都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達…… Part13

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504 :連載と単発の間:「ざしきさま」の家の子  ◆7JHcQOyXBMim [sage]:2022/01/28(金) 17:33:44.78 ID:CHNR9VCc0


 これは、当人は都市伝説と契約していないが、「家」が都市伝説と契約している者の物語である。


 収録の後にシャワーを浴びて、私服に着替える。
 今日、「FOXGIRLS」のうち三名が参加した鬼ごっこ系バラエティ番組の収録は、残念ながら「FOXGIRLS」のメンバーは最終的に全員捕まってしまった。
 それでも、勉強になった、と彼女は感じた。普段何気なく見ていたバラエティ番組の裏側はあんな感じなのだな、と参加して初めてわかる。テレビで放送されていない裏側でも、あんなにいろんなことが起きていたのだ。
「二人とも、お疲れ様。頑張ったな」
「おつかれさま〜。リーダー惜しかったねぇ」
「まさか、四人がかりに囲まれてそれでも数分逃げるとは……お見事です」
 そう、自分なんて追いかけられたら終わりと隠れてばかりだったけれど。リーダーは何度もハンターと追いかけっこを繰り広げ、時に囮となって他の参加者を逃がすといった活躍をしたのだ。捕まって檻に来た際、思わず先につかまっていた他参加者と一緒にリーダーを拝んでしまった。頼もしい。
 それに比べて、自分なんて。本当隠れてばかりで、何も……
「二人も、途中のミッションでの活躍、見事であった。我はどちらの問題も答えがわからんかったからな」
「え……」
 リーダーの言葉に、きょとんとしてしまった。途中のミッション…………あぁ。
「脱落者復活ミッションですか?」
 問題用紙が入った封筒を発見して、特定の場所まで持って行って答えがわかれば脱落者が復活。そういう参加自由ミッションだった。
 自分は、ちょうど問題を答えるという場所の近くに隠れていて。でも、問題用紙を探しに行く勇気は出なくて。どうしよう、と思っていたら、メンバーの中でも最年少の子が封筒を発見できたらしく、アスリートと一緒にやってきたのだ。
 どうやら、その封筒の中の問題は、用意されていた問題の中で一番難しいものだったらしく……でも、たまたま自分はその答えを知っていて、答えることができた。
「私達が復活させた芸人さんが無事、逃げ延びたしねぇ。これで、「何もしてなかった」とかネットで叩かれたりもしませんよぉ」
「そ、そう……でしょうか。私、あれくらいしか……」
「復活ミッション終了まで時間が僅かだったからな。主が答え、復活させたからこそ、あの芸人は逃げ延びることに成功したのだ。大金星に貢献したと言えよう。もっと誇りに思え」
「そうだよぉ、お嬢。なんだったら、あの芸人さんに賞金一部わけて♡とか、美味しいものごちそうして♡とか言っても許されちゃうよぉ」
「そ、そそ、そんな。と、殿方にそんな事お願いするなんて、はしたないです」
 たまたまスカウト活動中だったプロデューサーに声をかけられてこの世界に入るまで、男性とはあまり縁のない世界に生きていた。幼稚園から大学までエスカレーター式のその学校は、男子は小学生までしかいないのだ。
 アイドルと言う、テレビの中の存在でしかない遠い世界に足を踏み入れて、毎日驚きと勉強の連続。踊りも歌もまだうまくない自分が、「FOXGIRLS」の中で足手まといになっていないかいつも心配だったけれど。
「……お役にたてたのなら、良かった……」
「ふむ。主はまず、自信を持つところからであるな。主は頭が良いし……インテリ芸能人、であったか?そういう枠組みで番組に呼ばれることもあろう」
「そうでしょうか……?…………でも、私。その、番組に出演するなら。「FOXGIRLS」の皆様と一緒がいいです」
 自分だけでは何もできない、と言うのもあるけれど……同じ、「FOXGIRLS」の仲間なのだから。ライブの時だけではなく、テレビ番組に出演する時だって、みんな一緒がいい。
 素直に口にした言葉に、リーダーはほぉ、と感心したような声を上げ、最年少の子は一瞬きょとんとした顔になり。
「……ふっふー。お嬢、寂しがりぃ。なら、みんなで色々出演できるよう、頑張ろうねぇ」
「うむ。我も、より番組に招待されやすいよう精進せねばな」
 今日のロケでは一緒じゃなかった二人も含めて。もっと色々、アイドルとして色んな活動ができたらいいなと。そう強く、思うのだ。

505 :連載と単発の間:「ざしきさま」の家の子  ◆7JHcQOyXBMim [sage]:2022/01/28(金) 17:34:14.62 ID:CHNR9VCc0
「ただいま戻りました」
「お帰りなさい。夕食は、すませてきたそうですね」
「はい。収録の後、打ち上げがありましたので」
 あの後、逃げ切った芸人が「「FOXGIRLS」の人のおかげで賞金が手に入ったから」と、自分達を食事に誘ってくれて。マネージャーや、番組に参加していなかった二人まで含めて打ち上げかねて食事をごちそうしてくれた。
 今度、何かお礼をしなければ……あぁ言う世界では、どのようなお礼を差し上げればいいのか。後で、マネージャーに確認をとる必要がある。
「お疲れのようですけれど。きちんと「ざしきさま」にご挨拶するのですよ」
 はい、と母の言葉に頷きながらまずは自室へと向かう。荷物を一旦部屋に置いてから、「ざしきさま」のお部屋へと。
 しめ縄と札で封じられている部屋ではあるが、外から開けることはできる、その部屋。
「……「ざしきさま」。ただいま、帰宅いたしました」
「良かろう。入るがいい」
 幼子の声。失礼します、と扉を開けると。畳張りの部屋の中、おかっぱ頭に着物姿の童女…………では、なく。長い髪を縦ロールにしてふりふりひらひらのアンティークドールのようなドレスを着た童女だった。
 昔はおかっぱ頭に着物姿だったらしいのだけれど。ある時、家人が「外に出られず退屈でしょうから」と渡した本を読んだりテレビを見たりするようになって、それ以外の格好をしたがるようになったと聞いている。
 ……「ざしきさま」。この家に古くから憑いているのだという、不思議な存在。「ざしきさま」当人は「わらわとこの家は「契約」関係にある」と言っていたけれど、難しい事はわからない。
 ただ、この家では「ざしきさま」の存在は外には漏らしてならず。「ざしきさま」をこの部屋からだしてもならず。代わりに丁寧に丁重に扱いもてなし続ける。それによって、家の繁栄を約束されているらしい。
 「ざしきさま」は家人との交流を好む為、自分もこうして、お相手させていただく事が多い。特に、アイドルを始めてからは、「ざしきさま」が話を聞きたがるので、お会いする機会が増えた。
 畳の上に正座し、「ざしきさま」と向かい合う。
「おや。疲れているようだが……今日のろけとやら、そんなにも過酷であったか?」
「えぇ、鬼ごっこ、のようなものなのですが。追いかけてくる鬼役の方々が本当、速くて。私、逃げ隠れで精いっぱいでした。少しは走りましたが、すぐに捕まってしまいました……」
「なるほど。おまえは体力がないからのぅ…………ならば、長々と話を聞く訳にはいかぬな」
 コロコロと微笑んで、「ざしきさま」が手を伸ばしてくる。優しく、赤子を撫でるかのような手つきで頭を撫でられた。
「おまえが最後まで逃げ切れたかの結果は、明日、教えておくれ。今日はしっかり休むのじゃぞ」
「はい。きちんとやすませていただきます」
「うむ…………あ、待て。確か今日のろけ、「刀剣夏の陣」の主演俳優が出演しとったな?あ、あの方が逃げ切れたかどうかだけでも教えておくれ!」
 最近御熱心な様子の、大変と男前の俳優が逃げ切れたかどうか。そこはどうしても気になって我慢できないようで。
 申し訳なさそうな顔をしながらも訪ねてくる「ざしきさま」の姿に、なんだか和んでしまう。この家にとって恩人である偉大な存在のはずだけれど。こういう時は、まるで年頃の少女のような様子も見せてくるのだ。
「了解いたしました。あの方は……」

 「ざしきさま」。
 その真の名は「座敷童」。
 憑いた家に幸福を、富を運ぶその存在は。
 今の世でも静かに、在り続けている。




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