【安価】クロエ「リリウム魔法学校へ! これで最後!」【百合】

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

154 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/01(土) 17:36:36.50 ID:qH0zkNs3o
「こんにちは、ゼーレ・レジェンダリア・アートルムです。隣村から伝書鳩が飛んできませんでしたか?」

「ああ、あなたが! ぜひこちらに!」

それから数年。三人はどんな時も一緒にいた。
ゼーレが二人に対して愛しささえ感じ告白してしまえば、当然のように二人も同じ気持ちだと分かった。

「ついてそうそうすみません! この子がずっと腹痛を訴えてて……! お腹に謎の模様も……!」

「失礼。服、捲りますね」

旅の中で礼節も学んだ。
時々、もっとも非常識な存在でありながら、もっとも常識をわきまえてる、なんて軽口も飛び出すくらいには礼儀正しくなったつもりだ。

「……君、村の外に出たかな?」

「……うん」

「そっか。……皆さん、安心してください。この子は村の外に出て、魔獣に思い切り腹を蹴られただけです。回復魔法【ライフ】」

そうなると噂は爆発的に広まり、やれあっちで人助けをしてほしいだの、うちの町でも魔法を教えてほしいだの、様々な依頼が舞い込むことになった。
なんとなく覚悟はしていたことだし、魔法が確かに広まっていっているのは嬉しかった。

「い、痛くない……!」

「おおお……!」

「今のは外傷を治す魔法です。君ももう無闇に村の外に出ないようにね?」

人助けをして、友達を作って、魔法を教えて。
魔獣にも優しくして、できる限りのことを。

そんな生活を続けていると、神様だと祭り上げられるようになってしまった。
幼い頃の思い出が蘇ったりもしたが、昔ほど嫌じゃない。

今は誰かに言われるまま魔法を使っているわけじゃない。
自分の意志で、自分が助けたいと思ったことに使っている。だからこそ、お礼の言葉も素直に受け止めることができる。

「さ、アイリス、リーケ。今日から一週間はここにいる予定だからね」

「じゃああたし友達作ってくるー!」

「わ、私はここの魔獣に会ってくるね……」

それから不死鳥に会ったり、魔王と戦うことになったり……。
まあ、すごくいろいろな事があって長く眠ることになったのだった。
155 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/01(土) 17:37:19.99 ID:qH0zkNs3o
「ゼーレさん」

「あら、クロエさん。お久しぶりですね」

現代。私はとある学校で教師として過ごしている。
今話しているのは、世界を救った女の子。クロエ・アートルムさん。
私に憧れて同じ名字にしたと聞いたときはむず痒かったが、今では彼女と同じ名字なのが誇らしい。

「課題のために前に書いた台本が読みたくてね。演劇部に顔出そうと思ったらゼーレさんがいたから話しかけちゃったわ。教師生活はどう?」

「大変ですが、とても楽しいですよ」

魔法を広めるのとは違う、魔法の扱い方を教えるという仕事。
昔よりかなり高度に魔法体系が進化し、私が心配するような魔法によるいさかいは起こっていない。
だからこそ正しい知識を与えることで、より魔法を進化させ、悪いことに使わないようにしなければならない。
とても責任ある仕事だと今は思っている。

「本当に楽しそうね。……アイリスさんとリーケさんと……スキアさんは?」

「アイリスは世界中を旅してます。即席の魔法陣用の魔法石もあるので、私に会いたくなったらすぐ戻ってくるそうです。今はお互いにス魔ホもありますし、連絡は毎日取ってますよ」

アイリスは毎日楽しそうだ。
行く先々で友達になった人との写真を送ってくれる。

「リーケはリーケ財閥に特別指導員として迎えられました。魔獣と毎日触れ合ってるだけで幸せな子ですから、色々な魔獣に出会える今の環境がすごく嬉しいみたいです」

どんな魔獣とも仲良くなってしまうリーケを見ていると、ちょっとヤキモチを妬いてしまうこともあるのは秘密だ。

「スキアは……」

「わかんないよー!」

ちょうど隣の教室から声が聞こえる。

「スキアさん、うるさいですよ」

扉を開ければそこには一人補修を受けるスキアが。

「あうぅ……お姉ちゃん……」

「お姉ちゃんじゃなくてゼーレ先生です。ほら、どこが分からないんですか?」

「スキアさんは生徒として在学してるのね」

クロエさんが後ろから声をかけてきます。
そう、スキアは一年生として学校に入り直したのだ。
私がすぐそばで監視できること。暴走した時に抑え込む能力があることを、私だけではなく校長先生にも期待できること。等々を加味し、リリウム魔法学校の一員となったのである。
もちろん最早魔界の欠片さえも彼女には残っていないので、暴走の可能性はゼロ。
だが、大混乱を引き起こした元凶に対し何もしないのでは魔法庁も面目がない。
よってこのような状況に落ち着いたのだけど……。

「ふふっ、思ったより勉強が難しい感じかしら?」

「クロエー、教えてよー」

「どれどれ……。ってこんなの基礎の基礎じゃない! 魔力の属性5つ書きなさいって……え、小学生用のドリル!?」

表紙を見たクロエさんが驚きの声をあげる。
そう、スキアはここまで何も学んで来なかったからか、魔法に関する知識が全く無いのだ。
あの混乱を引き起こした魔王が今は小学生用の問題に手こずっている様子がミスマッチで、なんだかおかしくなってしまう。

「スキア、大丈夫。ゆっくり考えれば解けるからね?」

「おおー、先生っぽいわ」

こんな感じで、今の私は毎日を過ごしている。
平和で愛しい毎日を。
素敵で優しい友達と。
156 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/01(土) 17:37:59.58 ID:qH0zkNs3o
以上、アートルムの時代の話とスキアのその後でした
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/01(土) 23:01:48.14 ID:yAjK3xnRO
前日譚っていいよね
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/01(土) 23:04:00.64 ID:yAjK3xnRO
一年生の仲良し6人組が見たい
159 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/02(日) 20:31:47.12 ID:6T9EbUHso
エピソードゼロ
  ヴァンパイア・ミーツ・ガール
    ーーあるいは、その劇を演じた二人の話

魔法もまだ存在しない時代。
人は魔獣との共存の仕方も今とは違ったそうな。

「うう……今日もやな天気だなあ……」

ここに、日光が苦手な体質の人間が一人。
彼女はその特異な体質から村から八分にされ、コウモリの棲む洞窟に身を潜めていた。

「ヴァンプさん、ご飯を持ってきましたよ」

そんな彼女は太陽が顔を出す日が長く続くと体調が悪くなり、外に食べ物を取りにも行けなかった。
しかし、そんな時は決まって村に住むとある少女が顔を出しては食べ物を届けに来ていた。

「ああ、ありがとう。イアは優しいね」

「優しいだなんて、そんな」

ヴァンプは日光に弱い代わりに、力が強かった。
体調が良い日は優しいイアに代わって夜な夜な魔獣を倒し、村の入口に届けてイアに感謝の気持ちを伝えるのだ。
その日もイアからの果物の差し入れを食べると、何もする気が起きず、夜まで眠ることにした。

「ヴァンプさん、お休みですか?」

「うん……夜まで寝るよ」

イアは持ってきたカゴの底からクッションを取り出すと、その上に正座する。
そしてポンポンと膝を叩けば、吸い込まれるようにヴァンプがその上に横になった。

「おやすみ、イア……」

「おやすみなさい、ヴァンプさん」

さらさらと気持ちのいい風が洞窟内に吹き抜ける。
出会う人は限られていたが、ヴァンプにとっては幸せな生活だった。

「いっ……!」

そんなある日、魔獣狩りを終えて洞窟に戻ると、コウモリがヴァンプに噛み付いてきた。
普段なら仲良くしていたはずが、攻撃されるとは。
疑心を感じてよくよく見れば、そのコウモリは普段洞窟にいるコウモリとは違う種族のようだった。

「巣を侵略しに来たのか。私が帰ってきたのが運の尽きだな」

難なくその侵略コウモリを仕留めると、巣に元々いたコウモリが奥からわっと飛び出してくる。
我先にとそのコウモリに食って掛かり、ものの見事に骨だけになるまでに食らい尽くしてしまった。

翌日。またもヴァンプにとっては最悪の晴天。

「ヴァンプさーん」

「んー、イアかー」

「ど、どうしたんですか! は、吐いたんですか!?」

ヴァンプを抱き起こすイア。
吐瀉物特有の酸っぱい匂い。それがヴァンプの口元から一瞬香りイアも顔をしかめる。

「なんかねえ、今日は体調が悪くて……」

日光に当たらない白い肌が青ざめて見える。
ひと目で体調不良だと分かる様子だった。

「医者に見てもらいましょう! 緊急事態なら村の医者もきっと……!」

ヴァンプに自身の上着を頭から被せ、なんとか村に連れて行くイア。
しかし無情にも医者の答えは「そんな得体のしれないものは私が診ても意味がない」というあまりにも無情なものだった。
160 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/02(日) 20:32:14.63 ID:6T9EbUHso
「うっうっ……!」

ぐすぐすと涙を流し、目元をこするイア。

「そんなにこすると腫れちゃうよ」

ヴァンプがそれをそっと咎める。

「だって、ヴァンプさんは何もしてないのに……!」

「何もしてないけど、何をするか分からないのが怖いんだよ。急に暴れて村人全員食われるかもって思ってるんじゃないかな」

あははと笑うヴァンプ。
そこに、洞窟の外から足音が三つ響いてくる。

「こんなところにいたんですか」

「あ、あなたは……」

「はじめまして。ゼーレ・レジェンダリア・アートルムといいます。こちらは妻のアイリス・スノードロップとリーケ・エターニア」

生ける伝説として名高いゼーレ・レジェンダリア・アートルムがなぜここに。
そんなイアの疑問に答えるかのようにゼーレが口を開く。

「村の方から言われて、ヴァンプさんの様子を診るよう言われてきました。なんでも特異な体質だとか」

「ゼーレに任せてくれれば大丈夫! 魔法でちょちょいのちょいだからね!」

「魔法……」

ヴァンプとイアは口を揃えて呟く。

「失礼します」

ゼーレがヴァンプのそばにしゃがみ込み、ぺたぺたと体を触っていく。

「これは……」

「何かあったんですか……?」

イアが不安気に聞く。
ゼーレは意を決し、ゆっくりと話し始めた。

「彼女は……人の血を吸わないといけないようです」

「あー……やっぱり?」

ヴァンプはそう言われると分かっていたようだった。

「なんかね、今日ずっとイアの血を吸いたくて……喉に噛みつきたいって気持ちが抑えきれなくて……」

「吸血を好む魔獣はたくさんいる……。その魔獣の血が混ざったのかも」

髪の毛の長い子ーーリーケがそう呟く。
ヴァンプはそれについても心当たりがあった。

「昨日の夜さ、普段ならここのコウモリに噛まれないのに、急にガブッと噛まれたんだよ。それで今日イアが来たら……って感じ」

「この辺の吸血コウモリ……ヴァンピール……かも」

「あたしと似た名前してるなあ……ははっ、運命を感じるよ……」

「恐らく死ぬことはないと思います。体が慣れてしまえば、そのまま生きていけるかと……。ただ血抜きをするには時間が経ちすぎていますから……」

ようするに、昨日噛まれてすぐに血抜きをしていればまだ人間でいられたのだ。
だが、それはもう遅い。
ヴァンプには吸血鬼として生きていくしか道はなくなった。
161 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/02(日) 20:32:41.96 ID:6T9EbUHso
「イア」

「なあに?」

無垢な瞳を向けるイアに告げる。

「ここにはもう来ないで」

「な……!」

「あたしはこれからここを去る。人がいないところで、なんとか生きていくよ」

これ以上イアには心労をかけたくない。
それに、今でさえイアに襲いかかりたくて仕方ないのだ。

「このままこの村の近くにいると、イアの匂いを嗅ぎつけて襲っちゃいそうなんだ。だから……」

「……分かりました」

そう言い、イアはその場に座り込む。

「……私、ここに住みます」

「イア!?」

「私、ヴァンプさんのことが好きです! あなたと離れるくらいなら……私は、あなたに食べられてしまいたい!」

落ちている尖ったコウモリの骨を拾い、それを首の右側にあてがう。
そして、一息に引いた。

「イア……っ」

ヴァンプがイアに襲いかかる。
馬乗りになり、イアの首に顔を近づける。

「ぐ……ダメだ……! イア、あたしを突き飛ばして……!!」

葛藤するヴァンプに対し、イアは無言で上体を起こした。
そのまま正面から抱きしめて、血の流れる首筋をヴァンプの唇にくっつける。

「いいですよ、ヴァンプさん。飲んでください」

血を啜る音。
もうヴァンプは止まれなかった。

「じゅう、じゅるる……!」

「あッ……くう……!」

こくんこくんと嚥下されるイアの血。
イアは痛みより、自身の血を吸って泣いているヴァンプが可哀想で仕方がなかった。

「泣かないでください。私は幸せです……大好きなあなたのために命を分け与えることができるのですから」

「あたしは……あたしも……イアが好き……! なのに、イアの血を吸うのが止められないんだ……っ!」

その様子を見ていたゼーレ達三人は静かに踵を返す。

「……私達にできるのは診察だけです。これからのことはどうかお二人で決めてください」

ヴァンプは震える声で抗議する。

「これからなんて……イアはあたしが殺しちゃうのに! これからの話なんてできないよ!」

「……あなたが耐えて、血を抜ききらなければあるいは……」

その言葉で、ヴァンプの目の色が変わる。

「イア……」

「ヴァンプさん……」

再び首筋にかぶりつく。
今度は優しく。できる限り血を抜かないように。
二人はその日、ずっとくっついたままで夜を過ごした。

ーーーーー
162 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/02(日) 20:33:10.39 ID:6T9EbUHso
翌朝。
清々しい朝日にヴァンプは顔をしかめる。
そしてその苦々しい表情に、イアはくすりと笑った。

「本当に太陽が苦手なんですね」

「……うん」

二人は乗り越えた。
ヴァンプの意思と、イアの愛で。

「ヴァンプさん、好きです」

「あたしも、イアのこと好きだよ」

優しく唇を触れ合わせる二人。
ファーストキスは血の味がしたそうな。

ーーーーー

ーーー



パチパチパチパチ。

場内に拍手が響く。
大学演劇部の発表会にて演じられた、吸血鬼の始まりの物語。
主役ヴァンプは私、水津凜華が。イアは音無舞が務めた。
私達二人の愛溢れる演技は好評で、発表会にて特別賞を賜る程だった。

「これ、クロエさんの台本なんですよね?」

「うん。なんでもゼーレさんに実際に取材したとか。同じチームを組んでそばで見てたけど、本当にすごい行動力だよ」

高校から付き合い始めた私達は、大学でも息ぴったりの演技を見せている。
一年次から主役に抜擢され、それでいて成績も残している。

「というか、あれなんですか! く、首に……!」

顔を赤くした舞が私に詰め寄る。

「ああ。あそこは急に噛みつかれるってシーンだったからさ。練習でしないことやったら急に噛みつかれた演技にリアリティが出るかなって」

「だ、だからって本当に噛み付くなんて……! もう! もうっ!」

ぽこぽこと叩かれるが、私は笑顔で受け流す。

「可愛かったよ、舞」

「うぅ〜〜〜っ……!」

きゅーんと大人しくなる舞。
赤い顔でくううと悔しがるのもとても愛らしい。
163 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/02(日) 20:33:38.10 ID:6T9EbUHso
今日は遠い会場での発表会のため、ホテルへの遠征だ。
私達は二人で一部屋をあてがわれている。

「せっかくだし大浴場に行こうか?」

荷物を整理しつつ舞さんに声をかけると、舞さんが後ろから抱きついてきた。

「あんな……あんなことされたら……」

さらに強く押し込まれ、ベッドの上に倒れ込んでしまう。

「ドキドキしちゃうじゃないですかぁ……!」

潤んだ瞳で熱い息を吐く舞。
首筋を撫でると、びくりと背筋を反らす。

「……しよっか」

ここまで求められて無視をするようでは女がすたる。
愛しい彼女のために一肌脱ごうではないか。

「ちゅっ……ん……」

唇を寄せれば、素直に応じてくれる。
待ちわびて感度が高まっているのか、ぴく、ぴくと小さく震えるのも可愛らしい。

「ひゃ、凜華さ……っ」

正直、私には経験がない。
昨年の七月に付き合い始め、かれこれ一年近い。
それでもここまでの深い繋がりを求めたことは一度もなかった。
自分で言うのもなんだが、すこし清すぎる付き合いかもしれない。

「私、初めてだから……。不手際があったらごめんね」

せめて断りは入れておこう。
そして、できる限り優しく触れよう。

「脱がすね」

一枚ずつ舞の洋服を脱がせていく。
汗の匂いがこもった洋服から解き放たれた素肌はしっとりと湿っており、興奮からか体温も高まっているようだ。

「は、恥ずかしいです……」

自分の肩を抱くように体を隠す舞。
それによって下着に包まれた胸が形を変え、不意にドキリとしてしまう。

「舞、綺麗だよ」

そっとホックを外せば、小さな胸が震えて零れ出る。
頂点は期待からか、すでにぷっくりと膨れていた。
痛くないよう、柔らかな乳肉から触れていく。

「んっ、ふっ……!」

手のひらの中でぷにゅぷにゅと形を変える舞さんの胸。
大きいとは言えないけれど、女の子らしい柔らかさでいつまでも触っていられる。
周囲ばかりを触られて焦らされ張り詰めた頂点は、触られるのを今か今かと待ちわびているかのようだ。
そっと親指と人差し指で挟み、ぐっと持ち上げてみる。

「ひぅうっ!?」

悩ましげな息を吐いていた状態から一転、背筋をピンと伸ばして目を白黒とさせている。

「あっ、うぅ……!?」

突然の刺激に驚いたままの舞と目が合う。
ちょうど視線が合ったので、そのままキスをしてみる。
さらに混乱した舞は鼻から荒い息を吐くばかりで、口からは声にならない声が漏れている。

「んふぅっ、ん、んんぅっ!!」

背中に回された腕に力がこもっていくのを感じる。
震えが大きくなり、やがてーー。
164 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/02(日) 20:34:12.42 ID:6T9EbUHso
「んぎゆっ、んっ! んんんんんんんんんっっ!!!♡♡♡」

ぎゅうううっと腕に強く力が込められる。
ゆっくりと力が抜けていき、唇を離したそこにはトロンとした表情で汗と涙とよだれにまみれた舞の顔があった。

「イ……イっちゃいました……♡」

未だに震えている腰をさすってあげ、逆転するようにゆっくりとベッドに押し倒す。

「もうちょっと動ける?」

「はい……♡」

舞台の上でイキイキとした演技を見せる舞が、私の下で素の表情を見せてくれている。
そのギャップが、私を燃え上がらせる。

「かわいいよ、舞」

するりと下着を抜き去ろうとすれば、透明な糸が引く。
すでに秘所は潤みきっており、てらてらと透明な汁でいやらしく光っていた。

「そ、そんなに見ないでください……っ」

ぐーっと腕を伸ばして私の頭を遠ざけようとする。
だがそれを無視して、さらに顔をそこに近づけていく。

「……ちゅっ」

「ひあっ!」

口づけると、腰を跳ね上げて反応してくれる。
逃げようとするのが可愛くて、あえていじわるしたくなる。
腰を押さえて、舌でぺろり。

「ひぐっ!」

足がぴくんと伸びる。
伸びた足を持ち上げ私の肩に乗せるようにして、再びそこを割り開く。

「やっ、み、見ないでくださいっ!」

くぱっと開いたそこは綺麗な桜色で、ひくひくと震えている。
もう一度唇をくっつけると、重力に逆らうように愛液が奥から溢れてきて唇の周りを汚す。

「あっ、ふわあっ!」

また腰が跳ねようとするが、それをさらに押さえつける。
おへその近く、子宮の存在する辺りに指を這わせてくにくにと刺激してみる。

「ひやぁっ!? はっ、それっ、ダメですぅ……っ!!」

息が断続的になり、苦しげに首を左右に振っている。
シーツを掴む手には思い切り力が入り、シワが深まっていく。

「じゅる……っ。イキそう?」

「は、ぃ……っ。もう……っ」

膣内に入り込んでいる舌が、彼女の収縮を感じる。
ぎゅううと深く締め付けてきたかと思えば、ふわりと優しく包み込んでくる。
だんだんとその締め付けが強くなってきて、限界の近さを悟った。

「いいよ、イって……! じゅるるるるっ!」

「ひっ! あっ! ふわああああああああああああっっ!!!♡♡♡」

背中を反らし、肩で抑えられた足もピンと伸ばされている。
白い喉がさらけ出され、びくびくと全身が痙攣する。
165 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/02(日) 20:35:23.57 ID:6T9EbUHso
「あ、は、あ……っ♡」

落ち着いた彼女はぐったりと力が抜け、ベッドから動けそうにない。

「可愛かったよ。無理させちゃったけど、体は大丈夫……?」

「えへ、へぇ……♡」

額にちゅっと一つキスを落とすと、こくりと小さく頷きを返してくれた。
部屋に備え付けのシャワーからタオルを濡らして持っていき、舞の体を拭いていく。

すべすべで、体幹のしっかりした引き締まった肉体。
絶え間なく努力し、燃え上がる情熱を演劇に捧げ続ける彼女。
その肉体が、精神が、私に向けられる。私は幸せ者だ。
こんなにも素敵な女の子と引き合わせてくれた演劇という世界には、感謝してもし足りない。

「おやすみ、舞」

気づけば舞は気を失うように寝ており、穏やかな寝息を立てている。
風邪を引かないようシーツをしっかりとかけ、私もその横へと潜り込んだ。

これからも、彼女とより良い舞台を創っていこう。
見るもの全てを虜にしてしまうような、最高の舞台を。

万雷の拍手を夢見て、私も眠りへと落ちていった。
166 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/02(日) 20:35:59.88 ID:6T9EbUHso
ヴァンパイアの始祖の話と、凜華と舞のアフターでした
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/03(月) 13:03:26.26 ID:VgfKJqg60
アートルム時代の掘り下げ良いな
ここまで来たら間空けつつ全部見たい
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/03(月) 14:45:42.52 ID:vPR5K1TiO
イリノワのその後とか気になるな
悪魔がどうなったかとか
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/03(月) 17:39:47.02 ID:5/J9WhSwO
確かに魔界がどうなったのかは気になる所、無理に描写する必要はないとも思うけど
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/03(月) 17:43:33.25 ID:d4ffNOtDO
作中で描写がなかったキャラの誕生日イベントとかどうだろう?
171 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/03(月) 20:15:22.03 ID:Ume28GvFo
皆さんたくさんの小ネタ案ありがとうございます
おかげで楽しく想像しながら書かせていただいてます!
172 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/03(月) 20:15:54.56 ID:Ume28GvFo
エピソードゼロ
  楓と嵐のある夜

「はい、はい……ありがとうございます」

楓のママさんがペコペコと電話口で頭を下げる。
その視線は心配そうに私の……横、ベッドで眠る楓に向けられている。

「嵐ちゃん、楓の病気はね……吸血鬼だけがかかる病気なの。あたしのかかりつけのお医者さんに聞いても……」

その先は言わなかったが、なんとなく分かってしまった。
きっと、治らない病気なのだ。

「ママ、とりあえずおばあちゃんのところに行こう。私がホウキで飛ばすから、乗って」

「うん、お母さんお願い。嵐ちゃん、少しの間楓のことお願いしてもいい?」

「う、うん!」

私は楓のことが大好きだ。
楓が死んじゃうなんて耐えられない。

バタンと扉がしまって家の中に静寂が広がる。
楓の様子を見てみると、苦しそうに呼吸を繰り返していた。

「かえで……大丈夫か……?」

そっと話しかける。
まぶたがぴくりと開き、ボーッとした瞳が私を見つめた。

「だいじょーぶだよ、らん……」

どう見ても大丈夫じゃない様子で、でもなんとか心配をかけまいとそう言う楓。

「何かしてほしいこととか……そ、そうだ、何か食べるか?」

「……あのねえ、あたし、分かるんだあ」

ぽわぽわとした口調で、何でもないことのように楓が語り始める。

「もう死んじゃうんだ、あたし」

にこりと力なく笑う楓。
かあっと頭に血が上るのを感じる。

「そんなこと言うな! 絶対に死なないからっ! 今楓のママもお母さんも一生懸命頑張ってるから、楓も諦めるな!」

必死にまくし立てても楓の表情は変わらない。
力なく、弱々しく笑うだけだ。
173 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/03(月) 20:16:24.39 ID:Ume28GvFo
掛け布団を捲り、私もそこに入り込む。

「ら、らん……?」

「わたしも一緒に寝る。添い寝は病気に効くんだよ」

もしかしたらそんなことはないかもしれないが、風邪を引いたとき、ママが添い寝してくれてすぐに治った記憶がある。

「らんなんかに治せるかなあ」

くすくすと小さく笑う楓。
ムッとしてさらに体を近づけてやる。

「お……俺なら大丈夫! 絶対に治してやるから!」

「俺?」

「そ、そうだ! 俺は嵐だ! つ、強くてかっこいい嵐だ! だから楓の病気くらい、俺が……!」

自分でも何を言っているか分からない。
でも楓を元気づけるために、強い俺が守るから楓は大丈夫だと思ってほしかった。

「じゃあ、このまま……一緒に寝よう……」

「お、おうっ」

ぎゅうっと楓を抱きしめる。
少しでも不安がなくなってくれと願いながら。

「大丈夫、だいじょうぶだからな、楓」

ぽんぽんと背中を叩く。
ゆっくり、ゆっくりと。

「ん……あり、がと……」

やがて、すうすうと寝息が聞こえ始める。
着込んで寝ているはずの楓の足は冷え切っており、そこに自分の足を絡ませる。
まるで一人だけが布団を被っているかのように見えるほどくっつき、やがて俺も眠りに落ちていった。
174 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/03(月) 20:17:01.92 ID:Ume28GvFo
ゆさゆさと揺すられて、眠っていたことに気がつく。
目を開けると、目の前には楓はいない。

「か、楓……!?」

ばっと体を起こせば、楓はそこにいた。

「お、起きた」

しっかりと両の足で立っており、顔色も良く見える。

「楓ぇ……!」

「嵐ちゃん、ありがとう。あなたが一生懸命看病してくれたから間に合ったわ」

楓のママさんが机の上にある薬を指し示す。
おばあちゃんに急いで調合してもらったという吸血鬼用の薬らしい。
一時的に吸血鬼の力を上昇させるもので、それを使ったようだ。

「楓はまだ小さいから、おばあちゃんの調合でも上手くいくか分からなくて……でも嵐ちゃんが看病してくれたから、楓の生きる気力がすごくて」

なんでも、楓のかかっていた病気は弱い吸血鬼には乗り越えられないものだという。
それを薬の力で乗り越え

「嵐のおかげだよ! ありがとね!」

楓ががばっと抱きついてくる。
抱きとめてその体温を感じると、なぜだか涙がポロポロと溢れてきた。

「よかった……よかったよぉ……!」

「おー、泣くな泣くな」

寝る前とは違い、楓が俺の背中をぽんぽんと叩いてくれる。

「俺……本当に楓が死んじゃうかと思って、怖くて……!」

「嵐の体温を感じてたら気持ちよくってさあ。死んでられないなーって思って」

楓の手が止まらない。さすさすと優しくさすってくれる。

「俺……?」

楓のママさんが不思議そうに俺を見る。

「そうそう、嵐は強くてかっこいいからね! 自分のこと俺って言うんだって!」

俺が何か言う前に、楓がぺらぺらと話してしまう。
ママさんはそうだったのと笑い、微笑ましそうだ。

「ま、まあな。俺がこれからも楓のこと守ってやるから、かっこ悪いところは見せられないよな」

顔が熱くなるのを感じる。
だがもう後には引けなくなってしまった。
これからは自分のことを俺と言わなければならないのだろう。

「へへっ。かっこよかったぞ、嵐」

それでも、楓の笑顔を見られるのならまあいいかと思ってしまう俺がいるのだった。

ーーーーー

ーーー

175 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/03(月) 20:17:35.70 ID:Ume28GvFo
「おーい、嵐ー?」

スタジアムの控室。
少しうとうとしていたらしく夢を見ていたようだ。

「悪い、ちょっと寝てたみたいだ」

「昨日遅くまで敵チームの情報調べてたもんな。眠気は大丈夫か?」

晶が心配そうに声をかけてくれる。
頬をぺちぺちと叩いて気合を入れれば、目はしゃっきりと覚めてくれた。

「おう! 俺に任せとけ!」

「頼もしいねえ。よし、行こう!」

楓にポンと背中を叩かれ控室を出る。

さあ、今日も楓のために頑張ろうじゃないか!
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/04(火) 19:20:14.31 ID:LJHMxFaHO
何らかのきっかけがあって口調とかが変化したシチュほんとすき
ついでに言うと口調が一時的に前のに戻るとかもすき
177 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/04(火) 21:12:42.66 ID:Vzc6LrPso
エピソードアフター
  紅林御桜の日常


「ごきげんよう、ラクリマさん」

「おはよ〜」

紅林御桜の一日は、同室のラクリマに挨拶をするところから始まる。
今まで使用人に任せていた着付けも今では慣れたもので、すいすいと難なく制服を着込んでいく。
さて、制服に着替えたあとは朝食だ。
リリウムには大きな食堂があり、大抵の生徒はそこで朝昼晩の食事を摂る。

「和風朝食セットとサラダをお願いします」

「はい、和風とサラダね」

御桜が頼んだのは、生まれの故郷の朝食にほど近い和風朝食セットだ。
よく焼けた魚に、大根おろし。卵焼きと味噌汁も付いてくる。そして……。

「うっ、またそれ食べるの?」

近くに座ったラクリマが顔をしかめる。

「はい。納豆は美味しいですからね」

粘ついた豆と多数の生徒に認識されている納豆と呼ばれるソレは、ごく一部の生徒には大人気のようだ。
匂いや食感、見た目や匂い、あと匂いなど様々な理由によって敬遠されがちだが、これが中々癖になるらしい。

「ごちそうさまでした」

追加のサラダまでもぺろりと平らげ、優雅に頭を下げる。

「御桜さんは食事の挨拶もしっかりしてて偉いわねえ」

お皿を下げに窓口まで向かうと、向こうから料理人のお姉さんが話しかけてくれた。
やはり挨拶してくれる子はなんとなく顔も覚えてしまうようで、厨房ではもっぱら紅林さんいい子よねえと話されているとか。
それにも笑顔でありがとうございますと返事をし、一度寮へと戻る。

さあ、これからは学生の時間である。
寮で時間割を確認し、必要になる教科書や授業道具を用意。そしてそれから校舎へと向かっていく。
さて、教室へ入れば授業の時間だ。教科書を広げ、先生の話を聞く。
小学校の頃は家庭教師と学校の先生を混同してしまい、授業中にも関わらず先生をずっと侍らせていたこともあるが、今はそんなことはしない。

「先生、質問があります」

分からない時には手を上げ、短い質問にまとめる。
それに対しての返答をノートに書き込み、それでも分からなければ授業後に改めて聞く。
それが他者への配慮が行き届いた授業の受け方だと学んだのだ。
178 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/04(火) 21:13:11.07 ID:Vzc6LrPso
さて、一通りの授業を終えると放課後だ。
他クラスに顔を出すと、シェリル・オルゼラリアと目があった。
今日はマホリオの連携確認のため、他チームと模擬戦をする予定があるのだ。

「御桜、エルクは?」

「まだ見かけてません。先にグラウンドへ行ったのでしょうか」

シェリルが荷物をまとめ立ち上がる。
合わせて歩きだし、雑談をしながらグラウンドへ向かう。

「あ、あの、紅林先輩……っ」

その途中、見知らぬ下級生から声をかけられる。
この子は新一年生だろうか。
ういういしさと緊張をないまぜにした表情で見つめられ、できる限り優しい声で答える。

「どうしました?」

「そ、その……私、茜ちゃ……あっ、久遠選手のファンで……っ!」

そこまで言われれば、なんとなく望むものも分かる。
というより、御桜が久遠茜の妹であると知って接触してくる人のほとんどの要求は同じだった。

「それで、紅林先輩が久遠選手の妹って聞いて……その……!」

「サイン、ですか?」

「は、はいっ! その、ダメでしょうか……?」

捨てられた子犬のように悲しげな瞳をする一年生。

「大丈夫ですよ。私から姉に掛け合いますね」

ぱあっとその表情が明るくなる。
名前とクラスを控え、数日後にサインを渡す約束をしてその場は別れた。
ありがとうございますと元気にお辞儀をし、一年生の子は廊下を走っていく。

「……お前、そんなに安請け合いしていいのか? 妹からのお願いとはいえ、相手はトッププロだろ。サインを書いてもらえるとは限らないんじゃないか」

シェリルが怪訝な顔で御桜に聞く。

「いえ。茜お姉ちゃんに関しては大丈夫です。私がお願いしたら絶対書いてくれますから」

「……すごい信頼関係だなあ」

ぽつりとそんな感想を呟くシェリル。
そんなこんなでグラウンドにたどり着くと、すでにエルク・メルトルは一人アップを始めていた。
179 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/04(火) 21:15:15.13 ID:Vzc6LrPso
「お、エルク。早いな」

「ホームルームが早く終わったので。先に来てアップだけしてました」

体を軽く動かし、魔力の放出が問題なくできるか確認する。
試合が始まってから違和感を感じては、相手にも失礼だというエルクなりの配慮だった。

「お相手さんも来たみたいだな」

御桜と同室のラクリマに続き、学内一の実力者との呼び声も高いぜレス・ケルキオン。そしてその恋人であるステラ・ステラがやってきた。
学内ワンツートップの模擬戦ということで観客もいる。
恥ずかしくない戦いにしようと誓い、空に舞い上がる。
ゼレスさんの光と、エルクさんの闇がぶつかって弾けた。

ーーーーー

ーーー



試合はゼレスさんチームの勝利で幕を閉じた。
互いのチームの健闘に、観客からも拍手が送られる。
汗が冷えない内に解散した彼女達は、思い思いの方向へと別れていった。

御桜はと言うと、寮へと一足先に戻ってきていた。
ラクリマがまだ戻ってきていないことを確認すると、先にシャワーを浴びるというメッセージを送ってから、寮の各部屋に備え付けられたシャワールームへと入っていく。

「ふう……さっぱりしました」

その後は食堂に出向き、夕ご飯を食べる。
時刻が19時を回った辺りで寮へと再び戻り、今日のプロのマホリオの試合結果を確認していく。
もちろんまだ試合をしているチームもあるが、お目当てのチームは終わっているようだった。
電話帳から姉の名前を探してタップし、電話に出るのを待つ。

「もしもし〜?」

「もしもし、お姉ちゃん? 学校の後輩にサインを頼まれたんだけど……」

「分かった〜。名前ちゃんと書きたいから、メッセージで送って〜」

「うん。お願いね」

それだけの会話で電話を切る。
次いでメッセージアプリを起動し、先程控えた一年生の名前を送信する。

茜は御桜が紅林家を継ぐことになったことに対して、未だに罪悪感を持っているらしい。
それこそ嫁いだ当初は「何かできることがあったら言ってね」と念を押されてばかりだった。
今でこそそのようなことは言わないが、このように何か頼めば二つ返事でOKしてくれる。

御桜は母もママも大好きだし、姉である茜のことも大好きだ。そして歴史ある紅林家の一員であることに誇りを持っている。
だから茜が嫁ぎたいと言ったときも応援したし、自分が後継者になることに引け目も感じなかった。
だが、そのせいで茜は妹に重荷を背負わせることになってしまったと感じているようで、未だに妹に対して甘々なのだ。
180 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/04(火) 21:17:57.88 ID:Vzc6LrPso
御桜自身は姉に何かしてほしいと思ったことはほとんどない。
たまにスタジアムに観戦に行ったときに顔を合わせて、ジュースを買ってもらうくらいのものだ。
だがそれだけでは茜の気が収まらないらしいので、こうして頼み事をする口実ができると御桜の方も助かるようだ。

「お姉ちゃんは自由に生きているのが似合うんですけどね……」

メッセージアプリの画面を見ながらポツリと零す。
昔から自由気ままで、魔法の才能にも溢れ、挙げ句運動も大好き。
そんな姉を昔からそばで見ていた御桜は、今の『久遠茜』が大好きだった。
悔しいが、紅林から離れたことでさらに自由になったように見える。
だからこそ茜が御桜に負い目を感じている今の状況を、御桜自身は少し好ましく思っていないのだ。

「さてと」

改めて本を開く。
学校の授業で使ったのとは全く違う、実社会で戦い抜くための教養を育むもの。
紅林家は古くから、華道の名家として知られている。
その家元の娘として、無知なままではいられない。

「ただいまー」

ガチャリと寮の扉が開き、ラクリマが入ってくる。
机の上に広げられた本を見て、お勉強してる! と感嘆の声を上げた。

「御桜さんってさ、入学当初は世間知らずって感じで危なっかしかったけど、最近すっごくかっこいいよね!」

「そ、そうでしょうか。ハッキリ言われると照れますね」

少し頬を赤く染める。
その後一言二言会話を交わし、ラクリマはシャワールームへと向かっていった。
さあああという水音をBGMに、本の内容を頭に入れていく。

やがてシャワーから上がったラクリマも、今日の復習を始めた。
カリカリと部屋の中にペンの音が響く。
そして一段落が付いたところで互いを労ってベッドへと入るのだ。

これが彼女、紅林御桜の日常。

紅林家、次女。紅林御桜。
その名に恥じない桜の魔法を持つ少女。
大輪の花を咲かせるその日まで、彼女は成長することをやめないのだろう。
181 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/04(火) 21:18:24.68 ID:Vzc6LrPso
紅林御桜の何でもない一日の様子でした
182 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/05(水) 23:57:38.17 ID:c6AsUwSAo
エピソードアフター
  進級した一年生達のお話


やよい「ふわぁ……」ノビー

やよい「ポメちゃん、朝だよ」ユサユサ


ポメ「!」パチッ!

ポメ「おはよ、やよい!」


やよい「寝覚めがいいねえ」ナデナデ


ポメ「えへへ〜」ニコニコ


やよい(ちなみに毎日のように同じベッドに入られてます)ナデナデ


ポメ「やよいあったか〜い」ギュー


やよい「着替えて朝ごはん食べに行こっか」


ポメ「うん!」


ーーーーー

ーーー




食堂ーー


ロロナ「……あむっ」パクパク


「きれー……」 「かっこいいよねー……」


ロロナ「……むぐ……」


シエラ「ロロナ、隣いい?」


ロロナ「う、うん。どうぞ……」


シエラ「浮かない顔してるわね。何かあった?」


ロロナ「な、なんか最近人に見られてる気がして……」


シエラ「ああ。あなた一年生から人気だもの。それじゃない?」カチャカチャ


ロロナ「な、なんでっ? わ、私なんかそんな……」


シエラ「遠くから見ても分かる長身。肌も白いし、目もキレイ。憧れるなっていうのも無理な話よね」モグモグ


ロロナ「ううぅ……」モグモグ


ーーーーー

ーーー

183 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/05(水) 23:58:05.37 ID:c6AsUwSAo
音楽室ーー


カーム「ラァー♪」


レティス「ラー♪」


カーム「朝から一人で発声するの寂しかったので、レティスさんが誘ってくれて嬉しいです」


レティス【私もすぐ声を出せるようにしないといけないから。のどのチューニングは大事】グッ


カーム「ですね。今日はポメさんは……」


ポメ「おはよー!」ガチャッ!


カーム「あ、来ましたね」


やよい「魔法の調整を兼ねて練習するんだって昨日から楽しそうだったよ」


ポメ「カームの歌声とレティスの声が聞けるんだもん! 嬉しいよ!」


カーム「ふふっ。では早速魔法の調整に入りましょうか」


ガチャッ


ロロナ「あ、み、みんないた……!」


シエラ「ロロナが下級生から見られて恥ずかしいんだって。ここで授業まで時間つぶしてもいい?」


レティス【もちろん】


カーム「それでは……こほん」

カーム「……ラァー♪」


レティス「ララー♪」


ポメ「うー、うちも歌いたくなってきたー! ララー♪」


やよい「それじゃあ私も一緒に♪ ラー♪」


ロロナ「わ、私もいいかなぁ……。ララー……♪」


シエラ「……なら私も。ラー♪」


一年生組……現二年生組の6人は、いつも楽しそうに笑顔が耐えない集団として、学校でちょっとした話題になっているそうな。
184 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/05(水) 23:58:37.77 ID:c6AsUwSAo
エピソードアフター
  時雨と黒騎士、邂逅する


神社仏閣の密集地ーー


???「暑いな……」

???「……ああ、そこの人」


「はい?」


???「このような人を見たことはないだろうか」ピラッ


「似顔絵……ですか? すみません、ちょっと分かりません」


???「そうか……ありがとう」


「いえ、お役に立てなくてすみません……」


???「ううむ……ここで立ち合ったような気がするのだが……」


ーーーーー


???「失礼する」


「!」


ざわっ!


???(空気が重い……。あまり歓迎されていないようだな)

???「すまない、尋ね人の行方を知りたいのだが。このような人相だ」ピラッ


「……少々お待ちください」


???「ああ」


「時雨さん、客人です」


時雨「客? 私に……?」


???「ああ! ここにいたのか!」


時雨「お、お前は……。あの時の騎士……か……?」


???→黒騎士「ああ! 貴殿との一騎打ちの後、体内の悪意が全て抜けたようでな。闇として空中分解し魔界に消え去るはずが、どういう訳か現世に転生してしまったらしい」


時雨「り、理屈は分からないが……。巫女さん、彼女に病院を案内してくれ」


「で、ですがその人はこの地に攻めて来た敵で……!」


時雨「現状あの続きをしようという気概は感じられない。それより本当に悪魔化が解けているのか検査してもらおう」


「……分かりました」


ーーーーー

ーーー

185 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/05(水) 23:59:22.93 ID:c6AsUwSAo
病院ーー


黒騎士「しかし、時雨はなぜここに? 聞けば故郷という訳でもないようだし……」


時雨「検査結果待ちなのに元気だな……」


黒騎士「どう時間を過ごそうが検査結果は変わらないからな。だったら時雨との会話を楽しむ方がいい」


時雨「それもそうか。……私がここにいたのは修行のためだよ。この地にはたくさんの神社や寺社がある。精神力を鍛え、魔法に頼らない部分を強くするにはうってつけの土地なんだ」


黒騎士「ほう……」


看護師「早川さん、結果が出ました。こちらへ」


時雨「ああ」


ーーーーー


医者「結論から伝えると、彼女の中には危険なものは何もありませんでした。言ったとおり、全ての悪意が抜け落ちたようです」


黒騎士「だろう」フフン


時雨「そうですか。よかった……」


医者「……申し訳ありませんが、受診したことを報告させていただいてもよろしいでしょうか?」


黒騎士「報告?」


時雨「魔法庁に、ですよね。お願いします」


黒騎士「ん、ああ。元悪魔がいたことは共有しないとなのか……。手間をかけるが、頼む」ペコリ


医者「そう言っていただけると助かります。では後のことはこちらで処理します。連絡がいくかと思いますが、その点だけ忘れずにお願いします」


時雨「はい」


ーーーーー

ーーー

186 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/05(水) 23:59:58.34 ID:c6AsUwSAo
時雨「連絡は私にくるようになっているから……しばらく私と同行してもらうぞ」


黒騎士「ああ、他に頼るアテもない。こちらから同行を頼みたいくらいだ」


時雨「……まあ、魔王でさえ監視付きとはいえ罰も無かったわけだし、多分問題にはならないだろう」


黒騎士「そうか、それは助かるな」


時雨「さて、黒騎士。これから私はまた修行に行くが……」


黒騎士「時雨」


時雨「?」


黒騎士「先程から言おうと思っていたが、私の名前は黒騎士ではない」


時雨「……そうだな。なんとなく流れで呼んでしまっていた」


黒騎士「私の名は……」


ぐいっ


黒騎士「……だよ」ボソッ


時雨「……そうか。素敵な名だな」ニコッ


黒騎士「ふふっ。今この世で私の名前を知っているのは時雨だけだ」


時雨「光栄なことだ。……さ、とりあえず私の修行の続きに向かうぞ」

時雨「あなたの騎士道精神や刀剣の捌き方、見習いたいことがたくさんある」


黒騎士「ならば私も共に修行しよう」ニッ


時雨「ああ、共に」ニコッ
187 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/06(木) 00:01:21.62 ID:n5UpK9a5o
短くなってしまったので二本投下しました
仲良し二年生組と、転生した黒騎士のアフターでした
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/06(木) 00:58:39.18 ID:eV1bjDMlO
御桜みたいにそのキャラの1日に迫るやついいね、ノワールも本編で似たような安価があったか

各学年から一人ずつポメ、ゼレス、ティアでリクエストしてみたい
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/06(木) 08:54:38.87 ID:uMcTFwX1O
時雨って黒騎士に対して『綺麗な顔だ』『素敵な名だな』ってナチュラルに口説くような発言してるけど性知識は皆無なんだよな……
これ仮に黒騎士とそこまでの関係に進んだ場合、黒騎士の知識にもよるけどほぼ確実に受けに回りそう
190 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/08(土) 00:05:15.99 ID:FKwsiSxAo
エピソードアフター
  イリスとノワール、悪魔を世話する


リリウム魔法学校を卒業した私達はそれぞれの道を歩むため、各々の通学に適した場所に住むことになりました。
私はママの研究室に戻り、イリスさんは学生に格安で案内されているアパートへ。
そして私達共通の知人(?)でもある悪魔が一体……。

「おはよう、悪魔ちゃん」

「お、おはよウ」

私のママに笑顔で見つめられ萎縮していました。
ママは今現在、魔力が少ない魔法使いのための研究をしています。魔力を増幅させるとか、魔力を循環させるとか、いろいろなことを試しているそうですが、それとこの悪魔を引き取ったことは実は全く関係ありません。

「んー、かわいいわあ」

嫌がる悪魔の頭を撫でるママ。
なんとママは、この悪魔さんを愛玩するものとして引き取ってしまったのです。

「あうウ……イリス、助けてくレ……!」

むにむにと頬を揉まれている悪魔さんが私に助けを求めてきます。
そこで初めて私がママを止めます。

「はい、ママストップ。今日はここまでね」

「えー」

やんややんやと盛り上がってる間にも時間は過ぎていきます。
朝ごはんを食べ、ママは研究室へ。
私は今日の講義が2限目からなので、まだ少し出発まで時間があります。

「悪魔さん、毎朝大変ですねえ」

「今からでもノワールのところにいきたイ……」

「ダメですよ。ノワールさんのところはペット・魔獣禁止ですから」

「だかラ! 俺はペットでも魔獣でもなイ!」

ぷんぷすと怒る悪魔さん。
このやり取りも恒例になりつつあります。
その時。

ぷるるるる。ぷるるるる。

電子音が鳴り響きました。発信源は私のス魔ホのようです。

「もしもし」

『もしもし、イリス?』

電話をかけてきたのは、ノワールさんでした。
聞けば向こうも毎週この曜日は2限目からで、朝は時間があるそうです。
そこで私達は、毎週決まった時間にテレビ電話をすることを約束しました。

うまく悪魔さんが画面に入るように位置を調整して話します。

「悪魔さん、またママにほっぺたを揉まれてたんですよ」

『あはは。災難だったね』

「全くダ!」

「ふふっ。私もけっこう可愛いと思いますよ」

そばにいる悪魔さんの頭をなでなで。
可愛がられるのが嫌なのか、悪魔さんはうがーっと怒りました。

『なんだかんだ仲良くやってるみたいでよかったよ。……でもちょっと羨ましいな』

「?」

『毎日イリスに会えて、しかも今なんて頭も撫でてもらってさ。悪魔にヤキモチ妬いちゃいそう』

「ノワールさん……」

突然の愛らしい発言に胸がキュンと高鳴ります。
191 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/08(土) 00:06:04.25 ID:FKwsiSxAo
「ん、んンっ」

こほんとわざとらしい咳払いを悪魔さんが一つ。
ノワールさんに愛の言葉の一つでも囁きたかったのですが、阻止されてしまいました。

「お前ラ、いちゃつくのはいいけど時間は大丈夫なのカ?」

はっとして時計を見ると、家を出る時間が差し迫っていました。
ノワールさんとの電話は時間を忘れてしまいます。

「それじゃあノワールさん、また」

『うん。あ、後でメールするね』

「はい♪」

ぷつっと電話を切り、慌てて準備に取り掛かります。
昨日の内に片付けた課題をカバンにしっかりと入れ、私は大学へと向かいました。

ーーーーー

ーーー



夕方。私は上機嫌で帰路についていました。
というのも、今日届いたノワールさんからのメールに理由があります。

『今度の連休、会えない?』

もちろん会えますと返事をして、仔細なスケジュールまで決めました。
その日のことを考えるだけで今から気分が良くなってしまうのです。

「ふんふ、ふ〜ん♪」

ついつい鼻歌も飛び出してしまいます。
入学前に比べて発声方法もしっかりしてきたおかげか、すーっと高い音まで出てくれます。
るんるん気分で帰宅すると、ママが出迎えてくれました。

「おかえり、イリス。なんだかご機嫌ね?」

「うん! 実は今度の連休ノワールさんとお会いすることになったの!」

「あらあら。うちにも来るのかしら」

「うん、その予定」

なら腕によりをかけておもてなししないとね、とママまで楽しそう。
……二年前の事件が終わってから、ママはとても楽しそうに笑うようになった。それまで私達はとても家族とは呼べないような関係で、言うなれば科学者と被検体でしかなかった。
だから今のよく笑うママが見れるようになって、私はすごく嬉しい。

「ママ、大好きだよ」

一瞬ぽかんとした顔を浮かべましたが、すぐににっこりと笑いました。
そして私のことを正面からぎゅっと抱きしめます。

「私も大好きよ、イリスちゃん」

今ではとても幸せな家族として、毎日を一緒に過ごしています。
この時ばかりは悪魔さんも黙っていてくれて、空気の読める悪魔さんに感謝してしまいました。

ーーーーー

ーーー

192 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/08(土) 00:06:53.58 ID:FKwsiSxAo
祝日。お昼時の少し前。
私は駅にノワールさんを迎えに来ていました。

「あ、いたいた!」

「ノワールさん!」

ノワールさんを見つけると早足で駆け寄り、人目も憚らずにぎゅっと抱き合いました。
久しぶりに感じるノワールさんの体温は心地よく、ずっと抱き合っていたいとさえ思ってしまうほど。

「イリス、まずご飯食べに行こっか」

手のひら同士を絡み合わせ、俗に言う恋人繋ぎで歩き始めます。
洋食屋で軽くランチを済ませた後は、ケーキショップにも寄りました。
そこでノワールさんは低糖質と呼ばれるものを頼んでいて、なんとなくスポーツマンらしさを感じたり。
興味本位で腹筋を触らせてもらったら、以前にも増して固くなっていました。

「体育会系って皆さんこうなんですか?」

「うーん、まあ大体は。私は格闘技を覚えるのと筋トレのためでそれぞれ別のジムにも通ってるし、余計筋肉ついてるかも」

袖をまくって二の腕を露出させれば、ぐっと力を入れるのと同時に力こぶが盛り上がりました。

「わあ……♡」

そのワイルドさに胸が高鳴ります。

「触る?」

「は、はいっ」

恐る恐る手を伸ばせば、カチカチとした感触が返ってきました。
スタイル維持のためにストレッチなどはしていますが、その程度では到底及ばない筋肉量にときめいてしまいます。

「そんなに気に入ってくれたならトレーニングしてるかいがあるな」

にっこりと笑うノワールさん。その笑顔にさえ、以前とは違う力強さを感じられそうです。
ドキドキと高なる胸を抑えながら、私達は我が家へと向かいました。

ーーーーー

「ただいまー」

「おかえりなさい、イリスちゃん。ノワールちゃんもいらっしゃい」

「お邪魔します」

ぺこりと頭を下げて、それから玄関をくぐるノワールさん。
声が聞こえたのか、奥の部屋から悪魔さんがやってきました。

「オ! ノワール!」

ぴょんとノワールさんに飛びつけば、古くからの友人とそうするように、ノワールさんと自然にハイタッチをしていました。

「久しぶりだね。元気してた?」

「おウ! セレニテも美味しいご飯作ってくれるシ、イリスも毎日お話してくれるからナ!」

ニシシと歯を見せて笑う悪魔さん。
迷惑そうな態度を取っていても、本音はそうでなかったと知れて一安心です。
193 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/08(土) 00:07:36.05 ID:FKwsiSxAo
「うーん……」

大好きな悪魔さんから褒められたというのに、ママは少し思案顔。
どうかしたのかと問えば。

「なんとなく、なんだけどね。ノワールパパが久しぶりに家族に顔を見せたみたいな雰囲気だったから、中々お似合いだなあって」

「ぱ……パパ……!?」

ノワールさんがかあっと顔を赤くします。
ここは乗っかるところでしょうか。

「ですって、あなた」

すすすとすり寄って腕に抱きついてみます。
腕に胸が当たっていますが、気にせずむにむに。

「あ、う、あ……!」

さらに赤くなった顔で、口をパクパクとさせるノワールさん。
先程まではあんなにかっこよかったのに、今では可愛らしくて仕方ありません。

「ノワールパパ! せっかくだかラ、お部屋でゆっくり話そウ!」

私と悪魔さんに腕を引かれるまま、奥の部屋へ。

セレニテママとノワールさんは、まるで本物の親子のように仲良くなりました。
そしてノワールさんと私は、傍から見れば……ふ、夫婦に見えるようです。
では、悪魔さんも交えて本物の家族にも負けないほど幸せになりましょう!

そんな可笑しなことを考えてしまいます。
それも悪くないなと思えるのは、今が平和で幸せだから。

「大好きですよ、ノワールさん」

立ち止まり、そっと頬に口づけを。
愛おしいあなたと、これからも一緒に生きていきたい。
そんな想いを込めて。

そして日々は続いていく。
明るく色づいた、素敵な日々が。
194 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/08(土) 00:08:18.47 ID:FKwsiSxAo
悪魔「いい雰囲気だけド、俺の今後って結局どうなってるんダ?」


イリス「あ、え、えと、そうですね……」


ノワール「た、確か……魔王とか黒騎士とか、敵意が認められない元悪魔が何人かこっちの世界に残ってるんだよね」


イリス「そうですね。その人達は暴走した時に備えて、ある程度の期間見張りがつくみたいです」


悪魔「俺はまだまだ根っからの悪魔だゾ!」エヘン


ノワール「でもだいぶ馴染んでるし……。確か悪魔って、ずっと人間界にいると毒素が薄れてくんだよね?」


イリス「そんな研究成果もありますね。クロエさんのお母さんが悪魔でしたけど、調べたところだいぶ人に近くなっていたとか」


ノワール「多分、悪魔としての力が強いほど、毒素が抜けるまで時間がかかると思う。でも君は……」


悪魔「よ、弱いのは承知ダ」


ノワール「うん、だからもしかしたらすぐ毒素が消えるかも。憶測だからなんとも言えないけど……」


悪魔「俺が感じる限リ、魔界の方は無秩序の混沌とした前の世界に元通りみたいダ。あの状態だと俺はいつ死ぬか分からないシ……もう、こっちの世界で生きていく覚悟を決めたヨ」


ノワール「そっか」


イリス「それじゃあこれからもよろしくですね、悪魔さん」


悪魔「おウ!」ニッ!
195 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/08(土) 00:09:00.69 ID:FKwsiSxAo
以上、イリノワと悪魔のアフターでした
196 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/09(日) 00:41:15.02 ID:52YqjKjNo
エピソードアフター
  ポメ・ラニアンの一日


「ポメちゃん、起きて」

「ん〜、おはよ〜」

ユサユサとゆすられて目が覚める。そこにはやよいがいて、自然と笑顔になってしまう。
同じベッドで寝ているので、寝起きから暖かくて幸せだ。

「おはよう、ポメちゃん」

やよいもにっこりと笑って、一緒にベッドから出る。
うちは昔から早起きだったし、寝起きも悪くない。でもやよいには敵わない。
一緒のベッドで寝たとき、やよいより早く起きることができたためしがないのだ。

「? 顔に何かついてる?」

ぺたぺたと自分の顔を触るやよい。
それに何でもないよと笑って返して、二人で学校の準備を進めていった。

ーーーーー

放課後、うちは厩舎に来ていた。
なんでも、ローラ先輩がいなくなってから魔獣のストレスが溜まってしまっているらしい。
そこでうちが名乗りを上げて、魔獣のお相手をすることにしたのだ。

「獣化魔法【ビースト】!」

もふんと獣化をして魔獣の前へ。
物珍しそうに、みんながふんふんを鼻を鳴らして嗅いでくる。
やがて慣れてきたのか、何匹かの魔獣が頭を摺り寄せてきた。
怖くないように、そっと背中を撫でていく。

「あら……。その子なんかは特にローラさんが大好きで、最近は怒ってばかりだったんだけど」

うっとりと気持ちよさそうに目を細める魔獣さん。
ブラッシング用のブラシを借りて毛づくろいをすれば、とうとうすやすやとお昼寝を始めてしまった。

なんとなく、うちは最近ローラ先輩の後釜を務めることが多くなってきている。
聞くところによるとこの学校には助っ人同好会なんてものがあるらしく、楽しそうだったので在籍することにしたのだ。
それからは、魔獣についての問題が起こるとうちが出向くことが増えてきていた。

「よしよーし。ゆっくり眠りなー」

ふわふわとした毛並みを撫でていると、こちらまで気持ちよくなってきてしまう。
そうすると体温がポカポカと高まるのを感じたのか、他の魔獣もくっついてきてしまった。
そうなるともふもふふわふわに包まれて、いつの間にかうちは……。

ーーーーー

ーーー

197 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/09(日) 00:42:24.38 ID:52YqjKjNo
はっと目が覚めると、窓の外はすでに日が傾きかけていた。
数時間ほどお昼寝をしてしまったらしい。

「す、すみませんでした!」

「いいよいいよ。おかげで厩舎の掃除もはかどったし、何よりみんな気持ちよさそうだったからね」

助っ人同好会の一員として、助けになることはあっても迷惑はかけないようにと先輩には口を酸っぱくして言われていたのに……。
これにはうち、少し反省である。

魔獣との別れを惜しみつつ寮に向かえば、ちょうど大浴場に向かうカームを見つけた。
急いで着替えを持って、自分も大浴場に向かう。
そしてお風呂の中でくつろぐカームを見つけて、その隣に陣取った。

「あら、ポメさん」

「カームのこと見つけたから急いできたんだ〜」

じんわりと体の奥底が温まる感覚に体をゆだねながら、今日あったことをお話しする。
厩舎でのお昼寝は笑われてしまったけど、それも素敵ですねと言ってくれた。カームは優しいし、しっかり者だ。どんなに迷惑なことをしてしまっても、頭ごなしに怒鳴られたことはない。
実はうちもこんな素敵なお姉さんになりたいなあと常日頃から思っていたりする。
湯船から上がって、お互いに背中を洗いあいっこをする。
そしてぽかぽか幸せ気分のまま、自分のお部屋へと戻った。

「ただいま〜」

「おかえり、ポメちゃん」

お部屋を開けると、ふわりといいにおいが漂ってきた。

「今日は食堂じゃなくて、ここで一緒に食べようと思って」

そういうと、机の上に広げられた晩御飯を指し示す。
リリウムでは食堂で食事をとらなければいけないわけではなく、仲の良い生徒と中庭でお昼ご飯を食べたり、同室のこと晩御飯を食べたりすることもよくあることだ。
その際は食堂で持ち運びたいと伝えると専用の容器がもらえ、それを好きなところに持っていくという寸法である。
その制度を利用して、やよいはお部屋にお弁当を用意したのだ。
ぐううぅと、うちのお腹が盛大に鳴る。うちは結構な大食いだが、今日はお昼ご飯を食べてから何も口にしていなかった。
厩舎でのお昼寝が原因だが、とてもお腹が空いていることを自覚してしまう。
198 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/09(日) 00:47:38.38 ID:52YqjKjNo
「ふふっ。食べよっか?」

「うん!」

隣合わせで座り、いただきますの挨拶をする。
ぱくりと口にお肉を運べば、できたてを持ってきたのか舌をやけどしてしまった。

「〜っ! あふっ、あふいよぉっ!」

「あわわ、お、お茶あるよ!」

ペットボトルを受け取り、それでなんとかお肉を流し込む。
一息ついてから、それがやよいの飲みさしであることに気が付いた。

「ごめん、やよいのお茶だったんだね」

「う、ううん。いいのいいの!」

ほんのりと顔を赤くしているやよい。

「えへへ、やけどしちゃった」

んべ、と舌を出せば、どれどれとやよいが診てくれる。あまりにもひどければ保健室で回復の魔法をかけてもらうが、この感じだと大丈夫な気がする。

「……ひゃひょひ?(やよい?)」

しかしやよいはうんともすんとも言わず、じっと舌を見ている。
なにか変なところでもあったのだろうか……。

「はっ、ごめんね! だ、大丈夫! これならすぐ治ると思うよ!」

焦って顔を放し、そう教えてくれる。
うん、やっぱりやよいは優しいな。

「診てくれてありがとね、それじゃ食べよっか」

「う、うんっ」
199 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/09(日) 00:48:07.07 ID:52YqjKjNo
食事の続きを再開し、もぐもぐと気を付けて食べ進めていく。
食べ終わりゆったりとした空気にまどろんでいると、まぶたが重くなるのを感じる。
お昼寝をしたのに、うちの体はまたも睡眠を求めているらしい。

「ポメちゃん、眠たい?」

「うん……」

そういうと、もはやそれが当然のようにやよい側のベッドに寝かせてくれる。
やよいはまだお勉強をするようで、薄目で机に向かうやよいの姿を捉える。
しかし意識は保てず、次の瞬間には眠りに落ちていた。

ーーーーー

ぎしっとベッドがゆがむ感覚。
どうやらやよいもお勉強が終わって眠るらしい。
やよいの手が髪の毛をふわふわとなでてくれる。
それが気持ちよくて、一瞬の覚醒をしただけでまた眠りに落ちてしまいそうだった。

「ポメちゃん」

意識が落ちかける直前、やよいが口を開く。
だけれど、その次の言葉を聞く前にうちは再び眠りに落ちてしまった。

「……好きだよ、ポメちゃん。おやすみなさい」

額のあたりに、柔らかい感触があったような気がする。
それを確かめる術はもうなかったけれど、悪い感触ではなかった。

ーーーーー

ーーー



「おはよう、やよい!」

次の日、一緒に眠るようになってはじめてうちはやよいより先に目を覚ますことができた。
昨日のお昼寝が効いたのかもしれない。

「おはよう、ポメちゃん」

眠たげにまぶたをこするやよい。こんなに眠そうなやよいは初めて見るので、ドキドキしてしまった。

「それじゃ、今日も準備しよっか」

「うん!」

こうしてうちは毎日を過ごしている。
こんなに楽しい毎日を過ごせて、うちは幸せ者だ!
200 : ◆ZOSRNJGVq. [saga]:2021/05/09(日) 00:52:07.49 ID:52YqjKjNo
以上、ポメのなんでもない一日でした
201 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2021/05/09(日) 03:01:40.32 ID:rWVvZqyf0
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/09(日) 22:07:40.98 ID:EKbhWYGoO
ポメちゃん可愛い
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/10(月) 00:26:54.26 ID:+l+Y5GtE0
卒業した今だからこそ原点回帰でクロエ達のエッチシーンとか見たいかも
イオモミのその後とか
236.93 KB Speed:8   VIP Service SS速報R 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)