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都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達…… Part13
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512 :
人狼遊戯のその後に
◆7JHcQOyXBMim
[sage saga]:2022/01/29(土) 23:25:11.95 ID:V1oMm2kA0
「サクリが、飛び降りた後のことを教えてほしいの」
ぴくり、と。
一瞬、憐の体が小さく震えた。
……慶次が知っている限りの範囲でだが。「三年前」の件で、おそらくもっとも心が傷ついたのは憐だろう。
本当ならば、「三年前」の話題時代苦しいのかもしれないが。同時に、避けては通れない事も、わかっている様子だった。
「サクリが飛び降りた後、事件がどうなったのか……犯人がどうなったのか。教えてほしいの」
「犯人については。当時ニュースになって新聞記事にもなっている。それでも確認できるだろ?」
そう口にしたのは灰人だ。
少しだけ、憐の方を見ていた様子だったから。憐を気遣ったのかもしれない。
「そうだけど……「表向き」、なんだよね?あれは」
「……「組織」が、都市伝説絡みの件は隠して、一般の連中が「受け入れられる」範囲に編集されたもんではあるだろうな」
慶次もそれは認める。
そういうことは「組織」の仕事の一環でしかない。
いつか、遠い未来。人間とそうではないものがわかりあえるように、と考えていたとしても。
今はまだ、それには程遠く。都市伝説絡みの事件は隠す必要があるから。
そうだよね、と一葉が慶次の言葉に頷いた。
「だから。表向き明らかになった事を知りたい、と言うか……みんなが、あの事件にどういう風に関わったのか。それを、教えてほしいの」
じっと、一葉が皆を……「三年前」の事件、まさにその渦中にいた面子を、見る。
……憐が、俯いてしまったのが見えて。早渡の足元にじゃれついていたポチは、くるりと向きを変えて憐の足元まで行ってぺたんと伏せた。
彼らは、それぞれ顔を見合わせたりしている。思案している様子も見える。
「……ひとまず。神子は完全には関わってないな。契約者じゃねぇし、あんま巻き込まないようにしたから」
「そうねーー。まっさか置いてけぼり食らうと思わなかったわ」
じろ、と神子が遥を睨んでいる。
直斗は関わっていたのに自分は置いてけぼりを食らった事実にご立腹なのだろう。
……もっとも。それは正解だったのだろう。
結果的に、置いてけぼりを食らった彼女が自分達の両親やらに密告した為に、遥と灰人が都市伝説を暴走させた件での被害が(比較的)穏やかにすんだのだから。
「一応。咲季さんの遺書見つけた時までは私もいたけど。その後は置いてけぼり食らったから詳しくはないの」
「……ですので。こちらでお話いたしますね」
ピンと背筋を伸ばしたまま、龍哉が微笑み言葉を継いだ。
「僕達は、咲季さんの遺書から。連続飛び降り事件が、咲季さんのお父上が契約都市伝説にて起こしていた事件と確定いたしました」
「咲季の、父親宛ての遺書が読まれもせず捨てられていたのも確認した。だから説得は無理だろうなってのも予測できた」
「こちらとしましても、咲季さんとは仲良くさせていただいておりましたので……その咲季さんの気持ちを踏みにじったあの方には、「落とし前」をつけていただくべき、と判断いたしました」
合間、遥が補足を行う。
周囲に先んじて咲季の遺書を発見、内容を確認する事で彼らは大人達よりも先に事件の真相を知ったという事だ。
「咲季さんの葬式の時に、その事で話してたんだけど……」
「…………誰かに、話、聞かれた気配が、して。だから。動くの、早めた」
優と晃がそう続けると、かなえが少し、俯いたようだった。
……彼らが感じたという気配は、葬式に出席していたかなえだったのかもしれない。
とにかく、行動を急いでしまった、と言う事か。
「大人に任せようと思わなかったのか」
「そっちの方が安全ではあるんだろうけどな。こっちとしちゃあ、気持ちのけじめがつかない」
慶次の言葉には、直斗がそう返す。
気持ちの整理、けじめ、納得。
大人に任せてしまえば、それがつかぬままに結末を迎える可能性があっただろう。
だから、多少無茶でも動いたという事だ。
まぁ、神子が両親達に密告した以上、結局大人も関わってきたのだが。
「咲季の父親が、夜に誰かと学校で会ってたらしい事はこっちも掴んでいた」
「契約都市伝説の情報も出揃ってた。飛び降り被害者の中に都市伝説契約者がいなかった事も確認済み。相手の戦力は大まか予測で来ていた」
「戦力差的にはこちらが有利と見まして。そのうえで動かせていただきました」
遥、灰人、龍哉がそういう。
確かに、と慶次は納得した。
面子的に、犯人に勝ち目がない。そもそも、「ベオウルフのドラゴン」がいる時点でほぼ積みだ。
飛び降り被害者の中に、なんらかの強力な都市伝説契約者がいたならば。犯人たる土川 羽鶴の契約都市伝説に取り込まれて手駒となっていただろうから別だが。そういうことはなかった。
控えめに見て、犯人が積んでいる。どうあがいても勝ち目がない。逃げられれば御の字である。
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