【モバマス】LiPPS「虹光の花束」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

823 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/04/08(月) 08:59:17.28 ID:eBl0UJeJo
>>821
今からでも誤字修正したりして少しずつあっちに投げてもいいと思うよ
824 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 19:53:28.93 ID:OvcuEMl00
>>822 ちゃんと次スレ建ててでも完結させる気なんで安心してください!私自身も消化不良で終わらせたくないので!

>>823 後から渋かハーメルンで修正版あげようとは考えています。ですが今はまだ最終話の原稿が書きあがってないので、まずそちらを優先して終わり次第ちょっとずつ修正版を上げていこうかなと思います


皆さまいつもこの作品を読んでいただき誠にありがとうございます
とりあえず間違いなくもう1スレ立てることになるので長くなりますが、完結までぜひ楽しんでいってください!

そんなわけでChapter17投下開始していきます
825 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 19:55:48.20 ID:OvcuEMl00
必ず、あの人に認めさせる
その決意を抱え、私達はレッスンルームの扉を開ける



ベテトレ「話は済んだか?」

奏「ええ、宣戦布告しておいたわ」

ベテトレ「そうか...なら、覚悟は出来ているな?」

全員「もちろん!」

ベテトレ「よろしい、なら始めるぞ!」
826 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 19:56:15.27 ID:OvcuEMl00




    Chapter17 「We are 」



827 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 19:58:22.43 ID:OvcuEMl00
ベテトレ「まず先に今回の目標となるオーディションを伝えておく」
    
ベテトレ「そのオーディションの名は...『歌姫楽園』」


フレデリカ「歌姫楽園?」

美嘉「毎年3月に行われる大きな番組のオーディションだよ、紅白と肩を並べるくらい大きな音楽の祭典」

周子「あー!毎年春休みにやってたアレか!」
  
周子「確かアイドル、ロックバンド、演歌歌手...それぞれのジャンルのスペシャリストが集まって歌うって番組!」

奏「そういえば...何度かテレビで見たことあるわね」

ベテトレ「そうだ、お前たちには今回その歌姫楽園の『アイドル枠』を勝ち取ってもらう」
    
ベテトレ「だが歌姫楽園に出演できるのは1ジャンルにそれぞれ一枠...当然その一枠を勝ち取るために多くのアイドルが集うだろう。厳しい戦いになることは間違いない」
828 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:01:30.41 ID:OvcuEMl00
志希「ちなみにー、目標を歌姫楽園にした理由は?Aランクに上がるために人気を上げるんなら、もっと広い範囲でオーディション受けていろんなとこに顔を広めた方がいいんじゃないの?」

ベテトレ「理由は二つ、まず一つはIGの参加条件である、『既定の特別オーディションの合格経験』を満たすためだ」
    
ベテトレ「IGに参加するには、アイドルランクがAかつIR(アイドルランク協会)が定めた特別なオーディションのいずれかに合格していなければならない。今日トラプリが合格したTOP×TOPもその特別オーディションの一つだ」

美嘉「でも、IR規定の特別オーディションってまだ他にもあるよね?」

ベテトレ「ああ、今からIGの締め切りまでの間にも『HIT−TV』や『カラフルメモリーズ』、『LONG TIME』といくつか特別オーディションは存在する」

周子「特別って言う割には結構多いね」

ベテトレ「実際そこまで数が絞られてるわけじゃない、今回のように多い月には3つ4つ開催されるときもある」
    
ベテトレ「...今思えば、IGが開催されるのが決まったからこそ今月と来月の特別オーディションの開催も多くなったんだろうな」


フレデリカ「でも、どれでもいいならいっそ全部出ちゃったほうがいいんじゃないの?」

ベテトレ「特別オーディションに合格する...ただそれだけなら良い。だが、もう一つの問題のせいで歌姫楽園に絞らざるを得ないんだ」

周子「もう一つの問題?」
829 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:04:00.95 ID:OvcuEMl00
ベテトレ「今回はさらに、Aランクの昇格も同時に行わなければならないからだ」
    
ベテトレ「アイドルランクの昇格には経験値...積んできたキャリアも重視される。早い話、時間をかけて経験を積んだアイドル程昇格しやすい。だが、お前たちは驚くべき速度でスピード出世してきた分、他のアイドルと比べて判断基準となるキャリアが少ない」

美嘉「でも、あたし達にはキャリアなんて積んでる時間ないよ?」

ベテトレ「ああ、だからこそ今日のトラプリのように『格』の違いを見せて勝たなければいけない。IRが一発で『もはやBランク出収まる器ではない』と判断するほど圧勝しなければならないんだ」
    
ベテトレ「歌姫楽園を選んだのは、単純に開催までに一番時間があるからだ。他のオーディションでも絶対に勝てないとは言わないが...」

奏「圧勝は厳しい...だからこそ少しでも確率を上げるために時間を費やすということね」

ベテトレ「ああ、だがそもそも勝利することが厳しいオーディションだ。IGへ滑り込む為のチャンスだから尚更な」

志希「IGに参加したいアイドル達が、皆全力で挑みに来るわけだからね。倍率とんでもないことになるのは確実な訳だ」

ベテトレ「その上で、お前たちは圧勝しなければならない。Pにも言われたと思うが...正直かなりの無茶、というより無謀に近い」
    

ベテトレ「もう一度聞くが....それでも、挑む覚悟はあるか?」
830 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:06:00.19 ID:OvcuEMl00
トレーナーさんの問いに、私達は顔を見合わせる
誰もが、同じ顔をしていた


覚悟は、もう、とっくに決まっていると!



奏「当然よ。私達全員IGに出場する為に、どんな困難だって立ち向かう覚悟はできてる」

ベテトレ「そうか...ならもはや何も言うまい」
    
ベテトレ「だが覚悟しておけ、ここから先のレッスンは楽しいなんて絶対に思えないきっと死んだ方がマシと思えるほどの苦難の道だ!それでも挑むと決めたのなら......絶対に、折れるんじゃないぞ!」
    
ベテトレ「...あのバカの為にもな」


『はい!』
831 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:08:13.66 ID:OvcuEMl00
....彼女達と喧嘩してから、一週間が過ぎた

奏達は目標にしている歌姫楽園の為のハードなレッスンをこなしつつ、今まで通りちゃんと仕事も行っている
だが、仕事の合間にレッスンをして、レッスンの合間に仕事をする。そんな過密スケジュールだ

...まるで、かつて美嘉がいた061プロのように



あんな事があった後だが、口を聞いてもらえないなんてことはなく、意外と皆ちゃんと俺と接してくれている

...ただ、今まで通りとはいえない


なんというか、皆俺と顔を合わせて話すことが少なくなっている気がする
どこか、今までより距離を感じるようになった



...いや、それも少し違うか


むしろあの子達は、今までこっそり俺が取り続けてきた距離を縮めるために俺に踏み込んできている
それなのに今までより距離を感じるのはのはきっと、俺自身があの子達を遠ざけているから
832 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:12:39.28 ID:OvcuEMl00
今さらになって、あの子達と向き合うのが一層怖くなった


目的の為ならなんだって投げ捨てる
あの時からずっと、その覚悟をちゃんと決めていたはずなのに

...今さらになって、迷いを感じてしまっている



...そして、今まで以上に自分自身に怒りを抱いている

『おいP。自分が支えなきゃいけないアイドルを心配させて、お前はなんて情けない奴なんだ』、と....


だが、それでも、俺の胸の中の黒い炎は消えてくれなかった

己のエゴに巻き込んでいるあの子達に、死ぬほど申し訳ないと思っていても
それが不可能だと分かった上で、それでも彼女達の輝きを見ていたい。その気持ちを強く抱いているとしても


それでも俺は、ただこの炎に我が身を委ね、身を焦がす事しかできないのだ......


ああ、こんな迷いを抱くならいっそ....









本当にあの時、何もかも壊れてしまえばよかったのに
833 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:15:07.32 ID:OvcuEMl00
翌日、奏が倒れたと電話があった
834 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:17:46.39 ID:OvcuEMl00
  =====病室=====


奏「ん.....」

P「起きたか」

奏「あら、プロデューサーさん...番組はどうなった?」

P「倒れたのが収録終わった後だったから、まあ何とかなったらしいよ」

奏「そう...良かった。収録中、意地でもここで倒れるわけにはいかないって思ってたけど、なんとか踏ん張りきれたようね」


P「途中でやばいって分かってたなら、なんで言わなかった!?」

奏「意地があるもの、アイドルとしての意地が。そして、アイドルの頂点を掴むという意思が」
 
奏「だからほら、倒れるわけにはいかないじゃない?」

P「だからって、馬鹿な事を...」

奏「あら?私は貴方が思っているより直情的...所謂馬鹿なのよ?貴方と同じでね」
835 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:19:25.19 ID:OvcuEMl00
P「...やっぱり、過労だそうだ」
 
P「そりゃそうだ、5人の中でもお前は特に無茶が目立ってた。ぶっ倒れるに決まってる」
 
P「一応、今日一日ちゃんと休めば大丈夫らしいが...」


奏「そう、なら今日一日は我慢するしかないわね」

P「....別に、一週間くらい休んでもいいんだぞ?というか俺はそうしてほしい」

奏「いいえ、一日で済むんなら一日で。というか、それ以上伸ばすんなら病室抜け出すわよ?」

P「それはマジでやめろよ...あらゆる方向に心配かけるから」

奏「なら、見逃すことね」


P「......お前、家に帰った後も練習を続けてたらしいじゃないか」

奏「それは他の皆も同じよ、私はちょっとやり過ぎてただけ」
 
奏「ちゃんとトレーナーさんは私達が倒れないように調整してくれていたわよ?自主練習のメニューも調整してくれてたけど私はそれを無視しただけよ」





P「...もう、やめろよ」

奏「.......」

P「もう、やめてくれよ...お前らが苦しむところを見ると、俺すっげぇ辛いんだよ...」
 
P「もう、無理しないでくれ...辛いなら、逃げたいなら、そうだって言ってくれ!」
836 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:19:54.11 ID:OvcuEMl00

奏「それは私達のセリフよ」
837 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:21:09.88 ID:OvcuEMl00
P「えっ?」


奏「大事な人が苦しんでいるのを見るのが辛い、それは私達も同じ。だからこそ、時折貴方が見せる苦悩が、それを一人で抱え込む姿を見るのが、いつも辛かった!」
 
奏「特に...iMB事件が起きてからはそんなあなたの姿を見るのが多くなっていたから...余計に辛かった」

P「奏...」

奏「分かる?貴方はその感情をいつも、私達に味合わせていたのよ。自分が痛めつけられるよりよっぽど辛い、そんな感情をね」
 

奏「それに...私言ったわよね?ちゃんとその目で見てろって」

P「ああ...すまないと思ってる、ちゃんとお前の体調に目を光らせておけば...」

奏「そうじゃないわよ。私達を見ていなかったってのはそういう事じゃない」

P「は....?」

奏「貴方は....」
838 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:23:03.31 ID:OvcuEMl00
その瞬間、ガララッと扉が開く音がした
空いた扉の先に立っていたのは...



美嘉「あれ、奏もう起きてたんだ」

奏「美嘉、お見舞いに来てくれたのね。でも予定は大丈夫なの?」

美嘉「うん、一発OKだしてきたからギリギリ時間開いたんだ」
  
美嘉「まあ、あんま長居は出来ないんだけどさ、みかんゼリーとか買ってきたから元気出してね★」

P「美嘉、ちょうど良かった。お前からも奏に休むよう伝えてくれないか?」
 
P「...どうも、俺が言うんじゃ逆効果みたいだしな」

美嘉「?....奏、休みたいの?」

奏「いえ、今日休めば大丈夫らしいしまた明日から復帰するつもりよ」



美嘉「じゃあいいじゃん、別に止めなくてもさ」

P「なっ!?」
839 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:24:18.02 ID:OvcuEMl00
美嘉「でも、また倒れるような無茶はしないでよ?ちゃんとトレーナーさんの組んだメニュー守ること!」

奏「ええ、流石にちょっと反省したわ...一日時間が無くなるペナルティを受けるくらいならちゃんと従った方がいいわね」

P「おいおい待てよ!」

美嘉「何?奏がそうしたいって言うならそうさせてあげた方がいいじゃん。お医者さんも一日休めば大丈夫って言ってたんでしょ?」

P「でも....美嘉、お前なら分かるだろ?今の状況はお前が061プロで受けた仕打ちと同じ、無茶に無茶を重ねてるだけ!これじゃアイドルを苦しんでやってた時と同じじゃないか...そうだろ!?」
 
P「もう...お前たちが苦しむ姿を見せないでくれよ...」

美嘉「プロデューサー....」







美嘉「やっぱり、あたし達の事ちゃんと見てないね?」

P「えっ....?」
840 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:26:46.02 ID:OvcuEMl00
美嘉「だって、061プロの時のと今は全然違うもん。同じに見えてるんなら、あたし達の事ちゃんと見えてない証拠だよ」

奏「プロデューサーさん、私達の事を見ていないってのはこういう事よ」
 
奏「だって私達は今誰一人、仕事でもレッスンでも苦しい顔は見せてないし、そもそも苦しいなんて事少しも思って無いもの」

P「そんな...だってあんなに!」


美嘉「そりゃあ疲れるしいつも以上にキツいのはキツいけどさ、あたし達それ以上に楽しんでるし、燃えてるんだよ」
 
美嘉 「ただただ事務所の悪意に流されてたあの時とは違う。今のあたしには追いかけたい夢と、その夢を目指して一緒に走ってる仲間がいるから。だからどんなに厳しい道でも、自分の夢を叶えるために走れている今は全然苦しくないんだ」 


奏「私たちだけじゃない、みんなそれぞれの目標の為に全力で走っている。だからこそ止まってなんていられない、止まりたくないわ」

P「なんで...なんだってそんな...一体何がお前たちをそこまで駆り立てるんだよ!」


美嘉「理由は...割と皆それぞれ違うんじゃない?」
  
美嘉「あたしは、あたし達がナンバーワンだって証明したいから!だからいつどんな時だって本気で挑むの!」

奏「私は、前にも言ったでしょ?貴方への復讐よ」
 
奏「復讐というか、魅了かしら?アイドルとしての頂に昇って、モノクロな世界しか知らなかった私にアイドルという煌びやかな夢を見せてくれた貴方に、心から言わせてやりたいのよ」
 






私を、アイドルにして良かった......と
841 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:29:09.13 ID:OvcuEMl00
P「お前ら...そんな事の為に」

奏「プロデューサーさんにとっては『そんな事』かもしれないわね」

美嘉「でも、あたし達にとってはそれだけで本気を出す理由になる。今を投げ出さない理由になる」
  
美嘉「だから、いい加減ちゃんとあたし達の事見てよね!」

P「美嘉...」


美嘉「って、そろそろ時間だ。じゃあ奏、ちゃんと体調直してね!」

奏「ええ、すぐに追いつくから待ってなさい」

奏「Pさんも、まだ仕事あるでしょう?私の事はいいから、こんなとこでサボってないで早くいきなさい。周子が事務仕事で忙殺されるわよ?」

P「お、おう....じゃあ、またな」
842 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:31:35.26 ID:OvcuEMl00
P「............」
 
P「俺は........」



俺は、どうしたら.....
843 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:33:30.95 ID:OvcuEMl00
奏の病室を後にした俺は、ある人に会うために010プロの事務所へと足を運んでいた


結局、今でも頭の中で色んな感情が暴れまわって、どうしたらいいのか分からなくなってる

俺はあの子達の為にどうしてやればいいのか、プロデューサーとして未熟な俺は、それが分からなくなっていて


だから、あの人に会いにきた。俺が迷った時、いつも手を取って導いてくれたあの人に




P「.......さん、久しぶりですね」


???「そうね.....こうしてちゃんと話すのは、随分無かったわね」
   
???「それで?何があったの?」
844 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:36:33.41 ID:OvcuEMl00
???「成程...そんな事が」


P「俺はずっと、あの子達には...『あの子』の事件の情報を手に入れられるようになるくらいまで有力なアイドルになってくれれば、それでいい」
 
P「その後は...『あの子』のように潰れないように、立ち止まったっていい、むしろそうしてほしかった」
 
P「全てが終わった後、きっと俺はもう皆の隣にはいられないから」

???「.....」


P「でも、今のあの子達を見て...いや、もしかしたらもっと前から、デュアルフルムーンの初めてのオーディションを見た時からそうだったのかもしれません」
 
P「この子達がトップアイドルになる、その瞬間を見たいという気持ちが芽生えてしまった...それがダメなことだと分かっているのに、俺は本当の意味であの子達のプロデューサーになりたいと願ってしまっている!」
 
P「矛盾した感情が胸の中でないまぜになって...身体がはじけ飛びそうなんです...だから、貴方をもう一度頼りにきたんです。いつも俺を支えてくれた貴方なら、この胸の痛みをどうにかしてくれるんじゃないかって...

P「情けないってのは分かっているけど、自分じゃどうしようもないんです!」


P「だから、教えてください...俺は、どうすればいいんですか...あの子達のプロデューサーとして、何をしてやれるんですか!?」

P「お願いします.......どうか、もう一度だけ力を貸してください!」












P「プロデューサー!!!」
845 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:38:24.93 ID:OvcuEMl00
???「そっか、また私をプロデューサーと呼んでくれるのね...」
   
???「なら、私もしっかり答えてあげないとね!」





ちひろ「891プロが誇る大物歌手『Q』、いや.....他ならぬP君のプロデューサー、千川ちひろとして!」
846 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:41:12.42 ID:OvcuEMl00
P「プロデューサー...!」

ちひろ「じゃあ、もう直球で言わせてもらうわね」


ちひろ「.......逃げるなッ!!」
   
P「ッ!?」


ちひろ「まず、自分自身としっかり向き合いなさい、どんな人間だろうと、自分自身から逃げている内は、何も出来ない」

P「向き合う...自分自身と?」
847 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:44:08.48 ID:OvcuEMl00
ちひろ「貴方は未だに、自分自身を許せていない。それこそ『あの子』を陥れた犯人以上に、貴方は自分自身を恨んでいる。そうやって自分への恨みに縛られて、前を見ることができていない。貴方の時間はずっとあの時から止まったまま」
   
ちひろ「そして自分自身と向き合えていないからこそ、奏ちゃん達に『あの子』の影を被せてしまう。だから自分だけでなく、あの子達と向き合うこともできない。それじゃあいつまでも、本当の意味で奏ちゃん達のプロデューサーにはなれませんよ。」
  
ちひろ 「覚えておいて。人間、一番立ち向かわなきゃいけないものはいつだって自分自身。何度も自分自身に立ち向かうことで、少しずつみんな成長していくの」

P「......」


ちひろ「失った事を嘆くのでなくて、失ってから得たものの事を考えるの。そして、得たものを守るために、何ができるのかを考えなさい。貴方にはまだ、あの子達の為にやれることがあるでしょう?」
   
ちひろ「あの子達が挑むものが歌姫楽園だって言うなら、それこそ貴方だからこそできることが残っているはずよ」
   

P「俺だからこそやれること...まさか」



ちひろ「P、貴方は歌を失ったわけじゃない。ただ自分を鎖で縛り付けた時に、一緒に封じてしまっただけ」
   
ちひろ「きっと今が、その鎖を解く時よ」
848 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:45:29.14 ID:OvcuEMl00
P「..........ありがとう」

ちひろ「.....P君、私はいつまでも貴方のプロデューサーを辞めるつもりはないわ。だから...私に、貴方が見た夢の先を、もう一度見せてちょうだい」
   
ちひろ「自分の担当が自分自身の夢を描けることが、私達プロデューサーとって最高の幸せなんだから...」
849 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:46:27.04 ID:OvcuEMl00
〜〜〜〜翌日、811プロレッスン場〜〜〜〜〜


周子「奏、大丈夫なん?」

奏「ええ、安心してちょうだい」


ベテトレ「だが速水、次勝手にオーバーワークで倒れたら...覚悟しておくように」

志希「奏ちゃん、気を付けた方がいいよ。あれマジのときの目だ!」

フレデリカ「奏ちゃんもあの説教受けたら、811プロで未経験なの美嘉ちゃんだけになっちゃうね」

美嘉「なんかそう言われると、あたしもちょっと受けてみたいような気も...怖いもの見たさってやつ?」

周子「やめとき」

美嘉「えっ?」


周子「マジで、やめとき」(真顔)

美嘉「う、うん...」(周子がここまで怖がるほどなの...?)
850 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:47:33.23 ID:OvcuEMl00
ベテトレ「あー、それと一つ知らせておく事がある。今日からボーカルレッスンだけ担当が私から変更になった」

奏「このタイミングで変更?」

ベテトレ「ああ、だが安心しろ。新しい担当はボーカルレッスンだけなら間違いなく私を超える...いや、私だけじゃない。私の姉を越えるほどの腕だ.....まあ、歌以外はへっぽこだからダンスとヴィジュアルは今まで通り私がやるがな」
    
ベテトレ「ただしその分、歌に関しては私よりうるさいし、私より圧倒的に厳しいから覚悟を決めろよ?」


周子「青木さんのお姉さんって、伝説のトレーナーって呼ばれてる人だよね?それよりすごい人って、いったい誰?」

ベテトレ「お前らもよく知る奴だよ」

周子「えっ?」

ベテトレ「入って来い!」







〜♪〜〜〜♪〜〜♪〜〜♪〜〜.....
851 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:48:42.60 ID:OvcuEMl00
その歌声が耳に入った瞬間、私達は一瞬にしてその歌の世界に引きずり込まれた


今まで聞いたことがない程、心地よい歌声
でも不思議なことに、聞いたことがない歌声のはずなのに、なぜだかとても聞きなれた声のような気がした


歌声とともに、どんどん足音も近づいてくる
ドアの前にたどり着いた足音がドアノブをひねる音に変わったとき、私達は歌声の正体を知った
852 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:49:21.07 ID:OvcuEMl00
P「....待たせちまったな、お前ら」
853 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:51:02.32 ID:OvcuEMl00
奏「プロデューサー、さん?」
 

P「お前たちの為に何をしてやれるか必死に考えてさ...でも結局最後に残ったのは、あの時捨てたはずの、コレだけだったよ」
 
P「だから、取り戻してきたんだ。自分のルーツを」


ベテトレ「...もう、大丈夫なんだな?」

P「いやー、正直まだ完全に吹っ切ることは出来てません。今でも、歌う事を怖がってる自分、歌う事を咎める自分がいます。けど、皆が頑張ってるのをただ眺めるだけなのは、それ以上に嫌ですから」
 
P「だから...胸の黒い炎が消えないとしても、今だけは俺が皆の為に、皆のプロデューサーとしてできることを精一杯やる。そう決めたんです!だから!」
854 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:52:07.33 ID:OvcuEMl00
P「お前らの事を信じてなかった俺が、今更こんなこと言えた義理じゃないけどさ...」
 
P「俺が持ってる武器は全部くれてやる、少しづつでも自分と、お前たちと、ちゃんと向き合えるようにする!だから!」
 
 






俺を信じてくれ!!!
855 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:53:04.56 ID:OvcuEMl00
『もちろん!!』
856 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:53:44.73 ID:OvcuEMl00
P「皆...ありがとう」


P「よし!じゃあ今回の811プロの目標を発表する!まずは歌姫楽園、そして圧勝だ!」

P 「そして....」








『めざせ、トップアイドル!!』
857 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:55:27.78 ID:OvcuEMl00
P「まずお前らにはそもそもの基礎が足りてない!圧倒的な技術ってのは、まず圧倒的な基礎あっての物だ!基礎を極めてこその一流だ!」
 
P「だからまず、一週間で基礎を極めてもらう、いいな!?」


『はい!』





数時間後,,,,


全員「」チーン

ベテトレ「見事に死体の山だな.....」
858 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:56:49.22 ID:OvcuEMl00
フレデリカ「ほ、ホントにトレーナーさんよりきつかったよー...」

P「だが、思った以上に皆飲み込みが早い。もしかしたら一週間かからずに次のステップへ進めるかもな」

奏「確かに、自分の課題点がハッキリとわかって...それを乗り越えるための力が付いてくのも感じて...」

美嘉「すごい、昨日までの自分から成長した気がするね...」


周子「ていうかプロデューサーさん、歌凄い美味いし、教えるのも凄い上手いね」
  
周子「もしかして...前職はトレーナーだったの?」

P「いや、歌手だ」

『歌手!?』
859 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:58:18.84 ID:OvcuEMl00
周子「でも、Pなんて名前の歌手聞いたことないよ!?」

P「そりゃあ現役の時は芸名でやってたからな、本名の方はあんま広まってなかったと思うよ」
 
P「『Q』って名前でやってたんだけど、知ってるか?」

奏「Qって...えっ!?」

美嘉「あの『Q』!?○○とか、△△とか歌ったあの!?」

P「ああ、そのQだ」

志希「それ、あたしもアメリカにいた時に聞いたことある!」

フレデリカ「てことは、プロデューサーって実は世界レベル?」

P「あー、なんかアメリカとかヨーロッパとか、あの辺で歌ったことはあるな」



『Q』...私も知っている程の...いや、そもそもこの国で知らない人を探す方が難しいレベルで人気だった幻の歌手...


でもそんな人気絶頂だったさなか、ある日突然『Q』は、ぱったりと活動を辞めて失踪した

そんな幻の歌手の正体が、プロデューサーさん?


でもそれなら、一体なぜ...
860 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 20:59:55.94 ID:OvcuEMl00
奏「なんで、歌手を辞めてしまったの?」

P「それは...そうだな、お前らが無事Aランクに上がれたら話す。そういうことで」

周子「ってそこ焦らすんかーい!」

フレデリカ「ぶーぶー!アタシ達の事信じてくれたんじゃないのー?」


P「もちろん信じてるさ、それは嘘じゃない。だが...これについて話すのは、少し心の準備をする時間をくれないか?」
 
P「やっぱりまだ、完全に吹っ切ることができてるわけじゃないからさ、それに...」

周子「それに?」

P「そういう飴があった方が、やる気出るだろ?」

奏「...そうね。そういう『ご褒美』があるって思えば、俄然燃えてくるわ」

 
奏「なら約束よ、私達がAランクに昇ったときは、その時は必ず話して。貴方の抱えてきたもの、全部。私達も、それを全部受け止めると約束するから」
 
P「ああ、約束する。必ず全部、お前たちに打ち明ける」
861 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 21:03:33.77 ID:OvcuEMl00
ベテトレ「オホン!....大事な話のところ悪いが、そろそろ次のレッスンへ移るぞ」

志希「あーそうか...まだヴィジュアルとダンスのレッスンあるんだった」

美嘉「そうじゃん....ボーカルだけで3つのレッスン全部やったくらいに疲れてたから忘れてたよ」

P「どうした?疲れたんならもう辞めとくか?」


美嘉「...まさか!むしろ、今の話聞いて更に燃えてきたよ」

志希「あたしの知的好奇心はいつだってフルスロットル!キミという未知を解き明かす為には、失踪してる場合じゃないよね」

周子「そーやねぇ...なにより、目標に向けてどんどん突き進めている今が楽しいし!」

フレデリカ「アタシ達みんなの力でファンの皆をもっともっと笑顔にできるとこ想像できてて、すっごく嬉しい!」


奏「プロデューサーさん、ちゃんと見ていてね?」
 
奏「あなたが育てたアイドル達が、蛹から蝶へと生まれ変わる所を!」

P「ああ...今度こそ....」





お前たちが歩く道の先を、ちゃんと、この目で見届けよう....
862 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 21:04:02.89 ID:OvcuEMl00
〜〜〜〜〜翌日〜〜〜〜〜〜


奏「どうかしら?期待してた結果は?」

P「いや、確かに一週間かからずに次へ行けるかもとは言ったが...」
 

 


P「まさか、一日で全員マスターするとはな...」
863 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 21:06:24.19 ID:OvcuEMl00
ベテトレ「どうやら、随分とやる気の出る飴だったみたいだな?お前の秘密は」

P「そのようですね....本当に俺は、お前たちを舐め過ぎていたらしい」

美嘉「へへーん!どんなもんよっ!ナンバーワン目指すんだから、これくらいちゃちゃっとできないとねっ★」

奏「分かったでしょ?私達の実力は、貴方が思っていたほど低くないってこと。それこそ、頂上を掴む程の力がるって事をね」 

P「面白い...じゃあもっとペース上げていくぞ!お前ら、振り落とされんなよ!」

『応ッ!』
864 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 21:07:45.02 ID:OvcuEMl00
〜〜〜〜さらに数日後〜〜〜〜〜


ベテトレ「やはり、彼女たちはとんでもない逸材だったな。あの子達をスカウトしたお前と、あの子達に可能性を見出した私達の目に狂いは無かった」

P「ええ、まさかここまでのスピードで与える技術をモノにしていくとは.....」

ベテトレ「このままのペースで行けばオーディション合格は十分狙える所まではいくだろう。だが、圧勝するにはもう一押し欲しいところだ」

P「その事なんですが、実はずっと考えていたことがります」

ベテトレ「ほう、その考えとは一体?」

P「今まであの子達を見ていて、ずっと思っていたんですよ。この子達全員でユニットを組めば、最強のアイドルユニットが誕生するんじゃないかって」
 
P「企画草案も書いてはいたんです。ただ...」

ベテトレ「実際にそのユニットを見てしまったら、復讐心が揺らぐと考えたか?」


P「...やっぱ俺って、分かりやすいですかね?」

ベテトレ「当然だ、特に私は付き合いだけで言ったらあの子達より長いんだ。あの子達でも気づくようなことに気づけないはずがないだろう」

P「ははは...まあ、そうです。もしこのユニットが結成されるところを見てしまえば、俺は復讐よりも、あの子達を選んでしまうんじゃないかと思って...」
 
P「でも、もういいんです。今はただ、あの子達が最高に輝いている瞬間を見たいから」

ベテトレ「そうか...それで?お前にそこまで言わせるほどのアイドルユニット、その名前は?」
865 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 21:08:17.00 ID:OvcuEMl00
....『LiPPS』
866 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 21:10:08.48 ID:OvcuEMl00
そして、過酷で充実した時間はどんどん過ぎていき...

ついに、歌姫楽園のオーディションの開催日がやって来た




奏「ついに、この日が来たわね」

美嘉「長いようで、あっという間だったねー」

P「ああ、お前らよくここまで頑張った。あとは本番で持てる力全部出し切るだけ」
 
P「そして...今回は811プロの新ユニットのお披露目でもある、あらゆる意味で大事な一戦だ」

フレデリカ「じゃあここで、プロデューサーのありがたい一言をどうぞ!」

P「えっ、いきなりっすかフレデリカさん」

志希「ほらほらー、決戦に向かう女の子達の背中、押してあげてー?」


P「えーっと、急に何か言えって言われても...まあ、これだけは言っておかなきゃな」
 
P「このオーディションは、いわばIGへたどり着くための最後の切符、どのアイドル達も全力でこの切符をつかみに来るだろう。決して楽な戦いにはならない事は確かだ」
 
P「だからこそ忘れるな、811プロの社訓を!全力でアイドルを楽しむ!それさえ忘れなければ、きっと勝てる!」
867 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 21:11:29.23 ID:OvcuEMl00
周子「アイドルを全力で楽しむ...そうだね、あたし達はいつだってそうやって進んできた」

フレデリカ「だいじょーぶ!だってみんな一緒なんだもん!絶対、楽しいステージになるよ♪」

美嘉「そうだ皆!円陣組まない?こういう時のお決まりでしょっ★」

志希「いいねー!やろやろー!」

美嘉「よし、じゃあみんな肩組んで―!ほら、プロデューサーも!」

P「俺も?」

美嘉「もちろん!だって、プロデューサーもいてこその『LiPPS』だもん!」

周子「ほらほら、おいでよPさん。今なら両手に花だよー?」

P「おう、じゃあ遠慮なく...」



プロデューサーさんも輪に入り、全員で肩を組む



P「じゃあリーダー、号令頼むぞ」

奏「ええ、それじゃあ行くわよ...」



奏「811プロー!!ファイト―!!!」

『オー!!!』
868 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 21:12:06.00 ID:OvcuEMl00



Chapter17 「We are LiPPS!」



869 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 21:13:59.44 ID:OvcuEMl00
特別オーディションというだけあって、歌姫楽園のオーディションは通常のオーディションとは違うルールを採用している



まず違うのが、審査は一度きりということ

通常は3回審査があるので審査の合間に審査員の傾向や他の参加者を見て対策を取るということが可能だが、今回はそれが出来ない
星も最後にまとめて計45個が振り分けられる




もう一つは、通常のオーディションでは複数のユニットが同時に審査を行うところ、今回は1ユニットずつ個別で審査される事

そして最後は、実際に番組が収録されるドームで、観客席に座った審査員に一曲丸々披露する
しかも審査員の座る場所は固まっておらずその都度バラバラだ

ドームのどこから見ても人の目を引き付けることができるかを見る為に、あえてばらけて座っているらしい
近くの観客だけではない。端の方から見る観客、2階席にいる観客、あらゆる場所から見ても映えるアイドルがこのオーディションに合格できるのだ





だが、環境が違うからと言って調子を狂わせるアイドルは、ただの一人もいなかった
870 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 21:16:03.82 ID:OvcuEMl00
P「やっぱりどこも完成度が高い...流石に、簡単には勝たせてくれないよな」
 

P「.....だが!」

奏「私たちならやれる、でしょ?」

P「ああ!俺は無茶振りはしても無理な事は言わないからな!」



スタッフ「すいませーん、そろそろ準備の方お願いしまーす」

P「.....出番が来たみたいだな。それじゃお前ら、楽しんでおいで」

美嘉「うん、行ってくるねプロデューサー!」

周子「かるーく、大成功させとこー♪」

フレデリカ「会場にいる人みーんな、笑顔にしてくるね♪」

志希「飛び込んでくるよ、未知の世界!」



奏「プロデューサーさん、行ってきます!」

P「ああ......」  





行ってらっしゃい...
871 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 21:17:11.90 ID:OvcuEMl00
LiPPSの皆がステージに並んだ
スポットライトが、彼女達を照らし出す

後数秒で、曲がスタートする

3、2、1...

















カウントダウンが終わったその瞬間
ドームという名の世界に、一瞬にして革命が起きた


その瞬間を、この世界があの子達を中心に回る瞬間を

俺は今度こそ、この目に焼き付けた......
872 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 21:17:57.69 ID:OvcuEMl00
1位 LiPPS  ★×45 811プロ
873 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 21:18:55.38 ID:OvcuEMl00
========翌日、焼肉屋=========


P「えーそれでは歌姫楽園完全勝利、及びLiPPS全員のAランク昇格にー!」

全員「かんぱーい!」


ベテトレ「お前ら、本当によく頑張った!!」

早苗「みんな、おめでと―!」









P「....ん?待って待って待って」
874 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 21:20:48.30 ID:OvcuEMl00
早苗「どうしたのP君?」

P「青木さんはともかく、何で片桐さんまでいるんですか!?」

美嘉「いや入る前に気付こうよ...」

志希「なんかさりげなーく溶け込んできてたよね早苗さん」

早苗「いいじゃない!めでたいことは皆で祝うものよ!」
  
早苗「それに、奢りで飲むビールほどおいしいものはないからね!」

P「いや、片桐さんは自分で払って下さいよ...」

早苗「えー!ひどいひどい!もっと年長物を敬いなさい!逮捕するわよ!」

ベテトレ「まあまあ早苗、今回はPも頑張ったわけだし、偶には遠慮しておいてやれ」

P「いや青木さんも自腹ですからね」

ベテトレ「なんだと!?」

P「当たり前です!担当の子にしか奢るつもりありまっせんよ!
 
P「ていうかあんたらもいい歳した大人なんですから、年下に奢られようとしないでください!」

ベテトレ「宮本だって成人してるじゃないか!」

P「フレデリカは担当アイドルなんだからいいんです!」

フレデリカ「プロデューサー、ゴチになりまーす♪」
875 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 21:22:37.03 ID:OvcuEMl00
周子「いやーそれにしても我ながら最高の出来だったねー♪」

志希「ホント!あたしあんな感覚今まで味わったことなかったよ!もう一回やりたいなー!」

美嘉「きっと、IGでまた出来るよっ★」
  
美嘉「それにしても、IRから通達来るの早かった。まさかオーディションの翌日すぐ来るなんて」

P「それだけ昨日のオーディションの結果が評価されたって事だ、まあIGの参加資格という側面もあっただろうがな」

P「まあとにかく、これでお前たちは全員IGにエントリーができるようになったわけだ。ていうか通達着た後即エントリーしといた」

周子「仕事が早いねーPさん」

P「もっと褒めてくれていいんだぞ?」

ベテトレ「早い男は嫌われるぞ」

P「上げて落とされた!」

周子「奢りじゃなくなったから拗ねてるね.....」
876 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 21:23:52.40 ID:OvcuEMl00
奏「それでPさん、約束、覚えてるわよね?」

早苗&ベテトレ「!」



P「...ああ、覚えてる」

早苗「P君、ほんとにもう大丈夫なの?」

P「はい...もう覚悟は決めてきました。ちゃんとみんなに話したい、俺がなぜプロデューサーになったのかを」

奏「.......聞かせて」



P「あれは、今から3年くらい前の話....俺がまだ現役だったころの話だ」
877 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/08(月) 21:24:52.75 ID:OvcuEMl00
目の前に広がるのは、赤い、赤い海

でもこれはきっと、血なんかじゃない
横たわっているひしゃげた肉の塊も、きっと俺の知るあの子とは別のナニかだ

だって、さっきまで俺はあの子と話していたはずだから、これがあの子の死体であるはずがないじゃないか


だから、だから










夢なら、醒めてくれ....!







to be continued....
878 : ◆FuHrdA/9sY [saga sage]:2019/04/08(月) 21:30:50.34 ID:OvcuEMl00
Chapter17が終了したところで、今回はここまで―。Pの現役時代の芸名は、P→p→q→『Q』って感じのノリです

ちひろさんって折角公式でコスプレが趣味って美味しい設定があるのに、なんで二次創作で拾われることが少ないんでしょうか?

なおPが3年前と言っていますが、一話の時点から劇中で既に一年近くが経過しているので、正確には物語開始直後から約2年前となります。


次回はChapter18ではなく、Chapter0になります。そして次回でちょうど話の区切りがいい所まで行くので、そこで次スレに移行しようと思います
879 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:29:15.00 ID:K6AtmFbL0
Chapter0 投下開始していきます

今回はPの過去話なので、LiPPSの出番がもの凄く少ないです
880 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:30:17.19 ID:K6AtmFbL0
〜〜〜〜3年前〜〜〜〜



P「あー....めっちゃ疲れた.....まあ、割と楽しかったかけど」


数年前、まだ高校生だった俺をとあるおっちゃん......891プロの社長が見つけてくれた
以来、俺はプロデューサーであるちひろさんや、屋久井のおっちゃんのサポートを受けながら歌手を続けてきた


そんな感じで歌手を続けて現在、人気のほどは...自分でいうのもなんだがかなりのもんだと思う。
891プロ歌手部門の、今最も推すべき歌手.......らしい。おっちゃんがそう言ってた

まあなんにせよ、売れっ子であろうがなかろうが、俺としては歌って飯が食えるなら何でもいいのだが

そんな感じで、普段は芸名の『Q』として活動していた俺は、大好きな歌を歌って多くの人を楽しませて自分も笑顔になる。そんな幸せで充実した人生を過ごしていた...のだが


P「流石に最近忙しすぎるよなー...今日の帰りもこんな夜になっちゃったよ.....まあでも、おっちゃんとプロデューサーのおかげで明日からしばらく休みになったし、久々に羽を伸ばすとするか!カラオケとか!」

P「でも今夜はその前に...いつものいっとくとするかねぇ!」
881 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:32:03.37 ID:K6AtmFbL0




     Chapter0 「Bad End Nightmare」



882 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:32:46.84 ID:K6AtmFbL0
ここ最近、俺はいつも日課にしていることがある
仕事終わりの夜、自販機で缶コーヒーを買い、家の近くの公園のベンチに座って月を見上げながら飲む
月見酒ならぬ、月見コーヒーというやつだ


P「こんなきれいな満月で飲まないってのは嘘だよな」


缶のプルタブを開け、唇に傾ける
たかが缶コーヒーでも、少しづつ味わって飲むのが楽しむコツだ


P「ん〜!高いコーヒーも色々飲んだけど、やっぱこの缶コーヒーが一番うめぇ!」


一人で月を眺めてコーヒーを煽る、そんな1日を締めくくる安らぎの時間をいつも通り過ごす
...はずだったのだが、今日は少しいつもとは違った







P(ん...?誰か来た?)


静まり返った夜の公園に、イヤホンを付けた少女がやってきたのだ
少女はベンチの俺に気づかず、公園の中心地まで歩いていく
883 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:33:13.79 ID:K6AtmFbL0
P(女の子がこんな夜中に何で一人で公園なんか来てんだ?)


当の昔に成人した大人も来る場所ではないということは棚に上げつつ、珍しい来訪者を観察してみる


P(手に持ってるのは...なんかの木の棒?...ははーん、なるほどねぇ。)


サイズと握り方的にあの棒はマイク代わり
それを持って公園に来たということは、当然歌いに来たということだろう

見たとこと中高生っぽいし、いちいちカラオケに行くのも金銭的に厳しいのかもしれない


P(折角だし、お手並み拝見させてもらうか...)
















少女「ボエエエエエエエエエエエエ!!!!!」

P(!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?)
884 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:34:04.58 ID:K6AtmFbL0
なんじゃこりゃ!?み、耳が爆発しそうだ!!

P(ば、爆音痴じゃねえか!!)

少女「ボエエエエエエエエエエエエエ!!!」

P(お、俺の憩いの場所を潰されるわけには....)

止めに行きたい...けど、気持ちよく歌ってる女の子を止めるのは心が痛む...

てか、そもそもあまりの音波に身動きが取れねぇ!
このまま一曲終わるまで待つしかないな....

P(うごごごごごごごごご......)
885 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:35:32.99 ID:K6AtmFbL0
数分後、歌い終えたらしく少女から発せられる爆音波は止んだ

P(ま、まだ耳がピリピリする....)

1曲で満足したのか、それとも流石に遅い時間だから長居する気がないのか、少女は出口の方へ振り返っ....


少女「.....!」


た時に、思いっきり目があってしまった...



こちらに気づいた少女は、とてとてとこちらに駆け寄ってきた

少女「あの!」

P「えっ、あっ、な、何かな?」

少女「私の歌聞いてましたよね!どうでした!?」

P「どうって、感想?」

少女「はい!率直にお願いします!」


...これは、どう答えてあげればいいんだろうか

正直に『とても聞けたもんじゃない』って言う?いやそれはちょっと可哀想じゃないか?
じゃあ『良かったよ』って誤魔化す?でも率直にって言われたし、何より俺は嘘つくのヘタだからすぐにばれて逆に傷つけてしまうかも.....
無視してさっさと帰るという手は.....いやそれは感じ悪すぎるだろ!

頭の中で延々と悩みぬいた挙句、俺が出した答えは...


P「あ、あんまり上手くなかったかなぁ、あはは....」





ごめんなさい、名前も知らない少女よ..........
886 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:36:18.70 ID:K6AtmFbL0
少女「やっぱり、そうなんですね...」

P「えっ?」

少女「私、いつも歌がヘタクソって駄目出しされて、養成所のトレーナーさん達にも見放されて......青木さんは諦めずに頑張って教えてくれるけど...このままじゃ...」

P「養成所って...なんの?」

少女「アイドルです。あたし、アイドルになるのが夢なんです。でも、両親には猛反対されて、それでも説得し続けてようやく掴んだチャンスなのに...」

P「チャンス?」

少女「1年間東京の養成所に通う事を許してもらったんです、でも代わりにそ、の間にデビューできる目途が立たなかったらアイドルになるのを諦めるって条件なんです」

少女「だけど、もう後半年しか期間がなくて...」

P「ふーん...」


確かに、アイドルはなろうと思ってなれるほど甘い職業じゃないだろう

生まれ持った才能もいるし、過酷なレッスンをこなさないといけない。それでも売れなきゃ収入なんてないし、テレビに出れるようなアイドルなんてほんの一握りだ

確かに、親に反対されるのも無理は無いな...



少女「だから、今日からここで毎晩練習しようと思うんです!」

P(なんですと!?)
887 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:37:19.34 ID:K6AtmFbL0
そ、それは困る!
折角見つけた俺の憩いの場所なのに、あんな爆音波毎回聞かされてたら溜まったもんじゃないぞ!

ど、どうしよう...そうだ!


P「あーお嬢ちゃん、今から俺がいう事を意識してもう一度歌ってみてくれないか?」

少女「はい!なんでしょうか!?」

P「まず呼吸をな....」

少女「ふむふむ...分かりました、やってみます!」



数分後...



少女「すごい...人生で一番いい出来です!」

P「そ、そうか。それなら良かった」


確かに上達したな...核弾頭レベルの爆音波が、戦闘機レベルの音波になったくらいには

だが、まだまだ人に聞かせるには果てしなく遠い...このままじゃ結局俺の月見コーヒーの未来はない...
何としてでもこの音波兵器を人間に改造しなければ...
888 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:37:51.36 ID:K6AtmFbL0
P「なぁお嬢ちゃん、君さえ良ければ『師匠!』」
 
P「...へっ?」

少女「師匠!どうか私に歌を教えてください!」

P「えっ!?」

少女「お願いします!私どうしてもアイドルになりたいんです!どうか!」

P「えっ、ああ、うん!こっちこそよろしく!」

少女「本当ですか!?ありがとうございます師匠!」


P(まあ、元よりそのつもりだったし、別にいいか...)





こうして、歌手の俺とアイドル志望の少女の特訓の日々が始まるのだった...
...また忙しくなりそうだなぁ
889 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:38:21.33 ID:K6AtmFbL0
奏「夜の公園で缶コーヒー....プロデューサーさん、意外とクールな趣味があったのね」

周子「確かにプロデューサーさん、良くコーヒー飲んでるもんね。偶に調味料もらいに家に入る時も、やったらコーヒー豆多く出てくるし」

P「......周子、もしかして最近妙に醤油の減りが早いのって」

周子「気のせいじゃない?そんな事より続き、早く早く―♪」
890 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:39:10.56 ID:K6AtmFbL0
次の日、ちょうど休みを貰っていた俺は、音波兵器少女が通っているというアイドル養成所へと向かっていた

養成所の入り口、受付っぽいお姉さんに声をかけてみる


P「すいませーん!.....って子に会いに来たんですけど」

受付「あの子に?失礼ですが、どういったご用件で?」

P「あーっと...P、いや名前教えてなかったな......師匠が来たって言えば多分分かってくれると思うんですけど」

受付「師匠?」

P「あーいや、向こうが勝手にそう呼んでるだけで...」



???「ほう、お前か。あの子が言っていた師匠とは」

P「へっ?...ぐおっ!」


なんだ!?
後ろから女の声がしたと思ったら、急に首根っこを掴まれたぞ!?
891 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:39:37.70 ID:K6AtmFbL0
受付「お客様!?」

???「いいところに来た、ちょっとこっちへ来てもらおうか」

P「ちょっ、ちょっと!あんた誰なんですか!?」

???「いいから黙ってついてこい!」

P「痛い痛い痛い!引きずらないでくれー!!」

ウワー!!!






受付「....行っちゃった」
892 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:40:16.43 ID:K6AtmFbL0
その後、俺は謎の女にゴリラじみた力で部屋に引きずり込まれた


P「いてててて....何なんですか!?俺はカツアゲには屈しませんよ!?」

???「違う!お前が例の師匠とかいう奴だと聞いたから連れてきただけだ!」

P「連れてきたって...」


少女「あっ、師匠!来てくれたんですね!」

P「あれっ、お嬢ちゃん!?」

???「ここはこの養成所のレッスンルーム、こいつは毎日ここでアイドルになるための研鑽を積んでいるんだ」

少女「この人はいつもあたしに付いてくれてるトレーナーさんなんです!」

ベテトレ「トレーナーの青木 聖だ、よろしく」

P「は、はい...よろしく」
893 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:41:16.65 ID:K6AtmFbL0
P「......ていうか、俺たちしかいないように見えるんですけど...他の候補生は?」

少女「他の皆は、その...私の歌があまりにもヘタクソだから...」

ベテトレ「こいつだけ一人この部屋で隔離されてレッスンしているというわけだ」

P「えぇ...それってなんか酷くないですか?」


まあ、確かに毎回毎回あんな爆音波流されてたら身が持たないだろうけど....

 
ベテトレ「たしかに気にいらない話ではあるが、逆に言えば一人でレッスンに集中できるともいえる」

少女「私、いろんなトレーナーさんに見捨てられちゃってたんですけど...青木さんだけはずっと熱心に私に指導してくれてるんです」

ベテトレ「私はこいつには大きな潜在能力が眠っていると思っている。実際、私の指導についてこれるだけの根性があるし、ダンスやヴィジュアルの技術はかなり良いペースで上達してきている」
  
ベテトレ「だが、どうやら歌だけは本当にセンスがないらしくてな...私がどれだけ手を尽くしてもなかなか成長させられなかった......どうしたものかと手をこまねいていたら、今日になって急に成長していた」

ベテトレ「何故かと聞けば、昨日歌の上手い師匠に会ってコツを教えてもらったというじゃないか。お前、一体どんな手を使ったんだ!?」
894 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:42:37.96 ID:K6AtmFbL0
P「どんな手って...普通に基礎の基礎を教えただけですよ」
 
ベテトレ「歌の基礎くらい私たちだって当然教えている、それだけでここまで改善されるわけじゃない」

P「そりゃあ基礎っつっても、そもそもその人の声や性格で歌いやすい歌い方違うんですから。一人一人に合わせた歌い方の基礎があるんですよ」
 
P「得にアイドルなら、カラオケで高得点が出せるような正確な歌い方がいいとは限りませんからね。この子声はちゃんと出せてるから、音が暴走しないように歌えるようなコツを教えたんです」

少女「師匠から教わった通りに歌ったらすっごく上手く歌えたんですよ!」

P「まだ人に聞かせられるレベルでは無かったけどな...」

少女「がーん!?」

ベテトレ「一人一人違う基礎...それを、たった一回聞いただけで?それに、こいつの歌を矯正できるほどの音楽センス...お前は一体何者だ?」

P「あーっと俺実は....」

 

P(いや、ちょっと待てよ!?)


【ちひろ「いいP君?初対面の人に軽々しく自分の正体を明かしちゃだめよ?貴方の人気は今世間に対してかなりの影響力を持ってるんだから」】

【ちひろ「それに...P君詐欺とか引っかかりやすそうですし!」】


P「俺は...P太郎です。ただの歌好きのリーマンです」

少女「P太郎...良い名前ですね師匠!」

P(......そうか?とっさに考えたとはいえ、我ながらクッソ適当だと思うんだが.....)
895 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:43:28.35 ID:K6AtmFbL0
ベテトレ「ところで、お前さえ良ければ今後もこいつのヴォーカルレッスンに協力してくれないか?手が空いてるときだけでいい」

P「いいですよ、元よりそのつもり出来ましたし。ただ...今は偶々まとまった休みが入ってるんですけど、普段は忙しくて...」

少女「じゃあ、昨日みたいに夜にあの公園でレッスンしませんか?師匠が教えてくれるんでしたら、何時だって駆けつけますから!」


この少女、また俺の憩いの場を破壊する気か...
でも、一度引き受けてしまった手前、中途半端で投げ出すわけにもいかないしな...仕方ない


P「そうだな、じゃあそうしよう。明日からはなるべく夜に時間取れるようにするよ」

少女「ホントですか!やったー!」

ベテトレ「感謝するぞP太郎。これならこいつも、ちゃんとアイドルになれるかもしれない」

P「いえいえ、お安い御用ですよ。それでは今日も早速ヴォーカルレッスンしましょうか?」

ベテトレ「その前に、こいつのレッスンを一通り見てみないか?相手の事をより理解できていた方が教えやすいだろう?」

P「それもそうですね...では折角なので」
896 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:44:01.82 ID:K6AtmFbL0
仕事柄アイドルのステージを見ることはあっても、アイドルのレッスンは見たことはなかったが......これは!


P「凄い...」

ベテトレ「彼女は他の候補生と比べて特別とがった才能があるわけでは無い、むしろ歌のセンスは最悪だ、しかし...」

P「アイドルに対する情熱っつーか.......気合が普通じゃない」

ベテトレ「そうだ、多くのトレーナーに見捨てられようと、もはや狂気といってもいいほどの執念で彼女は必死に食らいついてきた」
    
ベテトレ「その結果、短期間でほぼ素人だった状態から、少なくとも歌以外の技術はデビューしても問題ないレベルまで成長した」

P「あとは、歌さえどうにかできれば...ってことか」



面倒なこと引き受けちまったかと思ったが...

どうやらむしろ、とんでもなく面白そうな事に出会えてたみたいだな!
897 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:44:47.08 ID:K6AtmFbL0
フレデリカ「それがプロデューサーとトレーナーさんの出会いだったんだね!」

ベテトレ「あの時は私もPの正体にまでは気づかなかったが、まあ変な名前の奴だとは思ってたな」

P「ですよね!?いや考えたの俺ですけど、やっぱ変な名前ですよね!?」

ベテトレ「ああ.....ところでP」


ベテトレ「誰 が ゴ リ ラ だ っ て ?」

P「やっべ」

早苗「まあまあ聖ちゃん!まだ話の続きだし、ここは抑えて抑えて!」

ベテトレ「............チッ」

P(怖っ!!)

志希「なんかプロデューサーに死亡フラグ立ったから、回収される前に続き、早く〜?」

P「お、おう......シニタクナイ....」
898 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:45:42.06 ID:K6AtmFbL0
なんだかんだで俺はその後も養成所に通い続け、あの子へのヴォーカルレッスンを続けていた

そしてある日、偶には気分転換しようということになり、何がいいかと聞いたら


少女「あたしお散歩好きなんです!師匠とお散歩したらもっと楽しくお散歩できるんです!」


ということなので、適当に二人で街をぶらぶらすることにした




でもまあ、そんな時に限って会いたくない人にエンカウントするのがお約束な訳で

早苗「あれっ、P君じゃない!元気?」

P「えっ?」

ちひろ「あら本当だ、しっかり日頃の休みは取れてる?」

P「ちょっ、早苗さんにちひろさん!?」

少女「師匠の知り合いですか?」

P「そうなんだけど...なんでここに!?」

早苗「偶々休みが合ったから、久々に女二人で飲み会しようと思ってたのよ」

P「そ、そうなんですか.....」
899 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:47:02.71 ID:K6AtmFbL0
ちひろ「...ところで、そっちの子は誰かしら?」

P「えっ!?ああこの子はですね...」

少女「私は....です!いつも師匠にアイドルになれるよう導いてもらってます!」


早苗「ふむふむ、アイドル志望の女の子がP君に言葉巧みに連れまわされていると...」
  
早苗「P君、とりあえず逮捕しようか?非番だけど一応ワッパ持ってるわよ」

P「ちょっ、違いますよ!誘拐じゃないです!」

少女「お姉さんもしかして警察官なんですか!すごい!!」

早苗「正解!昔P君をシメたことだって『あーちょっといいですか二人とも!!こっちでちょっと話しましょうよ!!』えっ?」


P「すまん、ちょっとここで待っててもらえるか?」

少女「えっ?いいですけど...」

余計なことを口走りそうだった早苗さんを遮りちひろさんと早苗さんをあの子に声が届かない様にちょっと離れる



早苗「なによ、これからいい所なのに」

P「俺のことバラしてほしくないんですよ!」

ちひろ「どういう事?」

P「実は....」


カクカクシカジカ.....
900 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:47:50.50 ID:K6AtmFbL0
P「というわけでして、あの子に正体がばれるようなこと話してほしくないんですよ!俺と片桐さんの馴れ初め話したら、いろいろばれちゃうでしょ!」

ちひろ「まあ確かに........」

早苗「でも、別に黙っててもらえば正体バラしても大丈夫なんじゃないの?」

ちひろ「そういうわけにも行きませんよ。情報はどこから漏れるか分かりませんし、それにちょっとでもマスコミに流れたらお互い言いたい放題騒がれますよ?」

早苗「そういうもんなの?芸能界って大変なのねー」
  
早苗「それにしても、聖ちゃんが目をかけてる子に会えるなんて今日はついてるかも!」

P「聖ちゃんって、青木さん?知り合いなんですか?」

早苗「そうよ、学生時代の先輩後輩みたいな関係なの。昔よく二人でよくつるんで遊んだりトレーニングしたりしてたし、今でもよく一緒に飲みに行くの」
  
早苗「それで、前飲んだ時に面白い子を見つけたって聖ちゃんはしゃいでたから、ちょっと気になってたのよねー」

ちひろ「へー...こんなとこで繋がるなんて、世界って意外と狭いのかもしれませんね」

P「ホントですねー...って、いい加減あの子を待たせるのもマズイですし戻りましょうか。片桐さん、くれぐれも余計なことは喋らないでくださいね!」

早苗「大丈夫大丈夫、安心してって!」

P「本当に大丈夫ですか....?」








案の定、また余計な事をぶちまけそうになってて焦った...
901 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:48:44.11 ID:K6AtmFbL0
美嘉「その頃から、早苗さんとプロデューサーは知り合いだったんだね」

奏「ちひろさんって、私がCランクの時、オーディションで一度会った010の事務員さんよね?あの人がプロデューサーさんのプロデューサーだったんだ....」

周子「というか、結局早苗さんとプロデューサーって何で仲良くなったん?」

P「えーっと....それは.....」


早苗「昔、P君が路上でテンション上がったからってゲリラライブ始めてね?それで人が大勢集まって騒ぎだして色々問題が起きたのよ。だから近くの交番にいたあたしが叱りに行ったってワケ」

美嘉「プロデューサー、やっぱり警察のお世話になってるんじゃん!」

早苗「しかもその数日後懲りずにまたやったから、今度はちひろちゃんと一緒にシメたわ。流石にそれで懲りたみたいだけどね」

P「その節はほんと、ご迷惑をおかけしました......」

早苗「皆も路上ライブする時はちゃんと許可とるのよ?」


『はーい!』


P「.......じゃあ、俺の黒歴史が暴かれたところで、続きいくぞ」
902 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:49:43.58 ID:K6AtmFbL0
片桐さんとちひろさんと別れた後、散歩のゴールとして向かった先は....


少女「いつもの公園に到着でーす!」

P「もうこんな時間か、随分長い間歩いてたな...そこのベンチでコーヒーでも飲んで休むか。君は何に飲む?奢ってやるよ」

少女「いいんですか?じゃあコーラで!」

P「おっけー、待ってな」






自販機で飲み物を買って公園のベンチへ戻ると、あの子はイヤホンで何かを聴いていた

少女「あっ!おかえりなさい!」

P「ただいま。なに聞いてたんだ?」

少女「聞いてみます?」

イヤホンを片方さしだしそう聞いてきたので、遠慮なくイヤホンを受け取り耳に突っ込む



これは...聞いたことない曲だな、声入ってないしカラオケ音源か?それともオフボーカルの曲なのか?

だが、なんにせよ......
903 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:50:44.79 ID:K6AtmFbL0
P「良い曲だな」

少女「本当ですか!?ありがとうございます!」

P「いや、何で君が礼を言うんだよ」

少女「だってこの曲作ったの、あたしですもん!」

P「.....なんですと!?」


えっ?この曲を、この子が?
爆音痴怪音波兵器のこの子が?

嘘だろ!?


少女「私、作曲が趣味なんです!よく自分がアイドルになれたらこんな曲歌いたいなーっていう気持ちを良くぶつけてるんです。思う様に歌えないのでまだ声は入ってないですけど、ちゃんと歌詞もあるんですよ?」

P「君...なんで音痴なんだ?」

少女「いやー、自分で歌うのはなんか曲打ち込むみたいにうまくいかなくて...」


マジで?そういうもんなの?


少女「でも最近はPさんのおかげでちょっとずつ音痴克服できてますし!きっとこれに声がつけられる日も遠くないはずです!」
  
少女「私、この曲を大きなステージで歌うのが夢ですから!」

P「!」


少女「だから、これからもご指導よろしくお願いします!」
904 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:51:20.65 ID:K6AtmFbL0
夢を語る少女の瞳は、月の光の様に眩しく輝いていて
その輝きを見ていると、俺はどうしても認めざるを得なかった

この子がステージで輝く様を、本当に見てみたいと


P「...ああ、まかせろ!」


少女が語る純粋で煌びやかな夢に、いつか自分も魅せられる日が来る
そんな日が来るような予感を、確かに俺は感じていた
905 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:52:43.57 ID:K6AtmFbL0
そして月日は流れ....

ついに、あの子のデビューの日がやって来た


あれから音痴もみるみる改善し、俺からしちゃまだまだではあるがしっかり人に聞かせることができるレベルにまではなった

その成果が認められてか、彼女はあるプロダクションにスカウトされてデビューすることになったのだ


今日、小さなローカル番組で新人アイドルとして歌うらしい。俺も知り合いに頼んで、スタッフの中に紛れてその姿を見せてもらうことにした

そしてとうとう、あの子の出番がやって来る


少女「はじめまして!108プロの...です!今日はこの場をお借りして歌わせて頂きます!いざ!」


少女「〜〜〜♪」


まだまだ未熟な部分も垣間見える歌声

だが...

P(よしっ!)

彼女がアイドル道を歩みだした事を告げる、最高の、ハジマリの歌だった
906 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:53:31.78 ID:K6AtmFbL0
=====公園=====
デビューの日の夜、またあの公園で語り合おう
彼女と交わしたその約束通り、俺はいつもの公園で彼女を待つ

少女「P太郎さーーーん!!」

P「来たか、デビューライブはどうだった?」


聞くや否や、少女は弾丸のような勢いで俺に抱き着いてきた

少女「大、大、大成功です!!やったー!!!!」

P「だろうな、俺も見てたし」

少女「えっ!?見てたんですか!?」

P「スタッフにこっそり紛れ込んでたんだよ、気づかなかったか?」

少女「全然気づきませんでした...いたなら言ってくれてもよかったのにー!」

P「ははは、まあ後でスタッフさん達への挨拶とか色々仕事あったろ?だから邪魔しちゃいけないと思ってな」

P「それに...こいつを買いに行こうと思ってたからな」

少女「何を買ったんですか?」

P「デビュー祝いだよ、ほら」


夢の一歩を踏み出した少女に、祝福の品を差し出す
907 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:53:59.32 ID:K6AtmFbL0
少女「これは...花束?きれー!!!」

P「チューリップだよ。祝いの花を何にしようか悩んでた時に、あの曲の事を思い出してな」

少女「つまり、曲名で選んだって事ですか?」

P「す、すまん。花には詳しくなくて、つい安直な発想になっちまった...」

少女「いえいえ!すっごく嬉しいです!ありがとうPさん!」


少女は花束を抱え、月に照らされながら満面の笑みを浮かべる
ああ、そうだ...
今日一日ずっと、俺はこの笑顔が見たかったんだ....





少女「...あれ?Pさん、泣いてる?大丈夫?」

P「馬鹿、ないてねぇよ...ただ」



お前が眩し過ぎて、どうしようもなく嬉しすぎるだけだよ.....
908 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:55:35.09 ID:K6AtmFbL0
その後も、俺とあの子の交流は続いていた

俺のほうも仕事がさらに忙しくなったり、彼女も下積みを積まなきゃいけない期間だったりで、会える回数は少なくなっていたけど

それでも、時間が合えばいつもあの公園でベンチで缶コーヒーを飲みながら自分たちの近況を語り合ったり、レッスンをしたり...

そしてその度に見せるあの子の笑顔に、俺はいつも元気を貰っていた

...だが



P「今日も...日付変わっちまった...」

連日の過密スケジュールに、流石の俺も疲労困憊になっていた



...だから、間違えたんだ
909 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:56:50.29 ID:K6AtmFbL0
トゥルルルッルルル!!

P「...ん?あの子からだ」ピッ

少女『あっ、Pさん...』

P「おう、こんな夜中にどうした?」

少女『えっと...Pさん疲れてるみたいだし、いいや』

P「いいのか?」
  
少女『うん、ちょっと声聞きたくなっただけだから。でももう遅い時間だから切るね、おやすみ』

P「お、おう。おやすみ」

ガチャッ、ツーツー


P「...まぁ、次に会った時に聞いてみるか。あまり掘り出されたくないのかもしれないし」
 
P「疲れたし、もう寝よう...」



...なんかあったんだろうな、とは思った

だが、俺は日々の疲れがたまっていたから...いや、これはいい訳だな


俺は、自分があの子の最後の砦だった事を、自覚してなかったんだ

だから、あの子の最後のSOSを見逃してしまったんだ...


俺はこの夜を、この先ずっと、死ぬほど後悔する事になる
910 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:57:25.16 ID:K6AtmFbL0
P(今夜は新月か...)




ふと窓から眺めた夜空に、月はなかった

それが、これからの悲劇を告げる凶兆だったことには、気づかなかった
911 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:58:00.64 ID:K6AtmFbL0
人が一番慢心するのは、絶頂であるとき

山に上ったら下りるように、幸せというのは必ず続かないものである

そして....



大きい山を登った時ほど、転がり落ちるスピードは速いものだ
912 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:58:41.29 ID:K6AtmFbL0
P「なんだよ...これ...」


[108プロ新アイドル、枕営業!?]
[デビュー直後から不正を働くビッチ系アイドル!]
[108プロアイドル、援交の現場!?]


コンビニに並ぶ週刊誌は、皆一様に、あの子が枕営業をしたという見出しを晒していた



・108プロのアイドル枕だってよwww
・デビューしてすぐちんぽにしゃぶりつくクソビッチアイドルがいるらしいwww
・新人さん、秒速で退場の模様


ネットの掲示板を見れば、皆狂ったようにあの子を叩いていた




華々しいデビューから一瞬で、あの子は闇へと貶められた

どこの雑誌も、ネットも、テレビも
よってたかって、あの子へと悪意を向けていたッ!!!


P「一体何だってんだよ、クソが!!!!」
913 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:59:13.00 ID:K6AtmFbL0
美嘉「ヒドい!!」

P「ああ、今思い出しても怒りが収まらない.....」

ベテトレ「ッ.....!」




奏「.....それで、その後はどうなったの?」
914 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 21:59:52.56 ID:K6AtmFbL0
P「兎に角あの子に会いに行かないと...」


プロデューサーに今日の予定は全ブッチだとメールを送り、家を飛び出した
プロデューサーからのコールを無視して、あの子の番号へと電話をかける


しかし、返事はない


P「クソっ!どこだ?あの子はどこにいるんだ?」


公園、養成所、家...
心当たりがある場所は探して回るが、見つからない

この際、もう手当たり次第に探し回るしかないと街を駆け巡っていたその時だった


トゥルルルルルル!!!

P「またか!今日は全ブッチだって...!?」


プロデューサーからのコールだと思い取りだしたスマホには、あの子の名前が表示されていた
915 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:00:20.57 ID:K6AtmFbL0
P「おい!俺だ!Pだ!お前は一体どこにいるんだ!」

少女『ごめんなさい...ごめんなさい...』

P「謝る必要はねぇ、兎に角一旦あって話を『ダメ!』」

少女『それだけは絶対ダメ!そんなことしたらまた...』

P「どういうことだ!?なんでダメなんだ!?」

少女『ごめんなさいPさん...ごめんなさい!私なんかが、アイドルになっちゃいけなかったの!』

P「何言ってんだ、お前は確かにアイドル『Pさん!』」

少女『今までありがとう...さよなら』

P「さよならって、何言って...」
916 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:00:48.75 ID:K6AtmFbL0

通話が切れ、同時に誰かの悲鳴が聞こえた
917 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:01:16.77 ID:K6AtmFbL0
P(...まさか!?)


何かの間違いだとそう自分に言い聞かせ、悲鳴の方へと走った
走って、走って、走って、走って



P「どいて、どいてください!どけって!」

野次馬を押しのけ、人混みの中心部へとたどり着く

そして...

P「....え?」


たどり着いた先で、悪夢を見た
地面にたたきつけられて動かなくなった、あの子がいた
918 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:01:42.61 ID:K6AtmFbL0
P(俺が、俺が殺したんだ...)
 


俺があの子を、ちゃんと守ってあげられなかったから、あんなに近くにいたのに、守ってあげられなかったから
 
あれはあの子のSOSだったんだ、なのに俺はこの子を見殺しにしたんだ


俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ






P「あ...あ...あああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」












意識は、そこで途切れた
919 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:02:15.49 ID:K6AtmFbL0
目を覚まして最初に目に入ったのは、見慣れない真っ白な天井だった
一体ここは...

ちひろ「起きた?」

P「ちひろさん?」

早苗「あたしもいるわよ」

ちひろ「貴方が街で倒れて病院に運ばれたって聞いて飛んできたのよ」

早苗「あたしは...ほら、事情聴取。一応ね」

P「...あの子は、どうなったんですか?」


早苗「...死んだわ」
920 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:03:12.02 ID:K6AtmFbL0
P「ッ!!」

早苗「飛び降りたビルの屋上から遺書が見つかったわ。あのバッシングに心を痛めて、本気で目指していたアイドルに絶望して、それで...」

P「嘘だっ!」

早苗「っ...」

ちひろ「P君...」


P「だって、あの子はようやく最初の一歩を踏みだして、これから自分の描いた夢へとあるきだして!本当にこれからだったのに!」
 
P「いつも公園で会う時だって、本当にアイドルやるのが楽しそうで!死にたがってる様になんてどう見えなかった!」
 
P「なあ片桐さん...嘘なんでしょう?ホントはあの子は死んでないんでしょう!?そうだって言ってくれよ!?」


早苗「...ごめんねP君、あたしの警察官の誇りとして、嘘ついて誤魔化すことは出来ない」

早苗「さっき身元の確認が取れたわ...あのビルから飛び降りて死んだのは、間違いなくあの子よ」


P「そんな...そんなことって......」
921 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:04:01.88 ID:K6AtmFbL0
屋久井「P君!!無事かね!?」

ちひろ「社長!?」

屋久井「ハァ...ハァ...病院へ運び込まれたと聞いて急いで駆けつけたのだが...容体は!?」

ちひろ「ショッキングな光景を見てしまって気を失っただけなので身体に影響はありません。今目を覚ましたところですので、すぐに退院できると思います」

屋久井「そうか...それならよかった...ところで、隣のキミは?」

早苗「片桐早苗、警察官です。P君に事情聴取をさせてもらいに来ました」

屋久井「事情聴取!?P君は何か事件に巻き込まれたのか!?」

早苗「自殺の現場を目撃してしまったんです。それで目撃者の一人であるP君にも一応事情を聞かなければいけなくなりまして」
  
早苗「ただ、自殺であることは間違いないので聴取はすぐに済みます。安心してください」

屋久井「そ、そうか。ならいいんだが...だが見たところ、自殺を目撃しただけにしてはP君のダメージが大きいように見えるが...」

P「.........」

ちひろ「実は、飛び降りたのはP君の知人でして、それで...」

屋久井「大きなショックを受けてしまったと言う事か....」

ちひろ「はい...なので身体は良くても精神的には...」

P「すいません...」

屋久井「.......P君」








こういう時こそ、歌ってみてはどうかな?」
922 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:04:50.47 ID:K6AtmFbL0
P「えっ?」


早苗「ちょっと!流石に今歌える気分じゃないでしょ!」

屋久井「いや、気が落ち込んでいる時こそ、自分の好きな事をやると元気が出る物だ。君は歌が好きだろう?こういう時こそ、自分の好きな歌を歌って自分を奮い立たせるんだ」

屋久井「...死んでしまった者の分まで、生きるためにな」

ちひろ「社長...」

早苗「......」


P「...そうっすね、ちょっと一曲歌わせてもらえますか?病院の中ですけど」

屋久井「構わん、責任は私が取る!」

P「分かりました、では早速...」


いつも通り口を開き声を、声を、声を...








いつも通り?
923 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:05:31.54 ID:K6AtmFbL0
P「......!!??」



声が、声が出なかった

歌おうとすると、首が鎖で縛られたように息が詰まった

あの子を死なせてしまったという罪悪感が、俺の喉を押さえつけていた



お前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺した
お前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺した
お前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺した
お前が殺した俺が殺したお前が殺した俺が殺したお前が殺したお前が殺した俺が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺した俺が殺した俺が殺した俺が殺した


P(あ、あああ、あああああ!!!!)

P「ァ...アア...アアアアアアアアアアア!!!!!」

『P君!?』
924 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:06:01.51 ID:K6AtmFbL0

その日から、俺は全く歌うことができなくなった
925 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:06:43.83 ID:K6AtmFbL0
歌を忘れた後、多くの人が俺を励ましに来てくれた
プロデューサーにおっちゃん、早苗さん
...それに、俺と同じくらい心に傷を負ったはずの青木さんも、何度も俺を励ましに来てくれた


でも結局、俺は歌手を辞め891プロも退社した

おっちゃんは頑張って引き留めてくれていたけど、自分の中にもう、歌う理由が見つからなくなっていたから...


それに俺は、プロデューサーにも迷惑をかけてしまった


プロデューサーは、俺の引退の責任を自ら取る形で891プロを退社したらしい
彼女があんなに誇りを持って務めていた仕事を、俺は奪ってしまったのだ


それ以来、顔を合わせていない
合わせる顔なんか、ない


もう俺に、あの人をプロデューサーと呼ぶ資格なんかないのだから
926 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:07:17.28 ID:K6AtmFbL0
あの子を亡くした後の俺は、死人と何ら変わらなかった

美味いもんでも食えば元気が出ると言われたが、何を食っても味がしなかった

旅行でもすれば気が紛れると、色んな人が色んなとこに連れまわしてくれたが、何も感じなかった


どうやら俺は歌と一緒に味覚と、色んな事を楽しむ心まで失ってしまったらしい



住んでたマンションも引き払って、狭いアパートへと引っ越した

とにかく今までと同じ環境に居たくなかった。じゃないとあの子の事を思い出してしまうから

だが、環境を変えたところで過去は消えない

結局何も変わることはなく、毎晩悪夢ばかり見ていた
927 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:07:50.01 ID:K6AtmFbL0
そんなある日だった

食料を買い足しにコンビニに行くと、ふとある週刊誌の見出しが目に入った


[108プロ、ついに倒産を発表]


P(108プロって、確かあの子の...倒産したのか)

正直、胸のすく思いだった

まだ新人だったあの子に枕を強要する事務所なんて、さっさと潰れてほしいと思っていた
この事務所のせいで、あの子はデビューしてすぐにあんなバッシングを受けて....









デビューして、すぐに?
928 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:08:19.13 ID:K6AtmFbL0
P(待てよ...それっておかしくないか?)


頭をハンマーで殴られたような感覚だった

止まっていた思考が急に回転し始め、死んでいた心に火が灯る



P(あの子はまだFランクのド新人だったんだぞ?なのにどの雑誌も一様にあの子の枕営業を表紙にしていた)

P(そもそもあんなに同じ記事ばかり並ぶものか?いくらゴシップ雑誌だとしてもネタの内容も優先度も同じだなんて)

P(それに...デビューは成功だったとはいえ他のアイドルに比べて抜きんでて目立ってたわけじゃない。今時山のようにあるゴシップで、なんでたいした旨味のないネタをそこまで?)



頭の中でカチリと音が鳴る
手詰まりになっていたパズルのピースが見つかったような、そんな感覚がした



P「...調べてみるか」
929 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:09:26.82 ID:K6AtmFbL0
高度情報化社会というのは便利だ。週刊誌のバックナンバーすら、電子書籍ですぐに購入出来るのだから

俺は当時の、あの子のバッシングをしていた雑誌を軒並み買いあさり...

そして、気づいた





P「なんだこれ...どれも出版社が違うのに、あの子の記事で使ってる写真が全部同じじゃないか!」


独占スクープやら新鮮なネタやらが好きな出版社が、手に入れた写真をライバル企業と共有して、みんな揃って同じような記事を作る。そんなの、絶対にありえない
2つ3つならまだしも、この時期に発売された芸能界を取り扱う雑誌は、軒並み同じ写真を使ってあの子の記事を描いている


こんなの偶然じゃない、つまり...






P「...あの二人に伝えなきゃ!」
930 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:09:57.42 ID:K6AtmFbL0
==============居酒屋=====================


ベテトレ「久しぶりだなP、ちょっとは元気出たか?」

早苗「とりあえずビールとつまみ頼みましょ!」

P「いや、俺はいいです。どうせ味わかりませんし...」

早苗「じゃあ、あたしの酒を飲むのが話を聞く条件って事で!第一、折角居酒屋来て飲まないなんてお店に失礼でしょ!?」

P「えぇ...分かりましたよ」

ベテトレ「というか、ちひろは呼んでないのか?」

P「プ、...ちひろさんは、その...顔合わせ辛いっていうか...」

ベテトレ「そうか...まあいい、何かあれば私たちから伝えておこう。それで、話というのは?」

P「はい、実は..........」
931 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:11:11.96 ID:K6AtmFbL0
P「....というわけなんです」


ベテトレ「これは...確かにどれも全く同じ写真だ。寸分も違いがない。2つ3つならまだしも、これだけの数は...」

早苗「流石に不自然よねぇ...」

P「あの子は、嵌められたんです。正体不明の誰かに。それに気づいてしまった以上、俺はもう止まれない。あの子の事件についてもう一度調べてみようと思うんです」

P「その為に、お二人の力も借りることになると思います」

ベテトレ「調べるったって、どうするんだ?出版社に潜り込むのか?」

早苗「いや.......あの子の記事を書いた雑誌が多すぎて、どこに潜り込めばいいか分からないわ。それにおそらく...」

P「はい...多分この事件の真犯人は、出版社じゃない」


ベテトレ「なに?」

早苗「考えてみて聖ちゃん。そもそもこれ、出版社からしたら手間のわりにメリットが薄すぎるわ。恐らく、いえ間違いなく裏に黒幕がいる。しかも、こんなに多くの出版社を動かせるほどのとんでもない力を持った奴がね」

ベテトレ「なるほど...しかし、それなら尚更どうやって探る?黒幕の手がかりはほとんどないんだぞ?」








P「...アイドル事務所を建てようと思います」

早苗&ベテトレ「「....なんだって(ですって)!?」」
932 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:13:34.32 ID:K6AtmFbL0
P「あの子は死ぬ直後、『自分がアイドルになっちゃいけなかった』と言っていました。裏を返せば、アイドルになったからこそこんなことに巻き込まれたって事になります」
 
P「だとすれば、事件の真相はアイドル業界にあるはずです」

ベテトレ「だからって、別にイチから事務所を作ることはないんじゃないか?どこかの芸能事務所に入社すれば...」

P「いえ、それだと履歴書で俺の素性がばれてしまいます。もし入社しようとした先に黒幕がいたとしたら、あの子と関わりがあった俺を警戒するでしょう?」
 
P「これだけの出版社を動かせる力の持ち主だ。履歴を頑張って偽造したところでバレてしまうでしょう。今自ら懐に潜り込むのは、返り討ちに合う可能性が高い」
 
P「それに...入社できたとして、芸能界の深い所まで探れるほどの機会を得るまでに時間がかかり過ぎると思うんです。だから...」

早苗「そのすべてをパスするために、自ら事務所を立てて社長になるって事ね」


P「あと青木さん、事務所を立てたら一つ頼みたいことがあります」

ベテトレ「なんだ?」

P「ウチに入ってきたアイドルを指導してやってください。この作戦、事務所が業界の中で相応の地位を手に入れないと、黒幕の情報にはたどり着けないでしょう。その為には、所属しているアイドルのランクを上げることが必要不可欠ですから...」

ベテトレ「成程.....分かった、その時は必ず引き受けよう。」

P「ありがとうございます。では話が済んだので俺はこれで...お金置いてくんで、これで好きに飲んじゃってください」


テーブルに万札を3枚ほど置いて席を立つ


早苗「待ってP君、最後に一つだけ言わせて」

P「なんですか?」
933 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:14:01.12 ID:K6AtmFbL0

早苗「私に、貴方を逮捕させないでね?」
934 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:14:40.30 ID:K6AtmFbL0
ベテトレ「..........」

P「....失礼します」







分かった、とは言えなかった

俺自身、どうやっても思えなかったからだ




黒幕を目の前にした俺が、胸に灯った黒い炎を抑え切れるなんて.....
935 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:15:44.67 ID:K6AtmFbL0
その後俺は、数か月かけて芸能事務所『811プロダクション』を立ち上げた

しかし、事務所を立てれたところでアイドルがいないんじゃお話しにならない。そもそも俺一人じゃ事務の仕事も手が回らなくなる


出来たばっかの芸能事務所じゃ、求人やスカウトも中々食いついてもらえない

それ以前に、芸能界の闇を探るにはそれ相応に実力のある子を見つけないといけない
 
トップとまではいわないが、Bランクくらいまでは行ってもらわないと業界の深い所には潜り込めない

だが、そんな逸材は早々見つからない....


開始早々詰まってしまって途方にくれいた時、ふとあの公園の事を思い出した

俺があの子と出会ったあの公園にいけば、もしかしたらまたあの子の様なアイドルの卵に会えるのではないだろうか?

そんな予感はしたものの、心の中でそんな次鵜の良い事ポンポン起きるはずないだろと毒づき
それでも、俺の足はあの公園へと向かって行った









そして、俺は出会った

停滞していた世界を加速させる、運命の歯車に
936 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:16:14.33 ID:K6AtmFbL0
...あの子に背中を押された気がした

これが俺が進むべき道だと、背中を押し出された感覚だった

だからこそ、俺は躊躇わず目の前の運命に足を踏み出した
937 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:16:51.78 ID:K6AtmFbL0
P「若いくせにこんな深夜に公園で寝るなんて、どんな不良かと思えば....なかなか別嬪じゃないか」

周子「んあ?お兄さん誰?」

P「ああ、失礼。俺はこういうもんでね。ほれ、名刺だ」

周子「ん...芸能事務所811プロダクション、社長兼プロデューサー P?」

P「そうだ、しかもその名刺、作ってから初めて渡した1枚だ。大事にしてくれよ」

周子「ふーん...それで?お兄さんはこんなかよわい女の子なしゅーこちゃんに何の用なの?」

P「そりゃもちろん、スカウトさ。しゅーこちゃんって言ったか?」
 






 


アイドル、やらないか?
938 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:17:35.42 ID:K6AtmFbL0
〜〜〜〜現在〜〜〜〜〜


P「...というのが、俺の隠してた秘密だ」

『.........』

想像を絶するPさんの過去に、皆一様に黙り込んでしまう






P「俺は今まで、自分の目的の為にお前たちを利用していたんだ」


P「罪悪感はあった、だが真相を追うためならどんな犠牲をも払って見せると思っていた」
 
P「...だが、お前らと過ごしていくうちに...どんどんお前らが愛おしくなった...純粋にお前らのアイドルとしての輝きを、もっと見てみたいと願うようになった」
 
P「だからこそ、打ち明けるのが怖かったんだ...お前らと過ごせば過ごすほど、真相を明かして、お前らに拒絶されるのが怖くなっていった」

 
P「すまない...俺はプロデューサー失格の男だ。いくらでも罵ってくれて構わない...」
939 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:18:50.92 ID:K6AtmFbL0
奏「いいえ、プロデューサーさん。貴方は紛れもなく、私達のプロデューサーよ」

P「えっ?」


周子「奏の言う通りだよ、だってPさんはちゃんとあたし達にアイドルの世界を教えてくれて、こんなに高いところまで引っ張ってくれたじゃん!」
  
周子「それが利用するって事なら、いくらでも利用してくれたっていいよ!」


美嘉「ていうか、水臭いよプロデューサー!そんな事件ずっと追ってたんならあたし達にも相談してよ!」
 
美嘉「あたし達の生きるアイドルの世界にそんな悪い奴がいるんなら、あたし達だって許せないし!」


フレデリカ「プロデューサー!悩むときは、一緒に悩もう?だってアタシ達、仲間だもんね♪」
     
フレデリカ「辛いときは、苦しいときは、あたし達皆で一緒に抱えよ?嬉しいとき、幸せなときは、皆で一緒に分かち合おう?その方がきっと素敵だよ!」


志希「あたし達皆どこかぶっ飛んでる人ばっかりだからさー、むしろ優等生なプロデューサーよりキミの方がずっと相性がいいんじゃないかにゃ〜?」
  
志希「それに...プロデューサーはあたしとパパを縛る鎖を解いてくれたじゃん。キミがなんて言おうと、あたしたちにとってキミは、あたし達家族の恩人なんだよ」


早苗「...本当に、良い仲間を持ったわね、P君」

ベテトレ「ああ、私の見立ては正解だった。やはり、彼女たちこそがお前の鎖を解くカギだったんだ」
    
ベテトレ「...そしてきっと、私の鎖もな」
940 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:19:19.04 ID:K6AtmFbL0
奏「プロデューサーさん、私、今すっごく嬉しいの。貴方の本音を聞くことができて。貴方に信頼されているのが分かって、愛おしいとさえ言ってもらえて...本当に、嬉しいわ」
 
奏「プロデューサーさん、大丈夫。私達は何があっても、貴方の味方だから...」
 
奏「だから...謝るんじゃなくて、ね?もっと、温かい言葉をちょうだい?」







P「皆......」
941 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:20:08.73 ID:K6AtmFbL0

ありがとう..............!
942 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:20:44.11 ID:K6AtmFbL0
to be continued...
943 : ◆FuHrdA/9sY [saga sage]:2019/04/09(火) 22:25:24.47 ID:K6AtmFbL0
Chapter0終了したとところで、今回はここまで―
....というか、この話だけ見たら完全にスレタイ詐欺じゃないか(白目)



『少女』には誰か原作のアイドルの子を当てはめようとも思ったのですが、でも死ぬしなぁ.....と思ったので結局オリジナルのまま進行しました
でも不便だから名前くらい付けてあげてもよかったかもしれない


これでようやく物語の3分の2が終わり、遂に終盤へと移ります
もちろん残り60レスくらいで終わるわけがないので、次スレ建ててきます
944 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/09(火) 22:42:03.00 ID:K6AtmFbL0
【モバマス】LiPPS「虹光の花束」 2スレ目
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1554816955/

次スレ建てましたー
こっちはHTML願い出してきます
575.53 KB Speed:0.4   VIP Service SS速報R 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)