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堀裕子「福井で人気のさいきっくサキュバスです!?」モバP「えっ」
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24 :
◆FreegeF7ndth
[saga]:2020/06/07(日) 23:16:11.60 ID:l/v3zoKYo
訂正
>>23
× phychic
○ psychic
25 :
◆FreegeF7ndth
[saga]:2020/06/07(日) 23:17:14.11 ID:l/v3zoKYo
「――ゅーさーっ、プロデューサーっ、起きて、起きてくださいっ」
「ふぁ、ま、ぁあぁあっ……ゆ、ユッコ……?」
「もうっ、だらしないですよプロデューサー、よだれなんか垂らしてしまってー」
ユッコの声――笑い声だ。ずいぶんご機嫌な響き。
「ほらーっ、ほっぺたに、ワイシャツのあとまで……とりあえず、よだれを拭いてあげますから……」
「す、すまないユッコ……ん、んん……?」
ユッコがポケットティッシュで俺の口元をぬぐってくれる。
おいおい、俺はお子様ランチを食べこぼした子どもか……?
「……あれ、ここ、どこだ……」
「私の学校ですよ? ここは超能力同好会のサイキックトレーニングルームっ!
……って、プロデューサーがここにくるのは初めてでしたね、確か」
空調はそれなりに効いていた。でも、太陽は未だ暑苦しかった。
校庭から漏れ聞こえてくる、アブラゼミや運動部らしき男子高校生の声も暑苦しかった。
「あれ、ユッコ……俺に、相談があったんじゃ」
「……プロデューサーの寝顔を見てるうちに、忘れちゃいましたっ。
じーっくり見て、サイキックメモリーに焼き付けましたよー!」
ユッコの顔は、ぽわぽわと紅潮していたが、なぜかシャツのボタンをきっちり留めて、
ネクタイもきりりと凛々しいほどに整った結び目。ユッコ、そんなきっちりした着方してたか……。
「どうしたんですか? 私の顔に、何か……あんまり見つめると、サイキック出しちゃいますよ!?」
ユッコは俺の目を塞いできた。肩どうしがくっつくほど近い。
例の、甘いけれど爽やかさも孕む桃みたいな匂いに包まれる。
「俺も、テレパスが、使えりゃなぁ」
「プロデューサーなら……私といっしょにトレーニングすれば、いつか使えますよ、きっと!」
でも、こんなに近いのに、もうひとりのユッコの声は何も聞こえない。
夢みたいに、上手くは行かないか……バカバカしい。
「……あ、いっけね、事務所――時間が、ああっ」
「どうしたんですか?」
「ユッコを事務所に送ってやらんと、もうちょっとしたらダンスレッスンで――」
「――だんすれっすん?」
ユッコは、なぜか頑なに俺から三歩下がる位置をキープして歩いた。
なんだ? この、ユッコ基準でも珍しいほどの挙動不審は……と突っ込みたくなったが、
相談を持ちかけられたのに居眠りかましたばかりの立場では何も言えなかった。
「私が先に歩いてると、プロデューサーさんを置いてっちゃうかもしれないですからっ。
それとも……三歩下がってオトコを立てる……なんて、お嫁さんを意識しちゃったとか……?
あ、プロデューサーさんもあまり早く歩いちゃダメです、お疲れのようですので」
26 :
◆FreegeF7ndth
[saga]:2020/06/07(日) 23:18:20.08 ID:l/v3zoKYo
※※
――あ、プロデューサーさん。青木で……じゃ、通じませんね。トレーナーの三女の明(めい)です。
ユッコちゃん、昼間にいっしょにいたそうですけど……調子、どうでした?
「体は健康そうでした。ただ……最近、落ち込むというか、気にかかることがあるかもしれません。
俺の力が及ばず、具体的な悩みは聞けていない状態です」
――実は……ダンスレッスンがかなり硬くてつらそうだったんで、
独断で体の負担の軽いメニューに差し替えちゃったんです。でも、メンタルのほうで……?
「……堀が、ご心配かけまして、すみません」
――そんな申し訳無さそうにしないでくださいよ、これもトレーナーのお仕事ですから。
言われてみると、どこか上の空だったかも……私も、気をつけてみます。
「何かお気づきの点があれば、ご連絡いただけますとありがたいです。
こちらも、ご面倒をおかけすると思いますが、どうかお願いいたします」
――ユッコちゃんと、あのプロデューサーさんに限って……まさか、ね。
27 :
◆FreegeF7ndth
[saga]:2020/06/07(日) 23:19:23.84 ID:l/v3zoKYo
※※
「プロデューサー、これを見てくださいっ! ……どうです? 太古から伝わるぱわーを感じませんか?」
「これは……バウムクーヘン? バウムクーヘンって、丸くなくても焼けるんだなぁ」
プロデューサーと二人きりの面談室で、私は実家から送ってもらった丸岡屋のバウムクーヘンを取り出した。
普通のバウムクーヘンと同じように生地を多層にして焼き上げているんだけれど、
変わっているのは、なんと輪型じゃなく長方形になっているところだ。
「ふっふっふ……福井県といえば、だいなそー! 恐竜ですよっ。
福井の小学生はみーんな恐竜博物館に社会科見学で行って英才教育されるんです。もちろん私も!」
なんでも、バウムクーヘンを焼く芯棒がいきなり壊れてしまって、
生地がもったいないからと四角い型に入れて焼いて売ってたら、福井の地層のなんだかにそっくり!
ってことで、恐竜の骨の焼入れをいれて発掘気分まで味わえるお菓子なんだとか。
プロデューサーとの個人面談まであと何日か数え始めた時、私はこのお菓子を持ち込むことに決めた。
恐竜は人並みに好き。芯棒が偶然に壊れて生まれた、っていう由来は特別に好き。
そういう……せれんでぃっぷ? なところ、さいきっくと似た匂いを感じるから。
「見掛け倒しじゃないですよ。味もほろほろ優しい甘さで美味しいんですっ」
……福井でほかのだと、羽二重餅とか、五月ヶ瀬とか、渋いお菓子ばっかりで、それだと、ねぇ。
贈答品というか手土産というか、かしこまった雰囲気が出ちゃうから。
ただ、私のそういう趣向や、生地を一層一層と手間暇かけて焼き上げられたバウムクーヘンも、
プロデューサーにとっては上の空のようだった。
「じーっ」
「じーっ……て、口で擬音を言うやつがいるか」
「おいしいですか?」
「おいしい。気を抜くとパクパク食べすぎてしまいそうだ。
ふつうより、甘さが丸いと言うか、マイルドというか。三温糖でも使ってるのかな?」
「ぶぶーっ。惜しいですね。三温糖どころか……ええぇと、その、阿波の和三盆らしいです!」
バウムクーヘンの味が伝わっていようがいまいが、私は心地よかった。
作ってくれた人には申し訳ないけど……。
だって、その原因は明らかに、目の前にいる私だから。
28 :
◆FreegeF7ndth
[saga]:2020/06/07(日) 23:20:42.08 ID:l/v3zoKYo
「ふふっ、良かったです。プロデューサー、最近いつもお疲れ気味のようなので。
エスパーユッコとティーブレイクして、ぜひぜひ英気を養ってください」
夏休みのアレから、プロデューサーは私と二人きりになると、
ちょっとずつ私をどろどろとした熱っぽい目線で見てくれるようになった。
他のアイドルの手前、気づかれないよう努めているようですが、エスパーユッコにはお見通し。
前は私だけがドキマギしてたんだけどね。今やプロデューサーも仲間。
こうなると私たちの間だけで熱いテレパシーが伝わってるみたい。
視線が一瞬かぶるだけでふわふわした気分になっちゃう。
今だって、事務所じゃなかったら……密室で、二人きりだし……。
「……そういえば、夏あたりに俺が聞きそびれた悩みって……どう?」
「どう? って……プロデューサーは、どうだと思います?」
プロデューサーの目を、じーって見つめてあげる。
自分から聞いた手前、プロデューサーからは目をそらせない。だから私は見放題。
「目は口ほどに物を言う、って言いますから。私の目、じーっと見てたら、伝わっちゃうかも……」
私が『夢』の中で散々“仲良く”したのが、起きてるときにも侵食してるのか、
プロデューサーの虹彩や目の周りは、理性と欲望の間で引き攣れそうに震えていた。
たぶんそれ、私も先に味わっていた気持ちですよ、あなたをそばで感じるたびに。
ホントにテレパスみたい。ホントのサイキッカーになったみたい。
絶対特権として他のアイドルやクラスメイトに見せびらかしたくなるぐらいの繋がり。
……だったんだけど。
「少しはユッコのことを分かってやれてたつもりだったんだが、やっぱり……」
プロデューサーは、辛そうな、痛ましげな顔と声で、淡々と私へ重大な告白をした。
「ユッコの担当プロデューサー、別の人に変わってもらおうかと思ってる」
私とプロデューサーの火照った絆は、いきなり切り落とされた。
29 :
◆FreegeF7ndth
[saga]:2020/06/07(日) 23:21:48.14 ID:l/v3zoKYo
※
「……ふぇ? プロデューサーが、私の担当じゃなくなる……え、え?
いやな冗談ですねー。じゃあ、誰がアイドル・エスパーユッコをプロデュースしてくれるんですか?」
担当交代とか悪い冗談だと思った。私にとってプロデューサーはこの人しかいなかった。
エスパーアイドルのことを本気で考えてくれたの、私の次はこの人だったもん。
だから「プロデューサー」なんて紛らわしい呼び方を続けてる。わざと。わざとだよ?
この事務所だけでもほかにプロデューサーという立場の人はいっぱいいるから、
紛らわしいよ、止めなさいって言われても、訂正しない。ずっと続けてるとみんな諦めてくれる。
私のバカっぽいキャラが幸いしたのかも知れない……複雑だなぁ。
「そいつは心配しなくてもいいと思う。こんなことになって手前味噌だが、
俺がユッコに、エスパーについて散々ツメたからか、だいぶ軸がしっかりしてきた。
そろそろ他の人のプロデュースでも、ブレないぐらい成長したと思う」
プロデューサーは、なんかそれらしい響きのことを言ってるけど、
私に分かったのは、それがウソということだけ。
あなたは私のことをそんなに分かってるはずがない。
私が『アイドルやってて楽しいか? 幸せか?』なんてことさえ、聞かなきゃわからなかったくせに。
「……はぁ? それって、じゃあ……なんです? まさかとは、思いますけど」
プロデューサーが私に『イメージがズレすぎてないか、絶えず確認しなきゃ』ってやってたのは……。
私を、そうやって、あなたから……卒業? させるためだったんですか?」
「そうだな」
「ウソですね。さいきっくなんかなくてもわかります」
プロデューサーは、私に意地悪なほどツメてきた時と比べると、だいぶ鈍くなってた。
私のことをわからないと言ったそばから、私の軸がしっかりしてきた……なんて言って、明らかな後付。
「……楽しく元気にやっていけるかどうかの責任を持つ、なんて言ってくれたあなたが、
こんなお粗末な説明なんて、私でもおかしくて笑っちゃいますよ」
私は自分の椅子を立って、プロデューサーが座ってる方へ掴みかかるように迫った。
プロデューサーが担当を降りてまで私を遠ざける理由は、きっと別にある。
「ユッコ、突然のことで、説明不足で、納得行かないのは……わかる。悪いのは、俺であって――」
「――その『説明不足』の原因に、私、心当たりがありますよ?」
「ゆ、ユッコ……!?」
「……と言ったら、どうですか」
あのプロデューサーが、こんな重大なこと私に説明するのに言いよどむ原因なんてそうそうないはずだし、
私の記憶の範囲では、それにあたりそうな原因なんて一つしかなかった。
「……私で、えっちなこと考えちゃうから、私と、えっちなことシたいって思っちゃうから、ですよね」
プロデューサーの目と、体温と……あと、固くなっている一部の器官は、
言葉よりもずっとハッキリと、私の尋問に答えを返してくれていた。
「……図星、ですかっ。ふふっ、そーですか。そーですかっ」
「ユッコ……その、あの……」
やった……やった! 私、プロデューサーの近くの女の人――アイドルも含めて――の中で……
「……ユッコに、そんなこと言わせて、本当に申し訳ない……」
「つまりプロデューサーからだと、私が一番オンナとして魅力的に見えたって、おかしくなっちゃうぐらい!」
「あ、あぁ……まぁ、そう、そうなんだが……」
「ですよね! ねっ!」
……最初のソロステージで最初の曲を披露した時とは明らかに違うけれど、
それに負けないぐらい嬉しくて、うっかりするとぴょんぴょん跳ね回ってしまいそう。
ふふ……ここまでトリコにしてしまったら、もう絶対特権を主張してもいいでしょう。
わたさないわ! 絶対! 絶対! 絶対! 絶対! 絶対に!
あの人の瞳には、透き間無く、わたしだけ……なーんて。
……あれ?
30 :
◆FreegeF7ndth
[saga]:2020/06/07(日) 23:24:20.71 ID:l/v3zoKYo
「ちょっと待って欲しいんですけど」
「待ってほしいのは俺の方なんだが」
「なんで私とえっちなことシたいって思っちゃうと、あなたは私の担当を止めちゃうんですか?
だって、プロデューサー、私以外の……アイドルの人とかも、えっちな目で見てますよねぇ」
「ユッコは特別だ……あんまりにも、我慢するのがしんどすぎて、夢にまで出てきて、頭がおかしくなるかと……」
えへへ……『ユッコは特別だ』なんて照れちゃう……えっ。
「あの……『夢にまで出てきて』って」
「……言葉通りだよ」
「夢でもし逢えたら〜♪ ……なんて」
「夢だけで済まなくなりそうだから困ってるんだ……」
それって。
それって、めっちゃくちゃ私のせいじゃないですかぁー!?
「……」
「……ユッコ」
「あの、プロデューサー……私のえっちな夢を見なく……ほとんど見なくなる方法が、一つあります」
「……え、ほとんど?」
……まったく見なくて済む、とは……い、言えない、けど。
プロデューサーに『ときどき……そのときの……きもち』を思い出させるぐらいなら許してくれるよね?
だってそれは、プロデューサーが私に願ったことと同じ……同じ、はずっ。
「あなたが、おひとつ、このユッコにご約束いただければ済みます。
もし私が、あなたの担当アイドルとして……持ち歌どおりに、世界をひとつにして、愛と驚きで満たせたら」
それを実現する日がいつになるかはわからないけど、
それを目指す日々の楽しさと幸せは、あなたが忘れないようときどき思い出させてくれるから。
だから、きっとだいじょうぶ。
「その時は、そのぶんの責任を持って、私がずっと楽しく元気でいられるように……
あなたの夢も現実も、ぜんぶ私にくださいっ」
……言い方が格好つけすぎだったせいか、内容が唐突だったせいか、
はたまた私の至近距離の色気にクラクラしてたのか、プロデューサーはしばらくポカーンとしてた。
えっちな夢を見せないようにするから、そばでアイドルしたいです……なんて。
やっぱり私、サキュバスって柄じゃないなぁ。
……現実じゃできないことができるといっても、夢だけじゃ寂しいし。
うん、堀裕子……さいきっくサキュバスは卒業します!
だから、あらためて……末永くよろしくおねがいしますよ、プロデューサーっ。
(おしまい)
・あとがき
福井県でサキュバスが人気というのは、Komifloの2020年4月7日Twitter発表です。
本当だったら面白いなと思いました。
ご高覧いただきありがとうございました。
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/06/08(月) 00:11:09.94 ID:/FttYRweO
お 待 た せ
https://i.imgur.com/4kQYa0F.jpg
https://i.imgur.com/51wayNT.jpg
眼鏡と恐竜と東尋坊しかない県
蟹や米は北海道や新潟がいて二番手以下になるのよね
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/06/08(月) 01:05:10.31 ID:Xtytfh4Fo
おつ
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/06/08(月) 01:11:13.88 ID:arZ9uAtrO
乙
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[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
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