ「……」
アスカ「あんたの心の中で生きていた証拠なのよ。悲しいのは。テレビのニュースで他人が死んで感情がわく?」
シンジ「……」
アスカ「そりゃ、まぁ、惨殺事件とかならかわいそうとか思うかもしれない。だけど、あんたはショックだったんでしょ? いなくなってほしくなかった」
シンジ「……うん」
アスカ「生きてきた人の証は、関わった人の中で生き続ける。私は、ママを忘れてなんかない」
シンジ「アスカのお母さん?」
アスカ「あんたは両親が健在だからわからないだろうけど」
シンジ「……」
アスカ「大切な人ってのに代わりはいないもんなのよ」
106 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/31(水) 20:16:56.82 ID:hvE3MKtb0
シンジ「こわい人で、目標でもあったんだ」
アスカ「……」
シンジ「認められたい、そう思ってた」
アスカ「だったら、簡単ね。その人に恥ずかしくない生き方をする。それだけよ」
シンジ「……」
アスカ「大事な人だと思うんなら、情けない姿を見せないようにしなさい。あんたの心の中では、その人はまだ生きてるんでしょ?」
シンジ「やっぱり、アスカはすごいね」
アスカ「私は、ママが大好きだっただけよ。この世の誰よりも」
シンジ「……乗り越えてきたんじゃないの?」
アスカ「ううん、乗り越えたっていうか……ってぇ、なんであんたにこんな話しなくちゃいけないのよ⁉︎」
シンジ「あ、あはは」
アスカ「ったく、今日は鈴原たちも心配してたし、ついつい引きずられちゃったじゃない!」
107 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/31(水) 21:07:20.94 ID:hvE3MKtb0
【ネルフ本部 執務室】
冬月「まったく、退屈せんな」
ユイ「戦自のバックについているのは、いうまでもなく政府です」
冬月「わかっている。ネルフ職員は組織という建前上納得させられても、外部はどうしようもない」
ユイ「政治にはとかくお金がかかるものですからね」
冬月「ああ。叩けば埃が出てくると踏んでいるのかもしれんな。ゼーレ、委員会の弱みを握られればこれ以上ない優位性がある」
ユイ「……将棋でもさされます?」
冬月「結構だ。キミと指しても面白くない」
ユイ「ふふ、たしかに私では相手になりませんね」
冬月「おごりはいつか、足元をすくわれるやもしれんぞ」
ユイ「承知しています。政府には餌をちらつかせましょう、食いつきやすいものを」
ピリリリリッ
冬月「……」ピッ
オペレーター「失礼いたします。葛城一尉が面会を希望されていますが」
冬月「今は忙しい。後にしたまえ」
オペレーター「しかし、サードチルドレンの件で緊急だと」
冬月「なに……?」
ユイ「通してちょうだい」
冬月「おい、まだ我々の話は……」
ユイ「先生、何事も焦りは禁物です。まずは、葛城一尉です」
108 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/05/31(水) 23:33:44.20 ID:hvE3MKtb0
ミサト「失礼いたします」
冬月「……」
ユイ「サードチルドレンになにかあったみたいね」
ミサト「三日ほど前になります。同チルドレンが付属病院に入院していたのをご存知でしょうか?」
ユイ「報告は受けているわ」
ミサト「……では、その後の行動については?」
ユイ「学校に行ってない、その件かしら」
冬月「(自ら話を切り出したか。葛城一尉は追求の出鼻を挫かれたな)」
ミサト「ご存知だったのですか?」
ユイ「ええ。逐一監視させているわけではないけど、把握した後、静観しています」
ミサト「パイロット管轄は私の責務では? 連絡して頂かないと困ります」
ユイ「……葛城一尉」
ミサト「はっ」
ユイ「私はまだ、就任して間もない。言い訳になるかもしれないけど、私たちはお互いをよく知るべきではない?」
ミサト「どういう意味でしょうか。発言の真意がわかりかねます」
ユイ「誤解のないよう、お互いにスムーズに取り組める環境を作り上げたいの。もちろん、上下関係は尊重してもらうけど」
ミサト「……司令の発令は遵守いたします。我々は使徒殲滅という任務がありますので」
ユイ「そう……。答えはNOなのね。残念」
ミサト「碇シンジくんについて説明を求めます」
ユイ「……心身ともに疲労していると判断して様子を見ています」
ミサト「私個人としては、そのような状態であるという認識はありませんでしたが……問題でも?」
ユイ「ええ。若いから、悩みも多いのよ」
ミサト「いつ判断されたのでしょうか?」
ユイ「ふふ、まるで尋問ね。副司令」
冬月「気になるのならば報告書にまとめておく」
ミサト「……お手数おかけします」
109 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/01(木) 13:51:04.62 ID:vfkE+1Ea0
冬月「……それで? 報告書にはどう記載する」
ユイ「一人暮らしをはじめたばかりで精神が不安定だと」
冬月「そんな言い分が通用する相手かね。疑惑は積もれば確信へと変わっていくぞ。本人に直接ヒアリングをされたらどうする」
ユイ「シンジは言いません、いえ、言えないでしょう」
冬月「ううむ」
ユイ「あの子は、流れを理解していませんが、現場でなにが起こったかは見ています。私があの人を、殺したと思っているでしょう」
冬月「全てがキミのせいだというわけではないがな」
ユイ「ふふ、ありがとうございます。……しかし、その側面もまた、事実なのです。シンジは主人と違う種類の畏怖を私に抱いているでしょう」
冬月「と、いうと」
ユイ「突然現れた母親と名乗る人物が場をとりしきって、絶対的存在であった父親を追い詰めてしまったんですよ? 有り体にいって抱く感情は……」
冬月「恐怖か」
ユイ「はい。もし、自分が話をしてしまえば、無関係な人間が父親と同様に消されるかもしれない。そんな考えが頭をよぎり不安で言い出せなくなってしまうのです」
冬月「(しかし、葛城一尉から歩みよった場合は話が変わるな)」
ユイ「葛城一尉には作戦司令の業務に従事してもらい、今後も蚊帳の外にいてもらいます」
冬月「……承知した。しかし、俺は俺で危惧している点がある。個人の判断で動いてもかまわんかね?」
ユイ「おまかせします」
110 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/01(木) 14:21:46.64 ID:vfkE+1Ea0
【ネルフ本部 発令所】
ミサト「心神喪失と心神耗弱にあり、精神の障害等の事由により事の是非善悪を弁識する能力、又はそれに従って行動する能力を失いつつあった……ふぅん、なるほど、舐めてるのね」ペラ
マコト「は?」
ミサト「司令よ。私を、完っ全に舐めてる」
マコト「なにかあったんですか?」
ミサト「う〜ん……」コンコン
マコト「葛城さん……?」
ミサト「日向くん、危ない橋、渡ってみる気ない?」ニコ
マコト「……か、勘弁してくださいよ……」
ミサト「男でしょ? たまには命がけのチャレンジしてもバチ当たらないんじゃない?」
マコト「犬死ににならなきゃいいんですけどねぇ。はぁ……。一体なにをするつもりなんですか」
ミサト「シンジくんが入院してたのよ」
マコト「は? 入院?」
ミサト「日向くんはパイロットの健康面まで管理しなくていいから知らなくても不思議ではない。その入院してた事実を私も前司令は知らなかったのが問題」
マコト「それは、ご存知なかったのはおかしいですね」
ミサト「……なにかあるわ。加持特別監査官の行動ログを調べて」
マコト「それって服務規程違反に、クビになりませんか?」
ミサト「まだ大丈夫。あいつの身辺を調べるぐらいなら、バレても私達にお咎めはないはずよ」
マコト「わかりました。いつまで遡ります?」
ミサト「一週間。シンジくんの誘拐事件から加持の足取りを掴んで」
マコト「了解。……はっ、まさか、加持特別監査官と司令に繋がりが?」
ミサト「どうなってるのやら。確認する為に調べるのよ。……前司令はもしかしたら……もしかしたら、ネルフは私達が思っているほど甘い組織じゃないのかもしれないわ」
マコト「……」ゴクリ
ミサト「私はアスカの様子を見にシンジくんのアパートに行ってくる。それじゃ、よろしく頼んだわよ」ポン
111 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/01(木) 14:56:17.74 ID:vfkE+1Ea0
【車内 運転中】
ミサト「もしもし、アスカ?」
アスカ「ミサト? どうしたの?」
ミサト「シンジくんの様子はどう?」
アスカ「あぁ……まぁ、へこんでたけど。今は洗い物してる」
ミサト「……そう。私も今からそっちに行くから。それまではアスカも待機してて」
アスカ「かまわないけど。あ、それなら甘いもの買ってきてくれない?」
ミサト「わかったわ。アイスでいい?」
アスカ「いいけど、ハーゲンダッツじゃないと嫌よ」
ミサト「はいはい。シンジくんのも同じの?」
アスカ「ちょっと待って。……シンジィ〜〜! アイスなにがいい〜? ……ミサトが来るって……そう……え? 代わるの? いいけど、はい」
シンジ「もしもし、ミサトさん、ですか?」
ミサト「あら、シンジくん。声にはりがないようだけど、大丈夫?」
シンジ「いえ、僕は別に。それより、どうして突然?」
ミサト「引っ越し祝いまだしてなかったじゃない? パァーッっとやろうかと思ってぇ♪」
シンジ「すみません、今はそんな気分じゃ、わ、わぁっ、アスカ、ちょっと、なにするんだよ⁉︎」
アスカ「うっさいわねぇ! その携帯は私の支給品なの! はやく返しなさいよ!」
ミサト「……」
アスカ「ミサト? 引っ越し祝いするなら出前とるの?」
ミサト「え、えぇ。そうしようかな?」
アスカ「こんなことならさっき食べなきゃよかった。シンジの気分なんかこの際どうでもいいわ」
ミサト「もうご飯済ませちゃった?」
アスカ「ついさっきね。アイスは別腹だからいいけど」
ミサト「なにもすぐにはじめなくてもいいから、ね?」
アスカ「わかった。とりあえず待ってる」
ピッ
ミサト「(シンジくんは以前、加持が病室にきたと言っていた。そして、新司令はシンジくんが入院していたのを把握している……。いつ知ったの? シンジくんが退院した後? いいえ、嘘、欺瞞なのね)」
ミサト「……舐められっぱなしじゃ、終われないわよ」
112 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/02(金) 17:36:30.52 ID:C7Oo0Chl0
【シンジ宅】
ピンポーン
アスカ「ミサトもう来たの?」
シンジ「思ったよりはやかったね。……はぁ〜い」ガチャ
加持「――こんにちは」
シンジ「……っ!」
アスカ「え⁉︎ 加持さぁんっ!」ダダダ
加持「近くにいたもんでね。副司令から葛城がくると連絡があって寄ったんだ」
アスカ「副司令? そうなの?」
加持「あぁ。俺もあがらせてもらっていいかな?」
シンジ「……」
アスカ「もっちろんよ! 狭い所だけど遠慮しないで」
加持「突然おしかけて悪いな。それじゃ、お邪魔するよ」
113 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/02(金) 17:55:16.22 ID:C7Oo0Chl0
アスカ「ねえ、シンジ。クッションぐらいないの?」
シンジ「……うん」
加持「俺は気にしない。アスカもシンジくんは引っ越したばかりだ。少しは気遣えよ」
アスカ「加持さんがそう言うなら……」
加持「葛城は時間かかりそうなのか?」
アスカ「一時間しない内に来るとおもうけど」
加持「なにしに?」
アスカ「引っ越し祝いするとか。でも、私もう食べちゃった。ねぇねぇ、加持さん、このままどこか連れて行ってくれない?」
加持「また今度な」
アスカ「んもー、いつもそうやって誤魔化すんだからぁ」
加持「シンジくんは、少しは落ち着けたか?」
シンジ「……」
加持「例の件に関して言っていないようだが、良い判断だ」
アスカ「……?」
シンジ「余計な話をしていないか見に来たんですか?」
加持「いや? 葛城から俺に用事が出来ただろうと思ってな」
アスカ「なんの話?」
加持「男同士の話だよ。な? シンジくん」ポン
シンジ「……はい」
アスカ「いつのまに仲良くなったの?」
加持「ちょくちょく会ってはいたさ。パイロットはシンジくんだけが唯一の男性だからな」
アスカ「あぁ、そうゆうこと。でも、女性だってたった二人よ? しかももう一人は人形だし」
シンジ「……」ピクッ
加持「人形扱いはちと酷いぞ」
アスカ「だってなにも感情が無さそうなんだもん」
加持「そう感じるのなら仲良くしろだの無理は言わないが、同じパイロット同士だ。いがみ合わないようにな」
アスカ「はぁ〜い」
シンジ「ちょっと、外の空気を吸ってきてもいいですか?」
加持「かまわないよ」
114 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/02(金) 20:21:11.24 ID:C7Oo0Chl0
【アパート 駐車場】
シンジ「(どうして、加持さんはいつも通りにできるんだろう……リツコさんも、母さんも、そうなんだろうな)」
ブロロロッ キキーッ
シンジ「う、うわぁ⁉︎ けほっ、ごほっ」
ミサト「――おっまたせぇ〜! シンちゃぁ〜ん! 元気してた?」バタン
シンジ「み、ミサトさん」
ミサト「あらら? 大丈夫?」
シンジ「けほっ、あいかわらず、すごい運転ですね」
ミサト「アイスが溶けちゃったらいけないと思ってかっとばしてきたのよぉ〜? それにしてもあっついわね〜」
シンジ「夏ですから……。加持さん、来てますよ」
ミサト「なんですって? いつ?」
シンジ「ついさっきです」
ミサト「あいつっ、先回りしたってわけね。いい根性してんじゃないっ……!」
115 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/02(金) 20:39:36.34 ID:C7Oo0Chl0
【シンジ宅】
加持「ワンルームにこの人数は無理があるな」
アスカ「だから、片付けとけばよかったのに」ジトー
シンジ「……」
ミサト「……場所、変えましょうか?」
加持「いや、それも手間だ。話を先に済まそう」
ミサト「あんた、なにコソコソ動きまわってるの」
加持「飲みの帰りの話なら――」
ミサト「とぼけてるんじゃないわよ! 私だっておかしいってぐらいわかるんだからね⁉︎」バンッ
アスカ「ミ、ミサト?」
加持「話せば長くなる。いろいろとこっちも事情が立て込んでいてね。黙って引き下がれとは頼むわけにはいかないか?」
ミサト「口を閉じろとでも言うつもり⁉︎ やっぱり、司令とあんたは繋がってるのね⁉︎」
加持「俺だって職員だからな。組織の上に立つ者と従事する者の間柄程度さ」
ミサト「シンジくん⁉︎ どうして入院していたの⁉︎ 本当に、怪我だったの⁉︎」
シンジ「……」
ミサト「どうして黙ってるの⁉︎ 言わなくちゃ、なにも伝わらないことだってあるのよ⁉︎」
加持「……葛城。事情があると言っただろう。シンジくんを問い詰めるな」
ミサト「私だって、聞きたくて聞いてるわけじゃないわよ! あんた、どうして今まで黙ってたの⁉︎ 昨日だって、ううん、言う機会ならいくらでもあったはずよ⁉︎」
加持「……どうやら、童心に戻れた時間は終わったみたいだな」スッ
ミサト「ちょっと、立ち上がってどこに行くつもり⁉︎」グイッ
加持「子供たちの前だ。サシで話そう」
アスカ「な、なにがどうなってるの?」
シンジ「……」
116 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/02(金) 21:04:22.00 ID:C7Oo0Chl0
【ミサト 車内】
ミサト「……」
加持「ふぅ、どう話たもんかね」
ミサト「私は……司令とあんたが裏でなにを企んでいてもかまわない。だけどね、使徒を倒すのに命をかけてる。わかってるでしょ⁉︎」
加持「……」
ミサト「その目的の為なら、黙っていてもいいわ。正直に話して。包み隠さず。いつから司令と繋がっていたの?」
加持「知れば、後戻りできなくなるぞ」
ミサト「それほど隠したいなにかがあるってわけね」
加持「俺が言えた義理じゃないが、引き返すなら今だ。副司令にはうまくごまかしておく」
ミサト「……」
加持「使徒を倒す。専念したいのなら、なにも言うな」
ミサト「司令は、私を甘く見てる。能力をひけらかすつもりはないけど、このまま引き下がるのは癪だわ」
加持「全てがユイ司令の計画通りに進んでいるからな。就任というひと山を越えた安堵で気が緩んでしまっているのかもしれない」
ミサト「答えは充分でしょ。……教えて。ネルフは、司令は、一体なにを考えているの? 前司令はアラスカにいるの?」
加持「ちなみに、俺が答えなかった場合は?」
ミサト「証拠を掴んで日本政府に提出させてもらう」
加持「おいおい……、そりゃちょっと待ってくれ」
ミサト「そうはされたくないでしょ?」
加持「やれやれ。脅しをかけようとしている相手がわかって言ってるのか? 心配されるのはこっちじゃい。キミの方だ」
ミサト「つまり、政府でさえ相手にならないと?」
加持「政府のお役人どもを過信しすぎるな。あるのは保身、最後に利がある陣営につくだけだぞ。お前みたいな個人は利用するだけされて簡単に切り捨てられる」
ミサト「……」
加持「なぁ、葛城。悪いことは言わない。今ならまだ間に合うんだ」
117 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/03(土) 21:59:20.04 ID:WY9suu5T0
https://youtu.be/0iXIj63C99A
ミサト「そう。あんたはまたそうやって私をおいてきぼりにするつもりなのね」
加持「……ラジオか。いい曲じゃないか、これ。……俺からはなんとも言えないな」
ミサト「……いいわ。だったらこっちにも考えがある」
加持「さっきも言ったが脅しはやめとくんだな。どうしてもやるんなら、相手とタイミングを選んでやれ」
ミサト「お願い。ひとつだけ答えて」
加持「……」
ミサト「シンジくんは、どこまで関わってるの?」
加持「……肩までつかってるよ」
ミサト「……っ!」ギュウ
加持「葛城がなにをするにしても、シンジくんはしばらくそっとしておいてやれ。なに、使徒がきたらあの子もきちんとやるさ」
ミサト「約束はしないわ。シンジくんにも」
加持「(ややこしくなってきたな……)」
118 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/03(土) 22:46:20.15 ID:WY9suu5T0
【シンジ宅】
アスカ「……」ぱく
シンジ「……」
アスカ「アイス、溶けるわよ」
シンジ「……」カサ
アスカ「はぁ……。ミサトも来たと思ったらいきなりなんなの? あんた、なにか知ってるの?」
シンジ「……」
ガチャ
ミサト「アスカ、帰るわよ」
アスカ「えぇ⁉︎ もう⁉︎」
ミサト「ちょっと急な用事がはいっちゃったのよ。シンジくん、引っ越し祝いはまたの機会でもいいかしら?」
シンジ「はい」
アスカ「加持さんは?」
ミサト「……車を降りてすぐにふらふらとどっかに行っちゃったわ」
アスカ「えぇ〜〜⁉︎」
ミサト「私に文句を言わないでね? ほら、エンジンかけっぱなしにしてあるから、先に車いってなさい」
アスカ「急になんなのよ! もお!」
119 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/03(土) 22:56:13.81 ID:WY9suu5T0
シンジ「アスカ、行きましたけど……」
ミサト「シンジくん」
シンジ「……はい」
ミサト「あなたが今、なにを抱えていて、なにを喋れないのか私にはわからない。けど、きっと私たちの身を考えて喋らないのよね?」
シンジ「……」
ミサト「ごめんなさい。もっとはやく気がつくべきだった。……気がつかないフリをしていただけだったのかもしれない」
シンジ「……」
ミサト「ネルフが、危険な組織であるという認識が足りなかったのね。でも、それ以上に私は現状のぬるま湯が好きだった。父の復讐ができればいい、そう考えていたわ」
シンジ「……」
ミサト「黒幕は、ユイ司令なのね?」
シンジ「……」
ミサト「……ふぅ。学校はちゃんと行きなさい。殻に閉じこもってばかりいても変わらないわ。気分転換になるわよ」
シンジ「ミサトさん」
ミサト「……」
シンジ「アスカが、待ってますよ」
120 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/03(土) 23:09:53.92 ID:WY9suu5T0
ミサト「……」ギリッ
シンジ「……」
ミサト「……あんたねぇっ! ちったぁ子供らしいとこ見せたらどうなの⁉︎ そうやってまわりに気をつかってばかりいて!」バンッ
シンジ「……」
ミサト「助けを求めるのだって必要なのよ⁉︎ きちんとまわりを見てる⁉︎ 案じてくれるのが優しさ⁉︎ 自分だけで考えたって答えはでてこないわよ!」
シンジ「……僕も、少しずつでも、前を向かなきゃいけないってわかってます」
ミサト「……」
シンジ「母さんに……父さんにも。僕はあの人たちの息子ですから」
ミサト「……そう」
シンジ「学校には、明日から行きます」
121 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/04(日) 11:39:27.92 ID:cw7/e4Cl0
【加持 車内 運転中】
冬月「それで、どうだった?」
加持「やはり、副司令の危惧していた通りの形になりましたね。葛城一尉は少なくとも俺とユイ司令の関係性に目星をつけていたようです」
冬月「……まったく」
加持「彼女なら、おそらく自力でも俺たちが隠しているところまで辿り着きますよ」
冬月「俺は当然として、赤木博士との繋がりを悟られるまでにはどれぐらい時間を稼げそうだ?」
加持「あまり。こういうのは芋づる式でっすからね。ひとつわかると次々と繋がっていきます。葛城はバカじゃない」
冬月「キミの情報に関するアクセスの権限を引き上げておくか」
加持「よりいっそう疑惑を集めると思われますが……」
冬月「こうなってしまったのに今更なんだというのだ。これ以上、真実に近づけるわけにはいかん。情報を与えなければそれでいい」
加持「いっそこちらに引き込んでみては?」
冬月「我々のようにかね? 葛城一尉が応じるとは思えん」
加持「……葛城を甘くみましたね。ユイ司令にはご報告いたしますか?」
冬月「私から直接伝えよう。ユイくんとて人の子だ。これまでは夫である碇が陣頭指揮をとっていて、裏で考えるだけでよかったが、矢面に出なければいけなくなった」
加持「なんにせよ、失敗には代償がつきものです」
冬月「承知している。話は変わるが、戦自のネズミはいつ編入してくる?」
加持「それなら――」
122 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/06/04(日) 12:59:14.44 ID:06JPPgoI0
>>1
はLASか?
他キャラを貶めてアスカが不自然に綺麗に描かれすぎだな
123 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/04(日) 13:10:02.61 ID:cw7/e4Cl0
どこらへんが貶してると見受けられたのでしょ?
アスカはこの時点では話の役割的にキーパーソンではありませんよ
124 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/06/04(日) 13:22:10.90 ID:nn8i1//lO
ミサトがようやくきたけどアスカは宙に浮いたままじゃね?これでLAS認定されるのか
125 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/04(日) 13:35:49.93 ID:cw7/e4Cl0
まぁ特定のカップリング要素あるの否定しないですよ
俺は贔屓にしたり貶したりしてるつもりはなかったんすが、そう感じるところがあったのかな?そこはあれ?と思って意外な意見でした
アスカは前のヤンデレSSが俺の中でやりきった感があるんすよね・・・
126 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/06/04(日) 14:08:17.90 ID:oolllkthO
なんでもいいから続きはよ
127 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/04(日) 19:21:06.28 ID:cw7/e4Cl0
とりあえず今日はやることあるのでここまでで
進行遅くてすんません
128 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/06/05(月) 01:22:40.95 ID:A/qdSCILo
前回と入院前から、LASは期待してるところだが、むしろこの放置っぷりに半ば諦めてるところだよ。
まあそれはそれでいいから気にせず書いてくれ。
129 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/06/05(月) 14:05:12.76 ID:ClnCRvLBo
LASって言葉を初めて知りましたまる
130 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/06(火) 12:47:01.23 ID:rX8qXiOt0
自分がどういうもの書いてるのか客観的な把握は大事だと考えているので質問で無駄なレスを消費してしまいましたすんまへん
131 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/06(火) 13:08:22.12 ID:rX8qXiOt0
【桃源台中央駅】
アナウンス「桃源台中央駅。桃源台中央駅。ネルフ職員のお客様は、こちらでお乗り換えです。お忘れ物のないよう、ご注意ください」
プシュー
マナ「うわぁ……すごい人……。これって、全部ネルフ職員なの……」
アナウンス「ケーブルカーへのお乗り換えは三番線になります。Please change here forーー」
ガヤガヤ
男性「おっと」ドンッ
マナ「きゃ⁉︎」ドサ
男性「ちょっと、駅のホームで突っ立てちゃ危ないじゃないか」
マナ「す、すみません。来たばかりなもので」
男性「田舎者か。旧市街から来たんじゃないだろうな?」
マナ「ち、ちがいます! あの、親戚の叔父さんを訪ねて」
男性「……そうだったのか。てことはネルフ関係者の血縁だね」
マナ「は、はい。一応……」
男性「すまないね。第三新東京都市はネルフ職員の関係者しか住所登録ができないから。ついつい疑ってしまって」
マナ「いえ、こちらこそ。立ち止まっててごめんなさい」
男性「人の流れがあるから。急に立ち止まっては危ないよ? それじゃ」
マナ「……はぁ」
マナ「(いきなりやっちゃった……よしっ。がんばろっ!)」
132 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/06(火) 13:17:40.23 ID:rX8qXiOt0
【改札口】
マナ「ええと……」キョロキョロ
プップー
マナ「あっ……」タタタッ
加持「迷子にならずに来れたじゃないか。上出来だ」
マナ「か、からかわないでくださいよ」
加持「わざわざ人の往来が多い玄関口を選ぶとはな」
マナ「あ、す、すみません。地理に疎くて」
加持「トラベルマップはあらかじめ貰っているはずだろ? 何を見て来たんだ?」
マナ「あ、あはは。あの、碇、シンジくんのデータばかり読んでたので……」
加持「……ターゲットに夢中になるのはいいが、その他もそれなりにな」
マナ「はい、今日中にでも頭に叩きこんでおきます」
加持「そうしてくれ。さ、乗れよ」
マナ「はい、お邪魔します」ガチャ
133 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/06(火) 13:29:02.03 ID:rX8qXiOt0
【車内 運転中】
マナ「うわぁ……」キョロキョロ
加持「……そんなにめずらしいか?」
マナ「す、すみません。こんなに高層ビルが立ち並んでいるの、はじめて見たので」
加持「中には武器そのものがはいっていたりする兵装ビルも多い。ほら、あそこ見てみろ」
マナ「なにか書いてある……。LARGE CALIBER AUTOMATIC CANNON PLATFORM STRUCTURE?」
加持「自動砲塔。ああいう建物が各所に点々としているのさ」
マナ「そうなんですね……。それじゃぁ、全てエヴァのための」
加持「対使徒の為のもの」
マナ「あ……そっか」
加持「少し観光でもしてくか? ジオフロントはまだ見てないんだろう?」
マナ「い、いいえ! あの、とりあえず、私の住居にお願いします」
加持「それを聞いて安心したよ。遊びにきてるわけじゃない」
マナ「試したんですかっ⁉︎」
加持「試す理由はある。これから俺たちは情報を共有するパートナーになる。もし身分がバレた場合はどうなるか聞いているだろう?」
マナ「あっ、そ、そうですね……。命、かけますもんね」
加持「そうだ。最悪、そういう結末もありうる。それだけは忘れないでくれ」
マナ「はい。わかりました」
134 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/06(火) 13:39:52.77 ID:rX8qXiOt0
加持「ここの治安について把握してるか?」
マナ「はい、一応」
加持「聞こう」
マナ「……第三新東京都市は治外法権です。日本領地ですが管轄は政府ではなく国連軍。治安維持は国連軍とネルフ諜報部、そして政府の旧警察機構が担当しています」
加持「戦自の役割は?」
マナ「表向きは自衛の為の軍隊です。対使徒、並びに国外勢力への抑止力に当たります」
加持「そうだな。では、裏の顔は?」
マナ「……ネルフに対する牽制です。国内にこれほどの規模と資金を投入しているのを政府は怖れています」
加持「なにせ50兆という投資で作られからな、ここは」
マナ「はい。ですので、怖れていますけど、委員会の国を動かせる資金力は魅力でもあります」
加持「……いいだろう。合格点だ」
マナ「き、基本ですよ」
加持「何事も基本が大事だって言うだろ? ま、これぐらい知らないようじゃここで車から降ろしてた。それだけの話さ」
マナ「な、なるほど……あ、あはは……」
135 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/06(火) 13:50:12.07 ID:rX8qXiOt0
加持「付け加える形になるが、旧市街には入るなよ?」
マナ「えっと」
加持「復興したといっても急ピッチで進められてる建造途中なのさ。スラム街と言ったらわかりやすいか、治安も悪い。建物の崩壊の危険性もまだある」
マナ「……はい、わかりました」
加持「マナちゃんのマンションは、セカンドチルドレンと同じ棟にある一室だ。コンビニはローソンが近いから不自由はないだろう」
マナ「セカンドチルドレン? あの、ターゲットは、サードチルドレンじゃ? なのに、住居はセカンドチルドレンの傍なんですか?」
加持「主目的はサードチルドレンだが、他のチルドレンに接触を試みてほしい。セカンドとファーストは同年代の女の子だ」ゴソゴソ
マナ「……了解」
加持「これが、同二名のチルドレンに関する資料だ」パサ
マナ「……」ペラ
加持「登校日はいつからか聞いてるか?」
マナ「ええと、明日から、ですよね」
加持「そうだ。すぐにチルドレン達と顔合わせになる。第一印象は大事だぞ」
マナ「制服は?」
加持「既に部屋に用意してある。着いたらサイズを合わせとみるといい」
136 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/06(火) 14:08:47.62 ID:rX8qXiOt0
【ネルフ本部 執務室】
ユイ「あら、先生。どうなされました?」
冬月「キミの失態を叱りにきた」
ユイ「ふふ、こわいですね」
冬月「……今回は明らかにキミが判断を誤った。我々は回避できた敵を作ってしまったのだからな」
ユイ「どなたの話でしょう?」
冬月「内部の人間の話だよ。これは。葛城一尉だ。彼女の疑惑はもう拭い去れんだろう」
ユイ「……つまり、我々の企みに気がついたと?」
冬月「ああ。まだたどり着けてはいないようだが、いや、たどり着いてるのやもしれん。確信を得た人間の行動ははやいぞ。証拠集めをはじめるだろう」
ユイ「そうですか」
冬月「責任を感じないのかね⁉︎」バンッ
ユイ「少なからず。ただ、フェーズは次に発展しています。葛城一尉が気がついたのならば、彼女をどう対処するのかという問題です」
冬月「それはそうだが……」
ユイ「謝罪でよければいくらでも。しかし、今は反省よりも決断力がものを言います。行動力のある相手なら尚更です。失態は挽回せねばなりません」
冬月「う、ううむ。加持監査官のアクセス権限を引き上げようと思うのだが」
ユイ「……必要ありません」
冬月「なぜだ? 葛城一尉は奴を手始めと考えているぞ。奴をきっかけに我々を引きずりだすつもりだ」
ユイ「協力者がいるはずです。葛城一尉には権限がありません」
冬月「……こちらから炙り出すのか?」
ユイ「まだまだ我々が有利です。その点にかわりはありません。見えない盤面の前にようやく座ったのです。私達は相手のだす駒をわざと確認することにしましょう」
冬月「……」
ユイ「ふふ、葛城一尉が使える駒が何人いるのか。そう多くはないはずですから……」
137 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/06(火) 14:51:43.45 ID:rX8qXiOt0
リツコ「――お呼びでしょうか」
ユイ「少々、トラブルが起きたの。敵、という言葉は幼稚かしらね」
冬月「ふん……」
リツコ「……?」
ユイ「第二発令所へのMAGIバックアップは順調?」
リツコ「え、ええ。作業工程は今の所問題ありません。元々あったOSを移すだけですから。量が量ですので、転送速度の都合上、時間を要しますが……」
ユイ「結構です」
リツコ「お呼びしたのはこの件でしょうか?」
ユイ「いいえ。ひとつ確認をしたくて」
リツコ「なんでしょう?」
ユイ「――あなた、葛城一尉を殺せる?」
リツコ「み、ミサトを⁉︎ ……ど、どういう意味でしょうか」
ユイ「覚悟が聞きたいの」
リツコ「……く、ミサトは、何の関係も……」
ユイ「関係ができてしまったら? 邪魔な存在になった時に、あなたは非情な判断ができる? むしろ、進んで行える?」
リツコ「……」
ユイ「あなたも、そしてここにいる副司令も私についてくる選択をした。でもね、人間ってワガママなのよ。状況が変われば、簡単に判断を覆してしまう。一時の判断が常に正しいとは限らないから」
冬月「……」
ユイ「あなた達は常に迷い、選んでいる。私についていっていいのか、私という人間の行動を、考え方を見ている」
リツコ「……」
ユイ「夫は優秀だった。あなた達という資産を残してくれたのだから。でも、あなた達自身が、私を見限らないとは限らない」
リツコ「……私は……」
ユイ「赤木博士にとって、私がどういう存在でもいい。ただ、あなたにとって利があるのならば。それだけで逆らえないはず」
リツコ「……」
ユイ「もう、私たちは後戻りはできない。超えてはいけない一線は、夫を死に追いやった時点で超えてしまっているの」
リツコ「……み、ミサトを……」
ユイ「近々、彼女の家に小型のプラスチック製爆弾をしかけようと思います」
リツコ「……っ⁉︎」
冬月「おい、先ほどは出方を見ると……」
ユイ「保険として設置すべきです。――起爆装置は、赤木博士。あなたに渡しましょう」
リツコ「私に……?」
ユイ「爆破できるのかどうか。私が信用に足るかどうか、結果で示してもらいます」
138 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/06(火) 15:16:23.65 ID:rX8qXiOt0
【シンジ宅】
シンジ「……」シュルシュル パサ
シンジ「これが、アダム」
アダム「……」ドクン
シンジ「綾波が、綾波「達」が言っていた通りなら、母さんが言っていた神話が本当なら、僕も絵本で知ってる、あの、アダムなのか」
アダム「……」ドクン ドクン
シンジ「逃げちゃだめだ……逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだっ! ……そう……逃げちゃ、だめだ」スゥ
アダム「……」ドクン ドクン ドクン
139 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/06(火) 21:59:19.07 ID:rX8qXiOt0
【ネルフ本部 執務室】
加持「……いやはや、危険な賭けですな」
ユイ「そう?」
加持「葛城についてもそうですが、かわいいネズミも戦自と日本政府がバックについている以上、辻褄合わせは必要になります」
ユイ「得られるものもあります」
加持「ご子息に?」
ユイ「もちろん。シンジは、損得だけを切り離して考えられるほど擦れてないから。繊細で純粋な子にもっとも効果的な接し方は、なんだと思う?」
加持「俺たちゃ、得られるものがあればある程度は目を瞑りますがね、検討もつきませんな」
ユイ「共感よ」
加持「……」
ユイ「勘違いしないで、唯一絶対の条件ではない。人は満足や心地よい充たされ方を好む。年相応の精神年齢をしていれば、他人をおもいやる気持ちよりも自己を優先してしまうもの」
加持「たしかに、利得を優先するのはわかります。人間社会において、いかに好かれるかよりも、嫌われないか、を考えた方がラクだったりしますからね」
ユイ「日本人的な考え方ね。いえ、ここは日本なのだから当然なのだけれど。私たちは、取り巻く環境に適応して生きているから」
加持「……」
ユイ「……霧島、マナちゃん、きっとシンジに共感するわ」
加持「ふぅ……。わかりませんね、なぜです?」
ユイ「気がつかない? 資料にある少年兵達とシンジの境遇が似ていることに。ムサシとケイタ、だったかしら。この子達は自ら志願して入隊しているようだけど。霧島マナには、シンジがだぶって見えるはず」
加持「なるほど……。そうなれば、我々としても話がはやい」
ユイ「あなたから見てどうだった? この子は」
加持「ただの中学生っすよ。スパイといえども、任務に就かせた上層部の神経を疑いますね」
ユイ「そう。……ゆっくりと観察してみましょう」
140 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/06(火) 22:18:33.06 ID:rX8qXiOt0
カヲル「……」スッ
加持「誰だ」カチャ
ユイ「銃をおろして、敵意はない」
カヲル「……そうやって、リリンはアダムを、シンジくんを利用しようとしているのか……」
加持「こいつは、まさか。タブリスッ? アダムのコピー?」
カヲル「答えろ! シンジくんを、アダムをキミ達はどうするつもりなんだっ!!」
ユイ「タブリス、私達はアダムと、そしてシンジにとってより良い結果になる方法を模索しています。今はその準備期間だと考えてほしいの」
カヲル「ヒトは勝手だね……。つくづく救えない生き物だ」
ユイ「あなたにヒトをどうこうと言えないはずよ。シンジに殺されるのを望むあなたが」
カヲル「くっ……!」ギリッ
加持「いつからここに……?」
ユイ「月のタブハベースからつい最近。委員会の皆様方にお願いして、予定を繰り上げてもらった」
加持「驚いたな」
カヲル「……僕をシンジくんの傍に行かせてくれ」
ユイ「まだ時期がはやいわ。あなたはまだ、本格的に壇上に立つべきでは。物事には優先順位というのがあるの」
カヲル「だったら、綾波レイの元に向かう」
ユイ「レイ? なぜ?」
カヲル「気になることがあるんでね。どうせ暇なんだ。かまわないだろう?」
ユイ「……許可します。予備はパーツがあるけど、壊さないように」
カヲル「いったいボクをなんだと思ってるんだ。なにもしないよ」
ユイ「なにをしてもかまわないという意味よ。それであなたを抑えられるのならば」
カヲル「……好きにするさ。言われなくてもね」スタスタ
141 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/06(火) 22:58:08.29 ID:rX8qXiOt0
【弐号機 格納庫】
カヲル「(アダムの分身。そしてリリンの僕。真っ赤に染め上げた塗料は、さしあたり道化師と言ったところか。そう、ボクと同じ……)」
レイ「……」スタスタ
カヲル「待ってたよ……。やはり、キミも僕と同じだね」
レイ「……私は同じじゃない」
カヲル「ふっ、ボクは下等な種じゃないから手荒な真似はしないよ」
レイ「そう」
カヲル「君の中のモノは、目覚めているんだろう? ボクにも感じられる。最初は気のせいかと思ったが、日増しに強くなってゆく」
レイ「……」
カヲル「どうして、なにも喋らないんだい?」
レイ「……不快だわ。あなた。紛い物のくせに」
カヲル「それはボクが重々承知しているよ。ボクはシンジくんと対を成す存在だからね。双極性の磁場を発生させるN極とS極のようなものさ」
レイ「あなたも、碇くんとひとつになりたいのね」
カヲル「いや。ボクは殺されることで存在の証明になる。救いになるんだ」
レイ「……」
カヲル「あの女は気がついているのかい?」
レイ「いえ」
カヲル「そうか、だったら黙っておくよ」
レイ「……いいの?」
カヲル「そのかわり、シンジくんを守ってくれ」
レイ「……」キョトン
カヲル「僕たちが持つ強力なATフィールドは、外部からの干渉を完全にシャットアウトさせられる。ただ、それぐらいの規模になると影響も大きい」
レイ(少女)「うふ、うふふふっ。わかった。その先は言わなくてもいい」
カヲル「安心したよ。間近に搬入される三号機にはボクが乗る、亡き後の処理は、頼んだからね」
142 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/06/06(火) 23:23:06.56 ID:i18Gp7h/O
前スレから読み始めたんだがこのSSは原作愛と気合いが入ってると感じる
台本形式じゃなく小説形式にはしないんですか?
143 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/07(水) 02:57:14.99 ID:/DIP7XlG0
手直しできない不満はありますが台本SSのが圧倒的にラクなんす
エヴァだと語り部のいないセリフだけでも脳内再生力をもってる原作なんでっていうのは言い訳で
小説形式だと物量が10万字を軽く超えてしまうだろうと
要するに終わる目処がつかないのでやりたくないんす
144 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/07(水) 03:10:02.93 ID:/DIP7XlG0
語り部じゃなく語り手ですな
こういう変換候補の選択ミスや誤字脱字はもう諦めてます
途中までを入力するとすぐに変換してしまうので誘発してしまってるよーです
例えば「かた」を入力すると「語り手」と「語り部」などが変換候補に並びます
ここで選択を間違えてるんすよね
ひとレス分を書き終えた後の見直しでも見落としてるのが致命的欠陥
では、また後日〜
145 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/06/07(水) 15:46:37.35 ID:fXxsMAjuo
アニメのお陰でシーンの想像がつく、元々第一に状況を語りたがる面々だから補足の必要がない。
もちろん会話選びの上手さが一番だけど、下地としてエヴァは台本形式と相性が良すぎるね
146 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/06/08(木) 01:52:22.36 ID:UXdYy7HMO
色々エヴァSSは見てきたがよく練られてると思うよ
完結まで頑張ってくれ
147 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/09(金) 15:06:47.78 ID:1OQ209v00
そうですね
台本形式に向いてるので書きやすいし読み手の方々の想像力に助けられてる部分は多々あると思います
練っているといえば聞こえはいいですが、物作りはこだわりだすとキリがありません
同様に当SSも雑な部分は少なくありません
色んな人の書いてるSSを見ても勢いを重視してたりそれぞれ良さがありますよ
他のも他ので面白いのたくさんありますね
148 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/09(金) 15:27:50.09 ID:1OQ209v00
【ネルフ本部 初号機ケージ】
冬月「……」コツコツ
シンジ「……」
冬月「……君は……こんな場所でなにをしている。今日は来る予定日ではないだろう」
シンジ「……知りたくなったんです。誰に聞けばいいのか、わからなくて。そしたら足がここに向きました」
冬月「……知りたいとは、なにをかね?」
シンジ「僕は、なにをすれば、僕になにをしてほしいんですか。父さんを犠牲にしてまで」
冬月「……」
シンジ「エヴァってなんなんですか。使徒がこなくなったら、僕たちは、エヴァはどうなるんですか。……教えてください」
冬月「……ネルフがどうやってできたか、君は知っているか?」
シンジ「どうやって?」
冬月「おかしいとは思わないかね? 地上の下にこのような巨大な球体の空洞がある。……ここは、ガフの部屋だった」
シンジ「……」
冬月「君たちチルドレンが知っているネルフ本部、さらにその下の第七層まで主要な整備、及び研究施設に全ての答えがある……ついてきたまえ」クル
シンジ「……」
冬月「どうした? エヴァの存在理由について知りたいのではないのか?」
シンジ「……はい」
149 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/09(金) 15:42:23.00 ID:1OQ209v00
【ネルフ本部 エレベーター内】
カチ カチ カチ
冬月「……」
シンジ「……」
冬月「……はじまりは、セカンドインパクトより前にさかのぼる。世界はあるひとつの結末に向かって進みだした」
シンジ「……」
冬月「碇の死は、過程にすぎん。決められた終わりに向かうまでの分岐路がズレただけだ。流れを、水を手で汲み取ろうとしても指の隙間から溢れ落ちるのと同意だからな」
シンジ「……」
冬月「人類補完計画。これを誰かの口から聞いたか?」
シンジ「聞いたかもしれません……聞いてないかもしれません……」
冬月「ふん、情報量が多すぎてついていけんか。それも、致し方あるまい」
シンジ「……人類補完計画の為に、色んな人が血を流すんですか? そんなことのために」
冬月「そんなことではない。君には理解ができんだろうが、人類の可能性、そして次のステージに移行する為に必要な条件なのだ」
シンジ「……次のステージっていったいなんなんですか……!」ギリッ
冬月「心の隙間を埋める。我々は互いに補完され、足りない所を、充たされない空虚から解放されるのだよ。それは、魂の解放に等しい」
シンジ「みんながそんなの望んでるっていうんですか⁉︎」
冬月「時が来ればわかる。ユイくんは君に人類の裁定をまかせているようだからな」
シンジ「……」
チーン ガチャン
冬月「ついたぞ。降りたまえ」
150 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/09(金) 16:09:21.84 ID:1OQ209v00
【ネルフ本部 第六層】
冬月「……」コツコツ
シンジ「……」スタスタ
冬月「ここは、ダミーシステムの研究所だ」カチ
ゴポゴポ
シンジ「……」
冬月「エヴァは既に十三号機までの製造が進められている。ここにあるのはその基となるパイロットの研究施設、つまり無人機だよ」
シンジ「……え? エヴァってパイロットがいらなくなるんですか?」
冬月「既にある四号機までを除いた、五号機から続く型番タイプはその予定だ」
シンジ「……」
冬月「補完計画の発動に依り代は不可欠だ。アダムとリリスの融合、その力を通すには媒体が必要になる」
シンジ「……えっと、力を通すのが量産機?」
冬月「パイプのようなものと考えたまえ。中心に位置するのは初号機だ。全てのエネルギーは初号機に集められる」
シンジ「初号機に……」
冬月「パイロットはサードチルドレン、君だ。つまり、君の願いを叶える、その為にふさわしい舞台が用意される」
シンジ「……」
冬月「君が最初の一人になれるのだ。先ほど、君はエヴァの存在理由を聞いたな。使徒が全て滅びれば、いや、使徒が滅ばずとも補完計画の為に存在する、同時に君の為にもな」
シンジ「どうして、僕なんですか」
冬月「運命だからだ。君の意思なぞ関係ない。もはや、そういうものが及ばぬ力が働いている」
シンジ「……」
冬月「納得できんか。……そうだろうな。だが、抗えるものではない。碇の死も、そしてユイくんの選択も、我々誰しもが君の為に存在している。受け入れようと受けいれまいと、その根底があるだけなのだよ」
シンジ「……僕がなにもしなければ、避けられますか」
冬月「言っただろう。抗えるものではないと。もはや、変えられる時期はとうの昔に過ぎ去っている。我々は進む歩を止められん」
シンジ「どうしようもないって、そんなの、じゃあ、僕はどうすれば……」
151 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/06/09(金) 17:14:37.92 ID:WYlkXRtso
冬月先生はきちんと説明してくれるのがいいよな
基本的にエヴァの大人は状況を説明しなかったり専門用語で話すヤツが多すぎる
152 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/06/09(金) 17:29:51.43 ID:cfncllLfO
Qでは黙って将棋してたけどな
153 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/06/09(金) 18:05:08.53 ID:WYlkXRtso
将棋しながら説明してなかった?
少なくとも綾波についてはちゃんと言ってたぞ
154 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/10(土) 15:15:27.78 ID:Z5ozZEko0
冬月「綾波レイについては?」コツコツ
シンジ「……」
冬月「聞くまでもないか。報告によると、赤木博士からバイオ水槽を見せられたのだったな」
シンジ「綾波は、どうして作られたんですか」
冬月「……クローンを作る技術は既に確立されているが、道徳上の理由で医学、化学の両点から禁じられている。なぜだかわかるかね?」ピタ
シンジ「傲慢だから、かな」
冬月「その通りだ。人は創造主たる神にはなれんからな。人間社会には禁忌にまつわる暗黙のルールというものがある。その枠からはみ出して生きるには少々不自由だ」ガコン
シンジ「……」
冬月「我々はその禁じられた決まりを破ったが、綾波レイは単なるクローンではない。リリスの魂を一時的に保管するための器が必要だったのだよ」
シンジ「器……綾波の中に、その、リリスっていうのの魂が?」
冬月「全てではないがな。綾波レイは綾波レイであり、リリスではない。あの娘に感情が見受けられないのはそれが理由だ」
シンジ「やっぱり、人形だったんですね」
冬月「外見は用意されたパーツの中から自由に選んで作成できる。キミが水槽の中に見た物は、現行の綾波の予備だよ」
シンジ「……感情は生まれないんですか」
冬月「理論上はな。我々は、神にはなれん」
シンジ「……」
冬月「ーーしかし、決まっていることだからと諦めてしまっては化学は意味のないものになってしまう。可能性を見いだすのもまた、ゼロではない」
シンジ「……?」
冬月「理論上では不可能でも、可能性がないわけではないと言っているのだ。計算を覆す例なぞいくらでもある」
シンジ「そ、それじゃあ……綾波は」
冬月「さてな。私にもわからんよ。言い切ってしまえる「絶対」なんてものは、この世に少ない」
155 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/10(土) 15:30:01.52 ID:Z5ozZEko0
シンジ「……」
冬月「サードチルドレン。私はキミに多少なりとも同情している。中学生に老人たちの贖罪の片棒を担がせるには、あまりに重たすぎる」
シンジ「……」
冬月「なにをできるかわからない、そう言ったな。その答えたる選択肢は少ない。実現可能範囲で考えているからだ。だが、なにをやろうともキミの自由ではある」
シンジ「……」
冬月「決まっているのだとしても結果を求めすぎるな。なにも考えず、身動きがとれなくなる前に行動をしろ。まずは……やってみる。それだけでいいんじゃないのかね」
シンジ「……」
冬月「ふぅ……手のかかるところは父親にそっくりだな。なにもそんなところを似なくてもよかろうに」
シンジ「あ……」
冬月「ケツを叩かれなきゃわからんのかね。自分を守りたいのか、他人を守りたいのか、はっきりしたまえ」
シンジ「他人を……誰かを守る……」
冬月「キミはキミが思っている以上にまわりから頼りにされているよ。同時に子供扱いもされているだろうがな。それは、キミが頼りないからだ。しかし、キミには力がある。頼りたくなる力が」
シンジ「それって、なんなんですか? 僕の力って」
冬月「碇ゲンドウ、碇ユイの息子であること。初号機のパイロットであることだ」
シンジ「でも、そんなの僕の能力じゃない」
冬月「キミは既に持っているのだよ。生まれながらにして他人が手に入れられない優位性を。キミが疎ましく思おうと、ナナヒカリであろうと、キミの力だ」
シンジ「……」
冬月「プライドが邪魔をするか……。がむしゃらにやろうという気概が足らんな」
156 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/06/10(土) 15:34:35.78 ID:t+Jz37Weo
昔エタっちゃったけどキャラの人気をコンマで決めるスレで冬月が高コンマ連発して
人気ランキング上位になってたのをふと思い出した。普通に話してくれるだけでいいんだよなぁ
157 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/10(土) 15:52:42.75 ID:Z5ozZEko0
シンジ「……」シュルシュル
冬月「……?」
シンジ「これも、力ですか?」パサ
冬月「……っ⁉︎ アダムか、随分同化が進んでいるな」ギョ
シンジ「……知らなかったんですか?」
冬月「聞いてはいたが。しかし、その侵食具合は……」
シンジ「僕は、父さんに恥ずかしくない、褒められる生き方をするために、なにかをやろうと思いました」
冬月「死して尚、呪縛から逃れられんか」
シンジ「心の中で生きてるんです……! あの無表情な感じも、冷たい感じも。良い思い出なんかないけど、これからだったのに……」
冬月「憎しみは、なにも生みはせん」
シンジ「みんながそう仕向けたんでしょうっ⁉︎ 大人達みんながっ!!」
冬月「亡き父に褒められる為にどう生きる」
シンジ「……いいですよ。母さんの、加持さんやリツコさん達の望み通り、僕が初号機にのります。僕が、エヴァのパイロットです」
冬月「……」
シンジ「だから、もう、まわりを巻き込まないでください」
冬月「それで、碇に褒められると思うか」
シンジ「やるだけやってみます。父さんは、僕に逃げ出すなと言いました。逃げるのは、全てが終わってからにします」
冬月「よかろう、もう地上に戻るぞ。ここでの出来事はユイ君に報告をしないでやろう。オフレコだ」
シンジ「……はい」
冬月「さあ、電源を落とすぞ。歩きだしたまえ、サードチルドレン」ガコン
158 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/10(土) 15:57:30.23 ID:Z5ozZEko0
>>156
コンマスレてはじめて聞きました
高コンマてのはどういう意味なんでしょ?
159 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/10(土) 16:20:58.92 ID:Z5ozZEko0
【ネルフ本部 発令所】
ミサト「……停電が仕組まれてるぅっ⁉︎」
マコト「しーっ!! 声が多いですよ! 葛城さん!」
ミサト「ど、どういうことっ⁉︎ 加持の足取りを掴んでってお願いからどうして停電が⁉︎」
マコト「僕もそのつもりだったんが、アクセスしている途中で急に思い立ったんです」
ミサト「なにを?」
マコト「加持監査官が調べていたのは、ネルフだったんじゃないかって」
ミサト「ごめん、話がさっぱりわからない」
マコト「……ここ見てください。シンジくんが誘拐された時、同氏はMAGIのメインコンピューターにアクセスしています」
ミサト「それが?」
マコト「雑なんですよ。隠したいようには見えません。むしろログを残しすぎていて妙です。そこで僕は、さらに解析を進めました」
ミサト「……うわ、文字ばかりで頭痛くなりそう」
マコト「解析コードはそんなもの、と、話が逸れるところだった。えーと、ここです。ここの中継地が最も不自然でした」
ミサト「ううん、つまり、加持は、シンジくんの誘拐の裏でネルフの構造を調べていた。そして、停電をさせようとしている? って感じ?」
マコト「概ね間違いではありません。正副予備の三系統が一度に落ちるように予定日がセットされています。電源が三つであることを突き止めたんじゃないですかね?」
ミサト「でも、一体なんのために? 加持がネルフの電源を落としてなんの意味が?」
マコト「……それは、落ちた時にわかるんじゃないですか?」
ミサト「落ちた時って、まずいわよ……。それじゃ」
マコト「そ、そうですね」
ミサト「予定日は書き換えられそう?」
マコト「無理です。強固なプログラムが組まれています、パスワードが設定されていますが、解除するまでに時間がたりません」
ミサト「いつなの?」
マコト「日付けは明日のヒトニマルマル……正午、ぴったりです」
ミサト「ぬわぁんですってぇっ!?」バンッ
160 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/06/10(土) 16:23:41.36 ID:t+Jz37Weo
>>158
エヴァキャラが人気投票の結果についてあれこれ語るって内容のSSで、キャラの人気をコンマで決めてたんよ
十代、二十代、三十代と年齢ごとの支持率をコンマで出してランキングするんだけど冬月がやたら
人気高くて「ちゃんと話してくれる所がいいんでしょうね〜」「大人の対応だもんね」みたいな
分析になってたのを今回のシンジとのやりとりで思い出して。直接関係なくてゴメンね
161 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/10(土) 16:28:17.68 ID:Z5ozZEko0
マコト「司令がご存知ないのなら報告すべきですよ、これは」
ミサト「ちょ、ちょっと話が突然すぎて思考が……でも、司令と加持は繋がっているはずなのよ」
マコト「そうなんですか? こちらではまだ証拠があるわけではありませんが」
ミサト「ええと、電源が落ちてしまえばどうなるの?」
マコト「復旧作業が終わるまでは、文字通りローカルになります。全てです、ライフライン、設備に至るまで」
ミサト「しゃ、シャレになってないわよ……!」
マコト「はい、ですから、司令にご報告を。内輪揉めしている場合ではありませんよ、葛城さん」
ミサト「で、でも、司令はなにか企んでて……えぇい! どーなってんのよ⁉︎ かぁじぃ〜〜〜!!」
162 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/10(土) 16:30:21.46 ID:Z5ozZEko0
>>160
そんなスレがあったんですね
LASもそうだったんですけど知らなかったらググるまではしてるんす
ググっても高コンマまではでてこなかったんで聞いちゃいました
教えてくれてどうもありがとう
163 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/10(土) 16:50:44.51 ID:Z5ozZEko0
【ジオフロント スイカ畑】
ピリリリリ ピッ
加持「明日には、ネルフの断面図を送れそうです」
政府高官「ようやくかね。首を長くして待っていたよた」
加持「準備に時間がかかりましてね。本部構造の全体把握をされる理由は、やはり直接掌握を視野にいれていると?」
政府高官「それ以上の詮索はしないほうがいい」
加持「バレてないとも言えないんでね」
政府高官「そうなった場合はキミの落ち度だ。心配でもあるのか?」
加持「上が助けてくれそうにないのが心配ですよ」
政府高官「はは、たしかに、違いない。キミがいなくなったとしても代わりの人間を送りこむだけだからな。トカゲの尻尾はまた再生できる」
加持「哀れと思って教えちゃくれませんか? 政府はネルフをどうするつもりです」
政府高官「布石だよ。今はまだ、ネルフは目の上のたんこぶで済んでいるが、使徒とかいうのがいなくなれば、害をなす存在である場合には、武力行使もやむを得まい」
加持「(やはりな)」
政府高官「もう一つ、教えてやろう。我々、日本政府の間ではキミの工作に疑問符がでている。キミがネルフ寄りの人間じゃないかとね」
加持「おだやかじゃありませんな」
政府高官「キミの信頼を試すためにも、断面図、構造の具体的な把握は不可欠だ。……ネルフ本部にある、セキュリティホール(欠陥)を探せ」
164 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/10(土) 17:09:40.27 ID:Z5ozZEko0
【ネルフ本部 執務室】
ミサト「失礼します!」
ユイ「あなたが来るときはいつも緊急の用件なのね……赤木博士も苦労されてるでしょう」
ミサト「今はそれどころじゃありません! 明日、ネルフ本部が停電になります! ご存知でしたか⁉︎」
ユイ「……承知しています」
ミサト「ご、ご存知なのですか? 知っていてなぜ、なにも対策をたてずに……」
ユイ「必要ないから。次は私の質問の番ね。なぜ、それをあなたが知っているの?」
ミサト「あ、いえ、それは……」
ユイ「これは極秘作戦です。黙認していたわけでも、放置していたわけでもありません。あなたは、越権行為を行ったのね」
ミサト「し、しかし。細工をされたのはシンジくんの誘拐時点での話で、ユイ司令が着任される前なんですよ⁉︎」
ユイ「夫から引き継いだだけの話です。私の質問に答えなさい。葛城一尉」
ミサト「(餌だったの……し、しまった、やらかした……!)」
ユイ「誰の指示で行ったの? それとも、あなたが誰かを使ったの?」
ミサト「……把握しているのならば、問題はないという認識でよろしいでしょうか」
ユイ「質問に答えなさい! 葛城一尉!!」バンッ
ミサト「わたくしの越権行為です。懲罰はお受けいたします」
ユイ「ネルフの危機であると判断して即座に行動したのは評価に値します。協力したのは誰?」
ミサト「……」ギリッ
ユイ「調べればわかるのよ。自白すれば罪は軽い。協力者にとってもね」
ミサト「私が、全ての責任を負います」
ユイ「一歩間違えば造反行為であるのよ? 軽く見ていては困る。組織を乱す者を、私は欲しくはない」
165 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/10(土) 17:23:20.45 ID:Z5ozZEko0
ミサト「……」キッ
ユイ「なぁに? その反抗的な目つきは。組織の規定に準ずる者が、大の大人がする姿勢ではないわよ」
ミサト「腹を割って話ませんか? 加持特別監査官との
関係性を疑っています」
ユイ「ふふ、あなた、自分の立場を理解していない。聞けたとして、それが最後になるかもしれないのに」
ミサト「私は、ネルフで働く一員でありますが、なにを目的で働くのか。その点が曖昧では命をかけられません」
ユイ「サードインパクトを阻止する為に私達は存在しています。その大義を忘れたの?」
ミサト「それだけではないはずです。なぜ、ネルフは使徒の出現を予期できたのですか、シンジくんたちパイロットをエヴァをどうするおつもりなんです?」
ユイ「……なるほど。舐めていたのね、危険因子になりうる」ボソ
ミサト「……」
ユイ「さがりなさい。停電については、口外しないように、処罰は追って通達があります」
ミサト「し、しかし……」
ユイ「これ以上、背信行為を重ねないで。協力者の命が惜しいのなら」
ミサト「……はい、承知しました」ギュウ
166 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/10(土) 17:34:11.59 ID:Z5ozZEko0
ピリリリリ ピッ
ユイ「もしもし」
加持「政府のお偉方はかなりピリピリしてますな。今にも攻めてきそうな勢いですよ」
ユイ「構造内部という餌は与えたわ。食いついて当然でしょう、あなたの保険になるし」
加持「感謝します、それで、葛城も食いついたんですか? 俺に対するアクセス権限をあえて引き上げず、操作したという痕跡を見せつけたんでしょ」
ユイ「ええ。よく食いついてくれた。安易ではあるけれど、行動力はあるのね」
加持「そりゃそうっすよ。おそらく、今頃葛城は猛省してるんじゃないですかね。俺がアクセスしたのでさえ偽装だと気がついてるはずです。ひとつの餌で二匹の獲物を釣るとはね」
ユイ「停電は明日、起こるわ」
加持「わかってます。辻褄合わせは必要、でしょ?」
ユイ「問題なのは、葛城一尉の処分ね。どうしたものかしら」
加持「……はやめに勝負がつきましたし、脅威にならないのでは?」
ユイ「いいえ、本来ならここまでたどり着ける予定すらなかったのだもの。私が舐めていた。失態は認める。だからこそ、もう二度と、甘くは見ない」
加持「しかし、葛城はまだ必要な存在では」
ユイ「だから迷っているのよ。泳がせるべきか、始末するべきか……」
167 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/10(土) 17:53:28.38 ID:Z5ozZEko0
【ネルフ本部 中央施設】
マコト「あ、葛城さん、どうでし……」
ミサト「くぅ〜〜〜っ! やられた!! まんまと釣られちゃったわよ!!」
マコト「へ? ど、どうして」
ミサト「日向くんのせいでもあるんだかんね!? 私の不安を仰ぐようなこと言うから! ぐ、ぐ、ぐ、ぐやじい!!」
マコト「いったい、どういう……司令、ご存知だったんですか?」
ミサト「そうよ! おそらく、アクセスした日時が書き換えられたものだったのよっ!」
マコト「あ……そんな、でも、まさか……」
ミサト「余裕っぷりは間違いないわ! なんてこと! 冷静になるべきだったわ!」ガンッ ゴロゴロ
マコト「ゴミ箱が、お、落ち着いてください。加持監査官が不正アクセスしたのが作られたログだってことですか?」
ミサト「十中八九ね……! ユイ司令が予定を組み込むには時期が不自然よ。私達が加持を調べるだろうと踏んで、嘘のデータを流していたのよ! まんまとやられたわ!」
マコト「す、すみません。そうとは知らず、僕も慌ててしまって……」
ミサト「……はぁ、済んだから仕方ない。日向くんのことは私が守ってみせるから」
マコト「……すみません、本当に」
ミサト「まだ挽回の機会はあると信じましょう、今はそれしか方法がないわ」
168 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/10(土) 18:21:16.74 ID:Z5ozZEko0
【ネルフ本部 執務室】
冬月「忙しいようだな」
ユイ「……先生、どこに……シンジ……?」
シンジ「……」
ユイ「またかけなおすわ」ピッ
シンジ「母さん」
ユイ「……シンジ、もういいの? 先生、シンジと一緒だったんですね」
シンジ「僕は、初号機に乗るよ。僕は、エヴァンゲリオン初号機パイロット、「碇」シンジだから」
ユイ「……? どうしたの?」
シンジ「考えたんだ。この手のことも。父さんのことも。母さんのことも。みんなになにが一番いいのか」
ユイ「……」
シンジ「僕はなにもしないほうがいいんじゃないかってそう考える時もあった。だけど、そうしない。僕は逃げないよ」
ユイ「……先生、お話が」
シンジ「母さん! やめてよ! 誰かの犠牲の上になる幸せなんて僕はほしくない! 望んでないんだ!」
ユイ「やめられないのよ。もう」
シンジ「……だったら、人類補完計画っていうのが発動するまで、誰も殺さないで」
ユイ「私だってそうしたくはないのよ? 刻々と移り変わる状況がそうさせるの」
シンジ「次に誰かを巻き込めば、僕は自分で死を選ぶよ……!」
ユイ「し、シンジ……!」ガタッ
シンジ「僕は守らなくちゃいけない、母さんから。色んな人達を」
冬月「……」
シンジ「今日はこれで帰るよ。明日から学校に行く。それじゃ」クル
ユイ「シンジ、待ちなさい! 」
シンジ「……」ピタ
ユイ「あなたはきっと感謝するわ! あなたが望む世界ができるのよ! 今は辛いかもしれない! でもそれも過去になる! 人は忘れながら生きているの! いつしか、私に感謝する日が、きっと……!」
シンジ「……」スタスタ
169 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/10(土) 18:37:23.68 ID:Z5ozZEko0
冬月「やはり、キミも親か」
ユイ「先生、余計なことをしてくれましたね……」
冬月「いずれ説明せねばならんだろう。問題を先延ばしにしなかっただけだ」
ユイ「シンジが自発的に考えるのはいい。私が恨まれても、この胸が張り裂けそうになってもいい」
冬月「……」
ユイ「たったひとりの息子なのですから。先生、あなたはなぜ話たのですか」
冬月「……」
ユイ「同情でしょうか? 私があの子を愛していないとでも? ずっとお腹にはいっていたんですよ!?」
冬月「(歪んでいる)」
ユイ「私がコアから還ってきたのもシンジの為に……! そうよ、世界は、すべて、シンジの為にあるべきなのよ……! そうすれば、私の願いも」
冬月「思う所があるだろうが、事実をサードチルドレンに話しただけだ。俺を処分するならいかようにもしたまえ」
ユイ「ふ、ふふ。いいでしょう。ですが、今はまだ、その時ではない。これからも私の為に働いていただきます」
冬月「(……狂気の一端か。ユイくんもまた、いつからか狂っていたのだな)」
ユイ「……明日、例のスパイとシンジが会います」
冬月「そうだったな。だが、すぐにどうこうするという話でもなかろう」
170 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/10(土) 23:58:48.06 ID:Z5ozZEko0
【翌日 第三新東京都市立第壱中学校 HR前】
トウジ「おっ! シンジやないか! えらい心配したで!」
シンジ「うん、心配かけてごめん」
ケンスケ「ネルフでなにかあったのか? そういや、三号機が搬入されるって話を聞いたけど」
シンジ「三号機……? ケンスケ、それ、本当?」
ケンスケ「あ、あぁ。知らなかったのか?」
シンジ「僕はなにも聞いてない……」
ケンスケ「ま、まぁ、ミサトさんも忙しいんじゃないか? そんなに気にする話じゃないさ。碇、変なこと聞いて悪かったな」
アスカ「はっ、聞いてないのはあんたがまともに学校に来ないで引きこもってたからよ」
シンジ「アスカ、おはよう」
トウジ「引きこもっとった? なんや、どゆことや」
アスカ「詳しく知りたいなら本人に直接聞けば? あんた達、仲良いんでしょ」
シンジ「トウジ、ケンスケ。後で説明するよ、アスカもアパートまで来てくれてどうもありがとう」
アスカ「あ、あたしは別に」
ヒカリ「アスカ、もう少し素直になりなさいよ」
アスカ「ひかりぃ〜、余計なのはその口?」
ヒカリ「んもぅ。でも、何事もなくてよかった。使徒が攻めてきたんじゃないかって、私も不安だったから」
トウジ「いいんちょ、そらないで。使徒っちゅーんはどでかい生き物やからのぉ、来たらすぐにわかるわ」
シンジ「そうとも言えないんじゃないかな」チラ
ケンスケ「碇? 手がどうかしたのか?」
シンジ「……いや、なんでもない。それよりもうすぐホームルームがはじまるよ、みんな席に戻らないと」
トウジ「おぉ、そもそやな……せや、サクラの手術、うまくいったで」ポン
シンジ「ほ、本当?」
トウジ「ああ……! シンジには謝らんといかんことがある。後で少し時間くれや」
ヒカリ「鈴原……」
シンジ「いいよ」
ケンスケ「いったいいつになったら僕に会わせてくれるんだ?」
トウジ「そやな……。ケンスケにも、紹介したらなあかんな」
アスカ「ふん」
171 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/11(日) 00:13:34.82 ID:avvamD620
【HR中】
教師「えぇ〜、今日はみなさんにお知らせがあります。霧島、マナさん、入りなさい」
ガララ
マナ「はい」
トウジ「なんや、転校生かいな」
ケンスケ「こりゃまたビックニュースだねぇ、ビジネスの匂いがするぞぉ!」
男子生徒「……」ゴクリ
ザワザワ
マナ「……」スタスタ
教師「親族の都合でこちらに越してきた、霧島マナさんだ。諸君、慣れない環境で戸惑わないように、仲良くするように」
マナ「……(あれが、碇シンジくん)」チラ
シンジ「……?」
教師「自己紹介を」
マナ「はい、霧島マナです。叔父の所でお世話になるので越してきました。これからよろしくお願いします」ペコ
男子生徒「おお〜」
ケンスケ「いい! いいぞぉ! かなりのルックスだ!」
トウジ「まったく、お前は」
教師「席は、そうですね……」
マナ「あの、先生。私、目があまりよくないのであまり後ろだと授業に……」
教師「お、おぉ。そうかね。では……」
マナ「真ん中のあたりだと嬉しいんですけど……」
教師「ふむ。んーと、では、そこの碇くんの隣の席の。誰だったかな、出席番号17番。変わってあげなさい」
女生徒「えぇ? ……教師が番号で覚えてるってやばくない?」
教師「キミ、聞こえとるぞ。後ろに行きたくはないのか?」
女生徒「やた! サボれる! いいえ、行きます行きます! 喜んで!」
教師「ふぅ、不真面目な生徒で助かったな、それでは碇くんの隣に」
マナ「はい!」スタスタ
男子生徒「か、か、か、かわいい」デレー
マナ「……」ガタ
シンジ「……」
マナ「よろしく、碇くん」ニコ
172 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/11(日) 00:37:44.59 ID:avvamD620
【昼休み】
男子生徒A「ねぇねぇ、どこから来たの?」
マナ「え、えっと……」
男子生徒B「なにか困ったことあったら言ってよ! なんでも力になるから!」
ヒカリ「あ〜あ。男子達って結局見た目なのよね。今までアスカばかりだったのに」
アスカ「どうせガキだし私は気にしない」
ケンスケ「そうとも言えない!」ズィ
アスカ「わ、わぁっ⁉︎」
ケンスケ「これはゆゆしき問題だよ! 主に僕らの財布にな!」
アスカ「あんた、なにか悪どいことやってんじゃないでしょうねぇ?」
ケンスケ「ご、ごほん! いいか! ドイツ人ハーフと」
アスカ「クォーターよ、私は」
ケンスケ「おっと、そうなのか。メモメモ」
トウジ「おい、ケンスケ」
ケンスケ「いけない、いけない。ゔぅんっ! ドイツ人クォーターとクールビューティー! この二大巨頭は今や戦国時代を迎えたのだ!」
アスカ「はぁ?」
ケンスケ「ううむ、また男子達の間で意見が分かれるな!」
アスカ「頭でもおかしくなったんじゃないのコイツ」
シンジ「……アスカ、購買パンにしたの?」
アスカ「そうよ。ミサトもあたしも料理なんかしないし」
ヒカリ「私がついでにって言ってるのに」
アスカ「だめ。それは悪いもん」
シンジ「そっか、だったら僕が作ってこようか?」
アスカ「え、いいの?」
173 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/11(日) 00:49:30.86 ID:avvamD620
シンジ「うん、僕だったら前から作ってたし、アスカも気兼ねしないんじゃないかな」
ヒカリ「わぁ、いいなぁ。アスカ」
アスカ「う……」
男子生徒C「お昼なんだけどさ」
マナ「ちょ、ちょっとごめんなさい」
男子生徒C「え……」
マナ「……」スタスタ
トウジ「お?」
ケンスケ「ん?」
ヒカリ「へ?」
マナ「あの……」ピタ
シンジ「……?」
マナ「その、席が隣になった、霧島です。授業中は端末見せてくれてありがと。まだ間に合ってなくて」
シンジ「あぁ、いや。いいよ」
アスカ「……あ……」パクパク
マナ「私、まだ教室の場所がわからなくて、あの教えてもらったら」
ヒカリ「そ、それなら私が、いたぁ!?」ビシ
トウジ「いいんちょは黙っとれ! たしかにわからんのは不便やな。シンジ、案内したれ」
ヒカリ「は、はたかなくたっていいじゃない!」
トウジ「ケンスケ」
ケンスケ「はぁ、また碇か。碇なのか。いいよ、こっちはまかせて行ってこい」
シンジ「トウジ、ケンスケ?」
ケンスケ「ほら、そこで固まってるドイツ人が正気を取り戻す前に、はやくしろよ」
シンジ「う、うん。わかった。それじゃ行こうか、霧島さん」
マナ「碇くんって優しいんだね! 嬉しいっ!」ギュウ
アスカ「……」ピシッ
シンジ「ち、近いよ。そんな、腕組まなくとも」
マナ「あ、ごめんなさい。馴れ馴れしかった? えへへ。ねぇ! はやくいこっ!」
174 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/11(日) 00:56:12.20 ID:avvamD620
【第壱中学校 構内】
シンジ「ここが理科準備室。当番になったら授業前に先生の指示で器具を用意するんだ」
マナ「うんうん」
シンジ「それじゃ、次に……」
マナ「ねぇねぇ、シンジくんって、なんていったかな。あっ! 怪獣だ! それと戦ってるって本当?」
シンジ「……誰から聞いたの?」
マナ「さっき、歩いてたときに話てるのが聞こえちゃった。すごいね。みんなのヒーローなんだ?」
シンジ「そんなにたいしたものじゃないよ」
マナ「……嬉しくないの?」
シンジ「次に行こう」ガララ
マナ「あっ、ま、待ってよ」タタタッ
175 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/11(日) 01:09:59.81 ID:avvamD620
【屋上】
マナ「きれい……」
シンジ「ここからの景色はいいんだ。でもみんな使わない」
マナ「どうして? お昼食べたら気持ちよさそうなのに」
シンジ「見慣れた景色だから。僕も数ヶ月前に転校してきたからそう思うけど。元々、住んでた人達には有り難みがないんじゃないかな」
マナ「そうなの、もったいないね」
シンジ「夕焼けはもっときれいだよ」
マナ「ねぇ、どうして、そんなに悲しそうに街並みを見つめるの?」
シンジ「悲しそう?」
マナ「私がそう感じるだけなのかな。碇くんは、みんなにチヤホヤされて嬉しくないの?」
シンジ「僕が望んでるわけじゃないから、アスカは誇りに思うかもしれない。だけど誰もがパイロットになりたくてなってるわけじゃないんだよ」
マナ「えっ? だって、碇くんは親が……はっ、そ、そうなんだ……」
シンジ「……?」
マナ「ご、ごめんなさい。もったいないね、この景色」
シンジ「うん……そうだね」
マナ「(情報だと、私、てっきり望んで乗ってるんだと。違うの?)」
シンジ「そろそろ、昼休みが終わるよ。案内しきれてない体育館とかは誰かに聞けばすぐにわかるから」
マナ「あ。……ありがとう。あの、シンジくん、って呼んでもいい?」
シンジ「どうして?」
マナ「友達がまだいないから。その第一号になってもらえないかな?」
シンジ「……僕でよければ」
マナ「ありがとう! 私はマナって呼んで!」
シンジ「マナ、さん、でいいのかな」ポリポリ
マナ「呼び捨てでいいよ! ね?」
シンジ「わかったよ、マナ」
176 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/06/11(日) 02:13:32.64 ID:z0Z7I7hYO
前回とマナアスの修羅場違いも楽しみだ
177 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/11(日) 19:49:47.25 ID:avvamD620
マナ「でも、なんだか、静かだね。街が、まるで……停止してるみたい」
シンジ「……?」
マナ「電車の音も聞こえないし。なんだろう、なにか違和感があるような……」
シンジ「たしかに、変だ」
バァンッ
アスカ「シンジっ!」
シンジ「アスカ?」
アスカ「第三新東京市の電力が落ちてる!」
シンジ「なんだって?」
アスカ「使徒の仕業かもしれない、ネルフに行くわよ!」
レイ「携帯電話も繋がらない」
シンジ「……! でも、ネルフに行くまでのアシはどうするの?」
アスカ「ちっ、そうだった。ええと」
シンジ「職員室に行って先生達の中で車を運転できる人がいないか聞いてみよう。綾波、携帯電話の表示は圏外になってる?」
レイ「電波はたってる。回線が混雑しているのかもしれない」
シンジ「電力が落ちてるなら、公衆電話は使えない。だから回線がパンクしてるのかもしれないね」
マナ「……あ、あの……」
シンジ「マナはこのまま指示があると思うから、それまで待機してるといいよ。誘導に従って、わからないことがあればトウジ達に聞けばいいから」
アスカ「ミサトも渡すんなら衛星電話にしときなさいよねぇ、肝心な時に使えないんだから」
シンジ「しかたないよ。重くなっちゃうから。とにかく、職員室に急ごう」
178 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/11(日) 20:02:49.83 ID:avvamD620
【ネルフ本部 発令所】
ミサト「電力を落とすのはブラフじゃなかったってわけ」
マコト「……」
ミサト「マヤ少尉、外部からなにか連絡は?」
マヤ「なにも。シャットアウトされています。電力に頼りきっている部分が多すぎますから。三系統が一度に落ちるなんて……」
リツコ「それにしても暑いわね。エアコンも?」
シゲル「はい。当たり前の話ですが、空調も電力を使っていますから」
リツコ「ふぅ、復旧作業はどれくらいの見込み?」
マヤ「現在、技術部が総出で原因解明にあたっています。本日未明では、ないでしょうか。なんにせよ原因をつきとめないことには、なおしようも」
リツコ「MAGIは今、無防備になっている。回復したらOSだけはとにかく急いで立ち上げるのよ」
マヤ「了解」
ミサト「(予定通りってわけね。でも、落とした目的はなに? ユイ司令はなんの目的があってネルフを危険に晒すの?)」
リツコ「……ミサト?」
ミサト「はぁい?」
リツコ「私も現場に行ってくるから、あとは頼んだわよ」
ミサト「はいは〜い」ヒラヒラ
リツコ「そんな態度でいいの? 左遷させられるわよ?」
ミサト「するつもりなら昨日の時点でされてるわよ」
リツコ「……?」
179 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/11(日) 23:46:37.94 ID:avvamD620
【職員室】
先生「おお、来ると思っとったよ。使徒というやつか?」
シンジ「まだわかりません。先生方の中で運転できる方いますか? ネルフまで乗せていただきたいんですが」
先生「あー、そうだな。私が行こう。キーをとってくるから少し待ってくれ」
シンジ「綾波。ネルフには連絡ついた?」
レイ「いいえ。ずっと繰り返しかけているけど繋がらない」
シンジ「……どこにかけてるの?」
レイ「どこって?」
シンジ「えっと、ネルフのどこに?」
レイ「守秘回線が原則だから、総合本部……あっ」
シンジ「向こうが電力落ちてるなら、繋がらないよ。ミサトさんにかけてみてもらっていいかな」
レイ「了解、ごめんなさい」
アスカ「シンジ?」
シンジ「……?」
アスカ「いや、なんでもない」
レイ「……碇くん、繋がった」
シンジ「貸して」
レイ「はい……」スッ
180 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/12(月) 00:02:44.12 ID:teHcZJ940
ミサト「レイ、もしもし?」
シンジ「ミサトさん、どうなってるんですか」
ミサト「シンジくん? レイの携帯電話から、ああ、そっか、かりたのね。今、第三新東京都市の電力が落ちてるのよ」
シンジ「使徒ですか?」
ミサト「うーん、違う、かな。今は学校よね? そっちでなにか異常ある?」
シンジ「僕たちもさっき気がついた所です。屋上で景色を眺めていたら静かすぎたので。そういえば、アスカと綾波はどうやって気がついたの?」
アスカ「あんたは屋上にいたから気がつかなったんでしょうけど。先生達が電気が使えないって気がついて」
ミサト「アスカも一緒にいるの?」
シンジ「はい。今、僕たちは職員室にいます。これからネルフ本部に向かおうとしてたんですけど」
ミサト「……そうね。形だけでも非常時の備えは必要だわ。迎えよこす?」
シンジ「先生に送迎をお願いしたところです」
ミサト「あら、シンジくん、なんだかはりきってる?」
シンジ「いえ、そんな。僕にできるのはなにか、見つけてしているだけです」
ミサト「……そう。えらいわね」
シンジ「このまま僕たちはネルフに向かいます。ゲートのセキュリティはどうなってますか?」
ミサト「あっ、そうだった。緊急用の非常階段があるけど、道わかる?」
シンジ「ミサトさんと初めて会った時に使った通路ですか?」
ミサト「あはは。よく覚えてたわねぇ。あ、そっか。あの頃、迷っちゃったんだっけ」
シンジ「……携帯電話が通じるならナビしてくれるという手もありますし、大丈夫だと思いますよ」
ミサト「そうね、わかった。私ももっとはやくに連絡すべきだったわ。アスカにも謝っておいて」
シンジ「わかりました、それじゃ着いたら連絡します」
ミサト「ええ、気をつけてね」ピッ
アスカ「……」
レイ「……」
シンジ「どうしたの? 二人とも」
先生「おう、待たせたね。……急ぐんだろ?」
181 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/12(月) 00:15:42.35 ID:teHcZJ940
【ネルフ本部 発令所】
ミサト「全職員に通達! 携帯電話をあるだけ集めて!」
マヤ「……あっ! そっか! どうして見落としてたんだろう!」
ミサト「基地局は生きているわ。回線がパンクする前に、我々が必要なラインは確保します。戦自にも連絡、急いで」
マコト「了解!」
シゲル「あー、あー、マイクテス、マイクテス。聞こえるか? ええい、まどろっこしい! 通達が聞こえる範囲にいる職員は、速やかに携帯電話を提出!」
オペレーター「了解。各自、手動でハッチ開け。速やかに移動を開始せよ」
冬月「……予備バッテリーの確保にも走らせろ。外部への通信手段がなくなると孤立してしまうぞ」
マヤ「ええと、モバイルバッテリーって乾電池よね? 単三? 単四?」
マコト「両方集めてしまえばいい!」
ミサト「これは訓練ではないわ。只今の時刻をもって、第一種戦闘配置へ移行します」
182 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/12(月) 00:38:28.83 ID:teHcZJ940
【ネルフ本部 執務室】
ユイ「……」
加持「いい予行練習になりそうじゃないすか」
ユイ「……仕事は終えたの?」
加持「おかげさまで。誰の邪魔もはいらず完遂できましたよ。このMOデータはそのまま政府に渡してもよろしいので?」
ユイ「ふふ、それでは困るわ。なにも丸裸になるほどサービスしなくていい、ダミーデータを用意してあるから、代わりにこれを」スッ
加持「言うまでもないと思いますが、政府はネルフの占拠を目論んでいます。MAGIが心臓であると勘づいていますよ。だからこそ、潜入路を、構造を知りたがっているんです」
ユイ「システムの欠陥は機械ではなく、往々にして使う側にあるものだもの。麻痺させるのは……そう、最後の敵は、人間なのよ」
加持「この、俺が集めたデータは?」ピッ
183 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/15(木) 23:18:28.50 ID:SaWI0Dp10
ユイ「それはこちらで使わせてもらうわ」
加持「あいかわらず抜け目ないっすね。いざ攻めてきた時に対する処置ですか」
ユイ「ただ指をくわえてまっているのはバカな女なだけよ。自分で引き寄せなくては」
加持「復旧させるのはいつごろにされますか」
ユイ「様子を見ましょう」
加持「……なにか気になることでも?」
ユイ「シンジが気になる」
加持「(つけいる隙があるとすれば、息子の存在か)」
ユイ「なにかよからぬ考えを抱いてない?」
加持「いいえ。なにも」
ユイ「……」
加持「それじゃ、俺はこのまま政府にコレを渡しに行きます。はやい方がいいでしょうしね」
ユイ「ええ。くれぐれも、あなたが二重スパイだと悟られてはだめよ。そのためにこうしたのだから」
184 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/15(木) 23:30:13.81 ID:SaWI0Dp10
【ネルフ本部 非常用通路】
レイ「こっちよ」
アスカ「なんでファーストが先頭を立って歩いてるのよ……」
シンジ「道がわかるっていうんだからいいじゃないか。まかせようよ」
アスカ「あんただってそれぐらいわかるんじゃないのぉ!? さっきの電話ではえらそーなこと言ってたくせにさぁ!」
シンジ「誰が案内したってつくのは同じじゃないか」
アスカ「……あたしは……ファーストよりあんたが……」ブツブツ
レイ「――待って」
アスカ「うぷっ! 鼻打っちゃったじゃなぁ〜い!」
シンジ「シッ、誰か来る」
アスカ「どうせ職員か誰かでしょ」
レイ「……」
シンジ「……」
アスカ「……?」ヒョイ
レイ「碇くん」
シンジ「うん。アスカ、アスカ走るよ」グイ
アスカ「え、えぇ!? ちょっと! もぉっ、なんなのぉ〜!」タタタッ
185 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/15(木) 23:46:39.41 ID:SaWI0Dp10
アスカ「――はぁっはぁっ、ちょっと、もう、離して! 離してってばぁっ!」ブン
シンジ「あ、ごめん」
アスカ「シンジもファーストもなんだっての!? わかるように説明しなさいよ! なにが来たの!?」
レイ「わからない」
アスカ「はぁ?」
シンジ「なにか危険な気がしたんだ。だから、急ぎたくて」
アスカ「なによそれぇ? たかだかなにも根拠のない勘のせいでわざわざ走らせたの?」
シンジ「でも、はやく発令所につけそうだし」
アスカ「そんなのは結果論でしょ! 歩いて行ったってよかったわけだし、その理屈はおかしいわよ!」
シンジ「アスカを、守りたくて」
アスカ「守る!? あんたが! このあたしを!? いきなり何様のつもり!?」
レイ「危険は事前に回避してこと意味があるわ。碇くんはなにも悪くない」ズイ
アスカ「なんで人形が出てくんのよ。……うっとおしい! 今はあたしとシンジが話をしてるでしょ!? 見てわかんないの!?」
レイ「口論をしている時間はないわ」
アスカ「余計な口出しをしなきゃすぐに終わって……ふーん、そう、シンジの点数稼いできたいんだ。あんた」
レイ「…なに?」
アスカ「ファーストってばシンジが好きなんだぁ〜? 愛しい王子様の前で良いとこ見せたいってはりきっちゃってるのかしらねぇ〜」
シンジ「アスカ……」
アスカ「シンジは黙ってて! ……なんとか言ったらどうなの!?」
レイ「…………好きって、なに?」キョトン
186 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/16(金) 00:01:58.70 ID:FSUAQ/Ug0
シンジ「(そうか……綾波は本当にわからないんだ……器、だから……)」
アスカ「ば、バカにしてんの?」ピクピク
レイ「いいえ」
アスカ「そうとしか思えないじゃない! あんたの行動は気に入られようとしてしてるんでしょ!?」
レイ「違うわ。私がよく構造を把握しているから」
アスカ「……あたし、嘘つきは嫌いよ」
レイ「嘘じゃない」
アスカ「私たちの年齢になって好きってなに? は、ふざけてんじゃないわよ!」
シンジ「(そうじゃない……綾波は、知らないんだ……本当に……)」
レイ「ふぅ、どうすればいいの?」
アスカ「……っ!」ギリッ
レイ「どうすれば、納得するの?」
シンジ「綾波、だめだ。それじゃ、火に油を」
バチンッ!
レイ「……」キッ
アスカ「……なによ、先に煽ったのはあんたでしょ。なんの文句があるっての!」
レイ「……」フッ
アスカ「なによ、なによ、なによなによなんなのよ! あんた何なの!?」
シンジ「あぁ……」
187 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/16(金) 00:13:41.16 ID:FSUAQ/Ug0
レイ「……やりとりに真実はありはしないわ。解釈の仕方が違うだけ」
アスカ「意味わかんない! なんでこんなやつがパイロットなのよ!」
シンジ「アスカ、綾波……」
レイ「あなたは、受け入れられないだけ。いいえ、見ようともしていない。私は、嘘つきじゃない」
アスカ「私のどこが見ようとしてないって!? あんたの表現が乏しいからでしょ! 理解してほしいなら喜怒哀楽をはっきりさせなさいよっ!」
レイ「……」
アスカ「……」
シンジ「二人とも……」
アスカ「シンジ、選んで」
シンジ「えっ?」
レイ「……!」キッ
アスカ「私とファースト、どっちが正しい?」
シンジ「ぼ、僕が?」
アスカ「あんたは第三者の立場から見てる。贔屓なしで、どっちの言い分が正しいか選んでよ」
レイ「なぜ、碇くんを巻き込むの?」
アスカ「……! もともとあんたが首をつっこんできたんじゃない」
シンジ「(……どうしよう、どうすれば……)」
188 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/06/16(金) 13:36:58.98 ID:hZuT+bhGO
アスカくそやな自分の考えと違うの全て間違いないって思考で手もあげるってさただのヒステリー女やん
189 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/06/16(金) 13:38:49.35 ID:t1jYKlZXo
まあ14歳が14歳に好きって何って聞いたら煽られてると思ってもしょうがない
190 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/06/16(金) 13:58:24.04 ID:zEipVDMzo
レイがちょっと変わってる子ってのはわかってるし人形呼びまでしてるんだから
ちょっと怒りすぎだろと普通なら思う所だが、アスカなら仕方ないと思えるのがなんとも
191 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/06/16(金) 15:14:17.44 ID:f+XgELYpo
アスカはなんのかんので一番キッズだからな
矛盾を飲み込んで受け入れるキャパが育ってないので
192 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/06/16(金) 15:56:57.57 ID:OkPKV4QPO
原作で綾波とアスカがなぜ仲悪かったのがよくわかる構図
193 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/16(金) 16:35:18.58 ID:FSUAQ/Ug0
レイ「……」
シンジ「(綾波は本当に好きって感情がわからないんだ……だけど、アスカは? アスカは綾波がリリスの器だって知らないんじゃないの……)」
アスカ「……」
シンジ「(アスカは綾波を同年代の変わった子として見ている。お互いに、空回りしてるんだけなのかもしれない。決定的に違うって知っていれば、もう少し接し方があるはずなのに)」
アスカ「こんの優柔不断! はっきり決めなさいよ! やっぱり、あんたはファーストを選ぶの?」
レイ「……」
シンジ「……どちらも選べないよ」
アスカ「は、はぁ? そんなの……」
シンジ「僕が本当に公平ならどっちにも非があるんだと、思う。アスカは、煽られたと思って頭に血が上ってるし、綾波も考えた言い方があるんじゃないかな」
レイ「……」
アスカ「……」
シンジ「僕たちはそれぞれ性格があるんだ。受け入れられないと思うのも当たり前だよ。合わないのなら、やりようがある。そうだろ、アスカ、綾波」
アスカ「喧嘩両成敗ってわけ……?」
シンジ「アスカは、僕に判断を委ねたんだ。贔屓なしでって言ったじゃないか。これが、僕のだした答えだよ」
アスカ「あんた……」グッ
シンジ「僕は、アスカの、理不尽な気持ちがわかる気がするんだ。僕もなにも知らなかったから……アスカは、無意識におかしいって気がついているんだね」
レイ「……」ピク
シンジ「綾波、アスカはなにも知らないんだ」
レイ「……ええ」
アスカ「そう。……なぁ〜んだ。シンジとファーストって、もうできちゃってんじゃない」
シンジ「そうじゃないよ、僕はただ」
アスカ「なんで言い訳しようとしてんの!? 別にあんたが誰と仲良くなってたって私が気にするわけないのにっ!」
シンジ「……僕は、アスカに誤解が……」
ドドォーンッ!
レイ「……っ!」
アスカ「な、なに? 地震?」
シンジ「なんだ? ……ぐっ!?」ドサッ
アスカ「し、シンジ? なんなの?」
シンジ「なんだ、手が、痛い……うぐぅぅっ」
194 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/16(金) 16:52:49.95 ID:FSUAQ/Ug0
【発令所】
ミサト「なに!? 今の揺れ! 使徒!?」
マヤ「だめです! 電力が回復してません! 信号の解析の為の立ち上げがっ!」
シゲル「職員から集めた携帯電話を使い、ありったけの回線を本部に集めていますが、なにぶん細すぎて、データ量を転送するのに時間が足りません!」
ミサト「戦自は!? あっちの電力も落ちてるの!?」
マコト「たった今、戦自より通達あり! アメリカを出発していた輸送機が何者かの手によりハイジャックされていた模様!」
ミサト「聞いてないわよ!? まさか……!?」
マコト「輸送引き渡しを予定されていた三号機です! 管制塔からの報告によるとその後の空路は、第三新東京都市に向けて舵をきっています!」ガタッ
マヤ「そんなっ!? 三号機はまだテスト段階じゃ!」
ミサト「誰が操縦してるかわからない輸送機が、三号機を乗せたままここにきてるってわけ!? 今の揺れもそのせい!?」
シゲル「い、以前として不明! 」
オペレーター「電話連絡入りました! 地上にいる職員からの目撃情報によると、第一階層に物理攻撃を確認!」
ミサト「しゃ、シャレになってないわ! ネルフは今、無防備なのよ!? シンジくんたちは!? エヴァの発信準備! 技術班達は、復旧作業を一時中断して!」
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