【モバマス】LiPPS「虹光の花束」

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502 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/31(日) 23:27:08.51 ID:CV0nZ6Sa0
P「ああ...今年もそのiDOL MOVIE BIGBANGが開催することになったんだが...その企画に、我が811プロが招待された!」

志希「!」

美嘉「ホント!?」

P「ああ、最近のお前らの活躍が評価されたんだ!皆何かしらのドラマや映画で主役やったりしたのと、この前の銀河戦神シュウコを製作した映画会社からの推薦でな。ぜひウチからも一本映画を出してほしいと依頼があった」
 「というわけで来週からハリウッドで海外ロケだ!気張っていくぞ!」

フレデリカ「やったー!ハリウッドだ!海外旅行だ!皆一緒に楽しもうねー♪」

志希「...うん!そうだねフレちゃん!」

美嘉「海外ロケかぁ、莉嘉にお土産何がいいか聞いてこなきゃ!」

周子「荷造りもしなきゃねー。こんなの、高校の修学旅行以来かな」

奏「ハリウッドといえば映画の聖地...ふふっ!今から楽しみね!」

P「お前ら、観光じゃなくて仕事で行くんだからな?...まあ自由時間もあるけどさ」
 「というわけ今から俺と周子が昨日作った旅のしおりを配るから、みんなそれをしっかり確認して準備を済ませておくように」

周子「結構長いロケになるから、準備怠ると悲惨なことになるから気を付けてね?」





全員「はーい!!」
503 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/31(日) 23:27:35.49 ID:CV0nZ6Sa0
志希「ハリウッド...アメリカかぁ」
  「まさかこんな形で戻ることになるとはね...」
  






「.........パパ」
504 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/31(日) 23:29:11.95 ID:CV0nZ6Sa0
ロケ開始日、半日ほどのフライトを満喫した私達は今、ロサンゼルス国際空港に降り立っていた


P「ハリウッドに行きたいかー!」

フレ志希「「おー!」」

周子「ていうかもう来てるやん」

美嘉「すごい!金髪の人がいっぱいいるよ!」

奏「あら、本当ね...でも、金髪はフレデリカで見慣れているからかしら、不思議と親しみがわくわね」

美嘉「確かにそう言われると、なんか金髪の人がみんなフレちゃんに見えてきたよ」

フレデリカ「フランス忍術奥義!多重影分身の術だよー♪」

周子「いやフランス関係あるかーい♪」
505 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/31(日) 23:31:09.90 ID:CV0nZ6Sa0
P「おーいお前ら、漫才はその辺にしとけ、まずホテルに荷物とか置きに行くぞ」
  「その後は明日からの予定についてのミーティング、終わったらあとは自由時間だ。長く遊ぶためにもキビキビ動け!」

周子「そうだねぇ、Pさんもアメリカ観光楽しみにしてたもんねぇ?早く遊びに行きたいよね♪」

P「いや、俺はプロデューサーとしてしっかり引率をする必要があるだけで、決してはしゃいでなどは...」

志希「ん〜?その割に旅のしおりの内容、半分以上は観光スポットの紹介だったけどなー?」

美嘉「そうそう!おかげでわざわざガイドブック買わなくて住んだよ」

フレデリカ「楽しみを詰めすぎたから国語辞典みたいな分厚さになっちゃったんだねー♪」

P「いやちがっ!?そんなんじゃないって!」

奏「ふふっ!旅行が楽しみ過ぎて眠れなかったなんて、プロデューサーさんも子供っぽいとこあるのね」

P「だって前にアメリカ来たときは観光する余裕なんてなかったし...ハッ!?」

周子「あちゃー引っかかっちゃったねPさん♪」

美嘉「プロデューサー、眠れなかったんだ♪」

P「くっ、この俺がカマかけに引っかかるなんて...」
 


渡米して早速プロデューサーさんの意外な一面を見れるなんて、幸先いいわね♪

ハリウッド映画にまで出演できるほど演技力を磨いた甲斐があったわ!
506 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/31(日) 23:31:53.21 ID:CV0nZ6Sa0
     =========ホテル・エントランス============


P「・・・・というわけで、今日のうちに各自さっき配った台本を一度は目を通しておくこと」
  「明日は現地時間7時にこのエントランスに集合だ。夜更かしして寝坊しないようにすること」

周子「特にPさんね」

P「うるさいやい...」

美嘉「じゃあ、これでミーティング終わり?」

P「ああ、というわけでこれからは」

フレデリカ「みんなで遊びにいこー!」
507 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/31(日) 23:33:59.55 ID:CV0nZ6Sa0
奏「ええ、折角のアメリカだもの、映画のロケ地になったような場所とか行ってみたいわ」

志希「うーん、あたしは最近まで住んでたし、もう既に粗方見て回っちゃったなあ」

P「そういえば、志希はアメリカからの帰国子女だったな」

志希「うん、ケンブリッジあたりなら案内できるよ。大学あった辺りだから」



奏「...ケンブリッジ、ですって?」

周子「どうかしたの奏ちゃん?」

奏「志希...貴方の通ってた大学ってまさか」

志希「マサチューセッツ工科大学。よくMITって言われてるとこだね」



全員「えーーーー!!??」









P「んで、どういう大学なんだそこは?」

周子「あたしも分かんない」

フレデリカ「アタシもー♪」

奏(ズコッ!)

美嘉「いや、じゃあなんで驚いたのさ!?」

3人「なんかノリで」

美嘉「ノリ!?」
508 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/31(日) 23:35:33.22 ID:CV0nZ6Sa0
奏「...MITはアメリカ国内どころか世界でトップレベルの名門工科大学よ。ノーベル賞を取得した学生の数はあのハーバードを優に上回るらしいわ」

P「...そういや、今回の映画のロケ地の一つにケンブリッジがあったような気がするな...」

志希「そうなの?」

周子「じゃあ下見がてら行ってみようよ。志希ちゃん案内頼める?」

志希「あー、うん。いいよー、志希ちゃんに着いておいで―」

フレデリカ「わーい!志希ちゃんありがとー♪」

美嘉「ケンブリッジってなんか大きな美術館とかあるんだよね?しおりに書いてあったような」

奏「多分ボストン美術館の事ね、日本庭園もあるらしいわよ」

周子「その前にそろそろお腹すいたーん、先にどこかでご飯食べてかない?」

P「そうだな、じゃあその辺歩いてみるか」

美嘉「あっ、そういえばさっきしおりに書いてあったお店ちらっとみたよ。あそこ行ってみない?」

P「おっ、あれか!なかなか美味そうな店だと思ってメモってたんだった!」

奏「じゃあそこにいってみましょう」
509 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/31(日) 23:36:10.56 ID:CV0nZ6Sa0
         ========街道==========

フンフンフフーン、フンフフーン♪

名探偵フレちゃん、美嘉ちゃんの後を追跡ちゅ〜♪

アタシの推理によれば美嘉ちゃんの目的地はきっと....デレデレデレデレ デン!

プロデューサーさんが『おいしそー!』って目をつけてたレストランだ!

証拠は、さっき美嘉ちゃんが見つけた場所への案内を買って出てくれたから♪

えっ?それって推理じゃない?てへっ❤

アメリカのご飯、楽しみだなー♪




.....あれ?志希ちゃんどうしたんだろ?
510 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/31(日) 23:36:47.55 ID:CV0nZ6Sa0
フレデリカ「志希ちゃーん、どしたの?UFO見つけた?」

志希「えっ、ああフレちゃん!いやーそうそう、UFOぽいの見つけたよ!」

フレデリカ「ホント?どこどこー?」

志希「あー、さっきどっかとんでっちゃった」

フレデリカ「えー!残念、宇宙人と友達になってみたかったなー」

P「おーい二人とも―!置いてくぞー?」

志希「あーごめんごめん!いこっかフレちゃん♪」

フレデリカ「うん!今行くねプロデューサー!」







フレデリカ(んー.........)
511 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/31(日) 23:38:05.75 ID:CV0nZ6Sa0
みんなでご飯を食べた後、あたしはケンブリッジ周りとかボストンの名所を案内して回った

昔行った時は何処もあんま印象に残らなかったけど、今日は何故か楽しかったなー♪


...きっと、あの時と違って一人じゃなかったから...なのかな?



...あの時のあたしは他人に興味なかったし、一人でも全然平気だと思ってたけど
やっぱり心のどこかで、一緒に遊ぶ仲間が欲しいと思ってたんだろうか?




美嘉「いやー色々回ってみたけど、どれも面白かったねー!」

周子「いやーまさかホントにアメリカで日本庭園が見れるとはねー。しかもめちゃくちゃデカかったし、もう何でもありだったねあの美術館」

奏「トリニティ教会もとても印象的だったわ。ああいう雰囲気、私好きよ」

P「俺はアメリカにラーメン屋があったのがびっくりだったよ...しかも見るからに二郎系ぽかったぞあれ...」

フレデリカ「志希ちゃん、アタシ達を案内してくれてありがとね❤」

志希「どういたしましてー♪」
512 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/31(日) 23:38:44.51 ID:CV0nZ6Sa0
P「んじゃ、もうぼちぼちホテルに戻るとするか」

周子「折角だしこの辺でご飯食べていかへん?さっき見つけたラーメン屋ちょっと気になるやん」

志希「うーん、あそこはちょっと行くには覚悟が要るかなぁ...」

P「明日からガチガチのスケジュールで収録なのに二郎系なんか食えるかよ...ホテルでディナーにしようぜ」

志希「じゃあまた駅まで案内しよっか、バスガイド志希ちゃんに皆着いておいで―♪」

フレデリカ「どうも!当バス運転手の、宮本フレデリカでーす!」

周子「いや徒歩やんかーい♪」

美嘉「あははっ!アメリカでもみんないつも通りだね★」

奏「ええ、そして明日からもいつも通り」

P「全力で楽しんで、収録を成功させよう!」

全員「おー!」
513 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/31(日) 23:41:13.09 ID:CV0nZ6Sa0
皆で明日からの収録の成功を心に近い、駅の方へ足を進める



でもその時、あたしはひどく懐かしい匂いを嗅ぎ取ったんだ
懐かしくて愛おしい、でも、もう会いたくない、会うことはない
そう思っていた、あの香りを...
514 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/31(日) 23:42:39.40 ID:CV0nZ6Sa0
フレデリカ「志希ちゃん?」

P「どうした?」

志希「ど、どうしてここに...?」

???「どうしても何も、ケンブリッジを私が歩いていてもなにも不思議な事ではないだろう」

美嘉「誰?志希ちゃんの知り合い?」







志希「...ダッド」

奏「えっ?」




志希父「久しぶりだな、志希」
515 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/31(日) 23:43:20.20 ID:CV0nZ6Sa0
全く考えて無かったわけじゃない
大学に近いここを歩いていればばったりパパに鉢合わせる事もあるかもとは思ってたし、寧ろ、少し期待していたのかもしれない


志希「っ...」


でも、いざホントに会ってしまうと、この場の最適解を導き出してくれるはずのギフテッドなあたしの脳も、すっかり機能停止してしまっていて
何を言えばわからなくなってあたしは、パパの顔から目をそらしてしまう
516 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/31(日) 23:44:55.27 ID:CV0nZ6Sa0
P「初めまして、わたくし、娘さんの所属する811プロダクション社長兼担当プロデューサーのPと申します。志希には本当にいつもお世話に...」

志希父「悪いが、君に用はない」

P「えっ」

プロデューサーにしては珍しく丁寧な様子でパパに挨拶するけど、そんなプロデューサーさんを無視してパパはあたしの目の前へと歩いてきた

志希父「志希」

志希「....なに?」







志希父「アイドルを辞めて、科学者に戻れ」
517 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/31(日) 23:47:23.82 ID:CV0nZ6Sa0
志希「えっ...?」


志希父「もう十分楽しんだだろう、そろそろ自分のやるべきことを思い出せ」

美嘉「ちょっと!何勝手なこと言ってるのさ!」

奏「志希の父親だか何だか知らないけど、いきなり現れて娘の意思も関係なしに勝手すぎるんじゃないの?」

志希父「君達も、あまり志希をたぶらかさないでもらおうか」

周子「たぶらかす...?」

志希父「志希は世界の科学の歴史を変える、その力がある。そんな志希が日本でアイドルをやっているなど、世界にとってとても大きな損失だ」
   「志希、まだ大学にはお前のポストを残してある。アメリカに戻って、また研究を続けるんだ」
518 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/31(日) 23:48:19.04 ID:CV0nZ6Sa0
志希「なに、それ...今更、そんなこと...あたし、もうあの場所に興味なんてないよ」
   「それにダッドは、科学者のあたしに興味が無くなったんじゃなかったの?興味が無くなったから、あたしが大学辞めても、何も言わなかったんじゃなかったの?」

P「..............」

志希父「志希、お前は分かっているはずだ、お前の居るべき場所が」





志希「...いこ、皆」

美嘉「志希ちゃん、いいの?」

志希「うん。今は......ここに居たくない」

志希父「...私はしばらく研究で研究室に籠ることになる。決断できたら会いに来い」
    「良い返事を、期待している」
519 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/31(日) 23:49:09.98 ID:CV0nZ6Sa0
     =========帰り道=============


ホテルへと向かう私達
でも、観光名所を回っていたときの楽しい空気は、泡のように消えていたいた

美嘉「志希ちゃん、大丈夫?」

志希「大丈夫だよ」

美嘉「でも、さっきからずっと」

志希「ごめん、大丈夫だから。今は、ほっといてほしいにゃー?」

美嘉「志希ちゃん...」



そう笑う志希の顔は、明らかにほっとけるものでは無くて
でも、私達は志希にどう声をかければいいのか分からず、どうすることも出来ずただ口をつぐんでしまっていた






ただ一人を除いては
520 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/31(日) 23:51:18.87 ID:CV0nZ6Sa0
フレデリカ「みんなー!さっき買ったお土産のお菓子食べよー!」

奏「ちょっ、フレデリカ!?」

フレデリカ「だってみんな顔怖いんだもん!まるでトレーナーさんみたいだよー!?折角の旅行なんだからもっと笑った方が楽しいよ!」

志希「フレちゃん.....」

周子「...せやねー♪いつも全力で楽しむのが811プロの信条だもんね!」
   「というわけでおひとつもーらい!」

美嘉「...じゃあたしもっ★志希ちゃんも一緒に食べよ?」

志希「...うん!あたしにもちょーだい!」


フレデリカ「そうだ!志希ちゃん!写真撮ろうよ!」

志希「えっ?」

フレデリカ「海の向こうでもアタシ達元気に旅行楽しんでまーす!って、ファンの人達に伝えてあげよ!」
      「ほら、笑って笑って!写真を撮るときは笑顔でピースするのが全世界共通のマナーなんだよ?」
521 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/31(日) 23:53:10.09 ID:CV0nZ6Sa0
P「....そうだな、日本に置いてきちまったファンにちょっとはサービスしてやらねえとな!」

志希「...うん!あたし達の最高の香りを、日本のファンに届けちゃおー!」

奏「ふふっ!そうね。いつも応援してもらってるんだもの、会えなくて寂しい思いをしている皆を安心させてあげなきゃね!」

P「よし!じゃあお前ら!俺が撮るからそこに並びな!」



フレデリカの言葉によって、私たちの顔にじわじわと笑顔が戻っていく
フレデリカ、貴方はやっぱり凄いわ

どんな重い空気もたちまち明るく出来るその笑顔、それはきっとこの世でフレデリカしか持ちえない確かな才能
フレデリカ、あなたのその笑顔は811プロ一番.....いえ、きっと世界で一番優しくて元気な、ひまわりの様な笑顔ね!

そんなフレデリカと友達になれたことを、私は今日、改めて誇らしく思った





P「じゃあいくぞー?1+1は!?」

全員「にー!」


パシャッ
522 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/31(日) 23:54:17.93 ID:CV0nZ6Sa0
ホテルで皆でディナーを食べた後、明日に備えて今日は解散ということであたし達はそれぞれの部屋に戻った

部屋に戻ってお風呂に入った後、あたしはプロデューサーさんに釘を刺された通り台本を一応流し読んでいるみた


なるほどなるほど......


どうやらあたしの役は、ある日突然アメリカ最大のギャング組織に狙われてしまうヒロインの女学生
そしてあたしの演じるその子は終盤、ギャングに狙われることになった自身の複雑な出生の秘密を知ることになる...らしい

このの映画のテーマは、ハリウッドらしい派手なアクションを盛り込んだ裏社会の戦い。そして...
523 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/31(日) 23:55:47.41 ID:CV0nZ6Sa0
志希「『家族』、かぁ...」

家族、カゾク、かぞく....

言葉は知ってる、でも、自分にとってそれが何を意味するのかは、全く分からない


あの頃、まだママとパパと3人んで暮らしていたころは分かっていたのかもしれない
でも今は、自分がかつてそれを知っていたのかさえ思い出すことができない


あたしにとって、『家族』って何なんだろう





そして、それ以上に......



志希「結局のところ、パパにとって、あたしってなんなんだろうなぁ...」
524 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/31(日) 23:56:48.68 ID:CV0nZ6Sa0
結局のところ、あたしはそれが一番分からなくて......それが一番知りたいこと、なんだろうな




志希「...よしっ」

それに気づいた時には、あたしはもう行動を始めていた
525 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/31(日) 23:57:22.98 ID:CV0nZ6Sa0
ピンポーン

奏「あら、誰かしら?」

周子「あー、奏ちゃんいるー?」

奏「周子?どうしたの?」

周子「いやーやっぱり折角友達と旅行来てんだし、夜に遊びながら語り合うお決まりのやつやりたいから誘いに来たよ」
   「それに、やっぱり志希ちゃんちょっと心配だしさ。みんなで遊んだら元気になるかなーって」

奏「成程ね、確かに良い案だわ」

周子「でしょ?てなわけでこれから皆を誘いに行くんやけど、奏ちゃんはどうする?」

奏「勿論、参加させてもらうわ」

周子「よしっ、じゃあ一緒に皆を呼びに行こう」
526 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/31(日) 23:58:04.25 ID:CV0nZ6Sa0
その後、美嘉とフレデリカも呼び出して最後に志希の部屋の扉の前へとやってきた

ピンポーン

周子「志希ちゃーん、いるー?」




シーン.....



奏「反応がないわね」

美嘉「もう寝ちゃったのかな?」

周子「あれー?志希ちゃん夜型って言ってたしまだ起きてると思ってたけど」






フレデリカ「ねぇねぇ、鍵開いてるみたいだよ?」
527 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/31(日) 23:59:23.53 ID:CV0nZ6Sa0
奏「えっ?ここオートロックよ?」

美嘉「...見て!扉になんか挟まってるよ!?」

美嘉が指刺した所には、志希のスマホが挟まっていた

周子「これのせいで扉が閉まらなかったんやね...って、なんでスマホが挟まってんの?」

奏「志希のスマホなんだし、志希自身がやったんじゃ.....まさか!」

全員「!」




嫌な予感が頭をよぎった私達は、鍵の開いていた扉を勢いよく開け、部屋の中へ飛び込む

そこに、志希の姿はなく、代わりにあったのは...
528 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 00:00:30.84 ID:kBnx1UOd0


              『失踪します』




確かに志希の字でそう書かれた、小さなメモ一切れだけだった.....



to be continued.....
529 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 00:03:33.87 ID:kBnx1UOd0
だって、アイマスで生放送ネタやるんならロボットアニメのウソ予告もやらなきゃいけないって聞いたから....

そんなわけでChapter10終了です




ちなみに、ケンブリッジには『Yume Wo Katare』なる二郎系ラーメン屋がマジで実在します
530 : ◆FuHrdA/9sY [saga sage]:2019/04/01(月) 22:08:46.60 ID:kBnx1UOd0
いや唐突なかぐや様コラボは草
どこもかしこもエイプリルフールイベばっかで時間が足りねぇ....

Chapter11投下開始します
531 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:10:23.87 ID:kBnx1UOd0
P「失踪か...そういや最近やってなかったな」

美嘉「プロデューサー、まさか志希ちゃんホントにアイドル辞めたりしないよね?」

P「流石にその気なら、志希も何も言わずに出ていかないと思う。あの子は間違いなく、アイドルを楽しんでたし」

周子「タイミング的にお父さんの事関連、だよね。何も言わずに出ていくなんて...私達には、相談できなかったのかな...」

P 「さぁな、その辺は本人に聞くしかない。とにかく探しに行かにゃあならんが...」
532 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:11:21.84 ID:kBnx1UOd0
奏「でも、こんな夜に知らない街を闇雲に探し回ったら、ミイラ取りがミイラなんてことになりかねないわね...最悪、みんな揃って明日の撮影に出られなくなるかも...」

周子「一応アメリカだし、治安もよくはないもんね」

美嘉「だとしても、志希ちゃんを一人にはできないよ!探しに行こう!」

P「落ち着けって美嘉」

美嘉「落ち着いてなんていられるわけ!」


P「落ち着け!」

美嘉「っ!」

P「もしお前らの身に何かがあったら、あいつはずっと自分を責め続けるぞ!」

美嘉「でもっ!志希ちゃんの身に何かがあったら!そっちの方が取り返しがつかないじゃん!」

P「分かってるよ!だから先に志希が行きそうな場所にアタリをつけてからだな!」






周子「...あれっ、フレちゃんは?」
533 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:12:33.94 ID:kBnx1UOd0
奏「えっ?...いない!?」


辺りを見回してみると、確かにさっきまでいたはずのフレデリカの姿が忽然と消えていた


P「なっ!フレデリカまで!?」ピロンッ!


そのことに驚くのもつかの間、皆の携帯が一斉に鳴りだした


P「事務所のグループLINE....フレデリカからだ」




『みんなー!志希ちゃんの事はアタシにおまかせ!』

『名探偵フレちゃんの名推理で志希ちゃんの居場所は分かったから会いに行ってくるねー!』

『必ず連れて帰るから、皆はトランプの準備してて待っててねー!』
534 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:14:33.78 ID:kBnx1UOd0
周子「フレちゃん、居場所分かったって...」

美嘉「いやいや!フレちゃんまでいなくなったら余計マズイじゃん!二人ともどこ行ったのさ!?」

P「クソッ!どいつもこいつも!」

奏「いえ、フレデリカは適当に見えて、その実周りへの気配りは私達の中で一番上手い子よ。そして志希と一緒にユニットを組み活動している、志希にとって最も近い存在」
 
 「そのフレデリカが心当たりがあるって言ったんだから、きっと本当に思い当たる場所があったんでしょう」

P「それは...そうかもしれないが...」

周子「じゃあどうする?やっぱ心配だし探しに行く?」

P「...いや、わざわざ一人で行ったんだ、きっと何か二人きりで話さなきゃいけないことがあるのかもしれない」
 
 「それに...多分ここでフレデリカが志希を連れて帰っても、根本的な解決にはならないだろう」
535 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:15:46.65 ID:kBnx1UOd0
美嘉「どういう事?」

P「...志希の父に会いに行こう。あの時言ってたことなら本当ならまだMITとやらにいるはずだ」

奏「会いに行くって、アポもなしで?」

P「しょうがないだろ、連絡先分かんねえし」

美嘉「でも、急に行って志希ちゃんのパパに会いたいから入れてくれって言っても認めてくれるかな?」
  
  「あの時のあたし達への言動的に、あまり会ってくれそうにないよね」

P「その時はもうなんとかして忍び込んで...」

周子「ちょっ、マズイよ!無理に入ろうとして捕まっちゃったらどうすんのさ!?世界でもトップレベルの大学なら、きっと警備だってトップレベルだよ!?」

美嘉「そうだよ!プロデューサーこそ落ち着いてよ!プロデューサーが怪我しても志希ちゃんきっと悲しむよ!?」

P「うぐっ...じゃあ一体どうすれば」






奏「...ねえ、もしかしたらこの志希のスマホに連絡先入ってないかしら?」

美嘉周子「「!!」」
536 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:17:01.78 ID:kBnx1UOd0
P「それだ!ちょっと貸してくれ....あっ」

周子「どしたん?」

P「パスコードかかってる...」

美嘉「あー...そりゃそうか」

奏「4桁...何か心当たりはないかしら?」

周子「無難に誕生日...とか?」

P「確か0530...ダメだ、流石にそんな単純じゃないか...」

美嘉「じゃあ、志希ちゃんがアイドルデビューした日とかは?」

P「....ダメだ」

周子「あと一回でロックかかっちゃうね...」

P「クソッ!他に志希が設定しそうな番号は....」






4桁の数字で、他に思い当たるもの.....!
もしかして!
537 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:18:10.28 ID:kBnx1UOd0
奏「ちょっと貸して」

P「えっ、ああ...」


プロデューサーからスマホを受け取った私は、さっき思い浮かんだ数字を押し間違えないようにゆっくりと入力していく
志希...もし私達が貴方に信頼されているというのが自惚れでなければ、貴方がちゃんとアイドルを楽しめていたのなら、きっと....







奏「0、8、1、1.....」
538 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:18:38.86 ID:kBnx1UOd0
ロックが解除された
539 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:20:57.32 ID:kBnx1UOd0
周子美嘉「「!!」」

奏「0811...811プロ...」

周子「そっか...」

美嘉「ちゃんとあたし達は、志希ちゃんの居場所になれてたのかな?」

P「ああ、きっとな.....それで奏、連絡先はありそうか?」

奏「ちょっと待ってて...」


電話帳を探ってみると、『ダッド』と登録された電話番号を見つけた


奏「あったわ!」

P「でかした!じゃあ早速連絡しよう!」
540 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:23:09.90 ID:kBnx1UOd0
志希のお父さんにコールをかけ、プロデューサーさんにスマホを渡す



志希父「...志希か?」

P「いえ、先ほどお会いした担当プロデューサーのPです」

志希父「志希はどうした?」

P「生憎、現在携帯を残して失踪中でして...そちらは既にウチのアイドルが捜索しています」

 「ですが、今私が用があるのは貴方です。今からそちらまで向かいますので、一時間ほど後、お会いできませんか?」

志希父「私は君に用はないのだが」

P「それでもです。こちらは志希を預かる身として、父親である貴方には一度きちんとお話をしなければなりません。貴方も、志希の日本での動向はなんだかんだ気になっているのでは?」

志希父「...いいだろう。受付に話は通しておく」

P「有難うございます、では後程」ピッ

奏「プロデューサー、私達も」

P「いや、お前たちはここでフレデリカと志希の帰りを待っていてくれ」

 「それに、いろいろ言いたいこともあるだろ?ちゃんと帰ってきたあの子の気持ちを、受け止めてやってくれ....」
541 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:23:45.73 ID:kBnx1UOd0
フンフンフフーン フンフフーン♪

アタシは名探偵フレデリカ!

アタシの推理によるときっと志希ちゃんはここに....

あっ!志希ちゃんだ!今日も名推理だったね!





フレデリカ「おーい!志希ちゃーん♪」
542 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:26:06.43 ID:kBnx1UOd0
あたしにとって家族とはいったい何なのか

あたしはそれを調べるために、この国で唯一「親子の思い出」があったこの場所に来ていた

でも....


志希「やっぱり、わからないなぁ...」


あたしにとって分からないこと、『未知』は全部面白いことだった

でも、この『未知』だけは、何故だか面白く思えない

むしろ、意識してからずっとあたしの心の中にもやもやと渦巻いていて、まるで毒でも飲んだかのようにに苦しみを与え続けていた





「......ちゃーん!」
543 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:27:48.74 ID:kBnx1UOd0
志希「この声....まさか」


この声は、いつも、いつも、毎日のように聞いているあの声

ひまわりの様な笑顔でに関わった人皆を和ませる、あたしの大好きな、相方の声だった


フレデリカ「志希ちゃーん!やっぱりここだったんだ!」

志希「フレ....ちゃん...」

フレデリカ「それにしてもこのお店、なんか美味しそうな匂いがするね!折角だから入ってみよーよ!」

志希「えっ、ちょっと『たのもー!!』」





....どんなに頭が良くても、フレちゃんにはどうやっても敵わない気がするなぁ
544 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:29:13.05 ID:kBnx1UOd0
         ========研究室===========


夜も更け、学内の人間もいなくなり、研究に集中するには心地よい静寂が訪れている
だからこそ、その足音はハッキリと聞こえた


志希父「...来たか、少し遅かったようだが」

P「申し訳ございません。あまりに広いもんで、少し迷子になってしまいまして」

志希父「それで、話とは一体何だ?私は無駄な時間を過ごすのは嫌いでね、手短に話してもらおう」


P「では単刀直入に......何故急に、志希にアイドルを辞めろと?」

志希父「さっきストリートで会ったときも言っただろう。志希の才能を無駄にしてはならないからだ」








P「違うね」
545 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:30:49.44 ID:kBnx1UOd0
志希父「何?」

P「本当にそれが理由なら、あんたは最初から志希を大学にとどめるための努力をしたはずだ。志希が日本に帰国するのを止めなかったなんてありえない」

志希父「...では、他に何か理由があると?」
 



P「あの時のあんたの志希を見ていた目...俺はあんな目をした人間を知ってる」

 「だから、分かるよ。あんたの腹の中の淀みがなんなのか」

志希父「........」
546 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:31:25.21 ID:kBnx1UOd0
P「あんたは、志希に謝りたいんだ」
547 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:33:44.52 ID:kBnx1UOd0
志希父「ッ!!」

P「きっとあんたは、志希に対して何か取り返しのつかない事をしたんだろう。それを、あんたはずっと後悔し続けている」
 
 「正直に言うと、そのあなたの後悔について、なんとなくアタリを付けれてはいるんです。でも」

志希父「知ったような口を!」

P「ええ、何も知りません。だからこそ聞きに来たんです!!」

志希父「!」

P「俺は志希のプロデューサーです。志希をアイドルの道に引き込んだ者として、志希の抱える問題を知り解決する義務と責任がある!」
 
 「だから教えてください。志希とあなたの間に一体何があったのかを。教えてもらうまで俺はここをテコでも動きません」

志希父「............」

P「どうか、お願いします」ザッ

志希父「...!?」


そう呟いた途端、目の前の男は膝をつき、頭を床に押し付けた
548 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:34:32.05 ID:kBnx1UOd0
志希父「君....」

P「俺たちでは、あの子の抱える闇を知らない俺たちでは、あの子を縛る鎖を解くことは出来ません」
 「あの子の鎖の鍵を持つのは貴方だけなんです。どうか、お願いします.....!」

志希父「..................」













志希父「ずっと、後悔していた。研究者としても、父親としても」
549 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:35:21.54 ID:kBnx1UOd0
フレデリカ「うーん、迷っちゃうねー....志希ちゃんはどれにする?」

志希「あー...えっと、どうしようかなー」

フレデリカ「じゃあ二人でこれ食べようよ!」

志希「どれどれ....これって」

フレデリカ「志希ちゃん、なんかここずっと眺めてたし、きっと食べたいもの決まってたけどアタシのこと待っててくれたんでしょ?」

     「だったら志希ちゃん待たせるのも悪いし、アタシも志希ちゃんと同じもの食べるー!」

志希「いや、食べたかったわけじゃ...いや、どうなんだろ?食べたかったのかも、しれない」

フレデリカ「じゃあ決まりだね!店員さーんお願いしるぶぷれー!」
550 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:36:40.67 ID:kBnx1UOd0
フレちゃんが注文を済ませ、あたしと再び向き合う
その優しい翠の瞳に見つめられると、心が落ち着いてくる

けど、その優しさが、今はちょっと眩し過ぎて



...えっと、とりあえず何か話を振らなきゃ



フレデリカ「志希ちゃん、このお店好きなんでしょ?」

志希「えっ?」

フレデリカ「お昼このお店を見てた志希ちゃん、中に入りたそーな目をしてたから」



....見透かされてたんだ、すごいなフレちゃんは
というより、あたしが少し露骨すぎだったのかなー?
551 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:37:54.15 ID:kBnx1UOd0
志希「特別好きだったわけじゃないよ。ただ、ここを通ったときふと料理の匂いがしてさ、パパと一緒に来た時の事を思い出したから」

フレデリカ「てことは、お父さんとの思い出の場所?」

志希「そのはずだったんだけど...なんでかな?何も感じなかったんだ。確かに前にパパときたときは、すっごく嬉しい気持ちになった覚えがあるんだけど」

  「今回の台本読んで、あたしにとって家族って何だったんだろうって考えちゃってさ、ここに来たら何か分かるかもって思ったけど、ダメだったねー」

フレデリカ「..........」

志希「それに、仮にあたしにとって大事な思い出だったとしても、パパにとってはそうじゃないかもしれなかったのかも」
  
  「そう思ったら、あたしには本当は家族の思い出なんて無かったのかなーって、そう思ったんだ」







フレデリカ「それは違うよ」
552 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:39:19.65 ID:kBnx1UOd0
志希「えっ...?」

フレデリカ「本当に思い出がなかったら、最初からパパのこと思い出さないよ」

     「それに、志希ちゃんと志希ちゃんのパパって似たもの親子だもん!だから、志希ちゃんにとって思い出の場所なら、きっとパパにとっても思い出の場所だよ!」

志希「あたしとパパが、似てる...?」

フレデリカ「ねぇねぇ志希ちゃん!アタシ、志希ちゃんの事も、志希ちゃんのパパの事も、もっと知りたいなー!」

     「そしたら志希ちゃんともっと仲良くなれると思うし、志希ちゃんのパパともお友達になれると思うもん!」

志希「フレちゃん...」

フレデリカ「だから悩み事は、この名探偵フレデリカにドーンとお任せ!華麗に事件解決へ導いてあげる―♪」

     「だから...志希ちゃんの悩み、聞かせてほしいな?」

志希「.....フレちゃん....あのね....」
553 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:40:03.95 ID:kBnx1UOd0
志希父「志希が5つになった誕生日、一度日本の志希と妻がの住む家へ帰国したときのことだった。あの子がギフテッドだったのを知ったのは」

   「私は自分の娘が世界を変える才能を持っていたことに酷く興奮してね、その日以来私は家に帰る頻度を増やし、志希に多くの知識を与えていった」

   「志希はまるでスポンジのように知識を吸収していき、次々と新しい謎を発見してはそれを解き明かしていった」

   「そして私も、そんな志希を見ているのが楽しく、そして誇らしかった」
    




   「だが、あの国は志希の様な才能あふれる物を許さなかった」
554 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:41:05.12 ID:kBnx1UOd0
P「.....出る杭は打たれる、そんな世の中ですもんね」

志希父「ああ、小学校4年の授業参観に出た時だ」

   「小学校であの子は所謂、『いじめ』にあっていた。同級生には愚か、教師でさえ志希を腫れ物に触るように扱っていた」

   「本物の天才に同調圧力をかけ貶める...そんな国は志希の居場所じゃない。そう思った私は、志希にアメリカへの移住を提案し、志希もそれを受け入れた」



   「だが、身体の弱い妻は連れていくことができなかった...何より、本人が故郷を離れることを拒んだんだ」
555 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:42:42.36 ID:kBnx1UOd0
志希「それでも、ママはあたしを送り出してくれた。」

  「『希望』を『志す』から志希...あたしはママとパパの希望。だから向こうでパパと一緒に頑張りなさいって。だから、あたしは行った。パパと一緒に海の向こうへ」

  「海の向こうにはあたしの知らない事がいっぱいあって、気になったことを片っ端から解いていったら、どんどん飛び級しちゃって」

  「1年でジュニアスクール...日本でいう小学校を飛ばして、中学校...ジュニアハイスクールに入って、更に2年でハイスクール、更に1年でまた飛んであの大学に入ったんだ」
 
  「大学では好きなこと研究できたし、パパとも一緒にいられて楽しかった。けどね.....」
556 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:43:46.06 ID:kBnx1UOd0
志希父「自分の理解できない存在を恐れる、それはどの国の人間も同じ」

   「10代という若さにして自分たちには想像もつかなかった発見をする志希を、この大学の研究員も、そして....この私も、次第に恐れるようになった」

   「他の人間に避けられる志希を見かねて、私も志希も一度気分転換をしようと、あれ以来研究に熱を入れ過ぎて帰っていなかった妻の元へ、志希を連れて帰国したのだ」








志希父「そして帰国した先で、妻が数か月前に病死していたことを知った」
557 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:44:45.62 ID:kBnx1UOd0
P「!!?」


志希父「私達は妻を裏切ってアメリカへ飛び立ったと、彼女の遺族に酷く恨まれていたようでね。死んだことを知らされていなかった....」

   「そして、私も志希も、逃げるようにアメリカへ戻った....」
558 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:45:52.26 ID:kBnx1UOd0
志希「アメリカへ戻った後あたしは、更に研究にのめりこんだ」

  「ママの死から目をそらすためだったのかもしれない、ママに恨まれてた事を忘れたかったからかもしれない」

  「でもそれ以上に、多分、パパに元気になってもらいたかったんだと思う」

  「落ち込むパパをこれ以上落ち込ませないように、あたしは元気な姿を見せなきゃって思った。だからあたしはパパを喜ばせようと、次々と新しいことを見つけてはパパに報告してた」
  

  

  



志希「....でも、それがダメだったんだ」

  「あたしは希望なんかじゃなかった、ママを見捨てた上に、パパまで壊した」
  

  「あたしはきっと、二人にとっての癌細胞だったのに、あたしは自分でそれを分かってなかったんだ」
559 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:47:15.74 ID:kBnx1UOd0
志希父「妻の死に精神が参っていたのかもしれない。だが、そうだとしてもあの時の私は本当に愚かだった」

   「母親の死にまるで堪えていないように、私の想像のつかない程の成果を上げる志希に、私が数十年賭けてたどり着いた場所に瞬く間にたどり着いてしまった志希に」
   
   「私は志希に、怖いと、その才能が、ただただ恐ろしいと....そう言ってしまったんだ」




志希父「志希が大学を辞めると言い出したのはその次の日だった」

   「つまらなくなったから辞めるとだけいって立ち去る志希を、私は引き止めなかった」
   
   「...正直、その時はすこしほっとしていた...得体の知れない怪物が消え去ったのだと、娘に対して本当にそう思ってしまった」


P「............」
560 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:48:35.89 ID:kBnx1UOd0
志希父「だが、その安堵は月日が経つにつれ後悔へと変わっていった」

   「妻が死んで以来、私を支えていてくれたのは他でもない志希だったということ、そして愛する娘から居場所と才能を奪ったことが、痛いほどに分かってしまった」

   「だから私は、志希に償わなければならない。もう一度あの子が存分にその才能を振るい、自分のやりたいことをやれる場を返さなくてはならない」

   「志希は日本のアイドルに収まるべきではない...きっとあの時のように科学であらゆる未知を解き明かす事を楽しみにしているはずなんだ。」

「だから今度は父親として、あの子のやりたいことをさせてあげるのが....」








P「そこまで考えてるなら、なんであの子にそれをちゃんと言わないんですか?」
561 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:51:05.94 ID:kBnx1UOd0
志希父「何故って....あの子は、自分を傷つけた私の言葉など聞きたくないだろう。あの時、ストリートで会った時もそうだったように」

   「だから、私が無理に口をはさみすぎれば帰って自分を捻じ曲げてしまうかもしれない」

   「あの子は賢い子だ、私よりも....だから、きっと自分で正しい答えを...」




言いきる前に、目の前の男に胸倉をに掴まれる




志希父「!なにをするっ!」

P「違うだろ....」

志希父「...?」
562 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:51:42.23 ID:kBnx1UOd0




    P「あんた達の頭がいいのは、言葉端折って、会話を投げ捨てるためじゃねえだろ!!」




563 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:53:01.96 ID:kBnx1UOd0
フレデリカ「...やっぱり、志希ちゃんとパパは似てるよ」

志希「そう....なの?あたしにはよくわからないんだけど」

フレデリカ「じゃあ、折角志希ちゃんが思い出話をしてくれたんだし!あたしも自分の思い出、話しちゃうねー♪」

志希「フレちゃんの、思い出?」



フレデリカ「...あたしもねー、昔ママを泣かせちゃったことがあるんだ」




フレちゃんが、親を泣かせる?
...全然想像つかない、フレちゃんが人を笑顔にする姿は思い浮かべれても、泣かせる姿はどうしても思い浮かばないな
564 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:54:33.00 ID:kBnx1UOd0
志希「そりゃ、一体なんで?」

フレデリカ「うーん...あの時はまだ、アタシがおとなしくて、怖がりだったからかな?」

志希「大人しい?フレちゃんが?」

フレデリカ「そうだよー、あたし5歳くらいまでは大人しい女の子だったんだー」

     「でも、大人しくし過ぎたせいで色々ママに心配かけちゃって、その結果ママを泣かせちゃったんだ」

     「その時にアタシは分かったんだ。大好き!とか、幸せ! っていうのは、ちゃんと言葉で伝えなきゃダメだって」

志希「言葉で?」

フレデリカ「うん!だから志希ちゃんも教えてあげればいいんだよ!」

     「自分は、パパとママの子供ですっごく幸せなんだって事!」
565 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:56:23.81 ID:kBnx1UOd0
P「結局あんたはただ逃げてるだけだ...前と同じように、あの子とちゃんと向き合うことが怖いから、適当な理由をつけて逃げてるだけだ!」


志希父「逃げている...私が...?」


P「そんだけあの子を思ってるんなら、ちゃんとあの子にそれを自分の言葉でぶつけろよ!あの子の言葉をしっかり受け止めろよ!それが家族だろ!」

 「じゃないとあんた...絶対後悔する、あの時、なんで言葉にして伝えなかったんだって、ずっと、引きずることになる.....」

 「本当に大事な人への想いは...顔を合わせて、はっきりと言葉にしなきゃダメなんだよ!それをせずして伝わる心なんかねえんだよ!」

志希父「............」



P「それに....志希がアイドルをするのが認められないなら、なんであのデスク、志希のアイドルの写真が飾ってあるんですか!」

志希父「それは....」
566 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 22:59:25.65 ID:kBnx1UOd0
P「それだけじゃない、あの時街で鉢合ったの、本当は偶然じゃないだろ!?」

志希父「ッ!」


P「志希が来ることを知っていたんでしょう!?今回の海外ロケの事、知ってたんでしょう!?」

 「さっきスタッフ内でロケ地を確認したときに気付いた...ロケ地の一つに、この大学があった。この大学の人間から、是非ともウチを使ってほしいと推薦があったって」
 
 「それ、あんたのことだろう?あんたホントは、アイドルとしての志希をその目で見たかったんじゃないのか!?」


志希父「.........!」






P「そういうの全部...ちゃんと腹を割って話し合えよ...二人で本音をぶつけ合えよ!」

 「親子そろって.....逃げてんじゃねえよ!」
567 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:01:21.37 ID:kBnx1UOd0
志希父「私は.......」



トゥルルルルル.....
P「もしもし....ああ、そうか。分かった、こっちも大丈夫だ。じゃあまた後で」ピッ

 「志希が、見つかったそうです。これからホテルに帰ると」

 「...あなたは、どうします?」








志希父「...連れていってくれ、もう一度、志希と話をしなければならない」
568 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:04:35.25 ID:kBnx1UOd0
P「分かりました...ああ、それともう一つ」

 「あなたの奥さん、一ノ瀬.....ですか?」

志希父「妻を知っているのか!?」

P「10年ほど前に一度だけ会ったことがあります......俺がまだ中学生だったころ、岩手にある祖父の家に遊びに行った時の事です」

 「その時、たまたま何かのお祭りがあって、その祭りの中でのど自慢大会がありました。貴方の奥さんは、そこで優勝したんです」

志希父「妻が...」

P「遠い海の向こうにいる、旦那さんと娘さんを思って歌ったそうです。とても、素晴らしい歌声でした...一度聞いただけなのに、今でも思い起こせる...
 
 「だから、俺が保証します」








   一ノ瀬さんは、決して貴方たちを恨んでなんかいなかった。貴方の奥さんは、最期まで貴方たちを想っていたんです......
569 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:07:51.22 ID:kBnx1UOd0
ホテルに戻った瞬間、あたしは3人の女の子に抱き着かれた


志希「わっ、みんなどったの!?なんだかとっても情熱的〜♪」

周子「うるさい、偶にはあたし達にも志希ちゃんの匂い嗅がせなさい」

奏「普段好き勝手されてるんだもの、偶にはあたし達も好き勝手するわ」

美嘉「勝手にいなくなって、心配したんだから!...戻ってきてくれて、ホントに良かった...」

フレデリカ「もう、皆ずるい!あたしも志希ちゃんぎゅーってしたい!ていうかする!」

志希「ちょっとちょっと、流石に苦しいよ!」

奏「だめよ、心配かけたお仕置きだもの。甘んじて受け入れなさい」

 「皆、貴方が大好きなんだから...今度からは、相談してよ....」



志希「...そっかー、ならしょうがないなあ」

  「にゃははー、心配かけてごめんねーみんな」 
  






ああ、やっぱり811プロは...



志希「それと...みんな、ありがとう。」



あたしの大事な、居場所なんだ








志希「ただいま!」
570 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:09:19.42 ID:kBnx1UOd0
P「あーお前ら、取り込み中スマンが、ちょっといいか?」

奏「あっ、Pさん...それと」



志希「....ダッド」

志希父「志希、話したいことがある。少し付き合いなさい」

志希「...うん、あたしも、一杯話したいことがあるから」



P「というわけで、しばらくお邪魔虫は退散しましょか」

フレデリカ「はーい!みんなー!終わるまであっちでおしゃべりしてよー!それそれー、超特急デリカ―!」

美嘉「ええ!?待ってよフレちゃん!あーもう、ホテルの中走らないのー!」

周子「...大丈夫なのPさん?」

P「ああ、もう大丈夫だ。あとはあの二人が、お互いを縛ってる鎖をほどくだけ」

奏「そう...なら、信じて待ちましょ。私達は志希の帰る場所なんだから」
571 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:10:03.26 ID:kBnx1UOd0
志希父「志希」

志希「なあに?」


志希父「お前が、今一番やりたいことはなんだ?」


志希「...ダッドは、あたしがアイドルやってるとこ、見たことある?」

志希父「...ある。こちらでも少しは話題になっていたからな」

志希「そっか...ねえ、ダッド。アイドルとしてのあたしを見て、どう思った?」
572 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:12:12.26 ID:kBnx1UOd0
志希父「...正直、志希の才能をあの国で腐らせておくわけにはいかない。すぐに辞めるべきだと思ったし、今でもそう思っている...だが」

志希「だが?」

志希父「それと同時に、アイドルとしてのお前の姿に、見惚れてもいた...」

   「自分の娘がステージで輝くのを見て、父親として誇らしくもなった...父親として、何もしてやれなかったというのに」

   「そんな矛盾した二つの感情を生むお前の姿に、私は少しずつ目が離せなくなっていた」


志希「へぇ...面白いね」


志希父「...志希、今さらだとは思うが、謝らせてくれ」

   「あの時、お前を拒んだこと、ずっと私を支えてくれていたのに、それを踏みにじった事」

   「何より...母を失ったお前に、何もしてやらなかったこと。お前から『家族』を奪った事...」

   「本当に、すまなかった...」


志希「ダッド...」

志希父「本当は、ケンブリッジで最初にあったときにこれを言わねばならなかった」

   「だが私は、お前と向き合うことから逃げていた...お前に拒絶されるのが怖くて、自分の伝えたいこと、伝えねばならない事...謝罪の言葉すら、吐き出すことができなかった」

   「お前は賢い子だから分かってくれると、自分の臆病さに蓋をして逃げていた」

   「愚かだったよ...言葉にせずして伝わることなど、何一つなかったというのに...」
573 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:13:57.02 ID:kBnx1UOd0
志希「...それを言うなら、あたしもだよ」


志希「あたしも、またダッドを傷つけちゃうんじゃないかって、またあたしが家族を引き裂いちゃうんじゃないかって、ずっと怖がってた」

  「あの時、ママが死んだ後もそう...ダッドに元気な姿を見せなきゃって空回りして、でも、伝えなきゃいけないことをはっきりと伝えなかった」

  「ダッド、あたしね、ママが死んじゃったとき、本当に悲しくて、悔しかった...でも、それ以上にあたしは、ダッドに元気になってもらいたかったの...」

  「だから、泣いてる姿を見せちゃだめだろうなーって...そう思った」

志希父「だから、私を慰める為に研究を....」


志希「うん、でもそれじゃあだめに決まってるよね」

  「だってあたしがあの時やるべきだった事は、ダッドと一緒に二人で一緒に泣いて...二人で乗り越えることだったんだもの」

  「なのに、自分の娘がママの死をものともしない風で、ただただ研究を進めるだけじゃ...そんなの、怖いに決まってるよね」

志希父「志希...」
574 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:15:12.48 ID:kBnx1UOd0
志希「ねぇダッド、やっぱりあたし達って、正真正銘の『親子』じゃない?」

  「だって、親子そろって同じ間違いしてるんだもの。こんな似たもの親子、そうそういないよ♪」

志希父「...もちろんだ!お前は...パパと、ママの娘だ....!」

志希「えへへっ!そうだよね!あたし達ちゃんと家族だよね!」

  「...良かった、あたしもちゃんと『家族』を知ってたの、思い出せて!」

  「パパとママと、ちゃんと家族なの、知れて良かった!」







志希「....本当に...良かった...」
575 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:15:51.65 ID:kBnx1UOd0
志希父「志希...」

志希「良かった....良かったよぉ....」







志希父「...おいで、志希」


志希「ダッド...パパ!」ギュッ







  「あたし、二人の娘で、本当に良かった...!」
576 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:16:50.28 ID:kBnx1UOd0
志希父「志希、もう一度聞きたい」

志希「うん」

志希父「お前は今、何をしたい?」


志希「...もちろん、アイドル!」

  「アイドルって、本当に面白い子との連続で、興味が尽きないんだ!全く先が読めないの!」

  「それに...あたしアイドルになって、やっと...やっと、心を許せる友達ができたんだ」

  「フレちゃん、奏ちゃん、周子ちゃん、美嘉ちゃん、そしてプロデューサー...811プロの皆は、18年生きてきた人生で初めてできた、どんなものでも代替できない大切な仲間なんだ」
  
  「それに利嘉ちゃん達...ファンの皆もたくさん、あたしを、一ノ瀬志希を応援してくれてるんだ」 
  
  「そんなあたしを受け入れてくれた人達...あたしを仲間だと呼んでくれた811プロのみんなと、あたしを認めてくれたファンのみんなと一緒に、アイドルの世界を解き明かしたい!」


志希「そして、お空の上のママにも届けるんだ」

  「ママの育ててくれた志希ちゃんは、今こんなに人生を楽しんでるって!」
577 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:17:32.59 ID:kBnx1UOd0
志希「そして、お空の上のママにも届けるんだ」

  「ママの育ててくれた志希ちゃんは、今こんなに人生を楽しんでるって!」

志希父「そうか...なら一つ、約束しなさい」

   「必ず、頂点を取ってきなさい...一ノ瀬志希はここにありとこのアメリカにも、いや世界中に届くように」

   「お前ならきっと...アイドルとして、世界を変えられるはずだ...」

   「お前は、パパとママの希望なのだから」
   

志希「...うん!任せて!」

  「だからパパも、これからのあたしを、アイドルとしてもギフテッドのあたしを、ちゃんと見ててね!」
578 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:18:18.67 ID:kBnx1UOd0
志希「ただいまー!」

フレデリカ「おかえりなさーい!」

奏「今の気持ちはどう?」

志希「すっっっごい晴れやか!不純物全部分解しきって完全純水だよ!」

美嘉「そっか!じゃあもう安心だね!」

周子「じゃあ気を取り直してあたしの部屋でみんな遊ぼうよ!今夜は寝かさないよ?」

P「おい、明日早い...まあいいや、適当なとこでちゃんと寝ろよ」

奏「さあ、それはどうかしら?」

P「おいおい...」
579 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:19:12.06 ID:kBnx1UOd0
美嘉「そうだ志希ちゃん、あたし達志希ちゃんのスマホの中勝手に覗いちゃったんだ。ごめんね?」

志希「別に気にしなくていいけど、パスコード分かったの?」

美嘉「うん、だから変えておいたほうがいいよ」

志希「そっかー...じゃあ気が向いたときに変えとくよ」

周子「じゃあみんなシューコちゃんルームへレッツゴー!」

フレデリカ「お菓子とトランプとウノと将棋も用意してあるよ!」

奏「将棋だけすっごい浮いてるわねそれ...」

志希「将棋かーあんまやったことないからちょっと楽しみだなー、早くやりにいこっ♪」

  「でもその前に...プロデューサー、ちょっとこっち、耳貸して」

P「?」

志希「あっ、みんなは先に行って準備してていいよー♪」

美嘉「分かった、じゃあ先行って待ってるね★」

周子「ちゃんと来てよー?失踪したってどこまでも追いかけてやるんだから!」

フレデリカ「その時はまた名探偵フレちゃんが華麗に解決しちゃうもんね♪」

奏「あら、心強いわね。それじゃあ、先に行って待ってるわね」

志希「うん!また後で!」
580 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:20:37.18 ID:kBnx1UOd0
P「んで、なんの話だ?」

志希「...ママの事パパから聞いたよ、ありがとね」

P「俺は何もしてないぞ?ただ昔話をしただけだ」

志希「ううん、ママがあたし達を恨んでないって事、教えてくれたよ」

  「あたしもパパも、ママをずっと苦しめてたって思ってて、それで色々こじらせちゃってたからさ。でも...プロデューサーがそれは間違いだって教えてくれたから、あたし達、やっと自分たちに巻いた鎖をほどけた」

  「だから...ありがとうプロデューサー、そして....」




志希「これからもプロデュースよろしくね!あたしに、あたし達に、もっともっと楽しいアイドルの世界を見せてよ!」

P「...ああ!勿論だ!」
581 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:21:15.96 ID:kBnx1UOd0
あの後、皆で色んな事を語り合って絆を再確認した私達は、翌日以降のロケにもかつて無い程の集中を持って臨んだ
自分にとっての『家族』を思い出した志希の演技は飛びぬけて輝いていて、それを間近で見ていた私達もそれに呼応するかのようにお互いを高め合っていった



そして最後のシーンの収録が終わったとき、私達は確信していた




この映画は、間違いなく大成功だと...
582 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:22:27.48 ID:kBnx1UOd0
P「えーというわけでこの一週間、みんなお疲れさま!」

奏「ええ、プロデューサーもね」

美嘉「アメリカともこれでお別れかー。寂しいけど、日本に帰って家族にロケの話いっぱいしたいって気持ちも大きいかな★」

フレデリカ「志希ちゃん、パパにまたねーって言ってこなくて大丈夫?」

志希「大丈夫、もう一杯話したし!...それにこれからは、アイドルのあたしを、ちゃんと見て貰えるって分かったから!」

P「オイオイお前ら、確かに明日の今頃には日本の地面を踏んでいるだろうが...今日が終わるのはまだ早いぞ?」

美嘉「どういうこと?」


周子「....あーそっか!まだ今夜は予定があったね♪」

奏「予定?」

P「ああ、アメリカ旅行最後のシメは...あの有名ホテルで記念パーティーだ!」

全員「!!」

P「他の事務所の人達もやってくるから、色んなアイドルと関わって、存分に楽しんで来い!」

周子「ご飯は?」

P「もちろんご馳走がたんまりと出る立食パーティーさ、たんまり食って来いよ」

周子「やった♪」








フレデリカ「タッパーで持って帰れないかなー?」

美嘉「空港で止められるかもしれないから止めときなよ...」
583 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:23:16.67 ID:kBnx1UOd0
奏「このホテルが、会場...?」

周子&美嘉「「で、でっかーー!!!」」

P「国内でもトップクラスのホテルらしいからな、流石金かかってるわー...」

フレデリカ「すごーい!ウチの事務所何個分かな?」

志希「ん〜...ざっと2桁後半は行くんじゃない?」

P「むしろウチどころか、010プロだってタジタジになるレベルのデカさだと思うぞ...」

 「まっ、今回企画に参加してる全ての事務所が集まるってのもそうだし、業界の重鎮達が集まって大事な商談やら意見交流をする場でもあるからな。こんぐらい豪華じゃないとダメなんだろうさ」

奏「交流ね...私達も色んな人達に顔を売っておいたほうがいいかもね。次の仕事につながるかもしれないし」

P「そういうこった、他のアイドルとも、映画業界の人達に話しておくのも悪くないと思うぞ」

 「まあ、折角だしイイもの食ったりおしゃべりしたりして楽しんでおけ」

周子「そういえば今回010プロも参加してるんだよね?てことはトラプリも...」

P「ああ、トラプリは010の映画の主演だったはずだ、きっと来てると思うぞ」

奏「あら、本当?」

周子「やった!久々に会いにいこーっと!」
584 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:24:19.92 ID:kBnx1UOd0
     ===========会場=================

P「じゃ、また後でな」

美嘉「プロデューサーはどうすんの?」

P「折角業界の偉い方々が大勢来てるんだ、プロデューサー兼社長として色々お話しに行っとかないとな」

奏「なら、頑張ってきてね」

P「ああ、んじゃ行ってくるわ」

フレデリカ「じゃああたし達も遊んでくる―!」ビューン

志希「あたしもあたしもー!」ビューン

美嘉「ちょっ、そんなに走ったらあぶないって!...行っちゃった」

周子「まあ大丈夫でしょ、あたし達も楽しもーや♪」

奏「ええ、折角のパーティーだもの。ここ一週間ロケで忙しかったし、偶には思いっきり羽を伸ばしましょ」

???「そうそう!折角の立食パーティだもん!楽しまないと損損!」




...?いま私達以外の声がしたような....
585 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:25:25.44 ID:kBnx1UOd0
奏「って貴方たちは!」


加蓮「やっほー!久しぶりだね811プロのみんな!」

凛「やっぱりみんな来てたんだね」

周子「加蓮ちゃん!それに凛ちゃんも!」

美嘉「...あれ?トラプリって3人組だよね?一人足りなくない?」

凛「ああ、奈緒ならあそこで固まってるよ」

周子「えっ?」


奈緒「すげぇ...本物のシュウコとカナデ総統と美嘉軍隊長だ!すげー!」

周子「いやそりゃ本物だけども...てか最近はあんまかち合う事なかったけどちょくちょくオーディションで対決しとるやん」


あの周子と加蓮のオーディションでの対決以来、私達とトライアドプリムスは多くのオーディションでぶつかり合ってきていた
お互い勝率は五分五分といったところだけど、トライアドプリムスとの戦いは勝っても負けても得るものが多くて、毎回貴重な経験を積むことができるのよね
586 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:27:14.08 ID:kBnx1UOd0
加蓮「いやーなんか最近奈緒ったら『銀河戦神シュウコ』に嵌っちゃったみたいでさ、DVDも全巻買っては一気見して翌日寝坊してきたこともあったし」

周子「奈緒ちゃん、ロボット物も守備範囲やったんやね」

奈緒「実はこの前の映画公開記念イベントも変装して行ったんだ...等身大FULL・ムーンに生の役者たち...めちゃくちゃ楽しかったよ!」

奏「ふふっ、ありがと!」

周子「てか来てたんなら言ってくれりゃよかったのに」

奈緒「そりゃダメだよ、他のファンもいっぱいいたんだしアタシだけ特別扱いしてもらうのも嫌だからさ」

美嘉「成程!アイドルとしてもファンとしてもプロなんだね奈緒ちゃん!」

奈緒「そういうこと!」
587 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:28:33.78 ID:kBnx1UOd0
凛「でも、私は美嘉に会えたのが一番うれしいかな」

美嘉「あたし?」

凛「私、美嘉を見てアイドルに憧れてこの業界に入ったの。その憧れはBランクになった今でも変わらない、美嘉は私の憧れなんだ」

奏「あら、気が合うわね」

周子「あたし達がアイドル目指すきっかけも美嘉ちゃんだったもんね」

美嘉「えへへ...なんか照れるなぁ」

加蓮「...ねぇ、あたし思うんだ」

  「もしこの先アイドルのてっぺんを狙う時、その時ぶつかるのはきっと811プロだろうなぁって」

奏「...ええ、私も、トライアドプリムスは最大のライバル、そう思っているわ」

加蓮「だよね!...だからお互い、ここからもっと上を目指そう!」
  「そしていつか、頂上で戦おう!」

凛「そうだね、その時は負けないよ」

美嘉「もちろん!折角みんなの憧れになれたんだもん!最高の舞台で、皆と踊りたいな★」

奈緒「あたしも、一緒に歩んできた凛と加蓮、そしてあたしに最高の夢を見せてくれてるあたし達のプロデューサーと一緒に頂点を目指す!」

周子「あたしも811プロの皆と、本気でトップを狙っていくよー♪」

トラプリ「だから」

811「だから」




全員「いつか頂上で戦おう!」
588 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:29:03.75 ID:kBnx1UOd0
加蓮「よし!じゃあシリアスなムードを出したところでパーティーに戻ろう!」

周子「さんせー♪おっ!あれ美味しそう!」

奈緒「ちょっと加蓮!お前さっきから脂っこいもん食い過ぎだぞ!?もっと栄養あるものをなぁ!?」

美嘉「周子ちゃん盛り過ぎだよ!食べられる分だけにしなって!」


奏&凛「...ふふっ!」
589 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:29:51.07 ID:kBnx1UOd0
美嘉ちゃんの忠告を無視して走ると、やっぱ危ないわけで
あたしは案の定前から歩いてきたにぶつかってしまうのでした



ドンッ!
男「ってえ!気を付けろ!」

志希「あっ!ごめんね?」


...あれ?
なんかこの顔、それにこの匂い、既視感があるような...
590 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:30:47.12 ID:kBnx1UOd0
志希「...ん?お兄さんどっかで会ったことある?」

男「!...気のせいだろう。んじゃ俺急いでるんで!」

志希「そうなの?じゃあねー!」


んー?まあ思いだせないって事は、大して興味深い人じゃなかったんだろう
...だと思うんだけど、なーんか引っかかるんだよねー


フレデリカ「志希ちゃん大丈夫?」

志希「全然大丈夫だよー!やっぱ美嘉ちゃんの言うことは聞いとくべきだったね」

フレデリカ「そうだねー、フレちゃん反省。ちょっとゆっくり歩こうか」

志希「そうだねー、じゃあ気を取り直して冒険に出掛けよー!」

フレデリカ「おー!...あれっ?早速お宝見つけたよ!」

志希「えっ、どれどれ...?」

フレデリカ「なんかのカードかなあ?よっと、カードは拾った!」

志希「これ、名刺だね。さっきの人が落としてったのかな。なになに...?」
591 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:31:15.21 ID:kBnx1UOd0




         阿苦都苦出版



592 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:31:53.77 ID:kBnx1UOd0
志希「阿苦都苦出版...?」

フレデリカ「さっきの人記者さんだったんだ!どうする?返しに行く?」

志希「....いや、貰っとこうよ!名刺だしもともと配るものでしょ!」

フレデリカ「それもそうだねー♪じゃあ次の目的地までレッツゴー!」

志希「おー♪」
593 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:39:27.86 ID:kBnx1UOd0
皆と一旦別れ、いろんな人と話しながらパーティーを楽しみながら歩いていると、プロデューサーさんが誰かと話しているのを見つけた

プロデューサーさん、随分親しく話してるみたいだけど、相手の男性は誰かしら?
結構年を取ってるように見えるし、映画業界のお偉いさんかしら?


奏「プロデューサーさん、お仕事は順調?」

P「奏か、まあぼちぼちってとこかな」

男性「確か君は....811プロの速水奏君だったかな?」

P「はい、ウチのエースなんです」

男性「そうか...P君、なかなか見る目がある様じゃないか」

P「そんな...ただ運が良かっただけですよ」


奏「それで、貴方は一体...?プロデューサーさんのお知り合いですか?」

男性「私かね?私は『891プロ』という事務所で社長をやっているものだよ」

奏「891プロって...えっ!あの891プロ!?」

P「ああ、アイドルだけじゃなく芸人、歌手、モデルと多くの芸能分野の最先端を行く、あの超大手芸能事務所の891プロだ」

 「アイドル部門以外での稼ぎも考えると、010プロの倍はでかい事務所だな」


奏「プロデューサーさん....そんな大きな事務所の社長さんとどんなご関係?」

P「んー...まあかつての仕事仲間で、恩人ってとこかな」

奏「恩人...?」

891社長「...おっとすまない!私は次の商談があるので失礼させてもらうよ。P君、またいつか会おう!」

P「はい!またいつかお会いしましょう!」





....プロデューサーって、何者?
594 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:40:28.81 ID:kBnx1UOd0
その後、それぞれでパーティーを楽しんだ私達はホテルへ戻った後、一週間たまりにたまった疲れ癒そうとすぐにベッドに沈んだ

そして翌日......


        ========空港============

全員「ただいまー!」

周子「いやー、とうとう帰ってきたねー日本」

フレデリカ「なんか今思うとあっという間だったねー♪」

志希「うん、たった一週間だったからね」

  「でも...すっごく面白い一週間だった!」

美嘉「ていうかあたし、調子に乗って家族へのお土産買いすぎちゃった★...重い」

奏「ちなみにプロデューサーさん、明日からの予定はどうなってるの?」

P「海外ロケ開けだからな、念のため明日から3日は全員オフにしてある」

 「だがオフが明けたら完成記念LIVEがあるからな、皆時差ボケとかしっかり治して、体調整えておくように」

全員「はーい!」

周子「なんかまとまった休みって久々な気がするね」

美嘉「それだけあたし達が成長してるって事だよ!」

奏「そうね、そして今回の映画出演でもっともっと、私達は階段を上ることができるはず」

 「これからもこの調子で、皆でアイドルという果てしない階段、駆け上がっていきましょう!」


周子美嘉志希フレ「「「「おー!!」」」」
595 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:41:05.19 ID:kBnx1UOd0
フレデリカ「そうだ!折角みんなお休み一緒なんだし、皆でどっか遊びに行こうよ!」

志希「さんせー!」

美嘉「じゃあ、この前渋谷の方に出来た新しいカフェとかいってみない?」

奏「ああ、あのプリンが美味しいって評判のとこね。いいんじゃない?」

周子「プロデューサーは?どっか行きたいとこある?」

P「えっ、俺?」

周子「だってプロデューサーも休みでしょ?なら一緒に行こうよ」

P「いやいや、俺はまだLIVEの打ち合わせとかその他諸々の仕事があるから休みじゃねえよ」

フレデリカ「えー!?」
596 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:42:05.30 ID:kBnx1UOd0
美嘉「どうしても駄目なの?偶にはしっかり休むことも大切だよ?」

P「ちゃんと休めるときにしっかり休んでるから大丈夫だよ」

 「それに、アイドルが集まって遊んでるとこに俺みたいなおっさんが混じって変な噂立てられても困るだろ?だから俺の事はいいから皆で楽しんできな」

周子「そっか...でも今度はPさんも一緒やからね?」

P「まあ、そのうちな」

奏「...なんか適当に誤魔化そうとしてない?」

P「気のせいだよ。んじゃお前ら、とりあえず今日は現地で解散ってことで、俺は用事あるから帰るわ」

 「お前らも気を付けて帰れよー!」

奏「..........」




....本当に、気のせいなのかしら...ね?
597 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:42:53.59 ID:kBnx1UOd0
         【速報!!】




奏「『イチノセ』め...やってくれたわね....」


iDOL MOVIE BIGBANG参加作品

奏「ミスティックエリクシル....あれは我が組織にとって『存在した』という痕跡すら残してはいけないものよ」

 「必ず、組織の総力を挙げて末梢せねばならない」

構成員「ボス!例のブツの手がかりが見つかりました!」

奏「...続けなさい」

構成員「はっ!戸籍を改変されていたので今まで発覚していなかったのですが、奴にはどうやら娘がいたようで!」

   「奴は生前、その娘に例のブツの手がかりらしきものを渡していたようです!」

奏「して、その娘の名は?」








志希「くしゅん!」

志希「んー、誰か志希ちゃんの事噂してる?」
598 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:43:31.96 ID:kBnx1UOd0
      811プロ総出演!!


黒服「イチノセシキだな?」

志希「あー、キミあんまいい匂いしないからデートの誘いならパスね」

黒服「...ついてきてもらおうか」

志希「きゃっ!ちょっと何なのさ!乱暴するようなら警察を」

黒服2「少し黙っていてもらおうか」ゴンッ

志希「ッ!.....」ガクッ

黒服「手間取らせてくれる...行くぞ」

黒服2「げへへ、これで俺たちも昇進間違いなしだな」





???「うーん?残念だけど解雇だと思うよ?」

黒服「なっ、だれd!」バキューン

黒服「」

黒服2「ア二キ!」

???「ごめんね?」ザシュッ

黒服2「がっ!そん、な...」ガクッ





???「あーあ、折角お気に入りの服だったのになー」
599 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:44:10.09 ID:kBnx1UOd0
志希「うーん...あれ、確かあたし殴られて...」

???「おはよー!」

志希「...キミ誰?」



一人の少女の平穏は今



???「というわけで!志希ちゃんはアタシが組を乗っ取るための人質になってもらいます!」

志希「人質!?ってかキミ誰!?」

???「アタシ?」
フレデリカ「アタシはフレデリカ!ふつーのギャングの女の子だよー♪」



イカれたギャングにより脆くも崩れ去る!



志希「ギャングはフツーじゃないでしょー!」
600 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:45:21.27 ID:kBnx1UOd0
美嘉「一ノ瀬志希さん、貴方は今この国最大のギャング『ヴァニタス・ファミリー』に狙われています」

フレデリカ「つまり志希ちゃんはあいつらにハチの巣にされるか、命がけであたし達の人質になるしか選択肢ないってワケ♪」

志希「ていうか警察のくせになんでギャングの仲間なの?」

美嘉「やむを得ない事情があるの!あたしだって嫌だよ!」

フレデリカ「つれないこと言わないでよー、あたし達の絆パワーは全米一でしょ?」

美嘉「あんたのせいでどんだけ痛い目見てきたと思ってんのさ!?ほんっとに不本意なんだから!...ッ!皆伏せて!」


ドカーン!!



少女を巡り暴走するギャングたち




黒服「『イチノセ』の娘を渡せ!」

美嘉「一ノ瀬さん、ここに隠れてて」

志希「でも!」

美嘉「大丈夫、あんなチンピラなんかには負けないから」



数十秒後

黒服の山 チーン

フレデリカ「お片付け終わり―!」

美嘉「アンタねぇ!あたしまで巻き込むところだったじゃん!」

フレデリカ「あははー!メンゴメンゴ!」

志希「ワーオ!...これ現実?」
601 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/01(月) 23:47:56.05 ID:kBnx1UOd0
周子「やめときや、こいつらはあんた達にゃ荷が重いて」

黒服「アンダーボス!」

志希「アンダーボスだって!?」

美嘉「『ヴァニタス・ファミリー』のナンバー2って事ね」

周子「シュウコ・シオミいいます、よろしゅーな♪」
  「ああ、別に覚えてくれなくてかまへんよ?あんた達はここで首と体がおさらばするんやし❤」





フレデリカ「あははっ!周子ちゃんすごーい!」

周子「せやろー?どうやらあんたもあたしと同類みたいやね」

美嘉「ちょっとフレちゃん!今はこいつと争ってる場合じゃないって!」

志希「まるで映画みたいだね、美嘉ちゃんポップコーン買ってきてー♪」

美嘉「あんたも呑気なこと言ってないで逃げるよ!」


そして少女は、自らの『運命』を知る

美嘉「一ノ瀬さん、よく聞いて...」

志希「えっ...」

       

志希「このまま終わりになんてしない。パパが私に命がけでつないだこの思い...絶対に守り抜く!」

  「お願いフレちゃん...力を貸して!」

フレデリカ「....うん!分かった!」
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