少女「好きです、先輩」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 15:26:13.48 ID:g97UFoKC0
※百合エロ注意
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 15:27:46.18 ID:g97UFoKC0
春。
晴れて志望校に入学できたわたしは、さっそく仲良くなった友だちと部活動見学に来ていた。
わたしは早産だったゆえに身体が弱く、体育系ではなく文化系の部活に入ろうと考えていたけれど、その友だちに付き合って体育系の部活を見て回っていた。




「はーい! では皆さんの一つ上の先輩かつ、うちの部のエース、女先輩が泳ぎのお手本を見せてくれまーす!」

女「……部長、ハードル上げるのやめてくださいよ」

部長「事実でしょ? さあさ、泳いで泳いで!」

女「もー……」




長い髪をまとめてからキャップを被って、エースと呼ばれた女の子がスタート台に立った。
わたしたちが今来ているのは、学校内でもかなり施設の整った屋内プール場。
そこで、女子水泳部の見学をしている。
なんでも、開校当時は女子男子共に水泳部がかなり強かったらしい。
しかし年々落ち目になって部員も減ってしまい、今では女子水泳部の部員数が二桁にすら届いておらず、男子水泳部に関しては既に廃部になってしまったとか。
ヤル気のある子募集!! と、腕を大きく振って部長さんが叫んでいた。
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 15:29:30.44 ID:g97UFoKC0
部長「準備できた? じゃ、あたしがスタートの合図するから!」

女「お願いします!」

部長「よーい……」




部長さんが、ホイッスルを鳴らす。
その瞬間に、先輩がプールに飛び込んだ。




少女「……すごい」




平泳ぎで、すいすいと泳いでいく。
レーンから外れることはもちろん、進行方向が斜めになってしまうこともなく、真っ直ぐに。
程なくして50メートルの距離を泳ぎきり、プールの端に手を付いた。
見学に来ていた新入生たちから、歓声が上がる。
先輩が水面から顔を出して、ゴーグルを外した。
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 15:31:50.56 ID:g97UFoKC0
部長「……ふむ、自己べより下だねえ。 緊張した?」

女「するに決まってるじゃないですか!」




そう言って頬を赤く染める、先輩。




部長「とゆーわけで! 誰でも1年間やればあれだけ泳げるようになります! 部員大募集中なので、ぜひ来てくださ〜い!!」




ぶんぶんと部長さんが手を振る中で、新入生たちは次の部活へと向かっていく。
その流れの中で、わたしだけがその場に立ち尽くしたままだった。




少女「かっこいい……」




そう思った。
見惚れていた……と、思う。 たぶん。
スタートを待つ姿も、飛び込む姿も、泳ぐ姿も。
エースと呼ばれた先輩の、その姿に。
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 15:34:24.26 ID:g97UFoKC0
―――――――――――――――――――――――




少女「よいしょっ……」




中身の詰まった”ポカリ”と書かれた青い水筒をカゴに詰めて、持ち上げる。
あの後、わたしは女子水泳部のマネージャーになっていた。
先輩の泳ぐ姿を見たあの時、一緒に見ていた友だちに心配そうな声色で声をかけられるまで、わたしはプールサイドにぼんやりと立っていた。
見ていたのは、先輩の姿。
プールから上がろうとしている先輩を、ぼーっと見ていた。
早く次に行こうと友だちに急かされてはっとして、一言謝ってから屋内プール場から出ようとしたところで、声をかけられた。

『水泳部、興味ある?』

振り向くと、水に濡れたままのあの先輩が、にっこりと笑顔を浮かべてわたしを見ていて。
わたしは反射的に頷いてしまってから、慌てて身体が弱くて激しい運動はできないと付け加えた。
それを聞いた先輩は、顎に人差し指を当てて少し考えて。

『ちょっと待ってて』

と言ってその場を離れて、部長さんのところに向かった。
わたしは友だちに先に行っていてと伝えて、先輩を待った。
他の部員たちが泳ぐ姿を見ながら待っていると、さっきと同じ笑顔を浮かべた先輩が戻ってきて。

『うちのマネージャー、やらない?』

その言葉に、わたしはまた反射的にぶんぶんと首を縦に振ってしまって。
そうして、わたしはマネージャーとして女子水泳部への入部が決まったのだった。
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 15:35:43.66 ID:g97UFoKC0
少女「失礼しまーす」




屋内プール場に入って、中を見渡す。
マネージャーとなってはや一ヶ月。
夏の大会に向けて、部員みんなが一丸となって練習に励んでいる姿が見られる。




少女「水筒持ってきましたー!」

部長「あいよー! ありがとねー!」




水筒の入ったカゴをプールサイドに置いて声をかけると、部員たちが集まってきた。
今年の入部人数はわたしを含めて3人。
例年通りらしい。




「ぷはーっ! いやあ、やっぱマネージャーがいるっていいねえ!」

「こういうのやってくれると、その分を練習に充てられるからいいよね」

少女「今までは誰がやってたんですか?」

部長「当番制だよ。 月曜はこの人、火曜はこの人って」

少女「へえ……」

部長「マネージャーもいてくれたらなあとは思ってたんだけど、それよりも部員が欲しかったからそっちの募集には手が回らなかったんだよねえ。 よかったよ、少女がいてくれて」

少女「は、はい、頑張りますっ」

部長「これをキッカケに部員がもっと増えてくれたらいいんだけどねー……ま、その辺はうちのエースの活躍次第ってとこか!」

「えー、部長、私たちもですよー」




ふと、水筒を飲んでいる輪の中に、件の先輩だけがいないことに気が付いた。
プールを見ると、ちょうど彼女が泳ぎを止めて上がってくるところだった。
慌ててタオルと水筒を持って、彼女のところに向かう。
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 15:37:31.30 ID:g97UFoKC0
女「ふう……」

少女「お、お疲れ様です先輩っ! これっ、タオルと水筒です」

女「わ、ありがとう!」




先輩はキャップを外してから、タオルを受け取って顔を拭いた。
そのタオルを首にかけて、水筒に口を付ける。




女「んく、ふう……よしっ! ありがと、少女ちゃん」

少女「え、あ、はい、あの……」




タオルと水筒をわたしに渡して、再びプールに入ろうとする先輩。




少女「休まなくてもいいんですか?」

女「まだ大丈夫! 体力は有り余ってるから!」




手をピースさせて、にこっと笑う先輩。
いつもそうなのだ、この人は。
体力の限界まで練習して、部活が終わる頃にはぐったりとしている。
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 15:38:33.46 ID:g97UFoKC0
女「あ、タイム取ってもらってもいいかな?」

少女「は、はい! ちょっと待っててください!」




他の部員よりも、先輩は練習量が多い。
部員を増やすために結果を残さなければと、プレッシャーを感じているらしいと部長さんが言っていた。
首にかけていたストップウォッチとタイムを記録する兼泳ぐ姿を録画するためのタブレットを手に持って、先輩の待つレーンに向かう。




少女「お待たせしました!」

女「ううん、お願いね」

少女「はい!」




ゴーグルを着けて、先輩はスタート台に立った。




少女「よーい……」




わたしがホイッスルを鳴らしたと同時に、プールに飛び込む先輩。
ストップウォッチを持ちつつ、先輩の泳ぐ姿を追いかけながらタブレットで撮っていく。
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 15:43:17.98 ID:g97UFoKC0
少女「……はぁ」




わたしには、水泳に関する知識があまりない。
マネージャーになってから勉強こそしているけれど、それでもまだルールがわかった程度だ。
けれど……先輩の泳ぐ姿は、やっぱり綺麗だと思う。
もちろん、他の部員たちも綺麗に泳いでいる。
でも、先輩のは何かが違う。
何が違うのかはわからないけれど、そのせいでとびきり綺麗に見えてしまう。




女「ぷはあっ!」




先輩がプールの端に手を付いた瞬間に、ストップウォッチを止めた。
キャップとゴーグルを外して、先輩がプールから上がってくる。




女「どうだった?」

少女「更新はされてないです」

女「そっかー……撮ったの見せてもらってもいい?」

少女「はい」




先輩にタブレットを渡す。
録画した泳ぎを見ながら、先輩はうーんうーんと唸った。
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 15:44:21.87 ID:g97UFoKC0
女「どこが悪いのかな……少女ちゃん、なんか変なところ無かった?」

少女「え……えと」




先輩に泳ぎについて質問をされたのは、初めてだった。
しかし悲しいかな、素人目では悪いと思えるところが無い。
生憎今の水泳部には外部コーチがおらず、顧問も知識のない先生なので頼りにできない。




少女「……無かったです。 とっても綺麗でした」

女「……」




わたしがそう返すと、先輩はきょとんとした顔を浮かべて。




女「えっ……綺麗?」

少女「はい」

女「き、綺麗……私の泳いでるところが? 初めて言われたなあ。 へー、ふーん……」




ぽりぽりと頬をかきながら、自らの泳ぐ姿が映る画面を眺める先輩。




女「ま、まあ、変なところがないんならいいんだけど……いや、よくないかぁ。 なーんでタイム伸びないんだろ……」




そう独りごちる先輩の横顔もまた、見惚れてしまうほど綺麗だった。
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 15:46:14.85 ID:g97UFoKC0
―――――――――――――――――――――――




部長「それじゃ、今日は解散! 各自気を付けて帰ること!!」

「はーーい!!」




部活動が終了する時間になって、部長さんが部員たちに向かって声をかけた。




少女「戸締まりはわたしがやっておくので」

部長「ありがとね、助かるよ。 でも、掃除はみんなでやれるよ? いっつも一人は大変でしょ」

少女「大丈夫です! もう慣れましたし、皆さんも疲れてるでしょうし」

部長「そう言ってくれるのは嬉しいけど……」

少女「わたしにできることはこれくらいしかありませんから。 無理になったら言いますから、心配しないでください」

部長「……うん、わかった。 信じるよ。 じゃ、また明日ね」

少女「はい、また明日」




部長の後にならって、部員たちが更衣室へと歩いていく。
その中で先輩だけが流れに逆らって、プールサイドのベンチに横たわった。




女「つかれたー……」

少女「風邪引きますよ、先輩」

女「んーう……」




掃除用具入れからモップを取り出しながら、先輩に声をかけた。
寝る一歩手前のような声が返ってきて、思わず笑ってしまう。
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 15:47:25.98 ID:g97UFoKC0
少女「寝ちゃダメですよ、先輩」

女「寝ないよー……いっつも寝てないよー……」




マネージャーを始めて一ヶ月。
最初の頃は先輩も解散後に部長さんたちと一緒に着替えて帰っていたのだが、いつしか解散の後にベンチに倒れ込んで、着替えもせずにわたしが掃除をしている間にお昼寝するようになってしまった。
今ももう既に寝息を立てている。




少女「まったくもう……」




風邪を引いてしまったら大変なのに……とは思うものの、それほど疲れていることも確かなわけで。
それに。




女「んー……」




先輩の寝顔を見ることができて、嬉しくなってしまうわたしがいた。
こうして一人で掃除をしているのだって、先輩の寝顔を独り占めしたいから……とか、そんなワガママな理由だったりする。




少女「……っと、いけないいけない。 お掃除お掃除」




いつまでも先輩の寝顔を見ているわけにはいかない。
バスタオルを先輩の体にかけてから、わたしは掃除を始めた。
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