【モバマス】LiPPS「虹光の花束」 2スレ目

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79 : ◆FuHrdA/9sY [saga sage]:2019/04/11(木) 21:34:48.79 ID:6SBeEs3u0
Chapter19終了したところで、短いですが今回はここまで―

予選のユニット名はほとんどサイゲかバンナム産のゲームが元ネタです

今回はあっさり終わりましたが、次回からようやくIG編本番に突入します
久々にまともなライブ描写が書ける.........
80 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/11(木) 21:51:38.57 ID:6SBeEs3u0
すいません、Chapter19まだ投下し忘れてたシーンがありました

もうちょっとだけ続気を投下するので>>78の後に脳内補完しておいてください

81 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/11(木) 21:52:32.27 ID:6SBeEs3u0
〜〜〜 一方、会場内別の廊下 〜〜〜




P「えーっと、トイレトイレ....本番前にちゃんと行っとかないとな」

トラプリP「おや、811プロのプロデューサーさん」

ちひろ「P君、おはようございます」

P「トラプリのプロデューサーさん!それに、ちひろさんもいらしてたんですね!」

ちひろ「私も加蓮ちゃん達と奏ちゃん達のライブ、見たいですから!トラプリPさんにお願いして入れてもらいました」

トラプリP「ホントはこの辺、関係者しか入っちゃいけないんですけどね....私、ちひろさんには頭が上がらなくて」

P「あー、それ凄く分かります.....」

ちひろ「でも、ライブを見るときは舞台袖じゃなくてちゃんと客席で見ますよ。関係者用のですけど」

P「相変わらずちゃっかりしてますね......」
82 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/11(木) 21:53:18.10 ID:6SBeEs3u0
トラプリP「それで、調子のほどはどうですか?」

P「ばっちりですよ。今日の為に山籠もりまでしましたからね!」

トラプリP「山籠もり.....?仙人デビューでもさせる気ですか?」

P「いやー、なんか高地トレーニングとかなんとか.....とにかく!予選の時とは比べ物にならないって事だけは断言できます!」

トラプリP「そうですか....なら、是非ステージでその力を見せてください。その上で、トライアドプリムスが叩き潰します!」

P「望むところです!」

ちひろ「二人とも、そろそろ時間もなくなってきましたよ。早く皆のところに行ってあげないと」

トラプリP「そうですね。ではPさん、私達はこれで」

P「はい、ではまた」



ちひろさんとトラプリのプロデューサーが、横を通り過ぎていく










その刹那、確かにちひろさん俺の耳元で小さく囁いた
83 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/11(木) 21:53:45.42 ID:6SBeEs3u0

ちひろ「社長が、来ているわ」
84 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/11(木) 21:55:00.02 ID:6SBeEs3u0
P「えっ?」


社長....おっちゃんが、この会場に来ている
確かにそう言い残して、去っていった





P「おっちゃん......」

P「.....いや、今はトラプリとの対決に集中しよう。時間もないし」











あと、結局トイレいけてないし!
85 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/11(木) 21:55:48.99 ID:6SBeEs3u0
司会「会場にお集りの皆さま!遂にに、遂にやってまいりました!『IDOL OF GRATEST』本戦第一試合!」

司会「誰にも予想が付かないこの祭りの行方、私達全員で見届けていきましょう!」


ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!







周子「おー、会場あったまってるねー」

フレデリカ「すごい....みんな、みんなアタシ達を待っててくれてるんだね!!」

志希「こんなの、予測なんてつけようがない。やっぱりアイドルって、サイッコーに面白いね!」

美嘉「じゃあ熱くなってきたファンの心、もっともっと燃え上がらせに行こうか!」

奏「ええ!何年たっても今日という日が忘れられなくなるように、最高に楽しませてあげましょう!」


P「よし!じゃあリーダー、号令頼むぞ!」

奏「分かったわ。それじゃあみんな、肩を組んで」
86 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/11(木) 21:56:42.80 ID:6SBeEs3u0
あのとき.....初めての811プロのライブの時のように、みんなで肩を組み円を作る


ああ、感じる......

今、私達の心が、絆が!確かに一つに繋がっている....!

私達はここにいると、皆で一緒に、こんなに高いところまで来たんだと実感できる!


これから皆で、最高のステージを作りあげられるんだって、確かに信じられる!!






奏「....いくわよ? 『811プローーーーーーー!!ファイトーーーーーーーーーーーー!!!!』」

LiPPS『オーーー!!!!!!』











to be continued.....
87 : ◆FuHrdA/9sY [saga sage]:2019/04/11(木) 21:57:30.58 ID:6SBeEs3u0
今度こそChapte19終了です。以後こういう事が無いように気を付けます
88 : ◆FuHrdA/9sY [saga sage]:2019/04/12(金) 22:22:37.35 ID:LLHo2szR0
時間が取れそうにないので今日の更新はお休みします
89 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 22:25:28.75 ID:O/b6jecx0
あきらちゃんも実装されたし、明日明後日辺りでりあむも来るんですかね?
Chapter20 投下開始していきます
90 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 22:29:48.00 ID:O/b6jecx0
会場は既に熱気の台風
全ての人がトップアイドル同士の魂のぶつかり合いを今か今かと待ち望んでいる

でも、ちょっとだけ待ってね?
私達がステージに立つ前に、一つやっておかなといけない事があるの



司会「えーみなさん、ライブを開始する前に一つやっておかなきゃならないことがありますよね?....えっ?前置きはいいから早くやれ?OK!皆さんの興奮が伝わってきました!」

司会「それでは早速まいりましょう!第一審査の先攻を決める運命のコイントス!」




.....来たっ!

司会がパチンと指を鳴らすと、モニターに大きなコインの映像が映し出され、掛け声とともに打ち上がる




まず最初、ここがこの先の流れを左右する第一の分岐点!
91 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 22:31:34.40 ID:O/b6jecx0
〜〜〜審査開始数十分前、控室〜〜〜



P「宣戦布告は済ませてきたか?」

奏「もちろん。もうステージに立つのが待ちきれないわ」

P「そいつは重畳。だが、一応本戦のルールをもう一度確認しておこう」

周子「本戦は予選とまたルールが違うんだったよね?」

P「ああ。ざっくりまとめるとこうだな」





@.本戦の審査は第一審査〜第三審査の計3回行われる

A.各審査の初めにランダムでその審査での発表順(先攻後攻)が決まる

B.先攻第一審査→後攻第1審査→先攻第2審査........後攻第3審査と各ユニット交互に発表が行われる

C.審査一回ごとに投票が行われ、全審査終了時に3つの審査の合計票数が高いほうが勝ち抜けとなる(各審査毎に票数は公表される)



P「こんな所か......何か質問はあるか?」
92 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 22:33:01.41 ID:O/b6jecx0
フレデリカ「はーい!」

P「なんだフレデリカ?」

フレデリカ「Aの各審査で先攻後攻を決める....って、イマイチよくわかりません!」

P「あー、ここ複雑だよな.......ざっくり言うと、第一審査が先攻だからってそれ以降も絶対先攻!とは限らないって事だ」

P「もしかしたら全部先攻になるかもしれないし、全部後攻かもしれない。はたまた先攻→後攻→後攻みたいにごちゃごちゃになるかもしれないって事」


フレデリカ「........???????????」

P「....つまり、各審査開始まで自分と相手、どっちが先に発表するかは分からないって事だ」
93 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 22:34:09.22 ID:O/b6jecx0
フレデリカ「....なるほどねー!完全に理解した!」

美嘉「ホントに?」

フレデリカ「分かんなくても大丈夫そうって事は分かったよ♪」

美嘉「ダメじゃん!」


P「いやいやフレデリカ、結構発表順は重要だぞ?先攻か後攻かでそれぞれメリットとデメリットがあるからな」

奏「例えば?」


P「まず、先攻なら観客の頭の中がまっさらな内にアピールできるから印象に残りやすい。ついでに後攻にプレッシャーもかけれる。だが逆に観客のテンションが上がりきってない状態から始めないといけない分盛り上げるのにやや苦労するのと、後攻が自分たちの与えたインパクトを越えてくるとそのまま観客の心が後攻に奪われやすいのがデメリットだ」


P「それに対して後攻は、先に先攻のステージを見て色々と分析し、対策が練れる猶予がある。それに観客が予め温まってる状況だから観客をそのまま自分たちのノリに乗せやすい。だが、先攻よりプレッシャーのかかる状況になりやすいのと、観客の頭の中が先攻のアピールでいっぱいになってる状態でアピールする分、観客から求められるハードルが上がるデメリットがある」


奏「つまり、どっちになってもいいように予め作戦を立てとかなきゃなきゃいけないって事ね。審査開始までどっちになるか分からない以上、発表されてから作戦を立てることは出来ないもの。」

P「まっ、そういう事だ」
94 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 22:34:56.70 ID:O/b6jecx0
志希「ちなみにー、プロデューサー的には『どっちの方がお得!』.....みたいな事はあるの?」

P「うーん....どっちに転ぼうと一長一短だからなんともいえんな」

P「だが、少なくとも第一審査は........」
95 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 22:39:17.13 ID:O/b6jecx0
奏(お願い、先攻で!!)



カラァン、カラァン、カラン、カン、カン............
小気味良い音を立ててコインが跳ねる









祈りが届いたのか、コインはLiPPSが描かれた面を上にして落ちた

それは、第一審査の先攻がLiPPSに決まったことを示すサイン!
96 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 22:41:10.16 ID:O/b6jecx0
周子「よしっ!」

奏「第一審査の先攻は、トップバッターである故に観客に与えられる印象も強くなりやすい....最初の風はこっちに吹いてくれたわね」

美嘉「その分プレッシャーもかかる状況だよ.....でも、あたし達なら大丈夫だよね!」

奏「当然よ!折角掴んだチャンスだもの、最初からスパートかけて行くわよ!!」



司会「それでは登場していただきましょう!第一審査先攻、『LiPPS』の皆さんです!」



ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



『みんなー!早速私達が皆の心を空の果てまで引っ張っちゃうから!覚悟してね!』




ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
97 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 22:42:32.31 ID:O/b6jecx0
奈緒「先攻はとられちまったか....LiPPSもしっかり観客の心つかんでるし、第一審査は厳しそうだな」

凛「でも、まだ序盤も序盤。全然巻き返せるよ」

加蓮「そうだね。後から巻き返せるように今のうちに作戦を確認しておこう」

奈緒「おっけー!後攻だからプランBだよな?」

P「ああ、第一審査はとりあえず.......」
98 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 22:43:36.61 ID:O/b6jecx0
    第一審査 結果

LiPPS         782543票(累計782543票)     

トライアドプリムス  679292票(累計679292票)





周子「よしっ!上手くリード出来た!」

フレデリカ「プロデューサーの言ってた通り、皆の心にドカーンと残ったんだね!みなの者、この勢いのまま次の審査も張り切って行こー!」
99 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 22:45:35.43 ID:O/b6jecx0
P「........いや、ちょっと待ってくれ。想定より差が開きすぎてる、これは.....」

志希「プロデューサー、多分その予想あたってるよ」

美嘉「どういうこと?」



志希「さっきの審査、トライアドプリムスは全力じゃなかった。多分、第一審査で有利な先攻を取られたから体力を温存したんだと思う」

奏「後半での巻き返しを狙っているってことね....」

志希「そういう事になるだろうねー。だから、第2審査で飛ばしすぎるのはちょっとマズイかも」
100 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 22:46:58.70 ID:O/b6jecx0
周子「なんで?第2審査で巻き返せないくらい差をつけた方がいいんじゃないの?」

P「周子、お前さっき全力出したばっかなのに、第2審査も全力だして最後まで体力持つか?」

周子「そりゃあ.....ちょっと厳しいかな。第2審査はギリギリ持たせられるかもしれないけど、次の審査は無理だ」

P「だろ?その反面、向こうはさっき温存したおかげで第2審査は多少無茶ができる。全力で突き放そうとしてもそこまで差は広げられないだろう」

P「それにもし第2審査の間は大丈夫でも、ここで体力を使いきった状態で第3審査の後攻.......大トリを取られようもんなら負け一直線だぞ」

奏「そうね。第3審査の後攻は最後の最後である分、より大きなインパクトを与えやすい。残った体力に差がある状態で第3審査の後攻を取られれば、まず逆転されると考えた方がいいでしょうね」

P「だが、だからと言って折角広げたリードを必要以上に詰められるのもマズイよな.....」
101 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 22:51:32.45 ID:O/b6jecx0
P「......周子、第2審査の間だけなら、全力を出しても体力は持つか?」

周子「多分大丈夫....ううん、絶対持たせて見せる」

P「よし、じゃあ立ち位置を変えよう。周子、お前がセンターに入れ」

周子「センター?あたしが?」

P「ああ。お前にはなるべく差を縮められない様に、ちょっと無茶をしてもらう」

周子「......なるほどねー、皆のの体力を温存するために、あたしに働けって事か。よし、任せて!」

P「頼むぞ周子。そして美嘉、お前は前に出て周子のフォローを頼む。ウチで一番スタミナがあるのはお前だからな、二人でリードを何とか死守してくれ」

美嘉「オッケー!」


P「そして奏、志希、フレデリカは後ろに下がって第3審査の為に体力を温存するんだ、いいな?」

奏「分かったわ」

志希「周子ちゃんに美嘉ちゃん、頑張ってね!」

フレデリカ「その代わり、第3審査はアタシ達にお任せ♪」

周子「うん!あたしと美嘉ちゃんでしっかり繋いであげるから、第3審査でぬからないでね?」

奏「もちろん!最高のステージにして見せるわ!」

P「よし!じゃあお前ら、第2審査も楽しんで来い!」
102 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 22:55:17.03 ID:O/b6jecx0
続く第2審査はトライアドプリムスが先攻、LiPPSが後攻でスタートした

そして.......









    第二審査 結果

LiPPS         768365票(累計1550908票)     

トライアドプリムス  818650票(累計1497942票)




凛「第2審査は勝てたけど.....」

奈緒「差は10万から6万...大体半分いかないくらいかー。もうちょっと行けると思ったんだけどな」

トラプリP「こっちが後半の巻き返しを狙ってるのを読んで、第2審査は温存しに来ると思ってたからな。その隙をついて一気に縮めれると思ったんだが....成程、第2審査と第3審査で力を分けてきたか」

加蓮「周子と美嘉を前に出してリードを保ちつつ残りのメンバーの体力を温存する....面白いことしてくれるじゃん」

加蓮「.......でも!」



モニターにでかでかと映しだされた、トライドプリムスの描かれたコイン
それはようやく、ステージの風向きがあたし達に回ったことを告げた

加蓮「最後の最後で来たチャンス.......絶対、ものにして見せる!!」



トラプリ『勝つのはあたし(私)達だ!!』
103 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 22:57:28.19 ID:O/b6jecx0
周子「ハァ.....ハァ.....!」

美嘉「後攻.....取られちゃったね.....」

P「クソッ、流れが向こうに行っちまったか」


奏「でも、周子と美嘉のおかげでかなりリードを保つことができたわ。まだ勝機はちゃんと残ってる」

志希「じゃあ、今度はあたし達が頑張らなきゃね!」

フレデリカ「あたし達にお任せ―!」

周子「ゴメン3人とも、頼んだよ」

奏「ええ、後は私たちに任せて。




周子と美嘉が繋いでくれたバトン、決して無駄にはしない!
104 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 22:59:39.17 ID:O/b6jecx0
第3審査、先攻となったLiPPSは、先の審査で後ろに下がっていた3人がメインとなってアピールしている

体力を温存した甲斐あってか、前に出ている3人のパフォーマンスはクライマックスに相応しい、最高の出来だ

観客達は次々と彼女達に魅了されて、ボルテージもすでに昇るところまで昇り詰めている




メインにするアイドルを第2審査と歳3審査で分ける....向こうのプロデューサーも、土壇場でなかなか良い作戦を思い付いたものだ

だが......





トラプリP「811プロ......貴方たちは一つだけミスを犯した」
105 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:05:28.77 ID:O/b6jecx0
P「クソッ!ダメだ、これじゃ足りないッ....!!」


アイドルユニットというのは人数が多い分インパクトも強くなるが、その分全体のバランスを取るのが難しくもなる
一人でも崩れてしまえば、なし崩しに全員の調子が崩壊してしまう


体力を温存させた奏達はしっかりと100%のパフォーマンスが出来ている。だが周子と美嘉は限界が近い!

LiPPSは元々5人のユニット。もしそのうち二人のスタミナが尽きて完全にバテてしまったら....

いや、そもそも5人がかりでようやく3人のトライアドプリムスと互角だったんだ
全員で全力を出してぶつかりに行かなければ、流れを完全に持っていかれちまう..........!


クソッ!完全に俺の作戦ミスだ!
やはり、リードを捨ててでも第2審査は温存させるべきだった.....!



P(.....だが後悔しても、俺に出来るのは祈ることだけ......)








頑張れ『LiPPS』......!!
106 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:08:08.34 ID:O/b6jecx0
.....とか思ってるんやろうなぁ、Pさん


そりゃあ、確かに凄くキツイよ。心臓バクバク言ってるし、四肢はもう気合で動かしてるって感じ
今にぶっ倒れてもおかしくないかも










....でも、大丈夫

3人が約束通り頑張ってくれたおかげで、あたしも美嘉ちゃんも、ギリギリ曲の終わりまで体力を残すことができた

本当に少しだけ、雀の涙くらいの体力だけど、このクライマックスで最後の賭けをするには、十分すぎる体力!

美嘉ちゃんも準備万端みたいやね!


それじゃあ、行くよ!








周子&美嘉(あたし達の全力を、ここでぶっ放す!!)
107 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:12:25.88 ID:O/b6jecx0
  〜〜〜数日前、合宿中〜〜〜



青木「来たな、二人とも」

美嘉「トレーナーさん、なんであたし達だけ呼び出したの?」

周子「あたしだけならなんかお叱りかもって思ったんだけどねー」

青木「別に説教するわけじゃない、むしろ先ほどのお前ら二人のダンス技術を見込んで話がある」

周子「話って?」


青木「IG本戦、どのユニットもトップレベルのアイドル達だ。そんな相手に、ただただ真っ向勝負を挑むだけじゃ勝つのは難しいだろう。必ず、強敵と戦うための確かな武器が必要になるだろう」

周子「武器?」

青木「言ってしまえば『必殺技』というやつだ。それも、観客の度肝を抜いて、一気に心に深く刻み込まれるような派手なものがな」

青木「だから、お前たちにその必殺技を伝授する」

美嘉「必殺技....口に出すとちょっと恥ずかしいけど、なんだかカッコイイじゃん!」


青木「まずは一度私がやって見せよう。いくぞ......」
108 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:14:00.32 ID:O/b6jecx0
青木「....っと!こんな感じだ」

美嘉「す、凄い.......!」

周子「青木さん、なんで今までそんな凄い技隠してたん!?」

青木「そりゃあ隠すさ、この技は生半可な努力で習得できるもんじゃない。それに、もし本番でこの技を失敗すれば大ケガするかもしれない」

青木「それでも....これを習得する覚悟はあるか?」


周子「....青木さんは、あたしたちなら無理じゃないと思ったから、これを見せたんだよね」

青木「ああ、だがとんでもない無茶振りではある自覚はある.....残り数日でこれを身につけるには、文字通り地獄の特訓を受けてもらうことになるだろう」

周子「そっか...なら、美嘉ちゃん!」

美嘉「そうだね、周子ちゃん!」








周子&美嘉『やってやるしかないよね!』
109 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:15:08.60 ID:O/b6jecx0
トラプリP(バックの二人が、前へ出始めた!?)

P(二人とも、もう限界なんて超えてるはず....一体なにする気だ!?)





周子(正直、100%成功させられるわけじゃない)

美嘉(でも、ここで決めずにトップアイドルなんて名乗れない!だから!)





周子&美嘉(絶対、決めて見せる!!)
110 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:17:02.06 ID:O/b6jecx0
蝶が、舞い飛んだ



ステージに立つ私達、裏で働くプロデューサーさんとスタッフ達、次のステージを控えているアイドル達
そして、ドームに隙間なく敷き詰められた観客達
この空間に存在する数万の目が一斉に奪われる



今、この世界は、二人の蝶に支配されていた
111 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:19:08.58 ID:O/b6jecx0
P「あいつら、いつの間にあんなバック転ができるように....いや、あれはただのバク転じゃねぇ....」





トラプリP(バック転....それ自体はアイドルのパフォーマンスでもそう珍しいものでもない。身体能力に自信があるアイドルなら、かなりの割合がダンスに取り入れている)

トラプリP(だが....あそこまで豪快且つ美しい物を、しかもそれを三連続でやったアイドルは、おそらく今地球上で彼女たちだけだろう.....)

トラプリP(あれ程の技、もちろん百発百中ではないはず。しかも失敗すれば大ケガに繋がる....実行するのにはとんでもない勇気が必要だろう。本番で、しかもクライマックスというプレッシャーのかかる状態では特に)


.......これまでか







加蓮「プロデューサーさん、なーに暗い顔してるの」

トラプリP「えっ!?ああ、すまない。そんなに暗い顔してたか?」

加蓮「うん、すっごい暗い顔してた」

奈緒「まあ、あんなの見せられちゃ意気消沈するのも無理は無いかもしれないけどさ。次はあたし達がステージに立つんだぞ?」

凛「だから、プロデューサーもそんな落ち込まないで。ちゃんと笑顔で送りだしてよ。まだ負けが決まったわけじゃないんだからさ」

トラプリP「お前ら....大丈夫なのか?」

加蓮「なぁに?あたし達がすっかりビビったと思っちゃった?」

加蓮「....大丈夫、貴方が育てたアイドルだよ。大事なことはちゃんとわかってる。ステージに立てば、私達がやることはただ一つ!」
112 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:19:42.55 ID:O/b6jecx0

トラプリ『皆に、最高のステージを届ける事!』
113 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:22:43.42 ID:O/b6jecx0
トラプリP「!!!」

トラプリP「そうか、そうだよな....」

加蓮「だからプロデューサー......ちゃんと、あたし達を送り出して。プロデューサーに頑張れって言ってもらえれば、どんな逆風に吹かれたって、きっと輝けるから.....!」

トラプリP「そうか....なら、頑張って来い」





トラプリP「トライアドプリムス!ファンの皆が、ステージでお前らを待っている!全力で楽しませて来い!」

トラプリ『うん!』









プロデューサー.....行ってきます!!!
114 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:25:31.10 ID:O/b6jecx0
〜〜〜〜〜ステージ裏〜〜〜〜〜〜


P「みんなお帰り!本当にお疲れさま!」

周子「はぁ....はぁ....Pさん、あたし達、やったよ.....」

美嘉「どう、だった....?あたし達、カッコよかった....?」

P「...ああ!最高だった!今日のMVPは間違いなくお前たちだ!」

奏「ステージに立っていた私達も、貴方たちに目を奪われたわ.....二人とも、本当に凄かったわよ」


周子「そっか.....よかっ、た....」フラッ

美嘉「でも、ちょっともう限界かな...」バタッ

フレデリカ「わっ!二人とも大丈夫?」

志希「明らかにオーバーワークだね、ちょっと控室で休みにいこうか」

周子「そうする....ごめん、誰か肩貸して...ちょっとまとも歩けそうにない」

美嘉「あたしもー....でも、全部出し切ったって気持ち...!」

P「じゃあ俺が控室まで連れてくよ。ほら二人とも、肩に腕まわして.」

奏「あら、プロデューサーさんったら両手に花ね♪」

美嘉「あたし達のファンが見たら刺されちゃうかもしれないよー?」

周子「あららー、Pさん大ピンチやねー♪」


P「こんな時までからかうな......でも」






二人とも、本当にお疲れさま.....
最高に、カッコよかったぞ......!
115 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:26:34.38 ID:O/b6jecx0
司会「いやー、本当に白熱した戦いでした!両者共に、最後まで一歩も譲らない激戦.......どちらが勝ったのか予測がついている者は誰一人いないでしょう!」

司会「しかし、たった今集計が終わりました!ついに第一試合の勝者が決まります!皆さま、心の準備はいいですか!?」




P(やれることはやった....周子と美嘉の最後の大技のおかげで、大分観客の心を持って行けたはず....だが、トラプリの最後のパフォーマンスも負けてなかった。むしろ今まで見た中で最高の物だった!)

P(大トリなのも相まって、かなり強く観客に印象を残された....逆転されていてもおかしくないインパクトだったが.....頼む!)









司会「それでは発表します!本戦第一試合を制し、決勝へと駒を進めたのは.....
116 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:27:02.58 ID:O/b6jecx0
    第三審査 結果


LiPPS         918754票(累計2469662票)     

トライアドプリムス  901515票(累計2399457票)






勝者 LiPPS(811プロ)
117 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:27:55.10 ID:O/b6jecx0
P「かっ.....た....?」








P「みんな!俺たちの勝ちだ!」


『やったあああああああああ!!!』
118 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:29:55.85 ID:O/b6jecx0
凛「完敗、だね」

トラプリP「すまない、俺の采配ミスだ....第一審査で、力を温存させすぎた.....」

奈緒「Pさんのせいじゃねぇよ。あたし達は全員で全力を出してぶつかって、それでも負けた。だから、誰のせいとかじゃないって」

トラプリP「奈緒.......」

加蓮「それに、まだあたし達のアイドルの道が終わったわけじゃない。むしろ、これからまだまだ続いてくんだから」

加蓮「だから....次は勝てるように、これから頑張ろ?泣いてる暇なんて.....ゴメン、やっぱ悔しい」

凛「あはは...加蓮ったら、涙、我慢できてないよ....?」

奈緒「そう言う凛もだろ....ていうか、あたしもか。Pさん、ちょっと胸貸してくれるか?」

トラプリP「....ああ、今は泣いていい。泣くだけ泣いたら、また次のステージへ、皆で歩き出そう」

トラプリ『うん....!』







加蓮(LiPPS.....あたし達に勝ったんだから....絶対、優勝してよね!)
119 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:39:35.51 ID:O/b6jecx0
勝負である以上、必ず勝者と敗者が分かれる

だが、敗者になれば終わりというわけでは無い
むしろ、どれだけの屈辱を味わおうと、どれだけ不格好に泣くことになろうと

それでも立ち上がり、次に繋げようとする事こそ、人間として成長した証なのだ


そして.....




それをいつだって、何度だって笑顔で前を向いて出来るからこそ、『アイドル』は美しいのだろう
120 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:40:59.05 ID:O/b6jecx0
奏「私達が、決勝進出.....」

美嘉「あはは......なんか、夢みたいだね」

志希「夢かどうか試してみる?いいものあるよ❤」

美嘉「いや、なんかやばそうだからやめとく....」

フレデリカ「んー.....!ほっぺつねって痛いって事は、現実だね!」





周子「そういや、決勝の相手はどうなるんやろ?」

P「次の第2試合で勝った方と、1週間後に決勝で戦うことになるな。そろそろ始まるし見に行くか?」

奏「そうね、次の相手がどんなアイドルか、しっかりこの目に焼き付けておきましょう」
121 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:41:50.40 ID:O/b6jecx0
人々の夢を乗せて、踊り、魂を輝かせるアイドルのステージ
IGという特別な舞台で、私達は他の何に代えることもできないまばゆい光を見る......












はずだった
122 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:42:33.96 ID:O/b6jecx0
鳴動するステージで私達を待っていたのは、光り輝く夢ではなく


底が見えなく程暗く、あまりにも残酷な悪意が、大口を開けて待っていたのだ
123 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:43:48.38 ID:O/b6jecx0
スタッフ1「おい!早く救急車呼べ!」

スタッフ2「くそっ!なんでこんなことに!」




奏「そんな.....」

P「おい....おいおいおいおい!一体どういう事だよ!」










覇王エンジェルズ、転落事故により棄権


よって第2試合の勝者は、そして、私達が決勝で戦う相手は.....
124 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:44:25.19 ID:O/b6jecx0

奏(891プロ所属、『Project,Queen』.........!)
125 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/13(土) 23:51:07.12 ID:O/b6jecx0
夢のドームに吹き荒れる嵐は、未だ止まない



でも、全ての因縁に決着を付けるその瞬間は、もう目の前に迫っている

物語がエンドロールへ近づいていく音を、私は確かに感じていた......










to be continued......
126 : ◆FuHrdA/9sY [saga sage]:2019/04/13(土) 23:54:29.39 ID:O/b6jecx0
Chapter20終了したところで、今回はここまでー

ついに最後の舞台.....ですが案の定長くなってしまい、執筆が難航しております
あと4話(とエンディング)程で終わる予定ですが、どこかで一度時間を開けさせていただくかもしれません
127 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 20:39:27.86 ID:TfNz0bT70
りあむちゃんデレステ追加まだ?

Chapter21、投下開始します
128 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 20:43:13.10 ID:TfNz0bT70
最初に異変があったのは、第一審査後攻、覇王エンジェルズのLIVE開始時

彼女達の歌がサビに突入するその瞬間、急に音楽が途切れた

全員が動揺するのも束の間、今度は証明が落ち、ドームは闇黒と静寂に包まれた



それでも、覇王エンジェルズは歌う事を辞めなかった

唐突に訪れた静寂に負ける事なく歌い続け、誰の目にも見えない暗闇の中でも、自分達がまだ舞台で踊り続けている事を、自分たちの存在を必死にアピールしていた

どんなに連続してアクシデントが起きようと、彼女達は自分たちの勝利を疑わなかった

もう、流石今大会最大の優勝候補としか言いようがない。本当にとてつもない精神力だった






だが、今回に至ってはむしろ、そこで折れていた方が良かったのかもしれない
129 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 20:45:42.22 ID:TfNz0bT70
美しい歌声と力強いステップの音の中から、微かな悲鳴が俺の耳に飛び込んできたその刹那、照明が復旧し、舞台は光を取り戻した

だが、照らされたステージの上からは、数秒前まで確かにそこにいたはずの少女が消えていた



代わりに現れていた大穴を目にして、察する


あの悲鳴の正体は、あの穴の下に落ちた少女が発したものだったのだと.......
130 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 20:47:47.53 ID:TfNz0bT70
美嘉「プロデューサー!一体何が起こったの!?」

P「セリが....セリが落ちてる....あの穴に落ちたんだ!」

志希「セリって、迫?人や道具を舞台から上げたり下げたりするあれ?」

奏「......本当ね。確かにステージの真ん中、穴が開いているわ。ステージが始まったときには、あんな穴無かったのに!」

フレデリカ「それより落ちた子は!?落ちた子は大丈夫なの!?」



フレデリカの問いかけに答えるかの様に場内アナウンスが鳴り響く

あまりにも冷たい機械越しの音声が、無情にも最悪の答えを語りだす




『会場にお集りの皆さま、誠に申し訳ございません。ただいまの事故で負傷者が出た為、IG本戦第2試合、及び3位決定戦はここで中止とさせて頂きます』

『また、覇王エンジェルズ棄権の為、決勝進出は『Project,Queen』、3位決定戦は『トライアドプリムス』の不戦勝となります』
131 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 20:50:53.95 ID:TfNz0bT70
観客A「ふざけんなー!!」

観客B「なんでこんな事故が起きるんだよ!!」

警備員1「申し訳ございません、現場検証を行うため関係者以外はドームから退出してくださーい!」

観客C「なんだと!?」

警備員2「皆さん落ち着いて!暴れないでください!」

警備員3「係員の誘導に従ってドームの外に....誰かー!応援をよこしてくれー!?」




奏「皆、パニックになってるわね....」

フレデリカ「そんな.....こんなのってないよ!こんなんじゃ、みんな笑顔になれないよ!」

周子「Pさん、どうにかなんないの?落ちた子のケガが治るまで延期とかさ」

P「無理言うな、俺にそこまでできる力はねえよ。それに、どっちみち大会規定で仕切り直しは無しって決まってる」

P「まあ、それを認めてしまうと、不利になったらわざと事故を起こしてやり直せちまうからな........」

周子「それはそうだけど....でも、こんなの納得いかないよ」
132 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 20:52:57.27 ID:TfNz0bT70
ちひろ「みんな、無事!?」

美嘉「ちひろさん!」

ちひろ「会場で事故が起きたって聞いたから、まさか皆が巻き込まれたんじゃと思って飛んできたんだけど....無事なようね」

フレデリカ「アタシ達は無事だけど、覇王エンジェルズが!」

ちひろ「さっき館内放送で聞いたわ....加蓮ちゃん達も怒ってた、『不戦勝なんて納得いかない』って」

ちひろ「まさか、こんなことになるなんて......」



奏「でも、偶然音響が落ちて、偶然証明も落ちて、偶然セリも下がってた.....こんな偶然、一度に3つも起きるはずないわ。特にセリは人の手がないと動かない、まず間違いなく人為的に引き起こされた物よ」

美嘉「その犯人って、やっぱり......」

ちひろ「...........」









???「なんだかお取込み中のところ悪いのだが、君たちがLiPPSかね?」
133 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 20:54:53.94 ID:TfNz0bT70
......!!!

この男は!


周子「んー?おじさん誰ー?」

奏「周子!そいつに近づいてはダメ!」

周子「えっ?」








P「.....おっちゃん」

周子「!!」


志希「この悪意のこもった匂い......奏ちゃん、この人がそうなんだね?」

奏「ええ、この男が.......」
134 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 20:55:24.99 ID:TfNz0bT70

奏「891プロ社長、屋久井 清!」
135 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 20:57:38.52 ID:TfNz0bT70
美嘉「この人が、全ての元凶.......!」

屋久井「元凶?一体何の事かな?私はただ、決勝戦の相手に挨拶に来ただけだよ」


奏「とぼけないで!さっきの事故、貴方が仕組んだことでしょう!?」

奏「iMB事件だってそう、今芸能界を覆っている闇....全ての糸をその裏で操っていたのはあなたでしょう!?」

ちひろ「社長、891プロの帳簿、調べさせてもらいました.....『子会社』の事も」

ちひろ「だから正直、今私達はものすごくあなたを疑っています。なにか、釈明はありますか?」


屋久井「おやおや二人とも、前に会った時に比べて随分敵意むき出しじゃないか。一体どうしたんだね?」
136 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 20:59:35.29 ID:TfNz0bT70
P「おっちゃん、俺からも一つ聞かせてくれ.......予選の時から、どうしても気になってたことがあるんだ」

屋久井「何かね?」


P「予選のトリスタの曲聞いてるとな、なんか違和感を感じたんだよ。前に聞いたときと何かが違うって思ったんだ。まさかとは思ったけど、一応あの後当日録画したライブの音源とCDの音源、比べてみたんだ」

P「......曲の速さが、わずかに早くいじられていた。そんな訳ないと何度も確認した、でも、やっぱり予選の音源の方が、歌い終わりが数秒早いんだ!」

P「たった数秒.....それだけでも、ステージに立っていた本人たちには致命的だ.....そしてそんな妨害をやるのは、同じDブロックでぶつかった奴しかいない.....」


屋久井「............」

P「なあおっちゃん.....あんたが、やったのか?」







屋久井「P君.....相変わらず君は頭が悪いな」

P「!.....そ、そうだよな!おっちゃんがそんなことするはず」

屋久井「違うよ」

P「えっ?」
137 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:00:22.27 ID:TfNz0bT70

屋久井「今になって、やっと気づいたのかって事だよ」
138 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:02:08.77 ID:TfNz0bT70
P「は........?」

屋久井「いやー、昔から馬鹿だとは思っていたが、まさかここまで救いようが無い程だったとはな」




P「嘘....嘘だろ?だって、俺はあんたを、あんたを信じてたんだぞ!?あんなに優しかったおっちゃんがそんなことするはずないって!」

P「なのに......なんでだ!なんで俺を裏切った!?」

屋久井「裏切ったとは心外だな、君が勝手な信頼をしていただけだろう。それに、先に裏切ったのは君じゃないか」

P「俺が、裏切った.....?」

屋久井「だってそうだろう?私は君を信じていたのだから。君ならきっと、891プロが芸能界を支配したときに、その象徴となってくれるだろうと。だから資金もコネもキミの為に全部用意した。我が社の総力を挙げて君を売り出していたんだ」

屋久井「なのに、君はたった一人のガキに心奪われて、私もちひろ君も裏切ったじゃないか。分かってるかね?君はあの子との密会を週刊誌にすっぱ抜かれて、危うく大スキャンダルになる所だったんだよ?」

P「それは.....」
139 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:03:20.64 ID:TfNz0bT70
屋久井「でもねP君、私はそれでも君の事を許すつもりだった.....だから、写真を持ちこんできた出版社と取引したんだよ」

奏「その、取引というのは......!」


屋久井「なんだ、気づいてるようだね」

屋久井「お察しの通り、あのガキを売ってやったのだよ。P君のスキャンダルを握りつぶしたうえで、あのガキが二度とP君にまとわりつかない様にな」


P「売っ.....た?あの子を......?」

屋久井「ああ、キミは馬鹿だからしっかり言わないと分からないかい?」
140 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:03:50.61 ID:TfNz0bT70

屋久井「あのガキは、私が殺したという事だよ!!」
141 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:12:12.74 ID:TfNz0bT70
P「そん....な.....」


屋久井「あのガキの所属事務所は我が社の傘下だったからな、少し圧力をかけてやれば簡単に済んだよ。担当プロデューサーもちょっといい条件で引き抜いてやると言ったら、快く自分のアイドルを売り出してくれた。しかも、かなりの『おまけ』つきでな」

屋久井「私もP君の目を覚まさせてやろうと、徹底的に潰してやったよ。随分ムカつかせてくれたから、少し虐めさせてもらった。いやー、あの時は年甲斐もなくハッスルしてしまったよ!」

屋久井「犯されてる間ずっと『師匠、師匠』と何度も君を呼び続けていてね!おかしなもんだよ、彼女の穴に突っ込んでいたのは君じゃなくて、歳食った汚いおっさんだったというのに!」


周子「最っ低.....!」

屋久井「最低?むしろ感謝してほしいくらいだよ。夢を見ることしか知らなかった哀れなガキに、しっかり現実というものを教え込んでやったのだから!」

美嘉「....とりあえず、あんたがとんでもないゲスって事はよくわかったよ」

美嘉「でも、どんな理由があろうと自殺まで追い込む必要はなかったでしょ!」

屋久井「あのガキは、私が芸能界を支配するという崇高な計画を土足で踏みにじったのだ。当然の報いだよ」

フレデリカ「.....アタシね、皆がハッピーじゃないと嫌だから、誰かの心を傷つけることが本当に嫌だから、絶対に人の悪口とか言いたくないし、聞きたくないんだ。でも、ゴメン。今だけは言わせてもらうね」

フレデリカ「アタシ、あなたの事は嫌い。大っ嫌い!!」

屋久井「フン、別に構わんよ。小娘に何を言われようがね」











P「........何人だ」
142 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:14:58.78 ID:TfNz0bT70
屋久井「んー?」






P「あんたのその下らねえ計画の為に、一体何人犠牲にしたかって聞いてんだよ!子会社とやらのアイドルも、061プロのアイドルも、『あの子』だって......みんな本気でアイドルって道に命賭けてたんだ!なのに、あんたはそんな命を何人踏み躙って来た!あの子達が抱いた何よりも尊い夢を、一体いくつ踏み躙って来たァ!?」
143 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:16:33.18 ID:TfNz0bT70
プロデューサーさんが、今まで貯めこんで来た感情を吐き出す

怒り、憎悪、嘆き.....今までずっと仇敵に対して貯め込んでいた感情が、決壊したダムの様にプロデューサーさんの口から流れ出る



でも、その激情の矛先を向けられた男は依然堂々と....いや、むしろどんどん凶暴な笑みを浮かべながら答えた


社長「何人って....知らないよ。踏みつぶしたアリの事なんざいちいち考えないからな」






自分が犠牲にしてきた人間を虫同然に言い切った男の顔を見た時、私の頭に最悪の予感がよぎった

まさか、この男の狙いは.....!
144 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:18:15.77 ID:TfNz0bT70
P「....殺してやる」

屋久井「何かね?」







P「許さねぇ!あの子の夢を汚して、あの子の命を奪ったッ!あんただけは絶対に許さねぇ!!ブッ殺してやらアアアアアアアアアアァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!」


奏「ダメよプロデューサーさん!!止まって!!!!」





慌てて呼び止めたけど、私の声はもう、プロデューサーさんには届かない

ダメ、間に合わない.....!
145 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:18:41.47 ID:TfNz0bT70

パチィン!!!
146 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:20:00.37 ID:TfNz0bT70
とても高い音がした

一瞬、プロデューサーが屋久井を殴った音かと思ったけど、違う。この音はもっと、平手打ちの様な高い音だ

例えば、癇癪を起こした子供をはたいて疎めるような.....




恐る恐る目を開けてみる

プロデューサーさんは屋久井社長へたどり着いておらず、二人の間には一人の女性が割って入っていた
147 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:20:56.55 ID:TfNz0bT70
ちひろ「何をやってるの.....?」





P「ちひろ、さん.....?」

ちひろ「貴方はもう彼女達の、『LiPPS』のプロデューサーなのよ?LiPPSの夢を、一緒に背負って支える立場の人間なの。それなのに....貴方がここで社長に暴力を振るえば、彼女達の夢まで一緒に砕けることになるわ。こいつは、それを狙っているのよ!?」

P「でも!このままじゃ『あの子』の無念は!」
148 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:21:35.18 ID:TfNz0bT70

ちひろ「憎むことばかり考えるな!!」
149 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:23:58.57 ID:TfNz0bT70
ちひろ「もう一度、頭冷やして考え直しなさい....今の貴方には、その恨みよりもっと大事な人達が、大事にしなきゃいけない人がいるでしょう!!」

P「!!」


プロデューサーさんが、はっとした顔でこちらを向く



ちひろ「確かに、始まりは復讐だったのかもしれない、自分の目的の為に、表面上思いやっていただけなのかもしれない......でも、彼女達は、LiPPSは!貴方にとって大切な人達になったんでしょう!?なら、彼女達を泣かせるような真似するんじゃないわよ!」

ちひろ「どれだけ正当な理由があっても....どれだけの憎しみを抱えたとしても.....自分にとって大事な人ができたのなら、自分を大事に想ってくれる人がいるなら、その人を悲しませるような事しちゃいけないのよ!!!」










P「................クソッ!」
150 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:26:18.35 ID:TfNz0bT70
ちひろさんに平手打ちで叱られたプロデューサーさんは、行き場の失った怒りとともに、逃げるように去っていった


奏「プロデューサーさん!....私、追いかけてくる!」

美嘉「ちょっと奏!.......いや、頼んだ!」



屋久井「チッ.....余計な事を」

ちひろ「悪かったですね、計画を邪魔してしまって」

屋久井「....まあいい、なら正々堂々と王者の座を頂くまで」

周子「正々堂々?どの口が言うのさ。今までずっとズルばっかしてた癖に!」

屋久井「フン....だが、証拠に繋がるようなヘマはしていない。仮に通報したとしても、私にはもみ消せるだけの力がある。無駄なことだ....」

屋久井「まあせいぜい頑張り給え、別に棄権してくれても構わないがね」

美嘉「棄権なんてしない!どんな妨害したって、勝つのはあたし達だよ!」

屋久井「そうかい.....では、そろそろ失礼させてもらうよ、まだ商談が詰まっているのでね」




ちひろ「社長、最後に一つだけ言わせてもらいます」

屋久井「何かね?」
151 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:27:21.28 ID:TfNz0bT70
ちひろ「P君は私達を裏切ってなどいません。P君は、この芸能界に潜む闇に立ち向かうために、勇気を出して一歩を踏み切ったんです」

ちひろ「だから....裏切ったのは貴方の方です。P君の信頼だけじゃない、この国のアイドル全てと、アイドルに夢を見た人々全ての想いを、貴方は裏切った。それは、決して許される事じゃない!」

ちひろ「いずれ貴方は必ず、その報いを受けることになります。覚悟しておきなさい!!」
152 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:29:05.69 ID:TfNz0bT70
プロデューサーさんを追いかけてドームの外へ出る

すると、植込みのところにぱたりと座り込んでいる彼を見つけた

しかしその姿からは、一切の気力を感じられない......
153 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:29:44.96 ID:TfNz0bT70
奏「プロデューサーさん、大丈夫?」

P「奏か......少し落ち着いたけど、大丈夫ではないかな.....」

奏「.........」






P「悪かったよ」

奏「えっ?」
154 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:31:07.24 ID:TfNz0bT70
P「感情に任せて、お前たちの夢をめちゃくちゃにするところだった。ちひろさんが止めてくれなきゃ、811プロは暴力プロデューサーの率いる危険集団にでもされるところだったんだろう」

P「今度こそちゃんとお前たちに胸張れるプロデューサーになるって誓ったのに、またやっちまった.........」


奏「......やっぱり屋久井社長の事、信じてたのね」

P「ああ....どんだけ怪しいって証拠が出てきても、あの人は俺の恩人だから、俺の記憶の中の優しかったあの人は、絶対そんな事するはずないって!......ずっとそう、信じてた」

奏「...そっか」


P「でも、裏切られた....やっぱりおっちゃんが犯人だったんだ。俺、もう何を信じたらいいか分かんねえよ.......」

P「奏.....俺、もうダメだわ」
155 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:32:43.68 ID:TfNz0bT70
奏「ダメ....って?」


P「俺さ、さっきちひろさんにあんなに説教されて、憎しみに身を委ねちゃだめだって分かったのに、お前らの夢まで一緒に壊したくないって本当にそう心から思ってるのに!」

P「それでも....消えてくれないんだ。あいつをぶっ殺したいっていう醜い憎悪が、消えてくれないんだ!ずっと胸の中で色んな感情がぐちゃぐちゃになっててさ、もう、どれがホントの気持ちなのか分かんねえんだよ!」

P「俺、これから自分が何するか分かんねぇ....もしかしたら、また感情のままに取り返しのつかない事しちまうかもしれねぇ。信じてた人に裏切られて、その事に、どう向き合えばいいか分からなくなって!........もう、自分の心すら信じられないんだよ.......」


奏「プロデューサーさん......」

P「すまない、奏....こんな情けないプロデューサーで、本当に、ごめん......!」

奏「...........ねぇ、プロデューサーさん。少し、昔話に付き合ってちょうだい?」

P「昔話........?」

奏「ええ、昔話....といっても、割と最近の事なんだけどね」
156 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:36:22.71 ID:TfNz0bT70
私が高校生になってすぐ、私に一人の友達が出来たの

勿論、それまでにも人との付き合いがなかった訳じゃないけど、自分から友達って呼べるくらいに心を開ける人ができたのは、多分その子が初めてだった


その子はね、入学式の日、すぐに私に話しかけてくれた。その次の日も、次の日も.....何度も私とおしゃべりしてくれたの

それでどんどん仲良くなって、一緒に遊びに行ったりして.....あんなに仲のいい友達が出来たのは初めてだったから、その友達と過ごす毎日がいつもいつも凄い新鮮で.....とても、楽しかったわ

そんな充実した日々を過ごして、気づいたら学年が一つ上がって、新しい春が始まった.....そんな時だった


私、ある男の子に告白されたの



......そんなに慌てなくても大丈夫よ、お断りしたから。大体、受けてたらアイドルになってないわよ

まあ、今まで殆ど話したことない人だったし、私も特別彼氏が欲しいと思っては無かったからね

結局、その日はそれ以降何もなく終わったのよ。私も、告白なんてされたって明日は何事もなくやってくるんだなーって、そんなどこか達観した事を考えながら、その日は眠りに付いたわ




でもその次の日、友達から絶交を宣言された
157 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:38:36.60 ID:TfNz0bT70
理由?私があの子の男を奪ったかららしいわ。あの子、私に告白してきた男子が好きだったみたい

もちろん反論したわよ。そんな積もりないし、彼の事は振ったから関係ないって

でも、逆に色んなことを暴露されたわ


私の友達になったのは、私につられて男が寄ってくると思ったから。私と一緒にいれば、自分も一緒にモテると思ったから。でも、男子は皆私目当てで、誰と話しても聞かれるのは私の事ばかりで、自分に目をくれる人なんか一人もいなかったって

私の事も本当は、お高く留まって気にいらないと思ってたらしいわ。私、そんな積もり全然なかったのに....いや、もしかしたらそういう態度だったからこそ、余計に気にいらなかったのかもしれないわね

そんな不満を抱えていたら、自分の一番の本命が私に告白しているのを見て、ついに裏切られたと思ったらしいわ



私、それを聞いた時、本当に訳が分からなかった

何もしていないのに裏切られたと言われて、今まで感じていた友情は全てまやかしだったと分かって、本当にショックだった

それはもう、人を信じる事そのものが怖くなって.....人間に、いや......世界に或る種のあきらめをつけてしまうほどに............


だから、そんなどうにもできない感情をどうすればいいか分からなくて、でも、少しでもこの苦しみを洗い流せたらいいなって.....そう思ったからあの日、あの海岸でずっと黄昏ていたの
158 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:39:33.04 ID:TfNz0bT70
P「そんな事が.....」


奏「あの時私は、本当に何も信じられなくなっていた....貴方スカウトに乗ったのも、ほとんどヤケよ。貴方の事を疑ってはいたけど、もしこのどうしようもない現状を壊してくれるなら.....そう思ったら、どうでも良くなっちゃってね」

P「お前....ヤケになったからといって女の子がホイホイ怪しい奴の誘いに乗っちゃダメだろ!」

奏「あら?じゃあ断った方が良かったかしら?」

P「それは.....ダメだけど」

奏「ふふっ、だよね!」
159 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:41:42.18 ID:TfNz0bT70
奏「.....でもね、貴方がアイドルに誘ってくれたから、貴方が皆と引き合わせてくれたから、私にこんなに光り輝く世界があるって事を教えてくれたから!」

奏「だから、ちゃんと思い出すことができたのよ。大事な事を....ね」

P「大事な事?」


奏「結局、誰も信じ無い生き方なんて到底無理だってこと!」


奏「最初から何も信じず生きれば、裏切られずに済む。それはきっと、賢い生き方なんでしょう。でもね、それって凄く苦しいのよ。だって、自分の心の傷は、自分じゃ癒すことができないから」

奏「愛想よく振る舞いつつも、常に相手を警戒し続ける。心が落ち着く事なんてなくて、常に擦り減らし続ける。誰かに傷つけられることはない。でも、癒されることもない...そんな虚無感をずっと抱えて生きることのできる人はいないわ。プロデュ―サーさんも、そう思うでしょう?」


P「...........まあ....そう、だな」
160 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:42:53.75 ID:TfNz0bT70
奏「人は誰しも自分の想像を超える壁にぶつかったとき、その困難から目を背ける為に、自分自身の心を鎖で縛り付けてしまう。そしてその鎖は、自分ではどうにもできない。外すには、必ず自分じゃない誰かの力を借りなければならないの」

奏「だから、どんな人間も一人で生きることは出来ない。自分と他人との信頼って言う繋がりは、捨て去ることは出来ないのよ」

P「....................」
161 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:46:27.22 ID:TfNz0bT70
奏「それにねプロデューサーさん。信じるって、素晴らしい事よ」

奏「だって、例え裏切られるかもしれなくても......信じるって事、誰かを信じられるって事は、何よりも暖かい事だから!私の心を縛る鎖を解いてくれたのは、他ならぬ811プロの皆だから!」

奏「だからプロデューサーさん......もし貴方が自分を信じられなくなったのなら、私達を信じてよ」

P「奏達を....?」


奏「そうよ、私達LiPPSを.....他ならぬあなた自身がずっと守り導いてきた、私達を信じて!」

奏「大丈夫!私達は必ず、貴方の期待に応えて見せるわ。必ず.....貴方の心を救って見せる。貴方が私にそうしてくれたようにね!」

P「......そうか、じゃあ、お前らを信じる!その為に、俺もお前たちのプロデューサーとして出来ること、なんだってやってやる!」

P「だから.....お前たちがトップアイドルになる瞬間、この目で見届けさせてくれよな」


奏「うん!任せてちょうだい!!」
162 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:47:37.21 ID:TfNz0bT70
P「..............なぁ、奏」

奏「何?」



P「少しだけ、むこうを向いててくれないか?なんか、色々あふれだしそうでさ」

P「あんまり、見せたくないから」

奏「.....分かったわ、でも」
163 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:48:05.79 ID:TfNz0bT70
そっと、プロデューサーさんの手を握った

私と彼の温度が混ざり合っていくのを感じて、なんだか心が暖かくなる
164 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:49:29.09 ID:TfNz0bT70
奏「涙は見ないであげる。でも、寄り添うくらいはいいでしょ?」

P「....ああ、ありがとな」














P「...........ほんと"う"に..................あ"りがと"う.................!!」
165 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:51:04.93 ID:TfNz0bT70
今日の天気は、晴れのち大雨

降り出したのは、耳をつんざくような豪雨


....でも、とても暖かい雨



私は、傘を差さなかった

彼の溜まりに溜まった感情の雨を、全部この身で、受け止めてあげたかったから.....
166 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:54:04.98 ID:TfNz0bT70

Chapter21「warm,warm rain.......」
167 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:55:15.30 ID:TfNz0bT70
P「.....はぁ、はぁ.....よし!」

奏「もう、落ち着いた?」


P「ああ!もう泣くだけ泣いた、皆の所に戻って決勝へ向けて準備を......」



???「あれ?もしかして貴方たち、811プロ?」

P「えっ?そうだけど.....キミ達はっ!?」

???「ええ、貴方たちと決勝で、文字通り頂点をかけて戦う相手......」




ちとせ「Project,Queenよ」
168 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:56:00.61 ID:TfNz0bT70
奏「貴方たちが、Project,Queen...!」

ちとせ「そうよ。私はリーダーの黒埼ちとせ、それでこっちが私の僕で、同じユニットのメンバーの」

千夜「白雪千夜です、あとこの二人は....」

颯「はーとなーだよ!同じくProject,Queenメンバー!」

凪「久川凪と颯です。双子です。エモいでしょう?」

P「エモいって.....まあ双子属性はウケがいいか.....」

凪「そうです。双子と主従属性と美少女とアイドル.....私達は世のエモさの集合体なのです」

P「そ、そうなのか......」
169 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:57:01.76 ID:TfNz0bT70
颯「今日はなんか残念なことになっちゃったけど.....来週の決勝は、頂上をかけて正々堂々、思いっきりぶつかり合おうね!」

奏「正々堂々って...もがっ!」


事故を仕込んだのは貴方たちの癖にと咎めようとすると、プロデューサーさんに口を押えられ遮られた


P「ああ、俺たちも決勝を楽しみにしてるよ!」

奏(プロデューサーさん、何で止めるの?)

P(多分、この子達は何も知らない。あいつは自分の本性を隠すのが本当に上手かったから......だから俺とちひろさんも、何年も一緒に仕事したのに気づかなかった)

奏(な、成程......)






確かに、不正だけで勝ってきたならあそこまで凄いパフォーマンスは出来ないか......
170 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:58:20.53 ID:TfNz0bT70
ちとせ「.....ところで千夜ちゃん、ちょっとケーキとか買ってきてくれない?コンビニのでいいから」

千夜「構いませんが....急ですね」

ちとせ「なんか糖分が足りてなくって、私もう動けないの。.私が奢るから、はーちゃんとなーちゃんも好きなスイーツいっぱい買ってきなさい?」

颯「ほんと!?ありがとうちとせちゃん!」

凪「ちとせちゃんの奢り....つまりちーPayですね?」

ちとせ「そうそう!ほら、皆行ってらっしゃい。千夜ちゃんも好きなの買ってきていいから、二人の事お願いね?」

千夜「.....お嬢様が、そうおっしゃるのなら」

ちとせ「行ってらっしゃい、なるべくゆっくりね」

千夜「畏まりました......それでは」
171 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:59:10.11 ID:TfNz0bT70
ちとせ「さて.....と」


ちとせ「社長に会ったんでしょ?大丈夫だった?」

P&奏「「.......!」」
172 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 21:59:51.59 ID:TfNz0bT70
奏「貴方、もしかして」

ちとせ「私は、人の嘘がなんとなく分かるから。他の皆は....千夜ちゃんはいつも私と一緒にいるから、もしかしたら察しちゃってるかもしれないけど.....はーちゃんとなーちゃんは気づいてない」

P「キミは891プロの不正を知ってたのか....だったらなんで!」

ちとせ「私にも、どうしても負けられない理由があるから」

P「負けられない、理由?」
173 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 22:00:35.82 ID:TfNz0bT70

ちとせ「私ね、もう長くないの」
174 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 22:02:17.32 ID:TfNz0bT70
奏「長くない.....?」


ちとせ「後3年....いいえ、まともに体を動かせるのはあと1年あればいいほうって、そう言われた」

P「余命3年....だと?」

ちとせ「....これ、皆には秘密にしてるから、絶対言わないでね?特に今は、IGの決勝直前だし」

P「そんな....治療に専念すれば良くなったりしないのか?」

ちとせ「無理、まだ治療法が確立してない奇病なんだって。ずっと病院で寝たきりなのを受けいれれば、延命措置くらいはできるかもしれないけど」

P「そんな.......」
175 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 22:04:36.50 ID:TfNz0bT70
ちとせ「だから私、どうしても残したいの。この世に『黒埼ちとせ』っていう女がいたことを。私が、最後まで私として生きたって言う証を」

ちとせ「.....あと、千夜ちゃんの事もあるしね」

奏「白雪さん?確かさっき主従がどうのって言ってたけど....」


ちとせ「そう、あの子はずっと私の僕として、私に尽くしてくれた.....でも、それだけなのよ。ずっと私に縛られて、それ以外の生き方を知らない....だから私が死ぬ前に、あの子には自分自身の生き方を見つけて欲しいの」

ちとせ「それに....はーとなーは、純粋にアイドルに夢を見て、ただひたすらにトップアイドルを目指して頑張ってきたの。そんな二人の夢を、私が壊すようなことは出来ない」

ちとせ「だって....3人とも同じ道をずっと一緒に歩いた仲間だもの。なにも残さず死ぬはずだった私の手を、ずっと掴んでいてくれた何よりも尊い仲間.....だから、私があの子達の幸せを願うのは、当然のことでしょう?」


奏「.....そうね。同じ立場だったら、私もそうするわ」

ちとせ「.......ねぇ」







棄権、しないの?
176 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 22:06:46.83 ID:TfNz0bT70
P「....どういう事だ?」

ちとせ「別に、LiPPSと戦いたくないと思ってるわけじゃないの。でも、もし決勝のステージに立てば貴方たちはきっと酷い妨害を受けるわ。今日の覇王エンジェルズみたいに、大ケガを...最悪、命に関わるかもしれない」

ちとせ「それでも....決勝に挑む覚悟はあるの?」


奏「当然よ」

ちとせ「!!」

奏「私達の身を、純粋に心配してくれるのは有り難いわ。でも、あえて言わせてもらうわね.....余計なお世話よ。どんな逆境に苛まれようと、全力でアイドルを楽しむのが私達811プロの信念だから!」

奏「ねっ?プロデューサーさん?」

P「ああ!正直すげぇ怖いけどな....でも、絶対に立ち向かうと決めたからな!」


ちとせ「アイドルを、全力で楽しむ.....そっか、じゃあもう遠慮しないよ。言っとくけど、妨害とか抜きにしても勝つのは私達だから!」

ちとせ「だから....覚悟してなさい。決勝で、私達『Project,Queen』が、貴方たちを叩き潰すから!!」



奏&P「「望むところよ(だ)!!」」
177 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 22:08:22.73 ID:TfNz0bT70
千夜「お嬢様、ただいま戻りました」

颯「ちとせちゃんの分も、一杯買ってきたよー!!」

凪「人の金だと思って、大量に買い過ぎました。でも、美味しければ大丈夫らしいので、おーるおっけーです」

ちとせ「おかえり皆。じゃあ、事務所に帰ってお茶でもしましょうか」

千夜「お話は、もう済んだので?」

ちとせ「うん、もう大丈夫。それじゃあ、さっさと帰りましょ?私もう糖分不足でヘロヘロー!」

ちとせ「というわけで二人とも、また決勝で会いましょうね」

奏「ええ、楽しみにしてるわ」



決勝の舞台で思い切りぶつかることを誓い合って、Project,Queenは去って行く

そして彼女達が見えなくなった頃、入れ替わるように811プロの仲間達が帰ってきた
178 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/14(日) 22:09:24.07 ID:TfNz0bT70
美嘉「二人とも、やっと見つけたよ!中々帰ってこないから心配したんだから!」

志希「随分長い事二人きりでいたみたいだけど.....ナニしてたのかにゃー?」

奏「さて、ナニかしらね?」

P「誤解を招くような発言はよせ....」

奏「もう、ノリが悪いわね」

フレデリカ「だめだよプロデューサー!芸能界を生き抜くには、ノリに乗れる力を見につけないと!」

P「いや、俺はもう芸能人じゃねえし.....」


周子「そう言えばさっき、青木さんと早苗さんから連絡があったよ。客席でライブ見てたけど事故の事調べようとしたら追い出されたから、先に事務所で待ってるって」

P「そうか....じゃあ、一旦事務所へ帰ろうか。色々と情報共有しといた方がいいだろうしな」

ちひろ「私は010プロに戻りますね。多分色々やらなきゃいけない事が山積みになってると思うので....」

美嘉「そっか。じゃあちひろさん、またね!」

ちひろ「ええ、皆も決勝に向けて頑張って!私も応援してるから!」
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