鷺沢文香さんが痴漢させたり自撮りオナニーを送りつけてくれる話

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2 : ◆FreegeF7ndth [saga]:2020/06/14(日) 23:18:54.54 ID:KnKXCR6go

 あなたの痴漢を待つ時、私の服装は私服ばかりです。
 つまり、いつも明度か彩度が低く、シンプルなつくりのブラウスとロングスカートで、
 奏さんや美波さんには「もうすこし遊びというか、洒落っ気を……」とたまに言われる代物です。

 きょうは少し気分を変えて、下は少しゆとりのあるワイドパンツにしてみました。
 肌触りがロングスカートに似ているので、私にも馴染みそうです。

 もっともだいじな役割を果たしてくれるのは、ストールです。
 というのも、これがいろいろと役に立ちますので。例えば……

 ……あなたの手。私のウエストから腰に流れるあたりに、そろそろと手触り。
 それだけで私は、ガラスを白く曇らせそうな吐息をマスクからこぼしてしまいます。

 地下鉄のトンネル内は暗く、もちろん車内は照明がついているので、
 トンネル内の明かりが矢のように通り過ぎていくガラス窓には、私とあなたの姿も、ぼやぼやと映っています。

 ミラーの役割もあって、周りの人が私たちに近づいたり目線を向けたりしていないか、
 さりげなく確認できるのもいいですね……きょうは、少し近い人が居ます。
 ジャージ姿の若い男性……高校の運動部でしょうか? 荷物が小さいので、何の部活動かまでは不明です。

 ……見せつけてしまっては、困ります。でも、中止するほどではありませんよね。
 気をつけて、進めてください。望むところでしょう。
 さっきのあなたの優しげな手付きからも、震えがにじんでいました。焦燥と、期待ですか。



 私は腰回りをストールで覆います。その内側に、あなたの手の甲、翻って指と手のひらも感じます。
 ここは隠れているので、あなたの手で触って――布一枚であなたの痴漢行為を誘導します。

 あなたと出会う前から私はストールを愛用していましたが、
 昔の私がこんな用途を知ったらどう思うでしょうか。まして未来の自分が……卒倒してしまうかも。

 ワイドパンツ越し。お尻のいちばん膨らんでいるあたりに、あなたのごつごつとした指関節の出っ張り。
 あなたが息を飲むのが、指と、窓に映るあなたの姿でわかります。お気づきですね。

 そうです……Tバックです。意外でしたか?
 ぎりぎりダボついて見えないかな……程度のワイドパンツの下に、そんな扇情的な下着など。
 あなたの指を感じたいから……と言えば、喜んでくださいますか。半分は、そうです。

 もう半分は……履いてみて実感したのですが、涼しくて……こもりやすいボトムスと相性がいいんですね。
 この快適さ、癖になってしまうかもしれません。

 例の男子高校生らしき人が、スマートフォンから顔を上げて、私たちのほうを見ているようです。
 注目というほどではないでしょうが、目につくんでしょうか。

 仕方ありませんね。あなたは地味な背広。私もさっき申し上げた地味な私服。
 それぞれだけ切り取れば、都内の地下鉄にありふれた人影ですが、その二人が、
 混雑しているわけでもない車両で、腕どうしが触れ合うほど近くに並んでいるのです。

 ……すみません。興奮、してきました。
 貧血のような顔色に化粧しているのに、顔が熱くなってしまっているのがわかります。
 このぶんだと、耳が真っ赤になってしまって、なんだかとてもチグハグです。

 お願いです、続けて、もっと――と思った瞬間、窓の反射ごしにあなたと目があって、
 あなたの指が、手のひらが……片手だけど、きゅうっと、私の、お尻の、膨らみを、わしづかみに……っ。

 か、体……びくんって、させてしまいました。あなたには、しっかり伝わったはず。
 ちょっとした刺激。声を上げるほどではない驚きと痛み。
 期待と予感が通じてくれた安堵。あなたは、きょうも私に付き合ってくださる……。

3 : ◆FreegeF7ndth [saga]:2020/06/14(日) 23:19:52.90 ID:KnKXCR6go

 かの三島さんの時代の電車痴漢は、今よりだいぶ軽く扱われていて、
 見つかっても鉄道警察でお説教食らうぐらいで済んだようですが、今の私とあなたは違います。

 私が声をあげれば、あなたは痴漢扱いされ、社会的な信用を失い、職を失い……
 何年も前の話ですが、横浜では痴漢を疑われて動揺のあまり線路に飛び込んで電車にはねられて、
 死亡してしまった男性もいたと聞きます。命まで失ってもおかしくありません。

 それを知っていて、私は……自分が筆舌に尽くし難い悪女だ、と実感します。
 あなたを危機に追い込んで弄んで、それが心地よくて、何回も、何十回も、何百回も望んでしまうなんて……。

 私の身体があなたに贖罪しようとしているのかもしれません。
 服越しなのに、あなたの愛撫にあっさりとほだされ、なびいてしまいます。

 私はマスクの中で吐息をわだかまらせながら、また窓の反射ごしにあなたをうかがいます。
 本当に、だいじょうぶですか? これ、続けたら、私の気持ち一つで、人生を踏み外す事態に……。

 思い切りの悪い私の内心が漏れたのか、窓に映るあなたは、しょうがないな、とばかりに苦笑して。
 それから……ま、また、こんどは、力いっぱい……っ、
 あ、あとが、ついてしまうかも、そんな、強さで……。

 ……っ、あ、ぁう……だ、だいじょうぶです。立って、いられます。
 立ちくらみなどではありません。今の化粧だと、紛らわしいですね……。

 いって、しまいました。
 それが、いわゆるオルガスムスなのかは、脳波や生理反応を詳しく検証しないとわかりませんが、
 少なくとも私の主観では、そのような感覚が私の中に通っていきました。

 通っていった、というより、今まで付けられた轍(わだち)の上から新たに刻まれた、
 といったほうが適切かもしれません。命懸けの痴漢であなたに与えられた一度の絶頂は、
 こうしてまたあなたのそれが迫ってくるたびに、私の中でどうしようもなく想起されるのです。

 ストール、ずらします。そうです。あなたの手が向かう通り……胸、です……。
 まだきょうはあなたの指に触られていない、それどころかあなたの目線を浴びてもいないのに、
 お尻を揉まれて熱くなったのが飛び火したのか、かつて味わったあなたの愛撫を思い出したのか、
 もう、期待して、待ち焦がれて、興奮しきって……。



 あなたの指と腕が驚いて一瞬びくついたのは、私の肌と肉で感じました。
 あなたの肩と顔が驚いて一瞬びくついたのは、電車の窓の映る姿を見て理解しました。

 ストールの下、ブラジャーをずらされます。
 そこからあなたの手は、いったん引いて、ブラウス越しに、私の、胸の、先に……。

 文香、すごく興奮してる……? なんて、あなたから、聞こえて……ええ、あなたの、想定以上でしたか?
 触られ心地、触り心地、どちらからしても、明らかに……固く、コリコリと、勃起……していますよね。
 乳首……いや、乳輪まで、張り詰めて、血が流れ込んで、待ちわびて、はしゃぐように。

 あなたは、すぐには抓ったり捻ったり、先っぽをいじめてはくれません。
 その代わり、ブラウスの裾をぎゅうっとつっぱらせて……ち、ちくび、勃起しているのが、浮き出て、
 わざわざストールをずらして、それを地下鉄の窓までにぼやぼやと映します。もちろん、あなたの目にも。

 そうです……私は、素知らぬ顔をしていますが、こんな運行中の地下鉄で、
 あなたの手にいやらしく弄ばれることを喜んで悶絶する、浅ましい女です。

 ちくび、浮き出て……ブラジャーに比べると、さすがに目の粗いブラウスの生地が、
 こすれると、ヤスリでもかけられたようにひりつきます。その周り、乳輪をふちどるように、
 あなたの指が円を描いて……1周り、2周り、マスクで抑えきれない吐息と声が出てしまうかも……。
 3、4……い、意地悪を、しないで……私を焦らして、あらわになった貪欲さを笑っているのですか。

 し、してほしいのです……つねって、激しく、痛くして……痛みで水を差していただかなければ、
 興奮ではちきれてしまいそうなんです。なのにあなたは、撫でるとも呼べないような力加減で……。

 乳首だけではありません、胸、形が崩れてしまうほど……出てくるはずもない乳汁が溢れるほど、
 脂肪も乳腺ももみくちゃにして、胸筋までツメを立てて、心臓を握りしめて……そのぐらい、そのぐらいっ。

 え、あなた、何を……み、見て……!?
4 : ◆FreegeF7ndth [saga]:2020/06/14(日) 23:20:30.23 ID:KnKXCR6go

 あ、あぁ、はぁ……危ないところ、でしたね。乗客が、増えて……
 こちらに気づくかも知れない具合の距離には、男子高校生のほか、もう一人増えて……若い女性ですね。
 学生か、会社員かはわかりませんが、私とほとんど同じぐらいの年頃。
 あなたの警告がなければ、私、声を上げてしまっていたかも……面目ありません。

 そうして頭は危機一髪でゾクゾクと冷えたのですが、頭以外は熱いままです。
 あなたの手と指のすぐそばで、相変わらず乳首が服越しにもわかるほど愛撫をせがんでいます。
 別に性器でもないくせに、あなたの運命を天秤にかけた前戯を、当然のように……。

 ……胸愛撫で快楽に浸っている側が言うのもどうかという話ですが、奇妙なことですね。

 乳房は、昔の日本は性的な器官とは扱われていなかったと聞きます。
 江戸時代の春画を見ても、乳房をさらしているものは稀らしく……私は見たことがありません。
 ということは、セックスにおいても重視されていなかったのでしょう。あなたはどうでしょうか?

 私の胸で、興奮してくださっていますか。安心しました。私だけが喜んでいたとしたら、寂しいので……。
 しかしわからない話です。江戸時代人と現代人では、だいぶ感覚が違うのでしょうか?
 私とあなたが現代のセックス事情代表とされたら、現代人はたまったものじゃないでしょうが。



 あなたがストールを指して……これ以上、激しくいじめてほしければ、ということですか……?

 ……そうですね。
 ストールで私の胸あたりを覆ってしまえば、この乳首と乳輪をコリコリと歪むほどねじられたり、
 アザになるほど胸をもみくちゃにされたりしても、なんとか人目から隠せそうですね。

 そうして他人から淫らな私を隠匿した代わりに、あなたへ淫らな私を誇示することになります。
 私が自ら隠したら、ストールでなければ隠し切れないことをして欲しい、というあなたへの懇願となります。

 本当は、妊娠して、出産して、産んだ赤ちゃんを育むための器官を、
 ただ、気持ちいいって、快楽神経をくすぐってもらうためだけに、酔わせてもらうために、
 そんなほんの一瞬だけの、恨めしいぐらい儚い感覚のために、あなたに……っ。

 ぎゅうって、握りしめて、ストールにシワが寄ってしまいました。
 ……します。だから、あなた、どうか……ちくび、おっぱい、私の……あなたの、手で……。



 だいじょうぶですか――女性らしき響きの呼びかけが聞こえ、目を開けると、先程の若い女性が……。
 あわてて周りを見回し、いつの間にか私は優先席に座らせてられている……と、気づきます。
 隣には、あなたも座っていて……あなたの手を掴んで、ようやくひと心地、血の気が戻ってきます。

 あぁ、ご心配かけてすみません。体調が悪いのですが、この方……そうです、この人は私のお連れです。
 目的地に着いたら起こしてもらおうと思って、それまで……という次第なのです。
 お気遣いいただき、ありがとうございます……。

 あなた、その、もしや……私、失神していました? あなたに、おっぱい……された、だけで?
 ストールで覆ったあと、記憶があいまいで……乳首のあたりは、ジクジクして疼くのが残っていますが。

 ……今、気がついたんですが……紙マスク、私のつけてきたものではないですね。
 どうして……? え、『よだれまみれになってしまって取り替えた』?

 地下鉄の車両内で替えのマスクが売っているはずがありませんから、これはあなたがあらかじめ……。
 よ、用意と手際の良さに感服いたしました……。

 ご迷惑をおかけしましたが……もう少し、付き合っていただきたいです。
 あの、途中で意識が飛んでしまったせいか、痴漢される気分がまだ物足りないのです。
 も、もっと、ここで、触って、ください……。

5 : ◆FreegeF7ndth [saga]:2020/06/14(日) 23:21:04.99 ID:KnKXCR6go

 私を心配してくださった若い女性が、降車しました。都庁前駅でした。
 終点です。大江戸線は環状運転ではなく往復運転なので、私たちも一度やむなく降ります。

 休憩するか? というあなたの気遣いを制し、また別のホームにあなたと並んで、
 やってきた始発電車の最後尾車両のドアから入り、端っこの窓に向かって立ちます。

 ……ホームを移る時、あなたに改札外まで手を引っ張っていただきました。
 そうでした……同じ駅は二度通れないので、精算しないとなりません。
 しかし足元のおぼつかない私が、改札から出てすぐホームへとんぼ返りするのを見られたら、
 駅員さんに怪しまれますので、なるべく見られないように……。

 そんな乗り降りをしている間も、私の身体の熱と潤みは引かないままでした。
 むしろ「ここが公共交通機関の真っ只中なんだ」と改めて実感できて興奮が増しさえしました。
 私がゆとりのあるワイドパンツではなく、ぴったりしたスカートやパンツを履いていたとしたら、
 乳房愛撫のせいで溢れた愛液が、下着を通り越したシミを見せてしまっていたかもしれません。

 そのぐらい、私の女性器は、あなたのことを催してしまっています。
 だから、私は……お尻のほうへあなたの手を誘います。
 ……さすがにこちらなら、失神せずにあなたのタッチを堪能させていただけるはずなので。

 女性物の下衣は、パンツもスカートもポケット無しが基本ですが、このワイドパンツには着いていました。
 ……過去形です。今は、ポケットの用をなしません。

 入れてみて、ください……わかりますよね? 私の肌……火照り具合が、直に伝わってしまいましたね……。
 そうです。あなたの手を迎え入れて、履いたままあなたに素肌と粘膜を触っていただけるように、
 私が改造したのです。苦労、しました。得意な方に教わろうにも、用途を説明できませんので……。
 私の不器用ゆえ、断ち切って、縁がほつれないよう繕っただけです。

 先程は、ぎゅうっと指を食い込ませてくれたあなたの愛撫は、
 ワイドパンツの中に潜り込んだ今、パンやおもちでもこねるような手付きでした。
 あなたにとって私のお尻が、グルテンより魅力的な感触であれば嬉しいのですが……。

 は、ぁぉおっ……ッ、あ、う……だ、だいじょうぶです。痛いとか、不快なことはまったくありません。
 ただ、その……あなたが、お尻の割れ目、指で……されると、あなたがかつて与えてくれた喜びが、
 反射的に勝手に思い出されてしまって……胸と同じですね。

 あなたがそばにいない時は、どうということはありません。
 自分で身体を洗ったり、ウオシュレットで肛門を刺激されたりするときは、なんともありません。

 ……念のため付言いたしますが、あなたがそばにいないときは、私はこんな電車内……
 電車内だけじゃなく公衆の面前で……性的快楽に耽ることなんてありませんから。
 下着をべとべとにしながらでは説得力ゼロでしょうが、それでも言うだけ言わせていただきたく……。

 それに……下着がべとべとなのは、興奮の汗のせいです……ほら、化粧、崩れてしまっていますよね?
 青白くしたのが剥がれて、窓越しの姿でもわかるぐらい血色がよく……知らない方が見たら、
 高熱でふらふらしていると思ってくれればよいのですが。あなたのおかげで、まだマスクを着けていられてますし。

 あ――んんあぁ、あぁあっ……! ゆ、ゆるして――おねがい、どうか、それを……っ!
6 : ◆FreegeF7ndth [saga]:2020/06/14(日) 23:21:38.54 ID:KnKXCR6go

 ……はぁ、あ、ああぁ……も、申し訳、ございません……私は……あなたに、嘘を……
 嘘を、吐きました……。

 ……ち、ちがいますっ! そちらは……
 『あなたがそばにいない時はセックスのことを考えてない』のはっ、嘘じゃありませんっ。

 あなたのことだから、お分かりでしょう? 本当は分かってくださっているでしょう?
 なのに、そんな……確かに、そう解釈できなくもない言い方でしたが……。
 あなた……私の、心まで弄んで、楽しいですか……?

 ……楽しいですよね。分別も正気も失うほどの愉悦です。とても、よくわかります。
 私も、今まさに、あなたの心を弄んで楽しんでいるところですから……。

 あなたが今のお仕事にどれだけ精魂を傾けているかは、私も存じ上げています。
 ですから、それを私の一存でぶち壊しにできる今の状況にあなたを追いやっていること……しかも私の欲望のために……。
 心を弄んでいるというのも生易しい所業です。けれど、止められないんです。
 忘れられないんです。思い出すと、私に生殺与奪を握られたあなたが、また恋しくて、たまらなく……。

 あ――ん、く……ぉ、ほぉお……っ……こ、こえ、でちゃ……あぁあっ……!

 ……す、すこしだけ、腕、お借りします……私が離したら、また、続けて……。
 あなたが、私を痛めつけ、辱めたいと望むなら……それで、少しでも埋め合わせできるのであれば……。
 責め立ててください……受け入れたいのです……どうか、続けて、続けてください。

 ぁ、ん、ぅ……お、お尻の、穴ぁ……外、撫でられ……汗では、ありません……嘘は、こちらです……。

 そ、そうです……外だけ、なのに、もう、直腸まで期待、してます。
 今のあなたに触れられたら、私は、排泄口でさえ、うずうずと蕩ける性器に作り替えられてしまいます。
 いずれ身体のすべてをそうされ……そうされる途中で、私は多幸症で狂い死にしているに違いありません。

 ……あなたはそこまでタナトスに取り憑かれていないようですが。

 私の顔から悟ったのか、粘膜から悟ったのかわかりませんが、
 私の意識が地下鉄内にふらふら舞い戻ってきて一呼吸二呼吸したあたりで、
 また指先で肛門をカリカリしたり、指のお腹で圧迫したり……。

 もしや、あなたは、また私が失神するのでは……と警戒して、手加減されていますか。

 ……トリップしている私より、今の私のほうが痴漢していて楽しい……?
 そういうことであれば……私は……が、がんばって、イクぎりぎりまで、意識をしっかり保ちます。

 そうですね……確かに、無茶かも、知れません……。
 ですが、私もそのほうが……心地よいというか、幸せというか、満たされる予感もするのです。
 ですから、どうかおつきあいください。

 ……最初みたいに、痛いほどお尻をぎゅうってしてもらって……気つけみたい、と思ったら、
 顔に出ていたのか、あなたは窓に苦笑を映して……おかしいですねぇ……。
 私、今はマスクで目から下は隠れていますし、その目だって今は前髪で……。

 お、お尻の、あな、あなっ……とうとう、中に……寸前、で……っ。
 心の準備をしなさいということですか? それとも、焦らして楽しんでいるのですか。
 どちらでも……嬉しいですね。きっと両方でしょう……。

 お、お尻、ひ、開いて……っ、いりぐち、こす……っ! ふ、ぁあ……っ!
 ほんの、ちょっと、あなたの指のどれか――たぶん、中指――が、第一関節ぐらい……
 それしか入れてくれていないのに、おしりっ、お尻で、頭が、ぜんぶ……っ。

 お尻の、穴……こうもん、され、て……っ。
 こんな、きたないところで、あなたのゆび、くわえて、しめつけて、こすりつけて、
 私、わたし……また、あなたを冒瀆して、それで、気持ちよくなって……っ。

 勝手に、お尻が動いて、あなたを誘って、ねだって……気持ちいい、ですっ……。
 おしり、きもちよくてたまらないんですっ、おしり、おしりっ――
7 : ◆FreegeF7ndth [saga]:2020/06/14(日) 23:22:12.68 ID:KnKXCR6go

 ――ほ、ぉ、あっ……!?

 私がトリップしかけると、あなたは、また、ぎゅうって……おしおきのように、いましめのように。
 そう、ですね……電車の中で、お尻に指を入れられて、気持ちよくなって、我を忘れるなんて……。
 いくら相手があなたであったとしても、紛れもない異常者です。

 あなたは、私の尻穴を穿ちながら、私に忘我の寸前や意識が飛ぶ瀬戸際を歩かせます。
 意識を、保つように、頑張っているから……私も、そうされていること、しっかり覚えてしまいます。

 このまま続けられたら、私のお尻が、あなたのモノに――い、いたぁ、あぁっ――ぎゅうって……ううぅ。
 あなたの手と指で、叱るみたいに揉まれたら……ますます、私は……。

 あ……あぅ、うぅ、ふぁ、あ……う、嘘から出た真、といいますか。
 胸で気持ちよくされて前後不覚になり、お尻に淫らな色を刷り込まれて……としているうちに、
 頭が茹だって、熱病にかかったのと変わらないぐらいです。

 近くにいる私はこの有様ですが、あなたは興奮してくださっているのでしょうか。
 窓に映る顔、あるいは横目で見上げる輪郭の肌は、紅潮しているように見えます……が。
 スラックスは、カバンで隠されています……ず、ずるい、私のほうだけ、はしたなく濡れているのが――。

 ――いや、ぁ……だめ、ですっ、や、あっ、待って、まってまっ……。

 んくっ、うぁ、はぁ、はぁっ……ふぁあ。すみません、またジャケットにシワを。
 ……? どうして止めるのですか。私は……まだ欲しいです。何か問題でも?
 ほら、こうして立っていられるじゃないですか。

 もしや……私がシてもらって、あなたはシてあげる役ばかりで、お疲れなのですか。
 そうであるなら……ストールで隠せますよね。今度は、私が奉仕いたします。
 あなたが私に与えたほど、快楽を差し上げる自信はございませんが、せいいっぱい、励みますので……。



 ……という私の提案を、あなたは……すげなく却下されました。
 どうして……と私が抗議するより早く、あなたは私の下衣から手を抜き、逆側の手で私の手を引いて、
 (どちらかというと、さっきまで私を苛めてくださっていた手のほうが私は嬉しい気がしましたが)
 開いている自動ドアのほうへ歩いて……新宿西口?

 あなたが見せくれた腕時計を見て、ようやく理解できました。
 大江戸線ほぼ2周ぶんと乗り降り1回ぶん、合わせて2時間と少し経っていました。

 泣きそうな顔を隠せなくて、あなたに、またご心配をかけてしまったようです……。


8 : ◆FreegeF7ndth [saga]:2020/06/14(日) 23:22:51.52 ID:KnKXCR6go



 あなたに引っ張っていただいて、事務所から数駅離れたマンションに帰り着きます。
 そのままあなたに押し倒してもら……えず、私は自室でひとりぽつねんと座っています。
 あなたはお仕事が残っているとのことで、立ち去ってしまいました。

 ここは、防犯と交通の便以外をすべて後回しにして借りた狭い部屋です。
 本棚が足りないのは、国会図書館に通いやすい位置を選んだ代償、と言い聞かせています。

 あなたに女性器を愛してもらいそびれたうら寂しさ。それを、狭くて静かな空間の孤独感が煽ります。
 静かなのです。防犯がいいということは防音もいいということですので。

 しかし女性器が疼きます。オナニー、したくなります。それでいて躊躇もあります。

 自慰の刺激は、あなたなしの興奮という鬱屈を、そのときだけは忘れさせてくれます。
 終わると、それまで味わって浸っていた快楽が、結局はあなたからのものではなく、まがい物である……
 と、醒めた意識が嫌というほど悟ってしまい、私は消え去りたくなります。筆舌に尽くし難い気分です。
 ぬるいはずの膣液が冷水のように思えてくるほどです。



 そこで私は、なんとかあなたとつながっている感覚を得るために、
 自慰の風景をスマートフォンで撮影してあなたに送りつけることにしました。

 性的なメッセージや画像を含んだテキストを送ることを、アメリカでは「セクスティング(=sexting)」というらしいですね。
 恋愛テクニックの一環だったり、脅迫によって要求されたり、リベンジポルノの原因の一つだったり、
 いろいろ位置づけはありますが、基本的にはろくな扱いをされていない振る舞いです。

 ……『あとで、一人で見てください』まずは、あなたにそれだけのメッセージを送りつけかけ……
 いけません、その前に部屋まで送っていただいた御礼を書き足して……。

 この頭の茹だり具合ですと、まともな文章を書く自信がありません。送りつけるのは画像と動画に決めました。
 あなたはお仕事中な様子ですが、外回りかもしれません。Wi-Fi環境があるか心配です。

 画像と動画と、織り交ぜて小刻みに……と決めました。
 途中であなたから合いの手をいただけたら、つながっている感覚が深まっていいな、
 という下心もきっと満足します。

 部屋の壁にクッションを据えて、スマートフォンを置く台の代わりにします。
 クッションは細かいビーズが詰まっていて、角度の調整がしやすく重宝でした。

 そこから明かりや写りの具合を確かめながら、狭い部屋で右往左往。
 片手に収まるほどのディスプレイに映じる私の姿は、地下鉄の窓で揺らいでいたそれよりずっと鮮明なのに、
 あなたに見せたいと思うほどの質に持っていくには、思った以上に苦戦しました。

 アイドル活動を何年も続けている中で、いつの間にか私にもこだわりが根付いたようです。
 撮影のときのカメラマンさんや照明さんの苦労が偲ばれる、と言ったらあなたに苦笑されそうです。

 その右往左往の中で、私の身体はあなたから頂いた熱を取り戻していきました。
 ブラウスをたくし上げ下着をずらすと、気絶するほど可愛がっていただいた胸は興奮にまみれています。
 乳輪も乳首も、それどころか乳腺や脂肪やその下の胸筋さえぽってりと張っている心地。
 なんだか胸の苦しいのは、全部これのせいなんじゃないかと錯覚するほどです。

 ワイドパンツですが、これはもう脚から抜いてしまいます。
 汚したり、妙な傷め方をしてしまったりして、またポケットの細工を作り直しになるのが怖かったので……。

 Tバックから延びる私の両脚は、美波さんや楓さんと比べると、いくぶんバロック絵画的な歪みが……
 ……もっと素直な言い回しをするなら、肉付きがムチムチとしています。
 そこまで曲線も長く優美ではありません。

 でもあなたはこれを愛してくださります。
 あなたの手で触れられると、やすやすと愛液を肌まで垂らしたり、
 あなたの指が食い込むのに、かえってこちらから食らいついたりする膨らみを持つこれを。
9 : ◆FreegeF7ndth [saga]:2020/06/14(日) 23:24:01.06 ID:KnKXCR6go


 まずは、しどけない格好で、私の肩から膝までをいくつか撮影して、画像をあなたへ送ります。
 顔は、隠しておいたほうが本物の自撮り(我ながら語弊を感じる言い回しです)らしいので、隠します。
 アカウントと、服装と、体つきと、部屋の中の風景とで、あなたには「鷺沢文香」だと通じるでしょうが。

 あなたからは、すぐに……今ちょっと抜け……られないところだから……というような言い訳が。
 その主意が「仕事を抜けられない」なのか「オナニーできない」なのかは断定できませんでした。
 ダブルミーニングかもしれません。

 それなら、写真を矢継ぎ早に送るよりは、ある程度の時間をかけて動画を撮って、
 鷺沢文香が自重してくれた……とあなたが油断したところに、送りつけて差し上げます。

 映像については少し迷いましたが、私は四つん這いになってスマートフォンにお尻を向ける体勢をとりました。
 乳房のほうもいっぺんに見せて差し上げたかったのですが、
 そこまでアクロバティックな体勢をとる自信がありませんでしたので……。

 四つん這いになるため、塩ビ樹脂のラグを敷きます。
 フローリングと違って、肘や膝をついても擦れて痛くなりにくいのです。
 そして繊維素材でないので、なにかをこぼしてもすぐ拭き取れます。

 ……激しく動いて、体液を垂れ流す備えです。あなたへ見せるために。
 それを実感しただけで、膣と肛門がきゅうっと収縮して切なくなります。

 今の私は、この女性器と直腸に行動を支配されてしまっています。
 いや、もうそんな中立的な、他人事のような呼称は似合いませんね。
 あなたの愛撫をせがんで涎を垂らすこれらの器官は、まぎれもなく私の身体であり、
 つまりはその手の小説や漫画でいうところのマンコとケツマンコなのです。

「鷺沢文香の……マンコと、ケツマンコ……あなたの痴漢のおかげで……
 どろどろになって……おさまりが、つかないのです……っ」

 あなたがそのような本を好んで嗜まれているかどうかは、私には断定できません。
 盗み見(すみません、好奇心に負けて……)したところ一冊、二冊は所有されているようですが、それについて聞くと怒られてしまい、
 それ以来あなたがひた隠しにしてしまっているからです。

「あなたが……シてくださらなかったぶん……これから、自分で、シます。
 あなたのおかげですから……お付き合い、くださいますよね……?」

 ただ隠し方からして、お嫌いではなさそうなので、あなたが好んでいるとしてこのまま続けます。
 お気に召さないようであれば後日改めますので、あなたの口からご指摘ください。

「見えますか……? マンコも、ケツマンコも……あなたの指や、チンポが、ほしい、
 ほしいって……涎垂らして、泣いているみたいで……こっちの口にノドと舌があったら、
 さぞうるさかったでしょう……」

 あなたと後でつなげるスマートフォンのカメラに向けて、私は四つん這いになりながらお尻を向け、
 膝は肩幅と同じぐらいにはしたなく割って、排泄でもするかのように括約筋を締めたり緩めたりします。

 Tバックは、生地面積が極小……しかし強度確保のためか、それなりの厚さと生地で仕立ててあります。
 それゆえ透けることはないでしょう。ただ、隙間から粘膜と愛液がはみ出ているはずです。

「ケツマンコは、あなたの指、思い出して……マンコは、うらめしがってます……」

 表面から奥までぎゅうっと締めたり、ふわぁっと緩めたりを繰り返し、
 さらに膝と背中を使ってお尻全体をぷりぷりと何度か揺らして、
 ようやく愛液が膝の間から糸をひいてカーペットへ落ちる……
 天橋立でやる股のぞきの出来損ないの姿勢、その視界からは、そう見えたのです。

 そんな画が撮れると、私は頭が蕩けて舌が回らなくなるほどの達成感に包まれます。

「ほ、ほらぁ……あなたに、マンコ、うずうずってして、とろとろされて……
 触られてもいないのに、マン汁、垂れ流して、こんな下着じゃ、抑えきれない……」

 私もアイドルを続けるうちに、カメラの位置と自分の姿勢で、どんな画が撮れているかには、
 だいぶ敏感になったと自負しています。今のは、いい感じでした。
 私にだいぶ慣れたあなたでも、興奮させてくれるでしょう。
10 : ◆FreegeF7ndth [saga]:2020/06/14(日) 23:24:34.90 ID:KnKXCR6go
「きょうのあなたは、とっても手ぬるく……いえ、失礼っ、お優しい愛撫でしたね……?
 ぎゅうって強くシてくださったのは、お尻の、外側だけで……」

 自分でやっていて少々焦れてきたので、もったいぶって引き下ろすつもりだったTバックも、
 たまらず、数呼吸もしない間に、膝までずり下げてしまいました。

「私は……電車の、中でだって、あなたに……マンコも、ケツマンコも、
 両方、ぐちゃぐちゃにされるの、期待、してたんですよ……?」

 あなたが、あのとき理性のタガをもう少しだけ緩めて、もう少しだけ私を辱めてくださったなら……。
 中断された痴漢の続きが、妄想の中で繰り広げられていきます。
 私はあなたの指の代わりに、自分の指を駆り立て、欲しがりの二穴を慰めているのか、たしなめているのか。

「おマンコの、奥も……腰や、下っ腹の、おへそのあたりまで……たまらないんです。
 熱くて、爆発しそうで、壊れて……いけないって、分かっているのに、それで、なお……」

 あなたの手と同じように、かりかりって、探り探りの……そんな力加減。
 あの時は、いちおう電車内にいるという自覚はあったので、身も世もなくあなたを求めはしませんでしたが、
 今ここにいるのは、私と、スマートフォンを通じたあなたの目と耳だけ。

「肛門は……ケツマンコの入り口は……いやらしく、物欲しげに見えますか……?
 あなたが、さっき、くすぐって、可愛がってくださって……。
 自分で、入れてみて、あらためて実感しましたが……本当に指先しか入れてくださらなかったんですね……。
 なのに、私は、それだけで、腰砕けになって……」

 でも、私の排泄器官をそうさせたのは、あなたの薫陶の賜物です。
 あなたは、いつも、私の心と身体がぎりぎり受け入れられるところまで、踏み入ってくださいます。

「うあああっ……あ、あぁあっ……ゆび、あなたに、シて、ほしかった、のにぃ……っ!」

 尻穴粘膜の感じる熱さは、昂じて火が出るほど。快楽半分、苦痛半分といったところ。
 私の指が、欲求不満の八つ当たりに染まって、強く中に突っ込み、きりきりと食い込ませてしまいます。

「ほら……見え、ますよね……見て、くださいっ……。
 ケツマンコ、いじるだけで、マンコまで、きゅうきゅうって、なって、止まら、なくって……」

 感覚としては……止まらないのは、たぶん指と口舌のほうで、ぐじゅぐじゅの二穴は、
 先走っている私の指と口舌のせいで引きずり回されている……といったほうが近かったです。

 恐ろしい話ですが、あなたのこととなると、私だけの体のあちこちが、欲しがって喧嘩するのです。
 自分で言っても、思い出しても、何のことだか……これが、体がバラバラになることかもしれません。

「く……クリトリス、だって、こんなに、勃起して……なのに、おあずけ、です……。
 どうして、くれるんですか……? どうして、どうしてぇ……っ」

 私のクリトリスは、勃起しても小指の先ぐらいにしかならないので、
 またお尻を浮かせ沈ませ、お腹周りを使ってグラインドさせ、なんとか見てもらえる姿勢を探ります。
 犬がおしっこをするように片足を上げようか、とも思いました……その姿勢を保つ自信がなかったので止めにしました。

「あ、ぁあ、ぅうっ、うぅうぅっ……! もっと、ゆびで、くりくりって、きゅうって……っ」

 結果、直前よりももっとお尻を高く突き上げる体勢です。もっと淫らになった……と思ってくだされば、嬉しいです。
 そこから、人差し指と中指でクリトリスをいじめるさまを、それで私がもっと瓦解していくさまを、
 あなたに見ていただけるように……。

「は、ぁ――ぉおぉおっ!? な、あぁ、む、ねっ……」

 そうやって姿勢が変わると、不意打ちに胸をこする刺激が、あ……あっ――!
 一瞬、あなたが……なんて気分がしましたが、最初に敷いたラグに乳首と乳輪が擦れただけでした。
 ぬか喜びさせて、と自分の乳房が恨めしくなります。

 男性の方は、自分の意志に反してペニスが勃起して困る、という経験があると聞きますが、
 私の今の体は、ちょっとでもあなたとのセックスの喜びを覚えている全器官がそんな感じでしょうか?
 とにかく本当に困ります。

「このまま……おマンコや、おっぱいもいじったら……それで、イッて、しまうかもしれませんね……?」

 あなたの目に向かって、お尻を突き上げて、マンコもケツマンコもメス汁でだらだらに蕩けて、
 その上におっぱいで床オナニーして、そのまま絶頂でビクビクして崩れ落ちる……
 なかなかいい画になりそうです。それを演じた時の快感や達成感が、想像だけで先走って溢れそうです。
11 : ◆FreegeF7ndth [saga]:2020/06/14(日) 23:25:46.10 ID:KnKXCR6go
「こんな、恥ずべき、卑しい格好を、記録して、送りつける……色狂いも、いいところですね。幻滅、されました……?」

 言い逃れのできない証拠まであなたに渡してしまいます。
 痴漢は、しょせん一時の戯れで、誰にも気づかれなければ、私たちの秘密の記憶にすぎません。
 しかしこうして記録されると……

 股の間からスマートフォンの小さなレンズを見ると、私の何かが吸われている気がします。
 明治時代には、写真を取られるとカメラに魂を吸われる、という迷信があったと聞きます。
 それを信じていたら、私や他のアイドルは、魂を吸われ尽くして無味無臭の茶殻と成り果ててしまいます。

「みて、ください、やきつけて……あなたの、さぎさわ、ふみかの、イヤらしい、ところ……」

 逆に、こうした私のアブノーマルな衝動を、あなたに吸ってもらっていることで、
 私はなんとか日常生活、芸能生活を送れている気もします。

 いつの間にか、私はあなたがいないとダメな女になってしまったようです。
 あなたに淫らな自分を見せていると、興奮するとともに……
 矛盾するようですが、どこまでも沈んでいけそうな底なしの安心感を覚えるのです。

 あなたは、私が……電車の中で乳房や尻穴をこねくり回されて嬉しくて失神するような痴れ者なのに、
 それを受け入れてくださるから……こんなこと、親兄弟や夫婦相手でも望めないでしょう。

「あ、あぁっ……あなたの、指も、ナカ、でぇ……見て、焼き付けて、ください……っ」

 お尻を突き上げたまま、体を波打たせて、性器をくじり回して、
 無理な体勢で汗だくになり、心臓も肺も苦しいのに……もっとずっと続けたくなります。
 ……安心、というには火照った感じです。しあわせ、とでも言えば良いんでしょうか。

 ぐちゅ、ずちゅ、ずぴゅ、じゅぷっ……痛いぐらいにひねり上げ、こすり、時には肌と粘膜を叩いて……
 そうです、カメラだけではありません、マイクもオンレコですもの。
 音でも、私の欲望と幸福をあなたに届けて差し上げたい……なので、いささか大げさに。

「フーッ……ふぅうっ……あ、あぁっ――あなた、が……クリトリスっ、
 外と、ナカの根本……っ――いじって、上から、下から……あ、あぁあああっ……!」

 声も、です。
 あなたは、私に歌手やナレーターやラジオのお仕事を振ってくださいますが、
 そのShureだかJVCだかのマイクに吹き込むのと同じノドや、くちびるや、舌で、
 私は爛れきった自分の心をあなたに届けます。あなたが受け入れくれると信じて、甘えて。

「だ、め……だめに、なって、しまいます……私、わたし……こんなの、続けたら……
 でも、戻れないんです……んんっうぅうっ、ううぁ、はあ……! 止められ、ないんです……っ」

 演技だか生理反応だか感情の高ぶりのせいか、おそらく3つがごちゃごちゃになって、私の涙腺をほどきます。
 感情の高ぶりというのも、羞恥と、欲情と、恍惚と……身を任せたくなるものがいろいろ混ざって、
 カメラアプリを起動させてからこのかた、収拾がつかなくなるばかりです。

「おっぱいも、乱暴にされて、嬉しがって……マンコも、シてくれたらよかったのにって、
 恨めしくて、泣いて、泣きじゃくってます……う、ふふ、あは、は、ぁ……んんっうぅうっ……!」

 また……ぐちゅ、ずちゅ、ずぴゅ、じゅぷっ……って……我ながら呆れる水音です。
 指を立てて、きゅうっと膣内に力を込めて、もっと響くように。
 あれだけダラダラ流して、膝の間は薄い水たまりができているのに、
 私の膣はまた景気よくプシップシッと手のひらや手首を濡らしてくれます。

「お、お尻……ぉ、ほぉおっ……!? ケツマンコ、も、まだまだって……ずぼずぼ、
 されたかったのに、って……だ、だめ、い……イク、イキます、みて、どうか、見ていて……っ!」

 指でぜんぜん届いていないお腹の底が寂しがっていましたが、指先で弄り回せていたところは、
 あなたが見ているという勢いを借りて、きゅうううって、半ば勝手に達します。

「ぅぐっ……くっ、はぁ、ぉ、ぅん……! ふーッ、う、ふーッ……うぅぁぁぁ……ッ!
 あぁあぁ……イッて、しまい、ましたぁ……私、アイドルなのに、あなたの前で……」

 気持ちいいですし、興奮しますが……チグハグ、なんですよね……。
 膣と、尻穴と……イッて、ほかが置き去りです……今更何を失うというのかって痴態なのに、
 泣けてくるほどの喪失感に見舞われます。

 ないのは……あなたに抱かれたときの、体も心もすべて絶頂に持っていかれるものが、ないんです。
 撮影で、あなたと擬似的につながっている気分を作ってみましたが、ダメでした。
 その絶頂を感じられたら、もっとオナニーしているんですが。

 ……オナニーと読書以外しなくなりそうで、怖いですね。


12 : ◆FreegeF7ndth [saga]:2020/06/14(日) 23:26:36.53 ID:KnKXCR6go



「……今度は、こちらを……まだ、満足、できていませんので……」

 私はいったん録画を切ったあと(けっこうな容量になり、あなたに送る前にあわてて分割しました)、
 秘密の物入れからディルドを取り出し据え付けます。あなたからのプレゼントです。

 ……正確に言うと、私が膣奥を慰めるときのために、あなたにねだって買っていただいたものです。

 現役アイドルが、ディルドなんて、通販でも買うわけにいきませんものね。
 それに、あなたから買ってもらわないと、どことなく浮気のような心地がして使えないんです。

 ……ということをねだるときに告げると、あなたは突然私をぎゅうっと抱きしめてくれました。
 感じ入ったのでしょうか……ただ、耳元でくっくっ、とくぐもった声がしますので、
 苦笑を禁じ得なかったのをごまかしたのでは? という疑問もありました。



 最初の動画たちをあなたへ送りつけたあと、録画を再開します。

「……何度見ても、この大きさ・長さのモノが……私のナカに入るというのは……不思議、ですね……」

 自分であなたにねだって、今こうして引っ張り出しておいて言うのもおかしな話ですが、
 私はこのディルドがさほど好きではありません。

 粗悪品というわけではありません。亀頭の張り出しや、血管を模したゴツゴツの輪郭。
 ローションや私の涎が絡みやすく、温めやすい素材。上質で、使い勝手はいいと思います。

 せっかくの使い勝手なんですが、フェラチオの練習と、どうしても膣奥が疼いてたまらないオナニーのとき以外、私は見たくないし、触れたくもないのです。
 リアルなのが、かえって「あなたのペニスでない紛い物」という印象を強くするのです。

 ……ディルドにも、不気味の谷ってあるんでしょうか?

「い、入れます……私が、紛い物のチンポを浅ましく……くわえこむところ、見ていて、ください……」

 しかし膣奥――おそらく子宮のあたり――が、むずかって、駄々をこねて、
 私の意識を苛んでしょうがありません。その震えをこらえながら、
 私は和式便器にするようにしゃがみこんで、ディルドの切っ先に膣口を近づけます。

 本当に、子宮のあたりがうるさくて困ります。ずいぶん離れているはずの脳葉が、ばさばさ揺さぶられている気さえします。
 かつてヒステリーは子宮の異常が原因と考えられていて、だからhysteria(=子宮)が語源だ……と聞いたことがありますが、
 もしかすると命名者は、今の私のような女性患者をたくさん診ていたのかもしれません。

「んっ、ぐ、く、ふぁ、あっ――ナカ、あ、あぁっ……っ!」

 当たり前ですが、ディルドはあなたの勃起血流と、腰の支えを欠いているぶん、
 イチモツとしてどうも頼りなく、私が上から膣で飲み込む際にも、いろいろ神経を使います。
 雑に入れると、滑って抜けてしまったり、なんだか壊れてしまったりしそうで、不安です。

「ん、ぁ、あぉ……お、おく、までぇ……み、みえ、ます、か……?」

 すごく華奢な女性の場合、大きなイチモツを挿入されると、膣内が過剰に押し広げられて、
 ぽっこりと下っ腹にイチモツの形が浮き上がってしまうらしいです。見たことはありません。

 今の私では、あなたにそういう様は見せてあげられないようです。残念です。
 体型には気をつけていますが、M字開脚でしゃがみこんで、ディルドの位置を見るために背中を丸めて……
 となると、さすがに臍下丹田がぷにぷにしています。

「んくっ……あ、あぁ……もうちょっと、なんですが……うぅうぅ……っ」

 そうやって、これはあなたの勃起だと言い聞かせながら、あやすように膣奥を小突いてみます。
 ん、はぁ、おおっ……ぁあぉっ――なかなか、あともう少し、それこそ指先ぐらいが、届きません。

「ぁ、ああぁあぁ……っ、どうして、どうしてぇ……あなた、じゃないと、だめ、なんですか……?」

 いや、ディルドの根本とラグに、私のお尻がぴったりつくぐらい咥え込めば……届いては、いるんです。
 レッスンで柔軟運動をしっかりやっておいたのが役に立ち……そんなことを考える余裕が、まだあります。
 もっと強く、無理矢理に、私以外の――他でもないあなたの――意志で、ここが征服されなければならないのです。
13 : ◆FreegeF7ndth [saga]:2020/06/14(日) 23:27:51.49 ID:KnKXCR6go
 がつっ、ぐつっ、どくっ、ぐくっ――乱暴に、膣内をえぐらせ、床にお尻や腰を叩きつけます。

「あ――あぁあ゛ぉお゛っ――!? く、うぅ、おく、だ、めっ、い、いた、あぁあぁ……」

 激しくしないといつまでも終わらないし、画になもならないので、気力を振り絞ってがつがつ続けます。
 ですが、はかどりません。オナニーしているというより、聞き分けの悪い子宮を折檻して懲らしめている心地がします。

 ……語源からすると、「折檻」はされている側ではなく、している側が折れるんですが。
 私の意識も、いつか子宮の諫言だか我儘に折れてしまうんでしょうか。

 本当は、コレじゃ満足できないくせに――そんな、ことは。

「かはっ! あ、ああ゛っ! は、ぁ、お゛っ、おくっ、おねがい、だからぁ……っ」

 がつっ、ぐつっ、どくっ、ぐくっ――う、うるさいです、そんなことは、わかっていますっ。
 でも、あなたは……あなたは、ここに、いないんです。

「へぅっ、あぁッ、か、はぁあ、はぁーっ、はぁぁっ……えうぅうぅっ……」

 舌をだらしなく伸ばして、犬みたいにハァハァ喘いで、腰をディルドに叩きつけます。
 防音じゃなかったら階下から確実に苦情が来ます。それでも、足りない。
 焦燥が、むしろぞわぞわと絡みついてきて、苦しくなって……。

「ぐ、ふぅっ、ああぁっ、ぐっ……あぁ、ああああっ……!」

 苦し紛れに、おっぱいを痛くなるほど揉んだり引っ張ったり、
 お尻の穴にまだ指を突っ込んでかき回したりするのですが、ダメです。
 子宮どころか膣内全体がつれなくなってます。そうじゃないでしょう、って。

「あ、ぐ、くぁ、あぉっ……!? わ、ぁ、わかって、ます、わかってるんです……っ!
 あなたが、見てくれてても、あなたじゃないと、だめぇ……っ」

 わけがわからないまま、情けなさで心がいっぱいになります。
 届きもしない快楽のために、もがいて、膣内に紛い物を咥えこんで、腰をあさましく振って、
 求めるものは手に入らないと思い知らされ、なのに止まれないんです。
 こんなの娼婦以下です。脂肪の塊のほうがずっと気概に溢れていて立派です。

「やぁ、や、やら゛ぁっ……とめて、とめて、くださいっ……あ、あ゛あぉお゛……っ……!」

 肌や粘膜は痛くて、呼吸は苦しくて、肌や筋肉は熱くて、めまいがします。
 私以外は完全に静かです。あなたにこの痴態を投げつるはずのスマートフォンさえ無音です。

 しょうがないんで、乱暴に叩きつけられるディルドが、あなたの抽送だと必死で自分に言い聞かせます。
 あのあと、電車の中でたまらなくなったあなたが、私をどこかに連れ込んで、
 押し倒して、私をオモチャのように、精液をコキ捨てる肉穴のように、乱暴に突っ込んで犯してくれて……

「し、してぇ、もっと、おねがい、おねがいします……あ、ぅう、あっあぁ……うぅうぁあぅっ……」

 あなたが私にくれたもっとも力強いピストンと同じぐらい、私はディルドを膣に突き刺したまま、
 がつがつ、ぼこぼこ……腰も上半身も乱暴に揺すってみましたが、すればするほど、とても恐ろしい徒労感や孤独感に襲われます。
 これに比べれば、痛みや苦しさはまだ堪えやすいものです。

「あなたが……う、うぅうっ、ほ、ほしい、のに……う、ぁ、あぅうっ……」

 私はこの世で一人になってしまったんじゃないでしょうか。
 それを受け入れられずに、煩悶で孤独から逃げているだけではないでしょうか。
 オナニーを撮影して送りつけるなど正気の沙汰ではありません。現実逃避で頭がおかしくなったのでしょう。

 ディルドの不気味の谷が、部屋全体に、すべてに広がっていく錯覚がします。

「ああぁあ゛ッ、あ、あッ、う、っ……うぅうっ、ぁあぁううっ……っ」

 もう子宮をディルドでいじめる気力も失せてきました。
 そうでしょう。こんなセックスもどきに狂った女を受け入れる人間なんかいないのです。
 汚らわしいのです。みんな呆れ果てているのです。誰も、誰も……っ。
14 : ◆FreegeF7ndth [saga]:2020/06/14(日) 23:28:50.97 ID:KnKXCR6go

 そんな泥沼か谷底でごろごろ呻く私に、何か音が聞こえました。
 耳障りな、何かの振動音……振動? バイブレータ……これ、は……。

「――あ、あっ、わた、しっ……」

 私のスマートフォンに着信が入っていました。画面にあなたの名前が通知されていました。

「も、もしもしっ、しゃっ――さ、さぎさわ、ですっ」

 私はラグの上でよたよたしながら、やっとディルドを引き抜いて、ディスプレイをタップ。
 耳から聞こえてくるのは、確かにあなたの声……誰かが声を作ったフェイクでもなさそうです。

 というのも、送ったばかりのオナニー動画や、不完全燃焼に終わった痴漢の話題が出たからです。

「……す、すみませんっ……しんぱい、かけて……本当に、めんもく、しだいも……っ」

 あなたが通話してくださった理由は、自室へ送っていった時の私の具合が(本当に)悪そうだったことと、
 オナニー動画を送りつけたあと、私が感想もねだらず、あなたが送った返信に既読もつかず……
 とのことで、体調を崩したのでは……という心配・確認でした。

「おねがい、です……助けて、くださいっ……」

 私は恥を――あなたの声を聞いて、私の心に羞恥という正気のかけらが戻ってきました――忍んで、
 今の自分の苦境を喘ぎ喘ぎ説明して、どうか見捨てないでとあなたに懇願しました。

 ……あなたに見せつけるためのオナニー動画を撮影していたら、興奮して、
 でも膣奥で絶頂できなくて、そのうち現実感を失くして、離人症じみた不安に押しつぶされそうで……

 語っている途中、自分で自分のことを馬鹿馬鹿しいと思うようになりました。
 あなたの相槌のおかげでそのぐらいの余裕は復活しました。私は自分の現金さに驚きもしました。

「あ、あの……すみません、こんなこと、しゃべって……
 ただ、あなたの……あなたが聞いてくださって、やっと、落ち着いてきて……」

 でも、相変わらず困っているのです。子宮も、ヘソの代わりに茶ぐらい湧かしてほしいものです。
 このまま電話を切ったら、私はまたこの泣く子に負かされてしまうかも……。

 そうした私の躊躇を察してくださったのか、あなたは……
 すぐ人目につかないところに移動する、そうしたら掛け直す……と提案します。

 耳を澄ませても、あなたが今いる場所はわかりませんでした。
 少なくとも、駅構内のような騒がしい場所ではないようです。

「わ、わかり、ました……それなら、なんとか、我慢、します……」

 10分後、あなたから折り返し着信が来るまで、私は端末を指一本も離せませんでした。

「はいっ……! さぎさわ、です……っ」

 あなたは名乗ってすぐ、私に楽な姿勢をとるよう指示しました。
 私は鉛のような手足に鞭打って、狭い部屋の端に身を潜めるベッドへ向かい、身を横たえます。

「もっと、やさしく……です、か……?」

 あなたは、私の自瀆を、もっと優しい力加減にしたほうがいい、と提案。
 なんでも「文香は、軽く指先で弄んでるぐらいのほうが乱れている気が」……うんぬん。

 言われてみると、確かに、そんな気は……どうして気が付かなかったんでしょう?

「その……できれば、あなたに、どう触るのかも……ご指示、いただきたいです」

 あなたを困らせると分かっていても、このまま通話が切れるのだけは嫌なので、
 私は妙な懇願をぶつけます。するとあなたは笑って……優しくだよ、と念を押します。

「……はい……っ、あなたが、私を、大切にしてくださっているのと、同じぐらいに……」

 私の懇願は予想されていたようです。
 さきほど「移動する」と言ったのは、長電話に適した場所を探していたのでしょうか?
 ひどい迷惑をかけているのに――あるいは、だからこそ――どうしようもなく心が浮かれます。
15 : ◆FreegeF7ndth [saga]:2020/06/14(日) 23:29:39.21 ID:KnKXCR6go

 あなたはまず、ヘソ周りから臍下丹田の白線(腹直筋の継ぎ目ですね)を、指先で、
 皮膚が凹むか凹まないかぐらいになぞれ、とのご指示。うぅ、白線……。

「ふぅ……う、んくっ……あ、うっ、ああぅ、あぅ……っ」

 白線は、いわゆる腹筋が割れたとき縦に浮き彫りとなる部分です。
 私はそこまで筋骨隆々でも痩身でもないので、ただ仰向けに寝ているだけではわかりません。
 ブリッジしたり、肩と腰をぎりぎりねじったり、悪戦苦闘して、ようやくそれらしきところが出てきました。

 そうしたら、あなたは……「文香に、体でも、心でもそんなに求められて、嬉しい、興奮する」……あぁ。
 そのあと、小さな金具が擦れる音が一瞬、さらに短めのファスナーが下ろされたと思しき音が。

「……え……? あなたは、私と通話しながら、その、自慰を……?」

 呆気にとられました。私はどうも、あなたのこととなると、自分のことを棚に上げがちなクセがあるようです。
 冗談だと思いました。私が冗談だと思うことのほうが、よほどおかしいのですが。
 オナニー動画を撮影・送信したばかりの女が、その口で「自慰? 冗談でしょう?」とか。

「んきゅっ……っ!? あ、あなた、本当に……っ、あ、は、あぁ……っ♥」

 あなたは「冗談ではない」とすぐ答えました。
 私と違って、わざわざ写真や動画にしてもらわずとも、私を確信させる声と言葉。
 あなたと一緒にシている……と意識に叩き込まれた瞬間、

「あ、ぁぁあ……ご、ごめんなさい、なんだか、おなかが、きゅうに、あつく……なって……っ」

 あつくなって、というのは羞恥の混じった控えめな表現でした。
 実際の私の子宮……というかその周りは、あなたとのつながりを理解した瞬間、

「ぁ、あ――や、あ゛ぁ、は、ぁ、お゛――っ、だ、めぇ、い、イク、う――ッ」

 今までさんざん痛めつけられた報復のように、一気に、子宮から叫びだしそうなほどの快楽が突き上げてきます。

「あ、あぁ゛ああぁ――いぅ、う、い、いって、あ……イッて、しまい、ますっ……♥
 おねがい、イカセ、て……あなたの、ぉ……んっ、んくぅううっ……!」

 あなたは……私が落ち着くまで、私の名前を呼びながら、励ましてくださいました。
 そんな穏やかな声を聞かせていただいているのに反して、
 膣内――おマンコも、その奥――も踊り出したいぐらいの勢いで、
 腑抜けになっていたはずの腰まで浮かせます。

「は、あっあぁ……♥ すっ、すみません……ほんとうに、すみません……っ♥」

 子宮あたりから膨らみ続ける多幸感に、舌か声帯か、ともかくそのあたりが瞬く間に占領され、
 絞り出した声は、意に反した甘ったるい猫なで声になってしまいまいした。
 私、心の底から申し訳ないと感じては……いたんですが。

「せっ……せっかく、あなたが、いっしょに、シてくださっているのに、わたしだけ……」

 四つん這いになってお尻を突き上げてオナニーしながら振り回していたさっきの私と比べると、
 今の私は、ベッドに寝転がって悶えているだけなので、多少は慎ましい姿のはずです。

 けれど、この息が詰まって苦しくて涙が出るほどの心苦しさを感じているのは、今の私のほうです。

「ふぁ、あ、っ……♥ わかり、まひ、たぁ……っ♥ おなか、やさしく、なで……」

 あなたは、私が嗚咽と謝罪を繰り返すばかりなので、
(……その時は謝罪しているつもりだったのですが、あなたが録音していた音声を後日に聞かせていただいたときは、とてもそうは聞こえませんでした)
 それを止める代わりに、腹部への「優しい」愛撫を再開しなさいとのご指示。

「おなか、やさしく、なで……ぇうっ!? ふぁ、あッ、あっあっ……♥」

 物理的には、その刺激は私の指で与えられたものでしかないのですが、その私の指には、あなたの意志が乗っています。
 私の子宮にもそれが通じたのか、しごく素直に、カラダすべて、意気揚々と絶頂近くまで導いてくれます。
16 : ◆FreegeF7ndth [saga]:2020/06/14(日) 23:31:56.70 ID:KnKXCR6go

「ひぁ、あ――あ、あなたっ♥ あなたは、きもちいい、ですか……っ♥
 こんどは――あっ、ひくっ、ぁああうっ♥――い、いっしょに……い、イキたい、ですっ……♥」

 スマートフォンごしの、必要最低限の音質だというのに、
 私は、あなたが興奮で荒げた吐息が、すぐそばから耳と鼓膜にあてられていて、
 まるで対面座位か何かでひっしと抱き合っているかと、そんな幻覚に飲まれます。

「う゛あ゛っ!! あ゛あっ♥ あなたぁ――わらひで、きっ、きもちよく、なって、ぇ――っ♥」

 片手は端末を、残りはヘソの下か子宮のあたりを愛撫していて、
 膣内はまったくのお留守ですが、あなたのチンポを迎え入れたように、びくびくして、痙攣が止まりません。

「あぁっ……♥ あっ……も、ら、ぁ、まら、イッちゃ……♥
 しきゅう、よろこんで、きもち、よすいて、えっ――だ、め、わたし、も――んんっうぅうっ♥」

 頭が、真っ白になって、また達してしまいました。あなたは、まだ……。
 そんなすれ違いを繰り返すうち、私の心と体は、甘イキに絡め取られ、イキっぱなしになり、

「い、いきゅ――ひ、いぁあっ♥ いってぇ、いつでも――ぁ、あっ、あぁああぁ……っ♥」

 ……これで、あなたがいつ達してもだいじょうぶだ……♥ と、思いました。

 あとのことは、よく覚えていません。通話は、いつの間にか切れていました。

 子宮は、おとなしくなっていました。また幸いなことに、びしょびしょのラグを拭き、
 ベッドシーツを洗濯機に放り入れるぐらいの元気は残っていました。





 ……その告白をあなたへ語って聞かせると、あなたは……私を心配なさってくださいました。
 あなたは「自分のせいで、鷺沢文香が道をどんどん踏み外しているのではないか……」などと。

 私は、笑ってしまいました。あなたも、外道の道連れではありませんか?



 私は――あるいは、私「たち」は――おのおのの立場を危険にさらして、
 それゆえに愛欲が深いと相手に感じさせています。常軌を逸するほど。

 痴漢やら、オナニー動画を送りつけるのやら、通話しながらオナニーし合って、
 それで理性が溶け落ちるほど幸せって……そういうことではありませんか?
 見られてはいけない秘め事を、わざわざ発覚の恐れを帯びるようにして、楽しみさえ……。

 しかしこの関係が露見して、立場が本当になくなったとき、それも感じさせられ得なくなります。
 私は、それを……。



 ……そうですか。
 もう……やめに、しますか。

 いいえ、嬉しいです、本当に……だから、ハンカチではなく、胸をお貸しください。

 あなたが、単なる痴漢であれば、私の危惧など気にしないはずです。
 痴漢とは――また三島さんの受け売りですが――「絶対に女を人格的に愛し得ない男」でして……。

 たとえ、あなたが欲する私が、私の体だけであっても、
 私は……とも、考えてはいましたが……。



「あと……その――『不道徳教育講座』――です。
 その本、私の私物なので、お貸しいたします。
 お読みいただいて……あなたのご感想も、うかがいたいです」

 世間ではいろいろと言われている本ですが……。
 私とあなたのような種の人にとっては、鋭く突き刺さる寸鉄があちこちに仕込まれています。

 ぐさりとやられた傷跡をあなたと舐め合えたら、また私は嬉しく存じます。
 誰にも、見つかりそうもない時と、場所で……。

(おしまい)



・あとがき
都会って、乗降駅の間を遠回りしても運賃変わらないのです。
>>1は田舎者かつ鉄道知識も某なんなん以下なので、初めて知りました。
ご高覧いただきありがとうございました。
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/06/14(日) 23:41:31.51 ID:zrkfmO8jo
おつ
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/06/15(月) 00:11:06.71 ID:bbrdgNeJO
三島由紀夫はなー
先生が国語のテストで三島由紀夫の短編引用してきて、面白かったからそれが入ってる短編集借りたところ、突然ホモレイプが始まって絶句した高校時代の思い出
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/06/15(月) 00:22:18.68 ID:S+hRZS03o
しゅき
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