【モバマス】LiPPS「虹光の花束」 2スレ目

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226 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/04/22(月) 14:30:35.74 ID:xmzBKhC30
>>225
1です、応援ありがとうございます!

渋版のアドレスは
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11024492
です

次回更新ですが、現在諸事情によりPCが使えない状況となっています
ですが火曜日の夜にはなんとか次の話を上げられる目処が経ったので、もうしばらくお待ちください
227 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 21:51:14.43 ID:Nh7ciJkR0
ナターリアと呟くだけで大量のスネークに囲まれるようになるなんて誰が予想しただろうか

Chapter23、投下していきます
228 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 21:51:50.37 ID:Nh7ciJkR0

Chapter23「Last stage curtain call」
229 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 21:53:01.28 ID:Nh7ciJkR0
決勝当日

開演の2時間ほど前に、私達は控室に入る



裏口からドームの中に入る時にちらと見えた入り口には、既に終わりの見えない行列が出来ていた

それだけこの国において、『アイドル』という存在は人々の心を動かし、夢を託される存在なのだろう









.....そう、今私達はProject,Queenと共に、何万人という人々の夢を背負っている

それをしっかりと理解した上で、改めて決意を固める



どっちのファンとかは関係ない

ここまで私達を応援しに来てくれた全ての人達の為に、無様な姿は絶対に見せない


思う事は、色々ある

それでも、私達は揺らがない。余計な雑念なんか、いらない







今日やる事はただ一つ






アイドルとして全力でファンを楽しませて、アイドルである自分自身を楽しんで

世界で一番楽しいセカイを作り上げる事!!!
230 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 21:54:32.62 ID:Nh7ciJkR0
ステージが始まるまでの間、私達はその時間をフルに使い、本番に向けて何度も確認と調整を重ねた

特にミーティングは、残された時間の半分以上をかけて入念に行われた




本番の予定を一つ一つ確認するたびに、私達は噛み締める

このライブが、とても大きな危険を秘めている事


今、私達は、少し足を滑らせば即座に奈落に落ちる、細い綱の上を歩いているという事



そして、同時に理解する

それでも尚、勝機はあると........













最終調整の時間が終わり、ステージへ向かう


その途中、あの男に出会った

そしてその傍らには、もう一人......
231 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 21:56:50.90 ID:Nh7ciJkR0
屋久井「やあ君たち、本当に来てしまったんだね」

美嘉「当然だよ、来ない理由なんてないじゃん」

奏「むしろ、貴方たちにとっては好都合なんじゃない?自分にとって邪魔な人間を、纏めて始末できるんだから」

屋久井「いやまぁ、棄権するならそれはそれで楽だったのだがね。確かに君のその顔を見ると、この手でぐちゃぐちゃにしてやりたくなってきたよ」

P「隣の方は....ああ、891プロのプロデューサーですか。初めましてで、いいんだよな?」

891P「そのはずですが、なにか?」

P「....いえ、別に」
232 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 21:58:20.06 ID:Nh7ciJkR0
屋久井「ところで君たち、このままライブが始まればどうなるか、予想はついているのかね?」

フレデリカ「ファンの皆がハッピーになる!!」

屋久井「......本気で言っているのかい?まあいい、ならせいぜい頑張ることだね」

屋久井「だがP君、君は本当にいいのかな?このままこいつらをステージに上げれば、君はまた私に大切な人を奪われるんだぞ?」

P「...........」


屋久井「それに私のの隣にいるこの男は、君の愛しの女を枕に売り出した張本人だ。その上、自分はトップアイドルユニットのプロデューサーとして、のうのうと生きてる。憎くないかい?」

891P「ちょっと社長、これでも私、業界一クリーンなプロデューサーとして活動しているんですから、あんまり人聞きの悪いこと言わないでくださいよ〜」

891P「まぁ、全部事実ですけども」

P「......................」



屋久井「私と彼が憎いだろう?殺してやりたいだろう?いいんだぞ一発くらい殴ってみても、ん〜?」
233 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 21:59:09.30 ID:Nh7ciJkR0
煽るように下卑た笑みをプロデューサーさんの前に差し出しされる

その顔を見たプロデューサーさんから、一瞬だけ冷たい殺気が漏れた








......でも、すぐに心底興味なさげな顔になって、冷たい視線でその笑みを見つめる
234 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:00:37.94 ID:Nh7ciJkR0
P「どーでもいいんで、話が済んだんならさっさとどいてくれます?俺たちステージに行かなきゃならないんで」

屋久井「どうでもいい....だと?」

P「そりゃああんたにも、そっちのプロデューサーにも、色々思うところはありますがね。それは今、ステージに持ちこむもんじゃない」

P「それに.......今は本当に、あんた達に興味を向けてる余裕はないんですよ。なぁ、お前ら?」

周子「そうやねー、あたし達これから、あの『Project,Queen』と一緒にライブするんだもん。それ以外のこと考える余裕、ないかなー」

志希「あたし達別にキミたちと戦うわけじゃないしー、正直なところ、キミたちにはぜんぜん興味わかないんだよねー」

P「そっちのプロデューサーさんも、こんな所で油売らず、自分の担当の所に行ってあげた方がいいんじゃないですか?」


P「.........それとも、彼女たちの所へ向かえない事情がある、とか?」

891P「....................」





屋久井「フン、まあ精々、無様な姿を見せないように頑張ることだね」

P「ご期待に沿えるよう、頑張らせていただきますよ。それじゃあ、また.....」
235 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:03:02.76 ID:Nh7ciJkR0
ドス黒い悪意を振り払い、プロデューサーさんはステージの方向へ歩いていく

私達も、その後に続いていく



今私達に見えているものは、ただ一つだけ



私達を待っている人達がいる、あの煌く夢の舞台.....

ただそれだけしか、見えていない
236 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:03:47.96 ID:Nh7ciJkR0
891P「思ったより落ち着いてましたね。それとも、プレッシャーのかかりすぎで、頭がおかしくなったんですかね?」

屋久井「さあね......まあ、なんでもいいさ。それよりも891P君、手筈は整っているな?」

891P「勿論です、準備は滞りなく完了しています.......」

屋久井「そうか、ならそのままよろしく頼むよ」






屋久井「811プロ.....望み通りこのIGを、貴様らの墓場にしてやろう!!」
237 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:05:30.68 ID:Nh7ciJkR0
  〜〜〜〜 一方、客席では 〜〜〜〜


早苗「おー!こりゃいい席ねー!」

ベテトレ「Pが運営にかけ合わせて、一番高い席のチケットを取ってくれたからな」

早苗「数万円するんだっけ?やっぱIGの決勝ともなると、値段も跳ね上がるのねー」

ベテトレ「だがその分、一番アイドルに近づける場所でもある。LiPPSの集大成を見届けるのには、これ以上ないくらいに相応しい場所だろう」

早苗「でも、皆大丈夫かしら?きっと891プロの妨害があるでしょう?」

ベテトレ「大丈夫だ、あの子達を信じて、見届けてやれ。ファンである私達が曇っていては、彼女達が思いっきり輝けないだろう?」

早苗「......そうね!お姉さん精一杯応援するわ!こう見えても昔、応援団長だってやったんだから!」

早苗「って、そんなこと言ってたら早速コイントスが始まるわよ!第一審査は先攻の方がいいのよね?」

ベテトレ「.....ああ、そうだ」

早苗「よしっ!先攻出ろ先攻出ろー!」

ベテトレ「.....................」





ピンッ!カラカラカラカラン........

  デンッ!!
『Project,Queen』




早苗「って、あぁ!先攻、取られちゃった......」


ベテトレ「いや、これでいいんだ」

早苗「えっ?」

ベテトレ「第一審査で先攻を取られるのは想定済みだ。大丈夫、彼女たちならきっと、上手くやってくれるさ」
238 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:07:43.46 ID:Nh7ciJkR0
P「"予定通り"、第一審査は後攻になったな。お前ら、作戦は頭に入ってるか?」

美嘉「もちろん!この日の為に毎日練習してきたからね★」

フレデリカ「それより、もうすぐProject,Queenのステージが始まるよ!みんなで応援しよー♪」

周子「せやねー♪こんな大きなお祭りなんだから、あたし達だって楽しまないとね!」









〜〜〜♪〜〜〜〜♪〜〜♪〜〜〜♪〜〜〜

フレー!フレー!

ミンナガンバッテー!

チョットフレチャン、シキチャン!ソレイジョウハチカヅキスギダッテ!



P(やはり、第一審査はリーダーのちとせを前に出してきたか。それにしても凄い存在感だ....まるでファンタジーのような容姿もそうだが、何よりもこの歌声.....)

P(脳と心臓に直接突き刺さって、身体が甘く溶かされていくような感覚がする....何十年に一度出るか出ないかの歌姫だ。やっぱおっちゃん、見る目はあるんだなぁ)





だからこそ、彼女達の抱いた夢に敬意を払って、全力で相手してやらないとな!!
239 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:09:44.92 ID:Nh7ciJkR0
ちとせ「あー.....ちょっと疲れちゃったわ」

千夜「お疲れさまですお嬢様。次の出番までしばらくありますので、今のうちにお休みください」

颯「ちとせちゃん凄かったよー!流石あたし達のリーダーだね!」

凪「トップバッターだったのもあると思いますが、観客の皆さん完全にメロメロになってましたよ。まさにちとせ無双」

颯「千歳ちゃんが頑張ってくれた分、第2審査はあたし達が繋いであげるからね!」

ちとせ「ごめんね?私あまり体力がないから....」

千夜「仕方ありません、お嬢様のそれは生まれつきの物ですから。それでも全力でステージで歌うそのお姿は、本当に立派でしたよ。隣に立つ私も、心が跳び跳ねるように沸き立ちました」

ちとせ「そっか。千夜ちゃんが喜んでくれたなら、私も嬉しいな」

ちとせ「....ところで、プロデューサーは?」

颯「スタッフさんと次の審査の演出の事話しに行くって。もう!折角ちとせちゃんが頑張ったのに、肝心なときにいないんだから!」


ちとせ(.....やっぱり、仕掛けに行くのね)




私の魔法、どうか、役に立ちますように......
240 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:10:43.16 ID:Nh7ciJkR0
第一審査後攻、LiPPSの曲が始まる

先攻のProject,Queenの魅力的なパフォーマンスによって、大きなプレッシャーを押し付けられたはずだったが、彼女達は全く動じることなく自分たちの魅力を100%......

いや、それ以上の輝きを放っていた





だが、それでもまだ、足りない


トップバッターを取られたのもあるが、単純にProject,Queenのポテンシャルが非常に高く、彼女たちが遺していったハードルも、それ相応に高いものになってしまったのだ

流石に、891プロが事務所の総力を挙げて押し上げてきたユニット......『女王』の名を冠するに相応しい貫禄だ


その事実を、悔しくも歯を食いしばって受け止めるしかなかったその時、事件は起きた



LiPPSが歌う曲を流していた音響が、ピタリと止まったのだ

もちろん、891プロが仕組んだものだろう


ステージは一瞬、静寂に包まれる

俺は目の前で起こったその悪意ある現実に.......
241 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:11:18.42 ID:Nh7ciJkR0
P(......よしっ、計画通り!!)


心の中で小さくガッツポーズを決めた
242 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:12:09.31 ID:Nh7ciJkR0
おっちゃん、確かにちとせちゃんはこの世に二つとない才能を持った歌姫だ

だけどな.........




『歌姫』は、こっちにだって飛びっきりのがいるんだよ!!
243 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:13:03.00 ID:Nh7ciJkR0
もしLiPPSの中で、『一番』歌が上手いのは誰かと聞かれれば

全員が間違いなく、彼女を指名するだろう



811プロが証明する最高の化学式、『歌姫 一ノ瀬志希』を!
244 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:13:48.35 ID:Nh7ciJkR0
あたしとパパの一番の繋がりって言ったら、まあケミカルだね〜

パパの教えてくれる化学式が楽しくって、パパの期待に応えたくって、パパと一緒に研究したくって

その為に色んな化学式を弄り回して、色んな反応を起こしてきたんだから





じゃあ、ママとの一番の繋がりは?


ちょっと前まで、ママを見捨てて海の向こうへ渡ったあたしに、そんなものは残されてないと思ってた


だけど、アイドルとして生きて、ようやく気付いた

あたしにはちゃんと、ママから受け継いだ物があったことを
245 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:14:19.56 ID:Nh7ciJkR0
(ママ、今日もあれ歌って〜)

(あらあら、志希は本当にあの歌が好きね)

(うん!ママが好きな歌だから!それに、ママが歌ってるのが大好きだから、あたしも歌うのが好き!)

(まあ!志希にそう言ってもらえると嬉しいわ!ママも志希の歌、大好きよ)

(ホント!?じゃあ一緒に歌おう!)

(もちろん!じゃあいくわよ?)






まいにちまいにち僕らは鉄板の〜〜.............................♪
246 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:15:16.25 ID:Nh7ciJkR0
志希「〜〜〜♪〜〜〜〜♪〜〜♪〜〜♪〜〜〜〜♪〜〜〜〜♪」


スーツ姿の観客「すげぇ、すげえよおい....」

清楚な観客「こんな綺麗な歌声が、この世にあるなんて.....」

志希フレ親衛隊1「志希さんのアカペラ、まじ最高っス.....!」

志希フレ親衛隊2「天使か?ヤバイ惚れそう....いやもう惚れてたわ、デビューの時から惚れてたわ」







屋久井(アカペラアレンジ、だと!?)


屋久井(どういう事だ!?音響が落ちるのを読んでいたという事か?一体何故!?)

屋久井(マズイ......音源が無くなって静かになったことで、逆に歌声を際立たせるための演出に利用されてしまっている!
247 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:16:11.92 ID:Nh7ciJkR0
屋久井「891P君!すぐに音源を戻すんだ!」

891P「は、はい!かしこまりました!」


屋久井(急に音源が戻れば、その分バランスを崩すはず.....これで終わりだ)


891P君に指示を出した数秒後、唐突に音源が復活する

これで奴のアカペラも崩れ....ッ!?





『〜〜〜♪〜〜♪〜〜〜〜♪』






音源が復旧したその瞬間、奴の崩れるはずだったアカペラは、突如入り込んできた残りのアイドル達に巻きとられ、より強く、盛り上がる歌声へと変貌した

そして、自らの失策に気づく


音源を復旧させたその瞬間こそ、曲の最後の盛り上がり

大サビに突入した、まさにその瞬間だったという事を......
248 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:17:14.17 ID:Nh7ciJkR0
おっちゃん、最近ずっと会って無かったから、すっかり忘れちまったみたいだな

昔のあんた、何年も俺と一緒に仕事してた頃のあんたなら、すぐに気付けただろうに


P「よりにもよってこの俺に、『歌』で勝負を仕掛けるなんて.......」





そんなの、余りにも相手が悪すぎるだろ?
249 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:18:01.47 ID:Nh7ciJkR0
    第一審査 結果

LiPPS      777543票(累計777543票)     

Project,Queen  819225票(累計819225票)





P「まっ、かっこつけても逆転までは出来ねぇか」

周子「やっぱトップバッターの補正もあるだろうけど......それを差し引いても、本当に凄いパフォーマンスだったよ」

奏「でも、志希のおかげでしっかり食らいつくことができたわ。お手柄ね、志希」

志希「プロデューサーが音響がない時に映える歌い方を仕込んでくれたおかげだよ。でも、ちとせちゃんがあの手紙を送ってくれなかったら、やばかったかもねー」

P「ああ、本当にあの子には感謝しかねぇよ.....」
250 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:19:36.35 ID:Nh7ciJkR0
〜〜〜 2週間前、事務所 〜〜〜



P「みんな、この手紙を見てほしい」

フレデリカ「綺麗な手紙だねー!ファンレター?」

P「うーん....ファンレターというわけじゃないと思うが、まあ俺たちのことを応援してくれてるみたいだな」

美嘉「どういう事?」

P「とにかく中身を見てくれ、その方が早い」



プロデューサーさんが机に広げた手紙を、皆が一斉にのぞき込む



奏「.......これって!」

P「彼女もIGの決勝っていう最高のステージを、汚い手で汚されたくないんだろう。そりゃそうだ、あの子だって『アイドル』なんだから」

P「きっと彼女は、自分を取り巻く困難に葛藤し続けて、それでも自分の信念を貫いて、この手紙を俺たちに託してくれたんだろうな」

奏「だったら、私達はその想いに応えないといけないわね」

P「ああ、だから今日のレッスンからは、この手紙の内容を鑑みてメニューを組んでいく」



P「見てろよおっちゃん......あんたの腐った妨害を、煌く宝石に変えてやるよ」
251 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:21:45.55 ID:Nh7ciJkR0
周子「プレゼントの仕分け中にあの手紙を見つけた時はびっくりしたねー、決勝でこんな事されるよって、妨害の内容がズラーっと書かれてたんだもん」

奏「だからこそ私達は、その妨害を逆に利用できるように練習を重ねることができた.....彼女の決意を無駄にしないためにも、必ずLIVEを成功させるわよ」


美嘉「手紙によると、次はあたし達が先攻なんだよね?」

P「そうだ。おそらくリーダーのちとせの体力を回復させたいんだろう、残りの3人が前に出てくるはずだ。だが、リーダーが後ろに下がっているからと言って油断は出来ない。むしろちとせの頑張りに報いる為に全力で来るだろうな」

P「だが、この隙に勝負を仕掛けに行かなきゃ俺たちに勝機はないだろう。折角の先攻だ、一気にプレッシャーをかけに行くぞ!」


美嘉「次の審査は照明が落とされるんだっけ?なんか覇王エンジェルズの時に比べて、あたし達への妨害ちょっと甘くない?あの時は音響も照明も一斉に落ちたし、物理的に怪我までさせたのに」

P「向こうとしても、ProjectQueenの最後のステージが終わるまでは、審査が中止になるほど大きな事はしたくないんだろう。折角IGで優勝しても、審査が途中で終わったってミソが付けば、その後芸能界の覇権を取るのに支障が出るかもしれないからな」

P「だが、覇王エンジェルズはあれだけの妨害を食らっても動じない精神力があった。だからこそ、無理やりにも初手で一気に潰しにかかる必要があったんだろう。半面、俺たちにはそうしてこないって事は.......ムカつくことに、舐められてんだろうな」


奏「舐められてる.....ふーん」

周子「へぇ.....成程ねぇ。じゃあその油断に付け込ませてもらおうよ」

P「ああ、一発かまして、俺たちを舐めた事後悔させてやれ。その為にもお前ら、ちゃんと例の物は用意できてるか?」

奏「ええ、ちゃんと5人分用意してあるわよ」

志希「あたしも、頼まれてた物はばっちり作ってきたよー」

フレデリカ「"秘策"も、ばっちり用意してあるもんね!準備万端だよー♪」


P「OK!じゃあ次の審査も楽しんでこい!!」
252 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:22:58.84 ID:Nh7ciJkR0
第一審査では予定を狂わされたが、次はこうはいかない

偶然なのか狙ってやったのかはわからないが、確かにあのアカペラアレンジには驚かされた



だが、照明が落とされることの対策までは考えているか?

仮に考えていたとしても、さっきの様にプラスに変えることは出来ないだろう。精々損をできるだけ軽減させるのが関の山だ



なぜなら、誰からも姿見えなくなれば、アイドルはその価値を失くすから

アイドルの魅力は歌そのものではなく、"歌う姿"にこそ存在するからだ

必然、その姿が見えなくなれば、魅力は崩壊する



それに、人間は本能的に暗闇を恐れる物

明るいステージが突如闇に覆われたら、ステージに立つ本人も、観客達も、少なからず動揺し、会場は恐怖の渦で満たされるだろう

あいつらにその恐怖を覆すことなんぞ、出来やしない



891P(これで、終わりだ.....!)



奴等の絶望を目に浮かべながら、照明機器のコードを断つ

まるで、ギロチンを支える糸を切断する、処刑人のような感覚だった
253 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:23:27.76 ID:Nh7ciJkR0
だが、ただ一つだけ誤算があったとすれば

処刑台に捧げられていた首が、自分の物であったことだ
254 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:25:54.44 ID:Nh7ciJkR0
一瞬しか光ることのない花火が美しいのは、暗い夜に撃ち上げるから


周りに光がないからこそ、その一瞬の輝きが、より一層美しく映えるようになる

だから、今ここにある闇に包まれた世界こそ、私達の花火を撃ち上げるに相応しい舞台でしょう?



照明が落ちるのと同時に、私達は胸に潜ませた秘策を投げ上げる

投げ上げた物が最高点へと到達すると、それは鮮やかな色の煙を噴きだした





観客1「なんだ、あの鮮やかな色の煙は?」

観客2「綺麗.....それに、いい匂い.....」




流石に火薬を使うことは出来ないけれど、撃ちあがった志希特性の『香り付き煙玉』は、本物の花火より輝いて見えた


突然訪れた暗闇に動揺していた観客の目が、再び私達に集まる

そのチャンスを見逃さず、私達は二つ目の秘策、ペンライトを取り出した


虚空に向かって、光のサインを描く





姿が見えなくなって、不安に苛まれているファンの皆に証明するの

私達は、ここに居るって!!
255 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:26:34.08 ID:Nh7ciJkR0
891P(.....だが、足りないっ!!)





891P(確かに暗闇への対策はしてきたみたいだが、詰めが甘い!それじゃまだ足りないんだよ!)

891P(煙もペンライトも、誤魔化せるのは一瞬だけ!照明が戻らない以上、次第にまた"見えない事"の不安に取り込まれていく!少し驚かされたが、やはりここが奴等の最後......ッ!?)
256 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:27:50.08 ID:Nh7ciJkR0
二つの秘策をもってしても、この暗闇を完全に覆すことは出来ないでしょう

そんなの当然、分かってる



だからこそ、私達はもう一つ、絶対的な秘策を用意した

その秘策は、私たちでは.......いえ、きっとどんなに凄いアイドルだって実行できないでしょう









ただ一人、彼女を除いて





たとえ世界がどれ程の暗闇に覆われようとも、彼女のその笑顔は、『みんながハッピーでいられるように』と願う純粋な心は、揺らがない



いつだって太陽は、彼女の中にある!
257 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:28:48.14 ID:Nh7ciJkR0
どんなん時もアタシは、たくさんの太陽に照らされていた

ママやパパに、811プロのみんなに、ファンのみんな.....

アタシと出会ってくれた人達の笑顔が、アタシを照らし続けてくれた




だからアタシも、恩返ししよう!

みんなが照らしてくれて、ぐんぐん成長して、こんなに大きくなれたから

今度はアタシが、みんなを照らす太陽になるんだ!
258 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:29:31.93 ID:Nh7ciJkR0
フレデリカ「みんなー!大丈夫、アタシ達はここにいるよー♪」

フレデリカ「でもでも〜、こんなに真っ暗だとみんなげんなりしちゃうよね〜?そんな時は、隣の人と手を握ってみて!あったかくて、不安なんてぜーんぶ吹っ飛んじゃうよ!」

フレデリカ「みんなで手を繋いで、一緒に歌って踊ってはしゃいじゃおう♪きっと楽しいよ!」




彼女の声が、観客の心を照らしていく

照らされた心達が、手を取り合い繋がっていく




フレデリカ「じゃあいくよー?フンフンフフーン、フレデリカー!」

『フンフンフフーン、フレデリカー!!!』


何万人の人々の心が、今一つに繋がっていた





目に見えなくても、きっと彼らの瞳には映っているのだろう

太陽のように眩しい、フレデリカのとびきりの笑顔が!
259 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:30:22.70 ID:Nh7ciJkR0
颯「フンフンフフーン、フレデリカ―!」

凪「はーフン、洗脳フンされてフーンますねデリカ」

千夜「お前の方が重傷の様ですが」


颯「でも、これちょっとまずくない?観客の皆の心、大分持ってかれちゃってるよ?てか、はー達もなんだけどさ」

凪「照明のアクシデントと見せかけて、実は派手な演出を仕掛ける布石だったとは、人ができない事を平然とやってくれますね。そこに痺れたり憧れたりします」

ちとせ「..................」

千夜「仕方ありません。私達が全力で、あれより上の刺激を観客に与えてやるしかないでしょう。お嬢様の為にも、私達3人で.....」





ちとせ「いえ、私も前に出るわ」
260 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:31:16.62 ID:Nh7ciJkR0
千夜「お嬢様!?」

颯「ダメだよ!ちとせちゃんまだ第1審査の疲れが残ってるんでしょ?あんまり無理したら、また貧血で倒れちゃうよ!?」

ちとせ「それでも、やらなきゃいけないわ。LiPPSには、私達全員で立ち向かわなきゃ勝てない。一人も欠けることなく、全員でね」

ちとせ「それに....この最高の舞台で自分の限界を超えられなきゃ、トップアイドルになんてきっとなれないわ」



千夜「.....本気の様ですね、お嬢様」

ちとせ「ええ、だからみんな、お願い」

千夜「....それがお嬢様の望みならば、承ります」

颯「千夜ちゃん!?」







千夜「.......と、いつもの私なら、そう言うのでしょうね」
261 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:32:22.55 ID:Nh7ciJkR0
ちとせ「えっ?」


千夜「お嬢様、今回ばかりは非礼をお許しください。第2審査は、私とはーとなーがメインでやらせてもらいます。お嬢様は、なるべく体力を温存してください」

ちとせ「でも、手を抜いて勝てる相手じゃないわよ?」

千夜「手を抜くのではありません。勝つために全員が最善を尽くすのです。LiPPSに勝つために、最後の審査でお嬢様が全力を出せるよう、私達が支えるのですよ」

千夜「それに、もう私達はお嬢様に心配されなければならない程弱いアイドルではありません。どうか私達を、信頼していただけないでしょうか?」

颯「そうだよ!はー達だってやればできるんだから、もっとはー達を頼ってよ!」

凪「凪もはーちゃんと同じ気持ちです、双子ですので。シンクロ召喚ですね」

ちとせ「....分かった、みんなを信じるよ」

千夜「ありがとうございます、お嬢様」
262 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:36:00.52 ID:Nh7ciJkR0
ちとせ「それにしても、千夜ちゃんも変わったね。私の意見に反発するなんて、今まで無かったのに」

千夜「.....申し訳ありません」

ちとせ「違うよ千夜ちゃん、私今すっごく嬉しいの」

千夜「えっ?」


ちとせ「ちゃんと千夜ちゃんが、私以外の生きがいを見つけてくれたこと。アイドル、楽しいんでしょう?」

千夜「そんな、私はお嬢様の望みを叶えたいから........いえ、お嬢様のおっしゃる通りかもしれません

千夜「確かに今は、私自身がアイドルを楽しんでいるから、ここに立っている。そんな気がします」


ちとせ「そっか....ねぇ、千夜ちゃん。私今すっごく幸せなの。なんでか分かる?」

千夜「?.....一体、何故ですか?」

ちとせ「ずっと想い続けていた願いが、一つ叶ったからだよ」

ちとせ「だから、この審査が終わったら、幸せ次いでにもう一つみんなに話したいことがあるんだけど、いいかな?」
263 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:36:30.18 ID:Nh7ciJkR0
颯「いいよー!」凪「ペネ(良し)」千夜「もちろんです」
264 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:38:19.57 ID:Nh7ciJkR0
ちとせ「あら、みんな即答?」

颯「だって、ちとせちゃんが話したいことがあるなんて、すっごく珍しいじゃん!」

颯「それに.....なんかすっごく大事な話の様な気がするから、聞かないと後悔しそうだし」

千夜「何年も一緒にいるのですから、分かりますよ.........ですが、今は」

ちとせ「ええ、今はステージに立って、皆を魅了してくるのが先決ね。それじゃあ、行くわよ!」




私達『Project,Queen』全員で、会場の皆を虜にしてしまいましょう♪
265 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:42:21.56 ID:Nh7ciJkR0
    第二審査 結果

LiPPS      835678票(累計1613221票)     

Project,Queen  813443票(累計1632668票)




P「!?」


周子「よしっ!フレちゃんのおかげでリードを縮められたよ!この勢いで第3審査で.....」

P「いや、かなりマズイぞこれ.....」

周子「えっ?」

P「俺の見立てだと、この第2審査で逆転できる予想だった、いや、逆転できてないとダメなんだ!」

美嘉「逆転できないとダメ?」

P「第3審査のPrjectQueenは後攻.....大トリだ。当然、その分観客に与える印象は非常に強くなる。だからこそ、リーダーのちとせちゃんが体力を温存したこの第2審査でリードを取らなきゃいけなかったのに........」

志希「さっきの審査で前に出てた3人、すっごい集中力だったからねー」

フレデリカ「きっと、ちとせちゃんの為に、すっごく頑張ったんだろうねー♪」

P「そりゃあ、あの3人が全力を出してくることは想定していたが、それでも逆転できる予想だった。つまり、この土壇場であの子達はまた一つ進化したって事か!やっぱり、一筋縄じゃ行かねぇか」

P「厳しい状況になってしまったが、やるしかない。最後の秘策は残ってるし、どうにか先攻で一気に観客の心を持ってくしか......」
266 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:43:38.21 ID:Nh7ciJkR0
奏「待って!みんな、モニターを見て」

P「えっ?」





会場の巨大なモニターが、IG最後のコイントスを映し出す

そこに映し出されたコインは、『Project,Queen』の面を上にして止まっていた

それは同時に、私達『LiPPS』が後攻.....大トリを務める事になったことを告げる、福音でもあった
267 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/23(火) 22:44:15.03 ID:Nh7ciJkR0
P「俺たちが後攻だと!?大トリはProjectQueenになるよう細工がされてたんじゃ!?」

奏「理由は分からない.......でも、これだけは確かよ」





勝機はまだ、十二分に残ってる

きっとこれが、ハッピーエンドを掴むための、最後のチャンスよ!!






to be continued.........
268 : ◆FuHrdA/9sY [saga sage]:2019/04/23(火) 22:45:28.81 ID:Nh7ciJkR0
Chapter23終了したところで、今回はここまで―

次回、決着


更新は次の日曜以降になります
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/04/23(火) 23:41:10.29 ID:5x0YJ+TDO
うわーん、いいとこで終わらすない


とりあえず乙。そして由愛かわいいよ由愛
270 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 11:34:46.91 ID:OPAh6Vca0
総選挙中間発表来ましたね(今更)

Cu暫定1位の志希を中心にLiPPSメンバーいい感じに順位高くていいですねー

でもスネークだったりポテトだったりアーロンだったりとやたら混沌とした総選挙になってるので、皆さん最後まで気を抜かずに推しを推していきましょう

本編は今日の夜(20時以降?)予定です







でも一番驚いたのはりあむ、お前だ
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/04/29(月) 18:42:24.31 ID:+aBUU3YDO
りんごと歯と白黒と強弱はどうなるやら?



平成中に終わる?
272 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 19:53:45.95 ID:OPAh6Vca0
Chhapter24 投下始めていきます

>>271 ギリ令和いきそう(小声)
なんとかGW中には終わる....はず
273 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 19:56:42.02 ID:OPAh6Vca0
今日という日が終われば、明日は来ないかもしれない

毎日そんな風に、終わることへの恐怖に震えて生きている





でも、今だけは

死ぬことよりも、怖い事がある





例え、今日この命が終わるとしても、この最高のステージには、自分自身の力で立って、誇りを持って頂点を掴みたい

勝つためでも、納得の出来ない終わりにするくらいなら、死んだ方がマシよ

人生で一番の大舞台に立っているんだもの、誰だってそう思うでしょ?
274 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 19:58:30.39 ID:OPAh6Vca0
屋久井「おい貴様!ウチを大トリにしろと言ったじゃないか!?あんだけ金を握らせたのに、今更裏切る気か!?」

スタッフ「そんな!?あんたたちが変更の指示を出したんじゃないんですか!?」

891P「何を言ってる、そんなものは出していないぞ?」

スタッフ「嘘だ!だって、黒埼さんが報告にきましたよ!?計画に変更があるから、次の審査を先攻に変えてほしいって!」

891P「なんだって!?あいつ何考えてッ!?」

891P「いやそもそも、私達の計画を知っていたというのか!?まさか奴らに計画が読まれていたのも!」

屋久井「あの女、余計な真似を.....!!」


891P「しゃ、社長.....いかがいたしましょう?」

屋久井「仕方がない、こうなったら本当に計画変更だ。811プロは最終審査で徹底的に潰す、妨害の内容が漏れていたとするなら、それも変更しなければならないだろう」

屋久井「すぐに次の策を考えるから、891P君は黒埼君に事実確認をしに行きなさい。もし本当に我々の計画を知っていたとするなら、IGが終わった後、彼女には消えてもらわなければならない」

891P「か、かしこまりました!!」
275 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 19:59:50.66 ID:OPAh6Vca0
〜〜〜 ステージ裏 〜〜〜


891P「はぁ....はぁ....あ、貴方たち」

颯「....なぁに、おじさん?そんなに息を切らして、今更何しに来たのさ?」

891P「おじさん、だと?私は貴方たちのプロデューサーですよ?貴方たちの勝利の為に、こうやって駆けつけたのに、酷い言い草じゃあ」

ちとせ「とぼけるの、やめましょう?」

891P「ッ....!」


ちとせ「私の魔法に気づいたから、急いで確認しに来たんでしょ?私が貴方たちにとって、消さなければならない人間なのか」

颯「ちとせちゃんから全部聞いたよ。プロデューサーに社長、二人でずっと悪い事してきたんでしょ?」

891P「そんな、違いますよ。みなさん黒埼さんのくだらない妄想に付き合わされているだけです、目を覚ましてくださ.....」










千夜「おい、今なんと言った?」
276 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:01:24.20 ID:OPAh6Vca0
891P「!?」



千夜「くだらないだと?お前たちの身勝手な欲望に振り回され、心臓に杭を打たれたような苦しみに悶え続け、それでも、人々の夢を壊さぬよう一人で戦い続けたお嬢様の意思を、くだらないだと?」

千夜「.................ふざけるなァ!!」

凪「吐き気を催す邪悪とは、まさにこのことですね、プロデューサー?」

凪「.......いや、失礼しました。もう貴方は、私達のプロデューサーではありませんでしたね。Ppayも、今日でサービス終了か」

891P「き、貴様ら.....!」
277 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:02:42.87 ID:OPAh6Vca0
千夜「よくも今までお嬢様を弄んでくれましたね......私は、"私達"は、お前を絶対に許さない」

颯「千夜ちゃんの言う通りだよ、『アイドル』の全てを汚し続けたあんたたちを、はー達は絶対に許さないから」

891P「貴様ら、分かっているのか?貴様らがIGの決勝まで来れたのは、私達の"助力"があったからだぞ!?」

ちとせ「だからこそ、よ。自分の最期の夢くらい、自分自身の力で掴み取るわ。女の子なんだから当然でしょ?」

ちとせ「それに、貴方たちの助力なんてなくても、私たちはきっとこの場所に立っていたわ。何年かかっても、きっとたどり着いた。だって、私達『ProjectQueen』の力を合わせれば、どんな運命にも打ち勝てたはずだもの」

891P「ちとせ、貴様ァ.....!」


千夜「お前はもう、その汚らわしい口を開くな。二度とお嬢様の視界に入るな、さもなくば.......」

凪「おっと、千夜ちゃんが本気の目になっていますね。あれはやるといったらやる、そんなスゴみがある目です。こっわ」

颯「でも、はやくはー達の前から消えてほしいのは同意かな。あたし達これから、サイッコーのステージで、世界一キラキラ輝いてくるんだから。だから、その邪魔はしないでよ?」
278 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:03:45.70 ID:OPAh6Vca0
891P「.....そうか。わかったもういい、勝手にしろ!」

891P「ただし、我々を裏切るのなら容赦はしない。IGが終わった後も、アイドルでいられると思うな!必ず、後悔させてやる.......!」

ちとせ「やれるもんならやってみなさい、どの道もう消える寸前の灯だけどね。それより、貴方たちは自分たちの心配をした方がいいわよ?」

891P「なんだと?」

ちとせ「勝敗がどうなるとしても、私達とLiPPSがぶつかる以上、IGが終わる頃には世界が変わっているわ。その変化に、貴方たちは抗えない。だから、精々怯えていなさい?」












多くの夢を踏みにじった貴方たちの業は、白木の杭に貫かれる

もう二度と、日の当たる場所なんて歩けないから........!
279 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:05:58.88 ID:OPAh6Vca0
司会が、Project,Queenの名を高く呼び上げる

それに続いて、狂ったような歓声が、雷の如く鳴り響く


.....うん、もう大丈夫

ずっと私を縛り付けていた鎖は、もう存在しない


今私の心には、雲一つない、清々しいほど鮮やかな快晴の空が広がっている

暖かい陽の光に照らされて、ずっと一緒に歩いてきた愛する人達と共に、いのちの灯を燃やしている



私は今日ここで、最高に輝ける。輝いて見せる
280 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:07:02.65 ID:OPAh6Vca0
そして、『LiPPS』

貴方たちには、本当に驚かされてばかりだった

どんな妨害も利用して、逆に自分たちを魅せる為の武器へと変える

まるで、魔法使いの様だった





でもね、魔法を使えるのは貴方たちだけじゃないの





"私達"にもまだ、とっておきの魔法が残っている

私達だからこそ使える、数多の人々を魅了して、この会場を支配できる魔法が




アイドルの"女王"の座は、私達の物よ!
281 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:08:16.49 ID:OPAh6Vca0
奏「Project,Queenの最後の曲は、『Fascinate』ね」

フレデリカ「確か、ちとせちゃんと千夜ちゃんのデュエット曲だったね。準決勝の最初の審査で歌ってたやつだ!」


P「......いや、ちょっと待て。あの時聞いたのと、何かが違う。裏で何か別の音が入っているような.......!?」

P「これ、『O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!』だ!予選の時の、久川姉妹のデュエット曲!」


美嘉「まさか、マッシュアップ!?あの二つ、全然曲調違うのに!」

志希「でも全然違和感ない.....ううん、もう完全に新しい一曲として生まれ変わってる。すっごく面白くて、興味深い面白い反応だね〜!」

周子「"秘策"があるのは、あたし達だけじゃなかったって事か。こりゃ本格的にやばくなってきたね」

奏「この土壇場で、何度も進化を重ねる.......本当に凄いアイドル達ね。でも、勝機が無くなったわけじゃない」
282 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:09:08.78 ID:OPAh6Vca0
奏「向こうが戦いの中で成長するのなら、私達もそれより一歩先へ進化すれば、きっと勝てる。私達の力を合わせれば、きっとそれが出来る!」

奏「そうよね、プロデューサーさん?」


P「....ああ!俺たちにだってまだ最後の秘策が残ってるしな!」

P「それに、俺たちの一番の武器は、今もずっと胸の内で輝いてるだろ?」

周子「あたしたちの.......」

美嘉「一番の武器......?」



P「目を閉じて、自分の鼓動に耳を澄ませてみろ。感じるだろ?いつだってお前たちの心で燃えているものが」

P「思い出せ、どんな逆境の上でもブレることなかった、俺たち811プロの信念の炎を!」
283 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:10:21.33 ID:OPAh6Vca0
志希「........楽しむこと」

フレデリカ「それに楽しんで、みんなを楽しませる事!」

P「お見事!」

美嘉「うん、確かに感じる.....ステージに立つのが楽しみ過ぎて、待ちきれなくなってる自分が!」

周子「こんなに期待で心がバクバク脈打ってるの、人生で初めてだわ。でもこういうの、嫌いじゃないかな♪」


奏「どんなステージでも、私達は"楽しみたい"という気持ちを貫いてきた。なら今回も.....ううん、この大舞台でこそ、全力で楽しみましょう」

奏「そうすればきっと、ファンのみんなにこの炎が伝わる.....みんなの"楽しむ心"を、燃え上がらせることができる!」

奏「このセカイの感情を、"楽"一色に変えてみせましょう。それが、"トップアイドル"だから!!」





自分の心の内に、眩く輝くものがあることを確かに感じ取った私達の心が、今一つに繋がる

繋がった心が、私達の胸の奥に灯った炎を、聖火の如く熱く大きく燃え上がらせる!!
284 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:11:14.84 ID:OPAh6Vca0
P「よし、じゃあ最後のステージをしっかり楽しむためにも、今は彼女達のステージを楽しもう!」

『はーい!』


ソウダ!セッカクペンライトアルンダカラコレフッテオウエンシヨウヨ

イイネー!アタシタチモカンキャクニナッタミタイ!

イエーイ!ブンブン♪

スゴッ!フレチャンフリツケカンペキヤン!






P(だが、ここまで計画が崩れている以上、向こうも何も手を打たないなんてことはないだろう。きっとちとせちゃんが出してくれた手紙の内容から外れた行動を取ってくる)

P(俺もプロデューサーとして、全力で彼女達を守らなければ.......)
285 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:12:10.77 ID:OPAh6Vca0
ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!



颯「みんなー!盛り上げてくれて、本当にありがとー!!」

千夜「はい、今回ばかりは本当に、お前たちに感謝していますよ」

凪「千夜ちゃんがデレた、だと......?会場の皆さん、今です!シャッターチャンス!」

千夜「お、おい!やめろ!茶化すな!」

ちとせ「いいじゃない千夜ちゃん♪ほら、最後なんだし、ここまで私達を応援してくれたファンのみんなに、今日一番の笑顔を送りましょう?」

ちとせ「大丈夫だよ、千夜ちゃんの笑顔の可愛さは、私が一番知ってるから♪」

千夜「お、お嬢様まで......」

颯「あはは!それじゃあみんな、いっくよー!」



『Project,Queenを応援してくれて、本当にありがとう!!』



ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!
286 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:12:58.81 ID:OPAh6Vca0
〜〜〜 ステージ裏 〜〜〜


『ハァ....ハァ.....』

颯「なんとか、やりきったね.....」

凪「ここまで疲れたのは、人生で初めてです。マジで倒れる5秒前です。早く控室で休みに行きたいですね」




息を切らしながら、震える手で握ったスマホの内カメラで、今の自分の顔を確かめて見る

あはは......疲れ切ってる。今にも死んじゃいそうな顔



でも、我ながら綺麗な顔してるね



まだ胸に火が灯っている内にこの鼓動を伝えようと、1つずつ指を動かしていく
287 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:14:43.00 ID:OPAh6Vca0
屋久井「いやー、凄かったよ君たち」

891P「......お疲れさまです、皆さん」

千夜「ッ!?お前達は!」


屋久井「まさか君たちの代表曲2つをマッシュアップするとは!そんな練習していたとは知らなかったよ。891P君にも秘密にしていたのかい?」

ちとせ「そうよ、驚かせてあげようと思って」

屋久井「ああ、本当に驚かされた.........色んな意味でな」

屋久井「だが、君たちには本当に感謝しているよ。おかげで我が891プロはついに、芸能界の覇権を握ることができる」

凪「嬉しくはありませんが、どういたしまして」

颯「はー達頑張ってこんなにファンのみんなの心掴んだんだし、もう十分でしょ?LiPPSの邪魔しないでよね」

屋久井「そうだね.....まぁ、いいだろう。"私"はもう、811プロに手を出さない事を約束しよう」

千夜「信用できるとでも?」

屋久井「安心しなさい。私だって"最期"のステージを華々しく飾ってくれた英雄に嘘はつかない」

ちとせ「そう......ならいいわ。私達は控室で休ませてもらうから、またね」
288 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:15:34.82 ID:OPAh6Vca0
肩の力を抜きながら悪魔の横をすりぬけつつ、がくがくになった足で滑稽に、されど自分の力で歩く


そのすれ違いざま、指先のまで込めていた力を抜いて心を落ち着かせ、呪文を唱えた

誘惑するような甘い声で、だけど銀の弾丸の様に冷たい呪文を





ちとせ「これで、貴方たちも終わりよ」
289 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:16:11.06 ID:OPAh6Vca0
屋久井「フン、生意気な小娘だ」

891P「しかし、ある意味嬉しい誤算でしたね。これだけ斬新かつハイクオリティのパフォーマンスなら、わざわざ妨害しなくても」

屋久井「いや、万が一という事もある。やはり811プロにはここで散ってもらおう」

891P「ということは、やはり811プロに手を出さないというのは嘘ですか?」

屋久井「約束したのは"私"が手を出さないという事だけだ。君が手を出す分には嘘をついたことにならないだろう?」

891P「ああ、そういう事ですか。では、私はどうすれば?」

屋久井「当初予定していたセリを落とす妨害は読まれているだろうから、手を変える。ちょうど今日はいいものを持ってきていてね」ガサゴソ

屋久井「.......これだ」

891P「これって....なっ!?」








891P「拳銃じゃないですか!?」
290 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:17:11.92 ID:OPAh6Vca0
屋久井「人に恨まれることも多い立場だからねぇ。もしもの時の為に取り寄せておいたのさ。なんとなく今日は嫌な予感がしたから持ってきていたんだけど、まさか本当に使う時が来るとはねぇ」

屋久井「というわけだ、君はステージの奥からこれで奴等の頭をぶち抜いてくれたまえ」

891P「さ、流石に殺人はマズイですよ!」

屋久井「大丈夫だよ、スタッフにはちゃんと話を付けておくから」

891P「で、ですが!」



屋久井「断ってもいいが、その時は......分かっているだろう?」

891P「ッ!?」
291 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:17:57.43 ID:OPAh6Vca0
屋久井「君が今の様な暮らしをする事が出来るのは、私の力あってこそだ。もしそれが無くなれば、君に待ち受けているのは破滅のみ。Project,Queenを制御できなかった責任は、ちゃあんと取らないとねぇ?」

891P「そ、そんな........」

屋久井「なぁに安心なさい。ステージの奥は暗い上にセットの陰に隠れて客席からはほとんど見えないから、売った後すぐに逃げればバレやしない。仮に怪しまれても、私が何とか警察に口利きしてあげよう」

屋久井「それにまぁ、最悪当てられなくてもいい。銃声一つ聞こえるだけで、奴らも観客もパニックになるだろうからな。そうすればどの道勝つのは私達だ」

891P「ほ、本当ですか?」

屋久井「891P君。私が聞きたいのはやるかやらないか、どっちなのかだ」









891P「........やります」
292 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:18:44.62 ID:OPAh6Vca0
屋久井「良い返事だ。私は部下に恵まれて嬉しいよ」

屋久井「撃つタイミングはそうだなぁ.....やはり銃声が綺麗に響くように、曲が始まる直前にしよう。ターゲットは誰でも構わないが、そうだなぁ........どうせならあいつがいい」

891P「あいつ、とは?」

屋久井「LiPPSのリーダーの、速水奏君だよ。最後の審査が始まる直前、リーダーが非業の死を遂げる!奴等にとって、これ以上ないくらい相応しい結末じゃないか!」





屋久井「811プロ、それにP.........散々私をコケにしてくれたが、もう、貴様らは終わりだ。あの時のように、目の前で貴様の大切なものを奪ってやる!アーハッハッハッハッ!!!」
293 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:19:40.69 ID:OPAh6Vca0
奏「みんな、準備は出来てるわね?」

周子「もちろん!今日はあたしたちの本気、出しつくすよ!」

フレデリカ「だいじょーぶ♪みんなの背中はフレちゃんにお任せ!」

美嘉「じゃあ、フレちゃんの背中はあたし達が!みんなで支え合えば、あたし達きっとムテキだよ★」

志希「この先に広がるのは、誰も見たことのない未知の世界!楽しみ過ぎて、あたし飛んでいっちゃいそうだよ!」

奏「OK!じゃあ、行くわよ!!!」





大勢の人間が、私達を、『LiPPS』を求めて待っている場所へ

人々の夢が花となり、鮮やかに狂い咲き誇る、あの輝かしい『花園』(ステージ)へ!!!!
294 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:21:13.78 ID:OPAh6Vca0
891P「も、もうすぐ奴らのステージが始まっちまう.....クソッ!」

891P「でも、や、殺るんだ.....殺らないと、終わりだ.....!大丈夫、すぐに逃げれば、守ってもらえる....きっと.....」


スタッフ1「君、891Pか?」

891P「ひっ!?は、はいそうです!あ、貴方達は....?」

スタッフ2「891プロの息のかかったスタッフ、ってところかしら?」

スタッフ3「話は聞いてます。ライバルのLiPPSのステージを間近で見て研究する為に、LiPPSの舞台の奥に隠れさせてほしいんですね?」

891P「そ、その通りです!」

スタッフ3「いや〜素晴らしく仕事熱心な方なんですね〜!なにせ」










スタッフ3(P)「891プロの為に、人殺しにまでなるんだから」
295 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:22:14.00 ID:OPAh6Vca0
891P「へっ?」


スタッフ1(ベテトレ)「せいっ!」

891P「ぐはぁ!」

P「うひょー、相変わらず見事な技だこと」

ベテトレ「青木家直伝、確実に男をオトす108の奥義さ」

スタッフ2(早苗)「物理的に落としてどうすんのよ。でも、有り難いわね。そのままシメといて」

ベテトレ「ああ」ギチギチ

891P「あだだだだだだだだ!!!!!」


早苗「じゃあ荷物改めさせてもらうわね.......ハイ拳銃みっけ、証拠として押さえさせて貰うわよ」

早苗「んでついでに手錠をガチャリと、銃刀法違反及び殺人未遂で現行犯逮捕よ」


891P「な、何で計画がばれたんだ!?」

P「お前らの敗因はただ一つだよ。お前ら、自分の担当舐めすぎ」

891P「な、なんだと......?」
296 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:23:37.61 ID:OPAh6Vca0
〜〜〜 ProjectQueenのステージ終了直後 〜〜〜


P「一応青木さんと片桐さんに連絡してあちこち警戒してもらっているが、891プロがどこから攻めてくるか分からねぇな.......」トゥルルルルル

P「こんな時に電話か。二人が何か見つけたか......って、鳴ってたのは仕事用の携帯か。なんだこの番号?」ピッ




『そうだね.....まぁ、いいだろう。"私"はもう、811プロに手を出さない事を約束しよう』




P「!?」
297 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:24:20.84 ID:OPAh6Vca0
この声、おっちゃん!?




『信用できるとでも?』

『安心しなさい。私だって"最期"のステージを華々しく飾ってくれた英雄に嘘はつかない』

『そう......ならいいわ。私達は控室で休ませてもらうわ、また後でね』




この電話をかけてきた当人であろう少女の声と、その仲間たちの声がどんどん小さくなっていく

だが、残った二人の男の狂った会話は依然、スピーカーを通して漏れ続けている





P「......成程ねぇ。これ、意外と常套手段だったみたいだな」
298 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:24:57.72 ID:OPAh6Vca0
891P「まさか、また黒埼が....!」

P「あんた達が奏を撃ち抜く前に、彼女の放った銀の弾丸が、悪魔に魂売ったあんた達の心臓をぶち抜いたってわけさ」

P「そうだ、ついでにちょっとあんたの携帯借りるな」ピポパポ

891P「ふざけるな、返せ!」

ベテトレ「少し黙っていろ」ギチギチ

891P「あばばばばばば!!!!」

早苗「覚悟しなさいよ〜?青木ちゃん、『あの子』を売ったあんたの事めっちゃくちゃ恨んでるから」

ベテトレ「『あの子』の分も含めて、しっかり利子を付けて返させてもらうぞ」ギチギチギチ!!

891P「あががががががgっがあg!!」
299 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:26:13.11 ID:OPAh6Vca0
ガチャッ


屋久井『891P君、急に電話をかけてきてどうしたんだい?』

P「891P?誰それ?俺Pです!」

屋久井『なんだと......?』

P「まぁそういうこった、あんたらの作戦は失敗したんだよ」

屋久井『貴様、一体何故!?』

P「答えは、あんたのポケットの中」

屋久井『はぁ?.......これは黒埼君のスマホ!?まさか、あの時に!』


P「つまり、あんたは2回もちとせちゃんに嵌められたって事。同じ女、しかも担当アイドルに二度ひっかけられるとか、おっちゃんって"救いようのない馬鹿"だな」

屋久井『P、貴様ァ!』

P「まぁそうカッカせずにさ、ウチのLiPPSのステージを楽しんでくれよそんでもって、しっかり噛み締めるんだな」








あんたたちが今まで、どれだけ尊いものを壊し続けていたのかを!
300 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:26:51.76 ID:OPAh6Vca0
〜〜〜 2週間前 〜〜〜


P「レッスン始まる直前で悪いが、お前たちに大事な話がある」

周子「なんなん急に改まって?というか、今の時期に出る話って全部重要やと思うけど」

P「昨日一晩ずっと考えてある結論にたどり着いたんだが.....率直に言うと、このままじゃお前らはIGの頂点を掴めない」

奏「それは、一体何故?」

P「今のお前らは、確かにトップアイドルに相応しい技術と精神を見につけている。だが、IGっつー特別な舞台では、それだけじゃ勝てない。なんつーか多分、もっとドデカいインパクトを観客に与えれないといけないんだ」

P「だが安心しろ、俺もちゃんとプロデューサーとして、最後の秘策を考えてきた」

フレデリカ「その気になる秘策とは.......CMの後で♪」

美嘉「いやいや!CMとかないから!」



P「最後の秘策、それは............」
301 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:27:40.82 ID:OPAh6Vca0
最後のステージの衣装は、ちょっと特別

特別といっても、胸に一つ花を差し込んだだけだけど

それでもこの一輪は、何よりも特別な意味がある

『思いやり』の花言葉を持つそれは、どんな花より私達に勇気をくれる!
302 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:28:12.87 ID:OPAh6Vca0
奏「みんなー!私達、このIGという大舞台の為に、ここまで私達を応援してくれたみんなの為に!とっておきのプレゼントを用意してきたわ!」

周子「ほうほう!それじゃ、気になるプレゼントの正体、さくっと発表しちゃいましょうか♪」

奏「ええ!それじゃあ行くわよ、皆に送るプレゼントの正体、そして、IGという最高の舞台をを締めくくるフィナーレの正体は!」



パチン、と指を鳴らす

それを合図に、モニターに"プレゼント"の正体が映し出される

同時に、会場を狂喜の嵐が包み込んだ
303 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:28:51.64 ID:OPAh6Vca0
それは、たった5文字のアルファベット

だけど、このキラキラ輝く素晴らしき世界に、『私達』が捧げるとっておきの贈り物!!
304 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:29:18.65 ID:OPAh6Vca0

奏「みんな、準備はいいかしら?IG決勝、最後の最後で初公開する、とっておきの完全新曲、その名も.......」
305 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:29:44.63 ID:OPAh6Vca0



Capter24 「Tulip」



306 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:30:57.81 ID:OPAh6Vca0
   ・
   ・
   ・
   ・



P「どうだ、この曲の感想は?」

美嘉「凄い.....まだ声が入ってないのに、凄く引き込まれる」

志希「歌詞もなかなか興味深いねー。確かにしゃべるだけなら唇っていらないし。でも」

奏「キスするために、咲いている。ロマンチックでいいじゃない」

周子「Pさんったら、よくこんなすごい曲持ってこれたね?いつの間に用意してたん?」

P「用意してたって言うか、元からあったんだよ」

美嘉「元からあった?」



P「この曲はな........俺が歌を教えてた、『あの子』が作った曲なんだ」


『!!!』
307 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:32:27.81 ID:OPAh6Vca0
P「『あの子』は、この曲に自分自身の歌を付ける事を夢に抱いてたんだ。でも結局、それが叶うことはなかった........」

周子「それで、お蔵入りになっちゃったんやね」

P「実はな、あの子が死んでからずっと、ずっとこの曲が嫌いだった」

奏「それは、思い出してしまうから?」

P「ああ、この曲を聞くと思いだしちまうんだ。『あの子』の事を......だから、必死に忘れようとしていたんだ、でも」

フレデリカ「忘れられなかったんでしょ?思い出すと苦しくなっても、プロデューサーの大事な思い出だもんね。そんなの、忘れられる訳ないよね」

P「その通りだ。どれだけ苦しむとしても、どれだけ逃げ出したくっても、この曲のことだけは、あの子の夢が詰まったこの曲のことだけは!忘れる事が出来なかった.......俺にとって『Tulip』は、大嫌いな曲だけど、何よりも愛おしい、思い出の曲だったんだ........」


P「だからみんな、頼む!」
308 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:34:15.92 ID:OPAh6Vca0
P「お前らの手で、この曲を完成させてやってくれ!『あの子』の夢を、あの子が何より憧れていたあの舞台へ、一緒に持っていってやってくれ!」


『任せて!!!』




奏「プロデューサーさん、私達この曲も、この曲に込められた夢も、必ず最高のステージで、何よりも華やかに咲かせてみせるから!」




だから、『あなた』もプロデューサーさんと一緒に見ていて頂戴

『あなた』と私達の夢が、花開く瞬間を!
309 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:35:04.21 ID:OPAh6Vca0
チューリップの花言葉の由来は、オランダのある物語から来ているらしい


その昔、ある村に住む一人の少女が三人の騎士にプロポーズされた

騎士たちはそれぞれ家宝の王冠、剣、黄金を少女に贈ったが、優しい少女は自分を愛してくれた三人の騎士を思いやるあまり、一人を選ぶことができなかった

そしてとうとう結論を出すことができなかった少女は、花の女神に自分を花に変えてくれるよう頼んだ

女神は少女の願いを聞き入れ、少女をチューリップの姿に変えた

チューリップの姿は、彼女へと贈られた家宝から形作られている




その葉は剣、芸能界に吹き荒れた悪意の嵐に真っ向から立ち向かった、彼女達の覚悟

その球根は黄金、黄金の様に眩い輝きを放つ、彼女達の抱いたトップアイドルという夢

その花は王冠、今まさにアイドルの頂点を掴もうとするあの子達へ贈られる、トップアイドルになったことの証




そして、チューリップにはもう一つ花言葉がある

それは.....................
310 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:36:36.16 ID:OPAh6Vca0
トレーナーさんに早苗さん、ちひろさんにトライアドプリムス、ProjectQueenに、ずっと支え続けてくれたプロデューサーさん

そして、私達とプロデューサーさんを引き合わせてくれて、私たちに夢を託してくれた、顔も知らない『あなた』



見て、いま私達は、このドームに集まった全ての人達の心は、一つに繋がっている

心の揺らめきに合わせて、その手のサイリウムを揺らめかせる

その光景はまるで、優しい風が吹き抜ける色鮮やかな花園のよう



性別も出自も年齢も思想も、彼らの放つ光の色は、みんな何もかも違うはずなのに

一つ一つの光が、必ずほかの誰かと繋がっていって、一つの大きな束となっていく




これが、私達の抱いた"愛"そのもの



どんな嵐が吹き荒れようと、私たちはここに咲いていられる。隣を一緒に歩んでくれた仲間たちがいるから、その嵐の先に、淡く光る希望を見つけられる

だって私達はアイドルという人生の舞台を、本当に愛しているから!
311 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:37:41.07 ID:OPAh6Vca0

奏(そう、これが『私達』全員で作りあげた.......)
312 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:38:21.68 ID:OPAh6Vca0

P「虹光の花束........」
313 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:38:53.66 ID:OPAh6Vca0
ああ、ちくしょう。分かってた、分かってたよ

『あの子達』の夢が花咲く瞬間を見れば、こうなるって分かってたんだけどなぁ








涙が、止まらねぇや................
314 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:39:55.59 ID:OPAh6Vca0
司会「いやー......本当に、本当に、どちらも素晴らしいステージでした!わたくし、感動して、涙が止まりません.......!」

司会「しかし、ついにこのIGも最後の結果発表、終わりの時間となってしまいました。激戦に続く激戦の末、トップアイドルの称号、Sランクアイドルの座を手にするのは果たしてどちらのユニットか!!」





奏(やれることは、全部やった。全力を出しきった)

ちとせ(だからあとは、ただ、受け入れるだけ)






司会「それでは発表します!IDOL OF GRATESTに優勝し、名実ともにアイドル界の王者の座を手にしたのは!」
315 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:40:56.97 ID:OPAh6Vca0
      最終結果




LiPPS      1333590票(累計2946811票)    






Project,Queen  1260901票(累計2893569票)










優勝 LiPPS(811プロ)
316 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:41:39.83 ID:OPAh6Vca0
早苗「やっ....」

ベテトレ「やっ....」







P「やっ、た.....?」










『いやったあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!』
317 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:42:07.64 ID:OPAh6Vca0

to be continued






and,the time of Ending........
318 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/29(月) 20:43:27.34 ID:OPAh6Vca0
Chapter24終了したところで、今回はここまで〜


次回、最終回



更新は.....多分元号変わった後
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/04/29(月) 23:18:03.94 ID:+aBUU3YDO


ちーちゃんの命も気になります……あとは奏を食べちゃうのかどうかも

とりま、最後まで頑張ってねぇん(それはもういい)
320 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/05/04(土) 22:26:48.20 ID:1s/7cv3T0
長らくお待たせして申し訳ございません

GW中予定やら色んなソシャゲのイベントやらに囲まれたせいで執筆が滞っていました

明日の21時〜22時頃最終話投下予定です
321 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/05/05(日) 21:36:33.58 ID:Hr5KE0bL0
お待たせいたしました

エンディングの投下を開始します
322 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/05/05(日) 21:37:01.85 ID:Hr5KE0bL0

Chapter Final「Under the Moon」
323 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/05/05(日) 21:38:41.69 ID:Hr5KE0bL0
ちとせ「そっか。私達、負けちゃったか」

千夜「ッ.....申し訳ございません、お嬢様」

ちとせ「謝らないで千夜ちゃん。負けたのは千夜ちゃんのせいじゃないでしょ?」

ちとせ「私達は全員で力を合わせて、これ以上ないってくらい全力で挑んで、その上で負けた。だから、誰のせいとかじゃないわ。みんなで頑張って、みんなで負けたの。だから、反省するならみんなでね」

颯「そうだよ千夜ちゃん!みんなでこの悔しさを分け合って、いつかきっとリベンジしよう!はー達で力を合わせれば、きっと大丈夫だから!」

颯「だから........................う、うわああああああああああああああああん!!!!やっぱり悔しいよー!!!!!!」

凪「おや、はーちゃんがここまで泣くのは久しぶりですね。私がはーちゃんのプリンを間違って食べてしまった時以来でしょうか」

千夜「.......気づいていないようだが凪、お前も泣いているぞ」

凪「えっ.....?」

ちとせ「いいのよ二人とも、今日はみんなで泣いて、みんなで乗り越えましょう?」

颯「うぅぅ....ごめんねちとせちゃん.....!ちとせちゃん、ずっとはー達の為に頑張ってくれてたのに......!」

ちとせ「もう、はーちゃんも謝らないの。私はこの道を選んだこと、ちっとも後悔なんてしてないんだから」

ちとせ「だって、負けちゃったけど楽しかったもの。『黒埼ちとせ』の最後のステージを、こんなにも夢のある終わりにする事が出来たんだから」

ちとせ「本当に......よかっ、た.......」










ドサッ


『お嬢様((ちとせちゃん))!?』
324 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/05/05(日) 21:39:31.36 ID:Hr5KE0bL0
ちとせ「あはは.....やっぱり、無理し過ぎちゃったかな。身体、動かないや」

千夜「お嬢様、しっかりしてください!」

ちとせ「ごめんね、みんな........私、これが本当に最期のステージになっちゃったみたい」

凪「最期.....?そんな、まるで死ぬ前みたいな.....」

ちとせ「すぐ死んじゃうわけじないと思う。でも、もうアイドルを続けるのは、無理かな.......」

颯「何言ってるのちとせちゃん!まだ、まだあと一年はあるんでしょ!?あたしたち、これからなんだよ!?今度こそ胸を張れるアイドルとして、みんなで頑張っていこうって言ったじゃん!」

ちとせ「実はね.....一年っていうのは、激しい運動をせず、安静に日々を過ごしていたらって話だったの。今までずっと誤魔化してきたけど、正直、このIGが私の最期になるってことは、なんとなく分かってた」

颯「そんな........」

ちとせ「でも、本当に後悔はないわ。最期まで貴方たちといられたから、だから、私は幸せなの」

ちとせ「最期にして最高の舞台で、私が生きた証を残せた.....本当にもう、十分よ........」
325 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/05/05(日) 21:40:15.72 ID:Hr5KE0bL0
最期なんて言うには、まだ早いんじゃないかにゃー?
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