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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十九輪目】
- 653 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/27(火) 22:28:47.96 ID:QusyIQrWO
- 了解、乙ですー
- 654 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/28(水) 20:25:46.95 ID:M1Lm1NZ9o
-
では少しだけ
- 655 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/28(水) 20:30:39.72 ID:yiucmAW7O
- かもーん
- 656 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/28(水) 21:05:43.23 ID:M1Lm1NZ9o
-
天乃はしばらく夏凜を見つめると、
車椅子に備え付けていた電子パッドを取り出し、文字を書く
ペンを握る力も、以前よりは少し強くなっている
久しぶりに込める力のせいか、
乱れた文字は読みにくいが、書き直しても無駄だろうと
そのまま夏凜に向ける
天乃『神樹様、なんとかしてみるわ』
夏凜「天乃……」
天乃『無理をするわけじゃない。わかるでしょう?』
電子パッドを下げて、夏凜の目を直接見る
ふざけていないと、本気なんだと
それは決して、不可能ではないと
天乃『神樹様よりも意地の悪い精霊、いるのよ?』
- 657 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/28(水) 21:15:36.18 ID:M1Lm1NZ9o
-
天乃は、出来る限りの笑顔を見せる
まだおぼつかない、口元に震えも残る
けれど、確かな笑顔
夏凜は下唇を噛み、無意識に逸らしてしまいそうな目を天乃へと留める
言っても聞かない
本気なのは分かる
それが不可能とは言い切れないことも分かる
けれど、それに何か代償があるのではないか
それが、気がかりだった
しかしそれさえも、天乃は分かってのことなのだろう
口元は笑みのまま、眉だけが困ったように歪む
天乃『ありがとう』
夏凜「っ」
天乃『夏凜は、やさしいわ』
- 658 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/28(水) 21:53:38.52 ID:M1Lm1NZ9o
-
どれだけ自信を持っていても
心配してくれているのは、
それだけ、思ってくれているからこそだ。と、
天乃は前向きにとらえて、微笑む
天乃『ここでありがとうって言うと、嫌な感じになる?』
夏凜「別れっぽい」
天乃『なら、言わないでおく』
そう言って笑おうとした天乃は、
震える喉の痛みを覚えて飲み込み、【言えないけどね】、と文字を書く
明日は、話せるだろうか
明日はダメでも、明後日はどうだろうか
天乃「………」
くっくっと夏凜の袖をつまんで引く
気を引こうとする子供のようで恥ずかしくもあるのか、
天乃はほんのりと頬を赤らめる
天乃『声、好き?』
夏凜「はぁっ!?」
- 659 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/28(水) 22:33:34.57 ID:M1Lm1NZ9o
-
夏凜「な、何言ってるのよ」
天乃『ちょっと気になって』
天乃にとってはただの興味で
特に探るような他意はないのだろう
精神的な先立ちに似合わず純粋な視線から逃れるように
物理的に距離を置いた夏凜だったが、
天乃の手が寂しそうに空を切ったのが見えて、二歩目は躊躇う
天乃『嫌い?』
夏凜「そんなことは、ないけど」
夏凜として、こういうことは考えた上で言いたい
もちろん、深く考えていない率直な言葉も大事だとは思うが、
自分のそれが、想いを伝えるにはあまりにも不器用であることは自覚している
だから、出来ればふいうちは避けて欲しいと思いつつ、
頭だけはフル稼働で思案する
夏凜「……急に聞かれると、困るわ」
天乃『急でも答えてくれるのが夏凜ちゃんでしょ?』
夏凜「無茶ぶりされてもね」
呆れつつも、夏凜は笑顔で呟いた
- 660 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/28(水) 22:36:57.14 ID:M1Lm1NZ9o
-
では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日は出来れば通常時間から
- 661 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/28(水) 22:41:40.38 ID:yiucmAW7O
- 乙
久遠さん恋する乙女全開だなぁw
あまにぼ尊い
- 662 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/28(水) 22:46:17.63 ID:N7ifPuM+O
- 乙
かわいい
- 663 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/29(木) 21:02:39.26 ID:HPQRziEdo
-
では少しだけ
- 664 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/29(木) 21:06:43.20 ID:tJJMHsN4O
- よしきた
- 665 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/29(木) 21:18:16.31 ID:HPQRziEdo
-
夏凜「なんで急に気になったのよ」
天乃『声、出せないから』
夏凜「だからって――」
なぜ、唐突に好きか嫌いかの話になるのか
夏凜の口にしかけたその言葉を分かっているかのように眉を顰める素振りを見せた天乃は
手元の電子パッドを操作する
天乃『治るか分からない』
夏凜「足とは違うでしょ」
天乃の視線がふと左足に落ちる
満開による代償となった左足
それも治ってはおらず、動かせないまま
だが、それとは違うと否定する夏凜だが、
天乃とて、同じだと考えているわけではない
天乃『代償じゃないからこそ』
むしろ、超常的な事象による機能不全ではない分
人間の回復力を超えてしまっていた場合、取り戻せない可能性は極めて高いと天乃は思っていた
- 666 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/29(木) 21:53:53.84 ID:HPQRziEdo
-
天乃『病は気から』
夏凜「そう思うんなら、治るって思っておきなさいよ」
天乃『バカって書けばいい?』
夏凜「書いてるんだけど……」
電子パッドの画面、8割近くを占有する大きさで書かれたカタカナ2文字
なぜそうなるのか、言われなければならないのか
察しが悪いからなのだろうと、原因を分かっていても
その理由までは分からずに、夏凜は天乃を観察する
甘い香りが感じられそうな桜色の髪
光の宿る橙色の瞳
赤らんだ頬は、ちょっぴりふっくらとしていて
僅かとはいえ、不満を抱かせてしまっていることは、察する
天乃『治りたい。でも、不安はある』
夏凜「だから――」
天乃『だから』
殴り書きしてまで上回った勢いに遮られ、言葉を詰まらせた夏凜を天乃は一瞥すると
電子パッドをひっくり返して内容を消し、改めて書く
天乃『夏凜が好きだって言ってくれるなら、もう少し強く思える』
- 667 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/29(木) 22:22:22.06 ID:HPQRziEdo
-
夏凜「ごめん……ほんっと、ごめん」
ここまで言われてしまえば―実際には書かれたのだが―嫌でも分かってしまう
見せつけるように電子パッドを突き出している一方で
さっきまで見せていたはずの顔を隠していれば、なおさらだ
治ると思うべきと夏凜は言ったが、そんなことは当たり前で
けれども、それに匹敵しかねない不安が常に渦巻いている
だから、夏凜がどう思っているのかを聞きたかったのだ
好きだと言ってくれれば、当然嬉しい
治りたいと思うし、治るべきだと思うし
病が気からというのであれば、根性のみで治癒能力を高めることも出来るかもしれないほどに
そうでもないと言うのなら、諦めもつく
幸いとは言うべきではないが、
電子パッドがあれば意思疎通は可能だし、表情を作ることくらいは出来るため、
必ずしも発声でのコミュニケーションが必要というわけではない
天乃『謝って欲しいわけじゃない』
夏凜「それはそう、なんだけど……まぁ、その……あれよ」
仮にも恋人であるなら、察して答えるのが普通だった
いや、考えるまでもなく伝えるべきだった
夏凜「もはや言っても遅いかもしれないけど、名前を呼ぶ嬉しそうな声がもう一度聞きたい」
天乃「っ」
夏凜「なんて、思ってたり……して、る。けど」
片言、あわせない視線
嘘ついているとも捉えられかねないみっともなさではあるものの
夏凜にとっては、不意を突かれればそれが最大限なのだろう
天乃『ばーか』
ひらがな一言
電子パッドの裏で、きゅっと瞼と唇を閉じる少女の顔色は、影に覆われていても色づいているのが分かるものだった
- 668 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/29(木) 22:28:46.54 ID:HPQRziEdo
-
では途中ですが、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
- 669 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/29(木) 22:33:58.11 ID:tJJMHsN4O
- 乙
久遠さんの体が完全に戻らなかったら報われないよな…
なんとかしてくれ神樹様
- 670 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/30(金) 08:03:11.15 ID:zStyRnsYO
- 乙
園子が見てたら昇天しそうなイチャイチャだな
- 671 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/30(金) 21:43:34.86 ID:TJKp0r+So
-
では少しだけ
- 672 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/30(金) 21:46:25.88 ID:vTQiDTTyO
- よっしゃ
- 673 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/30(金) 22:45:13.59 ID:TJKp0r+So
-
夏凜「馬鹿なのは、否定できないわ」
察しは良いが、察しが悪すぎた
その弁明はする理由もないだろうと、夏凜は嘲笑じみた笑みを浮かべる
とはいえ、今この時間から鬱屈とした空気に浸る意味もなく。
なにより、天乃が空気を悪くするつもりがないのは分かり切っているため
自虐しても仕方がない
夏凜「でも、無茶ぶりはダメって、分かったでしょ?」
天乃『いばられても』
夏凜「事実だから」
戦闘ならばともかく、
こと恋愛において、夏凜は自分が勝っているとは思っていない
素直ではない発言を好意的に受け取ってくれる相手が必要だし
その言葉を素直に叩き直す余裕が必要だ
夏凜「正直、苦手なのよ」
- 674 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/30(金) 23:08:53.30 ID:TJKp0r+So
-
でも、それを心から喜んでくれる人がいる
たまに、からかう対象として弄ばれることもないではないが
それも、嫌味な感じではない
ほんのりと温かみを感じる柔らかい笑顔を携えている
なら、口下手なことも決して短所とも言えないのではないか
そんなことを考えて、夏凜は天乃を見る
電子パッドの裏に隠れていた顔はいつの間にか出てきていて
赤く染まっているような様子もない
天乃『素直になりたい夏凜ちゃんも好き』
夏凜「……そういうこと平気で言えるあんたが、少しだけうらやましい。なんてね」
天乃『思ってることを言うだけ。いつも思ってることは、意外と簡単に言えるものよ』
夏凜「そういうものなのね」
天乃『そう』
そういうものよ。と、
天乃は音もなく口を動かして、笑みを見せた
- 675 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/30(金) 23:46:04.61 ID:TJKp0r+So
-
夏凜「それにしても、ずいぶん余裕が出てきたんじゃない?」
天乃『そんなにないわ』
夏凜「戦いの方じゃなくて、そっち」
天乃『多少はね』
夏凜の向けてきた指が電子パッドに向かっているのを辿った天乃は
苦笑しながら、頷く
手に力が戻ってきていることもあって、
不慣れさは感じられるものの、書きやすい
意思疎通もやりやすいし、リハビリにもなる
長く書いたり、漢字を使おうとするのはそれが理由だ
余裕があるかないかで言えば、多少疲れも感じるため、そんなにあるわけではない
天乃『もうすぐだから、言い忘れがないようにしないと』
夏凜「今生の別れじゃないんだから、終わった後に言い忘れたとでも笑えばいいじゃない」
天乃『金曜日にお弁当箱を学校に置き忘れたとして、笑い話で済む?』
夏凜「取りに帰るわね。間違いなく」
例えが悪いのよ。例えが
夏凜は笑って、天乃も小さく笑う
そんな、日常的な時間は退屈などではなく……瞬く間に過ぎて行ってしまうのだった
- 676 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/30(金) 23:47:03.82 ID:TJKp0r+So
-
√ 2月12日目 昼 (病院) ※日曜日
01〜10 若葉
11〜20
21〜30
31〜40 芽吹
41〜50
51〜60
61〜70 九尾
71〜80
81〜90
91〜00 沙織
↓1
※空白は神婚
- 677 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/30(金) 23:50:30.05 ID:vTQiDTTyO
- あ
- 678 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/30(金) 23:55:32.35 ID:TJKp0r+So
-
ではここまでとさせていただきます
明日はできれば少し早い時間から
若葉と交流後、神婚の儀
- 679 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/31(土) 00:00:01.95 ID:kTQguUB2O
- 乙
ついに神婚突入か…
直前に若葉はどんな会話するのだろうか
- 680 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/31(土) 00:39:15.48 ID:Ojth9NjuO
- 乙
いよいよか
勇者部は戦いに行くからそばにいないってことで直前まで若葉が居てくれるのかな
- 681 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/31(土) 21:46:00.36 ID:YmH74cato
-
遅くなりましたが、少しだけ
- 682 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/31(土) 21:47:58.82 ID:CwUvKGuTO
- あいよー
- 683 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/31(土) 22:17:53.78 ID:YmH74cato
-
√ 2月12日目 昼 (病院) ※日曜日
大赦からの命令を受けて迎えに来た瞳に連れられて、
久しく乗ることのできなかった車椅子を積むことのできる車に乗り込む
車椅子を積んではいるが、
神婚の儀に連れて行かれる天乃は
自分の足でそこに向かうわけではないだろう
それと一緒に、若葉が車に乗り込む
千景たちは、勇者部のみんなと一緒で、
水都達は一足先に、天乃が向かう先の巫女に紛れ込んでいる
若葉「夏凜達も、来れたらよかったんだが」
天乃『良いのよ。別れじゃないもの』
これは見送りではない
戦いに行くことにはなるが、別れではない
だから、名残惜しむような見送りは必要などないと、
天乃は精一杯の笑みを浮かべて見せる
- 684 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/31(土) 22:53:26.78 ID:YmH74cato
-
若葉「……不安はないか?」
天乃『少しだけ』
若葉「このまま逸れると言う道もある」
天乃『運転してるのは貴女じゃないでしょ?』
若葉「そうだが……」
若葉は静かに呟くと、
手元にあった柄を握り、わずかに刃を露出させる
それがミラー越しに見えたのだろう
瞳が目を見開いた
瞳「ちょ、ちょっと待って! 事故る、事故るから!」
若葉「案ずるな、人を斬るつもりはない」
瞳「なら抜刀する必要ないですよね!?」
若葉「指示に従ってくれれば、不要だ」
瞳「ちょっとぉーっ!」
天乃『冗談はそこまでにしなさい』
- 685 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/31(土) 23:25:04.69 ID:YmH74cato
-
これから向かう場所の厳粛な存在感をぶち壊すかのような賑やかさに満ちていく車内に、
電子パッドを叩く音が響く
ただ書き記すだけでは意味がない
だからこその殴打だが
存外に痛みがあったようで、
天乃は痛みを噛みしめるような表情を見せる
それが効いたのか、若葉は【すまない】と囁き、天乃の手を握る
若葉「大丈夫か?」
天乃「ん」
若葉「……そうは、見えないが」
天乃は大丈夫と頷くけれど
電子パッドに書かない辺り、
手の痛みは見えている以上に刺激が強かったのだろうと若葉は目を細める
ほんの冗談みたいなものだったとはいえ、
やりすぎたと悔いるが、天乃は笑みを見せて首を振る
- 686 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/31(土) 23:52:38.35 ID:YmH74cato
-
天乃『好きよ』
若葉「なっ」
天乃『こういう、空気』
若葉「……だろうと思った」
電子パッドの上でふらつくペンを握る手は、震えている
ただでさえ弱い手が、電子パッドを叩いて傷ついた
そのせいで震える手は、とても儚げに見える
若葉「最後まで一緒にいるわけにはいかないが……心配はいらない」
天乃「?」
若葉「話しただろう? みんなと」
捨てきれない不安はあるが、しかし、未来に希望を持っている勇者部のみんなと
なら、天乃は怯えているわけではないだろう
若葉「きっと、迎えに行くよ」
天乃「………」
1、じゃぁ、私が行くはめになったら、責任とってね?
2、ええ、待ってるわ
3、大丈夫よ。私はそこまで弱くはないわ
4、神樹様を、信じてあげて
↓2
- 687 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/31(土) 23:57:43.85 ID:Ojth9NjuO
- 1
- 688 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/31(土) 23:59:14.17 ID:CwUvKGuTO
- 1
- 689 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/01(日) 00:01:52.70 ID:ByjBWaYOo
-
ではここまでとさせていただきます
明日は出来ればお昼ごろから
- 690 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/01(日) 00:09:41.02 ID:sxfhvPLvO
- 乙
責任とって結婚だな
- 691 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/01(日) 00:13:55.49 ID:Zk2Fkz2lO
- 乙
大事な時こそリラックスは重要だよな
あと瞳さんおひさー
- 692 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/01(日) 15:53:38.99 ID:ByjBWaYOo
-
では少しずつ
- 693 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/01(日) 16:05:11.70 ID:CB5vxoxcO
- きてたか
- 694 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/01(日) 16:22:33.62 ID:ByjBWaYOo
-
天乃『じゃぁ、私がいくはめになったら、責任とってね』
若葉「何言ってるんだ。責任は元より取るつもりだぞ」
意味がうまく伝わっていないのだろう
若葉は別の意味での責任を引っ張り出して、困った顔をする
責任を取らないと思っていたのだろうか
そもそも、子供を作っていないのに、責任云々の話になるのだろうか
そんなことを考えて、天乃を見る
天乃『その責任じゃない』
若葉「ん……ん゛ん゛っ!」
咳払い
あからさまな誤魔化しの余韻が消える前に、
若葉は羞恥心に彩られた目を伏せる
若葉「そうか。まぁ、そうだな……すまない」
天乃『でも、合わせて責任とってくれてもいいのよ』
- 695 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/01(日) 16:42:31.07 ID:ByjBWaYOo
-
天乃『精霊になった若葉なら、子供を作る器官も作れたりするんじゃない?』
若葉「何を言ってるんだ……まったく」
そんなことは無理だ
出来るはずがない
若葉はそう考え、自分の下腹部に目を向ける
若葉は女だ
過去も、今も
それはゆるぎない真実のはずだが、
精霊となった今ならば、生物の枠にとらわれることなく
それを歪めることが出来るのではないか。と
若葉「でも、その可能性も無きにしも非ず。か」
天乃『うん』
若葉「なら、どうだろう? 全てが終わったら試してみる。というのは」
天乃「………」
若葉「出来れば良いのか悪いのか。それは分からないが……なに、天乃は私の子供を産みたいのだろう?」
天乃『そんなこと言ってない』
若葉「言ってるようなものじゃないか」
- 696 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/01(日) 16:58:02.53 ID:ByjBWaYOo
-
今から穢れを祓うための禊を行おうとしている英雄を
性的な意味で汚そうとしている過去の英霊
それが映る鏡を横目に見る瞳は
車の中で性的な行為を行うようなものあったような気がする。と
夏凜の勉強の一部を覗いた時のことを想起して、苦笑する
夏凜もやろうと思えば、出来るだろう
というより、誘えば乗ってくるかもしれない
だが。
瞳「そういうのは自分の車でやろう? ねっ、誤解される、私が誤解されるからっ!」
若葉「これから戦いに行くんだ。下手に疲れるつもりはない。冗談ですよ」
天乃『えっち』
若葉「するとしても終わってからだ」
天乃『そういうことじゃない』
若葉「子供を作る。というのも冗談だから安心してくれ」
それが無理とは思っていないが、
双子を妊娠している際の天乃の苦しみを知っていては
子供を産ませるなんて、出来ない
- 697 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/01(日) 17:43:32.31 ID:ByjBWaYOo
-
若葉「天乃、神樹様を救うのは、有難い」
天乃「?」
若葉「だが、くれぐれも無理はしないで欲しい」
神樹様が無理難題を押し付けてくるとは思っていない
しかし、人間の基準と、
神様の基準には、どうしようもない差があることだろう
だから、無理だと思ったら諦めて欲しい
若葉は悪いと思いつつも、
天乃が天乃自身のことを優先してくれるようにと、願う
夏凜には、自信を感じる表情を見せていた
だとしても。
若葉「世界はあまりにも、天乃に厳しすぎる」
天乃「………」
若葉「それは神様も例外ではない。それを、忘れないで欲しい」
- 698 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/01(日) 18:02:09.83 ID:ByjBWaYOo
-
天乃『大丈夫、みんながいるもの』
若葉「……そうか」
そうだな。と、若葉は微笑む
杞憂であることを願う
だがきっと、この戦いは一筋縄ではいかないことだろう
大赦は天乃が神婚の儀を受け入れ
何事もなく終わると考えているだろうか?
考えていようが、いまいが
きっと、成立するという想定で動くはず
若葉「頑張ってくれ。なんて言葉は相応しくないな」
天乃『愛してる。とでも言って抱いてくれてもいいのよ?』
若葉「別れみたいで、好きじゃないな」
ロマンがあるかないかで言えばあるかもしれないけれど
命を懸けるべき戦いの前で、それは少し不謹慎だからと、
若葉は天乃の手を握るのみに、控えた
- 699 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/01(日) 18:30:43.31 ID:ByjBWaYOo
-
√ 2月12日目 昼 () ※日曜日
運転手である瞳、精霊である若葉
二人の手を離れた天乃は、身を清め、整える手伝いをする巫女と
連れ立って歩く神官たちの担ぐ神輿に納められ、
禊を行うための場所へと向かう
車椅子は俗世の物
それでは不敬であるとされたのだろうが、
乗りなれない神輿の揺れは不安定で、
天乃は乗り物酔いでもしそうだと、顔を顰める
電子パッドも取り上げられてしまった
水都と沙織が紛れているが、
それ以外の巫女や神官には、
天乃の表情だけでは意思を伝えるなど不可能だろう
天乃「…………」
若葉の触れてくれていた手の温もりがだんだんと薄れていく
でも、不安に満ちてしまうことは、ない
- 700 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/01(日) 19:12:35.50 ID:ByjBWaYOo
-
天乃「っ」
禊を行うために衣服を脱がされ、
流れ落ちる滝によってため込まれた冷たい水の中へと、落とされる
身を清めるための神聖な水
だが、汚れに満ちているはずの天乃の体は拒絶するような反応もなく
ただ、水の冷たい刺激が神経を震わせる
天乃「………」
水都「……体を清めます。従ってください」
沙織「あたしたちがやるから、安心してね」
他の人たちには絶対に触らせまいとしたのだろう
何があったのかは分からないが、
力が不足していて満足に身を清められない天乃と連れたって入ってきた巫女の二人は
天乃の精霊である、水都と沙織だった
真面目に緊張感のある声を出す水都の一方で
沙織は殆どいつもと変わらない調子だ
天乃「…………」
沙織「……やばい、ちょっとエッチな気分になりそう」
水都「自重してください。今はふざけてる場合じゃないんですから」
沙織「だって、こんな大自然で全裸なんだよ? ほら、この珠の――」
水都「一応、神聖な場所なんですから、煩悩を静めてください」
- 701 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/01(日) 19:30:49.91 ID:ByjBWaYOo
-
こそこそとした話し声は水の流れる音にかき消されているのか、
は織物の準備に移っているほかの巫女たちの耳には届いているような様子はなく
煩悩が横にあると知ってしまった水都だけが
心労を感じるため息をつく
緊張感を持つべき場面だ
ここで粗相があれば、神樹様が神婚自体を受け入れない可能性がある
沙織からしてみれば
天乃の神婚が無くなると言うことで、
歓喜もするようなことなのだろうが。
それでは、神樹様を救うと言うことは夢物語に終わってしまう
それは、望む結末ではない
水都「久遠さんの体が魅力いっぱいなのは理解してますが、ここは、ね?」
沙織「……分かってる」
天乃「ん……」
分かっていると言いながら、
手つきがいやらしいのは指摘すべきかしないべきか
天乃は沙織のいつもらしさに、甘んじることにした
- 702 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/01(日) 20:00:07.04 ID:ByjBWaYOo
-
√ 2月12日目 昼 () ※日曜日
01〜10
11〜20
21〜30 九尾
31〜40
41〜50
51〜60
61〜70
71〜80 千景
81〜90
91〜00
↓1
- 703 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/01(日) 20:02:21.01 ID:CB5vxoxcO
- あ
- 704 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/01(日) 20:11:06.08 ID:ByjBWaYOo
-
では、少し中断します
21時頃に再開する予定です
- 705 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/01(日) 20:14:15.06 ID:CB5vxoxcO
- 一旦乙
安定のさおりん
- 706 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/01(日) 21:09:40.53 ID:ByjBWaYOo
-
ではもう少しだけ
- 707 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/01(日) 21:25:15.00 ID:ByjBWaYOo
-
「では、久遠様」
ここから先は、一人で向かわなければならないと、送り出される
左足が動かせなくても、松葉杖はない
もちろん、車椅子もない
神婚の儀に向かうための装束に着替えさせられた天乃は、
右足に体重をかける形で、無理やりに地に立つ
水都「久遠さん……」
沙織「大丈夫」
禊の時とは打って変わって
不安そうな声を絞り出す水都を、沙織は抱き寄せる
歌野を見送った記憶が、想起されているのかもしれない
だけど、その時とは違う
一人じゃない
みんながいる。希望がある
だから
天乃「………」
天乃は何とか振り返ると、
二人に向かって微笑み、手を振る
大丈夫。そう、想いを届けるために
- 708 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/01(日) 21:42:13.35 ID:ByjBWaYOo
-
天乃が神婚の儀に向かう一方で、
夏凜達はかつて、天乃達が護ろうとした大橋へと向かう
九尾や歌野達の観測から敵が現れるであろう方角を推測し、
その最も適した場所が、大橋であると考えたのだ
夏凜「今頃、天乃は禊を終えてる頃よね」
東郷「沙織さん達が、少しうらやましいわね」
友奈「じゃぁ、全部終わったら、みんなで温泉に行こうよ」
風「あぁ……いいわね。自腹になるかもだけど」
体を自由に動かすほどの力がない天乃は、
禊でさえも、人の手を借りなければ行うことは出来ない
それに手を貸すのは、きっと、あの二人
だから、東郷達は全部終わった後の温泉で、
天乃の体に触れようと画策する
そんなことしなくても、天乃ならば求めれば受け入れてくれるだろうが、
やはり、驚く顔も愛らしいと思う東郷としてはそういうこともやめられない
樹「久遠先輩の体って、東郷先輩と同じくらい白いですよね」
東郷「でも、久遠先輩の方が綺麗よ。何というか、こう……」
夏凜「東郷はバラ、天乃は百合だしね」
東郷「それは、貶されているの?」
今日滅ぶか否かの瀬戸際の世界で、
それを知りながら、バカげたことを考えている勇者を咎める声はない
- 709 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/01(日) 21:51:03.08 ID:ByjBWaYOo
-
樹「百合の花言葉って、久遠先輩にぴったりな気がします」
どんな色であっても
百合は純粋と、無垢、白百合は純潔と、威厳
黄色の百合は、陽気、オレンジ色は、華麗
そして、天乃の髪色でもあるピンク色の百合は……虚栄
いい意味でも、悪い意味でも
天乃はそんな人だった
風「なによ夏凜、あんた花言葉の勉強してるの?」
夏凜「勉強なんてしてないわよ。見たことあるだけ」
東郷「夏凜ちゃんは勤勉だものね」
夏凜「なによ。その顔」
ちょっとばかり悪い笑顔を見せる東郷に、
夏凜はにらみを利かせた視線を送るが、
間にいた園子の笑顔が、遮る
園子「女の子同士の【ユリ】を調べてたんだよね〜?」
夏凜「んなっ」
樹「あっ図星だ」
風「ずぼっしーだ」
夏凜「活きの良い喧嘩じゃない、よし表出ろぉっ!」
- 710 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/01(日) 22:15:39.03 ID:ByjBWaYOo
-
天乃が神婚の儀に向かっている不安をかき消そうとしているかのような、賑やかさ
笑顔はあるが、恐れもある
しかし、そればかりではいられない
なにより、多少の余裕がある方が、勇者部は最も力を発揮できる
園子「天さんには聞かせられないねぇ〜」
夏凜「天乃は天乃で、ああ見えてボケに回ると言うか……全力で楽しみに来るから」
困ったものだと、夏凜が悪態をついた瞬間に……それは訪れた
夏凜「なに!?」
地を割くような、轟き
天をも穿つような、轟音
夏凜達の乗っていたバスは突然の揺れにハンドルを抑えきれず、
ブレーキがかかる前にガードレールに突っ込んでいく
友奈「きゃぁぁぁぁっ」
風「ちょっ、友奈っ!」
園子「だめっ!」
衝突は衝突を生み
バスの中には悲鳴と荷物が飛び交い
小さな体の子供さえ、座席から浮き上がる
樹「間に合ってッ!」
樹が慌てて勇者の力を展開し、
車外に吹き飛びそうな子供や、友奈の体を捉える
だが、それでバスが停まるわけではない
勢いを殺しきれず電柱へと衝突し、横転へと傾く
けれど、バスは倒れることなく斜めのままに停まる
恐る恐ると顔を上げた人々の視界の先で、
大きな狐がバスを支え、赤い瞳が車内を覗く
天乃の精霊である、九尾だ
九尾「呆けるな小娘共! 奴が来ておる。さっさと出てこんか!」
九尾が本来の姿で姿を見せたということは――つまり、戦いが始まることを示していた
- 711 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/01(日) 22:20:52.06 ID:ByjBWaYOo
-
では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
- 712 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/01(日) 22:26:16.75 ID:VSUjA16aO
- 乙
煩悩じみた話から一転、決戦の時が…
久遠さんと勇者部の視点どちらも気になるなぁ
- 713 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/01(日) 23:59:33.97 ID:sxfhvPLvO
- 乙
まさかのバス直接攻撃
- 714 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/02(月) 22:40:21.70 ID:UzHDRn3io
-
すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日は出来れば、通常時間から
- 715 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/02(月) 23:16:33.47 ID:xGQg39/mO
- 乙ですー
- 716 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/03(火) 20:52:23.53 ID:jHir5TOjo
-
では少しだけ
- 717 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/03(火) 20:58:21.16 ID:tjdhlT4JO
- あいあいさ
- 718 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/03(火) 21:11:37.02 ID:jHir5TOjo
-
焼け爛れていく肌のような不気味な空模様
傷口から溢れ出てくる血にも似た悍ましさを感じさせる何かが、ゆっくり、ゆっくりと
世界の縁、神樹様の根が作る壁の向こう側から、入り込んでくる
空を覆うその姿は、まさしく……天の神のようで
息を飲む人々の傍ら、勇者部の面々の傍に姿を見せた若葉達は各々の手にする武器を強く握る
かつて、絶望が空を覆いつくした
人々の心に大きな爪痕を残したその出来事は、天空恐怖症候群と呼ばれた
しかし、それは子供のお遊びでしかなかったのかと、若葉は歯を食いしばる
吹く風は結界外の炎を巻き込んだのか、熱く
肌に纏わりつくようにして抜けていく
総毛立つ空気感、目を覆いたくなるような超常的な現象
事態を飲み込めない人々の、しかし、本能的に畏れを抱く心の小さな呟きが聞こえてくる
若葉「ぐ……」
勝てるのか?
無事で済むのか?
生半可な未来像など、抱いている余裕なんてなかったんじゃないか?
強く持とうとしていた心に、皹が入る
だが――
歌野「ノープロブレム!」
若葉「!」
その絶望的状況の中、たった一人の勇者として人々を守り続けた勇者、白鳥歌野の声が轟く
歌野「みんながいる。そうでしょ? 若葉!」
- 719 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/03(火) 21:32:29.27 ID:jHir5TOjo
-
力強い言葉を裏付けるように、千景が、球子が、
そして、今を生きている勇者部の面々が頷く
夏凜「私達が目指してることが簡単なことじゃないってことくらい、初めから分かってたことじゃない」
球子「それでも、タマ達はやるって決めた。そうだろ?」
若葉「………ああ」
柄を強く握りしめていた手を解き、胸に押し当てて……握りこむ
恐れに膨れ上がっていた心臓の音が鎮まっていくのが伝わってくる
確かに、天を覆う恐怖は絶大だ
だが、天はこちらにある
そして、ここで負ければその天までもが天の神によって奪われてしまう
人間は弱い
勇者とて、力をあるだけの人間であり
弱者である事には変わりがないだろう
しかし、だけど、だとしても
隣に友がいるのならば
心に想う人がいるのならば
若葉「そうだ。そうだな……何を、恐れる必要がある」
園子「怖い思いはもう、こりごりだねぇ〜」
若葉「全てはこの日の為にあったんだ――行くぞッ!」
立ち向かえない道理など、あるはずもなかった
- 720 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/03(火) 21:59:08.52 ID:jHir5TOjo
-
天の神の力は絶大で、
天の神の姿を現した世界は追い込まれるように樹海化していき、
やがて、世界は完全に、いつもの戦いの場へと変化した
千景「………」
神樹様の樹海化は間に合わず、その姿は人々の目に映り
その存在は明るみに出た
樹海化するまでほんの数分間だったし、
戦いが無事に終われば、人々にとっては瞬く間に終わった出来事でしかないかもしれない
これが架空の世界であれば
人々の祈りが、願いが、勇者の力になることだろう
しかし、この戦いは人類の存亡をかけたものではあるが
勇者達にあるのは、自分たちの我儘だけだ
千景「……最終決戦が、ヒーローの我儘の戦いなんてクレームものよね」
樹「そうでしょうか」
ヒーローだから
勇者だから
我儘なんて言うなと、心に蓋をさせるのなら
もし、人々がそんな物語を望んでいるのだとしたら
それは、神々に滅ぼされても仕方がないのではないかと、樹は思う
友奈「ヒーローだって人なんだ。生きてるんだ……だから、おかしくなんてないよ」
- 721 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/03(火) 22:30:50.61 ID:jHir5TOjo
-
隣に立つ友奈の優しく、力のある声に樹は目を向ける
最終決戦と呼ぶべき過去最大の敵を前にしての笑顔は、
勇者となっているときの桃色の髪も相極まって、追い続けている先輩のようで
樹は、思わず笑みを浮かべる
樹「そうですね。きっと、久遠先輩も同じようなこと言うと思います」
千景「久遠さんなら、どう言うかしら」
無欲がヒーローの条件だと言うのなら、私は悪役で良い
もしかしたら、あっけらかんとそんなことを言いながら、満面の笑みを浮かべてくるかもしれない
そしてきっと、「私は大赦に嫌われてるし」なんて、皮肉をぼやくのだ
風「ありえる」
球子「なんだなんだ何の話してるんだ?」
夏凜「不真面目な話でしょ。どうせ」
気を引き締めてかかるべきこの場面で、この気軽さ
けれど、各々に責任を感じていて、重みを感じていて
だからこそ、隣り合う勇者達との、勇者部らしい他愛のなさを欲しているのだろう
それを思い、本来ならば自分の前に、あるいは傍らにいたはずの愛すべき勇者をその目に見て
夏凜はいないと分かっていながら、微笑みを向ける
夏凜「ま、なんとかなるでしょ」
軽口一つ、両手にそれぞれ刀を握り
心の内から燃え上がっていきそうな活力を胸に秘めて
夏凜「古今無双、久遠天乃が伴侶――三好夏凜、参る!」
周囲から「ここぞとばかりに」というような笑い交じりの呟きが聞こえたが
夏凜は天の神が最も忌まわしく思っているであろう存在であり、
自分が心に抱く想い人の名を力強く告げ、切っ先を天を覆う存在へと差し向けた
- 722 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/03(火) 22:39:27.91 ID:jHir5TOjo
-
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば、通常時間から
- 723 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/03(火) 22:47:44.06 ID:umClreUmO
- 乙
いよいよ始まったか
- 724 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/03(火) 22:50:02.11 ID:tjdhlT4JO
- 乙
ついに天の神がお出ましか…
久々に戦闘パートになるのかな
- 725 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/04(水) 08:01:58.79 ID:GvlaeNrWO
- 乙
全員ではないが精霊とはいえ天の神との戦いに西暦勇者も参戦するのは熱い展開だな
- 726 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/05(木) 22:10:14.26 ID:vodSlRkjo
-
遅くなりましたが、少しだけ
- 727 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/05(木) 22:13:29.25 ID:3F4itjXkO
- やったぜ
- 728 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/05(木) 22:36:16.70 ID:vodSlRkjo
-
若葉「天乃は神樹様にたどり着いては……ないな」
千景「まだ、神樹様と距離はあるわね」
球子「防人か?」
風「天乃に何かあった?」
歌野「神樹様に近づくスピードが変わらないのよ」
結界の中というのもあって、
神樹様の力は全体に満ち満ちているが、
それでも、神樹様の源がある場所は目に見えているし、
一際強い力も感じる
そこに近づく主たる天乃の力はそこまで強くはないが
ゆっくりと、しかし一定の速度で移動を続けている
何らかのサポートがあるのは確実だが
それが何なのか、掴めない
夏凜「防人なら集団でしょ? 点々と力を感じないなら、神樹様本人……本木? じゃないの?」
友奈「意外に、木の根っこが移動してたり」
園子「そんな感じはするね〜」
- 729 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/05(木) 23:01:01.68 ID:vodSlRkjo
-
目の前の難敵よりも、天乃の心配
遅れはしたものの、
樹海化したことで、生身の一般人が直接傷を負うことこそなくなったが
今は微弱な力となっている天乃が狙われやすく、危うさが増したのは、不安になってしまう
だからと言って、そればかりに気を取られているわけにもいかない
夏凜「東郷達は後ろから援護、満開を使った組は出来る限り後ろにいる事。いい?」
風「出し惜しみしてられないでしょ」
樹「でも、満開を使っちゃってると、精霊に守って貰えないよ」
東郷「そうね……でも、私や球子さんはともかく、そのっちや風先輩……特に夏凜ちゃんや友奈ちゃんは無理だわ」
遠距離や中距離組ならば
まだ、何とか戦うすべを持っているが、
近距離である夏凜達や、拳というほぼ0距離で戦わなければならない友奈なんかは、
満開をしたからと言って後ろに下がっていては、戦いようがない
それに、近づかなければどうとでもなる。なんて、安易な相手ではないだろう
- 730 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/05(木) 23:27:09.90 ID:vodSlRkjo
-
風「みんな、準備は良い?」
ここから先は、チームとしての連携も必要な場面はあるが
個々の能力でしのがなければならない場面が多くあることだろう
だが、みんなの表情は力強い
必ず勝つと、生き残ると
若葉「西暦に散った身なれど、魂はここにある。ならば、果たすべき誓いもまた、ここにある」
球子「今度は、絶対に守って見せる」
千景「……そうね。負ける気はないわ」
歌野「ワンフォーオール、オールフォーワン。何とかなるわ」
西暦に生きた、勇者達
各々の思いを抱く先代の頼もしさを背に、
現代を生きる友奈たちは前を向く
友奈「久遠先輩が帰ってくるまでが戦いです」
風「別に、アレを倒して終わらせてもいいんでしょ?」
夏凜「出来るならね。まぁ……一筋縄にはいかないでしょうけど」
樹「それでも、やれることをやりつくすまで、戦うだけです」
園子「ボロボロになってもいい。でも、死んだりするのは……駄目だよ」
東郷「そのっちの言う通り」
あの日、銀を失った悲しみを、嘆きを
もう二度と、味わうことがないように
この世界が滅び、もう二度と、楽しむことが出来なくなってしまわないように
風「勇者部……ッ!」
ファイト!!! と、全員が口をそろえて、声を上げた
- 731 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/05(木) 23:39:49.11 ID:vodSlRkjo
-
1、移動
2、作戦
3、一時待機(敵が先攻)
4、戦闘おまかせ(久遠さん側に移ります)
↓2
※3、4以外は再度安価
※MAP:https://i.imgur.com/V35FniC.png
- 732 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/05(木) 23:43:52.76 ID:3F4itjXkO
- 2
- 733 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/05(木) 23:48:08.45 ID:LrBOyj/z0
- 2
- 734 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/05(木) 23:48:28.69 ID:vodSlRkjo
-
1、ガンガン攻める
2、散開し、包囲する
3、慎重に行動する(移動マスを少なく、敵の動きに合わせて変動)
4、命を大事に(移動を控え、敵の動きに合わせる)
↓2
- 735 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/05(木) 23:50:54.03 ID:LrBOyj/z0
- 2
- 736 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/05(木) 23:53:03.54 ID:FKJ5UHBQO
- 4
- 737 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/06(金) 00:01:48.97 ID:RVgcAOBFo
-
では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
- 738 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/06(金) 00:07:27.18 ID:M3gvj3upO
- 乙
絶対に生きて帰るぞ…!
あと戦闘の合間に久遠さんパートもあるのだろうか
- 739 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/06(金) 07:59:16.31 ID:S12e0145O
- 乙
1ターン目から侵食率ヤバくね…?
- 740 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/06(金) 23:21:43.83 ID:RVgcAOBFo
-
すみませんが本日はお休みとなります
明日、出来れば少し早い時間から
- 741 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/07(土) 05:55:48.70 ID:HNCqS6P+O
- 乙
- 742 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/07(土) 21:30:26.15 ID:oyZg6/seo
-
遅くなりましたが、少しだけ
- 743 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/07(土) 21:38:29.55 ID:bRy/Kgs0O
- きてたか
- 744 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/07(土) 22:33:23.92 ID:oyZg6/seo
-
言わずもがな、作戦は命を大事に
敵の動き、攻撃
些細なことにも油断せずに、確実に生き残るための行動に徹する
単独での行動は控えるべきだが、
まとまっていると、それだけ攻撃も集中することになる
程よく散開し、カバーしあえる程度の距離を保って戦うべきだろう
夏凜「……とはいえ、初見。なのよね」
戦い慣れた……というほどではないけれど、
見覚えのあるバーテックスであれば
多少、適切な戦い方というのも分かっているし、考えることも出来る
しかし、大ボスたる天の神の化身が相手では
こんな攻撃をしてくる。こう動けばいい
ここが弱点だ。という話もない
そんな状況で、精霊に守って貰えなくなることもあるのだから
満開もここぞという状況まで温存すべきか
風「夏凜、どう?」
夏凜「どうも何も、下手に攻撃すべきじゃないでしょうね」
- 745 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/07(土) 23:09:42.57 ID:oyZg6/seo
-
勇者は普通、空を飛ぶことは出来ない
各々が満開を使うことで、
ある程度空中戦に対応することも不可能ではないが、
基本は跳躍での戦闘になってしまう
それでは、天を戴く神の力に抗うことは出来ない
友奈「どんどん進んでくる……このままじゃ、久遠先輩のところに行かれちゃうよ」
東郷「まだ、私の最大出力よりも遠いわ」
威嚇射撃――神様に威嚇というのもおかしな話だが、
牽制する攻撃も不可能だ
高く、遠すぎる
では、どうするか
夏凜「さっき話した通り、回避優先。し過ぎずやらなすぎずの散開でr程度の距離を保つ。できる?」
東郷「努力する」
一番、移動力のない東郷は、目を向けてきた夏凜に頷いて答える
広範囲の集中砲火を浴びせられた場合、高確率で回避が難しい
もっとも、足が動かせるようになったことで
以前と比べればだいぶマシではあるが、治ってからさほどリハビリできていない現状
全力での行動は避けたいのが心情だ
もちろん、必要であれば、壊れてしまうほどの全力も辞さないが。
- 746 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/07(土) 23:50:12.87 ID:oyZg6/seo
-
若葉「行くか、待つか」
球子「好機は寝て待てっていうけどな」
千景「果報は寝て待て。よ。土居さん」
樹「運に任せていたら、神様には勝てないと思います」
とても自然に、樹はそう口にした
最近はおどおどすることもなく、
中学生というより、もうちょっと大人びた雰囲気を感じさせる樹は
神を見上げ、力のある瞳でそれをしっかりと見つめる
樹「待つのは、久遠先輩でこりごりです」
風「……立派なこと言うと思ったら、それが本音?」
樹「えへへ」
歌野「じゃぁ、どうする? 行く?」
夏凜「慎重にって、話したばっかりなんだけど」
1、移動
2、敵の行動を待つ
3、精神:加速(移動力+2)
↓2
- 747 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/07(土) 23:54:52.73 ID:Xx1zTkB7O
- 3
- 748 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/07(土) 23:58:08.03 ID:OZ3BWMKI0
- 3
- 749 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/08(日) 00:10:32.45 ID:g8fALRkeo
-
では、ここまでとさせていただきます
明日は出来れば昼頃から
戦闘開始
- 750 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/08(日) 00:21:40.02 ID:0QP2y7soO
- 乙
久遠さんが神樹様のところにたどり着くにはどれくらいかかるんだろうか
天の神が倒せなくても久遠さんが間に合えばなんとかなる?
- 751 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/08(日) 03:26:19.84 ID:iytGA+Q8O
- 乙
久遠さんの情報が入ってこなくてドキドキするな
逆にピンチもあり得るのでは?
- 752 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/09/08(日) 14:15:32.18 ID:g8fALRkeo
-
では少しずつ
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