都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達…… Part13

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209 :次世代ーズ 前回 >>197-203 ◆John//PW6. [sage]:2018/03/21(水) 21:52:06.01 ID:ImuJP87eo
 






 滞空するのは黒い人影
 だがあれはヒトじゃない、体躯以上に拡げられた翅がその証拠だ
 おまけに顔面と思しき部分からは二点の真っ赤な光を放ってやがる


「『モスマン』か……、この距離で見るのは初めてだけど
 ほんと毛むくじゃらのジャミラみたいな奴だな……」

「完全に俺達狙いとなっちゃあ戦るしか無えぞ、早渡」


 分かってるって、ここに来る前の約束だったしな
 『今夜は俺の所用に付き合うこと
  もしもヤバそうな都市伝説に会ったらまず俺が相手すること』
 そういう条件で半井のおっさんは同行してくれることになったんだから


「しっかし『モスマン』かよ。頑張るけどさ」


 校舎の死角から向こう側を窺うようにモスマンの動きを警戒する
 あっちは大きく八の字を描くかの如く緩慢に羽ばたいているが
 大きく移動を開始する素振りは見せていない
 どうも滞空してこちらの様子を観察しているらしい


「早渡どうする、タイマン張んのか?」

「馬鹿言え、遠距離相手じゃ分が悪すぎるよ
 いよっち先輩を逃がす時間稼ぎだ。頼んだぜおっさん」

「そっちは任された。だが相手は『モスマン』だ
 二手に別れたら直ぐに勘付かれちまうぞ?」

「仲間を呼ばれる前に急いだ方がいいな
 一応確認するけど、アイツ以外に他の『モスマン』は来てないよね?」

「アイツだけっぽいな、ニオイも気配も」


 おっさんの言う通り、俺達を狙った「モスマン」はあの一体だけ
 “波”を読もうと既に感覚は全開だが、他の個体が付近に居る様子は無い
 少なくとも、今の所は


「逃げるなら今だな」


 ジャケットの内ポケットから白いマフラーを引っ張り出した
 それを不安そうな顔をしたいよっち先輩の首に巻き付ける


「早渡後輩!? 何すんの!? って、何これ」
「マフラーだよ、特別製の。学校出るまで絶対外すなよ?」
「おし、れおんは新谷に乗れ! いつでも走れるように準備しとけよ!」


 やるしか無いのは分かってる
 分かってるんだけど一応おっさんに訊いとこう


「知り合いにさ、戦闘慣れした契約者か都市伝説さん居ないのん……!?
 出来れば、こう、遠距離が得意な方とかさ!」

「居るには居るが、どいつもこいつも近場じゃ無えな!
 それに呼んでる時間が無えわ! まあ気張れや!」


 気軽に言ってくれるな、おっさん
 あれだ、今は敵を撒くことだけを考えよう


「んじゃ、当初の手筈通り何かあれば直ぐに連絡」
「何も無ければ連絡無しで逃げ切る、だろ。そっちは準備OKか?」
「大丈夫だ。じゃあ――始めるか」



 
210 :次世代ーズ 30 「退避の後に」 2/8 ◆John//PW6. [sage]:2018/03/21(水) 21:53:13.78 ID:ImuJP87eo
 

 身を翻して校舎の縁越しに「モスマン」を睨んだ

 不意に奴の体が下方へとブレた
 先程よりも羽音がうるさくなり出した

 確かな手応えは感じた。正しくは“尾”伝いの感触だが
 「モスマン」の様子を窺ってたときから既に“尾”を生やして
 地面や校舎の壁を這わせるように引き伸ばし
 真下の位置でとぐろを巻きつつ、奴を捕らえる瞬間を窺っていたんだ
 ただ単に奴の様子を眺めてたワケじゃない


 くすぐったさは気合で我慢だ
 掴んだからには離すつもりは無い
 “尾”の制御だけで「モスマン」を地面へと引っ張り込む
 奴が地面に叩き付けられる感触と同時に墜落の激突音が校舎越しに聞こえた

 今だ

 片手を高く上げておっさん達に合図を送る


「ほら! 嬢ちゃんも走るぞ! 急げ!!」
「え? え? ちょ、え!? でも早渡後輩は!?」
「話聞いてなかったのか!? いいから逃げんだよ!!」


 その瞬間、おっさん達は踵を返して駆け出し始めた


 おっさん達、ほんと大丈夫かな
 なんて心配している場合じゃない


 さあて「モスマン」、暫く付き合って貰うぜ
 奴は今、“尾”に引き込まれて地面に墜落したままのはず
 十分な時間はこっちで釘づけにしないと
 ただし悠長にやり合ってるわけにもいかない
 既に仲間を呼ばれていたとしたら面倒なことになるからな



 校舎の陰から出る
 奴は恐らく校庭に落っこちたはずだ

 速足で前方に向かうと、いた
 校庭のほぼ真ん中で黒い影が暴れ回っている
 あれが「モスマン」だ、どうも“尾”が絡んで身動きが取れないらしい

 なら好都合だ
 一旦、生やしていた“尾”を切断した
 そして再度“尾”を発現する

 引きずり回してぶち転がそう

 新たに生やした“尾”を前方の「モスマン」めがけて撃ち込んだ
 奴の脚と思しき部分に先端が絡み付く
 いける、このまま引きずり回しだ

 重心を落として“尾”を強く引き込む
 それに合わせて「モスマン」の体が引き摺られた

 重い、こっちが引き摺られないようにしないと

 俺がそこまで考えていた、そのとき


 「モスマン」と、目が合った


「は」


 強い、敵意が、奔った


 
211 :次世代ーズ 30 「退避の後に」 3/8 ◆John//PW6. [sage]:2018/03/21(水) 21:54:10.48 ID:ImuJP87eo
 









「げっほ、ごほっ!! がはっ」



 完全に油断した!
 血を吐いてる場合か俺!!
 直ぐ立って身を隠さないと!!


 全身が痛む、がここから離れないとやばい
 頭痛が酷い、頭の中をガンガン響きまくってる
 奴はどうなった!? “尾”を振りほどいたのか?

 前方を睨む
 奴はこちらを見ていた
 “波”の重圧が凄い、殺意満々じゃないか

 「モスマン」は“尾”を全て引き千切ったようだ
 地面から2、3メートルの位置で滞空したまま翅を拡げている

 照準は、俺に向いている



「やっべ!!」



 身を投げ捨てるように横合いに跳んだ
 直後、腹の底を叩き付けるような轟音と震動が襲った



「ごほぉっ!!」



 大丈夫だ、直撃じゃない!

 奴の攻撃で割れた窓のガラス片から身を庇う

 落ち着け!

 さっき、俺はアレを食らったんだ

 モスマンから放たれた“何か”を受け、俺の体は校舎まで吹っ飛ばされた

 いや、直撃では無かった。あんなの直撃したら、俺の体はバラバラになってたはずだ

 だが、直撃でなくとも俺は吹っ飛ばされて、校舎に叩き付けられた

 一瞬何が起こったか分からなかった

 鱗粉の一撃でも食らったかと思ったが、それも違う

 仮に鱗粉弾だったとしたら俺の体は真っ二つだ

 じゃあ何だ、何なんだあの攻撃は



 転がり込むように再び校舎の陰に逃げ込んだ


 乱れた呼吸以上に手前の心臓の鼓動が大きく響く



 
212 :次世代ーズ 30 「退避の後に」 4/8 ◆John//PW6. [sage]:2018/03/21(水) 21:54:51.12 ID:ImuJP87eo
 



 俺が一発目を食らって血を吐いて地面に倒れてる間に、奴は起ち上がった
 そして俺と目が合った瞬間、二発目を撃ち込みやがった
 あれは鱗粉攻撃では無かった

 だとしたら何だ、相手は「モスマン」、蛾だ
 攻撃の直前、奴は翅を拡げていた
 そして直前には強い殺気を放っていた
 いやだが、あれが鱗粉で無いなら、――まさか音波か?

 確かに蛾はある種の超音波を知覚するらしいが
 コウモリのように超音波を発信するか? あり得ないとは言えない
 だが待て、そもそもだ、ANなら「基本、何でもあり」だろうが!
 しっかりしろ俺! “科学の見方”で考えたらアウトだ、相手はANだぞ


 深呼吸を繰り返す
 今のところ、奴が距離を詰めてくる気配は無い
 だが“波”が完全にこっちに向けられている、俺を警戒している


 一旦、奴の攻撃を「音の塊」を放つものだと考えよう
 頭の中を断続的に押し寄せる鈍い痛みに奥歯を噛み締める
 体中にぶつかってきた衝撃は、音の塊か
 だとしたら脳みそ含めて外から内から揺さぶられたわけだ
 確か、二発目の攻撃の直前に翅を拡げていたが、つまりあれが攻撃部位か

 一発目のときはどうだった?
 確か、奴は不意に上体を起こして、翅を拡げたんじゃなかったか?


 呼吸が落ち着いてきた
 おし、そろそろ反撃の時間だ
 奴の注意はこっちを向いてる、今がチャンスだ


 携帯を内ポケットから取り出す
 幸いなことに奴の一撃で壊れたわけでは無いようだ
 おっさん達から特に連絡は無い、ので首尾よく逃げ切ったんだろう

 携帯をポケットに戻しながら、考える
 「モスマン」からは「組織」特有の臭気は感じない
 尤も、“波”を隠蔽している線は排除できないが今は措こう
 問題なのは独身のANにこんな器用な真似ができるかどうかだ
 無論答えは否だ、コイツは間違いなく「契約者持ち」だと見ていい

 だとしたら何の為に? 何故俺達を狙った?
 単に喧嘩が売りたかっただけか、それとも別の目的か

 俺は最初、「モスマン」は狐の配下なのかを疑った
 「狐」の影響を受けているなら多かれ少なかれ“波”に影響はあるはずだとも考えた

 奴はどうだ?
 「狐」の配下なのか?

 分からない
 奴の“波”からは特に何も感じない
 ただ俺に対して強烈な殺意を向けているだけだ


 これ以上考えても仕方ない、反撃の時間だ
 俺は校舎脇に置かれていた金属製のバケツを掴んだ



 
213 :次世代ーズ 30 「退避の後に」 5/8 ◆John//PW6. [sage]:2018/03/21(水) 21:55:28.48 ID:ImuJP87eo
 



 「モスマン」が徐々に移動を始めた
 ゆっくりとだが前方へ、校舎へ向かって進んでいる

 未だに俺の動きに警戒しているようだ
 だが、俺はもう奴の前には居ない

 校舎の死角から奴の動きを盗み見る
 俺はバケツを掴んで校舎を回り込むように移動した
 丁度、「モスマン」からすれば向かって右の校舎の陰に潜んでいる
 “波”を読むに、奴はまだ俺が前方校舎に隠れているものと思い込んでいるらしい

 だとしたら好都合だ
 勿論「モスマン」が俺に気付かないフリをしてる可能性だってある
 油断は禁物だ

 しかし、それでも
 この機会を逃がすわけにはいかない
 準備はもう出来てる、早速仕掛けに行くぞ



 腕を大きく振るい、バケツを宙高くに投げ上げた
 バケツは放物線を描きながら――狙い通り、モスマンからやや左側に落下した
 校舎の壁に音が跳ね返って甲高い残響音が響く


 「モスマン」が身動ぎし、翅を拡げ掛けた


 校舎の陰から飛び出す


「おい! 『モスマン』っ!!」


 喉に痛みが走る程の大声に、奴は気付いたようだ

 翅を拡げたまま、こちらへ身を向けようとする


 待ってました


 俺は背後に隠していた“尾”を大きく振りかぶる

 今、俺の腕より少し長めに発現した“尾”の先端が握っているのは

 飴細工を引き伸ばすようにして生成した、槍の形状をした“黒棒”だ


 右腕を振りかぶるのと同時、“尾”がそれに同期して動く

 渾身の勢いでボールを投げ付けるように

 “尾”で“黒棒”を投擲した


 まだだ、まだ終わりじゃない

 投げられた“黒棒”は意外なほど正確に、奴の片翅に突き刺さった

 「モスマン」の体が、衝撃のためか、大きくぶれた


 今だ


「  爆ぜろ  」


 声と共に、“黒棒”が破裂した



 
214 :次世代ーズ 30 「退避の後に」 6/8 ◆John//PW6. [sage]:2018/03/21(水) 21:56:08.64 ID:ImuJP87eo
 



 声が、いや“波”が、夜の大気を劈いた

 これは「モスマン」の声か!?
 頭の中に響く奴の“波”が鋭い痛みを齎す

 直後に窓ガラスが割れる音が響いた
 一度だけじゃない、次々とガラスの割れる音が鳴り止まない

 「モスマン」の「音の塊」だ
 やたらめったらに周囲を攻撃してやがるんだ

 “波”がこちらへ向こうと迫るのを捉えた
 ぼさっとしてる場合じゃない!!

 校舎の陰へと回避した直後、さっきまで立ってた場所を殺気が奔っていった
 物凄い圧を感じる、なんて野郎だ!?
 腹の底を揺すられるような感覚が持続する
 もう一発、ブチ込んどいた方が良かったか?



 不意に、殺気が止んだ



 改めて感覚を押し拡げる

 “波”は感じる、「モスマン」のものだ
 だが、先程よりも恐ろしく弱まりつつある

 致命傷を与えたのか?
 いや違う、“波”が遠ざかりつつある

 どうやら奴はこの場から逃走したようだ



 周囲に警戒しつつ、校舎の陰から外へ出た

 中学は不気味な程に静まり返っていた
 先程の「モスマン」との一戦が嘘であるかのような静けさだ

 取りあえず、つい先程まで「モスマン」が滞空していた場所へ向かう


 そこには、黒いモノが落ちていた
 暫く眺めて理解した、これは「モスマン」の片翅だ

 “黒棒”が破裂したとき、狙い通り奴の翅を破壊できたようだ

 主から切り落とされたそれは、都市伝説が消滅するときのように
 淡い燐光に包まれながら、光の泡と化しつつあった





 さて


 手負いの「モスマン」を深追いするつもりは微塵も無い
 アイツが仲間を呼んで戻ってこないとは言い切れない
 そして、これだけ「モスマン」が暴れ回ったからには
 この場に「組織」が駆け付けないとも限らない


 再度感覚を全開にするが、他に“波”は無い
 今の内にこの場を離れた方が良さそうだ
 それも、一刻も早く





 
215 :次世代ーズ 30 「退避の後に」 7/8 ◆John//PW6. [sage]:2018/03/21(水) 21:57:05.06 ID:ImuJP87eo
 








 気づけば公園のベンチに寄り掛かっていた
 体中が重い、というか中から鈍い痛みが断続的に押し寄せる

 何とか立ち上がりながら辺りを見回した
 ここは確か、南区の公園のはずだ
 中学は東区だったから、つまり俺は
 半ば記憶が飛んだまま、ここまで逃げてきたってことか

 この公園、そういや半井のおっさんから「モスマン」の話を振られた場所じゃないか
 別にどうってわけじゃないけど、どことなく因縁を感じる


 体を動かす度に痛みが響く
 あの「音の塊」、直撃こそ回避したものの、相応にダメージは入ったらしい

 こりゃ、明日学校休んだ方がいいかもしれない

 水飲み場の蛇口を捻る
 その冷たさが心地良い
 噴き出る水を直接顔に当てた

 そのまま水を飲む
 急に胃から込み上げてきた
 もうそのまま吐き捨てると、口の中に血の味が広がった

 相当かもな、これ

 水飲み場に広がった赤が徐々に排水される
 その様をぼんやりと眺めながら、水を飲み、また少し吐いた


 不意に胸が震えた
 と思ったら携帯の着信だ
 半井さんからか? 慌てて身を起こし、確認すると確かに半井さんからだった


『お? 無事か早渡!? こっちは首尾よく逃げ果せたぞ!!』
「こっちも何とか撒いたよ、思った以上にヤバい奴だったじゃないか、おい」
『それよりお前、あっちょっち電話代わるからな! てか、知り合いなら最初にそう言っとけよ!!』


 うん? なんだ、いきなり
 ちょっと何を言ってるのか理解できなかったが


『早渡、君? 高奈です、今、どこに、いるの?』


 うん!? 半井のおっさんの携帯に、高奈先輩が、出た?


「いやあの、今、南区の公園なんすけど。って、なんで先輩が」
『あら。前に、言わなかった、かしら。私と、半井さんが、知り合いだって』


 初耳だ
 いや待て、聞き覚えがあった、はずだ
 確かあれは――そうだ、「怪奇同盟」だ
 篠塚さん所を訪問したときにそんな話を聞いた覚えがある
 
216 :次世代ーズ 30 「退避の後に」 8/8 ◆John//PW6. [sage]:2018/03/21(水) 21:57:45.52 ID:ImuJP87eo
 
『大体の事情は、半井さんから、聞きました。一葉さんのことは、任せて』
「――ッ!! そうだった、すいません。あの、いよっち先輩のことなんすけど」
『大丈夫、半井さんと新谷さんから、話は聞いています。こっちは、心配しないで』
「そ、それは……、良かった……」

『それより、「モスマン」を足止めしたと、聞いたのだけど。早渡君は、大丈夫なの?
 今、私達は、辺湖にいるから、南区なら、直ぐに行けるわ。場所は、何処?』

「いや、あの! 大丈夫っす! 俺はピンピンっすから!」

『嘘は、駄目よ。声が、かすれているもの』

「いやあのほらっ!! これは本当に大丈夫なんすよ!!
 走って逃げてきただけなんで! 一応これでも鍛えてるんで! まじで!!」


 考えなくたって理解できる
 いよっち先輩のことを半ば押し付けたような形だ
 俺のことで迷惑掛けるわけには、絶対にいかない


「それよか、いよっち先輩のこと、よろしくお願いします!
 色々と事情はあるんすけど、改めて全て話しますんで」

『難しいことは、これから考えます。
 まずは、手当とお風呂が先ね。彼女も、もう、眠そうだし』

「眠そう? そりゃあ良かった……あの、半井のおっさんに代わって貰えるっす?」

『……分かりました。
 ――んあ、早渡どうした? 無事か? どうだった「モスマン」は』

「片翅引き千切るとこまではやったよ、ただあいつも相当暴れたけどな」

『ハネもいだのかよ、やるじゃねえか。だがそうなると仕返しに来ないかが心配だな』

「今気になるのは『組織』だ、連中動くかな」

『多分な、一応学校町の全域はあいつらの監視下にあるようだし
 「モスマン」が暴れたとなっちゃ奴らも黙っちゃいねーだろ』

「OK分かった、一応警戒しとくよ
 あとさ、いよっち先輩のこと、ありがと」

『へっ、頼まれたからにはきちんと仕事するって言ったろーがよ、んじゃな』


 電話を切られた
 最後のは照れ隠しか?
 まあいい、とにかく当初の目的は果たせた


 体が最早だるい
 そのままベンチに寝転がった
 痛みが引くまでの間はこれで凌ごう

 待てよ、そういやアレ持ってきてたっけ
 寝返りを打って、背中に手をやった
 蠢く“尾”を掻き分けるようにして手を突っ込み、目的のブツを掴んだ

 ソレを引っ張り出す
 褐色の瓶に詰められてるのは「えりくさあ」の希釈液だ
 蓋を開けて一気に流し込む


 こいつは、効く
 体中に沁み込む
 若干痛みが駆け抜けていくが、多分大丈夫だ

 少しだけだ、少しだけ休もう
 俺はそのまま目を閉じた






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