【安価】戦う正義のサイキックヒロイン

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

717 : ◆TCKJ3kJOQ2bI [saga]:2018/12/25(火) 20:28:45.68 ID:yrau6oSO0
剛毅(この世界は腐ってやがる)


鶴崎 剛毅は、裏の世界で生きる男だった。

その腕っぷしの強さと対能力者戦で重宝される能力、そして筋の通った任侠溢れる漢気で、若くして組の幹部にまで上り詰めた。

そんな彼は、自身が始末したクズの死骸を部下に片付けさせながら煙草を吸っていた。

剛毅が殺した男は、もともと裏社会とは全く関係のない一般人だったが、その凶悪な能力を悪用して表や裏の人間を見境なく殺していた。

剛毅に無効化の能力がなければ、武闘派として恐れられる彼もあっさりと殺されていただろう。


剛毅(知恵も金も権力もなくても、能力一つでチャカを遥かに超えた力を手に入れることができる)

剛毅(司法も警察も、まるでそれに対応できてねぇ。俺らの世界で、俺らよりも遥かにヤベェ闇が蠢いてやがる)

剛毅(ヤクザモンが任侠だのを語るのはただの偽善なのかもしれねぇ。だがそれでも、裏の世界の人間にしか解決できねぇこともある)

剛毅(役に立たねぇサツどもの代わりに、俺らがゴミ掃除をしてやるよ)

剛毅(【またつまらねぇこと考えてるなァ兄弟】)


剛毅の脳内に、自身と同じ、しかし自身とは異なる声が響いた。


剛毅(ッ!? やめろ、出てくるんじゃねぇ!)

剛毅(【俺らみてぇなクズが今さらダークヒーロー気取ってどうするんだよ。もっと気ままに短い人生を謳歌しようぜ】)

剛毅(ふざけるな! テメェ、この間もまた薬を売りやがったな! そういうクズみてぇな真似はするなって言ったろ!)
718 : ◆TCKJ3kJOQ2bI [saga]:2018/12/25(火) 20:31:03.96 ID:yrau6oSO0
剛毅(【安心しな兄弟、俺が売ってるのは自然由来の天然物だけ、『超科学薬』なんてイカれたもんは取り扱ってねぇからよ】)

剛毅(当たり前だ! そんなもん組にバレたら、指一本じゃすまねぇぞ)

剛毅(【大丈夫だって。いざとなったら俺のコネでもっと自由な組に移りゃあいい。俺らの能力を欲しがってる連中はごまんといるぜ?】)

剛毅(とにかく、お前は勝手に出てくるんじゃねぇ。女を抱きたきゃ適当に風俗にでも行ってやる)

剛毅(【俺ァ店の女より素人を無理やりハメるほうが好きなんだがな】)

剛毅(ふざけんな! そんなことしたら、テメェの一物切り落とすぞ!)

剛毅(【おー怖。テメェの身体は大切にしろよ兄弟。俺の身体でもあるんだからな】)

剛毅(クソッ……!)


嘲笑うかのようなもう一人の自分の声に頭を痛めながら、剛毅は紫煙を吐き出す。


剛毅(こんなイカれたやつを内側に飼ってるってのに、俺はこのままヤクザを続けてていいのか?)

剛毅(しかし、理由も語らず組を抜けるわけにはいかねぇし……それに、俺にはやらなきゃならねぇこともある)


袋に入れられ、部下に運ばれていく死体を見やる。

あのクズが殺した罪なき人々のことを思いながら、剛毅は煙草を携帯灰皿に突っ込んだ。
719 : ◆TCKJ3kJOQ2bI [saga]:2018/12/25(火) 20:34:56.11 ID:yrau6oSO0
茜「それでね、主人公の新必殺技がビューン! って飛んでって、怪人がどわーってなってね!」

友「いや、全然分かんないんだけど……今更だけどあんた、もっと女の子らしい話題とかないわけ?」

茜「ん? 例えば?」

友「うーん、例えば恋バナとか」

茜「恋かぁ……恋といえば、寿司レンジャー第27話でサーモン・ピンクが好きになった相手がなんとね!」

友「ごめん、あんたにその手の話題を振った私が悪かった」

友「あんた、本当にいろいろと残念よねぇ。その胸は無駄に女の子らしいのに」

茜「セクハラはNGだよ!」

友「そのディープすぎるオタク話、男子ですらついていけてないじゃない」

茜「そうなんだよねぇー……別の『ガーディアン』支部にヒーローの話ですごい盛り上がれる子がいたんだけど、急に辞めちゃって」

友「『ガーディアン』ってのはやっぱり変な子が多いわけ?」

茜「そんなことないよ! みんな正義のために悪と戦ってるすごい人たちだよ!」

友「まあ確かに、私にはたとえ超強い能力があっても無理……ってあんた前!」

茜「へ――きゃあ!?」

剛毅「わりぃ、大丈夫か?」

茜「は、はい、すみません!」


誰かとぶつかってしまいよろけた茜の身体を、その男は腕を掴んで支えた。

茜がぶつかったのは、ストライプの入った黒のスーツを着込んだオールバックの男だった。

背が高い茜よりもさらに頭一つ分は大きい。

薄く色のついたサングラスの奥から、鷹のような獰猛な瞳が茜を見下ろしていた。
720 : ◆TCKJ3kJOQ2bI [saga]:2018/12/25(火) 20:35:54.23 ID:yrau6oSO0
茜「か、カッコいい!」

剛毅「あ?」

友「ちょ、ちょっとあんた、よりにもよってなんつう怖い人とぶつかってんのよ!?」ヒソヒソ

茜「え?」


小声で囁きながら袖を引っ張る友人に対し、茜は無垢な瞳を向ける。


剛毅「……ハハッ、変なガキだな」

茜「ガキじゃありません、茜です!」

剛毅「そうか、そりゃ悪かったな」


いかつい顔をした男は、意外にも人好きのする笑顔を浮かべた。



茜がぶつかったのは? ↓1〜3コンマ最大
1.表の剛毅
2.裏の剛毅
721 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/25(火) 20:36:24.07 ID:yh1K/ps9O
1
722 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/25(火) 20:36:27.73 ID:NHJWhxS3o
1
723 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2018/12/25(火) 20:36:34.11 ID:Za7wonsz0
17
724 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/25(火) 20:36:41.71 ID:VlTIxT5T0
2
725 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/25(火) 20:36:45.58 ID:5ywKp3BGO
2
726 : ◆TCKJ3kJOQ2bI [saga]:2018/12/25(火) 21:21:54.48 ID:yrau6oSO0
友「そ、それじゃあ私たちはこの辺で……」

茜「そのスーツカッコいいですね! すごい高そう」

剛毅「おっ、分かるか嬢ちゃん」


そういうと男は、指を三本立てた手をすっと上げた。


茜「ん、何? 3万円?」

剛毅「30万だ」

茜「ええぇ!? さんじゅうまんっ!?」

剛毅「まあ本物の一級品とは言えねぇが、ちょっと迫力出したいってだけならこれぐらいで十分だ」

茜「ぼ、ボクそんな高級なスーツにぶつかっちゃったんですね……ごめんなさい!」

剛毅「かまやしねぇよ。俺も気を配ってなかったのが悪かった」

友(なんでこの子はこんな怖い人と普通に話してるのよ!)


友人の訴えかけるような視線に気づき、茜は話を切り上げた。


茜「それじゃあね、おじさん!」

剛毅「おじさんじゃねぇ、剛毅だ」

茜「えへへ、そっか」


「キャアアアアアアアア!!」


茜 剛毅「「!?」」

友「え、ちょ、ちょっと二人とも!?」


叫び声を聞いた二人は、ほぼ同時に声のした方向へ走り出した。
727 : ◆TCKJ3kJOQ2bI [saga]:2018/12/25(火) 21:25:45.70 ID:yrau6oSO0
磯巾着男「ニュフフフフ……!」


二人が駆け付けた先では、頭がイソギンチャクのようになった男がその触手で女性たちを拘束していた。


剛毅(俺たちのシマでカタギに手を出しやがって、クズ野郎が……! サツは何してやがんだ!?)


剛毅がイソギンチャクを睨みつけていると、茜が剛毅を庇うように一歩前に出た。


茜「剛毅さん、下がってて!」

剛毅「お前、何を!?」

茜「変身ッ!!」

剛毅「!?」


少女の掛け声とともに、少女の身体が淡い光に包まれる。

光が消えると、少女は赤を基調としたボディースーツに身を包んでいた。

元気に揺れていたツインテールは、メタリックな髪留めによって小さくまとめられていた。


剛毅「お、お前……!」

茜「『ガーディアン』だ! 女性たちを解放しろ!」

磯巾着男「ニュフフフフ! これはまた随分とエロいボディのヒーローが現れましたなぁ!」

茜「へ、変態っ!」


視線から逃れるように僅かにたじろいだ茜だが、すぐにイソギンチャクに向き直って臨戦態勢をとる。
728 : ◆TCKJ3kJOQ2bI [saga]:2018/12/25(火) 21:28:17.51 ID:yrau6oSO0
茜「女性たちを解放しないなら、ボクも黙ってないぞ!」

磯巾着男「ニュフフフフ、従わなかったらどうするって言うんだ?」

茜「ブン殴ってぶっ飛ばす!」

剛毅「お、おい!」

磯巾着男「馬鹿め! そのスーツをビリビリに引き裂いてやる!」


駆け出した茜に向かって、ぶよぶよとしたミミズのような触手が迫った。

それらの表面は、動物を麻痺させる毒を持った微細な針に覆われていた。

そんなことなど知る由もない茜は、触手を弾き飛ばそうと腕を構える。

その様子を後ろで眺めていた剛毅が、射抜くような目つきでイソギンチャクを睨んだ。


磯巾着男「ッ!?」

磯巾着男(な、なんだ!? 能力が、解除される!?)

茜「あ、あれ……!?」


茜に向かって伸びていた触手がみるみる縮んでいき、男の縮れたロングヘア―に戻った。
729 : ◆TCKJ3kJOQ2bI [saga]:2018/12/25(火) 21:31:59.56 ID:yrau6oSO0
男の頭が普通の中年男性のものに戻ったのを見て、茜は困惑して足を止めた。


茜「か、改心してくれたの?」

磯巾着男「なわけあるか! この……!」

女性「いやぁぁ!」

茜「!?」


男は捕まえていた女性の首を片腕でホールドした。

このまま人質にしてやろうと、男は下卑た笑みを浮かべながら茜の方を見やる。

いつの間にか、眼前に茜の拳が迫っていた。

拳の風圧で、男の縮れた前髪が左右に流れる。


磯巾着男「ヒィィ!?」

茜「その女性、離してくれるよね?」

磯巾着男「は、はいぃ!」


鼻先数センチのところで止められた拳に泡を吹きながら、男は女性を解放した。
730 : ◆TCKJ3kJOQ2bI [saga]:2018/12/25(火) 21:33:31.28 ID:yrau6oSO0
茜「ふぅ」


男が警察に連行されたのを確認してから、茜は変身を解いた。

感謝を述べる女性たちに、茜はカッコいいヒーローポーズを決める。

ドヤ顔の茜に対し、女性たちはぽかんと口を開けていた。

奥から、剛毅が茜のそばに近づいてきた。


剛毅「お、お前、『ガーディアン』だったのか」

茜「うん! どこにでもいる普通の女子高生、本郷 茜。しかしその正体は、人々を守る正義のヒーロー『アカネ・レッド』なのだった!」

剛毅「そうか……無事でよかった」

茜「え、あ、うん……///」


男のほっとしたような小さな笑みに、茜はなぜだか気恥ずかしくなって目を反らしてしまった。

今まで感じたことのないような不思議なドキドキを感じて、茜は小さく首を捻る。


剛毅(こんな年端もいかねぇ普通のガキが、命をかけてクズどもと戦ってるってのか……)

剛毅(他のやつらは、こんなガキに守られて何とも思わねえのかよ!)


遠巻きに集まりスマートフォンを掲げる連中の歓声を聞きながら、剛毅は拳を握りしめた。



茜の行動、または剛毅の行動 ↓1〜3コンマ最大
※何もせず解散も可。剛毅は裏に変わってもok
731 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/25(火) 21:35:33.91 ID:yhXPcc1vO
周囲の野次馬共にがなりつける
732 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/25(火) 21:40:04.01 ID:GndM3PWOo
茜を褒めてから世界は見かけ通りのことばかりではないから用心しろと警告し、自分が極道であることと裏の顔があることを明かして次見かけても決して声をかけないように言い残して去る
733 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2018/12/25(火) 21:47:14.47 ID:Za7wonsz0
>>731の後、>>732
734 : ◆TCKJ3kJOQ2bI [saga]:2018/12/25(火) 21:57:18.88 ID:yrau6oSO0
剛毅「へらへら笑ってんじゃねぇぞ野次馬ども! ヒーローショーじゃねえんだぞ!」


剛毅が凄みながら大声を出した。

野次馬たちはおろか、茜に助けられた女性たちまでもがその迫力に怯む。


茜「ご、剛毅さん……?」

剛毅「わ、悪い……」

剛毅(クソ、こんな目立つことして、何やってんだ俺は……)


顔を伏せながら、剛毅はらしくない自身の行動に舌打ちした。


剛毅「……お前、これからも『ガーディアン』の活動を続けるのか」

茜「うん! だってボクは正義のヒーローだもん!」

剛毅「そうか……」


そのまっすぐな瞳が眩しくて、剛毅はサングラスの奥の瞳をそらした。
735 : ◆TCKJ3kJOQ2bI [saga]:2018/12/25(火) 21:58:14.55 ID:yrau6oSO0
剛毅「……くれぐれも無理はするんじゃねぇぞ。じゃあな、茜」

茜「え、あ、じゃあね……///」


ぽん、と頭の上に置かれた大きな手に、茜は頬をわずかに赤らめた。


剛毅(こいつは薄汚れた俺なんかとは違う……表の世界の、陽だまりにいるような人間だ)

剛毅(願わくば、もう二度と出会うことがないように……)


去っていく背広を、茜はぼーっとした表情で眺めていた。

胸に芽生えた小さな感情の名前を、茜はまだ知らなかった。



【第1戦 交戦なし】
419.20 KB Speed:0.4   VIP Service SS速報R 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)