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【安価とコンマ】剣と魔法の世界で生き延びる その13

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439 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/04(水) 23:35:29.04 ID:ysHTy8UH0
――



「あっ、アベルさん、そこはっ……!」

「ふふ、愛らしい果物じゃないか」


するすると服も下着もあっけなく脱がされる。
もう引き返せないし、引き返す気もない。
胸元にはしる緩やかな刺激に悶えながら、パトラはその覚悟を決めていた。


「どれ……」

「はぁっ……ぁっ、ふぁ……!」


指で絡め取られたチョコレートが、柔らかな胸へと塗りたくられていく。
量が足りないためその全てを覆うことはできないが、それでも視覚から襲ってくる刺激は大きい。
自分の身体が、飾られていく。
そして、即座に食べられていく。
指先でやんわりと撫ぜられたかと思えば、今度は生暖かい舌が丹念に舐ってくる。
以前交わった時も随分と胸を責められた記憶があるが、今回はそれ以上か。


「やぁ……そんな、乳首ばかりっ……!?」

「甘くて、弾力があって、美味いぞパトラ?」

「ひぅぅっ!?」


特に先端部分へは執拗なまでに塗りこまれ、噛まれ、吸われ。
先程口移しで交換した果実のように、じっくりと弄られている。
経験の少ないパトラは既にそれだけで幾度も軽く達しているのだが、アベルの手は休まることは無い。
今度はチョコレートを掬い取ったかと思えば、頬や首筋に垂らしていく。


「アベル、さっ……くすぐった……!?」


抗議の声が受け入れられることはない。
それはパトラとて重々承知しているが、か細い抵抗を口にせずにはいられなかった。


(や、だ……どうして、こんなに……っ!)


そうしないと、自分が自分でなくなってしまうような。
普通ではない行為をされ……いや、内心どこかでこうなることを望んでいる自分がいた。
そして今、いたるところを舐められ、吸われ、その度に身体を震わせて。


(――私、悦んでいるの……!?)


何か、大切な道を踏み外してしまいそうな気配を、パトラは本能で察していた。



440 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/04(水) 23:40:17.52 ID:ysHTy8UH0

忠誠を誓った男から求められる。
それは確かに女としては嬉しいことであり、身体も反応してしまうものなのだろう。
だがしかし、今の自分のこの姿はどうか?


「んぁ、はぶっ……!」

「……しっかり味わえ、パトラ」


幾度目になるかわからない、チョコレートに塗れた二本の指。
しかしそれはお預けをするかのように、今度は身体のどこにも塗られることはなかった。
代わりに口元へと近づき、僅かに指の先が折り曲げられる。

これを、舐めてくれという意味であると。
言葉で言われるよりも先に、理解できてしまった。
そして浅ましくもしゃぶりつき、くぐもった声を漏らしながら必死にそれに舌を這わせている。

貴族として、騎士として。誇りある者からすれば本当に情けない姿だとは思う。
それでも、パトラは止まれないでいた。


「んぐ、おいひい、です、アベルさん……」


自然と、そんな言葉が口から漏れてしまう。
自分も相手も、お互いがお互いを舐め合う。


「んぢゅる……ちゅっ……じゅぅ……」


そして、吸い上げて。
まるで子供の戯れのような、しかし背徳的な行為。


(もし、子供が産まれて……母乳をあげる時も、こうなってしまったらどうしよう……)


僅かに残っていた冷静な部分ですら、考えていたのは少しずれた考えであった。


「そんなに吸い付かれては、俺も吸いかえしてやらないとな」

「あううううぅぅぅぅ!?」


再び乳首を甘噛みされながら吸われ、パトラの身体は大きく跳ねる。
赤ん坊はここまでの行為をしないのだから、彼女の不安は杞憂に過ぎない。
子供のような、しかし大人の時間。
仄暗さを持つ行為は、互いを昂ぶらせあう。



441 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/04(水) 23:43:25.61 ID:ysHTy8UH0
「はぁっ……アベルさん、そんなに私の胸ばかり……赤ちゃんみたいですよ?」

「おや、パトラは俺を甘えさせてくれるのではなかったかな?」

「そ、それはそうですけど……」

「パトラこそ、随分と俺の指を美味そうにしゃぶるな?」


くつくつと笑われ、指先で光る唾液が舐めとられた。
そのアベルの顔は実に嗜虐的であり、パトラの顔はさらに熱を持つ。
やはり、まだ夜の場においてこの皇子に勝つのは難しいのだと見せつけられた気がする。


「そ、それは、チョコレートのせいで……」

「ならば、俺もチョコレートのせいだな。俺はこう見えて、甘いものには目が無いんだ」

「……本当ですか?」

「ああ」

「それなら……こ、こちらに塗れば、胸から離れるのですか?」


それがわかっていながら、パトラは負けず嫌いな性格でもあった。
どうしても、常に優位なこの青年の笑みを崩してみたい。
年上らしく、本当に頼って甘えて貰いたい。そんな思いもあったかもしれない。
本当に今日の自分はどうしたのだろうか。
相も変わらず冷静な部分はそう考えるが、身体と口は思い通りには動かない。


「ほら、美味しいチョコレートが零れちゃいますよ……?」

「っ……!」


顔を真っ赤にさせながら、今度はパトラ自らチョコを掬い上げる。
そしてそれを自分の太ももや秘裂のあたりに垂らしていく。
清廉、真面目な騎士の予想外の行動には、さしものアベルも息を呑んだ。


「……それはもったいないな。是非頂こう」


引き締まった太ももにてらりと光るチョコレートは、実に魅惑的に映る。
舌先をのぞかせながら、アベルはゆっくりと顔を近づけていく。


442 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/04(水) 23:50:28.18 ID:ysHTy8UH0
「んんっ……! ふぅっ……!」

「ん……柔らかい胸もいいが、滑らかなこちらも捨てがたいな」

「んぁぁっ……っや、やっぱりアベルさん、赤ちゃんみたいですよ……っ?」


舐めまわされる太もも。
わざとらしく音を立てながら舐めあげられ、その度に上擦った嬌声が響く。
取り繕おうにも、やはりパトラは快楽への耐性が少なすぎた。
元はといえば、つい最近まで全くもって性への知識がなかったのだ。
年上であろうと、根本的問題であるその点がまだ劣っている以上、どうしても優位は長くは続かない。


「ふふ、まだ俺を赤ん坊呼ばわりするか? それならば望み通り、ここも吸いついた方がいいか?」

「あっ――!?」


不意に、両の手で脚が割り広げられる。
露わになるは、熱で再びとろけ出したチョコレートに塗れた秘裂。
アベルは躊躇いも無く、赤ん坊のように無遠慮にしゃぶりついた。


「イっ……ああぁぁぁぁっ!? だ、だめぇ、そんなっ……あはぁっ!?」


パトラ自身が垂らしたチョコレートは、しっかりと舐めとられていく。
しかしその合間合間に、肉豆を吸われて溢れ出る蜜も一緒に舐めとられていく。


「おや、チョコレートの味が変わって来たぞ? なんとも甘じょっぱくて、これはこれで悪くないな?」

「〜〜〜〜〜〜っ!!!」


見せつけるように、アベルの口が開かれる。
その舌先からつぅっと零れ落ちるのは、チョコレートのナニかが混ざった液体。
自分の痴態を見せつけられ、パトラは両手で顔を覆い悶える。
何をしても、より恥ずかしい目に遭っているのは自分ではないか。
負けっぱなしは情けないし、悔しい。
しかしそれ以上に悔しいのは、自分の身体の反応だ。


(駄目……どうして私、こんなに……っ!)

(お腹の奥が、熱いの……?)


見せつけられなくても、自分の身体がおかしいという自覚はあった。
食べ物を使った普通ではない行為で、どうしてこれほどまでに疼いてしまうのか。
深紅の令嬢とは違う筈なのに、欲しくて欲しくてどうしようもない。



――チョコレートには媚薬効果があるそうですわよ?――



何故、今頃になってその令嬢の言葉を思い出してしまうのか。



443 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/04(水) 23:57:17.17 ID:ysHTy8UH0
ああ、本当にチョコレートのせいなのか。
甘さは抑えた筈なのに、しかし言われてみれば自分の身体のあちこちから漂っているではないか。
芳醇なチョコレートのえも言われぬ香り。
これのせいで、今の自分は少しおかしくなっているのだ。


「はぁぁ……アベルさん、もう……っ!」


だから。だからこれは仕方がないこと。
貴族として、騎士として正しくない振る舞い。
でもチョコレートのせいなのだから、今だけはどうか許して。




「――アベルさんが、欲しいのっ……♪!」


「――赤ちゃんアベルさんじゃなくて、アベルさんの赤ちゃんの素が、欲しいんです……っ♪」


「お、おいパトラ……!?」


理論武装を済ませたパトラは、チョコレートに負けない甘ったるい声でアベルへと抱き縋る。
そしてそのまま、静止も聞かずに既に勃起していたアベルの肉棒を割れ目へとあてがった。
唾液とチョコレートと愛液とでぐじゅぐじゅになったそこは、ぬぷりとそれを容易に飲みこんでみせる。



「んきゅっ、いっ、ふああああぁぁぁぁぁぁ……っ♪」

「くっ、……っ!」


パトラの膣内は既に熱く蕩けていた。
自分や他者を律することの多い彼女が、自分を求めひくつきながら絡み付いてくる。


「ひ、あっ、あんっ♪ おくっ、きてますっ! あっ、はふぁっ♪」


一突きするたびに漏らす声も、随分と甘さを増したものだ。
普段の彼女とかけ離れた姿は、アベルにも大きな興奮をもたらす。


(これもチョコレートのせいか。いや……)


アベルもチョコレートが媚薬効果を持つと、まことしやかに噂されたことは知っている。
とはいえ、確証もない。仮に事実としても、この程度の量で本当に効果があるものなのだろうか。
或いは――思い込み。
そうだと思い、パトラが乱れているのだとしたら。
きっとこれが、彼女が奥底で望んでいたこと……なのかもしれない。



444 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/04(水) 23:58:04.71 ID:ysHTy8UH0
「なら、応えねばな……っ!」

「んひいぃぃぃぃぃっ……♪」


腰をしっかり掴んで、奥底まで叩きつける。
より大きな嬌声。真面目な女騎士の痴態。


「パトラっ、そろそろ一回、出すぞ……っ!」

「ふぁ、ふぁい♪ 来て下さいアベルさん……っ!」


きっと、自分も少なからずチョコレートでおかしくなっている。
いや、以前の生クリームの時からだろうか。


(今は……)


割り込んできそうな思い出を振り払うかのように、アベルは再度腰を強く打ちつける。
今はこの甘い空間と、騎士の責から解き放たれている女性を愛そう。


「パトラ……っ!」

「はひっ、あ、やぁ……んああああぁぁぁぁ〜〜〜〜ッッッ!?」


決意を固め、アベルはパトラの奥底に精を吐き出す。
どぷどぷと注がれる度に彼女の身体は小さく震える。


「はひっ……はぁっ……♪」

「――まだだ、パトラ」

「あぇ? ひゅっ……!?」


そしてそのまま、再び腰が動かされる。
あの堅物が、精一杯を振り絞り誘惑してきたのだ。
きっと今まで、我慢してきたに違いない。


「ア、アベルしゃんまっへ、まだぁ……!?」

「ああ、まだだ。もう少しな……!」


あまりの快楽に呂律も回っていない様子。
しかしその表情はやはり甘く蕩けており、拒絶する素振りもない。
自分もまだまだ満足していない。
深く抱き寄せ、僅かに残っていたチョコレートを舐めとりながら。
アベルはしばらくの間、媚毒に惑わされた騎士を可愛がり続けるのであった。


……



――


445 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/04(水) 23:58:31.85 ID:ysHTy8UH0
――


……


パトラ「うわあああああぁぁぁぁ!///」パタパタ!

パトラ「わ、私、なんてことをぉおおぉぉぉぉぉぉ!?///」パタパタ!

パトラ「違うんです、チョコレートの香りを嗅いだせいで……っ!」

アベル「あ、ああ。俺も済まなかった……///」

アベル「チョコレートを零したパトラを見たら、なんだか抑えが効かなくなってだな……///」

アベル「俺もどうやら、チョコレートの媚薬効果にやられていたようだ……」

パトラ「で、ですよね……!?」

パトラ「わ、私が変なこと口走っちゃったり、アベルさんを子供扱いしたのも、全部チョコレートのせいなんですよね!?」

アベル「あ、ああ。そうだろうな……」

パトラ「で……では……」

パトラ「きょ、今日のことはお互い見なかったということで……?」チラリ

アベル「いや、それは無理だろう。あんなパトラはなかなか見られないからな」

パトラ「うわああああぁぁぁぁ! アベルさんがいじわるですよっ!?///」パタパタ

パトラ「こ、こんなうまく立ち上がれなくなるまで私を好きにしておいて……!?」

アベル「それは本当に済まなかったと思っている……」フカブカ

パトラ「……す、すごくよかったですけどね?」ボソリ…

アベル「ん?」

パトラ「な、なんでもありません!」プイ!





コンコン




アベル&パトラ「「!?」」ビクゥ!




エリス「アベル様、いらっしゃいますか?」



446 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/05(木) 00:01:26.55 ID:YCOZ/MHE0
パトラ(エ、エリスさんっ!!?)

パトラ(大変、こんな状態を見られたら、なんと弁解すればいいか!?)ワタワタ

パトラ(ああ、そして腰が抜けて動けないこの苦境……っ!)プルプル…


アベル(ま、まさかこの時間になってエリスが来るとは……)ダラダラ…

アベル(エリスは許してくれているが、流石に別の誰かと致した直後の現場を見せるというのは……)ダラダラ…

アベル(かといってまさか追い返すなんてありえないし……)ダラダラ…



エリス「アベル様……? 気配はするのですが……」

エリス「――っ!? まさか、賊が!?」


エリス「アベル様っ! 今、お助け致しますっ!!!」ドバーン!






パトラ「あ」ハンラ

アベル「あ」ハンラ





エリス「え?」

エリス「……」


アベル「……」ドキドキ

パトラ「……」ドキドキ

エリス「……」

エリス「この匂い……」チラ…

パトラ「!」

エリス「もしかしてパトラさん、その……///」

エリス「アベル様と、チョコレートを使って……?///」

パトラ「は、はい!? ごめんなさい出来心だったんです!?///」

エリス「あ、別に怒っているわけじゃないですよ!?」ワタワタ

エリス「ただ、私はまだ生クリームしか試していなくて///」

エリス「ちょ、ちょっとだけ感想を聞きたいかなって……///」

パトラ「……」


447 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/05(木) 00:08:17.75 ID:YCOZ/MHE0
――


特殊判定結果

パトラ、チョコレート気に入った?(純愛願望+性格により激化)


85≧85(チョ、チョコレートのせいなんです/// 逆に言うとチョコレートさえあれば……)

※基準値と同値のため、まさかのお気に入り

※チョコレートを言い訳に、少しだけ素直になってくれるかもしれません


――


パトラ「……」

パトラ「……す……」

エリス「え?」

パトラ「――すごく、よかったです……///」

エリス「わぁ、やっぱり///」

エリス「ど、どうしたんですか? やっぱり、塗り合ったのですか?」ワクワク

パトラ「あっ……!? そうだ、塗り合う……!」

パトラ「失念していました……アベルさんにも塗って、舐めれば私も……」グッ…

エリス「と、ということはパトラさんはアベル様にひたすら食べられてしまったのですね///」

エリス(迂闊でした……私も、こうしていれば……?)

エリス(……いえ。普段からアベル様からは沢山のものを頂いているのです)

エリス(私の選択も、きっと間違ってなかった筈。でも……)

エリス「やっぱり、気になります……!」

パトラ「ああ、これ以上はやめてください!? 思い出したらまた恥ずかしくぅぅぅぅ!?///」

エリス「……アベル様?///」チラ…

アベル「あ、ああ。い、いつか、な……」



448 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/05(木) 00:12:04.27 ID:YCOZ/MHE0
パトラパート終了となります。
かなり高めの基準値だったのにまさかの同値。
気がつけばみんな何かしらに染まってしまっていますね……

この後は残りの面々のチョコ渡しの様子の後、ようやく前スレ1000の幼少姉妹のお話となります
しかし幼少姉妹の過去話だと、取るべき判定コンマが地味に大事になるかも?
なんとか更新速度も戻せればと思います
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/05(木) 00:32:40.35 ID:XLgCHyYDO

感染しないよう気をつけて下さい
450 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/05(木) 10:16:39.31 ID:W6eC6Sie0

パトラさんえっちすぎるわぁ……
もしアベルの夜レベル低かったりしたらガチ赤ちゃんプレイとかもありえたのかな
451 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/07(土) 23:37:26.32 ID:7N1FIhx40
こんばんはー
早々にまた間が空いてしまいましたが、愛の祭り終わりまで進めたらと思います
452 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/07(土) 23:37:57.29 ID:7N1FIhx40
――


……


パトラ「ん、んん……///」コホン

パトラ「と、とりあえず、お二人共申し訳ありません」フカブカ

パトラ「チョコレートの効果に惑わされてしまいましたが、元はと言えば私の調理技術の不足が原因です」

パトラ「次回こそは、まともなチョコレートを……っ!」グッ!

パトラ「……」

パトラ「そういえばエリスさん、あれだけ拘っておられたチョコレートはどうされたのですか?」

エリス「うっ……」

アベル「なんだ、やはり作ってくれてはいたのか?」

パトラ「ええ。偶々目にしただけですが、それはもうものすごい熱意でしたよ?」

エリス「み、見られてたんですね///」

エリス「ただ、パトラさん?」

パトラ「はい?」

エリス「何事も、時には妥協も必要ということを私は学べました」トオイメ

パトラ「何があったんですか!?」

エリス「とりあえず、来年度は愛の祭りの一か月前から準備をする必要があります」

アベル&パトラ「「!?」」

エリス「……申し訳ありません、アベル様」

エリス「本来であれば、完成したチョコレートをお渡ししたかったのですが……」

アベル「い、いや。エリスが頑張って作ろうとしてくれただけで俺は十分嬉しいよ」

アベル「誰にだって失敗はある。あまり落ち込むことはないぞ?」

パトラ「しかし、意外です。あれだけ頑張って作っていたのに失敗なさるなんて……」






エリス「――純粋なチョコレートは今日に間に合いませんでしたので、代わりにこちらを!」



アベル「!?」

パトラ「こ、これは……」



453 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/07(土) 23:38:51.91 ID:7N1FIhx40
ガトーショコラ「……」キラキラ!



アベル「ケーキ、か?」

エリス「はい。チョコレートは冷やし固めてから、そのままの状態で長時間の熟成が必要とのことでして」

エリス「それでもやはり、出来るだけ早く召し上がって頂きたくもあり……」

エリス「キアラ様と相談した結果、再度溶かしてケーキに混ぜたんです」

エリス「これなら、熟成期間で改善される舌触りも他の食材が補ってくれますからね」

パトラ「す、すごくいい香りです……」

エリス「キアラ様は明日アベル様にお渡ししようかと仰っていましたけど、私は我慢ができなくて……///」

エリス「その、パトラさんのチョコを召し上がった後で恐縮なのですが……///」

アベル「いや、頂こう。ありがとうエリス」ナデナデ

パトラ「本当に申し訳ないです/// うぅ、私もこんなケーキを焼いてみたい……」

エリス「大丈夫ですよ。私もちょっと前まではアベル様がひきつっちゃうお料理しかできなかったんですから」

エリス「せっかくですから、パトラさんもいかがです?」

パトラ「え、いいんですか!?」

エリス「はい。パトラさんにも色々お世話になっていますからね」

パトラ「そ、それでは遠慮なく……」ゴクリ

エリス「でも、やっぱり一口目はアベル様がいいかな?///」

アベル「う、うむ///」




エリス「はいアベル様! 生クリームをつけて、どうぞお召し上がりください///」アーン!





……


――
454 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/07(土) 23:39:27.43 ID:7N1FIhx40
――


……


ローズ「やだもう、嬉しすぎて涙が零れちゃうワ!」ポロポロ

ローズ「天使達やみんながアタシの為にこんなにチョコレートを作ってくれるなんて!」

ローズ「しかもみんな美味しいワ! 本当に、自慢の子達ヨ!」モグモグ


フィーア「えへへ///」

アイナ「本当は私ももう少し頑張りたかったんだけど……」

アイナ「そ、そこはスミレちゃんが補ってくれたかな?」アセアセ

スミレ「いえ、ボク程度……と言いたいところなのですが」

スミレ「僭越ながら、少しばかりボクも皆さんのチョコ作りに指導をさせていただきました」

ローズ「うんうん、アナタのもよくできてるわぁ。見た目も味もかなりのものネ」

ローズ「ところで……」チラ…

キアラ「……///」

フィーア「じ、実はキアラ姉様はちょっと頑張り過ぎちゃったみたいで」ワタワタ

キアラ「ごめんなさいローズさん。もう一日だけ待って貰えると嬉しいです///」

ローズ「……まさかとは思うけど、キアラちゃんあなた一からチョコレート作ろうとしたの!?」

キアラ「は、はい/// エリスさんと相談して、ケーキにしちゃうことにしたんですけど……」

ローズ「なるほどネ。これは明日の楽しみも増えたワ!」ワクワク

ローズ「いいお祭りネ。やっぱり今度は、アタシも乙女として参加することにするワ!」


アイナ「うぅ、私ももっと乙女としての腕を磨かないとスミレちゃんに置いて行かれちゃう……」

スミレ「だ、大丈夫ですよアイナさん。置いてなんかいかないですから」アセアセ

スミレ「それにボクもまだまだ未熟。一から作ろうだなんてキアラ様の精神を見習わないと!」グッ!

アイナ「そ、そうだね。フィーア様も失敗しちゃってあの凄さみたいだし……」

アイナ「私達はローズさんの直属メイド! 最低限、お二人とローズさんに並ぶ力量を身に付けないと!」グッ!

ローズ「フフ、燃えているわネ。次回も期待しちゃうわヨ? あ、それとアタシはもう少し甘いほうが好みかもネ?」

一同「「わかりました!」」


ローズ(あぁ、本当に幸せネ……)


……

――
455 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/07(土) 23:41:06.73 ID:7N1FIhx40
――

……


アドルラン「こ、これを私に?」

ヒバリ「うん、頑張って作ったんだ」

ルーシェ「……///」モジモジ

ヒバリ「ど、どうかな? 私としては、ルーシェのものに勝るとも劣らない会心の出来栄えなんだけど///」

ルーシェ「ヒバリさん、アドルラン様の為にって……とっても、頑張っていました。わ、私もですよ……?」

アドルラン「あ、ありがとう二人とも///」


カイン「おーおー、あの兄さんが真っ赤になるとはねぇ?」ニヤニヤ


アドルラン「カ、カイン!?」

カイン「いやいや、最近の兄さんは見ていると面白いなぁ」

カイン「あんだけ馬鹿真面目で、縁談をむっかつくくらいに蹴ってきた兄さんがねぇ……」ニヤニヤ

カイン「二人からチョコを貰っただけで、そんなに照れるだなんて」ニヤニヤ

アドルラン「ぬ、ぬぅ……///」

ヒバリ「しょ、正直私達もアドルランがこんな反応してくれると嬉しくてね///」ニマニマ

ルーシェ「愛のお祭り、いいです///」ホクホク

カイン「見せつけるねぇ……」

カイン(……帝国ももう少し落ち着いたら後継者の心配なさそうだな?)

アドルラン「そ、そういうカインはどうなんだ?」

カイン「ん?」

アドルラン「お前とて、こうしてしっかり自分の好みに合わせて作ってくれたチョコレートを貰えば……」

アドルラン「きっと、私と同じ状態にはなると思うぞ?///」

カイン「はは、僕はそこまでにはならないよ?」ニヤニヤ

カイン「ま、兄さんには今までの反動もあるんだろうさ。どうぞこれからも二人と仲良くするといい」

カイン「その点、僕は兄さんよりは女性への免疫あるからねぇ」ニヤニヤ


ヒバリ「……」ニヤリ

ルーシェ「……」ニヤリ


456 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/07(土) 23:42:10.37 ID:7N1FIhx40
エメリナ「……カ、カイン様?」ヒョコ


カイン「エッ、エメリナ!? 聞いていたのか!?」アセアセ

エメリナ「……」

カイン「う、嘘だからな? 今のはちょっと見栄を張ったというか……」アセアセ

カイン「僕にはエメリナ以外の子はよりつかなかったし、僕もエメリナ以外に興味はないというか……」アセアセ





エメリナ「――カイン様、受け取ってくださいっ!!!」バッ!





歪なハート型チョコ「……」テーン




カイン「!?」

エメリナ「そ、その……皆さんのものと比べると、味も形も酷いですけど、それでも……!」

ルーシェ「そんなこと、ないです」

ヒバリ「うんうん。エメリナ、誰よりも頑張ってたじゃない」

カイン「……」

ヒバリ「私やメイドのみんなでちょっと手伝いはしたけど、基本はこの子が一人で頑張ったのよ?」

ルーシェ「悲劇、乗り越えました……!」グッ!

ヒバリ「だからエメリナの気持ちを……え?」



カイン「……///」プシュー…

一同「「!?」」

カイン「あ、ありがとうエメリナ。その……///」

カイン「だ、誰からかこんな贈り物をもらったことなんて、初めてで……///」

カイン「上手く、言葉に、できない、んだけど……///」プシュー…

エメリナ「カイン様ぁ!」ダキ!



ヒバリ「あらあら。予想以上に効果てきめんじゃない」ニヤニヤ

ルーシェ「頑張った甲斐、ありました」ホクホク

アドルラン「よかったなぁ、カイン……」ホクホク

アドルラン「この愛の祭り、是非とも帝国でも恒例行事としたいものだな!」


……


――
457 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/07(土) 23:44:47.04 ID:7N1FIhx40
――


……



マックス「……」

マックス「………」

マックス「…………」


グルグル……


マックス「……」

マックス「………」

マックス「…………」


グルグル……


マックス「……」

マックス「……」



特殊判定
↓1コンマ二桁


458 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/07(土) 23:45:52.31 ID:XDvbFP+70
459 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/07(土) 23:52:59.08 ID:7N1FIhx40
マックスの落胆

50>31

※基準値を下回ったため、深刻なダメージは受けず

※これにより……?

――


マックス「……」

ピタ…

マックス「はぁ……」

マックス「まったく、何を期待してるんだ俺は」

マックス「いくらこっそりお付き合いしているとはいえ……」

マックス「俺はまだまだ未熟な騎士で、キアラちゃんは皇女様だぞ?」

マックス「まさか聖国のお祭りに合わせて、俺に甘いチョコレートをくれるだなんて」

マックス「そんな都合のいい奇跡、起きるわけないよなぁ……」

マックス「俺ももっとパトラ将軍みたいに、邪念を振り払える立派な騎士にならないと」

マックス「そして、キアラちゃんも守れるような男になるんだっ!」グッ!




コンコン




マックス「おわぁ!?」ビク!

マックス「だ、誰だ!?」


キアラ「よ、夜遅くにごめんなさい。キアラです」


マックス「キ、キアラちゃん!?」ドキドキ

マックス「ま、待ってて。すぐにあけるから!」ガチャ


460 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/08(日) 00:04:22.08 ID:3buAz8Pt0
キアラ「ごめんなさいマックスさん、おしかけちゃって……」

マックス「い、いや全然大丈夫だよ!?」ドキドキ

キアラ「そ、その……///」

キアラ「遅くなっちゃったけど……あ、愛の祭りらしいから、これを……///」



ガトーショコラ「……」キラキラ!



マックス「!?」

キアラ「その、本当はチョコレートそのものを用意したかったんだけど……」

キアラ「ちょっと予定外のことがあって……」

キアラ「エリスさんと相談して、チョコレートを混ぜたケーキにしてみたの」

キアラ「ま、まだ誰にも食べさせてないから、味の保証ができないけれど……///」

マックス「だ、誰にも!?」

マックス「え、アベル皇子やローズさんにも!?」ドキドキ

キアラ「う、うん///」




キアラ「――普段、マックスさんにはあまり表だって想いを伝えられていないから」

キアラ「――きょ、今日くらいは、一番に伝えたいかなって///」



マックス「」フワー…

キアラ「マックスさん!?」

マックス「――はっ!? 嬉しさのあまり意識が飛んだ!?」

キアラ「そんなに!?」

マックス「いや、それくらい嬉しいってこれ! た、食べていいのほんとに?」ドキドキ

キアラ「う、うん///」

マックス「……」ドキドキ


追加特殊判定
↓1コンマ二桁

461 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/08(日) 00:05:09.02 ID:4nz8MSG80
462 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/08(日) 00:05:09.35 ID:xFK189UuO
そぉい!
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/08(日) 00:06:03.42 ID:VCqzFTo20
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/08(日) 00:06:08.95 ID:jUht84UA0
極端な数字だが果たして
465 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/08(日) 00:11:55.10 ID:3buAz8Pt0
マックスとキアラの羞恥心

15>02

※基準値を下回ったため実行!

――



マックス「……」ドキドキ

マックス「だ、駄目だ。緊張してフォークが持てそうにない」プルプル…

マックス「……」




マックス「――った、食べさせてくれたり、しないよね?///」

キアラ「!?///」ボッ!



マックス「ご、ごめん! 今の無し! 落ち着いたらちゃんと自分で――」



キアラ「……///」スッ…

マックス「え?」

キアラ「ほ、本で読んだことは、あります……///」

キアラ「こういう時は、こうするのが作法なのですよね?///」





キアラ「マックスさん……あ、あ〜んしてください?///」




マックス「」





マックス(俺は今日、死んでもいい)ダバー!

キアラ「マックスさん!? 泣いちゃう程に不味かった!?」オロオロ

マックス「う゛ま゛い゛よ゛おぉぉぉぉぉぉ……!」ダバダバ!



……


――

466 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/08(日) 00:14:10.92 ID:4nz8MSG80
この二人純愛してんなー
467 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/08(日) 00:15:06.97 ID:CypAqL7fO
マックスはやはりもってやがる…
468 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/08(日) 00:15:37.84 ID:3buAz8Pt0
――

……


アルフ「……よかったのかリーナ?」

リーナ「何がですの?」

アルフ「皆の報告を聞く前に帰ってしまって」

アルフ「やはり、祭りを伝えたのは我らだ。その……」

アルフ「上手くいったか、少し気になるではないか?」ソワソワ

リーナ「大丈夫ですの。何しろみんな私のよく知るお友達ですのよ?」

リーナ「きっと神も、それぞれに優しい祝福を授けてくださっていますの!」

アルフ「……」

アルフ(約一名、バーンズという犠牲者はいたがな……)

マークス「うむ、リーナ様の仰る通りだ!」

マークス「彼女達も頑張っていたし、きっとその気持ちは伝わる筈!」

マークス「今回の祭りを機に、帝国にも広まるといいですな!」

アルフ「アドルランが好意的に受け止めてくれれば、可能性はありそうだな」

リーナ「ふふ、まだまだ道は遠いかもしれませんけど……」

リーナ「今後も帝国や王国ともこういった交流は続けましょう」



リーナ「そして、三国が本当の意味で平等、愛にあふれる幸せな未来を築いてみせますの!」

リーナ「兄上、みていてくださいな!」グッ!



――


おまけEX10 【戦いを終えて〜〜聖国・愛の祭り〜〜】 おしまい


――
469 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/08(日) 00:20:15.41 ID:3buAz8Pt0
というわけでおまけ10終了となります
マックスは毎回結構判定を厳しめにしてある筈なんですけど、よくクリアしてきますねぇ……
なおその代償なのか運が悪い時は極端な結果ばかり出していますけど

明日からはようやく姉妹幼少期編となりますが……
正直、着地点にまだ悩んでいるというのが本音ではあります
あまり重いものにし過ぎるのもあれですし、小話セットも手の一つと考えているのですが、
よろしければ幼少期姉妹で見てみたいシーンなどがあれば、挙げていただけるとありがたいです。
そしてそれとは別に先に特殊判定を少し
本日もありがとうございました!

特殊判定
↓1〜3コンマ二桁
470 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/08(日) 00:20:46.19 ID:4nz8MSG80
471 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/08(日) 00:20:51.37 ID:VCqzFTo20
472 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/08(日) 00:21:35.42 ID:xFK189UuO
おつおつ
おめでとうマックス……!
473 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/08(日) 00:22:09.45 ID:ebjnkINDO
こっそり城内か外を冒険とかかな?
474 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/08(日) 00:23:42.56 ID:vgLhxuG9O
おつです
妹ズ過去編だとやはりどういうきっかけでパパンがフィーアの才能を見抜いたのかが気になるので、その辺りとかお願いしたいです
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/08(日) 00:29:16.31 ID:VCqzFTo20
見てみたいシーンではキアラの膨大な魔翌力がローズさんに見つかってコサージュをもらった経緯について見たいです
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/08(日) 00:37:57.64 ID:CypAqL7fO
おつおつ。まさに愛の祭りなイベントだったな
過去編はフィーアが初期アベル隊ヒロイン達も姉様って慕うようになった経緯とかちょっと見たいかも
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/08(日) 07:31:29.87 ID:grmywhPL0
重い話になるかもしれないけどハードモードだったキアラの様子とそれでも腐らずにいけた理由が見たいかな
478 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/08(日) 23:35:12.99 ID:3buAz8Pt0
こんばんはー
色々な案をありがとうございます
それでは短いですが、過去開始までの導入部分だけ投下します
479 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/08(日) 23:35:46.68 ID:3buAz8Pt0
――


EXイベント11

【戦いを終えて〜〜かつての帝国皇女姉妹〜〜】


――
480 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/08(日) 23:36:12.10 ID:3buAz8Pt0
【帝国・アベルの城塞】



フィーア「よいしょ、よいしょ……」

キアラ「ふぅ……」トサ!

アベル「よし、こっちはこれでいいか?」ゴト!

マックス「うおぉ、思ったより重い……!?」ヨロ…

パトラ「まったく、無茶しないのマックス」ヒョイ

ロウル「一気に片づけたい気持ちはわかりますけど、こういう時は運べるものは小まめに運ぶべきですよ?」

アーシャ「最近、旅行やお祭りで少し気を抜き過ぎたかしら……? まさかこんなに色々書類が溜まっているなんて」

アベル「兄様達いわく、不要なものも多いらしいが、まるで目を通さないのも不味いからな……」ドサリ!

ティア「ん、んん……!」プルプル…

シア「この箱も重いです〜……」プルプル…

エリス「ああ、お二人とも無茶は駄目ですよ!?」ワタワタ

アベル「一応、これで最後だが……」ドスン!

マックス「ふひぃー……な、なんなんですかこの荷物?」

マックス「確か現状の帝国は、アドルラン皇子を皇帝代理としている筈ですよね?」

マックス「帝国の施政に関わる書類は王城に送られると記憶していますが……」

アベル「俺も一応、兄様の補佐の立場だからな。皇子全員の署名が必要なものもある場合は、こちらにも送られてくる」

アベル「それに黒騎士として動いていた名残なのか、俺宛への依頼書などもあるからな」

ロウル「流石に全部はアベルさんも処理しきれないんで、署名書類以外は私達もお手伝いするんですけど……」

エリス「なんだか、前よりもさらに量が増えていますよね?」

アーシャ「……こちらは全部、重要な案件の書類みたいです。ではこっちは……?」パカ!


481 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/08(日) 23:37:32.96 ID:3buAz8Pt0
アーシャ「……え?」ヒキッ…

パトラ「ど、どうしたんですかアーシャさん!?」

シア「な、何が入っていたんですか〜?」トテトテ

ティア「ちょっと、気になります……」

マックス「って、なんだこの数の便箋やら装丁書やらは……この感じ、貴族からなのか?」

ロウル「あー……一応、一応見てやりますかねぇ」ヒキッ…

エリス「……」ビリ…




『帝国名門貴族たる我が家にて、アベル皇子を讃える――』




アーシャ「よし、燃しちゃっていいわ」

エリス「初級火炎魔法」ボッ!

パラパラ…

マックス「うえぇ!? い、いいんですかそれぇ!?」

ロウル「いーんですよ。あ、こっちもですね。もう普通に破いて捨てましょう」ビリビリ!

パトラ「……なるほど、アベルさんに取り入ろうとする貴族の下心丸出しの手紙の山ですか」ハァ…

アーシャ「最近、多いんですよね……」ビリビリ

ロウル「王国貴族もですけど、帝国貴族も大概なのが実情ですからねぇ……」

アーシャ「耳が痛いわ……あ、これも棄てましょう」グシャア!

シア「え、縁談のご案内書まで〜!?」ワタワタ

ティア「ア、アベルさん、やはり貴族の方とご結婚なさっちゃうんですか……!?」

アベル「するわけがないだろう、あんな連中と……」

アーシャ「……帝国将の娘までいますね。なんとしてでも地位にしがみつきたいのでしょう」

ロウル「まったく、帝国が変わった途端に急に態度を改めて、本当に嫌な連中ですね」

エリス「アドルラン様とカイン様も、苦労なさっているかもしれませんね……」ビリッ!


482 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/08(日) 23:40:16.31 ID:3buAz8Pt0
フィーア「むぅ、アベル兄様は変な人には渡したりしませんからね!」プンプン!

キアラ「と、とりあえずそういった書類は全部捨てちゃう方向でいいのかな?」

キアラ「それじゃあこっちの箱も……」カパ

キアラ「……え?」

フィーア「キアラ姉様? どうされ……っ」


キアラ「……」

フィーア「……」


マックス「ど、どうしたんだ二人とも?」

マックス「アベル皇子にスカーレット将軍が求婚とかそんなとんでもな――」


パサ…


パトラ「マ、マックスまで!? 一体何を……?」ヒョイ

パトラ「こ、これは……」







マックス「――キアラちゃんとフィーアちゃんにまで縁談来てる……」






一同「「!?」」



483 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/08(日) 23:42:18.68 ID:3buAz8Pt0
アベル「……」

エリス「……」

アーシャ「……」

ロウル「……貸してください」

パトラ「は、はい」スッ…

ロウル「……おーおー、これはすごい。とある帝国将さんからの縁談話ですよ」

アーシャ「息子も以前よりキアラ皇女を気にかけており……よくもまあこんな出鱈目を」

エリス「……こちらも、似たような内容ですね」

アベル「これは帝都のあの貴族から、フィーアに対してか。……全部処分でいいな?」

フィーア「はい!」

キアラ「……」コクリ

マックス「……」ブルブル…


メラメラ…


アベル「……すごいな、本当に余計なものばかりだったようだ」

ロウル「一気にさっぱりしましたね!」

マックス「……」

マックス「……あの、よかったんですか?」

アベル「ん、何がだ?」

マックス「その、アベル皇子はもうエリスちゃん達がいるからわかりますけど……」

マックス「キ、キアラちゃんとかは、やっぱりちゃんとした家系と……」

アベル「……確かに、国を考えれば政略上の結婚というものもあるだろう」

アベル「だが、可愛い妹達がそんなものの道具にされるなど我慢ならん。二人の結婚は二人が決めた相手とすべきだと俺は思う」

フィーア「私は、アベル兄様のような方でなければ全員お断りです!」ピョン!

ロウル「まあ、アベルさんの意見は多少家族目線も入ってしまってますけど……」

エリス「私達の目からしても、さっきの貴族達にはお二人をお任せすることなどできません」

アーシャ「彼ら、昔のことを忘れたのかしらね……? 厚かましい限りだわ」

マックス「昔のこと……?」

アベル「……」

アベル「そういえば、あまり昔の帝国を語ったことはなかったな」

アベル「シアにパトラ、それにティアには俺が妾の子として暗黒街に捨てられたことくらいは話したとは思うが」

ティア「は、はい。すごく、驚きました……」

シア「私もです〜……」

パトラ「……その言い方だとアベルさん、お二人も?」

アベル「……」
484 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/08(日) 23:45:40.54 ID:3buAz8Pt0
――

三連特殊判定結果

1:当時のアベルの王城内での評価(妾の子−20補正有)

19−20

= 0 (−1)

 王城内は勿論、本来なら帝国にいることもまかり通らん!

※皇帝からは無関心、その他上層部や兵からは邪魔者扱い。城塞だけが唯一の場所だったようです

2:当時のキアラの王城内での評価(フローレンによる−10補正有)

37−10

=27(ろくに武器も握らない、本ばかり読む子が第一皇女って大丈夫か……?)

※アベル程ではありませんが、相当肩身が狭い境遇です

3:当時の王城内でのフィーアの評価(暗殺才能未開花のため補正無)

42(……まあ、まだ小さいしこれから期待すべきか?)

※兄や姉に比べると周りの対応も幾分優しめですが、それでも冷たい人の方が多いです

※全員基準値50を下回った為、かなりハードな幼少期だったようです

――


アベル「ああ、俺は言わずもがなというか」

アベル「当時、カイン兄様は一人で暗黒街を生き延びたことで少し評価されたのに対して……」

アベル「俺は兄様よりも時間がかかったうえ、エリスとロウルに支えられてようやくだったからな」

アベル「父がこの城塞で暮らすことを認めてくれなければ、俺も帝国そのものを追われていただろうな」

シア「そんな……」

アベル「だが、それ以上に問題だったのは……」

アベル「当時のキアラとフィーアに対しての風当たりも、相当に強かったということだ」

マックス「え!? ど、どうして……!?」

アベル「今からもう10年以上前の話だ……」

アベル「アドルラン兄様も病弱な身体こそ克服されていたが、まだ身体は完成しきっていない頃だ」

アベル「カイン兄様は両目の光を失い、実力主義に怯えた結果が歪んで強者の地位にしがみつく様になってしまった」

アベル「俺は論外。続く皇女二人は戦う力も意思も持たない……」

アベル「時が経つにつれ、皇帝ギルバートの子供達はどんどんと帝国を継ぐには不安のある者ばかりになった」

アベル「今以上に幼く、戦いを好まなかった二人は実力主義に傾倒した帝国上層からすれば、面白くない存在でもあったんだよ」

パトラ「なんて、身勝手な……!」フルフル…

ティア「酷すぎます……」

キアラ「だ、大丈夫ですよ!?」ワタワタ

485 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/08(日) 23:50:10.48 ID:3buAz8Pt0
キアラ「確かに、大変ではありましたけど……」

キアラ「アベル兄様と比べれば全然ですし、本ばかり読んでいたのも事実ですし……」

フィーア「私もです! 昔には嫌な思い出もありますけど……」

フィーア「それも含めて成長して、今の私がここにあるんですから!」エヘン!

キアラ「少し遅れてしまいましたけど、今こそ私達も帝国皇女として頑張ろうと思っています」

アベル「……本当に、立派な妹達だ」ナデナデ

フィーア「えへへへ///」

キアラ「……///」

パトラ「本当に、ご立派です……」

パトラ「しかし、なんといいますか……」

キアラ「?」

パトラ「それだけの境遇で、どうしてお二人はここまで純真に育たれたのでしょう?」

シア「あ、それは私も気になります〜。私の方が神様に怒られちゃうって、よく思うくらい純粋ですもの〜……」

ティア「は、はい。あの恐ろしい皇帝のお子さんとは思えないです……」

マックス「よくない扱いされてて、それでもキアラちゃん達はこんなに優しくていい子なんだもんなぁ……」

マックス「確かにどうしてかってのは、気になる……」

キアラ「べ、別に面白い話ではないですよ……?///」

フィーア「んー……アベル兄様が希望だったのは間違いないですけれど」




フィーア「――やっぱり、あの頃はローズさんがいてくれたからこそ、ですね!」




……

――
486 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/08(日) 23:57:26.52 ID:3buAz8Pt0
導入部分まで進んだ辺りで今日はここまで
フィーアくらいは+補正いれておこうかと思いましたけど、まだこの時点ではギルバートに見いだされていないので無補正に
……したら綺麗に全員50下回りましたね(白目)
まあ既に未来がこうなっている+ローズがいるので、過去の悲惨さは相応に抑制されると思います

そして再び先に特殊判定も取っておきます
本日もありがとうございました!

特殊判定
↓1〜2コンマ二桁
487 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/08(日) 23:57:59.54 ID:yN+9uBIn0
488 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/08(日) 23:58:17.73 ID:ebjnkINDO
はい
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/08(日) 23:59:32.63 ID:APTNb2hNO
設定後押しするかのようなアベルへの容赦ないコンマよ
490 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/09(月) 23:52:35.07 ID:xgiSsQKf0
こんばんはー
遅くなってばかりですが、ちょっと安価部分まで進んでいきます
491 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/09(月) 23:53:07.42 ID:xgiSsQKf0
――


……皇女姉妹幼少期……




ローゼン(……これが、ノワール様が危惧されていたことか)

ローゼン(天使にかまけている間に、まさかアベル様とカイン様が……)

ローゼン(いや、それだけじゃない。ノワール様も、もう何日もこの部屋にお戻りになられない)

ローゼン(おそらくは……)

ローゼン「……」チラ…


フィーア「きょうも、にーたまとはあそべないの?」

キアラ「アベル兄さまも、おいそがしいんだよ」

キアラ「だ、だいじょうぶ。わたしがかわりに遊んであげるからね?」ナデナデ

フィーア「わーい!」


ローゼン(……暗黒街は広いうえ、ここからは距離がある。とても一人じゃ探せない……)

ローゼン(それにこの子たちを置いていくことは絶対にできない……!)

ローゼン(拠り所だったお兄ちゃんとお義母さんを失ったこの子たちに、これ以上辛い思いはさせられない……!)

ローゼン(俺が――アタシが、この二人を守ってみせる……っ!!!)グッ!


ローゼン「……」スッ…





ローズ「はーいっ、二人ともアタシを見て見てっ!」ジャジャーン!





キアラ「!?」

フィーア「?」



ローズ「ノワール様とアベル様は、今ちょーっと忙しいのヨ」

ローズ「だから、お二人が戻られるまではアタシがあなた達のお姉さん、お母さんになってあげるっ!」

キアラ「え、え?」オロオロ

ローズ「大丈夫。絶対に辛い思いはさせないからネ……! 楽しい、そしていつか立派なレディーになれる生活を約束するワ!」

キアラ「ロ、ローゼンさん?」

ローズ「ローゼンは仮の姿……アタシは乙女、ローズなのヨ!」


492 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/09(月) 23:53:33.88 ID:xgiSsQKf0
二連特殊判定結果

ローズの姉妹保護方法

1:陰から? 表から?

01〜50:陰からサポート
51〜00:表から堂々と

コンマ54
51〜00:表から堂々と


2:メイド長、すぐになれたの?

73>70

※基準値を超えたため、メイド長早期就任!

――


ローズ「帝国は実力主義……」ブツブツ…

ローズ「幼いこの子達に、でもフローレンは関心が薄い……お世話役は必須……」ブツブツ…

ローズ「ノワール様の推薦が無いのであれば、自らの手で勝ち取るまでヨ!」

ローズ「この子達にも、アタシにも、余計な口出しを許さないほどに……!」

ローズ「今まで抑えてきたけど、アタシも覚悟を決めたワ。これはその決意でもある……」

ローズ「待っていて。すぐに、誰も何も言えないくらいの地位に……」

ローズ「メイド長に、なってくるからネ!」シュバ!


キアラ「え、えぇ……?」コンラン

キアラ「わたしたちを心配してくれてるのかな……?」

フィーア「すごいすごい! はやーい!」キャッキャッ!

キアラ「……」



アベル『キアラ、フィーア。もし、俺や兄様が突然いなくなったとしても』

アベル『一人でも、生き延びられるように頑張るんだぞ……?』

ノワール『……アベル……』

キアラ『に、兄さま、いなくなっちゃうの?』ウルウル

フィーア『ふぇ、ふぇぇ……』ジワ…

アベル『だ、大丈夫だ! たとえばだ、たとえば!』アセアセ



キアラ「……」ジワ…

キアラ「……!」フルフル!

キアラ「フィーアちゃんは、まもってあげるからね。絶対に……!」ギュッ…!

フィーア「ね、ねーたま?」



……


――
493 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/09(月) 23:54:00.08 ID:xgiSsQKf0
――


【帝国・メイド試験会場】




ローズ「これでどうっ!?」ダァン!

審査員1「う、美味い!? なんだこの料理は!?」


審査員2「や、やめろ! わかったから、俺で実演する必要はないからな!?」キュ!

ローズ「そこまでお尻をガードしなくても……」



メイド「え……あれ、ローゼン君……?」

執事「いや、髪色は同じだが流石に違うだろ? あいつ真面目で割と口数少なかったし……」

メイド「そ、そうだけど……」

執事「それに今大事なのはそこじゃない。あの技術は、あらゆる面でメイド長を凌駕しているぞ……!?」



メイド長「く……そんな、名家の私が、こんな性別も怪しい若造に負けるなんて……!」

ローズ「性別や年齢なんて些細な問題ヨ? メイドや執事は――仕えるべき主への想いこそが大事」

ローズ「そして今のアタシは、その想いが溢れまくっているワ……!」ゴゴゴゴ!

ローズ「さぁ、メイド長? 料理も夜のレベルも、アタシが上回ったワ。残すは……」

メイド長「……この帝国において、最も重要なのは力っ!」ヒュパン!

メイド長「他がどれだけ優れていようと、弱者では――」




――『熱情の律動』発動――




ローズ「滾れぇ! アタシの肉体イイィィィィィィィィ!」ズドドドドドドドド!



メイド長「いやらばああぁぁぁぁぁぁぁっ!?」ドグシャァ!!!





メイド達「「」」

執事達「「」」




……



――
494 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/09(月) 23:54:43.41 ID:xgiSsQKf0
――


【皇女姉妹の部屋】



キアラ「――おしまい。ど、どうだった?」パタン

フィーア「いいおはなしだった!」キラキラ!

フィーア「ねーたま、つぎはつぎは?」ワクワク

キアラ「えっとね……」




ローズ「戻ったわよ、天使達っ!!!」ゴスロリー!




キアラ「に、にぎやかになってる!?」ガーン!

フィーア「わぁ、きれー!」パチパチ!

ローズ「ん゛っ……! あ、ありがとうネ」

ローズ「ふふ、無事にメイド長になれたわヨ!」グッ!

キアラ「ほ、本当に!?」

ローズ「ええ。まぁまだ、新米だからネ……」

ローズ「外はまだ前の格好じゃなきゃうろつけないけれど、それもすぐに覆してみせるワ」

ローズ「少なくとも王城内でのあなた達のお世話は、アタシやアタシが認めた子にしかさせない」

ローズ「それに、地位の向上って便利なものネ。欲しいものも色々手に入りやすくなったワ!」スッ

裁縫道具「……」

キアラ「これは……」

ローズ「ふふ、アタシこう見えても、何かを作るのが好きで結構得意なのヨ?」

ローズ「可愛い女の子ですもの。お洒落もレディーの嗜み……」

ローズ「さぁ、これから忙しくなるわヨー!!!」



ローズ(これから先何があっても、この天使達は守り抜いて見せるワ……!)グッ!



……



――
495 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/09(月) 23:54:56.06 ID:wviBdxmtO
流石はローズさんやねえ
496 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/09(月) 23:56:15.29 ID:5wLnCW740
ローズさんはいつも有能
497 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/09(月) 23:56:19.02 ID:xgiSsQKf0
―――
――





キアラ「――といった具合に、ローズさんは当時から私達の為に尽力してくださったんです」

フィーア「当時は私もローズさんと姉様の思いも知らず、ただ楽しんでいるだけでお恥ずかしいです///」

マックス「へぇ、やっぱりあの人凄かったんだなぁ……」

パトラ「かなり変わったお方ですけど、お二人への忠義……いえこの場合は少し違うでしょうか?」

シア「……愛、の方が相応しいかもしれませんね〜。本当にお母さんみたいです〜」ニコニコ

ティア「神よ、やはり帝国にも以前から慈愛の精神はありました……!」

アベル「本当に、ローズさんや二人には色々と迷惑をかけたものだ……」

ロウル「時期的に、アベルさんはまだ私達と暗黒街をさまよっている頃ですかねぇ?」

アベル「だろうな。俺がもっと、しっかりしていれば……」

キアラ「……確かに、アベル兄様が突然いなくなったことは辛かったです」

キアラ「もし、あの時からずっと兄様も一緒にいたらと、考えなかったわけでもありません」

フィーア「でも、それだと……」

フィーア「エリス姉様にロウル姉様、アーシャ姉様とは会えなかったと思います!」

フィーア「それに今はこうして兄様達と色々できて幸せです!」ピョン!

アベル「そうか……確かにな」

ロウル「非常に不味い発言ではありますけど、アベルさんが捨てられなければ、私とエリスさんは死んでたでしょうね……」

エリス「ええ……」

マックス「……わ、わかったつもりでいたけど、やっぱ帝国って怖いなぁ……」

マックス「で、でもアベル皇子達はこうして元気どころか滅茶苦茶強いし、キアラちゃん達にはローズさんがいたわけだし……」

マックス「この後は、少しは楽に過ごせたのかな?」

フィーア「うーん……」

マックス「あ、あれ?」

アーシャ「……事はそう単純でもないのが、当時の帝国の厄介さです」

キアラ「確かにローズさんの存在は大きかったのですが……」

キアラ「それでも、色々と大変なことはありましたね」

フィーア「たとえば……」


――

※次の姉妹の過去のイベントを選んでください


1:フィーアの王城脱走作戦(判定おおめ)

2:キアラの忍耐(コサージュ話含む)

3:キアラとフィーアのレディー特訓

4:少し成長した二人とアベルの野心

5:その他自由安価

↓1〜3多数決
498 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/09(月) 23:58:54.52 ID:bqG6ShDz0
4
499 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/09(月) 23:59:22.13 ID:tP9yKmmDO
2
500 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/09(月) 23:59:27.95 ID:hbimBLcF0
2
501 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/09(月) 23:59:35.25 ID:ewRoB3GOO
幼い順?に行きたいし1かな
502 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/10(火) 00:00:13.59 ID:zVdNf/dsO
1
503 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/10(火) 00:03:01.82 ID:rIH8mGir0
2のキアラ奮闘に決まったあたりで今日はここまで
これまでの判定や各キャラシートを併せると、キアラはかなり苦労多いんですよねぇ……
まあ未来の判定で鋼メンタルったりヴァ―ミリオンぶっぱとかとんでもない成長しているんですけど

本日もありがとうございました!
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/10(火) 07:15:48.08 ID:vyJgg8Cp0

どれも気になる
505 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/10(火) 23:26:40.38 ID:rIH8mGir0
こんばんはー
それではゆるゆるとキアラ忍耐から再開していきます
506 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/10(火) 23:27:13.63 ID:rIH8mGir0
2:キアラの忍耐

――


フィーア「キアラ姉様は、昔から大変だったんです!」

キアラ「フィ、フィーアちゃん、私の話なんて……」

マックス「……」

マックス(キアラちゃんの小さい頃……)

マックス(気になるに決まってるじゃないか……っ!)

マックス「た、大変てどれくらい?」

フィーア「えっと、とにかく私よりもです!」

フィーア「キアラ姉様はとっても優しくて、綺麗で、色々な本を知っていて……」

フィーア「私には自慢の姉様なのです!」

キアラ「///」

マックス「うんうん」

フィーア「でも……」

フィーア「お父様も、お母様も、お城の人達も……」

フィーア「気にかけるのは、いつも私ばかりで……」

パトラ「どうしてそんな……」

アベル「キアラは小さい頃から優しく、戦いを嫌っていた」

アベル「実力主義の帝国皇女としては、明らかに異質だったんだ」

シア「聖国だったら、むしろ崇められていたと思います〜……」

ロウル「……今更ですけど、リーナさんは聖国王女にしては随分行動派でしたものね」

フィーア「私もよく動き回っていたので、皇女らしくはないかもですけど……」

フィーア「とにかくキアラ姉様は、ちゃんと皇女としてのお勉強をしっかりこなしていました」

フィーア「それなのに……」


……

――

507 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/10(火) 23:28:15.85 ID:rIH8mGir0
―――
――



【帝国・皇女の部屋】


ローズ「よし、今日の座学の時間はここまで!」

ローズ「のみこみが早くて素晴らしいワ! 予定よりかなり早く終わったわヨ?」

キアラ「ありがとうございますローズさん」

キアラ「……では、のこりの時間はこのまえの本のつづきを」

ローズ「キアラちゃんは本当に本が好きなのネ」

ローズ「今度また、面白そうな本があったら仕入れとくワ!」

キアラ「だ、だいじょうぶです! それより、フィーアちゃんに!」ワタワタ

フィーア「わたし、ねーたまとごほんよむのすきー!」

ローズ「安心なさいな天使達! ちゃんと、二人の望むものを仕入れてくるからネ!」

ローズ「あ、そうだ!」パン!

ローズ「折角だから、お買いものに行きましょう!」

ローズ「やっぱり本は、読む子が選んだ方がいいし!」

ローズ「あ、どうしてもその本の続きが気になるならまた今度でいいけど……」

キアラ「そ、そんなことないです!」パタン

キアラ「あ、あたらしい本……ほんとうにいいんですか?」

ローズ「もちろんヨ! フィーアちゃんも一緒ヨー?」

フィーア「わーい!」キャッキャッ

ローズ「さ、はぐれないように手を繋いでいきましょうネ?」

キアラ&フィーア「「はーい!」」


ギュ…


ローズ(……両手を愛らしい天使に握られて、アタシほんとこのまま天に昇るんじゃないかしら?)ブバッ!



……



――
508 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/10(火) 23:29:13.38 ID:rIH8mGir0
――


【帝国・王城内】


ローズ「……」コツコツ

フィーア「……」キョロキョロ

キアラ「……」ドキドキ

キアラ(おでかけ、いつぶりかな……?)





帝国兵1「ん、あれって……」

帝国兵2「新しいメイド長ってのと……フィーア様と、キアラ様か?」

帝国兵3「ははーん、なるほどなぁ。流石は皇帝陛下だ」

帝国兵1「どういう意味だ?」

帝国兵3「新しいメイド長は前メイド長を完膚無きまでにぶちのめしたって話だ」

帝国兵2「ああ、聞いた聞いた。凄すぎて次回からさらに戦闘技能の採点を重視するってんだろ?」

帝国兵3「甘ったれじゃなくて、武闘派メイドを教育係にすることで……」




帝国兵3「――あの出来損ないの皇女様を鍛え直そうって魂胆なんだろ?」




キアラ「っ……!」



帝国兵1「お、おい……!?」

帝国兵3「全く皇帝陛下もお辛いだろうに……」

帝国兵3「自分の子が、どれもこれも失敗作……いや、第一皇子様は少し芽吹いてきたんだったか?」

帝国兵2「アドルラン様は最近になって成長したと聞くが、確かに残りはな……」

帝国兵3「第二皇子はひょろっとしてるし、第三皇子に至っては妾の子」

帝国兵3「それだけじゃくて、第一皇女は戦いどころか外出もしない」

帝国兵3「それに第二皇女も巻き込み続けてるとなりゃ、もう見て見ぬふりもできねえわなぁ」


キアラ「……」


509 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/10(火) 23:30:46.58 ID:rIH8mGir0
帝国兵2「フローレン様からの評価も低いとなりゃ、魔法の才も無いんだろうしな……」

帝国兵3「皇子が駄目で、皇女ならって期待してみれば一番酷い出来とはねぇ……」ヤレヤレ

帝国兵1「ま、まだ小さいだろう? だから陛下も新しいメイドを……」

帝国兵3「まー確かにまだ餓鬼だけどよ、あと4、5年もすりゃ絶対に兄貴の後追うぜありゃ」

帝国兵2「……ギルバート様も、我が子には慈悲の心があるのかもな」

帝国兵2「どうあれ10年強は、弱者でも許しているわけだからな。そうなると確かに……」

帝国兵1「……」スタスタ…

帝国兵3「あ、おいどこ行くんだ?」

帝国兵1「いつまで無駄口叩いてんだ。とっとと鍛錬場で、相手叩いた方が効率的だろ」

帝国兵1「俺らだって、いつ暗黒街……いや、死んでもおかしくないと思うぞ」

帝国兵2「……なんだあいつ、急に真面目ぶって」

帝国兵3「俺たちゃ天下の帝国兵だぜ? 王国だろうが聖国だろうが――がっ!?」ムンズ!








ローズ「はぁい?」ゴゴゴゴゴゴゴ!







帝国兵3「ひぎぃ!?」メキメキ…

帝国兵2「メイド長!?」

ローズ「ちょうどよかったわぁ。今、アタシの雄の部分がもう滾ってしかたないのヨ」

ローズ「――皇女様より、強者の兵士と鍛錬した方が、燃えるわよネェ……?」ズゴゴゴゴゴ!




帝国兵2&3「「」」ジョバー…



……


――
510 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/10(火) 23:31:10.12 ID:88VzkLIsO
「オイオイオイ」「死ぬわアイツ」
511 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/10(火) 23:31:39.52 ID:rIH8mGir0
――


【帝国・帝都】


ローズ「やれやれ、ちょっと無駄な時間を使ったけど、気にせずお買いものヨ!」

キアラ「……あの、ローズさん……」

ローズ「いいのよキアラちゃん。あんな連中なんて気にしなくて!」

フィーア「なんだか、やなひとたちだった!」プンプン!

ローズ「ああいう大人になっちゃ駄目ヨ?」

ローズ「あなた達は、立派なレディーを目指すの!」

フィーア「はーい!」

キアラ「……」

ローズ「それじゃ、さっそくキアラちゃんの読みたい本を探しましょ?」

ローズ「お金の心配は大丈夫ヨ。なんといってもメイド長だからネ」

フィーア「わたしもごほんよみたい!」キラキラ!

ローズ「もっちろん、フィーアちゃんの本も選んであげるからネ!」

ローズ「それじゃあ、どの本屋に行こうかしら……」

キアラ「……」


特殊判定
↓1コンマ二桁
512 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/10(火) 23:31:53.19 ID:oizLx+vCO
ほいさ
513 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/10(火) 23:46:26.16 ID:rIH8mGir0
キアラの忍耐・好きな本

25>19

※基準値を下回ったため、好きな本は我慢

――


【帝国・とある本屋】


フィーア「わぁぁ……!」キラキラ!

ローズ「まずは大きい店からよネ!」

キアラ「……」

キアラ(皇女として……)

キアラ「……」スッ…

ローズ「お、さっそく欲しい本が見つかったのかしら?」ワクワク

ローズ「やっぱり綺麗な絵本? それともあの子ならもう文字が多いものでも……」



キアラ「……」キョロキョロ

キアラ(……わたしでも、読めるもの……)

キアラ(ううん、読めるようにならなくちゃ……)

キアラ(あ、たぶんこれ……そういう本だよね?)



キアラ「ローズさん……」

ローズ「あら、決まった? 指をさしてくれれば取ってあげるからネ?」

キアラ「あれと……あの本にします」スッ




『戦後手当・入門編』

『生き延びる戦術』




ローズ「!?」

フィーア「?」

キアラ「や、やっぱりだめですか……?」

ローズ「い、いや買えないわけじゃないけど……」

ローズ「キアラちゃん? もっと、可愛い本でもいいのヨ?」

キアラ「いえ、あの本がいいです」

ローズ「……」

キアラ「さっきの兵士さん達は、ただしいです」

キアラ「わたし、もうすぐ誕生日……10歳なんて、すぐです」

キアラ「たのしい本だけじゃなくて、いまから皇女として……」

ローズ「……っ!」

フィーア「ねーたま……?」


……


――
514 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/10(火) 23:55:19.23 ID:rIH8mGir0
――




――あくる日――


【帝国・謁見の間】


ギルバート「……鍛錬をしてくる」

フローレン「いってらっしゃいあなたぁ」フリフリ

フローレン「……」

フローレン「あの人ったら本当に真面目よねぇ……」

フローレン「この世にギルバートを超える男なんていないっていうのに」

フローレン「でもまぁ、あの子達の出来が悪ければ、あの人と私が帝国を守るしかないのよねぇ……」

フローレン「この私とギルバートの子……なんで、ちゃんと強い子が産まれないのかしらぁ?」チラ




アドルラン「はぁっ……はぁっ……!」ズザ…

ヒバリ「や、やったよアドルラン! 新記録だよ!」

アドルラン「まだだ、まだ私は……!」



フローレン「ふぅん、アドルランは今日も鍛錬場使ってるのねぇ……」

フローレン「一時は酷い有様だったけど、少しはマシになってきてるかしら?」

フローレン「あとはカインも気になるところだけどぉ……今頃どうなってるかしらねぇ?」

フローレン「……」

フローレン「ただ、やっぱりねぇ……」ハァ…

フローレン「今の問題と言えば……」


特殊判定
↓1〜2コンマ二桁
515 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/10(火) 23:55:46.59 ID:88VzkLIsO
てや、
516 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/10(火) 23:56:52.22 ID:SiFqJK7b0
517 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/10(火) 23:57:08.17 ID:t6hn3CnJO
そいや
518 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/10(火) 23:58:18.86 ID:R0IbxfAhO
ひゃっはーゾロ目だー
519 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/10(火) 23:59:39.17 ID:rIH8mGir0
おぼぁぁぁ……!(吐血)
せめて1番の方だったら……!
520 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/11(水) 00:01:31.28 ID:Iyclp/DcO
ここで偶数ゾロはどうなっちまうのか
521 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/11(水) 00:01:34.78 ID:D2xCpoyj0
相変わらずのコンマだ
522 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/11(水) 00:03:08.42 ID:6519PK0gO
二個ってことはキアラとフィーアに対するフローレンの何かかな?
523 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/11(水) 00:10:39.21 ID:oxqYBgbT0
フローレンのこの時点でのキアラに対する評価


1フローレンのキアラの魔力感知

75>59

※基準値を下回った為、やっぱり感知できていなかったようです

※ローズが先手を打つことが確定しました


2キアラの胸

コンマ22

 2 2 


偶数ゾロ目:魔女大嫉妬。なんかもう胸の成長凄すぎなぁい!?


※キアラはガチロリ時から既に膨らみがあったようです

※お母さんの逆鱗に最初に触れたのはどうやらここのようです(白目)


――

フローレン「フィーアはまだ小さすぎてわからないけどぉ……」


フローレン「……やっぱり、キアラよねぇ……!」ギリギリ…!

フローレン「愚図で鈍間、この私の子でありながら、未だ魔法の才能も開花しない……っ!」

フローレン「かといって、ギルバートのような逞しさがあるわけでもないっ!」

フローレン「そして、そして何よりもぉ……!」ギリギリ!







フローレン「なぁんで、なぁんであの子の胸はもう膨らみ始めているのかしらねぇぇぇぇぇぁぁぁぁあああ!!!」ガシャーン!







フローレン「私に似て欲しいところは似なくてぇ? それでいて私が嫌うものは身につけるぅぅぅぅ!?」

フローレン「すっごいわぁ!? あの子ったら、あの歳でもぉうお母さんに喧嘩売ってきてるのねぇ!?」

フローレン「胸にまわす栄養があるなら、それを全部頭にまわしなさいっ!!!」ガシャーン!

フローレン「ああああああぁぁぁぁぁぁ! なんでノワールといいキアラといいいぃぃぃぃぃぃ!!!」




親衛隊「皇妃様がご乱心だぁぁぁぁ!? 誰か応援をっ!?」



……


――
524 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/11(水) 00:12:32.05 ID:D2xCpoyj0
巨乳好きのマックスと結ばれるのは決められていた……?
525 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/11(水) 00:15:35.79 ID:oxqYBgbT0
フローレンからの当時の評価が確定した辺りで今日はここまで
……現時点でキアラは抑圧+母からも逆恨み混じった冷遇とガチで忍耐コースに突っ込んでいますね(白目)
この後もコンマがあらぶらないことを祈ります

本日もありがとうございました!
526 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/11(水) 00:15:45.58 ID:6519PK0gO
コンマさん、フローレンをポンコツにすることに命賭けまくってないか?w
527 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/11(水) 00:20:08.59 ID:mclAgGz1O
乙!
多分この時のキアラ6〜7歳だよな?
既にオリハルコンメンタルとわがままボディの片鱗とかコンマさん仕事し過ぎ
528 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/11(水) 00:20:16.62 ID:Iyclp/DcO
乙です
何つー下らない冷遇のきっかけだよwwwwww
まあ本編ありきだからこそ納得もしてしまう
529 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/11(水) 00:27:23.25 ID:r/otdVrDO
乙です
530 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/11(水) 23:51:56.27 ID:oxqYBgbT0
こんばんはー
もっと早く再開したい今日この頃……
次の安価部分まで再開していきます
531 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/11(水) 23:52:35.34 ID:oxqYBgbT0
――


【帝国・皇女の部屋】



キアラ「……」モクモク…


ローズ(あれから、買った本を……)

ローズ(戦に関わってくる本を勉強し始めてしまった……)


キアラ「……」モクモク…

フィーア「ねーたま……」


ローズ(こんな光景、アタシは望んでいない)

ローズ(きっとノワール様やアベル様がいても、そう思った筈ヨ)

ローズ「……キアラちゃん?」

ローズ「お勉強は確かに大切だけれど、息抜きも大切ヨ?」

ローズ「それにその本の内容は、あなたにはまだ早すぎるワ」

キアラ「……」

キアラ「わたし……」

キアラ「わたし、兄さまたちにあまえていたんです」

キアラ「皇女というものが、ちゃんとわかっていなかった」

キアラ「ちゃんとお勉強したら、お母さまもほめてくれるかもしれません……」

ローズ「それは……」

キアラ「この本にも、まりょく? でてきをたおしたり自分をなおしたりとあります」

キアラ「よくわからないけど……たぶん、これは……」


ミシィ…


ローズ「っ……!?」


キアラ「さいきん、よく物をこわしちゃうことがあったんです」

キアラ「お母さまにおこられたくないから、がんばっておさえてきたけど……」

キアラ「きっと、これが……いつか、つかいこなせたら……」フルフル…



532 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/11(水) 23:53:08.34 ID:oxqYBgbT0
ローズ「……抑えて、キアラちゃん」ポン

ローズ「フィーアちゃんも怖がっているしネ?」

フィーア「……」プルプル

キアラ「あっ……!? ご、ごめんねフィーアちゃん!?」ダキ!



ローズ(今のは、ただの魔力じゃなかった……)

ローズ(まだこの子は自分の才能を理解していない。漏れ出た魔力だけで、この部屋が覆われたような感覚……)ゴクリ…

ローズ(この子の言う通り、修練を積んで練り上げれば将来とんでもない力を発揮する)

ローズ(そして――帝国の戦争道具として、利用されてしまうワ)ブルブル…

ローズ(この子の動きや反応が遅かったのは、漏れた魔力を無理矢理身体に戻していたからなのネ)

ローズ(魔力もろくに知らない子が本能的にそんなことをし続ければ、負担は大きくて当然ヨ……)

ローズ(……この子の負担を無くし、かつこの力の露呈を防ぐには……)



キアラ「よしよし……」ナデナデ

フィーア「こ、こわかった……」

ローズ「ほら、だから言ったでしょう? まだ早いって」

ローズ「魔力については今度、改めて教えてあげるワ」

ローズ「それよりも、お勉強がしたいなら今はこっちのお勉強しましょ!」ドン!

裁縫道具「……」

キアラ「これ、たたかいとは……」

ローズ「それが関係あるのよぉ?」

ローズ「お兄さんやお父さんの鎧に、マントがついているでしょう? 軽装の軍服もそうネ」

ローズ「布製でも、素材を変えたり魔力を込めることでとっても強い防具……つまりは身を守る大切なものになるのヨ?」

キアラ「!!」

ローズ「わかったかしら? フィーアちゃんはまだ危ないからできないけれど……」

フィーア「えー?」ガッカリ

ローズ「キアラちゃんなら、そろそろ覚えてもいい頃ヨ。さ、まずは簡単なものから慣れていきましょう?」

キアラ「は、はい!」


ローズ(アタシも、もっと技術を磨かないと。そして……)


……

――
533 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/11(水) 23:54:31.26 ID:oxqYBgbT0
――


……数日後……



キアラ(ローズさんから、今日はずっとこのへやにいてっていわれたけど……)

キアラ(フィーアちゃんもいつのまにかいなくなっているし、一人ぼっちはさびしいよ……)

キアラ(でも、一人で外にでるのも……)ブルブル…

キアラ(だめ、アベル兄さまも言ってた、一人でも……!)ブルブル…



ガチャ…



キアラ「!!」










ローズ「――お誕生日おめでとう、キアラちゃん!」ピョーン!

フィーア「おめでとー!」ピョーン!





キアラ「え?」パチクリ




ローズ「え?」

フィーア「え?」




……


――
534 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/11(水) 23:54:59.56 ID:oxqYBgbT0
――




キアラ「そ、そっか。今日がわたしのうまれた日なんだ……」

ローズ「……フィーアちゃんの反応からして、まさかと思ってはいたけど」

ローズ「まさか本当に、お誕生日を祝われたこともないなんてっ……」ウッ…

ローズ「皇帝陛下はともかくとして、あのフローレンはいつの日かぶん殴ってやりたいわネ……」プルプル

キアラ「たんじょうび……」

ローズ「そう、誕生日ヨ! 生まれてきてくれてありがとうって、祝うのヨ!」

フィーア「ねーたま、ありがとう!」キラキラ!

キアラ「あ……///」

ローズ「しかし意外ネ。ノワール様ならてっきり……」

キアラ「……」

キアラ「わたしがうまれて、ありがとうなんて言われたこと、なかった……」

キアラ「この日が、とくべつだってこともしらなかったから、おしえていませんでした……」

ローズ「……そう」

ローズ「――それなら、今年から覚えておくのヨ!」

ローズ「これからはアタシとフィーアちゃんが……」

ローズ「そしてゆくゆくは、お兄ちゃん達も交えてあなたの誕生日をうんと祝ってあげるから!」

フィーア「いわうー!」ピョンピョン!

キアラ「ローズさん、フィーアちゃん……」ウル…

ローズ「ささ、ケーキも作ってきたのヨ! 食べて食べて!」ドドーン!

キアラ「わぁ……///」

フィーア「わーい!」


……


――


535 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/11(水) 23:56:20.43 ID:oxqYBgbT0
……


キアラ「ごちそうさまでした……///」フキフキ

フィーア「おなかいっぱーい」ポンポン

ローズ「いいわねェ……やっぱり天使達が笑顔で食べてくれるだけで、頑張った甲斐があったワ!」

ローズ「……そして、誕生日はただ祝って美味しいものを食べるだけじゃないのヨ?」

キアラ「え?」

ローズ「――プレゼントも贈るのヨ? アタシのお手製で不格好かもしれないけど許してネ?」




薔薇のコサージュ「……」キラキラ!




キアラ「きれい……」

キアラ「こ、これをわたしに?」

ローズ「ええ。似合うと思うワ!」

ローズ「……」

ローズ「……そして、これは2個あるの」

キアラ「2個?」



ローズ「――片方は、キアラちゃん。あなたの魔力を制御して抑え込む仕掛けがあるワ」

ローズ「――もう片方は、本当にただのお洒落の為のコサージュ。あなたの魔力はあなたの意思のままヨ」



キアラ「……!」

ローズ「本当は誕生日にこんな話はしたくなかったんだけどネ……」

ローズ「それでも、今日はきっとこれからのあなたの分岐点になると思うワ。だからよく聞いて頂戴」

キアラ「は、はい……」

ローズ「あなたが選ぶコサージュは、そのままあなたの未来に繋がると言ってもいいワ」

ローズ「魔力を封じれば……きっとこの後も、あなたの才能はばれない」

ローズ「それはつまり――お母さんや帝国から今と同じような、いえそれ以上の辛い境遇が待っているかもしれないということ」

ローズ「魔力を操る術を勉強し、今から力をつけていけば……きっと、お母さんやお父さんはあなたを見直すワ」

ローズ「そうすれば、帝国全体からも厚遇される。その代わり――前線に立って、多くの敵を殺すことになるでしょうネ」

ローズ「アタシにも、選んで欲しい方はあるワ。でも、これはあなたの人生。あなたにしか、決める権利はないのヨ」

キアラ「……」

536 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/11(水) 23:58:54.23 ID:oxqYBgbT0
キアラ「……力をふうじるか、ふうじないか……」

キアラ「……」

キアラ「では、ローズさん」

ローズ「!!」









封印コサージュ「……」スッ…






キアラ「こちらをいただいて、よろしいですか?」

ローズ「キアラちゃん……」

キアラ「よいしょ……」ゴソゴソ…

キアラ「!」ピクン!

キアラ「あ、すごい……!? からだがかるくなったかも!?」

キアラ「……に、にあってるかな?///」

フィーア「わぁ、ねーたまきれいきれい!」パチパチ!

ローズ「……辛い道になるわヨ。アタシがいても、守り切れないかもしれない」

キアラ「……」フルフル

キアラ「だいじょうぶです。わたしもあの力はあまり好きじゃなかったし、フィーアちゃんもこわがっちゃうし……」

キアラ「それに、もし今よりもつらい目にあっても」



キアラ「――わたしには、ふたりがいるもの!」



ローズ「ん゛んっ、キアラちゃんっ!」ダキ!

キアラ「あはは、くるしいよローズさん///」

フィーア「わたしもねーたまぎゅーってするー!」ダキ!

キアラ「フィーアちゃんまで……!?///」






キアラ(――本当に、ありがとう……)ウル…



……


――
537 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/03/12(木) 00:00:42.22 ID:d87meyh60
―――
――





キアラ「――ということがありまして、私は別にそこまで……」

マックス「……」グシュグシュ…

キアラ「マックスさん!?」ビク!

パトラ「まったく、ほら顔を拭きなさいマックス……」フキフキ

マックス「すびばせんパトラ将軍……」

マックス「ほんっと、ローズさんいてくれてよかったよぉ……」

キアラ「ええ、本当に」

キアラ「あれからもう何年も経ちましたけど、このコサージュは今でも大切な私の宝物です」ナデナデ

フィーア「ちなみに、普通のコサージュの方はこの後に私がいただいちゃいました///」

アベル「そのコサージュにそんな思いでがあったとはな……」

ロウル「それもですけど、私は最初の方の暴言を吐いてた兵士を蜂の巣にしてやりたかったですねぇ」

エリス「私もです……!」ゴゴゴゴ!

アーシャ「まあ、ローズさんならきついお仕置きをしてそうですけどね?」

ティア「で、でも力を封じて、帝国にずっといたって……」ブルブル…

シア「やっぱり大変だった筈ですよ〜?」

キアラ「自分で選んだ道ですから」

キアラ「……アベル兄様の計画に協力するようになってからは、ちょっと鍛えておくべきだったと思いましたけどね?」

アベル「う、色々とすまないな……」

キアラ「いえ。こうして思い出話にできるのですから」ニコリ

キアラ「それに、フィーアちゃんの方が大変でしたからね……」

フィーア「え!? そ、そんなことないですよ姉様!?」ワタワタ

フィーア「姉様だって、魔力とは違った問題で大変だったんですからね!?」


――

※次の姉妹の過去のイベントを選んでください


1:フィーアの王城脱走作戦(判定多め)

2:キアラとフィーアのレディー特訓

3:少し成長した二人とアベルの野心(キアラの忍耐の判定結果により、忍耐一部判定移動+追加)

4:その他自由安価

↓1〜3多数決
538 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/03/12(木) 00:07:22.34 ID:gQsyk8yEO
1で
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