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キミとアタシのパラドクス
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1 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/12(水) 05:05:45.83 ID:KEgMFqga0
星と翼のパラドクスの二次創作SSです。
地の文おもっくそアリ。亀さん更新予定ですが、ちゃんと完走できるよう心がけます。
http://starwing.jp/
ゲーセンで好評稼働中!キミもアズワンと空を飛ぼうぜ!!
2 :
◆s.EY1t64F4og
[sage saga]:2018/12/12(水) 05:08:44.97 ID:KEgMFqga0
なんかRに飛ばされちゃったみたいですがそのまま続けます。
3 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/12(水) 05:13:37.65 ID:KEgMFqga0
緩やかな水の流れの中で、波に体を揺さぶられる様な感覚に囚われる。
気がつけば俺は暗闇の中に居た。確かに瞼を開いているはずなのに、一向として外の景色は見えてこない。
それに酷く体が重い。まるで全身の血が鉛に変わってしまっのたかと思える位に。
「...き...、しっか...」
先程から、何処からともなく声が聞こえる。まだ未熟な、とても張りのある元気な声だ。
返答したいのだが、どうにも体が動かない。冬の寝起き5分間の様に、頭では分かっていても体が反応しないのだ。
「起きなさいッ、この寝坊助ヤロウ!!!」
「ぶっ」
その言葉と共に、頬に衝撃が走る。無理やり意識を引きずり出された俺は、ようやく本当の意味で瞼を開く事に成功する。
目を開けると、少しくすんだピンク色の髪を携えた、背の小さな少女。
そしてその背後には、少女に寄り添うように傅く巨大な銀色の機体が鎮座していた。
4 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/12(水) 05:15:17.00 ID:KEgMFqga0
「ちょ...え?ここ、何処?」
それが口を開けて、搾り出した我が第一声である。ここが自分にとって全く身に覚えのない場所だからだ。
とりあえずここに至るまでの経緯を思い出そう。そう、アレは確か...
「...俺は誰だ?」
困った事に全く思い出せない。それどころか自分の名前すら分からないじゃないか。
まるでお決まりの様な言葉を彼女に話すと、有無も言わさず脇に肩を回された。
「え?え?」
「いいからお前は今黙ってて!それ所じゃないの、見たら分かるべ!?」
OP『シャーリー、迷彩稼働時間の余裕があまり無いわ』
「チッ...時間が惜しい」
彼女は忙しなく端末を操作しながら、インカムでオペレーターとやり取りをしている。
そして、彼女に担がれながら機体へ近づいた途端。
ドンッ!!!
5 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/12(水) 05:18:22.26 ID:KEgMFqga0
「うおっ」
「きゃあ!」
突如として爆音が鳴り響き、砂煙が視界を遮る。あまりの衝撃に俺と彼女はその場に倒れこんでしまった。
『シャーリー!?大丈夫、応答して!...デルタ班、指定ポイントに至急援...』
砂埃が収まり、俺は改めて周りを見渡す。
「なんだよ、これ...」
気がつけば俺達の周りには彼女の機体と同じような物が、空中に周囲に無数に漂っていたのだ。
「うっ...いった...」
「おい、大丈夫か!?キミ、血が」
足元に蹲る彼女を見ると、右手が血にまみれていた。どうやら衝撃と共に飛んできた岩か何かにやられたみたいだ。
「はぁ...はぁ...。シルバーウォーリアー、コックピットのハッチを開けて」
彼女の声に呼応すると、人型の機体はおもむろに搭乗席を開き、俺達の目の前に右手を差し出す。
「お前、自分で歩ける?」
「もう大丈夫」
「さっさと乗るわよ」
「...ああ」
本当は彼女には聞きたい事が山ほどあるが、今はそんな状況ではない事は明白だ。
言われるがまま、俺は彼女と供に機体の右手に乗ると、そのまま狭いコックピットへと迎え入れられた。
6 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/12(水) 05:19:44.89 ID:KEgMFqga0
「狭くて悪いわね、元々一人用なの」
「いや、大丈夫。うん」
現在、俺は彼女を膝の上に載せている状態である。
その彼女はなにやら画面を操作している。
しかし顔色はあまりよくなく、怪我をしていない左手を動かすので精一杯のようだ。
「なあ、キミ、シャーリー?だっけ。怪我は大丈夫なのか」
シャーリー「...ごめん、今あんまり余裕ないの。後にしてくれる」
「わかった」
彼女に制され、俺はお口チャックをした。
暫くの間、静寂が流れると作業が一段楽したのか彼女は肩の力を抜く。
「終わった?」
シャーリー「取り合えず、はね。...あまり状況は芳しくないけど」
「なあ、一体どんな状況なんだ?俺達、周りの奴らから狙われてるんだよな?」
シャーリー「まあ、そんな所」
7 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/12(水) 05:21:41.37 ID:KEgMFqga0
「...結構ピンチ?」
彼女は俺のその言葉に自称気味に笑うと、
シャーリー「今すぐ死ぬわけじゃないけど、このまま行ったら二人ともここでお釈迦ね」
「マジか」
シャーリー「悪いけど気休めを言う余裕も、冗談も言う余裕も無いわ」
「...なあ、俺の事知ってたりする?」
シャーリー「...どうやらお前には冗談を言う余裕はあるみたいね」
「冗談なんかじゃないって!本当に自分が誰なのか分かんないんだよ」
シャーリー「取り合えず、ここから抜け出せてから考えなさい」
「はぁ」
そう告げると彼女は再び画面を弄り始めた。どうやら外部との通信を試みているらしい。
「これからどうするんだ?」
シャーリー「そうね、今私達は光学迷彩で姿をくらましてるの。周りにいる敵の自律ARからは気づかれて無いわ」
「じゃあひとまずは安全、と」
シャーリー「でもこの光学迷彩、あんまり燃費が良くないの」
「ということは」
シャーリー「いずれバレるわ。あと、この迷彩はレーダー上でしか意味がないから、有人AR...ARってわかる?」
「なんとなく。要するにこのロボットの事だろ?」
シャーリー「...取り合えず目視されたら普通にバレる」
「打開策は?」
シャーリー「味方の救援を待つしかないわ。最悪迷彩が切れても、シールドがあるから少しの時間は持つけど」
シャーリー「あんまり期待しないほうがいいわね」
8 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/12(水) 05:22:47.98 ID:KEgMFqga0
意外にも早くその時は来た。来てしまった、というのが正しいのかもしれないが。
ヴゥン
シャーリー「迷彩が切れたわ。衝撃に備えて!!」
「ッ!!!」
途端に回りに漂っていた自律ARがこちらに銃口を向けると、一斉に攻撃を始める。
外部から襲われる衝撃とともに、煩いブザー音が鳴り響き、画面いっぱいに真っ赤な文字のAlertが映し出された。
シャーリー「これはちょっと洒落になんないわね...」
「このARを動かして脱出できないのか!?」
シャーリー「やれるならやりたいけど、何故かARのアズワンシステムが反応しないの!ワタシのコードと!」
「そんな...」
俺達はこのまま死ぬしかないという事か。
味方の救援とやらも何時くるか分からない。ここからなすべき手立ては残されていないのか。
9 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/12(水) 05:24:31.34 ID:KEgMFqga0
シャーリー「...んっ」
膝元で彼女が震える。どうやら涙がこらえられなくなったみたいだ。
よく見れば俺よりも幼いであろう彼女が、死に直面しているのに恐怖を感じ無い訳がないのだ。
こんな状況で自分の事ばかりを考えていた己に辟易する。
何か俺にやれる事はないのか。
彼女の後ろから手を回し、無意識のうちに操縦舵を握る。
それは何故かしっくりくる、体に馴染んだ動作だった。
10 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/12(水) 05:25:18.80 ID:KEgMFqga0
シルバー・ウォーリアー『シルバー・ウォーリアー、システムを起動します。登録アズワン、翔、認証完了しました』
「え?」
その機械音声とともに、銀色のAR、シルバーウォーリアーが機体の姿勢を変える。
シルバー・ウォーリアー『シールド被害甚大、早急な回避行動を』
「ちょちょ、シャーリちゃん、なんかやばい所触っちゃったみたいなんだが」
シャーリー「なんで、どうなってんだべ!?」
驚く彼女を他所に、俺は左レバーのボタンと右ペダルを同時に踏み込む。
シルバー・ウォーリアー『フルドライブに移行します。アズワン、シートベルトを』
「あ、はい」
落ち着いてシャーリーの上からシートベルトをかける。それは酷く間抜けな風景に見えたかもしれない。
そして間髪いれずに、周りの景色が一変した。全てを置き去りにする形で、風景がじぶんの視界から流れていく。
座席に縛り付けられるような重力から、このARがとんでもない速度で突き進んでいる事が分かった。
11 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/12(水) 05:26:17.04 ID:KEgMFqga0
「うおおおお!?シャーリー、やばい、こrえ、どうすればいいの!?」
シャーリー「...」
目の前に座る彼女に話しかけるも、反応がない。どうやら気を失っているみたいだ。
「取り合えずさっさと逃げなきゃな...」
急激な加速で敵を置き去りにする。操縦舵を握りながら、俺は徐々に高度を上げることにした。
OP『シャーリー!!ARの起動に成功したのね!?』
彼女の耳元のインカムから声が聞こえる。おそらく仲間からの通信だろう。
指示を仰ぐために、俺は出来るだけ大きめな声で返答をした。
「えっと、あの!シャーリーに助けられた者ですが!いま、敵のARから逃げてて、そんでシャーリーが気絶してて」
OP『ちょっと落ち着いて!と言うか、どうしてシャーリー以外のアズワンがARを操作できるの!?』
「これからどうすれば...」
再びけたたましいアラートが鳴り響き、画面にROCKONと映し出される。
12 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/12(水) 05:27:41.17 ID:KEgMFqga0
「くそッ。しつこいなぁ!」
OP『おちついて!操縦舵の左ボタンで回避を...』
オペレーターに言われる前に、体が勝手に動いていた。
ARをバレルロールの様に反転させながら、後続の敵自立ARに対面する。
『多連装誘弾 大蛇 スタンバイ』
シルバー・ウォーリアー『「ROCK ON!!!」』
右トリガーを思い切り引くと、ドドドドという連続の低重音とともに無数のミサイルが吐き出された。
こちらの攻撃を見るが否や、敵ARは散り散りに回避行動を行う。
しかしこちらを追撃中の高速移動では急激に方向は変えられず、敵の自律型ARは空に這う蛇のようなロケットにかみ殺されて爆散していった。
13 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/12(水) 05:33:56.39 ID:KEgMFqga0
「はぁ...」
OP『ちょっと、本当に全部撃墜するなんて...キミ、一体何者?』
俺も良くわかんないんですよ、それ。
そう口に出そうとするも、緊張からか喉がカラカラで旨く話すことが出来ない。
自分が無駄口も叩けないほどに疲弊している事に気づいた。
一先ずの危機は去った所為か、強張っていた肩の力がゆっくりと抜けていく。
後はこのオペレーターの指示に従って移動をすれば...。
しかし俺の思考を見透かすかの様に、あの不快なアラート音が再び耳に鳴り響いた。
もう聞きたくないと思ってたんだけどなあ...。
シルバー・ウォーリアー『敵AR接近 型式番号XKT-015』
OP『そんな、何でこんな時に...』
「まだ何か来るんですか!?」
OP『...さっきとは比べものにならない位の奴よ。』
OP『カーディナル。帝国のアズワンが乗った有人ARだわ』
14 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/12(水) 05:34:32.14 ID:KEgMFqga0
一先ず終了。また書き溜めます
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/12/12(水) 10:07:13.59 ID:Vb9LTY1QO
スレタイ見てだべーぬだと思ったらやっぱりだべーぬだった
待っててやるから、また書きなさいよね
16 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/12(水) 13:51:36.65 ID:KEgMFqga0
画面左下に映し出されているレーダーに、赤い点が一つ現れる。
急に出現したそれは、恐るべき速さでこちらに急接近している事が分かった。
OP『フルドライブでそこから離脱して、早く!』
オペレーターの助言どおり、俺は先程と同じ操作でARをフルドライブに移行させようとする。
しかしこの敵ARのスピード、恐らくこのARよりも...
シャーリー「駄目よ。ここまで近づかれたら、シルバーウォーリアーじゃカーディナルは振り切れない」
「シャーリー!」
膝元の彼女が目を覚ます。
17 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/12(水) 13:52:52.79 ID:KEgMFqga0
息も絶え絶えと言った感じで彼女から出されたのは、
シャーリー「いい?よく聞きなさい。おそらく奴らの狙いはお前よ。だから、おとなしく向こうに投降すれば直ぐに命までは取られないはず」
降伏の提案であった。
「...投降したとして、シャーリーの命に保障はあるのか?」
シャーリー「それは...」
例え俺が助かったとしても、明確に敵対する彼女を、奴らはみすみす見逃してくれるのだろうか。
数秒、暗黙の空間がコックピットに広がる。
『投降するのをお勧めしますよ』
「!?」
突如、新しい声が会話に加わった。
それは明るい青年の声だったが、出来るだけ声の抑揚を抑え、冷静に振舞おうという意図を感じる。
18 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/12(水) 13:53:30.75 ID:KEgMFqga0
「カーディナルのパイロットか」
ナギ『イ・リアスタ帝国所属のナギです。どうぞお見知りおきを』
対面する向こう側から、一機の赤いARがこちらへ飛んでくる姿が見える。
あのスピードでは彼女の言うとおり、遅かれ早かれ追いつかれていただろう。
「...女子会の盗み聞きとは感心しないな?」
ナギ『ああ、これは失礼しました。声を聞く限り、男性だと思いましたが』
「うるせえ、男は誰しも心の中にかわいい少女が住んでるもんなんだよ」
ナギ『それは知りませんでしたね。ぜひ帝国に帰ってから教えていただきたいものです』
「...」
19 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/12(水) 13:54:16.26 ID:KEgMFqga0
腹の足しにもならない糞みたいな会話を繰り広げながらも、俺は次に何をすべきかを考える。
一番の問題はシャーリーの容態だ。先程から肩で息をしている状態で、右腕にかけての裂傷も酷い。
このままでは、彼女は出血多量で死んでしまうだろう。
最善の手を考えなければ...。
気がつけば、カーディナルはもう目の前にいた。これでもう逃げると言う選択肢は潰えた訳だ。
「なあ、もし俺が投降したら、こっちのもう一人のARパイロットは見逃してくれるのか?」
彼女に危害さえ加えないと約束できたら、投降するのも吝かではないという意思を告げる。
ARの操作が出来なくても、後から救援に来る味方が彼女を助けてくれるだろう。
これがシャーリーが助かる、一番確実な方法ではないだろうか。
20 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/12(水) 13:54:56.58 ID:KEgMFqga0
画面の向こう側にいるナギは、そうですねえ、と気の抜けた返事をすると、
『まあ、僕が"今回"頼まれた仕事は正体不明のアズワンであるあなたを帝国に連れて行くことだけですので』
『そちらのもう一人のアズワンについては与り知らぬ事です』
「!!それじゃあ」
『ただ、僕らも一応帝国軍所属のアズワンですから、帝国に歯向かうアズワンをみすみす見逃す事は難しいですね。』
「...」
見逃す気はない、と言う事か。
こいつ、てっきり好青年だと思ったら、おもッ糞性格悪いじゃないか...。
少し希望を持たせた分、余計に腹立たしく感じてしまう。
21 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/12(水) 13:55:23.48 ID:KEgMFqga0
シャーリー「ちょっとお前、一体何を...」
シャーリーが心配げにこちらを見つめる。彼女の目にはもう出会った頃の破棄は宿っていなかった。
こんなところで死なせてたまるか。そもそも、彼女が怪我をしたのは俺を助けたからじゃないか。
「決めたよ」
ナギ『そうですか。それでは、こちらのARへの追従を...!!』
ドンッ!!!
ナギが話し終わる前に、挨拶代わりに拳銃をお見舞いしてやった。
口径の小さな豆鉄砲ではあったが、この至近距離ならそれなりの衝撃があちらに伝わっただろう。
「お前をさっさとぶっ倒して、シャーリーちゃんと一緒にお家に帰らせてもらうぜ」
22 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/13(木) 03:59:16.50 ID:fLGmXJuE0
ナギ『…だから馬鹿は嫌いなんだ』
銃口から放たれた硝煙が周りから風に流されると、少し体勢を崩したカーディナルが姿を現わした。
インカムから聞こえるナギの声が荒々しくなる。そこには隠しきれない憤りが確かに有った。
どうやら先程の急な攻撃は、余程彼の気に障ったらしい。
「悪いな。これでも聞き分けはいい方だと自負してるんだが」
ナギ『その減らず口を閉じて貰えますか。不愉快にも程がある』
「そんなに怒るなよ。アレか?不意の攻撃は騎士道精神に反するとかか?」
ナギ『…』
「んなもん、そこら辺の犬にでも食わせとけよ」
ナギ『知った風な口を聞くなあああああ!!!』
「!!」
23 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/13(木) 04:01:34.89 ID:fLGmXJuE0
もう我慢ならないとばかりにナギが雄叫びを上げると、カーディナルは腰に刺した一対の刀を両手で構える。
ナギ『我が国の誇りを馬鹿にした事、あの世で後悔するが良い!』
ナギ『唸れ、ジップブレード!』
カーディナルは紅い光を身に纏いながら、恐るべき速度でシルバー・ウォーリアーに喰らいつく。
(ここまで早いのか…!)
視界に捉えられたのは空に描かれた一線の弧だけで、気づけば俺たちの乗ったARは宙高く打ち上げられていた。
シャーリー「きゃあああ!!」
「クソっ、全く見えなかったぞ!?」
シルバーウォーリアー『被害甚大。戦場からの離脱を推奨』
24 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/13(木) 04:03:54.38 ID:fLGmXJuE0
空中で錐揉み回転しながら、何とかAR体制を立て直す。次の来たるべき攻撃に備えるためだ。
しかし周囲を見渡すも、そこに広がるのは青い空であり、どこにもカーディナルの姿は見当たらなかった。
慌ててレーダーを表示させると、カーディナルの識別マーカーはこちらから随分離れた所にある。
「どうなってんだ?」
シャーリー「直ぐに次が来るわ!構えて!!」
「次って言ったって、アイツそのまま通り過ぎて言ったぞ!?」
シャーリー「挙動の早いウィングの得意な戦法よ。ヒットアンドアウェーで私達に反撃させずに磨り潰すつもりだわ」
「ちょこまかと…!」
25 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/13(木) 04:05:49.25 ID:fLGmXJuE0
彼女の予測通り、カーディナルはその後も一撃入れて離脱するの繰り返しをしてきた。
シルバーウォーリアーの周りを高速で移動しながら、纏わり着くような攻撃を繰り出す。
こちらも誘導弾で反撃はするものの、まるで赤子の手を捻るように回避されてしまう。
次第にこちらのARの装甲が剥げていき、メインモニターには埋め尽くされるようなCAUTIONが表示され始めた。
『星血エネルギー供給システム破損。機体制御の低下、フルドライブシステム稼動に深刻なerror―』
「このままじゃ…」
シャーリー「お前はAR操作に集中して!!機体のエラー処理は私が受け持つわ!!」
「…了解!」
『どう足掻こうが無駄ですよ。これであなた達に引導を渡します』
再び急接近したカーディナルは刀を逆手に持つと、前傾姿勢でこちらに突っ込んでくる。
此方にトドメを刺しにくるつもりだろう。
26 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/13(木) 04:09:40.32 ID:fLGmXJuE0
(どうする?こっちの攻撃は全く当たらない。向こうの攻撃を避けるのは恐らく不可能に近い)
(…)
「シャーリー、このARに近接武器って乗ってるのか?」
シャーリー「一応ブラックスミスっていう鈍槌は搭載されているけど…まさか、アイツと格闘でやり合うつもり?無茶よ」
シャーリー「ブラックスミスは重いから動作が鈍るし、何より相手が速すぎるわ」
「でもコレしか方法が思いつかないんだ。それに」
シャーリー「?」
「…なんかいけそうな気がする」
彼女は俺の曖昧な言葉に呆れたのか、口を少し開けて呆然とするも、ニヤリの口の端を歪める。
27 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/13(木) 04:10:38.73 ID:fLGmXJuE0
シャーリー「馬鹿ね…。でもそういうの、嫌いじゃないわ」
そう言うと彼女は流れるような手付きで画面を操作し、シルバーウォーリアーに命令を下す。
『武装展開、ブラックスミス スタンバイ』
シャーリー「ARのアクチュエーター制御操作をマニュアルに移行、空いた演算リソースを敵の行動予測に全部回して。フルドライブのリソースも使って良いわ」
『了解』
「シャーリー」
シャーリー「一か八かの賭けよ。全力でアンタをサポートするから、次で決めなさい」
「…ああ!!」
相手がこちらに斬りかかるということは、必ず二つのARが接触する瞬間がある。
その一瞬に、格闘武器を打ちこむことが出来れば
28 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/13(木) 04:11:33.71 ID:fLGmXJuE0
ナギ『はあああ!!!』
互いの距離が縮まる。
目と鼻の先にカーディナルが近づき、二本の刀を振り上げて…
シャーリー「今よ!!」
「うおおおおおお!!!」
ナギ『!?』
ブーストを思いっきり横に吹かせながら、ブラックスミスを振りかぶる。
「見えた!!!」
遠心力を利用したその一撃はカーディナルの手にあたり、ブレードジップを弾き飛ばした。
29 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/13(木) 04:12:05.94 ID:fLGmXJuE0
ナギ『馬鹿な!?この一瞬のタイミングを狙っていたと言うのか!?』
「今までのお返しだ!!」
ナギ『があッ!!』
体勢を大きく崩したカーディナルに、一回転分の遠心力を加えた追撃が火を噴く。
シャーリー・翔「「ぶっ飛べえええええええ!!!」」
今度は胴体部へとまともに衝撃をくらい、堪らずカーディナルは一枚のボロ切れのように墜落していった。
30 :
◆RDtBw.I80b8Q
[saga]:2018/12/13(木) 04:13:06.47 ID:fLGmXJuE0
一旦終了。
なんかブレードシップ産廃武器って噂を聞いたんだけど、嘘だよな?
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/12/14(金) 19:27:18.85 ID:FlaIGPHc0
そもそもヴァンガード乗らないからわからない
ところで星翼ってフツーに『せいよく』?それとも『ほしつば』?
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