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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【二十三輪目】
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2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/08/28(金) 00:03:09.04 ID:5Sey9oWYO
立て乙
3 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/08/28(金) 00:14:17.87 ID:+4O5/Y95o
天乃「ほら、うまくできたでしょう?」
友奈「は、はいっ」
天乃「緊張、してるのね」
身体は密着させていないものの、
握る友奈の手からは震えが伝わってきて、
いつもより暖かく感じるその感覚が、
心臓の音まで教えてくれているような気がして、天乃は微笑む。
友奈の方が身長は上だが、それでも高すぎるというほどではない。
顔を上げれば、俯きがちな友奈の耳元に囁きは届くだろう
天乃「抱きしめて、あげましょうか」
友奈「っ……だ、だめですっ」
天乃「かわいいのに」
友奈「久遠さんっ」
天乃「ふふっ」
4 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/08/28(金) 00:20:44.22 ID:+4O5/Y95o
友奈にとってはとても呼びなれた【久遠さん】という呼び方
高校生の頃はまだ「久遠先輩」だったけれど
次第に先輩からさん付けに慣らしていって、変わったのだ
そこから下の名前で呼ぶようにと段階を踏んだのだが、
やっぱり、そっちの方が馴染み深いのだろう
焦った友奈のその声に、天乃は思わず笑ってしまう。
嫌味ったらしくない……嬉しそうな、笑い声
友奈「……」
恥ずかしさに赤くなっていた友奈は自分の「久遠さん」に遅れて気付いて、
けれど、天乃の幸せそうな横顔には何も言えなくて
ドキドキとする胸の奥
その興奮が冷めないままに、友奈は口を開く
友奈「可愛いのは、天乃さんもです。そうやって笑っているところが、本当に」
天乃「あら、ありがとう」
5 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/08/28(金) 00:43:26.98 ID:+4O5/Y95o
天乃は余裕たっぷりに微笑むと、
まだ二人で握ったままのナイフを一瞥して「残念ね」と零す
天乃「貴女の頬にクリームが付いていたなら、キスの一つでもできたのに」
友奈「……っ」
胸が弾む。
みんなに見られている場で――という恥ずかしさがないわけではない
けれど、結婚式ではそれをするのが通常だとみてきた友奈は、
まだ、それをしなかった分が残っていると、強引な解釈と共に、しり込みしそうな唇を噛む
友奈「しますか?」
天乃「えっ」
友奈「ケーキ、食べさせてください」
一歩踏み込む。
一矢報いる……報いるというようなものではないのだけれど
攻められてばかりではいないのだと示そうとする友奈の可愛らしい誇り顔を、天乃はじっと見つめる
天乃「それって、私の好きにして良いってことよね?」
6 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/08/28(金) 01:15:26.95 ID:+4O5/Y95o
友奈「ほ、ほどほどに――」
天乃「ダメよ」
踏み込んだ一歩を引き下げようとした友奈だが、
握られたままの手が引かれて、その場に留まる
天乃の左手がナイフの余っている持ち手の部分を掴んで引き抜き、
そのまま、右手が友奈の手を握る
積極的だ〜と、賑やかな友人の面々
あらあらと困り顔の親族
天乃の視界には入らないそれらを目にしてしまった友奈は目を背けようとして、天乃と目があってしまう
天乃「ほら、目を瞑って」
友奈「……はい」
友奈は少しだけ考えて、自分に向けられるカメラを一瞥すると目を瞑る
どちらが花嫁なのか分からなくなってしまうが
どちらも花嫁なのだから問題はないだろう
7 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/08/28(金) 01:50:07.83 ID:+4O5/Y95o
目を瞑って佇んでいる友奈は、
タキシードも相極まって、男顔負けの格好良さがある
友奈はもう少し成長したかったと言っていたけれど、
控えめなプロポーションだからこその感覚を、天乃は嬉しく思う
そして、からかってみたくなってしまう
天乃「……」
天乃は見守る人たちに向けて唇に人差し指を立てて見せると、
果物を一つつまんで、クリームをすくって
天乃「友奈……」
友奈「っむっ!」
囁くように名前を呼んで、友奈の唇に押し込む
キスをされると思っていた友奈は驚いて目を見開き、
緩んだ口の中に、天乃の指がすっぽりと入っていく
天乃「キス、されると思った?」
ちゅぷ……と、指を引き抜いた天乃の意地悪な笑みに、
友奈は早鐘を打つ心臓を押さえるように息を飲んで
友奈「……して欲しかったです」
本音を漏らした
8 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/08/28(金) 01:50:42.64 ID:+4O5/Y95o
では遅くなりましたが、ここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早い時間から
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/08/28(金) 02:57:57.04 ID:ZNa90u12O
乙
友奈ちゃん不意打ちでいたずらされてばっかりだなwwwwww
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/08/28(金) 06:36:28.41 ID:zQN9gxcDO
乙
久遠さんに反撃のいたずらするならやはりベッドの上じゃないとな
11 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/08/28(金) 22:49:13.94 ID:+4O5/Y95o
遅くなりましたが、少しだけ
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/08/28(金) 23:03:04.71 ID:dNu6dxsqO
よしきた
13 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/08/28(金) 23:44:49.70 ID:+4O5/Y95o
天乃「あー……」
泣いてはいない
ただ、とても寂しそうな顔をしているだけだ
悪いのは間違いなく天乃で
周囲の目は「責任とったほうが良い」と語っている……ように感じる。
夏凜の時のように頬にクリームが付いていない
唇はつやつやと女の子らしいが、ケーキの汚れはない。
どうするべきかと考えた天乃は、
意を決して、フルーツを一つまみして、咥える
友奈「あま――」
天乃「んっ……」
そして、唇からはみ出させた数センチを、友奈の唇に差し込む。
咥えていたパインは熟しているせいか柔らかく解けて、
果汁の甘酸っぱさと、友奈の唇の柔らかさが口いっぱいに広がる
流石に長々とするわけにはいかなくて、すぐに離れた
14 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/08/29(土) 00:03:16.82 ID:4zcB8ufzo
天乃「ん……」
口の中に残ったパインとクリームを飲み込む。
普段よりも潤ってしまう口の中の物をもう一度飲み下して、息を吐く
思ったよりも、ドキドキとしてしまった
夏凜にしたのとは違う、唇に触れてしまったキス
勢いもなく、自分の意思だったのも大きいかもしれない
友奈の手を離し、
一歩引いた天乃は手持ち無沙汰な自分の手を握り合わせて、友奈を見上げる
天乃「……満足、した?」
友奈「は、はい……っ」
天乃「そう……」
シャッター音が聞こえる
顔の赤い友奈が顔を背けると、天乃も視線を下げて、胸に手を当てる
友奈はして欲しかったと言ったけれど、触れる程度で満足したと言う
この場限りの嘘なのか、本当なのか
嘘なら良いなと、天乃はこっそり思って自分の唇を舐める。
甘くは、無かった。
15 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/08/29(土) 00:52:57.84 ID:4zcB8ufzo
風「あの二人の次とかちょっと困るんだけど」
天乃「大丈夫よ、別に変なことしないから」
風「変なことした結果があれなのに……?」
風の目は天乃の後ろ、
すでに餌食になった夏凜と友奈に向いている
夏凜に関しては驚かせただけだが、
友奈にはやりすぎてしまったと自覚のある天乃は、
風の訝し気な視線から逃れるように顔を動かす。
天乃「変な事じゃないわ……食べさせあいよ」
風「あたしは普通にやるからね」
天乃「ええ、分かってる。振りってやつよね?」
風「違うからっ」
ちょっぴり声を張り上げた風だが、
怒っているわけではないので、安心して距離を詰める
元クラスメイトのみんなは、
二度あることは三度ある……と言うのを期待しているように感じる
16 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/08/29(土) 00:53:33.31 ID:4zcB8ufzo
では短いですがここまでとさせていただきます
明日はできれば少し早い時間から
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/08/29(土) 03:07:11.84 ID:y637+Q1uO
乙
新婚でラブラブな久遠さん最高かよ
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/08/29(土) 06:58:11.17 ID:zW7ML+WSO
乙
悪戯してる時の久遠さんは本当にイキイキしてるなぁ
19 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/08/29(土) 22:38:14.26 ID:4zcB8ufzo
遅くなりましたが、少しだけ
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/08/29(土) 22:40:16.33 ID:avP8m9oVO
おk
21 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/08/29(土) 23:15:45.37 ID:4zcB8ufzo
天乃「そんなに焦らなくたっていいじゃない」
風「いや焦るわっ!」
夏凜はされるなんてわかっていなかっただろうから、
風や友奈のように何をされるのかなんて緊張感はなかっただろう
しかし、友奈はまだ頬にされるくらいならと思ったはずだ
だが、風はその両方があり得る
それ以外の場所にされる可能性もある
だから――ドキドキとする
天乃が、触れ合いの中でキスを最も好んでいると知っているから。
風「みんな、見てるんだから……」
天乃「良いじゃない、普通の結婚式だったら誓いのキスをするんだから」
風「そう言えばキスオッケーとか思ってるでしょ」
天乃「ちょっとだけ思ってる」
そうじゃないと、夏凜だけ狡い。と、後が大変になりそうだから
22 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/08/29(土) 23:46:39.27 ID:4zcB8ufzo
風「満面の笑みで答えられると困るわね」
天乃「したり顔の方がお好みかしら?」
風「普通の笑顔で良いわよ……あぁもう」
調子狂うわね。と風は困ったように零した。
調子を取り戻した天乃は手強い
歳を重ねるにつれて、大人しくなってはいたものの
それ以前に押し殺していた子供らしさの片鱗が見られることがある
今はそのはっちゃけることが許されてしまっているので、手が付けられない。
風「加減、してくれるのよね?」
天乃「もちろんよ。やりたいことをやっていたら吸い尽くしてしまうもの」
風「吸い、尽くす?」
天乃「そんなことよりも先に進みましょう?」
にこやかな笑顔で天乃は流す。
一応は頷いた風だが、吸い尽くすって何? と、
思わず半歩後退りをしてしまう
23 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/08/30(日) 00:09:31.90 ID:JVEzM06Do
天乃「風は私の手を握――」
風「握りたい」
天乃「そ、そう?」
圧の感じられる風の勢いに天乃はたじろぐ
握られたら何をされるのか分からないと警戒してのことだろう
だが、握っていなくても何をするのかは分からないのが天乃なのだが。
じゃぁ握ってと促された風は、
ケーキの傍らに置かれていたナイフの持ち手を握る。
その手を持ち上げると、天乃の手が伸びて来て風の手を包む
風「もう少し柄の長いナイフにして貰えば良かったかも」
天乃「それでも、私は風の手を握ると思うわ
風「……そっか」
持ち手が長かろうと触れるところは変わらない
天乃は風に限らず、相手のことを感じたいのだ
その距離感も今ではなりを顰めつつあるが、
学生時代の遠慮のなさは大変だったと、風は思い出し笑いをする
風「そっかぁ、なら仕方がない」
24 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/08/30(日) 00:27:51.09 ID:JVEzM06Do
天乃「何笑ってるのよ」
風「可愛いなって思って」
天乃「……」
天乃の驚いた顔が、すぐ横で見上げてくるのを風は感じて
視線を泳がせた風は、けれど逃れられずに天乃の方を見てしまう
天乃「……もう」
天乃の顔はケーキのほうを見ていて見えなかった。
天乃の空いた手は胸元に当てられていて
少しだけ垂れている横髪に遮られている耳元が、赤らんでいるように感じる
天乃の肌は白い
日焼けをしたくないからではなく、出来ないからだ
だから、良く良く分かる
それがまた――筆舌に尽くしがたく
しかしながら明確に、愛おしい。
両立できないそれが出来てしまうような心持ちになってしまう
約20cmも低い、天乃の身体
対面ではなく横に並ぶとそれはまた顕著で、華奢で、可愛らしくて
けれども花嫁衣装が美しく――
風「……抱きたい」
天乃「えっ?」
風「あっ、いや……手早く済ませましょ」
やっぱり、好きだと風は改めて感じられた
25 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/08/30(日) 00:35:51.66 ID:JVEzM06Do
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日はできればお昼ごろから
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/08/30(日) 00:53:13.02 ID:uuAiKwbjO
乙
風先輩のカウンターで照れる久遠さんもかわいいな
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/08/30(日) 02:24:12.10 ID:Ex8m7F6eO
乙
みんな盛り上がっちゃって初夜が大変なことになりそう
28 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/08/30(日) 17:30:29.33 ID:JVEzM06Do
遅くなりましたが、少しだけ
29 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/08/30(日) 17:58:17.53 ID:JVEzM06Do
天乃「普段より温かいのね」
風「そりゃ……まぁ」
天乃「可愛いところあるのよ、貴女にも」
風「っ……」
自信を感じる声。
風が可愛らしいということを冗談では言っていないと感じられるそれに、
風は言葉を返せなかった。
目を向ければ、天乃は目を向けていない。
普通のクリームとフルーツばかりではと考えられてか、
ハートの形をしたショコラケーキを嬉しそうに見つめている。
そのうえで「可愛いところがある」と天乃は言ったのだ
見た目を言ってはいない
天乃「どうしたの? ケーキカットするんでしょう?」
風「へっ、はっ、あ、あぁ、うん……」
天乃「あんまり手汗かかないようにしてよ? 滑って落としたりしたら危ないんだから」
30 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/08/30(日) 18:34:27.35 ID:JVEzM06Do
恥じらっていた可愛らしさはもう隠れてしまっていて天乃は平然としている。
赤らんでいた横顔も落ち着いていて、
ただ、自分の手を包み込んでいる風の手の温もりに微笑んでいる
大人びた微笑は、可愛らしいというよりも綺麗に感じるのは気のせいではないだろう。
可愛くもあり、綺麗でもある
久遠天乃と言う女性は齢15歳の見た目のまま、
そんな彩りを持っているのだと風は噛みしめる
もしもバーテックスなんていなければ、出会わなかったかもしれない。
三百年以前に終わっていたならば、天乃も自分も別の誰か
それこそ、異性と結婚していたかもしれないと、風は思って――首を振る
例えそうであったとしても、この場で考えて良いことではない。
天乃「……そんなに強く握らなくても、私はどこにもいかないわ」
風「えっ」
天乃「何考えたのかは考えないでいてあげるから、ケーキ、一杯食べて頂戴ね?」
風「天乃……」
天乃は笑顔を見せる
風が考えてしまったことを悟っていても、気にすることなく――いや、気にしているかもしれないけれど
ちょっとしたパフォーマンスで終わりにしてしまおうという天乃の笑みに、
風は「タキシードが汚れない程度にね」と、苦笑した。
31 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/08/30(日) 19:02:11.84 ID:JVEzM06Do
ショコラケーキは、とても簡単に切ることが出来た。
ナイフを傍らに置いた天乃は、そのまま大きなスプーンを手に取ってすくう
天乃「はい、一杯」
風「おぉう……」
スプーン一杯
それも、一段しかないとはいえ約10cmほどはありそうな厚みを、
上から下までひとすくいしたのだ。
天乃はそれをどうぞ。と、差し向けてきている
天乃「あ〜んっ」
風「悪魔の笑みに思えて仕方がないんだけど」
弾むように高い声と童顔ゆえどうしても可愛らしくなってしまう笑顔
それなのに風は困ってしまって、目を背ける
一杯とは言ったが、普通は使わないような大きなスプーンが埋まるほどの一杯とは誰だって思わないだろう
高さはあっても幅がないのが良心だろうか
32 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/08/30(日) 20:16:24.97 ID:JVEzM06Do
天乃「何よ、あの子のケーキは食べられるのに私のケーキは食べられないって言うの?」
風「あの子って誰っ!?」
天乃は鋭く睨みを利かせて詰め寄るようなそぶりを見せて、
思わず引き下がりそうになった風の戸惑う声に、くすっと笑った。
天乃「樹かしら、お祝いの時に試しに作ったケーキ食べてたでしょ?」
風「あったわねそんなこと」
天乃「どうかしら? ちょっとドキドキした?」
風「びっくりはしたわね、まぁ」
誰に吹き込まれたのかは知らないが、ヤンデレというキャラクターを演じて見せたのだろう
今ここでやるかと言いたいところではあるのだが
こういうところだからこそ、少し踏み切ってみたのかもしれないと風は思う。
軽く微笑んで、風は口を開く
風「あ〜――むぐっ!」
口いっぱいに広がっていくほろ苦さ
ケーキのほんの少しのひんやりとしした冷たさが顎のあたりから感じられて
鼻腔にはチョコレートの匂いが満ちていく
33 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/08/30(日) 21:10:46.90 ID:JVEzM06Do
天乃「ふふっ、べったりね」
風「んっ……っ」
普通のクリームではなく、
口の中に残りやすいショコラだからか、
風は飲み込むことに苦戦しているようで、
口元から零れそうになっていたひとかけらを、天乃は布巾で拭う
キスしても良かったけれど、それは夏凜に使った手だ
何より……
天乃「キス、されたい?」
風「ん゛っ」
天乃「そんな驚かなくたって分かっていたことでしょう?」
天乃は困ったように笑って、薄茶色に汚れた布巾を見つめる
夏凜や友奈なら、ウェディングドレスという辛さはあるものの天乃が背伸びを頑張ればどうにかなる
しかし、風はそうはいかない。
たとえつま先立ちを頑張っても10cmにも満たない増量では風の唇に届かないのだ
天乃「わかる、でしょ? 私じゃ……頑張っても風の唇に届かないのよ」
34 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/08/30(日) 22:32:49.55 ID:JVEzM06Do
ムッとして目を逸らしたように見える天乃だけれど、
その頬は赤らんでいて、風は飲み込むのを少し諦めて見つめる
今は背が低いことをコンプレックスに思っているわけではないので
それ自体を恥ずかしがっているわけではない
ただ、体温が少し高くなっているのだ
風「ん……」
何? キスしたいの? と、普段なら返す言葉もあるのに
今は口が一杯でそれが出来ない風は、少しだけ屈む
天乃が簡単に届かない高さに抑えたのは精一杯の仕返しだろう
風「………」
天乃「意地悪なんだから」
天乃はそうぼやいて風の袖を引く
天乃「もう少し屈んでよね」
力一杯に下に引いてみれば、風が膝を曲げて
天乃はその勢いのまま、風の鼻頭にキスをした
35 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/08/30(日) 23:01:46.67 ID:JVEzM06Do
ほんの少しだけ感じられるチョコレート
ほろ苦いその味わいの中に甘さが広がる
風は驚いた様子はなく、天乃もすぐに離れて勢いあまって数歩下がる
天乃「ふふふっ」
風「っ……」
離れた天乃は嬉しそうに笑う。
その笑顔はやっぱり、可愛らしいもので
風は思わずキスをされた鼻に触れようとして、天乃の手が止める
天乃「今触ったら汚れちゃうわ。待って」
風「んっ」
天乃「一ヶ月くらいじゃ、私のお姉さんにはなれないみたいね」
少しだけ背伸びをしながら風の頬や口元を拭った天乃は、
汚れた布巾を傍らに置くと「沙織の方に行くね」と、向かって行ってしまう
頬でも唇でもなく鼻へのキス
それは「可愛い」と思っているからこそなのだろうかと悩む風は、
まだ口の中に残るケーキを無くそうと、もぐもぐと口を動かした。
36 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/08/30(日) 23:06:58.73 ID:JVEzM06Do
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/08/30(日) 23:23:09.50 ID:C+lq8N/NO
乙
これだけ可愛らしいのにここまでで何度か子作りしてるという久遠さんの余裕っぷりよ
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/08/30(日) 23:40:52.63 ID:YLccGJj4O
乙
天乃「わかる、でしょ? 私じゃ……頑張っても風の唇に届かないのよ」はズルくね?
こんなのする以外の選択肢消えるだろ
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/08/31(月) 02:21:55.61 ID:d83wpGVoO
乙
久遠さん以外はみんな身長何pくらいになったんかな
40 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/08/31(月) 23:02:43.11 ID:uma2Ycx9o
遅くなりましたが、少しだけ
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/08/31(月) 23:08:49.13 ID:n09bWp3R0
いえす
42 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/01(火) 00:16:16.03 ID:k5B+4eafo
沙織「楽しんでるね」
天乃「うん、とっても」
沙織「夏凜ちゃんも友奈ちゃんも、犬……風さんも大変だね」
沙織はまるで自分はそうではないというような口ぶりで
けれど口元を綻ばせると「あたしもかな〜?」と、望むように天乃を見つめる
少しだけ屈んでくれて入るものの、
それでも見下ろす形になってしまっているのが、天乃の小ささを引き立たせる
大人の女性――今は男性と言うべきだろうか
それと、女の子
そんな風に見えてしまいそうな差があった
天乃「そう言われると出来ないのが私なのよねぇ」
沙織「ううん、それでもしてくれるのが久遠さんだよ」
天乃「さて、どうかしら?」
ニヤリと笑った天乃だけれど
沙織は余裕綽々といった笑顔を崩さない
43 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/01(火) 01:09:14.70 ID:k5B+4eafo
沙織「三人のようにはいかないよ」
天乃「別に弄ぼうだなんて思ってないのに」
自慢げな沙織の言葉に、
天乃は少し困ったように笑いながらぼやいて沙織との距離を詰める
楽しんでるねと沙織は言った。
その通りでしかない
天乃は今を全力で楽しもうと思っているだけ。
それが驚かせるという形になってしまっているだけ。
――なんて。
天乃「ふふっ」
沙織「思ってるんでしょ?」
天乃「ちょっとだけね」
沙織は本当に良く分かっている
あるいは、天乃がとても分かりやすいだけか。
きっと、その両方だ
44 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/01(火) 01:38:04.50 ID:k5B+4eafo
ちょっとよちょっと……そう言いながら
親指と人差し指で測って見せる天乃はやっぱり子供っぽいと、沙織は思ってしまう。
ウェディングドレスを着ているのに、子供のよう
結婚式も、披露宴も
全力で楽しもうとしているのが感じられる
歳相応――ではないけれど
見た目相応にはしゃいでいる天乃を、沙織は嬉しそうに見つめる
沙織「手を握られるのと握るの、どっちがいい?」
天乃「そうねぇ……」
沙織「っ」
天乃は考えるように語尾を霞ませて、
右手で沙織の右手を持ち上げて、左手を重ね合わせる
天乃よりも大きな手
包み込むのは風よりも難しいだろう
天乃「握って貰えると助かるわ」
45 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/01(火) 01:39:17.03 ID:k5B+4eafo
では短いですがここまでとさせていただきます
明日はできれば少し早い時間から
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/01(火) 01:46:23.68 ID:yXVKkOF9O
乙
沙織もかわいい
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/01(火) 08:01:29.47 ID:LXbSYDiRO
乙
さおりんも生やしてる美人さんになったか
彼女も家族とのケンカや許嫁とかでここまで来るのに苦労したもんなぁ
48 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/01(火) 23:17:49.08 ID:k5B+4eafo
すみませんが所用のため本日はお休みとさせていただきます。
明日は可能な限り通常時間から。
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/01(火) 23:23:31.78 ID:sS4mvK1WO
乙です
50 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/02(水) 20:30:47.32 ID:pQQxOr18o
では少しだけ
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/02(水) 21:08:10.23 ID:CoMnLEDRO
きてたー
52 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/02(水) 21:47:00.67 ID:pQQxOr18o
沙織「ほんと、気を抜けないね」
天乃「少しは気を抜いても良いのよ?」
沙織「気が乗ったらね」
そう言って重ね合わせていた手を離した沙織を一瞥した天乃は、
右手でナイフを手に取って、持ち手を沙織へと向けると
沙織は天乃に覆いかぶさるような形で後ろに回り、
天乃の右手に右手を重ねる
天乃「沙織……?」
沙織「こういうのもありだと思うよ?」
天乃「ありなの?」
安全を考えれば無しなような気もする天乃だけれど、
沙織の自信ありげな表情を見てしまうと、ありだと思えてくる
天乃「ちゃんと届くんでしょうね?」
沙織「大丈夫だよ。よゆうよゆー」
53 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/02(水) 22:21:27.34 ID:pQQxOr18o
茶化すような崩した声を出した沙織は、
天乃の肩に左手を当てて抑えると、身体をぐっと押し当てていく
天乃や東郷ほどではないにしても、
しっかりとしたふくらみのある沙織は、
タキシードを着るにあたって、多少なりと胸を抑える努力をしている
それでも、背中に押し当てられる圧迫感は確かで
天乃「ちょ、ちょっと」
沙織「ドキドキしてる?」
天乃「そうじゃないけど……」
沙織「なら良いでしょ」
笑いながらより強く身を寄せた沙織に押し込まれるようにして、天乃の体が半歩だけ前に出る
沙織は距離を詰めたいのかもしれないが、
それには、沙織の体が大きすぎたのだ
54 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/02(水) 23:24:57.79 ID:pQQxOr18o
天乃「それ以上押したら倒れるからっ」
沙織「華奢だよね〜」
天乃「ヒールっ、ヒールが高いのよっ」
天乃はただでさえ上がっているかかとがまた浮くのを感じて、慌てて制止する
天乃は基本的にヒールの高い靴を履いたことがない
ならばせっかくだからとそれなりに高めのヒールを選んだのが、仇となっている
いや、功を奏したというべきか。
沙織は残念そうに「そうだった」と呟いて天乃に体を密着させたまま、
天乃と握るナイフを動かして、切っ先をケーキへと触れさせていく
天乃「んっ……」
沙織「少しだけだから、ね?」
天乃「もう……っ」
沙織の左手が天乃の腰を抱き込んで、周りからは嬉しそうな声が上がる
黄色い声と言うべきか、楽し気な歓声に天乃は困り顔を浮かべたが、
すぐに振り払って沙織に身を委ね、ナイフを下におろしていく
55 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/03(木) 00:10:53.26 ID:28fcEGREo
二人分の力はケーキを容易に分断する
ナイフを引き抜くと、沙織の力が抜けて手が離れていく
それと同じように天乃の身体から沙織の温もりが冷めていき、
一歩下がった沙織は「上手くできたね」と、呟いた
天乃「好きなだけやってくれちゃって」
沙織「あははっ」
天乃「ヒールが折れるかと思ったわ」
慣れていない履物はとても不安定で、
沙織の体重も少しだけかかっていた天乃は、
心配そうに足を動かして確かめると、安堵のため息をついてナイフをケーキの横に置く
夏凜も友奈も風も、天乃が好きなように相手をした。
だからすきかってされる前に先手を打とうと考えたのだろうと天乃は苦笑して
天乃「ここからは私の好きにさせてくれるのよね?」
沙織「うんっ、良いよ」
満面の笑みを見せる沙織は、
何か裏がありそうで
天乃はそれを見抜こうとする視線を逸らし、スプーンを手に取る。
さて、どうしてあげようか。なんて、悪いことを考えながら。
56 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/03(木) 00:12:54.78 ID:28fcEGREo
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/03(木) 00:18:17.11 ID:fs6DxFLWO
乙
タキシードさおりんか…
久遠さんと密着なんてしてたら胸どころか下の方も膨らんでそう
58 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/03(木) 23:15:03.55 ID:28fcEGREo
遅くなりましたが、少しだけ
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/03(木) 23:40:56.25 ID:24imuHEMO
かもん
60 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/03(木) 23:50:13.85 ID:28fcEGREo
沙織「手づかみでも良いんだよ?」
天乃「そんなはしたないことできるわけないでしょ」
沙織「……タルトにするべきだったか」
フルーツ一口分なら、手づかみで出来るけれど
沙織とのケーキカットに使われたのはごく普通のホールケーキだ
あえてごく普通のケーキを選んだのは沙織だが、
タルトにすべきだったかと悩まし気な沙織に、天乃は笑みを零す
天乃「タルトでもしないわよ。指まで食べられそうだわ」
沙織「美味しいからね」
天乃「それはどうも」
生クリームと、ちょっとしたフルーツそしてスポンジ
これなら風のようにはならないだろうと考えた天乃は
大きなスプーンでケーキをがっつりとすくう
夏凜達の時とりも一回りほど大きいのは、気のせいだ
天乃「覚悟は良いかしら」
沙織「あ〜ん」
天乃「……乗り気ねぇ」
61 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/04(金) 00:22:34.38 ID:izog1LHTo
恥じらいを持っていた夏凜達と
全く恥じらいを感じられない積極的な沙織
どちらも良いものなのだが、
悪戯をするとなれば、積極的なのはちょっとムッとする
その分、鼻を明かしてやりたくなるので
天乃としてはやっぱり、沙織の積極的なところも好きだ
天乃「はい、どうぞ」
沙織「んぶっ」
大口開けて待っている沙織の口に、
今にも崩れそうなひとすくいのケーキを支えるスプーンを差し向ける
やや斜めがかっていたケーキの先端を沙織の口に入るように調整したけれど、
先端に歯止めがかかれば崩れが大きくなって、スポンジとスポンジの間、
クリームの部分から二つに分かれて沙織の鼻にベチャリと張り付く
天乃はそれを知りつつ、グッと押し付けて
天乃「てぃっ」
沙織の顔にべったりとケーキをぶつけた
62 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/04(金) 00:50:29.60 ID:izog1LHTo
沙織「んっ……んんぅ」
天乃「ちょっとやりすぎたかしら……」
口周りだけでなく、鼻の周りにまでべったりとクリームをつけた沙織は
目を瞑ったままで入るものの、
苦しいといった雰囲気は全くなく、嬉しそうにもむもむと頬を動かしている
天乃「沙織」
沙織「んぅ?」
天乃「貴女ってば、ほんとうに……隙が無いんだから」
驚く素振りを見せない
困った表情も見せない
それは天乃が悪戯をしたがっていると分かっているからで
それならと、天乃は自分の手が汚れるのも厭わずに、沙織の頬を包む
天乃「させてくれないかしら――キス」
下から見上げて望む。
悪戯を心待ちにしているのなら、正攻法だ。
63 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/04(金) 00:51:07.54 ID:izog1LHTo
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/04(金) 01:52:23.82 ID:AsxQifx4O
乙
ぅゎ久遠さんっょぃ
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/04(金) 06:05:59.30 ID:uqLHFTNxO
乙
久遠さんがさおりん相手に優勢な貴重なシーンだな
66 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/04(金) 23:34:41.16 ID:izog1LHTo
すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日は可能であれば早い時間から
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/04(金) 23:46:30.56 ID:uK/DZXGoO
乙ですー
68 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/05(土) 21:08:24.19 ID:lwepo6Eao
では少しだけ
69 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/05(土) 21:29:14.16 ID:KONIbMrLO
よっしゃ
70 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/05(土) 22:47:56.11 ID:lwepo6Eao
沙織「んん゛っ」
天乃「屈んでくれないと届かないんだもの……お願い」
涙目で懇願……なんていう技術は天乃にはなかったため、
必然的になる上目遣いのままに沙織へと願う。
天乃が正攻法で来るとは思っていなかったからか、
少し喉を詰まらせてしまったような反応を見せた沙織は半歩ほど下がる
沙織はキスがしたくないわけではないだろう。
式の時には誓いのキスだってなかったのだから。
ただ、驚いてしまって――
天乃「したく、ない?」
天乃はそこでも攻めていく。
詰め寄ったりせずに、足を止めて
下がってしまった沙織から目を離さないで、けれど残念そうに。
71 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/05(土) 23:47:53.37 ID:lwepo6Eao
天乃「したくないなら、仕方がないわね」
天乃はそう言って、布巾を手に取る。
どうするかと迷っている躊躇いでもあるかのように、きゅっと握りしめて
視線を下げて、沙織を一瞥してから――沙織に詰め寄る
天乃「動かないでね、キスはしないわ……拭くだけよ」
沙織「ん……」
天乃の手は頬に触れたものの、
下げさせるような力はなく、右手に持った付近が頬の辺りについていたケーキを拭って、
鼻先の汚れも落とす
天乃「ケーキは取れたから、もういいかしらね」
沙織から手を離して、一歩下がる
汚れてしまった布巾を一目見て、台の上に置く
沙織「んくっ……っ」
喉を鳴らした沙織は口元を手で押さえて
沙織「ちょま、待って……待ってよ天乃さん」
72 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/06(日) 00:40:31.13 ID:JuyCSmdCo
天乃「なに?」
沙織「しないの?」
天乃「そもそも出来ないのよ、見て」
天乃は沙織に近づくと、精一杯に背伸びして沙織との距離を詰める
それはほんのわずかで、
ドレスのスカートで見ることは出来ないが、天乃の表情から無理しているのが分かる
天乃「これが私の限界」
沙織「……あたし、嫌がったわけじゃないよ」
天乃の背伸びは沙織にはまるで届かない
横になっているときならともかく、
互いに立っている状態では、同意の上……受け入れて貰えなければキスは出来ない。
天乃「今更屈んで貰っても」
沙織「っ」
天乃が普通にしていても届くように屈んだ沙織は、けれど、首を振る天乃に目を見開いて、目を伏せってしまう
頬にも鼻にも唇にもケーキのクリームはついていない
だから――フルーツを一つ抓んで咥え、キスをする
73 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/06(日) 00:48:56.17 ID:JuyCSmdCo
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日はできればお昼ごろから
74 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/06(日) 03:03:52.14 ID:5VfKb+yhO
乙
久遠さん心理戦っょぃ
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/06(日) 06:25:07.46 ID:Z3cQlUXKO
乙
久遠さん身長差を有効利用してるな
76 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/06(日) 17:45:38.18 ID:JuyCSmdCo
遅くなりましたが、少しだけ
77 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/06(日) 18:41:46.63 ID:JuyCSmdCo
沙織「っ」
天乃「ん……」
半分ほど沙織の口の中に押し込んでから、
沙織の唇を噛むかどうかの絶妙なところで、フルーツを噛み切る
その勢いのママ唇を咥えるようにして――離れる
天乃「っふ……んっ」
口の中に広がっていく甘酸っぱさを飲み込んだ天乃は
少しだけ下がって、微笑む
天乃「フルーツキスよ。どうだった?」
沙織「ん……うん……よかった」
天乃「沙織が初めから受け入れてくれたらもっと甘いキスが出来たのに」
沙織「ごめんね」
天乃「謝らなくていいわよ。分かってるから」
78 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/06(日) 19:18:23.78 ID:JuyCSmdCo
沙織が受け入れたくなかったわけではないと分かっている
天乃はあえてそれを弄っただけだ。
天乃「ちょっとやりすぎちゃったかしら」
沙織「キスして貰えないかと思っちゃったよ」
天乃「ふふっ、そうしたほうが良かったかしら」
そんなことされたらあたし泣くよ。と、
沙織は本当に泣きそうな素振りを見せたが、
天乃は笑って首を振る
天乃「そんなことしないわよ」
夏凜達にもやってきて、
そのうえでの沙織なのだから。
何より、ここで沙織にだけしなかったら後が怖い。
天乃「ちょっとだけやり返したかったのよ」
沙織「ベッ――」
天乃「しーっ! それは駄目ッ!」
79 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/06(日) 19:37:16.46 ID:JuyCSmdCo
天乃は手を思いっきり引っ張って、
言ってはいけないことを言おうとした沙織を止める
聞き耳を立てている友人もまばらに居るが、流石に駄目だ。
天乃「それ言ったら一週間はしてあげないからね」
沙織「えっ」
天乃「当たり前でしょ、もぅ……」
披露宴であっても、ベッドでどうかなんてことを披露されても困るだろう
もっとも、誓いのキスがなかったとはいえ、
みんなとキスするのもどうかと思うかもしれないけれど。
沙織の横を抜けて、樹のところへと向かう。
ウェディングドレスとウェディングドレス
カラーやデザインは違うが、
同じ衣装が並んでいると、少しばかり雰囲気が変わってくる
80 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/06(日) 21:40:07.90 ID:JuyCSmdCo
樹「お色直ししてからの方が良かったのでは……?」
天乃「そうは言っても、私と樹達は同じ衣装に着替える予定でしょう?」
樹「あぁ」
そう言えばそうなんですよね。と、ちょっぴり残念そうな樹は、
仕方がないですね。と、割り切ったように微笑む。
そう決めたのはみんなだし、
たとえお色直しでずらせるとしても
そうする時間を含めると余計に参列者のみんなを待たせてしまうことになる
それを考えると、やっぱりこのままでいくべきだ
天乃「ドレス同士も味があって良いと思わない?」
樹「でしたら、私が天乃さんに食べさせても良いですか?」
天乃「樹が私に……」
さっきから、先手は天乃でそのまま天乃が一口分ほど食べるという形になっている
だから、相手からと言うのは少々気になると天乃は少し考えて
天乃「良いわね。それで行きましょう」
81 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/06(日) 22:16:33.39 ID:JuyCSmdCo
樹のケーキはその名前を模したかのように、
切り株のような形になっている。
チョコではなく、ココアの風味が強いココアケーキ
振りかけられている粉砂糖が雪のようでおしゃれに見える
樹「クリーム多めですけど、中はスポンジですよ」
天乃「おしゃれでいいわよねぇ……家でも作ってみたくなるわ」
樹「今度一緒に作りますか?」
天乃「そうね。作ってみましょうか」
ウェディングケーキはおしゃれなものが多いけれど、
形作るのにはやや難易度が高いように感じる
けれど、切り株の形なら簡単なものなら本来のスポンジに対しひと工夫でどうにかできる。
そう考えた天乃はケーキをまじまじと見つめて
樹「天乃さん、ケーキのチョコがとけちゃいますよ」
天乃「あっ」
ケーキは7人分あるため、スムーズにやっていかなければいけないが
一人につき数分かかっている。
それを気にしてか、樹は自分からナイフを手に取ると、天乃の方に持ち手を向けた
82 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/06(日) 22:28:59.10 ID:JuyCSmdCo
天乃「プレートのチョコ文字が少し溶けちゃってるわね」
樹「仕方がないですよ」
本来なら、一度で終わっているケーキ入刀
それが7回ともなれば、後になるにつれて一部のチョココーティングがとけてしまうのは仕方がないことだ
一番最後の園子の分はまだ準備されていないが、
東郷の方に関しては出していないだけで準備されているだろう。
天乃「でも手早く済ませるのって、あんまり……」
樹「だからこそ、キスしてくれているんですよね?」
天乃「えぇと……」
キスは悪戯である。
そうでなくともしたいからしているだけ。
樹の純真な眼差しを向けられた天乃は、
悩ましそうに目を逸らして……にっこりと微笑む
天乃「そうよ」
樹「違うんですね」
当然、バレたのだけれど。
83 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/06(日) 22:40:25.28 ID:JuyCSmdCo
樹「見てれば分かります」
声も聞こえてましたし。と、
樹は可愛らしく笑って「久遠先輩」と、ナイフの持ち手の部分をもう一度向けてくる
天乃さんではなく久遠先輩と、馴染み深い呼ばれ方をされた天乃は、
少しだけ驚いて、けれどすぐに取り直した笑みを浮かべて樹の手に重ねるようにナイフを握る。
樹の手は沙織や風と比べれば一段と小さく、
少し頑張れば天乃の手でも覆えてしまいそうだと錯覚するほどだ
天乃「さっきも思ったけれど、立派な手よね」
樹「ありがとうございます……天乃さんの手も、綺麗で小さくてでも力強い立派な手だと思います」
樹は少し照れながら、天乃の誉め言葉に返す。
そんな可愛らしい抵抗を受けて、天乃も微笑む
天乃「ありがと……」
樹「……なんだか、照れくさくなっちゃいますね」
天乃「目線を要求されていないだけ、有難いと思いましょ」
このやり取りの最中にも聞こえてくるシャッター音
目を向けていなければその恥ずかしさが若干ではあるが薄れるので、
こっちを見て欲しいという要求がないことに天乃も樹も少しだけありがた差を感じながら、
ケーキへとナイフを差し入れていった
84 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/06(日) 22:58:12.20 ID:JuyCSmdCo
ケーキはスポンジの柔らかい抵抗感こそあったものの、
概ねすんなりとカットすることが出来た。
樹はナイフに着いたクリームを少し勿体ないですね。と言いつつ諦めて、
スコップのようにも見えるものを手に取った樹は、
それをやや自慢げに、参列者に混ざっている歌野の方へと向ける
樹「歌野さんと決めたんです。ちょっぴり特別なものが良いって話をしていたら、たまたまスコップが手元にあって」
天乃「なるほど」
夏凜の煮干しに関しては天乃の悪戯を全力で込めていたが、
夏凜以外のみんなに関しても、どういったものを使うかと言う話をしていたのだが、
普通にします。と言う答えだったはずの樹は、しかし企んでいて
天乃はちらりと視界の端に見えた歌野を認めて、苦笑する
天乃「良いわね。持ち手の部分に私達のネームが刻印されていてスペシャルで、掬い部が小さめでキュートだわ」
樹「あはは……」
ちょっぴり歌野らしい感想を述べて、樹をまっすぐ見る
天乃「覚悟を決めるから、どーんと来なさい。べちゃっとでもいいわ」
樹「汚したくないので、そんなにたくさんはやらないですよ」
樹はそう言いながら、ケーキへとスコップを差し込んで掬い上げた
85 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/06(日) 23:03:23.83 ID:JuyCSmdCo
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日はできれば通常時間から
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/06(日) 23:12:11.31 ID:hQoc4Ct2O
乙
大人びた樹ちゃんもかわいらしいなぁ
あとさおりんが口を滑らせかけたベッドでの話も是非見てみたいッス
87 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/07(月) 12:20:55.44 ID:EQpbYjIOO
乙
その辺の話は後でwikiのオマケでやるんじゃない?(無茶振り)
88 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/08(火) 00:11:34.45 ID:c5u0kiIto
すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日はできれば通常時間から
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/08(火) 00:15:00.54 ID:e4WCKlTuO
いつも乙ですー
90 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/08(火) 21:15:48.71 ID:c5u0kiIto
では少しだけ
91 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/08(火) 21:23:22.86 ID:/l/ifcn3O
かもーん
92 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/08(火) 22:22:36.04 ID:c5u0kiIto
樹「天乃さん、どうぞ」
スコップの先端にケーキをすくった樹は、
天乃の方へとそれを差し向ける
天乃「あ〜ん……しないの?」
樹「言わないとダメですか?」
天乃「その方が雰囲気あるじゃない」
何の雰囲気があるのかと、樹は困ったように眉を顰める。
あるのは新婚さんっぽい雰囲気だ
一つ一つの所作に照れくささが残っていて、
まだ初々しく感じられるというのが分かりやすいだろうか
樹「それ、なら」
樹は少しばかり頬を染めつつ、
グッと息を飲んで
樹「あ、あ〜ん……」
そうっと差し出す
93 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/08(火) 22:57:55.46 ID:c5u0kiIto
天乃「あ〜ん……」
樹の差し出したスコップを出来る限り広げた口で受け入れる。
本来のスコップに比べればだいぶ小さいものだが、
それでも天乃の口にはとても大きくて、先端から数センチもいかずに止まる
クリームで口元を汚しながら天乃は唇を閉じたけれど、
樹はスコップを引き抜かない
天乃「ぃふひ?」
樹「そのまま、噛み切ってください」
天乃「ん……?」
樹「このスコップ、食べられますから」
天乃「……」
口の中に感じるスコップは、
味覚こそケーキの甘さで誤魔化されているが、
金属的な冷たさは感じられない
94 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/08(火) 23:58:45.72 ID:c5u0kiIto
唇ではなく、スコップに歯を立てて、噛んでみると
最初こそ固い抵抗感は感じられたもの、
割れるというよりは溶けるように
スコップの金属だと思われていた部分が欠けて、口の中に残る
樹が手を引くと、スコップは天乃に食べられた痕を残しているのが見えた
天乃「ん……」
樹「実は飴細工なんですよ。驚きました?」
持ち手の部分はべたつきを無くすためにクッキー生地だが、
金属的な部分は飴細工だ。
砂糖菓子でのつくりも考えられたが、それではケーキをすくう耐久に不安があって、飴になった。
飴なら、大きさを押さえたうえで、すくうのを軽めにすれば何とかなる
天乃「……驚いたわ」
口いっぱいにはならなかったケーキを飲み込んで、
天乃は微笑む
樹の可愛らしく、おしゃれなサプライズは嬉しかった
95 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/09(水) 00:04:12.99 ID:KtpwlApHo
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
96 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/09(水) 00:09:00.02 ID:1ZtS5XGoO
乙
樹ちゃんは久遠さんに負けず劣らずお嫁さんポジションが合うなぁ
97 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/09(水) 02:34:20.68 ID:qYjlnOheO
乙
樹は用意周到かわいい
98 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/09(水) 20:48:49.99 ID:KtpwlApHo
では少しだけ
99 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/09(水) 21:08:42.80 ID:NsxIz5zpO
きてたか
100 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/09(水) 21:35:00.18 ID:KtpwlApHo
樹「驚いてもらえたなら、良かったです」
天乃「食べられるスコップだなんて、考えもしなかったわ」
樹の嬉しそうな笑顔に天乃は少し考えながら答える
飴を作るくらいなら、天乃にも容易にできるだろう。
それを平たい形でなら動物の形にするといったことも、
べっこう飴という飴を作ったときに試しているので、出来ると思っている。
けれど、ここまで精巧なものは作れない
天乃「凄いわね……借りて良い?」
樹「あ、はい……」
天乃「これ持ち手の部分も食べられるの?」
樹「食べられますよ」
天乃「食べて良い?」
樹「どうぞどうぞ」
101 :
◆QhFDI08WfRWv
[saga]:2020/09/09(水) 22:22:32.30 ID:KtpwlApHo
持ち手の部分は、一見本当に木製のそれのようで、
けれど、匂いを嗅いでみるとちゃんと美味しそうな匂いがする
天乃「……ん」
樹がするわけがないと信頼を置きつつ
ドッキリの可能性もあると警戒してちょっぴり齧ってみると、
パラパラと欠けたクッキーが舌の上に落ちる
ちゃんと、食べられるものだ
天乃「あ、美味しい……」
樹「飴とクッキーって言うのが、ちょっとアンバランスなんですけどね」
天乃「あら、そういうのもあるらしいわよ。作ったことないけれど」
天乃はそう言いながら、
食べかけのスコップを一瞥する
持ち手と先端に歯型のついているスコップはなんだかおもしろい。
天乃「樹」
樹「っ――」
天乃はスコップの先端をもう一度齧って――樹にキスをする
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