【艦これ】悪鬼が出るか大蛇が出るか【あんこ】

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

68 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga ]:2018/01/21(日) 23:32:46.97 ID:6ce1C2cbO

【えぇ……】



「んんっ……仕事も単調な裁決事項ばっかだし終わっちゃったか」

時間はまたも昼過ぎの気怠い午後。
ただし今日はイムヤもいないし、あきつ丸といった来客も無かった。ちょっと寂しい。

「……………………風俗でも行くか」

行く、行くったら行く。今心に決めた。
そもそも忍耐を続けろというのが土台無理な話なのだ。

自分に興味が無さそうなRomaは別としても。
矢鱈と構いたがってくるイムヤ。
頻りに身体を寄せてくるあきつ丸。
嫌われているとはいっても大事な約束を交わした愛宕。
いや、Romaだって最近は一緒にスイーツを探してみたりする。

つまり、なんだ。
特殊な兵士とはいえ見目麗しい女性に囲まれていては、困る。
目には優しいが股間と理性によろしくない、困る。

とはいっても早寝快眠の御蔭だろうか、
昨日から矢鱈と全身が元気に満ち溢れている。
一人で終わらせてしまっても何かスッキリしない予感がある。

お誂え向きに以前ここに来た同期がいい店をおしえてくれているのだ。
持つべきはエロトークのできる友人である。

「…………どんな子にするかなぁ」






168「…………………………………………」



【何なのもう……】



0.明るい髪の元気な少女
1.色白で陰のありそうな女の子
2.ここはパツキンお姉さん
3.明るい髪の元気な少女
4.色白で陰のありそうな女の子
5.ここはパツキンお姉さん
6.取り敢えず大車輪確定で
7.明るい髪の元気な少女
8.色白で陰のありそうな女の子
9.ここはパツキンお姉さん
ゾロ目.ガシャン
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/01/21(日) 23:40:37.25 ID:6ce1C2cbO

「あら、出掛けるの? 」

「あぁ。何か買ってきてほしいものでもあるか? 」

「美味しい江戸揚げが食べたいわ」

「了解。……Roma、それはスイーツか? 」

「いいじゃない。最近煎餅にハマってるのよ。それじゃ」

「ん」



出がけに会ったRomaと言葉を交わして駐車場を目指す。
美味しい江戸揚げなんてものが一体どこで売っているというのか。

スマホがあるとはいえ賢者タイムにそんなものを、
上官に探させるのはどうかと思う。
いや、彼女は俺の外出理由なんて知らないが。

「っと……しっかし寒くなってき



「司令官? 」

「は、はいっ? 」

…………今度は、何だ。いよいよ限界なのだが。



【他の選択肢じゃなくてよかったですねぇ】



0.今日は愛宕さんの歓迎会だよ?
1.パンクしてない?
2.街に行くならイムヤも連れてって?
3.パンクしてない?
4.今日は愛宕さんの歓迎会だよ?
5.パンクしてない?
6.街に行くならイムヤも連れてって?
7.パンクしてない?
8.街に行くならイムヤも連れてって?
9.パンクしてない?
ゾロ目.ふふ……駄目だよ? 売女なんて

70 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/01/21(日) 23:46:12.88 ID:6ce1C2cbO

168「街に行くの? 」

提督「ん? あぁ、ちょっと野暮用でな」

168「ふーん……」

提督「何だ? もし欲しいものがあるなら言ってくれれば買っ

168「パンクしてない? 」

提督「うん? 」

168「パンクしてると思う」

提督「……………………は? 」

168「今日は下士官の人たち訓練とかで忙しそうだったけど……呼んでくる? 」

提督「い、いやいいさ、そんな大した用事じゃないし」

168「そっか。じゃあまたイムヤが紅茶、淹れてあげる」

提督「頼むよ」

168「うんっ。……それにしても誰がこんなことしたんだろうね? 」

提督「あぁ。……………………誰? 」



見渡した限りタイヤに穴を空けた釘は、
俺が死角になってイムヤには見えなかった筈だが。
いや、最初にパンクに気付いたくらいだし彼女には他の釘でも見えていたのだろう。

…………それより、Romaは機嫌を悪くするかもしれないな。



【次は無いよ】
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/01/21(日) 23:50:28.10 ID:6ce1C2cbO

提督「…………はぁ」

あきつ丸「? お身体に問題でも? 」

提督「一面では正しい」

あきつ丸「は? 」

提督「怖い顔するなって。単にまぁ、不満というか元気が有り余ってるだけだ」

Roma「最近はトレーニングの負荷も増やしているものね」

愛宕「軍人としては当然だけれどねぇ〜 」

提督「うっさい。……ま、そういうことだ。不調とかじゃない」

あきつ丸「それならば、いいのでありますが」

168「…………ふふ」



【適度に発散した方がいいと思うよ? 】



0.出撃
1.建造
2.出撃
3.お話
4.イムヤ
5.建造
6.愛宕
7.出撃
8.あきつ丸
9.建造
ゾロ目.……今日こそ風俗。行くったらイく
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/01/21(日) 23:53:58.60 ID:6ce1C2cbO

Roma「余裕よ」

愛宕「あの二人がまともに働いてくれればね」

Roma「……ちゃんと牽制してきたんでしょう? 」

愛宕「まぁね。たぶん大体きっと」

168「与えられた仕事はするよ? そうじゃないと司令官と一緒に幸せになれないもん」

あきつ丸「ハンッ、戯言を」

168「は? 」

あきつ丸「あ? 」

提督『えーっと、今日の敵はどんなやつらかなぁ』



【会敵】



0.余裕
1.辛勝
2.余裕
3.辛勝
4.辛勝
5.余裕
6.余裕
7.惜敗
8.余裕
9.撤退
ゾロ目.ドロップ
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/01/21(日) 23:56:52.01 ID:6ce1C2cbO

【余裕余裕。まだいける】



Roma「やればできるじゃない、あなたたち」

168「恋する女の子は強いから」

あきつ丸「同意してやるでありますよ」

愛宕「いったぁい……Romaは兎も角として何でこの子たち無傷なの? 」

提督『また本営から褒美が来るな』



【もう少し厳しくてもよかったね。反省反省】



0.金
1.物資
2.物資
3.金
4.金
5.物資
6.物資
7.見合い相手
8.金
9.金と物資
ゾロ目.艦娘
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/01/21(日) 23:58:37.31 ID:6ce1C2cbO

【順当なところ】



提督「ほう……仲間を増やす幅が広がったな」

あきつ丸「要らないであります」

提督「や、でもあきつ丸たちだって絶対的というわけで

あきつ丸「要らないであります」

提督「でも万がい

あきつ丸「要・ら・な・い、であります」

提督「…………」



【建造の可能性が増えたよ! やったね! 】
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 00:01:42.94 ID:HgOBihD0O

あきつ丸「……手を組むべきかもしれんな」

168「……そうだね」

あきつ丸「本営からの命令は仕方無いとして、如何に提督殿に

168「建造なんて愚挙に出ないでもらうか」

あきつ丸「…………」

168「…………」

Roma「あら、あの男の選んだ江戸揚げ、いいわね」



愛宕「…………何であんなのが仲間なのかしら」

提督「うん? 」



【建造増えたよ】



0.建造
1.出撃
2.建造
3.お話
4.イムヤ
5.建造
6.愛宕
7.建造
8.あきつ丸
9.建造
ゾロ目.……仕方無い一人でヌくか
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2018/01/22(月) 00:02:40.04 ID:HgOBihD0O

何故またピンポイントでくるのか何なのか
ともあれ順調で何より

また、よろしくお願いします
ありがとうございました
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 00:10:12.14 ID:UJmfj6Jlo
おつ
むしろまだヒロイン確定してないの?おっそーい!レベルなんだよなこのシリーズじゃ
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 00:20:17.01 ID:XdnXpRHEO
おつおつ。イムヤルートかな?
能代や大和のようなことにならんといいが、何かみんな病んでるのよね……ROMA以外。
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/03(土) 21:39:19.30 ID:N3n9cBeCO

ねぇ、司令官? イムヤ知ってるんだからね。
あなたが無理して我慢しているってこと。
その所為で世迷言に惑っちゃったこと。
イムヤのこと酷く酷く傷付けたこと。
お仕置きが仕方無くなったこと。

何がいい?
イムヤのこと刻むやつ?
イムヤのこと確認する?
イムヤのこと貪るやつ?
イムヤのことに気付く?
なーんて……
放置されたことくらい、許してあげる。
だって、イムヤとあなたの仲だもん。

イムヤとしては、イムヤにあなたを確認させてほしいのだけれど。
でも、それじゃあきっとお仕置きにはならないから、だからーーーー



【 ???? 】



0.刻む
1.確認させる
2.貪らせる
3.気付かせてあげる
4.気付かせてあげる
5.刻む
6.気付かせてあげる
7.確認させる
8.気付かせてあげる
9.貪らせる
ゾロ目.貪る刻む認めよ忘れるな
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/03(土) 21:47:35.71 ID:WfilrWn5o
ひええ
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/03(土) 21:47:43.36 ID:N3n9cBeCO

「な、何だ……これ」

俺は、何をしていた?
何をしていれば自分の寝台に身体を磔にされる?
鎖なんてものはどうやって手に入れる? 手枷なんて本当にどこで?

只管に全く意味が分からない。分かりたくない。
何やら最近の疼きも度を越して、酷い。

頭だけが熱に浮かされたように呆とするのに、身体は鋭敏だ。
食い込んだ手枷の痛みは既に神経接続された針の如く自分を責め苛む。

「ねぇ……あなた」

「イ……ムヤ? 」

唐突に寝台の左側から出てきたのは、イムヤ。
何くれとなく俺の世話をしてくれる女の子。
可愛らしさと女らしさを同居させた美少女。
しかし…………

「…………解けよ」

「知ってて言ってるの? 」

「…………」

俺は鈍感難聴ではない。そもそも主人公になったつもりも無い。…………だからーーーー


【…………助けてくれ】



0.残念、現実は非情である
1.残念、現実は非情である
2.残念、現実は非情である
3.残念、現実は非情である
4.残念、現実は非情である
5.提督殿!
6.残念、現実は非情である
7.巫山戯んのも大概にしろ!
8.残念、現実は非常である
9.巫山戯んのも大概にしろ!
ゾロ目.あぁ、そう……もう据え膳とか皿まで舐めてやるわ
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/03(土) 21:54:30.95 ID:WfilrWn5o
やっとヒロイン確定す
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/03(土) 21:59:33.26 ID:N3n9cBeCO

「……イムヤ」

「あなたが悪いの。イムヤが居るのに他の女、しかもクズの売女なんて」

磔にされた時点で何もかも狂っているとは思うけれど。
そもそも、媚薬だか精力剤だか謎の、
成分も副作用も不明な何かを飲まされていたであろうことも狂気だけれど。
絶世、と言ってもいい美少女が十人並みの俺にこんなことをするのもイカれているけれど。

「やめろ、やめろよイムヤ……イムヤぁ」

巨大な裁ち鋏が俺の軍服を寸断し斬り刻み布切れ未満のゴミクズに変えていく。
冷たい刃が時折肌に触れることが背筋を凍らせる程恐ろしい。

愛、愛?
愛って何だろう?
当然こんな子に好かれていることに嫌悪なんて感じない。

ちょっと頭がいいだけの青二才。
評判の風俗にときめくそれなりの変態。
或いは一般的男の子。

そんなやつにこの愛は、重くない?
どういうこと? 何が起こっているの? パニック? パニクっていい? どうしたらいいの?

「あなたが悪いの、あなたが悪いの、あなたが悪いの……イムヤがいるのに、イムヤがいるのに」

「ま、まだ間に合っヒッ! 」

ベッドサイドの僅かなライトでしか照らされない薄暗闇に一際光る鋏が食い込む。
太腿って切るもの? いや、刺すものだっけ?

「いっ、たいっーーーー…………! 」

「黙って」

「ーーーー」

寸断されて見る影も無い衣服が下着ごとまとめて放り投げられる。
大の男が呆気なく剥かれて、嗚呼、無様を晒している。

「あはっ、これじゃあお仕置きにならないかもっ……! 」

「…………」


【二度目は無いって言ったよ? 】



0.痛み
1.共有
2.痛み
3.共有
4.だから、刻む
5.痛み
6.共有
7.痛み
8.共有
9.惹かれていたのにッ
ゾロ目.男は狼
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/03(土) 22:10:20.10 ID:N3n9cBeCO

「ごめん、こめんねあなた」

「は、は……? 」

ーーあなたが悪いよね?
あなたが悪いのあなたが悪いのあなたが悪いのあなたが悪いのあなたが悪いのあなたが悪いの
あなたが悪いのあなたが悪いのあなたが悪いのあなたが悪いのあなたが悪いのあなたが悪いの
あなたが悪いのあなたが悪いのあなたが悪いのあなたが悪いのあなたが悪いのあなたが悪いの
あなたが悪いのあなたが悪いのあなたが悪いのあなたが悪いのあなたが悪いのあなたが悪いの
あなたが悪いのあなたが悪いのあなたが悪いのあなたが悪いの……!

でも

ーーイムヤも悪いよね?
イムヤも悪いのイムヤも悪いのイムヤも悪いのイムヤも悪いのイムヤも悪いのイムヤも悪いの
イムヤも悪いのイムヤも悪いのイムヤも悪いのイムヤも悪いのイムヤも悪いのイムヤも悪いの
イムヤも悪いのイムヤも悪いのイムヤも悪いのイムヤも悪いのイムヤも悪いのイムヤも悪いの
イムヤも悪いのイムヤも悪いのイムヤも悪いのイムヤも悪いのイムヤも悪いのイムヤも悪いの
イムヤも悪いのイムヤも悪いのイムヤも悪いのイムヤも悪いのイムヤも悪いのイムヤも悪いの

胸板を這う指先がひんやりと、しかし熱を持って身体を撫で回す
剥き出しになった逸物には反対の指先がネットリと絡みつく

耳元に寄せられた口から発されるのは、呪詛か、悪意か、それとも叫びか

「ふふ……怖がらなくてもいいわ。あなたへのお仕置きは馬鹿な私への罰でもあるの」

強制的に隆起させられたソレが高速で扱かれる。
早く早く早く、しかしときに先端を責めることも忘れない。
外気にさらされて緊張した乳首も抓られる。

「無防備って恐ろしいでしょう? 怖いでしょう? 孤独を覚えるでしょう? 」

「…………」

鋏、鋏はどこにーーーー

「だーめ……だめよあなた。私とあなたが溶け合うのに無粋なものは何一つとして要らないの、だってーーーー

邪魔なものは、この世に存在する価値なんて無いもの。

ーーーー…………痕を刻むのなら、刻むモノも私たち自身でなくっちゃ、ね?





数瞬。時が止まって、そして痛みでまた、現実に引き戻される。

煌めいた犬歯が、やけに綺麗だったように、きっと後から思い出すのだろう、なんてーーーー






「あはっ……! あなたの血肉が、痛みが、叫びが、こんなに! さぁ! 私の心も、魂も、全てっ、さぁ……! 」
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/03(土) 22:11:21.96 ID:NJoxBafAO
おうゾロ目でさっさと狼になってイムヤの愛に応えるんだよあくしろよ
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/03(土) 22:16:29.74 ID:N3n9cBeCO

愛宕「…………」

Roma「…………」

愛宕「…………」

Roma「…………こういうことよ」

愛宕「…………はぁ」






提督「いっつ……」

168「ごめんね、ごめんね……でも仕方無かったの。許してなんて言わないわ、私も絶対許さないし」

提督「ひっ…………や、やめ」

あきつ丸「提督殿が嫌がって、いや、怖がっているだろうがッ! 」

168「ふぅん? それで? 」

あきつ丸「なっ…………」

168「イムヤだって同じところに同じ数の痕付けてもらったもん」

あきつ丸「なっ…………! 」

愛宕「…………羨ましい」

Roma「そういやドのつくドM…………帰りたい」



【ゴールが近付いて参りました、か? 】



0.痛みこそ愛
1.出撃
2.建造、或いは修羅場
3.出撃
4.痛みこそ愛
5.待つであります
6.痛みこそ愛
7.痛みこそ愛
8.殉愛
9.痛みこそ愛
ゾロ目.お前、大概にしておけよ……
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/03(土) 22:25:55.01 ID:0ciA1QXCO
これは据え膳を食わない男の恥さらしですわ
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/03(土) 22:26:21.44 ID:N3n9cBeCO

許せるか、といえばそれは否。
許したいか、といわれればそれは、否。
では嫌悪するのか、問われれば、それも否。
愛するのか、そう訊いてくれなくては。

「い、イムヤ」

「なぁに? 」

何て、何て、尊いのだろう。
一人の、冴えない男にここまで殉粋な笑顔を向けることのできる無垢な少女。
一つの望みだけを抱いて大海にでも臨める女。

毒々しい? 馬鹿な。貴様が女の愛を知らないからだ。
禍々しい? 悲しい。貴様が無垢な献身を知らないからだ。
恐ろしい? 可哀想に。貴様が痛みという共感を識らないからだ。
愛とは、痛みだ。痛みとは、相互理解の道具に他ならない。

「首が……痒いんだ」

「ふぅん? 」

それで? 何が言いたいの? なんて……そんな澄ました顔も可愛らしい。
でも、意地悪なんてこと、してほしくない。

「頼むよ……イムヤ」

「だから、何が? 」

笑みは濃く、瞳の色は濃く、そしてきっと愛も濃く、濃厚に、刻んでくれる。
生の実感が湧かない人生なんかよりも万倍マシだ。
否、そんなものと比べるのも烏滸がましい。

愛は、痛みは、共感っていうのはーーーー

「あなた? その前に、昨日愛宕と何か話していたでしょう? こそこそと」



【これが本当に最後】



0.……ごめん
1.許してくれ
2.……ごめん
3.許してくれ
4.……ごめん
5.約束は忘れられない
6.……ごめん
7.約束は忘れられない
8.約束は忘れられない
9.……ごめん
ゾロ目.敵襲
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/03(土) 22:27:36.32 ID:0ciA1QXCO
据え膳ではなく敵襲の時にゾロ目が出るかー
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/03(土) 22:28:57.00 ID:TQiRTYlhO
うーんこの
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/03(土) 22:47:04.59 ID:N3n9cBeCO

「……ごめん、イムヤ。全部、言うよ。愛宕と前に約束したことがあっーーーー

「! 」

「! 」

鳴り響くのは、悪鬼の咆哮か。
それとも大蛇が唆す悪魔の果実か。




『ふん……まぁまぁ、美味しいじゃない』

『陸軍も海軍もどうでもいいであります』

『……あなたのこと、ずっと見てる』

『……………………約束、したでしょう? 』




「馬鹿男! 指示出しなさいな! 」

弾かれたように、蝶番が外れそうな程に、そんな扉も気にならない。
甲高いサイレンの音は無情に聴こえた。

「あ、あぁ! ……行けるか? 」

「当然。ただの無能を好きになる単なる雌豚になったつもり、ないんだから」

敵襲、なんてものでは片付けられない。
敵が誰だかなんて知らない。
俺が何か直接的にダメージを与えるなんて、無理だ。

けれど……殺ってやる。消し炭にしてやる。

覚悟を決めて運命を見据えた女に、一人の男が応えようとしていたのだ。
無粋、まったくもって空気が読めない。
故に、存在する価値など皆無。

「愛宕、 お前は今すぐ出ろ! 陸軍の航空隊と近隣の戦力が来るまで耐えておけ! 」

「しっかたないわねぇ〜 」

「あきつ丸! 愛宕のカバーを頼む。お前はイムヤが全力で守る! 」

「ッ、承知ッ」

「Roma! 」

「あぁん? 」

「存分に、殺れ」

「当然。……逃げておいた方がいいんじゃない? 」

「抜かせ」

一瞥の先には半裸に傷だらけの男女が映っただろう。
しかし、構わない。
俺たちは戦うことを忘れた雌豚でも、怠惰な老犬でもない。
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/03(土) 22:47:34.85 ID:N3n9cBeCO

「イムヤ……鬼でも、蛇でもいい。お前が何になろうと、俺がお前の帰る場所だ」

「ん……パンツ、脱げかけてるよ? 」

「ばーか。……余裕だろ? 」

「ええ。……………………んっ」

「んっ、ん、ぁっ……帰っ、てこいよ。指示は、出す」



血の滴る唇もいっそ溶け合わせたい。それもまぁ、きっと悪くない。
アロマや薬品で生まれた高揚感だとして、きっとそれすら俺の現実。
否、それでしかあり得ない。なんたって、それが痛みってもので、痛みってのはリアルのんだから。

「行け! そして、帰ってこいーーーー…………! 」



【本当にガチのマジに最後。或いは最期】



0.痛みこそ正義
1.哀という痛み
2.痛みこそ正義
3.痛みこそ正義
4.哀という痛み
5.現実は非情である
6.悪鬼という正義
7.痛みこそ正義
8.哀という痛み
9.痛みこそ正義
ゾロ目.十年後☆
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2018/02/03(土) 22:48:05.66 ID:N3n9cBeCO

ははは……寝ます

ありがとうございましたぁ……
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/03(土) 22:53:29.64 ID:TQiRTYlhO
えぇ…
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/03(土) 22:58:32.49 ID:Krx8OztCO
これは酷い
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/03(土) 23:04:25.90 ID:jDcawzMrO
何か乙としか。とことんバッドエンドになるようになってね?
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/04(日) 10:25:27.29 ID:2zLWkkuxo
一割→一割
なんていうか、もう……
おつ
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/04(日) 11:50:16.80 ID:jg5LoqQkO
イムヤ好きなのに残念だ
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/16(金) 22:25:50.84 ID:WhUJKF2CO

「……………………」



敵襲、といえばそれはたったの一言で済まされる出来事だ。
敵が襲ってきた。その程度の意味しか持たない単純な言葉。

焼け落ちた建築物。崩落しかかった軍港。煤だらけの、全て。
溢れた重油とそれに引火した火焔。零れた生命が溶け込んだ、海。

目に沁みる塩辛い海風が吹く。
吹き荒んで、微風になって、何処かへ行ってしまう。

運ばれていったのは煤と、煙と、それから大切なーーーー



【これは、誰の現実だろうか】



0.赤髪の少女は帰ってこない
1.赤髪の少女だけが、立つ
2.二週目(はぁと)
3.傷痍
4.瓦解
5.赤髪の少女は帰ってこない
6.赤髪の少女だけが、立つ
7.二週目(はぁと)
8.傷痍
9.瓦解
ゾロ目.返り討ちハッピーエンド
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/16(金) 22:32:39.99 ID:WhUJKF2CO

「……………………」



感情、なんてものは勝手に湧いてくるものだと思っていた。
あなたが笑ってくれると、嬉しかった。
あなたが悩んでいると、辛かった。
あなたが巫山戯ていると、笑い合えた。
あなたが怒っていると、心底怒れた。
あなたが決意を固めたから、私は戦えた。

あなたが、あなたが、あなたが…………ーーーー

崩れ破砕され如何なる用も足さない瓦礫は何も応えない。
応えなら呻き声でも、いや、苦痛に歪んだ怨嗟でも構わない。

それなら、癒せる。癒せるなら、どれだけの時間も捧げよう。
私は、そう心に誓っているのに。

「…………イムヤ。探すぞ」

「……………………」

身体はその喝に応えたいのに。
答えなんて決まっているのに、なんて私はーーーー



【人間の強度。それとも化け物の狂度】



0.腕
1.身体
2.吐息
3.“ 無い ”
4.腕
5.身体
6.吐息
7.“ 無い ”
8.腕
9.身体
ゾロ目.……やぁ
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/16(金) 22:36:37.68 ID:JqqYPJHQo
今日の一割
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/16(金) 22:42:29.00 ID:WhUJKF2CO

動け、動けよ、動いてよ……!
私の愛が歪んでいるなんてことは生まれ落ちたときから知っているんだ。
自分の感情が所々抜け落ちた欠陥品だなんて知っているんだ。

それでも、それでもこんなときに動けない女に何の価値があるっていうんだろう。
愛した男の生と意志を信じることができずして。
感情を、痛みさえも共有した唯一無二を探し当てることができずして。

「何をッ……! 」

「……あぁん? 」

「あのクズ、割に頑丈だし何とかなってるでしょう」

「出撃させた女の子全員生還からのバッドエンドなんて誰得ってやつだしね〜 」

心底から、同意できるのに、動かない。
奥底から、衝動は湧き上がるのに、一歩が無い。

人間は弱いんだ。
生きている筈がない。
そんなことは考えたくないのに。
こんな自分は嫌いなのに。

ある意味で最大の敵であるあきつ丸。
憎らしいけれど大切な約束をしていた愛宕。
それから、単に甘味で餌付けされただけのようなRoma。

そんなやつらですら。
それなのに、この世で最も尊い契りを交わした自分は、何だろう。

徒らに時を浪費して瓦礫を前に突っ立って。
化け物らしい怪力で鉄筋やコンクリートを持ち上げる同輩を目に写しただけで。

それだけショックだったんだ、なんて。
馬鹿馬鹿しいくらいに乙女な無様に少しだけ安心して。
自分の愛の深さに安心するなんてあっちゃいけないことなのに、私は、私は。
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/16(金) 22:49:13.35 ID:oBSXewYLo
お!ハッピーエンドかな?
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/16(金) 22:51:37.53 ID:WhUJKF2CO

「…………汚いわね」

「まったくであります」

「まぁまぁ。彼らなりに戦ったこと、忘れちゃいけないのよ? 」



また、違った。
彼では、ない。

イムヤたち“ 艦娘 ”が所属する基地は特殊だ。
人間の戦闘員は共に出撃した陸軍航空隊や、
非合法な任務も厭わない特警くらいしかいない。

それでも、様々な人間たちがいたのだ。
参謀や整備班、軍人ではない食料搬入の為の軍属だって。

その彼ら彼女らの死体が、バラバラなんて生易しい表現ではない肉の塊が一つ、また一つと“ 発掘 ”されていく。

イムヤは隣を往く僚友を喪ったことが、無い。
或いは直前まで笑い合っていた僚友が弾け飛ぶ姿に慣れていれば、
何事も無く動けたのかもしれないけれど。



「ぅ…………ぁ……」



現実は、非常だ。
世界は私に、優しくない。
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/16(金) 23:03:28.10 ID:WhUJKF2CO

「…………やぁ」

「あ? 生きてたんだ、あなた」

「そりゃまぁ……一応最高指揮官でしてね? 防空も高い部屋だし核並の火力じゃなきゃ何とかなる」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………何だよ」

急に馬鹿らしくなって興味の失せた顔。Romaだ。
巫山戯た問答がしたいのではない蔑み。愛宕だ。
安心しつつもやり切れない渋面。あきつ丸だ。
それからどんな顔をしているか探したいのだがーーーー

「……よくもまぁ、片腕が潰れて腰から下も怪しいのに口だけは動いたものね」

「本当それ。俺ってこういうとき素になるタイプだったんだな」

「…………はぁ」

「馬ッ鹿馬鹿しいわねぇ。…………担架、いらないでしょ? 」

「待て待て待て。俺はこれでも生きてる上官だぞ。担げとは言わないけどせめてだな」

喧騒の中で四人だけを、認知できる。
あきつ丸に、愛宕に、Romaに、それから自分自身。
最も見たいはずの笑顔が、いやもしかすると空元気のアホ面に憤った乙女の怒気かもしれないが。

兎に角それだけが、無い。

「まぁ、いい。…………イムヤは? 」

「あー…………愛宕」

「んー、振らないでほしいんだけど、Roma? 」

「まったく。…………気絶したわ」

「は? 」




ーーーーーーーーーーーー




心底から心配されて、自分もしていたのだが、しかし。
イムヤは、俺が最もこの世で一つに近付いた存在は。
潰れた俺の腕を見て、泡を吹く間も無く、意識を落としたらしかった。

徽章や衣服が認識できるのなら、せめて生死くらい確認して、できれば泣いてほしいな、なんて。

言おうと思った筈の自分も、出血の所為でどうやら三日は起きなかったとか、なんだとか。
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/16(金) 23:10:48.09 ID:WhUJKF2CO

168「……………………」





提督「起きねぇな」

愛宕「無駄に頑丈な指揮官様は片腕になっても生きているっていうのに」

Roma「あと少しで不随のところ絶妙な位置で避けて歩けるなんて悪夢ね」

提督「や、お前別に俺のことそこまで嫌ってなかっただろうが」

Roma「この前、嫌いになったわ。馬鹿面見て」

あきつ丸「あぁん? 」

Roma「はぁ。…………あなたも難儀ね。ついた勝負の後にも操立てるなんて」

愛宕「単に未練があるだけでしょう? 」

あきつ丸「…………」

提督「は、はは……はは、は? 」



【もう選択肢なんて、無い】



0.……あな、た?
1.……さっ、いらっしゃい
2.……あなたは、誰?
3.幸福な、ユメ
4.……さっ、いらっしゃい
5.……あな、た?
6.……あなたは、誰?
7.……あな、た?
8.……さっ、いらっしゃい
9.……あなたは、誰?
ゾロ目.数年後そこには
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/02/16(金) 23:17:35.19 ID:SKVbr/ALo
ここでそれか
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/16(金) 23:18:18.79 ID:SKVbr/ALo
sage忘れ失礼
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/16(金) 23:27:48.51 ID:WhUJKF2CO

【……あなたは、誰? 】





一週間の昏睡状態。それから数度の覚醒を経てさらに一週間泥のように沈んだ意識。
それでも不思議と生命活動だけはしっかりとしていた美しい女狐の第一声がそれだった。

目を見開いて固まる馬鹿な、そう本当に何にも気付けなかった幸福な男。
諦めと恐怖を感じ引き下がる負けた女。
知っていた狂気を確認して鼻を鳴らした戦女神。

それからはもうとんとん拍子、なんてものではなかった。
どれだけ感覚を伝え、技術を伝えても儘ならないどころか全く発動しない力。
“ 艦娘 ”としての力を完全に喪ったただの少女が、そこにはいた。

人間としての生を受けたわけではない私たち。
バックボーンが無いというバックボーンが指針である筈の私たち。
そんな存在が唯一無二の歪みさえも失ったのだ。

殊の外平静な本人を除いて。
周囲は大わらわも大わらわだった。

前を向いて記憶を喪った少女を引き取ると宣言した男。
その夢は叶うことなんて無いだろう。

後ろを振り返って陸軍の間諜に逆戻りした女。
その背中の悲しさ、少しだけ分かるわ。

変わらず戦場だけを向いた異国の戦姫。
或いは私もあなたのようでありたかった。

あぁ、私? 私はほら、褒賞として与えられたのに与えられた張本人が退役してしまったものだから、ね。
結局元いたところに戻って、今でもお堅い姉や奔放な妹たちと愚にも付かない戦闘を。

今ではあのときの二人が何処に消えて、何処で何をしているのかなんて皆目不明。
知りたいとも思わないけれど、きっと知れないことこそ心の安寧。

私だってあの上官を認めていた部分もあったのだけれど。それも今ではただの記憶。
精々が危機的状況を自己で脱したときの付属的感慨。



「まぁ、それでも悪くはなかったわ」

「? 」

「んーん、何でもない。…………高雄、ドSのイケメンなんて知らない? 」

「あなたね、何度その感性で男性を壊してきたのよ。実はあなたがサドなんじゃないの? 」

「まっさかー。私は昔から、今でも、いつだって荒々しい海の男に抱かれたい女よぉ」




ただまぁ、もしまたあの少女か例の元上官に会えるのなら一言だけ言ってやりたいことがある。

「…………鈍感演じた私たちに、感謝なさいね」

「は? 」



ーーーーーーーーーーーー
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/16(金) 23:37:45.80 ID:WhUJKF2CO

「これが、私たちの、家? こんなにいいところにいて、いいの? 」

「あぁ、イムヤが何も思い出さなくたって、それでも今日が最初になるならって思ったんだ」

軍は抜けた。故郷も、親兄弟さえも、捨てた。
今、俺にはイムヤしか、いない。
彼女さえいれば、他は何も要らない。

幸いにしてイムヤたちの功績で俺には多額の金がある。
元より遊び暮らしていたわけでもない。
貯金を多少切り崩して購入した物件は、海の見える小高い丘の一軒家だ。

「…………ごめんなさい。あなたのこと、大切だとは思うんだけど」

「ッ……いいさ、それでも。寧ろよかったのか? 自分より幾つも歳上の男に着いてきて」

「うん。あなたのことは分からないけど、女の勘は絶対的に正しいの」

「ふぅん? 」

確信めいた言葉を乗せたイムヤの舌先に、ふと見入る。
あの舌で、あの舌が舐めた犬歯で、抉られたい。肉を裂かれ内臓に突き立てられたって構うものか。

それでもそんなことはおくびにも出さず鍵を取り出し、回す。
思えば色々なことがあったものだ。

曲がりなりにもエリート軍人と呼ばれ、持て囃されつつも対立と嫉妬に巻き込まれた日々。
それを終わらせた狂気染みた少女との共有。
共有が過ぎて精神的に傾いた、俺。

その俺が立ち直れたのは、正直イムヤがイムヤではなくなってくれたからかもしれない。
今でもあの狂気には強く惹かれつつも、どこかで安心している自分がいるのも、確かだ。

魅力的な毒、それを体現していたのがイムヤだったのだと思う。
それが今では、ただの不安げな少女でしかない。

変えられたのならば、今度は俺がゆっくりとでも守ってやる。
喪ったものを喪ったもので埋めて、また喪うことの無いように。

111 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/16(金) 23:49:50.03 ID:oBSXewYLo
悲しいなあ…
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/16(金) 23:50:39.79 ID:WhUJKF2CO

「イムヤ。お前の部屋はそっ……イムヤ? 」

開けたドアの先にはまだ新築の匂い漂う真新しい玄関とリビング。
一足の靴も置かれていない玄関で靴を脱ごうとして、脱げない。

何故なら少しだけ屈んだ俺の腰に細い腕が巻き付いているから。

「…………あのね」

「? 」

「私はあなたが誰だか分からないし、もしかするといつまでも分からないかもしれない」

「……」

構わない。それすら俺のお前への愛だと信じているから。

「人間になった、って言われても私は元々人間だったとしか思えない」

「……」

それでいい。あれ以上はお前を喪う恐怖に耐えられない。

「そんな私に私が人間じゃないって思わせてくれるのはこの染めたとしか思えない色の、地毛だけ」

「……」

いいんだ。不安定なお前を守ることだってできると、俺に存在理由を与えてくれ。

「あなたの言葉も、優しい瞳も、おっかなびっくりな掌も、
それに時々見せる怯えたような顔も、“ 今の私 ”の現実でしかないの」

「……」

「それでも、私を離さないでくれるのよね? 」

「あぁ、別に責任とか憐憫でお前を引き取ったわけじゃない」

「ふふ……分かった。知ってたけど」

笑みから漏れた吐息が背中に当たった。
その息は不思議とイムヤのイムヤらしさ、とも言える何かを呼び覚ます。
言葉や手付きならばいざ知らず、そんなものでは個人など分かる筈もないのに。

「? まぁ、それはおいおい飯でも食べなが

「それに」

「ん、んん? 」

吐息で湿る背中。声は震えていないけれど、涙、だろうか。
できうることなら拭ってあげたいのだけれど、思いの外彼女が回した腕の拘束は、強い。
ただの少女になって記憶すら喪失した筈なのに。これが意志の力というやつだろうか。

せめて、顔くらいは、いや瞳くらいは見たいのだが。

「いつ、“ 元の私 ”になっても、絶対離さないからね? 」

「あ、あぁ、そんなの当たり前の

113 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/16(金) 23:54:10.18 ID:WhUJKF2CO





ーーーーーーーーーーーー







二度目なんて絶対に赦さないって、言ったでしょう……?



ふふ…………あなた?




【“ 二度目の生 ”】
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 23:56:29.17 ID:WhUJKF2CO

おわり



今回でいい加減分かりました。
生き死に、よくない。次は誰も死なない不幸にならない設定でいきます。
色々と不完全燃焼なので早めに何かやります。

急転で申し訳なかったです。
ありがとうございました
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 01:10:18.02 ID:wil5cikqO
1割でトンデモ判定混ぜてたらそらね
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 07:19:34.86 ID:nSZ+MLOpo
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 16:44:28.56 ID:+/LCL54Eo
おつ
書く方が辛いなら無理強いは出来ないけど、貴方のあんこの雰囲気はとても好きでした
作風が変わっても付いていきますので、よろしくお願いします
72.85 KB Speed:0   VIP Service SS速報R 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)