少女「好きです、先輩」

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73 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 02:47:24.35 ID:/elKJarW0
少女「はあっ、はあっ……はっ、ふっ!? んっ、んうぅっ!?」




わたしが荒く息を整えて口を開いたところに、再び先輩の唇が重なった。
開いた口に先輩の舌が入り込んできて、舌先がわたしの舌と触れ合う。




少女「んぅ!」

女「んんっ! れろっ、れろ……」




触れ合った瞬間、唇を触れ合わせるのとは全く違う感触に思わず声が漏れた。
先輩の舌の動きに合わせて、わたしも拙い動きで舌を絡ませる。




少女「んちゅ、ちゅる……はふ、ちゅぷ……」




粘膜と粘膜が擦れ合う粘着質な水音が、掃除用具入れの中で響く。
その音を意識するたび、より興奮が高まっていく。




少女「んんっ……はふっ、んく、んくっ……」




先輩の唾液が流れ込んでくる。
味なんてしないはずなのにそれはとても甘くて、とても熱い。




少女「ぷはぁ……はぁっ……」

女「んふぁ……はふ……」




数本の唾液の糸を引きながら、わたしと先輩の舌が離れた。
わたしと同じように荒く息を整える先輩の目尻には、涙が滲んでいた。
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 02:49:23.98 ID:/elKJarW0
女「はぁっ……やばい、気持ちよすぎる……」




照れたように笑って、先輩が言った。




少女「わ、わたしも……ハマっちゃいそうです……」

女「しょ、少女ちゃん……」




ごくり、と先輩が唾を飲み込んだ音が聞こえた。
けれど先輩はすぐに首をぶんぶんと横に振ってから、微笑んだ。




女「そ、そろそろ出よっか! まだお仕事もあるもんね!」

少女「は、はい! そうですね!」




誤魔化すように笑い合ってから、わたしたちはようやく掃除用具入れから飛び出したのだった。
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 02:50:38.21 ID:/elKJarW0
―――――――――――――――――――――――




その日の夜。
お風呂に入って夕食も食べ終えたわたしは、自分の部屋のベッドの上で一人、枕を抱えて悶々としていた。




少女「す、すっごい濡れてた……」




先輩とキスをした時。
どこがとは言わないが、それはもうパンツがすごいことになってしまったくらい、濡れてしまっていた。
お恥ずかしながら、ディープなそれをする前から……初めて先輩からキスをされた時から、既に濡れていた。




少女「ううう、こんなの先輩に知られちゃったらドン引きされる……」




そう思いながらも、熱く火照った身体が冷める気配は一向にない。
脳裏に浮かぶあの時の光景を振り払おうとしても、唇に残る感触がそれを阻んでくる。




少女「柔らかかった……先輩の唇……」




振り払うことを諦めて、余韻に浸ることにした。
先輩の唇を思い出しながら、唇に人差し指と中指を当ててみる。
……全然違った。
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 02:51:58.95 ID:/elKJarW0
少女「唇だけじゃなくて、舌も……」




舌はもちろん、唇とは全く違った感触だった。
ハマってしまいそうになるくらい気持ちよくて、夢中になってしまったのを覚えてる。
今思い返せば、変な声が出ていた気もする。
それが今更になって猛烈に恥ずかしくなってきて、うめき声を上げながら枕に顔を押し付けた。




少女「ううううう……」




恥ずかしい。
恥ずかしい、けど……また、したい。
気持ちよかったからというのもあるけれど、何より先輩がわたしを求めてくれていたと感じられたのが嬉しかったから。 わたしだけじゃなかったことがわかって、嬉しかったから。
キスされて抱き締められて、わたしが先輩のモノになれたという感覚を、もう一度味わいたいから。




少女「先輩……」




身体の火照りは収まらない。
そっと下腹部まで指を滑らせてズボンの中に手を入れ、パンツ越しに秘部に触れてみる。
……パンツまでしっとりと濡れてしまっていた。
着替えたばかりだけれど変えなければならないので、仕方なくパンツごとズボンを脱いだ。
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 02:52:56.47 ID:/elKJarW0
少女「ぅあ……またすごい濡れてる……」




試しに指先で触れてみると、ヌメヌメとした感触を指先に返してくる。




少女「あ……う、んっ……」




割れ目をなぞるように擦ると、ぞくりと快感が背筋を走る。
止めないとと頭では考えるものの、指先はより快楽を求めて勝手に動いてしまう。




少女「ん、んっ……」




止めないと。
先輩で、こんなの。
だめなのに、だめなのに。




少女「ふぁ、んっ、くぅっ……」




もっともっと、先輩が欲しい。
触ってほしい、触りたい。
もっともっと、先輩を感じたい。
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 02:54:05.56 ID:/elKJarW0
少女「あ、あ────ひぅ!?」




指の動きが早くなって、段々と頭の中が真っ白になってきたところで。
急に、スマホから着信音が鳴り響いた、
快楽に沈みかけていた意識がその音に引きずり出され、一気に頭が冷やされていく。
手をウエットティッシュで拭ってから慌ててスマホを手に取ると、画面には先輩の名前が表示されていた。




女『……もしもし、少女ちゃん?』




すぐに電話に出ると、先輩が呼びかけてくれた。
その声にはなんとなく元気が無いような、どこか不安そうな感じが含まれているような感じがした。




少女「は、はいっ、もしもしっ?」

女『あ、やっほー、少女ちゃん。 起きてくれててよかった』




どうやら、わたしが寝てしまっているかもしれないと不安だっただけらしい。




少女「どうしたんですか? こんな時間に」

女『そろそろ寝ようかなーって寝っ転がったまでは良かったんだけど、なんだか急に少女ちゃんとお話したくなっちゃって』

少女「先輩……」




嬉しい。
胸が温かくなっていく。
たぶん、今のわたしの顔はかなりニヤついてしまっていると思う。
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 02:55:00.15 ID:/elKJarW0
女『これから寝るとこだったかな? 迷惑だったりした?』

少女「いえいえ! わたしはいつでも先輩と話したいと思ってますから、平気です!」

女『そう? 私だけじゃなかったなら嬉しい。 少女ちゃんも、いつでも電話とかしてくれていいからね?』

少女「は、はい! します!」

女『う、うん!』

少女「……」

女『……』




ふと、黙り込んでしまう。
いつでも話したいと思っているけれど、電話は初めてで緊張してしまう。




女『……ご、ごめんね。 電話する前は話したいことがいっぱいあったはずなんだけど、少女ちゃんの声を聞いたら全部吹っ飛んじゃったみたいで』




えへへ、と先輩が恥ずかしそうに笑う。




少女「気にしないでください。 電話をかけてくれただけでも、すっごく嬉しいですから」

女『少女ちゃん……』




きっと、わたしが先輩を求めているのと同じくらい、先輩はわたしを求めてくれている。
それがわかっただけで、嬉しくて身悶えしてしまいそう。
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 02:56:51.11 ID:/elKJarW0
女『もう遅いし、あんまり長話はダメかな。 明日も部活来るよね?』

少女「はい、もちろん」

女『そっか。 じゃあ……少女ちゃんに会えるの、楽しみにしてるね』

少女「え」




一瞬で、顔全体が熱くなった。




女『好きだよ、少女ちゃん。 また明日』

少女「え」




どくん、と心臓が大きく跳ねる。
思えば好きだと言われるのは、海で告白された時以来かもしれない。




少女「あっ、あのっ────」




何か言葉を返そうとしたところで、すでに通話が切れていたことに気が付いた。
慌ててメールで、『わたしも先輩が大好きです。 明日もたくさんお話しましょう』と送る。




少女「〜〜〜〜っ!!!!」




スマフォを放り投げて、勢いよく枕に顔を押し付けた。
やばい、恥ずかしすぎる。 嬉しすぎる。 幸せすぎる。
今まで、恋愛に興味がなかったわけじゃない。
どこのクラスの男子がカッコイイとか、彼氏自慢とか、そんな話を散々されてきたし、実際憧れてもいた。
そんなわたしの初恋相手が女の子だったことには驚きだけど、初恋が叶ってしばらく経ってみると、恋愛とは憧れ通り、いやそれ以上に素敵なものだったとわかった。
好きな人が、わたしを好きでいてくれる。
それだけのことが幸せで、幸せで、とにかく幸せで。
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 02:57:55.11 ID:/elKJarW0
少女「ううう、先輩……」




早く明日になってほしい、早く先輩に会いたいと思うけれど。
ふと、妙に下半身がスースーすることに気が付く。




少女「……? …………ああああぁああぁぁぁあああ!!!?」




ようやく、下半身がすっぽんぽんであったことを思い出した。
初めての先輩からの電話を、電話越しに好きだと伝えてくれた瞬間を。
わたしは、下半身丸出しで終えてしまったのだ。




少女「あああ……」




さっきとは別の恥ずかしさがこみ上げてくる。
このままふて寝してしまいたい気分にすらなってしまう。
しかしそういうわけにもいかないので、結局わたしはシャワーを浴び直すことにしたのだった。
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 02:59:23.28 ID:/elKJarW0
―――――――――――――――――――――――




少女「夏休み、もうすぐで終わっちゃいますね」




ある日、部活終わりの電車の中。
いつも通り先輩と並んで吊革に掴まっている時に、ふと漏らした言葉。
別段悪いような意味で言ったのではなく、先輩と想いを通じ合えたこの夏休みは一生忘れない、みたいなことをその後に続けようとしたのだが。




女「………………」




わたしの言葉を聞いて先輩の顔が真っ青になったのを見て、そんなものはすぐに引っ込んだ。




少女「せ、先輩? 大丈夫ですか?」

女「大丈夫じゃない……」

少女「ええ!?」




まるで死人のような表情を浮かべる先輩。
体調が優れないのだろうか。
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:00:16.00 ID:/elKJarW0
女「夏休みの宿題、全然手を付けてない……」




力が抜けて、吊革から手を放してしまいそうになった。




女「どうしよう少女ちゃん!! あと一週間しかない!!」

少女「お、落ち着いてください先輩!」




吊革から手を放してしがみついてくる先輩を、必死に宥める。




少女「一週間頑張れば、きっと終わりますよ。 ね?」

女「無理……今までできなかったのに一週間丸々集中なんてできるわけない……」




……まあ確かに。
先輩、勉強苦手なんだ……。




女「あああどうしよう! また超怒られる……!」

少女「また!?」

女「実は去年は間に合わなくて怒られた挙句、宿題が終わるまで学校に居残りさせられました……」

少女「うわあ……」




なんと、前科つきであった。
今年もまた間に合わないとなれば、追加で課題を出されるかもしれない。
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:01:11.59 ID:/elKJarW0
女「うう、どうしよう……いやどうしようも何も、終わらせるしかないんだけど……」




文字通り頭を抱える先輩。
タイムが伸び悩んでいたと思えば、今度はこれである。
……いや、これはちょっと自業自得な感がないでもない。
しかし、ここで自業自得だからと放っておくわたしではない。 なぜならわたしは先輩のカノジョですから!




少女「先輩、良い方法があります」

女「え、なに!?」




瞳を輝かせて、先輩が勢いよくわたしを振り返る。




少女「集中できないのなら、誰かが監視していればいいんです」

女「監視……」

少女「はい。 というわけで、わたしの家で一緒に宿題をやっつけましょう! 先輩が終わるまで、わたし見てますから!」

女「少女ちゃん……!」
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:02:07.05 ID:/elKJarW0
―――――――――――――――――――――――




女「お邪魔しまーす!」

少女「どうぞ上がってください、先輩」




翌日。
わたしと先輩は部活を休み、朝早くからわたしの家に集まって宿題に取り掛かることにした。
最寄りの駅で先輩と合流し、玄関に入ったところでリビングからお母さんが顔を出した。




母「あら、初めまして。 あなたが噂の先輩ね。 少女からよく話を聞かせてもらってるわ」

女「あ、どうも初めまして! 少女ちゃんの先輩をやらせてもらっております女と申します!」

母「少女がお世話になってるみたいで、ありがとうね」

女「いえいえそんな、むしろ私のほうがお世話になってるといいますか」

少女「もう、お母さん。 余計なことは言わなくていいから!」




ぺこぺこと頭を下げ合う二人を宥めて、先輩を部屋へと案内する。
昨晩のうちに大掃除をしたから、おかしなところは何もないはず……!




女「お、お邪魔しまーす……」




家に入る時よりも緊張した面持ちで、先輩が部屋に入ってきた。
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:06:13.09 ID:/elKJarW0
少女「クッションにでも座ってください。 今テーブルを出しますので」




あらかじめ部屋に置いておいた折り畳み式のテーブルを広げて、部屋の中心に置いた。
今日はこれが勉強机になる。




女「……なんか、恋人の部屋って緊張しちゃうね」




腰を下ろしてもそわそわと落ち着かない様子な先輩が、呟いた。
わたしも恋人が部屋にいるというだけでかなり緊張しているけれど、そうも言っていられないのである。




少女「さ、さあ、始めましょう! 今日一日で終わらせるくらいの勢いで!」

女「そ、そだね!」




持ってきたカバンから宿題と思われる冊子を取り出している先輩の姿を見ながら、ふと疑問に思ったことを口にしてみる。




少女「一応聞いてみたいんですけど……進捗はどれくらいで?」

女「ゼロです」

少女「えっ」

女「ゼロです」

少女「アッハイ」




全然手を付けていないとは言っていたけれど、まさか本当にその通りだったとは。
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:07:03.47 ID:/elKJarW0
女「ちなみに、少女ちゃんのほうは?」

少女「わたしは少しずつやっていたので、もうすぐで終わります」




面倒な読書感想文は初日で終わらせたし、量の少ない国語も早めに終わらせた。
残りは量が多くてちまちま進めていた数学の課題数ページのみである。




女「…………」




裏切られた、という表情を浮かべる先輩。
非常に心外である。




少女「が、頑張りましょう、先輩! 今日で終わることができたら、残りの休みは部活や遊びに集中できますから!」

女「そだね……」




意気消沈した様子で、のろのろとシャーペンを手に取る先輩。
実に幸先の悪いスタートである。
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:11:40.97 ID:/elKJarW0
少女「あの……わたしが教えられないのは申し訳ないんですけど……」

女「ん? 大丈夫だよ、宿題程度のレベルなら自分だけでできるし」

少女「えっ?」

女「あっ、さては私のことを勉強できない情けない先輩だとでも思ってたな? テストで平均点以上は普通に取ってるからね!」




聞けば、毎度学年20位以内には入っているらしい。
テスト前はテスト嫌だ嫌だと言っていたような記憶があるのに。
裏切られたのはこちらのほうである。




少女「じゃあなんで宿題やらないんですか」

女「昔からなぜか宿題が嫌いで……まあ勉強自体も嫌いなんだけど。 宿題って言葉がもう嫌いほんと嫌い」

少女「……まあとにかく、ちゃんと終わらせましょうね」

女「はぁい」




渋々と宿題に取り掛かる先輩。
それに倣って、わたしもシャーペンを手に取った。
先輩には申し訳ないけれど、残り数ページしかないだけあって一時間も経てばすぐに終わってしまった。
先輩の進みを見てみると、あまりよくないようである。
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:14:18.75 ID:/elKJarW0
女「……もしかして、もう終わっちゃったとか?」

少女「……はい」




がっくりとテーブルに突っ伏する先輩。
泳いでいる時はあんなにカッコイイのに、宿題の前ではこれである。
何か対策を考えないと……。




少女「うーんうーん……そうだ! 今日中に宿題を終わらせることができたらご褒美、とかどうでしょうか!」

女「ご褒美……ご褒美! 確かにいいかも! 大会もそれでヤル気出たし!」




大会もそれで乗り越えたのなら、きっと宿題も乗り越えられるはず。




少女「内容はどうしましょう? また遊びに行くとか?」

女「うーん……」




先輩が、顎に指を当てて考える。
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:16:51.51 ID:/elKJarW0
女「…………!」




ぼむ、と急に先輩の顔が真っ赤になる。




女「……ご褒美って、何でもいい?」

少女「もちろんです。 前にも言いましたが、わたしにできることなら何でも」

女「そ、そっかそっか……それじゃあ、えっと……」




もじもじと両手を弄びながら、言い淀む。
なんだか、告白された時のような歯切れの悪さだ。




女「あ、あの、引かないで聞いてくれる?」

少女「え? はい、先輩がそう言うなら」

女「じゃあねじゃあね、あのね……私、少女ちゃんとえっちしたい」

少女「…………うえええええええっ!!?」




今度は、わたしの顔が真っ赤になる番だった。
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:19:53.24 ID:/elKJarW0
女「だ、ダメかな!? いやダメだよね!! ごめんやっぱり忘れて!!」

少女「いえいえダメではないです!! ダメではないですけど!!」

女「えっ、いいの!?」

少女「いっ…………いい、ですけど。 先輩はそれでいいんですか?」

女「いいよ!! いいに決まってる!!」




がばりと起き上がって、すごい勢いで問題を解き始める先輩。
なんとも現金なものだけど、まさか先輩がわたしと……えっちがしたいなんて。
なんとなくというか、無意識的に先輩はそういうのとは無縁なものだと思っていた。
恋は盲目とよく言うけれど、なるほど確かにそうかもしれない。
……なんて冷静そうに分析しているけれど、実際は宿題を進める先輩の手を見ながら緊張と恥ずかしさでもじもじしているだけの始末。
ご褒美が決まってから先輩のペースは凄まじく早くなったが、宿題の量はかなりのものなため、時刻はお昼を跨いだ。
一度中断してお昼ご飯を食べてから再開して、数時間後。
そろそろ夕方になろうとしている今、一度休憩を挟むことにした。
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:22:22.16 ID:/elKJarW0
女「……」

少女「……っ」




先輩が、熱のこもった瞳で見つめてくる。
宿題の残りページが少なくなるにつれてわたしの身体は熱く火照ってしまっていたため、その目を直視できない。




女「……少女、ちゃん」

少女「っ、ぁ……」




先輩がテーブル越しに手を伸ばして、わたしの頬に触れてくる。
それだけで、変な声が漏れてしまう。




少女「だ、だめです、先輩……」

女「ほっぺに触ってるだけだよ……?」

少女「そ、それだけでも……わたしが、我慢できなくなっちゃいます……」

女「っ……!」




より一層、先輩の視線に熱がこもる。
わたしと先輩の視線が絡み合って、吸い寄せられるように顔が近付く。
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:29:53.43 ID:/elKJarW0
少女「んっ……!」




テーブル越しに、唇と唇が触れ合う。
すぐに先輩の舌が口の中に入り込んできて、わたしの舌と絡み合う。




女「んちゅ、はっ……キスは、いいよね……?」

少女「はふっ……キスは、えっちじゃありませんから……」




そう言い訳しながら、キスはより深くなっていく。
口内が先輩の舌で撹拌され、混じり合った唾液が熱く喉を焼く。
まだ足りないと、席を移動して先輩に抱きついた。
先輩もわたしを受け止めて、すぐにキスを再開する。




少女「ちゅる……くちゅっ、はっ、んちゅっ……」

女「れろっ、れるっ……んんっ、んちゅっ、ちゅくっ……」




もっと欲しい。
もっと、先輩が欲しい。
今すぐにでも、先輩に触れて欲しい。
そんな欲望がどんどん膨らんできて、秘部からはすでに下着まで濡れている感触を返してくる。
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:31:40.83 ID:/elKJarW0
少女「ぷはあっ……はあっ、はあっ……先輩、もっと────」

母「少女ー? ちょっと買い物に行ってくるけど、何か買ってきてほしいもの…………あら」

女&少女「 「!!!!!!」 」




がちゃりと、ドアが開いた。
あまりに突然の来訪者に、わたしと先輩は離れることすらできずに固まってしまう。
数秒、いや数十秒か、沈黙が流れる。




女「あっ、あのっ!!」

少女「あわっ」




突然先輩が沈黙を破り、弾けるように立ち上がった。




女「わ、私っ、少女ちゃんと交際させていただいてますっ!! 遊びのつもりは全然なくて、少女ちゃんがいてくれると落ち着くというか、その、少女ちゃんがそばにいてくれたから大会で結果を残すことができたし、これからもずっとそばにいてほしいって思ってるんです!」




震える声で、先輩が叫ぶ。




女「もちろん好きになった理由は他にも沢山あります! でも、そばにいてほしい、一緒にいたいって気持ちになるのはどれも同じです! そして私の独りよがりだけじゃなくて、少女ちゃんのことも幸せにするって決めています! 同性というのは理解してますし、きっと難しいこともあると思いますけど、少女ちゃんと一緒なら絶対に乗り越えてみせます! だから、私と少女ちゃんの仲を認めてくださいっ!!」




そうまくし立ててから、先輩は頭を下げた。
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:33:01.77 ID:/elKJarW0
母「……少女、あなた随分と良い子を捕まえたのね」

少女「え」

母「顔を上げて、女さん。 娘の恋愛に私が口を挟むつもりなんて元からなかったけれど、あなたのような人が相手なら安心できるわ。 素直に話してくれてありがとう、少女をよろしくね」

女「え……は、はい!」

母「で、それはそれとして。 何か買ってくるものは?」

少女「え……あ、えと、ないけど……」

母「そう、じゃあ行ってくるわ。 お邪魔したわね」




ひらひらと手を振って、お母さんが部屋を出ていった。




女「…………はぁぁぁぁぁ」

少女「だ、大丈夫ですか!?」




力が抜けたように崩れ落ちる先輩を、慌てて支える。




女「びっくりしたぁ……緊張したぁ……」

少女「先輩……」

女「でもよかった、認めてもらえて……認めてもらえて、ほんどによがっだよおおおおお!!」

少女「わーっ!!?」




ふにゃりと力の抜けた笑顔を浮かべた先輩が一変、急に泣き出し、しがみついてくる。
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:34:20.70 ID:/elKJarW0
女「ぐすっ……いつかは少女ちゃんの両親と話さなきゃって思ってたけど、まだ覚悟とかできてなくてっ……急にその機会が来ちゃったから頭の中が真っ白になっちゃったけどっ……」

女「言いたかったことはぜんぶ伝えられたからっ、ほんとによかったああああぁぁぁっ!!」

少女「先輩っ……」




あれが、先輩の気持ちなんだ。
ずっとわたしといたいという、気持ち。




少女「先輩、顔を上げてください」

女「え? んっ」




涙で濡れている先輩の唇に、キスをする。
嬉しかった、先輩の行動と言葉が。
わたしは何もできなかった、言えなかったのに、先輩は咄嗟にあれだけのことをしてくれた。
嬉しくて、幸せで、泣きそうだった。




少女「んっ、は……先輩、好きです、大好きです。 どうしようもないくらい、あなたのことが好きです。 だから……もっとわたしに、触ってください」

女「っ!?」




先輩の右手首を掴んで、その手をわたしの胸に当てた。
嬉しくて、先輩のことが大好きで、心臓の鼓動が早くなってしまっていることが伝わっているだろうか。
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:35:31.29 ID:/elKJarW0
女「……いいの? まだ宿題、終わってないけど……」

少女「残りあとちょっとくらい、先輩なら今日じゃなくても終われますよね?」

女「……っ!!」

少女「あっ、んむっ……!」




先輩に押し倒され、乱暴にキスをされる。
再び体が火照り始めて、先輩のことしか考えられなくなる。




女「はっ、んちゅっ……ずっと、我慢してたの……」

少女「ちゅる……ふぁ、先輩……?」

女「初めてキスした時から……少女ちゃんに触ってほしくて、触りたくて、ずっとずっと我慢してたの」

少女「あっ、や、先輩っ……ひゃ、うっ!」




先輩がわたしのシャツの上から手を滑らせて、お腹をなぞってシャツの袖を掴んだ。
そのままシャツをたくし上げられて、ブラが露わになってしまう。
今日はこんなことになるとは思っていなかったからスポーツブラなんて色気も何もないものを着けていたので、今更ながらに恥ずかしくなってくる。




女「でももう、我慢できない。 少女ちゃん、大好きだよ。 だから、少女ちゃんの心も体も、ぜんぶ私にちょうだい」




熱っぽく荒く息をしながら、先輩がそう懇願してきた。
答えなんてもう、決まっている。
それはきっと、初めて先輩を見た時から。




少女「……はい、先輩。 わたしのぜんぶ、先輩にあげます」

女「少女ちゃんっ……!」
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:38:05.07 ID:/elKJarW0
―――――――――――――――――――――――




気が付けば、窓から差し込む夕陽の光がわたしの部屋をオレンジ一色に染めていた。
カラスの鳴き声が遠くから聞こえる。
そろそろベッドから起き上がらないと、お母さんが帰ってくるかもしれない。
そう思って、心地よい倦怠感のあった身体を無理やり起こそうとして────




少女「わぷっ、んっ、むっ……ふっ、んんっ……」

女「んむ、はふ……れろっ、はむ……」




隣で息を整えていた先輩に腕を引っ張られ、倒れ込んだ所に覆い被さられてキスをされる。
くちゅくちゅと舌が絡み合う水音、わたしと先輩から漏れる吐息と声。
さっきまで散々お互いの身体を堪能したのに、それらを聞くだけでまた先輩の身体が欲しくなってきてしまう。




少女「ふはぁっ……はあっ、はあっ……」

女「んぁっ……はっ……はぁっ……」




先輩とわたしの間に、唾液の橋ができる。
それが途切れてしまうのが名残惜しくて、すぐに先輩とわたしを唇で繋ぐ。
指と指を正面から絡めて握り合って、肌と肌が擦れ合う。
胸も、おへそも、脚も。
ぜんぶが先輩と密着して、溶け合ってしまいそうなくらい熱くて、気持ちよくて、心地いい。
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:39:29.98 ID:/elKJarW0
少女「はふっ、ちゅっ、くちゅ……」

女「んふ、はっ、ちゅむっ……んっ、んんっ!」

少女「んんんっ! はっ、せんっ、ぱいっ……!」




不意に秘部に感じる、熱い感触。
さっきまで何度も感じていた、感触。
先輩が腰をくねらせ、強く押し付けてくるたび、より強くその感触を感じる。




女「あ……はっ、はぁっ……っ、んっ!」

少女「はぅっ! んっ、はっ、やっ、ひゃぁんっ!」




唇と唇とのキスの時とは違う、いやらしく、粘着質な水音。
わたしと先輩の秘部がキスをして、擦れ合って、絡み合って。
さっきも気持ちよすぎてこれで何度もイッてしまったのに、またすぐにイキそうになってしまう。




女「はあっ、はあっ、んんっ! 少女ちゃんっ、私またっ……!」

少女「わたしもっ、ですっ! 先輩と一緒にっ……!」




気付けばわたしも、先輩に合わせて腰を動かしていた。
腰をくねらせ、時には先輩と唇を重ねながら、興奮を高め合って二人で絶頂へと昇りつめていく。
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:40:33.70 ID:/elKJarW0
女「あっ……! いくっ、いっ、くぅっ……!」

少女「せんぱ、いっ……ふっ、ふぁっ! あんんっ! ひゃううぅぅぅぅっっ!」

女「んくぅぅっ、はぅうううっっ!」




もがくように抱き合って、絶頂に身を震わせる。




女「〜〜〜〜っ……はっ……ふぁああっ……!」

少女「んんんっ……はひっ、はぁっ……!」




先輩とのえっちは、すごかった。
一人でするのとは全然違う。
気持ちいいのがずっと続いて、こんなに幸せでいいのだろうかと思ってしまうくらい幸せで。




女「はあっ、はあっ……はあああぁぁ……」




一際大きな溜息を吐き出してから、先輩はわたしの胸に顔を埋めた。




女「うー……離れたくない……」

少女「わたしもです、先輩……」




先輩の髪から香る、先輩のにおい。
すごく安心してしまう香りで、このまま眠りたくなってしまう。
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:42:15.60 ID:/elKJarW0
女「今更なんだけど……体、大丈夫? かなり無理させちゃったと思うんだけど」

少女「ちょっと疲れたくらいですから、平気です。 水泳部のマネージャーになってから結構体力ついたんですよ? わたし」

女「そっか……」




ふう、ともう一度溜息をついてから、先輩が顔を上げた。
その表情はとても満足げで、思わずわたしも頬が緩む。




女「どうにかなっちゃいそうだったくらい、気持ちよかったぁ……」

少女「先輩、何回もイッてましたもんね」

女「少女ちゃんだって人のこと言えないでしょ? 私にぺろぺろされて泣きながら何回もイッてたくせに」

少女「うぐ」

女「おかしくなっちゃう〜こわれちゃう〜とか言いながら何回も何回もむぐっ」




思い出したくなくて、先輩の口を両手で塞ぐ。
実際、本当におかしくなりそうだった。
先輩に舐められて、やめてと言ってもやめてくれなくて。
何回も何回も、何回も……。




少女「うううっ……!」

女「ふふふっ、可愛いなあ少女ちゃんは」




先輩に抱きしめられるのは好きだけど、恥ずかしさで死にそうだった。
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:43:54.32 ID:/elKJarW0
女「……そろそろ帰んないとなぁ」

少女「……そうですよね。 これ以上暗くなったら危ないですもんね」




わたしを抱きしめる腕に、力がこもる。




女「少女ちゃんと一緒に暮らしたいなあ」

少女「っ……先輩、そういうこと急に平然と言わないでくださいよ、もう」

女「なんで? ドキドキするから?」

少女「そうです」

女「でも、少女ちゃんもそう思うでしょ?」

少女「……」




先輩と暮らす。
朝起きたら先輩が隣で寝ていて、家に帰れば先輩が待ってくれている。 あるいは、家にいたら先輩が帰ってきてくれる。
ご飯はどうしよう、先輩は料理できるのかな?
お弁当とか作ったら喜んでくれるのかな……。




少女「……思います、すごく」

女「だよね! 私は大学に進むつもりなんだけど、大学行ったら少女ちゃんと一緒に暮らしたいな。 そしたらずっと一緒にいられるのに」




そっか。
当たり前だけど先輩はわたしよりひとつ年上だから、卒業してしまったらこれまでのように部活で会うこともできなくなってしまう。
大学に行けばまた色々と忙しくなってしまうだろうし、これまでのように一緒に過ごすことは難しくなる。
先輩はそこまで考えてくれてたんだ。
わたしは浮かれているばかりだったのに。
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:45:04.56 ID:/elKJarW0
少女「……先輩」

女「うん?」

少女「わたしを好きになってくれて、本当にありがとうございます」

女「ふふふっ。 そんなの、お礼を言うことじゃないよ」

少女「そんなことありません。 わたしのことをちゃんと考えてくれる先輩が相手で、本当に良かったって思ってるんですから」

女「そしたら、こっちもありがとうだよ。 私、少女ちゃんと会ってからずっとお世話になりっぱなしだもん。 今日だって、少女ちゃんのお陰で宿題をあそこまで進めることができたんだし」

少女「先輩……好きです」

女「わたしも好きだよ、少女ちゃん」




想いを伝え合って、キスをする。
これからは、わたしも先輩との将来を考えよう。





女「さてと! いい加減帰らないとね!」

少女「また来てくださいね、先輩」

女「ふふふ、もちろん! でも、今度は少女ちゃんが私の家に来てほしいかも」

少女「ふふっ、はい。 もちろん行きます!」

女「うん、約束!」




身だしなみを整えた先輩を、見送る。
こうして別れる時は寂しいけれど、明日になればまた会える。
そう思えば、明日が楽しみになってくる気がした。
夜になったら電話するのもいいかもしれない。


……翌日、部活での着替え中にわたしと先輩が体のあちこちにキスマークをつけていることを部員のみんなに指摘され、わたしたちの関係がバレてしまうのだった。
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:46:09.05 ID:/elKJarW0
―――――――――――――――――――――――




それから。
地区大会で優勝した先輩は全市の大会にも出場したけれど、結果を残すことまではできなかった。
他にも全市に出場した選手はいたが、先輩と同様に入賞までいった者はいなかった。
しかし先輩は落ち込むことなく、来年の全市大会でまた結果を出せばいいと前向きだった。

『私には、少女ちゃんがついてるからね!』

……なんて、嬉しいことを言って。
先輩は他にもいくつかの大会に出てメダルを取ったり、あるいはメダルとまではいかなくとも入賞するまでにはこぎつけ、多くの結果を残していた。
そんな先輩が学校から表彰された時は、わたしは自分のことのように嬉しかった。
そうして3年生が引退する時期になって、次の部長は先輩が選ばれて。
わたしたちは水泳部員とマネージャーとしてあれこれ活動しながら、合間合間にデートしたりして。
忙しくも幸せに過ごしながら、早くも次の年度がやって来て。
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:47:15.31 ID:/elKJarW0
少女「このタブレットは、選手が泳いでる所を撮影したりタイムを記録するもので」

後輩「ふむふむ」




去年の部員たちの活躍から、今年は部員がたくさん入ってくることになった。
マネージャーも一人増えて、わたしにかわいい後輩ができることになった。
今はマネージャーとしての仕事をいろいろと教えてあげている。




女「少女ちゃーん、そろそろ解散するよー!」

少女「はーい! んじゃ、いったん集まろっか」

後輩「はい、先輩!」




先輩の一声で、部員みんなが集まってくる。
先輩……先輩かぁ。
中学のころは部活に入っていなかったから、先輩と呼ばれるのは初めてだ。
そう呼ばれるのも敬語を使われるのも、なんだかくすぐったい。




女「はい、以上で今日は解散! また明日ね!」




ぞろぞろと、部員たちがプール場から出ていく。
今日のところは後輩ちゃんには帰ってもらうことにした。
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:48:16.38 ID:/elKJarW0
女「んじゃ、私たちはいつも通り仕事を終わらせちゃおっか」

少女「はい! でも、明日からは後輩ちゃんも一緒になりますよ」

女「あー、そっかそっか。 仕事教えなきゃいけないもんね」




話しながら、掃除用具入れからモップを二つ取り出す。




少女「今年はたくさん入りましたねー!」

女「うんー! 去年頑張った甲斐があったよ! この調子だと、来年にはコーチがつくかもしれないんだって!」




来年。
来年には……もう、先輩はこの学校にいない。




少女「……今年は、無理なんでしょうか」

女「もうちょっと部員がいないと厳しいんだって。 今年また頑張れば来年もきっと部員が増えるから、きっと大丈夫だよ!」




先輩はそう言うけれど。
しっかりとしたコーチがいたら、きっと先輩はもっと上に行けるのに。
なのに、あんなに頑張ったのに、先輩は報われないなんて。
それが悔しくて、わたしは何も言えなかった。
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:49:11.64 ID:/elKJarW0
―――――――――――――――――――――――




女「桜もそろそろ見納めかなー」

少女「……」




学校から駅までの、帰り道。
桜の木を見上げて先輩がそう呟くけれど、わたしはさっきのことで頭がいっぱいだった。




女「ね、少女ちゃん。 浮かない顔してるけど、どうしたの?」




それを見かねてか、先輩が声をかけてくれた。
わたしが考えても仕方のないことだし、思ったことを口にしてみる。




少女「先輩、今年で卒業しちゃうじゃないですか」

女「うん、そだね」

少女「なのに、今年中にはコーチが来てくれませんから……先輩は、それでいいのかなって」

女「……ああ、ふふふっ」




それを聞くと、先輩はくすくすと笑った。
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:50:28.04 ID:/elKJarW0
少女「わ、笑いごとじゃないですよ! だって先輩はあんなに頑張ったのに、コーチがいたらもっと活躍できるのに! なのに、先輩がいる間は無理なんて……」

女「ううん、いいんだよ少女ちゃん」

少女「いいわけないです! わたし、悔しくて、悲しくて……」

女「少女ちゃん……」

少女「……わたし、やっぱり納得できません。 顧問の先生に抗議を────」

女「少女ちゃん」

少女「あう」




先輩に頭を撫でられて、続きを遮られてしまう。
わたしはこんなにも悔しいのに、先輩は笑顔を浮かべていた。




女「ありがとう、少女ちゃん。 わたしの為にそこまで考えてくれて。 ごめんね、悩ませちゃって」

少女「そんな、先輩は悪くありません!」

女「んん、そうかな……まあとにかく、私はいいの。 あのね、理由聞いてくれる?」

少女「……はい」




理由……別に活躍せずとも、大会で結果を残せなくても構わないという、理由。
去年の地区大会まではあれだけ拘っていたのに、それがもういいと言う。
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:52:10.97 ID:/elKJarW0
女「理由なんて、たいしたことないんだ」




先輩がわたしより3歩ほど前に出て、わたしを振り返った。




女「私、水泳がすっごく楽しいの! もともと好きで始めた水泳だけど、最近は────ううん、少女ちゃんを好きになってから、さらに泳ぐことが好きになったの!」




夕陽を背に、笑顔を浮かべる先輩。




女「去年までの私はとにかく結果を残すことだけに拘ってたけど。 少女ちゃんのおかげで水泳が楽しいって気持ちを思い出せて、わかったんだ」




先輩に告白された時のことを、よく覚えている。
その時も、わたしのおかげで水泳が楽しいものだということを思い出せたと、言っていた。




女「結果なんて、いいの。 だって私が楽しく泳いでたら、勝手に付いてくるものなんだもん!」




そう言って見せた先輩の笑顔は、これまで見てきたものよりもずっとずっと明るくて、眩しくて。
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:53:16.41 ID:/elKJarW0
女「だからね、少女ちゃん。 私は楽しく泳げたらそれでいい。 少女ちゃんが見てくれてる時に泳げれば、それでいい。 だって、少女ちゃんが見てくれてる時が一番楽しいからね!」

少女「先輩っ……!」




思わず、先輩に抱き着く。
先輩の言葉を聞いて、わたしは先輩のことを何も知らなかったのだと理解した。
先輩は、水泳ができたらそれでいいんだ。
結果を残したいわけじゃない。
ただただ、きっと────わたしに楽しく泳いでいる姿を見せるために。





女「少女ちゃん、ありがとう。 少女ちゃんがいなかったら、今の私は絶対になかった。 少女ちゃんがいてくれたから、水泳が楽しいって思い出せた。 ぜんぶぜんぶ、少女ちゃんのおかげなんだよ」

少女「っ……せんぱいっ、わたしも先輩がいなかったらっ……!」




先輩がいなかったら。
わたしは、どうなっていただろう?
文化系の部活に入るつもりだったけれど、なにか部活に入っていただろうか?
その部活では、今のような素敵な出会いは会っただろうか?
……きっと、考えても無駄なのだろう。
だって、今のわたしには今しかないんだから。
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:54:01.53 ID:/elKJarW0
少女「先輩。 あなたに会えて、本当によかった。 先輩のおかげでわたしはたくましくなれたし、恋をすることができたから」

女「私もおんなじ。 少女ちゃんに会えたから、恋ってものがどんなものなのか知ることができたから」




今のわたしには今しかないけれど。
でも、未来を思い描くことはできる。
前に先輩は言っていた、大学に進学したらわたしと暮らしたいと。
わたしも、おんなじ気持ちだ。
だから、今はそれを目標に頑張ろう。




女「好きだよ、少女ちゃん」

少女「好きです、先輩」




それをひそかに胸に誓って、先輩と唇を触れ合わせた。
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/02(月) 03:54:46.24 ID:/elKJarW0
終わりです、ありがとうございました。
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/02(月) 07:42:51.46 ID:8j8UV1M5o
レス返ってこないの承知で書きますが、あなたの作品が大好きです
女ちゃんとマスターさんのSSをまとめで見て何回も読み返しました
どれも素晴らしいSSで、それを読んで自分はまとめ民から板住人になりました
まさか生で投下に立ち会えるとは思っていなかったので、嬉しさと喜びで胸がいっぱいです

このSSも読み切ったあとの読後感が爽やかかつ幸せに胸に沁みました
気が早いですが、次作も期待しています

堅苦しい文章になってしまい申し訳ありません
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/02(月) 18:10:45.89 ID:5u5KxojXo

やはり百合は素晴らしい
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/02(月) 20:59:58.67 ID:LCjH5iYvO
乙乙乙
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/02(月) 21:07:34.71 ID:D5bNAeCmo
純愛百合いいね
乙です
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/03(火) 08:29:38.09 ID:DZdUarGdo
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/03(火) 08:48:43.30 ID:pFudXCwYO
>>113
嬉しいお言葉ありがとうございます。
IDを見て安価で百合を書いているあのお方だと気が付き驚きました。呻き声を上げながら読ませていただいておりますありがとうございます。
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/03(火) 13:30:23.87 ID:rGww3cvlo
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/04(水) 03:18:54.39 ID:L1mdpTBbo
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/04(水) 06:14:31.84 ID:ZPj46y9gO

百合はいいね
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/26(土) 00:56:45.54 ID:3iibIeZw0
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