電走部

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11 :蛇足 [saga]:2019/08/17(土) 23:45:07.12 ID:839e+VoWO
出先から手打ちが多い
まあ溜まったら思い出したかのように斜め読みする方が健康
>>6-10
https://youtu.be/wHZp1v5uApw
ゲーム音楽はいいねえ
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/17(土) 23:50:35.00 ID:H6u4/Tn+O
視点がわかりにくいと思ったら名前欄のsideで須磨と木田が変わってるのか?
13 :蛇足 [sage]:2019/08/17(土) 23:54:53.09 ID:839e+VoWO
その通り。ごめんね
→須田Mとみつ
→木田Iくと

うっとうしい時は「蛇足」をNGnameに突っ込んでくれ、そのようにする
14 :side I [saga]:2019/09/01(日) 01:38:41.30 ID:vz/A9zCdO


須磨「……って事でですね」

大和田「ふむ」


須磨の話を聞き終え、大和田先生は柔和な表情を崩さないまま顎に手を添えた。

大和田「須磨くんは、その……げえむをやったことがありますかな?」

須磨「ええ。ぼちぼちっす」

大和田「少し待ちなさい」

大和田先生は机からメモを千切り、立ったままほとんど屈まずに万年筆を走らせていく。


……


大和田「これは、須磨くんのものです」

須磨「うっす。見ていいすか?」

大和田「構いませんよ。その為のものです」

程なくして渡されたメモ。肩から覗き込む。

木田「どれ……」


須磨『校内に須磨楽満が部活動用の道具を持ち込む事を認める。
なお、電走部 望月静流との遊戯目的に限る。大和田仁』


つまり。パソコンとかパッドとか、あの中で遊ぶ目的なら学校にそれを持ち込んでも良いって言質を取れた事になるのか。



須磨「お、おお? つまり、入部しても……?」

大和田「あなたと、彼女が関わる事です。当人たちが納得せずに、わたしから入部を許可することは本意ではありません」

大和田先生は万年筆を止めないまま、ゆっくりと諭すように続ける。

大和田「入部審査があるとすれば……そうですなぁ。あの娘っ子と、満足するまで遊んでみなさい。自己申告で構いませんが、得るものは快適な部屋ではなく良き縁である事を願います」

何故やら部屋や機材目当てであったのはバレていたらしい。立ち入るならあの1人の部員と上手くやれというのは……まあ教師として真っ当な話だ。




須磨「えぇ〜、センセ話聞いてましたかぁ? 取り付く島ないんすよ、マジ」

大和田「ええ。これをお渡しします」

大和田先生はもう一枚のメモを千切ると、そちらには丁寧に判子を押す。

大和田「今日は出直すと良いでしょう。あなたの準備を整えた上で、彼女にこのメモを見て貰いなさい」


こちら方の面倒がる気持ちに反するように、大和田先生は嬉しくて仕方のないような顔で話を終えた。
15 :side I [saga]:2019/10/21(月) 15:00:49.96 ID:mpsdjGnKO


その日の帰り道。
帰宅部と部活勢のラッシュ、その間の時間は閑散としている。


ケタケタと笑いながら並び立つ影が大小ふたつ。

須磨「いやでさ? その新作が前作と比べるとシステムが増えてさ」

木田「ああ」

須磨「例えばアイツの214B崩しからバー対しながら4000減らすような」

木田「ん」

気の無いような相槌だが、これでもこいつの話には聞き入っている。
傾いた陽を横目に、須磨は好きな格闘ゲームの変遷を憂う。

須磨「なーんか違うんだよなー。手軽すぎるっていうか、前の方がよかった」

木田「そうだな……」




木田「まあ、コマンドを楽にしてくれ」

須磨「せやな」

俺は格闘ゲームは目まぐるしい入力と安定しないコマンドが理由で苦手だ。
俺も須磨もその辺りの練習を苦としないが、俺はいっこうに身につかない。

手先の動作を要求されるものについては、例外なく不器用である。

須磨「まあ、気が向いたらやろうぜ」

木田「ああ」

いつ気が向くか、というのは日曜日のことである。
俺はたぶん大敗するだろう。が、特に気にしていない。
楽しみですらある。

それが俺たちの関係。


――

16 :side I [saga]:2019/10/21(月) 18:29:26.33 ID:mpsdjGnKO



――

――――

――――――



須磨「ぶっぱァ!!!」

木田「拳で……!」

簡易的な日本語を用いた独自の文化圏が須磨の家では発達している。

須磨「亜゛! ん亜゛ッ!!!」

木田「ああ。」

須磨「ぶっぱ(裏声)」

木田「拳だ。拳が勝つ」


第三者を置き去りにしないように説明すると、現在格闘ゲームで木田と対戦している。

俺の使うキャラは……ある簡単な技がひたすらに強いキャラだ。不器用な俺が勝負に集中できる唯一の選択とも言える。
須磨の使うキャラは、特殊で高度な操作をもって真価を発揮する玄人向けのキャラ。


須磨「ここで拳読み…

木田「拳だ。」

須磨「亜゛!! リバサは遅らせ…

木田「拳だ。」

須磨「亜゛ッ!! ちんちん亜゛ッ!!」

木田「……」
須磨「……………………」

須磨「  、っと」
木田「拳」


KO!


須磨「んんあああああああ!!!!! あああ゛気持ちィ!!! イグゥ!!! イキそイグッ!!!!!」
木田「おう。悪いな」


今日は調子がとても良い。
言語野を犠牲に頑張ってる須磨には悪いが、互いに笑顔なので許せ。
17 :side I [saga]:2019/10/23(水) 00:02:02.92 ID:qTYZ97BqO

……




「あんまりうるさくするんじゃないわよー!!!」



須磨「ほーい!!!」

階下から須磨の母が注意する。毎度のことだ。

須磨「ンァーッ!!!!」


「うるさぁい!!!」


木田「……。この拳修正しなくていいのか」

須磨「うーん。チンポパンチ(裏声)」



このように。
須磨は争い事の勝ち負け、能力の優劣、物事の成否にこだわらない。
俺にも元来そのきらいはあるが、須磨ほどに結果を度外視する人間を知らない。


須磨「はっはっはっは!!!」

木田「ふふ……」

須磨「よし、満足した。木田上手くなったなー」

木田「拳だけ、な」


それどころか遊びも争いも、関わる相手に対して敬意を失したところを見たことがない。

おそらく意識的に培われてきたその習慣は、俺を含めた周りの人間を少なからず惹きつけていた。

須磨「んじゃ、次あれやっか」



activate...
C:\Program Files\VR\Virtual Run.exe



だから、あの……電走部に所属していた女子ともすぐ打ち解けられると思った。
18 :side S [saga]:2019/10/23(水) 00:26:36.56 ID:qTYZ97BqO










……


ポチポチと。


『セレスのRun高すぎて無理。修正はよ』

『ランクマでセレス引いたら悪いけど切るわ。チート使って勝つの楽しい?』

『セレスちゃんライブ衣装かわいいね♥修正して?』


脳の休憩がてらにスマホを流す。
怨嗟の声が気持ちいい。


望月「雑魚乙……」




ふと、こないだの会話を思い出す。


『廃部? いや、見学したいんだけど』


人と話したのは久しぶりだから、あんな内容でもすぐに思い出せる。


望月『もう来なくていいから。じゃ』


ああ言ったし、もう来ないんだろうけど。




望月「……」

モニターに目を戻すと、VRのマッチングが済んでいた。
対戦相手は格下。

ヘッドセットをはめ直すのが、集中力を高める必勝のルーチン。

望月「さ、狩るか」
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