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【ヤマノススメ】ほのか「花畑と妖精さん」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
:2017/07/20(木) 01:52:13.41 ID:tOIXXBPCo
・ヤマノススメ
・百合要素あり
・エロエロかと思ったらガッカリなのです
・アウトドア知識とかありません、間違いだらけはご容赦を
2 :
◆JdP.BncS3o
:2017/07/20(木) 02:02:57.00 ID:tOIXXBPCo
§ season 1 - 山の妖精さん / From ほのか
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1合目 LINEミーティング ”富士山リベンジ”
-
ひなた「ま、リベンジはあおいだけなんだけどね」
あおい「うっさい!早くはじめなさいよ」
ひなた「富士山の前に1度手近な山でウォーミングアップしようぜ」
あおい「ひなたにしてはいいアイデアじゃない」
ひなた「一言余計だよ!そんでさ、どこかいいところない?」
あおい「丸投げ!」
ここな「ウノタワなんてどうでしょうか。私が行ってみたいだけですけど」
ひなた「あおいと一度行ったよね」
ここな「えっ、もう行ってたんですか」
あおい「うん、でもまた行きたい。ひなたは?」
ひなた「いいよー。ほのかちゃんは?」
ほのか「ここだったら私も行きたい」
ひなた「そんじゃウノタワ、大持山と経由して武川岳までいこう」
あおい「それ結構時間かかるんじゃないかなあ」
ひなた「お、あおい自信ない?」
あおい「違うわよ」
ここな「私達はいいですけどほのかさんは大丈夫でしょうか」
ひなた「そっか。ほのかちゃんのところから日帰りじゃきついかも」
ほのか「大丈夫、5時起きでそっちに向かうから」
ひなた「いやいや、今回は別にそんな無理しなくてもいいから、もっと短いルートに変更しよう」
あおい「ひなたまって!ねえほのかちゃん。もし良かったら前日にうちに泊まりに来ない?そしたら朝ゆっくりできると思う」
ひなた「おおっ、あおいにしては名案」
あおい「一言余計!」
ほのか「うん、それはすごく助かる。でもいいのかな」
ひなた「もちろん!」
あおい「なんでひなたが答えるの!」
ここな「まあまあ」
3 :
◆JdP.BncS3o
:2017/07/20(木) 02:04:47.83 ID:tOIXXBPCo
-
2合目 あおいちゃんの応援
-
金曜日。学校から帰ってすぐにあおいちゃんの家に向かった。
飯能駅に着いたのは午後7時頃。
「いらっしゃーい!」
「お世話になります」
ご両親も揃って出迎えてくれて、とても緊張する。
それからあおいちゃんの後をついていって部屋に入れてもらった。
広い部屋の真ん中に置かれた小さなテーブルの上にティーカップと見覚えのあるクッキーが並べられていた。
「ほのかちゃんがうちに来るって言ったら、店長さんとひかりさんがこの紅茶とクッキーを持たせてくれて」
「ああ、見覚えがあると思った」
「ほのかちゃんモテモテだねえ」
「あ、ええと……」
「……ごめんね、一緒に行けなくなっちゃって」
「それは……残念だけど仕方ない……勉強がんばって」
あおいちゃん、せっかく企画してくれたのに実力テストで散々だったらしく、期末テスト対策のため補習を受けることになり、そのうえひなたちゃんまで付き添うと言い出して、再度話し合った結果私とここなちゃんの2人だけで行くことになった。
「明日は2人でいくんだよね」
「うん。でもここなちゃんはしっかりしてるから特に不安はないかな」
「じゃなくて、告白するの?」
私はまるで漫画のように、あやうく飲みかけの紅茶を吹き出しそうになった。
「んなっ……?」
「ってひなたが言ってたんだけど何を告白するっていうのかな」
「さ、さあ……」
「ひなたってさ、ときどきわけがわからないこというから困るよね」
「あはは……そうだね」
「ただ一つ言えるのは」
「うん」
「どんな告白だろうと、ここなちゃんはほのかちゃんの気持ちを受け止めてくれるはず!ほのかちゃんファイト!」
あおいちゃん……意味、わかってるんだよね?
「じゃなくて、違う……ここなちゃんとはそういうのじゃないから」
「えっ、そうなの?……あっもうこんな時間。早く寝て明日に備えなきゃ」
「うん、おやすみなさい」
ここなちゃんのことは確かに好きだけど、それはあくまでも友達として。
告白するとか……ありえない。
4 :
◆JdP.BncS3o
:2017/07/20(木) 02:10:01.49 ID:tOIXXBPCo
-
3合目 白岩登山口
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「ほのかさん、あおいさん、おはようございます」
翌朝、制服を来たあおいちゃんに飯能駅まで送ってもらい、ここなちゃん達と合流した。
「おはよー、ここなちゃん、私のぶんも楽しんできてね」
「はい!あとでたっぷり写真送りますね」
「あれ、ひなたも一緒?」
「あおいを迎えにきたのよ。補習さぼって一緒に山に行きたーい!って言いだすんじゃないかと心配で心配で」
「そんなことしないわよ!」
やれやれ、とばかり頃合いを見てここなちゃんが二人に割って入った。
きっとここなちゃんには誰もかなわない。
「それでは行ってきます」
「あ、うん。気をつけて」
……
長く続いてゆく林道を、こうして二人で並んで歩くと、なんだか胸がくすぐったくなるような、妙な気持ちになる。
あおいちゃんが変なこというから……だと思う。
「ほのかさん」
「うん」
「もしかして疲れちゃってます?少し休んでからでも」
「ううん、大丈夫。ちょっと考え事してた」
5 :
◆JdP.BncS3o
:2017/07/20(木) 02:14:43.72 ID:tOIXXBPCo
-
4合目 道に迷ったら
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「ほのかさん……大変です」
「どうしたの?」
「道を間違えているかもしれません」
「あ……」
言われてみれば、すでに通過しているはずの分岐点が見当たらず、道の先はゆるやかな下りに向かっている。
「どこかで下山道に入っちゃったのかな」
「わかりません。一度引き返しましょう」
「そうだね」
まだ来た道すらわからなくなっているほど深刻な状況にはないと思っていた私達は、特段深く考えず引き返すことにした。
「ごめんなさい、私先導していたのに全然分かれ道に気づかなくて」
「いや……私も見てたつもりだったけど気づかなかった」
そんな苦境に追い打ちをかけるように小雨が降りだす。
間もなく滝のような土砂降りとなり、土道はところどころ泥沼になりかけている。
目の前は水のカーテンに阻まれて5メートル先も見えなくなった。
こんなときは闇雲に動かず視界が戻るまで待つのがセオリー。
とはいえ。今日は本格的な雨対策をしていない。
こんな日に、いつ止むかもわからない雨を耐え忍ぶのはあまりに辛すぎる。
雨に打たれ泥にまみれながらも慎重に歩を進めていると不幸中の幸い、雨除けになりそうな小屋を見つけて飛び込んだ。
「助かりました〜」
「休憩所みたいだけど、なんだかまともに使われてる形跡がない」
「やっぱり、登山道からは外れてるみたいですね」
崩れかけた床の上には木の板と塗料が片隅に並べられていた。
ここで看板でも作っていたのだろうか。
何か所も雨漏りしているし、小さな窓はガラスが入っていないため当然そこからも雨が入り込んでくる。
それでも屋根があるかないかの違いは大きい。
「もう雨は弱まってるけど、少し休んでいこうか」
「そうですね〜」
泥まみれのレインコートを脱ぐと上着まで泥まみれになっていることに気付く。
上着をはたいて泥を落としていると、ここなちゃんはインナーシャツまで脱ぎ始めた。
気持ちはわかるけど、私にはちょっと無理……
「ほのかさんは着替えないんですか?」
「いや、私は大丈夫……」
意識しすぎとはわかってるけど、今日に限ってはここなちゃんの下着姿さえもまともに見ることができずにうつむいてしまった。
6 :
◆JdP.BncS3o
:2017/07/20(木) 02:17:08.98 ID:tOIXXBPCo
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5合目 フレームを作る
-
どうにも目のやり場に困った私は「外はいい景色だなあ」なんてわざとらしくつぶやき指でフレームを作り、小屋の外に向けて撮影ポイントを探す。
幸いにして、本当に窓からの眺望はなかなかのものだった。高原が広がり白い花がずらりと咲き並ぶ畑が見える。
このままここなちゃんが着替え終わるまで鑑賞しよう。
「もう少し待っててくださいね」
「うん」
「下着は替えがあるけどズボンはさすがにないんですよねー。しっかりきれいにしないと」
……?
何か不穏な発言を聞いたような気がしてここなちゃんのほうを見ると、下着まで脱ぎ捨てて着替えようとしていた。
「わあっ?何してるのここなちゃん。はやく服着て」
「大丈夫ですよー」
ここなちゃんは私の心配をよそに、素っ裸のままのんきにズボンの泥なんか落としている。
一体いつ誰が来るかもわからないというのに、大胆不敵すぎてこちらがハラハラする。
だけど、しばらく見とれているうちに好奇心が勝ってきて、フレームを作り直してここなちゃんに合わせる。
ここなちゃんはすぐに反応して持っていたズボンで胸を隠した。
「きゃっ!」
「あ……ごめん」
「いきなりびっくりしたじゃないですか〜。撮るなら言ってくださいね」
「いや、撮るつもりはない……」
いくらなんでも裸のここなちゃんを本当に撮るつもりなんてなかったのだけど……
「え……撮っていいの?」
「ほのかさんならいいですよー」
聞いておいてなんだけど、やっぱり早く服を着てほしい。
そう思いながらも、目の前の誘惑には勝てずにカメラを手にするのだった。
7 :
◆JdP.BncS3o
:2017/07/20(木) 02:20:08.54 ID:tOIXXBPCo
-
6合目 永久保存版ここなちゃん
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ファインダーが映し出す裸体の少女。
なぜか肉眼で見るよりも生々しく、心を強く揺さぶってくる。
初めて見たのは二人で伊香保温泉に入浴したときだった。
いくら可愛いとはいっても女の子同士だし、そのときは特に思うところもなかったけど、まるで身体を隠そうともしないことには少し驚いたのを覚えている。今からすれば些細なことだけど。
「なんだか、緊張しますね〜」
「私も……」
カメラを持つ手の震えが止まらない。多少ブレるかもしれないが構わずシャッターを切る。
乾いた電子音が小屋に響き渡り、私の心臓は強く跳ねた。
ここまで”撮影する”という動作自体に意識が行き過ぎてつい忘れていたけど、これってここなちゃんの身体をいつでも好きなときに見ることができるということでもあるわけで……途端に身震いがした。
「撮れました?」
「あの……できれば外をバックに撮りたいけど……いい?」
「いいですよー」
ここなちゃんはゆっくりと横に移動して窓を背にした。
私の心臓はピッチを上げ続けている。
早く服を着てくれないと困るとは思ってはいるのだけど、頭の中では何枚撮れるか、という心配でいっぱいになっている。
「ちょっとドキドキしちゃいますねー……どうですか?」
「待って、もう少し……」
問題は構図の難しさだ。
こうしてみると花畑が占める面積はかなり小さく、ここなちゃんを主にするとまったく背景が目立たない。
ファインダーを見ながら調整を繰り返す。
「あの花畑のそばで撮れたらいいんだけど」
「くぇっ!?」
思わずつぶやいた一言に、ここなちゃんが珍しく変な声をあげた。
「あんなところで裸になるのはさすがにちょっと……ははぁ、さてはほのかさんって撮影にかこつけて露出プレイしようと目論んでたんですね〜」
「いや、そうじゃなくて構図として良いと思っただけ……って、そういうことする人いるんだ……」
「恋人を裸にして外に連れ出したりするそうですね。そうですかほのかさんも……」
「連れ出すって……いや、ちょっと待って。ここなちゃんにそんなことさせる気はないから」
「でもほのかさんとは恋人じゃないからできないです。残念ですけど」
「恋人にはなりたい」
8 :
◆JdP.BncS3o
:2017/07/20(木) 19:03:13.58 ID:tOIXXBPCo
-
7合目 秘密
-
ふとついて出た自分の言葉に、一瞬遅れて全身から冷や汗が流れ落ちる。
さすがにここなちゃんも服を胸の前で握りしめてゆっくりと後ずさりしている。
「わぁ…そこまでして連れ出したいなんて……どうしよう、ほのかさんがこんな人だったとは思いませんでした」
だから連れ出したいわけじゃないのだけど、どうやって説明したらいいのか……
「違う。誤解。撮影とか関係なく、ここなちゃんのことが好き……」
「ええ……本当に?」
私はただ頷いた。
「わかりました……それじゃ、キスしてください。本当に私のこと好きならできますよね」
「うん……」
手を握ると、彼女は少し体を竦めて私を見つめていた。
キス……はじめてだけど、ちゃんとできるかな……
そんな不安もあったものの、気づけば自然と唇を重ねていた。
本当に、これでわかってくれるのか、不安だらけだけど、もうここまできたらなるようにしかならないと気づいた。
そっと唇を離す。
現実感のない感触だったような、案外なんでもないような、そんななんともいえない感情と感覚が入り混じる。
キスのあと彼女は軽く頭を下げた。
「ごめんなさい。実はほのかさんの気持ちにはもう気づいてました。ついからかっちゃいました」
「ひどい……って……今キスしたのも……?」
「うふふ。私だって、好きでもない人にあんなこといいませんよ」
「……え?」
「私もほのかさんのこと好きですよ。本当におつきあいしてくれますか?」
「うん……ここなちゃん、あらためてよろしく」
「それじゃおわびに、ほのかさんの大好きな露出プレイしましょうか」
「別に大好きなわけじゃ……まあいいか」
本来ならこんな危険な行為は止めるべきなのだろうけど、存外に私の理性はもろいものだった。
ここなちゃんの手をつないで、急かされるようにしながら外に出る。
私はまるでいたずらをする子供のように、心の片隅に不安を抱えおびえていた。
一方で、こんなに開けた場所で何ひとつ身体を隠せるものもないここなちゃんといえば、不安なんて微塵にも感じさせない笑顔で両手を天にかかげ伸びをしている。
なんであんなに堂々としていられるんだろう。
「それじゃ……撮るけど、いい?」
「はい!」
ここなちゃんには花畑の前に立ってもらい、少し離れて片膝を立てて座りカメラを構えた。
それはまるで咲き乱れる白い花にはしゃぐ妖精のよう。
私は段々と周囲を気にすることもなくなり夢中になってシャッターを切り続けた。
「さっそく二人だけの秘密できちゃいました」
「うん……」
ここなちゃんとの秘密。それだけでなんだかワクワクしてきた。
9 :
◆JdP.BncS3o
:2017/07/20(木) 19:09:24.91 ID:tOIXXBPCo
-
8合目 ウノタワ
-
「こっちが登山道だったんですね」
「どこで間違えたんだろう」
視界さえ効けばこちらのもの。小屋を出てすぐに本来の登山道に復帰して、最初の目的地・ウノタワにたどり着いた。
すっかり体力と時間を消耗した私たちは、ここでしばらく休憩して横倉林道から下山することにした。
「ここがウノタワ……」
「やっぱり写真で見るのとは大違いですね〜」
この一帯は元々は沼だったところで、ここで山の神様の化身の鵜を猟師が誤って撃ち殺した為に沼ごと消滅してしまった……という伝説がある。
現在、ここだけぽっかりと木が生えておらず代わりに苔に覆われている。
「ここなちゃん、あっちのほうで撮らせてもらっていいかな」
「いいですよー」
何枚か撮り続けたあとここなちゃんが駆け寄ってきた。
「やっぱりほのかさんの趣味からして裸になったほうがいいですかねー」
「だから、そうじゃないって……」
と言ったものの、内心はだんだん否定できなくなっている。
もちろん本当に撮る気はないけど、脳裏ではすでに緑の絨毯の上で微睡む裸のここなちゃんの絵ができあがっている。
そんな邪心も彼女にはお見通しなのだろうか。
「あれ?違うんですか」
「そういう趣味はないし、だいたいここは普通に登山客が来るから無理」
「ほのかさん的に見られるのはだめなんですね。よかった。本当にここで脱げって言われたらどうしようかとおもっちゃいました」
だったらなんで焚き付けてくるんだろう?
「もちろんそんなこと言わない。ここなちゃんの裸は誰にも見せたくない」
それを聞いた彼女は私の背中をぽこぽこと叩く。
「うふふ。だからほのかさん大好きです」
10 :
◆JdP.BncS3o
:2017/07/20(木) 19:19:25.76 ID:tOIXXBPCo
-
9合目 横倉林道・名郷・飯能駅前
-
「しかし……ここなちゃんがこんなに脱ぎたがりとは知らなかった」
下山しながらのんびり雑談。かなり人通りが少ないから少々きわどい話でも平然とできてしまう。
私も思わず饒舌になる。少なくとも、普段よりは。
「前々から、山頂とか見晴らしのいいところで裸になったら気持ちよさそうって思ってたんです」
「うん……まあ、それはわかるかも」
「だけど、私恥ずかしがりやさんじゃないですかー。一人ではこんなこととてもできませんから、ほのかさんみたいに理解してくれる人と一緒に楽しめてよかったです」
……え?
何か気になる発言がいくつかあったような。
「そうだ、こんどはほのかさんも一緒に脱ぎましょう。気持ちいいですよ」
「無理……見られたら恥ずかしすぎる……」
「それがいいのに……」
「えっ」
「何でもないです〜」
麓近くまで下りてきたところで、そっとここなちゃんを抱き寄せた。
もうすぐ二人きりの時間が終わると思うと急に心細くなって、泣き出してしまった。
年上なのにみっともない、そう自分に言い聞かせたけど、あふれだす感情を止めることができない。
「ほのかさん?」
「ごめん、少しだけこうしていたい」
「意外と甘えん坊さんですね〜」
「うん……自分でもびっくりした」
「こんなに想ってもらえて幸せです。また、いつだって会いに来てください。そうだ、私も遊びに行っていいですか?」
「もちろん……ありがとう。もう大丈夫」
それから私達は何度もキスをした。
最後はバス停に並ぶ人の列の後ろで人目を盗んで。
「見られそうって思うと、なんだかドキドキしますね」
その言葉で、やっと少しここなちゃんを知ることができたような気がした。
11 :
◆JdP.BncS3o
:2017/07/20(木) 20:39:40.20 ID:tOIXXBPCo
-
10合目 回想
-
飯能駅に着いたのは午後3時過ぎ。
あおいちゃん達に連絡するとちょうど駅の近くにいるということだったので、商店街のカフェで待ち合わせて合流した。
「やっほー、7時間ぶり!」
「なによそれ……ところでほのかちゃん、その様子だと……」
「おーさっそく恋人つなぎなんかしちゃって」
「う……」
恥ずかしいから人前で手をつなぐのは遠慮したかったけど、
「おめでとう、かな?」
「うん……ありがとう」
「ほのかさんったら、とっても情熱的だったんですよ」
「ほうほう」
「裸になった私の身体を見つめながら好きって言ってくれて」
「待って。それ秘密にするって……」
「あっ、ごめんなさい。今の話はなしで」
ここなちゃんがあわてて取り消そうとするけどもう遅い。
ガタッと音がして振り向くと、あおいちゃんとひなたちゃんが立ち上がっていた。
「待ってなになにどういうこと?今すごいこと聞いちゃったんだけど」
「さあさあお姉さん達にどーんと話してみなさい」
あおいちゃん達、目を輝かせてすごい勢いで食いついてきた。
なんだか人格も口調も変わってない?
「それじゃ仕方ないですねえ。全部話しちゃいます」
それからここなちゃんの回想が始まり……
「ほのかさん、着替えてる私を撮影しようとしたんです。私恥ずかしくて思わず体を隠しちゃいました」
「いや待って……撮るつもりはなかった」
こんな調子でウソではないけど聞き手を誤解させるような説明が続き、私はそのたびに釈明するはめになった。
12 :
◆JdP.BncS3o
:2017/07/20(木) 20:41:07.10 ID:tOIXXBPCo
-
11合目 限定公開
-
「ここなちゃんって大胆……」
あおいちゃん、私も同感。
「あおいも少しは見習いなよ」
「遠慮します……っていうか正直信じられないけど」
「ほのかさん、あの写真あおいさんたちに見せてあげてください」
「え……あれ見せていいの?」
「あおいさん達なら、よく一緒にお風呂に入ってますから裸見られても平気です」
それはちょっと、いやかなり違うような気がするのだけど、ここなちゃんがそういうなら、とカメラをテーブルに置いて画像を見せた。
……本音を言えば見せつけたい気持ちがあったのかもしれない。
「わぁー」
「ここなちゃん可愛い!妖精みたい!」
「うふふ、あんまり見られたら恥ずかしいですよ〜」
仮にも野外でのヌード撮影(しかも、なんというか……見えてるものもある)だというのに意外と普通に好評だった。
「いやーそれにしてもこの写真を撮ろうとしたほのかちゃんって」
「ある意味、ほのかちゃんのほうが大胆かも……」
「うん。本当に連れ出しちゃうなんてすごい」
「いや……あの……」
確かに撮りたいと言ったのも実際に連れ出したのも私だけど……なんだろうこの納得できない気持ち。
「私もあおいを裸にして連れまわしたら面白そうって思っちゃったけど、とてもそんなこと言えないなー」
「ちょっ、なんてこと想像してるの?やめてよ!」
「どんな反応するか楽しみじゃん?」
「あ、それわかります」
「もうここなちゃんまで」
「それなら、ひなたさんも、あおいさんと恋人になっちゃえばいいんじゃないですか?」
「おお、その手があったか。ね〜あおい〜」
「まずひなたと恋人にならないし、なってもそんなことしない……」
「ちぇー」
ひなたちゃん、いつもこんな感じなのか……
13 :
◆JdP.BncS3o
:2017/07/20(木) 20:49:39.75 ID:tOIXXBPCo
-
12合目 再会を祈って
-
― こんな楽しい時間がいつまでも続いてほしい。
いくらそう願っても時計の針は休むことはなくただ過ぎてゆく。
東飯能駅2番ホーム。
ここなちゃん達に別れをつげる時がきた。
「……わざわざ見送りに来てくれてありがとう」
「こちらこそ来てくれてありがとう」
「ほのかちゃん、またね」
「次は富士山で」
「みんな揃って登頂しましょう」
「うん……ここなちゃん、帰ったら電話していいかな……」
「はい!いつでも待ってます。毎日でもお話したいです」
「見せつけてくれちゃって」
「あおいは私に電話してね」
「なんでよ……」
私はそっとあおいちゃんに耳打ちをする。
「あおいちゃんも、がんばって……」
「え?どういう意味?」
私は何も言わなかった。
あおいちゃんの赤みがかった頬を見て、もうそれ以上の言葉はいらないと思ったから。
〜 つづく 〜
14 :
◆JdP.BncS3o
:2017/07/20(木) 20:57:51.32 ID:tOIXXBPCo
ひとまずここまで
山の中で裸になって無邪気にはしゃぐここなちゃんを妄想したかった。
全然無邪気なんかじゃなかった。
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/07/20(木) 21:48:38.31 ID:dIFx+9efO
乙
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/07/20(木) 21:51:44.32 ID:s6kD7euaO
期待
17 :
◆JdP.BncS3o
:2017/07/22(土) 05:01:21.25 ID:1t5cpSU6o
§ season 2 - ふたりで見る景色 / From あおい
-
1合目 露出って何?
-
家に帰った私は、なんとなくここなちゃんが言ってた露出プレイというものを調べていた。別にしないけど、気になるから。なんとなく。
「露出入門みたいなサイトが結構あるんだ」
「うーん、当然だけど大半はアダルトサイト。見ようと思えば見れるけど、純情な女子高生である私には入りづらい。」
「性嗜好カテゴリ、年齢制限なしで絞って……《露出ノススメ》ってタイトル露骨!でもわかりやすくて助かる」
思い切って、《露出ノススメ》をタップして「心得」から順番に読み進めてみた。あとで履歴消すのを忘れないようにしなきゃ。
……
”やっぱりお互いに心から信頼のおけるパートナーを見つけて一緒にするのが一番。”
……えっ、なんでひなたの顔が頭に浮かぶの?引っ込んでなさいよ。
そもそも信頼のおけない人としようとは思わないだろうけど……そっか、一人でする人もいるんだ。
サポートしてくれる人がいないので場合によっては危険が大きい。おすすめしない……
なるほど、このへんは単独登山に似てるなあ。
”場合によっては警察のお世話になったり、女性の方であれば見つかって襲われるなど……”
うわっ、ある意味単独登山で滑落したほうがマシかも。
”とはいえ、誰しも適切なパートナーを見つけられるとは限りません。他人にはこういった特殊な嗜好をカミングアウトできないという方も多いでしょう”
そりゃそうだよね。私も露出したいから手伝ってーなんて誰かに言えるわけが
……だからひなたは出てこないで!
”そこで一人でもお気軽に試せる安全な露出を考えてみました。”
『課題1.部屋で全裸になる』
『課題2.夜、全裸で寝る』
なにこれ。私でもできそう。っていうか。露出っていうのかなあ。
部屋の鍵をかけて、カーテンも閉めてみた。
普段こうやって部屋で着替えたりしてるはずなのに、意味もなく脱ぐのってすごく妙な感じがする。
特に最後にパンツを脱ぐときの変な緊張感はなかなか他の行為で経験できそうにない。
今ノックされたらどうすればいいんだっけ。あれ、どうしよう。
なにこれ、すごくいろんなことが気になってしかたない。落ち着かない。正直、課題なめてた。
なんとなく、ここなちゃんだったらこのぐらいのことはきっと平然とやりそう、なんて考えてみてからやっと気づいたけど、あの子部屋どころか山の中で裸になってたじゃん!
話を聞いたときや写真を見たときも、そりゃもちろん大胆な子だと驚いたけど、自分でやってみてあらためて実感。
いいなあ、すごく気持ちよさそうだった……
……
あ、そうだ。ひなたに電話してやらなきゃ。なんか、裸で電話するのもこれまた変な感じだね。
スマートフォンを自分に向けると、画面の向こうから見られてそうな気がしてちょっとドキドキする。
「もしもしひなた?」
「おーあおい。何か用?」
「何かじゃないわよ。電話してこいっていったのひなたでしょ」
「あー……そうだった!本当に電話してくるとは思わなかった」
あっ……!どうしようやばっ恥ずかしい!
あの話の流れでなんで真に受けたのよ私のバカ!
「ひーなーたー!」
「ごめん!本当にごめんっ」
「ま、まあいいわよ用事があって電話したんだから」
「あ、そうなの?なになに?」
「明日補習終わったらどこか行かない?」
「オッケー!」
18 :
◆JdP.BncS3o
:2017/07/22(土) 05:02:18.39 ID:1t5cpSU6o
-
2合目 吾妻峡
-
朝、起きてすぐに自分が何も身につけていないことに気付いた。
そっか、裸で寝てたんだっけ。
なんかすごく疲れがとれた気がする。
露出はおいといて裸で寝るのは身体によさそう。
補習は午前中までで終わり、ひなたとスタバで待ち合わせ、吾妻峡に行くことになった。
「去年もそうだったけど、まだ水遊びなんて無理じゃない?」
「いーのいーの」
吾妻峡入り口から道なりに川岸へ。
一応、手で水面に触れてみたけどまるで氷のように冷たい。
「今日はここじゃないよー、こっちこっちー」
「どこまで行くのよ」
上流に向かうと脇道にそれて、ついには道を外れて林の中に突っ込んだ。
かすかにせせらぎが聞こえるのでまだ川の近くだろうか。
いくら一般道にはさまれた
「もしかして遭難してない?」
「大丈夫だって!このへんでいいかな」
そう言いながらひなたは制服を脱ぎはじめた。
結局泳ぎに来たの?
「ちょっとひなた、私水着持ってきてないわよ」
「私も持ってないよー」
「え」
ひなたのブラが丸見えになった。
水着じゃなくて本当にただの下着。
「ななっなにやってんのひなた!」
「ん?あー、なんていうか露出プレイってやつ?私もやってみたくなっちゃってさ」
「ちょっと、私はしないって言ったわよね」
「だからやるのは私。あおいは見てるだけでいいから」
「もう、危ない目にあっても知らないわよ」
私の心配など意にも介さず、ひなたはひょいっとブラも外して乳房をあらわにしている。
考えてみれば昔からちょっと変な奴だったけど、こんなことをするひなたは初めて見る。
19 :
◆JdP.BncS3o
:2017/07/22(土) 05:04:53.46 ID:1t5cpSU6o
-
3合目 言えないよ
-
トップレスのひなたは両手を後ろにやって大きく胸を張っている。
「あーっきーもちいいー……あっそうだ、あおい写真とってよ」
「やだ」
何が悲しくて友達の胸なんか撮らなきゃいけないのか。
「何もすることないと間がもたないわね。もう服着ようー……次はあおいの番ね」
「だから私はしないってば」
「いいじゃん、こんな美少女のおっぱいタダで見れたんだから少しぐらいあおいもサービスしてよ」
「ひなたが勝手に脱ぎだしたんじゃない」
「そっかー。私はそれなりに楽しんだから満足して帰りますか……ねえあおい、今日は変なことに巻き込んでごめん。あおいも実は興味あるかもって思って強引に誘っちゃったけど、もうこういうことはしないから安心して」
「待って!」
私は思わず叫んだ。
「ん?やっぱあおいもする?」
「そ、それは……」
そりゃ、ひなたのあんな気持ちよさそうな笑顔を見てたら私だって……
それに誰かと一緒に露出プレイできる最初で最後のチャンスかもしれない。
「えっと……」
「ふむ。だったら、あおいを脱がせちゃおう。いやだったら腕つかんでね。そこでやめるから」
ひなたは私に向かい合った。
このままじっとしていたらひなたに脱がされちゃう……こんなところで……?
それって……
なんだろう、この違和感。
場違いな姿になるということじゃない、それとは別の違和感。
ひなたの右手は制服のファスナーをあけている。
なんでだろう、意外と胸をあけられるのはあまり怖く感じない。
と思ってたら左手でいきなりスカートを落とされた。
「ちょっとひなた?」
「うっかりあおいのスカートを脱がせちゃってケンカしたこともあったね。懐かしいなー」
「みみ、見られたらどうするのよ」
「いやなら力づくで止めてみ」
20 :
◆JdP.BncS3o
:2017/07/22(土) 05:26:56.03 ID:1t5cpSU6o
-
4合目 夢のつづき
-
口でいくら言ってもひなたはやめようとしない。
ちょっと手をのばせば止めるのは簡単なはずなのに、私はなぜかされるままになっていた。
「次は上ね、うふふふ」
「やだ、やめて、どこ触ってるの!」
ひなたってばどさくさに紛れて胸なでまわしてる。
やっぱり抵抗できなくて、あっというまに下着姿になっていた。
このままにしてたら本当に下着まで脱がされちゃうわよ、どうするのあおい。
まるで不安から逃避するように、どことなく他人事のようにひなたの行動を見守っていた。
「待って」
ここでようやく、ひなたの腕をつかんだ。
下着を脱がされそうになって、やっと違和感の正体がわかったから。
「じゃ約束通りこれでおしまい。ま、ブラ外してない分私の勝ちだけどあおいもよく頑張ったよ」
「ううん、頑張ってない」
「あおい……?」
「ひなたに脱がせてもらってるだけで、全然何もしてない。まるでロープウェイで山頂に登ったような……」
こんなときにまで登山にたとえて話すなんて我ながら可笑しいと思うけど、他に思いつかなかった。
「それじゃあおい、これからどうするの?」
それは……恥ずかしい。でも自分で言わなきゃいけないんだ。
「あとは自分で脱ぐ」
「わかった。私はしっかり見てるから安心して」
「見なくていいわよ」
「それじゃつまんないでしょ」
下着姿の今の自分は山でいえば八合目ぐらいの気分。
八合目……
八合目といえば去年は富士山でリタイアした地点だ。
ということは……ここで全部脱いでしまえば富士山登頂に匹敵する快挙ってことになるんじゃ……
下着を脱ぐところをひなたが見てるってだけですごく恥ずかしい。お風呂場なら気にならないのに、なんでだろう。
ブラを外して、それから一気にパンツを下ろして脱ぎ去った。
21 :
◆JdP.BncS3o
:2017/07/22(土) 05:33:46.86 ID:1t5cpSU6o
-
5合目 私は露出狂だったの?
-
ついに着ているものを全部脱ぎ捨ててしまった。
でも気持ちいい。人間社会という枷から解放された気分、自然との一体感。
それとともに極度の緊張感で表情は硬いまま。ここなちゃんみたいな笑顔はとてもできない。
足元がおぼつかない。寒くはないのに、足がカタカタと震えて立っているのもつらい。
今誰かが近くを通りかかって、こっちに気づいて見に来たらどうしよう。
怖い。はやくも自然を感じる余裕がなくなってきた。
一体私は何してるんだろう、そう思った次の瞬間には全身が熱くなって、内臓が焼き切れそうな、だけどさっきまでと違う緊張感が訪れる。
身体の敏感な部分が熱を帯びて溶けそう。
あ、これって……
興奮してるの?
うそっ!?これじゃ露出狂みたいじゃない。
「やっぱり、あおいは外で裸になって感じちゃう変態かー」
「そんなことないわよ」
「んーでもねえ」
「みっ、見ないで……変態……」
いくら否定したくてもあふれてくるものは止められない。
かすかに腰をくねらせているのもきっと気づかれてる。
触りたい、指で。
それでもさすがにひなたの目の前で[
田島「チ○コ破裂するっ!」
]できるほど理性は飛んでいなかった。
だけど……
「ひなたぁ、触らせてあげてもいいわよ」
本当は触ってほしくて仕方ないのに、この期に及んでもまだ素直になれない私。
「いやーそれは遠慮するわー」
「なんでよ!」
「私そういう気分じゃないしー」
だったら、そういう気分にさせてやろうじゃない。
ひなたにぎゅっと抱きついて、少し離してからキスしてやった。
最初は驚いて押しのけようとしてたひなただったけど、すぐにお互いの唇を求めあうようになった。
気づけばすっかりその場に座り込んでいて、あとはひなたにされるまま、木に両手をついてひざ立ちになった。
22 :
◆JdP.BncS3o
:2017/07/22(土) 05:37:17.91 ID:1t5cpSU6o
-
6合目 ひなた
-
「仕方ないなー。すぐに気持ちよくしてあげるからね」
「お願い……ひなた……」
私、何やってるんだろう……
こんなにお尻を突き出した恥ずかしい格好で。
「ひゃんっ!」
太ももをなでられただけで体をのけぞらせた。
「あんまり大きな声出すと聞かれちゃうよー」
「だって……」
いつ誰に見られるかわからない……
そのことを思い知らされるたび体を震わせた。
「は、はやく…………」
「あおいはやらしーなー」
「いいからはやく……」
「はいはい」
ひなたの愛撫は優しくて心地良く、時折敏感なところに触れてくる。
そのたび私の体はより強い快感を渇望する。
「ひなたぁ……なんでそんなに上手なのよぉ。もしかして経験ある……?」
「んー?普段自分でしてるようなことをやってるだけ」
「そんなのでいいんだ」
「あおいは難しく考えすぎなのよ」
「ひなた……私も、したい……」
「それじゃこうしますか」
このときの私は、それがどういうことなのか、よくわかっていなかった。
23 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/07/22(土) 06:47:12.44 ID:1t5cpSU6o
久々の投稿なんでsaga忘れてました。残念。
書きためここまで。
今後もある程度まとめて投下する予定だけどエタらないようにがんばりたい
>>15-16
レスサンクス
反応があるとはかどります
24 :
全治全能の未来を予言するイケメン金髪須賀京太郎様に純潔を捧げる
[sage saga]:2017/07/22(土) 08:52:42.55 ID:8q4id4de0
FGOをディスル円光二位を許すな
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/07/22(土) 09:07:51.41 ID:R7gM+CFGo
文章は軽く読める文体なのにめっちゃチンコにくる
つまり読みやすくてエロい
期待してるぜ
26 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/07/22(土) 22:57:10.72 ID:1t5cpSU6o
>>25
おお…
あまりエロくできてる自信がなかったけどこれはうれしい。
よく見たら推敲中の文章アップしてた。
今しても仕方ないかもしれないけど訂正します
>>18
いくら一般道にはさまれた細長い →削除
27 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/07/23(日) 22:12:21.03 ID:xFwQuV7/o
-
7合目 一緒に……
-
ひなたは布を敷いてその上に寝転がった。
ん?これって……
「ほら、あおいもおいでよ」
「ちょっとそれ私の制服!」
「もう制服いらないかなって。あおいは露出狂なんだから裸で帰りなよ」
「そんなこと……」
「ん?」
さすがに、本気で裸で帰れなんて言ってるわけじゃないのはわかってる。だけど、なぜか胸の鼓動が早まっていくのを感じた。
もう、我慢できない。
「ひなたぁっ!」
「ちょっ、もっと優しく……」
勢い任せにひなたを組み伏せて制服を脱がせ、雑にブラを外すとすぐ乳房を貪るように吸い付いた。
自分で触るときのように、最初は軽く触れて、それからだんだんと激しくするつもりだったのに、ついつい欲しいままにひなたの身体を求めてしまう。
ひなたも指先の愛撫だけじゃなく舌を使うようになって私の体をなめまわしてきた。
「あおいー」
「ひなた、ひなたぁ……」
もう他の言葉が出てこない。
ひなたの名を何度も呼び続ける。
すべての意識がひなたとの世界に集中していく。
「わ、わたしもう……」
「待ってっ最後は一緒に……」
お互いの指は激しさを増してゆく。
やがて、身体を大きく跳ねさせて絶頂を迎えるとその場に倒れこんだ。
28 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/07/23(日) 22:26:33.34 ID:xFwQuV7/o
-
8合目 全裸少女あおい
-
二人並んで仰向けに寝転がって呼吸を整える。
今まさに危険な状況とはわかってるけど、なぜか今は服を着る気にもなれない。
ここでやっと、ひなたとエッチしたんだとはっきり理解した。
まさか自分が女の子同士でするなんて思わなかったけど、ひなた相手だと思うと不思議と後悔の念は起きなかった。
「あおい……私はじめてだったのに……いきなりひどい……ぐすっ」
そして、ひなたはいきなりファーストキスを奪われたことに恨み言を述べていた。
「ごめん、ひなた……いきなりあんな……取返しのつかないことを」
「あー、でもまーいいや別に。その気にさせたのは私のほうだしさ」
「え?あっ……」
いろいろなことがありすぎて忘れてたけど、そもそもひなたがいきなり露出プレイなんてはじめたのが原因じゃない!
「……そうだった。謝罪を返しなさい!」
「ん」
すっ、と軽く唇を重ねてきた。
……誰がキスで返せって言ったのよぉ!
「これでおあいこ。ところであおい、服着ないと見つかっちゃうよ……まさか本当に裸で帰るつもり?」
「そんなわけないでしょ。ひなたが先に着るまで待ってるのよ」
度胸試しじゃないけど、先に制服を着たら負けのような気がする。
そして、残念なことにこういうところはひなたもよく似ている。
「じゃあ私はあおいが着るまで待ってる」
「それじゃいつまでも服着れないでしょ。ひなたこそ裸で帰りたいの?」
「んー、もういっそそうしよっか。あおいも一緒なら心強いし。川沿いに歩いて入口まで行ってみよう」
「うん。じゃあ帰ろう」
制服を折りたたんで鞄に詰め、立ち上がって林道の側を向いた。
「……」
「……」
しばらく沈黙が続く。
止まった時間の中で涼しい風が頬を撫でていった……
「ねえ、ひなた。やっぱり寒くなってきたから服着ない?」
「だねー」
正気を取り戻した私たちは、制服を着て静かに帰途についた。
家に帰ったら課題3から先を読んでみようと思っていたけど、もう露出はおしまいにしよう。
この2日間のことは全部忘れて本当の私に戻るんだ!
あ、でも裸で寝るのは露出と関係なく健康に良さそうだから続けようかな。
29 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/07/23(日) 22:48:14.73 ID:xFwQuV7/o
-
9合目 私にラブレター?
-
翌朝。
登校して下駄箱を開けると、白い封筒が床に落ちた。
こういうときの定番といえばラブレターだけど。
いやいや私に限ってそんなのもらえるわけがないよね。
「それラブレターじゃないの?」
と、私に声をかけてきたのはクラスメイトのかすみちゃん。
「さ、さあもしかしたら果たし状かもしれないし」
「このハートマークのシール、間違いないわね」
うわっほんとだ。なんてベタな……
……
「じじじつは誰かの下駄箱と間違ってるという可能性も」
「残念。裏に”雪村あおい様へ”って書いてる」
一体どこの物好きな男子なんだろう、と封筒を見ると、筆跡ですぐに差出人がわかってしまった。
……放課後、私は手紙に書いてある通り校舎裏に向かった。
「おーい、あおいー」
ひなたが手を振ってる。やれやれ。
「何か用?」
「あれ?リアクション薄いなー。『あの手紙ひなただったの?』とか驚いてくれると思ったのに」
「字見ればわかるわよ。なんでわざわざ手紙なんて」
「下駄箱にラブレターを忍ばせ放課後の校舎裏で告白する。いやー好きな人ができたらやってみたいと思ってたのよねー」
「ひなたって意外と乙女……?」
「だから、私とつきあってよ」
「ごめんなさい」
「そっか……そうだよねー……エッチしてきたからって別に好きってわけじゃないかー」
「ううん。私もひなたのことは……好きよ」
30 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/07/23(日) 22:49:31.83 ID:xFwQuV7/o
-
10合目 つきあうということ
-
「だったらいいじゃん、なんでだめなの?」
「……笑わない?」
「笑わないよ」
「私はね、彼氏がほしいの。彼女じゃなくて」
「あははっなにそれー」
「ひどっ!笑わないっていったじゃん!」
「ごめんごめん。だってあおいに彼氏ってー……」
「ひなたー?」
「そもそも、狙ってる男いんの?」
「いない……」
「じゃ彼氏できるまでの間でいいからつきあいなよ」
「ええ……なんだかいいかげんなような」
「だから、あおいは難しく考えすぎだって。みんな彼氏できただのすぐ別れただの言ってるじゃない」
「なんかちょっと違うような……ひなたはそれでいいの?」
「いいよ。その代わり、私のほうが先にいい男ができたらあおいは捨てるから、それは覚悟してね」
「すてっ……!?」
「それじゃさっそく今からデート行くわよ」
「行くって、どこに?」
「決まってるでしょ、山よ山!」
あれ?結局今までと変わんなくない?
つきあうってどういうことなのかな……
31 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/07/23(日) 22:57:50.21 ID:xFwQuV7/o
-
11合目 さくらの森
-
「あおいー、露出しようぜー」
唐突に、まるで野球でもするかのようにひなたが言い出す。
なんなのよ、一体。
ここは第二天覧山に続く道、飯能さくらの森。
人通りが少ないとはいっても一応は道端。
そして昨日みたいに隠れられる場所はない。
「こんなところで脱ぐわけないでしょ……」
「いやいや、服を脱ぐだけが露出じゃないんだよ」
「何するつもり?」
「例えばそう……じゃーん!」
ひなたは道の端に寄って周りに人目がないことを確認するといきなりスカートをめくった。
一瞬、「クマさんだー」というセリフが頭を過った。
「えーと、何してんのひなた」
「このぐらいの露出なら余裕っしょ。ほらあおいもやってみ」
余裕じゃないんだけど、ひなたがやったからには退けない。躊躇しながらスカートをめくりあげた。
「こ、これは思ったより……なんか気恥ずかしい!」
「でしょー?」
「でも恥ずかしいだけで気持ちよさはないかな」
「うん、なんでだろうね。やってることは結構スリリングなはずなのにドキドキしてこない」
どんな露出が気持ちいいのか、それは案外難しい
だけどこういうの、なんか楽しい。
スカートをめくって見せっこするのも、谷川岳で朝日を見るのも、そう、どんなことでも好きな人と体験を共有できてる実感がたまらなくいい。
ねえひなた。私、ひなたと出会ってはじめてわかったような気がする。
「刺激が足りないのかも」
「うーん、なるほど。じゃパンツ脱いでやってみない?さあ脱いで」
「簡単に言わないで、無理だってば」
「ま、私も無理だと思ったけどね!ここじゃなくて、もうちょっと行ったとこにトイレがあるからそこでしよ。私もするから」
私、露出やめようと思ったんだけど……
でもせっかくのひなたとの初デートだし、少しぐらいつきあってあげようかな……
ひなたのあとをついて行き、二人して清泰寺の横をこそこそと通過する。
ここを通らないとトイレにいけないんだけど、お寺のすぐそばで露出することに、どうにも後ろめたさを隠せない。
32 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/07/23(日) 23:03:31.68 ID:xFwQuV7/o
-
12合目 極秘任務!第二天覧山
-
「山入ったらスカートめくりっこね」
「う、うん」
一緒にトイレに入り、パンツを脱いでそれぞれの鞄にしまってトイレを出る。
「うわっすごい風」
「さっきと一緒だって」
思わずスカートの前を押さえてちょこちょこと歩き出す。
「あおい気にしすぎ、そんなんじゃかえって怪しまれるわよ〜」
「だけど……」
「大丈夫だって、そんな簡単に見られるぐらいなら普段からパンツ見られまくりってことだよ?」
「そうかもしれない。でも」
「うん」
「ひなたこそ歩幅がいつもの半分以下なんだけど」
「だって、もしもってことがあるかもしれないじゃない?」
そんなひなたの勝手な言い分に反論する余裕もなく、お互い無言で歩き続けた。
道中すれ違った人みんながこちらを見ているような気がして、心臓がパンクしそうになる。ううん。間違いなくみんな見てる。
こんな挙動不審な女子高生が目立たないわけがない。
やっとの思いで第二天覧山を縦断して、元のトイレに戻りパンツをはきなおす。結局、最後までめくりっこなんてする余裕なんて全然なかった。
「同じ野外でも人目のあるところとないところではまるで別物だった……」
「もっとすごいことしてる人もいるけど、充分な安全を考えればこれぐらいが限界だよね。次はもっと軽いのからする?」
「ううん。もう、こういう……露出はいいかな……やっぱり私にはあわないかも」
「そっか、でももし気が変わったら今度はあおいから誘ってよ、いつでもいいからね」
「うん」
「ただし、したくなったら絶対に連絡すること。絶対に一人で危ないことしちゃだめ」
つないだ手に力がこもる。
ひなたは私が危険な目にあわないようにしっかり考えてくれてるんだ。
「わかった。ありがとう、ひなた」
「よろしい。では帰りますか!」
「あっちょっと待って」
「何?」
「ひなた、愛してる」
「ななっ!あおいがそんなこと言うなんて、まさか」
ひなたったら私の額に手あててる。
せっかく素直になってみたのになんて失礼なやつ!
「こらぁひなたー!」
「あはは、あおい、私も愛してるよー」
33 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/07/23(日) 23:23:35.80 ID:xFwQuV7/o
きょうはここまで
SS書くためにいろいろ調べてたら飯能行きたくなってきた
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/07/25(火) 18:33:21.87 ID:QDF1mNdSO
wktk
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/07/28(金) 22:04:41.43 ID:w7wD2YC2O
まだかな
36 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/07/29(土) 17:45:11.84 ID:9gELp74bo
間隔長くてすみません
明日投下したい予定かも
37 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/07/30(日) 21:46:48.59 ID:bbNoKN7Jo
-
13合目 家の中ぐらいなら……
-
その日の夜。私は眠れなかった。
露出、やりたいのかな……
でも、やっぱり怖い。こんなこともうやめよう。
……
だけど。
一人でできる安全な露出ならいいよね……
次できそうな課題は『鏡で自分の秘所を見る』か。
結構グロテスクだと聞くから見ないようにしてたけど、いい機会なので鏡の前に座り込んで足を開いてみた。
さらに指で中までよく見えるようにすると……覚悟していたおかげか、案外驚きはなかった。
ひなたのはどうなってるのかな。今度はちゃんと中まで見て触ってやろう。
だんだんと課題はどうでもよくなってきて、鏡そっちのけで撫でまわしていたせいか尿意が一気に高まってくる。
トイレ行ってこよう。
あ、そうか……
……家の中なら、裸で歩いてもいいよね……
警察沙汰にもならないし暴漢もいないんだから。
立ち上がりドアを開けた。
ドアの外をうかがってゆっくりと歩きだす。
冷たい空気が肌に触れてなんだかゾクゾクしてきた。ちょっと気持ちいい。
吾妻峡のときほどじゃないにしても、興奮と緊張が高まる。
だけど、決して心地の良い興奮じゃない。ただ息苦しい。
お父さんとお母さんはもう寝静まってるはずだけど、歩くたびに廊下がきしむ音で起こしたらどうしようって不安になってきた。
もし起きてきたら……見つかったら……どうしよう、すごくドキドキする。
……
幸い、誰に気づかれることもなくトイレに行き、用をすませると小走りで部屋に戻った。
部屋に入るとすぐにベッドに倒れこんだ。
思ったより……疲れた。
私なにやってるんだろう……本当にもうこんなことやめよう。
次の日の夜も、眠れなかった。
今日もトイレに行こう……用事はないけど。
廊下のきしむ音がする。
でも、この物音では起きてこないのがわかってるからか、昨日ほどのドキドキ感はない。
廊下を裸で歩くのは気持ちいい。それで充分なはずなのに、全然物足りない。
一度部屋に戻ってワンピースを着て、トートバッグを肩に引っ掛ける。
それからそっと玄関から外へ。できるだけ音をたてないようにカギをかける。
こんな深夜に一人で歩くなんて、やっぱり怖いなあ。
せめてひなたにつきあってもらって……でも、こんな夜遅くに電話するのはやっぱりためらわれる。
そうじゃない。
本当は、昨日の今日でまた露出したいなんて恥ずかしくて言い出しづらいんだ……
心底から私を心配してくれてるのに、つまらない理由でひなたの気持ちを台無しにしてしまってる。
私はなんて酷いことをしてるんだろう。わかってるのに、どうして……引き返せないの。
本当に怖くてしかたないのに。
38 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/07/30(日) 21:47:55.09 ID:bbNoKN7Jo
-
14合目 飯能河原
-
今日の目的地は飯能河原。
橋の下にしゃがみこんで隠れた。
こんな自然豊かなところで裸になれたら、きっと気持ちいいはず。
よ、よしっ、やろう……
早くすませたい気持ちが強いのか、案外あっさりとワンピースを脱いでしまった。
うわー、誰かに見られたら大変。
でももうここまで来て引き返せない。
はやく下着も脱いじゃおう。
どうしよう。意外とあっさり裸になっちゃったよ。少し怖いけど、案外平気だったりもする。
……
ひなたも言ってたけど、やることがないと間がもたないなあ。
うーん、やることかぁー。散歩とか?
脱いだ服を抱えて歩き出した。
うーん。なんかいまいち。
これじゃ自然に触れることもできず見られたらまずいだけの格好になってしまってる。
服は置いていこう。石を乗せて風で飛ばされないようにして……
バッグも手放したいけど万一のことを考えるとさすがにそれはできない。
でもこれで思い切り手足を伸ばせる。
これだ!自然の風が気持ちいい!
少しはここなちゃんみたいになれたかな。
気分よく歩いていたら、服を置いた場所から結構離れちゃった。
またも不安が忍び寄る。
なのにドキドキしてきて……すぐに服着れないと思うと……見つかりそうで……興奮してくる。
まあ、でも私はそういうことを楽しみたいわけじゃないんだから、これ以上は……
だけどもうすこしだけ……
階段をかけあがり、橋のたもとにたどりついた。
やばい、ここ車道から丸見え。
体に力入らなくて、少しでも目立たないようにと四つん這いになってその場を逃れようとする。
もし後ろから見られたら……絶対見られたくないなあ。あ、でも顔見られないだけいいかな……
うぐ、なんだか段違いの緊張感がいきなり押し寄せてきて吐きそう。
なんとか立ちあがって、ただただひたすら、割岩橋を駆け抜ける。
お願い、今だけ誰も来ないで!
はー、はー
なんとか渡り切った。
あとは下に降りて元の場所に戻ろう、と思ってたんだけど……
川に足をつける一歩手前になってようやく気付く。
こんな暗闇の中で水に入れるわけない。
足元が全然見えないもの。怖すぎる。
そうだ、懐中電灯がある……ってこんなのつけたら目立ちすぎる、これも無理。
うー、しょうがない。来た道を戻ろう。
……怖い。
裸で道路に出ていくなんて……しかも逃げも隠れもできない橋を渡るなんて……無理……
さっき、すぐに階段を下りていればよかったのに、なんでそうしなかったんだろう。
なんで私の体はこんなに危ないことをしたがるんだろう。
やっぱり川を渡るしか……でも、これ足滑らせたら終わりよね……川で全裸の女子高生が溺死体で発見される―なんて死んでもいやだなあ。死んでるけど。
「最後の手段!」
私はスマートフォンを取り出し電話をかけた。
39 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/07/30(日) 21:48:41.78 ID:bbNoKN7Jo
-
15合目 エマージェンシーコール (ひなた視点)
-
「ん?うーん……電話?……あおい!?」
ベッドから手を伸ばして、安眠妨害してくるスマートフォンをつかんだ。こんな時間に電話してくるなんて心当たりは一つしかない。
ひなた「ちょっとあおいー、こんな時間に何よ」
あおい「ひなたぁ助けてー!」
ひなた「どうしたの」
あおい「何も聞かずに服持って飯能河原まで来て」
ひなた「はぁ……すぐ行くから待ってなさい」
一人で露出プレイして、何かあったというのは容易に想像できる。
飯能河原ってことは風で服を飛ばされたとか……だったらまだいいけど、ヤンキーにからまれてとか……あー、まあ自業自得よね。私の助言も聞かないで勝手なことしてさ。
「お父さん!起きてる?」
「お、おお、なんだ」
「詳しいことは言えないけど友達が大変なの、すぐ車出して!」
「何と……よし、わかった」
ただごとじゃない雰囲気を察知したのか、お父さんはすぐに対応してくれた。
さあ、私も準備しなきゃ。
「ひなた、ここでいいのか?」
「うん、ありがとうお父さん。ここで待ってて!」
「おい待て、こんなところで一人じゃ危ないぞ」
お父さんが引き留めるのも聞かず、橋の上から懐中電灯で河原を照らしてみる。あおいの姿が目立つと困るから素早く手元を動かしながら。
あ、いたいた。一瞬だけどバッグを抱えてうずくまってるあおいの姿がはっきりと確認できた。
そのとき背後に人の気配が……
「あおいちゃんじゃないか……なんてひどい……」
「!? お父さんなんでここに」
「なんでってお前。こんな時間に娘を一人にさせておけるか」
お父さんに見つかるとは面倒なことになったなぁ。しかも何か勘違いしてるみたい……これなんて説明しよう。
とりあえずあおいに服を着せて家に連れて帰って二人きりにさせてもらうことにした。
「あおい。私言ったよね。絶対に一人でしちゃだめだって」
「ごめん……私どうしても自分の部屋だけじゃ我慢できなくなってきて、でもひなたに言えなくて。あんなに心配してくれたのに……」
すっかりしょげちゃったあおい。可愛いなあ。
頭でもなでてやりますか。
「ねえあおい……私怒ってるわけじゃないからね。あおいが無事ならそれでいい」
「ひなたぁ……ごめんね、ありがとう……ありがとう……」
「私こそごめんね、あおい。本当はこうなるのも予想できてて、対策も考えてた。でもまさかその日のうちとは思わなかったのよ。とにかくこれは誘った私の責任。明日からは一人でしなくていいようにしっかり調教してあげる」
「調教……えええっ!?」
それにしても、よくあんな無茶するなー……勢いって怖い。
40 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/07/30(日) 21:51:36.07 ID:bbNoKN7Jo
-
16合目 学校で
-
「あおいー、トイレ行こう」
「えっ、私いまはべつに……」
「いいから」
昼休み。ひなたのいつもの押しで教室から連れ出された。
昨日のこともあってひなたには逆らえない私はそのまま引きずられていく……
「あれ?トイレってここじゃ」
「いいからついてきなさいって」
普段使っているトイレを通り過ぎ、階段を下りてゆく。
あ、ここは……
「覚えてる?あおいに告白した場所」
「覚えてるよ、3日前のことぐらい」
「もっと素敵な思い出にしようよ」
「ひなた……」
「いいよね」
「うん……」
制服のうえから軽く触られたり、顔中にキスされたりして、そのうちパンツの上から指で撫でてきた。
露出調教するっていうから覚悟してきたけど、さすがにここで脱がせたりはしないみたい。
……別にがっかりしてるわけじゃないわよ。
制服着たままでも外でこういうことをされると恥ずかしくて、やっぱりドキドキしてくる。
そういえば、外でというよりも、そもそも屋内でしたことがないような……
野外露出もいいけど、もっと普通の恋人らしいこともしたいなあ。
「あのね、ひなた……普通に、こういうことしたいな……」
「え、普通って……」
「ベッドでするとかあるでしょ」
「あー……そーだねー。じゃ今日の帰りうち来なよ」
「……あ、ごめん今日バイトだった」
「ん、わかった。じゃあ次の機会にしようぜー」
このとき、ひなたが頭の中で恐ろしいことを考えていたのだけど、私は全く気付かなかった。
41 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/07/30(日) 21:54:42.51 ID:bbNoKN7Jo
-
17合目 ひなたの陰謀
-
「ねえあおいちゃん」
「はい」
ケーキを並べているとひかりさんが邪魔……じゃない、声をかけてきた。
「あおいちゃん、なんかいい顔してる。最近彼氏できた?」
「い、いえいえ彼氏なんてそんなっ」
「んーじゃあ彼氏じゃなくて彼女〜?」
「!?」
「おっ、大正解?」
「いえ……その……」
「えっマジでそうなの?あーあ、あおいちゃんそっちの人かあ。だったら私も狙えばよかった。あおいちゃんかわいいもん」
「怖いこと言わないでください」
「まあ実はさっきひなたちゃんから聞いたんだけどね」
「あいつまた余計なことを」
「まあまあ」
とかいいながらひかりさん、しゃがみこんでる私の後ろからいきなりスカートをめくりあげる。
「きゃあっ!?なな、なにするんですか!」
「露出プレイはまってるって話も聞いたから実は今ノーパンだったりしないのかなーって」
「ひなたああああっ!」
「まあまあ」
「ほんとにこの人たちは……」
「今日は店長さんいないからパンツ脱いじゃっていいよ」
「しません」
「美容にも健康にもよくて、姿勢もよくなるらしいよ」
「しませんって。ひかりさんがすればいいじゃないですか」
「んー、じゃああおいちゃんがするなら私もする」
「本当に……?」
「うん」
一緒にしてくれるなら……いいかも……
ああ、私はノーパンでお仕事ができるという新たな魅力に抗うことができず、結局ひかりさんにまで調教されてしまうのでしょうか……
42 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/07/30(日) 21:58:26.72 ID:bbNoKN7Jo
-
18合目 触っちゃった!
-
「じゃ更衣室に行ってくるから店番しててね」
「はい」
本当に行っちゃった。
「ただいまー」
「本当に脱いできたんですか?」
「したわよぉー。確かめてみる?」
「えっ」
ひかりさんに腕をつかまれて、スカートの中に引き込まれた。
否応なく指先はひかりさんのアソコを撫でてしまう。
「ね、はいてないでしょ」
「はい」
どうしてこの人はそんな平然と……
「じゃ次はあおいちゃんも脱いできてね」
「……私も触られちゃうんですかぁ……」
「あ、そうかあ。ひなたちゃんに悪いもんね」
「ひなたはともかく私は嫌ですけど」
「スカートめくって見せてくれてもいいよ」
それも嫌だけど今更嫌ともいえず、更衣室でパンツを脱いで戻ってきた。
「はい、パーッとめくって」
「うぅ……」
「わあ、あおいちゃんのオマンコ可愛いー!やっぱりちょっと触ってみても」
「だめです」
そのあとお客さんが来て、何事もなかったように仕事をこなした。
「いやー楽しかったねえあおいちゃん」
「疲れました」
「せっかくなんだからもっと見ていいのよぉー」
「遠慮します」
閉店時間になり、一緒に仕事上がって更衣室で着替えた。
私は真っ先に下着を身につけたけど、ひかりさんはといえば、着てるもの全部脱ぎすてて素っ裸ではしゃいでる。
まさかこの人露出狂……?
43 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/07/30(日) 22:03:37.72 ID:bbNoKN7Jo
今日はここまでー
筋書きでミスって何度も書き直した……
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/07/31(月) 03:00:09.30 ID:TR9OJUe1O
ハプニングで慌てるのいいなあ
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/08/02(水) 20:13:50.36 ID:ofk38anPO
原作でもみんな野ション野糞の経験ありそう
46 :
◆JdP.BncS3o
[saga sage]:2017/08/03(木) 17:35:37.69 ID:Yt7GHdMDo
>>44
でもしっかり感じてしまっているあおいちゃん
>>45
あおいちゃん達は設備が整ったコースを選ぶだろうからトイレで困ることもあまりないと思うけど
かえでさんはそうもいかないはず・・・
47 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/08/04(金) 05:27:39.44 ID:3EYfa703o
-
19合目 露出って楽しい?
-
翌朝、私はトイレでひなたを締め上げてやった。
「なんでひかりさんにまで話しちゃうの!もう恥ずかしいったらなかったわよ」
「あおいは私とつきあってるって知られたら恥ずかしいの?」
「それはその……じゃなくて露出のこと!」
「ああ、だってあおいが露出したくなったとき理解者がいてくれれば安心でしょ」
「それを大きなお世話っていうのよー」
「まあ面白いからっていうのが一番の理由」
「ひなたパンツ脱いで」
「え?……いいけど、優しくしてね」
「か、勘違いしないでよね!ひなたにもちょっとだけ私と同じ目にあわせようと思っただけなんだからね!パンツは没収します」
「えっやだ返してっ」
「だめ」
ということがあって今日のひなたは朝からノーパンで授業を受けてる。
休み時間に見に行くと、人が変わったように大人しくなってしずしずと歩くひなたを見てちょっとかわいそうになってきて、昼休みには返してあげた。
放課後は観音寺でひと休みしてひなたといろんな話をした。
富士山のことと、露出の話も……
「ノーパン楽しかったよー。あおいもやればいいのに」
「やだ。っていうかひなた楽しかったの?すっごくテンション低かったけど」
「だってバレたらヤバいじゃん?そりゃ大人しくもなるよ。でも内心ではそのギリギリの感覚が楽しいんだよねー」
「ここなちゃんも、ひなたも楽しそうでいいなあ」
「あおいは楽しくないの?露出」
「うーん。ドキドキするし、もっとしたくなる。でも本当はね、どこか本当に楽しいって思えなくて……」
「うーん、そっかあ……でもさ、やってるうちに……よっと……そういうのわかるんじゃない?」
白象のお堂に寝転んでいたひなたは体を起こして歩き出し、私もそれに続く。
「あおいはさ、ここなちゃんみたいなことしたいわけよね?」
「うん。あんなふうに心から楽しみたい。私は恥ずかしいから無理……」
「慣れ、じゃないかな」
「うーん、慣れかあ。確かに最初に比べれば私も……わっ!?」
「きゃあっ」
48 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/08/04(金) 05:28:47.85 ID:3EYfa703o
-
20合目 観音寺恒例行事
-
考え事をしていたせいか、突然つんのめってしまい、さらに転んだ拍子にひなたのスカートをずりおろしてしまった。
しかも、ひなたったらいまだにパンツはいてなくて……昼間の路上だというのに前も後ろも丸見え。
あわててスカートを直したけど時すでに遅く、向かいの歩道からは幼稚園児の騒がしい声が聞こえてきた。
「わーぱいぱん!」
「ぱいぱんだー」
「パイパンじゃないよ!」
ひなた、何も言い返さなくたって……
「ひなたごめん!」
「あー、いいよいいよ。さっきの子たちしか見てなかったし結構気持ちよかったし」
「でも……」
「それよりさ、私もあおいのスカートおろしていい?」
「それはだめ……」
「気持ちいいのになあ……あ、そだ。二人きりになれる場所ならいいよね」
「う……まあそれなら……」
「そんじゃスカートを下ろしてドキドキできる服を探しにいこう」
「え、わざわざ……!?」
ひなたに連れられ向かった先は飯能駅のユニクロ。
「さあ入った入った」
試着室に押し込まれて、ひなたも入ってきた。
「よーし脱がせるぞー」
「その手つきやらしいわよ」
ひなたは私のパンツを脱がせてしゃがみこみ、スカートもずりおろした。
普段は制服を脱ぐときにスカートから脱ぐことはあってもパンツまでは脱ぐことはないから、こういう格好は慣れてなくて、なんとも落ち着かない。
私がオロオロしているとひなたが無防備な腰を指先で撫でてくる。
「ひゃっ」
「おっいい反応」
「もうひなたったら」
何も着ていないときよりも強く下半身の露出が意識されて敏感になってしまう。
「スカートをおろすという目的は達成したけど、せっかく来たんだから他の服も試してみよう」
「もう、やるなら早くして……誰も見てないとはわかってても、試着室でいつまでもこんな変な格好してるの恥ずかしい」
「脱げば?」
「うん……って、ちょっと何するの!?」
私が制服を脱ぐと、ひなたは全部バッグに詰めて持ち去ってしまった。
49 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/08/04(金) 05:32:38.39 ID:3EYfa703o
-
21合目 きせかえあおいちゃん
-
今、私は試着室の中で全裸で置き去りにされている。
ひなたはいつ戻ってくるかわからない。
だんだんと立っているのもつらくなってきたけど、動くわけにいかないから無心になってじっと耐え忍んだ。
それでも、体が興奮してしまうのはどうしても隠せない。せめて床を濡らさないようにしなきゃ……
どれほど待っただろうか、ようやくひなたがカーテンを開けて入ってきた。
「お待たせー」
「遅い!」
「5分ぐらいで大げさな……さー、それじゃ試着しよう」
「これ着るの?」
「そう、下着はなしで」
言われたとおり、裸でシャツだけを身に着け、鏡のほうを向いて立つ。
シャツの丈はなんとか隠すべきところは隠れるほどの長さになっていた。
「ほう……いいねえ。あおいならこれだけ着れば外歩けそう」
「無理だって……ひなたがやればいいじゃん」
「ほら私だと胸が目立っちゃうからなー」
「私だってそこまで小さくない!」
「でもスカート下ろしてもお尻見えないのはあまり面白味がないというか」
「されてるほうはこれでもすごく恥ずかしいんだけど」
「じゃ次はこれね」
「あーこれなら……ってもっと短い」
丈が腰のあたりまでしかない……つまり普通のTシャツを着せられた。
「あおいちゃんは可愛いなあ」
「全然うれしくない」
「真夏に川で遊ぶ子供みたいで」
「あーはいはい言うと思ったわよ」
「次はこれを」
「さらに短い!?」
「だめかー。スカート脱がせる前から露出高いとインパクトが薄い」
「なんか研究熱心!?」
50 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/08/04(金) 05:33:54.52 ID:3EYfa703o
こうして裸のうえからいろんなシャツやらなにやら着せられて、最後には……
「ワンピース?」
「そう。着てみて」
「どこか変なとこに穴あいてない?溶けたりしない?」
「あんたユニクロをなんだと思ってんの」
「そ、そうだよね。わあ、意外とけっこう可愛い……」
「うん、サイズも大丈夫みたいね。じゃあこれは私からのプレゼント」
「え?いいの?でもどうして……」
「お礼よ。いいもの見せてくれたから。でへへー」
「うわっ受け取りにくい」
「うそうそ。私が選んだ服をあおいに着てもらいたいのよ。それに、試着室でこんなことしておいて何も買わずに帰るのは心が痛い……」
「あはは……ありがと、ひなた。それじゃ私も今度ひなたに似合う服選んであげる」
「ありがと、楽しみにしてるよー。あ、あとこのシャツも買おう」
「それって、さっきの長いシャツ……」
「そうだ、これ着て帰ろうよ」
「えっ……いくら見えないからってさすがにそれは……でもひなたがそういうなら……でもなあー……」
「あの、あおい」
「何よ」
「スカートはかないでとは言ってない」
「はっ!……ひーなーたぁ……」
「わ、ごめん。からかうつもりはなかったんだけど」
「その……帰るのは無理だけど、二人きりでならまたこういうことするのもいいかも……」
「まかせて!」
51 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/08/04(金) 05:34:27.26 ID:3EYfa703o
-
22合目 初?デート(ひなた視点)
-
その翌朝。
あおいに告白してはじめての休日。
当然初デートという流れは必然……まあ、全然初めてって感じしないけどね。
そして二人とも家には早朝から登山に行くと言って出かけた。わけですが。
「それがまさか天覧山とは思わないわよね」
「あおいって案外策士じゃない」
「嘘はついてないもん」
石垣に隠れ体を寄せ合ってヒソヒソないしょ話。
「それにしてもあおい、わざわざ朝早くからこんなところに連れてくるなんてどういう魂胆なのよ」
「いつも私ばかりじゃ悪いから、今日はひなたに気持ちよくなってもらおうと思って」
「露出?あおいのリードで私がやるの?」
「うん、だめかなぁ。いやなら他の事するけど」
「いいけど安全第一で頼むよー?」
「大丈夫!ちゃんと考えてきたから」
そしてあおいプロデュースの露出プレイがはじまった。
「それじゃあの曲がり角の直前で脱いで。私は後ろで見張ってるから」
あおいは道の下り側を監視している。そこから見て誰もいなければ当面は登ってくる人に出会う心配はない。下山してくる人にだけ注意すれば良いというけど……上から来る人に先に気づいて隠れたりできるのかしら……?
下着、ワンピースと一気に脱ぎすてて歩きだし、あおいも私が脱いだ服を拾うと後ろから距離をあけてついてくる。
ここは格好良く胸をはって堂々と歩きたいところだけど、実のところ私だってあおいが思ってるほど耐性があるわけじゃなく、どうしてもつい前かがみになってバッグで胸を隠しながらよろよろと前進するのがやっと。
あおいに格好悪いところ見せたくないなあ……
とはいえ、歩いているうちにだんだんと慣れてきて、普通に歩けるようになっていた。
今のところ上に人はいないみたい。
このまま山頂まで全裸登山できちゃう?
……と思った頃にあおいからストップがかかる。
「待ってー!階段は見通しが良すぎるからここで服着てー」
「わかった」
あおいに渡された服を着て階段に向かうとちょうど降りてくる人と目があってあわてて会釈した。
ああ……危ないところだった……
「それにしてもあおい、完璧だったわよ〜。この山を裸で歩けるなんて夢みたい……」
「あ、あのね、実はちょっと仕掛けがあって……」
「仕掛け?」
「おはようございますー」
なんと山頂で待っていたのはここなちゃん。
ベンチに並んで座り、用意していたサンドイッチと紅茶でもてなしてくれた。
52 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/08/04(金) 05:35:44.44 ID:3EYfa703o
-
23合目 ヴァンガード
-
「実はここなちゃんに先導してもらってました」
ひなたに精一杯気持ちよくなってもらいたいと思い、思い切ってここなちゃんに相談したら全面的に協力してくれることになった。
「あー、そうだったんだー。あおいにしてはうまくいきすぎだと思ったのよねー」
「むっ、失礼な」
「うそうそ。でも普通に考えれば見張りひとりじゃ無理でしょ。上から来る人を見つけてもどうすればいいのかわからないし、それでも大丈夫っていうから何かおかしいとは思ったけど」
「安全を確保しながらスリルを味わってもらうのが大事ですからね〜」
「あ、ジェットコースターみたいなものか!」
「なるほど」
「っていうか、ひなたさんそこまでおかしいと思いながらもあおいさんの言うとおりにしたんですね」
「まあ、私はなんだかんだであおいを信じてるから。もし誰かに見つかっちゃっても、あおいの言う通りにした結果なら後悔はしないよ」
「ひなた……」
「ただしそうなったら仕返しにあおいを裸にして商店街引き回しの刑ねー」
「ひどい……」
「それじゃご褒美になっちゃいますよ〜」
「ならないよ!ここなちゃんは平気かもしれないけど」
「いえいえ平気だなんてとんでもない、私は恥ずかしがり屋さんですから」
「えっ?」
「露出プレイなんて恥ずかしくなかったら楽しいわけがないです」
「それはいえてる」
「するとやはり慣れか……ここなちゃんは露出歴長いの?」
「そうですねー、でもせいぜい5年くらいですよ」
5年前って……ここなちゃんいま14歳だよね?
「ここなちゃん昔一体何が……」
「秘密です。それより多峯主山行きませんか?人気がなくて露出し放題の場所があるんです」
甘い誘惑につられた私たちは、ここなちゃんの案内でとんでもない場所に連れていかれることになった。
「多峯主山にこんな道が!」
「本当にこの岩場降りるの?」
裏ルートもいいところの謎の道をどんどん進んでゆくここなちゃん。
切り立った崖の下でようやく立ち止まった。
53 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/08/04(金) 05:38:23.92 ID:3EYfa703o
-
24合目 多峯主山
-
「ここが私のとっておきの場所なんです。開放感はありませんけど、人が来なくて好きなことできます」
「そりゃ確かにこんな奥地まで来る人はそういないだろうね」
「あの岩場なんて初心者には降りられそうにないよね」
「たまにいますよ。でもここまで来るのは同じ目的の人だから気にしなくてもいいですよー」
「男の人とかあわない?」
「もちろんいますよ。こっそり裸踊りしてるところなんて見られたらかなり恥ずかしいです」
「裸踊り……?いやいや、見られるだけならまだしも乱暴でもされたらどうすんの」
「そういうときは、ゴム渡してせめて優しくしてくださいって言ったらちゃんと楽しませてもらえますよ」
「やられてんじゃん」
「ここなちゃんっ!?」
「なんて冗談ですよ。まだここで人に会ったことはないですね〜」
ここなちゃんの冗談エグすぎ!
「で、ここなちゃんは何をしてるの……」
何事もないように会話してるけど、いつのまにか全裸になって自分のあそこを触りだしたここなちゃんにひなたがあきれたような声をあげる。
露出しにきたんだから別におかしくはないんだけど、なんだか面食らってしまう。
「あ、ごめんなさい。今の話で変な気分になっちゃいました」
「自分でした話で!?」
「あっ見たくないなら言ってください、すぐやめますから」
「いや、続けて」
ひなたは興味津々といった感じで、一方私はといえばもちろん興味はかなりあるのでここなちゃんのオナニーを観察している。
やがて私たちはどちらからともなく唇を重ねて裸で抱き合った。
一応は恥じらってこそこそとオナニーしていたここなちゃんだったけど、私たちがエッチしているのが気になるようで、自然とこちらを向いて堂々とオナニーを続けている。私もここなちゃんによく見えるように足を開いてお互いを見ながら気分を高めあっていった。
……
「気持ち……よかった」
裸のまま、3人並んで空を眺めている。
「あ、あの雲富士山みたい」
「えーどこが?」
「本当ですね、富士山に見えてきました」
「言われてみれば確かに」
「あおいー、なんで私とここなちゃんで対応が違うのよ」
「さーなんのことやら〜」
富士山挑戦まであと1週間。
私たちは立ち上がって、富士山の形をしてるらしい雲に登頂成功を祈った。
〜 つづく 〜
54 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/08/04(金) 06:24:20.49 ID:3EYfa703o
シーズン2終了ー
ああ長かった・・・
そして今見直したら1日ずれてることが判明。痛恨のミスなのです。
・正しい歴史
?|LINE会議
土|ウノタワ
日|吾妻峡 (2-8)
月|さくらの森 (11-12)
火|あおい自宅 (13)
水|飯能河原 (14-15)
木|すずき (17-18)
金|学校(19)ユニクロ(20-21)
土|天覧山(22-24)
翌週はいよいよ富士山に登りますが・・・
原作でも参加メンバーは不明なのでSSでは勝手にあおい、ひなた、ここな、ほのかとしました
まあ描写ないけど
かえでさんは受験で休みです
(ここなちゃんも受験生のはずだけどなあ・・・)
※当作品はフィクションです
※よい子のみなさんは試着室で遊んではいけません
55 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/08/04(金) 06:54:48.53 ID:7+JxEe5YO
乙乙
56 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/08/05(土) 18:57:38.54 ID:YVBZmXnlo
§ season 2.1 - 番外編・ここなちゃんの5年間
小さいころからずっと、家には父がいなくて母は夜遅くまで働きに出ていました。
家に帰っても一人きりの時間は多く、それが露出をはじめるには最高の環境にあったことは間違いありません。
― 5年前の、ある暑い夏の日のこと。
その日は夕方になってもいっこうに気温は下がらず、蒸した空気が充満する部屋の中でだらだらと過ごしていました。
「もう、脱いじゃおうかな」
女の子がそんなことをするなんてはしたないとも思いましたが、誰も見ていないしなにより本当に暑いのだから仕方ありません。
服を脱いで寝転がると、少し過ごしやすくなりました。
こうなると次は涼しい風がほしくなります。
身をかがめて窓に向かって歩きました。
外を歩く人に見られないよう、ゆっくりと気を付けて。
「気持ちいい……」
家の中で涼しく過ごす方法を知ってしまった私は次の日も、その次の日も同じように窓辺に立ちました。
それから私は部屋でパンツまでも脱ぐことを思いつき、裸になってみました。
最初は立ちあがるのも怖くて、四つん這いで歩いていました。
こんなところを誰かに……友達とかに見られたら……怖いのに、私はついつい「見られそう」なことをやってしまいます。
最後にはわざとギリギリ外から見えない位置に立って、心臓をバクバクさせながら涼むようになりました。
夏休みも終わり、季節は秋になっても部屋で裸になる習慣は抜けません。
それどころか、だんだん裸でいる時間は長くなり、裸のままごはんを食べてお風呂に入って宿題して……
外歩いたらもっと気持ちよさそう……
玄関のカギがかかっていることを確認して靴を履きました。靴だけ履いていると、まるで裸でお外にいるみたいで、ドキドキします。
そんなことをしながら、いつしか私は外で裸になっている自分の姿を空想しながら日々を送るようになっていました。
空想だけで抑えきれなくなったのはちょうど季節が一周した頃でした。
去年よりも暑い夏でしたから、家で一人のときは当然のように裸で過ごしていました。
家の外に飛び出したくなる欲求は消え去るどころか去年より強くなり、具体的なプランを考え始めるようになります。
裸で過ごしていたことで感覚が鋭敏になっていた私は、午後8時からしばらく足音が聞こえてこないことに気付いていました。
私はその時を待って、えいっと玄関のドアを開きました。
そっと表の廊下を見回し、足を踏み出します。
玄関先でくるっと一回りすると恐怖のあまりすばやく家の中へ。
私はついに裸で外に出てしまいました。
それからは毎日がその繰り返し、だけど外にいられる時間がだんだん長くなってきました。
そしてある日、私は夜のお散歩に出かける決心を固めました。
身につけているのは家の鍵を入れておいたお気に入りのポーチとズックだけ。
誰にも見つからずに目的地にたどり着くことができるのでしょうか。
不自然にふるまうとかえって見咎められてしまうような気がして、私は普段通りに堂々と歩くことに努めました。
そして、小さいころよく遊んでいた近所の公園に着きました。
街灯を避けて公園に足を踏み入れ、まっすぐブランコのほうに向かいました。
裸ではさすがに座る気になれないので、ステップに両足を乗せて、立ちこぎしてみました。
冷たい風が直接肌に当たって気持ちいい……
「ああっ……うっ」
思わず変な声をあげてしまいます。
体に力が入らなくなって危険を感じ、ブランコの速度を落としてからゆっくりと飛び降り、四つん這いで着地します。
後ろからブランコにお尻を軽く叩かれて、その拍子にお股から熱い液体が流れ出てきました。
「公園で……おもらししちゃった……」
恥ずかしさが限界を突破し、逃げるように公園を立ち去りました。
まだ快感の余韻も冷めやらぬまま夜道を歩いていると、曲がり角の向こう側から足音が聞こえてきました。
私はあわてて反対側に走り出しました。大きく遠回りしますが仕方ありません。
それでもなんとか人目を避けて帰り着いたものの(こちらが気付かないだけで見られていたかもしれませんが)、心底怖くなってしまい、それからしばらく外で裸になることはありませんでした。
57 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/08/05(土) 19:44:28.20 ID:YVBZmXnlo
あの日から2年近くが過ぎて私は中学生になり、友達の会話も色めいたものへ変わっていきました。
そんな中クラスメイトが偶然「人目を忍んで野外で裸になる露出狂」の話をしているのを耳にして驚きました。
私も露出狂というものは知っていましたが、それが意味するところは「性器を見せつけたがる男性」というものだけです。
それとは違うタイプの露出狂という人種がいるらしく、そしてかつて私がしていたこともおそらくそういった類のもの。
私だけじゃない……ごく一部とは思いますが男性も女性もやっていると知って少しだけ安心しました。
そのころから、インターネットなどで安全を確保することや場所の選び方を習得しました。
協力してくれる人がいればできることが増えて飛躍的に安全になります。
とはいえ、協力をお願いするということは、自分が露出狂であることを告白するということです。今の私にそんな人はいません。
結局、また欲求を抑えられなくなった私は一人で野外露出を再開しました。
今度は家から裸で出かけるような無謀すぎることはやめて、山の中などで人の来ない場所を探すなど比較的安全なやり方を模索するようになり、山中のいろんな場所で露出できるようになりました。
とはいえ、それも同じ場所だと飽きてしまい、だんだんと大胆な場所を選ぶようになっていきました。
低い岩場の上で裸になりました。
見晴らしは良く、清涼な風も吹き抜けるうえに登ってくる人がいれば早いうちに察知できて安心です。
私は大の字に寝ころび大自然を満喫していました。
こんなところ見つかったら大変なのに、誰かに見てほしい気持ちが芽生えてきました。
こんなに気持ちいいことをしてるって誰かに伝えたい。でも誰にも知られたくない。恥ずかしい。
空想の中で私は崖の下に向かって手を振っていて、崖の下の人たちは私を羨ましがっています。
みんな私を見てる……
そんなことを考えていると、自然と敏感なところに手が伸びていき、空想の私もまた大勢の人たちの前ではしたなく乱れていきます。
いま誰か来ても気付かないかも。でも、もう少しだけ……もう少し……
そんなときにタイミング悪く足音が聞こえてきます。あわてて立ち上がり、ザックから服を取り出して着ました。
でもそれはどうやら勘違いで、ただの風の音だったようです。
助かったのはいいのですが、あわてて立ち上がったはずみで靴の裏をはがしてしまいました。
さて、どうやって帰ったものでしょうか……
途方にくれていたこんな私を助けてくれたのがあおいさんとひなたさんです。
靴を応急処置してくれて、一緒にふもとまで下りました。
それから何度かお話をしているうち、パートナーになってほしいと思いはじめました。
おふたりになら信頼できるし話しやすいし、安心できます。
とはいえ……やっぱりさすがにそういう話を切り出すのはかなり勇気のいることです。
その後、谷川岳でほのかさんに出会って何度か一緒に山に登るうちに、今度はほのかさんに手伝ってもらいたいと考えるようになりました。
これまでは手伝ってくれる人が欲しい、としか思っていなかったのが良くなかったんだと気付きました。
たとえば、もしあおいさんやひなたさんに手伝ってもらえればとても助かります。
だけどそれ以上の気持ちは起きなかったんです。
野外なのに裸になっちゃってる私の恥ずかしい姿を大好きなほのかさんに見てほしい。撮ってほしい。
今は無理でも、いつか近いうちに……
〜 つづく 〜
58 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/08/05(土) 20:30:11.87 ID:YVBZmXnlo
ここからは書きためどころか構想すらないので続きはもうしばらく先になります。
サードシーズンは多分ひなたソロか高3トリオです。
余談。
シーズン2で当初ひかりさんのいたずらでスカートまで下ろされて、人知れず下半身丸出しで接客させられたあおいが
下脱ぎ露出の素晴らしさを語りだす……という話を書いたのですが、見直してみると店の制服はワンピースタイプ。
これではどうしても不自然になります。
結局ここを修正した結果16〜24合目までずっと影響しつづけて一層チグハグな感じになってしまいました(´・ω・`)
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/08/06(日) 00:25:21.52 ID:hw4zb4TqO
なるほどファミレス編やけにあっさりだったと思ったら
乙 気長に待ってます
60 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/08/11(金) 02:06:33.29 ID:h3mQ9JxDo
[ここなちゃんお誕生日おめでとう!]
今日はここなちゃんの誕生日を記念して制定された山の日ですね〜
山行きたいなあ
61 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/08/29(火) 14:03:12.25 ID:F+JI/Z8ao
生存報告あげ
かえでさんメインの予定
進捗60%
いろいろあって全然手がつけられない
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/08/29(火) 20:31:46.62 ID:gzpM086Yo
待ってる
63 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/11/02(木) 00:48:37.31 ID:LiD1+HYUo
生存報告2
大変長らくご無沙汰してますがまだまだあきらめていません。最後までよろしくお付き合いください。
次回は、かえでさんが受験勉強で富士山に行けなかったので代わりにみんなで近くの山に行こう
といった書き出しで進めてたところ多忙になり休止。
やっと再開して見直したら面白くもないので大修正。
なんとか1から書き始めたら原作113合目でかえでさんの推薦が決定して話が合わないので書き直し。
今度は受験勉強が手につかない小春ちゃんのためにみんなで勉強合宿をしようという話にしたら
114合目でなんと小春ちゃんも推薦決定する等あって全面修正中。
もうこうなったら115合目が来る前に完結させよう。
64 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/11/09(木) 23:33:03.84 ID:xG9aVRN90
§ season 3 - 大自然の掟 / From かえで
=================
1合目 気分転換
=================
夏休みも間近にせまるとある日のこと。
遊びほうける小春を見かねたゆうかが勉強合宿をすると言い出し、私の家に集まっていた。
「勉強する必要があるのはゆうかだけじゃない」
「小春、あのね、推薦決まったといってもその成績ヤバいから。入学してからのことも考えなさいよ」
「かえではどうなのさー」
「私は今まで通り勉強してるわよ。入学後登山を楽しむためにはしっかり学力をキープしなきゃ」
「聞いたか小春。これが成功するものとそうでないものの差よ」
「ぐうの音も出ない……」
「でも遊ぶときは遊ぶわよ。今週中に山に登ろうと思ってるし」
「富士山から帰ってきたばっかりなのに元気ねえ」
「ってことで、ゆうかも行かない?」
「いや……私受験生だから、推薦ないから」
「気分転換も必要よ?」
「登山って気分転換のレベル超えてるわよ」
「それじゃちょっと散歩いこう」
小春がにゅっ、と嘴を突っ込んできた。
「うん、まあそのぐらいなら」
「よし行こうすぐ行こう」
「今から!?もう夕方よ」
「涼しいほうがいいでしょ」
「そりゃまあ……わかったわよ」
65 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/11/09(木) 23:34:00.41 ID:xG9aVRN90
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2合目 私たちの散歩道
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「散歩って言ったよね」
「言ったよ」
「さっきから上りが続いてるんだけど」
「山だからね」
「帰る」
散歩コースに天覧山を選んだ私たちだったがなぜかゆうかは不満な様子。
私はしぶしぶ小春とともに帰りかけるゆうかを引き留めにかかった。
「まあまあ、山といっても登山というより散歩気分で行けるから……」
「そりゃあんたたちはそうでしょうよ。でもね私にとってはそうじゃない。ねえわかるでしょこの気持ち」
なんだかぐったりしてる。
どうやら三峰での体験がゆうかにはちょっとしたトラウマになっているらしい。
今度は本当にお気軽に登れちゃうんだけどね。
「大丈夫だって、あおいちゃんやひなたちゃんもそう言ってたわよ」
「だから山仲間基準やめて」
「とか言ってる間に頂上」
小春が頂上への看板を指さした。
「えっもう?」
「知らなかった?ゆうか、ここ来るの初めてだっけ」
「んー、小学生のとき以来かなあ」
「ああそりゃあの頃とは距離感違うか」
「それにしても何度来てもいい景色ねえ」
「はー、まあいっか……さ、帰ろう帰ろう」
標高200メートル弱の雄大な景色を前にゆうかは表情を緩ませ、それでも帰りたい魂は健在。
「そーだ!多峯主行こー」
「はあっ!?」
山頂から多峯主山へ進もうとする小春にすかさずゆうかが止めようとする。
小春は最初の予定などなんのその、すっかり心は山へと向かっていた。
わかる、わかるよ、その気持ちは。だけど……
「ゆうか、もう小春は止められない!行くよ!」
「かえでまで!ちょっと待ちなさいよー」
「大丈夫だってそんなに歩かないから」
66 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/11/09(木) 23:37:01.26 ID:xG9aVRN90
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3合目 すぐそばで……
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「ちょっとどこまで行くの?帰りのことも考えてる?」
「このまま進んでいって……東吾野駅から電車で帰ろう」
さらりととんでもないことを言う小春。
これは私も黙っちゃいない。
「徹夜で天覚山まで縦走する気?」
「じょーだんじょーだん。それじゃ頂上まで行ったら下りるよ」
「ええ……もうここで引き返そうよー」
一刻も早く帰りたいゆうかとの溝は埋まらない。
帰って勉強したいからというよりも、これは……
「ゆうか、もしかしてトイレ行きたいんじゃ」
「……」
やっぱりそうか。
「そこらへんでしちゃえば」
「仮にも登山部の部長が環境破壊を勧めないように」
「そ、そうよ。だからもう帰ろう、ね」
「あ、もしかしたら山頂にトイレあるかもしれないしやっぱ行こう」
「適当言ってるでしょ」
「……あるわよ」
「本当?」
私がトイレの存在を思い出して口にすると二人が一斉に驚いた。
つい最近設置されたばかりなので小春でさえ知らないのも無理はない。
「やっぱり適当だったか」
「これはもう行くしかないね」
「仕方ない」
少し登った先に目当てのトイレを見つけることができた。
「あった」
「せっかくだから私も行っとこ」
小春がゆうかの後を追ってトイレに駆け込み、思い出したように振り向いた。
「かえではいかなくていいの?」
「あ、うん。さっき行ったばっかりだから」
これは嘘。私もおしっこしたい。それでも私はここにいることを選択する。
「そっか」
二人がトイレに入っていくのを見送ると私はトイレの裏手に回り、足場を眺めてみた。
うん、いい。ここでしよう。
「山に来たからにはお外でしたいわよねー」
周囲を見回しズボンをずり下げて、下着もおろした。
視界が効かないといってもやっぱり野外で服を脱ぐという行為に激しい緊張で足が震える。
誰も来なさそうだし、いっそ脱いじゃおうかしら。
ころんと寝転んで、足だけを動かしひょいとズボンを脱ぎ捨てる。思い切って両足を開き、林の中に向けて勢いよくおしっこを飛ばした。
気持ちいい!いけないこととわかっていてもこれだけはやめられない。
ザザザ……
何に当たっているのだろうか、予想外に大きな音が響き、すっと血の気が引いた。もしこんなところをゆうか達に見られたら私……どうなっちゃうんだろう?
わざわざトイレの裏で、それも環境破壊だとか言ったその直後に……そんな背徳感も手伝ってか、不安と同時に興奮も高まってゆく。
さあ、気づかれないうちに服を直して戻らなきゃ。
ん?
……あれ?
67 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/11/09(木) 23:54:35.57 ID:xG9aVRN90
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4合目 逃亡の果てに
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……大変!ズボンが見当たらない!
「あれ?かえでー?」
「どこいったのかな」
トイレから出てきた二人が私を探している。ど、どうしよう!?
こんな格好じゃ出ていけないし、でも心配させるわけにはいかないし……
やば、小春がこっち来る。
私はとっさに逃げ出した。
どうしよう、これ取り返しのつかない事態になってきたんじゃ……
「小春?」
「あれ、ここにいたような気がしたんだけどなー」
小春に気取られていたらしい。さすがにカンがいいわね。
下着はともかくズボンをどうにか回収しないと……
「こんな時間に山歩きもいいもんだねえ」
「そうそう」
今度は聞きなれない人の声が聞こえてきた。
小春達に見つかることばかり考えていたけど、そもそも今私は登山道で完全無防備な下半身を晒しているわけで……絶対に見つかるわけにはいかないわね。
あわてて木の裏に隠れたは良いが、足場が安定しない。とっさに何かにつかまろうとも思ったがそのまま滑り下りることにした。
もしかしたら脱ぎ捨てたズボンが落ちていったかもしれないし……
木から木へと体重を預けながら急斜面を滑るように下りてゆく。
とりあえず人目を避けられる場所に。
と思いきやすぐさまフェンスに阻まれる。
そして、そのフェンスのすぐ真下に買い物帰りらしい奥様達が立ち話をしていた。え?どこよここ?
よくみたら民家が並んでるじゃない。なんでこんな山の中に住んでるのよ!
幸い私には気づいていないらしいけど、このままでは……
逃げよう!
今度はわき目も振らず木々を伝い一目散に急斜面を駆け上がろうとするが、そんなに颯爽といくわけもなく一歩ずつゆっくりと元の場所に向かってゆく。くぼみに足をかければお尻を突き出す格好になり、木の根に足をかけると大股開きになってしまう。
内股に涼しい空気が流れ込み、自分がどんな格好をしているのか改めて思い知らされる。
だめ、もう限界!このままじゃ神経がもたない。
やっとの思いでトイレの近くまで戻るとゆうかと小春が探しているのが見えた。
「ゆうかー!小春ー!」
みんなの心配をよそに隠れ続けるのはもう無理。
私はどうにか恥をしのんで下半身丸出しのままで声をかけた。
一応手でシャツを引っ張って隠してはいるけど、あきらかにはいてないのは一目瞭然のはず。
「かえで!もう心配したのよ」
「あ、あの、これはね」
「まあまあ、見つかったんだからよしとしようじゃないか。さあ帰ろう」
「そうだね」
あれ?二人とも追及してこない。
「はぁ……あんたたちと一緒に出かけるとろくなことがないわね」
「いやはやゆうかはツンデレだなあ」
「違うわ!」
もしかしてあまりにも堂々としてるから気づいてない?
これなら何事もなかったように乗り切れるかも!
とはいえ……とにかく恥ずかしくて仕方がない。
なんとか打つ手を考えなきゃ。
68 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/11/09(木) 23:56:41.26 ID:xG9aVRN90
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5合目 そんな趣味あるわけない
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いよいよ山を下りて住宅街へ。
山ならまだしも街中でこの格好はどうにもならないぐらいヤバい。
ゆうかと小春は帰り道の相談をしている。
「バスで帰る?」
「バス停はあるけど歩いても帰れる」
私は平然を装って話に入る。
「そうそれじゃ歩きましょ」
「かえでも歩くほうがいいかー」
「そりゃかえではその格好じゃバス乗れないよね」
あれ?
「気づいてたの!?」
「何もはいてないこと?気づかないほうがおかしいでしょ……」
うん、やっぱり気づくわよね。
「なんで二人とも何も言わないのよ……」
「いやー裸で登山するのが趣味なのかと」
「私も」
二人とも何言ってるのよ。
「そんな趣味あるわけないでしょ……なんでそんな発想が……」
「だってよくトイレの裏でおしっこしてるじゃん?」
一瞬、言葉の意味を理解できず、それから少したってから私は硬直した。
「知ってたの?」
「私これでも部長ですから。怪しい動きをしてたらすぐわかっちゃうのよねー」
「う……」
「そうだ!このネタでかえでを脅して登山部に」
「脅されても入らないわよ」
「とりあえずそろそろズボンはいたら?さすがに街中はまずいと思うわよ」
「……なくしたのよ」
「一体どうやったらなくすのよ……」
「まあまあ。それじゃ帰りますか」
私を心配そうにみているゆうかと対照的に小春はウキウキしてる。
まずい、これはまずい。
「だからこのままじゃ帰れない……」
「あー、うん。まあでも大丈夫。かえでの胸に気をとられて下まで見ないから」
「そんなわけないでしょう」
ゆうかに指摘されるまでは、どうやら素知らぬふりを決め込んでいれば気づかれないと自分に言い聞かせながら耐えてたけど、もう恥ずかしくて立ってられない。
気づけば足の力が抜けてその場に座り込んでいた。
69 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/11/10(金) 00:03:55.56 ID:hkmdkaN70
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6合目 目撃!かえでさん
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「う、動けない……」
「大丈夫大丈夫、だれにも出会わなきゃ大丈夫だって」
「絶対見つかるわよ……」
夏の日の入りは遅い。
まだ夜というには早い時間帯で、家まで2キロ以上の距離を誰にも見つからず帰れる確率なんてゼロに等しい。
「それじゃ私が先に行って人通りを確認するからあとからついてきて」
小春は私が立ち上がれないのも構わずに歩き出した。
こうなると不思議とどうにかなるもので、ゆうかに肩を借りてゆっくりと小春の後をついていく。
次の角で小春が手をこちらに突き出した。
曲がり角から誰か来る。
私は電柱の裏の狭い隙間に入り込んで通行人をやりすごす。
一瞬安心したところで今度は車が来て、とっさにゆうかの後ろに隠れた。
あー、これはばれたかなー。
そのあともゆうかにピッタリとくっついて人目を避け続けた。
「かえって目立つわよ」
「でも……」
「しょうがないか。できるだけ私がなんとかする」
ゆうか、本当にありがとう。
そうこうしているうちに見慣れた景色が眼前に広がってきた。
「ね、なんとかなった」
小春は軽く言うけど私は心が千切れそうになっている。
自分の家の前までくると高まるばかりの緊張を解いてその場に座り込んだ。
ところが、である。
「あ、かえでさーん」
玄関先に並んで立っていたのはひなたちゃんとあおいちゃん。
まずい。完全に油断していた。
今は手で隠してすらいなくて見事に丸見え状態。
「相談したいこととかいろいろあって来たんですけど、留守だったから待ってたんです」
「暗くなってきたからそろそろ帰ろうと思ってたからよかったです」
あれ、二人とも何も言ってこない。もしややっぱりそう簡単には気づかないものなの?
「あ、ありがとう。よかったらあがっていって」
「それじゃお言葉に甘えまして」
「ところでかえでさん、今日はまた大胆な格好ですね」
「気づいてたの!?」
「そりゃ気づきますって……」
「なんでみんな平然とスルーしてるのよー!」
私はわき目を振らず浴室に駆け込んだのであった。
70 :
◆JdP.BncS3o
[saga]:2017/12/24(日) 21:36:38.93 ID:IsgIV9Nz0
また日が開いてしまったけど、年明け頃にはなんとか・・・
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