【安価とコンマ】退廃ファンタジー

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65 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/20(水) 21:06:01.16 ID:UCKrDAnQO
いきなり???とは……
世界樹イメージならリスっぽい奴は容赦無くぶっ飛ばそう
66 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/20(水) 21:14:44.15 ID:eVpMOyn20
>>64
なんてコンマ力だ……。

ところで、次の場面書いている間に聞いておきたいんですけど、昨日の>>55のゾロ目ボーナスはどんな感じのがいいですか。
望外の幸運って意外と加減が難しくて。

自分が思いついたのは
・一人確定で仲間が増える
・クズドングリの木の下でなにかいいアイテムや装備を見つける。
くらいです。

意見あったら教えてください。
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/20(水) 21:18:09.46 ID:8xVhfZdvO
個人的には仲間かな。穴を埋めれるウィリアムだとなお良し
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/20(水) 21:24:40.28 ID:kPOrEvNz0
仲間で
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/20(水) 21:29:50.04 ID:Mvc9GO+20
アイテムほしい
仲間はもうちょっと後がいい
70 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/20(水) 22:05:58.62 ID:eVpMOyn20
2:1で意見が割れてるのでゾロ目ボーナス安価させてください。

安価↓1

01〜66 確定仲間
67〜00 アイテム
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/20(水) 22:08:38.98 ID:8xVhfZdvO
そりゃ
72 : ◆GsFNmlQwPk [sage saga]:2019/02/20(水) 22:10:53.40 ID:eVpMOyn20
今日はコンマが高い日ですね。
今回はアイテムの何かということにします。
73 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/20(水) 22:12:42.42 ID:eVpMOyn20
スピカは森を進み、藪を抜ける。

「止まれ」

いきなり、冷徹な声と銃口が向けられた。スピカは慌てって手を挙げた。

藪を抜けた先にいたのは、迷彩のフードを付けた男だった。その手には魔力を弾に変えて撃つ特殊な銃が握られている。

スピカはこの男を知っていた。正しくは、噂を聞いていた。

スラムで私腹を肥やす悪人から金や食料を奪い、スラムの弱者に再分配する義賊。

バレッド。

そんな彼がなぜこんな森にいるのかと言えば、きっと足元の死体が答えなのだろう。

悪人を始末したか、もしくは追手から逃げてきてここで返り討ちにしたか。

「子供? なぜこんなところに……」

フードの影で見えづらいが、彼は驚きの表情を浮かべているようだった。

「あの、クズドングリを採りに」

「依頼を受けたのか。無謀だ、金なら俺がやる。ここは危ないから帰るぞ」

バレッドは有無を言わさぬ勢いでスピカに近づき、腕をつかんだ。

手に小袋を握らせ、スラムへ連れて行こうとする。

「……っ! 隠れてろ」

「きゃっ」

今度は突然藪に突き返された。

枝葉の隙間から、バレッドが数人の男たちに追われて森の奥へ向かう様子が見えた。

去り際、藪に隠れたスピカを案ずるような視線を向けていた。
74 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/20(水) 22:15:00.42 ID:eVpMOyn20

スピカは周囲の様子が落ち着いたころを見計らって藪から出た。

「これ、もらってもいいのかな」

手元に残った小袋を見てそうつぶやく。中身は5マナだった。

スピカは確かにお金が欲しくて依頼を受けたが、何もせずにお金を受け取るのも気がとがめた。

しかし、バレッドは義賊らしいし、変に良心を働かせて子供たちにひもじい思いをさせるのも嫌だ。

(うん、私は使わない。みんなのために使おう)





スピカは小袋をなくさないように腰にくくると、クズドングリ探しを再開した。
安価↓1
01〜70 クズドングリの木を見つける。
71〜80 《ウル》に遭遇
81〜90 《エレタマ》に遭遇
91〜98 《???》に遭遇
ゾロ目はなんかいいことが起こる。
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/20(水) 22:16:28.13 ID:hDUbPXzVO
ゾロ目
76 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/20(水) 22:37:48.51 ID:eVpMOyn20
森の奥に進むにつれて、木漏れ日が細くなり、地面が湿気を帯びて来た。

(たしか、クズドングリは暗い場所に実っているって……、あっ!)

森の様相が変わってすぐ、スピカは『クズドングリ』の木を見つけることができた。

大樹の陰に寄り添うようにして背の低い木が生えている。

そこに、つやのある固い外皮を持った果実が実っている。帽子のようなヘタが付いた特徴的な見た目は、見間違えようもない。

スピカはすぐにクズドングリを採りたかったが、躊躇った。

クズドングリの木の下に、血に濡れた人間が倒れていたからだ。

遠目ではどのような外傷を負ったのか、本当に死んでいるのかは不明だ。


クズドングリの木は見つけたが、不穏な空気が漂っている。
スピカは無視して木に近づいてもいいし、石を投げるなどして様子を伺ってもいい。
勿論それ以外の行動をとってもいい。
自由安価↓1

77 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/20(水) 22:40:15.25 ID:Mvc9GO+20
倒れている人物の介抱へ向かう
78 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/20(水) 23:38:50.38 ID:eVpMOyn20
スピカは少しためらったが、倒れている人を放ってはおけなかった。

「だ、大丈夫ですか?」

駆け寄って、声を掛ける。

倒れていたのは、スピカとは面識がないスラムの男だった。恰好から、依頼をこなして生計を立てている人だということだけがわかる。

体中に鞭でしばかれたかのような傷があり、そこから血を流していた。

満身創痍ではあるが、一応息はあるようだ。スピカを虚ろな瞳がとらえていた。

「気を、付けろ……」

男は掠れた声を出し、震える指でクズドングリの木を指示した。

見ると、クズドングリの影に隠れていたらしい、宙に浮いた蔦の球体を見つけた。

蔦の球体の中央が僅かに発光しており、それがなぜか、スピカに敵意を向けているように思えた。(もしかして、あれが『エレタマ』?)

スピカが困惑していると、エレタマと思われる蔦の球体はひときわ強く発光し、蔦を束ねた鞭を振り回し始めた。

どうも戦闘を避けられそうな雰囲気ではない。
79 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/20(水) 23:39:30.21 ID:eVpMOyn20

戦闘のルール

【スキル】がない限り、《膂力》か《知恵》の数値を使ってダメージを与えます。

安価を踏むときに《膂力》か《知恵》のどちらかを書いてください。

ステータスの数値に安価の数字を足し足した数から、相手の《防御》か《精神》を引いた数字がダメージです。

基本的な対抗関係
《膂力》←→《防御》
《知恵》←→《精神》

基本的にステータスの合計が高いほうが先行になります。

先に《体力》がなくなったほうが負けです。



【名前】スピカ
《体力》400
―――――――――――――――――
《膂力》50
《知恵》150
《防御》90
《精神》110
――――――――――――――――――
【装備】
錆びた鉄剣《膂力》+10
燻んだナイフ《膂力》+10


【名前】エレタマ
《体力》?
―――――――――――――――――
《膂力》?
《知恵》?
《防御》?
《精神》?
――――――――――――――――――
80 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/20(水) 23:40:24.21 ID:eVpMOyn20
ステータスの合計はスピカが上 先攻

スピカの攻撃 《膂力》か《知恵》のどちらか
安価↓1

エレタマの防御 こちらは対抗関係に従って《防御》か《精神》を自動で決めます。
安価↓2 
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/20(水) 23:41:54.47 ID:hDUbPXzVO
知恵
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 00:22:13.87 ID:U2fyoHFNO
なるほど、味方の攻撃は高コンマがよくて敵の攻撃や防御は低コンマがいいのか
てかこの計算式だとスピカの初期ステ凄くいいあんばい?
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 00:22:22.43 ID:kWoikTfz0
あれこれコンマで恐らく知恵の対の精神判定って事でいいんだよね
ってことでてい
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 00:22:53.38 ID:U2fyoHFNO
そして何故そこで高コンマ出すよ俺……
85 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/21(木) 00:59:46.98 ID:Z6g6mHXu0

スピカ《知恵》197
エレタマ《精神》?+87

エレタマ《体力》?


(わ、私が何とかしなきゃ。この人が死んじゃう。私が帰らないと、飢えてしまう子がいる!)

スピカは両手に鉄剣とナイフを構え、覚悟を決めた。血潮が沸騰するような感じたことのない感覚が体を駆け巡る。

その感覚は両手に構えた剣にまで及び、刀身が白い燐光を放った。

「こ、これ、は。アンカー・コンマー様の、加護?」

突然のことに驚いたが、不安はない。寧ろ神に見守られているという心強さがあった。

「これなら、いけるっ!」

スピカは今まで出したこともないような気勢を上げて、エレタマに切りかかった。

エレタマは事前の情報通り動きは緩慢であるようで、エレタマが蔦を振る前にスピカの剣が届いた。

蔦の塊を切り裂き、中心の発光を斬撃が掠める。物理的に蔦を絶った感触と、何か、説明のしづらい感触が手に伝わった。

しいて言うなら、光を切った感覚だ。

エレタマが北風のような絶叫を上げる。球体の約半分が今の一撃で切り落とされていた。



86 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/21(木) 01:02:16.93 ID:Z6g6mHXu0
ふらふらと宙に浮かぶエレタマをよそに、スピカは燐光を放つ自身の体や剣を見ていた。

(そうか、これ、魔力だ)

神から【ジョブ】を与えられた人類近縁種に宿る、超自然的な力。本来は【スキル】を使う際に消費されるものだ。

しかし、今スピカが無意識に行ったように、ただのエネルギーとしてなら【スキル】なしでも扱えるようだ。

しいてこれを最初の【スキル】というなら、【無属性魔法】だろう。炎を出したり傷を癒すなど特徴的なことはできないが、魔術的な存在を攻撃出来たり、魔法から身を守ることができる。

スピカは年の割りに聡明な頭でそれを理解した。

スピカが神の加護について分析していると、エレタマが嵐のような音を出して、蔦の鞭を振るってきた。


エレタマ《知恵》? 安価↓1
スピカ《精神》110 安価↓2
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 01:10:20.26 ID:c6YD+wAto
ウォーイ!
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 01:29:31.93 ID:eCEe7yVgO
はい
89 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/21(木) 02:21:05.28 ID:Z6g6mHXu0
エレタマ《知恵》?+26
スピカ《精神》203

スピカ《体力》400


エレタマが蔦の鞭を振るう。空気を切る鋭い音が響く。

スピカはそれを剣を交差させて防いだ。

纏わせた魔力が甲高い音を立てて蔦をはじく。蔦の鞭が勢いよく跳ね上がる。

「痛っ! たくない?」

スピカは相当の痛みを覚悟していたが、予想に反してダメージは全くなかった。

「凄い……」

改めて神の加護の効果を実感する。

エレタマは蔦をはじかれてよろめいていた。もう少しで決着がつく。

スピカは魔力に物を言わせ、両手の剣を同時に薙ぎ払った。


スピカ 安価↓1 《膂力》か《知恵》
エレタマ 安価↓2

90 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 07:13:12.15 ID:gZYVoJLcO
知恵
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 07:54:19.38 ID:Y+6QN2530
精神
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 15:42:39.14 ID:W7TmLJcJ0
通常攻撃でも知恵値使えるなら、スピカは膂力捨てて他のステ鍛えた方がいい感じかな?
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 17:41:11.06 ID:Q4OFBLHn0
精神だけがバカ高い敵も居るかも知れない
94 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/21(木) 23:33:22.65 ID:Z6g6mHXu0
>>92
そのうち戦闘以外でもステータスを使った判定入れるかもしれませんし、>>93のような場合もあり得ます。
95 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/21(木) 23:35:14.93 ID:Z6g6mHXu0
こんばんは、深夜ですが少し再開します。




スピカが放った二対の斬撃は、エレタマを見事に切り裂いた。あとに残ったのは浮遊能力を失い、バラバラになった蔦と弱々しい光を放つ結晶の欠片のみ。

「はぁ、はぁ、……終わった?」

エレタマは完全には死んでいないようだが、それも時間の問題のように思われた。

一つの災難を乗り越え、スピカの体から力が抜ける。その場にぺたんと座り込み、剣を落とした。

(男の人、助けなきゃ……)

頭のなかではそんな使命感がわいていたが、少しのあいだ、動けそうになかった。

初めての戦闘、初めての殺意、初めての緊張。

慣れないことが多すぎて疲れてしまった。





対エレタマ 勝利

倒したのでエレタマのステータスを開示します。


【名前】エレタマ
《体力》100
―――――――――――――――――
《膂力》40
《知恵》70
《防御》40
《精神》70
――――――――――――――――――
【ドロップ】
???
???
モンスターの《体力》は他のステータスの合計とは限りません。
今回は《体力》を残り3まで削っていたので勝利としました。
96 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/21(木) 23:36:22.36 ID:Z6g6mHXu0
少し深呼吸をして落ち着いたスピカは、倒れていた男の人に駆け寄った。

「……く、うぅ。傷薬、を」

男はまだ生きていた。側にあった背嚢を指差し、渇れた声で呟く。

スピカが背嚢のなかを漁ると、クズドングリの固い外皮を入れ物にした軟膏があった。貧民区にも卸されている、クズドングリを主な原料にした粗悪な傷薬だ。

とはいえ、腐っても自然界由来の素材を使っているため、それなりの効果は期待できる。

スピカが体中の傷口に薬を塗ってやると、男は安心したように眠った。

「ふう、これからどうしよう……」

すっかり眠ってしまった男と、クズドングリの実った木を見てため息を付く。

とりあえず男の人の背嚢を借りてクズドングリを十個収穫する。クズドングリは一つ一つがそれなりの大きさ、重さで、神の加護を受けたスピカでさえ少し重いと感じた。

これで男の人も連れ帰るとなると、何事もなく森を抜けられる可能性は低い。


スピカは男を助けてもいいし依頼の達成を優先してもいい。
勿論両方でもいい。
(ゾロ目ボーナスのアイテムは後で安価します)

自由安価↓1 

それと、スラムに帰る前にこの場でやりたいことがあったら、書いてくれれば描写します。
こちらは特に安価指定しません。書けそうなら書く、くらいで。
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 23:45:56.17 ID:LsjT0taCO
依頼の達成を優先
98 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/22(金) 01:01:49.60 ID:0iTuRGNQ0
スピカは悩んだ。

男の人を見捨てたくはない。せっかく助けたのに森に置いて言っては結果は変わらない。

しかし、依頼を放棄することも難しかった。お腹を空かせた子たちにご飯を食べさせてあげたいし、情報料の2マナを払わないといけない。

そうこうしているうちに日は傾き、森全体が急に暗くなり始めた。

風に揺れて枝葉が音を立てている。

木々の影から何者かに見定められているような気がする。

これ以上森にいるのは危険だ。スピカは夜目が聞くわけでもないし、慣れない森を真っ暗な中迷わず帰れる自信はない。

神の加護を得たとしても関係ない。本能的に恐怖を感じ始めていた。

せめて男の人を木陰に隠し、ゾロ目の数字に祈ってスラムへの帰路についた。

(依頼と報酬以外は自己責任、依頼と報酬以外は自己責任……!)

帰り道、依頼所の男の言葉を何度も頭の中で復唱した。

そこまで言い訳を用意してやっと、スピカは良心の呵責に苛まれつつも男を見捨てることができた。

半泣きになったスピカがスラムに帰り着いたのは、すっかり日も暮れ、境界線にかがり火がたかれ始めたころだった。

安価↓1 ゾロ目だった場合だけ男は生きていた。そうでなければ結果はお察し描写もなし
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/22(金) 01:05:45.43 ID:cfskHEjVO
これはしゃーない
100 : ◆GsFNmlQwPk [sage saga]:2019/02/22(金) 01:50:19.48 ID:0iTuRGNQ0
ちょっと続きは明日で、おやすみなさい。
101 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/22(金) 16:18:54.64 ID:bB/q7OP3O

(篝火! スラムだ!)

パチパチと火の粉を散らす篝火を視界に収めた時、スピカは思わず笑顔を浮かべ、涙をこぼした。

「止まれ」

重厚で静かな、しかし威圧するような声がスピカにかけられた。

篝火の隣に大男が立っている。首が痛くなるほど見上げなければ顔を見れない大男で、筋骨隆々の体は岩のようだった。

思わず足を止める。

スラムと自然界の境界はすぐ目の前なのに、スピカはそれを越えられなかった。

「言葉が通じるなら名を名乗れ」

「……ス、スピカです」

「子供の声だと? ……ゆっくり、両手を上げてこっちに歩いてこい」

スピカは言われたとおりにして篝火の男に向かって歩いて行った。

「驚いた、本当に子どもだったとは……。脅かして悪かったね。篝火の灯りが近いと暗闇がよく見えなくて」

男はスピカの姿を認めると、態度を軟化させた。どうやら彼は自警団のウィリアムというそうで、境界の見張りをしていたようだ。

暗闇から現れた影が子供のシルエットに見えたが、こんな時間に森から子供が返ってくるとは思えず、『ウル』だと思ったのだとか。

「依頼をこなしてきたのか、大したものだ。依頼所まで送るか?」

「いえ、ひとりで行けます」

「そうか」

ウィリアムはごつごつの手でスピカの頭を撫でると、黙って警邏に戻った。
102 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/22(金) 16:20:24.40 ID:bB/q7OP3O
夜遅くまで依頼所が開いているか心配だったが、スピカが依頼所についたとき、まだ中から明かりが漏れていた。

おずおずとスピカが依頼所に顔をのぞかせると、朝訪れたときは違い、依頼所には二人の人間しかいなかった。

カウンターに座っている受付の男と、森の情報を売ってくれた銀髪の男だ。

受付の男はスピカを認めると驚きの表情を浮かべ、銀髪の男は得意げな笑みを浮かべた。

「賭けは俺の価値みたいだな」

「ああ、そうみたいだな」

スピカにとっては謎のやり取りが行われ、カウンターの男がスピカを手招きした。

「そのバッグの中、クズドングリだろ。見せてみろ」

スピカは言われた通りカウンターに向かい背嚢を渡した。

受付の男はクズドングリ十個を確かに確認すると、「依頼完了だな」とつぶやき、スピカに3マナ、銀髪の男に2マナを渡した。

銀髪の男は手の中で満足げにマナを弄ぶと、スピカをに視線を向けた。

「俺はクリシゥスだ。金次第では情報でも協力でも惜しまない。覚えといてくれ」

「は、はぁ……」

それだけ言うと、彼は依頼所を出て行った。
103 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/22(金) 16:24:28.86 ID:bB/q7OP3O

とりあえず安価で出してくれたキャラは全員名前を出せたと思います。
これでどのキャラが仲間になっても違和感ない、かな……?
104 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/22(金) 16:28:07.48 ID:bB/q7OP3O


「ほれ、これは返す」

受付の男は背嚢を投げてよこしてきた。

スピカはそれをじっと見つめると。

「これ、預かってください」

そうのたまった。

「あぁ? なんでまた」

受付の男に問われ、スピカは森で起こったことを話した。見捨てた男のこと、この背嚢はその男の物であること。

受付の男は黙って話を聞いていたが、スピカを見もせず、その横顔は何処か失望の感情すら伺えた。

スピカは話している最中、ずっと懺悔している気分だった。

「……というわけです」

スピカの話を全て聞き終えると、受付の男は大きくため息をついた。

「こんなところで綺麗に生きようとしてどうする。そういうのは余裕があるやつの特権なんだよ」

話は終わりだとばかりに、男はいい放った。

スピカは依頼所を追い出され、その場で呆然とした。

背嚢を握りしめる。

ふと、背嚢のなかにクズドングリではない感触を覚えた。

(なんだろ……)
105 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/22(金) 16:32:39.17 ID:bB/q7OP3O

◆安価だけ出します。続きは夜中に出来そうならやります。

男の背嚢に入っていたアイテムはなんだったか。
大きさとか重さとかは深く考えず、
武器防具、アイテム、なんでもありです
>>55のゾロ目ボーナスのアイテム

レア度2
【名前】
《効果》

効果はステータスの値を+30出来る程度のつよさならなんでもありです。
106 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/22(金) 16:36:13.77 ID:bB/q7OP3O
指定忘れてました。
↓1
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/22(金) 16:41:47.49 ID:eRGiIHGzO
レア度2
【名前】 翠玉の指輪
《効果》 防御、精神+15
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/02/22(金) 16:42:06.01 ID:NSka0EKTO
レア度2
【名前】願いの指輪
《効果》精神+20 知恵+10

聖職者の「無事に生きて帰ってほしい」という願いが込められた指輪。
持ち主に僅かばかりだが加護を授ける。
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/22(金) 17:02:22.45 ID:uFI4/oUZ0
ステータスをプラスしないアイテムとしてはどんなのまで許容範囲だろう
中に入れたものの鮮度が落ちない【土精霊の保存箱】とか考えてるが
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/22(金) 19:29:29.43 ID:NFc0rtk60
報酬は3+施しの5で予定より多め
ゾロで追加装備
樹海の危険性、魔翌力の存在、何かを切り捨てなきゃいけない状況を知る
初陣にしてはかなり上々な成果かな?優しいけど頭はいいみたいだし森に慣れれば上手く立ち回ってくれそう
111 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/23(土) 20:44:32.90 ID:0RLQJf3b0
>>109
レア度2は「かすかな魔術的恩恵が得られる程度」を目安にしているので、【土精霊の保存箱】はちょっと効果が高いですね。
112 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/23(土) 20:46:25.84 ID:0RLQJf3b0
こんばんは、再開します。




背嚢の中に入っていたのは指輪だった。鉄の輪に翠玉がはめ込まれている。

輪には不思議な模様が掘られており、手に持っているだけで僅かに力を感じる。

スピカは知る由もなかったことだが、この指輪は製作者が輪の素材に銀や自然界由来の樹木を使わなかったために、得られる魔術的な恩恵があまりにも少なく、貧民区で捨てられたものだった。

スピカはそれを黙って背嚢にしまうと、塔の外壁に立地するお店でバレッドからもらった5マナを使い、パンを買った。

(これ持って帰ったら、みんな喜んでくれるかな)

皆で分けたら一人が食べられる量なんてたかが知れている。

それでも、きっと喜んでくれると信じて、みんなの笑顔を想像しながら拠点へ戻った。
113 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/23(土) 20:47:04.18 ID:0RLQJf3b0
「スピカちゃん帰ってきたー!」

「どこ行ってたのぉ? ずっといなかったのなんでぇ?」

拠点に戻ると、スピカは大勢の子供たちに囲まれた。みんなよほどスピカを心配したらしい、服を引っ張る子、腰に抱き着く子、安心して泣いてしまう子。

スピカの胸に暖かい気持ちが灯った。それは胸が苦しいくらいに膨らみ、目頭に上って、溢れて零れ落ちた。

「スピカちゃんどこか痛い?」

「ううん、痛くない。嬉しいだけ」

スピカは今日だけでたくさんのつらい経験を味わった。肉体的にも精神的にもくたくただ。

子供たちを見て、そして暖かく迎え入れられて、変に張りっぱなしだった緊張の糸がするりとほどけた。

(やっぱり私、みんなが大好き)

腰にくっついてきていた子を抱きしめ、改めてその思いを噛み占めた。
114 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/23(土) 20:47:44.41 ID:0RLQJf3b0
少ないパンを皆で分け、焚火を囲んで、塔を見上げながら食べる。

スピカの拠点周辺では、少しの間子供たちが談笑する明るい声が響いた。

少ないパンはすぐになくなり、子供たちはすでにそれぞれの家で寝てしまった。

スピカはまだ外に出て、塔の遺跡を眺めていた。

塔は何かしらの魔術的な光で星空に負けず劣らずの美しさを誇っていた。

完全に焚火の落ちたスラムから見上げると余計に眩しく感じる。

(余裕のある人たち……)

依頼所で言われたことを思い出す。

綺麗に生きられるのは余裕のある者の特権。

この世界で余裕のある者とは、つまり塔の上層に住む人たちのことだ。

運と実力とお金と権力、そういったものを生まれながらに持ち、人に与える余裕のある者。

大切な人も見知らぬ人も見捨てる必要のない強き者。

(私は……)

スピカは男の背嚢から翠玉の指輪を取り出した。

塔の灯りを受けてぬらりと輝くそれを指にはめる。

(綺麗に生きられる力が欲しい)

それまでは、使えるものは使う。

スピカは決意を新たにした。
115 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/23(土) 20:56:29.47 ID:0RLQJf3b0

スピカが拠点に帰ると、今朝壁に書いたアンカー・コンマーのシンボルが、赤熱したように輝いていた。一瞬炭が燃焼したのかと焦ったが、そうではないようだ。

シンボルから神聖な気配を感じる。

神が近くにいる。

スピカははじかれたようにシンボルの前にひざまずき、手を合わせてゾロ目の数字に祈った。
116 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/23(土) 21:00:31.00 ID:0RLQJf3b0


これからスピカのステータスを更新します。
ちょっと質問なんですけど、

〈パターン1〉
【名前】スピカ
《体力》400
―――――――――――――――――
《膂力》50→安価↓1
《知恵》150→安価↓2
《防御》90→安価↓3
《精神》110→安価↓4
――――――――――――――――――



〈パターン2〉

安価を四回とってコンマの合計を任意のステータスに振り分ける。

どっちのがいいですか?
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/23(土) 21:04:19.09 ID:5gcgxmBVO
パターン1かな
その方が安価コンマらしい
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/23(土) 21:04:48.96 ID:JS0MQhugO
今後仲間が増えることも考えたらパターン2で個別に振り分けた方が良いと思うけど
でもパターン1の方が必然と偶然を司る神らしいっちゃらしいな…
自分もパターン1でお願いします
119 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/23(土) 21:12:12.09 ID:0RLQJf3b0
では必然と偶然の神らしく〈パターン1〉で安価取らせてもらいます。
《体力》は下の四つのステータスの合計です。
ゾロ目はボーナス。

【名前】スピカ
《体力》400
―――――――――――――――――
《膂力》50→安価↓1コンマの数字
《知恵》150→安価↓2コンマの数字
《防御》90→安価↓3コンマの数字
《精神》110→安価↓4 コンマの数字
――――――――――――――――――
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/23(土) 21:13:44.64 ID:JS0MQhugO
はいよ
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/23(土) 21:19:01.69 ID:pLWEHaQ+O
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/23(土) 21:22:52.32 ID:ac0WZXlDO
はい
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/23(土) 21:23:08.79 ID:/WsIF0FE0
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/23(土) 21:27:44.03 ID:pLWEHaQ+O
インフレが凄そうだな
125 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/23(土) 21:30:15.63 ID:0RLQJf3b0
アンカー・コンマーのシンボルから、スピカの体に力が流れ込んでくる。

「くっ、うぅ……」

体中が苦痛を感じるほどに熱くなる。新たな力が体に焼き付けられる。

スピカの額に汗が浮かび、呼吸が荒くなる。

力の放流が収まったとき、スピカは息を荒くしてその場に倒れ、妙な充足感に包まれていた。

【名前】スピカ
《体力》644
―――――――――――――――――
《膂力》114
《知恵》219
《防御》122
《精神》189
――――――――――――――――――
126 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/23(土) 21:51:01.91 ID:0RLQJf3b0
スピカは地面に倒れたまま、アンカー・コンマーのシンボルを見ていた。

ぼやけた視界の先で、赤熱の光がゆっくりと冷めてゆく。

ゆっくりゆっくり光を落とし、そして燻ぶっていたシンボルは元の炭で書いただけの状態に戻った。

——おやすみ

そういわれているような気がして、スピカはそのまま眠りに落ちた。
127 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/23(土) 21:51:50.31 ID:0RLQJf3b0
「スピカちゃーん!」

「うっ!」

お腹に衝撃を感じて、スピカは目覚めた。

「な、なに? だれ?」

「朝の配給、おくれちゃうよー」

スピカのお腹にまたがっていたのはまだ幼いスラムの女の子だった。

無邪気に小さなおててを伸ばし、スピカの両頬を挟んで遊んでくる。

「やめ、やめへ。起きるから〜」

「スピカちゃんおねぼう」

「ごめんなさ〜い」

スピカは女の子をお腹の上から降ろすと、そのまま手をひいて配給所へ向かった。

勿論、ほかの子供たちとも一緒だ。

カッチカチのパンとスープを受け取り、お腹を満たす。

(今日は、どうしようかな……)

スピカはご飯を咀嚼しながら、考えた。


今日のスピカはどう行動しようか。
昨日のように依頼所に向かってもいいし、今日はゴミ捨て場に行ってもいい、勿論それ以外の行動もありだ。
自由安価↓1
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/23(土) 21:55:04.99 ID:ac0WZXlDO
ゴミ捨て場に行く
129 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/23(土) 22:08:13.75 ID:0RLQJf3b0
(うーん、どうしよう)

スピカが今日の予定で悩んでいると、誰かに袖を引っ張られた。今朝の女の子だった。

「スピカちゃん、今日は一緒にきてくれる?」

うるうるとした目で見つめられるとスピカは断れなかった。

「うん、勿論。今日は一緒にゴミ拾いね」

「やたー!」

キャッキャと飛び跳ねる女の子の頭を撫でて、スピカは子供たちとゴミ捨て場へ向かった。

ゴミ捨て場は相変わらずスラムでも仕事のない弱者たちがはびこっていた。

ここで頑張ってごみをあさったとして、スラムで1マナで売れれば上出来だ。

(なんか、役に立つもの探しちゃうなぁ……)

スピカは昨日の強烈な体験から、いつものごみ漁りとは別に、森に入ることを前提としたアイテムを探してしまっていた。


スピカは何を見つけることができたか。
安価↓1
01〜50 森で使えるものは何も
51〜80 1つ
81〜98 2つ
ゾロ目は掘り出し物
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/23(土) 22:09:11.61 ID:u50YpzTT0
131 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/23(土) 22:14:13.22 ID:0RLQJf3b0
「これ、使えそうかも」

スピカはゴミの中からそれを拾い上げた。

自由安価↓2

武器、防具、アクセサリー、アイテム、なんでもありです。

【名前】
《レア度1》(魔術的な恩恵のない粗悪品〜量産品程度)
《効果》
《フレーバーテキスト》任意

132 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/23(土) 22:22:45.03 ID:ac0WZXlDO
ksk
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/23(土) 22:24:44.64 ID:5gcgxmBVO
【名前】くたびれた外套
【レア度】1
【効果】防御10
色褪せくてっとした外套。どうやら古くなったからという理由で捨てられたらしい
見た目は悪いが、防寒防風耐暑といった外套本来の役目はまだまだこなせる
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/23(土) 22:26:14.76 ID:pLWEHaQ+O
木の盾(防具)
レア度1
《防御》10
粗末な木の盾
獣の贅力に対しそれはあまりにも無力
盾は良い、だが、過信することなかれ
135 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/23(土) 23:45:42.94 ID:0RLQJf3b0
「いいもの拾っちゃった」

スピカが拾い上げたのはくたびれた外套だった。

壊れて使い物にならなくなったわけではなく、古くなったから捨てられたもののようだ。

ぱんぱんと埃を払って羽織ってみる。

スピカには少し大きく、ふくらはぎ位まですっぽりと覆われてしまう。

外套を羽織った自分を見て、スピカは満足げに笑った。

(ちょっと、様になってるかも)

「あー、スピカちゃんかっこいい!」

「ほんと?」

「うん、私も入れてー」

女の子がスピカの外套に入り込んできた。

スピカの腕の中にすっぽり収まり、くふふと楽し気な様子だった。
136 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/23(土) 23:48:16.35 ID:0RLQJf3b0
満悦そうにスピカが呟いていると、遠くからくすくすと嘲笑する声が聞こえて来た。

「見ろよ、あいつら、あんなもん拾って喜んでるぜ?」

「やだ、見たくない」

「おい、お前らー。これから森に入るんだから集中しろよー」

そこにいたのはスピカと同年代くらいの男女一組と、大人の男性一人だった。

皆一様に、粗末だがちゃんとした武器と防具をつけており、スラム出身の人間とは別の雰囲気をまとっている。

「やべ、こっち見られた」

スピカの視線に気が付いたのか、男の子が露骨にいやそうな顔をして目をそらした。

「スピカ、気にすんなよ。あいつらどうせ貧民区の見習い『探索者』だろ? 補助輪も取れてねーくせにイキリやがって」

スピカに話しかけて来たのは、スピカとは別の孤児グループを率いている灰髪の少年、アランだった。

彼は忌々しそうな視線を彼らに向けていた。

「森のモンスターにボコられたら泣きかえってくるだろ。だからさっきのは気にすんな」

「あ、うん。ありがと」

スピカがあいまいに頷くと、アランは自分たちのグループへ戻っていった。
137 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/23(土) 23:51:24.24 ID:0RLQJf3b0
「『探索者』……」

スピカも探索者という存在は知っていた。寧ろ、知らないほうがおかしい。

何せ塔の遺跡で暮らす人間の約半数以上が『探索者』として活動しているからだ。

『探索者』とは、自然界へ赴き、そこで有益な植物や鉱石、モンスターの素材、魔導文明の遺産などを持ち帰る仕事だ。

その実力はピンキリであり、その日の宿代を稼ぐことで精いっぱいの人間もいれば、伝説に残る【剣聖】の少年のように偉業を成すものもいる。

自然界に挑むという職業なので、【ジョブ】を持たない人間はまともに『探索者』としての活動なんてできないし、塔の公的機関に『探索者』として認められることもない。

しかし、今のスピカには【ジョブ】が宿っている。

しかるべき検問を受ければ、塔の中に入り、正規の『探索者』として活動することも許されるだろう。

「わたしも『探索者』になれば……」

スピカは塔を見上げた。

白い雲を突き抜けて彼方まで伸びあがる塔は、先端を望めないほど高い。

『探索者』として実績を重ねれば、身分は関係なく、財力や名声、塔での権力を得ることができる。

伝説的な存在にされさえすれば、子供たちに不自由のない生活を送らせてあげることもできるし、きっと困っている人に手を差し伸べる力も付くと思う。

しかし。

「高いなぁ……」

一体どこまで登ればそんな力が手に入るのだろうか。

スピカはくたびれた外套を羽織ったまま、ごみを漁るため地面を向いた。
138 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/23(土) 23:52:50.19 ID:0RLQJf3b0
今日の更新は以上です。おやすみなさい。
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 00:25:50.77 ID:RndlTKSJO
おつおつ
スピカの守りたい、この笑顔
樹海探索本格的にってなると、周りからの扱いも考えると大人な仲間が必要かもなぁ
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 10:00:10.93 ID:01bvXL6gO
この世界観いいなあ…
141 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/24(日) 16:33:07.71 ID:g9iKhWGI0
こんにちは、再開します。



ごみ拾いは午前のうちに終わってしまう。

特にスラム内で仕事を持たない子供たちは、この後仕事を探すなり文字を教わるなり、各々の時間を過ごす。

それはスピカも同じだった。


スピカは午後からの予定を特に決めていない。
自由安価↓1
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 16:41:38.58 ID:gVlCRtdnO
依頼を一緒にこなしてくれそうな仲間を探す
143 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/24(日) 16:51:40.59 ID:g9iKhWGI0
ちょっと質問なんですけど、
仲間候補はウィリアム、バレッド、クリシゥス、アランの四人で大丈夫ですか?
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 16:55:11.67 ID:gVlCRtdnO
とりあえずまずは最初の4人から誰か一人、今後も増えそうなら再度募集してって流れで大丈夫じゃないかな
145 : ◆GsFNmlQwPk [sage saga]:2019/02/24(日) 17:02:56.27 ID:g9iKhWGI0
では初めは四人の中から進めていくことにします。
146 : ◆GsFNmlQwPk [sage saga]:2019/02/24(日) 17:38:08.75 ID:g9iKhWGI0
スピカが手持ち無沙汰になり拠点に戻ると、アンカー・コンマーのシンボルが赤熱していた。

神の存在を近くに感じる。

慌てて膝まづくと、スピカに神託が下った。言葉ではなく直感で感じた。

アンカー・コンマーが、一人だけ【ジョブ】を授けてもいいと言っている。

よき友、心強き仲間、頼れる人間がいたら連れてくるがよい、と。

神託はそれで終わりだった。スピカは、ほうと息を漏らして顔を上げた。

(協力者がいたら、もっとできることが増えるかもしれない)

依頼所の依頼をこなすにしても、塔で成り上がるにしても、一人より二人のほうがうまくいくことも多いだろう。

スピカは思案する。

これから先も、スピカは子供たちの生活を良くしようと活動するつもりだ。なので、きっと危険に飛び込むし、無茶をすることだってあると思う。

ただ単に【ジョブ】という力だけを貰って何もしない人を選ぶわけにはいかないし、子供たちのような庇護者を選ぶわけにもいかない。

そういった人たちを除外してゆくと、スピカの中で仲間候補が四人上がった。

自警団の男性で、威圧感はあったが根は優しそうな男、ウィリアム。

このスラムで義賊として活動している噂の男、バレッド。

お金にこだわっており、ビジネスライクな関係を築けそうな男、クリシゥス。

同じ孤児のリーダーを務めている仲間思いの男、アラン。
147 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/24(日) 17:39:03.86 ID:g9iKhWGI0

スピカは四人の仲間候補を思い浮かべた。
ウィリアム
バレッド
クリシゥス
アラン
実際に仲間になってくれるかは別として、午後からはこの中の何人かと話してみようと考えた。

まずは誰のところを訪れようか。

安価↓1
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 17:40:12.02 ID:3x4YUsWvO
ウィリアム
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 17:40:25.34 ID:40XD2tEg0
ウィリアム
150 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/24(日) 17:57:43.16 ID:g9iKhWGI0
「ウィリアムさんを頼ってみよう、かな」

スピカは昨日の夜であった筋骨隆々の男性を思い浮かべた。

あの体躯、そして威圧感の裏に感じた根の優しさ。

恐ろしい森から帰ってきて最初の人間という印象も強いのだろう。

仲間になってくれたらきっと頼もしいと思った。

スピカは子供たちに出かける旨を伝えると、ウィリアムを探した。

昨夜のように警邏しているかもしれないと思い、境界へ向かうと、ウィリアムを見つけることができた。

あの岩のような巨体だ。本当に簡単に見つかった。

寧ろ勝手に視界に入ってきたほどだった。

スピカからしたら巨人のようにも見えるその体には、無数の傷があった。いざこざをまとめる際の実力行使や、自然界からの侵入者を追い払うときに負ったものだろう。

「こんにちは、ウィリアムさん」

「ん? 昨日の子供じゃないか、どうした、何かあったのか?」

「あの、私スピカって言います。今日はウィリアムさんに用があるんです」

「俺にか? 今は見ての通り警邏中なんだ。話だけならここで聞けるがね」

「それで構いません」



スピカはウィリアムと接触できた。
これからどう話を持ち掛けよう。
自由安価↓1 ゾロ目なら何の条件もなく仲間になってもらえる。
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 18:06:22.34 ID:3x4YUsWvO
正直に、アンカーコンマー神の加護を受けたことを話す。そして一人だけジョブを授けて貰えることも(疑われたら魔翌力で身体強度を上げてみせる)
このスラムの皆を本当の意味で助けるためにもどうか一緒に動いてくれないかと頼む
152 : ◆GsFNmlQwPk [sage saga]:2019/02/24(日) 18:11:26.10 ID:g9iKhWGI0
一旦更新止まります。夜にまた来ます。
153 : ◆GsFNmlQwPk [sage saga]:2019/02/24(日) 23:04:28.75 ID:g9iKhWGI0
今晩は、再開します。



スピカは最初から本題に入った。

「私、先日【ジョブ】が宿ったんです。」

「あ、あー……、言っちゃなんだがな、ほんとか?」

ウィリアムは眉をひそめた。

当然の反応だった。スラムの人間は神の加護を得られなかったからここにいる。

神の加護は遺伝する、というよりは一族に宿るもの。両親がピースの信徒なら、子供も生まれながらにピースの信徒となるのが基本だ。

後天的に【ジョブ】が宿る事例は、実はないこともなかったが数百年に一度程度だ。

神が復活することはそれだけ珍しい。

「これを見ていただければ信じてもらえると思います」

スピカは魔力をまとわせた。全身が白銀のベールに包まれ、燐光を放つ。

魔導文明の遺産や魔法道具を使わずに魔力を扱えるものは、【ジョブ】を持っている者のみ。

スピカの発する燐光は、【ジョブ】が宿っているというこれ以上ない証左だった。
154 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/24(日) 23:05:22.15 ID:g9iKhWGI0
「昨日スピカが依頼を達成できたのもそれがあったからか」

ウィリアムは合点がいったというように頷いていた。

そして、やはり解せぬと首をひねった。

「どうして、そんな大事なことを俺に話した?」

「私に【ジョブ】をくださったアンカー・コンマー様が、もう一人信徒を増やせるとおっしゃってくださったんです。協力者として好ましいものを選んでよいと」

「協力者、なんのだ?」

「……私はスラムの子供たちにもっといい生活をさせてあげたいんです。ちゃんとしたお家で、毎日おいしいごはんを食べられる、そんな生活を」

スピカはさらに言葉をつづけた。スラムの子供たちだけではない。

困っている人がいたら助けたい。誰も見捨てる必要のない力が欲しい。

その為には、少なくとも今の自分ひとりでは武力、権力、財力、その他あらゆる力が足りていない。

「つまり、俺に依頼の仕事を手伝ったり探索者として活動する際のパートナーになってほしい、と」

「はい」
155 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/24(日) 23:06:20.49 ID:g9iKhWGI0

ウィリアムは難しそうな顔をした。

そして、唸りながらも語り始めた。

「……俺が自警団をやってるのは、大体スピカと同じ理由だよ。スラムの仲間を守りたかった。幸い俺には恵まれた体があったから、こうして警邏をしている」

しかし、ウィリアムは限界を感じていた。

小さな喧嘩を収め、はぐれの外敵を追い払う日々。

それに、自警団とはスラムで幅を利かす集団が縄張りの主張のために行っている側面もあり、管轄外の問題に手を出すことは難しい立場にある。

それは、ウィリアムの求めていたものとはどこか違っていた。

「できるなら俺からお願いしたいくらいだが……、簡単にはいかないんだ」

「なにか問題があるんですか?」

「自警団を抜けるには、手切れ金を払わないといけないんだよ。100マナ」

「ごじゅっ!」

スピカは絶句した。とんでもない金額だったからだ。



ウィリアムを仲間にするためには100マナの手切れ金を用意する必要がありそうだ。
スピカは頑張って100マナをためてもいいし、ウィリアムを諦めてもいい。
それ以外の方法や説得材料を探すためにこの話をいったん保留にするのもありだ。
自由安価↓1
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 23:13:37.17 ID:uWkQ8dFqO
一旦保留にさせてもらい、別の仲間候補の元へ行く
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 23:14:06.94 ID:jvfBy2A3O
他の方法を一応聞いた上で保留
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 23:16:38.29 ID:uWkQ8dFqO
あちゃー…>>157のほうが良かったかな
159 : ◆GsFNmlQwPk [sage saga]:2019/02/24(日) 23:17:56.54 ID:g9iKhWGI0
>>155
スピカの「ごじゅっ!」っていってるセリフ、推敲しているうちに間違えました。

「ひゃくっ!」みたいな、100マナに驚いたリアクションに脳内変換しておいてください
160 : ◆GsFNmlQwPk [sage saga]:2019/02/24(日) 23:24:00.01 ID:g9iKhWGI0
ちょっと安価ルールゆがみますけど>>157のパターンで進めていいですか?
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 23:24:49.35 ID:uWkQ8dFqO
良いんじゃないんですかね…
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 23:31:38.94 ID:tp2B5fsk0
どのみち保留+αだからいいんじゃないかな?
163 : ◆GsFNmlQwPk [sage saga]:2019/02/24(日) 23:31:54.78 ID:g9iKhWGI0
じゃあ>>157で進めます
164 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/24(日) 23:58:42.50 ID:g9iKhWGI0
「100マナなんて、どうやって払えば……。他に自警団を抜ける方法はないんですか?」

「そうだなあ。ボスに土産を渡して手切れ金の値引きぐらいならできるかもしれんが」

「みやげ、ですか」

「ああ、ボスは自然界由来の毛皮を欲しがってたな。それも《ウル》なんて小物じゃなく、もっと恐ろしいモンスターのな」

「じゃあ、それを私が持ってこれたら!」

スピカの頭にげんこつが落ちた。そんなに痛くなかったがびっくりした。

「馬鹿言うな。そんな危険を冒すくらいなら、ほかの仲間を探したほうがいい」

「……そう、ですか」

スピカしゅんとし、その場をあとにしようとしてウィリアムを振り返った。

「ウィリアムさん、この話、よかったら覚えておいてください」

「ああ」

ウィリアムは警邏に戻り、スピカはほかの候補の人を訪ねることにした。




スピカが訪ねた次の仲間候補は?
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