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【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【1頁目】

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478 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/25(日) 13:37:11.88 ID:Jsf9kLfNo

では少しずつ
479 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/25(日) 13:38:22.68 ID:Jsf9kLfNo

陽乃「ほんと……嫌われちゃってるわね」

ひなた「街の人達に関しては嫌われているというより……期待されているというのが正しいかもしれません」

人々は陽乃を人身御供として差し出すことで、

救われるかもしれないという話に希望を抱いている

そして、本来の役目を逃げ出したという罪の烙印を押されてしまった陽乃は、

まだ子供である若葉たちに重責を担わせるくらいよりも、

供物として差し出すことへの罪悪感が薄いのかもしれない。

それらが集うことで……より、声が大きくなっていく

ひなた「久遠さんを供物とすることは、勇者が戦う以上の希望なんです」

陽乃「私が死ぬことで治まるなんて……」

『ふむ……ないとは言えぬぞ』

陽乃「え?」

ひなた「?」

『久遠家は人身御供で捧げられる家系であるが、それを除いても神々に仕え平安を守る巫女でもある』

陽乃「そんな話……」

『主様の神社では、年に一度行われている特別な祭事を知っておろう?』

九尾はひなたには聞こえない状態のまま、

とても重要なことを、軽く話す

陽乃「えぇと……大体三月ごろにやるやつ?」

『うむ。それが名残として残っておった調和の祭事じゃ』

旧暦で2月、新暦で言えば大体2〜4月の初午の日に行う祭事

陽乃も巫女として手伝うことのあったそれは確かに、主祭神の一人である平穏を護った神の御姿を借りている

『久遠とはそもそも、その平安が永遠に続くようにと授けられた名じゃぞ』
480 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/25(日) 13:46:12.15 ID:WdqbfS1rO
きてたか
481 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/25(日) 14:04:12.78 ID:Jsf9kLfNo

ひなた「あの、久遠さん……?」

陽乃「あぁ、ごめんなさい」

ひなたには九尾の声が聞こえていないので

陽乃が一人で俯いて独り言ちているようにしか見えない

九尾だって、ひなたにも声を聞かせることは可能なのに、

それを不要として聞かせないのだから、困ったものである

ひなた「九尾さん……と、お話を?」

陽乃「ええ」

ひなた「本当に、特別なんですね……」

陽乃「あら、代わってくれる?」

陽乃の特別は、残念ながら人々から忌避されるようなものであり、

陽の個人としては、

誰かが代わりになってくれるのであれば、なって貰っても良いと思う

もちろん、自分たちの命の保証がされることが前提ではあるが。

ひなた「いえ……私にはとても……」
482 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/25(日) 14:13:35.70 ID:Jsf9kLfNo

人々を四国へと連れ帰って来た勇者、乃木若葉

その巫女として付き添って来た上里ひなた

ひなたは、見初められた巫女の中でも適性が随一であるとされていて

大社からの信頼も厚い

大社からも、他の巫女からも頼りにされているのだ

しかし……ひなたは浮かない表情で首を振る

ひなた「巫女としての適性が最も高いのは、おそらく久遠さんだと私は思っています」

陽乃「そうかしら? 無垢じゃないわよ。私」

ひなた「そもそも、精霊とされている九尾の狐は神獣の一種であるともされていて、神に等しい位の高さを持っているんです」

陽乃「そうなの?」

『くふふふっ、さてのぅ?』

知ってはいるが、あえて訊ねた陽乃に九尾は嘯く

声色は柔らかいので、ひなたの誉め言葉に少し喜んでいるのかもしれないと、

陽乃は眉を顰めた。

ひなたは、九尾に聞いたその言葉が自分に向けられたと考えてか、頷いた。

ひなた「はい……ですので、私が仮に九尾さんのお声を聞くとなると神託という形になって、抽象的な何かを見せられることになるだけだと思います」

陽乃「普通に会話することは出来ない……?」

ひなた「恐らくですが」

『ふむ……』
483 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/25(日) 14:30:22.06 ID:Jsf9kLfNo

九尾は悩ましげな声を漏らして、ひなたの方へと影を伸ばしていく

殺意も敵意も感じられず、

むしろ、ひなたの言葉に喜んでいたので、害はないだろうと見過ごすと

不意に、ひなたが悲鳴を上げた

ひなた「なっ、なっ……きゃっ……」

陽乃「何してるの?」

『くふふっ、いやなに……少し試しただけのこと』

九尾がくつくつと笑って影を引っ込めていくと

顔を赤くしているひなたは体を抱きしめるようにして、

壁に沿ってズルズルと、座り込んでしまった

ひなた「い……今のは……」

陽乃「九尾が上里さんに近づいたの。大丈夫?」

ひなた「はい……ただ、その、ぞわぞわっとして……腰が抜けてしまって」

『主様のように、あやつに取り入ることは妾には出来ぬ』

陽乃「それって声を聞かせることも?」

『それは可能じゃぞ。妾が人の形を取り人間の領域に降りてやればよいだけじゃからのう』

それとは違って。と、九尾は続ける

『主様は己の体を依り代とした神降ろしを行っておるのじゃが……あやつにもその器はある。しかし、妾を降ろせば器が砕ける』

陽乃「つまり、代わりには出来ないって言いたいのね」

『うむ。妾とは合わぬ』


1、だったら、人の姿で出てきてあげてくれない?
2、でも、上里さんに器があるってことは神様を降ろせるのよね?
3、あんまり変なことしないであげて
4、それで……上里さん。急で悪いのだけど。私、ここを出ていくことにするわ


↓2
484 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/25(日) 14:33:03.99 ID:rE7Y+k9xO
1
485 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/25(日) 15:16:00.93 ID:WdqbfS1rO
1
486 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/25(日) 16:09:57.07 ID:Jsf9kLfNo

陽乃「だったら、人の姿で出てきてあげてくれない?」

『必要があるかや?』

陽乃「その方が話がスムーズに進むでしょう?」

『ふむ……』

九尾は少し不満そうな吐息を漏らしたが、

ひなたの方へと顔の部分を向けると、

公園でしていたように、

ベッドに腰かける形で影を人の姿へと作り替えて――

千景「これで、良いかしら?」

陽乃「っ……」

ひなた「どうしてわざわざ……千景さんの姿を」

千景の姿を取って見せた九尾は、

陽乃を一瞥すると、鼻で笑って両手を上げて見せる

千景「私は嫌だって……言ったけれど、彼女がどうしてもって言うから」

陽乃「嫌がらせってわけね」

千景「そう思うなら……勝手にどうぞ」
487 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/25(日) 16:24:39.02 ID:Jsf9kLfNo

千景が陽乃の部屋にいるのは異様としか言えない。

もちろん、実際には九尾であって彼女ではないのだけれど

雰囲気は、彼女そのものだ

その千景はベッドの上に座ったまま、陽乃ではなくひなたを見る

千景「私と話したいなんて……上里さんは……変な人ね」

ひなた「申し訳ありません……」

陽乃「上里さん……?」

怯えたように声を絞り出すひなたは体を震わせていて

目を見開いて、ゆっくりと頭を下げていく

陽乃にとって今の九尾はいつもと変わりない

ただ少しばかり不機嫌なだけの様子だが、ひなたにはそう感じられていないのだろう。

だんだんと呼吸が荒くなって――唐突に千景が笑い声を零した。

千景「ふふっ、ごめんなさい」

ひなた「っ……」

千景「別に、貴女を取って食おうとか思っていないから安心して」

笑みを浮かべた千景は、

陽乃のことを見ると、肩をすくめて見せて、その姿をまた別の勇者

ひなたが最も身近に感じられる乃木若葉へと切り替える

若葉「すまない。少し試してみたくなってな……怖がらせるつもりはなかったんだ」
488 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/25(日) 16:56:26.10 ID:Jsf9kLfNo

ひなた「若葉……ちゃ……」

若葉「ひなたは確かに巫女の適正とやらが高く感じられる。だが、それはあくまで……素質があるというだけだ」

陽乃「えっと……つまり何が言いたいの?」

若葉「あまり無理をさせるな。という事だ」

自分が無理をさせたことは棚の上にあげ、

額に汗を浮かべて、

肩での呼吸にまで動揺してしまっているひなたをベッドの上に寝かせた若葉―九尾―は、

その横に腰かけて、ひなたの汗を拭う

若葉「生れ落ちてから神々と共に在った久遠さんとひなたでは、強度に天と地の差がある。と言えば分かるだろうか?」

陽乃「ええ、それなら……分かるわ」

若葉「器はあるが脆すぎる。久遠さんに行ったように力を纏わせたりしたら、ものの数分で精神が崩壊する」

ひなた「っ……はぁ……神託を受けた疲労感の、比では……ありませんでした……」

若葉「そうだろうな。ひなたに与えたのは神託ではなく祟りに近い物だったからな」

陽乃「え……九尾っ!」

祟り。

それは人間が成し得るものではなく、

超自然的な何等かによって引き起こされる、呪い以上に危険なものだ

それをしたとあってはさすがに咎めるべきだと声を上げた陽乃を制するように、若葉の姿をした九尾は息をつく

若葉「ひなたは私を神の御使い足る神獣であると評した。なら、私が害する理由はない」

陽乃「でも、祟りなんて」

若葉「近い物だと言っただろう? 毒にも薬にもなり得る神に近しい私の加護だよ」

九尾は若葉の体で、若葉の声でそう優しく声をかけると

ひなたの前髪を軽く払って、額に口付けをする

若葉「私を神獣と呼んだこと。殺めてやると言った私に臆せず歩み寄るその愚かさへの褒美だ」
489 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/25(日) 17:44:30.84 ID:Jsf9kLfNo

若葉……九尾の口づけを受けたひなたはゆっくりと瞼を閉じて、眠ってしまった

吐息は聞こえるので、別に亡くなったわけではない

若葉「全く……人間というものは愚かだな」

陽乃「上里さんは大丈夫なのね?」

若葉「私の加護の重さに耐えられず眠っただけですよ。じきに目を覚まします」

陽乃「上里さんが気に入ったの?」

若葉「久遠さんさえ言わない神獣と言った娘ですよ? そのうえ、殺意を向けた私に歩み寄ろうとしたんだ。褒美の一つもくれてやるさ」

そう言って笑った若葉は隣で眠るひなたを一瞥すると、

もう一度若葉らしい笑みを浮かべて見せて、小さく息を吐いた

褒美とは言うが、気に入っているようだ

若葉「ただ人で唯一守ってやるというだけですよ」

陽乃「私の部屋で寝ていたら不信じゃない?」

若葉「どうせ伊予島しか来ないですよ。勇者の中でも貴女は近づいてはいけない人ですから」

若葉は困り顔で零し、

ひなたを起こさないようにとベッドから立ち上がる

若葉「さて、これからどうする? まさかこのままここに居座るわけにもいかないだろう?」


1、焼け落ちた自宅
2、焼け落ちた神社
3、国外
4、公園
5、いいえ……姿を変え続けて潜伏するわ


↓2
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/25(日) 17:58:33.79 ID:0LiFRTWj0
5
491 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/25(日) 18:00:38.33 ID:WdqbfS1rO
2
492 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/25(日) 18:27:55.56 ID:Jsf9kLfNo

陽乃「神社に行きましょ」

若葉「久遠家の神社か? あそこで暮らすつもりか?」

陽乃「敬語を使わないの?」

若葉「ひなたは寝ているんだ。もういいだろう」

九尾はそう吐き捨てると、

一応はひなたを一瞥してから、ため息をつく

若葉「久遠さんがそうしたいというのなら、構わないが……有様に嘆かないことだ」

陽乃は自宅や神社が放火され、

焼け落ちたという話を聞いただけで

その現場を見たわけでも、

そのあとの惨状を目にしたわけでもない。

九尾はそれを思ってか、困ったように首を振る

若葉「一応、姿は変えておく」

陽乃「もし、私だってバレたら?」

若葉「死人が増える」

陽乃「……分かったわ。宜しく」

陽乃が陽乃だと知られた場合、

九尾は陽乃に手を出そうとする人々を容赦なく殺すだろう

そうならないようにと、陽乃は九尾へと声をかけた
493 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/25(日) 18:35:58.59 ID:Jsf9kLfNo

↓1コンマ判定 一桁

0 00 最悪
1〜3 良い
4〜6 悪い
7〜9 普通
ぞろ目 最良
494 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/25(日) 18:44:59.32 ID:rE7Y+k9xO
ふみゅ
495 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/25(日) 19:01:56.88 ID:lZXNrZw40
なんか判定だといっつも1〜3ばかり出るイメージ
496 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/25(日) 19:18:33.79 ID:Jsf9kLfNo

√ 2018年 8月1日目 夕:神社(壊)


久遠家が管理していた神社は、それなりに規模の大きいものになっている。

本殿を除いて社が九つあり、

それぞれに祭神が祀られている

いや――祀られていた。

陽乃「……酷い有様だわ」

神社は本殿のみならず、目に見える全てが焼け落ちていた

それが延焼してしまったのか

狙ってそうされたのかは考えるまでもないだろう。

『主様、九美社に向かってくれるかや?』

陽乃「いいけれど……」

参拝順路に従って、

しかし、見るも無残な状態に顔を顰めながら、

本殿の裏……正しくは南に存在していた九美社に向かう。

赤と白を基調とした木造の社は、見る影もない

陽乃「……駄目ね」

『ふむ……見るまでもなかったが、やはりすべて落ちておるのう』
497 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/25(日) 19:53:02.46 ID:Jsf9kLfNo

陽乃「ただ、それなりに片付けがされてるわ」

『ほう?』

陽乃「放火されて、焼け落ちて……ボロボロだけど、そのまま放置されたわけじゃないみたい」

『盗人がいたようじゃがのう?』

陽乃「それとは別」

九尾は分かっているだろうけれど、陽乃はあえて否定する

九美社から離れ、ほかの社や本殿も見て回ったが、

九尾が言うように盗みに入られた形跡がある。

明らかに焼失ではなく、消失しているものが複数あったし、

酷いものは何かでたたき割られていたから、確実だろう

陽乃「一応、雨風はしのげそうね」

『本気でここに住むつもりかや?』

陽乃「他に行けそうなところないでしょ?」

ここから近い実家に帰ることも考えたが、

そこはむしろ、周囲の目がある可能性が高い

見つかった場合にその人が殺されることを考えると

雨風がしのげる本殿に隠れ住むのがベストだろう
498 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/25(日) 20:37:33.10 ID:Jsf9kLfNo

『外に出てしまうのも手ではあるじゃろう』

陽乃「そんなことしたらお母さんがどうなるか分からないじゃない」

『乃木と上里に言うてみたらどうじゃ』

陽乃「その二人なら……」

助けてと言えば、二人なら助けてくれるかもしれない

たとえ陽乃が勇者の権利を剥奪されたとしても

母親を匿うことに協力してくれるかもしれない

ただ、母親はそれを望まないだろう

陽乃の母は、あくまで巫女として大社に属しているだけだ。

それがなければ、匿われるなんて拒否することだろうし

陽乃の代わりに、人身御供として喜んで捧げられるはず。

陽乃「はぁ……」

『主様の母親は、本来ならば死していた人間じゃぞ』

陽乃「だとしても、助けられたじゃない」

『そうじゃ。主様は不要な人間を助け、己に枷をしておる。無駄で愚かで阿呆じゃのう』
499 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/25(日) 21:34:08.96 ID:Jsf9kLfNo

喉を鳴らして笑った九尾は、

焼け残っている本殿の一部分

そのさらに片隅で座り込んでいる陽乃の隣に人型を作りだす

友奈「こんな場所で隠れていなくちゃいけないなんて……おかしいです!」

陽乃「こんな場所でも、私の大切な場所なんだけどね」

友奈「あ……ごめんなさい。でも、雨しか防げませんよ」

扉なんてない

鍵なんてない

屋根となれる程度のものがあるくらいで、

強風なら、容赦なく雨が吹き込んでくるだろう

友奈「帰ってきて貰えませんか? あのことなら……全然、問題ありませんからっ」

陽乃「それをやったのは貴女でしょ」

まったく。と、

陽乃は呆れてため息をつく

友奈の姿をしているが九尾は九尾だし

例の件を行ったのは、その九尾だ
500 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/25(日) 22:08:42.27 ID:Jsf9kLfNo

球子「仕方がないだろー……ああでもしなきゃ、久遠陽乃の力は示せない」

陽乃「本気を出さなかったくせに」

球子「そもそも、勇者自体が本気を出していないからな」

そう言った九尾は、

先刻言っただろう? と、球子の声で笑う

球子「久遠さんがしてるのは神降ろし。完全に同じことは出来ないにしても、勇者はみんな神降ろしに類似した現象を引き起こす器がある」

陽乃「それって……ほんと?」

球子「もちろん、久遠さんのように常時行うなんて出来ないだろうけどなー一時的にならできるはずだぞ」

球子の姿で

球子らしい仕草をして見せるものの

浮かべている笑みには、九尾の怪しさが感じられた

球子「タマだってきっと凄いことが出来るぞ。まぁ、その反動で大変な事になるだろうけどな」

陽乃「私よりも酷いことになりそうっていうのだけは分かる」

巫女の中で最も適性があるひなたでさえ、

神降ろしすることで、壊れてしまうと九尾は言った。

神の力を借り受ける勇者であれば、ひなたよりも耐えることは出来るかもしれないが

やはり、その影響は大きいだろう
501 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/25(日) 22:31:37.54 ID:Jsf9kLfNo

神社に逃げてから、九尾と二人きり

今までよりも話をしてくれるので

思っていたよりは寂しさを感じないけれど

部屋とさえ言えないありさまには、さすがに心が疲弊する

友人に拒絶され、千景に死ねと言われて、

唯一休むことの出来ていた部屋にはもう戻ることは出来なくなって

布団いちまいさえない焼け落ちた本殿で、寝泊まり

わびしいどころの話ではない。

だからこそ、九尾は寄り添ってくれているのかもしれないが。

千景「久遠さんは現状、敵しかいないと言っても良いわ」

陽乃「最低でも半分は貴女のせいだけど」

千景「本当にこのまま逃げ隠れし続けるだけでいいの?」

陽乃「言っておくけれど反旗を翻すなんて、私はしないからね」



1、郡さんの姿は止めてくれない?
2、ねぇ、勇者が使える神降ろしって具体的にはどんなものなの?
3、そう言えば……最初に貴女、私に憑いているひと柱って言ってなかった?
4、それで? 貴女はほかに何ができるって思っているの?
5、例の……貴女の子供になる作戦はまだ有効?


↓2
502 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/25(日) 22:33:59.67 ID:LoFi6g95O
4
503 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/25(日) 22:34:05.15 ID:S94B52LYO
3
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/25(日) 22:34:44.35 ID:0LiFRTWj0
5
505 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/25(日) 22:43:21.59 ID:Jsf9kLfNo

では本日はここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
506 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/25(日) 22:54:39.93 ID:0xQdSVugO

あの九尾から信頼を勝ち取るとはひなた流石だな
あと若葉たちに色々化けてる九尾だけど前まであった自前の人間体は今回無いっぽい?
507 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/25(日) 23:05:54.63 ID:rE7Y+k9xO

ひなたは好かれる子なんだな
これで何か変わるんだろうか
508 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/26(月) 20:09:59.56 ID:80k7U8hDo
では、少しだけ
509 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/26(月) 20:10:46.51 ID:80k7U8hDo

陽乃「ところで……さっきの話で思い出したんだけど」

千景「なに?」

陽乃「………」

千景と身を寄せ合っているという違和感に陽乃は眉を顰めて

これは九尾なのだと頭を振って、目を瞑る

千景の顔、千景の身体、千景の声

だが……九尾だ

陽乃「貴女、最初に私に憑いているひと柱って言っていなかった?」

千景「あぁ……言ったわね」

陽乃「あれってどういうこと? まさか……」

千景「そうね。せっかくここにいるんだから説明したほうが良いかもしれないわね」

千景はそう言うと、陽乃の方に目を向ける

表情があまりにもにこやかで気味悪くさえ感じてしまうが、

それは千景に対して失礼だろう

千景「九尾の狐はこの神社で言う九美社を主として存在している。つまり、貴女が本来降ろす神は私とは別にいる」

陽乃「ん……と? もしかして主祭神として崇めていた神様……?」

千景「そう。上里さんが神様に愛されていたように、貴女もまたここの神々に愛されているから力を借りられるのよ」

九尾は困り顔で「けれど」と呟く

千景「厄介なことにこの有様よ」

陽乃「火事で焼け落ちたのが問題なの?」

千景「人間だって、自分の家が焼かれたら怒るでしょう?」

陽乃「あ……」

貴女には縁のないことだったわね。と、

九尾は嫌味たらしくぼやいて、ため息をつく

千景「そのうえ、帰る場所がなくなる。そうなったらどうすると思う? ねぇ? 久遠さん」
510 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/26(月) 20:28:36.58 ID:80k7U8hDo

久遠家が奉っていた神々は、

神社への放火によって居場所を奪われている

それに憤りを覚え、愛している……らしい陽乃がこんな状況に陥っている

さて、神々はどうなっているだろうか?

九尾は悍ましささえ感じさせるような表情を見せると

ニヤリと口元を歪ませる

それは人の作り出される口の大きさを超えているようにさえ、見えてしまう。

千景「貴女に憑いている神で最も厄介なのは、伊邪那美命でしょうね」

陽乃「イザナミ様……」

千景「かの神は愛と誓約に重きを置き死を誘うのよ……分かるでしょう? 貴女の境遇は、彼女にとって人間を滅ぼすに値する裏切りの中にある」

陽乃「それって、貴女よりも不味いの?」

千景「ふふふっ、私も九尾として死を与える性質はあるけれどかの神は私のそれなんて足元にも及ばないわ」

九尾はそれが軽いことのように言うが、

九尾が足元にも及ばない死の性質を持っているとなると、

勇者でさえ……神々でさえ、その力の影響を受ける可能性が高い

そして、その神が人々に怒りを覚えている

陽乃「その神様が、貴女のように私の主導権を奪う可能性は?」

千景「さぁ? 私の預かり知らないことよ。言っておくけれど、いくら貴女でもかの神を扱うのは命を削るわ」

陽乃「九尾の力でも血反吐を吐くんだけど……」

千景「そう言えばそうだったわね……残念ながら、貴女の神は器を壊しやすいみたいね」
511 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/26(月) 20:33:19.12 ID:nP2k+Ag4O
死神の話題久しぶりだな
512 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/26(月) 20:45:00.20 ID:80k7U8hDo

それでも九尾はまだましな方らしい。

というのも九尾の場合、

死に至らしめる毒素を持っているから血反吐を吐くことになっているだけで、

かの神……伊邪那美命のように死に関する【祟り】を持っているわけではないからだ。

千景「大地母神でもあるかの神は、しかしながら地の神ではなく天の神よ」

陽乃「天の神……って、神樹様と正反対だわ」

千景「そうね。乃木さんの刀、生大刀の主である大国主神の上の上……元をたどった先にいる神は貴女も知っているでしょう?」

陽乃「それって、イザナギ様のことよね?」

千景「そう。その神が裏切りの果てに作りたもうた子供の子が大国主神」

ここぞとばかりに、罵って見せた九尾は、

それを悪びれもせずに、鼻で笑う

流石にいかがなものかと陽乃は思ったのだが、

九尾は人間ではなく、信仰心もないからどうでもいいのだろう

千景「そんな存在とその賛同者たちが護るこの国は、伊邪那美命にとって守る価値なんて存在しえないと言っていい」

陽乃「………」

千景「端的に言えば凄く相性が悪い。神樹様とそれに属している勇者達みんなと、貴女はね」

九尾は色々と詳しく

言い換えればまどろっこしく話してくれているが

つまるところ【しびれを切らしてこの国を滅ぼすこともあります】というわけである。
513 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/26(月) 21:02:29.44 ID:80k7U8hDo

千景「今はまだ、貴女が滑稽にも人を殺めることを良しとしないからなりを潜めているけれど、危ないわね」

陽乃「危ないって、止めてよ……私の手で人を殺させる気?」

千景「久遠さん、一番の友人に裏切られたでしょう?」

陽乃「あれはっ」

千景「そういうのを、かの神は大いに嫌うのよ」

千景はお手上げとばかりに、手を上げて首を振る

お茶らけて見せてはいるが、その言葉は本気だ。

伊邪那美命は代々見守り続けてきた久遠の子である陽乃のことを愛している

その愛娘が人々に裏切られ続けているのだから救いようがないだろう。

千景「最初に契りを結んだのが私で良かったわね……久遠さん」

陽乃「ちょ……っと……」

九尾はニヤリと笑いながら陽乃に覆いかぶさるように動き、

陽乃の身体に手を這わせる

千景「かの神にとって契りは絶対。私がただの社の主でありながらかの神々よりも表に出られているのはそのおかげなのよ」

千景の声が耳元から聞こえる

千景の体は真実を暴けば九尾のはずだが、

人肌に等しい温もりがあって、本当に千景のような錯覚を覚える

千景「貴女もまた神々に愛されている。そして、その神のひと柱は貴女の境遇を憂い、世界に憤りを覚えていることを忘れないで頂戴」

陽乃「わかっ……た、から、離れて……」

千景「人間は密着することを最も記憶する事柄としているでしょう? 思い出……だったかしら?」

陽乃「違うからっ、その知識は間違ってるからっ!」

千景の体を突き飛ばしてしまうようで気が引けてしまっていた陽乃を一瞥すると、

千景―九尾―は「そうなのね」と呟いてあっさりと離れた。
514 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/26(月) 21:16:39.24 ID:80k7U8hDo

敵対したあげく、死ねばよかったのにとまで言われた相手と抱き合うなど

思い出どころか、トラウマになりかねない。

もちろん、抱き合うとまでは行かなくても

このくらい会話が長続きさせられるまでになれれば良いとは……思うけれど。

それはきっと、バーテックスを倒すよりも難しいことだろう

千景「何でもいいけれど、ちゃんと覚えておいて。貴女が本気ならかの神は喜んでその力を貴女に貸し与えるわ」

しかしそれは当然ながら諸刃の剣

陽乃の体を酷く蝕んで、

最悪の場合……いや、最終的に死に至らしめることになる

九尾の力とはまるで違う、祟りを起因とした死の力だ

陽乃「分かった、覚えておくから。二度とさっきみたいなことしないで」

千景「私の身体じゃ不満なの……? 上里さんのようにメリハリのある体が良ければ、そうできるけれど?」

陽乃「他人の身体でそういうことしないでって言ってるの。頭おかしくなるから」

じっとりとした視線をぶつけながら、

自分の身体を撫でまわしている九尾に言い捨てて、目を背ける

千景の顔で、千景の声で

彼女がやりそうもないことをやってこられると対応に困る

それが長引けば長引くほど本来の千景との接し方が分からなくなってしまうし、

彼女の突き放すような物言いに心が痛むことになってしまう

千景「そう……まぁ、人肌恋しければ要望に応えてあげるわ。貴女の質問にも、可能な限りその誰かで答えてあげる」

陽乃「お気遣いありがとうね」

その九尾の言葉が本当に本当なのかは定かではないけれど、

そうして接してくれるというのは、孤独にならなければならない陽乃にとっては辛くて

けれど、少しはありがたいことだった。
515 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/26(月) 21:36:00.32 ID:80k7U8hDo
√ 2018年 8月1日目 夜:神社(壊)

01〜10 若い人
61〜70 若葉 ひなた
ぞろ目 特殊

↓1のコンマ

※それ以外は通常
516 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/26(月) 21:38:18.13 ID:+PwChMn+0
517 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/26(月) 21:53:21.16 ID:80k7U8hDo

√ 2018年 8月1日目 夜:神社(壊)


陽乃「あぁもう……っ」

ひなた「どうかしたんですか?」

陽乃「蚊も蛾も蟻も蠅もたっくさんいるんだけど……」

ひなた「それはそうですよ。ここ、放置されて三年経っているんですよ? 彼らにとっては良い住処になっています」

ひなた……の姿になっている九尾は、

陽乃と違って虫など無関係のように楽しげに笑う

本当のひなたがどうなのかは分からないが、

少なくともカブトムシの雌に似ている、触覚の生えた黒いやつ

それの死骸を指でつついて転がすことはないだろう

ひなた「私としては、餌が豊富でありがたいんですけどね」

陽乃「ちょ、ちょっと上里さんの顔でそれ食べようとしないで!」

ひなた「それなりに美味しいですよ?」

陽乃「やめてっ!」

平気な顔で虫を摘まんで口に運ぼうとするひなた―九尾―の手を掴んで止めて

逆の手で掴んで虫を向けてくる九尾の手を、おもいっきり弾く

虫が完全に駄目というわけではないが

流石に、食べられるほど平気なわけではない
518 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/26(月) 22:19:52.99 ID:80k7U8hDo

ひなた「困りましたね……虫が苦手ですとここでは寝られませんよ?」

陽乃「苦手じゃないけど寝てるときに服の中に入られたりしたりしたら嫌でしょ?」

ひなた「ん〜……私は別に気にしないですね。体中這い回られるのには慣れていますし」

陽乃「えぇ……」

にこやかな笑みを浮かべるひなたから目を逸らして、

少し離れた先、屋根が崩れたところから差し込んでくる月の光を見上げる

九尾のようにとはいかなくても

慣れていかなければいけないのだろうと陽乃はため息をつく

ひなた「出来ることもありませんし、眠ってしまったらどうですか?」

陽乃「寝てるときのことで悩んでいるんだけど……」

ひなた「ふふふっ、そうでしたね。私は眠る必要がないので見張りをしておきますよ」

陽乃「上里さんの姿で?」

ひなた「そこはもちろん。私の本来の姿でですよ」

普段は影に潜んでいる九尾は、

周りに人もいないからか、ひなたの姿でグッと体を伸ばす

陽乃は神社に来る途中に自販機で買ったペットボトルの水を一口飲んで

膝を抱え込んでいく

陽乃「お腹空いた」

ひなた「食べます?」

陽乃「虫は嫌」

目も向けずに断って、持ち出した財布の中を見る

一応、勇者として扱われるにあたって多少の報奨金が与えられるので

それなりにお金はあるのだが、むやみやたらと使い潰していいものでもない
519 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/26(月) 22:22:12.64 ID:80k7U8hDo

では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
520 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/26(月) 22:28:00.52 ID:4qWZ7VZwO

かなり重要な情報が聞けた代わりに神社跡地でサバイバルする羽目になるとは…
とはいえ今までよりは少し空気が軽くなった気がするな
521 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/26(月) 22:48:29.88 ID:eHQe3gk/O

イザナミは酒呑童子クラス(それ以上)の切り札だな
それはそうと若葉の前でひなたが虫を食べるドッキリやらせてみたい
522 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/27(火) 04:46:21.12 ID:ZvzYgCmLO

ホームレス中学生はるのん
この先どうなってしまうのか
523 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/27(火) 21:57:57.85 ID:DqR51ZzWo
では少しだけ
524 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/27(火) 21:58:25.41 ID:DqR51ZzWo

ひなた「食事にくらいお金は使ったほうが良いと思いますよ? 私はともかく久遠さんは人間ですし」

陽乃「そうは言うけれど……」

ひなた「三年間、勇者として囲われる条件としてお金頂いていますし、多少は問題ないでしょう?」

陽乃「これから増えることないのに?」

ひなた「あぁ……」

そんなことまるで考えていませんでしたと言うような声を上げた九尾は、

面倒くさそうに顔を顰めると、

その表情のままに「人間って面倒くさいですね」と、ひなたの声で悪態をつく

陽乃「そう、面倒なの」

ひなた「では、久遠さんはお仕事をなされてみては?」

陽乃「未成年なうえに住所不定なんだけど……」

ひなた「住所はここではだめなのですか?」

陽乃「駄目に決まってるでしょう。こんな……ボロボロな場所」

必要以上に調査されるとは限らないけれど

念のため、実家や神社の住所は使わない方が良いだろう

陽乃「それに、一番の問題は連絡手段を持っていないことよ」

ひなた「スマホですか……ん〜……盗ってきましょうか?」

陽乃「駄目に決まってるでしょう……もう」

何回同じことを言わせるのかと

陽乃は九尾を一瞥して、ため息をついた
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/27(火) 21:59:53.89 ID:7uIob1JqO
よっしゃ
526 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/27(火) 22:35:57.06 ID:DqR51ZzWo

ひなた「では、正式に入手してしまうのはどうでしょう?」

陽乃「正式にねぇ……スマホを契約するためには家が必要よ。身分証明だって」

ひなた「身分なら私がどうにかできますよ」

陽乃「家は?」

ひなた「身分がどうにかできれば、借りることくらい出来るのではありませんか?」

九尾は簡単に言うが、簡単な話ではない

身分をどうにかできるのであれば、連帯保証人としての立場は九尾が補えるだろう

しかし、それに際して最も重要ともいえる収入証明が出来ない

もしかしたら、九尾の力でそれさえもどうにかできるかもしれないが。

陽乃「手続きの全てをどうにかできちゃうの?」

ひなた「そうですねぇ……契約に関してどれだけの情報が必要なのか私にも分からないので何とも」

そう言った九尾は、しかし、含みのある笑みを浮かべている

そこには自負が感じられて、月明かりを受けてもいない瞳が怪しく輝くのが見えた。

九尾はどうにかできる自信がるのだ

どう化かしてやろうかと、状況を愉しんでいるのだ

ひなた「久遠さんが望むのでしたら、全力でお手伝いいたしますけど……どういたしますか?」

陽乃「どうするって言ったって……」
527 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/27(火) 23:19:12.84 ID:DqR51ZzWo

かなり問題はあるが、

九尾の力でそのほとんどをどうにかして、

ちゃんとしたところに住むことが出来るのなら、それはそれでいいのかもしれないと陽乃は思う。

無残に破壊された社、目に見える埃

雨風を吹き込ませてしまう崩れた屋根

至る所に散らばっている昆虫の死骸

気を抜けば、腕や足を這おうとする不快感

自分で選んで飛び出してきてしまったが、

今のこの状態をずっと続けていくことは精神的な負担が大きい

今はまだ耐えられることも

いつかは耐えられなくなってしまうかもしれない

そうなったとき、この状況を作らせた世界を憎まずにいられるのだろうか?

ひなた「私はちゃんと、苦難の道になると言いましたよ」

陽乃「言ってたわね……ちゃんと」

九尾の力で不正をするか

自分の選んだ道ゆえ、我慢するか

陽乃は悩ましさを誤魔化すように九尾を横目に見る

九尾は視線に気づいて、笑みを浮かべた。


1、考えとく
2、取り合えず、ご飯買いましょ
3、明日にでも、その手続きやってみましょう
4、いいわよ。このままで

↓1
528 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/27(火) 23:25:36.02 ID:ByNaO/0J0
1
529 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/27(火) 23:34:59.60 ID:DqR51ZzWo
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
530 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/27(火) 23:44:55.95 ID:flMM5QVYO

シリアス展開的な意味での過酷さ加えて生活的な意味でも過酷になっていくな
それにしても陽乃さんが消えて大社は今頃どうなってるんだろうか
531 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/28(水) 04:18:02.09 ID:V4nmVd5fO

はるのん家出編なんかおもしろいな
大赦もそうだけど勇者たちもどんな感じになってるか気になる
532 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/28(水) 20:09:06.24 ID:v2gK1Eobo
では少しだけ
533 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/28(水) 20:10:12.53 ID:v2gK1Eobo

陽乃「考えておく」

ひなた「早いうちに決めたほうが良いですよ。私の力だって、万能ではありませんから」

陽乃「何言ってるのよ」

すれ違う人、関わる人みんなに陽乃であることを気付かせない

九尾の話からある程度の書類等も誤魔化せるとするなら、

九尾の力は誤認させるという部分に置いて

万能としか言いようがないほどの影響力を持っている

謙遜できる代物ではない……が、九尾扮するひなたは苦笑する

ひなた「私が近くにいるならともかく、離れると力が弱まってしまうのでちょっとした違和感で気付かれてしまうんですよ」

陽乃「例えば?」

ひなた「私が近くにいられた場合、本来いないはずの久遠さんに食事を与えていると認識できます」

けれど。と、九尾はなぜだかとても嬉しそうに微笑む

ひなた「離れていると、ベッドにぶちまけていることに気づきます」

陽乃「貴女がいればそれに気付かないことに驚きなんだけど」

ひなた「私は基本的に、相手にとって違和感がないように見えるようにしているだけなんですよ」

陽乃「乃木さん達に化けていたのは?」

ひなた「そこは私のお遊びですよ」

やっぱり、何でもありなのだと陽乃は困ったように笑って

今のひなたの姿はさっきの話の影響なのだろうかと、目を瞑る

土や草のにおい、虫が集まるような鼻を付くにおい

それを弾くように、ふんわりと感じるひなたのにおい

これも、九尾による偽りだろうか
534 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/28(水) 20:15:53.07 ID:xWz/4ktnO
来てたか
535 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/28(水) 20:26:57.81 ID:v2gK1Eobo

陽乃「じゃぁ、今頃病院は大騒ぎなのね」

ひなた「でしょうねぇ……最も、あの人達の心が【余計なことをしませんように】と強く祈っているなら明日の朝までは大丈夫ですよ」

陽乃「明日の朝……あぁ、入浴の時間ね」

ひなた「そうです。久遠さんに最も触れる瞬間ですから、私がいなければそこまで誤魔化しきることは不可能です」

居れば誤魔化せるのね。と、言いたくなったけれど、堪える

影となった状態で看護師の首を締めあげて、

伸びてきた手がそれに触れることが出来ないという異様な光景を目にしていた陽乃は

触覚を偽ることくらい朝飯前なんだろうと適当に割り切った

陽乃「上里さんから報告が上がるかしら?」

ひなた「その心配はないかと」

陽乃「?」

九尾は月明かりを望むように顔を上げると、

目を細め、ゆっくりと閉じて笑みを浮かべる

何かを受信したかのような雰囲気に、陽乃は眉を顰めた

陽乃「どうして言い切れるの?」

ひなた「私は上里ひなたですよ? 完全一致ではないにしてもその思考と行動方針の大部分は真似られていると思います」

その頭で考えれば。と、九尾は言う

ひなた「話すとしても一番信頼できる若葉ちゃんにだけ。でしょうね。少なくとも大社には黙秘しますよ」
536 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/28(水) 20:44:59.68 ID:v2gK1Eobo

大社に、陽乃が来たことを正直に話したところで何の利益もない

なぜ逃がしたのか、なぜすぐに連絡しなかったのか

勇者達は何をしていたのか……等々

ひなたが責められることになるのが目に見えている

それだけ陽乃のことを危険視しているというのは分かるし、

陽乃に協力的であると困るから、そういう素振りを見せたら罰せられるという印象を強める必要もあることだろう

しかし、それらは裏目に出る

千景は「だから――」と、零すだろうけれど

陽乃を想ってくれている伊予島杏や、まだ諦めていない高嶋友奈は大社のやり口に不満を抱くかもしれない

陽乃の逃走に憤りを覚えはするが、杏が陽乃側なことで分からなくもないとしてくれるであろう土居球子もきっと同じ

そこに、若葉まで加わるとなれば……大変な事になる。

ひなたとしては、その方向になるのは避けたいはずだ

ひなた「大社は久遠さんがいなくなったことで血眼で探し始めるはずです。私がいる以上、気付かれることはあり得ませんが万が一もあります」

陽乃「……分かってるけど」

ひなた「人々を騙し続けることが苦しいなら、いっそのこと結界の外に出ていくのも一つの手ですよ」

陽乃「それは……」

ひなた「お母様のことを思う気持ちも分かりますが……逃げ出した以上はそんな生易しさは捨てるべきでしょう」

大社は危険極まりない陽乃を連れ戻すためならば、

母親を、陽乃から見た人質として扱う可能性がある。

もちろん、表立ってそんな動きはしないはずだがそれらしい動きは見せてくるはずだ

ひなた「私は言いましたよ。人間の一人でも殺してしまうべきだと……それを拒んだのは久遠さんです」

陽乃「上里さんの声で言わないで」

ひなた「少なくとも私は味方ですよ。若葉ちゃんだって……だから、大丈夫です。貴女は独りではありません」

九尾は――

ひなたは……陽乃に寄り添うようにしていた体を傾けて、

膝を抱えていた陽乃の身体を抱きしめるように腕を回す。

陽乃「だから、他人でやらないでって言ってるのに……」

ひなた「ふふっ……千景さんはあれですけど、私は大丈夫ですよ」

九尾はそう言って、離れようとはしなかった
537 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/28(水) 20:49:10.40 ID:v2gK1Eobo

↓1コンマ判定 所持金

コンマ一桁目×万円(9x xの部分)
コンマ二桁目×千円(x9 xの部分)

※ぞろ目なら倍
538 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/28(水) 20:50:20.48 ID:DDUtj8Ry0
539 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/28(水) 20:54:52.78 ID:v2gK1Eobo

1日のまとめ

・ 乃木若葉 : 交流無()
・上里ひなた : 交流有(九尾)
・ 高嶋友奈 : 交流無()
・ 土居球子 : 交流無()
・ 伊予島杏 : 交流無(部屋整理)
・  郡千景 : 交流無(陽乃の意思だとしても)
・   九尾 : 交流有(逃走、非殺傷、姿を見せる、神々、考えておく)

√ 2018/08/1 まとめ

 乃木若葉との絆 56→56(普通)
上里ひなたとの絆 55→56(普通)
 高嶋友奈との絆 49→49(普通)
 土居球子との絆 38→38(悪い)
 伊予島杏との絆 43→43(普通)
  郡千景との絆 21→21(険悪)
   九尾との絆 59→61(普通)
   
所持金:4万8千円
540 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/28(水) 20:55:59.17 ID:v2gK1Eobo
訂正

所持金:4万8千円 → 8万4千円
541 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/28(水) 21:03:45.34 ID:v2gK1Eobo

√ 2018年 8月2日目 朝:神社(壊)

05〜14 大社
25〜34 若葉
53〜62 誰か
89〜98 ひなた

ぞろ目 特殊

↓1のコンマ

※それ以外は通常
542 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/28(水) 21:05:35.20 ID:rzxjJbigO
543 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/28(水) 22:00:59.58 ID:v2gK1Eobo

√ 2018年 8月2日目 朝:神社(壊)


朝は思っていた以上に不快感の募る目覚めだった

不思議にも羽虫の音は聞こえなかったが、

服の中に入り込んだ虫の感触に発狂しかけの絶叫をあげて飛び起きた

数匹の虫が手と足とでぐちゃりと潰れたが、

それにはもう、叫ぶよりも呆然とする一方で……

シャツの裾からポトリと落ちた六本足の虫からは、目を背けた

陽乃「あぁ……もう……」

杏「久遠さん、大丈夫ですか?」

陽乃「朝から不快感で最悪だけど……今日は伊予島さんなの?」

杏「久遠さんは平坦より起伏のある体の方が好みだと思ったので」

陽乃「あれは郡さんだったからダメだったの。いや、郡さん以外でもお断りだわ」

溜息をつきながら首を振る

夏の暑さに汗ばんだ前髪が額に張り付く感覚に不快感は増すばかりで

手で払って、申し訳程度に水気を払った

陽乃「誰か来たりした?」

杏「誰も来ていませんよ。平和なものです」
544 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/28(水) 22:15:39.84 ID:v2gK1Eobo

杏「夜も静かでしたし、まだここに探しに来た様子はありません」

陽乃「そう……」

杏「周囲の建物から様子を窺う視線も感じないので、普通の人間にはまだ連絡していないようです」

陽乃「まだというより、しないでしょうね」

杏「やっぱり、そう思います?」

九尾扮する杏は怪訝そうな表情で頷く

九尾も一般人に久遠陽乃が逃亡したことを周知する気はないだろうと考えていた。

民衆の全てではないが、それなりの規模の人々が陽乃を人身御供とすることに希望を抱いている。

その陽乃が街のどこかにいるとなれば大騒ぎになるだろう

それを除いても、久遠陽乃は化け物だという噂も流れているので、

そんな人物を取り逃がしたとなれば、大社が終わるかもしれない

九尾は、くすくすと笑う

杏「いっそのこと、私達が周知して転覆を謀るのはどうでしょう?」

陽乃「なにその、滅亡しそうな選択」

なしなし。と、陽乃は軽く払って外に出る

夏場のイヤになるほど晴れ渡っている空を見上げる

神樹様の結界の中のため、真実ではないらしいが

見る限りでは、本物と変わりのない空をしている

雲一つない晴天なのは神樹様の計らいなのか、偶然か。
545 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/28(水) 22:29:08.22 ID:v2gK1Eobo

風通しのいい廃屋と化した本殿

夏の夜から朝にかけて過ごすには具合は非常に悪い。

そのせいで汗ばんだ体には、

僅かな動きにも反応して、肌着が密着する

どうせ自分だとバレないのなら全部脱ぎ散らかしてしまおうかだなんて考えが浮かぶほどだ

陽乃「ねぇ、九尾……伊予島さん」

杏「何でしょう?」

陽乃「私、まだ大丈夫かしら」

杏「大丈夫、とは?」

もじもじとして、気まずそうに顔を背ける陽乃を見つめる杏……九尾は、

眉を顰めて、首を傾げた

杏「なんの話ですか?」

陽乃「だ、だから……その、私、臭ってない?」

陽乃は実質、二日間入浴をしていない

それに加えて、この季節

肌のべたつく不快感からダメだろうな。とは思いつつ聞いてみると

九尾は「あぁ」と得心が言ったように頷く

杏「まだ獣臭くないので平気では?」

陽乃「人間基準で!」

杏「えぇ……っと、そう、ですね……」

言葉にはせず、濁すような呟きを漏らしながら目を逸らす

駄目な事だけは、分かった
546 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/28(水) 22:45:49.78 ID:v2gK1Eobo

陽乃「着替えれば何とかなるかな」

杏「お洋服だけでも清潔にしておくのは良い選択だと思います」

陽乃「ありがと……」

とぼとぼと本殿に引き返した陽乃を見送った九尾は、

さて……と、息を吐く。

今のところ、陽乃側で大社の動きは感じられないが

丸亀城の方では動きがあったことだろう。

上里ひなたに大社が接触したことで、

連鎖的に勇者達へと伝わっていくことになる

一般の人間を派遣できない【化け物】である以上、構成は二人、三人での班を作っての捜索

上里ひなたにも殺害を予告してきた人物が捜索対象であるため、

ひなたは大社預かりとなって一時的に大社の施設預かりとなるそうだ

これは恐らく、陽乃を巫女と認めている乃木若葉への牽制となることだろう

杏「……私達が見つかることはあり得ないけれど」

相手が望む姿を見せるというやり方では、

久遠陽乃という存在を望んで捜索に当たってくる以上、勇者に看破される

常に固定化した別の人間に見えるようにしておくべきだろう

陽乃「お待たせ……あぅ」

杏「まずはご飯ですか? それともお風呂? それとも私ですか?」


1、お風呂!
2、食事!
3、街を散策
4、身分詐称で家を借りる
5、焼け落ちた家に行く
6、貴女って言ったら何してくれるのよ

↓2
547 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/28(水) 22:47:08.74 ID:Phy5yTCCO
1かなぁ
548 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/28(水) 22:48:40.59 ID:lSuGkje9O
1
549 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/28(水) 22:55:58.88 ID:v2gK1Eobo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
550 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/28(水) 23:06:33.51 ID:lSuGkje9O

そりゃさすがに夏場の野宿は虫だらけで大変だよな…
あと陽乃さんのお風呂シーンにちょっと期待
551 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/28(水) 23:56:29.97 ID:Phy5yTCCO

羽虫がいない?九尾が食ったな?
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/29(木) 01:24:59.79 ID:aMLxdNtUO

夏はほんとにすごしにくいと思う
キャンプ趣味だけど虫が嫌で冬にしかしない
553 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2020/10/29(木) 03:08:55.71 ID:45a8K+n+0
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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554 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/29(木) 08:07:41.53 ID:0m0n1wcbO

ひなたと勇者(千景以外)は味方してくれるならどこかで話をしておきたいな
ただ千景に関しては現状だとすぐモメそうだけど…
555 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/29(木) 20:12:33.67 ID:FMAABe/eo
では少しだけ
556 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/29(木) 20:13:17.06 ID:FMAABe/eo

陽乃「お風呂!」

杏「そんなに気にする事ですか?」

陽乃「九尾の力で誤魔化せるとしても、私が無理なの……」

体が汚れていれば汚れているほど、虫が群がってくるという話を聞いた覚えがある

それの真偽などどうでもいいし、実験する気もない

ただただ、体の不潔感が精神を蝕んで病むことだけは避けたいと陽乃は思う

こういう時、男の子だったら多少は我慢できるのだろうか? なんて思ったが、

自分はそうではないので、考えるだけ無駄だ

杏「確かに、伊予島杏に言わせればちょっと距離を取りたいかもしれないです」

陽乃「悲しくなるから止めて」

昨日だって、友人の家、丸亀城、神社とすべてではないけれど歩き回っていた

それに加えて野宿

陽乃だって、そんな状態の人とは可能なら距離を取るだろう。

陽乃「……吐きそう」

杏「だから、食事をとらなかったんですね」

陽乃「ん……」

正直に空腹を訴えるお腹を擦って、

飲んだらお腹を壊すであろう水場から目を背ける

120円ほど使うことになるけれど、しかたがない
557 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/29(木) 20:25:33.87 ID:FMAABe/eo

陽乃は、神社から徒歩30分ほどの距離にある日帰り入浴の可能な温泉施設に来ていた。

陽乃の実家と神社があった伊予市は愛媛県の中で中予地方に属しており、

都市としては松山の方が当然上なのだが、伊予市にも一応温泉施設が存在している

陽乃「着いた……」

杏「お疲れ様です」

神社から歩き続けてきた陽乃は、

帰りも同じなのだろうかと気が狂いそうにもなったが、

日が暮れてから移動するなどしたらどうにかなるのではないかと、考えを改めて、施設案内を見る

陽乃「よしっ」

杏「日帰り、ですか?」

陽乃「これなら300円で良いのよ。これを毎日って考えると月に約1万円かかるけど」

杏「だとしたら回数券を買いますか? 12日で約2千5百円なので、お得ですよ」

陽乃「そもそも毎日じゃなく、隔日で……」

杏「あぁ、当然ですけど私を勘定に加えないでくださいね? 私は不衛生になりようもない体なので」

手をパタパタと振って意思を見せる杏……九尾を一瞥して、

陽乃は少し考えて頷く

九尾は偽る同行の前に、霊体のため汚れの心配がないそうだ

それはとても羨ましいのだが……そうなるわけにはいかない

そもそも、九尾は陽乃の影に隠れて入り込むことが出来るので支払いの必要がない
558 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/29(木) 20:32:02.61 ID:60oerjCnO
お風呂もご飯も一苦労だな…
559 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/29(木) 20:36:48.59 ID:FMAABe/eo

陽乃「ん〜……」

さっさと決めて入浴してしまいたいが、

回数券を購入するかどうかはかなり重要なことだ

回数券を買ってすぐに利用したい。というのは聊か気が引けるけれど

それくらいに切羽詰まっているし、子供だからどうにか通せるだろう

陽乃「九――あれ」

顔を上げると、傍に居たはずの九尾は隣におらず

施設の中を覗いているのが見えて、近づく

陽乃「どうしたの?」

杏「ここって、宿泊施設も兼ねているんですよね?」

陽乃「ええ」

杏「だったら、宿泊している人間に偽ってしまうのはどうでしょう?」

3年前は、旅行者やビジネスマンの宿泊施設として存在していたが、

それらが断たれた現在では四国内向けに開放された施設となり、

ここに限らず、そう言った施設は以前よりも低価格での宿泊が可能になっている

主な利用者は気分転換などで別の地区に来るような人たち

そう言ったものでないと呼び込めない等の諸問題があるのだろうけれど、陽乃達には関係ない

陽乃「でも……」

杏「人間を殺めるわけでもありませんし、姿を借りて入浴するだけですよ。良いじゃないですか」

お金、無いんですよね? と、九尾は笑みを浮かべる
560 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/29(木) 20:52:07.71 ID:FMAABe/eo

確かにお金はないし

九尾の提案に乗ってしまえば、お金をかけずに利用することが出来る

入浴する際はまた別の姿を取ってしまえば、中にまで調べに来ることはないはずなので

同一人物との遭遇は限りなく最小限にできるはずである

しかし、これは理不尽から逃げるための幻惑ではなく、

私的利用のための幻惑だ

これを許可してしまったらあれも良いかこれも良いかと、不正に対して緩んでしまう気がする

とはいえ……背に腹は代えられないし

お腹と背中がくっつきそうな状況では、あんまり長考したくない

正直に言って、九尾の発言は魅力しかない。

陽乃「そんなことしたら……」

杏「たくさんの命を救って、なのに罵倒され、蔑まれ……少し利用するくらい罰も当たりませんよ」

耳元の九尾……杏のささやきに陽乃はぐっと唇を噛む

そう言われてしまうと、まぁ確かに。と頷きたくもなる

300円くらい払わなくたっていいじゃないかと。

杏「誰も傷つきませんよ。人間達も、久遠さんも。みんなが幸せになれます」

陽乃「あぁもぅ……っ!」


1、お願い
2、駄目、普通にお金払う(-300)
3、駄目よ。回数券買うわ(-2500)
4、一日だけ宿泊(-4000)

↓2
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/29(木) 20:53:47.01 ID:60oerjCnO
2
562 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/29(木) 20:58:27.66 ID:E/eRkSzU0
2
563 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2020/10/29(木) 21:32:47.29 ID:45a8K+n+0
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564 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/29(木) 21:33:21.51 ID:FMAABe/eo

陽乃「駄目、普通にお金を払うわ」

杏「良いんですか?」

陽乃「伊予島さんだって、不正は好まないでしょう?」

杏「確かに、もうそれ以外にない……そうしなければ命が危ないという状況でもない限りしたくありません」

そう答えた九尾は、ふっと息を吐いて陽乃を見る

杏「それでも、まずは誠心誠意お願いして……ですね」

陽乃「でしょう?」

お金には限りがあるけれど、

まだ、使ったらなくなってしまうほどでもない

このまま一生この生活を続けるとは限らない

だったら、可能な限り真っ当に生きていくべきだ

姿を偽らなければいけないというのはあるけれど

それは仕方がないことだ

杏「分かりました。久遠さんはほんと、馬鹿ですね」

陽乃「はいはい」

九尾は貶しつつ、笑みを浮かべて一礼すると

瞬く間に影の中に溶け込んで消えていった
565 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/29(木) 22:25:05.88 ID:FMAABe/eo

先払いの入浴料金を支払い、

バスタオルの貸し出しで追加で100円を支払う

脱衣所は意外と狭いけれど、棚上の窓を通して入ってくる光で明るく

何より、虫がいないというのが心地いい

陽乃「……寝れる」

ひなた「駄目ですよ。寝たりしたら」

陽乃「出てこないんじゃなかったの?」

ひなた「まぁまぁ、良いじゃないですか」

笑ってごまかした九尾は、

陽乃の隣にある空いている棚を開けて、着ていた衣類を畳んで入れていく

朝というのもあってか、脱衣所には他の人の姿は見えない

よくよく見てみると、

脱衣所の棚の鍵は陽乃達の使っている棚を除いて全て差さっている

どうせ貸し切りみたいなものだし、と

特に隠すことなくさっさと扉を開けると、湿気の強い空気が脱衣所へと流れ込む

浴室の床は御影石張りで、壁は少しばかりの石板が埋め込まれていて若干の高級感を感じる

が、陽乃は一瞥するのみで真っ直ぐシャワーのもとに向かう

ひなた「あら……良いんですか?」

陽乃「まずは髪を洗って顔も体も全部綺麗にするの」

ひなた「かけ湯……は後ですか」
566 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/29(木) 23:04:56.98 ID:FMAABe/eo

入る前に見えた注意書きを思い出して首をかしげる九尾をよそに、

さっさとシャワーの蛇口緩める

水、ぬるま湯、お湯……と

寄宿舎のシャワーよりもあっという間に変わっていく

陽乃「はぁ……」

ひなた「んっ……落ち着きますね」

陽乃「このまましばらくシャワーを浴びていたい気分だわ」

雨のように降りしきるシャワーのお湯を浴びながら、

俯き、目を閉じ、流れ落ちていく滴の音を聞く

陽乃「余韻に浸るのh湯船に浸かってからにしましょ」

ひなた「そうですねぇ」

ぼさぼさで、脂っぽさを感じる髪がお湯で異臭を放つが

暫くお湯で流し、

柑橘系の少し甘さの感じる備え付けのシャンプーを使って髪を洗う

やりすぎは良くないが、

2回洗って一度髪を触って、確かめる

陽乃「……痛みそう」

ひなた「宿泊セットを持ち出すべきでしたね」

陽乃「荷物多くても困るから良いのよ」

洗えるだけましだと割り切って、

ボディーソープを手に取って、体に塗るようにして洗う

少しだけ爪を立てて、可能な限り丁寧に――

ひなた「えいっ」

陽乃「ゃっ!」

ひなた「後ろは私が洗ってあげますよ」

なぜだか機嫌のいい九尾は、手伝ってくれた
567 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/29(木) 23:13:15.21 ID:FMAABe/eo

では途中ですがここまでとさせていただきます
明日はできれば少し早い時間から
568 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/29(木) 23:31:29.56 ID:60oerjCnO

できる時に身も心もリフレッシュしておくのは大事だな
にしても九尾はひなたの姿によく化けるけどが気に入ってるのだろうか
569 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/29(木) 23:54:39.84 ID:nuqOTH2qO

九尾は神獣扱いしてくれるひなたのこと気に入ってるぞ
570 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/30(金) 02:53:32.55 ID:EufNcA5RO

お風呂一つでこんな苦労するなんてな
571 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/30(金) 19:59:30.51 ID:nddHewtzo

では少しだけ
572 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/30(金) 20:00:02.98 ID:nddHewtzo

ボディソープのボトルキャップを外した九尾は、

それを陽乃の身体へと垂らしていく

陽乃「ひぁっ……!」

ひなた「任せてください」

陽乃「なっにを……」

九尾の……今はひなたの細い指先が、陽乃の背中に触れる

爪を立てるようにしている指は、

陽乃の肌を掻き毟るようにしつつ

押し切らない力加減で泡ごと汚れをかすめ取っていく

陽乃「んっ……」

九尾は、唐突さを除けば、優しい手つきで陽乃の体を洗っていく

首の裏は抑えず揉むようにしつつ、引き戻すときだけは指を立てて

そこから肩へと指を立てたまま掻いて、肩もみをする要領で鎖骨の辺りに向かう。

ひなた「スポンジ……でしたっけ? あれを買いませんか?」

陽乃「無駄遣いはしたくないのだけど」

ひなた「あったほうが、体を綺麗にできると思いますよ」

寄宿舎時代はそうしていたからこその提案だろう

提案した九尾は、無理にとは言いませんけどね、と

陽乃から手を離してボトルを手に取る
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/30(金) 20:06:16.94 ID:Il3C1WJIO
よっしゃ
574 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/30(金) 20:11:23.45 ID:nddHewtzo

ひなた「……私が洗っていいなら、無くても良いかもしれませんが」

陽乃「あな――ゃんっ」

腕に触れていた九尾の手は、

事故ではなく意図的に前へと動いて、乳房に触れる

陽乃の悲鳴をものともせず、

ひなたの手は陽乃のそこまで大きくはない膨らみを揉むようにして洗う

陽乃「ちょ、ちょっと……っ」

ひなた「隅々まで洗ってあげます」

陽乃「前は良い、前は自分で……下も自分でやるからぁっ!」

では仕方がない。

そう言った感じで陽乃の下腹部に下りて行った手首をつかみ、

引き留めて叫ぶ

少し後ろに下がってしまったからか、ひなたの胸の柔らかさが背中に触れたが

本人ではないからか、それに対する反応は一切ない

ひなた「そう、恥ずかしがらなくても良いじゃありませんか」

陽乃「良いわけないでしょ……もうっ!」

振り払われた九尾はちょっぴり残念そうだったが、

両手を上げて「分かりました」と、引き下がった
575 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/30(金) 20:25:56.42 ID:nddHewtzo

九尾の助力も得て綺麗に汚れを落とし、

九尾の指示もあってかけ湯をしてから

お湯がたっぷりと注がれているお風呂に入る

ジェットバスや露天、サウナなどいくつかの種類があるようだけれど

何はともあれ、まずはゆっくりと浸かりたかった

陽乃「んっ……っ、はぁ……」

湯船の中から肩の上にまでゆっくりと腕を上げて、

ぐぐっと体を伸ばす

拘束衣と鎖でがちがちに固められて一週間、座り込む形での野宿

そうして疲れ切った体が解されていくのを感じて、沈み込むような感覚に目を瞑る

ただのお湯ではなく、温泉であることを強調するかのようにほんのりと感じる硫黄のにおい

一人きり……九尾扮するひなたも含めれば二人で貸し切りの状態は、

ただでさえ安らげる空間を、より居心地のいい空間に昇華させてくれる

陽乃「ふぅ……」

ひなた「若葉ちゃんも良い顔しますけど、久遠さんも可愛らしい顔をするんですね」

陽乃「お風呂で気を遣うなんて、イヤだわ」

ひなた「それには一理ありますね……せっかくの入浴ですから、体だけでなく心も癒されたいです」

思った以上に人間らしいことを言う九尾に目を向ける
576 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/30(金) 20:38:06.81 ID:nddHewtzo

陽乃「どうしたの急に人みたいなこと言っちゃって」

ひなた「今は【私】ですから。相応のことも言いますよ」

陽乃「そう……」

ひなた「寝苦しそうでしたからね。今ならあのぶくぶくしているところでも寝られるのでは?」

ぶくぶくしているところというのは、ジェットバスのことだろう

下や両側面に吹き出し口がある浅めのところに横になるものだ

場所によっては縦型のもあるという話だが、ここにあるのは横になるタイプ

陽乃「3つあるみたいだし、九尾もどう?」

ひなた「お付き合いしますよ」

通常の湯船から上がり、横に併設されていたジェットバスに横になる

ぶくぶくというよりはぼこぼこと言った感覚の勢いは、

腰や肩などに程よい刺激を与えてくれる

横からの流れもあって、どこか包み込まれているような感じがして

騒がしさはあるけれど、寝られるかもしれないと陽乃は目を瞑る

ひなた「ふふふっ……位置調節すると、胸が揺れますね」

陽乃「喧嘩のセールスはお断りよ。疲れたくないわ」

ひなた「違います。ほら、見てください。球子さんに見せたら面白い反応が――」

陽乃「上里さんは間違いなくそんなこと言わない」
577 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/30(金) 20:51:33.02 ID:nddHewtzo

九尾の売り言葉には淡々と返して、ひらひらと手を振る

戻した手が緩やかな胸元に触れるのは多分仕方がないことだろう。

同年代である千景が慎ましやかで、年下のひなたと杏は大きい

全くないわけではないので、絶望することはないけれどもう少し大きくなれたのだろうか。なんて思うこともある

しかし、近接戦闘を主とする陽乃は、

寧ろスレンダーであるべきではないだろうかとも考えている

そうつまり、別に胸なんて大きくなくても良いのである

ひなた「久遠さんも、十分魅力的な体つきだと思いますよ」

陽乃「それはどうも」

ひなた「張り合いがないですね……」

陽乃「休ませて頂戴」

ひなた「だから胸も出っ張りが――」

陽乃「このっ」

ジェットバスから勢いよく体を起こすと、

横になっている九尾はひなたの瞳で陽乃を見る

ひなた「ふふふっ」

にっこりと笑うひなた

九尾だと解っていても、ひなたの声と笑顔で存在していることに変わりはない
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