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【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【2頁目】
- 803 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/02(火) 20:21:31.55 ID:3VSruPD+o
- では少しだけ
- 804 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/02(火) 20:22:19.94 ID:3VSruPD+o
-
水都にはバーテックスと戦うための力がない
陽乃の痛みを知らないし、苦しみを知らないし、辛さを知らない。
それと同等のものを与えられることだって、きっとない
だから、自分には何も言う資格がないことくらい分かっている。
けれど――
水都「……守れなかったからこそ、守れるようになるんじゃないですか?」
陽乃「貴女――」
水都「分かってますっ! 分かってます……ただの一般人みたいな私が、そんなこと言う資格がないってことくらいっ」
陽乃が何かを言う前に水都は遮る
叫ぶように声を張って、お箸を握りしめて、
顔を上げたいのに……上げられなくて。
あぁやっぱり、自分は弱いと思いながら……吐露する
水都「でもっ……でも……守れなかった後悔があるから、次はもう失いたくないって気持ちになるんじゃないんですか?」
それはたぶん、希望だ。
歌野が見せてくれる、勇者としての力強さ
与えてくれる勇気は野菜を育む空の輝きのように温かく、
水都にとっては、それはこれ以上ないほどに特別だった。
なのに
同じ勇者であるはずの陽乃は、しかし、そんなものは感じられない。
自分の力を信じていない。
役に立たないと切り捨てて、期待しないでと笑って、
自分は何も特別なんかではないと言い切っている。
謙遜なんてものではなく、完全に自分と言うものを認めていない。
それは……水都が自分にしているものと、ほとんど同じものだ
- 805 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/02(火) 20:24:35.58 ID:V+U+FMZiO
- よしきた
- 806 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/02(火) 20:37:30.85 ID:3VSruPD+o
-
勇者であるはずの人が、
一般人である自分と、何も変わらないなんてそんなわけがない。
多くを守れなかったと陽乃は言った
それが嘘だとは思えない。
それで挫折してしまったのかもしれない。
だとしても――そこで折れては欲しくない。
水都「久遠さんは、本来数日かかるはずの距離をたった半日で踏破させられる力を持っているんです」
それだけじゃない。と、水都は呟く
水都「同行したお二人は、久遠さんに一騎当千の力があると言っていました」
陽乃「そんなことないわ」
水都「あるかもしれないじゃないですかッ!」
陽乃「っ……」
水都がいきり立って、テーブルが揺れる。
危うく飲み物が落ちそうになって、反射的に動いた体の痛みに陽乃は思わず呻く
そんな陽乃を水都は見て、顔をしかめて、首を振る
水都「久遠さんは、私と似てます……色々あって自信がなくて周りからの評価を素直に受け止めることもできない」
なのに、こんなことを言うなんてどうかしている
自分が信じられていないのに、ほかの人には信じろなんてあまりにも勝手だ。
けれど、でも、
同じように感じられるからこそ、水都は願わずにはいられなかった
水都「そんなままじゃ、きっと……守りたいものも守れなくなっちゃう……」
- 807 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/02(火) 20:47:22.13 ID:3VSruPD+o
-
水都は、守りたくても守れない。
勇者として戦う歌野を水都は守りたい、助けたい
けれど、そうする力が水都には与えられなかった。
向かっていく背中を見送って、
傷だらけで帰ってくる体を支えてあげるくらいしか、自分には出来ない。
その傷の治療も出来ない
歌野が言う、日常の中の一つとしてそこにいることだけが、水都の出来ること。
巫女としての役目なんて、大した内容でもない
だから、思う
水都「戦う力があるのが羨ましいです……守りたいと思えば守れる力が羨ましいです……なのに」
陽乃「………」
水都「そんなに卑屈になっている久遠さんが……妬ましいですっ!」
陽乃「……そう」
陽乃は、偶然力を与えられたわけではない
そこに力を与えてくれる何かがいて、
力を得るか得ないかを選ぶ権利が陽乃にはあった。
選ばなければ死ぬしかなかったのかもしれないが、
それでも、力を得ないという選択は、確かにそこに存在していた。
けれど、陽乃は力を得た
――なぜ?
陽乃「私に何があったかも知らないで、羨ましいだの妬ましいだの。そのお気楽な頭の方が私にとっては羨ましいわよ」
- 808 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/02(火) 21:02:18.24 ID:3VSruPD+o
-
水都「っ」
陽乃の声は、さっきまでのが猫を被っていたのではないかと思うほどに、冷たかった
言葉選びも厳しくて、怒らせたのではないかと水都が震えてしまうほど。
けれど、言っていることは間違っていないと水都は思った。
境遇がまるで違う。
多くの命を守りたくても守れなかったのなら、
それでも……なんて、立ち上がることなんて簡単な話ではない。
なにより、陽乃に何があったのかを水都は知らない。
だから、自分勝手な理想を押し付けてしまう。
水都「……でもっ……私は……」
陽乃「謝罪、しないのね」
水都「え?」
陽乃「ほんの30分足らずで貴女に3回は謝られたものだから、てっきりすぐに頭を下げるものだと思ったのだけど」
陽乃の声色は素っ気ない
知人どころか、どうでもいい赤の他人と話しているかのような感じだ。
水都は少し悩んで、陽乃を見る
水都「だって……久遠さんには自信を持って貰いたいから」
陽乃「どうして?」
水都「それは……」
陽乃「ここまで来たなら躊躇わないでよ」
一度口を閉じたのを見て、陽乃は小さく笑う。
ここで言うのを止めようが止めまいが、もう遅い
それなら言いたいことはすべて言ってしまうべきだ
何度も謝るような性格でありながら、ここまで主張したのだから。
水都「……また守れなかったら辛いじゃないですか」
- 809 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/02(火) 21:32:19.19 ID:3VSruPD+o
-
血を吐いて気を失う……そんな、命にかかわるような代償を必要とする力を使って
数日かけて来たら良い距離を、半日で突き進んできた。
それだけでなく、
3年前の大災害のことを今でも気に病んで、抱えて、苦しんでいる
陽乃は優しい人なのだろうと、水都は思う
優しいから、忘れられない
あの日に響き渡った悲鳴も、
欠損した身体の一部も
すぐそこにいた人が消え去ってしまうあの光景も
そのすべてを忘れることが出来なくて
それを救えるだけの力が自分にはあったからこそ、諦めることが出来ない
だから、期待して欲しくない
自分がそれに応えてあげられる自信がないから
その人々から伸ばされた手を全て取れる自信がないから
それらが自分の手から零れ落ちていく恐怖を、忘れられないから。
――全部妄想だ。
だけど……。
水都「自信がないと100%の力を発揮できないって聞いたことがあるので……もしそれでまた守れなかったら、久遠さんが辛いと思って」
陽乃「………」
水都「さっき、久遠さんは対象外だって言ってましたけど、久遠さんのそれこそまさに自己犠牲で成り立っている力じゃないですか」
水都は考えて、でも躊躇わない。
言いたいことは、一つだけ。
水都「久遠さんは優しい人だと思うから、これ以上……変な迷い方をして欲しくないんです」
どこまでも壊れていく可能性を水都は知っている。
歌野と出会わなかった自分の末路こそがそれだと、今もまだ恐れている
だから、水都は言う。
水都「その体を無暗に犠牲にしていく姿を、誰も見たくないと思います」
1、言ってること、全然分からない
2、優しい? 私が? まさか……
3、何も知らないくせに、勝手なこと言ってくれるじゃない。
4、そんな人、いないでしょ
5、私、人を殺して逃げてきたのよ
↓2
- 810 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/02(火) 21:34:05.77 ID:V+U+FMZiO
- 2
- 811 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/02(火) 21:46:10.25 ID:xZvXvhE50
- 3
- 812 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/02(火) 23:24:31.27 ID:3VSruPD+o
-
陽乃「何も知らないくせに、勝手なこと言ってくれるじゃない」
水都「っ!」
陽乃「貴女と私が同じ? 守れなかったら辛い? 優しい人? 馬鹿なこと言わないで」
手足が出せないのが辛いが、
寧ろ出せなくて良かったのではと、思う
出せてしまったら、
目の前のテーブルに置かれているものすべてを薙ぎ払っていたかもしれない
陽乃「私はね? 期待されたくないの。分かるでしょ? 手のひらを返されるのが嫌なのよ」
水都「手のひらを返されるって……」
悪い方向ではなく、いい方向に
評価が変わったのを実際に目にした水都は、
陽乃はその逆を経験したのかもしれないと……目を見開く
水都「久遠さん、もしかして」
陽乃「そうね。手のひら返しをくらったわ。自慢にもならないけどね」
水都「そんな……」
陽乃は笑っているけれど、
決して面白い話なんかではない
沢山のものを守れなかった
その結果、手のひら返しをくらったのだとしたら……それは
水都は首を振って、歌野のことを考える
歌野が率いてきた3年間
いつ死んでもおかしくなくて、覚悟をしてて
どんな辛い目に遭っても、人は必ず立ち上がれる。なんて志までも抱いて
だから、きっと。
水都「私達はそんなことしません……何があっても、戦ってくれたみんなのことを、絶対に責めたりしません」
陽乃「あなた一人のそれは、ここに住むみんなの言葉だって言えるの?」
水都「それは……」
言えない。
そんなわけがない
黙ってしまった水都を一瞥して、陽乃は小さく息をつく
そんな保証なんて、どこにもないのだ
- 813 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/02(火) 23:33:02.52 ID:3VSruPD+o
-
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
- 814 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/02(火) 23:45:58.07 ID:V+U+FMZiO
- 乙
陽乃さんのネガティブ思考がみーちゃんよりも遥かに上回ってるな
せめて明確に味方してくれてる人だけでも信じてあげて欲しいけど…
- 815 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/03(水) 00:40:54.32 ID:g1HXYBCH0
- 乙
いろんな人にメンタルケアしてもらおう
- 816 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/03(水) 21:32:39.44 ID:jpagfzUMo
- では少しだけ
- 817 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/03(水) 21:33:19.40 ID:jpagfzUMo
-
勝手なこと、馬鹿なこと
確かにそうだ
諏訪に構築されている結界の内部に住んでいる全員の言葉を代弁できるような立場でもない。
陽乃は手のひら返しをくらったといった。
煩わしく思って、嘘をついたのかもしれないと水都は頭の片隅に備えながらも、
それを疑ってしまったら……と、息を飲む。
水都「でも……一人くらい、自分の味方がいるって信じてみませんか?」
目を逸らす。
水都自身、まだそれを出来ていない。
唯一の友人で、味方と言える歌野の言葉ですら "歌野がいるから" と切り捨ててしまっている。
でも、それを信じられたら
歌野の言葉を信じて、少しでも自分に自信を持つことができれば
俯かずに、せめて、前を向くことができたのなら。
きっと、何かが変わるはず。
水都「伊予島さん、土居さん、うたのん……それと、私も。少ないですけど……でも、私達は絶対に責めたりしません」
水都は、真っ直ぐ陽乃を見つめる
陽乃の視線が自分へと向けられていても――逸らさない
水都「これは、絶対だって言えます」
- 818 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/03(水) 22:45:49.94 ID:jpagfzUMo
-
陽乃「………」
水都の瞳は、さっきまでと打って変わって力強い
まるで、覚悟を決めたかのよう
自分の言葉が間違ってはいないと、
みんなを信じているかのよう
陽乃「そう……」
水都「ダメ、ですか?」
陽乃「私が決めることじゃないもの。ダメも何もないわ」
水都「そういうことじゃなくて……」
陽乃が言っているのは、
責めるかどうかについてだろう。
水都が言っていることはそうではないと分かっているだろうに、
あえて、そっちを言う
水都「信じて貰えませんか?」
陽乃「貴女達を?」
水都「はい」
- 819 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/03(水) 23:40:54.91 ID:jpagfzUMo
-
陽乃はすっかり止まってしまった水都の手を一瞥して、
水都の目を見つめる。
さっきまでは伏せることもあった目は、まっすぐ見つめ返してくる
手のひらを返されるのが嫌だと陽乃が言ったから
そんなことは絶対にしないと、水都は示したいのだろう
そして、それを信じて欲しいと言う
諏訪の人は、陽乃の評判を知らない
生贄となるべきだったことも
そうしなかったから惨劇が起きたと責められていることも
人を殺してしまったことも。
陽乃「……無理よ」
水都「どうして……どうしてもですか?」
今度は、陽乃が目を伏せる
無理なものは無理だと
そう言ったところで、水都は引き下がってくれるだろうか?
1、無理だからよ
2、どうしてもよ。諦めて
3、じゃぁ……私が人を殺していても、同じことが言える?
4、貴女が何も知らないからよ
↓2
- 820 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/03(水) 23:42:25.45 ID:dD1iaF+3O
- 4
- 821 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/03(水) 23:43:12.83 ID:S0va8D6C0
- 3
- 822 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/03(水) 23:44:16.74 ID:jpagfzUMo
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
- 823 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/03(水) 23:53:55.28 ID:dD1iaF+3O
- 乙
みーちゃんが陽乃さんのために凄い踏ん張ってくれてる…
あとは真実を知ってもなお説得しきれるかだな
- 824 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/04(木) 01:48:03.42 ID:xHMLsfEnO
- 乙
これからが本番だな
- 825 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/04(木) 21:36:16.76 ID:W+qS3eyUo
-
では少しだけ
- 826 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/04(木) 21:36:52.73 ID:W+qS3eyUo
-
正直、驚きだった。
水都は陽乃が眠っているところを見たかもしれないが、
言葉を交わすのは今日が初めてだ。
前知識も何もなく、力を使えば血を吐いて失神する役立たずだと思うべきだった
なのに、水都は執拗に詰め寄ってくる
守れなかったからこそ守れるようになる。なんて言って
羨ましいだの妬ましいだの言って
果てには自分を信じて欲しいとまで言う。
球子や杏も強引ではあったけれど、水都は少し違った強引さがある。
陽乃は溜息をついて、水都を睨む
陽乃「じゃぁ……私が人を殺していても、同じことが言える?」
水都「え……」
陽乃「守れなかったからとか、そういうのじゃなくてこの手で殺してても言える?」
水都「久遠さんが?」
陽乃「ええ。攻撃の流れ弾とかでもないわよ? ほんとうに、私の意思で人を殺したの」
水都「っ……」
嘘だと思いたい
そう思っているのが感じられるほどに困惑している水都
自分の意思で人を殺したと言われては、流石に動揺も隠せない
- 827 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/04(木) 21:38:04.19 ID:sFO9GHV8O
- かもん
- 828 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/04(木) 21:52:56.68 ID:W+qS3eyUo
-
↓1コンマ判定
ぞろ目 または70〜80 水都「それでも、責めたりしません」
- 829 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/04(木) 21:55:41.70 ID:wwJ4KB0Q0
- あ
- 830 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/04(木) 22:01:39.08 ID:sFO9GHV8O
- みーちゃん快進撃
- 831 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/04(木) 22:09:41.74 ID:W+qS3eyUo
-
水都「それでも、責めたりしません」
陽乃「は?」
水都「………」
人を殺したのが、本当のことだとして
もしかしたら知っているかもしれないけれど、
球子と杏がそれを知らないとして
それでも水都は信じたいと思った
水都「久遠さんに何があったのかは知りません。でも、だからこそ……なにか、そうしないといけない理由があったんだって思います」
陽乃「無かったら?」
水都「無かったら、久遠さんには自分を代償にするような力なんてなかったと思います」
陽乃「力を得た後に殺したのよ?」
水都「殺すような人じゃないから、勇者に選ばれて……そんな人だからこそ、人のために身を削るような力を与えられたんだと思います」
贖罪の為に、そんな自己犠牲を必要とする力を与えられた可能性だってもちろんあった。
けれど、水都はそう考えない
元から人を傷つけるような人は勇者にはなれないと信じる
水都「信じます」
- 832 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/04(木) 22:36:24.99 ID:W+qS3eyUo
-
陽乃「っ……」
諦めると思ったのに
言葉を失って、終わってくれると思ったのに
なのに、水都はより一層堂々とした態度で答えた
何も知らない
だからこそ、いい方向に考えたいから信じるって繰り返して
確かに、理由があった。
そうしなければならなかったかはともかくとして
そうしなければ別の、陽乃ではない誰かが傷ついていたかもしれなかったから。
けれど、水都は知らないはずなのだ
球子と杏から聞いていれば
ここに至るまでにそれらしい反応をしているはずだから、絶対に。
なのに。
1、馬鹿じゃないの?
2、私は人を殺したのよ!?
3、……嫌
↓2
- 833 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/04(木) 22:39:10.76 ID:sFO9GHV8O
- 1
- 834 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/04(木) 22:39:38.52 ID:M75hbQ1E0
- 2
- 835 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/04(木) 22:46:56.15 ID:W+qS3eyUo
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
- 836 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/04(木) 22:56:10.54 ID:sFO9GHV8O
- 乙
あの頑なな陽乃さんを逆に動揺させるとは…
このまま陽乃さんの心を救えるといいな
- 837 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/04(木) 23:04:49.81 ID:M75hbQ1E0
- 乙
みーちゃんとかいうはるのんの精神安定剤
長野に来たかいがあったな
- 838 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/05(金) 00:56:13.17 ID:h9RbeiYZO
- 乙
対応がめちゃくちゃイケメンで笑った
- 839 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/05(金) 20:41:59.72 ID:lJdzeDhLo
-
では少しだけ
- 840 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/05(金) 20:42:27.73 ID:lJdzeDhLo
-
陽乃「私は人を殺したのよ!?」
思わず声を張り上げてしまう
喉を酷使するような感情の昂りに痛みを覚えて、陽乃は顔をしかめる
陽乃「っ……げほっ……っ……げほっ」
水都「久遠さんっ!」
陽乃「触らなっ……けほっ……かひゅっ……」
水都「嫌です……」
もう迷わない。
躊躇う必要だってないと、水都は陽乃の身体を抱きしめる
陽乃の口元を拭った袖口が赤く染まっていく
水都「嫌です……ごめんなさい」
陽乃「っ……けほ……ごほっ」
陽乃の瞳に涙が浮かんでいるのは、咳き込む息苦しさからかもしれない。
けれど――
感情的な叫びは
それを携えた辛そうな表情は
水都にも無視できるものではなくて。
水都「久遠さんのことは、諦めません」
陽乃の背中を擦り、撫でて……もう一方の手でナースコールを押す
大声を出したせいではあるが、血を吐いた以上は呼ぶべきだ
- 841 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/05(金) 20:53:57.70 ID:Gd//VFq5O
- このみーちゃん強い…
- 842 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/05(金) 20:59:50.93 ID:lJdzeDhLo
-
陽乃「ぅ……けほっ……」
水都「横になってください」
抱きしめながらベッドを操作して平らにし、
ゆっくりと陽乃の体を寝かしていく
口元を拭って、拭って、血に汚れた肌をきれいにする
陽乃「私……」
水都「良いんです……そんな、無理矢理に一人にならなくても」
人を殺してしまったことなんて、
ここでは言われなければ知ることなんて出来なかっただろうし、
もし四国に逃げ伸びたあとで赤の他人から言われても、信じることだってなかったと思う
だから、自分から言う必要はなかった
なのに、陽乃は自分から言って、叫んで、苦しんで。
それほどまでに人を拒もうとした
それだけ嫌な思いをしたのだと水都は思う
陽乃の希望に沿うなら、離れるべきかもしれないけれど
それではきっと、報われないだろう
――それでいいはずがない
信じてくれる人のありがたみを、水都は知っている
たった一人でも味方がいてくれることの安堵を知っている。
それを受け入れなければどうなるかを知っている。
それは、陽乃がなるべきものではないと断言できる
水都「私は絶対、久遠さんを信じますから」
水都はそう言って、
看護師が到着するまでずっと、陽乃の手を握り続けた
- 843 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/05(金) 21:28:57.25 ID:lJdzeDhLo
- √ 2018年 8月10日目 夕:諏訪
05〜14 歌野
27〜36 杏
41〜50 球子
52〜61 九尾
↓1のコンマ
※それ以外は通常 (水都)
- 844 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/05(金) 21:31:37.14 ID:Gd//VFq5O
- あ
- 845 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/05(金) 22:38:50.47 ID:lJdzeDhLo
- √2018年 8月10日目 夕:諏訪
昼からまた体調を崩した陽乃が目を覚ましたという連絡を受けて、
歌野が陽乃のいる病室へと訊ねてきた。
杏と球子のどちらか
あるいは両方が来るかと思っていたけれど
来たのは歌野だった
歌野「みーちゃん、大丈夫?」
水都「うん。私は全然大丈夫……久遠さんはお話は控えるようにって言われちゃってるけど」
歌野「そう……伊予島さん達は四国の方の現状説明を大人たちに要求されちゃってね。抜けられなかった」
陽乃「別に、聞いてない……」
陽乃の枯れてしまっている声に、歌野は顔を顰める
朝よりも少し、悪いように感じたからだ
歌野「大丈夫?」
陽乃「…………」
陽乃は力なく頷くだけで、目を向けようとはしない。
一緒にいる水都にも目を向けないし、
死に際のように、ゆっくりと瞬きをするだけ。
それが不安になったのか、歌野は一瞬躊躇って口を開く
歌野「良ければ、2人を連れてくるわ……説明も大変そうだったし」
- 846 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/05(金) 22:57:10.35 ID:lJdzeDhLo
-
陽乃が比較的心を許せるであろう、四国から連れてきた二人。
自分達よりも杏や球子の方が良いのではと考えた歌野の気遣いだろう
けれど、陽乃はうんともすんとも言わずに、
歌野を一瞥して、瞬きする
歌野「えぇっと……じゃぁ、歌とか歌ってあげましょうか?」
水都「うたのんっ、しーっ」
歌野「み、みーちゃん……」
陽乃は大した反応を示してくれないし
水都はちょっぴり騒がしい歌野に困った顔を浮かべる
自分は来ない方が良かったのかも。なんて、
歌野は少ししゅんとして椅子に腰を落ち着ける
歌野「そうね……そうよね。ごめんなさい。静かに休みたいわよね」
陽乃「さっきまで……寝てたのだけど」
水都「でもだからって、起きたりしたらダメですよ」
歌野「………」
朝とは雰囲気の違う水都
陽乃に向ける表情も柔らかい
何があったのか気にはなるものの……ここで聞くのは間違いだろうか。と、首を振る
- 847 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/05(金) 23:05:58.06 ID:lJdzeDhLo
-
歌野「子守歌だと思って、聞いておいてね」
歌野はそう前置きをして、
小さく、ゆっくりとした柔らかい声で話し始める
歌野「一応、四国に移住できる可能性があることを話したの」
水都「……それで?」
歌野「ん〜……行きたい。って強く思ってる人は少なかったわ」
どうしようもなければ、そうするのも一つの選択肢
けれど、
出来るだけ、ここに残りたい
出来るのなら、ずっとこの場所で生きていきたい
そういう人がほとんどで
まだまだ、諦める気のない人たちばっかりだったと、歌野は小さく笑う
それは嬉しいことではあるけれど、
限界が見えてきているのを察しているからか、喜べるものでもないらしい
水都「そうなっちゃうよね」
陽乃「………」
1、黙っておく
2、休む
3、貴女達は、どうしたいの?
4、馬鹿な人たちね
↓2
- 848 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/05(金) 23:09:19.22 ID:kuGD92ex0
- 4
- 849 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/05(金) 23:11:08.31 ID:Gd//VFq5O
- 3
- 850 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/05(金) 23:17:37.79 ID:lJdzeDhLo
- ではここまでとさせていただきます
明日は可能であればお昼ごろから
- 851 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/05(金) 23:30:56.08 ID:Gd//VFq5O
- 乙
諏訪組二人は最初から好感度高めな対応でありがたく感じるな
特に今作のみーちゃんの精神的な頼もしさよ
- 852 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/06(土) 00:08:24.50 ID:f0FSxTgFO
- 乙
いい方に風向きが変わってきたな
- 853 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/06(土) 21:08:56.02 ID:we9r2hPfo
- では少しだけ
- 854 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/06(土) 21:09:24.76 ID:we9r2hPfo
-
陽乃「貴女達は……けほっ……どう、したいの?」
水都「無理に声を出したら駄目ですよ」
声を発するたびに、咳き込み血を吐くと思われている過保護感
陽乃は苦しさが勝るのか、不満そうには見えないけれど、
その目は水都に向けられている
歌野「私は、ここで生きていきたい人がいるなら、残るわ」
水都「私は、うたのん……ううん、勇者がここに残るのなら残ります」
歌野「……!」
歌野は思わず声を上げそうになったのを控えて、水都を見る
昨日、眠っている陽乃の傍で話した時、水都は言い淀んだ挙句に話を逸らした
なのに、1日足らずで水都は堂々と言い切るようになった
何かがあったのだ
何かは分からないけれど
水都の意識を変える何かが。
歌野「そっか……」
水都「?」
歌野「ふふっ、何でもない」
歌野は水都の視線を感じて首を振り、小さく笑う
歌野「そう言うことだから……もしあれなら、避難したい人達を連れて四国の勇者達で戻って欲しいって思ってる」
- 855 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/06(土) 21:12:28.19 ID:PcZfl0JKO
- 今度はこっちの説得か
- 856 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/06(土) 22:16:15.74 ID:we9r2hPfo
-
陽乃「みんな……置いていけって?」
歌野「みんなじゃないわ。一部は――」
陽乃「かわらない……っ……ごほっげほっ……」
水都「っ」
水都は咳き込む陽乃の体を支えて寝返りを打たせて背中をさすり、
席が泊まったのを確認すると、
枕を腰と背中に当てながらベッドをリモコンで動かして、体を起こさせる
そして、すぐそばの水を手に取って陽乃の口元に宛がう
水都「ゆっくり、飲んでください」
陽乃「ん……」
水都は静かに、ゆっくりとペットボトルを傾けて陽乃の口の中に流す
手つきはとても慎重だが、それでも陽乃の喉が動く速さよりも流れる水の量が多く、
すぐに唇の端から溢れていく
陽乃「っ……ぅ」
歌野「みーちゃん、ストップ……ステイよ。一旦止めた方が良いわ」
水都がペットボトルを引くと、歌野が陽乃の口元をハンカチで拭う
まるでただの介護だと……陽乃は自己嫌悪してしまうが、
2人はまるで気にすることなく、陽乃を気遣う
- 857 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/06(土) 23:13:16.28 ID:we9r2hPfo
-
歌野「あんまり、考えさせる話はしない方が良さそうね」
水都「うたのんが変な子守歌口ずさむからだよ」
歌野「ソーリー、真面目過ぎたわ」
注意されたのに、なぜか嬉しそうな反応を見せた歌野
すぐに申し訳なさそうに眉を顰めて、陽乃の額に張り付く前髪を払い除ける
歌野「ここで生きていきたい人は私達が助ける。だから、ここを出て生きていきたい人たちを助けて欲しい」
みんなを置いていくわけじゃない。
れっきとした協力
適材適所
誰も見捨てるわけではないと歌野は言う
歌野「今日はもう、眠った方が良いわ」
歌野はそう言って、水都へと目を向けた
歌野「みーちゃん、頼める?」
水都「うん、大丈夫。何かあったらナースコールもあるし」
歌野「……そっか」
驚かず、嬉しそうな声
優しい笑顔を浮かべて……また、陽乃を見る
歌野「ゆっくり休んで」
- 858 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/06(土) 23:40:51.27 ID:we9r2hPfo
-
陽乃「っ……ごほっ……」
歌野「ほら、無理に話さなくていいから」
陽乃「ま……」
まだ話すべきことがある。
総攻撃が行われるよりも前に避難させるつもりなのか
それとも、総攻撃を受けた後に避難をするつもりなのか。
前者である場合、
諏訪がそれを耐えきる可能性は0と言っていいかもしれない
だが、
総攻撃を受けた後では……耐えられる可能性はあるが、
犠牲者は少なからず出ることになるだろう
どちらが良いか。と言うのは中々に判断しにくいことだけれど、
元のさやに納まる選択は、間違いなく前者だろう。
しかし、それは諏訪を囮として見捨てるということだ
歌野「少しでも多く助かる人がいるなら、その方が良いと思うわ」
歌野と水都に助けられながら、またベッドに横になる。
歌野はもう、それ以上話を長引かせる気はないようで
水都に任せて、病室を出ていく。
陽乃に声を出させたくないという気遣いだろうが、
聊か狡いと、陽乃は顔をしかめて……重い瞼を閉じた
- 859 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/06(土) 23:46:29.66 ID:we9r2hPfo
- √ 2018年 8月10日目 夜:諏訪
05〜14 球子
41〜50 九尾
52〜61 杏
↓1のコンマ
※それ以外は通常 (水都)
- 860 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/06(土) 23:52:47.48 ID:Xd/rnQnfO
- あ
- 861 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/06(土) 23:54:13.06 ID:we9r2hPfo
-
では短いですがここまでとさせていただきます
明日は可能であればお昼ごろから
- 862 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/06(土) 23:58:36.32 ID:Xd/rnQnfO
- 乙
全員生存させて四国に避難が理想だけど住人たちの意向を考えると難しい判断を迫られそうだな
- 863 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/07(日) 00:04:22.68 ID:TpsG6BK0O
- 乙
うたのんや水都は結局救えそうにないの辛いな
- 864 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2021/03/07(日) 00:16:04.16 ID:M/sMOw9k0
- 陽乃のテーマは「頼まれなくても生きる」系だと思っていたが、
死に場所を諏訪に決めた場合どう話を転がすんだこれ
- 865 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/07(日) 18:48:11.46 ID:jeG9ohHno
- では少しだけ
- 866 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/07(日) 18:49:29.29 ID:jeG9ohHno
- √ 2018年 8月10日目 夜:諏訪
声が聞こえる。
聞き覚えがあるのに、無いようにも感じる不思議な声
とても優しく、穏やかな……女性の声
陽乃が目を開けると、もう見ることが出来ないはずのものが見えて――目を見開く。
九尾「主様、気が付いたかや?」
陽乃「なんで……どうなって……」
傍らにいる九尾を一瞥して、体を起こす
眠る前までの気怠さはなく、喉の調子も悪くない。
身体の内側から響く痛みもなくて、むしろ……良いくらいの状態だ
しかし、陽乃が驚いたのは病室ではなく、かつて住んでいた自分の部屋にいることだ
丸亀城の寄宿舎ではなく、両親と住んでいた家
その、自室
荒らされ、焼け落ちたはずなのに。
九尾「夢のようなものじゃ。主様、現ではまともに話も出来なかろう」
陽乃「なるほど……明晰夢みたいな?」
九尾「うむ」
これも九尾の力だろうか
- 867 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/07(日) 18:56:22.47 ID:jeG9ohHno
-
陽乃「まさか、この部屋をもう一度見ることになるとは思わなかったわ」
九尾「望めば、模倣することくらい可能じゃろう」
陽乃「しても、意味はないわ」
机の引き出しを開くと、シャーペンの予備やノート
その日は使わない教科書などが入っている。
箪笥の中も、いつかは分からないがしっかりと洋服が入っていて
手に取ることもできた。
陽乃「それで?」
九尾「主様はどうするつもりかと思うてのう」
陽乃「残るか、帰るか?」
九尾「死ぬか生きるかじゃな」
残れば、死ぬ可能性が高いが
帰れば、辿り着きさえすれば暫く死ぬことはないだろう
陽乃「………」
諏訪の四国移住希望者を連れていくとなると
それなりの日数と、犠牲を覚悟する必要がある。
しかし、
そもそも勇者である歌野を連れ帰ることができないなら、ここに来た本来の意味は果たせない
- 868 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/07(日) 19:22:50.65 ID:jeG9ohHno
-
陽乃「諏訪はもう、本当に駄目なの?」
九尾「じゃろうな。残りの御柱を一つに束ねようとも、じきに崩壊する」
陽乃「私の力は?」
他の勇者達と違い、
陽乃は神々の力を扱うことができる。
もちろん、使える分の代償はほかの勇者の比ではないため、
使えるが、使うべきではない
しかし
九尾「主様が "死ぬ" ならば可能性もあるじゃろうが、望むことではあるまい?」
陽乃「出来るのね」
九尾「人柱……人身御供となり、主様が結界の要足る御柱の一つとなればよい」
九尾は淡々と答えると、
浅く息を吐いて、陽乃に目を向ける
九尾「それも長くはもつまい。平時ならばともかく、今はのう」
陽乃「そっか」
諏訪はいずれにしても、尽きる運命にあるということだ
陽乃のような人身御供を用意し続ければ保つこともできるかもしれないが、
それは現実的ではない
- 869 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/07(日) 19:37:05.79 ID:jeG9ohHno
-
つまり、ここに残る歌野や水都はこのままでは死ぬことになる。
2人もそれは理解しているだろう
けれど、ここに残るつもりの人々がいる以上、2人はここを出ていかない
ここを死に場所としている一般人を説得するのは簡単ではないはずだ
陽乃「白鳥さん達を連れ戻さなきゃ、意味がないわ」
九尾「人間を皆殺しにしてしまえばよいではないか」
陽乃「馬鹿なこと言わないでよ」
一人殺してしまった以上、
もう、後戻りできるような状況にはない
けれど、だからと言って何もしていない人々を殺すほど壊れてもいない
九尾「ならばどうする」
ここに残って、守り、死ぬか
ここから出て、守り、生きるか
死にたくないという思いを維持し続けるなら――間違いなく出ていくべきだ
だが。
陽乃「どうするって、言われてもね……」
1、九尾はどうすべきだと思う?
2、2人を連れ出す方法、ないかしら
3、残るわ。手ぶらで帰ったって何も変わらないし
4、帰るわ。死にたい人は死ぬしかないもの
↓2
- 870 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/07(日) 19:37:19.35 ID:TpsG6BK0O
- 2
- 871 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/07(日) 19:39:09.45 ID:uP/LdZ8SO
- 2
- 872 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/07(日) 20:02:42.68 ID:jeG9ohHno
-
陽乃「2人を連れ出す方法、ないかしら」
九尾「人間を皆殺しにするのは駄目かや?」
陽乃「ダメに決まってるでしょ」
九尾なら陽乃の犯行だと気づかせることなく実行は可能かもしれないが、
それは愚策ですらない蛮行だ
九尾も一度否定されているからか、本気ではないらしい
目を細めると、ため息をつく
九尾「ならば、結界を壊させるしかあるまい」
陽乃「結界を壊させるって……守らないってこと?」
九尾「結界を完全に破壊させたうえで、2人を含めた人間共を守り総攻撃を凌げばよい」
陽乃「それは、えぇっと……」
確かに、
結界が完全になくなってしまえば、
流石に残ると言う人はいないかもしれない
歌野達だって、
そうなっては致し方ないと四国に移住することを推奨するだろうし、
加護が消えたなら……頷く人も少なくないはず。
だが……負担が尋常ではない
- 873 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/07(日) 20:20:09.43 ID:jeG9ohHno
-
結界が健在であるなら、
その中にいる人々の心配をする必要はない。
彼らが襲われることはないし、
いちいち警戒をし、守ってあげる必要だってない。
しかし、
結界が破壊されて武器らしい武器もない人々が野ざらしになった場合、
勇者達はそれを守らなければいけない。
気を使い、警戒し、盾になる必要だってあるかもしれない
そうしなければ、人々は簡単に奪われていく
陽乃「っ……」
かつて、陽乃が目の当たりにしたように
とても
とても簡単に
陽乃「ぅ……」
九尾「ふむ……恐れておるのかや?」
陽乃「違う……ただ、嫌なだけよ」
- 874 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/07(日) 20:40:26.21 ID:jeG9ohHno
-
あれから3年も経った
以前から力はあったが、今はより力をうまく扱えるようになっている。
今は満身創痍だけれど、
それは今まで使ったことのない伊邪那美命による影響が残っていたからだ。
無理に無理を重ねた結果だから、
普通の状態なら何も問題はない。
回復に専念して数日過ごせば、大丈夫なはずだと陽乃は思う。
なのに……恐れるわけがない。
滴る血も、
零れ落ちる人の腕も
転がる頭も
散らばる骨も
響き渡る断末魔も
なにも――
九尾「主様」
九尾のやや強い声色にハッとする。
陽乃「っ!」
九尾「妾に虚勢など意味もあるまい」
- 875 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/07(日) 21:10:59.70 ID:jeG9ohHno
-
陽乃「私は……別に」
九尾「無論。今の主様……いや、万全な主様ならば何も問題はなかろう」
確実に守ることができるはずだ
後々、
血反吐を吐き零して、血だまりに倒れ伏すかもしれないが
それでも、死にはしない。
九尾「それでも主様は恐れておるな」
陽乃「だからっ」
九尾「繰り返すことを、恐れておる」
頑張って、頑張って
守れなかった人々の残骸に心を痛め、
なのに、守れなかった人がいるのを責められて
バーテックスが攻めてきたのはお前のせいだと責められて
そして――
陽乃は首を振って、考えを払う
陽乃「知らないわよ……そんなこと。何人殺されようが、私は」
もう、信じない。
そうされるんだって思っておけば、痛くもない
九尾「ならば良いがのう。して、どうする?」
1、それしかないなら、するしかないわね
2、考えておくわ
3、そんなリスクは取れないわ
↓2
- 876 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/07(日) 21:20:52.83 ID:uP/LdZ8SO
- 1
- 877 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/07(日) 21:22:27.25 ID:IkvscxiS0
- 1
- 878 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/07(日) 22:01:08.26 ID:jeG9ohHno
-
陽乃「それしかないなら、するしかないわね」
九尾「ふむ。そうか」
陽乃「でも、まだ時間はあるんでしょう?」
外の状態からして、総攻撃が行われるのはまず間違いない。
だが、少なくとも今月中は問題ないように思える
それまでにも、何度か襲撃が来るかもしれないが、3人の勇者で対応しきれるはず。
それだけあれば、陽乃も万全になれる。
総攻撃が行われ、結界が完全に破壊されても、
陽乃が後を考えずに力を使えば人々を守り切れるだろう。
陽乃「時間があるなら、別の手を取れるかもしれないし……一先ずの予定ね」
九尾「結界が割れる前に参戦することになるはずじゃ。手を抜くのじゃぞ」
陽乃「守っちゃいけない。のね」
九尾「うむ」
陽乃は九尾が頷くのを見て目を背けると
溜息をついて自分の唇に触れる
陽乃「守らなくても良いって、気が楽ね」
九尾「出来ればよいがのう」
陽乃「出来るわよ。大丈夫」
- 879 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/07(日) 22:21:58.75 ID:jeG9ohHno
-
バーテックスの侵攻は結界が防いでくれる。
結界が壊れるまでは、人々に直接的な被害は出ないはずだ
人が死ぬわけではないし、断末魔が轟くわけでもない。
結界が壊れたら、ちゃんと戦って守ってあげれば良い
大丈夫。
陽乃「………」
九尾「結界を守り切れぬことを糾弾されるやもしれぬが」
陽乃「……大丈夫。責められるのは、慣れてるわ」
陽乃は笑って、答える
覚えのあること、無いこと
頑張ったことを無視されて、ただただ、悪いことだけを引き出されて
守った意味が分からなくなるくらい
色々と責められてきたから。
結界を守れなかったことを責められるくらい、何でもない。
だって、守れないのではなく守らなかったのだから。
自分の意思での被害なら、責任があるのは当たり前だ
陽乃「明日には、普通に話せるかしら?」
九尾「興奮しなければ良い。声を張るでないぞ」
陽乃「ん……分かったわ」
- 880 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/07(日) 22:59:33.64 ID:jeG9ohHno
-
陽乃「私、何にもできないわね……」
九尾「あの小娘を利用してやればよい」
陽乃「藤森さん?」
陽乃の問いに九尾は頷く
藤森水都、諏訪で生き残っていた巫女
水都はなぜだか陽乃に親近感を抱き、
その悩み、苦しみをひっくるめて寄り添おうとしている。
今も、病室で横になっている陽乃の傍にいる
陽乃「私を諦めないって、言ってたわね」
九尾「娘が望んでいるのならば、好きに使い捨ててもよかろう?」
陽乃「まぁ、そう……なんだけど」
それで離れてくれるとは思えない
人を殺したことを話しても、
それでも……と、寄せてきたのだから。
陽乃「……はぁ」
発端は食べるのを手伝って貰ったことだろうか。
あれは軽率だったかもしれないと……陽乃はベッドに身体を倒して目を瞑る
懐かしい、自分の部屋
布団も枕も、あの頃と同じ感触で
けれど
陽乃「ベッドは……ちょっと狭く感じる」
あの日で時間が止まってしまったのを感じながら、落ちていく
- 881 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/07(日) 23:00:30.60 ID:jeG9ohHno
-
√ 2018年 8月11日目 朝:諏訪
01〜10 歌野
21〜30 球子
41〜50 杏
81〜90 襲撃
↓1のコンマ
※それ以外は通常(水都)
- 882 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/07(日) 23:08:06.78 ID:uP/LdZ8SO
- あ
- 883 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/07(日) 23:09:45.96 ID:jeG9ohHno
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
再開時にまとめ
- 884 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/07(日) 23:15:35.99 ID:uP/LdZ8SO
- 乙
決してリターンが小さい訳ではないけど最悪諏訪の人々にまで恨みを買ったり陽乃さんが死亡したりするかもで大分綱渡りだな
- 885 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/08(月) 06:50:40.10 ID:UEph28OEO
- 乙
結界壊すとか結構スパルタ気味な方法だけど致し方ないか
- 886 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/08(月) 08:03:57.24 ID:xu5V3FmnO
- 乙
つっても諏訪に残るのも悲劇でしかないからなあ
- 887 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/08(月) 21:48:27.29 ID:kuR+76Z/o
- では少しだけ
- 888 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/08(月) 21:48:56.78 ID:kuR+76Z/o
-
1日のまとめ(諏訪組)
・ 白鳥歌野 : 交流有(現状説明、意思確認)
・ 藤森水都 : 交流有(守れなかったもの、勝手なことを、人殺し、意思確認)
・ 土居球子 : 交流無()
・ 伊予島杏 : 交流無()
・ 九尾 : 交流有(歌野を呼ぶ、2人を連れ出す方法、結界破壊)
√ 2018/08/10 まとめ
白鳥歌野との絆 44→45(普通)
藤森水都との絆 52→58(普通) ※特殊交流
土居球子との絆 55→55(普通)
伊予島杏との絆 62→62(普通)
九尾との絆 63→64(普通)
- 889 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/08(月) 21:49:32.89 ID:kuR+76Z/o
-
√ 2018年 8月11日目 朝:諏訪
まだ、瞼が重い
意識が覚醒するにつれて、
身体の節々の痛みまで戻ってくる
腕を上げるだけで、骨が軋む
震えてしまって握り拳もまともに作れない
昨日大声を出してしまったのが相当、負担になっているらしい
正しく言えば、大声を出したというより興奮してしまった事だろうか。
陽乃「ん……けほっ……けほっ」
喉の異様な渇きに咳き込む。
潤いを失っているせいか、ピリピリとした痛みを感じる
陽乃「誰……か……」
身体がまともに動かせなくて、起こすことすら難しい陽乃は
ナースコールを押そうと手を動かす
けれど、頭の横の方にあるそれに手を伸ばす事すらできない
水は冷水だと刺激が強いということもあって、
常温保存のために近くのテーブルの上に新しいペットボトルが置かれているけれど、取れない
陽乃「けほっ……げほっ……っ……ごほっ……」
水都「久遠さんっ」
陽乃「ぅ……」
水都「待ってください。今用意しますから」
陽乃の目が向けられている方向とは逆側から水都の声がしたかと思えば、
ばたばたと慌ただしい音を立てて、視界の端に水都が入り込み右から左へと駆け抜ける
- 890 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/08(月) 22:02:08.91 ID:kuR+76Z/o
-
慣れた手つきで陽乃の身体を支えてベッドを操作しつつ体を起こさせると
ペットボトルを手に取り、キャップを開けて薬飲み器に注ぐ
陽乃「それ……」
水都「昨日、ペットボトルだと大変そうだったので用意して貰ったんです。飲みやすいはずですよ」
陽乃「……っ」
薬飲み器を受け取ろうとしたものの、自分の口にまで持ち上げられそうにない
陽乃の表情を酌んで、水都はそうっと陽乃の口元に吸い口を宛がう
陽乃はストローなどで吸い上げることも難しいため、
水都にゆっくりと流し込んでもらう
陽乃「んっ……んっ……っ……」
5秒程度流し、一旦離してまた数秒流す
それを数回繰り返して、陽乃の喉を潤していく
陽乃「っは……はっ……んっ……」
水都「大丈夫ですか?」
陽乃「大丈夫……」
体を起こして貰い、水を与えて貰い、口を拭って貰う
それだけして貰わなければいけない状態が大丈夫と言えるのならだけれど。
- 891 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/08(月) 22:18:28.05 ID:kuR+76Z/o
-
水都「昨日の夜、凄く魘されていて……心配しました」
陽乃「魘されてた……?」
水都「はい」
声をかけても、体を揺すっても目を覚まさない
ナースコールを押して医者を呼んだが、
通常の手段はどうすることもできないとなって……見守っているしかなかったのだという。
幸いにも数時間経って治まったが
再発する可能性も考えて、水都はずっと隣に控えていたらしい
陽乃「そう……ずっと起きてたわけではないのね」
水都「すみません、寝ちゃいました」
陽乃は水都へと目を向ける
昨日と同じ巫女装束は皺だらけで
髪は元々ふわふわしていたが、今はぼさぼさで
頬には装束の袖の痕がくっきりと残っている
昨日から着替えてすらいないらしい
陽乃「別に責めてはいないわ」
昨夜……だろうか。
九尾の何らかの力によって陽乃はかつての自室にいた
そこで二人きりで今後のことを話し、
あえて守らずに結界を壊させることにした
それを知ったら、今度こそ藤森水都は離れてくれるだろうか?
- 892 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/08(月) 22:39:57.94 ID:kuR+76Z/o
-
水都「食事はできそうですか?」
陽乃「……噛まないものなら」
水都「そう伝えておきます。入浴と、あの……えぇっと」
陽乃「そうね。色々と頼みたいわ」
もちろん、それらの世話はさすがに水都ではない
ちゃんと看護師を呼んで、対応して貰う。
水都はその間に身なりを整えてくるだろう
陽乃「私、外出できると思う?」
水都「許可を戴けると思ってます?」
手足がまともに動かせないし、声を張れば血を吐くし悪化する
そんな病弱極まっている状態の陽乃を外に出すなんて不可能だ
水都「どこか行きたいところでも?」
陽乃「諏訪に来てからずっと、病院にいるのもつまらないから」
水都「ならまず、体を休ませてください」
まさにその通りだし、それしか無理だ
陽乃はため息もつけずに小さく息を吐く
水都「私も一旦帰ります。久遠さんの準備が終わったころにまた来ますね」
1、もう来なくていいわ
2、どうして?
3、白鳥さんは良いの?
4、伊予島さんと土居さんを呼んできて
↓2
- 893 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/08(月) 22:40:48.43 ID:I7dDBD61O
- 3
- 894 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/08(月) 22:42:43.24 ID:JAhn8ZwWO
- 4
- 895 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/08(月) 23:15:14.32 ID:kuR+76Z/o
-
陽乃「だったら、伊予島さんと土居さんを呼んできて」
水都「え……」
水都は思わず驚きを露わにしてしまう。
陽乃からのお願い
水都から問い、陽乃がそれに答えたものではなく、
陽乃からこうして欲しいと言ったのだ
驚きは瞬く間に喜びへと変わっていく
水都「は、はいっ!」
陽乃「あまり……大声出さないで」
水都「すみません……つい」
一旦帰る
だったらもう、来なくていいと言われる可能性さえあった
もちろん、それでもまた来るというつもりではあったが、
陽乃はそれなら……と、頼みごとをしてくれた
水都「分かりました。絶対に連れてきますね」
水都は安堵したように、息をついて答える
その二人は勇者だ
四国移住についての話などもあって忙しいかもしれない
でも、絶対に連れてこようと頷く
水都「任せてください」
- 896 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/08(月) 23:16:29.66 ID:kuR+76Z/o
- では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
- 897 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/08(月) 23:26:21.80 ID:JAhn8ZwWO
- 乙
みーちゃんの絆値が既にタマを超えてるとは陽乃さんも妹分に好かれやすい傾向があるな
あと陽乃さんのヨボヨボぶりを見るとこれからの戦いを乗り切れるのか心配だ…
- 898 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/08(月) 23:47:05.46 ID:5AqfBPTAO
- 乙
みーちゃん嬉しそう
久遠さんはとりあえずお休みだな
- 899 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/09(火) 00:31:40.06 ID:3Jcdz4D0O
- 乙 ほんとに長野来てよかったなあ
- 900 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/09(火) 20:17:28.23 ID:QYG8xpm4o
-
では少しだけ
- 901 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/09(火) 20:18:14.93 ID:QYG8xpm4o
-
水都「それにしても、静かに話すなら問題なさそうで何よりです」
陽乃「貴女のせいで悪化したのよ」
水都「すみません……嫌なことを言ってしまって」
陽乃が感情的になったのは、
水都が諦めてくれなかったからだ。
人を殺したことを話しても、
水都はそれを信じないのではなく、
信じた上で、それでも……と寄せてきたのだから。
水都も、そこまでしてしまったのは申し訳なかったと思っている
しかし、そこまでしたからこそ本心を感じられたと思う
水都「でも、久遠さんの話が聞けて良かったです」
陽乃「……悪化させたいの?」
水都「すみません」
すみません。と、謝罪するのは口だけ。
興奮出来ないから、穏やかなだけだと分かっているのに
水都は嬉しさを隠しきれていない
水都「あと1日……最低でも2日は入院した方が良さそうですね」
陽乃「最低3日くらいじゃない? こんなだもの」
水都に見えるように左手を上げて見せる
ベッドに放っていた左腕が臍の上にまで上がったところで、酷く震える
ベッドに落として握り拳を作るけれど、棒の一本すら握っていられそうにない
陽乃「足なんて、こんな掛布団を払い除ける力さえないのよ」
- 902 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/09(火) 20:22:43.31 ID:G74wZ8R+O
- 来てたか
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