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【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【1頁目】
- 1 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/02(金) 23:39:36.93 ID:442T1LL5o
- このスレは安価で
乃木若葉の章
鷲尾須美の章
結城友奈の章
楠芽吹の章
―勇者の章―
を遊ぶゲーム形式なスレです
目標
生き抜くこと。
安価
・コンマと選択肢を組み合わせた選択肢制
・選択肢に関しては、単発・連取(選択肢安価を2連続)は禁止
・投下開始から30分ほどは単発云々は気にせず進行
・判定に関しては、常に単発云々は気にしない
・イベント判定の場合は、当たったキャラからの交流
・交流キャラを選択した場合は、自分からの交流となります
日数
一ヶ月=2週間で進めていきます
【平日5日、休日2日の週7日】×2
期間は【2018/07/30〜2019/08/14】※増減有
戦闘の計算
格闘ダメージ:格闘技量+技威力+コンマ-相手の防御力
射撃ダメージ:射撃技量+技威力+コンマ-相手の防御力
回避率:自分の回避-相手の命中。相手の命中率を回避が超えていれば回避率75%
命中率:自分の命中-相手の回避。相手の回避率を命中が超えていれば命中率100%
※ストーリーによってはHP0で死にます
wiki→【http://www46.atwiki.jp/anka_yuyuyu/】 不定期更新 ※前周はこちらに
- 2 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/02(金) 23:43:17.54 ID:ApSu2/+I0
- 立て乙
- 3 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/03(土) 00:27:25.23 ID:QbAWLxztO
-
√2015年07月30日 夜 学校
とても大きな地震が各地を揺るがした。
それはまるで今までの日常と交代したかのように、断続的に続く。
友人の一人は「揺れて怖かったね〜」と、にこやかに言う。
知人の一人は「世界の終わりかもね」と、冗談めかして言う。
日本にとって、地震はある意味では死よりも近しい存在であると誰かが言っていた。
だからというわけではないけれど【どうせ大丈夫だろう】という考えが、
子供達にはあったのかもしれない
けれど、陽乃はどうしても不安だった。
確かに、まだ小学生の私でさえ数回経験するほどに日本には地震が多い
でも、いつものように治まってくれる。とてもそうは思えなかった
陽乃「……星が、見える」
「陽乃ちゃん?」
陽乃「見えない? 沢山の星が、少しずつ少しずつ」
「え〜?」
避難所になっている学校の校庭、
暇を持て余している子供たちがまばらにいる中で、隣にいたクラスメイトの子が首をかしげる
- 4 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/03(土) 00:54:47.81 ID:QbAWLxztO
-
「星なんて、全然見えないよ?」
陽乃「そう?」
「気のせいじゃないの?」
陽乃「そう……なのかな」
陽乃はそれを完全に否定せずに、目を細める
見えないというのだから見えていないのだろう
少しずつ大きくなっているようにも見える、無数の星が。
久遠家は、古くからの巫女の家系であり、
とりわけ、陽乃には幼少期からみんなには感じ取ることのできない何かを感じ取れる力があった。
幽霊が見えるとか超能力が使えるなんていうものではなく、
ある種の直感めいたものだ
その予感は、よくよく当たる
良いことも悪いことも当たってしまうので、
今はそれを口にするべきではないのではないかと、陽乃は眉を顰めた
- 5 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/03(土) 01:15:27.56 ID:QbAWLxztO
-
陽乃「……」
何かが来る。
それは、ただの予感だ。
空に見える星々が、少しずつ近づいてきているように見えるのも、錯覚なはずだ
そうでなければいけない
そうでなければ――と、陽乃が考えを改めようとしたときだった。
陽乃「っ…・…」
「陽乃ちゃん?」
陽乃「……大丈夫」
陽乃……と、どこからともなく呼ばれた気がして辺りを見渡す。
母親の声ではなかったけれど、
不確かではあるけれど
聞き覚えがあるようにも思える――声。
「……あっ、流れ星」
陽乃「え?」
陽乃には相も変わらず見えている星が輝く空を指さして、校庭に出ていた子供たちが騒がしくなる。
星のなかった空に、現れた星
だからこそ流れ星だと評したのだろう。
嫌な予感が強くなる。
1、校舎の中に戻るように呼び掛ける
2、クラスメイトにみんなを屋内に避難させるよう言って、声のする方に向かう
3、大人を探して、校舎に戻るようお願いする
4、声のする方に向かう
↓2
- 6 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 01:21:29.32 ID:3bPvRyQPO
- この時間は下1で良いのでは?
ksk
- 7 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 01:40:28.74 ID:ELf5e12nO
- 2
- 8 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/03(土) 01:48:02.95 ID:QbAWLxztO
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日はできれば早い時間から
- 9 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 01:54:03.94 ID:ELf5e12nO
- 乙
なんかわすゆ時代の二次創作って見たことないからドキドキしてきた
どうしてもバッドエンドに寄りがちだよね
- 10 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 06:20:38.36 ID:tAU9iYopO
- 乙
ついに始まった謎の多い陽乃さん編
世界は救えなくともせめて全員生存は目指したいところだな
あと上でも言われてたけど時間帯によっては下1~2を変えた方がいいかも
- 11 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/03(土) 17:25:40.98 ID:GYQ2bJfeo
-
では少しずつ
- 12 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 17:33:48.10 ID:oB/qENMbO
- やったぜ
- 13 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/03(土) 17:51:02.44 ID:GYQ2bJfeo
-
陽乃「お願い……今外に出ている人みんなを校舎に戻して」
「陽乃ちゃん?」
陽乃「お願い……嫌な予感がする」
「嫌な予感って」
クラスメイトは半信半疑な様子で陽乃を見る。
小学生である陽乃の級友の男子生徒にも、時々意味深なことを言う子がいる
それはアニメか漫画かそれ以外の何かに影響されていて
その言葉通りに何かが起こるわけでもない。
陽乃「私はいかないといけないところがあるから、代わりにお願い」
「そう言われても……」
流れ星の賑わいは広がっていっていて
陽乃のお願いに反して、
校舎の中に戻るどころか校舎から出てくる人がだんだんと増えていく
- 14 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/03(土) 18:07:21.27 ID:GYQ2bJfeo
-
陽乃「お願いみんなを校舎に避難させてっ」
隣にいる少女だけでなく、
周りにいるクラスメイト達に聞こえるように声を上げる
陽乃一人で奔走しても、きっと間に合わない
急がないといけないといけないのに、嫌な予感がする
ただそれだけしか言えないのが辛い
陽乃は歯を食いしばって、激しく高鳴る胸に手をあてがう
みんな流れ星に夢中で、
陽乃が不安を感じているのを覆い隠してしまうかのように、
笑い声まで聞こえてくる
「陽乃ちゃん、大丈夫?」
陽乃「危ないの……本当に危ないんだよ……」
- 15 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/03(土) 18:14:47.22 ID:GYQ2bJfeo
-
↓1コンマ判定 一桁
0 00 失敗
1〜5 成功
6〜9 ぞろ目 大成功
- 16 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 18:17:10.60 ID:oB/qENMbO
- あ
- 17 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/03(土) 18:46:59.59 ID:GYQ2bJfeo
-
「大丈夫だよ〜陽乃ちゃん。すぐに地震も治まるって」
陽乃「そういうわけじゃ――」
否定しようとした瞬間――大きく地面が揺れた。
校舎に出ていた子供たちの悲鳴が上がる。
「きゃぁっ」
立っていられないほどの揺れは、今までで一番大きかったかもしれない。
陽乃はその場に膝をついていつでも走り出せるようにと身構える
陽乃「だめ……」
十数秒も続いた揺れが収まるのと同時に、
陽乃は空を見上げると、強く歯噛みする
――間に合わなかった。
信じて貰えるほどの説得力を持たせられなかったのがいけない。
クラスメイトではなく、大人に言えば変わっただろうか
初めから自分で走り回れば変わっただろうか
陽乃「逃げてーっ!」
陽乃は次第に近づきつつある星々から周りへと目を向けて、叫ぶ
- 18 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/03(土) 19:08:06.18 ID:GYQ2bJfeo
-
「は、陽乃ちゃん……っ」
陽乃「早く立ってっ!」
隣で尻もちをついてしまっていたクラスメイトに手を差し出して、引っ張り立たせる
地震が起きたばかりで、狼狽えてしまっているみんなは、
陽乃の懸命な叫びにはっとして周りを見たが、そうではない
もう遅い、もう間に合わない
何かが来る
陽乃「校舎の中に走って……絶対に振り返らずに」
「でも、陽乃ちゃん……っ」
陽乃「良いから、早く!」
地震で倒れこんでしまった人たちの瞳には、きっとそれが見えたのだ
そして、気付いたのだ
空に見えていた流れ星が、決して星などではなかったことに
願えば叶えてくれるかもしれないなんてロマンチックなものではないことに
「ごめんなさいっ」
陽乃「急いでッ!」
――やがて、それらは降る
- 19 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/03(土) 19:24:05.70 ID:GYQ2bJfeo
-
星のように輝いて見えた体は人など押しつぶせてしまうほどに巨大で、
不気味なほどに白々としている
やや球体めいた体つきにはクラゲの足のようなものが垂れ下がっていて、
白さを際立たせる悍ましい口のような器官が、真っ逆さまに落ちてくる
陽乃「止まっていたらやられるっ!」
その場から急いで駆け出すのとほぼ同時に
真上からではなく横からその【何か】が突撃していく
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!!」
陽乃「だめっ」
あれだけ、にぎやかだった夜のグラウンドを突き抜ける悲鳴
爆発したかのような轟音を立てて、校舎から煙と破片が飛び散る
陽乃「お姉さんも早――」
「たすけ――ぇ゛」
降り注ぐ【何か】に腰を抜かしてしまっていた女性の体の上半分が、かすめた何かに持っていかれる
- 20 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/03(土) 19:36:44.81 ID:GYQ2bJfeo
-
下半分は、映画で鮫に喰われたそれのように血を噴き出すなんてことはなかった
ただただ、そこにはもう動かすべき存在がいないことを表すように力なく崩れて
次第に、血が広がっていく
陽乃「なん、で……」
そして、まるで公園に投げられたパン屑に集まる鳩のように
そこには【何か】が集まって……食い散らかす
陽乃「っ……やめて、やめてよ……なんで……っ」
『くふふっ』
陽乃「っ」
笑い声が聞こえる
どこかから、この状況を楽しむかのような声が
『宴じゃ宴、余興の始まりじゃぞ、主様や』
陽乃「誰……誰なの……」
『足を止めたら――喰われるぞ?』
陽乃「!」
慌てて横に飛ぶと【何か】がその場所に突っ込み、
その爆風にも似た突風に陽乃の体が少しだけ飛ばされる
- 21 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/03(土) 19:53:25.46 ID:GYQ2bJfeo
-
陽乃「はっ……はぁっ……はっ」
響いていた悲鳴はいつの間にか止み、
広い校庭に生きている人間は陽乃だけになっていた
少なくとも一クラス分の子供達がいたはずなのに――もういない。
逃げ切れた人はいただろうか
どこかの建物に逃げ込んで、助かった人はいただろうか。
陽乃「みんな……っ」
陽乃の隣にいた子は、きっと体育館に逃げ込んだだろう
間に合っていれば、きっと
その体育館には大量の【何か】が群がり、
押しつぶせるはずの脆い建物の周りを漂って、
時折体をぶつけて揺らし、中から聞こえる悲鳴を楽しむようにゆらゆらと蠢く
『救いたいかや?』
陽乃「……出来るの?」
『妾ならば。妾を主様が扱えるのならば』
1、助けて貰う
2、断る
↓2
- 22 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 20:01:03.61 ID:ELf5e12nO
- 1
- 23 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 20:05:36.90 ID:E1v/HvWn0
- 1
- 24 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/03(土) 20:38:50.34 ID:GYQ2bJfeo
-
その声の主が誰なのか陽乃は分からない。
もしかしたら悪魔囁きかもしれない。
この事態がそもそもその声の主によって引き起こされた可能性だってないわけではない
そう疑ってしまうほどに、怪しくて
けれど
今、この状況を打開できるのなら――と陽乃は思った。
鬼が出るか蛇が出るか。だとしても
陽乃「お願い……力を貸して」
『よいのかや? その判断で良いのかや?』
怪しく、惑わすようにそれは声を聞かせてくる
頭の中を震わせるような、少し気味悪くさえ感じるような声色
なにより――愉しんでいる声を。
陽乃「助けられるのなら、助けたいから」
『くふふっ、せからしい小娘じゃ。良いのう、良いのう……どれ、死ぬ出ないぞ』
- 25 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/03(土) 20:46:23.05 ID:GYQ2bJfeo
-
その女性らしき声が唐突に掻き消えて、
陽乃は空気が変わったのを感じ取って、体を強張らせた。
蠢いていた【何か】もそれに気付いたのか動きを止めて陽乃へと向く
陽乃「っ……」
ぞわぞわと総毛立つような不快感
良くないものを口にしてしまった時のように
内側から遡ってくる嘔吐感に似た気持ちの悪さ
『主様の願いを、叶えてやろう』
陽乃「ぇ……」
その声の主は、大きな狐の姿をしていた。
半透明に透けてはいるが、黄金職の毛並みがきらきらとしていて、
逆立つ尾は、九つ
ゆえに与えられた名は――九尾。
『呆けていては、喰い殺されるぞ?』
陽乃「っ!」
- 26 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/03(土) 21:01:19.02 ID:GYQ2bJfeo
-
動きを止めていた【何か】は陽乃を危険と判断したのか
複数の【何か】は一か所に集まりだして、その形をより大きく変えていく
それは変異ではなく進化
人よりもはるかに秀でた体躯をもつ【何か】が
人間である陽乃を自分以上の化け物だとでも感じたかのような急成長
陽乃「あれは……」
『主様や、人を救いたくば――受けるしかないぞ?』
集合した【何か】は体表面を刺々しく変質させていて
丸々としていた部分はどこにもなく、弓のように形を変えている
九尾はそれが何をしてくるのかを察しているようにほくそ笑む
陽乃「……後ろは」
学校の周辺には、住宅地
陽乃が躱せば、その後ろが吹き飛ぶのだろう
陽乃「本当に、貴女の力を使えば守れるんだよね?」
『主様が扱えるのならば』
- 27 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/03(土) 21:11:34.69 ID:GYQ2bJfeo
-
襲来した【何か】が進化していったのとは逆に、
一見、陽乃の身体には何の変りもない
小学校に通うのにも良く使う、動きやすい普段着
けれど九尾が出現する直前に感じた不快感は体に纏わりつくようにして今も残っている
九尾の力はきっとそれだろうと陽乃は判断する
人を惑わし、壊し殺すことを愉しむ妖狐
その力は幻惑か
あるいは――
陽乃「!」
考えもまとまらないうちに【何か】は光を放つ
矢とも形容されるそれは陽乃めがけてまっすぐ突っ込む
ただ人ならば、触れることもままならない
掠めるだけでも肉が飛ぶ
そんな人智を超えた【何か】の力を、陽乃は左手の甲ではじく
弾かれた矢はグラウンドの中央にまで逸れて突き刺さり、爆発する
- 28 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/03(土) 21:32:40.43 ID:GYQ2bJfeo
-
陽乃「えっ」
『呆けておる余裕があるのかや?』
陽乃「っ!」
矢のような形状をしている【何か】は次の矢を打ち出すべく動き出している
自分の不可解な力に驚く余裕も、喜ぶような余裕もない
陽乃は意を決して駆け出す。
陽乃の手には投げるような武器はなく、体一つ
倒すためには肉薄しなければならない
じりじりと動く弓のような形をした【何か】は矢を備えて――射出する
近づいた分、斜めに打ち出された矢を真っ直ぐ駆け抜けて過ごし、
背中にぶつかる暴風を追い風として
目の前にまで迫ったところで左半身を前に、体にブレーキをかける
グラウンドの細かい砂利に滑る足をつま先で何とか保ち――
陽乃「ふっ」
急制動の勢いを乗せた蹴りで【何か】を撃ち抜く
- 29 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/03(土) 21:42:37.54 ID:GYQ2bJfeo
-
あまりの勢いに一回転しかけた陽乃は、
下部の消し飛んだ【何か】がそのまま崩壊していくのを見送る
陽乃「ふぅ」
急な体の動きにも、息が上がっていない。
ただ身体が強化されただけではないだろう
陽乃「ねぇ――」
九尾の狐がいたところには、もう何もない
あちこちには、喰い殺された人がいた証が散らばっていて
住宅街の至る所から、火の手が上がっているのが見える
陽乃「もう……いない?」
学校とその付近に降り注いだ【何か】は
陽乃をただ殺すだけに集合してくれたのが幸いし、掃討することが出来た
その後も陽乃は、体育館からは絶対に出ないようにと言い残して
自分ならば戦うことが出来るからと、街へと駆けだした。
- 30 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/03(土) 22:22:05.45 ID:GYQ2bJfeo
-
県内に降り注いだ【何か】はもうおらず、
空に見えていた星も今はその景色が嘘であったかのように真っ黒になるころ、
陽乃は人のいない公園のベンチで休んでいた。
陽乃「帰らないと……」
陽乃が住んでいるのは、
島国である日本の中のさらに島国ともいる四国
その北西に位置している愛媛県
代々受け継がれてきた久遠家の神社は、瀬戸内海に面している伊予市にある
陽乃の体が強化されていると言っても、走り回れば流石に疲弊する
陽乃「……」
学校で姿を見せて以降、九尾の狐は声すら聞かせてはくれない
力を与えている間は姿を見せられないのかと陽乃は思ったが、
一番最初の時点でそんなことはなかったので、そんなはずはない
ただ、姿を見せる必要がないだけだろう
『主様』
陽乃「へぇっ!? な、なに?」
『このまま、学校とやらに戻るのかや?』
- 31 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/03(土) 22:31:53.16 ID:GYQ2bJfeo
-
学校には、かなりの被害が出ている
人命的な意味でも、建物の意味でも
今頃、周囲のより多くの人たちが避難所として利用するために集まってきていることだろう
降り注いできた【何か】は今はいないので、一先ずそれで問題ないだろうし、
陽乃が今すぐ戻らなければならないということもない。
陽乃「私のお母さんが、巫女をしているの」
『ほう?』
陽乃「お母さんはね、巫女だからって神社に残っていて……」
『主様が行くか迷い、被害がないとみて避けた道の先にある所かや?』
陽乃「見てたの?」
『うむ……少し違いはあるがのう』
九尾の狐は姿を見せず、声だけを聞かせる
他の人に声が聞こえていなければ、
独り言を言っているように見えるのかと、陽乃は少し、困った顔を浮かべて
『主様、神社に行くのかや?』
1、学校に行く
2、神社に行く
3、もうしばらくここにいる
↓2
- 32 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 22:33:47.80 ID:E1v/HvWn0
- ksk
- 33 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 22:35:10.45 ID:oB/qENMbO
- 2
- 34 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 22:37:34.32 ID:ELf5e12nO
- 1
- 35 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/03(土) 22:47:19.82 ID:GYQ2bJfeo
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできればお昼ごろから
もう少しだけ7/30
- 36 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 23:04:25.75 ID:oB/qENMbO
- 乙
ついこの間まで優しい世界の話がずっと続いてたせいか久しぶりに緊張感溢れる展開のギャップが凄いなぁ
そして尖ってたころの九尾も初期の不気味さが懐かしく感じたわ
- 37 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 00:31:55.11 ID:KA4Lnrg3O
- 乙
ここから天乃の記録に残ってたみたいにダウナーになってくのかそれとも別の時間軸になるのか
- 38 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/04(日) 13:21:10.07 ID:6v3Hokh5o
-
では少しずつ
- 39 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/04(日) 13:28:39.34 ID:6v3Hokh5o
-
陽乃「神社に行く」
『良いのかや?』
陽乃「もう、あの怪物はいないし……学校は大丈夫だよね?」
『一先ず治まったと考えても良かろうな。無論、絶対にとは言えぬがのう』
陽乃「……」
くつくつと喉を震わせるような笑い声を九尾の狐は漏らす。
沢山の人が亡くなった。
少なくとも学校の校庭に出ていた人の大半が喰い殺されてしまったことだろう
悲劇ではなく、惨劇
悲しいという言葉ですら侮辱にも取られてしまう現実味のないあまりにも乖離した光景が
頭の中にこびりついて離れない。
けれどそれがかえって、陽乃を冷静にさせている。
戦うことのできる自分が伏しては被害が広がる恐れもあったからかもしれないけれど
悲しみに暮れるようなことはなかったのは、
突如現れ、暴虐の限りを尽くさんとした【何か】に対しての怒りと焦りが湧いていたからだ。
戦いがひと段落ついた今でも、
喪われてしまった――と、空虚な感覚が残るばかりで、悲しさは薄い。
とはいえ、おかしく笑われるのは気持ちの良いことではない
- 40 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 13:32:16.16 ID:Qz5gU/88O
- 久々に昼きたー
- 41 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/04(日) 13:45:40.44 ID:6v3Hokh5o
-
陽乃はどこにいるのかも分からない九尾に向けて、眉を顰める。
陽乃「あまり笑わないで」
『人ならざるものである妾に、有象無象の死を憂えることを望むのは聊か過ぎたことであろう』
聞く耳を持たない訳じゃない。
だが、あまりにも理念も思想も感性も違えている。
人が路上に転がる虫の死を悲しむことがないように、
九尾の狐は、どれだけの人が死のうと関係はないのだろう。
それに異を唱えるのは傲慢と言われるかもしれない。
陽乃「ごめんなさい」
『くふふふふっ、よいよい。今日の妾は気分が良いからのう。気にはせぬ』
鈴のように響く声で笑う九尾の狐
彼女は伝承上の妖狐であり、現実には存在していないはずの生き物だ。
それが、ほんの少しだけとはいえ姿を見せ、
今もなお声を聞かせている
夢だと思いたいけれど、まぎれもなく現実
陽乃は【何か】もその類の存在なのではないかと、考えてベンチから離れる
- 42 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/04(日) 13:58:00.41 ID:6v3Hokh5o
-
陽乃「ねぇ、貴女はずっと私と一緒に居たの?」
『妾は久遠の巫女に憑きしもののひと柱よ。主様のみならず、常に妾は共におるぞ』
陽乃「九尾……さん。で良いんだよね?」
『妾が九尾の狐であるのかどうかという問いならば、然り。呼び名ならば好きにするがよい』
不敬でなければ気にはせぬ。と。
九尾の狐は笑いながらに付け加える
人とは違う感性を持っている九尾の不敬に当たる境界線はどこにあるのか
それを見つけられそうになかった陽乃は、九尾を呼ぶのを諦める
陽乃「貴女は神様の遣い? それとも、悪い妖怪?」
『妾が悪しきものならば、善きものであると嘯くやもしれぬ』
そう言った九尾はくつくつと笑って、
『妾が善きものならば、善きものであると主様を安心させようとするであろう』
九尾の狐は、日本においては玉藻の前としても伝わっていたりする他に
悪しきものとされていることもあれば、神獣として崇められていることもあり、
本当の九尾の狐というものが曖昧になって伝わってきてしまっている。
悪しきものであれば、陽乃は悪魔との契約をしたことになるし
もしも神獣であるならば、陽乃は神々と契りを結んだことになる。
陽乃「分かった。なら、善い人だって信じてる」
『良いのかや?』
陽乃「良くても悪くても、貴女は死ぬしかなかった私達を助ける力を貸してくれたから」
たとえ腹の底で悪意を煮詰めているのだとしても
陽乃には、それを探り当てるほどの疑り深さが欠けていた。
- 43 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/04(日) 14:26:09.31 ID:6v3Hokh5o
-
陽乃「あれ……?」
公園から歩いて十数分
神社へと続く路地には何台もの車が停まっていた。
車一台分の道。
大型車なら通れないような細い道すらも埋めてしまうような乱暴な車の停め方
電柱などにぶつかった事故らしいダメージも見当たらないので、
意図的にそうされていると考えるべきだろう。
参拝するにしては――乱暴だった。
陽乃「あんなことがあった後だから、急いでいたのかな?」
『ふむ……』
人々にとってはあまりにも理不尽に多くの命が奪われた
老若男女、善悪問わずそれが取るに足らない一単位として奪われた。
そんなことがあったのだ、
近くの神社に駆け込み神々に何故と問うことも決して錯乱とは言い難い。
- 44 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/04(日) 14:45:37.41 ID:6v3Hokh5o
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凄惨な災害の後だから、仕方がないと陽乃も思う。
今陽乃が冷静でいられるのだって、
自分に戦う力があるからであり、
それゆえに、決して心折れるわけにはいかないと思っているからだ。
そうでなければ自分が死ぬ。
それはまだいい。
自分の無力さで奪われるのだから、抗い敵わなかった結果だ。
だが、自分が奮い立てば守れたはずの命を奪われるのだけは認められなかった。
信憑性のない言葉で促すのではなく、
自ら動いていれば救えたかもしれない多くの命が目の前で奪われた。
断末魔の叫びが今も耳に残っている。
救いを求め、伸ばされた手がボトリ……と、落ちるのを見た。
死んだばかりの――生々しい血肉のにおいが、まだ鼻をつく。
そんなのは嫌だ。それはもう嫌だ。
だから、陽乃は今もまだ立っている。
陽乃「こんな停め方されちゃうと、通れないのに……」
- 45 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/04(日) 14:57:37.08 ID:6v3Hokh5o
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道を遮断するかのように止められている車の周りを軽く歩いて、
坂道になっている側にあるガードレールを軽く触る
足を踏み外せば下水に真っ逆さまだが、何とかなる……と陽乃は思って
その反対側、塀になっている部分をよじ登る
『何をしておる』
陽乃「向こう側に行きたいの」
『そんなもの、その邪魔なものを壊せばよかろう。主様に与えた力を使えば優に破壊できよう』
陽乃「嫌だよそんなの。この力は守るためのものだよ。傷つけるためになんて」
『それは人間ではあるまい』
陽乃「壊された人が、傷つくの」
『そういうものかのう』
理解出来ないといった様子の九尾の狐の吐息に、
陽乃は小さく笑って、車を越えた先の道に飛び降りる
- 46 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/04(日) 15:04:15.61 ID:6v3Hokh5o
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↓1コンマ判定 一桁
奇数 選択なし
偶数 選択あり
- 47 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 15:17:58.13 ID:Qz5gU/88O
- あ
- 48 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/04(日) 15:44:32.31 ID:6v3Hokh5o
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『……なれば、学ぶがよい』
陽乃「え?」
九尾は含みのある言葉を言い残して何も話さなくなった。
元々姿を見せてはくれないので、
そこにいるのかいないのかもわからなかったが、
声が聞こえなくなると本当に消えてしまったかのように思えるが
九尾から力を借りて以降、
色濃く感じる淀んだ雰囲気は陽乃の傍に漂っている
陽乃「学ぶって、なにを?」
しかし聞いても九尾は何も言わない。
陽乃は不思議に思いつつ、
ただ意味深に言ってみただけなのかもしれないと、考えて。
歩きなれた神社までの道を進んでいく
そして――
陽乃「あの、みなさんどうし――」
陽乃が壊さなかった車の持ち主によって、捕まった
- 49 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/04(日) 16:07:58.35 ID:6v3Hokh5o
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「……戻って、来てしまったのね」
陽乃「お母さん、なに? なんなの? 私達、どこに……」
逃げられないようにだろう
両手足を拘束された陽乃は、車の荷台へと押し込まれた。
そこには陽乃の両親もいて、
ほかの車には久遠家の親族が乗せられているらしく、
久遠家に関与しているみんながどこかへ連行されているのだという。
愁いを帯びた表情を見せる母親は、
巫女の装束に身を包んでいて
「貴女には、学校にいて欲しかった」
陽乃「何か知ってるの?」
「何が起きたのかは知らない。けれど、なにが起きるのかは、知っているの」
母親は揺れる車の荷台でなんとか体を起こして、
陽乃の方に目を向ける
「陽乃ちゃんが昔に読んじゃった本を覚えてる?」
陽乃「おばあさまが凄く怒っていた本?」
- 50 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/04(日) 16:34:14.95 ID:6v3Hokh5o
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母親は軽く頷くと、車が停まる
「怒ったのは、貴女が【人身御供】という言葉に興味を持ってしまったから」
陽乃「ひとみ、ごくう?」
「久遠家の先祖は神降ろしにおける、依り代の役割を担っていたの。その話に、触れそうだったのよ」
母親はむしろ止めずに聞かせてしまうべきだったかもしれない
そう、後悔したように首を横に振る
知らせていれば、母親がなぜこんな時に神社に残る必要があったのか
その話もできただろうし、陽乃に戻ることを躊躇わせることだってできたかもしれないからだ。
「依り代は、言い換えれば生贄のようなもので、私達は……捧げられる」
陽乃「さ、捧げられるって……」
「あと少し……あとほんの少しだけ貴女が寄り道をしていてくれたら」
母親は今さら言っても仕方がないことを呟き、
そうして、諦めたように目を閉じる
陽乃「お母さん、私……私ね。戦えるんだよ……降って来た化け物と。だからっ」
「陽乃ちゃん……それは、本当なの?」
陽乃「本当っ、本当だよっ、だからお話してやめて貰おうよっ、お願いっ」
- 51 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/04(日) 16:40:38.19 ID:6v3Hokh5o
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「ううん、それは駄目なの。どう話しても無駄よ」
陽乃「そんなことっ」
「根強い信仰心は、こうした時に牙を剥く。それこそが救いであると、疑いの欠片もない」
母親は囁くように零して、
しかし、陽乃のことを見て申し訳なさそうに笑みを浮かべた
「でも、貴女が神様に見初められたのなら……失うわけにはいかない」
陽乃「お母さん……」
「何とかするから、大丈夫」
心配しないでね。と、母は笑う。
陽乃が転んで怪我をしたときに「痛くない、痛くない」と
頭を撫でてくれていた時のように。
気持ちを和らげようとしてくれているその優しさに、
陽乃はどうしようもなく心がざわつくのを感じた
「お母さんに、任せて」
陽乃「っ……」
力を入れても、手を縛る紐はまるで緩む様子がない
九尾の力も使えないただ人では、大人のきつい拘束はどうにもできなかった
- 52 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/04(日) 17:02:52.21 ID:6v3Hokh5o
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陽乃達を乗せた車は、
法定速度も守らず、人がいなければ信号で止まることさえもせずにひたすらに突っ走った。
そうして久遠家の神社から約2時間ほどかけて辿り着いたのは、
愛媛県にやや隣接している香川県から
さらに、瀬戸大橋と呼ばれる大きな橋を越えた先にある岡山県
放り投げられるようにして降ろされた陽乃達の目に映ったのは、
酷く崩壊している街並み
人がいるような気配は殆どなく、
あちこちで火災も起きているというのに――消防のサイレンも聞こえないような状態だった。
そして、そんなゴーストタウンと化した街には【何か】が代わりに漂っている。
陽乃達を放り出すや否や、
お役目なのだと告げた人たちは拘束も解くことなく大橋の方へとまた逃げ帰っていく
泣き叫ぶ陽乃と同年代の子供達
せめて、子供だけは助けようと必死にもがく大人たち
叫び声に気付いたのかにおいに気付いたのか
漂う【何か】が次から次へと向かってくるのが見えて、絶叫がより大きくなっていった
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