都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達…… Part13

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506 :甘く浸る夢の中  ◆7JHcQOyXBMim [sage]:2022/01/28(金) 22:51:59.49 ID:CHNR9VCc0
 甘い声がする。
 聴く者の脳へと染みこむような甘い声が。
 ゆらりと尾が揺れる。誘うようにゆらゆらと。
 少女の姿をとった……否、少女の体に「入っている」状態の「白面金毛九尾の狐」は、そろりと傍らに座る鬼の背中を撫でてやる。

「どう?……頭が痛いのは、落ち着いたかしら?」
「……うん……うん、こーや、もうだいじょーぶ…………きのう、ごはんたべたし……もう、だいじょーぶだよ、おかあさん」
「そう、良かった」

 ふわりと微笑む「白面金毛九尾の狐」。
 その微笑みは、我が子を見る母親のよう……では、ない。
 邪悪さを孕んだ悪女が、利用すべき手駒を見下す笑顔。
 だが、その笑顔がそうであると、鬼は気づけない。
 甘い香りが思考に漬けこまれてしまって、わからない、気づけない。

「なるべく、無理はしないようにするのよ、皓夜。私の可愛い「羅生門の鬼」の子。お前にはもっともっと、力を付けてもらわねば」
「もっと……」
「そう…………「茨城童子」とも混ざり合って。もっと強い鬼になってもらう必要がある」

 都市伝説は、伝承は。時として混ざり合う。
 デュラハンとバンシーの伝承が混じり、デュラハンが「個人」ではなく「血筋」に憑き、その血筋を殺し続けたような実例もある。
 また、口裂け女のようないくつもの説が存在する都市伝説が、己とは別の説の同族を狩り、取り込み続けたような実例もある。

 「羅生門の鬼」。かの「茨木童子」と混合されやすい鬼。
 それに、あえて無関係の名をつけてやや存在をあいまいにする事で。まずは、「茨城童子」と混ざりやすくなる。
 そこに、さらにさらに別の「鬼」も、色々と混ぜてあわせていけば、取り込ませていけば。
 この「鬼」は、どれだけ、強大な「鬼」へと成長できるだろうか。
 それを想い、「白面金毛九尾の狐」は邪悪に微笑む。
 こうして、己の誘惑漬けにして、どろどろに思考を溶かしてしまっていれば、逆らう事もあるまい。
 存在をあえて曖昧にさせるせいで、人を食らい続けなければ体を保てないという弱点が強まってしまっているが、仕方ない。
 ここまで曖昧にさせるだけでも時間がかかった。今更、新しい鬼を拾って育て直すのも面倒だ。
 この鬼は、なるべくなるべく死なせないように取り扱わなければ。

「アナベル」
「はぁい」

 くってりと、鬼の膝の上に身を投げ出している布製の抱き人形。海を越えた遠い異国での拾い物。
 己よりずっと年若い癖に、強い呪いの力を持った呪いの人形。
 たかが百年も生きていない存在の癖に、ここまでの呪いの力。
 もっと殺して、もっともっと力を強めれば。
 それはそれは、優秀な手駒となってくれるだろう。

「もう、我慢しなくてもいいのよ。明日には、あなたの力。たっぷり振るってもらうわ」
「ほんとう?いいの?」
「えぇ…………たぁくさん、たぁくさん。殺していいのよ」

 呪いの力とは、そういうもの。
 特に、命を殺める呪いであれば、殺せば[ピーーー]ほどに、数を重ねれば重ねるほどにその力は強まる。
 もし、この街の命全て……契約者は含まずとも、契約すらしていない無力な一般人を全て[ピーーー]ことができれば。
 その力、どれほど強まってくれるだろう。

 楽しみで楽しみで、狐は邪悪に微笑む。
 この街は、「踏み台」だ。
 己がもっともっと力を強めて、この世全てを手に入れるための、支配するための、足がかり。
 様々な勢力が集まり混沌としたこの地を堕とすのに成功すれば、大きな一歩となりえる。

「この街は、厄介な連中もいるわ。二人は、わかっているかしら?」
「……うん、しってるー……じょうほう、もらったー……」
「めーかくに……私達を敵とにんしきしてるこどもたちが……いる……」

 そうよ、と頷き。内面、憎悪をたぎらせる。
 あぁ、忌々しい連中め。
 三年前は、必要最低限の手駒が揃っていなくて逃げるしかなかった。
 だが、今なら。必要最低限の手駒が揃っているのだから……

「まずは、その厄介な連中。みんなで殺してあげましょうね」

 見せしめとして、まずはあの厄介な餓鬼共から。
 …………あぁ、ついでに。かつて、生意気にも己を毒殺しようとしてきた人間と、三年間、鬱陶しくも己を追いかけ続けた「通り悪魔」。
 あの二人も、始末してやろう。
 その亡骸、嬲って嬲って、無残な見せしめとしてやろう。

 「白面金毛九尾の狐」は微笑む、微笑む。
 邪悪に、歪に、笑みを深める。
 その笑みの歪さに、邪悪さに、気づくことができず、気づけることができず。
 鬼と抱き人形は、甘さの中でとろけていく。


 甘さに浸って、気づけない。気づかない。


 自分達の行きつく先が、ほぼ、確定しようとしている事に。


to be …… ?
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