【リョナ注意】緑輝「歯形祭り。」葉月「はっ?」【響け!ユーフォニアム】

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56 :054/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 22:56:29.95 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「よっ。」


 その声と共に、高坂さんが立ち上がる。
 シートの上の荷物が、見易くなった。
 大量のタオル。
 鞄。
 ペットボトルに、ケータイ。
 高坂さんの足は、立ち上がった時のまま動かない。
 足の向こう側に、ペンチ。
 タオルの上に、ナイフもあった。
 多分、さっき私を刺すのに使った奴だ。折り畳み式なのに刃を閉じてもいない。
 高坂さんは一体なにを――


久美子(!)


 突如、目の前になにかが現れ、はっとした。白い。
 見上げる。ワンピースが無かった。なんと下着姿だった。
 その高坂さんの体が、左に動く。
 白いショーツに、ブラ。ストラップレスタイプ。
 高坂さんがワンピースを脱いで、拾い上げようとしていた。


久美子「こ、高坂さん、それ、なにしてるの……。」


 足下に手を伸ばした状態で、高坂さんの動きが止まる。
 しかし、


麗奈 「……それ?」
57 :055/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 22:56:59.67 ID:j7V3WS/C0
 怪訝そうな顔と声だった。
 右腕を持ち上げ、高坂さんの体を指差し、


久美子「それ!」


 と叫び、右腕を石畳の上に戻す。
 高坂さんが、屈めていた背中を戻し、自分の体に目を遣る。
 そのまま、数秒固まる。
 軈て、不思議そうな表情で、こちらを向く。


麗奈 「なにしてるって、ブラしてるに決まってるじゃない。久美子もしてるでしょ?」


 そうじゃない!
 もう駄目だ。今のこの人にはなにを言っても通じない。
 足下に、視線を戻す。
 すると、丁度高坂さんの手が下りてきて、ワンピースを持ち上げる。
 そのまま、ぽい、とタオルの脇に投げ捨てる。
 打ち捨てられたワンピース。
 じっと見る。
 別に、汚れている風でもない。
 なぜ脱いだのか。
 と訝しみながら眺めていると、


久美子(ん?)


 ワンピースの上に、なにかが落ちた。
 白い、あれは、ブラだ。
 見上げる。
 上半身裸の高坂さんが、今度はなんとショーツに手を掛けていた。
 やばい。
58 :056/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 22:57:30.04 ID:j7V3WS/C0
久美子「こ、高坂さん。」


麗奈 「ん、なに?」


 と言いながら、高坂さんはショーツを下ろし始めた。
 陰毛。
 太股の表面を滑る、白い布。
 下腿に到達。
 左足が抜ける。
 右足も抜ける。
 ショーツが、ワンピースの上に投げ捨てられる。
 俄かには信じられない光景だった。
 野外で素っぽんぽんの美少女が、タオルの上のナイフを、ゆっくりと拾い上げる。
 そして、シートから下り、私の正面に位置すると、


麗奈 「……っと。」


 と発しながら、目の前に、膝を突いて座る。


麗奈 「さあ、久美子、どこがいい?」


久美子「……え?」


 高坂さんの顔を、見上げる。
59 :057/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 22:57:59.94 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「内臓? 骨? 筋肉? どこがいい?」


 高坂さんが、右手に持ったナイフを、自分の頬の側まで持ち上げ、微笑む。


久美子(あ……。)


 この子、また遣る気だ。
 殺される? 今度こそ殺される?


麗奈 「やっぱり最初は内臓かしらね。」


 内臓? なにすんの、嫌だ、やめて。
 しかし、声は出ない。現前を注視するので精一杯だった。
 高坂さんが、ナイフを持っていた右手を胸の高さまで下ろし、握り直す。
 そのまま、自分の御中の左側に持っていくと、なぜか動きをとめる。


久美子(……?)


 おかしい。これでは丸で、自分の御中に刺すみたいな恰好――
 突き立てた。


久美子(あっ。)
60 :058/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 22:58:30.26 ID:j7V3WS/C0
 ゆっくりと、無言で、自分の御中を真横に切り裂いてゆく。
 そして、ナイフを引き抜くと、直ぐに両手で傷口を開きながら、


麗奈 「どお? 久美子。……私の小腸、見える?」


 と訊いてくる。


久美子「……。」


 やばい。やばい物が見える。
 この子、完全に頭がおかしい。


久美子「こ、高坂さん、痛くないの?」


麗奈 「ん、痛み? ……大した事無いわ。……それより、触ってみない?」


久美子「……え?」


 しかし、私が問い質す前に、


麗奈 「あ、小腸も一緒に切れてる。……指も入るわね。」


 と言いながら、左手の中指の先っぽを、自分の小腸の切れた部分に突っ込む。
 それを踏まえた上で良く見ると、指を入れた部分以外にも、小腸が傷付いているのが判る。御中をナイフで切り裂いた時に、一緒に切れたのであろう。
61 :059/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 22:59:00.96 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「ほら、……久美子も入れてみない? ……ぬぽっ♪」


 変な台詞と共に、小腸の孔から指を引き抜く。


久美子「いや、私は……。」


麗奈 「ん? ほら、早くしないと、傷が治っちゃうわよ。」


久美子「え、治る?」


麗奈 「うん。……見えるでしょ? ……ここ。」


 そう言って、最前まで指を入れていた部分を、左手の中指で指し示す。
 見ると、その孔の部分は、切断面同士がくっついて、一本の線の様になっていた。
 他の部分は……と、その左右を見て、はっとした。さっき小腸にあった筈の傷が、どこにも見当たらない。


久美子「え?」


麗奈 「ん?」


 最後に残っていた線状の傷も、段々と見分けが付かなくなり……。
 程無く、どこに傷があったのか、判別出来なくなった。


久美子「なにこれ……。」
62 :060/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 22:59:30.15 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「え、なにが?」


久美子「傷が……、治っちゃったの?」


麗奈 「そうよ。吸血鬼は傷の治りが速いんだから。……ほら、早く触りなさいよ。」


久美子「いや、私は――」


麗奈 「遠慮しないで。」


 その声と共に私の右手を掴むと、そのまま持ち上げながら、自身も上半身を乗り出す。
 私の右手が、御中の裂け目に触れる。


麗奈 「久美子、指を伸ばして。」


久美子「え、こう?」


 と言いながら私がゆっくりと指を伸ばすと、


麗奈 「そう。」


 高坂さんは、自分の御中の切れ目の中へと、私の右手を入れ始めた。
 指先が、皮膚ではない「なにか」に触れる。
 そのまま、両手を使って、御中の内側へとぐいぐいと押し入れる。
 うわ、あったかい。
 そして、ぬるぬるする……。
 あっと言う間に、手首まで入った。
63 :061/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 22:59:59.93 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「ふふっ。……どう? 私の御中の中の触り心地は。……気持ちいい?」


 滅茶苦茶な事を訊いてくる。


久美子「う、うん。とっても気持ちいいよ。」


 高坂さんの呼吸に合わせて、御中が動いているのを感じる。
 やばい。この状況やばい。どうしたらいいんだ。


麗奈 「次はどうする? 引っ張り出して観察してみる?」


久美子「え、引っ張り出して?」


 と言って、御中の傷が小さくなっていることに気付いた。


久美子「……あ、あれ?」


麗奈 「ん、どしたの?」


久美子「御中の傷が小さくなってる様な……。」


麗奈 「そんなの当たり前じゃない。吸血鬼なんだから。」


久美子「あ、いや、そうじゃなくて……。」
64 :062/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:00:30.77 ID:j7V3WS/C0
 傷が小さくなってしまった所為で、右手が抜けない様な。


麗奈 「ん、なに? 遠慮無く言って。」


久美子「あの、手が抜けない様な……。」


麗奈 「ああ、平気よ。無理矢理引っ張れば抜けるわ。」


久美子「え、……無理矢理?」


麗奈 「ええ。」


 と言って、高坂さんは笑みを浮かべる。


麗奈 「遣って御覧なさい。」


久美子「あ、じゃあ……。」


 右手を、手前に引く。
 しかし、ちょっと進んで手の甲の部分に差し掛かると、直ぐ様つっかえてしまう。


久美子「あ、もう駄目だよ……。」
65 :063/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:00:59.94 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「だいじょぶよ。いけるわ。」


久美子「ええ……?」


 私が引っ張っている部分だけ、御中が歪に盛り上がっている。
 正直、これ以上は気が引ける。


久美子「いや、もう無理だよ……。」


麗奈 「あは、意気地無し。」


 高坂さんは楽しそうに言うと、私の右手首を左手で掴み、一気に引き抜いた。
 出てきた私の右手は、謎の液体に塗れていた。血ではない。
 高坂さんの御中の傷はというと、腕を引き抜いて障害が無くなった御蔭で、見る見る小さくなっていく。


久美子「あ、やっぱり凄いね。」


麗奈 「ん、なにが?」


久美子「傷が、どんどん治ってく。」


麗奈 「だから、吸血鬼なんだから当たり前じゃない。……久美子も吸血鬼になれば、こうなるわ。」
66 :064/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:01:30.26 ID:j7V3WS/C0
久美子「そうなんだ……。」


麗奈 「ええ。……直ぐに噛んで上げる。」


久美子「え、それは……。」


麗奈 「ふふっ。遠慮しなくていいのよ。」


 いや、これは遠慮ではないんだけど……。
 と思いながら御中に視線を戻すと、裂け目があった部分は、完全に元通りになっていた。もう、傷があった場所は、全く見分けが付かない。
 それだけに、まだ知らないなんらかの酷いデメリットがありそうで、怖い。
 そして、高坂さんはデメリットを知っていたとしても、私に教えてはくれないだろう。勧める立場なんだから、当然だ。
 しかし、高坂さんはそんな気持ちを知ってか知らずか、


麗奈 「さあ、どこでもいいわよ? ……久美子が『噛んで』って言ったら、どこだろうと噛んで上げる。」


 と迫ってくる。


久美子「そ、そんな、悪いよ。」


麗奈 「なに言ってんの、友達じゃない。久美子の為なら、喜んで一肌脱ぐわ。」


久美子「そ、そう……。」


 既に全裸の癖に、なにを脱ぐって言うんだ。
 ……ってゆーか私達って友達なの?
67 :065/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:02:00.00 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「……ねえ、どこを噛む?」


久美子「え、ちょ、ちょっと待ってよ。」


麗奈 「ん? 考え中?」


久美子「そうじゃなくて……。」


 高坂さんは執拗に勧めて来る。もう、どう足掻いても彼女の牙からは逃れられそうにない。
 恐る恐る、一番大事な事を訊く。


久美子「あ、あのさ……、高坂さんに噛まれたらさ……、私の脚の傷も……治るのかな?」


麗奈 「ああ。勿論治るわ。」


 福音だった。


久美子「そ、そっか。……じゃあさ、一応念の為訊くんだけど……、わ、私って、噛まれて吸血鬼になっても、また元の人間に戻れるんだよね?」


麗奈 「なに、そんな事気にしてたの? 別に一生吸血鬼のままでいいじゃない。」


 いや、良くないでしょ。
 でもチャンスだった。脚さえ治ってしまえば、走って逃げられるかも知れないのだ。
 正直な所、高坂さんの方が足は速い。でも、何と言っても相手は全裸。ひと気のある所まで近付いてしまえば、さすがに追っては来られまい。
 勝ち目の無い鬼ごっこなんかじゃない。
 意は決まった。
68 :066/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:02:29.96 ID:j7V3WS/C0
久美子「……いいよ。」


麗奈 「え?」


久美子「噛んで、いいよ……。」


麗奈 「だから、どこを噛んで欲しいのか、さっきから訊いてるじゃない。」


久美子「ど、どこでもいいよ。……腕でもいいのかな。」


麗奈 「多分、大丈夫だと思うけど……、ほんとにいいの?」


久美子「うん。いいよ……。」


麗奈 「あのさ、言い忘れてたけど、吸血鬼になった時の歯形は、吸血鬼でいる限り一生消えないのよ。どんな傷でも数十秒で治っちゃうのにね。……だから、歯形を付ける場所は、慎重に選んで。」


久美子「いいよ、腕で……う、腕がいいんだ。」


麗奈 「そう? ……じゃあ噛むけど。」


 と言うと、高坂さんは、


麗奈 「よっ。」


 という声と共に立ち上がる。
69 :067/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:02:59.97 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「ねえ、どっちの腕?」


久美子「え? 右、かな……。」


麗奈 「そう。」


 高坂さんは静かに言うと、私の御中の右側へと歩き、こちらを向いて立ち止まった。私はその様子を、首だけ振り返りながら目で追った。
 高坂さんがその場に、膝を突く。
 しかし……。


久美子(……?)


 なぜかそこから、動こうとしない。
 なにをしているのか。


麗奈 「うーん……。」


久美子「ん、どうしたの?」


麗奈 「ん? うん。……やっぱりね、私と同じ肩に付けて上げる。」


久美子「え?」


麗奈 「よっと。」
70 :068/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:03:29.79 ID:j7V3WS/C0
 高坂さんが立ち上がる。
 そのまま、左足が、私の体を跨ぐ。
 そして、私の体を跨いだ状態で、


麗奈 「っと。」


 と発しながら、石畳に膝を突く。
 透かさず、私の体に覆い被さる様にして、上半身を近付けて来る。
 高坂さんの胸が、背中に触れる。
 首を左に動かすと、高坂さんの左手が、私の顔の真横にあった。石畳に手を突いていた。そして、彼女の顔は、私の左肩の真上だった。
 目が合う。


麗奈 「ふふっ。」


久美子「あ……。」


麗奈 「じゃあ、久美子、いくわよ。」


 高坂さんの顔が、肩に近付く。
 息が、肩に当たる。


麗奈 「ねえ、ちょっと頭を下げて。」


久美子「え、こうかな。」


 言われた通りにする。
71 :069/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:04:00.28 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「うん、そう。じゃあ……。」


 噛まれた。


久美子「うっ! 痛っ! ちょっ、ちょっと、痛いよ!」


 高坂さんは、噛むのをやめてくれない。


久美子「あっ、やめてっ! 一旦やめてっ! ほ、ほんとに、ほんとに痛いから! 御願い、高坂さん!」


 次の瞬間、急に痛みが和らいだ。
 恐る恐る左上を向くと、高坂さんの顔が肩から離れていた。目が合う。


麗奈 「久美子、集中出来ないわ。」


久美子「あ、ごめん。あ、あのさ、でも、次からはもうちょっと、優しく噛んでくれないかな。」


麗奈 「ん、分かったわ。そうする。」


久美子「そう、良かった……。」


 高坂さんが、少し微笑む。
72 :070/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:04:29.93 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「さあ、顔を右に向けて。」


久美子「え、なんで?」


麗奈 「ん? その方が集中出来そうだから。」


久美子「そ、そう……。」


 言われた通り、顔を右に向けた。


久美子「これでいいの?」


麗奈 「うん。そしたら、頭を下げて。」


久美子「こお?」


 少し頭を下げる。


麗奈 「ううん、もっと。」


久美子「もっとって……。」


 更に頭を下げると、
73 :071/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:04:59.99 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「そのまま、下まで。」


 という指示が来たので、ゆっくりと、左の頬を石畳に付けた。少しひんやりする。


麗奈 「そう。いい子ね。」


 頭の側面を撫でられる様な感触。
 右耳の上辺りを――
 ぐいと押された。


久美子(!)


 こめかみの辺りが痛む。
 石畳に押さえ付けられて、そこに接する左のこめかみの辺りが強く痛む。その上、頭が全く動かせない。
 嫌な予感がする。


久美子「ちょっと……、高坂さん……。」


麗奈 「じゃあ、いくわよ。」


 上半身に、遠慮無く体重を掛けてくる。
 そして――
74 :072/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:05:30.48 ID:j7V3WS/C0
久美子「うっ……。」


 噛まれた。
 さっきよりは弱い気もするが……


久美子「や、やっぱり痛いよ……、高坂さん……。」


麗奈 「がーまーん。」


 高坂さんは、噛んだ状態のまま発声した。
 悟った。
 もう本当に我慢するしかないのだ。
 第一この状態では、なんの抵抗も出来ない。
 高坂さんの集中を乱さない様に、成る可く大人しくして、さっさと吸血鬼にして貰うのが、一番増しな選択肢だった。
 しかし、情けない。
 押さえ込まれて、じっと痛みに耐えている。
 その上、さっきは無理矢理、右手を御中に突っ込まされた。


久美子(……ん。)


 ふと、その右手が、顔の真ん前にある事に気付いた。
 少し動かしてみる。
 その表面は、ぬるぬるとした液体に塗れて、弱く光を反射していた。
 ああ、気持ちが悪い。
 この状況から逃げ果せたら、さっさと洗っ――
 突然、体の奥底から、快感が湧き上がる。
75 :073/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:06:00.95 ID:j7V3WS/C0
久美子(!)


 なんだ今のは。
 考える間も無く、今度は、体の感覚が薄れてゆく。
 私を苛んでいた体の痛みが、体の感覚と共に、じんわりと消えてゆく。


久美子(あ……。)


 気持ちいい……。
 自分の体が無くなっていくみたいだった。
 でも、目の前には自分の右手がある。
 試しに、意識して動かしてみた。
 しかし、なにも感じない。指は自分の意思で動かせるものの、触覚は完全に麻痺していた。
 私の体はどうなってしまったのか……。
 その時、再び快感が沸き上がる。


久美子(!)


 なにこれ。さっきより気持ちいい。
 なんで?
 心地好い……。
 ここどこ?
 私、どうなっちゃうの?
 高坂さん、好き……。
 なぜか、思考と感情が定まらない。
 頭がぼんやりしているみたいだった。
76 :074/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:06:29.95 ID:j7V3WS/C0
久美子(……あっ!)


 また来た。
 気持ちがいい。明らかに、さっきより気持ちがいい。
 快感がどんどん強くなっていた。
 脳が蕩ける……。
 私、死ぬの?
 嫌だ、死にたくない。
 高坂さん、欲しい。
 私の物に……


久美子(あっ!)


 来るのは何と無く分かっていた。さっきより更に快感が強い。
 その時、異変に気付いた。
 目の前の右手が、小刻みに揺れていた。
 目眩だった。少し気持ちが悪――


久美子「あっ。」


 気持ちいい。
 もう、どうなってもいい。
 高坂さんになら、殺されたって構わない。
 私を好きに――


久美子「あっ。」
77 :075/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:07:01.12 ID:j7V3WS/C0
 高坂さん!
 私の大事な人……。
 壊して! 私を滅茶苦茶にして!


久美子「あっ。」


 もう駄目!
 気持ち良過ぎて、頭がおかしくなる!


久美子「あっ。」


 壊れちゃう! 私、壊れちゃう!


久美子「あっ。」


 死んじゃう!


久美子「あっ。」


 死――


久美子「あっ……あっ……あっ……あっ……あっ。」
78 :076/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:07:29.89 ID:j7V3WS/C0
久美子(……。)


 体から、快感の余韻が引いてゆく。
 見覚えの無い光景。


久美子(……。)


 ここどこ……?
 目の前に、手があった。


久美子(なにがあったんだっけ……?)


 指を動かしてみると、弱い感覚があった。
 変な感じだ。動かし続ける。


久美子(私……。)


 その時、頭が冴えた。
 全てを思い出した。状況に合点が行った。
 急いで顔を上げながら、


久美子「高坂さん?」


 と声を出す。
79 :077/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:07:59.91 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「うん、なに?」


 彼女は直ぐ近くに居た。私の顔の、やや左前方にしゃがんでいた。全裸で。


久美子「あ……。」


 その姿を見て、なぜか心の底から安堵する。


久美子「良かった。側に居たんだね。」


麗奈 「うん。さあ、立って。」


 高坂さんが、中腰になる。
 直ぐに、私も立ち上が――
 太股に、変な感覚があった。


久美子「あっ……。」


 思い出した。傷があったんだった。
 見遣る。血塗れの太股が目に入る。しかし……。
 治っていた。脚の傷は、完全に治っている様だった。全く痛みが無い。
 試しに、手で触れてみる。血液は完全に凝固していて、太股の表面がごわごわになっていた。違和感の正体はそれだった。
 しかし、傷は跡形も無い。指で強く押してみても、なんの痛みも無い。
80 :078/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:08:29.84 ID:j7V3WS/C0
久美子「わーお。」


 笑みがこぼれる。


久美子「凄いね。ほんとに治っちゃった。」


麗奈 「ふふっ。じゃなければ刺さないわよ。あした学校だし。」


久美子「あ、そっか。」


 さすが高坂さん。


麗奈 「さあ、立って。」


 高坂さんが、手首を握って来る。


久美子「あ。」


麗奈 「それっ。」


 引っ張られながら、立ち上がる。
81 :079/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:09:00.16 ID:j7V3WS/C0
久美子「うわっと。」


 勢い余って、高坂さんの胸に顔から突っ込む。柔らかい。
 そそくさと顔を離す。


久美子「あ、ごめん。」


麗奈 「ううん、いいのよ。」


 一歩下がって顔を見ると、高坂さんは笑みを浮かべていた。


麗奈 「私こそ、強く引っ張り過ぎたわね。」


 そう言いながら、握っている手の方に目を遣る。
 私も目を向ける。握られている手首に、高坂さんの温もりを感じる。


麗奈 「じゃあ久美子、服を脱いで。」


久美子「え?」


 唐突だった。そして、高坂さんは真顔だった。
82 :080/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:09:29.90 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「ふーく。脱いで。」


久美子「え……、それは……。」


 抵抗がある。こんな所では脱げない。


麗奈 「脱がないの?」


久美子「えー? だって、人が来るかも知れないし……、それに、恥ずかしいよ……。」


 せめて、個室で二人っ切りなら……。


麗奈 「そう、脱がないの。」


 高坂さんの言い方が、急に冷たくなった。
 私の手首を握っている彼女の力が、強くなる。
 なんだろう。不安感が込み上げて来る。


麗奈 「久美子は悪い子ね。御主人様の言い付けが聞けないなんて。」


久美子「……え?」
83 :081/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:09:59.90 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「わ、る、い、子、だわ。……誰が久美子を吸血鬼にして上げたのかしら。……眷族の癖に主人の言う事を聞かないなんて、最低の吸血鬼ね。」


久美子「え、待って、高坂さん、私――」


麗奈 「言い訳無用! 最っ低の吸血鬼だわ。……もう吸血鬼ハンターにでもなんにでも捕まって、人間に戻されちゃえばいいわ。」


 目眩がしてきた。


久美子「に、人間、に……。」


麗奈 「そうよ。言う事を聞かない子なんて、要らないもの。」


 嫌だ。戻りたくない。折角高坂さんに吸血鬼にして貰ったのに、唯の人間になんか戻りたくない。
 一気に、目眩が激しくなる。
 体がふらふらする。気持ちが悪い。
 高坂さんに嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない。


久美子「あ、高坂さん、私――」


麗奈 「話し掛けないで。久美子の声は、二度と聞きたくないわ。」


 高坂さんは、ぴしゃりと言い放った。
 冷たい表情の高坂さんが、目の前で上下左右に揺れている。
 嘘……嘘だ……こんなの嘘だ……。
 息苦しい。吐き気がする。
84 :082/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:10:30.88 ID:j7V3WS/C0
久美子「う……あ……。」


 遂に立っていられなくなり、膝を突く。
 更に、右手も石畳に突く。高坂さんの陰部が目の前に来る。
 私は、情けを求める様に、捨てられた子犬の様に、高坂さんを見上げる。事ここに至っても、左の手首は、なぜか高坂さんに掴まれたままだった。
 目が合う。
 見下ろすそれは、冷然とした表情だった。
 崖っ縁だった。でもまだ終わりでは無い筈だ。


久美子「こ……、こうざかさん――」


麗奈 「話し掛けないでって言ったでしょ。」


 そう言うと、高坂さんは、地面に向かって叩き付ける様に、力を込めて手首を放した。


麗奈 「さよなら。」


 高坂さんが私に背を向け、ゆっくりと歩き始める。


久美子「あっ……あっ……。」


 待って、と言う事が出来ない。
 代わりに、口内に溜まっていた唾液が、唇の右端から垂れ落ちるのを感じた。
 高坂さんが、レジャーシートの前で立ち止まり、しゃがみ込む。


久美子「あ……う……。」
85 :083/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:10:59.69 ID:j7V3WS/C0
 声を掛けたいけど、話し掛けたら益々嫌われる。体だけが、前のめりになる。
 レジャーシートの上から、なにかを手に取るのが見えた。
 ショーツだった。そのまま立ち上がる。


久美子「あっ……あっ……。」


 服を着ようとしているのだ。本当にどこかへ行ってしまう。
 捨てられた。高坂さんに完全に捨てられた。


久美子「うっ……あっ……。」


 一気に涙があふれて来る。
 腕で体を支えていられなくなり、上半身が地面に崩れ落ちた。
 おでこの右側を、ごつりと石畳にぶつける。
 もうどうにもならない。


久美子「ううっ……うあ……ああ……。」


 力を入れても、なぜか手足が動かない。完全に硬直していた。


久美子「あっ……あ……。」


 最早、今の私にはとめようが無かった。涙も。高坂さんも。
 御負けに涎も。
86 :084/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:11:29.90 ID:j7V3WS/C0
久美子「あっ……うう……。」


 消えたい。この世から消えてしまいたい。


麗奈 「久美子。」


 高坂さんの声がした気がした。


久美子「うっ……あっ……。」


麗奈 「ねえ、久美子。」


 左肩がぐいと押され、体が仰向けになる。
 高坂さんだ。高坂さんが、目の前に居る。


久美子「あっ……あっ……。」


麗奈 「ねえ、だいじょーぶ?」


 相変わらず全裸の高坂さんが、私に優しい言葉を投げ掛けてくれる。


久美子「あっ……ああ……。」
87 :085/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:11:59.90 ID:j7V3WS/C0
 見捨てられなかった。私は高坂さんに、見捨てられなかった。


久美子「あ、あ、あ、あ、あ……!」


 これまで以上の勢いで、涙が噴き出してくる。


麗奈 「ふふっ、可愛い子ね。……私が久美子を見捨てる訳ないじゃない。」


久美子「あああ……。」


 何と慈悲深い。


麗奈 「ほら、泣くのをやめて。……一緒にいい事しましょう。」


久美子「うっ……うっ……。」


 「やめて」と言われても、涙は急には止まらない。


麗奈 「ふふっ。……よしよし。」


 高坂さんが、タオルで、私の顔を拭いてくれる。
88 :086/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:12:29.86 ID:j7V3WS/C0
久美子「うっ……うああ……。」


 その心遣いに、再び涙の勢いが増す。


麗奈 「いいのよ。久美子が落ち着くまで、ずっと側に居るから。」


久美子「ああ……。」


 全身の力が抜ける。
 唯、横隔膜のみが、痙攣する様に動き続けた。
          *
 涙も呼吸も、一分程で落ち着いた。
 はあ、と深く息を吐くと、私は、私の涙と、涎と、鼻水を拭いてくれていた高坂さんの顔に目を遣り、


久美子「ありがと、高坂さん。」


 と礼を言ってから起き上がった。


麗奈 「もう大丈夫?」


久美子「うん。」


麗奈 「一人で立てる?」
89 :087/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:13:00.00 ID:j7V3WS/C0
久美子「うん。」


 実践してみせる。
 すると、間髪を容れずに、高坂さんも立ち上がる。
 立ち上がった高坂さんと目が合い、思わず笑みがこぼれる。


久美子「ほらね?」


麗奈 「ふふっ。」


 高坂さんが、私の頭の左側面に手を伸ばし、


麗奈 「偉いわ。」


 と言いながら、私の髪の毛を撫でてくれる。
 手を引っ込めて、


麗奈 「じゃ、服も一人で脱げるわね?」


 と訊いてきたので、


久美子「勿論だよ!」


 と応じて、素早く服を脱ぎ始めた。
90 :088/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:13:30.25 ID:j7V3WS/C0
          *
 四十秒で脱衣した。脱いだ服は、高坂さんの指示に従って、レジャーシートの上に置かせて貰った。
 高坂さんに向き直り、


久美子「これでいいかな?」


 怖ず怖ずと訊く。


麗奈 「……。」


 しかし、高坂さんは返事をしてくれない。その顔を見ると、じっくりと、嘗め回す様に、私の体に視線を注いでいる様な仕種だった。


久美子「え?」


 急に、恥部を曝け出しているという意識が、込み上げてくる。


久美子「……ちょっと、恥ずかしいよ。」


 急いで体を縮めて、両手で、胸と股間を隠す。
 すると、高坂さんは笑みを浮かべて、こちらへと足を踏み出す。
 にこやかな表情で歩みながら、


麗奈 「なに言ってんの。久美子も私の体、ちらちら見てたでしょ。」


 と言う。
91 :089/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:14:00.21 ID:j7V3WS/C0
久美子「え?」


 高坂さんが、レジャーシートの前で立ち止まる。


久美子「そうだったかな……?」


 否定も肯定も出来ず、二の句が継げないでいる私の目の前で、高坂さんは、ナイフを拾い上げた。
 こっちを向いて、


麗奈 「さあ、さっきの続きをしましょ。……御出で。」


 とさそってくれるので、


久美子「あ、うん。」


 と返事をしてから、急いで高坂さんの側に向かって歩く。
 目の前で立ち止まると、次の指示が来る。


麗奈 「ふふっ、いい子ね。……じゃあ寝て。」


久美子「え?」
92 :090/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:14:29.89 ID:j7V3WS/C0
 まじな顔だった。
 私がおもむろに、自分がさっきまで倒れていた辺りに目を遣って、再び高坂さんの顔に目を戻すと、


麗奈 「うん。そこら辺でいいわ。」


 との言葉だったので、


久美子「そっか。」


 と呟いてから、その方向に少し歩いた。
 振り返って、訊く。


久美子「ここら辺でいいのかな。」


麗奈 「うん。」


 ゆっくりと腰を下ろして座ると、御尻がひんやりした。
 すると、高坂さんも私の側まで来て、腰を下ろす。但し、御尻は浮かせたままだった。
 その状態で、口を開く。


麗奈 「寝て。」


久美子「俯せで? それとも仰向けで?」
93 :091/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:14:59.81 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「仰向け。」


 その通りにする。今度は背中がひんやりする。
 ちょっと顔を持ち上げて、御主人様の表情を窺い、


久美子「ねえ、なにするの?」


 と訊くと、高坂さんは笑顔で、


麗奈 「『かいふく』しまーす♪」


 と返してくる。
 かいふく……回復?


久美子「え、回復って、私、別に、どこも悪くないよ?」


 勿論、高坂さんもどこも悪くない。
 すると、心底嬉しそうな顔で、


麗奈 「あらー? 久美子ちゃんはまたまた御主人様に口答えでちゅかー? いけない子でちゅねー。御仕置きが必要かなー?」


 と言いながら躙り寄って来るので、


久美子「あーん、御主人様あ。許してえ。」


 と、笑いながら、媚びる様に応じる。
94 :092/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:15:29.92 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「ふふふ。許す。」


 高坂さんはそう言うと、顔を引っ込めて後退する。
 あー楽しい。
 などと思っていると、御中に、ぐっと押される感覚。
 顔を上げて確認すると、高坂さんのナイフが、私の下腹部の左側に刺さっていた。


久美子「え?」


 驚いた。驚く程痛みが少ない事に、驚いた。ナイフで突き刺されたとは思えない程、弱い痛みだった。


久美子「それ、ほんとに刺さってるの?」


麗奈 「うん。」


久美子「変なの。全然痛くないや……。」


 すると、高坂さんは口角を上げて、


麗奈 「あれえ? 久美子ちゃんは痛い方が良かったあ?」


 と訊いてくる。
95 :093/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:15:59.89 ID:j7V3WS/C0
久美子「え、いや、そうじゃないけど……。なんか痛みが少な過ぎるってゆーか……。」


 私が素朴な意見を口にすると、高坂さんの顔が、少し真面目になる。


麗奈 「ああ、吸血鬼は傷が直ぐに治るからよ。……本来痛みってゆーのは生物にとっての危険信号。……でも、傷が直ぐに治る吸血鬼にとっては、痛みを感じる必要があんまり無いんでしょうね。……だから、人間の時程痛みを感じないのよ。」


久美子「そっか……。」


麗奈 「だから……。」


 高坂さんが、私の御中に視線を戻す。


麗奈 「こう、して――」


久美子「うわ。」


麗奈 「ん? ……ああ。腹筋が切れたからか。」


 と言いながら、傷口に左手の指先を捩じ込む。


久美子「……うん。」


 高坂さんの言う通りだった。ナイフで刺された下腹部を見る為に腹筋を使っていたのに、腹筋ごと切られて力が入らなくなってしまったので、上半身が若干動き、思わず声が出たのだった。
96 :094/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:16:29.94 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「でも、こうして御中を切り裂いてみても、」


 高坂さんが、ナイフを引き抜く。


麗奈 「全然痛くないでしょ?」


久美子「うん。」


 今度は、ナイフを持ったまま、右手の指先も傷口に押し込む。
 その間ずっと、少しぴりぴりする程度だった。


麗奈 「さあ、久美子。」


 高坂さんが、喜色を浮かべながら、左手をゆっくりと私の御中へと押し入れてゆく。


麗奈 「それえ。」


 そして、一気に、左手を手首まで突っ込む。
 下腹部が、若干圧迫される感じ。


麗奈 「あー、あったかーい。……気持ちいー。」


 と言ってから、私の御中の中で、手をもぞもぞと動かし始める。
97 :095/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:16:59.84 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「んー、これかな。」


 直ぐ様、左手が出てくる。
 但し、指がなにかを掴んでいた。


久美子「え、なにそれ……。」


麗奈 「これ? これは久美子の『だいもー』。」


久美子「だいもー?」


麗奈 「うん。実物は初めて見たでしょ。」


久美子「うん……。」


 ……いや、実物以外でも見た事は無いんですけどね。


麗奈 「どうする? 戻して欲しい? それとも捨てちゃう?」


久美子「え! いやいや、戻してよ。」


麗奈 「あはは! じゃあ戻して上げる。」
98 :096/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:17:30.28 ID:j7V3WS/C0
 高坂さんはそう言って、私の御中の中へと、左手を入れ直す。
 危ない危ない。さらっととんでもない事を言いますね、私の御主人様は。


麗奈 「ここら辺でいいかな。」


 高坂さんが、御中の中で手を止める。
 そして、広げていた切れ目から右手を離すと、腕を交差させて、私の胸へと向けてくる。


麗奈 「ちょっと置かせて。」


 すっと、私の平らかな胸の上に、ナイフが下ろされる。見た目より重く、冷たい。
 そうして、空いた右手も、御中に投入される。


麗奈 「あは♪」


 私の御中の中を、グチャグチャと音を立てて掻き回し始める。
 掻き回しながら、


麗奈 「ねえ、これ、あれに似てない?」


 と訊いてくる。


久美子「……あれ?」
99 :097/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:17:59.96 ID:j7V3WS/C0
 すると、手をとめ、私の方に脇見をして、


麗奈 「お客さーん? 痒い所ありませんかー?」


 と戯けた様に言う。


久美子「ふふっ、無いよ。」


 ここは美容院か。


麗奈 「ふふっ、宜しい。」


 高坂さんは満足そうに返事をすると、手元に視線を戻し、「作業」を再開する。
 程無く、


麗奈 「あ、……これが『しきゅー』ね。」


 と独り言つ。


久美子「これがしきゅー? ……あ、子宮か。」


 これは直ぐに判った。
100 :098/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:18:30.01 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「そう。だからこの奥が……。」


 両手の動きが止まる。


麗奈 「ねえ、ここが『ぼーこー』かしら?」


 と言いながら、私の顔へ目を向ける。


久美子「……え?」


 上手く聴き取れなかった。適切な答えが返せない。
 高坂さんは、うっすらと笑みを浮かべる。


麗奈 「ぼーこー。」


 直ぐ様、嗜虐的な表情が再来する。


麗奈 「ほらほらあ♪」


 突然、尿意に襲われる。
 はっとした。
101 :099/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:18:59.83 ID:j7V3WS/C0
久美子「あ。」


 「ぼーこー」って、膀胱の事か。
 高坂さんが、白い歯を見せて、にんまりと笑う。


麗奈 「ねえ、そうなのお?」


久美子「え、その――」


麗奈 「ほらあ。」


 更に、尿意が強くなる。


久美子「あっ、ちょっと!」


 高坂さんが、私の膀胱を探り当てて、手で圧迫しているとしか考えられなかった。


麗奈 「ふふふっ。どうやら当たりみたいね。」


久美子「あ、あの、高坂さん。そこ押しちゃ駄目……。」


麗奈 「えー? どうして駄目なのお?」


 尿意が強くなってくる。
102 :100/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:19:29.86 ID:j7V3WS/C0
久美子「それは……その……あ……。」


 やばい。


麗奈 「んー? どうしたのお?」


久美子「んーん、なんでもないよ。」


 峠は越した。尿意が引いていく。


麗奈 「そう、なんでもないの。……ねえねえ、どうして駄目なの……かな?」


久美子「どうしてって……あ。」


 また込み上げてきた。今の言動からして、更に強く圧迫したのかも知れない。


麗奈 「ほらほら。」


久美子「あ、ちょ……で、出ちゃう……。」


麗奈 「えー? なにが出ちゃうの?」


 もー、分かってる癖に!
103 :101/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:20:00.03 ID:j7V3WS/C0
久美子「お、おしっこ……。」


麗奈 「そーなの。久美子ちゃんはおしっこが出ちゃうの。……出しちゃえばいいじゃなーい♪」


久美子「だ、駄目だよお……。」


麗奈 「そお? どーして駄目なのお?」


久美子「その……、こ、こんな所で、するってゆーのは、その……、あ、……人間として――」


麗奈 「人間じゃなくて吸血鬼じゃない。」


久美子「そーだけど、……とにかく駄目なの……。」


麗奈 「ふふっ。……そう、分かったわ。」


 高坂さんが力を緩めてくれたのか、尿意から解放される。
 助かった。
 高坂さんが、私の御中から、両手を引き抜く。そのまま、素早くナイフを取り上げる。


麗奈 「さあ、体を起こして。」


久美子「え?」
104 :102/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:20:29.85 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「速く! 体を起こして。傷が治っちゃうわ。」


久美子「あ、うん。」


 高坂さんの意図は良く分かんないけど、取り敢えず、腕を使って上体を起こした。


麗奈 「御尻も持ち上げて。私みたいに。」


 そう言われたので、膝を曲げて足の裏を地面に付けてから、腕に力を入れて御尻を浮かせた。更に上半身を前へ動かそうとすると、


麗奈 「あ、腕と上半身はそのままでいいわ。」


 と言われたので、両手は背中の後ろで、地面に付けたままにした。上半身も、後ろに傾けた姿勢のままになった。変な体勢になった。


麗奈 「よし、そのままよ。」


 高坂さんは立ち上がると、素早く動いて、私の後方のレジャーシートの上にナイフを置いてから、私の真後ろに戻ってきて、座って、なぜか急に、抱き付いてきた。


久美子「あっ。」


 背中に、幸せな感触。
 そして、私の御中に、再び手を突っ込む。
105 :103/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:21:00.42 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「ねえ、もうちょっと脚を開いて。」


久美子「え、こお?」


 指示に従って脚を開くと、


麗奈 「うん、そう。いい子ね。じゃあ……」


 御褒めの言葉と共に、再び、私の御中の中を、グチャグチャと掻き回し始める。
 幸せだ。……この恰好だと、前方からは陰部が丸見えだけど。
 嬉しい様な、恥ずかしい様な。
 そう思っていると、手が止まり、


麗奈 「はーい、見付けたあ。」


 という、嬉しそうな声が響く。


久美子「え? なにを……。」


麗奈 「こーれっ!」


 強い尿意。


久美子「あっ。」


 はっとした。目一杯振り向く。
106 :104/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:21:30.00 ID:j7V3WS/C0
久美子「ちょっと、高坂さん!」


麗奈 「んー? なにー?」


 さっきと変わらない、恍けた様な声。
 なにを考えているか分からない怖さがあった。思わず、語勢が弱まる。


久美子「さっきやめてくれるって言ったじゃない……。」


麗奈 「えー? そんな事一言も言ってないじゃなーい。」


久美子(えー?)


 愕然とした。と同時に、尿意が強くなる。


久美子「あ……。」


麗奈 「さあ、さっさと出しちゃいなさい♪」


久美子「ちょ、ちょっと……あ……。」


麗奈 「んー、なにー?」


 峠を越したのか、尿意が引いてゆく。別に高坂さんが力を強めたり弱めたりしている訳ではあるまい。
107 :105/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:21:59.92 ID:j7V3WS/C0
久美子「ご、後生ですから、その……。」


麗奈 「なに言ってんの。せっかく体が濡れない恰好にして上げたんじゃない。……さあ、遠慮無くぶちまけちゃいなさい♪」


 確かに、この恰好なら濡れない……って、ぶちまけないよ!


久美子「ご、御主人様……あ……。」


 周期的に尿意が込み上げて来る。なんでこんな仕組みが体に備わっているのか。


麗奈 「……ん? ……出すの?」


久美子「だ、出さないよ……。」


麗奈 「そう、しぶといわね。……さっき飲ませた水が足りなかったのかしら。」


久美子(え?)


 その為に飲ませたのか!
 尿意が静まっていく。


麗奈 「ねえ久美子。御水、御代わりしない?」


久美子「しません……。」


 する訳無い。
108 :106/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:22:30.22 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「そう。御主人様の御勧めを断るの。……悲しいなー。」


久美子(!)


 急に寂しそうな声を出され、どきんとする。


麗奈 「……ねー、ほんとに出してくれないの?」


久美子「だ、出さないってば……あ……。」


 また込み上げて来る。


麗奈 「そう。……出してくれないと泣いちゃうかも……。」


久美子「……え? ……うっ。」


 本当に泣き出しそうな声だった。胸を締め付けられる様な気分になる。あと、尿意がきつい。


麗奈 「……出してくれないの?」


久美子「だ、出しません……。」


麗奈 「ふーん。あっそ。」


 口調が元に戻る。
109 :107/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:22:59.88 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「でも私、久美子が出してくれるまでやめないわよ?」


久美子「……え?」


麗奈 「どーするう? このまま力を入れ続けたら、膀胱が破裂しちゃうんじゃないかしら♪」


久美子「え? ちょ、ちょっと待って!」


麗奈 「だから、さっさと出しちゃいなさい。……どーせ眷族は主人には逆らえないんだしね。」


久美子「ひ、酷い……。あ。」


麗奈 「なに言ってんの。全然酷くないわ。酷いのは御主人様の言う事を聞かない久美子の方なのよ?」


久美子「そんな……。」


麗奈 「そんなじゃない。久美子は悪い子だわ。」


久美子「え?」


 胸が、ちくりと痛む。
110 :108/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:23:29.93 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「わ、る、い、子。……やっぱり御仕置きが必要かしら。」


久美子「え? 私……。」


麗奈 「どーするう? ……出す? ……それとも御仕置きがいい? ……いっその事、このまま膀胱を押し潰しちゃうのも悪くはないわね。」


久美子「え、高坂さん、あ……。」


麗奈 「大丈夫。どうせ直ぐに再生するわ。」


久美子「そ、そーだけど……。」


 そう言った所で、会話が数秒途切れる。


麗奈 「……ねえ。」


久美子「え?」


麗奈 「久美子は、私の事……嫌い?」


久美子「え? き、嫌いじゃないよ。大好きだよ。」


麗奈 「そう。……私も久美子の事、大好きよ?」
111 :109/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:23:59.91 ID:j7V3WS/C0
久美子「え、じゃあ――」


麗奈 「ぶちまけてくれたら、もっと好きになるわ。」


 う、そう来たか……。


麗奈 「さあ、出して。」


 もう、やるしかないのかも知れない。


久美子「あ、あの……。」


麗奈 「久美子、こんな格言があるわ。……吸血鬼は諦めが肝心。」


久美子「え……?」


 そんな格言初めて聞いたよ……。


麗奈 「さあ、……ぶ、ち、ま、け、て♪」


久美子「あ、あのさ……。」
112 :110/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:24:30.00 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「ん?」


久美子「出したら私の事、ほんとに好きになってくれる?」


麗奈 「勿論よ。」


久美子「ずっと側に居てくれる?」


麗奈 「ええ。ずっと一緒よ。」


久美子「じゃあ、私……、出すよ……。」


麗奈 「ええ。」


 膀胱に、意識を向ける。


久美子「いくよ……。」


 ちょろちょろと少しだけ出し、直ぐにバルブを閉じる。
 何とか止まった。


麗奈 「あ! ねえ! なんでとめるの。」
113 :111/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:24:59.95 ID:j7V3WS/C0
久美子「え? とめちゃ駄目なの? あ。」


 込み上げて来る。さっきまでより強い。


麗奈 「当たり前じゃない! 全部出して! さあ!」


久美子「あ、出す、出すよ!」


 一気に放水する。


久美子「ああ……。」


 今度はとめない。
 出ている。……愛する御主人様の為に、野外で放尿してしまっている。
 なんて気持ちがいいんだろう。
 御中がすっきりする感覚と共に、石畳の上の水溜まりが、勾配に従って面積を広げてゆく。


麗奈 「ふふっ。」


久美子「……なに?」


麗奈 「偉いわ。」
114 :112/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:25:29.86 ID:j7V3WS/C0
久美子「あ……。」


 軈て、尿の勢いが衰えてゆき、止まる。


久美子「はあ……。全部出たよ。」


麗奈 「ふふっ、偉いわ。良く出来ました。……御褒美にキスして上げる。」


 キス?
 ちゅっ、と背中に感触。


久美子「え?」


 今のってまさか……。
 やばい高坂さんにキスされたキスされたキスされた。


久美子「あ、あ……。」


 頭が沸騰しそうになる。
          *
 頭は沸騰しなかった。
 高坂さんが、少し移動しましょう、と言ったので、私は、抱き付かれて御中に手を突っ込まれた状態のまま、一メートル程移動した。尿の水溜まりから離れるのが目的だった。
 その位置で、高坂さんは、さっきと同じ様に仰向けに寝る様に指示をした。直後に、両手を引き抜いて、私から離れる。
 なにかを取りに行ったのだろう。そのあいだに、私は、石畳の上に手ばしこく寝っ転がる。
 直後、高坂さんは、タオル数枚とナイフを持って、素早く戻ってきた。
 彼女は、そのタオルの中から一枚を選んで適当に広げると、しゃがんで、私の御中の切れ目に突っ込んだ。残りのタオルは、私に手渡した。
 切れ目の端までタオルを噛ませながら、
115 :113/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:25:59.93 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「これでいい筈。」


 と呟いているのを見て、理解した。
 それは、傷口がくっついて治癒してしまうのを防ぐ為の行いだった。
 高坂さんは、作業を終えてから、その意図が成功している事を確認すると、少し笑みを浮かべ、


麗奈 「もっと早くにこうしておけば良かった。」


 と、自嘲する様に言った。


麗奈 「そう思うでしょ、久美子。」


久美子「え、いや、私は……。」


 そんな風には露思わなかった。
 というか、そもそも「傷口をひらいたままにしよう」などとは全く思わない。


麗奈 「ま、いいや。……じゃあ、続きね。」


 今度は、鳩尾の下にナイフを突き立てて来る。
 そのまま、正中線に沿って、御中を真っ直ぐに割いてしまう。私の御中に、丁字形の傷が出来上がった。
 直ぐに傷口をひらいて、私の手からタオルを一枚もぎ取ると、新しく出来た縦の切創に、素早く宛がってゆく。これで裂け目は塞がらない筈である。
116 :114/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:26:29.80 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「じゃ、内臓出しちゃいましょーね♪」


 高坂さんはそう言うと、御中の中に手を突っ込み、ナイフを使ってなにかを切りながら、私の内臓の一部を、御中から引っ張り出してしまう。
 彼女は取り出した内臓の表面をじっと見詰めると、


麗奈 「あーやっぱり。久美子のはらわたは、とても綺麗な色をしていると思ったの。」


 なにかに一人で納得している。
 そう言われた私は、どう反応したらいいんだろう。


麗奈 「じゃ、残りも全部出しちゃいましょう。」


 高坂さんは、それがさも当然であるかの様に宣言すると、両手とナイフを使って、どんどんと引き出し始めた。
 御中から内臓が引っ張り出される、不思議な感覚。
 出した「はらわた」は、私の胸の部分に、無造作に載せられてゆく。
 量が多く、載り切らなかった小腸(……これって小腸だよね?)が、体のふちから滑り落ちる。
 なんか偉い事になってしまった。引っ張り出されたこの内臓は、無事に元に戻るのだろうか? と、少し不安な気分になる。


久美子「あ、あの……、」


麗奈 「ん?」


久美子「私、こんなに出しちゃって大丈夫なのかな……。」
117 :115/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:26:59.87 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「ああ、だいじょぶ。吸血鬼の回復力で、全部元に戻るわ。」


 高坂さんは、作業をしながら答える。


久美子「そーなんだ……。それならいいんだけど……。」


 それで納得するしかなかった。
 そうこうしていると、高坂さんの手が止まる。全部出し終えたのだろうか。
 顔をこちらを向けて、微笑む。


麗奈 「ふふ、綺麗よ。」


久美子「あ、ありがと……。」


 一応礼を言う。
 全部出し終えたらしい。
 私の小腸の上にゆっくりと顔を近付けてきて、くんくん、とにおいを嗅ぐ。
 穏やかに笑い、


麗奈 「これが久美子のはらわたのにおいなのね。」


 満足気に呟く。
 居住まいを正し、
118 :116/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:27:30.04 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「じゃ、次は私。」


 すっと立ち上がる。
 私の顔の横を歩く。姿が見えなくなる。
 しょうがないので、首を目一杯動かす。
 ……やっぱり見えない。
 しかし、直ぐに視界の中に帰ってくる。
 私の体の真横に戻ってきた高坂さんは、立ったまま微笑みを浮かべ、


麗奈 「いくわよ。」


 と言いながら、右手と左手を下腹部の左側に持っていく。左手にはペンチ、右手にはナイフが握られていた。
 高坂さんが、狙いを定め、


麗奈 「んっ。」


 右手のナイフを、突き立てる。
 そのまま、左手を添えた状態で、右手のナイフを真横に動かし、御中を切り裂いてゆく。
 右端までいった所で、ナイフを引き抜き、透かさず、傷口がくっつかない様にする為であろう、御中の切れ目に両手の指先を、少し差し入れる。
 その状態で、私の直ぐ側に膝を突く。


麗奈 「ねえ、タオルを一枚頂戴。」


久美子「あ、うん。」
119 :117/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:28:00.04 ID:j7V3WS/C0
 急いで渡す。これで私の手元のタオルは残り一枚になった。
 高坂さんは受け取ったタオルを傷口に宛がうと、私の時と同じ様に、鳩尾から下も真っ直ぐ割く。


麗奈 「久美子、タオルを頂戴。」


 私が渡すと、


麗奈 「じゃあ、代わりにこれを持ってて。」


 ペンチを渡してくる。
 高坂さんはタオルを縦の傷に挟むと、今度は自分の内臓を引っ張り出し始める。
 三十センチメートル程ずるりと引き出すと手をとめ、


麗奈 「どお? これが私のはらわたよ。」


 と話し掛けてくる。
 なんとも返答に困る問い掛けに対して私が黙っていると、程無く笑みを浮かべ、続きを引き出し始める。どうやら初めから返事は期待していなかったらしい。
 引っ張り出された小腸の先っぽが、私の小腸の上に載っかる。
 そのまま続きがずるずると引き出され、次々と、私の体に載せられていく。
 上からどんどん来る。
 小腸の上に小腸が載せられてゆく。私の内臓が、高坂さんの内臓を受け入れていた。
 正直、両者は見分けが付かなかった。
 じっと見ていると、変な気分になってくる。
 それは、気持ちが悪かった。液体に塗れていた。私の胸の上で、音を立てていた。滑り落ちていた。重さで、胸が圧迫されていた。はっきり言って、私の御主人様は頭がおかしかった。こんな体験が出来る人間は世界にそうそう居まい。私は特別だった。
 軈て、小腸を引き出し終えたのか、高坂さんの動きが止まる。
120 :118/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:28:29.86 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「久美子、これも持ってて。」


 ナイフを渡して来る。
 私が受け取ると、高坂さんは笑えを浮かべながら、両手を近付けて来る。


麗奈 「それえ♪」


 一気に手を伸ばし、私の小腸と自分の小腸を交ぜ始める。


麗奈 「あはははは。」


 楽しそうだ。
 彼女が楽しそうだと、私も幸せな気分になる。
 少し交ぜた所で、


麗奈 「あ、そうだ。」


 高坂さんは手を止め、


麗奈 「ねえ、目を閉じて。」


 と話し掛けてくる。
121 :119/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:28:59.98 ID:j7V3WS/C0
久美子「目?」


麗奈 「うん。」


久美子「なんで?」


麗奈 「なんでも。」


久美子「あ、うん。分かった。」


 御主人様の望みだ。素直に従う。
 私が目を閉じると、高坂さんは、


麗奈 「よしよし。」


 と言ってから、再び手を動かし始める。
 なにをしているのだろう。
 内臓を動かしてはいるが、交ぜている、という感じではない。
 二十秒程経った所で、私が


久美子「未だ?」


 と声を掛けると、
122 :120/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:29:29.86 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「もうちょっと待って。」


 との返事。
 続いて、


麗奈 「もう直ぐ終わるからねー♪」


 という、軽快な口調。
 いい事が待っているに違いない。声ねから、そんな期待が生ずる。
 程無く、胸の上で手が動いている感覚が、無くなる。


麗奈 「うん、いいよ。」


 独り言の様な、判断に迷う台詞だった。私が、


久美子「……え?」


 と漏らすと、


麗奈 「目を開けていいわ。」


 と返って来た。
 目を開ける。高坂さんは、両手に一本ずつ、小腸を持っていた。
123 :121/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:29:59.94 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「じゃーん。第一回、内臓当てクイーズ!」


 なんか始まった。


麗奈 「それでは問題です。どちらが久美子ちゃんの小腸でしょーか。制限時間は十秒。」


久美子「え?」


麗奈 「いーち。」


久美子「ちょ……。」


麗奈 「にーい。」


 どうしよう、全然時間が無い。


麗奈 「さーん。」


 全然分かんないし。


麗奈 「しーい。」
124 :122/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:30:29.90 ID:j7V3WS/C0
 カウントは無情に進む。考えても分かる様な物では無さそうだったので、当てずっぽうで答えを決める。「九」まで行った所で回答を促す様な雰囲気になったので、


久美子「こっち!」


 と、向かって左側、高坂さんが右手で持っている方を指し示す。


麗奈 「ファイナルアンサー?」


久美子「……フィイナルアンサー。」


麗奈 「……では、こちらの左手の小腸は、もう選べません。」


 と言いながら、左手に持っていた方を、ゆっくりと下ろしてゆく。なんの真似だよ。
 下に置いてから、


麗奈 「じゃあ久美子、ニッパーを頂戴。」


 と言う。


久美子「……ニッパー?」


麗奈 「その左手で持ってる奴よ。」
125 :123/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:30:59.71 ID:j7V3WS/C0
久美子「あ、これか。」


 今まで私が持っていたペンチは、「ニッパー」という名のペンチだったのか。
 左手に持っていたニッパーを、高坂さんの左手に渡す。


麗奈 「ありがと。……ねえ、代わりにこっちを持って。」


 空いた左手に、右手の小腸を押し付けてきたので、受け取る。感触が気持ち悪い。
 すると、高坂さんは、


麗奈 「じゃ、答え合わせね。」


 と言って、自分の小腸を御中に入れ始める。
 どんどんと入れてゆく。
 しかし、私が手で持っている部分が強く引っ張られる事は無い。
 私の体の上にぶちまけられている高坂さんの小腸の量が減ってゆくに連れて、当たりを引いた、という確信が強くなってゆく。
 軈て、残りが少なくなると、高坂さんは入れるのをやめ、私の小腸の上に載せたままの自分の小腸を掴んだ状態で、私に向かって微笑む。


麗奈 「せーかいはっぴょー♪」


 まあ、私の持っている方が正解だったって、もう判ってるんですけどね。
 あの掴んでいる部分は、十中八九、私の小腸とは繋がっていまい。


麗奈 「えい!」
126 :124/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:31:29.81 ID:j7V3WS/C0
 高坂さんが勢い良く両手を持ち上げると、彼女が掴んでいた小腸は、果たして、私の体から、完全に離れた。


麗奈 「だいせーかーい!」


 高坂さんが、小腸を私の胸の上に下ろし、左手のニッパーを右手に移す。


麗奈 「では、正解した久美子ちゃんに御褒美です。」


久美子(え?)


 御褒美あるんだ。やった♪


麗奈 「貸して。」


 高坂さんが、私の左手から、小腸を受け取る。


麗奈 「御褒美ターイム! ……今から、久美子ちゃんの小腸を、このニッパーで、ちょきちょきします。」


 ……ん? それって御褒美なの?
 と思いながら見ている前で、切る場所を定め、


麗奈 「いきまーす。」
127 :125/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:31:59.92 ID:j7V3WS/C0
 ちょきん、と刃を入れる。
 そのままちょきちょきと切り続け、苦も無く、私の小腸を切断してしまう。完全に切り離されて二つに分かれたので、左手に支えられていなかった方が、私の体の上に、ぽとりと落ちる。


麗奈 「はーい切れたー。……じゃあ久美子、また持ってて。」


 高坂さんが、右手のニッパーを渡してくるので、受け取る。


麗奈 「じゃあこれを、こーして……。」


 彼女は空いた右手で、切り落とされた方の小腸を、私の胸の上で、少し動かす。
 そして若干手を離したかと思うと、勢い良く引っ張り上げる。私に小腸の真横が見える様にして、その断面に、左手で持っていた方の断面を、近付ける。


麗奈 「ここからが本番よ。」


 そう言うと高坂さんは、切断面をくっつけ、傷口がぴたりと合う様に、位置を微調整する。
 程無く、繋ぎ目が判らなくなる。


麗奈 「ほおら、繋がった。」


久美子「……あ、うん。」


 見れば分かる。
 しかし高坂さんは、私の返事に満足しなかったのか、その顔に少し疑問の色を滲ませる。
128 :126/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:32:30.32 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「……繋がったのよ?」


久美子「うん、そうだね。」


麗奈 「……あ、気付いてないのね。」


久美子「え? なにを?」


麗奈 「ふふふ、目を閉じて。」


久美子「え?」


 また? と思いつつ、さっさと目を閉じる。
 すると、今度は私の小腸が御中の中に仕舞われていく様な感覚が、下腹部に訪れる。
 出した分を全部仕舞う積もりなのか、中々終わらない。


麗奈 「こんなもんでいいかな。」


 その言葉と共に、高坂さんの手の動きがにぶくなる。
 しかし、胸と御中の上には、未だ小腸が残っている感覚がある。
 訝しんでいると、その残った小腸が、胸の上から持ち上げられる。


麗奈 「久美子、目を開けて。」
129 :127/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:32:59.85 ID:j7V3WS/C0
 開ける。高坂さんが右手で、私の小腸を鷲掴みにしていた。彼女の指からぶらりと垂れた小腸が、私の御中へと続いている。
 高坂さんは、どうだ、と言わんばかりの表情で私の顔を覗き込んでいるけれど、意図が良く分からない。


麗奈 「未だ気付かない? 良く見て。」


 と言うと高坂さんは、右手でまとめて掴んでいた二本の小腸の内の一本を、左手で掴み、


麗奈 「これでどーだ。」


 と呟きながら、両手を使って、するすると伸ばしてゆく。そして、三十センチメートルぐらい真っ直ぐに伸ばした所で、手をとめる。
 いや、なんか変だ。私の二本の小腸を、なにかで固定している?
 と思った直後に、


麗奈 「えい。」


 がくんと傾ける。
 落ちた。


久美子(え?)


 想定していなかった動きをした。
 高坂さんが左手を下に、右手を上に動かすと、私の御中に続いている私の小腸が、高坂さんの左手の上に、落ちた。高坂さんが掴んでいるのは、私の小腸じゃなかった。
130 :128/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:33:29.92 ID:j7V3WS/C0
久美子「……え?」


 高坂さんに伝わる様に、大きな声を出す。
 その彼女は私の反応に満足したのか、にやりと笑みを浮かべてから、両手を水平に戻し、


麗奈 「そーれ。」


 と言いながら、今度は反対側に傾ける。
 落ちる。
 高坂さんの左手に触れていた私の小腸が、高坂さんの右手の上に、落ちた。
 私の小腸は、ぴんと張った高坂さんの小腸の上に、載っているだけの様だった。


久美子「え? それ、どうなってるの?」


麗奈 「シーソー。」


 と言いながら、高坂さんは手を水平に戻し、


麗奈 「ガタン。……ゴトン。……ガタン。……ゴトン。」


 両手を交互に上下させ、遊ぶ。いやいや、そういう意図の質問ではないんですけど……。


麗奈 「久美子も遣ってみる? ガタン。」


 どうしよう、全然遣りたいと思えない。
131 :129/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:34:01.24 ID:j7V3WS/C0
久美子「んーん。」


 少し首を振る。


麗奈 「そう。……ゴトン。」


久美子「あの、それより……。」


麗奈 「ん?」


久美子「そろそろ起きたいんですけど……。」


麗奈 「ああ。じゃあ起きてもいいわよ。」


 ん、遠回しに「このプレイをやめて内臓と御中を戻してくれ」って伝えたかったんだけど、通じなかった。
 高坂さんが、ぱっと、両手を開く。
 ぼとりと、手にしていた小腸が落ちる。
 若干右側に移動してから、


麗奈 「さあ。」


 と言いながら両手を伸ばして、私の手首を掴んでくる。
132 :130/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:34:30.12 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「そおれっ。」


 強引に引っ張られる。
 がくんと、上半身が起きた。


久美子「あ、ありがと。」


 高坂さんは微笑を作ると、


麗奈 「いいのよ。」


 と言って、私の手首を離す。
 私も手を下ろし、同時に、視線も下ろす。
 高坂さんの小腸と私の小腸が、私の右太股に載っていた。
 そのまま御中の切れ目まで視線を動かしてから、ゆっくりと顔を高坂さんに向けて、


久美子「あの、これ、戻していいかな?」


 と訊く。


麗奈 「これ?」


 と返ってきたので、私は、ちらりと腹部に目を遣ってから、
133 :131/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:35:00.25 ID:j7V3WS/C0
久美子「私の御中。」


 と、怖ず怖ずと答える。
 すると、高坂さんは事も無げに、


麗奈 「ああ、それ、戻せないわよ。」


 と言う。


久美子「……え?」


麗奈 「だって繋がってるもん。……見て。」


 高坂さんは自分の腹部に顔を向けると、御中から出ている小腸を、両手で指差す。


麗奈 「私の小腸がこう伸びてて、そこで久美子の小腸と――」


久美子「あ。」


 ようやく意味が判った。


久美子「繋がってる! 繋がってたんだ! 自転車の鍵みたいに!」


麗奈 「ピンポーン。」
134 :132/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:35:30.11 ID:j7V3WS/C0
久美子「そーだったんだー。」


 改めて確認する。
 私の御中から飛び出した小腸が、私の太股の上で高坂さんの小腸の下をくぐり、そこでぐるりとUターンし、今度は高坂さんの小腸の上を通り、また御中の中へ戻っていた。


麗奈 「どお? 私と繋がった気分は。……これからずっと一緒ね。」


久美子「え? ずっと? ……戻さないの?」


麗奈 「ん、戻して欲しいの? 久美子は私と一緒に、居たくないの?」


久美子「いや、そういう訳じゃ――」


麗奈 「じゃあどういう訳?」


 強い語調。


久美子「えーと……。」


 高坂さんがきつい目差を向けてくる。
 どうしよう、困った。


久美子「その……、あした学校あるし……。」
135 :133/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:35:59.91 ID:j7V3WS/C0
 私がたじろぎながら弁明すると、高坂さんの表情が俄に和らぎ、


麗奈 「ふふっ、冗談よ。直ぐに戻して上げる。……吸血鬼の体でしか出来ない事を遣ってみたかっただけ。」


 と言う。


久美子「吸血鬼の体でしか出来ない……。」


麗奈 「そう。小腸を殆ど引っ張り出したのだって、そう。……普通の人間だったら出血多量で死ぬわよ。……便利よね、出血しない体って。」


久美子「そうだったんだ……。」


 そういえば、さっきから一滴も血を見ていない。


麗奈 「ねえ、もう一つ人間の体じゃ出来ない事があるんだけど、いいかな?」


久美子「ん、なに?」


麗奈 「その前に、ニッパーを頂戴。」


久美子「ああ、うん。」
136 :134/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:36:29.94 ID:j7V3WS/C0
 私がニッパーを返すと、高坂さんは二人の御中を元に戻した。若干体液を吸った四枚のタオルは、レジャーシートの上に置いて、私の座っている所へと戻って来る。
 右斜め後ろに膝を突いたので、改めて訊く。


久美子「で、やりたい事ってなに?」


麗奈 「うん。……首、切っていい?」


久美子「首?」


 右手の人差指で首に触れ、


久美子「この首?」


 と訊く。


麗奈 「うん。その首。」


久美子「いいけど……。」


麗奈 「いいの? 完全に切断するわよ?」


久美子「え、だって、吸血鬼なら死なないんでしょ?」
137 :135/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:36:59.89 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「そうだけど……、」


 そう言うと、にやりと笑い、


麗奈 「その認識が間違ってて、実際には死んじゃうかもよ?」


 と続ける。
 あはは、意図が判った。私も笑って、


久美子「またまたあ。死ぬ様な事は、しないんでしょ?」


 と応じる。
 そうすると、今度はナイフをゆっくりと近付けて来る。
 刃を、私の首に、ぴたりと付けて、


麗奈 「ほんとにいいの?」


 と威して来る。
 顔がにやついているから、恐怖は皆無だった。


久美子「いいよ。一杯切って♪」


 私の体は、その為にあるんだから。
 すると、高坂さんは顔を伏せて、くっくっと笑いながらナイフを離す。そして、
138 :136/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:37:30.58 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「あーあ、詰まんないの。脅えてくれないと面白くないじゃない。」


 本音を打ちまける。


久美子「ふふふっ。」


 こんなの全然怖くない。今の私にとって一番怖いのは、高坂さんに嫌われる事だ。嫌われるくらいだったら、死んだ方が増しだ。


麗奈 「じゃあさ、若し、私の気が変わったら、どうする?」


久美子「え? 『どうする』って?」


麗奈 「切断した久美子の首を、二度と体に戻さなかったら。」


久美子「そうしたらどうなるの?」


麗奈 「その時は、確実に死ぬわね。……どうする? 切り取った久美子の首を、部屋に飾りたくなっちゃったら。」


久美子「部屋に?」


麗奈 「うん。ホルマリンに漬けて♪」
139 :137/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:38:00.01 ID:j7V3WS/C0
 高坂さんは、嬉々として言った。
 私の御主人様への気持ちを試しているのかな。
 そんなの、答えは一つだ。


久美子「いいよ。」


麗奈 「ん、ほんとにいいの?」


久美子「うん。私、高坂さんの為にだったらなんでもするよ。」


 と言うと、高坂さんは少し笑う。


麗奈 「なんでもって、さっきは服を脱ぐのや放尿するのを嫌がったじゃない。」


久美子「んー、そうだけど……、逆にあれで吹っ切れちゃったのかも。今は、高坂さんの為にだったら、私、なんでも出来るよ。」


麗奈 「そう、なんでも? ……嬉しい、愛してるわ、久美子。」


 あ、愛し――


久美子「わ、私も! 高坂さんの事、世界で一番、愛してるよ!」


麗奈 「あはは、世界で一番なんて、大袈裟ね。」
140 :138/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:38:29.85 ID:j7V3WS/C0
久美子「んーん、大袈裟じゃないよ。私、高坂さんの為にだったら死ねるよ。」


麗奈 「まあ、じゃあほんとに飾っちゃおうかしら。」


久美子「うん。いいよ。」


 私が答えると、高坂さんは私を見詰めながら、すっと両手を伸ばしてくる。
 頬に両手を触れながら、


麗奈 「いい子。」


 と言う。
 ああ、幸せ。
 この人とずっと一緒に居たい。この人の希望を叶えたい。この人の為なら死んでもいい。仮に、この人の期待に応えられないんだったら、私の人生に意味など無い。


麗奈 「久美子、愛してるわ。」


久美子「あ、私も、高坂さんの事、愛して――」


麗奈 「久美子。」


 高坂さんの表情から、微笑が消える。


久美子「……え?」
141 :139/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:38:59.81 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「麗奈。」


 ゆっくり、はっきり発音する。
 どういう意味だ?
 私が反応出来ずに固まっていると、


麗奈 「麗奈って、呼んで。」


 と付け足す。


久美子「麗奈……さん。」


麗奈 「んーん、麗奈。」


久美子「麗奈……。」


麗奈 「そう。」


 高坂さんが、目を細めて小さく頷く。


麗奈 「久美子。」


 そう言って、ゆっくりと顔を近付けて来る。
142 :140/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:39:29.89 ID:j7V3WS/C0
久美子「麗奈。」


麗奈 「久美子。」


 更に近付けて来る。


久美子「れ……え?」


 この流れってまさか――
 唇が接触。


麗奈 「ん……。」


 あ、高坂さんの唇、柔らか、呼気が、顔近っ。


麗奈 「あ……。」


 上の唇が、濡れて、下の唇、挟まれ――


麗奈 「んあ……。」


 舌が、入って来る。唇、気持ちいい。
143 :141/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:39:59.92 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「ん……。ん……。あ……。」


 高坂さん、やばいよ、そんなに激しく、私……。
 腕が震える。


久美子(あ……。)


 体の力が抜ける。
 どん、と体に衝撃。
 暗い。


久美子「……。」


 数秒経ってから、石畳に倒れて天を仰いでいる事に気付いた。
 高坂さんが、私の顔を覗き込んで来る。


麗奈 「久美子、生きてる?」


久美子「あー、はい。なんとか……。」


麗奈 「ふふっ、行き成り刺激が強過ぎたかしらね。続きはまた今度ね。」


久美子「はい……。」


 ああ、いい所だったのに……。私の馬鹿!
144 :142/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:40:29.78 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「ねえ、起きれる?」


久美子「ん……。」


 体は正常に戻っていた。一人で起きられた。
 私が上半身を起こして高坂さんに目を遣ると、


麗奈 「じゃあ、遣りましょ。」


 ナイフを顔の高さまで持ち上げ、怪しい笑みを浮かべる。


久美子「あ……。」


 遂に切るんだ。


麗奈 「俯せになって。」


久美子「うん。」


 指示に従い、その場で俯せになる。石畳に向かって


久美子「これでいいのかな。」


 と言うと、
145 :143/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:41:00.02 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「ええ。いい子ね。」


 と返って来る。


麗奈 「じゃあ、いくわよ。」


 その言葉の直後に、うなじに、指で触られる様な感触が訪れる。


麗奈 「ここが骨だから……。」


 両手の指で、切る場所を探っているらしい。
 ぐりぐりと触られる。


麗奈 「ここら辺かな。」


 指の動きが止まる。
 そして、片方の手がうなじから離れたかと思ったら、その場所に、ちくりと冷たい感触。


麗奈 「久美子、今、ナイフの刃を当てたの、判る?」


久美子「うん。判るよ。」


麗奈 「どお? 心の準備は出来た?」
146 :144/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:41:29.82 ID:j7V3WS/C0
久美子「うん。大丈夫。高坂さんの為だったら、縦え死んでも文句は言わないよ。」


麗奈 「久美子。」


久美子「え?」


麗奈 「麗奈。」


久美子「……あ、御免。」


麗奈 「ふふっ。……じゃあ、今度こそいいかな。」


久美子「うん。いいよ。」


麗奈 「ねえ、最後に、麗奈って言って。」


久美子「うん、分かった。……麗奈、好きだよ。世界で一番。……切って!」


 ガリ、と音がした。
 しかし、押される感じはあれど、刃が入って来る感じは無い。


久美子・麗奈「……。」
147 :145/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:41:59.93 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「御免、骨に当たったみたい。もう一度いい?」


久美子「うん。何度でも切って。」


 拍子抜け。こんなのあり?
 そう思っている内に、ナイフの位置が若干動かされる。


麗奈 「じゃあ、刺すわよ。」


久美子「うん。」


 ずぶり、と刃が刺さった。
 今度こそ成功した。見なくても判る。


麗奈 「どお? 体動かないでしょ。」


久美子「うん、えーっとね、――」


麗奈 「え?」


久美子「……え?」


 腕は動くが脚は動かない。
148 :146/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:42:29.76 ID:j7V3WS/C0
久美子「あ、面白ーい。脚が無くなっちゃったみたい。全く感覚が無いよ。」


麗奈 「そ、それは脚の神経が切れたからよ。他も直ぐに切って上げるから。」


久美子「……うん。」


 今、高坂さんの声の様子がちょっと変だった気がする。


麗奈 「いくわよ。」


 ナイフが引き抜かれ、刺される。
 引き抜かれ、刺される。
 そうして、ぶすり、ぶすり、ぶすり、と刺されている内に、異変に気付いた。
 息が、出来ない。
          *
 高坂さんは私の体をごろりと転がしながら、首の周囲を手早く刺し続けた。二十秒程で一回転し、私は再び石畳と向かい合った。
 その状態でも何度かぐさりぐさりと刺したあと、私の頭は両手で掴まれた。
 ブチブチ、という音がして、石畳ではない、なにか柔らかい物に勢い良く対面した。それはとてもあたたかかった。そして、動いていた。


麗奈 「やった。……取れた。」


 私の頭が持ち上がる。私の顔が今まで密着していたのは、高坂さんの御中だった。
 その彼女は、石畳に腰を下ろした状態だった。
 高坂さんが、私の顔を覗き込んで、
149 :147/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:42:59.86 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「どお? 私の声、聴こえてる?」


 と問い掛けて来る。
 ばっちり聴こえている。笑みを浮かべてみせる。


麗奈 「あ、やった。意識があるのね。……やっぱり吸血鬼の体って最高ね。」


 私もそう思う。再び口角を上げてみせる。
 すると今度は、少し優しい顔付きになり、


麗奈 「どお? 久美子、生首になった気分は。楽しい?」


 と話し掛けて来る。
 楽しくはない。表情は変えなかった。


麗奈 「うん、でもね、いくら楽しくても、この状態ではさすがに長くは持たない筈だから、直ぐに戻しちゃうんだけどね。」


 ちょっと待った。楽しくはない。
 抗議の為に、顔を少し顰めてみせる。


麗奈 「ん? んーん、そんな顔をしても駄目よ。これは久美子の為なのよ。」


 ああ、駄目だ。全然通じてない。
 渋面を続けながら、口だけでも動かしてみる事にした。ゆっくり、
150 :148/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:43:29.95 ID:j7V3WS/C0
久美子(そ、う、じゃ、な、い。)


 と発音(?)する。
 すると、


麗奈 「おーよしよし、機嫌を直して。……ふふっ、丸で赤ちゃんみたい。」


 笑顔であやされる。
 えーん。どうしてこうなるのか。
 再び口を動かす。


久美子(れ、い、な。)


 私の声を聞いてよ。


久美子(れ! い! な!)


麗奈 「うーん、困ったわねー。機嫌が直らないわ。……おっぱいが欲しいの?」


 欲しい。そりゃ欲しいさ。
 高坂さんみたいに、などと贅沢は言わない。せめてCカップになりたい。
 私が口を動かすのをやめたからか、
151 :149/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:43:59.84 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「ん? おっぱいが欲しいんでちゅかー?」


 そう言いながら、私の顔を、ゆっくりと右の胸へと近付けていく。
 なんという事でしょう。唇が、乳頭に触れる。


麗奈 「ほら、よしよし。……機嫌直った?」


 直った。
 釈然とはしないが、それはそれ、これはこれ。
 高坂さんが、その美しい顔に慈しみの表情を浮かべながら、私に「授乳」をしているのだ。これで機嫌を直さなかったら、罰が当たる。
 ずっとこうしていたい。
 ずっと温もりを感じていたい。
 出来る事なら、高坂さんの子供として生まれ変わりたい。
 そんな私の気持ちを知ってか知らずでか、高坂さんが、


麗奈 「滝先生と結婚して赤ちゃんが産まれたら、こんな感じなのかな。」


 ぽつりと漏らす。


久美子(……滝先生?)


 頭は動かないので、目だけを目一杯見開き、高坂さんの顔を見詰める。
 程無く、高坂さんが私の視線に気付き、


麗奈 「あ、まだ言った事が無かったわね。……私さ、滝先生の事好きなの。……好きって言ってもライクじゃないよ。ラブの方ね。」


 仰天の告白をする。
152 :150/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:44:29.87 ID:j7V3WS/C0
久美子(な……。)


 目眩が始まった気がする。


久美子(なんであんな……、あんな奴のどこがいいんだ。)


 信じられない。あんな奴に惹かれているなんて。


久美子(確かに、ちょっと顔はいいけど、そんな簡単な事で好きにな――)


 突如、憎しみの感情が一気に沸き上がって来る。


久美子(あんの粘着悪魔め、私の高坂さんを誘惑したな!)


 そうでなければ、あんな男を好きになる筈が無い。
 外道! 畜生!


久美子(許せない。教師の癖に……。)


 そうだ、悪いのは全部滝先生だ。高坂さんは悪くない。
 きっと卑劣で邪悪な悪魔的姦計によって、高坂さんは正気を失っているだけなのだ。
 今度は焦燥感が込み上げて来る。
153 :151/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:44:59.91 ID:j7V3WS/C0
久美子(なんとかしなきゃ。)


 あの男の魔手から、私が救って上げなければ。


久美子(高坂さん!)


 目を上に向ける。


久美子(高坂さん目を覚まして!)


 駄目だった。ぼんやりと考え事でもしているみたいで、顔はこちらを向いてはいるが、視線がこちらに定まっていない。
 そうだ、さっきみたいに口を動かして語り掛けてみよう。目だけを動かすよりも増しな筈だ。


久美子(れ、い――)


麗奈 「あ。」


 私はたじろいだ。それは、私が想定していなかった事態だった。私の「い」の口の動きの所為で、私の唇が、高坂さんの乳頭を軽く撫でてしまったのだ。撫でた事に気付いた瞬間、私は少しぎょっとして、思わず口を動かすのをやめたので、唇は、乳頭に触れた状態で静止している。
 そして、この事態は高坂さんも想定していなかったらしい。丸で新しいおもちゃを与えられた子供の様に、爛々とした目で、視線をこちらに向けて来る。


麗奈 「ねえ、今の、ぞくっとした。もう一度出来る?」


 御安い御用である。
 唇を開けたり閉じたり、窄めたりして、乳頭を刺激する。
154 :152/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:45:29.82 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「あはは。そうそう、いい感じ。……ねえ、舌も使って。」


 使っていいんだ。
 願ったり叶ったりだ。遠慮無く、舌を突き出した。
 舌先が押していたのは、乳頭の外側の、緩やかな膨らみの部分だった。ここは、唇が届かなかった箇所だ。ぐるぐると円をえがく様に舌を動かして、丹念に舐め回す。


麗奈 「ふふっ、いい子。もっと激しく。」


 言われるままに、唇の動きも再開する。舌と唇の動きを気紛れに繰り出して、高坂さんの乳頭と乳輪を、精一杯翻弄する。


麗奈 「あーん、凄い遣る気。……久美子ちゃん、おっぱいしゅきでちゅかー?」


久美子(好きだよ。)


 恥ずかしいから言わないでよ。


麗奈 「んふ、そこそこ。」


久美子(ん? ここがいいの?)


麗奈 「そうそう、そこそこ。そこを優しく。舌で優しく攻めて。……ああん。」


 痺れる。高坂さんの色っぽい声に、堪らなく興奮する。
155 :153/345 ◆WJBKjMiKIY [saga sage]:2018/06/05(火) 23:45:59.97 ID:j7V3WS/C0
麗奈 「久美子じょーず。……ねえ、その調子で下も気持ち良く出来る?」


 下?
 舌を、思いっ切り下に伸ばす。


麗奈 「ふふっ、そうじゃなくて……。」


 高坂さんが、ゆっくりと私の頭を移動させ、下に傾ける。
 下腹部の、更にその下が目に入る。大事な場所を隠す気が全く無いらしく、轢かれたカエル宜しく、脚が大きく開かれていた。詰まり、高坂さんは、丸出しの陰部を私に見せ付けたのだ。そうして、


麗奈 「こっちの事。」


 と言うと、私の頭の傾きを直す。二人の目が合う。


麗奈 「どお、出来る?」


 勿論だよ。微笑んでみせる。


麗奈 「じゃあ、いくわよ。気持ち良くして。」


 その台詞と同時に、私の頭がゆっくりと下ろされる。
 陰毛が眼前に迫る。舌を突き出した。
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