【ゼルダの伝説】リンクルが時の勇者になるようです

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427 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/08(木) 19:45:19.74 ID:qQvHz/ab0
ガノン「オオオオオッ! グオオオオオオッ!!」ブオンッ ブオンッ
ガノン「グルルルゥゥゥ……!」ズズン……

リンクル「はぁ……はぁ……!」

ガノン「フシュー……フシュー……!」

リンクル「漸く、膝をついたわね……」

ファイ「マスターに報告。空を覆っていた黒雲の一部が晴れ、ここに光が差し込んできています」
ファイ「今こそが宿命の者にとどめを刺す時である確率100%。剣を天に掲げてください」

リンクル「……こう?」スッ
リンクル「……! 光が……!」キュィィ

ナビィ「剣に光が宿った……」
ナビィ「リンクル……とどめを!」

リンクル「うん……今度こそ……」
リンクル「これが、とどめよっ!」ダッ

ザシュッ

ガノン「グッ……グオオオオッ! グオオオオオッ! オオオォォォォッ……!!」

ゼルダ「六賢者達よ……今です!」カッ
428 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/08(木) 19:46:36.64 ID:qQvHz/ab0
ラウル「ハイラルを創りたまいし古代の神々よ!」
ラウル「今こそ封印の扉開きて邪悪なる闇の化身を冥府の彼方へ葬りたまえ!」

ダルニア「いくぜ、キョーダイ!」

ルト「うむっ、参ろうか!」

ナボール「さぁ始めるよォ!」

インパ「いくぞ!」

サリア「リンクル……!」

ポゥ……

ゴオオオッ


おのれ……
おのれ……ゼルダ!
おのれ……賢者共!

おのれ……リンクル!!
いつの日か……この封印が解き放たれし時……
その時こそ貴様達の一族根絶やしにしてくれる!

我が手の内に力のトライフォースある限り……
429 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/08(木) 19:47:08.24 ID:qQvHz/ab0
ちょっと休憩

漸くガノン倒すとこまで来たなって感じ
430 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/08(木) 20:13:03.61 ID:UX2emjBG0
431 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/08(木) 20:30:44.98 ID:qQvHz/ab0
再開します
432 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/08(木) 20:31:30.90 ID:qQvHz/ab0
 ep.22 伝説の分かれ目


ゼルダ「ありがとう、リンクル……」
ゼルダ「あなたの力でガノンドロフは闇の世界に封印されました」

ゼルダ「これでこの世界も再び平和な時を刻み始めるでしょう」
ゼルダ「これまでの悲劇は全て私の過ちです……」

リンクル「ゼルダ……」

ゼルダ「己の未熟さを顧みず聖地を制御しようとし、あなたまでこの争いに巻き込んでしまった」

リンクル「そ、そんなことないよ」
リンクル「あたしは自分の意思でガノンドロフと戦ったんだ」

ゼルダ「……」

リンクル「だから……」
リンクル「だから……その……」

ゼルダ「……」

リンクル「……ごめん」
433 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/08(木) 20:32:07.61 ID:qQvHz/ab0
ゼルダ「……今こそ、私は私の過ちを正さねばなりません」
ゼルダ「マスターソードを眠りに就かせ、時の扉を閉ざすのです」

ゼルダ「けれど、そうすれば時を旅する道も閉ざされてしまいます」
ゼルダ「今なら、賢者として時のオカリナの力であなたを元の時代へ帰してあげられます」

リンクル「……」スッ

ゼルダ「……ハイラルに平和が戻る時……」
ゼルダ「それが……私達の別れの時なのですね……」スッ

リンクル「……うん」

ゼルダ「……」

リンクル「……」

ゼルダ「……」チュッ

リンクル「っ、ゼルダ!?」

ゼルダ「……さぁ、お帰りなさいリンクル」
ゼルダ「あなたが居るべきところへ、あなたがあるべき姿で……失われた時を取り戻すのです」

♪♪♪ ♪♪♪〜 ♪♪♪〜♪♪〜
434 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/08(木) 20:34:46.49 ID:qQvHz/ab0
――時の神殿

パアアアアアッ

リンクル「……あ」
リンクル「子供に戻ってる」

リンクル「マスターソード……」
リンクル「ファイ?」

ナビィ「……」

リンクル「……そっか、そうだよね」
リンクル「もうあたしはあなたのマスターじゃない」

リンクル「ただの子供だもんね……」クルッ
リンクル「旅も終わりかな……」カツカツ

ファイ「リンクル」

リンクル「え……!?」バッ

ファイ「マスターとの契約はこれを以て終了となります」ヒュリンッ
ファイ「リンクルとの旅は“つらい”こともあり、“苦しい”こともあり、しかし“楽しい”ものでした」

ファイ「かつて、マスターソードを作り上げたマスターとの旅が思い起こされます」
ファイ「あなたと旅した記録は、以前のマスターとの旅の記録と共に、ファイの中の最も重要な情報です」

ファイ「なので、以前のマスターにも贈った言葉ですが……」
ファイ「多くの人があなたに贈り、あなたも多くの人に贈った言葉を、あなたにも贈るべきと思いました」

ファイ「ありがとう、マイマスター、リンクル」
ファイ「もしも、また次にファイが……マスターソードが目覚める時が来たのであれば」

ファイ「その時も、リンクルの魂を受け継ぐ者がマスターとなることを、ファイは強く望みます」
ファイ「いつかまた……あなたの魂と共に」

リンクル「……こっちこそ、ありがとね」

ナビィ「……」
435 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/08(木) 20:35:17.51 ID:qQvHz/ab0
リンクル「ナビィ? さっきからどうしちゃったのさ、黙りこくって」

ナビィ「……あのね、リンクル」

リンクル「うん」

ナビィ「リンクルとの旅、とっても大変だったヨ」
ナビィ「いっぱいつらい思いもして、苦しいことも多かった」

ナビィ「でも……さっきファイが言ったように」
ナビィ「あたしも、結構楽しかったんだ。リンクルと過ごす時間……」

ナビィ「もうすっかり立派な勇者だね、リンクル」
ナビィ「ナビィ、安心して森に帰れるヨ……」

リンクル「ナビィ……」
リンクル「……そっか。うん、ありがとう、ナビィ」

ナビィ「……ありがとう」
ナビィ「リンクル……大好きだヨ」シュ……

リンクル「……あたしも大好きだよ、ナビィ」
436 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/08(木) 20:37:32.86 ID:qQvHz/ab0
――ハイラル城 中庭

ザッ

「ゼルダ姫」

ゼルダ「!」クルッ
ゼルダ「だ、誰っ? どうやってこんなところまで……」

リンクル「ちょっとね」
リンクル「森から……あなたにお話をしに来たの」

ゼルダ「森から……?」
ゼルダ「じゃあ、もしかして、あなたが夢のお告げに現れた、森からの使者?」

リンクル「うん、そういうことになるわね」クスッ

ゼルダ「……!」ドキッ

リンクル「リンクルよ。よろしくね、ゼルダ姫」

ゼルダ「リンクル……不思議……なんだか懐かしい響き……」
ゼルダ「それでは、リンクル。あなたのお話……聞かせていただける?」

リンクル「うん」
リンクル「今から、あたしだけが知ってる、聖地の秘密と聖三角の伝説を教えてあげる」


【ゼルダの伝説】リンクルが時の勇者になるようです
      fin
437 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/08(木) 20:38:21.07 ID:qQvHz/ab0





―――――

リンクル「ガノンドロフ、処刑されるんだってね」

ゼルダ「えぇ……お父様が漸く認めてくださったの」
ゼルダ「あなたは、また旅に?」

リンクル「うん。なんていうか……」
リンクル「……居心地が悪くて。ごめんね」

ゼルダ「いいえ……空気が良くないのは分かります」
ゼルダ「殊に、あなたのような真っ直ぐな人は、城の雰囲気は決して心地良いものではないでしょう」

ゼルダ「それに……共に時を越えて旅をしたあの妖精……」
ゼルダ「ナビィを、探しに行くのでしょう?」

リンクル「……うん」
リンクル「ナビィは“森に帰る”って言ってた」

リンクル「だから、あれから何度か森に行ってみたけど……どこに居るのか分からないんだ……」
リンクル「また……会いたい。どうしても……会って、話がしたい」

ゼルダ「……」
ゼルダ「……リンクル、これを」スッ

リンクル「これは……時のオカリナ?」

ゼルダ「あなたが旅した“七年後”と、これからあなたが旅する“いま”は違う世界です」
ゼルダ「けれど、あなたの手には勇気のトライフォースが宿ったまま……」

リンクル「……うん」

ゼルダ「このままハイラルに留まるのは危険です。この時のオカリナもそうであるように」
ゼルダ「なので、ハイラルを離れるのであれば、このオカリナと共に……」

ゼルダ「身勝手なことは分かっています。ですが……」
ゼルダ「どうか……お願いします」ペコリ

リンクル「……頭を上げて」
リンクル「じゃあ、時のオカリナは、あたしが持ってくよ」

ゼルダ「ありがとう……」
438 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/08(木) 20:39:57.88 ID:qQvHz/ab0
リンクル「エポナ、平気?」ナデナデ

エポナ「ブルルルッ」

リンクル「そっか」
リンクル「んー……大分森の奥まで入ってきちゃったけど……」

リンクル「ナビィ、ほんとにどこ行っちゃったんだろ……」
リンクル「……オカリナ吹いたら、また来てくれたりしないかな」

♪♪♪〜 ♪♪♪〜

エポナ「フーッ」

リンクル「ふふっ、エポナはこの音色が大好きだもんね」

♪♪♪〜 ♪♪♪〜

「ケケケ、馬に乗った子供だ」

「ほんとだ……綺麗な音色」

「よし、お前ら少し驚かせてやれよ」
「なんかいいもん持ってそうだぞ」

「はいはい」
「行くよ、トレイル」

「あ、うん、待ってよ姉ちゃん」

「早くしないと行っちゃうわ」
「いい? せーの、であの馬を驚かすわよ?」

「うんっ」

シュ……

リンクル「……あれ?」
リンクル「今何か……」キョロキョロ


ホッホッホ、どうやらまだ一悶着ありそうですねぇ……
信じなさい……信じなさい……


 ほんとにおわり……?
439 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/08(木) 20:45:48.35 ID:qQvHz/ab0
くぅ疲くぅ疲

ひとまずこの「リンクルが時の勇者になるようです」はこれで完結になります
設定とか構成とか色々行き当たりばったり気味だったし、何より戦闘描写が難しかったしで、何かと変なとこ多かったかもしれないけど、とりま完結まで行けて良かった良かった

ここまで読んでくださった皆さん本当にありがとうございました
次ゼルダで何か書くとしたら、多分黄昏か風タクになると思います

尚、ムジュラの仮面は、エンディングで続編におわせておきながら、ムジュラ原作をプレイしたことがないので書く予定は今のところありません

ゼルダSSもっと増えればいいのになホント
440 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/08(木) 23:34:21.16 ID:twirdNKDo
完走おつおつ
時オカがはじめてのゼルダの伝説だった俺にはすごい嬉しいSSだった
リンクル好きになったわ。ゼルダ無双かって使ってみる
とにかく滅茶苦茶楽しかったし面白かったし最高でした!
441 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/09(金) 00:01:36.50 ID:ivDGEITN0
442 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/09(金) 01:08:55.32 ID:K5AVo1UWo
乙でした
443 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/09(金) 03:35:59.51 ID:sXr9wCsQO


でもこれ速報Rじゃなくても良かったなべつに
444 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/09(金) 11:33:15.52 ID:WKbUhzIvo
おつおつ
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2018/03/13(火) 01:11:30.95 ID:kLbeDVtPO
おつ
r18板ならエロい番外編書いても……チラッ
446 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/07(土) 01:28:08.73 ID:vh9dicXb0
ムジュラは書かないと言ったな

あれは嘘だ

クリアするのにかなり時間かけてしまった
日が昇ったらムジュラ編最初の更新します


>>440
このSSはリンクルのキャラが大分違うけど、無双のリンクルは普通に超可愛いので超お勧め
ありがとう

>>443
それな
でも>>445が良いこと言った
447 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/07(土) 07:57:50.62 ID:OPVT+arTo
やたあああああああああ!
待っててよかったっ!
448 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/07(土) 08:47:06.41 ID:XjSIQeNY0

 ハイラルに伝わる王家の伝説。
 そこに一人の少女が登場する。
 巨悪と戦いハイラルを救った後、彼女は伝説から姿を消した……

 時を越えた戦いを終え、彼女は人知れず旅に出た。
 冒険の終わりで別れた、かけがえのない友を探す旅に……
449 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/07(土) 08:47:33.90 ID:XjSIQeNY0
 ep.23 事の始まり


リンクル「エポナ、平気?」ナデナデ

エポナ「ブルルルッ」

リンクル「そっか」
リンクル「んー……大分森の奥まで入ってきちゃったけど……」

リンクル「ナビィ、ほんとにどこ行っちゃったんだろ……」
リンクル「……オカリナ吹いたら、また来てくれたりしないかな」

♪♪♪〜 ♪♪♪〜

エポナ「フーッ」

リンクル「ふふっ、エポナはこの音色が大好きだもんね」

♪♪♪〜 ♪♪♪〜

「ヒヒヒ、馬に乗った子供だ」

「ほんとだ……綺麗な音色」

「よし、お前ら少し驚かせてやれよ」
「なんかいいもん持ってそうだぞ」

「はいはい」
「行くよ、トレイル」

「あ、うん、待ってよ姉ちゃん」

「早くしないと行っちゃうわ」
「いい? せーの、であの馬を驚かすわよ?」

「うんっ」
450 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/07(土) 08:48:10.37 ID:XjSIQeNY0
リンクル「……あれ?」
リンクル「今何か……」キョロキョロ

シュ……

リンクル「あっ、妖精!」
リンクル「……なんだ、ナビィじゃないんだ……」

「「ばあっ!!」」

エポナ「ヒヒィーン!?」ビクッ

リンクル「きゃっ!?」ドタッ
リンクル「きゅうぅ……」

「ヒヒッ、お前達上手くやったな」ザシッ ザシッ
「何か良いもの持ってそうか?」

「あれ……? こいつ……」
「……まぁいいか」

「起きないな」ゲシ
「さて……」ゴソゴソ

リンクル「ん……」

「!」バッ
451 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/07(土) 08:48:47.65 ID:XjSIQeNY0
リンクル「……」

「……脅かすなよな」ゴソゴソ
「……おっ、これは……」っ時のオカリナ

「きっ……綺麗なオカリナ……ねぇ、スタルキッド、僕にも、触らせてっ」

「あんたは駄目よ、トレイル」リリリリン
「落として怪我でもしたらどうするの、危ないから触っちゃ駄目!」

トレイル「だけど姉ちゃん、ぼ、僕も触りたい……」

リンクル「うぅん……いたた……」ムクリ

「!!」リリリリン
トレイル「!!」リリリリン

スタルキッド「?」クルッ
スタルキッド「うわっ!!」ササッ

リンクル「スタルキッド……?」
リンクル「……あんた今、あたしのオカリナ……」

スタルキッド「……」フイッ

リンクル「……返して!」ダッ

スタルキッド「!」バッ

エポナ「ヒヒーン!」

リンクル「えっ、エポナ!?」

スタルキッド「走れっ!」

エポナ「ヒヒーン!」パカラッ パカラッ

リンクル「待ちなさい!」タタッ ガシッ
452 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/07(土) 08:49:44.18 ID:XjSIQeNY0
スタルキッド「えぇい、離せ! 離せよ!」

リンクル「あんたこそエポナから降りなさいよ!」ズルズルズル
リンクル「エポナ! お願い! 止まって!」ズルズルズル

スタルキッド「このっ……」ゲシッ

リンクル「いっ……!」
リンクル「きゃっ!」ドタッ ゴロゴロゴロ

スタルキッド「ヒヒヒッ、やっと離れた!」

リンクル「っ……!」タンッ ザッザッザッザッ

トレイル「転がった勢いのまま立ち上がって走ってきたよ!」

「子供の癖にどういう運動能力持ってんのよあいつ!?」
「でもまぁ、こっちは馬だし流石に追いつけないわよね」

パカラッ パカラッ ……

リンクル「くっ……!」チャキッ
リンクル「……待ちなさい!」ザッザッザッザッ

リンクル「やっ、はっ、たぁっ!」タンッ タンッ タンッ
リンクル「あひっ!? 地面がないっ!?」ピタッ

リンクル「あっ、わっ、ひゃっ……!」ユラユラ
リンクル「きゃあああーっ!!」ズルッ

ヒュルルルッ……
453 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/07(土) 08:50:22.27 ID:XjSIQeNY0
ボヨンッ

リンクル「きゃんっ!」
リンクル「いったぁ……何これ……」

リンクル「花……? これで助かったのかな……」
リンクル「随分高いところから落ちた気がするけど……」キョロキョロ

「しつこいな!」

リンクル「あっ! さっきのスタルキッド!」

スタルキッド「なんだあのバカ馬は! 全然言うことを聞かないじゃないか」

リンクル「当然よ! エポナは特定の人にしか懐かない難しい子なんだから!」

スタルキッド「ふん。あんなの乗ってても仕方ないから捨てといてやったよ、ヒヒッ」

リンクル「なっ……エポナを!?」

スタルキッド「……なんだその顔は」
スタルキッド「折角遊んでやろうと思ったのに……」

リンクル「冗談じゃないわ! あんたの遊びに付き合ってる場合じゃ……」チャキッ

スタルキッド「今のオイラに勝てると思ってるのか? 間抜けな奴め」

リンクル「……っ」ゾクッ
リンクル(何このスタルキッド……すごく……嫌な感じ。あの仮面は一体何なの?)

スタルキッド「お前の顔は見飽きたぞー……」ズズズズ

リンクル「……!」ジリッ
リンクル(“何か”が来る!)
454 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/07(土) 08:51:18.40 ID:XjSIQeNY0
ヒヒヒヒヒッ……

リンクル「……え」
リンクル「何……真っ暗……?」

ガサッ ガサッ

デクナッツ「……」ジーッ

リンクル「……デクナッツ……?」

ガサッ ガサッ ガサッ

デクナッツ「……」ジリジリ

リンクル(囲まれてる……!?)
リンクル「……あっ!?」

デクナッツ「……」ジリジリ

リンクル(クロスボウも剣も盾もない!?)
リンクル「っ……逃げるしか……!」ダッ

デクナッツ「……」ズズズズズズ

リンクル「!!」ゾクッ
リンクル「嘘っ、あんな大きなデクナッツ……」

ズオオッ
455 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/07(土) 08:52:21.53 ID:XjSIQeNY0
リンクル「いやあああああああああっ!?」バッ
リンクル「……えっ……何、今の……幻覚?」キョロキョロ

スタルキッド「ヒヒヒッ、中々ユニークな姿だ」

リンクル「姿……? あたし、一体どうなって……」
リンクル「……!?」

デクリンクル「うわああああああああっ!?」
デクリンクル「あ、あたし、デクナッツになっちゃったの!?」

スタルキッド「お前はずーっとその姿でここに居ろ!」フヨフヨ

デクリンクル「ま、待ちなさい!」ダッ

「だーめっ♪」ペシッ

デクリンクル「あいたっ」
デクリンクル「何すんのよ!」

「折角面白い姿になれたんだからここにずっと居なさいよ」ペシペシ

デクリンクル「いたっ、痛いって、言ってるじゃん!」クルンッ

「おっと」バッ
「へへーん、怖くもないわよ、そんな顔で何言ったって」リリリリン

デクリンクル「このーっ……妖精の癖に可愛くない……!」

トレイル「姉ちゃーん! 早く来ないと置いてかれちゃうよーっ!」

「へ?」

ガコーン

「ああっ!!」リリリリン
456 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/07(土) 08:53:16.77 ID:XjSIQeNY0
「待ってよスタルキッド! 私がまだ居るのにー!」パタパタ
「トレイルー! 行っちゃ駄目よー!」パタパタ

デクリンクル「やっと離れてくれた……」
デクリンクル「それにしてもどうしようこの姿……」

「うう……開かない……」
「ちょっと!」

デクリンクル「背も大分縮んじゃった……ていうかデクナッツ自体が小柄なのかな……」
デクリンクル「……ん、何これ。泡? シャボン?」プクー

「ねぇ! 無視してんじゃないわよ!」リリリリン

デクリンクル「……何よ」

「あんたの相手してたら弟とはぐれちゃったじゃないの!」
「どうしてくれるのよ!」

デクリンクル「知らないわよ、んなこと!」

「何よ! 私が悪いっていうの!?」

デクリンクル「実際その通りじゃない!」

「うるさい!」
「兎に角、あの扉開けなさいよ! か弱い女の子が頼んでるのよ! 早くしてよ!」

デクリンクル(あたしも女の子なんだけどなぁ)

「あーん、トレイル! あの子一人で大丈夫かしら!」

デクリンクル「……はいはい、分かったよ」
デクリンクル(自分勝手というか、弟思いというか……)

デクリンクル「まぁ……あたしも他に行けるとこないし、いいか……」
デクリンクル「普通に開けられるし……」ガコン
457 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/07(土) 08:54:07.20 ID:XjSIQeNY0
デクリンクル「足が短くて歩きにくい……」ザッザッザ

「待ってよー! 置いてかないでよー!」

デクリンクル「……まだついてきてたの?」

「うう……さっきのことは謝るからさ、一緒に連れてってよ」
「あんただってさっき逃げたスタルキッドのこと、知りたいでしょ?」

デクリンクル(なんて調子のいい……けど、まぁいっか。見当もつかないよりマシかな)
デクリンクル「……」コクリ

「はい決まり!」
「取り敢えずスタルキッドを捕まえるまで私があんたの相棒になってあげるわ!」

チャット「私チャット、よろしくね!」
チャット「あんたは?」

デクリンクル「妖精なのにコキリ族が分からないの?」

チャット「う、うるさいわね! いいから名乗りなさいよ!」

デクリンクル「……リンクル」

チャット「そう、リンクル! よろしくね!」
チャット(うう、やっぱり当たりが強い……使えそうだけど、どうにかして信頼を獲得しないと……!)

デクリンクル「はぁ……ナビィと同じ妖精なのに、ナビィとは大違いなのね……」ボソッ

チャット「何か言った?」

デクリンクル「なーんにも」フイッ
458 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/07(土) 08:54:44.47 ID:XjSIQeNY0
デクリンクル「この花、中に入ると大ジャンプ出来るんだ」

チャット「デクナッツの連中はそれで高い所に移動するらしいわよ」

デクリンクル「へぇ……便利ね」ピョーン
デクリンクル「でも武器が使えないのはちょっとなぁ」バタバタバタ

チャット「デクの実使えば?」

デクリンクル「……あ、そっか」
デクリンクル「デクナッツっていえば口からデクの実飛ばしてくるのが普通だもんね」

チャット「あ、もう少しよ」

デクリンクル「あんたの心当たりが合ってるといいんだけど……」
デクリンクル「……何この木」

チャット「何よこれ……こんなのあったかしら」
チャット「……あんたのその姿、これに似てない?」

デクリンクル「そう? や、言われてみればデクナッツみたいには見えるけど……」

チャット「何か……今にも泣きそうな陰気な顔してるわよね……まぁどうでもいいけど」
チャット「さっさと行きましょ。なんか気味悪いし」

デクリンクル「あ、うん」
デクリンクル「うわっ、何この通路……なんだか気持ち悪い」

チャット「?」
459 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/07(土) 08:55:27.35 ID:XjSIQeNY0
デクリンクル「何ここ……? 急に建物の中に出たけど」

チャット「時計塔よ」

デクリンクル「時計塔?」
デクリンクル「森の奥にこんな場所があったなんて……」

ガコーン

デクリンクル「あっ、閉まっちゃった」

チャット「これじゃ森に戻れないじゃない……」
チャット「まぁいいや、進みましょ」

デクリンクル「ああ、うん」
460 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/07(土) 08:55:59.60 ID:XjSIQeNY0
デクリンクル「ほんとに機械仕掛けの塔みたいね……」

チャット「だから時計塔だって言ったじゃない」

「大変な目に遭いましたねぇ……」

チャット「……!!」ササッ

デクリンクル「……?」
デクリンクル「どこかで見たような……」

しあわせのお面屋「ワタクシはしあわせのお面屋」
しあわせのお面屋「古今東西、しあわせのお面を求める行商人です」

しあわせのお面屋「旅の途中、森で奇妙な子鬼に大切な仮面を盗まれ、途方に暮れていたところ……」
しあわせのお面屋「あなたを見つけまして、失礼と思いながらもずっと後をつけさせてもらいました」

デクリンクル「ずっとあたし達の後を……?」
デクリンクル(変ね……気配すら感じなかったけど)

しあわせのお面屋「実はワタクシ、あなたを元に戻す方法を知っているのです」

デクリンクル「ほんと!?」
461 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/07(土) 08:56:53.96 ID:XjSIQeNY0
しあわせのお面屋「あなたが盗まれた大切なもの。それさえあれば元の姿に戻してあげますよ」
しあわせのお面屋「その代わり、序でにあの子鬼から、ワタクシの大切な仮面を取り返してもらえませんか」

デクリンクル「あのスタルキッドがつけてた仮面のこと?」

しあわせのお面屋「えぇ、そうです。なに、簡単なことじゃないですか」
しあわせのお面屋「あなたにとって決して悪い話ではないと思いますよ?」

デクリンクル「……」

しあわせのお面屋「ただ……生憎ワタクシも忙しい身でして」
しあわせのお面屋「あと三日でここを去らねばならないのです」

しあわせのお面屋「出来ればそれまでに取り返していただけるとありがたいのですが……」
しあわせのお面屋「大丈夫、あなたはお若いのに大層勇気のあるお方だ」

しあわせのお面屋「きっとすぐに見つかりますよ」
しあわせのお面屋「では、よろしく……」スッ

デクリンクル「……うん」
デクリンクル(動きが全然読めない……なんだろ、この変な感じ)

チャット「(早く行こうよ……)」リリリリン

デクリンクル「チャット?」
デクリンクル「……仕方ないなぁ。じゃ、行ってくるね、お面屋さん」ギィ

しあわせのお面屋「えぇ、お気をつけて」
462 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/07(土) 09:00:50.07 ID:XjSIQeNY0
取り敢えずここまで

ムジュラは友達からWii本体ごと借りてただ一周しただけで、今3DS版やってる最中だし、何よりシステムがかなり複雑で個々のイベントが入り組んでる上に多いから、SSにまとめる為に色々ゲームと違うことしたりオミットしたりすると思うけど、時のオカリナ編もオリジナル展開だらけだったし今更気にしないでくれると助かる
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/07(土) 16:48:13.00 ID:iDRqihoOO
待ってましたぜ姉貴!
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/08(日) 17:53:50.29 ID:EfqWaQEEo
おぉおおお!!
これは嬉しい!
465 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/17(火) 19:37:06.61 ID:nmW98wPE0
本日の投下はァー……21時くらいを予定していましたがァー、今に変更になりましたァー
466 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/17(火) 19:39:00.97 ID:nmW98wPE0
 ep.24 最初の三日間


最初の朝
残り72時間

――クロックタウン 南

トンカントンカン カンカンカン

デクリンクル「何この街……?」

チャット「ああ、ビックリした……あの時のお面屋だったんだ……」

デクリンクル「あの時の?」

チャット「あ、いや、こっちの話よ」
チャット「しっかし、三日だなんて、一睡もしなくても72時間しかないじゃない」

デクリンクル「72時間も一睡もせずに過ごしたら死んじゃいそうだけどね」

チャット「ほんと勝手なこと言ってくれるわよね」
チャット「それじゃ、スタルキッド探しに行きましょ。多分町の外よ」

デクリンクル「あそこの門?」

チャット「どこから出たってタルミナ平原でしょ」
467 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/17(火) 19:39:54.93 ID:nmW98wPE0
大工「あー、違う違う! もう少し右!」

大工「これほんとに完成すんのかなぁ」

デクリンクル「それにしてもみんな忙しそうね」

チャット「お祭りがあるみたいよ」

デクリンクル「ふーん……」
デクリンクル「ん、妖精? まぁいいや連れて行こ」ヒョイッ

チャット「どうしたの?」

デクリンクル「妖精見つけたけど、やっぱりナビィじゃなかったわ」
デクリンクル「でも寂しそうだったからフードに入れちゃった」

チャット「あ、そう」

デクリンクル「それにしても、大切なものって何のことだろう」
デクリンクル「時のオカリナか、エポナか……スタルキッドに盗られたのってこれくらいよね」

チャット「馬は乗り捨てちゃったけど……」
チャット「オカリナはまだスタルキッドが持ってるんじゃない?」

デクリンクル「じゃあオカリナかなぁ……」

兵士「おっと、待ちたまえそこの君」

デクリンクル「あたし?」

兵士「そう、デクナッツのお嬢ちゃん。町の外は物騒だから、君のような子供を一人で出すわけにはいかないなぁ」
兵士「お母さんか、お父さんか、兎も角親御さんと一緒に来なさい」

デクリンクル「えー……」
468 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/17(火) 19:40:25.26 ID:nmW98wPE0
デクリンクル「この姿じゃ兵隊さんに止められちゃうわ」

チャット「困ったわね……」
チャット「……そうだわ、大妖精様に会いに行きましょ」

デクリンクル「あ、大妖精様はここにも居るんだ」

チャット「勿論よ。大妖精様はスタルキッドの行動くらい全てお見通しなんだから!」
チャット「ここだけの話、あいつは大妖精様にだけは頭が上がらないの」

デクリンクル「そうなんだ……」
デクリンクル「で、どこに行けばいいのかな」

チャット「街の北門近くにある祠に行くのよ。大妖精様はそこにいらっしゃるわ」
469 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/17(火) 19:41:00.03 ID:nmW98wPE0
――クロックタウン 妖精の泉

デクリンクル「ここの筈よね?」

チャット「……?」
チャット「ああ! 大妖精様が!?」

デクリンクル「普通の妖精しか居ないけど……」

「若者よ……私の願いを聞いてください」
「仮面をつけたスタルキッドにバラバラにされてしまいました」

デクリンクル「スタルキッドって大妖精様に頭上がらないんじゃなかったの?」

チャット「そ、その筈よ……どうしてこんな……」

「町ではぐれている妖精を一人捕まえてここに連れてきてください……」

デクリンクル「……」

チャット「どうしたの?」

デクリンクル「いや……もしかして、これかなって」

チャット「……あー! さっきの妖精!」

「おお、それこそまさに……!」

シュルルルルッ
470 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/17(火) 19:41:32.41 ID:nmW98wPE0
「オーッホッホッホッホ!」

デクリンクル(うわぁ)

「チャット。そして姿を変えられた親切な若者よ」
「バラバラになった体を元に戻してくれてありがとう」

魔法の大妖精「私は魔法の大妖精」
魔法の大妖精「私としたことが、あの子だと思って油断をしてしまいました」

デクリンクル「普段はそんなことをする実力はない、ってこと?」

魔法の大妖精「はい。あれは、そう……」
魔法の大妖精「何か強大な力を突然手に入れたようでした」

デクリンクル「強大な力を、突然……?」
デクリンクル「スタルキッドは今どこに?」

魔法の大妖精「ごめんなさい……詳しくは分かりません」

デクリンクル「そっか……」

魔法の大妖精「ですが、恐らくこの町のどこかに居るものと思われます」
魔法の大妖精「町中を探しても見つからない時は、外から見てみるのもいいでしょう」

デクリンクル「外から、か……」
デクリンクル「ありがとうございます、大妖精様」

魔法の大妖精「いいえ……私こそ、力になれなくてごめんなさい」
471 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/17(火) 19:42:22.33 ID:nmW98wPE0
――クロックタウン 北

デクリンクル「いよいよ困ったわね」
デクリンクル「大分町の中歩き回ったけど、一向に見つからないし、かと言って外は……」チラッ

兵士「ふあーあ……」

デクリンクル「……兵隊さんに止められちゃうし」

チャット「八方塞がりね……」
チャット「しっかし、ほんとどうしちゃったのかしらあいつ……」

デクリンクル「急に大きな力を手にしちゃったからかもね……」プクー

チャット「口から何か出てるわよ。何それ? シャボン玉?」

デクリンクル「分かんない。デクナッツになってから出来るようになったの」

チャット「ふーん……」

デクリンクル「……あ、撃てるんだこれ」ポンッ

パァン

チャット「ぴぃ!?」

「おおっ!?」
「今風船割ったのお前か!?」

デクリンクル「あ、ご、ごめん! 君の風船だったんだ……」

「いや、いいよ。元々割る為に用意したもんだしな」
「しかしお前、デクナッツの癖にやるなぁ」

デクリンクル「デクナッツの癖に、って……」
472 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/17(火) 19:42:56.15 ID:nmW98wPE0
「お前にならボンバーズのアジトに行く暗号を特別に教えてやってもいいぞ」

デクリンクル「ボンバーズ?」

チャット「確か困ってる人を助ける正義の秘密結社……を名乗ってる少年団よ」

デクリンクル「ふーん……」
デクリンクル「じゃあ教えて。いい?」

「あ、テストは受けてもらうぞ!」
「覚悟はいいか?」

デクリンクル「テスト……って何するの?」

「ルールは簡単! ヤローども集まれぇーぃ!」

「「「「わぁー」」」」ドタドタドタ

「俺達5人を日が暮れるまでに全員捕まえることが出来たら暗号を教えてやる!」

デクリンクル「鬼ごっこ、ってことね」
デクリンクル「いいよ。いくつ数えればいい?」

「10秒だ!」
「いくぞ!」

「「「「わぁー」」」」ドタドタドタ
473 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/17(火) 19:43:37.23 ID:nmW98wPE0
子供A「うわぁ、捕まった!」

デクリンクル「まずは一人目!」

子供A「どうして分かったんだ?」

デクリンクル「木の影に隠れてるの見えたもん」
デクリンクル「……おっ」タタッ

子供B「うわっ!」

デクリンクル「みーつけた!」

子供B「捕まえてみろー!」タタタタッ

デクリンクル「待ちなさーい!」タタタタッ

子供A「……あれ? あのデクナッツ女の子なのか?」

チャット「え、そうよ? 気付かなかった?」

子供A「分かりにくいんだもん」

子供B「捕まったぁー!」

デクリンクル「あと三人!」
474 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/17(火) 19:44:09.40 ID:nmW98wPE0
デクリンクル「というわけで日が暮れる前に全員捕まえたわ」

子供C「あそこでああ来るとは思わなかったよ……」

子供D「まさか木箱を粉砕してくるとは思わなかったよ……」

「大分端折られた気がする……」
「それにしてもやるなぁ、お前」

「でも残念だな」
「お前が人間だったら正式に入団させてボンバーズのメンバーズ手帳渡すとこだったのに」

デクリンクル「……あ、そっか、デクナッツだっけ今」
デクリンクル「どうして駄目なの?」

「一度人間以外の奴を入れたことがあるけど、酷い目に遭ったからな……」

チャット「……」

「念のため聞いとくけど、こいつにメンバーズ手帳を渡すのは?」

子供A「ちょっとだけ可愛くたって駄目駄目」
子供B「そこそこ可愛くても駄目だ駄目だ」

子供C「いくら可愛くても駄目なもんは駄目」
子供D「可愛いけど駄目だったら駄目」

ジム「……とまぁ、こんな感じ」
ジム「ただまぁ、お前も困ったことがあったらこのボンバーズ団長のジム様に相談してもいいぜ!」

デクリンクル「うん、分かった」

ジム「あ、そうそう、約束通り暗号は教えてやるぜ」
ジム「暗号は15234だ。忘れるなよ!」

デクリンクル「ありがとね」
475 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/17(火) 19:44:42.44 ID:nmW98wPE0
デクリンクル「……で、暗号ってどこで使えばいいんだろ?」

チャット「ああ、こっちよ、こっち」
チャット「ほら、そこの地下道」

デクリンクル「あの子に暗号を言えばいいのね」
デクリンクル「ねぇねぇ、そこ通してくれない?」

子供「ここを通りたければ暗号を言うでしゅ」

デクリンクル「15234。いい?」

子供「えぇと……暗号を知ってるってことは仲間でしゅね?」
子供「通っていいでしゅ」

デクリンクル「ありがとー」
デクリンクル「……チャット、やけにボンバーズのことに詳しいね」

チャット「あー、まぁね」
476 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/17(火) 19:45:21.32 ID:nmW98wPE0
――天文観測所

「おやおや……今日は変わった子供のお出ましじゃな……」
「ボンバーズの新しい仲間かの? デクナッツの女の子とは……」

デクリンクル「一応……そうなのかな?」

「ふむ……この前の仲間よりは躾が良さそうじゃのう……」
「この間の悪ガキときたら、部屋の道具は壊すわ、月の涙は盗むわ……」

「ほとほと手に負えん奴じゃった」
「今も……ほれ、時計塔の辺りで悪戯をしておるだろう。望遠鏡を覗いてみなさい」

デクリンクル「はい」
デクリンクル「……えーと、時計塔は……あれかな」

デクリンクル「……」
デクリンクル「……チャット」

チャット「な、何よ」

デクリンクル「あんたがボンバーズにやけに詳しい理由が分かったわ」
デクリンクル「お爺さんの言う悪ガキ、ってスタルキッドのことだったのね」

チャット「……そうよ」

「あの子の知り合いか?」

デクリンクル「あー、まぁね……」
デクリンクル「ありがとう、お爺さん。行くところが出来たわ」
477 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/17(火) 19:49:32.81 ID:nmW98wPE0
――クロックタウン南

チャット「時計塔の上?」

デクリンクル「っそ。時計塔のてっぺん」

チャット「まさか真上に居ただなんてねぇ……」

デクリンクル「……真上といえば」

チャット「どうしたの?」

デクリンクル「聞こうと思ってたんだけど、空のあれは何?」

チャット「あれ……って……」
チャット「……月、よね? なんか顔みたいなの見えるのは確かに変だけど……」

デクリンクル「……月にしてはやけに近くない?」

チャット「知らないわよそんなの」

デクリンクル「……あれ段々近付いてきてるみたいなんだよね」

チャット「近付いて……って」
チャット「何? ぶつかるのアレ!?」

デクリンクル「さぁ……そんな気はする」

チャット「なんであんたそんなに冷静なのよ!?」

「月を見てるの?」

デクリンクル「?」クルッ
チャット「?」
478 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/17(火) 19:50:25.61 ID:nmW98wPE0
デクリンクル「……あっ!? コッコのお姉さん!?」

「え?」

デクリンクル「どうしてこんなところに……」
デクリンクル「あたし、リンクルだよ、覚えてない!? 今はこんな姿だけど……」

「うーん……ごめんなさい、ちょっと覚えがないわ……」
「リンクル、って名前も聞いたことがないわね……」

デクリンクル「そんな……」

アンジュ「ごめんね。その人と私がそっくりなだけかもしれないわ」
アンジュ「私、アンジュっていうの。よろしくね、リンクルちゃん」

デクリンクル「う、うん、よろしく」
デクリンクル「えっと……そう! あの空の大きなのは一体……?」

アンジュ「月よ。三日後の刻のカーニバルの日に落ちてくるって噂なの」
アンジュ「子鬼が呼んでるなんて噂もあるけど……」

デクリンクル「子鬼……まさか、スタルキッド!?」
デクリンクル「ありがとう、お姉さん! またね!」タタッ

アンジュ「あ、うん、また、ね……」
479 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/17(火) 19:51:04.56 ID:nmW98wPE0
残り6時間

デクリンクル「とうとう何も出来ずに最後の日になっちゃったわ」
デクリンクル「あの時計塔、ほんとにどうやって上ったらいいのかしら」

チャット「中から上らないといけないけど、お面屋が居るとことは違う入口があるみたいね……」

デクリンクル「うーん、八方塞がりねぇ……」

ヒュルルルル バンッ ボンッ ボンッ バンッ

デクリンクル「……花火?」

チャット「……あっ、カーニバルが始まったんだわ!」

デクリンクル「お姉さんが言ってたあの……」

ガコーン ガコーン ガコーン ガコーン

デクリンクル「?」

チャット「時計塔の壁、新しい入口が開いたわね」

デクリンクル「行ってみましょ!」タタッ
480 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/17(火) 19:52:02.87 ID:nmW98wPE0
――時計塔

デクリンクル「はっ……はっ……」
デクリンクル「見つけたわよ、スタルキッド!」

スタルキッド「……」フヨフヨ

トレイル「姉ちゃーん!」

チャット「あっ、トレイル! もう、探したわよ、あんた達!」
チャット「ねぇねぇ、スタルキッド! あんたの被ってる仮面、もう返してあげたら?」

スタルキッド「……」フヨフヨ

チャット「ねぇ! 聞いてる?」

トレイル「姉ちゃん! 沼・山・海・谷に居る4人の人達……早くここに連れてきて!」

スタルキッド「余計なこと言うな、バカ妖精!」バシッ

トレイル「ぴっ!」

チャット「ああっ! 弟になんてことすんのよ!」リリリリン
チャット「スタルキッド! あんたそれでも友達なの!?」

スタルキッド「まぁいいや……今更あいつらが来てもオイラに敵うわけないさ、ヒヒッ」
スタルキッド「上を見な! 止められるもんなら、止めてみろ!」

月「……」ゴゴゴゴゴ

デクリンクル「っ……!」
デクリンクル「取り敢えず、何でも試してみなきゃ!」プクー ポンッ

スタルキッド「おっ!?」バチンッ
481 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/17(火) 19:53:02.47 ID:nmW98wPE0
スルッ
カツーン

デクリンクル「時のオカリナ!」タタタタッ

チャット「こんな時にオカリナなんかあったって、何の役にも立たないじゃない!」


ゼルダ『あなたが旅した“七年後”と、これからあなたが旅する“いま”は違う世界です』
ゼルダ『けれど、あなたの手には勇気のトライフォースが宿ったまま……』

リンクル『……うん』

ゼルダ『このままハイラルに留まるのは危険です。この時のオカリナもそうであるように』
ゼルダ『なので、ハイラルを離れるのであれば、このオカリナと共に……』

ゼルダ『身勝手なことは分かっています。ですが……』
ゼルダ『どうか……お願いします』ペコリ

リンクル『……頭を上げて』
リンクル『じゃあ、時のオカリナは、あたしが持ってくよ』

ゼルダ『ありがとう……』
ゼルダ『あなたの旅が無事であるよう、祈っています……』

ゼルダ『短い間でも、あなたとこのハイラルで過ごした時間は決して忘れません』
ゼルダ『そしてまたいつの日か、あなたと再び普通に過ごせる日が来ると私は信じています……』

ゼルダ『もしも、何か起こったら、あの歌を思い出して……』
ゼルダ『時の女神はあなたを見守っています。きっと力になってくれるでしょう』


デクリンクル「……!」
デクリンクル「……けど、どうすれば……」

チャット「あーん、神様! 時の女神様! 誰も良いから、いっそ時間を止めて!」

デクリンクル「っ……それよ!」スッ
デクリンクル「って、なんだこりゃ!?」ボンッ

チャット「えっ……!? オカリナが……デクラッパになった!?」

デクリンクル「えぇい、この際何でもいいや!」

♪♪♪♪♪♪〜

カッ
482 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/17(火) 19:53:44.01 ID:nmW98wPE0
デクリンクル「何……!?」
デクリンクル「あたし、落ちてるの!?」

デクリンクル「何この空間!?」
デクリンクル「一体何が……!」

チャット「ひゃああああっ、待って待って待って!」
チャット「こんなとこに飛ばされるなんて聞いてないわよー!」


スタルキッド『えぇい、離せ! 離せよ!』

リンクル『あんたこそエポナから降りなさいよ!』ズルズルズル

スタルキッド『このっ……』ゲシッ

リンクル『いっ……!』
リンクル『きゃっ!』ドタッ ゴロゴロゴロ


スタルキッド『今のオイラに勝てると思ってるのか? 間抜けな奴め』

リンクル『……っ』ゾクッ

スタルキッド『お前の顔は見飽きたぞー……』ズズズズ

リンクル『……!』ジリッ


しあわせのお面屋『ホッホッホ……』


ゴオオオオオッ


最初の朝
残り72時間
483 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/17(火) 19:56:51.03 ID:nmW98wPE0
取り敢えずここまで

無計画に書いてるから、ゴロンとかゾーラとかの仮面は一体どうしようとかいう問題が浮上してしまった
484 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/19(木) 12:43:04.35 ID:+WBgv8EbO
ゾーラ族で百合展開もいいと思います
485 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2018/04/21(土) 14:37:01.39 ID:S5xNSYMFO
何? ゴロン族が男しかいなくてこまる?
かまわん、やれ
486 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 17:57:32.63 ID:MjT3UpK/0
どうでもいいんだけど、64辺りのゼルダの登場人物って容姿は兎も角、言葉遣いが妙に独特なのが多い気がする
いや、〜ゴロとか〜ゾラとかじゃなくて

更新します
487 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:10:20.49 ID:MjT3UpK/0
 ep.25 繰り返される三日間


――クロックタウン 南

デクリンクル「……あれ?」

チャット「今のは一体なんだったの……?」
チャット「あれ……ここは……」

デクリンクル「時計塔の前ね……んん?」

チャット「……戻ってる」
チャット「月も……戻ってる」

チャット「あんた一体何者なの? 時間が戻ったわよ……?」
チャット「あの楽器といい、あの曲といい……」

デクリンクル「うん……前より、ずっと時のオカリナの力が強いような……」
デクリンクル「……もしかして、今もう一度時の歌吹いたらまた時間を戻せるのかな」

チャット「どうかしら……多分、そうだと思うわ」
チャット「どこまで戻れるのかは分かんないけど……」

デクリンクル「……」キョロキョロ

大工「あー、違う違う! もう少し右!」

大工「これほんとに完成すんのかなぁ」

デクリンクル「……」クルッ

妖精「ワタシハドコニ……」フヨフヨ

デクリンクル「……」

チャット「さっきから何キョロキョロしてんのよ?」
チャット「……って、あっ」

デクリンクル「……」スッ

♪♪♪♪♪♪〜

カッ
488 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:11:08.38 ID:MjT3UpK/0
最初の朝
残り72時間

――クロックタウン 南

チャット「……」

デクリンクル「……」

チャット「……いきなりあれやるのやめて」

デクリンクル「……チャット?」

チャット「何よ?」

デクリンクル「そっか、チャットか……」

チャット「はあ? 何なのよ?」

デクリンクル「なんでもない」キョロキョロ

大工「あー、違う違う! もう少し右!」

大工「これほんとに完成すんのかなぁ」

デクリンクル「……」クルッ

妖精「ワタシハドコニ……」フヨフヨ

デクリンクル「……さっきと同じね」

チャット「何が?」

デクリンクル「時間は確かに戻せるけど、戻せるのはこの三日間……」
デクリンクル「お面屋さんと会って、この時計塔から出てきた直後までみたい」

チャット「……ああ、成程ね」
チャット「巻き戻しが出来るのはあの月が落ちる三日前の朝までってことね」

デクリンクル「別に半年前に戻れるわけじゃないんだ……」ボソッ

チャット「?」
489 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:11:51.61 ID:MjT3UpK/0
チャット「それより、あんた忘れてない?」

デクリンクル「何が?」

チャット「ほら、例のお面屋との約束よ」

デクリンクル「……そうだわ! オカリナ取り返したら、あのお面屋さんが元の姿に戻してくれるんだった!」

チャット「思い出したわね」
チャット「多分今はお面屋と話して時計塔出た直後よ。びっくりされるかもね」

デクリンクル「お面屋さんにとってはついさっき出てったばっかりだもんね」
デクリンクル「こんなにあっさり時のオカリナ取り返したのかって勘違いされそう」
490 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:12:50.47 ID:MjT3UpK/0
――時計塔

デクリンクル「お面屋さん!」

しあわせのお面屋「おや、あの子鬼からあなたの大切なものは取り返せましたか?」

デクリンクル「うん! オカリナでしょ!」

しあわせのお面屋「おおっ、取り戻せてるじゃないですか!」
しあわせのお面屋「ではどうぞ、ワタクシの奏でる曲を吹いて、覚えてください」

チャット「そのオルガンどっから出てきた」

しあわせのお面屋「私の後に続いて、どうぞ」

♪♪♪ ♪♪♪ ♪♪♪♪♪〜

デクリンクル「これは……」
デクリンクル「……!」ドクンッ


デクナッツ「……」ザッザッザッザ

リンクル「あの時のデクナッツ……」
リンクル「……」フリフリ

デクナッツ「……」ニコッ

リンクル「……うん、またね」


カランッ カランカランッ
491 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:13:35.80 ID:MjT3UpK/0
チャット「あ、あんた……」

リンクル「……元に、戻ってる」

しあわせのお面屋「この歌は邪悪な魔力や浮かばれぬ魂を癒し、仮面に変える曲」
しあわせのお面屋「この先きっと、お役に立つと思います」

リンクル「あ、ありがとう……」
リンクル「デクナッツの仮面……何か浮かばれないデクナッツだったのかしら」

しあわせのお面屋「どうでしょうね……記念にこの仮面はあなたに差し上げましょう」
しあわせのお面屋「安心してください、魔力は仮面に封じ込められています」

チャット「被っても何にもならない、ただの仮面ってこと?」

しあわせのお面屋「いいえ、まさか。被ればまたあの姿になります」
しあわせのお面屋「しかし、外せば元の姿に戻れますよ」

リンクル「いつでも自由にデクナッツになれるってことね」
リンクル「ありがとう」

しあわせのお面屋「いえいえ、これで約束は果たしました」
しあわせのお面屋「さ、約束のものをこちらへ……」

リンクル「……あっ」

しあわせのお面屋「……」

リンクル「……」

チャット「……」
492 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:14:26.30 ID:MjT3UpK/0
しあわせのお面屋「まさか」
しあわせのお面屋「あなた」

しあわせのお面屋「ワタクシの仮面を……」
しあわせのお面屋「取り返して、いないとか……?」

リンクル「……ご、ごめんなさい」

しあわせのお面屋「何てことをしてくれたんだ!」クワッ

リンクル「ひっ!?」
チャット「ぴぃっ!?」

しあわせのお面屋「このままあの仮面を野放しにしていたら大変なことになる!」ガシッ

リンクル「ごご、ごごごめんなさい!」
リンクル「そそそそんな大変なものなの!?」

しあわせのお面屋「それは……!」
493 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:15:06.25 ID:MjT3UpK/0
 実はワタクシの盗まれたあの仮面……ムジュラの仮面といって
 太古のとある民族が呪いの儀式で使っていたとされる伝説の呪物なのです

 その仮面を被った者には邪悪で凄まじい力が宿ると言い伝えられています

 伝説では……
 ムジュラの仮面が齎す災いのあまりの大きさに
 それを恐れた先人達が仮面を悪用されないよう、永遠の闇に封じ込めたといいます

 その力がどんな力なのか……
 伝説に記されたその民族が滅びた今では分かりません
494 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:15:46.41 ID:MjT3UpK/0
チャット「そんな大変なものだったんだ……」

しあわせのお面屋「……しかし、ワタクシは感じます」
しあわせのお面屋「苦労して手に入れた伝説の仮面……あれを手にした時感じた身の毛も弥立つ禍々しい力」

しあわせのお面屋「あれが今……あの子鬼の手にある……」
しあわせのお面屋「お願いです! 早くあの仮面を取り返せないと、とんでもないことが起きます!」フルフル

しあわせのお面屋「お願いです! お願いです! あなたなら!」ペコペコ
しあわせのお面屋「あなたなら出来る!」ペコペコ

リンクル「わ、分かった、分かりましたっ」

しあわせのお面屋「そうですか、やっていただけますか」ケロッ
しあわせのお面屋「そう言っていただけると確信しておりました」

リンクル「ふぇっ?」

しあわせのお面屋「大丈夫! あなたならきっと出来ます」
しあわせのお面屋「自分の力を、信じなさい……信じなさい……」

リンクル「……」ギィ
495 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:17:05.09 ID:MjT3UpK/0
――クロックタウン 南

リンクル「……」

チャット「まったく、情緒不安定っていうか、なんていうか……」
チャット「……どうしたの、らしくない神妙な顔して」

リンクル「いや……あんな大変なもの、なんであの人が持ってるのかなって」
リンクル「あたしに頼むのも妙だし……」

チャット「言われてみればそうね……?」

リンクル「……まぁ、いいや。取り敢えず元の姿に戻れたし、町の外にも出られるかな」
リンクル「あっ!」タタッ

チャット「あ、ちょっと!」

リンクル「お姉さん!」

アンジュ「え?」

リンクル「あたし、リンクルだよ! 覚えてない?」

アンジュ「うーん……ごめんなさい、ちょっと覚えがないわ」

リンクル「そっか……」
リンクル「じゃあさ、こんなフード被ったデクナッツの子供見なかった?」

アンジュ「えーと……うーん……」
アンジュ「ごめんなさい、それもちょっと……」

リンクル「そうなんだ……」
リンクル「ごめんね、急に変なこと言って。またね!」タタッ

アンジュ「え、ええ、またね……?」
アンジュ「なんだったのかしら……」クビカシゲ
496 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:18:01.50 ID:MjT3UpK/0
チャット「やっぱり三日前に戻るとなかったことになるみたいね」
チャット「あの人、あんたのこと全然覚えてなかったじゃない」

リンクル「だろうと思ってたけど、確かめたくてね」
リンクル「それにしても……」

リンクル「大工のみんなや親方はあたしの知ってる大工さん達とその親方にそっくりだし」
リンクル「宿屋のお姉さんとお婆さんはあたしの知ってるコッコのお姉さんとクスリ屋のお婆さんにそっくりだし」

リンクル「キングゾーラっぽいけど違う人、インゴーさんっぽいけど違う人……」
リンクル「みんなあたしの知ってる人とそっくりなのにみんな別人なんて、なんだか変な感じね」

チャット「……あんたがこれまでどんな人に出会ってきたのか知らないけど、そんなに多いの?」

リンクル「うん。顔どころか服装までそっくり」
リンクル「まるでハイラルの記憶を持ってないハイラルの人達がそのままここにいるみたい」

チャット「気持ち悪いこと言わないでよ」

リンクル「……あ、逆に全然見たことない人も居るよ?」
リンクル「例えば……」キョロキョロ

リンクル「あの子供達とか」
リンクル「そうだ、天文観測所もう一回行ってみない?」

チャット「なんで急にそんなこと?」

リンクル「ほら、ここからじゃ時計塔のてっぺんは見えないじゃない」

チャット「……本当に全部が巻き戻ったのか気になる、ってこと?」

リンクル「っそ。もしスタルキッドが三日前と違うことをしてたら……」

チャット「何らかの形でスタルキッドは時間にも干渉することが出来るかも……」
チャット「とか?」

リンクル「そんなとこ」
497 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:18:34.98 ID:MjT3UpK/0
――クロックタウン 東

リンクル「ねぇねぇ、そこ通してくれない?」

子供「ここを通りたければ暗号を言うでしゅ」

リンクル「……あっ、そっか。暗号か……」

チャット「時間が巻き戻ってるなら、案外変わってなかったりするんじゃない?」

リンクル「だといいけど……」
リンクル「15234。いい?」

子供「えぇと……暗号を知ってるってことは仲間でしゅね?」
子供「通っていいでしゅ」

リンクル「ありがとー」
リンクル「……ほんとに通れちゃった」

チャット「良かったじゃない」
498 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:19:16.16 ID:MjT3UpK/0
――天文観測所

「おやおや……今日は変わった子供のお出ましじゃな……」
「ボンバーズの新しい仲間かの? 女の子は初めてじゃが」

リンクル「一応……そうなのかな?」

「ふむ……この前の仲間よりは躾が良さそうじゃのう……」
「この間の悪ガキときたら、部屋の道具は壊すわ、月の涙は盗むわ……」

「ほとほと手に負えん奴じゃった」
「今も……ほれ、時計塔の辺りで悪戯をしておるだろう。望遠鏡を覗いてみなさい」

リンクル「はい」
リンクル「……えーと、時計塔は……あれかな」

チャット「どう? 居る?」

リンクル「うん、見える見える……」
リンクル「ほんとにあの時と同じことしてる」

チャット「流石に時間までは干渉できないみたいね」

リンクル「そうみたい」
リンクル「ありがとう、お爺さん。また来るね」

「うむ」
499 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:20:15.19 ID:MjT3UpK/0
――クロックタウン 東

「おーい、そこの姉ちゃん!」

リンクル「あたし?」

ジム「そう、お前!」
ジム「お前、俺達のテストに合格してないのに俺達の暗号知ってたらしいな?」

リンクル「……あっ」

チャット「そりゃそうよね……」

ジム「ボンバーズのメンバー以外誰も知らない筈なのに、どうやって知ったんだ?」

リンクル「あ、いや、えーと……」

ジム「お前、実はすごい奴なんだな!」

リンクル「へっ?」

ジム「俺達だけが知ってる暗号を知ることが出来たなんて凄ぇよ!」
ジム「気に入った! お前なんて名前なんだ?」

リンクル「リ、リンクル……」

ジム「そうか、リンクル!」
ジム「……ほんとはメンバー全員の承認が必要なんだけど……」

ジム「最近スタルキッドの奴が掟破って勝手なことしてるから、代わりにお前をボンバーズに入れてやる!」
ジム「ほら、団員手帳!」っボンバーズ団員手帳

リンクル「あ、ありがと」

ジム「ボンバーズよ、永遠に! だぜ!」
ジム「じゃな!」タタタタッ

リンクル「……」ポカーン

チャット「……」ポカーン
チャット「……ま、まぁ、良かったじゃない! それで三日間きっちりスケジュール管理が出来るわね!」
500 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:21:47.41 ID:MjT3UpK/0
リンクル「取り敢えず、三日が巻き戻されて、全部元の通りってのは分かったわ」
リンクル「それで、えーと……あんたの弟」

チャット「トレイル?」

リンクル「そ、トレイル」
リンクル「あの子が言ってた、四人の人達を探しに行きましょ」

チャット「沼、山、海、谷、だったっけ?」

リンクル「確かね」
リンクル「チャットはこの近辺詳しい?」

チャット「少なくともあんたよりは」

リンクル「じゃあそれらの場所に心当たりは?」

チャット「ないこともないけど……」
チャット「例えば山って言ったらスノーヘッドかしらね。町の北よ」

チャット「海は西のグレートベイかしら。そうすると沼は……南のウッドフォールかな」
チャット「沼っていうか森っていうか密林だけど。東のイカーナは沼っていうより谷だしね」

リンクル「兎も角、丁度町の四方なのね?」

チャット「そうね」

リンクル「じゃ、取り敢えず南に行ってみましょ」

チャット「……なんで南?」

リンクル「なんとなくよ、なんとなく」
リンクル(森、だしね)

リンクル「そこの門から出てみよっか」
リンクル「……と、その前に装具てんけーん」

チャット「何それ」

リンクル「兵隊さんの真似」
501 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:22:19.34 ID:MjT3UpK/0
リンクル「兵隊さーん、ここ通っていい?」

兵士「待ちたまえ、外は物騒だから君のような子供を一人で外に出すわけには……」
兵士「……剣? 盾に、クロスボウ?」

兵士「他にも剣鉈に皮袋に、フードの付いたローブ……」
兵士「ブーツも随分履き潰してるみたいだけど、もしかして君、旅をしてるのかい?」

リンクル「うん、そんなとこ」

兵士「そうか……あいや、失礼、子供扱いして悪かったね」
兵士「この先は沼のあるウッドフォールだ。気をつけてね」

リンクル「うん、ありがとう」
502 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:22:47.48 ID:MjT3UpK/0
――タルミナ平原

リンクル「ここが……」

チャット「タルミナ平原よ」

リンクル「森を抜けた先にあんな町があって、こんな平原があって……」
リンクル「……やっぱり変なの」

チャット「何ごちゃごちゃ言ってんのよ」
チャット「ほら、さっさと足を動かす!」

リンクル「はいはい」
リンクル「じゃ、沼地に行ってみますか!」ザッ
503 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/04/26(木) 18:29:35.55 ID:MjT3UpK/0
取り敢えずここまで

時のオカリナは妙にシリアスだった気がするので、ムジュラはギャグ強めにしていきたい(出来るとは言ってない)
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/27(金) 07:41:43.69 ID:6K7kQMfSO
平原に出たらまずバック走行だな(TAS脳)
505 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 20:53:09.22 ID:LHEyenNa0
接客業はGWみたいな大型連休の方が忙しいってそれ一番(ry

仕事辞めて一日中ゲームしたりSS書いたり絵描いたりするだけの生活送りたい

更新します
506 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 20:55:02.32 ID:LHEyenNa0
 ep.26 ウッドフォールの姫君


緑チュチュ「グジュルルルッ」

チャット「緑チュチュよ! 大した奴じゃないから、さっさとやっつけちゃいなさい!」

リンクル「よっ」ザンッ

緑チュチュ「ジェアアアッ」グチャッ

チャット「ま、このくらい余裕よね」
チャット「……あら」

リンクル「?」

チャット「ああ、これこれ、懐かしいなぁ」

リンクル「何その……落描き?」
リンクル「……スタルキッド?」

チャット「そうよ。あいつが描いたの」

リンクル「へぇ……結構上手ね」

チャット「ね……」
チャット「ここに初めてトレイルと来た時、あいつは友達と喧嘩して一人ぼっちだったって言ってた……」

リンクル「……」

チャット「そりゃあ、確かに悪戯ばかりして、みんなから相手にされないけど……」
チャット「だからと言って、あんな恐ろしいことするなんて……」

リンクル「……お面屋さんからムジュラの仮面を盗んだこと?」

チャット「……」
チャット「迂闊に、力を持ったばっかりに……」

リンクル「……」
507 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 20:56:02.96 ID:LHEyenNa0
――沼地

リンクル「沼の観光ガイド……」

チャット「そうだわ、あんたお金ある?」

リンクル「んー、そこそこ。40ルピーくらい」

チャット「マップ買って行きましょ」

リンクル「地図は重要だもんね」
リンクル「……ていうか、さっきからすっごい嫌な臭いがするんだけど、ここっていつもこうなの?」

チャット「いや……そういえば変ね……」
チャット「普段はこんなことないんだけど……」

リンクル「何かあったのかな……」ギィ
508 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 20:57:10.01 ID:LHEyenNa0
――沼の観光ガイド

リンクル「こんにちはー」

「ん、お客さんかい? いらっしゃい」

リンクル「マップが欲しいんだけど」

「マップかい? その辺でうちの倅が売ってるよ。見かけなかったかい?」

チャット「町からここまで、人間に会ったのはあんたが初めてよ」

「え?」

リンクル「そうね……確かに人は見かけなかったかも」

「ああー……ったく、あのドラ息子、またどこかでサボってやがるな!」
「いいトシこいて、妖精ごっこもないもんだ……!」

チャット「……あれ? もしかして、あんたのとこの息子って……」
チャット「あの、町で噂になってる、全身緑の中年男じゃ……」

「……」

チャット「……ごめん」
チャット「マップは諦めましょ……またの機会に」

「いや……こちらこそ悪いね……俺の教育が悪かったんかな……」

チャット「ボートクルーズは今日やってる?」

「悪いけどそっちも今休業中なんだ」
「コウメ婆さんが出勤してなくてさ。どうしちまったんだろうな」

チャット「じゃあ、探しに行ってみるわ」
チャット「行きましょ」

リンクル「あ、うん」
509 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 20:58:07.71 ID:LHEyenNa0
――魔法オババの薬屋

リンクル「こんにちはー」ギィ

コタケ「……zzz……」ウツラウツラ

リンクル「……あれ?」
リンクル「な、な、ツインローバ!? なんでこんなところに!?」

チャット「何言ってんの、あんた」
チャット「またハイラルに居た人にそっくりなんて言うんじゃないでしょうね」

リンクル「居た人っていうか、殺されかけたっていうか……!」

チャット「どんな壮絶な関係だったのよ……」
チャット「兎に角、この人は平気よ。ただの薬屋の魔法使いのお婆さんだから」

リンクル「……」ジトー

チャット「……もうっ」
チャット「っていうか、あんたはいつまで寝てんのよ!」リリリリン

コタケ「うんっ!?」パチリ
コタケ「おお、いらっしゃい……」

チャット「ったく……」
510 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 20:59:01.94 ID:LHEyenNa0
コタケ「お使いかい? 今時珍しいねぇ」
コタケ「あたしの薬はよーく効くよ。何が欲しいんだい?」

リンクル「ボートクルーズに乗りたいんだけど……」

コタケ「ありゃ、そっちかい」
コタケ「生憎、コウメさんなら裏の森へキノコを採りに行っとるよ……」

コタケ「……そういや、ちょっと帰ってくるのが遅すぎるねぇ!」
コタケ「あんた、序でに見に行ってくれないかい?」

リンクル「あたしが?」

コタケ「ボートクルーズ乗りたいんだろ? そんならそのくらいはしとくれよ」
コタケ「そうそう、森は迷いやすいからその辺に居る猿にでも聞きな!」

チャット「んな強引な……」

リンクル「……念のため聞いとくけど、どんな見た目の人なの?」

コタケ「あたしにそっくりだよ」

リンクル「……ありがと。それだけ分かればすぐだよ」
511 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:00:25.94 ID:LHEyenNa0
――不思議の森

チャット「猿に聞けったって……」
チャット「……居るし」

猿「えっと……ついてきて!」タタッ

リンクル「あ、うんっ」タタッ

チャット「ちょっと、置いてかないでよー!」シュ

スナッパー「ギャートルズ」グルグルグル

リンクル「邪魔っ」バシュッ

スナッパー「ゲロゲロー」ガキンッ

リンクル「効かない!?」

チャット「スナッパーの甲羅は生半可な攻撃じゃ通らないわ!」
チャット「別に相手する必要ないんだから、さっさと行きましょ!」

猿「早く早く!」
512 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:04:49.01 ID:vJUp1Gbe0
猿「ここだよ!」ガサッ

「あいたたたた……!」

リンクル「あれがコウメ……さんだね」
リンクル「大丈夫?」

コウメ「キノコ探しに気を取られてたらいきなりポカッとやられてこの様さ」
コウメ「忌々しいスタルキッドめ、顔を隠せばこのあたしが分からないとでも思ったのかい!」

リンクル「スタルキッド、こんなとこにも……」

コウメ「あいたたた、あんなに力があったなんて……!」
コウメ「お陰で腰が動かなくなっちまったよ!」

チャット「お年寄りにあの力は乱暴ね……」
チャット「あんた、何か持ってないの?」

リンクル「うーん……赤い薬ならあるけど」っ赤い薬

コウメ「あっ、その色、その香り……」
コウメ「……コタケ婆さんの薬に似てるけど、ちと配合率が違うね」

コウメ「まぁいいや、よこしな!」パシッ
コウメ「んくんく、んく……」ゴクゴク

コウメ「……おおっ!」
コウメ「この漲るパワー! コウメふっかぁーつ!」

リンクル「リンクル感激ぃ……」

チャット「何それ」

リンクル「“この漲るパワー”に続く言葉といえば……って」

コウメ「何だいそりゃ」
513 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:16:01.66 ID:vJUp1Gbe0
コウメ「兎も角、助かったよ!」
コウメ「あたしはこの沼地でボートクルーズをしてるんだけど」

コウメ「あんたが乗りたいならいつでもおいで、サービスするよ」
コウメ「ふんっ!」ボンッ

チャット「と、飛んだ!?」

コウメ「ヒッヒッヒ、魔法使いを舐めるんじゃないよ!」
コウメ「そいや!」ビューンッ

リンクル「あ、あっという間に見えなくなっちゃった……」
514 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:17:29.78 ID:vJUp1Gbe0
――沼地

コウメ『皆様、船長の“魔法使い”コウメです』
コウメ『当クルーズ船は全席禁煙の船です』

コウメ『本日の航行に参加の方にはマイレージを進呈』
コウメ『気分が悪くなった方は目の前の袋にどうぞ』

チャット「この船空飛びやしないでしょうね」

リンクル「何の話?」

ゴゴン……

リンクル「あ、動き出した」
515 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/09(水) 21:17:35.27 ID:VwfcKTzmo
時オカはやったことあるけどムジュラはやったことないなあ
コタケとコウメ出てくるんだね、懐かしい名前だ
516 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:35:20.24 ID:vJUp1Gbe0
ゴォォォォォ

リンクル「えっ、ちょっ、ちょっ、ちょっ、速くない!?」

チャット「今日はコウメさんの機嫌が良いんでしょ」

リンクル「そんなもんなの!?」

コウメ『おおおおおおおおしっかりつかまってなあああああああああああ!!』
コウメ『右を! 右をご覧ください!!』

リンクル「み、右?」

コウメ『猿です!!』

猿「ウッキー」

リンクル「猿だね!」
リンクル「落ちる落ちる落ちる!」ガシッ

コウメ『左をご覧ください!!』

リンクル「?」

コウメ『猿です!!』

猿「キャッキャ」

リンクル「猿だね!!」

コウメ『トンネルに突入するよおおおおおおおお!!』

リンクル「何なのよこのテンション!」
リンクル「ていうかチャット冷静だね!?」

チャット「いつものことだし」

リンクル「ていうか、前! トンネルに何か居る!」

ダイオクタ「フアーキョウモイイテンキダァー」

ドコッ

ダイオクタ「アバーッ!?」
517 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:35:53.72 ID:vJUp1Gbe0
コウメ『デクナッツの城前ー、デクナッツの城前でございます』
コウメ『下船されるお客様はお忘れ物のないよう、また、足元の毒沼に気をつけてお降りください』

リンクル「なんか……疲れた……」

チャット「まぁ慣れないとねぇ……」
チャット「しっかし、ここら辺は更に臭いわね……」

リンクル「原因になってるとこが近いのかな」

「なぁなぁ!」

リンクル「うん?」
リンクル「あら、さっきのお猿さん」

猿「お前、変わった力持ってるだろ?」
猿「オイラ達、ずっと見てた!」

猿「この沼地、最近毒が広がって住めなくなってきた」
猿「滝の上の神殿、怪しい。オイラの兄弟、神殿に行った」

猿「だけど、神殿入口分からない。神殿、デクナッツのもの」
猿「兄弟、デクナッツ達に捕まって城の中。助けて!」

リンクル「助けて、ったって……」

チャット「デクナッツの城はすぐそこよ」

リンクル「……取り敢えず、入ってみよっか」
518 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:38:06.18 ID:vJUp1Gbe0
――デクナッツの城

門番デクナッツ「ここはデクナッツ王国のお城だっピ!」
門番デクナッツ「用のない奴は通さないっピ!」

リンクル「駄目?」

門番デクナッツ「用のないどころか他所者なんか以ての外だっピ! 帰れっピ!」

リンクル「駄目かぁ」

チャット「駄目ねぇ……」
チャット「やっぱりデクナッツの城だし、人間は……って」

リンクル「……そうだ、あたしデクナッツになれるじゃない!」


イヤーッ
519 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:39:07.48 ID:vJUp1Gbe0
デクリンクル「ここ通して」

門番デクナッツ「ピピッ!? ひ、姫様!?」

デクリンクル「姫様?」

門番デクナッツ「ご、ご無事でしたかっピ! いい、今すぐ国王の間にお戻りください!」
門番デクナッツ「姫様を誘拐したとされる猿がおしおきを……ん?」

デクリンクル「……」

門番デクナッツ「……姫様?」

デクリンクル「いや、人違い……デクナッツ違いです……」
デクリンクル「あたしはただの旅人……いや、旅デクナッツで……」

門番デクナッツ「……」

デクリンクル「……」

チャット「……」

門番デクナッツ「……なぁーんだ、驚かすんじゃねぇっピ!」
門番デクナッツ「姫様に似てるもんだから畏まっちまったっピ!」

デクリンクル「で、ここ通っていい?」

門番デクナッツ「ここはデクナッツ王国のお城、用のない奴は通さないっピ!」
門番デクナッツ「……でも今は特別に国王の怒りを買ったバカな猿を晒し者にしてるから見て行ってもいいっピ」

門番デクナッツ「ここを真っ直ぐ行くと国王の間だっピ。それ以外の場所には入るなっピ!」
門番デクナッツ「……まぁ、お嬢ちゃん可愛いからちょっとだけなら見てってもいいかもっピ」

デクリンクル「そう……ありがとね」

チャット「通れちゃった」
520 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:39:40.14 ID:vJUp1Gbe0
――デク王の間

デクリンクル「ここ、だよね」

猿「だからー! オイラの話を聞いてくれってばー!」ジタバタ

チャット「猿が縛られてるわね」

デクリンクル「あれが捕まった猿ね」

デク王「ひ、姫!?」

猿「えっ、姫さん抜け出せたのか!?」

デクリンクル「違いますっ!」

デク王「いやいや、お前は間違いなく……んん?」
デク王「……」ジーッ

デクリンクル「……」フンッ

デク王「……言われてみれば、確かに違うな。この辺では見かけない顔じゃ。旅の者か?」
デク王「本来なら、お前のような者が国王の間に入ることは許されんのじゃが、今日は特別じゃ!」

デク王「これから、我がデク国の姫を誘拐したバカザルをおしおきするところじゃ!」
デク王「王室の者にふざけたことをした奴がどうなるか……目に物見せてやる!」

猿「早くしないと姫さんはバケモノに食われちまうよー!」

デク王「まだそんな戯言を抜かすか! 聞く耳持たんわ!」
デク王「大釜を準備せい! このバカザルは釜茹での刑じゃ!」

デクリンクル「でも、あの猿何か言って……」

デク執事「ちょっとこちらへ」グイッ

デクリンクル「わっ」
521 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:40:36.09 ID:vJUp1Gbe0
デク執事「国王様は今、冷静さを欠いておられます……」
デク執事「愛娘のデク姫様のこととなるといつもああで……」

チャット「苦労してるわね……」

デク執事「えぇ、まぁ……」
デク執事「冷静に考えて、恐らくあの猿の言う通り、神殿で何らかのトラブルに巻き込まれたのでしょう」

デク執事「しかし、国王様があのご様子では、捜索に兵を出すことも出来ず……」
デク執事「そこで、あなたを見込んでお願いがあります」

デクリンクル「神殿に行ってお姫様探して来いって?」

デク執事「お察しの通りです」

デクリンクル「まぁね……ただ、神殿の入口はデクナッツ達が知ってるって」

デク執事「えぇ、姫様がご存知なのですが……」

チャット「……」
チャット「……もしかして、あんたも入口は知らない?」

デク執事「お恥ずかしながら……」
デク執事「ウッドフォールの祭壇で、あるメロディを奏でれば入れるのですが、そのメロディが……」

デクリンクル「ええー……困ったなぁ……」
デクリンクル「……そうだ、あのお猿さんに聞けない?」

デク執事「あの猿にですか?」
デク執事「ふむ……確かに、姫様が目の前で神殿の入口を開けたのですから、知っているかもしれませんね」

デク執事「……分かりました」
デク執事「少しだけですが、お話をする時間を設けましょう」
522 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:41:28.33 ID:vJUp1Gbe0
猿「全然信じてくんないんだな! もういいよ、お前らに言うことなんかないからな!」
猿「さっさとおしおきでも何でもしてくれよー!」

チャット「ん? 今、何でもって」

猿「!?」

デクリンクル「やぁ」

猿「さっきの姫さんによく似た旅デクナッツか……」

デクリンクル「流石に逃がすことは出来ないけど、お話聞かせて」
デクリンクル「あたしがお姫様探しに行くからさ、神殿の入り方教えてよ」

猿「ほんとか?」
猿「……でも、それには周りに響くような大きな楽器が要るんだ」

デクリンクル「これでいい?」ボンッ

デク執事「なっ……そ、そのラッパは……!」

猿「おおっ! それそれ、姫とおんなじデクラッパ!」
猿「それならきっと上手くいく!」
523 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:41:57.69 ID:vJUp1Gbe0
猿「よく聞いて、覚えてくれよ!」

♪♪♪♪ ♪〜♪〜 ♪〜
♪♪♪♪ ♪〜♪〜 ♪〜

デク執事「これは……まさしく、目覚めのソナタ!」
デク執事「王家に伝わる目覚めの歌……!」

猿「上手い! それをウッドフォールの祭壇の上で演奏するんだ!」
猿「そうすれば神殿の入口が開いて、中に入れる筈だよ!」

猿「早く神殿に行って姫さんを助け出して!」
猿「じゃないとバケモノどもの餌食になっちまうよ!」

デクリンクル「うんっ! 任せてっ!」
デクリンクル「ありがとね、執事さん」

デク執事「……いいえ」
デク執事「どうか、お気をつけて」
524 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:42:28.50 ID:vJUp1Gbe0
――ウッドフォール

デクリンクル「祭壇ってこれのことかな?」

チャット「沼のど真ん中にあるあれ神殿っぽいし、そうなんじゃない?」

デクリンクル「じゃあここでラッパ構えて……と」ボンッ

♪♪♪♪ ♪〜♪〜 ♪〜

ゴゴン……

デクリンクル「お?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ザバァー

デクリンクル「おお……なんだろ、神殿が少し上がったのかな」

チャット「あそこに入口が見えるわね。行きましょ」

デクリンクル「うん」
525 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/05/09(水) 21:44:09.80 ID:vJUp1Gbe0
取り敢えずここまで

分かる人にしか分からないネタはちょくちょく挟んでいきたいと思う

次回、対決! 密林仮面戦士オドルワ!
526 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/31(木) 04:42:30.11 ID:BTu7pOb1o
あいつなれるまで面倒だけど爆弾2〜3発あてればぶちころがせるという
やっぱ火に弱いのかしら
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