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【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【4頁目】

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936 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/08/29(日) 18:22:11.44 ID:mslbAMH4O
4
937 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/08/29(日) 18:23:06.16 ID:gVxTEbrB0
1
938 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/08/29(日) 18:33:41.85 ID:n1rniW2Yo

陽乃「そうね……」

言いたいことは昨日でそれなりに言ってしまったので、

今更、いうべきこともないのではとは思うけれど、

陽乃は少し考える。

歌野を含め、

みんなが陽乃の言葉を待って沈黙し、静かになる。

陽乃「指示に従って。それ以外は求めないわ」

本当に、その一言に尽きる。

従わなければ、死んだって文句は言えない

陽乃「従わない人はどうなっても知らないし、私達にはどうもできない。特に、子供から目を離さないで」

少し目を離したらどこかに行ってしまった。

そう言われても、助けてあげる気はない。

助けてあげる余裕なんて、無い。

陽乃「道中の責任のほとんどは私達にあるのかもしれないけど、全部じゃないの。自分の守るべきものくらいは自分で守って頂戴」
939 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/08/29(日) 18:49:52.68 ID:n1rniW2Yo

歌野「……言いたいこと、色々ありそうね」

陽乃「ないわよ。これ以上は」

細かくすればあるかもしれないけれど、

指示に従えという以上のことはない。

陽乃は一歩下がって、歌野を前に出したものの、

人々の目は、陽乃へと向いている。

少し厳しいことを言ってしまったかと陽乃は顔を顰めて、息をつく

悪かったとすれば、言い方だろうか。

歌野「えぇっと、私からもお願いします。私達は乗り越えたいと思っています。出来たら……いいえ、絶対に」

気持ちだけは強く。

そう示すような歌野の大きな声が響く。

歌野「その為には、みんなの協力が必要不可欠です……乗り越えましょう! みんなで!」

歌野の声に、賛同する声が上がる。

そして、

残る人々との別れを惜しむわずかな時間ののちに、

陽乃達が四国にもたどりつくまでの数日の間に飲み込まれてしまうであろう人々の穏やかな見送り

それを受けて、陽乃達は諏訪を出発する。
940 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/08/29(日) 18:52:18.78 ID:n1rniW2Yo

√ 2018年 9月8日目 昼:移動@

↓1コンマ判定 一桁

0 3 5  バーテックス

00 33 55 進化型
941 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/08/29(日) 18:53:39.28 ID:qT5ZVfOCO
942 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/08/29(日) 19:07:47.01 ID:n1rniW2Yo

では少し中断いたします
再開は20時半頃を予定しています。
943 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/08/29(日) 19:13:17.23 ID:VoMhNISkO
一旦乙
944 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/08/29(日) 21:23:50.36 ID:n1rniW2Yo
√ 2018年 9月8日目 昼:移動@


陽乃が力を使ったことによって、

分かりやすく言えば生命力と呼ばれるものが消滅した地域

それはそれで酷いありさまだったが、

それを超えた先の道も、荒れ果てていた。

崩れ落ちている建物が多く、

崩れていない建物も辞崩れそうなほどに脆くなっていたりして、

窓は割れ、扉が外れ、

草木が生い茂っており、人の生活感が全く感じられなくなっている。

全員に外を見せないようにするというのも、難しい話なので、

それらは彼らの目にも見えてしまっている。

唖然呆然としたり、嘆いたり、苛立ちを見せたり。

様々な感情が渦巻くバスの車内で、陽乃は目を瞑る。

もしもこの場の感情を視覚化するとすれば、

宇宙のような抽象画が出来上がるかもしれない。
945 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/08/29(日) 21:41:20.55 ID:n1rniW2Yo

陽乃「……ここからじゃ、外の確認は難しいわね」

窓から外を眺めて、陽乃は呟く。

陽乃はバスの座席では先頭の左席、窓側に座っている。

右側が見えないし、窓で視野も狭められていて、全体を見ることは出来ないのだ。

陽乃「……」

バスの走る速度は、かなり遅めだ。

時速にして、30km出ているかどうかと言った程度で、

狐の姿をした九尾はもちろんのこと、

力を使っている状態の陽乃達なら並走することもできてしまうかもしれない。

そうしなくても、

バスの上にいることくらいはできるだろう。

「あの、勇者様」

陽乃「?」
946 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/08/29(日) 21:57:14.91 ID:n1rniW2Yo

陽乃よりも少し歳上に感じる、少女。

高校生半ばと言ったところの少女は、諏訪にある高校の制服を身に纏っている。

学校行事でもないため、私服でも問題はなかったが

せっかくだからと、制服を選んだらしい。

他にも、制服を着ている子供は多いので

やはり、忘れたくはないのだろうと、陽乃は目を細める。

陽乃「なに?」

「心配事ですか?」

陽乃「それが尽きることなんて、きっとないわ」

「……」

陽乃「いつ何があるか分からないんだから、警戒を解くことは出来ないの」

表情を暗くした少女にフォローするように陽乃は続ける。

心配事は尽きない。

諏訪の結界の中でも、四国の結界の中でも

それらの外でも。
947 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/08/29(日) 22:12:55.65 ID:n1rniW2Yo

「勇者様は、疲れたりしないんですか?」

陽乃「疲れることはもちろんあるけど……普通の人よりは丈夫だから」

体は丈夫だし、力もある。

だからと言って精神面まで強固なわけではないし、

疲弊することだってもちろんあるが。

「そうですか……」

心配そうな声。

勇者が役に立たなくなったことを案じているのか

それとも、単に、勇者の身を案じているのか

陽乃はそんな少女から視線を外し、窓の外に目を向ける。

諏訪を出てから、まだ2時間弱

この距離には杏達もいないだろう。


1、外に出る
2、なに? 不安でもあるの?
3、白鳥さんの方が良かった?
4、疲れるって言ったら、何かしてくれるの?
5、敬語は止めて貰っていい?


↓2
948 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/08/29(日) 22:22:23.84 ID:gVxTEbrB0
1
949 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/08/29(日) 22:23:55.50 ID:qT5ZVfOCO
2
950 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/08/29(日) 22:24:35.38 ID:VoMhNISkO
2
951 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/08/29(日) 22:43:28.12 ID:n1rniW2Yo

陽乃「何? 不安でもあるの?」

「あ、いえ。そういうわけではないんです」

少女ははっとして身振り手振りを交えながら否定する。

今までは結界の中だったが、それでもバーテックスの襲撃が行われていた。

今は結界の中ではないという違いこそあれ、

常に襲撃の不安があることは以前と変わりがない。

むしろ、勇者が1人から2人になった文、多少の安心感が生まれてさえいる。

「ただ、その、勇者様はまだ子供だから」

陽乃「貴女だって、そう変わりないじゃない」

「そうですね。けど、私はこう見えても高校3年生ですよ。勇者様は、聞いたところ中学生だって言うじゃないですか」

少女……女子高生は、

ふっと、寂しげな笑みを浮かべて、手元へと視線を落とす。

手首には、修繕の痕跡があるミサンガが見えた。

「私にとっては、子供……というか、妹みたいなものなので」
952 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/08/29(日) 23:20:33.30 ID:n1rniW2Yo

陽乃「妹って……いるの?」

「……ん」

少女は悩みながら呟く。

陽乃に目を向けず、視線は手元へと落ちたまま

ボロボロのミサンガに、もう一方の手を重ねて、目を閉じる。

「3年前、あの子は中学生になったばっかりだったの」

陽乃「そう」

「それで、ちょっとだけつんつんとしてて……喧嘩も多くなってきてた時期だった」

ちょっとしたこと

本当につまらないことで喧嘩をすることが多かったという少女は、

小さく笑みを浮かべる。

「このミサンガは、そうなる前にあの子がくれたものなの。ただクラスで流行ってたからって、だけらしいけど」

陽乃「……そう」
953 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/08/29(日) 23:38:49.96 ID:n1rniW2Yo

妹がいるいないと答えるのではなく、妹との話をする時点で、察しが付く。

妹がいるならそばにいるはずだ

何か障害を負ってしまったとしても、

ボロボロのミサンガをまだ持っているような姉なら、1人にするはずがない。

だとすれば――

陽乃「貴女が私の死に目にあうことなんて、絶対にありえないわ」

「え……」

陽乃「貴女がそれを考えているのだとしたら、侮辱に他ならないから改めて頂戴」

「勇者様……」

陽乃は視線を感じて、窓の外へと目を向ける。

景色を投下する窓には、

うっすらと、陽乃に目を向ける少女の姿が見えていた。


1、まだ何かあるの?
2、外に出るわ
3、妹と、私は似てるの?
4、私は死ぬ気はないわ


↓2
954 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/08/29(日) 23:40:07.74 ID:VoMhNISkO
1
955 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/08/29(日) 23:40:26.31 ID:gVxTEbrB0
2
956 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/08/29(日) 23:50:10.36 ID:n1rniW2Yo

陽乃「外に出るわ」

「え!?」

陽乃「ここからじゃ全体が見渡せないのよ」

死にはしないから気にしないで。と。

陽乃は運転席の方に向かう。

陽乃「……白鳥さん」

後ろを走る、2号車

そこに乗っている歌野に、意識的に言葉を流し込む。

少女を含めた複数人の視線を感じるが、

陽乃は気にせずに運転手に一時停止を求める。

陽乃「私は上にいるから、気にしないで」

バーテックスは分かりやすいが、杏達が分からない。

少しでも痕跡を見つけるにはやはり、

外にいた方が良いのだ。

別に九尾の背中に乗ってもいいけれど、

一般の人々の前でそれは、あまり良くないだろうと考えて、

陽乃はバスが停車するとそのまま外へと出て、バスの上へと、飛び乗った。
957 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/08/29(日) 23:50:45.37 ID:n1rniW2Yo

では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
958 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/08/30(月) 00:01:16.62 ID:9t/BpvvsO

今回はモブと関わる場面が多かったけどいずれも陽乃さんを心配してくれてるな
この心配が後々フラグとなるか否かだが…
959 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/08/30(月) 00:55:39.88 ID:5XQLGz/nO

こういう交流も悪くないな
さて出発の運びになったけどどれくらいで辿り着けるか
960 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/08/30(月) 20:53:40.15 ID:DgRpqe7Wo
では少しだけ
961 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/08/30(月) 20:55:47.05 ID:DgRpqe7Wo

√ 2018年 9月8日目 昼:移動A

↓1コンマ判定 一桁

1 4 8  バーテックス

11 88 進化型@
   44 進化型A
962 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/08/30(月) 20:57:33.82 ID:OcFYVMFUO
963 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/08/30(月) 21:14:11.75 ID:DgRpqe7Wo

√ 2018年 9月8日目 昼:移動A


陽乃がバスの屋根に移ってから、またしばらくバスを走らせたが、

荒れ道こそ続いてはいたが、

バーテックスが隠れ潜んでいるような気配を全く感じなかった。

杏達が先行した道をなぞるようなルートを進んでいるので、

杏達が撃退していった可能性も……

『いいや、それはなかろう』

陽乃「そう思う?」

陽乃は、盛り上がり人の形を模していく影を一瞥して問いかける。

浮かび上がった女性――九尾は陽乃のそばで腰掛けて。

九尾「争ったような気配が全く感じられぬからのう。元々いなかったか、あ奴らが巧妙にすり抜けたか……」

陽乃「ここまでたどり着かなかったなんて可能性もないわ」

諏訪を出てから、約3時間ほど。

まだ長野から出ていなければ、

素通りする予定の岐阜県の県境もまだまだ遠いといった距離。

ここからでも、勇者の脚力ならすぐに諏訪に逃げ帰ることが出来る。

そんな2人が、ここまでの道中で力尽きたとは思えない。
964 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/08/30(月) 21:35:13.01 ID:DgRpqe7Wo

考えられるとすれば、

ここにはバーテックスがいなかったパターンと

ここにいたバーテックスは2人が避けたことで残り、

四国襲撃に伴って、移動したか。

前者ならともかく、後者は2人が挟み撃ちにされた可能性も出てくる。

陽乃「九尾はどっちだと思う?」

九尾「さてのう……この道はともかく、近場にはいたと思うが――」

九尾の声が途中で途切れて、ちょうどバスが止まる。

僅かな揺れに体を揺さぶられながらも陽乃は立ち上がって、周辺を見渡す。

生存者もバーテックスも何もいなそうなゴーストタウンと化した街並みが広がっている。

陽乃がいるバスの後ろ、2号車も続いて停車して歌野が下りて来た。

歌野「久遠さん。そろそろ休憩した方が良いと思うわ」

陽乃「そうね」

走り続けて、約3時間

運転手はもちろん、乗っている人たちもバスの中に缶詰めでは息苦しいだろう。

陽乃「休憩しましょ。30分くらい……で、平気かしら」
965 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/08/30(月) 21:45:11.09 ID:DgRpqe7Wo

この近辺には杏達がいる様子も見られないので、

陽乃としては、長居する気はない。

とはいえ、住民の精神的な疲労を考えれば、30分程度は休憩も必要なはずで。

陽乃はバスの屋根から飛び降りると、

1号車の中に入って、休憩にすることを告げる。

運転手はもうしばらく同じ人にお願いすることになるが、

そのあとはちゃんと交代する。

バーテックスが来た時の対応を考えて、余裕をもって朝夕夜、3人交代

全員が全員大型バスの免許があるわけではないけれど、

一応、大型のトラックや、中型のバスの運転経験がある人にお願いをしているので、

不運なことがない限り、大丈夫だろう。

緊急事態なのだ、その程度の違反は許してもらえなければ困る。
966 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/08/30(月) 21:52:16.89 ID:DgRpqe7Wo

崩れそうな建物の中から、

まだ大丈夫そうなものを見つけて、休憩所とする。

電気や水道といったものは死んでしまっているが、

休憩するには十分だ。

陽乃「……全然、平気そうね」

1度経験した野宿

あの時よりは全く、何も問題がないと

陽乃は近くを飛んでいた少し大きな虫を払い飛ばす。

「勇者様って、虫が平気なタイプ……?」

陽乃「諏訪のような環境にいて、むしろ駄目なことが不思議なのだけど」

「農家の子供が必ず野菜好きになるみたいな暴論だよそれは」

バスの中で、陽乃の隣に座っていた女子高生

彼女に左腕を奪われながら、陽乃は顔を顰める。

つまり、野菜が嫌いなのか。


1、周囲の警戒に出る
2、歌野のところへ
3、水都のところへ
4、住民のそばにいる


↓2
967 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/08/30(月) 21:54:13.24 ID:6wcg9znK0
1
968 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/08/30(月) 21:55:08.80 ID:OcFYVMFUO
1
969 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/08/30(月) 22:10:36.61 ID:DgRpqe7Wo

陽乃「警戒に出るから、離れて」

「え、危ないのに」

陽乃「勇者が見張りに出ないで、誰が出るのよ」

「そうだけど……」

女子高生は心底不安そうに陽乃を見て、

縋りついていた陽乃の腕を一瞬、強く抱きしめてから、手放す。

「気を付けて」

陽乃「人の心配は良いから、自分のことだけを考えてなさい」

不安を背中に感じながら、陽乃は民家を出て行く。

バーテックスの気配は感じないので、

ここは安全地帯だと思っていいのだろうけれど、

警戒をしておくに越したことはない。
970 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/08/30(月) 22:14:20.32 ID:DgRpqe7Wo

↓1コンマ判定 一桁

0 悪いこと
1 歌野  
3 九尾
9 水都

ぞろ目 特殊
971 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/08/30(月) 22:15:49.84 ID:6wcg9znK0
972 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/08/30(月) 22:51:42.93 ID:DgRpqe7Wo

陽乃は付近の調査もかねて、1人で街中を歩いていたが、

バーテックスによって蹂躙されたと思われる痕跡は数多く見られたものの

それによる目も当てられないような惨状が残っていないのは、不幸中の幸いと言ってもいいのだろうか。

陽乃「……」

殆どの建物が、上から降り注いだ " 何か " によって崩れ落ちていて、

まだ残っている建物も、

そこに住まう人がいなくなったせいか、

役目を終えたと言わんばかりに自然にからめとられようとしている。

無事な建物に入っても見たが、

直近で誰かが使ったような痕跡は見当たらない。

杏達はこのルートを通ったのか

それとも、ただ素通りしただけなのか。

勇者の脚力であれば、素通りしたとしても不思議ではない。
973 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/08/30(月) 23:05:17.43 ID:DgRpqe7Wo

九尾「痕跡がないならば、問題はなかろう」

陽乃「まぁ、そうなんだけど……」

生存者がいる……だなんて思ってはいなかった。

諏訪は結界と歌野によって守護されていたから無事だっただけで、

そうではない地域にいる人々が、無事であるとは思えないからだ。

けれど、何かある可能性だってある。

九尾「それとも、有象無象と関わるのが不快かや?」

陽乃「なに? 急に」

九尾「主様、煩わしそうにしておるじゃろう」

隣に座っていた女子高生もそうだが、

みんな、陽乃のことを気にかけている。

九尾「食ろうてやろうか」

女性の姿のまま、ぺろりと唇を舐める九尾を横目に見て陽乃はため息をつく。

陽乃「大騒ぎになるようなことは止めて」
974 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/08/30(月) 23:14:07.81 ID:DgRpqe7Wo

バス1台ずつなら大人数と言えるほどの人数ではないし、

集合の時には点呼を取ることにもなっているので、

1人でも欠ければ、そのとたんに大騒ぎだ

九尾「妾が代わりになってやれば良い。何も問題はなかろう」

陽乃「問題外よ」

九尾の提案を一蹴して、陽乃はまた歩き出す。

そろそろ、バスの方に戻るべき時間。

周りに従えと言っておきながら

自分がそれを破っていては示しがつかない

九尾「主様が望むなら、いくらでも力を貸してやろう」

陽乃「……ええ」

今は、まだ平気だ。

陽乃「必要そうなら、お願いするわ」

バーテックスとの戦い

そして――

陽乃「出来たら、使わないでいたけど」

人を惑わす力を用いての、人々への強制
975 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/08/30(月) 23:17:39.40 ID:DgRpqe7Wo

√ 2018年 9月8日目 夕:移動@

↓1コンマ判定 一桁

0 3 5 9  バーテックス

00 55 進化型@
  99 進化型A

※襲撃規模は2桁目 0<9
976 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/08/30(月) 23:21:20.17 ID:OcFYVMFUO
ほい
977 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/08/30(月) 23:26:09.57 ID:DgRpqe7Wo

では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
978 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/08/30(月) 23:40:17.85 ID:OcFYVMFUO

杏たちの捜索もしたいけど選択肢を見た限り住民たちのメンタルケアもしてバランスとらないといけない感じか
あとはこのまま出来るだけ襲撃を回避できたらいいな
979 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/08/31(火) 00:05:51.44 ID:IRwKBDfdO

でも幸先いいな
全然バーテックスと会わないじゃん
980 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/09/01(水) 22:08:56.78 ID:iqiVE3kmo
では少しだけ
981 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/09/01(水) 22:09:51.40 ID:iqiVE3kmo
√ 2018年 9月8日目 夕:移動@


休憩をした地点から、またバスを走らせて数時間。

予定していた道が途中で崩れてしまっていたり、

倒木等でふさがれていたりと、

余計な時間を取られることもあったが、どうにか、

何も被害を受けることなく順調に進むことが出来ている。

むしろ、順調すぎて不安になりそうなほどに。

陽乃「……どう思う?」

動き続けるバスの屋根上に座って周囲を見渡す陽乃は、

背中を支えるようにしている九尾に声をかける

九尾「どうと聞かれても困るが」

陽乃「……聞かなくても考えてることをそのまま言ってくれればいいの」

九尾「ふむ……」

九尾は、わざとらしく考えるような声を漏らす。

九尾「小娘らが討伐したわけではなさそうじゃな」

陽乃「そうじゃなくて」

それは分かっている。

聞きたいことはそうではないと、陽乃は九尾へと振り向く

陽乃「バーテックスはどこに行ったと思う?」
982 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/09/01(水) 22:27:04.49 ID:iqiVE3kmo

九尾「それは妾に問わずとて、主様も気づいておろう」

陽乃「全部の地域にいたわけではないだろうけど、明らかにおかしいわ」

通り過ぎた市町村、そのどこか一ヶ所でくらいいバーテックスの気配を感じ取れても良いものだけれど、

今のところ、それが全くない。

人々にとってはありがたい話なのかもしれないが、

四国の状況と、杏達の行方のことがある陽乃としては朗報とは言えない。

四国を襲撃するために全部が向かった可能性があるし、

杏達に気づいて追跡しているのかもしれないし、

進化型になるべく、集結してしまったのかもしれない。

進化型は、白餅状のバーテックスに比べて非常に手強い

そして、神託で見たそのさらに上位の完成型とみられるバーテックスは、それ以上だろう。

陽乃「完成型なんて、出てこられても困るわ」
983 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/09/01(水) 22:55:17.97 ID:iqiVE3kmo

陽乃と歌野はそれを警戒しているし、

陽乃に至っては、文字通り死ぬ気になれば完成型だって圧倒できる……はずなので、

どうにか対応もできるだろう。

四国には勇者が3人いるので、

四国に襲撃があったとしても負傷者は出すことになるかもしれないが、対応は可能なはず。

問題は、2人が出会った場合だ。

九尾「心配はなかろう」

陽乃「そう?」

九尾「土居球子はともかく、伊予島杏がいるならば滅多なことはしないじゃろう」

杏がいるなら、見覚えのないバーテックスに戦いを挑むような愚かなことはしないはずだ。

ただ、襲われた場合はその限りではないのだが。

陽乃「それが近くにいて身動きが取れないのかしら」

九尾「ないとはいえまい」
984 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/09/01(水) 23:21:36.22 ID:iqiVE3kmo

だとすれば、長くはもたないだろう。

立てこもるのにちょうどいい施設があったならいいが

そうではないなら食料が尽きる。

……そこは球子が役立ってくれそうな気もするけれど。

とはいえ、猶予はないとみておく方が良い。

何事もなく、

時間はかかったが四国に到着したならしたで、問題はない。

「勇者様!」

陽乃「……?」

陽乃がいる1号車の窓の1つから顔を覗かせた少女が、陽乃を呼ぶ。

周囲にバーテックスや、不審なものは見られないので、

異常があったわけではなさそうだ。

陽乃「どうしたの?」

「そろそろ、中に戻った方が良いと思います!」

陽乃は、朝以降ずっと外にいる。

休憩の時にも見回りに出ていたりと、少女の視点からでは、陽乃はずっと休んでいないように見えているのだろう。



1、戻る
2、戻らない
3、代わりに外に出てくれるの?


↓2
985 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/09/01(水) 23:23:47.36 ID:TbIt8hUKO
1
986 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/09/01(水) 23:24:34.18 ID:owMZhTPX0
1
987 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/09/01(水) 23:28:31.42 ID:iqiVE3kmo

では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
988 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/09/01(水) 23:42:45.38 ID:TbIt8hUKO

バーテックスたちが完成型になるために集まってるとなると後半の道のりが大変そうだな…
完成型を相手するにはやはり死神の力が必要だろうか
989 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/09/02(木) 00:42:55.11 ID:58KSWaaYO

まあとにかく前に進むしかないな
990 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/09/02(木) 22:59:23.85 ID:yHW7sSvao

すみませんが本日はお休みとさせていただきます
再開は明日、可能であれば少し早い時間から
991 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/09/03(金) 05:55:55.06 ID:b62iw6CGO
992 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/09/03(金) 23:42:17.50 ID:mChvnTZ7o
遅くなりましたが、少しだけ
993 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/09/03(金) 23:43:25.08 ID:mChvnTZ7o

九尾「戻るのかや?」

陽乃「ええ」

全体が休憩するまではまだ時間があるけれど、

結界の外に出てから約十時間

殆どずっと外にいてこれまでバーテックスの気配も何も感じられないのだから

少しは体を休められる車内にいても平気なのかもしれない

というのもあるが、

ここで応じておかないと、後々に響きそうだというのもある。

陽乃「暫くは問題がなさそうだから」

九尾「その油断が命取りにならねばよいがのう」

陽乃「油断してるわけじゃ――」

九尾「よいよい」

九尾はくつくつと喉を鳴らして笑うと、

陽乃に対してさっさと行けというように、手で払う素振りを見せる。

九尾「妾がいてやる。主様は少し休め」

陽乃「嫌な優しさね」

九尾「……主様、いまだに結界の維持をしておるじゃろう。いい加減、断ち切ってしまった方が良いぞ」
994 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/09/04(土) 00:09:03.52 ID:0JgQDisSo

嫌な優しさと言ったことに対しての嫌味か、

九尾は目を細めて、釘をさす

陽乃は諏訪を離れてもまだ、諏訪を囲う結界の維持に力を割いている。

離れれば離れるほど、結界の維持にかかる労力は増していく

今はまだ、神々の力も借りているために影響がないようにも感じられるが、

このまま続ければ少なからず影響が出てくるだろう。

九尾「主様がいつまでも背負ってやる義理はない」

陽乃「……手向けは必要だわ」

その感覚が本当にあるのかは分からないけれど、

不思議と " 祈られている " と感じる。

だったら、少しは応えてあげるべきだ。

神様だったら応えてはくれないかもしれないが、

陽乃は神様ではない。

陽乃「出来るからやってあげてるの。難しくなったら、それまでだわ」

陽乃はそう言って、屋根の端に移動する。

窓から顔を覗かせている人はいるが、

走行中のバス上の会話を聞くことが出来ているわけではないだろう。
995 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/09/04(土) 00:48:35.83 ID:0JgQDisSo

「勇者様、今バス停めて貰いますね」

陽乃「いいわ。そのままで」

「えっ」

車内では、休憩を待っている人たちもいるだろうし、

それを目的としたものではない停車は、下手に気を煽るだけになってしまう可能性がある。

何かあったのかもしれないと。

それを払拭するのはたやすいことだけど、その蓄積は面倒だ

陽乃「窓から離れて……窓際の席を空けて頂戴」

「ちょ、ちょっと!」

少女は慌てたように声を上げて窓から離れ、

そして、勇者様が戻るのでバスを止めてと、叫ぶ。

陽乃「良いって言ったのに」

ゆっくりとバスが停まって、入口になっている扉が開く

「勇者様!」

九尾「くふふっ、ほれ。行くがよい」

九尾に突き落とされるような形で、屋根から降りる

なぜだか嬉しそうな少女はバスから降りて、落とされたばかりの陽乃の手を引く

「早く、バスに乗っちゃってくださいっ」

陽乃「っ、もぅ……なんなのよ……」
996 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/09/04(土) 01:52:17.45 ID:0JgQDisSo

少女に引っ張り込まれるような形でバスへと乗り込んで、

運転手には、問題なさそうなので進んで欲しいと頼む。

陽乃「別に止める必要はないって言ったのに」

「駄目ですよ。危ないもの」

勇者である陽乃なら、

走行中のバスの窓から中に入ることなんて簡単なことなのだが、

それをしようというのが、そもそも気に入らなかったようだ

「それに勇者様、スカートだから」

陽乃「だから、なに?」

「なにって、見えちゃうじゃない」

下着が見えてしまうと言いたいようだけれど、

陽乃としては、見えないように乗り込めばいいだけだ

「勇者様も女の子なんだから気にした方が良いと思う」
997 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/09/04(土) 01:52:46.84 ID:0JgQDisSo

では本日はここまでとさせていただきます
明日は可能であればお昼ごろから

次スレも
998 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/09/04(土) 16:13:22.00 ID:0JgQDisSo

次スレ

続きはこっちで

【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【5頁目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1630739456/
999 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/09/04(土) 20:30:52.90 ID:shQjOzRSO
埋め
1000 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/09/04(土) 20:32:32.27 ID:vFIEFdjrO
1001 :1001 :Over 1000 Thread
 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | もうたらい回しは勘弁だぜ
 |_____ _____________
         ∨
    ⊂⊃
   .∧_∧          ,  ⌒ヽ
  .( ´Д`)_        (       ヽ⌒ヽ
  ( ̄ヽ   ヽ_ヽ   /⌒.\ ⌒ヽ    ⌒ヽ
  |. T |      ̄ ̄´ /\ \  /⌒)   ⌒ヽ
⌒ ヽ_ノ、    ` ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  /⌒ヽ   ⌒ヽ
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ヒロ「一人で?」(「竜とそばかすの姫」二次) @ 2021/09/03(金) 01:12:25.05 ID:K+qP40WI0
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