【モバマスSS】肇の憂鬱な一日

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1 :バンP [saga]:2018/12/09(日) 00:01:53.50 ID:VNNM4ztB0
 
 白い息が空へと消えていく。
 灰色の空がつくる冷たい空気は、マフラーと手袋をしていても私を十分に凍えさせた。
 私は昼でも燦々とするイルミネーションを横目に、事務所へ足早に向かった。



 事務所へ入ると、空調が作り出したぬるい温かさに包まれる。
 マフラーと手袋を鞄にしまいこみ、中を見渡した。
 やっぱり今日は人も多いように感じる。
 クリスマスだからか、ほとんどの子がオフを貰っていた。私もその一人だ。
 特に友達と約束していることもないから、私は事務所へと何の目的もなくやってきたことになる。

 そうだ、プロデューサーさんに挨拶はしていこう。
 いや、何かを誘ってみるのはどうだろうか。
 買い物でもいいし、何処か出かけるのもいい。
 私は空想を描きながら、プロデューサーさんを探し始めた。
 道中にその姿はなくて、結局プロデューサーさんの部屋まで辿り着く。
 コンコン、とノックをする。
 すぐに「どうぞ」と返ってきた。

「失礼します」
 
 ドアを開け、机をみる。

「プロデューサーさん、あの――」

「Pくん遊びに行こうよー! 折角のクリスマスなんだよー!」

「みりあも! みりあもー!」

「ちょっ、忙しいって言ってるだろ。今日は外せない仕事があるんだ。ごめんな」

「えー。デートしようよー」

「プロデューサーさん。デートなんて、しませんよね……? うふふ……」

「し、しないって。……だぁーもう莉嘉離れろよー!」

 ……何やら賑やかだった。
 プロデューサーさんはたくさんの他の子に囲まれていた。

「――って、肇じゃないか。どうかしたのか?」

「い、いえ。何でもありません」

「何だ? 具合でも悪くしたか?」

「あ、あの。本当に何でもないんです。……失礼しました」

「あ、ちょっと、肇!」

 プロデューサーさんに呼び止められたけれど、私は部屋を出ていってしまった。
 しばらくして、また部屋からは賑やかな声が聞こえてくる。
 私は逃げるようにして、その場から立ち去った。
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