【リョナ注意】緑輝「歯形祭り。」葉月「はっ?」【響け!ユーフォニアム】

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156 :154/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:46:30.72 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「あは♪」


 なにかに触れた。舌で押すと動く。
 ああ、これは小陰唇に違いない。舐め回す。


麗奈 「ああん、ちょっと待って、位置を調整するから。」


 そう言うと高坂さんは、頭を支えている手の場所を変えたり、上半身の傾きを少し試行錯誤した。そのあいだも私はせっせと舌を動かして、一番敏感な部分を探り続けた。


麗奈 「置いちゃおうか。」


 最終的に、私の首は切断面を接地する形で、石畳に置かれた。そして、高坂さんは下半身の位置を微調整すると、上半身を石畳に横たえた。


麗奈 「うん、いい感じ。」


 高坂さんはそう独り言ちると、自由になった両手で、上半身の愛撫を始めた。


麗奈 「あん。」


 負けていられない。私は、高坂さんの上半身を眺めながら、陰核を重点的に攻め始めた。


麗奈 「ああん、久美子、そこ気持ちいい……。」
157 :155/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:46:59.94 ID:j7V3WS/C0
久美子(ここ? ここなの?)


 舌に力が入る。


麗奈 「そお、そこお……。」


久美子(やった。私の舌でいっちゃえ。)


麗奈 「いい……。気持ちいい……。」


久美子(ほらほらあ♪)


麗奈 「ああん!」


久美子(ひひひ♪)


 高坂さんが、快楽の淵へと足を踏み入れてゆく。


麗奈 「あ……。ああ……。」


 その悦びの声が眷族の私を酔わせるのか、頭がぼんやりとしてくる。気持ちいい……。


麗奈 「んん……。」
158 :156/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:47:29.95 ID:j7V3WS/C0
久美子(ほら、ここがいいんでしょ? ……ほれほれ♪)


麗奈 「そんな……。」


久美子(私が、い、か、せ、て、上、げ、る♪)


麗奈 「んっ! ああ……。」


 高坂さんは今どんな表情をしているのだろう。顔は見えないけれど、自らの肉体をまさぐるその手付きと、色気を増していく嬌声からは、行為に没入して、どんどんと高まっている事が、明らかである様に思えた。


麗奈 「ああん……。もお駄目……。」


 私は、御主人様を悦ばせている。
 最高の気分だった。
 だのに――


麗奈 「あっ、滝せんせえ、そこ……。」


久美子(あ?)


 一気に目が覚めた。
 代わりに、怒りが沸いて来る。
159 :157/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:47:59.80 ID:j7V3WS/C0
久美子(あの野郎! ……殺す! 絶対殺す! ……あ、そうか。)


 単純な事に気付いた。


麗奈 「んっ。」


久美子(殺せばいいんだ。)


麗奈 「あん……。気持ち、いい……。」


 いくら相手が背の高い男の人と雖も、私は不死身の肉体を持つ吸血鬼なのだ。
 思わず、笑みがこぼれる。


久美子(絶対勝てる。……あは♪)


麗奈 「あ……あ……。」


 高坂さんにばれたら嫌われてしまうだろうから、こっそりと、上手くやらなければならない。
 しかしながら、高坂さんを惑わすあの下劣な存在を消し去れば、もう、この世界に邪魔をする者は誰も居ないのだ。私は、御主人様の愛を独占出来るのだ。なんと素晴らしい事だろう。


久美子(最高……。)


 再び、気分が良くなって来る。
160 :158/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:48:30.46 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「んっ……そこ凄い……。」


久美子(高坂さん、ずっと一緒だよ……。)


 私の目前には、あらまほしき未来が待っている。
 とてもよい気分だ。


久美子(ほら、高坂さん、気持ちいい?)


麗奈 「んあ……。」


久美子(高坂さん、高坂さんの……あ、「麗奈」だった。)


 急に思い出した。
 あはは、いけないいけない。「麗奈」って言わないと怒られちゃう。


麗奈 「ああん……。」


久美子(ほら、麗奈、ここがいいんでしょ? ……ほら!)


麗奈 「あん!」


久美子(あは。麗奈、麗奈の声凄く可愛いよ……。)
161 :159/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:48:59.86 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「あ、そこお……。」


 麗奈の敏感な場所を、攻め続ける。


久美子(私が、い、か、せ、て、上、げ、る。)


麗奈 「あ……、ああ……。」


久美子(ほら、ここ気持ちいいでしょ?)


麗奈 「ああん、駄目え……。」


 精一杯、舌を動かす。


久美子(ん?)


 その時、視界のふちが黒い事に気付いた。


麗奈 「そこ気持ちいい……。」


 真っ黒い範囲が、視野の中心に向かって、徐々に広がってゆく。
162 :160/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:49:30.76 ID:j7V3WS/C0
久美子(なんだこれ。)


 立ち暗みみたいだった。


麗奈 「あ……、あ……。」


 最後まで残っていた視界の中心からも、光が消える。完全な暗闇が訪れる。


久美子(あーあ、真っ暗だ。)


麗奈 「ああ……。」


 首を切り離した状態は長くは持たないと言っていた。そろそろタイムリミットなのかも知れない。
 酷い。これでは麗奈の痴態が拝めない。


麗奈 「いい……、気持ちいい……。」


久美子(んふ、よしよし♪)


 それでも、音は正常に聴こえる。麗奈の善がる声は、この世のどんな美声よりも美しい。
 舌も動く。
163 :161/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:50:00.03 ID:j7V3WS/C0
久美子(へへっ、いくまでやめないんだから。……それそれ♪)


 舌の動きを一気に強める。


麗奈 「ああん……。」


 今最も重要なのは、麗奈を絶頂まで導く事だった。舌が動く限り、動かし続けよう。
 縦えその所為で死ぬ事になっても、本望だ。愛する麗奈の為ならば、私はどうなったって構わない。


麗奈 「あ、あ……凄い……。」


久美子(ほおら、いっちゃえいっちゃえ♪)


麗奈 「ああ、いきそう。」


久美子(ん、いくの? 麗奈いっちゃうの?)


麗奈 「クリ気持ちいい、気持ちいい……、ああ。」


久美子(よしよし、いっちゃえー♪)


 ラストスパート。
164 :162/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:50:29.92 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「あ、あ……、もお駄目……、いく! いく! いく! あ!」


久美子(あ、いったあ♪)


 最後の仕上げだ。手抜かりが無い様に、丹念に刺激を続ける。
 私の舌は、その為にあるのだ。
 程無く、絶頂と同時に数秒止まっていた麗奈の呼吸が、


麗奈 「……はあ!」


 と勢い良く再開される。


久美子(ふふっ、気持ち良かったね♪)


 舌の動きは、やめない。最後まで、確りと、愛を込めて。


麗奈 「久美子……。」


 頭に、感触。


久美子(ん?)


 多分、麗奈が両手で、私の頭に触れたのだ。
165 :163/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:50:59.83 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「よしよし。」


 そのまま、優しく撫でて来る。


久美子(えへへ。)


 もう良さそうだ。舌の動きを弱める。
 刺激を弱めても、麗奈の撫で方は変わらない。
 という事は、もう刺激は必要無いらしい。完全にやめる。


麗奈 「偉いわ。」


久美子(ふふっ、麗奈の為なら当然だよ。)


 誇らしい。私は麗奈に素晴らしい行いをした。私達は特別な間柄になった。
 最高の気分だ。
 頭から、手が離れる。


麗奈 「よい……しょ、……っと。」


 多分、麗奈が起き上がった。
 間も無く、私の頭が両手で掴まれ、地面から持ち上げられる。


麗奈 「御褒美上げないとね。」
166 :164/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:51:29.86 ID:j7V3WS/C0
久美子(ん? 御褒美? やった♪)


 ……さっきみたいに変なのじゃないといいけど。


麗奈 「さあ、久美子、なにがいいかしら。」


久美子(えー?)


 困った。そんなの即答出来ない。
 でも、とってもいい気分だ。
 脳味噌が蕩ける……。


久美子(ああ、天国だ……。)


麗奈 「ん? 久美子。目を開けて。」


久美子(気持ちいい……。)


麗奈 「ねえ、久美子。……久美子!」


久美子(ん? うん、聴こえてる……。)


麗奈 「不味い……!」
167 :165/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:51:59.80 ID:j7V3WS/C0
 世界が揺れた気がした。
 そして、顔に違和感。


久美子(あ、なんかやってる。)


麗奈 「ここが……。」


久美子(麗奈はいい人だなあ……。)


 またなにかしてくれるんだ、私の為に。


麗奈 「早く……、早く付いてよ……。」


久美子(麗奈、愛してるよ……。)


麗奈 「早く早く早く!」


久美子(愛……。)


麗奈 「ああ、どうしよう……。」


久美子(愛して……。)
168 :166/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:52:29.93 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「御姉様、……御姉様あ!」


久美子(れ――)
          *
 暗い。


久美子(ん?)


 仰向けに寝ていた。
 ここどこだ? と顔を右に動かすと、隣にワンピース姿の高坂さんが寝ていた。


久美子(あ。)


 常軌を逸した行動の記憶が蘇る。
 直後に、自分も服を着ている事に気付いた。
 左に顔を向けると、高坂さんの荷物。
 私達は、レジャーシートの上に居た。良く見たら、二人分のスペースを作る為に、荷物は押し退けてあった。


久美子「ん……と。」


 上半身を起こす。
 ここは、神社の境内だった。


久美子「ああ……。」
169 :167/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:52:59.96 ID:j7V3WS/C0
 改めてがっかりした。この状況を見れば、嫌でも認めざるを得ない。あれは夢ではなかった。
 ……夢なら良かったのに。
 しょんぼりして荷物を眺めていると、ふと、はしの方に置いてあるナイフが目に留まった。刃が折り畳まれている。
 少し興味が涌いた。御尻を付けたまま躄ってレジャーシートの上を移動すると、座ったまま、ナイフを取り上げてみる。
 刃は、簡単に出せた。
 ぼんやりと眺める。
 あれが夢でないのだったら、刺しても痛みは殆ど無いし、数十秒で跡形も無く治る筈だった。しかし、若し私の体が吸血鬼の力を失っているとしたら……。


久美子「あーもう!」


 態と声を出しながら頭を振り、自らを奮起する。
 逡巡していても仕方が無い。目立たない場所を、少しだけ切ってみればいいのだ。
 自分の体を見る。切るとしたら、腕ではなく脚だろう。
 どこがいいだろう、と思いながら、じっと足を眺めていると、


あすか「お、目が覚めたね。」


 出し抜けに、声がした。あすか先輩の声だ。辺りを見回す。
 しかし、姿はどこにも無い。念の為に上半身を捻って真後ろも見るが、彼女はどこにも見当たらない。
 妙だ。立ち上がる。
 再び辺りを見回すが、居ない。
 回れ右して、後ろの風景にも目を凝らすが、居ない。
 どうなっているんだ? と怪訝に思っていると……


あすか「こっち。」
170 :168/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:53:30.73 ID:j7V3WS/C0
久美子(!)


 突然、背後から声が聴こえ、びくっとした。直ちに振り返る。
 あすか先輩が居た。


久美子「あ……なんですかそれ。」


 顔の横に、変な物体があった。


あすか「ん、これ? 優子ちゃんだよ。」


久美子「……ああ。」


 そう言われると、合点が行く。二メートル程先に突如として現れたあすか先輩が、なぜか同じ吹部の吉川先輩をおぶっていたのだった。ぱっと見謎だった物体は、吉川先輩の頭のてっぺんと、そこから突き出たリボンだった。


あすか「ん?」


久美子「え?」


 あすか先輩が、怪訝な顔をしていた。
 そのまま、
171 :169/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:53:59.86 ID:j7V3WS/C0
あすか「光ってる……。」


 と言いながら、不可思議な物でも見る様な表情で、私の顔をじっと見詰めながら、ゆっくりと歩いて来る。


久美子「……え? なんです――」


あすか「ちょっと待った。じっとしてて。」


久美子「……はい。」


 動くのを制止された。あすか先輩が、更に近付いて来る。
 私が顔を若干下に向けると、


あすか「黄前ちゃん、こっちを見るんだ。」


 と指示が来る。顔を上げると、


あすか「よしよし。そのままわたしの目を、じっと見て。」


 と、追加注文。
 そうして、手を伸ばせば届きそうな距離にまで近付いた時だった。


あすか「くいくいせーじん。」
172 :170/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:55:29.99 ID:j7V3WS/C0
久美子「……え?」


あすか「いや、それだけじゃないな。」


 なんと、まだ近付いて来る。
 さっきの悪夢が頭をよぎる。このまま無理矢理キスされるんじゃなかろうか。


あすか「文字か。……それにー……。」


久美子「いや、あすか先輩?」


 なに訳の分かんない事言ってんだこの人は。
 到頭、互いの距離が十センチメートルくらいになる。
 やばい。ほんとにキスされるんじゃ……。


あすか「これわたしの台詞? ……だな。……一七〇の、三四五。……三百四十五分の百七十か。……火曜。」


 誰か助けて。


あすか「……ん? 二千十八年六月五日? ……二十三時五十五分。……あ、目が疲れた。」


 と言って、顔を離す。
 良かった。唇は奪われずに済んだ。
 一体なんだったんだろう。
173 :171/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:57:29.88 ID:j7V3WS/C0
久美子「あの、なんなんですか?」


あすか「ん! ちょっと黙ってて。」


 きつい表情と口調だった。うう……。


あすか「えーと、二千十八で火曜だった訳で……、三百六十五は……、七が……、三百五十の……、三百六十四だから……、だと楽だったんだけど……、でも一多いから一つ後ろにずれて……、月曜。……あ、うるう年か。……じゃあ一致するか。」


 ほんとにこの人なに言ってんだろ。
 数秒のあいだ黙思していたあすか先輩が、顔をこちらに向ける。


あすか「ねえ黄前ちゃん。」


久美子「はい……。」


あすか「今日は西暦何年何月何日で何曜日かな?」


久美子「え? えーと、二千十五年六月五日、金曜日です。」


あすか「そーだよね。……やっぱそーだよね。」


 一人でなにかに納得している。
 こっちは意味分かんない事だらけだというのに!
174 :172/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:33:00.19 ID:M8lWXEdT0
久美子「あ、あの、いーですか?」


あすか「ん、なに?」


久美子「なんでおんぶしてるんですか?」


あすか「これ? ……地面に寝かすのはちょっと気が引けたから、わたしがおぶってた。……黄前ちゃんが起きたんだから、代わりにそこに寝かせようか。」


久美子「あ、いや、そーじゃなくてですね……。」


あすか「ん?」


 あすか先輩は、けろりとした表情だった。
 質問の仕方を間違えた。
 この顔を見るに、私がなにを知りたいのかを知っている癖に、恍けて楽しんでいるのだ。この人は時々、そういう事をする。
 もう一度だ。


久美子「あの、吉川先輩はなんで眠ってるんですか?」


あすか「あ、これは眠ってるんじゃなくて、実は気絶してるんだけ――」


久美子「なんで気絶してるんですか?」


 私が語気を強めると、あすか先輩はにんまりと笑い、
175 :173/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:41:00.67 ID:M8lWXEdT0
あすか「あれえ? 黄前ちゃんちょっと怖い。怒ってる?」


 と、心から楽しそうに言う。
 ああ、この人めんどくさい。


久美子「怒ってませんー。……で、なんで気絶してるんですか?」


あすか「うん、それはね……。」


 そこで、ふっと笑みが消える。


あすか「人間に戻された所為だよ。」


久美子「……え?」


あすか「人間に戻された所為。……吸血鬼から人間に戻されると、一時的に気を失うんだ。……そっちの麗奈ちゃんもね。」


久美子「……。」


 言葉が出ない。
 疑問はいくつも浮かんだが、先ずはこれだろう。


久美子「あの、あすか先輩、吸血鬼ハンターだったんですか?」
176 :174/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:42:00.22 ID:M8lWXEdT0
あすか「わたし? わたしはハンターじゃないよ。……わたしの『友達が』吸血鬼ハンターなんだ。」


 それはそれで問題な様な。


久美子「それって言っていいんですか?」


あすか「それ? それってどれ?」


久美子「自分がハンターだって事、人に言っていいんですか?」


あすか「良くないねえ……。」


久美子「じゃあ――」


あすか「わたしの場合は特別。……吸血鬼と戦っている場面を目撃しちゃったから。しょうがない。……それで、下手に隠すより、正直に打ち明けて黙っていて貰った方が得策って思ったんじゃないかな。……ま、今のはわたしの推測だけど。」


久美子「そーなんですか……。」


あすか「そ。……だから、最初にわたしに近付いて来たのも、わたしを監視するのが目的だったんじゃないかな。」


久美子「監視……。」
177 :175/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:42:29.68 ID:M8lWXEdT0
あすか「うん。……あとは、機関への勧誘かな。ハンターにならない? ってさそわれたから。……今では普通に友情が芽生えていると思うんだけどねー。」


 あすか先輩は事も無げに言う。
 色々あったらしい。しかし……


久美子「それ、私に言っていいんですか?」


あすか「ん、別にいーよ。どーせ黄前ちゃんの記憶……。あのさ、吸血鬼から人間に戻されるとそのあいだの記憶は全部消えるって麗奈ちゃんから聞いてる?」


久美子「あ、はい。聞きました。」


あすか「そう、なら話は早い。噛まれる直前の記憶も含めて綺麗さっぱり消えるから、なーんの問題も無いよ。……怖い?」


久美子「いや、別に怖くは……。」


あすか「どーして。人間に戻されちゃうんだよ。」


久美子「人間に戻っても不都合は無いんじゃないですか? 今までなにも困ってませんでしたし。」


あすか「うーん、さばさばしてるね。絆が途切れたからかな。」


久美子「……絆?」
178 :176/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:43:00.62 ID:M8lWXEdT0
あすか「うん。噛んだ側と噛まれた側のあいだにだけ存在する、精神的な繋がりの事だよ。……黄前ちゃん、さっきまで麗奈ちゃんに絶対服従だったんじゃない?」


久美子「あ、はい。そんな感じでした。」


あすか「吸血鬼の能力の一つだよ。……強力な主従関係が強制的に生まれて、眷族は主人に逆らえないんだ。……どーだった? 楽しかった?」


久美子「最悪でした!」


あすか「あはは、面白いね。でも繋がっている時は楽しかったでしょ? ……幸せだったでしょ? ……気持ち良かったでしょ?」


久美子「……知りませんー。」


 とゆーか一刻も早く忘れたい。さっさと人間に戻して。


あすか「えー? 神聖な神社の境内でおしっこするの気持ち良くなかったのー?」


久美子(!)


あすか「神聖な神社の境内で裸を露出したりー、神聖な神社の境内で愛する麗奈ちゃんとあーんな事やこーんな事をするの気持ち良くなかったのー?」


久美子「……。」


 まさか高坂さんが洗い浚い喋ったのか。
 終わった。私の人生終わった。
179 :177/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:43:30.14 ID:M8lWXEdT0
久美子「あの、あすか先輩……。」


あすか「ん、なに?」


久美子「殺して下さい。」


あすか「殺さないってば。……随分短絡的だね、黄前ちゃん。」


久美子「そ、……先輩は当事者じゃないからそーゆー事が言えるんです……。私、もー御嫁にいけません……。」


あすか「そっちじゃない。」


 先輩は、はっきりくっきり発音した。
 私が先輩の顔にまじまじと目を遣ると、先輩は、一呼吸置いてから口を開いた。


あすか「ねえ黄前ちゃん。……黄前ちゃんと麗奈ちゃんはね、わたし達が来た時には既に服を着ていたんだよ。……それにね、二人がなにをしていたかは、別に麗奈ちゃんの口から直接聞いた訳じゃないんだ。……わたしがなにを言いたいのか分かる?」


久美子「……いえ。」


 若干首を振る。


あすか「よし、いい事教えて上げる。……普通の人間が吸血鬼になった時にはね、先ず好きな人を噛む傾向があるんだ。理由はなんだと思う?」
180 :178/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:44:00.38 ID:M8lWXEdT0
久美子「知りません……。」


 いいから先を言ってよ。


あすか「一つ目は、言うなれば親切心から。……筋力も持久力も遥かに向上するし、傷は数十秒で消えるし毒も効かないし病気にもならない。……なにより主人と精神的に繋がって気分がいい。……だから、この素晴らしい状態を是非ともあの人にも体験させて上げよう、と思う。」

あすか「で、二つ目は性的な欲望から。……眷族は主人に忠実って、自分も吸血鬼になって身を以て知っているからこそ、それを利用して思いを晴らそうとするんだ。……詰まりだね、噛まれた直後の眷族と、その主人が裸で居る事は別に珍しくないんだよ。勿論、そうじゃない事もあるけど、黄前ちゃんは裸になった。……でしょ?」


久美子「……あ。」


あすか「うん、気付いたね。……それにね、おしっこした跡があるからと言って、黄前ちゃんの物とは限らないじゃないか。……若しかしたら麗奈ちゃんのかも知れないし。……でしょ?」


 あすか先輩が、その美しい顔貌に、微笑を浮かべる。


久美子「ああ……。」


 やられた。まんまと口車に乗ってしまった。
 なんと狡賢い。


久美子「先輩、はめましたね。」


あすか「はまっちゃうのが悪い。面白いくらいに顔に出てたよ。……で、どんな感じだったの? 御姉さんに詳しく聴かせて?」
181 :179/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:44:29.60 ID:M8lWXEdT0
久美子「……黙秘します。」


あすか「えー? けちけちしないで話してよ。わたしも色々教えて上げてるじゃない。」


久美子「……嫌です。」


あすか「……あっそ。じゃあいいや。麗奈ちゃんに訊くから。」


久美子「え? ……さっき、記憶は全部消えるって……。」


あすか「うん。思い出させる方法があるんだ。あとで見せて上げる。」


 酷い。そんなの反則だ。


久美子「見せてくれなくていいです……。」


あすか「ふっふっふー。そうはいかんざき。」


久美子「……。」


 最悪だ。この状況……とギャグ。
 なんとか出来ないのか。
 強制的に阻止する為には……。
182 :180/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:45:00.55 ID:M8lWXEdT0
久美子(あ。)


 閃いた。遣らせない方法があった。
 思わず、笑みがこぼれる。


久美子「ねえ先輩。」


あすか「ん、どしたの?」


久美子「余計な事、しないでくれません?」


あすか「なんだよ急ににやにやして。気持ち悪いな。」


久美子「えー? だって、想像したら楽しくなって来ちゃってー♪」


あすか「あー、なんか良からぬ事を企んでるな。」


久美子「いえいえ、とってもいい事ですよ。」


あすか「ふーん。で、なに考えてるの?」


久美子「先輩、私に噛まれません?」
183 :181/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:45:30.03 ID:M8lWXEdT0
あすか「噛まれる? なんでさ。」


久美子「だって、そうしたら私の命令には逆らえないでしょ?」


あすか「そうなると思う?」


久美子「あー駄目駄目。抵抗しても無駄ですよー。……背中に吉川先輩が居て、逃げる事も戦う事も出来ないじゃないですか。先輩無防備過ぎですよー♪」


 しかもこっちにはナイフまである。


あすか「無防備ねえ……。これ見て。」


久美子「ん? ……うあっ!」


 強烈な目眩。体が強張る。
 その場に、がくんと両膝と両手を突く。
 目前で石畳が揺れていた。両腕で体を支えて持ち堪え、なんとか倒れずに済んでいる。
 上半身から冷や汗が噴き出しているのを感じる。


久美子「はあ……、はあ……。」


 なにかとても嫌な物を見てしまった気がする。凄まじい嫌悪感。なんだ今のは。
 心臓が早鐘の様に鳴っている。
 頭がぐらぐらする。
 不安で堪らない。
184 :182/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:45:59.28 ID:M8lWXEdT0
あすか「あーあ。」


久美子「はあ……、先輩……、今のは……。」


あすか「十字架だよ。人間上がりの半端な吸血鬼には良く効くんだ。真性の吸血鬼にはぜーんぜん効かないけど。」


久美子「……真性?」


あすか「生まれながらの吸血鬼って事。……面白いよね。唯のステンレスなのにこーんなに嫌がるんだから。」


 ちっとも面白くない。


久美子「先輩……、それ、仕舞って下さい。」


あすか「もー仕舞ってあるよん。だから、という訳じゃないけどもう立てる筈だよ。……どっち道十字架の効き目は長くは持たないんだ。多分刺激に慣れちゃうんだ。脳が。」


久美子「……脳?」


あすか「そう。十字架に特別な仕掛けは無いし、実験では印刷された十字架を見せた場合でも、本物の十字架と誤認させる事が出来た場合にのみ、効果があった。……詰まりだね、十字架じゃなくて、十字架を見る者の心理の方に問題があるって事。……仕組みに就いては、目下研究中。」

あすか「唯、人間上がりの吸血鬼が主人に捨てられた時の反応に良く似ているから、多分、同じ機序が関連している。それなら真性の吸血鬼に効かないのも説明が付くしね。……真性吸血鬼には主人が居ないから、そもそもその反応を起こすメカニズムが存在しない。だから効かない。最大の疑問は、その引き金がなぜ十字架なのか、という事だね。」
185 :183/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:46:29.87 ID:M8lWXEdT0
 ようやく気分が改善する。立ち上がりながら訊く。


久美子「詳しいですね。それもハンターの友達に聞いたんですか?」


あすか「んーん、これは母親から。」


久美子「母親?」


あすか「うん、研究員だったんだよ。政府の極秘施設で来る日も来る日も実験してた。……と言っても、もー二十年以上前の話だけどね。」


久美子「……。」


 今日一番リアクションに困る話を聞いた気がする。


あすか「だから、わたしの知ってる情報はちょっと古いかも知れない。……まー大して進歩してるとは思えないけど。」


久美子「……それは、どーしてですか?」


あすか「ん、わたしの勘。」


久美子「勘ですか……。」
186 :184/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:47:00.83 ID:M8lWXEdT0
あすか「うん。……ねえ黄前ちゃん、吸血鬼の力の源泉ってなんだと思う?」


久美子「……さあ?」


あすか「お、ある意味正解。」


久美子「え?」


あすか「不明なんだよ。全く解明出来てない。……体の外から謎のエネルギーを得て、体のどっかに謎のエネルギーを蓄積して、緊急時には謎のエネルギーで筋力を増大して、傷付いた時には謎のエネルギーで傷が消えるんだけど、体は普通の人間と全く変わり無いんだ。もう御手上げ状態。」

あすか「苦し紛れに呪いの力、『呪力』って呼んでる。……磁力じゃないよ。じゅ、りょ、く。……そんな掴み所の無い存在だから、ここ二十年あまりの科学技術の進歩程度で研究が一気に進んでるとは思えないんだよねー。……まあ、劇的に進んでる可能性も無くは無いけど。」

あすか「……因みにこのエネルギー、実は普通の人間の体の中にもあって、多分血液の中に最も多く含まれてる。……だから吸血鬼は人間の血液をおいしく感じるんだね。……因みにおいしく感じる理由もやっぱり不明。舌の構造も普通の人間と全く変わりが無い。」

あすか「……というか吸血鬼の体は多分普通の人間の体と全く同じだよ。……真性、人間上がりを問わずにね。だから人間と交わって子供を作る事が出来るし、人間と同じ物を食べる事が出来る。……フィクションだと血液しか摂取出来ない、なーんて設定も見掛けるけど、我々は、じゃなかった、我々の世界ではそんな事は無いね。」

あすか「……大体血液だけでは生きるのに必要なエネルギーを賄えないと思うんだけど、その辺はどーなってんだろうね。どっかから謎のエネルギーでも得ているのかな。……あとはニンニクが駄目とか、不老不死だとか、鏡に映らないだとか、日光を浴びると砂になるとかあるけど、そーゆー事も一切無いね。」

あすか「大体なんで砂になるんだろうね。……体を構成している物質が砂になるんだとしたら、人間の体とは組成が大きく異なっているという事になるけど、そこん所はどうなんだろ。……それとも体は人間と同じで、物理法則の方が我々の世界とは異なっているのかな。……まあフィクションだからいいのか。」

あすか「……脱線したね。なんの話してたっけ。呪力だっけ。……呪力という謎のエネルギーが吸血鬼の体の中にあって、人間の体の中にもあって、人間の体の中では多分血液に最も多く存在しているんだけど、実は動物の血液だとぜーんぜん駄目なんだよねーこれが。血を飲んでも全く呪力を補充出来ない。」

あすか「この辺は実際に吸血鬼の体で実験してるらしい。……但し血液以外からも微量の呪力を得ているらしくて、体内の呪力が枯渇した状態の吸血鬼に水と食事しか与えなかった場合でも、直に呪力は回復するんだ。回復量はあまり多くはないけどね。」
187 :185/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:47:31.36 ID:M8lWXEdT0
あすか「……因みに水と食事を与えなかった場合でも呪力は回復する。体は人間と同じだから当然脱水症状で死に懸けになるけど。……この辺り人間だったら深刻な人権蹂躙だよね。……まあ吸血鬼は人間じゃないからオーケー、ってスタンスなんだろうけど。」

あすか「とにかく吸血鬼の周りに呪力が無い状態、というのを作り出せないんだよね、現在の科学技術では。……分厚い鉛の壁で囲ってみたり、魔法瓶みたいに周りを真空にしてみたりしても、監禁している吸血鬼の呪力の回復速度は全く変わらなかったらしい。」

あすか「……結構喋ったね。あー疲れた。……とにかく吸血鬼の研究に就いてはこんな感じだね。これでもまだ本の一部だけど。……ここまでで質問は? 良く分からなかった所とか。」


久美子「あの、良く分からなかった所だらけなんですけど……。」


あすか「じゃー却下。」


久美子「え。」


あすか「わたしも個人的に考えたい事とか遣りたい事があるからね。……特に麗奈ちゃんが意識を取り戻す前に済ませておきたい。」


久美子「あの、じゃあ一つだけいいですか?」


あすか「ん、なんだね?」


久美子「さっきからずっと気になってたんですけど……、あすか先輩って高坂さんと仲良かったでしたっけ? ……その、いつから『麗奈ちゃん』って……。」


あすか「うん、まあ色々あってね。」


久美子「色々ですか……。」
188 :186/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:48:29.88 ID:M8lWXEdT0
あすか「うん。色々。……黄前ちゃんの事も名字じゃなくて名前で呼んで上げよーか? ね、久美子ちゃん。」


 そう言って微笑む。
 なんか違和感。


久美子「……名字でいいです。」


あすか「あら、つれないね。……所で黄前ちゃん、もう一度目を見せてくれないかな。」


久美子「え、さっきみたいにですか?」


あすか「うん。さっきみたいに。」


久美子「いいですけど……。」


あすか「よし。」


 あすか先輩はそう言うと、遠慮無くずいと迫って来る。
 再び、至近距離から覗き込むと、


あすか「えーと? そーか、違和感か。……で、一八六の三四五。三百四十五分の百八十六か。……ちょっと進んだな。……で、日付け、ん? 水曜になってる。六日、二十二時四十八分か。……次の日か。……うーん、ありがと。もういいや。」


 なにかを確認してから、顔を離す。
 私も緊張を解く。
189 :187/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:48:59.81 ID:M8lWXEdT0
久美子「あの、これほんとになんなんですか?」


あすか「ん? なんなんだろうね。」


 あすか先輩は適当にそう言うと、微笑を浮かべ、


あすか「ねえ黄前ちゃん、ちょっと目を閉じてくれないかな。」


 と、次の注文を出して来る。


久美子「目ですか?」


あすか「うん。」


 閉じると――
          *
 少し体が揺れた気がした。
 目の前に、あすか先輩の姿。


あすか「やあ、気分は?」


久美子「え? いや、普通ですけど……。」


あすか「そう。なにかおかしな所とか無い?」
190 :188/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:49:29.86 ID:M8lWXEdT0
久美子「おかしな所?」


あすか「そうそう。……特にわたしの姿を見てなにか思わない?」


 私服姿のあすか先輩。変な所は無い。


久美子「いえ……。」


あすか「そう。……これでも?」


 くるりと振り返って、背中を見せて来る。
 何の変哲も無い後ろ姿だ。


あすか「どお?」


久美子「いえ、特におかしい所は……。」


あすか「そっか。」


 こっちに向き直る。
 丸で試着室から出てきて感想を訊いているみたいだ。


久美子「似合ってますよ?」
191 :189/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:49:59.76 ID:M8lWXEdT0
あすか「ふふっ、ちょろい。」


久美子「え?」


あすか「いや、なんでも無いよ。」


久美子「そーですか。」


 なんでも無いならいいんだ。


あすか「じゃあ黄前ちゃん、また目を見せて。」


 あすか先輩が迫って来る。


久美子「あ。」


 あれか。
 顔が眼前に近付く。


あすか「えーと? ……一八九。三百四十五分の百八十九か。……日付と時刻は……こっちもあんまり変わってないな。……あ、もういいや。」


 顔が離れてゆく。
 一息つく。
192 :190/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:50:29.86 ID:M8lWXEdT0
あすか「所で黄前ちゃん、そのナイフなに?」


久美子「え、これですか?」


 右手を胸の高さまで持ち上げる。


あすか「うん。随分物騒な物持ってるね。」


久美子「あ、えーっと……、ちょっと足でも刺してみようかなー、と思いまして……。」


あすか「足? ……誰の足?」


久美子「私です。」


あすか「なんで。」


久美子「その……、腕より足の方がいーかなー、って。」


あすか「なにそれ意味分かんない。」


久美子「いや……、自分の体が吸血鬼かどーか確かめたくてですね……。」


あすか「ああ、そーゆー事か。……じゃあもう刺す必要は無くなったね。十字架がばっちり効いた。……普通の人間だったらああはならないよ。」
193 :191/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:50:59.82 ID:M8lWXEdT0
久美子「そーですね……。」


 噛もうとした矢先に、護身用の十字架を見せられ、酷い苦痛を味わった。忌々しい。
 その先輩の体を繁々と見遣る。
 同性の私から見ても惚れ惚れする様な、実にいい体だ。


久美子(ん?)


 今ならいける様な。


久美子「ねえ先輩。」


あすか「ん?」


久美子「先輩って凄く美人ですよね。」


あすか「なんだい藪から棒に。」


久美子「おっぱい大きいですよね。」


あすか「うわ、それセクハラー。」


 その言葉に、思わず笑みがこぼれる。
194 :192/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:51:29.91 ID:M8lWXEdT0
久美子「ねえ先輩♪」


 視線がこちらを向く。


久美子「やっぱり私の物になりません?」


あすか「……あっ。」


 右手が動く。


久美子「そこか!」


 腹に一撃。
 先輩の動きが止まる。


あすか「……あ……あ。」


 上半身を前のめりに丸め、立ったまま痛みに耐えている。普通の人間の体に、吸血鬼の拳はさぞかしきつかろう。
 しかし、猶も、右手をゆっくりと動かす。


久美子「動くな! ……動くと刺します。」


 完全に静止した。
195 :193/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:51:59.84 ID:M8lWXEdT0
久美子「分かってますよ? 右のポケットに十字架があるんですよねー♪」


あすか「さあ? ……どうかな!」


 右手を素早く動かす。
 下腹部を一突き。
 確かな手応え。


あすか「あ……あ……黄前ちゃんあっ!」


 ナイフを引き抜く。


久美子「動くと刺す、って言いましたよね?」


あすか「う……うあ……。なんて事を……。」


久美子「だいじょーぶですよ。私が噛めば直ぐに治りますから。」


あすか「……いや、黄前ちゃん、……君は重大な勘違いをしている。」


久美子「はい?」
196 :194/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:52:29.80 ID:M8lWXEdT0
あすか「よくも……、よくも……。くっ、くははははは。」


久美子「は?」


 なぜか笑い出す。どうしてこうなった?
 あすか先輩はそのまま、不気味な笑みを浮かべながら、背筋をぴんと伸ばす。


あすか「よくもわたしのお気に入りの服に孔を開けてくれたね。」


久美子「え? ……え?」


 いや、服より御中でしょ。


久美子「なんで先輩……、御中は……。」


あすか「御中? 御中がどうかした?」


 そう言って、Tシャツをめくる。


あすか「……なんとも無いよ?」


 確かに、傷一つ無い。
197 :195/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:52:59.57 ID:M8lWXEdT0
久美子「あ……。」


 シャツの裾を戻す。


あすか「くふふっ。」


久美子「先輩、まさか……。」


あすか「ん? どーしたの?」


久美子「吸血鬼……。」


あすか「ふふっ。……あれー? いつからわたしが真性吸血鬼じゃなくて唯の人間だと錯覚してたー?」


久美子「最初からです……。」


あすか「きひひっ。……いい顔だ。……所で黄前ちゃん、覚悟は出来てる?」


久美子「……覚悟?」


あすか「そお。……たーっぷり御仕置きして上げる♪」


 はっとした。ナイフを突き付ける。
198 :196/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:53:29.84 ID:M8lWXEdT0
久美子「来ないで下さい。」


あすか「んふふっ。……まーだ彼我の戦力差が分かってないよーだねー。……ナイフ如きがわたしに通用すると思ってる。……でも。」


 突如、金属音が鳴り響く。はっとして下を見た。


久美子「え?」


 ナイフの刃が無い。
 というか、刃の部分だけ石畳に落ちていた。


あすか「ひひひひひ。……刃の無いナイフでわたしと戦う?」


 いや、それは不味い。根拠は無いが、とても戦える相手ではない。
 一刻も早く逃げなければ。
 振り返る。


久美子「あっ!」


 突然、下半身が圧迫される。
 手を遣ると、なにかに触れる。


久美子「え? なんだこれ!」
199 :197/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:53:59.87 ID:M8lWXEdT0
 しかし、手はなにかに触れるのに、なにも見えない。
 なにも見えないのに、両脚がなにかに締め付けられていて、全く動かない。


久美子「なにこれ! どーなってんの!」


 目に見えない「なにか」が、私の両脚を取り巻いている。


あすか「あはははは。落ち着きなよ黄前ちゃん。……ほら。」


 見えない「なにか」によって私の体が若干持ち上がり、体の向きが強制的に戻される。


あすか「やあ。」


 あすか先輩と、再び対面。


久美子「これ、あすか先輩が?」


あすか「これ? これってなに? ペットボトルの事?」


久美子「はい? ……あ。」


 ペットボトルが、ふわふわと空中を移動していた。
 そして、あすか先輩の目の前で止まる。
 先輩はそのペットボトルのキャップを左手で撮むと、嗜虐的な笑みを浮かべながら、ゆっくりと右手を近付ける。
200 :198/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:54:29.88 ID:M8lWXEdT0
あすか「がしっ。」


 そうして、ボトルの下半分を、勢い良く鷲掴みにする。


あすか「これが黄前ちゃんの今の状態だよん♪」


 という事は、私の両脚を束縛しているのは、見えない巨大な手なのか。俄かには信じがたい。


あすか「どお? 真性吸血鬼って便利でしょ。……イメージするだけで人間を握り殺せるんだぜ? ひひひっ。」


 なんだと?
 やばい。殺されるかも知れない。


あすか「なんで人間上がりにはこの能力が無いんだろうねー。……がしっ。」


久美子(!)


 今度は、上半身だった。あすか先輩が左手でボトルの上半分を掴むと同時に、私の上半身も、「手」に握られたのだった。
 殺される! 逃げないと殺される!


久美子「く……あ……。」


 全力で抵抗を試みるが、「手」はひくりとも動かない。吸血鬼になって、私の力も増している筈なのに!
201 :199/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:54:59.82 ID:M8lWXEdT0
あすか「あはは、無駄だよーん。」


 ふっと、下半身が「手」から解放される。
 良かった、先輩の右手もボトルから離れ――


あすか「がしっ。」


久美子(!)


 頭だった。先輩の右手も、親指を下にした状態で、キャップを握っていた。「手」が私の目に見えないから、頭を握られているのに、先輩の姿がはっきりと見える。でも、確かに私の頭は、「手」に握られていた。圧迫されているのを感じるし、なにより息が出来ない。
 あすか先輩と目が合う。
 彼女は、態と目が合うのを待っていたのかも知れない。先輩は目を細めると、ゆっくりと舌舐りをし、微苦笑を浮かべる。
 ……ああ、これは間違い無い。先輩は、私を肉体的、精神的に苛めて、楽しんでいる。真性の吸血鬼は、同時に真性のサディストだったのだ。
 その表情はおもむろに変化していき、実にうっとりと、物欲しげな顔付きで、私に悩ましい視線を向けて来る。体が小刻みに揺れ、呼吸も乱れている様だった。詰まり、端的に言って、興奮していた。性的快感が、彼女の思考を支配していた。丸で、先輩の心の声が聴こえて来るようだった。ぞくぞくする。我慢出来ない。滅茶苦茶に壊したい。
 胸の高さで保持していたペットボトルを、徐々に、顔の高さまで持ち上げてゆく。
 気持ちいい。これ以上は耐えられない。もういきそう。顔には、そう書いてあった。
 きっと、私をぶち殺した瞬間にオーガズムを迎えるのだ。
 終わった。これは絶対殺される。
 恍惚の表情が、最高潮を迎える。それまで小刻みに体を動かし、忙しなく呼吸していたのに、一転、胸式呼吸で、大きく息を吸う。


久美子(あ、やられる。)


 先輩が、キャップを捻る。


久美子(……。)
202 :200/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:55:29.91 ID:M8lWXEdT0
 しかし、私の頭はなんとも無い。豈図らんや、回さないとは。
 そのまま、何事も無かったかの様な表情で、キャップを取り外す。
 なんとも驚きである。今まで見せていた表情が、全て演技だったとは。
 私の驚いた顔を見て満足しているのか、白い歯を見せて、下びた笑みを浮かべ始める。
 ああ、この人性格悪い。
 しかし、なにはともあれ一安心。
 冷静に考えてみれば、私達は同じ部活で同じ楽器を担当する者同士なのだ。殺す訳が――
 ゴキゴキ。


久美子(!)


 ブチ、ブチブチ、という音と共に、世界が回る。
 ある程度回した所で、垂直に、一気に視界が動く。高い。


久美子(あーあ……。)


 多分、私の頭が、完全に胴体と離れた。本日二回目。
 少しのあいだ、その位置で静止したあとに、私の頭が下方に動かされる。首を失ったにも関わらず倒れていない私の体と、あすか先輩の姿が目に入る。
 その先輩が、私の顔を見詰めて来る。彼女の顔には、恍惚の表情が再来していて、その顔の側には、キャップを外したペットボトルが、最前と同じ恰好で保持されていた。
 あすか先輩は、そのペットボトルを唇に近付けると、ゆっくりと飲み口にキスをし、なんと、舌先で舐め回し始めた。完全に間接キスである。
 しかし、彼女は間接キスなど全く意に介しないのか、こちらを見遣りながら飲み口にしゃぶりつくと、緩やかに傾ける。
 見せ付ける様に、ごくり、ごくり、と体内に送り込んでゆく。
 飲み終わると口を離し、


あすか「あはあ……。」


 と、態とがましく息を吐く。
 一つ一つの仕種がなんとも扇情的だ。実は、私と間接キスをしていると、知っているのかも知れない。
 先輩は、高ぶった顔に微笑を浮かべると、
203 :201/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:56:00.07 ID:M8lWXEdT0
あすか「壊しちゃえ……。」


 だらしの無い声で、本音をぶちまける。
 その姿は、悪魔の様に残虐なのに、官能的で美しい。
 私の体が、ふわりと浮かび上がる。
 そして、急降下。
 バン、と鼓膜を劈く様な、けたたましい音が鳴り響く。


あすか「ああ……。」


 あすか先輩が、悦楽の声を漏らす。
 私の体が、再び上昇を始める。


あすか「いーよね、もーいーよね。……もーぐちゃぐちゃに壊しちゃってもいーよね。」


 言い終わるや否や、落下。今度は――


あすか「あっ! ……あっ! ……あっ!」


 バン、バン、バン、バン、バン、バン、と続け様に滅多打ちだった。体が叩き付けられる音の合間に、快楽を享受する、悦びの声が聴こえた。
 間を置かず、私の頭が上昇を始める。


あすか「フィニッシュだ……。」


 こんな行為で性的快感を得ているのだから、完全に狂っている。こんな人間(……じゃなくて吸血鬼)と二か月近くも付き合ってきたのに、異常性に全く気付けなかったなんて、私の目は完全に節穴だ。
 頭が静止する。
204 :202/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:56:30.07 ID:M8lWXEdT0
あすか「黄前ちゃん、派手にいこーね。」


 びゅう! と音が聴こえ――
          *
 はっとした。


久美子「あ……。」


あすか「お、目が覚めたね。」


 石畳に仰向けに寝ていた。近くにあすか先輩が立っている。


久美子「私……。」


 悪夢を見ていた気がする。


あすか「だいじょーぶ?」


久美子「あ、はい。」


 取り敢えず上半身を起こす。
 辺りは、目覚める前と同じ、神社の境内だった。
 あすか先輩が、私の側にしゃがんで来る。


あすか「魘されてたよ?」
205 :203/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:56:59.77 ID:M8lWXEdT0
久美子「あ、その……、なんか、酷く悪い夢を見ていた気がします。」


あすか「そー。どんな夢?」


久美子「それは……、あはは、なんと言いますか……。」


 あすか先輩に惨殺される夢です、とは、少し言いにくい。
 先輩の顔から目を逸らし、左側に視線を向けると……


久美子(ん?)


 石畳の上に、変な物体が――


久美子(あ。)


 さっき手元から落ちた「ナイフの刃の部分」だった。
 やばい、あれは夢じゃなかった。
 一瞬で気が重くなる。
 私は、この状況をどうしたらいいんだ……。
 しかし――


あすか「黄前ちゃん?」


 なにを考える間も無く、呼ばれてしまった。
 正直、気は進まない。しかし、ゆっくりと、あすか先輩の方に目を向ける。
 端整な顔に、にこやかな笑みが浮かんでいた。
206 :204/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:57:31.09 ID:M8lWXEdT0
久美子(あ……。)


 気付かれた。絶対に気付かれた。私が気付いてしまったと、気付かれてしまった。
 不自然なまでに優しげで穏やかな顔付きが、なにもかも御見通しだぞ、と如実に物語っていた。きっとこの美しい笑顔が、残虐な本性を綺麗さっぱり覆い隠す、最強最悪の仮面なのだ。


久美子(……いや、ナイフは――)


 そこで、ようやく気付いた。そうではなかった。あすか先輩は、気付かれてしまった事に気付いているのに、気付いていない振りをしているのではない。そもそも、ナイフの刃は隠す事も出来た筈なのだ。詰まり、あれは、態と見付かり易い場所に放置してあったのだ。その上で恍けているのは、なんの為か。
 決まっている。私は遊ばれているのだ。彼女の悪趣味な「遊び」は、まだ終わっていないのだ。


あすか「だいじょーぶ?」


久美子「あ、はい……。」


 精神的には、大丈夫とは言いがたい。


あすか「ねえ、どんな夢だったの? おねーさんに教えて?」


久美子「すいません夢じゃなかったかも……。」


あすか「えーなにそれ。……若しかして寝惚けてる? ……顔でも洗う?」
207 :205/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:57:59.82 ID:M8lWXEdT0
久美子「あ、……それはいいですね。……私、ちょっと水道捜して来ます。」


 そそくさと立ち上がる。


あすか「黄前ちゃん。」


 どきんとした。


久美子「……はい。」


 駄目だ、歩き出す前に呼び止められてしまった。ですよね、逃がしてなんて貰えませんよね。
 あすか先輩が、ゆっくりと立ち上がる。


あすか「黄前ちゃん、顔ならここで洗えばいいよ。」


久美子「……え?」


 ここで?


久美子「でも水は……。」


あすか「見て。」


 こっちを向いていたあすか先輩が、私と同じ方向を向く。
208 :206/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:58:29.89 ID:M8lWXEdT0
あすか「いくよ……!」


 パチパチ、と音がした。
 次の瞬間、正面の石畳が赤く光った。


久美子(!)


あすか「ほおら、あそこにあったかい『御湯』があるよ?」


久美子「……え? ……御湯?」


 まさか、溶岩?


久美子「……あれ御湯じゃないですよね?」


あすか「だいじょーぶ。どっち道目は覚めるから。……でしょお?」


 はっとした。最後の一声に、邪悪さが戻っていた。


久美子「あ……、御免なさい殺さないで下さい……。」


あすか「んー、なんの事?」


久美子「死にたくない……。」
209 :207/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:58:59.85 ID:M8lWXEdT0
あすか「だいじょぶだいじょぶ。ちょっと顔を浸けるだけだから。……ほら。」


久美子「あ! 来ないで下さい!」


 先輩が身を乗り出したのに対して、思わず、一歩後しざる。


あすか「あれ? 若しかして黄前ちゃんわたしの事が怖いの?」


 なにも返答出来ない。


あすか「あはは、ちょっと威しただけ。そんなに脅えないで。……ほら、握手しよ?」


 右手を伸ばして来る。


あすか「だいじょーぶ、苛めたりしないから。……先輩を信じて? ……ね?」


久美子「……ほ、ほんとに苛めないですか?」


あすか「うん。これでなにもかも元通りだよ?」


 私も、恐る恐る右手を伸ばす。
210 :208/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:59:29.79 ID:M8lWXEdT0
あすか「よしよし。……さ、握手だ。」


 先輩の両手が、私の右手を優しくつつむ。


あすか「ほら、怖くないでしょ?」


久美子「はい……。」


 嘘です。恐ろしくて堪らない。


あすか「うーん、黄前ちゃんって可愛いねー。こんなに簡単に騙されちゃうなんて。」


久美子「……はい? ……あ。」


 先輩が、握った手を放してくれない。


久美子「先輩、放して。手を放して下さい。」


あすか「……あは♪」


 やばい。
211 :209/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 22:59:59.79 ID:M8lWXEdT0
久美子「放して! なんで! 苛めないって言ったじゃないですか!」


 全力で引っ張るも、びくともしない。


あすか「ああん……、苛めない。ちょっと壊すだけ……。」


久美子「嫌です嫌です! 絶対嫌です! 放し――」


 衝撃と共に、私の体が先輩から離れた。


あすか「……あん♪」


久美子「うわあ!」


 右腕が無かった。
 ……というか、先輩が持っていた。


久美子「先輩、それ……。」


あすか「だいじょーぶ。……こっちへ御出で? おねーさんがくっつけて上げる……。」


 冗談じゃない。右腕より命だ。
 さっきみたいに私を拘束しないという事は、あの見えない「手」の使用には制限があるのかも知れない。今の内に逃げよう。
 駆け出す。
 透かさず、立て続けに衝撃が走る。
212 :210/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:00:29.78 ID:M8lWXEdT0
久美子(あ。)


 直ぐに理解した。遣られた。
 残っていた左腕と両脚を全部取られて、私の上体だけが、見えない大きな「手」に握られていた。一瞬の出来事だった。なんという手際。


あすか「わたしからは逃げられない。」


 私の体が、移動を開始する。


あすか「黄前ちゃん、目が覚めるよ……。」


久美子「あ……。」


 先程の様に光は発していなかったが、直ぐに分かった。灼熱の石畳に向かっていた。
 そして、その側で止まる。


あすか「ふふっ、冷めちゃったね。……もう一度だ。」


 再び赤熱する。
 冷めても数百度はあっただろうに……。


あすか「いくよ……。」


 そうして、ゆっくりと私の顔が近付けられていく。
213 :211/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:00:59.79 ID:M8lWXEdT0
久美子「あ、熱い。……うあ。」


 目を開けていられなくなる。


久美子「あ! ……あ!」


 頭だけでも目一杯動かす。せめてもの抵抗だ。


久美子(!)


 しかし、その頭も、なにかに押さえ付けられる。


あすか「駄目だよ黄前ちゃん。いくら不死身の吸血鬼でも焼けた髪の毛は戻らないんだから。」


 多分、もう一つ「手」を出して、指で撮んだのだ。


あすか「じゃ、いくよー。……それ♪」


 ジュー! という音と共に、熱い、という感覚が無くなる。
 息が出来ない。


久美子(あ……!)


 頭が痛む。
 頭が――
214 :212/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:01:30.25 ID:M8lWXEdT0
          *
 はっとした。
 起き――


久美子「……あ!」


 仰向けで寝ていた。そして、両手両脚が無かった。


あすか「お、目が覚めたね。」


 先輩の顔が、私の視界に入って来る。


久美子「先輩、私……。」


あすか「どーしたの? 溶けた石に顔を突っ込まれて脳味噌が沸騰する夢でも見た?」


久美子「え……。」


 一気に、顔面から血の気が引いていく感じがした。
 恐ろしい。今はこの美しい人が、恐ろしくて堪らない。


久美子「先輩、……私、私の手足は……。」
215 :213/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:01:59.78 ID:M8lWXEdT0
あすか「だいじょーぶ。黄前ちゃんの分もあるよん♪」


久美子「……え?」


 私の分? なんだその言い方は。


あすか「ほら、起こして上げよう。」


 先輩が、「手」で、私の体を起こす。
 真っ赤な石畳の上に、なにかが浮かんで――


久美子「……あ。」


 脚だった。私の脚だった。


あすか「もー直ぐ焼き上がるよん、黄前ちゃんの股肉。」


久美子「……は?」


あすか「遠赤外線で外はこんがり、中はじっくり芯まで♪」


 先輩は、事も無げに言う。
 信じられない。ここまでするとは。
216 :214/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:02:29.75 ID:M8lWXEdT0
久美子「嘘……でしょ……。」


あすか「ね、人の肉って食べた事ある?」


 楽しげに訊いてくる。
 熱い物が込み上げて来る。


久美子「先輩、御免なさい……。」


あすか「ん?」


久美子「御免なさい、もー許して下さい……。」


あすか「えー? これからがいーとこなのに。」


 最悪だ。


久美子「嫌です。もー嫌です。……ごべんなさい。……ごべんなふぁい。……うっ。……うあっ。……あああ……。」


 涙がこぼれて来る。


あすか「あらら、泣いちゃった。……ちょっと遣り過ぎたかな?」


 どう考えても「ちょっと」じゃない。言わないけど。
217 :215/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:02:59.85 ID:M8lWXEdT0
あすか「だいじょぶだよ、黄前ちゃん。……次に目が覚めた時には、体はぜーんぶ元通りになってるから。」


久美子「……ほんどですか?」


あすか「ほんとほんと。生まれたままの姿になってるから。……だから、目を閉じて。」


 言われた通り、目を閉じる。


あすか「直ぐに気持ち良くなるよ……。」


 すると、


久美子(あ……。)


 すっと、気分が楽になり……――
          *
 はっとした。
 仰向けに寝ていた。起き上が――


久美子「……ええっ?」


 なぜか全裸だった。手足が戻った代わりに、服が全て無くなっていた。あすか先輩が、寝ている私の腰の辺りに、臀部を密着させた状態で座っていて、同じく全裸の様だった。
 その彼女が、顔だけこちらに向けて
218 :216/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:03:29.88 ID:M8lWXEdT0
あすか「や、目が覚めたね。」


 と話し掛けて来る。


あすか「じゃー始めよっか。」


久美子「え、なにを? ……って、ここどこですか。」


 石畳の上ではなかった。高かった。良く見たら「地面」が透明だった。


あすか「わたしの『手』の上だよ。」


久美子「『手』……。」


あすか「うん。逃げようとしたら握り潰すよ。」


久美子「……。」


 先輩が、見えない巨大な「手」を、ベッドの様に使っているのだった。暗くて見にくいが、周りの風景から察するに、「ベッド」は地上から何メートルも離れていた。そして、私をその上に寝かせ、自身は椅子に座るみたいに、「ベッド」に腰掛けていた。
 その先輩が、少し居住まいを修正してから、私に覆い被さる様に、顔と上半身を近付けて来る。嫌でも目に入る。おっぱいでけえ!
 先輩は、辺りを見る為に若干持ち上げていた私の上体と頭を、「ベッド」に押し倒すと、満足そうな笑みを浮かべる。
219 :217/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:03:59.30 ID:M8lWXEdT0
あすか「うーん、おいしそーだ……。」


久美子「え……。」


 不穏な台詞を聴いてしまった様な。


久美子「た、食べないで下さい……。」


あすか「あははー。却下♪」


 そう言うと先輩は、私の左頬っぺを、舌でべろりと舐める。
 その感触と行為のおぞましさに、心底、ぞくっとした。
 先輩は微笑を浮かべると、


あすか「生だけど、いいよね。」


 と、実に楽しそうに言う。


久美子「……生あ?」


 絶望的な気分になった。悪夢が終わらない。
 あすか先輩は、私の体を、生のままで食べる気なのだ。私の手足を戻したのは、実は、新鮮な生肉を、思う存分食べる為だったのだ。
220 :218/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:04:30.12 ID:M8lWXEdT0
あすか「だいじょーぶ、そんなに心配しないで。責任はちゃーんと取るから。」


久美子「責任って……。」


 自首して刑務所にでも入るのか?


あすか「じゃ、いっただっきまーす。」


 先輩の口が、私の顔に迫る。今度こそ終わった。
 唇と唇が重なり、こすれ……


久美子(……ん?)


 透かさず、舌が入って来る。


あすか「ん……、ああ……。」


久美子(これ……。)


あすか「ん……、んー……。」


 世間一般で言う所の「ディープキス」だった。
221 :219/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:04:59.80 ID:M8lWXEdT0
あすか「あ……、あー……。」


 なんでキスされてるのかは知らないけど、とにかく激しい。
 そして、気持ちがいい。


あすか「あん……、黄前……ちゃん……、あ……。」


 興奮する。
 いや、こんな美貌の持ち主から濃厚かつ熱烈にキスをされて、興奮しない方がおかしい。


あすか「あん……。」


 したい。


あすか「んー……、あーん……。」


 そうだ。私がしたくなったのは全部先輩の所為だ。先輩が悪い。
 腕に力を入れる。


あすか「ん……、んあ……。」


 先輩が悪い。私は悪くない。仕方無いんだ。
 両手を、あすか先輩の頭に、ゆっくりと近付けてゆく。
222 :220/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:05:29.88 ID:M8lWXEdT0
あすか「あ……、ん……。」


 そうして、先輩の後頭部を、優しく挟む。


あすか「ん?」


 先輩の動きが止まる。
 舌を押し込む。


あすか「!」


 麗しきあすか先輩の口内を、犯す。掻き回す。
 さしもの先輩も少しは面食らったのか、数秒止まっていたが……


あすか「ん……。」


 程無く、動きを再開する。
 すると、二人の舌が、触れる。こすれ合う。
 直ぐ様、猛烈に絡み始める。


あすか「んー……。」


 それは、必然の結果だったのかも知れない。舌は、丸で、一つの小さな生命体だった。繊細で、機敏で、柔らかく、触り心地が良く、自由自在に動いた。だから、面白かった。気持ちが良かった。私の官能を頗る刺激し、私を、益々行為に没入させた。
223 :221/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:05:59.77 ID:M8lWXEdT0
久美子「へんぱい……。」


 舌を突き出しながら言う。今、私は、「舌」という小さな生き物に、体を乗っ取られていた。私に舌が付いているのではなく、舌に私が付いているのだった。舌が、私を従えていた。舌を出しながら発言する様は、はたから見たら滑稽だったかも知れないが、別に、構わなかった。快楽が、全てに優先していた。


あすか「おーまえひゃん……。」


 あすか先輩も、私同様、舌に体を支配されていた。丸で、発情期を迎えた二つの小さな寄生生物が、二人の体を乗っ取り、交尾の前に、互いの愛情を確かめ合っている様だった。
 そして、私達は、唯々、その奇妙な生き物に従っていた。寄生生物達は、宿主達に大量の快楽物質を与えていた。だから私達は、舌が戯れ付くのを、とめられなかった。とめる気も無かった。
 それだけにとどまらない。
 軈て、小さな寄生生物達は、周りの器官をも侵食して行った。
 その為、私達は、舌を使い、唇を使い、時には前歯を優しく使い、激しく、深く、愛撫しうる範囲を、残さず愛し合った。甘ったるく喘ぎながら、なにも言わずに、御互いを貪った。
 私は先輩を強く求め、先輩は私を強く求めていた。
 今日初めて、二人の気持ちが、掛け値無しに一つになっていた。
 宛ら、肉体の一部が一時的に解け合うと同時に、精神の一部も解け合っていた。
 だから、先輩のキスが勢いを失う時が、私のキスが勢いを失う時であり、先輩が唇を離したくなる時が、私が唇を離したくなる時だった。
 最後に、チュッ、と音を立てて口付けをし、一先ずキスが終わる。それは、二人が同時に望んでいた事だった。
 名残惜しいけど、それは必要な別離であり、二人共それを理解していた。


あすか「黄前ちゃん、『下の御口』、いいかな?」


久美子「はい。」


 私も子供じゃない。当然、次の段階に進む事は分かっていた。
224 :222/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:06:29.76 ID:M8lWXEdT0
あすか「コンドーム無いけど、いいよね?」


久美子「……はい?」


 その発言は、予想だにしていなかった。


あすか「あ、わたし、『ふたなり』なんだ。」


久美子「……ふたなり?」


あすか「男性器と女性器が両方あるって事。」


 あすか先輩はそう言うと、覆い被さっていた私の上半身から、体を離す。
 私が上体と頭を持ち上げるのと、先輩の体がすっと上空に浮き上がるのは、ほぼ同時だった。


あすか「ほら。もーがちがち。」


 確かに、あった。先輩の白い下腹部をバックに、逞しく、屹立しているのが見えた。そしてなにより、彼女の全裸は美しかった。私と同じホモ・サピエンスとは思えなかった。
 その体が、重力を全く感じさせずに、ふんわりと、私の脚の方へと移動を始める。


あすか「あるとは思わなかった?」


久美子「はい……。」
225 :223/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:06:59.91 ID:M8lWXEdT0
 ちょっと恥ずかしかった。私が出会った中で、最も才知に恵まれ、最も美しく、最も強い、正に人類の理想を体現したとも言える、完全無欠のあすか先輩が、なぜ男性生殖器を欠いているなどと思ってしまったのだろう。
 先輩が、私の脚のあいだに、ふわりと膝を突き、覆い被さって来る。
 それに合わせて、私は、上半身の力を抜き、「ベッド」に完全に体を預けた。それは同時に、眼前のあすか先輩に、私の体と、私の心を、全て委ねる事を意味していた。
 「先輩」が、私の割れ目に触れる。こすれる。


あすか「ほら、これなーんだ。」


 思わず、失笑してしまう。


久美子「ちょっと……、私に言わせないで下さいよ……。」


あすか「えー? 言ってよ。……ほら、黄前ちゃんの下の御口にキスしてるのは、わたしのなに?」


 しょうがない人だ。


久美子「……先輩の、……おちんちんです。」


あすか「ピンポーン。……じゃ、黄前ちゃんの初めて、わたしが貰うね。」


久美子「はい。」


 遂に、私にも、この時が来た。まさか、相手があすか先輩だとは、夢にも思わなかった。
226 :224/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:07:29.85 ID:M8lWXEdT0
あすか「いくよ……。」


 先輩の先端が、私の開口部を、ゆっくりと押し広げてゆく。変な感触だ。


あすか「お、亀頭全部入った。……このまま一気にいくね♪」


 先輩の一物が、ずんずと押し込まれる。


久美子「あ……。」


あすか「うーん、奥まで入った。気持ちいー。……黄前ちゃん、大人の階段上っちゃったね。」


久美子「はい……。」


 なんとも言えない感覚だった。というか若干気持ち悪い気もする。これが、秘所の深奥を触られる感覚なのか。


あすか「じゃ、動くね。」


 先輩がゆっくりと男根を引き……
 ずんずんと、往復運動を始める。
 すると、膣が、


久美子「あ、なんですか、これ。」


 若干気持ち良かった。
227 :225/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:07:59.77 ID:M8lWXEdT0
あすか「これって?」


久美子「初めてなのに、なんか気持ちいいです。……それに、初めてなのに、全然痛くないです。」


あすか「あはは、なんだ。吸血鬼だから痛みの感覚がにぶいんだよ。忘れてたの?」


久美子「あ。」


 忘れてた。


あすか「裂けた膜も元通りになるよ。……だからエッチした事は誰にもばれない。……初めてなのに気持ちいい理由はね……。」


 そこまで言った所で、現前のあすか先輩は、微笑を浮かべる。
 自分の唇を、ぺろりと舐めながら、すっと、両腕で私の頭を挟み、


あすか「わたしとしてるのに気持ち良くない訳無いじゃないか。」


 私の唇を奪う。
 なんという、理屈が通っていないにも関わらず、心の底から納得出来る理由であろうか。私も、舌を突き出す。


あすか「ん……、んー♪」


 再び、熱狂的な接吻が始まった。
 但し、今度は、「舌」が主導しているのではなかった。「私」が、主体的に官能を貪っていた。「私」が、濃厚なキスを行うと同時に、それまで弛緩していた腕を動かし、先輩の背中をいだいていた。「私」こそが、指の腹で、掌で、先輩の背中を、腰を、脇腹を、肩を、首を、頭を、二の腕を、優しくさすっていた。
228 :226/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:08:32.52 ID:M8lWXEdT0
あすか「ん……、あ……、ああん!」


 その愛撫が、性感帯を上手く刺激すると、あすか先輩は、一際大きな声で悦んでくれた。実にぞくぞくした。ゆえに私は、その声を頼りに、先輩の興奮が高まる位置を探った。


久美子「ん……、ん……、んん!」


 同時にあすか先輩も、正常位で私を突きながら、濃密な口付けを行いつつ、両手で、私の体を愛撫してくれていた。私の頭を、首を、肩を、二の腕を、脇腹を、御中を、腰を、太股を、たっぷり愛してくれた。だから、私も性感帯を刺激された際には、悦楽の声という形で、「そこ、とてもいいよ。」と答えた。
 素晴らしい時間だった。
 思うに、二人の気持ちは、再び一つになっていた。端的に言えば、二人共、肉体的な快楽の奴隷と化していた。私が先輩に快楽を与え、先輩が私に快楽を与えていた。そして、私は快楽の擒であり、先輩も、快楽の擒だった。だから、御互いに、快楽が欲しいからこそ、快楽を与える事に躍起になっていた。
 同時に、精神的な快楽の奴隷でもあった。
 私が先輩に与え、彼女が悦びの声を上げると、その声で、私は興奮した。その美声は、私の脳髄に、覿面に突き刺さった。しかし、話はそこで終わらない。先輩に与えている、と思うと、私は無償の悦びを得、先輩が私の愛撫で声を漏らしてしまっている、と思うと、あの超人的なあすか先輩を手玉に取っている、と、下びた悦びを得る事が出来た。
 私は、セックスの極意を、身を以て感じていた。
 多分、先輩も同じだった。精神的な快感と、肉体的な快感。無償の快感と、有償の快感が混じり合い、私達を突き動かしていた。二匹の奴隷が、卑しく求め合っていた。


あすか「ん……。」


久美子「あ、先輩……、あ……。」


 程無く、あすか先輩が、次の段階に踏み出した。
 これまで、手だけで愛撫していた私の体を、唇と舌でも、愛し始めたのだった。
 私の首を唇でこすり、舌で舐め、鎖骨の感触を味わうと、二の腕に頬摺りした。続けて右手で私の二の腕を掴み、手を上げさせると、なんと、腋の下を、舐め回した。


久美子「ああ……、先輩、駄目です……。ああ……。」


 単純に、凄い、と思った。私も、先輩の美しい体を、隅々まで舐め回したかった。二人で、とことんまで堕ちたかった。悦楽の限りを、尽くしたかった。
229 :227/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:09:05.78 ID:M8lWXEdT0
あすか「メインディッシュだ……。」


 次に先輩に狙われたのは、胸だった。先輩は、私の平らな左の胸に、顎を、頬っぺたをすりつけてから、小さな突起に、思いっ切りしゃぶりついた。舌先で小刻みに刺激したり、逆に、ゆっくりとべろりと舐めて、女の子にとって大切な部分を、翻弄した。
 続けて、右の乳首も標的となった。それは、見なくとも、吐き掛けられる呼気で判った。


あすか「可愛いねえ……。いただきまーす。」


 その台詞の直後、餌食となった。先輩の手に落ちた事が、とても嬉しく感じられた。


久美子「先輩……、私も……。」


 食べたい。
 そう口に出さずとも、あすか先輩は察してくれた。彼女は上体を起こしてから、しゃぶりつこうとする私の上半身を両手で補助して、自分の胸へといざなってくれた。
 あすか先輩の美巨乳に、下から、顔を押し付ける。
 それは凄く柔らかくて、弾力があった。そして、なにかが、おかしかった。


久美子(……ん?)


 私が顔面で押すと、先輩の胸は、原形に戻ろうとした。その力を感じた。というか、私は、その力しか感じる事が出来なかった。先輩程の大きさであれば、当然、相当な質量である筈なのに、本来であれば感じる筈の、「重さ」という物を全くを感じなかった。先輩の胸は、なぜか、地球に引っ張られてはいなかった。
 さっきから先輩の体がふわふわしていたのは、見えない「手」かなにかに体を支えて貰っている、とか、そういう事ではなかった。そもそも、重力が仕事をしていなかった。きっと、あすか先輩が解雇してしまったのだ。最早、先輩は物理法則に従ってはいなかった。寧ろ、物理法則が、先輩に従っていた。
 一旦胸から顔を離し、話し掛ける。
230 :228/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:09:33.81 ID:M8lWXEdT0
久美子「先輩……、先輩の体……。」


 すると、あすか先輩は柔和に微笑み、口を開いた。


あすか「うん、浮いてるよ。ってゆーかさっきからずっと浮いてるよ? ……あれ、言ってなかったっけ? 真性の吸血鬼は空を自在に飛べるって。」


久美子「言ってませんよ……。」


 苦笑いで答える。
 全く、この人は分かっていて恍けてるんだから……。
 でも、そんな所も好き。


あすか「ほら、疑問は解けた? ……じゃ、食べて♪」


 先輩が、胸を差し出して来る。


久美子「はい。」


 遂に、先輩の胸をほしいままにする時が来た。右胸に、顔を押し付ける。柔らかい。


久美子「先輩……。」


 そして、私は、頬摺りをした。鼻で、先輩の乳首をこすりながら、匂いを味わった。態と、生暖かい吐息を浴びせ掛けた。顎で、目蓋で、おでこで、先輩の感触を、温もりを、存分に感じた。それと同時に、右手も使って、先輩の左胸を、揉んで遣った。態と、指先を軽く触れさせ、擽って遣った。乳首を、指の腹で、撫でて遣った。
231 :229/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:10:02.78 ID:M8lWXEdT0
あすか「あん……、黄前ちゃん、焦らさないで……。食べて……。一思いに、食べて……。」


 遣ってやる!


久美子「あーん♪」


あすか「ああ!」


 先ずは唇で、乳頭を挟む。直ぐ様、舌で押す。先端を、乳輪を、舌先で、ちろちろと刺激する。唇を窄めて、乳首を、押す。そのまま、ぎゅうと、乳房がひしゃげるのも構わずに、限界まで押し込む。逆に、乳輪に唇を密着させて、皮下の肉ごと、思いっ切り吸う。口内に請じ入れた乳頭の先端を、舌先で持て成す。


あすか「あ……、黄前ちゃん凄い……。鬼畜……。」


久美子(……ん?)


 鬼畜はどう考えてもあすか先輩の方だ。もっと攻めてやれ。


あすか「あん……凄い……。おねーさん感激しちゃう……。ねえ、左も……。左もしゃぶり尽くしてえ……。」


 右の乳首を口に含みながら、横目で「次の獲物」を視界に捉える。
 口を離し、空恍けてみせる。


久美子「左? 左ってなんの事ですか?」
232 :230/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:10:30.80 ID:M8lWXEdT0
 すると、あすか先輩の顔に、喜色が浮かぶ。


あすか「あーん。黄前ちゃんいけずう……。左と言ったら……、左のおっぱいなの……。哺乳類が赤ちゃんを育てる為に持ってる、大事な大事な乳首を……、黄前ちゃんに犯して欲しいの……。」


久美子「あー、これですか。」


 右手の人差指で、先端をこすりながら、言う。


あすか「あん! それ。……それを、黄前ちゃんに食べて欲しいの。」


久美子「はーい、いーですよー♪」


 しかし、まだ食べない。「獲物」に目を向け、


久美子「……うーん、君、可愛いねー。……どんな味がするのかなー? 人差指で、『すりすり』されるのは気持ちいいでちゅかー? ……ん? ……ほらほら♪」


 一定のリズムで、執拗に、嬲り続ける。
 刺激を続けながら、あすか先輩の顔に目を遣り、にやりと笑う。
 すると、あすか先輩の顔は益々うっとりし、


あすか「ああ……、黄前ちゃんがここまで遣ってくれるとは思わなかったの……。おねーさん凄く興奮しちゃう……。いい……、気持ちいい……、出ちゃう……。」


 俄かに、腰の動きが速くなる。
233 :231/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:10:59.80 ID:M8lWXEdT0
久美子「……え? ……出るって――」


あすか「射精しちゃうー!」


 ぎょっとした。


あすか「ああ、黄前ちゃんのおまんこ気持ちいい。もー駄目、もーいっちゃう。いーよね! 中でいーよね!」


久美子「だ、駄目です、抜いて下さい!」


あすか「えー? 却下あ。だって中でいく方が絶対気持ちいーもん。だからいーよね、いーよね、びゅっびゅって出しちゃっていーよね!」


久美子「駄目です駄目です! 吸血鬼でも子供が出来るって言ってたじゃないですか!」


あすか「だいじょーぶ責任ならわたしが取るから、ああ……。」


久美子「どーやって責任取るんですか! 妊娠するのは私なんですよ!」


あすか「だいじょぶだいじょぶ何とかなるから。だから! だから!」


久美子「何とかって――」


あすか「ああ、込み上げて来た! いくいく! いくよ!」
234 :232/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:11:29.72 ID:M8lWXEdT0
久美子「駄目ー!」


 私の叫びのさなか、先輩は、背中を仰け反らせ、動きをとめた。
 遣られた。


久美子(ああ……。)


 終わった。色んな意味で終わった。
 先輩の顔が、ゆっくりとこちらを向く。ぽかんとした顔付きだった。


あすか「黄前ちゃん……。」


 そこで、急に真顔に戻る。


あすか「嘘。」


久美子「……え?」


あすか「嘘だよ嘘。射精したなんて嘘。……ちょっと黄前ちゃんの脅える顔が見たかっただけ。……やっぱり嫌がる女の子を無理矢理犯すのってさいっこーに楽しいよね♪」


久美子「はあ……。」


 気が抜けてしまった。
235 :233/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:11:59.79 ID:M8lWXEdT0
あすか「大体わたしが一人でいく訳無いじゃないか。いく時は、黄前ちゃんも一緒だよ。」


久美子「え、私ですか? ……私、初めてなのにいけるんですか?」


あすか「うん、いけるいける。約束する。」


久美子「約束って……。」


あすか「あ、信じてないな? ……じゃーいい事教えて上げよう。実はね……。」


 先輩の顔が、急に凄みを帯びる。


あすか「わたしはこの世界の言わば『神』なんだよ。」


久美子「……はい?」


あすか「だから、この世界でわたしの思い通りにならない事はなにも無いんだ。黄前ちゃんを天国に連れて行って上げる事くらい、訳無いんだよ。」


 そこで表情が普段通りに戻り、


あすか「……って言ったら信じる?」


 と、けろりと言う。
236 :234/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:12:29.82 ID:M8lWXEdT0
久美子「えーっと……。」


あすか「あ、信じてないな。……じゃあ信じさせて上げる。いくよ……。」


 そう言うと、あすか先輩はゆっくりと腰を引き、


あすか「うりゃっ♪」


 再び往復運動を始めた。


久美子「あ、なにこれ。……気持ちいい、気持ちいい。さっきより全然気持ちいいです!」


あすか「でしょお? さっきは手加減してたんだぜ♪」


久美子「ああ、凄い。……先輩ってほんと凄い。」


あすか「ふっふっふー、もっと褒めるがよい。……所で黄前ちゃん、なんか忘れてる事があるんじゃない?」


久美子「……え?」


 あすか先輩は、無言で自分の左胸を見た。


久美子「あ。」
237 :235/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:12:59.74 ID:M8lWXEdT0
あすか「ふふっ。キスして。」


久美子「はい。」


 チュッ、とソフトに唇を触れさせ、先輩の顔を見上げる。


あすか「よしよし、良く出来ました。……じゃー寝て。」


 肘を突いた状態で起こしていた上半身を、「ベッド」に横たえる。
 透かさず、先輩も覆い被さって来て、チュッ、と私の唇を奪う。


あすか「一緒にいこうね。」


久美子「はい。」


 そうして、私達は、再び唇を重ねた。
 同時に、私は、先輩の体を抱いた。撫で回した。
 先輩も、私の体を、撫で回した。
 もう、慣れた物だった。私の官能は、一気に燃え上がった。


久美子「あ……、先輩……、ああ……。」


あすか「ん……、んー……、ここがいいんでしょ? あっ……。」


久美子「はい……、あ……、先輩……。」
238 :236/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:13:29.76 ID:M8lWXEdT0
 いや、若しかしたら慣れではなく、膣からの快感が、詰まり、この素晴らしい先輩の技量が私を猛烈に高めてくれているのかも知れない、などと、ふと思ったが、定かではなかった。どちらにせよ、先輩が言う所の「天国」が、確実に、私へ近付いているのを感じた。まだ見ぬ新世界が、てぐすねひいて私を待っているのを、ひしひしと感じた。


久美子「先輩、先輩……、気持ちいいです……。」


あすか「ん? 気持ちいいの? 黄前ちゃんいっちゃうの?」


久美子「はい、多分、私……、いっちゃいます。……初めてなのにいっちゃいます。」


あすか「そーなの。」


 途端に、先輩が動きをやめる。
 一気に、興奮が冷めてゆく。


久美子「え……、なんで……。」


あすか「黄前ちゃん、気持ち良くして欲しい?」


久美子「はい。」


 当然だ。
 すると、先輩は、うっすらと下びた笑みを含み、


あすか「だったら、わたしの奴隷になって♪」


 と言う。
239 :237/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:13:59.87 ID:M8lWXEdT0
久美子「……え?」


あすか「ど、れ、い。……黄前ちゃん、わたしの所有物になりなよ。そしたら気持ち良くして上げる。」


 行き成りのとんでもない提案に、言葉が出ない。


あすか「……あれ? 気持ち良くなりたくないの?」


久美子「だって、そんな、奴隷なんて……。」


あすか「だいじょぶだよ、ちょっと一生わたしの所有物になるだけだから。」


 それ、大丈夫じゃない気がする。


あすか「んー? どーしたの? 頭で考えても結論が出せない? だったらヴァギナで考えなっ!」


 猛烈に突いて来る。


久美子「あっあっ、気持ちいい! 気持ちいいです!」


あすか「そーでしょ? 気持ちいいでしょ? もっと良くなりたいでしょ?」


久美子「はい! なりたいです!」
240 :238/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:14:29.81 ID:M8lWXEdT0
あすか「だったらわたしの物になっちゃいなよ♪」


久美子「それは駄目ですう!」


あすか「どーして? 一生わたしの命令に従うだけじゃない。……ね? 奴隷になろ?」


久美子「ああ、許して下さい……。」


あすか「えー? なーんか人聞きが悪いなー。わたしが黄前ちゃんを苛めてるみたいじゃないか。……そーなの?」


久美子「そうじゃないですそうじゃないですう……。」


あすか「そっか、じゃー問題無いね。気持ちいい事一杯しよ?」


久美子「はい……。」


あすか「奴隷になろ?」


久美子「駄目え……。」


あすか「あれ? 今ので堕ちると思ったのに。……意外としぶといね。じゃー駄目押しに快感をもう少し強くしよっか。……ほれ♪」
241 :239/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:14:59.83 ID:M8lWXEdT0
久美子「ああ、凄い……。」


 本当になにもかも思い通りになるんだ。


あすか「ね? もっともっと気持ち良くなろ?」


久美子「はい……。」


あすか「奴隷になろ?」


久美子「……はい。」


 言ってしまった……。


あすか「あはあ……。ねえ、もっかい言って? 黄前ちゃんはおねーさんの奴隷に?」


久美子「なる! なりますう!」


あすか「んー? 『なります』じゃないでしょ? 人に御願いする時は?」


久美子「ならして下さい御願いします……。」


あすか「なんか変な頼み方だねえ……。」
242 :240/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:15:30.32 ID:M8lWXEdT0
久美子「私を! 先輩の! 性奴隷に! して下さい!」


あすか「あはは! 『性奴隷』とは一言も言ってないじゃないか! 黄前ちゃん本音だだ漏れだねー。そんなに気持ちいいの?」


久美子「はい、気持ちいいですう……。」


あすか「そっか。じゃーもー一回御願いしよっか。」


久美子「はい……。」


 先輩が、私の左耳に口を近付けて、囁く。


あすか「続けて言って? わたしを。」


久美子「私を……。」


あすか「あすか御姉様の。」


久美子「あすか御姉様の……。」


あすか「奴隷に。」


久美子「奴隷に……ああ……。」
243 :241/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:16:00.14 ID:M8lWXEdT0
あすか「して下さい。」


久美子「して下さい……。」


 先輩が、耳から顔を離し、声量を戻す。


あすか「今の、繋げて一息に言って?」


久美子「私をあすか御姉様の奴隷にして下さい……。」


あすか「良く出来ましたー。……じゃ、奴隷の黄前ちゃんに最初の命令だ。おねーさんの愛情たっぷり濃厚ザーメンをぜーんぶ中で受け止めて。とーぜん出来るよね?」


久美子「はい、出来ます……。」


 どうしてこうなった。


あすか「よしよし。じゃ、一緒にいこうね、いこうね!」


 一気に抽送が激しくなる。


久美子「あ、あ、先輩、気持ちいい、気持ちいい!」
244 :242/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:16:29.81 ID:M8lWXEdT0
あすか「ん? 『先輩』じゃないでしょ? 『御姉様』でしょ?」


久美子「あ、はい、御姉様……。」


あすか「あれー? ミスした時はなんて言うんだっけ。」


久美子「あ、御免なさい……。」


あすか「んーん、そういう時は、『御許し下さい御姉様。』ってしおらしく言うの。分かった?」


久美子「はい。御許し下さい御姉様……。」


あすか「よし。……じゃ、いこっか。」


久美子「はい……。」


あすか「いくよー、一滴残らず全部出すからねー♪」


久美子「はい、御姉様。……ああ!」


あすか「いいね、急に素直になった。……所でさ、『今膣内射精したら妊娠する』って言ったらどうする?」


久美子「え?」
245 :243/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:16:59.87 ID:M8lWXEdT0
 急に、目が覚めた気がした。


あすか「に、ん、し、ん。……したいよね? したいよね?」


久美子「ええ? 困ります! 困ります!」


あすか「うん。困る顔が見たかったんだー。……おねーさん他人を隷属させるのも蹂躙するのもだーい好きなんだ。だから、覚悟してね♪」


久美子「だ、駄目ですよお……。」


あすか「あはは。奴隷に拒否権は無いの。黄前ちゃんのマタニティドレス姿が目に浮かぶよ……。」


久美子「そんな……。」


あすか「だいじょーぶ。おねーさんが囲って上げるから。……黄前ちゃんは安心して子育てに励めばいいよ。」


 頭から血の気が引く気がした。


久美子「御姉様……。」


あすか「ああん、その顔。……その自分ではなーんにも出来なくてわたしに哀願するその顔、おねーさん大好き。ぞくぞくしちゃう♪」


久美子「……。」
246 :244/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:17:29.00 ID:M8lWXEdT0
 駄目だ。私に出来る事はなにも無い。
 多分、本当に、この世界は全て、あすか先輩の思い通りになるのだ。先輩が「妊娠させる」と言うなら、私は、子種を注がれて孕む。それは、もう、さけられないのだ。
 ならば私は、奴隷の本分を全うするしかない。


久美子「……御姉様。」


あすか「ん?」


久美子「して下さい。……久美子の膣内に、射精して下さい。」


あすか「うん、素直で宜しい。……じゃ、いこうね。……一杯気持ち良くなろうね。」


久美子「はい、御姉様。一杯気持ち良くして下さい。」


あすか「うんうん。黄前ちゃんは快楽に忠実で実に扱い易い。おねーさんが直ぐに気持ち良くして上げる。」


久美子「はい。……ああ、ほんとだ。ほんとに気持ちいい……。」


あすか「でしょでしょ? エッチに集中して? もーなにも心配しなくていいからね? 余計な事はなにも考えないで、わたしと幸せになる事だけを考えて♪」


久美子「はい。」
247 :245/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:17:59.90 ID:M8lWXEdT0
あすか「だいじょーぶ。黄前ちゃんも黄前ちゃんの子供も、わたしが死ぬまで守って上げるから。……だから安心して中出しされようね。中出しされたいでしょ?」


久美子「はい。中出しされたいです! ……ああ!」


あすか「うん、セックス気持ちいいよね。わたしも黄前ちゃんのおまんこにちんちん搾られるの、とっても気持ちいーよ? 黄前ちゃんは御主人様思いの献身的な奴隷だね。黄前ちゃんがいく時には、わたしもびゅっびゅって射精するからね。黄前ちゃんのおまんこで、一杯いーっぱい気持ち良くなるからね♪」


久美子「はい。……ああ。……ああ!」


あすか「わたしの事、好き?」


久美子「はい……。」


あすか「どのくらい好き?」


久美子「……世界で、世界で一番好きです!」


あすか「わーお! 嬉しいねえ。……ずっと一緒だよ?」


久美子「はい、御姉様……。」


あすか「一緒にいこーね。」


久美子「はい。……ああ、気持ちいい、気持ちいい!」
248 :246/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:18:29.79 ID:M8lWXEdT0
あすか「うん。もっと気持ち良くして上げるからね。……ほおら。」


 最後の一声と共に、快感が異様に強まり始める。
 全身がぞくぞくする。


久美子「ああ、御姉様、気持ちいい……。凄い、凄い……。怖い……。」


あすか「んー怖くない怖くない。気持ち良くなるだけだよ? 気持ちいいの好きでしょ?」


久美子「はい……。」


あすか「だったらいいじゃん。」


久美子「でも、気持ち良過ぎて……。私、私……、やっぱり駄目です! もー駄目です!」


あすか「だいじょぶだいじょぶ。ちょっと限界まで気持ち良くなるだけだから。……限界を越えて精神が壊れちゃったら、その時は御免ね♪」


久美子「やだっやだっ! 壊れたくない! 壊れたくない! もーやめて下さい……。もー気持ち良くしないで下さい……。」


あすか「まだいけるよね?」


久美子「ああ! やだあ! 気持ちいい! 気持ちいい! 死にたくない……。」
249 :247/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:18:59.70 ID:M8lWXEdT0
あすか「死なない死なない。ちょっと別の『天国』にはいくけど。……いきたいよね?」


久美子「いきたくないですう……。」


あすか「ああん。そんなに脅えられるとおねーさん益々興奮しちゃう。ちょっとくらいなら壊れてもいいよね? ……ほらあ♪」


久美子「ああ! 鬼畜! 先輩は鬼畜です! もーやだあ……。」


あすか「んー? 『先輩』なの?」


 はっとした。


久美子「ああ、御姉様、御免なさい、御免なさい。……上手く謝れなくて御免なさい……。」


あすか「そっか、黄前ちゃんは謝罪の言葉も満足に憶えられないんだ。駄目な奴隷だね。」


久美子「はい、駄目な奴隷です……。久美子は駄目な奴隷です……。」


あすか「じゃ、壊されちゃっても文句は言えないよね。……ね?」


 快感が――


久美子「あ……ああ……。」
250 :248/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:19:29.83 ID:M8lWXEdT0
あすか「……ん? そろそろ快感の事しか考えられなくなった? ……喋れない? ……おーまえちゃーん。」


 御姉様が呼んでる?


あすか「おーい、おーまえちゃーん。」


久美子「……あい……。」


あすか「お、返事は出来る。いい感じ。……じゃ、いこっか。……いくよー!」


 御姉様が激しくなる。


あすか「うーん、黄前ちゃんのおまんこ気持ちいー。宣言通り中で出すからね? ……ああん♪」


 御姉様が悦んでる。


あすか「いい、気持ちいい……。とっても、とっても、気持ちいいの……。黄前ちゃんの中に出したくて、ちんちんがうずうずしてるの……。切なくて堪らないの……。」


 悦んでる御姉様は凄い人。


あすか「黄前ちゃんがいくのと同時に、わたしもいくからね? おちんぽミルクびゅびゅっとぶちまけるからね? ……あーん、気持ちいい。黄前ちゃん、いっちゃえ♪」


 おね――
251 :249/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:20:00.98 ID:M8lWXEdT0
あすか「……あは! いってるいってる! わたしも! わたしも! あっ! あっ! まだ出あっ!」


 御姉様の勢いが弱まる。


あすか「……全部出すよ……あっ! ……あっ……はあ……。」


 御姉様が、止まる。
 止まった御姉様は、美しい人。
 その御姉様の美しい顔が、ゆっくりと下りて来る。
 私の唇に優しく口付けをし、舌を入れて来る。
 私も、舌で応える。
 丁寧に、舌を絡ませ、愛情を確かめ合う。


久美子(御姉様……。)


 今、私は、世界で一番幸福な奴隷だった。
 美しい御主人様から、蕩ける様な愛情を、たっぷりと注がれていた。
 その御姉様が、チュパッ、と音を立てて、唇を離す。
 そのまま顔は離さずに、私の口元に、はあー、と生暖かい息を吐き掛けて来る。
 惜しい、と思った。その素晴らしい吐息を、全部吸い込んでしまいたかった。


あすか「黄前ちゃん、気持ち良かった?」


 その囁きに伴い、御姉様の息が、再び私の口元に掛かる。


久美子「……はい。」
252 :250/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:20:29.69 ID:M8lWXEdT0
 多分、私の息も、御姉様の口元に届いている。
 私の返事を聴いた御姉様は、優しく微笑み、


あすか「わたしもとっても気持ち良かったよ? 一杯出ちゃった♪」


 と、御言葉と呼気を掛けて下さる。


久美子「ああ……。」


 感激してしまう。御姉様に至福の悦びを与えた事が、この上なく誇らしかった。


あすか「元気な赤ちゃん産もうね。」


久美子「はい。」


あすか「可愛い服も一杯着せて、三人で姉妹みたいに遊ぼうね。」


久美子「はい。」


 返事をしてから、はたと気付いた。


久美子「……え、女の子なんですか?」


あすか「そーだよー?」
253 :251/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:20:59.74 ID:M8lWXEdT0
 御姉様がそう言うなら、そうなんだろう。
 きっと、全知全能のあすか御姉様には、子供の産み分けくらい造作無い事なのだ。或いは、未来が見えているのかも知れない。


あすか「黄前ちゃん、黄前ちゃんの瞳ってとっても綺麗だね。」


久美子「えー、そんな……。」


 照れ臭い。


あすか「おねーさんに良く見せて。」


 御姉様の美しい瞳が、私の右目を凝視する。


あすか「……ふふっ、全知全能って……。で、三四五の、二五一。結構進んだな。」


 また、意味不明な奴だった。


久美子「……あの、それなんですか?」


 さっきからちょいちょい気になっていた。
 しかし、御姉様は微笑を浮かべ、


あすか「だいじょーぶ、気にしないで。」


 と、軽くあしらう。
254 :252/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:21:29.71 ID:M8lWXEdT0
久美子「はあ……。」


 気にしないで、と言われても、気になる物は気になる。
 しかし、私は奴隷なのだから、分は弁えねばなるまい。
 御姉様が、私の右目に視線を戻す。


あすか「ねえ、楽しかった?」


久美子「あ、はい。とっても――」


あすか「しー。」


 御姉様が、人差指を口の前に立てて、私の発言を制止する。
 そうして指を立てたまま、私の右目を凝視し、囁きを続ける。


あすか「……ねえ、そっちは映像は見えてないんでしょ? ……見えてたら文章は要らないもんね。……音声も多分無いよね? ……小説みたいな形なんだよね?」


 御姉様の発言は、全く以て意味不明だった。


あすか「へへっ、驚いた? わたしにはそっちの姿が見えてるんだよ。……ずっと見てたよね? ……わたしも最初に見えた時には驚いたんだから。……黄前ちゃんの目の中に得体の知れない物があったからね。……でもそういう事なんだよね? ……『黄前ちゃんの視点』なんだよね? ……ね? ……じゃ、またあとでね。……読者さん。」


 そう囁くと御姉様は、人差指を立てるのをやめて、私の右目ではなく、「私」に目を向けて、
255 :253/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/06(水) 23:21:59.85 ID:M8lWXEdT0
あすか「ねえ黄前ちゃん、目を閉じて。」


 と言う。
 納得がいかない。私は完全に蚊帳の外だった。
 私が指示に従わない事に疑問をいだいたのか、御姉様が優しく、


あすか「ん? どーしたの?」


 と訊いてくる。
 私は、つい僭越ながら、


久美子「ずるいです御姉様。私にも教えて下さい。」


 と漏らしてしまった。
 しかし御姉様は、私を叱る事はせずに、微笑を浮かべ、


あすか「ずるいとは人聞きが悪いね。……だいじょーぶ、黄前ちゃんにもあとで教えて上げるから。……だから、今は目を閉じて?」


 と、宥める様に言って来る。
 それでもまだ納得がいかない。


久美子「嫌です。」


あすか「ん?」
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