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【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【1頁目】

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102 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/06(火) 19:50:54.46 ID:nUMAqqqRo

では少しだけ
103 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/06(火) 20:00:41.06 ID:nUMAqqqRo

陽乃「ねぇ上里さん。長野の方に応援を出したりはしないの?」

ひなた「そうですねぇ……今のところそういった話は出ていません」

若葉「現状は問題ないと定時連絡でも言われていますが、やはり……不安ですか?」

陽乃「片や一人、片や五人。不安がなくても最善を尽くすのなら――」

ひなた「いけません!」

ひなたは陽乃の言葉を先読みして、声を上げる。

ひなた「お気持ちは分かりますが、あまりそのようなことを言われては」

陽乃「上里さんが耳を塞いでくれていてもダメ?」

ひなた「駄目です」

申し訳ありませんがと付け加えたひなたは、若葉を一瞥すると息を吐く。

若葉が刀を抜くことが出来るとはもちろん思っていないのだが

四国における暫定的なリーダーを委ねられている若葉は、陽乃を律する義務がある。

それゆえに、陽乃がもし神樹様や大社を批判するようなことがあれば罰しなければならない。
104 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/06(火) 20:17:57.40 ID:nUMAqqqRo

勇者とは八百万の神々――今は、土地神と統一されている神々から力を授かり、

バーテックスに対抗し得る者達のことであり、

巫女とは、その土地神の声を聞く者のことである。

声と言っても九尾の狐のようにはっきりとした声ではなく、

何らかの象徴や暗示と言った抽象的な形――母親曰く神託を受けるのだという。

それに対して、

陽乃は土地神から力を借り受けているというわけではない上に

その協力神―とされている九尾―が大社に非協力的なため警戒されており

一時は陽乃を勇者とするのは問題があるとされたが

なまじ力の存在だけは証明できてしまったため、勇者として管理されることになった結果

陽乃の言動はやや制限されているような状態になってしまっている

陽乃「私が諏訪に行くって言ったら……」

ひなた「大騒ぎになりますね……こっそり抜け出したりなんてしたらパニック間違いなしです」

若葉「それは、もしかしなくても私の責任か?」

ひなた「ん〜……十中八九咎められるのは若葉ちゃんですね」
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/06(火) 20:33:08.80 ID:I90o20iKO
陽乃さん中々ややこしい立場なんだな…
106 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/06(火) 20:40:32.36 ID:nUMAqqqRo

若葉「私に久遠さんを止めろだなんて元々無謀だろう」

陽乃「乃木さんの居合を見切れるほどの実力はないのだけど」

若葉「何を言いますか。来ると分かっていればいともたやすく躱せるでしょう」

陽乃「対応出来ないわけじゃないのに、謙遜してくれちゃうんだから」

陽乃はいやいやと否定する若葉に苦笑する。

実際の話、陽乃は若葉よりも背が低く

居合を極めんとしている若葉の瞬発力には劣っている

しかし近距離戦闘が主体の陽乃は必然的に

確実に間合いを詰め、一撃を入れるための反応速度を備えていて、

若葉も十分に体つきはいいが、近接を主体として鍛えている陽乃には残念ながら劣るところもある。

そんな互いに拮抗していると言ってもいい状態だからこそ、若葉を暫定リーダーとして

陽乃を抑え込む役割が与えられているわけだが。

若葉「間違っても、こっそり抜け出すなんてやめてくださいよ」

陽乃「前向きに考えておくわね」

陽乃がそう言って笑うと、

若葉はあまり信じていないといった様子で、笑った
107 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/06(火) 20:58:07.72 ID:nUMAqqqRo

ひなた「神樹様からのお声もありませんから、まだまだ大丈夫ですよ」

若葉「久遠さんは片や一人と言われましたが、白鳥は私達六人に引けを取らないと思っています」

若葉は陽乃の五人を覆すかのように六人を強調して

若葉「色々と柵はありますが、久遠さんも私達と同じ学校の先輩で仲間ですよ」

陽乃「それこそ問題発言になっちゃうわよ。私と仲良くし過ぎたら罰則を受けちゃうんだから」

ひなた「親交を深める分には問題ありませんよ」

陽乃の困った表情にひなたはそう答える。

陽乃が他の勇者たちと仲良くなること自体、大社は問題ないと思っている。

むしろ、それを好ましく思っている節さえあるのだ。

そんなことは関係なしに、仲良くなって貰いたいとひなたは思う。

ひなた「久遠さん、もしよろしければお昼をご一緒しませんか?」

若葉「ひなた」

ひなた「久遠さんの一人でいるべきという主張も一理ありますが、やはり……」
108 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/06(火) 21:24:15.45 ID:nUMAqqqRo

陽乃は悪しき存在であるという情報をみんながみんな鵜呑みにしているわけではないけれど

とりわけ、郡千景は陽乃を良く思っていない。

巫女であるひなたを含めた七人の中でも、最もインターネットに通じているのが千景だ

出会った当初は陽乃がそうだと知らなくても、

少し時間があれば目にしてしまうその情報を知ってしまった千景が、

貴女が死ねば助かるんじゃないの? と言ってしまったことがある。

その時に陽乃は「冗談でも言われたくない」とやや空気をひりつかせたのだ。

陽乃「私がいると、高嶋さんまで気を使っちゃうでしょう?」

若葉「それは……気にしないように私が」

陽乃「………」

その日以降、二人の関係は芳しくない

千景と一番親しいように感じられる高嶋友奈が取り持とうと努力しているが――無駄に終わっていて

そこにいることを問題とはしていないけれど

陽乃がいるとどうしても空気が悪くなりがちだ

もっとも、いてもいなくても変わらないのかもしれないが。


1、悪いけれど、遠慮しておくわ
2、ありがとう、その気持ちだけ戴くわ
3、私よりも正式な勇者を優先すべきだわ
4、分かったわ。同席させて

↓2
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/06(火) 21:28:36.67 ID:bySs8KbPO
4
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/06(火) 21:33:10.52 ID:qhyd5XNi0
3
111 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/06(火) 21:49:58.12 ID:nUMAqqqRo

陽乃「ううん、やっぱり良くない」

若葉「久遠さんっ」

陽乃「私よりも正式な勇者を優先すべきだわ」

若葉「貴女も正式な勇者であるはずだ!」

陽乃「ありがとう」

若葉「くっ……」

陽乃の笑みに、しかし若葉は歯を食いしばる

ありがとうと言われても何かが成せているわけではない。

三年前、最初の襲撃を受けた島根から四国への帰路

聖域の門番であるかの如く瀬戸大橋の入り口に立っていたのが他でもなく陽乃だった。

酷く傷つき、今にも崩れ落ちてバラバラになってしまうのではないかと思うほどに覚束ない様子で

それでも、バーテックスを穿つ姿は見る人が見れば化け物だったかもしれない。

だがそれでも、若葉には勇者に思えた。

若葉「誰が何と言おうと、貴女は勇者だ久遠さん」

ひなた「若葉ちゃん……」

若葉「行こう。ひなた」

申し訳なさそうに一礼をして去っていく二人に、陽乃は笑顔で手を振って見送る
112 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/06(火) 22:17:39.43 ID:nUMAqqqRo

陽乃「ままならないものね」

『煩わしいと思うのならば排除すればよい』

陽乃「駄目よ。貴女、そう言って前に郡さんを殺そうとしたでしょう」

『主様の目的に小娘は不要であろう。なれば生かす意味も無し』

陽乃「郡さんがいたほうが私の負担が軽くなる。より多くの目標を達成できるわ」

九尾は不要と思えば処分してしまえが前提で

陽乃が止めなければ、今話していた若葉とひなただって殺してしまいかねない。

特に、陽乃を阻む役目を担っている若葉のことは寝首を掻くこともあり得る。

そしてそのためならば、無害と言えるひなたでさえも手にかけることを厭わない。

陽乃「とにかく、乃木さん達に手を出さないで頂戴。私がやったことにされるんだから」

『その程度の謀、主様が問われぬようになど容易く――』

陽乃「駄目って言ったら駄目なの。私は誰も死なせたくない」

『障害なぞ、排除してしまえばよいものを。難儀なものよ』

陽乃「一番簡単な手段ばかり講じていたら、通じなくなった時に積んでしまうでしょう?」

『ふむ……納得しておこう』
113 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/06(火) 22:25:42.63 ID:nUMAqqqRo

九尾の狐が表に干渉している不快感が薄れて陽乃は深々と息を吐く

陽乃は九尾の力を借りているが、

それに完全な適応をしているわけではない。

戦っていない時はただの不快感といった程度で済むが、

その力を全身へと巡らせ、行使するとなると多大な負荷がかかる

時間をかけ過ぎれば反動で陽乃の体が傷ついてしまう

陽乃「ほんと……ままならないものね」

大社からは危険物扱い

勇者の仲間内では腫れもの扱い

護るべき人々からは化け物扱い

それらのために頑張れば頑張るほど、体が蝕まれていく。

長野の勇者である白鳥歌野が孤軍奮闘するのではなく、

自分こそが孤独な勇者であるべきだったのだと、陽乃は思った。
114 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/06(火) 22:29:06.07 ID:nUMAqqqRo

√ 2018/07/30 昼 (丸亀城)

01〜10 杏
31〜40 若葉
51〜60 球子
81〜90 友奈


↓1のコンマ

※それ以外は通常
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/06(火) 22:31:55.34 ID:qhyd5XNi0
116 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/06(火) 22:38:29.10 ID:nUMAqqqRo

では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/06(火) 22:50:56.08 ID:MzthJUzdO

様々なところから邪魔者扱いな上に迂闊に動くと九尾が勝手なことしかねないから身動きも取りづらい…中々辛い状況だなぁ

あとのわゆ編に入ってから投稿量が増えてきて嬉しい
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/06(火) 22:56:38.32 ID:zXSBQRaSO

多いし早いな前は今頃開始だったはず…
この千景に前の周の千景を見せた反応をみたい
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/07(水) 01:48:01.07 ID:gpejg5A6O

境遇がハードモードで時代もハードモードだな
120 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/07(水) 19:58:52.09 ID:zUEGVc1vo

では少しだけ
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/07(水) 19:59:46.05 ID:0U59RMbCO
かもーん
122 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/07(水) 20:01:26.87 ID:zUEGVc1vo
√ 2018/07/30 昼 (丸亀城)


陽乃はみんなが集まっている食堂には向かわなかった。

若葉達と話したその足のまま日陰になっている石垣を探して腰かけると

朝のうちに用意しておいたおにぎりを鞄から取り出して、一口かじる

世界が奪われてしまう以前の陽乃には、到底考えられない食事だった。

以前の陽乃には、必ず傍に人がいた。

慕ってくれる人、ただ仲良くなった人

陽乃はすべての人に愛されていたとは思っていないし

嫌っている人もいるだろうことは自覚していたが、それでも愛してくれた人がいたと思っている。

それが今は、欠片もない。

殆どの人が奪われた。

あの日、陽乃の願いは聞き届けられることなく即座に避難させられなかった結果だ

護れた子もいる

けれど、ほとんどすべてを失って――

陽乃「……あっ」

無意識に力が入って、握りつぶしたおにぎりが崩れて地面に落ちる

どれだけ時間が経とうと、あの日の後悔は消えてはくれない
123 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/07(水) 20:14:09.89 ID:zUEGVc1vo

後悔を思い起こしてしまったからか、嫌悪感がふつふつと湧いて来る

やり場のない怒りを受けてしまったおにぎりのせめてもの抵抗力が

手のひらにベタベタと張り付いているのがまた不快感を生む。

とはいえ、それで発狂するほど子供でもなくなった陽乃は、

過去よりも今、落としたご飯のことを考える。

食べ物を粗末にすることは以前はもちろん今も許されたことではないと眉を顰めつつ

しかし拾って食べるわけにもいかず、溜息を零して気分を仕切りなおして――

若葉「こんなところにいたんですね」

声をかけられて顔を上げると、食堂で使われているトレイを持っている若葉が立っていた。

陽乃もさすがに困惑して呆然としてしまう。

若葉「なにか?」

陽乃「食堂から持ち出したらいけないんじゃなかったの?」

若葉「特別にお願いしました」

苦笑いして答えた若葉は、そのまま陽乃のそばに来ると、

隣に失礼します。と、一応は一声かけてから石垣に座る。
124 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/07(水) 20:27:04.31 ID:zUEGVc1vo

陽乃「何を考えているの? 正式な勇者を優先してって言ったでしょう?」

若葉「ええ、正式な勇者を優先しているつもりです」

陽乃「貴女の個人的な判断ではなく大社が定めた勇者を優先するべきだって言ったのよ」

陽乃も勇者として定められているが、

それは特例であって正式とは言い難いものになっている。

ゆえに、正式な勇者とは乃木若葉、高嶋友奈、伊予島杏、土居球子、郡千景の5名となる

しかし若葉は自分がそう思うからと陽乃を含めて、あろうことか抜け出してきたらしい。

陽乃は内側に感じる嫌悪感をどうにか飲み込む

陽乃「リーダー失格だと言われたらどうするの?」

若葉「久遠さんと郡さんを仲違いさせたまま、何も成せていない以上失格というのは妥当ですよ」

若葉は小さく笑って、膝上に置いたトレイを持ち上げる

二枚重ねだったのか、膝上には別のトレイが残った

若葉「久遠さん、こっちをどうぞ」

陽乃「え……」

若葉「久遠さんの分も、持ってきたんです」
125 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/07(水) 20:41:07.73 ID:zUEGVc1vo

若葉は自分の膝上のトレイが落ちないように気を付けながら、

陽乃の膝に持ち上げた方のトレイを乗せる。

トレイの上にはうどんの入っている小鉢が二杯あって、お箸も二膳用意されていて

一人分を手に取った若葉は自分の膝上のトレイに乗せる

若葉「余計でしたか?」

陽乃「余計では、ないのだけど……私が用意しているとは思わなかったの?」

若葉「その時は、自分で食べようかと」

陽乃「そう」

若葉は愛想笑いに似た笑みをずっと浮かべている

余計なことをしてしまったと思っているのなら、

初めから言ったとおりにみんなの方に行けばよかったのにと、陽乃は顔を顰める

若葉「久遠さんうどんはお嫌いでしたか?」

陽乃「ごめんなさい、有難いのだけど……やっぱり気になっちゃって」

若葉「向こうなら大丈夫ですよ。郡さんには少し異を唱えられるかもしれませんが、これも長の務めです」
126 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/07(水) 20:52:11.90 ID:zUEGVc1vo

若葉「私は、久遠さんの味方になりたいと思っています」

陽乃「味方……?」

若葉「長野への応援を切り出したのは、ここに居辛いからではないですか?」

陽乃「どうしてそう思うのかしら」

若葉「客観性を捨てたとしても大社や勇者、人々からの扱いを見聞きしていればそう感じますよ」

陽乃は非常に肩身の狭い思いをしている

それがたとえ理由あってのことだとしても

息苦しさを覚えるには十分で、

解放されたいと思うには事足りていて

どちらにせよ辛いのならば、他者を救済できる方に進みたいと思うものだろう。

若葉「人手不足な長野への応援、手持ち無沙汰な私達にとっては確かに合理的な提案だと私も思います」

陽乃「貴女そんなこと言ったら」

若葉「仲間の助言を聞かずして何が長か。たとえ私に上の組織があろうと貴女の長は私に他ならないでしょう」

だからこそ発言を阻ませたりはしないし絶ったりはしないと若葉は明言する


1、どうしたの? 急にリーダーらしいこと言っちゃって
2、上里さんに怒られちゃうからそういうのは駄目よ
3、それで? 貴女の推察が正しいとしてどう味方してくれるのかしら
4、そうね。正直、私はここに残るべきじゃなかったって思ってる


↓2
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/07(水) 20:54:19.86 ID:kVHnIm2t0
2
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/07(水) 20:57:14.16 ID:qXi2iyx6O
2
129 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/07(水) 21:29:10.73 ID:zUEGVc1vo

陽乃「上里さんに怒られちゃうからそういうのは駄目よ」

若葉「ひなたなら私の判断を後押ししてくれると思います」

陽乃「貴女は私の抑止力なのよ? それが、自ら私に肩入れするだなんて大社が黙っていないわ」

若葉「だとしても、貴女を独りにして良い理由にはならない」

陽乃「……」

若葉はひなたの名前を出してなお、陽乃のことを諦めようとしない。

暫定とはいえ、

リーダーという役目を与えられた責任を感じているのだとしたら立派だと、陽乃は思う。

けれど、本当にそれだけなのか。

これだけの決意があるのなら

ひなたが自分の後押ししてくれると信じているのなら

ひなたがお昼を一緒にどうかと誘った少し前の時間

今と同じくらいに踏み込もうとしても良かったのではないかと、陽乃は目を細めて

陽乃「私が何か企んでるかもしれないって、探りを入れてるんじゃないの?」

若葉「そんなつもりなんて毛頭ありませんよ」
130 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/07(水) 21:49:09.10 ID:zUEGVc1vo

若葉「助けに行きたくても白鳥を助けにはいけない。だから、せめてこの手の届く貴女だけは取りこぼしたくないんだ」

陽乃「なに、それ……」

若葉「私を拒まないで欲しい。独りにならないで欲しい」

若葉は希うように陽乃を見る。

食事よりも、陽乃のことを優先しようとしてくれているのを表すかのように

持ってきたうどんには一度も手を付けていない

陽乃は別に拒んではいない。

ただ、自分よりも優先すべき人達を優先して欲しいと思っているだけで

陽乃「貴女自分が何を言っているか本当に分かってるの?」

若葉「分かっている!」

陽乃「っ」

若葉「貴女が望むなら、私は貴女がここを出ていく協力をしたっていい」

若葉は膝上のトレイを落としかねない勢いで声を上げて

若葉「郡さんには友奈がいる。だから貴女には私……それでは駄目か?」

陽乃へと、手を差し出した
131 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/07(水) 21:57:37.32 ID:zUEGVc1vo

↓1コンマ判定 一桁

奇数 成功
偶数 失敗
ぞろ目 成功
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/07(水) 21:58:10.00 ID:qXi2iyx6O
133 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/07(水) 22:15:18.21 ID:zUEGVc1vo

陽乃「その申し出はありがたいのだけど……」

若葉「私では不服なのか?」

陽乃「問題はあるけれど乃木さんに不服はないわ」

そう答えた陽乃は自分の胸元を撫で下ろす。

ほんの少しだけ、嫌悪感が薄れたような気がした。

確証はないが、違和感がある。

もしもこれで違うのなら赤っ恥だが……それだけで済む。

陽乃「貴女、乃木さんじゃないでしょう?」

若葉「何をっ」

陽乃「乃木さんは真面目な人よ。私がお願いしたことを受けてなお、舞い戻るなんて出来ない」

若葉「どうしても――」

陽乃「それに……さっきからずっと貴女の力を使っているときと同じ感覚があるのよ。九尾」

若葉「………」

若葉は陽乃をじっと見つめて、そしておもむろにふっと笑うと

ずっと触らなかった端を手に取って、小鉢の中へと先を突っ込む

若葉「乱れのある今なら御しやすいと思ったが、なかなかどうして……難しいものだな」
134 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/07(水) 22:53:01.82 ID:zUEGVc1vo

陽乃「本物の乃木さんは?」

若葉「無論、上里ひなたと共に食堂にいる。これは妾の力によるまやかしだ」

陽乃「危害は加えていないのね?」

若葉「そういう契りがある」

うどんを箸で持ち上げた若葉はそれをまじまじと見つめて、ぽちゃんっと小鉢の中に落とす。

跳ねた汁がトレイに飛び散って僅かに若葉の服を汚すが、

そんなことはまるで気にせずに、苦笑する。

若葉の姿をしてはいるが、まるで若葉ではない

陽乃「どうしてこんなこと」

若葉「主様は妾にも真に心を開かぬ。であるならば、聞く者を用意せねばなるまいよ」

陽乃「だからって乃木さんの姿を借りるなんて――」

若葉「元より気など許せぬ者共の真偽不明瞭に今更思うことなどあるまい」

陽乃「………」

若葉「しかし案ずるな。妾は可能な限りに小娘を模倣したゆえ言葉の全てが偽りにはならぬ」

若葉に扮したままの九尾は、喉を鳴らす笑いを零す

それはもう、若葉の声ではなく九尾の声だった。

若葉「小娘の口から聞いてはおらぬだけのこと、心を覗き見たとでも笑えばよい」


1、二度とこんなことしないで
2、どうしてこんな嫌がらせするのよ
3、貴女、もしかしていつもこんなことしてるの?
4、だったら乃木さんである貴女が答えて。私がここにいて良いと思ってる?

↓2
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/07(水) 22:56:35.13 ID:jFWiay41O
4
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/07(水) 23:00:56.70 ID:kVHnIm2t0
4
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/07(水) 23:01:34.51 ID:2+kHYT0cO
4
138 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/07(水) 23:02:08.73 ID:zUEGVc1vo

ではここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/07(水) 23:12:33.92 ID:jFWiay41O

コンマは九尾を見破れるか否かの判定だったのか…
でも確かに若葉が妙にイケメンだと思ったらよくよく見たらバレる前から違和感があったな
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/07(水) 23:19:40.94 ID:2+kHYT0cO

後期の若葉はともかく前期の若葉にこの対応は無理でしょ
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/08(木) 02:26:23.65 ID:yW+rMRKkO

やだ陽乃さん鋭い
142 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/08(木) 21:32:04.60 ID:OWfdUIpSo

では少しだけ
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/08(木) 21:33:05.65 ID:UEQErAyxO
やったぜ
144 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/08(木) 22:04:46.69 ID:OWfdUIpSo

本当に若葉の見た目だけでなく思考も可能な限りに模倣しているのだろうかと、

陽乃は若葉に扮したままの九尾を見つめる

九尾の狐は、控えめに言っても性格が悪い。

今の陽乃が思い描く人間というものと比較してもだ。

だから陽乃をからかっている可能性も捨てきれない。

しかし――

陽乃「だったら乃木さんである貴女が答えて。私がここにいて良いと思ってる?」

若葉「無論ですよ久遠さん。私にとって貴女は勇者だ。蔑まれてなお護ることを放棄しない清さは私の中に羨望の念を絶やさない」

若葉――九尾は自分の胸元に手をあてがう。

そこに宿る想いに触れているかのように愁いを帯びた笑みを浮かべる九尾の瞳は陽乃を見てはいなかった。

九尾は陽乃の内心の葛藤を知っている。

だが、若葉はそれを知る由もない。

その情報の差を維持したままの九尾は陽乃へと目を向けて

若葉「みなの前を歩めるであろう勇者然としたその強かさを持つ貴女こそ、リーダーになって欲しいと思っているくらいだ」

陽乃「私が強かだなんて、馬鹿にしてるの?」

若葉「私は心折れていると思います。ひなたが支えてくれることで立ち直れるかもしれませんが、もしも孤独なら耐えられないと思いますよ」
145 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/08(木) 22:25:38.22 ID:OWfdUIpSo

若葉「私は久遠さんの心を知らない」

もしかしたら陰で悲しんでいるのかもしれないと若葉は首を振ると

それでも。と、上乗せして

若葉「こんな人々なんて守る価値などないと口にしないのは立派だと思います」

陽乃「……だから、私はここにいたほうが良いと?」

若葉「私はここにいて欲しいと思っていますが、それと同時にここから解放されて欲しいとも思っている。というのが正直な答えです」

若葉はそういうと、ようやく陽乃へと目を向けた。

その瞳には罪悪感と心苦しさが滲んでいて

陽乃と目が合えば、申し訳ないと言うかのように逸らしてしまう

若葉「人々が抱く過った敵愾心に、これ以上傷ついて欲しくない」

陽乃「……」

若葉「大社から貴女の素行に問題ないかという窺いが来るたび、街の人からあの娘は。という不安が聞こえるたび強く思う」

陽乃「貴女、どこまで――」

若葉「リーダーですから」

若葉は自嘲気味に鼻で笑って

若葉「だから、可能なら貴女に協力したいと思う。私だけでも貴女の味方でありたいと……思う」
146 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/08(木) 23:00:39.33 ID:OWfdUIpSo

若葉「郡さん達を説得できたとしても大社は貴女のその力に畏怖の念を抱き続ける」

陽乃「でしょうね……」

若葉「だから、ここにいて欲しいがいて欲しくない……答えに、なっていませんね」

若葉はそう、困ったように笑う。

若葉と言ってもこれまでの語りはすべて九尾によるもので、本当の乃木若葉の言葉ではない。

しかしながら、そのすべてではないにせよ若葉が心のうちに抱いている言葉も少なからずあることだろう

若葉は陽乃を勇者と言った。

陽乃が孤立していることを望ましく思っていないのも事実

人々や大社からの陽乃に対する不信感をリーダーとして強く感じているであろう若葉が、

陽乃をどうにかして救いたいと思ってくれている可能性も0ではない。

若葉「主様の親類縁者が贄とされたこと、それをした人間が世界に蔓延した憎悪の念の元凶であることも小娘は知らぬ」

陽乃「それを知ったら幻滅するかしら?」

若葉「知ればなおのこと憐れむであろうな。もちろん、だとしても害することを良しとはせぬであろうが」

陽乃「解放されて欲しい?」

若葉「命を賭けて守っても報われないだなんて、あんまりだろう?」
147 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/08(木) 23:42:48.79 ID:OWfdUIpSo

陽乃「乃木さんなのか貴女なのかどちらかにして貰えないかしら」

若葉「くふふっ……たとえ戦いの果てに尽きたとしても残る者共が価値無き命であれば徒死に同じよ」

若葉の顔で、若葉が浮かべないような笑みを浮かべる

命を賭けても報われないなんてあんまりだろう。とは、若葉の言葉だと陽乃は苦笑する。

九尾はそんなこと言わない。

陽乃「貴女にとっては、この世界に生きている人なんて護る価値無いんでしょうね」

若葉「いかにも。妾にとっては有象無象よ。護るのは主様であって妾ではない」

くつくつと笑う若葉は、

すっかり伸びたうどんの入った小鉢をトレイごと脇に避ける

若葉「手は貸す。しかし、妾は主様の望み以上に価値無き者共を救うことなどあり得ぬとゆめゆめ忘れぬでないぞ」

陽乃「あら……そういう助言をしてくれる優しさはあるのね」

若葉「難癖をつけられても困るからのう」

若葉はそういうと、体をだんだんと透過させて

若葉「主様がここを離れることも留まることも止めはせぬよ」

そう言い残して九尾が消え、残された二人分の伸び切ったうどん

陽乃はどうしたものかと、ため息をついた
148 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/08(木) 23:46:29.31 ID:OWfdUIpSo
√ 2018/07/30 夕 (丸亀城)

01〜10 ひなた
21〜30 友奈
61〜70 若葉
81〜90 球子


↓1のコンマ

※それ以外は通常
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/08(木) 23:48:52.18 ID:Utlp9ylmO
150 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/08(木) 23:54:52.11 ID:OWfdUIpSo

では本日はここまでとさせていただきます
明日は恐らくお休みをいただくかと思います

再開は明後日、可能であればお昼ごろから
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/09(金) 00:08:16.70 ID:VRxJWttUO

早くみんなと仲良くなって陽乃に癒しを与えないとだな
あと時代が違うのもあるけど九尾の雰囲気今までとだいぶ変わってるなぁ
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/09(金) 00:16:14.02 ID:/v/7XwtcO

九尾にこんな特技があったなんて……
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/09(金) 00:21:17.25 ID:8NiIWDybO

若葉は蔑まれていようと勇者である陽乃を羨望しつつ心配にも思ってるのか…もどかしいだろうなぁ
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/09(金) 12:30:04.69 ID:NxkMEdvSO
ここまで見る限り陽乃さんの性格って後の子孫と瓜二つな感じだな
もっと癖の強いイメージがあったから意外
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/09(金) 19:44:29.66 ID:zyCZVcGoO
今までの陽乃さんは最初は優しかったのが一族郎党皆殺しからの裏切りにあってるからね
母親が生きてる(ゾロ目のおかげ?)のがでかいよ
156 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 14:28:46.16 ID:C/X/kuhto
では少しずつ
157 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 14:31:31.30 ID:C/X/kuhto
√ 2018/07/30 夕 (丸亀城)


陽乃「ふっっ……はっ……たぁっ!」

夏ということもあって日が高い夕刻の頃、

まだまだ数を増やしつつあるセミの声がより活性化していく中に、陽乃の声が割り込む。

勇者たちはみんな夏休みの期間であろうと関係なく特訓を行う日々が続いている。

そこには陽乃も余ることなく組み込まれているわけだが、

しかしながら、陽乃は若葉達と違って独りでの特訓となっている。

というのも若葉の扱う刀や球子が扱う楯など

大社が科学や呪術的な研究方法によって少しでも解析することのできた勇者の力と違い、

陽乃の力は未知数なままだ。

大社の中には【バーテックスの力】ではないかという憶測も含まれており、

勇者達を再起不能にしてしまう恐れもあるとして、若葉達と組んでの特訓は許可されていないからだ。

陽乃「はっ……はふ……」

だから陽乃は丸亀城の天守裏でいつも一人で特訓を行っている。

道具の貸し出しは行われているのだが、陽乃の場合壊しかねないので基本的に借りることはなく

武術における踏み込みや姿勢、一つ一つの技の切り返しなどをより正確かつ素早く行う基礎練習に留めるしかない。
158 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 14:41:07.53 ID:C/X/kuhto

陽乃「……私、ここにいる意味あるの?」

学校の授業においては同室となっているものの

特訓は別、お昼も別

寮になっているところに関しては部屋が隣り合っているものの、

互いに行き来したりするような仲でもなく。

正直に言えば、陽乃は存在している意味がない。

陽乃「はぁ」

石垣に座り込んで汗を拭う

若葉に扮した九尾は「いて欲しいが解放されて欲しい」と語っていた。

あれが九尾による唆し程度のものである可能性もやはり捨てられない。

けれど、もしも若葉の本心に通ずる思いであるならば――と

考えてしまうと無碍にできるものではない。

陽乃「私の力は解析不能……ね」
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/10(土) 14:50:05.98 ID:0yph4CVzO
きてたー
160 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 14:58:11.41 ID:C/X/kuhto

扱う陽乃自身もすべてを理解出来てはいない。

九尾曰く本領は幻を見せたりする幻惑系であると言っているが、

陽乃の攻撃の一つ一つには毒素が含まれている。

神を殺せるかはともかく、進化種でも屠れる程度の対神特効のそれは、

九尾は素知らぬ顔をしているが、

伝承の一つにある死後にばら撒かれた【殺生石】の逸話だろうと陽乃は考えている。

近づく者を害してしまう、猛毒の石。

それが能力として備わっていることで、

最も近くにいる陽乃にも不快感や嘔吐感と言った症状で現れ、

戦いが長引けば余計に苦しむことになってしまっているのではと推測する。

もちろん、これは大社にも勇者達にも話せることではない。

自分さえも害するほどの有毒な力を持っていると知られれば、陽乃の立場は悪くなる。という程度におさまらないからだ。

話していない現時点で扱いが悪いので、

九尾の狐という名前からそれを推測し、勇者を再起不能にする可能性を抱かれているのかもしれないが。
161 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 15:19:15.50 ID:C/X/kuhto

九尾はお昼に若葉を模倣していたが

あれもまた、人に化けるとされた九尾の力

性格や言動に関しては、日々若葉達を影の中から監視し取り込んだのだろう。

陽乃「ほんと……考えれば考えるほど……」

九尾の力は、どちらかと言えば対人特化である。

確かに有毒な能力もあるけれど、どちらかと言えば人を殺す毒素だ。

幻惑に関しても化かすのに関しても

目があるのか定かではないあの化け物たちというよりは、

人間に対して作用させる目的があると考えられる。

そう考えると、

九尾は復讐するのにはうってつけのことごとく危険な存在に思える。

幻などで偽る力を使えば、誰も陽乃が手を下したなんて思わない

そして、持ち主である陽乃でさえじわじわと苦しむ毒で、死を望むほどの苦痛を与えられるかもしれない

陽乃「――っ」

首を振って、考えを振り払う

それはいけない。

それをやってしまったら――母に合わせる顔がない。



1、しばらく外にいる
2、寄宿舎に戻る
3、九尾に声をかける
4、もう少しだけ特訓を続ける

↓2
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/10(土) 15:21:09.41 ID:0yph4CVzO
1
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/10(土) 15:25:19.30 ID:0JPTOIXc0
2
164 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 15:59:26.24 ID:C/X/kuhto

01〜10 ひなた
11〜20 杏
21〜30 友奈
31〜40 千景
41〜50 若葉
51〜60 球子

81〜90 大社

↓1のコンマ

※ぞろ目なら任意
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/10(土) 16:00:34.39 ID:0yph4CVzO
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/10(土) 17:07:23.19 ID:x+F9MNmdO
いきなりモメそうな……
167 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 17:25:40.40 ID:C/X/kuhto

まだ日はそれなりに高いがそろそろもどっても良い頃だろうと寄宿舎へと向かうと、

その道の途中で、出会ってしまった。

勇者の中でもっとも険悪な相手と。

千景「……」

陽乃「……」

あの日以降、千景は陽乃に積極的に声をかけるような間柄ではなくなった。

けれど、陽乃を見えないもののように扱ってくれたりはせず

陽乃が居ればその目は僅かでもその姿を認めて、嫌悪感を宿したような視線を送ってくる。

千景がそれを意識して行っているのかどうかは分からないが、

少なくとも、陽乃にとっては居心地の良いものではない。

陽乃「郡さん、お疲れ様」

千景「……貴女も」

極力、明るく話しかけてみてみるものの

千景は表情を変えず、一瞥のみに留めて歩いていく

陽乃とは話す気がないというのが、強く感じられた
168 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 17:37:10.47 ID:C/X/kuhto

陽乃「高嶋さんは?」

千景「……いない、けど……?」

陽乃「それはそうだけど……」

どうして一緒に居ないのかを聞きたかったのだが、

友奈とて、一日中付き添っているわけではない。

鍛錬のあとでもあるし、まだ鍛錬中の友奈を置いてきたか、

もう少し続けるから先に帰っていいと言われたかのどちらかだろうか。

陽乃「………」

もしかしたら、昼間のように九尾が扮している可能性もある。

今は不快感を感じていないので

九尾の力が行使されていないとみて良いのだけれど――

陽乃「まだ、鍛錬中?」

千景「……用事があるって」

陽乃「そうなのね」

千景「……なに? 信じられないなら……確かめに行けばいいでしょう?」
169 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 18:00:01.60 ID:C/X/kuhto

陽乃「待って私は別に……」

千景「否定しないで……分かるの。貴女が私をどういう目で見ているかってことくらい」

千景は陽乃へと振り返り、その顔をあげて陽乃を見る

眉はつり上がっていて、怒りを感じる瞳は鋭くなっている。

陽乃「それは――」

千景「………」

陽乃「ちょ、ちょっと!」

千景は鍛錬で使っているであろう自分の武器を模した大鎌の先端を陽乃へと向ける

距離があるため、振りぬいても陽乃に当たることはないが、

戦う意思を示すそれには、陽乃も慌てて後に下がってしまう。

千景「これなら貴女を殺す心配はないわ」

陽乃「そんなこと言われたって……」

陽乃が勝とうが負けようが、

陽乃に力を貸している九尾がきっと黙っていてくれないだろう。

千景が殺す心配がなくなっても、千景を【殺してしまう】心配はなくならない。


1、確かに訝しんだけど、違うのよ……似た人がいたからつい
2、いい加減にして!
3、私は素手でだって貴女を殺せるのよ? 死にたいの?
4、良いわ。相手してあげる……その方が気も晴れるでしょ?



↓2
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/10(土) 18:01:55.28 ID:0JPTOIXc0
ksk
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/10(土) 18:04:42.53 ID:zPgdnr/hO
4
172 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 18:53:57.23 ID:C/X/kuhto

陽乃「……はぁ」

ここで勇者である千景を傷つけるのは、得策とは言えない

千景から言い出したことであるとしても、

千景がどれだけのダメージを負うか次第で、陽乃の立場は非常に悪くなることだろう

けれど、今以上に悪い扱いなどあるのだろうか。

なにより、

ここで千景に自分との力量差―あるのかは知らない―を示しておいた方が良い。

陽乃が上なら、千景もあまり威嚇するようなことはしてこなくなるだろうし

千景が上なら、陽乃は別に警戒する必要のない相手として扱って貰えると思う。

後者はとても情けなく思うが、

千景に警戒させないための手段としては、ありではある。

陽乃「良いわ。相手してあげる……その方が気も晴れるでしょ?」

千景「……余裕……なのね」

陽乃「余裕なんてないけれど、でも、そう思わない?」
173 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 19:22:35.55 ID:C/X/kuhto

陽乃は何度か握り拳を作っては開いて、手の感覚に問題が無いことを確認する

千景は木製の大鎌

普通の大鎌の重さを知らないが、

場合によっては木製の方が重いはずだけれど、問題はなさそうに見える

陽乃「郡さんは勇者の力を使っているの?」

千景「使っているわけ……ないでしょう?」

陽乃「普段から使えないの?」

千景「寧ろ……貴女は使っているの?」

陽乃「使おうと思えばいつだって使えるものじゃない?」

千景「そう……」

陽乃の場合、使いたくなくても使われているのが真実。

だが、自分の意思で使おうと思った時にすぐ使うことが出来るのも本当のことだ

特に、身体強化に関しては常時行われていると言ってもいい

しかし、千景が使っていないというのが事実なら

千景には勇者としての身体強化が行われていないということで

つまり、今の陽乃が本気の拳一発でも当ててしまったら――

陽乃「あー……」

勇者が一人死ぬことになる。
174 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 19:35:26.38 ID:C/X/kuhto

陽乃「郡さん、勇者の力を使って貰ってもいい?」

千景「素の状態じゃ勝てる自信がないの……?」

陽乃「そういうわけじゃないけど、殺したくないから」

千景「そういうために使う力ではないと思うのだけど」

陽乃は、九尾からの力の供給を断絶できない

力の制御はもちろんできているが、

それはある意味では、制御させて貰っている。というのが正しい。

九尾は陽乃の意思に関係なく力を使い、反映させられる。

陽乃が身体強化をしなくていいと言っても

千景に攻撃が当たる瞬間に作用させられたら千景の体が飛ぶことになる。

『くふふっ』

陽乃「邪魔しないで」

千景「……なに?」

陽乃「ううん、なんでも……勇者としての力、どうしても使えない?」

千景「今は……無理ね」



1、なら明日の朝、使える準備をして戦いましょう
2、じゃぁいいわ。素の状態で相手をしましょうか
3、すぐに使えない状態なんて……貴女、3年前のこと忘れたの?
4、勇者としての力がない人なんて相手をする意味がないわ


↓2
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/10(土) 19:38:56.57 ID:wes7eb1OO
1
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/10(土) 19:39:05.65 ID:x+F9MNmdO
1
177 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 20:12:54.43 ID:C/X/kuhto

陽乃「なら明日の朝、使える準備をして戦いましょう」

千景「明日……?」

陽乃「私は郡さんと違っていつでも力を使えるのよ。今だって、本気で殴ったら殺せるくらいに」

陽乃はそう言って一気に踏み込む

地面の砂利がこすれ合う感触が靴裏から伝わって――

陽乃「ふっ!」

地面を蹴り飛ばす。

ほんの一瞬で距離を詰めた陽乃は、固く握った左手の拳を千景の顔の前で止める

跳ね上げられた砂粒が近くの木に衝突して音を立て

巻き起こった風が千景の長い髪を舞い上げていく

千景「……っ」

普段は隠れがちな千景の左目には、拳が大きく映り……また髪に隠れる

元々そこまでの距離はなかった

けれど、一瞬で詰められるほどの距離ではなかったはずなのに

躱す余裕もないほどに早く拳をつき向けられてしまったことに、千景は息を飲む
178 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 20:22:51.52 ID:C/X/kuhto

陽乃「……ね?」

千景「分かったわ……明日の朝……」

千景は少し後ろに下がって大鎌を肩に担ぐと

やや不機嫌そうにそう言って、陽乃へと背中を向ける

千景の目に、陽乃の姿は捉えられていなかった。

千景が勇者としての力で身体能力を補ったとして、

陽乃の速さに対抗できるのかと言えば、微妙なところである。

若葉は、その素早い動きに合わせて瞬間的に刀を抜いて切り捨てる早業を持っているが、

千景にはそれがない。

陽乃「……やらかしたわね」

『くふふっ、良いではないか。ただ人を屠ったところで意味もなかろう』

陽乃「勇者を殺しても悪い意味しかないわよ」

『そのつもりであろう?』

陽乃「そんなわけ、ないじゃない……郡さんはあの人たちとは違うんだから」
179 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 20:44:24.68 ID:C/X/kuhto

千景も陽乃が死ねば助かるのではないかと言ったが、

それは彼らの流布した情報を知ってしまったからだ。

実際に陽乃に手を下そうとしたことはないし

陽乃やその母親を生贄に差し出したなんてことももちろんない。

だから、陽乃には千景を傷つける理由もなかった

陽乃「郡さんはあくまで、今の関係を何とかするためでしかないわ」

『ふむ……四肢の骨を砕くかや?』

陽乃「止めてよ怖い」

『……妾としては、害する人間共にでさえ手を下さず笑みを見せている主様の方が恐ろしく思うがのう』

陽乃「………」

『よもや、人間に全幅の信頼を置いている。などとは言うまい?』

陽乃「ええ、言わないわ」

千景の姿が見えなくなるころに、

陽乃は千景と同じ寄宿舎の方に向かう

人を信じるのは難しい

けれど、仲間でさえ信じないのはいかがなものかと、陽乃は少し思っていた。
180 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 20:46:12.91 ID:C/X/kuhto
√ 2018/07/30 夜 (丸亀城)

21〜30 友奈
51〜60 若葉
91〜00 ひなた


↓1のコンマ

※それ以外は通常
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/10(土) 20:49:50.13 ID:0JPTOIXc0
182 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 20:51:05.74 ID:C/X/kuhto

では少し中断します。
再開は21時半ごろからを予定しています。
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/10(土) 20:55:27.54 ID:wes7eb1OO
一旦乙
184 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 21:35:02.55 ID:C/X/kuhto

ではもう少しだけ
185 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 21:58:21.88 ID:C/X/kuhto

√ 2018/07/30 夜 (寄宿舎)


夜、陽乃は自分の部屋のベッドで横になっていた。

朝や昼なら街に下りないという条件は付いているものの、

外で過ごしていることも出来るが、

夜ともなると流石に外出しないようにと厳命を下されている

煩くなかろうと隣の部屋の音が聞こえてくるなんて壁の薄さはないが、

玄関としているドアを開けたりしたら流石に聞こえてしまう

陽乃「土居さんと伊予島さんは相変わらずね」

窓を開けてみると、

恐らくは杏の部屋から二人の声が聞こえてくる

大騒ぎというわけではないが、窓を開けているのかもしれない。

陽乃「……明日、郡さんと戦うってみんな知っているのかしら」
186 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 23:08:59.67 ID:C/X/kuhto

陽乃はまだ話していないし、

恐らくきっと千景はそういうことを話すような人ではない

そうなると、完全に黙っての模擬戦になってしまうわけだが

それはさすがに許されないので、明日の朝か後で連絡を入れておくべきだろうか。

窓を開けておけば若葉の悲鳴が聞けるかもしれない。

陽乃「それにしても……早まったかな……」

はっきりさせるには良いとは思うけれど

第三者―九尾以外―を挟まないあのやり取りは聊か早計だったかもしれないと

陽乃は今更思ってしまう。

千景のことを気に喰わなかったなどではないし、

先に武器を向けてきたのは千景の方だ

だとしても――

陽乃「頭に血が上っちゃったかな……」

少し、嫌な感じがしてしまう。



1、九尾を呼ぶ
2、若葉に模擬戦の連絡
3、エゴサーチ
4、少しだけ九尾の力を使ってみる


↓2
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/10(土) 23:13:10.21 ID:0JPTOIXc0
2
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/10(土) 23:15:03.35 ID:wes7eb1OO
2
189 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 23:39:35.93 ID:C/X/kuhto

陽乃「乃木さんに連絡しておこうかしら」

今更模擬戦を取りやめることも出来ないわけではないが、

それはそれでまた千景との関係に問題が生じるだろう。

だから後戻りもできないと考えた陽乃は、

支給されているスマホを手に取って、連絡用のツールを選択する。

支給されたスマホにはいくつかのアプリがアンインストール不可で追加されているが、

その一つに、連絡ツールがある。

そこには陽乃を含めた勇者全員と、

巫女の代表的な立場として近くにいるひなたが登録されている

もちろん、その関係者も削除できないようにもされている。

陽乃「乃木さん……あぁ」

以前千景と険悪になった後にフォローのために会いに来てくれたのだが、

若葉と陽乃のやり取りはその時の連絡が最後になっていた。

陽乃「結局、仲違いしたままなのよね」

それどころか、明日の朝に模擬戦を行うことになった。

乃木さんに少し申し訳ないなと、陽乃は苦笑する
190 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 23:56:04.33 ID:C/X/kuhto

一応、「申し訳ないのだけど……」という一文を入れてから、

千景と模擬戦を行うことを付け加えて若葉へと連絡を行う。

陽乃「さて……」

スマホを布団の上に投げて、目を閉じる。

耳を澄ませてみると、

夏のほんのり青っぽい匂いをより強く感じる

夜も元気な虫たちの鳴き声、

姿さえ見えなければ風情を感じる穏やかな時間の流れ

そして――

「なにぃぃぃぃッ!!!?」

聞き覚えのある悲鳴

窓を開ける音

「なんだなんだぁっ!?」

「今の声若葉ちゃん?」

「若葉ちゃん? 若葉ちゃん!」

球子の声と、友奈の声

そしてきっと駆け付けたであろうひなたの声。

陽乃は思わず苦笑して、

ベッドの上で震えるスマホを手に取る

表示はもちろん、乃木若葉だった。
191 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 23:57:24.68 ID:C/X/kuhto

では途中ですがここまでとさせていただきます
明日も可能であればお昼ごろから
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/11(日) 00:09:35.94 ID:h5sj2XAKO

この殴りあいでなんとか関係改善のきっかけになるといいけど…
あと今回の若葉は色々と気苦労が絶えなさそう
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/11(日) 00:53:13.44 ID:x6Z/gHkpO

まあ久遠さんも夏凜とどつきあってたしな
194 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 13:25:27.02 ID:lSpetpW+o
では少しずつ
195 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 13:30:00.94 ID:lSpetpW+o

若葉『な、なにが起きてそうなったんですか!?』

陽乃「顔合わせて喧嘩を売られて買った……かな?」

若葉『なん゛……っ』

若葉の女の子らしからぬ濁った声が途切れて

電話の奥で、若葉の声ではなくひなたの宥めるような声が聞こえる

目を離している間に、

要注意人物二人が出会って模擬戦を行う話になっているのだから

リーダーである若葉の頭は相当痛いのだろうと、

陽乃はごめんなさいと手を合わせることだけしておく。

陽乃「白黒つけた方が良いかなと思ったの」

若葉『なにもいきなり模擬戦なんて……しかも勇者の力を使って』

陽乃「勇者としての実力を示しあうものだから、そこは譲れないの」

若葉『むぅ……』

本当は殺しかねないからなのだが

流石に言うわけにはいかないので、誤魔化す
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/11(日) 13:33:24.15 ID:icgh0BMzO
きてたか
197 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 13:47:11.88 ID:lSpetpW+o

若葉『正直なところ、勇者の力を使っての私闘は避けて頂きたいと思っています』

陽乃「問題しか起こらないものね」

若葉『特に、郡さんから切り出したのだとしても原因は久遠さんにあるとされてしまう』

陽乃「事実だし」

若葉『それはそうですが……』

聞こえないように配慮したのかもしれないが、

離れた若葉の口から零れたため息が聞こえてしまう。

九尾の力を借りて以降、

そういった部分も鋭くなったような気がするのは気のせいなのかなと、陽乃は小さく笑みを浮かべる

陽乃「大社としては、やめて欲しいのかしら。それとも、叩きのめして欲しいのかしら」

ひなた『大社にはまだ伝わっていないと思いますので、分かりかねます』

陽乃「そっか」

ひなた『ただ、久遠さんの力が未知数なので怖いですね』

若葉『ひなた……』

ひなた『千景さんのこと、本当に害せずに済みますか?』

陽乃「勇者の力を使っていれば大丈夫だと思うわ」

ひなた『それが絶対かどうかが問題なんです』
198 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 14:30:21.17 ID:lSpetpW+o

ひなた『現状、久遠さんのお力は勇者にも効果的である。という可能性も考えられています』

陽乃「だからこそ、乃木さんに連絡をしたのよ」

若葉『場合によっては介入しろということですか?』

陽乃「危ないと思ったら止めて欲しいの」

若葉『それは……』

陽乃「郡さんだってただの人の力ではないから、手加減して叩けるほど弱い人だとは思えない」

ひなた『本気を出すから、自分では止められないというのはあまりにも危険では?』

陽乃「ぐうの音も出ないわね」

本気を出そうが出すまいが

九尾が裏切った瞬間に手を離れるので、それ以上に質が悪い

別の神様に切り替えられるなら切り替えたいくらいには、理不尽である。

もっとも、神々とはそういうものなのだろうけれど。

若葉『もしあれなら、私が郡さんと話して模擬戦の約束をなかったことにすることも出来ますが』

ひなた『それは難しいと思いますよ若葉ちゃん』

陽乃「確実に郡さんからあなたへの評価が悪くなるわ」

若葉『ぐ……』
199 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 14:53:30.06 ID:lSpetpW+o

若葉『しかし、模擬戦をやらせるなんてあまりにも危険だ』

ひなた『そうですねぇ……』

陽乃「でも蟠りをどうにかするためにも、ここで一発殴り合っておきたいじゃない?」

若葉『久遠さんっ』

陽乃「冗談よ。ごめんなさい」

模擬戦が言われている通り危険だと陽乃も分かっている。

しかし千景もやる気になっているし、

今の陽乃と千景の関係性を考えればはっきりするための方法としては必要な事でもある。

それは、若葉とひなたも分かっている。

だとしても――と、言うほどに陽乃の力が未知数なのだ

ひなた『若葉ちゃんがちゃんと見張って、絶対に止められるのなら私は仕方がないと思いますよ』

若葉『結局私の裁量なのか……?』



1、嫌なら高嶋さんに頼むけど……
2、もしあれなら、乃木さんが代行して模擬戦する?
3、必要なのよ。乃木さん
4、仲間内でまでごたごたしてるの、面倒くさいのよ


↓2
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/11(日) 14:57:53.16 ID:nf8XUZ0M0
3
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/11(日) 15:00:23.82 ID:icgh0BMzO
4
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