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狸吉「華城先輩が人質に」アンナ「正義に仇なす巨悪が…?」【下セカ】
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159 :
>>158
[sage]:2020/09/01(火) 15:45:41.05 ID:TSnQcDIA0
移動中だからID変わってるかもだけど、158な
実は原作読んでなくてこの作者の前のやつとアニメしか見てないんだけど、原作もこんな感じなん?
アニメよりアンナ先輩めっちゃ怖くなってるけど
160 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/01(火) 15:55:01.63 ID:0HVfqfsE0
>>158
>>159
……難しいです。皆さんに解説を任せます。
なんか書いてたらキャラがこんな風に動いた感じです。多分アンナ先輩以外はそんなに変わらないとは思うのですが。
あと原作の文章は、下ネタが巧妙に散らばっていて、もっと軽妙ですね。こんな重くないです。こればかりは何というか、文体の問題というか、赤城先生みたいに下ネタ浮かばないというか変態じゃなかったみたいです。
161 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/01(火) 17:16:46.02 ID:0HVfqfsE0
不破さんにアンナ先輩の時間稼ぎをお願いして(「わたしを殺したいのですか?」と無表情に淡々と言われたのには本当にごめんとしか言いようがなかった)僕と《雪原の青》と《哺乳類》代表――華城先輩とゆとりとで詳しく話を聞くことにした。
「《SOX》だけで何とかなればよかったんだけど、圧倒的に人手が足りなかったのよ」
「《哺乳類》《絶対領域》も《SOX》に任せるっつって、実質失敗したら《SOX》だけに被害をとどめようって魂胆が見え見えなんだぜ」
「そしたら慶介と祠影が画策して、《SOX》に全部押し付けようとしたわけ」
少しでも味方だと思った自分がバカだった、殴りたい!!
「ま、まあ、その、撫子も一枚かんでるみたいだけど」
……大人って、卑怯だよな……。
なんだかんだを話しているうちに、不破さんだけが出てきた。
「アンナ会長はいったんコンセントレーションするようです」
「こん、なに?」
「精神集中ですね」
「アンナ先輩の様子はどうだった?」
「思ったよりは安定していましたが、リーダーに対する殺意も安定していましたね。事故に見せかけて殺す気でしょう」
それなんてサスペンス劇場?
と、インパクトに紛れて今まで気づかなかったけど、
「早乙女先輩は?」
「移動中だぜ……慶介のところに」
「え? なんで」
「今回の色々な画策のお礼として、絵を何枚か贈呈するとかなんとか」
《SOX》のリスクを考えるとしなくていいと思うんだけど、一応チャンスが与えられたとみて、礼儀として、かな。まあここにいても役に立ちそうにないし。
「奥間さんはどうなさるのですか?」
不破さんが問いかけてきた。僕もそれは悩んでいた。
「僕は……、」
ちら、と《雪原の青》を見る。
「……アンナ先輩についていくことにする。今のままじゃ、アンナ先輩は絶対に間違える。許されるから間違えていいって、そんなのはダメだと思うんだ」
「アンナ会長を止めることができるのは奥間狸吉だけだろうし、それでいいと思うわ」
「《雪原の青》は怪我で激しい動きができないようですが、それでも?」
「……アンナ先輩は僕以外の女性につくことを許さないよ」
「た、奥間、あたしらはお前の意思を聞いているんだぜ」
162 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/01(火) 17:17:42.32 ID:0HVfqfsE0
ゆとりが痛いところを突く。今までずっと逃げてきた言葉。答えてこなかった言葉。
――僕はアンナ先輩を愛しているのか?
その純粋さも、無垢さも、危うさも、怖さも、全部が今、奇跡的に成り立っている。
あの夜、僕が奪ったものは、アンナ先輩にたくさんの変化をもたらした。
ずっと性欲だけだと思ってた。でもこんな奇跡的なバランスで成り立つのは、きっと、アンナ先輩の価値基準では、本当に僕を愛しているからなんだろう。
見捨てられない。どうしても。憧れの人というのを差し引いても。憧れが、まだ残っていても、残っているからこそ。
《雪原の青》を見る。僕の今の憧れの人。この人みたいにまっすぐになりたい、そう思って今まで頑張ってきたつもりだった。
だけど、今は何だ? まるでまがりきったち○こじゃないか。ふにゃちんのようにふらふらとして、自分ってものがなくて。
僕が本当に好きなのは――、
「奥間君」
アンナ先輩の登場に、一時会話が止む。というか凍り付いた。
アンナ先輩は僕の背中に回り、抱きしめる。僕を誰にも渡さないと、言外にそう言いながら、捕食者の笑みを主に《雪原の青》に向ける。
「今度、奥間君に触れるようなことがあれば、無傷捕縛なんて甘いことは言いませんわよ?」
「触れるつもりなんてない。その話は終わってるのよ、アンナ会長」
「牽制はよろしいですか?」
不破さん、僕にぐちぐちいう割には結構仕切るよな……。
アンナ先輩は僕の背中におっぱいを押し付けたいらしく、そのまま離れない。まあ多分、不破さんの言うとおり牽制なんだろうな。アンナ先輩の目から見たら僕は一度、《SOX》に誘拐されているのだから。
「先ほどアンナ会長に入ったのですが、《SOX》には先行してヘリの中に入ってもらい、犯行グループの信用を得てもらいます。そして船の中でアンナ会長に暴れてもらう、と」
「私は怪我で戦力にならないわ。アンナ会長ひとりで大丈夫なの?」
「そちらの狐のお面の方はどうなんですの?」
「足には自信あるけど、それだけだぜ。武器もって訓練してきた連中と立ち回る自信はないぜ。あたしは主に、鬼頭鼓修理の他、人質の保護が目的なんだぜ」
「鼓修理ちゃんの? ……なるほど、ですわね」
「アンナ先輩、僕も行きます」
「…………」
すぐに断るかと思ったのだけど、アンナ先輩は考え込んでいるかのようだった。それが少し意外で、すぐそばにあるサラサラの銀髪を頬に撫でながら横を向く。
「もし、奥間君が傷ついたら」
全員がゾゾゾと青ざめる。月見草の時ですらあんなに我を忘れていたのだ。確実に破壊神の権化となる。
163 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/01(火) 17:18:28.18 ID:0HVfqfsE0
「閃光弾などの装備は一応作ってあるのですが」
そういえば不破さんって一応生物部じゃなくて化学部部長だった。
「苦労させられましたわね」
「…………」
アンナ先輩の圧力に不破さんが冷や汗をかいていた。
「光だけの装備なら簡単なのですが、爆風や音を含めたスタングレネード弾となると、時間が足りませんね」
「それぐらい善導課に融通してもらえなかったの?」
ゆとりに聞いてみるが、
「あ、あたしはそもそも交渉する暇なんかなかったんだぜ」
ずっと人質だったから仕方ないか。
「閃光弾しかないというのであればそれで十分ですわ。問題は、相手が本物の銃を持っていることですわ」
「本物を? いったいどうやって?」
「亡命先からでしょうね」
不破さんが淡々と答える。
「ただ、本物の数は少ないのが救いですわね。訓練も十分にはできていないようですわ」
「エアガンと本物の銃では反動が違います。場合によってはエアガンの方に注意するべきかと」
「で、私は、あくまで扇動ね」
《雪原の青》がようやく口を挟む。
「船に乗り込んだ段階で、私がどこまでグループを二分できるか、ね」
「《雪原の青》の話術とカリスマ性にかかっています」
不破さんがそう評した。
「二分した後、アンナ会長はそこの狐女と合流、人質の安全を確認した後、もう一つのグループを殲滅する、と」
「あ、あたしは基本、人質を守る方に動くけど、……本当にアンナ会長ひとりで大丈夫なんだぜ?」
――暴雪が、部屋を勢いよく靡いた。
アンナ先輩は舌なめずりすると、
「ひとりがいいんですの。警察も善導課の目もない場所が、いいんですの」
うわー、全員殺す気満々だこれ。しかも事故に見せかけて殺す気だ。完全に頭の働き方がそっちの方面に逝っちゃってる。
164 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/01(火) 17:18:53.54 ID:0HVfqfsE0
「でもお一方だけ、じっくり殺したい方がいるんですわ。……あのリーダーだけは、生かしておけないんですの」
「……あいつは、」
ゆとりは言いかけて、止める。あのリーダーがアンナ先輩にしたことは、同じ女性だからこそ許せないんだろう。
でも、アンナ先輩に間違いを犯してほしくない。もう前も後ろも犯しちゃってるけど、そういうことじゃない。
「アンナ先輩、その、殺人だけは……」
「奥間君は」
アンナ先輩は、笑う。
自分の価値観の中で完結していて、他者を寄せ付けない、あの笑みを浮かべて。
「わたくしが間違えても、受け入れてくれるのでしょう?」
「…………それでも、僕は、止めてほしいんです」
「なら、死ぬほどつらい痛みを与えますわ。……それも、ダメですの?」
「…………」
アンナ先輩は僕の首筋に鼻を埋めると、スー、ハー、と匂いを嗅いで、
「奥間君は、優しすぎるんですの。……もっと、その優しさを、わたくしだけに向けてほしいですわ」
本気の嫉妬ではなく、子供が拗ねているような、拗ねていることを演じているような、かわいらしい声音で甘えてくる。……鼓修理並みに表情を作ってるんじゃないかと思うぐらい、完璧なかわいらしい笑みと声音だった。
「アンナ会長の実力を疑うわけではないけど」
《雪原の青》が甘くなってきた空気を壊してくれた。ありがてえ。
「アンナ会長が傷ついた場合のことも考えないといけないわ」
「問題ありませんわ」
「い、いや問題ですよ。アンナ先輩が傷つくところなんて考えたくないです!」
先ほどのかわいらしい笑みとは違う、慈愛に満ちた聖女の微笑だった。
「わたくしは、大丈夫ですわ」
「…………」
全員が、嫌が応にも納得させられるような、生徒会長として見せる説得力あるあの微笑だった。
「アンナ会長の自己判断を信じることにしましょう。わたしの分析とも外れていませんし、そう心配はないでしょう」
不破さんがまとめてくれた。
「とりあえず、アンナ会長、奥間狸吉、不破氷菓は何か食べておきなさい。これからが本・番!よ!」
……もう何発か、本番終わってるんですけどね、僕とアンナ先輩は。
とにかく何か食べておこう。時間はあまり残っていなかった。
165 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/01(火) 17:20:31.37 ID:0HVfqfsE0
やれやれ、このまま人を殺さないで済む化け物女が想像できないんだぜ by ゆとり
鼓修理の出番がないっス! by 鼓修理
鼓修理に関しては本当ごめんなさいとしか。
166 :
>>158 >>159
[sage]:2020/09/01(火) 17:32:57.20 ID:IXe2rHlD0
たぬきちアンナ先輩ばっか優先して華城先輩無視してるってか、華城先輩に任せっきりなの大丈夫なんかね?
167 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/01(火) 19:43:59.63 ID:0HVfqfsE0
修正
ヘリコプターから船に乗り換える
修正後
バスから船に乗り換える
すみません、乗り物の収容人数を知らなかったのです。気を付けます。
168 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/02(水) 01:20:19.17 ID:KGOyowFN0
(はあ、あの化け物がいないってだけで鼓修理はホッとするっス)
綾女様もきっと対策に乗り出しているし、正直鼓修理としてはあまり脅威を覚えていなかった。亡命先の国に何らかの政治利用されるかもしれないが、命の危機があるわけではないし知ったことではない。
「バスが用意された! これから移動する!!」
人質は2、2、3人のグループに分けられ、三回に分けて地上に降りる。
外に出る時が善導課に囲まれて一番緊張したけど、人質の質が質なだけに対応できないようだった。
正直鼓修理としては、《群れた布地》に協力していたころを思い出してむず痒い思いがある。だけど海外逃亡は本気なのだろう。リーダーはあの化け物相手に銃を向け、骨を折られ、肩を外されても目の光を失わなかったし、なかなかの人物だと鼓修理は見ていた。さすがにキスさせたことには同情できないけど。
二番目と三番目の間に、あの化け物にキスした少年がストレッチャーで運ばれ、バスの中に入れられる。
そして、最後、鼓修理たちの番になり、犯人側としては何事もなく終わったかと思った時。
白い影が、入ってきた。
「何者!?」
「こんにチンチン! 私はお尻に咲く蒙古斑のような女、《雪原の青》こと《SOX》のリーダーよ!!」
(綾女様!!)
ざわざわと犯人たちがざわつく。「え、本物?」「善導課を抜けて?」そのあたりは自分も気になるけど《雪原の青》が本物であることは当然わかる。
「規制単語を、PMを無効化していた。《雪原の青》であることは間違いないでしょう」
リーダーが断言すると、わっと盛り上がる。リーダー以外は。
「……何しに来たの?」
「もちろん応援よ! 遅くなってすまんこ!」
ばっと、《雪原の青》が卑猥が描かれた絵画をばらまく。わっと集まりかけるが、
「同志に怪我人がいるわ。皆慎重になりなさい」
すっと波が引くように静かになる。
「応援って、具体的に何を?」
「まずは善導課から振り切るわよ! 邪魔でしょ、あいつら?」
「どうやって?」
「簡単よ」
《雪原の青》はトランシーバーを出すと、
「おっぱい気球、カモン!!」
《哺乳類》が用意したものだろう、気球に女性の胸部が、(主にゆとりにないものが)描かれたその気球は何回見ても常軌を逸していると思う。綾女様には勝てないっスけど!
ついてきている善導課のパトカーが一瞬、迷ったのを見て、
「ゴーゴー射精ゴーゴーゴー!」
バスの運転手にスピードアップを要求する。前にいたパトカーを蹴散らして、さらにスピードアップ。
「船の場所は変えてあるわね!?」
『はい、発信機があるのでどうしても時間の問題ですが』
「電波妨害してあるから大丈夫、そのまま予定位置にイッちゃって、間違った行っちゃって!」
聞いたことのある声だった。確か、不破氷菓という非常に分析力に優れた、前回の事件でも世話になった《SOX》の支持者だ。
運転手にPMで地図が送られる。「この場所に来てくれる?」運転手は頷いた。運転手は犯人グループのメンバーの一人でPMは装着していないはずだったけど、PMの投影画像自体は見れるはずだ。
綾女様に何か話したいが、関係性を気付かれるのはまずいというジレンマに鼓修理はいらいらしてきている。しかし我慢するしかない。
「船の中にいると思われる善導課の職員は、うちの仲間が前もって確認し排除しているから安心して!」
ゆとりのことだろうか。作戦に参加できない自分がもどかしい。
(鼓修理が役に立てるチャンスが絶対来るっス!)
《雪原の青》なら必ず役目を与えてくれるはずだ。
169 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/02(水) 01:20:57.29 ID:KGOyowFN0
僕はアンナ先輩とゆとりと不破さんと一緒に慶介の言っていたフェリーターミナルまで来ていた。
(やっぱり母さんいるな)
(いくら善導課の役目がないと言っても、放置するわけにはいかねえもんだぜ)
その事を知っている母さんなら、もっと別のポジションで指揮を執るはずなんだけど、やっぱりソフィアの起こしたデモの警護で立場が弱くなっているみたいだ。
この分だと、船の中にも最低限の人数しかいないと思われる。今は港に着けられていて、このままバスごと入る予定だ。
(不破さんって船の操縦できるの?)
(運転免許は取得していません)
だよねー。運転手の確保は必要か。と思ったら、
(一応、教練書で読んだレベルですが、船や飛行機の最低限の動かし方は頭に入っていますわ)
……アンナ先輩にできないこと、誰か教えて。
(運転手はおそらく亡命国の手先でしょう)
不破さんが無表情に呟く。
(リモートモードがあるはずです。これだけ大きい船なら)
何しろバスが何台入るんだってレベルだもな。どれだけガバマンだよ。これのどこが『小型』だよ。金持ちはこれだから。
ターミナルは既に空いている。急がないと所定の位置まで移動できない。
(不破さん、走れる?)
(わたくしが奥間君のお義母様を引き付けますわ。その隙にお願いしますわ)
(あたしが不破を引っ張る、奥間狸吉は自力で走るんだぜ)
(わかった)
(カウントダウン始めます。5,4,3,2,1、)
0
170 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/02(水) 01:21:26.29 ID:KGOyowFN0
「何だ貴様ら!?」
早速母さんの声が善導課を呼び寄せる。アンナ先輩は僕のトランクスを被って私服に着替えていて、特徴ある銀髪を隠している。トランクスである必要、あった?
「こんな時に、貴様らガキの相手をしている暇は……!」
アンナ先輩は無言で母さんの相手をしている。ちらっと見えた瞳は、食い応えのある獲物を見つけた獣の瞳だった。そんな瞳に不吉さを感じながらも、僕はアンナ先輩に任せ、善導課が前を塞いだのを、
ピッカーーーーーン!!!
不破さん特製閃光弾で撹乱する。目を塞いでもまっぶし、事前の合図がなければこっちもまずかった。
「ちっ」
「行かせませんわ!」
淫獣モードじゃないアンナ先輩のあんな気迫、初めて見たぞ……!
「早く来るんだぜ!」
母さんを何とかあしらった後、アンナ先輩が瞬間移動かっていうぐらいの俊足でこっちに来て、渡り廊下みたいな場所を通ってそのままフェリーの中に入り込む。不破さんが何かのスイッチを押して、渡り廊下を強制遮断した。
「あとは車庫ですわ。《哺乳類》さん、不破さんは運転席の方へ! 車庫を閉じるのをお願いしますわ!!」
アンナ先輩の指示に何の疑問も抱かず、僕とアンナ先輩は車庫に向かう。車庫も開かれていて、そこから善導課がパトカーごと入るか判断に迷っていたようだ。
「指定以外の犯罪者は捕まえていい! 不法侵入で逮捕しろ!」
母さん、鬱憤たまってるなー。
乗下船口にたどり着く。パトカーが入ってくるか迷っていたようだったが、意外に早くゆとり達は運転席までたどり着いたのか、そこから遠隔操作で車庫も閉められ――
ドン!
バッシャーン! とまず寒いより冷たいと痛いが感覚を突く。海水が目や鼻や口に入った。
「ごめんなさい、奥間君」
小さな、小さな囁き声なのに、鮮明に聞こえる。僕にしか届かないような、囁き。
「人質はもちろん無事に。そして、――悪を殲滅させるんですの。奥間君は、それを邪魔をするでしょう? それが例え、わたくしのためでも」
溺れかける僕の目に映ったアンナ先輩は、すでにトランクスをはぎ取っている。
善導課がライトで僕を照らす中、逆光で見えた銀の影は、血に飢えた獣がもうすぐ獲物が罠にかかることを喜ぶかのように、無邪気に笑っていた。
171 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/02(水) 01:24:54.94 ID:KGOyowFN0
読んでくださる方が徐々に増えてうれしいです(( ;∀;))
アンナ先輩は、……どうなるんでしょうねえ
172 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/02(水) 08:57:14.66 ID:YaBJhNYHO
このテロリスト達もあの男女共同刑務所に入れられるんかなぁ……
173 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/03(木) 13:51:07.80 ID:EpdTYFtf0
その前にどうやってアンナ先輩を止めるかだけどな
174 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/03(木) 16:24:42.17 ID:4IkUZS9Z0
ゆとりは不破特製閃光弾を使って、運転席にいた三人を何とか確保した。武器を持ってないのが幸いしたのだと思う。
「No, I don't speak Japanese!(わ、私たちは日本語話せません!)」
「Don't worry, I speak English.(問題ありません、私が話せますから)」
どうやら不破は英語を話せるらしい。
ピピピピ
「こちら、不破です」
『運転席は大丈夫でした?』
「問題ありません」
『すぐにそちらに向かいますわ。それまで過剰に傷つけないように』
PMが切れた。
「運転手は対象に入っていないのか、拷問を自分でやりたいのか、わかりにくいとこだぜ」
「後者でしょう」
《雪原の青》は今、リーダーとあのキス小僧、一応の人質の見張りを最低限、それ以外を集めて宴会しているらしい。ろくでもない武勇伝でも聞かせているんだろう。
化け物女はすぐに運転席に来た。ただ狸吉が見当たらない。
「会長、た、奥間はどうしたんだぜ?」
「海に捨ててきましたわ」
「……は?」
「わたくしのやることを、邪魔されたくないものですから。善導課もわたくしの両親の口添えですぐに解放するでしょうし」
「そ、そういう問題じゃ……」
「わかりました。現実として奥間さんがいない以上、もうどうしようもないことですから」
切り替え早いなコイツ!
化け物女は運転手三人ににこりと聖女の笑みを浮かべると、
「人質の部屋を教えてもらえますか?」
「あー、英語じゃないとダメみたいだぜ」
「……Can you show me the hostage room?」
化け物女も英語話せるのかよ……。
運転手三人は「I don't know! I don't know!」を繰り返すばかりだ。本当に知らないのか、言語の壁があってゆとりにはわからない。
「仕方ありませんわね。《哺乳類》さん、《雪原の青》に連絡取れますか? あちらから訊くほうが早そうです」
「お、おう」
PMで宴会中の《雪原の青》に連絡を取る。
「Now, can you tell me where this ship is going?(さてと、この船がどこにいくのか、教えていただけません?)」
背中が凍り付く。船員たちも完全に黙り込んだ。
獣の飢えた嗜虐の悦びに、全員たちも気付いたのだろう。全員が恐怖する。
(狸吉……!)
なんで、唯一止められるお前が、今、ここにいないんだ!
175 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/03(木) 17:02:44.16 ID:4IkUZS9Z0
バキドカドン!
人質の部屋の前で待機していたあのリーダーの部下3人いたが、油断していたこともあって一瞬で沈めることができた。さすがはアンナ会長だと思う。
人質は二等船室にまとめて詰め込まれていた。
「皆さん、大丈夫ですの?」
「「「「「「「「…………」」」」」」」」
人質は全員沈黙していた。アンナ会長が目の前で化け物じみたアクションを見た人間からすると、当然の反応だろう。
反応は特に鼓修理という奥間の妹が顕著だった。
「えっと、なんでお姉ちゃんがここに……?」
「助けに来たのですわ。今、《雪原の青》が残りの人員を惹きつけていますの」
「え、《SOX》と手を組んだ……? お姉ちゃんが?」
「事実だぜ」
《哺乳類》代表がキツネの面を被りなおしながら、人質を解放していく。
「不破さんは運転室に戻らなくて大丈夫ですの?」
「あれだけきつく脅しておけば大丈夫でしょう。椅子に縛り付けてありますし」
「しかし、香港とは……《育成法》制定前は親日国、というぐらいしか情報がありませんわね」
アンナ会長に限らず、学生の外国への意識などそんなものだ。今現在の海外情勢を知っているものなど、学生ではほぼ皆無だろう。
「水面下の交渉があるのでしょうが、わたしたちはそれ以上にやらなければならないことがあるでしょう」
「ええ、鼓修理ちゃん以外は全員、この部屋にまだ隠れてください。犯人グループを殲滅するまでは、この部屋に鍵をかけて、物音がしたら身を低くしてくださいませ。犯人グループは実銃を持っているとの情報がありますわ。わたくしたちが来たら、ノックを4回しますので、それで判断してくださいまし」
「さて、いよいよ本番ですわ」
これから、《雪原の青》が油断させている連中を殲滅する。
その悦びにアンナ会長は身を捩っていて、唇をぺろりとなめ、衝動の解放の時を待っていた。
(奥間さん、これでいいのですか……?)
176 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/03(木) 17:27:13.19 ID:4IkUZS9Z0
《雪原の青》は何とかハイテンションを保っていたが、事実は限界だった。傷が開いてきているのがわかる。
「リーダーは? まるで初めての処女膜を野菜で破ってしまったみたいな後悔が見えるけど」
「どんな顔よ。……あんたも座ったら」
勧められて、やっと椅子に座る。まだ話を聞きたがる連中がいたが、リーダーが追っ払ってくれた。
「まあ助かったと言えば助かってるんだけど。《雪原の青》も香港に行くわけ?」
「逃げるのが悪いというわけじゃないけど、私は逃げないわ。香港には行くけど、それはあくまで物資調達のためよ!」
「昔のオタク文化が残っているっていうからね」
リーダーの顔は暗い。何人か気にしている連中もいたが、あえて無視しているあたり、リーダーに対する気遣いもちゃんとあるのだろう。
「アンナ会長のこと?」
ズバリそのまま聞くと、苦笑気味に「まあね」と返ってくる。
「あれは《育成法》が生んだ化け物だ。あたしは殺しはやらないつもりだけど、あっちはそうじゃない」
「……キスさせたことに同情の余地はないけど」
「あれはアタシの逆恨み。結果、酷い怪我人を生んでしまった。でもそうじゃなかったとしても、あの化け物は始末しないといけない。今は無理でも、いずれ」
「そう、ね」
ピ
一瞬、PMが鼓修理から鳴った。合図だ。3,2,1,
ピッカーーーン!!
「!?!?」
「油断しましたわね」
低く嬉しそうな声が、鮮明に聞こえる。20人以上を相手にしても目が一瞬眩んだ連中相手なら、アンナなら容易かった。あっという間に全員が行動不能に陥る。
ゆとり、不破氷菓、鼓修理の三人でどんどん縛り上げていく。自分も手伝っていく。
(狸吉は!?)
(あの化け物女が船から捨てやがった)
(なんですって!?)
「アンナ……アンナ会長!!」
「……やっぱり、最初からこのつもりか。アンナ会長が《SOX》と組むのは、《群れた布地》の件から、有り得ると予想はしていたよ」
リーダーは冷静だった。だからこそ、危うい。
「うふ、うふふふふふふふひひっ!!」
強い強い、嬌声に、熱気が直に伝わりそうなほど火照った体を自分で抱きしめ、仇敵を見る目ではなく子供が欲しがっていた玩具をようやく手に入れた目でもって。
「ああ、やっと、愛の罰を与えられますわ……うひひひひ、やりたいことがいくらでも浮かんできて、困ってしまいますわ」
アンナはどこまでも無垢に、子供の笑みで、笑っていた。
177 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/03(木) 17:28:36.70 ID:4IkUZS9Z0
すみません、次回から多分拷問とかリョナとか、精神的にも肉体的にも痛いシーンが続くと思うので、そういうシーンの前には注意書きを入れたいと思います。よろしくお願いします。
178 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/03(木) 19:13:27.28 ID:i1w7lDfy0
むしろリョナシーンを待ってたりする
179 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/03(木) 22:50:34.07 ID:4IkUZS9Z0
今から行きます。きついシーンですので、飛ばす方は飛ばしてください。アンナ先輩がはっちゃけます。
180 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/03(木) 22:51:58.47 ID:4IkUZS9Z0
「さあ、どうしましょう? ……そうですわね、とりあえず残った手足の骨を先に折っておきますわ」
以前、足にダメージを残さなかったから《雪原の青》の逃走を許したことを思い出し、刃物がないので腱は切れないから、とりあえず足を折ることにする。
ボキ! ボキ! ボキ!
「〜〜〜〜〜〜〜!!!」
体重を肘にかけ、右の下腕を、両のすねを折る。
ああ、この音が耳に心地いい。愛の罰を与えている時のこの音と感触は、下肚に響く。
「うふ、うふふふひっ、しかし強情な方ですのね。わたくしは是非、あなたの悲鳴も聞いてみたいのですけども」
「……アンナ会長、もう十分ではないかしら?」
「……《雪原の青》? 黙ってくださる? 正直まだ、あなたを、《SOX》の関係者を壊すことへの興味は捨てきれていませんのよ?」
「…………」
ちら、と鼓修理を見る。「ぴぅ!?」さすがに愛の罰を見せるのは教育に毒だと判断した。
「《哺乳類》さん、人質の部屋に鼓修理ちゃんを案内して。今なら安全でしょうから」
鼓修理と《哺乳類》が脱兎のごとく去っていく。残るは《雪原の青》と不破氷菓。どちらも愛の罰に否定的だ。
「不破さん。この方、なかなか肉体的な痛みには強いみたいですわ。あなたならどうしますの?」
「……何故わたしに?」
「人間の仕組みに興味があるあなたなら、何かいいアイデアがあるかと思いまして」
「わたしが興味を持っているのは、人間ができる過程です。人間が壊れる過程ではありません」
反論されるほど何故かゾクゾクする。正直、不破氷菓も条件が整うならば、愛の罰を与えてみたい。この無表情から、どんな悲鳴が飛び出るのか。
「ん、いいことを思いつきましたわ。……不破さんとは、愛の再現実験をした仲でしたわね」
「ええ、貴重な体験でした」
「ええ、それと同じように……この方に、愛を教え込もうと思うんですの」
「「……!!」」
「この、衆人環視で、ですか?」
「ええ、リーダーが愛を覚えれば、部下の方々も覚えるかもしれませんし……」
「それは、奥間狸吉に対する浮気にならないのかしら?」
「何を仰っていますの? 女性同士で恋愛が成り立つはずないでしょう?」
思いついてしまった。不破氷菓の時は身体が傷つかないように配慮したが、今は厭わなくていい。
背中側に回る。リーダーは薄々何をされるのかわかっているようだった。
「止めなさい、止め……! ひ」
耳の穴の中に舌を入れる。奥間君と違って全く美味しくないが、再現実験した時のように奥間君を思うと愛の蜜が溢れてくる。
「うふふふ……」
ふっ、と息を吹きかける。「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」あくまで悲鳴を上げるつもりはないらしい。本当に、強情で、負けず嫌いな子。愛の罰を与える相手としては、非常にやり応えがある。
だけど、ここからは、耐えきれるのか。
「不破さん? あなたにはしていませんでしたわよね?」
「……何を、ですか?」
「わたくし、奥間君の体液を舐めるのも、わたくしの体液を与えるのも、両方好きなんですの」
181 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/03(木) 22:52:46.47 ID:4IkUZS9Z0
一見話が飛んだように見えて、だけど不破氷菓と《雪原の青》は理解したみたいだった。《雪原の青》が叫びそうになり「止め――!」その耳障りな声が耳に入る前に。
ぶち、と耳たぶを、噛み千切る。
「ぎやあっ!!!!!!」
血がぽたぽたと流れるのを、傷口を直接、舌先を使って舐めていく。血とは違う、肉の味もする。
「ん、やっぱり奥間君のと味が違いますわ。奥間君の方が美味しいんですの。不破さん、人によって血の味が違うというのは、知っていまして?」
「……知りません」
「そうですの。なら一つ勉強になりましたわね。でもなかなか、これも……何故でしょう、愛の罰を与えているからでしょうか。わたくし、愛の蜜が溢れてきましたわ」
「こ、この……変態、が……!」
「ふ、ふふふひ、まだ心が折れていませんのね? まだまだ愛の罰が与えられるんですのね?」
さて次は、――うん、これがいい。
「あの少年はわたくしの胸部を揉みしだいたことですし、そのあたりの教育を致しますわ」
上部の衣服を脱がせるのが面倒でビリビリと裂く。「ひっ」僅かな悲鳴。ここが弱点なのか。
――《育成法》以降の教育では、服を脱ぐことへの羞恥心というものを教わらない。それは性知識になるからだ。
だからアンナは、今、愛の罰を与えている人間の羞恥心と屈辱が、わからない。
「アンナ会長、もういいでしょう。目には目をと言いますが、やりすぎです」
「……不破さんったら。不破さんにとっても愛の追究は至上命題なのでは? あなた、以前に言いましたわよね? 『愛がなくても、物理的刺激でも、愛を感じることができるのか』、科学者ならそれを確認しないといけない、と」
「……言いました。しかし、」
「興味がない、と?」
「…………知的好奇心がないとは言いません。しかし、物事には倫理があります。わたしが求めるのは合意の上での話です」
「私はそんなこと関係ないわ! ただ、あなたのやることは癪に障る!」
「…………ほう、それでお二人はどうする気ですの? わたくしを、止める、と?」
自分にしては意地悪い質問だった。《雪原の青》は怪我人だし、不破氷菓は身体能力は低い。自分を無理やりに止めるすべはない。
まあ、止める気になるのであれば、それはそれで――
「面白いですわね。わたくしを、止めてみせますの?」
楽しみが増えるだけでしかない。
だが実際は、二人とも黙ったまま、動かない。少しだけ抵抗がなくて残念に思う。
抵抗というなら、今胸部をさらけ出しているこちらの方がよほど面白い。
182 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/03(木) 22:53:44.13 ID:4IkUZS9Z0
「触るな、化け物」
「あは、うひひひ、わたくしの場合は愛のない胸部への刺激はただただ不愉快でしたが、それは同性同士でもそうなるのでしょうか?」
そして、アンナが思う絶妙の力加減で、胸部を揉みしだく。
「ひ、う、……う、あ、」
「先端が尖ってきましたわね? 愛を感じることができているのでしょうか?」
先端をつまむ。
「いたっ……〜〜〜〜!」
ころころと転がしてみるが、本人は歯を食いしばって刺激に耐えている。自分も気持ち悪かったし、ここは本当の愛がないと辛いのだろう。
「さて、愛の蜜の量は、と」
「アンナ会長……!」
《雪原の青》が何かを言いたそうにするが無視して、下の下着を引き裂き、股間に手を入れる。
「ひっ、いや……!」
初めて明確な拒否の言葉に、思わず舌なめずりをする。もっともっと、この声が聞きたい。
「あまり出ていませんわね。やはり物理的刺激では、愛を感じることは難しいようですわ」
「ひ、は、は、ば、っかじゃ、ないの? 両手足骨折られてて、耳たぶ千切れててどんだけ痛いか、こんな状況で感じるわけないでしょ?」
「あら、わたくしなら奥間君がくれるものなら、痛みでも何でも愛に変わりますわ」
初めての愛の儀式を思い出す。あの痛みは、いまだに愛しいものとして、思い出すだけで愛の蜜が溢れる。
「あたま、イカレてる……!」
「ところであなた、初めての愛の儀式はお済ですの?」
――ピン、とその場にいる全員が、緊張したのが伝わってきた。
「アンナ会長、もう充分よ!」
「いいえ、足りませんわ。わたくしが足りないと言ったら足りないんですのよ、《雪原の青》」
矛先を変え、愛の罰を与えてる本人に「どうなんですの?」と訊ねるが、返事はない。
ただ、異様に緊張したのがわかる。答えはそれで十分だった。
「ふふふ、まだのようですわね。なら、わたくしが教えて差し上げますわ」
愛の蜜が不充分だが、まあいいだろう。
太ももを広げる。抵抗しようとしたが、脇腹に痛みを与えると簡単に屈した。
今、愛を感じる穴は、何人かの目には入っているだろう。
「や、見ないで……!」
183 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/03(木) 22:54:29.97 ID:4IkUZS9Z0
皆の視線を集めるように、見まわす。充分に間を取ってから、見せつけるように。
指を二本、自分が愛を最も感じるところに、挿入れた。
「〜〜〜〜〜〜や、や……!」
「ああ、そのか細い声も、いいですわね……!」
ぐちゅぐちゅと掻き混ぜる。ただ愛の蜜はやはりそれほど感じない。
「やっぱり、初めては痛いんですの?」
「い、いたくなんか、ない!」
「嘘つきですわね」
ぐちゃぐちゃと乱暴に掻き混ぜる。「アンナ会長」と不破さんが自分を呼び止めた。
「もう充分とか、そういうのは聞きたくありませんわ」
「……わたしにはあえて痛みを与えているように見えます。実験としてふさわしくありません」
「ふふ、不破さんは実際に体験してますものね、誤魔化せませんわね……ねえ、リーダーさん。愛を感じてみたいですの?」
「い、いや、もう、抜いて……!」
「大丈夫。ここからは、少し違いますわ」
単にぐちゃぐちゃに掻き混ぜていたのを、一定のリズムでもって一定のポイントにぐ、ぐ、ぐ、ぐ、と押さえていく。
「!? あ、え、嘘、なんで!? あ、あ、あ、」
「どうですの? 愛のない方から、愛を思い出すこともなく、ただ刺激を受けるだけで愛を感じますの?」
「ひ、いや、やだ、やめて――!」
「ああ、答えはなくても構いませんわ。――愛の蜜が溢れてきましたから」
自分ほどではないが、愛の蜜が生まれている。これはどういうことなのだろう。不破氷菓が以前言っていたように、物理的刺激だけでも愛を感じるものなのか。
だけど尋常ではないほど嫌がっている。与えているのはむしろ気持ちいいことのはずなのに。おそらくこれは自分が胸部を触れられた時の感覚を数倍にしたものだと予測した。
なら、これは愛の罰だ。
「“愛”というものを教えて差し上げますわ」
「アンナ会長、やめ……!」
《雪原の青》が何か言う前に、中が収縮と痙攣を繰り返し、「あ、あーー!」背中を反らし、愛の場所からは、ばしゃっと愛が水分となって噴き出た。
「あ、あ、ああ……」
「あら、もう愛の感覚に絶望しましたの? まだまだありますのに」
184 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/03(木) 22:54:55.38 ID:4IkUZS9Z0
誰かがまた、何かを言い出す前に排泄孔に無理やり指をねじ込む。
「あう! あ、あ、あ、あ、い、痛い……!」
「あら、肉体的な痛みには強い方だと思ってましたのに」
ぎゅうと締め付けて、こちらも痛みを感じるぐらいだった。ふと、愛しい奥間君の言葉を思い出し、愛の穴にも指を入れ、両方の穴を掻き混ぜる。
「あら、面白いですわ。壁を通じて指の存在がわかりますの」
「…………! …………!」
目を見ると、絶望が瞳を満たしていた。
ああ、これ、これが、これが欲しかった。
背筋を快感が駆け抜ける。物や人体をただ壊すだけじゃ得られない感覚。
「……うふふふひ、あははは、どうですの? 愛を穢される感覚は!?」
粘膜の感覚も面白かったが、そろそろ飽きてきた。排泄孔のポイントも見つけたので、両方の穴をリズミカルに突いていく。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、」
排泄孔を閉めて我慢しようとしているようだけど、残念ながら『愛の罰』はその程度では終わらない。
舌で胸部の先端をころころと転がす。「ひっ」時折甘噛みしながら、視線だけに殺気を込めて、あくまでもお前は喰われる側なんだと思い知らせるように。
「そろそろ、ですわね」
ぐ、とカギ状に指を曲げながら、ポイントを突くと、また愛の水がばしゃっと、先ほどよりも多く吹いた。
「…………」
「いいですわ……その絶望する顔。気の強い方であればあるほどいいですわね。お腹がぐるぐると動いていますわ……ああ、なぜでしょう、奥間君の愛は先ほどたっぷりいただいたのに、またほしくなってしまいましたわ」
もう、『観客』の誰もが声を発さなかった。
次が自分でないように、祈っていたから。
「『愛の罰』はもう充分ですわね……では最後に、せめて痛くないように、首の骨を折ることにいたしましょう」
リーダーが目線を上げる。その視線を、アンナは正確に読み取った。
『はやく、ころして』
その視線を受けたアンナの笑みは、獣ですらない、悪魔と形容されるもので。
悪魔の笑みを浮かべながら、アンナは首に手をかける。
185 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/03(木) 22:56:18.70 ID:4IkUZS9Z0
リョナというかなんというか、『愛の罰』シーンはおしまいです。
これ、完全に闇堕ちしてるよね……狸吉がんばれ!
186 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/05(土) 12:23:28.61 ID:9iu5sKBf0
ひゅ、と何かが投げつけられたのと、アンナ会長が身を避け、代わりに《雪原の青》の首元を絞めていたのは、ほぼ一瞬の出来事だった。
「ぐっ!」
「あらあ、《雪原の青》。あくまで邪魔いたしますの? 今なら無理に抵抗なさらなければ、無傷捕縛も容易いですわ」
「アンナ会長」
自分も殺されるかもしれない。好きな人格でもない。ただ。
《雪原の青》が助けたいと願うように、奥間が救いたいと願うように、自分たちが《単純所持条例》の時に自暴自棄に暴れたときに、一人ででも解決しようとしたその心を、何故か守りたいと思った。
「奥間さんが憧れたのは、そんなあなたではありません。《育成法》正負両面から見ても象徴的な子供として育ってしまったアンナ会長を守りたいのは、ただの義務感ではありません」
「…………」
ふっと、首を絞める手が弱まる。続きは《雪原の青》に任せることにした。
「……皆があなたを守りたいのはね、あなたが皆を救ってきたからよ。たとえ殺人を犯したとしても、あなたを守ろうとする人は出てくるわ。でもね。だからこそ、裏切ったらダメなんじゃないの?」
――わかっているんでしょう?
「あなた、罪を罪と知りながら、奥間君が許してくれるってそればっかりで、自分で判断していないのよ。今のあなたはただ暴れたいだけの獣――悪魔だわ」
――わかっているんでしょう?
「本当は、何もかも。奥間狸吉に恥じない女になるんじゃなかったの? 今のあなた、それ自分で言える?」
「でも、奥間君は、この衝動をどうすればいいか、教えてくれないんですの」
「すみません、アンナ先輩!!」
「――奥間君」
「た、奥間狸吉――!」
「奥間さん」
187 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/05(土) 12:24:05.40 ID:9iu5sKBf0
「ずっと悩んでいたのに、一緒に考えていこうって言ったのに、ほんっとう、ごめんなさい!!」
全員が、少なくとも突入組はなぜここに奥間がいるのかとは考えなかった。
――来てくれた、それだけ。
「アンナ先輩、お願いです。……こっちに来てください、戻ってきてください。じゃないと、僕が僕を許せなくなってしまう。もうすでに許せなくても、今ならまだ、辛うじて間に合うかもしれない」
「…………」
アンナ会長は奥間の方をようやく見る。
「奥間君も」
声は、先ほどまでの傷つけるしかなかった暴雪とは違う、見るものを喜ばせるような粉雪の涼やかさに――よく知った、聖女のそれに戻っていた。
「自分を許せないと思うことが、あるんですのね」
大勢の足音と怒号が聞こえてきた。
「ごめん、不破さん、白衣貸してくれる?」
無言で貸すと、ほぼ裸体だったリーダーに白衣をかぶせ、人の目に入らないようにする。
そんな場面を、アンナ会長は黙って見ていた。
装備した人波が、流れ込んでくる。
――人質は確保したぞ!
――犯人グループは既に捕縛していますわ。
――《SOX》、アンナ、無事か?
――わたしもいるのですが。奥間さんの母親ですね。
――ほかにも一人、キツネの仮面をかぶった女は私の仲間よ!
――忌まわしいが理解している。人質は確保した、逮捕しろ!
そして、事件は終わった。
188 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/05(土) 12:27:03.21 ID:9iu5sKBf0
『愛の罰』シーンはやっぱりきつかったのか、コメントしずらかったよなー、反省。
まだ後始末シーンが続きますので、もう少しお付き合いください。アンナ先輩の罪とかね。
189 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/05(土) 14:30:38.65 ID:TL3OnN29O
アンナ先輩はもう身も心も化け物ですね……
無惨様がこの時代に生きてたら、鬼に選ばれてもおかしくない
190 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/05(土) 14:44:39.87 ID:9iu5sKBf0
正直、『愛の罰』シーンは一線を越えてしまった感があります。
191 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/05(土) 15:41:18.24 ID:9iu5sKBf0
アンナ先輩に突き落とされて簡単に母さんに見つかった僕は事情を説明し(アンナ先輩について来たということにした)とにかくアンナ先輩と《雪原の青》がいるなら即・制圧だろうと高をくくって、母さんの拳骨の痛みも無視して善導課のヘリコプターに乗った。
「ゆと、《哺乳類》、今の状況は!?」
バリバリバリとうるさいので相手の声どころか自分の声が聞こえるかもわからないけど、一応ゆとりの名前は出さないでおく。
『化け物女が大暴れしてるぜ。人質は全員無事なんだけど……、あのリーダーを拷問してるぜ、『愛の罰』がどうとか』
人質がいるため、船を尾行することができなかった善導課は、ゆとりからの位置情報を探知して即ヘリコプターで船に向かう。
殆ど飛び降りるように降りて、ゆとりからあらかじめ聞いていた場所に行くと、アンナ先輩が《雪原の青》の首を絞めていた。
「でも、奥間君は、この衝動をどうすればいいか、教えてくれないんですの」
「すみません、アンナ先輩!!」
状況はわからないけどとにかく謝った。ちらと周りを見ると、ほぼ全裸になった女の子の手足がひん曲がっている。
遅かったのか。
とにかくそのあとは善導課がアンナ先輩だけを隔離して、僕達は解放された。母さんは《雪原の青》を見て今にも逮捕したそうな顔をしていたけど、上の指示で無理だったのだろう。
母さんいわく、アンナ先輩は相手が実銃を所持していたことから正当防衛で両親が収めるだろうとの話だったけど……。
そういう話なんだろうか。
アンナ先輩は、一週間、学校を休んだ。その間、連絡はとれていない。
*
アンナ先輩と華城先輩がいないと生徒会がとにかく忙しい。あの二人の優秀さは知ってたけど、身をもって実感する。
「奥間、おい、奥間!」
「あ、はい、轟力先輩」
「大丈夫か、ぼーっとして」
「轟力先輩も、受験で大変な時に」
「アンナ会長には世話になってるからな。受験は問題ないぞ」
「そうですか……」
アンナ先輩は母さんの預かりになっている。
衆人環視の中で手足の骨を折ったり、耳たぶを噛み千切ったり、前の穴と後ろの穴を貫通してぐちゃぐちゃにしたりしたことは、華城先輩から聞いた。
――どう考えたって、正当防衛ではなく拷問だ。
レイプについては善導課や家族にはある程度誤魔化しているだろうというか、そもそもレイプという発想がない人だからわからないだろうけど、手足の骨折と耳たぶを噛み千切ったのは誤魔化せなかったらしい。
14日間、善導課の指導の名の下で母さんのしごきを受けているはずだけど、そもそもアンナ先輩がいなければ解決できなかった事件だったし、アンナ先輩の能力なら母さんのしごきにもたやすく耐えられるだろう。
だから僕は華城先輩のお見舞いに行ったり、ゆとりや鼓修理はアンナ先輩が自分に矛が向かなかったことを安心してるのを見ていつも通りだなと思ったり、ああ、そうだ。
不破さんの報酬がまた悩ましい。
「合意の下でなら問題ないでしょう。もういいじゃありませんか。アンナ会長との繁殖行為を見せてください」
「わしも。わしもー!」
ちなみにアンナ先輩の処罰が軽いのは鬼頭慶介の口添えもあったからで、それにはかなり大量に早乙女先輩が新規イラストを贈呈したかららしく、影でやることはやってたらしい。
母さんのしごきだけでアンナ先輩の経歴に傷がつくどころか、事件解決に協力したという感謝状まで贈られることになったんだけど。何故か僕や不破さん、早乙女先輩と外にいたチーム全員が感謝状を贈られることになった。みんなアンナ先輩についていっただけなんだけどな。
ちなみに14日という長めの時間なのは、単なる処罰でなく卑猥に関するケアもあってのことで、ソフィアが何か文句をつけるかと思いきや、母さんの元なら安心と判断したらしく、何も言ってこないらしい。当の母さんから聞いた話だ。
「アンナは優秀すぎて困る」
母さんがしかめっ面で褒めるという器用なことをして、困ってみせた。あまり話さないが、柔道などの身体能力では母さんしか相手にならないらしい。そりゃそうだ。知識の吸収力も半端じゃないし、能力面で敵う人なんかほとんどいないだろう。
そして、テロリストたちは傷が癒え次第、《北の大監獄》〈ヘルサウンド〉に連れていかれるらしい。
だから、そうなる前に。アンナ先輩が戻る前に。
僕はリーダーの面会を、お願いした。
192 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/05(土) 15:42:29.22 ID:9iu5sKBf0
医療刑務所に僕は来ていた。
最後に会っておきたかった。もう二度と、会えないだろうから。
病室に入ると、包帯とギプスだらけの女の子がそこにいた。
「……狸吉?」
「……その、久しぶり」
「…………」
「無茶なこと、したね。この国が嫌なのはわかるけど」
「じゃあ狸吉も、逃げればいいじゃない」
「そういうわけにはいかないよ」
「あの化け物のこと?」
「…………」
どう答えればいいか、わからない。でも、できるだけ正直に。
「アンナ先輩を変えたのはね、僕なんだよ。……僕を、その、襲ってね」
「襲っ、まさか、逆レ、ん、……狸吉の意思を、あの女は無視したのか!?」
「まあ、ね。それもこれも、アンナ先輩にはね、性知識がないんだよ。だから無垢で、良い方にも悪い方にも転がりやすくて。良い方のアンナ先輩に助けてもらった人は、僕も含めてたくさんいるんだよ」
「…………」
信じられない、といった顔をしていた。アンナ先輩が妊娠したんですのとか言ったら、僕もこんな顔をするんだろうな。
「もし、君がアンナ先輩を穢そうとしなかったら、アンナ先輩はあんなに怒らなかったと思う」
《公序良俗健全育成法》正負両面から見て、象徴的な子供が、アンナ先輩なんだろう。
「アンナ先輩は、恵まれた人なんかじゃないんだ。アンナ先輩も、《育成法》の被害者なんだ。それだけ、言いたくて」
だからと言って、アンナ先輩のやったことが許されるわけじゃないけど。
「狸吉さ」
「うん?」
「あの化け物のこと、好きなのか? 本当に?」
193 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/05(土) 15:42:57.80 ID:9iu5sKBf0
「……見捨てられない。どうしても」
「好きじゃなくて同情なら、絶対破滅するぞ。あの女は身体の能力だけじゃなく、心も化け物なんだから」
「…………、君から見たら、そうだろうね」
《育成法》が作り上げた、化け物。
そう言う彼女は、泣きそうだった。
「狸吉は」
「ん?」
「他に好きな女、いるんじゃないのか?」
ゲホゲホと、むせてしまった。いきなり何を言ってるんだ。
「どっちにしても、あたしに勝ち目なんかなかったな」
「……どうして、そんなにその、僕のこと……」
「悔しいけど、あの化け物と一緒の理由だろうね。狸吉は昔っから、何でも許してくれるから」
――施設育ちで無様な生まれの自分のことも、許してくれるかもしれないって思った。
「…………」
どういえばいいか、わからない。それでも、これだけは言いたかった。
「稀代のテロリスト、奥間善十郎の息子で、みんなから厭われていた僕に優しくしてくれたのが、アンナ先輩だったんだ。だから、きっと」
――もしかしたら、わかりあえたかもしれないのに。
それを潰したのは、僕なのか?
『面会時間終了です』
「じゃあ、僕は帰るよ」
「ああ。もう二度と、あたしの前に顔見せんな。あの化け物に殺されたくなけりゃな」
「……気を付けるよ」
194 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/05(土) 15:45:51.95 ID:9iu5sKBf0
アンナ先輩は特例で善導課預かりということになっています。逮捕されたとかそういうのじゃありません。
むしろ感謝状を贈られる立場です。親の力って偉大だなあ。まあ逮捕劇に貢献したのも事実なので。
アンナ先輩の功罪は、とても大きいです。どうなることやら、です。
195 :
◆86inwKqtElvs
[sage]:2020/09/05(土) 15:52:24.56 ID:9iu5sKBf0
ちなみに1週間して、クリスマスと冬休みに入っています。
196 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/05(土) 16:03:18.67 ID:Ht2DbGuaO
子供が何やっても、その子が超優秀で親が権力者だったら免罪されるってことでFA?
こんな無法がまかり通るから、金子玉子がラブホスピタルなんていうデザイナーベビー制度を押し通すんだよ
それと、レイプを誤魔化したってあるけど、被害者や不和さんが状況をありのままに証言すれば、アンナ先輩が被害者にレイプやったことわかるんじゃないの?
それから、狸吉が逆レイプされたことを面会で伝えているけど、これって立ち会ってる警察官に聞かれたら不味いと思うんだけど
なんか、いろいろ気になることがボコボコ出てくる。読解力が無くてごめんなさい。私が作者様のように博識ならばこんな事には……
197 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/05(土) 16:03:49.64 ID:YrbLcz3L0
久しぶりに来たら愛の罰キツすぎてこれはもう救いのないレベル。
これが許されるんだから、あの社会は階級社会だよな
思ったよりたぬきちの言葉を素直に聞いたけど、アンナ先輩本人はどうなんだろな
198 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/05(土) 16:16:12.02 ID:9iu5sKBf0
わたしの中ではですが、あの世界では権力者とその子供は何をしても殺人以外は許されるというイメージです。だって、デザイナーベイビー制度を押し通すなんてことをするぐらいのディストピア社会ですし……
ちょっと次回の話にもつながるんですが、アンナ先輩本人には「卑猥の罪の意識」はないんです。
ただ現実として存在しています。それをどうするかで狸吉のお母さんひとりが悩んでいる状態です。ソフィアにいったらガンギレですからね。
立ち聞きしてる警官はまともな知識を持ってる人じゃなく、以前の月見草のような杓子定規としたやつなので、逆レとか襲うとかの意味をきちんと理解していないという。そのあたりは狸吉の方は言葉を選んでます。
リーダーの方は禁止単語を言わないのは癖みたいになってるんでしょうね。頭いい人ではあるんで。
もう少し、アンナ先輩が罪に付き合うところを、しっかりと描写できればなと思います。よろしくお願いします。
199 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/05(土) 16:26:15.23 ID:BXBD+lgr0
たぬきち母は知ってるのか
アンナ先輩にとっては、卑猥の知識を頭に入れるのが1番の罰かもしれんな
200 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/05(土) 17:09:39.68 ID:9iu5sKBf0
14日経った。華城先輩たちが迎えに行けと言ったので、まあそうでなくても行くつもりだったけど、僕は善導課の椅子に座って待っていた。
「奥間君」
鈴が鳴るように涼やかな声が、無味乾燥な善導課の部屋を明るくしたかのようだった。服は簡素だけど、胸にギュッと何かを握りしめている。
「来てくれたんですのね」
「……狸吉、ちょっと来い」
「え、母さん?」
「? お義母様?」
「アンナ、君はここで待っていろ」
母さんの声がやけに深刻だったので、素直についていく。
廊下のどん詰まりみたいなところに来て、なんだか空気が澱んでいた。セックスの後も換気しないといけないよね。
「アンナが犯人の一人にやったことだが、これは今は私の胸に収めている」
「……えっと、骨を折って耳たぶ千切ったんだっけ?」
「そうではない。犯人の一人に、ん――」
規制単語を言いたかったらしい。代替単語に言い換えることもできるが、母さんは非常にめんどくさかったらしく、
「取調室にこい」
「い!?」
「別にお前を取り調べるわけではない。いや、ある意味取り調べだが、法の下ではない。ただ、PMをいったん取り外す」
「…………」
何も言い訳ができないまま、取調室に入れさせられた。正式な取り調べではないので録画や録音などはされていない。取り調べの可視化はどこ行ったんだ。まあのぞき見というのも楽しいんだけどさあ。
「お前、アンナとセックスしたのか?」
「ぶほぉわ!? え、え?」
「アンナが『奥間君とは『愛の儀式』を済ませた仲ですの』と言ったのだ。お前が愛の儀式とやらでごまかしたのか?」
やばい、返答を間違えれば殺される!
201 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/05(土) 17:10:09.13 ID:9iu5sKBf0
「え、えっと」
「事実のようだな」
え、言い訳すらなし?
しかし、思っていたのと反応が違う。どこか、沈み込んでいる。
「お前、一時期アンナをないがしろにしていたそうだな」
「そんなつもりは!」
「だからアンナは、お前を鎖で繋いで愛を確かめ合おうとした、そう言ったのだ」
「え…………」
「事実か?」
「……母さん、聞いて、アンナ先輩は」
「アンナは最後まで、自分が穢れることを、綺麗なままでいてほしいと、お前はそう言っていたと言った」
「…………」
「痛みを伴うからやめてくださいと言われた、そうも言っていた。その他にも話していて、私は違和感しか覚えなかった。だがこう仮定すればわかる。アンナには性知識が全くない、と」
「そう! そうなんだ! だから僕は、そんなアンナ先輩に何も説明するわけにはいかなくて!」
「風邪を引いていたといったあの日、本当はお前は風邪を引いていなかったのだな?」
こくこくこく!と頷いた。
「いつも逃げられるから、鎖で繋いだと言っていた……」
母さんは頭が痛そうにしている。理解できないんだと思う。外堀は完璧に埋めていたからな、アンナ先輩。
「他にも愛の蜜とか、それを混ぜ込んだクッキーを食べさせたとか、お前の愛の蜜が一番大好きだとか」
ひい、こういうのを実の母親から聞くと生々しすぎて本当に泣きたい!
「とにかくだ。一線を越えているようだが、お前の意思はそこにあったのか?」
「性知識のない女性の無知に付け込んだって、ちっともうれしくないよ」
「本音らしいな」
しばらく沈黙が落ちた。不機嫌、というよりはどうすればいいかわからないという困惑の方が強いのは、きっと息子の僕しかわからないだろう。
「アンナがリーダーにしたことは、強姦罪。卑猥の中でも最も卑劣な犯行だ」
「母さん、でも、アンナ先輩はそれが卑猥だって知らなかったんだよ」
「傷つける意図があったことには変わりない、そうだろう?」
「…………」
「明日、ソフィアを呼び出す。おまえにも証人として付き合ってもらうぞ、狸吉。不破氷菓も目撃者として呼んである。お前だけのせいにするつもりは、私にはない。そして」
14日間という時間でも答えを出せなかったであろう答えを今、母さんは吐き捨てるように。
「最悪の卑猥な犯罪をしたことを、アンナに告げる。アンナがお前にしたこともだ、狸吉。いいな?」
母さんの言葉は、すでに決定事項だった。
取調室を出て、先ほどの場所に戻ると、
「奥間君」
女神の笑みを浮かべたアンナ先輩がそこにいた。
この笑みが明日どうなるのか。
誰にも、わからなかった。
202 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/05(土) 17:12:13.99 ID:9iu5sKBf0
狸吉のお母さんは比較的バランス感覚を持っている気がします。
行動は過激ですが、話の通じない人間が多すぎる下セカの中では比較的話が通じる気がします。
アンナ先輩、明日はいかに!?
203 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/05(土) 17:14:06.27 ID:9iu5sKBf0
せっかくなのでここまでを急いで書いてみました。
狸吉のお母さんが男女逆でも強姦は強姦という意識を持っていて、本当に良かったと思います。
204 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/05(土) 17:22:09.48 ID:0VPjNObI0
何気に不破さん巻き込まれていて草生える
いや展開はヤバいけどさ。場合によっては強姦罪か。準強姦罪とかにはならないのかな
205 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/05(土) 17:25:34.94 ID:9iu5sKBf0
>>204
準強姦罪は暴力などを使わず相手が抵抗できない状態での暴行です。薬とかお酒とかで眠らせたりですね。
強姦罪より軽い罪、という意味ではないのです。アンナ先輩は暴力で暴行を加えているので、強姦罪になります。
……詳しい方、合ってますよね? 教えてくださいお願いします。
206 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/05(土) 17:44:47.29 ID:Yx7KQxOiO
え?ちょっと待って。狸吉は、母さんがアンナ先輩のレイプを隠蔽していた事を知らなかったの?
だとしたら、狸吉、迂闊すぎない?面会の時、側にいる警官がたまたま性知識が無かったから良かったけど、もし違ったらアンナ先輩のレイプがバレるじゃん
てっきり、狸吉は母さんから全部事情を聞いてると思ってました。テロリーダーを確保している警官は全て母さんの息が吹きかかった連中で、狸吉はそれを把握しているから、面会で色々ぶちまけられたのだと
というか、狸吉がアンナ先輩の身を案じているなら、不破さんにアンナのレイプを証言したか聞くはずだし。それなら狸吉がアンナ先輩のレイプがバレたことを知らないなんて無理があるように思うんだけど……
それと、睡眠薬で眠らせた場合、準強姦罪じゃなくて普通に強姦罪になると思います
酒と違って、睡眠薬は本人に無許可で飲ませるのがほとんどかと。無許可で薬を飲ませて眠らせたら傷害罪になるはずなので、暴力扱いで強姦罪だと思われます
まぁ私も法律のプロではので、違っているかもしれませんが
207 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/05(土) 17:56:40.53 ID:tQdPywmW0
まあ矛盾は生まれるって。
たぬきち母さん1人に収めてないと隠蔽も難しいだろうし。不破さん1人話さなくても目撃者が多いから無理だろうし。
逆レの話はまあ迂闊だけど、以前の月見草みたいなやつなのが分かってたならある程度言える範囲がわかったんじゃないかなって解釈してるよ
208 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/05(土) 18:12:10.73 ID:9iu5sKBf0
すみません、私が言いたかったのは、
>>204
さんが準強姦罪が強姦罪より軽い罪と思っているように見えたので、そうではないと言いたかったのです。ご指摘ありがとうございます。後、いろいろ矛盾点もそろそろ出てきてますが、みんな疲れているのです、きっと。……いえ、本当にすみません。
皆さん真剣に考えてくれてうれしいです。答えを出せるかどうか、ちょっと不安ですが、頑張ります。
209 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/05(土) 18:47:31.56 ID:9iu5sKBf0
アンナ先輩を高級マンションまで送った。(愛し合いたい)オーラがプンプン出てたけど、明日のことを思えばそれどころじゃなかったから何とか逃げた。
アパートにつくと、華城先輩に通話して相談してみることにする。
『そう、アンナが……いえ、狸吉のお母さんでよかったのかもしれないわ。善導課主任、いわばプロだもの』
「そうですけど……」
どうやったってアンナ先輩には酷な日になると思う。
『それよりソフィアに殺されないかを考えたらどう?』
「あ、じゃあ棺にはケモミミ娘の完全版をお願いします」
『そうね、用意しとくわ』
…………。
「あの」
『狸吉、あなた。……アンナと結婚しない?』
ぶほぉわ!?と本日二回目のせき込みだった。しかも相手が真面目なところまで同じだった。
『あなたがアンナを受け入れて、結婚すれば……そしたら、アンナは救われるわ』
「……でも」
――僕は、アンナ先輩を、愛しているのか?
そんなの、わかるわけない。
――心も化け物なんだから。
それは違うと、はっきり言える。でも、そうなる可能性を秘めているのは、間違いない。
「見捨てられない、です。でも……結婚とか、そういうのは」
『まあアンナの両親が許さないでしょうけどね。正直、自然に別れるのは難しいと思うわ。童貞とオナホの関係のように』
どうあったって、アンナ先輩を傷つけるしかない。あとオナホバカにすんな。
『…………ごめんなさい、私も考えてみるけど、少し時間を頂戴』
僕が何を言う暇もなく、通話は切れた。ゆとりや鼓修理はアンナ先輩を《育成法》の被害者としては見ていないし、早乙女先輩は役に立たないし……、
210 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/05(土) 18:48:34.79 ID:9iu5sKBf0
「……ごめん、本当に」
負担をかけっぱなしだが、仕方がない。
『おや、奥間さん。明日の件ですか?』
「ああ、もう善導課から話来てるんだ……」
『言っておきますが、アンナ会長があなたを襲ったことについては何も話していません。奥間さんが《SOX》に誘拐された件も、善導課はおそらく知らないでしょう』
「じゃないと困る……」
『わたしの証言は主にあのリーダーに対することになると思います。わたしは意図して話しませんでしたから。まあ、犯人グループが全部話しているでしょうけど。わたしは知識がないのでわからないと誤魔化しました』
不破さんでそれが通るのかよ。恥識欲の塊のくせして。
「不破さんは、その……」
『罪は償うべきでは? 常識的に考えて』
「……それが罪だと、知らなかったとしても?」
『卑猥の犯罪は潜在的に増えていると言います。人の愛し方がわからず、強引に手を出して。その流れから、アンナ会長も逃れられないでしょう』
「……そう、だね」
『わたしは明日は、聞かれたら答えます。わたしにできるのは、それだけです』
「……うん、本当に、ごめん」
短い通話で、切れてしまった。
明日、アンナ先輩が、壊れるかもしれない。
そうなったら、どうなるのか。
わからない。何一つ。思考は精子一つも駆け巡りはしなかった。
*
「……アンナ?」
何か用事で出なければいいのにと思った祈りは通じずに、親友は通話に出てしまった。
『綾女さん。怪我はどうですの?』
「まあ大丈夫。そっちは? 善導課のしごきはきついって聞くけど」
『まあ、勉学や体を動かすのはいいのですが、奥間君や綾女さんと会えなかったのはさみしかったですわ』
「そう。……明日も何かあるんですって?」
『ええ、どうしてそれを?』
「奥間君から相談されて、大丈夫かなって……」
『…………』
「あ、あのね、私」
『綾女さん。わたくしは社会の規範より、奥間君の言葉を信じることに決めたんですの』
「……それは、テロリストのリーダーにさせたっていう怪我とか、そういうのも奥間君が決めたことなの?」
『いいえ、わたくしの意思で、間違えたのです。明日はそれを弾劾されるのですわ、きっと』
「…………」
アンナなりに、明日何かが起こることはわかっているみたいだった。だけど、何が起こるかまでは、わかっていない。
211 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/05(土) 18:49:04.05 ID:9iu5sKBf0
『わたくしが間違えるのは、奥間君も望んではいなかった。だけどそれでいいのですわ。……奥間君は優しいから、わたくしが間違えても、大丈夫なんですの』
「どういうこと?」
『何もかも受け入れてくれるって、こんなに幸せなんですのね……甘えないようにしないといけないとは、わかっているんですけれども……この前の事件は、どうしても許せなくて』
「……そうね。アンナが来てくれて、嬉しかったわ。でも……アンナはそのせいで、傷つけられたのよね?」
『罰はもう、与えましたので』
淡々と言っている。親友であるはずの自分にも、アンナの感情が読めない。
『明日はお母様と、奥間君のお義母様との話し合いですわ。……男女の関係であることをお母様にはもう、隠せないでしょうね』
「大丈夫?」
『ありがとうございます。お母様だって、奥間君がどれだけ立派な人間かわかれば、きっとわかってくれるはずですわ』
そうはならない。アンナ自身の行為によって、きっと二人は引き剥がされる。
『長電話は身体に毒ですわよ。もうお休みになってくださいまし』
「あ、ありがとう、アンナ。……あのね」
『綾女さん?』
「私は、アンナが傷ついたら、そばにいたいと、そう思ってるから」
『……ありがとうございますですの。それじゃ、また』
通話は切れた。
「……下ネタも、言う相手がいないと張り合いがないわね」
二人がどうなるのかなんて、わからない。さっきは引き剥がされると思ったけど、もしかしたら責任を取って狸吉とアンナは婚約するかもしれない。
「……そうなったら、いいのよね。一番、アンナが傷つかなくて……私も、そばにいることができて……」
嫌われるよりかは、親友の恋人として接する方が、ずっとマシだ。アンナは基本的にはいい子なんだから。間違っても、受け入れてくれるのは、本当なんだから。
ずっと正しいことしか許されなかったアンナにとって、それはどれほどの救いだろう。
「……休もう、もう」
下ネタという概念のない退屈な世界より、下ネタいっぱいの楽しい夢を見たかった。
だけど現実は、二人が結婚式を挙げてそれを祝福するという――
――悪夢だった。
212 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/05(土) 18:50:10.48 ID:9iu5sKBf0
ようやく話し合いというか取り調べの日が来ます。さてさてどうなることやら、です。
213 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/05(土) 19:16:13.41 ID:YilfewEz0
書くの早いなww
アンナ先輩、引き剥がされそうになって現実逃避にたぬきち誘拐に1票
華城先輩も地味にややこしい事になってるな
あと不破さん巻き込まれすぎで草だわほんと
214 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/05(土) 20:09:13.56 ID:MEtzAMIYO
うん、一夫多妻制の国に行こう、それが良い
大体みんなもうこんな国は嫌でしょ
215 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/05(土) 21:13:41.21 ID:9iu5sKBf0
うーん、物足りなく思われるかもしれませんが、こうなるよねって感じになりました。
投下したいと思います。
216 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/05(土) 21:14:51.16 ID:9iu5sKBf0
目覚ましが鳴り、時間ぴったりに起きる。こんな時でも中学時代の母さんの指導が行き届いていて、正直もっと夢の中で眠っていたい。
さすがにアンナ先輩は夜這いには来なかった。15日間、律義にオナ禁しているけど、朱門温泉で鍛えられてるしまあまだ大丈夫。
とりあえず、今日が僕の寿命にならないように何とか頑張りたい。精子の寿命って案外長いらしいね、膣の中だと2週間とかなんとか。
場所は善導課の取調室だ。行くとアンナ先輩とソフィア、不破さんはもう来ていた。
「おはようございます、皆さん」
頭を下げておく。これからのことを考えるとこれでも足りないけど。
「おはようございますですわ」
「おはようございます」
「……おはようございます」
三者三様の挨拶を交わすと、取調室に入っていく。
取調室ではPMが外されるケースも多い。規制単語を教える際には特に。
今回はアンナ先輩への再教育という名目で、取調室の一室を借りている。
(不破さん、ごめんね)
(問題ありません。アンナ会長の反応には興味がありますし)
ゲスいな!
母さんが取り調べをするときの鋭い目になる。全員が自然と緊張する。
「今回はアンナ・錦ノ宮の強姦罪について詳しく取り調べをする」
「……は? なんですか、それ」
まず声を上げたのがソフィアだった。母さん、いくらなんでも切り込みすぎでない?
「ごうかんざい……?」
「まず先にテロリストリーダーに対する罪状を。傷害罪は理解しているか?」
「はい。手足を折り、耳たぶを引きちぎりましたわ。あと、テロリストの一人にはろっ骨を何本か折る怪我を負わせましたわ」
「……それは! 相手が実銃なんて持ってる以上」
「少し黙っててくれないか、ソフィア。最後まで聞いてほしい」
母さんに取り調べモードでそう言われると、さすがのソフィアも何も言えないようだった。
217 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/05(土) 21:15:51.87 ID:9iu5sKBf0
一方のアンナ先輩は、冷静だった。罪を罪として認識しているんだろう。それを後悔しているかはともかくとして。
「それとは別に、アンナはリーダーにしていることがあった。そうだな?」
視線が不破さんに向けられる。「はい」と冷静に答えると、
「アンナ会長はテロリストリーダーに対して上着を破り、胸部を揉みしだき、先端をつまんでいました。下着も破り、鼠径部に手のひらを当てて……」
そこで初めて、不破さんが視線を逸らした。
「リーダーの《赤ちゃん穴》に指を入れ、掻き混ぜているように見えました。排泄孔にも指を入れ、掻き混ぜているように見えました」
「なっ」
「…………」
「事実か?」
「はい」
アンナ先輩は、あくまで冷静だった。代わりにソフィアがわなわなと震えている。
「なぜそんなことを?」
「『愛の罰』を与えるためですわ。わたくし、《赤ちゃん穴》から愛が生まれ、《愛の蜜》が溢れることを発見しましたの」
ダメだ、アンナ先輩独自の価値観と言語によって大人たちがフリーズしている。
「リーダーは部下を使ってわたくしを穢そうとしたのですわ。ですから愛を教え込もうとしたのですが」
ふ、っとそこで初めて笑う。あの、人の血の味を覚えた、獣の笑みを。
「やはり愛し合っていないと無理のようですわね。まあそもそも同性ですから最初から無理なことはわかりきっていましたわ」
「……排泄孔に指を入れた、という証言もあるが」
「事実ですわ。排泄孔も、うまく使うと愛を感じることを知りましたの。ですから同時に弄ってみたのですわ。答えはまあ、愛の感覚に絶望していたようでしたが」
「〜〜〜〜あなた、何を言っているのです!? そんな卑猥なこと!?」
「? 卑猥? 何故ですの? どちらも愛しい人に挿入れてもらえると、すごく愛を感じ、幸せになれますわ」
愛は絶対でしょう? と獣の瞳で、しかし無垢な笑みを浮かべる。
「奥間君の突起物がわたくしの《赤ちゃん穴》に挿入ってきたときは、とても痛かったですけど、わたくしは幸せでしたわ」
今僕は死にそうです。突起物がちっちゃくなっちゃうよう。
「な、な、な、な!?」
「落ち着け、ソフィア。まだしばらくは黙っていてくれ、頼む」
「奥間君は言いましたわ。“初めて”を喪失ってほしくない、僕なんかに穢されたくない、とても痛いことだから、だから止めてほしい、と」
熱に浮かされたかのように、アンナ先輩は僕の方を愛おしそうに見る。
「そこまで奥間君はわたくしの身を案じ、愛の儀式を行うことを最後まで気遣ってくれましたわ。ですが、そんなに痛いなら、愛を乗り越えるために必要な痛みなら、わたくしはそれを受け入れましたの」
発情しつつある。僕、オナ禁15日目だからね。そろそろいい匂いがしだすころなんだろうな。
「それは、狸吉の意思を無視した、と捉えていいか?」
「うーん、愛の儀式に関してはそう言えるかもしれませんわね」
「奥間さんは愛の儀式とやらを行うのを最後まで抵抗していましたよ」
不破さんが補足する。アンナ先輩は頷いた。どこまでも正直だった。
「…………」
ソフィアは絶句している。
218 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/05(土) 21:16:24.93 ID:9iu5sKBf0
「ソフィア、これが現実だ」
母さんも、どこか辛そうに見える。
「アンナは善悪が分かっていない。卑猥が何か、わかっていない」
「? 何故愛し合うことが卑猥になりますの?」
「あ、アンナ、愛の儀式というのは、キスぐらいのことですよね?」
「鱚? 魚がどうかしまして?」
「男女が行う繁殖行為のことです。わたしは奥間さんからそのあたりの相談を受けていたので知っています」
不破さんが重ねて説明すると、
「――――」
ソフィアは卒倒しそうになりながら、
「こいつが!」
僕を掴み上げてきた。ぐえ、アンナ先輩並みに力強い!
「こいつが、私のアンナを誑かしたのです! 間違いありません!!」
「ち、ちが……!」
「お母様! 止めてくださいまし!!」
「あなたは黙ってなさい! い、息の根を止めなければ……!!」
「どう言おうと、テロリストに行った行為に関しては否定できんよ、ソフィア」
「〜〜〜〜!! 爛子さん、あなたはどっちの味方なのですか!?」
「……狸吉の意思を無視した、と考える方が、辻褄が合うことが多いのだ、ソフィア。それでも狸吉は恋人同士ということもあって――」
「なっ、そんな話聞いてません!!」
「……お母様に言う暇がなかったんですもの」
アンナ先輩はなぜソフィアがこんなに過剰な反応を示しているのかわからない、という顔をしている。
「…………」
「もしかして爛子さん、あなたは知っていたのですか!?」
「いや、その、言うタイミングは見ていたのだ」
「い、いつから、いつから!?」
「五月の頭ぐらいからですわ。奥間君がわたくしを助けてくださって、それ以来相思相愛の仲ですの」
「に、妊娠は!?」
「残念ながら予兆はありませんの。子供は5人ぐらい欲しいのですけど」
「学生が妊娠だなんて、そんなことが許されるはずがないでしょう! あ、愛の儀式などと、いったいなぜそんなことを言うようになったのですか?」
「――愛は絶対の正義だって、教えたのはお母様じゃありませんの」
話が通じない相手がいる。
それは、害意があろうとなかろうと獣と同じなのだと、ソフィアもようやくわかってきたようだった。
219 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/05(土) 21:16:57.30 ID:9iu5sKBf0
「わ、別れなさい! 今すぐに! あなたも!」
「ぼ、僕ですか!?」
「時岡学園の生徒に性知識を教えたら退学だと、入学の時に言い含めましたよね!?」
「……ソフィア、それは違う。狸吉が性知識を教えたなら、アンナはこんな怪物にはなっていない」
――怪物。化け物。
《育成法》が生んだ、被害者ではなく、化け物――。
「お母様の言葉でも、それは聞けませんわ。何故なら、愛し合っていますもの」
少し前まで絶対だったはずの母親の言葉に、今は反対する。あの夜と同じ、暴雪を伴う気配。
微笑を浮かべる。以前の無垢で繊細な美は、迫力さを持って他者を傅かせる美に変貌していた。それは決してマイナスの意味ではなく、無条件にこの人の言葉が絶対なのだと思わせ、従わせ、心酔させるものに。以前から持っていたカリスマ性を、さらに進化させて。
少女から女に、天使から女神に。
それが、アンナ先輩の変化だった。気配の変化に、母親二人が一瞬、絶句する。
ただ二人ともただものではないので、立ち直りは早かった。
「アンナを強姦罪で引っ張る」
「ちょ、ちょっと待って、爛子さん、これは何かの間違い、そう、間違いなのです!」
「――以前のわたくしなら、正しくなければ見捨てられると、そう思ったでしょうね」
でも今は大丈夫、と、ただ無垢な信頼と愛情を、僕だけに向けて。
「奥間君はわたくしを見捨てたりしませんから」
――また、アンナ先輩は、この正しく狭量な世界よりもさらに深く狭い世界に、閉じ込められつつあるのか?
アンナ先輩は何があっても大丈夫と言った自信を纏い、立ち上がる。母さんは事務的にアンナ先輩を別室に連れていく。
残されたのは、母親と、恋人かどうかわからない僕だけ。
「どうしますか? お二方」
不破さんの声も、ソフィアの耳には届いていない。
ただよろよろと、PMを操作しながら、多分弁護士かなんかと相談しつつ、取調室を出ていく。
僕は取調室を出て、椅子に座り、アンナ先輩と母さんが出てくるのをただ待つことしかできなかった。
220 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/05(土) 21:18:55.89 ID:9iu5sKBf0
……………………えーっと
あれー、ここでストーリー的には終わるはずだったのに、アンナ先輩開き直りが凄すぎて、まだ続く予感しかしないぞー
221 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage saga]:2020/09/05(土) 21:32:57.94 ID:PscThPoM0
だから早いなww
たぬきちはともかく、リーダーに対してのレイプは誤魔化し効かない気もするが。
話が通じないって1番怖いよな。知識という共通言語がないからな。
222 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/05(土) 22:47:17.32 ID:TpS/26b20
原作だと追い詰められてからの拒絶だったから読んでて辛かったけど、
こっちはある種の安心があるからか、逆に怖いな
話が通じない化け物ってその通りだし
223 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/06(日) 11:19:16.85 ID:WNXNjvtDO
しかし、アンナ先輩を強姦罪で引っ張ったところで、どこに隔離するつもりなんだ…
アンナ先輩が相手じゃ、仮にリボーンの復讐者の牢獄みたいな、粘性の高い液体の水槽に入れたって難しいぞ
224 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/06(日) 13:08:27.51 ID:fFBIkeMu0
「何をしている、狸吉」
気づくと母さんが立っていた。
「アンナは今、講習を受けている。経歴に傷はつかないだろう、今の日本では」
健全に育ったはずの娘が強姦を行っていたとなると、アンナ先輩の両親の影響力は下がらざるを得ない。
だから必死で、情報操作するだろう。相手が犯罪者で、さらに恋人と認識されている僕なら比較的簡単な話なんだろう。
罪を罪として認められない。
それもまた、この国の歪みだ。
あとはアンナ先輩が、どう向き合うかだけ。
絶対悪としてきたものが、愛情表現として今まで僕にしてきたことを、どう受け止めるか。
「貴様はどうしたいのだ、狸吉」
「……見捨てられない」
「どういう意味だ」
「どうあっても、アンナ先輩を変えてしまったのは僕だから」
「……恋愛は人を変える。私の持論だ」
「え?」
「アンナは変わった。確かに変わった。良い方向にも悪い方向にも変わっている。アンナはそれを否定しなかった」
「…………」
「テロリストどもが暴れる前、少し話したな。この変化はすぐに悪い方向に向かってしまう、と。自分自身が研鑽を積まなければ、すぐに悪い方向に向かう、危ういものだと。変えてくれた貴様のために、自分はより良い変化に変えていきたいと、アンナは言っていた」
……確かに、そんなことを言っていた気がする。
「貴様はアンナに出会ってから変わった。小学三年の時だったか。それまでは大変だった。善十郎が逮捕された時のお前の暴れっぷりはシャレにならんかった」
「…………それを救ってくれたのが、アンナ先輩だった。僕はアンナ先輩に、救われたんだ。……だから、今、アンナ先輩が苦しんでいるなら、救いたい」
これは本音だ。なのに。
何故、下ネタを言っている華城先輩の顔と声が思い浮かぶのだろう。
「もうすぐ講習は終わる。ただ年内は続くだろう」
講習で終わるあたり、すでにソフィアが何かしたのだろうか。
「母さんは、怒らないの? 僕を」
「お前の意思が介入していないのに、怒りようがないだろう」
そう言うとおり、戸惑いの方が大きく見える。
「……愛の儀式か。何も知らないと、そういう結論になるんだな」
「母さん。衝動は、止められないよ。いくら遠ざけたって、知識を切り離したって、それは本能だから、必ず行きつく。知識がなければ、歪みも歪みとわからないんだ」
「アンナを見てれば、貴様の言うことはなんとなくはわかる。だが、それでも、卑猥からは守らねばならない」
「卑猥は絶対悪でなければならない、だっけ」
「なんだそれは」
「《群れた布地》の時に言った、《SOX》の言葉」
「貴様、あんなテロリストの戯言を脳に入れる暇があれば、アンナを迎える準備をしておけ」
――アンナ先輩が、講習室から出てくる。
その瞳は、銀髪の陰に隠れて、見えなかった。
225 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/06(日) 13:10:04.26 ID:fFBIkeMu0
「奥間君、今日はうちに来て欲しいんですの」
まだ仕事がある母さんを警察署に残して、僕らはタクシーでアンナ先輩の家に向かっていた。
「ソフィアさんは……?」
「いたらいたで、きちんと紹介がしたいですし……」
「いなければ?」
「……もう、二週間以上、ですわ」
湿った声に、僕は背筋がぞくっと、愚息が勃っちゃうのは、もはや条件反射に近くなっている。
「その前に、話があります」
「ええ……あ、やはり……」
タクシーの運転手にPMで地図を送信する。ちらっと見えたのは、この前行った超高級ホテルだった。
「ここに行ってくださいまし」
「……えっと」
「欲情を抱えたままだと、わたくし自身、抑えが効かなくなりそうですので」
うん、多少の知識を得たぐらいじゃ本質は変わらないね! 知ってた!
ホテルに到着し、アンナ先輩は慣れた様子でチェックインする。
この前も通された部屋に入ると、すぐさま襲う!
かと思いきや、アンナ先輩は発情の気配がありながらも沈み込んでいた。器用だな。
「お母様のいない場所で話を一度したかったんですの。お母様は交際に反対するだろうって、奥間君のお義母様が仰ってて」
あの状況じゃそりゃそうだろう。
「わたくしが奥間君にしてきた愛のアプローチは、卑猥でしたの?」
「…………」
いきなりの直球に、何も答えられなかった。それで充分答えになっていた。
「やっぱりわたくしは、奥間君のことしか、信じられませんわ」
表面上は冷静だが、やはり危うかった。慎重に言葉を選ばないといけない。
「……はい。何も知らないアンナ先輩のアプローチに、応えるわけにはいかなくて」
「そう、でしたの」
226 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/06(日) 13:11:06.94 ID:fFBIkeMu0
「善導課の、母さん達は……いや、その前に、アンナ先輩がテロリストにしたことは?」
「両親が不問にするよう腐心していますわ。……わたくしは刑務所に入っても構わないのですけど」
祠影やソフィアにとっては都合が悪いってか。ふざけんな。
「アンナ先輩。ご両親の言葉だけがすべてじゃないように、僕の言葉もすべてじゃないんです。誰かの言葉がすべてなんて、あり得ません」
「…………」
「僕の父親は奥間善十郎、稀代のテロリストです。そして母は、《鋼鉄の鬼女》とも呼ばれる、善導課伝説の人です。テロリスト側も体制側も両方持つ僕の言葉は、ふらふらしていて、とても誰かを導けるものじゃありません」
「……ずるい人」
――アンナ先輩の言葉の中で、一番ショックだったかもしれない。
だけど、逃げるわけには、絶対にいかない。
「先輩も今、混乱しています。落ち着きましょう。色々あって、疲れるのが当たり前なんです。傷つくのが当たり前で、僕達はそれを乗り越えないといけない」
ああもう、僕も何を言っているかわからなくなってきた。それでもアンナ先輩と目を合わせる。
「アンナ先輩、人を傷つけるのは、やっぱり愉しいですか?」
「……ええ。『愛の罰』を与えている時、愛の蜜が溢れだしていましたわ。……奥間君の匂いもなかったのに」
アンナ先輩は自嘲の笑みを浮かべる。
「愛の蜜は、快感を覚えれば、愛がなくても出るものなのですね」
……母さんはそこまで教えたのか。今のアンナ先輩なら理解っているんだろう。
愛情と性欲は違うってことが。そしてアンナ先輩の性癖は、極めて危険なものだってことが。
「性衝動も、破壊衝動も、どっちも満たすことは、難しいかもしれませんけど……」
そこでやっと、やっと。
僕はアンナ先輩の瞳に気付く。
理性的な表情や言葉の中で、隠されていたものが、現れる。
血の味を覚え、性にまみれた、危険としか言いようのない獣の瞳だ。
「奥間君」
抱きしめられる。強く、逃がさないと言いたげに。
じっとりとした熱を帯び、舌なめずりをし、スンスンと首筋の匂いを嗅ぎながら。
「わたくし、ずっと思っていましたの。奥間君を壊したら、どれだけ気持ちのいいことになるか」
サーっと血の気が引いた。いやマジで。愚息もしゅんとなっている。
「身体を壊したりはしません。痕にも残りません。ただ、少しだけ、痛みを与えさせてくださいまし……」
「ちょちょちょちょちょ!」
「…………」
まだ中だしセックスの方がマシだった。えっと、こんな時はどうすればいいんだっけ? SMの規制本ちらっと読んだ限りでは確か、そうだ!
「キキキ、キーワード!!」
「?」
「本当にダメなときは、キーワードを言うので! それを聞いたら止めてください、お願いします!!」
「…………何にいたしますの?」
「えっと、NO! NOで!」
「わかりましたわ。……大丈夫、精神が壊れるほどではありませんわ」
全然安心できないけど、これから始まるのは、そんな特殊SMプレイらしかった。遺書残して来ればよかった。
227 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/06(日) 14:35:43.30 ID:fFBIkeMu0
母さんの調教で多少痛みに慣れているとはいえ、今のアンナ先輩に付き合うのは正直辛い。
「避妊具は持っていますの?」
よかった、その認識が生まれている!!
「今は妊娠するわけにはいかないようですので……奥間君のお義母様がそう仰っていましたの」
……着床したいオーラを感じるけど、無視しておかないと精神が破綻する。
「さ、財布に入ってます」
いつ襲われても大丈夫なようにね! 5枚用意しているけど普通はこれで足りるよね? アンナ先輩が限界まで挑戦したいとか言い出したら即座にNOと言おう。
「そう、ならお腹の中を掻き混ぜても大丈夫そうですわね」
残念そうに聞こえるのは気のせいじゃない。
ゆっくりと、焦らすように服を脱いで、脱がせていく。獣の瞳はそのままで、笑っている。
ぺろ、と首筋を舐める。そこが以前、僕を食べようとしたときの傷痕を舐めていることには、すぐに気付いた。
「少し、痛みますわよ」
背中の一部を、軽く押され
「げふっ!?」
肺の空気が全部吐き出された。どんな芸当でこんなことができるんだ!?
「〜〜〜〜!! ああ、」
僕が痛みにむせている姿を見て、恍惚に酔いしれている。今度はわき腹「が!?」ぐりぐりと目つぶしを握ったものを脇腹に入れていく。
ぴちゃぴちゃと湿った水音が、大きくなった。
「ああ、ああ……やはり、わたくしは」
今度は唇を貪る。いつもと違うのは、感じるポイントじゃなく、舌を啜り、歯で噛み千切らんばかりに強く噛んだこと。
「んー! んー!」
唾液を啜り終えると、少し不満げにこちらを見る。
「な、なんですか?」
「……本当は、舌を噛み千切りたかったのですけど。……奥間君の血の味が、欲しいんですの」
「あの、身体は傷つけないって……」
「ん、先に舌を満足させますわ。……愛の蜜をくださいまし」
アンナ先輩は僕の愚息に口づけをする。ここは素直におっきした。条件反射みたいなものだから仕方ないよね。
じゅぼ、じゅぼ、じゅぼ、じゅぼ!
「〜〜〜〜!! アンナ先輩、出ます!!」
どびゅるる、と勢いのある精液が、アンナ先輩の小さな口の中に全部入る。飲み込むのがもったいないのか、起き上がり視線を合わせ、笑みを浮かべながら舌の上でころころと味わった後、喉を反らし見せつけるように飲み込む。
「あ、はあ、やっぱり溜め込んだ奥間君の愛の蜜は美味しいですわ……!」
騎乗位になり、僕の上にまたがろうと膝立ちになる。あ、ゴム着けなきゃ。
「……愛の蜜がお腹の中で広がらないのは、寂しいですわね」
それしたら妊娠するから仕方ないね。
ゴムを付けると、ゆっくりと飲み込んでいく。「うっ」呻いたのは僕の方だった。アンナ先輩の中は凄まじく、グネグネとうごめきながら搾り取ろうとする。
アンナ先輩が、笑った。
228 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/06(日) 14:36:44.81 ID:fFBIkeMu0
「ひぎぃ!?」
い、いや、ぼ、ぼくのちくびをつねらないで!! そこはダメ、ダメなのぉ!!
痛みでビクンと跳ねた身体の衝撃を全身で受け止めるかのように、アンナ先輩はころころと僕の乳首を転がす。
「うふふ、可愛い顔……」
アンナ先輩はあくまで動かず、僕の身体に衝撃を与え、そこから伝わる振動で感じているようだ。ダメだ、鍛えられてないところばかり責められると体力が持たない!
アンナ先輩のおっぱいに手を出そうとすると、
「ダメですわよ? 勝手に動いては」
一瞬で手を上に拘束される。アンナ先輩は片手なのに、僕は両腕の力を使っても全く動かない。
アンナ先輩が動いた。グネグネと腰を蠢かし、恍惚を移すように、奪うように、そのたびに昂ってきて、キスもいつもの激しいものに変わる。愚息も慣れたプレイに戻ったからか、一気に大きくなっていく。
「あ、あ、あ、あ!!」
ばしゃあと、アンナ先輩が潮を吹いた。僕も二度目の発射をし、アンナ先輩から抜く。
「お、奥間君、やっぱりわたくし、奥間君の愛の蜜を身体の中で感じたいんですの」
「で、でもそれだと」
「排泄孔に、挿入れてくださる?」
瞬時に計算、今のアンナ先輩を刺激するより後ろの穴プレイの方が危険度低いと認定!
バックの姿勢になり、排泄孔にあてがう。
「ゆっくり、挿入れますね」
今のアンナ先輩に指で慣らすなんてことは必要ないだろう。予想通り、力の加減を完璧に習得したのか、挿入するときはたやすく、抜くときはきつい。痛いほどだ。
「う、先輩、きつい、です」
「ふふふひ、そうしているんですわ。早く動かしてくださいまし」
ちんこもげそうなぐらいの力で絞る排泄孔の括約筋ってどうなってるんだ。うわ、本当にもげそう。でもヤバい、中は気持ちいい。
ぐっ、ぐっ、ぐっ、ぐっ、
前の穴と違って自分が主導だからか、征服感みたいなのがあって、それが背筋にゾクゾクを走らせる。
ぐっ、ぐっ、ぐっ、ぐっ、
「う、先輩、出ます!!」
びゅる、びゅるるる!
三回目ともなると勢いは減るかと思ったけど、そんなことはなかった。むしろ根元を押さえられ、勢いが増したほどだ。
「あ、アンナ先輩?」
最初こそ痛かったけど、思ったより普通のプレイで少し安心して、愚息を抜く。まだ少しおっきしてる。
「うふふふふ、やっぱり、あれがいいんですの」
……何の話だ。
「奥間君、わたくしの排泄孔に愛の蜜を注ぎ込んだでしょう? ……わたくしもしたいんですの」
(アンナ先輩は知らないだろうけど)前立腺プレイかあああああああ!!
あれはきつい、死ぬ、搾り取られて死ぬ!!
229 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/06(日) 14:37:20.31 ID:fFBIkeMu0
「の、の」
「えい」
かわいい声だったが、細く長い指はあっという間に僕の排泄孔を犯し、ポイントにたどり着いて
「あああああああああああああああひいいいいいぎゃあああああああ!!」
ぴゅっぴゅっとあっという間に射精。
「ああ、やっぱり、悲鳴って素敵ですわ……」
NOと言いたいところだったけど唇を塞がれる。いつの間にか前も挿入していたけど(避妊はどうした)、後ろの刺激にそれどころじゃない。
またぴゅぴゅと射精して、今度は腰ががくがくと勝手にうごめいた。
「あん、激しい! これ、これ、これ!! これがいいんですの!! ああ、痛みを与えている時の顔も素敵ですけど、こちらの苦痛の表情もなかなか……う、ひひひひ!!」
四回の射精とドライを二回を経験して、半分意識が飛びながら「N,NO……」やっと言えた。
「……これからですのに」
仕草だけ見るとかわいらしいけど、結局前にも出してるからね!! 四回も!!
「奥間君、まだできますわよね?」
全力で首を横に振る。出し切った。言い切れる。
「……やっぱり、わたくしは、人が苦痛に喘いでいる時の顔が好きなんですの……」
自分の性癖を改めて自覚したんだろう。僕は割と知ってたけど。
「奥間君なら辛うじてブレーキがかかるのですけど、他の方だと無理なんですの」
あのリーダーにしたことを知っていればわかりますとも。
「その、僕も、どうすればいいか考えますので……」
「……《赤ちゃん穴》に愛の蜜を注ぎ込んでしまいましたわ」
「あの、妊娠阻害薬〈アフターピル〉っていうのがあって……一応、持ってます。アンナ先輩が暴走した時のために」
今まさにこの状態のために。
「避妊に失敗したときに使う薬です。……前も飲みましたよね?」
「……風邪薬と言われたやつですの?」
「すみません。そう言わないと説明が浮かばなかったので」
「……薬に頼るわけにはいかないようですわね。副作用の激しい薬のようですから」
「らしいですね。だから、避妊具は絶対つけましょうねって話で……」
アンナ先輩がこちらを向いている。なんだろう。
「……奥間君、小匙スプーン一杯でいいから、奥間君の血が飲みたいんですの」
「……えっと」
「避妊具は絶対つけますので」
「…………一滴じゃダメですか?」
「…………」
不満そうな顔になったけど、結局はそれで了承してくれた。
僕自身が小指を噛み千切って、アンナ先輩が啜るその図は、凄絶の一言だった。僕、マジで食われてる。
230 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/06(日) 14:37:58.02 ID:fFBIkeMu0
…………、
ぶっちゃけ、あんまり変わらない気がする!!
231 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/06(日) 14:49:54.65 ID:FZ7pOzX30
アンナ先輩、前回小指食おうとしてたし、確かに変わりないかも(自覚生まれたのはいいけど)
232 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/06(日) 15:47:11.10 ID:q3+qDowjO
あー、こういうプレイ知ってる…
ヤラレる側は自分が嫌なプレイはNOで断れると思ってるけど、唇ふさぐとかされたら受け入れるしかないんだよね
ひどい時にはギャグボールとか使われて何も言えなくなるし、エロ漫画あるあるだわ
233 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/06(日) 17:33:59.30 ID:fFBIkeMu0
タクシーでアンナ先輩のマンションに来た後、ソフィアがいたらどうするか考えていたのだけど、誰もいなかった。
シャワーは先ほどホテルで浴びたのだけれど、僕にはわかる。アンナ先輩はまだ足りてない。そして、誰もいない。
でももう僕の残弾は出尽くしていて、セックスしようがない。さてどうするか。
アンナ先輩は僕の傷ついた小指をペロッと舐めた後、笑った。
「服を全部脱いでくださる?」
逆らえるはずもなく、言うとおりにする。「あ、あの」ああ声が情けなくなってる。
「さっきの続き、僕はもう……」
「大丈夫ですわ。奥間君を鑑賞したいだけですから」
鑑賞? 浣腸じゃなく?
全裸になると、アンナ先輩は満足そうに、
「しなやかで、結構逞しい身体をしていますわよね……」
僕の胸板を優しく撫でる。それが酷く恥ずかしい。
「あ、アンナ先輩のプロポーションには絶対敵いませんよ」
「うふふふ、ありがとうございますですわ。……手枷を嵌めますわよ」
え?
と思う間もなく、あっという間に手枷が嵌められた。
今、僕の手は頭の上に上げている状態だ。手枷にさらに長い鎖を嵌めると、天井の大きなフックに通す。
そしてキリキリと上げていく。
「あ、あの、アンナ先輩?」
「一度やってみたかったんですの。ん、もう少し鎖を短くしてもよろしくて?」
鎖が短くなり両腕が上がっていく。
「くっ」
自由が利かない。アンナ先輩の思うが儘なのが、恐ろしく怖い。
「……もう少しだけ」
とうとう僕は、つま先立ちになるまで鎖を短くされた。そこで天井のフックに鎖を固定する。
「ああ、素敵ですわ。とっても素敵……先ほどあれだけ満たしましたのに、またお腹の中がうずうずしてくるぐらい」
ちなみに僕の息子はあろうことか半勃ちになっていた。おまえ、元気だな!
「……これもきっと、卑猥の罪なんでしょうね」
唐突に真面目な話をされる。え、これ結構きついんですけどこの状態続くの?
「実は、お母様がもうすぐ来ますの。奥間君の意思ではなく、わたくしの意思だと表明するには、これが一番早いかと思いまして」
「ちょっと待ってええええ!!!」
ソフィア卒倒するぞ!!? あと僕ソフィアに攻撃されたら抵抗できないじゃないか!!
ご丁寧にハンカチを利用した口轡を嵌めたあたりで、
ピンポーン
「来ましたわ」
え、僕、放置プレイ?
234 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/06(日) 17:34:28.78 ID:fFBIkeMu0
――アンナ、いいですか、あなたはあの男に騙されているのです!
――いいえ、お母様。わたくしが選んだ方ですわ。
――こちらに来ていただくのが早いと思いますわ。
ちょっと待ってこんな急ピッチ!?
カチャ、と静かに扉の開く音がした。
「――――――な、な、な、な、!?」
「鎖も天井のフックも、わたくしが自分で用意したものですわ」
「な、なななな、なんて破廉恥な!? なんで、なんでこんな!?」
僕も聞きたい。
「このつま先立ちっていう体勢、結構辛いのはお母様もわかるでしょう? ……わたくし、大好きな方の苦しそうな顔を見ますと、こう、愛の蜜が溢れてくるんですの」
「〜〜〜〜こ、こ、この!!」
「――――――ソフィア、落ち着け!!」
「あら、お義母様も一緒だったのですわね」
「アンナ、ソフィアもだ、君たちは混乱している! だからついてきた!」
ありがと母さん、本当に感謝!
「わたくしは落ち着いていますわ。愛の蜜入りのクッキーを食べさせたり、そう、この突起物を」
よりにもよって、僕と自分の母親の前で、口に含む。舌を使い、いつもより丁寧に、見せびらかすように。
「こうすると、すごく幸せな気持ちになれますの……ん」
いつもよりも僕の反応が鈍いけど、尿道口を舌を使ってぐりぐりしたり、ハーモニカのように唇を滑らせたり。
いくらソフィアでも、これが娘の意思で行われていることに、気付いたようだった。
「なんで、なんでこんな……私の教育は間違ってなどいないのに、なぜ? 不健全雑誌を身体に巻いてまで、デモを起こしたというのに、娘が傷害? 強姦? こんな破廉恥なことまでするようになったのです……?」
口轡を乱暴に母さんがはがす。「げほっげほっ」
「お前も何か言え!!」
「……アンナ先輩は……いえ、人間は、衝動には逆らえません。それは自分の中にあるものだからです」
聞いてくれているのかわからない。だけど言うしかない。
「性衝動も破壊衝動も、アンナ先輩にはちゃんとありました。だけどみんな、なかったことにしていた。見て見ぬふりをしていた。それでも、アンナ先輩の歳まで奇跡的に成り立っていたのは、本当に奇跡なんだと思います」
………これを言うと、もう後には戻れなくなると、わかっていた。
だけど、言うしかない。だって、アンナ先輩を変えたのは、僕だから。
「僕は、アンナ先輩を尊敬して、時岡学園に入りました。それは、今でも変わりません。アンナ先輩は、本質は、変わってなんかない。ただ隠さなくなっただけなんです」
だから。だから。
「僕はアンナ先輩を、受け入れたいと思います。ありのままのアンナ先輩を。ソフィアさんは、時間がかかるかもしれませんが、ありのままを見てほしいんです」
多分、これは告白なんだろうなと。
心のどこかで、気付いていた。
できればもう少し、マシな告白がよかったな……鎖で全裸とかじゃなくてさあ。
235 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/06(日) 17:35:02.78 ID:fFBIkeMu0
正月が終わるまでは善導課の講習や家族内での不和があって、アンナ先輩は首都に帰って会えなくなった。電話もろくにできていない。
占い屋で作ったおそろいのペンダントを見るたびに、これでいいのか、思う。
「アンナに告白とはお主生意気じゃのう」
偉そうに正月気分を無視してハンバーグ800gを食べている早乙女先輩は、いつもの調子だ。
「僕、《SOX》をどうすればいいでしょう?」
「はやく止めるっス、死人が出るっス」
「止めるしかねえな、狸吉を犠牲にするしかねえぜ」
ひでえ。
「華城先輩はどう思いますか?」
「私は別に? アンナ抱き込めばテロ活動もやりやすくなるだろうし」
華城先輩は、いつもの元気がない。病み上がりだからかと思うけど、なんか違う気もする。
カランコロン
「あら、皆さんもここにいましたの」
銀髪の影が、喫茶店に入ってきた。
「あ、アンナ!? 首都に帰ってたんじゃなかったの!?」
「そうですよ!!?」
全員がワタワタしていた。そりゃそうだ。
「お母様が思ったより強情で、お父様もよくわからない意見だったので、奥間君のお義母様に相談してみたら、少し離れた方がいいと結論に達しまして」
まあ、そうかもしれない。でも何でここに?
「奥間君のアパートに行ったらお留守でしたので、匂いをたどって」
あー、やっぱりそうだよなーあはは。
「あー、えっと。アンナ先輩はこれからどうするんですか?」
「お母様はわたくしを転校させたいようなのですけど、そうはいきませんので」
「遠距離恋愛も悪くないと思うわよ」
華城先輩は黙っててください!!
「それも考えたのですけど、わたくしは確かめたいことができまして」
確かめたいこと?
「そのためには、《SOX》と接触しなければなりませんの」
「「「「「…………」」」」」
僕たち《SOX》の活動には、まだまだ困難が付き添うようだ。
――END――
236 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/06(日) 17:38:41.89 ID:fFBIkeMu0
続きを書いてもよかったんですけど、一応テロリストからの救出という点においては事件として終わっているので、こういう形で〆させてください。
続きは書きたいですけど、別スレ立てるか悩んでいます。
あとこう見えてもアンナ先輩は狸吉に依存しているから安定しているように見えるだけで、まだまだ不安定なのでひと悶着はあると思います!
ここまで付き合ってくださって、ありがとうございました! 本当に、ありがとうございました!
237 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/06(日) 18:09:48.83 ID:SRc4PU9U0
SOXを殲滅じゃなくに会うか……書いてくれー無理ない範囲で
238 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/06(日) 18:19:32.15 ID:/FStR6Q6O
続きを投下するのは何ヶ月も先になりそう?
それなら、別スレ立てた方が良い
そして乙
ぶっちゃけ続き書いて欲しい。何年も待たされてこれだとアッサリし過ぎというか、消化不良というか……
とにかく待ってます
239 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/06(日) 20:50:26.69 ID:fFBIkeMu0
うう、すみません、ちょっと急いだ感はありましたね……
10日ぐらい開けるかもしれませんが、何か月もということはないと思います。多分このスレで、続き頑張って書いてみますね。
240 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/06(日) 21:47:32.64 ID:BRHXYaDKO
りょーかい、待ってる
もし別スレ立てたら、このスレはHTML依頼出す必要あるから忘れないでね
おつ
241 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/06(日) 21:57:54.23 ID:fFBIkeMu0
<不破氷菓の一日>
不破氷菓は科学者の端くれである。
そう自負しているのだが、中には発明者と勘違いされている節もある。
例えば、昨日こんな依頼が来た。
「アンナ会長の性欲を何とかしてほしい?」
奥間狸吉からの依頼だ。正月の三が日も終わったばかりなのに何を言っているのか。
「無理に決まっているでしょう」
『そんなこと言わないで! 頼むから話を聞いて』
「毎日搾り取られていればいいじゃないですか」
『……合体』
「ほう」
『成功するかはわからないけど、アンナ先輩との合体の観察にアンナ先輩を協力してみるよ』
「そこまで言うとはよほど切羽詰まってらっしゃるんですね。わかりました、引き受けましょう」
*
喫茶店で会うことにした。
「アンナ先輩、僕を鎖で釣り上げたかと思えば寸止めして焦らすんだよ……」
「奥間さんの愛の蜜が溜まるまで?」
「愛の蜜が溜まるまで」
そんなプレイスタイルは《SOX》がばらまく不健全絵画にもなかったので、非常に興味がわいた。
「いいんですか? そんなことを話して。生徒会でしょう?」
「生徒会長があんなのだからいいんだよ、きっと」
奥間がそれでいいならそれでいいのだろう。以前の奥間なら断固拒否していただろうに、よほど疲労が激しいらしい。目にクマができている。人のことは言えないが。
「鎖でつま先立ちまで天井に引っ張る……なるほど、拷問と似ていますね」
「その状態で、その……いろんなところを羽箒でさわさわしたり」
「なるほど」
「本当に、地獄なんだよ……この前なんか見下すような視線だけでもう無理になりそうになったし」
「ほう、それは興味深いですね」
「恥的好奇心満たしてないでさ、なんとかしてくれぇ!」
「会長からもリサーチしたいところですね」
「……アンナ先輩に? わかった」
一瞬、気まずそうな顔をしたが、すぐにPMを繋いだ。
242 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/06(日) 21:59:11.82 ID:fFBIkeMu0
『奥間君? どうかされましたの?』
「あの、不破さんをアンナ先輩の部屋に連れて行ってもいいですか?」
『? 何故?』
以前なら即浮気を疑っていたのに、今は正妻気取りである。余計な嫉妬が来ないのは助かるが。
「あの、前からの事件で色々不破さんに迷惑かけちゃったじゃないですか……それで、前から興味を持っていた」
『……愛の儀式を見たい、と?』
「あの、やっぱりだめですか? アンナ先輩も僕相手じゃ鬱憤が溜まるでしょう?」
『わたくしはすごく楽しいのですけど……、奥間君に負担がかかるのは、わかっているつもりですわ』
「拷問ですしね、基本が」
PMはその一言を拾わなかったらしく、熟考の気配だけがする。
『お母様相手に披露したこともありますし、何も言わない、喋らない、手を出さないなら、いいですわよ』
「え、いいんですか!?」
『少しでも奥間君に触れたら、わたくしにとっては愉しい事態になるでしょうね』
「それはつまり拷問ですよね」
…………、絶対に触れないようにしよう。
PMが切れると、「よっしゃこれで光明が見えた!」みたいな顔をしている。
「性欲の解消には、たいてい疑似的な単為生殖にふけることが多いのですが」
「僕はもうそれでいいよ……」
「以前、奥間さんのものを疑似的に再現したブツがあったのですが、取られたのですよね?」
「アンナ先輩の箪笥の引き出しに大事にしまってあるよ」
「まずはそれを取りに行きましょうか」
*
「いらっしゃいですわ」
ここに来るのは二回目だが、相変わらず白を基調とした品のいい部屋だった。
「あら、早乙女先輩もご一緒ですの?」
あれから「奥間よ不破よ、わしをそんな素晴らしいシーンに呼ばんとは寂しいではないか!」とどこからか聞きつけ、一緒に来ることになった。自分は構わないが、奥間は嫌そうにしている。
「ブツはどこに?」
「大事にとってありますの」
取り出したブツは、洗って綺麗にしてあるらしく、汚れ一つついていなかった。
「使わないのですか?」
「え? まあ本物がありますし」
それもそうかと納得する。ということは、本物にできない動きを付加すればより快感を得られるのだろうか。ただ素材にあまり柔軟性がない以上、無理な動きはさせづらい。
「使ってみての感触はいかがでしたか?」
「それはもう満足ですわ。ただ、自分で抜き差しするのは、味気ないですわね」
そこでいきなりきょとんとアンナ会長が、「これは卑猥な会話に当たりますわね」といきなり爆弾を投げ始めた。
「あーえっと、その、ほら、性衝動の正しい解放は大事なんですよ! 母さんも言ってましたけど、それで不快な思いをさせなければいいわけで、むやみに人に見せびらかすわけではないし」
「お二人が見ることになりますわ」
「納得づくなら問題ないでしょう!」
二人とも助けて! と念波が送られてきたので、頷いてみた。
243 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/06(日) 21:59:45.58 ID:fFBIkeMu0
「ならいいんですけど」
どうも最近のアンナ会長の価値観はわかりにくい。元からわかりにくい人ではあったが、あの立てこもり事件以来、卑猥に対する価値観を信用しなくなったような、いびつさがある。
「この近くに粗大ごみ置き場はありますか?」
「ありますけど、何を致しますの?」
「材料拾いです」
*
さすがに高級マンションの粗大ごみ置き場だけあって宝の山だった。パッと見る限り、修理すれば十分使えるものばかりだ。
「これはなんですか?」
見慣れないものがあったので、素直にアンナ会長に訊いてみる。
「ロデオマシンですわね。確か最近、ジムが閉鎖になったとか聞きましたわ」
ふむ、と考える。組み合わせたら使えそうだ。
「これを持って帰りましょう」
「え、重いよ?」
「わたくしが持ちますわ」
奥間が持てなかったものを軽々持ち上げると、部屋に戻っていった。
*
「…………」
奥間が何か言いたそうにしているが、気にしないことにする。
「完成しました」
構造としては非常に単純で、ロデオマシンを修理し座る部分にブツを固定しただけの代物だ。
「なるほどのう」
「では実験してみますか?」
「え、ロー……潤滑油なしに?」
「天然の潤滑油はもう十分なようじゃがのう」
「では全裸になってください」
「……明るいですわ。間接照明だけでもよろしくて?」
ここで機嫌を損ねても仕方ないので、頷いた。間接照明だけでも十分に明るく、観察には問題なさそうだ。
「奥間君も、全裸になってくださいまし」
「え、僕も?」
「せっかくですから、このまま愛の儀式に移行してしまいましょう」
《赤ちゃん穴》から大量の潤滑油――愛の蜜が太ももにまで流れ落ちている。声は平静でも、欲情の火がともっているのがわかった。
「スイッチの回数で強弱とオンオフがつけられますので。後は黙っています」
そして、実験と儀式は始まった。
244 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/06(日) 22:00:35.39 ID:fFBIkeMu0
奥間が胸部を舐めている。それだけで「ああん」と甘く高い声を出して、背中を反らす会長は、美という観点から見ても完ぺきだった。
そして《赤ちゃん穴》に指を挿入され、しばらく上下に動かされた後、ガクガクガク!と痙攣がおこり、愛の蜜とやらがさらにぼたぼたと流れ落ちる。
そして、ロデオマシンに跨る。
「ゆっくりでいいですからね……痛かったら言ってください」
そしてブツが、中に挿入されていく。
「はうん! は、は、あ、」
一番弱い刺激だからか、物足りないようだ。前にハンドルのようなバーがあったが、そこを握らせず奥間はアンナ会長を後ろ手に手錠で固定する。
すると、身体を固定することができず、より振動を強く受け取ることができる。なるほど、と氷菓は納得した。
「あん、奥間君の、いぢわる……」
むしろ嬉しそうにそういう会長はまだ余裕がありそうだった。奥間もそう思ったのか、第二段階にスピードを上げる。
「はああん! あ、ああ、ああああ!」
気持ちよさそうに声を上げる会長は既に涎まみれだった。はあ、と奥間がベッドに座る。
気持ちよさげに声をあげながらも、会長はス、と視線を奥間の突起物に目を注ぐ。奥間はう、っと呻きながら、共鳴を起こしたかのようにグググ、と戦闘態勢になった。
(この前なんか見下すような視線だけでもう無理になりそうになったし)
なるほど、こういうことかと納得する。自分も熱気に充てられ、潤滑油が流れ出してきた。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、奥間君、これじゃダメ、ダメですの……!」
どうやらこれでも物足りないらしい。だけど奥間は動かず、時計を見る。
「アンナ先輩、あと10分、我慢できますか?」
「10、10ふんも、ああ! ああん、奥間君のいぢわる……」
そう言いながらも嬉しそうだ。よくわからない関係の二人だと思う。
10、
9、
8、
7、
6、
5、
4、
3、
2、
1、
「あ、あ、奥間君……!」
そこで一度、奥間はスイッチを切った。
245 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/06(日) 22:01:11.33 ID:fFBIkeMu0
「あ、あ、あ、あ、なんで……?」
「ちょっと位置調整しましょう」
アンナ会長は素直に頷くと、潤滑油でぬるぬるになった鼠径部を上下左右、動かし、「あ、ここ、ここがいいですの!」何やらポイントを見つけたらしい。
「じゃあ、一番強いの、行きますね」
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、!!」
ガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトン!!!
氷菓の目から見ても激しく前後左右上下に揺れる。「ふ、ふわああああああああん!!!!」身体を反らし、全身で快楽を享受したようだが、機械だから止まらない。
「10分、我慢しましょうね。危なくなったら切りますから」
奥間の声はどこまでも優しい。
「お、あ、おお、うぁ、あああああ」
もはや会長の声に涼やかさはなく、獣のそれと同じになっていた。
10、
9、
8、
7、
6、
5、
4、
3、
2、
1、
「終わりましたよ」
「…………」
呆然自失だった。機械的な刺激というのは得てして強すぎるのかと氷菓が心配した時、
「アンナ先輩ならよく気絶とかするから大丈夫だよ」
奥間が言うならそうなんだろう。
気絶しているアンナ会長をベッドまで運ぶ。丁寧に扱っていた。
「ありがとう、これでアンナ先輩が物足りない時なんとかなりそうだよ!」
「……奥間君……?」
246 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/06(日) 22:01:43.09 ID:fFBIkeMu0
ビクン、と文字通り奥間が跳ねた。
「ふふ、いぢわるなとこも好きですわ……でもすっごく良かったんですもの。けれど、奥間君が足りないでしょう?」
いつの間にか起き上がり、奥間の腰を後ろから掴んでいる。
「い、いや、止めて! 排泄孔だけは!!」
「うふふふふふ……今度は奥間君の番」
奥間に負けず劣らず優しい声で、しかしその瞳だけは欲情の獣の瞳だった。
「いやああああぎやああいひひひいいいいいふはあああああああああああああ!!」
もう言語とも思えない発声が奥間の喉から響く。
人間はこんな声を出せるのだと、氷菓は身を以て知った。
*
創作意欲がわいた! わきまくりじゃ! と何かの祭りのごとくダッシュで帰っていく。そういえば早乙女先輩の気配が途中からなかった。
直接の合体は見られてないなと気付いたが、今の時点でこれ以上は罰が当たる。あのロデオマシンの有用性もわかったし、今日はいい日だった。
しかしそれにしても。
「愛、とは不可思議ですね」
慈しんだり嫌がったり、それを無視してみるとより快楽が発生したり。
「まだまだ探究心は衰えそうにありません」
とりあえず、いつかは本当の合体が見てみたいと思う、氷菓なのだった。
247 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/06(日) 22:03:11.46 ID:fFBIkeMu0
本編と本編の間の話な感じで。アホ話。
アンナ先輩、大体愛の蜜が溜まるまでは狸吉を吊り下げて、紅茶を飲んだり読書をしたり、鑑賞物として楽しんでらっしゃるようです。
248 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/06(日) 22:31:30.81 ID:7yMJ9NmL0
たぬきち切羽詰まってたんだな……
なんつーか、本編ではペット扱いだけどこっちじゃ奴隷扱いな気がする。天吊りって結構キツイらしいね
249 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/06(日) 23:01:05.33 ID:lLhoANhrO
なにこれアタマおかしい
って、原作からしてそうだったわ
つまり、これは忠実な原作再現つーことか。なんてこったい
250 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/08(火) 15:46:19.80 ID:67K1aiTg0
アクションを書く練習ですので、下ネタが入ってないと書いた後で気付きました。なんてこったい。
まあせっかくなので投下します。
251 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/08(火) 15:47:46.38 ID:67K1aiTg0
12月26日
「悪いね、母さん。変なことを頼んじゃって。休みの日なのにさ」
「構わん。最近の署員には緊張感が足らんしな」
僕は今、なんと善導課の柔道場に来ている。
アンナ先輩は事件でいろんな功罪を背負った。功を奏して罪の方は軽く済んで、(本来ならあり得ないのだけど両親が無理を通した形だ。僕と轟力先輩のBLぐらい無理を通している)講習を受けている。だけどアンナ先輩は優秀すぎて、カリキュラムが一瞬で終わるというほぼ意味のないことになって、上層部が困っていたのだという。
そこで時間を持て余し気味のアンナ先輩を見かねて僕が母さんに頼んだのが、組み手だった。
アンナ先輩は衝動を持った。性衝動だったり破壊衝動だったり、その他もろもろ。それは生きていくうえで必須なんだけど、アンナ先輩は正しいことしか詰め込まれておらず、抑圧されて生きてきた。だからその衝動の発散の仕方を知らず、特に破壊衝動の方は持て余し気味だった。性衝動の方は僕で遊んでなんとかなってるけども。むしろこっちを何とかしたいのだけど、みんな僕一人の犠牲で済むならということでごまかされている。ひでえ。
まあなんだ、発散の仕方を知らないって色々辛いよね。ナニがとは言わないけどさ。
だけどアンナ先輩の場合、人の壊し方を知っているという点でとにかくシャレになっておらず、素手で人を殺すことも可能な人だ。いや普通の人もできるのかもしれないけど、握力だけで首の骨を折るってできる? 僕はできないよ?
柔道場へ行くと、すでにアンナ先輩が柔道着に着替えて待っていた。黒帯。アンナ先輩の可憐な容姿と黒帯のギャップが珍しいのか、ちらちらと善導課だけじゃなく警察全部の課の猛者で埋め尽くされている柔道場の視線を一身に受けていた。
「奥間君、お義母様」
アンナ先輩が笑うだけで、むさくるしい柔道場の一角にそこだけお花畑が生まれたようだった。
「今日は、お稽古を?」
「まあ正直、君のストレス発散にしかならない連中だろうがな」
善導課の生きる伝説《鋼鉄の鬼女》の言葉に、何人かがざわつく。母さんは今日、柔道場を仕切っていた警官に声をかけると、
「全員注目!」
全員が稽古を止めて、僕達――というか母さんを見た。
「今日は彼女、アンナ・錦ノ宮の特別講習に付き合ってもらう。実力が足りないものは見学していろ、あとで私が可愛がってやる」
……皆さんごめんなさい。
「アンナ・錦ノ宮と申します。今日はよろしくお願いいたします」
ざわつきが生まれる。アンナ先輩はどうやら柔道界では有名らしい。そりゃな。
「具体的には彼女の乱取り稽古に付き合ってもらいたいのだが……、おい、貴様」
「は、はい!」
「貴様ならアンナ相手でも、そうだな、15秒立てていたら誉めてやろう」
空気が軋む。アンナ先輩相手に15秒立てるというならそれなりの猛者なんだろうけど、それだけの猛者ならプライドも高いだろう。
「あの……」
「かまわん。アンナ、不必要なプライドはへし折ってやれ。それが奴のためだ」
「……わかりましたわ」
本来、今日この柔道場を仕切っていた警官が審判することになった。
「はじめ!」
ドン!
……4秒だった。僕から見ても見事な、アンナ先輩の一本背負いが決まっていた。
「貴様、女相手とみて油断するとはたるんどる!!」
「ひぃ、すみません!!」
「思ったよりもたるんどるようだな。鍛えなおさねばならん」
252 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/08(火) 15:48:30.59 ID:67K1aiTg0
母さんは周りを見渡すと、
「しかし、これでは今日いる者では相手にならんな。仕方ない、私が相手をしよう」
「お義母様と?」
アンナ先輩の困惑をよそに、母さんはさっさと柔道着を着替えに出て行ってしまった。
警官たちから声をかけられるかと思ったけど、母さんが怖いらしく黙って正座している。
「奥間君はその……どう見えましたの?」
「え? えっと、僕は武道のことわからないので何とも言えないんですけど」
ちょっと考える。流麗で見事な動き。しかし、何かが足りない。
「アンナ先輩も、遠慮してましたよね? 遠慮というか、エンジンが入ってないというか」
アンナ先輩と言えば敵に対してはもっと容赦のないイメージだ。なんというのか、武道というよりスポーツといった感じだった。
「ん……、そうかもしれませんわね」
これじゃあ、衝動の発散の練習にならないかもしれない。そんなことを危惧しているうちに、母さんが柔道着で戻ってきた。
……やっぱり迫力あるなあ。カタギには見えん。
「これより、奥間爛子とアンナ・錦ノ宮の乱取り稽古を行う」
「はじめ!」
シュババババ!と無数の攻防が繰り広げられる。正直僕には見えない。一瞬、距離を取り、また無数の攻防が繰り広げられる。互いに決め手がない感じだ。
警官たちは目を剥いている。母さんと互角の人間なんて数えるほどしかいないだろうしな。それがこんな美少女じゃびっくりもするわ。
「それまで!」
結局一戦目は引き分けに終わった。
「……ふむ」
母さんも納得いってないようだ。アンナ先輩が本気じゃないというわけじゃなく、アンナ先輩にとって柔道はあくまでルールのあるスポーツなんだろう。
それでも衝動を発散させることはできるだろうけど、うーん。
「今のままじゃ足りんな。狸吉」
「僕無理だよ!?」
あんな化け物同士の戦いに入れるもんか。
「お義母様?」
「……少しルールを変えるか」
「?」
いや僕を見られても困る。柔道のルール自体知らないし。
253 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/08(火) 15:49:21.22 ID:67K1aiTg0
「アンナ、お前は何をしてもいい。殺す気で来い」
「ちょ、母さん!?」
「何を、というのは、その、どこまでですの?」
「反則はない。目潰しも何でもありだ。本気で来い。こっちはそんな貴様を捕縛する。それでどうだ?」
「…………」
奥間君、と小さく呼ばれたので、母さんに背を向け、囁きに耳を傾ける。
「……よろしいんですの?」
「えっと」
「……本当に殺しても、よろしくて?」
これじゃ意味なくない?
「…………母さん、ルール変えた方が」
「もう決まっていることだ。貴様らに心配されるほど衰えてはおらん」
「……それでは、お言葉に甘えさせていただきますわ」
すでに血に飢えた猛獣の瞳になっていた。僕もう無理。
*
「どちらかが参ったといった時点で勝敗は決する。では、はじめ!」
アンナ先輩も母さんもいきなり動いたりはしなかった。互いに互いを見定めている。アンナ先輩は獲物の食べ応えを、母さんは捕縛対象の実力を。
先ほどとは全く違う、アンナ先輩から漂う冷気のような殺気に、観客となった警官たちが唖然とした瞬間、アンナ先輩が動いた。
自身の身長ほど高く飛び、母さんの頭をめがけて飛び膝蹴り。え、マジで殺す気? 母さんは当然のようにガードし、逆に足を持ち捕縛しようとするが何かの関節技の要領で抜けると、アンナ先輩は高さを利用して肘をみぞおちに入れようとする。
アンナ先輩は嗤い、母さんは鬼のような形相となる。怖ええ!!
「でええい!!」
くるりと母さんは旋回し避け、アンナ先輩の肘は床に突き刺さる。衝撃に床が揺れた。嘘だろ柔道場だぞここ!?
アンナ先輩はバック宙の要領で距離を取ろうとするが母さんはあくまでも距離を詰める。母さんはというか、基本的に警官は自分から攻撃を仕掛けるのが(こういう次元の違う話でいうと)苦手なのだろう。まず攻撃を塞ごうとする癖がある。
そしてアンナ先輩には、攻撃を塞ぐ壁を破壊する力と技を持っている。
「ふっ!」
アンナ先輩の突きの威力に、いなしていた母さんの体勢が崩れた。好機とみてアンナ先輩のかかと落とし。ぎりぎりでかわしアンナ先輩の腕が母さんの腕に引っ掛かり、母さんが求めていたであろうインファイトにもつれ込んだ。
254 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/08(火) 15:50:49.42 ID:67K1aiTg0
普通の柔道ならここで一本なのだろうが、獣となったアンナ先輩は自分の不利をむしろ楽しそうに嗤いながら、
「!?」
小さな口が大きく開かれ、首元に食らいつこうとする。急いで母さんが腹に蹴りを入れて距離を取り、一時の静寂が訪れた。
プッと噛み千切った髪の毛を吐き出す。お腹に入った蹴りの痛みも今のアンナ先輩には命のやり取りのスパイスでしかないようで、血に飢えた獣の嗤みは消えない。
静寂が消えるのは早かった。一瞬で今度は母さんの方から距離を詰めると、関節に決め込もうとする。もちろんアンナ先輩もそうはさせず、逆にへし折ってやろうと動いていく。
「悪く、思うな!!」
プロレスでいうバックドロップというのか、柔道でいうと裏投げというのか、とにかくそんな感じの技でアンナ先輩を頭から投げる。おいこれ危ない技じゃないのか!? そこまで追い詰められたということなのだろう。
アンナ先輩は頭を逆さにされたが、不吉な笑みは消えていなかった。
両手を放し、逆立ちの状態になり、そのまま腕のばねを利用して跳ね上がり、両足を母さんの首に巻き付ける!
「ちっ……!」
このままじゃ首をへし折られるのがわかりきっている。巻き付きが終わる前に母さんはアンナ先輩の足を力で強引に引き剥がす。一瞬動きが止まり、その間に母さんは脱出した。
そして再び、両者距離を取っての睨み合い。
「さすがですわ、お義母様」
はあはあと、さすがに息を切らしている、ように見えて単にアンナ先輩は衝動の解放への期待に酔いしれてるだけだ。多分この中で僕だけがわかっている。言葉も余裕と期待に溢れていた。
母さんはふう、と一息。瞬発力と力のアンナ先輩に、持久力と技の母さん、といった感じだろうか。
両者は普通のルールの時では互角だった。殺してもいいとまで言った何でもありのアンナ先輩と、あくまで捕縛目的の母さんとでは、アンナ先輩が有利すぎる。
「厄介すぎるな」
あの《鋼鉄の鬼女》を以て『厄介』と言わしめるアンナ先輩を、それこそ化け物を見る目でみんな見ていた。おい、機動隊の人間もいるのにそんな目で見られるってアンナ先輩、どんだけだよ。まあ知ってたけど。
「ストップ、ストップ、ストップ!」
この中に入っていくのは正直死ぬ思いだったけど、アンナ先輩はこのままだと母さんを本気で殺す気がしてきた。
「えっと、実力差を考えると、アンナ先輩に有利すぎるんじゃないかと思っ、たり、思わなか、ったり」
母さんからの殺気がすげえ、なんだよ母さんのことを思って止めたのに。母さんにもプライドがあるだろうけどさあ!
「奥間主任、私の目から見ても今のままのルールでは許可できない」
審判役を務めてくれていた警官が僕の言葉に賛同してくれた。「ちっ」と舌打ちした後、どこかに去っていく。
「終わりですの?」
アンナ先輩は物足りなさそうだ。だけどすぐに場をわきまえた。
「いえ、感謝しますわ。臨場感があって、つい我を忘れてしまう面もありましたの」
多分、噛みつきのとこだろうな。あのあたりのビーストモード覚醒感は半端なかった。「君、警官に、いや機動隊に入らないか?」訓練が非常に厳しいことで有名な機動隊員にも、アンナ先輩なら軽々となれるだろうなあ。
「まだ終わっとらん」
母さんが何やら棒を持って出てきた。警棒?
255 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/08(火) 15:51:48.64 ID:67K1aiTg0
「お義母様、それは?」
「練習用の警棒だ。これでも当たれば痛いし、怪我をさせられるぞ」
「…………」
お、奥間主任が警棒を解禁だと!?みたいな空気が流れている。なんだよその伝説の剣みたいな扱い。
「素手じゃちと分が悪い。剣道三倍段という、先ほどまでの私と思うな」
アンナ先輩は獣の笑みに戻る。
「ふふふ……、ええ、わたくしはいくらでも受けて立ちますわ」
審判役の警官は、もう止められないと思ったのか、諦めて審判に戻るようだった。
「だ、大丈夫なんですか?」
「アンナ、貴様は一度2、3本は骨を折っていてもよさそうだ」
「それはお義母様の教育であっても、嫌ですわね」
誰だって嫌だよ!
「はじめ!」
シュ、と警棒をアンナ先輩のみぞおちめがけて突く。短期戦に持ち込む気なのはわかった。
当然のように避けると、アンナ先輩は母さんではなく警棒の方を手刀で攻撃する。「ちっ」どうやら狙ったところに当たらなかったらしく、小さく舌打ちが聞こえた。そのまま警棒の持つ手に膝を入れる。まず武器を手放させようとしていた。
「させるか!」
アンナ先輩は警棒が直接身体に当たれば怪我は免れないと判断したらしく、大きく距離を取った。だけどそれ以上に速く母さんの追撃。だけど追撃は追い込みすぎた。アンナ先輩は紙一重でかわすと、わきで棒を挟み込み、先ほどとは逆にインファイトに持ち込もうとする。これだと警棒の間合いの有利がなくなる。
簡単に警棒を動かせなかったらしく、一瞬母さんが硬直、その隙をアンナ先輩は見逃さず、頭突きを食らわす。目で見る以上の威力があったのか、母さんが倒れた。
そのまま垂直に全体重を乗せた踵を入れようとする! 母さんは辛うじて避けたが鎖骨部分に踵が当たり、アンナ先輩は流れるようにそのまま関節を決める。
「勝負あり、ですわ」
アンナ先輩の勝利宣言に、しかし母さんは屈しなかった。先ほどの噛みつきの意趣返しとでもいうように、足で掴んだ警棒を口で噛み、頭を振ってアンナ先輩の顎にぶつける!!
「ぐ!」
思った以上の威力にアンナ先輩の関節から脱出できたようで、母さんは警棒を持ち直し体制を整え、アンナ先輩はゆらりと立ち上がる。
アンナ先輩は嗤っていなかった。それでも僕にはわかる。獲物ではなく、敵を叩き潰す快感を思い出している顔だ。《雪原の青》にしたような。
うずうずしているのがわかる。暴雪の気配を感じ取っているのか、柔道場全員の沈黙が痛い。
256 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/08(火) 15:52:30.72 ID:67K1aiTg0
わずかにアンナ先輩の唇が切れていて、血が流れている。舌で舐めとり、僅かにアンナ先輩が顰め面をする。
「もう少しで脳を揺さぶられるところでしたわ」
「自分で唇を噛んで意識を保ったのか」
その執念に思わずぞっとする。
さて勝負再開か、と全員が緊張した時。
「狸吉」
母さんが僕をいきなり呼んで、びくうと震えた。
「あとは任せたぞ」
え、何それ死亡フラグっぽいの。
「次で最後だ」
「…………」
アンナ先輩は無言で距離を詰める。自分が怪我をするかなんて頭になさそうだった。いかに最小限に傷を押さえるかが目的で、警棒がかすっても動きに乱れはない。
次元の違う攻防が繰り広げられる。どっちの動きも武道経験者でない僕にはもう視えなくなってた。
母さんの回し蹴りと、アンナ先輩の回し蹴りがかち合う。そして母さんの警棒の突きを最小限でかわし、懐に入り、鳩尾にアンナ先輩の拳が入る!
「ぐっ!」
「が……っ!」
アンナ先輩の背中に警棒が打たれる。うわっ、痛ったいあれ。だけど拳の威力も凄まじかったらしく、アンナ先輩と母さんは同時に倒れた。
「……参りました、ですわ」
「参った」
二人が同時に言って、試合ならぬ死合は終わった。
審判役の人や他の人が怪我がないか診ていく。僕も慌てて二人のところに走った。
「大丈夫!? アンナ先輩も!!」
「お互い、一週間は痛むだろうな」
「ですわね」
……なんか友情っぽいのが芽生えてるけど、異次元の友情なんだろうなあ、これ。
*
「アンナ先輩、唇切ってましたけど、大丈夫ですか?」
「柔道に不慣れな昔はよくあることでしたわ。お気になさらないで、奥間君。お義母様も」
私服に着替え、傷を化粧で隠し、貞淑なお嬢様モードに戻ったアンナ先輩は、だけど見てわかるほどに楽しそうだった。
それなりに衝動の発散に役に立ったみたいで、僕としてはいいんだけど、正直毎回こんなのだと精神が削れる。
「私も久しぶりに勉強ができた。満足だ」
……お互いが満足できたならそれはそれでいいけど。
(奥間君)
こっそりと、囁く声には愛欲の欲情があった。
(今日は一晩中、楽しみたいですわ)
「…………」
……あちゃー、性衝動も刺激してしまったようだ。
後片付けがあるという母さんを警察署に残して、僕らはアンナ先輩のマンションに向かった。
参ったって言ったら止めてくれ……るわけがないよね、うん。
257 :
◆86inwKqtElvs
[saga]:2020/09/08(火) 15:56:09.86 ID:67K1aiTg0
アクション書く練習をしています。いつも弱いなあと思っています。
ですがせっかく書いたので投下。狸吉母さんはアンナ先輩と比べるなら、持久力と技に優れていると勝手に思ってる。力は互角かな? そんなイメージです。
258 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/08(火) 17:12:31.76 ID:LyJcD27S0
アクション描写、出来てると思うけどな
本編だと
シュババババッ、何これ互角!?
みたいな感じだったしいいんじゃね
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