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【鯖鱒wiki】ふたたび坂松市で聖杯戦争が行われるようです【AA不使用】

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898 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/12/27(日) 22:46:17.23 ID:WHQRDBx10


「……はあ、結局ロベルトはわからずじまい」
「おまけに手がかりもナシ。……大丈夫かしら」

「ふむ、その少々森という子は君にとって親友なのかな?」
「冗談じゃないわよ。ただのクラスメートよ」
「ででででも、あんなに探し回って」「やかましいっての!!」

ベッドで横たわるベルを睨み付けて眠らせる。あれからどれだけ探しても、少々森の痕跡は見つからない
現在、ランサーとキャスターが力を合わせて街を洗い出しているが……状況は芳しくないようだ


「うーん……キャスターの宝具の力を借りても、これだけかぁ」
「そもそもこの街の歴史が新し過ぎるんだッ!文献どころか記念碑すら一つしか無いぞ!?」
「あたしも詳しくは知らないわよ。興味無いから適当に聞き流してたわ」


坂松の街の謎は深い。恐らく詳しく語られる事は無いであろうくらいには
そんな中、ランサーの持つパソコンにメールが届く。差出人はコリーだった

「あっコリーからメールだ」
「何で君よりランサーの方に連絡が?」
「知らないわよそんなの!」

いつの間にか自分よりも信頼を勝ち取っているランサーに不服そうな視線を向けるルゥナ
暫し無言で文面を眺めると、不意に立ち上がりルゥナに声を

「……ルゥナ、今すぐ動ける?」
「動けるわよ。何、どこかに出掛けるの?」
「うん。少し歩くけどいい?」「いいけど、何よ、どこに行くの?」




「元ガイスロギヴァテス前線基地。アーチャー陣営に奪われたあそこだよ」


899 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/12/27(日) 22:47:55.46 ID:WHQRDBx10


同時刻、コリーは縦島の銭湯にて湯浴みを行う……アバターの姿で
その隣で肩まで浸かるアダムスは、怪訝な顔をしながらタオルを頭に乗せる

「タオルをつけての入浴はルール違反だぞ?」
「よく言うぜ。アンタだってご丁寧に身体に巻いているじゃねえか。ニセモンの癖に」
「ああ、お触りのはNGだからね」「よくわかんねえなあ……」

駄弁りながらお湯に浸かる二人。徐にコリーが口を開く

「……あの情報、確かなんだろうね?」
「応ともよ。ガイスロギヴァテスの情報を洗いざらい調べ尽くして得たモンだ」
「なら、いい……後はルゥナとランサーが上手くやってくれるだろう」


「しっかし驚いたねぇ……ドミトリイさんも知らねえとの事だぜ?」
「どうやら、この街には我々にも知らないモノが数多くありそうだ」
「全くだ。俺もロシュフォールの嬢ちゃんから逃げる場所が無いモンかね?」

暢気に談笑する二人が湯船から上がる。そろそろルゥナ達も付いた頃だろう


「頑張ってくれよ、二人とも……」
「アーチャー陣営は、もしかしたら……我々の味方かもしれないのだから」


900 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/12/27(日) 22:49:45.22 ID:WHQRDBx10

【本日ここまで。幾らなんでも牛歩更新ってレベルじゃねーぞ!】

【急募:文章を多く書く方法。年末の間に大規模戦闘の導入までいきたいなあ…】
901 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/12/27(日) 22:51:11.12 ID:BmF1rq0p0

むしろ個人的には短くまとめる方法が知りたい
902 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/12/27(日) 22:54:33.39 ID:7MOSYra4O

〆切寸前になるとかしか思いつかない
903 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/12/27(日) 23:15:53.65 ID:a5OH4zkto

意識してノリだけで早くたくさん書いたりして、早く書く能力を鍛えると良い
……と思いつつも自分はこだわりが強すぎて実行できないんだけど

とにかく大筋全部書き上げてあとから1度見直し粗を探したり書き足したりした方がいいとは言うけど、安価スレだど難しいよね
904 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/12/28(月) 01:19:56.40 ID:eHaEZoDtO
905 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/12/28(月) 22:45:52.22 ID:nawZpD320

【ちらっと再開】

【様々なアドバイス、ありがとうございました……】
906 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/12/28(月) 22:47:08.21 ID:nawZpD320


「よし付いた。うわぁ、また増えてる」
「うげっ……ここがそうなの?本当に?」

……ガイスロギヴァテスの拠点、かつての基地は見るも無惨に変わり果てていた
増築に次ぐ増築。改造に次ぐ改造の結果、最早一つの塔かと見紛う程に積み上がる

ウィンチェスター夫人の幽霊屋敷。それは今、戦争の為。彼女の為の前線基地と化していた


「で、どうすんの?ここに何の用があんのよ」
「え〜っと、説明するの後でいい?」「今しないと意味ないでしょうが!」
「まあいいや。おーい!アーチャー、オレなんだけどー!」

「……馴れ馴れしく呼ばれる筋合いは無いわ」
「よくも私の前に現れる事が出来たわね。あの時は横槍を入れて立ち去ったクセに」

「まあいいじゃん。それよりもライダーはあれからこっちに来た?」
「ライダーの性格を考えると、一度逃した獲物は叩き潰そうとしてもおかしくないからさ」
「……来てないわよ」「良かった」


「何なのよあんた達……」

気さくに話しかけるランサーを邪険に払うアーチャー。嫌そうな顔だがまだ銃は出していない
飛び道具が相手とはいえランサーの敏捷はそれを容易く上回るのが幸いか。それでも安心とは程遠いが……

「お喋りに付き合うつもりは無いわ。それとも決着をつけに来たのかしら?」
「ここは私の戦線よ。貴方が相手だろうと引くつもりは……!」

「いや、そうじゃなくてさ。アーチャー」
「オレに付き合ってくれないかな?」

「「はぁ?」」



 
907 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/12/28(月) 22:50:31.58 ID:nawZpD320


ランサーの一言に、周囲がビシリと凍りつく
言われた当人も、言った本人のマスターも処理が追い付かないくらいの衝撃が走る

「……ふざけているの?」
「大真面目だよ。カフェにでも行ってさ、話し合おうと思ってさ」
「キミが楽しめそうなプランも考えたんだ。特にここのコーヒーは」

朗々と話すその先の言葉は銃の声で書き消され聞こえなかった
銃を取り出したアーチャーは、ランサーの脳天に向けて躊躇無く引き金を引く
弾丸はランサーに命中せず、掌の中で停止している。あれだけ近付いていたにも関わらず、一つも命中する事は無かった


「……世迷い言を聞いた私が愚かだったわ」
「この期に及んで貴方とデートしろと言うの?私が?」
「馬鹿にしているの……!?私には、夫も、子もいるのよ……!?」

「あっ、そういう風に捉えちゃった?ルゥナ、誤解を解いてくれない?」
「知らないわよ!あんたが言ったんだからあんたが何とかしなさい!」

急に話を振られても、ルゥナには困惑する事で精一杯
というよりも、ルゥナもそう受け取っていたのだから誤解も何もあるものか

困惑する相手を他所に、アーチャーの周囲には無数の銃が
一分の隙も潰す様に配置された銃が、全て一斉にランサーに向けられる

よもや、ここでどちらかが引くまで戦うつもりか?ルゥナの額に嫌な汗が流れる
ランサーは相変わらずの無抵抗。そのまま先と同じ様に銃弾が叩き込まれようとする


908 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/12/28(月) 22:54:03.36 ID:nawZpD320


「……要件は何だ、ランサー」
「っ、マスター!?」

背後から無機質な音が響く。アーチャーはその声に従って腕を下げた
マスター、ストレングスは無表情のまま近付いてくる。そして、ランサーの前に立つと命じた

「下げろ。奴等は俺が目当てだ」
「そうそう、そういう事を言いたかったんだよね〜」
「紛らわし過ぎるでしょうが!」


「だからルゥナ、ちょっと彼と『一人で』話しておいてくれない?」
「は?」

いったい何を言ってるんだこのサーヴァント?
頭の中ではその言葉が反響する。どこの世に英霊を連れずにマスターと話すバカがいるのか

「ああ大丈夫。アーチャーならオレが連れていくから襲われる必要は無いよ」
「それなら安心……なワケないでしょ!相手は得体の知れないマスターじゃない!?」

「えぇ〜……もしかして、ルゥナって弱い?」
「強さの問題じゃなくて!安全の問題なんだってば!」

ぎゃあぎゃあと喧嘩を始めるルゥナ。ランサーは宥めすかそうと言葉巧みに説得する
その様子をイラついた風に眺めるアーチャーに対し、ストレングスは声をかける

「アーチャー」
「わかっているわ。この馬鹿を撃ち殺して……」
「暫くランサーを監視していろ。俺はこの女に用がある」

「えっ、あんたなに───」

言うが速いかストレングスは、ルゥナを掴んで屋敷の中へ
声を挙げる隙も無く、深い闇の中へと連れ去られるルゥナ。残されたサーヴァントはそれを見届けるだけだった


「マスター!?……どういうつもりなの?」
「あー……うん、まあきっと大丈夫!……な気がするんだけど」

手をヒラヒラと振るその姿からは真意は読み取れない
アーチャーは仕方なく、ランサーに着いていく他は無いのだった


909 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/12/28(月) 22:54:45.26 ID:nawZpD320

【本日ここまで】

【やはりノリと勢いで書くには体力が無いなって思います(こなみかん)】

910 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/12/28(月) 22:57:51.59 ID:t/24d/l3O
911 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/12/28(月) 23:12:56.40 ID:2CChtylCO
912 : ◆6QF2c0WenUEY [sage]:2020/12/29(火) 21:24:55.39 ID:3M8xLCOs0

【ごめんなさい。本日はお休みです……】

913 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/12/31(木) 21:16:28.78 ID:GsEVnnLmO

【本当に、ほんの少しだけ更新…】

914 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/12/31(木) 21:22:01.03 ID:GsEVnnLmO


「痛たた……」
「飲め。アーチャーの買った紅茶だ」

拉致同然に、屋敷の奥へと連れ込まれたルゥナは何故か椅子に座らせられる
差し出されたのはどう見たって紅茶。一応、毒が入っていないか魔術で確かめてみる

「どうした、飲めないのか?」
「普通は飲む訳無いじゃない……」
「なら、今度は珈琲を持ってこよう」
「そういう意味じゃないっての!」

ストレングスの頓珍漢な行動に、思わずルゥナも大声を出してしまう
刺激してしまったか。と口を塞ぐも、どうやら特に気にしてはいない様だ


「待ちなさい。それ、飲むから下げないで」
「そうか」

端的な返答を繰り返し、ストレングスは目の前に着席した
どうやら、アーチャー陣営は此方の交渉の席に付いてくれるらしい

「あんたは我々、ガイスロギヴァテスと交渉の余地があると解釈して問題ないかしら」
「そうだ。あの槍の英霊の言葉を、俺は信じる事にした」
「まずは貴様の要求を聞かせろ。それに応じる事にしたからな」

ランサーがどうやってここまで漕ぎ着けたのかは知らないが……それでも、願ったり叶ったり
ここで上手く交渉すれば、味方になる可能性がグンと高くなるのだから……!

↓1〜2まで。同盟の要求やこちらの方針等

915 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/12/31(木) 21:22:59.01 ID:GsEVnnLmO

【安価だけ出して今年はここまで。このレスは安価に含まれません】

【開始は三が日のどこかを予定しています。良いお年を……】
916 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/01(金) 19:38:55.01 ID:FaQmi6+Zo
方針はガイスロギヴァデス家全体の意志として、街や人々への被害を抑えたいこと
そのために前回の監督役やマスターの市長の関わる、戦争の裏側を把握し阻止すること
前回大災害を起こしたロベルトが何をするかはわからない、聖杯戦争自体が破産になる可能性もあるとして交渉
917 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/03(日) 22:04:01.50 ID:wfO10qyB0

【あけましておめでとうございます】

【22:40に再開します……】

918 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/03(日) 22:40:42.08 ID:wfO10qyB0


「…………」
「…………」

「……どうした。話さないのか?」
「わかってるわよ。頭の中で整理してるだけ」
「こっちは色々と必死なの。考えさせて」

一口、紅茶に口を付ける。喉は潤ったが緊張で味は全然わからない
ガイスロギヴァテスとしても、そしルゥナ個人としても。今は人の手がどうしても欲しい

それは、拐われた少々森を助ける為?聖杯戦争を勝ち進む為?……どっちもだ



「まずは……うん。こっちの方針を話しておこうかしら」
「あたし達ガイスロギヴァテスは、今はもう御三家ではないけど街を守る意思は変わらない」
「聖杯戦争で起きる被害は、街や市民に向けさせるワケにはいかないもの」

最初に話すべきなのはこちらの意思。ガイスロギヴァテスの誇りを賭けて、街を守るべく奮闘すると誓う為
そしてその障害となりうる存在。街に暗躍する二つの影を討伐する為に

「だけど、この聖杯戦争を悪用しようとしてる連中がいる。……あんた、知ってた?」
「何かが蠢いているのは把握していた。だが、何者かまでは突き止めてはいない」

ストレングスの返答は、ある意味ではルゥナに都合のいいものだ
あちらもこの状況を快く思ってはいないなら……


「単刀直入に言うわ。あたしはそいつらを止める為に今ここに来ている」
「前回も街を破壊しようとした。聖杯戦争そのものすら破産しかねない事をしようとするかもしれない」

「あたし達に協力しなさい。ガイスロギヴァテス家、そしてランサー陣営はアーチャー陣営に同盟を申し込むわ」


919 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/03(日) 22:42:33.41 ID:wfO10qyB0


時間を少し巻き戻し、ルゥナがストレングスと睨み合う頃
ランサーとアーチャーは閉店間際のカフェにて対面していた

ちなみに、ランサーは普段の時計姿では無く。青年風の……夢に出たあの姿で笑っている


「ね?ここの珈琲は美味いでしょ?」
「閉店まであと少しだけどさ。一口くらい飲んでいったら?」
「……貴方の指図に従う義理は無いわ」

「けど、マスターの指示には従った方がいいと思うけどな〜。言っちゃおうかな〜」
「ふざけた事を……!」「飲む?美味しいよ」

にっこりと笑い、テーブルの上の珈琲のカップを差し出される
挑発的な態度が気に入らなかったのか……ぐいっと一気に飲み干すと、途端に顔をしかめていた

「あ〜あ、そんな一気に飲むから……ミルクも砂糖も入ってないのに」
「んぐっ……馬鹿にしないで!」


「それでさ。さっきの話だけど……アーチャー自身はどうなの?」
「先も言ったはずよ。私はマスターの指示だけに従うわけではないわ」
「双方に利益があるならば了承する。そうでないなら断るだけよ」


920 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/03(日) 22:45:14.16 ID:wfO10qyB0


「う〜ん、そっかぁ」


にべもないアーチャーの返答に、これまた気の抜けた相づちを打つ
その無関心そうな態度が気になったのか。アーチャーはランサーに問うてみた

「……貴方、何が目的なの?」
「同盟を組む事だけならば、わざわざ別行動を取る理由なんてないじゃない」
「私はアーチャーよ?単独行動のスキルを持つサーヴァントを分断するメリットは何?」

真正面から目を見据え、ストレートに言葉をぶつけていく
その様に何かを感じ取ったのか……ランサーはふふふと笑って理由を明かした

「ああ。オレって一応は聖人だからさ」
「だからか知らないけど、なんとなく雰囲気でわかっちゃうんだよね」


 ◆聖人:D
  聖人として認定された者であることを表す。
  サーヴァントとして召喚された時に“秘蹟の効果上昇”、“HP自動回復”、“カリスマを1ランクアップ”、“聖骸布の作成が可能”から、ひとつ選択される。
  ランサーは主に“秘蹟の効果上昇”を選択する。
  彼の場合正確には聖人として認定されてはいないため効果は薄い。


「聖人……貴方が?何をわかるというの?」
「どれだけ問題に苦しんでるか。今すぐに解決する事があるかどうか」
「オレってそういう聖人だからね〜」

「私が……苦しんでると言うの?何に?」
「流石にそこまではわかんないよ。けれど、心当たりはあるんじゃない?」
「自分の事だからね。一番良く知ってるのは君自身しかあり得ないよ」

「………………」


921 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/03(日) 22:47:46.45 ID:wfO10qyB0


指されたアーチャーは、沈黙する他ない
反論しようと思った。勘違いだと切り捨てようと思っていた

……しかし、どうしてか口は開かなかった


「ま、今すぐどうこうは無理だと思うけど」
「オレは迷える子羊は誰であれ手を差し伸べる主義だから。気軽に相談してよ」
「……自分のマスターに言ったらどうかしら」

「ルゥナね〜……あの子は目的がふわふわしてるから、そこからだね」
「今は友達を助けたいって言ってるけど……最低でも聖杯戦争に向かっての願いが出来るといいんだけど」

ふいっと首を振るランサー。すると、何かを感じ取ったのか立ち上がる
アーチャーも気づいたのだろう。同じ様に立ち上がり、店を出た


「話し合い、終わったみたいだね……ってもういないや」
「んー……まあいっか!これ、ご馳走さまでした!」

置いてかれた事も気にせずに、ランサーは普段の時計人間へと変身する
そのまま去っていった方向を見やると……一瞬にも満たない速さでアーチャーの後を追っていた

922 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/03(日) 22:49:34.45 ID:wfO10qyB0


「そうか。ならば了承しよう」
「この街の為。この力を貸す事を約束する」
「えぇ、即答……?」

アッサリと、ルゥナですらも困惑する様な速度で納得した
だが、これでハイそうですかと答えるのは早計過ぎる。向こうにも何か要求が……

「……?お前が頼んだのだろう」
「いやそうなんだけど……あんた、もっと要求とか無いのかしら」
「街を守るという共通の目的がある以上、何を要求する必要がある?」

心の底から不思議そうに答えるストレングスに目を丸くする
この男に損得の計算は出来ない。敵ながら若干不安になるルゥナだった


「あんた、変わってるわね……人の家を勝手に奪い取った癖に」
「元々はオレのものだ」「意味わからない事を言わないで頂戴」

「さて、それじゃあ無条件で同盟を組むという事でいいわね?……いいわね?」
「構わない」

頷いた事を確認すると、ランサーやガイスロギヴァテスのメンバーに連絡を入れる
当面はここを……元々は最初から……前線基地として活用できるだろう


「何にせよ……あいつらには落とし前をつけさせてやるわ」
「よくも、御三家の癖に無関係な少々森を拐ってくれたわね……!」

怒りに燃えるルゥナを余所に、ストレングスは自らの手を見つめている
とにもかくにも……槍と弓、そして魔術師。ここにガイスロギヴァテス連合が完成したのだった


923 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/03(日) 22:51:22.51 ID:wfO10qyB0


【お次は夜イベント】

【有利になるか不利になるかは不明】
123:アサシンがライダーと交渉
456:少々森の行方
789:セイバー陣営が市長と離反
↓1

924 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/03(日) 22:51:54.62 ID:YPDFMQJq0
925 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/03(日) 23:12:09.28 ID:wfO10qyB0



「……お初にお目にかかります」
「かの楊広様と言葉を交わせる喜び。身に余る光栄にてございます」

夜に聳えるビルの上。アサシンはある人物の前で平伏し頭を垂れる
慇懃無礼をそのままにした様な男である彼が、それ程までに敬う相手は煬帝、ライダー

その恭しい態度に満足したのか、気分よさげに星を見上げる


「お前……僕の国の政治家なんだってなぁ?僕は家臣に騙し討ちされて殺されたんだ」
「その態度は認めてやる。けどそれとこれとは話が別。しかもお前は売国奴じゃないか」
「何が望みか知らないけれど、そんな奴の言葉を信用するには相応の代価がいるよねえ?」

嫌らしげに嗤うその様を軽く流し、アサシンは本題を切り出した


「今回、我々は貴方様の偉大なるお力をお借りしたいと思い馳せ参じた次第にて御座います」
「我々には聖杯を欲する理由無く……また、謎の英霊も暗躍している様子にて」

「……それは骨の英霊か?」「はい。我々も詳細までは掴めていませんが」



【怪しい奴】+1 【謎の存在】−1
12345:了承
6789:断る
↓1

926 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/03(日) 23:15:03.32 ID:69J7M26sO
927 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/03(日) 23:30:35.73 ID:wfO10qyB0

2:いいよ


「……そうか。アレが出たのか」
「ふ、くくく!はははは!この楊広も舐められたものだな!」

突如、高笑いを始めるライダー。だがその額に青筋が走っているのを見逃さない
今が好機とアサシンは畳み掛ける。ここでライダーを戦力に出来れば御の字だ

「では。我々が貴方様のお力になりましょう」
「この街には、私のマスターが張り巡らした情報網が存在します。それを利用すれば」
「いいよ、手を貸させてやる。僕の邪魔をする奴は誰であれ死んで貰わないとねえ……!」


不快感から怒りを隠そうともしないライダーをアサシンは静かに見つめている
国を売ったとして憎まれた事もあったが、そんなものはどうでもいい

本当に国を救う為に必要なものは何だったか…それを思い出そうとしていた


928 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/03(日) 23:31:47.56 ID:wfO10qyB0

【本日はここまで】

929 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/03(日) 23:55:48.60 ID:zp2QPefPo
おつ
930 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/06(水) 10:40:54.12 ID:twQUIN4VO
931 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/06(水) 22:05:14.80 ID:Qayo330Z0

【ちらっと再開】

932 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/06(水) 22:08:19.74 ID:Qayo330Z0



「ここかね。ガイスロギヴァテスの基地は」
「やっと帰ってこれましたぁ……」

朝日の差し込む部屋の中で、三つの陣営が相対する
一人はくつろぎつつ周囲を観察するユーニス。もう一人はその間に立つルゥナ
そして最後の一人は……ただそこに存在するだけのアーチャーのマスター。ストレングス

共に手を取る状況となった今だが、依然として緊張感が張り詰めていた


「……まあ、あたしもすぐに打ち解けろとは言わないわよ」
「けれどこの場所はあたし達のものよ。それでいいわよね?」
「本当は嫌なのだけれど。……マスターの承諾があって、裏切らない限りは貸し出すわ」

「元々はガイスロギヴァテスのものよ!」

アーチャーの心底嫌そうな顔に食って掛かる
向こうが奪い取ったのに、何故所有権を主張するのか謎である


意気込んでもまだ日は昇ったばかり。さて、何をしようか……



1:移動(場所指定)
2:会話(人物指定)
3:その他(自由安価)
↓1

933 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/06(水) 22:17:24.71 ID:ZXBmm7GfO
3偵察
934 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/06(水) 22:52:40.05 ID:Qayo330Z0


「さて、敵情視察といきますか」
「あの市長が一枚噛んでるのは間違いないし、動きを張っておくべきよね」

朝から打倒アサシン陣営を意気込むルゥナ
それを冷ややかな目でランサー見ていた

「え〜?今はもっとやるべき事が」
「うるさいわね。あんたはあたしのサーヴァント。黙って働いてればいいの!」
「う〜ん……じゃあどうしようか?」


「オレのハッキングなら、市役所やその周囲の建物の監視カメラを使って監視出来るよ?」
「本当に便利ねそのスキル……ならさっさとそうしなさいよ」

「実は短期間で何回もハッキングしてたから、流石に相手もセキュリティが強化されてて」
「突破に少し時間がかかりそうなんだよね」

ランサーはあははと笑っているが、ルゥナからしてみれば穏やかではない
相手が調べられているのを勘づかれているかもしれないのだ。流石に英霊のスキルとは思わないだろうが……

「だから、オレが霊体化して直接監視する方法もあるよ?ルゥナも一緒に来る事になるけど」「まあそうなるわね……あたしが近くにいた方が万全の状態でしょうし」

さて、どちらを選んでもメリット・デメリットは存在するが……
どうしたものかと考え込む。その末に出した結論は


1:ハッキング(結果は判定)
2:直接(次回行動固定)
3:その他
↓1 

935 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/06(水) 22:57:37.52 ID:ZXBmm7GfO
2
936 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/06(水) 22:59:35.09 ID:Qayo330Z0

2:直で行く

【安価を確認して本日はここまで】



【本来の想定ではこの後に自由時間設けて、他の人と話してキャラを動かして……】

【という段取りでしたが、止めました】

【次回は予定を大幅に蹴っ飛ばして、騎VS槍弓同盟withキャスターをお送りします!お楽しみに!】


937 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/06(水) 23:03:45.45 ID:ZXBmm7GfO
938 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/06(水) 23:18:30.75 ID:RwUO56Qxo
やめたのか
939 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/11(月) 22:46:03.71 ID:QQQYtNx80

【それでは再開します】

940 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/11(月) 22:48:30.66 ID:QQQYtNx80


「……さて、来たわよ市役所の前」
「あの市長は今日も来てるそうね。仕事熱心でありがたいわ」

ランサーを引き連れ市役所の手前にあるファストフード店に陣取るルゥナ
ここならわざわざ建物の中に入らずとも、市長の動向を探る事が出来るだろう

勿論、あの建物に裏口の類いが無い事は調べがついている。前にランサーがハッキングした際に設計図もくすねていたのだ


「ねえねえ。ルゥナはそんなにさ、少々森の事を助けたいと思ってる訳?」
「オレが言うのもおかしいけどさ、そんなに仲良かったっけ?二人ともさ」

「あのねえ、少々森は一般人よ?魔術の世界に巻き込まれた以上は無視できない」
「口封じに殺すのはあたしのポリシーに反するの。だから生きて返して後で忘れて貰うわ」

得意気にポテトをつまみながら力説する。その姿を眺めるランサーはどこか微笑ましげだ

「……何よ、その『成長したなあ』って態度は」
「べっつに〜」



「ところでルゥナ、一つ聞いていい?」
「いいわよ」

「もし少々森を殺した方がいいよって言ったら怒る?」
「令呪で土下座させてやるわよ」

自信満々に令呪を見せつけるものの、既に一画失った状態では些か威厳に欠けている
言わないけどね。と訂正すると、満足したようにシェイクを口に運んでいった


941 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/11(月) 22:49:51.53 ID:QQQYtNx80



「……おや!本気ですかな!」
「我々との同盟を破棄するとは!聖杯が欲しくなくなったのですかな?」

市長室で向かい合うのは市長とフェリシア
大袈裟に驚いた風に聞くものの、目の前の少女の意志は固く


「貴方が何を言おうと……私は、私の家の誇りを傷つけた事を深く悔やんでいるわ」
「御三家である自らの家まで利用して……!貴方が何を企んでいるというの!?」
「私は貴方を……ロベルト・エーデルワイスと手を組んでいる貴方を信用出来ない!」

啖呵を切るフェリシアに、呆れた様に肩を竦めてみせる
その姿を冷笑するのはアサシンだ。彼はフェリシアの前に立ち、嘲笑う

「誇りで聖杯が手に入るなら、この街はとっくの昔に滅んでいるさ」
「君の様な馬鹿が子孫だと、君の家は滅ぶべくして滅ぶ一族だというのがよくわかる……」



「偉そうに!フェリシアの前で家族を語ってんじゃないわよ、カラス野郎!」
「アンタみたいな性根の腐ったクズ野郎が親なんて、アンタの子に同情するわ」
「どうせ皆から嫌われてたんでしょう、アンタは目的の為なら何でもやる人間だもの」

アサシンに食って掛かったのは、フェリシアのサーヴァントであるセイバー
その啖呵にも涼しげに……いや、よく見れば青筋が立っている


「よくもまあ、ぬけぬけと」
「父親も、息子すらも破滅させた女が言えたものだよ」



942 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/11(月) 22:51:09.11 ID:QQQYtNx80


睨み合う両者の最中においても、フェリシアの目は揺るがない
毅然として見据える姿は、年不相応に落ち着き払って見えていた

「後悔するよ。絶対にね」
「構わない。例え聖杯を手に出来なくとも……」
「一族の誇りに泥を塗るよりはマシだわ」


「ちょっと!私はまだ諦めてないわよ」
「要するにアンタ達を倒せばそれで済む話なんだから。ここで殺してやっても……」

「それはそれは!いやはや全くその通り!」
「なので、人を呼ばせて貰います!セイバー、貴女はお巡りさん相手に剣を向けますか?」
「……やめとくわ。ちぇっ!」

受話器を手に取り、にこやかに応対する市長
この場で強引に切り捨てようものなら、二人は司法によって捕まるだろう
無論、そんなものに屈する英霊がいるとは思えないが……やはり、人目に付くのは避けるべきだ


「……さようなら。貴方とロベルトの事については監督役と相談する」
「本当にこの街を愛しているなら……縁を切る事を勧めるわ」

最後に言い残した言葉は彼女なりの良心だ。無関係な街とはいえ、それでも見捨てる事の出来ない甘い部分
そういう所が好きなんだよなあ。と、彼女の背に追従するセイバーは思うのだった



943 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/11(月) 22:52:19.14 ID:QQQYtNx80


「おやおや……行ってしまいましたか」
「さて、どうしましょうか!これで矢面に立つサーヴァントが去ってしまいました!」
「アッサリと切ってしまいましたが!これは大問題ではありませんかな!ははははは……!」

口では大問題と言いつつも、顔に笑いは絶やさない
つい、やってしまった。といった風に笑い飛ばすその姿は、ある意味では頼もしい


「心配は要らないさ。我々で太刀打ち出来ないならば相討ちにもっていけばいい」
「聖杯戦争の勝者はただの一人。ならばいずれ衝突するは必然の理だからね」
「勝手に食い合えば儲けもの。そうでなければ食い合わせればいい」

「ですが、現在の他の陣営は動きがありませんね。バーサーカーは既にいません!」
「下手に動けば叩かれる危険性もありますね!いやはやどうしたものか!」

困った様に頭をかくものの、その態度から焦りは微塵も感じられない
そんな市長とは対称的に、アサシンは影になる様な、不穏な笑みを浮かべていた


「何。動かすアテは他にもあるさ……」



944 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/11(月) 22:55:39.35 ID:QQQYtNx80


「……それで、市長からの動きは無し。と」
「アサシンはわからないけどね。市長は公務の間、ずっと市役所にいたよ」
「こっちもほとんど動きはナシだ。……それで、頼んでいた酒は」

「無茶言うんじゃ無いわよ!この国は未成年だとアルコール飲料は買えないの!」
「だから言ったろうに。そら、ノンアルコールビールならここにあるぞー」
「ふざけるな!俺にとってアルコールは頭を動かす燃料、エンジンなんだぞ!?」

「……アレと組んで、本当によかったのかしら」
「………………」
「マスター?……あっ!?貴方、キャスターの酒を呑んでるの!?」


基地の内部はどんちゃん騒ぎ。それぞれが思い思いにくつろぎ、叫んでいる
周りの賑やかさに顔をしかめるアーチャーを隣に、ストレングスは缶ビールをちみちみ呑んでいた

「ちょっと!?吐き出しなさい!ペッて!」
「オイオイオイ!ビールってのはなあ、グッと勢いよく呑むモンだぞ!?そら」
「………………」「ああーーー!!!」

「……フ、悪くない。アルコールの経口摂取も偶にはいいかもしれないな」
「だろぉ!?そら、もっと呑め呑め!俺の地元の酒もマスターが通販で……」


945 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/11(月) 22:56:44.55 ID:QQQYtNx80


「……きゃっ!?」
「んお?何だ、酔って来たか。今地面が……」
「いや、これは……!」

突如、ドンと基地が揺れる。あまりの強さに皆は暫しその動きを停止させる
地震かと思ったその矢先、再度強い衝撃が基地を揺さぶった

「いったい何かな。確かにこの国は地震が多いと聞くが」
「違うよ。これは地震じゃなくて……」

ランサーの指摘よりも素早く行動したストレングスとアーチャー
それを追いかける様に複数の人物が外に出る。訳もわからぬまま走るメンバーに、ランサーが理由を手短に話す



「……これは、直接基地に攻撃を仕掛けてきているんだ。それも、一度ここに来ている奴がね」
「おい、まさか外にいるのって……」

「そう……ライダーだよ」
「ライダーが、本気でオレ達を潰しに来たんだ」


946 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/11(月) 22:57:46.42 ID:QQQYtNx80



基地の外。先に出たアーチャーが銃を構える
その先で聳え立つのは強大な龍。大河と戦艦で構築された、一大国を築いた栄華の証
そしてその上に陣取るは、国を率いた偉大なる皇帝。余りにも壮大な自然を手中に収めた王の姿


「久々だね、虫けら共」
「今夜は本当にいい月だ。僕も少しだけ気分がいい」

「だからこそ今宵、お前達を皆殺しにする事にしたよ。この月を汚すお前達をね……!」

悠々とした殺害宣言。ただのそれだけで場の全てが震え上がる
この聖杯戦争で最強の英霊が、今ここで潰すと宣言を果たしたのだ

「ライダー……煬帝!」
「クソッ、よりによってお前が来たのか!」

「ん……?何だ、僕に負けた雑魚も付いていたのかい?」
「はははは!不様不様。不様も極まると笑えてくるよ」
「本っ当に度しがたいよ。僕の覇道に、土足で足を踏み入れるゴミクズが──!」




「……ねえルゥナ。覚えてる?」
「次に絶体絶命になったらオレは宝具を使うって話」
「今こそ、その時だって思うんだけど……どうかな?」


947 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/11(月) 22:59:40.18 ID:QQQYtNx80




側に立つランサー。その声はいつもの軽いものではない

一人の英霊として、マスターを守ると誓う槍兵としての声

……ならば、それに答えるのがマスターの使命というものじゃない?



「……いいわ!やっちゃって、ランサー!」
「勝たないと、承知しないんだから!」

「オッケー!なんか、やれそうな気がする!」



意気込むランサーの魔力が高まる。先鋭化された槍となり、時を超えて敵を穿つ

その真名は“迅速な解決”。それを望まれた存在として、マスターの壁を打ち崩す──!


「“カラスが鳴いた。『クラース、クラース(明日、明日)』!もいちど鳴いた、『クラース!クラース!(明日にしよう)!』”」

「“いいや、今だ!今こそだ!最高、最善、最大の明日!それを叶えるチャンスはまさに……”」

「“───今だ!”」


光の如きランサーの槍が、矢の様に飛翔しライダーを貫く
それを号砲に射撃が舞う。今、最大の英霊に抗う幕が上がったのだ



948 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/11(月) 23:02:00.79 ID:QQQYtNx80

【本日はここまで】

949 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/11(月) 23:18:42.90 ID:/givHmlCO
950 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/11(月) 23:54:55.22 ID:tXWPuYnoO
951 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/13(水) 22:20:20.29 ID:W/+eam8+o
今までの描写からしてエーデルワイスの関係者で少々森は恐らく偽名。
クラスメイトが雰囲気変わったって証言から、恐らく暗示の魔術によって彼女が本物の少々森に成り代わってると推測
ロベルトの執着から見るに、彼女は天使を呼ぶ為の呼び水だろうか

>>1が度々言及していた前回出せなかったエーデルワイスの関係者が恐らく少々森だと思う
952 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/17(日) 22:02:17.69 ID:3GpwnOOe0

【それでは再開します……】

953 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/17(日) 22:06:08.85 ID:3GpwnOOe0



一筋。銀の閃光がライダーを射抜く
龍に乗る王を捉えた光の槍は、正確無比な一撃を叩き込んだ

咆哮を、大地に刻む龍の上。ライダーは自らに起きた状況に困惑する


「ガ、ッ……!なん、で……お前……!」
「僕は“わかっていた”んだ……!お前の宝具は、完全に読み切っていた!」
「なのに、なんで……!僕の星詠みが外れる事は一度も無かった!」

ライダーは叫ぶ。わかりきっていたはずの攻撃が、何故に自らを撃ち抜いたのか

「そりゃそうだよ。オレの一撃は“既に決まっている”からね」
「避けようと思った時点じゃ遅過ぎる。守ろうとした時点で貫いているのがオレの槍」
「オレの真名……“エクスペダイト”の名を冠する時の槍だよ!」


得意げに語るランサーは、どこか嬉しそうにも感じる程に腕を突き付ける
限定的な時間移動にして、局所的な因果固定。怠惰を打ち破り行動を起こす時間の聖人

それこそが『エクスペダイト』。最新にして最先端の英雄である



 ◆『今だ(エクスペダイト)!』
  ランク:B 種別:対人(自身)宝具 レンジ:0 最大補足:1人
  常時発動型の宝具。思考・行動の高速化。および発想の即決力。
  ランサーが「これを行う」と決定したとき、その行動は既に行われている。
  さらに真名解放を行うことでランサーという時の槍は時空を越え、擬似的な過去改変の域に突入する。
  これを防ぐには概念干渉やタイムパラドクスへの耐性ではなく、怠惰を捨て去る意志力や決断力が重要視される。

  足元でカラスが鳴いた。「明日(cras)!」「明日(cras)にしよう!」
  いいや、否。否だ。目標達成を決めたからには、未練も躊躇いも不要。
  明日では遅い、「すぐに」では手遅れだ。
  行動を起こすのは―――



「――今だ(Expedite)!」


954 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/17(日) 22:09:31.96 ID:3GpwnOOe0



「速い……!」
「何をやってるのか、僕にも見えないぞ……」
「避難しろマスター!ここは瓦礫が降ってくるぞ!?」


目にも止まらぬ光速の槍。今、この場を支配しているのはランサーだ
マスターであるルゥナですら目視では残像すら映らない。龍の上での攻防戦は完全にこちらが押している

ライダーの激しい抵抗の表れか。龍は雄叫びを放ちつつ、一層激しく暴れまわる

だが、それもアーチャーによって押さえ込まれていた
一つ一つは砂粒だろうと、束ねてしまえば砲弾となろう
大河を塞き止める程の大量の銃弾を叩き込む。それは人が自然と対峙した時の歩みの様に

ちっぽけでも、微かでも。確かに一歩刻まれる様に


「……やっぱり、この龍は生物というよりも機械に近い存在の様ね」
「脚の部分に銃弾を詰めたわ!これで、少しは動きが鈍くなるはずよ!」

「雑魚が……!舐めるなよ、これしきの事で!」
「僕の!偉大なる!この運河を止めようなんて百年は早いんだよォッ!」


955 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/17(日) 22:14:22.04 ID:3GpwnOOe0


激昂する主に呼応するかの様に、龍の翼が翻る
その身に流れる激流が、瀑布となって滝の様に周囲を襲う

完全に展開された大いなる翼。その重量を全く感じさせない動きで、主と槍兵を乗せて悠然と空に飛翔した

「うわっ、とと!?」
「おっ……落ちる〜〜〜っ!?」
「ハッ!精々大地に落ちて、派手に花を咲かせてみせてよ!」

当然……闖入者である、ランサーを乗せる道理は無い。そのまま宙を反転し、振り落とす
聖人に空中を移動する術は無い。後は落下し、血の花を咲かせる事だろう


「まだまだ……!オレは止まらないよ!」
「そらっ、こっちに来い!オレと速さで勝負なんて百年は早いよ!」


しかし、槍を身体に突き刺して食らい付く。龍の悲鳴が天空を揺らす
光速の槍?がその肉体を削っていく。遂に耐えきれなくなったのか、堪らず龍は離れた場所に墜落した

ライダーは一人激怒する。たかだか一つの槍で我が象徴が失墜する等、ありえてはならないと
倒れ伏す龍に檄を飛ばす。こんな事を認めてはならぬと叫びながら


「この……!やれ!まだやれるだろう!?」
「僕の偉業だぞ、ここで倒れるワケが無い!こんな所で潰えるワケが無いだろうが!」
「早く起き上がれ……!その時計野郎を完膚無きまでに叩き潰せ──!」



956 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/17(日) 22:19:01.48 ID:3GpwnOOe0


激しく鳴り響く鉄の音。それを辿りやって来たのはルゥナとアーチャー
ガイスロギヴァテスの基地から少し離れた森の中で、武器のぶつかる音が反響していた

「……ここね、ランサーが堕ちた場所は」
「っ、貴女は下がってなさい!貴女が死ぬと、私まで迷惑するのよ!」
「うるさいわね。自分の身くらいなんとかするわよ!」

鳴り響く火花の中心地。ランサーと龍は互いの槍と爪を重ね合わせていた
ライダーも手に握る槌を振り落とし、重い一撃を叩き込む

だが、ランサーはそれを神速の動きで避わしていなす。爪も牙も当たりはすれど、大きな衝撃にはなり得ていない
的確に一突きを刺しては距離を取る。ライダーと龍は、共にランサーに翻弄されていた


「凄い……龍なんかよりも、ずっと速い……!」
「ランサーに集中している今なら……!私の援護射撃が通じるかもしれないわ!」

手に握る銃の標準がライダーを狙う。それにも直ぐ様気付くものの、目の前の槍を完全に回避する事も叶わず


「クッ……!龍よ、僕を……」
「させないよ!……それっ!」

翼を盾に、アーチャーの狙撃から身を守る
だか、そこに生まれた隙を見逃さない。指示を飛ばしたその先に、渾身の槍を投げ込んだ


「ガ……ッ!」
「やった!あのライダーに勝った!」
「お前、お前ぇえええッ!!」


957 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/17(日) 22:21:59.23 ID:4tpkw4wPo
結構フルボッコだなライダー
958 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/17(日) 22:24:42.47 ID:3GpwnOOe0




「お前だけが、本気じゃないと思ってたの?」




身体に食い込んだ槍を放り捨て、ライダーは苛立ちを隠さずに吐き捨てる
流れ落ちる血を踏みにじり、目下の三人へ憎悪の視線で射抜き返す


「本当に苛々するね。潰しても潰しても沸き出てくる蛆みたいだよ」
「ああ。そんなに死にたいなら見せてやるよ。僕の本気ってやつをさぁ……!」

突然、背後にて伏した龍が崩れ出す。流水は天へと遡り、戦艦は静かに瓦解する
彼の最大の武器である、龍の姿が変わりゆく。それは、彼の最大の偉業を示すが如く

「“薩水、大捷──。河は悠久に揺蕩い、空は星を讃えて輝く”」
「“天は我が行く果てを照らし、我が障害を討ち滅ぼす。。……ひれ伏せ!愚民共!”」
「“これこそ真なる偉業である!万物、須らく地に伏せよ!”」


天へと登った龍が嘶く。……否、それは最早、龍と呼べるモノに非ず
その身は運河に、鱗は星に。空に輝くそれはまさしく……『天そのもの』

轟々と龍の唸りが鳴り響く。それは、雲の上で泣く雷鳴であると気がつく時には遅かった
空から襲い来る雨が、ランサー達を襲撃する。悲鳴すらかき消す雨音が、周囲に静かに木霊した



「“飲馬長城窟行・示従征群臣(あきのくれ、さいがいのくも、きりはくらしかんざんのつき”」
「“呑まれろ。天に抱かれて砕け散れ──!”」



959 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/17(日) 22:26:52.38 ID:3GpwnOOe0


天から降り注ぐ、無数の雨
それは、一つ一つが龍の爪であり龍の息。暴風雨が周囲を刻む
これこそが煬帝の真骨頂。天すら我が腕、我が意のまま。雨も、風も、雷も総てが彼の手足

上空を覆う、美しき大運河。その下では無慈悲な虐殺が繰り広げられていた



 ◆『飲馬長城窟行・示従征群臣(あきのくれ、さいがいのくも、きりはくらしかんざんのつき)』
  ランク:A+ 種別:対国宝具 レンジ:1〜40 最大捕捉:1000人
  過去にライダーが繰り返した国外征伐の再演。
  人造龍神の最大出力でもって上空に大運河を形成する。
  これを雲とすれば地上からのあらゆる反攻を防ぐ変幻自在の防壁に。
  霧とすれば万物万象を迷わせる脱出不能の迷宮に。
  雨として降らせれば敵軍を一掃する大暴風雨を引き起こす。
  皇帝とは龍であり、天であり、世界である。その意思は天の意思、何人たりとも抗うことは叶わない。


「うわっ、マズイ……!ここまで範囲があると、避けられない!」
「ランサー!速くこっちに!銃を束ねて盾にしなさい。ある程度は守れるわ!」

幾ら速くとも、雨粒を避けて戦う事など不可能である。先程とは逆に、ランサーは追い詰められていた
アーチャーの機転で幾分か耐えられたものの、このままではライダーに近づく事すら出来ないまま

天に対しての反抗は、今まさに佳境を迎えていた



960 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/17(日) 22:28:07.81 ID:4tpkw4wPo
前言撤回、これは今次最強の鯖だわ
961 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/17(日) 22:29:46.63 ID:3GpwnOOe0

【本日はここまで……】

【次回は決着までいけたら……】



962 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/17(日) 22:32:59.93 ID:4tpkw4wPo
乙です
963 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/17(日) 23:03:31.86 ID:yr8YRDOGO
964 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/26(火) 22:46:45.18 ID:txj8ItYr0

【ごめんなさい。決戦までは無理でした…】

【ずっと待たせてしまったお詫びとして、書き留めていた分を投稿します】



965 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/26(火) 22:48:03.76 ID:txj8ItYr0


「こっちよ!早く!」
「わかってる!」


豪雨と暴風が支配する。叫び声は霧消する
まるで刃が降ってくる様な、空そのものが切り裂きにかかる様な錯覚に陥りそうだ

銃を重ねた簡易的な傘の中、ルゥナはゆっくりと肺に酸素を叩き込む
一つ呼吸をする度に、一つ銃身がへし折れる。柔な造りでは無い筈なのに、まるで割り箸の様に容易く両断されていく

雨宿りと言うには物騒な光景。さざめく雨音はどこかもの悲しい旋律を奏でている
それは正しく、寂寥感すら漂う程の殺戮だった


「どうだい?僕の世界、僕の帝国は」
「これこそ無敵、無類の宝具!龍は天であり、天は我にある!」
「日出る処は此処に非ず。雨と風で削り殺してやるよ……!」

邪悪な笑みを浮かべながら、じりじりと囲んで潰していく
まさに、現状は袋のネズミ。今いる場所を守り切る事で精一杯だった

「ランサー、あんたの速さでここから逃げられないの!?」
「オレとルゥナだけならともかく……アーチャーまで来るとなると難しいかな」
「っ。なら、私がこの場を耐えて……」



「その必要はない」
「よく耐えた。ここからはオレが先を進もう」


966 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/26(火) 22:51:09.21 ID:txj8ItYr0


ごう。と風とは異なる音が鳴る
一つ限りではなく、次々と。魔力の砲撃が雨の中を通り抜ける
ライダーに殺到する無数の砲撃。しかし、どれも彼に当たる事なく有らぬ方向へ逸れていった


「新手か……?何だ、お前は」
「アーチャーのマスター、ストレングス。貴様を倒しこの街を守る者」
「ならば、お前も塵芥となるがいいさ!」

豪雨が更に勢い付き、闖入者であるストレングスを薙ぎ倒さんと舞い踊る
その渦中でストレングスは手短に話す。あちらでは何があったのかを

「突然の暴雨によって、キャスター陣営。及びガイスロギヴァテスは撤退を余儀なくされた」
「全員が基地の中に避難してはいる。が……主であるアーチャー。貴様がいなければ恐らくは数分も持たないだろう」

「どうして令呪を使わなかったの!?私だけは戻れたのに……!」


まるでなんて事も無い様に淡々と語るが、それは絶体絶命の危機である事を示していた
苛立つアーチャーは鋭く詰問する。その真剣な顔を見つめ、一言だけ呟いた

「ランサー陣営は、仲間だからだ」
「仲間を捨てる事だけは、オレは絶対にしたくない」



967 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/26(火) 22:52:42.44 ID:txj8ItYr0



「へぇ〜、オレもそう思ってるよ!」
「納得するんじゃないっての。本当は何か要求でもあるんでしょ?」
「信じたくなければそれでもいい」

「話してる暇なんて無いわ!早く基地に戻らないと全滅するのよ!?」
「ここで死にたくないのなら、何とかしてここを突破しないと……!」


こうして話している間にも、刻一刻と近づいてくるのは死の気配
雨の檻の中に入り込んだはいいものの、それを強行突破出来なければ意味が無い

「オレが魔力で雨に穴を開ける。そこを全力で駆け抜けるぞ」
「ああ、来た時も同じ手を使ったんだね?」

「……行かせるとでも思ったのかなあ?」
「強引にでも押し通る」

「じゃあやってみろよ!木瓜野郎が!」


ライダーの怒気が辺りに伝播する。すると、途端に白の靄が漂い始めた
怒れる熱気に反応するかの様に、落ちた雨粒が蒸発する。檻に加えて、霧の壁まで立ち塞がる
豪雨は何時しか霧雨となる。勢いは消えたものの、周囲の視界は完全に閉ざされた

「……マスター、この霧を払う事は」
「難しい。どれだけの魔力を込めようと、一瞬で霧が覆うだろうな」
「それって要は、一瞬だけなら払えるって事だよね?」


ああ。と返答するストレングス
怪訝そうな顔のアーチャーとルゥナを横目に、ランサーは自信ありげに腕を掲げた

「じゃあ、今からオレが合図をする度に、霧を払ってくれるかな?」
「はぁ?あんた何言って「それじゃあいくよ!……“今だ(エクスペダイト)!”」



968 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/26(火) 22:54:34.13 ID:txj8ItYr0


聞くが早いか。首根っこをひっ掴まれたかと思いきや猛烈な重力が体を襲う
ランサーが宝具を使った。……そこまでは理解できた。がこの状況はまるで意味が……

「成る程、お前の宝具で切り開くという訳か」
「そういう事!オレが“行く”って思えば、必ず辿り着けるはずだ!」
「貴方のマスター気絶しているわよ?」「平気平気。ルゥナは少し鍛えた方がいいからね」

霧雨の中を光速で走る三人組、そして一名
ストレングスの光弾が風穴を開けると同時に、そこに目掛けてランサーが槍を振るい払う

十文字に道が開く。そこを切り抜けると、基地はもう目の前まで迫っていた


「見えたわ!……ライダーは!?」
「今の所は追ってきてはいないみたい」
「ううん……追う必要が無いって言った方が良さそうかな」

ランサーの指摘の通り、背後には誰の影も見えない
しかし、降り頻る豪雨がここまで影響を及ぼしている事実そのものが、ライダーの掌の上にいる事を証明していた

「……とにかく、今は基地に戻る」
「体勢を建て直し、ライダーを打倒する為の策を考えなくてはならない」


言い終わる前に基地へと入る。残された二人もその後に続く
ライダーは遥か遠方で、その様子を蛇の如き眼で眺めていた

「ははは……わざわざ巣に戻ってくれるとはね」
「これでいちいち一つ一つ潰す手間も省けるってもの。纏めて葬り去ってやるよ……!」

豪雨は更に増していく。暴風は空を駆け巡る
遂に、街を覆い尽くしたライダーの領域。民はこの災害を前に、戦く他は無かったのだった


969 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/01/26(火) 22:55:12.53 ID:txj8ItYr0

【ここまで。また近日中に決着をつけたい…!】

970 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/27(水) 00:31:43.33 ID:4/m2QUj1O
971 : ◆6QF2c0WenUEY [sage]:2021/02/06(土) 23:22:59.99 ID:2EMT0ly40

【明日決着まで更新します】

972 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/06(土) 23:43:32.11 ID:YmdkN7ZO0
了解
頑張ってー
973 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/07(日) 00:00:49.25 ID:bOz7eG9Z0
了解です
974 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/02/07(日) 22:33:03.74 ID:o6ttuLRa0

【それでは更新。安価は無いですのでお気軽に…】

975 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/02/07(日) 22:34:47.93 ID:o6ttuLRa0

【アアアアア!データが!データが飛んでいる!?】

【ちょっとお待ちください思い出せる範囲で書いてきます】

976 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/07(日) 22:36:56.32 ID:f9vCToyfo
クラウドに保存してるアプリだからと安心してると、白紙で上書きしてるとかたまにあるよね……
977 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/02/07(日) 22:43:37.41 ID:o6ttuLRa0


「どうすんのよ!?このままだと本当に」
「う〜ん。オレもちょっと考えてるんだよね」

「籠城して去るのを待ったとしても、またここに来るだろうし」
「かといって、ライダーを倒すには雨と風の壁が厚くて突破できないんだ」
「なら逃げましょうよぉ……ルゥナさんは令呪がまだありますしぃ……」

「それだと僕達が生き埋めになるんだが」
「オレもそれには反対かな。ほら」

ユーニスの発言に賛同する様に、ランサーが手元のタブレットに示される気象情報を見せる
坂松市には、“大雨特別警報”と掲示されていた

「……つまり、街全体がライダーの捕捉範囲?」
「多分ね。」

思考が堂々巡って回り、硬直した重苦しい空気が漂い始める
進むも退くも不可能な状況で、まさに、袋小路に陥っていた




「……吉田君」
「だからそう呼ぶなと!」
「君の宝具で、どうにか出来ないのか?」


978 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/02/07(日) 22:45:26.27 ID:o6ttuLRa0


ぽつりと、一言呟くユーニス
その発言に周囲の視線が集中する。発言者ではなく、彼女の差した……


「はぁ!?……いやいや、無理だからな!?」
「そもそも俺は単なる学者だぞ!あんな化け物相手にどうこう出来るか!」
「じゃあ、何でキャスターを召喚したのよ……」

「僕は考古学者でね。是非ともこの国の同業者の話を聞きたかったんだ」
「そんな理由で召喚したの!?あんた達勝つ気が無いワケ!?」
「「うん」」

あっさりと頷くキャスター陣営に頭が痛くなる
まさか、聖杯戦争で勝ち残る事が目的でない者がいるとはルゥナの目を以てしても見抜けなかった
とにかく、キャスターはほぼ戦力外だろう。しかし宝具の存在はどうしても気になった


「一応聞くけど、どんな宝具なのかしら?」
「それはだな……」


979 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/02/07(日) 22:46:34.52 ID:o6ttuLRa0


「あー……なるほどね」
「だろう?そもそもこの街の歴史が浅い!」
「これでは俺の宝具か全然役に立たないじゃないか!ここは日本じゃないのか!?」

宝具の概要を一通り聞いた。……確かに、これは使いにくい
キャスターは頭を抱えて踞る。こんな事になるなら来なければよかったと呻いていた

「どうするんですかぁ!?このまま全滅するのベルは嫌ですぅ!!ルゥナさぁん!」
「うっさい!あたしだって考えてるわよ!要はライダーを倒せばいいんでしょ!?」
「ちなみに、ただ令呪を使ってもあんまり意味は無いかな〜。威力が相殺されて、また暴雨に呑まれるよ」

ランサーの指摘に若干イラつくが、冷静に状況を鑑みる
しかし、どれだけ思考を張り巡らせても頭の中に浮かぶ言葉は『チェックメイト』
……要するに、どうしようもなく詰んでいるのだ



「……キャスター、一つ聞く」
「ん、何だ?言っておくけどな。俺は戦闘には絶対に……」
「その宝具は、俺の言う通りに使えるか?」

980 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/02/07(日) 22:47:13.12 ID:o6ttuLRa0


「……ほ、本気ですかぁ?」
「まあこれしか手がないのも事実だしね」

ストレングスがキャスターに確認を取った内容
それに「多分出来る」と頷いたのを見やると、ランサーが一つの突破口を提示した
……あまりにも荒唐無稽過ぎて、ルゥナですらも正気を疑うような内容だったが


「それ、まさかあたしの令呪を使わないとダメな作戦じゃないわよね?」
「勿論切って貰うよ?大丈夫、アーチャー陣営も使ってくれるって言ってるし」
「そういう問題じゃないっての!」

「僕の計算によれば、成功確率は四割と言ったところだな」
「命が掛かってるんですよぉ!?そんなに低いと不安なんですけどおおおおお!」
「私だって反対したいわ。……けど、それしか方法は思い浮かばないのも事実よ」


アーチャーの苦悶の表情が、この作戦の無謀さを物語る
それしかない。その言葉が現在の状況を的確に示す様に、もうどうしようもないのだ

「キャスター」
「わかっている!……クソ、どうなっても知らないからな!?」

ストレングスの合図を皮切りに、キャスターの宝具が開帳される
それと同時に、ルゥナとストレングスは令呪を光らせて───


「「“──令呪を以て、命ずる”!」」

981 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/02/07(日) 23:02:01.34 ID:o6ttuLRa0


豪雨に襲われる坂松の街。俯瞰し笑うは、張本人であるライダーだ
街が慌てふためく様を見て笑う。追い込んだ鼠の絶望を想像して笑う

いい気味だ。僕に逆らった者、即ちそれは自然への反逆に他ならない
有象無象にわからせてやる。この世で真に守るべきは、人ではないと知らしめる

「……さて、そろそろ連中は死んだかなぁ?」
「まあ……生きていても、許すつもりなんて欠片も無いけどね……!」


悪意で口が弧を描く。まさに今、敵を殲滅せんと魔力が更に渦を巻く
持って数刻の命をへか折らんと、風が、雨が更に激しく……

「……?なんだ、勢いが弱く……?」
「何か小細工でも弄したか?だけど、この程度で僕が……」





『わかっているさ!ライダー!』
『だからこそ、これで絶対に決める!』

「は────」

声が飛んでくる。今、まさに叩き潰さんとしていたサーヴァント一騎が叫んでいる
それ自体は、いや、その“現象”だけならいい。どうせ出てきたところで雨に裂かれて消え失せるのみ

しかし……ライダーは仰天し、思わず目を丸くして“ソレ”を見ていた

空から光る、銀の弾丸。状況を打開せんと迸る時空の槍



───“超光速で空を駆ける、ランサー”を



982 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/02/07(日) 23:02:39.28 ID:o6ttuLRa0


「おおおどうだっ!?ちゃんと行ったか!?」
「うむ。視認する限りだが、ライダーへと一直線だ」
「そそ、そうか。なら俺は休む……!」

へたりこむキャスター。ご苦労と酒のビンを手渡すとらっぱ飲みして一気に飲み干す
宝具を、敢えて間違った使い方で使用したのだからその負担は計り知れない
横になるキャスターを尻目にユーニスは手元の蔵書の頁を開く。この先の結果を演算する為に




『まずは、キャスターの宝具で飛び交う暴風雨の勢いを制御する』
『それが可能なのはお前だけだ、“大地に宿る記憶を呼び覚ます”宝具を持つキャスター』

『……吉田君、大丈夫かね』
『大丈夫も何もやらんと死ぬだろうが……出来たら大吟醸を寄越せよ』
『勿論だとも。令呪は無いが応援はしている』



『ではいくぞ!……“地理、歴史。とりもなおさず未来に向けて、その名を紐解き幾星霜”』

『“土の記憶よ想起せよ。風の記憶よ再度覚めよ!その名、その地の想いよ起きろ!”』


『“開け、『大日本地名辞書』!この地の記憶を呼び覚ませ!”』


983 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/02/07(日) 23:03:26.94 ID:o6ttuLRa0
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984 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/02/07(日) 23:04:02.97 ID:o6ttuLRa0
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985 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/02/07(日) 23:06:08.70 ID:o6ttuLRa0
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986 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/02/07(日) 23:06:56.38 ID:o6ttuLRa0

 ◆『大日本地名辞書』   
 ランク:A 種別:対地宝具 レンジ:1〜100 最大捕捉:1000   
  見た目は当時刊行された状態の大日本地名辞書であるが、それをもとに行われた日本のすべての地名・地史研究の成果が詰まっている。   
  彼が生前執筆のために集めたり全国各地から送られた資料を基に構築された、日本全土の人々が持つ地名や地誌に関する思いの集合体である。   

  現在いる地点の地名の載ったページに魔力を走らせることで発動する。   
  その際はキャスターの心象世界に上手く風景を展開するイメージとして、短歌や漢詩にも造形の深かったキャスターが地名に関した短歌や漢詩を詠むこともある。  

987 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/02/07(日) 23:07:23.52 ID:o6ttuLRa0
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988 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/02/07(日) 23:08:10.31 ID:o6ttuLRa0
    
  その能力は、現在いる地点に関する過去の風景や事件の再現を行う固有結解。   
  人々の持つその土地に関する歴史や想いといったすべての力を持っての再現を行う。  
  膨大な魔力があれば日本全土分の過去の風景を再現することも理論上は可能だが、通常は数百メートル〜最大数キロメートルの地区1つ分くらいの範囲が精いっぱいである。   

  固有結解であるので自分と対象以外に影響を起こすことはなく、一般に被害を与えずに済むことにキャスターは安堵している。        
  もちろん制限もあり、地史の改訂・刊行に間に合わないようなあまりに最近の事柄や、地史に記録されないような微細な事柄は再現できない。   
  また再現できるのは基本的には過去に起こった事実だが、人々の記録として伝わる中でねじ曲がっていった場合は影響を受けるし、 記録されていない部分はどうなるかわからない。      


989 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/02/07(日) 23:08:40.55 ID:o6ttuLRa0
     
  例えば蛇川(蛇の字)など土砂災害に関する地名より、土砂災害を引き起こしたとしても起きるのは当時のままの事象であるが、微細な部分が記録されていなければ、   
  洪水なのか土石流なのか、どの地点から発生しどのような被害があったのか等は資料に記録された分だけしかわからない。   
  使い方を誤れば自死をも引き起こすが、崩沢、というように川に合流する細かい沢の名前が残ってたりすると土石流の発生点を少し特定できるし、   
  逃れの杉、といったように災害から逃れたことを示す地名があれば、その地点へ自陣営だけ避難するといったこともでき、キャスターの調査研究能力が大きく求められる。


990 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/02/07(日) 23:09:50.26 ID:o6ttuLRa0

『がああああ!後は任せたぞおおおお!!』
『アーチャー、オレをあそこに飛ばせる!?』
『無茶言わないで……!本来、この館は閉じ込める為のものよ!?それを無理に変えてるせいで時間が……!』

『ならば。“アーチャー、汝がマスターが令呪を以て命ずる”』
『“宝具の領域、構造を拡大。ランサーを射出可能となる発射口を作成せよ”』
『……っ!ああもう、仕方ないわねっ!』


『ランサー、絶対に倒しなさい。これは令呪を使うまでもない命令よ』
『ここまでの手を尽くした以上、あんたのヘマで失敗しました。なんて許さないからね!』
『わかってるよ……さあ、あの傲慢な皇帝様に、勝ちにいこう!』



『────“今だ(エクスペダイト)!”』



991 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/02/07(日) 23:10:29.58 ID:o6ttuLRa0


ライダーは混乱していた。空から襲来する槍の穂先は自らを貫かんと迫る
凶を示す彗星が降る。今日が命日と告げていた

「クソ……クソッ、クソッ!!僕は!こんな所で終わる人間じゃない!」
「何でだ……!?僕は、民が健やかに暮らせる国を造るんだ、なのに!」
「何で……こんな、取るに足らない凡夫共に押されているんだよ!?」


あり得ない。信じられない。これは何かの間違いだ
頭の中で叫ぶものの、ランサーの勢いは止まらない。雨も、風も、嵐すらも。最早誰の行く手を阻む壁にすらなっていない
豪雨の中でライダーは睨む。暴風を隔てたその先で、時空をしろ示す聖者の姿を

「ライダー……オレは皆が、仲間がいてくれたからこそ、こうして戦えるんだ!」
「一人一人が団結して……決断したから“今”がある!煬帝という偉大な存在に立ち向かえる!」
「過去を護る思いは素晴らしいと思う。けど」



「オレ達は……未来に、生きたいんだ!」

ランサーの蹴りが、嵐の中の煬帝を貫く。その顔にあるのは驚愕ではない
それは、どこか知っていたとばかりの諦めか。星の教えた未来を受け入れた故か

背後で魔力が爆散する。周囲一帯を轟かせて、王の敗北を哀しみながら


992 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/02/07(日) 23:12:07.55 ID:o6ttuLRa0



「……ふ、く、ハハハハハハ」
「アサシンの奴に乗せられてやったけど……僕の失策だったか」
「……だけど……覆したかったなあ……」

「“僕がどこかで敗北する”予見をさあ……」
「ライダー……」

ぽつぽつと呟くライダー。その身体は既に限度を超えている
それでも、未だに現界を果たせるのはそもそもの霊基の格が違うからだろう


「ああ……お前に一つ、面白い星が見えたんだ」
「何れ、重大な決断を迫られる……そんな、転機が訪れる」
「気を付けなよ。精々後悔しない様にね……」

「する訳ないよ。例え、どんな選択でもルゥナはしっかりと決断するはずだ」
「……オレが喚ばれたんだ。彼女はそれが出来る人間だよ」

一瞬。目を丸くするが、すぐにいつもの不敵な笑みを浮かべるライダー
悠久なる道程を歩みながらも、その最期は腹心に裏切られるという不遇の死

それと比べれば、戦場で華々しく散る事のなんと美しい事だろう



「……暮れに、江は決して動かず」

「春の花は満ち行き、満開に咲き誇る」

「流るる波は月を砕いて去り……」

「潮の水面は、星を、帯びて───」



最期の句は、自らの詩の中で没落を詠ったとされる『春江花月夜』
その真意は彼にしかわからない。だが、唯一わかるのは


その姿は晴れやかで、勇壮で……
天帝、楊広は粒子となって、天へと昇る龍の様に消えていった事だけだった


993 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2021/02/07(日) 23:14:27.04 ID:o6ttuLRa0

【本日はここまで。遅くなってすみませんでした】

【ちょっと次スレ建ててきます。予想以上に手間取ってしまった……】

994 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/07(日) 23:17:02.06 ID:bOz7eG9Z0
乙でした
995 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/07(日) 23:24:50.51 ID:f9vCToyfo
乙乙
そろそろ終盤かな
996 : ◆6QF2c0WenUEY [sage]:2021/02/07(日) 23:26:15.90 ID:o6ttuLRa0

【次スレです。今度ともよろしくお願いします】
https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssr/1612707762/

997 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/08(月) 02:25:14.85 ID:xP+zO9fxO
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