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少女「好きです、先輩」
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102 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/10/02(月) 03:43:54.32 ID:/elKJarW0
女「……そろそろ帰んないとなぁ」
少女「……そうですよね。 これ以上暗くなったら危ないですもんね」
わたしを抱きしめる腕に、力がこもる。
女「少女ちゃんと一緒に暮らしたいなあ」
少女「っ……先輩、そういうこと急に平然と言わないでくださいよ、もう」
女「なんで? ドキドキするから?」
少女「そうです」
女「でも、少女ちゃんもそう思うでしょ?」
少女「……」
先輩と暮らす。
朝起きたら先輩が隣で寝ていて、家に帰れば先輩が待ってくれている。 あるいは、家にいたら先輩が帰ってきてくれる。
ご飯はどうしよう、先輩は料理できるのかな?
お弁当とか作ったら喜んでくれるのかな……。
少女「……思います、すごく」
女「だよね! 私は大学に進むつもりなんだけど、大学行ったら少女ちゃんと一緒に暮らしたいな。 そしたらずっと一緒にいられるのに」
そっか。
当たり前だけど先輩はわたしよりひとつ年上だから、卒業してしまったらこれまでのように部活で会うこともできなくなってしまう。
大学に行けばまた色々と忙しくなってしまうだろうし、これまでのように一緒に過ごすことは難しくなる。
先輩はそこまで考えてくれてたんだ。
わたしは浮かれているばかりだったのに。
103 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/10/02(月) 03:45:04.56 ID:/elKJarW0
少女「……先輩」
女「うん?」
少女「わたしを好きになってくれて、本当にありがとうございます」
女「ふふふっ。 そんなの、お礼を言うことじゃないよ」
少女「そんなことありません。 わたしのことをちゃんと考えてくれる先輩が相手で、本当に良かったって思ってるんですから」
女「そしたら、こっちもありがとうだよ。 私、少女ちゃんと会ってからずっとお世話になりっぱなしだもん。 今日だって、少女ちゃんのお陰で宿題をあそこまで進めることができたんだし」
少女「先輩……好きです」
女「わたしも好きだよ、少女ちゃん」
想いを伝え合って、キスをする。
これからは、わたしも先輩との将来を考えよう。
女「さてと! いい加減帰らないとね!」
少女「また来てくださいね、先輩」
女「ふふふ、もちろん! でも、今度は少女ちゃんが私の家に来てほしいかも」
少女「ふふっ、はい。 もちろん行きます!」
女「うん、約束!」
身だしなみを整えた先輩を、見送る。
こうして別れる時は寂しいけれど、明日になればまた会える。
そう思えば、明日が楽しみになってくる気がした。
夜になったら電話するのもいいかもしれない。
……翌日、部活での着替え中にわたしと先輩が体のあちこちにキスマークをつけていることを部員のみんなに指摘され、わたしたちの関係がバレてしまうのだった。
104 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/10/02(月) 03:46:09.05 ID:/elKJarW0
―――――――――――――――――――――――
それから。
地区大会で優勝した先輩は全市の大会にも出場したけれど、結果を残すことまではできなかった。
他にも全市に出場した選手はいたが、先輩と同様に入賞までいった者はいなかった。
しかし先輩は落ち込むことなく、来年の全市大会でまた結果を出せばいいと前向きだった。
『私には、少女ちゃんがついてるからね!』
……なんて、嬉しいことを言って。
先輩は他にもいくつかの大会に出てメダルを取ったり、あるいはメダルとまではいかなくとも入賞するまでにはこぎつけ、多くの結果を残していた。
そんな先輩が学校から表彰された時は、わたしは自分のことのように嬉しかった。
そうして3年生が引退する時期になって、次の部長は先輩が選ばれて。
わたしたちは水泳部員とマネージャーとしてあれこれ活動しながら、合間合間にデートしたりして。
忙しくも幸せに過ごしながら、早くも次の年度がやって来て。
105 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/10/02(月) 03:47:15.31 ID:/elKJarW0
少女「このタブレットは、選手が泳いでる所を撮影したりタイムを記録するもので」
後輩「ふむふむ」
去年の部員たちの活躍から、今年は部員がたくさん入ってくることになった。
マネージャーも一人増えて、わたしにかわいい後輩ができることになった。
今はマネージャーとしての仕事をいろいろと教えてあげている。
女「少女ちゃーん、そろそろ解散するよー!」
少女「はーい! んじゃ、いったん集まろっか」
後輩「はい、先輩!」
先輩の一声で、部員みんなが集まってくる。
先輩……先輩かぁ。
中学のころは部活に入っていなかったから、先輩と呼ばれるのは初めてだ。
そう呼ばれるのも敬語を使われるのも、なんだかくすぐったい。
女「はい、以上で今日は解散! また明日ね!」
ぞろぞろと、部員たちがプール場から出ていく。
今日のところは後輩ちゃんには帰ってもらうことにした。
106 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/10/02(月) 03:48:16.38 ID:/elKJarW0
女「んじゃ、私たちはいつも通り仕事を終わらせちゃおっか」
少女「はい! でも、明日からは後輩ちゃんも一緒になりますよ」
女「あー、そっかそっか。 仕事教えなきゃいけないもんね」
話しながら、掃除用具入れからモップを二つ取り出す。
少女「今年はたくさん入りましたねー!」
女「うんー! 去年頑張った甲斐があったよ! この調子だと、来年にはコーチがつくかもしれないんだって!」
来年。
来年には……もう、先輩はこの学校にいない。
少女「……今年は、無理なんでしょうか」
女「もうちょっと部員がいないと厳しいんだって。 今年また頑張れば来年もきっと部員が増えるから、きっと大丈夫だよ!」
先輩はそう言うけれど。
しっかりとしたコーチがいたら、きっと先輩はもっと上に行けるのに。
なのに、あんなに頑張ったのに、先輩は報われないなんて。
それが悔しくて、わたしは何も言えなかった。
107 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/10/02(月) 03:49:11.64 ID:/elKJarW0
―――――――――――――――――――――――
女「桜もそろそろ見納めかなー」
少女「……」
学校から駅までの、帰り道。
桜の木を見上げて先輩がそう呟くけれど、わたしはさっきのことで頭がいっぱいだった。
女「ね、少女ちゃん。 浮かない顔してるけど、どうしたの?」
それを見かねてか、先輩が声をかけてくれた。
わたしが考えても仕方のないことだし、思ったことを口にしてみる。
少女「先輩、今年で卒業しちゃうじゃないですか」
女「うん、そだね」
少女「なのに、今年中にはコーチが来てくれませんから……先輩は、それでいいのかなって」
女「……ああ、ふふふっ」
それを聞くと、先輩はくすくすと笑った。
108 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/10/02(月) 03:50:28.04 ID:/elKJarW0
少女「わ、笑いごとじゃないですよ! だって先輩はあんなに頑張ったのに、コーチがいたらもっと活躍できるのに! なのに、先輩がいる間は無理なんて……」
女「ううん、いいんだよ少女ちゃん」
少女「いいわけないです! わたし、悔しくて、悲しくて……」
女「少女ちゃん……」
少女「……わたし、やっぱり納得できません。 顧問の先生に抗議を────」
女「少女ちゃん」
少女「あう」
先輩に頭を撫でられて、続きを遮られてしまう。
わたしはこんなにも悔しいのに、先輩は笑顔を浮かべていた。
女「ありがとう、少女ちゃん。 わたしの為にそこまで考えてくれて。 ごめんね、悩ませちゃって」
少女「そんな、先輩は悪くありません!」
女「んん、そうかな……まあとにかく、私はいいの。 あのね、理由聞いてくれる?」
少女「……はい」
理由……別に活躍せずとも、大会で結果を残せなくても構わないという、理由。
去年の地区大会まではあれだけ拘っていたのに、それがもういいと言う。
109 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/10/02(月) 03:52:10.97 ID:/elKJarW0
女「理由なんて、たいしたことないんだ」
先輩がわたしより3歩ほど前に出て、わたしを振り返った。
女「私、水泳がすっごく楽しいの! もともと好きで始めた水泳だけど、最近は────ううん、少女ちゃんを好きになってから、さらに泳ぐことが好きになったの!」
夕陽を背に、笑顔を浮かべる先輩。
女「去年までの私はとにかく結果を残すことだけに拘ってたけど。 少女ちゃんのおかげで水泳が楽しいって気持ちを思い出せて、わかったんだ」
先輩に告白された時のことを、よく覚えている。
その時も、わたしのおかげで水泳が楽しいものだということを思い出せたと、言っていた。
女「結果なんて、いいの。 だって私が楽しく泳いでたら、勝手に付いてくるものなんだもん!」
そう言って見せた先輩の笑顔は、これまで見てきたものよりもずっとずっと明るくて、眩しくて。
110 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/10/02(月) 03:53:16.41 ID:/elKJarW0
女「だからね、少女ちゃん。 私は楽しく泳げたらそれでいい。 少女ちゃんが見てくれてる時に泳げれば、それでいい。 だって、少女ちゃんが見てくれてる時が一番楽しいからね!」
少女「先輩っ……!」
思わず、先輩に抱き着く。
先輩の言葉を聞いて、わたしは先輩のことを何も知らなかったのだと理解した。
先輩は、水泳ができたらそれでいいんだ。
結果を残したいわけじゃない。
ただただ、きっと────わたしに楽しく泳いでいる姿を見せるために。
女「少女ちゃん、ありがとう。 少女ちゃんがいなかったら、今の私は絶対になかった。 少女ちゃんがいてくれたから、水泳が楽しいって思い出せた。 ぜんぶぜんぶ、少女ちゃんのおかげなんだよ」
少女「っ……せんぱいっ、わたしも先輩がいなかったらっ……!」
先輩がいなかったら。
わたしは、どうなっていただろう?
文化系の部活に入るつもりだったけれど、なにか部活に入っていただろうか?
その部活では、今のような素敵な出会いは会っただろうか?
……きっと、考えても無駄なのだろう。
だって、今のわたしには今しかないんだから。
111 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/10/02(月) 03:54:01.53 ID:/elKJarW0
少女「先輩。 あなたに会えて、本当によかった。 先輩のおかげでわたしはたくましくなれたし、恋をすることができたから」
女「私もおんなじ。 少女ちゃんに会えたから、恋ってものがどんなものなのか知ることができたから」
今のわたしには今しかないけれど。
でも、未来を思い描くことはできる。
前に先輩は言っていた、大学に進学したらわたしと暮らしたいと。
わたしも、おんなじ気持ちだ。
だから、今はそれを目標に頑張ろう。
女「好きだよ、少女ちゃん」
少女「好きです、先輩」
それをひそかに胸に誓って、先輩と唇を触れ合わせた。
112 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2017/10/02(月) 03:54:46.24 ID:/elKJarW0
終わりです、ありがとうございました。
113 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/10/02(月) 07:42:51.46 ID:8j8UV1M5o
レス返ってこないの承知で書きますが、あなたの作品が大好きです
女ちゃんとマスターさんのSSをまとめで見て何回も読み返しました
どれも素晴らしいSSで、それを読んで自分はまとめ民から板住人になりました
まさか生で投下に立ち会えるとは思っていなかったので、嬉しさと喜びで胸がいっぱいです
このSSも読み切ったあとの読後感が爽やかかつ幸せに胸に沁みました
気が早いですが、次作も期待しています
堅苦しい文章になってしまい申し訳ありません
114 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/10/02(月) 18:10:45.89 ID:5u5KxojXo
乙
やはり百合は素晴らしい
115 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/10/02(月) 20:59:58.67 ID:LCjH5iYvO
乙乙乙
116 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/10/02(月) 21:07:34.71 ID:D5bNAeCmo
純愛百合いいね
乙です
117 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/10/03(火) 08:29:38.09 ID:DZdUarGdo
乙
118 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/10/03(火) 08:48:43.30 ID:pFudXCwYO
>>113
嬉しいお言葉ありがとうございます。
IDを見て安価で百合を書いているあのお方だと気が付き驚きました。呻き声を上げながら読ませていただいておりますありがとうございます。
119 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/10/03(火) 13:30:23.87 ID:rGww3cvlo
乙
120 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/10/04(水) 03:18:54.39 ID:L1mdpTBbo
乙
121 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/10/04(水) 06:14:31.84 ID:ZPj46y9gO
乙
百合はいいね
122 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2019/01/26(土) 00:56:45.54 ID:3iibIeZw0
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クオリティの高いサービスを貴方に
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