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【安価】奴隷を買って好きにいじれ

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737 :オパビー :2019/03/15(金) 14:46:43.18 ID:RWu1npoL0
 >>736 可愛い名前。
 いいと思うで。
 あと4人。
738 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/15(金) 15:19:13.79 ID:Vrm+XuCco
フミルイ

3歳
烏天狗
739 :オパビー :2019/03/15(金) 15:27:48.61 ID:RWu1npoL0
 >>738 漢字で書くと?
740 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/15(金) 15:32:28.45 ID:Vrm+XuCco
烏天狗の名前カタカナだったので真似てみましたけど、アイヌ語だから漢字はないんだ…
741 :オパビー :2019/03/15(金) 15:41:08.56 ID:RWu1npoL0
 調べてみた。
 雷鳥なんね。
 雷鳥(ライチョウ)でええか?
742 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/15(金) 15:45:45.13 ID:FSmSfO2Yo
錺(カザリ)

3歳
743 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/15(金) 15:49:07.38 ID:Vrm+XuCco
>>741 エゾライチョウなのでライチョウではないです(もっとかっこいい)
でも人名だしライチョウでもおkです
744 :オパビー :2019/03/15(金) 16:02:36.30 ID:RWu1npoL0
 >>743 了。
 >>742 ええね。
 あと二人。
745 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/15(金) 16:17:46.13 ID:o0VBtRTCO
>∩(’・ω・‘)∩<
桃花鳥(とき)

3歳
天狗
746 :オパビー :2019/03/15(金) 16:22:02.73 ID:RWu1npoL0
 >>745 天狗?
747 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/15(金) 16:22:19.83 ID:i83nkvUo0
鐡 くろがね

2歳
748 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/15(金) 16:30:37.52 ID:o0VBtRTCO
鬼と鳥天狗のフュージョン
749 :オパビー :2019/03/15(金) 16:41:27.46 ID:RWu1npoL0
 >>748 おk
 >>747 やっと鬼男子が来た。良き。
 終了〜。
750 :オパビー [saga]:2019/03/15(金) 21:58:38.76 ID:RWu1npoL0
ウグイス「ただいま〜。やったよパパ!」

シラサギ「おかえり!」

俺「おお、ウグイス。妙にご機嫌じゃないか。何か、良いことがあったのか?」

ウグイス「あのね、憧れの緑山テルコさんと一緒に講演することになったんだよー! それにあの歌舞伎の三太夫さんも一緒なんだよ!」

俺「おおっ! 凄いじゃないか!」

シラサギ「すごーい! やっぱりウグイスお姉ちゃんだよね!」

 パタパタと『両翼』をシラサギが羽ばたかせて喜ぶ。

 俺がウグイスとシラサギと結婚してから五年が経った。
 この五年の内に、俺は浅右衛門を倒した。
 もちろん殺してはいないぞ。
 俺は更に力を付け、鬼ヶ島の武士として島を守りつつ、鬼ヶ島の道場の師範になった。
 若い奴らを容赦なく鍛え上げ、そして心強き武士として世に送り出す。
 もちろん、強盗や詐欺など力を間違った方向に使ってしまうものもいるが、その時は俺が責任を持って首を討ちに行く。
 途中で投げ出す奴は放っておく。
 所詮その程度だったという訳だ。
 放り出す奴がいるほど厳しい訓練があるにも関わらず、道場には毎日のように新しく教えを乞いに来る生徒がいる。
 時には京都という遠い都市からも来るようだ。
 守りたい物があるなら、俺の所に来るが良い。
 死ぬまで守り通す方法を教えてやる。
 死ぬほどな。

 ウグイスはあれから予想通りに歌声を買われ、歌手として世間に出た。
 今では有名になり、月20回以上の講演を抱えている。
 時には戦災を受けた村への復興支援として地方での講演などもしている。
 講演で集めたお金を復興資金として寄付するのだ。
 そして今聞いた通り、とうとう夢に見ていた伝説の歌手、緑山テルコと共演が決まったようだ。
 三太夫も有名で、広く浮世絵が出回っており、店先に飾っている店も多い。
 要約すれば、凄いことなのだ。

 そして、ウグイスと俺の間に子供が出来た。
 鬼の女の子橄欖(カンラン)と烏天狗の男の子雷鳥(ライチョウ)だ。
 カンランは3歳でライチョウは2歳だ。
 二人ともとても元気で、ライチョウは少し目を離せばすぐに飛び立ってしまうほどだ。

 シラサギは大きく成長した。
 背は高くなり、胸はたわわに実り、ウグイスに勝るとも劣らない程まで成長した。
 しかし男に対する恐怖は5年が経った今でも根強く残っており、やはり俺が近くにいないと男を見ることすら出来ないようだ。
 歌の講演のため各地を飛び回るウグイスと違い、静かに鬼ヶ島で、俺の横で暮らしている。
 つまり何日かはウグイス抜きでシラサギが隣にずっといるという状態だから、夜の回数ももちろん増える。
 ウグイスは逆に地方巡回中は溜まるらしく、ウグイスが帰ってくる夜は色々と激しい。

 もちろん、シラサギとの間にも子が生まれた。
 鬼の女の子錺(カザリ)と天狗の女の子桃花鳥(トキ)、それに鬼の男の子鐡(クロガネ)だ。
 カザリとトキは3歳の双子で、トキはウグイスやシラサギと違い両手が翼になっているのではなく、背中から羽が生えているため烏天狗とは違い天狗と言う。
 クロガネは待ち望んだ鬼の男の子で、2歳だ。
 俺が生まれたばかりのクロガネを火緋金様の元に連れて行くと、待ち望んだ! と言われ、ずっと以前から考えていたらしいクロガネという名を授かった。
 すでにクロガネは力が強く、この前馬切り刀を軽々と持ち上げたときは流石に驚いた。
751 :オパビー [saga]:2019/03/15(金) 22:50:39.68 ID:RWu1npoL0
 ところで、今シラサギには両翼がある。
 あれからすぐに義羽は鬼ヶ島に届き、箱を開けたときのシラサギの顔と言ったら。
 シラサギはすぐにその義羽をつけ、ウグイスの手助けのもと空を飛ぶ練習をしていた。
 一年ほどの歳月をかけ、徐々にシラサギは飛ぶことが出来るようになり、今ではウグイスと同じように飛び回ることが出来る。
 今では、子供達に飛び方を教える側だ。

俺「さて、ウグイスにシラサギ。ウグイスの事を祝って、江戸の方にでも珍しいもの食べに行くか」

ウグイス「わあ、楽しみ!」

シラサギ「今度はどこに行くの?」

俺「そうだなぁ。子供達と食いに行けるもんだろ? 冷たくてあま〜いものなんてどうだ?」

 あそこは話には聞いていたが、行ったことは無かったな。
 冷たくてあま〜いもの。
 その単語を聞くなり、二人は目を輝かせた。

ウグイス「なにそれ!? そんなものが夏に食べれるの!?」

シラサギ「聞いただけでもおいしそう! いこ! みんなー! ぱぱが食べに連れてってくれるってー! 準備してー!」

 ドタドタと家の中が一気に騒がしくなった。
 うむ。
 元気で何より。
 誰もが羨み、目標にするような円満な家庭。
 それは俺達のことでは無いのだろうか?
 実際、瓦版でそう紹介されたのだがな。
 ふふ。
 誰もが羨む家庭か………
 こそばゆいな。

 …………それにしても。
 家庭というのは、良いものだ。
 いつでも、どんなときでも、こうして笑顔にあふれるのだから。
752 :オパビー [saga]:2019/03/15(金) 22:57:39.19 ID:RWu1npoL0
 と、言うわけで。
 ハガネ編終わり。

写影機&万能薬「あれ、俺は?」

 使われなかったやね。
 まあ写影機は裏でウグイスの初舞台とかシラサギの初めての義羽飛行とかウグイスとシラサギのダブル産卵とか撮ってたから良いじゃないか。

写影機「まあ…………」

万能薬「俺は?」

 知らん。

万能薬「おい」

 さて、ハガネ編終わりや。
 次、大雪鳥兜編に行く前に、ちょっと感想を聞きたいで。
 批判や指摘も結構。
 今後の創作活動の糧に、教訓にするで。
753 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/15(金) 23:11:56.23 ID:bBLWnJKUo
内容に関しては私にはぴったりハマってとにかく良すぎるの一言、感想になってなくてすみません

気になるのは平日昼の時間帯に複数安価が出るとなかなか埋まらなくて、見てる方としても気まずいことがあります
作者さんが構わないならこちらも気にしなくて良くなるし構わないんですけどね
754 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/15(金) 23:18:23.02 ID:CUsquMZso
おつです
まとめうまいなあー
話の流れの安価をすぐ使わず組み立ての中で自然に埋め込むのも初めて見た
755 :オパビー :2019/03/15(金) 23:18:26.22 ID:RWu1npoL0
 >>753 感想有り難き。
 まあそれはどうしても平日の昼に出してるワイが悪いんだけどな。
 なるべくゴールデン(夜中)に出すようにするで。
 なかなか埋まらない時はきなが〜に待ってるから大丈夫やで。
 どうしても埋まらないときは寝るで。
756 :オパビー :2019/03/15(金) 23:22:19.16 ID:RWu1npoL0
 >>754 感想有り難き。
 ヒラナリ編の

 1:殴って泣かせる。
 2:ラブラブセックス

 のときは流石に焦ったがな。
 あそこは自分でもよくまとめられたなと思ってる。
 感想有り難きやで。
757 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/16(土) 00:50:14.86 ID:40+zUkf00
おつです
けっこうこのスレ好きです
バケモノ級のイチモツをうまく捌けてるのすき
758 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/16(土) 01:44:26.01 ID:Uf5KuS+I0
お疲れ様でしたー、良いほのぼのエンドだった
主の文章はシリアスエロほのぼのどんな安価でもキレイに捌けるの凄いと思うし好きです
759 :オパビー :2019/03/16(土) 05:37:17.81 ID:8ZwIQnQj0
 捌けてるというか何というか。
 無理やり飲み込ませてると言うか。
 >>757 >>758 感想ありがとうやで。
 じゃあ次から大雪鳥兜編始めるで。
 大雪鳥兜目線や。

 大雪鳥兜の名前(元からあるか新しい買い主につけられたか)>>下
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/16(土) 05:58:29.67 ID:kdsYGquDo
新しいので
761 :オパビー :2019/03/16(土) 06:08:56.57 ID:8ZwIQnQj0
 では新しい名前>>下。
762 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/16(土) 06:17:25.45 ID:2dQTamSQ0
紫稀(しき)
763 :オパビー :2019/03/16(土) 06:50:36.88 ID:8ZwIQnQj0
 ハガネと同じ時系列(5年後)。

 私。
 私の名前は、紫稀。
 さんちゃんの妻。
 さんちゃんはすごくかっこよくって、人気者。
 みんなが舞台の上で舞うさんちゃんに歓声を浴びせる。
 私は、さんちゃんからこの名前を貰った。
 そして、子供も貰った。
 23人。
 みんな口を揃えてママ、ママと私のことを呼ぶ。
 とっても可愛い子供達。
 それに、さんちゃんの血と混じってどうやら毒が弱まっているみたい。
 大雪鳥兜のどれあどがそのまま残らないのは残念だけど、これなら大雪鳥兜の血は絶滅しなくて済みそう。
 そして、今も。
 また次の子が私のお腹の中にいる。
 早く種になって、生まれてきてくれないかな。
 拳一個くらいの、つるんとした私たちの種。
 生まれたら鉢に植えて、水をあげる。
 しばらくしたら、芽が出て歯が出て、綺麗な花のつぼみができる。
 それがぽんっ、と開けば、中から小さい、妖精みたいな赤ちゃんが出てくる。
 ああ、たのしみだなぁ。
 今は5つほど鉢植えが埋まっている。
 この子達も、早く生まれてこないかな。
 この子は、もうちょっとで生まれそうだな。
 お腹にいる子も生まれたら、30人。
 たのしみ。
 私達の、子供達…………
764 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/16(土) 06:54:34.75 ID:GG/erBYOo
23……23人!?
あっ30人になるのね…は?
765 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/16(土) 07:09:53.88 ID:kdsYGquDo
さんちゃんってもしかしてもう名前出てるあの人…?
世界観しっかり繋がり感じれるのはとてもよい
766 :オパビー :2019/03/16(土) 07:13:01.64 ID:8ZwIQnQj0
 私とさんちゃんの出会いは、遡ること5年。
 奴隷市場でだった。

私「あ! そこのお兄さん! どうですか私! 美人でしょ! ………ああ、行っちゃった………」

 私は子孫を残すのに必死だった。
 大雪鳥兜のどれあどの仲間はもうみんな死んじゃって、他のどれあども死にたくないから私を抱きたがらない。
 だから私は、自ら性奴隷になることを選んだ。
 でも、結局誰にも抱かれずに時だけが流れていた。
 私は落ち込んでいた。

管狐「ねえあんた」

 その時、私と仲良くしてくれたのが、管狐の獣人の子だった。
 雪を作り出す異能を持っている管狐の奴隷の子。
 前は雪を作ろうとするたびに殴られていた。
 だけど今は、私を冷やすという為だけにその異能を使うということで、私と同じ檻に入っている。
 最悪頭の花が枯れても生きていけるけど、そうなったら子供を作れなくなる。
 見栄えを良くして売るためにも、この子が冷やしてくれる。

管狐「なんで、そんなに買われたいのさ」

 それは、ごもっとも。
 私の頭を冷やしながら、管狐の子が言う。

私「うん。価値観の違い、なんだけどね。私達木人族が一番恐れている物。嫌な事って、絶滅なのよ」

管狐「絶滅ぅ?」

私「うん。仲間が、1人もいなくなっちゃう事。それってね、私達にとっては、死ぬことよりも怖い事なの」

管狐「へぇ………」

 管狐の子が首を傾げる。
 まあ、分からないか。

私「それで、大雪鳥兜のどれあどは、私が最後の1人。もともと猛毒持ちのどれあどは他の種類の子とは離れて暮らしている。他の毒を持たない種類の子達とは子供を作れないから。それで、もう何種類もの毒持ちの子達が絶滅しちゃった。だから、混血でもいい。せめて、誰かとの子供を作りたい、って思ったの」

管狐「ふぅん………」

 管狐の子はやっぱり分からないという顔をしていた。
767 :オパビー :2019/03/16(土) 07:20:35.25 ID:8ZwIQnQj0
 ある日。

 私達の檻の前に1人の男の人が立った。
 全身にウロコが生えていて、首が長い。
 きゅっと閉まった瞳孔がぎろりと私を見ていた。

私「お兄さん! どうですか、私をぜひ性奴隷に!」

???「ふむ。毒は持っているのか?」

私「はい! 持っていますが、なるべく殺さないように頑張りますから!」

 その男の人は、しゅるると舌を出して言った。

???「イイね。買おう」

私「ありがとうございます!」

 そのまま、私は管狐の子に別れを言って、その男の人に買われていった。

管狐「元気でな」

私「うん! 子孫が出来たら、またいつか会いにいくね!」

管狐「ああ……………うん」

 別れる時、なぜだか若干、管狐の子は引いているようだった。
768 :オパビー :2019/03/16(土) 07:30:29.16 ID:8ZwIQnQj0
???「しゅるるる。ようこそ、我が家へ」

私「うわぁ。広い。お金持ちだったんですね…………」

 家の中を案内されながら、私はそう言った。

???「お金持ち、しゅるる。まあそんなもんだな。人気者、と言った方が正しいか」

 …………そう言えばこの男の人、どこかで見たことが有る気が…………
 私のその予感は、一番広い部屋に入った時に当たりだと分かった。
 百畳くらいの運動が出来そうなほど広い部屋。
 その壁に、大きな浮世絵が貼られていた。
 その浮世絵は、江戸の街中で何度も見たことがある物だった。

私「あれ…………この浮世絵………」

???「しゅるる」

私「……………ん?」

 男の人を見る。

私「……………ん?」

 浮世絵を見る。

私「……………んん?」

 誇らしげに胸を張る男の人を見る。

私「……………あ!」

 浮世絵を見る!
 そして、浮世絵を指差しながらにっこりしている男の人を見た。

私「すごい似てる! そっくりさん!」

???「しゅるっ!?」

 男の人が転けた。

???「似てるんじゃない! 本人だ! しゅるっ!」

私「あ、本人?」
769 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/16(土) 07:44:02.01 ID:kdsYGquDo
残念な感じだけど背景は一番深刻っぽい人なんだなあ…
と思ったがやっぱり残念
770 :オパビー :2019/03/16(土) 07:52:16.57 ID:8ZwIQnQj0
???「ほら、私だよ私! この浮世絵私!」

 ビッ、ビッと自分と浮世絵を交互に指差して男の人が言った。

私「ああ! よく色んなところで見ますね!」

???「しゅるる!」

私「でも名前知らないんですよね」

???「うそぉっ!」

 男の人が有り得ないと言った顔をした。

私「ごめんなさい。本当に浮世絵で見たことがあるってだけなんです」

 私が謝ると、男の人は後頭部を掻いた。

???「しゅるるるる………知らないんなら自慢話をしても仕方がない。まあいいや。自己紹介をしよう」

 男の人は浮世絵の隣に立ち、ビッ、と親指で自分を指差した。

???「しゅるるっ! あ、我こそは超絶怒濤の歌舞伎役者! ん歌舞伎の頂点に立つ男! あ、虫腹 三太夫(ムシバラ サンダユウ)、またの名を『空前 絶後(カラマエ ゼツゴ)』也!」

 迫力がすごかったので、とりあえず拍手した。

三太夫「どうだ。一つくらいは聞いたことがあるだろう」

私「無いです」

三太夫「しゅるる……………私有名なはずなのだがなぁ…………」

 男の人、三太夫と呼ぼう。
 三太夫さんはがっくりとうなだれた。

私「ごめんなさい、知らなくて」

三太夫「あんまり知らないって連呼するなっ! まあ知らないのは仕方がないからなぁ……」

 三太夫さんはまたがっくりとうなだれた。
771 :オパビー :2019/03/16(土) 08:28:16.41 ID:8ZwIQnQj0
三太夫「しゅるっ。ところでお前、名をなんという」

 三太夫さんが私を部屋に案内してから言った。
 私の部屋はまあまあ広く、不自由はしなさそうだった。

私「名前は、三太夫さんがつけてください」

三太夫「しゅるっ? 私がか? 名前は無いのか?」

 三太夫さんが不思議な顔をして私に聞いてきた。

私「名前はあるんですが、やっぱり子孫を残して貰うから、呼びやすいように名前は新しく付けて貰った方が良いなと思いまして」

三太夫「子孫、ねぇ。ふむ…………」

 三太夫さんは少し考えた後、指を立てた。

三太夫「よし。『紫』に『稀』と書いて『紫稀』なんてのはどうだ。しゅるっ。その花の色にぴったりな名前だと思うぞ。しゅる」

 紫稀。

私「良い名前です! 今この瞬間から、私は紫稀です!」

 いやぁ、良い名前で良かった!
 カラスウリとかヤブカラボーとか変な名前じゃ無かった!

三太夫「しゅるるる。喜んでもらえて何よりだ。しゅるる。紫稀、宜しくな」

私「はいっ!」
772 :オパビー [saga]:2019/03/16(土) 10:20:36.21 ID:8ZwIQnQj0
 因みに言い忘れてたが、三太夫は蛇の獣人でケモ度は3。
 背は割と高く、180くらいある。
 人間の骨格(若干首が蛇)をした蛇だと思ってもらえればいい。




 その夜の事だった。

 私は早速三太夫さんの寝室に呼ばれた。
 ああ、今夜から子作りするんだ私………♥
 処女じゃ、無くなるんだ………♥

私「来ました!」

 ぴしゃーんと襖を開け、私は三太夫さんの寝室に入った。

三太夫「元気だな。しゅるる」

 三太夫さんはもう布団を敷いていた。

私「あ、では………その、抱いて、貰えますか?」

三太夫「しゅるる。勿論だ。そのためにシキ、お前を買ったんだからな」

 三太夫さんは腕を伸ばし、私の手を掴んだ。
 そして、自分の上に引き倒した。

私「わふぁっ」

三太夫「さて、シキ。これを飲め。私も飲む」

 そう言うと三太夫さんはういろうのような銀色の丸薬のようなものを私の口もとに差し出した。

私「これは?」

三太夫「強力な解毒剤だ。しゅるっ。これから毎晩お前を抱くにあたって、少しずつ量を減らしていく。そして、徐々に互いの毒に耐性をつけていくんだ。しゅるる」

 三太夫さんはまず自分の舌の上に薬を乗せ、呑み込んだ。

三太夫「私は蝮(マムシ)だ。牙に強力な毒がある。しかし、この薬のおかげでお前に毒は効かない。嫌だと思うが、抱いてる間にお前を噛ませてくれ。しゅるるっ。痛くても我慢してくれるか?」

私「そんなに寝相が悪いんですか…………分かりました。飲みます」

三太夫「ん? 寝相?」

 私は三太夫さんから薬を貰い、呑み込んだ。

私「別に三太夫さんも飲まなくて良かったのに」

三太夫「しゅる?」

 三太夫さんが不思議な顔をした。

私「私、涎とかの体液には毒有りますけど、汗は大丈夫ですよ。別に抱くだけなら死なないので安心してください」

 三太夫さんがぽかんとした表情をしている。
 私、何か変なこと言った?

私「あ、そうか。噛んだら血がでるのか…………」

 三太夫さんが私を噛んで血が出たら大変だ。
 血を三太夫さんが飲んだら死んでしまう。
 私も、マムシの毒を流し込まれたら死ぬ。
 だから、三太夫さんも私も薬を飲む必要が有るのか。

三太夫「………………」
773 :オパビー :2019/03/16(土) 10:43:02.39 ID:8ZwIQnQj0
三太夫「ちょっといいか? しゅる」

私「はい?」

 三太夫さんが私に話しかけてきた。
 どうかしたのかな?

三太夫「シキ、お前、この後何をされる分かっているのか?」

私「はい。抱かれるんですよね?」

三太夫「いや、そうなんだが。しゅるるる………『ナニ』をするか、分かっているのか?」

 不思議なことを言う人だ。

私「そりゃあ決まっていますよ。子作りです」

三太夫「具体的な手順は?」

私「抱き合って寝ます」

三太夫「…………………ぎゅーっと?」

私「ぎゅーっと」

 三太夫さんが呆気に取られたような顔をした。
774 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/16(土) 13:41:02.76 ID:+jo671E80
なんかでかい剣持ってそうな名前ですね……
775 :オパビー :2019/03/16(土) 19:01:51.63 ID:8ZwIQnQj0
三太夫「いや、まさかどれあどってのは……………うそだろ…………しゅるっ」

 三太夫さんが額に手を当ててブツブツとつぶやいている。

私「三太夫さん?」

三太夫「ああ、うん。大丈夫だ。しゅるるる。シキ、お前、自分で処女だ処女だって公言してたけど、処女ってどんな奴の事か分かっているのか?」

私「処女ですか? まだ一度も抱かれていない女の子の事です」

三太夫「しゅるる…………じゃあ、処女膜って分かるか?」

私「処女膜…………? 処女の………膜? なんですか、それは?」

 処女膜……………
 膜?
 本当に心当たりが無い。
 処女と言ったら、受粉を経験していない純潔の乙女のことを言うんじゃないの?

三太夫「………………………しゅるぅ…………やっぱりか」

 そう言うと、三太夫さんは笑い始めた。

三太夫「くっくっく、くっくっくっく、しゅるっ、あっはっはっはっは! 滑稽じゃないか、滑稽じゃないか、え? 植物だもんな、そうだよなしゅるるるっ!」

私「ど、どうしたんですかっ!?」

 三太夫さんは笑いすぎてぜえぜえと息をつきながら、私に言った。

三太夫「ぜえ、ぜえ…………しゅるっ。シキ。お前、下を脱いで見ろ」

私「えっ?」

 突然脱衣を要求して来た三太夫さんに、私はそう聞き返した。

三太夫「いいから脱げ! しゅるるっ!」

私「あっ、は、はいいっ」

 私は下の着物を脱いだ。

三太夫「全部だ!」

私「う、はいっ………」

 なんで、急に恥ずかしい事をさせるんだろう………
 いやだよぉ。
 私は目に涙を浮かべながら、下着を脱いだ。

三太夫「しゅるるっ………足を開け…………」

私「えっ………えうっ」

 私は両手で恥ずかしいところを隠しながら足を開いた。
 しかし、三太夫さんは私の手を強引に避けてきた。

三太夫「しゅるるるう。ふむ…………」
776 :オパビー :2019/03/16(土) 19:17:22.43 ID:8ZwIQnQj0
 早く………終わってよぉ………
 そう思っているのに、三太夫さんは指でゆっくりと恥ずかしいところを開いた。

 くぱぁ………

 嫌っ………

私「き、汚いっ…………ですよぉ………ぐすっ」

三太夫「しゅるる…………ちょっと、静かにしてろ………しゅるるる…………」

 割と大きく広げて、自分でも見たことが無いところまで見られちゃってる。
 嫌だ。
 嫌だ…………

三太夫「…………しゅふふっ。よし、もう着て良いぞ」

私「えぐっ…………ぐすっ…………」

 私は泣きながら着物を履いた。
 三太夫さんの指の気持ち悪い感覚が、まだあそこに残っている。

三太夫「しゅるる。手荒くしてすまないな。ちょっと病気を見てただけだ」

私「そ、そうなんですか?」

 病気かどうかを、見ていただけなんだ…………
 良かった。

三太夫「ああ。しゅるるっ。もう心配しなくていい。お前の言うとおり、抱いてやるよ」

私「ああっ…………ありがとうございますっ………!」

 私は腕を広げる三太夫さんの胸に飛び込んだ。

三太夫「シキ。しゅるるっ。今からお前を噛むが、大丈夫か?」

 ああ、子孫を残してくれるなら、そんな事ぐらい何だって良い。

私「はい

三太夫「ああ………………しゅるるるるるる……………」

 三太夫さんがゆっくりと口を開いた。
 そして、私の首もとに冷たい物が当たった。
 ずぐり、と細く、熱い衝撃が2点に走る。

私「うんんっ……………」

三太夫「ハア、ハア……………しゅるる」

 ずくん………ずくん………

 マムシの致死量の毒が、私の首から侵入してくる。
 ああ、息が荒くなる。
 鼓動が早まる。
 体温が高まる。
 意識が朦朧としてくる。

私「はあっ、はあっ、はああっ………」

 ずぽっ

 三太夫さんが、毒牙を首筋から抜いた。
 そして、私の顔を見る。

三太夫「………………しゅるる」
777 :オパビー [saga]:2019/03/16(土) 19:24:54.60 ID:8ZwIQnQj0
 そして、私に口づけした。
 何も、考えられない。
 三太夫さんとの口づけは、苦い、ニガウリのような味がした。
 私の致死量の唾液を、ごくごくと喉を鳴らして三太夫さんが飲む。
 私、あんなに毒を流し込まれて、日付が変わるまで生きれるかな。
 あの解毒剤が利かなかったら、二人して冷たくなるのかな。

三太夫「ぐ………しゅるるっ…………これは…………思った以上にっ、強烈ぅ…………!」

 息を荒くしながら、三太夫さんがそう言った。
 首が痛い。
 息が苦しい。
 心臓が握りつぶされる。
 死にそう。

三太夫「………しゅる……る。生き残…………れよ。シキ」

私「か…………かなら…………ず………」
778 :オパビー [saga]:2019/03/16(土) 19:32:58.51 ID:8ZwIQnQj0
 その夜は、地獄のように長かった。
 全身に杭を打ち込まれるような痛み。
 しかも身体がうまく動かせず、暴れまわる事も出来ない。
 寝ることも、気絶することも出来ない。

私「う…………あっ。うぐあ………いだ………ええっ……………」

 声も満足に出せず、絞るように出した声も痛みを和らげてはくれない。
 それは、三太夫さんも一緒だった。

三太夫「あ゛あ゛っ…………ぐ…………やめときゃっ…………よがっ………あああっ…………じゅるっ…………」

 まるで何日も苦しんだようだった。
 絶え間なく続く頭痛激痛腹痛。
 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
 まだ終わらない。
 いっそ、死にたい。
 苦しい。




 気づけば、朝だった。
779 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/16(土) 19:57:33.02 ID:kdsYGquDo
主題とずれるが三太夫さんの方にもかなり尊さ感じてしまった
単に見た目が人外のキャラ好きなのもあるけど、相手奴隷なのに一緒のレベルで毒の苦しみ味わってるとことかほんともう…
竿役としてだけじゃなくて、男キャラもしっかりしてて絡みもしっかりあるの好きです
今まで強い主人公だったけど弱い主人公でも始めてみたい
性欲を一番刺激されるのはでかい男と小さい女の体格差なのがもどかしいが
780 :オパビー [saga]:2019/03/16(土) 21:34:56.48 ID:8ZwIQnQj0
三太夫「はあ…………はあ…………はあ…………」

 布団も、服も、桶をぶちまけたようにびっちょりだった。
 痛みは嘘のように消え、涼しい朝風が優しく頬を撫でる。

三太夫「…………しゅるる………シキ、生きてるか……………?」

 三太夫さんがそう言った。

私「………………なん、とか………」

 生きてる…………
 二人して…………

三太夫「以外と、生きてるもんだな…………しゅるる」

 ………これで………
 子孫が…………♥
781 :オパビー [saga]:2019/03/16(土) 21:51:16.86 ID:8ZwIQnQj0
 それから、約半年。
 毎晩毎晩、地獄のような苦しみを体験した。
 三太夫さんは目の下に隈を作り、やせ細っていった。
 仕事(歌舞伎)の方にも影響は出ているらしく、瓦版には『空前 絶後不調か? 人気も下火に』という記事が載っていたのを見つけた。
 私は、もう毒の交換は止めよう、と言ったが、三太夫さんは聞かなかった。
 私は、悲しくなった。
 三太夫さんの毒が辛い訳じゃない。
 三太夫さんの、役者としての人生を削っているような気がして、たまらなかった。
 しかし、それは最初の2ヵ月だけの事。
 丸薬は徐々に小さくなっていき、今ではもう砂粒程の大きさだ。
 三太夫さんも活力を取り戻し、瓦版にも『空前 絶後完全復活! 空白の3ヵ月に何があったのか?』という記事が載っていた。
 ある日、初めて三太夫さんの歌舞伎を見に行った。
 凄かった。
 これが本当に役者という仕事に命をかけている人なんだと。
 舞台の上に立つ三太夫さんが、最初に会った時よりも逞しく見えた。
 毒の苦しみも、私も三太夫さんも、今ではもう心地よい。
 例えるならば、寿司の中の、適量のワサビのような。
 いままでは丸ごと一房を食べていたような物だ。
 そりゃあ、辛かった訳だ。
782 :オパビー :2019/03/16(土) 22:03:54.74 ID:8ZwIQnQj0
 >>779 まあ次の主人公も安価次第やな。
 多分次スレにまたぐやろが、まだ見ぬその主人公のエンディングも見届けてほしいで。
783 :オパビー :2019/03/16(土) 22:04:41.89 ID:8ZwIQnQj0
 でも…………でも……………
 どうして…………どうし
784 :オパビー :2019/03/16(土) 22:14:29.57 ID:8ZwIQnQj0
 ミス



 でも…………でも……………
 どうして…………どうして…………
 どうして…………子供が出来ないの…………?
 半年間。
 6ヵ月。
 25週間。
 180日。
 欠かさず抱いてもらっていたのに。
 なんで。
 いつも、美味しい水を沢山貰って。
 今でも綺麗な紫色の花が咲いているのに。
 どうして…………?
785 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/16(土) 22:16:40.75 ID:GG/erBYOo
毒蝮さん自制効き過ぎィ!
786 :オパビー :2019/03/16(土) 22:27:14.94 ID:8ZwIQnQj0
三太夫「おう。ただいま〜、しゅるるるっ。なあ、今日………」

 私は帰ってきた三太夫さんに飛びついた。

三太夫「しゅる? なんだ、シキ。どうした?」

私「…………………どうして………………?」

 ぎゅっ。

 三太夫さんの胸に顔をうずめて、服を握る。

私「どうして…………どうして、子供が生まれないの?」

三太夫「しゅる…………………」

 私は、泣いていた。

私「ずっと、ずっと抱いて貰ったのに。なんで子供が出来ないの? 嫌だよ、三太夫さん。怖いよ、三太夫さん…………」

 ボロボロと涙がとめどなく溢れ、三太夫さんの服を濡らす。

私「怖いよ、絶滅したくないよ、助けて、助けてよ三太夫さん。嫌だ、絶滅、絶滅したく、嫌だ、絶滅!あああああっ!絶滅!絶滅!絶滅!嫌だああああっ!恐いよおっ、怖い恐い怖い恐いよおおおおおっ!!」

 私は、ただ怖かった。
 この世から私が消えて無くなってしまう気がして。
 三太夫さんの胸を叩いた。
 何度も。
 何度も。
 手が、痛くなった。

私「怖いよぉ………………絶滅したくないよぉ………………助けてよぉ………………」

 泣き叫ぶ私の頭に、ぽんと三太夫さんの手が乗せられた。
787 :オパビー :2019/03/17(日) 06:57:03.86 ID:uBxPALCS0
三太夫「…………心配するな。今夜こそ絶対に子供は出来る。しゅるっ」

 三太夫さんは泣いている私の頭を撫でながら、そう言った。

三太夫「今夜は、丁度解毒剤無しで抱こうと思ってたんだ、しゅるるるっ。良いと思わないか? しゅっるるる」

 解毒剤無しで。
 半年間、ずっと交換し続けた毒。
 今度は何も介さずに自分たちの身体に受け入れる。
 どれほど、気持ちいいだろう。

私「はい…………」

 今度こそ、絶対に子供が出来ますように…………
 今度こそ、絶対に…………

三太夫「しゅるる…………全てを、俺に委ねろよ…………しゅるっ…………」

 三太夫さんはにっこりと笑って言った。
788 :オパビー [saga]:2019/03/17(日) 08:05:20.50 ID:uBxPALCS0
 その夜。

私「来ました………」

 ふすまを開けて、私は三太夫さんの寝室に入った」

三太夫「しゅる………元気が無いな」

 三太夫さんは私の腕を掴み、引き倒した。
 そして、口づけをした。
 いつも通り、ニガウリみたいな味の口づけ。
 毒で頭がぼーっとする。
 …………あれ?
 マムシの毒って、噛まれなきゃ効果が無いんじゃなかったっけ…………?
 まあ、いいや。

三太夫「ふう……刺激的。しゅるるっ。世界で一番、刺激的な口づけだ」

 ペロリと唇を舐めながら、三太夫さんが言った。
 息を荒くしながら、三太夫さんが私の首もとに顔を近づける。

三太夫「噛むぞ…………しゅるるるっ…………」

 耳元で、声が響く。
 ああ、くすぐったい。

私「ん………」

 ずぐり

 どくん…………どくん…………どくん…………

 この瞬間。
 毒を流し込まれて、血が三太夫さんに塗り変わるような感覚。
 一番、好き。
789 :オパビー :2019/03/17(日) 08:11:53.26 ID:uBxPALCS0
 すぽ………

 顔が、自分でもわかるほど熱くなっている。
 ぞくぞくとした感覚が背筋を伝う。
 灼熱が、一息ごとに湯気を出す。
 熱い。

私「三太夫………さぁ……ん」

 いつもみたいに、ちょっと変な気持ちになる、
 早く、赤ちゃんを作りたい。
 早く、抱いてほしい。
 早く…………

三太夫「シキ…………しゅるるっ。いいかァ……今夜は、全てを俺に委ねるんだ。いいな? しゅるる………」

 三太夫さんの全部に肯定する。
 全部に肯定してあげたい。
 頷く。

三太夫「しゅるるっ………今日こそ…………『抱いて』ェ……やるからな………しゅるる」

 一言一言が、耳にくすぐったい。
 もっと話して。
 声を聞かせて。
790 :オパビー [saga]:2019/03/17(日) 08:52:49.43 ID:uBxPALCS0
 三太夫さんはゆっくりと私の着物を脱がした。
 肩が、露わになる。
 胸も、露わになる。
 恥ずかしい………
 それでも私は抵抗しない。
 抵抗したく無かったから。

三太夫「しゅるる………ふう………嫌だったら、言えよ……しゅるふっ……」

 長い三太夫さんの舌が、唇の間から蛇のように出てくる。
 スルスルと伸びてきて、先っぽがチロと乳首を撫でる。

私「ひゃっ………」

三太夫「しゅるる…………」

 とてもくすぐったい。
 でも、嫌じゃない。
 気持ちいい。
 気持ち………いいっ………♥
 そのまま胸全体を舐め始める。

 ペロッ、レロオッ、ペロロ………

私「ああっ………んっ………く……ぁ………♥」

三太夫「しゅるるるっ………」

 三太夫さんの熱い舌が、這うように私の身体を撫でる。
 涎をつけながら、ずりずりと舐め回される。
791 :三太夫の一人称は私。割と間違えるけど許して [saga]:2019/03/17(日) 09:38:17.72 ID:uBxPALCS0
 すると、舌の先が、私の唇に触れた。
 無理やり唇に潜り込み、口の中を舐めまわす。
 私はその舌に自分の舌を絡ませた。
 じゅぷ、じゅぷと三太夫さんの舌が私の口に出たり入ったりしてる。

私「ふぅ………んん……………んふっ…………」

三太夫「しゅるるる………………しゅるるるるるる………………」

 きゅぽんと、三太夫さんの舌が抜かれた。
 涎がきらきらと光を反射させながら糸を引いた。

三太夫「しゅるる………下も……脱がすぞ…………いいな?」

 三太夫さんは、私の返事を聞かずに下の着物に手をかけた。
 でも、もういい。
 なにされたって良い。
 そういう気持ち。
 私の下着を脱がした三太夫さんは、目を見開いた。

三太夫「シキ………お前………」

 アソコが触られる。

 ぬる……

 なにか、ぬるっとした物をぬられた。
 三太夫さんが私のアソコを触った指を見せる。

三太夫「お前………しゅるるっ……これが何かわかるか?」

 三太夫さんの指は何かがついたみたいに光っていた。
 それは………?

私「なん……ですか?」

三太夫「これは、お前のアソコっから出たもんだ、しゅるる。愛汁って言うんだ、しゅるる」

 あい………じる………
 私の、アソコから?

三太夫「特別な時にだけでるもんだ……しゅるるっ………これを出してるってこたぁ……赤ん坊が欲しい時って事だ…………しゅるるっ………」

 ああ………
 だからいつも、三太夫さんに抱かれた次の朝は、下着がかぴかぴになってたんだ。

三太夫「しゅるるる…………もうこれ以上は止まらねえからな…………しゅるる。全部私に委ねて良いんだな?」

 最後だ。
 三太夫さんが私にそう聞いてきた。
 もう、答えは決まっている。

私「はぁ………は………い………」

 全部、全部、三太夫さんにあげる。
 全部、全部、三太夫さんに任せる。
 だから、三太夫さん………

私「赤ちゃん………ください…………♥」
792 :オパビー [saga]:2019/03/17(日) 10:09:54.29 ID:uBxPALCS0
三太夫「しゅるるるるる……………しゅるるるるるるる…………………」

 三太夫さんはしゅるしゅる言いながら、また舌を出した。
 そして、私の恥ずかしい所を、舐めた。

私「あ…………ぅ……」

 あいじるを舐めとりながら、優しく、ぺろぺろと舌を動かす。

 つぷん

 その時、舌が私のアソコの中に侵入してきた。
 ぷにぷにを押しのけて、おしっこが出る所に。

私「ああっ………や…………んうう…………♥」

 熱い、入ってくる………

 ぬぷ……ぬぷぷっ………

 気持ちいい。
 凄く、変っ…………
 滑って、べろがアソコを舐めて………
 変な………感じっ…………

私「ん…………なんぁ………三太夫さんっ………♥」

三太夫「しゅるるっ………しゅるるるっ………」

私「んっ………しゅるって、言わないでくださいっ…………震えがっ………きゅる………♥」

 アソコが震えて、変になっちゃうっ…………!
 でも、三太夫さんは、私の顔をちらっと見て…………

三太夫「しゅるるるるるるるるるるるるるる」

私「ああああああっ♥」

 なんかっ…………ぁぁっ!
 出ちゃうっ……♥
793 :オパビー :2019/03/17(日) 10:43:16.45 ID:uBxPALCS0
 ぷしっ

私「らあっ……………!」

 お……おしっこ……
 出ちゃっ………
 三太夫さんの顔におしっこがかかった。

私「はぁっ……はぁっ………ごめんな、さい……」

三太夫「いや、いい。しゅるるるっ………」

 三太夫さんは顔にかかったおしっこを舌でベロリと舐めた。

三太夫「これは潮っていうんだ、しゅるるっ。今一瞬、凄く気持ちよかっただろう。それがイクってもんだ、覚えとけ、しゅるるっ」

 イク…………
 気持ちよかった…………

三太夫「しゅるる………そろそろ始めるか……………」
794 :オパビー [saga]:2019/03/17(日) 11:05:43.71 ID:uBxPALCS0
 三太夫さんはそう言うと、下の着物を脱いだ。
 ふんどしが、膨らんでる。
 三太夫さんが、ふんどしをほどいた。

 ぼるるんっ

私「え…………」

 三太夫さんがちんちんを出した。
 でも、私が知っているちんちんじゃない。
 大きくて、トゲトゲがあって、それに、二本あった。

三太夫「………しゅるるっ…………全部私に委ねるんだろ? 赤ん坊が欲しかったら任せとけばいい」

 そう言うと、三太夫さんは私の両手を掴んだ。

私「あ………あ………」

 いや、怖い。
 三太夫さんっ………
 助けて…………

三太夫「何も心配しなくて良い、しゅるるっ。全部私が終わらせる、しゅるるっ」

 もう一度、三太夫さんが私の肩を噛んだ。
 毒が注ぎ込まれて、身体の力が抜ける。
 快楽のような、ちょっとした痛み。

 すぽっ

 三太夫さんが牙を抜いた。

三太夫「痛いが、我慢しろよ………しゅるるるるっ…………」

 三太夫さんのちんちんが、私のアソコに押し付けられた。
795 :オパビー :2019/03/17(日) 11:47:56.59 ID:uBxPALCS0
三太夫「しゅるるる………まずは、一本………」

 ぬるんっ

 三太夫さんのちんちんが私のあいじるで滑った。
 三太夫さんが手でちんちんを持ち、固定する。
 アソコの入り口に、熱いちんちんが当たる。

三太夫「しゅるるぅ…………っ!」

私「や………ぁ…………」

 ずぷ………ず…………

 ぁ……
 入って、くっ、んんあ………!

私「痛いっ、いだいだっ……あ゛、あ………!」

 トゲがアソコの中に刺さる。
 痛いっ、痛いいいいっ!

 ブチッ、ブチブチブチッ!

三太夫「ふむ………しゅるるっ……やっぱり血が出てきたか」

 私の股の間を、生暖かい物が伝う。
 血が出てる………?

私「痛いっ、痛いぃ………」

 痛みで、涙が出てきた。
 三太夫さんが私の頭を撫で、頬を舐める。

三太夫「我慢しろっ…………しゅるるるっ。その内慣れる………!」

 そのまま三太夫さんがゆっくり動き出した。
796 :オパビー :2019/03/17(日) 12:21:28.14 ID:uBxPALCS0
 ずるるる………ずちゅぅぅ……………

 あいじるで滑りながら、ゆっくり、ゆっくり、私のアソコを、ちんちんが出たり入ったりする。

私「いい………痛い……………痛いぃ………」

三太夫「大丈夫だ、大丈夫…………しゅるるっ」

 三太夫さんはまた私の首もとに噛みついた。
 そして毒を注入する。
 ああ、また…………

 どんどん、気持ちがふわふわしてくる。
 何も、考えられなく、なってくる…………
 痛みも、小さくなる。
 気持ちが…………いい。

 致死量の愛が…………
 私を、浸蝕する…………

 三太夫さんがまた、私に口づけをする。
 喉の奥の奥まで舌を入れて。

私「ん…………んう……

三太夫「ん……しゅるる…………しゅるるる………」

 三太夫さんもごくごくと私の涎を飲む。
 三太夫さんもふらふらし始める。

三太夫「んお…………やっぱりイイな………しゅる……」

 三太夫さんが腰を動かした。

 ぱちゅっ

私「あひっ……

 気持ちいい。

 ずちゅ

私「んいっ

 気持ちいい。

三太夫「イイ声………出すようになったじゃないか…………しゅるるるる………」

 毒で意識が朦朧とする私に三太夫さんがそう言った。
797 :オパビー :2019/03/17(日) 14:09:36.79 ID:uBxPALCS0
私「あっ……… だって、毒でっ、変に…………あ゛ひぃっ!」

 またいっちゃいそうになるのを、布団をぎゅうっと掴んで我慢しながら、私はそう言った。

三太夫「しゅるるるっ、私も気持ちいいぞおっ、シキィッ………!」

 さっきまで痛かった分が、全部気持ちよさに変換された。

三太夫「やっぱり、私が見込んでた通りだぁ、しゅるるるっ。毒決めてヤるのやべえなあ………

 三太夫さんは私に声をかけながら、何度も何度も私を突いた。

 ぱちゅっ、ぱちゅっ、ぱちゅっ、ぱちゅんっ!

 あいじるが跳ねて、水音を立てる。
 身体の奥で、快楽が跳ね回る。

三太夫「はぁ……シキ、またイキそうなんだよなぁっ。しゅるるるるっ、我慢しなくて良いんだぞぉっ、しゅるるっ! イけっ、イけぇっ!」

私「あ゛あ゛あ゛っ! あ゛ああああっ!」

 イグっ、イっちゃう、また来るうううっっ
798 :オパビー [saga]:2019/03/17(日) 18:28:46.13 ID:uBxPALCS0
私「んあああああっ♥!」

 ぷしゃああああっ!

 私がイって、しおが噴き出した。
 びくんびくんと身体を痙攣させて、私は続けて何回かイった。

三太夫「しゅるるっ。ハデにイったなシキ。どうだ? 気持ちよかっただろう? しゅるるっ」

私「は、はひ………い、イクの…………気持ちい、です………んいっ♥」

 三太夫さんは私のアソコにちんちんを入れたまま、しゅるると笑った。

三太夫「しゅるる。いいぞ………そろそろこっちもいけるな」

 そう言うと、三太夫さんはアソコに入ってなかった方のもう一本のちんちんを手で持ち、私のアソコに当てた。

私「あっ……まさかっ、やめ、まだイって…………」

 三太夫さんはそのちんちんもずぶりとアソコに刺した。

私「んあいいいっ♥」

 アソコがさっきの二倍の大きさに広げられ、メリメリと音を立て無理やり入ってくる。
 私はちんちんをぎゅうぎゅうに締めながら、またイった。

三太夫「ふぅ………ううううっ。しゅるるる、やっぱり二本入れたら気持ちいいよな。しゅるるっ」

 ごちゅっ、ずぶんっ、ずりゅりゅっ………

私「あああっ、気持ちいいっ♥ 三太夫さんっ、頭おかしくなっちゃうっ♥ やめぇっ♥」

 それでも三太夫さんは腰を動かすのを止めない。
 私の身体の奥の方をずっとちんちんの先っぽでコツンコツンと叩いている。

 ばちゅん、ばちゅん、ばちゅんっ…………

三太夫「しゅるるる、しゅるるるるぅ…………」

私「んぁ、んあああっ! 三太夫さん、三太夫さぁんっ♥」

 三太夫さんの抽送の動きがどんどん速くなってくる。
 ごちゅごちゅと二本のちんちんが競うみたいに私の中で暴れる。
 おへそのしたが熱い。
 また、イクぅっ♥

三太夫「しゅるるる、シキィッ、イキそうなのかっ、イキそうだよなっ! 私もイクぞっ、イクぞおおおおおっ!」

私「またイキますっ、イキますぅううう♥ ああっ♥ んあやあああああっ♥」

 三太夫さんが全体重をかけた。
 私の一番奥に、ごりゅっとちんちんが入った。
799 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/17(日) 18:37:09.29 ID:vA9UHnyro
(二輪刺し…サブストのレベルの高さすげー)
800 :オパビー [saga]:2019/03/18(月) 06:35:36.78 ID:hHG3vcAH0
 私の中が、満たされた。

 コプゥッ、コプッ、トクトクッ、コピュッ

私「ひううっ♥ なにかっ、なにか熱いのが、んああっ…………ゆっくり、注がれて…………んおおっ♥」

三太夫「しゅるるるぅぅ…………くぅ………」

 コププッ、プククッ、トクンッ、コプッ

 ゆっくり、でも長く、絶えず私の中に注がれた。
 お腹があったかくなっていく。
 私が私じゃなくなっていく………
 心地よい堕落のような、あわい感触。

 トククッ、トクッ………………コプッ…………

三太夫「しゅるるる……………ふう………出た出た………しゅるっ……………」

 三太夫さんはそう言って、私のアソコからちんちん二本を引っこ抜いた。

私「んぉっ…………♥」

 コプッ、と白くてネバネバした物が私のアソコから溢れる。
 なに………これ………?

三太夫「しゅるる………これは精子って言うんだ、しゅるる。これを女の中に注げば、赤ん坊が出来んのさ………しゅるるっ」

私「う、嘘………だって、抱いてもらえば…………子供は出来るって…………」

 三太夫さんは私の腰を撫でながら言った。

三太夫「そりゃどれあどの話だろう。しゅるるっ。どれあど以外の奴らはこうやって赤ん坊を作るのさ、しゅるるるっ……………」

 三太夫さんは息をつくと、もう一度ちんちんを私の中に入れた。
 今度は、最初から二本。
801 :オパビー :2019/03/18(月) 09:23:50.96 ID:GHUMU3cb0
 ズチュウウウゥ

私「ひんっ

 ずっちゅ、ずちゅ、ずっちゅ、ずちゅんっ

 ゴリゴリと抽送されるごとに、さっき注がれたせーしが音を立てて噴き出る。
 さっきイったばっかなのに、そんなに突いちゃだめぇっ

三太夫「本当は最初から互いに毒キメてヤりたかったんだがなぁ…………しゅるるっ、トリカブトの毒はやっぱり舐めちゃいけねえな。しゅるるるっ、ふううっ」

 あうっ、どこかがっ、とんとん叩かれてるっ。
 ちんちん私の中で喧嘩しないでえっ
 ああああああっ

三太夫「まさか、半年も耐性つけるのにかかるなんてなぁ、しゅるるっ。でも半年待ったかいあったなあ! しゅるるるるるっ

私「あああっ、んひいいいいっ んお、んは、ぁあああっ

 とげとげいっこいっこも気持ちいいっ
 んぎぃいっ

 ずちゃんっ、ずちゅっ、ぱんっぱんっ

三太夫「しゅるるるっ、イクぞシキィッ。また精子だすぞ、しゅるるるっ、孕ましてやるっ!」

私「あああっ せーしきてっ、せーし注いでっ、赤ちゃん生ましてええっ

 三太夫さんが私の頭を掴み、また深い口づけをした。
 頭が真っ白になりそうなくらいめちゃくちゃに。
 三太夫さんが腰を一気に沈めた。
 ちんちんが、さっきまでこつこつ当たってた場所に入り込んだ。
 ぐいっとこじ開けられて、私の本当の奥の奥までちんちんが入った。
 壁に当たった。
802 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2019/03/18(月) 09:33:16.86 ID:nOpPDK2lo
>ちんちん私の中で喧嘩しないでえっ♥
なんというパワーワード
803 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/18(月) 10:51:41.71 ID:9Cvg5NHZo
蛇の獣人は想像できるけど、鳥兜のドライアドってのがちょっと外見想像しにくくて脳内補完が捗らないな…
ドライアドって作品によって見た目がバラバラすぎて、固定されたイメージがないのが困ってます
鬼とハーピーはある程度イメージ定まってて外見が人間に近い種族なのでまあ大丈夫だったけれど(管狐もほぼ獣そのままだし多分大丈夫)
804 :オパビー [saga]:2019/03/18(月) 11:14:20.91 ID:Xf+F1gIb0
 コプププッ、トプトプトプットプットプットプッ、コピュウッ

私「んああっ、くぅあああっ♥ せーし、せぇしいいっ♥」

三太夫「しゅるるるっ、孕めっ、しゅるるるっ、孕めぇぇぇぇぇっ…………」

 コププゥッ、コプコプッ、プククッ、コプッ…………

三太夫「しゅるるるぅ…………ふぅーっ、ふぅーっ………これだけ出せば…………赤ん坊も出来るだろう………しゅるるる…………」

 三太夫さんがちんちんを入れたまま、二・三度私の中のせーしをぐちゅぐちゅとかき混ぜた。

私「んぁ、なぐううっ♥」

 私は快楽に身体を跳ねさせた。
 せーしがとんで、ぱたたとお腹の上に落ちた。

三太夫「ふふふ………しゅるるる。シキ。元気な私の子を生んでくれよ………しゅるるる………」

 三太夫さんは私に口づけをした。
 舌を巻き込んで歯茎の内側、上顎の裏、口の中全部にまんべんなく舌が満ちた。
 三太夫さんが口を離すと、ぬろぉと舌が引きずり出された。

私「ひゃあい♥ うみましゅ、元気な赤ちゃんうみましゅっ♥」

 私が舌を出しながらそう答えると、三太夫さんはにっこりと笑って頷いた。

三太夫「しゅるるる………これで終わりだと思うなよぉ。しゅるるる、まだイクぞぉ………」

私「はひぃ…………♥」
805 :オパビー :2019/03/18(月) 11:16:45.45 ID:Xf+F1gIb0
 >>803 人間の頭の上にくきのない花だけの大きめの鳥兜が咲いてるんや。
 肌は人間より緑っぽくて、血も緑っぽいで。
806 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/18(月) 11:24:15.58 ID:9Cvg5NHZo
>>805 ありがとうごぜぇます
807 :オパビー [saga]:2019/03/18(月) 11:55:23.28 ID:Xf+F1gIb0
 1ヶ月後。

私「ん………可愛い。私の子………私達の子………」

三太夫「しゅるるる。よく頑張った」

 三太夫さんにせーしを注いで貰ってから、1ヶ月が経った。
 私のお腹は赤ちゃんが入ってて、ぽこっと一カ所が固く膨らんでいた。
 今日、その子がやっと生まれた。

三太夫「……………で、これはなんだ?」

 三太夫さんが指差したのは私が頬ずりしている赤ちゃんだ。
 拳位の大きさで、つるっとしてて、可愛い。

私「三太夫さん、知らないんですか? 赤ちゃんの種ですよ種。本当なら頭の花から生まれるはずなんですけど………この種を土に埋めて、しっかり育てたら3ヶ月くらいで花が咲いて、その中から赤ちゃんが生まれるんです……♥」

三太夫「お、おう。しゅるるるる。そうなのか…………」

 三太夫さんがぼりぼりと頭を掻いた。
 私は赤ちゃんを抱えながら、その三太夫さんの二の腕を掴んだ。

私「三太夫さん、まだ一人じゃ足りません。もっと、もっと生まなければ。種を残すために、せーしをもっと、もっとください♥」

 私がそう言うと、三太夫さんはにやりと笑った。

三太夫「しゅるるる。イイね。そういう女は好きだ、しゅるっ。いくらだって注いでやるよシキ。しゅるるる♥」

私「うふふ………♥」
808 :オパビー :2019/03/18(月) 12:18:19.49 ID:Xf+F1gIb0
 あれから五年。
 長いようで、あっという間だった。

子ども達「ままー、ままー!」

 子ども達が私を呼ぶ。

私「はいはい。ちょっとまっててね、この子たちに水をあげてから………」

 ちょろろろろろ………

私「はい。どうしたの?」

子1「遊んで遊んで!」

子2「みんなでおとーさんみたいに演じるの! ほら、おかーさん攫われて攫われて!」

 所狭しと押し寄せる子ども達が口々にそう言う。

私「あらあら、みんな元気ねぇ。わかった。じゃあ今日の悪役は誰かしら〜? 早く私を攫ってちょうだい?」

子ども達「やったー!」





 さあさあかくごせよあくだいかん!
 われここにまいらん!
 ぬぬ、なにやつ!?
 われこそはせいぎのせんし、からまえぜつご!
 ひめをたすけにここにさんじょう!
 ああ、空前絶後様!
 どうか私の事は気にせずに、戦ってはなりませぬ。
 これは罠です!
 ひめよ、わなであることはじゅうじゅうしょうち。
 ひめがききにさらされているのなら、どんなときでもたすけてしんぜよう!
 あくだいかんかくごせぇ!
 ぬぬ、かかれおまえら!
 かくごせよ!
 からまえぜつご、ぬしのそのくびをうちとり、もんぜんにさらしてやるわ!
 てぇやあああっ!
 えあああああっ!





 今日も歌舞伎が家に響く。
 彼らの夢はなんだろうか。
 琴引き?
 語り手?
 はたまた役者?
 何であれ………

 いずれ空前絶後の歌舞伎一家となることは、予想に難くない。
809 :オパビー [saga]:2019/03/18(月) 12:21:00.77 ID:Xf+F1gIb0
 紫稀編終わりじゃい。
 次は管狐編。
 属性はだな…………

 ケモショタ×ケモロリ

 乞うご期待。
810 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/18(月) 12:27:34.51 ID:nOpPDK2lo
おつおつ
無知×積極的の化学反応
ケモナー大歓喜の次回も期待大
811 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/18(月) 12:29:01.61 ID:7/SiDloE0
ショタロリの組み合わせ珍しいから期待
812 :オパビー :2019/03/18(月) 13:22:15.56 ID:hHG3vcAH0
 ロリっつうか、5年経つから普通のメスケモになっちゃうんだが。
 まあそうは言っても管狐だから身体は小さいんやがな。
 ショタの方、年齢はどうする。
 年上か、年下か、同い年か。
 何歳年上年下かも書いて>>下
 ちなみにケモ度3(人間の骨格の獣)でケモチンやで。
813 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/18(月) 13:26:21.15 ID:Fl1hlplX0
ベタに同い年で
814 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/18(月) 13:30:59.61 ID:C3juyTWjo
管狐はケモ度もっと高いからやっぱりケモマンなんですかねぇ?
オコジョは画像ないけど近そうなフェレットのは検索したら出てきたぞ
815 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/18(月) 13:38:18.96 ID:Fl1hlplX0
早速ケモナーガチ勢出てきて草 わからない次元の話すぎる
816 :オパビー :2019/03/18(月) 13:38:24.67 ID:hHG3vcAH0
 >>814 何を検索しとるか。
817 :オパビー :2019/03/18(月) 13:40:20.45 ID:hHG3vcAH0
 では管狐の名前>>下
 新しい物か元からの名前か、も。
818 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/18(月) 13:42:25.56 ID:C3juyTWjo
元でっ!
819 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/18(月) 13:51:02.63 ID:C3juyTWjo
名前も書くのか見落としてましたすみません…
安価来てなかったら六花(りっか)
820 :オパビー :2019/03/18(月) 14:03:51.11 ID:hHG3vcAH0
 >>819 相応しい名前。
 ええね。
821 :オパビー [saga]:2019/03/18(月) 14:40:52.80 ID:hHG3vcAH0
 あたしの名前は、六花(リッカ)。
 管狐の獣人さ。
 あたいは元々奴隷だった。
 五年前にいきなりさらわれて、奴隷になった。
 ずっと村のみんなが助けに来てくれるって思ってたけど、あたしはある日知ってしまった。
 あたしは村のみんなに売られたんだって。
 商人が話してるのをたまたま聞いちまったんだ。
 知ったときは泣いたよ。
 ずっと泣き続けたよ。
 でも、おんなじ檻に入れられていた紫の花を持ったどれあどのお姉ちゃんが、あたしを慰めてくれたんだ。
 大丈夫、大丈夫だよ、って。
 だからあたしは心を壊さずにすんだのかもしれない。
 あのお姉ちゃんには、感謝しかなかった。
 でもある日、そのお姉ちゃんは買われていってしまった。
 それから会っていない。
822 :オパビー :2019/03/18(月) 14:45:49.57 ID:hHG3vcAH0
 あたしは異能がある。
 村のみんなに売られた理由でもある異能。
 雪を作り出せるんだ。
 こんな異能、いらなかった。
 最初から普通の女の子として暮らしていたかった。
 こんな異能さえなけりゃ、こんな異能さえなけりゃ………!
 あたしは………!
 ………何度も、自分の腕に浮かぶ雪花模様を傷つけた。
 でも、異能は消えない。
 薄まる気配もない。
 だからもう諦めてたんだ。
823 :オパビー :2019/03/18(月) 15:02:54.69 ID:hHG3vcAH0
 五年前。
 あたしが買われた日の事だった。
 なんの前触れもなく檻を開けた商人からあたしが買われた事を伝えられたんだ。
 あたしはその商人に噛みつこうと思った。
 だけど、いつも通り、鞭で思いっきり叩かれて終わりだった。

 あたしを買ったのは、あたしより人間に近い狼の獣人の男だった。
 男は自分の事を料理人だと名乗り、名を太郎と言った。
 男はあたしの異能をとても珍しがり、同時に素晴らしいと賞賛していた。
 あたしはそれが気に入らず、望み通り雪を大量に生み出してその男にぶつけてやったのさ。
 それでも男は笑いながら雪に埋もれていた。
 あたしは気持ち悪いと思ったさ。

 そのままあたしはその男の店に連れてかれた。
 なんで料理人があたしを買ったのか。
 その時は全く理解が出来なかった。
 でも今のあたしの「職場」を見ればすぐに分かるさ。
 これが今のあたしの職場さ。
824 :オパビー [saga]:2019/03/18(月) 15:24:41.57 ID:hHG3vcAH0
太郎「リッカちゃん、5番机にこれとこれ持ってって!」

あたし「はい!」

小太郎「リッカちゃん4番机にこれとこれ!」

あたし「はい!」

みりん「リッカちゃん、かき雪6個注文!」

あたし「はあああいっ!」

 ……………とまあ、こんなもんだ。
 普通に料理処の従業員として働いてるよ。
 太郎は江戸の中でも大きい料理処、「小遊三」の店主だったらしい。
 従業員もあたし以外に何人もいて、今日も絶賛大繁盛中だ。
 小太郎は太郎の息子で、あたしと同い年だ。
 太郎の息子だからか、同じ狼の獣人で、太郎と同じように狼が立ったような見た目だ(正確には狼が人間の骨格をしている)。
 5年前はまだちっちゃくて目がきゅるるんとして可愛らしかったが、今はあたしが見上げないと顔が見えない。
 割と逞しく成長してしまった。
 最初の頃は喧嘩も良くしたが(今もたまにするが)、今ではきょうだいみたいに仲良しだよ。
 そしてみりん。
 みりんは小太郎の母ちゃんで太郎の嫁だ。
 狐の獣人らしく、太郎と同じくらい獣に近い。
 料理は揚げ物系全般が得意らしい。

 こんな風な、料理処一家の所に買われたあたしだが、普通に幸せだよ。
 寝るところ、食べる物、着るもの、全部を保証してくれる。
 最初の頃は嫌で嫌で仕方なかったこの仕事だって、今ではやりがいを感じて楽しんでるさ。
 走れば汗が玉になって空を舞う。
 この感覚が、心地よい。
825 :オパビー :2019/03/18(月) 15:41:14.47 ID:hHG3vcAH0
 いや、一個だけ不満があるとするなら、寝るところだ。
 そろそろ小太郎と別室にしてほしい!
 もう子供じゃねえんだあたしだって!
 もう逃げも隠れもしないから小太郎と別室にしてくれ!
 そのむねをみりんや太郎に伝えたところで、

太郎「何でだ。二人は仲良いじゃないか」

みりん「あらあら。リッカちゃんもそう言うの気にするお年頃になったのかしらぁ? だめよぉ?」

 とのらりくらりと流されちまう。
 何でだ!
 布団動かすだけじゃねえか!

 あたしは注文を受け取る為に小太郎が置いた皿を取った。
 その時、不意に太郎が言った。

太郎「ところでリッカ。そろそろ小太郎との結婚を考え………」

あたしと小太郎「「何でだ!」」

みりん「まあ、息ぴったり」

 あたしと小太郎が同時に太郎に向かって叫んだ。
 はぁ………はぁ………
 太郎もみりんも冗談はよしてくれよ…………
 太郎もみりんもあたし達が近くにいると事あるごとにそう言うんだ。
 小太郎はきょうだいみたいなもんだって………言ってんだろ?

 ところで、今のあたしには、他の従業員とはまた違った、仕事がある。
 さっきみりんが言っていた「かき雪」作りだ。
 注文を受けるとあたしが雪を作る。
 そしたらみりんが甘い汁をかけて出来上がりだ。
 これが太郎があたしを買った理由らしいけど、なんたってこんなつまらない物を作るためにあたしを買ったんだ。
 この異能を持ってるって事で高い値段がついていたんだが、なぜかどうしても太郎はこのかき雪を作りたかったらしく、大金を払ってあたしを買ったらしい。
 いや、飛ぶように売れるし旨いんだけど………
 やっぱり太郎は少し変だと思う。
826 :オパビー :2019/03/18(月) 16:55:29.68 ID:hHG3vcAH0
 鳥兜の反省を生かしそれぞれの見た目。
 身長は大体。

 太郎 狼の獣人。32才。身長180、筋骨隆々。ケモ度3。いわゆる狼男。毛色はニホンオオカミのもの。

 みりん 狐の獣人。29才。身長160、華奢な体つき。胸はあまり無い。ケモ度3。毛色はキツネ色。

 小太郎 狼の獣人。15才。身長160、ショタ。筋肉は無い。ケモ度3。太郎と同じニホンオオカミの色。六花は姉みたいなもの。

 六花 管狐の獣人。15才。身長立ったとき70、しゅっとしてる。ケモ度4で、ほとんどオコジョそのまま。毛色は真っ白。小太郎は弟みたいなもの。
827 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/18(月) 17:32:40.35 ID:Fl1hlplX0
微笑ましすぎていいわぁ
828 :オパビー :2019/03/18(月) 18:56:22.49 ID:hHG3vcAH0
 因みにケモ度が4(MAX)でも上下着てる。
829 :オパビー [saga]:2019/03/18(月) 19:18:11.86 ID:hHG3vcAH0
おばさん1「ねぇ。リッカちゃんとコタロー君はお似合いなのにねぇ」

おばさん2「ほんとにねぇ」

 常連のおばさんが私達を見ながらそう言った。

あたし「ちょっ……! おばさんっ!」

 小太郎が笑いながら言う。

小太郎「あっはっは。リッカちゃんは姉貴みたいなもんだからさ。ねぇって」

あたし「そうだよおばさん」

 私達がそう言うとおばさん達は笑った。
 ほんとにそんなんじゃないって………言ってんだろ!

あたし「もう………」

みりん「リッカちゃ〜ん。早くかき雪作って〜」

あたし「はーい!」

 あたしはみりんの所に走っていった。
 みりんの前に並べられたかき雪用の器に手をかざし、素早く雪を盛る。

みりん「ありがとっ!」

 盛った雪にみりんが調味をかける。
 6種類(苺、牛乳、砂糖、林檎、薩摩芋、蜂蜜)も味があって旨いんだぜこれが!

あたし「おうよ! お手のもんさっ!」

 この動作だって、最近は同じ量をきれいな形に一瞬で盛ることが出来るようになるまでになったんだ。
 長年の成果だな!

客1「丁定食ください」

 あたしはかき雪を作り終わったら、次は注文を受ける。

あたし「はーい!」

客2「三色団子二本」

あたし「はい!」

 その時、店の扉が開けられて、子連れの大家族が入ってきた。
 また忙しくなりそうだねっ!
 入ってきた家族の父親っぽい客はキョロキョロと席を探しているようだった。
 あたしは急いでその客を案内する。

あたし「席あちらになります!」

客3「ああ、すまない」

 家族連れを案内したのち、また別の客の注文をとる。
 注文注文注文注文注文!
 運ぶ運ぶ運ぶ運ぶ運ぶ!
 忙しい、だけどっ、楽しい!
 身体が細く小さい私は客に当たらないようにするすると料理を運んでいく。
830 :オパビー :2019/03/18(月) 19:19:19.86 ID:hHG3vcAH0
 やっぱり太郎(父親)のリッカの二人称は「リッカ」にするで。
831 :オパビー :2019/03/18(月) 19:28:35.95 ID:hHG3vcAH0
客4「甲定食3つ!」

あたし「はい!」

客5「鯖焼きください」

あたし「はいはーい!」

 注文を聞いて回る内に、さっき入ってきた家族連れの客が手をあげているのが見えた。

あたし「はい、ご注文は?」

客3「かき雪8つ。味は適当にしてくれていい。ああ、あとあんこ大福も7つ」

あたし「はい!」

 かき雪8つ、味は適当っと。
 大福7つね!
 あたしはそう注文書に書き留めてその机を離れた。

あたし「…………あれ? あの二人、どっかで見たような…………」

 …………気のせいか。
 注文書を壁に貼り、出来上がった料理を机に運んでいく。
 忙しい分だけ楽しい!
 するすると水の中を通る魚のように、空気を切るとんびのように、客の間をすり抜けていく。
832 :オパビー :2019/03/18(月) 19:51:03.08 ID:hHG3vcAH0
 よし、今日もなんの事件も無しに無事1日を終えられそうだ!
 そう思っていた時だった。
 あたしは、一人の客が金を払わないまま店を出て行こうとしているのを見つけた。
 他の客に紛れ、あまりにも自然に振る舞っているため、従業員は気づいていない。

あたし「あの、すいませんお客様。お代はお支払に………」

客6「こんな店に金が払えるか!」

 その客はいきなり振り返り、あたしにそう怒鳴った。

あたし「…………え?」

 その客は60ほどの中太りの男だった。

客6「聞こえなかったのか? こんな店に金が払えるかって言ってんだ」

 あたしはその男が言っている意味が分からない。
 高い位置から私を見下しながら、男は続ける。

客6「ふざけるなよ、俺は動物が嫌いなんだ。旨いって言うから来てみれば、それほどでも無いじゃないか。それに食い終わってから厨房を見てみればなんだ。獣が調理しているじゃないか。そりゃ旨くないさ、料理に毛が入ってるんだからな!」

 確かに、うちには太郎と小太郎とみりん以外にも獣人の料理人はいる。
 しかし料理の時は手袋をして極限まで毛が入らないように気を使っている。
 それでもたまに入ってしまう事もあるが、それは獣人が料理する上ではどうしょうも無いことだろ?
 そんなの誰だって分かってる事のはずだ。
 この男が過敏なのだ。

あたし「あの………ですが………」

客6「ああ? 人間に口答えするのか薄汚い獣風情が。なんたって人様の食卓に紛れ込んでいるんだ。獣は獣らしくドブのネズミでも捕まえていればいいんだ」

 たまに、いるんだ。
 将軍様が出した全種族平等令よりも前から生きていた人間の中には、このような男が。
 あたしは太郎に助けを求めようとした。
 だけど、厨房からはちょうど柱で見えない。
 従業員も気づいていない。
 客は男が怖いのか見てみぬふりをしている。

客6「この管狐が。客を化かして肥やしを食わせる前に辞めろ」

 男がそう言った。
 その言葉は、私達狐に対しての最大の侮辱だった。
 けれど、私は何も言い返せなかったよ。
 言い返す力がなかったのさ。
 情けないけれど、その男が怖かった。
 男が踵を返して店を出ようとしたときの事だった。

小太郎「取り消せよ」
833 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/18(月) 19:53:33.24 ID:SyrZ0RQto
これは乗っていい
834 :オパビー [saga]:2019/03/18(月) 20:17:38.45 ID:hHG3vcAH0
客6「あ?」

 男の足が止まる。

小太郎「取り消せよ今の言葉。そしてリッカちゃんに謝れ」

 小太郎が、私の前に立ちはだかっていた。

小太郎「獣風情だ? 獣は獣らしくドブのネズミを捕まえてろだ? いくら客といえど許さねえぞ!」

 小太郎が牙をむき出しにしながら叫んだ。
 男は小太郎に向き直っていった。

客6「俺は客だぞ! 俺は正当な意見を言ってるんだ! 獣なんかは料理を作る資格はねえってな! お前等は余計なことせずに大人しく人間様が作って地面に置いたものを食ってりゃいいんだよ!」

小太郎「んだとこの………!」

 小太郎が男に飛びかかろうとした瞬間だった。
 小太郎の身体が何かに押さえつけられ、地面に組み伏せられた。

太郎「申し訳ございません!」

 太郎だった。
 厨房から飛んできたらしい。
 小太郎の片腕を後ろに回し、完璧に関節をキメている。
 なんで、なんで小太郎の方を抑えつけるのさ!
 抑えつけるべきはそこのクズだろ!?

小太郎「がっ…………とうちゃんっ、放せ…………っ!」

太郎「うちの従業員が不敬を働いてしまい申し訳有りませんでした! 料理がお気に召さなかったのなら料金は払わなくて結構ですので! 誠に申し訳ございませんでした!」

 太郎がそう言って頭を下げると、客はフンといって床に唾を吐いた。

客6「ぺっ。分かったらいいんだよ分かったら」

あたし「太郎、なんでっ…………!」

 あたしがそう言うと、太郎は鋭い眼孔であたしを睨みつけた。

太郎「黙ってろ……!」

あたし「う………!」

 堂々と金を払わずに店を出ようとする客の背中を見ながら、太郎が声を押し殺しながら言う。

太郎「客に手だしちゃおしまいなんだよ。しかも俺たち獣人が経営している店だ。悔しいが、あいつの意見に同意する上層階級の奴らは多い。他にいくつかそうやって獣人が経営してる料理店が潰れたのを知っている。この店は問題を起こしていないから潰れてないんだ。もし客の人間を獣人の職員が怪我させでもしたら…………店が潰れるぞ………!」

 そんなの…………そんなの横暴だ!
 あたしはそう声をあげようとしたけど、ぐっとこらえた。
 店が潰れる。
 そう、ならない為にも。
835 :オパビー :2019/03/18(月) 20:24:53.74 ID:hHG3vcAH0
 その時だった。

 店から、音が消えた。
 いや、正確には小さい子供の声だけがしている。
 皿を洗う音も、食器がぶつかり合う音も、話し声も、一瞬にして止まった。
 さんざん獣人のことを罵っていた男も店を出る直前で足を止めた。
 太郎さえも、止まった。

 あたしは、まるで首もとに刀を突きつけられているような冷たい恐怖に襲われていた。
 たぶん、みんなも同じ感じを味わっている。
 全員の顔から笑顔が消え、恐怖に顔を歪めている。
 泣きそうな顔の客もいる。
 その時、店の外から一匹のハエがぶ〜んと飛んできた。
 そして、落ちた。
836 :オパビー :2019/03/18(月) 20:28:09.03 ID:hHG3vcAH0
 カラァンッ

 誰かが持っていた匙が、落ちた。

 しゃく、しゃく、しゃく

 店の一角から、そんな音がする。

 しゃく、しゃく、しゃく

 カチャ

客3「うむ………やはりかき雪は夏に食べるに限る」

 誰かが、そう言った。
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