都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達…… Part13

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519 :一方大人の情報交換とか  ◆7JHcQOyXBMim [sage]:2022/01/30(日) 17:55:09.90 ID:Dm4Ce5tm0
 東区にある小さな診療所。
 そこで、「三年前」の事件について語られている間、その隣の部屋……診察スペース。
 ちょうど患者がいないのをいい事に話をしている大人が二人。
 互いに、互いが持っている情報のすり合わせ。とはいえ、どちらも情報源に頭もある為そこまで深く新情報が出るものでもないが。
 その一方、診察スペースだというのに気にすることなく煙管(流石に煙草ではなく緑茶だが)を揺らしている鬼灯は自信が三年間追い続けての「狐」の情報を語る。

「誘惑の解除だが。心にうまい事隙作った方が解除しやすいな。まぁ、どんだけ深く誘惑されているかにもよるが」
「心の隙、かい?」
「あぁ。一瞬でもいい。精神に衝撃翌与えて一瞬思考を止めるでもいい。その一瞬でも隙ができると、解除がしやすかったな」

 三年間、「狐」を追いかけその手駒を撃退し続けていた鬼灯。
 場合によっては、自分では戦いにくいと判断。誘惑の解除を試みた事もあったのだ。
 成功率はせいぜい四割。試行錯誤しながら行っていたにしては上々か。
 「通り悪魔」に飲まれたが故、人の心の隙を見つける事を得意とする鬼灯だからこそか。
 話を聞きながら、「先生」はふぅむ、と自身の知る事例をいくつか思い浮かべる。

「ヨーロッパの方で、「アヴァロン」が「狐」の手駒が入りかけた話はそちらも把握しているね?」
「おぅ。その騒動で、「アヴァロン」で寝てた奴らが一部目を覚まして大混乱だったんだろ。中で喧嘩おっぱじめてむしろその被害が酷かったらしいが」
「犬猿の仲と言っていい関係の者もまとめて眠らせてた「アヴァロン」側の落ち度だからねぇ、あれは」

 まぁ、それはさておき。

「その騒動、「レジスタンス」の「ピーターパン」も引っ張り出されたそうでね。概念殺し級の力遠慮なく使って入り込みかけた「狐」の手駒の誘惑解除したそうだ」
「あの自由気ままの傍若無人まで動いたのか……まぁ、あいつなら軽々できるか。誘惑の解除も」
「彼と同じことができる者はそうそういない故そこまで参考にはならんがね。ただまぁ、君がやったように「狐」の誘惑は解除しようがある、と言う事だな」

 「迷い子の少年が知らんようだったら教えておくか」と「先生」はそう考えた。
 以前に彼に情報を伝えた際は、「狐」の魅了の上書きについては話したが、解除に関しては「狐」自ら解除した例しか話せていない。
 その時は外的要因での解除方が、概念殺しレベルによる例外しかわからなかった為半分仕方ないが。他にも手段があるなら別だ。

「精神に衝撃を与えて、か。不意を打って驚かせるだけでもだいぶ違いそうだな」
「そうすりゃ、お前なら解除できるだろ……なんだかんだ言って、誘惑も「毒」の範疇だろ」
「まぁ、「狐」の場合香りによる分だけでも「毒」の一種ではあるね。その他の要素も関わるからなんとも言えんが。できなくもなかろう」

 試してみる手はあるな、と手段を考える。
 精神に衝撃を与えて直後に毒の解毒、となると己にできる手段となると…………

「……ところで」

 思案に沈みかけた意識は、鬼灯によって引き上げられた。
 向けられてくる眼差しに、伺うような色が見えた。

「今回初対面の坊主もいたから坊や達の前では言わなかったが。お前、そんなもの取り込んで。何をしようとしている?」
「ん?……あ、あー。そうか。君だと気配に気づくか」
「こちとら苦手な気配だからな。うっすらだがわかる…………何やったんだ」
「私は、ただ保険になるためにやっているだけだよ」

 にこり、「先生」は笑って答える。
 そう、己はあくまでも「保険」でしかない。

「何分、「狐」勢力以外も面倒な事が色々とあるからな。だから、余計に保険が必要だと判断した」
「だとしても、いくらお前さんでも無茶やってるだろ」
「なぁに。触媒になるくらいはできるからね…………最終的に、私は「物」なのだ。保険としてうまく扱ってもらえれば、それでいいのさ」

 からからと、「先生」は笑う。
 自身が契約しているものが故、己は「物」として扱われても問題ない、と言う思考がこの「先生」にはある。
520 :一方大人の情報交換とか  ◆7JHcQOyXBMim [sage]:2022/01/30(日) 17:56:43.21 ID:Dm4Ce5tm0
 今回言っている「保険」と言うのが、何のための、誰のための「保険」であるのか。
 言わない気になれば、どこまでも口を割らない事だろう。「先生」はそういう人物だ……まぁ、特定条件を満たした相手に問われれば、あっさり吐く可能性もまた、あるのだが。

「……お前さん、一応「薔薇十字団」の重要存在だろうがよ」
「ん?私は「薔薇十字団」所有物でしかないよ。重要と言うまでではない」
「嘘つけっつか自覚しろ…………龍一がお前さん絡みでため息ついてた理由がよくわかる」
「ははは、立場ある者にため息つかせる件については「通り悪魔」の御仁には言われとうないよ」

 「狐」追いかけ世界を巡り巡り、多少目立つ範囲で暴れ爪痕残し。
 そうとうな無茶をしている事は確かだ。
 一部、「狐」へと打撃を与えるために他の集団に「魔が差した」行動をとらせてぶつけあったりもしている。
 「狐」を倒すために、手駒を削るために、手段を選んでいないのだ。

「どうにも。君は子供の為となると冷静さを欠く一面があるな。三年間、何度大暴れしたかな?」
「…………さてな、一々数えちゃいねぇよ」

 くつくつと笑いながら、鬼灯が手元で煙管を弄ぶ。
 数えていない、と言うのは半分その通りで半分嘘だろう。
 この男は、どうにも「ぷっつん」するとその間の記憶が飛んでしまうらしい。
 大暴れした記憶はあっても、具体的にどの程度暴れたかがはっきりしないのだ。
 そして、子供にやさしい一面があるこの男は、子供が害されるような事があると一気に見境なくやらかすことが、多々ある。
 多少の制御が効いている「先生」とはまた別な意味で制御が効いていないのが、この鬼灯と言う男だ。
 それでも学校町にいる間は、獄門寺家の客人としてふるまっている為多少マシか。

「俺の事ぁいいんだよ。お前さん、気をつけとけ。どうにも「狐」の奴、お前さんに目ぇつけてるようだし」
「おや?…………三年前の時はその手駒にすら接触されんかったと思うんだが」
「接触される前に向こうが学校町から撤退しただけだ。三年前は、お前さんが診療所構えたばかりで、あちこちからえげつねぇ数の監視つけられてたから近づくに近づけなかったんだろ」
「確かにあの時は、そこまでやらんでいいと言うのに彼から護衛までつけられてしまったが」

 当時の様子を「先生」は思いかえす。
 ……「狐」絡みの者から、当時は接触されていない。近づかれる前に、護衛が処分していた可能性はある。「薔薇十字団」に確認をとるべきか。

「……しかし。私は「狐」に目をつけられるような要素など」
「その要素しかねぇだろ。国際問題になりかねない奴が」
「うん、うん?私程度の性能であれば、きちんと手順を踏めば辿り着ける範囲で有ろうよ」
「お前、いつか本気でローゼンクロイツに怒られとけ。とにかく、お前さんは「狐」か、もしくは手駒に接触される可能性があるんだ。用心しとけ」
「…………私個人は最終的にはどうなってもいいというかまぁなんとかなるんだが。私以外にも被害が飛ぶと面倒であるな。程々に用心しよう」

 面倒だなぁ、と「先生」はぼやく。
 自身の立場に関しては正確に把握していない節があるにしても、周囲に被害が広がると面倒と言うのは流石にわかる。
 鬼灯としても、「先生」がどうなっても個人的にはどうでもいいのだが、その余波が周囲に広がるのが嫌といったところか。

「……あぁ、本当。面倒だねぇ」
「あぁ。全くだ」

 いくつもの自体が積み重なり。
 混ざり合い絡み合い、事態は複雑に、面倒になっていく。

(……まぁ、そうだとしても。「狐」の結末は、変わらんだろうて)

 そのためにも、自分が「保険」になるのだから。?
 役目を自覚し、「先生」は緩やかに、穏やかに、笑みを浮かべていた。




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