【モバマス】LiPPS「虹光の花束」 2スレ目

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102 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 22:55:17.03 ID:O/b6jecx0
続く第2審査はトライアドプリムスが先攻、LiPPSが後攻でスタートした

そして.......









    第二審査 結果

LiPPS         768365票(累計1550908票)     

トライアドプリムス  818650票(累計1497942票)




凛「第2審査は勝てたけど.....」

奈緒「差は10万から6万...大体半分いかないくらいかー。もうちょっと行けると思ったんだけどな」

トラプリP「こっちが後半の巻き返しを狙ってるのを読んで、第2審査は温存しに来ると思ってたからな。その隙をついて一気に縮めれると思ったんだが....成程、第2審査と第3審査で力を分けてきたか」

加蓮「周子と美嘉を前に出してリードを保ちつつ残りのメンバーの体力を温存する....面白いことしてくれるじゃん」

加蓮「.......でも!」



モニターにでかでかと映しだされた、トライドプリムスの描かれたコイン
それはようやく、ステージの風向きがあたし達に回ったことを告げた

加蓮「最後の最後で来たチャンス.......絶対、ものにして見せる!!」



トラプリ『勝つのはあたし(私)達だ!!』
103 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 22:57:28.19 ID:O/b6jecx0
周子「ハァ.....ハァ.....!」

美嘉「後攻.....取られちゃったね.....」

P「クソッ、流れが向こうに行っちまったか」


奏「でも、周子と美嘉のおかげでかなりリードを保つことができたわ。まだ勝機はちゃんと残ってる」

志希「じゃあ、今度はあたし達が頑張らなきゃね!」

フレデリカ「あたし達にお任せ―!」

周子「ゴメン3人とも、頼んだよ」

奏「ええ、後は私たちに任せて。




周子と美嘉が繋いでくれたバトン、決して無駄にはしない!
104 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 22:59:39.17 ID:O/b6jecx0
第3審査、先攻となったLiPPSは、先の審査で後ろに下がっていた3人がメインとなってアピールしている

体力を温存した甲斐あってか、前に出ている3人のパフォーマンスはクライマックスに相応しい、最高の出来だ

観客達は次々と彼女達に魅了されて、ボルテージもすでに昇るところまで昇り詰めている




メインにするアイドルを第2審査と歳3審査で分ける....向こうのプロデューサーも、土壇場でなかなか良い作戦を思い付いたものだ

だが......





トラプリP「811プロ......貴方たちは一つだけミスを犯した」
105 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:05:28.77 ID:O/b6jecx0
P「クソッ!ダメだ、これじゃ足りないッ....!!」


アイドルユニットというのは人数が多い分インパクトも強くなるが、その分全体のバランスを取るのが難しくもなる
一人でも崩れてしまえば、なし崩しに全員の調子が崩壊してしまう


体力を温存させた奏達はしっかりと100%のパフォーマンスが出来ている。だが周子と美嘉は限界が近い!

LiPPSは元々5人のユニット。もしそのうち二人のスタミナが尽きて完全にバテてしまったら....

いや、そもそも5人がかりでようやく3人のトライアドプリムスと互角だったんだ
全員で全力を出してぶつかりに行かなければ、流れを完全に持っていかれちまう..........!


クソッ!完全に俺の作戦ミスだ!
やはり、リードを捨ててでも第2審査は温存させるべきだった.....!



P(.....だが後悔しても、俺に出来るのは祈ることだけ......)








頑張れ『LiPPS』......!!
106 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:08:08.34 ID:O/b6jecx0
.....とか思ってるんやろうなぁ、Pさん


そりゃあ、確かに凄くキツイよ。心臓バクバク言ってるし、四肢はもう気合で動かしてるって感じ
今にぶっ倒れてもおかしくないかも










....でも、大丈夫

3人が約束通り頑張ってくれたおかげで、あたしも美嘉ちゃんも、ギリギリ曲の終わりまで体力を残すことができた

本当に少しだけ、雀の涙くらいの体力だけど、このクライマックスで最後の賭けをするには、十分すぎる体力!

美嘉ちゃんも準備万端みたいやね!


それじゃあ、行くよ!








周子&美嘉(あたし達の全力を、ここでぶっ放す!!)
107 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:12:25.88 ID:O/b6jecx0
  〜〜〜数日前、合宿中〜〜〜



青木「来たな、二人とも」

美嘉「トレーナーさん、なんであたし達だけ呼び出したの?」

周子「あたしだけならなんかお叱りかもって思ったんだけどねー」

青木「別に説教するわけじゃない、むしろ先ほどのお前ら二人のダンス技術を見込んで話がある」

周子「話って?」


青木「IG本戦、どのユニットもトップレベルのアイドル達だ。そんな相手に、ただただ真っ向勝負を挑むだけじゃ勝つのは難しいだろう。必ず、強敵と戦うための確かな武器が必要になるだろう」

周子「武器?」

青木「言ってしまえば『必殺技』というやつだ。それも、観客の度肝を抜いて、一気に心に深く刻み込まれるような派手なものがな」

青木「だから、お前たちにその必殺技を伝授する」

美嘉「必殺技....口に出すとちょっと恥ずかしいけど、なんだかカッコイイじゃん!」


青木「まずは一度私がやって見せよう。いくぞ......」
108 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:14:00.32 ID:O/b6jecx0
青木「....っと!こんな感じだ」

美嘉「す、凄い.......!」

周子「青木さん、なんで今までそんな凄い技隠してたん!?」

青木「そりゃあ隠すさ、この技は生半可な努力で習得できるもんじゃない。それに、もし本番でこの技を失敗すれば大ケガするかもしれない」

青木「それでも....これを習得する覚悟はあるか?」


周子「....青木さんは、あたしたちなら無理じゃないと思ったから、これを見せたんだよね」

青木「ああ、だがとんでもない無茶振りではある自覚はある.....残り数日でこれを身につけるには、文字通り地獄の特訓を受けてもらうことになるだろう」

周子「そっか...なら、美嘉ちゃん!」

美嘉「そうだね、周子ちゃん!」








周子&美嘉『やってやるしかないよね!』
109 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:15:08.60 ID:O/b6jecx0
トラプリP(バックの二人が、前へ出始めた!?)

P(二人とも、もう限界なんて超えてるはず....一体なにする気だ!?)





周子(正直、100%成功させられるわけじゃない)

美嘉(でも、ここで決めずにトップアイドルなんて名乗れない!だから!)





周子&美嘉(絶対、決めて見せる!!)
110 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:17:02.06 ID:O/b6jecx0
蝶が、舞い飛んだ



ステージに立つ私達、裏で働くプロデューサーさんとスタッフ達、次のステージを控えているアイドル達
そして、ドームに隙間なく敷き詰められた観客達
この空間に存在する数万の目が一斉に奪われる



今、この世界は、二人の蝶に支配されていた
111 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:19:08.58 ID:O/b6jecx0
P「あいつら、いつの間にあんなバック転ができるように....いや、あれはただのバク転じゃねぇ....」





トラプリP(バック転....それ自体はアイドルのパフォーマンスでもそう珍しいものでもない。身体能力に自信があるアイドルなら、かなりの割合がダンスに取り入れている)

トラプリP(だが....あそこまで豪快且つ美しい物を、しかもそれを三連続でやったアイドルは、おそらく今地球上で彼女たちだけだろう.....)

トラプリP(あれ程の技、もちろん百発百中ではないはず。しかも失敗すれば大ケガに繋がる....実行するのにはとんでもない勇気が必要だろう。本番で、しかもクライマックスというプレッシャーのかかる状態では特に)


.......これまでか







加蓮「プロデューサーさん、なーに暗い顔してるの」

トラプリP「えっ!?ああ、すまない。そんなに暗い顔してたか?」

加蓮「うん、すっごい暗い顔してた」

奈緒「まあ、あんなの見せられちゃ意気消沈するのも無理は無いかもしれないけどさ。次はあたし達がステージに立つんだぞ?」

凛「だから、プロデューサーもそんな落ち込まないで。ちゃんと笑顔で送りだしてよ。まだ負けが決まったわけじゃないんだからさ」

トラプリP「お前ら....大丈夫なのか?」

加蓮「なぁに?あたし達がすっかりビビったと思っちゃった?」

加蓮「....大丈夫、貴方が育てたアイドルだよ。大事なことはちゃんとわかってる。ステージに立てば、私達がやることはただ一つ!」
112 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:19:42.55 ID:O/b6jecx0

トラプリ『皆に、最高のステージを届ける事!』
113 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:22:43.42 ID:O/b6jecx0
トラプリP「!!!」

トラプリP「そうか、そうだよな....」

加蓮「だからプロデューサー......ちゃんと、あたし達を送り出して。プロデューサーに頑張れって言ってもらえれば、どんな逆風に吹かれたって、きっと輝けるから.....!」

トラプリP「そうか....なら、頑張って来い」





トラプリP「トライアドプリムス!ファンの皆が、ステージでお前らを待っている!全力で楽しませて来い!」

トラプリ『うん!』









プロデューサー.....行ってきます!!!
114 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:25:31.10 ID:O/b6jecx0
〜〜〜〜〜ステージ裏〜〜〜〜〜〜


P「みんなお帰り!本当にお疲れさま!」

周子「はぁ....はぁ....Pさん、あたし達、やったよ.....」

美嘉「どう、だった....?あたし達、カッコよかった....?」

P「...ああ!最高だった!今日のMVPは間違いなくお前たちだ!」

奏「ステージに立っていた私達も、貴方たちに目を奪われたわ.....二人とも、本当に凄かったわよ」


周子「そっか.....よかっ、た....」フラッ

美嘉「でも、ちょっともう限界かな...」バタッ

フレデリカ「わっ!二人とも大丈夫?」

志希「明らかにオーバーワークだね、ちょっと控室で休みにいこうか」

周子「そうする....ごめん、誰か肩貸して...ちょっとまとも歩けそうにない」

美嘉「あたしもー....でも、全部出し切ったって気持ち...!」

P「じゃあ俺が控室まで連れてくよ。ほら二人とも、肩に腕まわして.」

奏「あら、プロデューサーさんったら両手に花ね♪」

美嘉「あたし達のファンが見たら刺されちゃうかもしれないよー?」

周子「あららー、Pさん大ピンチやねー♪」


P「こんな時までからかうな......でも」






二人とも、本当にお疲れさま.....
最高に、カッコよかったぞ......!
115 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:26:34.38 ID:O/b6jecx0
司会「いやー、本当に白熱した戦いでした!両者共に、最後まで一歩も譲らない激戦.......どちらが勝ったのか予測がついている者は誰一人いないでしょう!」

司会「しかし、たった今集計が終わりました!ついに第一試合の勝者が決まります!皆さま、心の準備はいいですか!?」




P(やれることはやった....周子と美嘉の最後の大技のおかげで、大分観客の心を持って行けたはず....だが、トラプリの最後のパフォーマンスも負けてなかった。むしろ今まで見た中で最高の物だった!)

P(大トリなのも相まって、かなり強く観客に印象を残された....逆転されていてもおかしくないインパクトだったが.....頼む!)









司会「それでは発表します!本戦第一試合を制し、決勝へと駒を進めたのは.....
116 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:27:02.58 ID:O/b6jecx0
    第三審査 結果


LiPPS         918754票(累計2469662票)     

トライアドプリムス  901515票(累計2399457票)






勝者 LiPPS(811プロ)
117 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:27:55.10 ID:O/b6jecx0
P「かっ.....た....?」








P「みんな!俺たちの勝ちだ!」


『やったあああああああああ!!!』
118 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:29:55.85 ID:O/b6jecx0
凛「完敗、だね」

トラプリP「すまない、俺の采配ミスだ....第一審査で、力を温存させすぎた.....」

奈緒「Pさんのせいじゃねぇよ。あたし達は全員で全力を出してぶつかって、それでも負けた。だから、誰のせいとかじゃないって」

トラプリP「奈緒.......」

加蓮「それに、まだあたし達のアイドルの道が終わったわけじゃない。むしろ、これからまだまだ続いてくんだから」

加蓮「だから....次は勝てるように、これから頑張ろ?泣いてる暇なんて.....ゴメン、やっぱ悔しい」

凛「あはは...加蓮ったら、涙、我慢できてないよ....?」

奈緒「そう言う凛もだろ....ていうか、あたしもか。Pさん、ちょっと胸貸してくれるか?」

トラプリP「....ああ、今は泣いていい。泣くだけ泣いたら、また次のステージへ、皆で歩き出そう」

トラプリ『うん....!』







加蓮(LiPPS.....あたし達に勝ったんだから....絶対、優勝してよね!)
119 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:39:35.51 ID:O/b6jecx0
勝負である以上、必ず勝者と敗者が分かれる

だが、敗者になれば終わりというわけでは無い
むしろ、どれだけの屈辱を味わおうと、どれだけ不格好に泣くことになろうと

それでも立ち上がり、次に繋げようとする事こそ、人間として成長した証なのだ


そして.....




それをいつだって、何度だって笑顔で前を向いて出来るからこそ、『アイドル』は美しいのだろう
120 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:40:59.05 ID:O/b6jecx0
奏「私達が、決勝進出.....」

美嘉「あはは......なんか、夢みたいだね」

志希「夢かどうか試してみる?いいものあるよ❤」

美嘉「いや、なんかやばそうだからやめとく....」

フレデリカ「んー.....!ほっぺつねって痛いって事は、現実だね!」





周子「そういや、決勝の相手はどうなるんやろ?」

P「次の第2試合で勝った方と、1週間後に決勝で戦うことになるな。そろそろ始まるし見に行くか?」

奏「そうね、次の相手がどんなアイドルか、しっかりこの目に焼き付けておきましょう」
121 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:41:50.40 ID:O/b6jecx0
人々の夢を乗せて、踊り、魂を輝かせるアイドルのステージ
IGという特別な舞台で、私達は他の何に代えることもできないまばゆい光を見る......












はずだった
122 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:42:33.96 ID:O/b6jecx0
鳴動するステージで私達を待っていたのは、光り輝く夢ではなく


底が見えなく程暗く、あまりにも残酷な悪意が、大口を開けて待っていたのだ
123 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:43:48.38 ID:O/b6jecx0
スタッフ1「おい!早く救急車呼べ!」

スタッフ2「くそっ!なんでこんなことに!」




奏「そんな.....」

P「おい....おいおいおいおい!一体どういう事だよ!」










覇王エンジェルズ、転落事故により棄権


よって第2試合の勝者は、そして、私達が決勝で戦う相手は.....
124 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:44:25.19 ID:O/b6jecx0

奏(891プロ所属、『Project,Queen』.........!)
125 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:51:07.12 ID:O/b6jecx0
夢のドームに吹き荒れる嵐は、未だ止まない



でも、全ての因縁に決着を付けるその瞬間は、もう目の前に迫っている

物語がエンドロールへ近づいていく音を、私は確かに感じていた......










to be continued......
126 : ◆FuHrdA/9sY [saga sage]:2019/04/13(土) 23:54:29.39 ID:O/b6jecx0
Chapter20終了したところで、今回はここまでー

ついに最後の舞台.....ですが案の定長くなってしまい、執筆が難航しております
あと4話(とエンディング)程で終わる予定ですが、どこかで一度時間を開けさせていただくかもしれません
127 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 20:39:27.86 ID:TfNz0bT70
りあむちゃんデレステ追加まだ?

Chapter21、投下開始します
128 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 20:43:13.10 ID:TfNz0bT70
最初に異変があったのは、第一審査後攻、覇王エンジェルズのLIVE開始時

彼女達の歌がサビに突入するその瞬間、急に音楽が途切れた

全員が動揺するのも束の間、今度は証明が落ち、ドームは闇黒と静寂に包まれた



それでも、覇王エンジェルズは歌う事を辞めなかった

唐突に訪れた静寂に負ける事なく歌い続け、誰の目にも見えない暗闇の中でも、自分達がまだ舞台で踊り続けている事を、自分たちの存在を必死にアピールしていた

どんなに連続してアクシデントが起きようと、彼女達は自分たちの勝利を疑わなかった

もう、流石今大会最大の優勝候補としか言いようがない。本当にとてつもない精神力だった






だが、今回に至ってはむしろ、そこで折れていた方が良かったのかもしれない
129 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 20:45:42.22 ID:TfNz0bT70
美しい歌声と力強いステップの音の中から、微かな悲鳴が俺の耳に飛び込んできたその刹那、照明が復旧し、舞台は光を取り戻した

だが、照らされたステージの上からは、数秒前まで確かにそこにいたはずの少女が消えていた



代わりに現れていた大穴を目にして、察する


あの悲鳴の正体は、あの穴の下に落ちた少女が発したものだったのだと.......
130 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 20:47:47.53 ID:TfNz0bT70
美嘉「プロデューサー!一体何が起こったの!?」

P「セリが....セリが落ちてる....あの穴に落ちたんだ!」

志希「セリって、迫?人や道具を舞台から上げたり下げたりするあれ?」

奏「......本当ね。確かにステージの真ん中、穴が開いているわ。ステージが始まったときには、あんな穴無かったのに!」

フレデリカ「それより落ちた子は!?落ちた子は大丈夫なの!?」



フレデリカの問いかけに答えるかの様に場内アナウンスが鳴り響く

あまりにも冷たい機械越しの音声が、無情にも最悪の答えを語りだす




『会場にお集りの皆さま、誠に申し訳ございません。ただいまの事故で負傷者が出た為、IG本戦第2試合、及び3位決定戦はここで中止とさせて頂きます』

『また、覇王エンジェルズ棄権の為、決勝進出は『Project,Queen』、3位決定戦は『トライアドプリムス』の不戦勝となります』
131 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 20:50:53.95 ID:TfNz0bT70
観客A「ふざけんなー!!」

観客B「なんでこんな事故が起きるんだよ!!」

警備員1「申し訳ございません、現場検証を行うため関係者以外はドームから退出してくださーい!」

観客C「なんだと!?」

警備員2「皆さん落ち着いて!暴れないでください!」

警備員3「係員の誘導に従ってドームの外に....誰かー!応援をよこしてくれー!?」




奏「皆、パニックになってるわね....」

フレデリカ「そんな.....こんなのってないよ!こんなんじゃ、みんな笑顔になれないよ!」

周子「Pさん、どうにかなんないの?落ちた子のケガが治るまで延期とかさ」

P「無理言うな、俺にそこまでできる力はねえよ。それに、どっちみち大会規定で仕切り直しは無しって決まってる」

P「まあ、それを認めてしまうと、不利になったらわざと事故を起こしてやり直せちまうからな........」

周子「それはそうだけど....でも、こんなの納得いかないよ」
132 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 20:52:57.27 ID:TfNz0bT70
ちひろ「みんな、無事!?」

美嘉「ちひろさん!」

ちひろ「会場で事故が起きたって聞いたから、まさか皆が巻き込まれたんじゃと思って飛んできたんだけど....無事なようね」

フレデリカ「アタシ達は無事だけど、覇王エンジェルズが!」

ちひろ「さっき館内放送で聞いたわ....加蓮ちゃん達も怒ってた、『不戦勝なんて納得いかない』って」

ちひろ「まさか、こんなことになるなんて......」



奏「でも、偶然音響が落ちて、偶然証明も落ちて、偶然セリも下がってた.....こんな偶然、一度に3つも起きるはずないわ。特にセリは人の手がないと動かない、まず間違いなく人為的に引き起こされた物よ」

美嘉「その犯人って、やっぱり......」

ちひろ「...........」









???「なんだかお取込み中のところ悪いのだが、君たちがLiPPSかね?」
133 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 20:54:53.94 ID:TfNz0bT70
......!!!

この男は!


周子「んー?おじさん誰ー?」

奏「周子!そいつに近づいてはダメ!」

周子「えっ?」








P「.....おっちゃん」

周子「!!」


志希「この悪意のこもった匂い......奏ちゃん、この人がそうなんだね?」

奏「ええ、この男が.......」
134 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 20:55:24.99 ID:TfNz0bT70

奏「891プロ社長、屋久井 清!」
135 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 20:57:38.52 ID:TfNz0bT70
美嘉「この人が、全ての元凶.......!」

屋久井「元凶?一体何の事かな?私はただ、決勝戦の相手に挨拶に来ただけだよ」


奏「とぼけないで!さっきの事故、貴方が仕組んだことでしょう!?」

奏「iMB事件だってそう、今芸能界を覆っている闇....全ての糸をその裏で操っていたのはあなたでしょう!?」

ちひろ「社長、891プロの帳簿、調べさせてもらいました.....『子会社』の事も」

ちひろ「だから正直、今私達はものすごくあなたを疑っています。なにか、釈明はありますか?」


屋久井「おやおや二人とも、前に会った時に比べて随分敵意むき出しじゃないか。一体どうしたんだね?」
136 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 20:59:35.29 ID:TfNz0bT70
P「おっちゃん、俺からも一つ聞かせてくれ.......予選の時から、どうしても気になってたことがあるんだ」

屋久井「何かね?」


P「予選のトリスタの曲聞いてるとな、なんか違和感を感じたんだよ。前に聞いたときと何かが違うって思ったんだ。まさかとは思ったけど、一応あの後当日録画したライブの音源とCDの音源、比べてみたんだ」

P「......曲の速さが、わずかに早くいじられていた。そんな訳ないと何度も確認した、でも、やっぱり予選の音源の方が、歌い終わりが数秒早いんだ!」

P「たった数秒.....それだけでも、ステージに立っていた本人たちには致命的だ.....そしてそんな妨害をやるのは、同じDブロックでぶつかった奴しかいない.....」


屋久井「............」

P「なあおっちゃん.....あんたが、やったのか?」







屋久井「P君.....相変わらず君は頭が悪いな」

P「!.....そ、そうだよな!おっちゃんがそんなことするはず」

屋久井「違うよ」

P「えっ?」
137 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:00:22.27 ID:TfNz0bT70

屋久井「今になって、やっと気づいたのかって事だよ」
138 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:02:08.77 ID:TfNz0bT70
P「は........?」

屋久井「いやー、昔から馬鹿だとは思っていたが、まさかここまで救いようが無い程だったとはな」




P「嘘....嘘だろ?だって、俺はあんたを、あんたを信じてたんだぞ!?あんなに優しかったおっちゃんがそんなことするはずないって!」

P「なのに......なんでだ!なんで俺を裏切った!?」

屋久井「裏切ったとは心外だな、君が勝手な信頼をしていただけだろう。それに、先に裏切ったのは君じゃないか」

P「俺が、裏切った.....?」

屋久井「だってそうだろう?私は君を信じていたのだから。君ならきっと、891プロが芸能界を支配したときに、その象徴となってくれるだろうと。だから資金もコネもキミの為に全部用意した。我が社の総力を挙げて君を売り出していたんだ」

屋久井「なのに、君はたった一人のガキに心奪われて、私もちひろ君も裏切ったじゃないか。分かってるかね?君はあの子との密会を週刊誌にすっぱ抜かれて、危うく大スキャンダルになる所だったんだよ?」

P「それは.....」
139 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:03:20.64 ID:TfNz0bT70
屋久井「でもねP君、私はそれでも君の事を許すつもりだった.....だから、写真を持ちこんできた出版社と取引したんだよ」

奏「その、取引というのは......!」


屋久井「なんだ、気づいてるようだね」

屋久井「お察しの通り、あのガキを売ってやったのだよ。P君のスキャンダルを握りつぶしたうえで、あのガキが二度とP君にまとわりつかない様にな」


P「売っ.....た?あの子を......?」

屋久井「ああ、キミは馬鹿だからしっかり言わないと分からないかい?」
140 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:03:50.61 ID:TfNz0bT70

屋久井「あのガキは、私が殺したという事だよ!!」
141 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:12:12.74 ID:TfNz0bT70
P「そん....な.....」


屋久井「あのガキの所属事務所は我が社の傘下だったからな、少し圧力をかけてやれば簡単に済んだよ。担当プロデューサーもちょっといい条件で引き抜いてやると言ったら、快く自分のアイドルを売り出してくれた。しかも、かなりの『おまけ』つきでな」

屋久井「私もP君の目を覚まさせてやろうと、徹底的に潰してやったよ。随分ムカつかせてくれたから、少し虐めさせてもらった。いやー、あの時は年甲斐もなくハッスルしてしまったよ!」

屋久井「犯されてる間ずっと『師匠、師匠』と何度も君を呼び続けていてね!おかしなもんだよ、彼女の穴に突っ込んでいたのは君じゃなくて、歳食った汚いおっさんだったというのに!」


周子「最っ低.....!」

屋久井「最低?むしろ感謝してほしいくらいだよ。夢を見ることしか知らなかった哀れなガキに、しっかり現実というものを教え込んでやったのだから!」

美嘉「....とりあえず、あんたがとんでもないゲスって事はよくわかったよ」

美嘉「でも、どんな理由があろうと自殺まで追い込む必要はなかったでしょ!」

屋久井「あのガキは、私が芸能界を支配するという崇高な計画を土足で踏みにじったのだ。当然の報いだよ」

フレデリカ「.....アタシね、皆がハッピーじゃないと嫌だから、誰かの心を傷つけることが本当に嫌だから、絶対に人の悪口とか言いたくないし、聞きたくないんだ。でも、ゴメン。今だけは言わせてもらうね」

フレデリカ「アタシ、あなたの事は嫌い。大っ嫌い!!」

屋久井「フン、別に構わんよ。小娘に何を言われようがね」











P「........何人だ」
142 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:14:58.78 ID:TfNz0bT70
屋久井「んー?」






P「あんたのその下らねえ計画の為に、一体何人犠牲にしたかって聞いてんだよ!子会社とやらのアイドルも、061プロのアイドルも、『あの子』だって......みんな本気でアイドルって道に命賭けてたんだ!なのに、あんたはそんな命を何人踏み躙って来た!あの子達が抱いた何よりも尊い夢を、一体いくつ踏み躙って来たァ!?」
143 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:16:33.18 ID:TfNz0bT70
プロデューサーさんが、今まで貯めこんで来た感情を吐き出す

怒り、憎悪、嘆き.....今までずっと仇敵に対して貯め込んでいた感情が、決壊したダムの様にプロデューサーさんの口から流れ出る



でも、その激情の矛先を向けられた男は依然堂々と....いや、むしろどんどん凶暴な笑みを浮かべながら答えた


社長「何人って....知らないよ。踏みつぶしたアリの事なんざいちいち考えないからな」






自分が犠牲にしてきた人間を虫同然に言い切った男の顔を見た時、私の頭に最悪の予感がよぎった

まさか、この男の狙いは.....!
144 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:18:15.77 ID:TfNz0bT70
P「....殺してやる」

屋久井「何かね?」







P「許さねぇ!あの子の夢を汚して、あの子の命を奪ったッ!あんただけは絶対に許さねぇ!!ブッ殺してやらアアアアアアアアアアァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!」


奏「ダメよプロデューサーさん!!止まって!!!!」





慌てて呼び止めたけど、私の声はもう、プロデューサーさんには届かない

ダメ、間に合わない.....!
145 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:18:41.47 ID:TfNz0bT70

パチィン!!!
146 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:20:00.37 ID:TfNz0bT70
とても高い音がした

一瞬、プロデューサーが屋久井を殴った音かと思ったけど、違う。この音はもっと、平手打ちの様な高い音だ

例えば、癇癪を起こした子供をはたいて疎めるような.....




恐る恐る目を開けてみる

プロデューサーさんは屋久井社長へたどり着いておらず、二人の間には一人の女性が割って入っていた
147 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:20:56.55 ID:TfNz0bT70
ちひろ「何をやってるの.....?」





P「ちひろ、さん.....?」

ちひろ「貴方はもう彼女達の、『LiPPS』のプロデューサーなのよ?LiPPSの夢を、一緒に背負って支える立場の人間なの。それなのに....貴方がここで社長に暴力を振るえば、彼女達の夢まで一緒に砕けることになるわ。こいつは、それを狙っているのよ!?」

P「でも!このままじゃ『あの子』の無念は!」
148 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:21:35.18 ID:TfNz0bT70

ちひろ「憎むことばかり考えるな!!」
149 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:23:58.57 ID:TfNz0bT70
ちひろ「もう一度、頭冷やして考え直しなさい....今の貴方には、その恨みよりもっと大事な人達が、大事にしなきゃいけない人がいるでしょう!!」

P「!!」


プロデューサーさんが、はっとした顔でこちらを向く



ちひろ「確かに、始まりは復讐だったのかもしれない、自分の目的の為に、表面上思いやっていただけなのかもしれない......でも、彼女達は、LiPPSは!貴方にとって大切な人達になったんでしょう!?なら、彼女達を泣かせるような真似するんじゃないわよ!」

ちひろ「どれだけ正当な理由があっても....どれだけの憎しみを抱えたとしても.....自分にとって大事な人ができたのなら、自分を大事に想ってくれる人がいるなら、その人を悲しませるような事しちゃいけないのよ!!!」










P「................クソッ!」
150 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:26:18.35 ID:TfNz0bT70
ちひろさんに平手打ちで叱られたプロデューサーさんは、行き場の失った怒りとともに、逃げるように去っていった


奏「プロデューサーさん!....私、追いかけてくる!」

美嘉「ちょっと奏!.......いや、頼んだ!」



屋久井「チッ.....余計な事を」

ちひろ「悪かったですね、計画を邪魔してしまって」

屋久井「....まあいい、なら正々堂々と王者の座を頂くまで」

周子「正々堂々?どの口が言うのさ。今までずっとズルばっかしてた癖に!」

屋久井「フン....だが、証拠に繋がるようなヘマはしていない。仮に通報したとしても、私にはもみ消せるだけの力がある。無駄なことだ....」

屋久井「まあせいぜい頑張り給え、別に棄権してくれても構わないがね」

美嘉「棄権なんてしない!どんな妨害したって、勝つのはあたし達だよ!」

屋久井「そうかい.....では、そろそろ失礼させてもらうよ、まだ商談が詰まっているのでね」




ちひろ「社長、最後に一つだけ言わせてもらいます」

屋久井「何かね?」
151 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:27:21.28 ID:TfNz0bT70
ちひろ「P君は私達を裏切ってなどいません。P君は、この芸能界に潜む闇に立ち向かうために、勇気を出して一歩を踏み切ったんです」

ちひろ「だから....裏切ったのは貴方の方です。P君の信頼だけじゃない、この国のアイドル全てと、アイドルに夢を見た人々全ての想いを、貴方は裏切った。それは、決して許される事じゃない!」

ちひろ「いずれ貴方は必ず、その報いを受けることになります。覚悟しておきなさい!!」
152 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:29:05.69 ID:TfNz0bT70
プロデューサーさんを追いかけてドームの外へ出る

すると、植込みのところにぱたりと座り込んでいる彼を見つけた

しかしその姿からは、一切の気力を感じられない......
153 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:29:44.96 ID:TfNz0bT70
奏「プロデューサーさん、大丈夫?」

P「奏か......少し落ち着いたけど、大丈夫ではないかな.....」

奏「.........」






P「悪かったよ」

奏「えっ?」
154 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:31:07.24 ID:TfNz0bT70
P「感情に任せて、お前たちの夢をめちゃくちゃにするところだった。ちひろさんが止めてくれなきゃ、811プロは暴力プロデューサーの率いる危険集団にでもされるところだったんだろう」

P「今度こそちゃんとお前たちに胸張れるプロデューサーになるって誓ったのに、またやっちまった.........」


奏「......やっぱり屋久井社長の事、信じてたのね」

P「ああ....どんだけ怪しいって証拠が出てきても、あの人は俺の恩人だから、俺の記憶の中の優しかったあの人は、絶対そんな事するはずないって!......ずっとそう、信じてた」

奏「...そっか」


P「でも、裏切られた....やっぱりおっちゃんが犯人だったんだ。俺、もう何を信じたらいいか分かんねえよ.......」

P「奏.....俺、もうダメだわ」
155 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:32:43.68 ID:TfNz0bT70
奏「ダメ....って?」


P「俺さ、さっきちひろさんにあんなに説教されて、憎しみに身を委ねちゃだめだって分かったのに、お前らの夢まで一緒に壊したくないって本当にそう心から思ってるのに!」

P「それでも....消えてくれないんだ。あいつをぶっ殺したいっていう醜い憎悪が、消えてくれないんだ!ずっと胸の中で色んな感情がぐちゃぐちゃになっててさ、もう、どれがホントの気持ちなのか分かんねえんだよ!」

P「俺、これから自分が何するか分かんねぇ....もしかしたら、また感情のままに取り返しのつかない事しちまうかもしれねぇ。信じてた人に裏切られて、その事に、どう向き合えばいいか分からなくなって!........もう、自分の心すら信じられないんだよ.......」


奏「プロデューサーさん......」

P「すまない、奏....こんな情けないプロデューサーで、本当に、ごめん......!」

奏「...........ねぇ、プロデューサーさん。少し、昔話に付き合ってちょうだい?」

P「昔話........?」

奏「ええ、昔話....といっても、割と最近の事なんだけどね」
156 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:36:22.71 ID:TfNz0bT70
私が高校生になってすぐ、私に一人の友達が出来たの

勿論、それまでにも人との付き合いがなかった訳じゃないけど、自分から友達って呼べるくらいに心を開ける人ができたのは、多分その子が初めてだった


その子はね、入学式の日、すぐに私に話しかけてくれた。その次の日も、次の日も.....何度も私とおしゃべりしてくれたの

それでどんどん仲良くなって、一緒に遊びに行ったりして.....あんなに仲のいい友達が出来たのは初めてだったから、その友達と過ごす毎日がいつもいつも凄い新鮮で.....とても、楽しかったわ

そんな充実した日々を過ごして、気づいたら学年が一つ上がって、新しい春が始まった.....そんな時だった


私、ある男の子に告白されたの



......そんなに慌てなくても大丈夫よ、お断りしたから。大体、受けてたらアイドルになってないわよ

まあ、今まで殆ど話したことない人だったし、私も特別彼氏が欲しいと思っては無かったからね

結局、その日はそれ以降何もなく終わったのよ。私も、告白なんてされたって明日は何事もなくやってくるんだなーって、そんなどこか達観した事を考えながら、その日は眠りに付いたわ




でもその次の日、友達から絶交を宣言された
157 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:38:36.60 ID:TfNz0bT70
理由?私があの子の男を奪ったかららしいわ。あの子、私に告白してきた男子が好きだったみたい

もちろん反論したわよ。そんな積もりないし、彼の事は振ったから関係ないって

でも、逆に色んなことを暴露されたわ


私の友達になったのは、私につられて男が寄ってくると思ったから。私と一緒にいれば、自分も一緒にモテると思ったから。でも、男子は皆私目当てで、誰と話しても聞かれるのは私の事ばかりで、自分に目をくれる人なんか一人もいなかったって

私の事も本当は、お高く留まって気にいらないと思ってたらしいわ。私、そんな積もり全然なかったのに....いや、もしかしたらそういう態度だったからこそ、余計に気にいらなかったのかもしれないわね

そんな不満を抱えていたら、自分の一番の本命が私に告白しているのを見て、ついに裏切られたと思ったらしいわ



私、それを聞いた時、本当に訳が分からなかった

何もしていないのに裏切られたと言われて、今まで感じていた友情は全てまやかしだったと分かって、本当にショックだった

それはもう、人を信じる事そのものが怖くなって.....人間に、いや......世界に或る種のあきらめをつけてしまうほどに............


だから、そんなどうにもできない感情をどうすればいいか分からなくて、でも、少しでもこの苦しみを洗い流せたらいいなって.....そう思ったからあの日、あの海岸でずっと黄昏ていたの
158 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:39:33.04 ID:TfNz0bT70
P「そんな事が.....」


奏「あの時私は、本当に何も信じられなくなっていた....貴方スカウトに乗ったのも、ほとんどヤケよ。貴方の事を疑ってはいたけど、もしこのどうしようもない現状を壊してくれるなら.....そう思ったら、どうでも良くなっちゃってね」

P「お前....ヤケになったからといって女の子がホイホイ怪しい奴の誘いに乗っちゃダメだろ!」

奏「あら?じゃあ断った方が良かったかしら?」

P「それは.....ダメだけど」

奏「ふふっ、だよね!」
159 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:41:42.18 ID:TfNz0bT70
奏「.....でもね、貴方がアイドルに誘ってくれたから、貴方が皆と引き合わせてくれたから、私にこんなに光り輝く世界があるって事を教えてくれたから!」

奏「だから、ちゃんと思い出すことができたのよ。大事な事を....ね」

P「大事な事?」


奏「結局、誰も信じ無い生き方なんて到底無理だってこと!」


奏「最初から何も信じず生きれば、裏切られずに済む。それはきっと、賢い生き方なんでしょう。でもね、それって凄く苦しいのよ。だって、自分の心の傷は、自分じゃ癒すことができないから」

奏「愛想よく振る舞いつつも、常に相手を警戒し続ける。心が落ち着く事なんてなくて、常に擦り減らし続ける。誰かに傷つけられることはない。でも、癒されることもない...そんな虚無感をずっと抱えて生きることのできる人はいないわ。プロデュ―サーさんも、そう思うでしょう?」


P「...........まあ....そう、だな」
160 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:42:53.75 ID:TfNz0bT70
奏「人は誰しも自分の想像を超える壁にぶつかったとき、その困難から目を背ける為に、自分自身の心を鎖で縛り付けてしまう。そしてその鎖は、自分ではどうにもできない。外すには、必ず自分じゃない誰かの力を借りなければならないの」

奏「だから、どんな人間も一人で生きることは出来ない。自分と他人との信頼って言う繋がりは、捨て去ることは出来ないのよ」

P「....................」
161 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:46:27.22 ID:TfNz0bT70
奏「それにねプロデューサーさん。信じるって、素晴らしい事よ」

奏「だって、例え裏切られるかもしれなくても......信じるって事、誰かを信じられるって事は、何よりも暖かい事だから!私の心を縛る鎖を解いてくれたのは、他ならぬ811プロの皆だから!」

奏「だからプロデューサーさん......もし貴方が自分を信じられなくなったのなら、私達を信じてよ」

P「奏達を....?」


奏「そうよ、私達LiPPSを.....他ならぬあなた自身がずっと守り導いてきた、私達を信じて!」

奏「大丈夫!私達は必ず、貴方の期待に応えて見せるわ。必ず.....貴方の心を救って見せる。貴方が私にそうしてくれたようにね!」

P「......そうか、じゃあ、お前らを信じる!その為に、俺もお前たちのプロデューサーとして出来ること、なんだってやってやる!」

P「だから.....お前たちがトップアイドルになる瞬間、この目で見届けさせてくれよな」


奏「うん!任せてちょうだい!!」
162 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:47:37.21 ID:TfNz0bT70
P「..............なぁ、奏」

奏「何?」



P「少しだけ、むこうを向いててくれないか?なんか、色々あふれだしそうでさ」

P「あんまり、見せたくないから」

奏「.....分かったわ、でも」
163 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:48:05.79 ID:TfNz0bT70
そっと、プロデューサーさんの手を握った

私と彼の温度が混ざり合っていくのを感じて、なんだか心が暖かくなる
164 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:49:29.09 ID:TfNz0bT70
奏「涙は見ないであげる。でも、寄り添うくらいはいいでしょ?」

P「....ああ、ありがとな」














P「...........ほんと"う"に..................あ"りがと"う.................!!」
165 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:51:04.93 ID:TfNz0bT70
今日の天気は、晴れのち大雨

降り出したのは、耳をつんざくような豪雨


....でも、とても暖かい雨



私は、傘を差さなかった

彼の溜まりに溜まった感情の雨を、全部この身で、受け止めてあげたかったから.....
166 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:54:04.98 ID:TfNz0bT70

Chapter21「warm,warm rain.......」
167 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:55:15.30 ID:TfNz0bT70
P「.....はぁ、はぁ.....よし!」

奏「もう、落ち着いた?」


P「ああ!もう泣くだけ泣いた、皆の所に戻って決勝へ向けて準備を......」



???「あれ?もしかして貴方たち、811プロ?」

P「えっ?そうだけど.....キミ達はっ!?」

???「ええ、貴方たちと決勝で、文字通り頂点をかけて戦う相手......」




ちとせ「Project,Queenよ」
168 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:56:00.61 ID:TfNz0bT70
奏「貴方たちが、Project,Queen...!」

ちとせ「そうよ。私はリーダーの黒埼ちとせ、それでこっちが私の僕で、同じユニットのメンバーの」

千夜「白雪千夜です、あとこの二人は....」

颯「はーとなーだよ!同じくProject,Queenメンバー!」

凪「久川凪と颯です。双子です。エモいでしょう?」

P「エモいって.....まあ双子属性はウケがいいか.....」

凪「そうです。双子と主従属性と美少女とアイドル.....私達は世のエモさの集合体なのです」

P「そ、そうなのか......」
169 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:57:01.76 ID:TfNz0bT70
颯「今日はなんか残念なことになっちゃったけど.....来週の決勝は、頂上をかけて正々堂々、思いっきりぶつかり合おうね!」

奏「正々堂々って...もがっ!」


事故を仕込んだのは貴方たちの癖にと咎めようとすると、プロデューサーさんに口を押えられ遮られた


P「ああ、俺たちも決勝を楽しみにしてるよ!」

奏(プロデューサーさん、何で止めるの?)

P(多分、この子達は何も知らない。あいつは自分の本性を隠すのが本当に上手かったから......だから俺とちひろさんも、何年も一緒に仕事したのに気づかなかった)

奏(な、成程......)






確かに、不正だけで勝ってきたならあそこまで凄いパフォーマンスは出来ないか......
170 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:58:20.53 ID:TfNz0bT70
ちとせ「.....ところで千夜ちゃん、ちょっとケーキとか買ってきてくれない?コンビニのでいいから」

千夜「構いませんが....急ですね」

ちとせ「なんか糖分が足りてなくって、私もう動けないの。.私が奢るから、はーちゃんとなーちゃんも好きなスイーツいっぱい買ってきなさい?」

颯「ほんと!?ありがとうちとせちゃん!」

凪「ちとせちゃんの奢り....つまりちーPayですね?」

ちとせ「そうそう!ほら、皆行ってらっしゃい。千夜ちゃんも好きなの買ってきていいから、二人の事お願いね?」

千夜「.....お嬢様が、そうおっしゃるのなら」

ちとせ「行ってらっしゃい、なるべくゆっくりね」

千夜「畏まりました......それでは」
171 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:59:10.11 ID:TfNz0bT70
ちとせ「さて.....と」


ちとせ「社長に会ったんでしょ?大丈夫だった?」

P&奏「「.......!」」
172 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:59:51.59 ID:TfNz0bT70
奏「貴方、もしかして」

ちとせ「私は、人の嘘がなんとなく分かるから。他の皆は....千夜ちゃんはいつも私と一緒にいるから、もしかしたら察しちゃってるかもしれないけど.....はーちゃんとなーちゃんは気づいてない」

P「キミは891プロの不正を知ってたのか....だったらなんで!」

ちとせ「私にも、どうしても負けられない理由があるから」

P「負けられない、理由?」
173 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 22:00:35.82 ID:TfNz0bT70

ちとせ「私ね、もう長くないの」
174 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 22:02:17.32 ID:TfNz0bT70
奏「長くない.....?」


ちとせ「後3年....いいえ、まともに体を動かせるのはあと1年あればいいほうって、そう言われた」

P「余命3年....だと?」

ちとせ「....これ、皆には秘密にしてるから、絶対言わないでね?特に今は、IGの決勝直前だし」

P「そんな....治療に専念すれば良くなったりしないのか?」

ちとせ「無理、まだ治療法が確立してない奇病なんだって。ずっと病院で寝たきりなのを受けいれれば、延命措置くらいはできるかもしれないけど」

P「そんな.......」
175 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 22:04:36.50 ID:TfNz0bT70
ちとせ「だから私、どうしても残したいの。この世に『黒埼ちとせ』っていう女がいたことを。私が、最後まで私として生きたって言う証を」

ちとせ「.....あと、千夜ちゃんの事もあるしね」

奏「白雪さん?確かさっき主従がどうのって言ってたけど....」


ちとせ「そう、あの子はずっと私の僕として、私に尽くしてくれた.....でも、それだけなのよ。ずっと私に縛られて、それ以外の生き方を知らない....だから私が死ぬ前に、あの子には自分自身の生き方を見つけて欲しいの」

ちとせ「それに....はーとなーは、純粋にアイドルに夢を見て、ただひたすらにトップアイドルを目指して頑張ってきたの。そんな二人の夢を、私が壊すようなことは出来ない」

ちとせ「だって....3人とも同じ道をずっと一緒に歩いた仲間だもの。なにも残さず死ぬはずだった私の手を、ずっと掴んでいてくれた何よりも尊い仲間.....だから、私があの子達の幸せを願うのは、当然のことでしょう?」


奏「.....そうね。同じ立場だったら、私もそうするわ」

ちとせ「.......ねぇ」







棄権、しないの?
176 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 22:06:46.83 ID:TfNz0bT70
P「....どういう事だ?」

ちとせ「別に、LiPPSと戦いたくないと思ってるわけじゃないの。でも、もし決勝のステージに立てば貴方たちはきっと酷い妨害を受けるわ。今日の覇王エンジェルズみたいに、大ケガを...最悪、命に関わるかもしれない」

ちとせ「それでも....決勝に挑む覚悟はあるの?」


奏「当然よ」

ちとせ「!!」

奏「私達の身を、純粋に心配してくれるのは有り難いわ。でも、あえて言わせてもらうわね.....余計なお世話よ。どんな逆境に苛まれようと、全力でアイドルを楽しむのが私達811プロの信念だから!」

奏「ねっ?プロデューサーさん?」

P「ああ!正直すげぇ怖いけどな....でも、絶対に立ち向かうと決めたからな!」


ちとせ「アイドルを、全力で楽しむ.....そっか、じゃあもう遠慮しないよ。言っとくけど、妨害とか抜きにしても勝つのは私達だから!」

ちとせ「だから....覚悟してなさい。決勝で、私達『Project,Queen』が、貴方たちを叩き潰すから!!」



奏&P「「望むところよ(だ)!!」」
177 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 22:08:22.73 ID:TfNz0bT70
千夜「お嬢様、ただいま戻りました」

颯「ちとせちゃんの分も、一杯買ってきたよー!!」

凪「人の金だと思って、大量に買い過ぎました。でも、美味しければ大丈夫らしいので、おーるおっけーです」

ちとせ「おかえり皆。じゃあ、事務所に帰ってお茶でもしましょうか」

千夜「お話は、もう済んだので?」

ちとせ「うん、もう大丈夫。それじゃあ、さっさと帰りましょ?私もう糖分不足でヘロヘロー!」

ちとせ「というわけで二人とも、また決勝で会いましょうね」

奏「ええ、楽しみにしてるわ」



決勝の舞台で思い切りぶつかることを誓い合って、Project,Queenは去って行く

そして彼女達が見えなくなった頃、入れ替わるように811プロの仲間達が帰ってきた
178 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 22:09:24.07 ID:TfNz0bT70
美嘉「二人とも、やっと見つけたよ!中々帰ってこないから心配したんだから!」

志希「随分長い事二人きりでいたみたいだけど.....ナニしてたのかにゃー?」

奏「さて、ナニかしらね?」

P「誤解を招くような発言はよせ....」

奏「もう、ノリが悪いわね」

フレデリカ「だめだよプロデューサー!芸能界を生き抜くには、ノリに乗れる力を見につけないと!」

P「いや、俺はもう芸能人じゃねえし.....」


周子「そう言えばさっき、青木さんと早苗さんから連絡があったよ。客席でライブ見てたけど事故の事調べようとしたら追い出されたから、先に事務所で待ってるって」

P「そうか....じゃあ、一旦事務所へ帰ろうか。色々と情報共有しといた方がいいだろうしな」

ちひろ「私は010プロに戻りますね。多分色々やらなきゃいけない事が山積みになってると思うので....」

美嘉「そっか。じゃあちひろさん、またね!」

ちひろ「ええ、皆も決勝に向けて頑張って!私も応援してるから!」
179 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 22:10:27.17 ID:TfNz0bT70
その後、私達はプロデューサーさんの車に乗って811プロへと帰ってきて、早苗さんとトレーナーさんに今日あったことを説明した

そして、Project,Queenの事も.....



早苗「成程ね....やっぱり、あの事故には891プロが噛んでたか」

ベテトレ「あの子のプロデューサーが、何事もなかったかのように891プロに再就職していたのも、これで合点がいったな....あの男、プロデューサーの屑だな!」


美嘉「でも、Project,Queenの方はむしろ被害者だね....特に、リーダーのちとせちゃんは.....」

フレデリカ「後3年しか生きられないって.....折角、アイドルになれたのに!」

P「その上、891プロの実態を知ってしまって板挟みだ。仲間の為に負けられないからこそ、891プロの手で良いように転がされてる....」

周子「ほんっとに許せない!アイドルをまるでおもちゃみたいに扱って!」

志希「でも、だからって手を抜くわけにはいかないよね?」


奏「ええ、むしろ全力でぶつかって、お互い最高のステージを作り上げる事....それがProject,Queenに対する、最大限の礼儀よ」

奏「それに....私達が負ければ、芸能界は本当にあの男に支配されてしまうかもしれない。もしそんな事になれば、とてつもない数の人が苦しむことになる」
180 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 22:11:40.77 ID:TfNz0bT70
P「だがあの人の事だ、必ず何かしらの妨害をしてくるだろう.....何とかならないもんか......」

周子「早苗さん...なんかこう、国家権力の力とかで何とかならない?891プロにガサ入れして摘発するとかさ」

早苗「私もそうしたいんだけど....きっと上に止められるでしょうね。061プロの社長の時もそう、891プロに少しでもつながりそうになると、いつもに圧力をかけられるわ....多分、警察の上層部に891プロと繋がってる奴がいる」

美嘉「そんな、警察にまで!?」

早苗「悲しいけど、このアイドル戦国時代と呼ばれるような世の中、割と良く聞く話なのよ....芸能事務所が賄賂を差し出す代わりに、不正を見逃してもらったり....そういう癒着の話は、そこまで珍しい話じゃない」

早苗「ホントは私も締め上げてやりたいんだけど....ごめんなさい、私の権限じゃ、そこまで無理な捜査はできないわ.....」


P「気に止まないでください片桐さん。それにそういう事情なら、あまり噛み付くと片桐さんの身が危ないかもしれない」

フレデリカ「アタシ達の為に早苗さんが傷つくなんて、絶対嫌だからね!」
181 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 22:12:41.37 ID:TfNz0bT70
周子「でも、実際どうするの?このままじゃ戦いの舞台にすら上がれないかもよ?」

P「正直警察組織まで懐柔されてるとなると、あまりにも話がデカすぎる.....歯がゆいが、今は向こうの出方を伺うしかないな.....」

奏「....................」







あの男が、この期に及んで決勝当日まで何もしてこないはずがない


.....とてつもない悪寒がする

まるで、見えない刃を首筋に突き付けられているかのような..........
182 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 22:14:49.91 ID:TfNz0bT70
〜〜〜某時刻、891プロ社長室〜〜〜

屋久井「それでは君たち、最後の仕事、よろしく頼むよ」


記者1「もちろんでさぁ、頂いた報酬の分はしっかり働かせていただきますよ」

記者2「それに、我々もあのプロダクションには一度煮え湯を飲まされているのでね....個人的な復讐もしたかったところです」

記者3「まあウチは、なんでもいいから叩ければそれでいいがな。やっぱり、いたいけな少女を陥れるのはたまんないからねぇ!」

記者1「相変わらずあんたは性癖歪んでんな....じゃあ、811プロ以外の事務所の方はあんたに任せるわ。好きなだけぶっ叩いてやれ」
183 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 22:15:21.65 ID:TfNz0bT70
891「これで、芸能界のすべてを、この891プロが....私が!この手に握ることになる.....!」

891「P.....私が売り出してやった恩を忘れて好き勝手やって来たみたいだが....私を裏切ったらどうなるか、しかとその身に刻むがいい......」







クククク.......アーッハッハッハッハァ!




to be continued.....
184 : ◆FuHrdA/9sY [saga sage]:2019/04/14(日) 22:21:58.56 ID:TfNz0bT70
Chapter21が終了したところで、今回はここまでー。 このP完全にヒロインみたいな立ち回りしてんな

今回だけでこの物語で書きたかったシーンの半分以上を書きました。というか、この話とエンディングのワンシーンと事務員周子のネタをやりたいがためにわざわざイチからプロダクションを立てる設定にしたと言っても過言ではない

次回の更新ですが、明日から1週間クソ忙しくなりそうです....
一話くらいは隙見て更新できると思いますが、更新頻度が劇的に下がる事をご容赦ください
185 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/18(木) 21:18:09.17 ID:xdXSO0Np0
時間が開いてしまった今でも見てくださってる方がいるかは分かりませんが、Chapter22の投下開始していきます
186 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/18(木) 21:19:14.50 ID:xdXSO0Np0
歩んで、歩んで、歩み続けて、ついに頂上が目前に差し迫ったその時こそ、人は最後の振るいにかけられる


問われるのは、それまで歩んできた道のり


中途半端な覚悟で挑んできた者、苦難から目を背けてきた者、妥協に妥協を重ねてきた者、自分自身に嘘をつき続けてきた者.....

楽な道ばかりを選び、自らを誇る事が出来なくなった人間に、頂上は掴めない



だが、確かな信念の元、自分自身が正しいと思える道を選び歩み続けてきた者ならば

その歩んできた道での出会い全てが、旅の中で胸に積まれていった、『自分』を貫き通した証が


きっと、力尽きゆくその背中を支え、押しだしてくれるだろう




光差し込む終着点、何よりも誇り高い頂へと.......
187 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/18(木) 21:20:38.81 ID:xdXSO0Np0
本戦第一試合が終わった次の日、私達はいつもよりだいぶ早い時間に集合をかけられていた





周子「おはよー......あたしが最後?」

P「ああ、でも時間通りだから大丈夫だぞ周子」

周子「久々にこんな早起きしたよー....まあ、決勝直前だし仕方ないか。仕事もレッスンも詰まってるもんね」

志希「そうだねー....早起きも、致し方にゃいねー......」


美嘉「なんか志希ちゃんすっごい眠そう....てかもう半分以上寝てるけど、よくちゃんと事務所まで来れたね?」

ベテトレ「志希は寝坊かもしれないと思ったから、私が迎えに行って連れてきたんだよ。案の定爆睡していた.....」

志希「無理やり叩き起こされたから志希ちゃんまだ夢の中〜.....」

P「あー、もう話始めるぞ?まず最初に重要なお知らせがある」


P「IGの決勝、一週延期になった。だから今日からちょうど2週間後だな」

奏「やっぱり、あの事故のせい?」

P「ああ、あの後ステージとか機材の見直しで色々揉めたらしいからな。その対応に追われてるんだとか。まあ、逆に一週間で済ませられるんだから大したもんだがな」


P「んで、今日のスケジュールについてだが......」







その時、プロデューサーさんの携帯が....いや、それだけじゃない

事務所の固定電話まで、一斉にけたたましく鳴り出した
188 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/18(木) 21:21:16.48 ID:xdXSO0Np0
P「こんな時に.....周子と青木さん、向こうの電話の対応頼む」

周子「りょうかーい」

ベテトレ「分かった」



美嘉「朝から凄い電話だねー」

フレデリカ「きっと決勝進出したから、色んなところからオファーが来たんだよ♪」









P「.....はぁ!?キャンセルって、一体どういう事ですか!?」



『!?』
189 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/18(木) 21:23:20.56 ID:xdXSO0Np0
キャンセル、ですって?


一体、何が起こっているの....?


P「何で急にそんな事に!?......は?そんなの、事実無根ですって!!ちょっと!」ガチャッ

奏「プロデューサー、一体何があったの?キャンセルがどうのって聞いたけど....」

P「今日の24山テレビの仕事.......キャンセルになった」

美嘉「キャンセルって、いくらなんでも急過ぎじゃない!?」

P「今朝の週刊誌の内容を鑑みて見送ることにしたらしいが....二人とも、そっちの電話はどうだった?」

周子「こっちもキャンセルの電話だったよ。なんかスタッフが怪我で足りなくなったから、番組の収録そのものが中止になったみたい」

ベテトレ「こっちもだ.....このタイミングで、これだけ同時にキャンセルされるのは痛すぎるぞ....!」


トゥルルルルル!!!!!


P「はい.....えっ!?ちょっと待ってください、なんで急に!?」

P「クソッ、またかよ!」トゥルルルッルル!!!

周子「電話が切れた傍からまた...!」

ベテトレ「まさかこれ、全部キャンセルの電話じゃないだろうな....」

P「....どうやら、そのまさかかもしれません」
190 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/18(木) 21:24:28.25 ID:xdXSO0Np0
....プロデューサーさんの危惧は、当たっていた

その後数十分、事務所中の電話が鳴り続けた


番組そのものが中止になったり、何かの理由で役者が変更になったりと、原因は様々だったけど

そのコール全てが、既に入っていた仕事のキャンセルを告げる電話だった
191 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/18(木) 21:25:04.63 ID:xdXSO0Np0

Chapter22 「Still,Stand Up」
192 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/18(木) 21:27:46.30 ID:xdXSO0Np0
ベルの音が鳴りやんだ頃、真っ黒だったはずのホワイトボードは、僅かばかりのシミを残して漂白されてしまった.....



P「残ったのは、これだけか......」

奏「『正気のサタデーナイト』まで、特番に変えられてしまったのね.....」



真っ白になってしまったホワイトボードを、皆ただただ呆然と眺めていた


でもその視線は、大きな音を立てながら勢いよく開いた扉に奪われる



早苗「みんな!大丈夫!?」

P「片桐さん!急に来てどうしたんですか?」

早苗「さっきコンビニでこれ見つけて、いてもたってもいられなくって......」

フレデリカ「それって、雑誌?」
193 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/18(木) 21:29:28.50 ID:xdXSO0Np0
志希「.......こりゃ酷いね、見出しから色んなアイドルのゴシップがてんこ盛りだ。特に、あたし達はめちゃくちゃバッシングされてるみたい」

奏「見て、これとか酷いわよ!【速水奏は映画好きを自称しているが、その実態は意味の分からないB級映画ばかり好むクソ映画ハンターである】って、デタラメじゃない!ねえみんな!?」


『................................』


奏「なんでそこで黙るのよ!?」


周子「でも叩かれてるのはウチだけじゃない、010も....本当に色んな事務所が叩かれてる.......大きな事務所程特に酷いね」

周子「だけど、891プロを叩く記事は一つもない.....ていう事は」

P「iMB事件の時と同じ、891プロの常套手段って事か....あいつ、マジで芸能界を891プロ一強にするつもりなんだ」

早苗「それに、今回は出版社やテレビ局だけじゃないわ、警察にも圧力がかかってる」
194 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/18(木) 21:30:42.08 ID:xdXSO0Np0
ベテトレ「警察にも....?どういう事だ?」

早苗「そもそもあたし、今日は別に非番じゃなかったのよ。でも、制服も着ずにここへ来た....何でだと思う?」

美嘉「....もしかして!?」


早苗「昨日、自宅謹慎を言い渡されたわ。どういうわけか、潰れた美嘉ちゃんが前にいた事務所...061プロとの癒着を疑われてね」

早苗「多分、上に圧力をかけられたんだわ。私が891プロの事嗅ぎまわっていた事ばれたみたい。891プロとの密約で甘い汁を吸ってる上層部に、邪魔だと思われたんでしょうね」

P「あいつら、本当に片桐さんまで狙ってきやがった....!」


周子「でも、自宅謹慎ならお家にいないといけないんじゃないの?」

早苗「そこはほら、811プロはあたしの第2の実家だから!というわけで、暫くはここで皆のお手伝いするわよ。人手足りてないでしょう?」

P「そりゃ有り難い!もう今日は電話番だけで手が足りなくなるくらいでしたからね!」

ベテトレ「早苗が手伝ってくれるのはいいが、これからどうするんだ?状況は最悪に近いぞ」

フレデリカ「お仕事ほとんど無くなって、暇になっちゃったねー」





決勝の直前である今の時期の仕事は、宣伝としても経験を積む目的としても重要だったのに、こんな理不尽が許されていいの.....。?

一体、どうすれば............
195 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/18(木) 21:31:42.26 ID:xdXSO0Np0
P「.........なあみんな、こういう時こそ初心に帰ってみないか?」

周子「初心?」

P「ほら、向こうから仕事が入ってくる今と違ってまだ駆け出しだったころは、自分たちの魅力を伝えるのに必死で、我武者羅にアイドルの階段を駆け上がってただろ?もちろんその過程で壁にぶつかることもあったけど、皆で乗り越えてきたじゃないか。今回もそれと同じさ!」


P「仕事を奪われたのなら、また新しく掴み取ればいい。悪い噂を流されたのなら、そんな噂吹き飛ぶくらいの魅力を見せればいい。ファンを奪われたのなら、それ以上の人を新しく魅了すればいい!」

P「大事なのは、何度折られたって、何度崩れ落ちたって、それでも立ち上がって前を見据える事......だって、アイドルはいつだって前を向いて笑う仕事なんだからな!」


......!!!



P「それに、考えようによってはチャンスかもしれないぞ?決勝の為の練習に費やせる時間が増えたんだから!どうせなら、この妨害も利用してやろうぜ?」

P「どんな逆境だろうと楽しんで、ファンの為に最高のステージを作り上げる.....それでこそ、俺たち811プロだろ?だから.....どんなに不利な状況だって俺たちは降参しないって、叩きつけてやろう!」
196 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/18(木) 21:33:47.56 ID:xdXSO0Np0
プロデューサーさんの言葉で、全員の顔に気力が戻っていく


....やっぱり、プロデューサーさんはちゃんと、私達にとってただ一人のプロデューサーよ


目の前の壁に心を折られかけた時、理不尽な状況に恐怖したとき......そんな時にいつも、"いってらっしゃい"と背中を押してくれる人

たったそれだけで貴方は、私達の迷いも不安も、全部振り切ってくれる




男は船で、女は港と言うけれど.....私達はきっと逆

私達がアイドルとして未知の海へと漕ぎ出していけるのは、いつだって帰れる場所があるから..........



ねぇ、プロデューサーさん.....これからも貴方だけは、私達の帰れる場所でいてね?

貴方が私達を見守ってくれている....ただそれだけで私達は、どんな壁にも立ち向かえる!
197 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/18(木) 21:36:58.63 ID:xdXSO0Np0
改めて決勝の舞台に立つという決意を皆で固めた後、彼女達のレッスンは深夜まで続いた

だが、熱中するあまり時間を忘れて残ってレッスンをしていたので、先ほど流石に日付が変わるまでいるのはマズイと無理やり返した


あの子達、ホントに一度火が付くとすげぇなぁ....

志希とか周子とか、いつもは気分屋なのに、今日のレッスンは別人みたいな集中力だった....

そんな二人に影響されたのか、いつだって本気が信条の美嘉も、今日はいつもの本気"以上"に本気で自分を高めていった

フレデリカはこんな非常事態になっても決してぶれず、笑顔でアツくなり過ぎていくみんなを和ませ、それでいて真剣にレッスンに挑んでいた


そしてそんな個性の塊みたいな集団を、奏はリーダーとして確かにまとめ上げた

みんな後悔しないように、今自分ができる事を全力でやっているんだ......




なら、あの子達が頑張ってる分、俺もプロデューサーとして、自分が今できる事を精一杯やり遂げなきゃな
198 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/18(木) 21:38:08.72 ID:xdXSO0Np0
P「.....まあ、それにしてもこの量....仕分け大変だなぁ」


ファンからアイドルへの贈り物

それは手紙だったりお菓子などの差し入れだったりと様々だが、その全てをアイドル本人に渡す前に検品を行わなければいけない



中にはファンを装ってアイドルを傷つけるような手紙を出してきたり、嫌がらせの様なものが送られてきたり....酷いときには食べ物に毒が盛られてたりする事もあるらしい

だからいつも俺がこうやって中身を確かめて、安全を確認してから翌日本人に渡しているのだが......



P「これも891プロの妨害なんかねぇ.....」



何故か今日に限って届いた贈り物が多い......だが、その分やたら攻撃的な内容の物が多かった



P「仕事なんか本心なんか知らんが、よくもまぁこんなに非道いことが書けるもんだ....」



彼女たちに向けられた敵意を見る度に何とも言えない気持ちになるが.....それでも、少しでもあの子達の力になるために仕分けを続けていた
だが.....








???「おー、やっぱりまだ仕事してたんやね」

P「えっ....お前!?」
199 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/18(木) 21:38:58.92 ID:xdXSO0Np0
周子「Pさん、お勤めごくろうさま♪」

P「周子、なんで戻ってきた?帰ったんじゃなかったのか?」

周子「偶には事務員らしく、事務所の為に残業してやったた方がいい気がしてね.....それで、何してんの?」

P「いや、これは.....」


なんとか誤魔化そうとするが、周子はひょいっと身を乗り出して持っていた手紙を奪い取ってしまう


周子「.......なるほどねー、暇な奴もいるもんだ」

P「見ないほうがいい....まだ結構あるし、お前はさっさと帰って『やだよ』」

周子「皆いつも言ってるでしょ?あたし達を信じろってさ。そうやって辛い事一人で抱え込むの、Pさんの悪い癖だよ?」

周子「それに.....ほら!」



周子が手紙の入った段ボールから、次々と手紙を掴み取り、読み上げていく
200 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/18(木) 21:39:52.97 ID:xdXSO0Np0
『LiPPSを応援しています!頑張ってください!』

『必ず頂点を取ってくると約束したんだ、最後までお前の思うまま突き進みなさい。"私達"の希望よ』

『志希さん、フレデリカさん、俺たち二人は死ぬまで貴方たちの大ファンです!決勝も絶対応援しに行きます!!』

『周子、優勝したら一度実家に帰ってきなさい。優勝祝いに貴方の好きだった和菓子一杯用意して待ってるから、お友達も連れてきてね!』

『美嘉、私達ずっと、貴方を応援するよ。なんだかんだ言ってもやっぱり、貴方はいつまでも私達の憧れだったから....』

『奏さん、周子さん.....あのオーディションで貴方たちに出会えたおかげで、私達は純粋な思いでアイドルとしての夢を描けるようになりました。いつかまた貴方たちに会いに行けるアイドルになるから、それまで頂上で待っていてください!その時は....頂上をかけて戦いましょう。今度こそ必ず、私達が勝ちます!』


『あたし達に勝ったんだから、絶対優勝しなさいよ!トライアドプリムス全員でで応援するからね!』
201 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/18(木) 21:40:21.34 ID:xdXSO0Np0
読み上げられていくのは、理不尽な呪詛ではない


LiPPSが今まで積み重ねてきた、アイドルの道をずっと歩んできた証

彼女達から笑顔を貰った、数多の人達からの声援だった
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