ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/14(水) 00:28:26.58 ID:ZglLaJqo0
L「今さらながらプリンセス・プリンシパルのssだ…注意事項があるので任務開始前に読んでおけ」

7「…注意事項はこれです」


…注意事項…

主要な登場人物は百合・レズのみ(ユリ・アイズ・オンリー)

投下遅い

キャラ崩壊あり

シリアス少なめ


L「…以上だ。この内容を理解してから任務を開始しろ」

………


2 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/14(水) 01:01:06.24 ID:ZglLaJqo0
…case・ドロシー×プリンセス…

ドロシー「…は?」

L「聞こえたはずだ、『D』」

ドロシー「いや、聞こえたけど……プリンセスにハニートラップを仕掛けろ…って」

L「そうだ。今の所「チェンジリング作戦」は上手く行っている……が、この世界に『シロ』の者などいない、いるのは黒か灰色だけだ」

ドロシー「ましてや自分からこっちに加わってきたプリンセスとあらば、なおの事信用できない…か?」

L「そうだ。そこで『D』、お前がプリンセスに甘い顔を見せて本音を聞き出せ…どんな手段を使っても構わん」

ドロシー「…了解」


…部室…

プリンセス「美味しい紅茶ね…ドロシーさんもいかが?」

ドロシー「そうだなぁ、あたしは酒の方がいいけど…ま、頂くよ」

ベアトリス「珍しいですね、ドロシーさんがそんなに素直に」

ドロシー「なんだとぅ?」むにぃ…!

ベアトリス「い、いふぁいれすぅ…もう、ほっぺたがちぎれるかと思ったじゃないですか」

ドロシー「ふふ、そういう生意気な口をきくからだろ……っと、あちっ!」パチャ…!

ベアトリス「ほら、そうやってふざけているからですよ!」

ドロシー「あちゃー…なぁベアトリス、悪いけどあたしの部屋から代わりの服を取って来てくれないか?」

ベアトリス「えぇー?私はドロシーさんのメイドじゃないんですよ?」

ドロシー「仕方ないだろ…まさかこの濡れた服で帰るわけにはいかないし、ここに置いてある着替えって言ったら『活動用』の服だけなんだよ」

プリンセス「…ベアト、ドロシーさんの着替えを取って来てあげて?」

ベアトリス「姫様がおっしゃるなら……じゃあ取ってきますね」

ドロシー「頼んだぞ…クローゼットの中の服を見て鼻血を噴くなよ♪」

ベアトリス「誰がですか!…まったくもう……」

プリンセス「くすくすっ…表向きはああ言ってはいるけれど、ベアトはドロシーさんが嫌いじゃないのよ♪」

ドロシー「分かってるさ…何しろスパイだもんな?」

プリンセス「ふふ、スパイにしてはベアトは正直だけど♪」

ドロシー「かもな…って、冷たいな」

プリンセス「ティーカップ一杯分を浴びてしまったものね…ハンカチを貸してあげるわね?」

ドロシー「いや、胸元だけだし着替えも取って来てもらってるからな……よいしょ…」するっ…

プリンセス「…」

ドロシー「……ところで、プリンセス」

プリンセス「何かしら?」

ドロシー「ベアトリスもいないから言うけどさ……あたしの事、どう思ってるか…教えて欲しいんだ///」

プリンセス「それはもう、大事なお友達で『チーム白鳩』の頼れるメンバーよ?」

ドロシー「そうじゃなくて……あたしはさ、プリンセスの事が…」ずいっ…

ベアトリス「はい、取ってきましたよ……って、なんでそんな格好をして姫様に迫ってるんですか///」

ドロシー「お、悪いねぇ…って、真っ赤になってるってことはあたしに気があるのかー?」

ベアトリス「な、何いってるんですか…とにかく着替えて下さいっ!」

ドロシー「はいはい」

プリンセス「…ふふふ」

3 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/14(水) 01:33:08.43 ID:ZglLaJqo0
…夜・寝室…

ドロシー「それにしても…昼間は上手くかわされちゃったし、これからどう聞き出すか……はーい?」

プリンセス「…こんばんは、ドロシーさん♪」

ドロシー「うぇっ、プリンセス…!?」

プリンセス「ふふ…お茶の時はお答えできずじまいだったでしょう?きっと答えを早く聞きたいだろうと思って…♪」

ドロシー「いや、それは嬉しいけどさ……ネグリジェだけで来たのかよ///」

プリンセス「ええ」

ドロシー「と、とにかく中に入ってくれないか……寮監だのに見つかるとうるさいからさ」

プリンセス「そうだったわね。それでは、お邪魔します♪」

ドロシー「あー…えーと……飲み物でもだそうか?」

プリンセス「お気遣いなく♪…ベッドの上に座ってもいいかしら?」

ドロシー「あぁ、どうぞ…あたしもベッドに座るから、隣にかけなよ」

プリンセス「ありがとう♪…そういえば、ベアトはアンジェたちと一緒に監視任務に就いているのよね」

ドロシー「ああ…何でも王国側のスパイが入り浸っている部屋があるとかで……」

プリンセス「と言うことは…お昼みたいにお話が途中で止まることもないわけね♪」

ドロシー「お、おい…プリンセス……その、近いって///」

プリンセス「だって、私の事を好きって言ってくれたのはドロシーさんでしょう?」

ドロシー「いや、まぁ…それはそうだけどさ……だいたいプリンセスにはアンジェもベアトリスもい…」

プリンセス「二人きりの時に他の女の子の名前を出すのはいけないわ…♪」

ドロシー「いや、プリンセスもアンジェとベアトリスの名前を言ってたろ…」

プリンセス「だって…私はプリンセスだもの♪」

ドロシー「……横暴だな、おい」

プリンセス「ところで…私がドロシーさんの事をどう思っているか……だったわね?」

ドロシー「あ、あぁ…正直、プリンセスはあたしたちの…いや、あたしの事……どう思う///」

プリンセス「そうねぇ……食べちゃいたいわ♪」

ドロシー「…は?」

プリンセス「だって…あんな美味しそうな胸元を見せつけられたら……我慢できる人はいないんじゃないかしら///」ぐいっ…!

ドロシー「おわっ…ち、ちょっと待った!」

プリンセス「何かしら?」

ドロシー「いや、こういう物ってもう少し…その……なんか準備とかいるんじゃないか?…たとえば、ロウソクで照らされたステキなディナーとか……星空の下で告白とか……///」

プリンセス「ふふ、そうね…それじゃあ♪」

ドロシー「いや、カーテンを開けてどうするんだ…?」

プリンセス「ドロシーさん…好きよ///」

ドロシー「うえぇぇっ…!?」

プリンセス「はい「星空の下での告白」完了…では改めて♪」

ドロシー「うわっ、ちょ……待って…アンジェ、助けてくれぇ……ああぁぁっ!」

………



…翌朝…

プリンセス「ふふ、楽しかったわ…それじゃあ、また♪」

ドロシー「…ぜぇ、はぁ……死ぬかと思った…今までのケースの中で一番あの世に近づいたな……」

4 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/14(水) 01:49:35.84 ID:ZglLaJqo0
…図書館…


7「それで…?」

ドロシー「あー…プリンセスがダブル・クロスって言う可能性はない」

7「その根拠は?」

ドロシー「…プリンセスが『チーム白鳩』のメンバーを気に入っているから///」

7「それだけ?…理由にしては弱いわね」

ドロシー「いや、あたしが直接ハニートラップを仕掛けて聞き出したんだから間違いない…って、なんてこと言わせるのさ///」

7「スパイとはそういう物よ……で、どうだった?」

ドロシー「…何が」

7「夜のプリンセスよ…聞かせてちょうだい、そのためにこの作戦を『L』に提案したんだから」

ドロシー「おい」

7「こほん…いえ、今後プリンセスの寝返りを防ぐための予防線、あるいは弱点として記録しておかないと……」

ドロシー「…正直、あの状態のプリンセスは極めて危険だと思う」

7「なるほど」

ドロシー「正直、チームの全員をぶつけても勝てるかどうか……あたしは無理だと思う」

7「…つまり、プリンセスはタチ、と……とりあえずよくやってくれたわ」

ドロシー「ああ…あと、今回の件で」

7「なにかしら」

ドロシー「危険手当と傷病手当を加えておいてくれ…」



…寮の一室…

プリンセス「ふふふっ…♪」

ベアトリス「なんだか今日の姫様はとても肌艶がいいですね?」

プリンセス「そう?」

ベアトリス「はい、なんだかウキウキしていらっしゃいますし…何かいいことでもあったんですか?」

プリンセス「…かもね♪」

ベアトリス「?」


………

5 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/14(水) 02:32:25.26 ID:B/IhVWy3O
期待
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/14(水) 03:29:26.11 ID:3cbvHMyzo
素晴らしい
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/14(水) 18:15:35.97 ID:uRN43Uieo
いいね👍
8 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/15(木) 00:51:01.30 ID:aa8L3LrH0
…case・ドロシー×ベアトリス「The perfume」(香水)…


アンジェ「さてと…今回の任務は王国防諜機関のトップ、『ノルマンディ公』の情報を提供してくれる人物と接触することにあるわ」

ドロシー「なぁアンジェ、どうして直接接触しなきゃいけないんだ?…メールドロップで受け取る「デッド・レター・ボックス」方式じゃダメなのかよ?」

アンジェ「仕方ないわ…該当の人物は情報提供の代わりにこちらへの亡命を希望しているの」

プリンセス「ロンドンの壁を越えるには私たちが手引きしてあげないといけないものね……接触場所はとある貴族の舞踏会よ」

アンジェ「当然、プリンセスと私たち『ご学友』の分の招待状は届いているわ」

ドロシー「なるほどな……じゃあ車を出そうか?」

アンジェ「ええ…接触は私とドロシー。プリンセスは動くと何かと注目を浴びるから、ベアトリスと一緒にカバーを」

プリンセス「ええ♪」

ベアトリス「はい」

ちせ「ならわしはどうすればよいのじゃ?」

アンジェ「ちせは今回の接触が罠だった時に備えて潜んでいてほしい…銃は音が大きいし、よっぽどの事態でない限り抜けない。その分刃物なら静かに処理できるから」

ちせ「…うむ、承知した」

ドロシー「それじゃあ、お洒落なドレスで行くとしますか♪」

…舞踏会…

プリンセス「あら、伯爵夫人…ごきげんよう♪」

アンジェ「…予想通りプリンセスが会場の注目を集めているわ」

ドロシー「まぁ、プリンセスだもんな…おっ、ノルマンディ公が来たぞ」

アンジェ「……プリンセスに接近しているわね」

プリンセス「ご機嫌麗しゅう……あら」

ノルマンディ公「これはこれは奇遇ですな、姫君…舞踏会は楽しんでおられますか?」

プリンセス「ええ、とっても♪」

ノルマンディ公「それは何より……では、失礼」

プリンセス「…おかしいわね」

ベアトリス「何がです、姫様?」

プリンセス「伯爵の主催とはいえ小ぶりな舞踏会なのに、ノルマンディ公が来るなんて……何かあるわ」

アンジェ「…どちらにせよ、接触の時間はもうすぐよ……場所は中庭。「舞踏会の最中に気分が悪くなって、新鮮な空気を吸いに出た」と言うことになっているわ」

ドロシー「了解……で、あたしが付き添いってことだな」

アンジェ「ええ…年齢的にもオールドミスになりかかっているし、ちょうどいいわ」

ドロシー「う、うるさい!……これも任務なんだから仕方ないだろ?」

アンジェ「冗談よ」

ドロシー「…」

アンジェ「それじゃあ、スリー、トゥー、ワン…任務開始。……あー、急に頭が痛くなってきただー」

ドロシー「…ここでその田舎者設定を使うのかよ……気分がすぐれなくていらっしゃるの?」

アンジェ「んだー、頭が痛くて割れそうだー……空気を吸いにお庭に連れて行ってくんろー……」

ドロシー「ならお手をお貸ししますわ……あと、その顔で棒読みするのはやめろよ…噴き出しそうになるだろ」

アンジェ「…いいから……ランデヴーまであと五分二十秒よ」

9 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/15(木) 01:43:34.41 ID:aa8L3LrH0
…中庭…

アンジェ「…おかげで生き返っただー」

ドロシー「おい……さっきから聞いてるけどかなり雑だろ」

アンジェ「…ドロシー、こんな時にふざけないで」

ドロシー「いや、それは私の台詞だろ……おい、向こうの女…紺のドレスに白い花のコサージュを付けているぞ。対象はあれか?」

アンジェ「間違いないわね…合言葉は『ダンスはお嫌いですか』よ」

ドロシー「で、答えが『ええ、ワルツはあんまり得意ではないので』だったな」

アンジェ「その通りよ。それじゃあ接近するわ…」

ドロシー「…待てアンジェ、もう一人来た……って、あいつ!」

アンジェ「あの時の褐色女ね」

ドロシー「『ガゼル』だったか?…ノルマンディ公の子飼いの部下っていう話だったな」

アンジェ「……まずい」

ドロシー「…あいつ、情報提供者を片づける気だぞ……どうする?」

アンジェ「仕方ないわ…」ばさっ…!

ドロシー「…やれやれ、やっぱりそうなるか」しゅるっ…!

ガゼル「おや……こんなところでお散歩ですか、それとも…誰かと密会の予定でも入っているのかしら」

情報提供者「な…何の事かさっぱりですわ……」

ガゼル「そう…なら仕方ないですね……」ナイフを抜くガゼル…と、「Cボール」の閃光がきらめく

アンジェ(潜入バージョン)「…早く」情報提供者を抱え中庭を離れるアンジェ…

情報提供者「きゃっ…!」

ガゼル「…待て!……くっ!?」

ちせ(潜入バージョン)「ふんっ!」たたたっ…と駆けより袈裟懸けに一太刀浴びせる

ガゼル「…ちっ!」パンッ!……滑らかな動きでクリーム色をしたドレスの裾をはねあげると内腿に差していたリボルバーを抜き撃ちで放った…

ちせ「む…!」

ドロシー「……っ!」パン、パンッ!…六連発、.455ブリティッシュ口径の「ウェブリー&スコット」リボルバーを抜き、二発撃つ

警備隊「銃声だ!庭の方からだぞ!」

ガゼル「ちいっ…!」パンッ、パン!…ドロシーに牽制射撃を加えながらちせと渡り合う

ちせ「くっ…!」ガキンッ…キンッ!

ドロシー「…」パァン!…ちせとガゼルが切り結んだところでバラの花壇から腕を伸ばし、精密に狙って一発放った

ガゼル「うっ!」銃弾が身に着けていた何かを弾き飛ばすと、ガゼルはパッと身を翻し、何かを放り投げてから飛びのいた…

ちせ「…待て!……くうっ!」追いかけようとした瞬間に発煙弾の煙がもうもうとたちこめる……

ドロシー「…ちせ、深追いは厳禁だ。どの道警備だの野次馬だのがうじゃうじゃやって来るからな……さ、早く逃げるぞ」

ちせ「うむ…わしとしたことが勝負を焦り過ぎた」

ドロシー「なぁに、いい腕だったじゃないか…ん?……あいつ、何か落としていったな…香水か?」

ちせ「さぁ、急ぎ撤収じゃろう?」

ドロシー「あぁ、そうだな」

10 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/15(木) 02:14:39.31 ID:aa8L3LrH0
…部室…

アンジェ「とりあえず情報提供者の身の安全は確保できたわ」

ドロシー「まずは何よりだな…しかし、あの『ガゼル』とか言う褐色女……相当な腕だ」

プリンセス「それにノルマンディ公が情報の引き渡しを察知していた…ゆゆしき事態ね」

ドロシー「あぁ、全く……あ、そう言えばあの女がこれを落としていったんだが」…コト

プリンセス「ピンクのガラス瓶……香水?」

ドロシー「あぁ、プリンセスにもそう見えるよな?」

プリンセス「ええ…アンジェはどう思う?」

アンジェ「私も香水だと思うわ。香水は女性スパイの必需品だもの…でも、どこに入れていたって?」

ドロシー「多分、ふともものガーターベルトに差していたと思う……脚を止めようとして弾を撃ちこんだときに弾き飛ばしたみたいだからな」

ベアトリス「普通は香水をそんなところに入れたりはしませんよね?」

ちせ「もしや、毒薬かも知れんの」

ベアトリス「うーん…瓶は一見普通の香水にしか見えませんが……」持ち上げてランプの灯りに透かしてみる

ドロシー「ちょっと待て、棚に試薬があったよな……あれで…」

ベアトリス「きゃっ!」…プシュ

プリンセス「ベアト!?」

ドロシー「うぷっ!…おい、何やってるんだ」

ベアトリス「だってふたが外れていて…大丈夫ですか?」

ドロシー「あ、あぁ…ベアトリス、そっちは?」

ベアトリス「私も少し浴びましたけど…まさか死んだりしないですよね?」

アンジェ「今調べるわ……一応試験紙には反応がないわ」

ドロシー「…じゃあ、ただの香水だって言うのか?」

アンジェ「確証は持てないけど、そう言うことになるわ」

ドロシー「あんな『歩く兵器庫』みたいな女が武器じゃない物を持っているなんて信じられないけど……な」

アンジェ「どうしたの、ドロシー?」

プリンセス「ドロシーさん?」

ドロシー「い、いや…ベアトリスってよく見ると……ちんまいし可愛いよな///」

アンジェ「!?」

プリンセス「ええ、そうね♪」

ベアトリス「…な、何言ってるんですか!?」

ドロシー「いや…何ていうか……こう…抱きしめて押し倒したら涙目になって抵抗するんだろうなって思ったら…はぁはぁ///」

アンジェ「…どうやらこれは、媚薬か何かのようね」

ちせ「そのようじゃな…」

ドロシー「なぁベアトリス、よかったら私の部屋で泊まっていかないか……イケナイ事なんてしないって///」

ベアトリス「うわ…絶対に嘘じゃないですか!」

ドロシー「大丈夫大丈夫、ちょっとイイコト……したいだけだから///」わきわき…♪

ベアトリス「ひぃ…!」

アンジェ「こういう物は数時間で効果が切れるものよ…それじゃ」

プリンセス「…ベアト、ドロシーさんと仲良くね♪」

ちせ「うむ、わしもぬか漬けのぬか床をかき回しに行かんとな…さらばじゃ」

ベアトリス「えっ、ちょ……ちょっと待ってくださいよ!?」

ドロシー「よーし、捕まえたぞぉ♪」

11 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/15(木) 03:07:28.24 ID:aa8L3LrH0
ベアトリス「ちょ、ちょっと待って…んぅっ!?」どさっ…!

ドロシー「んちゅぅ、ちゅぅ……ちゅっ……ぷはぁ、ベアトリスは甘くって美味しいなぁ♪」

ベアトリス「ドロシーさんっ…や、止めて下さいっ!」

ドロシー「大丈夫だって、『チーム白鳩』はいつも一緒だから…安心してあたしに任せなって♪」

ベアトリス「…誰も残ってくれませんでしたけど……って、何をする気ですか!?」

ドロシー「そりゃあもちろん…このつつましいお胸をじっくり吟味させてもらおうと思って……な♪」ふにっ…もみゅ♪

ベアトリス「きゃぁぁぁっ!?」

ドロシー「おー…可愛いなぁ、この手のひらに収まるサイズ感に……おほぉ、サクランボはピンク色かぁ……よーし、優しいドロシーお姉さんが摘まんじゃうぞぉ♪」

ベアトリス「…いい゛っ、まるっきり変態じゃないですかぁ!」

ドロシー「んふふ、ベアトリスが可愛いのがイケナイんだろ…ホント、罪作りだなぁ♪」ちゅぅぅっ♪

ベアトリス「ん、んぅぅぅっ///」

ドロシー「さてさて、お次は…と♪」するっ…手早くスカートとズロースを引き下ろす……

ベアトリス「ちょ、ちょっと…!?」

ドロシー「やっぱり下はつるつるかぁ…うんうん、そうじゃないとな♪」ちゅる…くちゅっ♪

ベアトリス「ひぐっぅっ…んぁぁっ!?」

ドロシー「おー、喘ぎ声も可愛いけど…見つかったらことだもんなぁ……よいしょ♪」キチッ…カチカチ…

ベアトリス(CV・玄田哲章)「ちょっと、どこをいじってるんですかぁ!」

ドロシー「大丈夫大丈夫…天井のシミを数えている間に終わるって♪」くちっ…ぬちゅっ、ずぶっ♪

ベアトリス「…っ!……!!」

ドロシー「それじゃあいよいよ…んっ、おぉぉ///」にちゅ…くちゅっ♪……ベアトリスを押し倒し脚を広げさせて自分の秘所と重ね合わせると、一気に腰を動かす…

ベアトリス「…んー、んーっ!!」ぐちゅっ、じゅくっ…♪

ドロシー「うわ…これ気持ち良すぎるだろ……プリンセスはいつもこんなにいい思いしてたのかよ、おっ、おほぉぉっ…♪」ずちゅっ、ぐちゅっ…ぐちゅ♪

ベアトリス「んーっ…んっ、んー///」

ドロシー「分かってるって…ドロシーお姉ちゃんと一緒に気持ち良くなりたいんだよな♪」机に両手をつかせると背中に回り込んで、広げた脚に人差し指と中指を入れてかき回す…

ベアトリス「んーっ、んっ…んんぅ///」ぐちゅっ……とろとろっ…とぽっ……ぽたっ♪

ドロシー「んっんっ、んんっ…ほぉら、こんなとろっとろに濡らしちゃって……それじゃ、失礼して♪」じゅる…じゅうぅっ、ぴちゃっ♪……今度はしゃがみこんで舌を這わすドロシー…

ベアトリス「んっ、ん゛ぅぅーっ…んぐぅぅーっ!!」とろっ、ぷしゃぁぁ…っ♪

ドロシー「おいおい、私の顔にそんなに浴びせるなよぉ……でもまぁ、温かくて気持ちいいし……よーし、もっとイっちゃえ…そーれっ♪」

ベアトリス「ん゛んんぅぅ…っ!!」がくがくっ…ぷしゃぁぁ…っ♪

ドロシー「おー…派手にイったなぁ……よしよし♪」

ベアトリス「んーっ…んぅ///」

ドロシー「なに、『もっとイかせてください、ドロシーさん』だって?…よーし、ならあたしもうんと頑張っちゃうかな♪」

ベアトリス「んぐぅぅっ…んーっ!!」

…廊下…

プリンセス「……わぁ、すごい…今度私も試してみましょう♪」


………
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/16(金) 02:53:17.80 ID:UDXs+1Nno
13 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/19(月) 01:53:20.52 ID:VUHSzbKi0
期待してコメントを下さる皆さま、ありがとうございます…引き続きがんばりますのでどうぞよろしくお願いします
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/19(月) 02:12:11.29 ID:i54WDZO9o
がんば
15 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/19(月) 02:45:57.31 ID:VUHSzbKi0
…case・アンジェ×プリンセス「The codebook」(暗号表)


…中庭…

アンジェ「…みんな、新しい任務が入ったわ」

ドロシー「うぇぇ、また任務かよ?…この間の任務であんな目にあったばっかりだって言うのに……もっとも、ベッドの上で喘ぎながらよがるベアトリスは可愛かったけどな♪」

ベアトリス「ちょ、何てことをいうんですかっ!?」

ドロシー「まぁまぁ…寂しくなったらいつでもあたしが慰めてやるからさ♪」

ベアトリス「ド、ドロシーさん…///」

ドロシー「お…おい、そういう表情するなって!…その……こっちだって反応に困るだろ///」

プリンセス「まぁまぁ、二人ともかーわいい♪」

ちせ「こほん……で、任務の内容はなんなのじゃ?」

アンジェ「ええ…今回の任務はアルビオン王国海軍のコードブックを入手すること、場所は海軍省の情報部」

ドロシー「おいおい、海軍省だって?…そんなところ、あたしたちみたいな女学生がノコノコ出かけていったって入手どころか近寄ることすらできる場所じゃないだろ」

アンジェ「大丈夫、すでにコードブック自体は海軍省から持ち出されているわ」

ドロシー「…どういうことだ?」

アンジェ「海軍省内部の人間で、見返りと引き換えにこちらにコードの写しを提供した人物がいる……つまり欲得ずくでコードブックを売り払ったということね」

ドロシー「やれやれ、この世界にはそんなやつばっかりだな…で?」

アンジェ「コードブックは現在カットアウト(切り捨て可能な連絡役)の所まで来ているわ…私たちの任務はカットアウトからコードブックを受け取り、持ち帰ること」

ドロシー「そのカットアウトとはどうやって?」

アンジェ「とある貴族がダンスパーティを開く予定なんだけど、その時にカットアウトがメールドロップにコードブックを置いていくことになっている。私たちはそれを入手して持ち帰るだけ…お互い、顔も見ないで済むわ」

ドロシー「そりゃいいや…だけどアンジェ」

アンジェ「なに?」

ドロシー「ノルマンディ公のワナじゃないだろうな?」

アンジェ「可能性がないとは言えないわ…ただ、今回の情報提供者にしろカットアウトにしろ、いずれも切り捨ては可能よ」

ドロシー「なるほどな…で、その舞踏会はいつなのさ」

アンジェ「三日後よ」

ドロシー「なるほどな…それじゃあ、うんとおめかししていこうかね♪」

ちせ「うむ…」ぽりぽり…

ベアトリス「んむむ…何なんですかっ、その変なのは!?」

ちせ「『たくあん』じゃが…食うか?」

ベアトリス「いりませんよっ!」

プリンセス「ふふふっ♪」

16 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/19(月) 03:25:52.21 ID:VUHSzbKi0
…舞踏会…

ドロシー「おーおー…綺麗な会場だ……しかも壁に入れこみやカーテンのかかった場所もたくさんあるな」

プリンセス「とっさの隠れ場所には困らないわね?」

ドロシー「ご名答…もっとも、相手側にとってもそうなるけどな」

アンジェ「大丈夫、入れこみに隠れている人間はいないわ」

ドロシー「どうしてわかる」

アンジェ「人が潜んでいたらカーテンのドレープ(ひだ)にムラが出来る…でも、ここのカーテンはどれも綺麗なものよ」

ドロシー「そうだな…それじゃああたしは一杯もらってくるかな♪」

アンジェ「タダだからって飲みすぎないでよ」

ドロシー「…ばか言え、それを口実に化粧室に入るんだよ」

アンジェ「知ってるわ」

ドロシー「相変わらず食えない女だな…それじゃあ、あたしはワインでももらってくる」

プリンセス「行ってらっしゃい♪」

貴族女性「あら、これはこれは王女様…お目にかかれて光栄でございますわ!」

プリンセス「まぁ、ムーンウォーク卿の奥さま……わたくしこそ、お会いできてうれしいですわ」

貴族女性B「まぁまぁ、王女様のお召し物はいつにもましてお綺麗ですこと…!」

プリンセス「ふふ…お褒めの言葉はありがたく頂戴いたしますわ、レディ・スマイリー」

アンジェ「……ベアトリス、プリンセスをお願い。私は先に受け渡し場所を確認してくるわ」

ベアトリス「…はい」

貴族女性C「おほほほ、王女様はお上手ですわねぇ」

プリンセス「いえいえ、わたくしなどミス・チャーミングの足元にもおよびません♪」

…数十分後…

プリンセス「あら、どうかなさいましたの?」

ドロシー「ええ、わたくし少々頭が痛むんですの…」

プリンセス「まぁ、それはいけません……さ、一緒にお化粧室に参りましょう?」

ドロシー「……お願いいたしますわ」

…化粧室…

ドロシー「あぁ、頭が痛いですわ…っと、メールドロップはここだよな……」

プリンセス「ええ…左から二番目の化粧台の、化粧筆の柄の中に……どう?」

ドロシー「あー…よし、あった」

プリンセス「よかったわ…それじゃあ後はドロシーさんの頭痛がひどくなって……」

ドロシー「アンジェたちがあたしを連れ出す…と」

アンジェ「……そう言う話だったけど事情が変わったわ」

ドロシー「どうした、アンジェ?」

アンジェ「王国防諜部が来たわ……どうも海軍省の裏切り者が捕まって歌った(白状した)みたいね」

ドロシー「ちっ…それでカットアウトの所にまでたどり着いたってわけか。手が早いな」

アンジェ「そうね……そこで計画を変更するわ」

ドロシー「ああ、どうする?」

アンジェ「ドロシーは予定通り早めに出ていくことになるわ……当然、彼らからすれば「防諜部が来ていたらどんなスパイでも真っ先に出ようとする」と、考える……」

ドロシー「が、そうじゃない…と♪」

アンジェ「ええ……私とプリンセスはコードブックを持ったまま最後まで残って、パーティを楽しむわ」

ドロシー「了解、それじゃああたしはさっさと出て行くことにするよ」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/19(月) 23:13:31.41 ID:i54WDZO9o
18 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/20(火) 00:59:32.70 ID:RK1r9fFE0
…玄関…

憲兵「お帰りの方は入り口で止まって下さい。実はこちらのお屋敷から「宝石が盗難にあった」と通報を受けまして…失礼ながら持ち物を確認させてもらいます……おや、具合が悪いようですね?」

防諜部エージェント「…」憲兵の後ろでドロシーの表情を注視している私服の男女

ドロシー「ええ、わたくし頭が痛くて……美味しいからとワインを頂きすぎてしまったようですの」

憲兵「それはそれは…お車ですか?」

ドロシー「ええ…」

憲兵「なるほど…ではハンドバッグの確認をさせてもらいます……何もありませんね、どうぞお気をつけて♪」

ドロシー「ありがとう…♪」

防諜部女エージェント「…失礼、お嬢さん」

ドロシー「まだ何か?」

防諜部女「ええ…少しこちらに来てもらえますか?」…物陰に連れて行くと胸の谷間をのぞき、コルセットを上から撫でて、さっとドロシーの身体検査を済ませる

ドロシー「もう構いませんかしら?…正直気分が悪くって、早く休みたいんですの」

防諜部女「ええ、結構です」山高帽の男の方に首を振る

防諜部男「では、お気をつけて…後は中だ、行くぞ」

ドロシー「ええ、ありがとう……ふぅ」車に乗ってからほっと息を吐くドロシー…

…邸内…

憲兵「お静かに願います!…実はこのお屋敷にあります宝石類が盗難にあったので、犯人捜索のために持ち物を調べさせてもらっております。何かと不快に感じるでしょうが、ぜひともご協力をお願いします」

貴族「ほう、君は我々のような身分の者を疑うのかね?」

貴族女性「それに男性に持ち物を見せることなどできませんわ!」

防諜部女「…無礼は重々承知しておりますが、これも犯罪取り締まりのためですので……また、女性の方は私がお調べします」

貴族女性「なら…仕方ないですわね。それにしても貴族のわたくしたちを疑うなんて……」

プリンセス「…アンジェ」

アンジェ「ええ…男のエージェントだけなら触られずに済むからあっさり持ち出せる所だったけれど……」

ベアトリス「どうします?」

アンジェ「そうね……ベアトリスはここに残って。プリンセス、もう一度化粧室に行きましょう」

プリンセス「何か策があるのね?」

アンジェ「ええ」

…化粧室…

プリンセス「それで、どうするの?」

アンジェ「…プリンセス、コードブックはカプセルに入っているわね」

プリンセス「ええ、そうよ」

アンジェ「…入れて」ドレスの裾をたくし上げ、ペチコートを下ろす…

プリンセス「アンジェ?」

アンジェ「何をしているの……いくら防諜部でも女学生のこんな所までは調べないわ」

プリンセス「分かったわ…じゃあ、入れるわね」つぷっ…くちゅ……

アンジェ「…んっ」

プリンセス「……大丈夫、入ったわ」

アンジェ「ならもういいわ…さぁ、あまりここにいると感づかれる」

プリンセス「ええ、そうね」

防諜部女「…所持品の検索終了。誰からも出ませんでした」

防諜部男「ならまだ屋敷内か……よし、捜索を続けろ」

プリンセス「…ふふっ♪」

………
19 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/03/20(火) 01:22:14.78 ID:RK1r9fFE0
…部室…

ドロシー「おう、お帰り…いやはや、さっきのはさすがに冷や汗が流れたな?」

アンジェ「別に」

ドロシー「相変わらずだな……で、上手く行ったか?」

プリンセス「ええ、みんなのおかげよ♪」

ベアトリス「そんな、姫様に褒めて頂けて光栄です…///」

ちせ「うむ、かたじけない」

ドロシー「なぁに、ちょろいもんさ♪」

プリンセス「ふふ、それじゃあ「今日の活動」はここまで……みんな、お休みなさい♪」

ドロシー「ああ、お休み」

ちせ「うむ、それでは…」

ベアトリス「私は姫様がお休みするまでお側に……ふわぁ…」

ドロシー「ほらほら、小さいベアトリスはもうねんねの時間だろ?」

ベアトリス「あー、またそうやって私の事を子供扱いして!」

プリンセス「ふふ、いいのよベアト…あとは私とアンジェさんでやるから、先にお休みなさい♪」

ベアトリス「そうですかぁ…でしたらお言葉に甘えて……ふわぁぁ……」

ドロシー「…それじゃあ、お休み」

プリンセス「ええ、お休みなさい♪」

アンジェ「…プリンセスも先に休んでいいのよ?」

プリンセス「ふふ…「シャーロット」が頑張っているのに、私だけ休むわけにもいかないでしょう?」

アンジェ「そう…ならご自由に///」

プリンセス「ええ、そうさせてもらうわ♪……さ、コードブックを取り出しましょう?」

アンジェ「ええ……んっ、く…」

プリンセス「…どうしたの、アンジェ?」

アンジェ「…出てこないわ」

プリンセス「え?」

アンジェ「カプセルが上手く出てこないわ…///」

プリンセス「え、それは困ったわね…」

アンジェ「仕方ないわ…ベアトリスの工具をつか……」

プリンセス「ダメよ、金属の工具で怪我をしたらどうするの?」

アンジェ「でも、そうでもしないと取り出せないわ」

プリンセス「なら…私が手伝ってあげる♪」

アンジェ「何ですって…?」

プリンセス「要は取り出せればいいのよね…さぁ、裾をたくし上げて?」

アンジェ「…これでいいかしら」

プリンセス「それじゃあよく見えないわ…もっとたくし上げて?」

アンジェ「ふぉれでいいふぁしあ(これでいいかしら)…?」真っ白なふとももをさらし、ドレスの裾をくわえているアンジェ…

プリンセス「ええ、これでよく見えるわ……あー、ちょっと奥まで入っちゃったのね♪」くちゅ…こりっ……

アンジェ「んっ、ん…///」

20 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/20(火) 01:50:44.53 ID:RK1r9fFE0
プリンセス「…それにしてもアンジェのふとももはすべすべね、とても触り心地がいいわ♪」

アンジェ「んぅぅ…ふざけてないで早く取り出して///」手で裾を持ちなおすと、顔を赤くしながら言った

プリンセス「だって…うまく取りだせないんですもの♪」くちっ…ちゅぷっ……

アンジェ「んっ…そんなに奥まで入っているはずがないわ///」

プリンセス「でもうまく取りだせないの……ふふ、アンジェのここってつるつるなのね♪」

アンジェ「んくっ…んぅぅ……そんなことはいいから///」

プリンセス「そうは言っても…乱暴にやってアンジェの大事な所に傷をつけたらいけないわ……あ♪」

アンジェ「…取りだせたの?」

プリンセス「いいえ…でも、何か滑りやすくするものを塗ったら取り出しやすくなるんじゃないかしら?」

アンジェ「そんなものあったかしら…んっ///」

プリンセス「ちょっと待って…これならどうかしら♪」

アンジェ「石けんね…」

プリンセス「少しお湯で溶かして…いいかしら?」

アンジェ「ええ…///」

プリンセス「わぁ…ぬるぬるになったわね、これなら滑って出てくると思うわ♪」

アンジェ「なら早くしてほしいわね…脚が冷えてきたから」

プリンセス「なら…私が温めながらやってあげる♪」

アンジェ「ちょっと……ふとももにほっぺたをこすりつけるのは止め……んくっ、んぅぅっ///」

プリンセス「何か言ったかしら♪」

アンジェ「…何でもないわ……んっ、んぅっ///」

プリンセス「うーん…なかなか出てこないわねぇ♪」くちゅくちゅっ…♪

アンジェ「んんっ、あんっ…んっ///」

プリンセス「ねぇアンジェ……アンジェったら、もしかして感じちゃってるのかしら?」

アンジェ「さぁ、何の事かしら…んんっ!」

プリンセス「ふふ『スパイは嘘をつく生き物』だったわよね…どう、気持ちいい?」

アンジェ「全然…裾を持ちあげている腕が疲れたから早く取りだして欲しいだけ……んくっ///」

プリンセス「ほんとに…そうかしら♪」くちゅっ、にちゅっ…じゅぶっ♪

アンジェ「んくっ、んんぅ…ええ……んぁぁぁっ///」

プリンセス「シャーロットは私にまで嘘をつくの?」

アンジェ「それがスパイよ……んくぅぅっ、あぁっ///」

プリンセス「ふぅん…なら、これはどうかしら♪」ぐちゅぐちゅっ…にちゅっ♪

アンジェ「んっんっ、んっ……んぅぅぅっ///」

プリンセス「あらあら…シャーロットったらこんなに濡らして……もうこれなら滑りやすくするものも要らないわね♪」

アンジェ「んっ、んんぅぅっ…///」

プリンセス「…大好きよ、シャーロット……ちゅっ♪」身体を伸ばしてアンジェの耳たぶに甘噛みするプリンセス…

アンジェ「あっあっ、あぁぁぁっ…そんなのっ…ず、ずるいっ……んあぁぁぁっ♪」ぶしゃぁぁ…っ♪

プリンセス「あっ、やっとカプセルが出てきたわ…よかったわね、アンジェ♪」

アンジェ「…はぁ、はぁ…はぁ……んあぁぁ…んっ、くぅっ///」くちゅ…くちゅっ♪

プリンセス「あら、まだし足りないの?」

アンジェ「…いいえ///」

プリンセス「ふふ…シャーロットは素直じゃないんだから♪」…くちゅくちゅっ♪

アンジェ「んっ…あぁぁぁっ♪」

………
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/20(火) 08:08:00.84 ID:VS579eDIo

見てるぞ
22 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/22(木) 01:40:11.87 ID:qNp1uz/t0
>>21 見て下さってありがとうございます、引き続きがんばります
23 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/22(木) 02:11:46.67 ID:qNp1uz/t0
…case・アンジェ×ベアトリス「The spy who loves princess」(プリンセスを愛したスパイ)…


…部室…

アンジェ「…さてと、前回の任務では上手くコードブックを入手できたわね」

ドロシー「色々ヒヤッとさせられたけどな」

アンジェ「スパイ活動なんてそういうものよ」

ドロシー「まぁね……で、また任務だって言うんじゃないだろうな?」

アンジェ「それで、新しい任務があるわ」

ドロシー「…おい」

プリンセス「まぁまぁ、それだけ私たち「チーム白鳩」が有能だって言う証拠じゃありませんか……ね、ドロシーさん♪」

ドロシー「うっ…まぁそうなんだけどさ///」

ちせ「それで、今度の任務は何なのじゃ?」

アンジェ「『7』から受けたブリーフィングによると、前回入手したコードブックのおかげでアルビオン王国海軍の動きがある程度察知できるようになったわ…とはいえ、王国側もこちらがコードを入手したかもしれないと危ぶんでいる……急に暗号を変更する可能性もある、ということね」

ベアトリス「じゃあ、また暗号表を入手しなくちゃいけないんですか?」

アンジェ「いいえ…今度は王国側に「暗号表がまだ手に入っていない」と思わせる必要がある」

ドロシー「なぁるほど…ある種のディスインフォメーション(偽情報・逆情報)ってやつか♪」

アンジェ「ええ…私たちはロンドン郊外のドックに停泊している王国海軍の空中戦艦へ侵入、わざとコードブックの奪取に失敗する」

ドロシー「で、王国の連中はこっちが「コードブックを手に入れてない」…って思ってくれるわけか」

アンジェ「ええ」

プリンセス「それで、侵入方法はどうするの?」

アンジェ「もちろん、非合法に接近して侵入することになるわ。王国がコードブックを入手できていないと思ってくれるなら、侵入に失敗しても構わない」

ドロシー「しかし相手は海軍の施設だからな……雨あられと鉛玉が飛んでくること請け合いだろ」

アンジェ「そうなるわね。なのでプリンセス…あなたは後方支援に回って」

プリンセス「ええ、分かったわ」

アンジェ「それで、ちせとドロシーが陽動…派手に暴れてくれて構わないわ」

ちせ「うむ、承知した」

ドロシー「はいよ」

アンジェ「で、私とベアトリスが侵入…ベアトリス、あなたは機械いじりが得意だから警報装置や通信設備の無力化をお願い」

ベアトリス「はい」

アンジェ「任務決行日は空中戦艦の乗員が一斉に休暇を取る訓練航海の後……二週間後になるわ。その時までに各自で相手の警備体制や装備を確認しておくこと」

………
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/22(木) 23:40:47.13 ID:sRZaUAsPo
25 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/23(金) 02:23:00.24 ID:VjluLH8N0
…二週間後…

ドロシー「さてと……それじゃあ準備に取りかかりますかね♪」…アンジェに「スパイなら絶対にこれよ」と渡された黒に紫の裏地がついたマントを羽織り、鳥打ち帽をかぶり、黒の揃いを身にまとう……

ドロシー「それから…と……」ブリティッシュ.38口径の頑丈な六連発リボルバー「ウェーブリー・スコット」4インチ銃身モデルを取り出すと中折れ式のシリンダーを開いて一発づつ弾を込め、ふともものガーターベルトや腰回りに、ナイフ、煙幕手榴弾、爆薬とベアトリスお手製の時限装置数個、細いが丈夫な絹のロープと「七つ道具」を身につけていく…

ベアトリス「私も準備しないと…」ベアトリスは黒一色のメイドのような恰好をし、形も用途も様々な工具一式の入った小さいカバンと小型のリボルバーを一丁…

ちせ「うむ」狭い艦内で取り回しがいいように脇差と小柄を差し、笠と黒備えで身を固める…

アンジェ「私はいつも通り…それで十分」オートマチック・リボルバーという珍品「ウェブリー・フォスベリー・リボルバー」に弾を込め、シリンダーのある上部をスライドさせる…後は黒のマントにシルクハット、口元を隠す黒のスカーフに裾の短いドレス風の服…そしてコントロールから渡されている秘密兵器「Cボール」を腰にぶら下げた…

プリンセス「みんなよく似合っているわね…♪」プリンセスは黒のドレスに黒のケープ、顔にヴェールをかけて、3インチ銃身の小型リボルバーをしのばせる…

アンジェ「みんな、準備はいい?」

ドロシー「もちろん…さ、乗った乗った♪」ドロシーのカスタム・カーに乗り込んで霧がかった夜のロンドンを疾駆する…


…アルビオン王国海軍・空中戦艦用ドライ・ドック…


ドロシー「さて…じゃあ上手くやれよ、アンジェ?」

アンジェ「ええ」

ちせ「では…ドロシー殿、参ろうか?」

ドロシー「はいよ♪」にっと笑ってドライ・ドックの裏手に回る……

ベアトリス「じゃあ私たちも行きましょうか?」

アンジェ「ええ…」

プリンセス「行ってらっしゃい…アンジェ♪」ちゅ…♪

アンジェ「……行ってくるわ///」

…ドロシー・ちせ組…

ドロシー「…それにしても警備が甘いな」

ちせ「うむ…まさかここに侵入するような愚か者はおらぬと思っておるのじゃろう」

ドロシー「じゃあ、あたしたちは「チーム・愚か者」ってわけか…♪」

水兵「……おい、誰かいるのか?」

ドロシー「…ちせ」

ちせ「うむ…」たたたっ…と駆けると、刀の鞘走る音もさせずに首筋を一撃した……

水兵「ぐえっ…!?」

ドロシー「ひゅー…それが「峰打ち」って言うやつか……」

ちせ「うむ。一介の兵士なのじゃ、斬るまでもあるまい」

ドロシー「かもな…さ、行こう」水兵のライフルから弾薬のクリップを弾きだし、舷窓の外にぽいと放り出す…

…アンジェ・ベアトリス組…

ベアトリス「これが電信用のコード…こっちが警報用のコード……変換機がここにあって……」手際よくコードの配線を切ったり、ちぐはぐに並び替えたりしてしまう…

アンジェ「…もういいかしら」通路を見張るアンジェ…

ベアトリス「あと少し待って下さい……はい、できました♪」

アンジェ「そう、なら行くわよ」

ベアトリス「あ、待って下さい…道具をしまわないと……」

………
26 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/24(土) 03:05:07.04 ID:JNBzrhLS0
…ドロシー・ちせ組…

ドロシー「しかしこうも綺麗に片付いちまうと、陽動にならないよな♪」

ちせ「うむむ…普段から隠密行動に慣れているせいか、つい静かにカタをつけてしまうのぉ」

ドロシー「ま、そろそろベアトリスお手製の時限爆弾が…ほぉらきた♪」…空中戦艦の武器庫や副砲のケースメイトに仕掛けた時限爆弾が炸裂した

水兵「…何だぁ!?」

水兵B「警報っ!」

ドロシー「……それじゃあいっちょう…派手にやるとしますか♪」


♪〜(劇中おなじみのピアノ曲)


水兵「…おい、誰だ!?」

ドロシー「お……悪いね、水兵さん…っ!」パンッ!

水兵「うぐっ…!」

水兵D「何だ…銃声っ!?」

ちせ「…」

水兵D「うぐっ…!」

水兵E「…こちら右舷通路、衛兵詰所どうぞ!…衛兵詰所どうぞ!?」

ドロシー「…止せばいいのに」パァン!

水兵E「ぐっ…!?」

下士官「警報!第一分隊は直ちに右舷第一甲板へ!…甲板の旋回機銃、用意急げ!」

ドロシー「おいおい…機関銃はまずいだろ!?」

水兵F「機関銃班、急げ!…装填しろ!」真っ直ぐな弾倉を上から込め、甲板の旋回銃座に装備された水冷式機銃が用意される

士官「探照灯、照射しろ!…なぜ点灯しないか!?」

水兵G「電源喪失、探照灯つきません!」

士官「ええい…破壊工作か……憲兵隊聞こえるか!」隔壁の電話に取りつき声を張りあげる…

烹炊員「…少尉どの?…こちら士官食堂ですが、何があったんです?」

士官「士官食堂だと!?…なんで貴様がこの回線に出るんだ!?」

烹炊員「なんでも何も……これは士官食堂の回線ですよ?」

士官「何!?」

水兵F「あっ…少尉どの、あそこ!」

士官「何だ!?」

水兵F「…分かりません、薄暗くてはっきりしませんが……あの影に発砲許可を!」

士官「よぉし!…構わん、撃て!」

ドロシー「……うへぇ、まるでハチの巣をつついた騒ぎだな」

ちせ「うむ…じゃが、これでアンジェたちは楽できるじゃろうな」

ドロシー「だな…!」機関銃が弾倉を交換するタイミングで身体を乗りだし、機銃手を撃ち抜く…

水兵F「うわぁ!」


………
27 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/25(日) 01:57:24.97 ID:rB+c1C+40
…アンジェ・ベアトリス組…

アンジェ「始まったわね……ベアトリス、準備はいい?」

ベアトリス「…はい」

アンジェ「…そう、なら行くわよ」艦隊司令官用の居室に閃光弾を投げ込む…

衛兵「何だ…うっ!?」

衛兵B「うわっ……!!」

アンジェ「…」パン、パンッ!

ベアトリス「…情報通り機密書類の保管庫がありますね」

アンジェ「そうね…さあ、開けて」

ベアトリス「待ってくださいね……えーと、組み合わせ鍵ですね…」

水兵H「…おい、こっちだ!」

下士官B「侵入者は司令官室にいるぞ、急げ!」

アンジェ「……ベアトリス、急いで」パン、パンッ…!

ベアトリス「待ってください!…ね、お願いだから開いてください……」

アンジェ「…っ」パンッ!

水兵I「うわっ…ぐぅっ!?」

アンジェ「…はっ!」相手の四銃身式短機関銃をもぎ取り通路を薙ぎ払う…

下士官B「うぐ……くはっ…」

士官B「…第二しょうたーいっ、整列っ!銃構え!」

アンジェ「…ふぅ、教本通りにしか動けないなんて愚かね」鮮やかな紅い上着のアルビオン王国海軍の海兵隊を掃射する

士官B「がは…っ!」

海兵「ぐわぁ…!」

アンジェ「……まだなの?」

ベアトリス「もうちょっとで……やった、やりました!」慌てて暗号表を手に取るベアトリス…

アンジェ「…ならもうここに用はないわ」海兵隊に閃光弾を放ると司令官公室の大きな窓をピストルで撃ち抜き、全力疾走したままベアトリスを抱えて飛び出した…

ベアトリス「きゃぁぁぁ…っ!?」

アンジェ「ベアトリス、うるさいわ」腰の「Cボール」が鮮やかな緑色に光り、そのままドックの可動式屋根を構成する梁に飛び移った……と同時に暗号表を放り出し、叫んでいるベアトリスの声帯をいじる…

ベアトリス「…っ!……!?」

アンジェ「さ、後は脱出あるのみね…」

…ドロシー・ちせ組…

ドロシー「…なぁ、ちせ?」

ちせ「はっ!……なんじゃ?」

ドロシー「陽動は……もういいよな?」艦内の右舷側を暴れ回りながら、次々と現れる水兵や海兵隊員を打ち倒していく…

ちせ「…と、思うがの」

ドロシー「そんじゃ……撤退としゃれこもうか♪」

ちせ「うむ…頃合いじゃろうな……やっ!」

海兵「う、ぐぅ…!」

ドロシー「それじゃあ…お先にどうぞ♪」発煙弾を放ると、束ねてあった絹のロープを船外に垂らした

ちせ「うむ…かたじけない」

ドロシー「はいよ…下からスカートの中をのぞくなよ♪」最後に奪った小銃弾薬のクリップ数個を燃えている船室に投げ込み、熱で暴発して一斉射撃のように聞こえるのを確認してから、にやっと笑って滑り降りた…

………
28 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/25(日) 02:34:59.63 ID:rB+c1C+40
…郊外・ドロシーの自動車…


ドロシー「ふぃー……なぁアンジェ、もうあんな任務は二度とやらないからな?」

アンジェ「ええ。それにその必要もないわ……予定通り暗号表は『落として』きたもの」

ベアトリス「それにしても、組み合わせ鍵の形式が変わっていたのには驚きました」

ドロシー「…誰かが暗号表を盗みに来ると思ったんだろうな」

ちせ「うむ。事実こうして「盗みに」入ったわけじゃからな」

ドロシー「まぁな…よし、ロンドン市街にはいるぞ♪」

プリンセス「まぁ、早いのね♪」

ドロシー「…とはいうものの、このまま広い道路を使って入ったら間違いなく検問か何かに引っかかるから……みんな、振り落とされるなよ♪」

ベアトリス「ちょっと、どこを走ってるんですかぁ!?」

ドロシー「見て分かるだろ、裏通りさ♪…うかつにしゃべると舌をかむぞ?」

アンジェ「十数分は早くなるわね」

ドロシー「おう。連中だって馬鹿じゃないからな、ロンドン市街まで車を走らせたときの最短時間を割り出して、それ以降に市街に入ろうとする車を取り調べるはずだ……ところがこっちはレコード破りの時間で、検問の準備が出来る前にロンドンに入っちゃおう…ってわけさ♪」

ベアトリス「ドロシーさんっ、岩…岩っ!」

ドロシー「分かってるって…踏ん張ってなよ♪」

プリンセス「…うふふっ、何だか愉快ね♪」

ちせ「ふむ…まるで「超高速ロンドン観光」じゃな」

ドロシー「それじゃあ「左手に見えますのがロンドンの壁にございます」……なんてな♪」

ベアトリス「ひゃあぁぁぁ…っ!?」

アンジェ「ドロシー、ここで右よ…運河にかかっている跳ね橋があるわ」

ドロシー「あいよ……って、おいおい!」跳ね橋が徐々にせり上がって、蒸気船に引かれた艀(はしけ)がゆっくりやってくる…

アンジェ「…ドロシー、いける?」

ドロシー「…もち♪」アクセルをふかし、開きかけた跳ね橋を踏み台にして対岸まで飛んだ…

ベアトリス「ひぃぃぃっ…!?」

プリンセス「まぁまぁ…空飛ぶ車なんて王室にもないわ♪」

ドロシー「…うっ、ぐうっ!……ふぅ、さすがにステアリングが暴れたな…スポークも何本かイったかも知れない……経費で落ちるかな?」

アンジェ「落ちるわ…ところで、車庫に着いたようね」

ドロシー「ああ…ところでアンジェ、時間は?」

アンジェ「零時五分前」

ドロシー「ってことは…十九分?……ひゅー、こりゃ史上最速記録かもな♪」

アンジェ「…大したものね」

プリンセス「ふふ、これならシンデレラの魔法も解けなくて済むわね♪」

ドロシー「ははは……それでは、どうぞカボチャの馬車から降りて下さいませ♪」

プリンセス「ええ。今日は素晴らしい舞踏会でした♪」

ドロシー「いえいえ、こちらこそ♪……ところでベアトリスはずいぶん静かだけど、途中で落っことしたかな?」

ちせ「いや、ここにおるが…ベアトリスよ、着いたぞ?」

ベアトリス「…うっぷ、話しかけないで下さい……うえぇ」

ドロシー「…やれやれ♪」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/25(日) 12:40:51.84 ID:CKE0IEjTo
30 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/28(水) 01:35:19.56 ID:6py3deSh0
ベアトリス「うぇぇ…まだ目がぐるぐる回ってます……」

ドロシー「おいおい…だらしないな♪」

プリンセス「ふふ、ベアトはそこが可愛いのよ♪」

アンジェ「なら私は可愛くないわけね」

プリンセス「いいえ、アンジェはそうやってすぐやきもちを焼いたり、冷静なふりをして強がるところが可愛いわ♪」

アンジェ「もう……ばか///」

プリンセス「うふふっ…♪」

ちせ「…さて、それではわしは寝るとするかの…では、失礼する」

プリンセス「おやすみなさい♪…それじゃあ私もお休みしますから、ベアトは好きにしてていいわよ♪」

ベアトリス「はい、姫様…うっぷ……」

ドロシー「んじゃ、あたしは車のメンテをしに行くから…♪」

アンジェ「あまり遅くなると身体に悪いわよ、ドロシー」

ドロシー「はいはい、分かってますっての……全く口うるさい女だな」

アンジェ「……ご老体の貴女を気遣ってあげているのよ。お休み」

ドロシー「…まだ二十歳だってば!」

…廊下・アンジェの私室前…

アンジェ「それじゃあお休み……ベアトリス、どうしたの?」

ベアトリス「…いえ、さっきのアンジェさん」

アンジェ「さっきの私がどうかした?」

ベアトリス「姫様にからかわれて嬉しそうでした…」

アンジェ「そんなことないわ…だって私はプリンセスが嫌いだもの」

ベアトリス「…じゃあ私が姫様を取ってもいいんですね?」

アンジェ「そうは言ってない」

ベアトリス「なら姫様の事が好きなんじゃないですか♪」

アンジェ「そんな訳ないわ」

ベアトリス「どうしてですか?」

アンジェ「…だってプリンセスは王国の象徴で、共和国とは相いれない存在だし……」

ベアトリス「それは建前じゃないですか…本当はアンジェさんも姫様が好きなんでしょう?」

アンジェ「そんなことないわ、嫌いよ……じゃあ、もう寝るわ」

ベアトリス「あー、そうやって逃げを打つんですかぁ?」

アンジェ「……逃げなんて打つ必要はない、事実なのだから…そこまで言うなら私の部屋に来ればいいわ」

ベアトリス「ええ、そうさせてもらいます!」

アンジェ「…で、何ですって?」

ベアトリス「アンジェさんは姫様の事が好きなんでしょう?」

アンジェ「いいえ、嫌いよ」

ベアトリス「なら私と姫様で結婚してもいいんですねっ?」

アンジェ「ダメよ」

ベアトリス「なんでですか?」

アンジェ「…お互いに釣り合わないわ、一国のプリンセスとそのメイドではね……それにスパイの世界では結婚もカバー(偽装の身分)でしか与えられないものよ」

ベアトリス「だったら引退して結婚すれば…」

アンジェ「ダメよ」

ベアトリス「…やっぱりアンジェさんは姫様の事が……」

アンジェ「嫌いよ」
31 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/03/28(水) 02:10:33.39 ID:6py3deSh0
ベアトリス「素直じゃないですね、アンジェさんは…♪」

アンジェ「スパイは嘘をつく生き物よ」

ベアトリス「あー、引っかかりましたねっ♪」

アンジェ「…何が」

ベアトリス「だって嘘をついていたのだとしたら、「アンジェさんは姫様が大好き」だっていうことになりますし…かといって本当の事を言っていたのなら事実をしゃべっちゃう「二流スパイ」ってことじゃないですかぁ♪」

アンジェ「…失礼ね。スパイは嘘をつく生き物……だけど、必要のない所でまで嘘をつく「ただの嘘つき」である必要はないわ」

ベアトリス「じゃあ姫様の事が嫌いなんですね…姫様に伝えておきます♪」

アンジェ「…!」

ベアトリス「それじゃあ姫様に…んんっ!?」

アンジェ「ん、ちゅっ……れろっ、ちゅぱ…んちゅぅぅ……ちゅるっ……」

ベアトリス「んぐぅ…んんっ、んむっ……ちゅぱ…んくっ///」

アンジェ「…ぷは」

ベアトリス「い、一体何をするんですか…っ!?」

アンジェ「…これであなたは何も言えなくなった……もしあなたが「私がプリンセスの事が嫌いだと言っていた」とプリンセス本人に伝えようとしても、なぜ私の部屋にいたのか聞かれる…その時に私から「濃厚なキスをされていた」とは言えないし、もしそれを言ったとしても私と……ベアトリス、あなたとの喧嘩がこじれて、あえて私をおとしめ、プリンセスへの心証を悪くしようとしているようにしか聞こえなくなる」

ベアトリス「そ、そんな理屈で私にこんなキスをしたんですかっ…!?」

アンジェ「ええ」

ベアトリス「…って言うことは、やっぱりアンジェさんは姫様の事が好きなんじゃないですかっ!」

アンジェ「しつこいわね……今度はキス程度じゃすまないわよ?」

ベアトリス「構いませんよ、なにせ姫様の事が一番好きなのは私なんですから…素直に気持ちも言えないようなヘタレのアンジェさんなんかには負けませんっ!」

アンジェ「…ベアトリス、一つだけ言っておくことがあるわ」

ベアトリス「な、何ですか……急に改まって」

アンジェ「私が学んだスパイ養成所では「ハニートラップ」についての講義があったわ」

ベアトリス「ハニートラップ…って、確か色仕掛けの事でしたよね?」

アンジェ「ええ…ちなみに王国では若い貴族の男女が一緒にいることは「はしたない事」とされているわね」

ベアトリス「ええ、そうですね…それが?」

アンジェ「つまり……私は養成所で「一緒にいる女性を堕とすためのテクニック」を学んできた…当然、実習もあったわ」

ベアトリス「……あの、それって」

アンジェ「私は優秀なスパイであることを自覚している…優秀なスパイは常に本番に備え練習を怠らない……」じりっ…

ベアトリス「あの…アンジェさん、ちょっと待ってくだ……」

アンジェ「大丈夫、死にはしないわ」

ベアトリス「いや…ちょっと待ってくださいってば!」

アンジェ「…こうして見るとベアトリスは守ってあげたくなるよう小さい姿で可愛いわね」

ベアトリス「な、な…///」

アンジェ「もう我慢できそうにないわ…甘いいい匂いがして、身体がうずくの……」

ベアトリス「ち、ちょっと…脱がないで下さいっ!」

アンジェ「どうして?……こんなに胸が高鳴っているのに…ベアトリス……///」

ベアトリス「…アンジェさん……って、不覚にも「綺麗」って思っちゃったじゃないですかっ///」

アンジェ「…お願い、キスだけでいいの……///」

ベアトリス「う、うぅぅ…こんなの絶対おかしいです!」

アンジェ「だめ…もう耐えられないわ……はむっ、んちゅ……ちゅぷ…んちゅ、ちゅ…っ///」

ベアトリス「んんっ、んぅ…あふっ……んっんっ…ふわぁ…ぁ///」

32 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/28(水) 02:30:41.82 ID:0ry3OIY0o
33 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/28(水) 02:45:54.52 ID:6py3deSh0
アンジェ「ちゅむ…ちゅるっ……ちゅぷっ…んちゅ…っ///」

ベアトリス「ぷはぁ…はぁっ、はぁっ……はぁ!!」

アンジェ「可愛いベアトリス…お願い、触って私の胸がときめいているのを確かめてみて……///」

ベアトリス「な…っ!?」

アンジェ「お願いよ…ベアトリス……私だけの愛しいベアトリス…///」

ベアトリス「うぅ…それじゃあ……さ、触りますよ…?」

アンジェ「ええ…じゃあ貴女の手を、私の手に重ねて……ね?」

ベアトリス「…わわっ……アンジェさんの胸、引き締まっているのに柔らかい…」

アンジェ「お願い…っ、もっと触って……揉みしだいて…貴女の繊細な指で私を感じてほしいの…///」

ベアトリス「アンジェさん…///」もにゅ…むにっ♪

アンジェ「はぁぁ…んんぅ……ベアトリスっ、もっと…ぉ///」

ベアトリス「うえぇ…!?」

アンジェ「…ごめんなさいベアトリス……今まで我慢してたけれど…脱がせるわね……///」ブラウスのボタンを外すとそっと胸元を開き、慎ましやかな胸に手を伸ばす……

ベアトリス「ひぁぁっ…!?」

アンジェ「んんぅ…慎ましやかで、とってもひんやりしてる……ちゅっ///」

ベアトリス「うひゃぁっ!…ど、どこにキスしてるんですかぁ!?」

アンジェ「だって…とっても綺麗な桃色で……あむっ、ちゅぅ…ちゅぅぅっ///」

ベアトリス「んっ、んぅぅぅっ…///」

アンジェ「ねぇ…ベアトリス……」

ベアトリス「な、なんですかっ…///」

アンジェ「本当は…貴女が欲しかったの……///」ちゅぅ…ちゅぷっ♪

ベアトリス「ひゃぁ…んっ、んんぅぅっ///」

アンジェ「ね…ベアトリス……ふぅぅ…っ♪」

ベアトリス「み、耳は反則っ…んっ、んあぁぁぁっ///」

アンジェ「ふふ、ひくひくしちゃって可愛いわ……」くちゅ…♪

ベアトリス「あんっ♪…って、いつの間に下着を脱がして……んくぅ///」

アンジェ「はぁぁ…とっても温かくてしっとりしてるわ……ね、ベアトリスも私のここを……触って?」

ベアトリス「あ、アンジェさん…///」

アンジェ「お願い…っ///」

ベアトリス「じ…じゃあ、行きますよ……」くちゅ…っ♪

アンジェ「んぁぁぁっ、そこ気持ちいい…っ!」

ベアトリス「わわっ…すごい濡れてきましたね……///」

アンジェ「だって…ベアトリスの指……とっても気持ちいい…んっ、あぁぁぁっ!」

ベアトリス「そ…そうですかぁ?」

アンジェ「え、ええ…もう…イきそうなの…っ……んくぅ、んっ…んんぅ///」

ベアトリス「…へぇ、アンジェさんってば「優秀なスパイ」なんて言っておきながら……私なんかにイかされちゃうんですかぁ?」

アンジェ「だって…ぇ……あぁんっ…んっんっ、んあぁぁぁっ///」

ベアトリス「アンジェさん…イっちゃいましたね♪」

アンジェ「はひぃ……ベアトリス…ぅ……もう、だめ…ぇ///」

ベアトリス「じゃあ私の勝ちでいいんですよね、それじゃあ……」

アンジェ「さてと…じゃあ今度は私が貴女を悦ばせてあげるわね」

ベアトリス「…あれ?」
34 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/30(金) 01:52:51.05 ID:lLRiExqy0
アンジェ「大丈夫、痛くはしないわ……それじゃあ行くわよ」

ベアトリス「い、嫌ですよっ…!」

アンジェ「…逃がさないわ」

ベアトリス「ひぃやぁぁ…っ!?」

アンジェ「ふふ…ベアトリスは四つん這いでされるのが好みなのね」

ベアトリス「ち、ちがいますっ///」

アンジェ「そうかしら……まぁいいわ、身体に聞けば分かる話だもの」

ベアトリス「ひぃぃ…っ……んんっ!?」

アンジェ「…なんのかのと言ってもベアトリスのここはすっかりとろとろね」

ベアトリス「ひぅっ…あうぅ……んっ、くぅぅ///」

アンジェ「どうかしら、こうやって四つん這いで中をかき回される気分は」

ベアトリス「ひうっ…あぅ……んあぁぁっ///」

アンジェ「…さてと、ベアトリスはいやらしい娘だからもっと欲しいわよね」

ベアトリス「そ、そんなことありません…っ///」

アンジェ「そうかしら…それじゃあ指を二本にしてみるわ」ぐちゅ、じゅぶっ…♪

ベアトリス「ひゃぁ…んんぅ、あふぅ……ひぅん♪」

アンジェ「あら…強がりを言っていた割にはすんなり入るし、しかもすっかり呆けたような表情を浮かべているわね」

ベアトリス「だ、だって…ぇ……あひぃぃ♪」じゅぶっ…ぐちゅり……

アンジェ「そうね…せっかくだから表情も見てあげるわ」ベアトリスの横に回って膝をつき、片手でくちゅくちゅと秘所をかき回しながら耳たぶを甘噛みする…

ベアトリス「ひぁぁぁっ…あっ、んあぁぁぁっ♪」

アンジェ「あら、ずいぶんと濡らしたわね……ストッキングがびしょびしょよ?」…じゅぶっ、ぐちゅぐちゅっ!

ベアトリス「ひうっ…はぁ、はぁ……あひぃい゛っ!?」ぶしゃぁぁ…っ♪

アンジェ「こんな所をプリンセスに見られたらどうなるかしらね…あるいはドロシーたちでもいいわ」

ベアトリス「ひぅぅっ…そんなの……絶対にダメですぅ…っ///」

アンジェ「そう…その割には入っている指をきゅうきゅう締め付けて来るわね……本当はプリンセスにはしたなくよがっている所を見せたいのじゃないかしら」

ベアトリス「そ、そんなこと…っ///」

アンジェ「別にいいのよ、私しか聞いていないのだから……プリンセスの前でメイド服をぐしゃぐしゃに濡らしたまま、スカートをたくし上げたら…なんて思った事くらいあるのでしょう?」

ベアトリス「お…思ってません///」

アンジェ「それなら…こうやってふとももまでびちゃびちゃにしながらひもと首輪を付けられて、プリンセスにお散歩させられたいとか」

ベアトリス「な、ないです…っ///」

アンジェ「いいのよ、別に…それともプリンセスからお仕置きの鞭を振るわれたい?」

ベアトリス「うぅ、アンジェさんのいじわる…ぅ///」

アンジェ「ええ、そうね…でもその「意地悪」でこんなに濡らしている貴女はとんだ変態って言うことになるわね」

ベアトリス「そ、そんなこと言わないで下さいよぉ…」

アンジェ「そうね…変態のベアトリスはそういうことを言われると感じてしまうものね……ほら、今だって私の手がべとべとになるくらい濡らして……ふーっ…♪」耳に息を吹きかける…

ベアトリス「あっあっあっ…あひっ、はひぃぃ……♪」ひくひくっ…ぶしゃぁぁ…っ♪

アンジェ「…ここまで六分…どうやら私の腕は鈍っていないようね……さ、私も寝るから帰ってちょうだい」

ベアトリス「……アンジェさぁ…ん///」

アンジェ「何?」

ベアトリス「姫様が好きなのは譲れません……でも…いやらしい私にもっとお仕置きしてくださ…い///」

アンジェ「…仕方ないわね」するりと服を脱ぎ捨てて、ベアトリスを抱えてベッドに倒れ込んだ…

………
35 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/30(金) 02:42:40.00 ID:lLRiExqy0
…case・ドロシー×ちせ「The cover story」(偽装された身分)…


…学校・屋上…

ドロシー「…ふわぁぁ、それにしても暇だなぁ……いい天気だし」

アンジェ「……ここにいたの、ドロシー」

ドロシー「あぁ、嫌な授業だったからな…すっぽかしてきた」

アンジェ「そう…ところで新しい任務の話があるわ。詳細は昼下がりに中庭で」

ドロシー「おー……ふぁぁ…」


…昼下がり…

ドロシー「…で、新しい任務って言うのは?」

アンジェ「ロンドンにある、とある『事務所』の監視よ…出入りする人物の顔と頻度を確かめることになるわ」

ドロシー「監視任務か…ってことはまた「屋根裏暮らしの貧乏な娘」だとか、「二流のヘボ芸術家」に化けたりしなきゃいけないのかよ……」

アンジェ「いいえ…周囲の屋根裏部屋は対象を監視するのに位置が悪い上、監視に適している二階の部屋は軒並み空きがないわ」

プリンセス「ならどうするの、アンジェ?」

アンジェ「実はすでに「コントロール」から指示が来ているわ…その「事務所」を監視できるちょうどいい場所につぶれたパン屋がある。資金は用意されているからそこを買い取ってしばらく「開店」しておくことになったわ」

ベアトリス「でもパン屋さんって…私たちの誰もパンなんて焼けませんよ?」

プリンセス「そうねぇ…私もクッキーくらいなら作れるけど……」

アンジェ「何も焼く必要なんてないわ。パンは事情を知らないこちらの協力者が焼いて提供してくれるから並べるだけでいいし、あまり人気のパン屋になられても監視がしづらくなるから、経営も適当でいい」

ドロシー「なるほどな…で、店員は?」

アンジェ「そのことだけど、パン屋は朝から開店していないとおかしい……でも私たちは「学生」と言う以上、学校を休み続ける訳にはいかないわ」

ちせ「うむ、もっともじゃな」

アンジェ「そこでドロシーとちせが適当な理由を付けて休学して、監視にあたる」

ドロシー「おい、ちょっと待てよアンジェ…なんであたしとちせなんだ?」

アンジェ「ドロシーは普段から不良だから、ちょっとしたトラブルを起こしたとでもすればいい……どうせ授業もサボっているわけだし」

ドロシー「…おい」

アンジェ「それで、ちせは留学生だから「ホームシックで体調を崩した」とでもいえば済むわ」

ちせ「うむ、なるほど……しかし監視にうちのような「東洋人」だと目立つんじゃないかのぉ?」

アンジェ「大丈夫…あなたには悪いけど、どうせイギリス人からしたら東洋人はどれも「毛色の変わった外国人」にしか見えないわ」

ちせ「ふむ…「さもありなん」じゃな……」

アンジェ「という訳で、ドロシーは「飲んだくれてばかりいる両親のもとから飛び出した気の強い下町娘」で、ちせは「言葉もよく分からない下働きの東洋人」と言うカバーストーリーが出来ているわ」

ドロシー「…リアルな設定で笑えるな……」

アンジェ「ええ…そうね」

ちせ「うむ……まぁ言葉が分からんふりをしていれば、何かポロリと耳に入ってくることもあるやもしれんな」

アンジェ「かもしれないわ…で、普段の連絡と報告は定期的に「パンを買いに」行くからその時に……緊急の連絡は伝書鳩か、パンの配達を装って行うこと」

ドロシー「了解」

アンジェ「任務開始は月末から。終了はコントロールが交代要員を用意するか、対象の監視を完了するまで」

ちせ「うむ、承知した」

アンジェ「以上よ……さぁプリンセス、お茶をどうぞ♪」

プリンセス「ええ、ありがとう♪」

ドロシー「……パン屋ねぇ」

………
36 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/31(土) 03:02:13.33 ID:v8Ho/nM40
…ロンドン・下町…


ドロシー「…で、買い取る店はここか……予想以上に煤けてるな」下見を兼ねて幌を張った車から店の様子を偵察する…

アンジェ「そうね…でも問題ないわ、元の持ち主はお酒ですっかりダメになって、今は借金まみれになっているし……適当な値段を出せばすぐにでも売ってくれるわ」

ちせ「なるほど…しかしアンジェどのの情報の速さには恐れ入るのぉ」

アンジェ「黒蜥蜴星では当然の資質よ」

ドロシー「でたな、黒蜥蜴星人…って、おいアンジェ」

アンジェ「あの男…またこんなところに首を突っこんでいるのね」

ドロシー「懲りないというか……つくづくタイミングの悪い奴だな」

ちせ「…どうするのじゃ?」

ドロシー「もしかしたら…あたしらがものすごくツいていて、奴の目的は他の店なのかもしれ……どうやら、そんな都合のいい話はないらしい。真っ直ぐあのパン屋に向かってるぜ…?」

アンジェ「…この店を買い取れないと困る。行くわよ」

ドロシー「お、変装は済ませたから大丈夫だ…行こうぜ♪」

…パン屋前…

フランキー(オネエ言葉の借金取り)「…で、いつになったら返してくれるのかしら?」

パン屋「フランキーさん…頼むよ、この店を売り払ってその金で……」

フランキー「アンタねぇ…こんなボロい店なんか一ポンドにだってなりはしないわよ!」

パン屋「だったら俺が……」

フランキー「そもそも借金まみれで酒浸りのアンタが何かを約束なんて出来る訳ないじゃないの…お前たち!」

ちんぴらA「うす…っ」

ちんぴらB「…たたんじまいますか、フランキーさん?」

フランキー「ええ、あばら骨の一本か二本折ればちっとは分かるでしょうよ……って、アラ?…お前たち?」
37 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/31(土) 03:18:57.83 ID:v8Ho/nM40
ドロシー「残念だったな…どうやらあの二人は昼飯にでも当たっちまったらしい、そこで伸びてるよ♪」

ちせ「うむ…どうやら無駄骨とあばら骨を折ったのはそこの二人らしいの」

ちんぴらA「…ぐぇぇ」

ちんぴらB「うげぇ…」

フランキー「げっ…またアンタたちなの!?」

ドロシー「ああ、その「アンタたち」さ……ちょっとこっちに来て真面目な話をしようじゃないか」

フランキー「あのねぇ…アタシだってやられっぱなしでいるわけじゃないのよ!」やたら派手な背広の内ポケットに手を伸ばした……が、その瞬間に手が止まった…

ドロシー「分かったからその豆鉄砲はしまっておけよ…な♪」ロングコートの下から、一フィート銃身のモーゼル・ピストルがぴたりと体を狙っている…

フランキー「…わ、分かったわよ」けばけばしい金メッキの入った小型リボルバーを地面に落とす…

ドロシー「オーケー、じゃあこっちでじっくりと話そうぜ?」

フランキー「仕方ないわね、アタシの負けよ……とでも言うと思った!?」裏道に入った瞬間、もう一丁隠していた小型リボルバーに手を伸ばす…その瞬間ドロシーの編み上げブーツがみぞおちに叩きこまれ、ゴミくずと一緒にレンガ塀まで吹っ飛んだ…

ドロシー「おおかたそんなことだろうと思ってたさ……ま、こうなったら落とし前をつけさせてもらおうじゃないか♪」にこにこしながらモーゼルを抜いて遊底を引いた

フランキー「ひっ…ア、アタシを殺したって何にもなりはしないわよ!?」

ドロシー「おいおい、冗談だろ?…少なくともロンドンが少し綺麗になるじゃないか♪」

ちせ「…うむ。ところで「これ」はうちがやりたいのじゃが」

ドロシー「よせよ、お前の刃物で切り刻んだらミートパイの具にだってならなくなっちゃうだろ♪」

アンジェ「…この銃、せっかくの新品だから楽しみたいと思ってたの…脳天に接射したら後ろはどんなふうに穴が開くのかしら」かちりと撃鉄を起こす…

フランキー「ひぃっ…神様お助け……!!」

ドロシー「ぷははっ、聞いたかよ♪……こいつ今になって神様に祈ってやがる…ドブネズミの祈りの方がまだ聞いてもらえるだろうよ♪」

アンジェ「ええ、ここ一番のジョークね…今度お友達と話すときに使わせてもらうわ」

ちせ「うむ、面白い奴じゃな…殺すのは最後にしてやろうかの♪」

ドロシー「あ、それじゃあ表の手下どもとこいつを山分けにするのはどうだ……一人で一人ずつ楽しめるぜ?」

アンジェ「あの二人はもう動かないわ…面白くないから却下」

フランキー「あわわわ…お願いよ、アタシなんだってするわ!」

ドロシー「よせよ、お前の命なんてあのパン屋の玄関マットの分にもならないっての♪」

アンジェ「おしゃべりはもういいわ…さ、楽しませてちょうだい」

ちせ「うむ、それがよいの」

フランキー「わ、分かったわ!…あのパン屋はアンタたちにあげるから!」

ドロシー「ふわぁぁ…おっと、あくびしたら引き金を引きそうになっちまった……で、何だって?」

フランキー「こ…今後この辺りのシマは全部あんたたちに譲るわ!」

アンジェ「…悲しいことに世の中には口約束だからって、平気で約束を破る人がいるのよね……あら…この銃、引き金がずいぶん軽いみたいね」

フランキー「あ、あのパン屋の証文ならちゃんとあるわ!……法律事務所だって文句も付けられないやつよ!」

ドロシー「そうか…それじゃあとりあえず「あの店の権利は全て放棄します」とでも書いて、ばっちりサインしてもらおうか」

フランキー「か、書くわ…っ!」

ドロシー「うん、よく書けてるな…それじゃあ、地獄の門番によろしくな♪」

フランキー「そんな…アタシはちゃんと……!?」ガツン…ッ!

ドロシー「……あーあ…せっかくの銃が汚れちまったな」重い固定弾倉の所で頭を一撃し、借金の証文をひらひらさせるドロシー

アンジェ「頭の骨が陥没しそうな勢いだったわね…生きてる?」

ドロシー「あぁ…死体を作ると後が面倒だからな。それに生かしておいてもこういう奴は警察にも駆けこめないし、沈黙しててくれるさ」

アンジェ「そうね…それじゃああの店主に、店を買い取った事を伝えましょうか」

ドロシー「ああ、そうしようぜ」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/31(土) 17:04:18.12 ID:MGZoQjgeo

もし全通りの組み合わせやるならちせベアトをどうやって絡ませるか気になる
39 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/01(日) 00:53:44.14 ID:1GTaaQyP0
>>38 個人的に組み合わせやすそうなメンバーを行き当たりばったりで組み合わせているので「全カップリング作戦」は考えていませんでした…が、どうにか組み合わせてみます……多分「納豆・ぬか漬け」ネタを使うことになるでしょうから、ベアトが手をわきわきさせることになるかと…

…という訳ですので「このカップリングがまだない」と言うのをリクエストして下さればそのうちに……









40 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/01(日) 01:46:48.22 ID:1GTaaQyP0
…パン屋・店内…

ドロシー「なぁアンジェ…とりあえず「パン屋の店員らしい」格好になってみたけどさ……」えんじ色のスカートに同色の上衣、白いエプロン…と、ハウスキーパーのような恰好で、頭にはキャップまでかぶっている

アンジェ「ええ。よく似合っているわよ、ドロシー」

ドロシー「……どこが。正直全く似合ってないだろ…///」

アンジェ「そうかも知れないわね…でも、任務のためよ」

ドロシー「そうでもなきゃこんな格好をするかよ…ちせは?」

ちせ「うむ、着替えて参った…しかし、アンジェどのの持って来たこれを着てはみたのじゃが……何でこんな中華風なのじゃ」後頭部脇にお団子を二つ作った髪型にまとめ、チャイナカラー(中華風の襟)でクリーム色をした上衣に、生地のたっぷりしたズボンをはいている…

アンジェ「……こういう格好もいいと思ったけど……なかなか可愛い感じになったわね」

ドロシー「…おい、今何て言った?」

アンジェ「こほん……ちせ。あなたは日本人だけど、今ロンドンにこのくらいの年齢の日本人はどれだけいると思う?」

ちせ「まぁ…そう多くはあるまいな」

アンジェ「ええ、そうよ…と言うことは王国の防諜部が一人ずつ調べ始めたらすぐ面が割れる。だけど中華系ならうんといるし、前にも言ったように日本人と区別のつくようなイギリス人なんていやしない……となれば、中華系に化けた方がカバーとしては優れているし、格好も特徴的で目立つから、逆説的ではあるけれど顔や素性に意識を向ける者が少なくなる」

ドロシー「確かに……たとえ防諜部の奴らが「この辺で怪しい奴を見ましたか」と聞いても「はい、中国人の女が歩いていきました」となるだけだもんな」

ちせ「なるほど…さすがじゃな」

アンジェ「その通り。決して二人に色んな衣装を着せて遊んでいるわけではないわ」

ドロシー「……そういうことにしておいてやるよ」

アンジェ「それじゃあ監視は三日後から…寝泊まりには上の部屋を使って、監視は交代で一日中続けること」

ドロシー「はいよ…どうやらうんと頑張らないといけなくなりそうだな」

アンジェ「そうね…でも週末は私たちも「遊びに」やって来るから、その時にゆっくり寝だめしてちょうだい」

ちせ「うむ…それもまたよい鍛錬になろう」

ドロシー「そう言えば武器はどうする…監視任務だから必要ないって言われればそれまでだけどさ……」

アンジェ「もちろん監視には必要ないでしょうが、何もないと心細い気持ちになるのも分かるわ……こっちに来て」

…パン屋・工房…

アンジェ「……ここのレンガに…ドロシー、見える?」二つあるパン焼き窯の片方は半分崩れている。そこに四つん這いになって、ぐらぐらになっているレンガを数個抜く……

ドロシー「ああ…綺麗なふとももだな」

アンジェ「どこを見ているの……このレンガよ」

ドロシー「冗談さ…ああ、そこのレンガだな」

アンジェ「ここの奥に空間がある…貴女の銃なら充分入るわ」

ドロシー「よし…それじゃあそこに入れておこう」

ちせ「うむ…ならばうちも刀をどこかに置いておきたいのぉ……」

アンジェ「それは難しいわね…銃は誰でも使えるけど、日本刀は日本人しか持っていない物よ……中華系に化けた意味がなくなるわ」

ドロシー「おいおい、本気のちせが刀を抜いた後に、姿かたちを生きて証言できる奴がいると思うのかよ?」

アンジェ「それもそうね…なら、そこの小麦袋の中にしまっておくといいわ……粉まみれにならないように、袋か何かで覆った方がいいわね」

ちせ「うむ、助かるぞ…が、脇差と小柄だけにしておこう」

ドロシー「どうせ屋内であの長いやつは振り回せないもんな…あとは……と」

アンジェ「まだ何か武器を持っているの?」

ドロシー「ああ、武器はないよりあった方がいいからな…それに音を立てたくないときのために、スティレット(刺突用ナイフ)がある」

アンジェ「それは服の折り返しか縫い目にでも忍ばせておくのね」

ドロシー「ああ、そうするよ」

アンジェ「それじゃあ監視をよろしく……私は裏口から出ていくわ」

ちせ「うむ」

ドロシー「…それじゃあ週末にな」
41 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/01(日) 02:20:56.03 ID:1GTaaQyP0
………

ドロシー「あーあ、しっかし監視任務って言うのは身体にこたえるんだよなぁ……ま、二人っきりだし仲良くやろうよな♪」一つきりの古ぼけたベッドに寝っころがり、組んだ腕を枕に鏡を眺めている…

ちせ「うむ…しかしぬか床をかき回せないのは困るのぉ……一応アンジェどのに頼んではきたのじゃが」ガタのきた椅子に腰かけ、欠けたティーカップで緑茶をすすっている…

ドロシー「ぬか床っていうのは…あのヘンテコな和風ピクルスの入れ物か」

ちせ「うむ…ぬか漬けと言うのは面白い物での、日に一回はかき回さんと空気が通わず腐ってしまうのじゃ」

ドロシー「ほーん…そう言うもんなのか」

ちせ「うむ…とはいえ堀河公にお願いするわけにもいくまい?」

ドロシー「堀河公…確かちせの所のボスだよな?」

ちせ「うむ」

ドロシー「でも、もしそうなったら面白いだろうな…♪」

ちせ「……うむ、その場面を想像したら存外愉快であった」

ドロシー「な?……あ、客が来たぞ」

ちせ「うむ…あれは……普通の客かの?」

ドロシー「…みたいだな。あんな流行らない貿易会社から何を買うのかは知らないけどな」…古びたレースのカーテン越し、窓からの眺めが上手く映るように三面開きの化粧台を置き、それに反射して映る姿を監視する二人……

ちせ「出てきたようじゃ…あれはジャムの瓶じゃな」

ドロシー「ああ、あのブランドなら知ってる」

ちせ「…顔の特徴も当てはまらぬようじゃ」

ドロシー「ま、最初からってことはないだろ」

…数日後…

ドロシー「なんだよ、客か…?」

主婦「あ、ああ…そうだよ。パンを買いたいんだがねぇ」

ドロシー「なら買えばいいじゃねぇかよ…違うのか?」

主婦「…な、なんだい…態度の悪い娘だね!」

ドロシー「……パン屋って言うのも意外と楽だな♪」

ちせ「ふむ…客を追い帰してばかりじゃがな」

ドロシー「なに、構うもんか。どのみちカバーなんだ、ロンドン一のパン屋になる必要もないしな」

ちせ「それもそうじゃな…おや、また客がきたようじゃぞ」

ドロシー「じゃあ今度はちせの番な」

ちせ「うむ…承知した」

労働者「おっ、そこの可愛い嬢ちゃん。パンを一斤くんな」

ちせ「…何アルか?…わたし英語少ししゃべる……パンは焼きたてよ、とても美味しいネ」

労働者「おう、それじゃあなおの事そのパンをくれねぇかな…ほら、金はちゃんとあるんだからよ」

ちせ「これ一ポンドか?…主人いないからわたし分からないアルよ、パンの値段ちゃんと見るヨロシ!」

労働者「あぁ、もうじれってぇな…じゃあ今度にするぜ」

ちせ「ちょっと待つヨロシ、なんで帰る!…ここのパン不味いことない、王室御用達ヨ!……ふぅ、なかなか難しいのぉ」

ドロシー「……くっくっく…ぷっはははっ♪」

ちせ「そんなにおかしかったかのぉ…」

ドロシー「あぁ、最高におかしかった…あははっ♪…今度劇場でやってみろよ、大ウケ間違いなしだ……ひぃー…腹の皮がよじれそうだ♪」

ちせ「……そうアルか?」

ドロシー「ひぃー、もう止めろってば…ぷっはははっ♪」

………
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/02(月) 02:13:42.14 ID:Ffj7iYCmo
43 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/04(水) 01:05:33.68 ID:j0+qbPcc0
ドロシー「……とか何とか言ってかれこれ二週間はたったわけだけど…」

ちせ「…何も引っかからんのぉ」

ドロシー「ああ…王国の諜報部は開店休業中なのか、それともコントロールの入手した情報がスカだったのか……」薄汚れた天井を眺めながらぼーっとしている…

ちせ「うむ…とりあえずうちは今日の報告を準備いたそう……」

ドロシー「ああ、よろしく頼むわ…」

ちせ「うむ」…机の上に置いてある食パンの山形の部分に小さな切り込みを入れると、そこに暗号に置き換えた報告のメモを差し込む……それを油紙に包み、見分けがつくようバターの染みを二か所につける…

ドロシー「おーし、できたみたいだな…後は連絡員に渡すだけ……と」

ちせ「そうじゃな…しかしこの格好にもすっかり馴染んでしまったのぉ……」

ドロシー「ああ、こっちも…ま、あたしなんかよりも、ちせの「偽チャイナ」の方が可愛げがあると思うけどな?」

ちせ「うむむ…そう言われても嬉しいような嬉しくないような気分じゃが…」

ドロシー「まぁそう言うなよ…さてと、それじゃあパン屋を開店させますかね」

………

ドロシー「おーう…いらっしゃい……冷やかしはお断りだよ。買うならとっととしな」

連絡員「…それじゃあそこの食パン一斤を」

ドロシー「…ちっ、食パン一斤かよ…しけてんなぁ……ほらよ」

連絡員「はい…お代ね」

ドロシー「はいはい、またどーぞ……おーい、交代だぞ」

ちせ「…しーっ」

ドロシー「…どうした?」

ちせ「あそこに「本物の」客じゃ…間違いないぞ」鏡には「事務所」に入っていくハンチング帽にチェックの上衣、茶色のズボンを着た男が写っている…

ドロシー「どれどれ……ああ、確かに王国諜報部のエージェントだな」

ちせ「うむ…」

ドロシー「よし、それじゃあ「特別便」を出そうぜ…今度はあたしが書くよ♪」

ちせ「承知した…ではうちが店番をしておく」

ドロシー「ああ、頼んだぜ…それじゃあ、行ってくる♪」…いかにもパン屋の御用聞きが書きそうな単語を使った暗号文を書き起こし、伝票用紙に書きこむ…それと、紙袋に詰めた数個のパンやパイを持ち、エプロン姿で表に出た……

…ロンドン市街・コントロールの連絡所…

ドロシー「ちわー…パン屋からご注文の品を届けにきましたー…えーと、食パン二斤に「ミートパイ」一個ですね」

連絡員「…そう、「ミートパイ」ね?…はい、ありがと」

ドロシー「へいへい…いつもごひいきに……」

…しばらく後・パン屋…

ドロシー「…うーい、ただいまー……で、どうだった?」

ちせ「以後は動きなしじゃが……どうやらこれであそこが王国諜報部の事務所…あるいはセーフハウス(隠れ家)であることが分かったの」

ドロシー「ああ、安心したよ…何しろこのままパン屋住まいじゃないかと思ってたところだったからな♪」

ちせ「それは堪忍して欲しいところじゃな…まぁ、任務を完了出来て何よりじゃ」

ドロシー「だな……後は交代のエージェントが来てくれるのを待つばかり…と」

ちせ「うむ」


44 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/04(水) 01:33:53.71 ID:j0+qbPcc0
ドロシー「…で、どうしてアンジェがここに来たんだよ?」

アンジェ「コントロールはあなたたちの報告を読んだわ…だけど都合があって、同クラスのエージェントを送り込むまでにあと一日かかる……だから交代の投入まで私が監視を引き継ぐわ。…ご苦労さま、ゆっくり身体を休めてちょうだい」

ドロシー「あぁ、そうさせてもらうよ…あいたた……肩ががちがちに凝ってやがる…」

アンジェ「姿勢が悪いんじゃないかしら。さもなければ年ね」

ドロシー「……相変わらず可愛げのないやつ…全く冷血なんだからな」

アンジェ「黒蜥蜴星人だから仕方ないわ」

ドロシー「そうかよ…あ、ちょっと待てよ?」

アンジェ「何?」

ドロシー「いや、肩こりの理由さ……一つ思い当たるフシがあった♪」

アンジェ「そう、それはよかったわね…それで、その「理由」って言うのは何かしら?」

ドロシー「…これだ、これ…まぁアンジェには分からないよなぁ♪」たゆん…っ♪

アンジェ「……それは結構ね…もう寝たら?」

ドロシー「はいはい…そんじゃお休みー♪」

ちせ「うちも下がらせてもらうので…では、失礼いたす」

アンジェ「ええ」

…寝室…

ドロシー「あー…やっとゆっくりベッドに入れるなぁ……この厄介なメイド服みたいなのともおさらばだし、さばさばしていいや♪」

ちせ「うむ。うちもようやく偽チャイナから解放じゃ…ふぅ」

ドロシー「はぁぁ…そういえば、ちせ」

ちせ「何じゃ?」

ドロシー「せっかくだから一杯やらないか…本当はラムレーズン用のラムだけどさ、成功を祝って……どうだ?」

ちせ「…うむむ、酒は剣士にとっては大敵……とはいえ朋友から差しだされたねぎらいの杯を断るのもまた無礼というもの……むぅ」

ドロシー「あー…じゃあ少しだけにしておけばいいさ、あたしも寝酒に少し入れたいだけだからな」

ちせ「うむ、そう言うことなら頂戴いたそう…アンジェどのにはちと済まんがの」

ドロシー「なに、あたしたちはこの数週間ここに缶詰めだったんだ、少しくらい祝杯を挙げたってとがめられることなんてないだろ……こんなもんでいいか?」

ちせ「う、うむ…ちと多い気がするが……まぁ大丈夫じゃろう」

ドロシー「うーし…それじゃあ監視任務お疲れさん♪」

ちせ「うむ…では……ごくっ……けほけほっ!」

ドロシー「おいおい…大丈夫か?」

ちせ「う、うむ…ずいぶん強烈じゃな……」

ドロシー「ははっ、かもな……んぐっ…ごくっ、ごくっ……くーっ♪」

ちせ「…ドロシーどのはずいぶんと酒が強いんじゃな」

ドロシー「まぁ…強いって言うよりも、監視任務が終わった喜びを味わいつつ飲みたい気分なのさ……もう少しだけ飲まないか?」

ちせ「…で、では……むげに断るのも何であるし…」

………
45 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/04(水) 02:20:08.54 ID:j0+qbPcc0
ドロシー「うーい…ずいぶん気持ち良くなってきたなぁ……ちせはどうだー?」

ちせ「うむぅ…身体がぽーっと暖かいのぉ……それにふわふわと地に足がついておらん感じじゃぁ…ひくっ♪」

ドロシー「おー…それはいいや……って、どうもおしまいみたいだ…♪」コップの上で瓶を逆さに振ってみたり、瓶の中をのぞいてみる…

ちせ「そうか…それではドロシーどの、うちらは寝るとするかの……ぉ♪」

ドロシー「あー…そうだな……よいしょ♪」

ちせ「うむむ…それもロンドンに来てから驚いたことの一つじゃ……」

ドロシー「あー…寝るときの格好か?」

ちせ「うむ…日本では寝るときも何かを着ておる……裸か、そのような下着だけで寝床に入ることは想像も出来んかった……ひっく♪」

ドロシー「あぁ、かもな……でも慣れたらきっとこっちの方が楽だぜ…?」

ちせ「かもしれぬ……それにしてもドロシーどのの身体は何とも色つやがよくてきれいじゃの。酒が入っているせいか全身がほんのり桜色で…何とも柔らかそうじゃ♪」

ドロシー「…良かったら触ってみるか?」

ちせ「ふむ……しからばご免…っ♪」ふに…っ

ドロシー「…どうだ」

ちせ「おぉぉ…♪」

ドロシー「手ざわりはいいと思うけどな……これでもハニートラップだの何だのに備えて手入れはしっかりしてるんだから♪」

ちせ「……おぉ…おおぉぉ…何とも柔っこい饅頭じゃの♪」

ドロシー「なんだ…気に入ったか?」

ちせ「うむ、うちのちんまい身体ではこんな手ざわりは体験できんゆえ……おぉぉ、ドロシーどのの柔肌はすべすべでもちもちじゃ…♪」

ドロシー「おいおい、あんまり胸ばっかり触るなよ♪…やりかえしちゃうぞ?」

ちせ「かまわぬ…どうせ触る胸もありはせん」

ドロシー「おいおい、そんなこと言うなって……小さいけど引き締まってて揉みごたえがあるじゃないか♪」

ちせ「んっ、く…んん…ぅ///」

ドロシー「…お、おい…あんまりそう言う声を出すなって……なんかこっちが恥ずかしくなってくる///」

ちせ「す、済まぬ…しかしドロシーどのの手つきが……んんっ、くぅ…ぅ///」

ドロシー「あー……ちせの喘ぎ声を聞いてたら、なんだかムラムラしてきた…♪」

ちせ「…それを言ったらうちも……ドロシーどのの下着姿にのぼせておるぞ///」

ドロシー「…なぁ、この部屋ってベッドは一つだよな」

ちせ「うむ…それが何なのじゃ?」

ドロシー「いや、一緒のベッドに入ろうと思ってさ……んちゅっ♪」

ちせ「んっ…んんっ……ちゅぅ///」

ドロシー「んむっ…ちゅ……ちゅくっ…ちゅぷっ……んちゅ…♪」

ちせ「あむっ…ちゅぅぅ…んはぁ、ちゅっ……んちゅ///」

ドロシー「よーし…それじゃあこの着物の帯を解いちゃうぞ…っと。……おぉ、しっとりしてて綺麗なもんじゃないか♪」

ちせ「う…こうやって着物をはだけさせられていると……ち、ちと恥ずかしいの…///」

ドロシー「なぁに、あたしだって下着だろ…おたがいにフェアさ♪」

ちせ「そ、それはそうなのじゃが……んあぁ…っ///」

ドロシー「おー…可愛い声を上げちゃって……そーれ♪」くにっ、ちゅぷっ…♪

ちせ「んっんっんぅぅ…んあぁぁ、はぁぁ…んっ♪」

ドロシー「…何て言うかな…ちせが濡らしてる所を見てると背徳感がすごいな……最高だけど♪」

ちせ「な、何じゃ…さっきからうちがやられっぱなしではない…かぁ、あぁぁんっ///」

ドロシー「わりぃ、理性が吹き飛んだわ……そういう訳で重ねるぞ…んっ、んはぁぁ♪」

ちせ「ち、ちょっと待たれよ…んっ、あぁぁぁっ!」

………
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/04(水) 04:27:05.28 ID:HqXxip6do

わりかし真面目な任務シーンからのこの落差
47 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/06(金) 10:23:11.67 ID:Kz5GYziQ0
>>46 オン・オフははっきりさせないといけないですから…という訳で引き続き任務はかっちり、あとはただれた関係の「チーム白鳩」をお送りしていきます……また、そろそろ「カサブランカでの夏休み」編でも投下しようかと…
48 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/04/07(土) 11:16:13.05 ID:CTtIMRZB0
…翌朝…

恰幅のいいおばちゃんエージェント「…それじゃあ、あとは任せておきな……それよりそっちの二人はちょっとばかし休んだ方がいいんじゃないかねぇ?」

ドロシー「あー…昨夜はちょっとばかし睡眠不足でね」

ちせ「///」

若いエージェント「なら私たちの分まで休んでちょうだい、こっちはしばらくベッドが恋しくなりそうだもの…」

ドロシー「ご忠告どうも……ふわぁぁ…」

アンジェ「それじゃあ後は任せたわ」

おばちゃんエージェント「あいよ…それじゃあね」

アンジェ「ええ…」

…寄宿舎・部室…

ドロシー「ふぃー…やっと「休学」も終わったな」

ちせ「うむ…まずはぬか床をかきまわし、遅れた分の勉学と鍛錬を取りもどさねば……しからばご免」

アンジェ「ええ、お疲れさま……ところでドロシー、少しいいかしら?」

ドロシー「んー?」

アンジェ「昨日のことで少し言いたいことがあるの」

ドロシー「……何かドジったか?」

アンジェ「いいえ、活動そのものには問題ないわ」

ドロシー「じゃあ何だ?」

アンジェ「ええ…別にあなたがちせと何をしていようと、私は全く構わないわ……ただ、監視任務をしているその隣室で「事に及ぶ」のは、少しやり過ぎじゃないかしら」

ドロシー「あー…聞こえてたのか、悪いな……何しろほど良くラムが入って、やらしいことがしたい気分だったもんでな♪」

アンジェ「いいえ、その事はまだ許せるわ…ただ」

ドロシー「ただ…なんだ?」

アンジェ「昨夜のちせとの会話…覚えている?」

ドロシー「えーと…昨夜はちせとベッドでいちゃつきながら……あー」

…前夜…

ちせ「ほわぁぁ…何とも言えぬ愉悦であった///」

ドロシー「それはこっちもさ……ちせは肌がすべすべだもんな。どうやってこんなもっちり肌を作ってるんだ、んー?」ふにっ…♪

ちせ「そ、そうほめられると困るの…別段普段から風呂に入って石けんで洗っているだけじゃし……時折、椿油を塗ったりはするがの///」

ドロシー「ほーん…それでこのすべすべボディか、たまらないな……うりうり♪」

ちせ「あふっ…んあっ、あんっ……///」ぷしゃあぁ…♪

ドロシー「おー、ちせはイくところも可愛いな…それにしてもあの「黒蜥蜴星人」のやつ」

ちせ「アンジェどのか…?」

ドロシー「ああ…まったく、無表情でこっちの事を酷使してくれやがって……きっと血管に流れているのは氷水だぜ?」

ちせ「ふむ、そうかの……んんぅ、そんなにうちの乳房を揉むでない…んぁぁっ///」

ドロシー「なーに、遠慮するなって♪……それでだ、あの「ミス・パーフェクト」の冷血女め…何でも一人でこなして平気な顔をしてやがる…一度くらい慌てふためく顔がみてみたいぜ……まったく♪」

ちせ「ふむ……あふっ、んくっ…んあぁぁ……ドロシーどの…もっとして欲しいのじゃ…んくっ///」

ドロシー「あいよ、あたしがうんと気持ち良くしてやるよ……今度プリンセスを焚きつけてあのトカゲ女をわたわたさせたら面白いだろうな…♪」

ちせ「…ふむ、なかなか面白そうじゃの……あんっ、んっ♪」

………
49 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/07(土) 11:43:35.61 ID:CTtIMRZB0
ドロシー「あー…」

アンジェ「無表情のトカゲ女…は、まぁ良いわ」

ドロシー「…いやぁ、あれはちょっと酔った勢いで……」

アンジェ「酔った勢いで口を滑らせるような二流エージェントでないことくらい私が一番よく知っているわ……それから何だったかしら…氷の女王とか言ってたわね?」

ドロシー「…」

アンジェ「それよりも何よりも……ドロシー、あなたは「プリンセスを焚きつけて」どうするって言ってたかしら?」

ドロシー「いや、それはあくまでも「言葉のあや」っていうか……さ」

アンジェ「そう…それにしてもプリンセスをだしに使おうって言うのはいただけないわね」

ドロシー「うっ…いや、あのさ……」

アンジェ「まぁいいわ…昨日は疲れたでしょう、ドロシー……しばらく休んだら?」

ドロシー「お…おう、何かわりぃな……?」

アンジェ「そのかわりに……起きたらここと車庫の道具を手入れしてもらうから」

ドロシー「……この冷血トカゲ女」

アンジェ「何か言った?」

ドロシー「いや、何も」

アンジェ「そう…それならもう話はないわ、お休み」

ドロシー「ああ…んじゃ寝て来るわ」

アンジェ「……まったく、私のポーカーフェイスもプリンセスに関してはまだまだね……でも、プリンセスならドロシーに焚きつけられなくても…///」

プリンセス「あの…私がどうかして?」

アンジェ「…っ///」

プリンセス「どうしたの、アンジェ?」

アンジェ「な、何でもないわ……監視任務で疲れたからぼーっとしてただけよ///」

プリンセス「ふふ…アンジェは私の前だと絶望的に嘘が下手になるわね♪」

アンジェ「嘘はついていないわ」

プリンセス「ふふっ…ならそう言うことにしておくわ……ところでアンジェも疲れているのだから、少し休憩しなさいな♪」

アンジェ「いえ…まだ個人装備の後片付けが済んでないわ」

プリンセス「ふぅ……くたびれた状態で後片付けをしても、手順が狂ったりミスが増えるからいいことはないし…少し休んでからにした方がいいわ」

アンジェ「いえ、それでも…っ!?」

プリンセス「ふふ…私からの不意打ちとはいえ、キスをかわせない時点で疲れているわ……ベッドを貸してあげるから少し寝てちょうだい?」

アンジェ「…わ、分かったわ……ベッドは貸してもらわなくても結構、自室で寝るわ///」

プリンセス「ええ…お休みなさい♪」

アンジェ「…お休み///」

プリンセス「……ふふ、「シャーロット」の唇…柔らかかった♪」

………
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/07(土) 17:40:53.54 ID:ge8i8iCao
51 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/09(月) 00:51:14.15 ID:thhQe0Ab0
…case・アンジェ×ドロシー「The summer vacation」(夏休み)…


…とある日…

アンジェ「今日はみんなにニュースがあるわ…ちなみに「いいニュース」と「悪いニュース」があるけれど、どっちから聞きたいかしら?」

ドロシー「あー…それじゃあ悪いニュースからだな。「いいニュース」とやらで口直しにさせてもらうさ」

アンジェ「そう、なら悪いニュースね…実はこっちの組織に王国諜報部のモール(もぐら。潜入エージェント)が潜りこんでいたことが判明したわ」

ドロシー「おい、嘘だろ……悪いニュースどころか最悪だ」

ベアトリス「あ、あの…アンジェさん……私たちの存在も知られてしまったんでしょうか?」

アンジェ「いいえ。それは「コントロール」が食い止めたわ」

ドロシー「ふぅ…やれやれだな」

アンジェ「そしていいニュースよ……幸いにして私たち「白鳩」の事は知られずに済んだ…けれど、それが事実かどうかはまだ分からない」

プリンセス「…困ったわね」

アンジェ「ええ。そこで、コントロールとしては安全と推測できるまで私たちを活動させずにおくことを決めた……幸い、寄宿舎も夏休みに入るから「この機会にうんと羽を伸ばしていらっしゃい」とメッセージを受けとったわ」

ドロシー「ひゃっほう、コントロールにしちゃ気前がいいな♪」

ちせ「うむ…まぁ最近は商売繁盛だったからの」

プリンセス「なら私の別荘にご案内するわ…ね、アンジェ?」

アンジェ「そうね、それがいいかもしれないわ」

ベアトリス「でしたら私が姫様の旅支度を整えさせていただきますね♪」

ドロシー「あー、旅支度ね…と言っても、何にも持って行くものなんてないしな。せいぜい着替えくらいか……」

アンジェ「そうね、支度はすぐ済むわ」

ちせ「うむ…ならばうちは「ぬか床」を冷たい場所で保存しておくことにしよう……それならば数週間は持つはずじゃからの」

ベアトリス「お願いですから私の部屋とか言わないで下さいよ…?」

ちせ「そんなことは言わぬ…そうじゃな、地下室でも借りるとするかの……」

アンジェ「それは好きにするといいわ…ちなみに夏休みは一週間後よ、私はそれまでに飛行船の手配を「コントロール」にお願いしておく」

プリンセス「ふふ、楽しみね…アンジェ♪」

アンジェ「そうかもしれないわね」

………
52 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/10(火) 02:03:32.04 ID:dXmmz4Yn0
…数週間後・飛行船発着場…

アンジェ「いよいよ夏休みね…プリンセス、準備はいい?」

プリンセス「ええ。アンジェは?」

アンジェ「私はいつも通りよ…特に何も変わらないわ」すっきりした白を基調にした、黒い腰リボンつきのデイドレスと飾り付きの帽子…

ドロシー「と、言う割にはお洒落してるよな……ま、プリンセスとのハネムーンに備えた予行演習だと思っておけばいいんじゃないか♪」ドロシーはえんじ色で裾にしっかりしたドレープ(折り目)が入った大人っぽいドレスと、黒レースの長手袋…頭には黒い羽根飾り付きのボンネットをかぶっている……

アンジェ「…いつ私が「プリンセスと結婚する」なんて言ったかしら……///」

ドロシー「別に言ってないぜ?…お、そうやって赤くなったところを見ると脈ありかぁ?」

アンジェ「少しいいかしら、ドロシー……飛行船からの「不幸な墜落事故」に遭いたくないなら黙っていることね」

ドロシー「はいはい…あー、おっかない♪」

プリンセス「まぁまぁアンジェ…私は制度さえ整えばいつだっていいのよ♪」いたずらな上目遣いで両手を握りしめる……きらきらと光の加減で色が変わって見えるクリーム色のドレスに、柄に紫檀を使った優雅な同色のパラソル…

アンジェ「うっ…いえ、そう言うのは任務遂行の……///」

プリンセス「…ふふ、遠慮しないでいいのよ「シャーロット」……今度は「本番」の時に、二人だけで来ましょうね?」

アンジェ「べ、別に貴女の事が好きなわけじゃないわ……///」

プリンセス「もう、アンジェったら……ふふ、せっかくだから後で私の船室に来て…ねっ♪」

アンジェ「…そんなに飛行時間はかからないわ///」

ベアトリス「むぅぅ、アンジェさんはまた姫様といちゃいちゃして……もう、姫様には私だっているじゃないですか…///」ごくごくあっさりとまとめた淡い桃色のドレスで、頭には白いレース付きのボンネットをかぶっている…

プリンセス「ふふ、ベアト…あなたも私の大事な人よ……だから「どっちかを選べ」なんて言わないでね?」

ベアトリス「言いませんよ…姫様はどうであっても私の姫様ですから!」

プリンセス「よろしい…♪」

ちせ「おぉ、これが例の飛行船じゃな……空の上を旅するとは、ちとおっかない気もするが…それもまた鍛錬じゃ……うむ」武者震いをしながらタラップに脚をのせるちせは、暗緑色と銀ねず色の落ち着いたドレスで、腰のバスル(ふくらみ)が小ぶりで、いざと言う時にも動きやすいように仕立てられている…

アンジェ「それじゃあ乗り込みましょう、プリンセス」

プリンセス「ええ、アンジェ…嬉しいわ、久しぶりの旅行だもの♪」

アンジェ「そうね」

53 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/11(水) 02:13:36.99 ID:oy1qfslX0
…飛行中…

プリンセス「綺麗な眺めね…ところでベアト。いつもベアトが身支度を手伝ってくれるけれど、何かと疲れるでしょうし……夏休みの間は私のお世話をしなくていいですからね?」

ベアトリス「疲れるだなんて、そんな……私は姫様のお世話をするのが好きだからやっているんです///」

プリンセス「まぁ…ならこうしましょう」

ベアトリス「はい、何でしょうか?」

プリンセス「ベアトが私の、私がベアトの支度を手伝うことにしましょう♪」

ベアトリス「うわわっ、そんなの駄目ですっ…///」

プリンセス「そう?…ならさっき言ったように私のお世話はしなくていいわ……それとも命令しなくちゃダメ?」

ベアトリス「そ、そんなことないです…分かりました」

プリンセス「ふふ、よろしい…あ、島が見えてきたわね♪」

アンジェ「あれはイベリア半島よ、プリンセス」…普段かけている「ドジな田舎娘風」の眼鏡を外し、さりげなく隣に立った

プリンセス「まぁ、アンジェは物知りなのね♪」

アンジェ「プリンセスだって航路は覚えているでしょう…まだエスパーニャ(スペイン)の上空よ」

ドロシー「おー…綺麗なもんだなぁ……ところで甲板で振る舞われているポンチ酒をもらってきたらどうだ、いい味だぜ?」

アンジェ「…それはいいけど、一体何杯飲んだの?」

ドロシー「おいおい…あたしがそんなレディらしからぬほどがぶ飲みすると思ってるのかよ?」

アンジェ「ええ、ひどくお酒臭いわ」

ドロシー「相変わらず口が悪いな……ちせ、どうした?」

ちせ「いや、ずいぶんと高いのじゃが…本当に大丈夫なんじゃろうな?」

ドロシー「はは、大丈夫だって…こいつは表面に薄い金属板を張ってある硬式飛行船だから、気嚢がむき出しの軟式飛行船みたいにヤワじゃない……おまけに「ケイバーライト」のおかげで今までの飛行船よりずっと揚力が稼げるんだ…あそこの綿雲よりもふわふわ浮くって♪」

ベアトリス「そうですよ、ちせさん…あの推進器だって一ポンド当たりの推力がぐっと大きい新式ですし♪」

プリンセス「二人とも詳しいわね♪」

アンジェ「そうね…つまり安全よ、ちせ」

ちせ「うむむ、では…お、おぉ……」

ドロシー「どうだ、いい眺めだろう♪」

ちせ「うむ…で、あの陸地が……どこなのじゃ?」

アンジェ「イベリア半島よ」

ちせ「なるほど…して、目的地まではどのくらいじゃ……やはり地面の上でないと背中がむずむずしていかん」

アンジェ「約三時間ね…船室で昼寝でもしていればいいわ」

ドロシー「そうそう「雲の上で昼寝」なんて、白い羽根のついた天使さまでもなきゃ味わえないんだ…な、贅沢だろ?」

ちせ「ふむ…それではちと午睡を取ることといたそう」

ドロシー「あいよ…プリンセスは?」

プリンセス「そうねぇ…お昼寝もいいかも知れないわ♪」

ドロシー「お…そんならベアトリス、ちょっと推進器の方をのぞいてこようぜ♪」

ベアトリス「わぁ、いいですねぇ…って、機関部の辺りはお客さんが入れないんじゃ……?」

ドロシー「それが「ちょっと見てみたいのだけど、よろしいかしら♪」…ってクルーにウィンクしたら、あっという間に通してくれたぜ?」

ベアトリス「やっぱり……でも見られるなら見ておきたいですし、行きましょう♪」

ドロシー「お、いい返事だな。それじゃあ二人とも、また後で……ま、アンジェもよかったら「昼寝」して来いよ♪」

アンジェ「……余計なお世話よ///」

プリンセス「ふふ…でも「お昼寝」の時間が三時間じゃ、ちょっと少ないかもしれないわね♪」

アンジェ「///」
54 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/12(木) 02:02:45.66 ID:2+euDTsM0
…カサブランカの別荘…

ドロシー「おー…何とも綺麗な別荘だな♪」

ベアトリス「ほんとですね」

ちせ「白い壁が日光を反射して、もはや眩しいくらいじゃのぅ」

プリンセス「ふふ…ここは私の別荘だから、遠慮せずにくつろいでね♪」

ドロシー「ありがとな、プリンセス……おいアンジェ、聞いてるか?」

アンジェ「……そうね」

ちせ「アンジェどのは一体どうしたのじゃ…そんなにげっそりと疲れたような顔をして?」

ドロシー「あー…そりゃあきっと「空酔い」だろ。な、そうに決まってるよな、ベアトリス?」

ベアトリス「え?…あっ……そ、そうですよ♪」

ドロシー「ほら、ベアトリスもそう言ってるだろ?」

ちせ「ふむ……しかし「空酔い」とやらでアンジェどのがやつれているのは、まぁ分かるのじゃが……しからばなにゆえに、プリンセスどのはああもつやつやとしておるのじゃ?」

ドロシー「それはまぁ…あれだ、久しぶりに公務だの何だのから離れられたから嬉しいのさ」

ちせ「なるほど…確かに姫君の務めは何かと大変じゃろうからな……お察しいたします、プリンセスどの」

プリンセス「ええ、うふふっ…♪」

ドロシー「とにかく別荘に入ろうぜ…ここじゃ眩しくてやりきれないしな」

ベアトリス「そうですね」

プリンセス「なら私が案内するわね……ほらアンジェ、行きましょう?」

アンジェ「…え、何かしら」

プリンセス「ふふ、「行きましょう?」って言ったの…♪」

アンジェ「あ、あぁ…そうね」

ドロシー「…あのアンジェがあんなにがくがくになるって……飛行船の中でどれだけ責めまくられたんだよ……」

ベアトリス「あー…それはほかでもない姫様のことですから……///」

プリンセス「んー、二人とも何か言ったかしら?」

ドロシー「いや、何でもないって!」

ベアトリス「ひ、姫様に聞こえないようなところで何か言うはずがないじゃありませんか!」

プリンセス「ふふ…変なベアトとドロシーさん……さ、荷物を置いたら水着になって日光浴でもしましょう♪」

ドロシー「お、おう…そいつはいいや♪」

ベアトリス「で、ですねっ…わー、楽しみだなー」

ちせ「ふむ…砂浜でなら足腰によい鍛錬が出来そうじゃな」

アンジェ「あー、日光が眩しいわね……ほわぁ…」

ドロシー「……だめだこりゃ」

………
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/13(金) 05:32:06.51 ID:gtVyiD3Mo
56 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/14(土) 01:34:13.34 ID:3votnxuU0
…しばらくして・浜辺…

ドロシー「うーん、やっぱりいいもんだなぁ……ロンドンの陰鬱な空気とは大違いだ♪」パラソルの下、デッキチェアに寝そべって伸びをするドロシー…

ベアトリス「ですねぇ…はぁぁ、暖かくて気持ちいいですし」

ちせ「うむ…しかしこの婦人用の水着とやらは……ずいぶんとけったいな外見をしておるのぉ」袖口や裾回りがふくらませてあって、いわゆる「かぼちゃパンツ」のスタイルに近い全身用水着を胡散くさい目で見おろしている…

ドロシー「あー、まぁ日本から見ればそうなのかもなぁ……やっぱり泳ぐときも「キモノ」なのか?」

ちせ「まぁ、似たようなもんじゃな…それにしてもプリンセスどのとアンジェどのは遅いのぉ」

ドロシー「プリンセスなんていうものは、支度に時間がかかるのさ…ふわぁぁ…♪」

…邸内…

プリンセス「うーん…どっちがいいと思う、アンジェ?」

アンジェ「別にどっちでもいいわ、プリンセスなら何だって似合うもの…///」

プリンセス「ふふ、嬉しい……じゃあこっちの桃色の水着にしましょう♪」

アンジェ「そう、ならそうするといいわ…」

プリンセス「ところでアンジェ」

アンジェ「なに?」

プリンセス「着替えるのを手伝って下さらない?」

アンジェ「え?」

プリンセス「ふふ、聞こえなかったかしら…♪」

アンジェ「いえ、よく聞こえたわ…」

プリンセス「なら後ろに回って…背中のホックをはずして下さいな♪」

アンジェ「わ、分かったわ…」

プリンセス「ふぅ……やっぱりカラーがきついのかしら」

アンジェ「かもしれないわね」

プリンセス「うーん…とはいっても跡が残っているわけでも、擦れているわけでもないし……どう思う?」ドレスを脱ぎ、下着姿で鏡の前に座っているプリンセス…

アンジェ「別に…///」

プリンセス「…それだけ?」

アンジェ「だって私が決めることじゃないわ、プリンセスが着やすいかどうかでしょう…///」相変わらずのポーカーフェイスながら、顔を微妙にそむけている…

プリンセス「うふふ…アンジェったら恥ずかしいの?」

アンジェ「そんな訳ないわ」

プリンセス「だってそんな風に横を向いちゃって…今までだってこういうことはあったのに、今日は私の身体を見るのがそんなに恥ずかしいの?」

アンジェ「それとこれとは話が別よ。だって、こんな明るさの下で見たことはなかったもの……///」

プリンセス「なら…ここで口づけをしたら「こんな明るさの下」でした、初めてのキスになるわね♪」

アンジェ「ちょっと…何を考えているの///」

プリンセス「ふふ…さて、何を考えているでしょうか♪」

アンジェ「……こと」

プリンセス「んー?」

アンジェ「私が…考えているような事……///」

プリンセス「ふふ…正解♪」ちゅっ…♪

アンジェ「///」

プリンセス「ふふ…せっかくの夏休みですもの、いっぱい楽しみましょうね……シャーロット♪」ぐいっ…♪

アンジェ「あっ…///」

57 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/14(土) 02:28:25.60 ID:3votnxuU0
プリンセス「ほんと、シャーロットは肌が白くてすべすべしていて…とっても綺麗ね♪」するするとアンジェの着ている物を脱がしていくプリンセス…ドレスの胸元を開き、スカートはたくしあげ、ペチコートは引き下ろす……

アンジェ「…褒められても何も出ないわ///」

プリンセス「…それはどうかしら♪」むにゅ…むにっ♪

アンジェ「んんぅ…んっ///」顔をそむけて唇をかみ、声が出そうになるのをこらえるアンジェ…

プリンセス「ふふ、可愛い…♪」ちゅ…ちゅぱっ♪

アンジェ「んぅ…んくっ……はぁ、はぁ…///」

プリンセス「ふふ…そんな風に頬を赤らめて……まるで「召し上がれ」って言っているみたい♪」

アンジェ「……そんなつもりじゃないわ」

プリンセス「あら、ならどういうつもりなのかしら…普段は何があっても顔色一つ変えないのに♪」

アンジェ「あれは任務だから……それに、プリンセスは別よ///」

プリンセス「…まぁ///」

アンジェ「///」

プリンセス「まぁまぁまぁ…シャーロットったらやっと本音を言ってくれたわね、嬉しいわ♪」ちゅっ…ちゅぱ、ちゅぷっ……♪

アンジェ「んぅ…んちゅ、ちゅぱ……んふっ、ちゅぅぅ…ちゅるっ…ちゅぅ///」

プリンセス「ふふっ…ちゅっ、ちゅうぅぅ…んちゅ、ちゅる…っ……♪」

アンジェ「んはぁ…はぁ、はぁ……ちゅぅ、ちゅぱ…っ……あふっ…///」

プリンセス「あらあら、シャーロットったらすっかり表情をとろけさせちゃって…♪」

アンジェ「んはぁ…だって……プリンセスが…んくぅ///」

プリンセス「私が…何かしら♪」

アンジェ「…プリンセスが……好きだからよ…///」

プリンセス「…ごめんなさい、シャーロット……」

アンジェ「……プリンセス?」

プリンセス「あのね…私、これでも結構我慢して来たのだけど……今ので理性が振り切れちゃったわ♪」

アンジェ「え……それって、どういう…んんっ!?」

プリンセス「もう、可愛いシャーロットがイケナイのよ…そんな風に目をうるませて告白されたら、我慢なんてできっこないじゃない♪」

アンジェ「んっ、んっ、んあぁぁぁっ…!?」

プリンセス「はぁ、はぁ…愛しいシャーロット……もう、涙目になるまでイかせてあげるわね♪」くちゅっ、にちゅ…っ♪

アンジェ「んあぁっ、あん…っ♪」

プリンセス「ふふ…これでも私だって色々勉強しているんですもの、きっと気に入ってくれると思うわ♪」じゅぶじゅぶっ…ぐちゅっ♪

アンジェ「ちょっと待っ……んひぃぃっ♪」

プリンセス「ふふ、シャーロットったらもうこんなにとろっとろにして…そんなに気持ちいいの?」

アンジェ「んぁぁ…き、気持ちいいわ……腰が…抜けそう……///」

プリンセス「まぁ…でもまだ「抜けそう」なだけ?……ならもっと頑張らないとダメね♪」ぐちゅり、じゅぶっ……♪

アンジェ「んぁぁ、あっ、んんぅ…ひぅっ、んぁぁ……あ、あっ…んはぁぁっ♪」



58 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/04/17(火) 03:16:50.33 ID:jMardDIx0
…浜辺…

ちせ「それにしても遅すぎではあるまいか…いくら姫君とはいえ着替えにそこまでかかるものかのう?」

ドロシー「あ、あー……まぁ、何だ…ほら、プリンセスだから「日焼けしないように」とか…なんかあるんだろ、きっと」

ベアトリス「そ、そうですよ……私たちと違って姫様は何かと大変でいらっしゃいますし…」

ちせ「それにしてもじゃ…もしや、刺客か何かが差し向けられたのではなかろうな……こうしてはおれぬ、すぐ我が刃をもって助けに参らねば!」

ドロシー「ちょっと待てって、ちせ……プリンセスの脇にはアンジェがいるんだぜ、刺客だろうが何だろうがあの「黒蜥蜴星人」にかなうと思うか?」

ちせ「それはそうじゃが……不意を突かれれば剛の者とて敵わぬ。ましてや飛び道具をもってすれば女子供でも名人上手を屠ることができると言うもの…」

ドロシー「まぁ道理だな…ところが、アンジェはその「飛び道具」の名人上手ときてやがる……あのウェブリー・フォスベリーの銃口をのぞきこんだら、次に会うのは三途の川の渡し守「カロン」の顔…って所だろうよ♪」

ベアトリス「そうですよ、アンジェさんが勝てない相手なんている訳ないじゃありませんか」

ちせ「うむむ…二人がそうまで信用しているのならうちもとかく言うのは差し控えよう…じゃが、遅いの……」

ドロシー「まぁ、そう言うなって…ほら、これで沖合でも眺めてみろよ♪」真鍮の小さいオペラグラスを差し出す

ちせ「うむ…おぉぉ、沖合にいる汽船がよく見えるのぉ……」

ドロシー「な、ベアトリスのお手製だから視界の良さが段ちがいなんだ」

ちせ「うむぅ…見事なものじゃ……」

ドロシー「だってよ、ベアトリス?」(…二人とも早くしろよ、いい加減引き伸ばしのネタが尽きてきてるんだからさ……)

ベアトリス「よ、喜んでもらえてよかったです…」(うー…姫様、早くしてくださいよ……)

…邸内…

プリンセス「…ほぉら、シャーロットは「ふみふみ」されるのが好きなのよね♪」ベッドの上で両腕を横に伸ばして立ち、つま先でアンジェの身体をなぞりつつ、時折軽く踏みつけるプリンセス…

アンジェ「うんっ、好き…ぃ♪」

プリンセス「ふふふ、すっかり甘えんぼさんになっちゃって♪」

アンジェ「だって……あなたと二人きりだから///」

プリンセス「ふふ、素直でよろしい…それとも、それも嘘かしら?」

アンジェ「スパイは嘘をつく生き物……だけど、必要でない時まで嘘はつかないわ///」

プリンセス「そう…ふふっ♪」ぐりっ、ぬちゅ…♪

アンジェ「んあぁ…っ♪」ひくっ、とろとろ…っ♪

プリンセス「うふふ……愛しい私だけのシャーロット♪」

アンジェ「んんっ、そんなのずるい…わ♪」ぷしゃぁぁ…♪

プリンセス「ふふ、私はずるい女なの…可愛いシャーロットを独り占めしたくてたまらないわ♪」

アンジェ「大丈夫よ、私はプリンセス専用だから…///」

プリンセス「まぁ、嬉しい……それなら私の好きなようにしてもいいのね♪」

アンジェ「…ええ」

プリンセス「それじゃあ……ふふっ♪」

アンジェ「///」

プリンセス「…想像しちゃった?」小首を傾け、いたずらっぽい笑みを浮かべて見おろした…

アンジェ「別に…///」ぷいとそっぽを向くアンジェ…が、頬がわずかに赤い……

プリンセス「ふふ、いいのよ?……そろそろ浜辺に行かないと、ちせさんに怪しまれちゃうわね♪」

アンジェ「…そうね、行きましょう」

プリンセス「その前に……色々拭いた方がいい所があるんじゃないかしら?」

アンジェ「…そ、そうね」
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/19(木) 14:01:03.48 ID:5XdQt2Fno
60 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/20(金) 03:37:27.16 ID:oZvHpm4V0
…浜辺…

プリンセス「遅れてごめんなさいね♪」

ベアトリス「姫様、お待ちしておりましたよ♪」

ドロシー「おー、二人とも待ちくたびれたぜ……ま、プリンセスは着替えだの何だのに時間がかかるもんだから…仕方ないよな?」意味ありげに眉を上げて見せるドロシー

プリンセス「…ふふ、そういうことです♪」

ドロシー「だから私がそう言ったろ、ちせ?」

ちせ「うむ。疑ってすまなかったの」

プリンセス「何かあったのですか、ちせさん?」

ドロシー「いや…ちせが二人の来るのがちょっと遅いから「何かあったんじゃないか」って言ってね……でも、あたしだってここまで来て刃物だのハジキ(銃)だのは見たくないしさ、アンジェがいるなら大丈夫って言ってたんだ」

プリンセス「まぁ…心配かけてごめんなさいね、ちせさん」

ちせ「いや、こちらこそ」

ドロシー「……ところでアンジェ、無事か?」ニヤニヤしながら耳元にささやいた

アンジェ「何の話」

ドロシー「おいおい、とぼけるなって…な?」

アンジェ「別に何もなかったわ…プリンセスと着替えてここに来た。それだけよ」

ドロシー「へぇー……それじゃあそのふとももの粘っこい液体は何だ?」

アンジェ「…」ちらっと自分のふとももを見おろすアンジェ…

ドロシー「ははっ、引っかかったな…おおかたそうだろうと思ってたぜ♪」

アンジェ「ふとももに「得体の知れない液体がついている」って聞いたら、誰だって気になるはずよ」

ドロシー「普通ならな…アンジェ、お前ならどうでもいいものだったら気にしないのはよく分かってるんだ……で、どうだったんだ?」

アンジェ「…言うことはないわ」

ドロシー「おいおい…まぁあのプリンセスの事だ、きっとお前がひーひー言わされてたんだろうな♪」

アンジェ「余計なお世話よ」

ドロシー「相変わらずつれない返事だことで…それがベッドの上じゃ真っ赤になってプリンセスの下敷きになってるときた……想像するだけで愉快だな♪」

アンジェ「ドロシー、あんまり人をからかうものじゃないわ」

ドロシー「へいへい…それにしても見たかったなぁ、アンジェがプリンセスに押し倒されてよがってる所……」

プリンセス「……私がどうかしましたか♪」

ドロシー「うえっ…!?」

プリンセス「あら、そんなに驚かなくても……わたくしの事をお話しているようでしたから、つい交ぜていただきたくて…ふふ♪」そっとドロシーの肩に両手をかけ、後ろからドロシーの胸元をのぞきこむようにしながら「ふーっ」と耳元に吐息を吹きかける…

ドロシー「…っ///」ぞくぞくっ…

プリンセス「ふふ……わたくしとアンジェさんは仲良く「お着替え」していただけですわ。聞きたいことはそれでよろしいかしら?」

ドロシー「え、ええまぁ…」

プリンセス「そう、ならよかったわ……でもわたくし、この休みはドロシーさんたちともいっぱい「遊び」たいですから…うふふ、楽しみです♪」

ドロシー「///」

プリンセス「それではドロシーさん、また後で……ベアト、せっかくですし隣のデッキチェアにいたしましょう♪」

ドロシー「…あれじゃ勝てっこないな」



61 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/21(土) 15:29:04.76 ID:m3f3/yJW0
…夕刻…

プリンセス「綺麗な夕日ね、アンジェ…♪」

アンジェ「そうね、ロンドンでは霧と煤煙のせいで夕日なんて見られたものではなかったものね」

プリンセス「ええ、それもそうだけれど……///」

アンジェ「…なに」

プリンセス「隣にシャーロットがいるんですもの…なおの事綺麗に見えるわ」

アンジェ「…じ、冗談は止して///」

プリンセス「私の言っていることが冗談に聞こえる…?」

アンジェ「…」

プリンセス「あのね…シャーロットとここでいっぱい楽しい事がしたいの……それで、うんと二人だけの思い出を作ろう…って///」

アンジェ「……プリンセス」夕陽に照らされてきらりと目に光るものが浮かぶ……

プリンセス「…だからえっちしましょう♪」

アンジェ「…は?」

プリンセス「聞こえなかったかしら。それじゃあもうちょっと大きい声で言うわね……すぅー…」

アンジェ「待って。待ってちょうだい…言った言葉は聞こえたわ……ただ、頭が理解するのを拒んでいるの」

プリンセス「あら、どうして?」

アンジェ「いえ…だって、その……///」

プリンセス「もしかして私が「プリンセス」だから…?」

アンジェ「いいえ、むしろ喜ばしいことだわ」

プリンセス「それじゃあ…誰か他に意中の人がいて、私とベッドに入るのが嫌?」

アンジェ「全くないわ」

プリンセス「…じゃあさっきのでヘトヘトになっちゃった?」

アンジェ「いいえ。あの程度でくたびれていたらスパイなんて務まらない」

プリンセス「じゃあどうして?」

アンジェ「……から」

プリンセス「んー?」

アンジェ「…プリンセスの前でそういうことを言うなんて恥ずかしいから///」

プリンセス「まぁ……まぁまぁまぁ♪」

アンジェ「な、何がおかしいの」

プリンセス「うふふふっ、シャーロットったらそんな可愛い事を言ってくれるなんて……ごめんなさい、もう我慢できないわ♪」

アンジェ「えっ…ちょっと待って」

プリンセス「さぁさぁシャーロット、寝室には大きなふかふかのベッドが待ってるわ♪」

アンジェ「プリンセス、待って……何で私が腕を振りほどけないの…っ」

プリンセス「ふふ、どうしてかしらね…さぁ、夜は長いんだもの。うんと愉しみましょうね♪」

アンジェ「ちょっと……ねぇ、待ってったら///」

プリンセス「いいえ、待たないわ…そーれっ♪」ベッドにアンジェを放り込み、ついで自分もダイブするプリンセス…

アンジェ「///」ぽすっ…と一つバウンドしてからベッドに「着地」する二人…

プリンセス「んふふ、可愛い……っ♪」胸元をはだけさせ、夕日に照らされる白い肌をじっくりと観察する…

アンジェ「…あなたこそ///」プリンセスの胸元に手を伸ばし、首元のブローチを外すとボタンに手をかけて胸元を開いた……

プリンセス「ふふっ…♪」

………
62 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/24(火) 01:11:15.14 ID:EkOf6jxk0
…そして夕日が沈み…

アンジェ「……あぁっ、んんっ、んぁぁ…っ///」

プリンセス「んっ、んっ……んんっ♪」

アンジェ「はぁ、はぁっ…プリンセス、脱がすわよ……」

プリンセス「ええ、私もシャーロットの事脱がしてあげ……痛っ」

アンジェ「…どうしたの」

プリンセス「あのね、アンジェのふとももの所に何か固いものがあって…膝をついたら食い込んじゃったわ……」

アンジェ「あ…ごめんなさい」気まずそうにガーターベルトのように取りつけていた革ベルトとホルスターを外すと、中身の「ウェブリー・フォスベリー」リボルバーごとナイトテーブルの上に置いた

プリンセス「ううん、いいのよ…それじゃあ脱がすわね……あら、上等な万年筆ね」二本あるうちの一本に手を伸ばした…

アンジェ「だめ、触らないで…!」

プリンセス「?」

アンジェ「…こっちのはインクが劇薬になっているの…うかつに触ると確実に死ぬ。ちなみにこの便せんは毒じゃない方のペンで書いて少し熱すると、書いた文字が化学反応で透明になる」

プリンセス「ふぅ……アンジェ、他にも「びっくりスパイ道具」があるなら自分で外してもらえるかしら?」

アンジェ「ええ、そうね…プリンセスを怪我させるわけにはいかないもの」

プリンセス「全く、私の別荘にまでそんなものを持ちこんで」

アンジェ「全てプリンセスの安全のためよ…」黒革の胴衣(ボディス)を縫っている糸の一本を抜き取り、ナイトスタンドの柄に巻きつけた…

プリンセス「それは?」

アンジェ「細い金属ワイヤー…相手の首を絞めるのに使えるわ。それから……」胴衣の型崩れを防ぐため縦に入っている「骨」の数本を引き抜いた…

プリンセス「まだあるの?」

アンジェ「ええ。こっちが刺殺用のニードル、こっちは鍵開け用のキーピック二本……あとは…」銀鎖のついた懐中時計をナイトテーブルの上に置く…

プリンセス「それは私も持っているわ…裏面の蓋を開けると粉薬が入っているのよね?」

アンジェ「ええ……故障した時計をいじるふりをしながら相手のグラスに薬を入れることができる……私の場合自白剤だけど、プリンセスは眠り薬だったわね」

プリンセス「ええ、そうよ……それは?」

アンジェ「普通のコンパクト……に見えるけど二重底になっていて手紙を隠せる。手鏡自体は外して正しい位置の窪みにはめ込むとルーペになるから、ものを拡大したり…光を反射させて合図を送ってもいい」

プリンセス「ふんふん…」

アンジェ「この印章付きの指輪は、印章の部分を半回転させておいてから相手に押し付けると小さい針が出てくる…これも触ると毒よ」

プリンセス「ずいぶんたくさん持っているのね…?」

アンジェ「ええ…この不格好な眼鏡のフレームは鉄で出来ているから、いざとなれば相手の喉を突く武器になる」

プリンセス「……まだあるの?」

アンジェ「このハンカチはなかなか破けない生地になっているし、特定の角度で日に当てながらロンドンの地図と合わせると……月ごとに変わるセーフハウス(隠れ家)の位置が分かるようになっているわ。…これはみんな持っているわね」

プリンセス「ええ…♪」

アンジェ「それから……」

プリンセス「ねえ、アンジェ」

アンジェ「なに?」

プリンセス「まだかしら…私はもう脱ぎ終わってしまったのだけど♪」白い絹の下着だけでにこにこしながら立っている…

アンジェ「…ごめんなさい、すぐ脱ぐわね///」慌てて「Cボール」を置こうとする…と、プリンセスがそれを取り上げる

プリンセス「ふふっ、これって「Cボール」よね……アンジェ♪」片手でCボールをもてあそびながら、急に意地の悪い笑みを浮かべた……

アンジェ「ええ…Cボールを手にしてどうするつもり?」

プリンセス「ふふふっ……えいっ♪」

アンジェ「えっ、ちょっと…///」二人とも寝室の天井近くまで浮き上がり、緑色の光に包まれている…


63 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/24(火) 01:44:42.40 ID:EkOf6jxk0
アンジェ「…プリンセス、Cボールで何をする気?」

プリンセス「ふふっ…♪」アンジェが下着に着ている胴衣の胸元をほどくと、空中で脱がせるプリンセス…

アンジェ「ねぇ、ちょっと…///」

プリンセス「一度空中でアンジェとえっちしてみたかったのだけど、いつもはCボールを手元から離したことがないし……ふふっ、やっとスキをみせてくれたわね♪」

アンジェ「別に意地悪でしていたわけじゃないわ…Cボールはトップ・シークレットの道具だし扱いが難しいから……って、何をしているの///」

プリンセス「んー…空中でアンジェのここを眺めるなんて新鮮な気分ね♪」

アンジェ「わ、悪ふざけはよして///」

プリンセス「もう。私は「シャーロット」の事が大好きなのに、どうしてそういうことを言うのかしら……んちゅ…っ♪」

アンジェ「プリンセス、止めて……だめ、そんなところを舐めないで…っ///」

プリンセス「んふ、んくぅ……ふふ、アンジェの味がするわ」ちゅく…っ、くちゅり……♪

アンジェ「ゆ、指も駄目……っ///」

プリンセス「でも、だとしたら……あ、分かったわ♪…アンジェは「貝合わせ」がしたいのね♪」

アンジェ「!?……プリンセス、今…か……って…///」

プリンセス「あら、間違えたかしら…お互いに「めしべ」と「めしべ」をくっつけ合うことでいいのでしょう?」

アンジェ「ええ…合っているわ///」

プリンセス「ならそれをしましょう♪…ふふ、空中だと姿勢を変えるのが難しいわね♪」くるりと一回転してしまい、アンジェの顔を胸で挟んでしまうプリンセス……

アンジェ「…っ///」

プリンセス「あら、ごめんなさい…どう、気持ちいいかしら?」

アンジェ「……い///」

プリンセス「んー?」

アンジェ「…柔らかくていい匂い///」そのまま胸元に顔をうずめるアンジェ…

プリンセス「もう、アンジェったら…ふふ♪」白く滑らかなアンジェの背中に手を回して抱きしめる…

アンジェ「んんぅ…すぅぅ……れろっ///」

プリンセス「きゃっ…もうアンジェったらどこを舐めているの♪」

アンジェ「…谷間」

プリンセス「んっ、もう……で、お味はいかが?」

アンジェ「……甘酸っぱい初恋の味///」

プリンセス「まぁまぁ…♪」

アンジェ「…もういいでしょう、遊びの道具じゃないわ」

プリンセス「だーめ、まだ空中でしてないもの♪」

アンジェ「……本当にする気なの?」

プリンセス「ええ。それじゃあ行くわね♪」くちゅ…っ♪

アンジェ「えっ、ちょっと待って…んんっ///」

プリンセス「あっ、これすごく気持ちいい…っ♪」

アンジェ「んひっ、んんぅ、んあぁぁっ…!」

プリンセス「はぁ、はぁ、はぁっ……これ…っ、アンジェの柔らかい感触だけが伝わってきて……すごく幸せ…っ♪」ぐちゅぐちゅっ、にちゅ…っ♪

アンジェ「んんっ、んひぃ…んっ、ひぐぅ……は、早く降ろして……っ…あぁぁん…っ♪」ひくっ、とろとろっ……くちゅり…っ♪

プリンセス「んっ、んっ……あぁぁ、これ癖になっちゃいそう♪」

アンジェ「そんな癖は求めてないわ…んぁぁぁっ///」ぷしゃぁぁ…っ♪

プリンセス「んっんっんっ…あぁ、アンジェのイっている顔……とっても可愛い♪」

アンジェ「…ば、ばか///」

64 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/04/26(木) 02:35:39.43 ID:Z87B3+jB0
………

アンジェ「プリンセス……んんぅ」

プリンセス「シャーロット…あむっ、んちゅ……///」

アンジェ「んふぅ…んちゅぅ、ちゅぷ……///」

プリンセス「んんっ、シャーロット……もっと、して…///」

アンジェ「ええ、行くわよ…///」くちっ…にちゅ……っ

プリンセス「あぁ、あぁぁ…んぅ……っ!?」Cボールの明るい緑の光に包まれ、空中に浮かんだままいちゃついていた二人…が、プリンセスが間違ってCボールを解除してしまった……

アンジェ「…わっ!?」ぼふっ…!

プリンセス「ごめんなさい……大丈夫、シャーロット?」

アンジェ「私は平気よ。プリンセスは?」

プリンセス「私も大丈夫よ……ところで、重くなかった?」

アンジェ「大丈夫、羽根のように軽かったわ…///」

プリンセス「もう、シャーロットったら…♪」

アンジェ「…ふふ」

プリンセス「ふふふふっ…♪」

アンジェ「ふふふっ♪」

プリンセス「あはははっ♪」

アンジェ「あははっ♪」

プリンセス「あーおかしい…自分で始めておきながら心配ばかりして♪」

アンジェ「全くね。しかも機密扱いの道具をこんなことに使うなんて…でも気持ち良かったわ……///」

プリンセス「ふふ、もう終わりのつもり?」

アンジェ「だって……もう数時間は経ったはずよ?」

プリンセス「ふぅん…でも私はまだまだ大丈夫だし、シャーロットだってもっとしたいんじゃないかしら?」

アンジェ「わ、私はそんな風に思ってないわ…///」

プリンセス「ふふ…相変わらず私の前では嘘が苦手ね?」

アンジェ「そんなことないわ……私はもう充分よ」

プリンセス「……そうかしら?」ベッドの上に両手をつくと、じりじりとアンジェに覆いかぶさるプリンセス…

アンジェ「え、ええ…だから放してちょうだい」

プリンセス「…本当は?」

アンジェ「……もっとしたいわ///」

プリンセス「ほらやっぱり♪」

アンジェ「…明日は確実に寝不足ね」

プリンセス「それなら一緒にお寝坊しましょうよ…シャーロット♪」…ちゅっ♪

アンジェ「ええ…どうやら私に選択肢はないようだものね」……ちゅ♪


………
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/27(金) 04:28:17.46 ID:z0vn+8vyo
66 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/28(土) 01:25:07.26 ID:eZY8j6IF0
…翌朝…

ドロシー「おー、起きてきたか……」

アンジェ「ええ…太陽が黄色いわ……」

ドロシー「…で、プリンセスは?」

プリンセス「おはよう、ドロシーさん♪」

ドロシー「うわ!」

プリンセス「どうかなさったの?」

ドロシー「い、いや…何でもない……」

プリンセス「ふふ、変なドロシーさん…おはよう、ベアト♪」

ベアトリス「おはようございます、姫様。紅茶でよろしいですか?」

プリンセス「ええ、ありがとう♪」

ドロシー「アンジェは何がいいんだ……おい、アンジェ!」

アンジェ「…なに?」

ドロシー「朝食は何がいいんだ……って言ってもこの時間だとブランチ(朝食と昼食の間)って所だけどな」

アンジェ「…任せるわ」

ベアトリス「もう、アンジェさんったら仕方ないですね……じゃあ私が適当に作ってきますから」

アンジェ「ええ、それでいいわ」

ちせ「…ふむ、規則正しい生活を送らぬと身体に悪いぞ」

アンジェ「こればかりは不可抗力よ」

ちせ「…ふむぅ?」

ドロシー「あぁ、まぁなんだ…普段頑張ってるわけだし、ちょっとくらいいいんじゃないか?」

ちせ「まぁそれもそうじゃが……しかしアンジェどのがこのような寝ぼけまなこなのは珍しいの」

ドロシー「あー…まぁ、そのぉ……あれだ…時差とか旅行疲れとかそういうのだろ」

ちせ「アンジェどのがそのようなことで、かくも疲れた様子なのはどうも奇妙じゃがの」

ドロシー「えーと…あ、アンジェはポーカーフェイスだけど、意外と旅行の前とかわくわくして寝られないタチなんだよ!」

プリンセス「ふふ、そうなの…アンジェったらはしゃぎ過ぎちゃったのね♪」

ちせ「さようか……ならばしばし休まれるとよかろう」

ドロシー「お、おう…それがいいや。ところで、よかったらこの後あたしと海岸へ遊びにでも行こうぜ?」

ちせ「ふむ、たまにはそれもよかろう……ご一緒いたそう」

ドロシー「うーし、そんじゃああたしたちはお先に…プリンセスもよかったら後からどーぞ♪」

プリンセス「ふふ、そうね♪」

ベアトリス「あれ、ドロシーさんにちせさん…お出かけですか?」

ドロシー「ばか言え、ちょっと浜辺で遊んでくるだけさ……ベアトリスも後で来いよ♪」

ベアトリス「全く、ドロシーさんは元気ですね…姫様、半熟のゆで卵にトースト、フルーツの盛り合わせです♪」

プリンセス「ありがとう、ベアト…片付けは後で構わないから海岸へ行ってらっしゃい♪」

ベアトリス「姫様、よろしいのですか?」

プリンセス「ええ、もちろん…私はアンジェさんとブランチをいただいてから浜辺に参りますから♪」

ベアトリス「分かりました、それでは失礼します」

プリンセス「はい……ふふ、それじゃあアンジェ…「あーん」してあげる♪」

アンジェ「別にいいわ、自分で食べられるもの…」

プリンセス「はい、あーん♪」

アンジェ「…あーん///」

プリンセス「はい、よくできました♪」
67 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/30(月) 03:12:43.10 ID:KQGGRw0c0
…浜辺…

ドロシー「そぉれ、捕まえちゃうぞぉ…♪」

ベアトリス「いやあぁぁ…なんでドロシーさんったら飲んだくれているんですかぁ!?」

ドロシー「おいおい、朝から飲んだくれる奴があるかよ。あたしはしらふだ……ただ、ちっこいベアトリスを抱きしめてあちこち触ったりしたいなぁ…ってだけさ♪」

ベアトリス「それでしらふだなんて、余計タチがわるいですよぉぉ…!?」

ドロシー「そう気にするなって…あたしら仲間だろ?」

ベアトリス「それ、「仲間」の使い方が間違ってますよ…ひぃぃ!」

ちせ「…おぉ、よい走りじゃ。鍛錬としては充分な効果があるじゃろうな」

ベアトリス「ひぃいやぁぁ…っ!?」

ドロシー「よぉーし、ベアトリスが一生懸命逃げるなら……あたしも全力で追いかけないとなぁ♪」

ベアトリス「いやぁぁぁ…!」

アンジェ「ベアトリス、うるさい」

ベアトリス「えぇぇ、私が悪いんですかぁ!?」

アンジェ「ええ…だいたい走って逃げるのに叫んでいると息が無駄になる。黙って走るべきよ」

ベアトリス「そ、そんなこと言ったってぇぇ…!」

アンジェ「それにドロシー、貴女も……ベアトリスが嫌がっているのに追い回すのはよくないわ」

ベアトリス「はぁ、よかった…そうですよドロシーさん!」

アンジェ「私は疲れているからそう言う声は聞きたくないの…ベアトリスで何かしたいなら向こうでやって」

ベアトリス「…え?」

ドロシー「あいよ……それ、つーかまーえた♪」

ベアトリス「いやぁぁぁっ!?」

アンジェ「だからうるさい」カチリ…

ベアトリス「…!……!!」

ドロシー「それじゃあまた後で…んふふ♪」

プリンセス「…あら、ドロシーさんったらベアトを抱えてどちらまで?」

ドロシー「あぁプリンセス…いやぁ、ちょっと抱きしめてなでなでしようかなぁ……なんてね?」

プリンセス「そうですか……ふむふむ」

ドロシー「あぁ、いや…もちろんプリンセスが「ベアトは私の専用です」って言うならお返しするけどな?」

プリンセス「そうですねぇ…」

ベアトリス「…!……!!」パクパク…

ドロシー「…で、どうする?」にいっ…と口の端に笑みを浮かべる

プリンセス「決まりましたわ」

ドロシー「それで、プリンセスはどうする…?」

ベアトリス「……!!」

プリンセス「わたくしも参りますわ…ふふ、ベアトとドロシーさんを一緒に味わえるなんて……なかなかそんな機会ありませんものね♪」ドロシーの耳元でささやいた…

ドロシー「…お、おい///」

ベアトリス「!?」

プリンセス「…それじゃあ参りましょう、ドロシーさん……♪」ドロシーの腕に自分の腕を絡め、にこにこと邸宅の方に戻っていく…

アンジェ「…」

ちせ「おや…プリンセスどのはせっかく水着になったと言うのに、どうして戻ってしまったのじゃろう?」

アンジェ「きっと色々あるのでしょう……まったくもう」

ちせ「?」
68 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/01(火) 09:19:14.35 ID:Ym7Nn+VP0
…その日の夕食時…

ドロシー「…なぁアンジェ」テーブルナイフで「鴨肉のロースト・オレンジソースがけ」を切りつつ声をかけた…

アンジェ「何?」

ドロシー「……ベッドの上のプリンセスっていつもああなのか?」

アンジェ「ノーコメント」

ドロシー「そうかよ…それにしても可愛い顔してとんだじゃじゃ馬……」

アンジェ「ドロシー、今なんて言った?」

ドロシー「な、何も言ってないぞ。…って言うかその表情でナイフをつかむなよ、心臓に悪いだろ……」

アンジェ「なら結構」

プリンセス「ねぇアンジェ、二人だけの内緒話も結構だけれど……せっかくですしわたくしも混ぜて?」

アンジェ「ええ」

ドロシー「……なんでプリンセスはくたびれた素振りすらないんだよ。あたしはもうヘロヘロだっていうのに…」

ベアトリス「…うぁぁ」

ドロシー「ベアトリスにいたっては…ありゃ魂が出て行った後の抜け殻だな……」

ちせ「どうしたのじゃ、ベアトリスどのはずいぶん気が抜けておるが…?」

プリンセス「…きっと日頃の雑用から離れて気が抜けているのでしょう……こんなに疲れさせていたかと思うと、わたくしも何かとベアトに頼る癖を改めなくてはなりませんね……ふふっ♪」

ベアトリス「あー……」

ちせ「それにしても疲れ切っておるな…そういう時は……」ごそごそと着物のたもとをかき回すと、何やら赤っぽいものを取り出した…

プリンセス「それは何ですか?」

ちせ「これは「梅干し」と申す酸っぱい漬物じゃ…わが国では疲労回復に効果があると伝えられておる。それ、ベアトリスどの…」

ベアトリス「ふぇ…?」

ちせ「口を大きく開けて「あーん」…じゃ」

ベアトリス「はい、わかりました……あーん…」

ちせ「ほい」

ベアトリス「………すっぱ!?」

ちせ「そういう物じゃからな」

ベアトリス「な、何を放り込んでくれたんですか!?」

ちせ「じっくり漬けた「梅干し」じゃ…疲れに効くぞ?」

ベアトリス「何か酸っぱくてぱさぱさした皮とにゅるにゅるした果肉が…うわぁぁ!」

ちせ「ふむ、見ての通りあっという間に元気になったじゃろう?」

ベアトリス「違います!おかしなものを口に放り込まれたせいでパニックなんですよっ!」

ドロシー「なら吐きだせばいいじゃないか」

ベアトリス「姫様の前でそんなこと出来る訳ないじゃありませんか、ドロシーさんじゃあるまいし!」

ドロシー「なんだとぉ?」

アンジェ「いいから静かにして…食卓で騒ぐのはマナー違反よ」

プリンセス「ふふ、相変わらずベアトは面白いわね♪」

ベアトリス「もう、姫様まで……と、とにかく口の中をゆすがせて下さいっ!?」ごく、ごくっ……

ドロシー「お、おい…それ」

ベアトリス「…きゅう///」

ドロシー「……水じゃなくて酒だぞ…」

プリンセス「あらあら…」
69 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/01(火) 09:42:55.73 ID:Ym7Nn+VP0
アンジェ「…お帰りなさい」

ドロシー「あぁ……とりあえずベッドに寝かしてきた」

プリンセス「ありがとう、ドロシーさん」

ちせ「すまなかったのぉ…まさか梅干しにあんな拒否反応を示すとは」

ドロシー「それだけ強烈だったのかもな……どんな味なんだ?」

ちせ「たべるかの?」

ドロシー「それじゃあ一つ……見た目はしわくちゃのプラムみたいだけど、もっと小っちゃいな」

プリンセス「せっかくの機会ですから…ちせさん、よかったらわたくしにも下さいな?」

ちせ「うむ、どうぞお取りになってくだされ…アンジェどのはいかがじゃ?」

アンジェ「そうね…一応味見くらいは」

ちせ「うむ、ではドロシーどのと半分こでいいかのぉ?」

アンジェ「…」

ドロシー「…あー、あたしは一個食べるつもりでいるから…そーだ、プリンセスと半分こしたらいいんじゃないのかなー?」

プリンセス「そうね、それもいいかもしれないわね…それじゃあ半分こ♪」柔らかい大粒の梅干しを手で割いて、片一方をアンジェに渡す…

アンジェ「あ、ありがとう…///」

ドロシー「それじゃあ……うわ、酸っぱいな!?」

アンジェ「…」

プリンセス「わぁ、面白いお味ね?」

ちせ「ふむ…こちらにはこのようなものが少ないからのぉ……」

ドロシー「うー、すっぱ……これはあれだ……ジンの中に放り込んでフレーバーにすれば…」ごくっ…

ちせ「ほぉ…日本では焼酎に入れることもあるが、それをご存じとは……ドロシーどのは物知りじゃな」

ドロシー「いやぁ、別にそう言うつもりじゃなかったんだけどな…おっ、こうすれば意外とすんなり飲めるな♪」

アンジェ「…」

ドロシー「おいアンジェ、さっきからやたら無表情だけどどうした…まさか酸っぱいのは苦手か?」

アンジェ「そんな訳ないわ、黒蜥蜴星人である私が酸っぱいものを食べられないはずがない……ただ」

ドロシー「…ただ?」

アンジェ「思っていたのと違う酸味を感じて驚いただけ…」

ドロシー「はぁん…それはつまり「苦手」ってことだなぁ?」

アンジェ「苦手ではないわ。少なくともベアトリスみたいに礼を失するような騒ぎ方はしない」

ドロシー「あれと比較する時点で相当苦手だろ…ちせには悪いが、嫌なら吐き出しちゃえよ」

ちせ「ふむ、貴重な梅干しとは苦手とあらば致し方ない……構わぬよ、アンジェどの」

アンジェ「大丈夫、もう飲み込んだわ」

ドロシー「しかしこの「ミス・パーフェクト」にも苦手があったとはなぁ…ふふーん♪」

アンジェ「嫌な笑い方をするわね…言っておくけれど、私に何か仕込んだりしても無駄よ」

ドロシー「おいおい、そんなことしないって……んふふ♪」

アンジェ「…もしそう言うことをしたら間違いなくやり返すから」

ドロシー「へいへい……それじゃあデザートの方に取りかかりますかね…♪」

70 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/01(火) 10:17:39.26 ID:Ym7Nn+VP0
…夏休み明け…

ドロシー「あーあ…夏休みもおわっちったなぁ……」

アンジェ「その方がいいわ、任務がないと身体がなまるし用心深さが足りなくなる……たとえば」ドロシーのそばでわざとグラスを落とす…

ドロシー「おっと…!」ぱしっ…!

アンジェ「私たちのような人間は、こういう時とっさの反応が出来るかどうかに命がかかっているわ」

ドロシー「……だからってあたしで試すなよ」

アンジェ「貴女を頼りにしているからこそよ」

ドロシー「そ、そっかぁ…アンジェに「信頼している」って言われると、なんかくすぐったいなぁ///」

アンジェ「心理戦の方もおとろえていないようね」

ドロシー「おい…それもトレーニングかよ」

アンジェ「冗談よ」

ドロシー「ははっ、こちらも同じく冗談さ……アンジェがあたしにまぁまぁ気を許してくれていることくらい分かってるって♪」

アンジェ「そうかしら」

ドロシー「あぁ、じゃなきゃナイフの届く距離にまで入ってくるわけがない…だろ?」

アンジェ「…かもね」

プリンセス「ねぇ二人ともご覧になって…イギリスが見えてきたわ♪」

ドロシー「おー、ほんとだ…こうやっていると緑豊かで綺麗なもんだな……」

プリンセス「…本当に綺麗ね♪」

アンジェ「ええ」

ドロシー「空の上から見るとなおのことな…ところでちせとベアトリスはどうしたんだ?」

プリンセス「ふふ、ちせさんは飛行船が怖いからお部屋に…ベアトは降りた後の荷物を整えているわ」

ドロシー「そっか…んじゃちょっくら「顔を出して来る」かな」

アンジェ「ええ、それがいいわ…ちせなら一人でも大丈夫だけど、ベアトリスは近接戦が未熟だから」

ドロシー「あぁ、一応形だけな……じゃあプリンセスを頼んだぜ?」

アンジェ「ええ」

プリンセス「……また二人きりになれたわね」

アンジェ「それが一番いいわ」

プリンセス「あら…ずいぶん素直な意見に聞こえるわ」

アンジェ「…か、勘違いしないで…私が言いたいのは「相互にカバーできる」という意味よ///」

プリンセス「ふふ、でも赤くなってる…♪」

アンジェ「まさか…本当に?」手鏡を取り出すアンジェ

プリンセス「ふふ……引っかかった♪」

アンジェ「…」

プリンセス「ふぅ…それにしてもアンジェ」

アンジェ「なに?」

プリンセス「この綺麗な国が二つに割れているなんて、誰が想像できるかしら…?」

アンジェ「……でも「二つに割れているから」こそ、私たちも出会えたのよ」

プリンセス「でもお互いに……ううん、何でもないの」

アンジェ「…分かっているわ。貴女こそ本当のプリンセスよ…それにたとえ何があっても、貴女は私のプリンセス……それだけは絶対に変わらない」

プリンセス「…シャーロット///」

アンジェ「さぁ、もう着くわよ。下船の準備をしましょう」

プリンセス「ええ、そうね…もっと遅い乗り物ならよかったのに……///」
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/03(木) 11:19:01.59 ID:wu0Sc/wro

絶倫ひめさま
72 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/05(土) 00:40:56.57 ID:wV+taHey0
>>71 実は「チーム白鳩」はプリンセスが夜な夜な「プリンシパル」するためのものであった……訳ではないですが、プリンセスはしとやかそうな外見に反してかなりのタチなので……



73 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/05(土) 01:27:29.35 ID:wV+taHey0
…case・プリンセス×ベアトリス「over the fence」(越境)…


…ロンドン市内・公立図書館…

アンジェ「すみません…「ブリタニアの歴史」第13巻はどこにありますか」

7「第13巻ですか?失礼ですが「ブリタニアの歴史」は12巻までしかありませんよ?……歴史書ならあちらの棚だったと思いますわ」

アンジェ「そうですか、どうもありがとう……」ずっしりと重い歴史書をどかすと、背中合わせに本のページをめくりながら書棚越しで小声のやり取りをする二人

7「それで…夏季休暇は楽しめた?」

アンジェ「おかげ様で……ところで「L」はどうしたの。連絡は彼からのはずだけど」

7「残念ながら「L」は来られなくなった」

アンジェ「そう…答えはもらえないでしょうけれど一応聞いておく。……理由は?」

7「一応答えておくわ…「L」は今度公開される劇場版「プリンセス・プリンシパル」の席を予約しに行っているの……もうかれこれ数時間は行ったきりよ」

アンジェ「……は?」

7「聞こえなかった?」

アンジェ「いえ、聞こえたわ……劇場版?」

7「ええ」

アンジェ「そう…で、今回の任務は?」

7「今回の任務はとある人物の越境を支援すること……まずはその人物に越境の意思があるかどうかを確かめる必要があるわ。詳細は追って連絡する」

アンジェ「…了解」


………

…寄宿舎・中庭…

ドロシー「…で、今度は越境の支援だって?」

アンジェ「ええ。まずは対象者に越境の意思…それに特別な条件があるかどうかを確かめる」

ドロシー「それが一番ヤバいやつだ。王国防諜部ならオーバー・ザ・フェンス(越境)を目論んでいそうな奴なんて軒並みマークしているだろうし、場合によっては連中が仕組んだ罠かもしれない……ちっ、参ったな…」

アンジェ「そうね…でもこちらも用心はしている」

ちせ「…ほう?」

アンジェ「連絡はデッド・レター・ボックス(置き手紙)方式で、メールドロップへのメッセージ投入もカットアウト(使い捨て可能なエージェント)が行う…」

ドロシー「おいおい、だとしたらどこであたしたちの出番が出てくるんだ?」

アンジェ「ドロシー、最後まで聞いて…」

ドロシー「へいへい」

アンジェ「…今回は私たちが越境を担う訳ではない」

ベアトリス「それってどういうことですか?」

アンジェ「私たちはあくまでも王国防諜部の影がないか確かめ、ないとなったら対象者の越境を支援する…」

プリンセス「それじゃあまた見張りなのね、アンジェ?」

アンジェ「そうとも言えるしそうでないともいえる…場合によっては当初のグループが陽動を行い、その隙に私たちが王国防諜部から対象者を「抽出」する必要が出てくるかもしれない」

ドロシー「いずれせよ、まずは観察あるのみ…か」

アンジェ「ええ」

………
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/06(日) 17:01:55.04 ID:Bb0iBrVNo

劇場版くるんか
75 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/07(月) 01:28:56.86 ID:lpYrGx040
>>74 2019年から六章に分けて劇場公開…「チーム白鳩」のその後の活躍をぜひスクリーンで体感しよう!(←いわゆるダイマ)

…一期を上回る豪華声優陣(おもにベアトリスのヴォイスチェンジ)にも期待ですね(笑)


……と、そこまでは素晴らしいことなのですが近隣に映画館のない人間はどうすれば……ぜひとも「コントロール」にはカバーの「文化振興局」と言う部分で頑張ってもらいたいものです…
76 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/07(月) 02:12:27.15 ID:lpYrGx040
…ロンドン・リージェント公園…


アンジェ「…それじゃあ手はず通り、ドロシーは味方のエージェントと交代を……接触する際は交代するエージェントから紙袋いっぱいのリンゴを買うことになっているけれど、もし青リンゴだったら「危険」だから何食わぬ顔で立ち去るように」

ドロシー「了解…で、赤リンゴだったら予定通り公園のベンチでリンゴをかじっていればいいんだな?」

アンジェ「ええ、その通りよ……その間私とプリンセス、ベアトリスは各所から監視を行う。…ちなみにちせはあちらのトップと会談する予定があって来られない」

ドロシー「あいよ…ところで接触するのはいいんだけど、なんで私が「リンゴを食べながら」なんだよ……」

アンジェ「合言葉がそうだからよ……ベンチの隣に座った相手が「綺麗なリンゴですね…子供の頃はよく近所の森でもいでいたものです」といったら…」

ドロシー「私が「その森って…もしかしてシャーウッドの森ですか?」って答えるんだったな」

アンジェ「その通りよ」

ドロシー「……リンゴでお腹がパンパンになる前に来てくれることを祈るよ」

アンジェ「別に頑張って食べる必要はないわ」

ドロシー「分かってるっての」



………

エージェント「……リンゴはいりませんか、新鮮なリンゴですよ!」

ドロシー「すみません、リンゴを一袋下さい」

エージェント「はい、毎度あり♪」

ドロシー「……赤リンゴか…」ベンチに腰かけるとはしたなく見えないよう……また、接触までに食べ過ぎることのないよう、小さな口でリンゴをかじる…

アンジェ「…」

プリンセス「……」

ベアトリス「…今のところ王国防諜部は見当たりませんね」

プリンセス「とはいえまだ分からないわ…」

ドロシー「…しゃく……しゃくっ…」(ちくしょう、まだなのか?……もう三つ目だぞ、おい…)

初老の紳士「…隣、よろしいですかな?」

ドロシー「ええ、どうぞ?」

アンジェ「……対象者が来たわ」

プリンセス「今の所動きはないわね…」近くの空き部屋から監視を続けるプリンセスとベアトリス…

ドロシー「…むぐっ、しゃくっ……」

紳士「…綺麗なリンゴですね…子供の頃はよく近所の森でもいでいたものです」

ドロシー「……それってもしかして、シャーウッドの森ですか?」

…監視場所…

アンジェ「…接触したわね」

プリンセス「……ドロシーさんがリンゴを渡したわね」

ベアトリス「確認できましたね」



紳士「おや、あの森をご存知ですか?…何とも懐かしいですな」

ドロシー「ええ…きっと週末にでも行きたい(予定通り越境を希望する)でしょうね?」

紳士「むろんですとも……何しろ都会は嫌になってしまいましたから」

ドロシー「何しろいい空気を吸うにもいちいち出かけないといけませんものね?」

紳士「おっしゃる通りです…」
77 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/07(月) 09:56:35.70 ID:lpYrGx040
アンジェ「……ドロシーが引き上げてくるわね」

プリンセス「じゃあ撤収しましょうか、ベアト?」

ベアトリス「はい、姫様」

アンジェ「これで二人は手はず通り裏から抜ける……プリンセス、気を付けて…」プリンセスたちが撤収する様子を観察しながら小声で祈るアンジェ…

…寄宿舎…

ドロシー「…あ゛ー、つっかれたー……おまけに酸っぱいリンゴの食べ過ぎで胃がムカムカする…」

アンジェ「ご苦労様」

ドロシー「おー…そう言えば越境の日取りは決まったのか?」

アンジェ「私はまだ聞いていないわ」

ドロシー「コントロールのやつ、ぎりぎりまで明かさないでおくつもりだな…まぁいいや」

アンジェ「夕食はどうする?」

ドロシー「いや、リンゴでお腹がふくれてるし今はいいや……っぷ」

アンジェ「つわり?」

ドロシー「そんなわけあるか、リンゴのせいだって言ってるだろ…うー、ムカムカする」

アンジェ「ご愁傷様」

ドロシー「おー…ったく、あんな酸っぱいリンゴを仕入れやがって……後で危険手当を申請してやる」

アンジェ「じゃあ夕食はパスね?」

ドロシー「あぁ、この調子じゃあ食べられそうにないしな…」

ちせ「……なら私が粥でも作ろうかの?」

ドロシー「おっ、戻ってきたのか」

ちせ「うむ…詳細は明かせぬが今後の方針について話し合ってきたのじゃ」

アンジェ「ご苦労様、すぐに夕食の時間よ」

ちせ「うむぅ…ところが向こうで遅い昼餉(ひるげ)をごちそうになって来てしまっての……今は満腹じゃぁ」

アンジェ「分かった……それじゃあまた後で」

ドロシー「あいよ……うっぷ」

ちせ「どうしたのじゃ…つわりか?」

ドロシー「だからつわりのはずないだろうが…だいたい誰との子だよ」

ちせ「……まぁ、それはそうじゃが…もしうちの子供だったらと思うと……///」

ドロシー「はぁ!?」

ちせ「べ、別に想像を巡らせるくらいよいではないか…!」

ドロシー「いや、だって女同士で…でも待てよ?…ちせとあたしの子供か……」

………



ちせ(和風美人)「うむ、うちらの子供は相変わらず可愛いの…ぉ♪」

ドロシー(貴婦人)「おー、本当だよな……それにしても眉毛はちせそっくりだ♪」

ドロちせの子供「えへへぇ…ドロシーおかあしゃま♪」たゆんっ…♪

ちせ「そしてこの年でこの身体…ここはドロシーの血じゃな……むぅぅ」

ドロシー「そうすねるなよ…後でなぐさめてやるって♪」

………

ちせ「……な、なんじゃ…いきなりニヤニヤして」

ドロシー「いや…ちせとあたしの子供……結構いいかもな♪」

ちせ「!?」
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/08(火) 03:14:02.13 ID:XTJCk+auo
79 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/09(水) 01:56:26.78 ID:RVy5WGke0
…深夜・部室…

ドロシー「うー…腹減ったぁ……」ごそごそと棚やティーセットの周りをかき回すドロシー…

ドロシー「…ったく、あのリンゴのせいで胃はむかつくわ夕食は食べ損ねるわでエライ目にあった……その上いまになって腹ペコになって…」

ちせ「…誰じゃ!」

ドロシー「うわ…っ!?」

ちせ「……なんじゃ、ドロシーか?」

ドロシー「ちせ?」

ちせ「うむ、私じゃが……こんな夜更けにいったいどうしたと言うのじゃ?」

ドロシー「いや、それはあたしの台詞だって…ちせこそいつもは早寝早起きのはずだろ?こんな時間に何してるんだ?」

ちせ「そりゃあもちろん…あー、アレじゃ……」

ドロシー「いや、「アレ」って何だよ…見回りか?」

ちせ「あー……うむ!…そうじゃ、見回りじゃ。いや、とっさに英語が出てこなくての」…きゅうぅぅ

ドロシー「そうだよなぁ、ちせたんは見回りだよなぁ……ふふっ♪」

ちせ「な、何がおかしいのじゃ……むしろドロシーこそ何をしに参ったのじゃ///」

ドロシー「えっ、あたしか?……それは……何だ、まぁ言うなれば……アレだ…アレ」

ちせ「何じゃ?」

ドロシー「えーと、だな…」ぐぅぅ…

ちせ「……どうやら「見回り」の目的は同じのようじゃな」

ドロシー「ああ……なら一緒に行くか♪」

ちせ「ふむ…どこへ行くのじゃ?」

ドロシー「ここの厨房さ……いくら片づけたとしても、ちょっとした残り物くらい転がってるだろ」

ちせ「しかし、ここの寮監に見つかったらタダでは済まんぞ?」

ドロシー「おいおい……あたしたちの「本業」は何だっけ…?」

ちせ「それは…間諜じゃな」(※間諜…「かんちょう」いわゆるスパイ・工作員の事)

ドロシー「なら寮監ごときに見つかるわけがない…だろ?」にやりと不敵な笑みを浮かべると、スパイ活動用のマントを取り出した…

ちせ「ふむ……間諜としての技巧を私利私欲のために使うのははなはだ不本意ではある…が、背に腹は変えられぬ……同道いたす!」

ドロシー「おーし、それじゃあ行きますか…♪」

…廊下…

ドロシー「…よし、行け」黒マントに黒いハンチング帽で、廊下の入れこみに身を沈めて合図をする…

ちせ「うむ……」音も立てずに廊下を小走りで移動するちせ……黒に紅椿が入った着物姿で、覆面をしている…

ドロシー「…ここを右だ」

ちせ「うむ……待て、寮監じゃ」

ドロシー「ちっ、こんな時に限って仕事熱心なこった……ちせ」

ちせ「うむ…!」ひらりと開けた窓から身を躍らせる二人…

寮監「……ん?…まったく、どうして開けっ放しなのだ……ぶつぶつ…」カチン…

ドロシー「……よし、ランタンは見えなくなった」

ちせ「それはいいがの…どうやら窓の鍵を閉められたようじゃが?」

ドロシー「そこは腕の見せ所ってやつさ…♪」窓の外側にある壁の装飾に脚をかけたまま、鍵穴に細いピックを突っこんで軽く動かした…

ちせ「…どうじゃ」

ドロシー「はは、こんな鍵なんかピース・オブ・ケーク(一片のケーキ…朝飯前)だっての……ほらきた♪」カチリ…

ちせ「さすがじゃな」

ドロシー「おうよ……さ、行こう♪」
80 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/05/09(水) 02:25:55.98 ID:RVy5WGke0
…厨房…

ドロシー「おーし、鍵が開いたぞ…♪」

ちせ「うむ……かたじけない」

ドロシー「なぁに、お安い御用さ……さてと」

ちせ「何か食べ物じゃな」

ドロシー「あぁ…不思議と任務中は空腹なんか感じないのに、どうしてかいつもはすぐ腹ペコになるんだよな…」

ちせ「それはやはり任務中は集中しているからじゃろうな……おや、パンがあったぞ」

ドロシー「こりゃまたずいぶんカチカチだが……ま、ないよりはいいや」

ちせ「ふむ…とはいえパンだけではさすがに寂しいの」

ドロシー「へっへっへ……「そうおっしゃると思いました」ってやつだな♪」

ちせ「なんじゃ?」

ドロシー「チーズの切れっぱしがあった…そこそこ大きさのあるチェダーチーズだから、二人でも十分だろ?」

ちせ「おぉ…♪」

ドロシー「さらにそこへ持ってきて…ハムの残りがこんなところから…♪」

ちせ「おぉぉ…♪」

ドロシー「洋ナシも一個あった」

ちせ「おぉぉぉ…♪」

ドロシー「さて…そうなると今度はプロダクト(産物…スパイ活動での成果)を無事に運ばないとな」

ちせ「うむ、ここにぐずぐずしているのは愚の骨頂じゃからな」

ドロシー「そういうこと…♪」

ちせ「では、参ろうではないか」

ドロシー「おーし、任せておけ……」

…廊下…

ちせ「それにしてもどこでこれを食すことにいたそうかの?」

ドロシー「それはまぁ…部室だろうな」

ちせ「やはりそうかの?」

ドロシー「あぁ…あそこなら寮監だって来ないしな」

ちせ「うむ、こんな時間にあそこにいるとは夢にも思うまい」

ドロシー「それにナイフや皿もあるしな」

ちせ「確かに…しっ、また寮監じゃ」

ドロシー「今日はイヤに律儀だな……もう一度出よう」

ちせ「…うむ」

寮監「……よし、何も異常はない…と」

ドロシー「ふー…今度は外から鍵もかけてやったし、怪しまれもしなかったな」

ちせ「うむ。しかしこの調子ではいつ出くわしてもおかしくないの…」

ドロシー「仕方ない…ロープがあるからこれで部室まで登ろう」小さくたためて、目立たないよう黒染めにしてある絹のロープを取り出すと、輪っかを作ってそれを投げ上げ、上階の壁飾りにひっかけた…

ちせ「うむ、それが一番よい方策じゃろうな……よいしょ」

ドロシー「まったく…これじゃいつものスパイ活動よりきついな……」

ちせ「そう言うでない…美味しい夜食のためではないか」

ドロシー「あぁ、そうだな……♪」

81 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/10(木) 09:03:55.60 ID:77naKrMoo
82 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/11(金) 00:40:50.14 ID:seBLmBr70
…部室…

ドロシー「はぁ…壁をよじ登るなんて久しぶりだったな……やれやれ」

ちせ「うむ……さすがにいい鍛錬になったのぉ…」

ドロシー「ま、「空腹は最高のスパイス」だって言うしな…ちょうどいいや」

ちせ「それでは食べることにいたそうではないか」

ドロシー「おう、それじゃあ準備してやるから待ってな?」食器棚からテーブルナイフを持ち出すとパンをスライスし、堅いチェダーチーズにハムを切って乗せる……

ドロシー「…お待たせ♪」月明かりだけが室内を照らす暗がりでニヤリと笑みを浮かべ、皿に乗せたパンと二つに切った洋ナシの片方を差しだした…

ちせ「うむ…それでは、いただきます……」

ドロシー「あいよ…んぐ、はぐっ……むしゃ…」

ちせ「んむ…んむ……」

ドロシー「なぁちせ、何かこうやってこっそり食べているとさ…いつもより美味しく感じないか?」

ちせ「その気持ち、分からんではないな……すっかり固くなってしまったパンの切れ端がこんなにも五臓六腑に沁みるとは思わなかった……」

ドロシー「な?……あぁ、うまかった♪」パンのかけらが付いた指先を舐め、洋ナシを口に放り込んだ…芯のギリギリまですっかり食べると、周囲を見渡して残った芯を食器棚に放り込んだ……

ちせ「ドロシー…芯を食器棚に放り込んでどうするのじゃ?」

ドロシー「私が明日早起きして回収する…それからバラ園にでも埋めて来るさ♪」

ちせ「うむ…かたじけない」

ドロシー「気にするなって……それよりちせはこんな時間まで起きていたら体にこたえるだろ、後は任せて寝に行けよ♪」

ちせ「うむ…しからばご免」

ドロシー「あいよ……ふわぁぁ…私も食べたら急に眠くなってきたし……とっとと寝るとしますか」


………

…翌日…

アンジェ「……それでこうなっていたわけ?」

ドロシー「あー…悪ぃ……」

アンジェ「…わざわざプリンセスのお皿に洋ナシの芯を載せておくなんて……気が利いているわね」

ちせ「済まぬ…ドロシーも私も決して意図して行ったわけではないのじゃ……!」

アンジェ「分かっているわ…それにしても深夜に二人で厨房から食べ物をくすねて来て、ここでネズミみたいに飲み食いしたと言うのはいただけないわ」

ドロシー「…悪いのは分かってるけどさ、その時は腹ペコで寝られそうになかったんだよ……な?」

アンジェ「見張りや監視任務で空腹に耐える訓練もあったはずよ、ドロシー?」

ドロシー「それはそうなんだけどさ……でもわかるだろ?」

アンジェ「いいえ」

ドロシー「…黒蜥蜴星人は腹も減らないってか?」

アンジェ「そう言うことじゃないわ……仮にも学生のふりをしている私たちがこの学園で少しでも常人離れした動きやおかしな真似をしたら、それだけで「チーム白鳩」のカバーそのものが危うくなる…ドロシー、貴女はたかが一時の空腹のために全員を危険にさらしたのよ」

ドロシー「そう言われると身もふたもないな……確かに学生気分で甘えてたよ…」

ちせ「全くじゃ…これは仕置きを受けても致し方ない真似をいたした……」

アンジェ「分かればいいわ……それに」

ドロシー「…それに?」

アンジェ「優秀なスパイはとっさの空腹時に何か食べられるよう、常に保存の効く食べ物を身近に備えておくものよ…それも美味しいものを」食器棚の皿を取り出して奥の羽目板をいじるとカシェット(隠し棚)が開いて、中からショウガ入りクッキーの袋が出てきた…

ドロシー「…は!?」

アンジェ「これに懲りたら、今後は馬鹿な真似をしないことね」二人にジンジャークッキーを一つずつ渡し、また袋をしまった…

………
83 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/11(金) 01:12:11.84 ID:seBLmBr70
…しばらくして…

アンジェ「……以前の接触で対象者の越境希望は本物であることが分かったわ。…と言うことは同時に、王国側の防諜機関が血眼になって私たちを追いかけてくる……と言うことでもあるわ」

ドロシー「…今度は残り物のパンをくすねるようにはいかないだろうな」

アンジェ「そう言うことよ……しかしこちらとしても黙ってその締め付けを甘受するつもりはない」

プリンセス「…何か策があるのね?」

アンジェ「ええ」

ベアトリス「アンジェさん…その策って言うのは何なんです?」

アンジェ「まず、スパイ活動にとって重要なのは相手に警戒を抱かせないこと…とはいえすでに相手は警戒状態に入っている…なら」

ドロシー「…「相手に警戒を解かせるか、丸っきり見当違いの方向を警戒させればいい」だな?」

アンジェ「その通りよ。王国防諜部は誰かが越境を試みようとしていることは知っている…とはいえ、それが誰なのかはまだ知らない……そこでベアトリス、あなたの出番よ」

ベアトリス「わ、私ですか?」

アンジェ「ええ。以前あなたが舞踏会で出会ったことのある人物で王国防諜部が目を付けている人物……そうした人間をコントロールに探してもらって手紙を送りつけ、上手くロンドン市内に誘い出した…」

ベアトリス「…それで?」

アンジェ「王国防諜部は「監視リストの人物に動きがあった」と、越境阻止に動くはず…そこをあなたが声色を使って防諜部のエージェントを引きずり回す」

プリンセス「…でも、ベアト一人で何かあったら……?」

アンジェ「心配はいらないわ……プリンセス、この時あなたにはロンドンでショッピングをしてもらう」

プリンセス「……ショッピング?」

アンジェ「例によって例のごとく、お役所なんていうものはお互いに縄張り意識を持っている…」



L「へっぐし…!」

7「…どうなされました、「L」?」

L「ふむ、きっと誰かに噂でもされたのだろう……」

………

アンジェ「…特にプリンセスの警護に当たるエージェントと防諜部のエージェントはどちらも玄人で、その分ライバル意識も強い……どちらかが何かをしようとしたら、「妨害」とまでは言わなくても、積極的に手助けしたりはしない……つまりベアトリスがロンドンの各所で防諜部エージェントを声色で連れ回し、そのたびにプリンセスの車とドロシーの車を乗り換えて素早く移動し、防諜部をきりきり舞いさせる」

ドロシー「…でもあたしがそっちに回ったら「抽出」する越境希望者はどうするんだ?」

アンジェ「そこは私が考えてあるし、私とちせはバックアップに回り全体を俯瞰している…何かトラブルが起きたら駆けつけるわ」

ドロシー「それは頼もしいな…期待してるぜ?」

アンジェ「ええ」

………
84 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/11(金) 11:06:33.17 ID:seBLmBr70
…越境決行日・王宮…

プリンセス「……わたくし、今日はお買いものに行きたいの♪」

女性エージェント「は…では私たちが警護いたします」日傘とシンプルなドレススタイルをまとった二十代後半のオールドミス…に見える護衛のエージェントがプリンセスの左右に付く……

プリンセス「いつもありがとう♪」

エージェント「いえ、それが務めですので…車を手配させます」

プリンセス「ええ、よろしくね」


…ロンドン市街・公園…

貴族「さて…手紙で言われた通り来てみたものの……誰もいないじゃないか」

ベアトリス(CV…石塚運昇)「……貴様が陛下の治世に異議を唱えている不満分子だな?」

貴族「な…私はそのようなこと……!?」

ベアトリス「…私を知っているかね?」

貴族「あ、あぁ…アルビオンの公安部……」

ベアトリス「ならば話が早い。貴様が王国に尽くす貴族であることを行動で示せ……まずは十五分以内にチャリング・クロス駅へ行け」

貴族「…行けば私を助けてくれるのか?」

ベアトリス「質問するのは貴様ではない…早くしろ」

貴族「わ、分かった…!」



王国エージェント(新聞売り)「……対象に動きあり」

エージェント(靴磨き)「…確認した、合図を」新聞売りは朝刊を振り、合言葉として記事にないニュースを叫ぶ…

エージェント(店の御用聞き)「追跡開始……了解」御用聞きはサボリをやめ、さも忙しそうに駆け出す…



…公園を見渡す屋根の上…

アンジェ「案の定ね……ちせ、あなたは先回りして」

ちせ「うむ」…さっと屋根裏部屋の窓から屋内に滑り込み、裏口から出て行くと何ということもなく歩き出す……

アンジェ「それじゃあ私も…」するりと屋根裏部屋から玄関へと回り、女学生らしく歴史書を不器用に抱えて出て行った…

………

…チャリング・クロス駅…

貴族「そ、それで私はどうすればいいのだ…」

ベアトリス「……新聞を買え。王国寄りの「ロンドン・デイリー・ニュース」を買って「株式市場」のページを表にしろ」

貴族「わ、分かった…」

エージェント(新聞売り)「対象は駅に入ったな…どうやって越境する気だ……」

エージェント(御用聞き)「とにかくこの格好では駅には入れん…増援を要請しよう」合図に台帳をパラパラとめくる…

エージェント(紳士風)「……奴は駅だな?」

エージェント(新聞売り)「はい、そうです」

新聞売り「おい!ここは俺たちの場所だぞ、勝手に入るなよ!」

エージェント「すんません…何しろ今日はじめたもんで!」

新聞売り「ったく、ふざけんなよ!」

エージェント(紳士)「まぁまぁ、落ち着きたまえよ。彼もおわびしていることだし、私も喧嘩など見たくない…君からも買ってあげよう」

新聞売り「どうもありがとござんす、貴族の旦那…♪」

エージェント(紳士)「なに、構わんとも……急ぎ事務所に行って増援を呼べ、対象「C」に動きあり……とな」

エージェント「…了解」

アンジェ「……それでいいわ」
85 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/11(金) 11:40:57.69 ID:seBLmBr70
プリンセス「あ、ここはチャリング・クロス駅……そう言えば近くに素敵な服地屋さんがあったわね、そこに行きたいわ♪」

エージェント「分かりました。プリンセスの言う通りに車を回して」

…駅構内…

貴族「…言う通りに新聞を買って、株式欄を開きました……」

ベアトリス「よろしい、ではそのページから「アルビオン・インペリアル貿易」の株価を調べて最初の数字と末尾の数字を並べろ」

貴族「…は、はい……数字は「15」です…」

ベアトリス「…ではホームを見て車体に「15」のつく客車を残らず探せ……そして見つけたらその最初の一等客車に乗り、15番目の駅で降りろ」

貴族「は、はい…」

ベアトリス「もし15駅なかったら折り返して15になるまで乗れ…いいな?」

貴族「わ、分かりました……15…15のつく客車…」



エージェント(紳士)「奴か…なるほど、新聞の株式欄片手にしきりに周囲を見回しているな……」

エージェント(旅行者)「…押さえますか?」

紳士「ばかを言うな。奴が共和国の連中とコンタクトした所で両方を一気に取り押さえるのだ……む、奴が目的の列車を見つけたようだぞ」

旅行者「それでは私が乗り込みます」

紳士「私もだ……いいか、君は二等に…私は一等車に乗る」

旅行者「了解…しかしここが手薄になります」

紳士「構わん、奴の動きから言ってあれが本命だ…」



…駅のそば・裏道…

ドロシー「遅いぞ、ベアトリス」

ベアトリス「ふー、遅くなりました…」

ドロシー「……まずはその声を戻せよ」

ベアトリス「あ、そうでした……はー、やっと元の声に戻れました」

ドロシー「よし、それじゃあ今度は別方面だな…」



…一方・高級百貨店…

プリンセス「まぁ、これお洒落ね♪」

支配人「わざわざお越しいただき光栄でございます」

プリンセス「いいえ…これなんてどうかしら?」

支配人「大変よろしいかと存じます」



…百貨店の裏通り…

エージェント(記者風)「…おい、タレコミのランデブー・ポイント(会合地点)だってのはこの辺りだろ?」

エージェント(貧乏人風)「……おかしいな、誰もいやがらないぜ…?」

プリンセスの警護官「…おい、そこの二人…止まれっ!」

エージェント(記者)「な、何ですか…私は「アルビオン・タイムズ」の記者ですよ!」

プリンセス警護官「それが仕事をさぼって貧乏人とひそひそ話か?…確保しろ!」

エージェント(貧乏人風)「くそ、こっちも同業者だぞ!」

警護官「ほざけ、おおかたプリンセスに危害を加えようという共和国の回し者だろう…どうだ?」

警護官B「は、やはり小型リボルバーを隠しておりました!」

警護官「そんなことだろうと思った…至急プリンセスを退避させるようにと連絡しろ!」

………
86 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/12(土) 10:51:16.02 ID:gpKb5FU20
…百貨店・店内…

警護官「…プリンセス、お買いもの中に申し訳ありませんが」

プリンセス「はい、どうかなさいまして?」きょとんと頭をかしげるプリンセス…その間にも警護官のオールドミス数人がさりげなく脇についた……

警護官「はい、ちょっとした問題が……申し訳ありませんが移動をお願いいたします」

プリンセス「分かりました…支配人さん、どうもありがとう♪」

支配人「いえ、いつでもお越しくださいませ…」

警護官「では参りましょう」



…大通り…

アンジェ「…これでさらに二人減った」

ちせ「うむ…このどたばたでちっとは「お出かけ」が楽になればよいがの」

ベアトリス「そうですね……で、肝心の「あの人」はどうやって「お出かけ」するんですか?」

アンジェ「それはまだ言えない……こちらとしてはお膳立ては整えた。あとは実行班が上手くやるのを待つだけよ」

ちせ「うむ」



…王室専用車…

プリンセス「……それで、一体何があったのです?」

警護官「わざわざプリンセスのお耳を汚すことではありませんが…我々の一員が、プリンセスがお買いものをなさっていた百貨店のそばで「怪しい人物を確保した」と」

プリンセス「そうですか……怖いことですね。ではその警護官の方々にはわたくしから「心より感謝している」とお伝えになって?」

警護官「これが務めですから…ですがそのように伝えておきます」

プリンセス「ええ、お願いします。でもせっかくのお出かけがフイになってしまったわ」

警護官「申し訳ありませんがプリンセスの安全が最優先ですので」

プリンセス「分かっております…けれど時には自由にお出かけしたりしてみたいですね……」

警護官「お察しします」

プリンセス「すみません…わたくしの安全を守って下さっている方々にこのような愚痴を言うべきではありませんね」

警護官「いえ、我々も出来うる限りでプリンセスの希望に沿えるよう尽力いたしますので…」

プリンセス「ありがとう、ミス・レモン」

警護官「はっ…私の名前を憶えておいでなのですか?」

プリンセス「もちろんですとも…だって命をかけてわたくしを守って下さる「白馬の騎士」のようなお方なのですから♪」

警護官「……期待に応えるよう全力を尽くします///」


87 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/12(土) 11:30:38.17 ID:gpKb5FU20
…国境検問所…

出入国管理官「停まれ!…身分証を!」

…アルビオン王国・共和国間を隔てる「ロンドンの壁」に数か所だけある国境検問所…その中の「チェックポイント・チャーリー」(検問所C)には、やむを得ない事情で国境を通る人たちや、「職業上」しばしば越境する人が並んで検査を待っていた……次々と車や馬車が停められてイミグレーション(出入国管理局)のチェックを受ける…

運転手「は、はい…」

管理官「壁のあちら側へいく理由は?」

運転手「…わ、私は「アルビオン・タイムズ」の配送係でして……大使館や貿易会社など、購読者の所に届ける新聞を載せています」

管理官「よろしい…では積み荷を見させてもらうぞ」数人の管理官に合図を送るとランダムに新聞の束をめくり、床板が上げ底でないか確かめる……

運転手「…」

管理官「……結構、行ってよし!」

運転手「ふぅぅ…」

管理官「…次!」

運転手「…お、お願いしやす」手には身分証が差しだされ、冷たい目をした出入国管理官を前に一般人らしいおびえ方をしている…

管理官「ふむ……葬儀屋の運転手だと?」

運転手「へ、へい…」

管理官「…どうして葬儀屋の霊柩車が越境する必要があるのだ」

運転手「ど、どうもあっしには運転手なんで細かいことは分からねぇんですが…何でも壁のあっち側からきていた実業家だかが交通事故にあって、それで向こうに持って行く必要があるらしいんで…」

管理官「ふむ…棺を開けさせてもらうから少し待っていろ」

運転手「へ、へい…」

管理官「……おい、防諜部から「越境の可能性あり」と連絡があったが…きっとこれだ」

管理官B「ああ…しかし「壁の向こう」の連中だからな、バレたとなったら強行突破しかねないぞ…ゲートはまだ開けないでおいてくれ」

管理官「…分かってる」

管理官B「よし、開けるぞ……ややっ?」…立派な棺の蓋を開けると、そこには監視対象者とは全く違う立派な身なりの人物が安らかに眠っていた……

管理官「…どうした」

管理官B「この男じゃない…まるっきり別人だ!」

管理官「それじゃあ防諜部の情報はハズレか……結構。通ってよし!」

管理官C「やれやれ、緊張していたのがバカみたいでしたね…紅茶でも淹れてきます」

管理官「うんと甘くな……はい、次!」

運転手「よろしくお願いします…」

管理官「身分証を!」

運転手「は、はい…!」
88 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/12(土) 11:58:32.12 ID:gpKb5FU20
管理官「積荷は?」

運転手「…ジャガイモです」

管理官「ジャガイモ?」背伸びをしてみると、確かにトラックの荷台一杯にジャガイモが積まれている…

運転手「ええ…コヴェントガーデン(ロンドンにある青果市場)にある卸業者から向こうに持って行くところなんです」

管理官「ふむ。どうしてジャガイモを向こうに持って行く必要があるんだ…ジャガイモならこっちでだって売れるだろう」

運転手「あ、はい…うちの卸は向こうにも事務所を持ってまして、値段がいい方に持って行って売るんで……」

管理官「なるほど…一応調べさせてもらうぞ」

運転手「…別に腐ってたり青くなったりしてない、いいジャガイモですよ?」

管理官「そんなことを調べる訳じゃない…っ!」

管理官B「ははっ……青果卸ともなると何でも野菜と関係があることだと思うんだな」

管理官「全く、からかわれた気分だ…いまいましいからしょっ引くか?」

管理官B「ばか言え、ひっくくったところでポケットからニンジンでも出てくるのがオチだぞ?」

管理官C「あの、紅茶が出来ましたよ…?」

管理官「あー分かった分かった……もういいな?」数個のジャガイモを取り上げてたが、ごく普通のジャガイモに見える……

管理官B「ああ、もういいだろう…よーし、通れ!」

管理官「それじゃあお茶にしよう……おい、ここを代わってくれ」

管理官D「了解」


………

…数十分後・アルビオン共和国大使館内…

7「……L、共和国の農務担当官から連絡が入りました」

L「ほう…どうだったのかね?」

7「はい、「本日のジャガイモ市場…イモは大ぶりで痛みもキズもなく、ポンドあたり6ペンスの値段が付いた」とのことです」

L「よし、結構だ……時間を空けて各班に作戦終了を伝達してくれ」

7「了解…♪」

L「うむ、頼むぞ」パイプをふかしつつまた書類仕事に戻る…

7「はい」残りのメンバーも黙々と作業にいそしむなか、7も通信文の原稿を起こした…

………



…その夜・部室…

アンジェ「…というわけで、コントロールから私たちにメッセージが届いているわ」

ドロシー「あぁ、何しろロンドン中を走り回ったからな…ちっとは「慰めと報酬」ぐらいあったっていいさ」

アンジェ「まぁ中にはそう言う意見もあるでしょうね」

ドロシー「……冷血人間」

アンジェ「何か言った?」

ドロシー「うんにゃ、何も…♪」

ベアトリス「…くすくすっ♪」

アンジェ「ベアトリス、何がおかしいの?」

ベアトリス「な、何でもありませんっ」

アンジェ「よろしい…ちなみにプリンセスはそろそろ戻ってくるから、それまでにお茶の支度でもしておきましょう」

ちせ「それがよかろう……疲れて戻って来るじゃろうし」

ドロシー「まったくだ」
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 11:06:38.33 ID:7fsvJIzGo

スパイシーンの力の入りようがすごい
90 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/15(火) 02:15:21.90 ID:xl/WhS+80
>>89 もとよりスパイ小説は好きでしたので、あちこちから正しい用語などを探して頑張っています…えっちする場面と落差が大きいですが、メリハリをつける意味ではそれもいいかと……本当ならもっと地味に活動するのが正解なのでしょうが、あくまでもスチームパンクのスパイ活劇と言うことで……


…ちなみに越境の場面では、当初もっと冗談めかして「リボンの騎士」に出てくる「大食い大会向けの巨大パンに人を隠す」シーンを物真似しようかと考えていました…「ジャムパンだから突き刺したら剣がさびるよ?」と言うくだりがある場面です……


…お待たせしましたがそろそろプリンセスが「プリンシパル」します……
91 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/15(火) 02:49:17.43 ID:xl/WhS+80
…しばらくして…

プリンセス「皆さん、ただいま戻りましたわ……安全が確認できないからってしばらく王宮で足止めされちゃったの♪」

アンジェ「お帰りなさい、プリンセス…大方そんなことだろうと思っていたわ」

プリンセス「ふふ…ただいま、アンジェ♪」

ドロシー「お帰り…ちなみコントロールから「ジャガイモは無事店先に並んだ」とさ♪」

プリンセス「ただいま、ドロシーさん……それは朗報ね♪」

ちせ「うむ。まずはよう戻られた……息災で何よりじゃ」

プリンセス「ありがとう、ちせさん」

ベアトリス「…もう、みんなしてあいさつ責めにして……姫様が座れないじゃありませんか」

ドロシー「何だ…もしかして最初に挨拶したかったのか?」

ベアトリス「な、何を言ってるんですかドロシーさんは…///」

ドロシー「おーおー、真っ赤になっちゃってまぁ……うぶだねぇ♪」

ベアトリス「か、からかわないで下さいっ…!」

アンジェ「養成所なら不合格ね」

ちせ「ふむ…ベアトリスはまだまだ不動心が足らぬようじゃな」

ベアトリス「うぅ…///」

プリンセス「まぁまぁ、私はベアトの気遣いが嬉しいわ…ありがとう、ベアト♪」

ベアトリス「…ひ、姫様///」

アンジェ「…」

プリンセス「…私はアンジェのさりげない気遣いも好きよ?」

アンジェ「……そう」

ドロシー「おいおい……そっけない反応のふりをしてるけど顔がニヤけてるぞ、黒蜥蜴星人」

アンジェ「冗談言わないで…」

ドロシー「…と言いつつちらっと鏡を見るあたり、なにか心当たりがあるんだな?」

アンジェ「ないわ……でももしかしたら自覚していない反射があるのかもしれない。そう思っただけ」

ドロシー「へいへい…ところでプリンセスに紅茶を淹れてやれよ、ベアトリス」

ベアトリス「ええ、そうでした……姫様、紅茶をどうぞ」

プリンセス「ありがとう、ベアト…とっても美味しいわ♪」

ベアトリス「お菓子もありますよ?」

プリンセス「美味しそうなスコーンね…いただくわ」

ベアトリス「お茶がお済みになりましたら、私が着替えをお手伝いいたしますね」

プリンセス「ええ、ありがとう♪」

ドロシー「それじゃあ私たちも引き揚げますか」

ちせ「そうじゃな」

アンジェ「ええ…それではプリンセス、お先に失礼させていただくわ」

プリンセス「そうね、みんなもゆっくりなさってね?」

ドロシー「これはどうも…それじゃあまた♪」

ちせ「うむ…しからばご免」

ベアトリス「…みんな出て行っちゃいましたね?」

プリンセス「ええ、これで二人きりね……ベ・ア・ト♪」にっこり微笑んで立ち上がると、ドアに近寄り鍵をかけた…

ベアトリス「あ……あの、姫様?」
92 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/16(水) 10:11:20.16 ID:g6SgyiRE0
プリンセス「ふふふ…♪」じりっ…

ベアトリス「ひ、姫様……何だかとっても悪い笑顔をなさっておられますが…」

プリンセス「あらベアト、そんなことないわ…ほぉら、いつもみたいにわたくしの所においでなさい?」

ベアトリス「いや、どう見ても怪しいですよ…」

プリンセス「大丈夫大丈夫…ね、ちょっとなでなでするだけだから…♪」

ベアトリス「うわぁ、それ絶対に怪しいじゃないですかぁ…!?」

プリンセス「ふぅ、冗談はさておき…ベアトが手伝ってくれないなら仕方がないわ、よいしょ……」シルクの長手袋や首にかけた真珠のネックレスを外してテーブルの上に置いていく…

ベアトリス「あっ…私がやりますよ、姫様」

プリンセス「そう?」

ベアトリス「はい、特に真珠はお手入れをしないとくすんでしまいますから……ドレスも型崩れしないようにきちんとしまわないと…」

プリンセス「助かるわ、ベアト……もう、ぎゅうぎゅう締め付けるようなコルセットやペチコートにはうんざりしちゃう」

ベアトリス「分かります…でも姫様はドレスがよく似合いますよ?」

プリンセス「あら、嬉しい。ベアトがそう言ってくれるから私もがんばってドレスを着ているのよ?」

ベアトリス「ひ、姫様はまたそう言う事を言って…///」

プリンセス「ふふふ……ありがとう、これでやっと楽になれたわ♪」

ベアトリス「いつでも喜んでお手伝いいたしますよ、姫様」

プリンセス「ベアトは優しいわね……」

ベアトリス「そんな…ほかならぬ姫様のためですから///」

プリンセス「…ベアト」

ベアトリス「……姫様///」

プリンセス「…と、ベアトが油断した所で♪」

ベアトリス「きゃあっ!?」

プリンセス「はぁぁ…もうベアトったら簡単に引っかかってしまって……でもそこが可愛いわ♪」頬ずりするプリンセス…

ベアトリス「は、離して下さいっ…///」

プリンセス「嫌よ♪」

ベアトリス「即答ですか!?」

プリンセス「だってこんなに可愛いベアトが目の前にいて……はぁ、はぁ…我慢できる訳ないでしょう♪」

ベアトリス「ひ、姫様っ…スカートをめくるのは止めて下さい…っ///」

プリンセス「だって、ベアトがすべすべの脚をしているのがいけないのよ?…さ、一緒にベッドに入りましょう♪」

ベアトリス「ち、ちょっと待ってくださいよ…話が早すぎませんか!?」

プリンセス「まぁまぁ…ベアトったら大きい声を上げてはしたないわよ?」

ベアトリス「そ、それも私のせいですかっ…!?」

プリンセス「ええ、だってわたくしはプリンセスですもの……♪」

ベアトリス「姫様、それは横暴ですっ!」

プリンセス「わたくしは可愛いベアトを手に入れるためならアルビオンを売ってもいいし、暴君にだってなれるわ♪」

ベアトリス「うわぁぁん、そんなこと自慢げに言わないでくださいよぉ…!」

プリンセス「まぁ…まぁまぁまぁ♪…涙目のベアト、とっても可愛い…もっと泣かせてしまいたくなるわ♪」

ベアトリス「ひぃぃ…っ!?」

プリンセス「大丈夫よベアト、何もしないから♪」

ベアトリス「その顔でおっしゃられても全然信用できませんよぉ…」


93 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/16(水) 11:06:17.25 ID:g6SgyiRE0
プリンセス「はぁぁ…ベアトったら可愛い……ちゅっ♪」

ベアトリス「わわっ……んちゅ///」

プリンセス「ん…ベアトのお口の中、甘いミルクティーの味がするわ……他にはクローテッドクリームのついたスコーンね?」

ベアトリス「わわっ、せめてキスする前に口の中をゆすがせて下されば///……うぅ、せっかくのキスが食べ物の味では台無しですよ…」

プリンセス「そうかしら…むしろ私は空腹だったから……刺激されちゃったわ♪」んちゅぅぅ…れろっ、ちゅぷ…♪

ベアトリス「んっ…んふぅ……んむっ……んんぅ///」プリンセスは舌で丹念に歯茎をなぞり、それから器用にベアトリスの舌と絡めた……

プリンセス「ぷは……んちゅっ、ちゅるっ……ちゅぅぅぅ……っ♪」

ベアトリス「んくっ、んんっ…んふぅぅっ……!?」

プリンセス「ぷはぁぁ…はぁぁ、ベアトの舌は温かくてしっとりしていて……出来たてのスフレみたいね♪」

ベアトリス「うぅぅ…プリンセスの舌がねちっこく絡んできて……頭がぼーっとなっちゃいます……///」

プリンセス「ふふふ…♪」…立ったままメイド服をはだけさせると、丹念にベアトリスの姿態を眺めまわした…

ベアトリス「そんなに眺めても私のぺったんこな身体じゃあ面白くないと思いますよ…///」

プリンセス「あら、その「ぺったんこ」な所がまたそそられるのよ…♪」

ベアトリス「へ、変態ですかっ…!?」

プリンセス「もう、プリンセスに対して「変態」だなんて……これはお仕置きが必要ね♪」…無邪気な笑顔でベアトリスの顔を胸元に押し付けるプリンセス……

ベアトリス「きゃあっ…んぐっ!?」

プリンセス「はぁぁ…ベアトの吐息が暖かいわ……身体もふにふにでとても触り心地がいいわ♪」ベアトリスのつつましいお尻に手を這わせ、背中を優しいタッチで撫で上げる……

ベアトリス「も、もうっ…姫様ったら……ぁ///」

プリンセス「そう言いつつも顔がすっかりトロけているわよ?」

ベアトリス「だ、だってぇ…///」

プリンセス「でもわたくしはワガママだから、もっとベアトのとろけた表情が見てみたいわ……♪」なだらかなベアトリスの乳房を撫でまわし、ゆっくり優しくこね回す…

ベアトリス「んぁぁ…ふわぁぁ……あふっ…///」

プリンセス「ふふ、ベアトの胸は手のひらに収まる大きさでちょうどいいわ…♪」むにゅ…むにっ……

ベアトリス「はぁぁ…んあぁぁっ……///」顔を赤らめ困ったように眉をひそめ、しきりにふとももをもじもじさせている…

プリンセス「あらあら…ベアトったらわたくしをほっぽらかして自分だけそんな気持ちよさそうに……もう、いけないメイドさんだこと♪」

ベアトリス「ふぁぁ…らって……ひめさまが…あふぅぅ……///」にちゅっ、くちゅっ…♪

プリンセス「ふふふ…それじゃあわたくしの事も気持ち良くしてほしいわ…ね、ベアト?」

ベアトリス「…ふぁい、ひめしゃま……///」ぺたんとお尻をついてプリンセスの足もとにへたり込むと、とろっと焦点の合わない目をしてふとももを舐めはじめる…

プリンセス「うんうんっ…ふふ、気持ちいいわ……んくっ♪」

ベアトリス「んちゅ…れろっ、ぴちゅっ…ぴちゃ……///」

プリンセス「んぅぅ、んふっ……あふぅ…あっ、んぅっ♪」

ベアトリス「んちゅ、ぺろっ…れろっ……んちゅぅ…///」

プリンセス「はぁぁ…んんぅ……ベアト、上手よ…んふっ///」

ベアトリス「……きもひいいれすか、ひめひゃま…?」

プリンセス「ええ……私も濡れてきちゃったわ♪」

ベアトリス「それふぇしふぁら…わらひがご奉仕いふぁひまふ……///」(それでしたら、私がご奉仕いたします)

プリンセス「んんっ、あっ……そこ気持ちいい…っ♪」とろりと濡れた秘所を熱心に舐めあげるベアトリスに、甘い吐息を漏らすプリンセス…

ベアトリス「きもふぃいいれふか…ひめひゃま?」

プリンセス「ええ……でもやっぱりこれだけでは我慢できないわ♪」とんっ…とベアトリスを絨毯の上に押し倒しぐっしょりと濡れた下着をずり下ろすと、口の端からよだれをたらしてとろけきっているベアトリスの上にまたがった…

ベアトリス「あ…ひめさま……んひぃぃぃっ///」ぐちゅ、にちゅっ、じゅくっ…♪

プリンセス「んぅぅっ、ベアトったらすっかりびちょびちょね…ふふ♪」ベアトリスの下半身をふとももできゅっと挟み込み、腰をねちっこく動かす…

ベアトリス「んはぁぁ、ふあぁぁぁっ♪」びくっ、びくんっ…!

94 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/05/18(金) 11:39:05.46 ID:UI02SxFd0
プリンセス「んふぅ…はぁ、はぁ、はぁっ……日頃乗馬の訓練をさせられていてよかったわ…♪」

ベアトリス「んぁぁぁっ!姫様っ、ふとももの締め付けがきついです…っ///」

プリンセス「うふふ、ベアトは可愛いお馬さんね…乗りこなしやすいからトロット(速足)でも大丈夫そう♪」ぐちゅぐちゅっ…にちゅっ

ベアトリス「はひぃ、はぁあぁぁっ…!」

………

…廊下…

アンジェ「さてと…この後は食事の時間まで何もないわ」

ドロシー「あぁ…おい、ちょっと待てよ……アンジェ、眼鏡はどうした?」

アンジェ「え?」

ドロシー「眼鏡だよ、眼鏡……まさか部室に忘れてきたのか?」

アンジェ「…女学生ごっこですっかり気持ちがたるんでいるわね……教えてくれてありがとう」

ドロシー「なぁに、こういう時はお互いさまだろ……先に行ってるぞ?」

アンジェ「ええ」



…部室…

プリンセス「はぁ、はぁ、はぁ…ベアトのつるつるのあそこ……ふふふ♪」

ベアトリス「ひぐぅぅっ…んひぃぃっ!」

プリンセス「もう、ベアトったら絨毯まで汚しちゃって……そんなに気持ちいいの?」

ベアトリス「い゛ぃっ、んひいぃぃっ…はひっ、はひぃぃ……だって…姫様にこんな事をしてもらっていると思うと……あひぃぃっ!」びくびくっ…ぷしゃぁぁ…っ♪

プリンセス「まぁ、ベアトがのけ反った瞬間に私の身体が持ち上がったわ…♪」

ベアトリス「はぁ……はぁ…姫様…も、もう無理ですよぉ……」

プリンセス「そうなの……でも、せっかく二人きりになれたのだから…もうちょっとこうしていたいわ」

ベアトリス「そ、そんな風に言うなんてずるいです……///」ふとももをもじもじとこすり合わせて甘い声を上げる…

プリンセス「ふふふ…可愛いベアト……ちょっと待って?」

ベアトリス「ひ、姫様…ここでおあずけなんてひどいですよぉ……んくっ、んっ…姫様…ぁ♪」くちっ、くちゅっ…にちゅっ♪

プリンセス「しーっ…足音が聞こえるの……こっちに近づいてきているわ」

ベアトリス「んふぅ…はひぃ……んんっ…♪」

プリンセス「…ベアト、隠れましょう」

ベアトリス「そ、そんなこと言ったって……ひめしゃまぁ…///」くちゅくちゅっ、じゅぷっ…とろっ♪

プリンセス「もう、ベアトったら仕方のないメイドね……さ、早く…!」クローゼットを開けるとベアトリスを押し込み、ついでに自分も入って扉を閉めた…

ベアトリス「ひ、姫様の甘い匂いで…わらひ、もうイっちゃいますぅっ……んんっ///」とろっ…ぷしゃぁっ♪

プリンセス「もう、ベアトったら♪……気づかれちゃうといけないから静かにね…」かちかちっ…かちり

ベアトリス「…あっ///」びくびく…っ♪

プリンセス「ふふ、私たちすごい密着しているわね……それにベアトったらすっかりとろけた顔で、こっちもとろとろのびしょびしょ…♪」片手を濡れたベアトリスの下半身に這わせて、指を入れる……

ベアトリス「……♪」がくがく…っ、ぷしゃぁぁ…とろっ♪

プリンセス「それでやってきたのは…アンジェね。…どうやら眼鏡を忘れて取りに来たみたい♪」

ベアトリス「…///」びくっ、びくんっ…にちゅっ♪

アンジェ「……ふぅ、プリンセスもベアトリスもいないようね…わざと足音を立てたのが無駄で済んでよかった…わ」

プリンセス「…お気遣いありがとう、アンジェ♪」じゅくっ、ぐちゅっ♪…小声でお礼を言いながら、ベアトリスの秘部をかき回す……

ベアトリス「…!……///」がくがくっ、ぷしゃぁぁ…びくん…っ♪

アンジェ「…」
95 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/20(日) 01:27:35.72 ID:WYZVcsNZ0
プリンセス「……ふふ、もしかしてアンジェに見つかってしまうのではないかと思うと…ぞくぞくしちゃうわね、ベアト?」

ベアトリス「…!……///」

プリンセス「……あらあら、一生懸命お口をパクパクさせて…もっとしたいのね?」

ベアトリス「……!!」顔を真っ赤にし、ぶんぶんと首を振る…

プリンセス「…ふむふむ…「姫様にもっとめちゃくちゃにしてほしいです♪」ですって?……ええ、任せてちょうだい♪」

ベアトリス「…!?………!!」

プリンセス「…それじゃあ……ふふっ♪」

アンジェ「…分かったうえでやっているわね、プリンセスは……って、これ…///」床に落ちているプリンセスのペチコートを拾い上げ、ちらっとクローゼットを横目で見てからポケットにねじ込んだ…それから眼鏡をかけると平然とした様子で出ていった……


プリンセス「ふぅ…ようやくクローゼットから出られたわね……ふふ、いま声を戻してあげる♪」カチカチ…ッ

ベアトリス「もぅ、姫様のいじわるっ…///」顔を真っ赤にして、うつむき加減のベアトリス…

プリンセス「ふふ、ごめんなさい……ベアトが余りにも可愛くって、それでつい意地悪してしまうの…♪」

ベアトリス「うぅぅ…私の憧れていた、花も恥じらうような清純な姫様はどこへ行ってしまったんですかぁ……?」

プリンセス「ふふ、大丈夫よ…私がベアトを思う気持ちは清らかなまま変わらないわ♪」

ベアトリス「ひ、姫様ぁ……///」

プリンセス「さぁベアト、お部屋に戻る前にちゃんと着替えないといけないからお手伝いして……あら、私のペチコートは?」

ベアトリス「え、さっきまでそこにあったはずですが…そこにありませんか?」

プリンセス「それが見当たらないの……どうしましょう?」

ベアトリス「えぇっ…と、ここに着替えのセットはありますが下着までは……」

プリンセス「仕方ないわ……別に誰かに見られる気づかいもありませんし、下にまとう物はこのボディス(胴衣)だけで構いません」

ベアトリス「し、承知いたしました……ではお着替えを…///」

プリンセス「それにしてもどこに行ってしまったのかしら……って、まさか?」

ベアトリス「何か…?」

プリンセス「いいえ、何でもないわ…♪」


…アンジェ私室…

アンジェ「ふぅ、んくっ…はぁぁ……」


…アンジェの部屋のドアには、留守中誰かが入って来たかどうか分かるよう何でもない物……少しでもノブやドアを動かすと落ちるようなバランスで小さな針が乗せてあり、卓上のノートやメモ帳もアンジェにしか分からない特定の規則でずらしてあって、もし誰かがいじったとしてもすぐわかるようになっている……が、そのどれもが無事だったことを確認するとポケットからプリンセスのペチコートを取り出し、お仕着せの上衣とスカートを脱いでベッドにもぐりこんだ…


アンジェ「んくっ、んんぅ……すぅー…はぁー……」ポーカーフェイスのままプリンセスのペチコートを通して息を吸ってみたり、頬ずりしたりするアンジェ…

アンジェ「んっ、ふぅ……プリンセスなんて嫌い…プリンセスなんて嫌い……プリンセスなんて嫌いっ…プリンセスなんてっ……ん、んんぅぅっ…///」

アンジェ「……ふぅぅ、はぁぁ……プリンセス…大っ嫌いな私だけのプリンセス……んくぅ…っ♪」

………



アンジェ「ふぅぅ…これは後で洗って返せばいいわ……さてと、早くコントロールに提出するレポートの続きを書かないと…」机に向かって紙を置いてペンを取り上げたが、ちらりと自分の洗濯物に混ぜてあるプリンセスのペチコートを眺めると手に取り、もう一度ベッドに潜りこんだ…

アンジェ「…あまりこんな機会はないし、もう一回だけ…それにしても冷たい私と違って、プリンセスの温もりが伝わってくるみたいね……」小声でひとり言を言いながらプリンセスの下着に頬ずりした…


………

96 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/20(日) 02:37:38.08 ID:WYZVcsNZ0
…case・ちせ×ベアトリス「The blade and pickles」(刃と漬け物)…

…ある日・校舎の裏手…

?「よく来たわね……待っていたわ」

ちせ「…ふむ、なにやら私の下駄箱に文(ふみ)が入っておると思ったら……やはり果たし状であったか…」

フェンシング部部長「ええ…さぁ、この間は出来なかった勝負の続きをいたしましょう!」

ちせ「ふむ…自らの腕を誇示したいがために果し合いを申し込むとは愚かなこと……しかし、うっとうしい取り巻きを連れずに「さし」で勝負とは、見上げた態度よ……ならば…参るぞ!」

部長「ひっ!?…ですが東洋のおかしな剣術ごときに……わたくしが負けるものですか…っ!」

ちせ「甘いっ!」小柄なちせは胸元を突こうとするエペをかいくぐり、地擦りから必殺の一撃……は浴びせずに刀を一閃させた…

部長「…ひぃやぁぁっ!?」エペが空中に跳ね上げられてくるくると回転し、地面に突き刺さる……そして次の瞬間には防具が見事に切り裂かれて、ふっくらした白い乳房があらわになる……慌ててしゃがみこみ、涙目になるフェンシング部の部長…

ちせ「いかん……こ、これは…五分ばかし踏み込みが大きかったか…///」(※五分…約一・五センチ)

部長「うぅぅ…ど、どうしてくれますの……っ///」フェンシングの面を取って真っ赤になっている…

ちせ「こ、これは困ったのぉ……とはいえお互い剣士として刃を交える以上、恥を受けることもあれば誉を一身に受けることもある…それが定めと言うものよ……」

部長「そんなことはよろしいですから、早く何とかなさってくださいっ…///」

ちせ「むむ…とはいえ私の服では大きさが合うまいし……むぅぅ…」

ベアトリス「はぁ……やっと見つけましたよ…って、何をしているんですかっ…///」

ちせ「おぉ、ベアトリスか。ちょうど良い所に来た…済まぬが針と糸でこれをどうにかしてくれんかの?」

ベアトリス「…え?」

ちせ「見ての通りなのじゃ…ちと踏み込みが大きすぎた……」

部長「うぅぅ…お願いいたしますわ///」

ベアトリス「わ、分かりました……もう、ちせさんったら何を考えているんですかっ!」

ちせ「なに…?」

ベアトリス「だってそうでしょう、普通は本物の剣や刀で勝負なんかしませんよっ!……だいたいわたしたちは目立たないようにするのが任務でしょう…」耳元に顔を近づけ、小声で叱る…

ちせ「むぅ、それはそうなのじゃが…しかしこれでも武人の端くれ、果たし状には応えねばならぬのだ……」

ベアトリス「…それで正体がばれたらどう言い訳するつもりなんですか……っ」

ちせ「…すまぬ……」

ベアトリス「はぁぁ…すみませんが、一応着られる程度には直しておきましたから……改めてお店に修理してもらって下さい」

部長「わ、分かりましたわ……と、ところで…///」

ちせ「何じゃ?」

部長「こ、このことは誰にもおっしゃらないで下さいませ……わたくし、これからは本物のサムライに対して決して生意気なことなど申しませんから……」

ちせ「うむ、承知した……私もこのことは言わないでおく」

部長「…助かりますわ///」

ちせ「ではお互いに出会ったことなどなかったかのように、時間を空けて表に行こう…」

部長「ええ///」

ベアトリス「…ふぅぅ、これでどうにか秘密は守れましたね……」

ドロシー「あぁ…まさかあの娘っ子を口封じに始末するわけにもいかないしな……お手柄だったぞ、ベアトリス♪」

ちせ「…なに、今までどこに……?」

ドロシー「なぁに、茂みの中に潜んでいたのさ……あの「果たし状」を訳してくれって持って来ただろ?…その後すぐにここへ来て潜んでいたんだ」

ベアトリス「ちせさん…もしかしたら本当の刺客だったかもしれないんですよ?」

ドロシー「あぁ…まぁいずれにせよだ、今日はどうにか秘密を守れたからいいようなものの、頼むから今後は「果たし状」とかにつられてノコノコ一人で行っちゃダメだぞ?」

ちせ「うむ…迷惑をかけたな……」

ドロシー「なに、気にするなって……しかしあのフェンシングの部長、いい乳してたな♪」

ベアトリス「も、もう…どこを見ていたんですかっ///」

………
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/21(月) 10:08:26.35 ID:7Y7F72guo

やっぱりベアトプリンセスアンジェ三点セットはいいね
98 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/22(火) 23:47:43.11 ID:XbPSWCMc0
>>97 まずは「乙」をありがとうございます。遅筆ではありますが、時間を見つけてまた投下していきますので……


……確かにこの三人は安定感がありますね…よく「主人公たちが奇数だとカップリングに入れないキャラクターが出て悲しい」と言う意見が多いですが、この三人ならプリンセスが二人を手玉にとって食べ散らかせるので……(苦笑)

99 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/23(水) 10:51:35.71 ID:9OpwdMO+0
…お茶の時間…

アンジェ「事情は聞いたわ、ちせ…今後はそう言うことのないようにお願いするわ」

ちせ「うむ…あい済まなかった……」

アンジェ「分かってくれたなら結構…さて、今回の任務よ」

ドロシー「えー、また任務かよ……コントロールときたら、あたしたちを機械か何かだとでも思ってるのか?」

アンジェ「それだけ私たちが役に立っていると言うことよ…嬉し泣きでもすることね」

ドロシー「おいおい、ずいぶん冷たいじゃないか…んん?」

アンジェ「ドロシー、頭を撫でくり回すのは止めてちょうだい」

ドロシー「へいへい…で、任務の中身だな」

ベアトリス「そうですよ、ふざけている場合じゃないです」

アンジェ「全くね……ちなみに今回の任務は「舞踏会に出ること」よ」

ドロシー「…は?」

プリンセス「まぁ…そこで情報の交換をするのかしら?」

アンジェ「その答えは当たらずと言えども遠からずね……今回の舞踏会は王国外務省主催の国際的なもの。当然各国の「同業者」が来るわ」

ドロシー「それはめでたいな…それで?」

アンジェ「ちせはよく御存じのようにアルビオンが「王国」と「共和国」に分かれていることで、諸外国はどちらを支援するのが有利なのか……はたまた、アルビオンの植民地や海外の権益を横取りする機会はいつなのかを、目を皿のようにして注視している」

ちせ「うむむ…確かに私の国もこちらで言う「極東」の権益を確保しておこうと必死じゃからな……」

アンジェ「そうでしょうね…そこでコントロールとしては、各国のスプーク(幽霊…転じてスパイのこと)が誰なのかよく見ておきたい……もしこれから必要になったら王国の弱点を流してもいいし…それが反対に「アルビオンそのもの」に対する脅威だとしたら、どこかで食い止める場合も出てくる」

ドロシー「要はスパイの見本市…だな?」

アンジェ「ええ。とはいっても私たちは「本物」のスパイだから、やすやすと顔を知られるわけにはいかない……あくまでもプリンセスの「ご学友」として、楽しく優雅に振る舞ってくれればいいわ」

ドロシー「それはいいや…私は純情な女学生だからな♪」

アンジェ「…ちょっと耳の聞こえがおかしかったみたいね……何て言ったのかしら、ドロシー?」

ドロシー「おいこら…まるで人を女たらしみたいに言いやがって」

アンジェ「違うの?」

ドロシー「…こんにゃろー……」

ベアトリス「…でもそういう事でしたら、王宮から招待状を出さないといけないですね?」

アンジェ「そこの手はずはプリンセスにお願いするわ……表向きは普通の舞踏会だから、ぜひとも「大好きなお友達をお招きしたいの」とねだってみてちょうだい?」

プリンセス「ええ、任せておいて♪」

アンジェ「というわけで、今回はコントロールから「L」も顔見世のために現地に来る…と言っても、王国防諜部やらノルマンディ公の部下がうようよいるから、あまり意識しすぎたり話しかけたりすることのないように」

ドロシー「…ああ、分かってるって♪」

アンジェ「それじゃあ舞踏会までにダンスとフランス語のおさらいでもしておくことね」

ちせ「むぅぅ…私はどうもあの「社交ダンス」というヤツが苦手じゃ……」

ドロシー「なら私が「手取り足取り」教えてやるよ…んふふ♪」

ちせ「な、なんじゃ…その薄気味の悪い笑顔は……」

ドロシー「そんなことないって…なぁアンジェ」

アンジェ「…さぁね」

プリンセス「……後で私たちも練習しましょうね、ベアト?」

ベアトリス「はい、姫様♪」

100 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/24(木) 01:29:49.43 ID:6l21Rb3C0
…舞踏会当日…

アンジェ「…準備はいいわね?」

ドロシー「おう…しっかし丸腰だと落ち着かないな……」

アンジェ「…一応言っておくけれど、アルビオン外務省主催の舞踏会にスティレット一本でも持ち込もうものなら、たちまちのうちに王国防諜部が猟犬みたいに駆けつけてくるわよ」

ドロシー「わかってるっての……だから丸腰なんだろうが…うぅ、どうも落ち着かないなんだよなぁ……」

アンジェ「…だったらアメでもしゃぶっていたら?」

ドロシー「あたしは子供かよ?」

ベアトリス「ぷっ、くすくすっ…♪」

ドロシー「おいベアトリス、何がそんなにおかしいんだ……んー?」

ベアトリス「な、何でもないですよぉ…」

アンジェ「仕方ないわね。ほら…口を開けなさい、ドロシー」

ドロシー「は?…まぁいいや…あーん……って、ホントにアメ玉なんて持ってるのかよ!?」

アンジェ「ええ…たとえば「機密書類をあさっている時にその屋敷の子供に出くわす」…とか、そう言った想定外の出来事があったときのためにね」

ドロシー「そんな限定的なシチュエーションがちょくちょくあるとも思えないけどな……ま、もらっておくよ……ん♪」アンジェがどこからともなく取り出した黄色い大きなアメ玉をしゃぶりつつ車を運転する…

アンジェ「黄色でよかったわね、ドロシー…赤は毒入りよ」

ドロシー「げほっ、ごほっ…!」むせたせいで車がテールを振り、慌てて席にしがみつくベアトリス…

アンジェ「……冗談よ」

ドロシー「おい、私を殺す気か!?」

アンジェ「いいえ…軽いユーモアで緊張をほぐしてあげようと思って」

ドロシー「あのなぁ、本当に「毒入りアメ玉」を仕込みかねないヤツがそういうことを言うのは「ユーモア」って言わねぇよ…」

アンジェ「…そう」

ベアトリス「そ、それはそうとして…私たち、今日は一段とステキなドレスですよね♪」普段はなかなかおめかしも出来ないベアトリスのためにプリンセスが選んだ、裾のフリルもたっぷりあるパステルピンクのドレスと、小さなシルクハット風の飾りつき帽子…

ちせ「うむ…しかしこのドレスはちと恥ずかしいの///」肩をむき出しにした黒いパーティドレスには大ぶりなケシの花と紅いリボンがあしらわれ、日本ならではの白い大粒のパールが首元を飾っている…

ドロシー「そんなことないって…よく似合ってるぜ?」渋いがぐっと大人びて見えるディープグリーンとクリーム色のドレスに、貴婦人のような大きな帽子をかぶり、胸元を白い羽根飾りが引き立てている……

アンジェ「ええ、とてもいいわ」アンジェは「田舎出身の女学生」というカバーストーリーに合わせて見立てた少しデザインの趣味が悪いミルクティー色のドレスと、それに似合わないオレンジ色の造花がついた帽子を選んでいる…

ドロシー「……さてさて、そろそろ会場にご到着…ってな♪」

アンジェ「ではいつも通りに…」

…舞踏会・会場…

衛兵「あー…失礼ですがお嬢さまがた、招待状はお持ちですか?」

アンジェ「は、はいっ…!」小さいポーチの中をかき回しつつあたふたしている…ふりをするアンジェ

衛兵「…慌てずとも大丈夫ですよ。他のお嬢さま方もどうぞ招待状をお見せください」

ドロシー「はい、これね……♪」

ちせ「…うむ」

ベアトリス「はい、お願いします」

アンジェ「あぁ、あった……こ、これですね?」

衛兵「ええ、そうです…はい、どうぞお通り下さい」

ドロシー「えぇ…と、車はどこに預ければよろしいのかしら?」

衛兵「は、それは次のゲートで運転手たちがお借りして停めておきますので…どうぞごゆっくり」

ドロシー「ええ、ありがとう♪……ふぃー、あたしのカスタム・カーじゃなくて普通の車で来てよかったぜ…」

アンジェ「そうね…そろそろ玄関よ」

ドロシー「オーケー……アメはしゃぶり終わってるし、大丈夫だ♪」

アンジェ「結構」
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/24(木) 04:29:38.60 ID:nZfabGBCo

楽しみに待ってるから自分のペースで頑張ってください
102 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/24(木) 10:01:48.46 ID:6l21Rb3C0
>>101 ありがとうございます、劇場版の公開まで…とはいかなくても、せめてこのスレは書ききるつもりで頑張ります

…特に書き溜めたりなどしていないので時間ばかりかかっていますが、思い出した頃にのぞきに来てもらえれば少しづつ投下されているかと……
103 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/24(木) 11:29:12.27 ID:6l21Rb3C0
…大広間…

ドロシー「おーおー…さすがにアルビオン外務省主催ともなると豪華なもんだ」

アンジェ「ええ。それに来客の顔ぶれも見事なものよ」…アンジェたちのような「一般人」は別として、入り口では誰かが来るたびにトランペットのファンファーレが鳴り、係が会場に向けて来賓の(本名であったりなかったりする)名前を張り上げる……

ドロシー「ああ…あそこでどこかの貴婦人と話しているのは王国の外務次官……その隣で静かにしているのが王国防諜部の対外課長だな」

アンジェ「ええ。それに「L」もすでに来ているわ……さぁ、固まっているとおかしいから飲み物でも取りに行きましょう」

ベアトリス「そうですね…それじゃあ私は姫様のお側に行っていますから」

ちせ「なら私は……お、堀河公はもうおいでになっておられたのか…」

堀河公「おお、ちせ…それに皆も……」

アンジェ「…堀河公、息災で何よりです」

堀河公「うむ、以前は助けてもらったな。本来なら厚く礼を言いたいところだが…ここはあちこちに目があるのでな、世間話のふりで勘弁していただきたい」

アンジェ「それで十分です…私たちは影の世界に住むものです。日なたに出て勲章をもらうためにやっているのではありませんから」

堀河公「…なるほど、噂以上の冷静さよ……すまんが王国のエージェントがこちらを見ている。楽しく会話しているふりをお願いしたい」

アンジェ「はい…ふふふっ♪」

堀河公「ははは、そうかそうか……「ちせ」さんと申したか…異国の地で見かけた日本人に声をかけてみたら、何とも素晴らしいご学友をお持ちとあって安心しましたぞ!」

ちせ「はい、素晴らしい朋友たちです♪」

堀河公「それはよかった、大事にするといい……それでは」ちょんまげに羽織袴の目立つ格好で歩いて行った…

ドロシー「……ふぅ、シャンパンでもとって来よう…」

アンジェ「私は水でいい」

ドロシー「おいおい…って、来賓のご到着だぜ?」物見高い女学生らしくグラスを片手に来賓を眺める…

お触れの係「…駐アルビオン日本国大使、伯爵「阿路本仁左慈」(あじのもとのひとさじ)卿!」

ドロシー「ふぅん…あれが「表」の大使か……」シャンパンをすすりつつちらっと流し目をくれる…

お触れ「アルビオン・イタリア王国文化交流協会局長「ウンベルト・ショボクレティアヌス」伯!」

アンジェ「あれは「ローマ皇帝の末裔」とかいう噂のある人物ね…見た目はあの通りやつれているけれど、暗殺にかけては天下一品らしいわ」

ドロシー「ほーん……まぁイタリアって国は要人の暗殺が多いからなぁ」

お触れ「駐アルビオン・オスマン帝国大使館付商務官「アブドゥル・ババ・ヤスク・ウル」様!」

ドロシー「…ターバンに裾の長い服、つま先の尖った靴……まるで「アラビアン・ナイト」だな?」

アンジェ「ええ…あれはどうやらオスマンのスパイのようだけど……あの見た目ではなかなか大変そうね」

ドロシー「ははっ、確かに…♪」

お触れ「在アルビオン・オランダ王国商務省輸出担当課長、子爵「スヘルデ・オラニエン・デ・スウェヘニンヘン」様!」

ちせ「なに…「スケベ人間」じゃと?」

アンジェ「…スウェヘニンヘン…オランダの地名よ」

ドロシー「ああ…しかし「輸出担当課長」ねぇ……どう見たってチューリップを売り込みに来ている顔じゃないぜ?」

アンジェ「ええ。何しろアルビオンが「ボーア戦争」で南アフリカのオランダ植民地を奪った後だもの……きっと植民地に向けた武器の動きを調べに来ているのね」

ドロシー「そいつはありえるな……やれやれ、アフリカのジャングルなんかよりロンドンの方がずっと弱肉強食のサファリだよな?」

ちせ「うむ…うかうかしていると自分の国がいつ列強に食われるか分かったものではないからの……恐ろしいものじゃ」

アンジェ「そうね」

お触れ「…駐アルビオン・ロシア帝国大使夫人「エレーナ・クリオコワ」様!」

ドロシー「ふぅ、これでめぼしい顔はみんな来たか……ちせ、そこにちょっとしたビュッフェもあるんだし、うまいものでも食べてきたらどうだ?」

ちせ「ふむ…では失敬する」

アンジェ「さぁ、そろそろダンスの時間よ」

ドロシー「そう思ってちせに声をかけたのさ…ダンスは苦手だろうし、一緒にいると何かと目につくだろうからな」

アンジェ「ええ、そうね」
104 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/27(日) 01:30:40.27 ID:oodsxoY00
プリンセス「……皆さん、舞踏会は楽しんでおられますかしら?」

アンジェ「…あ、あの、そのっ……お、おら…いえ……わたくしはこんな立派な舞踏会は…は、はは初めてで…っ!」

プリンセス「ふふ、お楽に…アンジェさん♪」

アンジェ「あわわわ……」プリンセスに声をかけられて、しどろもどろになっているふりをするアンジェ……

ドロシー「ふふ、これはこれはプリンセス……このような立派な舞踏会に私どものような「ただの女学生」までお招きいただき、恐悦至極に存じます…♪」と、こっそりウィンクするドロシー…

プリンセス「いいえ、構いませんわ…だってわたくし、難しい外国との取引や他の国のエライ人たちのお話なんかよりも、皆さんとおしゃべりをしながら一緒に楽しく過ごしたいですもの……♪」と、背後にいるノルマンディ公に聞こえる程度の声を上げた…

ノルマンディ公「…おやおや、王女様とあろうものがそれでは困りますな……ところでこちらはご学友の方々ですか」

プリンセス「ええ、紹介いたしますわね……皆さん、こちらがわたくしの叔父にあたりますノルマンディ公でいらっしゃいますわ…♪」プリンセスから紹介されるとドレスをつかんで腰をかがめ、一礼するドロシーたち…

ノルマンディ公「……さて、舞踏会はいかがですかな?…可愛らしいレディの皆様」

ドロシー「は、はい…王族の方や外国の方がいっぱいでドキドキしておりますわ……///」

ノルマンディ公「はは…この舞踏会は外務省主催とはいえ大したものではありませんよ……どうぞ気楽になさるとよろしい」

ドロシー「あ、ありがとうございます…」

ノルマンディ公「…それで、そちらのお嬢さんはいかがですかな……?」

アンジェ「あ、あの……わたすは……いえ、わたくしは…///」

プリンセス「おじ様、あまりおどかさないであげて下さいな……地方からおいでになったものですから、あまり社交界には馴染んでおりませんの」

ノルマンディ公「おやおや、これは失礼した…では、ごゆっくり……」

プリンセス「またね、おじ様♪」

ノルマンディ公「うむ…いつかまたお会いしたいものですな、レディの諸君……」

ドロシー「はい、それでは……ふー、誰が二度とお会いするかっての……」

プリンセス「…いきなり声をかけて来るなんて驚いたわね?」

アンジェ「ええ、まさかノルマンディ公とはね……でもドロシー、私はもう一度会いたいわよ」

ドロシー「おいおい、マジかよ…」

アンジェ「ただし、銃の照準に捉えた状態で…だけれど」

ドロシー「あー…それなら話は別だ……」

プリンセス「……ベアト、もうしゃべっても大丈夫よ?」

ベアトリス「はぁぁ……さすがに背筋が凍りつきましたよぉ」

アンジェ「でもよくポーカーフェイスを維持したわね…上出来よ」

ベアトリス「そ、そうですかぁ…?」

ドロシー「今は出来てないけどな…完全にニヤけてるぜ?」

ベアトリス「むぅぅ…いいじゃないですか、アンジェさんに褒められるなんて滅多にないんですから」

ドロシー「そんなことないさ、アンジェは褒めるのも上手さ……ただ、あんまりにもかすかだから普通の人間には分からない…ってだけで」

ベアトリス「それじゃあ褒めてないのと一緒じゃないですかぁ…」

アンジェ「もっと表情を良く読み取ることね……ちせは?」

プリンセス「えーと…さっきまでビュッフェテーブルで何かつまんでいたようだったけれど……?」

アンジェ「そう…もう頃合いでしょうし、そろそろ撤収しましょう」

ベアトリス「じゃあ私が呼んできます」

プリンセス「お願いね♪」

………
105 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/27(日) 02:12:45.54 ID:oodsxoY00
…しばらくして・部室…

ベアトリス「もう、ちせさんったら信じられませんっ…!」

ちせ「何を…っ!」ベアトリスは服の内側に差したウェブリーの小型ピストル「ウェブリー・ベスト・ポケット」に手が伸ばせる位置…ちせは脇差の柄に指が届く位置でにらみ合う……

………

…事の発端…

ドロシー「ふぃー…今日は気疲れで参ったな……車の整備だけしたら早めに寝よう…」

アンジェ「私もレポートを書く必要があるから…失礼するわ」

ちせ「うむ…それではまたの」

ベアトリス「おやすみなさい、アンジェさん」

アンジェ「ええ」

ちせ「それにしてもプリンセスどのもおらぬしアンジェどの、ドロシーどのも席を外してしまったの……二人きりじゃが何か出来ることはないものじゃろうか…?」

ベアトリス「うーん…それでしたらお茶でも淹れましょうか」

ちせ「おぉ、それはよい……一杯淹れてくれるかのう?」

ベアトリス「ええ、いいですよ……それじゃあその間に何か「お茶請けになりそうな物」を用意してくれませんか?」

ちせ「うむ、承知した…♪」


…数分後…

ベアトリス「ちせさんっ、これはいったい何なんですかぁぁ…っ!?」鼻にしわを寄せて両手をわきわきさせるベアトリス…

ちせ「……お茶請けじゃが?」可憐なウェッジウッドの菓子皿に載った……しんなりと良く漬かったきゅうりのぬか漬け…

ベアトリス「こんなヘンテコなきゅうりのどこがお茶請けになるんですかっ…もっと、こう…普通はクッキーとかスコーンみたいなものでしょう!?」

ちせ「それはあくまでもそちらの決めつけじゃろうが…日本では漬け物が由緒あるお茶請けとして認知されておる」

ベアトリス「そんなこと知った事じゃないですよっ、それにとっておきのお菓子皿になんてものを載せてくれるんですかっ…!」

ちせ「そうガミガミ言うことではあるまい…もし気に入らぬのなら後で洗えばよかろうが?」

ベアトリス「そう言うことじゃないんですよっ、だいたいちせさんは朝方だってフェンシング部の部長さんと決闘まがいのことをするし……防具を糸でかがったりなんだりしてフォローした私の身にもなって下さいよっ!」

ちせ「別に私は「助けてくれ」だのなんだの懇願した覚えはないぞ…それこそ余計なお世話じゃな」

ベアトリス「あーそうですか、そういうことを言うんですかっ……これだから「東洋人は」って言われるんじゃないですかっ!?」

ちせ「…貴様、私に気に入らぬことがあるなら直しもしよう…じゃが「東洋人」と十把一からげに馬鹿にするとは……許せんな」

ベアトリス「じゃあどうしますか、また「果し合いごっこ」でもしますか…っ!?」

ちせ「よかろう…言っておくが、貴様が「虎のひげを引っ張る真似」をしたのじゃからな……!」

ベアトリス「いいですよ、かかってくればいいじゃないですか…!」

ちせ「……むむっ」

ベアトリス「…くっ」張りつめた空気のなか、テーブルの上に置かれた砂時計の砂だけがさらさらと流れ落ちる……

ちせ「…」

ベアトリス「…」きゅぅぅ…っ

ちせ「…おい」

ベアトリス「な、何ですか…///」

ちせ「…もしや、空腹なのか?」

ベアトリス「ええそうですよ……プリンセスのメイドが舞踏会の間、自由にものを食べたり飲んだりできる訳ないじゃありませんか」

ちせ「……それで茶を淹れて何かつまもうと思ったのか…?」

ベアトリス「ええ、そうですよ」

ちせ「ぷっ……それでそんなにかんしゃくを起こしておったのか」

ベアトリス「そ、そうですよっ…悪いですかっ///」

106 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/27(日) 02:59:12.18 ID:oodsxoY00
ちせ「なんじゃ…そうならそうと早く言えばよいものを……やめじゃやめじゃ♪」

ベアトリス「…な、なんで止めるんですか……///」

ちせ「空腹の相手に青筋を立てても仕方あるまい…漬け物は私がもらうから、ベアトリスは何か自分の好きな菓子でも何でもつまむがよかろう」

ベアトリス「それがないから困っているんですよっ!」

ちせ「なんじゃ…いつも菓子の一つや二つくらい用意してあるじゃろうに?」

ベアトリス「それが今日は舞踏会の準備で、それどころじゃなかったんですよ……うぅぅ」

ちせ「そういう訳であったか……お、そう言えば♪」

ベアトリス「何か私が食べられるものがあるんですかぁ…もし本当にあるなら今まで言った事は全部撤回して謝りますから……」

ちせ「うむ…ちと待っておれ……ほら、どうじゃ?」食器棚の奥にしつらえてある小さな「爪」を探り当ててカシェットを開け、ショウガ入りクッキーを取り出すちせ…

ベアトリス「わぁぁ…そう、こういうのですよ!」

ちせ「ほれ……しかし、軽々しく刀に手をかけようとした私も悪かった…済まぬ」

ベアトリス「いえ…私もちせさんを馬鹿にしてすみませんでした……ちょっと一日の疲れと緊張がたまっていたみたいで…」

ちせ「なら改めて茶をいただこう……ほ、牛乳もあるようじゃな♪」先にミルク差しからミルクを注ぐちせ…

ベアトリス「…むっ」

ちせ「ふむ…ぬか漬けと牛乳はちと相性が悪いの……ずーっ…」音を立てて紅茶をすするちせ…

ベアトリス「……ちせさん」

ちせ「なんじゃ…満足したか?」

ベアトリス「…このお茶を飲み終わったら……決闘です!」

ちせ「なに?」

ベアトリス「紅茶ではなくミルクを先に入れる…音を立ててお茶をすする……どうみても淑女の振る舞いじゃありませんよっ!」

ちせ「ほう……せっかく私がいさかいのタネを水に流してやったと言うのに、また話を蒸し返すとは…どうやらよほど痛い目にあいたいらしいの?」

ベアトリス「むぅっ…私だって訓練は受けました……そう簡単に負けはしませんっ!」

ちせ「ほほぅ…ベアトリスよ、おぬしはもう少し利口だと思っておったぞ……では、この一杯を終えたら参ろうではないか」

ベアトリス「ええ、それでいいですよ!」ショウガ入りクッキーを食べ終わると食器を片づけ、邪魔な椅子とテーブルをどかした…

ちせ「音のする銃は使えんが……それでよいのか?」

ベアトリス「ええ、ですから得物はなしで行きましょう…それならいいでしょう?」

ちせ「なるほど…よかろう!」脇差と小柄をテーブルに立てかけ、さらしで袖を「忠臣蔵」の討ち入りのように縛り上げる…

ベアトリス「……それじゃあ、行きますよ!」

ちせ「いざ……はっ!」

ベアトリス「…っ!」訓練の成果か、見事に正拳突きを受け止めるベアトリス…

ちせ「ふんっ…!」続けてみぞおちに突きを放つちせ…

ベアトリス「まだまだ…っ!」

ちせ「何をこしゃくな……っ!」

ベアトリス「そっちこそ…!」

ちせ「むむ、なかなか……じゃが!」柔道の寝技で押さえこみにかかるちせ…同時に首を締め上げるが、ベアトリスの首は義体化されていて効果がない……

ベアトリス「くっ…むぅぅ!」反対にちせの顔を胸元へ押しつけて窒息させようとするベアトリス…

ちせ「むむっ…ふうっ、ふぅぅ……っ!」

ベアトリス「んっ…ふぅ、ふぅぅ………んふぅ//」お互いにしばらくもがきあっているうちに、妙に艶めかしい吐息を漏らし始めたベアトリス…

ちせ「んくっ……すぅ、はぁ……むふぅ…///」一方、ベアトリスのつつましい胸のふくらみに押し付けられていたちせからも殺気が無くなり、急に「すーはー」と音を立てて、ベアトリスの甘い香水の香りを吸い込み始めた…

ベアトリス「ちせさん…っ……さっきから…なに変な声を上げているんですか……んんっ///」

ちせ「それは……こちらの言うことじゃ……さっきから甘ったるい声を漏らしおって…んふぅ///」
107 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/31(木) 01:37:10.28 ID:z96TdMic0
ベアトリス「またそういう減らず口を…こうなったら力づくでも黙らせないとダメみたいですね!」

ちせ「ほう、出来るものならやってみるがよかろう?」

ベアトリス「…言いましたね……んふっ、ちゅるっ…ちゅうぅ……///」

ちせ「んんっ!?……んんぅ、んんっ…!」

ベアトリス「ん…ちゅるっ、ちゅぅ……じゅる…///」

ちせ「んーっ、んんーっ!…んふっ、んくっ…んんぅ、んっ………」

ベアトリス「ぷはぁぁ…どうです、声の一つも出なかったでしょう?……ちせさん?」

ちせ「…うっ、ううぅ……///」

ベアトリス「…あ、あれ?」

ちせ「…ほわぁぁ、今まで剣の道に捧げてきたこの身体……それを惑わす口づけの…何と甘美で……の、のうベアトリスよ///」

ベアトリス「なんです?」

ちせ「…そ、その……もう一回だけしてみてはくれぬか…」

ベアトリス「……あー、ちせさんったらもしかして私のキスでメロメロになっちゃったんですかぁ?」

ちせ「そ、そんな訳あるか!…ただ……このままやられっぱなしと言うのは私の性に合わん……うむ、そうじゃ…今のは無しとして、ここから三番勝負にいたそう///」

ベアトリス「…私はいいですよ?……でもちせさんはキスに耐性がないですし、終わったときにはとろとろにとろけきっちゃいますよぉ?」

ちせ「ありえぬ…わ、私とて剣士の端くれ……どこからでもかかって来るがいい…!」

ベアトリス「……そうですか、それじゃあ遠慮なく♪」ぐいっ…♪

ちせ「ま、待て…いきなりとは言っておらぬぞ、せめてお互いに一礼するとか…何かこう……!」

ベアトリス「…ふぅ、ちせさん……」

ちせ「な、なんじゃ」

ベアトリス「前に姫様が言っていました……「キスと戦争は奇襲に限る」って…はい、スキありっ♪」

ちせ「な、なにっ!?…んんぅ、んちゅぅ……れろっ、ちゅ…っ///」

ベアトリス「…はい、一回目は私の勝ちですね」

ちせ「な、何を言う……だまし討ちなどと卑怯な真似をしてからに…まぁよい、まだ二回ある///」

ベアトリス「そうですね……あ、アンジェさん♪」

ちせ「…っ!?」

ベアトリス「嘘ですよっ……んちゅぅぅっ、ちゅるっ、ちゅぷっ……ちゅぅ、れろっ…んちゅ……ちゅぷっ…♪」

ちせ「んふぅぅっ、んんぅ…んっ、んっ……ふぅ…ん///」

ベアトリス「はい、これで二勝です……それにしてもちせさんのお口の中、甘いミルクティーの味がします……ね///」

ちせ「……ず、ずるいではないか…来てもいないアンジェどのを……///」

ベアトリス「普段のちせさんだったら気配だけで分かるはずじゃないですか…やっぱりキスで骨抜きにな……」

ちせ「なっておらぬ!……とはいえベアトリスもほのかな紅茶の香りとクリームの味が…まるで菓子を食べているようじゃ…」

ベアトリス「ふふ…じゃあもうちょっとだけ……スコーンとクローテッドクリームの味見をしますか?」

ちせ「う、うむ…この勝負は一旦あずける…ので…その、さっきのような…舌を絡めるやり方で頼む……///」

ベアトリス「…いいですよ……んちゅる、れろっ…じゅるっ……ちゅる…っ…ちゅぷっ///」

ちせ「んふぅ、れろっ…ちゅむっ……ちゅぅぅ…んっ、ふぅぅ……ちゅぅぅ///」

108 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/05/31(木) 02:23:19.78 ID:z96TdMic0
ベアトリス「…ところで、ちせさん」

ちせ「なんじゃ……もうおしまいか…?」

ベアトリス「……いえ…そこに大きなソファーがありますよね……」

ちせ「うむ……床の上では堅くてかなわぬか?」

ベアトリス「ええ」

ちせ「…さて……しかしなんじゃな……」

ベアトリス「はい?」

ちせ「こうして見ると今日のベアトリスはいつにもまして可愛いの……口づけしたせいじゃろうか?」

ベアトリス「ちせさんってば…いきなりそんなこと言わないで下さいよ///」

ちせ「いやいや、世辞や酔狂で言っているわけではない……正直…もっとしたくてたまらぬ…///」

ベアトリス「…奇遇ですね……私もです…」

ちせ「んちゅ…ちゅぅっ♪」

ベアトリス「んむっ、ちゅっ♪……ふふ、いきなり上手になりましたね?」

ちせ「何事も練習あるのみ……あるいは私も「色仕掛け」を使う場面が来るやも知れぬし、いつまでも「接吻の仕方も知らない東洋人」では格好がつかぬ……んちゅぅぅ…ちゅぽっ///」

ベアトリス「んんぅ…んっ、ふ……はぁ、はぁ…///」

ちせ「んちゅっ……ふぅ、ふぅぅ…///」

ベアトリス「そ、それじゃあ……脱がせてあげますね///」

ちせ「…着物の脱がし方を覚えるいい機会じゃな♪」

ベアトリス「んー…あ、あれ?」

ちせ「…」

ベアトリス「おかしいですね…簡単にほどけると思ったのに……うぅ」

ちせ「……」

ベアトリス「ここをこうしたら……あれれ、何で絡まっちゃうんですかぁ?」

ちせ「………えぇい、もどかしいっ!」手を払いのけてさっさと着物を脱ぎ捨てるちせ…ついでにベアトリスの服も脱がしにかかる…

ベアトリス「あっ、ダメですってば!シルクなんですからそう言う風に扱ったら糸が伝線しちゃうじゃないですかっ」

ちせ「その手をどけぬか!…まったく、西洋人のおなごは一体何枚の布きれで隠れておるのじゃ!」

ベアトリス「や、止めて下さいってばぁ!…あぁもう…後で取りに行かなきゃならないんですから、スカートを向こうに投げないで下さいよっ///」

ちせ「ふぅ、ふぅ…私を焦らしたベアトリスがいけないのじゃ……」

ベアトリス「だからって、もう…後で甘いキスの刑ですからね♪」

ちせ「ふふ、望む所じゃ…♪」お互いに邪魔なブラウスやリボン、着物の帯をソファーの背もたれ越しに放り出していく……

ベアトリス「……はぁっ、あぁっ…はぁぁんっ♪」

ちせ「おっ、おぉぉ……何と温かで気持ちのいいことよ……はぁ、ふぅっ…んんぅぅっ♪」

ベアトリス「はひぃっ、あふぅぅっ♪」

ちせ「んくっ、あぁぁぁ…っ♪」

アンジェ「……どうやらお取込み中みたいね」ソファーの向こうから次々と服や装身具が投げ出され、ちせとベアトリスの甘ったるい喘ぎ声が聞こえてくる…

ドロシー「だな…それにしても、二人ともまぁ夢中になってること……ぷふっ♪」

アンジェ「…何がおかしいの」

ドロシー「くっくくく、そりゃおかしいさ……なにせ部屋に入った瞬間にそれだもんなぁ♪」

アンジェ「ドロシー…後で覚えておくことね」…部室に入るなり飛んできたベアトリスのストッキングが頭からぶら下がっている……

ドロシー「あーおっかない……それじゃ二人の時間を邪魔しないように、私たちは退散するとしますか♪」

アンジェ「ええ…」

………
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/01(金) 06:21:58.70 ID:8px5q3zbo
110 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/02(土) 00:31:37.23 ID:Cmorf5lF0
>>109 まずは見て下さってありがとうございます。

…さて、書いているうちに「ちせ×ベアト」もアリなのではと思う今日この頃ですが……皆さまはどんなカプがお好きなんでしょうか?


111 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/02(土) 01:37:34.28 ID:Cmorf5lF0
…case・アンジェ×ちせ「The vampier in the fleet street」(フリート街の吸血鬼)…


…深夜・フリート街にほど近い裏通り…

男「…うーい……今日は飲みすぎちまったなぁ…もうどこのパブも酒屋もやってねぇや……」男は家路に向かう途中で、近道をするために裏通りへと曲がると散乱するごみを蹴散らしながら千鳥足で歩いている…


…深夜の裏通りは人の気配もなく、道路の中央に付けられている排水溝にはドブネズミの死骸や野菜くず、垂れ流された大小便などが放置されている……表通りから届く街燈の灯りも夜霧と煤煙のためか、やっと足もとが見える程度に薄く霞み、靴音だけが寂しく反響して響く……本当なら夜道を照らしてくれるはずの月も、今は霧に隠れてぼーっと青ざめている…


男「…ぶるるっ、なんだよ…いやに冷え込む夜じゃねぇか……」背中にぞくりと冷たい夜気が這い上がって来て、思わず腕をさすりながら背中を丸める…

男「……ま、まぁ俺ァさんざ飲み明かして一文無しだからな、追いはぎの心配もねぇや!」薄暗い通りに怯えつつ、強がりでひとり言をつぶやいてみる…が、その声も薄汚れたレンガの壁に吸い込まれていく……

男「…ちっ、早道だからってこんな道通らなきゃよかったな……なにくそ、構うもんか!…こちとらロンドンっ子よ、この世にいる訳もねぇ「化け物」だの「悪魔」だのにおびえるわきゃねぇってんだ!」…いっそ回り道でも大通りに引き返そうかと後ろを見たが、今さら引き返すのも弱虫みたいでしゃくだと、ロンドンっ子らしい威勢のいい啖呵(たんか)を切りつつ足早に歩き出す……


…裏通りの真ん中あたり…


男「へっ…やっぱり何でもねぇや……お化けだの何だのってのは怖ぇ怖ぇと思ってるから、何でもねぇ物まで見間違えちまうんだ…出てこられるもんなら出て来てみやがれってんだ!」…もはや表通りのかすかな明かりさえ届かなくなった裏通りの真ん中あたり…左右は家々の裏手に当たる高いレンガ塀で、相変わらずあちこちにゴミや小動物の死骸が転がっている……


黒マント「…」不意に男の前に姿を現した長い黒マントとシルクハットの姿…黒マントの裏地は紅のビロードらしく、かすかに吹き抜ける夜風にはためいている…

男「うわっ!…おい、いきなり出てきておどかすんじゃねぇや……ぶるっちまったじゃねぇかよ…」

黒マント「…」

男「…へ、返事くらいしてみたらど、どうなんだよ……え?」

黒マント「…」軽く帽子の縁に手を当て、会釈のような仕草をすると近寄ってくる黒マント…

男「な、なんだよ…紳士のための表通りなら向こうだぜ……?」

黒マント「…!」マントを後ろにはねあげ、男に向かって駆け出してくる…

男「わぁぁっ…!!」尻もちをつきながら反対の方向に駆け出す男…酔いのせいでふらつく脚を必死に動かし、ごみくずにけつまずきつつ来た方へと戻ろうとする…

黒マントB「…」

黒マントC「…」

男「あ、あ……うわぁぁぁっ!!」…退路を塞ぐように小さな脇道から出てきた別の黒マントと、最初の黒マントにかこまれた男……その絶叫は霧深いロンドンの夜空に吸い込まれていった…

………



…翌日・寄宿舎の部室…


アンジェ「…今日みんなに集まってもらったのは、この記事を見てもらうためよ」テーブルに数紙の新聞を置いたアンジェ…

ドロシー「新聞ね……こういうのって、一番ふざけてるように見えるやっすいタブロイド新聞みたいな方が物事の核心をついていたりするんだよな」

アンジェ「そうかもしれないわね…とにかく中ほどの記事を見てちょうだい」

ドロシー「あいよ……って、何だこりゃ?」

アンジェ「見ての通りよ」

ベアトリス「えーと『ロンドンの吸血鬼…またも犠牲者!』って書いてありますね?」

ちせ「…『首には二つの傷痕、被害者は血の一滴も残さず…ヴァンパイアの吸血痕か?』じゃと…ふむ、英国にはまだ吸血鬼とやらがおるのじゃなぁ」

ドロシー「バカ言え、そんなもんがいてたまるかよ……で、このふざけた記事がどうかしたのか?」

アンジェ「ええ…コントロールからの指令で、今回はこの事件を調べることになったわ」

ドロシー「は?…おいおい、こんなのはフリート街にたむろしてる特ダネ記者のやることだろ……?」

プリンセス「…何か事情がありそうね?」

アンジェ「ええ、それを今から説明するわ…」

………
112 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/02(土) 02:39:50.43 ID:Cmorf5lF0
…その日の午前中・図書館…

アンジェ「…ヴァンパイア?」

7「ええ……この事件は一見すると「ホンモノ」の吸血鬼の仕業に見えるわ…被害者の年、職業、性別もバラバラ……共通点といえば暗い通りで襲われ、首に噛み痕のような二つの傷と、ほとんど血が残っていない死体だけ……でもね」

アンジェ「ええ」

7「十数人にも上る被害者のうち、こちらの送り込んだ工作員(スパイ)が一人、カットアウトが一人含まれているの……」

アンジェ「……異常な数字ね」

7「その通り…「L」もそう言っていたわ、「一人なら偶然もありうるが、二人なら故意だ」とね」

アンジェ「ええ、そうね」

7「…そこであなた達には、次に「吸血鬼」が活動しそうな場所を歩いてもらって……連中の「本性」を暴いてもらうわ」

アンジェ「了解」

7「結構…何か聞いておきたいことは?」

アンジェ「……本物のヴァンパイアだった場合は?」無表情な中に、精一杯のユーモアを込める…

7「そうね、もし本物だったら…こちらの工作員を「味見」するとどうなるか教えてあげてちょうだい……必要なら十字架とニンニクの首飾りを用意させるわ」

アンジェ「ええ…生命保険の「吸血鬼特約」をつけて、ぜひ用意してもらいたいわね」

7「そうね……とりあえずこちらで分かったことをまとめた資料があるから、熟読したうえで活動にあたって」

アンジェ「了解」

………



アンジェ「…と言う訳で、どうやら本物のヴァンパイアに出会うことは出来ないわね」

ドロシー「だってさ…残念だったな、ちせ?」

ちせ「うむ、異国の妖怪に出会う絶好の機会だと思ったのじゃが…しかし工作員を「消去」するのに、なぜそんな手の込んだ真似をするのじゃろう?」

ベアトリス「ほんとですよね、普通に交通事故とか…酔って川で溺れるとか……」

プリンセス「そうね…食中毒とか、濡れた床で脚を滑らせるとか……いろいろあるのにどうして「吸血鬼」なのかしら?」

ドロシー「…理由はいくつかあるな」

ベアトリス「そうなんですか?」

ドロシー「ああ…いわゆる「血抜き」は尋問の手段としてよくあるんだ……よく「頭に血が回らない」って言うように、人間って言うのはある程度血を抜かれると聞かれるがままに物事を話しちまうからな」

アンジェ「その通りよ…それに事故死なら「スコットランド・ヤード」(ロンドン警視庁)もある程度死因や状況を調べるでしょうけれど、「吸血鬼」なんて言われたら真面目に調べる気もなくなってしまう……それが相手の狙いなの」

ドロシー「そういう事……その上ちょっとばかり被害者の素性がおかしかったとしても、単なる「ロンドンでうごめく吸血鬼」だとか「切り裂きジャックの再来」に襲われた被害者だ…なんて面白おかしく書きたてられて、ひとまとめにされちまう」

ベアトリス「でも被害者は十数人いるんでしょう……残りの人は何なんです?」

アンジェ「つじつま合わせよ」

ドロシー「ああ…いくらなんでもこっちの工作員やカットアウト、協力者だけを選んで襲っていたんじゃどんな間抜けや駆け出しの記者だって「イチ足すイチ」で誰が何のためにしていることか分かっちまうからな……それを目立たせないように、適当に暗い夜道を歩いていた一般人を同じやり口で「シメちまった」んだ」

アンジェ「木を隠すには森…死体を隠すならモルグ(死体置き場)という訳ね」

ベアトリス「そんな…あんまりです……」

ドロシー「ま、そういう世界だからな」

アンジェ「ええ…ちなみに「やられた」工作員は三流新聞の記者、カットアウトは夜中から仕込みに忙しい屋台のパイ売りだそうよ」

ドロシー「なるほど、夜道とも縁がありそうだな」

アンジェ「そうね…ちなみに今回は相手が玄人なのが分かっているから、プリンセスとベアトリスは後方支援……ドロシー、ちせ、私が二人組の入れ替わりで事に当たるわ」

ドロシー「了解……それじゃあ吸血鬼退治と行きますか」

アンジェ「ええ、まずは資料をよく読み込むことからね」そう言って新聞記事の切り抜きから、ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」まで揃っている資料を差しだした…

………
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/02(土) 16:20:41.63 ID:t3pR/E5qO
おもしろい
114 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/04(月) 01:02:12.88 ID:kGuf3bgl0
>>113 まずは読んで下さってありがとうございます…書くのが遅いもので数日ごとに2〜3スレ分しか進みませんが、引き続きがんばります
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/04(月) 03:27:52.16 ID:Ec5rudJMo

アンジェ攻めプリンセス受けが好きだな
116 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/05(火) 01:25:42.62 ID:JFQuf9Xe0
>>115 そう言ったリクエストがあると助かります…アン×プリはまだ書いていないのでそのうちに……
117 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/06(水) 01:44:07.87 ID:14QzkPMt0
…しばらくして…

ドロシー「……なぁアンジェ…この資料って本当に使えるのか?」

アンジェ「どうして?」

ドロシー「だってさぁ、『吸血鬼の撃退にはニンニクや十字架が効果的である……が、根本的な解決法としては吸血鬼の就寝中、胸元へ聖水で清めた杉の杭を打ち込むことが最もよい』って……あたしは吸血鬼の退治法が知りたいわけじゃないんだよ」

アンジェ「分からないわよ…もしかしたら本物の吸血鬼も混じっているかも知れないし、そのうちに任務でトランシルバニアに派遣されるかもしれないでしょう」

ドロシー「そんな馬鹿な?」

アンジェ「…まぁ冗談を抜きにしても、なんの知識が役に立つかなんて分からないわよ」

ドロシー「それはそうだけどさ……なんかなぁ…」

アンジェ「いいから、読み終わったらそれを貸してちょうだい」

ドロシー「はいよ」

ベアトリス「……うーん…どうも今回の「吸血鬼」はフリート街のまわりで活動していることが多いみたいですね……」

プリンセス「フリート街……新聞社や印刷所が多い所ね?」

アンジェ「そうね…アルビオンにおいて、あらゆる情報が最も早く手に入る所……しかも深夜は人通りはほぼない上に、印刷機や何かの音で物音も聞こえにくい…」

ドロシー「印刷所の裏通りともなれば窓一つあるわけじゃないし、物音を聞く住民もいない……誰かを拉致するには理想的だな」

アンジェ「ええ」

ドロシー「それじゃあルートはそのあたりを中心にして……後はどうやって本拠地まで跡をたどるかだよなぁ…」

プリンセス「裏通りでは車も馬車も通れないし、かといって表通りで待っていては目立ちすぎるものね」

ちせ「ならばと徒歩(かち)で行って、あちらが車を用立てていたとしたら目も当てられん……思案のしどころじゃな」

アンジェ「…そこは私に考えがある……地図を見てちょうだい」

ドロシー「どれどれ…ふぅ、それにしてもよくもこうせせこましく建物を建てたもんだよな……」

アンジェ「ええ…それだからこそ使える手段がある」

ちせ「…ほう?」

アンジェ「みんなはもう「Cボール」を知っているわよね……これを使って屋根伝いに追えば、入り組んだ路地を駆け回らずに済むわ」

ドロシー「なぁるほど…さっすがアンジェ、冴えてるな♪」

アンジェ「からかってるの?」

ドロシー「とんでもない……だけど目立たないか?」

アンジェ「そう言うと思って、事前にそのあたりの建築図を調べてみたわ……この辺りは通りが細い上に建物の高さがあるから、もし屋根の上にいる人物を見ようと思ったら、首の骨が大変なことになるでしょうね…」

ドロシー「ああ、資料にも入ってた……で、反対にこっちは屋根の上からのぞきこめばいい…と♪」

アンジェ「ええ…今回の主目的は相手のネスト(巣)までついて行って、何を調べているのかを探り出し…ついでにこの「吸血鬼」どもを片づけること……月の明るい日は誘拐が行われていないから、作戦は天気の悪い時か月のない日の深夜……今日は月の入りを考えて、今夜の十時ごろにフリート街に着くように行動しましょう」

ドロシー「了解だ♪」

ちせ「…うむ」

プリンセス「ええ、分かったわ」

ベアトリス「はい」


………
118 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/08(金) 11:02:25.64 ID:niR4GZkr0
…十数日後の夜・フリート街…

ドロシー「うー…なんだか今夜は霧も濃いし、ことさらに「吸血鬼」が出そうだな……」

アンジェ「結構なことね」

ちせ「うむ…見回りを初めて十数日、ここまで何も起こっておらぬし……そろそろ次の犠牲者が出てもおかしくない頃合いじゃろうな」

アンジェ「ええ。それに「コントロール」としても、消去されたエージェントが何の情報をつかんでいたのか…あるいは逆に、何を「歌った」(白状した)のかが分かれば、あちらに対して情報漏れを防ぐ手立てが取れるようになる……つまり結果を出すのは早い方がいい、ということね」

ドロシー「だな…それにしても「血抜き」の尋問をやるような奴らを相手に「トマトスープ」作戦とはね……悪趣味もいいところだ」

アンジェ「仕方ないでしょう。そういう訳で、向こうがこちらに対してどこまで「食い込み」を図ったか分からない以上、作戦名の流出もあり得る……だとしたら、簡単に連想できるような吸血鬼関係の単語を使った作戦名は使う訳にはいかないわ」

ドロシー「あぁ、そのおかげで私が「ニンニク」、二人が「玉ねぎ」と「ニンジン」なんだもんな」

アンジェ「そういうことよ…さぁ、そろそろ時間ね」そう言いながら、ちせにお守りのようなアンクレット(足飾り)を付けた

ドロシー「了解…「ニンジン」の得物はこっちで預かるよ」

ちせ「うむ、よろしく頼む…しかし寸鉄も帯びていないとどうも落ち着かぬな……」

ドロシー「だろうな……気持ちはよくわかるよ」

アンジェ「ええ…それじゃあ始めましょう」ドロシーの手を握ると「Cボール」を起動し、屋根の上にふわりと着地した…

アンジェ「……思っていたより霧が濃いわね」

ドロシー「あぁ…「もや」っていうよりは「霧」だな……」

アンジェ「こうなると尾ける距離を縮めないといけないわね」

ドロシー「だな……」



ちせ「うぅむ…それにしても倫敦(ロンドン)の下町がこうも汚らしいとはの……これが「世界の中心」とは思えぬほどよ…」

ちせ「……なにやら煙ったいような臭いも立ちこめておるし、古くなった食材のすえた臭いもするようじゃな……見てくれはともかく、倫敦の下町は鼻に悪い都のようじゃ…」小さい歩幅でトコトコと歩いていくちせ…


…柳のバスケット(手提げカゴ)を持って、両脇を建物に挟まれた狭い裏通りをてくてく歩いていくちせ……黄色っぽい霧が地面を覆い、灯りの消えた暗い裏窓が、骸骨の眼窩(がんか)のように通りを冷たく見おろしている……貴族の邸宅では舞踏会や晩餐会でまだまだにぎやかな「宵の口」ではあるが、貧しい裏通りでは疲れ切った労働者が泥のように眠っているか、はたまた貴族のお屋敷で下働きにいそしんでいるために、家々からは明るい光が一つも見えない…


ちせ「…別におっかないとも思わぬが、こうして見ると陰気じゃなぁ……」

ちせ「……おっと、ネズ公の「ホトケ」を踏みそうになってしまった…せめて成仏してくれるといいが、それもこの辺りでは難しそうじゃの……」

ちせ「…む?」ふと視線を上げると、闇の奥にぼんやりとしたシルエットが浮かび上がってきた…

黒マント「…」

ちせ「…何か用かの?」まずまずの英語で声をかけるちせ…

黒マント「…」

ちせ「もし…そこの御仁に問うておるのじゃが……?」

黒マント「…」カツッ、カツッ…と石畳に靴音を響かせて近寄ってくる黒マント

ちせ「…な、なんじゃ……」うろたえたふりをして反対側に向かって駆け出すちせ…

黒マントB「…」

黒マントC「…」

ちせ「あ、あぁぁ……」あくまでも「か弱い小さな小間使い」のふりをして黒マントに取り囲まれるちせ…

黒マント「…」騒がれないよう喉を締め上げて気絶させると、目覚めても声を出せないよう猿ぐつわをかまし、手足を縛りあげた…そのまま肩に担いで運んでいく黒マント…



ドロシー「…よし、食いついた」

アンジェ「ええ……追うわよ」

………
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/09(土) 00:28:09.30 ID:8OKBrK5qO
ちせちゃん尋問シーンかな?
120 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/11(月) 00:38:09.73 ID:8WNUnJLU0


ドロシー「ところであのアンクレットだけどさ…ちゃんと効果あるんだな?」

アンジェ「なければ使わないわ」

…ちせに渡した「お守りのアンクレット」に含まれているケイバーライトが、アンジェの「Cボール」にだけ反応して淡い緑色に光る……屋根の上をそっと尾行しながら、不可視の「道しるべ」を追っていく二人…

ドロシー「まぁな……それにしてもあの連中、どっから現れてどこに行くのやら…」

アンジェ「知らないわ…それを知るのが任務でしょう」

ドロシー「いや、分かってるけどさ…ちせには背中を預けたこともあるし……どうも、こう…冷静なままじゃいられないんだよな」

アンジェ「分かっているならなおの事冷静になりなさい…それこそ「大事な仲間の命」がかかっているのよ」

ドロシー「ああ……ん、奴ら角を右に曲がったな…」

アンジェ「…飛ぶわよ、つかまって」

ドロシー「あいよ」アンジェの腰に手をかける…

アンジェ「連中は…向こうの建物に入ったわね……」

ドロシー「何の建物だろうな…印刷所か?」

アンジェ「…そうみたいね」

ドロシー「それじゃあ急いで知らせて来いよ。私はここで監視にあたる」

アンジェ「頼むわね……数分で戻るわ」

………

…数分後…

アンジェ「戻ったわ」

ドロシー「ああ…「早かったな」って言いたいが……中の様子を見る限り、早すぎて困ることはないらしい」

アンジェ「…みたいね」


…薄暗い建物の中はしっくいの塗ってあるレンガ張りで、二人の位置からようやく中が見える小窓からは殺風景な部屋が見えた……室内には手術台のような拘束具つきの台が置かれていて、周囲には時間が経って赤茶けている血の染みが飛び散り、天井からは鎖付きの手錠もぶら下がっている……吊るされた鎖から届く範囲の壁は犠牲者が痛みのあまり爪を立てたらしく、しっくいが剥げ落ちている…


ドロシー「で、情報は届いたか?」

アンジェ「ええ…後は私たちが片づければいいわ」

ドロシー「分かった…それじゃあちせを救いに行こうぜ?」

アンジェ「待って…見張りは?」

ドロシー「なし。変にうろちょろしてると怪しまれるからだろうな」

アンジェ「…侵入ルートになりそうなのは?」

ドロシー「やっぱり裏口だろうな…鍵はかかっているだろうけど」

アンジェ「了解……それじゃあ行くわよ」Cボールを使ってひらりと飛び降りる二人…

………



121 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/11(月) 01:17:49.35 ID:8WNUnJLU0
…室内…

ちせ「むぅぅ……ん」

黒マント「お目覚めかね、東洋人のお嬢さん?」

ちせ「…」


…ちせは上に来ていた小間使い風の衣服をはだけられ、かぼちゃ袖のついた上下つなぎの下着姿で「手術台」に繋がれている…室内にはかな臭い血の臭いを上回る勢いで、インクや紙の強い臭いが漂ってくる……ちせを見おろして紳士風の話し方をする相手は、シルクハットに口元まで覆った襟の高いマントを着ていて、表情まではよく分からない…


黒マント「ふむ…私も最初は君の事を、ただの下働きや小間使いの東洋人だと思ったが……いろいろ調べさせてもらうとなかなか興味深いことに気が付いた…」

ちせ「…」

黒マント「…まず柳のバスケットはそこまで使い込まれていないし、着ているものも古着らしく擦れてはいるがそこまで汚れていない……それに君も貧相な身体ではあるが、髪もよくとかされていて身体も汚れていない…こんな下町の下女にしてはいい待遇だ…違うかね?」

ちせ「…」(余計なお世話じゃ…にしても、ここは一体どこじゃろう……アンジェたちは無事にここを見つけることができたじゃろうか…?)

黒マント「それに普通なら悲鳴を上げるか失神するか…それなりの反応を見せてくれるはずが、そっと周囲を観察して機をうかがっている……実に肝が据わっているよ」

黒マントB「…あの」

黒マント「まぁ待ちたまえ……それに君の身体のバランスは左右で微妙にずれている…普段は左の腰に何を差しているのか気になるところだ……おっきな大砲かね、それとも東洋人の大好きな刀かな?」

ちせ「…」

黒マント「まぁいい……それもおいおい分かることだ…君」

黒マントB「はっ」

黒マント「準備にとりかかれ」

黒マントB「はい」

黒マント「さて、と…ではそろそろ吸血鬼のタネ明かしと参ろうかな?」シルクハットを脱いでマントの留め紐を解くと、隅にあるコート掛けにきちんとかけた…

ちせ「…」

初老の紳士「私の事をご存じかな?…ここの印刷所を始め、このフリート街にいくつか会社を持っている者だよ」

ちせ「…」ゴーストグレイの髪に笑っているような口もと…が、冷たいブルーグレイの目は冷徹で感情らしいものはかけらもない…感情に左右されない分アクシデントにも機敏に対応できる手ごわいタイプ……と、ちせは見て取った

紳士「さてさて…どうやら君は以前「話を聞いた」連中のお仲間らしいからある程度はご存じだろうが……一応説明しておこう」

ちせ「…」

黒マントB「用意できました」

紳士「結構……今からちょっとばかり首筋がチクリとするよ…注射は嫌いかね?」

ちせ「…」

紳士「まぁ好きなものはいないだろうね……だが安心したまえ、針と言うやつは差すときと抜く時が一番痛いのだが…君はそのうちの片方だけしか感じずに済む」…返り血が点々と残っている革の前掛けに絹の長手袋をすると、針の先端を丁寧にアルコールで拭った…

ちせ「…っ」

………



122 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/11(月) 02:21:26.42 ID:8WNUnJLU0
…数分前・裏口…

ドロシー「私が見張ってる…急げよ?」

アンジェ「開いたわ」キーピックを差しこみ静かにしていたが、数秒もしないうちに裏口を開けた…

ドロシー「よし…それじゃあ行こうぜ」音がしないようにと、ガーターベルトに仕込んだ鞘からスティレット(刺突用の針)を抜いた…

アンジェ「…ええ」アンジェもスティレットを抜き、背の高いドロシーが援護できるよう前に立って歩き出した…



見張り「……まったく、この作戦が始まってからは昼夜逆転でやりきれねぇな」前後反対にした椅子の背に、あごをのせて腰かけている…

見張りB「そう言うな、何しろこちとらはロンドンを騒がす「ウワサの吸血鬼様」なんだからな……」

見張り「そうは言っても女まで「血抜き」にかけるなんて……あの人が近くにいないから言うけど、あんまりいい気分じゃないぜ?」

見張りB「しーっ!……お前は諜報部のくせに思った事をペラペラと…お前のお袋はおしゃべりな庭のアヒルか?それとも口から先にでも生まれたのか?」

見張り「悪かったよ…あ、ちょっと手洗いに行ってくる」

見張りB「…いいけど見つかるなよ……とばっちりで怒られるのは嫌だからな?」

見張り「ああ…まったく、何もあんなに言うことはないだろ……」

ドロシー「だよな…ま、これで静かにできるさ」後ろから羽交い絞めにすると口もとにハンカチを当て、心臓を一突きした…

アンジェ「片付いた?」

ドロシー「…静かになってるよ」

アンジェ「結構…それなら急ぎましょう。さっきの口調だともう尋問が始まっているかもしれない」もう一人を片づけて、相手のネクタイでスティレットを拭うアンジェ…

ドロシー「ああ……尋問は相手を捕まえた直後が一番「落としやすい」からな…」愛用の「ウェブリー&スコット」リボルバーを抜くと足音を立てずに速足で歩き出した……

…廊下…

見張りC「…ぐぅっ……!」

アンジェ「どうやら…ここのようね」

ドロシー「ああ、血の臭いがしやがる……いいか?」

アンジェ「いいわ」…いつもの「ウェブリー・フォスベリー」ピストルを抜いて、かちりと撃鉄を起こすアンジェ……

ドロシー「…それじゃあやってくれ」

アンジェ「ええ」ドアを蹴り開け、室内に転がり込むアンジェ

助手「うわっ!」

紳士「…くっ」一瞬のうちにホルスターに差していたリボルバーを抜き、撃鉄を起こす…

ドロシー「…っ!」バンッ!…狭い室内で爆発のように大きく響く銃声……肩から血が噴きだし、リボルバーがぽろりと床に落ちる

助手「…この!」

アンジェ「…遅い」バン、バンッ!…助手に二発撃ちこんで始末すると、「紳士」の手から落ちたピストルを部屋の隅に蹴り飛ばして、離れた場所から銃を突きつけた…

ドロシー「おい、大丈夫か?」

ちせ「うむ……どうやら「吸血」はされずに済んだ…ずいぶん早かったの?」

ドロシー「当たり前さ、仲間がこんな連中の手にかかってるのに黙ってられますかっての……それと、任務とはいえ悪かったな」手足に付けられたリングを外しつつ謝るドロシー…

ちせ「構わぬ、これも定めじゃからな……」そう言いつつも、西洋ならではの現代的な医学と科学を駆使した尋問にゾッとしているちせ…珍しく顔が青ざめ、かすかに震えている……

ドロシー「無理するなよ…あ、あとこれを」ちせの太刀を差しだすドロシー

アンジェ「こっちも持って行って…私には邪魔だから」ぴたりと銃の狙いを定めたまま、片手で脇差を渡すアンジェ…

ちせ「うむ…これで人心地ついた気分じゃ」

ドロシー「よし…それじゃあこのロクデナシはここに閉じ込めて、残りを片づけようぜ?」

アンジェ「そうね…ありがたいことにこの建物はレンガの壁が厚くて防音になっているようだし……」まずはスティレットで「紳士」の手足の腱を切ると、舌を噛み切って自殺することができないようネクタイで猿ぐつわをし、その上で手術台に大の字に寝かせ、手錠と足輪をかけるアンジェ…

ちせ「うむ、では参ろう…!」ドロシーが服の下に包んできてくれていた着物を身につけると、刀の鯉口を切った…

ドロシー「あぁ、本命は捕えたからな…あとは一人も逃がさないようにすればいいだけだ」

123 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/11(月) 13:43:05.55 ID:czN9O8Iio
124 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/06/16(土) 01:25:07.35 ID:xaeY1CgR0
>>123 コメントありがとうございます…遅くなりましたがまた投下していきます
125 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/16(土) 02:17:12.09 ID:xaeY1CgR0
…建物内…

王国エージェント(ベテラン)「くそっ…ジャック、マシュー、トミー、向こうへ!」ワイシャツにぴったりしたグレーのチョッキを着て、肩に「ウェブリー・スコット」リボルバーのホルスターを吊るしている老練なエージェント…銃声が響いた瞬間に仮眠用のベッドから飛び起き、矢継ぎ早に指示を飛ばす…

王国エージェント(若手)「了解!」

中堅「ハリー、モーガン、ナイジェルは尋問室へ急行!」

王国エージェント(中堅)「はっ!」それぞれピストルを持った王国諜報部のエージェントが靴音を響かせて駆け出していく…

ベテラン「マイルスは通信機を立ち上げて本部に警報を入れ、ヘンリー…お前と私は通信が終わるまでここを守る!」

王国エージェント(中堅)「了解」

…廊下…

アンジェ「……来たわね」

ドロシー「ああ、足音からすると……三人だな」4インチ銃身のウェブリー・スコットを抜くと、木箱の陰に身をひそめた…

若手「……マシュー、敵は見えるか?」

若手B「いや…どこにもいないぞ」

若手C「しー…声を出すな……」

ドロシー「あれだけ足音を立てておいて…今さら黙ったって無駄だっての」バンバンッ、バンッ!

若手「がはっ…!」

若手B「ぐぁぁ…っ!」

アンジェ「ふっ…!」バンッ、バンッ!

若手C「ぐあっ!」

ドロシー「よし、片付いたな……まだこいつは息がある」

若手「うっ…うぅぅ……た、頼む…助けてくれ……」

アンジェ「仲間は何人いる?……教えてくれるなら傷を見てあげるわ」

若手「うぐ…っ……この班を入れて十二…人……」

ドロシー「ふぅん…思っていたより多いな」

アンジェ「そうでもないわ…実際に誘拐を行う三人、監視・予備グループが一つでもう三人…控えが三人に、尋問係とその助手…あとは雑用係兼連絡役が一人って所ね」

ドロシー「してみるとこいつの言うことはあながち嘘でもない…か?」

アンジェ「ええ、そうね」

若手「ごほっ……頼む、しゃべったか…ら…」壁にもたれて咳き込んでいる…と、アンジェが額にウェブリー・フォスベリーを向けた…

アンジェ「…スパイは嘘をつく生き物よ」バンッ!

ドロシー「ああ…それに可愛いちせにあんな真似をしてくれたんだ…それ相応の目にあってもらわないとな」手早く残りのエージェントにも「とどめの一発」を撃ちこみ、中折れ式のシリンダーを開いて弾を込め直す…

アンジェ「…ドロシー、任務に私情を挟むと周りが見えなくなるわよ」

ドロシー「あぁ、悪い…どうもちせを見てると小さい頃を思い出すみたいで、穏やかじゃいられないんだよな……」

アンジェ「だったらなおの事よ」

ドロシー「あぁ、そうだな…ちせは「出来る」けど、今はまだ身体がすくんでるはずだ……急ごう」

………
126 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/16(土) 03:33:52.31 ID:xaeY1CgR0
…尋問室からの廊下…

中堅「…」指と手のハンドサインだけで指示を出し、慎重に廊下を進むエージェント…前の二人が廊下の端を歩いてお互いをカバーし、後ろの一人が数歩遅れて援護射撃できるように歩いている……角からはす向かいの場所を撃ちやすいよう、左側を歩くエージェントは右手に、右側を歩くエージェントは左手にピストルを持っている…

中堅B「…」(こっちだ)

中堅「…」(分かった…お前は援護しろ)

中堅C「…」(了解)

中堅B「……あっ!」さっと6インチ銃身の「モーゼル・ピストル」を構えて廊下に飛び出す中堅…

ちせ「…ふんっ!」たたたっ…と駆け込むと、抜き打ちで腰から肩にかけて切り上げる…鮮血がほとばしり、刃の表面を球になって流れる……

中堅B「ぐぅぅ…っ!」

ちせ「…!」そのまま身体を屈めて相手の下を潜り、続く一太刀で援護役を袈裟懸け(けさがけ)に切り倒す…

中堅C「がは…っ!」

中堅「ぐっ…!」バンッ!…素早く身体を回して一発撃ったが、それまでの訓練や任務では見たこともない小柄なちせに照準が狂い、ウェブリーの弾は頭上にそれた…

ちせ「ふん…っ!」真っ向から竹割りで叩き斬るちせ……刀を拭うとまた鞘に納め、走りやすいように収めた太刀を手に持った…

…通信室前…

ベテラン「どうなんだ、マイルス…通信機はまだ温まらないのか?」…通信室は印刷機が並んでいる大部屋の脇にある事務所風の小部屋で、ベテランと中堅のエージェントがドアの陰から様子をうかがっている……大部屋は暗く、印刷機やインクの缶、紙の束や木箱が雑然と並んでいて見通しが悪い…

中堅D「…はい、もう少し……」

ベテラン「…夜じゃ鳥目になるから伝書鳩も飛ばせんしな……ヘンリー、ジャックたちは?」

中堅E「いえ、戻って来ません」

ベテラン「なるほど…共和国の連中、最初からそのつもりであの東洋人娘を送り込んできたな……抜かるなよ」

中堅E「はい」

ちせ「…」

ベテラン「…ヘンリー、援護を頼む!」3インチ銃身のウェブリーを抜き、一発ずつ冷静に撃ちこむ…

ちせ「…っ!」壁沿いに積まれた印刷用インクが入った亜鉛張りの缶に身体を寄せ、再装填のタイミングを待つが、二人が交互に射撃を続けているので好機が得られない…

…反対側の隅…

アンジェ「……ちせが足止めされているわね」

ドロシー「…ああ、なら助けてやろうぜ」…にやりと不敵な笑みを浮かべるドロシー

アンジェ「そうね……出るわ!」バンッ、バンッ!

ベテラン「…っ、左だ!」

中堅E「ぐうっ!」

ベテラン「そこだ…っ!」

アンジェ「…ふ」アンジェが盾にした木箱へ、立て続けに銃弾が撃ちこまれる…と、かすかに微笑したアンジェ

ちせ「…はぁぁっ…っ!」一瞬の隙をついて飛び出し、渾身の一撃を見舞う…

ベテラン「……ごふ…っ!」

中堅D「あっ…!」

ドロシー「…」バン、バンッ!

アンジェ「…どうやら通信は発信されていないようね……」

ドロシー「ああ…ちせ、無事か?」

ちせ「うむ…この男は出来る相手じゃったな」

ドロシー「……私たちほどじゃないけどな」

アンジェ「そうかもしれないわね……あとはこちらの処理班と入れ替わりに撤収すればいいわ」

ドロシー「だな…ま、これで「フリート街の吸血鬼騒動」は一件落着……と」

ちせ「うむ…」

ドロシー「それと…あとで風呂に入れよ、ちせ?インクと返り血でエライことになってるぞ?」

ちせ「…そうじゃろうな」
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/16(土) 12:55:52.32 ID:w+mgGI4+O
貴重なプリプリスレ支援
出来れば劇場版までずっと続けて
128 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/17(日) 00:55:12.34 ID:+LbiLgi70
>>127 ありがとうございます。プリプリの百合ssは少ないので、せっかくなら書いてみようと……引き続き頑張ります(劇場版まで…?)

…「プリンセス・プリンシパル」は十九世紀末のスチームパンク×スパイ物と言うことで、霧深いロンドンのダークな雰囲気と、独自のガジェットや世界観が秀逸ですよね……時々「参考資料」として怪奇小説の「モルグ街の殺人事件」や「盗まれた手紙」、国際謀略物の小説などで雰囲気を作っています(笑)…


…あとは他にも「アトリエシリーズ」や「P3P」などで百合ssを書きたいところですが…遅筆なのでパンクするのが関の山とまだ自重しています…
129 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/17(日) 02:17:42.25 ID:+LbiLgi70
………

…しばらくして・寮の部室…

ドロシー「…お疲れ、アンジェ」

…ソファーに腰かけて膝にボロ布を広げ、ウェブリー・スコットのシリンダーを外して試験管洗いのようなブラシを突っこんでいるドロシー…いくら新式の無煙火薬を使うモデルとはいえ、シリンダーや銃身には燃焼かすや汚れが溜まっている……シリンダーを壁のランプに向けて透かして見ると、また改めてブラシを突っこみ、掃除を続ける…

アンジェ「あの程度何でもないわ…ドロシーこそ疲れたでしょう」

ドロシー「なぁに、私は平気さ……それよりちせだ」

アンジェ「ええ…さっきは抜き身を持ったまま警戒しているふりをして、私たちには気づかれないようにしていたけれど……あの最後の一人を片づけた後、手がこわばっていたものね…」

ドロシー「ああ…ちせほどの使い手が「初めての時」みたいに、手がこわばって指が開かないなんてな……あの尋問官の奴、可愛い「ちせたん」をどんな目に合わせやがったんだか……コントロールの尋問官にかかって、同じ目に合えばいいんだ」

アンジェ「ドロシー、いい歳して「ちせたん」はやめなさい…かなり痛いわよ?」

ドロシー「うっさい!……とにかくちせはかなり参ってるぞ…」

アンジェ「分かってるわ……それで彼女は?」

ドロシー「ベアトリスがボイラーを動かしてお湯を沸かしてるから、「先に入れ」って言っておいた…あんな目にあったし、そう言う時は身体が冷え切ったような気がするからな……終わったら私もシャワーを浴びようかと思ってるよ」

アンジェ「それがいいわね…それじゃあ様子を見て来るわ」

ドロシー「ああ、それがいい……それに私は火器のメンテをしなきゃならないしな…良ければやっておいてやるけど?」

アンジェ「…そう言うのは自分でやらないと落ち着かないのは、貴女が一番よく知っているでしょう?」

ドロシー「ああ…正直言うと、誰かに触られるのも嫌だ。どんな細工をされるか分かったものじゃないしな」

アンジェ「つまりそういう事よ……でも、気持ちは受け取っておくわ」

ドロシー「いいんだ…私もアンジェに「感謝してる」って気持ちだけ伝えたかったから」

アンジェ「ええ、伝わったわ」

ドロシー「そっか…じゃあ私なんかに構ってないで、ちせの所に行ってやれよ♪」

アンジェ「ええ…お休み」

ドロシー「ああ」

…浴室…

ちせ「……く、何と無様なことよ…「明鏡止水」の精神で臨むべき時に恐怖で手がこわばってしまうなど、剣士として未熟もいい所じゃ…」熱いシャワーの下に立っていながらも背筋には冷たい感覚が残り、まだ手足を拘束され欧州の「洗練された」尋問を受けそうになったおぞましさと恐怖を感じている……じっと手を見ると、まだかすかに震えていて止まらない……

ちせ「…こんな時、父上ならどうしていたのじゃろう……あるいは「白鳩」の皆は…」

ベアトリス「……どうですかぁ、ちゃんとお湯になってますかー?」

ちせ「うむ、快適じゃ……ベアトリスとて暗殺者や尾行の恐怖に耐えて頑張っていると言うのに…私は何とだらしない……」

ベアトリス「それじゃあお休みなさい」

ちせ「うむ…」タオルで髪を拭き、ベアトリスから着替えを受け取ると、口数も少なく部屋に戻る…

…ちせの部屋…

ちせ「…むむ…平常心、平常心じゃ……」ベッドの上で座禅を組み、ぶつぶつと念仏を唱えてみたり剣術の形をおさらいしてみるちせ…が、何度やっても冷たい手術台に乗っていた時間を脳内で再生してしまう……

ちせ「…くっ、一体どうしたと言うのじゃ……座禅を組んでさえ、いつもの澄み切ったような感覚が戻って来ぬとは……誰じゃ?」

アンジェ「私よ、ちせ」

ちせ「アンジェどのか……済まぬが今はちと…」

アンジェ「邪魔して欲しくない?」

ちせ「…うむ」

アンジェ「申し訳ないけれど、私もそのことで来たの」

ちせ「ふぅ……察しの良いアンジェとドロシーじゃから、薄々気付いてはおるじゃろうと思っておった…入ってくれ」

アンジェ「失礼するわね」

ちせ「…アンジェどの、今日はあのような有様で情けない限りじゃ……どうかだらしのない私を笑ってくれぬか…」

アンジェ「ちせ」

ちせ「…なんじゃ」

130 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/18(月) 13:34:21.41 ID:7FqG3QuMo
131 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/19(火) 01:45:53.99 ID:HLj5+czc0
アンジェ「私やドロシーがあなたを笑う訳がないでしょう」…ぎゅっ

ちせ「!?」

アンジェ「仮にもし「恐怖を感じない」なんて言うエージェントがいたら、それは異常者か、さもなければよほどの強がりかのどっちかよ……私だって銃の狙いが定まらないほど震えたこともある…」ベッドに腰掛けて、横に座っているちせを優しく抱きしめるアンジェ…

ちせ「そ、そのような同情は要らぬ……アンジェは私がおびえているのを知って、使い物にならなくなると困るから…そういう慰めを言うのじゃろう?」

アンジェ「いいえ…今の私はお互いに玄人(プロ)の工作員同士として話をしているわ」

ちせ「…まことか」

アンジェ「ええ…黒蜥蜴星人でも怖いものは怖いわ」

ちせ「そ、そうか…じゃが、私はあの時……まるで青二才の剣士のように手がこわばって…う、うぅ……」

アンジェ「ちせ、あなたは十分頑張った…私だって、あの状況におかれたら恐怖で身体がすくんだかも知れない」

ちせ「……ぐすっ…かたじけない…」

アンジェ「構わないわ…ここは安全な場所よ。聞き役が私でよければ、吐きだせる限りの気持ちを吐き出してごらんなさい」

ちせ「…うむ……実を言うと…あの台に拘束されて尋問を受けそうになって、もし二度とアンジェたちと出会えないようなことになったら……そう思ったらむしょうに寂しく思ったのじゃ…」

アンジェ「…ちせ」

ちせ「おかしいじゃろう?…仮にも間諜として訓練をうけた私が、情報を吐くことよりも、再び生きて朋友に会えるかどうかを不安に思うなど……」

アンジェ「…んっ///」

ちせ「んっ、んんっ…!?」

アンジェ「おかしくないわ……むしろスパイだからこそ「仲間」をもっとも大事にするものなのよ……あむっ、ちゅっ……んちゅ…っ…」薄く冷たいアンジェの唇が、まだわなわなと震えこわばっているちせの唇にそっと重なる…

ちせ「ん…ふ……んむぅ…///」

アンジェ「…ちせ」ちせをベッドの上に押し倒すと、両腕をまとめて頭の上に持って行って片手で押さえ、着ていた浴衣をはだけさせる……

ちせ「アンジェ…その、本気なの……か…?」

アンジェ「…私に言わせる気?」

ちせ「い、いや…じゃが……その…」

アンジェ「んむっ、ちゅっ…ちゅぽっ、ちゅるっ……んちゅぅ…っ///」

ちせ「んんっ、んふぅ……んむぅ…///」

アンジェ「はぁ、はぁ、はぁ……んちゅぅぅっ…んちゅるっ、ちゅぽっ…ちゅくっ……ぴちゃ…」

ちせ「…んむっ、ちゅぅ…ちゅっ……んはぁぁ…んちゅぅぅ……はふっ、んはぁ…///」

アンジェ「んっ…んくっ…んぅぅっ……ちゅっ、れろっ…ちゅぱ……んちゅっ///」

ちせ「ふぁぁぁ、口づけとは……こんなに凄いものなのか…甘くて……腰が抜けそうじゃ……んむぅ、ちゅぅぅぅ…♪」

アンジェ「んちゅっ、ちゅるっ……れろっ、ぴちゃ…じゅるっ…ちせ、何も言わなくていい……今はただ私とキスして……怖かったことなど全て忘れて…」

ちせ「う、うむ…んふぅ、んふっ……はむっ、ちゅるっ…あふっ……///」

アンジェ「ん…ふっ……触るわね、ちせ」

ちせ「触る…って、一体どこを……んくぅぅ///」

アンジェ「…引き締まっていて、ちょうど手のひらに収まる大きさね……それに甘い匂いがするわ…」

ちせ「さ、さっき石けんで洗ったからじゃろう……ん、んぅぅっ///」

アンジェ「ん、ちゅぱ…ちゅぅぅ……ここはきれいな桜色ね…」

ちせ「い、いちいち言わずともよい…あっ、あっ、あぁっ///」

アンジェ「……それじゃあ黙ってするわ…んっ///」ちせにまたがりふとももの間を重ね合わせ、相変わらずのポーカーフェイスを少しだけ紅潮させてゆっくりと前後させる…

ちせ「はぁっ、んっ、あっ……んあぁぁっ…///」

アンジェ「んっ、ふ……んくぅ…///」にちゅっ、くちゅ…と湿っぽい水音が、灯りを弱めているちせの部屋に響いた……
132 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/21(木) 01:55:22.96 ID:xnK2Y7oF0
…数十分後…

ちせ「…あっ、あっ…んあぁぁ…っ!」

アンジェ「はぁ、はぁ…んっ、んんっ……!」

ちせ「……はぁ…はひぃ……ふぅ…」

アンジェ「ふぅ…それじゃあ今度は「ここ」を責めさせてもらうわね……ん、じゅるっ……///」足下に這いずっていくと、ちせの脚の間に顔をうずめるアンジェ……

ちせ「一体どこを…?…んっ、あぁぁっ!?」

アンジェ「ぴちゃ…じゅる、じゅるぅっ……静かにしないと寮監に気づかれるわよ?」

ちせ「…んっ、くぅぅっ……アンジェ、おぬし一体何を考えておるのじゃ…!?」

アンジェ「さぁ」

ちせ「ん、んぅぅ…こ、こんなみだらな真似をしておきながら「さぁ」で済むわけが……んぁぁ、んっ、んっ……んっ、くぅぅっ///」

アンジェ「それじゃあ指の方がいいかしら…大丈夫、技術にかけてはドロシーのお墨付きよ」

ちせ「お、おぬしらは一体どんな関係なのじゃ……んふぅぅっ///」シーツの端っこを噛みしめ、必死になって声を抑えるちせ…小さい身体がひくついて海老反りになるたびに、上にまたがったアンジェを持ち上げる……

アンジェ「私がまたがっているのに…見事な筋力ね」

ちせ「か、感心してないではよう止め……んぁぁぁっ///」

アンジェ「さてと…それじゃあ今度は向きを変えて……タロットカードなら逆位置ね」ちせと互い違いになるように寝そべったアンジェ…

ちせ「…な、なんのつもりじゃ///」

アンジェ「聞かなくたって想像はつくでしょう?」

ちせ「う、うむ…確かに今までのアレコレを考えればおおよそ想像はつく……が、実際にするとなると…その……///」

アンジェ「じゃあいいわ。ちせがしてくれるまで私はどかないから」

ちせ「正気か!?」

アンジェ「ええ。別に私だってあなたに「ご奉仕」してあげるために来たわけじゃないわ…スパイの世界で自分に利益のない取引はあり得ない」

ちせ「む、むぅぅ…いきなり押しかけて来て、勝手に始めておきながらこの言いぐさよ……なんという手前勝手な言い分じゃ…んんぅ、んっ…///」

アンジェ「文句があるなら私を満足させなさい…そうしたらさっさと帰ってあげるから」

ちせ「……致し方ない、では……参る!」

アンジェ「それでこそよ……んっ、ん…ぴちゃ、ちゅるっ…」

ちせ「んぅ…ここを舌でまさぐってやればよいのか……間諜の技術はいろいろ教わってはきたが、房中術は入っていなかったからの……ん…っ///」くちゅくちゅっ…ちゅるっ……

アンジェ「それにしては上手よ…んぅぅ、んふ……っ」

ちせ「そうか。ならば…一気にたたみかけてくれよう!」

アンジェ「んっ、んんっ……あっ、あっ、あっ…!」

ちせ「…おぉぉ、この…真珠色をしたアンジェの秘所が……ぬらぬらと濡れて…んむっ、じゅるぅ……んちゅぅぅ///」

アンジェ「んぁぁぁ…あふっ、あんっ……んっ、くぅぅぅっ♪」びくっ、びくんっ…とろ……っ♪

ちせ「……なんじゃ、存外あっけないの…アンジェは「その道」でも達人だと聞いておったが、拍子抜けじゃな…?」

アンジェ「はぁ、ふぅ…あんっ……ちせ…私もう……」

ちせ「……ふぅ、ならばもう出て行ってくれぬか…今夜は芯が疲れる晩であったし、明日も早いのじゃから……」

アンジェ「…「腰が抜けちゃって立てないの」……とでも言うと思ったのかしら」

ちせ「…何?」

アンジェ「ふぅ…今から私が、本気で身体の芯までとろけさせてあげるわ……それこそ声も出ないほどにね」

ちせ「な、何じゃ……この恐ろしい殺気は…」

アンジェ「……ちせは楽にしているといいわ…終わったら勝手に出て行くから」

ちせ「…い、嫌じゃ…近寄るでない!」

アンジェ「逆らっても無駄よ」くちゅり…じゅぷっ……♪

ちせ「あっあっあっ……んっ、あぁぁっ…♪」

………
133 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/21(木) 02:32:20.54 ID:xnK2Y7oF0
………



ちせ「はひぃ…腰が……何と甘美な…んくぅ…///」くちゅ…くちゅっ♪

アンジェ「ふふ…育成所時代の初心だったころのドロシーもそんな具合だったわ」

ちせ「何…あのドロシーがか?」

アンジェ「ええ…甘ったれた顔をして、腰をがくがくさせながらね……耳たぶを甘噛みしながらささやいてあげたら、蜜を垂らして悦んでいたわ…」

…浴室…

ドロシー「…へっくし!」

ベアトリス「大丈夫ですか?…ボイラーの火力を調節しましょうか?」

ドロシー「いや、平気だ……うー、今夜は冷たい屋根の上で腹ばいになってたりしたからなぁ……それとも、誰か噂でもしてやがるのかぁ…?」

ベアトリス「ふふっ、いつも授業をさぼったりしてるからじゃないですか?」

ドロシー「なんだとぉ、このちびっこが♪」

ベアトリス「うわっ…もう、お湯を跳ね散らかさないで下さいよ!……それに静かにしておかないと、寮監に見つかっちゃいますよ?」

ドロシー「はは…寮監に捕まるほどドジじゃないっての♪」

ベアトリス「それはまぁ、そうですけど……私も寝たいですし、そろそろ上がってくれませんか?」

ドロシー「お、悪ぃな…それじゃ上がるから、ボイラーの火を落としてくれ」

ベアトリス「はい。それじゃあお休みなさい」

ドロシー「ああ、お休み……それにしても、アンジェは上手い事ちせを慰められてるかな…って、アンジェの事だから心配はいらないか。軽くブランデーでも引っかけて、とっとと寝よう…っと♪」

………

…ちせの部屋…

ちせ「ふぁぁぁ…あふっ、んぁぁ///」

アンジェ「これがいいみたいね……きゅうっと締め付けて来るわ…」

ちせ「い、いちいち言わずともよい…恥ずかしいじゃろうが…ぁ///」

アンジェ「…こんなので恥ずかしがっているようでは、ドロシーみたいな役回りはおぼつかないわね…もっとも、逆に初心な所がそそるかも知れないけれど……」くちゅっ…♪

ちせ「あっ、ふわぁぁ…///」

アンジェ「すっかりとろとろね…もうそろそろおしまいにしようかしら」

ちせ「……と…」

アンジェ「何か言いたいなら、はっきり言ってちょうだい」

ちせ「…もっと……して欲しいのじゃ…///」

アンジェ「そう…ならもうちょっといてあげるわ……私も人恋しい気分だから…」

ちせ「んむぅ…ちゅぅぅ……♪」

アンジェ「んちゅ…ちゅっ♪」


………

134 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/21(木) 05:21:41.46 ID:Wmqgk04co
135 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/25(月) 01:56:05.45 ID:sYEs481N0
…翌日…

ちせ「うー…昨夜は気の迷いとはいえ……なんということを…///」

ベアトリス「…さっきからちせさんは何をぶつぶつ言っているんでしょうね?」

ドロシー「ま、色々あったんだろ…聞かなかったふりをしてやれよ?」

ベアトリス「私は別に……でも、気になりませんか?」

ドロシー「お、ベアトリスも周りの物事に注意を払うようになってるな……スパイらしい感性が身についてきたじゃないか♪」

ベアトリス「えー、こんなことがですかぁ?」

ドロシー「バカ言え。その「こんな事」って言うような事が、この世界じゃ意外と役立つんだよ」

ベアトリス「そんなものですか?」

ドロシー「ああ。私だって「犬のしつけ方」から「ゆで卵の見分け方」まで何でも頭に入ってるぜ?」

ベアトリス「それがどんな役に立つのかはさておき…ちせさん、ずいぶん顔を紅潮させていますね」

ドロシー「ありゃきっと何か恥ずかしい事を思い出して真っ赤になってるクチだな……それにしてもあのちせがねぇ…やっぱりアンジェはけた違いだな」

アンジェ「ドロシー、私がどうかしたの?……おはよう、みんな」

ドロシー「何でもないさ。おはようさん」

プリンセス「おはよう、アンジェ♪」

ベアトリス「おはようございます、アンジェさん」

ちせ「お、お早う……うぅぅ…///」

アンジェ「みんな、昨夜はご苦労さま……コントロールからもメッセージが届いているわ」アルビオン王国の主要紙「アルビオン・タイムズ」の、小さな広告欄を指差した…

ドロシー「どれどれ…えーと「売家あります…面積一エーカー、造作、庭付き、状態良好。雨漏りなし」か」

アンジェ「ええ…『売家』が対象人物、『造作・庭付き』は対象が役に立つかどうか…『状態良好』は読んで字のごとしね……それに『雨漏りなし』とあるから、こちらへ王国情報部の手は及んでいない……結構な成果ね」

ドロシー「やったな…ま、今回はあちらさんもアラが目立ってたしな」

アンジェ「王国諜報部と、王国防諜部……ノルマンディ公に近い立場の防諜部に対して、王国諜報部が手柄を立てようと焦ったのね」

ドロシー「その辺の縄張り争いみたいなのはどこの国も変わらないさ……それより見てみろよ♪」新聞をテーブルの上に広げてうさんくさいゴシップ記事を突っついた…

ベアトリス「…えー「またも吸血鬼騒動か、フリート街で中堅新聞社のオーナー行方不明」ですって」

アンジェ「こっちのエージェントに「血抜き」をやっていたのはそいつよ…王国情報部から資金とニュースのネタを流してもらっているのだから、上手くいくに決まっているわよね」

プリンセス「ええ…それにしても王国情報部は、いつの間にこんなことにまで手を出すようになったのかしら」

アンジェ「おそらくノルマンディ公の動きの活発さに刺激を受けて、王国情報部も先鋭化しているのでしょうね」

ドロシー「結構なことで…ところでアンジェ、道具のメンテがらみで聞きたいことがあるんだけど…この後、少しいいか?」

アンジェ「ええ……どうしたの?」

ドロシー「…うまくいったか?」

アンジェ「ええ…私が色々としてあげたから、最後はすっかりとろとろの甘々で愉快な気分になっていたわ」

ドロシー「そっか……チームの状態を保つためとはいえ、悪かったな」

アンジェ「気にしないで、ドロシー…おかげで私も舌が軽くなって、色々ドロシーの弱点をしゃべらせてもらったから」

ドロシー「…おい、こら」

アンジェ「冗談よ」

ドロシー「はー…アンジェ、お前はポーカーフェイスが上手いから何でも本気に聞こえるんだよ……心臓に悪いから止めてくれ」

アンジェ「ええ、以後つつしむわ……ふー…♪」無表情のままドロシーに顔を近づけると、耳元に息を吹きかけた…

ドロシー「うひぃ!?…おい、ふざけんな…耳は苦手だって知ってるだろ///」

アンジェ「ええ……一応、再確認させてもらったわ」

ドロシー「…覚えてろよ。いつかぎゃふんと言わせてやるから」

アンジェ「いつでもどうぞ…勝てるならね」

ドロシー「やれやれだな…」肩をすくめて首を振った…
136 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/26(火) 15:37:13.83 ID:cvQxA0Mm0
…caseアンジェ×プリンセス「The princess and I」(姫様と私)…

…とある日・部室…

ドロシー「……うーん、新しい銃の申請はどうしようかなぁ……隠しやすいからってつい2インチとか3インチ銃身のばっかり申請しちゃうんだよなぁ…」ペンを唇の上に乗せ、天井を向いて思案している…

プリンセス「あの…ドロシーさん、少しお時間をよろしいかしら?」

ドロシー「何だい、プリンセス?」

プリンセス「ええ……ここでは少し話しづらいので、よろしければわたくしの部屋まで来ていただけませんか?」

ドロシー「ああ、いいよ…どうせ暇を持て余しているし、構いませんよ……っと♪」ひっくり返っていたソファーから跳ね起きると、プリンセスに続いて部屋を出た…

…プリンセスの部屋…

プリンセス「どうぞ、おかけになって?」

ドロシー「ああ、どうも……それで、話って言うのは?」

プリンセス「ええ…それがわたくしのプライベートにも関わることで、なかなか話せる相手もいなくて…それでドロシーさんに相談しようと……」

ドロシー「ほう…しかし信頼して打ち明けてくれる気持ちは嬉しいけどさ、そういう事だったらぞんざいな私なんかよりも、ベアトリスとかアンジェの方がいいんじゃないかな……特にアンジェはプリンセスの事がよく分かってるみたいだしさ」

プリンセス「実は、それが出来ないのでドロシーさんにお願いするんです……紅茶をどうぞ?」

ドロシー「…なんか悪いな、プリンセスに紅茶を淹れさせるなんて……」(アンジェやベアトリスにも打ち明けられない事でプライベートにかかわる…となると「チェンジリング作戦」絡みか王室関係の問題か……いずれにせよ重大なトラブルと見ていいな…)

プリンセス「いえ、わたくしもこうしたこまごましたことで手を動かすのは好きですから…♪」

ドロシー「それならいいんだけど……お、道理でいい香りがすると思った…フォートナム&メイソンのダージリン、ファースト・フラッシュ(一番茶)だ♪」

プリンセス「ええ、わたくしが自分に許しているちょっとしたぜいたくです…♪」

ドロシー「ははーん、それで分かった…実はお忍びで紅茶を買いに行きたいのに車がないと……よろしいですとも、私の運転でよければ乗せて行ってあげますよ♪」

プリンセス「いえ…そうではなくて…」ティーカップの水面に視線を落とし、浮かぬ声のプリンセス…

ドロシー「ふぅん…どうやら茶化していいような問題じゃないらしい……」いつもの皮肉っぽい不敵な笑みを消すと、椅子の上で姿勢を正した…

プリンセス「ええ…実は……」

ドロシー「…実は?」

プリンセス「……アンジェが本当に私の事を好きなのか、分からなくなってきてしまって」

ドロシー「…は?」

プリンセス「いえ、ですから…///」

ドロシー「いや、私の両耳はちゃんと聞こえているよ…だけどどうやら、脳みその方がまだ理解できてないらしくてね……」

プリンセス「そうですか…それで、ドロシーさんはどう思いますか」

ドロシー「アンジェがプリンセスの事を嫌いなんじゃないか…って?」

プリンセス「ええ」

ドロシー「そんなの天地がひっくら返ったってあり得ないね…もし間違ってたらこのティーカップをばりばり食ったっていい」

プリンセス「でも…」

ドロシー「そもそもアンジェはいつもあんなだし、ことさらに冷徹に感じるならそれもアンジェの愛情表現さ…「自分の愛する女性(ひと)を自分の気のゆるみで失くしたくない」ってね……それと業界が業界だけに「好き好き大好き♪」って触れ回ってて、それを敵方に使われたら困ると思ってるのさ…きっとアンジェの事だから、もし目の前でプリンセスが銃を突きつけられていたとしても、まばたき一つしないで助け出すための策略を練ると思うね」

プリンセス「そうでしょうか…でもあんまりたびたび「嫌い」って言われていると、何だか切ない気持ちになってきてしまって…」

ドロシー「あのポーカーフェイスだからなかなか分からないだろうけど…アンジェのやつ、プリンセスの前じゃかなり甘ったれてるぜ?」

プリンセス「…そうですか?」

ドロシー「ああ。アンジェが私たちに向ける表情と比べたら「桃とイチゴが一緒になって笑ってる」…ってな具合さ」(おいおい…まさかの惚気かよ……)

プリンセス「…お互いに背中を預け合ったドロシーさんの言うことですから本当でしょうけれど…でも、やっぱり寂しいです……」

ドロシー「あー…それならアンジェがベタベタの甘々になる「とっておき」の方法があるから、伝授しておくよ♪」

プリンセス「ええ、お願いします」

ドロシー「はいよ…ただし、私から聞いたってことは秘密にな…♪」

………
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/28(木) 04:52:14.45 ID:ylsKCAboo
138 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/30(土) 01:55:06.33 ID:Uici38xW0
…翌日…

アンジェ「……前回の作戦で得られたプロダクト(産物)の中から、コントロールが私たちに必要なものをまとめて寄こしたから読み込んでおくこと…それぞれ別の資料だから、読み終わったらお互いに回すようにして」

ベアトリス「はい」

ちせ「うむ…しかし事前に学習したとはいえ、英語を読むのはおっくうじゃな……なになに…『えむばしい』……?」

ドロシー「そりゃ「エンバシー」(大使館)じゃないのか?」

ちせ「おぉ、それじゃ…どうも横文字は読み方と綴りが一致しなくていかん」

ドロシー「ま、私らが「漢字」とやらを覚えるよりは簡単だろうけどな…プリンセス、そっちの資料は読み終わったかい?」

プリンセス「ええ、どうぞ……それじゃあ「アンジェさん」、わたくしにその資料を貸していただける?」

アンジェ「…ええ」

プリンセス「ありがとう、「アンジェさん」」

アンジェ「…」

ドロシー「それで…と、今度の目的は「ケイバーライト鉱石」の取引情報か……」

アンジェ「それが分かれば王国が建造する空中戦艦の隻数が予測できる…軍艦の建造には少なくとも数年かかるから、一度遅れを取ったらその間の劣勢はなかなか取り戻せないわ」

ドロシー「それだけじゃない…ケイバーライトの価格がどう上下するかで、『ザ・シティ』(ロンドンにおける商取引の中心地)、ひいてはアルビオン中の株式市場が動くからな……」

アンジェ「ええ…今やケイバーライト鉱石は石炭や鉄鉱石、それどころか金よりも価値があるわ」

ドロシー「だな……なぁベアトリス、読み終わったか?」

ベアトリス「待ってくださいよぉ…それよりドロシーさんってば、そんなに風にパラパラめくっただけで……ちゃんと覚えられてるんですかぁ?」

ドロシー「当然だろ?…信用してないなら私が回した方の資料から、何でも適当に質問してみな」

ベアトリス「えーと……それじゃあ今月の「王国先物取引」における、鶏肉の取引相場は…?」

ドロシー「ヨークシャー産の赤色プリマスロック種なら、モモ肉一ポンドで3ペンス…胸肉で2ペンス」

ベアトリス「むぅ……それじゃあジャマイカ島産胡椒が…」

ドロシー「よせよ…黒胡椒なら一オンス当たり2ポンドと半シリングさ♪」

ベアトリス「むむむぅ…」

ドロシー「あのなぁ、一体何年こんな事やってると思ってるんだ…いい加減「見たものを記憶する癖」ぐらい身についてるっての♪」

アンジェ「…それじゃあ先週末に通りがかった劇場でやっていた舞台は?」

ドロシー「あー…そりゃシェークスピアの「マクベス」だな……だろ?」

アンジェ「…その「マクベス」のポスター、地の色は何色だった?」

ドロシー「なに?…えーと、ちょいまち……確か緑だったな」

アンジェ「結構…歳の割に記憶は良いみたいね」

ドロシー「だーかーら、まだ二十歳のぴちぴちだって言ってるだろ!?」

アンジェ「怒りやすいのは老人になっている証拠よ」

ドロシー「……こんにゃろー…」

ベアトリス「ふふ、相変わらず仲がいいですね♪」

ちせ「そうじゃな…お互いに知り尽くしているからこそできる冗談じゃな」

プリンセス「ふふふ…っ♪」

ドロシー「まるで嬉しくないけどな……ははっ♪」

139 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/30(土) 02:38:14.62 ID:Uici38xW0
ドロシー「……それじゃあアンジェ、また後でな」

ちせ「続きはお茶の時間と言ったところか……しからばご免」

ベアトリス「それでは私はプリンセスのお召し物を用意してきますので…アンジェさん、また後で」

アンジェ「ええ……ところでプリンセス、ちょっといい?」

プリンセス「何かしら…「アンジェさん」?」

アンジェ「いえ……プリンセス、いつも通りにやってもらわないと周囲からの目線を集めることになるわ」

プリンセス「…「アンジェさん」わたくし、いつもと違いました?」

アンジェ「それは……いえ、何でもないわ…」

プリンセス「なら大丈夫ですね、「アンジェさん」?」(…王室の外交儀礼のように丁寧でよそよそしく……)

アンジェ「ええ…」

………

…ドロシーの部屋…

ドロシー「…で、第一段階はどうだった?」

プリンセス「ええ…やっぱり戸惑っているみたい…」

ドロシー「だろうな。まずはプリンセスに嫌われんじゃないかと思わせて、アンジェに精神的動揺を与える…相手を不安がらせ、疑心暗鬼の状態に陥らせるのはスパイの常道だからな」

プリンセス「でも、アンジェだってそうした「スパイのいろは」は知っているはずですよね?」

ドロシー「それが動揺しているんだから、アンジェの愛はホンモノってことさ。まさかプリンセスがそんなことをするとは思っていない…あるいは頭で分かっていても、感情が追いつかない……ってところかな?」

プリンセス「そうですか…でもどれくらい続ければいいのかしら……アンジェの不安げな顔を見ると、正直わたくしも辛いわ」

ドロシー「あんまり長くは続けないさ…アンジェにおかしくなられちゃ困るしな」

プリンセス「そう…よかった♪」

ドロシー「でもその間だけは完全に冷え切った態度じゃないと…何しろアンジェは表情から相手の気持ちを汲み取るのが上手いし」

プリンセス「そうね……ふっと思っていることを言い当てられたりするのよね」

ドロシー「ああ…プリンセスみたいに外国の腹黒い連中と外交で渡り合うのと、私やアンジェみたいに飲んだくれた親父とか、貧民街の親分に殴られたりしないようにしていたのと……案外似ている所があるのかもな…」

プリンセス「かもしれませんね……それで、次は「第二段階」ですね?」

ドロシー「ああ…この状態を数日続けて、ようやくその雰囲気に慣れてきたところで別な動揺を加える……ハニートラップに引っかかった相手へブラックメイル(脅迫状)を数日ごとに送りつけて、「いつバレるか」とか「証拠をばら撒かれるんじゃないか」…ってビクビクさせるようなもんかな」

プリンセス「…まぁ」

ドロシー「ふぅ…いくら相手が誘惑に弱かったとはいえ、この世界はそう言う後ろ暗い部分も多くてね……だから私たちみたいなスパイの事を「スプーク」(幽霊)って言うんじゃないかな?」

プリンセス「人を怯えさせるから?」

ドロシー「ああ…それに「足跡も残さない」しな♪」

プリンセス「なるほど……それでは「第二段階」の開始は…」

ドロシー「見極めが難しいが…早くて数日後かな」

プリンセス「分かりました……ですけれど、わたくしも早く元のようにアンジェと仲よくしたいです…」

ドロシー「まぁまぁ…オレンジを食べるのに皮ごと食べる奴はいないってわけでね……まずはしっかり下準備をしなくちゃ」

140 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/30(土) 10:48:24.93 ID:Uici38xW0
…数日後・寮の廊下…

アンジェ「…」(ここ数日プリンセスが妙によそよそしいわ…どうして私を避けるの、プリンセス…?)

アンジェ「…ふぅ」(…いいえ、プリンセスと私の関係はたとえ「白鳩」の中でも知られるわけにはいかないのだから、これでいいのよ……あくまでクールに、距離を保って…利用できる時は利用する…それでいいはずでしょう……?)

アンジェ「……?」(……部室から声…プリンセスとベアトリス……?)

アンジェ「…」一旦はドアノブを回して入ろうとした…が、思い直してしゃがみこむと、鍵穴から中の様子をのぞいた……

…部室…

ベアトリス「…さぁ姫様、紅茶をどうぞ?」

プリンセス「ありがとう、ベアト♪」

ベアトリス「わわっ!?…もう、私だって子供じゃないんですから、頭を撫でられたら恥ずかしいですよぉ///」

プリンセス「ふふふっ、いいじゃない……それにベアトったら、この間資料を読み込んでいた時に私の事を「姫様」じゃなくて「プリンセス」…って♪」

ベアトリス「あぁもう、その話を蒸し返すのは止めて下さい…だってドロシーさんとかみんな姫様の事を「プリンセス」って呼ぶから、つい……///」

プリンセス「これだけ私のお付きをしているのにつられちゃうベアト……可愛い♪」

ベアトリス「ひぁぁぁっ…///」

プリンセス「うふふ、私のベアト…ちょっとからかうとすぐ真っ赤になっちゃって……いじらしくて、本当に可愛い♪」角砂糖をつまみあげると口に入れてアメ玉のようにしゃぶり、それからベアトリスに唇を重ねた…

ベアトリス「ひゃぁぁ…っ……んんぅ///」

プリンセス「ん、ちゅぷっ……ふふ、甘いでしょう?」

ベアトリス「姫様…ぁ……///」

プリンセス「あら、そんなにとろけた顔をされたら私だって我慢できないわ…ん、ちゅぅ♪」

ベアトリス「んちゅ…んむっ、ちゅぅぅ……///」



アンジェ「…ふぅー…すぅー…」(…落ち着くのよ、アンジェ……プリンセスとベアトリスは敵だらけの王宮でお互いに支え合う仲…秘密を打ち明けたり、寂しさを慰め合っている間にこんな関係になっていたとしても、何もおかしくないわ……)

アンジェ「……ふー…失礼するわ」(…どうやら終わったようね)

ベアトリス「!」

プリンセス「…あら、「アンジェさん」…どうかなさったの///」ソファーの上で身体を寄せ合っていたが、慌てて離れる二人……一瞬口の端からつーっと銀色の糸が伸びた……

アンジェ「いいえ」

ベアトリス「…あっ、あの///」

アンジェ「何?」

ベアトリス「よ…よろしかったらお紅茶でもいかがですか?」

アンジェ「そうね、頂くわ……それとベアトリス」

ベアトリス「な、何でしょうか…///」

アンジェ「前回の資料、まだ暗記出来ていないでしょう……プリンセスのお世話も大事でしょうけれど、優先順位を間違えないで」

ベアトリス「は、はいっ!」

アンジェ「分かったなら行動に取りかかりなさい」

ベアトリス「え、えーと…あわわっ」ティーカップを持ったままあたふたするベアトリス…

アンジェ「紅茶は自分で注ぐからいいわ……慌てないで順番に行動しなさい」

ベアトリス「すみません…っ!」

アンジェ「謝罪なんて必要ない…その分の時間を有効活用しなさい」

ベアトリス「ごめんなさ……いえ、分かりました」

アンジェ「結構」気を静めようとウェブリー・フォスベリーの手入れをし始めるアンジェ…が、時折プリンセスがベアトリスに向けて微笑んだり、それとなく親しみを込めた仕草をするたびに気に障った……

アンジェ「もういいわ。紅茶をごちそうさま…ベアトリス、資料は明日までによく読み込んでおくこと」

ベアトリス「分かりました、アンジェさん」

プリンセス「それでは「アンジェさん」…また後でお会いしましょう」

アンジェ「…ええ」
141 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/30(土) 11:13:06.91 ID:Uici38xW0
…さらに数日後…

ドロシー「…どうしたよ、アンジェ」

アンジェ「何が?」

ドロシー「何が…って、らしくないぜ?」

アンジェ「そう…それを説明してくれる気がおありなら、どう「らしくない」のか教えていただけるかしら」

ドロシー「……その態度さ」

アンジェ「別に…いつも通りよ」

ドロシー「やれやれ、そうは見えないぜ?」

アンジェ「なら貴女の目がおかしいのよ…目薬でも差したら」

ドロシー「…それだよ。いつも冷静なお前が工場の煙突みたいにイヤミと皮肉をまき散らして…一体どうしたんだ?」

アンジェ「黒蜥蜴星人だからそう言う時もあるわ」

ドロシー「嘘だね…蜥蜴なら冷血だからそんな感情はないはずだろ」

アンジェ「……しつこいわね。スパイじゃなくて防諜部に転任させてもらったら?」

ドロシー「おあいにく様、私みたいなテキトーな人間は向こうから願い下げだとさ……良かったら話してみろよ」

アンジェ「結構よ…貴女も私に油を売っている暇があるなら、自分の方の仕事をしたらどう」

ドロシー「そうかよ…ま、もし相談事があるなら声をかけろよ?」

アンジェ「はいはい、そうさせていただくわ」(…出来る訳ないでしょう…「私とプリンセスの関係がぎくしゃくしている」なんて……)

ドロシー「……そろそろ頃合いだな」

………

…プリンセスの部屋…

ベアトリス「ん…姫様宛にメッセージカードですよ」

プリンセス「ありがとう、ベアト♪」

ベアトリス「一応ですが、毒針とか仕込まれてないかだけ確認させてもらいますね」

プリンセス「ええ」

ベアトリス「えーと…はい、大丈夫みたいです」

プリンセス「ありがとう、ベアト…ちゅ♪」

ベアトリス「もう、姫様ったら…///」

プリンセス「ふふ……まぁ♪」

ベアトリス「何かいいお知らせですか?」

プリンセス「ええ、そう言った所ね。…ところでベアト、今度私の代わりにお買いものへ行ってきてほしいの……いいかしら?」

ベアトリス「もちろんですよ、私は姫様のお付きなんですから」

プリンセス「ふふ、助かるわ。そうしたらね、ちょっと量が多いけれどお願いするわ……かわりに私がお金を出してあげるから、好きなお買いものをしていいわよ?」

ベアトリス「もう…子供のおつかいじゃないんですから……いつですか?」

プリンセス「そうねぇ…今度の週末がいいかしら」

ベアトリス「分かりました…それじゃあ私に任せて下さい」

プリンセス「ええ…♪」(いよいよ「第三段階」ね…)

142 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/07/03(火) 03:16:43.27 ID:UhXl/ke10
…週末・部室…

ドロシー「……なぁ、ちせ」

ちせ「なんじゃ?」

ドロシー「悪いけど、ちょっと手伝って欲しいことがあるんだ……本当はベアトリスにでも…と思ったんだけど、プリンセスの頼まれごとで買いものに行っちまってさ……軽く数時間はかかるだろうけど、いいか?」

ちせ「無論じゃ。何せお互い背中を預けた「チーム白鳩」の戦友同士…断るわけがあるまい」

ドロシー「そっか、そいつは助かるよ……実を言うと今度の作戦に備えて、新しいナイフとかスティレットを用意してもらったんだけどな…」

ちせ「…ほう?」

ドロシー「この間試してみたら、どうも切れ味が鈍い感じがするんだ……よかったら研ぐのを手伝ってくれないか?」(あれだけ刀を使いこなしているちせの事だ…刃物と聞いたら時間をかけていじくりまわしてみたいと思うはずさ…)

ちせ「ふむ…やはり鍛え上げた玉鋼(たまはがね)と画一的な工業製品では格が違うのじゃろう……構わぬよ、私も興味が湧いてきた」

ドロシー「おっ、いい返事だな…それじゃあ「ネスト」(巣…拠点・アジト)まで行こうぜ♪」

ちせ「うむ……では失礼する」

ドロシー「ああ…それじゃあプリンセス、美味しいお菓子でも食べて「甘い時間を有意義に」過ごしてくれ♪」(…「第三段階」開始だ)

プリンセス「ええ、ドロシーさんも大事な道具ですし「念入りに」手入れして下さいね?」(ふふ、いよいよね…ドロシーさん、出来るだけちせさんを引きとめて下さいね♪)

ドロシー「ああ、分かってるよ…♪」

アンジェ「……私も行きましょうか、ドロシー?」(…ここ最近の精神状態でプリンセスと二人きりになるのは避けたいわ)

ドロシー「おいおい、そうやってサーカスみたいにぞろぞろ行列でも組んでいくのか?……人目を引きたくないし、私とちせで充分だよ」

アンジェ「…それもそうね……分かったわ」

ドロシー「ああ、それじゃあな…もしやることがないなら銃弾の選別でもしておいてくれ」

アンジェ「ええ」

プリンセス「…」

アンジェ「…」

プリンセス「……ねぇ、アンジェ?」

アンジェ「何?」

プリンセス「アンジェは私の事…嫌いなの?」

アンジェ「嫌いよ」

プリンセス「…ほんとに嫌い?」

アンジェ「ええ。大嫌いよ」

プリンセス「ほんとのホント?」

アンジェ「ええ……嫌い、大嫌い」

プリンセス「……そう……ぐすっ…ひっく……私、今までアンジェ…いえ「シャーロット」の事、勘違いしていたみたい……」

アンジェ「…プリンセス?」

プリンセス「だって…最近のシャーロットはいっつも冷たい態度ばっかりで…カバーストーリーだって大事でしょうけれど、何も私たちが……二人きりの時まで…お芝居をしなくたっていいはずよね……だとしたら…ひっく……」

アンジェ「ぷ、プリンセス…私は貴女に危害が及ばないようにと……」

プリンセス「いいえ、そんなの信じられない…きっとお互いに命を預け合ったドロシーさんの方が好きなんでしょう……!?」

アンジェ「…まさか。そんな訳ないわ」

プリンセス「……だったらどうして優しくしてくれないの、シャーロット…?」

アンジェ「ふぅ…さっき言った通りよ。誰に利用されるか分からない以上、私があなたを大事に思っているなんて露ほどもさとられたくないの……本当なら「白鳩」のメンバーにさえ知られたくないわ」

プリンセス「…でも、せめて私と二人きりの時だけは…優しくして欲しいのに……」

アンジェ「ふぅ……私もつい甘えてしまいたくなるから、本当は教えたくないのだけど……一つだけ…方法があるわ……」

プリンセス「…シャーロット?」

アンジェ「私に向かって「ハニートラップの訓練をしましょう」って言ってくれればいい…そうすれば練習にかこつけて、それ相応に甘い言葉を投げかけることくらい出来るし……///」

プリンセス「…シャーロット♪」

アンジェ「……そのかわり、息が切れるまで付き合ってもらうから///」ちゅっ…♪
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/03(火) 04:32:16.41 ID:2s/yTJ+uo
144 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/07/05(木) 01:33:02.14 ID:9raDQw6J0
>>143 ありがとうございます、引き続き投下していきます

145 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/07/05(木) 02:19:46.16 ID:9raDQw6J0
プリンセス「んんぅ、んむぅ…んちゅ……っ♪」

アンジェ「…ふふ、可愛いプリンセス…二人で遊んだあのころを思い出すわ……♪」

プリンセス「私がシャーロットと同じ服を着てラテン語の授業を受けて、シャーロットがサボったり…ね♪」

アンジェ「ええ…それにあの時もこうやって、ベッドの上に寝転がっていたわよね……♪」

プリンセス「ふふ、そうだったわね…シャーロットったらいっつも私の事や街の様子を根掘り葉掘り聞いて……あの時からスパイの素質があったのね♪」

アンジェ「反対にプリンセスはどんなことでも物覚えがよくって……プリンセスも案外スパイ向きかも知れないわ」

プリンセス「もう、シャーロットったら……♪」

アンジェ「ふふ、ごめんなさい…ちゅっ♪」…必要となればとてもチャーミングな性格になれるアンジェ……口の端に小さいえくぼを浮かべると、いたずらっぽくプリンセスのほっぺたにキスをした…

プリンセス「んぅっ…シャーロット♪」

アンジェ「プリンセス……好き、好きよ……愛してる♪」

プリンセス「まぁ…///」

アンジェ「可愛い笑顔も、さらさらの髪も、綺麗な澄んだ瞳も……全部大好きっ♪」

プリンセス「もう…シャーロットってば…ぁ///」きゅんっ…♪

アンジェ「…ね、昔みたいに「ちゅう」しましょ?」プリンセスの手に指を絡め、熱っぽく瞳をうるませた…

プリンセス「あぁもう、シャーロットったら……相変わらずおませさんなんだから///」

アンジェ「だって、プリンセスが可愛いんだもんっ…♪」…子供っぽい口調でプリンセスに抱き着いて甘えるアンジェ

プリンセス「はぁぁんっ…シャーロットにそんなことを言われたら、私なんでも許しちゃうわ♪」

アンジェ「……それじゃあ早く「ちゅう」しよ…っ?」

プリンセス「うんっ♪」

アンジェ「……ん、ちゅぅ…ちゅっ……♪」

プリンセス「んふ……あむっ、ちゅぅぅ♪」

アンジェ「…ふふ、「ちゅう」って気持ちいいのねっ…♪」

プリンセス「そうね、シャーロット……あふっ、んっ、くぅっ…///」

アンジェ「ふふ…それじゃあ脱がせちゃうわね……わぁ、相変わらず真っ白ですべすべ♪」

プリンセス「シャーロットこそ……えいっ♪」アンジェの胸を優しくこねるプリンセス…

アンジェ「あんっ…やったわね?……はむっ、ちゅぅ…れろっ♪」

プリンセス「ひぁぁぁんっ…シャーロット、先端は舐めないで…っ///」

アンジェ「ふふ、ワガママなプリンセス。それじゃあ仕方ないから…」こりっ…♪

プリンセス「んっ、あぁっ…甘噛みはもっとだめ……ぇ♪」じゅんっ♪

アンジェ「むぅぅ、ならプリンセスはどこがいいの?」

プリンセス「……それは、その…///」

アンジェ「ふふ…早くしないと飽きてやめちゃうかも知れないわよ?」

プリンセス「もう、シャーロットったらせかさないで…♪」

アンジェ「ほぉら、早くはやくっ♪」

プリンセス「あぁ、どこもシャーロットに触って欲しくて決められないの…♪」

アンジェ「もう、よくばりなプリンセス…それじゃあ、「シャーロットの気まぐれメニュー」でいい?」

プリンセス「うんっ…シャーロットにいっぱい触って欲しいの♪」

アンジェ「決まりね……プリンセス、大好き…♪」耳たぶを甘噛みしながらささやくようにつぶやく…

プリンセス「はぁぁんっ、それ……反則ぅっ♪」…とろっ♪

アンジェ「ふふ、これは二人だけのトップ・シークレットよ……私の愛しいプリンセス♪」

プリンセス「あひっ、ひうっ…シャーロットったら、そんなのずるい…っ♪」

アンジェ「ふふ…いつも素直になれなくてごめんなさい……可愛いプリンセス♪」くちゅ…にちゅっ、じゅぷっ♪

プリンセス「あっ、あぁぁぁ…んっ♪」
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 09:20:56.78 ID:B6EWHCLYo
いいね👍
147 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/07/08(日) 00:58:21.87 ID:RhFidgqo0
…しばらくして…

アンジェ「ふふ、プリンセスの白くて細い指……ちゅぱ…ちゅぷ…っ♪」

プリンセス「んぁぁ…はぁ…んぅ……くっ…んんぅ…///」

アンジェ「それじゃあプリンセス…私の指も……舐めて?」

プリンセス「ええ、シャーロット…んちゅ…ぅっ、ちゅぱ…ぁ……ちゅぷっ…///」

アンジェ「んっ…付け根の所は少しくすぐったいわね……さてと…」プリンセスの口中から指を引き抜くと、とろり…と銀の糸が伸びて、そっと滴り落ちた……

アンジェ「…この濡れた指を……んっ♪」くちっ…にちゅっ♪

プリンセス「んぅぅっ!…んくっ、んぅ…んっ、んっ、んっ…くぅぅ……ぅっ♪」

アンジェ「ふふ…プリンセスのここは暖かくて…とろっと粘っこくて……たまらないわ」ぐちゅぐちゅっ…じゅぶっ♪

プリンセス「はぁぁ…あぁんっ…ん、くぅぅ……シャーロット…ぉ///」くちゅっ、とろとろっ…ぶしゃぁぁ…っ♪

アンジェ「ふふっ…惚けたような表情も可愛いわ……ん、じゅるっ…じゅるるぅ……っ♪」

プリンセス「はぁぁ…あんっ……いいの…っ、シャーロットの…舌…這入ってきて……気持ちいい…っ///」

アンジェ「んむっ、じゅる…っ……じゅぅぅ…っ、れろっ…ぴちゃ…ぴちゃ…っ♪」プリンセスの太ももの間に顔をうずめて、一心不乱に舌で舐めあげ、とろりとこぼれる蜜をすするアンジェ…

プリンセス「はあぁぁ…んくぅ、んっ…あぁ……ん、ふっ…♪」

アンジェ「ん…じゅる…じゅぅっ……れろ…ちゅる……ぷは…ぁ」

プリンセス「んんぅ…シャーロット……私、腰が…抜けちゃった……みたい…♪」

アンジェ「プリンセス……♪」べとべとになった両の手のひらでプリンセスの頬をそっと包み込むと、舌先を突きだして唇の間にねじ込んで歯茎をなぞり、ねっとりと時間をかけて舌を絡めた……

プリンセス「んむ…ぅ……シャーロット…ぉ///」とろけた表情のプリンセスが唇を開くと、アンジェの舌先からねっとりと雫が垂れる…

アンジェ「…舐めて///」今度はプリンセスの着ているフリルブラウスを裾まで開き、頭の側に馬乗りになる…

プリンセス「ええ…んちゅ……ちゅむ…っ♪」

アンジェ「んっ、んっ……ふふ、私も負けないから♪」

プリンセス「ちゅぷ…っ……ふふふ…だったら私もシャーロットの事、うんと気持ち良くしてあげる♪」

アンジェ「なら勝負よ…♪」

プリンセス「うふふ、私だっていろいろ「お勉強」しているんですもの…負けないわ♪」

アンジェ「…それはどうかしら。黒蜥蜴星仕込みのテクニックに耐えられたら大したものよ……んっ、じゅぅぅっ♪」

プリンセス「あんっ、不意打ちだなんて……いいわ、シャーロットがそういう手段を取るなら、私だって…二本入れちゃうから♪」じゅぶっ、ぐちゅっ…にちゅっ♪

アンジェ「んくっ……プリンセスの指が…入ってきて……いいっ…んっ、んぅぅっ♪」

プリンセス「ほぉら、シャーロット…気持ちいい?」

アンジェ「んっ、んんぅ…んっ、くぅぅっ……でもね、プリンセス…私の方が一枚上手のようね…」じゅぶっ、ぐちゅり…っ♪

プリンセス「あっあっあっ……は、あぁっ…んっ、あぁぁっ……!」

アンジェ「ん…ぴちゃ、れろっ……じゅるっ、ちゅく…っ♪」

プリンセス「あっ、あぁぁ…はぁぁぁ……っ…!」

アンジェ「……プリンセス、だーいすき…ちゅっ♪」

プリンセス「…シャーロット、そんなのずる…ぃっ、んぁぁぁっ♪」

………
148 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/07/09(月) 01:41:14.92 ID:2yBp7old0
…後日…

プリンセス「…ドロシーさん、少しよろしいですか?」

ドロシー「んー?」

プリンセス「いえ……この間はドロシーさんのおかげで、大変に素敵な時間を過ごさせていただきました」

ドロシー「あぁ、あれか…お役にたてて良かったよ♪」

プリンセス「ええ。そのおかげで数日に一度とはいえ、わたくしも心ゆくまでアンジェを堪能できるようになりました///」

ドロシー「……あー、それは…その……まぁ、よかったじゃないか」(あれから一週間経つか経たないかの間で「数日に一度」って……ちょっと多くないか…)

プリンセス「ええ、ふふっ…アンジェとの甘い時間が待っていると思うと、どんなことでも頑張れそうです♪」

ドロシー「ははっ、それは頼もしいな……悪いけど、ちょっと野暮用を思い出したから失礼するよ?」

プリンセス「ええ、それではまた…ごきげんよう♪」

ドロシー「ごきげんよう……はたしてアンジェの奴はどうなってるやら…入るぞ?」

…アンジェ私室…

アンジェ「……おはよう、ドロシー…」

ドロシー「おはようさん……どうした?」いつも通りポーカーフェイスのアンジェ…が、長い付き合いのドロシーにはピンと来た……

アンジェ「…何が」

ドロシー「しらばっくれるのはよせよ…休日とはいえ、こんな時間になってまだベッド、おまけに顔を赤らめて……なにをそんなに恥ずかしがってるんだ?」

アンジェ「それは…あなたには関係ない事よ///」

ドロシー「はぁーあ……いつぞやの時はどこかの誰かさんのために、援護に飛び出してやったのになぁ……」

アンジェ「それは任務の上でしょう……だいたいドロシーに話すような事柄ではないわ」

ドロシー「私に話すような事柄じゃないってどうして分かるんだ?」

アンジェ「…私個人に関わることだからよ」

ドロシー「ふぅーん、そっか…私は家庭の事情までしっかりアンジェに知られてるって言うのに、アンジェは情報のきれっぱしも教えてくれないのか…スパイ同士とはいえアンジェは戦友……対等な関係だと思ってたのになぁ…!」

アンジェ「しつこいわね…」

ドロシー「そりゃスパイだからな…で、何があったんだ?」

アンジェ「ふぅぅ…いいわ、どうしても聞きたいようね……」

…数分後…

ドロシー「……なるほどな」

アンジェ「これで満足したでしょう…///」プリンセスとの関係は抜かして、ベッドの上でのことを簡単に話した…

ドロシー「ああ、満足したぜ……それにしてもアンジェ、お前がそんな甘ったれた言葉を使えるとはな…♪」

アンジェ「…もし誰かに漏らしたりしたら、本当に撃つから」

ドロシー「よせよ…私とアンジェの仲だろ?」

アンジェ「そう言う間柄こそよ」

ドロシー「へいへい……にしても、あのプリンセスがねぇ…♪」

アンジェ「……いくら責めたてても「もっとして♪」の連続で…さすがに疲れたわ…」

ドロシー「やれやれ、王室のプリンセスって言うのは色ボケなのも素質の……」

アンジェ「…プリンセスの悪口は聞きたくないわ」

ドロシー「分かったよ……とりあえずお茶でも淹れておいてやるから、顔でも洗ってから来いよ」

アンジェ「……いの」

ドロシー「なに?」

アンジェ「…それが、腰に力が入らないの///」

ドロシー「……プリンセスか…何かと大変な存在だな、ありゃあ…」

………
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/12(木) 02:55:36.52 ID:VsYf/iSVo
150 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/07/13(金) 12:15:59.91 ID:NLI3ntYH0
…case・ドロシー×アンジェ「The other side of the wall」(壁の向こう側)…


…とある日…

アンジェ「それじゃあ、新しい任務の説明をさせてもらうわ」

ベアトリス「またですか…スパイってこんなに忙しいものなんですか?」

ドロシー「いや、本来はじっくり腰を据えてやるものさ……一回の工作に数年かけるなんてざらにあるぞ?」

アンジェ「それだけ王国側の動きが活発だと言うことよ…いいかしら?」

ドロシー「ああ、始めてくれ」

アンジェ「四日前のお茶の時間にも言ったけれど、最近アルビオン王国の市場相場の変動がいちじるしいわ…身近な肉やじゃがいもに始まり、金やケイバーライトみたいな鉱物資源……果ては西インド諸島のシナモンやクローブ、インド産の綿に至るまでね」

プリンセス「ええ、そのようだけれど…それが私たちにどう関係してくるのかしら?」

アンジェ「ええ、実はね……」


…数日前・ロンドン市内の劇場…

アンジェ「はぁ…ロンドンの劇場は、えかくでっけえもんだなァ……おらの村より大きいかもしれねぇだ…」一幕だけ舞台を見て、ホールに出ると丸縁眼鏡で辺りをきょろきょろと見回すアンジェ…制服こそメイフェア校の生徒であることを示しているが、いかにも「おのぼりさん」のような態度は明らかに田舎者丸出しに見える…

老婆「ちょっとよろしいかしら、お嬢さん?」

アンジェ「なんだべな…こほん!……どうかなさいまして///」

老婆「ハンカチーフを落としましたよ…あなたのでしょう?」腰の曲がった親切そうなおばあさんがアンジェのハンカチを持っている…銀髪をひっつめにしていて、十年は遅れている古めかしいデザインの服を着ているが決して身なりは悪くなく、丁寧な口調で品もいい…

アンジェ「ええ、私のです……と言っても『本当は伯父のくれたもの』ですが」

老婆「それはそれは…『ライリー伯父さんも大事にしてくれて嬉しい』でしょうね?」人気の多い場所でランデブーするときには欠かせない合言葉が、およそスパイには見えないおだやかな老婆の口から出てきた…

アンジェ「ええ…それじゃあ『ライリー伯父』によろしく」

老婆「はいはい……失くさないでよかったわねぇ。次は落とし物をしないよう、気を付けて帰るんですよ…お嬢さん」袖の内側ですっとハンカチをすり替えると、それだけ言ってするりと出て行った…

アンジェ「…あんなエキスパートを連絡役に回して来るなんて、コントロールも粋な真似をしてくれるわね……」

………



ベアトリス「えー、あの舞台を見に行ったんですかぁ…私も見たかったのに、アンジェさんが「任務の準備があるから」って……」

ドロシー「おいおい、冗談はよせよ」

ベアトリス「…何がですか?」

ドロシー「ふぅ…ベアトリスがアンジェと鉢合わせしてみろ、きっと愉快に手を振って「アンジェさーん、アンジェさんも舞台を見に来たんですかぁ♪」とか声をかけるに決まってるだろ……あたしらみたいな業界の人間が不特定多数の前で名前を呼ばれるなんて、ちょっとした悪夢だ」

アンジェ「完全に悪夢ね」

ベアトリス「もう…私だってちゃんと「敵監視下にある工作員接触法」を学んでいるんですから、そんなことしませんよぉ!」

ちせ「じゃがベアトリスはまだまだ目線が動いてしまうからの……アンジェどのを見つけたら「見るまい」として余計に挙動不審になるのがオチじゃろう…」

プリンセス「ベアトは素直だものね♪」

ベアトリス「むぅぅ…姫様まで……」

ドロシー「ま、ベアトリスだってベアトリスなりのやり方があるさ…そうへこむなって♪」

アンジェ「……話を戻していいかしら?」



151 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/07/17(火) 01:14:19.10 ID:pfGmhdHc0
ドロシー「お、悪い…それにしても「L」のやつ、今度は「ライリー伯父」さんか……前回は「従姉妹のマリー」だったよな…」

アンジェ「ええ。それで、受け取ったのがこれよ」

ちせ「普通の花柄が刺しゅうされたハンカチーフじゃな…」

プリンセス「あら、でもこんなところに刺しゅうでメッセージが…「私の大事な家族へ、これを見るたびに私を思い出してほしい…L」とあるわね?」

アンジェ「ええ、これが暗号よ……まずはこれがいるわ」ロンドンの地図を取り出すとハンカチを乗せる…紙のように薄い絹のハンカチだけあって、ロンドンの地図が透けて見える……

ベアトリス「わ…下が透けて見えます」

アンジェ「ここで刺しゅうの文字の「私」(My)「家族」(family)「見る」(see)から「M」の左上の頂点を寄宿舎の正門に合わせて「f」と「s」をロンドンの地図を合わせると……」

ドロシー「行きつくのは高級菓子屋だな……まだ新しい店だけど、プリンセスが行きつけにしていそうな店だ」

プリンセス「まぁ、ドロシーさんったら…このお店はまだ行ったことがありませんよ♪」

アンジェ「その事はいいわ……そしてこのメモが…」無秩序にアルファベットが並んでいるメモを取り出した…

ドロシー「『一回限り暗号帳』か…コードブックは?」(※一回限り暗号帳…文字変換のやり方を決める特定のパターンと、そのコードブックになる本をセットにして初めて解読できる暗号)

アンジェ「今回は「アルビオン王国・その正統なる歴史」とか言う、王国におもねる連中の本ね……その三ページ目から始めて、三つ目のアルファベットを逆算して戻す…」

ベアトリス「えーと…それだと最初の文字は「r」になりますね?」

ドロシー「おっ、ベアトリスも暗号が分かって来たな♪」

ベアトリス「当然です♪」

アンジェ「結構…さて、解読が終わったわ」

プリンセス「えーと「木曜日、フィナンシェを買いに行け」ですって」

ちせ「…すまぬが「フィナンシェ」とはなんじゃ?」

アンジェ「フランスの焼き菓子よ…英語のファイナンス(財政・融資)と同じで「銀行」や「小さな金塊」のような意味ね」

ちせ「なるほど」

ドロシー「ちなみにこんがり焼き上がった色と形が「小さい金塊」みたいだから名付けられたんだとさ」

アンジェ「そうと分かればもうメモはいいわ」暖炉にメモを放り込み、きっちり灰になるまで火かき棒でかき回した…

ベアトリス「……ねぇ、アンジェさん」

アンジェ「何?」

ベアトリス「お菓子屋さんに「買いに行け」って言うことは、ちゃんとお菓子も手に入るんですよね?」

アンジェ「でしょうね…それが?」

ベアトリス「もしよかったら…お菓子の方はもらってもいいですか?」

アンジェ「別にいいわよ」

ベアトリス「やったぁ…♪」

プリンセス「ふふ…だったらベアト、わたくしと一緒にお茶の時間でいただきましょうね?」

ベアトリス「……さ、最初からそのつもりでした///」

プリンセス「…あら♪」

ドロシー「ひゅぅ…熱いねぇ♪」

アンジェ「ベアトリス、任務完了まで浮かれないで…プリンセスとドロシーもよ」

ドロシー「あいよ……なぁプリンセス、こりゃあアンジェのやつ…プリンセスとベアトリスの仲むつまじいのに妬いてるぜ…?」

プリンセス「ふふっ…アンジェったら、意外とそう言うところは分かりやすいのよね♪」

アンジェ「……何か言った?」

プリンセス「いいえ♪」

ドロシー「ああ、何にも言ってないぜ……うー、おっかない…♪」

ベアトリス「…ふふ、美味しいお菓子とお紅茶でプリンセスとティータイム……なんて///」

ちせ「洋菓子というやつもなかなか美味であるからな…楽しみじゃ」

………
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/19(木) 03:52:16.02 ID:JrnunPB8o
153 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/07/20(金) 01:15:25.35 ID:uECM4/980
…木曜日…

ドロシー「さてと、菓子を買いに行くにしてもそこそこ敷居の高そうな店だからな……気の利いた格好じゃないと入れないよな…」濃いチェリーレッドのデイドレスに白絹の長手袋をつけ、パラソルを差している……口の端に浮かぶいつもの不敵な笑みは穏やかで優しい大人の女性の微笑みにとって代わり、いかにも優雅な貴族令嬢に見える…

アンジェ「馬子にも衣装ね、よく似合っているわ」…特徴の捉えづらい地味なクリーム色の地にスレートグレイの縁取りがされた渋いドレスを選び、髪の結い方と眼鏡を変えている…それだけでぐっと印象が変わり、よく見ないとアンジェとは気付かない…

ドロシー「おい、「馬子にも衣装」は余計だろ…アンジェこそ、いつもの冷血っぷりが嘘みたいに可愛いぜ?」

アンジェ「え…ドロシーとはそう言う関係になるつもりはないのだけど…」

ドロシー「おいこら、あからさまに引くなよ……せっかく褒めてやったのに」

ベアトリス「もう、二人ともおふざけはいいですから…ちゃんと準備は出来ました?」

ドロシー「あぁ、大丈夫さ。留守番はよろしくな?」

ベアトリス「はい、おみやげを忘れないで下さいよ?」

ドロシー「へいへい、任しておけって♪」

ちせ「気を付けての」

アンジェ「心配はいらないわ……尾行なら撒けるし、間接護衛の方はお願いね」

ちせ「うむ」

…しばらくして・パティスリー「フルール・ドゥ・リス」…

ドロシー「あら、素敵なお店…ライリー伯父さまが教えて下さっただけのことはありますわね♪」

アンジェ「ええ、そうですね」

ドロシー「んー…でもわたくし、フランス語はあまり堪能ではありませんの……「フルール・ドゥ・リス」ってどういう意味かしら?」

アンジェ「あら、それならブルボン王家の紋章にもなっている「百合の花」という意味ですわ」

ドロシー「それで金百合の花が扉に描いてありますのね…♪」

アンジェ「そうだと思いますわ……いいわよ、尾行はないわ」

ドロシー「…あぁ。これ以上三文芝居を続けていたらじんましんが出そうだ……入るぞ」

アンジェ「ええ…」

店員「ボンジューゥ。ようこそ「フルール・ドゥ・リス」へおいでくださいました、お若いマドモアゼルの方々♪」

ドロシー「メルシー♪」

アンジェ「まぁ、綺麗…どれにいたしましょうかしら?」

…金の縁取りがされたガラスケースにはマドレーヌや艶やかなチョコレートケーキ「オペラ」、フランボワーズのタルトやクイニーアマンが並んでいて、壁には花の活けてある大きな花瓶に、店の標語らしい「幸福な砂糖生活(ハッピーシュガーライフ)」と、ミュシャ風の美人画が描かれたポスターが飾ってある…

ドロシー「ええ、本当に……どれも宝石のようで目移りしてしまいますわ♪」

店員「ふふ、メルスィ…何かご希望があればお伺いいたしますよ?」

アンジェ「ええ、実はわたくし「ライリー伯父」からここのフィナンシェが絶品だとうかがって参りましたの…♪」

店員「……さようでございますか、お目が高くていらっしゃいますね。当店一番の自慢の品でございます」

アンジェ「…ではそれをいただきますわ」

店員「さようですか。ちなみに「お召し上がりはいつ頃」に?」

アンジェ「そう…「きっと明日が晴れたなら」お茶の時間にいただきますわ」

店員「承知いたしました…ではフィナンシェを五つと、店の名刺をお付けしておきます。ライリー伯父さまにもよろしくお伝えください」

アンジェ「ええ、ありがとう」

店員「こちらこそ…では今後ともご贔屓に♪」

アンジェ「ぜひともそうさせていただきますわ……さ、帰りましょう」

ドロシー「おう…やれやれ、のっけからフランス語とはね……違う意味で冷や汗をかいた…」

アンジェ「それにしては悪くなかったわよ」

ドロシー「そりゃどうも。後は持って帰るだけだが……袋ごしでもいい匂いがするじゃないか♪」

アンジェ「今は貴族のお嬢さまなんだから、つまみ食いなんてしないでちょうだいね」

ドロシー「誰がするかっての…!」
154 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/07/23(月) 01:58:03.92 ID:23Rqv0Nj0
ドロシー「…戻ったぞー」

ベアトリス「あ、お帰りなさいっ…それでお菓子は?」

ドロシー「そう焦るなよ…ほーら、いい子にしてたベアトリスにはお菓子をあげよう♪」

プリンセス「ふふっ、ドロシーさんったら」

ベアトリス「わ、美味しそうなフィナンシェですね…さぁ姫様、お茶の準備は整っていますから一緒にいかがですか?」

プリンセス「そうね……二人とも、よろしいかしら?」

アンジェ「構わないわ、私たちに必要なのはお菓子じゃなくて紙袋の方だから…」

ちせ「私は菓子よりも任務の方が重要と分かっておるからの…もし用があるならばここに残るが……」

アンジェ「必要ないわ。これはちせの分よ」

ちせ「そうか…ではさらばじゃ♪」分けてもらったフィナンシェを手早くハンカチに包み、ほくほく顔で出て行った…

アンジェ「ええ、また後で…」

ドロシー「…ねーねー、ドロシーちゃんもお菓子が食べたいよー」

アンジェ「…」

ドロシー「……なんだよ、せっかく空気を和らげてやったのに…で、メッセージは?」

アンジェ「待って…解読できたわ」紙袋ののり付けされた部分を丁寧に剥がすと細長く糊のついていない部分があり、そこに細かく暗号が書きこんである…

ドロシー「相変わらず早いな……えーと「ザ・シティの『アルビオン・マイルストーン商社』より、金の先物取引価格を入手すべし」ねぇ…今回は経済スパイに早変わり、ってわけだ」

アンジェ「ええ。何しろ王国側にある「ザ・シティ」での先物取引価格が共和国に伝わるのはたいてい半日から一日遅れ……王国は検閲や発送に時間をかけることでわざと取引価格の情報を遅らせて、その間に王国系の投資会社を通じて共和国の先物取引市場で商売をし、利益を上げているわ」

ドロシー「…いわゆるインサイダー情報ってやつだな。しかも政府が一枚噛んでやっているんだからタチが悪い」

アンジェ「その通り……しかもこれを主導している「誰か」はかなりの切れ者のようで、いつもこのカードを使う訳じゃない…」

ドロシー「そりゃいっつも未来を予知するような具合にやっていたら、バカでも気がつくってもんだからなぁ」

アンジェ「その通りよ。リストにある商社や投資会社は一見するとそう儲けているようには見えないけれど、よく計算してみるとかなり分のいい利益を得ていることに気づく」

ドロシー「しかしだ…当然その「時差」を使って一山当てようって連中は他にもいくらだっているだろ?」

アンジェ「ええ、もちろん。これまでも冴えた投機家や取引会社の中にはこのカラクリに気づいて、パイにありつこうとした者もいないわけではないわ」

ドロシー「そういう連中はおおかた「不運な事故」でテムズ川にドブン…か?」

アンジェ「いいえ……一部は当人も知りえないうちに手駒として組み込まれて時々おこぼれにあずかり、特に頭の切れる者は内密に王国側の組織へスカウトされているらしいわ」

ドロシー「一見すると前と変わらないのに、実は王国の下請けになっているわけか」

アンジェ「そういうこと。まぁ王国の諜報機関としては楽な副業ね…トップシークレットをはじめとする情報を真っ先に知ることが出来て、自分たちの都合次第で公表するもしないも自由……」

ドロシー「要は山に積まれたカードをめくりながらポーカーをするようなもんだからな…そりゃ笑いが止まらないだろうさ」

アンジェ「だからこそよ。コントロールとしても王国諜報・防諜機関の活動費が潤沢になられては困る」

ドロシー「とにかくこの「商売」は金のかかる商売だもんなぁ…この「素敵なお召し物」にしたって、軽く百ポンドはかかってるだろうし……」

アンジェ「そういう事よ……毎度あなたが請求する車のメンテ部品やパーツ代なんかもね」

ドロシー「そう言うなよ。あの車のおかげで何度任務が成功したことか……」

アンジェ「とにかく、今度の作戦では派手なのはご法度…そして何より頭が冴えていなければいけないわ」

ドロシー「了解、ドンパチは厳禁な」

アンジェ「ええ…という訳で、お待ちかねのお菓子よ。これで糖分を摂取しなさい」

ドロシー「お、ありがとな…うん、美味い♪」

アンジェ「これで頭が回るようになるといいわね…それじゃあ私も……」

………

155 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/25(水) 07:50:48.17 ID:AftFpxlpo
156 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/07/26(木) 00:54:57.68 ID:1vlYKvQM0
>>155 見て下さってありがとうございます。暑い日が続きますし、体調には気を付けて下さいね
157 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/07/26(木) 02:06:58.04 ID:1vlYKvQM0
…数週間後「ザ・シティ」の商社…

男「ふむ…君たちが掃除婦になりたいって人だね?」

ベアトリス「はい…張り紙を街で見かけて、それで……」

ドロシー「あたしは牧師から話を聞いてね」

…貧乏な娘の一張羅といった格好で、商社の人事係と向かい合わせで座っているドロシーとベアトリス…年中こうした応対をしている商社の男はさして興味もなさそうに二人を眺めている……そして当然ながらお茶の一杯も出してはくれない…

男「結構。掃除してもらうのはここのフロアと一つ下のフロアだけで、来てもらうのはオフィスの者たちが完全に帰ってから…つまり夜の八時以降になる」

ドロシー「分かってます」

男「ならいい。給与は時間当たり6ペンス…さ、ここにサインして」机ごしにペンと書類を滑らせる男に対し、困った様子のドロシー

男「……どうした?」

ドロシー「いや、あたしは学者じゃないもんで」読み書きができないふりをしているドロシーは、上下逆さまの書類を前に困り果てている…が、すでに逆さまの書類をさっと読み通している……

男「あぁ、書き方を知らないのか。なら名前の所…ここにバツ印を付けてくれればいい。私が代筆してあげよう」

ドロシー「どうも、あいすみませんねぇ…」

男「なに、よくいるんだよ…名前は?」

ドロシー「エマ・ジョーンズ」

男「結構。では「署名…エマ・ジョーンズ、代筆す」と」

ドロシー「どうも、ありがてぇこってす」

男「いいんだ……なぜか知らないが、今まで雇っていた掃除婦が二人ばかり急に辞めちゃってね」

ドロシー「へぇー…?」(そりゃこっちがそうなるよう仕向けたんだからな…)

男「だからちょうどよかったよ…明日から来てくれ。裏口の警備員には君たちの事を話しておく」

ベアトリス「…は、はい」

男「緊張しなくたっていい、単に掃除をするだけだ…ただし机の上の物はいじったり盗ったりしないように……そういうことをすると警察に突きだすから、よく覚えておいてくれ」

ベアトリス「ひっ…!」

男「じゃあこれで……さ、帰ってくれ」

ドロシー「ありがとうござんした」…下町にある薄汚い下宿の裏口へ入ってしばらくすると、薄汚れた「メイク」(灰と土埃に少しの古い油を混ぜたもの)を落として髪型をもとに戻し、制服に着替えた二人が表から出てきた……手には「恵まれない婦人たちへの愛の寄付を」などと書かれたリボンが巻いてある、柳のカゴを持っている…

ベアトリス「…ずいぶんすんなりいっちゃいましたね?」

ドロシー「ああいうインテリ連中は「無学で読み書きも出来ない」って聞くと油断するのさ……そもそも時間当たりの給与には「10ペンス」って書いてあったろ?」

ベアトリス「私も気づきました…言いませんでしたけれど」

ドロシー「ああ、さっきのは利口だったぜ……もっとも言ってみたところで、あちらさんも「手数料」だとかなんとか、上手い言い訳は作ってあるだろうけどな」

ベアトリス「それにしても都合よく二人辞めているなんて…幸運でしたよね」

ドロシー「はは、この業界で「幸運」があることなんて滅多にないさ……今回のもこっちの仕込みだよ」

ベアトリス「…え?」

ドロシー「そうやってベアトリスは表情に出やすいからな…ちょっと言うのを忘れてたよ♪」

ベアトリス「それじゃあ…」

ドロシー「前の掃除係だった二人には、片方が「遠縁の親戚の遺産」が転がり込んだから……もう片方にはコントロールが割のいい働き口を斡旋してやった」

ベアトリス「…」

ドロシー「そう言う顔をするなって…いきなり遺産が転がり込むなんて「リアリティに欠ける」から、強盗に見せかけてバラしちゃう案もあったんだぜ?」

ベアトリス「だ、ダメですよそんなの!」

ドロシー「ああ、死人は必ず「誰かの注意を引く」からな…だからコントロールも百ポンド近い出費にゴーサインを出したのさ」

ベアトリス「……そもそもお金と人の命って、釣りかえの効くものなんでしょうか?」

ドロシー「少なくとも、この業界ならある程度はね……ま、明日からはよろしく頼むな」

ベアトリス「はい」

158 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/07/28(土) 01:33:55.44 ID:Sr3hIotA0
…寄宿舎…

アンジェ「その様子だと上手く行ったようね?」

ドロシー「そりゃあ「細工は流々」ってところさ……ちなみに明日から来てくれ、だと」

アンジェ「なら授業を終えたらすぐ行かないといけないわね」

ドロシー「ああ。尾けられていないかどうかも確認しなきゃならないし、着替える必要もあるもんな」

アンジェ「そうね」

プリンセス「気を付けて下さいね、ドロシーさん……ベアトもよ?」

ベアトリス「はい、姫様///」


…次の晩…

ドロシー「こんばんはー」裏口の脇にある警備室をノックするドロシー…中では警備員が二人、小銭を賭けたトランプに興じている……

警備員「…あー、あんたらか。話は聞いてるからとっとと行きな」

ベアトリス「よろしくお願いします」

警備員「ああ」

警備員B「…おい、お前の番だぜ?」

警備員「分かってるよ。ハートの4だ」

警備員B「ハートの4だって?…へへっ、それで上がりだ」

警備員「ちっ…じゃあもう一回」

ドロシー「……それじゃあ「メアリー」はそっちをよろしくね」掃除用具入れを漁って、モップとバケツ、ちりとりに箒を取り出す……箒とちりとりをベアトリスに渡し、水を含むと重くなるモップとバケツを受け持ってやるドロシー…

ベアトリス「分かりました」

ドロシー「……言っておくが、少なくとも数週間は掃除だけだぞ…相手が気を緩めるまで待つんだ」

ベアトリス「…分かってます」

ドロシー「ああ……それじゃあここから始めるわよ?」

ベアトリス「はい、分かりました」…プリンセスのお付きだから…という訳でもないが、てきぱきと手際のいいベアトリス……

ドロシー「…本当にそう言うのが好きなんだな」少しからかいながらも、感心した様子のドロシー……モップの柄の先端に両手を乗せて、その上にあごを置いている…

ベアトリス「そうですね……って、少しは手伝ってくれませんか?」

ドロシー「はいはい、分かりましたよ…っと」いかにもおざなりな態度でモップがけを始めるドロシー…

ベアトリス「全くもう。いくら何でももうちょっとやる気を出して下さいよ……」

ドロシー「…言っておくけどな、この掃除の仕方にも結構コツがいるんだぜ?」

ベアトリス「え?」

ドロシー「普通さ、スズメの涙みたいなやっすい賃金で雇われた貧しい娘っこがやる気なんか出す訳ないよな?」

ベアトリス「ええ、まぁ…」

ドロシー「だからさ、あんまり綺麗にしすぎると怪しまれるんだよ…「こんな真面目に働くなんておかしいぞ?この娘っこは窃盗団の下見役じゃないか」とか何とか……要は「裏」があるんじゃないか、って」

ベアトリス「なるほど」

ドロシー「かといって不真面目過ぎてもいけない…クビになっちまったら元も子もない」

ベアトリス「それじゃあ、そこまで考えて…?」

ドロシー「そういうこと……ま、そこそこ手抜きした方が楽でいいって言うのもあるけどな♪」

ベアトリス「やっぱり手抜きなんじゃないですか…」

ドロシー「そう言うなって。あと、紙くず入れは私がやるよ」

ベアトリス「分かりました」

ドロシー「……どんな情報が書いてあるか分からないからな」

………
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/28(土) 15:30:11.53 ID:mLoLCUb4o

1もお気をつけて
160 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/07/30(月) 00:07:07.75 ID:5ZesipIh0
>>159 ありがとうございます。次回の投下はまた数日後になってしまうかもしれませんが…
161 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/07/30(月) 01:08:36.98 ID:5ZesipIh0
…一か月後・「アルビオン共和国文化振興局」事務所(コントロール)…

L「…それで、エージェント「D」(ドロシー)は食い込みに成功したのか」

7「はい。レポートによりますと警戒は緩んでいるとのことです」

L「そうか…時間がかかるのは致し方ないが、我々がこうしている間にも向こうは着実に活動資金を増やしているのだ。あまり差をつけられたくはない」

7「はい」

L「…おまけにこちらには何かと首を突っこみたがる「ジェネラル」をはじめとした軍部のこともある……おかしな話かもしれんが、無理解な同国人よりあちらの同業者の方がまだましな気がするな」パイプをくゆらせながら渋い表情の「L」…

7「ええ」

L「基本的に軍人はこうした活動に向かんのだ。この世界は「敵と味方」に分けられるようなものではなく、引き金を引いて銃剣突撃を敢行すればいいものでもない……」

7「分かっております」

L「しかし軍人は常に単純だ…敵・味方ははっきりしているし、より大きい大砲をより多く持っている方が勝つ」

7「ええ」

L「そして「男は勇敢に戦い、女はそんな男のために裁縫と料理をしていればいい」と思っている…」

7「ですから私もクビになりかけました……女はタイプを打つ程度の能力しかないのだから引っ込んでいろ、と」

L「うむ…だが私はそうは思わない。共和国人でも裏切り者はいるし、王国の人間だからとてすなわち敵ではない…物事にレッテルを張ってひとくくりにするのは簡単でいいかもしれない……が、私はそうはせずに全ての物を「疑惑の目」というふるいにかけ、残った真実のかけらを集めて鋳造するのだ…まるで砂金掘りのようにな」

7「なるほど」

L「すまんな…君にもやることがあるだろうに、少ししゃべり過ぎた」

7「いいえ、大丈夫ですわ」

L「うむ…ところで今度の予算の件だが……」

………



…数日後…

アンジェ「……そろそろ行動に移れと言ってきたわね」

ドロシー「ああ」

アンジェ「出来そう?」

ドロシー「そうだな…そろそろいいだろう」

アンジェ「結構……欲しい情報はあちらの「買い」と「売り」の情報よ」

ドロシー「ああ、分かってるさ」

アンジェ「繰り返しになるけど銃も殺しも…はたまた派手な爆発も無しよ」

ドロシー「任せておけ。髪の毛一筋だって残しはしないさ♪」

アンジェ「ええ、そうしてちょうだい」

ドロシー「ふー、これでモップだの雑巾だのからおさらばできる目途がついた…ってわけだな」

アンジェ「何を勘違いしているの。急に辞めたら怪しまれるから、しばらくはそのままよ?」

ドロシー「そのくらい分かってるさ……だけど目安にはなるだろ?」

アンジェ「それはそうでしょうね」

ドロシー「だろ…もっとも、ベアトリスは案外気に入っているみたいだけどな」

アンジェ「そのようね」
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/02(木) 00:56:24.83 ID:mVvPTHA8o
163 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/08/02(木) 01:37:22.15 ID:SVT2e+dd0
ベアトリス「失礼します。お二人とも私に「ご用」があるそうですが……いったい何ですか?」

アンジェ「あぁ、来たわね…用と言うのは他でもないわ」

ドロシー「いよいよ今夜から「本業」に取りかかることになったから、その手はずを確認しておこうってわけさ」

ベアトリス「今夜からですか……うー、緊張してきました…」

ドロシー「そう固くならないで、いつも通りにやればいいさ……それでだ」

ベアトリス「?」

ドロシー「ちょーっと頼みがあるんだよなぁ♪」にやにや笑いを浮かべながら詰め寄っていくドロシー…

ベアトリス「な、何ですか…」

ドロシー「アンジェ」

アンジェ「…ええ」さっと後ろに回り込んで、両腕を押さえるアンジェ…

ベアトリス「きゃあっ!?」

ドロシー「すこーし人工声帯をいじらせてもらって…と」

ベアトリス(CV…大塚明夫)「な、何をするんですかぁ!」

ドロシー「うわ、何だか妙に渋い声になったな……って、そんなことはいいんだって…よし、このくらいか?」

ベアトリス「……っ!?」何か叫んだらしく「キィーン…」と甲高い音が響いた

ドロシー「…うっ!」

アンジェ「まるで耳鳴りの音ね…まぁ、このくらいの高さならいいでしょう」

ドロシー「だな」

ベアトリス「?」

ドロシー「あー…よく「歳を取ると高い音が聞き取りにくくなる」って聞いたことないか?」

ベアトリス「…」

アンジェ「その様子だと聞いたことがありそうね」

ドロシー「なら話が早い。要はそいつを活用しようって訳さ…今日から情報をのぞき見するわけだが、私がメモ帳だの何だのを読み漁っている時に誰かが来たんじゃ都合が悪い……そこでベアトリス、お前さんが廊下の掃除をしているふりをして、誰かが来たらこっちに向けて叫んでくれればいい」

ベアトリス「?」

アンジェ「どうして見回りには聞こえない音域だと分かるのか…と言いたいの?」

ベアトリス「♪」

アンジェ「それは簡単よ…」

………

…数時間後・商社の裏口…

ドロシー「こんばんはー」

警備員「おー…今日は冷えるなぁ」

ドロシー「まったくだねぇ……相方にいたってはこのザマさ」

ベアトリス「…」古ぼけてはいるが元は良かったらしいコートにくるまり、ガタガタ震える…真似をしているベアトリス

警備員B「風邪かい?」

ドロシー「みたいなんだ…かといって休んじゃったらお金がもらえないからね」

警備員「頼むから吐いたりしてオフィスを汚さないでくれよ?」

ドロシー「あたしだってそう願いたいよ…な、そうだろ?」(今だ…!)

ベアトリス「…(もう、勝手な事ばかり言わないで下さいっ!!)」

ドロシー「ああ、言われなくったってさ」(よし、聞こえてない…これで少しは楽になるってもんだな♪)

警備員B「ちゃんとやれよ?」

ドロシー「そのくらいあたしにだって分かってるよ」

164 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/08/03(金) 12:56:26.55 ID:QUW9kGGa0
ドロシー「…じゃあ見張りは頼んだぜ?」

ベアトリス「…」カクカクとうなずくベアトリス…

ドロシー「よし、ドアには何も挟んでない……まぁそりゃそうだよな」…ドアの隙間に挟んだ細い糸や髪の毛、ノブを動かすとすぐに落ちてしまうようなピン…そういった「痕跡を残すための小細工」がされていない事を確認するドロシー…

ドロシー「さて、書類棚は…と」両手を軽くこすり合わせてから絹の長手袋をはめ、ランタンの灯りが外に漏れないよう雑巾を引っかける…

ドロシー「ふふん…簡単な鍵だな……」がっしりした樫材のキャビネットについている真鍮製の鍵に、キーピックを差しこむ…手首や指のしなやかな十代のうちに養成所でみっちり訓練されただけあって、鍵穴に傷一つ付けないで鍵が開いた……

ドロシー「…」順番に並んでいる書類の列を乱したり、うっかり机の上の物を動かしたりしないよう慎重にファイルや封筒を取り出す……

ドロシー「……これじゃないな。売り買いの予定リストはどこだ…?」

ドロシー「…ふぅ、仕方ない……」部屋を見渡せる位置にある上役のデスクに取りかかる…片膝をついた中腰の姿勢で、指先と音を頼りに鍵を回す……

ドロシー「開いてくれよな……お、いい子だ…♪」


…大きなデスクの引き出しに入っている書類の束を探すドロシー…当然束をまとめているリボンの結び方から書類の順番までを素早く頭に叩き込み、それから取引予定の金額や対象の品物を読み通していく…


ドロシー「…(ケイバーライト鉱石四トン…4250ポンド32シリング……ウェールズ産・良質無煙炭五十トン…556ポンドきっかり……純金百トロイポンド…1072ポンド25シリング…)」

ドロシー「よし……今日はこれで良し、と…」

ベアトリス「…!」中年の警備員には聞き取れない高い周波数で、甲高い口笛のような音が三度響いた…

ドロシー「…っ、ベアトリスの警報だな……」慎重に書類を収めて引き出しを戻し、もう一度鍵をかけ直した……

…一階下の廊下…

警備員「おい、もう一人はどうした?」

ベアトリス「…けほっ、い゛ま゛……上の掃除に゛…」喉の具合が悪い振りをしながら人工声帯を直す…

警備員B「そうか…具合が悪いからって手抜きはするなよ」

ベアトリス「分かっ゛てま゛す……」

警備員B「ならいい……それにしてもあの娘、ひどいガラ声だったな?」階段をランタンで照らしながら、一段ずつ上って行く…

警備員「ああ、こっちまでうつされなきゃいいけどな。で、もう一人はどこだ?」

警備員B「さぁ…向こうじゃないのか?」ランタンをかざしてみながら目を細めて、薄暗い廊下の先を見ようとする…と、廊下の奥から女性のシルエットが近づいてくる…

ドロシー「よいしょ…まったく、やりきれないねぇ……」モップの突っこんであるバケツを両手で提げて、ぼやきながらやって来るドロシー…

警備員「…おい、一体どこを掃除してたんだ?」

ドロシー「言われた通りの場所さね…向こうの廊下を見てごらんよ。処女みたいに綺麗なもんさ♪」

警備員B「…手抜きして勝手に休んでたわけじゃないな?」

ドロシー「へん、そういう事を言うのかい…そんなに言うなら見てごらんよ?」埃っぽい汚れ水が入ったバケツを突きだす…

警備員「うへっ、汚いな…そんなもの見せなくていい」

ドロシー「仕方ないだろ?…こちらのお偉い紳士さまがあたしの仕事ぶりについておっしゃってくれるからさ」

警備員B「ああ、悪かった悪かった……いいからとっととかたづけて来い」

ドロシー「言われなくったってさ、こんなバケツをあと半時間も持たされたら腰が痛くなっちまうよ」

…しばらくして…

ドロシー「お疲れさん…さっきの「警報」ちゃんと聞こえたぜ♪」

ベアトリス「よかったです……やっぱり学校で試すのとは具合が違いますし、上手く行かなかったらどうしようかと…」

ドロシー「なに、だとしても私だって警戒は怠りないからな…いわば予防線さ」

ベアトリス「そうですか…っ///」いきなり「きゅぅ…」とお腹が鳴り、赤面するベアトリス

ドロシー「……せっかくだ、何かつまんで行こうか♪」

ベアトリス「え、でも…」

ドロシー「気にするな、ちょうど立ち売りがいるしおごってやるよ…なぁおっさん、そいつを一つとビールを一パイントくんな」…セブン・ダイアルズやコックニーあたりの訛で「べらんめえ口調」をきかせて声をかけ、油っこいフィッシュ・アンド・チップスを新聞紙に包んでもらい、素焼きの陶器で出来た粗末なジョッキに薄いビールを注いでもらうドロシー…

おっちゃん「へい、毎度……別嬪さんだからおまけしておいてやるよ♪」

ドロシー「へっ、どうもごちそうさま……さ、食おうぜ?」指先でペニー硬貨を弾いて渡すと、テムズ川沿いの護岸に腰を下ろした…
165 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/08/04(土) 01:10:12.48 ID:Jk17iVAx0
…しばらくして「コントロール」作戦室…

L「で、情報は入ったのか」

7「はい、ちゃんと「D」から入っております」解読した暗号をタイプした紙を渡す…

L「む…王国め、金の大量の買い付けで相場を吊り上げる気だぞ……気どられぬようにこちらも二百ポンドばかり「買い」に回る。明日の取引開始時刻に着くよう、各取引会社あてに文書使(アタッシェ)を送るように」

7「はい」

L「あぁ、それとな…」

7「何でしょう?」

L「予算の使途には「金五十ポンド分の買い付け」とだけ記述してくれ…予算計画書の十ポンド以下の位は切り捨てだから、残りは分散して紛れ込ませる」

7「…L、それは……」

L「ふ、鋭いな…そう、当然議会は金をトロイオンス換算で考えて「金五十トロイポンド」分だと思うだろうが、私は「金五十ポンド」を買いこむつもりだ……当然差額はこちらの隠し予算にプールさせる」

(※トロイオンス・トロイポンド…金の計量法。時代にもよるが、「一トロイポンド」は12トロイオンスでおよそ373グラム。「一ポンド」は16オンスで約453グラム)

7「分かっております」

L「これで、軍部の「ジェネラル」連中を一つ出し抜いてやれるな……他はケイバーライトか…」

7「ケイバーライト鉱石は各種の防諜・諜報組織が目を光らせておりますが…」

L「分かっている…ケイバーライト鉱は外し、代わりに採掘会社の「ロイヤルアルビオン・ケイバーライト」社の株を1000だ…買い注文は十社以上の証券会社に分けて、一株で五ポンド以上の含み益が見込めたらすぐに売りにかける……王国市場の動揺を誘ってやれ」

7「ええ」

L「後はウェールズの無煙炭だが…この間の資料は覚えているかね?」

7「…先月二十一日付の新聞にあった「鉱山でのストライキ」ですか?」

L「ああ、それだ……カットアウトを通じて数人のトレーダーにそれとなく「あの鉱山での労働争議が再燃しそうだ」と流してやれ」

7「そうなれば当然…」

L「売りが優勢になるだろうな…底値を打ったところで買いをかける」

7「はい」

L「今回はそれでいい…エージェント「D」はいい情報源を手に入れたな」

7「そのように伝えますか?」

L「言わなくとも向こうで分かっているはずだ……が、君から一言添えておいてくれてもいいぞ」

7「はい、分かりました」

L「うむ」

………
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/06(月) 07:41:11.81 ID:aDhj2Rjfo
167 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/08/08(水) 00:56:25.87 ID:/vzUU3Eq0
>>166 更新が遅くなってしまって申し訳ありません…それと、見て下さってありがとうございます


次はアンジェ×ベアトあたりを考えておりますが、他にリクエストがあれば頑張ってみます…
168 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/08/08(水) 02:06:50.63 ID:/vzUU3Eq0
アンジェ「ドロシー、ベアトリス。二人に「コントロール」から新しい情報入手の命令と……追伸でメッセージがあるわ」

ドロシー「ほーん…?」

ベアトリス「一体何でしょう?」

アンジェ「読むわよ「…商品の品質はなはだ良好。取引先も気に入っているので、今後ともよい商品に期待している」だそうよ」

ベアトリス「褒められちゃいましたね、ドロシーさん?」

ドロシー「ああ。しかし、あの「L」にしちゃあ人間味のあるアクセントが入っているな」

アンジェ「おそらくこの文を起草したのは「L」ではない気がするわ…多分「7」じゃないかしら」

ドロシー「…だとしても起草した暗号文を最終的にオーケーするのは「L」のはずだ……意外にいいところがあるな」

アンジェ「そうかもね……それより今度の情報収集をもって、今回の作戦は一応終了ということになるそうよ」

ドロシー「こりゃまたずいぶんと急に…ドジを踏んだ覚えはないんだけどな?」

ベアトリス「も、もしかして私が何か…?」

アンジェ「いいえ、その可能性はないわ。もしそうなら「コントロール」も私たちを急ぎ壁の向こうへ脱出させるか、連絡を絶つか…さもなければ王国防諜部がここに押し寄せてきているはずよ」

ドロシー「同感だな。多分あっちの事情が変わっちまったんだろう」肩をすくめるドロシー…

ベアトリス「そうですか……せっかくお掃除も見張りもこなせるようになって来たのに…」

ドロシー「まぁいいじゃないか、これでゆっくり眠れるってもんだぜ?」

ベアトリス「…それもそうですね」

ドロシー「な?」

アンジェ「そうは言ってもまだ今回の任務が残っているのよ…気を抜かずにやりなさい」

ベアトリス「はい、アンジェさん」

ドロシー「ああ…最後までスマートに、だな♪」

………



…数日後・夜…

ドロシー「ふぃー…これでようやく任務完了だ♪」シャワーを浴びて来たドロシーはまだふんわりと湯気を残し、シルクのナイトガウン姿で髪を下ろしたままの気楽な様子で「よっこらしょ」とソファーに座りこんだ…

アンジェ「ご苦労様。入手した情報はもう送ったわ」

ドロシー「相変わらず手が早いな…ベアトリスもお疲れさん。いてくれたおかげで何かと助かったぜ♪」…ニヤッと笑うと、軽くウィンクをする

ベアトリス「いえ、そんな…///」

アンジェ「…そう言えばプリンセスが貴女を呼んでいたわよ……早く行った方がいいんじゃないかしら」

ベアトリス「姫様が?…すぐ行ってきます♪」

ドロシー「……やれやれ、何とも無邪気なもんだなぁ」

アンジェ「ベアトリスは貴女や私みたいにすれていないものね」

ドロシー「ああ…ところでさ」

アンジェ「なに?」

ドロシー「せっかく無事に終わったんだし…少し付き合わないか?」隠し棚をごそごそやって、小瓶に入った上等のコニャックとグラスを取り出す…

アンジェ「そうね、いつもなら断るところだけど……今夜くらいは付き合ってあげるわ」

ドロシー「それじゃあ…「やっと終わった今回の任務と、このロクでもない金相場に」……乾杯♪」

アンジェ「…乾杯」

ドロシー「んくっ…はぁ、喉に暖かいのが流れて来て……私のすさんだ心まで優しく暖めてくれるじゃないか」

アンジェ「…ドロシー、貴女いつからそんなセンチになったの?」

ドロシー「バカ言え、私はいつだって無垢で純粋なハートの持ち主だぜ…どっかの「ミス・コールドフィッシュ」と違ってな♪」(※cold fish…冷たいやつ。冷淡な人)

アンジェ「……おっしゃってくれるわね」

ドロシー「なに、ちょっとしたユーモアだって…もう少しどうだ?」

アンジェ「そうね、ならもう少しだけ…」
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/09(木) 23:41:32.12 ID:RUjjZomIo

>>167
>>1が許せるなら姫ベアトアンジェで3P
170 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/08/10(金) 02:20:24.37 ID:T81sXhfZ0
>>169 大丈夫ですよ…それでは「プリンセス+ベアト×アンジェ」のアンジェ総ネコで書こうかと思います……もうしばらくお待ちください
171 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/08/11(土) 23:56:18.47 ID:mYhQWhvP0
…しばらくして…

ドロシー「…なぁアンジェ」

アンジェ「なに、ドロシー?」

ドロシー「少し踊ろうか…伴奏も何もないけどさ」空になったグラスを置くと、優雅に立ち上がって手を差しだした…

アンジェ「…ええ」ドロシーが差しだす手に素直につかまり、そっと身体を預ける…

ドロシー「ところで…前に言ったっけか……」ゆっくりとしたワルツのテンポでアンジェをリードするドロシー…触れ合う身体からお互いの吐息や体温が伝わってくる…

アンジェ「何を…?」酔いが回っているのか、白い肌がかすかに桜色を帯びている…いつもの鋭く冷たい視線も少しだけ和らいで、とろりとしている……

ドロシー「私さ、何だかんだでアンジェの事……嫌いじゃないって…」

アンジェ「…そう」

ドロシー「ああ」くい…とあごを持ち上げ、じっと見おろす…

アンジェ「…ドロシー///」

ドロシー「アンジェ…んっ……」

アンジェ「ん、んくっ……ドロシー…」

ドロシー「悪いな…でもさっきアンジェに言われたみたいに、今は不思議と人恋しい気分なんだ……///」

アンジェ「黙って。言い訳は聞きたくないわ……それより、もう一回…///」

ドロシー「ああ…んちゅ…っ、ちゅぅ……ぷは…っ」いささか唐突に唇を離すドロシー…

アンジェ「はぁ、はぁ…っ……ドロシー…?」

ドロシー「…ごめん、私の勝手な気分でこんな真似して……アンジェにはプリンセスがいるのにさ…」

アンジェ「…」

ドロシー「あんな少しだったのに酔ったのかな……もう寝ることにす…」

アンジェ「ドロシー///」

ドロシー「……アンジェ?」

アンジェ「ここにだって……ソファーがあるわ…///」ちゅっ…♪

ドロシー「…それもそうだよな……んっ、ちゅぅっ…れろっ…ちゅぷ……んむぅ♪」

アンジェ「んっんっ、んぅっ……あむっ、ちゅぅ……ちゅぱ…ぴちゅっ…///」

………



ドロシー「はぁ、はぁ……アンジェは肌が真っ白でうらやましいな…」

アンジェ「ドロシーこそ…私にもそんな風に豊満な身体があったら……///」

ドロシー「……はは、お互い「ない物ねだり」ってやつだな♪」

アンジェ「ふふ…そのようね」

ドロシー「じゃあせめて気分だけでも味わわせてやるよ…ほら///」アンジェの手をはだけた胸元に誘導する…

アンジェ「…とっても柔らかいわね……しかもすべすべしていて…///」

ドロシー「……ああ…じゃあ私も……♪」

アンジェ「んっ、んんっ…ん、くぅっ……♪」

ドロシー「おぉ、すっごいな…指に絡みつくみたいで……しかも暖かくて…」

アンジェ「…いちいち言わなくてもいいわ///」

ドロシー「いや…ここは素直に褒めた方がいいかと思ってね……」

アンジェ「ふふふっ…♪」

ドロシー「ははは…♪」

二人「「あははははっ…♪」」

172 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/08/12(日) 00:42:35.82 ID:Ye+ijvbc0
…翌日…

ドロシー「うー…あいたた……」

アンジェ「どうしたの、ドロシー…リウマチにでもなった?」

ドロシー「だから私を年寄り扱いするなって……どうも昨夜のアレが響いたみたいでさ…」

アンジェ「あなたがソファーの上で無理な体勢をとるからよ」

ドロシー「…あんな熱っぽくうるんだ瞳で誘って来たのはどこの誰だよ……いてて…」

ベアトリス「おはようございます、アンジェさん、ドロシーさん……」

アンジェ「おはよう、ベアトリス」

ドロシー「よう…おはようさん」(こりゃ昨夜はプリンセスと「お楽しみ」だったな…目の下にくままで作っておきながら、嬉しげな顔をしてやがる……)

ベアトリス「ええ、おはようございます」(ドロシーさん、昨夜はアンジェさんといちゃついていたみたいですね…身体の動きがぎくしゃくしているのに満足そうですし……)

プリンセス「おはようございます、皆さん♪」

アンジェ「おはよう、プリンセス」

プリンセス「ふふ…おはよう、アンジェ」

アンジェ「ええ」

プリンセス「昨晩はドロシーさんと仲よくできた?」

アンジェ「…何の事かしら」

プリンセス「あら…だって昨夜はベアトが私の所に来ていたから、きっとアンジェとドロシーさんとで打ち合わせや道具の手入れに励んでいたものと……それとも、何か違うことを想像していたのかしら?」

アンジェ「いいえ……それより今日はベアトリスと一緒に来たのね」

プリンセス「あら、ベアトは私のメイドなんだから何もおかしいことはないわ…でしょう?」

アンジェ「ええ、そうね…その割にはずいぶんと視線が揺れたけれど……」

ちせ「…おや、皆の衆はもうお揃いであったか。何とも心地の良い晴天で、空気も清冽として爽やかじゃな……二人ともどうしたのじゃ?」

アンジェ「いえ、何でもないわ」

プリンセス「ふふ、おはよう…ちせさん♪」

ちせ「…お早う、プリンセスどの」

プリンセス「そういえば昨日のお菓子は美味しかったわね……今度取り寄せますから、ちせさんもお茶会の作法の確認を兼ねて、一緒に召し上がりません?」(アンジェに問い詰められそうなタイミングで来てくれたものね…♪)

ちせ「お、おぉ…それはかたじけない♪」

ドロシー「……今朝はプリンセスの勝ちだな?」

アンジェ「…余計なお世話よ」

173 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/13(月) 22:45:33.41 ID:P2bM3Ucoo
174 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/08/15(水) 02:15:14.90 ID:9QZLFXQb0
…case・プリンセス・ベアトリス×アンジェ「How to become a good spy?」(すぐれたスパイになるためには?)…

…とある日・「白鳩」のネスト…

ドロシー「ひゅぅ…どうやらコントロールもこの間の「予算ちょろまかし大作戦」でフトコロが豊かになったと見えて、申請した物は全部来ているようだぜ?」

アンジェ「そのようね……ドロシーとちせは木箱の中身を確認しておいてちょうだい」

ドロシー「ああ、任せておけよ…ちせ、ナイフとか刃物は任せた。回転砥石ならそっちの隅っこにあるから好きなようにやってくれ」

ちせ「うむ」

ドロシー「それじゃあ、私はハジキをいじくるとしますかね…♪」

ベアトリス「あのぅ…私は何をすれば……」

アンジェ「あなたにはしばらく復習を兼ねた工作員としての基礎訓練、それにより実践的な応用訓練を受けてもらうわ……分かっているとは思うけれど、あなたはまだスパイとしての訓練が足りていない」

ベアトリス「ええ、それは分かってます…」

アンジェ「よろしい。もっとも、そう言う面ではプリンセスも同じだけれど…彼女はあくまでも大事な「情報源」であって、目立つ立場にあることからいっても情報を引き出すような会話術や読唇術、書類の記憶のような「情報の入手」といった分野以外では、工作員としての技術を使う機会にはあまり恵まれない」

ベアトリス「はい」

アンジェ「…けれどその分、自由に動ける「プリンセス付き」であるあなたが情報の受け渡しや入手の仕方を覚えなければならないわ……もちろん、場合によってはプリンセスをお守りすることもね」

ベアトリス「私が…姫様をお守りする…」

アンジェ「そう、責任は重大よ」

ドロシー「そのために私たちが一緒についてきたのさ……お、新型のウェブリー・スコットか…相変わらずバランスがいいねぇ♪」

…ドロシーは趣味半分で、隠し持つには目立ちすぎてスパイに縁のない6インチ長銃身モデルの「ウェブリー・スコット」リボルバーなど、小火器数丁をダメもとで要求していた…が、作戦成功の「ごほうび」ということなのか、どれもきっちり揃えて箱に収まっていた…

アンジェ「その通りよ…本来なら養成所で数か月の速成訓練を受けてもらうのが一番でしょうけれど、「学生」である私たちの立場ではそうもいかない」

ちせ「左様。よってうちらがおぬしの教官になろうというわけじゃな……ふむ、この短剣は悪くないのぉ」

ドロシー「…ま、最低でも自分の身を守れるくらいにはな」片目を細め、壁に向けてウェブリーを構えるドロシー…

ベアトリス「が、頑張ります…!」

アンジェ「結構。では格闘の基礎から…最初は徒手空拳で、それから武器を使った格闘術を練習してもらう」

ベアトリス「はい」

アンジェ「そもそもいくら頑張っても、小柄な私たちが相手のエージェント…しかもたいていは大の男でしょうけれど…そうした連中との体格差をひっくり返すのは容易ではないわ」

ベアトリス「……ですよね」

アンジェ「けれども……別にボクシングみたいにルールがあるわけではないのだから、いくらでも相手の潰し方はあるわ」

ドロシー「そういう事♪……んー、こいつはちょっと引き金が固いな…後でヤスリがけをしないと…」

ベアトリス「アンジェさん、具体的には?」

アンジェ「…膝蹴りを相手の股ぐらにお見舞いする、目を潰す…足の甲を踏みつけるのもかなり効果があるわ。敏捷な動きを要求される近接戦闘で、相手が片脚をかばって動くようになれば、立ち回りで有利になる……」ベアトリスの胸元をつかみ、いくつか動いて見せるアンジェ…

ベアトリス「うわ…容赦ないですね」

アンジェ「こんな世界で騎士道精神でも発揮するつもり?」

ベアトリス「いえ、そういうわけではないですけれど…」

アンジェ「なら自分と、ほかならぬプリンセスのためにもよく体得しておくことね……後はみぞおちに肘を叩きこむ…特に小柄なあなたなら、真っ直ぐ腕を突きだすだけでいいから打ちこみやすい…私も小柄だから実際の場面ではかなり違うでしょうけれど…少しやってみなさい」

ベアトリス「いいんですか、アンジェさん?」

アンジェ「いいからためらわない…ためらうとあなたは誰かに「始末」されることになる」

ベアトリス「!?」

アンジェ「……分かった?」一瞬でベアトリスをねじ伏せ、胸元数インチの所にナイフの刃を突きつけている…

ベアトリス「わ、分かりました…」

アンジェ「よろしい……みんなの命もかかっているのだから、その博愛精神はどこかにしまっておきなさい」

ベアトリス「…はい」

175 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/08/15(水) 02:56:12.89 ID:9QZLFXQb0
ベアトリス「…はっ!」

アンジェ「ふっ」

ベアトリス「えいっ…!」

アンジェ「まだ甘い……もっと全力で叩き込みなさい」

ベアトリス「…やぁ…っ!!」

アンジェ「…っ、よろしい」ベアトリスの突きを受け止めた手を軽く振ると、今度は倉庫の片隅に放り出してあるがらくたを床一面に放り出した…

アンジェ「次は何かを得物にするやり方ね…ドロシー、いい?」

ドロシー「あいよ」

ベアトリス「よろしくお願いします、ドロシーさん」

ドロシー「はは、丁寧でいいじゃないか……ま、覚えて早々に格闘術なんてエラそうなものが出来るわけないし、むしろ中途半端に格闘術なんかを覚えていても相手は玄人だ…返り討ちにあうのがオチだろうな」

ベアトリス「じゃあどうすればいいんです?」

ドロシー「なに…しっかり格闘術が身につくまでは、私が裏町仕込みのダーティな(汚い)やり方を教えておくから、それで相手をノックアウトしちまえばいいさ♪」

ベアトリス「汚いやり方…ですか」

ドロシー「ああ、何しろ「効果はお墨付き」ってやつだからな……さて、一つ質問だ」

ベアトリス「何でしょうか?」

ドロシー「私たちみたいな人間が相手にして、一番苦手に感じるのはどんな奴だと思う?」

ベアトリス「それは……いつかの「ガゼル」みたいな…」

ドロシー「ははーん…ああいう「プロ中のプロ」みたいな奴か?」

ベアトリス「…ええ」

ドロシー「ちっちっちっ…そうじゃないんだな、これが」

ベアトリス「?」

ドロシー「玄人にはそれなりに「ルール」って言うか「原則」みたいなものがあるんだ…例えば相手と格闘するときは「刺し違え」じゃ困るから、絶対に勝つように動く」

ベアトリス「……あの、それは当たり前なのでは?」

ドロシー「ああ、ところが世の中にはその「当たり前」が通じない連中がいるのさ。困ったことにな……じゃあ「そう言う連中」って言うのは誰だと思う?」

ベアトリス「え、えーと…」

ドロシー「ふふーん、まぁ分からないよな……答えはアマチュアと、頭のどうかしている連中だ」

ベアトリス「…なるほど?」

ドロシー「アマチュアとかそう言う連中はどう動くか予想もつかないからな…私たちみたいなエージェントからすると苦手なんだ」

ベアトリス「……じゃあもしかして」

ドロシー「お、察しがいいな…そう、こういうがらくたで玄人のエージェントが苦手な「アマチュア」風にやってやろうってわけさ♪」床に散らかした割れた瓶や折れた椅子の脚、底の抜けたバケツ、曲がったスプーンのようなシロモノを指差した…

ベアトリス「でもこんなのでどうやっ…きゃぁ!?」

ドロシー「どうやって?……こうやってさ」あっという間に羽交い絞めにして、喉元に割れた瓶を突きつけている…

ベアトリス「あ…あっ……」

ドロシー「どうだ?」

ベアトリス「わ、分かりました……」

ドロシー「それじゃあ好きな得物を拾ってみな、私が一番いい「使い方」を教えてやるから♪」

ベアトリス「はい、やってみます」

ドロシー「ああ…どこからでもいいから、遠慮せずにかかって来るんだぜ?」

ベアトリス「はい…いきます!」折れて短くなったモップをつかんでとびかかった…

ドロシー「…やっ!」滑らかな動作でモップを弾き飛ばすと簡単に投げ飛ばし、一気に押さえこんだ

ベアトリス「ぐ…ぐぅっ……!」

ドロシー「悪くない…あと、その人工声帯は役に立つと思うぞ。何しろ喉を絞めても効かないんだからな」伸ばした片腕と胸元を脚で押さえているドロシー…

ベアトリス「ぐぅ…は、放してくださ……い…!」
176 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/08/15(水) 03:38:07.36 ID:9QZLFXQb0
…数時間後…

ベアトリス「あいたた……きっと明日は身体じゅうアザになってますよ…」

ドロシー「それも訓練の成果さ。それにしても私まで傷をもらっちまうとはね…」ベアトリスが振り回した割れた瓶がかすり、手の甲が少し切れている…

ちせ「ふむ「教えるは学ぶの半ば」と中国の故事にもある…人に教えることで学び直すこともある、ということじゃな」

ドロシー「ほーん…なかなかいい教訓だな……アンジェ、私はもういいか?」

アンジェ「ええ」

ドロシー「さてと…じゃあ今度はちせとアンジェだな」

ちせ「うむ……幸いにしてベアトリスと私は背格好もまあまあ似ておるゆえ、教えやすいはずじゃ」

アンジェ「そういう面もあるでしょうね」近寄った木箱には布が敷いてあり、スティレットやダガーナイフから投げナイフ、はたまた普通の包丁にバターナイフ、ペーパーナイフまで並んでいる…

アンジェ「さてと……」ナイフをひと振り取り上げ、ベアトリスに渡した

ベアトリス「え、えーと」良いマナーのお手本になりそうな持ち方で、ぎこちなくダガーナイフを持っている…

アンジェ「そんな持ち方だとあっという間に弾き飛ばされるわよ」しゅっ…と下からナイフを跳ね上げ、弾き飛ばした

ベアトリス「わわっ…!?」

ちせ「ふむ…日本では「隠密」のような連中は短刀をこう持つそうじゃ」刃を横に寝せて構える…

アンジェ「なるほど…だけどナイフならこの方がいいはずよ」刃を隠すように身体の脇に構え、下から突き上げるような動きをしてみせる

ベアトリス「こうですか?」

アンジェ「ええ……ここに丸めた絨毯があるからやってみなさい」もとは緑色だったらしいが、すっかり色あせているボロ布…とさして大差ない状態の絨毯を壁に立てかけ、支えを置いた

ベアトリス「それじゃあ…行きます!」勢いをつけて下から突き上げるベアトリス

アンジェ「結構」

ちせ「うむ、なかなか良いぞ」

アンジェ「ベアトリス…今度は上から突きたててみなさい」

ベアトリス「はい……やあ…っ!?」

アンジェ「分かったでしょう…その絨毯には木の枝が仕込んであって、上からだと刃が弾かれるように作ってあるの」

ベアトリス「どうしてですか?」

アンジェ「あばら骨は上からの異物は弾きやすいけれど、下から突き上げて来るものには弱い…その人体の構造を模してあるわ」

ちせ「……ふむ、まるで解剖学じゃな」

アンジェ「ええ、そうね」

ベアトリス「なるほど…うー、手がジンジンします……」

アンジェ「実際だったら相手を始末し損ねているでしょうね……絶対に上から刃を突きたてようとはしないこと」

ドロシー「もっとも、ベアトリスは小柄だから相手はかわしにくいし…そう言う面でも有利だよな」

ベアトリス「むぅ…あんまりほめられても嬉しくないですね……」

ドロシー「おいおい、小柄ならナイフを使った格闘で懐に潜りこんで脇の下だとか内腿みたいな急所を突けるし、なによりデカブツよりもちょこまか動けるから有利なんだぞ…どこかの誰かさんみたいにな」

アンジェ「…」

ちせ「…むむ」

ドロシー「おっと、失礼」

アンジェ「こほん…とにかく、狙うのは太い血管のある場所か腱のある場所……非力でも相手に与える影響が大きいわ」

ベアトリス「なるほど…ふぅ……」

アンジェ「今日はこのくらいにして、残りはこの絨毯への攻撃を四十回は行うこと…私たちはその間に他の道具を片づける」

ベアトリス「はい」

………

177 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/08/16(木) 02:02:13.43 ID:XD5ZDF/00
…別の日…

アンジェ「…さてと、今日から銃器の訓練も始めていくわ」

ベアトリス「こんなところで、ですか?」

アンジェ「ええ」


…アンジェたちがいるのはとある中くらいの鉄工所で、表向きは煙と火花を散らしながら王国の蒸気機関車や自動車向けの鉄板を作っている…が、実際には共和国がダミー会社を通して作った鉄工所で、普段は注文を通して王国の情勢や工業界の情報をスパイしつつ資金を洗浄(ロンダリング)し、工員の中に入っているエージェントや資金係へ「きれいな」活動資金を提供する…そしてもし王国との関係が悪くなったら鉄に混ぜ物をしたり作業を遅らせたりして王国の兵器生産を遅らせ、また使い物にならなくさせる……アンジェたちがここへ来たのは小火器訓練のためで、どうやっても他の音には聞こえない銃声を、鉄工所の騒音に隠してしまおうという「コントロール」の考えで作られた射撃場が地下にあり、レンガの乾いた地下室に、ぼんやりと上の騒音が響いている…


ドロシー「ここなら音も気にしないで済むし、出入りに使える道も数本はあるからな…」ベアトリス用の小型リボルバーを台に置いた

ドロシー「さて、ドロシー先生からベアトリス君に質問だ…銃のもつ一番の利点は何だと思う?」

ベアトリス「えーと……遠くから相手を狙えることですか?」

アンジェ「まぁ、それもあるでしょうね。ちせが刀の達人でも、刃の届く距離よりも遠くから撃たれては喧嘩にならない」

ドロシー「ああ…が、もっと大事な点が一つある」

ベアトリス「何でしょう?」

ドロシー「どんなチビでも巨人みたいな相手を倒せる…ってことさ♪」

アンジェ「…ドロシーの言う通り。だから人によっては銃の事を「イクォライザー」と呼ぶくらいよ」(※equalizer…本来は電圧などの「等圧器」のこと。転じて「勝負を平等(イコール)にするもの」の意)

ドロシー「とはいえ銃も万能じゃない……特に私たちみたいな世界の人間からすると欠点も多々ある。何だと思う?」

ベアトリス「そうですね…大きくてかさばることですか?」

ドロシー「悪くないな。他には?」

ベアトリス「音が大きいこととか…?」

ドロシー「ああ、そいつは最悪の欠点と言ってもいい……こんなに科学が発達しているんだし、そのうちに銃の音を消すような装置が出来たっていいもんだけどな」(※サイレンサーの発明は1900年代頃…実用され始めたのは第二次大戦の頃から)

アンジェ「けれど、それもまだ正解とは言いにくい」

ベアトリス「じゃあ…傷から撃たれたことが分かってしまう、とか?」

ドロシー「そいつはナイフの傷だって同じさ…あるいは毒だってちゃんと調べれば、たいてい盛られたことが分かる」

ベアトリス「むぅ…何でしょうか……分かりません」

アンジェ「まぁそうでしょうね」

ドロシー「なに、構わないさ……正解は「銃は銃にしか見えない」ってことなんだ」

ベアトリス「?」

ドロシー「たとえばナイフならペーパーナイフそっくりに作ったり、スティレットを万年筆に仕込んだっていい…だけど銃だとそうはいかない」

アンジェ「しかも用途は相手を撃つためのもの…さらに一般人は持っていない」

ドロシー「……つまり相手に銃を持っているのを見られたら」

アンジェ「素早く始末しなさい」

ドロシー「そのためには…」

アンジェ「一発目を命中させる必要がある」

ドロシー「そういうこと……それに、もしかしたら一発目を撃った瞬間に汽笛が鳴るかも知れないし、自動車事故で音がかき消されるかもしれない」

アンジェ「もしかしたら空耳と思って素通りしてくれるかもしれない」

ドロシー「そういうこと…だから一発目を当てられるように練習するのさ。それに初弾で相手がやれなくても、どこかに当たっていれば「五体満足」とはいかなくなる」

アンジェ「そうして動きが鈍ったら…」

ドロシー「とどめの一発をズドン…ってわけさ」

アンジェ「じゃあ、装填されている分を撃ってみなさい」

ベアトリス「…はいっ」

178 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/08/18(土) 11:58:22.49 ID:FcwFPRrG0
ベアトリス「それでは始めますね?」

ドロシー「あいよ。その間に私もいじくった銃をテストしておくかな♪」

アンジェ「まったく…その奇妙きてれつなアイデアの豊富さには頭が下がるわね」

ドロシー「えー、どこがだよ?」

アンジェ「全部よ…私たちのような世界の人間にそんなのが必要かしら?」ドロシーが構えている6インチ長銃身の「ウェブリー・スコット」リボルバーに取り外しのきく木製ストックを付けたピストル・カービン……のようなカスタム銃を指差し、あきれたように首を振った…

ドロシー「もしかしたらいるかもしれないだろ…中距離の精密射撃とか」

アンジェ「…あきれて物も言えないわ」

ドロシー「ちぇっ、いい考えだって言ってくれると思ったんだけどな……トカゲ女にはこの銃の良さは分からなかったか…」

アンジェ「…」パンッ…!

ドロシー「へぇ…射撃の腕は相変わらず大したもんだ♪」バンッ、バン…ッ!

アンジェ「あなたもね……ベアトリス、もう少し腕を真っ直ぐに伸ばしなさい」

ドロシー「そうそう、銃身と的が一直線になっているのが大事なんだ…あんまり照門をのぞきこむのに一生懸命になっちゃダメだぜ?」

ベアトリス「は、はいっ…!」バンッ!

ドロシー「…なかなか上手いもんじゃないか。その調子でもう一回やってみな?」

ベアトリス「はいっ、分かりました…っ♪」

ドロシー「さて、次に取り出しましたるこちらの銃は…♪」

…麻袋の上に乗せてあるのは「リー・エンフィールド」小銃のストックを切り落として銃身の部分も切り詰めたシロモノで、元は人の背丈ほどもありそうな長さの歩兵用ライフルだったものが、三十センチもないくらいの短さになっている…

アンジェ「相変わらずのむちゃくちゃぶりね」

ドロシー「おいおい、何も言わないうちからそれかよ…」

アンジェ「ならメリットを説明してちょうだい?」

ドロシー「へいへい。アンジェなら覚えているだろうけどさ…いつぞやの作戦の時、車に追いかけられたことがあったろ?」

アンジェ「ええ」

ドロシー「あの時は私だったから一発で運転手にぶち込めたけれど、あんな離れ業はそうそうやれるもんじゃないしな…で、これさ」

アンジェ「…これがなんなの?」

ドロシー「見ての通り、リー・エンフィールド小銃をギリギリまで切り詰めたのさ…さすがに.303ブリティッシュの鉛玉を雨あられと喰らったら、どんな車だってひとたまりもないだろ♪」

アンジェ「……どこからそんな発想が出てくるのかしらね」

ドロシー「こいつは新大陸で西部を開拓してるような連中のアイデアさ…長いライフルをいつも背負ってるより、ホルスターに突っこめるこういうのなら持ち運びが便利だってことらしい」

アンジェ「命中率はひどく悪そうね」

ドロシー「なーに、もとより荒事になった時にしか使わないつもりだし、できるだけ箱か何かの上で据え置きにして使うつもりだからな」

アンジェ「…私たちは兵士ではないのだから、そもそも「荒事」にならないように努力すべきね」

ドロシー「まぁな。ま、ちょいと試してみますか…!」バン、バン、バンッ…!

ベアトリス「わぁっ…!?」

アンジェ「なるほど、その早撃ちは大したものね……それこそウェスタンに行けば良かったんじゃないかしら」ボルトの動きが短く速射向きの「リー・エンフィールド」とはいえ素晴らしい速射をみせるドロシーに、あきれつつも眉をあげるアンジェ…

ドロシー「ふふん…お褒めの言葉をどうも♪」
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/19(日) 01:47:04.82 ID:PsF6O+bro
180 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/08/20(月) 01:49:10.93 ID:+zWKBcIR0
>>179 読んで下さってありがとうございます。引き続き(更新は遅いですが)お付き合いいただければ幸いです……ここ数日涼しいですし、少しは投下するペースも上がると思いますので…


…見て下さっている皆さま方も、疲れがどっと出やすい時期ですので、お身体には気を付けてくださいませ…
181 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/08/20(月) 02:37:42.38 ID:+zWKBcIR0
…別の日・部室…


ベアトリス「あの、ドロシーさんにアンジェさん……今日の訓練はあれだけですか?」

ドロシー「ああ…あんまり訓練ばっかりだとお前さんも疲れちまうだろうし、何より目つきが鋭くなっていけないからな」

ベアトリス「でも、私は早く姫様をお守りできるようになりたいんです……」

ドロシー「気持ちは分かるが、メリハリって言うのは大事だからな……なぁに、また明日っからビシビシしごき倒してやるよ♪」

アンジェ「そういう事よ…時間もあるし、カードでもやりましょうか」

ドロシー「お、いいね…♪」

ベアトリス「カードですか…私は姫様がお暇な時によく相手をしているので、あまり弱くはないと思いますよ?」

ドロシー「へぇ、それは楽しみだ♪」

アンジェ「カードは良いけれど、何にする?」

ドロシー「うーん…ホイストは人数が足りないし、かといってヴェンテアンはバカでも出来るしな……ポーカーはどうだ?」

アンジェ「なるほど、悪くないわね」

ドロシー「…ベアトリス?」

ベアトリス「いいですよ」

ドロシー「よし、決まりだ♪」

アンジェ「なら用意をするわね」緑色の紗で出来たテーブルクロスを敷き、カードの一揃いを取り出した…

ドロシー「さてと…誰がシャッフルする?」

アンジェ「私の出したカードだから、不正のないように…ベアトリス、あなたがシャッフルしなさい」

ベアトリス「分かりました……はい、出来ましたよ」手札を配り、山札をテーブルの真ん中に置いた…

ドロシー「なぁ…せっかくだし何か賭けようぜ?」

アンジェ「賭けにするのは嫌いよ。純粋に頭脳で楽しめなくなるもの」

ドロシー「それもそうか…ま、ベアトリスもいるしな」まるでベアトリスが小さい女の子か何かのように、噛んで含めたような言い方をするドロシー…

ベアトリス「む……ドロシーさん、それは一体どういう意味ですか?」

ドロシー「いや、別に他意はないさ。ただ……私はベアトリスの実力を知らないし、賭けるものが何にせよ巻き上げちゃ可哀そうだな…って♪」

ベアトリス「あーっ、またそうやって私をバカにして…私だって人並みにカードくらいできますよっ」

ドロシー「いや、だからそう言う意味じゃないって…な?」

ベアトリス「いいえ、何だって賭けようじゃありませんか……アンジェさん、すみませんが賭けにしましょう?」

アンジェ「ふぅ、分かったわ…それじゃあ勝負は一回につき一ペニーで、誰かの負けが一シリングまで行ったら止めにしましょう」

ドロシー「あいよ…えーと、シリング銀貨の手持ちはあったかなー……と♪」

ベアトリス「…むぅ」

アンジェ「それじゃあ私が最初に引くわ」

………
182 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/08/21(火) 10:55:41.17 ID:SwP1jpUQ0
ベアトリス「…これで勝負です!」

ドロシー「あいよ」

アンジェ「ええ…それで、手札は?」

ベアトリス「私はスリーカードですが、お二人は?」

ドロシー「悪いな…フォーカードだ」

アンジェ「ストレート」

ベアトリス「む……分かりましたよ」

アンジェ「いい加減そのくらいで止めておいたら」

ベアトリス「そうやって勝ち逃げする気ですか。そうはいきませんよ?」

ドロシー「って言ってもなぁ……かなり負けが込んでるぜ?」

ベアトリス「むむむ…!」

ドロシー「分かったわかった、もう少しだけ付き合ってやるから」

ベアトリス「…じゃあ引いて下さい」

ドロシー「あいよ……よし、勝負だ♪」

アンジェ「そう。私は降りる…ベアトリスは?」

ベアトリス「むぅ……待ってくださいね…」余裕の笑みを浮かべるドロシーを穴が開くほどじっと見つめて、どうにか気持ちを読み取ろうとする…

ドロシー「ほら、勝負するのかしないのか…どっちだ?」

ベアトリス「…分かりました、降ります」

ドロシー「そうか、ならいただきだな…♪」指でペニー硬貨をはじき上げ、落ちてきた硬貨をパシッとつかまえるドロシー…

ベアトリス「で、手札はどうだったんです?」

ドロシー「…知りたいか?」

ベアトリス「はい」

ドロシー「ブタさ…何にもなし♪」ぱらりと手札を開いてみせる…

ベアトリス「えっ!?」

ドロシー「ふふーん…これだから「ポーカーフェイス」っていうのさ♪」

アンジェ「ドロシーはまだまだだけれど、ね」

ドロシー「私は感受性が豊かなんだ……どこかの冷血動物とは違ってな」

アンジェ「好きなだけ言っていなさい。じゃあ今度は私が…あら、ベアトリスは今ので一シリングに達したようね」

ベアトリス「え?…あ、本当ですね……」

アンジェ「ならこれで「訓練」はおしまいにしましょう」

ベアトリス「むぅ、途中までは結構勝てたんですが…って、訓練?」

ドロシー「ああ、言わなかったっけ?」

ベアトリス「言わなかった……何をです?」

ドロシー「実は今のも訓練だった、ってこと。カードをやりながら表情や捨て札から相手の心理を見抜き、逆にこっちの意図はさとられないようにする読心術の訓練だったのさ♪」

アンジェ「ええ。相手の心を見抜く練習よ」

ベアトリス「じゃあもしかして…」

ドロシー「最初に私が茶化してあおったのもわざとだったのさ……しかしベアトリスはわっかりやすくていいな♪」

アンジェ「まだまだ訓練しないといけないわ」

ドロシー「ま、そういうアンジェも「とあるプリンセス」の事になると目の色が変わるがね…♪」

アンジェ「…」

183 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/22(水) 07:32:32.70 ID:A3GcO8l/o
184 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/08/23(木) 00:49:51.98 ID:BrWYIsff0
>>183 見て下さってありがとうございます…そろそろアンジェたちがいちゃいちゃし始める頃ですが、もう少々お待ちください……
185 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/08/29(水) 01:40:29.75 ID:+R8ByZDD0
…その日の夜・部室…

アンジェ「さぁ、入って」

プリンセス「ええ。 …この時間は寮が静かでいいわね♪」

ベアトリス「そうですね…それはいいんですが、こんな時間にも訓練ですか……」

アンジェ「この世界では二十四時間、常に神経を尖らていないといけないのだから当然よ。それにプリンセス…もちろんベアトリスも、格闘や射撃よりは情報の入手や隠蔽の仕方を覚える方が重要よ……だから、ある程度まとまった時間が取れるこの時間に呼び出したわけ」

プリンセス「……情報の入手と隠蔽…ある意味ではプリンセスの役割に似ているわ」

アンジェ「ええ、そうでしょうね」(…お互いに「プリンセス」の大変さは良く知っているものね)

ベアトリス「それで、何を訓練するんでしょうか?」

アンジェ「まずは情報の入手ね…この部屋に「機密書類」として適当な手紙が数枚隠してあるわ……二人には十分あげるから、探し出してみなさい」

ベアトリス「…十分ですか?」

アンジェ「言っておくけれど、十分は思っているより短いわよ……では、始め」

ベアトリス「えーと…姫様、どうしましょうか?」

プリンセス「そうね……では左半分はわたくしが調べますから、右半分はお願いね?」

ベアトリス「はい、分かりました…っ!」

………



アンジェ「…」

ベアトリス「うーん…ない……ここにもない…」

アンジェ「…」ちょこんと椅子に腰かけて、冷ややかな目でベアトリスとプリンセスを見ている…

プリンセス「んー…あ、あったわ♪」

アンジェ「まずは一枚ね…あと二分よ」

ベアトリス「えぇっ、全然終わりませんよっ!?」

アンジェ「ならもっと手早く探すことね……あと一分」

ベアトリス「うぅ…むぐぐ……!」アンジェが「機密書類」を小さくたたんで、机の脚の下に敷いて隠してあるのではないかと、飾り棚を動かそうとする…

アンジェ「…終了」

プリンセス「ふぅ、自分では結構「スパイ稼業」が板についてきたと思っていたのだけれど……アンジェからしたらまだまだヒヨコのようね?」

アンジェ「ええ、そうね。それでも一枚見つけただけ、もう一匹の「ヒヨコ」よりはマシだけれど…ベアトリス」

ベアトリス「は、はい…」

アンジェ「あなたの目は何を見ているの? 眼科に通った方がいいんじゃないかしら?」

ベアトリス「そんなこと言ったって…全然見つからないんですよ」

アンジェ「じゃあこれは何?」テーブルの上に広げてあった教科書とラテン語の書きとり用紙…に重ねて置いてある「機密書類」をひらひらさせた…

ベアトリス「えっ、そんなところに…!?」

アンジェ「ふぅ…ベアトリス、あなたにはあれだけ人の心理について教えたのに……これでは素人もいい所よ」

ベアトリス「…ごめんなさい」

アンジェ「どんな素人だって、まずは鍵のかかった引き出しや隠し戸棚のありそうな場所を真っ先に探そうとするわ……そもそも、手際よく処分する必要がありそうなものを机の下や鍵のかかった引き出しにしまうとでも?」

プリンセス「言われてみると……私が見つけたのも本棚に軽く挟まっていたわね」

アンジェ「機密書類を隠す時はそういう具合に隠すものよ…ベッドの下なんかに隠したりはしないの」

ベアトリス「でも、棚のカシェット(隠しスペース)は?」

アンジェ「あれは「素人に」秘密を探し出されないためのものよ…例えば愛人からの恋文とか、ちょっとした隠し財産…そんなものを隠すにはいいけれど、玄人には通用しない……そもそもカシェットのある家具は年代やスタイルが限られているし、隠し場所もある程度目安があるから、むしろ慣れた人間は探すのに時間がかからない」
186 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/08/31(金) 02:23:38.00 ID:hyGYczk00
アンジェ「…今度は暗号やメッセージを書く時のコツについてよ……二人とも、座って」

プリンセス「アンジェったら、何だか先生みたいね…♪」

アンジェ「からかわないでちょうだい」

プリンセス「分かっているわ……どうぞ続けて?」

アンジェ「なら…プリンセス、適当に予定を「わからないよう」書き起こしてみて」卓上の便箋をプリンセスの手元に滑らせた

プリンセス「ええ♪」流麗な字体でさらさらと書き上げ、アンジェに渡した…

アンジェ「次はベアトリス。あなたの番よ」

ベアトリス「はい」

アンジェ「…さてと、まず「手紙の中身」うんぬんの前に言っておくことがあるわ」

ベアトリス「何でしょうか…?」

アンジェ「書き物をしたときはその下の紙を、少なくとも数枚は捨てなさい…それも丸めて捨てるのではなく、きっちり灰になるまでランプなり暖炉なりで焼き捨ててしまうこと……いい?」下に敷かれていた便箋を軽く鉛筆でこすると、書いた文字が白いシルエットになって浮かび上がった…

ベアトリス「うわ、はっきり読めますね…」

アンジェ「分かった?」

ベアトリス「はい、分かりました」

アンジェ「結構……では中身の採点にとりかかるわ」

プリンセス「…どうかしら?」

アンジェ「なかなか良く書けているわ……「明日は『茶畑』で畝をつくり、昼過ぎには『アシュレー』、『ディック』、『バーク』、『チャールズ』氏とお茶…夕食後は『北』の舞踏会」…及第点ね。ベアトリス」

ベアトリス「はいっ」

アンジェ「今のを解読してみなさい」

ベアトリス「えーと…『茶畑』は分かりませんが、おそらく学校の事ですよね……『アシュレー』や『ディック』は私たちの頭文字を使って男性の名前にしたものかと思います……最後の『北』の舞踏会は…ごめんなさい、見当もつきません」

アンジェ「よろしい。ただしもう少し頭を働かせることね…『茶畑』は学校の事だけれど、これは制服の緑色が並んで、きっちり列になって授業を受けている様子からね」

プリンセス「ええ」

アンジェ「人名はベアトリスの言った通り私たちの名前をもじったもの…『北』の舞踏会はホークスリー卿のことね」

プリンセス「当たりよ、アンジェ♪」

ベアトリス「……なんでホークスリー卿が「北」なんですか?」

アンジェ「大鼻のホークスリー卿を『鼻』(nose)と『北』(north)で掛け言葉にしたのね…どう?」

プリンセス「ええ、正解♪」

ベアトリス「あぁ…なるほど……」

アンジェ「お次はベアトリス、あなたのよ…「午前中は『S』で過ごす…昼下がりには『鹿』と『天使』、『お人形さん』とお茶会を開く……夕方からは『鹿』のお世話をし、夜には『天使』からオリーヴの枝を受け取る……一見するとおとぎ話の好きな子供が書いた可愛い文章に見えるし、なかなか悪くないわ」

ベアトリス「そ、そうでしょうか///」

アンジェ「そういう性格や身の丈に合った文章で暗号が書けると、読まれても違和感がないからいいわ…プリンセス、この暗号は解ける?」

プリンセス「やってみるわね……えーと、『S』は学校(school)……で、アンジェが『天使』(angel)ね…」

アンジェ「少し安直だけれど、始めた段階だからまぁいいでしょう…他は?」

プリンセス「うーん…あ、ドロシーさんが『お人形さん』ね?」

アンジェ「そうね…ドリー(Dolly…ドロシーの愛称)から『お人形さん』(doll)と言いたいのでしょう…どう、ベアトリス?」

ベアトリス「あ、はい……ドロシーさんは『お人形さん』には見えませんし、二重の意味で暗号にいいかな…って」

…ドロシーの私室…

ドロシー「……えっくし!」

………

アンジェ「で、プリンセスが「大事な人」(dear)だけに『鹿』(deer)…なかなか大胆な告白ね、ベアトリス」

ベアトリス「///」

プリンセス「あら…♪」

アンジェ「まぁいいわ…で、「白鳩」の訓練だから『オリーヴの枝』(※聖書「ノアの方舟」から)と……なかなか上手いものよ」
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/09/01(土) 04:19:32.20 ID:7/6OjVoDo
188 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/09/02(日) 02:32:29.93 ID:28KLdtNO0
アンジェ「さて次は…「情報の引き出し方」ね……」

ベアトリス「引き出し方、ですか」

プリンセス「つまり会話術…って言う事かしら?」

アンジェ「それもあるわ。他にも脅迫、懐柔、情に訴える……相手次第でやり方はさまざまね」

ベアトリス「それで、今日はどれを学ぶんですか?」

アンジェ「そうね…そこは一番成果を上げやすい「ピロートーク」(ベッドでの仲睦まじいおしゃべり)かしら」

プリンセス「まぁ…♪」

ベアトリス「///」

アンジェ「ピロートークともなれば、だいたいがベッドで二人きり…しかもその前に「秘密の関係」を持ったともなれば、誰だって舌が滑らかになるものよ……」

ベアトリス「そ、そんなこと言ったって…!」

アンジェ「別に恥ずかしがることはないわ…任務だもの」

ベアトリス「で、でも…///」

アンジェ「もっとも……あなたみたいな純粋な娘はすれっからしの貴族娘なんかには受けがいいわ。大事にしておきなさい、ベアトリス」少しだけ微笑みかけた…

プリンセス「アンジェ、こればかりは私には縁がなさそうね?」

アンジェ「でもないわ…プリンセスが無邪気な様子でベッドに連れ込んで、そばでベアトリスが聞き耳を立てたっていい」

ベアトリス「…っ」

アンジェ「言いたいことは分かるわ、ベアトリス…私も最初の時は、しばらく自分が薄汚れた気分になったもの……」

ベアトリス「いえ、私はいいんですよ…でも姫様に…」

アンジェ「だからこそよ。プリンセスとお付き合いするような連中なら何かしら特別な情報を持っている……いわば「金の卵を産むガチョウ」よ」

プリンセス「でもそんな情報源だと、私から漏れたことが分かってしまうのではないかしら?」

アンジェ「ふふ、鋭いわね……別に情報って言うのは、必ずしも新しい物を仕入れるばかりが能じゃないわ…裏付けだって大事だし、必ずしもすぐに使うわけでもない……「金の卵が孵る」よう、手元で温めてやることもあるわ」

プリンセス「難しいのね」

アンジェ「そうね…だけど私たちの立場でそこまで考える必要はない。せいぜいコントロールが頭を抱えて悩めばいい話よ」

ベアトリス「あの、それで「訓練」…って///」

アンジェ「…私がどこかの貴族令嬢か何かの役をやるから、二人がかりで私を「愉しませて」みなさい……それが済んだらいろいろ話しかけて、何か情報を引き出してみること」

ベアトリス「そ、そんなこと…っ///」

アンジェ「できないとは言わせないわ……だいたい、私だって好きでこんな色情狂みたいな真似がしたいわけじゃない」

ベアトリス「で、ですよね…ごめんなさい」

アンジェ「謝らなくていいわ。それに、私に出来ることが貴女にできないとも思えない」

ベアトリス「……そ、そうですか?」さりげない口調でアンジェにおだてられ、頬を赤くするベアトリス…

プリンセス「でも…ちょっと恥ずかしいわね、アンジェ?」

アンジェ「私もよ、プリンセス……でも練習だから仕方ない。いろいろ試してみてちょうだい」

プリンセス「そう…そうね」(…ふふ、アンジェの弱い所を調べるいい機会になりそうね♪)

アンジェ「じゃあ寝室でベッドに座って、たわいないおしゃべりをするところから……」
189 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/10/16(火) 09:29:26.01 ID:G+ViQjL70
復活おめでとうございます…また時々投下していくので、なにとぞお付き合いください
190 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/10/17(水) 01:36:50.80 ID:cpTpn7xV0
プリンセス「…ふふっ、それで?」ベッドの上でたわいないおしゃべりに興じる三人…そしてアンジェはいつもの冷めたような態度ではなく、貴族令嬢らしい気位の高さをかもしだしている…

アンジェ「ええ、わたくしはこう言って差し上げたのです…「貴女に興味はありません」と」

プリンセス「まぁ、おかしい♪ …ですが、貴女もお付き合いしている方などいらっしゃるのでしょう?」

アンジェ「ならよいのですが、わたくしは家の者が厳しくて…少なくとも伯爵令嬢以上でないと門前払いですの」

プリンセス「まぁ…では今までよい縁談はなかったのですか?」

アンジェ「ええ。 …わたくしだっていい年頃ですし、このままオールドミスになるのは嫌ですわ」

プリンセス「…とはいえ家の方がよいご婦人を紹介してくれないのでは、難しいですわね?」

アンジェ「そうなんですの……それに結婚までとは言わずとも、わたくしとて「一人の女」として誰かに愛されてみたいですわ///」

プリンセス「……なら、わたくしで試してみてはいかが?」

ベアトリス「!?」

アンジェ「そんな、おそれ多いことですわ…!」

プリンセス「ふふ、大丈夫…内緒にしておいてあげますから♪」

アンジェ「…本当に?」

プリンセス「ええ。わたくしとて、ときおり身体が火照って仕方ない時がありますもの…ね?」

アンジェ「で、でしたら…お相手をお願いいたしますわ」

プリンセス「ふふっ、これは二人だけの秘密ですよ……ちゅっ///」

アンジェ「んっ、ん…んむっ、ちゅぅ……///」

プリンセス「んっ、ふ…んくっ、ちゅぅぅ……れろっ、ちゅぅ♪」

アンジェ「んふっ、んっ……んぅぅ、ぷは…っ///」

プリンセス「…ふふ、今度はベアトも交ぜてすることに致しましょう♪」

アンジェ「そ、そんなはしたない事…きゃあ!?」

プリンセス「案ずることはありませんよ…護衛は控えの間にいるだけですし、あの分厚い扉なら音も漏れませんわ♪」

アンジェ「そ、そうではなくて……んくっ!?」ちゅるっ、にゅる…ちゅぽ……っ♪

プリンセス「…ぷは♪」

アンジェ「はぁ、はぁ……プリンセスが、わたくひに…こんな……///」

プリンセス「ふふ…では、失礼して……♪」とんっ…とアンジェをベッドに突き倒すと四つん這いの姿勢で近寄っていき、胸元のデコルテに手を差し入ると柔らかな乳房を揉みしだく…

アンジェ「んっ、はぁぁ…っ///」

プリンセス「ベアト、よかったら貴女も♪」

ベアトリス「はい、姫様…ちゅぅ、んちゅ……ちゅぅぅ///」脇から顔を近づけ、そっと唇を沈めていく…

アンジェ「んぅぅ……あむっ、ちゅぅ…ちゅむ……///」

プリンセス「あら、先端が固くなって…気持ちいいのかしら♪」

アンジェ「んむぅ…むぅ///」

プリンセス「あらあら。唇をふさがれているから、何を言っているか分からないわね…♪」

アンジェ「んっ、んっ…んっ、んぅぅ…っ!」

プリンセス「ふふ、「びくんっ」って身体が跳ね上がって…まるでお魚のようね」

アンジェ「ぷはぁ…はぁ、はぁ……♪」

ベアトリス「アンジェ様…お口の中、とっても熱くてよろしかったですよ♪」

プリンセス「ふふ、それじゃあ今度は身体の方を……ね、ベアト♪」そう言いながら小机の上に置いてあった羽根の扇をそっと差し示し、目配せをした…

ベアトリス「…はい♪」

191 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/18(木) 00:10:25.82 ID:yB1MjjeUO
スレ復活後の投下が早くて嬉しい
192 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/10/18(木) 02:00:17.93 ID:fgJLZwrk0
>>191 こちらこそ、早々にコメント下さって嬉しいです…サーバーダウンの間、次の回のあらすじとシチュエーションだけは多少考えておりましので、この回が終わったら少しだけ投下が早くなる……かもしれません
193 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/10/18(木) 02:29:45.63 ID:fgJLZwrk0
プリンセス「それじゃあ脱がせてあげます…ね♪」

アンジェ「ふぁぁ…っ、あぁ…っ///」

プリンセス「ふふ、白くて柔らかくて……まるで陶器のような肌ね♪」

ベアトリス「…姫様」

プリンセス「…準備できた?」

ベアトリス「…はい♪」

アンジェ「何の内緒話をなさっているの…っ、早く、わたくしを……っ///」

プリンセス「ふふ、焦らないで…♪」たたんだままの洋扇で、さわさわと脇を撫で上げる…

アンジェ「んっ、あふっ…何を……っ!?」

プリンセス「ふふ…ベアトも、アンジェさんを撫でてあげて?」

ベアトリス「はいっ♪」足指の間に羽根の飾り物を滑らせてくすぐる…

アンジェ「あっひゃぁぁ!? ひうっ、ひぃぃ…んっ///」

プリンセス「ふふ、弱いのはここかしら…それとも、こっちかしら?」

アンジェ「ひぅぅんっ、あひぃぃっ…はひっ、くすぐった……はひゃぁぁっ///」

プリンセス「んー、やっぱり脇腹が一番みたいね♪」

アンジェ「やめ…ひぃぃっ! これ以上…っ…はひゃあっ……くすぐられたら…ひぃぃ…っ、息が……あひぃぃっ///」

ベアトリス「…」

プリンセス「どうかしたの、ベアト?」

ベアトリス「……アンジェさんの身悶えている様子…癖になりそうです///」

プリンセス「ふふ、ベアトもアンジェの可愛い所が分かったみたいね…そうねぇ、ここがいいかしら?」

アンジェ「いっ、あぁぁっ…ひぐぅぅっ、ひゃあぁっ!」

プリンセス「んふふっ…それじゃあ今度は舌で直接……♪」

アンジェ「あっ、ひぅぅ…っ♪」とろ…っ♪

ベアトリス「…じゃあ私は反対側を……れろっ♪」

アンジェ「ひっ、んあ゛ぁぁ…っ!!」びくっ、びくんっ…!

プリンセス「ふふふ…こんなに先端を堅くして……あむっ♪」こりっ…♪

アンジェ「ひっ、あはぁぁ…っ!?」ぷしゃぁぁ…っ♪

ベアトリス「わぁ、姫様がまたがっているのに身体が浮き上がりましたよ…そんなに気持ちいいですか、アンジェ・さ・ん?」

アンジェ「はひゃぁぁっ、ひぃぃっ…はひゅっ、はひっ♪」

プリンセス「このままだと窒息してしまうわね…しばらく息を吸わせてあげましょう♪」

ベアトリス「はい」

プリンセス「さぁアンジェ…好きなだけ息をしていいのよ?」

アンジェ「はひっ、ふぅ、はぁ…」

プリンセス「…ただし、私から「間接的に」だけれど♪」あむっ…ちゅぅぅっ♪

アンジェ「んふぅっ!?」

プリンセス「んっ…ふー♪」

アンジェ「ぷはぁ…けほ、こほっ!」

プリンセス「どうかしら…私の吐息は?」

アンジェ「はふぅ、ふぅ……はぁ、はぁ、はぁ…///」

プリンセス「あらあら、返事も出来ないほど?」

ベアトリス「それだけ姫様が良かったんですよ…きっと♪」

プリンセス「あら、ベアトったら嬉しい事を言ってくれるわね♪」

………
194 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/10/19(金) 10:28:50.36 ID:UdYXhy/p0
…廊下…

ドロシー「ふわぁ、道具の手入れもしたし後は寝るだけだ…な?」

ドロシー「…何か喘ぎ声が聞こえるな……」鍵穴からそっと中を覗き込む…

アンジェ「あっ、あんっ…ひぐぅぅっ!」

ベアトリス「あーあ、こんなにぐしょぐしょに濡らしちゃって…アンジェさんも普段冷静な割にはいやらしいんですね♪」

プリンセス「ふふっ。ダメよベアト…あくまでも最初に決めた「貴族令嬢の口をゆるくする」ためのお芝居を続けないと♪」

ベアトリス「はい、姫様♪」

ドロシー「……おいおい、嘘だろ? あのアンジェがいいようにもてあそばれてやがる…こりゃ明日は雨だな…」

ちせ「…ドロシーどの、そんなところで一体どうしたのじゃ?」

ドロシー「ちせか…まぁ見てみろよ。ちょっと「刺激は強め」ってやつだが♪」

ちせ「?」

ドロシー「ほら、代わってやるから…」

ちせ「かたじけない。しかしドロシーどのをそこまで興がらせるような事とは……っ!?」

ドロシー「な?」

ちせ「こ、これは確かに刺激的じゃな…///」

ドロシー「…アンジェのあんなとろけた顔を見られる機会なんて、隕石に当たるより少ないからな……よく見ておけよ?」

ちせ「う、うむ…それにしても……」

ドロシー「おー…可愛い顔してベアトリスも意外とえげつない事をするじゃないか♪」

ちせ「あ、あれは……指が二本は入っておるぞ?」

ドロシー「ああ…もっとも、ベアトリスの指なら細いから三本はいけるだろうが……あのぎこちない感じもたまらないよな♪」

ちせ「///」

ドロシー「……のぞいていたら私までおかしな気分になってきた……ちせ、ちょっと付き合わないか?」

ちせ「…あ、あんなことをするのか?」

ドロシー「なに、あそこまで変態じゃないさ…な、いいだろ?」

ちせ「そ、そうじゃな……たまには二人で寝るのも好いかもしれぬ…///」

ドロシー「それじゃあ行こうぜ……にしてもちせ、お前…もうすっかりとろとろじゃないか♪」くちゅ…っ♪

ちせ「み、みなまで申すな…///」

ドロシー「なぁに、気にするなって……今夜は一晩中、翼なしで空を飛ばせてやるよ♪」

ちせ「…白鳩だけに、か?」

ドロシー「ははっ、そりゃまたずいぶんとただれた白鳩だな…まぁいいか♪」ちせの腰に手を回すドロシー

ちせ「う、うむ…///」もじもじと内腿をこすり合わせ、顔を赤らめる…

ドロシー「ふーん、ふーふーん…これで明日っからアンジェをおちょくるネタが出来たな♪」

プリンセス「……あら、どうしたのアンジェ?」

ベアトリス「あははっ、もう反応も出来なくなっちゃいましたぁ?」

アンジェ「…い、いえ……んっ、くぅぅ///」(…ドロシー、間違いなくのぞいていたわね……私が絶頂しているからって気づかないと思ったら大間違いよ…)

プリンセス「?」

ベアトリス「ほら、姫様もぼーっとしていないで…アンジェさんをもっとよがらせちゃいましょうよ♪」

プリンセス「あ、あぁ…そうね♪」


………
195 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/10/21(日) 00:57:45.49 ID:yNAwYn3y0
…case・ドロシー×ベアトリス「The Sweet whisper」(甘いささやき)…

…ある日・部室…

ドロシー「…なぁアンジェ、今回のは上物だぜ?」

アンジェ「そうね…だとしてもあまりくすねるのは止めておきなさい」

ドロシー「なんだよ。ちょうど切らしてたところだし、少しくらいちょろまかしたっていいじゃないか…どうもこいつを切らすと頭の回りが遅くなって仕方ないんだ」

アンジェ「だからと言ってとり過ぎると身体に毒よ」

ドロシー「へいへい、分かってますって…それにしてもこいつは結晶もきれいだし、そこらの物とは純度が違うな」

アンジェ「そうね、最近は精製の悪い物が多く出回っているから…珍しいわ」

ドロシー「だな…どれどれ」指先を軽く湿らせると白く細かい結晶に触れ、舌先にのせる…

ドロシー「ん、んーっ…こりゃ上物だ♪ …アンジェも少し試してみろよ?」

アンジェ「結構よ…貴女みたいに中毒したくないわ」

ドロシー「へっ、中毒とはおっしゃいますね」

アンジェ「機会さえあればそうやっているんだもの…「中毒」っていう言い方が一番ぴったりよ」

ドロシー「相変わらず可愛い顔して容赦ないな」

アンジェ「当然でしょう。別に私たちのものじゃないのよ」

ドロシー「なぁに、どのみちそうなるって…だいたいポーツマスの港で荷揚げしてここまで持ってきておきながら「壁の監視が厳しくなったからモノが動かせなくなって宙に浮いた」なんて、マヌケもいい所じゃないか」

アンジェ「まぁそうね。でも近頃はフランスからコニャックやシャンパン、レース生地だとかを密輸入する業者が多いし、それに相乗りする形でフランスのスパイが次々とロンドンに潜入してきているから…自然と王国の警備も厳しくなってきているのよ」

ドロシー「ああ…にしたってさ」

アンジェ「…どっちにしてもこの一袋はあなたが全部「味見」してしまうでしょうね」

ドロシー「はは、かもな…でもベアトリスやちせだってこいつがお気に入りなんだぜ?」

アンジェ「お願いだから過剰摂取だけはさせないようにね」

ドロシー「なぁに、あの二人の使い方なんて可愛いものさ…ま、何はともあれ今度の「お茶会」の時は遠慮せずに使えるけどな」

アンジェ「ふぅ…私はあんまり好きじゃないわ」

ドロシー「はは、いかにもアンジェらしいな。 …私は貧乏暮らしだったからさ、この「白い方」は滅多にお目にかかれなくてね……いつか上流階級の仲間入りでもしたら、それこそ浴びるように使ってやろうと思ってたのさ」

アンジェ「…で、ご感想は?」

ドロシー「最高だね♪」
196 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/10/21(日) 00:59:49.55 ID:yNAwYn3y0
アンジェ「まったく……白砂糖一つでそんなに愉快になれるのは貴女くらいなものよ?」

ドロシー「だってさ、一ポンドの袋でひとつ、ふたつ、みっつ…二ダースはあるんだぜ、これで笑いが止まらない方がおかしいってもんだ」

アンジェ「全く、あなたと一緒にいると毎日が愉快でいいわ…」

ドロシー「お褒めにあずかりどうも。 …しかしこの砂糖袋の山、一体どこに隠すかねぇ」

アンジェ「砂糖を舐めて頭の回りが良くなったんでしょう…少しは考えてみたら?」

ドロシー「それが思いつかないから困ってるのさ。ここにあったんじゃあ邪魔で仕方ないし」

アンジェ「先に言っておくけれど、ネスト(拠点)に置くのは却下よ」

ドロシー「そりゃそうだろうさ…ネストがネズ公のネスト(巣)になっちゃ困る」

アンジェ「結局はこの辺りに置くしかないわね…とりあえず全員の部屋に数袋ずつ分けておくことにしましょう」

ドロシー「だな。ちなみに隠し棚の…」

アンジェ「却下」

ドロシー「おい、まだ何も言ってないだろ」

アンジェ「隠し棚にそんなスペースはないわ…貴女もよく知っているでしょう」

ドロシー「そりゃそうだが、薬包サイズの小分けにしたらしまえるんじゃないか…って」

アンジェ「紛らわしいから駄目よ。それにそもそも包み紙がないわ」

ドロシー「あー、言われてみれば…」

アンジェ「とにかく、消費することに関しては貴女に任せておけば良さそうね」

ドロシー「ああ、任せておけよ。それじゃあしまう前にもうひと舐め…っと♪」

アンジェ「…」

………

197 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/21(日) 11:39:01.59 ID:ap07g4h/O
白い粉..おくすり..委員長..
リク出来ればファーム時代に女教官から「プロの尋問」に耐える訓練を受けるアンジェ
198 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/10/22(月) 02:02:19.12 ID:updxeWrP0
>>197 …委員長は浮かばれないキャラだったので、そのうちにファーム時代のドロシーとで楽しげなエピソードを入れてあげたいですね。あと、リクエストの方は承りました…みなさんクールなアンジェがとろっとろになるの好きですよね(笑)

…また、そのうちに夢オチみたいな小ネタでドロシー×ガゼルの尋問でもやろうかとは思っています…あとは途中で出てきた目つきの悪いエージェント(名前が出てこない…)を「白鳩」全員でめちゃくちゃにするとか…


…ちなみにリクエストは(あんまり残酷なのとかはNGですが…)時間こそかかりますが、頂いたものは書きますので…お待ちください
199 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/10/22(月) 02:09:30.92 ID:updxeWrP0
…別の日…

アンジェ「さてと…今回の任務は、王国外務省の機密書類を手に入れる事よ」

ドロシー「ふーん?」

アンジェ「中身は王国にとって「疑わしき人物」のリスト…こちらからすれば、あちらの目に止まっているエージェントを知りうる貴重な書類ね」

ドロシー「なるほど…とりあえずはそれを盗み出せばいいんだな?」

アンジェ「その通り。 …とはいえ外務省に忍び込むとなると一筋縄ではいかない」

ちせ「確かにそうじゃな」

アンジェ「それに管理の行き届いている外務省から公文書を盗み出したりしたら、あっという間にこちらの目的が筒抜けになってしまう…それではやぶ蛇よ」

ドロシー「ああ。それこそ『大間抜け』ってやつだ」

アンジェ「そうね…けれど、一つ手がある」

プリンセス「そうなの?」

アンジェ「ええ…王国外務省はロンドンの本省と、リヴァプール、カンタベリー、ドーバー、ポーツマス、ウェイマスといった港町にそれぞれ出先機関を持っているわ…そしてそうした出先機関へは、王国にとって不都合な人間や積荷を水際で押さえるために、本省から数日ごとに更新される「ブラックリスト」の写しが送られている」

ドロシー「そいつをいただくのか?」

アンジェ「そういう事よ…ただし、これも簡単という訳ではないわ」

ドロシー「だろうな」

アンジェ「まず、機密文書の送付はいつなのか。もっとも、これは王国側に潜りこんでいる低レベルのエージェントでも探り出せる…何しろ機密情報を運べるほど信頼されているアタッシェ(伝達吏)は外務省と言えどもそう多くない」

ドロシー「なるほど…ちょいと事務室をのぞきこめば分かるわけだ」

アンジェ「ええ。だけど問題はそれだけじゃない」

ちせ「護衛じゃな?」

アンジェ「その通り…ちなみに護衛につくのは四人乗りのロールス・ロイスかマーモン・ヘリントンの乗用車が一台。たいていは防諜部のエージェントだけれど、時々スコットランド・ヤード(ロンドン警視庁)の「スペシャル・ブランチ」(特別部)から私服が派遣されることもあるそうよ」

ドロシー「なるほど…こっちが本気でやるなら始末できない相手じゃない。とはいえ騒ぎを起こして奪い取るのはスマートじゃない…ってところか?」

アンジェ「ええ」

ドロシー「じゃあどうする…出先機関に忍び込むか?」

アンジェ「本来なら、それが一番いい手になるでしょうね…」

ドロシー「…何だか気に入らないような口ぶりだな」

アンジェ「ええ…警備の甘い出先機関に忍び込むのは一見すると悪くない案だけれど、問題は王国防諜部も同じことを思いつくだろう…ってところね」

ドロシー「まぁ連中もそれで飯を食ってるんだもんな…そうなると別の手が必要なわけか」

アンジェ「ええ…今日はそれを考えるために集まってもらったの」

ドロシー「なるほど、じゃあ一つみんなで頭をひねろうぜ?」

………



ドロシー「よし、それじゃあまとめるとこうなるな…あっという間に御用になっちまうから、外務省本省に忍び込むのは論外」

ベアトリス「そうですね」

ドロシー「…かといってあちこちにある外務省の事務所を狙うのは見え透いている…防諜部に秘密警察、スペシャル・ブランチ……まぁ何でもいいが、とにかく私たちの天敵みたいな連中が歓迎委員会をこさえて、手ぐすね引いて待っているわけだ」

ちせ「うむ」

ドロシー「となると、残された手段は文書便の車列…ってことになるよな」

アンジェ「そうなるわね。ただしそれも荒っぽい手段ではなくて、離脱するまで相手にさとられることなしに…よ」

ドロシー「さぁ難しくなってきたぞ……護衛車は一台きりとは言え、それをどうやってアタッシェの乗った車と分離させるかだな…」皿の上にあるきゅうりのサンドウィッチを二つ並べて車列に見立てると、あごに手をあてた…

アンジェ「そう、それもできれば工作だと思われないような手段でやりたいわね」

ドロシー「難しいな……だけどできないレベルじゃない」

アンジェ「ええ」

ベアトリス「やっぱり車に細工をする必要があるんでしょうか…」
200 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/10/24(水) 02:02:38.31 ID:sSRp1DY20
ドロシー「ああ。だけど細工をするにしてもすぐばれるようじゃ駄目だし、何より外務省を出てすぐに停まってもらっちゃ困る……できれば目的地のすぐそばで、混みあっている街中がいい」

アンジェ「そうね」

ベアトリス「うーん…だとしたらどうすれば……」

ドロシー「事故に見せかけて護衛車を止めるか?」クローテッドクリームのたっぷりついたスコーンを、サンドウィッチの間に割り込ませた…

アンジェ「いいえ、衝突させるのはなしよ……あ、ちょっと待って」

ドロシー「どうした?」

アンジェ「…そのクローテッドクリーム」

ドロシー「クリームがどうした?」

アンジェ「それよ、その手を使いましょう」

ドロシー「おいおい。一人で納得してないで、なんのことだか説明してくれよ」

アンジェ「分かっているわ…ドロシー、外務省の出先機関があるのはどんな所?」

ドロシー「そうだな…ドーバーにカンタベリー、ポーツマス……どこも港町だ」

アンジェ「そう、外務省の出先機関があるのはどこも港町…これはいいわね?」

ドロシー「ああ」

アンジェ「そうした港町に多く住んでいるのは?」

ドロシー「あー、たいていは地元の漁師か市場の競り人、行商の連中…船絡みの日雇い労働者に、魚の切れっぱしでどうにか食いつないでいる貧乏人、あるいはそんなのを相手にしている安っぽいパブ(居酒屋)の連中…近頃じゃあ中国人の苦力なんかもいるよな」

(※苦力(クーリー)…たいてい中国人の「荷運び人」を意味するが現在は差別的用語…が、舞台が十九世紀末なので当時の表現として用いる)

アンジェ「結構。それじゃあいま言った漁師や労働者…共通点は?」

ドロシー「そりゃあ、誰もかれも教会のネズミみたいに貧乏ってことさ…なんだ、金でも撒いて車列を襲わせるか?」

アンジェ「惜しいわね…お金を使うところまでは同じよ」

ドロシー「ほう?」

アンジェ「ドロシー、昨日のイワシ相場は?」

ドロシー「ロンドンで一ポンドあたり三ペンスってところだ、浜値ならもっと安い…なんだ、魚屋に商売替えか?」

アンジェ「そうなるかもしれないわ」

ベアトリス「あの…話が見えてこないんですが」

ドロシー「いや、待てよ…アンジェ、お前まさか」

アンジェ「ええ」

ドロシー「なるほどなぁ……いやはや、そいつは冴えてるぜ♪」

ベアトリス「あ、あの…だからどういう……?」

ドロシー「おいおい、せっかくなんだから頭を使って考えてみろよ…な、アンジェ?」

アンジェ「ええ…思考能力の訓練になるわ」

ドロシー「あと十秒で分からなかったら、スコーンは私がいただくからな♪」

ベアトリス「えー!?」

プリンセス「あ、分かったわ…♪」小声で耳元にささやきかける…

アンジェ「…そう、正解よ」

ちせ「ふむ……ではあるまいか?」

ドロシー「おっ、その通りさ…さて、十秒たったな」

ベアトリス「ち、ちょっと待って下さいよぉ!」

アンジェ「まぁいいわ…とにかく思いついたことを言ってみなさい?」

ベアトリス「え、えーと……私たちの誰かが魚を運んでいる馬車を転覆させて、護衛車を足止めする…でしょうか///」

ドロシー「……ふぅ」

ベアトリス「や、やっぱり違いますよね…」
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/10/24(水) 02:03:10.23 ID:sSRp1DY20
ドロシー「ああ。だけど細工をするにしてもすぐばれるようじゃ駄目だし、何より外務省を出てすぐに停まってもらっちゃ困る……できれば目的地のすぐそばで、混みあっている街中がいい」

アンジェ「そうね」

ベアトリス「うーん…だとしたらどうすれば……」

ドロシー「事故に見せかけて護衛車を止めるか?」クローテッドクリームのたっぷりついたスコーンを、サンドウィッチの間に割り込ませた…

アンジェ「いいえ、衝突させるのはなしよ……あ、ちょっと待って」

ドロシー「どうした?」

アンジェ「…そのクローテッドクリーム」

ドロシー「クリームがどうした?」

アンジェ「それよ、その手を使いましょう」

ドロシー「おいおい。一人で納得してないで、なんのことだか説明してくれよ」

アンジェ「分かっているわ…ドロシー、外務省の出先機関があるのはどんな所?」

ドロシー「そうだな…ドーバーにカンタベリー、ポーツマス……どこも港町だ」

アンジェ「そう、外務省の出先機関があるのはどこも港町…これはいいわね?」

ドロシー「ああ」

アンジェ「そうした港町に多く住んでいるのは?」

ドロシー「あー、たいていは地元の漁師か市場の競り人、行商の連中…船絡みの日雇い労働者に、魚の切れっぱしでどうにか食いつないでいる貧乏人、あるいはそんなのを相手にしている安っぽいパブ(居酒屋)の連中…近頃じゃあ中国人の苦力なんかもいるよな」

(※苦力(クーリー)…たいてい中国人の「荷運び人」を意味するが現在は差別的用語…が、舞台が十九世紀末なので当時の表現として用いる)

アンジェ「結構。それじゃあいま言った漁師や労働者…共通点は?」

ドロシー「そりゃあ、誰もかれも教会のネズミみたいに貧乏ってことさ…なんだ、金でも撒いて車列を襲わせるか?」

アンジェ「惜しいわね…お金を使うところまでは同じよ」

ドロシー「ほう?」

アンジェ「ドロシー、昨日のイワシ相場は?」

ドロシー「ロンドンで一ポンドあたり三ペンスってところだ、浜値ならもっと安い…なんだ、魚屋に商売替えか?」

アンジェ「そうなるかもしれないわ」

ベアトリス「あの…話が見えてこないんですが」

ドロシー「いや、待てよ…アンジェ、お前まさか」

アンジェ「ええ」

ドロシー「なるほどなぁ……いやはや、そいつは冴えてるぜ♪」

ベアトリス「あ、あの…だからどういう……?」

ドロシー「おいおい、せっかくなんだから頭を使って考えてみろよ…な、アンジェ?」

アンジェ「ええ…思考能力の訓練になるわ」

ドロシー「あと十秒で分からなかったら、スコーンは私がいただくからな♪」

ベアトリス「えー!?」

プリンセス「あ、分かったわ…♪」小声で耳元にささやきかける…

アンジェ「…そう、正解よ」

ちせ「ふむ……ではあるまいか?」

ドロシー「おっ、その通りさ…さて、十秒たったな」

ベアトリス「ち、ちょっと待って下さいよぉ!」

アンジェ「まぁいいわ…とにかく思いついたことを言ってみなさい?」

ベアトリス「え、えーと……私たちの誰かが魚を運んでいる馬車を転覆させて、護衛車を足止めする…でしょうか///」

ドロシー「……ふぅ」

ベアトリス「や、やっぱり違いますよね…」
202 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/10/24(水) 02:04:39.61 ID:sSRp1DY20
…なぜか連投になってしまいました……どうぞ片方は無視して下さい
203 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/10/25(木) 02:24:12.74 ID:wAgFnn0U0
ドロシー「…ベアトリスもちゃんと分かってるじゃないか♪」

ベアトリス「え…正解ですか?」

アンジェ「ええ」

ドロシー「よくできました…そぉら、ご褒美だぞ♪」スコーンを押し付け、ついでにクローテッドクリームをたっぷりと付ける…と、クリームが鼻の頭にまでついた…

ベアトリス「うっぷ…何するんですかっ」

ちせ「鼻先に付いておるな」

ドロシー「おっとと、悪い悪い…♪」指でしゃくって舐める…

ベアトリス「も、もう///」

アンジェ「…続きをいいかしら?」

ドロシー「ああ…もっとも「荷馬車を転覆させたらそれで終わり」って訳じゃない♪」

アンジェ「その通り…たちまち貧しい人たちが散らばった魚に群がって、大変な騒ぎになるでしょうね」

ドロシー「そうなったら防諜部のエージェントでも抜け出すのには時間がかかるだろう…って言うのは、火を見るより明らかだよな♪」

プリンセス「でも、護衛車が足止めされても肝心のアタッシェが事務所に滑り込んでしまったら…」

アンジェ「…そこで必要なのがこれよ」砂糖入れのスプーンを取り上げると、まるで砂時計の砂のようにサラサラと砂糖を戻した…

…作戦決行日の朝・外務省…

外務省職員A「グ・モーニン、チャーリー」

外務省職員B「モーニン…調子はどうだい?」

職員A「まぁまぁさ……そっちも朝からお疲れさん」

職員B「どうも…何しろ防諜部から山ほどリストが送られてくるもんでね、休む暇もなしさ」

職員A「大変だな…また密輸業者かい?」

職員B「ああ、フランスからコニャックを密輸している奴らがいるらしい…何でもドーバーの漁師がフランス側の用意したはえ縄にくくりつけてある酒瓶を沖で「漁獲」して、船倉に隠して持ち込むんだそうだ」

職員A「ふぅん…それが例の「瓶釣り」ってやつか」

職員B「ああ。それにしたってこんな分厚いリストを数日ごと作って送って来るんだぞ…防諜部の連中は本当に人間なのかね?」

職員A「もしかしたら連中はみんな人間のふりをした自動機械とか、そういうやつなのかもな…もしよかったら、小腹ふさぎに屋台のミートパイか何か買ってきてやろうか?」

職員B「ありがたいね……あ、それじゃあついでに頼みが」

職員A「ああ、なんだい?」

職員B「買いに行くときに控え室に寄って、パーカーたちに文書便の準備をするように声をかけておいてくれ…朝は港が混雑するから、昼ごろにエンバンクメント(運河)ルートで出す予定だとね」

職員A「分かった、伝えておくよ…それじゃあ」

職員B「ああ……本当に秘書がもう二人は欲しいよ、全く」

………
204 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/10/25(木) 02:38:03.09 ID:wAgFnn0U0
…数分後・外務省そばの公園…

職員A「…ミートパイを四つくれ」

行商人「へい」

職員A「いくらだ?」

行商人「八ペンスでさ」

職員A「そうか。釣りはいいよ、とっておきな……第二のルートだ」

行商人「へい…ありがとうございやす、旦那!」…行商のパイ売りは機嫌よく小銭を二回はじきあげて、ぱしっと手で捕まえた…

ベンチに腰かけている紳士「…」それを見て、朝刊を読みながらパイプをふかしていた紳士が同じページを二回ひらひらさせた…

通行人「…第二のルートだぞ」

ご用聞き「了解」

…ロンドン市内・テムズ川沿いのネスト(拠点)…

ドロシー「連絡が入った…第二のルートだとさ」

アンジェ「結構。それじゃあ分かっているわね?」

ドロシー「ああ、任せておけ」

ちせ「うむ」

ベアトリス「はい、でも本当にうまく行くでしょうか…?」

アンジェ「うまく行くかどうかじゃないわ…うまくやるのよ」

ドロシー「だな…それじゃあ取りかかろうぜ」

…外務省・駐車場…

中堅職員「ようティミー、また運転か?」

運転手「ええ、そうなんですよ」

中堅「お前さんも大変だな…ま、頑張りなよ?」

運転手「はい。それに公用車とはいえ、ロールス・ロイスに乗れる機会なんてそうはありませんからね」

中堅「ああ、うらやましいね。二十五馬力だっけ?」

運転手「だいたいそんなところですね……おかげでよく走ります」

中堅「…なぁティミー、運転席に座ってみてもいいか?」

運転手「ははっ、いいですよ…みんな僕にそう頼むんです」

中堅「そうだろうとも…へぇ、こんな具合なのか」

運転手「ええ、眺めもいいしスピードがあるから痛快ですよ」

中堅「だろうなぁ……なぁ、こいつは何のレバーなんだ?」

運転手「これがギアレバーで、このペダルがアクセルにブレーキ、それとクラッチ…慣れれば馬よりも簡単ですよ」

中堅「そうかい、何しろ古い人間なもんでね」

運転手「…いえいえ、こんなのすぐ覚えられますよ」…そう言って二人が話しこんでいる間に、いかにも外務省に用がありそうな身なりのいい紳士が車に近寄ると、給油口を開けて何かをさっと注ぎ込んだ…

老紳士「ちょっと、君」

中堅「はい」

老紳士「外務省の東インド課というのはどこにあるのかね?」

中堅「あ、では私がご案内いたしましょう…それじゃあまたな、ティミー」

運転手「ええ」

中堅「東インド課はこちらの三階ですね……工作は上手く行ったか?」

老紳士「そうかね、ありがとう……もちろんだとも」

中堅「…そうかい……では、こちらです」

老紳士「ああ、済まなかったね」
205 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/10/26(金) 12:06:03.82 ID:HS9g81Gh0
…午前中・港近くの部屋…

ドロシー「よーし、いい具合に化けたな…ロンドンのロイヤル・アクターズ・スクール(舞台学校)のメイク係だってこう上手くは出来ないね♪」


…港に近いネストには、表向きは慈善団体の主催している「貧しい人たちを救済する慈善事業」…実際はこうした場面で使えるように、コントロールが職員の着なくなった古着を貧民街の人達に寄付しては手に入れている、さまざまな大きさや汚れ具合をしたボロがため込んである……事前に選んでおいた汚れたショールとスカートをベアトリスに着せて、煙突の煤と土ぼこりを混ぜた「化粧」を施し、姿勢や態度を確認しているドロシー…一方のベアトリスは疑わしげに薄汚いスカートをつまんでいる…


ベアトリス「…本当にこんなのでうまく行くんですか?」

ドロシー「おいおい、私のメイク術なら年寄りだろうが子供だろうが思いのままだぞ…それにお前にはその声色があるじゃないか♪」

ベアトリス「それはそうですが…ちせさん、どうでしょう?」婆さんらしく背中を丸め、ちょこまかした歩き方をしてみせる…

ちせ「ふむ…背はちっこいし、見てくれは完全に年寄りじゃな…」

ドロシー「このボロいショールが決め手なのさ……あぁ、それと」…布に付けた何かをベアトリスの顔にこすりつけた……途端にひどく生臭い臭いが立ちこめる…

ベアトリス「うわ、何ですかこれ…!?」

ドロシー「魚油だよ…魚臭くない行商のバアさんなんていやしないからな」

ベアトリス「うぇぇ…」

ドロシー「なに、しばらくすれば取れるさ……手はずはいいな?」

ベアトリス「はい…護衛車が来たら馬車を横転させるんですね?」

ドロシー「そうだ…下敷きになる前にちゃんと左側へ飛び降りろよ?」

ベアトリス「はい」

ドロシー「それだけやったら、後はすたこら逃げ出せばいい…ただし、絶対に走るな」

ベアトリス「分かってます」

ドロシー「よし…ちせ、お前は何かあった時に備えて待機しておいてくれ」

ちせ「うむ、承知した」

ドロシー「私はモノをいただき、アンジェはそれを受け取って離脱…集合場所は事前に説明した通り」

ベアトリス「はい」

ドロシー「それじゃあバラバラに出て行くぞ…最初はベアトリスで、少なくとも五分は間隔を空ける」

ベアトリス「分かりました」

ドロシー「それじゃあ、三文オペラの始まりだ…防諜部の連中をきりきり舞いさせてやろうぜ♪」

ちせ「うむ」

ベアトリス「はい、頑張ります」

………

206 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/10/28(日) 01:05:38.47 ID:Lzi1S3z20
…港近くの道…

防諜部エージェント(中堅)「…そこを右だ」

防諜部エージェント(ハンチング帽の運転手)「ああ」

中堅「次は直進」

ハンチング帽「分かってるさ」

中堅「そうは思うがな……ウィル、怪しい奴は?」

防諜部エージェント(ロングコート)「いや、今のところは見えないね」

中堅「ならいいが…外務省のRR(ロールス・ロイス)はちゃんとついてきているか?」

ロングコート「もちろん。あの若い奴、なかなか腕がいい」

中堅「ほぅ? …それじゃあそのうちに引き抜きがあるかもな」

ロングコート「ああ」

中堅「市場に近くなってきたぞ…道が狭くなってくるから気を付けろ」

ハンチング帽「そうだな…って、おいおい」

中堅「何かあったか?」

ハンチング帽「あの婆さん……荷馬車にあんなに魚を積み込んで、今にも崩れそうだぞ」

中堅「あれか…そうならないように荷馬車の神様にでも祈っておけ」

ハンチング帽「ふぅぅ、どうやら無事に通り過ぎたようだ……っ!?」運転役のエージェントが荷馬車の脇をギリギリですり抜けて息をついた瞬間、何かの拍子で荷馬車が傾き、横転しながら新鮮なイワシをぶちまけた…

ロングコート「くそ…横転しやがったぞ!」

中堅「悪い予感は当たるものだな、早く車を止めろ…ウィル、ジョン」

ツイード「ああ」

中堅「急いであの魚の山を乗り越えて、外務省の車に乗りこんで護衛に付け…私たちは先回りするから、一区画先で合流するぞ」

ツイード「了解!」

…一方・伝達吏(アタッシェ)の乗ったロールス・ロイス…

運転手「……うわっ!」

外務省アタッシェ「何てこった…バックしろ、急いで他のルートへ!」

運転手「わ、分かりました…っ!」

…忙しいなかでは運搬計画について話し合う機会も少なく、しかもお互いのこだわりや玄人意識が邪魔をして、再合流についての綿密なすり合わせが出来ていなかった防諜部と外務省のエージェント…防諜部はまず機密情報を守ろうとし、一方の外務省アタッシェは早く安全な事務所に書類を届けてしまおうと焦り、別な道に車を走らせた…

アタッシェ「落ち着け、ティミー…防諜部の車とは次の角で落ち合えるはずだ、心配はいらない」

運転手「ええ、そうですね……ああ、くそっ!」…事前に燃料タンクに放り込まれた砂糖がエンジンの中で焼き付き、急にエンジンが咳き込んだかと思うと、道の真ん中でガクンと停まった…

アタッシェ「何だ?」

運転手「ちくしょう、エンジンが焼き付いたらしいです…RRでこんなことあるはずがないのに」

アタッシェ「これ以上走れないのか?」

運転手「今やってみますが……ダメです、ウンともスンともいいません」

アタッシェ「なら歩きだ、次の角まではたいした距離もない…ピストルはあるな?」

運転手「はい、持ってます」上着の下を軽く叩いた…

アタッシェ「よし…それじゃあ行こう」
207 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/10/28(日) 01:22:13.92 ID:Lzi1S3z20
………

運転手「車に乗っていると気が付きませんが…この辺りはずいぶん嫌な臭いがしますね」

アタッシェ「そうかもな……」

…港町特有の魚臭さに蒸気船の煙の臭い、それと古くなった料理油のむかつくような臭いが混じり合った薄汚い通り…石畳がすり減っている道には魚の頭や骨が無造作に捨ててあり、昼間だと言うのにネズミがちょろちょろしている…

運転手「…やれやれ、汚いなぁ」

アタッシェ「文句言うなよ…足元に気をつけんと、腐った魚を踏みつけるぞ?」

運転手「うわ…本当ですね」

アタッシェ「とにかく、あと数区画の辛抱さ」

ドロシー「……来たな」いかにも貧民街の住人らしく見えるぼろを着て、裏路地から家の窓に映るアタッシェの姿を確認する…

運転手「…それにしても、防諜部の車はどこなんでしょう」

アタッシェ「心配するな、もうそこがさっきの表通りだ…」そう言った矢先に角の路地から一人の女が飛び出してきて、アタッシェを地面に突きとばすと鞄をひったくった…

アタッシェ「う…くそっ!」

運転手「大丈夫ですか!」…地面に突き倒されたアタッシェを助け起こそうとする運転手

アタッシェ「う、ぐぅ…こっちはいい、早く女を追えっ!」

運転手「は、はいっ!」ぎこちなく3インチ銃身のウェブリーを構えると駆けだした…

…裏通りの角…

アンジェ「モノは?」

ドロシー「ああ、ばっちりだ…さ、開けちまおう」

アンジェ「ええ」…ただのひったくりらしくみせるために鞄をナイフで切り裂くと、手際よく中の書類をあらためる…

ドロシー「あった、こいつだ…まったく手間をかけさせやがって」

アンジェ「じゃあこれは私が」入手したリストを小さく折りたたんで、コルセットの内側に挟みこむ…

ドロシー「任せた…後は偽装だな」

…作戦を立案したコントロールは「スパイならどんな情報でも欲しがるもの」という考えを逆手に取った偽装工作を練り上げていて、王国側が鞄をひったくったのが「エージェントではなくただの物盗りだった」と思い込むよう、必要な数枚以外の書類は地面に散らかして捨て置くように指示していた……ドロシーはさっと目を通して内容を暗記すると、指示通り道に書類をぶちまけた…

ドロシー「…これでよし、と」石畳の道を走る靴音を聞きつけると、さっと裏通りの陰に消えた…

運転手「ぜぇ、はぁ……あっ!」

アタッシェ「はっ、はっ、はぁ…くそ、鞄が!」

運転手「はぁ、はぁ…でも中身こそぶちまけられていますが、ほとんど無事のようですよ?」

アタッシェ「ひったくられたこと自体が大失態だ……とにかく散らばったのを集めよう」

運転手「はい」

………
208 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/10/30(火) 01:40:36.44 ID:DK+ET3AH0
…寄宿舎…

アンジェ「さてと…みんな、今回も良くやってくれたわ」

ドロシー「ああ。特にベアトリス」

ベアトリス「は、はい」

ドロシー「ちゃんとタイミングよく荷馬車を横転させられたみたいだな…感心だ」

ベアトリス「いえ、そんな…///」

アンジェ「おかげで重要書類はこちらの手に入った…今ごろはコントロールの手元に届いているはずよ」

ちせ「ふむ、一件落着じゃな」

プリンセス「そうね…ご苦労様、ベアト」

ベアトリス「ありがとうございます、姫様///」

アンジェ「それじゃあみんなは解散していいわ…私は事後報告を書き上げないといけないし、ドロシーは道具の手入れがあるから」

ドロシー「おいおい、まさかあの魚臭いのがついたのまで私がやるのかよ?」

アンジェ「当然でしょう…それが嫌なら報告書と交代してあげてもいいけれど?」

ドロシー「うへぇ…ちっ、わかったよ」

アンジェ「飲み込みが早くて助かるわ……それじゃあね」

ドロシー「…ちっくしょう、あの冷血トカゲ女め……」

ベアトリス「あの、ドロシーさん…」

ドロシー「ん、どうした?」

ベアトリス「…よかったら手伝いますよ?」

ドロシー「何だよ、気にするなって…私なんかよりプリンセスの所に行ってやりな?」

ベアトリス「それはもちろんですけれど、普段からお洗濯とかは慣れていますし……私もチームの一員ですし、手伝わせてもらえませんか?」

ドロシー「そりゃまぁ、手伝ってくれるって言うならありがたいけどさ…いいのか?」

ベアトリス「はい」

ドロシー「そっか…気を使わせちゃって悪いな。今度何かおごってやるよ」

ベアトリス「もう、そんなのいいですから……早く終わらせちゃいましょうよ」

ドロシー「…そうだな」

…洗濯場…

ドロシー「ベアトリス、石けん取ってくれ」

ベアトリス「はい」

ドロシー「ありがとな……はぁ、今さら洗濯女の真似事かよ。嫌になるなぁ」

ベアトリス「まぁまぁ、そう言わずに…作戦はうまく行ったんですから」

ドロシー「これで上手くいってなかったら燃やしちまってるよ、ばかばかしい」

ベアトリス「もう…ドロシーさんったら、相変わらず愚痴が多いんですから」

ドロシー「ま、性分だからな……それにしても、ベアトリスもなかなか言うようになったな」

ベアトリス「いったい誰のおかげでしょうね?」

ドロシー「ほぅ? そういう生意気を言うとな……こうだっ♪」…バシャッ!

ベアトリス「きゃあっ…もう、せっかく手伝ってあげているのになんてことをするんですかっ!」

ドロシー「うっぷ…へぇ、やってくれるじゃないか」

ベアトリス「わぷっ……そっちこそ!」
209 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/10/30(火) 11:15:24.66 ID:DK+ET3AH0
…しばらくして…

ベアトリス「…あぁもう、結局びしょびしょになっちゃったじゃないですかっ!」

ドロシー「そりゃベアトリスが生意気なせいだな」

ベアトリス「むぅぅ……ひっ、くしゅっ!」

ドロシー「おいおい、こんなくだらない事で風邪なんか引かれちゃ困るぜ…とっととその濡れたのを脱いで、熱いシャワーでも浴びてきな?」

ベアトリス「は、はい…」

…浴室…

ドロシー「……ちゃんとお湯になってるか?」

ベアトリス「えぇ、はい…」

ドロシー「さて、それじゃあ私も…と♪」

ベアトリス「うぇっ!?」

ドロシー「なんだよ…私だって濡れたんだし、入っちゃ悪いのかよ」

ベアトリス「だからって、なにも一緒に入らなくても…///」

ドロシー「おいおい、今さら恥ずかしがるような関係かよ……よいしょ」

ベアトリス「///」棒石けんを身体にこすりつけながら、ちらちらと視線を送るベアトリス…シャワーの下で湯気に包まれているドロシーは、普段のクリーム色をした肌が桜色を帯びていて、どきっとするほど色っぽい…

ドロシー「……見たいならじっくり見ればいいじゃないか」ふとベアトリスが気付くと、ドロシーが向き直ってニヤニヤしている

ベアトリス「なっ…そういうことじゃありませんっ///」

ドロシー「別に構わないさ。どのみち、今さら裸を見たくらいでおたおたするような関係じゃない…だろ?」

ベアトリス「///」

ドロシー「…よかったら触ってもいいんだぜ?」

ベアトリス「!?」

ドロシー「何だよ、別に減るものじゃなし…ほーれ♪」それでなくてもたわわな胸を寄せて、ぐっと身を寄せる…

ベアトリス「……そ、それじゃあ///」むにっ…♪

ドロシー「んっ…どうだ?」

ベアトリス「ふわぁぁ……すっごいです///」

ドロシー「ふむ、スパイの割にはボキャブラリー(語彙力)が貧弱だな…一体どう「すっごい」んだ?」

ベアトリス「え、えーと…弾力があって肌に吸いつくようで、それでいながら柔らかいっていうか……って///」

ドロシー「ほうほう…それじゃあ私も説明力を高める訓練でもしますかね♪」さわ…っ♪

ベアトリス「ひゃあぁっ…!」

ドロシー「うわっ、そんなに暴れるな……っ!?」

…ベアトリスが落とした棒石けんで脚をすべらせ、床にひっくり返る二人…が、よく訓練されているドロシーだけあって反射的に受け身を取り、ベアトリスを上にした形で倒れ込んだ…

ドロシー「おい、大丈夫か?」

ベアトリス「ふぁい…ふぁいひょうふふぇす(大丈夫です)」

ドロシー「そうか。あと、頼むから胸の谷間でしゃべるのは止めてくれ…息がかかってくすぐったいんだ///」

ベアトリス「ふぉうれふか(そうですか)…ふぅぅ♪」

ドロシー「こんにゃろー…わざとやってるな?」

ベアトリス「…ぷは///」

ドロシー「満足したか?」

ベアトリス「はい。でも……もうちょっとだけお願いします///」

ドロシー「仕方ないな…んむっ、ちゅ♪」

ベアトリス「あむっ、ちゅぅ…///」
210 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/11/01(木) 02:17:17.12 ID:JIT2HWae0
ドロシー「ほら、せっかく上にまたがっているんだ……好きなように動いてみろよ」ゆっくりと脚を開くと両手でベアトリスの腰を押さえてやり、自分の秘所にベアトリスの割れ目をあてがった…

ベアトリス「そ、それじゃあ…んっ///」

ドロシー「ん、あっ…ふぅぅ……」にちゅ……♪

ベアトリス「んあっ…はぁっ、はあっ……んんぅ///」くちゅくちゅっ…ずちゅっ……♪

ドロシー「あぁ…んっ、んはぁぁ……♪」

ベアトリス「ふぅ、ふぅ……ドロシーさんは…大柄なので……はふぅ…上で動くのにも……力が…いりますね……んぅぅ///」

ドロシー「私は下だから楽できるけどな……ベアトリスとやるのは構わないけど、風呂場の床が固くて冷たいのは計算外だったな…ん、んっ♪」

ベアトリス「もう…んっ、くぅ…そんなムードのないことを……はひぃ…言わないで下さいよ……あっあっ、あっ…♪」

ドロシー「悪いな……でも浴室の床って言うあたりでムードもへったくれもないもんだろ……おっ、おぉぉ…っ♪」ぐちゅっ、ずりゅっ…♪

ベアトリス「ふぅ、ふぅぅ……こんなに動かないといけないなんて…腰に来ちゃいそうです…ひぁぁ…っ///」

ドロシー「んんぅ…! っはぁ……ふぅ、ふぅぅ…♪」

………



ベアトリス「…どうでした?」

ドロシー「んっ、はぁ……ふとももが温かくてとろっとして、腰には甘ったるい感覚が広がって……いい気分さ♪」

ベアトリス「そ、そうじゃありません……その、上手に出来たでしょうか…って///」

ドロシー「……プリンセスか?」

ベアトリス「は、はい…私も機会がある時は、気持ち良くなって頂きたいと思って頑張っているんですが……///」

ドロシー「正直なところ「心優しいプリンセスの事だから演技してくれている」んじゃないか…って?」

ベアトリス「は、はい…///」

ドロシー「ははっ、馬鹿だなぁ……自分を好いてくれている娘が一生懸命になってくれているんだぜ? もうそれだけで、プリンセスも腰が抜けるほどキュンとなるってもんさ♪」

ベアトリス「そ、そうでしょうか…」

ドロシー「ああ。それに女は身体じゃなく心で感じるもんだ……だから「コトに及ぶ」前の雰囲気づくりが重要なのさ♪」ウィンクしてみせるドロシー

ベアトリス「なるほど、さすがはドロシーさんです…モテる人は言うことが違いますね」

ドロシー「まぁそういうのも「ファーム」(養成所)でさんざん仕込まれたからな……役に立ったろ?」

ベアトリス「ええ…でもドロシーさん」

ドロシー「んー?」

ベアトリス「だとしたら今の私たちっておかしくないですか…?」

ドロシー「…ちょっとシャワー室ですっ転んで抱き合っただけなのに、そんな気分になるわけない……って?」

ベアトリス「はい」

ドロシー「そりゃさっき言ったことはあくまでも「原則」だからな…例外はある」

ベアトリス「それじゃあ…さっきのドロシーさんはどんな「例外」だったんです?」

ドロシー「あー…実はな、私はベアトリスみたいな小さい娘が大好物で……」

ベアトリス「え゛っ!?」

ドロシー「冗談だよ。…実を言うと任務の後は身体が火照ってさ、時々むしょうにやらしい気分になったりするんだ……付き合わせて悪かったな」

ベアトリス「いえ、大丈夫ですよ…それに私も任務の後で熱っぽく感じるような時がありますし、ドロシーさんの気持ちもちょっと分かります」

ドロシー「そっか…さ、せっかくシャワーで温まったんだ。身体が冷えないうちに出ようぜ?」

ベアトリス「そうですね」

ドロシー「…で、ベアトリスはプリンセスの火照りをおさめに行きな?」

ベアトリス「も、もうっ…///」

211 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/11/02(金) 01:57:05.44 ID:DW0zgL7I0
…申し訳ありません。本当は今日から投下したかったのですが、明日以降にします…


…ちなみに予定ではリクエストにお応えして、ドロシーとアンジェ、「委員長」のファーム(養成所・訓練所)時代を書いていくつもりです……また「こんなモブキャラが見てみたい」というのが(髪色や簡単な性格などなど…)あれば出来るだけ書いてみようと思いますので、そちらもよかったらリクエストしてみてください…
212 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/11/03(土) 01:56:54.16 ID:1AKPHBq20
…case・アンジェ×ドロシー「The dawn of white pigeon」(白鳩の始まり)…

…とある日・ネスト…

アンジェ「それじゃあ今日も訓練に励んでちょうだい…準備体操を済ませたら、素手での格闘よ」…絨毯を丸めた訓練相手「チャーリー」を台に立てかけて木箱に座ると、じっとベアトリスの動きを観察している…

ベアトリス「はいっ…!」

ドロシー「…それにしても」

アンジェ「なに?」

ドロシー「お前さんを見ていると教官だって言われても信じそうだ♪」…アンジェに話しかけながらウェブリー・スコット・リボルバーの撃鉄や引金を空撃ちして試し、時々ヤスリをかけたり、油を差したりしている…

アンジェ「どういう意味?」

ドロシー「いや…だっていつも汗一つかかないで格闘術を教え込んでるからさ」

アンジェ「だって黒蜥蜴星人だもの」

ドロシー「そういうはぐらかし方までそれらしいよ…まったく」

アンジェ「ベアトリス、終わったら続けてナイフ格闘の練習を……ドロシー、あなたがいくらオールドミスだからって、そんな歳で思い出話にふけるつもり?」

ドロシー「あ、いや…」

アンジェ「はぁ……別に構わないわ。訓練の邪魔にならないよう、小声で話しかけてくれるならね」

ドロシー「おいおい、私だって大声で昔の事をふれ回ったりしやしないさ…ただ、ああやってベアトリスを見ているとな……」

アンジェ「…ファームの頃が懐かしい?」

ドロシー「懐かしい…とはちょっと違うけど、あのころはまだまだ無邪気で、昼も夜も訓練に打ちこんでいたっけ……なんてことを思い出しちまって」

アンジェ「…そうね。あなたの適当さによく振り回されていたものよ」

ドロシー「はは、あの時は悪かった…でも口でこそそういいながら、アンジェはよく尻拭いしてくれてたよな?」

アンジェ「ええ…何しろあなたがいなくなったら、その分の面倒を押し付けられそうだったから……」

ドロシー「かもな。それにしてもあそこにはいろんな教官がいたよな…覚えてるか?」

アンジェ「ええ…あなたはよく格闘術の教官についてこぼしていたわよね」

ドロシー「ああ……」


…数年前・ファーム…


ドロシー訓練生「次は格闘術か……貧民街じゃちょくちょくお世話になったシロモノだよなぁ……」


…エージェントや諜報部の職員を育成する「ファーム」だけに機密保持は徹底していて、あちこちでスカウトに見出された訓練生候補たちは気づかないうちに身元を調べられ、合格となったら初めてカットアウト(使い捨て可能な連絡員)から接触を受ける…ここで「資格あり」と判断されると目隠しをされ、待ち合わせ場所から連れ出される……その上で候補生の方向感覚がなくなるほどあちこち回り道をして、性格も年齢も暮らしぶりもバラバラな訓練生が、一人づつ個別に「ファーム」へ連れてこられていた…大きな館のような施設は周囲を森に囲まれ、山や川の地形から場所を判断することもできない…訓練生にはとりあえず三食とベッド、唯一のお揃いである灰色のつなぎが与えられ、これも成績に応じてバラバラな「卒業」も、前日になってようやく教えられる…


細身の紳士「では、最初に自己紹介をしておこう。諸君に格闘術を教えるホワイトだ…ミスタ・ホワイトかホワイト先生と呼んでくれたまえ」


…折り目正しい茶色のスーツとチョッキ、金鎖の懐中時計にループタイ…見た目も口調も丁寧な紳士が訓練生たちの前に立った……当然ながらファームの教官たちは本名を名乗らず、色や動植物の名前をコードネームに使っていた……一見そう強いようには感じられないホワイト教官ではあるが、よく観察するとスーツの袖が張っているように見える…


ホワイト「さて…この中にはそういった事について経験豊かな諸君もいるだろうが……」中には貧民街やケイバーライト鉱、炭鉱や港で食べ物を盗られないために力を振るっていたであろう訓練生たち…そんな訓練生たちにホワイト教官がちょっとしたユーモアを披露すると、軽いくすくす笑いが起こった…

ホワイト「結構。…これから、経験のある諸君はより効率のよい戦い方を…経験のない諸君はこの機会に実戦的な戦い方を習得してもらうことになる……しばらくは仮のパートナーとして隣の娘と組んでもらうが、そのうち実力に合わせてパートナーを交代していくことになるだろう…まずはお互いに握手でもしてはどうかな?」

訓練生たち「…よろしく」「初めまして」

ホワイト「よろしい…質問は話が終わったら受け付けるので、もし分からないことがあったら積極的に聞きたまえ。それでは軽く準備運動から始めようか…」部屋の片隅にあるコート掛けに丁寧に上衣をかけ、懐中時計も外した……上手に仕立てられたスーツからは分かりにくかったが、シャツの袖からはよく引き締まった筋肉が浮き出ている…

ドロシー「…へぇ」

213 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/11/05(月) 01:22:16.22 ID:w/mVUJ0s0
…二時間後…

訓練生A「ぜぇ、はぁ……こほっ、げほっ…」

訓練生B「ふぅ、ふぅ、はぁ……ふぅぅ…」

ホワイト「おや…ミス・エマ、君は休憩したい気分なのかね? …しかしな、その床では寝るにしても固くて背中が痛いだろう……さ、立ってもう一回だ♪」

訓練生C「うっ、ぐすっ……はぁ、ひぃ…っ」

ホワイト「ふむ…ミス・グレン、痛いのは分かるよ。 …しかし王国のエージェントは、君が泣いているからと言って攻撃の手を休めてはくれないだろうからね。さ、もう一本だ…頑張りたまえ」

…ホワイトはいかにもアルビオンの鬼教官らしく、決して怒鳴ったりののしったりはしない…が、その代わりに優しい顔をして地獄のような訓練を続けさせる……広い室内運動場のあちこちにはへたばった訓練生たちが倒れ込んでいて、どうにか立っているのは数人しかいない…

ドロシー「ぜぇ、はぁ…ふぅ…」

ホワイト「ふむ…ミス・ドロシー、君は粗削りだが一撃が重くてよろしい。私も手が痛むくらいだよ……今度は空振りを減らせるように、もっと攻撃する相手をしっかり見て、動きに追随できるようにしていこう」骨も砕けよと叩き込んだ、ドロシーのノックアウト・パンチを受けた手を軽く振って微笑した…

ドロシー「はぁ…ふぅぅ…それはどうも…」

ホワイト「それから、ミス・アンジェ…君の動きは俊敏で大変によろしい。まるでこういった訓練をした経験があるようだね」

アンジェ「…ありがとうございます」

ホワイト「うん、実にすばらしいよ…では、それぞれもう一本ずつ私とやってみようか」

ドロシー「…うぇぇ」

アンジェ「はい」

ホワイト「それと、ミス・「委員長」…君は少し休みたまえ。私は君たち訓練生を死なせるために訓練しているのではないからね」

委員長「いいえ…ごほっ、げほっ……まだ…やれます…」

ホワイト「ふむ…君は頑張り屋さんだな。ではもう一本だけやってみようか?」

委員長「はい…ごほっ、けほっ……」

ホワイト「しかしその前に、君たちはまず息を整えたまえ…二回吸って一回吐く。ゆっくりとだよ?」

ドロシー「ふぅぅ…」

ホワイト「そうそう、その調子。…さて、諸君。なぜ君たちがこんな苦しい思いをしなければならないのか、少し考えてみよう…別に私は諸君をいたぶろうというつもりはないんだ。 …しかし実際にエージェントとして活動するときは「もう動けない」と思ったところから、さらにほんの少しだけ動ける事が大事になってくる……つまりこの訓練で「自分の限界点を伸ばす」と言うことだね…理解できるかな?」

アンジェ「…はい」

ホワイト「よろしい。いい返事だ、ミス・アンジェ…ミス・ドロシー、君は分かったかな?」

ドロシー「わ、分かりました…ふぅぅ…」

ホワイト「結構…それじゃあ始めようか。で、終わったらこの運動場を駆け足で一周回っておしまいにしよう」

ドロシー「うへ…ぇ」

ホワイト「…君は二周の方がいいかね、ミス・ドロシー?」

ドロシー「いえ、一周で結構ですよ…」

ホワイト「そうかね? 運動すると健康になるし、美容にもいいよ?」

ドロシー「……それにしたって多すぎますっての…」

ホワイト「何か言ったかね、ミス・ドロシー?」

ドロシー「いいえ……たくさん運動したので、きっとお昼が美味しいだろうと…」

ホワイト「ははは…そうだね、私も昼食が楽しみだよ。 …では、まずは正面から突きを入れてくれるかな?」

ドロシー「はい…ふぅっ!」

ホワイト「…エクセレント(素晴らしい)、その調子でもう一回♪」

………
214 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/11/07(水) 02:18:43.66 ID:9pbLcjGn0
…別の日・屋外射撃場…

無表情な教官「気を付け。これから諸君に武器弾薬、爆発物の扱いを教えるブラックヒースだ……ブラック教官でよろしい」

…訓練生の前には銃を置く台と奥に伸びる射撃用レーンがあり、台には人数分の「ウェブリー・スコット」リボルバーが並んでいる…ブラック教官は危険な爆発物を相手にし続けて育まれた鋼の神経のためか、無表情で眉毛の一筋さえ動かさない…

ブラック「さて、爆発物や銃火器の扱いは全ての工作員……特に破壊や妨害活動と言った「特殊工作員」としての道を歩むことになるかもしれない諸君なら、絶対に習得しておかなければならない類のものだ……確かにこれらの力は大いに諸君の任務遂行に役立つが、同時に扱う際は種々の危険が伴う……我々指導官も訓練生が不慮の事故に遭わないよう努力はしているが、毎年のように候補生を失っていることもまた事実だ」

訓練生A「…っ」

訓練生B「…」

ブラック「そこでだ…諸君には確実を期する方法として、今後は私の指示するように銃火器や爆発物を扱ってもらいたい……ところで、この中に射撃経験やそれに類するものがある者は?」

訓練生C「…はい」

訓練生D「あります」

ブラック「そうか…失礼ながら、君たちのような「お嬢様方」が生かじりで覚えた射撃経験ほど危なっかしく不愉快なものはない…とだけ言っておこう。しかし、これからは教えたとおりに銃火器を扱ってくれるものと期待している」

訓練生C「はい」

訓練生D「分かりました」

ブラック「まぁいいだろう……少なくとも間違った銃火器の使い方で片腕になったり、義足をつけるはめになったり…という事にはなりたくはないはずだからな」…ブラック教官は台から一丁のウェブリー・スコットを取り上げた…

ブラック「ウェブリー・アンド・スコット・MkU…作動はダブルアクション、口径.455ブリティッシュの弾薬を使用する。…そこの君、ダブルアクション・リボルバーとはどのような物であり、利点と欠点は何か説明しろ」

ドロシー「はい。ダブルアクションのリボルバーは初弾だけ撃鉄を起こせば、二発目以降は引金を引く動きと連動して撃鉄が起きて雷管を叩くので、いちいち撃鉄を起こさなくてもいいのが利点です……反対に引金のストロークは長く重くなるので撃ちにくく、慣れないうちは命中させづらくなります」

ブラック「結構。その通りだ……さて、この「ウェブリー・スコット・リボルバー」は中折れ式リボルバーの基本形と言ってもいい。実際にはこれより新型のMkWモデルや.38ブリティッシュ口径のもの…あるいは2.5インチ銃身の隠しやすい「ブリティッシュ・ブルドッグ」ピストルが支給されるだろうが、基本は同じだ……まずは照門を兼ねたこの「門」の部分を動かす」

ブラック「さて…見ての通り、弾薬の入るシリンダーを含め、撃鉄より前の部分が自由になった……ここで銃身を持ってシリンダー部分を下に折るようにして開く…」

ブラック「…ウェブリーは「トップ・ブレイク」(中折れ)式であるからこのようにしてシリンダー部を開くが、他にも左側にシリンダーを振り出す「スウィングアウト」方式や、給弾部からシリンダーに一発づつ込めなければならない「ソリッド・フレーム」タイプのピストルもある…どの方式にも利点と欠点はあるが、その話は別の機会に行う」

ブラック「さて、ここにあるのがウェブリー・スコットの0.455インチ口径の弾薬…いわゆる「.455ブリティッシュ弾」であり、ウェブリーにはこの弾が六発入る」

ブラック「こうして弾薬を込めたら、中折れ銃身を元に戻す…最後に照門を兼ねた門型レバーを戻して、シリンダー部を固定すればよろしい……では、絶対に引き金に触れぬよう注意しつつ、始めたまえ」

アンジェ「……できました」

ブラック「よろしい……しかしこの段階で速度は重要ではない。まず安全な扱い方を覚えることを意識しろ」

アンジェ「はい」

ブラック「結構…さて、諸君も今は手際よく出来ないだろうが、慣れれば嫌でも素早く出来るようになる」

ブラック「……しかし、工作員にとって大事なのは速さもさることながら、なにより正確さだ…初弾で動きを止め、二発目で止めを刺せ。…銃は音が大きく他の音に偽装しにくい事から、出来るなら初弾でカタを付けたいところだが、被弾の衝撃で相手の指が引き金を引くことがあるので二発撃ちこむ方がより安全だろう……ではそこにある耳栓を詰め、それぞれのレーンに立て」台の前に並ぶと、蜜ロウと紙でできた栓を耳に押し込む訓練生たち…

ブラック「…構える際は下から銃を水平になるよう持ち上げて行き、凹形をした照門と四角く銃身上に突き出した照星が一直線になり、そこから的の中心円を朝日が半分のぞいているような具合に見えるよう構える……また、ウェブリー・スコットは的に向けて腕をいっぱいに伸ばし、身体を的と平行にしたスタンスで撃つようにできている……では狙いが定まったら撃鉄を起こし、撃て」

ドロシー「…っ!」…パン!

アンジェ「…」パァァン…ッ!

訓練生「…っ!」パンッ!

…射撃が終わって…

ブラック「さて、諸君も銃の反動と音の大きさに驚いたことだろう……では、まだ早いが諸君の点数を見てみよう…」

ブラック「射撃…特にピストル射撃の場合ライフルや散弾銃に比べて跳ね上がりを抑えにくいことから、最初はまるで当たらないと言うのは確かだ……しかし中には初心者ならではのまぐれ…あるいは優れた才能を持った者がいることもある……」

ブラック「ふむ。ミス・A…君は射撃の経験があるのに言わなかったのか、あるいは恵まれた才能の持ち主であるかのどちらかだ……ミス・Dは次点と言ったところだが、これが最初のテストなら、この成績でも「十分に優秀」と言ってもらえるだろう…これが単なるまぐれで終わらぬよう、引き続き努力しろ」

アンジェ「はい」

ドロシー「分かりました」

ブラック「よろしい…では銃のメンテナンスの話に移る…今使った銃には多くの燃えカスや硝煙のすすが付いている……」

………

215 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/11/08(木) 02:10:16.28 ID:TulCDFQH0
…同じ頃・施設内の一室…

L「あれが今期の訓練生たちか…」

7「はい」

L「ふむ……今の所でだが、「優」が付けられそうなのは候補生A6、C2…D4と言ったところか」

7「そのようですね」

L「特にA6(アンジェ)は抜群だな。何事であれそつなくこなし、飲み込みが早い。そして感情を上手く制御することができる……この歳ではなかなか見られない素質だ」

7「私もそう思います」

L「D4(ドロシー)はその次と言ったところだな…これもなかなかいい。性格は活発で積極的。気ままに振る舞っているように見えるが、肝心なところではきっちり目的を果たし、運もある……偶然に助けられることのあるエージェントにとって、運がいいと言うのは重要な素質だ」

7「確かに」

L「C2(委員長)は努力家タイプか…何事も几帳面にこなし、常に学習を怠らない。重圧に対して緊張しやすく、物事を真剣に考え過ぎる性格ではあるが、能力は高い……ふむ、慣れればもっと実力を発揮できるようになるかもしれん」

7「そうですね」

L「ああ。しかしな……」

7「…何か?」

L「うむ…教官たちはよくやってくれているが、そもそも私はこの「訓練所」方式が気に入らんのだ」

7「と、言いますと?」

L「もともと「一か所に訓練生を集め、一度に多数を育てる」という考え方は軍のものだ…確かに偵察部隊や軍の破壊工作班なら顔が分かった所で困らんからそれでもいい、しかしな……」

7「我々のような組織からすると欠点もありますね」

L「そうなのだ……多くの訓練生が一緒になっていると言うことは、もし中の一人が将来「転向」したり尋問で「歌ったり」…尋問官がよほどの愚か者でない限り必ずそうなるが…した場合、どんなエージェント候補がどの位いて、どんな訓練をどこで受けていたか分かってしまう……」

7「ええ、ですからあなたは…」

L「うむ…訓練生ごとにバラバラの住まいを用意して、教官が訪ねるスタイルを採りたかったのだが……この状況ではな」

7「王国と分断された混乱が収まる前に、大量の工作員を急速に送り込む必要がありますからね…」

L「ああ……おまけに上層部は「工作そのもの」には金を惜しまないが、訓練やエージェントにかける出費は渋るばかりだ…」

7「ですからあなたは…」

L「そうだ…訓練生の「初等教育」だけをここで行い、後は細分化していくつもりでいるのだ」

7「…わたくしも微力ながらお手伝いいたします」

L「ふむ…謙遜はエージェントには不要な特質だぞ?」

7「…ふふ」

L「ふ…とにかく訓練生A6、D4、C2は有望だ」

7「そのようですね」

L「ああ。最終的には使ってみなければ分からんが、上手く育てれば「レジデント」(駐在工作員)になれるだけの実力があるだろう……エージェントとして工作に使えるのは最高の人材でも三年から五年がせいぜい、悪くすれば数週間だ…そして一番使える年齢は二十から三十五歳…長く見積もってもな」

(※レジデント…『大使館付商務官』などの身分を偽装として与えられ、現地指揮官として任務に合わせた工作の細部を自分で決めることができ、複数のエージェントを指揮しながら工作も行うトップクラスのエージェント。すべての技能が抜群でなければならず、このクラスになれるエージェントは滅多にいない)

7「はい」

L「……その考えで行けば、D4は訓練後すぐに活動させてもいい歳だな…他はまだ若いが、A6は歳のわりに落ち着きがあるから、これも考慮に入れるべきかもしれん」

7「なるほど」

L「場合によってはグループを組ませ「細胞」方式で活動させるのもあり得るな…」(※細胞…複数のエージェントが「職場の同僚」など同じカバー(偽装身分)を与えられてグループ活動すること。単独より監視活動などは楽で、工作員同士がお互いに寝返りを監視する意味もあったが、目立つことから好まれない)

7「かも知れません」

L「うむ……とにかく一度訓練生たちを見てみたかったのだ」

7「分かっております」

L「……しかし自分で決めた保安措置とはいえ、戻りにはまた「アレ」に乗らないといかんのか…」ファームに行くために乗ってきて、今は裏手に停まっている霊柩車…そこに収まっている狭苦しい棺のことを考えてため息をついた…

7「あなたはまだ恵まれておりますよ…私はあれですから」同じく洗濯屋の大きなカゴに入ってやってきた「7」も、いくらかげんなりしたように言った…

L「…ふむ、その点に関しては同情する」

………
216 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/11/08(木) 10:09:39.28 ID:TulCDFQH0
…今日か明日以降にまた投下する予定ですが、「駐在工作員」(レジデント)の説明が別のものと交ざっておりましたので訂正を…


正しくは「ビジネスマンなどの身分に偽装して現地に入り、自力で独自の情報源を開拓するエージェントで、国によっては「レジデント」が他の工作員の指揮をとることもある」と言うもので、いずれにせよ工作員の「花形」と言うべきトップ・エージェントであることは変わりません…


とりあえずしばしマジメな訓練の場面が続きますが、しばらくしたらアンジェの濡れ場になる予定です。お待ちください…
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/08(木) 12:09:04.42 ID:3U4v3FAaO
スパイ描写がしっかりしていて読み物として好きです
プリプリ小説だとあまりないので...
218 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/11/10(土) 02:25:19.51 ID:WhPKYcxh0
>>217 まずはコメントをありがとうございます。読んでいただき嬉しいです……イラストを描く画力はないので、引き続き書きものの方で頑張って行きたいと思います

219 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/11/10(土) 02:45:36.86 ID:WhPKYcxh0
…別の日…

ドロシー「…こりゃまた、ずいぶんとしゃれた部屋だな……」

…時間割に従って施設の一角にやって来た訓練生たちは、殺風景な他の部屋とは比べものにならない豪華さに多少驚いた……レースのカーテンにピンク色のフワフワしたクッション、壁にかけられているのは淡い色あいをしたルノアールの風景画、漂うのは硝煙ではなく香水の香り……室内には青い目と柔らかそうな金髪をしたドレス姿の可愛げのある女性が立っていて、訓練生たちに微笑みかけた…

可愛らしい女性「ボンジューゥ、可愛らしいレディの皆さん…さぁ、どうぞおかけになって?」

一同「…」薄汚れたような灰色つなぎ姿の訓練生たちは、椅子に敷かれた高級そうなクッションに遠慮しながら腰かけた…

女性「ビアン(結構)…では、まずはわたくしから自己紹介いたしましょうね。わたくしは皆さまに似合うファッションや化粧術、優雅な態度や物腰をお教えする、マドモアゼル・マーガレットですわ……アンシャンテ(どうぞお見知りおきを)」

…レースやドレープ(折り目)がたっぷりついた、パステルピンクのロココ調ドレスのせいで、マーガレット教官は桃色のバラかカーネーションに包み込まれているような具合に見える……言葉のあちこちにフランス語が交じるあたり、どうやら何かの事情で故郷にいられなくなった亡命フランス人なのだろうと、ドロシーは見当をつけた…

ドロシー「……ドレスねぇ」

マーガレット「…この中には「腕利きの工作員は優雅なドレスなど縁がない」と思っている方もいらっしゃるでしょうね……ですが近い将来、皆さまも情報部員として舞踏会にお邪魔する機会があるかもしれません。そうした時に優雅なレディとして振る舞えるよう、わたくしと練習してまいりましょう…それに、たとえそうした機会がなくてもドレスを着るのは良い経験になりますし、自分に合った服の選び方は覚えておいてもよろしいと思いますわ……違いまして?」

マーガレット「さて、それでは早速お着替えに参りましょう…と言いたいところなのですけれど……たとえば、あなたはどんなドレスが着てみたいですか?」

訓練生「えぇと…なら、マドモアゼル・マーガレットのような可愛らしい淡い色のものを……」

マーガレット「メルスィ(ありがとう)、ほめていただいて嬉しく思いますわ。ですが…」

訓練生「?」

マーガレット「世の中には「着たい服」と「着られる服」という物がありますの…実を申しますと、わたくしも好きこのんでこのような豪奢なドレスを着ているわけではございません。本当はシルクハットにピシッと決まった燕尾服…そう、きりりとした男装をまとってみたいと思っておりますの……」

訓練生「…すみません」

マーガレット「ノン、ノン…叱っているわけではありませんわ。ですが、情報部員というものは自分に似合った偽装をしなければなりません…いくら演技力が優れていても、堂々とした体格で引き締まった筋肉の方では、小柄なお婆さんのふりなどできませんわ……さて、ミス・ダートマス」

訓練生「はい」

マーガレット「あなたは背が高く眼は灰色、髪色もスレートグレイをしておりますわね…そういった方に、わたくしが着ているようなパステルピンクや淡い色は似合いませんわ…むしろすっきりした青灰色で長身を引きたて、きりりとした涼しげな印象を与える方がよろしいですわ……と、このようにわたくしとあなた方で、それぞれ一番似合うドレスを選んでみましょう♪」

…しばらくして…

訓練生B「…どうでしょうか、マドモアゼル?」

マーガレット「ウィ…大変よく似合っておりますわ」

訓練生C「教官、私の方も見ていただけますか…?」

マーガレット「そう、ですわね……こちらの方がより、ミス・エレノアの明るい雰囲気を引きたてますわ」…普段は修道院のような養成所生活を頑張っているとはいえ、まだまだお洒落もしてみたい年頃の娘たちだけあって、真剣ながらもにぎやかにドレスを選んでいる…

アンジェ「……私はこれでいい」(服選びの仕方は王室でうんと仕込まれたもの…)

マーガレット「トレビアン! あなたはドレス選びのセンスがありますわ…派手さには欠けますが落ち着きがあって、騒がしい舞踏会であなたを気に留める方はおりません…そしてあなたはそっと耳を傾け、内緒話を聞いてしまう……実にすばらしいですわ。他にもこうしたパールグレイのドレスなどはあなたにぴったりですから、覚えておきましょうね?」

アンジェ「はい」

マーガレット「そしてミス・ドロシー…はっきりした顔立ちで身体のメリハリが効いているあなたはこうしたボルドー(深い紅)などを着ると、ぐっと艶やかでよろしいですわ……胸元からのぞく柔らかそうな乳房の白さも魅力的ですから、お肌のお手入れも欠かさずになさいね?」

ドロシー「メルシー、マドモアゼル」

マーガレット「いいえ、似合う一着が見つかって良かったですわ…それからこうしたトーク(縁なし帽子)などでチョコレート色を組み合わせるとより大人びた印象に…また、ドレスをディープグリーンに変えればシックで抑えた感じに仕上がりますわ」

ドロシー「覚えておきます」

マーガレット「ええ♪ それと細かい花模様のような柄は、長身のあなたが着るとぼんやりとした印象を与えてしまいますから…もし柄物を選ぶなら、一つひとつの柄が大きいものがよろしいわ」

ドロシー「はい」(……着心地は窮屈だけど、こうして鏡で見ると案外ドレスも悪くない…な///)

マーガレット「さて…次はドレスを着た時にもっとも美しく見えるような、優雅な身のこなし方を学んで参りましょう♪」

………

220 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/11/12(月) 01:35:40.80 ID:DwrAqFBL0
マーガレット「さて、これで皆さまもドレスの着こなしと歩き方を理解できましたね…それではわたくしに付いていらっしゃい」

訓練生A「あの、どこに行くのでしょうか」

マーガレット「それはまだお教えできませんわ…♪」

…食堂…

マーガレット「さて、皆さまも慣れないお着替えや化粧でだいぶお腹が空いたでしょうから…お昼に致しましょう?」

ドロシー「……この豪華なドレスで、ねぇ…ゆでジャガイモにはふさわしくない格好だ……な…?」小声でぼやくドロシー…が、普段の献立からは想像もつかないほど良い香りが漂ってきて、ぼやきを中断した……

…普段はゆでジャガイモか、味もそっけもないヨークシャープディング、さもなければイマイチな味のパイか焼き過ぎのローストビーフを出すのがせいぜいの食堂……のはずが、長テーブルには金縁の食器とキラキラと光る銀のフォークやナイフが輝いていて、燭台のキャンドルが純白のテーブルクロスを照らしている…

訓練生A「わぁぁ…♪」

訓練生B「…どうしよう、今まであんなの使ったことない……」

ドロシー「…ヒュゥ……驚いたなこりゃ…」

マーガレット「ふふ、皆さまにドレスの着方を教えただけでは片手落ちという物ですから…では教官、お願いします」マーガレットが優雅に脇へどき、代わりに堅苦しい感じの女性が訓練生たちの前に立った…

堅苦しい女性「はい。皆さん、お静かに…これからあなた方にテーブルマナーをお教えする、ミス・グレイホーク…グレイ教官です」

ドロシー「…なるほどな……」

グレイ「いくら飾り立ててもマナーがなっていなければ、貴婦人の偽装など何にもなりはしません……ここでは皆さんに正しい食器の使い方や、食卓でのマナーを覚えていただきます…では席について」

グレイ「まずは基本のルールですが…ナプキンは膝の上、カトラリー(フォーク、ナイフ、スプーンの類)は外側から順番に。間違ってもナイフで突き刺してそのまま口に運ぶような真似はしないように」

ドロシー「…なるほどねぇ」

グレイ「……スープを飲む際は手前から奥にスプーンを動かします。もしスープにパセリやディルのような香草が散らしてあったら、最初の一口目ですくってしまうのは考え物です…風味を変えるためのものですから、途中で飲むようになさい」

ドロシー「ふむふむ…?」

グレイ「…グラスは紅・白のワイン、シャンパン、ブランデーと形が違います……ワイングラスやシャンパングラスの柄が長いのは手の熱でぬるくしてしまわないため…反対にブランデーグラスが底の広い形をしているのは、手のぬくもりで香りを生じさせて楽しむためです……さて、これで一通りの説明が終わりました…皆さんにはこれからフルコースを味わっていただきますので、さっき説明したマナー通りに食べてみてください」

…グレイ教官が説明を終えると、白いふきんを腕にかけたギャルソン(給仕)…本当は教官たち…が前菜を並べ、ワインを注いだ…

ドロシー「…やれやれ…ナイフとフォークだけでこんなに種類があるんじゃあ、使いどころに困るな……」

アンジェ「…」

ドロシー「なぁ…アンジェ、よかったらお手本にさせてもらってもいいか?」

アンジェ「…別に構わないけれど…私もテーブルマナーなんて知らないかもしれないわよ?」

ドロシー「なぁに…そうしたら二人で叱られるだけさ……」

アンジェ「そう…なら好きにしたら?」

ドロシー「どうも…♪」


…食後…

ドロシー「…ふぅ、料理はうまかったけど……ああガミガミ言われたんじゃ食べたようでもなかったな…」

グレイ「さて、皆さんのテーブルマナーを拝見させていただき、様々なことについて注意をさせていただきました……はっきり申し上げますが、たいていの方はこれからみっちりと練習する必要がありそうです…が、中には良いマナーをお持ちの方がおりましたね…」さりげなくアンジェの方に視線を向ける…

アンジェ「…」

グレイ「そうした方は引き続き練習を怠らないよう…また、さきほど私に注意を受けた方はしっかりと覚えておくように……以上です」

ドロシー「…アンジェ」

アンジェ「なに?」

ドロシー「さっきはありがとな…おかげで叱られないで済んだ♪」

アンジェ「お礼なんていいわ。別に教えたわけじゃないんだもの…むしろ横目で見ただけで真似できる、貴女の器用さのおかげでしょうね」

ドロシー「はは、そりゃどうも…そう言えば、次は何の訓練なんだろうな……?」

アンジェ「さぁね」

………
221 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/11/15(木) 02:31:38.61 ID:wnhRrPkH0
…午後…

グレイ「では皆さん、ついてきてください」ドレス姿の一団を先導するグレイ教官…

訓練生A「はい」

訓練生B「分かりました」

…ミス・グレイに連れられてやって来たのは施設の片隅にある小さな林で、視線の先には午後の柔らかい日差しに照らされた明るい緑の草地と、揺れる色とりどりの花々、まばらな木々の間から聞こえてくるヒバリの鳴き声……と、堅苦しい他の場所とは違う牧歌的な雰囲気が漂っている。そして、林の間には田舎の農家のような、緑色の屋根をした一軒の小さな家が建っている…

グレイ「では、これから皆さんにちょっとした面談を受けてもらいます…一人ずつ入っていって、出て来たら次の人と交代しなさい」

訓練生C「…教官、これも何かの訓練なのですか?」

グレイ「この施設での生活は全てが訓練です……では、最初はあなたから」

訓練生C「はい」

…数十分後…

ドロシー「…失礼しますよ…と」

おばさん「いらっしゃい…さ、かけて」

…木の扉を開けると中は編み物や本が置いてあるこぢんまりとした居心地のいい部屋で、室内には辺りを心地よく暖めている暖炉に、素朴な感じのする木のテーブル、それにひじ掛け椅子と揺り椅子が一脚づつ……テーブルを挟んだ手前側にはひじ掛け椅子があって、奥の揺り椅子には小柄なおばさんが座って編み物をしている…おばさんは丸ぽちゃで目の間がいくらか離れているせいか、決して美人とは言えないが、いかにも人のよさそうな顔をしている…

ドロシー「どうも…」訓練のたまものでさっと周囲を見回すと、とっさの場合に飛び出せそうな出口と窓の位置、誰か潜んでいる様子はないか…などと手早く安全確認をする…

おばさん「もうちょっと待っててちょうだい…きりのいいところまで編んでしまいたいからね」

ドロシー「ええ、ゆっくりでいいですよ」

おばさん「ありがとうね……はい、終わりましたよ。 …よいしょ」椅子から立ち上がったおばさんは小柄で、服の明るい茶色と栗色が「田舎の優しいおばさん」と言った雰囲気にぴったり合っている…

おばさん「さてさて、ミセス・ブラウンよ…よろしくね、ミス……」

ドロシー「ドロシー」

ブラウン「ミス・ドロシーね……よかったらお紅茶でも淹れましょうかねぇ」

ドロシー「ありがとうございます、ミセス・ブラウン」

ブラウン「気にしないで、私もちょうど欲しかったのよ」…暖炉のそばに置いてあるやかんを取り上げ、ティーポットにお湯を注ぐ……一旦お湯を捨て、ポットに小さじ二杯の茶葉を入れると、熱いお湯をたっぷりと注ぎ込んだ…

ブラウン「…よいしょ、後は気長に待つばかりね……パウンドケーキがあるけど、食べる?」

ドロシー「いえ、お構いなく」

ブラウン「まぁまぁ、そう言わずに…クルミ入りだから美味しいわよ」

ドロシー「そうですか、じゃあお言葉に甘えて」

ブラウン「ええ、そうしてちょうだい……娘が作って持ってきてくれたのだけど、おばさん一人じゃ食べきれないのよ」

ドロシー「へぇ…娘さんはミセス・ブラウンに似て優しいお子さんなんですね」

ブラウン「まぁ、ありがと……よかったら娘の姿を見てちょうだい。ほら、そこに肖像画があるでしょう?」

ドロシー「どれどれ…?」毒を盛られるのではないかとそっと注意しつつ、ブラウンの指差した方を見た……マントルピースの上に置かれた小さな肖像画には、老人とミセス・ブラウン…それに愛らしい娘が描かれている…

ドロシー「へぇ、可愛いお嬢さんだ……隣はご主人ですか?」

ブラウン「ええ…なんだけど、十年ばかり前に「セイロンで茶畑の農園主になる」って出発してそれっきり……ありがたいことに、こうやって生活出来るだけのお金は信託されていたけれどもね」

ドロシー「それは…知らなかったとはいえ失礼しました、ミセス・ブラウン」

ブラウン「いいのよ……それよりお茶が入ったから飲みましょう」

ドロシー「ごちそうになります…ん、美味しい」

ブラウン「そう、良かったわ…♪」

222 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/11/17(土) 01:18:23.10 ID:1sdGMcJ10
…しばらくして…

ドロシー「そうですか…ミセス・ブラウンも大変だったんですね」

ブラウン「ええ。その時はうんと困ってね……ミス・ドロシーにはそんな経験ある?」

ドロシー「はは、そんな経験なんてありませんよ…」

ブラウン「そう、良かったわね…お生まれはロンドン?」

ドロシー「いえ、コーンウォール地方です……海沿いだったので風が強くって、子供心に家が吹き飛ぶんじゃないかって心配だったのを覚えています」

ブラウン「そう…それは怖かったでしょうねぇ」

ドロシー「ええ、全く……壁の割れ目から吹き込んでくる風がひゅうひゅう言ってベッドが寒いうえに、家の暖炉は煙突が悪かったのかよく暖まらなくて…しょっちゅうぶすぶすと音をたててくすぶっていましたよ…ふふ、懐かしいです」

ブラウン「まぁまぁ…そうなの」

ドロシー「はい……幼い頃は天井についた染みをあれこれいろんなものに見立てては空想にふけったりして…その中のひとつは枕に頭をのせるとちょうど正面に見える場所にあったんですが…王室の馬車そっくりでしたよ?」

ブラウン「ふふ、そうだったの…♪」

ドロシー「ええ…それに近くの原っぱに出かけてはクランベリーの茂みにもぐってみたり、野イチゴをつまんでみたりして……」

ブラウン「いいわねぇ…子供時代の事で、他にはコーンウォールのどんなことを覚えてる?」

ドロシー「そう……当時は子供だったので何のことか分からなかったのですが、ワーテルローの戦勝記念日で大人たちが騒いでいたこととか…夕飯の時間になっても父親が帰ってこないので、母親から「パブに迎えに行って来い」って言われたんですが、漁師が生やしていたもじゃもじゃのヒゲが怖くって、なかなか入れなかったのを覚えていますよ……カウンターなんかは長年こぼれたエールを拭きとってきたせいか飴色になっていて…」

ブラウン「ふふ、そう…って、もうこんな時間ね?」

ドロシー「本当だ……すみません、長々と居座っちゃって」

ブラウン「いいのよ…また顔を見せに来てちょうだいね、ミス・ドロシー?」

ドロシー「ええ。そうしますよ、ミセス・ブラウン♪」

…しばらくして…

ドロシー「よぉ、アンジェ、委員長…なぁ、さっきのは何の訓練だったと思う?」

委員長「ドロシー、あなたそんなことも分からなかったの?」

アンジェ「本当ね…あれが何の訓練かなんて分かりきったことよ」

ドロシー「へぇ、それじゃあ無学な私に教えてくれよ♪」

アンジェ「あの訓練はカバー(偽装)やレジェンド(カバーに合わせたニセ経歴)を見破られないための訓練よ…人当たりのいいおばさん相手に、うっかりつじつまの合わないことをしゃべってしまわないためのね」

ドロシー「なぁる…で、お二人さんは上手くいったか?」

委員長「そうね、途中で予想外の質問が来たときは少し詰まったけれど…」

アンジェ「私は特に問題なかったわ」

ドロシー「はぁ、相変わらずアンジェは優等生だねぇ」

………

223 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/11/17(土) 01:42:17.07 ID:1sdGMcJ10
…その頃・会議室…

ホワイト「どうだったね?」

ブラウン「そうねぇ…上出来なのは五、六人くらいよ」

ホワイト「相変わらず手厳しいな……もっとも、ミセス・ブラウンのその風貌にはみんな一度はだまされるがね」

ブラウン「そう言わないでちょうだい…私みたいなおばさんにぽろりと秘密をしゃべって、牢獄から出られなくなったエージェントのなんと多い事か……そうならないように努力しているのよ」

ホワイト「分かっていますとも」

グレイ「…では逆に「これは」と思う訓練生は?」

ブラウン「うまかったのはミス・ドロシーね…コーンウォールなんて自分の住んだことのない場所だろうに、あれこれと見てきたように話すんですもの……ちょっと意地悪をして地元のお祭りを聞いた時も、さらりと話題をすり替えたわよ」

ブラック「ほほう。彼女は少し奔放で飽きっぽいところもあるが…悪くないかもしれんね」

ブラウン「ええ。後はミス・アンジェね……何事もそつなくこなせて」

マーガレット「それはわたくしも同意見です。いつでもさらりと振る舞って…それに王宮や貴族階級のしきたりに詳しいのには驚きましたわ」

ホワイト「後はコードナンバーC2の「委員長」か。彼女は真面目だから成績はいいが…この手の訓練ではどうだったね?」

ブラウン「そうねぇ…きちんと訓練で受けた形通りに話題をそらし、そつなくまとめていたのだけれど……少し心配性なのが気になるわね」

ブラック「ふむ、底抜けの能天気よりは用心深い方がいいが……真面目なだけでは成果に結びつかないのが情報部員の大変な所だからな、あまりに考え過ぎるタイプは長続きしないだろう…」

ホワイト「エージェントに一番必要なのは運だからな。もっとも、そればかりは実際に活動させてみないと分からんが……ところで明日は君の番だね」

若い女性「ええ」

ホワイト「それじゃあ、うんと歩かせてやってくれたまえ…いい気分転換になる」

若い女性「もちろんです♪」

………

…翌日の早朝・ロンドン市内…

若い女性「初めまして、皆さん…私はレディ・スカーレット。今日は皆さんに徒歩での「移動目標の監視と追跡」を学習してもらいます」

…成績の良いアンジェ、ドロシー、そして委員長はクラスの訓練生たちより一足早くファームを出て「実地」での訓練に移っていた。三人とも夜明け前に起こされて、それぞれ空の洗濯カゴに押し込められた上で洗濯屋の馬車に載せられ、なにも見聞きできないままロンドンに運ばれた……やっとたどり着いたロンドン市内の部屋では、はつらつとした様子のうら若い指導教官と、その補佐らしい二人が待っていた…

委員長「…つまり、尾行のことですか?」

スカーレット「ええ、やることはほぼ同じです。ですが「尾行」というよりも、こっちの方がそれらしいでしょう?」

ドロシー「確かに」

スカーレット「さて…「監視と追跡」の基本は目標にあまり近づきすぎないこと。そして相手が止まったからと言って、自分も立ち止まらないこと…同時に動きを止めるなんて目立ちますからね。そういう場合は視線を合わせずにゆっくり通り過ぎて、相手が歩きだすのを待ちましょう」

スカーレット「他にも、道路の混み具合に合わせて反対側の歩道から追跡したり、ショーウィンドウをのぞき込む…ちょっと店に入って、店内からガラス越しに監視を続けるのもいいでしょうね」

委員長「距離はどのくらい空ければいいのですか?」

スカーレット「それは道の人通りや遮蔽物の多さによっても変わりますから何とも言えませんね…でも、二十五ヤードくらいなら見失うことも少ないでしょうし、かといって相手に気づかれることもないでしょう……後は格好を変えるのも有効です。帽子、日傘、上着を着たり脱いだり…何でも構いません」

………



スカーレット「……それと最後に。結構歩くことになりますから、脚ごしらえはしっかりとね」…しばらくして「尾行の基本」を話し終えると、がっちりした編み上げ長靴のひもを結び直してみせた

アンジェ「はい」

スカーレット「よろしい。そうしたら一人ずつ交代で私を尾行してもらいますから…残りの二人はそれぞれミス・アネモネとミスタ・ブルーフォックスについて、練習しながら交代するポイントまで歩いて行きましょう」

委員長「了解」
224 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/11/19(月) 01:25:10.31 ID:A+CcJbvf0
…数時間後…

スカーレット「…」

ドロシー「…」(くそっ…教官のやつ、明け方からずーっと歩き続けてやがるけど……脚にバネでも入ってるのか?)

スカーレット「…すみません、一つ下さい」

露天のオヤジ「毎度っ!」

ドロシー「…」(ちくしょう…腹は減るし喉は乾くし、脚が棒になった気分だ……ったく)

…心の中で悪態をつきながら、午前中のにぎやかな街で尾行を続けるドロシー…と、それまでぶらぶらと歩いていたスカーレット教官が急に速足で歩き始めた……

ドロシー「…」(ちっ、振り切るつもりだな……そうはいきますかっての!)

スカーレット「…このショールはいくらですか…え、六シリング?」

ドロシー「!」(おっとと、あやうく立ち止まるところだった……こういうときは「何でもないように」てくてく行き過ぎる…と♪)

スカーレット「…そうですか、色は綺麗で気に入ったんですが……また今度にします」

露天のおばちゃん「そうかい、そいつは残念だねぇ…」

ドロシー「…」(お、ちょうどいい所にショーウィンドウがある…しばらく眺めるふりでもしながらやり過ごそう)

スカーレット「…」

ドロシー「…」(へへーんだ…こちとらだってそうそう簡単に撒かれたりしませんっての!)

スカーレット「…」

ドロシー「!?」(ちっ、今度は急に曲がって引き離す気かよ…!)

…たたたっ、とドロシーが距離を詰めて角を曲がった瞬間、スカーレットが両手を広げていた…

スカーレット「…はい、捕まえた」

ドロシー「っ!?」

スカーレット「…ふふふ、途中まではなかなか良かったわ、ミス・D……だけどね、相手が急に角を曲がったら要注意よ…こうやって敵方のエージェントが貴女を待ち受けているでしょうからね。 こんな時は急に曲がらないで一呼吸空けるか、さもなければ一旦追うのをあきらめましょう」

ドロシー「はい、これからは気を付けます……ふぅ」

スカーレット「疲れた?」

ドロシー「ええ、まぁ…それに喉も乾きました」

スカーレット「そうでしょうね…それじゃあここで待っているから、お昼を買っていらっしゃい」

ドロシー「そりゃどうも…♪」

スカーレット「初めての実地訓練にしては上出来だったから、ちょっとしたご褒美よ」

ドロシー「今は何より嬉しいご褒美ですよ…それじゃあひとっ走り買ってきます」

スカーレット「ええ。戻って来たら続きをやりますからね」

ドロシー「…うえぇ、まだやるのかよ……」
225 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/11/19(月) 01:35:00.06 ID:A+CcJbvf0
…夕方…

スカーレット「はい、お疲れ様…三人ともなかなか上出来でした」

ドロシー「…はぁぁ」

委員長「ふぅ」

アンジェ「…」

スカーレット「それでは終わりに私からちょっとした講評を…ミス・アンジェ」

アンジェ「はい」

スカーレット「あなたの「監視と追跡」は大変よろしい♪ …目立たず、かといって逆に疑いを招くほど地味すぎることもなく…近づきすぎず、かといって離れすぎることもない……私も数回あなたの事を見失ってしまうほどでした。 あなたは工作員のセンスがあります、今後もこの調子で訓練に励んで下さいね」

アンジェ「ありがとうございます」

スカーレット「さて、ミス・ドロシー…」

ドロシー「はい」

スカーレット「あなたは人混みをぬって歩くのが上手ですね…それに途中で気を利かせてボンネットを買ったのはいい判断でした…視線も隠れるし雰囲気もぐっと変わりますからね」

ドロシー「…どうも」

スカーレット「引き続き訓練に励めば、いい監視者になれるでしょう…頑張って♪」

ドロシー「はい」

スカーレット「さて、最後にミス…いえ、せっかくですから私も「委員長さん」ってお呼びしましょう」

委員長「…はい」

スカーレット「最後こそ振り切られてしまったけれど、途中までは上手く尾行できていたわね…定石通り、無難で堅実な追跡の仕方でした……今後は教科書に自分なりのアレンジを加えてみるとよりよい「監視と追跡」が出来るでしょう」

委員長「はい、分かりました」

スカーレット「それでは今日はここまで…お疲れ様」

………



ドロシー「うえぇ…さすがに脚にこたえたな……」

アンジェ「そう?」

ドロシー「全く…レディ・スカーレットといいお前さんといい、本当に人間なのか?」

アンジェ「さぁ、どうかしらね」

ドロシー「あー、ったく可愛くないやつ……委員長、どうした?」

委員長「…二人とも最後まで尾行できたのよね?」

ドロシー「ああ…とはいえ私は「ふん捕まった形で」だけどな」

委員長「そう。でも私は振り切られちゃって…ちゃんと基本にのっとってやってたのに、教官が急に早足で人混みに紛れ込んだら見失って……」

ドロシー「まぁまぁ、そう思い詰めるなって……次があるさ、な?」

委員長「でも…っ!」

アンジェ「ふぅ…今日の失敗を悩んでも仕方がないでしょう。明日の訓練で挽回するか、そもそも失敗しないことね」

ドロシー「おいおい、ずいぶん手厳しいじゃないか?」

アンジェ「当然でしょう。もしかしたら今後この三人でチームを組むことになるかもしれないのだから…」

ドロシー「へぇ…まさかアンジェが私たちを同格に見てくれてるってのは意外だな」

アンジェ「…あくまでも「もし」の話よ」

ドロシー「おやおや、ミス・アンジェときたら照れちゃってまぁ…♪」

アンジェ「…怒るわよ?」

委員長「はぁ……あなたたちの夫婦漫才を見ていたら、悩んでいたのが馬鹿みたいな気分になってきたわ…明日は誰にも負けないほど上手くやるから」

ドロシー「はは、その意気♪」
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/21(水) 12:56:32.69 ID:YQAsmIEQO
尋問リクって丸々1エピソードなのかな
もし尺があれば快楽拷問だけじゃなく前半で痛い方の訓練もあると嬉しい
227 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/11/22(木) 01:12:09.06 ID:xs1iM1AF0
>>226 まずはコメントありがとうございます

…まず、尋問への訓練はこのエピソードでやっていく予定です……それと「痛い系」のリクエストはできればお答えしたいところではありますが(軽いタッチのものならともかく)苦痛になるようなものは書くつもりがなかったので難しいです……最初にそう書きいれておけばよかったですね、ごめんなさい…


…ちなみに「お尻ペンペン」くらいでよければ書けますので、それでもよろしければ……
228 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/11/22(木) 01:37:36.45 ID:xs1iM1AF0
…翌日…

ドロシー「さーてと…いいんちょ、昨日はあれだけ大見得を切ってくれたんだ……頑張ってくれよ?」

委員長「言われなくても…!」

色っぽい女性「はい、それでは座って下さい…私はミス・パープル♪」

ドロシー「…っ!?」

パープル「……これから皆さんには工作員が仕掛ける誘惑の仕方と、同時に工作員が負うさまざまな誘惑や尋問への対処法をお教えします…どうかお見知りおきを♪」

委員長「///」

ドロシー「おやおや……こいつは委員長には難しいよ…な…///」

…甘いジャスミンの香りが立ちこめる教室の中、ミス・パープルは椅子に座っているだけにもかかわらず、むしゃぶりつきたくなるような女の色香を漂わせている…

パープル「…物の本によると「世界最古のスパイ」はイヴを誘惑して知恵の実を食べさせた蛇だと言う意見があります…確かに偽情報で相手のエージェントを誘惑し、結果的にその主人を裏切らせたのですから、工作としては上出来です♪」…椅子の上で脚を組み替えると、白いストッキングに包まれた滑らかなふくらはぎがちらりと見える…

パープル「……また、聖書にもありますように「肉体は弱い」ものです…そして私たち情報部員は敵方の弱い部分を見つけ、そこを突いていかなければなりません♪」(※肉体は弱い(fresh is frail)…マタイ伝)

パープル「…つまり、一般的にスパイと異性…あるいは同性との付き合いは切っても切れない関係にあります」

パープル「たいていの場合、諜報活動における同性愛者は弱点が多く「リスクが高い」と敬遠されがちですが、私のように上手く使えば貴重な武器になりますよ……ふふ♪」ドレスの胸元からは白くて柔らかそうな胸がのぞき、身動きするたびにたわわに揺れる…

アンジェ「…」

パープル「例えば…貴女が手なずけた「スティンカー」は、最初こそ「利益」や「思想」といった信条に従ってこちらに情報を提供しますが、しばらくするとだいたいは自分のやって来たことの大きさに恐れをなして、「手を引きたい」とか、悪くすると貴女のことを敵方に密告したりすることがあります…」

(※スティンカー…「臭い奴」の意で、敵国籍でありながらこちらに情報を提供する者のこと…つまり「裏切り者」や「売国奴」と言われる人たち)

パープル「そんな時、相手の弱点を握っておくと手綱をとるのがたやすくなります……みんな何かしら、人には言えないような「趣味」を抱えているものですからね。…特に社交界でのゴシップにうるさい向こうの貴族たちは、なおの事そうした「不品行」を隠したがります♪」

委員長「///」

パープル「…まぁ、そうでなくても一種の「慰めと報酬」と言うことでベッドを共にしてあげるのもいいでしょう…と、ここまでは「こちらが操る場合」のお話ですね♪」

パープル「では反対に、こちらに差し向けられた敵方のエージェントたちはどんな姿かたちをしているのか……それは簡単♪」

ドロシー「?」

パープル「そうしたエージェントはそんなに美男美女と言うわけでもありません…ですが、貴女の事をよく理解してくれて、必要以上に貴女の事をあれこれ聞き出そうとはせず、貴女がイライラしているときも文句ひとつ言わずに寄り添ってくれる……つまり「思いやりがあって素晴らしい人」と言うことです…が、こんな人はまずいませんから、そういう人は間違いなく敵方のエージェントです♪」

ドロシー「…ぷっ」

パープル「残念なことですけれど、こうした相手に引っかかってのぼせてしまうエージェントは少なくありません…なぜなら、私たちのように工作員として身分を偽っていると、どうしても心から信頼できる人が欲しくなるからです……別に一晩の刺激が欲しいわけではなくて、あれこれ心の内をさらけ出せる相手が欲しくなるのですね…♪」

パープル「でも気を付けて……たとえ敵のエージェントではなく心から貴女を愛していて、裏切るつもりのない人だとしても、うっかり口にした一言が貴女を死刑台に追いやってしまうかもしれません…」

アンジェ「…」

パープル「ではどうすればいいのか? …昔からこの問題について情報部は頭を悩ませてきました……そしてその答えは…」

一同「…」

パープル「いまだにありません」

ドロシー「…おいおい」

パープル「誰とも心を通わせて気を許す時間が得られない情報部員たちにとって、偽りを取り払って自分らしく話せる時間は唯一安心できる時間なので「付き合うな」と言うわけにもいかないのです……だから本部の人たちは白髪になったりするんですよ♪」

パープル「さて、お話はこのくらいにして…後は「実践」に参りましょうね……ふふふっ♪」甘い笑みを浮かべて訓練生たちを舐めまわすように物色するパープル教官…

ドロシー「…うへぇ……///」

………
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/11/22(木) 06:58:38.64 ID:0j5jRyO5O
>>227
「痛い系」無理に書かなくて大丈夫ですよ
教官と一対一と勘違いしてたので...
AやD、委員長は「優等生」なので皆の見本としてパープル教官に沢山可愛がられますね
楽しみです
230 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/11/24(土) 01:12:45.75 ID:9C2d6sNh0
>>229 お返事遅くなりました、そう言ってもらえると助かります……一応、明日以降に百合えっちな場面をば投下する予定です


…ちなみに元「モサド」エージェントの方が書いたとあるノンフィクションによると、実際の工作員は尋問への対策法はほとんど教えられないそうです…あれこれと尋問の事を聞くと不安をかきたてられてしまい訓練が手につかなくなるのと、なまじ尋問の知識を持っていると「実際に」尋問を受けることになった時に慣れや油断が出て「かえって尋問官の術中にはまってしまうから」だそうで…

231 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/11/26(月) 01:36:06.27 ID:7x1id96h0
パープル「それじゃあお手本を見せますから、お相手に……そうね、いま嫌そうな顔をしてくれたミス・ドロシー♪」

ドロシー「…はは、教官も人が悪い。私がお綺麗なパープル教官にそんな顔するわけありませんよ♪」

パープル「あらそぉ、だったらなおのこと遠慮せずにいらっしゃい…ね?」

ドロシー「…」(ちっ、やぶへびだったか…)

パープル「それじゃあ…私のお膝の上にどうぞ♪」教室の端に置いてある、一人がけにしては大きいソファーに座り、膝をぽんぽんっ…と叩いた

ドロシー「いいんですか? …それじゃあ、失礼しますよ……っ!?」(おいおい、教官の太もも…むちゃくちゃ柔らかくて気持ちいいぞ!?)

パープル「それでは…軽くお手本をね……♪」お姫様抱っこのスタイルに近い状態で横向きに座っているドロシーを両手で抱きかかえるようにして、軽く髪を撫でる…

ドロシー「…教官、私は何をすればいいですかね?」

パープル「そうねぇ…軽いおしゃべりでもしましょうか♪」

ドロシー「あぁ、そうですか……それにしても今日はいいお天気で、ツバメが空中でひらひら宙返りしているところが見られましたよ……」

パープル「そうねぇ、この数日は暖かでいい気持ちだもの……ツバメさんも過ごしやすいでしょうね♪」さわっ…♪

ドロシー「…んっ」

パープル「最初は遠慮がちに…でも相手の事を愛する気持ちを精一杯こらえているように……もっとも、実戦では相手の様子次第で臨機応変に臨みましょう……ミス・ドロシー、貴女は一見すると勝気な感じだけれど、本当は誰よりも優しくて繊細なのね…♪」耳元でそっとささやきながら頬を撫でる…

ドロシー「ん、ふぁ…ぁ///」(うわ…手も柔らかけりゃいい匂いまでするなんて反則だろ……///)

パープル「…続き、いい?」

ドロシー「訓練なんですから、良いも悪いもお任せしますよ…///」

パープル「あら、つれないお返事……それじゃあ…♪」

ドロシー「う…くぅ///」パープル教官に豪奢なドレスの裾をそっとたくし上げられると、さらさらいう衣擦れの音と同時にひんやりした空気が入ってくる…

パープル「ふふ……そう堅くならないで、ゆったり息を吸って…そうそう…♪」優しくヒールを脱がせると、シルクのストッキングに包まれたドロシーの脚をつま先からふくらはぎへと、そっと指先で撫で上げていく…

ドロシー「あう……んぅっ///」

委員長「///」

アンジェ「…」

訓練生A「ん…っ///」

訓練生B「あ、あっ……///」濡れた瞳に、口紅も鮮やかに半分開いた形のよい唇…むしろドロシーにしなだれかかっているようなパープル教官の色っぽい姿態と耽美な光景に、ふとももをもじもじさせて顔を赤らめる訓練生もちらほらと見える……

ドロシー「はひっ、はぁ…んぅ///」(あ、あっ……太ももを撫でられているだけなのに……すごいぞくぞくする…///)

パープル「ドロシー…お願い、私にキス…させて? …唇を奪ってしまってごめんなさいね、でも訓練だから我慢して……んっ♪」小声で謝ってから、そっと唇に触れた…

ドロシー「んっ、んむ…っ///」パープル教官の付けている花園のような香水と、成熟した女性の甘い匂いが鼻孔いっぱいに入って来てくらくらするドロシー…むしろ自分から進んで、パープルのぷるっとした唇に自分の唇を重ねて行った…

パープル「んふっ、んむ……ちゅぅ…♪」

ドロシー「んっんっ……あむ、んちゅっ…ちゅっ///」

パープル「ふふ、どうやらミス・ドロシーは積極的なタイプのようです♪ ……きっと身近な人と何かあって、一人ぼっちで寂しかったのね…?」他の訓練生たちには聞こえないよう、耳の穴を舐めるようにしながら言った…

ドロシー「ん、んくぅ……ミス・パープル…///」

パープル「ふふ、こうやると気持ちいいでしょう……言わなくていいわ、二人だけの秘密よ……たいていのレディはここが弱点ですから、覚えておきましょうね♪」ドロシーの形のいいふくらみをドレス越しに優しくまさぐりつつ、自分のずっしりとたわわな胸を押し付ける…

ドロシー「あっ、あ……♪」(これ、本気で……イきそう…っ///)

パープル「ふふ、それじゃあ「導入部」はこれにておしまい……ミス・ドロシー、どうぞ席にお戻りになって♪」

ドロシー「はい、ミス・パープル……んっ///」にちゅ…っ♪

パープル「さて……私たちとしてはありがたいことに、王国でも女性同士なら二人きりになるのがわりと簡単ですから、後はそれまでに築きあげてきた関係を一気に進めるかどうか、慎重に判断しま……もう、ちゃんと聞いているのかしら?」

訓練生C「…んっ///」

訓練生D「///」

パープル「あらあら、仕方ないわね…それではこの後は別室で「続き」のお話をして、その後は個別に練習しますからね……ふふ♪」

232 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/11/26(月) 02:48:49.44 ID:7x1id96h0
…別室…

パープル「さぁ、いらっしゃい…そう遠慮しないで?」

一同「…」


…パープルに連れてこられた一同の前にはベッドがいくつかと、むせ返るような甘い匂いがたちこめていた……クィーン・サイズのベッドには桃色のバラ模様が入ったシーツやクッションが敷かれていて、四、五人くらいならたやすく乗ることが出来そうに見える…


パープル「さてさて、さっきは協力的なミス・ドロシーのおかげで都合よく「関係を深める」ことが出来ました……とはいえ口づけだけで済ませられる関係では大した情報は引き出せないでしょうから…今度はより積極的な情報の引き出し方を……さて、ミス・チャタム♪」

訓練生C「はひっ…!?」

パープル「まぁまぁ、取って食べるわけじゃありませんからそんなに緊張しないで…♪」ころころと笑うミス・パープル

訓練生C「は、はい…///」

パープル「この中で一番の優等生はどなた?」

訓練生C「えーと…ミス・アンジェです」

パープル「そう…それでしたらミス・アンジェ♪」

アンジェ「…」

パープル「さ、どうぞ…?」腰をかがめて優しく手を差しだした…

訓練生C「…ミス・アンジェ……ごめんなさい……」

アンジェ「……余計な事を…」

訓練生C「ひうっ…!」

パープル「ミス・アンジェ、そう怖い顔をしないで…ね♪」左手はアンジェの手と「恋人つなぎ」にして、右手は抜け目なく腰に回している…

アンジェ「…はい」

パープル「さて……私たち二人は先ほどキスも交わし、もはや抜き差しならない仲になることを望んでいる……当然アルビオンの貴族にしてみれば女性同士の秘めたるお付き合いなど(実はたくさんいますけれど)社交界に知られてはならない秘密の関係です…こうなればもはや彼女は人に明かせぬ秘密を握られ「腕利き情報部員」である貴女の思うがまま、まるで操り人形のように動いてくれるでしょう♪」胸元で両手を合わせると、蜂蜜のように甘い笑みを浮かべた…

アンジェ「…」

パープル「それでは…ミス・アンジェ」

アンジェ「はい」

パープル「緊張しないでも大丈夫、優しくしてあげますから……ね♪」しゅるっ…と、黒いボディス(胴衣)のひもをほどくと、ドレスがふわりと広がる……

アンジェ「…横になった方がいいですか」

パープル「ふふ♪ お気遣いありがとう、ミス・アンジェ…最初は私に任せっぱなしで大丈夫よ♪」

アンジェ「そうですか…」

パープル「ええ……それと「初めて」は貴女の思い人のために取っておきますからね……貴女のお乳は色白で綺麗ね、ミス・アンジェ♪」ドレスの胸元をはだけさせてアンジェの控えめな谷間に顔をうずめて嬌声をあげつつ、さりげなくささやいた…

アンジェ「…!」

パープル「…その方はとっても大事な女性(ひと)のようね…任務が障害にならないよう祈っているわ……すぅ…はぁぁ♪」

アンジェ「…ミス・パープル……」

パープル「ふふ、それにね……こうすると…っ♪」

アンジェ「…っ!?」一気に押し倒されて馬乗りにされるアンジェ…ずっしりと豊かなミス・パープルの乳房が目の前で揺れる…

パープル「ミス・アンジェの恥ずかしがる表情を見ながら……んっ、んんっ♪」細身だが鍛えられ、きゅっと引き締まったアンジェの腰をぎゅっとふとももで挟み込み、熱っぽく柔らかな秘所を擦りつける…

アンジェ「んっ、い゛ぃっ…!?」

パープル「はぁ、はぁ、はぁっ…ミス・アンジェはひんやりしていて……気持ちいい…わ♪」くちゅ、にちゅ…ずりゅっ♪

アンジェ「はひっ、くうっ……んんっ!」長身で肉感的なミス・パープルだけに、小柄なアンジェには一回ごとの動きが激しい…息をするのも精一杯で、おまけに室内の空気は甘くただれた関係を思わせるような甘い匂いで満ちている……

パープル「それからこうして…ふふ、少し硬いけれど張りがあって若々しいお胸ね♪」むにっ、もにゅ…っ♪

アンジェ「はぁっ、ふぅ、ひっ…いぃ゛っ、あひぃ゛っ…♪」せいぜい女学生どうしのじゃれ合い程度にしか触られていないはずが、たちまち乳房の先端が硬くなってくる…

パープル「あら…ミス・アンジェはこういうことにはうといようね、それでは私から特別に……♪」甘い笑みを浮かべると、アンジェのふとももを左右の小脇に抱えるように持った…

委員長「今のでもすごいのに…と、特別ってどうなるの……///」

ドロシー「お、おぉ…ぅ///」

233 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/11/30(金) 02:55:40.85 ID:i4rS/jRM0
………



パープル「…さて、お次は……」

アンジェ「ふぅ…はぁ、はぁ……ふぁぁ…っ///」

ドロシー「なんて言うか……すっごいな…」

委員長「///」

パープル「貴女方はエージェントとして……どんな驚くような事にも冷静に対処し、もし相手が欲するのなら何だって与えてやりなさい……どうしても渡すことのできないものを望まれたら、その時は相手を殺しなさい…ね♪」

アンジェ「あふ…っ、はひぃっ……♪」

パープル「さて…王国の貴族女性の中には、こういうのが好きな人もいますから……初々しいのも結構ですが、あんまりぎこちないとかえって興ざめになって、そのまま「さようなら」になってしまうこともあります…一番いいのは「恥ずかしいけれど興味津々」と言ったところね♪」

アンジェ「はひっ…いぐっ、ひぅ…っ♪」

…まるで天気の話でもするように話しながらアンジェの後ろから手を伸ばして花芯をかき回し、ねちっこい手つきで乳房を揉みしだくミス・パープル……玉ねぎ型をした飾りのついたベッドの柱にシルクのリボンを結び付け、四つん這いにしたアンジェの手首とつないでいる……アンジェの目には黒いシルクの目隠しがされて、半開きの口からたらりと唾液が垂れている……

パープル「ふふ、だいぶ身体の硬さがほぐれてきたわ……いつもあんなに運動させられているから、どうしても筋肉がこわばってしまうのね…♪」

アンジェ「はふぅ、ひぅ…あっ、あんっ……♪」

パープル「あと、こういうのも時々……私もいく度か経験があるけれど……壁の向こうでは使われます♪」…ミス・パープルは「ミス・アンジェにはヒミツね♪」と言った様子でいたずらっぽく口元に人差し指をあて、それから壁の棚にかけてあった先が平たい乗馬用の鞭を取った…

ドロシー「うわ…///」

委員長「///」

訓練生A「わぁぁ…ねぇミス・ブリストル、今度一緒に試してみましょうよ……///」

訓練生B「え…」

訓練生C「…んっ///」くちゅっ…♪

パープル「それでは…っ♪」パンッ!

アンジェ「んぅっ…!?」

パープル「ふふ、もう一つ…♪」パシッ!

アンジェ「ん゛ぅ…くぅっ……!」

パープル「ふふ、ずいぶんとトロけたお顔になってきたと思うわ……でももう少しだけ…煮込み料理と同じように、時間をかけて……えいっ♪」

アンジェ「はぁ…っ」

…しばらくして…

パープル「いかが、ミス・アンジェ……痛くないようにしているけれど……たまらないでしょう?」他の訓練生には聞こえないよう耳元に顔を近づけて小声で気遣いながら、アンジェに鞭を振るう…

アンジェ「はひっ、ひぐぅ……ひっぐぅぅ…っ♪」とろとろっ…にちゅっ♪

パープル「まぁ、ミス・アンジェも天使のように可愛らしく果ててくれましたね。しばらくここで休んでいらっしゃい……さてさて、この後は私が個別に皆さんを訓練します♪」アンジェをとろとろにトロけさせておきながら、軽く息を弾ませているだけのミス・パープル…

委員長「…ねぇ、本当にあんなことをするの……?」

ドロシー「…参ったな///」(…もしミス・パープルみたいなのが相手だったら、こっちがへろへろにされちまう///)

パープル「別室がありますから、私が呼んだら入ってくるように…一応言っておきますが「その際のこと」はちゃんと秘密にしてあげますからね。何か質問はありますか?」

訓練生D「あの、教官…」

パープル「はい、何でしょう♪」

訓練生D「そのぉ…ミス・アンジェの様子からしても、「訓練が済んだから」って歩いて部屋を出て行けるとは思えないのですが……///」

パープル「あぁ、それなら私の補助をしてくれる「姉妹」たちが別のドアから貴女たちの事を運び出してくれますから…安心して下さいな♪」

訓練生D「わ、分かりました///」

パープル「他に質問は…ないようね。でしたらアルファベット順に始めましょう…残りのみなさんは待っている間に、他の訓練のおさらいでもなさっていてね♪」

ドロシー「だとしたら私の順番も結構早いな…///」

………


234 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/30(金) 08:24:15.14 ID:hm7rn6GuO
アンジェのえすえむ責め良かったです
次は尋問か...ゴクリ
235 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/11/30(金) 10:13:54.63 ID:i4rS/jRM0
>>234 コメントありがとうございます。尋問…と言うより「ミス・パープルのわくわくハニートラップ対策講座」ですかね……(笑)


ちなみに他の教官は思いついた色を当てはめていったのですが、パープルだけは英語圏でいやらしいイメージがあるようなので名付けました…日本語で言う「ピンク」のようなものみたいですね
236 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/11/30(金) 11:15:21.80 ID:i4rS/jRM0
ドロシー「本当にあの時は笑うしかなかったな…それに初めてだったぜ、「ミス・パーフェクト」のアンジェがあんなだらしない顔をするなんてな♪」

アンジェ「それを言ったら貴女だってすっかり骨抜きになっていたでしょうが。人の事を言えた義理じゃないわ」

ベアトリス「…あの、格闘の訓練は終わりましたけど……二人とも何の話をしていたんです?」

ドロシー「なーに、ちょっとした共通の知人についてね…♪」

アンジェ「まぁそんな所ね。ところでベアトリス、貴女もナイフの使い方がさまになってきたわね…次は射撃訓練をしなさい。台の上に銃弾がひとケースあるけれど、使い切っていいわ」

ベアトリス「はい」

ドロシー「ああ、撃てば撃っただけ上手くなるからな……それにしてもあの時は全く…♪」苦笑いをしながら首を振った…

………



…ファーム・廊下…

パープル「ミス・ドロシー…さ、いらっしゃい♪」

ドロシー「うへぇ、もうかよ……委員長、後は頼んだぜ?」

委員長「ちょっと、それってどういう…」

ドロシー「いや、出る時には半分ばかり魂が抜けちまうだろうからな……」さまざまな授業のおさらいをぶつぶつ言いながら歩き回っていたが、ミス・パープルに呼ばれると覚悟を決めたように息を吐いた…

…室内…

パープル「さぁどうぞ♪」

ドロシー「…どうも」…さっきまで別の訓練生の悩ましげな絶叫が聞こえていた室内をざっと見回す…調度品はいつも使っている自分たちのものと交換して欲しいようなふかふかのベッドがいくつかに、ティーセットを載せたテーブルが一つとクローゼットと、ごくあっさりしている…

パープル「さてさて……ここはドアが分厚いから、普通の声なら盗み聞きされる心配はないわ」

ドロシー「それはありがたい…よがってるところをみんなに聞かれるなんて、あまりいいものじゃない」(おいおい、だとしたらさっきの絶叫って…///)

パープル「大丈夫、そう言う面でここは完全に個人の秘密が保たれている部屋よ…だってここで育った「腕利きエージェント」たちの弱点を、王国側に転向したダブル・クロスに知られるわけにはいかないものね♪」

ドロシー「まぁ、それはそうですね…」

パープル「ね? …それじゃあ今度は敵方が「植え込んで」きたエージェントに何でも話してしまわないように訓練しましょうね、ミス・ドロシー♪」

ドロシー「ええ、ミス・パープル」

パープル「それじゃあ…♪」ぎゅっ…♪

ドロシー「…っ///」

パープル「貴女は意外とセンチメンタルなところがあって、家族のぬくもりのようなものを欲しがっているみたいね……?」耳元でささやきつつ、立ったまま後ろから暖かく抱きしめるミス・パープル…

ドロシー「さぁ、どうですかね…あんまりいい思い出はないし///」(…落ち着け、このままじゃミス・パープルにいいようにされちまうぞ……///)

パープル「大丈夫よ、私が家族の代わりになってあげる…安心して?」ちゅくっ…♪

ドロシー「あっ、あふ…っ…♪」

………

…廊下…

委員長「…現在のロンドン市街は壁を挟んで東西に分離されており、その市域区分は分断前の地名を……///」分厚いドアにさえぎられて切れ切れしかに聞こえてこないが、時折に耳に入るドロシーの喘ぎ声のせいで集中できないでいる委員長…

パープル「委員長さん…次は貴女の番よ、入って♪」

委員長「!」

パープル「さぁさぁ、早くしないとお昼を食べ損ねてしまうわよ?」

委員長「し、失礼します…///」


………
237 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/04(火) 02:21:50.07 ID:6XBsA2Zw0
…しばらくして…

パープル「…ふふ、貴女はマジメな頑張り屋さんだものね……いいのよ、今だけは好きなようにふるまって?」くちっ、つぷっ…♪

委員長「ふぁぁっ、あっ、あ゛あぁぁっ…♪」

パープル「まぁまぁ、ずいぶんと大きな声……普段は厳格な貴女のはしたない声が、廊下にまで聞こえてしまいそうね♪」耳元でささやきながら、くちゅり…と秘所に指を入れる…

委員長「あっ…はひっ、はーっ、はぁ…っ……い゛っ、ひっぐぅぅっ…♪」

…立ったままモスグリーンの地味なスカートをたくし上げられ、がくがくと膝を震わせながらも、ハンカチを噛みしめて少しでも声を抑えようとしている委員長…が、手練れのミス・パープルの繰り出す「妙技」の数々にかなうわけもなく、ふとももからとろりと蜜を垂らしながら、息も絶え絶えと言った様子で喘いでいる…

パープル「ねぇ、貴女とミス・ドロシーってずいぶん仲がいいみたいね……私、妬けてきちゃうわ♪」委員長と「同年代の恋人」役を演じるミス・パープルが目の前にひざまづくと、そのままつま先から太ももへと指を這わせていく…

委員長「そ、そんなことはっ……はひっ、ひぐぅ…っ♪」

…ミス・パープルの下半身が焼けつくような巧みな責め方に身体がひくつき、快感をこらえようとしているせいか目尻に涙がたまる…いつもかけている眼鏡がずり落ちそうになっているのも直せないまま顔を上に向け、どうにか「情報」を聞きだされまいと必死でこらえている…

パープル「そうなの……それにしてはずいぶん仲がいいみたいだけれど?」

委員長「そんなこと…っ!」

パープル「ない…とは言えないんじゃない?」くちゅっ…♪

委員長「はあぁぁっ…んっ、あ゛ぁ゛ぁぁっ!」とろっ……ぷしゃぁ…っ♪

パープル「あらまぁ、大丈夫…?」そのまま床にへたり込みそうになる委員長を優しく抱きとめて、腰を抱いてベッドに連れて行くミス・パープル…

委員長「へ、平気…です……」(良かった…少なくともこれで何もしゃべらずに済んだ……)

パープル「あらそう。だったら今度は趣向を変えて…♪」委員長をベッドの柱に付いている「玉ねぎ型の飾り」の所に引き寄せ、それから十インチほど委員長の腰を抱え上げた…

委員長「え、あの…もう訓練は終わりでは……?」

パープル「あら、私がいつ「おしまい」って言ったかしら…せーの♪」じゅぶじゅぶっ…ぐじゅ…っ!

委員長「あひっ、はあ゛ぁ゛んっ…!?」

…いたずらめかした笑みを浮かべて委員長を抱え上げたミス・パープルは、そのまま委員長の花芯がベッド飾りの真上に来るように委員長を降ろした……ベッドの柱はつま先立ちをしてちょうど股下と同じくらいの長さで、委員長は震える両足のつま先と、金の玉ねぎ型をしたベッド飾りに食い込む秘部の三点だけで身体を支え、少しでも身動きするたびにベッドの柱の先端が「ぐちゅり…♪」とあそこをえぐってくる…

パープル「さてと…それじゃあミス・ドロシーとミス・アンジェとは何でもないの? …ね、私にだけ教えて?」くすくす笑いをしながら前かがみになり、委員長に顔を近づける…

委員長「な、何もありません…っ! どころか、あの二人は楽々と課題をこなしてきて…私が努力しているのに……あひぃっ、ひっぐぅぅっ♪」とろ…っ、にちゅっ♪

パープル「ふぅん、そうなのね……それじゃあミス・ドロシーとミス・アンジェの事は嫌いなの?」

委員長「きら…はひぃ、ひぐぅ…嫌いじゃないけど……あ゛あぁ゛ぁぁ…っ!」ぶしゃぁぁ…♪

パープル「それじゃあ二人の事は好き?」

委員長「好きとか嫌いとかそう言う……はぁあぁ゛ぁっ♪」ぬちゅ…にちゅっ♪

パープル「複雑な関係なのね…ねぇ、委員長ってどこの出身なの?」

委員長「わ、わらひはロンドンの…ぉぉ゛っ♪」

パープル「まぁ、ロンドンなの? …ロンドンのどのあたり?」

委員長「ケン…ひっ、あひぃぃっ/// …ケンジントンガーデンズ……のぉ……あぁぁ…あへぇ、はー、はーっ…♪」

パープル「ケンジントンガーデンズ? でも、私のお友達があそこにいたから時々遊びに行ったけれど、貴女は見た事ないわ♪」

委員長「それはっ…ひぐぅっ……わらひのっ…身体が弱くって……ウェールズの方で療養してたか……あっぁ゛ぁっ、イ゛くぅぅ…っ!」

パープル「そうだったの……それじゃあ大変だったでしょう、ね♪」両肩に手をかけて軽く力を込めるミス・パープル…

委員長「あっ゛あ゛ぁぁぁっ…!!」とぽっ、ぷしゃぁぁ…っ♪

…愛液を噴きだしながら頭をのけ反らせ、びくびくと身体を引きつらせると、そのままぐったりとミス・パープルの腕の中に倒れ込んだ…

パープル「はい、お疲れさま……あら、ミス・委員長?」

委員長「あへぇ……///」イきすぎて半分意識が飛んでいる委員長…それでも眼鏡を直そうとしているあたり、生真面目な性格がよく出ている……

美人の補助教官「…やり過ぎですよ、パープル」…訓練生を連れ出しにきた補助教官があきれたように眉をひそめた

パープル「そう言わないで、ヴァイオレット……なかなか「口を割って」くれないから、ちょっとやり過ぎちゃったのよ」

補助教官「時々いますからね、そう言う頑固なタイプは」

パープル「ええ…ふぅ、それで候補生はあとどのくらい?」

補助教官「あと四人です…パープルなら三十分もいらないでしょう」

パープル「そうかもしれないわね……それと終ったら、いつも通り甘い紅茶とチョコレートを用意しておいてね♪」
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/04(火) 11:01:22.76 ID:dVQqZ9LbO
これはすごくいい責め
ベタだけどイクって絶頂宣言好きなのでもっと言わせて欲しい
239 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/05(水) 01:06:47.06 ID:93s5sbUo0
>>238 書いていて「ちょっとありふれているかな?」と思いましたが、気に入って頂けたようで何よりです……そろそろ次のエピソードに移りますが、また機会があったらやってみようと思います
240 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/12/05(水) 01:52:24.54 ID:93s5sbUo0
…数日後・用具室の前…

アンジェ「全く、あなたの軽口のせいでとんだ目にあったわ…用具の片づけだなんて」

ドロシー「そう言うなよ……ふぅ、やっと着いた……な?」

…施設のすみっこにある古い厩(うまや)に手を加えた用具室まで、うんうん言いながら重いハードルを片づけに来たドロシーとアンジェ……と、用具室の半開きになったすべり戸の隙間から、喘ぎ声が漏れてきた…

訓練生A「…ほぉら、イきたいならちゃんと言わないと……いつまでもこのままじゃあ誰かに見つかっちゃうかもよ?」

訓練生B「はひっ、ひゃう…んっ!」

訓練生A「さぁ吐きなさい、貴女はどこを責めて欲しいの…っ♪」にちゅぐちゅっ…じゅぷっ♪

訓練生B「あっあっ、あ゛ぁぁっ……きもひいぃっ、イくっ、イっぐぅぅぅ……っ♪」どぷっ、こぽっ…ぶしゃぁぁ……♪

ドロシー「……あー、おほん…っ!」扉の前でわざと音高く咳払いをするドロシー…

訓練生A「!」

訓練生B「はひぃ…もっと、もっとイかせて…ぇっ♪」

訓練生A「……しーっ!」

ドロシー「おーいアンジェ、早くしろよ…用具室ってここでいいんだろ…?」

アンジェ「ええ、そうよ」

ドロシー「よっこらせ…と、この扉と来た日には重くってかなわないな……なぁアンジェ、少しは手伝えよ!」

アンジェ「仕方ないわね……それじゃあ「せーの」で開けるわよ?」

ドロシー「お、それじゃあ行くぜ……っと?」

訓練生A「…あ、ミス・アンジェにミス・ドロシー…あなたたちも用具の片づけに?」…さも用具の片づけに来たような顔をして中から出てきた二人の訓練生…が、片方はまだとろんとした表情のまま脱げかけたつなぎから火照った肌をのぞかせ、もう片方の訓練生につかまってかろうじて立っている…

ドロシー「…あぁ、そっちも?」

訓練生A「そうなの…ミスタ・ホワイトったら優しい顔をしてひどいのよ♪」

ドロシー「それはご愁傷様……それじゃあ、後はこっちで閉めておくから」

訓練生A「分かったわ、どうもね」

ドロシー「ああ……ったく、どいつもこいつもミス・パープルの色気にあてられちまって、ところ構わずあんあん言ってやがる…まるでさかりのついた猫だ」

アンジェ「同感ね」

ドロシー「ふぅ、まぁ無理もないけどな……朝から晩までずーっと「ファーム」かロンドンの部屋で修道院そこのけに時間割通りの生活…「お出かけ」と言っても尾行の訓練くらいでしか出来やしない…それでいて身体はうんと使っているから血の巡りはよくなるし……後は若いステキなレディに手ほどきでもされたら…ほぉら、一丁あがり…ってね♪」

アンジェ「そうね…」

ドロシー「それにしたって、この数日ばかりと言うものずーっとこんなだぜ? 人気のない所に行くたんびに咳払いをしなくちゃならないんだから…この忙しいスケジュールの中でどうやったらそんな暇を見つけられるんだか……まったく恐れ入るよ」

アンジェ「エージェントたるもの、どんな細切れの時間でも有効活用できないとだめよ」

ドロシー「なるほどな、その点で言えばあいつらは合格だ……見張りと逃走経路の確保から言えば「落第」だがね♪」

アンジェ「そうね…とにかくこれを片づけましょう」

ドロシー「だな」

………
241 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/05(水) 02:47:59.88 ID:93s5sbUo0
…別の日…

銀髪の教官「…さてさて「昨日お伝えして今日」と言うのは皆さんにとっていささか急ではありますが、わたくしから筆記試験を行って欲しいと教官方から頼まれてしまいましたのでね。無理は承知ですが、どうか受けていただきたい……」英文法と文学担当の、小柄で眼鏡をかけた銀髪の老紳士「ミスタ・シルバークラウド」が謝りながらつぶやいた…

シルバー「えー…出題範囲ですが、今までに教わった英文学と文法のすべてからです。カンニングは推奨できませんが…見つからない自信があると言うのなら、どうぞ試してごらんなさい」

訓練生一同「「くすくすっ…♪」」

シルバー「もちろんカンニングが発覚した場合は零点を付けることもありますから、諸君は十分そのことを理解したうえで試験に臨んでもらいたいですな」

ドロシー「…なぁに、見つからなければいいわけだ……」

シルバー「解答が終わったらそれぞれ退出してよろしい…何か問題があれば挙手をするように。それでは……始め」

ドロシー「…ほーん、『シェークスピアの作品名と登場人物、そのあらすじを出来るだけ記述せよ』か…楽勝だ、カンニングの必要もないな……♪」

アンジェ「…リア王、ハムレット、マクベス、ヴェニスの商人……」

委員長「…『ワーズワースの詩集から、次の詩を全て正しく記述せよ』……なんてことないわ…」

ドロシー「…お『次の用語の穴を埋めよ』……だと?」

シルバー「おやおや、ミス・ハムデン…カンニングとはよろしくありませんね?」

訓練生H「…っ!」教室の壁の下の方に細かい文字でヒントを書いておいた訓練生…が、ミスタ・シルバーに見つかり、穏やかな声で出て行くよううながされた……

シルバー「…ミス・イプスウィッチ…そのカンニング方法は私は学生の頃からあった古典的な方法です……勉強にしてもカンニングにしても、もう少し知恵を働かせなさい」

訓練生I「…はい///」

ドロシー「えーと…最初は『ドクター・ノオ』で、これが『黄金銃を持つ男』…『死ぬのは○○』…これは『死ぬのは奴らだ』で…それからこれが『ダイヤモンドは永遠に』『カジノ・ロワイヤル』……と…♪」

アンジェ「…『最後は卵のように落っこちて潰れてしまった…』……ハンプティ・ダンプティね…」

委員長「……ふぅ、ここまでは順調ね…次の問題は……え?」片手をそっとあげる委員長

シルバー「おや、どうしたのかね?」

委員長「いえ、問題文が途中で途切れていて…」

シルバー「ふむ…では推測してみるといい。情報部員になった場合、君が必ずしも問題の全文を教えてもらえるとは限らないからね…♪」

委員長「は、はい…」

シルバー「よろしい……あぁ、それとミス・ジャーヴィス…確かに女性の胸はさまざまな用途に使えるでしょうが、カンニング用紙を挟むのはいささかよろしくありませんな……若いご婦人がそれではみっともないですよ」

訓練生J「」

ドロシー「…どうやらそろそろおしまいかな……お、終わった♪」

シルバー「それではペンを置いて…みんなご苦労さま、後はゆっくりしなさい」(…ふーむ、ミス・ドロシーのカンニング方法はなかなか斬新だ。答案はおおよそ八十点と言ったところだが、十五点を加点しよう…一方のミス・「委員長」とミス・アンジェは正攻法でこの点数か…なるほど、確かにこの三人の成績は抜群だ…「卒業」もそう遠くはあるまい……)


………

ドロシー「ふぃー、お疲れさん…どうだった?」

アンジェ「さぁね…まぁそこそこじゃないかしら?」

ドロシー「ほーん……それじゃあ委員長は?」

委員長「そうね、手ごたえはあったわ…後半の問題が書かれていなかったのは驚いたけれど……」

アンジェ「問題が「書かれていない」と言っても欠落している部分は少なかったし、貴女なら残りを推測するのはそう難しくなかったはずよ」

委員長「ま、まぁそうかもしれないわ…///」

ドロシー「へぇ、アンジェも人をおだてるのが上手くなったな♪」

アンジェ「…余計なお世話よ」

………

242 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/10(月) 00:35:26.13 ID:blGHsMb30
ベアトリス「あのぉ…射撃訓練も終わりましたけど」

…硝煙をあげているピストルを台に置き、手首を振っているベアトリス……人型の的には撃ちこまれた弾の跡が黒い穴になって残っていて、ドロシーは的を眺めると軽く笑った…

ドロシー「ああ、見えてるよ……たいしたもんだ、また少し伸びたな。若いうちは覚えが早くて結構だ」

ベアトリス「ドロシーさんだって充分若いでしょうが…」

ドロシー「まぁな、ちょっとばかり先輩面してみたかったのさ…ところで、情報部員に必要な条件ってなんだか分かるか?」

ベアトリス「えーと……勇敢なことでしょうか?」

ドロシー「まぁそう言うだろうと思ったが…たとえば?」

ベアトリス「えーと…相手方のエージェントと鉢合わせた時に渡り合えるような……」

ドロシー「ははっ。訓練の後だからそう言うと思ったよ♪ …工作員に必要な「勇敢さ」って言うのは、別に身長十フィートで体重二百ポンドもあるような巨漢と殴り合うとか、そう言う「肉体的な勇敢さ」だけじゃないんだぜ?」

アンジェ「そうね」

ベアトリス「え? …それじゃあどんな場合に「勇敢」って言うんです?」

ドロシー「まぁさっき言ったような肉体的な勇敢さも必要じゃないと言えば嘘になるが…自分がこれっぽっちも信じちゃいないたわごとを真面目に受け止めてみせるとか、反対に心から信じているようなことを蹴飛ばしてみせなきゃならない「勇敢さ」の方が大事さ」

アンジェ「そう言うことよ…ファームでもそう言う訓練があったわ」

ドロシー「ああ…数カ月かけて育てた花を目の前で踏みにじられて、表情を変えたり教官を半殺しにしなければ合格っていう試験がな……私はあやうく教官の首をへし折りそうになったね」

アンジェ「…実際は顔色一つ変えなかったはずよ。そうでなければエージェントにはなれない」

ドロシー「ま、教官がおまけしてくれたんだろうさ……そうだな、例えばベアトリスだったら「王室を廃止しろ、プリンセスを殺せ!」って叫ぶ…とかな」

ベアトリス「うえっ!?」

ドロシー「…出来るか?」

ベアトリス「……必要なら、できます」

ドロシー「結構だ、それでこそ情報部員だな。…アンジェはどうだ」

アンジェ「ええ、出来るわ」

ドロシー「さすがだな……実際に言う場面が来ないように願ってるぜ」

アンジェ「お気遣い結構。別に口先でなら何とでも言えるわ」

ドロシー「そうかよ…それじゃあ後片付けでもして、ぼちぼち帰るか……アンジェ、最初に行け」

アンジェ「ええ」

…十数分後…

ドロシー「やれやれ、ようやく片づけ終わったな……なぁベアトリス」

ベアトリス「何です?」

ドロシー「……ああ見えてアンジェも苦労してるんだ、ベアトリスも時にはプリンセスの隣を譲ってやってくれ」

ベアトリス「分かっています」

ドロシー「そうか? ならいいのさ…それじゃ、帰りに何か食っていくか」

ベアトリス「…はい」

………
243 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/12/10(月) 00:40:24.40 ID:blGHsMb30
この数日なかなか投下できなくて済みませんでした……次のエピソード自体はある程度考えてありますが、どのカップリングにするか思案中です

…もし好きなカップリング(タチネコの好み含め)があれば、お気軽にどうぞ…数日後くらいに始めようかと思いますので
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/10(月) 00:40:45.63 ID:aEykjF7eO
数ヶ月かけて...キング○マンかな?
245 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/11(火) 02:20:44.00 ID:0vMzAc370
>>244 「この犬ってブルドッグだろ?」「いいえ、パグよ」……あれは表現こそちょっとお下品でしたが、イギリス人らしい教官がいい味を出していましたね…確か実際にボリビア(?)だかの特殊部隊では一緒に苦楽を共にしてきた犬を最後に始末するテストがあるそうですが…


…ちなみにテレビシリーズ「ナポレオン・ソロ」のリメイク映画版「コードネ○ム U・N・C・L・E」が60年代の古き良きスパイ物らしくて好きです…そのうちに小ネタとして取り入れたいところですね…
246 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/12/16(日) 02:05:28.03 ID:7ZCbULIp0
…caseプリンセス×ちせ「The oriental lily」(東洋のユリ)…

…ロンドン市内・とある公園…

アンジェ「隣、よろしいですか?」

7「ええ。どうぞ」

…秋めいてきたロンドンの公園で暖かそうなコートにくるまれ、公園のベンチに腰掛けて池の水鳥を観察している「7」…そこに茶色のさえないコートを着たアンジェがとぼとぼ寒そうなふりをして歩いてくると、遠慮するような様子で隣に座った…

アンジェ「…それで?」

7「次の任務の指示があるわ」

アンジェ「……続けて」

7「あなたにはロイヤル・キュー・ガーデン(ロンドン南西部にある世界的な王立植物園)で、とある植物を探してもらいたいの」

アンジェ「…どんな植物なの?」

7「ええ…探しているのはごく珍しい種類のユリで、王立植物園にしかないことがはっきりしているわ」

アンジェ「ユリ?」

7「そう、ユリよ……以前、王国側のエージェントから入手したパルファム(香水)があったでしょう?」(※…case「The perfume」)

アンジェ「ええ」

7「あの香水の中に、その花から抽出した成分が入っているらしいことが分かったの……数年前、共和国の理想に共鳴したある植物学者の先生が王国から亡命したのだけれど…その人物がキュー・ガーデンを管轄する「王立園芸委員会」の一人だったことから判明した事実よ」

アンジェ「なるほど…続けて」

7「当然こちらも同じ植物がないか「キュー・デモクラティック・ガーデン」を始め共和国中の植物園を探し回ってみたけれど…残念ながら存在しなかったわ……それを使うかどうかはさておき、なんであれ敵側だけが持っていると言うのはこちらにとって不利になる」

アンジェ「確かに…わざわざアドバンテージを与えることもないわね」

7「そこで貴女にはキュー・ガーデンの「特別温室」から、そのユリの球根か種を入手してもらうわ…まぁ、大きさから言っても持ち出しやすい種がいいでしょうから、この時期まで待っていたの」

アンジェ「なるほど……とはいえキュー・ガーデンの特別温室に入れる人間はそう多くないし、あちらも種や苗の持ち出しにはうんと目を光らせているはずよ…植民地では見つからないの?」

7「ごもっともね…当然こちらも各地にプラントハンターや博物学者、「冒険家」を自称するような人間まで派遣したわ。南アフリカ、インド、セイロン、ホンコン、マレー、西インド諸島……しかし、どうやらそのユリはごく珍しい種類で、見つかっている群生に関しては王国の支配下にある地域でしか自生していないらしいの」

アンジェ「なるほど…確かに軍を派遣して植民地を奪取するよりは、キュー・ガーデンから窃取する方が速いわね…」

7「その通り。無論難しい任務であることは分かっている…だけど、こちらにも「切り札」があるでしょう?」

アンジェ「…誰をどう使うかは私が判断する……それに、いくらか予算をあてて欲しいわ」

7「分かっているわ…また経理部が胃痛になるわね」

アンジェ「プロダクト(産物)が欲しいなら相応の払いが必要ってことよ…おかしい事は何もない」

7「ええ、分かってる…こちらとしても欲しいものが入りさえすればそれでいいわ」

アンジェ「結構。お互い分かりあえたようね……それじゃあ…」

………

247 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/17(月) 01:14:27.92 ID:210TqTTO0
…翌朝・部室…

ドロシー「……で、今度はキュー・ガーデンからユリの花をくすねて来いって?」

アンジェ「ええ」

ドロシー「全く…私たちは情報部員で、怪盗じゃないって言ってやったか?」

アンジェ「言っても無駄だから言わなかったわ」

ドロシー「結構なことで…で、どうするよ」

アンジェ「そうね…コントロールが示唆したように、プリンセスを使う以外ないかもしれない……あるいは…」

ドロシー「あるいは…なんだ?」

アンジェ「…ちせを使う」

ドロシー「ちせか…確かに、あの人斬り刀と白兵戦の能力は大したもんなんだが……」

アンジェ「不安?」

ドロシー「…ありていに言えばな。彼女はエージェントになるには性格が真っ直ぐ過ぎる。いつぞやの件だって、いくら相手が鼻持ちならない奴らだったとはいえ…蝶々一匹のために決闘を挑んでいたんじゃ、もし自分の理想とかけ離れた連中の間にもぐり込むようなことになったらどうする?」

アンジェ「そうね…あの眩しいくらいの正直さは、私たちのような黄昏に生きる人間には明るすぎるわ……」

ドロシー「…妙にセンチメンタルな言い回しだが、だいたいそんなところだ」

アンジェ「…貴女の懸念はよく分かったわ。とはいえ、今回は潜入も破壊工作もしない…正面から堂々と入っていって、何食わぬ顔で出てくるだけよ」

ドロシー「ほぅ?」

アンジェ「…もっとも、コントロールには情報をいくらか差し出してもらう事になるでしょうけれど…」

ドロシー「ふぅん…その口ぶりからすると、何かアイデアを暖めているんだな?」

アンジェ「まぁね」

ドロシー「そっか…それじゃあ任せたぜ」

アンジェ「ええ。それじゃあ、またお茶の時間にね」

…ティータイム・中庭…

アンジェ「…という訳で、今回はキュー・ガーデンから珍しいユリの種…ないしは球根を入手することになったわ」

ベアトリス「あの香水のもとですか…///」

ドロシー「なんだ、もしかしてまたアレを試したいのか?」いやらしい含み笑いを浮かべてウィンクする…

ベアトリス「ばか言わないで下さいっ……それより、キュー・ガーデンの特別温室は重要な園芸作物や、貴重な植物の育成を行っている場所ですし、なかなか入るのは難しいはずですよ?」

アンジェ「もちろんそのことは織り込み済みよ…プリンセス」

プリンセス「なにかしら?」

アンジェ「今回はあなたの名前を活用させてもらう……貴女は確か「王立園芸委員会」の名誉顧問だったわね?」

プリンセス「ええ」

アンジェ「結構…では貴女にはキュー・ガーデンに行く用事を作ってもらいたい」

プリンセス「ええ、任せて」

アンジェ「よろしい…それと、ちせ」

ちせ「む?」

アンジェ「貴女には、そちらが欲しがっている共和国の情報を渡してもよいと許可が出た…その代わりに……」

ちせ「なんじゃ?」

アンジェ「日本の貴重な工芸作物…例えば漆、絹を作る蚕が餌にする桑や、染料になる紅花…の種や苗を引き渡して欲しい。貴女がキュー・ガーデンの特別温室に入るための手土産としてね」

ちせ「なるほど…しかしそう言うことは私の一存では決められぬし、上に相談せねばならぬが……期限は?」

アンジェ「出来るだけ早いうちに」

ちせ「うむ、承知」

アンジェ「よろしい…ではあなたが引き換えの種を手に入れ次第、実行に移す」


248 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/20(木) 01:20:48.22 ID:/cTZThh20
…数日後・在アルビオン王国日本大使館…

堀河公「…して、今回はどのような情報を携えて参ったのだ?」

…鹿威(ししおどし)の響きが時折聞こえてくる日本庭園を眺めつつ、向かい合ってお茶をすすっている二人……膝の前には厚く切ったようかんがそれぞれ二切れ小皿に載せて置いてあり、ちせは正座で膝に手を置き、ちせにとっての「コントロール」である堀河公は腕を組んで目をつぶっている…

ちせ「は…それがかくかくしかじかで……」

堀河公「なるほど…共和国側は我が方がたずさえてきた工芸作物の種苗と引き換えに王国側の情報を寄こすと……」

ちせ「さようで……いかが致しましょうか」

堀河公「ふむ…」ずず…と湯呑みの茶を一すすりした

ちせ「…」

堀河公「よかろう。王国の外交方針がつづられた文書…それなら貴重な作物の種と引き換えてもかまうまい……共和国側へは「条件に応じる」と伝えよ」

ちせ「御意」

堀河公「…しかし二枚舌外交の巧みな英国を相手にするのだ、こちらも何か保険をかけておかねばな……」

ちせ「はっ」

堀河公「なに、そなたに策を弄してもらうつもりはない。謀(はかりごと)はこちらで練るゆえ、そなたは朋友たちに承知した旨を伝えよ」

ちせ「ははっ」

堀河公「…ちせ」

ちせ「はい」

堀河公「……頼むぞ」

ちせ「は、この身に替えましても…!」

堀河公「うむ」

………



…その日の午後・部室…

ちせ「アンジェどの」

アンジェ「返事をもらってきたようね…で、答えは?」

ちせ「肯定じゃ…私の上役は了承したぞ」

アンジェ「結構、ならこちらもすぐ準備に取りかかる…少し出てくるわ」

ちせ「うむ」

ドロシー「お疲れさん。ちせの所のボス…堀河公とやらもずいぶん悩んだだろうな」

ちせ「まぁそうじゃな……決して安い取引ではなかったからの」

ドロシー「だろうよ…ま、後はキュー・ガーデンで種だか苗だかをくすねてくるだけだな♪」

ベアトリス「もう、ドロシーさんったら……またそうやってたやすい事みたいに言うんですから…」

ドロシー「まぁな……何しろこちらには泣く子も黙るプリンセスが付いているしな、ピース・オヴ・ケーク(お茶の子さいさい)さ♪」

ベアトリス「はぁ…そのお気楽ぶりを半分ほど分けて欲しいですよ、まったく……」

プリンセス「……何の話をしていらっしゃるの?」

ベアトリス「あ、姫様♪ …いえ、ドロシーさんが……」

プリンセス「あら、またドロシーさんの話? …ベアトを盗られたみたいで、何だか妬けてきちゃうわ♪」そう言って軽くドロシーの耳たぶを引っぱり、斜め下から見上げるような上目遣いをしてみせた…

ドロシー「おいおい…別に私から言っている訳じゃないんだ、その辺の苦情はベアトリスに頼むぜ……///」

プリンセス「ふふ、それもそうね♪」

ドロシー「ああ…それはそうと、ちせの上司からも「ゴー」が出た。近いうちに決行することになるだろうな」

プリンセス「そう、よかったわ…早くしないと種を収穫されてしまうものね」

ドロシー「まったくだ」
249 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/22(土) 02:17:37.31 ID:1zU7qVhY0
ドロシー「で、当日はそれを着ていくのか」

ちせ「うむ、日・アルビオン王国の友好と親善をうたった交流と言うことで「公的に」動くのでな」…抹茶色に白と紅の山茶花(さざんか)を配した着物に銀ねず色の帯に雪駄…と、華やかではあるがけばけばしくはない格好で決めている…

ドロシー「へぇ…なるほど。任務の時の黒い服もいいが、そう言うのも可愛らしくていいじゃないか…よく似合ってるぜ?」

ちせ「…そうまじまじと見られると気恥ずかしいものがあるがの///」スパイらしく人をたらしこむのが上手で、必要ならとてもチャーミングで褒め上手になれるドロシーにたじたじのちせ…

アンジェ「ドロシーではないけれど、その格好はなかなかいいわ。それに…」

ちせ「なんじゃ?」

アンジェ「袖口が長いからそっと何かを忍び込ませることも出来るわね」

ちせ「なるほど…そこまでは考えなかったが、そういうことに使えないこともないじゃろう」

アンジェ「ええ、特に今回の場合はね…」

ちせ「分かっておる……それと、これが王国側に渡す種じゃ…桑に、三又(みつまた…高級紙の原料)…紅花……」きっちりと紙にくるまれた種を並べる…

アンジェ「ええ。コントロールもこちら用の種を受け取ったそうよ」

ちせ「うむ…東洋の絹はこちらでは作れぬから、養蚕に欠かせぬ桑の種や苗木は、どちらも喉から手が出るほど欲しいものじゃろうて」

アンジェ「そうでしょうね……「パンの木ブライ」の件でもわかるわ」

(※パンの木ブライ…18世紀ごろ、南洋にしかなかったパンの木の苗木を本国に輸送するべく派遣された「バウンティ号」の艦長ブライが権威をかさに着て理不尽な命令や体罰を繰り返し、副長を始め多くの乗員が反乱を起こした事件。事件の直接の原因は渇きに苦しむ乗員の飲料水を減らして、苗木に水を与えた事だと言われる…戦前・戦後に何回か映画化された)

ドロシー「ああ。茶の木だとかゴムの木だとかな」

アンジェ「ええ…とにかく、後は当日うまくやるだけね」

ちせ「うむ…何か手はずを決めた方が良いかもしれぬ……」

アンジェ「そのことなら心配はいらない…プリンセス」

プリンセス「ええ、実は一つ考えがあるの♪」

ちせ「ふむ…と言うと?」

プリンセス「それはね……」

ちせ「…ふむ、なるほど……確かにそれなら自然で悪くないの…」

プリンセス「よかった、頭を悩ませたかいがあったわ♪」

ベアトリス「あの、その計画ってどんな…」

アンジェ「あなたは知らなくていい」

ベアトリス「むぅ…そう言う言い方はないんじゃないですか?」

アンジェ「別にあなたを毛嫌いしている訳じゃないわ……だけれど、あなたの演技力はお世辞にも褒められたものじゃない」

ドロシー「…だから知らないでいれば、より本当らしく見えるってわけさ」

プリンセス「ごめんなさい、ベアト……おわびはうんとしてあげるから……ね♪」耳元でいやらしくささやいた…

ベアトリス「ひ、姫様…///」

アンジェ「とにかく、後は当日を待つばかりね……今回はちせ、プリンセス、それにベアトが一緒に動き、私とドロシーが不測の事態に備えてキュー・ガーデンの一般向け庭園で待機している…もし何かあった時は私かドロシーのどちらかとランデヴーして「クロッカス」を会話の中に挟みなさい」

ベアトリス「どうしてこの時期に「クロッカス」なんです?」

ドロシー「糸一本で綱渡りしているようなまずい状態って事さ…こう見えてアンジェは教養があるからな」

(※クロッカス…由来はギリシャ語のクロコス(糸)から。同属のサフランが持つ雄しべが紅い糸のように見えるため……この雄しべは「サフランライス」などに使われるハーブの一つで価値が高い)

アンジェ「ドロシー…「こう見えて」は余計よ」

ドロシー「へいへい、悪かったよ♪」

250 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/12/25(火) 10:46:49.60 ID:ZfZm7ekI0
…作戦当日…

プリンセス「それじゃあ行ってくるわね、アンジェ♪」

アンジェ「ええ」

ドロシー「ちせ、しくじるなよ?」

ちせ「うむ…」

ドロシー「なぁに、そう固くなるなって……敵さんをあなどるのも問題だけどな、そう気負ってちゃ普段出来ることだって出来ないぜ?」

ちせ「そうじゃな……」

ドロシー「な? …もっとも、固いのは態度だけじゃないみたいだけどな♪」むにっ…♪

ちせ「な、何をするのじゃ…っ///」

ドロシー「ははっ♪」

ベアトリス「もう…ドロシーさんは浮かれすぎですよ?」

ドロシー「そういう性格だからな。 それとベアトリス、お前さんもムリにうまい事やろうとしなくていいぞ…普段通りにふるまえ」

ベアトリス「…はい」

アンジェ「ドロシーはこんなだけれど、助言することがあるとしたら今の通りよ…緊張するなとは言わないから、冷静にね」

ベアトリス「分かりました」

ドロシー「それじゃあアンジェ、キュー・ガーデンへ行こうぜ?」

アンジェ「ええ。三人とも、私たちは先行して向こうにいるから……何かあったら援護するわ」

プリンセス「お願いね?」

アンジェ「もちろん」

…キュー・ガーデン…

ドロシー「うーんっ…いい空気だ……♪」

アンジェ「だからって寝こけたりしないでちょうだいね?」

ドロシー「大丈夫さ…だけどアンジェの柔っこいふとももがそんなところにあるとな……よっ、と♪」…ぽすっ♪

アンジェ「…どういうつもり?」太ももの上に乗っかっているドロシーの頭を見おろした…

ドロシー「ひざまくら♪」

アンジェ「ふざけてないで…いいから見張ってなさい」

ドロシー「へいへい……よいしょ、と」

アンジェ「とりあえず私たちは、この場所から動かないでいる理由を周囲に見せないといけないわ…」

ドロシー「ああ。いいとこのお嬢さんが風景画を描く…いかにもそれらしいよな」

アンジェ「そういう事よ……後はプリンセスたちの任務完了までここで待機すればいい」

ドロシー「任せておけよ」

アンジェ「…期待しているわ」さらさらと下絵をスケッチしつつ、油断なく辺りを監視するアンジェとドロシー…


251 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/26(水) 02:15:18.94 ID:dfVndbv/0
そう言えば、ちょっと遅れてしまいましたが…クリスマスおめでとうございます。皆さまのクリスマスがチキンとケーキのごちそうが付いた、良いものだったことを願っております……

252 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/28(金) 02:47:34.62 ID:t93puI9t0
…数十分後・キュー・ガーデン正門…

プリンセス「さぁ、着きましたよ」

ちせ「おぉぉ…何とも広大で壮麗な公園じゃ」

プリンセス「ふふ、何しろアルビオンの富の一端を担っている大事な場所ですものね」

ちせ「ふむ…日本では自然はごくごくありふれていて、そこまで意識することが少ないが……そう言う考えもあるのじゃな…」

プリンセス「ええ…もっとも、自然から切り離されガラス温室に閉じ込められた花々は幸せなのか、時々考えてしまいますが……あ、準備ができたようですよ?」

侍従「…どうぞ、足下にお気をつけてお降り下さい」警護官のオールドミスたちが鋭い目つきで辺りを確認し、二人の侍従がドレスとヒール姿のプリンセスが降りやすいようにと、踏み台を用意してから馬車の扉を開ける…

プリンセス「ええ、お気遣いありがとう…さ、ちせさんも参りましょう♪」

ちせ「うむ」

…プリンセスとちせがキュー・ガーデンの王室用入口に案内されると、片眼鏡(モノクル)をかけていたり、白いひげを生やした博物学者や「王立園芸委員会」の委員が十数人ほど待っていた…

白いあごひげの委員「よくお越しになられました、プリンセス…それとお客人も」

片眼鏡の委員「いかにも…残念なことにユリの時期は終わりつつありますが、それ以外にもさまざまな見どころはございますゆえ……それとプリンセス、王室発行の園芸書で改訂せねばならぬところがございますので、ぜひ時間をいただきたいと思っておったのです」

プリンセス「あぁ、そうですか…分かりました、ロード・チャービル」

片眼鏡の委員「まことに助かります…それと遠い極東からのお客様がいらっしゃるわけですから、最初はキュー・ガーデンのレモンピール博士に色々と案内させましょう…博士、よろしいですな?」

内気な感じの学者「ええ、もちろんです……その、プリンセスをご案内出来て光栄です///」

プリンセス「いえいえ、わたくしこそ博士に案内して頂けるなんて嬉しいです…先月の「植物の繁茂と日照」についての論文、大変に興味深かったですわ」

学者「あっ、その…あの論文を読んでいただけたのですか……その、まだ実証できていない部分もありまして、完成とは言い難いのですが……///」

プリンセス「いいえ、素晴らしいものでしたよ…それでは、案内をしていただけますか?」

学者「あぁ、はい…!」

白髪の委員「それでは私たちも参るとしましょうか…いかがですかな?」

片眼鏡の委員「いかにも」

白ひげの委員「ふむ、そうですな」

…園内…

プリンセス「なるほど、すごいものですわね…」

博士「はい、ここは亜熱帯の気候に合わせた温室でして…特にラン類が集められています。こちらがデンドロビウムで、あちらがファレノプシス……いずれもマレーやシナで採集されたものです」…甘い香りが鼻孔をくすぐり、クリーム色や鮮やかな紫、金粉を振ったようなメタリックなきらめきを見せる蘭の花が、湿気の多い温室の中でこぼれ落ちるように花房を垂らしている…

プリンセス「そう言えば博士、ユリの花もまだ見られるそうですわね?」

博士「あぁ、はい! …ご覧になりますか?」

プリンセス「ええ、もしよろしければ…わたくし、綺麗な花は何でも好きですが、蘭と同じくらいユリの花が好きですわ♪」

博士「分かりました…えぇと、その……プリンセスはよろしいのですが…」困ったようにちせの方をちらちらと見た…

プリンセス「あぁ、そう言えばユリの咲いている温室は「特別温室」でしたわね……でも、彼女の事は王立園芸委員会の名誉顧問であるわたくしが保証しますから…いかがでしょう?」

片眼鏡の委員「……博士、少しは考えたらどうなのだ…プリンセスのご学友は極東の貴重な工芸作物の種や苗を提供してくれると言っているのだぞ? もし機嫌を損ねて「共和国側に渡す」などとなったらどうする……見たいと申されるものは全て見せてあげなさい…!」小声で叱り飛ばす片眼鏡の委員…が、委員は耳が悪いらしく、あまり小声になっていない……

博士「…は、はい!」

プリンセス「どうかなさいました?」

博士「いえ、その…もちろんプリンセスのお友だちの方もご一緒にどうぞ」

プリンセス「無理を言ってしまったようですね…博士、お気遣いありがとうございます」

博士「いえ、とんでもありません…!」

253 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/30(日) 01:28:02.82 ID:kcfr5bZc0
…特別温室…

博士「…では、こちらがキュー・ガーデンの誇る「特別温室」です……どうぞお足下に気を付けて下さい」

プリンセス「ええ、ありがとう……まぁ、何だか風変りな香りがいたしますね?」

博士「かもしれません、東洋の珍しい花木を集めておりますから」

プリンセス「なるほど…ちせさん、この温室をご覧になった感想は?」

ちせ「うむ、さすがはアルビオン王国の誇る植物園……これなら持参した種や苗も有効活用して頂けるものと存じます」

プリンセス「ふふ、嬉しいお言葉です」

白髪の委員「おぉ、そうそう…姫様のご学友は東洋の貴重な工芸作物の種を持参して下さったとか……ぜひ拝見したいものですな?」

片眼鏡の委員「確かに」

プリンセス「まぁまぁ、委員の皆さま方ったら…わたくしの友人も種も逃げ出したりはいたしませんし、せめてしばらくの間、この珍しい花々を観賞させてくださいな?」

白髪の委員「これは失礼いたしました……プリンセスのお気持ちも考えず…」

プリンセス「いえ、卿の王立園芸委員としての熱心さには頭が下がりますわ……♪」孫と祖父くらい年の離れている委員に向けて、無邪気に微笑みかけた…

白髪の委員「これはお恥ずかしい……博士、私たちは先に庭園の方で待っているから、しばらくは君が案内してあげなさい」

博士「分かりました」

プリンセス「…それでは博士、エスコートをお願いいたしますわ♪」

博士「はい…プリンセスをご案内出来るとは光栄です……」

プリンセス「それでは参りましょう?」

ちせ「御意」

………



博士「この百合はオリエンタル・リリーと申しまして……夏ごろになると草丈が6フィートにも育ち、堂々とした白い花を咲かせます…」

プリンセス「なるほど…ところで博士、あのお花は?」

…視線を向けた先には「目標」のユリが数株、ちょっとした岩を組み合わせた段の隙間から生えている……花はすでに散っていて、種を抱えたさやがふっくらとふくらんで、もう半日といったところまで開きかけている…

博士「あぁ、はい…あれが今回東洋で見つかった珍しいユリでして……このユリの何が珍しいかと申しますと、まずは半日陰を好むユリと違って明るい日なたの岩場に良く育ち、花弁の数が一枚多く、めしべの長さも普通のオリエンタル・リリーより長い…その上花色が時期によって徐々に変化するという大変珍しい性質を……失礼、ついまくしたててしまいました///」

プリンセス「いえいえ、博士の博学なことに感心いたしました…ではもっと良く観察させていただきます。あら、残念なことに花は終わってしまっているようですね……そんなに珍しいものなら咲いているところが見たかったですわ…」

博士「申し訳ありません…花はつい数日前に散ってしまいまして……プリンセスがおいでになると聞き及んでいたら、温室の温度を調整するなりして花期を延ばしたのですが……」

プリンセス「いいえ、博士のせいではありませんもの……お気遣いありがとう。花はありませんけれど、ちせさんもご覧になって?」

ちせ「ほう、そのように珍しいものを見ることが出来るとは光栄で……うっ…!」急にめまいがしたようなふりをしてふらつき、ユリの方に倒れかかる…

ベアトリス「あっ…!」

博士「あぁっ!」

プリンセス「ちせさん…っ!」

ちせ「う……申し訳ない、急にくらくらとめまいが……」

プリンセス「あぁ、それはいけません…どなたか、気付け薬を持ってきて下さる?」

侍従「は、はいっ…!」

プリンセス「ベアトリス、あなたはちせさんを座れるところまでお連れして?」

ベアトリス「はい、姫様…!」

博士「ご、ご学友の方は大丈夫ですか…!」

プリンセス「ええ、ありがとう…ちょっとふらついただけですわ」

博士「ならいいのですが……いかん、ユリが…!」

プリンセス「あぁ、何てことでしょう…博士、ユリは大丈夫ですか?」

博士「あぁ…えぇと……ふぅ、茎や葉は大丈夫です…ご学友のお身体が少し触れてしまったようで、種の入っているさやが割れてしまいましたが……これは私が回収しますので」

プリンセス「ごめんなさいね、博士…?」
254 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/30(日) 02:07:34.22 ID:kcfr5bZc0
博士「いえ、めっそうもない…それより、ご学友の方は大丈夫でしょうか?」

プリンセス「ええ、多分大丈夫ですわ……お気遣いありがとう。このことは委員のお爺さんたちには秘密にしておきましょう♪」茶目っ気たっぷりのチャーミングな笑顔を見せるプリンセス…

博士「そ、そうですか…?」

プリンセス「ええ。だってそうでもしないと、博士が気難しい委員のみなさんに怒られてしまいますもの…別に博士のせいではありませんのに」

博士「そんなことまでお気遣いいただき……何といったらよいか///」

プリンセス「いえ、構いませんわ…それに、ここは素敵な場所ですね。…もう少しだけ案内して下さる?」

博士「も、もちろんです…///」

プリンセス「ありがとう♪」(ちせさんの演技も上手だったし…これで任務の半分は済んだわね♪)

………

…園内・貴賓室…

白髪の委員「…さてさて、プリンセス…久しぶりの見学でしたが、いかがでしたかな?」

プリンセス「大変興味深く拝見させていただきましたわ。きっと学業の糧としても役立つことでしょう♪」

白髪の委員「それは何よりですな…ご学友の方はいかがでしたかな?」

ちせ「は、実にすばらしい植物園を拝見させていただき感謝あるのみです…」

白ひげの委員「結構ですな……ところで」別の委員が口を挟んだ…

白髪の委員「分かっておる…それで、ですな……」

ちせ「……いかにも、これを我が国の大使より「貴国との友好と親善のためにお渡しせよ」と預かっております」

片眼鏡の委員「おぉ……では失礼」無礼ではない程度に丁寧ながらも、いそいそと包みを開いた…

白髪の委員「これは…博士、分かるかね?」

博士「えー…はい。こちらが桑の種で、こちらが紅花……いずれも日本の固有種であったり、主要な輸出品となっているものです」挿し絵のついた包み紙と学名を見比べたりしながら、種を調べている…

白ひげの委員「うむ、そうじゃな…あー、「ちせ」さんと申されたか……このような素晴らしい種をいただき、王立園芸委員会としては感謝の念に堪えませんぞ……我が方からも秘蔵の種を選りすぐったのでな、ぜひお国の植物園なりエンペラー(天皇)のお庭になりに育てて、両国の友好を思い出すよすがとして頂きたい」

ちせ「ははっ…その言葉、一言一句誤りなく大使に伝えます」

白ひげの委員「結構…では、もう一杯紅茶をいかがかね?」

片眼鏡の委員「クッキーもありますぞ…キュー・ガーデンで供される茶や菓子はなかなかのものですからな」

ちせ「では、ありがたく…」

プリンセス「…ふふ♪」

………



…夕方・部室…

アンジェ「みんな、ご苦労様」

プリンセス「ええ…お疲れさま、ちせさん」

ちせ「うむ。ところで私の「貧血のふり」はどうであったろうか」

プリンセス「とてもお上手だったわ…それにベアトがびっくりしてくれたおかげで、よりそれらしく見えたわね♪」

ベアトリス「もう…本当にびっくりしましたよ……」

ちせ「単に息を止めていただけなのじゃが、存外上手く行ったのう」

アンジェ「それで、成果のほどは?」

ちせ「うむ…」机の上で袖を振るうと、パラパラとユリの種がこぼれ落ちた

ドロシー「ふぃー…この種のせいでえらく面倒な目にあったが、もうこれで悩まなくて済むな」

プリンセス「ふふ、そうね…♪」

アンジェ「それじゃあ…これは堀河公に渡してちょうだい。あなたが手に入れたプロダクト(産物)なのだから、正当な権利よ」

ちせ「うむ」
255 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/30(日) 02:48:40.35 ID:kcfr5bZc0
…しばらくして…

ドロシー「…それにしても」

アンジェ「なに?」

ドロシー「王国の連中ときたら、しみったれもいいところだな」

アンジェ「……と言うと?」

ドロシー「とぼけるなよ…ちせが王国の園芸委員たちからもらった種さ」

アンジェ「ああ、そのことね」

プリンセス「確かに……パンジーにアネモネ、バラ…どれも花壇に植えるにはいいけれど、商業価値はないものばかりね」

ドロシー「これで取引のつもりだって言うなら、詐欺師もいいところだぜ?」

アンジェ「外交なんてそういうものよ……どうやって相手の無知につけこんで物をせしめるか…それだけだもの」

ドロシー「まぁな……で、ちせは「分け前」を持ってボスの所に行ったのか」

アンジェ「ええ」

ベアトリス「きっと今ごろお茶でもすすっているんじゃないでしょうか?」

ドロシー「…だな」

…一方・駐アルビオン日本大使館の一室…

堀河公「ご苦労であったな、ちせ」

ちせ「ははっ」

堀河公「それで、目的のものは入手したか?」

ちせ「…はっ」

堀河公「結構…それで、この包みが「返礼」として王国から渡された種なのだな?」

ちせ「さようにございます」

堀河公「ふむ…アルビオンめ、我々が東洋人だと思ってふざけた真似を……中身は確認したな?」

ちせ「は…どれもこちらでは珍しくもない花の種や、工芸作物の種子も我々で手に入れられる物ばかりでした……」

堀河公「うむ、まぁよい…共和国からはちゃんと引き換えの情報が手に入ったのでな」

ちせ「何よりでございます……ところで」

堀河公「なんだ?」

ちせ「これを…共和国の間諜から「分け前」として配分された物にございます」

堀河公「ほう? これが「例のユリ」の種か」

ちせ「はっ」

堀河公「ずいぶんと気前のいいことだな……何か言づてはあるか?」

ちせ「いえ…しかし「正当な権利だ」と」

堀河公「ふむ…となると、共和国に対するこちらの心証を良くしたいのか、はたまた恩を売ったつもりか……まぁよい、くれると言うのならもらっておこうではないか」

ちせ「同感にございます」

堀河公「それに比べて王国のやり口は…我が国の輸出に欠かせない、貴重な工芸作物への返礼がバラに菫(すみれ)ときた……こちらも「細工」をしておいてよかったと言うものだ」

ちせ「…と、申しますと?」

堀河公「なに、この間申した「策」というやつでな…おおかたそのような事であろうと思っていたゆえ、渡した種のうち貴重なものは、包む前に茹でて駄目にしておいたのだ……もっとも、怪しまれるといかぬから、撫子のような花の種はそのままにしておいたが」

ちせ「なるほど…」

堀河公「何はともあれご苦労であった。遅くならぬうちに戻るがよかろう」

ちせ「はは…では、失礼いたします」

堀河公「うむ」
256 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/12/31(月) 21:17:43.82 ID:uJxFt4PG0
今日は大みそか、今年もあとわずかですね…ここまで見て下さったり感想を下さった皆さま、どうか良いお年を♪


……また年が明けたら投下しますので、おせちでもつつきながらどうぞごゆるりとお付き合い下さい

257 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/31(月) 23:58:26.09 ID:SJjwvZvnO
毎度楽しませてもらってます
Hシーンだけじゃなくちゃんと諜報戦してるのが好きです
258 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/01/02(水) 01:12:38.85 ID:IwLI7TQG0
>>257 コメントありがとうございます、年を越してのお返事になってしまいましたが…(苦笑)


何はともあれ明けましておめでとうございます、本年も皆さまに良い事がありますように…引き続きゆっくりではありますが投下を続けていきますので、どうぞよろしくお願いいたします

259 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/01/03(木) 02:37:59.04 ID:me2Fml5l0
…夜・部室…

プリンセス「あ、お帰りなさい…♪」パチパチと暖炉の薪がはぜる以外は物音一つしない静かな部室で、一人紅茶をすすっているプリンセス…

ちせ「うむ……おや、プリンセスどの以外はみな部屋に戻っておるのか?」

プリンセス「ええ。アンジェさんは報告書を書くためにお部屋…ドロシーさんは今回手に入れた種をコントロールとの連絡係に届けるためにお出かけ。ベアトは疲れて寝ちゃったわ」

ちせ「ベアトリスにとっては何かと緊張することであったろうからの……して、プリンセスどのはどうしてお休みにならぬのじゃ?」

プリンセス「だって、今回の任務で一番の立役者だったちせさんを待たないで寝に行っちゃうなんて……それじゃあまりにも素っ気ないと思って♪」

ちせ「なに、そこまで気を使ってもらわんでも……務めを果たしたまでじゃ…」

プリンセス「いいえ、ちせさんは大変だったもの……ところで一杯いかが?」ティーカップを軽く持ち上げてみせた

ちせ「紅茶か……ふむ、今夜は少し冷えるのでな…ご馳走にあずかろう」

プリンセス「そう、ならここに座って……ミルクとお砂糖は?」暖炉の脇の一番暖かな椅子をすすめるプリンセス…ちせが折り目正しく座ると、温めたカップにさっそく紅茶を注いだ…

ちせ「うむ。お任せいたすので、ほどよく淹れてもらえるかの…?」

プリンセス「まぁ、責任重大ね……はい、どうぞ♪」砂糖をひとさじと、ほどよい量のミルクを注いだ…

ちせ「かたじけない…ふー、ふーっ……すす…っ……ほぉ…♪」ひとすすりして、満足げなため息をついたちせ…

プリンセス「どうかしら?」

ちせ「いやはや、身体の中から温まるのぅ……それにいい香りじゃ…」

プリンセス「ふふ、このお茶はウバだから…ミルクとよく合うの♪」

ちせ「ふむ…お、何やら菓子もあるようじゃな……っと、一つふたつばかりつまんでも構わぬか?」テーブルの上にあるクッキーに手を伸ばしかけて急にひっこめると、少し恥ずかしげにプリンセスに問いかけた…

プリンセス「ええ、どうぞ♪」

ちせ「では、一ついただくとしよう♪」さくっ…♪

プリンセス「お味はいかが?」

ちせ「うむ…んむ……さっくりとして、食べ終わるとほのかな「バタ」の香りがして……何とも言えぬな…♪」

プリンセス「そう、よかった…もう一杯いかが?」

ちせ「そうじゃな、ではもう一杯(ひとつき)頂戴いたそう……」

…しばらくして・廊下…

ちせ「ふぅ…おかげでだいぶ暖かくなった。これならよい心もちで眠れるというものじゃ」

プリンセス「よかったわ…ところで、ちせさん……♪」

…何か心の底でたくらんでいる時の、ちょっと意地悪な笑みを一瞬だけ浮かべたプリンセス……もちろん普段のちせならすぐ察しただろうが、プリンセスは信頼できる「白鳩」の仲間であり、その上たっぷりの紅茶でお腹の底から暖まって眠気を覚えていたちせは、プリンセスの微笑みに気づかなかった…

ちせ「なんじゃ?」

プリンセス「実を言うと…私の部屋も少し寒くて……」

ちせ「それはまたどうしてじゃ…暖炉があるじゃろうに?」

プリンセス「だって、ここの暖炉はあんまり暖かくないし……宮殿の寝室のようにたくさんのお布団が入っているわけでもないから…」

ちせ「ふむ…この時期でそれでは、真冬になったらさぞ難儀じゃろうな……」

プリンセス「…そうね、私もそう言う環境に慣れていかないといけないのだけれど……」

ちせ「とはいえ、なかなかすぐにどうこう出来るものでもないからの…して、私はどうすればよいのじゃ?」

プリンセス「ええ……暖炉の火を上手く加減して欲しいの。いつもならベアトがやってくれるのだけれど…お願いできるかしら?」

ちせ「うむ。とりあえずそれが済んだら寝に行かせてもらうが、それで構わぬか?」

プリンセス「ええ。もちろん長くお引き留めするつもりはないわ……ごめんなさいね?」

ちせ「なに、困った時はお互い様じゃからな…「情けは人のためならず、やがて自分に還るもの」というやつじゃ」

プリンセス「ありがとう、ちせさん……さぁ、入って?」ドアを開けてちせを部屋に招じ入れると、可愛らしい背中や濃緑の着物からのぞくうなじを見て、ぺろりと舌なめずりをした…

ちせ「…っ、確かに底冷えのする部屋じゃな……何やらぞくりとしたぞ…」

プリンセス「ええ、そうなの……♪」…適当に相づちを打ちながら後ろ手にドアを閉め、カチリと錠を下ろした……
260 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/01/04(金) 03:20:45.94 ID:WF5d1wly0
ちせ「よいしょ……暖炉に少し焚きつけをくべて…と、これで良し」

プリンセス「ありがとう、これで暖かく過ごせるわ♪」

ちせ「うむ。それでは私も戻らせてもら……ん、どうして鍵が掛かっているのじゃ…?」

プリンセス「ふふ……せっかくだから私のお布団も温めていってくれると嬉しいわ?」

ちせ「…そ、それはどういう意味じゃ」

プリンセス「ふふふ、もちろん言った通りの意味よ…ちせさん♪」

ちせ「その、それは……つまり…///」数歩後ずさりして、慌てて左右に視線を巡らせる…が、この状況を解決できそうな物は見当たらない……

プリンセス「ふふ、いいでしょう?」

ちせ「い、いや…そういう事ならベアトリスに頼めばよいではないか……そ、それにうちのようなちんちくりんでは面白くあるまいが…?」

プリンセス「わたくしはちせさんの事をちんちくりんだなんて思っていないわ…それに、ちせさんは小さくて可愛らしいわ♪」じりっ…♪

ちせ「そ、そんなことを言われても困る…///」

プリンセス「まぁまぁ、そう遠慮せずに…♪」愉快そうに笑みを浮かべて、ちせの腕をぐいっと引っ張ってベッドに引きずり込む…

ちせ「うわっ、何をするんじゃ!?」

プリンセス「ふふ、いらっしゃい…はぁ、やっぱりちせさんは温かいわ♪」

ちせ「や、止めんか/// ……どうしても放してくれんと言うのなら、プリンセスとはいえ手加減は出来かねるぞ?」

プリンセス「ええ、手加減なしで構わないわ♪」

ちせ「さようか、しからばごめ……んぐっ、んん゛ぅっ!?」

プリンセス「んちゅっ、むちゅっ、ちゅぷ……ちゅるっ、んちゅ…れろっ、ちゅぅ…っ♪」何かを言いかけたちせの小さな口にぬるりと舌を滑り込ませ、絡みつかせるプリンセス…

ちせ「んっ、ん゛っ、ん゛む゛ぅっ!? …ぷは……んぐっ、んんぅっ、んんぅ……ふぅぅ、んっ///」

プリンセス「じゅるっ、ちゅぅ……あむっ……ぷはぁ♪」

ちせ「はひっ、ひぅ……はー、はー、はー…っ///」不意打ちのキスに息をし損ねて、目尻に涙を浮かべているちせ…

プリンセス「まぁ、ちせさんったら可愛い…♪」

…涙の粒を指ですくい上げ、ぺろりと舐めあげるプリンセス…ベッドの上には両手を投げ出し、荒い息づかいのちせがあお向けになっている…きっちりとまとっていた着物ははだけ、裾からのぞくきゅっと引き締まったふくらはぎと襟元からちらりと見える小ぶりな乳房が、ちらつく暖炉の火にに合わせて幻想的に揺れ動く…

ちせ「はぁ、はぁ…んはぁ……///」

プリンセス「……そう言えばちせさん、日本では食事のたびに食材に感謝の念を表すそうね?」

ちせ「はー、はー……こんなことをしておいて…やぶから棒になんなのじゃ……」

プリンセス「いえ…そんないい風習があるのだから、私も見習うことにしようと思って♪」

ちせ「結構なことじゃな……しかし…ふぅ……それと今のこれには何の関係もあるまい…///」

プリンセス「いいえ、むしろ今だからこそ…ね♪」

ちせ「……ど、どういう意味じゃ……な、何をたくらんでおるのじゃ…?」

プリンセス「ふふ…いただきます♪」

ちせ「ま、待て…うちは食材でもなければ……んぐぅ、ぬちゅっ、んちゅぅ…っ!?」

プリンセス「はぁぁ、ちせさんのお口の中は甘い紅茶の味がするわ……ところで、ベッドに入るのにお着物を着ていてはいけないから、脱ぎぬぎしましょうね♪」

ちせ「よ、止さぬか…っ///」

プリンセス「もう…暴れちゃだめよ、ちせさん♪」帯がきっちりと締められていて上手く解けないので、大きく襟元をはだけさせ、裾もふとももまでめくりあげてしまうプリンセス…

ちせ「頼む、後生じゃから……そう見るな…ぁ///」

プリンセス「そう言わずに…だってちせさんの肌はとっても滑らかで綺麗だもの……れろっ、ちゅっ♪」

ちせ「んひぃぃ…ん、くぅ…っ///」

プリンセス「れろっ、ぬるっ…んちゅっ……ふふ、それではこっちもお味見させてね…ちせさん♪ …あむっ、ちゅるっ、じゅる…ぢゅぅぅっ♪」プリンセスは鎖骨から順に吸いつくように舐めまわしていって、へそまでたどり着くと一旦顔を上げ、それからちせの秘部に舌をねじ込んだ…

ちせ「あひぃっ、ひい゛ぃ゛ぃっ…!?」がくりと首をのけ反らせて、身体をびくびくとひくつかせる…

プリンセス「きゃあ♪ …もう、ちせさんったら急に跳ねて…まるで元気のいいお馬さんみたい♪」
261 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/01/05(土) 03:02:10.76 ID:Rf6Bg2dt0
ちせ「いい゛っ゛…あ゛ひぃ゛っ……はひっ…///」

プリンセス「まぁまぁ、ちせさんの割れ目からいっぱい蜜が湧いてきて……溺れてしまいそうね…ちゅ、じゅぅっ……じゅるっ♪」

ちせ「くはぁ…っ、はーっ、はーっ……あっ、おぉ゛ぉっ……!」がくがくっ…♪

プリンセス「ふふ、ちせさんとするのは愉しいわ……にちゅっ、ぢゅぅぅ…っ♪」

ちせ「あっあっあっ……あぁ…っ///」ぞくぞく…っ♪

プリンセス「はぁぁ、気持ちいいわ……任務で昂った(たかぶった)のかしら…身体中が熱っぽくて火照っているの♪」普段はにこにこと穏やかな微笑を浮かべているプリンセス…が、今はちせの上にまたがって目を爛々(らんらん)とさせ、顔を紅く上気させている…

ちせ「ひぐぅっ、はひっ…はぁ、ふぅ……あっあっ、あぁ゛ぁっっ!」…ほっそりしてみえるが乗馬で鍛えられたプリンセスの腰にがっちりと挟み込まれ、丈夫なベッドがきしむほど激しく腰を擦りつけられている……

プリンセス「はぁぁ…っ、気持ちいい……それにとろけたお顔のちせさん……とっても可愛いわ♪」そう言ってにっこりすると指先を舐め、ねっとりと濡れたちせの花芯に指を差しこんだ…

ちせ「んあぁ゛ぁ゛っ、ひぐぅぅ…っ!?」とぽっ、とろっ…ぷしゃぁぁっ♪

プリンセス「ふふふ、ちせさんったら…意外とイきかたは激しいのね♪ …これで指を二本入れてみたらどこまで激しくなるのか、見てみたくなってしまうわ♪」じゅぶっ…ぐちゅぐちゅっ♪

ちせ「ひぅ…はひぃ……ら、乱暴には…しないでほしいのじゃ……ぁ///」

プリンセス「ええ。わたくし「大事なお友だち」に乱暴なんてしませんわ…♪」ぐちゅぐちゅ、ぐちゅり…ぢゅぶぅぅっ♪

ちせ「あっ、ぁ゛ぁ゛ぁぁっ……ひっ゛ぐぅぅぅ…っ!?」がくがくっ…ぷしゃぁぁ♪

プリンセス「ふふ、ちせさんの膣内……とろとろで温かいわ♪」

ちせ「…や、約束したじゃろうが……この…嘘つきめ…が……ぁ…」身体をがくがくさせ、喘ぎながらもプリンセスに食ってかかる……

プリンセス「あら、嘘つき呼ばわりとは心外ね……だってちせさんはわたくしの「大事なお友だち」ではなくて、それ以上の存在だもの♪」あっけらかんとしてそう言うと、ぐりぐりと指でかき回した…

ちせ「はあぁぁっ、あひぃぃっ……ひぐっ、いぐぅぅっ…!」

プリンセス「ふふ、わたくしも……最後はちせさんと重なって、お互いを感じながら達したいわ……///」ちせの脚を大きく開くと「にちゅっ…」と貝が張りつくような音を立てながら、濡れた秘部を重ね合わせた……

ちせ「はひぃ…ひぅぅ……はー、はーっ……」

プリンセス「それじゃあ一緒に参りましょうね、ちせさん……こんなはしたない真似をしてしまうほど…大好きよ♪」

ちせ「はひぃ、はふぅ…そ、そんなことを言われたら……して欲しくて…たまらなくなってしまうではないか……ぁ///」顔を紅くしながらプリンセスの腰に手を回し、ぎゅっとしがみつく…

プリンセス「まぁ、ふふ……それじゃあ、もう遠慮はいりませんわね♪」ぐちゅぐちゅっ…ずりゅっ、ぬちゅっ♪

ちせ「もとより…ふぅ、はぁぁ……遠慮などありはしなかったじゃろう……んぁぁっ、おっ、おぉ゛ぉっ…あっ、あ゛ぁ゛ぁぁっ♪」

プリンセス「あぁぁ、ちせさん…っ、気持ちいいわ……♪」ぐちゅっ、ぐちゅぅ…っ♪

ちせ「はぁぁぁっ、んあぁ…ぁっ♪」

プリンセス「あっ、あ…はあぁぁぁん…っ♪」とぷっ、ぷしゃぁ…ぁ♪

ちせ「くぅっ、あぁっ…んはぁぁ…っ♪」がくがくっ…ぶしゃぁぁ…っ♪

………



プリンセス「ふぅ、とっても気持ち良かった…でもお布団がべとべとになっちゃったわ♪」まるで何もなかったかのようにけろりとした表情を浮かべ、ベッドで荒い息づかいをしているちせを眺めている…

ちせ「はぁ…はぁ……もう知らぬ……自分でどうにかすればよいではないか……んっ///」

プリンセス「あら…親切なちせさんのことだから、わたくしをお部屋に招いて一緒のお布団で寝かせて下さると思ったのに♪」

ちせ「そんな訳あるまいが……今度こそ帰らせてもらうぞ…///」

プリンセス「ええ、どうぞ?」

ちせ「よいしょ……もう二度とプリンセスの頼みは聞かぬ…」がくがくと震える膝と力の抜けた腰でどうにか立ち上がる…

プリンセス「まぁ、残念……また「お願い事」しようと思ったのに♪」

ちせ「///」

プリンセス「ふふ…それじゃあ、お休みなさい♪」

………

262 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/01/07(月) 01:32:49.22 ID:FEQ55jfP0
…というわけでプリンセス×ちせでお送りしました。読み返してみるとまるでプリンセスが発情期みたいなことに……次はまた明日以降に投下します
263 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/01/11(金) 01:09:22.19 ID:VO4tn+3t0
遅くなってしまってごめんなさい、新しい回を投下していきます
264 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/01/11(金) 01:42:38.77 ID:VO4tn+3t0
caseドロシー×アンジェ「The Machinegun and spicy spies」(機関銃と際どいスパイたち)

         
         ○
         ○
        ○○
       ○●○
        ○○

…Starring…

         ○
       ○○○
        ○○
      
      Ange
   
   Dorothy

  Beatrice

     Chise

  Princess
        
        ○○
         ○


…とあるホームパーティ…

ドロシー「……それでプリンセスはこうおっしゃったのです…「わたくし、こういったものは初めて見ました」とね♪」

貴族女性「まぁ!」

貴族女性B「そうなのですか…!」

ドロシー「ええ、私とプリンセスは学友として親しくしておりまして…まだ聞きたいですか?」

貴族女性「そうですね、大変興味深いですわ」

ドロシー「それでは、この間プリンセスが言った可愛らしいエピソードを……よかったらシャンパンをもう一杯?」

貴族女性B「ええ、ちょうだいしますわ」

ドロシー「それでは…はい、どうぞ♪」軽やかな手つきで召し使いからシャンパンのグラスを受け取る…

貴族女性B「ありがとう」

アンジェ「…」


…ドロシーが貴族女性の好きな「プリンセス」の話題で場を盛り上げている間に、パーティ会場の笑いさざめく声も届かない屋敷の二階へとそっと抜け出したアンジェ…平凡を絵に描いたようなイブニングドレスをまとった目立たない姿で見とがめられることもなく、階段を上ると厚い樫の木でできた書斎のドアをそっと開け、細い身体を滑り込ませた……西インドの高級葉巻の香りが漂う書斎の中央には、分厚い樫の書き物机が鎮座していて、辺りには革表紙に金文字で装丁された立派な本や黒檀で出来た葉巻入れ、金の軸が付いた名前入りの万年筆などが並んでいる……アンジェはさっと周囲を確かめると腰をかがめ、ビューロー(高級デスク)の引き出しをいじっていたが、すぐに一枚の書類を取り出すと、くるりと丸めてドレスの形を保つ「骨」に巻きつけ、そのまま裏地についている目立たない折り返しから書類を「骨」ごと元の場所に滑り込ませた…


アンジェ「…任務完了」何ということもなく二階から戻ると、通り過ぎるふりをしながら耳元でささやいた

ドロシー「…分かった。……それで、その時にプリンセスはこうおっしゃったんですよ「私のお部屋では見たことないわ」ってね♪」

貴族女性「まぁまぁ♪」

………



貴族女性「はぁ、それにしてもたいそう面白うございましたわ…お名残惜しいですが、そろそろお帰りにならないと寄宿舎の方で怒られてしまいますわね?」

ドロシー「もうそんな時間ですか? …時間が経つのはあっという間ですね、まるで「白雪姫」のようです…なんて♪」

貴族女性「まぁ、ふふふ…それではガラスのお靴をお忘れにならないようになさってね?」

ドロシー「奥様のお気遣い、感謝します。改めて、今日はお招きいただいて愉快に過ごさせていただきました……またお集まりの際は呼んで下さいね?」

貴族女性「ええ、その時はぜひ今のお話の続きを聞かせてくださいましね?」

ドロシー「もちろんです、それではおいとまさせて頂きます……」入り口の召し使いからケープを受け取ると、軽やかに車に乗り込んだ…

アンジェ「…ご苦労さま」

ドロシー「なぁに、あの手のご婦人たちなんて言うのはもとよりおしゃべり好きなんだ。会話を盛り上げるなんてちょろいもんさ……で、モノは?」

アンジェ「手に入れたわ」

ドロシー「さすがだな…それならとっとと戻ろうぜ♪」アンジェに向かってぱちっとウィンクをした…
265 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/01/12(土) 01:42:14.98 ID:2wtc+z6S0
…翌日・お茶の時間…

ドロシー「さてと…今回はどんな任務なんだ?」

アンジェ「今説明するわ」

プリンセス「アンジェ、私に出来ることがあったら何でも言ってね?」

アンジェ「ええ……それで、今回の指示だけれど…」

ドロシー「ああ」

アンジェ「王国陸軍省が管轄している新兵器の生産計画「ブルー・スワロー」(青いツバメ)について調査せよ…とのことよ」

ドロシー「…昨日アンジェがくすねてきた書類がそれの一部か……で、詳細は?」

アンジェ「それが分かっているなら私たちなんて必要ないわ」

ドロシー「だよな……しかし王室のことなら一発だけど、軍となるとな…」ちらっとプリンセスを見た…

アンジェ「まずは関係のありそうな人物を選び出して、上手く接近するしかないでしょう…プリンセス、この寄宿舎には将官や軍人の娘も多いわよね」

プリンセス「ええ」

アンジェ「もしかしたら何かの糸口になるかも知れない。ベアトリスに手伝ってもらってそれぞれの特徴……特に欠点や弱みを調べて」

プリンセス「分かったわ」

アンジェ「ちせ、あなたは今のところやることがないわ……申し訳ないけれどこの学校に「東洋人」を相手におしゃべりしてくれるような娘はいないでしょうから…その代わり、プリンセスとベアトリスが探りを入れている間、目と耳をそばだてて安全の確保に努めてちょうだい」

ちせ「うむ、承知」

アンジェ「ドロシー、貴女はプリンセスと手分けをして軍人の娘たちに探りを入れて…貴女は自分で安全を確保できるし、目標が持っている弱点の見つけ方もよく知っている……その間に私は「ブルー・スワロー」が何なのかを調べつつ、目立たないようにしているわ」

ドロシー「了解。ま、澄ましこんでいる「お嬢さま」の中にだって、私みたいにがさつな女が好きなひょうろく玉もいるかもしれないしな♪」

アンジェ「そういうことね…それじゃあ、何か進展があったら報告を」

プリンセス「分かったわ」

ベアトリス「それじゃあ姫様、行きましょう♪」

ちせ「では、ご免」

ドロシー「……なぁ、アンジェよ」

アンジェ「なに?」

ドロシー「もう一杯どうだ?」

アンジェ「ええ、頂くわ」

ドロシー「ふー、いい紅茶って言うのはたまらないね……それにしても…」

アンジェ「…何が言いたいの?」

ドロシー「いや、ね……最初にプリンセスが加わった時は熱心なだけのアマチュア…悪くすれば「こっちの尻尾をつかむための贅沢な餌」が送り込まれてきたんじゃないかって思っていたんだが……このところのプリンセスを見ろよ。技術面でもうんと成長したし…それより色々と鉄火場をくぐってきたせいか、「可愛らしいお人形さん」じゃなくて、度胸が据わってきたように見えるね」

アンジェ「それで?」

ドロシー「いや、だからさ……アンジェ、お前さんに似合いだってことだよ♪」

アンジェ「……からかっているの?」

ドロシー「とんでもない…お前さんとプリンセスならいい「婦妻」になれると思うぜ。もし結婚するなら花嫁……どっちがなるのかは知らないが……の介添えと、ほっぺたにキスする役目は私にやらせてくれよな♪」

アンジェ「で、話はそれだけ?」

ドロシー「ああ、それとな……あんまり未来の嫁さんを素っ気なく扱うなよ。たまには可愛らしい笑顔の一つも見せてやれ」

アンジェ「ご忠告痛み入るわ。だけどそれは私の考えることよ」

ドロシー「分かってる……ただ、友人として…さ」

アンジェ「ええ、貴女の気持ちは良く分かっている……私だって…プリンセスのことがなければ……貴女を選んでいたかもしれない……わ…///」

ドロシー「んー、何だって? もうちょっとはっきり言ってくれないと聞こえないぜー?」にやにやしながら首を傾け、耳に手を当てて聞き耳を立てるふりをする…

アンジェ「…いいから早く取りかかってちょうだい///」

ドロシー「へいへい♪」
266 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/01/14(月) 02:30:36.27 ID:EL8A5lS80
…別の日・教室にて…

ドロシー「ふわぁ…あ……眠くってかなわないな…」


…普段から「お行儀の悪い変わり者」を演じているドロシーは授業もよくサボるが、ファームで叩き込まれたさまざまな知識と天性の勘の良さ、そして恵まれたツキのおかげであまり苦労をせずに済んでいる……今は情報収集のために教室にいるが、机に片肘を突いてほっぺたに手を当てた「お行儀の悪い」姿勢をしている…


気弱そうな女生徒「……ですから、私にはそんな……新しいドレスなんて…」

ドロシー「…?」教室の片隅から聞こえてきた騒ぎに耳を澄ました…

鼻持ちならない女生徒(ロール髪)「…あら、そうなんですの? …大丈夫ですわ、ちょっとしたパーティですもの。せいぜい、いま流行っている秋色のドレスに、ちょっとしたシルクの長手袋くらいがあればよろしいのですわ♪」いかにも人を喰ったような慇懃無礼な態度を取っている…

取り巻き「ええ、ほんとに…サラさんの髪の色だったらよく似合うと思いますわよ?」

取り巻きB「まったくですわ……それにせっかくエレノア様がお誘い下さっているのですから…ねぇ?」

ドロシー「……あいつらも暇だねぇ…いいとこのお嬢さまがカネのない家の娘をパーティに招いて、ドレスを仕立てられなくてまごついたり、貧しい格好で冷やかされている様子を見せ物にしようってか…イヤミな連中だな、全く……っと、待てよ…♪」

ロール髪「なんてことないホームパーティですもの、お気軽にいらっしゃいな?」

気弱な生徒「でも…私……」

ドロシー「おやおや、何のお話をしているんだい…楽しそうじゃないか♪」

ロール髪「あら…お久しゅうございます、ドロシーさん……ここでお見かけするのは何日ぶりでしたかしら? お風邪でもお召しになったの?」

ドロシー「ああ、ごきげんよう。なーに、ちょっとしたことでね……で、何の話をしてたのさ?」

ロール髪「ええ、実はわたくしの家でちょっとした「パーティ」などと言うものを開こうと思っておりまして…それで、ぜひご学友としてサラさんもお招きしようと思っていたのですが……」

取り巻き「サラさんったら奥ゆかしい方で、遠慮なさっているのですわ」

ドロシー「ほーん…で、それはいつやるんだい?」

ロール髪「そうですわねぇ……再来週あたりに開くつもりでおりますわ」

ドロシー「あぁ、そうなのか…エレノア、それはサラが断ろうとするのも無理ないぜ?」

ロール髪「…と、申しますと?」

ドロシー「ちょうどその日さ…プリンセスがサラを「ちょっとしたパーティ」に招こうってつもりなんだ」

ロール髪「プリンセスがサラさんを……ですの?」

ドロシー「ああ、サラは軍人の娘だろ? プリンセスはアルビオンを支えている軍人たちを評価しているからな…そこで今度、この寄宿舎にいる軍人の令嬢たちを招いて夕食会でも開こうって言うのさ♪」

ロール髪「ですが、わたくしはそんなこと…」

ドロシー「聞いたことないって? …当然さ、まだプリンセスと私くらいしか知らないからな…ところがあたしは口が軽いから、サラにうっかり話しちまってね……そんなわけでまだ内緒になっているから、まさかサラだってそうとは言えなかったのさ」

サラ「…あの」

ドロシー「分かってるって…な、エレノアも黙っていてくれるだろ?」

ロール髪「え、ええ…プリンセスのお考えを邪魔することはいたしませんわ」

ドロシー「悪いね……あぁ、それと」

ロール髪「何でしょう?」

ドロシー「……サラみたいな奴を物笑いの種にしているようだがな、私の知っている「とあるお方」はそう言うのを聞くと大変お心を痛められるんだ…あんまりそう言うマネはしない方が身のためだぜ?」ぐっと身体を近寄せると、ドスの効いた声で凄んだ……

ロール髪「…ひっ!」

ドロシー「……ぞろぞろ連れているマヌケどもにもよく言い聞かせておけよ…それでは皆さま、ごきげんよう♪」

サラ「…あの、ドロシーさん……」

ドロシー「いいからこっちに来いよ……どうだ、私の演技もなかなかだったろ?」

サラ「でも、あんなことを言って…」

ドロシー「なーに、私とプリンセスの仲だからな……パーティの一つや二つくらい、すぐ準備してくれるさ♪」

サラ「…あ、ありがとうございます」

ドロシー「気にするなよ……私だって昔はああだったから、サラみたいな娘を見ると共感を覚えるのさ…」片方の頬を撫でながら、小さいサラの手を握りしめてやるドロシー…

サラ「ドロシーさん…///」

ドロシー「さ、次の授業が始まるぜ?」

サラ「は、はい///」
267 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/01/17(木) 11:33:56.35 ID:x1oiXnIf0
ドロシー「……というわけで、再来週の日曜にはプリンセス主催でちょっとした夕食会を開いてもらってくれ」

アンジェ「分かったわ」

ドロシー「頼んだぜ。サラの父親…ヘンリー・ウェストレーク大佐は近衛連隊の連隊長だからな。親しくしていれば「ブルー・スワロー」が何なのか、聞き出す機会があるかもしれない」

アンジェ「結構、それじゃあ引き続き関係を構築するよう努めて」

ドロシー「任せておけ…それと、夕食会にはうんと美味い物を並べて、軽い酒なんかも用意しておいてくれ」

アンジェ「ええ」

…夕食会…

サラ「…本日はお招き下さって本当に嬉しく思います」

プリンセス「いいえ、わたくしこそ皆さまと親交を深めたいと思っておりましたの…♪」

サラ「そんな、畏れ多いことです……」

プリンセス「そんなことはありませんわ。何しろわたくしは普段から皆さまのお父上方…つまり軍の方には敬意を払っていただき、コモンウェルス(英連邦領)を守る大事なお勤めを果たしてもらっているのですから…っと、いけませんね。つい閲兵式の見学に来ている時のような台詞になってしまって……でも、この気持ちは本当ですよ」

サラ「…か、感謝します///」

プリンセス「どういたしまして…今日は肩の凝らないような会のつもりですから、どうぞたくさんお召し上がりになってね?」バッキンガム宮殿などで開く「公的な」夕食会ではなく、小さな宮殿の広間を使った「気軽な」夕食会と言うことで、にこにこと笑顔を浮かべ冗談めかした

サラ「は、はい」

…高級軍人や伯爵以上の爵位を持っている家系ならともかく、大佐…あるいはただの「サー」しかつかない準男爵以下の貴族令嬢では滅多にお目にかかれないプリンセスが目の前にいるとあって、いくらかのぼせ気味のサラ……着こなしがあまり上手ではない上に、栗色の生地を使った流行遅れのドレスが野暮ったい…

ドロシー「おー、よく来たな。サラ……うん、可愛いぜ♪」シャンパングラス片手に(表向きの)年齢とは不相応な、白い滑らかな肩と胸のふくらみを強調した紅のドレスと黒いシルクの長手袋を身に着け、唇にルージュを引いている…

サラ「あ…ドロシーさんもお招きされていたんですね?」見知った顔がいてほっとしている様子のサラ…

ドロシー「いや、なーに……あたしは単に「プリンセスのご友人」ってところでね♪」口もとに微笑を浮かべると、意味ありげにウィンクした…

サラ「そうなのですか…?」

ドロシー「ああ…って、私のことなんてどうだっていいさ。そんな事より何か取れよ、どれも絶品だぜ?」

サラ「は、はい」

ドロシー「…まぁ私だったらそこのハトの詰め物入りか、さもなきゃそっちのローストビーフを勧めるね」

サラ「じ、じゃあそれを…」

ドロシー「ああ、美味いぜ……それと飲み物が要るよな、シャンパンでいいか?」

サラ「いえ、あまりお酒は…」

ドロシー「そうか…なら一杯だけにしておくといいよ」

サラ「そうですね」

…テーブルの上に並んでいるのはこんがりと焼けたスタッフド・ピジョン、黒胡椒を効かせた鴨のロースト、舌先で溶けるような柔らかいローストビーフ、スコットランド産の鮭を使ったスモークドサーモンに、タンの燻製入りゼリー寄せ…それに熱くてカスタードのようにとろりとしたエンドウマメのポタージュ…

プリンセス「ミス・ウェストレーク、ビーフの味はいかがですか?」

サラ「はい、とっても…///」

プリンセス「それは良かった…あら、グラスが空ですわ。取って差し上げますね」

サラ「あ、はい…」

プリンセス「はい、どうぞ……ところで、良かったら「サラさん」とお呼びしても構わないかしら?」

サラ「は、はい…光栄です///」

プリンセス「ふふ、ありがとう……サラさんは素直な方でいらっしゃるのね」

サラ「///」

プリンセス「ふふ、わたくしが近くにいたら余計に緊張させてしまいますね……何か困ったことがあったらお手伝いしますから、どうぞわたくしに教えてね?」

サラ「…は、はい///」

ドロシー「よかったな、プリンセスと話せて?」

サラ「ええ…私、直接お話しするのは初めて」

ドロシー「そっか、そりゃ良かった……それじゃあ祝杯ってことでもう一杯やろう♪」

サラ「はい…///」
268 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/01/20(日) 01:36:37.48 ID:casHf3ZW0
…深夜・部室…

アンジェ「…で、どうだったの?」

ドロシー「ああ、実はな…かなり面白いことになった」ドレスを脱ぎ捨て、コルセットとペチコートだけの姿で椅子に腰かけている…

アンジェ「と言うと?」

ドロシー「酔って口が軽くなったサラから聞き出したんだが、サラの父親と仲が良くて、一緒にカードをしたり酒を飲んだりする仲間が数人いるらしい…その中の一人が……誰だと思う?」

アンジェ「王立兵器研究委員会の委員か何か?」

ドロシー「惜しいな…陸軍省の技術顧問、サー・ウィリアム・ティンドルなんだ。何でもサラの父親とは幼いころからの友人で、新兵器の運用法や、軍人から見た兵器の使い勝手に関してアドバイスをもらったりするらしい」

アンジェ「なるほど」

ドロシー「しかも面白い事に、ティンドルは最近サラの家に来ることがめっきり減ったらしい…その上、たまに来るときはカバンいっぱいに書類を詰め込んできて、何か難しい話をしていることも多いみたいなんだ」

アンジェ「話の中身は分からないのね?」

ドロシー「ああ…サラはいい子だからな、お父様の仕事の話を盗み聞きなんてしないのさ」

アンジェ「なるほど……それじゃあドロシー、あなたはサラを口説き落とすなりなんなりして、ウェストレーク家に招かれるよう算段すること…もしかしたら何かつかめるかもしれない」

ドロシー「……ふふん、そう言うと思ったぜ」

アンジェ「何か手段が?」

ドロシー「手段どころか…私がイヤミなエレノアとその取り巻きどもからサラを「助けて」やって、しかも「プリンセスとお話できる機会を作ってくれた」って言うんで、お礼として家に招待したいって聞かないんだ」

アンジェ「それで?」

ドロシー「こっちとしてはあんまりがつがつしてるのもおかしいからな、最初はやんわりとお断りしたさ…ところがサラと来たら、シャンパンが効いていたのか妙に強情でね、招待するって聞かないんだ……で、私が折れて招待を受けた…ってわけさ♪」

アンジェ「なるほど。一晩の成果にしては上出来ね…よくやったわ」

ドロシー「ああ」

アンジェ「ただ、ウェストレーク家に入りこんでもしばらくは様子見にとどめて…あまり一気に事を進めようとして元も子も無くしては意味がないわ」

ドロシー「もちろん…♪」

………



…数週間後・ウェストレーク家…

サラ「ドロシーさん、今日は来てくれてありがとう…」

ドロシー「なぁに、他ならぬサラの頼みじゃ断れないさ……お招きしてくれてありがとうな♪」

サラ「え、ええ…///」

…さりげなくあたりを見回して室内の様子を記憶すると、サラの手を握ってにっこりと笑いかける……誰もスパイとは思わない「スパイ」として、日頃からプリンセスと友人であることをひけらかし、何かと注目を集める「女たらしのプレイガール」をカバーとしているドロシーが放つ甘い笑みに、普段から「地味を絵に描いたような」真面目っ娘のサラは真っ赤になってうつむいた…

ドロシー「そんな風に顔を隠しちゃもったいないぜ…サラは可愛いんだからな」

サラ「…も、もう」

ドロシー「ははっ、そう怒るなよ……って、ステキなお茶が準備されているじゃないか…何だか悪いな、気を使わせちゃって」

サラ「だって…ドロシーさんはプリンセスと一緒にいることが多いから……」

ドロシー「贅沢なアフタヌーン・ティーにしなきゃ…ってか? ははっ、サラはマジメだなぁ♪」

サラ「だってそうでしょう…?」

ドロシー「そうでもないさ。なにせプリンセスと向かい合ってお茶をいただくんだぜ? …マナーはうるさいし、おしゃべりだって毒にも薬にもならないような話題ばっかりで、しかも上品にお菓子をお召し上がりにならなきゃならないんだ……美味くもなんともないぜ?」

サラ「ま、またそんな事をいって…」

ドロシー「事実さ…それに引き替え、ここのティータイムはサラの気持ちがこもってるからな……それだけでお腹一杯さ♪」

サラ「うぅ…もう///」

ドロシー「はははっ……あぁそうだ。招待状をくれたのはサラだけど、来てもいいっておっしゃってくれたのはお父上なんだろうし、ぜひともお礼を述べたいんだが……」

サラ「うん、今は書斎にいらっしゃるけれど…そろそろ下りてくるはずよ」

ドロシー「そっか……じゃあ座らせてもらってもいいかな?」

サラ「ええ、どうぞ」

269 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/01/24(木) 03:13:03.12 ID:2Aer47Ty0
…しばらくして…

ウェストレーク大佐(サラ父)「……ミス・ドロシー。君が学校でサラと親しくしてくれているそうで…私も私の妻も、大変に感謝しているよ」…たまたまサラが席を外すと、ウェストレーク大佐がティーカップを置いて礼を述べた……

ドロシー「いえ、そんな……サラは気立てがいいからそんな風に言ってくれているだけですよ」

サラ父「そう思うかね? …あの娘は引っ込み思案で、おまけに一介の陸軍大佐の娘では大した贅沢もさせてやれないから、お嬢さま学校で苦労しているのは分かっている……現にサラが自分から同級生を家に招いたことはほとんどないし、学校の話を聞いても通り一遍の返事をするだけだ」

ドロシー「…」

サラ父「しかしだ…この間の休日に戻ってきたサラはドロシー君の話題ばかりだった……あんなに明るく話すサラは久しぶりだったよ…」

ドロシー「そうですか…ちょっと恥ずかしいですね///」

サラ父「なに、サラは君の事をほめちぎっていたよ……それでだ。君がサラと一緒に過ごしてくれると言うのなら…我が家の都合さえ合えば、いつ来てくれたって構わないよ?」

ドロシー「…いえ、たとえお友だちの家だからと言っても……」

サラ父「なに…サラはあまり親しい友達がいないし、仲良くしてくれると助かる」

ドロシー「そうですか。でしたら…」

サラ父「ありがとう……あの娘も喜ぶことだろう」立派な口ひげをいじりながら、満足げなウェストレーク大佐…と、玄関の呼び鈴が鳴る音がして、家政婦のお婆さんが応対する声が聞こえた……

家政婦「はい、ヘンリー様は客間にいらっしゃいます……ヘンリー様、ティンドル様でございますよ!」

サラ父「エマ、そんな大声でなくても聞こえるよ」

家政婦「すみませんねぇ、何しろ私は耳が弱いもんですから……」

サラ父「…失敬、ドロシー君……」

ドロシー「いいえ」(…サー・ウィリアム・ティンドル……まさかこうもすぐにお目にかかれるとはね♪)


…廊下で何やら話している声が聞こえていたが、すぐにウェストレークがサー・ウィリアムと一緒に戻ってきた…ドロシーがちょっと観察すると、サー・ウィリアムのクラヴァット(ネクタイ)は結び目がゆるく、スラックスの裾が少し短すぎ、おまけにベストには何かのシミがある……と、服の着こなしは下手だが、人付き合いの良さそうな見た目をしている…


サラ父「ウィリアム…こちらは娘の同級生のドロシー君……ドロシー君、私の友人を紹介しよう。サー・ウィリアム・ティンドル…陸軍省に勤めているんだ」

ティンドル「初めまして」

ドロシー「初めまして、サー・ウィリアム」

サラ父「さぁ座ってくれ…ちょうどお茶も入っているところだ」

ティンドル「それはありがたいね、ヘンリー……このところ忙しくて、満足にお茶を飲む暇もなかったよ」

サラ父「…そうか、大変だったな……それじゃあまた相談事かね?」

ティンドル「ああ、どっさり持って来たよ。もっとも、スコッチも一本持って来たからね…それを傾けながらじっくり話そうじゃないか」

サラ父「それだったら書斎の方がいいか……すまないね、ドロシー君。私とサー・ウィリアムはちょっと席を外させてもらうよ…サラにもよろしく伝えておいてくれないかな?」

ドロシー「ええ」

サラ父「それじゃあ行こう、ウィル」

ティンドル「そうだな」



………


270 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/01/27(日) 01:08:51.24 ID:4MZDbiY50
サラ「…あら、お父様は?」

ドロシー「さっき「サーなんとか」いうお友だちが来てね…スコッチ片手に書斎にこもっちゃったよ」

サラ「サー・ウィリアムね……サー・ウィリアムはお父様の幼い頃からの親友で、今は陸軍省にいらっしゃるの」…ドロシーはそれを夕食会の時に聞いていたが、その時のサラは軽く酔っていたので、ドロシーにしゃべったことを覚えていない……

ドロシー「ふぅん…でもお友だちが陸軍省の「エライ人」なら、サラのお父上もどんどん昇進するだろうな……よかったじゃないか」

サラ「ううん、そんなことはないと思うわ…だってサー・ウィリアムは「陸軍省」って言っても研究とかをしている人だから……」

ドロシー「へぇ、じゃあ頭がいいんだな……私とは大違いだ♪」

サラ「くすくすっ…もう、ドロシーさんったら♪」

ドロシー「はははっ♪」

サラ「あ、カップが…もう一杯いかが?」

ドロシー「悪いね……美味しいパウンドケーキときゅうりのサンドウィッチ…それにスコーン。これだけあれば女王様気分さ」

サラ「ふふ…」

ドロシー「…まして隣にいるのがサラだもんな」

サラ「あんまりからかわないで……///」

ドロシー「嘘じゃないさ…サラは心が真っ直ぐだし、誠実だろ……そういう付き合いって言うのは、いくらポンドを積んだって手に入るものじゃない…」さりげなく手を腰に回し、身を乗り出してサラの瞳をぐっと見据える…

サラ「だ、だめ…ドロシーさん///」

ドロシー「ああ、悪い……別にそう言うつもりじゃなかったんだ///」

サラ「大丈夫、分かっているから…」(…でも「そう言うつもり」でもよかったのに……ドロシーさん…///)

サラ父「おお、サラ…サー・ウィリアムがいらっしゃったよ、ぜひごあいさつを」

サラ「お久しぶりです、サー・ウィリアム…///」

ティンドル「ごきげんよう、サラ……それでね、ぼくはリコイルの衝撃を受け止めるための部品を強化する案を提出したんだ…」

ドロシー「…」

………

ドロシー「……というわけで、間違いなくサー・ウィリアム・ティンドルは研究課題をウェストレーク家に持ち込んでいるね」

アンジェ「なるほど…それで、「ブルー・スワロー」について何か分かったことは?」

ドロシー「ああ、それがな…スコッチで舌が緩んだのか、帰り際にティンドルがぽろりと口走ったんだが…そいつは陸軍の新兵器で、どうやら王立エンフィールド造兵廠で増加試作型の生産を行っているらしい……それと、根掘り葉掘り聞き出すわけにもいかないから興味なんてないような顔をしておいたが…どうやらヴィッカースも計画に参加しているらしい」

アンジェ「そう…まぁ当然と言えば当然ね」

ドロシー「まぁ陸軍の兵器ということになればそりゃそうだろうけどな」

アンジェ「他には?」

ドロシー「……それがおかしなことに、話を聞いている限りだと「ブルー・スワロー」って言うのはどうも大型兵器じゃないような気がするんだ…いい心持ちになっていたティンドルの話に聞き耳を立ててみても、出てくるのは小火器の話題ばかりだからな…」

アンジェ「新型の小銃?」

ドロシー「いや、それにしては秘密保持が厳重すぎる…やっぱり何か新しいタイプの兵器と見て間違いないだろう」

アンジェ「…そう」

ドロシー「それと、詳しい事はつかめちゃいないんだが……秘匿されている生産施設のコードネームに「ディーダラス」って名前が付けられていることは分かった」(※ディーダラス…ギリシャ語ではダイダロス。クレタ島の半人半牛の怪物ミノタウロスを閉じ込める迷宮「ラビリントス」を建築した建築家)

アンジェ「なるほど…迷ったら一生出られない「ラビリンス」というわけね」

ドロシー「ああ」

アンジェ「結構。一回の成果にしては十分過ぎるくらいね…その調子よ」

ドロシー「そりゃどうも……ただ、あんまりサラの家に入り浸るのも具合が悪い。そっちでも色々調べてみてくれ」

アンジェ「分かっているわ」
271 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/01/29(火) 11:09:58.28 ID:Mp/d2Q3b0
…とある場所…

L「……なるほど」

7「はい…少なくとも、「A」(アンジェ)からのレポートによると「『ブルー・スワロー』は、王国陸軍およびエンフィールド造兵廠、ヴィッカース社が中心になって開発中の何らかの小火器である」とのことです」

L「ふむ…この短期間でよく調べ上げたものだ」

7「ええ。それと「D」(ドロシー)が対象との友好を図るため、「チャーリー叔父さん」から贈り物をしたいと…リストが送られてきております」

L「またか…しかしやむをえまい。確かに「D」のプロダクト(産物)は質が優れているからな、その分だけ金もかかると言うことだ……よかろう、経理の連中は頭が痛いだろうが」かすかに苦笑いめいた表情を見せた…

7「ではリストにあるものを準備させます」

L「うむ。それと陸軍省に入り込んでいるエージェントを使って「ブルー・スワロー」についての情報を集めさせろ。それと「必要ならどのような犠牲も問わない」と付け加えておいてくれ」

7「はい」

L「…それにしても、日本産シルクのストッキングが十足に十数年もののスコッチ・ウィスキー、ハバナの高級葉巻とはな……まったく」改めてリストを眺め、腕を組んだ……

…数日後・陸軍省…

職員「さてと、これでよし…と。ミス・ローズ、これを二枚タイプして欲しいんだが」

タイピストの中年女性(エージェント)「はい」

職員「ありがとう。出来上がったら一枚は兵器課長、もう一枚は文書便の箱に入れておいてくれ…ぼくは会議に呼ばれていてね」

タイピスト「はい、行ってらっしゃいまし…」

職員「それじゃあ頼んだよ」

タイピスト「…」地味なタイピストの女性はカタカタと手際よくキーを叩いて写しをタイプし終えると、文書箱の中に入れる前に中身をさっと読み通した……文書の中には「ブルー・スワロー」と書かれた単語が入っている……


…さらに数週間後…

アンジェ「…進展があったそうね、ドロシー」

ドロシー「ああ、ばっちりな……驚くべきことに「ブルー・スワロー」計画の中身が分かったんだ」

アンジェ「…それで?」

ドロシー「それがな、「ブルー・スワロー」計画で開発されているのは新式の自動火器……要は「機関銃」ってやつだったのさ」

アンジェ「機関銃…数年前にアメリカ人が作ったとか言う……」

ドロシー「それさ。今回のもハイアラム・マキシムが作った「マキシムM1884機関銃」の改良型で、銃身を冷却するための水冷式バレル・ジャケットが付いてる」

アンジェ「それで、性能は?」

ドロシー「ああ…「無邪気なお嬢さん方」の前で新兵器開発の苦労話をしているティンドルを相手に興味があるような反応をするわけにはいかなかったから、詳しい事は分からないが…連射速度は一分間に四百発から五百発ってところで、二百発くらいの弾を布ベルトの弾帯で給弾するものらしい……今までの手回し式ガトリング銃や弾倉式の銃が一気に時代遅れになるってシロモノさ」

アンジェ「……なるほど、かなりの脅威になりそうね」

ドロシー「いや、そんな程度のものじゃない……これまでにボーア戦争やインドの反乱に投入された手回しガトリング銃や、ノーデンフェルド式機関銃とは比べものにならないんだ。戦闘隊形を組んだ一個大隊のライフル歩兵を一分間で壊滅させられるんだぜ?」

アンジェ「…そこまでの性能なの?」

ドロシー「ああ…ただありがたいことに、王国陸軍上層部の新しいモノ嫌いと、給弾不良の克服に時間がかかっているから、テストはあまり進んでないらしいが……」

アンジェ「なるほど」

ドロシー「とりあえず、ちゃんと贈り物に見合った成果があったってことさ……サラにはシルクのストッキング、ティンドルにはスコッチ、ウェストレーク大佐には葉巻…ってね♪」

アンジェ「そしてコントロールには情報…重要度から言って伝書鳩やメール・ドロップでは間尺に合わないし危険すぎるから、私が直接連絡するわ」

ドロシー「ああ、任せた」
272 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/02/03(日) 01:10:09.05 ID:Ry1EXfmW0
投下が遅れてごめんなさい…今日は節分ですし、ちゃんと豆まきをして厄除けしましょうね(…そのうちにプリンセスたちの「間違い日本」ネタに使うかもしれません)
273 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/02/03(日) 01:38:47.97 ID:Ry1EXfmW0
L「なるほど…そう言うことか」アンジェが送り届けた「ブルー・スワロー」のレポートを読んでパイプを噛みしめた…

7「はい。マキシム機関銃の要目ですが…口径は.303ブリティッシュ。水冷式のベルト給弾で装弾数二百発」

L「うむ。その資料なら私も読んだ……急ぎ対抗措置を取らねばな」

7「ですが、現時点で我が方は機関銃の生産体制を整えておりませんが」

L「……軍部の「機関銃不要論」と追加の国防予算を巡る議会の紛糾があったからな…増加試作型の完成はいつの予定だ?」

7「およそ二カ月後です」

L「ふむ…ならば時間稼ぎをしてもらわねばなるまい……」


…翌日・ロンドン市内の公園…

ドロシー「…そいつは厄介だな」

7「厄介でもやってもらわなければならないわ」

…公園のベンチに腰掛け、さりげなく会話を交わしている二人……「7」の口もとは扇で隠され、ドロシーはハムとピクルスのサンドウィッチを頬張りながら、ハトにパンくずを投げている…

ドロシー「…とはいえ、工場を操業不能にするのは車一台を吹き飛ばすのとは訳が違う。しかも警備厳重な造兵廠の施設ときた」

7「ええ…だけれど今回の作戦は「犠牲を問わない」わ。必要な物なら何でも用意する」

ドロシー「分かった……とにかく爆薬がいる。それと時限装置を作るのに必要な部品だな」

7「手配するわ」

ドロシー「後は目立たない色の車…やっぱりロールスロイスがいいな。それと性能のいい望遠鏡……ポンド札もたっぷり頼む」

7「それから?」

ドロシー「地図と旅行ガイドにコンパス……地図は現地の地形が分かる正確なものを」

7「分かった。全て用意する」

ドロシー「あ、あとロープを二十ヤード分ばかり。私たちみたいな業界の必需品だからな」

7「ええ」

ドロシー「ああ…それと」

7「なに?」

ドロシー「この件に関しては報酬をはずんでもらいたいな……自殺まがいの破壊工作なんだ、少しは色を付けてくれたってバチは当たらないぜ?」

7「…どの程度?」

ドロシー「そうだなぁ……私とアンジェに千ポンドずつでどうだ?」

7「…」

ドロシー「何しろこの世界には年金も保険もないもんでね…現金が用意できないようなら分割払いでもいいが?」…エージェントとしての価値がトップクラスにあることを知っていて、ひと勝負するドロシー……

7「…言っておくけれど、エージェントは他にもいるのよ?」

ドロシー「もちろん……とはいえ、私とアンジェほどのはいないがね。それに、別にあんたの財布から出してもらおうってわけじゃない…だろ?」

7「…分かったわ。そのかわり上手くやってちょうだいね?」

ドロシー「ああ、お任せあれだ……ひと月もすれば枕を高くして、ぐっすり眠れるようにしてやるさ♪」

7「ええ、それじゃあ…」
274 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/02/03(日) 02:08:42.45 ID:Ry1EXfmW0
…部室…

アンジェ「…どうやらよっぽど慌てているようね」ドロシーが受けた指令を聞いて、わずかに眉をひそめたアンジェ…

ドロシー「無理もない。王国と共和国、それぞれ動員できる連隊の数はほとんど同じだ…新兵器が一つあれば簡単に天秤が傾く」

アンジェ「その間の時間稼ぎね」

ドロシー「ああ…そういうことさ」

アンジェ「何か案はある?」

ドロシー「ある程度はな……まずはたっぷり一週間ばかりかけて、近ごろ上流階級のご婦人方に流行している「自動車旅行」としゃれこむ。田舎でいい空気を吸って、ついでに野鳥観察もしたいから望遠鏡を持って行く」

アンジェ「なるほど…それで?」

ドロシー「あちらさんは工場を人里離れたところに作って、警備を固めている……だからそのまま近づく訳にもいかない。少なくとも田舎の宿屋に数日ばかり泊まって、そこを「作戦基地」にしようって腹づもりでいるんだが」

アンジェ「足がかりね…それで?」

ドロシー「後は爆薬を仕掛けて「どかーん!」ってところだ…どうやって仕掛けるかはある程度考えてあるが、結局はその場で決めなくちゃならないだろうな」

アンジェ「分かった。爆破後は?」

ドロシー「その場の状況に合わせてすたこら逃げ出すか、さもなきゃ何も知らないふりをして旅行を続けるか…だな」

アンジェ「臨機応変ね。結構」

ドロシー「なぁに、行き当たりばったりさ…♪」

アンジェ「…それで、爆薬はどうするの?」

ドロシー「まぁ、どうにか隠すさ。何しろ望遠鏡や旅行ガイド、地図くらいなら持っててもおかしくないが…さすがに爆弾ともなると、自動車旅行の必需品には見えないからな」

アンジェ「ではそれに関しては任せるわ…何か私の方で整える手はずは?」

ドロシー「そうだな……旅行にふさわしいドレスを見繕っておいた方がいい。私は手持ちでまかなうから」

アンジェ「そう?」

ドロシー「ああ…濃い紅と黒のがあるし、他にも動きやすい格好ならクローゼットにある」

アンジェ「ならいいわ」

ドロシー「肝心の工場もおおよその目星がついたし…後はプリンセスの公式行事や「お出かけ」が同じ方面にないかどうかだけ確認してくれ」

アンジェ「ええ、分かった」

ドロシー「予定がかぶったりしたら、警護官や防諜部がうようよいるところに突っこむことになっちまうからな……うー、おっかない」

アンジェ「大丈夫、ちゃんと確かめるわ」

ドロシー「よし…それじゃあ私はベアトリスと時限装置をこさえてくる。それじゃあ、寝る前にまたここで」

アンジェ「任せたわ」

ドロシー「ああ」

………
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/03(日) 17:36:06.34 ID:52iGY7nWO
なんか予想外のアクシデントでドロシーさんアンジェを庇って捕まりそう
スパイ物の見過ぎかな
276 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/02/05(火) 10:31:45.30 ID:xiv2WGq30
>>275 まずはコメントありがとうございます…遅くて済みません。なるほど、そういう展開も出来ましたね……ちなみに一応イメージは出来上がっているので捕まりはしませんが、際どいことにはなる予定です


…あと、タイトルの所で○が並んでいるのは(何行か左右がずれてしまいましたが…)とある「世界一有名なスパイ」が出てくる映画のオープニングをもじった物です……スパイが世界一有名ではいけないと思うのですが…(苦笑)

277 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/02/07(木) 01:21:18.23 ID:ZhqUC3//0
…数日後・「白鳩」のネスト…


…テムズ川を望む煙たい一角にある、表向きは貸倉庫になっている「白鳩」のネスト(拠点)…板張りで出来た倉庫の中央には、あちこちの部品が外されている濃緑色のロールスロイスが一台停めてあって、ドロシーが油染みのついたつなぎ姿で車体をいじくりまわしている……一方の片隅ではアンジェが作業机に向かって銃弾をより分け、反対側の隅っこではベアトリスがドロシーと練り上げたプラン通りに、爆弾用の時限装置を作っている…

ドロシー「…ベアトリス、どうだ?」

ベアトリス「ちょっと待って下さい……はい、一個できました」…ベアトリスは椅子に腰かけ、バラした懐中時計の部品や何かの部品だったもの、果てはがらくたまでを上手に使って時限装置を作っている…小さい手が器用に動き、細いピンセットで慎重に最後の部品を組むと「ふぅ…」と息を吐いた…

ドロシー「よし、ちょっと見せてくれ…なるほど、上出来じゃないか♪」

ベアトリス「ありがとうございます///」

ドロシー「さて、お次は爆薬そのものだな…ちょっと手伝ってくれ」

ベアトリス「はい」椅子から滑り降りると、てくてくと歩み寄った…

ドロシー「よし、それじゃあここを剥がすから手伝ってくれ…」

ベアトリス「えっ、床を壊しちゃうんですか?」

ドロシー「今だけな…底板を上げ底にして、隙間に爆薬を詰め込むんだ。どうせ車の床だから、泥でもすりこむかマットを敷けば見分けはつかない」

ベアトリス「なるほど……で、時限装置はどうするんです?」

ドロシー「そいつはもう考えてある…ちょっとエンジンフードを開けるぞ」

ベアトリス「どうしてエンジンを…?」

ドロシー「ふふん、よく見ろよ…このRRは八気筒エンジンなのに、どうしてこの二つのシリンダーだけやたらピカピカなんだ?」

ベアトリス「…えっ?」

ドロシー「やれやれ、まだまだ観察が足りないぜ?」シリンダーを引っ張るとあっさりと抜け、そこに空洞が出来た…

ベアトリス「あっ!?」

ドロシー「この気筒二つはダミーさ…今は綺麗だから目立つが、後で適当にオイルでも垂らしておけばいいしな」

ベアトリス「すごいですね…」

ドロシー「まぁな…まさか時限装置をサンドウィッチと一緒のバスケット、って言うわけには行かないだろ♪」にやりと笑ってウィンクを投げるドロシー…

ベアトリス「それはそうですが…他にもこういう仕掛けがあるんですか?」

ドロシー「ああ、もちろん…♪」車体の後部に屈みこむと、排気管の片方を引き抜いた…

ベアトリス「うわ…!」

ドロシー「二本ある排気管の片方はダミーで、即席の組み立て式ライフルの銃身になってる…ライフリングだけは見えないように、先端だけねじ山を合わせた内筒をかぶせてあるのさ」

ベアトリス「あの…銃身はいいですけれど、機関部は?」

ドロシー「心配しなさんな…工具箱に入っているレンチだの金槌だの、もろもろを組み立てると……「あら不思議」ってやつさ」

ベアトリス「わぁ…!」

ドロシー「それから二本ある予備タイヤのチューブには、それぞれ弾薬と金属ワイヤーが仕込んであって、引き出して持ち出せるようになってる……ワイヤーは音を立てないで見張りだの何だのを「きゅっ」と絞めるためだ」

アンジェ「ドロシー…油を売るのは結構だけれど、準備は終わったの?」

ドロシー「ああ、だからおしゃべりなんてしてるのさ…そっちはどうだ?」

アンジェ「ええ、終わったわ……弾は選別しておいたけれど、一応貴女も確かめて」

ドロシー「あいよ、そうさせてもらおう…別に信用してない訳じゃないぜ?」

アンジェ「分かっているわ。自分の命を預けるのだから当然よ」

ドロシー「今回はぎりぎりまでドンパチしたくないとはいえ…いつ必要になるかなんてわからないもんな」…油を軽く差してシリンダーの回転や引金の軽さを試すと、ウェブリー・スコットを撫でた…
278 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/02/08(金) 01:27:55.24 ID:75oVL98B0
…さらに数日後…

ドロシー「さて…準備はいいな…?」

…すっかり旅装を整えてRR(ロールス・ロイス)の運転席に収まっているドロシーは、紅に染めた革のハンチング帽と、えんじ色と艶のある黒で組み合わせ、裾がくるぶしより少しだけ短い活動的な旅行用ドレス…足もとは茶革の編み上げ長靴で、首元には襟飾りのリボンをあしらい、額にゴーグルを引っかけている……うら若いレディ二人きりという変わった組み合わせは「日頃付き合っている上流階級の令嬢たちとのお遊びに疲れたプレイガール(ドロシー)が、変に気を使わなくて済む知り合いの地味な女の子(アンジェ)を自動車旅行に誘った」と言う筋書きでカバーしていた…

アンジェ「ええ」

ドロシー「それじゃ行ってくる……いい子にしてろよ?」

ベアトリス「もう、またそうやって私の事を子ども扱いして……」

ドロシー「悪い悪い……真面目な話、私たちの留守中は下手に動くことをしないで、他人の話に耳をそばだてるだけにしておいてくれ。…別にエージェントとしての能力を信用してない訳じゃないが……」

アンジェ「…非常事態になった時に取る越境の手はずや、コントロールとの連絡の取り方を知っているのは私とドロシーしかいない…つまり留守中に何かトラブルに巻き込まれても助けられないわ……そのことは忘れないでちょうだい」

プリンセス「ええ、しっかり覚えておくわ」

アンジェ「お願いね…くれぐれも先走ったりしないように」

プリンセス「ええ。それじゃあ行ってらっしゃい♪」

アンジェ「…行ってくるわ」

ドロシー「それじゃ、お土産に期待しておいてくれ…♪」

………

…ロンドン郊外の街道…

ドロシー「……久しぶりに二人っきりだな」

アンジェ「いきなりどうしたの?」

ドロシー「いや…こうしてみると、すっかりあいつらと一緒にいるのが当たり前になっていたんだな……って思ってさ」

アンジェ「そうね…」

ドロシー「…気軽におしゃべりするような仲間なんて出来る業界じゃないはずなのにな……おかしなもんさ」

アンジェ「ええ…ただ……」

ドロシー「…居心地のいい場所で、知り合いたちに囲まれて馴れ合っているうちに、甘えが出てしまう気がする……だろ?」

アンジェ「…その通りよ」

ドロシー「ああ、よく分かるよ……って、やめだやめだ。 せっかくの旅行なんだし、こんな辛気臭い気分になることはないじゃないか」

アンジェ「元はと言えばあなたが言い出したことよ」

ドロシー「悪かったよ…さ、もっと明るい話題にしようぜ?」

アンジェ「例えば?」

ドロシー「そうだなぁ……例えば「現地に行ったら何を食べようか」…とかさ?」

アンジェ「ふぅ…まったく、あなたと一緒だと旅が愉快でいいわ」

ドロシー「はは…それはどうも」

アンジェ「たいしたものね、皮肉も通じないのだから」

ドロシー「おいおい、こう見えて私だって乙女なんだぜ? 頼むから繊細な私の心(ハート)を傷つけ(ハート)ないでくれよ…」

アンジェ「だじゃれが言えるようなら大丈夫でしょう……次で右の道よ」

ドロシー「あいよ♪」

279 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/02/10(日) 02:02:47.08 ID:DmqgDLh/0
…数時間後・ロンドンから北に数十マイル…

ドロシー「ふー…空気は澄んでるし気持ちはいいけど、さすがに疲れたな……」

アンジェ「五時間は運転していたものね…でも、もうすぐよ」

ドロシー「そりゃありがたいね…この辺はもうノッティンガムシャーか?」

アンジェ「ええ」

ドロシー「なるほど、確かに森が多いな……弓矢を持ったロビン・フッドやタック坊主が出て来てもいいくらいだ♪」


…車そのものも優れていたが、ドロシーがしっかり手入れしただけあってRRは快調で、途中でエンストや故障を起こすこともなく順調にマイルを稼いでいた……煤煙で煙るロンドンから郊外まではきっちり舗装されていた街道も、この辺りまで来ると年を経たレンガ敷きに変わり、乗り心地には良くないが、のどかで趣のある具合になっている…空気は清冽で、広い森と野原、それに所々小さな畑が入り混じった様子は数世紀前のノッティンガムシャーが舞台になった「ロビン・フッド物語」の世界から変わっていないように見える…


アンジェ「そうね…ちなみに宿屋まではあと数マイルもないわ」

ドロシー「そうかい、そりゃいいや」

アンジェ「それとあなたも疲れたでしょうから、今夜は何もしないでいいわ」

ドロシー「おや、ずいぶんと優しいじゃないか…明日は雨かな?」

アンジェ「馬鹿言わないで。いざ本番って言う時に、くたびれて使い物にならないようじゃ困るっていうだけよ」

ドロシー「やれやれ、相変わらず手厳しいねぇ……」

アンジェ「堅実と言ってちょうだい」

ドロシー「まぁ何だっていいさ。どのみち今夜は休まなきゃやってられ……おいアンジェ」

アンジェ「ええ…」


…二人がじろじろと見ないようにそっと視線を向けた先には、森の中に何かの施設が見え隠れしていた……ご丁寧にも街道から分かれている支道には「関係者以外の立ち入りを禁ず」とでも言うように柵が渡されていて、その脇の小さな見張り小屋には、やたら手の込んだ(その割にヘタな)偽装が好きなアルビオンのお役所らしく、民間人の格好をした歩哨が、猟師が持っているような水平二連の散弾銃を抱えている……が、棒を飲んだような姿勢と堅苦しい態度は、どうやっても陸軍の連隊から派遣されているようにしか見えない…


ドロシー「…ぷっ、くくっ♪」見張り小屋を通り過ぎると、急に笑い始めたドロシー

アンジェ「……何がそんなにおかしいの?」

ドロシー「だってさ……あれで民間人のつもりかよ? …はははっ♪」

アンジェ「そういう事ね…確かにまずい偽装だったわね」

ドロシー「まずいどころか……あれじゃあ近衛連隊の閲兵式だぜ?」

アンジェ「でもそれだけ警戒を固めている考えられるわ…おそらく施設内の警備は厳重よ」

ドロシー「まぁな……だが、手前に小川があったろう。あそこをさかのぼって行けば上手いこと施設の横手に出られるんじゃないか?」

アンジェ「それは今日明日のうちに分かることでしょうね……さぁ、着いたわよ」

ドロシー「ここから『ディーダラス』まで数マイルって所か…ありがたいね」

アンジェ「下見は楽になるでしょうね」

ドロシー「…そういう事。さ、着きましたよお嬢さん♪」

アンジェ「お疲れさま……それじゃあ宿屋に入ったら役割通りに」

ドロシー「ああ…」


280 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/02/13(水) 02:47:43.26 ID:1VKz3AYh0
…しばらくして・宿の食堂…

宿屋の主人「ささ、ご令嬢方はどうぞ暖炉のそばにおかけくださいまし……メアリや、何をしているんだい?」


…ドロシーが事前に「貴族令嬢として」予約をしておいた宿屋は、居心地のいい田舎の「旅籠」と言った感じの宿で、ぽってりとした愛想のいい中年の主人と、その娘が中心になって切り盛りしている……ドロシーとアンジェは情報収集を兼ね、食事は一階にあるパブを兼ねた食堂で取ることにしたが、案の定カウンターでは地元の農夫や猟師が集まってビールを傾け、宿の主人はいかにも「主人らしく」、忙しい厨房は娘や雇いの女中さんたちに任せきりで、しきりに政治や小麦の作柄の事を話しあっている…


宿屋の娘「はぁーい! …どうもお待たせしました」錫のジョッキに注がれたエールを持ってくる宿屋の娘…年は十代の中頃で、健康そうな身体と丸っこいリンゴのような頬っぺたをしている…

ドロシー「ああ、ありがとう……お嬢ちゃん、こっちにおいで?」

娘「はい、何でしょうか奥様」何であれ女性は「奥様」と呼んでいるらしい娘…

ドロシー「あのね、少ないけど取っておきなさい。それとね、私たちは腹ペコだから……飛び切りの料理をね♪」人好きのするチャーミングな笑みを浮かべ、シリング銀貨を握らせた…

娘「は、はい…///」

主人「おや、どうもすみませんです…メアリや、ちゃんとお礼を申し上げなさい」

娘「奥様、どうもありがとうございます///」

ドロシー「いいのいいの。それにしてもご主人、ノッティンガムは初めてだけれど……いいところだねぇ?」

主人「はい、それはもう…何しろロビン・フッドの時代を残しておるような場所でございますから」

ドロシー「いやまったく。空気は綺麗だし、眺めはいいし…私がブラウニングやワーズワースだったらどんなにかいい詩が詠めることか」

主人「いや、もうその通りでございますよ……メアリや、お客様のスープはまだなのかい?」

娘「…はぁーい!」ドシンと重そうな音を立てて置かれたスープ壺からはエンドウ豆スープのいい匂いが漂ってきて、娘が丁寧に皿へよそってくれる…

ドロシー「いやぁ、待ってたよ……ささ、いただこうじゃないか♪」

アンジェ「え、ええ…///」話す声もどもりがちで、いかにも内向的な様子に見えるアンジェは「ロンドンで羽振りのいい貴族令嬢に気に入られた、気弱でおどおどした娘」というカバーをきっちりこなし、話に加わらない分だけ様々な会話に耳をそばだてている……

主人「どうぞ召し上がってくださいまし」

ドロシー「ええ……ん、これは美味しいね。ほら、マリアンもおどおどしてないで食べてごらんよ♪」ロビン・フッドにちなんで「マリアン」を偽名にしたアンジェ…

アンジェ「は、はい…///」

主人「…いかがでございます?」

アンジェ「そ、その…おいしい……です…///」

ドロシー「それは良かった。ロンドンじゃあ空気も悪いし食べ物だって古くていけない…ここに来て正解だったよ♪」

主人「そうでございましょうね……何でも都会の方じゃあ蒸気機関だのケイバーライトだのと、「新奇のからくり」ばっかりが幅を利かせているようですからね…もっとも、最近じゃこの辺りでもそうでございますが…」

ドロシー「おや…最近じゃあここでもそうかい?」

主人「ええ、そうなんでございますよ……いや、大きい声じゃ言えませんがね?」

ドロシー「ほぅ?」

主人「ええ…ご令嬢方も来る途中で見なすったかどうか……川沿いのほんの数マイルばかり上流に、妙な工場みたいなのが出来ちまって……」

ドロシー「そうかい?…車の方にかかりきりで、それらしいのは見なかったなぁ……」

主人「それがそうなんでございますよ…あんな訳の分からない製鉄所だか何だかを作られて……おかげで牛の乳が出なくなったとか、リンゴのなりが悪くなったなんて聞きますよ…」

ドロシー「本当に、近ごろはどこでもそこでも工場ばっかりだねぇ…」

主人「まったくで…」

ドロシー「せめて今年は作柄が良くなるといいねぇ……天気はいいのかい?」

主人「それはおかげさまで、降るにせよ照るにせよちょうどでございますよ…」

ドロシー「ああ、そりゃいいや……ん、このいい匂いはメインディッシュかな?」

主人「へぇ、ラムチョップ(あばら肉)のステーキと、玉ねぎ入りのミートパイです…うちの自慢の一品でございますよ」

ドロシー「ほほぅ…それは楽しみだ。あとお嬢ちゃん、私たちにサイダー(リンゴ酒)を頼むよ♪」

娘「…はい、すぐお持ちします!」

281 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/02/18(月) 22:48:35.61 ID:cVER7DxN0
…どうもお待たせしてすみませんでした…

…この一週間ばかりというもの、インフルエンザですっかりノックアウトされておりました……まだ頭がクラクラするので続きは投下出来ませんが、とりあえず生きてはいます…これを見て下さっている皆さんも(元気な方は)身体に気を付けて寝具を暖かく、(具合の悪い方は)栄養を取って、起きていないで寝ましょう……ではまた数日後くらいに投下しますので、まずそれまではサヨナラ・サヨナラ・サヨナラ…と言うことで…
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2019/02/18(月) 23:29:30.63 ID:WdSgD7Neo

体調不良ばかりは仕方ない、お大事になさってください
283 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/02/21(木) 00:25:02.52 ID:THTswjTm0
>>282 どうもありがとうございます、それでは少し投下していきますので…
284 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/02/21(木) 00:50:17.34 ID:THTswjTm0
…数日後・夜…

ドロシー「さて…準備にとりかかるか」

アンジェ「ええ」

…暖炉の火が静かにパチパチとはぜて部屋を心地よく暖めている中、二人は夕食時に来ていたドレスを脱いでコルセットとペチコートだけの姿になると、任務用の服に着替えはじめた…むろん部屋には鍵があるが、女中が用事や何かで不意に開けてくることもあるかもしれないと、荷物を載せた椅子を重しにして二重に備えている……床に置かれたトランクは二重底が開けられていて、防諜部やスペシャル・ブランチの人間が見たら「興味を引くような」物がいっぱいに詰まっている…ドロシーは黒いハンチング帽に黒い活動用の服、編上げの半長靴で、服のあちこちについている物を引っかけるための輪っかやベルトに次々と「七つ道具」をセットしていく…アンジェは活動用の服に黒マントを羽織り、フードで顔を隠した…

ドロシー「…まずは大事な爆弾三つ……予備の時限装置は持ったな?」真鍮製で、何やら時計のような長針と短針が付いた精妙な出来の爆弾を、腹の所に付けたポーチに入れた…

アンジェ「ええ」

ドロシー「ウェブリーが一丁…どのみち音がするから使うわけにもいかないが……」一発ずつ弾を込めると、シャキンッ…と中折れ銃身をもとに戻した…

アンジェ「…銃把で殴打するなら別よ」アンジェはウェブリー・フォスベリーに弾を込めた…二人とも銃が暴発しないように、まだ撃鉄は起こさないでいる……

ドロシー「まぁな…スティレットに首絞め用の細引き……こっちの方が使うかもな?」細いロープを自分の目の前でゆらゆらさせてから、おもむろに腰へくくり付けるドロシー…

アンジェ「そうかもしれないわね」

ドロシー「それ以前に見つからないようにしますがね…それからロープ……」肩からたすき掛けにした

アンジェ「全く、貴女はロープが好きね」アンジェは秘密道具の「Cボール」を胸元に下げた…

ドロシー「ロープなしの工作なんてあり得ないからな……地図に小型コンパス…ケイバーライト粉の『夜間発光機能』付きとはコントロールも気が利いてる」

アンジェ「ええ…」

ドロシー「あとは工具が一揃いに、とっさのときの煙玉と閃光弾が一個ずつ……と、こんなもんか?」

アンジェ「そんなところでしょう…私も持つべきものは持ったわ」

ドロシー「よし……さてと、来るときに見た脇道の先。あそこに工場があるのは間違いないところだ」

アンジェ「宿の主人もそう言っていたわね」

ドロシー「ああ。施設の警備に当たっているのはロイヤル・フュージリア(ライフル歩兵)連隊…軽歩兵ってことは武器はエンフィールド小銃、将校にウェブリー・スコット・リボルバーってところだろう」

アンジェ「そうでしょうね」

ドロシー「全く、あれだけ手の込んだ偽装をしておいてすっかり筒抜けなんだから……笑えるな」

アンジェ「たいていの偽装なんてそんなものよ」

ドロシー「だな…施設へは私が忍び込むから、アンジェは侵入前と脱出時の援護を頼むぜ」

アンジェ「ええ、火器に一番詳しいのは貴女だもの。任せたわ」

ドロシー「おう……まず、施設へは小川をさかのぼっていって潜りこむ。あの手の石頭どもはそういう侵入方法なんて思いつきもしないだろうからな」

アンジェ「そうね」

ドロシー「施設に近寄ったら歩哨の目をかすめて中に入る…陸軍の規則通りに歩哨を立てているようなら、交代時間も予測がつく」

アンジェ「多分そうでしょう…変える理由がないはずよ」

ドロシー「もし違ったらその時はその時さ……施設に入ったら機関銃の生産状況を確かめつつ、一番効果のありそうな場所にこの「ベアトリスのお手製爆弾」仕掛ける」

アンジェ「ええ」

ドロシー「時限式だが、あんまり長い時間にしておいて気づかれちゃ困る。かといってすぐ起爆するようにセットしても具合が悪い…その辺の兼ね合いは私が決めることにするよ」

アンジェ「任せるわ」

ドロシー「後はとっとと逃げ出して、宿に戻ったら寝たふりでもしてればいい…だな?」

アンジェ「ええ、それでいいわ」

ドロシー「よし…ま、でっかい花火を打ち上げてやろうぜ♪」

285 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/03/02(土) 02:19:37.24 ID:Wn+65SVt0
…数十分後…

ドロシー「どうだ?」

アンジェ「さっきの小さな橋からおおよそ五百ヤード、施設への接近は充分のはずよ……準備はいいわね?」

ドロシー「ああ…となると、ここはもう施設の外周だろうし、見つかったら言い訳も聞いてもらえないだろうな」にやりと不敵な笑みを口の端に浮かべた…

アンジェ「そうでしょうね…それじゃあ私は待機しているから、何かあったら援護するわ」

ドロシー「頼んだぜ」

アンジェ「そっちもね」

ドロシー「ああ、任せておけ」


…リーリーと小さな虫たちが鳴いているせせらぎの柔らかい岸辺の土に足跡を残さないようそっと小川を渡ると、岸辺に生えた灌木の陰に身をひそめたドロシー……視線の先には夜霧に霞む二階建てレンガ造りの工場が影絵のような黒いシルエットとしてそびえ立ち、施設の外周には皿型のヘルメットを被り、リー・エンフィールド小銃の負い革を肩から斜めに回して、銃を背中に背負っている兵士の姿がぼんやりと見える…と、身をひそめているドロシーの左手数十ヤード先の暗闇で小さなホタル火がともり、そのオレンジ色の灯りが、シガレットに火をつけようとする兵士の顔を照らし出した…


ドロシー「…おっと、危うくハチ合わせする所だったな……」相手はマッチの火で目がくらんでいるとはいえ出来るだけ気づかれにくいよう藪や木陰を伝い、夜露が下りた冷たい地面を這って慎重に身体を動かし、立哨に忍び寄った……と、立哨に誰かが近づき、低い声で叱りつけているのが聞こえた…

軍曹「おい、何をやってるんだ。夜間の立哨が煙草なんて吸っちゃならんことぐらい分からんのか…!」

兵士「…すみません、ベイリー軍曹」

軍曹「いいから早く消せ。せっかく慣らした夜目がくらんでしまうだろうが…!」

兵士「はい…!」立哨は慌ててシガレットを踏み消した…

軍曹「よし、おれはまた施設を一周してくるからな……最近は共和国のスパイも大胆になっていると言うし、油断するんじゃないぞ…!」

兵士「了解……やれやれ、軍曹の取りこし苦労もいい加減にしてほしいよ。まだほとんど吸ってなかったのに…」軍曹が立ち去り、兵士がボヤきながらあさっての方を向いた瞬間、ドロシーは後ろから近寄って細引きの輪っかを立哨の首にかけ、きゅっと強く引っ張った…

兵士「…ぐっ!」見張りの兵士は喉から細引きを外そうと手を首元に伸ばし、またどうにかドロシーを振りほどこうともがいたが、体幹の位置と身体のバランスを正しく保ったドロシーは若い女性とは思えないほど頑強で、とうとう兵士の身体が崩れ落ちた…

ドロシー「どじを踏んだな、お前……」ドロシーは音を立てないよう兵士の小銃を背中から外すと、息のない立哨の身体を引きずって川岸の藪の中に隠した…

…施設の横手…

ドロシー「……よし、開いた」

…施設は何人もの職工を同時に働かせやすいように作られた典型的な縦長の工場で、天井はゆるい三角屋根で出来ている…屋根には換気や明かり取り用の天窓があり、夜でも目が慣れればそれなりに明るい……ドロシーがさっと建物の中に入り、静かに鍵をかけ直した直後、施設の外を歩き回っている歩哨が窓の外を通り過ぎて行った…

ドロシー「ひゅぅ……クライスト(おったまげた)…!」


…窓から見えない壁際に這いつくばって歩哨をやり過ごしさっと周囲を見回すと、思わず小声でつぶやいたドロシー……目の前には二列に並んだ製造ジグがずらりと並んでいて、ピカピカと青光りしているマキシム機関銃が製造工程ごとに何挺分も置かれている…吹き抜けのようになっている二階には小部品を作るための製造機械があり、片隅には荷物を上げ下げする水圧式のエレベーターがある…


ドロシー「こりゃ増加試作にしたって多すぎる……連中も機関銃の量産に本気って事だな…」目に入ったものをさっと記憶し、ついでに役立ちそうな資料を数枚くすねる……周囲は静まり返っていて、コトリとも音がしない…

ドロシー「さて…爆弾ちゃんはどこに仕掛けるか……」

…ドロシーは工場が丸ごと潰れるよう中央の梁か柱に爆弾を仕掛けようと考えていたが、残念なことに旋盤やボルト留めの機械は壁際ではなく部屋の中央寄りになっていて、通りやすいよう片づけられた壁際には、爆弾を隠せるような場所がない……

ドロシー「…参ったな、ここも壁際は片づけてやがる……ん?」製造機械が並ぶ一階の片隅に、重そうな鉄扉がある…

ドロシー「……倉庫?こんなところに?」





286 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/03/08(金) 02:17:49.28 ID:op0liI2Y0
ドロシー「…どうだ……開くか?」

…錠前にキーピックを差し込み、かすかな手元の感覚を頼りにひねる……と、重厚な作りの錠が「カチン…!」と小さいがはっきりした響きを立てて開いた…

ドロシー「…っ!」

ドロシー「……誰にも聞かれなかったみたいだな……やれやれ、肝が縮み上がるぜ…」ごく小さな声でつぶやくと、重い扉をぐっと押した…扉はありがたいことにしっかり油が差してあるらしく、きしむ音一つ立てない…ドロシーは施設の保守管理を任されている職員たちを祝福した…

ドロシー「……さて、ここは一体何の倉庫なんだ? …まるでアナグマの尻の穴だ、真っ暗で何も分かりゃしない……」

ドロシー「壁伝いに歩くしかないかな、こりゃ……まさか灯りをつけるわけにもいかないし…っと、そうだった♪」

…コントロールに要求しておいた七つ道具の中に「ケイバーライト・トーチ」を入れていたドロシー…ケイバーライト・トーチは金属で補強されたガラス筒で、大きさはちょうどトマト缶詰くらいの円筒形で、取り出して数回振ると、ぼんやりとホタルよりはましな青緑色の光を放ち始めた…

ドロシー「…これでよし……さて、改めてここは一体何の倉庫なのやら……」

…手探り半分、トーチの灯り半分で倉庫を物色するドロシー…どうやら倉庫には天井一杯まで高さのある棚がずらりと列になって並び、絹製の円筒状の袋や湿気防止用に亜鉛の内張りがある樽、それに液体の入ったガラス容器が所狭しと並んでいる……絹の袋に触れると、縁のほつれたところからざらざらとした粉がこぼれて手についた…

ドロシー「……おいおい、嘘だろ…」手についた粉をケイバーライト・トーチの灯りに近づけ、愕然とした…

ドロシー「…ブラッディ(くそったれ)…これ全部火薬だってか……!?」…絹の薬嚢(やくのう)や樽に詰めてある黒色火薬に、揺れないようにひと瓶ごとに柳のカゴに入れられ、さらに数個づつロープでくくられている不安定なニトログリセリンのガラス容器…他にも「ブリティッシュ.303」口径弾薬の紙箱が見渡す限り並んでいる…

ドロシー「参ったな……ま、少なくとも爆弾の設置場所で悩む必要はなくなったな…ここで一つ爆発を起こせば、施設丸ごとペルシャあたりまで吹き飛ぶこと請け合いだぜ…♪」ニヤリと笑うと懐中時計の部品を流用した時限装置をセットし、見つかりにくい薬嚢の奥の方に爆弾をねじこんだ……残り二つも手早く…かつ意外と見つかりにくい場所に隠して、さっと倉庫を出た…


ドロシー「…まったく、足音がしないようにゴム底の長靴を選んでおいたが、とんだところで役に立ったな…金属の底が付いた革靴だったら、今ごろ昇天して天使の仲間入りだ……」ケイバーライト・トーチを腰の物入れに納めると、首を軽くすくめて製造機械の間をすり抜けた…

ドロシー「……見張りは…よし、いないな」さっと壁際に屈みこむと窓の左右を確認し、カチリと単純な鍵を開けるとさっと窓の外に抜けだした…


…一見すると軽薄で何でもふざけ半分に見えるが、実際は共和国エージェントの中でも数えるほどしかいない工作の腕前を持ち、エージェント必須の素質「ツキ」にも恵まれているドロシー…そのドロシーが珍しくミスをしたのは、火薬庫で受けた衝撃が抜け切れていなかったせいか、あるいは工作が済んだ安心感でつい緩んだ警戒のせい……さらに言えば単純に「運が悪かった」せいに尽きた…


歩哨「…誰だっ!」ドロシーがそっと左右を見た窓からは、たまたま死角になっていた施設の壁…任務をサボってそこにもたれかかりぼんやりしていた歩哨が、ドロシーの黒い影を目線の端に捉えるとはっとして、たちまち鋭く誰何した…

ドロシー「…っ!」

歩哨「おい、止まれ!」キシンッ!…と、リー・エンフィールド小銃の遊底を動かす金属音が響いた

ドロシー「ちっ…!」さっとナイフを投げつけるドロシー…

歩哨「ぐぅ…っ!」バァ…ン! 

…喉を狙って投げたが外れて、胸元に突き刺さったナイフ…歩哨がその痛みに力んだ瞬間、指が引きつり小銃の引き金を引いた…

歩哨B「何だ!?」

立哨「銃声だ…警報!」たちまち警報ベルが鳴り響き、施設の灯りという灯りが一斉に点灯した…

ドロシー「くそっ、やらかした…!」灯りの届かない小川の方へと一目散に駆け出すドロシー…幸い、灯りに揺らぐ木々のシルエットをドロシーと見間違えているらしく、あちこちの見当違いな方向で銃声が響いている…

兵士「いたぞ! 西側に…」

ドロシー「っ!」バン、バンッ!

兵士「うぐっ…!」

兵士B「向こうだぞ、追え!」

ドロシー「参ったな…こんなところで「鬼ごっこ」する羽目になるとは、ね!」走りながらの牽制射撃に、後ろ手でウェブリーを数発放つと背中のホルスターに戻し、小川と森に向けて全力疾走するドロシー…

士官「装填し照準せよ! …用意、撃て!」ダダダッ、ダダダダッ!…施設の防衛用に設置されていたらしいマキシム機銃の銃声が響き渡り、雨あられと降り注ぐ銃弾が左右の藪に突き刺さってバシバシと音を立て、頭上を「ヒュッ…!」と甲高い音を立てて銃弾が飛んでいく…

ドロシー「えぇい、くそっ…機関銃まで撃ってきやがった!」

ドロシー「…何だっけ…『敵に後ろから撃たれている時は遮蔽物を移動しながらジグザグに走ること…』か……だけどマキシム相手にそんなこと言っていられるかよ!」…小川と岸辺の森があと数十ヤードの距離に近づき、教官の言葉を思い出したドロシー……が、手の届く距離に暗闇があって、つい真っ直ぐに疾走した…

士官「距離…百五十ヤード、撃てぇ!」

ドロシー「…くは…っ!」マキシム機銃の斉射が辺りを扇状に薙ぎ、途端に腰のあたりへすさまじい衝撃が走った…最後の勢いで小川に向けて飛び込んだドロシー…

士官「撃ち方やめぇ! …第二分隊、確認に向かえ!」

…小川…

ドロシー「……っ、続きは『…ジグザグに走ること……銃弾とかけっこして勝てる人間はいない』だったな……くそ、教官の言うことは聞いておくもんだ…」小川の底を這いずりながら痛みに顔をしかめ、今さらながら真理を突いている教官の教えに感心するドロシー……

ドロシー「とにかく止まっちゃダメだ…一度筋肉がゆるんだら動けなくなっちまう……」幸い川底は砂地で、身動きしても泥のように巻き上がったりしないので、追跡者に気づかれにくい…
287 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/03/09(土) 02:06:37.92 ID:bMcJPLgn0
ドロシー「…はぁ…はぁ……くは…っ」


…アンジェの待っている場所までたどり着こうと必死で川底を這って行くドロシー…意識が遠のきそうになったので、身体をせせらぎにひたしたまま顔をおとすと小川の水を一口すすりこみ、一緒に口へ入ったヤナギの枯葉をぷっと吐き出した…


ドロシー「くそ…こんなところでへたばってたまるかよ……少なくとも私がアンジェの腕の中でくたばったら、あの「冷血トカゲ女」が泣くことが出来るのかどうかが分かるってもんだからな……やっこさんの泣き顔を見るためにも、せめてランデヴー・ポイント(会合地点)まではたどり着いてやる…」その数百ヤード後方ではドロシーを探している軽歩兵たちの命令や呼び交わす声が聞こえている…

下士官「…どうだ! 見つかったか!」

兵士「おりません、軍曹!」

兵士B「……おーい、こっちに足跡があるぞ!」

士官「よし、手傷を負っているからそう遠くへは行っていないはずだ! 第一、第二分隊は散開して追跡しろ!」

ドロシー「へっ、ごあいにくさま…つまらない目くらましだったが、やっておいてよかったぜ……」


…初歩的な偽装だが、川沿いの柔らかい地面に数歩だけ足跡を付け、追跡者が見当違いの方向へと向かうようにしておいたドロシー…さらに小ぶりな足のサイズで女だと感づかれないようにオーバーシューズを履き、力を込めて足跡を付けておいた…


ドロシー「……ふぅ…はぁ…」

ドロシー「…ちくしょう、数百ヤードがこんなに遠いとは思わなかったぜ……」

アンジェ「その様子だとそうでしょうね…遅かったわね、ドロシー」川岸の灌木からそっと姿を現したアンジェ…

ドロシー「よう、アンジェ……なぁに、ちょっと川底でカエルの真似をしてたもんでね……」

アンジェ「ずいぶんと不格好なカエルね…さ、私の肩につかまりなさい」

ドロシー「悪いな……うっ!」身体を起こそうとしてうめき声を上げた…

アンジェ「…どこを撃たれたの?」

ドロシー「腰だ…下半身がしびれて仕方ないんだ……」

アンジェ「見せて」

ドロシー「ああ……どうだ?」

アンジェ「そうね…エージェントの守護天使だか何だか知らないけれど、もし貴女がそういうのを信じているならちゃんとお礼をしておいた方がいいわ」

ドロシー「…腰に鉛玉をぶち込まれたって言うのにか?」

アンジェ「ええ。これを見なさい……よかったわね、ドロシー」アンジェは背中のホルスターからへしゃげたウェブリーを抜き取って、ドロシーに見せた…銃弾の食い込んだ跡が撃鉄の脇に残っている…

アンジェ「もし数インチ上だったら、助かっても松葉杖を伴侶にすることになったでしょうね…だいぶ大きな青あざは出来ているけれど、それだけよ」

ドロシー「…それだけで充分さ…とにかく車の所まで行かなくちゃな……」

アンジェ「ええ…ほら、肩を貸してあげるから立ちなさい」


…夜になって車で出かける言いわけとして、宿の主人に「明け方に野鳥観察をするために十数マイル先まで足を伸ばすから」と言い置いて、工作用の服の上からそれらしい服を羽織って出かけた二人……そう言って乗ってきたロールス・ロイスは施設の手前にある森から一マイルほど離れた場所に隠してある…


ドロシー「…はぁ…はぁ……ちくしょう、一千ポンドじゃ割にあわないや…」アンジェにもたれかかり、痛みでひと足ごとに顔をゆがめるドロシー…

アンジェ「……いったい何の話?」

ドロシー「ああ…アンジェには話してなかったな……実は「7」に入り用な道具のことを話しに行ったとき、やっこさんに「報酬として一千ポンドよこせ」って言ったんだ……最初はしぶしぶだったが、しまいには飲んでくれたぜ…ぐっ!」

アンジェ「…何のつもりで?」

ドロシー「なぁに、引退後の「お楽しみ資金」としてね……ちなみにお前さんの分も頼んでおいたから、もしプリンセスと駆け落ちでもするんなら生活費の足しにでもしてくれ…うぐっ…」

アンジェ「…余計な事を言ってないでとっとと歩きなさい///」

ドロシー「あいよ…ったく、怪我人を手荒く扱いやがって……」

アンジェ「そんなにおしゃべりできるなら問題ないわ…ほら、車の所まで来たわよ。私がエンジンをかけるから、その組み立てライフルを抱えて助手席に座ってなさい」

ドロシー「悪い…何しろこのざまじゃあ始動用のクランクも回せないし、アクセルもクラッチも踏めないからな……」

アンジェ「ええ……とにかく私も上手く言いくるめるから、宿についたら元気なふりをしてちょうだい。「手ごたえはあったが見失った敵のエージェント」と「昨夜出かけて、片方が怪我をして戻ってきた二人連れ」…これではどんな間抜けでも「一足す一は二」だと分かってしまうもの」

ドロシー「ああ…せいぜいぴょんぴょん跳ねまわってみせるさ……」
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/03/09(土) 09:16:16.82 ID:PdahTQeVO
捕まる未遂があるとTVシリーズっぽいね
...捕まってもいいのよ?
289 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/03/11(月) 01:54:11.26 ID:vfWpHnSA0
>>288 コメントありがとうございます。そう言えば前にも「逮捕・尋問されるのが見たい」という意見がありましたね…本当に皆さんは百合らんぼうがお好きですねぇ……機会を見つけてどこかでやってみます


…ちなみにですが、本当は「RR」などの英国車メーカーは1900年代に入ってから生まれているので、十九世紀末が舞台の「プリンセス・プリンシパル」では少し早いのですが、そこはまぁイギリスじゃなくて「アルビオン」ですし、ケイバーライトだったり空中戦艦が実用化されている世界なので自動車の誕生が早まっていてもいいかな、と……
290 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/03/11(月) 02:57:52.35 ID:vfWpHnSA0
ドロシー「よし、クランクを回せ…!」

アンジェ「ええ」

ドロシー「そら、動け…っ!」アンジェが始動用のクランクを回すのに合わせて、エンジンをかけるドロシー……仕上げの悪い車なら数回はやり直す必要があるが、さすがにロールス・ロイスだけあって、滑らかな音を立てて一発でかかった…

アンジェ「…かかったわね」

ドロシー「そりゃRRだからな……やれやれ、よかったぜ…」

アンジェ「それじゃあ行きましょう」

ドロシー「ああ、そうしよう…運転は任せた」

アンジェ「ええ、任せておいて」

…村へ続く道路…

ドロシー「…うっ、どう座っても痛いな……」

アンジェ「我慢しなさい。歩きじゃなかっただけ良かったでしょう?」

ドロシー「まぁな……でもなぁ、もう少し気づかいがあってくれてもいいんじゃないか?」

アンジェ「これでも気づかっている方よ…でなければ貴女に運転させているわ」

ドロシー「うへぇ…こんな怪我人に運転させるなんて鬼だな」

アンジェ「別に鬼でも悪魔でもないわ。貴女の方がこの車の運転に慣れているからよ…だいたいこの車は、私が運転するには少し重すぎる」

ドロシー「その分馬力があるからな……それに走りも滑らかだろ?」

アンジェ「ええ、ロールス・ロイスの「エンジンフードに硬貨を立ててエンジンをかけても硬貨が倒れない」って言うのを信じたくなるわ」

ドロシー「ああ、そいつは私も試したが本当に倒れなか……おっ!」


…ヘッドライトだけが照らしている暗い夜道が不意に明るくなったのでドロシーが振り向くと、施設があるあたりの森から明るい黄色と桃色の火柱が天高く立ちのぼり、続けて大きな煙の柱が盛り上がった……その数秒後、二人の耳に巨大な遠雷のような鈍い轟音と一瞬の風が吹き抜けた…


ドロシー「ひゅぅ、クライスト(ぶったまげた)…いくら火薬が数トンもあったとはいえ、あんな大爆発が起きるなんてな…!」

アンジェ「爆弾が上手く作動したようでよかったわ……少なくともまずは目標達成ね」

ドロシー「ああ。今のに比べたらガイ・フォークスなんて子供のお遊びみたいなもんだな♪」

(※ガイ・フォークス…1600年代の人。国教会を優遇しカトリックを弾圧していた当時の英王室に反発し、数十個の火薬樽で議会の開会式を行っている最中の国会議事堂を爆破しようとした)

アンジェ「そうね」

ドロシー「だな……って、くそっ…!」

アンジェ「どうしたの、ドロシー?」

ドロシー「あー…どうやら喜んでばかりじゃいられなくなった」

アンジェ「……と言うと?」

ドロシー「あの爆弾で全部の兵器が吹っ飛んでくれたわけじゃないみたいだ…追っ手が来たぞ」…二人の乗る濃緑色のロールス・ロイスを追ってくるヘッドライトの黄色い灯が二台分見える……

アンジェ「なるほど…で、相手は?」

ドロシー「後ろに近づいてきてるが……おいおい、ありゃ装甲自動車だ…!」

…深夜に疾走する怪しげなロールス・ロイスを停車させようと接近してくる四輪のトラック…が、二人の車を追跡してくるのはただの板張りトラックではなく、全面を装甲板で囲い、荷台の円筒状の銃座にはマキシム機関銃を据え付けている装甲自動車だった…

アンジェ「ふぅ…なるほど、確かにそうね」

ドロシー「…参ったな。あいつはウーズレーのトラックをベースにしてるようだが……まさか実用化されてるとは思わなかったな…!」

アンジェ「なるほど…何にせよついてきてもらっては困るわ。どうにかするしかないわね…」

ドロシー「あぁ、そうだな……ま、こうなったらでっかい打ち上げ花火のついでだ。ひとつ「王国の最新兵器」をきりきり舞いさせてやるとしようぜ♪」


291 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/03/13(水) 03:02:57.68 ID:h5fELake0
アンジェ「ドロシー、向こうがこっちを停めさせるにせよ、あるいはハチの巣にするにせよ…そう時間はかからなそうよ?」

ドロシー「分かってるさ……いいから飛ばせ、アンジェ!」

アンジェ「ええ。 …くっ、私じゃあこれ以上速くは走らせられないわ」ヘッドライトに浮かび上がったカーブをスライドさせてクリアするが、小柄なアンジェには大型ロールス・ロイスを高速で振り回すのは少し厳しい……唇をかみしめてハンドルを押さえ込む…

ドロシー「よーし…なら私がどうにかしてやるさ」車の荷物をがさごそと漁ると、手に乗る程度の巾着袋を取り出した…

アンジェ「それは?」

ドロシー「石壁用の釘さ。道路上にばら撒いてタイヤをパンクさせるシロモノなんだが…あのウーズレーは重そうだし、車高も高いからな……一度ふらついたら面白いことになるぜ?」

アンジェ「それでちゃんと止められるのね?」

ドロシー「ああ、太陽が東から昇るくらい確実にな……アンジェ、そのまま真っ直ぐ走らせろ!」

アンジェ「…信じたわよ」

ドロシー「任せろって…そら!」

…袋の口を開けると道路上に釘をぶちまけたドロシー……と、二人の車に迫っていた一台目の装甲自動車が釘を踏みつけ、タイヤがバーストすると同時に激しくノーズを振り、そのまま真横を向くと派手に横転した……

ドロシー「ひゅぅ…な、だから言っただろ?」

アンジェ「なるほど……で、二台目はどうするの?」

…先導する一台目が派手にひっくり返ったのを路肩にはみ出してかろうじて避け、再び道路に乗って追ってくる二台目のウーズレー…なかなか手こずらせる二人を相手に、どうやら無傷で捕まえる気が無くなったらしく、マキシム機銃を斉射しながら追ってくる……

ドロシー「ちっ、まとめて引っかかってくれたら良かったんだが……そうはいかないか!」身体をひねって身を乗り出すと、後ろに向けて立て続けにライフルを撃ちこむ…

アンジェ「…装甲自動車に向かってライフルを撃ちこんでどうするつもり?」

ドロシー「車体じゃない、やっこさんのタイヤを狙ってるんだ……アンジェ、車を振らないでくれ!」バンッ、バァ…ンッ!

アンジェ「ええ、そうするわ」

ドロシー「ああ、助かるよ……えぇい、くそっ…弾切れだ!」役に立たなくなったライフルを座席に放り込み、舌打ちする…

アンジェ「それはいただけないわね…」

ドロシー「まったく同感…おい、村まではあと数マイルって所か?」

アンジェ「ええ」

ドロシー「ならとっととケリをつけないとな……そうだ、アンジェ!」

アンジェ「なに?」

ドロシー「すっかり忘れてたが、爆弾の予備があったろ!」

アンジェ「…そうだったわね。爆弾なら信管と一緒に後部座席の下に置いてあるわ」

ドロシー「よーし、なら怖いものなしだ…♪」どうにか後部座席に身体を移すと、シートの下に屈みこんだ…

アンジェ「見つかった?」

ドロシー「ちょいまち……あったぞ!」

アンジェ「投げる間合いは?」

ドロシー「時限装置はぎりぎり数秒にセットするから、奴を真横に寄せて屋根のない銃座の上から放り込む……いいか!」

アンジェ「分かったわ…それじゃあ行くわよ!」…ギアを落しつつ目一杯ブレーキを踏みこむ…一気に減速して装甲自動車と並ぶと、ハンドルを切ってウーズレーに寄せた……あまりにも近づいたのでサイドのミラーが接触して吹っ飛び、機銃手は慌てて銃架を振り向けようとするが、その前にドロシーは後部座席に立ち上がった…

ドロシー「そのまま…そのまま……よし、投げた!」

アンジェ「ドロシー、つかまって!」ギアを上げるとアクセルを踏み込み、一気に装甲自動車を引き離すアンジェ…ドロシーが後部座席に転がりこむのと同時に爆弾が炸裂し、ウーズレーは轟音とともにばらばらになった…

ドロシー「う゛っ…!」

アンジェ「…大丈夫、ドロシー?」

ドロシー「ああ…だがもう二度とこんな曲芸はやらないからな!」

アンジェ「一千ポンドでも?」

ドロシー「…こんな目に遭うって分かってたらその十倍はふっかけただろうな……あいてて…」腰の打ち身が座席に触れ、顔をしかめるドロシー…

アンジェ「とにかく宿に戻ったら薬でも塗ってあげるわよ…それまで我慢しなさい」

ドロシー「そりゃどうも……まったく、こんな冷血女を嫁さんにもらおうなんて、プリンセスもよっぽど物好き……」

アンジェ「…何か言った?」

ドロシー「うんにゃ、何も……とにかく痛み止めにたっぷりのブランデーと、それから柔らかくて暖かいベッド…今欲しいのはそれだけさ」
292 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/03/15(金) 12:26:00.26 ID:uTi1xhWB0
…夜明け前…

アンジェ「…さぁ、着いたわよ」


…活動用の服は脱ぎ(車に残しておいた)行くときに着ていた普通の服に着替えている二人……最後の百ヤードほどは車の音を聞きつけられないようエンジンを切って惰性で走らせ、妙な時間に戻ってきたことで村人の疑念を抱かせないようにしている……組み立て式ライフルや余った工作用の資材などは途中で川の深みに放り込み、残った活動用の服も宿の部屋で暖炉にくべて焼き捨て、残りの旅には怪しいものを何も持って行かないつもりでいる…


ドロシー「あぁ…それじゃあ静かに部屋に戻ろ……」

宿の娘「…ふわぁ…ぁ……眠いなぁ……」

ドロシー「…隠れろ、アンジェ」

アンジェ「ええ」

娘「…もう、まだ一番鶏も鳴いてないのに……せめてもうちょっとでいいから寝ていたいなぁ……」

ドロシー「宿屋の娘だな…暖炉の火起こしに朝食の準備って所か……早起きないい子だが……」

アンジェ「…こちらにとっては都合が悪い……気づかれないように部屋に入るしかなさそうよ」

ドロシー「ああ、あの子が厨房に入るのを待とう」

娘「…ぶるるっ…さむっ、とにかく早く暖炉の火をおこさなきゃ……あれ?」霧がかって冷え込む朝の空気にぶるっと身震いをして、それから持ち出した敷物のほこりをはたいた…と、そこで二人のロールス・ロイスが戻っていることに気が付いた…

娘「…あれ、この車ってあの女の人の……でも野鳥観察に出かけるから朝方までは戻らないって言ってたはずなのに…」不思議に思って車に近寄ってくる娘…二人が身を潜めている建物の角からは、もう数ヤードもない…

アンジェ「…どうやら別の案が必要になったようね、ドロシー」

ドロシー「ああ、仕方ない…アンジェ、しばらく我慢しろよ?」小声でささやくとぎゅっとアンジェを抱きしめて壁に押し付け、それから熱っぽい口づけを始めた…

アンジェ「んむっ、あむっ……はぁ、はむ……っ、ちゅっ♪」

ドロシー「んちゅっ、ちゅぅぅっ……んふっ、ちゅるっ♪」

娘「…こんな朝早くにお戻りだなんて何かあったのか…な……///」

ドロシー「んちゅるっ、ちゅぱ……ちゅぅぅっ♪」

アンジェ「ふぁぁ…はふっ、あふっ……もっと……ぉ///」

ドロシー「しーっ、気付かれたら困るんだから静かに…んちゅっ♪」

アンジェ「んんぅ…はむっ、れろっ……ちゅぷっ♪」

娘「…うわっ……///」(人気がないからって女の人同士…しかもこんなところで………ロンドンだったら当たり前なのかな///)

ドロシー「……誰?」

娘「!」慌てて息を殺し、壁の陰に身をひそめた…が、目を輝かせて食い入るように見入っている……

ドロシー「…気のせいかな?」

アンジェ「ねぇ、早くぅ……むちゅっ、れろっ…///」

ドロシー「分かったわかった…それじゃあ続きは部屋でしようか……♪」

娘「…っ///」音を立てないように足音を忍ばせて屋内に駆け戻る…

アンジェ「…んちゅっ、ぷは……行った?」

ドロシー「ああ……上手なお芝居だったぜ、一瞬本気なのかと思ったよ♪」

アンジェ「…冗談は止して」

ドロシー「はは、そうむくれるな……これであの娘の口止めは済んだな」

アンジェ「ええ、あの娘がこんなことを誰かに言えるとは思えないわ」

ドロシー「…まったく、私たちも罪作りなもんだ……きっとあの娘は今の光景を思い出しちゃベッドで悶々とすることだろうからな♪ …さ、部屋に戻ろう」

アンジェ「ええ」
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/17(日) 09:23:31.48 ID:Axi76Tb1O
ノル公に捕まったらチェンジリング作戦終了だから尋問ネタ難しい
プリンセス誘拐計画が判明、アンジェが代わりに誘拐されてそれを白鳩が尾行する任務のはずがロスト、アンジェはならず者に王室雇われの影武者と勘違いされ国家機密について尋問(百合らんぼう)されるみたいな
ところで映画はいつになるんでしょうね〜アンジェの代役問題が原因なら関根さん二役でいいような...
294 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/03/18(月) 01:45:00.20 ID:LWgXHgoU0
>>293 まずはコメントをありがとうございます…色々な案まで考えていただき嬉しく思います


…個人的にはノルマンディ公の部下につかまってしまうと(おっしゃる通り)身元が割られてしまいスパイとして使えなくなってしまうので、そこはノルマンディ公以外の防諜組織に捕えられるも防諜・諜報関係の組織にありそうなライバル意識や何かで(実際の防諜組織も縦割り行政で連携が悪いことが多いそうですが…)伝わらず、移送や情報の請求が行われる前に「白鳩」が助けにくる……ようなのを考えております


……ちなみに他に考えている(いた)のは「敵の敵は味方ということでアイルランドの独立派やフランスの密輸業者に接触するも『アルビオンの人間は信用できねぇ』…ということで捕まる」とか「逮捕されてどこかに連れて行かれるも、それはコントロールがしかけた『忠誠度テスト』で、王国防諜部に見えたのも全てコントロールのエージェントだった」などですね



…映画は……どうなんでしょう。正直スクリーンよりも純粋に二期の方がいいような…もし代わりの方が決まったら、ドロシーに「アンジェ、最近声変わったよな?」というメタな台詞を言わせたいですね…(笑)



295 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/03/19(火) 01:51:08.62 ID:C7higvN70
…宿の部屋…

ドロシー「やれやれ、朝早くで良かったな。あの娘以外は誰も起きてないらしい……悪いが「マントと短剣」式の工作で疲れたし、ひと眠りさせてもらうぜ?」(※マントと短剣…典型的スパイ活動の比喩で、とくに活劇的のような場合のことを指す)

アンジェ「ええ……脱げる?」

ドロシー「どうにか。肌着が擦れるたびにズキッと来るがね…」

アンジェ「でも、その程度で済んで良かったわね」

ドロシー「やれやれ、気楽に言ってくれるぜ……しびれるような痛みこそ収まってきたが、今度はうずいて仕方ないよ…」服を脱いでスーツケースにしまうと「ぼふっ…」と音を立てあお向けでベッドに寝転んだが、たちまち痛みが襲ってきて、あわてて寝返りを打ってうつ伏せになった…

アンジェ「…大丈夫?」

ドロシー「そりゃ多少は痛むが…あ、そこにあるブランデーを取ってくれ」

アンジェ「これ?」

ドロシー「ああ……痛み止め代わりにな。それに昨晩は小川を這いずったりしたせいで凍えたし…」とくとくっ…とグラスに注ぎ、寝そべったままぐっとあおった…

アンジェ「…あまり飲みすぎないようにね」

ドロシー「ああ、そのくらい分かって……い゛っ…!」身体をねじって視線を向けようとした瞬間、またズキリときて顔をしかめた…

アンジェ「全く…いま薬を塗ってあげるわ」白いコルセット姿のままスーツケースから薬の容器を取り出すと、ベッドまでやってきた……

ドロシー「悪いな…しかし付きっきりでマッサージしてもらえるとはね……きっとプリンセスだってしてもらったことはないだろうからな♪」

アンジェ「…」表情を変えずに、きつくドロシーの背中をつねる…

ドロシー「痛っ、そう怒るなよ…軽い冗談だって♪」

アンジェ「口の軽さは命取りよ……で、腰に塗ればいいのね?」

ドロシー「ああ、腰のくびれのすぐ左上って所だ…どうなってる?」

アンジェ「大きなアザになっているわ…待っていなさい、痛み止めを塗ってあげるから……」とろりとした軟膏を背中に垂らすと、痛くならないようにそっと塗り広げる…

ドロシー「うわ…ずいぶん冷たいな」

アンジェ「そうかもしれないわね……どう?」

ドロシー「まだ分からないが、少なくとも悪い気分じゃないね」

アンジェ「ならいいわ」…軟膏をアザのある場所に塗りながら、ついでにこわばった筋肉も軽くマッサージしてあげるアンジェ…

ドロシー「ま、そうやって軽く撫でてもらうだけだってずいぶん違うもんだし……おかげで少し痛みが引いてきた」

アンジェ「そう、結構ね…」

ドロシー「ああ……んっ///」

アンジェ「…ドロシー?」

ドロシー「悪い…ちょっとこそばゆくて変な声が出たが……気にしないで続けてくれ///」

アンジェ「そう……続けていいのね?」

ドロシー「もちろん構わな……んぁっ///」

アンジェ「…」

ドロシー「んぅ…はぁ、んぅぅ♪」

アンジェ「……ねぇ」

ドロシー「な、何だよ……別に気にするなって///」

アンジェ「ふぅ…あのね、そんな艶っぽい声を出されたら気にもなるでしょうが……いったいどうしたの?」

ドロシー「いや、それがさ……昨夜の件で血がたぎったのか、何だか身体が火照って仕方ないんだ…///」

アンジェ「はぁ…まったく人が薬を塗ってあげているって言うのに……」

ドロシー「いや、だから気にしないで薬を塗っちまって……っ!?」

アンジェ「んっ、ちゅぅっ…♪」

ドロシー「ふむぅ……んぅっ!?」

アンジェ「…そんな声をずっと聞かされたら私だってたまらないわ……付き合ってあげるわよ」
296 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/03/22(金) 10:54:07.24 ID:JE+8CbTO0
ドロシー「はむっ、んむっ……ちゅぅ…」

アンジェ「んちゅぅ……ちゅぱ、れろっ…」

ドロシー「ぷはぁ……っ///」

アンジェ「どう?」

ドロシー「……たまらないね♪」

アンジェ「…ならこれはどうかしら……あむっ、はむっ…♪」

ドロシー「んっ、くぅぅ…っ♪」

アンジェ「不摂生な暮らし方をしている割には綺麗な身体をしているわね…ちゅっ、ちゅ…ぅ♪」

ドロシー「あ、はぁぁ…っ……なにせ商売道具だからな、そりゃ多少は気もつか…あ…あっ♪」

アンジェ「ん、あむっ……れろっ…」うつ伏せのドロシーにまたがり、身体をぴたりとくっつけるとうなじから下に向かって肌を吸い、ねっとりと舌を這わせた……窓の外でかすかに白み始めた明け空が調度品のシルエットを次第にはっきりさせ始め、同時にドロシーの艶やかな肌が白っぽいミルク色に浮かび上がっている…

ドロシー「あぁぁ…んぅ///」

アンジェ「…ドロシー」

ドロシー「ふぁぁ……何だ……?」

アンジェ「……ちゅぅっ♪」身体を伸ばしてドロシーにくちづけするアンジェ……濃いブランデーの芳香と、ドロシーの甘く刺激的な香りが鼻をくすぐり、絡めた舌に風味豊かなブランデーの味が広がった…

ドロシー「んっ、んぅっ……あむっ、ちゅぷっ…ちゅる……んちゅっ♪」

アンジェ「……はぁっ」

ドロシー「ぷはっ……アンジェ」

アンジェ「何?」

ドロシー「優しいキスだな…気持ち良かったよ……」

アンジェ「……そういう口説き文句は大事な時のために取っておきなさい///」

ドロシー「なに、そう照れるな…それに私の口説き文句の辞書は大した量だからな、一つふたつくらい使ったって困りゃしないさ」

アンジェ「…結構なことね」

ドロシー「ああ……ところで続きはまだかな?」

アンジェ「ふっ…まったく、雰囲気も何もあったものじゃないわね」

ドロシー「悪いな、何しろ俗物なもんでね…♪」にやにや笑いを浮かべて派手なウィンクを投げた…

アンジェ「…でしょうね」れろぉ…♪

ドロシー「んんっ、んぁっ……あふっ♪」アンジェのしっとりした唇と舌が滑らかなドロシーのもち肌を舐めあげ、細いが意外と長くて力のある指がとろりと濡れた秘所にぬるりと這入ってくる…

アンジェ「…はぁ、あぁ…ん///」右手をドロシーのために使い、左手は自分の膣内に滑り込ませた…

ドロシー「あっ、あぁぁ…気持ち良くてとろけそうだ……んぁぁぁっ♪」くちゅくちゅっ…にちゅっ♪

アンジェ「…ええ」ぢゅぷ…っ、くちゅっ♪

ドロシー「んはぁぁ、あっ…あぁぁぁっ♪」

アンジェ「私も…そろそろ……///」ドロシーの太ももにまたがったまま秘部を擦りつけ、荒い息づかいをしている…

ドロシー「ああ……んくぅ、あ゛っ…ん゛ぅぅっ…♪」

アンジェ「はぁぁ…んっ、くぅぅ……♪」

ドロシー「いっ……くぅっ♪」じゅぷっ、ぷしゃぁ…っ♪

アンジェ「はぁ…はぁっ……んぁぁぁぁっ♪」ぬちゅっ、とろ……っ♪
297 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/03/25(月) 02:19:34.17 ID:T54gQ+3x0
…しばらくして…

ドロシー「……ふふ、いい具合にとろけてるじゃないか…お前さんはいつもおっかない顔ばかりしてるからな、そういう表情は新鮮でいい」

アンジェ「はぁ、あ…はぁ……私は…身体が小さいから…ふぅ……あなたに合わせると…疲れるのよ……」

ドロシー「ま、その分テクニックは私より上だからいいじゃないか……まさか三回もイかされるとは思わなかったぜ♪」

アンジェ「ふぅぅ……私だって、怪我をしているくせにあなたがこんな激しくしてくるとは思ってなかったわ」

ドロシー「はは、悪かったよ♪ …さて、朝飯の時間まではしばらくあるし少し寝よう。それから風呂を沸かしてもらって、さっぱりしたら朝食が待ってる……って言うのはどうだ?」

アンジェ「…いいわね」

ドロシー「それじゃあ…ほら」

…裸で羽根布団にもぐりこむと端を持ち上げたドロシー…アンジェもコルセットを脱ぐと横にもぐりこみ、ドロシーが背中に腕を回して抱き寄せてきても逆らわなかった……

………



…朝食時…

ドロシー「……ん、んーっ♪」

アンジェ「おはよう…よく眠れたようね」

ドロシー「ああ、おかげさまでな。本当ならもっと寝ていたかったけど……空腹で目が覚めたよ」

アンジェ「朝食はここに運ばせる?」

ドロシー「いや、食堂に行こう…なにせ「付き合いが悪く顔を合わせようとしない人」と言ったら?」

アンジェ「エージェント」

ドロシー「…じゃあ気さくにおしゃべりなんてするのは?」

アンジェ「一般人」

ドロシー「だったら朝食は…」

アンジェ「食堂で決まり……だけど、腰のアザが椅子に触れるたびにうめいていたら宿の人に怪しまれるわよ?」

ドロシー「まぁ、そこはどうにか我慢するさ…それに薬を塗ってくれたおかげで、痛みも少しおさまってきたからな」

アンジェ「ならいいわ……どうやらあの娘が起こしに来たようね」

ドロシー「だな…足音がするぜ♪」

宿屋の娘「……おはようございます、奥様。お目覚めでしょうか?」おそるおそる部屋に入って来た宿屋の娘……

ドロシー「モーニン(おはよう)…ええ、起きているわ♪」ドロシーは胸を隠すように布団を引っ張り上げ、身体を起こした…横ではアンジェが髪を拡げ、甘えるような仕草でドロシーにしなだれかかっている……

娘「あ、はい…それで、朝食はいかがいたしましょうか……お部屋まで運びましょうか///」

ドロシー「いいえ、食堂に食べに行きますから…それとお風呂の支度をお願い」

娘「お、お風呂…ですね///」

ドロシー「…ええ、そうよ♪」

娘「わ、分かりました…」

ドロシー「それじゃあお願いね……あ、ちょっとこっちに来てくれる?」

娘「は、はひっ///」顔を真っ赤にしておずおずとやって来る…

ドロシー「…どうぞ、取っておいて♪」妙に優しい手つきで娘の手を両手で包むようにしてシリング銀貨を手渡し、ねっとりとした色っぽい目つきでじっと見た…

娘「あ、ありがとうございます…っ///」

ドロシー「それではお願いね」

娘「は、はいっ…///」

アンジェ「……飛び出すようにして出て行ったわね」

ドロシー「ああ…これで他のことはすっかり記憶から吹っ飛んだだろう♪」

298 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/03/25(月) 03:25:15.48 ID:T54gQ+3x0
…朝食時・宿の食堂…

主人「ご令嬢がた、ゆうべは良くお休みになれましたでしょうか?」

ドロシー「ええ、おかげ様で…綺麗な空気のおかげで、彼女の身体も少し調子がいいし♪」朝から風呂に入ってあちこちねとついていた身体をさっぱりした二人は、すっきりしたデイドレスに着替えて朝食の席についている…

主人「それは何よりでございます……なにせロンドンの空気は「やくざなカラクリ」の出す煤煙ですっかり汚れておりますし、身体に良いわけがございませんよ」

ドロシー「まったくもってね…おかげでこちらに来てからは食事も美味しいよ。少々はしたないけれど…」

主人「いえいえ、朝から食事が進むなんていうのは結構な事でございますよ…メアリや、お客様の食事はまだかい?」

娘「今持って行きます…!」

ドロシー「おー…昨夜の夕食も豪勢だったけれど、朝も美味しそうだ。 …さっそくいただくとしよう♪」

…二人の目の前に置かれた朝食は、こんがりと焼いた山形食パンの厚切りに濃厚な自家製バター、厚みが2インチはありそうで、まだぷちぷちと油が跳ねている焼きたてのハムステーキに、新鮮な卵を使った半熟卵、洋ナシのスライス……それと陶器の水差しに入っている搾りたてのミルクと紅茶のティーポット…

ドロシー「んむっ、これはいい……さ、遠慮しないでお食べ♪」

アンジェ「は、はい…///」

主人「さようでございます、お身体のためにもたくさん召し上がってくださいまし」

ドロシー「そうそう、いっぱい食べて私を喜ばせてね♪」

アンジェ「///」


…そういってドロシーとアンジェがやり取りをしていると、不意にエンジンの音が聞こえてきた……二人が演技を続けながら食事をしていると、公用の黒いロールス・ロイスが宿の前に停まり、中から背広姿の男が二人降りてきた…


主人「おや…お役人だなんて、一体なんでございましょうね……」不安そうに玄関に向かった…

ドロシー「……こんなのどかな村に役人だなんて、一体何だろうね?」

アンジェ「そうですね…」内心では正体を割られたかと身構えつつも、そのまま芝居を続ける……場合によっては役人を斬り伏せることが出来るよう、ハムを切り分けているそぶりをしながらテーブルナイフを持っている…

ドロシー「ね…この辺りはノッティンガムシャーだし、ロビン・フッドでも出たのかな?」ふざけ半分に言いながら椅子を軽く引いて、飛び出せる体勢を作った…

主人「…どうぞ、こちらでございます……」平和な田舎に住んでいるだけに、何もしていないうちからすっかり不安げな宿屋の主人…

背広男(がっしり)「やぁ、案内どうも…お客さんは全員ここにいるかい?」一見すると愉快そうながっしりタイプの男は、口でこそ笑みを浮かべているが視線は鋭い…

主人「はい、さようでございます…何しろ朝食の時間でしたので……」

背広男(細め)「…余計なことはいい」…もう一人の冷たい態度の男は黒い背広にソフト帽で、感情のない灰色の目をしている

背広(がっしり)「まぁまぁ、そう突き放すような事をいうなよ……おやじさん、後でおれたちにもその美味そうな朝食を頼むよ。ハラペコなんだ」

主人「はい、それはもう…」

背広(細め)「そういうのは後にしろ……表のロールス・ロイスは誰のだ。君のか?」食堂の隅で食事をとっていた地味な男に声をかけた…

地味な男「いえ…私は旅のセールスマンで、鉄道と乗り合い馬車を乗り継いで来たんです」

背広(がっしり)「ふぅん、そうかい…おやじさん、本当かね?」

主人「ええ、それはもう……それで、あの…」

背広(がっしり)「うん?」

主人「表の車でしたら、こちらのご令嬢方のお車でございますです…」しどろもどろで敬語までおかしな具合になっている主人…

背広(がっしり)「おやおや、わざわざ教えてくれてすまんね……朝食中に失礼します、お嬢さま方♪」ドロシーたちの方にのっしのっしと歩いてくると、帽子を持ち上げて軽く一礼した…大きな身体には多少きつそうな仕立ての悪い背広のせいで、内側に忍ばせているウェブリー・スコットのシルエットが浮かび上がっている……

ドロシー「構いませんとも…もし良かったらここにお掛けなさいな?」

背広(細め)「いえ、結構……表の車はお二人のですね」

ドロシー「ええ、そうですが…何か?」
299 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/03/27(水) 03:06:11.24 ID:fK7UlOMJ0
背広(細め)「そうですか」ドロシーの答えを聞くと、厳しかった態度がふっと弛んだように見えた…

背広(がっしり)「…お嬢さま方は旅行ですか?」

ドロシー「ええ、そうです……私はロンドンの社交界に疲れちゃったので、身体が弱い彼女の療養もかねて自動車旅行をね♪」

背広(がっしり)「そりゃあいい、空気も新鮮ですからね…で、これからのご予定は?」

ドロシー「ええ…これからドンカスターを経由してヨークシャーまで足を延ばして数日泊まり、それから帰りは道を変えてリーズ、シェフィールド、バーミンガムを通ってロンドンへ戻るつもりです」

背広(がっしり)「なるほど、それは楽しそうですね」

ドロシー「ええ♪」


…ドロシーとアンジェは「7」とも相談して「共和国のエージェントなら、施設を破壊した後は取るものもとりあえずロンドンや港町のカンタベリーへ行き、慌てて壁の向こうへ脱出を図るはず」…と王国防諜部が考えるとにらみ、あえてその逆を突いてアルビオン中北部をのんびりと巡る予定を立てていた…


背広(細め)「……どうもこの二人は違うようだが…どうだ…?」

背広(がっしり)「……ああ。緊急電は「黒のロールス・ロイス」だがこの二人のは濃緑色…乗っているのも「細身の男二人」って事だったが、見ての通り派手に遊んでそうな貴族の若い女に、もう片方はさして年端もいかない少女だ……結びつかないね…」ドロシーたちに聞こえないように身体を近づけて、ひそひそと話す背広の二人…

背広(細め)「…ならここはもういいか……?」

背広(がっしり)「…そうだな……早く次に行こう…」


ドロシー「…」(……あの施設を大空のかなたまで吹き飛ばしてやったのが真夜中より一時間ばかり前…指揮官があの爆発に巻き込まれずにいたとして、混乱を収めて政府機関に連絡するまでざっと二時間……報告を受けた防諜部がロンドンから故障なしで車をぶっ飛ばしてきたら……まぁ、だいたいは計算が合うか…)


背広(がっしり)「…いや、朝食中に驚かせてすみませんでしたね……もう結構ですよ」

ドロシー「それは何よりですわ♪」

背広(細め)「ご協力に感謝します……行くぞ」

背広(がっしり)「おいおい、そんな急がなくたって…せめて何か食っていこうじゃないか。おれはもう空腹で動けないよ!」

背広(細め)「馬鹿言うな…それでは失敬」

ドロシー「ええ」

主人「あの…もう大丈夫ですので……?」

背広(がっしり)「ああ、大丈夫だよ…ところで、よかったらあの美味そうなハムを厚切りにして、玉ねぎか何かと一緒にサンドウィッチにしてくれないか?」

主人「あ…はい、ただいま!」

背広(細め)「…おい、何やってる!」

背広(がっしり)「何って…朝飯の算段だよ♪」

背広(細め)「まったく、お前って奴はいつも口を動かしていないと駄目なのか?」

背広(がっしり)「そう言うなよ…おれみたいな巨漢は腹が減るんだ♪」…大食いで愉快でどんくさい男の演技を続けながら、さりげなく宿の食堂をもう一度見回すがっしり男……

主人「…お待ちどうさまでございます!」

背広(がっしり)「いやいや、速かったじゃないか。あんまり遅いと相棒がガミガミ言うから助かるよ……ほら、お代だ♪」

主人「はい、ありがとうございます」

背広(細め)「…ほら、行くぞ!」

背広(がっしり)「はいよ、待たせたな…」表に停めていた公用車に乗り込むと、あっという間に走っていった…

ドロシー「…何だったんだろうねぇ?」

アンジェ「そうですね、旅路が心配です……」

ドロシー「まぁ心配はいらないよ、私がいるんだから…ね♪」プレイガールが「可愛がっている」女の子にするように、妙に馴れ馴れしく手を重ねた…

アンジェ「…は、はい///」

ドロシー「ふふっ……ロンドンに戻ったら一千ポンドが待ってるぜ…?」何か恥ずかしい事でもささやくようなふりをして、耳元に口元を寄せた…

アンジェ「……報告書もね…」恥ずかしいかのように顔をうつむかせながらまぜ返した…

ドロシー「ふふ♪」

………


300 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/03/29(金) 02:24:23.62 ID:IQX79Epy0
…一週間後・ロンドン…

ドロシー「うーん、相変わらずのくすんだ灰色の空に煙たい空気……これこそ「我がなつかしのロンドン」ってやつだな♪」

アンジェ「元気な事ね……戻ったわよ」

プリンセス「…お帰りなさい、アンジェ♪」

アンジェ「ええ、ただいま」

ベアトリス「…どうでした? 上手く行きましたか?」

ドロシー「もちろん。まぁ少しばかりひやりとした場面もあったが……そっちは何もなかったか?」

ベアトリス「ええ、言われた通り静かにしていました」

ドロシー「よーし、いい子だ♪」犬でも可愛がるようにベアトリスの頭を撫でるドロシー…

ベアトリス「も、もうっ…!」

アンジェ「……とりあえずみんなには留守中あったことを聞きたいわ…しばらくしたら部室で集まりましょう」

ちせ「うむ……何はともあれ二人が無事で何よりじゃ。ついでに着替えて茶でも一服したらどうじゃろうか?」

ドロシー「そうだな、そうさせてもらおう……ベアトリス、お茶の準備を頼むよ♪」

ベアトリス「分かってます」

プリンセス「アンジェ、貴女も長旅で疲れたでしょう…今日はゆっくり休んでね?」

アンジェ「ええ、ありがとう」

プリンセス「……えっちはまた明日にしましょうね♪」

アンジェ「…も、もう……っ///」

…部室…

ドロシー「……というわけで、無事に施設は吹き飛んだ…というわけさ♪」機密事項は適当に省き、おおよそのあらましを話したドロシーとアンジェ……かたわらにはキャンディ茶葉を淹れた紅茶のティーカップときゅうりのサンドウィッチ、それにスコーンが置いてある…

ベアトリス「それで、怪我の方は大丈夫なんですか…?」

ドロシー「ああ…おかげ様で、もう跡も残っちゃいないよ」

ベアトリス「良かったです…」

ドロシー「はは、何せ私は丈夫に出来ているからな♪」

アンジェ「……とりあえず留守中にあった事はだいたい掴めたわ。みんな、お疲れさま」

プリンセス「アンジェとドロシーさんこそ…ゆっくり疲れを癒してね?」

………

…数日後・ロンドン市内の動物園…

7「…今回の件はご苦労さま。新聞記事にはならなかったけれど、こちらの情報網が成果を確認したわ。それにしても…マキシム機関銃を量産していた?」

ドロシー「ああ…それにさっきも言ったが、ウーズレー貨物自動車に装甲板を貼りつけて旋回銃座を搭載した「装甲自動車」もテストしていたようだぜ」

7「そう…何はともあれ、この作戦が成功したおかげで王国の機関銃生産は半年は遅れるわ……その間にこちらも機関銃の配備を急ぐことになるでしょう」

ドロシー「結構なことで…ところで、約束のモノは?」

7「それならきわめて合法的なルートで、貴女が指定した銀行に振り込んであるわ……確認書類よ」アフリカからやって来たばかりのキリンを見ようとする人の群れに混じり、パラソルを差してゆったりと歩き去った…

ドロシー「そりゃどうも…って、あの古狸め……いっぱい食わせやがった…!」銀行の確認書類を見て、思わずあきれたような声を上げた…

………

…在ロンドン・アルビオン共和国大使館の一室…

L「連絡役、ご苦労だった」

7「いいえ…おかげで珍しいキリンも見物できました。それにしても「D」は今ごろ地団駄を踏んでいることでしょうね?」

L「ふむ……私は嘘はついていないし、額をごまかしてもいないが…単にこちらが崩壊したら紙切れになってしまう「共和国ポンド」の紙幣で一千ポンド分を用立てただけだ。彼女は純金で寄こせとは言わなかったし、どこのポンドで払うかも指定しなかったからな」

7「それはそうですが、彼女が寄せる我々への信頼を低下させることにはなりませんか?」

L「ふ…彼女はもとよりはこちらを「信用」などしておらんし、そもそも「組織の元締めだから」と頭から信用するようでは一流のエージェントにはなれまい……それに「一千ポンド寄こせ」と言う時点で、機会があればこちらと縁を切りたいと考えている証拠だ…だからこそ共和国が存続しなければ一文にもならない「共和国ポンド」で払ったのだ。これで「A」も「D」もこちらに残るだろう」

7「…しかし、これで幻滅した「D」が多額の報酬をちらつかされ転向する可能性はありませんか?」

L「あり得んな。彼女はそんなに愚かではない……これはな、ある意味で私と彼女たちの知恵比べでもあるのだ」少しだけニヤリとしてみせた…
301 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/01(月) 02:27:42.64 ID:IZ6zbuaA0
…どうもお待たせしています。次のストーリーは多少考えてあります……が、カップリングはアンジェと誰がいいでしょうか? また数日開いてしまいますので、よかったら好きなカップリングを書き込んで下さい…


……また「見たい」という意見が多いようなので、今回はアンジェがピンチに追い込まれ尋問を受けたり受けなかったりします(…が、実際にエージェントとして身元を割られることがないよう、上手く話を持って行くようにします)…ちょっと苦痛などの表現があるかも知れません


302 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/04/01(月) 07:51:43.18 ID:bs4GA6SMO
やっぱりプリンセスかな
303 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/04/09(火) 10:48:08.83 ID:M9rLO2DT0
…case・プリンセス×アンジェ「The travel guide of London for spies」(スパイのためのロンドン旅行ガイド)…

…ロンドン・官公庁街の一室…

ノルマンディ公「……以上のように、ここ一年ほどのあいだで共和国スパイの活動が非常に活発化してきている。今度は陸軍の施設が破壊され、またしても工作員は逮捕することができなかった」

外務省情報部長「ふむ…ノルマンディ公、そのていたらくではそちらの組織が何のためにあるのか分かりませんね?」

海軍省情報部長「日頃自慢しておられるエージェントたちでも捕まられないとなると……いやはや、困ったものですなぁ」

ノルマンディ公「…お言葉を返すようだが、今回の件では連絡が陸軍省情報部にしか伝わっていなかった。我々がその情報を聞いたのは二日も経ってからだ……ハートレイ准将、なぜ二日も情報を留めておいたのかお聞きしたい」…冷たくさげすむような目で恰幅のいい陸軍省の代表を見た

陸軍省情報部長「それは……今度の破壊工作が我が方の秘密施設に対するものだったからだ。どこに共和国のスパイが潜んでいるか分からんのだから、大声でふれ回るわけにはいかんだろう!」

ノルマンディ公「ふむ…破壊工作が実行されている時点で機密が守られていないことは明白だ。今さら情報漏洩の心配など無用だろう」

陸軍省情報部長「いや、そうは思わん。施設の被害や再建までの日数を推測させないための情報統制だ」

ノルマンディ公「無駄なことだな…そんなものは建築工事に雇われる作業員や用意される建材の量から容易に推測できる。もっと詳しく知りたいと言うのならパブで大工たちにビールの二、三杯も飲ませれば、どこでどんな工事を請け負ったかも教えてくれるだろう」

陸軍省情報部長「ぐっ…」

ノルマンディ公「皆さんがスパイごっこに興じるのは結構だが……少なくとも今後は、各省庁ともに敵諜報員の情報は迅速かつ正確にこちらへと伝達してもらいたい。私からは以上だ」


…しばらくして・外務省…

外務省情報部長「…ノルマンディ公め。少し実績があるからと言って我々の事を素人(アマチュア)呼ばわりか……ミス・コート、防諜課長を呼んでくれたまえ」

秘書「はい」

防諜課長「……お呼びですか、サー・アルフレッド?」

情報部長「ああ、呼んだとも…いま君からの報告書を読んでいたのだが、どうもな……うちの防諜課は対外情報課に比べて顕著な成績を残していないように見えるのだがね」パイプに火を付け、紫煙をくゆらせている…

防諜課長「…と、おっしゃいますと?」…情報部長がやたらパイプをふかすのは機嫌が悪い時の癖だと知っているので、少し身構えた……

情報部長「いや、別に君を責めるつもりはないが……われわれ「外務省情報部」と言えば諜報・防諜に関しては他の省庁も一目置いている存在だ。職員は選り抜きの人員で構成されたエリートたちで、オックスフォードかケンブリッジを卒業した者以外は見かけないほどだからね……」

防諜課長「……ええ」

情報部長「…それがどうだ。数カ月前にはエンバンクメント(運河沿い)で要注意人物のブラックリストを奪取されたが、結局実行犯は闇の中…他にもいくつかの機密情報がこちらから盗み出されたようだが、これも手がかりはなし……どうなのだね?」

防諜課長「それはそうですが、何かこちらが動くたびにノルマンディ公配下の連中があれこれと口出しをしてきまして…」

情報部長「ふむ…そうだとしても、何か実績を残してもらいたいな。このままだと外務省情報部の沽券に関わる……それに、君だってアフリカの片隅にあるような植民地の現地事務所に飛ばされたくはないだろう?」

防諜課長「ええ」

情報部長「どうだね……こう、何か「これは」と思うような情報で、まだ防諜部の連中がつかんでいないものはないのかね?」

防諜課長「は……それが、実は一つだけ有望そうな案件を抱えておりまして…」

情報部長「ほほう…では期待しているよ?」

防諜課長「ええ、お任せを……」

304 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/04/09(火) 19:41:42.50 ID:9uUmDos7O
外務省ならアンジェさん割としっかり尋問されそうですね...
19世紀末の尋問ってなんだろう、水責めとか?
305 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/11(木) 00:40:08.78 ID:DXgjiEIo0
>>304 当時の外務省と言えば世界中に出先機関があったので諜報は強かったようですが……防諜はどうだったのでしょうね?


…先にあんまり書き込んでしまう訳には(ネタバレになってしまうので…)いきませんが、科学的な尋問手段(興奮剤・自白剤等)以外はたいていあったようですね…これらはどうも中世の異端審問(魔女裁判)や18世紀のフランス革命で磨きがかかったようですが…まぁあんまりグロテスクにならない程度に進めていきます……
306 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/12(金) 02:08:50.89 ID:EXXBfEpt0
…別の日・お茶の時間…

ドロシー「ようアンジェ…今回の任務は何だって?」ベアトリスたちと入れ替わるようにしてやってきたドロシーは、椅子にどっかりと腰かけるとカフェテーブルに肘をついた……

アンジェ「マナーが悪いわよ、ドロシー……今回は「産物」(プロダクト)の受け渡し。内容は陸軍省の機密資料で、インド方面における今後の戦略方針や師団の改編、それにあわせた人事についての書類のようね」

ドロシー「…インドねぇ……王国と共和国の権益争い、それに植民地を取り返そうっていうフランスの連中に、それぞれの出先機関や東インド会社……言ってみればあそこは「収拾のつかない椅子取りゲーム」みたいな状態だからな。動向の目安になる戦略方針を知ることができたら大きいってのは分かる」

アンジェ「そういうことよ…それを提供者は金と引き換えに渡すと言っている」

ドロシー「もしそれが本当だったら、まさに「値千金」ってところだが……よもやガセネタじゃないだろうな?」…けしの実が入った香ばしいパウンドケーキを頬張りながら眉をひそめた……

アンジェ「…この情報提供者とはこれまで大小合わせて十数回ほど取引があるけれども、いずれも産物の質は高かった……それに向こうがこちらを食いつかせるための撒き餌として「流してもいい」と考えるレベルではない高度な情報も含まれていたことから、コントロールは「本物」だと判断しているわ」

ドロシー「なるほど。なら喉から手が出るほどだろうな」

アンジェ「ええ、そうでしょうね…対象との接触パターンは「B」方式」

ドロシー「手紙は来たのか?」

アンジェ「ええ…手紙には金曜日の13時にレストランの「ハイバーニア」で待ち合わせとなっていたわ」

ドロシー「……と言うことは16時にコーヒーハウスの「ゴールデン・ライオン」で受け渡しか」

アンジェ「そういうことね…それといつものように支援要員を交代する」

ドロシー「了解。それじゃあ監視役をベアトリス…私が車中で待機だな?」

アンジェ「そうなるわ」

ドロシー「わかった……しかしだ、いくら重要な資料だからってわざわざお前さんほどのエージェントを使うこともないだろうにな?」

アンジェ「…と言うと?」

ドロシー「お前は私やベアトリスと違って取り替えが利かない……プリンセスと「チェンジリング」のことを考えてみろ」

アンジェ「だから?」

ドロシー「コントロールはお前さんの才能を無駄遣いしてるって言いたいのさ…トップ・エージェントを情報の受け渡しに使うなんて、サラブレッドをクズ物屋の馬車引きに使うようなもんだ」

アンジェ「言いたいことは分かったわ。でも今回の機密情報は一段と重要度が高いそうだし、それを扱えるようなエージェントがちょうど出払っているから……致し方ないわ」

ドロシー「なるほど…金の卵を取るためなら「やむを得ない」ってか?」今度はクルミと干しブドウのパウンドケーキにフォークを突き刺しながら首をかしげた…

アンジェ「ええ」

ドロシー「だとしてもなぁ……コントロールは何を考えているのやら」

アンジェ「さぁね、彼らの頭の中は推し量りがたいわ」

ドロシー「ふぅ、私たちに考えを見抜かれるほど単純じゃない…か」

アンジェ「そう言うことよ」

ドロシー「…なるほど」

アンジェ「とにかく後方支援は任せたわ…やる気はあるけれど、ベアトリスだけでは心もとない」

ドロシー「ああ、任せておけ……ま、手早くスマートにこなすとしよう♪」

アンジェ「そうね」

ドロシー「それにしても、コントロールのよこすけちな経費と人使いの荒さときたら……時々、この業界にも労働組合とか保険があればいいのに…って思わないか?」

アンジェ「……少しはね」

ドロシー「だよな…それじゃあ貧乏エージェント同士で乾杯だ」ティーカップを軽く持ち上げて、口の端にニヤリと笑みを浮かべた……
307 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/16(火) 10:30:22.62 ID:Hi11guKo0
…数日後…

ベアトリス「そろそろ時間でしょうか?」

ドロシー「午後二時か…まぁ、ちょうどいいだろうな」

アンジェ「…それじゃあ私も支度にかかるわ」

プリンセス「みんな、気を付けていってらっしゃいね…♪」

アンジェ「ええ」

ドロシー「どうも、プリンセス……よし、それじゃあもう一度手はずを確認しよう。ベアトリスは周辺を歩き回って王国の連中が張ってないかを確かめる…私はその間ゆっくり車を走らせるから、異常がなかったら「ゴールデン・ライオン」のはす向かいにある文房具屋の窓際に立って指定の合図だ」

ベアトリス「はい」

ドロシー「まぁ今さら言うこともないだろうが……行くまでの間も尾行されないように「保安措置」をとれよ?」

ベアトリス「分かってます。回り道をして時間をかけるんですよね?」

ドロシー「ああ、そうだ……最低一時間だからな?」

ベアトリス「はい」

ドロシー「何度も言ってしつこいようだけどな……ただ歩くんじゃなくて出口の二つある店に入って裏口から出たり、急に細い角で曲がったり…とにかく追跡者が目立たずには済まなくなるようにするんだぞ?」

ベアトリス「はい、上手くやります」

ドロシー「それでいい…アンジェはランデヴーの場所までは乗合馬車だな?」

アンジェ「そうするつもりよ。私は目立たないほうがいいもの」

ドロシー「…だな」

アンジェ「ええ…それと、ちせ。悪いけれど貴女は待機」

ちせ「うむ…その間プリンセスの身辺は私がお守りしておく」

アンジェ「頼んだわよ……それじゃあ、準備はいい?」

ドロシー「完了だ…そっちは?」

アンジェ「ええ、出来ているわ……もっとも、情報の引き渡しだから得物は持って行かないけれど…」

ドロシー「ああ、その方がいい…変に銃なんて忍ばせて、余計な厄介事をしょい込むことはないからな」

アンジェ「その通りね。それじゃあ行きましょうか…ベアトリス、貴女が先行して」

ベアトリス「はい、それじゃあ行ってきます」ベアトリスは監視地点に選んだ文房具屋とぴったりはまる寄宿学校の制服姿で、とことこと歩き出した…

ドロシー「よし…じゃあ私も行ってくるかな♪」いかにも遊んでいそうな「上流階級のプレイガール風」にまとめた格好でウィンクをすると、ぜいたくなロールス・ロイス(RR)にひらりと乗り込んだ…

アンジェ「ええ、行ってらっしゃい…私はもう数十分したら出る」

ドロシー「ああ、任せた」

プリンセス「それでは気をつけ……うっ」

アンジェ「どうしたの?」

プリンセス「いえ、なんだか風が冷たくて……身震いが出てしまったの」

アンジェ「…風邪を引いては困るわ。暖かくしておきなさい」

プリンセス「そうね……そうするわ♪」

アンジェ「ええ。それじゃあ行ってくるから、後はお願い……」

………

308 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/04/21(日) 02:45:42.27 ID:rE/r2QCC0
…ロンドン市内…

ドロシー「…周囲に防諜部の車は…いないか。連中ときたら判で押したように黒のRRと決まってるもんな」…防諜部の車は目立たないようにほとんどが黒塗りで、たいていは性能がいいロールス・ロイスを使っている……そのせいで、本来は地味なはずの「黒のRR」が逆にトレードマークのようになっている…

ドロシー「……それに、どうやら監視役も見えないな」


…ドロシーは「シルバー・エンジェル」と名付けた、四人乗りの大柄な車体に特別誂えのぜいたくな内装をほどこしたRRのカスタム・カーでゆっくりと通りを流しつつ、貴族のプレイガールらしく時折通りを行く女性たちに流し目をくれる……と同時に、やたら熱心に店先のショーウィンドウを眺めていたり、半日遅れの朝刊を二人して眺めているような場違いな連中を探す…


ドロシー「うーん…それらしいのはいないな。もっとも、防諜部の連中だとしたらそんなへぼ演技をするわけないが……」

ドロシー「…なるほど、ベアトリスもそれらしいのは見かけてないのか……よし」文房具屋のショーウィンドウ越しに見える位置にベアトリスが立ち、万年筆を手に取って眺めるふりをしながらそれとなく手を上下させた……それを見てドロシーもあらかじめ決めておいた宝飾店の前にRRを停めて合図とした…

アンジェ「……安全確認は済んだようね」…ドロシーは通り一つ分ほど離れた宝飾店でウィンドウショッピングに興じながら広く周囲を警戒し、至近距離での異常はベアトリスが監視し、場合によってはアンジェに接触の中止を合図する……


………



…数分後・コーヒーハウス「ゴールデン・ライオン」…

アンジェ「…」


…対象が接触してくるまで五分間だけ待ち、もし来なければ事情があって時間に間に合わなかったと判断して、一時間後に第二の場所で再び待つという基本的な接触スタイルで待ち合わせているアンジェ……一見すると興味なさそうな顔で新聞を眺めているように見えるが、それでいてすでに店内をさっと見渡している…敵のエージェントはもちろん、情報の受け渡しをする段になって見知った顔とばったり出くわし、名乗っている名前と違う名前を呼ばれたり……などという冗談にもならないドジを踏まないよう、店内で声高に議論している紳士たちや王室のゴシップに興じているご婦人たちを確認した…と、時間ぴったりにそれらしい人物が入ってきた…


背広姿の紳士「…」

アンジェ「……あれね」安全確認が済んだ合図として、右手の側に置いてあった新聞を左手側に置き直す…


…アンジェの視線の先にいる情報提供者は灰色の背広にチョッキを着て、金鎖の懐中時計とステッキ……と、ごく普通の紳士姿をしている…胸には白いハンカチがきちんと形通りに差してあり、小脇に「ロイヤル・ロンドン・タイムズ」を挟んでいて、アンジェの合図を見ると向かいの席に腰かけた…


紳士「…」腰かけると新聞を読みながら紅茶をすする…数分の間何事もなく過ごすアンジェと情報提供者……

アンジェ「……ふぅ」読みかけの新聞をもう一度テーブルに置いて、いかにもくたびれたようにため息をついた…

紳士「……何か面白い記事は出ていましたか?」

アンジェ「いいえ…私には少し難しかったようです」

紳士「お嬢さんにはそうかもしれませんな……お勉強ですか?」

アンジェ「ええ、まぁ…そんなところです」

紳士「それは立派ですな……では、お邪魔しないように失礼するとしましょう」…そう言いながら、わざとお互いの新聞を取り違えて持って行った……

アンジェ「…ええ、お気遣いありがとうございます」…アンジェも素知らぬ顔で情報提供者のもって来たほうの新聞を手にした…店の中で確認するわけにもいかないが、たいていは真ん中のページに封筒が留めつけてあり、そこに情報が入れてある……

アンジェ「…」提供者が先に去るパターンの接触方式だったので、しばらくのあいだ紅茶をすすって待つ…

………
309 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/04/25(木) 02:09:04.72 ID:G+rdVvKh0
…高級宝飾店…

店員「こちらなどいかがでしょう? …お客様に大変お似合いかと存じます」

ドロシー「そうね、まぁ悪くはないわ……」

店員「さようでございますか…ではこちらなどはいかがでしょうか。インドで産したルビーでございますが、大きさも輝きもこの通りで…」陳列棚に収まっている金とルビーのネックレスを指し示した…中央にはめ込まれたルビーは大豆くらいの大きさがあり、それを取り巻く金もふんだんに使われている…

ドロシー「まぁ…ずいぶんと大きいのね?」

店員「はい。あなた様のように堂々としていらっしゃる方には、このくらい立派な石でなければ釣り合わないかと…舞踏会でも夕食会でも、これをお召しになれば他のご婦人方と差をつけることが出来るかと存じます……」

ドロシー「…そうねぇ」(…よく言うよ……確かに石は大きいが色がくすんでるし、おまけにネックレスの細工そのものも趣味が悪い…それに私のことを遠まわしに「骨太」だって言いやがった……おおかた植民地か何かで一山当てた平民上がりの成金くらいに思ってやがるな…)

店員「いかがでございましょう?」

ドロシー「えぇ…そうね……」(そろそろ取引も終わった頃だろうし、後は適当にあしらってここを出ればいいな……)

情報提供者「…」

ドロシー「んー……エメラルドとルビーだったら、どっちのイブニングドレスに合うかしら……」(誰か出てきたが、あれが取引相手か……妙に慌てふためいてやがるようだが……って、まずい…!)


…ドロシーが陳列棚のネックレスやブローチを退屈そうに眺めていると情報提供者があたふたと裏道に消え、それと入れ替わるように窓の外を数台のRRと、ほろを張ったマーモン・ヘリントン乗用車が飛ばしてきた…ドロシーは髪型が崩れていないかどうか確かめるようなふりをして手鏡を取り出し、光を反射させて文房具屋のベアトリスに「緊急事態」の合図を送った……が、十数秒もしないうちに車は「ゴールデン・ライオン」の前に急停車し、中から数人の男が飛び出して店内へ飛び込んでいった…


店員「鏡でしたらこちらにございますよ?」

ドロシー「ええ、ありがとう…でもやっぱりルビーと緑のドレスは合わないわね。またにするわ…♪」

店員「さようでございますか……では、またのお越しをお待ち申し上げております…」白手袋をはめた若い紳士の店員は、貴族の老嬢や気難しいオールド・ミスたちをたぶらかすような笑みをにっこりと浮かべ、出口まで見送ってきた…

ドロシー「それではまた来ますわ」(くそ……アンジェが捕まったからって、ベアトリスが慌てて飛び出さなきゃいいが…)

…文房具屋…

ベアトリス「…っ」店のショーウィンドウにきらりと反射したドロシーの合図を見るやいなや、万年筆を見比べるようなふりをして腕を上げ、アンジェに向けて合図を送った……が、それを完全にする暇もないうちに車が「ゴールデン・ライオン」に乗りつけ、どやどやとエージェントらしい男たちが店内に飛び込んで行った…

ベアトリス「…」(冷静に…冷静に…「たとえ私たちの誰かが捕まったとしても落ち着いて行動し、自分の存在を明かすようなことはしてはいけない」って、アンジェさんに教わったんですから……)

ベアトリス「……すみません、またにします」

文房具屋の主人「そうかね…では、また必要なものがあったら来なさいよ?」

ベアトリス「はい…」

…文房具屋を出ると「ゴールデン・ライオン」に視線を向けないようにして普通の足取りで歩き、その場を去るベアトリス…そっと角を曲がると裏道に入り、それからドロシーとの集合場所に向かった…

…「ゴールデン・ライオン」…

アンジェ「…」(あと二分…それだけ待って出ていけば怪しまれない……)

…紅茶の代金はすでに払ってあり、あとはタイミングよく紅茶を飲み終わるように加減しながら窓から見える文房具屋を眺めている……と、ベアトリスの小さい姿が動いて「緊急事態」を示す形で腕を上げた…

アンジェ「…」静かに紅茶を飲み終わると情報が挟んである新聞を畳み、化粧室に入るふりをして裏口から抜け出そうと席を立った…

店員「うわっ…ちょっと、何をするんです!」

背広の男「公務の執行中だ、邪魔立てするな!」裏口の方で店員ともみ合う音がしたかと思うと、どかどかと足音も荒く数人の男が駆け込んできた……アンジェは無表情で、さりげなく表側から出ようと何歩か足をすすめた…

コートの男「よし…全員動くな!」数秒もしないうちに表側にも車が停まり、似たような雰囲気の男たちが飛び込んできた……

アンジェ「…っ」(…どうやらはめられたようね)

指揮官らしい男「よし、いたぞ……確保しろ!」途端に二人の男がアンジェの腕を左右からつかみ、別の二人が3インチの「ウェブリー・スコット」を突き付けた…のこりの男たちは他に怪しい動きを見せる者がいないかと周囲をにらみつけ、ものものしく見張っている…

アンジェ「な、何ですか……!?」震え声を装っておびえたふりをする…

指揮官「とぼけるな、自分でもよく分かっているだろうが…!」

アンジェ「何の事だかわかりません……女性が選挙権を求めてはいけないんですか…っ?」

(せめて「婦人参政権論者」のふりでもすれば、ドロシーたちが越境するなり証拠を始末したりするための時間くらいは稼げる……それに野次馬がこれを見ても、何となく「捕まった活動家の女がいたっけ…」程度ですぐ忘れられてしまうはず……)

指揮官「ふん……連れて行け!」引きずられるようにして店の外に連れ出されるアンジェ…

アンジェ「…放して、放してくださいっ……!」マーモン・ヘリントンの後部座席に押し込まれそうになる寸前でひとりを振り払うと、暴れるふりをしながら小指くらいの小さなガラスのアクセサリーを車の後部に叩きつけた……

男「このっ…!」山猫のように暴れるアンジェに手こずったが、とうとう担ぎ上げるようにしてアンジェを放り込んだ…

アンジェ「…嫌っ、放して!」

指揮官「よし、出せ…!」運転手がアクセルを踏み込むと、車体がぐらりとかしぐほどの勢いで急発進した…

………
310 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/04/30(火) 01:22:36.36 ID:s2x1A2Qf0
…数十分後・倉庫街のネスト…

ベアトリス「ドロシーさん、アンジェさんが…!」

ドロシー「ああ、分かってるよ……それにしてもあの提供者のちくしょうめ、私たちの事を売りやがった…もし見つけ出したら生きながら切り刻んでミートパテか、鉛玉を山ほどぶち込んでグリュイエール・チーズ(よく漫画にでてくる黄色いチーズ)みたいに穴だらけにしてやる……」裏切り者をののしりながら「セイロン紅茶」と書かれた木箱をどかし、床下の隠しスペースから防水布の包みをいくつも取り出す…

ベアトリス「と、とにかく早くコントロールに連絡して指示を仰がないと…!」

ドロシー「……いや、そいつは駄目だ」

ベアトリス「どうしてですか!」

ドロシー「…コントロールに連絡して、なんて言われるかだいたい想像がつくからさ……」

ベアトリス「もちろんアンジェさんは貴重なエージェントなんですから、助けるようにしろって言うに決まって……」

ドロシー「…捕まったエージェントの救出を指示してくれるような情報部があったら、世界中の情報部員はみんなそこに移籍しちまうよ……もしコントロールに連絡を入れたら「状況は危険、直ちに「D」以下は脱出を図れ」と同時に、利用価値より情報漏れの危険の方が高くなるからプリンセスを抹殺せよ…と来るだろうな」

ベアトリス「そんな…!」

ドロシー「この業界なんてそんなもんさ……だからコントロールに連絡するわけにはいかない」

ベアトリス「…でも、だったらどうするんです?」

ドロシー「ああ、その事だが…ちゃんとした尋問を受ければ遅かれ早かれアンジェも「歌う」(白状する)ことになる……だけどな、冷静なアンジェの事だから「遅かれ」の方になるのはほぼ間違いない…だから、アンジェが情報を吐かされる前に居場所を突き止めてやっこさんを取り戻す」

ベアトリス「だとしても、肝心のその場所が分からないことには……」

ドロシー「ふっ……車のエンジンをかけるふりをして捕まった瞬間を見ていたんだが、あの冷血女はとことん肝が据わってるよ…連中を振りほどこうとして暴れながら、こいつを使ったのが見えたんだ」そう言ってペンダントのような小さいガラスの飾り物を見せた…

ベアトリス「…それは?」

ドロシー「ああ、これか……ヘンゼルとグレーテルの話は知ってるか?」

ベアトリス「お菓子の家の…ですか?」

ドロシー「ああ……この小さいガラス瓶はな、ヘンゼルとグレーテルが道しるべで森に撒いて行った白い石ころと同じ役割をするんだ…中にはケイバーライト鉱石の粉末を溶かし込んだ液体が入ってて、この片眼鏡(モノクル)みたいな分光器で見ると、うっすら痕跡が光って見える……っていうシロモノさ」

ベアトリス「……じゃあそれを追えば」

ドロシー「めでたくお家にたどりつける…って訳さ。とにかくアンジェが何かを吐かされたり、移送されたりするまでに向こうのネストを突き止めて、情報を拡散される前に連中から取り戻す……残された時間はあまりないから、とっとと準備をするんだ」そう言いながら包みをほどき、中の銃に弾を込めはじめた…

ベアトリス「は、はいっ…!」

ドロシー「…ちせにはもう伝書鳩を送ったから、こっちに急いでいるはずだ……それから、プリンセスは私たちとの関係がばれないように普段通り過ごしてもらう…というわけで今回は手が足りないから、お前さんにも荒事をやってもらう事になるからな……頼むぞ?」

ベアトリス「……分かりました」

ドロシー「結構…だったらそこにある銃の中から好きなのを選んで弾を込めな?」


…そう言いながら4インチ銃身の「ウェブリー・スコット」二挺、水平二連の散弾銃…それからアメリカ西部の開拓地で見られるウィンチェスター・ライフルを限界まで切り詰めた「ランダル」銃のように、リー・エンフィールド小銃を限界まで切り詰めた改造銃……それにロープやナイフ、スティレットと言った「七つ道具」を手早く身に着けていく……そして最後に、アンジェの愛用している「ウェブリー・フォスベリー」オートマティック・リボルバーを背中側のホルスターに差した…


ドロシー「ベアトリス…必要になるだろうから、そのドカンといくやつも持っていくといい」

ベアトリス「……はい」台の上に並べられた銃から3インチのウェブリー・スコットと護身用の小型リボルバーを取り上げ、弾を込める…それからナイフをひと振りと、真鍮や黄銅で出来た様々な道具を、黒い活動用の服についたあちこちの輪っかや内ポケットにセットする……

ドロシー「…」水平二連に込めた鹿撃ち用の散弾を再確認すると、パチンと銃尾を閉じた…
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/04/30(火) 01:31:32.57 ID:R4BcImhYO

ドキドキですね。今日はこれで終わりかな?
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/04/30(火) 11:33:04.80 ID:RUsYBKjLO
娼館(女性向け)に潜入任務とかどうだろう
プリンセスは顔割れてて無理かもだが
客のリクエストということでベアちせとかもできるよ!
313 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/05/01(水) 00:41:34.13 ID:j9HMYbwp0
>>311 >>312 の方、コメントありがとうございます……そしてこのssを見て下さっている皆さま「令和」おめでとうございます。皆さまがの日常が平穏無事でありますように…


…そうですね、貴族令嬢やご婦人がたの通うアブノーマルな「会員制社交クラブ」のようなものは考えておりましたが……せっかく頂いたアイデアですので、どこかでエッセンスとして取り入れてみたいと思います

……それといよいよアンジェの尋問に(新元号早々にこんな場面で申し訳ないです…)入りますので、よろしければお付き合い下さい
314 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/05/01(水) 02:15:40.82 ID:j9HMYbwp0
…同じ頃・どこか…

アンジェ「…」


…マーモン・ヘリントン乗用車に乗せられたアンジェは頭から袋をかぶせられ、その上さらに「道順を覚えきれないように」と、運転手は車を目一杯飛ばしていた……しばらく左右の席に座ったエージェントから頭を押さえつけられていると唐突に車が停まり、ドアが開く音がした…


左側のエージェント「よし、出ろ!」

アンジェ「…」転ばないように足もとをさぐりさぐりしながら降りるアンジェ…靴音が響く感じはレンガ敷きで、周囲にたちこめる匂いから湿ったレンガの土のような匂いと野菜くず、石炭の煤煙を嗅ぎ分けた……とはいえ、それだけではロンドン中の下町やスラムが当てはまる…左右のエージェントに腕をつかまれ、半分持ち上げられたような格好でどこかに連れて行かれる…

エージェント左「…階段だ、足もとに注意しな」

アンジェ「…」(九…十……)コツン、コツン…ッ、とわびしげな音をたて、階段が続く……一歩づつ歩きながら、反射的に階段の段数を頭に叩き込むアンジェ…

エージェント左「……よし、座れ」左右の男に抱え上げられ、テディベアのように椅子に座らされた

アンジェ「…」

エージェント左「…おい、そっちは掛けたか?」

右側のエージェント「待ってくれ……よし、できた」ロープで椅子の脚に縛りつけられたアンジェ…

エージェント左「よし…それじゃあ目隠しを外してやれ」

エージェント右「ああ」

アンジェ「……っ」


…目隠しの袋を外されると真っ暗闇だった視界が一気に明るくなり、アンジェは目を細めた…視界に入ってきたのは尋問官の座る椅子が三脚と小ぶりなテーブルが一つ……テーブルの上にはランプが置いてあり、視線を動かして素早く足元を確認すると椅子は板張りの床に固定されていて、身動き一つできそうにないことが見て取れた…


アンジェ「…」そのまま黙って座っていると、エリート官僚風のパリッとした身なりをした長身の男が入ってきて、二人のエージェント…アンジェを連れてきた二人…が左右に控えた。エージェントは片方が太りぎみで、もう片方はあまり背が高くない…


長身のエージェント「さてと、お若いお嬢さん(ヤング・レディ)…まずはお互いに自己紹介といこう」灰色の背広をきた長身の男は水色の目でアンジェを見た…かすかに唇を吊り上げたのは微笑みのつもりらしい……

長身「…私はスミス……本名ではないが、まぁ「ジョン・ドゥ」(名無しの権兵衛)では何かと不便だからね」椅子に腰かけて高級なパイプを取り出した…

長身「さてと……今度は君の名前をお伺いしたい」

アンジェ「マーガレット…マーガレット・ホワイトです。どうしてこんな目にあうのかわかりません……放してください!」

ふとっちょ「…ふざけるな!」そう怒鳴りつけて激しい平手打ちを頬に見舞って来た……

アンジェ「…っ!」(頬には大して重要な器官がないから、多少痛めつけても身体に影響はない…と言うことは何か情報を引き出すか、場合によっては寝返りを打たせたいということね……)ファームで教わったさまざまな事を思い出し応用しながら、相手の出方を見るアンジェ……

長身「……ミス・ホワイト。もっとも、他にも名前があるかもしれないが…君のような職業の人間なら分かっているだろう? 君が何をして、王国と女王陛下の治世に対してどんな罪を重ねたか……だがね、まだチャンスはある」そう言ってそらぞらしい笑みを浮かべ、パイプをひと吹きした…

長身「…君はまだ若い。なにか上手い事を言われたか、さもなければ金に目がくらんだか…とにかく共和国の連中にだまされたんだろうってことは分かる……もし協力してくれれば、小さくはないその「過ち」を水に流して、もう一度やり直す機会ぐらいは与えられるし、その方が君の身のためにもなると思うのだが……どうだね?」

アンジェ「……少し考えさせて下さい」(…こうした場合、いくらか協力的にして相手に「寝返りの可能性がある」と思わせることで、多少優位な立場を築ける……)

長身「もちろん…紅茶でも持って来させようか?」

アンジェ「…はい」

長身「だそうだ……廊下の奴にそう言って持ってこさせたまえ」

ちび「はい」


…紅茶が運ばれてくるとちびのエージェントがカップを支え、アンジェの唇に当てた……それを見ながら自身も紅茶をすする長身の男…ありがたいことに紅茶は熱すぎでもなければ冷めすぎでもなく、少しだけ砂糖とミルクも入っていた…


長身「…お気に召したかね?」

アンジェ「ええ、ありがとうございます…」

長身「結構…さて、いくつか君に聞きたいことがある……」

315 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/05/03(金) 01:55:11.57 ID:8x3RGZl00
長身「…さぁ、教えてくれたまえ。君の協力者は誰だ? いつ、どこで…そして誰にこの文書を渡すのだ?」

アンジェ「協力者なんて知りません! 私は女性でも選挙に行き、議会に立候補できるようにしたいと活動しているだけです…!」

長身「見え透いた嘘をつくのはやめたまえ……どこでスパイとしての訓練を受けた? 指導教官の名前と特徴は? 施設はどこにある? 訓練生の数は?」

アンジェ「言っている意味が分かりません! 本当に女性の政治参加のために活動していただけです、あなたのいう「スパイ」だなんて知りません!」

(…向こうがすべてを知っているなら、もっと具体的な事を聞いてくるはず……にもかかわらずこんな大雑把な質問しかできないということは、まだ確証をつかんではいないようね……ここはドロシーたちが越境するための時間稼ぎにも、しばらく「婦人参政権を求める活動家」で通さないと……)

長身「ふぅ…君がそのように非協力的だと、こちらとしてもいくらか「手荒な手段」をとらざるを得なくなるぞ……?」

アンジェ「そんなことを言っても、まったく知らないことを話すことなんてできません!」


…当然アンジェとしても、厳しい尋問にかけられて「言うべきでない」ことがらまで全て吐かされるよりも、敵方に協力するふりをして「どうでもいいこと」や「つまらない情報」を白状しながら時間を稼ぎ「金の卵」を傷つけないようにする方が正しい手段なのは分かっていた……とはいえ、最初からあっさりと屈してペラペラしゃべってしまうと尋問官に馬鹿だと思われ、悪くすると逆に怪しまれてしまう……そのほど良いさじ加減と名演技こそが、敵方に捕まった情報部員の出来る唯一の「腕の見せ所」で、味方を助ける(場合によっては)最後の「産物」(プロダクト)になる…


長身「やれやれ、困ったご婦人だな…トム」

ふとっちょ「はい」…ふとっちょのエージェントはアンジェの靴を脱がしにかかった

アンジェ「……何をするんですか、止めて下さい!」

長身「なら質問に答えたまえ…君がこの文書を届ける先は? 誰に渡せと指示されている? 指令を出しているのは誰だ?」

アンジェ「本当です、本当に知らないんです…!」

長身「…ならば仕方ない」


…長身があごをしゃくって合図をすると、ふとっちょはアンジェの脚のロープを解いて足を水平に持ち上げ、革の平たいベルトで足の裏を叩きはじめた……尋問の仕方としては一番単純で、始めの数回は大したことがないが次第にじんじんと痛みが増し、最後は柔らかい足の裏が真っ赤になって、火傷でもしたように傷むことになる…尋問としてかなり効果的な上に、もし手違いで拘束を解かれても真っ赤にはれて痛む足では逃げ出すことも難しい……と「一石二鳥」の効果がある…


アンジェ「お願いです、止めさせて……!」

長身「だったら答えるんだ…君を「運用」しているのはどこだ。共和国の情報部か、それともアイルランドの独立主義者か、フランスの「カエル」(フランス人の蔑称)どもか?」

アンジェ「ですから何度も言っているように……うぅっ!」

長身「とぼけるな! 婦人活動家が陸軍省の情報を欲しがるとでも言うのか……!?」

アンジェ「そんなの知りません…っ!」(…この尋問官、うっかり「陸軍省」ってしゃべったわ……ここは私が一本取ったわけね……)痛みに耐えながら髪を振り乱して(尋問に耐性などない普通の女性らしく)泣き叫ぶ演技をし、冷静に状況を把握し続けるアンジェ…

長身「…さあ、答えたまえ!」

アンジェ「ですから、知らないものは知りません…あぁっ!」

長身「……強情だな、ミス・ホワイト…だが、我々は交代も出来れば休むことも出来る……しかし君はそうはいかない。全てを話してもらうまで、こうした「取り調べ」が延々と続くぞ?」

アンジェ「うぅ…この……人でなし…!」

長身「何とでも言いたまえ。我々はアルビオン王国と女王陛下のためにやっているのだ」

アンジェ「うっ……王国の名を借りて…三人がかりで女一人を痛めつけるなんて、あなたたちのやっていることは女衒(ぜげん)以下だわ…!」

ふとっちょ「何を!」

アンジェ「しかもちびにふとっちょ、やせっぽち…まるでドタバタ喜劇の組み合わせよ……!」(…尋問官を怒らせれば、冷静な判断を失わせることが出来る…そして相手は、うっかり手の内をさらしてしまうことがある……)

ちび「この…言わせておけばっ!」アンジェの頬に平手打ちが飛んだ…

アンジェ「うっ…!」

長身「やめろ! …どうやらお嬢さんはもっと本格的な「取り調べ」を受けないと吐く気が起きないようだな……隣へ連れて行け!」

ふとっちょ「…はい」

ちび「……分かりました」

………
316 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/05/08(水) 02:17:12.30 ID:br1oWSNJ0
…別室…

ふとっちょ「…よし、いくぞ……せーの」

ちび「よいしょ…!」

アンジェ「…」またしても目隠しをされ、両腕をエージェントに抱え上げられたアンジェ…そのまま引きずられるようにして、冷たく湿った空気がよどんでいる廊下を数ヤードばかり運ばれた……

ふとっちょ「…おい、開けてくれ」

見張りの声「はい」

ふとっちょ「よし、ここに縛れ……何やってるんだ、とっととしろよ」

ちび「そうせかすなって…ほらよ」

ふとっちょ「じゃあもう外してもいいな…そら」

アンジェ「…」


…十字架の形に拘束されたうえで目隠しを外されたアンジェの目の前には、尋問官の机と椅子しかなかった先ほどの部屋と違って様々な物が置いてある……立ったまま身体を九十度に折り曲げさせて、首と両手首を一枚の板に空けた穴に拘束する「さらし台」や、X字型だったり洗濯板のような形の「拘束台」、あるいは、正座した身体に食い込むようになっている「三角木馬」が所狭しと置いてあり、中央のテーブルには金属の輝きもまがまがしい外科手術用のような道具類が並べてある……そして部屋の片隅には血を流すためらしい、水の満たしてあるバケツが二つ…どうやらこの部屋に据えてある器具の類は、対象に「情報を吐かせる」というより、相手をサディスティックに痛めつけるための道具に見える…


アンジェ「…」

ちび「で、おれたちはもういいのか?」

ふとっちょ「ああ。どうやら「あの人」はおれたちみたいなのがいると邪魔みたいだからな……退散しよう」

ちび「そうか…ま、お前さんもとっとと吐いちまった方が身のためだぜ? じゃあな」鉄のドアがガシャンと閉められ、薄暗い部屋に一人取り残されたアンジェ…

アンジェ「…」

…これまでは怯えたような演技をしつつも目や耳を働かせて、敵方の情報を収集し、味方の情報は保護してきたアンジェ…が、そのアンジェも中世の拷問室のような光景を見て、背筋に冷たいものが走った…と言っても、いまさら肉体的拷問が恐ろしいわけではない……もちろん、鍛えられたアンジェであっても苦痛には耐えられないが、問題はそこではなかった…

アンジェ「……どうやら予想は正しかったようね…」かすかに表情をゆがめ、小声でつぶやいた…

…捕えられてから最初の尋問を受けるまでの短い間に、アンジェは自分を捕えた相手が「玄人」(プロフェッショナル)ではなく「素人」(アマチュア)なのではないかと薄々イヤな予感がしていたが、どうやら部屋に揃っている拷問器具の類を見るとそれに間違いないようだった…

アンジェ「…まったく……笑えないわ」


…アンジェのような情報部員からすると、同じ捕まって尋問を受けるとなれば、ノルマンディ公率いる防諜部のような「同業者」の手にかかって「手際良く」情報を引き出すための必要限度で(…と言っても相当の苦痛を与えられることになるが)済ませてくれる尋問の方がまだマシだった…そういうプロの尋問官は「正しい情報を引き出す」ために尋問を行うので、対象者を痛めつけすぎて「魂の抜け殻」にしてしまうことはまずない……が、頭に血がのぼったアマチュアの手にかかると、たいていは息を切らした尋問者と、ボロボロになった対象者の肉体だけが残ることになる…


アンジェ「…」(どのみち、あと数時間は稼がないとならないけれど……それまで耐えきれるかどうか、限界を試すいい機会だわ…)


…拘束されたままアンジェが気持ちを整えていると、鉄扉の向こうでやり取りする声が聞こえ、ドアが開いた……入ってきたのは豊満な身体つきの綺麗な女性で、唇にはダークチェリー色の口紅を引いて、黒革のビスチェとスカート、ハイブーツを身に着け、右手からは編み込んである革の鞭を提げ、襟ぐりの部分から大きな白い胸、スカートの裾からは色っぽい綺麗なふとももをあらわにしている……横につき従っている双子のような少女二人も同じような格好をしていて、片方は盆に載ったワインとグラス、もう片方はお湯が入っているらしい洗面器やタオルを持っている……どうやらこの二人はアンジェとあまり年が離れていないように見える…


女「……初めまして、お嬢さん?」

アンジェ「…」

女「あら、だんまりとはさみしいわね。では自己紹介と参りましょう…私はレディ・ワイルドローズ……ローズで結構よ♪ この二人は「アゴニー」(苦悶)と「アンギッシュ」(苦痛)……貴女のお名前は?」甘い音楽的な声で尋ねた…

アンジェ「マーガレット……マーガレット・ホワイト」

ローズ「あら、マーガレットとは可愛らしいお名前…それに白い肌が本当にマーガレットのよう……♪」そう言って優しくアンジェの頬を触り、舌なめずりをした…

アンジェ「…っ」

ローズ「あの汚れた男たちに触られてさぞ気味悪かったでしょう……アゴニー」

アゴニー「…はい」暖かい濡れタオルで腕や顔をそっと拭いた…

ローズ「いかが、マーガレット?」

アンジェ「ええ…ありがとう」

ローズ「良かったわ……さてと、ちょっと貴女にお聞きしたいことがあるの♪」道を聞くような軽い調子で問いかける…
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/08(水) 08:21:53.63 ID:ZvufjrLwO
新キャラの方々がすごく好きです
尋問というかただの拷問になるけどもアンジェさんには数時間頑張って耐えてほしい
318 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/05/09(木) 01:08:09.26 ID:e2D2L7gk0
>>317 まずは感想ありがとうございます…こういう「秘密のクラブなどでSっぽいもてなしをするお姉さま」キャラクターは腐敗した上流階級や貴族社会にはつきものですし、気に入っていただけて何よりです……実は「レディ・ワイルドローズ」はこの後も…


…ちなみに「ワイルドローズ」の名前は英国の国花がバラなのでそこから名付け、「アゴニー」と「アンギッシュ」は英和辞書の「痛み」の類語から引きました……アンジェは引き続き耐える予定です…
319 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/05/11(土) 02:57:55.84 ID:9az6zJzo0
ローズ「…さてと♪」

アンジェ「…」

ローズ「貴女が持っていた新聞に挟まっていた文書…誰に渡す予定だったの?」

アンジェ「そんなの知りません、たまたま相席になった人が持っていた物です…その人に聞いて下さい」

ローズ「あらあら……マーガレット、嘘は良くないわよ?」

…そう言ったミス・ワイルドローズの手は硝酸でくすんでもおらず(アンジェたちはそうならないよう「任務」の時、常にぴったりとした手袋をしている…)とても白くてほっそりしており、爪も短く切って綺麗に磨いてある……どう見ても銃やナイフを使い慣れているエージェントの手には見えない…

アンジェ「いいえ、嘘なんてついていません…」(やっぱりこの女はエージェントじゃないようね……でも、だとしたらどうして尋問官の真似事を…?)

ローズ「…だったらどうして新聞を取り違えられた時に呼びとめなかったの?」

アンジェ「だって……コーヒーを飲んでいて気が付かなかったし、もし気付いたとしても同じ新聞なのだから…きっと呼び止めなかったと思います」

ローズ「そう…ねぇ、マーガレット」

アンジェ「はい」

ローズ「私としてはあの「ブルドッグ」たちと違って、貴女の事を大事に思っているの……ね?」優しく甘い口調でそう言っているが、瞳にはどろりとした情欲を宿している…

アンジェ「…はい」

ローズ「だから私に……私だけに本当の事を言ってくれないかしら…誰に文書を渡す予定だったの?」

アンジェ「だからそんな文書の事は知りません…嘘じゃないんです」

ローズ「…ふぅ…困ったわね。 アゴニー、アンギッシュ」二人はうやうやしく鞭を受け取ると、代わりに手際よくテーブル上の器具を差し出した…

ローズ「ねぇ、マーガレット…」

アンジェ「…は、はい」アンジェとしてもこうしたタイプの女性は初めて対処するので、慎重に反応を見つつもそれ相応に怯えた雰囲気を演じた…

ローズ「どうしても答えてくれないと、私としても色々試してみないといけなくなるの……例えば、爪を剥がしたり…ね♪」

アンジェ「…」

ローズ「他にも、爪の間に細い串を刺したり……あと、童話の「シンデレラ」だったかしら? 悪い魔女に焼けた鉄の靴を履かせて、死ぬまで舞踏会で躍らせたのは…♪」あごの先に人差し指を当て、困ったように首をかしげた…

アンジェ「…っ」

ローズ「……ところで、何かお話してくれる気になったかしら?」

アンジェ「ですから、さっき言った通りなんです…確かに私は「婦人参政権運動」の活動はしていました……でも、スパイなんかじゃありません…!」

ローズ「そう……アゴニー」

アゴニー「…はい」鉛筆くらいの太さの棒を数本渡した…

ローズ「……綺麗な手ね♪」手首で縛られているアンジェの左手をそっとつかむと、指の間に棒を挟み始めた…

アンジェ「…お願いです、どうか……」

ローズ「文書は誰に渡す予定だったの?」

アンジェ「……ですから、本当に…」

ローズ「…そう」一気に手を締め上げる…

アンジェ「ああ゛ぁ…っ!」指の骨に激痛が伝わり、指の間に挟まれていた棒が折れた…

ローズ「ああ…ごめんなさいね、痛かったでしょう……?」

アンジェ「う……くぅ…っ」

ローズ「さぁ、お願いだから……文書は誰に渡す予定だったの?」

アンジェ「…あぁ…っ……うぅ…」

ローズ「ね、マーガレット…私には話してくれるでしょう?」

アンジェ「…本当に…本当に知らないんです……お願いですから、信じて下さい…!」

ローズ「ふぅ……困ったわねぇ…」

320 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/05/14(火) 02:05:26.09 ID:pVJAjLVq0
アンジェ「…本当なんです……私には…こんな痛い思いをしてまで嘘をつく理由がありません……」

ローズ「ええ、分かるわ。こんな痛い思いはもうしたくないでしょう……だから本当の事を話してちょうだい?」

アンジェ「うぅっ……どうして信じてくれないの…?」

ローズ「…いくら貴女の事を信じてあげたくても、そんな作り話では納得できないわ……さて、どうしようかしら…」

アンジェ「…そんな……!」

ローズ「……本当の事を話してもらうだけなら手足はいらないし…指を一本づつ折っても十回……足も入れれば二十回は尋ねることが出来るわ……ね、そうでしょう?」

アンジェ「ひっ…!」


…アンジェとしても遅かれ早かれ(…当然アンジェとしては「遅かれ」の方であるように努力していたが)いくらか情報を吐かされることは風邪や税金と同じで、ある程度「やむを得ない」とは思っていた…とはいえ、身体を五体満足にさせておいてくれないようなサイコパスを相手にはしたくない……相変わらず見事に怯える演技を続けてはいたが、いつもよりぐっと実感がこもってしまう…


ローズ「…ふふ、そう怯えなくたっていいわ……ちゃんと話してくれさえすればいいの…♪」そう言って足下にしゃがみこむと、そっとむき出しの足を撫でた…

アンジェ「…っ!」先ほどの革で打たれた部分を触られて、思わずうめき声を漏らした…

ローズ「あぁ、マーガレット……これ、あの連中にやられたの?」

アンジェ「…はい」

ローズ「…もう、マーガレットの柔肌になんてことを……アンギッシュ」

アンギッシュ「はい」

ローズ「かわいそうに、こんなに赤く腫れあがって…あの野蛮人たちにひどい目にあわされたわね、マーガレット……ん、ちゅっ…ちゅぅ♪」なみなみと満たされたワイングラスを受け取ると濃い色をした赤ワインをアンジェの足首から指先にかけ、それから両手でそっと足を包み込むと、爪先からワインの滴るアンジェの足を丹念に舐めまわす…

アンジェ「…///」

ローズ「大丈夫……私は貴女の味方よ…ね♪」

アンジェ「…」

ローズ「……それにしても「手つかずの」娘のお相手をするって言う話だったのに…まったく、あの連中ときたらとんでもない二枚舌ばかりね……まぁ、それも「職業病」と言う事かしら…?」首をかしげて、ひとり言をつぶやいたローズ…

アンジェ「…」(……二枚舌が職業…もしかして外務省?)

ローズ「…でも、こうなると可哀そうなマーガレットがどんなに痛めつけられたか分からないわ……アゴニー、アンギッシュ…外してあげて?」

二人「「はい」」

…左右から近寄ってくると、腕のロープをほどいた二人……とはいえ脚はまだがんじがらめに縛られており、ひりひりと焼け付くような足裏から言っても歩ける状態ではない…おまけに下着姿の丸腰で、外にどれだけの敵がいるかも分からない……アンジェとしては相手が警戒をゆるめるよう、出来るだけ協力的にふるまうことにした…

アンジェ「…っ」縛りつけられていた手首に血が通い、ひどくうずく…

ローズ「よろしい……それじゃあ、お願いね」

二人「「はい」」

アンジェ「……っ///」

…二人が両側から、丁寧な手つきで白いシュミーズとコルセットを脱がしていく……アンジェもご婦人の部屋でならそういう経験がないわけではなかったが、薄暗い地下室で自分を痛めつけてきた相手から…と言う異常な状況下では初めてだった……

ローズ「あぁ、よかったわ…身体は真っ白なままね……本当にマーガレットの花びらのよう♪」そっと脇腹に手を差しのべ、優しく愛撫する…

アンジェ「…んっ」

ローズ「……さぁ、二人とも」

二人「「はい」」…今度は脚のロープを解き、ペチコートをそっと引き下ろした……

アンジェ「…っ」

ローズ「……あぁ、白い肌がまるで新雪のようね…傷一つないわ♪」あちこちを丹念に撫で回すローズ…

アンジェ「…」

ローズ「さて……と♪」しばらく優しすぎるくらいにアンジェの身体を撫でまわしていたが、二、三歩下がってにっこりすると、アゴニーから黒革の鞭を受け取った…

321 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/05/15(水) 18:04:54.67 ID:xvwqEJpXO
えすえむのお時間である
昔のアンジェさんは鞭打ちに弱かったけど果たして
322 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/05/19(日) 23:52:23.44 ID:9IxaZVAW0
>>321 さぁ、果たしてどうなるやら…

それと、ここ何日か投下出来ずすみませんでした。とりあえずまた明日以降になるでしょうが、続きを書いていく予定ですので……気長にお待ちいただければと思います
323 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/05/23(木) 02:28:18.64 ID:1OkC8OmM0
ローズ「もう一度聞くわね、マーガレット……文書を渡す相手は?」

アンジェ「…知りませ……」

ローズ「…」途端に「ヒュッ…!」と鞭がうなり、アンジェの引き締まったふとももに打ちつけられた…

アンジェ「…っ!」

ローズ「ね、本当の事を教えてちょうだい…貴女の所属している組織はどこなの?」ヒュンッ!

アンジェ「……ですから…うぅっ!」

ローズ「早く答えた方がいいわ。でないと貴女の絹のような肌が傷だらけになってしまうもの……組織のトップはだあれ?」

アンジェ「そんなの…っぐ!」

ローズ「さぁ、ひどいことにならないうちに…ね♪」先ほど見せていた形ばかりの優しい表情はすっかり消え去り、瞳を爛々と輝かせて鞭を振るっている…

アンジェ「知らないことは答えようがありま……あ゛ぁっ!」

ローズ「ふふ……組織を守ろうと言う心意気は立派だけれど、今のうちに答えた方が貴女のためよ? ふとももの皮が裂けてしまわないうちに♪」

アンジェ「でも、知らないのはどうしようも…あぁぁっ!」

ローズ「もう、マーガレットったら頑固なのね♪」

アンジェ「…ぐぅっ!」

ローズ「さぁ、教えて…そうでないとまた痛い事をすることになってしまうのよ?」甘く優しい猫撫で声はねっとりとした妖しいささやきに変わり、アンジェをいたぶりながら悦びに身体を震わせている…

アンジェ「……そんなことを言っても……っ、ぐぅっ!」


…かつてアンジェが受けた訓練でも、こうしたインモラルな趣味の持ち主を相手に動じない(…できれば気に入られる)ようにと色っぽい教官がさまざまな事を「実技で」教えてくれたが、訓練に支障が出ないよう絶妙な手加減を加えてくれていたらしい「一流の」教官に比べると、鞭の振るい方に遠慮がなく、両のふとももが焼けつくように感じる…


アンジェ「…はぁ、はぁ……」

ローズ「ふふ…マーガレットはこんなに我慢できたのね。とっても偉いわ……さ、お飲みなさい♪」そう言ってアゴニーからグラスのワインを受け取ると口に含み、アンジェの唇に重ねると口移しでワインを飲ませた…

アンジェ「…っ!」

ローズ「んむっ……んっ…♪」

アンジェ「……っ、んくっ…んっ///」目を閉じたアンジェの口の端から一筋の線になってワインがこぼれた…

ローズ「ふぅ…お味はいかが?」

アンジェ「///」

ローズ「あらあら、そんなに物欲しそうな表情をして……そんな顔をされたら我慢できなくなってしまいそう♪」…ん、ちゅっ♪

アンジェ「…ぁっ///」

ローズ「ふふ…私、貴女のことが気に入ったわ……アゴニー、アンギッシュ」

二人「「はい」」

ローズ「貴女たちも仲間外れは嫌でしょう…さ、お手伝いをしてちょうだいね♪」

二人「「承知いたしました」」

アンジェ「あ……んっ、んくっ///」

アゴニー「…んむっ、んくっ」

アンギッシュ「…んっ、んっ……こくんっ」

…代わる代わる二人からワインを口移しされたアンジェ……なにも食べていない状態で何杯も飲まされたせいで酔いが回ったのか、痛めつけられた身体が少し楽になった分、身体が火照りを覚えていた…

ローズ「ふふ、これで元気が出たでしょう……それじゃあ続きを始めましょうね、マーガレット♪」バケツの水で鞭についた鮮血を洗い落とすと、火照りで赤みを帯びて、汗で艶めいた色っぽい胸元をシルクで拭った…

アンジェ「…」
324 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/05/25(土) 11:01:02.80 ID:/l0NND9G0
…同じ頃…

ちせ「済まぬ、遅くなった…」

ドロシー「お、来たか…危うくパーティがお開きになっちまうんじゃないかと思ってヒヤヒヤしたぜ。もっとも、あの「黒蜥蜴」女から話を聞き出すのは石からミルクを絞るより難しいがな……」

ちせ「うむ…それで、アンジェどのの行方がつかめたそうじゃな?」

ドロシー「まぁそんなところさ…ところでだ、一つ言っておかなきゃならないことがある……」

ちせ「なんじゃ?」

ドロシー「…今回の件なんだが……こいつはちょっとした「個人的な事情」による殴り込みで、コントロールの指令でも何でもない。どころか、この件に関われば任務を窓から放り出すのと同じになる……」

ちせ「…ふむ?」

ドロシー「当然、失敗したら……いや成功したとしても山ほど問題を巻き起こすのは間違いないし、もし途中で捕まるとかそれ以外のトラブルに巻き込まれても、お前さんのボス…堀河公もかばってはくれないだろう…」

ちせ「ふむ、それで…?」

ドロシー「もちろんお前がいてくれれば心強い…とはいえ、こいつは言ってみれば「任務の範囲を超えている」のも事実だから、一緒に来るかどうかは自分で決めてくれ。 …何しろこんなバカにつき合うって言うなら、そいつも「史上最大の大マヌケ」ってことだからな……♪」

ちせ「なるほど…」

ドロシー「……で、どうする?」

ちせ「ふぅ…幾度も命を助けてもらった朋友を捨て置くというのはあまりにも薄情というもの……助太刀いたす」…そう言って太刀を取り上げた

ドロシー「よぉし、分かった…どうやらお前さんも私たちくらい大マヌケらしい……さ、車に乗ってくれ♪」

ちせ「うむ」

ドロシー「…みんな、忘れ物はないな?」

ベアトリス「はい」

ドロシー「よし…ベアトリス、最後に一つコントロール宛てに暗号電を送ってやってくれ「緊急…協力者「トガリネズミ」は巣を捨てた模様、至急関係者の脱出、潜伏を提案する…本局もただいまをもって閉鎖」とな」

ベアトリス「……はい、送りました」

ドロシー「結構…ならその通信機を使えなくするんだ」

ベアトリス「はい」…愛着を持って整備していた無線電信の装置を、少しもったないなさそうに破壊した……

ドロシー「よし。暗号書も始末したし……余った武器の類は特徴もないから、そのまま地下に放り込んでおけばいい」

ベアトリス「……それじゃあ…?」

ドロシー「ああ、出発だ…あの冷血女を助けにな♪」…濃緑色のロールス・ロイスに飛び乗ると、最新式の「自動点火型」エンジンを噴かした……

ベアトリス「はいっ…!」
325 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/05/28(火) 10:47:21.46 ID:U+WJNlOr0
…ロンドン市内…

ドロシー「どれどれ……よし、少し薄れてはいるがばっちりだ」


…宝石の鑑定士や時計職人が付けていそうなデザインの「モノクル型分光器」を片目にはめ、コーヒーハウス「ゴールデン・ライオン」の前から車を流した…分光器をはめたドロシーの右目には、夜のとばりが降りたロンドンの道にうすぼんやりと青緑の光の帯が残って見える…


ベアトリス「良かった…それじゃあ、後はそれをたどっていけば……!」

ドロシー「いや、喜ぶのはまだ早い……向こうがネストを突きとめられないようにうんと迂回をしていたり、途中で車を替えたりしたら追えなくなる」

ベアトリス「……でも、もし追えなくなったら…?」

ドロシー「その時はこっちとしてもどうしようもない…もし効き目のあるおまじないだの情報部員の守護聖人だのを知ってるなら、そうならないように祈っておくんだな」

ベアトリス「…」

ドロシー「もっとも、どうやらあちらさんはお急ぎのようだ……まるで尾行を撒く努力をしちゃいない」

ベアトリス「それじゃあ、無事に見つけられるんですね?」

ドロシー「たぶんな。あとは連中が手際よくアンジェを移送したり、人相を触れ回ったりしていない事を願うだけさ…」

………



…再び・どこかの地下…

アンジェ「…ああっ!」

アゴニー「さあ、どうぞお話しください…貴女の「雇用主」との連絡方法は?」ヒュンッ…!

アンジェ「ぐぅっ…!」(…さすがに身体にこたえてきたわ…まるでふとももが焼け付くよう……)

ローズ「…まぁまぁ、よく耐えること……これなら二人もたくさん愉しめるわね♪」アンジェの真っ白なふとももの肌が裂け、鮮血が滴っているのをみてご満悦のワイルドローズ…先ほどから椅子に腰かけ、しばしアゴニーとアンギッシュに任せている……

アゴニー「…さぁ、吐かないとどんどん辛くなるだけですよ……?」

ローズ「その通りね……アゴニー、そろそろアンギッシュと交代してあげて?」

アゴニー「分かりました…」

アンギッシュ「はい…んむ、ちゅっ……」鞭を手渡しつつ、互いに舌を絡めあうアゴニーとアンギッシュ…

ローズ「ご苦労様…さ、お飲みなさい♪」

アゴニー「はい…」座っているローズの前で膝をつき、濃い味わいのワインを口移しで飲ませてもらうアゴニー…

アンギッシュ「……貴女の雇用主は」

アンジェ「…だ、だから知らないわ……あぁ゛ぁ゛ぁっ!」

アンギッシュ「では、次の質問を…連絡役はどんな人物でしたか」

アンジェ「……シルクハットに灰色っぽい服…ステッキはついていたと思うけれど、よくは見なかったわ…」

アンギッシュ「…その連絡役の名前は」

アンジェ「知らないわ……嘘じゃないの…」

アンギッシュ「…どうか事実を…事実のみをお話しください」ヒュッ…!

アンジェ「ああ゛ぁぁ…っ!」

アンギッシュ「…貴女の接触役はどんな人物ですか」

アンジェ「婦人参政権の活動で会うのは……ミス・マーギット…本当にそれだけで、スパイなんて知らないの……お願い…」

…尋問官を信じさせる技法として、直接情報活動とはつながりのない人物を思い浮かべ、立場や名前だけをすり替えて細かい仕草や格好まで詳しく説明するやり方がある…大事な部分ははぐらかし、とにかく細かい部分を詳しく描写してみせると説得力が増す…アンジェも尋問に屈したふりをして、少しづつ口を開いていた…

アンギッシュ「…その方の特徴は」

アンジェ「い、今話すわ……身長は私と同じくらいで、髪は茶…年齢は三十代くらいのオールド・ミスで、たいていは緑のさえないドレス姿……」
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/28(火) 18:14:09.22 ID:w78yBFnbO
アンジェさんがんばれ
....双子はもっとがんばれ
お姉様よりは尋問スキル高そうだし道具もまだまだあるぞ!
327 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/05/30(木) 01:03:14.08 ID:MEEqTHOC0
>>326 コメントありがとうございます…ちなみに二人は双子みたいにそっくりではありますが双子ではなく、ミス・ワイルドローズの「教育」によるものという設定です

…また数日以内に投下していきますので、お待ちください……どうやらドロシーたちの助けが来るまで、他にも色々されそうな予感がしますね…
328 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/06/02(日) 02:11:18.09 ID:geie0UtD0
ローズ「ようやく素直に話してくれたわね、マーガレット……ふふ、嬉しいわ…ぁ♪」綺麗な脚を組んで椅子に腰かけていたが、滑らかに立ち上がるとアンジェのそばに歩み寄ってきた…

ローズ「……でも、実際はスパイ活動をしていたのでしょう?」

アンジェ「ち、違います……そうじゃないんです…!」

ローズ「もう、マーガレットったら…本当の事を言わないとダメよ?」甘い声の底から、どろりとゆがんだ欲望がにじんでいる…

アンジェ「…本当なんです……信じて下さい、ミス・ローズ…」

ローズ「ふふふ…マーガレット、貴女はとっても可愛いけれど……嘘をつくのは良くないわ♪」そう言って卓上に置かれている道具から、外科手術に使いそうな固定具のような道具と、恐ろしく研ぎ澄まされている剃刀を取り上げた……

ローズ「さてと……せっかくお近づきになれたのだから、もっと貴女の事を知りたいわ…♪」アンジェの前で姿勢を落とし、秘部に固定具をあてがって押し広げた……

アンジェ「…っ///」

ローズ「まぁ、なんて綺麗な薄桃色……まるで処女(おとめ)のままみたい…ね♪」舐めまわすようにじっくりと眺めると、剃刀を取り上げた…

アンジェ「…」

ローズ「ふふふ…それにこの柔らかな産毛……♪」そう言って脚の間を軽く撫でると、まだワインで濡れそぼっている秘部の周りに剃刀を滑らせた…

アンジェ「///」

ローズ「くすっ……可愛らしいマーガレットには処女らしくしていてもらわないと…ね♪」しゃり…しゃりっ……

アンジェ「……んっ///」じらすような刃の滑らせかたに、思わず声が出るアンジェ…

ローズ「動いちゃだめよ……♪」

アンジェ「…ん…はぁ……///」…声を出すまいと思いつつも、散々縛りつけられたり痛めつけられたり…かと思えば口移しでたっぷりとワインを飲まされ、今度は豊満な美人に優しくデリケートな部分を剃毛されている……想定を超える異常な状況とこそばゆいような感覚のせいで体が疼き、花芯が濡れてくる……

ローズ「ふふふ……終わったわ…すっかりつるつるで、まるで赤ちゃんのようね♪」

アンジェ「…はぁ…はぁっ……///」

ローズ「…さてと……それで、貴女の雇用主は?」

アンジェ「……知りません…本当にいま話したことしか知ら……ああ゛ぁ゛ぁぁっ!」

ローズ「ふふ…もう、嘘をついちゃダメだって言ったでしょう……♪」爛々と瞳を輝かせ、研ぎ澄まされた剃刀で浅く…しかしたっぷり一インチほどふとももの柔肌を切り裂いた…

アンジェ「……うぅっ」(…あの剃刀が良く砥がれていてよかったわ……刃がぎざぎざになっているような鈍い刃物でやられたらもっとひどいことになっていたはず…)

ローズ「さぁ、答えて♪」まるで何かの当てっこをするような楽しげな口調で問い詰める…

アンジェ「…あ…うぅ……ですから、本当に……」

ローズ「…ふぅ」いつの間に持ち替えたのか、長い鞭で鋭く打ち据えた…

アンジェ「……ぐっ!」

ローズ「ね、本当の事を言うだけよ……もし教えてくれたら、ごほうびをあげる♪」アンジェの胸元にワインを注ぐと、吸いつくようにして舐めはじめた…

アンジェ「…ん///」

ローズ「大丈夫…ん、ちゅぅ……貴女に害が及ぶような事は……じゅるっ、ちゅ……ないわ……私が助けてあげる♪」

アンジェ「んっ、く…///」

ローズ「……それに……ぴちゃ…組織は貴女がいなくなっても変わらないけれど…んむっ、ちゅぅ……質問に答えないと苦しいのは貴女よ、マーガレット…ちゅるっ…助かるには……素直に答えた方がいいわ……んちゅる…っ♪」

アンジェ「…ん、あ……はぁ…っ///」谷間からへそ、秘部…それからまだ血が滴っているふとももを舌で舐めまわされ、吸われていく…

ローズ「んんぅ……美味しい…♪」…ふとももの鮮血と混じりあったブルゴーニュの濃厚な紅を舌で受け止め、ちろちろと舐め続けている……

アンジェ「んぅっ……んっ///」

ローズ「ふふっ、可愛らしい喘ぎ声……二人とも、ロープを持っていらっしゃい♪」

二人「「はい」」

ローズ「……さ、マーガレットの左脚を♪」

アンジェ「…っ///」二人の手で足首に新しくロープをかけられると、片脚だけ横向きに膝を上げるような状態で固定された…

ローズ「ふふ、いい眺め……次はあなたたちも召し上がれ?」またたっぷりとワインを注ぎ、アンジェの引き締まった乳房を舐めあげた…

アゴニー「…ん、ぴちゃ…ちゅぅ♪」

アンギッシュ「……んちゅっ、ちゅる…♪」…こちらもそれぞれ右脚と花芯に吸いつき、無表情ながら陶然とした様子で一心不乱に舌を這わせている…

アンジェ「あ…んっ……///」酔いが回っていて、そのうえ三人に全身を舐めまわされているせいか、時々が目の焦点がかすむ……
329 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/06/05(水) 02:41:43.96 ID:SG91uO/t0
ローズ「…さて、それじゃあ今度は……♪」口もとから滴った血とワインの混じった雫を舌先で舐めとると、卓上の小道具をあさり始めた……

アンジェ「…」

ローズ「ふふふ……せっかくマーガレットが「初めて」なのだから、わたくしが手ほどきしてあげないといけないわ…ね♪」

アンジェ「…っ」

…机からワイルドローズが取り上げたのは、樫の木でできた芯材に黒染めの柔らかな牛革をぴったりとかぶせて縫い上げた張り型(ディルド)で、それを数本持って近寄ってきた…

ローズ「マーガレット……これが何か分かる?」

アンジェ「…ええ、おおよそは…予想がつきます…///」…レジェンド(偽装経歴)として作り上げた「マーガレット・ホワイト」は、年ごろからいってそう言ったものの名前くらいは聞いたことがあるが、婦人参政権や貧困の救済など「社会改革の理想に共鳴する真面目なお嬢さん」らしく顔を赤らめてみせた……

ローズ「結構……さ、あなたたちもお取りなさい」

二人「「はい…♪」」

ローズ「…ふふ、マーガレットはこういう「お道具」を使ったことはある?」

アンジェ「……い、いいえ///」(実際は幾度かあるけれど……ここは余計なことを言わない方が利口ね…)

ローズ「くすくすっ……ようやく本当の事を言ってくれたわね♪」

アンジェ「…っ///」

ローズ「それにしても良かったわ…マーガレットの「つぼみ」がまだ手つかずで……♪」張り型を持ってにじり寄ってくると、汗ばんだアンジェの脇腹を舐めあげた…

アンジェ「…う、うぅ…っ……」嫌がるように顔をそむけ、身をよじった…

ローズ「ふふふ…大丈夫、すぐに貴女からおねだりするようになるわ……♪」すべりを良くするためか白いラードのようなものを張り型に塗りつけ、つけ過ぎた分を意味深な笑みを浮かべつつ舐めとった…

アンジェ「……お願い……止めて…止めて下さい……っ…///」

ローズ「心配いらないわ、もっと小さな娘にだって入るもの……始めは少し痛いかもしれないけれど、すぐ慣れるわ…♪」

アンジェ「…お願い、おねがいですから…どうか……」

ローズ「ふふふ……そう言って懇願されるとますますしたくなるのよ…ね♪」にちゅ、ずぶっ……♪

アンジェ「あ…あぁぁぁっ……///」

ローズ「まぁまぁ、何とも初々しい反応だこと…♪」

アンジェ「…うっ、ぐうぅ…っ///」必要以上に痛がって、顔をゆがめるアンジェ…

ローズ「……さ、動かすわよ」

アンジェ「あっ、ぐぅ…っ……ああ゛ぁ゛ぁっ…!」ずちゅっ、ぐちゅ…っ…♪

ローズ「ふふふ…その表情(かお)、とってもいいわ……♪」頬を紅潮させ、額やずっしりとした乳房からは汗が玉になって飛び散る…

アンジェ「あぁぁっ…んっ、ひい゛ぃぃ…っ……!」

ローズ「はぁぁ…素晴らしいわね……アゴニー、アンギッシュ」

二人「「はい」」

ローズ「せっかくだから、あなたたちもどうぞ……と、その前に♪」アンジェの目に黒いシルクの布で目隠しをすると、みだらな笑みを浮かべた…

アンジェ「…あっ……」

アゴニー「…そうおっしゃっていただけるのでしたら……」ぐちゅ、ずぶずぶ…っ♪

アンジェ「あ゛っ、あ゛あぁ゛ぁ…っ……///」

アンギッシュ「…なら私はこちらを……」アンジェのきゅっと引き締まったヒップを指し示した…

ローズ「ええ、いいわよ…♪」

アンギッシュ「…ありがとうございます、それでは……」ぐじゅっ、ぢゅぶ…っ♪

アンジェ「えっ…あ……ん゛ひぃ゛ぃっ…!?」張り型を押し込まれると、拘束されたまま身体をびくんとのけ反らせて絶叫した…

ローズ「ふふ…ふふふふっ♪」

アゴニー「…ふふ」

アンギッシュ「…くすくすっ♪」

………

330 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/06/06(木) 02:19:25.31 ID:2fjQzvp40
…一方・エンバンクメント(運河)沿いの裏通り…

ドロシー「…次は右か……ふぅ、アンジェを捕まえた連中が誰であれ、少なくとも「尾行を撒く」ことに関してはアマチュアに毛の生えた程度だって言うのがはっきりしたぜ…」

ベアトリス「どういうことですか?」

ドロシー「ああ……普通だったらうんと迂回をするとか車を乗り換えるとか、何でもいいが追跡者を撒く手立てをとっておくもんだ…こいつらみたいに目的地へ真っ直ぐ車を走らせたりしないでな」

ベアトリス「……でも、もしかしたら私たちをおびき寄せるつもりかもしれませんよ?」

ドロシー「…なかなか悪くない発想だが、それだったらこっちが餌に食いつくようにもっと複雑で「それらしい」経路を選ぶね……ところが連中はイタチの巣を見つけたテリアそこのけに突っ走ってる…もしファームの教官がこんなのを見たら、脳の血管が切れちまうだろうな」

ベアトリス「…それじゃあ」

ドロシー「この道で間違いない…ってことさ。それに目的地はそう遠くない…周囲を見てみな?」

ベアトリス「はい…」ベアトリスが辺りを見回すと、うっすらと夜霧のかかった運河の両脇に黒々とそびえる保税倉庫のシルエットが広がっている…

ドロシー「…見ての通り、辺りは人通りの少ない…それでいて見慣れない人物や車がいても何もおかしくない海外貿易品中心の倉庫街だ…誰かを連れ去って尋問にかけるにはもってこいだろう?」

ベアトリス「なるほど……」

ドロシー「それと…おそらくだが、連中は尋問室を地階(グランド・フロア)に作らないで地下に用意したはずだ……そいつはこっちとしても都合がいい」

ベアトリス「…どうしてですか?」

ドロシー「そいつは後で説明するさ……そろそろ目的地に到着、ってところだからな…」それらしい場所に近づいたのでロールス・ロイスのエンジンを止めて惰性で百数十ヤードばかり走らせ、薄暗い倉庫の間に停めた…

…その頃・地下室…

アンジェ「はひっ、はぁ、はぁっ……はぁぁ…っ…!」

アゴニー「…くすっ♪」じゅぶ…ぐちゅぐちゅっ♪

アンジェ「あっあっ…はひぃ、あぁぁ…んっ♪」

ローズ「まぁまぁ…マーガレットったら初めてなのにこんなに濡らして……♪」じゅぶ、じゅぶっ…ずちゅっ♪

アンジェ「はひぃ…はへぇぇ……///」とろとろっ…♪

アンギッシュ「では、私も……♪」ずぶずぶっ…ぐりっ♪

アンジェ「はぁ、はぁ…らめ……んはぁぁ…っ///」とぽっ、ぷしゃぁぁ…っ♪

アゴニー「…彼女はまた達してしまったようです、レディ・ワイルドローズ」

ローズ「そのようね…なら「お仕置き」が必要だわ」アンギッシュに向かって軽くうなずいた…

アンギッシュ「…はい♪」

アンジェ「ひっ…らめ、もうやめ……んあ゛ぁ゛ぁぁ…っ///」花芯に二本目の張り型をねじ込まれ、どこか甘ったるい悩ましげな声で絶叫するアンジェ…

アゴニー「んちゅぅ…ちゅっ、ちゅる…ぢゅぅぅ…っ♪」

アンギッシュ「ふふ…ぴちゃ、れろっ……んちゅ、ぢゅるぅ……っ…♪」二人は片脚を持ち上げられたアンジェの前にひざまづくと、乳房に吸いつく仔鹿のように、とろとろと垂れている愛液をすすりこむ…

アンジェ「らめ…そんな……あ、あぁっ…♪」目隠しをされたままあちこちを責めたてられ、ろれつも回らなくなった半開きの口もとからとろりと唾液がこぼれる……持ち上げられていない方の脚は垂れた愛蜜がつたって、つま先から床までべとべとに濡れている…

ローズ「…ふふ、最初から協力してくれればこんな事にはならなかったのよ……んちゅぅ…れろっ……♪」

アンジェ「んぅぅ…んっ、んんぅぅ…っ♪」ローズに口づけをされながらアゴニーとアンギッシュの二人に張り型を動かされて、身体をひくひくと震わせながら絶頂するアンジェ…

ローズ「ふふ…言っておくけれど、まだまだ色んな事を体験できるわ……楽しみにしていらっしゃい…ね♪」アンジェの耳たぶを甘噛みしながらささやきかけた…

アンジェ「んっ、んぅぅ…っ///」とぽ…とろとろ……っ♪

………

331 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/06/08(土) 01:47:59.52 ID:jFTn6DEk0
…倉庫街の一画…

ドロシー「…アンジェが捕まってる倉庫は……あれか」


…使われていない倉庫の影の暗がりからそっと様子をうかがうドロシーたち…その視線の先には、夜霧に霞んでレンガ造りの倉庫が建っている……辺りには青果店の倉庫から出たカブの葉っぱやニンジンのしっぽのような野菜くずが捨てられているゴミ捨て場があり、運河のよどんだ水の臭いや古びたレンガの土ぼこりのような臭いと交じって、いかにも倉庫街らしい雰囲気を漂わせている…


ベアトリス「……ドロシーさん、どうしてあれだって分かるんですか?」

ドロシー「簡単さ…ケイバーライト粉の痕跡はあそこの前で切れてるし、入り口に見張りがいる……こんな人気のない場所でわざわざ見張りなんて立たせておいたら逆に目立つって言うのに……馬鹿な連中だ」

見張り「…」ハンチング帽をかぶり、時々倉庫の前を行き来している…

ドロシー「…見張りは一人で程度は「並」ってところか……だが動きがぎこちない所を見ると、経験が浅いな……」

ちせ「とはいえ見張りは見張り、見つかれば騒がれるじゃろうが…どうする?」

ドロシー「もちろん片づけるさ……とりあえず奴をおびき出す」道端に落ちていた石ころを拾い上げると軽く手の上で転がして重さを確かめ、絶妙な場所に放った…夜霧のせいで音が妙に響き、それでいて少し離れるとすっかり霧に吸い込まれてしまう……

見張り「…ん?」

ドロシー「……ちせ、仕留めそこなったら頼む」スティレットを握って身構えた…

ちせ「うむ」

見張り「…?」不審そうな顔をして歩いてくると、頭を動かしてドロシーたちの隠れ場所の向かいにある暗がりを透かし見ようとする…その後ろからドロシーが音もなく忍び寄り、口をふさぐと同時にスティレットを突きたてた……

見張り「ぐ…ん゛っ……!」

ドロシー「……よし、片付いた…」スティレットの刃を相手の服の裾で拭うと、死体を引きずって隠した…

ベアトリス「それで、ここからどうするんです…?」

ドロシー「ああ、そいつをまだ説明してなかったな……見たところあの倉庫からは灯りや声が漏れてこないから、どうやら連中は尋問室を地下に作っているようだ…さっき裏側も見てきたが、そっちは運河に面したどん詰まりで道はない……つまり出口は一つきりだ」

ベアトリス「…それで?」

ドロシー「簡単さ……アンジェを助け出すと同時に、ここにいる連中を一人残らずきれいさっぱり始末する…私たちが助けに来たことを連中の「お仲間」に話されちゃたまったものじゃないからな」

ベアトリス「あの…それって……」

ドロシー「そういうことだ……アンジェの命、それと私たちの安全のためにな」

ベアトリス「……っ、分かりました…」

ドロシー「結構。それじゃあ私とベアトリスが突入するから、ちせは地下の入り口で待機……私たち以外で出てくる奴がいたら、問答無用で片っぱしから斬れ」…戦闘技術が未熟で足手まといになるリスクがあるベアトリスを連れて行くことで、「厄介事」に巻き込んでしまったちせに少しでも負担をかけないよう気を回したドロシー…

ちせ「うむ、承知した」ちせも言外の含みに気が付き、軽く一礼した…

ドロシー「よし…それじゃあベアトリス、行くぞ……あいにくと招待状はもらえなかったが、一つパーティにお邪魔させてもらおうじゃないか♪」

ベアトリス「はい…っ!」

…倉庫内…

ドロシー「…やっぱりな……あれだ」倉庫の中はガランとしていて、数台のロールス・ロイスやモーリス、マーモン・ヘリントン乗用車が停めてある……その片隅には小ぶりな階段があって、薄暗いシルエットになって地下へ続いている…

ベアトリス「…そうみたいですね」

ドロシー「ああ……まずは連中の車をおしゃかにしておくぞ。こいつを使って逃げられたら厄介だからな」

ベアトリス「はい」音が響かないようそっとボンネットを開けて、点火栓を外したりコードを切ったりした……

ドロシー「よし、こんなもんでいいだろう…ベアトリス、お前の方が小さいから前だ……私がきっちり援護してやるから、心配するな」

ベアトリス「分かりました…お任せします」

ドロシー「おう……それじゃあ行くぞ♪」そう言うと、ニヤリと不敵な笑みを口の端に浮かべた…


332 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/06/11(火) 02:00:30.47 ID:nV+5WRBk0
…倉庫の地下…

見張り「ふわ…ぁ……くそ、眠いな…」ハンチング帽をかぶったエージェントが目をこすり、あくびをかみ殺しつつ廊下の椅子に腰かけている…

ドロシー「…」廊下の角からちらりと確認すると、右側のウェブリー・スコットを抜いた…

見張り「…うーん……」眠気覚ましに首を回したり腕を動かしてみたりと忙しい……

ベアトリス「…ここからだと一人しか見えませんね」3インチ・ウェブリーを構えて小声で言った…

ドロシー「…よし、だったらちょっとばかり呼び鈴を鳴らしてやるとするか……スリー・トゥ・ワン…行け!」

ベアトリス「…はいっ!」バン、バンッ!

見張り「う、ぐうっ……!?」


…地下の狭い廊下で反響して、まるで装甲艦の8インチ砲のように轟く銃声……見張りが椅子ごともんどりうって数秒もしないうちに、あちこちから騒がしい物音が聞こえてきた…


王国エージェント「何だ…っ!?」

王国エージェントB「馬鹿、銃声だぞ! とっとと持ち場に……あっ!」

ドロシー「……安全確認もしないで飛び出しちゃ駄目だって教わらなかったか?」右手の廊下から駆けつけてくるエージェント二人にウェブリーを撃ち込み、身体をひねると左側のドアから飛び出してきたハンチング帽のエージェントを撃ち抜いた…

ベアトリス「……っ!」奥の方から駆けつけてきた数人に弾を撃ち込むとひとりが倒れ、残りは慌てて角に隠れた…

王国エージェントC「ボビー、ウィル…援護しろ!」コートの裾をひらめかせ、ウェブリーを撃ちながら走り込んでくる…

ドロシー「…おいおい、連中ときたらずいぶんと数が多いな……同窓会でもあったのか?」


…ドロシーは飛び出してきたエージェントの額を撃ち抜くと、目にも止まらない速さで左のウェブリーを引き抜きつつ弾切れになった右手のウェブリーと持ち替え、そのまま援護射撃をしていたエージェントを仕留めた…


ベアトリス「…く、こんなにいるなんて……聞いていませんでした…よ!?」一人を撃ち抜き、もう一人にも手傷を負わせた…

ドロシー「ああ、私もこんなにいるとは思ってなかったさ…!」持ち替えたウェブリーも撃ちきると水平二連の散弾銃を抜き放ち、廊下の角から向こう側に向けて撃ちこんだ…鹿撃ち用の散弾をもろに浴びて廊下の壁に叩きつけられる王国エージェント…

ベアトリス「…っ、弾切れです!」

ドロシー「分かってる、そこを代われ!」


…中折れ式リボルバーのウェブリー・スコットはどうしても再装填に両手を使う必要がある…ドロシーはベアトリスと交代すると、今度は限界まで切り詰めた改造リー・エンフィールド・ライフルを脇のサックから引き抜き、自動火器かと思うほどの速射で廊下の小机を倒して盾にしている二人を撃ちぬいた…


ベアトリス「っ…装填できました、代わります!」

ドロシー「よし、頼む!」代わりあうようにして壁に背中をあずけ、手際よくウェブリーの弾を込め直した…

ベアトリス「…んっ!」バン、バァン…ッ!

王国エージェントJ「…ぐっ!」

ドロシー「……どうやら片付いたようだな?」

ベアトリス「はー、はー、はーっ……ええ、どうやらそうみたいです…」

ドロシー「よし、それじゃあ後は人に手間をかけさせやがった黒蜥蜴女を探すとしよう……連中に「奪還されてなるものか」って片づけられちまわないうちにな」

ベアトリス「はい」

ドロシー「さてと、どうやらここは大文字の「H」字型みたいなつくりらしい…縦棒ごとに面した部屋があって、入り口側の二つは詰所か仮眠室か……まぁそんなような物だったから、残りは二部屋っきりだ…私なら奥の方が尋問室だと見るね」

ベアトリス「ええ、同感です」

ドロシー「まさに「意見の一致」ってやつだな…それじゃ急ごう♪」

ベアトリス「はいっ!」
333 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/06/14(金) 02:06:27.73 ID:0dT4qfmr0
…同じ頃…

ローズ「…んじゅるっ、れろぉ、ぴちゃ……ふふ、早く言った方がいいわ」

アンジェ「…ん、んんぅ…っ///」ワイルドローズはアンジェの耳の穴から爪先までくまなく舐めまわし、アゴニーとアンギッシュは蜜でねっとりと濡れたふとももにしがみつくような体勢で舌を這わせている……

ローズ「……マーガレット、貴女はよく耐えたわ…もう楽になっていいのよ♪」

アンジェ「…んっ、はぁ……はぁっ///」

ローズ「……ね、もう我慢しないで……素直になりましょう?」

アンジェ「…」くり返しくり返し同じことを言われ続けたせいで一種の暗示にかかり始め、判断力が鈍り始めているのを意識しているアンジェ…

ローズ「私が貴女のことは大事に飼ってあげる…んちゅっ、じゅるっ……きっと貴女も気に入るわ…ね?」


…縛り付けられたアンジェを責めたてながらねっとりとした甘い言葉で誘惑するワイルドローズと、まるで酔ったように身体を舐めまわすアゴニーとアンギッシュ……と、不意に重い鉄扉の向こうから聞き間違いようのない銃声が地下室に反響し、長く尾を引いて響いてきた……最初の数発が聞こえてきたかと思うと一気に激しい銃撃戦の音が始まり、数分もしないで静かになった…


アンジェ「…」

アゴニー「…っ!?」

アンギッシュ「……いったい何の音でしょう、レディ・ワイルドローズ…?」二人はアンジェを舐めまわすのを止めると、今までの無表情と気だるさの混じりあったような表情が取り払われ、怯えたように身体をすくめた…

ローズ「…心配いらないわ。 大丈夫よ、私があなたたちを守ってあげる……あなたたちは私の可愛いしもべですものね♪」

…ワイルドローズ本人も何が起こったか分からないせいか一瞬不安そうな表情を浮かべたが、すぐアゴニーとアンギッシュを抱きしめて口づけを交わすと、二人をかばうようにして扉の前に立った…それから木のかんぬきをかけ、ナイフの代わりになりそうな一番大きいメスを取り上げた…

アンジェ「…」(やっぱり素人ね。扉の正面に立つなんて……)

…一方・扉の前…

見張り「…がはっ……!」

ドロシー「さて、ここだな…」ウェブリーのシリンダーを開いて空薬莢を捨てると弾を込め直し、ドアの脇に立った…

ベアトリス「…でも、こんな鉄の扉じゃ開けようもありませんよ……」頑丈そうな鉄扉を前にすっかり落胆しているベアトリス…

ドロシー「おいおいベアトリス、その歳でボケるのはちと早いぜ? …ここに来るときにネストから「ドカンといくやつ」を持って来ただろうが♪」

ベアトリス「いえ、それはそうですが……中にアンジェさんがいるかもしれないんですよ?」

ドロシー「じゃあ他にいい方法があるなら教えてくれ…煙でも焚いていぶり出すか? それとも尋問官に開けてくれるようお願いするか?」

ベアトリス「むぅ…」

ドロシー「それに、よしんばアンジェが巻き込まれたとしてもだ……あの冷血女がけちな爆発一つでくたばるかよ♪」

ベアトリス「…でも」

ドロシー「悩んでる暇はないぜ、このふざけたドアに爆弾を仕掛けるんだ…ただしドアが完全に吹っ飛んでアンジェの奴をひき肉にしたりしないよう、錠や蝶つがいのところを中心にして…だ♪」口もとに笑みを浮かべた…

ベアトリス「あ……はいっ!」それを聞いて手際よく爆弾を仕掛けた…懐中時計そっくりな時限装置をぎりぎりの短さにセットする…

ドロシー「…いいか?」

ベアトリス「はい、仕掛けました……隠れて下さいっ!」

…ふたたび室内…

ローズ「……もう、マーガレットったら…可愛い顔をしてずいぶんな嘘つきさんね。…お仲間がいらっしゃったようじゃない?」

アンジェ「…さぁ」

ローズ「今さら隠し立てしなくてもいいのよ…もっとも、貴女のお仲間はこの分厚い鉄の扉をどうやって開けるつもりなのかしらね♪」

アンジェ「…分からないわ、ただ……」言いかけた瞬間に猛烈な爆音と衝撃が走り、壁や床からレンガの粉やほこりが一気に舞い上がってもうもうとたちこめた…

アンジェ「……かなり派手な方法だろうとは思っているわ…」爆風で耳が聞こえないなか、心の中でつぶやいた…
334 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/06/14(金) 03:26:09.81 ID:0dT4qfmr0
ドロシー「……よし、行くぞ!」ウェブリー片手に室内へ飛び込んだドロシーとベアトリス…室内には猛烈な煙とほこりの雲がたちこめ、置いてあったはずのランタンは吹き飛んで、すっかり真っ暗になっている……

ドロシー「…ふぅっ…こりゃ大掃除が必要だな……」ベアトリスが持っているランタンを受け取り、室内を照らした…

アンジェ「……それは貴女がやるべきでしょうね」


…少し声に張りがないが、それでもドロシーに向かっていつも通りの口調で言ったアンジェ…十字架形の拘束台に片脚を高く上げた状態で縛りつけられ、ランタンで照らされている裸身は傷だらけになっている…ふとももの皮はあちこちが裂け、そうでないところにも赤く鞭打ちの跡が残り、おまけにほこりをかぶってすっかり白っぽくなっている…


ベアトリス「アンジェさんっ!」あわてて駆け寄ると、ロープをほどこうと焦っている…

ドロシー「……よう、アンジェ」結び目に悪戦苦闘しているベアトリスにナイフを渡すと、いつもの不敵な笑みを浮かべた…

アンジェ「ええ…」

ドロシー「地下室暮らしは飽きただろ? …上に車が用意してあるぞ」

アンジェ「…結構ね……ごほっ、げほっ…!」

ドロシー「おっと、忘れてた……ここはずいぶんほこりっぽいからな、喉が乾いただろ♪」そう言ってブランデーの携帯容器を取り出し、そっと唇に当てた…

アンジェ「…んくっ、こくっ……」

ドロシー「…どうだ?」

アンジェ「ええ、ありがとう……ところで…」

ドロシー「ん?」

アンジェ「…どうして貴女たちがここに来たの」

ドロシー「そりゃお前さんに「歌われ」たら困るからさ…幸い、道しるべを残しておいてくれたこともあったしな♪」

アンジェ「あれはそういう目的でやったわけじゃない……貴女たちが脱出した後、監視チームがここを突きとめて出入りする人間を見張るなり追跡するなり、しかるべき手段を講じさせるためよ…誰が十字軍ごっこをしろと言ったの?」

ベアトリス「そんな、いくら何でもそんな言い方って……!」

ドロシー「…まぁ待て」

ベアトリス「でも…!」

ドロシー「いいから……ま、それじゃあ少し考えてみようぜ。お前さんが「価値を失う」とこっちも巻き添えを食うし、同時にお前さんの思っている「とある女性」も手札としての価値が下がる…違うか?」

アンジェ「いいえ」

ドロシー「私たちの脱出だって上手くいくとは限らないし、監視チームの立ち上げだって時間がかかる……それまでにここがもぬけの殻になるのは目に見えてる」

アンジェ「ええ…」

ドロシー「…だとしたらお前さんの残した産物(プロダクト)には価値がないってことになる。だったら価値のある方を取り戻すのが利益になる…どうだ?」

アンジェ「だとしても…」

ドロシー「その辺の保安措置は大丈夫さ……局を閉鎖するときに「トガリネズミ」の事は連絡したし、問題になりそうな機材は全部始末しておいた」

アンジェ「……でも…」

ドロシー「それにだ……お前さんが鉄格子の向こうだの天国だのに行っちまったら、あのレディを悲しませることになる…だろ?」

アンジェ「……っ、それとこれとは関係ないでしょう///」

ドロシー「大ありさ…もしもそうなったら今まで築いてきたこっちの信頼やカバーは無駄になるし、ひいては協力が得られなくなるかもしれない……分かったらおしゃべりはやめて、さっさとこんなところからはおさらばしようぜ♪」

アンジェ「ええ……どうやらそれが今までで一番まともな判断ね…」

ドロシー「そりゃどうも…それと、ほら」ウェブリー・フォスベリーと着るものを差し出した…

アンジェ「…助かるわ」

ドロシー「ああ…ところでこの連中は?」ドアが吹き飛んだ時の爆風で伸びているワイルドローズたち三人をあごをしゃくった…

アンジェ「連中が尋問官の代わりに準備した怪しい趣味の女性よ……息はあるようだし、睡眠薬を打って連れて行く」

ドロシー「…途中で怪しまれないか?」

アンジェ「そのあたりの手はずは考えてある……任せてちょうだい」

ドロシー「やれやれ、そこらじゅう引っぱたかれて生傷だらけにされてるって言うのにか? まったく、ついていけないぜ…♪」

………

335 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/06/16(日) 01:26:13.12 ID:Th4KJ3Jx0
アンジェ「逆ね…あれこれ考えを巡らしていれば必要以上に怯えたりしないで済む」

ドロシー「なるほど……なにはともあれ早くここを出よう。いつ連中の仲間が来るか分かったもんじゃないしな」

アンジェ「そうね……うっ…く!」地面に足をついた瞬間、焼け付くような痛みが押し寄せてきた…

ドロシー「…足の裏もやられたのか?」

アンジェ「ええ、革ベルトでね……う゛っ!」

ドロシー「……その足じゃ歩くのは厳しいだろ…ほら、おぶってやるよ♪」

アンジェ「馬鹿言わないで。それじゃあこの三人はどうする気?」

ドロシー「どのみち三人をいっぺんに運ぶのは無理だ…往復すりゃいいさ」

アンジェ「…それだと時間がかかるわ」

ドロシー「そればっかりは仕方ないさ…ベアトリス」

ベアトリス「はい」

ドロシー「戻ってくるまで見張っててくれ。私はその間にこの愛想の悪いやつを運んでくる」

ベアトリス「分かりました」

ドロシー「よし…ほら、行くぞ♪」アンジェを背負って地下室から運び出した…

…地下室への階段…

ドロシー「…よいしょ……」一段一段確かめるように階段を上る…

アンジェ「……上にはちせが?」

ドロシー「ああ」

アンジェ「なるほど、彼女まで巻き込んだというわけね…」

ドロシー「私はちゃんと「一緒に来るならでっかい問題に巻き込まれる」とは伝えたからな…あとは本人の自由意思ってやつさ♪」

アンジェ「なるほど……形は整えたわけね?」

ドロシー「そういうこと……ほら、噂をすれば♪」

ちせ「……おお、ドロシーどの…アンジェどのは無事か?」

ドロシー「ああ、さっきから私の背中にしがみついてぶつくさ皮肉を言ってるよ……とりあえず腕や脚は付いてるし、聞いている限りじゃ毒舌も無事らしい」

アンジェ「別に「ぶつくさ」なんて言ってないわ…正確な判断が出来ていないわね」

ドロシー「この通りさ……ちなみにまだ回収したいものがあるからベアトリスを下に残してある。 とにかくこの皮肉屋を車に運んでくるから、引き続きここを頼む」

ちせ「うむ、承知した……無事で何よりじゃ」

アンジェ「……ありがとう」

ちせ「なに、構わぬよ」

ドロシー「よっこらしょ……とにかく身体を休めて、もし連中のお仲間が来るようだったらちせに向けて合図のランタンを振ってくれ」

アンジェ「ええ…」

ドロシー「それじゃあ私は戻るが…手早く済ませてくる♪」

アンジェ「頼んだわよ」

ドロシー「ああ…♪」
336 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/06/19(水) 01:51:35.25 ID:ynqAWnBW0
…数分後…

ドロシー「…よし、これで運び終わったな……やれやれ、とんだ大仕事だったぜ♪」自分は一番大柄なワイルドローズを背負い、ベアトリスとちせにはそれぞれアゴニーとアンギッシュを運ばせたドロシー……地面にワイルドローズを下ろすと、額の汗を拭う真似をして冗談めかした…

アンジェ「お疲れさま」

ドロシー「おう…で、どうやってこいつらを怪しまれないで連れて行くつもりだ?」

アンジェ「そのことだけれど……ロープはある?」

ドロシー「もちろん。この世界の必需品だろ」

アンジェ「ならこの二人を互い違いにして縛り上げて」

ドロシー「あいよ」まるでサーディンを缶詰めにするようにアゴニーとアンギッシュを互い違いに寝かせると、ロープできっちりと縛り上げた…

アンジェ「結構…ならその二人は後ろのトランクへ詰めて?」

ドロシー「了解だ……ベアトリス、手伝え」

ベアトリス「はい」車の後部についている四角いトランクを開けると、ローストビーフの肉そこのけにぐるぐる巻きになっている二人を押し込んだ…

ドロシー「よし…で、この女は?」

アンジェ「それも考えてあるわ……ドロシー、さっきの気付けをちょうだい」

ドロシー「……ああ、なるほどな♪」

アンジェ「そういう事よ」睡眠薬ですっかり意識を失っているワイルドローズの顔や胸元にたっぷりとブランデーを振りかけた…たちまち酒屋の店先のように強い匂いがたちこめる……

ベアトリス「えーと……つまり?」

ドロシー「はは、簡単さ…私たちはゴキゲンなパーティ帰りの貴族様で、このレディは少しばかりグラスが多かった……って設定さ♪」睡眠薬ですっかり意識を失っているワイルドローズを後部座席に座らせた…

ベアトリス「あ、あぁ…なるほど!」

アンジェ「そういう事よ……それならもし警官に停められても言い逃れができる」

ベアトリス「でも…この格好だと貴族になんて見えないと思うんですが……」自分の黒マントを広げてみるベアトリス…

ドロシー「なぁに、そこは冴えた頭とよく回る舌、それに王立劇場並みの演技力でどうにかするさ……えらそうな口調で横柄な態度、貴族くらいしか買えない自動車に怪しげな格好……となればどう見たって上流階級の密かなお楽しみ…つまり貴族のご婦人方がこっそり楽しい乱痴気パーティからのお帰り、って設定さ♪」

アンジェ「その通りよ…もちろんスコットランド・ヤード(ロンドン警視庁)の警官も馬鹿じゃないから、わざわざ貴族の車を停めさせて不興を買ったりするような真似はしないとは思うけれど……」

ドロシー「…説得力のある設定を作っておけば慌てないで済むからな」

ちせ「なるほど…しかし、日本人の私はどう見ても貴族には見えぬが……そこはどうすればよいのじゃ?」

アンジェ「そうね、貴女は私たちが買って「お持ち帰り」の上で愉しませてもらう予定の東洋人を演じてもらう。だから何もしゃべらなくていいし、適度に縮こまっていればいい」

ドロシー「だな…ちなみにベアトリス、お前さんもちせと似たような境遇だ…私やこの女が今夜たっぷりともてあそぶ予定の「可愛い小間使い」って所だ♪」

ベアトリス「わ、わかりました…///」

ドロシー「よし、じゃあ車を出すぞ♪」

アンジェ「ええ…テムズ川沿いのネスト「ツバメの巣」に向かってちょうだい」

ドロシー「あそこか……到着するまでしばらくかかるし、寝たきゃ寝てもいいぜ?」

アンジェ「気持ちはありがたいけれど、戻るまでは起きているわ」

ドロシー「分かった…ブランデーの残りも飲んじまっていいからな?」

アンジェ「大丈夫よ…」

ドロシー「ああ、分かった」

………

337 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/06/21(金) 01:38:55.37 ID:R6QkteRl0
…ロンドン市内…

ドロシー「それにしても……そこの女にしろあの施設にいた奴らにしろ、今回は妙に素人くさい連中だったな…」

アンジェ「ええ…私も尋問の間出来るだけ耳をそばだてていたけれど、どうやらあのエージェントたちは外務省の情報部みたいね」

ドロシー「外務省情報部? …あいつらは貿易品の相場みたいな情報や外地での諜報活動なら強いが……国内の防諜もやってるのか?」

アンジェ「…だからじゃないかしら」

ドロシー「得点稼ぎに共和国の情報部員をあげて、他の省庁にいいところを見せようとしたっていうのか?」

アンジェ「ええ。そう考えたらあの場当たり的でせわしない様子もつじつまが合う……特に最近の防諜活動は防諜部の一強状態にあるし、エリート官僚が多くて気位(プライド)の高い外務省からしたら新参者に負けているのはしゃくにさわるはず…要は誰かが早急に成果を求めたのでしょうね」

ドロシー「なるほどな……」

…相づちを打ちながら夜霧がかかっているロンドンの道を迷うこともなく走らせていたが、一本の細い通りに入ると不意に車を停めた…

ドロシー「よし……アンジェ、ここで降りろ」

アンジェ「…どういうつもり?」

ドロシー「もしかしたら気づいてないかもしれないが、お前さんは夕方からさっきまで尋問されてたんだ……残りの後片付けは私とちせでやっておくから、ベアトリスを連れて寮に戻れ」…アルビオンらしい皮肉を利かせてはいるが顔をアンジェの方に向け、真剣な口調で言った……

アンジェ「だめよ」

ドロシー「馬鹿言うな。身体中傷だらけでまともに歩けもしないだろ…手伝いにならねえよ」

アンジェ「だとしても…」

ドロシー「あそこについた時、どうやっておけばいいのかは私にも分かってる……今は戻って傷の手当てをしろ」

アンジェ「…でも」

ドロシー「口答えするな。別に「お涙ちょうだい」の三文芝居にあるような安っぽい同情で言っているわけじゃない…お前の能力が落ちているのは「白鳩」の活動にとっても不利になるからだ」

アンジェ「……わかったわ」

ドロシー「よろしい。ベアトリス、お前さんは怪我の手当だとか看病だとか…そういうきめ細かい気遣いが得意だからな、よく診てやってくれ」

ベアトリス「はい、任せて下さい…!」

ドロシー「結構…どっかの誰かさんもこのくらい聞き分けがいいと助かるんだが……」

アンジェ「…余計なお世話よ」

ドロシー「へっ、だったら最初から人の言うことを聞くんだな♪」

アンジェ「そうね、これからはそうする……年寄りにくどくど言われるのは閉口だもの」

ドロシー「ああ…ちせ、悪いがもうちょっと付き合ってくれ」

ちせ「うむ」


…霧の中に走って行ったドロシーのカスタム・カーを見送ると、寮へ戻る道を歩きはじめた二人……いつも通りのポーカーフェイスを崩さないアンジェだが、さすがに脚が痛むらしく一歩づつ慎重に歩いている…


ベアトリス「…大丈夫ですか?」

アンジェ「ええ…」

ベアトリス「必要なら肩を貸しますよ…?」

アンジェ「必要ないわ……第一そんなことをしていたら目立つ」

ベアトリス「でも、誰もいませんし…」

アンジェ「……だからと言って誰も見ていないとは限らないわ。もしかしたら家の窓から外を見ている人間がいるかもしれない」

ベアトリス「それはそうですが……とにかく寮に戻ったら、ゆっくり休んで下さいね?」

アンジェ「ええ…それと、ベアトリス」

ベアトリス「はい、何ですか?」

アンジェ「…今日はドロシーと一緒に突入役を担ったようね…いくらドロシーにあの射撃の腕があっても、一人だけではまかないきれない部分もあるし、貴女の援護なくしては成り立たなかったはずよ……よくやったわ」

ベアトリス「…ありがとうございます///」

アンジェ「お礼は必要ない……貴女の実力を評価しているだけよ」

ベアトリス「…はい♪」
338 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/06/23(日) 01:50:44.87 ID:uBOwlgYt0
…寄宿舎・裏庭…

アンジェ「…うっ……」

ベアトリス「大丈夫ですか? …ほら、手を貸しますから……」寄宿舎の外周を取り巻くように植えてある鉄柵と生垣…身体の痛みをこらえて隙間を通り抜けようとするアンジェと、それを手伝うベアトリス……

アンジェ「……まさか貴女に手を引いてもらうことになるとは…私もそろそろ引退を考えた方がいいようね」植え込みで光がさえぎられているのでよく見えないが、かすかに笑みのようなものを浮かべているらしい…

ベアトリス「もうっ、可愛くないですね……さ、早く「部室」で手当てをしましょう?」

…部室…

アンジェ「…ふぅ、どうやら五体満足で戻ってこられたようね」ようやく少しだけ警戒を緩めたアンジェ…心なしか肩を落とし、一気に疲れたように見える…

ベアトリス「そうですね…とにかく室内に入って下さい、手当をしなくちゃいけませんから」

アンジェ「それもそうだけれど、今夜中に暗号文の起草をしておかないと…特にこれだけの事があった以上は……」

ベアトリス「ダメです…! 特に今夜は姫様が公的行事として観劇をなさっていて、お帰りが夜の十一時と遅いんですから…私以外にアンジェさんの手当てを出来る人はいないんですよ?」

アンジェ「…分かったわ……」

ベアトリス「ならいいです……って、姫様!?」扉を開けると心配げに座っていたプリンセスが視界に入り、周囲に聞こえないような小声ながらも驚きの声を上げたベアトリス……と、プリンセスは立ち上がって二人に駆け寄った…

プリンセス「…あぁ、二人とも……無事だったのね…!」

アンジェ「……おかげさまで、こうして生きているわ」

ベアトリス「私も傷一つありません……でも、どうして姫様が? 観劇の後は宮殿に戻って…それからお召し替えをなさって……どう頑張ってもここに戻るのは深夜になってしまうはずですが…」

プリンセス「ええ、その通りよ…ほら」

…そう言った矢先に、窓の外から深夜零時を知らせる「ビッグ・ベン」の鐘がかすかに聞こえてきた……

ベアトリス「えっ、もうそんな時間ですか……?」

プリンセス「ええ…なかなか戻ってこないから心配したのよ?」

アンジェ「そのようね……」少しよろめいて椅子に座りこんだ…

プリンセス「アンジェ…!」

アンジェ「大丈夫よ……向こうの連中とちょっとした「見解の相違」があって、いくらか「意見の転換」を求められただけだから」冷めた口調で皮肉なユーモアを披露してみせるアンジェ…

プリンセス「いいから見せて……あぁ、何てこと…あちこち傷だらけじゃない… ベアト、あなたも大変疲れているところで悪いけれど、すぐに私の部屋から金縁の箱に入っているお薬を持ってきて?」

ベアトリス「いえ、私は平気です……それよりすぐに持ってきますね」

プリンセス「ええ…」


…普段は一国の王女らしく鷹揚(おうよう)でおっとりしているように見えるが、実際は何かと手際のいいプリンセス……すでに暖炉の脇ではポットのお湯が沸いていて、テーブルの上にはそこそこの大きさの金だらいとタオル数本、一通りの薬が入っている薬箱と気付けのブランデーが並んでいる…


プリンセス「さ、脱いで…傷を見せなさい?」

アンジェ「……ベアトリスが戻るまで待った方がいいわ」

プリンセス「口答えしないの「シャーロット」……私は血を見たくらいで失神したりしません…っ!」

アンジェ「…分かった、なら好きにするといいわ……」しゅるっ…と黒いマントを床に落とすと、続けてブラックグリーンの上着と揃いのコルセット、それから黒に近いダークブラウンのスカートを脱ぎ捨てた……シルクのペチコート姿で椅子にもたれているアンジェはいつもより蒼白で、床に散らかる血の付いたコルセットやストッキングも痛々しい…

プリンセス「…ひどい」

アンジェ「そうでもないわ……爪も無事なら歯もへし折られなかったし、両目も見える」

プリンセス「そんなこと言ったって、ふとももの皮が裂けて……いま消毒と止血をしてあげるわね」現場でドロシーたちに巻いてもらったありあわせの「包帯」をそっとはがすと、たらいにお湯を注いでタオルを絞った…

アンジェ「ええ…」痛みをこらえながら傷の周りを拭いてもらい、それから消毒薬をそそぎかけてもらった…いつも表情を隠しているアンジェではあるが、薬が沁みるときの強烈な痛みに顔をしかめた……

プリンセス「アンジェ…痛むでしょうけれど、我慢してね」

アンジェ「ふ、今さら傷の一つや二つで泣いたりしないわ……」

ベアトリス「…姫様、持ってきました」

プリンセス「ありがとう…それじゃあベアト、あなたもこれを塗るのを手伝って?」プリンセスが鍵のかかった金縁の小箱を開けると、こぎれいな薬瓶が並んでいる…と、中に入っている広口瓶を取り出して蓋を開け、白い液状でうす甘い匂いのする薬を手に取った……

339 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/06/27(木) 01:56:54.79 ID:ZTtOiJCr0
………



プリンセス「…どう、アンジェ?」

アンジェ「少し沁みるけれど……焼けるような痛みは感じなくなってきたわ」

プリンセス「良かった……このお薬はベーカー街(貴族・富裕層向けの医者が多い通り)でも有名な名医が販売しているお薬なの」

アンジェ「…それは意外ね、あの通りは暇な貴族相手のやぶ医者しかないと思っていたわ」

プリンセス「もう、アンジェったら……って、ベアト?」

ベアトリス「…すぅ…すぅ……んぁっ、姫様?」アンジェのふとももに丁寧に薬を塗っているベアトリス…が、小さな身体で八面六臂の大活躍をしたのですっかり疲れてしまい、指先に軟膏をつけたままうつらうつらしている…

プリンセス「…ベアト」

ベアトリス「は、はいっ」

プリンセス「今日は大変だったでしょう…アンジェの治療は私に任せて、あなたは先にお休みなさいな」

ベアトリス「いえっ、ですが…!」

アンジェ「……いいから休みなさい。このまま寝ぼけた状態で変なところに軟膏を塗られたり、薬の瓶を割られたりされたら困る……それに今日は務めを果たしたのだから、もう充分よ」

ベアトリス「……でも」

プリンセス「…ベアト、命令しなくちゃダメかしら?」

ベアトリス「いえ……分かりました。 それでは済みませんが、先に休ませていただきます…///」

プリンセス「ええ♪」

アンジェ「よく睡眠をとることね…お休み」

プリンセス「……ふふ、けなげなベアト♪」

アンジェ「彼女の美徳の一つね…ただ残念なことにこの世界では「結果」が全てだから、いくら懸命にやっても成果に結びつかない限り評価はしてもらえない……生真面目な彼女からすると、そこが一番つらい所かもしれない」

プリンセス「そうね……ところで痛みはどう?」

アンジェ「おかげ様でずいぶん痛くなくなったわ…」

プリンセス「よかったわ。このお薬は傷跡も消してくれるから、数週間もすれば肌も綺麗に戻るはずよ」あらかたの傷に薬を塗り終えると瓶をしまって箱を閉じた…

アンジェ「助かるわ…なにせこの身体だって「道具」の一つだから、傷だらけでは困る」

プリンセス「ええ……ところでその尋問官の人は男の人だった? それとも女の人?」

アンジェ「あんなのは尋問官でもなんでもない…ただ人をいたぶって悦んでいる背徳的なサディストにすぎないわ」

プリンセス「そうかもしれないわね……それで、どっちだったの?」

アンジェ「女よ…それが?」

プリンセス「…いえ、その女(ひと)がうらやましいと思って……」

アンジェ「……どういう意味?」

プリンセス「だって……私のシャーロットに跡を残すなんて…私でさえそんなのしたことがないのに……」

アンジェ「あなたも私を鞭打ちにしたいの?」

プリンセス「そうじゃないわ。でも…」

アンジェ「でも…?」

プリンセス「そうね、例えば……はむっ、ちゅぅ…っ///」生傷だらけのアンジェをそっと撫でていたわりながら、ふとももの傷のない場所に吸いつくようなキスをした…

アンジェ「…どういうつもり///」

プリンセス「こうやって私の「シャーロット」に跡をつけたくて……ちゅぅぅ…っ♪」

アンジェ「それじゃあ、せめて見えないところにするようにして……ん、ちゅぅ…」
340 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/06/30(日) 02:09:09.36 ID:64Y7Qy730
プリンセス「…あぁ…はぁ……あむっ、かぷ……っ…♪」

アンジェ「んくぅ……甘噛み…は……止め……んぁ…っ……///」

プリンセス「…いや……あむっ…」

アンジェ「はぁ…んっ/// …なにも貴女が嫉妬するような事じゃ…ない……でしょう…んぁぁ///」

プリンセス「だって……妬けちゃうんですもの…」ランプの灯を小さく落とした薄暗い部屋で耳たぶを甘噛みしながら、ささやきかける…

アンジェ「あっあっあっ…そんなこと…で、んぅぅ……そのつど嫉妬していたら……んっ…到底この世界では務まらな……んんっ…///」

プリンセス「……シャーロットのいじわる」そう言うとふとももの間に顔を沈めて、舌を這わせた……

アンジェ「だ、だめ……そこは…んぅっ///」

プリンセス「でも……ぴちゃ…んちゅるっ、ちゅぅ……私がしたいの…♪」

アンジェ「止めて…今日はまだお風呂にも入っていないし…んっ、くうっ…ぁっ///」

プリンセス「大丈夫よ……私は貴女と一緒ならこの手を血に染めたってかまわないし、どこだって舐められるわ…ぴちゃ……ちゅぅっ♪」

アンジェ「……ばか///」

プリンセス「ふふ……あむっ、ちゅ……れろっ、くちゅ…っ♪」

アンジェ「あっ、はぁ…んぅぅ…っ///」ふとももを内股に閉じて頬を紅く染め、恥ずかしげに顔をそむけている…

プリンセス「んむっ、れろっ……シャーロットのここ…まるでピンクパールみたい……かぷっ♪」ふっくらしていてとろりとぬめっている花芯の「核」の部分を優しく甘噛みした…

アンジェ「あっあっ……あぁんっ///」いつもは冷ややかなアンジェの瞳が焦点を失い虚ろになると椅子に腰かけたまま身体をひくつかせ、つま先も床から離れてがくがくと震えた…

プリンセス「んふっ、ちゅぅっ……んちゅる、じゅるぅぅ…っ♪」

アンジェ「んぁぁ…っ、あぁ……はひっ、んぅぅっ…!」とぽ、とろっ……ぷしゃぁ…ぁっ♪

プリンセス「…あんっ、んふっ♪ シャーロットの温かい蜜がかかっちゃったわ……んちゅっ、れろ…ぢゅるぅ…っ♪」

アンジェ「はひっ、あぁ…ん/// ……これで……んんっ…満足……したでしょう?」

プリンセス「ええ、少しは……でも、シャーロットにはもっともっと気持ち良くなって欲しいわ♪」

アンジェ「待って、プリンセ……」

プリンセス「…かぷっ♪」

アンジェ「あっあっ、あぁぁん…っ!」


…誰かに聞こえては困るので、声を漏らすまいと必死に喘ぎ声を抑えるアンジェ……しっかりした作りの椅子がきしむほど「びくんっ…!」と身体が跳ね、しゃがみこんでいるプリンセスの顔や胸元にとろとろと愛蜜をぶちまけてしまう…


プリンセス「きゃあっ…もう、シャーロットったら♪」ちゅくちゅくっ、ちゅぱ…れろっ♪

アンジェ「はあぁっ、んぁぁ……はぁ…///」

プリンセス「……ふふ、私だけのシャーロットに…私のしるし♪」かぷっ…♪

アンジェ「…はひっ、ひぅ……はぁ…んくぅぅ……♪」必死にこらえようとしているが、アンジェの感じやすい部分をを知り尽くしたプリンセスの愛がこもった絶妙な責めに、すっかりトロけた表情になっている……声も甘えたような舌っ足らずな調子で、口の端からよだれをひとすじ垂らしている…

プリンセス「あぁ、もうシャーロットってば……可愛くってどうにかなってしまいそう…んちゅっ、ちゅぅっ…んじゅるっ、じゅぷっ♪」

アンジェ「はひゅっ、ひぅっ…あっ、んはぁ…あぁぁぁっ♪ ん、んんっ…あふっ、んあっ……ひくっ、ひくぅぅ…っ♪」ぷしゃぁ…ぁっ♪

プリンセス「……ん、ちゅっ……じゅぷっ…もう少ししたら……んちゅっ…お部屋まで連れて行ってあげ……じゅるぅ…るわね♪」

アンジェ「はー、はー、はーっ…そうしてもらえると……んくっ…助かるわ……///」ぐったりと椅子に崩れ落ちているアンジェ…きゅっと引き締まった脚にはねっとりした愛液の流れがひとすじ出来ていて、つま先にまで届いている……

プリンセス「ええ…ちゅっ♪」身体を伸ばすと、すっかり荒れてしまっているアンジェの唇にむさぼりつくようなキスをした…

………

341 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/06/30(日) 17:37:07.28 ID:lpdnnLuPO
姫様頑張れ
このまま姫様が尋問に入ってもいいのよ
342 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/07/04(木) 01:10:22.65 ID:wneiBd9V0
>>341 お待たせしていてすみません。これを見ている皆さんが大雨の被害を受けていなければいいのですが……


とりあえずもう少し情事を続けて、それが済んだら「ワイルドローズ」「アゴニー」「アンギッシュ」を共和国側に運び出します……いつぞやは青果卸の馬車を使ってバラ積みのジャガイモに隠して移送しましたが、今度もなかなか上手い手段を思いつくことが出来たと思っております
343 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/07/05(金) 01:22:46.30 ID:sekq/QCG0
…数十分後…

アンジェ「はー…はー…はぁ……っ///」

プリンセス「んちゅぅ…ちゅっ、にちゅっ……くちゅ…♪」

アンジェ「あ、あっ……はひっ、んんぅっ…!」

プリンセス「ふふ…可愛い私のシャーロット……♪」一見すると目を細め、愛おしげにアンジェを見つているように見えるプリンセス…が、口もとでは少し意地悪な含み笑いをしていて、瞳もみだらな光を帯びている…

アンジェ「んっ…あ……///」

プリンセス「いいのよ…ここにいるのは私とあなただけなんだもの……ね?」ほっそりした指でくちゅくちゅと秘部をまさぐりながら、アンジェに身体を寄せると耳元へささやきかけた…

アンジェ「…ん、くぅ…んっ///」


…腰から下がまるでぬるま湯に浸っているかのように暖かく、じんわりとしびれるような快感にかすれたような喘ぎ声を上げているアンジェ……とはいえ、ただイかされっぱなしでは数々の「寝技」を体得している情報部員として立つ瀬がないと、必死に声をかみ殺している…


プリンセス「……もう、シャーロットったらどうして我慢しちゃうの…?」耳元に息を吹きかけ、空いている右手でアンジェの胸元をなぞりながらささやいた…

アンジェ「この時間に……ん、あっ…大声を出すわけには…いかないでしょ……う…///」

プリンセス「……そうだとしてもくやしいわ♪」そう言って「こりっ…♪」と乳房の先端を甘噛みするプリンセス…

アンジェ「あんっ…///」

プリンセス「ふふ、ここは硬くなっているわ…やっぱり「身体は正直」っていうのは本当なのね♪」

アンジェ「…刺激を受けると硬くなるのは身体の反応として当然のものよ…別におかしくないわ」

プリンセス「ふふっ、そうやって強がりを言って……こうなったらシャーロットが素直になるまで頑張るから♪」

アンジェ「…あっ……///」

プリンセス「ふふ、こうするとシャーロットが良く見えるわ…♪」柔らかなスリッパを脱いで長椅子の上に乗ると、アンジェにまたがった…ほのかなランプの灯りだけが白い肌を照らし、ぼんやりとした陰影のもたらす身体の線がアンジェをより柔らかく見せる…

プリンセス「…あむぅ…ちゅぅぅっ、んちゅ……♪」

アンジェ「んっ、んっ……あぁ、んんぅっ…///」

プリンセス「はむっ…あむっ、ちゅっ……ちゅるっ…」

アンジェ「はぁ…んむっ、ちゅ……ちゅっ…///」

プリンセス「むちゅ、ちゅるっ……ちゅっ♪」

アンジェ「……あっ」絡まっていた舌が解かれ唇が離れると、思わず小さな声をあげた……

プリンセス「ねぇ、シャーロット…」

アンジェ「……なぁに?」

プリンセス「ふふっ……なんでもない…わ♪」くちゅくちゅっ…ちゅぷっ♪

アンジェ「あっ、あぁ゛ぁぁんっ///」

プリンセス「くすくすっ、シャーロットったらこんな簡単な手に引っかかって……だめじゃない♪」じゅぶ…っ、にちゅっ♪

アンジェ「あっ、あ゛っ……あぁ…っ…」

プリンセス「ふふふっ…♪」ちゅくっ、ぬちゅ…っ♪

アンジェ「はぁ…はぁ……あっ、あぁぁ…んっ///」がくがくっ…ぷしゃぁぁ…っ♪

プリンセス「はぁぁ…んぁ、あぁ……っ♪」そのまま覆いかぶさるようにすると、熱っぽい身体を重ね合った…汗と愛蜜、傷薬の軟膏でねっとりした身体ごしにお互いの鼓動が聞こえてくる……

アンジェ「…プリンセス……私のプリンセス…っ///」ぐちゅっ、にちゅっ…♪

プリンセス「……シャーロット♪」じゅぷっ…ぐちゅっ♪

アンジェ「あっ、あぁぁ……んあぁぁ…っ///」

プリンセス「はぁぁ……あぁぁんっ♪」お互いに相手を抱きしめあいながら悩ましげな声を上げて果てた……

………

344 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/07/08(月) 11:17:25.38 ID:x9o9AgWU0
…翌日…

アンジェ「…おはよう、ドロシー……」

ドロシー「おう、おはよう……大丈夫か?」ティーカップを置くと眉をひそめた…

アンジェ「……何が?」

ドロシー「いや…きのうの今日だから無理もないが、目は充血してるし声はかすれてる……よっぽど尋問がこたえたみたいだな、むしろ昨夜よりくたびれて見えるぜ」

アンジェ「まぁ…そうね……」

ドロシー「あー……そういう事か…」アンジェにしては歯切れの悪い生返事に、勘のいいドロシーはピンときた…

アンジェ「…まだ何も言ってないわ」

ドロシー「なぁに、だいたい見当はついたよ……しかし、あのお姫様も可愛い顔してなかなか「お盛ん」のようで♪」にやにやしながらわざとらしいウィンクを投げた…

アンジェ「…」

ドロシー「……どのみち今夜までは用事もないし、無理しないで寝てたらどうだ?」

アンジェ「…そう言うわけにもいかないわ……」

ドロシー「いいから…その徹夜明けみたいな顔じゃあ人目を引いちまうよ」

アンジェ「……分かったわ、それじゃあ……一時間後に起こしてちょうだい」

ドロシー「ああ」

…その日の夕方…

アンジェ「…それじゃあ段取りの説明に入るわ」

ドロシー「おう…昼間に比べてずいぶんましな顔になったな♪」

アンジェ「そんなことはどうでもいいから、ちゃんと話を聞きなさい…」

ドロシー「やれやれ、元気になるとすぐこれだ……ちっとは人間らしい暖かみを持てよ」

アンジェ「……黒蜥蜴星人だから分からないわ」

ドロシー「これだもんな…♪」そう言って肩をすくめると苦笑いを浮かべた…

アンジェ「…話を続けていいかしら?」

ベアトリス「はい、お願いします」

アンジェ「結構……今夜やるべきことは「ワイルドローズ」たち三人を越境させるための準備よ。これから、昨夜ドロシーとちせがあの三人を運びこんだ倉庫に向かい「梱包」を済ませる」

ベアトリス「……梱包、ですか?」

ドロシー「ああ…今までも色んな手を使って来たが、今度のは私たちがまだ使ったことのないやつだ」

アンジェ「そうね……それと今日は私とドロシー、ベアトリスで行く」

プリンセス「分かったわ」

ちせ「うむ、承知した」

ドロシー「…別に「企業秘密」を見せたくないとか、そういうわけじゃないんだぜ……ただ、やっぱり東洋系は目立つからな」

ちせ「分かっておる」

ドロシー「…ならいいんだ」

プリンセス「ええ。私もよく分かっているわ…♪」アンジェに向かって小さく笑みを浮かべた…

アンジェ「結構……移動開始はたそがれどきの午後五時から十分づつ間を空けて、ドロシー、ベアトリス、私の順番で行う」

ベアトリス「分かりました」

アンジェ「到着したら入り口の扉についているくぐり戸から入るように……以上」

………

345 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/07/11(木) 02:19:44.03 ID:tdWN6SPo0
…しばらくして・倉庫街…

アンジェ「…全員いるわね」人目を引かずにするりと中に入ってきたアンジェ…

ドロシー「ああ、尾行もなさそうだ」

ベアトリス「まずは一安心ですね……」


…三人が集まっているのは港の一角にある倉庫の一つで、すでに従業員たちは勤めを終えて家路についているのであたりはすっかり静まり返っている…とある貿易会社の持ち物であるこの倉庫の管理人は共和国の中級エージェントだが、普段はいたって真面目に勤めていて、その一方で貿易品の情報を提供したり、物の越境を手助けしている……とはいうものの決して才能があるほうではないので、共和国情報部も難しいことは頼まず、本人も余計な事を聞かずに言われたことをこなす関係をたもっている…


ドロシー「そうだな」

ベアトリス「…ところでドロシーさん、さっき言っていた「梱包」って……」

ドロシー「ああ、もちろん教えるよ……と、その前に簡単な質問に答えてもらおうかな♪」

ベアトリス「…どうぞ?」

ドロシー「よし、じゃあ問題だ…小麦十ポンドと鉄十ポンド、重いのはどっちだ?」ニヤニヤしながら言った…

ベアトリス「え……十ポンドと十ポンドなら重さは同じだと思います…が?」ドロシーが何かの「引っかけ問題」を出しているのではないかと、しばらく顔を眺めてから答えた…

ドロシー「ははーん、引っかからなかったな…その通りさ♪ …これが例えば「一立方フィート」の小麦と鉄だったら重いのは鉄だがな……要は重さがそれらしければ、モノはなんだっていいのさ」

ベアトリス「…どういうことですか?」

アンジェ「つまり、一度同じ重さのものに「梱包」してしまえば中身を確認されずに通関できる可能性が高い……と言うことよ」

ドロシー「そういうこと…税関の連中だって毎日朝から晩まで数百、数千っていう船の積み荷を確認してるんだ。とてもじゃないが全部の荷物を調べられるわけじゃない」

アンジェ「…したがって検査を受けるのは船籍や航路、経歴の怪しい船に限られる」

ドロシー「そういうこと……この会社は知らず知らずのうちに協力してくれているわけだが、ここの会社は王国にベッタリの出入り業者で実績も綺麗…つまり、あちらからしたら「わざわざ調べることもない」ってなもんなのさ♪」

ベアトリス「じゃあ調べられる可能性が低い…っていうことですね?」

アンジェ「そういう事よ。 …さぁ、そろそろ取りかかりましょう」

ベアトリス「はい…それで、具体的にはどうすれば?」

ドロシー「……あれさ♪」指差した先には大きな樽がいくつか並んでいる…

ベアトリス「あれは…樽、ですね……」

ドロシー「ああ」

ベアトリス「あそこにあの三人を詰め込むんですか?」

アンジェ「いいえ…樽には「ワイルドローズ」だけよ。あとの二人は別のものに「梱包」する」…そう言うと床板の継ぎ目を特定のやり方で動かし、地下の小さな隠し部屋を開けた……中には目隠しに耳栓、猿ぐつわをされたうえできっちり縛り上げられたローズたち三人が転がっている…

ドロシー「ま、そういう事さ…ベアトリス、その樽を転がしてきてくれ」

ベアトリス「は、はいっ」

…ベアトリスが(音が響かないようボロ布を敷いた上で)樽を転がしてくる間にドロシーとアンジェはローズを引きずりあげ、腕に注射を打った……と、数分もしないうちに意識を失ってぐにゃぐにゃになる…

ドロシー「…よし、出来たぜ」まぶたをまくり上げて意識がないことを確認すると、ローズを樽に押し込んだ…

アンジェ「結構……それじゃああとは「隙間」を埋めるだけね」そう言うと中蓋のような板をローズの上に乗せ、その上に樽詰めの終わっていないチェダーチーズの固まりを次々と詰め込んだ……よく見ると樽の横腹には「高級チェダー…容量・150ポンド」などと焼印が入っている…

ドロシー「さ、ベアトリスも手伝えよ…♪」

ベアトリス「…チーズですか」感心したようにポカンとしている…

ドロシー「ああ…鼻づまりの税関職員だってチェダーの臭いなら数マイル先からだって嗅ぎ分けられるからな」

アンジェ「小麦や豆、あるいはワインみたいな液体だと息が出来なくなってしまうし、こうやって上げ底にしても揺れ動き方が変わってくるから気付かれる……だから固体の方がいいのよ」

ベアトリス「なるほど…」

ドロシー「そういうこと…よし、いい具合だな♪」最後に底板をはめ込み、布をかぶせた木槌で「とんとん…っ」と打ちこむと三人がかりで転がして、樽の列に並べた…

アンジェ「そうね……ベアトリス、後の二人は私とドロシーで片づけるから、貴女は先に戻りなさい」

ベアトリス「分かりました」

ドロシー「しばらくはチーズ臭いだろうから、ネズミにかじられないようにな…♪」

346 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/07/12(金) 12:34:58.43 ID:Tw+Beh9U0
アンジェ「…さて、後はこの二人ね」

ドロシー「ああ。とっとと片づけちまおう……それにしてもだ」

アンジェ「なに?」

ドロシー「…あの「ワイルドローズ」とやらだけなら情報を絞り出すために運び出すって言うのも分かるが、なにも三人とも連れ出す必要はなかったんじゃないか?」

アンジェ「ああ…そういう事ね」

ドロシー「お前さんが「仲間外れを作っちゃかわいそうだ」なんて思ったはずもないし、何か理由があるんだろうが……三人も越境させるとなるとぐっと見つかる危険性が高まるからな……」

アンジェ「理由ならあるわ…」

ドロシー「ほう?」

アンジェ「……あの三人が寝返ったと思わせる」

ドロシー「あー、なるほど……あちらからすれば「あれだけのエージェントが見張っている施設から内通者の協力もなしに逃げ出せるわけがない」と考えるか」

アンジェ「その通り…あの女はエージェントでもなければ信用されているようでもなかったし、それが「しもべ」の娘たちと揃っていなくなれば……」

ドロシー「裏切ったのは誰かなんて、すぐに見当がつく…か」

アンジェ「ええ」

ドロシー「なるほどな…」

アンジェ「ただ、この目くらましも長くは持たない…特に王国防諜部が事の次第を知ったら真っ先に越境の阻止に動きはじめるでしょうから……明日がぎりぎりのところね」

ドロシー「だな…あとは「濃霧で船が出港できない」なんてことがないのを祈るばかりだぜ」

アンジェ「ええ……さっきの睡眠薬も二日くらいしか効果が続かないものね」

ドロシー「ああ。よし「梱包」は済んだぜ」

アンジェ「結構、なら先に戻ってちょうだい……私が最後に出る」

ドロシー「あいよ、それじゃあ後でな」

………

…翌朝・港…

荷役労働者「……よーし、お次は…ふうっ!」風にのって吹き付けてきたチーズの臭いに顔をしかめた…

労働者B「チェダーチーズだよな…樽ごしでも分かるぜ!」

監督「こら、おしゃべりなんかしてないでとっととロープを引っ張れ!」

労働者「分かりやした…そら!」

労働者B「よいしょっ…こらしょ!」

…船上…

税関吏「機帆船「トワイライト・スター」号、と……船長、ここで積み込む貨物はこれだけですな?」(※機帆船…蒸気機関と帆の両方がある船)

船長「ええ。船荷証券によると「チェダーチーズ」となっております……あとは乗客が十人ほど」

税関吏「結構……ふぅ、それにしてもものすごい匂いだ…」鼻にしわを寄せて樽に近づき、焼印を調べて書類に書き込んだ…

荷運び人「士官さん……お客さんのシー・チェスト(衣服箱)ですが、どこに入れやすか?」

…税関吏が樽や箱の焼印を調べている間に渡し舟から上がってきた数人の荷運び人が、貴族らしい婦人の荷物であるがっちりした作りのシー・チェストを担いで上がってきた…四つばかりあるシー・チェストは荷物がどっさり入っているらしくずっしりと重そうで、小柄な人なら入れそうな大きさがある…

三等航海士「お…甲板長、案内してやってくれ!」

甲板長「へい……おい、こっちのデッキだぜ!」

婦人「ちょっと、大事に扱ってちょうだいましね!」文句の多そうな中年のレディがキイキイ声で言った…

三等航海士「分かっておりますよ、レディ…おい、大事に扱うようにするんだぞ!」

税関吏「……船荷証券にもおかしなところはないようですな。結構です」許可証にサインを入れると船を降りていった…

船長「よし、どうやら引き潮の間に出られそうだな……帆を上げさせたまえ!」

航海長「はい、船長!」

………

347 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/07/14(日) 02:50:13.66 ID:t13PkXn50
…数日後・お茶の時間…

ドロシー「…というわけで例の「ワイルドローズ」とやらはチーズ樽に詰め込んで、後の二人はシー・チェストで運び出した…ってわけだ。なにせとっておきのドレスが痛まないように樟脳(しょうのう…クスノキから作る防虫剤)が山ほど入れてあるようなシロモノだ。税関吏だろうが何だろうが、もし開けようとしたりしてみろ。小うるさいオールドミスにどれくらいガミガミやられるか分かったものじゃない……奴らだってそんな面倒は起こしたくないさ」

ちせ「シー・チェスト? …聞きなれない単語じゃ」

アンジェ「船旅の時、手荷物とは別に船倉へ入れておく衣装箱のことよ」

ちせ「なるほど…で、上手くいったのじゃろうか」

ドロシー「それについてはアンジェが教えてくれるさ…だろ?」

アンジェ「ええ……実は先ほど「コントロール」からワイルドローズの件で暗号電が届いた」

プリンセス「あら、そうなの?」

アンジェ「…ええ」

ベアトリス「それで、どうだったんですか?」

アンジェ「コントロールいわく「チェダーはシャンパンと合わないが、受け取った花はどれも開いて見頃を迎えた」だそうよ」

ちせ「むむむ…まるで判じ物(なぞなぞ)じゃな?」

ドロシー「なぁに、分かれば簡単さ。 「シャンパン」っていうのは祝杯を上げた……つまり「積荷」は無事届いたってことの言いかえで、開花うんぬんっていうのはあの三人が「歌った」(白状した)ってことだ」

アンジェ「そう言うことよ」

ちせ「なるほど……うちはどうもまだ欧州の風習が分かっていないものゆえ…」

ドロシー「なぁに、そのうち覚えるさ…♪」

プリンセス「わたくしも色々と教えてあげますから…ね?」

ちせ「それはありがたい」

ドロシー「よかったな……さて、と」軽くスカートをはたくと立ち上がった…

ベアトリス「あれ、どうしたんですか?」

ドロシー「なぁに、ちょっとした野暮用でね…少し出かけてくる」

ベアトリス「そうですか…」

ドロシー「ああ…それじゃあまた後でな」

アンジェ「…ええ」

………



…その晩・運河沿い…

紳士「…」コツコツと靴底とステッキの音を響かせながら、霧がかった夜道を歩いている紳士風の男……その男はよく見るとアンジェが罠にかけられた時の、あの「情報提供者」で、相変わらず身なりは悪くないがどこか落ち着かない様子をしている…辺りは夜霧が立ちこめ、服も湿っぽければパイプにもなかなか火が付かない…

紳士「…ふぅ」パイプから紫煙を吐きだしつつ歩いているが、尾行を恐れているのかわびしげな通りを選んで歩き、時折後ろを振り返ったり急に角を曲がったりする……と、女性のシルエットが前から近づいてきた…

女性「……あの、申し訳ありません」大きな帽子をかぶった若い女性は男に近寄ってくると、ぎりぎり聞こえる程度のか細い声で話しかけてきた…

紳士「何か?」

女性「ええ。実は乗合馬車の停留所がどこにあるのか分からなくなってしまって……場所をお教え下さらないでしょうか?」

紳士「ああ、それならそこの角を曲がって通りを二つ行けば…」そう言いかけた瞬間に女性がハンドバッグから何かを取り出し、次の瞬間には「パン、パンッ!」と銃声が鳴った

紳士「…ぐぅっ!」ステッキを取り落とし、胸元をかきむしった…

女性「…」さらに心臓に向けてもう一発撃つと、仰向けに倒れた男の額に銃口を向けてとどめを撃ち込んだ…それからまだ硝煙が立ちのぼっている小型リボルバーを身に着けていたシルクの長手袋にくるんで運河に捨てると、替えの長手袋に指を通しつつゆっくりと歩き始めた…

ドロシー「……前にベアトリスに言ったっけ「…あの裏切り者を見つけたら、ミートパテみたいに切り刻んでやるかグリュイエール・チーズみたいに穴だらけにしてやる」って……どうやらグリュイエール・チーズの方だったな…」皮肉な笑みを口元に浮かべると、何でもないような様子で角を曲がって行った…

………



348 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/07/15(月) 02:06:58.83 ID:u45qa8Jk0
…後日・アルビオン共和国「文化振興局」の一室…

L「……ふーむ」パイプをくわえ、王国の日刊紙の一つ「ロイヤル・ロンドン・タイムズ」を手早く読み通していく…続けて紙をめくると、社会面に「身元不明の中年男性、ロンドン市内で射殺さる…追いはぎによるものか、それとも怨恨か?」の見出しが躍っている…

7「…失礼します。エージェント「A」から「ライリーおじさま」宛てに手紙が届きました」

L「うむ、続けたまえ」

7「はい…内容ですが「…週末を別邸で過ごしてロンドンのお屋敷に戻ってみると、ネズミが出てとっても怖かったです。危うく失神するかと思いましたが、すぐ『ミスタ・ダーウェント』にお願いして退治してもらいました…おじさまの言う通り、ネズミは暖かくて食べ物のあるところが好きなようですね。またお手紙差し上げます……」必要な部分は以上です」

L「ふむ。こちらがあの「変節者」の情報を送ってから何日も経っていないが……とはいえ、時間が経てば経つほど警戒が厳重になって手が出せなくなるだろうから、手早く片づけようという「プリンシパル」の判断は悪くない。 …それと今回はエージェント「D」が始末をつけたようだな」そう言って「7」に新聞を渡した…

7「……なるほど、そのようですね」社会面の記事を読むと新聞を返した…

L「エージェント「A」が手を下さなかったということは、まだ万全の状態ではないのだろう…一か月ばかりは「活動的な」任務から外した方がいいかもしれんな」

7「分かりました、そのように取り計らいます」

L「うむ…それと例の「バラ」は上手くこちらの庭に移植出来たようだな?」

7「はい。もとよりあちらの土に馴染んでいたわけでもありませんでしたから……担当の報告によりますと、戦略・外交的な情報に関してはほぼゼロですが、貴族や高級官僚の夫人、あるいはその令嬢の「趣味嗜好」に関してはなかなか面白い話を聞き出すことが出来ています」

L「…結構。引き続き上手く手綱を操って情報を吐かせろ」

7「はい」

………

…同じ頃・ロンドン「アルビオン王国外務省」内の一室…

外務省情報部長「……残念だよ、こういう結果になって」しきりにパイプを吹かしつつ、朝刊の「身元不明の男性射殺さる」の記事を広げている…

防諜課長「…」

情報部長「私は君が「大丈夫」だと言うから信用して、うちの諜報課からもエージェントを割いて十分な支援態勢を作った……そして見事に「敵情報部員」らしい人物を確保した…ここまでは良かった」

防諜課長「…はい」

情報部長「……ところがだ、その日のうちに敵方に「一時保管場所」の位置を割られると襲撃を受け、こちらが派遣していたエージェント十数名は全滅。肝心の敵情報部員も奪還されたうえ、その大まかな姿かたちでさえも「移送後に報告する」予定だったので謎のまま……おまけに、せっかくこちらへ転向させたあの男もこうだ…」そう言って新聞をひらひらさせた…

防諜課長「…」

情報部長「その上、こともあろうに敵方と内通していたのは尋問官として起用していた「例の女性」だというじゃないか……どうなのだね?」

防諜課長「確かにそうです……ですが、私としてはこの作戦はもっと入念に準備を行い実行するべきであるものと思っており…」

情報部長「だが、最終的な実行の機会に関しては君に一任したはずだ……それに「お任せを」と言ったのは君だぞ?」

防諜課長「ですが…」

情報部長「……すまんが、これ以上君の弁明を聞くつもりにはなれんのだ…それと、これを」外務省公式の封筒を渡した…

防諜課長「……辞令、ですか」

情報部長「そうだ…今まで尽くしてきた君への、せめてもの手向け(たむけ)だよ」

防諜課長「…」

………

…数日後…

アンジェ「それじゃあ、始めましょうか」

ドロシー「ああ……まずは「異動…農務省綿花担当課長、ジャック・ライスフィールド氏は農務省インド方面課長に異動となった」だと」

アンジェ「…続けて」

…アンジェたちは「情報収集」の一つとして常に多くの新聞や政府公報を読み、官僚や高級軍人の異動や昇進、解任が出るたびに確認していた……一番手軽で安全な情報収集手段ではあるが、王国の戦略や外交方針を見極め、接近すべき(あるいは気を付けるべき)人物を見極めるという点では案外多くのヒントが得られる…

ドロシー「次は「異動…外務省課長、ハーレイ・ウィンフレッド氏は『英領セイシェル』現地担当事務所長に異動となった」…なぁ、アンジェ」

アンジェ「ええ、そうね……」

ドロシー「…外務省課長なのに課の名前が書いてない……ってことは、どうやらこの男が今回「仕掛けて」きた、外務省の防諜担当だったんだな」

アンジェ「そう考えてもいいでしょうね…」

ドロシー「しかし……どこの誰かさんなのかは知らないが、インド洋にある島に飛ばされるとはね…外務省のお偉いさんは、よっぽどノルマンディ公の鼻を明かしたかったようだな」

アンジェ「……世の中、そう上手くはいかないわ」そう言ってちょっとだけ微笑んで見せた…

………

349 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/07/15(月) 02:13:34.32 ID:u45qa8Jk0
…というわけで長々と続きましたが、これで今回のエピソードは完了です。次は以前のリクエストも踏まえつつ「貴族女性たちの秘密クラブ」的な場所を舞台に、百合場面が多そうなのを投下しようと思っています…
350 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/07/18(木) 00:25:08.46 ID:dg9AnL430
…新しいの投下するのは明日以降となりそうですが、今回のエピソードの「答え合わせ」で説明が足りなかったところがあるので、少し補足を…


……アルビオン王国外務省に転向していた情報提供者が「撒き餌」で済ませることの出来ない価値ある情報を共和国側に売っていた理由ですが、これは外務省が軍部や他省庁の情報を共和国に売り渡すことで、二重スパイである情報提供者の価値を高めると同時に、他の省庁の「失点」を非難したり、情報漏れを「発見」することで外務省情報部の地位を高めようとしたものです…

351 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/07/21(日) 02:26:03.29 ID:6RlMSMY90
…case・ドロシー×アンジェ「The secret and temptation」(秘密と誘惑)…


…とある日の午後…

アンジェ「…紅茶をごちそうさま、美味しかったわ」

ベアトリス「それは良かったです」

ドロシー「やっぱりダージリンっていうのは香りがいいや…おかわりが欲しいところだな」

ベアトリス「よかったら注ぎましょうか?」

ドロシー「いや、いい。 そろそろ出かける支度をしなくちゃならないからな」

ベアトリス「あれ、今週もお出かけですか?」

ドロシー「ああ」

ベアトリス「…と、言うことはアンジェさんも?」

アンジェ「ええ、そうよ」

ベアトリス「そうですか。お二人とも週の半分はお出かけで…大変ですね?」

ドロシー「なに、仕方ないさ…なにせ職業上「それらしい」生活をしておかないといけないからな」

ベアトリス「それはそうですね……ちなみにいつもはどこに出かけているんですか?」

ドロシー「あー…」ちらりとアンジェに視線を向けた…

アンジェ「そうね、もう隠し立てすることもないでしょう……たいていは「ザ・ニンフ・アンド・ペタルス」(妖精と花びら)よ」

ベアトリス「けほっ…!」

プリンセス「……まぁ♪」

ちせ「はて、聞いたことのない店じゃな…」

ベアトリス「えぇと…それは、その……名前だけは聞いたことがあります///」

ドロシー「だろうな。…まぁ平たく言えば貴族か、それに準ずるような高い社交的地位…あるいはそういう人物から推薦された女性だけしか入れない「高級社交クラブ」ってところさ……パリのサロンみたいな気だるい快楽に洗練された悪徳、粋な遊び……おおよそ「世の中のお楽しみ」は全部揃ってる、って場所だ」

ベアトリス「……あの、そんな場所にどうして…///」

アンジェ「簡単よ…そう言った場所で漏れ聞こえてくる貴族夫人や令嬢たちのおしゃべりには多くの有益な情報が含まれているから」

ドロシー「そういうこと……別に経費でシャンパンをがぶ飲みしているわけじゃないさ♪」

ベアトリス「な、なるほど……それにしても…」

ドロシー「なんだ、一緒に行きたいのか?」

ベアトリス「ば、馬鹿言わないで下さいっ…///」

ドロシー「冗談だよ…それに申し訳ないが、お前さんのその立ち居振る舞いじゃあ無理だ。プリンセスのおつきとしては優秀だが、召し使いらしい動きが染み付いちまってる」

ベアトリス「私はそれでいいです…っ!」

ドロシー「ああ、人にはそれぞれ似合う役回りっていうのがあるからな……」

アンジェ「そういうこと……それで言うとドロシーの「カバー」(偽装)は派手で人付き合いがよく、国家機密や外交政策よりも「どこの令嬢がお相手を求めていそうか」を知りたがるようなタイプ……つまり、およそ世間の人が秘密情報部員について持っている「いつも後ろ暗いような影をもっていて、妙に付き合いの悪い人物」のイメージとはほど遠い…」

ドロシー「ま、いわゆる「プレイガール・スパイ」ってやつさ…♪」

ベアトリス「……なるほど」

ドロシー「…反対にアンジェは地味で目立だないから、相手が気にしないでいる内緒話をさりげなく聞いている……ってタイプだ」

ベアトリス「なるほど…」

アンジェ「とにかく、そろそろ出かけるわ……戻りは明日の明け方頃になるから、留守は任せたわ」

ベアトリス「はい」

プリンセス「それじゃあ、気を付けて行ってらっしゃい」

アンジェ「ええ」

………


352 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/07/25(木) 03:13:21.23 ID:WKftfRly0
ドロシー「……さて、着替えは済んだことだし…行くか」

アンジェ「ええ」


…寄宿舎を歩いて出て、ネストのひとつで着替えた二人……ドロシーはワインレッドの生地に、よく見ないと分からない所が小粋な金糸の百合模様の刺繍と、黒レースの縁取りがある豪華なドレスに金のネックレス、それに黒シルクの長手袋をはめて髪を結いあげ、頭にはドレスと揃えた金とルビーの飾り物をあしらっている……一方のアンジェは地味ながら洗練された、夜明け前の海のようなブルーグレイの地にピュアホワイトのすそ飾りを施したドレスと、視線が隠れるよう斜めにかぶった白い羽根とレース、それに小粒ながら上質な真珠をあしらった大きなつば付きの帽子、白いシルクの長手袋を身に着けている…その上でドロシーは艶やかな黒い長マント、アンジェはクリーム色のコートを羽織っている…


運転手「……お待たせいたしました」

ドロシー「ええ…それでは、参りましょう♪」いつもなら自分で車を運転するドロシーではあるが、さすがに豪奢なドレス姿では難しい…そこで、こうした場合は連絡役を通して以来の手紙を送るなど「安全措置」を講じてから、運転手つきの車を雇うことにしていた……指定した場所にきゃしゃな雰囲気のルノー製乗用車が来ると、アンジェと一緒に乗り込んだ…

ドロシー「ふふ、楽しみですわね♪」

アンジェ「…ええ」

ドロシー「今日のルーシー嬢はどんなお召し物で来るのかしら?」

アンジェ「そうですね…」

ドロシー「……というわけで、レディ・ハートフォードは今日も扇でパタパタする事でしょうね!」ころころと甘い笑い声を上げながら、流行のファッションや貴族のゴシップについてしゃべり続け、いかにも愉快そうにしているドロシー…

アンジェ「ええ、サー・ベケットのお嬢さまもいらっしゃるとか…」

ドロシー「なら、ますます楽しみが増えますわね……後ろの黒いロールス・ロイスは尾行じゃないようだな…」上品に口元をおさえて笑うようなそぶりをしながら、アンジェに耳打ちした…

アンジェ「…そうね……」運転手は前の屋根のないオープンな座席で、後ろの二人は屋根つきのコンパートメント(個室)になっているスタイルの乗用車ではあるが、それでも運転手に見聞きされることを警戒して柔らかな表情を作り、話す時はお互い内緒話をしているかのように口元を覆うか、扇で隠すかしている…

ドロシー「そろそろ到着だな…」


…高級社交クラブ「ザ・ニンフ・アンド・ペタルス」の前…

運転手「…どうぞ」

ドロシー「ええ」さっと運転席から降りると手際よくドアを開けた運転手…ドロシーは貴族らしくさりげない態度で一クラウン銀貨を渡した…

運転手「ありがとうございます…」二人が降りるまで車のドアをおさえておき、チップを受け取ると帽子のつばに手をあてて走り去っていった…

ドロシー「……さ、行きましょう♪」アンジェの細い腰に手を回し、いかにも「貴族のプレイガール」らしく愉快な…そしてちょっとずうずうしく好色な感じの表情を浮かべている……

…店内…

妙齢のご婦人「…あらまぁ、お久しぶりですわね♪」

ドロシー「ええ、まったく。すっかりごぶさたにしてしまったわ……♪」入口で受付嬢に羽織りものを預け、チップをはずむと店内に入った二人…と、すぐに数人のご婦人たちが近寄ってきた…

若い婦人「おひさしゅうございます…マイ・レディ///」

ドロシー「ふふ、久しぶり……ちゃんと「いい子」にしてた?」

若い婦人「はい、それはもう…」

ドロシー「よろしい…なら、後でね♪」

若い婦人「はい…///」

おしゃれな婦人「あらあら、あの娘は少し気になっているのだけれど……今日も貴女に盗られちゃったわね♪」そういいつつ、首筋に手を回してくる…

ドロシー「…よかったら後で回してあげるわ、レディ・メイナー♪」

………



353 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/07/27(土) 13:06:16.25 ID:1+ZFT9aC0
…また今夜あたりに投下しますが、中部地方の方は台風のほう大丈夫でしょうか…増水した川や強い風で足元を取られたりしないよう気を付けて下さい

それと誤字が…「依頼の手紙」としたかったのですが、「以来」になっていました。ごめんなさい……

354 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/07/28(日) 02:21:08.21 ID:ID6tZvoJ0
ドロシー「それにしてもここは相変わらずのようで…」そういって室内を見渡したドロシー…


…ロンドンの閑静な一等地に静かに建っている「ザ・ニンフ・アンド・ペタルス」は例の「革命騒ぎ」で共和派に共鳴し壁の向こうに行ってしまった、とある貴族の屋敷を空き家として買い取ったもので、ヴィクトリア朝風の立派な邸宅は改装されて、床には毛足の長いえんじ色の絨毯が敷かれ、天井には新しく天井画が施されてシャンデリアが下がり、あちこちに幼児くらいはありそうな大きな花の花瓶や「着替えをしている裸の令嬢にガウンをかけようとしている女官」など、女性同士の意味深な関係を匂わせる絵が飾ってある……広間の中央には緑のラシャを張ったカードテーブルがいくつかあり、ポーカーやブリッジの賭け事に興じるご婦人たちが見える……そして(職業上偽名が必要な)ドロシーたちだけでなく、ここにいるレディたちの多くが普段とは別の人間として(お互いに顔を知っていたとしても)ここだけの「通り名」を使っていた…


ドロシー「…じゃあ、後で」

アンジェ「ええ…」そのまま足音も立てずにそっと離れて行った…と、何か話したい様子の若い女性がドロシーに近づいてきた…

若い令嬢「……お久しぶりですわ、レディ・エインズリー♪」

ドロシー「ごきげんよう、レディ・ローズマリー…美術展はいかがでした?」

令嬢「ええ。ターナーの絵が素晴らしかったわ」

ドロシー「そうですか…それならぜひ行かないと」

令嬢「その方がよろしいわ、目の保養になりますもの」

ドロシー「……目の保養というだけならここでも結構できますけれど…ね♪」そう言うとチャーミングな笑顔を向けるドロシー

令嬢「まぁ♪」シルクの扇で口元をおさえ、くすくす笑った…

ドロシー「それでは、失礼…♪」

…広間の片隅…

妙齢の淑女「…それでね、サー・ウィンフレッドの奥方があのリパブリカン(共和派)たちについて言っていたことなのですけれど……」

ドロシー「……おや、サー・ウィンフレッドの奥方がどうしました?」

淑女「あら、レディ・エインズリー」

ドロシー「会話のお邪魔をしてごめんなさい…レディ・ウィンフレッドと言えば、このあいだ王室主催の晩餐会でお見かけしましたよ?」

淑女「ああ、そうでしょうね……あの方は西インド諸島で砂糖事業を手掛けているご主人のおかげで「ご立派」になられた方ですもの、まだ晩餐会が珍しいのですわ」口調こそ柔らかいが軽蔑したような表情を見れば、金で爵位を買うような「成り上がり貴族」をどう思っているかよく分かる…

ご婦人たち「まぁ…ふふっ♪」会話に加わっていた数人がくすくすと笑い声をあげた

淑女「……それで、せっかく貴族夫人の席に座れたものですからそれを手放したくなくて、だからあの方は共和派に手厳しいのですわ…もっとも、わたくしもあの秩序のない人たちは好きではありませんが…」

ドロシー「それはそうでしょう…連中の巻き起こした混乱のせいで苦労した人は多いんですから」ドロシーは革命騒ぎで家族がバラバラになり、一時は身寄りもなく貧民街をさまよって苦労した……というレジェンド(偽の経歴)を作ってあったので、さも感慨深そうにうなずいた…

淑女「ああ、そうでしたわね……わたくしとしたことが…」

ドロシー「いいえ、お気になさらず…また面白いお話を聞かせて下さいね?」

淑女「ええ、もちろんですわ」

…しばらくして…

ドロシー「……おや、あんな所に手ごろな連中が揃ってるじゃないか…」


…ドロシーの目についたのはぜいたくな…しかしいくらか趣味の悪いドレスをまとった中年のご婦人たち三人で、カードテーブルの方を見てはしきりに近くのレディたちに目線を合わせ、ブリッジに誘おうとしているが、どうも色よい返事はもらえていないらしい……もっとも、そのご婦人方はいずれも毎回持ってきた財布をすっからかんにしているような下手なカードの使い手で、おまけにそれを補うような粋な会話もできない俗物ときているので無理もなかった……が、彼女たちは自分の見聞きしたことをぺらぺらとよくしゃべるので、ドロシーからするとたいへん都合が良かった…


ドロシー「さてと…それじゃあちょっとばかり行ってくるかな……♪」

ふとっちょのご婦人「……こういう時、あと一人というのはなかなか集まらないものですわね?」

白髪交じりのご婦人「全くですわね…」

おしゃべりなご婦人「ええ、本当に……いつだったかしら、コートニー伯のお屋敷でカードをやろうとした時も…」

ドロシー「ちょっと失礼…どなたか私とテーブルを付き合ってくれませんか? …どういうわけか、今日はなかなか集まらなくて」

おしゃべり婦人「まぁ、レディ・エインズリー! わたくしたちも、ちょうどカードをしたかった所なのですよ!」

ドロシー「おや、それはよかった。それじゃあ早速ですが参りましょう…♪」

………
355 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/07/30(火) 01:21:18.26 ID:uKe941/i0
…投下前に少し訂正を…

…トランプゲームの名前を「ブリッジ」で書いたのですが、十九世紀ですとまだまだブリッジの原型である「ホイスト」のほうがいいみたいです……ホイストの名前はC・S・フォレスターの小説「ホーンブロワー艦長」シリーズで出てくるので知っていましたが、英仏戦争が舞台の話なので十九世紀にはすたれていただろうと思っていたら、ブリテン島では今でも知的なカードゲームとして根強い人気があるようです……なにかと勉強不足でした…


……ちなみにルールは「二人ペアで行い、計算や駆け引きが多く頭を使う」ことくらいしか知らないので、「フィネッス」や「ラバー」といった用語を使っていても描写は適当です(…ごめんなさい)
356 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/07/30(火) 02:39:04.70 ID:uKe941/i0
ドロシー「…さて、それじゃあ私はレディ・ホイットレーとですね」

ふとっちょの婦人「よろしくお願いしますよ、レディ・エインズリー」

おしゃべりの婦人「わたくしたちも負けられませんわね、レディ・アシュクロフト?」

白髪交じりの婦人「ええ、そうですわね」



ドロシー「…」(ったく、いきなり役の札を出すやつがあるかよ…まったく駆け引きもへったくれもありゃしない……)

…案の定そろいもそろって下手なカード使いの三人だが、ホイストのルールは二人で一組なので、どうにか相方の尻拭いをしつつ点数を稼ぐドロシー…かといってあまり勝ち続けると不審に思われたり、機嫌を損ねて情報を引き出せなくなってしまうので、時々わざと(…しかも印象に残りやすいよう点数が大きい時を選んで)勝負に負けてやり、相手の組を勝っているような気分にさせてやる…

ふとっちょ婦人「…スペードの六」

おしゃべり婦人「あら、でしたらスペードの九を…♪」

ドロシー「…」(やれやれ、敵も味方も同じくらいド素人なんだから…頭が痛いぜ)

ふとっちょ婦人「ジャックのペアがあります…この回はわたくしたちの勝ちですわね」

ドロシー「さすがはレディ・ホイットレー…まるでカードの女神さまですね♪」おだてつつ、親番が回って来たのでカードをシャッフルする…


…情報部員として読心術に長け、またさまざまな場面で話を聞き出す必要もあるので「たしなみ」としてカードも上手いドロシーとアンジェだが、沈着冷静、ありとあらゆる要素を計算しつくして勝負に出るアンジェと違って、どちらかと言えば場の空気や天性のカンの冴え(…もちろん一流の情報部員らしく、アンジェもそうした能力は高いが)に従ってカードを切るタイプのドロシー…無論必要ならアンジェに負けないほど確率の判断や計算も素早いが、あくまでも「スタイルの違い」であって、二人とも甲乙つけがたい腕前を持っている……そんなドロシーからすると相手のカードは見えているも同然で、あとは自分の相方が「何をしでかすか」予想できれば、容易に勝つことが出来る…


ふとっちょ婦人「ふふ…これでもわたくし、カードには自信がありますの……しめて十ポンドですわ♪」賭け事としてしかゲームを楽しめない性質らしい三人だけに、勝ったご婦人はほくほく顔で、負けた方は渋々とポンド札を差し出した…

ドロシー「おや、そんなに? ならシャンパンでも頼みましょう…もちろんお二人にも、ね♪」

おしゃべり婦人「……相手はなかなか手ごわいですよ、レディ・アシュクロフト」

白髪交じり婦人「まだまだこれからですわ…そうでしょう、レディ・コールドウェル?」

おしゃべり婦人「ええ、三回勝負のうちまだ二回ありますわ!」

ドロシー「おやおや……どうぞお手柔らかに…」

おしゃべり婦人「無論ですわ…ですがお金が懸かっていると、普段よりさらにやる気になりますわね♪」

ドロシー「…ふふ、同感ですわ♪」(…何しろこっちは、コントロールのよこすケチな活動費でやりくりしなきゃいけないからな……この商売ときたら何かと現金(げんなま)が要ることだし、ほどほどに稼がせてもらおうじゃないか……)


…店のお仕着せである黒一色のドレス姿をした、目も覚めるような美しいレディたち…ドロシーはそうした「レディ」の一人に目線を合わせて軽く合図を送り、人数分のシャンパンを頼んだ……暖かく空気のよどんでいる部屋の中にいるせいで喉が渇いているご婦人方は、飲み口の軽い(…それでいて度数の高い)シャンパンのグラスを次々とあおり、試合の回数を数えるごとに頬が赤らみ、舌もゆるくなってきた…


ふとっちょ婦人「…それで、わたくしの夫が申すには「東インド会社が新事業を立ち上げるから、間違いなく株が値上がりするだろう…お前も買っておいたらどうだね?」と、こう言うんですの♪」

おしゃべり婦人「まぁまぁ……そう言えばわたくしもインド方面艦隊に「ドーセットシャー」とかいう新型艦が派遣されると小耳に挟んだことがありますわ」

白髪交じり婦人「……あら、違いますわよ…派遣されるのは「ドーセットシャー」ではなくて「シュロップシャー」ですわ。シュロップシャーにはうちの人が持っている工場がありますから、その名前はよく覚えておりますの」

おしゃべり婦人「あら、ごめんなさい……ところでレディ・エインズリーは何か耳寄りなお話をお持ちかしら?」

ドロシー「うーん、そうですねぇ…あぁ、そうそう。今度の晩餐会でプリンセスが着るドレスは淡い桃色だとか…」

おしゃべり婦人「まぁ、そうなんですの!」

ドロシー「風の噂ですけれどね……おや、グラスが空ですよ?」さりげなく視線を向けただけで、店のレディが替えのグラスを持ってきてくれる…

おしゃべり婦人「あら、すみませんわね♪」

ドロシー「いいんですよ、楽しいひと時を過ごすには素敵なご婦人といいお酒がないといけませんから…ね?」

ふとっちょ婦人「ふふふっ、お上手ですこと」

ドロシー「いえいえ、ホントのことですよ…♪」チャーミングな笑みを浮かべてウィンクして見せた…

白髪交じり婦人「ふふ、あなたのお話はいつだって好きですけれどねぇ…そろそろおしまいにいたしましょう」

ドロシー「おや、そうですか……もっと続けたいのはやまやまですが、そうおっしゃるなら…」(確かにそろそろ潮時だな…今の状態で清算すれば、それほどでもないように見えてかなり稼いだことになるし、これ以上やると向こうは負けが込んで腹を立てちまう……)

おしゃべり婦人「それにしても楽しかったですわ…またご一緒しましょうね?」

ドロシー「こちらこそ…♪」

………

357 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/08/07(水) 01:21:25.74 ID:dd5kOySh0
ドロシー「……それで、ご存じの通りジョンソン夫人はひどく発音が悪いときているものだから「スープ」(soup)が「ソープ」(soap…石けん)に聞こえて仕方がなくって……で、味の感想を聞くものですからこう言ってあげたんですよ…「ええ、口の中がすっきりしました」ってね♪」

若い婦人「まぁ♪」

金髪の婦人「ふふふっ…♪」

ドロシー「ふふ…それじゃあ失礼」

…シャンパングラスを片手にあちこち回っておしゃべりに加わると、気の利いたユーモアやジョークで相手を笑わせつつ、色々な情報を聞いて頭の中に収めていくドロシー…

若い婦人「……また面白いお話を聞かせて下さいましね?」

ドロシー「もちろんですとも。 …さて、と……そろそろあっちの方にも取りかかるかな…」


…化粧室に入るとおしろいを直し、それからポーチの隠しポケットに入っている、カットグラスの小瓶に入った共和国情報部特製の香水(オー・ド・パルファム)を軽く手首と胸元に吹き付けた……その香りは「フローラル・ブーケ」タイプ(さまざまな花の香りが入っているもの)の有名なフランス香水そっくりに似せてあり、バラやジャスミンに百合、そして咲き誇るアンズの花のような甘い匂いが体温で気化して立ちのぼり、ふわりと鼻孔をくすぐった…


ドロシー「…よし。これで少しはやりやすくもなる、ってもんだ……♪」


…この特製の香水はもちろん香りもいいが、「コントロール」がわざわざ予算を使ってまでただの香水を用意するはずもない……そのさまざまな花のエッセンスの中には以前「王立植物園」から手に入れた貴重な百合の成分が含まれていて、その匂いを吸い込むと、日頃「同性には興味がない」と思っているレディたちでさえ相手の魅力に心がぐらつき、柔らかそうな唇や滑らかな頬をみては今まで感じたことのないどきどきするような気持ちをおぼえ、自分は本当に「その気がない」のか改めて疑うことになる……ましてその相手が女性に惹かれやすいようなら、その立ちのぼる甘い香りだけですっかり魅了され、とろとろの骨抜きになってしまう…


ドロシー「よし…後は例のお嬢さんを見つけるだけだな……」軽く自分の頬をはたき、鏡に向かってウィンクしてみせた…


…サロン…

若い令嬢「…まぁ、レディ・エインズリー」

ドロシー「おや…お久しぶり、レディ・フェアウェル」


…はしたなく見えないぎりぎりの勢いで近寄ってきた若い令嬢の手の甲に、腰をかがめて丁重なキスをするドロシー……すると彼女は頬を赤らめて目線をそらし、ぎこちなく挨拶を返した……令嬢がまとっているクリーム色の地に山吹色の花模様が施された優雅なドレスと、首元を飾る立派なエメラルドの首飾りは豪華で、ふわりと肩にかかるロール髪は、滑らかな卵形をした顔の輪郭を上手く引き立てている…


フェアウェル嬢「ええ、本当にお久しぶりですわ。わたくし…この二週間というもの、ずっと貴女に会いたくてたまりませんでしたのに……///」恥ずかしげにちょっと口ごもり、言ってからまた頬を赤らめた…

ドロシー「それはそれは…どうも悪い事をしてしまいましたね……」

フェアウェル嬢「知りません……どうせ「ホワイトフェザー」や「ザ・シークレット・ウィスパー」にでもいらっしゃっていたのでしょう?」わざと怒ったふりをして、他の有名な「女性向け」社交クラブの名前を言った…

ドロシー「まさか…ここに来れば貴女がいるのに、わざわざ他の社交クラブに行くとでも?」

フェアウェル嬢「もう……貴女ときたらいつもそうやって上手に言い逃れをなさるのですから…意地悪なお方///」

ドロシー「なぁに…私のような浮気な蝶々は綺麗な花を見つけると、ついひらひらと近寄ってみてしまうもんでね……でも、結局は一番好きな花に戻って来るものなのさ♪」そういうと、いかにもプレイガールらしい派手なウィンクをしてみせた…

フェアウェル嬢「あら、そう…でしたらわたくし、今度から虫取り網を用意することにいたしますわ」

ドロシー「ふふっ、貴女に捕まったら金の籠で飼ってもらえそうだ……それともピンで刺されて標本になるのかな?」

フェアウェル嬢「もう…っ///」

ドロシー「まぁまぁ、そう怒らないで……さ、一緒にシャンパンでも飲もう♪」そういうとさりげなく腕を絡めた…

フェアウェル嬢「///」

ドロシー「どうした…シャンパンは嫌いじゃないだろう?」絡めた腕を胸元に近づけると、令嬢の二の腕がふくよかなドロシーの乳房に軽く触れた…

フェアウェル嬢「い、いいえ…///」

ドロシー「なら決まりだ♪」黒ドレスを着た店のレディから金色にきらめくシャンパンを二杯受け取り、片方のグラスを渡した…

フェアウェル嬢「…それでは、少しだけ///」

ドロシー「ええ…それじゃあ、乾杯♪」

フェアウェル嬢「……はい///」
358 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/08/11(日) 02:54:35.97 ID:j2m7g0bC0
…しばらくして…

ドロシー「んっ、こくっ……ぷは♪」

フェアウェル嬢「こくっ…こくんっ……///」

ドロシー「いつもながらここはいい酒を出すね…なにせ「ヴーヴ・クリコ」のヴィンテージだものな」

フェアウェル嬢「そ、そうですね///」

ドロシー「ああ……さ、せっかくだしもう一杯♪」

フェアウェル嬢「あ、いえ…その、わたくし……少し量を過ごしてしまいましたわ///」

ドロシー「おやおや、悪かったね…口当たりがいいもんだからつい……それじゃあ上に行って、少し休もうか?」

フェアウェル嬢「え、ええ…///」

ドロシー「分かった……気にしないで楽にするといい♪」そういうと手際よくシャンパングラスを受け取り、店のレディにちらりと目線を向けた…

店のお姉さま(レディ)「…ご用でいらっしゃいますか」

ドロシー「ああ…済まないけど「上の部屋」を……」

レディ「…承知いたしました」

…二階の部屋…

レディ「……どうぞ、お入りくださいませ」


…店のレディが案内してくれたのは階段を上った「ファースト・フロア」(※一階…英国では地上一階を「グランド・フロア」(地階)と呼び、階段を上らないといけない、いわゆる二階から「一階、二階…」とカウントする)の奥にある個室のひとつで、贅をつくした豪華な装飾がほどこされた立派な部屋だった…室内の中央には背の低いテーブルと肘掛け椅子のセットがあり、テーブルの真ん中には果物を盛った銀製のボウルと、やはり銀で出来たアイスバケットの氷水に浸かって、きりりと冷えたシャンパンがひと瓶鎮座している…他には少し離れたところにある長椅子(ソファー)と、天蓋つきの立派なベッドがそれぞれ一つすえてあり、天井画にはピンク色を基調にした華やかなロココ調で、女神とニンフ(妖精)や少女たちのみだらな行為を甘い筆遣いで描いている…


ドロシー「ああ……さ、ここならうるさ型のオールドミスたちもいないから、長椅子に腰かけてくつろぐといいよ…」

フェアウェル嬢「はい、いつもご親切にありがとうございます……でもわたくしったら、貴女様の前ではいつもこうしてご迷惑ばかり…///」桜色に頬を染め、しなだれかかるような姿勢で長椅子(ソファ)に座った…

ドロシー「なぁに、お気になさらず…私もレディ・フェアウェルと一緒だとついつい心おきなくグラスを重ねてしまうし……おあいこさ♪」そう言って顔を近づけ、茶目っ気たっぷりのウィンクを投げた……と同時に、胸元から立ちのぼる香水の成分をたっぷりと吸い込ませる…

フェアウェル嬢「……もう、からかわないでくださいまし///」

ドロシー「ははは…♪」

フェアウェル嬢「ふふふっ……ですが、それにしましても…」

ドロシー「ん?」

フェアウェル嬢「……わたくし…貴女様をお見かけするたびに、その…///」

ドロシー「…寒気がするとか?」わざと冗談めかしたドロシー…

フェアウェル嬢「もうっ、そんなわけありませんわ…っ///」

ドロシー「それじゃあ何かな…?」

フェアウェル嬢「それは……つまり…ですから……」

ドロシー「……言わなくっていい。私も同じ気持ちだから…♪」フェアウェル嬢の指に自分の指を絡め、そっと唇を重ねた…

フェアウェル嬢「……ぁ///」

ドロシー「…答えはこれであってるかな?」

フェアウェル嬢「はい…っ///」

ドロシー「そうか、なら改めて……♪」ちゅっ、ちゅうっ…♪

フェアウェル嬢「あふっ、んっ…あんっ♪」

ドロシー「……ふふふ、それにしてもそんな風に誘ってくるなんてな…可愛いじゃないか♪」

フェアウェル嬢「…んんっ、あふんっ…おっしゃらないで下さい……だって…わたくし、貴女様を見ているだけで身体が火照って……あんっ///」

ドロシー「……嬉しい事を言ってくれるね……それじゃあご褒美をあげないと」…んちゅっ、ちゅむ…っ♪

フェアウェル嬢「はぁ…あぁんっ♪ あむっ…ちゅぅっ♪」

………

359 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/08/12(月) 12:00:25.50 ID:nLScIvPe0
フェアウェル嬢「…んぁぁ…はぁ、はぁ……はぁ…っ///」

ドロシー「あむっ、ちゅぅ……ちゅるっ、んちゅ…っ…」半開きになったフェアウェル嬢の口内にぬるりと舌を滑り込ませると、絡みつくようなねちっこい動きで丹念に口中をなぞった…

フェアウェル嬢「んぅ…ぷはっ、少し待って下さ……んんっ!?」

ドロシー「ちゅっ、ちゅむっ……ちゅぅっ、ちゅるぅっ…れろっ、ちゅぷ……っ♪」

フェアウェル嬢「んんぅ…ちゅっ、れろっ……はむっ…ちゅぅっ///」

ドロシー「ん、ちゅっ…」

フェアウェル嬢「…ぁ///」ドロシーの舌が口の中から引きぬかれ、お互いの舌先を繋いだ一筋の唾液が名残惜しそうに「つぅ…っ」と糸を引くと、肘を曲げた状態の腕を脇に投げだし、長椅子にあおむけになっているフェアウェル嬢が小さく残念そうな声をあげた…

ドロシー「……ふふ、そんな物欲しげな声をだして…そんなに待ち遠しかったのかな?」

フェアウェル嬢「……だって…わたくし…///」

ドロシー「分かった、それじゃあ今夜は一晩中放してやらないからな…♪ それから朝を告げるヒバリも雄鶏も、みんなナイチンゲール(小夜鳴き鳥)ってことにさせてもらおう♪」そう言ってもう一度覆いかぶさった…

フェアウェル嬢「…あんっ♪」

…十数分後…

ドロシー「あむっ…ちゅぅ……それにしてもこのドレスがうっとうしいな…」

…しゃれたドレスは見た目はいいが、たっぷりと贅沢な生地を使っているためずっしりしていて滑りにくく、胴やバスル(スカート部分のふくらみ)には形を保つ「骨」が入っているせいで身体を動かしにくい……おまけに後ろの編み上げひもやボタンやホックで留めつける作りなので、一人では満足に脱ぎ着することもできない…

フェアウェル嬢「…わたくしも…そう思いましたわ……///」

ドロシー「それじゃあ……お互いに…な?」

フェアウェル嬢「はい///」


…長手袋一つしていないだけで恥ずかしいという社交界に馴染んでいるフェアウェル嬢だけに、ドロシーの着ているドレスの背中のひもをほどくと、すっかり真っ赤になり、それでいてドロシーの白い柔肌を熱っぽい瞳で凝視しているのが分かる…


ドロシー「……そんなにまじまじと見られると照れるね」

フェアウェル嬢「っ…ど、どうしてお分かりになりますの///」

ドロシー「なぁに、手が止まっていたからさ……お嬢様のお気に召すなら、好きなだけ見てくれてかまいませんとも♪」

フェアウェル嬢「///」恥ずかしげに軽くうつむきながらドレスのひもやらリボンやらをほどいた…

ドロシー「……さて、と♪」しゅる…っ、と衣擦れの音をさせながらドレスを振り落とし、それからフェアウェル嬢の後ろに立った…

フェアウェル嬢「その……お願いしますわ…///」

ドロシー「ああ……私に身を任せてくれればいい♪」そう言って背中のホックや編みひもを外し始めたドロシー…指先をすべらせ、流れるような手つきで次々と結び目を解いていく…

フェアウェル嬢「…貴女様は…こう言うことに慣れていらっしゃいますのね……んっ///」背中を愛撫するような動きに「ぴくん…っ」と身震いした…

ドロシー「……ふふ、どうかな…♪」後ろから胸を押し付け、耳元に軽く息を吹きかけた…

フェアウェル嬢「あっ…ん///」

ドロシー「…いい匂いがする……甘くて、それでいて爽やかだ…」そうささやきながらうなじにキスをした…

フェアウェル嬢「…今日は…バラの香水をつけておりますの……あ、あっ///」すっかりとろけたような声をあげ、今にも身体の力を失いそうになっている…

ドロシー「…さ、終わったよ」

フェアウェル嬢「…え、ええ///」

ドロシー「……それじゃあ…と♪」腰に手をかけてベッドに倒れ込んだ…

フェアウェル嬢「きゃあっ♪」

360 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/08/15(木) 02:37:03.42 ID:TiyjaU500
フェアウェル嬢「はぁ…あぁ、ん……ちゅぅっ、あむっ…///」

ドロシー「ちゅっ…ちゅるっ、れろっ……ぬりゅっ、ちゅむ…っ♪」

フェアウェル嬢「はぁ、はぁ…はぁぁ…っ///」

ドロシー「ふふ、そんなに気持ちいいか?」

フェアウェル嬢「……はひっ、とっても……きもひいい…れす…わ……ぁ…///」

ドロシー「みたいだな……そんなにトロけた顔をされたんじゃあ、どんな堅物だって我慢できない…ぞっ♪」

フェアウェル嬢「あぁ…んっ♪」

ドロシー「んちゅっ、ぬちゅ…ちゅるっ、ちゅ……っ♪」

フェアウェル嬢「はぁぁ…ん、あむっ…ちゅぅ……ちゅぱ…っ///」

ドロシー「…んむっ、ちゅぅ…っ♪」


…ドロシーはいったん唇を離すと、室内の灯りに反射して赤ワイン色に輝く瞳でじっとながめた……口元にはプレイガールらしい手慣れたような笑みを浮かべ、髪を解くと髪飾りをナイトテーブルに置いた……それからさっと頭をひと振りすると髪の房が胸元にかかり、色合いのコントラストがずっしりとしたふくよかな乳房をより一層引き立たせた…そのままフェアウェル嬢にまたがったまま、コルセットとペチコートだけのあられもない姿でベッドに仰向けになっている彼女をじっくりと眺めまわした…



フェアウェル嬢「……んはぁ…お願いですわ……もっと…続きを……してくださいまし…///」

ドロシー「ふふ、悪い悪い……あまりにも綺麗なものだから…♪」白いコルセットのひもに手をかけると、「しゅるり…」と結び目をほどいていく……

フェアウェル嬢「///」

ドロシー「そう恥ずかしがることはないさ…今度は君が私の事を脱がす番なんだから…ね♪」

フェアウェル嬢「……はい///」

ドロシー「ふふ、それにとっても綺麗じゃないか……もう、場所もわきまえずにむしゃぶりつきたいくらいだよ…♪」

フェアウェル嬢「だ、ダメです……わたくし、ここにはお忍びで来ているんですから///」

ドロシー「ここにくるレディたちは多かれ少なかれそうさ…大手を振ってここに来るのは私くらいなもんだ♪」

フェアウェル嬢「…わたくしだって、できればそうしたいですわ……そうすれば貴女さまに……もっと情を交わしていただけますもの…///」

ドロシー「ふふ、嬉しい事を言ってくれるね……でも止めておきな?」

フェアウェル嬢「……どうしてでございますの……わたくし、貴女さまとこうして…その……閨(ねや)を共にした事を思い出しては…身体がうずいてしまうのです…わ///」

ドロシー「ふふっ、それだから余計にさ……気持ちは嬉しいが「女同士のまぐわい」ってやつは、一度はまると私みたいに抜け出せなくなるんだ……それに…」

フェアウェル嬢「…それに?」

ドロシー「……私と違って綺麗でいて欲しいんだ」

フェアウェル嬢「まぁ…///」

ドロシー「ふふ…なんてな。本当はひとり占めしたいから他の「お姉さま方」に近づけたくないのさ♪」

フェアウェル嬢「きゃあ…っ///」

ドロシー「ふふふ……この胸も手ごろな大きさだし…」

フェアウェル嬢「あんっ…♪」

ドロシー「肌もすべすべで良い匂いだ……♪」

フェアウェル嬢「はひっ、ひゃあん…っ♪」すっかり香水が効いて、甘い嬌声をあげながらドロシーに愛撫されている…

ドロシー「そーら、今度はここかな…?」優しく乳房の先端をつまんだ…

フェアウェル嬢「あっ、くぅ…ん……あぁんっ///」

361 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/08/17(土) 10:25:30.20 ID:tbG0NctI0
ドロシー「んっ、ちゅむ……ちゅぅ…♪」白いレースで花模様があしらわれているコルセットを脱がすと、小ぶりながら形のいい乳房にしゃぶりついた…

フェアウェル嬢「はぁっ、あん…っ♪」

ドロシー「ちゅっ、ちゅぅぅ…っ……れろっ♪」

フェアウェル嬢「あぁんっ…あひっ♪」

ドロシー「……ふふ、可愛いな……この豊かな髪も…きれいな瞳も……白くて柔らかい肌も…全部♪」

フェアウェル嬢「そ…それでしたらドロシー様の方が……見ているだけでくらくらするような瞳に柔らかい唇…張りのあるお胸に引き締まった身体……それに…甘くていい匂いがします…わ…///」

ドロシー「嬉しいことを言ってくれるね……バーバラ…♪」そう言ってペチコートの下に手を滑り込ませた…

フェアウェル嬢「…ぁ///」

ドロシー「おやおや…もうすっかりとろっとろじゃないか……」

フェアウェル嬢「だ、だって…わたくし……///」

ドロシー「…別にとがめてるわけじゃないさ…むしろ嬉しいよ」

フェアウェル嬢「///」

ドロシー「…さ、それじゃあ行くぞ…っ♪」くちゅっ…♪

フェアウェル嬢「あぁぁんっ♪」

ドロシー「ふっ……いつものおしとやかな姿もいいが、そうやって甘い声をあげて乱れている姿はもっといいな…♪」

フェアウェル嬢「はぁぁんっ、あぁ…んっ……だって、ドロシー様が……あんまりにも…ふあぁぁぁ…っ///」

ドロシー「はははっ…私みたいな悪い女に捕まっちまったのが運の尽きだったなぁ♪」ちゅぷっ、くちゅくちゅっ…♪

フェアウェル嬢「はぁぁ…んっ、あぁぁ……っ♪」

ドロシー「…」(あー…ちくしょうめ、香水だから効果はこっちにもあるんだよな……さっきから身体がうずいて仕方ないぜ…)

フェアウェル嬢「……ドロシー様?」

ドロシー「……ああ、悪い…少し見とれちまってね…♪」

フェアウェル嬢「…っ///」

ドロシー「そう照れるなよ……本当の事なんだから…な♪」ぐちゅっ、じゅぶ…っ♪

フェアウェル嬢「あっ、あぁんっ…そんなの、卑怯で……あぁぁぁっ♪」

ドロシー「おや「恋と戦争は手段を選ばない」ってことわざを聞いたことはないか?」

フェアウェル嬢「そ、それとこれとは話が違い……ふぁぁぁっ、はぁぁ…んぅっ///」

ドロシー「…違わないさ♪」

フェアウェル嬢「ふあぁぁ…っ///」人差し指に加えて中指を滑り込まされると腰を浮かせ、とろりと蜜を噴き出しながら嬌声をあげた…

ドロシー「ふふ……でもこれだけじゃあいつもと変わりないし…色々試してみたいよな?」

フェアウェル嬢「///」顔を真っ赤にしながらも、期待で瞳を輝かせている…

ドロシー「ふふふ、分かった分かった……お、ちょうどいいのがあるじゃないか♪」


…ベッドから起き上がると、テーブルのセンターピースとして置かれている果物の鉢に目を向けた……銀製のボウルには傷一つないリンゴや洋ナシ、それから植民地から飛行船で空輸され、遅い蒸気船しかなかった頃には見ることも出来なかった珍しい南洋の果物…黄色いバナナや南洋の夕日を想像させるオレンジ色のマンゴー…が綺麗に積まれている…


フェアウェル嬢「あの、ドロシー様…?」

ドロシー「うーん、どれにするかな……お、そうだ♪」ベッドの上で力が抜けているフェアウェル嬢を抱き起すと、手早くシルクのハンカチで目隠しをした…

フェアウェル嬢「な、なにをするおつもりですの…?」口ではそう言いながら、期待しているような甘い声をあげている…

ドロシー「なぁに……お嬢様におかれましてはお好きな果物をお選びいただこうと思って…ね♪」後ろから抱きついて腰に手を回し、テーブルの方へ誘導した…

フェアウェル嬢「…そんなことをおっしゃられても、わたくしには見えませんわ///」

ドロシー「……だから面白いんじゃないか…♪」耳元に息を吹きかけつつささやいた…

フェアウェル嬢「…っ///」ぞくぞくっ…♪

362 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/08/23(金) 03:48:35.16 ID:QQVl2gQb0
ドロシー「さーて、どれにしようかな…っと♪」フェアウェル嬢のほっそりした手に自分の手を重ね、テーブルの上の果物鉢に誘導するドロシー…

フェアウェル嬢「…んっ///」耳元でいたずらっぽくささやかれつつ、背中にずっしりと張りのある胸が押し付けられると、すっかり甘えたような吐息をもらしたフェアウェル嬢……貴族令嬢としての慎みもどこへやら、ドロシーにどんなことをされるのか、恥ずかしいながらも興味津々で頬を赤らめている…

ドロシー「……おやおや、バーバラはこれがいいのかな?」

フェアウェル嬢「あっ…いえ、これは……何でしょう///」目隠しをされたままおずおずとフルーツボウルに手を伸ばすと、アンズに指先が触れた…

ドロシー「さぁ、何だろうな……当ててみな?」

フェアウェル嬢「えぇ…と、多分……」

ドロシー「ふふっ…残念でした、時間切れ♪」綺麗な黄色に色づいているアンズを手に取ると、ねっとりと濡れた割れ目に半分ばかり押し込んだ…

フェアウェル嬢「あっ、あぁぁんっ///」ちゅぷ…じゅぷっ♪

ドロシー「はははっ、まるでアンズの蜂蜜漬けだ……せっかくだし、味見させてもらおうかな♪」そう言って足元にしゃがみ込むと、秘部に舌を這わせた…

フェアウェル嬢「あっあっあっ…そんな、いけませんわ……んぁぁ、あひぃっ…はあぁんっ♪」

ドロシー「おや、おかしいなぁ…蜜が減らないぞ? …ん、じゅるっ…じゅるぅぅっ♪」

フェアウェル嬢「はひっ、あふっ……ふあぁぁ、あんっ……///」

ドロシー「んじゅるっ、じゅるっ…おいおいバーバラ、こんなに蜜をこぼして……ふとももまで垂れてるじゃないか♪」

フェアウェル嬢「だって…ドロシー様がこんな……恥ずかしい事をなさるんですもの…ぉ///」

ドロシー「ふふふっ、こんなのまだまだ序の口さ♪」

フェアウェル嬢「…まぁ///」

ドロシー「ふふーん……それじゃあお次は、と……あむっ…ん、ちゅぱ……♪」押し込んでいたアンズをくわえて花芯から引き抜いて口に入れ、飴玉をしゃぶるように舐め回すと、半分だけ口から出してフェアウェル嬢の唇に近づけた

フェアウェル嬢「ん……はむっ、ちゅぅ…///」

ドロシー「んむっ、はむっ……ちゅるっ♪」二人で舌を絡め、しゃぶるようにしながらアンズを食べ進め、種と皮だけになった所でドロシーが机の上に吐き捨てた…

フェアウェル嬢「ドロシーさまぁ……次の果物を…早く……味わわせて下さいませ…///」

ドロシー「はは、次の果物…ね♪」ニヤニヤしながら目隠しを外した…

フェアウェル嬢「あ…あっ///」

ドロシー「…ふふふっ、珍しい東洋の果物だって色々あるんだからな……シナから運ばれて来たライチに、女王陛下もお好きだっていうマレーのマンゴスチン……あとはバナナと…この赤いもじゃもじゃしたやつはランブータンとかいうやつだな…さぁ、どれがいい?」

フェアウェル嬢「……で、では…せっかくですから一通り試してみたいです…わ///」

ドロシー「ふふ、欲張りなお嬢様だ……ま、お任せあれ♪」つぷっ…くちゅっ♪

フェアウェル嬢「あひぃっ、ふぁぁんっ…あぁぁんっ♪」

ドロシー「…やれやれ、貴族の令嬢ともあろうものが鏡の前ではしたなく脚を開いて、すっかりとろとろにして……可愛いな♪」

フェアウェル嬢「あぁぁんっ、その言い方はずるいですわ……ぁ///」

…事後…

フェアウェル嬢「…そういって、サー・バーミンガムは席を立たれたと言うことですわ……あんっ///」

ドロシー「……なるほどねぇ」

…愛液やら汗やらでべとつく身体をくっ付けあい、ベッドの上で絡み合っている二人……ドロシーは胸に舌を這わせ、指で膣内をかき回しながら、フェアウェル嬢の父親が娘に話したことや政財界の重鎮たちの話をうまくしゃべらせている…

フェアウェル嬢「……そうなんですの、ですから今後はより一層…」

ドロシー「そんな事より、もっと楽しい話をしようか……んっ、ちゅぅぅっ♪」(よし…もう必要な部分は聞けたし、あんまり「プレイガール」が政治や外交に興味を持ってるように思われちゃおかしいもんな…後はいちゃいちゃしながら明け方まで過ごせばいいや……)

フェアウェル嬢「あんっ、あっ…♪」

ドロシー「ちゅっ、ちゅむ…っ♪」(……さて、アンジェの方はどうだろうな?)

………

363 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/08/25(日) 01:51:58.61 ID:GIN+lXAE0
…しばらく前・店に着いてからのアンジェ…

ドロシー「じゃあ、後で…」

アンジェ「…ええ」


…ドロシーと分かれると、さりげなく店内を歩き回っておしゃべりの内容に聞き耳を立てる……店内は(会話を盗み聞きされるのを防ぐ意味もあって)室内楽団が控えめに軽い音楽を奏でている…が、同時に幾人もの声を聞き分けられるアンジェは、その中から有用そうな会話に耳をそばだてた…


ロール髪の婦人「……ですから、フェアファックス次官は交代ということになりそうですわね…」

灰色ドレスの婦人「ええ、わたくしもそう聞きましたわ…代わりにサー・アーノルドが任官されるとか……」

アンジェ「…」(…フェアファックス次官は内務省官僚の筆頭……交代するとなると、内務省管轄の防諜組織でも人事の改編があるかもしれないわね)

太った中年婦人「……そういえば共和国のスパイが…」

やせた婦人「ええ、噂で聞きましたよ…」

アンジェ「…」突然耳に入って来た声から気になる単語が飛び出してきた……そしらぬ顔でシャンパンをすすっているが、神経をそちらに集中させる…

太った婦人「…なんでも「ザ・エンジェル・ハート」のレディだった女性だとか…で、お付きの娘二人を連れて「壁越え」をしたんだそうよ……」

やせた婦人「そうらしいわね……これまではお店でご婦人方を悦ばせていたんだけれど、同時にいくつも情報を聞きだしていたんですって」

太った婦人「怖いわよねぇ…」

やせた婦人「ええ、まったく……そういう謀反人はロンドン塔に幽閉するか、絞首刑にしちゃえばいいのよ」

太った婦人「そうよね」

アンジェ「…」表情一つ変えることなく「すぅ…っ」と、その場を離れた…

…カードテーブル…

長い金髪の婦人「…あら♪ こんばんは、レディ・リリーフィールド……よろしければご一緒しませんか?」

アンジェ「え、ええ…///」


…お互いに本名を名乗ることなどしないこうした「社交クラブ」の中ということもあって、まるで安食堂の日替わりメニューのようにころころと呼び名を変えているアンジェとドロシー……アンジェはこの数カ月余りの間「アン・リリーフィールド」という名前を使っていた…


金髪「はい、決まりですわね♪」…濃い赤紫と深いバラ色の豪華なドレスに、目を細めつつ浮かべる優しい笑顔…が、アンジェに声をかけてきたこの女性はロンドン社交界でも名うてのカードの使い手でありプレイガールで、あちこちの令嬢や奥方を「食べ散らかしている」と、悪い噂が絶えない……

茶色の髪をした令嬢「あら、よかったらわたくしも交ぜて下さいな?」

金髪「ええ、どうぞ♪」

派手な格好の婦人「あらあら、わたくしをおいて抜け駆けなんていけませんわね……♪」

金髪「ふふっ…レディ・エッジムア、私が貴女をお邪魔扱いすることなんてありませんよ♪」

派手な婦人「まぁまぁ、そう言っていただけると嬉しいわ」

アンジェ「…わ、私が社交界の華である皆さんとご一緒できるなんて……嬉しいです///」

金髪「あら、アンったらお上手……シャンパンをごちそうしてあげるわね♪」にこにこしながらさりげなくアンジェの手を撫でた…

アンジェ「///」

金髪「ふふふ、そう固くならなくてもいいのよ…お互い楽しく過ごしましょうね♪」

………

364 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/08/31(土) 01:27:19.13 ID:k+8HuvAu0
…しばらくして…

金髪「ふふ……フォーカードです♪」

派手な婦人「むぅ……わたくしの手もなかなか良かったのですが、また負けてしまいました…お強いですわね」

金髪「ふふっ、ほんのまぐれですわ…♪」

茶髪「わたくしもたまには、その「まぐれ」に当たってみたいものですわ……すっかり負け続きですもの」

アンジェ「…ええ、まったく」

派手「本当にねぇ…」

金髪「あら、でも今までで一番大きな勝ちはレディ・エッジムアのストレート・フラッシュですわ」

派手「そういわれるとくすぐったいわね♪」

アンジェ「きれいにそろっていましたものね……」

…まるで玄人の賭博師(ギャンブラー)はだしの腕前でポンド札を巻き上げている相手に、優れた記憶力と素早い計算、そして氷のような冷静さで対抗しているアンジェ…カードを始めた時に比べると、手持ちのポンドはそう増えてはいないが減ってもいない…

金髪「あら、それを言ったら貴女のカードさばきもなかなかよ?」

アンジェ「そ、そんなこと…///」

金髪「いいのよ、照れなくっても……ね♪」そう言いながら、さりげなく手を伸ばした…

アンジェ「…あっ///」

金髪「あ、ごめんなさい…わたくしったら、グラスと取り違えてしまったわ♪」

アンジェ「///」

茶髪「まぁまぁ…ところで、そろそろ何か頼みませんか?」

派手「そうねぇ……レディ・スタンモアの言う通り、ちょっとした軽食でも…?」

金髪「ふふ、それではそろそろカードはお開きにします?」

茶髪「いいえ、わたくしはまだまだ続けたいですわ!」

金髪「…まるでサンドウィッチ伯爵ですわね♪」(※サンドウィッチ伯爵…大のカード好きで軽食を取る時間すら惜しみ、カードをしながら片手で食べられる具を挟んだパンを用意させたことから「サンドウィッチ」というようになったという)

茶髪「べ…別にそういう訳ではありませんが///」

金髪「ふふふっ、こういう遊びはほどほどにしておきませんと…ね、レディ・リリーフィールド♪」

アンジェ「ええ、そうですね…」

茶髪「お二人がそうおっしゃるのなら、わたくしもたってとは申しません……では、清算を」点数表を計算して、ポンド札を取り出した…

金髪「……あらまぁ、やっぱりレディ・エッジムアはお強いですわね…今度手ほどきしてもらいたいですわ」

派手「あら嫌だ、それではなんだかわたくしがカード使いみたいですわ♪」そう言いながらも、まんざらでもないらしい派手な婦人…

アンジェ「…」一見すると地味な勝ち方が多いのでそうとは気づかないが、金髪のレディはさりげなくテーブルの中で一番多く稼いでいる……アンジェも差し引きするとそこそこの勝ちで、札入れのポンドがいくらか増えた…

金髪「それでは、また次回を楽しみにしておりますわ……ところで、レディ・リリーフィールド」

アンジェ「ええ」

金髪「よかったらわたくしとシャンパンを付き合って下さらない?」

アンジェ「…は、はい///」

金髪「あぁ、よかった……それでは参りましょう♪」アンジェの手を取ると店のレディに合図の目線を送り、緋色の絨毯が敷いてある階段を上って個室に招き入れた…

………

365 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/09/02(月) 02:46:16.69 ID:DJFiGFH+0
…個室…

レディ「…どうぞ、こちらにございます……」

金髪「ええ…さぁ、おかけになって?」

アンジェ「は、はい///」

金髪「そう固くならずに……今はわたくしと二人だけなんだもの、ね♪」チャーミングな笑顔を浮かべ、優しく椅子に座らせた…

アンジェ「///」

金髪「そうそう、そうやって楽にして…あ、ちょうどシャンパンが来たわ♪」

レディ「…失礼いたします」店のレディがシャンパンの入った銀のアイスバケットを持ってきて栓を開けた…

金髪「あとは私がやるからいいわ……ご苦労様」すっ…とポンド札を握らせて下がらせた

レディ「…失礼いたします」

金髪「ええ……ふぅ、これでようやく静かになったわね」

アンジェ「そうですね…///」

金髪「ふふ、そんなにかしこまらなくても……さ、召し上がれ♪」手際よく二つのグラスに「クリュッグ」を注ぐとシャンデリアの灯りにかざすようにして、夏の木漏れ日のような透き通った金色にきらめく水色(すいしょく)を楽しみ、それから芝居がかった手つきで片方のグラスを渡した…

アンジェ「ええ…こくっ……///」

金髪「ふふ…っ♪」立ったままで軽く一杯飲み干すと、おかわりを注いだ…

アンジェ「あの…レディ・ウェルキン……」

金髪「もう、そんな堅苦しい呼び方は止して…二人きりなんだもの、アリスでいいわ♪」

アンジェ「それでは……その…アリス///」

アリス「なぁに、アン?」

アンジェ「えぇと…いえ、その……どうしてお掛けにならないのかと思って…///」

アリス「ふふ、どうしてかしら…ね♪」白絹の長手袋をはめた手でアンジェの頬を撫でた…

アンジェ「///」

アリス「でも、せっかくそうおっしゃってくれたのだから…わたくしも座るとしましょう♪」立派なソファーが二脚あるにもかかわらずわざわざアンジェの隣に座ると、そっと身体をもたれかからせた…

アンジェ「ど、どうぞ…///」…白くて柔らかそうな乳房のふくらみは襟ぐりからのぞいているのを見なくとも、そっと腕に押し付けられたドレス越しでも分かる……それに胸の谷間に香水を吹きつけたのか、甘いメロンのような香りが鼻をくすぐる…

アリス「ふふっ、せっかくだから何かおしゃべりでもしましょうか…♪」

アンジェ「え、ええ…///」

アリス「それじゃあ、この間のレディ・マーカスの舞踏会であった話でも……」

アンジェ「…はい///」

アリス「……それでね、ウェストミンスター寺院の大僧正ときたらそんなことを言うのよ…ふふっ♪」

アンジェ「そうだったのですか……とても立派なお方に見えますけれど…」(社交界や政財界の大立者たちが抱える弱点やスキャンダル……このまま「開拓」できれば、なかなか使える情報源になりそうね)

アリス「くすくすっ、アンったら素直な性格なのね。 …それとも、私を喜ばせてくれるために演技をしてくれているのかしら?」

アンジェ「…っ、そげなこと……おらは演技なんて上手じゃねえだで…っ///」

アリス「くすっ…まぁまぁ♪」

アンジェ「……っ、今のは…その…っ///」

アリス「ええ、貴女の「お国言葉」は聞かなかったことにしてあげるわ……その代わりに、もう一杯わたくしの杯を受けてくれること♪」

アンジェ「わ、分かりました…///」

アリス「よろしい…♪」…シャンパンのせいでいくらか上気した肌は赤味を帯びて艶めいている…優しそうだった瞳は今や獲物を目の前にした肉食獣のようにらんらんと輝き、アンジェは視線が合うたびに電撃を受けたように感じていた……その間もアリスはアンジェをくつろがせようと面白おかしくあちこちの舞踏会やパーティの話をしているが、さりげなくアンジェの綺麗な肌をじっくりと眺めている…

アンジェ「……あの、アリス///」(そろそろ頃合いね…)

アリス「どうかした?」

アンジェ「いえ……少し飲み過ぎてしまったみたいで…頭がぼーっとして……///」

アリス「あら、本当に…ちょっと失礼?」アンジェのあごに手を当てて顔を向けさせると、自分の顔を近寄せてじっくりと眺めまわす…長いまつげに色つやのいい頬、それに柔らかそうな唇が今にも触れそうになる……

アンジェ「…ぁ///」
366 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/09/04(水) 01:01:18.84 ID:Agb+OARL0
アリス「……んっ」

アンジェ「……ん、ちゅっ…///」

アリス「くすっ…♪」小さく笑うとアンジェの手を取った…

アンジェ「…ア、アリス……///」

アリス「…はい、何かしら♪」

アンジェ「いえ……あの…」

アリス「…アンは真面目なのね」

アンジェ「///」

アリス「ふふっ…大丈夫、全部わたくしに任せておけばいいわ♪」

アンジェ「…っ///」

アリス「はむっ……ちゅぅっ♪」

アンジェ「ふぁぁ…あぁ、んっ///」

アリス「あら、シャンパンがまだ残っているわね……こくっ、こくんっ……」瓶に残っていたシャンパンをグラスに空けると、一気に口に含んだ…

アンジェ「そ、そんな風に飲んだらお身体に……んんっ!?」

アリス「んむっ、んくっ…んっ♪」

アンジェ「んぅぅ、んぅっ…///」唇を押し付けられたかと思うと舌で口をこじ開けられ、両手で頬を押さえつけられたままシャンパンを口移しされる…

アリス「ふぅ……お味はいかが?」

アンジェ「もう…っ///」とても演技とは思えないほど上手な涙目で上目使いをし、すぐ恥ずかしそうにそっぽを向いた…

アリス「……アン」

アンジェ「…な、なんですか?」

アリス「ごめんなさい、抑えておこうと思っていたのだけれど……ちょっと我慢できそうにないの♪」長手袋をするりと脱ぎ、ソファーに押し倒した…

アンジェ「あぁん…っ!」

アリス「…ふふ、ドレスっていいわね……こうして…一枚づつ……脱がしていく愉しみが…あるもの…ね」

アンジェ「あ、あ……///」

アリス「…それにしても、アンの肌は白くてすべすべで……それにいい匂いよ…まるで花束みたい♪」…アンジェの持っている「香水」は甘くとろけそうなドロシーのものとは違い、アンジェ自身の雰囲気に合わせて爽やかですっきりした香りに仕立ててある……

アンジェ「う、嬉しいです…///」

アリス「あぁ、やっとリボンがほどけたわ……ん、とっても綺麗ね…」

アンジェ「あ、あんまり見ないでください…///」

アリス「ふふ……こんなに美しい物を「見るな」だなんて、なんと残酷なこと♪」そう言いながら流れるような手つきで次々とリボンやボタンを外し、優しく身体を愛撫する……

アンジェ「ふわぁぁ……あっ、あ…///」

アリス「ふふ、そんなあられもない声をあげて……誘っていらっしゃるのかしら?」

アンジェ「そ、そんなつもりでは……」

アリス「ふふふっ…でも、わたくしはそんな気持ちになったわ♪」

アンジェ「きゃあっ…///」

アリス「くすくすっ……さぁ、つかまえた♪」アンジェの左右の手首を重ねて、ドレスのどこかを留めていた黒いリボンで結び合わせた…

アンジェ「あぁ、アリス…なにをなさるのです///」

アリス「貴女がいけないのよ……そうしてわたくしを誘惑するから♪」ヒールを脱ぐと脚を持ち上げ、優しくアンジェの胸元にあてがって押し倒した…

アンジェ「あん…っ♪」

アリス「ふふふっ……今夜は礼儀作法の先生からは教わらない事をいっぱい教えて差し上げるわね♪」

アンジェ「は、はい…///」
367 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/09/08(日) 01:46:19.45 ID:Y4rcIFzt0
………



…数十分後…

アンジェ「…んはぁ…はぁ、はぁ……///」

アリス「ちゅぅっ、ちゅっ、ちゅむ……っ♪」

アンジェ「ぷは…ぁ……はぁ、はぁ、はーっ……///」

アリス「ふふ、初々しくて可愛いわ…私の妹にしたいくらい」

アンジェ「はぁ…はぁ……ん…///」あまりやり過ぎない程度に物欲しげな顔をしてみせる…

アリス「あら、まだ物足りないの?」

アンジェ「……いえ…そういうつもりでは…///」

アリス「ふふふっ、いいのよ……ここはそういう場所なんですもの♪」ソファーの上でアンジェにまたがり、見せつけるようにコルセットを脱ぎ捨てる……形のいい胸が柔らかく弾むと、蝋燭の灯りに火照った肌が艶やかに照り映えた…

アンジェ「…っ///」

アリス「…ねぇ、遠慮しないでご覧になって……?」

アンジェ「……は、はい///」

アリス「ふふ…いい娘ね……♪」アンジェの手に自分の手を重ねると乳房に誘導し、粘土でもこねるかのように揉ませた……

アンジェ「アリス…柔らかいです……///」

アリス「ふふ…っ、そして貴女の指は意外と力強いのね♪」

アンジェ「そ、そんなこと…///」


…そう言われて恥ずかしげに目を伏せてみせたアンジェだったが、内心ではアリスの(プレイガールらしい)鋭い観察力を苦々しく思っていた……日頃「一流情報部員」として物腰や雰囲気をうまく作ることができても、肉体的な面ではどうしてもごまかしきれない部分というものがある……特に細いが力強い指や引き締まった身体は、いくら肌をすべすべにしようと乳液やクリームを塗ってみても「か弱い女学生」らしくない…


アリス「……あら、わたくしとしたことが…ごめんなさいね♪」アンジェを不愉快な気持ちにさせたと思ったか、手際よく謝った…

アンジェ「いいえ…私も自分の身体、やせっぽちで骨ばっているからあんまり好きじゃなくて……」

アリス「まぁまぁ……でも、わたくしはアンのほっそりした身体…好きよ?」

アンジェ「あ…///」鎖骨にキスをされると、アリスの髪の香りが鼻腔をくすぐった…

アリス「……わたくし…ん、ちゅぅ……アンが…ちゅっ……自分のこと…もっと好きに……んちゅっ…なれるように……してあげる…わ♪」

アンジェ「はぁぁ…んっ、あっ……あぁぁん…っ///」鎖骨から小ぶりな乳房、平たく引き締まったお腹、そして柔らかい下腹部へと唇が進んでいく……

アリス「んちゅっ…ちゅぅ……」

アンジェ「はぁぁ…んっ……そこは…んっ、だめ……っ///」

アリス「……だめじゃないわ」ちゅく…っ♪

アンジェ「あっ、あぁぁ……っ///」

アリス「まぁ、ふふ……舌先を入れただけでそんなに喘いで…夜は長いけれど、大丈夫かしら?」くすくす笑いをしながらふとももを押し広げ、ねっとりとした妖しげな視線を向けた…

アンジェ「そ、その……お手柔らか…に…?」

アリス「うふふふっ、面白いお返事だこと……ええ、よく分かりましたわ♪」…そういうとテーブルに置かれている五本がけの燭台を手に取った……立派な銀製の燭台は片手で持つには重く、揺れるたびに火がゆらめいて、陰影がアリスの表情をゆがませた…

アンジェ「……ア、アリス…?」

アリス「んふふっ、大丈夫だから……わたくしに身体を預けて…ね♪」とろ…っ♪

アンジェ「あっ、あぁ゛ぁ……っ///」アリスが燭台を傾けると、胸元に溶けた蝋が垂れる…

アリス「くすくすっ…大丈夫よ、跡になるほど熱くはないもの……熱いのはその瞬間だけ…行きずりの恋と同じね♪」

アンジェ「…アリス///」

アリス「あぁ…そんな表情をされると優しく出来なくなってしまいそう……♪」ぽたぽた…っ♪

アンジェ「あ゛ぁ゛ぁっ…あ……っ///」

アリス「本当はね「よく熱した火かき棒」なんていうのもあるのだけれど…それじゃあ貴女の綺麗な身体に跡が残ってしまうものね♪」

アンジェ「…っ」

アリス「ふふふ…っ♪」
368 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/09/09(月) 00:49:07.76 ID:VTsgeRKU0
アンジェ「…あぁっ、うぅ゛…っ///」

アリス「まぁまぁ、そんなに身体をひくつかせて……もっとしてあげましょう♪」ぽたぽたと溶けた蝋を垂らし、それが固まると爪の先で愛撫しながら剥がしていく…

アンジェ「い゛っ、あぁ゛ぁ゛ぁっ…!」

アリス「あぁぁ…とても可愛らしいわ…♪」ぺろりと指を舐めあげると妖艶な笑みを浮かべ、アンジェの濡れた秘部にゆっくりと指を沈めていった…

アンジェ「あっ、あぁぁ…っ///」ちゅぷ…くちゅ……っ♪

アリス「はぁぁ……アンのあそこ、暖かくて指をきゅうっと締め付けて…おまけにとろりと濡れていて……♪」

アンジェ「…い、言わないで……///」

アリス「…あら、今のはわたくしの正直な感想なのだけれど……言ってはいけないかしら?」

アンジェ「だ、だって……///」

アリス「ふふ、言いたいことやしたい事を抱え込まないのが美の秘訣よ……貴女も悩み事があるようなら吐きだしてみたら?」

アンジェ「…」(この女…向こうの回し者ではないにしろ、同じくらい危険ね……こういう場面でうっかりした事をいうと、あっという間に鉄格子の向こうに入ることになる……用心しないと…)

アリス「いえ、ね…だってアンったら時々、何か「感情を消している」ような目をするものだから……よかったら話を聞くわよ?」

アンジェ「ええ、ありがとう…でも、大丈夫」

アリス「そう?」

アンジェ「はい…でも、そのお気持ち……嬉しいです///」

アリス「ふふっ、わたくしもアンが笑ってくれて良かったわ……でもね」

アンジェ「?」

アリス「わたくしは欲張りだから、可愛い貴女のいろんな表情が見てみたいの……例えば…♪」ふっ…と燭台の蝋燭を一本だけ吹き消すと台から外し、まだ熱を持った灯心の部分を花芯に押し当てた……火傷の跡が残るほどではないにしろ、敏感な部分なので焼け付くような感覚を覚える…

アンジェ「あぁ゛ぁ゛ぁ…っ!」

アリス「あぁぁ…いいわね♪」

アンジェ「はひぃ…ひぐぅ……っ///」

アリス「んー……それじゃあ次は…♪」また一本吹き消すと、今度は胸の谷間に押し当てた…

アンジェ「あぁぁっ…いぃ゛っ///」

アリス「あぁ、なんて可愛らしいのかしら……すれっからした称号ばかりの小娘たちや、ぎらぎらした中年の婦人たちなんてもううんざり…貴女みたいなみずみずしい初心な娘がいいわ♪」

アンジェ「はぁ、はぁ……はぁ…っ」

アリス「さ、お次は…と♪」ぐいっと手首のリボンを引っ張ってアンジェを絨毯の上で四つん這いにさせ、蝋燭を吹き消すと腰の窪みの所に押し当てた…

アンジェ「あぁ゛ぁ゛ぁっ…!」口から唾液をしたたらせ、蜜でふとももをぐちゃぐちゃに濡らしているアンジェ…

アリス「…舐めて♪」全て外して吹き消してしまった燭台をテーブルに戻すと、そのままテーブルに腰を下ろし脚を伸ばした…

アンジェ「ふぁい……ん、ぴちゃ…れろっ…///」

アリス「あぁ、ふふっ…くすぐったいわ……うふふっ♪」

アンジェ「んちゅ…ちゅるっ……///」

アリス「ふふ、上手だったわ……さぁ、ごほうびを上げるから仰向けになって?」

アンジェ「…はい///」

アリス「くすくすっ…素直でよろしい♪」つぷっ…くちゅっ♪

アンジェ「あっ、あぁぁ…ん///」

アリス「ん…んぅぅ♪」小川の岸辺に座っているように脚をぶらぶらさせつつ爪先でアンジェの花芯をかき回し、自分の秘所に指を差し入れた…

アンジェ「あぁ、んぅっ…ふあぁぁ…っ///」ちゅくっ、くちゅ…♪

アリス「んくぅっ、んぅぅ…んんぅぅっ♪」くちゅっ、にちゅっ…とろっ♪

アンジェ「……はぁ、はぁ……っ///」

アリス「ふぅ……さ、それじゃあそろそろベッドに行きましょうね♪」

アンジェ「…はい///」

………

369 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/09/12(木) 16:38:28.40 ID:tXDhR8q50
…予定では今日明日にでも続きを投下する予定ですが、週末からの台風はもの凄かったですね…

…特に千葉県の方はまだ停電や断水が続いているそうですから、一日でも早く復旧することを祈っております……もし被災地の方とかでこのssで見てくださっている(見られる状態にある)方がいらっしゃいましたら、読み物として少しでも気を紛らわすことができたらと思います…
370 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/09/13(金) 11:47:01.63 ID:8lUdJ9g60
………



…数時間後…

アリス「あっ、あぁ…んっ♪」くちゅくちゅっ、にちゅ…っ♪

アンジェ「はぁっ、はぁ……んっ、くぅ…っ///」ちゅぷ、くちゅ…♪

アリス「あっ、あっ、あっ…あぁぁんっ♪」豪華なベッドの上でアンジェを押さえ込むように組み敷いて、指を開くとこぼれた蜜がとろりと糸を引いた…

アンジェ「ふぁぁぁっ、あぁっ…んぁぁぁっ///」

アリス「ふふ、そんな風に甘い喘ぎ声をさせながら身体をのけぞらせて……アンは悪い娘ね♪」

アンジェ「…はぁ……はぁ…んはぁ…っ」演技や冗談ではなく、本当に息切れしかかっているアンジェ…自分が責め手に回れば技量と経験を活かしてすぐ相手をイかせられるが、押し倒されて一方的にやられている状態では小柄な身体が災いして体力が続かない……

アリス「……どう、満足してもらえたかしら?」

アンジェ「…はぁ……はぁ……」

アリス「くすくすっ…その様子なら大丈夫そうね♪」

アンジェ「はぁ……ふぅ…っ」

アリス「それでは後はおしゃべりでもしましょうか…」アンジェの横に身体を寄せると、髪をかき上げて額にキスをした…

アンジェ「…は、はい///」



アリス「……それでね、第一海軍卿(海軍長官)は「空中戦艦をさらに数十隻整備する必要がある…そしてインドや極東にも展開できるように、整備施設を建造する予算が必要だ」って言って大騒ぎ…陸軍のパーシバル元帥とお互いに譲らずで、大変だったみたいね♪」

アンジェ「将軍さんたちも大変なんですね…」

アリス「ええ、おかげでしばらくはふてくされて大変だったって「親しいお方」から聞いたわ…ちょうどこんな風に、ね♪」

アンジェ「なるほど……ふわぁ…」(つまりこの女は第一海軍卿の夫人とも寝ている、と……うまく引き出せれば一級の情報源になりそうね…)

アリス「あらあら、わたくしとしたことがつまらないお話をしてしまったわね…それに貴女も眠くていらっしゃるでしょうし♪」

アンジェ「そ、そんなことありませんよ…とっても面白いで……ふあ…ぁ///」

アリス「ふふ、いいのよ……夜明けまではまだ少しあるから、軽くお休みなさいな?」

アンジェ「いえ、もっとお話したいで……ふぁ…///」

アリス「くすっ…気持ちは嬉しいけれど、無理はしないでいいのよ……また今度、ご一緒すればよろしいんですもの♪」

アンジェ「えっ…その、私…こんな田舎娘ですけれど……また、会って下さいますか?」

アリス「ええ…わたくし、貴女が好きよ♪」

アンジェ「…っ///」恥ずかしいのを隠すように寝返りを打ち、背中を向けた…

アリス「ふふっ、お休みなさい…♪」ふわりと羽根布団をかけ「ぽんぽん…っ」と優しく叩いた…

アンジェ「…すぅ、すぅ……」

アリス「……それにね、貴女はどこか「わたくしの欲しいとあるお方」に似ているのよ…」

アンジェ「……すぅ…すぅ…」

アリス「……欲しても手に入らない、愛しの君…だからせめて貴女の事を「わたくしだけのプリンセス」にさせてちょうだい…ね♪」

………

371 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/09/16(月) 02:38:29.79 ID:aCAlg2IM0
…夜明け前…

ドロシー「今宵も楽しかったですわ、レディ・バーバラ……また二人で愉しもうな♪」耳元に唇を寄せ、艶めかしい声でささやいた…

フェアウェル嬢「…はい///」

ドロシー「ふふ、いい娘だ…では、ごきげんよう♪」芝居がかった動きで手の甲にキスをした…

フェアウェル嬢「……ふわぁ…ぁ///」

ドロシー「おっと…」へなへなと崩れ落ちたフェアウェル嬢を抱きかかえると、店のレディに目くばせした…

店のレディ「…よろしければ、こちらのご婦人には今しばらくサロンでお休みいただいて……」

ドロシー「ええ……手間をとらせて悪いわね。取っておいて?」チップをはずみつつ、さりげない手つきでレディの腰に手を回す……酔いが回っているような上気した顔と艶やかな胸元に、普段は何を頼まれてもポーカーフェイスな店の「お姉さま」も少し頬を赤らめた…

お姉さま「……ありがとうございます///」

ドロシー「ふふ、いいのよ…それじゃあ、彼女が起きたら渡しておいて♪」さらさらと(いつもと違うペンと意識的に変えた字体で筆跡見本を残さないようにしつつ)ペンを走らせ、情熱的な言葉を並べた手紙を書き上げると、香水をひと吹きして店のレディに託した…

お姉さまB「…お車が参りました」

ドロシー「ああ、ありがとう…♪」待っている車の列から手際よくドロシーたちの乗って来た一台を回してくれたレディにもチップを渡し、アンジェを待った…

アンジェ「…その、それでは……また…///」すっかり腰が抜けたような様子で顔を赤らめ、アリスにもたれかかるようにしてふらふらとやって来た…

アリス「ええ、またね…♪」アンジェの肩に丁寧すぎるほど優しくコートを羽織らせるアリス……前のボタンを留めるようなふりをしながら、さりげなく後ろから抱きしめた…

アンジェ「……はい///」

ドロシー「さ、行きましょうか…」アンジェを先に乗せてやるドロシー…運転手がドアを閉め、霧深いロンドンの夜道を走り出した…

………

…しばらくして・部室…

アンジェ「…それで、どうだった?」聞きだした情報を暗号文に起こしつつ、ドロシーに聞いた…頬はまだ火照っているが、顔はいつもの無表情に戻っている…

ドロシー「相変わらずバーバラはなかなかの情報源さ。政財界のお偉いさんたちが「こう言った」とか「どう考えている」とか、父親が良くしゃべっているみたいだな…そっちは?」

アンジェ「そうね、あのアリスとかいう女はなかなか勘が鋭いから気をつける必要があるけれど、王国上層部の夫人や令嬢たちの不品行についてよく知っているようね…かなり有意義な話が聞けたわ」

ドロシー「まぁ、勘が鋭いっていうのは確かだろう……私もだけど、ああいうプレイガールは「恋人たち」のちょっとした変化に気づけないようじゃダメだからな」

アンジェ「そのようね…」

ドロシー「色事師になるには観察力がないとな…ま、私たちの世界と同じさ♪」

アンジェ「結構なことね…さ、終わったわ」

ドロシー「そりゃ良かっ……あぁ、くそっ…」

アンジェ「…どうかしたの?」

ドロシー「いや、実は…さっきから例の「香水」の影響で身体が火照って仕方ないんだ……色々「悪いこと」を教えているとはいえ、バーバラはまだまだ初心な乙女みたいなもんだから、私を満足させちゃくれないしさ…」

アンジェ「…それで?」

ドロシー「お前さん、車で私にもたれかかってきただろ…あんなとろけたような顔で身体を寄せてきやがるから、襲いかかりそうになったんだ…ぞ」

アンジェ「……冗談のつもり?」

ドロシー「…いや、正直な話…もう……んっ…我慢……できそうに…ない///」どろりとした欲情で瞳をぎらつかせ、じりじりとアンジェを追い詰める

アンジェ「………」

ドロシー「アンジェ…っ♪」

アンジェ「ぐっ…ドロシー、悪ふざけはよしなさ……んぅっ!?」格闘術でドロシーをねじ伏せようとしたが、床に押し倒され唇が重なったかと思うと、一気に舌が滑り込んできた…

ドロシー「むちゅっ、ちゅるっ、ちゅむ……ちゅぷっ、ちゅくぅっ…ちゅるぅぅっ♪」

アンジェ「んぅぅぅっ、んっ、んぅぅ…!」

ドロシー「はむっ、じゅるっ、ぢゅぅぅっ…あぁっ、んっ……じゅるっ、ぬるっ…ちゅぷっ♪」

アンジェ「んんっ、んぅ…ぷはぁっ! ちょっと、いい加減に……んんぅっ///」

ドロシー「んちゅるっ、ちゅるぅっ…♪」

アンジェ「んぅぅぅ…っ♪」頭が焼き切れそうなほど上手で熱っぽいドロシーのキスに身体がとろけて、下腹部がじんわりと甘くうずいてくる…
372 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/09/19(木) 02:46:03.17 ID:fAUgggXz0
ドロシー「はぁ、はぁ…こうなったのも全部アンジェが悪いんだからな……ちゅるっ、んちゅぅっ♪」

アンジェ「馬鹿言わな……んむっ、んんぅぅっ///」

ドロシー「ちゅうぅぅっ、じゅるぅ…っ、んむっ…♪」

アンジェ「ん、んぅぅっ……んふぅっ///」

ドロシー「んちゅっ、ちゅる…ぅ♪」

アンジェ「…ちゅるぅ……んっ♪」そんなつもりはさらさらない…はずが、ドロシーの熱い舌が絡みつくたびに思ってもいないほど甘い声が漏れる…

ドロシー「あぁ…相変わらず真っ白な肌だな……んちゅっ、ちゅぅ♪」

アンジェ「ちょっと、どこにキスして…あんっ///」


…よく情報収集のためにレディたちをたらしこみ、寝室や化粧室でドレスを脱がせている「プレイガール・スパイ」のドロシーだけあって、うまく茹ったゆで卵を剥くようにするりとボディスやペチコートを脱がしていく……白い肌があらわになると、首筋から鎖骨、胸元、脇腹…と、ついばむようなキスをした…

ドロシー「はは、何だかんだ言いながらそんな声を出すあたり…アンジェ、お前もすっかり乗り気なんじゃないか♪」

アンジェ「……冗談は止してちょうだい、見当違いもいいとこ……んぅっ///」

ドロシー「へぇ…「見当違い」にしちゃずいぶん甘い声だぞ?」

アンジェ「あっ、んあぁっ///」

ドロシー「…黒蜥蜴星出身の腕利き情報部員のくせに嘘が下手だな……ちゅうっ♪」

アンジェ「あ、あっ…///」

ドロシー「おいおい…そんな喘ぎ声を聞かせるなよ、ますます我慢ができなくなる……んちゅるっ♪」

アンジェ「…そもそも我慢するつもりなんてないくせによく……ふわぁぁ、あっ、あふっ///」

ドロシー「ちゅぅっ、れろっ、むちゅ……♪」

アンジェ「ちょっと待って、それ以上は本当に……あっ、あぁんっ///」

ドロシー「んじゅるっ、じゅるっ……ぴちゃ♪」

アンジェ「あっあっ、あぁぁぁ…っ♪」

ドロシー「じゅるっ、くちゅ……アンジェはここが弱いんだっけな…♪」…くちゅくちゅっ、じゅるぅ…っ♪

アンジェ「あぁぁ…んっ///」

ドロシー「じゅるっ、じゅぅぅ…♪」

アンジェ「……ドロシー…」

ドロシー「んー?」

アンジェ「弱点を知っているのは私も同じよ……んむっ♪」互い違いに寝転んだ状態で、ドロシーの秘部に舌を滑り込ませた…

ドロシー「あ、ああぁぁ…っ♪」

アンジェ「ちゅるっ、れろっ、ぴちゃ……んっ、ふ…」

ドロシー「はぁぁぁっ、あぁっ…アンジェっ、そこ……んじゅるっ、じゅるっ♪」

アンジェ「あぁっ、んぅっ……ドロシー…///」

ドロシー「アンジェ……んじゅっ、じゅるぅ♪」

アンジェ「ひう゛っ、ひぐぅぅ…っ♪」がくがくと腰をひくつかせ、とろりと蜜を噴きだした…

ドロシー「…あぁぁぁっ、んぅっ…アンジェ、私も…いく……ぅっ♪」

………

373 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/09/22(日) 02:40:11.71 ID:kWk5+x/M0
ドロシー「…今夜は色々と付き合わせて悪かったな……」床に散らかったボディスやペチコート、ストッキングを拾い集めつつ言った……

アンジェ「かまわないわ…そんな風に欲情したまま部屋に戻って、見境なしに同級生を襲われても困る」

ドロシー「誰がそんなことするか…」

アンジェ「そう? …まぁ、それに私も…火照りが……抜けなかった……から…///」

ドロシー「んー、よく聞き取れなかったな?」

アンジェ「……気にしなくていい」

ドロシー「はは♪ ま、冗談はさておき…本当にありがとな」明け方の薄灰色がぼんやりとしたシルエットを作りだす中、ドロシーの手がアンジェの白い頬に触れた……

アンジェ「…だから、気にしなくていいって言っているでしょう……///」

ドロシー「そう言うな……何しろファームを同時に卒業した「同期生」の中でまだ活動しているのは私と…アンジェ、お前だけなんだから……な」ちゅっ…♪

アンジェ「ん、ふ……はぁ…っ///」

ドロシー「…慎重なのからおっちょこちょい、手際のいいやつ悪いやつ……あそこにはいろんなのがいたが、たいていは正体がバレて引退させられるか、鉄格子の向こうか…さもなきゃ天国の階段を登っちまったしな……もっとも、情報部員が天国に行けるのかどうかは知らないが…」

アンジェ「…ええ」

ドロシー「だから、アンジェが側にいてくれる…それだけで私がどんなに心強く思っているか……はむっ、ちゅっ…」

アンジェ「あっ、あふ…っ…」

ドロシー「ちゅ、ちゅぅっ……だからな、もしお前が……んむっ…あのプリンセスのために……もう一組、ハジキを使える腕が必要になるような事があったら…その時は…好きなだけ……私を頼ってくれていいから…な……ちゅるっ…」

アンジェ「……ドロシー///」

ドロシー「んちゅっ……さ、そろそろ戻らないと起床時間になっちまう…」

アンジェ「…そうね…ドロシー、貴女が先に出て」

ドロシー「ああ……何も忘れ物はないか?」

アンジェ「子供扱いしないでちょうだい…ないわ」

ドロシー「よし…それじゃあお先に♪」

アンジェ「ええ…」

アンジェ「……私も同じよ、ドロシー…///」ドロシーが出ていくと、アンジェはキスされた唇を指でなぞった…


………



374 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/09/22(日) 02:46:39.22 ID:kWk5+x/M0
…というわけで、ずいぶん途中が長くなって「ドロシー×アンジェ」の部分が短い竜頭蛇尾な感じになってしまいましたが、無事にこのエピソードを終えることができました……


……次回は途中までちょっとシリアスな展開でストーリーを運んで、その分やらしい部分はアンジェ、ドロシーの二人がかりでベアトリスをめちゃくちゃにする予定です…
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/22(日) 04:15:14.90 ID:nott/FasO
今回もお疲れ様でした
外伝的な感じで007的な単独任務みたいなのも見てみたいです
お約束だけどラブシーンやら拷問シーンやら雑多に入った派手なエンタメもいいなと
まあ白鳩は厳しいので委員長とかで...
376 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/09/23(月) 00:29:36.28 ID:upIrgpLO0
…まずは丁寧な感想と意見をありがとうございます…確かに「単独潜入&破壊工作」はスパイ・アクションの定番ですし、どこかでスマートかつクールな感じで書きたいものです……


…とりあえず次のストーリーはある程度考えているので、そのつぎ辺りに「世界で一番有名なスパイ」(情報部員としてそれはどうなのかという点はさておき…)こと「007」や「0011/ナポレオン・ソロ」(近ごろ原題の「コードネーム・U・N・C・L・E」をタイトルにリメイクされましたね)のようなものを目指してストーリーを練ってみます……時間はかかるかもしれませんが、待っていて下さいね


……そして各タイトルを伏せ字にしませんでしたが、大丈夫でしょうか…夜中に玄関ドアをノックされたりとか……スパイ物の見すぎですね(苦笑)

377 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/09/28(土) 11:50:20.37 ID:TUk1vHt20
…case・アンジェ×ドロシー×ベアトリス「The Pigeon and iron」(鳩と鋼)…


…ロンドン・アルビオン共和国大使館の一室…

7「…L、情報収集に当たっていたエージェントからの報告です」

L「うむ…それと、中身には目を通したか?」

7「はい……」

L「どうやら「プリンシパル」を動かす必要がありそうだな…手はずを整えてくれ」

7「分かりました」

…数日後・リージェント公園…

ドロシー「…よっこらしょ、と……定期連絡以外の呼び出しとは珍しいな。何があった?」

L「うむ。急に呼び出したのは他でもない…実は「ちょっとした問題」を解決せねばならなくなってな」

ドロシー「……と、いうと?」

L「…君も噂くらいなら耳にしたことがあるだろうが…この数カ月余りの間に、王国防諜部が他国のエージェントを次々と「静かに」させている、という情報を耳にしたことは?」

ドロシー「ああ…それとなく、だが」

L「結構、ならば話が早い……消されているのは、主にケイバーライト鉱の精錬に関する技術情報を入手しようとしたエージェントたちだ」

ドロシー「そりゃあまた…そいつは王国の連中が血眼になって流出を阻止しようとするシロモノじゃないか……しかし、それだけではあんたが直接「状況説明」に来る理由にはならないね」

L「いかにも」

ドロシー「それじゃあ、一体どういう風の吹き回しで?」

L「…実は、その「始末」のされ方がいくぶん異常なのでな……マクニールを知っているか?」

ドロシー「直接話したことはないが、顔だけなら…アイリッシュ系で背は低いが横幅のある、ごつい炭鉱夫みたいなやつだ」

L「ああ、そうだ」

ドロシー「……やっこさんがどうかしたのか」

L「うむ…およそ一週間前の報告を最後に連絡が途絶え、情報提供者に網を張らせていたところ、数日前モルグで見つかった……首の骨を折られてな」

ドロシー「…なに?」

L「言った通りだ…彼は鉱山労働者という触れ込みで潜入を図っていたので、表向きは鉱山内での「転落事故」と言うことになっているが……へし折られていたそうだ」

ドロシー「……武器は持っていたのか?」

L「ああ…護身用に.320口径の「トランター・リボルバー」を隠し持っていたが……発射された形跡はなかったということだ」

ドロシー「…続けてくれ」

L「他に我が方でやられたのは二人…ジェレミーとエマだ。ジェレミーの方は面識がないだろうが、エマは「ファーム」で同じ時期に入ったから覚えているだろう」

ドロシー「ああ……卒業したのは私たちより後だったらしいな」

L「うむ、何しろ君や「A」ほどではなかったからな…ちなみにジェレミーは研究助手としてケイバーライトの研究施設に潜りこみ、エマは精錬工場に女工として潜入していたのだが……ジェレミーは消息不明で、エマの方は全身に骨折があったが、これも表向きは「機械に巻き込まれた」と言うことになっている」

ドロシー「…」

L「さらに…だ。エージェントを消されたのは我々だけではない」

ドロシー「…さっきそう言っていたな」
378 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/09/29(日) 02:00:18.35 ID:6zB3Eqyp0
L「うむ……もっとも、聞いてみたところで教えてもらえるような事柄ではないから、あくまでこちらの情報収集で知り得た限りだが…情報部員だけでも、少なくとも十数名が始末されている」

ドロシー「……多いな」

L「ああ…まずはフランスの女性エージェントに、ベルギー王国の軍情報部エージェント……ベルギーのエージェントは7.5ミリの「M1878・ナガン」リボルバーを持っていたが、これも発射の形跡はなく、胸骨がたたき折られていた…とのことだ」

ドロシー「……それから?」

L「イタリア王国にドイツ、それからオーストリア・ハンガリー帝国の情報部員…オーストリアのエージェントはガッサー・リボルバーを持っていて、一発だけ発射した形跡があったらしいが……命中弾は与えられなかったようだな」

ドロシー「…」

L「そして最後に、合衆国のエージェントが一人…」

ドロシー「……新大陸のエージェントか…きっとカバーはカウボーイの見世物だな」

L「その男は「掘削機械の商談に来た」事業主ということで、護身用に.32ショートの「スミス&ウェッソン・No.2」リボルバーも持っていたが……発見された時には横に転がっていて、銃身がねじ曲げられていたそうだ」

ドロシー「…何だって?」

L「聞こえなかったか?」

ドロシー「いや…で、私たちは何をすればいい?」

L「うむ……このままエージェントの損失が続くと、我が方の情報活動に影響が出る。君たちにはエージェントを「消して」いる相手に関して情報を集め、可能ならばこれを始末してもらう」

ドロシー「おいおい、冗談だろ…相手は素手で背骨をへし折ったり、ピストルをねじ曲げるようなやつなんだぞ? きっとそいつは筋骨隆々のハーキュリーズ(※ヘラクレス…ギリシャ神話に出てくる英雄)に違いない……まともに相手なんて出来るシロモノじゃないね」

L「ならばヒドラの毒でも盛ることだ…とにかく、どんな犠牲を払っても構わん。活動に必要な資金や機材も全て揃えさせる」

ドロシー「…だったらまずは象撃ち用のライフルかな……とにかく情報を集めてみる」

………



…部室…

ドロシー「…よし、全員揃っているようだな」

アンジェ「ええ…」

プリンセス「ドロシーさんが集合をかけるなんて珍しいですわね?」

ドロシー「ああ、今回はちょいとばかり重い話なんでな……そう思って聞いてくれ」

ちせ「…ほう?」

ドロシー「実はな、新しい任務が入って来た……」そう切り出して、おおよその事情を説明するドロシー

アンジェ「…」

ちせ「…」

プリンセス「…」

ベアトリス「…」

ドロシー「……とまぁ、だいたいはそんなところだ…確かに学生の私らはこれから冬休みに入るし、行動の制約になる条件が減少するのは事実だ」

アンジェ「なるほど…」

ちせ「ふむ…それだけの間諜を手にかけた相手となると、一筋縄では行くまいな…」

プリンセス「……そうね」

ベアトリス「どうして皆さんそんなに落ち着いているんですか…そんな怪物みたいな相手に勝てるわけないじゃないですか!?」

ドロシー「まぁ落ち着けよ、ベアトリス…別に私はLの奴に「必ず始末しろ」と言われたわけじゃない。「可能ならば始末しろ」って言われただけなんだからな」

ベアトリス「そんな事言ったって…!」

ドロシー「いいから聞け……まず、今まで送り込まれた連中はそんな奴がいることすら知らないでいたが、私たちはそういう「フランケンシュタインの化け物」みたいなやつがいることを知っている…だから対策をとることもできる」

ベアトリス「でも……!」

ドロシー「…それに、分かっている限りで始末されたエージェントは全員「ソロ」だ。私たちみたいなチームじゃない」

アンジェ「そうね…それにもし相手が怪力の持ち主なら、その間合いに入らなければいいだけのことよ」

ドロシー「そう言うことさ……ライフルでも持ち出して、そいつが間抜け面をさらしているところを鴨撃ちにしてやればいい」

アンジェ「いずれにせよ、まずは情報収集ね」

ドロシー「そう言うこと…♪」
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/29(日) 03:53:29.22 ID:S4j2Kb83O
排除任務とは新しい
今回も期待しております
380 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/09/30(月) 00:37:46.82 ID:mX6Y8wpl0
…まずはコメントありがとうございます…そして、ついに……「劇場版プリンセス・プリンシパル 〜クラウン・ハンドラー〜」の公開が明らかになりましたね。封切りは2020年4月とのことですので、公式等で情報収集に努めましょう…!
381 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/10/02(水) 00:43:37.28 ID:mwjTT0PS0
…せっかくですので、続きを投下する前に小道具の解説を一つ……


ヒドラ(ヒュドラ、ハイドラとも)…ギリシャ神話に出てくる、ヘラクレスに退治された毒蛇の怪物。

その毒はヘラクレスの持つ矢に塗られていたが、ある時川を渡ろうとしたヘラクレスとその家族が困っている時、一頭のケンタウロスが妻の「デアネラ」を乗せて川を渡した…が、ヘラクレスが息子を背負って川を渡っている間にケンタウロスはデアネラを犯そうとしてヘラクレスの毒矢で射殺され、その死に際に「この血は媚薬になるから、彼の愛情が減った時に衣服をこの血に浸して渡すと良い」とデアネラをだました……後に本当に浮気をしたヘラクレスに対し、嫉妬に狂ったデアネラが「愛を取り戻そうと」その服を贈ったところ残っていたヒドラの毒が回り、激痛に耐えかねたヘラクレスは自ら薪の山に身を横たえて火をつけ、デアネラ自身も後悔して自殺した

………

トランター・リボルバー…ウィリアム・トランター社の一連のリボルバー。十九世紀末には護身用のポケット・ピストルから大型のものまで生産していたが、その後ウェブリー・スコットに敗れた

………

ナガン・リボルバー…ベルギー人で兄エミールと弟レオンのナガン兄弟が開発した軍用ピストル。なかなか性能が良く、輸出やライセンス生産の許可もゆるかったことから帝政ロシアやノルウェー、スウェーデン、ギリシャ、ルクセンブルグ、アルゼンチンなど多くの国に採用され、それぞれの軍用弾薬の口径に合わせて大小さまざまなモデルが製造された…特に帝政ロシアは大量に採用して長らく使い続け、アドバイザーとして「モシン・ナガン」として有名になる歩兵用ライフルの開発協力も依頼している

………

ガッサー・リボルバー…レオポルド・ガッサーが開発した当時のオーストリア・ハンガリー帝国軍用リボルバー。1903年には社名をラスト&ガッサーと改名し、その後は「ラスト&ガッサー・リボルバー」と言われる。当初は大口径リボルバーが多かったが、後に将校用として小口径モデルが生産された

………

スミス&ウェッソン・No.2リボルバー…安価で反動が小さく威力もそこそこと、手ごろで扱いやすい「.32ショート・リムファイアー」弾薬を使った中折れ式の護身用ピストル。

これまでの「コルト・シングルアクション・アーミー」(ピースメーカー)のように給弾口から一発づつ排莢、装填しなければならない「ソリッド・フレーム式」のリボルバーと違い再装填が早く、口径違いの「No.1」などと一緒に当時大ヒットして、S&Wを一気に大メーカーへと押し上げた

………


382 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/10/04(金) 01:32:03.37 ID:ve/WS8kd0
…冬休み・初日…

女生徒「…それでは、また休み明けにお会いしましょう」

女生徒B「ええ…この冬はエクセターにあるわたくしの別宅に招待いたしますから……ぜひいらしてね?」

女生徒「まぁ、ありがとう♪」

ドロシー「…まーちに待った冬休みぃ…と……これでやっと活動にとりかかれるってもんだな、アンジェ?」

アンジェ「そうね……ドロシー、貴女にお客様よ…」

ドロシー「ええ?」

サラ「…あの……ドロシー様///」

ドロシー「あぁ、サラか…どうした?」

サラ「あ、いえ……もし、よろしければ…冬休みの間のどこかで…私の家に……おいでいただければと……お手紙を差し上げるつもりでおりますから…その…///」真っ赤になってうつむき、消え入りそうな声でつぶやいた…

ドロシー「ありがとう……サラが招待してくれて嬉しいよ♪」あごに親指をあてがい「くいっ…」と顔を上げさせると、魅力的な笑みを浮かべた…

サラ「///」

ドロシー「はは、そう照れるなって…それじゃあ、いい冬休みを♪」

サラ「ひ、ひゃい…それでは……///」

アンジェ「……相変わらずね」

ドロシー「ああ…それに例の「工場」が吹き飛んだ件で、陸軍省技術顧問のサー・ウィリアム・ティンドル…例のサラの父親の友人だな…が『生産を急ぎ過ぎで安全管理がなっていない』って警告していたのが本当になったっていうんで、サー・ウィリアムの株はうなぎのぼりさ……おかげでよりいい情報をおしゃべりしてくれるようになってな…こちとらからすれば万々歳さ」(※本スレ264…「The Machinegun and spicy spies」参照)

アンジェ「そのようね…引き続き彼女とは良好な関係を構築しておきましょう」

ドロシー「もちろんさ……お、ベアトリス♪」

ベアトリス「ドロシーさん、アンジェさん……しばらくの間ですが、顔を合わせる機会が減ってしまいますね…」

ドロシー「なぁに、そうしょぼくれるなよ…いつでも押しかけてやるさ♪」

ベアトリス「もう…っ」

プリンセス「…あら、ドロシーさん……それに…アンジェ///」

アンジェ「…プリンセス」

ドロシー「やぁ、プリンセス。しばらくは王宮の方で忙しくなるな」

プリンセス「ええ…」

ドロシー「お姫様って言うのも楽じゃないな……ところで、こっちは冬休みを使って「調査」を行う予定だが…プリンセスはあまり動かないようにしてくれ……王族の動向ともなると防諜部やら何やらが目を光らせているからな…」

プリンセス「…分かりました」

ドロシー「あと、ベアトリスを借りることがあるかもしれない……その時はよろしく頼む」

プリンセス「ええ」

ちせ「…おや、すでにお揃いであったか」

ドロシー「おうよ……ちせ、お前さんも冬休みの間にそっちのボスからの命令で動くこともあるだろう…もしこっちでお前さんと腰の人斬り刀が必要な「デート」が入ったら、出来るだけ事前に声をかけるようにするから…よろしくな♪」

ちせ「…かたじけない」

ドロシー「なぁに、そっちも忙しいだろうからな…私の「住所」は覚えているよな?」

ちせ「無論じゃ」

ドロシー「結構……ま、しばらくはアンジェと一緒にロンドン観光…って言うことでぶらぶらしているから、必要があったら手紙をくれ」

ちせ「承知」

ドロシー「…さ、それじゃあ行こうか……ごきげんよう、プリンセス♪」それまではアンジェたちにしか聞こえないようにしゃべっていたが、最後だけわざと人に聞こえるよう挨拶をした…

プリンセス「ええ、ごきげんよう…行きましょう、ベアト♪」

ベアトリス「はい、姫様」

………

383 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/10/04(金) 02:30:23.54 ID:ve/WS8kd0
…数日後…

ドロシー「…よう、ベアトリス♪」

ベアトリス「ドロシーさん……まだ冬休みが始まって数日ですよ?」

ドロシー「おいおい、プリンセスと一緒じゃないからってそうすねるなよ……今日はいい所に連れて行ってやるからさ♪」

ベアトリス「べ、別にすねてなんていませんっ…それにドロシーさんの言う「いい所」なんてロクなところじゃないでしょうし……」

ドロシー「やれやれ、ずいぶんと信用されてないな…」

ベアトリス「当たり前です! どうせまたモルグだったりするんでしょう?」

ドロシー「バカ言うな。今回は正真正銘、折り紙つきで楽しい場所さ……そうだろ、アンジェ?」

アンジェ「ええ」

ドロシー「ほら見ろ、アンジェだってああ言ってるぜ?」

ベアトリス「むぅ…」

ドロシー「ま、行ってみりゃ分かる話だしな…出かけようぜ♪」

………



…とある広場…

ドロシー「……ほぉら、着いたぜ」

ベアトリス「これって…サーカス、ですか?」

ドロシー「ご名答♪」


…ドロシーたちがやって来た広場にはサーカス団が来ていて、大小さまざまなテントが張られ、それぞれの入口に掲げられたけばけばしい色合いの看板には「仰天、世界一の大男に膝丈の小人!」「ここでしか見られない世界唯一の動物!」「軽業師ハンフリー兄弟の華麗なる演技!」などなど、嘘くさいが人の興味を惹きそうな文句が書きたてられている…


ベアトリス「…一体どういう風の吹き回しですか?」

ドロシー「なーに…せっかくの冬休みだし、たまにはいいだろ?」

ベアトリス「何か引っかかりますけど、まぁいいです…ちょっと面白そうですし……///」

ドロシー「はは、それじゃあ早速見て回ろうぜ♪」

受付A「…さぁさぁ、紳士淑女のみなみなさま、寄ってらっしゃい見てらっしゃい! こちらのテントでお見せするのは世界一の美女「炎のカサンドラ」嬢! エジプトの美女クレオパトラか、はたまたヴィーナス、隣に並べればバラも色を失うという美しさ! 今なら入場料たったの三ペンス!見ないと一生の損だよ!」

受付B「さぁいらっしゃい! このテントの中では世界一の大男「ジョージ・ザ・グレート」に鉄棒をも曲げる怪力男「鉄の骨のモーガン」が見られるよ! たった四ペンスでこいつを見ないのはもったいない、さぁ入った入った!」

受付C「このテントの中では怪奇と恐怖が渦巻き、ミイラに吸血鬼、人食い鬼…世にも恐ろしい怪物の数々が待ち受けています…さぁ、勇気のある方は二ペンスでのぞいて見てください…もっとも、心臓の悪いお方やご婦人方にはおすすめしませんがね……さぁ、いかがです…?」

ドロシー「……はは、面白そうじゃないか…さ、どれから見る?」

ベアトリス「…えぇ…と」

受付B「そこの綺麗なお嬢様方、今なら力自慢の「鉄の骨のモーガン」のすごい技が見られますよ!遠慮は無用! さぁ、入った入った!」

受付A「おっとと、お嬢さん方にはこっちの方がよろしいですよ! 炎のカサンドラの魅力は男女関係なし! …しかも追加で四ペンス払うと、なんと……彼女が水浴する所をのぞけるかもしれないんですよ! 見てみたいでしょう?」

受付C「さぁさぁ、ご婦人方…恐怖渦巻くこのテントでは今だけあの「吸血鬼」が見られるんですよ……途中で怖くなって出てきた方、気を失った方もたくさんいますがね…勇気があるならどうぞ中へ……」

ドロシー「んー…そうだな、ここは力自慢にするか♪」

受付B「はは、お嬢様は見る目があるねぇ! ささ、一人四ペンスですよ!」

ドロシー「そら♪」

受付B「毎度あり、さぁ中へどうぞ!」

384 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/10/05(土) 10:52:55.03 ID:qWD7MWRe0
…テント内…

ドロシー「おー、けっこう大入りじゃないか……はぐれるなよ?」

ベアトリス「はぐれませんよっ…子供じゃないんですから」

ドロシー「悪い悪い、あとで飲み物でも買ってやるからさ♪」

ベアトリス「だから子供扱いしないで下さいってば…!」

ドロシー「はははっ…お、そろそろ始まるな♪」

ベアトリス「むぅぅ、またそうやってはぐらかして……」

司会「さぁて皆さま! 今日お目にかけますのは怪力無双の大男、鉄棒をも曲げる驚異の肉体! その名も……「鉄の骨のモーガン」だ!」

巨漢「ふんっ!」

…上半身は裸で下には派手なタイツをまとった、身長がたっぷり七フィートはありそうな筋骨隆々の大男が舞台袖から舞台に出てきた…出てくるなり盛んに腕を曲げ伸ばしして力こぶを作ってみせたり、腹に力を入れて筋肉を動かしたりと力自慢ぶりを見せつける……

観客「よっ、待ってました!」周囲からは一杯機嫌の客たちが飛ばすヤジや喝采が飛んでいる…

司会「さぁさぁやってまいりました! うなる鼻息は雄牛のごとく、その筋肉は鋼鉄のごとく! ひとたび物を持ち上げさせれば起重機も真っ青! 物を握らせればたちまち微塵に押しつぶしてしまうため、おちおち食事も出来ないと言う男だ!」

観客B「おいおい、それじゃあどうやって飯を食うんだよ!」

司会「ですから普段はフォークもナイフもなし、両手で引きちぎりながら肉を平らげております! さぁご覧あれ、こちらの大樽、大箱にはぎっしり物が詰まっている! 軽く二百ポンドはあろうかというシロモノだ! どなたか重さを試してくれるかな…おっ、そこの強そうなお方!」

観客C「…おれか?」

司会「そう、あなたです! どうぞこの壇上に来て、この大箱でも大樽でも持ち上げてみてください! もし持ち上がったらモーガンの代わりにお客さんを雇うことにしますよ!」調子のいい司会の言い草に、どっと笑い声が上がる…

観客C「おう、任せとけ!」箱の下に手をかけてうなり声を上げ、顔を真っ赤にして持ち上げようとする…

観客D「…がんばれ大将!」

観客E「もっと腰をふんばりな!」

観客C「うぬぬ…ふぅっ、むぅぅんっ! …だめだ、持ち上がらねえ!」

司会「おやおや、それは残念…どうぞお戻りになって…… 見ての通り、常人では一インチも持ち上げることの出来ないシロモノだ! しかしモーガンなら…!」

巨漢「ふんっ!」箱をつかむと軽々と持ち上げてみせた…

ベアトリス「わぁ、すごいですね!」

ドロシー「ああ、大したもんだな…くくっ♪」ベアトリスの感心した様子を見て、笑いだしたいのをこらえているようなドロシー…

ベアトリス「……何がおかしいんです?」

ドロシー「いや…本当にお前さんは素直ないい娘だと思ってね♪」

ベアトリス「どういう意味ですか?」

アンジェ「……あの持ち上げようとした客は仕込み…つまり「やらせ」よ」

ドロシー「…ま、言うだけ野暮だからな……こういうのはだまされたふりをして楽しむもんさ♪」

ベアトリス「な、なるほど……」

司会「ではいよいよ真の力を見せる時だ! 取り出しましたるは紛れもない鉄の棒…なんとモーガンはこの鉄の棒を曲げてしまおうというのです!」

観客「そいつはすげえな!」

司会「さぁ、はたして鉄棒が勝つか、モーガンの腕が勝つか…結果はどうなる!」

巨漢「ぬんっ…ふぬぅぅ……!」さすがに顔を赤くして力んでいるが、次第に鉄の棒が曲がり始めた…

巨漢「……むぉぉぉっ!」とうとう飴細工のようにぐんにゃりと曲がった鉄棒…最後にUの字になった鉄棒をガタンと舞台の上に放り出すと、拍手喝采を浴びながら力こぶを作った…

ドロシー「はははっ、大したもんだな♪」

ベアトリス「……ねぇ、ドロシーさん」何やら考え込んでいるベアトリス…

ドロシー「ん?」

ベアトリス「…もしかして、あれにも何か「仕込み」があるんですか……?」

ドロシー「あー、その事か……あの大男の名誉のために言っておくが、一応あれは鉄棒だぜ」

アンジェ「…ただ、何度も熱せられたり曲げ伸ばしされている鉄棒は強度が落ちる……それだけのことよ」

ベアトリス「そうなんですね…」

ドロシー「そういうことさ…面白いだろ? さて、次は何を見に行くか…♪」
385 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/10/10(木) 02:36:15.31 ID:0r9ADuxF0
…昼時…

ドロシー「さーてと、ちょっと喉を潤そうじゃないか…と♪」

アンジェ「貴女ときたらいつもそれね」

ドロシー「まぁそう言うな、せっかくの機会なんだから楽しめよ……へい、ビールを三つにパイを頼む」

屋台の売り子「はい、お待ちどう」

ドロシー「お、ありがとな…ほら、二人ともつまめよ」錫のジョッキに注がれた水っぽいビールをあおりながら、油っこいひき肉のパイをつまむ…

ベアトリス「ありがとうございます」

アンジェ「そうね、わざわざ自分で頼もうとは思わないけれど……せっかくだからいただくわ」

ドロシー「ああ、お前さんはしみったれだからな…おごってやるよ」

アンジェ「どうもごちそうさま」

ドロシー「いえいえ、こちらこそお嬢様にご馳走できて光栄でございます……なんてな♪」愉快そうにおどけてみせるドロシー…

ベアトリス「…それにしてもずいぶんと人が多いですね?」

ドロシー「ああ、客層も広いしな……ちなみに、あそこにいる鳥打ち帽(ハンチング)の男はスリだから気をつけろよ?」

ベアトリス「えっ?」

アンジェ「…そういう時は視線を向けない」

ベアトリス「あっ……すみません…」

アンジェ「謝れば済むという問題じゃないわ……まだ訓練が身についていないわね」

ドロシー「まぁまぁ、そう怒るなよ…もっとも、練習は追加する必要がありそうだがな」

ベアトリス「……ごめんなさい」

ドロシー「いいさ、反対に「素人」の方が気取られなくていいって場合もある……さ、それじゃあジョッキを返してくる」ベアトリスが飲み切れなかった半分ほどをぐーっと飲み干すと空のジョッキをまとめて持ち、屋台に返しにいった…

………

…午後…

ドロシー「…どうだ、面白いか?」

ベアトリス「ええ…普段は公式行事や姫様のお供が多くて、なかなかこういう場所に足を運ぶ機会がありませんから……もちろん、姫様と一緒にいられるのは嬉しいですが…」

ドロシー「はは、なかなかのろけてくれるじゃないか♪」

ベアトリス「…っ///」

ドロシー「そう照れるなよ…さて、こっちには何が……っと、舞台の裏側に来ちまったようだな」

ベアトリス「みたいですね……戻りましょう」

ドロシー「おう、そうだな……」

…夕方…

ドロシー「…さてと、今日は楽しめたか?」

ベアトリス「ええ」

ドロシー「そいつはよかった…おっ、灯りがともり始めたな」…あちこちに吊るしてあるランタンや電燈が光りを放ち、回転木馬などがにぎやかに回っている…

ドロシー「…たまにはこういう場所もいいもんだ……な、アンジェ?」

アンジェ「そうね…」

ドロシー「ああ。きっと今頃はやっこさんも「向こう」でこんな風に楽しんでいることだろうよ……っと、ちょいと感傷的になっちまったな…」

アンジェ「……たまにはいいわ…」そっと身体を近寄せるアンジェ…

ベアトリス「…」

ドロシー「ありがとな……さ、帰ろうぜ♪」

アンジェ「ええ」

………

386 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/10/13(日) 02:01:01.27 ID:jbSkiOQ70
…その日の夜…


ドロシー「……さてと、アンジェはどう思う?」

アンジェ「今日行ったところは「シロ」ね。 …楽屋ものぞいてみたけれど、特におかしなところはなかったわ」

ドロシー「やれやれ…この「怪力お化け」の出現場所や情報部員たちが消されたおおよその日時からすり合わせて、このサーカス団が一番怪しいと思ったんだがな……ま、一発目からそう上手くはいかないか」

アンジェ「ええ」

ドロシー「それにしても今日はベアトリスがいてくれて助かったぜ……やっこさんがいると、いい目くらましになる」

アンジェ「そうね」

ドロシー「ああ…あんな風に目をキラキラさせてはしゃぎまわってくれると、いかにもそれらしく見えるからカバー(偽装)がやりやすくなっていい…私たちじゃあどうつくろったってああはいかないからな」

アンジェ「同感ね」

ドロシー「…私とお前さんじゃあ、ああいう「愉快な雰囲気」に完璧には溶け込めないものな……そもそもいい年をして私が移動遊園地だのサーカスだのではしゃいでいたら馬鹿みたいだし、お前さんはあんな風に目立つ動きをするタイプじゃない」

アンジェ「ええ…」

ドロシー「……しっかしそうなると「ふりだしに戻る」ってやつだな…まさか休みの間、ずーっとサーカスと遊園地めぐりってこともないだろうし…」そういいながらも机の上に「ロンドン・デイリー・ニュース」紙を広げ、催し物の広告に出ているサーカスや移動遊園地から「クサい」とにらんだものをチェックしている……

アンジェ「…こうなったら地道に足で稼ぐしかないでしょうね」

ドロシー「ふぅ…となると、何かしらの上手いカバーを考えないとな」

アンジェ「そうね」

ドロシー「それとあとで「コントロール」をせっついて、何か掴んでいないか聞いてみることにしよう」

アンジェ「それは任せるわ」

ドロシー「ああ」

………

…同じ頃・官公庁街…

官僚「…ミセス・キャタリッジ、これのタイプを頼むよ……写しが二枚いるんだが、出来上がったらいつものように僕の机の上に置いておいてくれたまえ」

タイピストの老嬢「はい、ミスタ・ハワード」

官僚「すまんね…それが終わったら帰っていいから。それじゃあまた明日」

老嬢「さようなら、ミスタ・ハワード」

官僚「ああ、また明日」

老嬢「…ミスタ・ハワードもお忙しくて大変でいらっしゃいますね…さて、と……」つるに鎖をつけ、鼻の先までずり下がっている眼鏡を押し上げると、手際よくタイプを叩き始めた…と、またずり落ちてきた眼鏡を鼻の上に戻すとタイプしかけた文書を眺め、原本と見比べはじめた……

老嬢「……あら、いけない…!」どうやらつづりを間違えたらしく、タイプ紙を切り取るとくずかごに放り込んだ…それから数分もしないうちにタイプを終えると、灰色と紫色の野暮ったいボンネットと日傘を持ち、とことこと歩きで帰って行った…

…数十分後…

掃除婦「…よいしょ、こらしょ……ふぅ、本当にホワイトホール(官公庁街)っていうのは紙ごみの多い所だわね……」赤ら顔でべらんめえのコックニー訛りもぞんざいな、いかにも無学そうに見える掃除婦のおばさんが袋を担いでやって来た……

掃除婦「やれやれ、これが全部お金だったらあっという間にお金持ちだよ……うんしょ…」書き損じや下書きの紙ごみが一杯につまった袋に、くずかごの中身を空ける…

掃除婦「……はぁ、おかげで腰が痛いったらありゃしない…」ぶつぶつ言いながらタイピストの打ち間違えた文書に一瞬だけ目を走らせると、ズロース(下着)をずり上げるそぶりをしながらぽってりした脚と股の間に丸めて押し込み、何食わぬ顔で袋を担ぎ直した…

掃除婦「…まったく、嫌になっちゃうよねぇ……」

………

387 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/10/13(日) 02:04:48.66 ID:jbSkiOQ70
…とりあえず少し投下しましたが、それより台風は大丈夫だったでしょうか…

……特に前の被害が残っている千葉の方ですとか、あちこちの川があふれたり堤が切れたりしたような所に住んでいる方は気をつけて下さいね…
388 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/10/16(水) 02:57:47.53 ID:8T0I8cAz0
…数時間後・アルビオン共和国大使館…

7「L、エージェント「タイニー・ティム」(小さいティム)から報告が入っております」


…とある王国の役所に勤めているタイピストの老嬢とゴミ捨て係のおばさんは、どちらも「コントロール」の送り込んだひとかどのエージェントで、このタイプの情報部員は無害なオールドミスのタイピストや老齢の秘書嬢として何人も王国の官公庁に浸透している……コードネーム「タイニー・ティム」の二人はお互いに顔を合わせたこともないが、おばさんは老嬢がわざと「タイプミス」をした(…その上で隅を折ったりインクを垂らしたりと特定の「目印」をつけてある)公文書をゴミ捨て場に持って行く過程で抜き取っては暗号文にして送り、なかなかの「成績」を残している……特に掃除婦のおばさんは赤ら顔で俗っぽいコックニー訛りと字も読めないような見た目をしているが、実際にはラテン語も操る教養人で、王国の官僚たちが気にせず捨てている下書き原稿や草案などはあっという間に読み通してしまう…


L「ふむ、あれは相変わらず朝食のベーコンと卵のように相性がいいようだな……プロダクト(産物)としてはどうだ?」

7「そうですね……この情勢を考えると興味をそそられるかと思います…」

L「ほう?」口にくわえていたパイプを放すと、解読された暗号文を手早く黙読した……

7「…」

L「…ふぅむ、なるほど……」

7「あの二人は情報の確度も高いですし、今回の情報も何かの手掛かりになるかもしれません」

L「そうだな…エージェント「D」に宛てて暗号文を送ってやれ」

7「はい…電信にしますか?」

L「だめだ。いつも通りメッセージを紙に書いて「デッド・ドロップ」方式で受け渡せ……多少時間はかかるが、耳寄りな情報が入るたびに電文を打っていては王国防諜部に情報漏れがあったことを教えてやるのと変わらん」

7「分かりました」

L「とにかく「プリンシパル」には励んでもらわねばな…普段からドリーショップ(コントロールの技術担当)には無茶を言ってあれだけの装備を用立てさせているのだ……早く結果を出さんと経理の連中にやいのやいの言われて胃を悪くする」パイプをくわえ直すと、真顔で冗談めかした…

7「ふふ、ご冗談がお上手ですね」

L「ふ……たまにはユーモアのセンスも磨かねばいかんからな。他には?」

7「はい、エージェント「K5」からも同様の情報が…ただ、確度としては良くて「中」と言ったところかと…」

L「…とはいえ複数の情報源から同様の情報が入ってきているのなら、そこには一抹の真実が含まれていると言うことになる……あれが費やしているバカ高いシャンパンやらストッキングやらの分だけでも情報を入手するよう発破をかけろ」

7「そうでないとまた経理部に呼び出しを受けますものね…そうでしょう?」

L「そうだ。そして呼び出されるのは私であって君ではない……私とて何かにつけてあの杓子定規の石頭どもにネチネチ言われるのはごめんだ」

7「はい、分かっております」

………



…翌日・とある邸宅…

ドロシー「アンジェ、ちょっと来てくれ…「コントロール」から新しい情報だ」

アンジェ「どんな?」

ドロシー「それがな……私たちの追っかけている相手のコードネームが分かった」

アンジェ「…それで?」

ドロシー「ああ…今回の騒ぎを起こしている怪力お化けのコードネームは「シルク・モス」(カイコガ)……もちろんアルファベット順につけた、何の意味もない名前かもしれない…とはいえ、私は何となく王国の連中が「意味のある」コードネームをつけているような気がしてならないんだ」

アンジェ「…例の「ガゼル」みたいに?」

ドロシー「ああ。それと、今までにエージェントが消された大まかな場所を調べてみた……新聞の写真っていうのは便利だな。図書館で建築図鑑をめくって通りや建物を調べたらすぐに分かったぜ♪」

アンジェ「そうね、場所については私も調べてみたわ……それとエージェントの「消去」が実行されたのは夕方から深夜で、特定の曜日にはこだわってはいないようね」

ドロシー「む……せっかく私が言おうとしてるのに、先取りするなよ」

アンジェ「悪かったわね」

ドロシー「いいさ…とにかくこうなったらそれらしい鉱山町だの工場街を軒並み当たって、情報収集してみるしかないだろうな……」

アンジェ「そうなりそうね」

ドロシー「……あとは聞きこみ中にその「怪力お化け」の野郎とばったり出くわさないことを祈るだけさ」

アンジェ「同感ね」

………

389 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/10/22(火) 02:15:55.78 ID:Ajz1XrNp0
…ロンドン市街・労働者街…

ドロシー「……さ、それじゃあ取りかかろう」

アンジェ「そうね」

ドロシー「役割分担は分かってるな?」

アンジェ「もちろん」

ドロシー「よし、じゃあ行こうぜ…♪」手元の小さなハンドバッグには護身用の小型ピストルとして.297口径の「トランター・リボルバー」を忍ばせ、チャコールグレイと黒の地味な格好に身を包んでいる…

(※十九世紀はまだまだ追いはぎや野犬も多かったので、買えるだけのお金がある人は護身用に小型ピストルを持っていることも多かった…種類はさまざまで、極めて小さい弾丸をごく少量の火薬で撃ちだす威嚇程度のものから、一応殺傷能力のある.297口径や.32口径などが流行った)

アンジェ「…ええ」アンジェも黒を基調にした服でまとめ、顔はヴェール付きのボンネットで隠している…

………

…夕方・とあるパブ…

パブのおやじ「……らっしゃい、何にしやすかね?」まだ客が入っていない午後の時間帯なので、暇を持て余しているおやじが注文を取りに来た…

ドロシー「エール。パイントで」

おやじ「へい!」小汚い布で申し訳程度にテーブルを拭うと、すぐに金属のふた付きジョッキを持ってきた…

おやじ「どうも、お待ちどうさんです…」

ドロシー「……おやじ、ちょっといいか?」

おやじ「へい、何です?」

ドロシー「ああ…ちょっと人を探しててな」

おやじ「へぇ……人探しで?」

ドロシー「そうだ」

おやじ「…それで、その「探している」っていうのは……どんな奴なんです?」

ドロシー「ああ…本名は分からないが「イカれたマシュー」っていう名前で通っている、やたら馬鹿力のある奴で…髪は茶、六フィートは優にあるような大男で、右腕に「メアリー」と刺青がある……心当たりは?」

…おやじが持っているかもしれない何かの情報をしゃべらせるための誘いとして、適当にでっち上げた人相を教える……が、細かい特徴をつけたしていかにも「それらしい」具合に仕立ててある…

おやじ「さぁて…ね、そんな大男は見たことも聞いたこともありませんや……かといって「馬鹿力」だけとなると、ここの客は多かれ少なかれ鉱山だの工場だのでハンマーなんかをふるっている連中だから、今度は当てはまる奴が多すぎるし…」

ドロシー「そうか」

おやじ「ところで……ご婦人がたはどうしてそんな奴を探してらっしゃるんで?」

ドロシー「…理由を聞きたいのか?」

おやじ「いえ、まぁ……そりゃあ、こんな場末のパブで人探しなんて…ちっと気になりやすからね……」ボロ布のような台拭きをエプロンに引っかけ、いくらか興味ありげな顔をしている…

ドロシー「分かった、いいだろう……」立てた人差し指を前後に動かし「近くに寄れ」と合図をした…

おやじ「へいへい……っ!?」

ドロシー「……これが分かるか?」一瞬の早業で抜く手も見せず、おやじの喉元に短いが鋭そうなナイフの刃をピタリとあてている……紫がかった瞳は冷たくおやじを見据えている…

おやじ「へ、へい…っ!」

ドロシー「…我々は女王陛下のために働くが「身分証は持たず、名を名乗るわけにもいかない人間」だと言うことだ……これでいいな?」

おやじ「も、もちろんで…!」はげ頭にあぶら汗を浮かべ、ガタガタと震えている…

ドロシー「よろしい。本来なら我々が身分を明かすことなどない……が、お前が利口にしてこのことを誰にも言わず、大人しく黙っていればそれでいい…分かったか?」

おやじ「わ、分かりやした…!」

ドロシー「結構だ……」するりとナイフを戻してそっけなく言うと、一パイントのエールには多すぎる額をテーブルに放り出した…

おやじ「あの、その…こんなには……」

ドロシー「いいから取っておけ…王国のために目と耳は動かして、余計な口はつぐんでいろ……いいな?」

おやじ「へ、へい……ありがとうございやす…」

…しばらくして…

ドロシー「…まずはハズレだったな。かといってあんまりあちこちで聞いて回るわけにもいかないが……」

アンジェ「……そう簡単に上手くいくとは思わないわ…また別のカバーストーリーを考えましょう」
390 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/10/25(金) 03:07:04.77 ID:6s3dlTKD0
…数日後・イーストエンドのアルコール中毒者救済施設…

ドロシー「はぁ…あ……まったく、なんであたしがこんな目に…」エプロンとナースキャップを身に着け、病人のようなアル中患者のシーツを替えたり、洗濯かごを運んだりしている……

エプロン姿のおばさん「そう文句を言いなさんな……でも、一体どうしてあんたみたいな育ちの良さそうなお嬢さんが、こんなところの手伝いなんてしてるんだい?」

ドロシー「…それが、ちょいとばかり遊びが過ぎて……うちの父親はお堅い人だから「数日間でいいから奉仕活動をして、世の中の役に立ってきなさい…さもなければ家の敷居は跨がせん!」ってここに押し込まれてさ……まったく、嫌になっちゃう」

おばさん「なるほどねぇ……ま、何事もいい経験だよ♪」

おばさんB「そうそう…それにここはアン王女様が可哀そうな人たちの救済のために作られた施設だから……他の施設よりはずっといい環境だよ?」

ドロシー「そんなもんかねぇ…」眉をひそめてベッドに並んだ患者たちを眺めている…

中毒患者「う゛ぅ…あぁぁ…」

中毒患者B「……サリー……おれのサリー…どこに……行っちまったんだぁ…?」

おばさん「そうさ…あぁ、それとね」

ドロシー「うん?」

おばさん「消毒液の瓶は患者の近くに置きっぱにしちゃダメだよ、いいかい?」

ドロシー「いいけど……どうして?」

おばさんB「そりゃあの人たちと来たら「アルコール」って名前がついている物ならビールだろうがウィスキーだろうが…はたまた消毒用のアルコールだって飲んじまうからさ!」

おばさん「ほんとにねぇ……その執念だけは大したもんだよ」

ドロシー「わかった、気を付けるよ…」(…こういうところには元技師だとか鉱山労働者も多い……何か耳寄りな情報が入ればいいんだがな)

…別の日の夜・貧民街…

目の見えない老人「……誰か、哀れな盲目の老人にお恵みを…夕食のパンを食べるだけの数ペンスで結構でございます……」道ばたに座り込み、前には古ぼけたお椀が置いてある…どうやら以前は鉱山労働者か何かだったらしく、瞳がケイバーライト鉱の汚染で緑色にくもっている……

ドロシー「…あの爺さん……どうだ、行ってみるか?」

アンジェ「ええ…」

老人「…どなたか親切なお方…お恵みを下され……」

ドロシー「……ほら、爺さん……これっぽっちで悪いね」そう言って一シリング硬貨を老人の節こぶだらけの手に握らせた…

老人「どうもありがとうございます、親切な……えっ…こ、こんなにいただけるので…!?」受け取った硬貨の感触でシリング硬貨と気づいた老人が驚いたように見えない目を向けた……

ドロシー「ああ、いいんだよ……少しはこれで腹もふくれるだろう?」

老人「あぁ、ありがたいことでございます…どこのどなたかは存じませんが……見ず知らずの老人にこんな……うぅ…っ」

ドロシー「何も泣くことはないだろう……いや、実は私も昔はこの辺りで細々と暮らしていてね…こんな風に物乞いをやっていたら、慈善活動をやっていたある貴族のお嬢様に気に入られて、今じゃいいご身分なんだ……だから今度は私がおすそ分けを…ってわけさ♪」

老人「…あぁ、ありがたいことでございます……」

ドロシー「なぁに、いいんだよ…しっかししばらく見ない間に、ここもずいぶん変わったねぇ?」

老人「そうでございますね……」

ドロシー「…それに人も替わったよ……あ、爺さんは知ってるかな?」

老人「なんでございましょう…?」

ドロシー「いやぁ、以前はここにいたんだよ……もの凄い力持ちの大男でさ「力こぶのハリー」っていうやつなんだけど…」

老人「さぁ……わしもここには長い方ですが…聞いたことがありませんな……」

ドロシー「ふぅん、そっか……ま、身体を大事にしなよ?」

老人「…ありがとうございます……」

ドロシー「ああ…」

…深夜・高級住宅街のネスト…

ドロシー「…しっかし参ったな……これじゃあ「干し草の山から針」どころか、大西洋から一滴の水だぜ?」…コントロールがさまざまな名義や身分を経由して買い入れたしゃれた邸宅のダイニングルームで、温めたブランデー入りミルクをすすりつつぼやいた……

アンジェ「文句を言っても始まらないでしょう…」

ドロシー「そうは言ってもな…改めてロンドンの大きさにあきれ返っているところさ」

アンジェ「…とにかくこの調子で情報収集を続けるしかないわ」

ドロシー「まぁな……やれやれ、この調子じゃ定期連絡の時にまたせっつかれることになりそうだ…」
391 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/10/29(火) 02:13:28.51 ID:ScI/3K/C0
…ロンドン・アルビオン共和国大使館の一室…

L「…あれから進展は?」

7「いえ。エージェント「A」および「D」の報告によると、まだ具体的なものは出ていない…とのことです」

L「それでは困る。こちらとしてもこう次々とエージェントを消されては活動に支障が出る……最近は革命騒ぎの直後と違って、新しい情報部員を「植え込む」(潜りこませる)のも楽ではないのだからな」

7「……それは「プリンシパル」としても承知しているかと…」

L「分かっている…しかし結果が伴っていないのも事実だ」

7「はい」

L「何か手を打たねばならんな……他には?」

7「はい。エージェント「S9」からの報告によりますと、フランスは再度ケイバーライトの情報入手を試みるべく情報部員を送り込む予定…とのことです」

L「そうだろうな。あちらとしても抱えていたエージェントを消された以上、あとには引けまい……」

7「ええ」

L「…そうなれば、餌を撒けば食いつくかもしれん……相変わらず「S9」は向こうと接触があるのだな?」

7「はい」

L「そうか、よし…少々リスクは伴うが、「S9」を使ってフランス側に偽情報を流せ」

7「しかし、L…」

L「分かっている。こちらとしても「S9」は大事に取っておきたい…が、ことわざにも「卵を割らなければオムレツは作れない」とある」

7「ええ…」

L「……それに、連中が「ケイバーライト」の情報を喉から手が出るほど欲しがっていることは分かっている…もし有力な報告を受けたら、一も二もなく飛びつくはずだ……そしてこちらが目を開けているところで王国防諜部が動けば、何かしらの手掛かりはつかめる」

7「確かにそうでしょうが……」

L「さらに、だ…近頃はフランス情報部の動きも活発になってきているが、そうした状況は好ましくない……しばらく静かになってくれるのならば、それはそれで好都合だ」

7「…分かりました、手はずを整えます」

L「うむ」

………

…数日後…

アンジェ「どうだったの?」

ドロシー「待ってろ、今話してやるから……ふぅ」ティーポットから紅茶を注ぐと、一口飲んだ…

ドロシー「……さてと、何から話すかな…とりあえずそこまでこっぴどくやられはしなかったさ」

アンジェ「それは良かったわね」

ドロシー「まぁな、それはいいんだが…コントロールの連中、なにかタイトロープ(綱渡り)をやらかすつもりでいるらしい……」

アンジェ「…何かあったの?」

ドロシー「ああ…当然ながら細かいところは教えちゃくれなかったが、どうやらよその情報部をだしに使って例の「怪力お化け」を引きずり出すつもりらしい」

アンジェ「なるほど……当てはまる国はいくつもあるけれど、一番可能性があるのはフランスね」

ドロシー「だろうな…なにしろ列強の中でも「カエル」の連中はこっちとの軍事バランスを保つためにも、ケイバーライトと空中戦艦の情報がどうしても必要だし、おまけにエージェントもやられてるからな……」(※カエル…フランス人の蔑称)

アンジェ「そういうことね」

ドロシー「ま、こっちとしては同じ「共和国」とはいえ、お向かいの連中とは植民地だの覇権だのをとりっくらするような仲だ……友好関係どころか共同歩調だって取ったことさえないんだから、連中が「火中の栗を拾いたい」って言うなら、せいぜい薪をくべて火を大きくしてやるさ」

アンジェ「そうね」

ドロシー「おうよ…それよりいよいよ「怪力お化け」の野郎とお目見えだぜ?」

アンジェ「ええ」

ドロシー「…サイ撃ち用のライフルか野牛撃ち用のシャープス・ライフルでも持って行くか?」(※シャープス・バッファロー・ライフル…アメリカ西部開拓時代、バッファロー狩りに使われた大口径ライフル。威力はあったが精度は悪く、数発撃つと銃身が焼けてゆがむので、濡れた布をまかないとならないなど欠点が多かった)

アンジェ「いらないわ……そんなのを撃ったら肩の骨を外すのがオチよ」

ドロシー「ばか言え、シャープスは据え置きで使うライフルだぞ」

アンジェ「だとしても結構…怪力だろうが何だろうが.380口径があれば充分始末できるわ」

ドロシー「ははっ、玄人(プロ)の言うことは違うね♪」にやりと笑うとウィンクを投げた…
392 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/11/01(金) 00:24:05.35 ID:KkJEtLI60
…なかなか進んでいませんが、また明日あたりに投下したいと思っています……と、そう言えばちょうどハロウィーンの時期ですし、どこかでアイルランド系のネタを入れようと思います……ご期待ください
393 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/11/02(土) 03:22:45.24 ID:Jo8ogCgX0
…さらに数日後…

ドロシー「……ちっ、参ったな」

アンジェ「どうしたの?」

ドロシー「実はな…例の「餌」にフランスの連中が食いついた」

アンジェ「それに何か問題が?」

ドロシー「ああ、そこまでは良かったんだが……ここに来てちせが使えなくなった」

アンジェ「それはまた…何かあったのね?」

ドロシー「まぁな…今回の件と言い、ここ最近は王国内できな臭い事件が多かったろ? そんなわけで日本の使節団は堀河公の警護を固めることにしたらしい……だもんで、ちせは数週間ばかり堀河公のそばを離れることができなくなった」

アンジェ「仕方ないわね…もとより彼女はこちらの入手した「産物」を間接的に入手するために送り込まれてきたわけだし、私たちに協力するのは本来の目的ではないのだから」

ドロシー「そうだな……もっとも、ちせ本人はずいぶんこちらに好意的だがね…」

アンジェ「ええ…しかしいくら彼女自身がこちらに肩入れしていても、勝手なことは出来ないもの」

ドロシー「そういうこと。それにこっちも「腕が立つ」からって、うちのエージェントでもないのにちせのことをあてにし過ぎていた……ってのも確かだ」

アンジェ「そうね…」

ドロシー「まぁ、そいつは大いに反省すべきなんだろうが…今ここで動かせる駒が足りない……ってのはどうしようもない事実だしな…」

アンジェ「……コントロールに連絡を取って、情報部員の誰かを回してもらえないかしら」

ドロシー「やってみてもいいが望み薄だな……そもそも「出来る」エージェントはみんな何かしらの任務を持っているし、王国の連中に「芋づる式」でやられないためにも、出来るだけ接点は作りたくないはずだ。それにコントロールとしては私とお前さんがいるんだから必要以上だ…って言うだろうよ」

アンジェ「…その通りね」

ドロシー「それに…だ、そもそも低級の連絡員クラスじゃ役に立たないし、ある程度のエージェントを回してくれたとしても、スタイルや呼吸が飲みこめていないようだとかえって足手まといになる……」

アンジェ「そうね…でも、そうなるとベアトリスを使うことになるわ」

ドロシー「仕方ないだろう……プリンセスは公務があるし、そもそもそんな任務に使えるわけがない」

アンジェ「当然ね」

ドロシー「ああ。その点ベアトリスなら地味で目立たない……それと機械にはめっぽう強いし、例の「七変化の声」もある。まだ未熟だが訓練も積んでいるし、何より結構ツキがある…幸運って言うのは情報部員にとっては最高の贈り物だからな♪」

アンジェ「確かにね」

ドロシー「……とにかく、ベアトリスなら動きも見当がつくし、見ず知らずの誰かと組むよりはずっといい…まぁ連絡くらいならどうにかこなせるはずだ」

アンジェ「分かったわ」

ドロシー「幸いベアトリスも休みをもらってるからな…ここしばらくは身体が空いているはずだ」

………



ドロシー「……というわけでベアトリス、お前さんには私たち二人の支援役をしてもらいたい」

ベアトリス「わ、私が……ですか?」

ドロシー「ああ、そうだ…なに、必要以上に難しく考えることはないさ」

アンジェ「だからと言って安易な気持ちで臨まれても困る……私とドロシー…ひいてはプリンセスの命もかかっているのだから、きっちりこなしてちょうだい」

ベアトリス「は、はい…っ!」

ドロシー「…何しろ相手は怪力の「ハーキュリーズ野郎」だからな……私たちの首がへし折られないように、しっかり見張ってくれよ♪」

ベアトリス「うぅ、責任重大ですね…」

ドロシー「ふぅ、こいつは言っても仕方ないんだが…そう気負うな。不真面目になられるのも困るが、がちがちに緊張していても実力が出せないからな」

ベアトリス「ええ、分かってはいるんですが……どうしたらお二人のように落ち着いていられるでしょうか?」

ドロシー「あー…私はその辺を割り切って考えているから、参考にならないな……アンジェは?」

アンジェ「そうね…私だったら当日までみっちり訓練のおさらいをして「自分は万全の準備を整えた」と思い込ませるわ」

ドロシー「……なるほど、そいつはいいかもな」

アンジェ「賛同していただけて何より……なら今から数時間ばかり、格闘訓練の手合わせをお願いできるかしら?」

ドロシー「うへぇ……」アンジェの本気とも冗談とも取れる言い草に苦笑いをするドロシー…

394 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/11/06(水) 02:22:23.97 ID:NIiDcf4B0
…数日後の夜・精錬工場近くの労働者街…

ドロシー「さて、ベアトリス……お前さんはそのバスケットを持って、誰かに届けるようなふりをしながら歩いてくれりゃあいい。何か見つけても気にするようなそぶりは見せるな…あくまでもいつも通りに振る舞え」

ベアトリス「はい」

ドロシー「私とアンジェはそれぞれ通りの端っこで監視をしているから、お前さんが見えたら場所を変える……何か不測の事態があったら臨機応変で対応してくれ」

ベアトリス「わ、分かりました…」

ドロシー「よし、いい娘だ……それじゃあ始めようか♪」


…適当なパブに入ると程よく奥まった席に入り、ぬるいエールを片手に暇そうにしているドロシー……アルビオン中から様々な種類の出稼ぎ労働者がやって来るロンドンの労働者街はきつい労働で身体を壊したり、ケイバーライト鉱毒で病院送りになったりするせいで人の入れ替わりが激しく「見慣れない顔」だと見とがめられたり視線を集めることもなく、うだつの上がらないタイピスト風の格好をしているドロシーもすんなりと溶け込めている…


ドロシー「…」(それらしい奴はいない……やっぱり必要な時だけ送り込んでくるのか…)

常連「よう、オヤジ! ビールと飯だ!」

パブのオヤジ「…あいよ、今日はもう上がりか?」

常連「ああ……ったくよ、この数日はめっきり冷えるぜ」

オヤジ「そうだな。ほらよ」

常連「おっ、ありがてえ……んぐっ、ぐっ……」

ドロシー「…」

常連「ぷはぁっ…たまらねえなぁ!」

オヤジ「もう一杯やるか?」

常連「おう、頼むぜ!」

常連B「お、マーティじゃねぇか…今日は早ぇな?」

常連「おうよ、一杯つきあわねぇか?」

常連B「そいつはいいな。オヤジ、おれにもビール!」

オヤジ「はいよ!」

ドロシー「…」ベアトリスが通りかかってから少しタイミングをずらして小銭を卓上に置くと、すっと店を出た…



…街の反対側・安食堂…

食堂のお姉さん「はい、お待ちどう」

アンジェ「…ええ」


…労働者街に一軒は必ずあるような安食堂に入り、あちこちにヒビの入った皿を前にしているアンジェ……大皿には焼き過ぎで汁気もなさそうな筋張ったマトンステーキに、剥き損ねた皮が混じっているマッシュドポテト…それに育成所時代を思い起こさせるような肉汁の染みこんだヨークシャープディングがごちゃごちゃと盛りつけられている…


アンジェ「…」目はさりげなく窓の外を監視し、同時に店内のおしゃべりに耳をそばだてながら黙々と食べる……テーブルナイフはティースプーン並みの切れ味しかないなまくらだったが、技量を駆使して肉を切り、ぼそぼそしたヨークシャープディングと一緒に口に運ぶ…

客「……それでよ、やっこさんに言ってやったんだ…」

客B「…うちのやつと来たら金を無駄遣いすることしか考えちゃいねぇ…まったく「女房の不出来は十年の不作」たぁよく言ったもんだ……」

客C「……そういや、この間の事故でくたばったアイリッシュ野郎だがよ…」

客D「ああ、あの幅の広い…やっこさんがどうかしたのか」

客C「……いや、何かおかしいと思わねぇか?」

アンジェ「…」もそもそしたマッシュドポテトをゆっくり食べながら、他の会話から二人の声をより分ける……

客D「どうしてさ…あいつはどっかから落っこちて首を折っちまったんだろう? …ツイてねえことは確かだが、おかしいってことはねえだろう…」

客C「…いや、それがよ……あの日はやっこさん、もう上がってたんだぜ……おれも戻りが一緒だったから知ってるんだ」

客D「…じゃあ何か忘れ物でも取りに行ったんじゃねえのか?」

客C「そうかもしれねえ…でもおかしいんだよな……」

395 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/11/19(火) 23:08:51.12 ID:PFIh8J0J0
…ここしばらくお待たせしていてすみません。使っていたPCがダメになってしまったもので……まだデータの引っ越しやらバックアップやらで調整中ですが、数日以内に投下できるように頑張ります
396 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/11/24(日) 00:48:42.73 ID:9xYPmtsv0
…さらに数日後…

ドロシー「よし、それじゃあ説明を始めようか…」

アンジェ「ええ」

ベアトリス「はい」

ドロシー「前にも言ったが、こっちが撒いた餌にカエル(フランス)が食いついた…で、そのカエル連中の送り込んだ情報部員は明日ないしは明後日の晩に、ケイバーライト鉱の精錬施設へ潜り込むことが予想される」

ベアトリス「…あの、一ついいですか?」

ドロシー「何だ?」

ベアトリス「明日か明後日って、どうしてそんなにはっきりと分かるんです?」

ドロシー「そいつは簡単さ…ケイバーライト鉱石はその「能力」を発揮させたり精錬したりする時にかなりの熱を帯びるし、毒性も強い」

ベアトリス「…はい」

ドロシー「そのせいで、ケイバーライト鉱の精錬に使う高炉や施設は過熱や腐食を防ぐために時々止めて冷ましてやらないといけない…本来、金属を扱う高炉は冷ますと割れやひずみが生じるから、止めることは滅多にしないんだが……こいつばかりは例外ってわけだな」

ベアトリス「なるほど」

ドロシー「当然、この間は精錬施設が休みになる…もちろん、止まっている間は保守点検や修繕が行われるが、高炉が稼働している時のように二十四時間の三交代制で労働者が出入りするわけじゃない。特に夜はがら空きだ」

アンジェ「…要は、人目を引かずに潜り込むには絶好の機会…ということよ」

ドロシー「そういうこと……つまり、連中がこの機会を逃す訳がないってことさ」

アンジェ「…しかし、王国側もそれを十分に承知している」

ドロシー「となれば、例の「シルク・モス」とやらがお出ましになる可能性も高い…ってわけだ」

ベアトリス「なるほど…」

ドロシー「とにかく、こっちとしてはフランスの連中が罠に引っかかったところで出て来るはずの「怪力お化け」を始末するか…少なくともどんな奴なのかを見極めるのが目的だ…もちろん、王国が動かしている精錬施設の見取り図や詳しい仕組みの分かる資料も手に入れば言うことなし、ってところだがね」

ベアトリス「分かりました」

ドロシー「そこでだ……ベアトリス、お前さんは技術に強いから、もしも機会があったら高炉の周囲に潜り込んで、できる限り施設の設計や作りを目に焼き付けてくれ。もちろん、王国の連中に尻尾をつかまれるような真似をしない範囲で…だがな」

ベアトリス「はい!」

ドロシー「で、私とアンジェはその間に「怪力お化け」を片付ける…と。まさに一石二鳥ってわけだ♪」

…翌日の晩…

ドロシー「さ、準備にかかろう……一晩中監視する羽目になるかもしれないから、厚手のマントにしろよ?」

ベアトリス「はい」

ドロシー「…アンジェ、長物はどうする?」編み上げの革長靴、黒地に紫の模様が入ったベストにすっきりしたズボンスタイルでマントを羽織り、襟元にマフラーをたくしこんでハンチング帽をかぶる…

アンジェ「私はいらない…貴女は?」黒と紺の短いフリルスカートと、肌に吸い付くような黒絹のストッキング……いつものウェブリー・フォスベリー・リボルバーをホルスターに吊るし、鋭い両刃のナイフと秘密兵器の「Cボール」を腰に下げた…

ドロシー「そりゃ持って行きたいのは山々だが、取り回しが悪いからな…まぁ.455のウェブリーなら十分だろう。 ベアトリス、お前さんは何を持って行くつもりだ?」4インチ銃身のウェブリー・スコットに弾を込め、鞘に収めたナイフを脇に吊るす…

ベアトリス「そうですね、私はまだあんまり射撃が得意じゃないので……何がいいと思いますか?」

ドロシー「そうだな…本来そいつは自分で決めるのが一番なんだが…」

アンジェ「まぁ、ある程度小型で反動が抑えやすい銃がいいでしょうね」

ドロシー「…となりゃ.380口径の3インチ銃身か、もっと短い「ブルドッグ」タイプかな。 銃身が短いから命中精度には期待できないが、至近距離で相手のどてっ腹にぶち込むなら関係ないし、隠して持つにはうってつけだ…ここにウェブリーとトランターのがそれぞれ二丁づつあるから、好きな方を持って行け」

ベアトリス「分かりました、それじゃあこっちにします」

ドロシー「ああ…弾は選別したのがそこの紙箱に入ってるから、そいつを込めればいい」

ベアトリス「はい」銃を身につけると厚いウールのマントを羽織り、襟元もきっちり留めた…

………

397 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/12/01(日) 03:27:04.08 ID:/fjsF3Yj0
ドロシー「あぁ、それから…ベアトリス、私とアンジェがこまごましたものの支度をしている間に、サンドウィッチでも作っておいてくれよ……監視任務はたいてい長丁場になるし、うかつに離れる事もできないからな」

ベアトリス「分かりました。挟むものは何にします?」

ドロシー「そうだな、ハムときゅうりのピクルスとか……お前は?」

アンジェ「…私は何でもいいけれど、玉ねぎは入れないようにしてちょうだい」

ベアトリス「あれ、アンジェさんって玉ねぎはお嫌いでしたっけ?」

アンジェ「いいえ。ただ、あれは食べると匂いが残る」

ドロシー「アンジェは一度王国の情報部員に忍び寄られたことがあったんだが…その間抜けが食った玉ねぎの匂いに気づいて返り討ちにしたことがあるのさ」

ベアトリス「なるほど…それじゃあ匂いの強いものは入れないようにしますね?」

ドロシー「ああ、そうしてくれ」



ドロシー「さてさて…準備も整ったようだし、出かけるとしようか」

ベアトリス「はい」

ドロシー「今日は私が先行するから、ベアトリスは十五分ばかりしたらここを出ろ……アンジェ、お前は適当に時間を見計らって自分の判断でやってくれりゃあいい」

アンジェ「ええ、そうするわ」

ドロシー「それぞれの監視地点は前に下見を済ませた場所だ…似たような建物が多いから間違うなよ?」

ベアトリス「はい、分かっています」

ドロシー「結構…それと説明の時にも言ったが、明けの五時を過ぎても動きがなかったら撤収すること。こんなカラスみたいな格好で日の出を迎えたりしようもんなら、鴨撃ちの獲物になるのと変わらないからな」

ベアトリス「ですね」

ドロシー「ちょうど朝方なら仕事場に向かう労働者や屋台の軽食売りなんかがいてほどよく混み合う…うまく紛れこんで引き上げろ」

ベアトリス「はい」

アンジェ「…そろそろ時間よ」

ドロシー「よし…それじゃあ現地で」

………

…一時間後・ケイバーライト精錬施設のそば…

ドロシー「…うー、寒い……」


…下宿や労働者たちの家がごちゃごちゃと立ち並ぶ雑然とした一帯の、精錬施設の入り口が見える屋根の上に腹這いになっているドロシー…三角屋根の傾斜を利用して、ちょうど稜線から顔だけ出すような形で監視を続けている……少し離れた煙突の陰にはアンジェが陣取り、ベアトリスは二人の間を中継出来るような位置についているが、いずれにせよ古い屋根瓦が落ちたりずれたりして音を立てることがないように、じっとしてほとんど身動きをしない……厚手のマントにくるまってはいるが、下から冷気がしみこんでくる…


ドロシー「……それにしても妙に静かだな…」声にならない程度につぶやく…


…少し離れた屋根の上…

アンジェ「…」(…静かすぎるわね…気に入らない……)


…崩れかけた煙突の脇に身体を潜り込ませ、ほとんど建物と同化しているアンジェ……目の前に広がっている精錬施設は夜間とはいえ人の出入りもなく、時折中堅レベルのエージェントが巡回するにとどまっている……一見すれば十分な警戒にみえなくもないが、アンジェやドロシーのような腕利き情報部員の目からすると、王国の基盤を支えるケイバーライトの施設にしては警備が甘すぎるのが気にかかる…


アンジェ「…」(やはり罠ね。餌はケイバーライトの精錬方法で、獲物に食いつく「顎」は例の「シルク・モス」とやら……となると、その姿を確かめる機会も得られる…ということね)

アンジェ「…」身を潜めたまま、鋭い目つきで監視を続けた…


………

398 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/12/06(金) 02:57:42.22 ID:Rxj1SE4/0
…しばらくして…

ドロシー「…また見張りが回ってきたな……一周だいたい五分って所か…」

…長いコートを羽織り、鳥打ち帽をかぶった王国のエージェントが精錬施設の入り口に来ると辺りを確認し、またゆっくりと戻り始めた……運用が面倒なためか、はたまた下級のエージェントでは支給してもらえないのか、手には「ケイバーライト・ランタン」ではなく普通のランタンを提げている…

ドロシー「さて、奴が戻ってくるまでしばらくかかるし…その間に腹ごしらえでもしておくかな……」

…ガサゴソと音がする紙包みは使わずに、薄手の布でくるんであるサンドウィッチを取り出したドロシー……アルビオン式の山形食パンの間にはじっくり燻製された厚切りハムときゅうりのピクルスが挟まっていて、気を利かせたベアトリスが「パンが湿気らないように」と、バターとマスタードを丁寧に耳まで塗ってあった…

ドロシー「…そうそう、こういうのでいいんだよ……銃の腕はさておき、こういう細かい所の気づかいは一流だな…♪」…強大な帝国の中心地である「眠らない街」ロンドンの街明かりで薄ぼんやりと照らされた精錬施設を監視しつつ、静かにパンにかぶりつく……

ドロシー「……おっ…?」


…屋根の上で静かにサンドウィッチをぱくついていると、作業小屋や手押しのトロッコ、精錬くずの小山や廃棄部品でごちゃごちゃしている施設の外周に何かが動いた……ドロシーがサンドウィッチの最後のかけらを口の中に押し込みつつ目をこらすと、バラックの陰に潜んでいる男が見えた…男は黒色らしいベレー帽に労働者風の短い上着とズボン姿で、手には細身のナイフを握っている…


ドロシー「…」(カエルの所のエージェントだな……なかなか出来そうだが…どう動くつもりなのか、しばらく観察させてもらおうか……)

アンジェ「…」(…あのフランス人…ナイフの腕は立ちそうだけれど、自信過剰なのか脇が甘い…)

ドロシー「…」

アンジェ「…」

…二人が屋根上から見ている間にも、物陰のフランス情報部員が見回りの王国エージェントに黒豹のように忍びよる……そのままシルエットが重なったかと思うと、王国エージェントの持っているランタンが一瞬激しく揺れ動き、しばらくすると静かに吹き消された……フランスのエージェントは音を立てないように注意しつつ物陰に見張りの身体を引きずり込むと、潜んでいるらしい仲間に小さく手招きしてさっと入り口をくぐり、隠れ場所から出てきたもう一人もするりと施設内に入っていった…


ドロシー「…よし、これでそろっていない役者は「シルク・モス」だけだな……」

アンジェ「ええ、そうね」音も立てず、すでにドロシーの側に来ているアンジェ…

ドロシー「…アンジェ。今のフランスの奴だが…どう思う?」

アンジェ「ナイフの使い方はなかなかだったけれど、警戒を怠っているところがあったわ……隙がある」

ドロシー「…お前もそう思ったか?」

アンジェ「ええ」

ドロシー「そうか……とりあえず中の様子が確認できない以上、果たして「怪力お化け」がいるかどうかも分からん」

アンジェ「そういうことになるわね…」

ドロシー「となると、こちとらも連中に続いて忍び込む羽目になるが……気に入らないな」

アンジェ「それも仕方ないでしょう…警戒を怠らずに動くしかないわ」

ドロシー「…ああ、分かった……アンジェ、私が援護するからお前は先行しろ」

アンジェ「ええ」

ドロシー「頼むぞ……ベアトリス」

ベアトリス「はい」

ドロシー「…もしも「怪力お化け」が出てきたらこっちで始末するから、その間にお前さんは高炉の周囲を探って新技術や新式の機械が使われていないか調べてくれ。 ハチの巣ををつついたのに蜂蜜なし…って言うんじゃ片手落ちだからな……ただし、十分に気をつけろよ?」

ベアトリス「分かりました、任せて下さい…!」

ドロシー「…ああ、任せたぜ……さ、それじゃあひとつ「フランケンシュタインの怪物」のご面相を拝見しに行くとしようか…♪」
399 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/12/12(木) 02:09:23.78 ID:UAMneYsR0
…精錬施設・内部…

アンジェ「…」

ドロシー「…」

ベアトリス「…」先頭に立つアンジェが出す手信号に従い足音一つさせず歩くドロシーと、ぎこちない動きのベアトリス…


…精錬施設の内部は真鍮でできた奇妙な形の機械や太さも様々な導管が入り組んでいて、その間に通路や階段が迷路のように走っている……これが昼間なら、明かり取りの窓から入る陽光に照らされて真鍮の部品が輝き、精錬作業の喧噪やもくもくと立ちのぼる蒸気など、技術の粋を尽くした「ケイバーライト革命」の生み出した力にある種の誇らしさや力強さを覚えたかもしれなかった…が、人っ子一人いない精錬施設の内部は暗く静まりかえっていて、闇の奥に沈んだ機械の類は、廃墟の幽霊屋敷のようなおどろおどろしさを感じさせる……もっとも、幼い頃に大人たちからむごい仕打ちを受けたアンジェやドロシーにしてみれば、直接危害を加えてくる生身の人間と違って、触ることもできない幽霊だの悪霊だのなどは恐ろしくもなんともない…


アンジェ「…」大きく顔をさらすこともなくちらりと角の向こうをのぞき、足音を忍ばせて慎重に歩を進める……

ドロシー「…」

ベアトリス「…」

アンジェ「…」とある角で先をそっとのぞくと、片手を上げて「待て」と合図を送った……数歩遅れて付いていたドロシーとベアトリスは急に立ち止まってつまづかないよう数歩進んで慎重に止まった…それからドロシーはもう一歩アンジェに近寄った…

アンジェ「…」

ドロシー「……いたか?」

アンジェ「ええ…あのパイプの後ろ、二本が重なっている辺り……」


…アンジェの言う辺りに目をこらすと、暗がりに吸い込まれるようにして遠ざかっていくフランス情報部員の姿が見えた…二人ともあちこちに視線を走らせ、しきりに警戒している様子がうかがえる…


ドロシー「…さすがだな……よし、それじゃあ後はあいつらを見失わないようにすれば…」

アンジェ「……待って」

ドロシー「どうした…?」

アンジェ「…左奥。蒸留器みたいな機械の後ろ」


…ドロシーがアンジェのささやいた場所に視線を向けると、十五ヤードばかり向こうにそびえる大きな蒸留器に似た機械の後ろに、ぼんやりと大柄な影が潜んでいるのが見えた……そのままじっと見つめていると目が闇に慣れてきて、暗い影は次第にがっちりした男のシルエットへと変わっていった……見たところ背はそう高くないが、ヘビー級ボクサーのように太い腕をしているのがうっすらと見て取れる…


ドロシー「…なるほど、あいつが例の「ハーキュリーズ野郎」ってわけか……」

アンジェ「おそらくは…」

ドロシー「……っ、奴が動くぞ」


…がっちりした男はフランスのエージェントが通り過ぎるのをじっと待ち、それからそっと後を追い始めた……がっちりした太い腕と首に短い脚…と、熊のような見かけによらず、滑るように相手を尾行ていく…


アンジェ「…どうする、ドロシー?」

ドロシー「このまま奴を尾けよう……カエルの連中と共倒れになってくれればめっけものだし、もしどっちかが生き残ったらけりをつけてやるだけの事だ」

アンジェ「分かった」

ドロシー「……ベアトリス、あと少しの辛抱だから付いてきてくれ…これがすんだら調べ物に励んでもらうからな」

ベアトリス「はい…」ドロシーでも聞き取れないような小さな声で返事をし、こくりとうなづいた…

………

400 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/12/20(金) 03:34:35.61 ID:1lV+N8230
…同じ頃・アルビオン共和国大使館…

L「…ふむ、今回「J4」が入手したプロダクトは質がいい……毎回一級の情報を取ってこいとは言わんが、この位の情報でなくては送り込む意味がないというものだ……」

…パイプをくわえて紫煙をくゆらせながら、各エージェントから送られてきたレポートを確認している「L」……と、そこへノックの音がして「7」が入ってきた……一見すると普段通りの表情で平静を保っているように見えるが(スパイマスターとして多くの情報部員たちを操ってきたおかげで)表情を読むのが上手なLからすると、ひどく焦っているように感じられた…

7「失礼します…L、至急お知らせしたい事が」手にはタイプしたばかりのレポートを持っている…

L「なんだ、慌てふためいてどうしたのだ?」

7「それが、エージェント「K4」がこれを送ってきました…」

L「そうか……なに、確かか?」さっと目を通すと、眉をひそめた…

7「…どうやら間違いないようです…さきほど届いたばかりで、私もいま解読したところです…」

………

…数時間前・ロンドン市内の公文書館…

館員「ミスタ・ハーベイ…あと三十分ほどで閉館の時間ですよ?」

眼鏡の中年男性(共和国エージェント)「ああ、すまない……でも、もうちょっとなんだ」


…真面目そうな眼鏡の男は、遺産や信託された財産を扱う会計士をカバーにしている共和国エージェントで、他の業務にかこつけて公文書館に出入りしては「コントロール」から指示される戸籍や転籍届、出生証明書、死亡証明書などを調べていた…そして(いかにもアルビオンのお役所らしいが)公文書館の職員は真面目できちんとした言葉遣いの男をすっかり信用しきっていた…


館員「いやはや、会計士というのも大変ですね」

エージェント「まぁそうかもしれないが…どうしてだね?」

館員「だって、ここ数日は毎日のようにこちらに来ていますから…ところで、どんな書類をお探しなんです?」

エージェント「ああ……それがね、数年前にウェストミンスター教区にある貧民街に住んでいた人で、その人に遺産を残した親戚がうちの事務所と信託の契約をしていたんだが……ああいう所に住んでいる人は戸籍もなかったりするし、革命騒ぎで焼けてしまった書類も多いからね…」コントロールがお膳立てした偽装(カバー)として、実際にウェストミンスター教区のとある人物へ遺産を信託されているのでさらりと答えた…が、本当は「シルク・モス」の正体を調べにきていたエージェント…


…情報活動ではありがちなことだが、正体不明の「シルク・モス」につながりそうな手がかりも、始めはなんと言うこともない一枚の書類から始まっていた…一週間ほど前、とあるエージェントが内務省の機密ですらないファイルに収まっていた古い書類に「シルク・モス」のコードネームと、アルファベット数文字で組み合わされた管理官のコードを見つけ報告した……そこでコントロールが王国防諜部の管理官リストをあたるとウェストミンスター教区の担当だったことが分かり、何か引っかからないかと古い戸籍をあたってみる事にした…という次第だった…


館員「ウェストミンスター教区ですか……あ、だったら…少し待っていてもらえますか?」奥に引っ込むと棚を調べはじめ、しばらくするとほこりをかぶった分厚い戸籍台帳を持ち出した…

エージェント「これは?」

館員「置ききれないので普段はしまってある古い戸籍台帳です。これなら何か載っているかもしれませんよ?」

エージェント「それはそれは…とても助かるよ」

館員「どういたしまして。必要なら明日以降も出しておきますよ?」

エージェント「そうだね、そうしておいてもらえると都合がいい」…そう言いながらほこりっぽい変色した紙をめくる……

館員「また何か必要ならおっしゃってください」

エージェント「ありがとう……」細かい文字を指でなぞりつつ確認していく…と、一つのおかしな記録に行き当たった……

エージェント「…きっとこれだ…でも、だとすると……」一瞬けげんな顔をしたが素早く暗記し、怪しまれないようしばらくねばってから公文書館を出た…

………


L「むむ…もしこの情報が事実だとしたら「A」や「D」と言えども不意を突かれるかもしれん……くそっ、なぜこのレポートが今さらになって届いたのだ」

7「それが、連絡役が市場の混雑に巻き込まれて遅れてしまったとかで…」

L「…間抜けめ、何という不手際だ。この時期はクリスマス前の買い出しで市場が混雑する事くらい認識しているはずだろうが……通常の連絡手段では間に合わん、「プリンシパル」にアタッシェ(伝達吏)を……いや、それでも間に合わんな」

7「はい。恐らく「A」および「D」はすでに現地で監視体勢に入っているものかと…また「至急」の暗号電を打てば王国防諜部の注意を引き、逆探知を受ける危険もありますし…この時間では伝書鳩も飛ばせません」

L「…とはいえ何もしないのでは「プリンシパル」を切り捨てたように見える…今からでもかまわん、コンタクト(連絡役)を使ってこの情報を「プリンシパル」のネストに送り届けろ」

7「承知しました」

………

401 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/12/22(日) 02:47:54.88 ID:JW4qaeT60
…精錬施設…

ドロシー「…くそ、連中はどこまで奥に進む気なんだ? …アンジェ、右側を頼む」

アンジェ「ええ…」

ドロシー「……ベアトリス、お前は数歩空けて付いてこい…」

ベアトリス「…はい」


…フランスの情報部員と、それを追っている王国防諜部エージェントの両方を監視・追跡しているドロシーたち……しばらく精錬施設の中を進むうち、背の高い機械を収めるために三階分の天井がぶち抜きになっている区画へと入り込んだ……天窓からは雲に照り返しているロンドン市街の街灯りが差し込んでいるが、それも数ヤード先になるとぼんやりと霞んではっきりとはしなくなる…


アンジェ「…」

ドロシー「…」お互いに少しの目線やちょっとした仕草で意思を伝える二人…

アンジェ「…」

ドロシー「…」(…それにしてもフランスの連中め、こんなに奥まで入り込みやがって…これじゃあ魚釣りの餌にがっぷり食いついちまったようなもんだぞ……)

ベアトリス「…」


…また三十ヤードほど進んだ時、フランス人の片方が何かを見つけてつぶやいた…細身の相方がコクリとうなずいて「分かった」と言うように片手を小さく上げると、片割れは早速機械のかたわらにしゃがみ込んだ……動きのしなやかな男は得意な得物らしい細いナイフを抜き、ごちゃごちゃした施設のあちこちに視線を走らせる……見つからないよう、機械の間に身を潜めるドロシーたち…


アンジェ「…」

ドロシー「…」


…それぞれ壁際を縦横に走っている導管の影の中にシルエットを重ねるドロシーと、横に寝せた円筒状の機械に溶け込んでいるアンジェ、そこから数歩後ろの機械の間にしゃがんでいるベアトリス……ほとんど「隠れんぼ」状態になっているベアトリスはさておき、ドロシーとアンジェの取った位置は絶妙で、立ちのぼる夜霧のせいでぼんやりと霞んでいるとはいえ、室内全体の様子がかなりよく分かる……と、王国防諜部エージェントのずんぐりした影がそれまでの隠れ場所を抜け出し、そっと動き始めた…


アンジェ「…」(いよいよ仕掛ける気ね…)

ドロシー「…」(…あの「怪力お化け」の野郎、確かにでかい割には動きがいい…とはいえ、列強の腕利きエージェントを何人も片付けられるほどには見えないが……何か「奥の手」を持っていやがるのか、あるいはたまたまツいていた…ってだけか?)

アンジェ「…」(……これまでの情報が間違っているのでなければ、あの男の十八番は素手での格闘…となれば、動きを見ることさえできれば、ある程度までは出方を予測できるはず)

ドロシー「…」(いずれにせよ、ここは様子見だな…)


…動きはいいが脇が甘いフランスのエージェントからは死角になっているので気づいていないが、すでに「シルク・モス」とおぼしき男のがっちりしたシルエットは物陰を伝い、じりじりと距離を詰めている…


アンジェ「…」ウェブリー・フォスベリーを抜いて静かにスライドを引いた…

ドロシー「…」ドロシーも音がしないよう、マントでくるむようにして撃鉄を起こす…

アンジェ「…」

ドロシー「…っ!」


…王国のエージェントはフランス情報部員の後ろから数ヤードの距離まで忍び寄って機会をうかがっていたが、フランス情報部員の片方が何かを言って細身の男が機械に顔を近付けた瞬間、物陰から飛びかかった…黒いシルエットが重なり合ってもみ合いになると、うめき声がして細いシルエットが崩れ落ちた……王国エージェントはそのまま地面を蹴り、一気にもう一人へと襲いかかる……と、銃声が響いて交錯する二人の姿をパッと照らし、そのままもつれ合うようにして地面へと倒れ込んだ…


ドロシー「ふぅ……どうやら結果は「相打ち」ってところのようだな…」

アンジェ「…そのようね」

ドロシー「さて、それじゃあ私とお前さんはこっちのことを振り回してくれた「シルク・モス」とやらの面を拝みに行くとしようぜ…ベアトリス」

ベアトリス「はい」

ドロシー「これで「怪力お化け」は片付いたからな…心おきなく調べ物に取りかかってくれ」

ベアトリス「分かりました。それでは高炉の方に行ってみます」

ドロシー「おう、頼んだ」辺りに聞こえないようまだ小声ではあるが、ある程度は普通の調子に戻した…
402 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/12/25(水) 02:12:31.56 ID:35MNC/mS0
ドロシー「…やれやれ、フランス情報部のトップクラスって言ってもこんなものか……」

アンジェ「そうね…」

ドロシー「まぁいいさ……とにかく、連中が何か役に立つ情報でも持っていないか確認しよう」

アンジェ「ええ」


…用心深く左右を確認しながら、折り重なるようにして地面に倒れているフランス情報部エージェントと王国防諜部エージェントの死体に近寄る二人…


ドロシー「私はこいつを確認するから、そっちを頼む」

アンジェ「分かったわ」

………

…一方・高炉のそば…

ベアトリス「…うーん、この設備はどこかで見たことが……」

ベアトリス「……あ、前に飛行船で見た大型の冷却器に似ています……きっと新型ですね…」


…捕まった時の危険を考えると詳細なメモを取るわけにはいかないので、施設のおおよその配置や大きさをメモするだけにとどめ、コントロールが一番知りたがっている機械や設備の見た目やレイアウトは記憶していくベアトリス……アンジェやドロシーに記憶術を叩き込まれたおかげか、近頃は以前より細かなディティールまで覚えられるようになっていて、二人の評価も上がってきているのが内心では誇らしい…


ベアトリス「…蒸気加圧式のケイバーライト・ボイラー…圧力計のメーターは……上限が30気圧…これはこっちのとほとんど同じですね……」

ベアトリス「……そしてこれが高炉…」目の前にそびえ立つ、真鍮と銅で出来た巨大な「バベルの塔」を見上げ、思わず息をのんだ…

ベアトリス「…とてつもなく大きいですね……っと、見物している場合じゃありませんでした……」

………

ドロシー「……さてと、こいつの得物はなんだ…?」手から離れて地面に転がっているリボルバーを取り上げて手際よく確認した…

ドロシー「ふーん「サン・テティエンヌ・M1886」改良型……無煙火薬モデルのM1892か」手に取ってさっと構えてみる…

ドロシー「なるほど、悪くない……ウェブリーとはグリップの角度が違うから落ち着かないが、前後バランスはまぁまぁだな…」

アンジェ「…それ、フランスの「レベル(Lebel)リボルバー」ね?」

ドロシー「ああ…名前こそレベルとかサン・テティエンヌとか色々言われちゃいるが、要は同じ銃だからな」

アンジェ「口径は8ミリ?」

ドロシー「ご名答。フランスの8✕27ミリ弾だ……だいたい.340口径ってところだな」

アンジェ「無煙火薬?」

ドロシー「ああ、間違いない……フランスの軍用弾薬だな」そう言いながら落ちていた元の場所に戻した…

アンジェ「なるほど…それと、こっちのフランス人は調べたわ」

ドロシー「分かった、それじゃあ本命の「シルク・モス」を確認しよう」

アンジェ「ええ…」

ドロシー「……しかし、あっけないもんだよな」

アンジェ「というと?」

ドロシー「いや、ね……あれだけこっちのエージェントを片付けてきた奴がさ、こんな風にあっさりと………ちょっと待てよ」

アンジェ「……どうしたの?」

ドロシー「…おい、おかしいぞ……」急に声を落として、深刻な口調になったドロシー……

アンジェ「何が?」

ドロシー「…考えてみろ。このフランスの連中は胸に刺し傷がある…それにこの防諜部の男もナイフを握ってやがる」

アンジェ「……言われてみればレポートにあった「シルク・モス」のやり方じゃない…まさか」

ドロシー「ああ、その「まさか」だ……!」

アンジェ「…それじゃあ急いでベアトリスと合流しないと……」

ドロシー「ああ、まずい事になる……!」

アンジェ「……ドロシー、私につかまって」腰の「Cボール」に手をかけた…

403 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2019/12/28(土) 02:15:15.65 ID:yOyeWUo80
…精錬施設・高炉の前…

ベアトリス「……うーん、これは真鍮製ですか…」

ベアトリス「…こっちは黄銅……この部品は鉄ですね…なるほど」


…小さな身体でちょこまかと動き回り、高炉の部品を確かめているベアトリス……最初はあたりを警戒して、おっかなびっくりといった様子で周囲をうろついていたが、次第に大胆かつ丁寧に施設を観察し始めた……もとより機械の類に詳しく、しかも勉強熱心と言うこともあって、それぞれの機器がどう動くのかを過去に見たさまざまな機械と比較したり類推したりして、きちんと体系立てていく…


ベアトリス「あぁ、なるほど…これが高圧管から低圧管を中継して…そうでないと圧力で機械が壊れちゃいますものね…」

ベアトリス「…そしてこの低圧管からここのパイプを通して……うーん、さすがによく出来ています……ん?」

ベアトリス「……あれは…」


…視線をうつむけてごそごそと探り回っていたベアトリスだが、ふと目を上げると高炉の「足下」にあたる部分に小さな丸いふたのようなものが見えた…すぐに「とととっ…」と駆け寄ると小さなモノクル(片眼鏡)型の拡大鏡を取り出して目にあてがい、ふたの口から垂れて固まっている金属をじっと眺めた……銅や黄鉄鉱、そのほかよく分からないもろもろの金属が混じり合った金属くずの中に、時々きらりと青緑色の光が反射する…


ベアトリス「……やっぱり、これって熔解したケイバーライト鉱から分離した残滓を流すための弁ですね」

ベアトリス「…しかもケイバーライト鉱のかけらがくっついてます……これを持ち帰れば純度や精錬方法の特徴がつかめるかもしれません……」そうつぶやくと懐からナイフを取り出して、冷めたカラメルのようにがちがちになっている金属をこじりだした…

ベアトリス「…んっ、やっぱりそう簡単には剥がれてくれませんね……うんしょ…」小さなガラス瓶に剥がしたかけらを集めつつ、熱心にナイフを突き立てる……と、視線の隅にかすかな影が動いた……


ベアトリス「…」ナイフと小瓶を置くと目を細め、夜霧に霞む機械の間をすかし見た…

ベアトリス「…アンジェさん?」ごそごそとマントの下を探ると短銃身のウェブリー「ブルドッグ」ピストルを取り出し、それから小声で呼びかけた…

ベアトリス「……気のせいだったんでしょうか。とにかく、これ以上の長居は無用ですね……」急に心細く感じたベアトリスはいそいそと道具をしまい、それから銃をホルスターに収めかけた…

???「…」

ベアトリス「…っ!?」いきなり物陰から飛び出してきた相手に銃を弾き飛ばされ、喉を締めあげられながら高炉に押しつけられた……

ベアトリス「…ぐぅ…っ!」なんとか振りほどこうと脚をじたばたさせるが、がっちりと喉元を締め付ける腕はびくともしない……

ベアトリス「…うっ、く……!」(まさか、この人が本当の「シルク・モス」なんですか…っ!?)

シルク・モス「…」

ベアトリス「……んぐっ……うぅっ!」

…これまでも何人もの情報部員をそうしてきたように、ベアトリスの首もへし折ろうとする「シルク・モス」…しかし幸運なことにベアトリスの首元には金属で出来た喉と声帯が取り付けられている…おまけに「冷え込むから」とドロシーが勧めたので厚手のマントをきっちりまとっており、首元を締めあげる指と喉元の間に少しの余裕があった…

シルク・モス「…」

ベアトリス「……ぐぅっ、ごほ…っ!」ものすごい力に喉の人工声帯がめりめりときしみ始め、さすがに息が苦しくなってくる……叩きつけられた痛みと酸欠で揺らぐ視界の中には片手でベアトリスの喉を締め上げる「シルク・モス」の姿が写っている…

ベアトリス「……っ!?」


…今回の相手は素手でピストルの銃身をねじ曲げたり背骨をへし折るような人物と聞いて、見上げるような筋骨隆々の大男を想像していたベアトリスだった…が、目の前で自分の喉をへし折ろうとしている相手は小柄で、背の高さもベアトリス自身より少し大きい程度しかない…


ベアトリス「……うぐっ、うぅ…っ!」必死になって自分の喉を締め付ける指に手をかけようとするベアトリス…が、もう腕に力が入らない……

シルク・モス「…」とどめとばかりにベアトリスの身体を一段と強く高炉に押しつけ、さらに力を込める……

ドロシー「…」バンッ、バァ…ンッ!

アンジェ「…」ダンッ、ダァン…ッ!

…今にもベアトリスの細い首が折れそうになった瞬間、ふわりと地面に着地したドロシーとアンジェが同時に「シルク・モス」の背中へ銃弾を叩き込んだ…

シルク・モス「……かはっ!」銃弾の威力で吹っ飛び、地面に叩きつけられた…

ベアトリス「げほっ、ごほっ…!」

ドロシー「……おい、大丈夫か?」

ベアトリス「ええ、なんとか……」

ドロシー「そいつはよかった……に、してもだ……こいつは…」地面に横たわっている「シルク・モス」の黒マントをつま先でめくりあげた……と、その左腕は肩口から金属の義肢になっている…

アンジェ「…なるほど」

ドロシー「ああ、これが「怪力お化け」の正体だったわけだ……今までの連中は、こいつが小さい娘だからって油断した所をやられたんだろうな…」

アンジェ「ええ…」

ベアトリス「…」
404 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2019/12/31(火) 00:39:53.03 ID:vio1SP0Y0
…まずはこれで活動的な場面が完了したので、あとは「答え合わせ」や伏線の回収…それからアンジェ・ドロシーでベアトリスを責め立てる場面を書くことになります……三が日は時間があるので、こまめに投下できたらいいな…と思っております


…それでは少し早いですが、皆様よいお年を……
405 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2020/01/02(木) 01:01:05.11 ID:r7eAEn950
遅くなってしまいましたが、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます

…そして劇場版「プリンセス・プリンシパル」も待っていますので、頑張って書いていきたいと思います…
406 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2020/01/05(日) 03:06:51.71 ID:B2vWuoqr0
…数時間後・ネスト…

ドロシー「お、戻ったか…今日はご苦労だったな」

…保安措置の一つとして、人目を引かないようばらばらになってネストに戻る手はずを決めていたドロシーたち……二人よりかなり遅れて、うつむき加減で帰ってきたベアトリスをドロシーがねぎらった…

ベアトリス「はい…」

ドロシー「喉は平気か?」

ベアトリス「ええ、後で調整はするつもりですが…」

ドロシー「そうか……そういえば、さっきクーリエ(急使)がやって来てな」

ベアトリス「…クーリエですか、珍しいですね」

ドロシー「ああ…例の「シルク・モス」の正体を突き止めたって言うことで、警報を送ってきた」

ベアトリス「……でも届いた時間を考えると、送ってきた時点ですでに手遅れだったんじゃないでしょうか…?」

ドロシー「なーに…時間的に間に合わない急報をわざわざクーリエまで使って届けさせたのは、単にコントロールがこっちのことを「捨て駒として見ているわけじゃない」っていうメッセージさ」

アンジェ「そう考えるのが妥当ね」

ドロシー「そうさ。それと今から内容を確認するからな…座ってくれ」

ベアトリス「…はい」

………



ドロシー「ふむ、なるほどな……」

ドロシー「奴さんはニューキャッスル近郊にある炭鉱町の出身で、母親は産後の経過が悪かったらしく間もなく亡くなり、男手一つで育てられた…ところがその父親とも幼い頃に死別、それからというものは炭鉱で働かされる事になった…」

ドロシー「大の男だって音を上げるようなきつい暮らしだし、鉱山会社と来た日には子供相手でも容赦なく搾り取るような連中だ…楽じゃなかったろうな」

ドロシー「……そうして数年を過ごしていたらしいが、あるとき落盤事故に巻き込まれた…どうにか生命だけは取り留めたが、腕は切り落とさなくちゃならなかった」

ドロシー「…五体満足の連中でさえ野良犬みたいに扱う鉱山会社の連中が、まして片腕の子供の面倒なんか見てくれる訳もない…行くあても食べていく手段もなくなった奴さんに目をつけたのが、その鉱山会社の株主でもあった一人の子爵だったってわけさ……そいつは発明家みたいな奴で、特にオートマトン(自動人形)や義体の病的な愛好家だったらしい…」

ベアトリス「…っ」

ドロシー「…とにかく、そいつは身寄りのない子供や捨て子を連れてきては義体の実験台にしていて「シルク・モス」もその中の一人だったわけだ」

アンジェ「なるほど」

ドロシー「子爵は奴さんの腕に義肢をつけて様々な実験に使っていた…が、しばらくすると奴は過酷な実験に耐えられなくなり、とうとうそいつの首をへし折った」

ベアトリス「…」

ドロシー「…もちろん、王国で貴族殺しは処刑台行きだ…が、人の首根っこをへし折るような人間離れした謎の怪力お化けを「使えるかもしれない」っていうんで防諜部が興味を持ったて探し出した……後はいつも通りで「我々に協力して食べ物と寝る場所に困らない生活を送るか、さもなきゃ首にロープを結びつけられるか選べ」と脅しつけ、それ以来エージェントとして使っていた…って事らしい」

アンジェ「担当のエージェントはずいぶん詳しく調べたものね」

ドロシー「なまじ記録を抹消したりするとかえって目を引くっていうんで、王国は元の記録を消さない事があるからな…古い戸籍や何かと突き合わせて調べたんだろう」

アンジェ「それにしても……シルク・モス(カイコガ)は生糸を採るために人間が交配した種類だから、野生では生きられない…まさに彼女の存在と同じだったわけね」

ドロシー「ああ…ところでベアトリス、少しいいか?」

ベアトリス「えぇ、どうぞ…」

ドロシー「……奴の事を考えているのか?」

ベアトリス「はい…」

ドロシー「だろうと思ったよ…だがな、こればっかりは仕方のないことだったんだ……この世界にいる限り、奴さん自身だっていつかはそうなると分かっていたはずさ」

ベアトリス「でも…!」

ドロシー「……気持ちは分からないじゃないが、お前が嘆いたからって奴が生き返ったり魂の安息が…魂なんていうものがあるとしてだが…得られたりするのか?」

ベアトリス「それは、そうですが……」

ドロシー「だろう?」

ベアトリス「そうなんですけど……私、この任務の状況説明を聞いたときに「そんな怪物みたいな相手」って…でも、彼女は私と同じだったんです…」

ドロシー「いや、違うね」

ベアトリス「…え?」
407 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2020/01/10(金) 02:27:53.47 ID:okyqIitl0
ドロシー「奴と違って、お前さんは優しい心を持ってるよ…そうやって悩むのがいい証拠さ」

ベアトリス「…けど、こんな風に悩んでいてはエージェント失格だと思います……以前ドロシーさんは「割り切っている」っておっしゃっていましたけれど、どういう風に考えているんですか?」

ドロシー「そうだなぁ…とりあえず今の暮らしを考えてみることにしてるね」

ベアトリス「…と言うと?」

ドロシー「腹一杯食べられる豪華な食事、しゃれた服、上等な酒、綺麗なご婦人がた……一日中ゴミあさりや掏摸(すり)に明け暮れて、ひからびたパンの皮より拳骨をちょうだいすることの方が多かった貧民街に比べれば楽園みたいなもんさ…違うか?」

ベアトリス「それはそうかもしれませんが……でも、危険な世界ですよ?」

ドロシー「なぁに、人間くたばるのは一度きりだ……それに、恋だって危険が多いほど盛り上がるもんだからな♪」

ベアトリス「またそうやって……」

ドロシー「ははっ……まぁこればっかりは性格だから仕方ないが、あんまり思い詰めると身体に悪いぜ?」

ベアトリス「ええ、分かってはいるんですが……」

ドロシー「そうか。じゃあ寝つきやすくなるように、少しだけ飲もう……付き合うか?」

ベアトリス「……いただきます」

ドロシー「アンジェ、お前は?」(…このままベアトリスが引きずると後々まで悪い影響が出る。こうなったらうんと酔わせた上で浮かれ気分に持って行くとしよう)

アンジェ「…そうね、少しもらうわ」(……分かったわ。せいぜい道化を演じてあげるとしましょう)

…酒瓶の並ぶキャビネットに近寄りながらさりげなく目くばせしたドロシーと、ほんのかすかな動きで了解の合図を返すアンジェ…

ドロシー「……で、何にする?」

アンジェ「そうね、コニャックをもらうわ」

ドロシー「あいよ。ベアトリス、お前さんは?」

ベアトリス「えーと……」

ドロシー「…決まらないようなら私と一緒のにするか?」

ベアトリス「……そうですね、そうしてください」

ドロシー「分かった。私はポートにでもしようかと思ってたんだが……それでいいか?」紅い色合いが美しく口当たりもいいが、実は度数の高いポルトガル産のポート(ポルト)ワインを選んだ…

ベアトリス「…はい」

ドロシー「あいよ、分かった…ほら♪」優しげな表情を浮かべて切り子細工のワイングラスにポートワインを注いだ…

ベアトリス「ありがとうございます…」

アンジェ「それじゃあいただくわ」

ドロシー「ああ」

………

…数十分後…

ベアトリス「…でも、私はあの人と変わらないんです……もちろん姫様は「違う」とおっしゃってくれると思いますが、ですが……」

ドロシー「確かにな……でも、お前さんは立派にプリンセスをお守りしてるじゃないか」話を聞いてやりながら、さりげなくグラスにワインを注ぎ足す…

ベアトリス「……本当にそう思いますか?」

ドロシー「ああ。私がお前さんくらいの歳だった頃には、そんなこと逆立ちしたって出来なかっただろう…ってことを考えるとね。 …ところで、良かったら別のを飲まないか?」

ベアトリス「別の…ですか?」

ドロシー「ああ。なにせポートは甘いから口の中がベタベタしてな……タリスカーなんてどうだ?」

ベアトリス「タリスカー……えーと、スコッチ・ウイスキーでしたっけ…?」

アンジェ「ご名答…あなたもそういった知識が身についてきたわね」珍しく小さな笑みを浮かべた…

ベアトリス「そ、そうでしょうか…?」

ドロシー「アンジェがそう言うのなら間違いないさ……なにせこの冷血女ときたら、生まれてこのかた人を褒めたことなんてないんだからな」

ベアトリス「……て、照れますね///」

ドロシー「はははっ♪ …それはそうと、タリスカーみたいないい酒を水で割るのは失礼ってもんだ。少しだけにしておくから、ストレートでゆっくり味わうといい」

ベアトリス「分かりました、それじゃあ少しだけ……」
408 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2020/01/13(月) 01:52:18.50 ID:4qbBcAxM0
ドロシー「…タリスカーもいいが、グレンフィディックも味見してみろよ♪」

ベアトリス「はい、せっかくですものね…♪」

ドロシー「……どうだ?」

ベアトリス「私には少し辛く感じますが、喉の奥がぽーっと暖かくなって……えへへっ♪」

アンジェ「まったく、ドロシーときたらウィスキーばかりね……私ならコニャックをおすすめするわ」

ベアトリス「アンジェさんのおすすめですかぁ…気になります♪」

アンジェ「そう……なら一口どうぞ」

ベアトリス「んくっ、こくん……ふわぁ、とろっとしてて美味しいれす♪」

アンジェ「気に入ったようで良かったわ」

ドロシー「……ちょっとまて、そいつはキャビネットの奥にしまっておいたマーテルか?」

アンジェ「ええ」

ドロシー「なんてこった、せっかく隠しておいたのに…ベアトリスにだけ飲ませるなんてずるいぞ、私にも注いでくれ」

アンジェ「自分で注ぎなさい」

ドロシー「けちめ…」

ベアトリス「ぷっ…あはははっ♪」

ドロシー「……何がおかしい?」

ベアトリス「だってお二人とも…んふっ……まるで寄席の掛け合いみたいなんですもん…あははっ♪」

アンジェ「ふふふ…言われてみればそうかもね」

ドロシー「ああ、こいつは一本取られたな♪」

………

…またしばらくして…

ドロシー「で、そのときに私はこう言ってやった…「おいおい、お前さんと来たら顔だけじゃなくて頭の中までおめでたいな」って♪」

ベアトリス「あはははっ♪」

ドロシー「それでな、その時にパイがあったんだ……まぁ差し渡しで十五インチはあろうかっていうどでかいアップルパイさ」

ベアトリス「おぉ…?」

ドロシー「そのこましゃくれたご令嬢がパイをご所望になったんでね、わたくしとしましては「さようで」ってな具合でお召し上がりいただいたわけさ…顔面からな♪」

ベアトリス「あはははっ、それ……んふふっ…本当に……ひぃ、あははっ♪」

ドロシー「嘘なもんか……っと、そんなことを言ってたら、何か甘いものが欲しくなったな…」

アンジェ「…確かクリームのパイがあったわね」

ドロシー「じゃあそれにしよう…ちょっと待っててくれ」

アンジェ「…まったく、ドロシーときたら……それにしてもこの部屋は少し暑いわね」服の襟元を緩めると、ほんのりと桜色に色づいた胸元に扇で風を送る…

ベアトリス「そうですねぇ…暖炉が効き過ぎているのかもしれません……ふぅ」

ドロシー「よう、お待たせ……っと!?」片手に銀のパイ皿を持ってやって来たが不意につまずき、アンジェにパイを投げつける形になった…

アンジェ「…」胸元からカスタードをぽたぽたと垂らし、冷たい表情を浮かべている……

ドロシー「おっと、悪い悪い…わざとじゃないんだ♪」

ベアトリス「あ、アンジェさんってばクリームまみれで……ぷっ、んふふっ…あはははっ♪」

アンジェ「…覚えておきなさいよ」

ドロシー「だからわざとじゃないんだってば…それよか、せっかくのパイがもったいないな……あむっ♪」

アンジェ「……ちょっと」

ドロシー「だってさ、布巾で拭っちまったら食べられないだろ……あむっ、ぺちゃ…美味いな、これ…れろっ♪」

アンジェ「ドロシー、貴女ねぇ……ふぅ、どのみちそうするしかないようね…んむ…」胸元にこぼれたクリームを指でしゃくいあげて舐めとった…

ドロシー「ほら、ベアトリスも舐めてみろよ……甘くていい味だぞ♪」

ベアトリス「…そうですね///」
409 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2020/01/19(日) 02:17:21.14 ID:O+sxX9sv0
…しばらくして…

ドロシー「……それでな、事もあろうに尻もちをついたもんだから…」

アンジェ「…そういえば、前に誰かがいたずらで寮監の椅子にハリネズミを置いておいたことがあって……」

ベアトリス「ひー、あはははっ♪」茶目っ気たっぷりでドロシーとアンジェが話す面白おかしい話を聞いて、抱腹絶倒しているベアトリス…

アンジェ「それはそうと、ちょっと寝室に行って着替えを取ってくるわ……まったく、誰かさんのせいでクリームまみれにされたから…」

ドロシー「はて、誰だったかな?」

ベアトリス「あはははっ…もう、ドロシーさんってば♪」

ドロシー「はは、気づかれちまったか……ま、それじゃあアンジェのお着替えに付き合ってやろうぜ」

ベアトリス「そうですね♪」

…寝室…

アンジェ「…だからって私の寝室にまで来ることはないでしょうに」ベッドに腰かけ、クリームまみれになっている肌着の紐を解き始めた…

ドロシー「なぁに、お前さんが一人で着替えられないと困ると思ってね……それにしてもまだずいぶんとクリームが残ってるな♪」

ベアトリス「本当ですねぇ…」

ドロシー「ベアトリス、もったいないから舐め取ってやれよ……そらっ♪」

ベアトリス「わぷ…っ!」後ろから軽く突き飛ばされ、綺麗にアンジェの胸元に飛び込む形になったベアトリス……が、なぜかその体勢のままで反応がない…

アンジェ「……ベアトリス?」

ベアトリス「…ん、ぴちゃ…ちゅぅ……ぷは、アンジェさんのおっぱい、おいひいれす…んちゅっ、ちゅぷ♪」

アンジェ「……まったく」

ドロシー「まるで母猫の乳房に吸い付く仔猫だな」

ベアトリス「えへへぇ、だって美味しいんですもん……あむっ♪」

アンジェ「結構なことね」

ドロシー「ああ、実に結構さ……それじゃあ私もおっぱいにありつくことにしますかね…っと♪」

アンジェ「貴女みたいに性悪な雌猫はお断り」しゃぶりつこうとするドロシーの額を押さえて突き放した…

ドロシー「…おっしゃりやがったね」

ベアトリス「あはははっ、ドロシーさんったらアンジェさんに断られて……ひー、おかしくって笑いが……あははは♪」

ドロシー「……このぉ、人がけんつくを食らったって言うのに笑ったな?」

ベアトリス「ひゃぁぁぁ!? あひっ、くすぐった……あはははっ♪」

ドロシー「どうだ、このあたりがくすぐったいんだろう♪」

ベアトリス「ひぅっ、あふっ、あははは……んふっ、ひぃぃ♪」

…数分後…

ドロシー「ほぉら、どうだ……気持ちいいだろう…♪」

アンジェ「遠慮することはないわ……♪」

ベアトリス「あふっ、んあぁぁ…ふあぁ……んっ、ふわぁぁ…っ///」ベッドの上で二人に撫で回され、さっきまでとは違う嬌声を上げている…

ドロシー「ふふ、ベアトリスはここが好きなんだよな……♪」つぅ…っと脇腹を撫で上げる…

ベアトリス「ひぁぁぁ…っ♪」

アンジェ「ドロシーったら甘いわね、こっちの方が気持ちいいでしょう……ね?」腰のくびれから背筋に沿って指を走らせる…

ベアトリス「あ、あっ…どっちも気持ち……ふわぁぁぁ♪」

ドロシー「ほーん、それじゃあどっちがいいか決めてもらわなくっちゃ……な♪」

アンジェ「優柔不断は良くないものね…ふふっ♪」

ベアトリス「もう、お二人ともそんな悪い顔をして……私をどうする気なんですか…っ///」爛々とぎらついた瞳でにんまり笑みを浮かべているドロシーと、いつものポーカーフェイスとは打って変わって、爛れた悦びをむさぼり尽くそうとしているような表情を浮かべているアンジェ……そして二人の手管にはまってすっかり骨抜きにされているベアトリスは甘ったるいぞくぞくした気分になっていて、とがめるどころか、まるでねだるような口調で尋ねた…

アンジェ「さあ…♪」

ドロシー「ふふ、どうするつもりだろうな…♪」
410 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2020/01/25(土) 11:26:11.03 ID:PKETWW0D0
………

…数十分後…

ベアトリス「ふぁぁぁ…っ、あ、あぁぁ…っ♪」

ドロシー「あむっ……ちゅぅっ♪」

アンジェ「ちゅる…っ、んちゅっ♪」

ベアトリス「あぁぁ…っ、はひぃ…っ♪」

ドロシー「…そんなに甘い声を出されるとやりがいがあるってもんだな……んむっ、ちゅぅ…っ♪」

ベアトリス「ふぁぁ…っ、あぁん……っ♪」

…ドロシーには頭の上で組み合わせた状態の両手首を押さえつけられて小ぶりな乳房に吸い付かれ、アンジェには脇腹を舐め上げられているベアトリス…

ドロシー「ふふ、ここも硬くしてるのか……それにしても綺麗な桃色じゃないか♪」こりっ…♪

ベアトリス「ふわぁぁっ、どこを甘噛みしているんですかぁ…っ♪」

アンジェ「……美味しそうね、私もお相伴にあずからせてもらうわ♪」

ドロシー「いいとも…このお菓子は砂糖漬けのルバーブなんかよりもずっと甘くて気が利いてるよ♪」

ベアトリス「あ、あっ…んあぁぁっ♪」

ドロシー「ふふふ…こんなに悦んでもらえるとは嬉しいね……んむ、ちゅる…♪」舌を滑り込ませ、口中を舐め回すような口づけを交わす…

ベアトリス「んむっ…んんぅ、ちゅむ……ちゅるっ、ちゅぅ……っ///」

ドロシー「ちゅる…っ、んちゅぅ…ちゅぅぅ…っ……ちゅく…っ♪」

ベアトリス「ん、ふ……んんぅ、んぅぅ……っ///」

ドロシー「…ちゅむぅ、ちゅる……じゅるぅ…っ、んちゅ…ちゅぅ…っ♪」

ベアトリス「んちゅ、ちゅむ……ん、んんぅ…んんぅぅ…っ///」

…しばらくすると息が続かなくなってきたのか、じたばたと身をよじって身体を押さえつけているドロシーをどうにか振りほどこうとする……が、それでなくとも大柄なドロシーが格闘術を応用して押さえ込んでいるので、小柄なベアトリスではまるで振りほどくことが出来ない…

ドロシー「んむっ、じゅるぅぅ…っ…じゅるっ、ちゅぷ……ちゅるっ♪」

ベアトリス「んー、んんぅぅ……っ///」

ドロシー「……れろっ、ちゅるぅ………ちゅぅっ…ぷはぁ♪」唇が離れるととろりと銀色の糸が垂れ、ベアトリスの鎖骨に滴った…

ベアトリス「はー、はー…はぁぁ……っ/// も、もう……窒息…するかと思った……じゃないですか…ぁ///」

ドロシー「そういう割にはまんざらでもない顔をしているぞ…♪」

ベアトリス「…っ///」

ドロシー「ふふ、そういうところがたまらないんだよ…な♪」くちゅ…っ♪

ベアトリス「ふわぁぁぁ…っ♪」

アンジェ「その気持ちは分かるわ……見ているだけで滅茶苦茶にしたくなってくるのよ…ね♪」ちゅぷっ…♪

ベアトリス「…あっ、あぁぁぁん…っ♪」

ドロシー「おまけにあどけない顔をしておきながら、ここはこんなにとろっとろにして……ふふ、悪い娘だなぁ♪」くちゅ…っ♪

ベアトリス「ひゃぁぁんっ、あふっ…んあぁっ///」

アンジェ「そうね、そんな悪い娘にはお仕置きをしてあげないといけないわ…ね♪」くちゅっ、つぷ…っ♪

ベアトリス「えっ…ちょっとまってくだ……ふぁぁぁんっ♪」

ドロシー「ひくひく跳ねて、まるで釣り上げた魚みたいだな……私も混ぜてもらうぞ♪」ぬちゅっ、くちゅり…♪

ベアトリス「ひぁぁん…ふわぁ///」とろ…っ♪

アンジェ「ふふ…ドロシーの言う通りね。きゅうっと締め付けてきて、とろとろで……こんなふうにされたかったのね♪」くちゅくちゅ…っ♪

ベアトリス「ふわぁぁぁ…っ♪」
411 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2020/02/03(月) 03:14:38.54 ID:VPUPDOvq0
ドロシー「あ、そうだ……なぁアンジェ」

アンジェ「なに?」

ドロシー「せっかくなんだから、私とお前さんのどっちがベアトリスをイかせられるか勝負しようぜ? で、負けたら勝った方の言うことを聞く…っていうのはどうだ?」

アンジェ「なるほど、面白そうね……まぁ、貴女に勝ち目はないでしょうけれど」

ドロシー「おいおい、そんなことはないだろ…」くちゅくちゅっ…ぬちゅっ♪

ベアトリス「…はぁ…はぁっ……ふぁ…ぁ///」

ドロシー「それでだ…ベアトリス、お前さんも是非やりたいよな……よーし、そうだよな♪」

ベアトリス「はぁ…ふぅ……ふぇ…っ?」手触りの良いシルクのリボンで目隠しをされ、同じくリボンでひとくくりにされた手首をベッドの柱に繋がれた…

ドロシー「とはいえ…勝負も何も、もうすっかりびしょびしょだけどな♪」くちゅ、くちゅくちゅぅ…っ♪

ベアトリス「ふぁぁ…っ、あっ、あぁぁ……っ♪」

ドロシー「……ふふ、でもこれだけじゃあ物足りないよ……な♪」いたずらっぽく人差し指を唇に当てて「黙っていろ」とアンジェに向けて合図をし、それから笑みを浮かべてウィンクした…

アンジェ「ええ、そのようね」

ドロシー「それじゃあ……せーのっ♪」じゅぷっ、ぐちゅぐちゅぅ…っ♪

ベアトリス「えっ、何をす…あぁ゛ぁぁっ♪」

ドロシー「…ほぉら、どうだ……すっかり濡れそぼってるから二本でもたやすく入るじゃないか♪」

ベアトリス「い、言わないでくだ……ふわぁぁ、あぁっ♪」とぽっ、とろっ……ぷしゃぁぁ…っ♪

ドロシー「ふふふ、そういう初々しいところがたまらないんだよ…な♪」つぷっ…くちゅり♪

アンジェ「ええ」

ベアトリス「ふあぁぁぁ…っ♪」まるで走り終えた犬のように舌をだらりと垂らし、髪を乱して荒い息をしている……白い肌はすっかり紅潮して、冬場だというのに汗ばんでしっとりしている…

…しばらくして…

ドロシー「よし、それじゃあ交替だ…♪」ぱちんと指を鳴らし、アンジェに場所を空けた…

アンジェ「そう……分かったわ」

ベアトリス「ふぁぁ……ぜぇ、はぁ…///」下半身をべとべとにして、息も絶え絶えのベアトリス…

アンジェ「ふふ…♪」急に髪をほどくとベアトリスの耳元に顔を寄せ、脚を絡めた…

ベアトリス「はぁ…ふぅ……んっ、んんぅっ///」くちゅっ、ちゅぷ…っ♪

アンジェ「…あむっ、ちゅぅ…っ♪」ベアトリスの小ぶりな胸に舌を這わせ、硬くなった桜色の先端を甘噛みする……

ベアトリス「んぁぁ、あふっ♪」

アンジェ「んむっ、ちゅ……ベアト…♪」耳元でプリンセスの声色を使ってささやき、耳を舐めた…

ベアトリス「ひ、姫様ぁ……んあぁぁぁっ♪」

アンジェ「…ベアト……こんなに乱れて…いけない娘ね……でも、とても可愛いわ♪」ぢゅぷ…っ♪

ベアトリス「ふあぁぁぁっ…そんなこと言われたらぁ……っ♪」がくがくっ…♪

アンジェ「……いいのよ、わたくしにベアトのいやらしい所…見せてちょうだい?」

ベアトリス「はひぃぃっ、ひめさまぁ……ひく゛ぅっ、イきますぅ…っ♪」ぷしゃぁ…あぁぁっ♪

アンジェ「…ね、ベアト……もっと♪」ぐちゅぐちゅ…ちゅぷ…っ♪

ベアトリス「ふわぁぁぁ…っ♪」

アンジェ「もっと…好きよ、ベアト♪」

ベアトリス「はひぃ、ひぐぅぅぅ…っ♪」粘っこい蜜をとろりと垂らしのけぞるようにして果てると、疲れたのかそのまま失神したように寝入ってしまった…

アンジェ「……どうやら私の勝ちみたいね」

ドロシー「こいつ、反則技でもって来やがったな…」

アンジェ「ルールに決めておかない貴女が悪いのよ……ふふ♪」小さく笑うと、そっとベアトリスの頭を撫でた…

………

412 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2020/02/05(水) 02:30:08.88 ID:Ni9LhQop0
…数日後・ハイドパーク…

L「よく来たな…まぁ掛けろ」

ドロシー「……それにしても、あんたが直々にお出ましとはね」

L「うむ」

ドロシー「…それで?」

L「報告書と例の削りくずが入った「小瓶」は受け取った……ご苦労だった」

ドロシー「ああ」

L「今回の件では首尾良く片付けることが出来たようだな…おかげで「海峡の向こう側」にいる連中の勢いも削ぐことが出来た」

ドロシー「そいつは良かったな……ところで」

L「なんだ?」

ドロシー「…一体どういうつもりなんだ?」

L「……と、言うと?」

ドロシー「私の時もそうだったが、まるで示し合わせたように以前の家族だの似たような境遇の人間だのをかち合わせるって言うのはどういうわけだ…って言ってるんだ」

L「そのことか」

ドロシー「あぁ、そうだ……特に私なんかと違って「ミス・B(ベアトリス)」は繊細で感じやすいタイプなんだ。もう少し「配慮」ってものがあっても良いんじゃないのか」

L「……そういったことで動揺するような人間ではいざというときに使い物にならんな」

ドロシー「奴はこっちと違って玄人じゃない。それでいて「チェンジリング」には欠かせない役者の一人だ、手心を加えて上手く御する必要があるのは分かっているだろうが……奴さんを「治療」するのも楽じゃないんだぞ」

L「分かっている…ただ、今回の件ではこちらもギリギリまで例の「蛾」の正体が掴めていなかったのだ。決して意図して行ったわけではない」

ドロシー「…」

L「……確かに君の言うとおり「ミス・B」にとってはいささか後味の悪い結末だったかもしれん。しかし「黒雲はいつも銀の裏地を持っている」という言葉もある」(※Every cloud has a silver lining…「必ずしも不幸ばかりではない」の意)

ドロシー「なるほど。誰かにとっては不幸でも、必ずしも悪い面ばかりではない…か?」

L「いかにも……特に今回の件でこちらが王国や他国の「同業者」に対して一枚上手であることを示すことが出来たのは大きい」

ドロシー「そうかよ」

L「…君が不愉快に思う気持ちは分かる。しかし誰かがやらねばならんことなのだ」

ドロシー「つまり貧乏くじを引いちまったってわけか…やれやれだな」

L「お互いに立場がよく理解できたようだな……それとだ」

ドロシー「うん?」

L「今回の事があってロンドンは波立っている…影響を被ることがないよう、しばらく君たちは動かさずにおく予定だ。その間に休養でも取るといい」

ドロシー「そりゃどうも」

L「なに、遅ればせながらのクリスマス・プレゼントだよ……楽しむといい」

ドロシー「ああ、そうさせてもらうよ」そう言ってベンチから立ち上がりかけた…

L「…そういえばもう一つ」

ドロシー「なんだ?」

L「ミス・Bをどうやって「治療」したのだ?」

ドロシー「…ベッドでこってりと甘い時間を過ごさせてやった」

L「なるほど……詳しいところは今度「7」に聞かせてやるといい、きっと喜ぶだろう」

ドロシー「ああ、そうするよ」

………



413 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2020/02/05(水) 02:36:55.41 ID:Ni9LhQop0
…と言うわけで、ようやく終わらせる事が出来ました……途中で長く間隔を空けてしまったせいで、どう書くつもりだったのか忘れてしまったりしましたが、どうにかまとめることができました…


また、次のエピソードでは以前リクエストでいただいた「007」的なアクション性の高いものを書こうと思っています
414 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2020/02/14(金) 02:48:46.28 ID:Te4x2yJR0
…case・プリンセス×アンジェ「The her majesty agent」(女王陛下の情報部員)…

…とある日…

ベアトリス「今日はいいお天気ですね」

ドロシー「ああ…しかしこう暖かいと眠くなってくるな」

アンジェ「たるんでいるわね」

ドロシー「そう言うな……美味い昼食にブランデーを垂らした紅茶、おまけにこの陽気と来りゃあな」

プリンセス「分かります。このところ寒い日が続いていましたからなおの事」

ドロシー「ほら見ろ…だいたい蜥蜴のくせに寒さが平気って言うのはおかしいだろ」

アンジェ「そういう種類よ」

ドロシー「そうかよ…しかしまぁ、ここでうかつに昼寝なんてした日にはどこぞの冷血女に何をされるか分からないからな……というわけで、何かいい案はあるか?」

ベアトリス「…え、私ですか?」

ドロシー「他に誰がいるんだ? ほら、頭の体操だと思ってさっと気の利いた考えを出してみろ」

ベアトリス「えーと……それじゃあ、何かお話をするのはいかがでしょう?」

ドロシー「なるほど、お話ねぇ…なんだかお前さんがいうと「おとぎ話を聞かせてくれ」ってせがむ子供みたいだな♪」

ベアトリス「むぅ、いくら何でもそこまで子供じゃありませんよ」

ドロシー「冗談だよ……そうだな、それじゃあこの世界向けのおとぎ話でもしてやるか。こいつはとある王国エージェントの話なんだが…」

プリンセス「王国の、ですか?」

ドロシー「ああ…もちろん今じゃこっちの資料にまで載っているくらいの有名人になっちまったから工作に使われる事もなくなったようだが、その当時は「英国情報部の紅はこべ」だの「王国一有名な情報部員」とか何とか言われて、ずいぶん話題になった奴なのさ」


(※紅はこべ(The scarlet pimpernel)…ハンガリー出身の英国女流作家、バロネス・オルツィがフランス革命直後のイギリスとフランスを舞台に書いたスパイ活劇の名作。血なまぐさく暴力的な革命政府によってギロチンにかけられる運命にあるフランス貴族たちを鮮やかな手段で救い出す謎の秘密組織「紅はこべ」と、民衆には同情しているものの革命政府の過激なやり方には賛同できないでいる穏健な共和主義者で、フランスに残っていた最愛の兄アルマンを革命政府の人質に取られ「紅はこべ」の正体を探るよう迫られる賢く美しい元女優のフランス人マルグリート、その夫で流行にしか興味がないぼんやりしたイギリス貴族のパーシー・ブレイクニー卿、裏でマルグリートを脅迫しイギリスでの諜報活動を行っているフランス大使ショーヴランの駆け引きや冒険を描いた傑作……実際には二十世紀に入った1905年に発表されている)


ベアトリス「へえ…面白そうなお話ですね」

ドロシー「まぁな……」

………



…十数年前・ロンドン…

中年の紳士「おはよう」

若い女性「おはようございます、部長……一つお聞きしたいのですが、二週間の休暇を二日で切り上げて来なければならないような一大事なんでしょうね?」

…そう言うと若い女性は人なつっこい笑みを浮かべた……着ているデイドレスは身体に合っていてセンスも良く、携えている小物も一流のものばかりで非の打ち所がない……おどけた調子で大きな婦人帽を「ぽんっ」と放ると、綺麗な放物線を描いてコート掛けに引っかかった…

情報部長「そうだな、君が対応に誤ればそうなるかもしれん…と言ったところかな」

女性「そうですか」

部長「ま、とにかく詳細を説明しよう…かけたまえ」

女性「どうも」

部長「紅茶は?」

女性「いただきましょう」

部長「ミルクと砂糖はいらなかったね」

女性「ええ……あら、セイロンのファースト・フラッシュですか。今年は出来がいいですね」

部長「相変わらずだな…だがね、私は別に紅茶の味見をして欲しくて呼んだわけではないのだよ」

女性「でしょうね……どこかの公爵夫人が飼っているペルシャ猫でも迷子になりましたか?」

部長「いいや…ペルシャ猫より少しばかり大事なシロモノだ」

女性「そうですか?」

部長「ああ、実はな……」

………

415 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2020/02/15(土) 03:14:46.01 ID:srooMoxs0
…数日前…

目立たない男(情報部エージェント)「ああ、君…すまないが馬車を呼んでくれないか」

ホテルのボーイ「はい、分かりました」

エージェント「頼んだよ」

ボーイ「…お客様、馬車が着きましてございます」

エージェント「ありがとう」そう言って馬車に乗り込んだ…

………



部長「…足取りがつかめているのはここまでで、それ以降は行方不明だ」

女性「なるほど…それで、その職員は何を運んでいたのです?」

部長「うむ。彼は高純度のケイバーライトに関する研究資料と試作品のサンプルを運ぶ役割を担っていてな、オックスフォードからロンドンに届ける予定だったのだ……そして、だ」

女性「そして?」

部長「…つい六時間ばかり前になるが、こんなものが届けられた……ちなみに、宛名は適切な組織の適切な相手になっていたことも付け加えておこう」

女性「つまり、こちらの事情に詳しい人間……と言うことですね?」

部長「いかにも」

女性「なるほど、では拝見させてもらいます「…一週間後の夕方五時までに純金で百万ポンドを支払えば入手した資料はお返しするが、そうでない場合はこの情報を国際市場で売りに出すつもりなのでご一考下さい……ファントム(幽霊)より」ですか」

部長「うむ……近頃の革命騒ぎと東西の分断でもアルビオンの覇権が揺らがないでいるのは、まさにケイバーライト技術の独占によるものに他ならん…もしこれが他国に流出するようなことがあれば、我が国はたちまち列強の餌食になってしまうだろう」

女性「それを見越した上での強請り(ゆすり)と言うわけですね」

部長「さよう。もちろんこちらとしても様々な角度から犯人の要求を検証してみた……が、この「幽霊」の言うとおりに百万ポンドを払ったところで、目的のものが無事に帰って来るという保証はない」

女性「百万をせしめた上で他国に技術を売り払うつもり…ですか」

部長「いかにも…百万ポンドと言えばちょっとした国の国家予算にも匹敵するが、ケイバーライト技術の価値……ひいては世界の覇権を握ることを考えると見積もりが安すぎる」

女性「つまり同じ商品で何度も儲ける腹づもりだ、と…どうやらこの「幽霊」はなかなかのしたたか者のようですね」

部長「そういうことだ……さて、君に与える任務は二つ。一つは行方不明になった部員を捜索し、奪われた研究資料を奪回すること…」

女性「ええ」

部長「…そして第二に、この「ファントム」の正体を突き止め、ケイバーライトについておしゃべり出来ないよう「静か」にさせること……この任務の遂行に必要なら、いかなる犠牲を払っても構わん」

女性「なるほど…予算も人材も使い放題、と言うわけですね?」

部長「そうだ。必要なら内務大臣の乏しい髪の毛をむしり取ろうが、女王陛下の王冠から宝石をほじくり出そうが構わない…ただし、指定された刻限までには必ず完了させろ」

女性「分かりました」

部長「…当然ながら、噂を聞きつけた各国の「同業者」たちもこれを狙っているはずだ……共和国の連中とカエル(フランス人)どもは当然として、プロイセン、ロシア、イタリア……新大陸の連中が参加してくる事もありうる」

女性「にぎやかになりそうですね」

部長「うむ……それから、当座の役に立ちそうなものをこちらでいくつか準備しておいた。持って行きたまえ」

女性「ご親切痛み入ります…まずは現金二百ポンドに一千フラン、それと……」仰々しい紙に書いてある文面をさっと読み通した…

部長「見ての通り、女王陛下の署名入り委任状だ…「この書状を持つ者は女王の命の下にその責務を遂行する者であり、その身分はアルビオン王室が保証する。また、この書状を持つ者に最大限の協力をするよう要請する」とな」

女性「なるほど…」

部長「武器に関してはバーナードのところで選んでいきたまえ……幸運を祈るぞ」

女性「どうやらそれが一番必要になりそうですものね…♪」

416 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2020/02/18(火) 02:59:46.09 ID:IvTdmkWf0
…地下室…

女性「……モーニン、教授(プロフェッサー)」


…女性がやって来た場所はレンガ造りの広い地下室で、室内のあちこちでは様々な道具や機材が組み立て中であったり、部品ごとに分解されていたりする……彼女が「教授」と呼びかけた相手は初老の紳士で、豊かな白髪をきちんと撫でつけ、いまにも鼻の頭からずり落ちそうな小さなレンズの丸眼鏡をかけている…


教授「うむ、おはよう……君は休暇じゃなかったのかね?」

女性「それが、おかげさまで取り消しになりまして…休めたのは一日だけですわ」

教授「おやおや」

女性「…ところで、部長からここで道具を受け取るよう言われてきたのですが」

教授「ああ、聞いておるとも「ナンバー017」…なにしろ君は上得意だからね」教授はわざわざ数字を「ゼロ・ワン・セブン」と区切って呼んだ…

017「ふふ…ジョアンナで結構ですわ、教授」

教授「承知したよ、ジョアンナ君…さて、それでは……」途端に後ろで鉄工所のような轟音が始まった……よく見ると隅っこにあるスクラップの山は半壊したモーリス乗用車のなれの果てで、風刺漫画に「最先端の発明品」などと題をつけて描かれているポンコツか、食べ終わったイワシの缶詰のようにへしゃげている…

017「……あれは?」

教授「前の任務でジェレミー君とハモンド君が使った車だよ…まったく、あの二人ときたら孫の代になってもあんな風に車を壊すに違いない」

017「そうかもしれませんね…」

教授「まあいい、本題に入ろう……何しろ君のために色々と用意したのだからね」…音が静かになるのを待ってから、様々なものが並べてあるテーブルにジョアンナを案内した

017「ええ」

教授「さて…どれから始めるかね?」

017「そう……ではこの日傘(パラソル)からお願いします」

教授「ほほう、相変わらず目が高いね…この日傘はなかなかの優れものだよ?」

017「ええ、何しろ色合いがいいですから……この時期に着るドレスとも合わせやすそうです」

教授「重要なのはそこではないよ、ジョアンナ君…まずは持ってみたまえ」

017「はい……意外と重いですね?」

教授「うむ、何しろ柄には良質なハーヴェイ鋼を使っているからな…ナイフ程度なら充分受け止めることが出来るだろう」

017「なるほど」

教授「それから握りを左にひねると、傘の石突き(先端)から刃が出てくる……毒が塗ってあるから触らんように」

017「…うっかり足の甲に突き立てないよう気をつけます」

教授「ぜひそうしたまえ……今度は右に九十度ひねって手前に引き、動かなくなったら今度は左に回していく…すると握りが取れて柄の中にある空洞が出てくる。機密書類などを隠すのに使えるはずだ」

017「どこかの夫人からいただいた恋文でもいいかもしれませんね♪」

教授「こほん…君の火遊びのために作ったわけではないのだぞ?」

017「これは失礼」

教授「…火遊びついでに言っておくと、この日傘の布地には特殊な難燃性の液体を染みこませてある……多少の火なら、かざして盾にすることで火傷をせずにすむだろう」

017「その機能を試す機会がないことを祈ります」

教授「私もそう思うよ……傘の「骨」には細い金属の線が仕込んであるが、しなやかで折れにくいからキーピックとしても使える」

017「まぁまぁ…今度レディの寝室にお邪魔するときにでも有効活用させてもらいます♪」

教授「……お次はこれだ」

017「万年筆、ですか?」

教授「一見するとそうだろうな。しかし真ん中からひねると……どうだね?」軸の部分を中心に半分になり、細いスティレットが出てきた…

017「まぁ…「ペンは剣よりも強し」とはいうものの、まさか両立させるとは思いませんでした」

教授「うむ……これこそまさに「ペンナイフ」と言うわけでな」そう言うと小さくウィンクをした…

017「ふふ…♪」

教授「しかもこの「ペンナイフ」は優れものでな……」

017「…ふむふむ?」
417 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2020/02/24(月) 01:58:27.48 ID:gyHnrrGl0
教授「なんと、ペンとしてもちゃんと使うことが出来るのだ」

017「あー……もう一度お願いできますか?」

教授「聞こえが遠くなる年齢を迎えるには早すぎやせんかね……この「ペンナイフ」はちゃんと万年筆としても使えるのだ」

017「そうですか…てっきり最初から両立出来ているものと思っておりましたが」

教授「とんでもない。この大きさに万年筆とナイフの機能を組み込むのがどれだけ大変だったことか…半年はかかったのだぞ」

017「ナイフで敵を、恋文でご婦人のハートを一突き……というわけですね♪」

教授「そういう考えもあるかもしれんな……これはコンパクト(手鏡)だが、こうやってひねると…」

017「あら、外れた」

教授「さよう。見ての通り二枚貝のように口を開くようになっていて、間には薄いメモや書類を隠すことが出来る……また、鏡自体を特定の角度に開いた状態で、ここにあるハンカチの刺繍と手鏡の印を合わせてをセットすると……見たまえ」

017「ロンドンの地図…ですか」

教授「いかにも……味方のセーフハウス(隠れ家)や連絡員のいる施設が分かるようになっておる」

017「なるほど…」

教授「それと化粧品のいくつかには特殊な効果をつけておいた……例えばこの白粉と琥珀色の小瓶に入った香水と混ぜ合わせ、相手に摂取させると自白剤になる…間違えて一緒に使わんように」

017「そうします」

教授「それから、この緑色の小瓶に入った香水は睡眠効果がある……吹き付ければ数分で眠気が回るぞ」

017「まぁ…ふふ♪」

教授「何か悪いことを企んでいるんじゃあるまいな、ジョアンナ君?」

017「いえいえ、そんな滅相もない」

教授「そうかね……この小さな桃色の香水瓶には惚れ薬が入っておる…君には必要ないだろうがね」

017「お褒めにあずかり恐縮です♪」

教授「…化粧品の入った小箱には二重底がしつらえてあるが、この部分に彫り込まれているバラ模様を軽く押してから引っ張らないと開かない仕掛けになっておる……ここに入っている白い粉薬は遅効性の猛毒なので、必要なときは相手の飲み物や食べ物に混ぜ、あとは知らん顔をしておればよい」

017「銀は黒ずみませんか?」

教授「もちろんそんなことはありはせんよ……味もしないから安心したまえ」

017「……味見をしたのですか?」

教授「もちろん解毒剤を飲んでから、だがね……解毒剤はこっちの薄黄色をした粉薬だ。意識を無くすまでに飲めば助かる」

017「それを聞いて安心しました」

教授「よろしい…さてさて、お次は葉巻入れが一つ」綺麗な黒檀で出来たしゃれたケースを指し示した…

017「…私は葉巻をたしなみませんが?」

教授「知っておるよ……この葉巻はちょっとした睡眠薬を染ませておって、だいたい一本が燃え尽きる頃には室内の人間が眠りについてしまうはずだ…むろん、口元でスパスパやっておればより早く回るわけだが」

017「でしょうね」

教授「葉巻入れの箱そのものは上げ底にしてあって、隙間にはちょっとした量の爆薬を詰めてある…内張りの生地は導火線になっておるから、ほつれを引っ張るようにしてほどいていき、好みの長さになったら火をつければよい……十秒の目安ごとに赤のより糸が縫い込んである」

017「…うっかり灰でも落とそうものなら大変な事になりますね……」

教授「そうならんようにな……さて、次は君の好きそうなものだ…」

017「きれいなご婦人ですか?」

教授「それは君の方が上手に調達できるだろう……宝石とドレスだよ」

017「なるほど…上等なシャンパンと同じくらい好きですわ♪」

教授「結構。まずは見ての通りダイヤモンドの指輪だ……ガラスやなにかに切り込みを入れるのに役立つはずだ」

017「ええ」

教授「お次は金の指輪が二つ…非常時の工作資金にも使えるし、見ての通り内側には暗号で刻印が入れてある……しかるべき人間が見れば、君に便宜を図ってくれるだろう」

017「大きさもちょうどです」

教授「それはよかった。もっとも、サイズごとに用意してあるから指に合わなければ交換するがね……この真珠のネックレスは鎖に弱い部分を作ってあり、パーティや何かでちょっとした騒ぎを起こしたい時に引っ張るとちぎれて真珠が飛び散る…目くらましにしては高価な日本産の真珠だから、使いどころはわきまえてくれたまえ」

017「もちろんですわ」
418 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2020/02/28(金) 02:26:51.60 ID:kIhT6LXs0
教授「…では、着る物の説明に移ろうか……コルセットの「骨」も日傘と同じく細い金属線で出来ておるが、中の一本…この部分の骨だが…は、表面を梨地(なしじ)に仕上げてある……ロープや何かを切りたいとき、ヤスリ代わりに使えるだろう」

017「なるほど」

教授「ドレスはフランスから生地を取り寄せて仕立てたものだ…どうだね?」マネキンに着せてあるドレスをさっとひと撫でして、抱き上げるように生地を持ち上げてみせた

017「実にいいですわね」


…クリーム色の生地に淡いモスグリーンと山吹色、薄い桃色でボタニカル(植物)柄を散らし、襟元や裾にアクセントとしてアルビオンはホニトンで産する高級レースをあしらった洒落たドレス……スカート部分はたっぷりと生地が使われているが動きやすいように作ってあり、胸元を見せる襟ぐりはデザインが優れているため、なかなか大胆ながらも上品に見える…


部長「……そう言ってくれて何よりだ、017」

017「あら、部長」

教授「長官、ようこそいらっしゃいました……ジョアンナ君、きみは相変わらず長官の事を「部長」呼ばわりしているのかね?」

017「ええ。何しろ私がナンバーをもらってからこのかた、部長は「部長」でしたから…♪」

部長「聞いての通りだ…ところで装備品の説明はすんだのかね、教授?」

教授「もう少しかかります……胸元や袖口、腰回りの裏地にはちょっとした「かくし」(ポケット)をしつらえてある…敵方から何かスリ取ったりした場合に、手早くしまうことが出来るだろう」

017「なるほど」

教授「一番大きくて丈夫なかくしは、生地がドレープ(ひだ)になっている腰の部分に設けてある……3インチ銃身のリボルバーなら隠せるサイズに作っておいた」

017「私好みの位置ですわ」

教授「そう言ってくれると思っておった……靴の生地には絹を使っておるが、甲には薄い鉄板が仕込んである…踏みつけられたり蹴り上げたりするときには重宝するだろう」

017「これなら舞踏会でダンスの下手な相手にあたっても大丈夫ですわね」

教授「かもしれん……ヒールは少しでも動きやすいよう、デザインでごまかして1インチの高さに抑えてある」

017「助かります」

教授「さてさて…いよいよ武器の方に入ろうか」紅いビロードの生地を敷き詰めた陳列ケースに近寄ると、蓋を開ける…

017「楽しみに待っておりましたわ…♪」にっこりと微笑を浮かべると頬に指をあて、まるで宝石を品定めするレディのようにケースを眺めた…と、部長が声をあげた……

部長「……教授、今回は少なくとも.297口径以上のピストルを持たせてやってくれ。今までのように.230口径のトランター・リボルバーだの、それよりももっと小さい玩具のようなリボルバーを選ばれては困る」

教授「はい、分かりました」

017「部長、お言葉ですが私は…!」

部長「手が小さいし反動の大きな銃は嫌いだ、と言いたいのだろう…だが、今回の任務は「パーティを抜けだして書斎からちょっと書類を拝借する」ような任務ではない……ちゃんと威力のあるピストルを持って行け」

017「しかし、女の私が大型ピストルなんて持っていたらその方がおかしいですわ」

部長「なにも私は象狩りに使う大砲のような銃を持って行けと言っているわけではない…女性の護身用としておかしくない程度のピストルを持って行け…と言っておるのだ……教授、何かいいのはあるか?」

教授「もちろんですとも…例えば.297トランター・リボルバーや.320口径の「ブル・ドッグ」タイプのリボルバー……いつも通りウェブリーにしておくかね?」(※ブル・ドッグ…特定のメーカーやモデルではなく、短銃身のピストルを総称していう。アメリカでは「スナブノーズ」)

017「ええ、こうなったら仕方ないですわ……」

教授「よければ「ウェブリー・フォスベリー」オートマティック・リボルバーのような変わり種もあるが、どうだね?」

017「ご冗談でしょう…あんな珍品を使いこなすようなエージェントがいるとしたらよっぽどの変人か、さもなければ月世界からやって来た人間くらいですわ」

教授「おやおや、ずいぶんと手厳しいね……それじゃあこれでどうかな?」

017「ウェブリーの小型リボルバー…口径は.297ですか」

教授「いかにも……これなら自衛用としてレディが持っていてもおかしくないし、きれいな装飾も施してあるからそれらしく見えるはずだ」

017「そうですね、金象眼に象牙の握り……私の好みから言うと少々飾り気がありすぎますけれど、これなら我慢出来ますわ」

教授「それは何より…それと弾薬はこれを持って行きたまえ」

017「…これは?」

教授「見ためは変わらんが新式の弾薬だよ……同じ黒色火薬でも燃焼のムラが少なく、銃身に燃えかすが残りにくいものでな」

部長「国内ではまだ流通しておらん、ぜひ役立ててくれたまえ」

017「…ありがとうございます」

419 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2020/03/05(木) 04:20:41.82 ID:1c1u9xVg0
教授「それから様々な書類を用意しておいた……例えば「ホワイトフェザー」を始めとする婦人専用の「高級社交クラブ」の会員証に、数人の貴族夫人から受け取ったポーカーやティーパーティのお誘いが書かれた手紙……スコットランドや西インド諸島で過ごしていた事を示す旅券なども用意しておいた…」

017「そういったこまごました手紙や書類があると「カバー」(偽装)に信憑性が増しますから……とても役に立ちますわ」

教授「そう言ってくれると思っておったよ……さらにこれらはいずれも実際の用紙に実物と同じ道具で記載した「本物」の偽造書類だから、誰かに見せたとしても疑われることはないだろう…まぁ、ないものと言えば「君の本当の肩書き」を示す身分証くらいなものかな」

017「ふふふ…♪」

教授「…さて、これで一通りの装備が整ったわけだ」

017「それにしても至れり尽くせりですわね……いつもながら教授を始めとするびっくりどっきり…いえ、「装備品開発課」の奔放な想像力には頭が下がります」

教授「お褒めいただき光栄だよ、ジョアンナ君」

部長「…それだけ今回の件は重要視されていると言うことだ。忘れるなよ、017」

017「ええ」

部長「……それとだ、教授に頼んで送りつけられてきた「例の手紙」について調べてもらった…説明を頼む」

教授「はい……えー、まずこの「ブラックメール・レター」(脅迫状)を書いた人物は、かなりの高等教育を受けた人物であると思われます。筆跡も丁寧ですし単語のスペルにもミスは見られず、それなりの身分がある人物でしょう…」

017「それだけでは対象となる人物が多すぎますわ」

教授「まぁ待ちたまえ……この手紙に使われている紙を書類担当に調べてもらったところ、面白い事実が判明したのだ」

017「面白い事実?」

教授「いかにも。この手紙の送り主はホテルに備え付けの便せんでこの手紙を送ってきたようなのだが、上部に型押しされているホテルの紋章部分は切り取られていた……」

017「それでは何にもなりませんわ」

教授「ところがそれが違うのだよ、ジョアンナ君」

017「そうですか?」

教授「うむ……この紙をこちらにあるサンプルと比較してみたところ、ロンドン中心部にあるホテル「キング・エドワード」の物と判明したのだ」

部長「…さらに言えば、行方不明になった部員は「キング・エドワード」からほど近い場所で消息を絶っている」

017「では「キング・エドワード」を調べれば…」

部長「……何らかの手がかりがつかめるはずだ」

017「分かりました」

教授「こほん…まだ話は終わっておらんよ、ジョアンナ君」

017「これは失礼…♪」

教授「さらに気になることが一つ……この手紙が入っていた封筒の裏に、少しだけ封蝋の跡が付いていた…おそらく別な封筒を下に置いた状態でペンを走らせたのだろうね…」

017「それで、その封蝋はどこのものです?」

教授「それが面白いのだ……封蝋の跡を調べたところ、押されていたのは「クック旅行社」のものだと判明した」

017「…せしめた百万ポンドで世界旅行にでも行くつもりなのかしら?」

部長「それよりも、この「ファントム」が高飛びに使うつもりで資料を取り寄せた可能性が高いと見ている……いずれにせよ、これもなんらかの手がかりになるかもしれん」

017「そうですね…とにかく私は「ホテル・エドワード」に宿泊して、情報収集にあたります」

部長「頼んだぞ……こちらからも連絡員を一人派遣して、君の手伝いをさせる予定だ」

017「感謝します。では、他になければこれで……」

部長「…いや、あと一つある」