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【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【6頁目】
- 953 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/06(日) 23:58:11.39 ID:ttYBQeFjO
- 乙
ひなたが近くにいるおかげか若葉の押しが強めで安定してるな
- 954 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/07(月) 06:12:17.23 ID:THWZcY+CO
- おつ
- 955 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/07(月) 21:28:44.24 ID:NJs7Xsmeo
- では少しだけ
- 956 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/07(月) 21:35:08.21 ID:NJs7Xsmeo
- √ 2018年 10月06日目 昼:病院
若葉は可能な限りひなたと一緒に居たい様子だったが、そういうわけにもいかず昼前には自分の病室へと戻っていった。
重症に該当する陽乃や歌野
そして重傷であった杏が今しばらく入院が必要な一方で
若葉や球子、友奈はそろそろ退院となるだろう。
気軽ではないにしても、会いやすかった入院中と異なり、
丸亀城に戻ってからはやや難しくなってしまうはずだから名残惜しいのかもしれない。
陽乃「乃木さんが心配ならついて行ったら?」
ひなた「……いえ」
ひなたは首を振ると、陽乃を見つめる。
物憂げな表情からは陽乃があまり好ましく思えない気遣いが伺える。
ひなた「久遠さんは放っておくと……消えてしまいそうですし」
陽乃「儚いって、言いたいのかしら」
- 957 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/07(月) 22:05:43.76 ID:NJs7Xsmeo
-
ひなたは困ったように笑みを浮かべる。
儚いとは、確かにそう、陽乃に適した言葉だ。
病弱とは少し異なるが、
健康であることの方が珍しく思える近頃の状況からして、
陽乃はいつ命を落としてもおかしくはないから。
けれど、ひなたはそれを認めたくはなかった。
ひなた「私が心配性なだけです」
陽乃「私の嫌いなタイプだわ」
ひなた「いつも、命がけですから」
それは陽乃に限らず、
勇者として戦線に赴いているみんなに当てはまる。
巫女であるひなたには、それを目の当たりにすることは出来ない。
九尾の影響で、多少知覚は出来るようだが、その程度。
気付けば、数瞬前まで会話していたはずの友人が死んでいるかもしれないのだ。
きっと、気が休まることなんて、ほとんどないのだろう。
- 958 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/07(月) 22:52:59.98 ID:NJs7Xsmeo
-
みんな、命懸け
けれども陽乃はそれ以上に命を尽くしてしまいそうで。
歌野「大丈夫よ」
若葉が帰ってから、少しして目を覚ました歌野が口を挟む。
まだ大声を出すには程遠い体調ということもあって、
その声はあまり大きくはなかったけれど、しっかりとしていた。
歌野「私が何としてでも繋ぎ止めてみせるわ」
陽乃「無理をしたら貴女が死ぬわよ」
歌野「死なないわ」
ううん。と、歌野はうっすらと笑みを浮かべる。
包帯で隠れている半分がぎこちないせいか、やや引き攣って見えるのが少し痛々しい。
歌野「死ねないわ……だって、そうなったら久遠さんまで死んでしまうもの」
陽乃「私が死んでも貴女は死ぬけど」
歌野「つまり、一蓮托生ね」
諏訪でただ一人の勇者であった頃のように、
常にポジティブで居なければならない。と言った強迫観念に近いものはもうない。
けれど、陽乃は後ろ向きではないが、前を向いているとは言えないような言動ばかりで。
だから、歌野は努めて明るい声で言う。
歌野「色々な意味で」
心がつながっているし、片方が死ねば、もう一方も死ぬ可能性が高まるため、
ある意味では魂もつながっていると言えるのではないか。と、歌野は思う。
1、歌野に近づく
2、ひとまず、藤森さんを呼びましょうか
3、馬鹿なこと言わないで
4、まぁそうね
↓2
- 959 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/07(月) 22:54:48.76 ID:YZtsViz0O
- 2
- 960 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/07(月) 22:54:50.35 ID:/PPxxkc20
- 2
- 961 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/07(月) 23:06:39.14 ID:NJs7Xsmeo
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
- 962 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/07(月) 23:18:09.05 ID:YZtsViz0O
- 乙
うたのんとの繋がりが実質陽乃さんの無茶防止になってくれてるのはありがたいなぁ
とはいえ陽乃さんたちも早く退院したいところだけど
- 963 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/08(火) 06:08:44.54 ID:DmqJQ3YEO
- 乙
歌野も無理させないようにしないとな
- 964 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/08(火) 23:48:05.61 ID:AMb50zGjo
- すみませんが本日はおやすみとさせて頂きます
明日も可能であれば通常時間から
- 965 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/08(火) 23:52:56.25 ID:MpzqP5puO
- いつも乙です
- 966 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/09(水) 22:07:52.62 ID:Au+NtqQno
- では少しだけ
- 967 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/09(水) 22:11:13.79 ID:Au+NtqQno
-
陽乃「ひとまず藤森さんを呼びましょうか」
ひなた「藤森さんを……ですか?」
陽乃「別に呼ばない理由はないし、むしろ呼ぶ理由の方があるくらいだもの」
ひなた「そうですね……」
ひなたは同意したが、腑に落ちないといった様子だ。
一昨日の一件があって普通に接するつもりなのが気になっているのだろう。
記憶の改竄を行ったことで水都は覚えていないため、
陽乃とひなたさえ気にしなければ、
それこそ本当に何もなかったことになるとはいえ、
やや感情的にも見えたあのことを一切気にせずにいることはひなたには難しいようだった。
空気が悪くなりそうにも思えた室内に、もう一人の声が割り込む
歌野「上里さんはみーちゃんが苦手なの?」
- 968 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/09(水) 23:56:19.79 ID:Au+NtqQno
-
歌野「みーちゃんはあんまり、積極的じゃないけど……あ、でも、最近は結構積極的になって来てて……」
歌野はそう言いながら、陽乃を見る。
水都は歌野から見ても、人付き合いが得意ではない性格で、
陽乃程解くはないものの、どちらかと言えば弱気
けれど、いざというときにはぐっと踏ん張れるような強さも兼ね備えていて。
歌野「付き合っていけば、きっと良さが分かるわ」
ひなた「ええ、藤森さんは素敵な方だと思います」
ひなたは笑みを浮かべると、陽乃を一瞥して頷く。
ひなただけが覚えている水都はとても積極的な性格だった。
陽乃に対して、強く出て、
とても危険なことのはずなのに躊躇なく申し出たりと、
勇者にも劣らない勇気を持っていたように思う。
勇気というよりも信頼だろうか。
陽乃の力だから、何があっても大丈夫だと。
ひなた「私が気になったのは……」
記憶を消していること。とはいえなかったのだろう
ひなたは一瞬ためらって、巫女のことです。と話を切り替える。
ひなた「白鳥さんの巫女である藤森さんを呼ぶと言うことは、つまり、力になって頂くんですよね?」
- 969 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/10(木) 00:13:10.36 ID:QB9l2odPo
- ひなたは、陽乃に尋ねる。
歌野の今の状態から回復の助力になれると言う話は出ていないものの、
今後、力を必要とした場合には影響を軽減できる想定の巫女の役割。
若葉達については、
戦闘中を除けば力の行使は必要ないため、心配は要らないが、
歌野に関しては、常に力を使っているのが現状だ。
その為、
すぐにでも水都に影響が出るのではないか。と、ひなたは危惧しているようだ。
水都自身はすでに覚悟も決まっているから、
他人であるひなたには断固として止めることは出来ないけれど、
身を案じることくらいは、しても許されるだろう。
ひなた「それに、白鳥さんは――」
歌野「みーちゃんとは、一心同体みたいなものだから」
ひなた「一心同体?」
陽乃に使う一蓮托生とは、別物なのかと、ひなたは訝し気に陽乃を見るが、
陽乃は目を細める。
歌野の心の内には、大丈夫だから。という言葉が透けて見える。
けれど何が大丈夫なのか、陽乃は聞いていない。
1、何をしたの?
2、3年間も死線を潜り抜けてきたから?
3、貴方達が良いならいいわよ。別に
4、私とは違うのね
↓1
- 970 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/10(木) 00:13:49.52 ID:Yoz8SZHiO
- 1
- 971 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/10(木) 00:27:45.91 ID:QB9l2odPo
- では遅くなりましたが本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
- 972 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/10(木) 00:32:11.11 ID:Yoz8SZHiO
- 乙
- 973 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/10(木) 00:48:28.02 ID:GZ7lJs2vO
- 乙
今作のみーちゃんって本当に頼もしいよなぁ
- 974 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/11(金) 00:12:44.92 ID:2uzQ7q1Wo
- 遅くなってしまったので本日はお休みとさせていただきます
明日は可能であれば少し早い時間から
- 975 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/11(金) 05:05:09.39 ID:1zguHcrwO
- 乙
- 976 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/11(金) 21:15:29.08 ID:2uzQ7q1Wo
- では少しだけ
- 977 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/11(金) 21:30:15.82 ID:2uzQ7q1Wo
-
陽乃「何をしたの?」
諏訪にいる頃であれば、
歌野が失われれば諏訪の守護者が失われることになり、
結果的に水都を含めた諏訪の住民みんなが失われてしまうため、
運命共同体だった。というなら陽乃も分かる
けれど、一心同体というのは妙だ。
陽乃との繋がりがあるからといって、扱いの違う水都はそれに値しない。
陽乃が目を細めると歌野は眉を潜めて、
少し困ったように、そんな怒らないでと言う。
歌野「もちろん、九尾さんにも」
陽乃「やっぱりまた――」
歌野「違うわ。九尾さんじゃなくて……宇迦之御魂大神様よ」
- 978 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/11(金) 22:45:23.42 ID:2uzQ7q1Wo
-
以前のような九尾の入れ知恵ではなく、
陽乃の味方である神のひと柱であり、その陽乃に味方したい歌野に力を貸し与えている存在。
九尾や伊邪那美様と違って、
その姿を見せたり、話をしたりといったことのない宇迦之御魂大神様だが、
歌野とは、それなりに交流があるようだった。
陽乃「神様の声がするって、言っていたけど……」
歌野「頭がおかしくなったって? ふふっ、普通ならそうだけど違うわ。でも久遠さんだって九尾さん達とお話が出来るでしょ?」
陽乃「それはそうだけど、九尾は姿を見せているし」
歌野「見せていなくたって、出来る。それに、私の目に見えなかった上里さんとだって会話が出来るんでしょ?」
ひなた「確かに、ただの独り言ではなくまるで誰かと会話しているかのようなものは恐ろしさがありますね」
歌野に同意して、ひなたは頷く。
ひなたはとてもオブラート包んでいってくれたが、実際は怖いと言うよりも気味が悪く感じるだろう。
そこに向けられる視線というものは、気が狂った人を見るそれだ。
歌野「……それで、本題だけど」
場が静まり始めたのを感じてか、歌野は静かに切り出す。
陽乃も歌野も居住まいを正すことは出来ず、ひなただけがわずかに体を揺らした。
歌野「久遠さんはよく知ってるわよね? 神様と、それに仕える御使いについて。特に、私が力をお借りしている宇迦之御魂大神様については……有名でもあるし」
- 979 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/11(金) 23:23:02.33 ID:2uzQ7q1Wo
-
宇迦之御魂大神
穀物や、生命を司る神様
あるいは、稲荷神とも評されるその神には、神使がいるとされている。
そこにあげられるのは、狐だ。
だから、九尾はその特徴からあんまり好ましくない―むしろ不快―なようだった。
だが、狐が関係しているわけではないだろう。
陽乃は眉を潜める。
陽乃「もちろん知っているけど、それが? まさか、貴女を神様として藤森さんをその神使としているわけではないでしょうね」
歌野「……さすがね。そう。その通り。久遠さんが諏訪の神様の代理とされたように、私は宇迦之御魂大神様から作神としての役割を受け、みーちゃんをその使いとして認めて貰ったの」
神様の代理、神使
人の領域から外れてしまったかのような言葉。
ひなたは何か言いたげだったが、
自分が口を挟めることではないと感じてか、息を飲む。
陽乃「私と貴女では程度が……ううん、だからこそ、藤森さんを巻き込んだの?」
歌野「みーちゃんが、力になれる方法があるって」
そうしたら、宇迦之御魂大神様が助言してくれたのだと歌野は答える。
かの神は九尾と違って悪戯に方法を教えるような存在ではない。
歌野達がそれを必要とし、そしてそれを知っていたから知恵を与えたのだろう。
けれどそれは、人間であることを捨ててしまうに等しい。
1、今からでも取り下げるべきだわ
2、どうしてそんなことをしたのよ
3、愚かだわ……本当に、愚かだわ
4、貴方達はそれでよかったの?
↓2
- 980 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/11(金) 23:26:53.87 ID:WwzDfqYW0
- 1
- 981 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/11(金) 23:26:56.44 ID:vCIAyKpaO
- 1
- 982 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/11(金) 23:54:29.02 ID:2uzQ7q1Wo
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば少し早い時間から
- 983 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/11(金) 23:59:49.51 ID:4N5g5w53O
- 乙
いくら陽乃さんを救いたいからとはいえ人間辞めるのは陽乃さんは望んでないだろうし複雑だな…
さすがに今回は説得して止めさせるべきか
- 984 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/12(土) 06:41:26.80 ID:PZGhPhWxO
- 乙
だんだん自己犠牲が陽乃さん並みになってきたな
- 985 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/13(日) 21:44:45.07 ID:kYN1Or9Bo
- 遅くなりましたが、少しだけ
- 986 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/13(日) 21:48:14.12 ID:kYN1Or9Bo
-
陽乃「今からでも取り下げるべきだわ」
歌野「神様との契約をそう簡単に――」
陽乃「そう簡単に取り付けるべきことではないのよ。それをしてしまったのは貴方達だから、どれだけの代償を支払うことになったとしても知ったことではないけれど、幸いにも、宇迦之御魂大神様は私に目をかけてくださっているようだから」
本来なら、神々との契りを断ち切るのは易々と出来ることではない。
代償行為として求められたことを行別ければ一方的な破棄になるため、
それ自体は簡単ではあるけれど、出来る限り被害なく穏便に解消することが出来ないのだ。
しかし、幸いにも……というべきか、
宇迦之御魂大神は久遠家が祀っていた神であり、その生き残りである陽乃には特別目をかけていて、
歌野に対して力を貸しているのもそれが理由なため、陽乃が拒めば穏便に済むかもしれない。
歌野「宇迦之御魂大神様がより安全に久遠さんの力になれるようにと与えてくれた知恵なのに」
陽乃「私は貴女にそこまで望んでいないし期待もしていないわ」
残念そうに言う歌野に対して、陽乃はバッサリと断ち切るように吐き捨てる。
歌野の唯一見えている方の瞳が見開かれ、ひなたが「言い過ぎでは」と呟く。
- 987 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/13(日) 22:05:37.75 ID:kYN1Or9Bo
-
陽乃「貴女がそこまで私にする理由があるのは知ってる。貴女にとって私は命の恩人で、失われていたはずの命だから、懸けたところで悔いはないし、むしろそのためにあるのだとさえ思っているんでしょう?」
歌野「そうよ。久遠さんは私達を救ってくれた。ただ滅びるのを待つだけだった諏訪に踏み込み、引っ張り出してくれたわ。その恩を返したい。何より、そこまでしてくれた人が、周囲に受け入れられることなく1人傷つき続けているだけなのを黙って見ていることなんて出来るわけがないわ」
陽乃「だけど、そんなこと私はこれっぽっちも望んでいないのよ」
本来なら失われていたから、
何かに命を懸けることを厭うことはなく、
それが恩人の為ならばなおさら。という考え方は、陽乃も決して理解できないわけではない。
実践するかは別にしても、それは起こり得る一つの思考だ。
しかし、それをされる側が望んでいるかは別の話である。
もしかしたら「ありがとう。共に戦おう」だなんて手を取り合う美談に昇華しようとすることがあるかもしれないし、
あるいは、「いいや、命までは要らない」と、冗談めかした返しをしながら背中を預けることもあるだろう。
陽乃はどちらにもならない。
陽乃「使えるものは使うと言ったし、貴女は使えると判断したから取りに行った道具のようなものではあるけれどそれは勇者の戦力としてであって、無意味やたらと命を懸けて貰う為ではないのよ」
何より。と、陽乃は息を吐く。
陽乃「簡単に命を捨てられたら私が面倒な荷物を背負ってまで連れてきた意味がなくなるじゃない。ただ寿命を縮めただけの無駄足にしたいくらい私を恨んでいるのなら、そう言って頂戴」
歌野「そんなわけないわ。恨んでない……恨む理由なんてあるわけがない」
投げかけられる言葉がどれほど酷いものであっても、
その内側を感じられてしまう歌野は「どうしてそんなに酷いことが言えるのか」などと激高する理由もない。
- 988 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/13(日) 22:36:48.14 ID:kYN1Or9Bo
-
陽乃はいつも命懸けで戦っている。
いつ死んでもおかしくないほど、
そのまま目を覚まさなくなってもおかしくないほど、
いつもボロボロになって、なのに、体に鞭を打って戦いに赴いている。
その癖に、他人には命を懸けるななどとどうして言うのか。
せっかく救った命を無駄遣いされて無駄骨になることに苛立っている?
見返りを求めていない?
期待も望みも何もしていない?
歌野は、くっと歯を食いしばる。
歌野「私は、この命を簡単に捨てるつもりなんてないわ。もちろん、みーちゃんだって」
自らを神とすることは人の身に余ることであり、
人間であっては本来叶わないことの為、半神となるのも前提としなければならない。
それゆえ、神々との契約は命を懸けている。
失われるかもしれないのではなく、捧げものとして召し上げられるのが確定するからだ。
それももちろん、歌野と水都は覚悟の上だ。
歌野「私達は死にたいから神様の力をお借りしているわけではないし、久遠さんの努力を水の泡にしたくてこんなことをしているわけでもなくて……ただ、久遠さんが辛い思いをしないようにしたいから出来る限りのことをしたいって思ってるの」
- 989 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/13(日) 23:11:56.31 ID:kYN1Or9Bo
-
陽乃は多くのものを失った。
それは見知った知人であり、仲の良かった友人であり、その家族であれば、
全く知りもしなかった友人でもある。
そして、人々の狂騒によって母親以外の親類縁者を失った。
その経験から、陽乃は、他人の命というものに酷く執着している。
目の前で奪われていく、失われていく感覚を忘れることが出来ていないからだ。
その力から化け物と呼ばれ、
人々を襲った襲来の原因だと負の感情を押し付けられていても、
それでもなお、他人を捨て去れない原因の一つだろう。
だから、歌野は死なない道を選ぼうと考えた。
もちろん、いつかは死ぬことになるが、
少なくとも、戦いでは命を落とすことはないようにと。
その力を得ることのできない人々
そして、命を尽くすことを厭わない陽乃を可能な限り救うことが出来るようにと。
歌野「久遠さんが私達に命を懸けて欲しくない気持ちは痛いほど良く分かっているつもりよ。こんな体になった私を見た時の、その心がどれほどのものかだって、とても……だけど、久遠さんに並ぶためには人ではいられない。その体を支えるためには人ではいられない。だって、久遠さん自身がその身をすでに人ならざる者へと変えてしまっているんだもの」
歌野は、そう言って目を閉じる。
目を閉じても、陽乃の居場所が良く分かる。
陽乃の力である九尾とのつながりもあるからか、ひなたの居場所も、鮮明に瞼の裏に感じられる。
ゆっくりと瞼を開き、歌野は強く意志を込めて陽乃へと目を向けた。
歌野「私達を止めたいなら、まずは久遠さん自身が立ち止まって頂戴。それが出来ないなら、私達は踏み込むことも厭わないわ」
1、私がそうしたら世界が終わるわ
2、私は貴女と違って止まれるものではないわ
3、それは貴女の意志ではなく、宇迦之御魂大神様のせいよ
4、人として死ぬことが出来ないのよ
↓2
- 990 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/13(日) 23:13:09.55 ID:qfER9UwOo
- 4
- 991 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/13(日) 23:13:14.36 ID:eK+XvIC8O
- 4
- 992 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/13(日) 23:14:17.11 ID:+SO/aT9hO
- 3
- 993 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/13(日) 23:14:21.54 ID:Oct2NVu30
- 2
- 994 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/13(日) 23:17:33.16 ID:kYN1Or9Bo
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
次スレは明日立てます。
- 995 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/13(日) 23:38:16.12 ID:FXn1KnveO
- 乙
うたのんの気持ちは分かるけど…
だんだん陽乃さん以上に危ない人になってきたような気がして不安だなぁ
- 996 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/14(月) 21:47:54.59 ID:1xywqUmco
- 次スレ
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http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1647261933/
- 997 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/14(月) 21:51:05.57 ID:Vssf+bw1O
- 了解です
- 998 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/14(月) 23:54:48.97 ID:QMtmDackO
- そろそろ埋めとくか
- 999 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/14(月) 23:55:27.25 ID:QMtmDackO
- 埋め
- 1000 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/14(月) 23:55:55.49 ID:QMtmDackO
- では乙
- 1001 :1001 :Over 1000 Thread
- ヽ人人人人人人人人人人人人人人人ノ
/ ̄(S)~\ < >
/ / ∧ ∧\ \< 嫌なら見るな! 嫌なら見るな! >
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俺「食べる」 @ 2022/03/12(土) 12:36:01.63 ID:Gz4hdOAK0
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【デレマス】イタリアン……? @ 2022/03/12(土) 12:02:07.05 ID:+zEHoFJDO
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AIのべりすとで遊んでたらFGOの二次創作が完成した @ 2022/03/11(金) 03:23:48.41 ID:gkFZhmre0
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