都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達…… Part13

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611 :次世代ーズ 「様子見の間に」 1/3 ◆John//PW6. [sage]:2022/02/11(金) 02:39:07.33 ID:St4aCTY8o
 



 顔赤くなってんの、バレてんじゃないかな?
 とりあえず顔を見せないようにYシャツを着直す



 いよっち先輩に圧されて、結局「先生」から一回分の“保険”を頂くことになった
 実のところ體内で妙なことにならないか不安だったが、特に何も起こらなかった

 今は一応「先生」の提案で、馴染むまでは様子見ということになった
 ……俺、いよっち先輩に泣かれて以後、先輩に圧されると弱くなってない?
 別の意味で不安が鎌首をもたげてくる

 あと「先生」的には撃ち込まれた弾の影響も心配してくれていたらしい
 あれは本当に何の変哲もない通常弾だったんだが、念のためということだ


「迷い子の少年
 君は、君が探している少女の契約都市伝説が、真に『ソドムを滅ぼす神の怒り』であるかどうか、その辺りの会話をしていたね?」

「あ……、はい」


 迷い、迷う
 残留する“波”は確かに、空七のそれだった
 かつてのものとは大分変質している。が、看過するほど俺の感覚も馬鹿じゃない


「我が助手の従弟が疑問を呈したのは、あの子の情報網的には当然といえば当然であろ
 あの子が通う『教会』の支部には、凍れる悪魔の御仁もおるしな」

「凍れる悪魔……あれ? 教会なのに、悪魔?」

「そうだよ。かつて、幾百年もの間、雹と霰の天使『バルディエル』に成りすましていた凍れる悪魔
 ソロモンの悪魔の一体にして四十八の軍団を指揮する侯爵。天使の姿をもって現れる、かつては竜でもあった者。『クローセル』
 二十年程前のごたごたで正体がばれても、幾重もの策略と保険と誰かさんの情けにて。今なお『教会』に所属したままだ」


 俺の知らない「教会」の事情を、ただ聞く

 成り済ます、装う、謀る。どの界隈でもそうなんだろうが、熟達した実力があれば
 他者を欺くことはそう難しいことではない、それが「先生」の話すところの趣旨だった


「その都市伝説にもよるが。誤魔化し、偽る事はできる
 誤認してしまう事はある……。思い込みは、時として猛毒にもなりえる」

「それは……」

「人は、時として己の記憶にすら、己の感情にすら嘘をつく
 正直、私も過去に思い切り経験がある。他者によって感じた印象すら操作される事もある
 ――我が助手の従弟が言うていたように。最悪、別のものである可能性も視野に入れた方が良いかもしれん」


 「先生」は真っ直ぐ俺を見て、諭すように語り掛ける
 俺が迷い、迷っているところを、見抜いているのか


「でも。人を塩に変えちゃう、とか。そんないかにも特徴的なこと、他の都市伝説で装えるのかな?」


 俺がどう返答すべきか迷っていると、いよっち先輩が疑問を口にした


「できるよ。ものすごく頑張れば私でもできる」

「「えっ」」


 それに対する「先生」の答えに思わず驚いてしまった

 少し遅れて、脳裏に彦さんの言葉が甦った


『お前もゆくゆくは同じことができるようになる、脩寿
 それは私にもできる、八にもできる。あるいは、定でも「呪宝」の力を借りれば同じことができる
 目の前の形に縛られるな。迷いに縛られるな。今お前の眼前にある物すら、如何様にも姿を変える。忘れるな――』




 
612 :次世代ーズ 「様子見の間に」 2/3 ◆John//PW6. [sage]:2022/02/11(金) 02:40:43.28 ID:St4aCTY8o
 

 いかんな、どうしても空七のことになると思考が狭窄する
 頭じゃ分かっていてもこれじゃ駄目だ、学校町まで乗り込んだのに、この期で「先生」に諭されるなんて


「迷い子の少年。『刀狩り』の青年は知っているかい? 『獄門寺組』に所属しとる契約者なんだが」

「ほ!?」


 急に話を振られた
 刀狩り? まさか、刀狩りの鉄(くろがね)さんの話か?


「『刀狩り』の鉄さんですか? 『獄門寺組』幹部の?
 『獄門寺組』に手を出そうとしたよからぬ集団を、たった一人でたいして時間もかけずに壊滅させたっていう?」


 急に話を振られ、舌がもつれそうになりながら問い返す
 「先生」はうむ、と肯いた


「君は『刀狩り』の青年が、どんな都市伝説と契約しているのか知っているかい?」

「『数珠丸恒次』や『蜥蜴丸』を使って戦ってた、って話を聞いたので
 刀剣類の都市伝説複数の契約、でしょうか」

「ふむ。やはり、よそからはそう認識されとるか」


 俺は鉄さんの契約伝承を知らない
 なんとなく“古い”曰くと契約している、そんなイメージを抱いていたが


「その言い方だと、早渡後輩の予想、外れてる?」

「うん、違うね。実際は何であるのかは『獄門寺組』所属ではない私が言うと角が立つ故、あとで『通り悪魔』の御仁辺りに聞くと良いとして、だ」


 違ったらしい
 しかも今の話では少なくとも「先生」と鬼灯さんはご存じのようだ


「あれも能力の一部だけ活用している現場しか見せていないと、見破るのは難しかろう。迷い子の少年のように、誤認してしまっても仕方ない」

「能力の一部」

「ただたまたま、能力の一部だけを見られたが故の誤認ならば良いが。意図して誤認させてくる場合は殊更、見破るのは難しくなろうて」


 見た側の誤認
 そして、見せる側の欺瞞


「そこに、悪意と言う毒が混じれば――。余計に、ね」


 「先生」は、そう言葉を引き継いだ
 言葉が、無数の言葉が、頭を、腹のなかを、廻る

 先に答えを想像しないと正解に辿り着けない逆説的な問い掛け
 相手の能力がどんなものか分からないのが普通


「早渡後輩、だいじょぶ?」

「いま『先生』の言葉をこう、なんというか、反芻? そう、反芻してる」


 相手のANfxが不明だからって、俺はそこで立ち止まってきたか?
 戦う前から負けること考えるバカがいるか?
 違うだろ、違うよな

 それに「先生」には前にも言葉を貰った
 そう、俺は確かに貰った



 
613 :次世代ーズ 「様子見の間に」 3/3 ◆John//PW6. [sage]:2022/02/11(金) 02:41:56.84 ID:St4aCTY8o
 

          思い込みとは猛毒である。無知とは猛毒である。しかして、全てを知ったとして毒に殺されぬ訳ではない
          逆に、全てを知ったが故に『絶望』と言う名の致死量の猛毒によって殺される事もまたある

          知りなさい。たくさん、たくさん。君にとって必要な事を。『自分にとって都合のいい真実』ではなく『真なる真実』を見つけてごらん
          その真実が君にとって絶望だったとして、その絶望という猛毒に負けないくらいの『希望』と言う猛毒を見つけてごらん
          ――そうすれば、大概のことは、きっと大丈夫さ


 参ったな、やっぱり「先生」には全部見透かされてたんじゃないだろうか
 やっぱり空七のことになると思考が狭窄しやがる

 仮にアイツが道を踏み外すような真似をしてるとして
 俺はそれを全力で止める、それだけだ

 仮に俺がアイツにかつて抱いていた“好き”が幻だったとしても
 俺の幼馴染であることは、ANの同期であることは、――ダチ公なことには変わりない

 何処に居やがる、空七。待ってやがれ、空七


「『先生』、さっきの話なんですけど、『姫君』ってやっぱりお姫様なんですかね?」

「うん? お嬢さん、気になるのかね?」

「気になります! お姫様って『薔薇十字団』の偉い人なんですか? や、やっぱりお姫様って言うからには、お付きの騎士とかが居たりするんですか!?」


 とりあえずアイツに出会うまで、真相は分からずじまいだ
 今はやれることをやるしかない
 そう考え、ふと重圧から解放された気がした――あくまでそんな気がしただけだが


 そうだな、鉄さんについては、本人に訊いてみるのが一番だ
 鉄さんとは「七つ星」にいるとき何度も話をした仲だが、お互いに深いところまで話せたわけじゃない

 それに相手のAN-Pについて訊くってのはかなりデリケートな内容になるからな
 「先生」と鬼灯さんと鉄さんとが親密として、又聞きは無礼すぎる行為だ
 相手の武器や弱点に関わることだから、鉄さん自身が俺に許したときに、直接訊いてみよう

 それにしても鉄さん、元気にしてるだろうか
 最後に会ったのは今年のバレンタインの頃だったか



「ちょっと、それは駄目でしょ!!」



 不意に、隣室から大声が響いた
 何だ今のは、広瀬(優)ちゃんの声か?
 あれか? 俺か? 俺の携帯か!? 毬亜の野郎か!?

 耳を澄ませば何やら押し殺した声で何人かの囁き合いやらが聞こえる
 えこれ何? ヤバい? ひょっとして俺のセンシティブなあれやこれやがヤバい状況?


「『先生』!」

「うん? どうしたね、少年」

「俺の過去がスキャンダルに餓えた花野郎とその愉快な仲間たちの所為で危険に晒されてます! そろそろ止めないと!
 俺が女の子から貰った超プライベートな画像とか、そういうのが第三者に共有されたら、こりゃもう死活問題ですよ!?」

「え、何? 早渡後輩、そういう画像もらったりしてるの? 何? 気になるんだけど!?」

「そういう話は後だ先輩!
 『先生』後生です、あのほら大人の威厳的な何かであの中央高校グループを止めてくださいッッ!!
 俺はどうにかして毬亜を〆めますんで!! オイこら毬゛亜゛ぁ゛ぁ゛、お前まじマッハだかんなあぁぁっ!!」


 隣室で現在進行形の事態が最悪の状況に至ってんじゃないかとパニックになりかけた
 とりあえず牽制のために怒鳴ったものの、何やら当の隣室からは若干名のクスクス笑いが聞こえる

 「先生」!? もう俺の様子見はいいですよね!? 「先生」!? なに笑ってるんですか!? 先生!?








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