【あんこ】勇者「…………」

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102 : ◆BKp9.Rbx5s [saga]:2019/12/13(金) 23:05:22.24 ID:6WuNUcnF0

魔法使い「ま、結局のところデザイン性っていうのは僕みたいな人間には無理な話だからね。
その辺は君がやってくれればいいよ。…………やぁ、待たせたかい? 」

勇者「なぁ、僧侶。あいつが呼んでいるぞ」

僧侶「当然勇者様を、でしょう? 」

勇者「しかしだな……」

魔法使い「安心しなよ。こいつらはまぁビジネスパートナー、
というか僕の友人達だから」

勇者「だから安心できないんだが。特にお前に」

僧侶「…………」コクコク

魔法使い「そんなこと言われてもな……まぁ、無理も無いか。
君たちもここに来るまでこいつらの同類を殺してきたんだろう? 」

勇者「……あぁ」

僧侶「……そうですね」

魔法使い「どうしても寄ってきちゃうんだよね。こいつらみたいにセンスと才能のある同胞のニオイに惹かれて、さ」



まるでここに来るまでに切り捨てたオークと座を囲むオークが違うかの様な言いようである。
いや、これが幻影だとかで無い限り違うのは確かなのだろうが、しかし。



魔法使い「ふぅ……分かった分かった。僕の家で簡単にだけど説明するよ。
変なとこ見られた所為で誘拐されたとか思われているんだろうしさ」



やれやれこれだから馬鹿は、というような態度に腹が立つ。
僧侶が隣にいなければ助走をつけて殴り飛ばしていたところだ。最低三回くらいは。
103 : ◆BKp9.Rbx5s [saga]:2019/12/13(金) 23:07:52.26 ID:6WuNUcnF0

帰路に着く間、オークが、オーガが、ハーピーが。
様々な種類のモンスターが荒ぶる同胞を宥め賺してくれた。
もう全く意味は分からないが取り敢えずもう一つ噂通りなことを見つけた。



僧侶「こういうのが……天才、って人なんでしょうね」

勇者「……あぁ」



俺たちにとって天災にならないことを祈るばかりである。






…

………

……………
104 : ◆BKp9.Rbx5s [saga]:2019/12/13(金) 23:15:29.76 ID:6WuNUcnF0

勇者「えーっと、何かつまりあのモンスターたちはお前が見つけ出してきたやつらのうちでも人間と親和性が高い方で」

僧侶「魔法使いさん謹製の魔具で理性を大幅に強化していたと? 」

魔法使い「実に簡潔な要約だね。実際はもっと色々細工してあるんだけど概ねはその通り」



宿屋の店主をはじめとした村人達に歓声をもって迎えられ、
魔法使いの自宅へと帰れたのは洞窟から帰還して更に後のこと。

何やら複雑な図式を見せられたが俺や僧侶には全く理解不能で。
それは魔法使いも最初から悟っていたようで教師めいた動作で講釈を垂れてくれた。
その要約、というか理解できた範囲の内容がそれである。



魔法使い「僕は確かに天才だけど実利的な、特に君たちの旅で活躍するような魔術は実のところ苦手な部類でね。
理論を組み立てていざやってみるとなったら日々溜め込んだマナで道具をつくるんだ」



俗に攻撃魔術なんて言われているものは既に君の方が何倍も得意だと思うよ、なんて。
当代随一の使い手、現在最も魔法使いに近いと謳われる少年はそう言い切った。
105 : ◆BKp9.Rbx5s [saga]:2019/12/13(金) 23:22:13.54 ID:6WuNUcnF0

魔法使い「まぁ、逆に道具の製作に関してはそれなりに自負はあるけどさ。
並の宮廷魔術師ならオークとまともな会話を楽しむなんて不可能だろう? 」

勇者「お、おう」



確かにそうなのかもしれないがそもそも楽しむ気が無いだろう、とは言わない。
そんなことを言ったってこの少年に普通の返答なんてものは期待できないからだ。



魔法使い「君たちがここへ向かっているのは知っていたよ。
結構前におーさまから手紙を貰って以来色々と“ 目 ”は配置しておいたから」


“ 目 ”というのは恐らく山の中にいたモンスターのことなのだろう。
普通に自宅で迎えるつもりが酒に酔った挙句友人であるところのオーガに連れて行かれ、
気付けば友人総出で飲み会が始まっていたらしいが。



魔法使い「で? 君たちはなんだって僕なんか訪ねてきたんだい? 」

勇者「一緒に魔王を倒す旅に来てほしい」

魔法使い「いいよ」

勇者「……は? 」



訊いておいてなんだが正直なところ断られるだろうと思っていた。
僧侶も隣で驚いた様な顔をしているし彼女も同じ気持ちみたいだ。驚き顔も可愛い。
106 : ◆BKp9.Rbx5s [saga]:2019/12/13(金) 23:26:58.28 ID:6WuNUcnF0

魔法使い「こんな山奥まで来てお話が聞きたかった、なんて有り得ないだろう?
今のはちょっと言ってみたいセリフだったんだ。山奥の賢者みたいな感じでさ」

勇者「…………」

魔法使い「あぁ、僕は天涯孤独の身だしオークたちのことは大丈夫。
最近だと彼らの理性を研ぎ澄ます魔具なんて彼らでもつくれるようになったからさ」

僧侶「…………」

魔法使い「よし、そうと決まったら早速準備をしてこないとね。
魔術関係のものは粗方まとめておいたし大丈夫だけどこの家は封印しておかないといけないから」



村の人たちに危害が及ぶと悪い、とかなんとか笑顔で呟いていたのは見なかったことにしたい。

ただまぁ、冒険に喜んで着いてきたがったり、賢者に憧れてみたり。
普通の少年っぽさというやつもまぁ、見えた、のかもしれない。


107 : ◆BKp9.Rbx5s [saga]:2019/12/13(金) 23:27:26.64 ID:6WuNUcnF0







…

………

……………
108 : ◆BKp9.Rbx5s [saga]:2019/12/13(金) 23:36:46.12 ID:6WuNUcnF0

時刻は早めの朝食を終えてすぐのこと。
僧侶の欠伸は今日も可愛らしいし天気も非常に良い。
ついでに自称普通の男の子である魔法使いは旅人っぽいローブ姿だった。



勇者「まぁ、お前がいるというのは正直相当心強い。これからよろしく頼む」

僧侶「よろしくお願いしますねっ、魔法使いさん」

魔法使い「あぁ、うんよろしくね」



ぼんやりとした顔はどう考えても寝不足である。
まさか旅が楽しくて寝られなかったのかと訊いたらそれの何が悪いと開き直られた。

そもそも勇者と旅に出ることに心踊らない男がいるかと言われてしまった。
確かにそう言われるとそうだがこれに言われると妙に納得がいかないのもまた確かで。



勇者「まぁ、いいか。取り敢えず俺と僧侶が滞在していたとこに戻って次の日からだな。まともな旅は」



ここから元来た街へ戻るのなんていうのは精々がちょっと危ない遠足みたいなものである。
人格は兎も角としてまともな後衛が一人、増えた。
多分きっと恐らく大体、王道の冒険っぽく、順風満帆、ぽいと思う。



【賽は明後日に投げられた】



0.鍛治の街へ
1.鍛冶の街へ
2.港町へ
3.剣闘の街へ
4.港町へ
5.港町へ
6.港町へ
7.港町へ
8.剣闘の街へ
9.港町へ
ゾロ目.カジノでも行こうか
109 : ◆BKp9.Rbx5s [saga sage]:2019/12/13(金) 23:37:59.63 ID:6WuNUcnF0

ちょっと設定周りの為にあんこほぼ無しでしたすみません
明日か明後日はまともにあんこしますすみません

ありがとうございました
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/14(土) 02:30:00.47 ID:Zsfl2Qj60
乙です
次も楽しみ
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/14(土) 14:06:46.04 ID:uuCfUucMo
おつおむ
112 : ◆BKp9.Rbx5s [saga]:2019/12/14(土) 23:29:16.60 ID:3QGOoBTH0

【2→ 港町へ】



魔法使い「馬車を買うべきだと思うよ、僕は」



旅を始めて二日目の朝のこと。
一日目で全く弱音を吐かなかった魔法使いがそんなことを提案してきた。



勇者「まぁ、仲間が増えた上に荷物もこれから更に増えるだろうし俺もそうしたいが」

僧侶「何ぶん元手が足りませんからね」



効率的なのは分かっているし俺や僧侶だってできれば楽をしたい。
徒歩のみでの旅で鍛えられるのは確かでも、そこには限界がある。
何より移動で疲労してしまい肝心なときに力を発揮できない、なんてのは非常に困る。

しかし僧侶は騎馬の経験が無いので旅を始める段階で馬による移動は不可能と判断。
もう一つの案が馬車だったが金銭的な理由で提案前から却下されていた。



魔法使い「それくらい君が色々と稼げばいいだろう。モンスターでも盗賊でも世の中沢山いるんだから」

勇者「それはそうだが旅を始めて十日程度なんだぞ俺たちは」

僧侶「それに馬車を使うのならもう一人は仲間が欲しいところですね。
この三人で馬車を扱えるのは勇者様だけですから」

魔法使い「む……」
113 : ◆BKp9.Rbx5s [saga]:2019/12/14(土) 23:37:13.87 ID:3QGOoBTH0

勇者「僧侶の言う通りだな。移動中はできれば背後の警戒に一人。
僧侶には回復薬と援護を頼みたいしお前もどちらかというと後衛だろう? 」

魔法使い「そうだね。正直言って今すぐ僕が四六時中見張りを務められるかといえば当然、否だ」

勇者「だろう? 」

魔法使い「……うん」



変に馬鹿にした顔をしたりやれやれと嘆息することもあれば、
今の様にすぐ様自分の非力や経験不足を認めてしまう。

自称普通の男の子ではあるがこの辺りが妙に憎めないところで良いところだと分かってきた。
自分が彼と同じ年齢で同じ立場だとして自分の非力を認めるなんてきっと無理だっただろう。
場合によっては今でも尋常では無い忍耐が必要かもしれない。



魔法使い「まぁ、金銭的にはそのうちクリアできるはずだよね?
なんなら僕が適当な魔具でもつくるからそれを売ろうか」

勇者「そうだな」

僧侶「じゃあ取り敢えず目先の目標は港町として、
これからは馬車の調達と御者役の確保も考えていきましょうか」



目標がまた一つ決まった。
どうせ旅の最終目的は決まっているわけで、しかも長いわけで。
魔法使いの言う通り、鍛錬も含めてモンスター狩りに行くのも悪くないだろう。




朝食を終えて旅を再開させた後は魔法使いも弱音を吐かなかった。
114 : ◆BKp9.Rbx5s [saga]:2019/12/14(土) 23:37:40.26 ID:3QGOoBTH0







…

………

……………
115 : ◆BKp9.Rbx5s [saga]:2019/12/14(土) 23:42:51.88 ID:3QGOoBTH0

勇者「これで行程は三分の一を消化した辺りだな。
順調に行けば一週間も掛からずに港町だ」

僧侶「馬車のことを考え始めると急にお金も惜しくなるものですね。
食材を値切るなんて初めてしちゃいましたよ、私」

魔法使い「僕はもう疲れたよ……足が石化しそうだ」



深夜になる前に目標の村へ到着して宿屋へ。
部屋割りは僧侶が一人で俺と魔法使いが二人。
魔法使いが嫌がるかと思ったが特に何も感じない様だった。
彼の言葉によれば、



魔法使い「これでも山奥でおっさんとかおばさんたちと生活していたわけだしね。
あとモンスターたちと接していれば君だって天使様さ」

勇者「お、おう……そりゃあ、うん」



とのことであった。他人をモンスターと比べるのはやめていただきたい。
116 : ◆BKp9.Rbx5s [saga]:2019/12/14(土) 23:53:17.94 ID:3QGOoBTH0

魔法使い「ま、倒したモンスターから素材も採取できたし、
僕はここでちょっと工作でもしているよ」



少しだけ眺めていただけだが魔法使いの手先は普通なんかじゃ有り得ないものだった。
砂一粒の向きすら拘泥る様なその手付きは本気で神がかっている気すらする。

途中からは此方のことなど全く気にもしてくれなくなったので退散してきた。
そういえばあれだけモンスターと酒を飲んでいたにも拘らず魔法使いは旅を始めて一度も飲んでいないな、なんて。

どうでもいい様なことを考えながら宿屋の一階、酒場となっているスペースでエールを飲む、美味い。実に美味い。



勇者「僧侶は飲まねぇだろうし……どうするかな」



この国の法でいえば彼女ももう飲める年齢の筈だ。
そもそもその法だって一応つくられているだけで、慣例でいえば一桁の少女でも飲まされるときは飲まされる。
主に親戚のおじさん、とかいう厄介者たちの所為で。
加えて彼女の信奉する神も聖職者の飲酒は特段禁止してはいない。
過度な飲酒と怠惰を戒めているくらいである。
飲まないだろう、というのは単にキャラの感じで決め付けているだけだ。



勇者「んー……あんま大きい村でもないが」



【賽を投げてみよう】



0.寝る
1.寝る
2.寝る
3.僧侶と話す
4.寝る
5.僧侶と話す
6.寝る
7.魔法使いと話す
8.寝る
9.魔法使いと話す
ゾロ目.深夜に不審なやつが出るらしいな
117 : ◆BKp9.Rbx5s [saga]:2019/12/14(土) 23:57:35.91 ID:3QGOoBTH0

【4→ 寝る】


勇者「……明日も取り敢えずは徒歩だし。早めに寝るかな」



身体は最高の資本だがすぐに失えてしまう資本でもある。
もう一人いれば話は違うが今のところ前衛と言えるのは俺一人だけなのだ。
二日酔いや寝不足で傷を負ってしまっては僧侶の目を見れなくなってしまう。
そんな不幸だけは避けなければなるまい。



勇者「早寝早起き快眠ーっと」



俺が寝る頃になっても魔法使いは何やら呟きながら作業を続けていた。
明日の朝この村で売ってみるのだそうだが果たして何をつくっているのだろう。

俺も不器用なわけではないしマナの扱いも一応は勇者の名を与えられるくらいには得意だ。
今度おしえてもらおうか、なんて考えていると眠気に襲われた。
118 : ◆BKp9.Rbx5s [saga]:2019/12/14(土) 23:58:24.99 ID:3QGOoBTH0

魔法使い「…………足が痛い」






…

………

……………
119 : ◆BKp9.Rbx5s [saga]:2019/12/15(日) 00:05:21.11 ID:vbRZTAEj0

勇者「」

僧侶「」



魔法使い「さぁさぁ王都流行りのサンダルにペンダント!
魔術的効果も様々で良い物を沢山揃えてますよー! 」



売れた。それはもう売れた。凄まじいの一言である。
何が凄いといえばまずその精巧さであった。
寒村の懐事情に合わせたとはいえかなりの低価格で売るのが忍びないくらいには技巧が凝らされている。
物々交換も大歓迎とあって少ない村人たちはどこからか現れては魔法使い謹製の魔具を購入していった。



魔法使い「ふぅ……まぁ、御者が持つ鞭の分くらいにはなったろ。…………待ったかい? 」

勇者「お前……商人になれば? 」

僧侶「職人としても一流なんて凄いですっ」

魔法使い「うん……? 」



【賽は高く高く放り投げるもの】



0.次の村
1.盗賊
2.次の村
3.次の村
4.盗賊
5.次の村
6.盗賊
7.盗賊
8.盗賊
9.次の村
ゾロ目.ストーカー登場
120 : ◆BKp9.Rbx5s [saga]:2019/12/15(日) 00:05:52.11 ID:vbRZTAEj0

僧侶に忍び寄る魔の手、再来

ありがとうございました
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/15(日) 00:42:40.81 ID:7VrNJL6Lo
最後で脱いたァ!
おつおつ
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/15(日) 14:42:20.59 ID:OZ2YPrlt0
乙です
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2020/04/10(金) 00:45:34.18 ID:IwXjF175O
うーん、エタっちゃったか……
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