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Pの姉妹はトレーナー!【アイドルマスターシンデレラガールズ】
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1 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/11/30(木) 11:27:41.04 ID:6/0ptyab0
両親が事故で亡くなってから僕の人生は変わった。
麗「今日からわたしたちは姉弟だからな」
親戚である青木さんちの長女『麗』がそう言った。
聖「私のこともお姉ちゃんって呼ぶんだぞ!」
次女の『聖』は鋭い目つきで言ったものだから、僕は怖くなって、頷いた。
聖姉ちゃんは満足げだったと思う。
明「あ、わたしも! わたしもお姉ちゃん!」
三女『明』も食いつくように身を乗り出した。
僕が呼ぶのを渋っていると泣き出しそうだったので、慌てて明姉ちゃんと呼んだ。
慶「お兄ちゃん!」
それだけ言って抱き付いてきたのが末っ子の慶ちゃんだ。
僕はよしよしと頭を撫でて、目いっぱい可愛がった。
それから月日が流れて、俺も晴れて社会人二年目を迎えた。
先日、明姉ちゃんの24歳の誕生日を祝い、暑い時期が今年も訪れる。
2 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/11/30(木) 11:28:34.27 ID:6/0ptyab0
俺、『青木詠』は姉妹たちと同じ、346プロダクションで働くプロデューサーだ。
アイドル部門の担当で、元気な新人アイドルを任されることになった。
姉たちは346プロの専属トレーナーで、アイドルのレッスンを指導している。つまり嫌でも顔を合わせることになる。さすがにこの歳で姉同伴というのは恥ずかしかったりするのだが、当の姉たちは気にしていない様子。
妹の慶ちゃんも大学で勉学に励むかたわら、アルバイトとして346プロダクションに来ては姉やアイドルのサポートをしている。
会社の先輩からはシスコンとなじられたりする。正直に言うと嫌だ。
まあ、シスコンはあながち間違いではないのだが……。
それは置いといて、明日の朝も早い。
俺はたまたま、姉妹との馴れ初めを思い出して感傷に浸っていたのだが、明日の仕事のことを考えて就寝することにした。
就寝時刻は22:00だった。
夢を見ていたかもしれない。
『……て……きて……お……て……』
聞き覚えのある声が耳元に届いてきたと思ったら突風に襲われた。
3 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/11/30(木) 11:29:13.69 ID:6/0ptyab0
詠「うわっ!」
突然のことに驚いて目が覚める。
目の前には掛け布団を高々と掲げる明姉ちゃんの姿。どうやら引っぺがしたらしい。
今は夏だが、これを冬にやられると寒いのだ。
明「起きた!」
布団を持ったまま小声で言うと、にこりと笑う。
詠「起きるよ!」
明姉ちゃんに合わせて小声で返事をする。
今は朝の5時。
彼女の出勤時間はなんと朝の9時。ちなみに俺はもっと遅い。
この時間に起こされる理由は明姉ちゃんの趣味と関係がある。
いや、今となっては趣味というか日課に近い。
明「30分で用意してね」
詠「りょーかい」
俺はこれから彼女と出かけるのだ。
もちろんショッピングなんかではない。店も開いてないので。
俺は言われた通り30分以内で用意を済ませる。
下はランニングタイツにハーフパンツ、上はスポーツウェア。
4 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/11/30(木) 11:30:09.53 ID:6/0ptyab0
明姉ちゃんはもう準備バッチリだった。
ランニングタイツとショートパンツを穿いており、ややぴっちりしたボーダーのウェアとシンプルなデザインのキャップを着用。髪は後ろでまとめている。
2人で玄関へ行き、色違いだが同じランニングシューズを履いて外へ出る。
明姉ちゃんの指導でストレッチを行い、ランニングするのだ。
もうお分かりだろうが、明姉ちゃんの趣味とは早朝ランニングだ。
3年くらい前にこの趣味に誘われてから毎朝一緒に走ってる。
雨の日にはご丁寧に防水グッズ一式を装備させられる。
俺は、明姉ちゃんが独りで走る姿を想像してしまい、同情して一緒に走るうちに毎朝の日課となってしまった。
ところで早朝は車の通りも少なく、なかなか気持ちのいいものである。
明「詠くん」
詠「何?」
明「最近どう?」
詠「普通だよ」
明「担当してる子売れそう?」
詠「さぁ? 彼女たち次第かな」
明「詠くんもしっかり支えてあげなきゃいけないよ」
詠「そりゃあ……もちろん」
そんな仕事の話をしながらランニングをする。
鬱陶しく感じる湿気と気温。まさしく夏を告げている。
5 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/11/30(木) 11:30:49.45 ID:6/0ptyab0
明「ただいま」
詠「ただいま」
帰ってきたのは朝の6時を少し過ぎた頃。
明「お帰り」
詠「お帰りなさい」
他の姉妹たちから『ただいま』の返事は無いので、俺と明姉ちゃんはお互いで返す。
ちょっとしたおふざけだ。
明「シャワー浴びてくる」
詠「おう」
明「覗かないでね!」
詠「覗かねぇよ!」
明姉ちゃんはにこにこと満足そうにバスルームに向かって行った。
俺をからかうのが好きらしい。
俺は起きてくる姉妹たちのためにも朝食作りを始める。
それと並行して弁当も作るのだ。
家事全般は青木家に引き取られたときからの、なんというか、恩返しのつもりで始めたことだった。
6 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/11/30(木) 11:31:30.70 ID:6/0ptyab0
ちなみにうちは姉妹4人と俺で暮らしてる。
職場が同じなので同じ場所に住んでるのだ。
そこそこ広く、俺も一人部屋を持っている。姉妹たちは二部屋を二人ずつで使ってる。もちろん俺の部屋よりも広い。
両親はというと、栃木に住んでいる。
早く孫の顔が見たいと言っていた気がする。
俺がちょうど料理を作り終えた頃、リビングと廊下を繋ぐ扉が開かれた。
麗「おはよう、詠」
詠「麗姉ちゃん、おはよう」
一番上の姉ちゃんだ。
きちんと身だしなみを整えてからやってきた。
上はスポーツウェア、下はスパッツにショートパンツ、機能性の靴下を着用していてスポーツのインストラクターって感じだ。
麗姉ちゃんは美しい所作で椅子に腰かけると俺の方をチラッと見る。
麗「いただきます」
麗姉ちゃんの真っ直ぐな眼で見られると、いつもドキッとしてしまう。
詠「どうぞ……召し上がれ」
麗姉ちゃんは黙々と食べ始めた。
7 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/11/30(木) 11:32:06.88 ID:6/0ptyab0
明「麗ちゃん、おはよう」
しばらくするとシャワーを浴びた明姉ちゃんが戻ってくる。
かかった時間からして、おそらく湯船にも浸かったらしい。明姉ちゃんの身体から湯気のほかほかが見える。
上気した頬や濡れた髪を少し色っぽいと思い、慌てて目を逸らした。
俺と明姉ちゃんも食卓を囲む。
明「いただきます」
詠「召し上がれ」
明姉ちゃんも俺の顔をチラッと見てから食べ始める。
朝食を食べていると廊下の方から扉を開閉する音が聞こえてきた。
この扉の開け方は聖姉ちゃんだろう。
聖「おはよ……」
寝ぼけ眼をこすりながら、麗姉ちゃんとは対照的な格好で入ってくる。
8 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/11/30(木) 11:32:39.91 ID:6/0ptyab0
詠「おはよう……聖姉ちゃん、だらしないよ」
聖「詠〜、着替えさせてよ」
そう言って後ろから俺に抱き付いてくる。
若干はだけたパジャマが目に毒で、聖姉ちゃんの顔もすぐ横まで近づくので少なからず意識してしまう。
麗「バカ言ってないでさっさと食え」
明「自分でやりなよそのくらい」
聖「冷たくない?」
詠「とりあえず離れてくれ」
聖「しょうがないな」
渋々、といった様子で聖姉ちゃんは俺の隣に座って箸を取った。
9 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/11/30(木) 11:33:24.01 ID:6/0ptyab0
聖「いただきます」
詠「どうぞ」
聖「ん、美味しい」
詠「そう、ならよかった。ところで、慶ちゃんは?」
明「いつも通り」
慶ちゃんは大学生になってから生活ペースが変わり、バイトの無い日はどこをほっつき歩いてるのか帰りが遅くなってしまった。
この前はベロベロに酔って帰ってきたりもした。まだ19歳だから心配でしょうがない。
この前なんかは携帯も繋がらなかったので、夜中にあちこち探し回った。
結局見つからず、俺が朝起きてもいなかったので本気で警察に届け出ようかと思ったものだ。
警察署に行こうと家を出たら玄関の前で慶ちゃんが寝ていたという事件は記憶に新しい。
麗「慶のやつ、たるんでるな」
詠「まあまあ、学生なんてそんなものだって」
本当は超心配だけど……。
10 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/11/30(木) 11:34:03.05 ID:6/0ptyab0
聖「お前も帰り遅くなったり、生活が乱れたりでお姉ちゃんたちを泣かしてたもんな」
詠「……すみません」
聖姉ちゃんの言う通りなので俺も強く言えないわけである。
聖「別に責めてるわけじゃないんだが? お前が帰って来ないのが心配で全然眠れなかったくらいだから大したことないんだが?」
詠「ごめんって」
ねちねち責めてくる聖姉ちゃんを少し鬱陶しく思いながら、過去の出来事を改めて反省した。
無断で丸一日家に帰らなかったことがあった。
帰った時、四姉妹に泣かれて生活を改めることにしたのだったか……。
麗「もう以前のことはいいだろう」
聖「あの時は心の底から心配したな」
麗「女々しいぞ。当時も家事はある程度やってくれてただろ」
麗姉ちゃんがフォローしてくれる。女神だ。
けど、当時の俺は朝起きれなかったので家事はほとんどやってません。すみません。
明「私は、大学生って暇なんだなーって思った」
詠「おっしゃる通りです」
明姉ちゃんはフォローしてくれない。大学生の俺を見て、だらしないやつだと思ってたに違いない。きっとイライラもしてたはずだ。
麗「まあ反省してるから今の詠があるわけだし、いいじゃないか」
麗姉ちゃんはやっぱり優しい。
こうして雑談を交えつつ食事を終えた俺は食器を台所に持って行ってシンク内で洗う。
11 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/11/30(木) 11:34:34.00 ID:6/0ptyab0
詠「じゃあ慶ちゃん起こしてくる。食べ終わったら食器、台所に置いといて」
明「起こすの早くない?」
詠「今日は確か1限って言ってたから」
聖「何で知ってるんだよお兄ちゃん」
明「シスコン」
詠「うるせー。聖姉ちゃんはさっさと準備しろ」
リビングから廊下に出る。
後ろから2人の、クスクスと笑う声が聞こえてきた。
またからかわれた。
俺は慶ちゃんの部屋の前で立ち止まる。
慶ちゃんは明姉ちゃんと同じ部屋だ。
その向かいの部屋が麗姉ちゃんと聖姉ちゃんの部屋。
俺の部屋はリビングに隣接してる。
俺はコンコンと2回ノックをして慶ちゃんの名前を呼ぶ。
当然というべきか、返事は無い。
詠「入るぞ」
控えめに断りを入れてドアを開ける。
12 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/11/30(木) 11:35:42.19 ID:6/0ptyab0
中断します。
続きは数日後に投下します。
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/11/30(木) 15:30:30.08 ID:V6cVyRpNo
女々しいって女に対して使うか?
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/11/30(木) 17:37:53.29 ID:MBJ9AupJo
>>13
【意味】 女々しいとは、柔弱である。いくじがない。未練がましい。多くは男性についていう。雄々しいの対義語。
ちょっとぐらい使ってもええんちゃう?
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage saga]:2017/11/30(木) 20:11:29.51 ID:KDooihwjO
うえから
れい
せい
めい
えい
けい
かな?
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/11/30(木) 23:20:39.72 ID:+b9rmG9I0
R要素は?
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/11/30(木) 23:55:21.84 ID:15MIHdhpO
慶ちゃん好き
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/02(土) 02:10:28.71 ID:z+UgG9hSO
>>13
女々しくて
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/02(土) 14:23:50.98 ID:BtyA39rO0
慶ちゃんは大学生になってから生活ペースが変わり、バイトの無い日はどこをほっつき歩いてるのか帰りが遅くなってしまった。
この前はベロベロに酔って帰ってきたりもした。まだ19歳だから心配でしょうがない。
未成年飲酒…?
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/02(土) 15:10:32.81 ID:vo/vKRyJo
まじやん草
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/02(土) 15:29:31.31 ID:4p1i4M7nO
これは大学エアプ
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/02(土) 15:35:22.50 ID:QfoOtgbTO
アルコール入りのお菓子食べちゃっただけだからセーフ
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/02(土) 16:17:07.96 ID:kBR/EyDSO
商業ならまだしも匿名掲示板に書かれた二次創作にそこまで求めてはいけない
ってか大学でなら新歓でのまされるだろう
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/02(土) 17:19:12.10 ID:H3nhD88o0
不穏やな
25 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/02(土) 20:10:20.53 ID:H3AEbMY60
慶「……」
スースーと寝息を静かにたてている。
昨日も遅く帰ってきて、きっと就寝時間も遅いだろう。
起こすのは正直忍びないが、これも妹のため……。心を鬼にして慶ちゃんの肩を揺すった。
詠「慶ちゃん、起きろ。今日1限だろ?」
慶「ぅん……うぅ……」
慶ちゃんは唸るだけで起きようとしない。
詠「起きろー!」
早朝の明姉ちゃんよろしく布団を引っぺがす。
徐々に慶ちゃんの瞼が開かれる。
完全に開くことはなく、目を細めたまま俺のことを認識したらしい。
慶「おはよ……お兄ちゃん……」
彼女はすっと体を起こして、ベッドの上で座り込む体勢になった。
26 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/02(土) 20:11:43.95 ID:H3AEbMY60
詠「おは……」
今更ながら慶ちゃんの格好がとんでもないことに気付く。
この妹、下着だけで寝てたらしい。
俺は顔に熱が昇ってくるのを感じた。
詠「ばっ……! 慶ちゃん、ちゃんと服を着なさい!」
慶「ふぇ?」
慶ちゃんから顔を逸らす俺。
自分の姿を確認する慶ちゃん。
慶「きゃっ!」
慶ちゃんは隠すように自分を抱く。
俺は慌てて手に持ってた掛け布団でベッドに座る慶ちゃんを包んだ。
詠「ご、ごめん。次から気を付けるよ」
慶「……べ、別にいいよ。気にしてない」
いや、「きゃっ!」て言って隠したじゃん、と思ったが黙ることにした。
27 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/02(土) 20:13:04.81 ID:H3AEbMY60
慶「……どうしたの?」
しばしの沈黙の後、先に口を開いたのは慶ちゃんだ。
詠「いや、慶ちゃん今日1限って言ってたろ? だから起こしに来たんだけど、こんなことなら姉ちゃんに頼めばよかったな」
慶「ううん。お兄ちゃんが来てくれて嬉しいよ」
にこっと笑う慶ちゃんは可愛くて、シスコンが加速してしまいそうだ。
慶「それに私の時間割、憶えててくれたんだ」
詠「ああ、起きれなくて遅刻とか欠席が重なったら困るだろ?」
慶「ありがと、優しいね」
詠「普通だよ普通。早く学校行く準備するんだぞ?」
慶「うん」
詠「あと風邪ひくから、その……し、下着だけで寝るのは……」
慶「はい、気を付けます……」
28 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/02(土) 20:14:14.26 ID:H3AEbMY60
生活が乱れたのは確かに気になるけど、慶ちゃんは俺の言うこともしっかり聞いてくれるし、良い子であることに変わりはない。
詠「おう、じゃあまた後でな」
そうして部屋を後にしたのだが、動悸が大変なことになってしまった。
妹相手にドキドキしたことが恥ずかしいし、背徳的な気持ちになってしまう。自己嫌悪だ。
リビングに戻ると、聖姉ちゃんと明姉ちゃんが様子の違う俺を見てまたからかい始めたりする。
聖「おや? 詠、まさか妹に手を出したんじゃないだろうな……」
明「えー! さすがに引くよ? シスコンくん」
詠「うるせー。聖姉ちゃんは早く準備してこいって」
俺がそう言うと、やっぱり二人は笑うのだった。
慶ちゃんもばっちり目が覚めて、身支度を終えた姉妹四人は同時に出かけた。
麗姉ちゃん、聖姉ちゃん、明姉ちゃんは自分らの職場へ。
慶ちゃんは通っている大学へ。
出勤時間がみんなよりも遅い俺は、洗濯や掃除など、家事をする。
だいたい九時半くらいにはすべて終わるので、ちょっと身だしなみを整えてから家を出る。
さて、やってきました我が職場346プロ。
29 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/02(土) 20:14:56.97 ID:H3AEbMY60
一年目はマネージャーの仕事を主にやってきた俺だが、今年からプロデューサーとして新人アイドルを三名預かることになった。
活発な女の子たちで、彼女たちとはすぐに打ち解けられた。
担当の少ない俺にはマネージャーは付かないらしい。
今日の予定はどうだったかと考えながら、アイドル部門の事務所に向かう。
詠「おはようございます!」
蓮「おう」
実に短く返事をくれたのは『渋谷蓮』さん。去年度、俺は彼の部下としてマネージャーをやっていた。思いやりがあってかっこいい人だ。
葉月「おはようございます」
優しい口調の彼女も俺の先輩で、蓮さんの同期である『島村葉月』さん。
黒髪ロングの美人さんで、しっかり者だがちょっと天然という可愛らしい一面もある。
面白いことに二人とも実の妹をプロデュースしてるのだ。
蓮さんの妹さんは半分俺のせいだけど……。
葉月さんは「私以外の人に妹をプロデュースさせません!」なんて言ってたっけ。
ちなみに蓮さんの妹さんは『凛』ちゃんで、葉月さんの妹さんは『卯月』ちゃんという名前だ。
30 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/02(土) 20:15:44.56 ID:H3AEbMY60
彼女たちは現役高校生なので、会うのはきっと夕方からだ。
俺の担当するアイドル三人も高校生なので、先輩の妹さんたちと仲が良かったりする。
特に大きな報告もなく朝礼は終わり、早速仕事を始める。
詠「蓮さん」
蓮「何だ?」
詠「この企画書見てもらっていいですか?」
蓮「どれ……」
と言って受け取ってもらう。ぺらぺらとレジュメをめくり、一通り目を通し頷いた。
蓮「いいんじゃないか?」
にっと笑って「頑張ったな」なんて言葉をかけてくれる。
俺は嬉しくなってちょっと顔が綻んだ。
葉月「詠くん。私にも見せてもらっていいですか?」
葉月さんの笑顔が眩しい。
俺は断る理由も無いので「どうぞ」と言ってレジュメを渡した。
31 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/02(土) 20:16:28.79 ID:H3AEbMY60
詠「どうですか?」
葉月「いいと思います! 詠くんの成長は目を見張るものがあります。私もうかうかしてられません!」
詠「そ、そんな……俺はまだまだですよ」
まさかのべた褒めで顔から火が出そうになった。
そんな感じで企画書作ったり、営業に行ったり、電話かけたり、報告書書いたり……。
あっという間に夕方になった。
これからアイドル達とミーティングしたり、ダンスや歌をチェックしてどういう感じで売り出すのか模索していくつもりだ。
「おはようございまーす!!」
元気に挨拶して現れたのは俺が担当するアイドルの『日野茜』ちゃん。
「おっはよープロデューサー!」
親しみを込めた近い距離感で挨拶してくれるのが『本田未央』ちゃん。
「おはようございます」
ゆるふわな雰囲気を纏ったおっとり系の『高森藍子』ちゃん。
この3人でユニット『ポジティブパッション』を組んでおり、俺は彼女たちのために、ひいては自分のために、どう売り込むか日々頭を悩ませるのだ。
32 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/02(土) 20:17:35.99 ID:H3AEbMY60
詠「おはよう。今日も元気だね」
未央「いやいや、何言ってるのさプロデューサー! 私たちはまだ女子高生だよ!」
茜「そうですよプロデューサー!! 元気が一番です!!」
藍子「ふふっ! 私は2人ほどじゃないですけど、一緒にいるとこっちまで元気になれる気がします」
藍子ちゃんの言ったように3人の雰囲気が他人に伝播していって、俺もすっかり疲れが飛んだ気がする。
詠「それはよかった。その様子じゃあレッスンも難なくこなせそうだ」
未央「うえっ! それとこれとは話が違うっていうか……」
複雑な表情をする未央ちゃん。前回のレッスンでこってり絞られたのは間違いなさそうだ。聖姉ちゃんあたりだろうか?
茜「未央ちゃん! そんなことではいけませんよ!! 気合があれば何でもできます!!」
藍子「それはちょっと無理があると思うけど……」
一瞬で未央ちゃんの元気が砕け散ったんですけど……。
思春期の女の子は難しい。
33 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/02(土) 20:18:23.50 ID:H3AEbMY60
詠「未央ちゃん。聖姉ちゃんは厳しいけど、レッスン終わったら俺がご飯連れてってあげるから頑張れ!」
未央「ホント!? 約束だよ! よっしゃ、やるぞー!」
茜「おお! 未央ちゃんのやる気がっ!!」
藍子「私たちもいいんですよね?」
詠「もちろん。何食べたいか相談しといて」
こうして3人はにこやかにレッスンへと向かった。
意外と単純なのかなぁと思いつつも、やる気になってくれたので結果オーライとした。
3人の「行ってきます」の言葉に俺は「行ってらっしゃい」と返した。
安請け合いするみたいにご飯奢るって言ったけど、あんまり高いものは嫌だなー。なんてケチなことを考える。
蓮「詠、お前担当の子たちと仲良いよな」
詠「え、そうですかね? 普通ですよ」
蓮「俺と凛を見てそんなことがよく言えるな」
詠「……なんかすみません」
34 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/02(土) 20:19:31.65 ID:H3AEbMY60
蓮「何でお前がスカウトしてきたのに担当は俺なんだよ……上も融通が利かないな」
詠「おっしゃる通りです」
蓮「島村は妹と仲良いよな」
葉月「まあ渋谷くんよりは良いですよね。青木くんもお姉さんたちと仲良しですし」
なんて兄妹談義をしていると、噂をすればというやつか……。
「おはようございます」
サラサラでロングな黒髪を持つ美少女が挨拶しながら事務所に入ってきた。
どことなく蓮さんの面影を感じるこの子が件の凛ちゃん。最初に会った時、カッコいい雰囲気に目を奪われたものだ。
「おはようございます!」
元気にお辞儀しながら挨拶した少女は葉月さんの妹の卯月ちゃんだ。
ふわっとした黒寄り茶色のロングヘアーの一部をサイドに纏めている。頑張り屋さんだ。
蓮「おう」
葉月「おはよう!」
素っ気なく返事する蓮さんに対し、満面の笑みでお迎えする葉月さん。
35 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/02(土) 20:22:56.18 ID:H3AEbMY60
詠「おはようございます!」
凛「あ、詠さん……その、おはよ」
ふいっと俺から顔を逸らす凛ちゃんとは何だか壁を感じる。
アイドルに無理に誘ってしまったし、もしかしたら嫌われてるかもしれない。
卯月「詠さん! おはようございます!」
詠「おはようございます!」
卯月ちゃんは誰に対しても人当たりがよくて俺にもよく構ってくれる。
卯月「あのー、詠さん」
顔色を窺うように卯月ちゃんはもじもじとしながら俺に声をかけてくる。
卯月「学校でテストが近くって……よかったら今度勉強見てもらえませんか?」
詠「俺でよければ……葉月さん?」
自分は二つ返事でオーケーしたいが、一応身内の方に許可をもらわなければと、葉月さんの名前を呼んだ。
葉月「卯月ちゃんがいいなら私は構いませんよ」
卯月ちゃんはそれを聞いて「やった!」と小さくガッツポーズした。
36 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/02(土) 20:24:12.51 ID:H3AEbMY60
詠「卯月ちゃん、分からないことあったら何でも聞いてください」
卯月「ありがとうございます! よろしくお願いします!」
素直に喜んでくれるのが俺としては嬉しい。
少し雑談してると横から「あの……」と声を掛けられる。凛ちゃんだった。
凛「詠さんって、その、勉強とか得意なの?」
おずおずと聞いてくる凛ちゃんは相変わらず目を合わせてくれない。
詠「得意っていうか……どうでしょう?」
よくわからない。
教えるのが上手なだけかもしれない。
卯月「はい! 詠さんはすっごく頭良いんですよ!」
凛「へぇ、そうなんだ」
驚いた様子で俺のことを見つめる凛ちゃん。やっと目を合わせてくれたな〜なんて思ってしまった。
凛「私にも教えてほしい」
詠「えっ!?」
凛「嫌?」
詠「全然! 嫌じゃないですよ」
嫌いな相手に教えを乞うほど切羽詰まってるのか……と失礼なことを考えてしまうが、俺は距離感が縮められればいいなと思ってたので結構嬉しい。
37 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/02(土) 20:25:11.33 ID:H3AEbMY60
詠「でも意外です。凛ちゃん、そんなに切羽詰まってたんですか」
凛「え? ……ま、まあそんなところ」
卯月「じゃあ三人で勉強会ですね!」
詠「えっと、蓮さん?」
お兄さんにも許可を頂かなくては……。
蓮「おう、凛が世話になる。よろしくな」
詠「はい!」
蓮「凛。詠に迷惑かけないように」
凛「わかってるよ」
傍から見ても鬱陶しそうに返事する凛ちゃん。
確かに兄妹仲はあんまりよくないみたいだ。お互い嫌いじゃないんだろうけど……。
というわけで卯月ちゃんと凛ちゃんの勉強を見る会が新たに俺のスケジュールを埋めた。俺も予習しないとな。
葉月「応接室使っていいですからね」
詠「いつから始めますか?」
卯月「ダメじゃなければ今日からお願いします!」
今夜から早速勉強することになった。
姉ちゃんたちには遅くなる旨を伝えておこう。
38 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/02(土) 20:27:13.35 ID:H3AEbMY60
中断します。
次回更新未定です。
質問等のレスには返信していった方が良いですか?
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/02(土) 22:38:24.79 ID:BtyA39rO0
どちらでもいいよ
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/02(土) 22:39:37.75 ID:EPlhvlXGo
オリキャラ満載になりそうだな
オリキャラもの嫌いだからオリキャラ注意入れて欲しかった
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/02(土) 22:52:58.88 ID:oeWia4Who
オリキャラとか名前をつけたキャラをまとめてほしいかな
42 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/03(日) 01:16:12.72 ID:pbpHD4lg0
オリキャラまとめ
青木詠
・プロデューサー
・トレーナー四姉妹の義理の兄弟
渋谷蓮
・プロデューサー
・渋谷凛の兄
島村葉月
・プロデューサー
・島村卯月の姉
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 04:32:59.87 ID:m+xtDitw0
乙です
ところでR要素はいつあーるのでしょうか?
44 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/06(水) 12:02:18.49 ID:NY0UoauB0
葉月「卯月ちゃん、頑張ってね!」
卯月「はい! 頑張ります!」
蓮「詠のやつけっこうモテるからうかうかすんなよ。おい凛聞いてる?」
凛「聞いてるってば。……ありがとう」
それでも4人とも兄弟姉妹として上手くやってるんだな。
彼女たちもレッスンへと向かい、気が付けば夜になっていた。
蓮さんと葉月さんは先にあがるので妹をよろしくと言って帰っていった。
俺に彼女たちを送れってことなんだろう。
社用の車を使うことにしよう。
現在二十時、高校生だから二十二時までには社を出たい。
俺たちは早速勉強を始めた。
卯月「うう、数学難しいです……私文系なのに」
詠「私立を受験するなら数学は要りませんよ」
45 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/06(水) 12:03:09.02 ID:NY0UoauB0
卯月「詠さんと同じ国立に行きたいので頑張ります!」
詠「そうですか、じゃあ俺も精一杯教えます」
俺が教えると卯月ちゃんは一生懸命聞いてくれる。
必然的に距離が近づいて少しドキドキしてしまう。
凛「……」
詠「あれ、凛ちゃんは特に問題なさそうですね?」
凛「合ってる?」
詠「よくできてますよ」
俺に教えてもらう必要も無いくらいに、次の試験範囲をしっかり押さえてあった。
どうして教えてなんて言ってきたんだろう?
凛「そっか。ここは?」
凛ちゃんは尋ねてくるたびにずいっと距離が縮まる。
端正な顔立ちが目の前にあって、俺は緊張をなんとか隠す。さっきの疑問は露と消えた。
慶「高校の問題ってこんなに難しかったっけ?」
詠「……何で慶ちゃんがここにいるんだ?」
慶「お兄ちゃんがいたいけな美少女に手を出さないか、監視するためだよ」
46 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/06(水) 12:03:40.43 ID:NY0UoauB0
詠「出さないっての」
慶「わからないじゃん。ね、卯月ちゃん、凛ちゃん?」
卯月「あはは……」
凛「はぁ……」
二人とも困ったように返事をする。
詠「こら、慶ちゃん。あんま二人の勉強の邪魔しちゃダメだよ」
慶「はーい」
凛「手出されても別にいいけど……」
卯月「詠さんならいいですけど……」
二人とも何かぼそっと呟いたけど聞こえなかったので「何か言いました?」と聞いてみた。
しかし、二人とも「何も言ってません」と否定するだけだった。
詠「そろそろ帰ろうか」
時間も遅くなってきたので社用の車を使って二人を送る。慶ちゃんも、一人で返すのは危ないので一緒に乗せる。
助手席に慶ちゃん、後部座席に凛ちゃんと卯月ちゃんが乗る。
幸いというべきか二人の家は会社からあまり離れていない。
47 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/06(水) 12:04:47.35 ID:NY0UoauB0
詠「凛ちゃんのお家は花屋さんでしたよね?」
凛「そうだよ。その通りをずっと真っ直ぐ」
五分ほど走ると花屋の前に着いた。まあ何回も通っているので分かるのだが。
凛ちゃんのお母さんが家の前で待機している。
おそらく凛ちゃんが連絡しておいたのだろう。
凛「ありがとう、詠さん」
詠「いえいえ、私にできることなら何でも言ってください」
俺は先に車を降りて後部座席を開ける。
凛ちゃんと一緒に凛ちゃんのお母さんの元まで歩き、俺は挨拶する。
詠「こんばんは。346プロダクションの青木詠と申します。遅い時間まで娘さんを拘束してしまって申し訳ありません」
深々とお辞儀した。
凛ちゃんはその様子を見てポカンとしていたと思う。
凛母「いえ、こちらこそ凛がいつもお世話になってます」
凛ちゃんの面倒を見てるのは主にお兄さんなのだけど。
凛ちゃんは家では俺の話ばかりしてくれるらしいので、凛ちゃんのお母さんも俺のことを知っていたようだ。
凛「ちょっとお母さん、余計なこと言わなくていいから」
凛ちゃんはそう言いながら顔を赤くする。
48 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/06(水) 12:05:44.99 ID:NY0UoauB0
凛「詠さん」
いったん落ち着いてから俺の名前を呼び、こちらを向く。
詠「何でしょう?」
凛「ちょっとしゃがんで」
詠「? こうですか?」
よくわからないけど、言われたままに俺は凛ちゃんの前にしゃがみ込んだ。
凛ちゃんはきょとんとしてすぐ吹き出した。
……かと思えば俺と同じようにしゃがみ込む。
凛「詠さん、しゃがみすぎ」
次の瞬間、彼女の唇が俺の頬に触れる。
凛「今日はありがとう。そのお礼だよ」
俺はきょとんとしてたと思う。
しばらくしゃがんだまま動くことができなかった。何というか……意外だった。
凛ちゃんのお母さんは「大胆ねぇ」とか言ってた。
慶「お兄ちゃん」
慶ちゃんに声を掛けられてハッとした。
詠「お、おう! 次行くか! それじゃあ……」
49 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/06(水) 12:06:48.64 ID:NY0UoauB0
凛ちゃんはさっきより顔を赤くして手を振ってくれた。
隣のお母さんはニヤニヤしていた。
凛「詠さん、そういうことだから!」
詠「わかりました。ありがとうございます。少し時間をください」
これで気づかないほど俺も馬鹿ではない。
告白されたんだ。どうしたものか……。
恋愛感情は抱いてない。でも今彼女を女性として意識し始めてしまったのも事実だ。
何より可愛いし美人だし魅力的な少女だ。
そんな子が俺を好きって言って……ないけど、行動で示してくれた。
確かに大胆だったけど。
悶々としながら運転席に戻る。
何だか空気が重い。
詠「どうしたの?」
慶「べっつにー!」
卯月「……」
車を出してからは質問攻めだった。
慶「どうするの? 付き合うの? アイドルだよ? 恋愛禁止じゃないの?」
詠「そんないっぺんに聞くなよ。付き合うことは……今はできないけど、彼女とはちゃんと向き合って考えるよ。正直、さっきの出来事で女性として意識してる」
慶「本当に手出したら犯罪だからね?」
50 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/06(水) 12:07:24.83 ID:NY0UoauB0
どことなく慶ちゃんの口調が強い。責められてる気分だ。
どうせすぐ職場に広まるんだろうなと関係無いことも考えたりした。
詠「わかってる。だからちゃんと向き合うってば」
そういえば俺は誰かを好きになった事なんて一度も無いような気がする。
詠「好きって、どういうことなんだろうな……」
慶「そう言えばお兄ちゃんの恋愛話聞いたことなかったかも」
詠「人を好きになったことない……のかな?」
慶「でも私のこと好きでしょ?」
詠「それは……好きだけど」
卯月「私はどうですか?」
不意に卯月ちゃんも後ろから話しかけてくる。
詠「卯月ちゃんのことも好きだと思います」
慶「誰でもいいのか!」
なんて冗談っぽく言って笑う慶ちゃん。
51 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/06(水) 12:07:59.52 ID:NY0UoauB0
詠「いや、でもみんなそういう好きじゃない」
なんというか……好きだけど好きじゃない。
詠「恋愛的な意味で好きってことじゃないと思う」
正直に答える。
詠「でも恋愛的な意味での好きってのもよく分からないんだけどな」
明るく返したつもりだったが、卯月ちゃんは少し真面目なトーンで言葉を紡ぐ。
卯月「恋って、いつもその人のことが頭から離れなくて、触れたいと思ったり、求められたいと思ったり、その人のこともっと知りたいと思ったり、その人と子供を……」
そこで不自然に途切れたのでバックミラーを見てみると、卯月ちゃんはうつむきがちになり、顔をほのかに赤らめている様子だった。
詠「そうなんですか。僕にはまだよくわからないですね」
慶「お兄ちゃんの年齢だったらそろそろ焦った方がいいよー。相手がいないって問題でしょ」
詠「結婚とか恋愛とか考えたこと無かったな」
多分両親が死んだときから全く考えてなかっただろう。
青木家に引き取られてそれなりに幸せな生活を送って、どうやって恩返ししていこうかとか考えて、そしたら自分の幸せはすっぽり抜けて……。
そうじゃなくて、今の両親と姉妹の幸せが俺の幸せなんだろう。
52 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/06(水) 12:08:31.36 ID:NY0UoauB0
だから自分のことは二の次だった。
詠「ま、向き合ってみようかな?」
慶「凛ちゃんと付き合うの?」
詠「それは……どうしよう」
好きか嫌いかで言えば好きだ。
勇気を出して告白してくれたことも無下にはできない。
けれども、俺の言う『好き』は『愛してる』とは違う感情だと思う。
それで付き合うのは凛ちゃんに対して失礼ではないか?
悶々と考え事をしていると卯月ちゃんの家の前に着いた。
葉月さんがお出迎えのため家の前に立っていた。
先ほどと同様に俺も卯月ちゃんと車を降りて挨拶する。
詠「葉月さん、妹さんを遅い時間まで拘束してすみません」
葉月「ううん、気にしないでください。卯月ちゃんから連絡きてたので」
続けて「卯月がお世話になりました」とお辞儀までしてきて何だか恐縮した。
卯月「詠さん、今日はありがとうございました!」
葉月「明日もお願いしますね」
詠「あ、はい」
明日も勉強会をすることが決まった瞬間だった。
53 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/06(水) 12:09:10.87 ID:NY0UoauB0
詠「じゃあ私はこれで……」
と踵を返そうとすると、袖をきゅっとつかまれる。
卯月ちゃんがうつむいたまま俺の袖を握っている。
卯月「詠さん!」
俺の名前を呼びながら、ぱっと顔を上げる。
卯月「私も好きですっ!!」
さっきの会話のやり取りから勘違いを避けるためか「……れ、恋愛的な意味で」と付け足した。
詠「え……」
俺は意外なことが続けて起こったことに対して、完全に固まってしまった。
卯月「す、すみません……詠さんが困っちゃうって思ったんですけど……」
少し涙ぐむ卯月ちゃん。
彼女も困惑してるように見えて、俺の戸惑いが薄れていく。
卯月「凛ちゃんの告白見たら私も勇気出さなきゃって思って……。それに、詠さんが誰かと付き合うのを黙って見ていられませんでした」
きっと彼女も悩んで選択した答えなんだろう。
凛ちゃんに対する罪悪感や、先を越されたという焦りが感じ取れる。
例え早まったとしても、それでも卯月ちゃんの想いに嘘偽りが無いことは伝わった。
54 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/06(水) 12:09:41.62 ID:NY0UoauB0
卯月「だから、わがままですけど、自分勝手で最低な話ですけど! 詠さん、私と付き合ってほしいです! ……って言ってはダメですか?」
卯月ちゃんは泣いていた。
俺も感情が昂って、思わず泣きそうになってしまった。
言うだけならいいじゃないか。
よくよく考えたらそれこそ酷い話だと思う。
後で分かった事なのだが、恋愛ごとで相手に希望を残しておくのはとても残酷なことなのだ。
けれども俺は「考えさせて」なんて命乞いをするみたいに醜い延命行為のようなことを言ってしまった。
決断できない。優柔不断。傍から見れば二人の女性をキープしてるようなクズ野郎にも見えるかもしれない。
嬉しいはずが苦しくなってきた。今すぐこの世から逃げ出したいとさえ思った。
詠「必ず、答え出しますから」
俺にはそう言うのが精一杯だった。
卯月ちゃんは自身をわがままだとか最低だとか言っていたけど、俺は本当に良い子だと思う。
55 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/06(水) 12:10:09.51 ID:NY0UoauB0
卯月「私、詠さんがどんな答えを出しても大丈夫ですから」
でなきゃ、そんな言葉と笑顔は出てこない。
卯月ちゃんの隣で葉月さんは彼女の頭を撫でながら、俺にも優しい笑顔を向けていた。
どんな答えでも大丈夫だから気にしないでと言ってるようだ。
俺にはその優しさが辛かった。
挨拶をしてすごすごと車に戻る。
慶「お兄ちゃん……」
か細い声を出す慶ちゃんを横目で見る。
心配そうに、あるいは呆れたようにこちらを見つめていた。
詠「なあ、俺ってモテるの?」
慶「妹にそれ聞く?」
詠「いや冗談だよ。ごめん」
慶「謝ることないけど……」
数秒の沈黙。
卯月ちゃんたちは自宅へ戻ったけど、俺は車を発進できないでいた。
慶「とりあえず帰ろうよ」
詠「ああ……」
慶ちゃんに促されてようやく帰路に着く。
車のキーを会社に返して、徒歩で家に向かう。
56 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/06(水) 12:14:21.58 ID:NY0UoauB0
中断します。
R要素はそのうち出ます。
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 14:08:22.96 ID:5eSXr+/R0
おつ
R要素期待
58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 16:15:19.55 ID:2X2zhBUnO
ハーレム期待
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 18:30:39.81 ID:dHu7+5rdo
おつ
某同人の某女系家族みたいな感じにならなければいいのだけれど
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 19:43:59.92 ID:2skxTVQoO
慶ちゃんはブラコンかわいい
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 22:34:29.98 ID:IcMo+sFzO
実際ルキトレちゃんが一番かわいいしエロいよね
62 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2017/12/07(木) 13:36:43.49 ID:xyRsIsvV0
慶「お兄ちゃんさ」
不意に口を開く慶ちゃんに相槌を打つ。
慶「自分で気づいてなかったと思うけどモテるよ? 紹介してって言われたこと何回かあるし、麗ちゃんたちも言われてたんじゃないかな?」
詠「まじか……いや、一回くらい告白されたことはあるけどさ……」
慶「振ったんだよね、その時」
詠「そうだったな。付き合うってことがよくわかんなくて結局無かったことにした気がする」
慶「あはは、最低だ!」
けらけら笑いながら「女の子が可哀想だー」と続けた。
慶「ま、お兄ちゃんがどんな答えを出しても私はいいんだけど……」
そこでいったん言葉を区切っているように思えた俺は、歩きながら横にいる慶ちゃんの顔を見た。
うつむきがちで表情は読み取れないが、少しもの悲しそうな雰囲気が伝わってくる。
慶「……実は私も好きなんだよ」
意を決したようにつぶやいた。声は震えていた。
俺は黙っていた。なんとなく、そう言われるかもしれないと察していたのだと思う。
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