都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達…… Part13

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585 :備えは大事  ◆7JHcQOyXBMim [sage]:2022/02/04(金) 17:57:36.57 ID:ApD3L2JW0




 ……ここで、「闇市」でのこちらの呼び名を知っている奴と顔合わせるとは思わなかった。
 「神隠し」と、あの白猫又が聞いていなくて良かった。「神隠し」からは後でさんざからかれるだろうし、猫又はぎゃいぎゃい変に騒ぐに違いない。「アヴァロン」に寄った折に、「狐」絡みは危ないからと双方そこに叩き込んで置いてきて正解だったという事だ。
 …………もっとも、「神隠し」の方は遠く離れたあの異界からでもこちらを見ていてもおかしくないが。

「……さっきの話、憐にはするなよ」
「え?」
「色街の話やらそういう話題は、苦手だからな。あいつ」

 ちらり、憐の様子を見る。
 憐は、今しがた話していた坊主の携帯を手にしている晃の方を見ていた。
 …………あ、灰人と龍哉が窘めはじめた。どの程度丸裸にされただろうか、あの中身は。
 憐は少しばかり困っているような、呆れているような。そういう表情をしていて。
 そうしてから、顔を上げた。こちらに近づいてくる。

「よぉ。この坊主の携帯の中身、護られたか?」
「待っっっっっっっっっって。みんなで何見てたの?むしろ広瀬ちゃん何してたの???」
「かい兄とりゅうっちが止めてくれたんで、あきっちのお母さんの契約都市伝説呼ばれずにすんだんで多分セーフっす」

 それは止めなかったらアウトだったという事か。
 晃のあぁいうところは父親似と言うべきなのか、それとも一緒に暮らしている他の連中の影響か。
 憐の、坊主を見る眼差しが若干生暖かいというか、優しいというか。その点については気のせいにしてやった方が坊主の精神面にはよさそうだろう。

「憐、坊主に話でもあんのか?」
「ぁ、はい……」
「……なんか言いたそうな事ありそうな顔してるな、とは思ったけど。やっぱりか」

 まだ幾分か考え込んでいるようではあったが。
 ひとまず、坊主に話しかけに来る程度には心も落ち着いたらしい。
 …………三年前の話は、今でも憐にとっては心を乱しすぎる。

「しゅうっちが探してる、「九宮空七」さんについて……ちょっと」
「空七について?」
「うん……その人の契約都市伝説。本当に、「ソドムを滅ぼす神の怒り」なの?」

 俯きはせず、しっかりと、坊主を見て憐は問う。
 え?と声を上げた坊主に、憐は言葉を続けた。

「正直なとこ。それだけの存在、「教会」が見落とすはずはないっす」
「…………創世記に書かれるようなもん、となると「教会」の警戒対象だからな」
「はい。そんなのが学校町や周辺に現れたなら。流石に、「教会」の本部からも連絡が来ます。「バビロンの大淫婦」の絡みで派遣されてきたのがジェルトヴァさん一人、ってのも。「ソドムを滅ぼす神の怒り」がいないって判断材料になりえます」

 こちらの言葉に対して、憐はさらにそう続けた。
 確かに、そこは引っかかる点だ。
 二十年程前の「十三使徒」の大事件のゴタゴタが尾を引いているとはいえ、「教会」は世界でも歴史深く、世界中に根を張る大組織であり。その根源は簡単に揺らぐものでなく、そこに所属する者は世界に目を光らせる。
 警戒対象を、封印対象を、そうやすやす見落とすとは思えない。

 憐の問いに、坊主も考えているようで。

「そりゃそうだ、俺も気になってた。『旧約』起源のあんな規模なANと契約とか、『教会』が見過ごすはずは無いだろうし、そもそも『教会』なら契約される前にANを確保するんじゃないか?」
「確保と言うか…………まぁ、確保ですむならいい、のかなぁ?契約しちゃってて、それを身勝手に使ったとしたら。だいぶ上の方の人が「めっ」ってやりに来ると思うんすけど」

 かなり柔らかな表現にとどめているが、最悪「消されかねない」と言う事だろう。
 憐の母親の「教会」での上司は、確かだいぶ上の立場だったはず。
 だからか余計に、憐は「教会」の裏側の知識を持っている……あの氷の悪魔が面白がって教えた可能性も否定はできないが。

「最悪、「ソドムを滅ぼす神の怒り」を装った別のもの、の可能性もあるっす…………ものがものなんで。それ装うとなるともっと危ないものの可能性もあるんで。そこは、気を付けて」
「……あぁ。とにかく本人かアイツの近場にいた佳川有佳を押さえて尋問するしかしない限り、ハッキリした答えは出ないと思うし……備えはしておくよ」
「ん、なんだい。迷い子の少年にも保険必要かい?一回分の保険くらいならすぐにでも迷い子の少年に仕込めるけど」
「「先生」、ステイ。「先生」がご自分以外に仕込む保険とか、嫌な予感しかしないんで」

 するりと話に入り込んできた「先生」の言葉を、憐は笑顔であっさり切り捨てた。
 正解だろう。本当に何をやらかすかわからない。
 残念、と「先生」は軽く笑ってはいるが。下手に動かれて組織間問題を起こされても困るだろう。
 
「一応、万が一の「保険」が欲しくなったら言うといいよ。「エクスカリバー」の契約者と戦う為に彼の者が仕込んだものには劣れども。それ以前にこっそりと我が親友が彼の者に仕込んでいた物程度であればいくらでも用意できる。痛みも快楽も何もなく仕込んであげる程度はできるからね」

 薄く笑いながら、そぅと坊主に囁きかけた、その様子は。
 ある種、「悪魔の囁き」にも似たものにも見えて。

 …………この、ある種の艶やかさは、この男もまた、正気の頃と発狂していた頃問わず、人を惑わせた者であり。
 今もってなお、ある種、他人を惑わせ狂わせるものであるのだと、思いださせた。




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