【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【7頁目】

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

551 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/14(水) 00:20:10.33 ID:VUi/PUZ90

ひなたが戻り、普通に接するだけであれば何も問題は起こらない。
けれど、そのひなたが命を懸けたいと言えば、若葉は絶対に止めるだろう。
それ自体は別に、勝手にしたらいいと陽乃は思うし、
ひなただってそれだけで済むのなら、話し合って、どうにか受け入れて貰える道を模索するだろう。

けれど、
若葉の胸の内に溜まった穢れ次第ではひなたと若葉の間に亀裂が走ることになり得るし、
最悪の場合、強行できたとしてもひなたへの反動が重くなる。

歌野が肯定的で、2人の思いが一致していた水都とはわけが違ってくる。

若葉がひなたを大事に思っているように、ひなたもまた、若葉を大事に思っている。
その思いが、若葉を困らせ、苦しませ、
それでいてリターンよりもリスクが勝ることを躊躇わせているのだろう。

――それもあるのだろうけど。と、陽乃は目を細める。
細めただけで、何か見えるわけではないけれど。

ひなたはやはり、陽乃のことを重く見ている。

陽乃は自惚れないでと突っぱねたものの、
陽乃が戦いに赴いたのはひなたが願ったことだからで、
それが引き金となって歌野まで一時的に再度隔離することになったりと、
散々なことになっているのまた、自分のそれが原因だと思わずにはいられないのだろう。

だからこそ、
巫女の中で最高の適性だと言われている自分の力は、
自分と自分の幼馴染のために使ってしまうべきではないとも、考えている。


1、それをしたら、私と乃木さんで殺し合うことになるわよ
2、貴女なんて要らないわ
3、気持ちだけで十分よ。貴女には荷が重いわ。
4、自惚れないでって言ったはずよ


↓1
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/14(水) 00:20:55.50 ID:XOHNcERvO
3
553 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/14(水) 00:30:37.90 ID:VUi/PUZ90
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
554 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/14(水) 00:38:40.15 ID:XOHNcERvO

ひなたも責任感じてるみたいだけどどう折り合いつけるべきか…
あと久しぶりの毎日投稿はやはり落ち着くなぁ
555 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/14(水) 06:03:23.00 ID:NCk4/dtfO
556 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/14(水) 23:24:58.89 ID:VUi/PUZ90
陽乃『気持ちだけで十分よ。貴女には荷が重いわ』

もし仮に、今のこの状況がひなたを原因としたものだったとしても、
ひなたに背負わせれば解決するというほど、軽くはないのだ。

いや、ひなたでさえ背負いきれないほど。と、言うべきだろうか。

今回に関しては攻撃を受けたことによる物理的なダメージも大きいけれど、
それを除いても、
そもそも、陽乃は歌野以上に危険な力を使っていることもあって、
その反動の一部を請け負うとなると、ひなたであっても死ぬ可能性の方が高い。

九尾はともかく、イザナミ様であればほぼ確実だと言える。

陽乃『貴女は貴女が出来ることをしたらいいのよ』

ひなた『久遠さん……』

どこか感嘆を感じる声色で名前を呼んだひなたは陽乃の手を少しだけ強く握る。

いつもならもっと厳しく突っ撥ねてくるのが陽乃だ。
それでももちろん、相手への心遣いは感じられるのだが、
陽乃にしては、直球な返しだったからだろう。

ひなた『私に出来ること、ですか……』

ひなたを庇って出来た左手の傷も癒えていないのに、
また、深手を負った身体は直視するには酷い状態で。

医者としての技術がなく、
歌野のように治癒を主とした力もないひなたは、完全な力不足に他ならない。
557 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/14(水) 23:53:17.35 ID:VUi/PUZ90

だからと言って、
陽乃がひなたを邪魔者扱いしているわけではないというのは、分かっている。
こんな場所にいるよりもやるべきことがあると。陽乃はただそう、思っているだけだ。

ひなた『私では、久遠さんの力にはなれませんか?』

陽乃『貴女でも無理よ』

可能性はある。けれど、十中八九十中八九ダメだろう。

ひなたが万が一陽乃を起因とした何かで命を落とした場合、
若葉はもちろん、巫女や大社の人々といったひなたを重宝している勢力からの風当たりが強くなるうえ、
郡千景が「殺しておけばよかったのよ」と、迫ってくる気がしてならない。

それはもはや足手纏いとも言える。

陽乃『乃木さんが万全な方が私の利益になるわ』

ひなた『若葉ちゃんは、頼りになりますか?』

陽乃『居ないよりは』

居なかったら頼るも何もないのでは。と、
ひなたは小さく笑いながら呟いて『若葉ちゃんが聞いたら喜びますよ』と、続ける。

ひなた『久遠さんのためにもって言えば……若葉ちゃんが許可してくれるかもしれません』

陽乃『どうだか』

ひなた『白鳥さん達ほどではなくても、若葉ちゃんも恩義があるって言っていますから』
558 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/15(木) 00:06:33.88 ID:XaQuKoOA0

陽乃『私は別に何もしていないわ』

ひなた『久遠さんがそうなら、誰も胸を張ることが出来なくなりますよ』

ただただ滅びを待つだけの運命だった諏訪から、
そこに住む住民を含めて迎えに行き、連れ帰ってきた陽乃。
歌野達が今度は自分達が命を懸けるべきだというのも無理はないと思えるほどの功績だ。

その功績を自分のものだなんて威張ったりすることはまるでないが、
同行していた球子や杏はそうだし、
諏訪とやり取りしていた若葉も、いつか助けに行きたいと思っていた友奈も、
外に出て、生存者を連れ帰ってきたこと自体を希望と見ている巫女達も。

みんな、陽乃に恩を感じている。

やっぱり、陽乃はそれを快く思わないのだろうけれど、
それでも、成し遂げてしまったことはどうしようもないのだ。

そして、だからこそ、ひなた自身も。
けれど、その献身は拒絶されてばかりで、それは今もそう。

ひなたはぐっっと意を決するように唇を固く結ぶ。

ひなた『本当に、私じゃ駄目ですか? 若葉ちゃんの代わりを務める方がお役に立てますか?』

若葉か陽乃か。
その反動を引き受けるのはどちらにするべきか。
ひなたはその最終決定を、陽乃に委ねようとしているようだった。


1、ええ、貴女ではだめよ。
2、それは貴女が決めることよ。
3、私の役に立つかどうかではないでしょう。
4、乃木さんにしておきなさい。

↓1
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/15(木) 00:12:22.03 ID:X+liPoOtO
4
560 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/15(木) 00:22:07.87 ID:XaQuKoOA0
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/15(木) 00:45:52.96 ID:RjxzxAwbO

ひなたの気持ちも分かるけど本当に死んでしまったらそれこそ困るしなぁ
562 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2022/09/15(木) 02:48:28.40 ID:912J5A+I0
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
563 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/15(木) 23:50:23.74 ID:XaQuKoOA0
すみませんが本日はお休みとさせていただきます。
その分、明日は可能であれば少し早い時間から
564 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/15(木) 23:54:06.91 ID:7txVahW+O
連絡乙です
明日楽しみに待ってます
565 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/16(金) 23:30:24.33 ID:YtGxFXrx0

陽乃『乃木さんにしておきなさい』

ひなた『……っ』

陽乃が迷わずにそう切り返すと、
ひなたは少しばかり残念そうに眼を開いて、伏せる。

ひなたも歌野や水都と似たようなものだ。と、陽乃は思う。

千景の目的は陽乃の殺害だったから、
ひなたはそのついでに殺されかけただけで、
むしろ「陽乃のせいで巻き込まれた」と憤っても問題はないのに
戦力で見て、受けた恩を顧みて、それでひなたは力になりたがっている。

もっとも、ひなたがそんな性格ではないだろうと思ってはいるが。

陽乃『貴女が見出したのが私ならともかく、乃木さんなのだから。適性は明らかにそっちに向いているし、最後まで付き添ってあげるべきよ』

もし、陽乃と共に覚醒した巫女であったなら、
神様の力を使う代償にも耐えうるだけの素質があった可能性はある。

しかし、実際には、ひなたは陽乃ではなく若葉の巫女だ。
こんな世界になるまでは、顔見知りですらなかったくらいに他人だった。
その希薄な関係には、あまりにも荷が勝ちすぎている。

陽乃『貴女はただ巻き込まれただけなんだから。無意味な罪悪感を抱く必要はないのよ』
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/16(金) 23:36:14.63 ID:dz9yFonrO
来てたか
567 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/17(土) 00:27:59.21 ID:Pn3iFO+K0

陽乃の癖のような突き放す物言い。
けれど、以前に比べればだいぶ軽くなったようにも感じられる。
ひなたはあまり響かないようにと声を抑えて笑う。

ひなた『そう、ですね』

巻き込まれたと言えるかもしれない。
だからと言って、ひなたは巻き込まれたとは言わないし考えるつもりはなかった。
あの時の千景の様子は見るからにおかしく、
敵意や殺意といったものがはっきりとしていた。
それでも、説得できるかもしれないと勇んだのはひなただ。

ひなた『一理あります』

無意味な罪悪感を抱く必要はない。だがそれは陽乃だろうとひなたは思う。

ひなた『あまり、自分を責め過ぎないでください。久遠さん』

陽乃『私?』

ひなた『おそらく、世界一自責の念が強いかと』

ひなたは、あえてちょっぴり子供らしく指摘をして、
眉を潜めた陽乃を見つめる。

人を殺めることになってしまったのは悲劇だが、
それを除けば陽乃の罪になるようなことがないどころか、
むしろ、その唯一の罪は過剰ではあるものの、自分と周囲を護るためのものだった。

なのに、陽乃はそんな言い訳をせずに抱え込むばかりで。
568 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/17(土) 01:12:35.02 ID:Pn3iFO+K0

ひなた『勇者の件でお力添えできないのは非常に口惜しいですが、それ以外で何かあれば、遠慮なくお話しください。可能な限り……』

ひなたはそこで口を閉ざすと「違いますね」と、首を振って。

ひなた『必ず、力になります』

陽乃はひなたのその献身に顔を顰める。

九尾は改めるべきだというし、
陽乃自身、多少は変えていくべきだと思っていないわけではない。

けれど、ひなた個人ではなく、
人間そのものに対する蓄積された不信感はそう簡単に払拭できるわけがなく、
ひなたの献身への感謝よりも、
どうせ、出来るわけがないのだろうとか、
そもそも、任せたくない、信じられないと考えてしまう。

陽乃『必ずって……』

嫌がらせでなく、拒絶したくなる。
出来もしないくせに。と、突き放したくなる。

陽乃『……はぁ』

ここで拒絶しても、
ひなたは仕方がないですねと言うかのように笑みを浮かべるだけかもしれない。
それが今までの陽乃だし、ひなたは慣れたものだろう。


1、結構よ
2、良いから乃木さんのところに戻りなさい
3、自分の言葉には責任を持つべきよ
4、何かがあれば。ね


↓1
569 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/17(土) 01:50:15.95 ID:r7S7TH2tO
4
570 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/17(土) 04:38:05.55 ID:K72qgRbwO
今日はここまで?
571 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/17(土) 22:01:09.31 ID:Pn3iFO+K0
落ちてしまいましたが、続きから
572 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/17(土) 22:02:12.23 ID:TM86rsb0O
よしきた
573 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/17(土) 22:04:15.11 ID:Pn3iFO+K0
陽乃『何かがあれば。ね』

陽乃がそう答えると、ひなたは『何もない時なんてありましたっけ』なんて呟く。
運が悪いのか、陽乃はいつも災厄に見舞われている。
バーテックスも、大社も、四国に住まう人々も。

陽乃に対しての当たりは強く、心休まる場面が少なかったのは、ひなたも理解しているところだ。

そもそも、今だって十分に有事だと言えるだろうに、
それで何もないだなんて誰が認めるだろうか。

ひなたは唇をキュッと結ぶ。

陽乃といるからか、自嘲が癖になりそうだとひなたは思っているようで、
漏れかけたそれを飲み下して、喉を鳴らした。

ひなた『……若葉ちゃんの件が無事に済んだら、戻ってきます』

陽乃『余計なことは考えないようにしなさい』

ひなた『分かってます』

気持ちが通じ合うことが重要なら、
雑念が混じってしまえばリスクが大幅に増加することになる。
だからこその助言だろうと察したひなたは、感謝の意を込めて、陽乃の右手を摩る。

ひなた『若葉ちゃんは私の大切な幼馴染ですが、久遠さんは私の命の恩人です』

どちらも大切で、失いたくないと思っている。
そうしてそれは若葉も同じだろう。

3年前のあの日以前からの付き合いで、あの日も共にあり、死地を駆け抜けたひなたの幼馴染。
精霊を多用することによる副作用で少し荒れているみたいだけれど、
その心根までも曲がることはないと信じている。

ひなたは、久遠さんの幼馴染だったら。と、少しだけ考える。
そうだったなら、正式な巫女であれたのだろうかと。
傷つけ、傷つけられ続ける心を、守ってあげられるだけの何かがあっただろうか。と。

ひなた『行ってきます』

今はまだ、返答がないだろう言葉を残し、ひなたはもう一度、病室を出て行った。
574 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/17(土) 22:07:23.07 ID:Pn3iFO+K0

√ 2018年 10月10日目 夜:病院

↓1コンマ判定 一桁

0 歌野
4 千景
6 球子
9 水都

ぞろ目 特殊
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/17(土) 22:08:11.09 ID:TM86rsb0O
576 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/17(土) 23:52:51.34 ID:Pn3iFO+K0
√ 2018年 10月10日目 夜:病院


夜も更け、寝静まった病院の一室の前で、水都は足を止め、
少しだけ迷いながら、扉をゆっくりと開ける。

特別に用意されたその病室はネームプレートがなく、
一見では空室に思えるが、中では一定のリズムで電子音が響いていた。

ベッドは2台あるが、それでも広すぎるほどの特別な病室
2台あるうちの1台は無人で、今は1人しか使っていない為、寂寥感が漂っている。

水都はその孤独な住人である陽乃のそばに忍び足で近づく。

追い込まれつつあった陸の孤島の諏訪へと訪れた勇者の1人。
四国内での決定によって派遣されたのではなく、
独断かつ、追い出されるような形で諏訪に来た陽乃は、初めて見た時から疲弊していた。

いいや、疲弊という言葉では軽いほどに消耗していた。

だが、次第にそれさえも序の口だったし、
今ではもう、適切な言葉が思い浮かばないほどにボロボロになっている。

通常の医療技術だけでは確実に亡くなっている。と医者に言わせるほどの状態で
勇者の回復力と歌野が譲り受けた宇迦之御魂大神の御力でどうにか繋ぎ止めている陽乃は、今は穏やかに眠っているように見える。

水都はその寝顔を覗き、ほっと安堵する。
577 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/18(日) 00:31:25.13 ID:5rnNJt2X0

諏訪にいたころと違って、
四国は神樹様の恩恵によって、人々は勇者の戦いを知覚することが出来ない。
それは巫女も例に漏れず、あとから戦いがあったことを知ることになる。

神託によって近々戦うことになるだろうという覚悟はできるものの、
それくらいしかできないのが本来の巫女の形だ。

水都「……っ」

何が、恩恵だ。と、水都は思う。

そんなことをしているから、
勇者達がどれほどまでに苦痛を味わっているのかを知らず、
自らの細やかな不幸で、勇者達を責め立てているんじゃないか。

人々は知るべきなのだ。
勇者の努力を、勇者の恐怖を、勇者の痛みを、勇者の苦痛を。

そうすれば、誰一人として文句は言えなくなるだろうし、
それでもなお言いたいことがあるのなら、刀の一つでも握らせてやればいい。

でもきっと、陽乃はそんなこと望まない。
それで手のひらを返されたとしても、陽乃は今までと何も変わらない。

だから、その願いは水都の自己満足にしかならない。

水都はそうっと、陽乃の手を取る。
歌野とのつながりを手繰り寄せていき、少しずつ、その力を陽乃へと伝えていく。

温かな生命力の力は、水都の身体を火照らせる。
水都の額に汗が浮かび、頭がずきずきと痛んで、吐き気がしてくる。

それでも水都は身を削るのを止めなかった。

真実を包み隠さないようにと神樹様に直談判するよりも、
その時間さえも惜しんで癒すために尽くす方が、水都にとっても、歌野にとっても。
そしてきっと陽乃にとっても良いと、思って。
578 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/18(日) 00:33:25.42 ID:5rnNJt2X0

↓1コンマ

01〜00 ※低〜高

※ぞろ目特殊
579 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/18(日) 00:39:13.68 ID:k6+36M4wO
580 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/18(日) 00:47:10.52 ID:5rnNJt2X0
では本日はここまでとさせていただきます
明日は可能であればお昼ごろから。
581 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/18(日) 05:38:22.66 ID:/elPh8n2O

みーちゃん相変わらず健気や…
コンマは高めに出たけどいい方向に転がって欲しいな
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/18(日) 07:50:24.21 ID:XSKFE2BrO

少しでも早めに回復するといいな
583 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/18(日) 16:09:10.80 ID:5rnNJt2X0
遅くなりましたが少しずつ
584 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/18(日) 16:32:11.76 ID:5rnNJt2X0

水都が身に纏っている巫女装束の裾に赤い斑点が滲んでいき、
流石に耐えられないと水都は陽乃の手を離して、袖で鼻の辺りを軽く拭う。
鼻を啜ると血のにおいがして、拭った袖まで赤くなっている。

巫女でしかない水都には、ここが限界なのだろう。

水都「……少し、無理させちゃったかな」

陽乃を見れば、額に汗が浮かんでいて少しだけ寝苦しそうな呼吸をしていて、
水都はハンカチをポケットから引っ張り出すと、
自分のことはそっちのけで陽乃の汗を拭い、布団をずらして熱を逃がしていく。

水都「ごめんなさい。少しだけ……」

布団が捲れたことで、陽乃の患者衣が目に入る。
拘束するようなものではなく、普通の患者衣だが、汗が滲んでべったりとしていて、不快感を高めていそうだった。

気付かれたら気まずくなりそうだと思いつつも、
そのままにはしておけないと陽乃の患者衣の紐の部分を抓む。

陽乃「――なにしてるのよ」

水都「あっ……」

陽乃「何してるのって、聞いたんだけど……」

さっきまでは見えなかった橙色の瞳に見つめられて、
水都は一瞬、言葉を失って息を飲む。

水都「……暑苦しそうだったから」

陽乃「そう……」
585 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/18(日) 18:38:53.89 ID:NSctCICZO
586 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/18(日) 18:46:52.72 ID:5rnNJt2X0

陽乃は興味がなくなったかのように答え、頭を枕に落とす。
眠る前に水都はいなかった。
ということは、寝ているときに来たのだろう。

陽乃「……夜よ」

水都「だから来たんです。夜なら、行動しやすいかなと思って」

監視カメラはどうにもならないけれど、大社も病院も邪魔にならない。
理由は分からないが、
バーテックスの襲撃も行われない為、落ち着いて専念できる。

水都「それに、朝とかは他にやることがあるときもあるので」

陽乃「だったらこんなところに来ている場合じゃないでしょう。少しは体を休めておきなさい。貴女が万全じゃないと、白鳥さんが役に立たなくなるんだから」

水都は面を食らった顔をして「それは陽乃さんも同じですよ」と答える。

水都「うたのんも、私も、陽乃さんが万全でいてくれないと困るんです」

歌野は元々勇者で、陽乃の力を借りていなかったが、
諏訪から四国へ移る際に、諏訪の神々の力は陽乃へと引き継がれ、
今は陽乃を経由している。

陽乃の体調の良しあしに関わらず力を使えているということは直接的に関係はないのかもしれないが、
万が一、陽乃の体調が悪化して死に至った場合どうなるのかは分からない。
587 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/18(日) 19:11:00.51 ID:5rnNJt2X0

水都「特に、うたのんは……生命力を高める力を与っているから……」

自分を回復させることに注力するあまり、
陽乃のことをおろそかにしてしまっているのではないかと、歌野は気を急いてしまう。

そして、それが真実になってしまったりしたら、
それこそ、歌野は荒れるだろうから。

水都「私に出来ることは、出来る限りしておきたいと思って」

陽乃「それで……」

陽乃は、そうっと手を伸ばして水都の頬に触れる。
うっすらと付いていた血は乾いていて、陽乃の手には着かなかった。

陽乃「こんな無茶をしたのね」

水都「私に出来るのはこのくらいしかないから」

陽乃「それで死んでも、私はどうともならないわよ」

陽乃はそう言い切ったが、水都はまるで気にも留めていないと言った様子で笑みを浮かべた。

水都「絶対怒るじゃないですか」

陽乃「……怒りもしないわよ」

水都「じゃぁ、悲しんでくれますか?」

陽乃「そんなこともしないわ」

はっきりと否定されても、水都は笑みを崩さなかった。
588 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/18(日) 20:02:58.35 ID:5rnNJt2X0

水都「声の調子は良さそうですね。あと、手も……」

陽乃「……そうね」

上がりもしなかった手は上げられるし、触れることもできる。
出なかった声も出るようになって、視界も晴れやかだ。
眠ってから数時間も経っていないだろうから、水都のおかげだろう。

陽乃「貴女が血を流した意味くらいはあったということね」

水都「ならよかったです」

躊躇のない喜びに、陽乃は目を細める。
睨まれていると分かっているだろうに、水都は変わらず笑顔のままだ。

水都「本当は起こさないつもりだったんですけど……おやすみなさい」

水都はそう言って、椅子から立ち上がる。
本当に陽乃を癒すことしか目的としていなかったらしい。
陽乃は足を動かせるのを確認してから、上半身だけを起こす。

陽乃「貴女、普通に歩けるの?」

水都「え?」

何のことかと素っ頓狂な声を漏らした水都は、
陽乃が自分の鼻の辺りを指先でつんつんとしたのを見てはっとする。

水都のそこには、鼻血が出ていた痕跡がある。

水都「このくらい、何ともないですよ」


1、向こうのベッドが空いてるわ。使っていきなさい
2、もう二度と無茶はしなくていいわ
3、感謝は、してるわ
4、怒るわよ。たぶん、私は
5、ゆっくり休みなさい


↓1
589 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/18(日) 20:05:08.05 ID:M2NrZ418O
3
590 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/18(日) 21:16:56.43 ID:5rnNJt2X0

陽乃「感謝は、してるわ」

水都「……なら、良かったです」

手足が動かせるし、声も出る。
ちゃんと目が見えるようにもなっている。
以前のように動けるかと言えばそうでもないが、ある程度自由が取り戻せただけでも十分だ。

水都「でも、まだあまり無茶はしないでください。また悪くなっちゃうから」

陽乃「したくてもできないわよ。こんな体じゃ」

それに、普段はそこまで無茶するつもりはないし、
無茶をするのは、無茶をする以外に道がないときだけだ。
その場合には、残念ながらどうにもならない。

陽乃「私だって、こうならなくて済むならそれが一番だと思ってるわ。だからこそ、貴女達には命を懸けさせているわけだし」

水都「私達が、自分で望んだことですよ」

陽乃以外の勇者たちの強化……と言うよりは、補佐。
力を惜しみなく使っても、影響が軽くなるだけだけれど、それでも勇者たちの生存率が高まる。
もっとも、合意の上でないと成功しないし、
運よく成功したとしても、勇者達がより慎重になってしまったら、意味がないが。
591 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/18(日) 21:50:21.28 ID:5rnNJt2X0

バーテックスの襲撃なんて、さっさと終わって欲しい。
以前のような平和な世界に戻れとは望まない。
全てがなかったことになれとも望まない。
だけれど、せめて、陽乃達が戦う必要のない世界になって欲しいと思う。

水都は少し考える素振りを見せて踵を返し、陽乃をじっと見つめる。

水都「一つだけ、気になってることがあるんです」

陽乃「何よ改まって。変なことなら聞かれても答える気はないわよ」

水都は「ただの相談です」と笑う。

水都「無駄かもしれませんが、神樹様の過保護を止めて頂くのはどうかと思っているんです。真実を人々に悟らせない……あの、樹海化と呼ばれている結界です」

あれがなければ、人々は真実を忘れることはないだろう。
だが、それの何が問題なのか。
それから守ってくれている勇者達を足蹴にするような人々なんて、一生涯苦しみ続けるべきではないか。

陽乃「……貴女、九尾にでも毒されてるんじゃないの?」

水都「そんなことは……ただ、嫌気がさした、かもしれません」

人間同士で争っているなんて意味が分からない。
勇者を糾弾しているなんて意味が分からない。
これなら、諏訪でずっと……暮らしている方がマシだったんじゃないかって、思ってしまう。

水都「どう、ですか? 直談判してみますか?」


1、する
2、しない
3、考えておく

↓2
592 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/18(日) 21:52:28.16 ID:1V/0UOuSO
ksk
593 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/18(日) 21:57:04.47 ID:q3IAEee00
3
594 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/18(日) 22:39:57.80 ID:5rnNJt2X0

陽乃「考えておくわ」

水都「……急かしたくはないですけど、でも、早めにお願いしますね」

求められたって、応えられるとは限らない。
でも、言わずに後悔するよりは、言っておいて駄目だったからと尽くした方が良い。
だから、場合によっては陽乃の了承を得る前に、水都は行動を起こすだろう。

陽乃「どうせ無駄よ」

水都「無駄でも、しておきたいじゃないですか」

陽乃「そんな無駄なことをしている余裕が貴女にあるの? ううん、貴女達にあるの? どうせ、そんな小細工は貴女だけの計画ではないんでしょう?」

水都「……どうして、そう思うんですか?」

陽乃「貴女の語るメリットが、貴女が言うにしてはどうにもいやらしかったからよ」

水都なら、陽乃や歌野達の戦いを知って貰いたいから。なんて、正直に語りはしても「真実を人々に悟らせない」とは言わないだろう。
それに「神樹様の過保護」とも言わないだろうか。

もちろん、九尾に毒されているなら話は別だが。

陽乃「まぁいいわ。考えておく。でもね……大社に目をつけられたら面倒だからほどほどにしておきなさい」

水都は「今更ですよ」と、笑った。
595 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/18(日) 22:44:28.07 ID:5rnNJt2X0
√ 2018年 10月11日目 朝:病院

↓1コンマ判定 一桁

1 ひなた
3 若葉
6 襲撃
9 杏

ぞろ目 特殊
596 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/18(日) 22:55:38.71 ID:VE9WbG+Bo
はい
597 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/18(日) 23:07:58.91 ID:5rnNJt2X0
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば少し早い時間から。

まとめは明日。
598 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/18(日) 23:12:08.79 ID:HVatHQCHO

とりあえず陽乃さんが普通に会話できるくらいには回復できて良かった…
あと勇者がみんなボロボロなのもあってか巫女のひなたやみーちゃんが張り切ってるな
599 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/19(月) 06:36:16.93 ID:GVRxDGjzO

まとめもかなり久しぶりだな
600 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/19(月) 19:47:08.86 ID:RaXb4RxV0

1日のまとめ

・ 土居球子 : 交流無()
・ 伊予島杏 : 交流無()
・ 白鳥歌野 : 交流無()
・ 藤森水都 : 交流無()
・   九尾 : 交流有(改めること)

・ 乃木若葉 : 交流無()
・ 高嶋友奈 : 交流無()
・ 花本美佳 : 交流無()
・  郡千景 : 交流無()
・上里ひなた : 交流有(若葉のところへ、若葉の暴走)

√ 2018/10/09 まとめ

 土居球子との絆 84→84(良好) ※特殊交流2
 伊予島杏との絆 97→97(良好) ※特殊交流4
 白鳥歌野との絆 99→99(好意) ※特殊交流4 ※通常最大値
 藤森水都との絆 99→99(好意) ※特殊交流8 ※通常最大値
   九尾との絆 84→84(良好)

 乃木若葉との絆 82→82(良好)
上里ひなたとの絆 84→85(良好)
 高嶋友奈との絆 64→64(普通)
 花本美佳との絆 37→37(普通)
  郡千景との絆 20→20(険悪)



1日のまとめ

・ 土居球子 : 交流無()
・ 伊予島杏 : 交流無()
・ 白鳥歌野 : 交流無()
・ 藤森水都 : 交流有(癒しの力、感謝はしてる)
・   九尾 : 交流有(周りの動き、肩代わり)

・ 乃木若葉 : 交流無()
・ 高嶋友奈 : 交流無()
・ 花本美佳 : 交流無()
・  郡千景 : 交流無()
・上里ひなた : 交流有(荷が重い、若葉、何かがあれば)

√ 2018/10/10 まとめ

 土居球子との絆 84→84(良好) ※特殊交流2
 伊予島杏との絆 97→97(良好) ※特殊交流4
 白鳥歌野との絆 99→99(好意) ※特殊交流4 ※通常最大値
 藤森水都との絆 99→99(好意) ※特殊交流8 ※通常最大値
   九尾との絆 84→84(良好)

 乃木若葉との絆 82→82(良好)
上里ひなたとの絆 85→87(良好)
 高嶋友奈との絆 64→64(普通)
 花本美佳との絆 37→37(普通)
  郡千景との絆 20→20(険悪)
601 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/19(月) 19:51:12.66 ID:KTyUJtmPO
改めて見ると諏訪組と千景との好感度の差がすごいな
602 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/19(月) 20:37:01.44 ID:JTSa08Tm0
千景とも絆深めたいけどねぇ
宇迦之御魂の力で精神安定させたりできればいいんだけど…
603 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/19(月) 20:42:50.54 ID:RaXb4RxV0
√ 2018年 10月11日目 朝:病院


勇者が精霊を使用する際の代償の一部を肩代わりする巫女にとっては命懸けの儀式。
恩人の陽乃の分を肩代わりするか、幼馴染の若葉の分を肩代わりするか。

悩んだひなたは、陽乃に委ねて……若葉を選んだ。

本来なら陽乃に判断をゆだねる必要なんてなかった。
しかし、誰に声をかけても協力的になってくれるだろう若葉と、
みなが忌避するだろう陽乃では、大きく差がある。

それでいて、陽乃は最も力がある。

だからこそ、味方になってあげられる巫女が味方になってあげるべきだとひなたは思って、声をかけた。

けれど結局、若葉にするべきだと断られてしまったが。

若葉との儀式は、驚くくらいに何も起きなかった。
水都もそうだったが、そもそもの関係が深く、その思いが重なっていれば、
影響はまったくないようだった。

そもそも、若葉がまだ、全然重荷に感じていないからかもしれないけれど。
604 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/19(月) 21:59:40.88 ID:RaXb4RxV0

陽乃「元気そうね、貴女」

若葉との儀式を終え、陽乃の病室を訪れたひなたは、
陽乃の「暇なの?」 とでも言いたげな口ぶりを柔らかい笑みで受け止める。

ひなた「はい……むしろ、健康になったようにさえ感じます。久遠さんも、昨日に比べて……」

陽乃「藤森さんが来たのよ。昨日」

ひなたは「そういうことですか……」と得心が言ったように呟き、陽乃の手に触れる。
千景に切り裂かれたはずの左手の傷がすっかり塞がっていて、
ひなたの手から逃れようとする力が十分に入っているのを感じる。

けれど、陽乃はひなたの手を振り払わずにひなたを一瞥する。

陽乃「乃木さん、置いてきて平気なの?」

ひなた「若葉ちゃんには久遠さんのところに行くって言ってありますから。でも、この様子なら、慌てる必要もなさそうですね」

満足いくほどかと言えば物足りないものではあるが、動く手足。
耳も聞こえるし、声も出せる。
内側はまだ完全ではないようだが、外面的にはほとんど完治したように見える状態だ。

陽乃「襲撃がなければ、という前提があるけど」

ひなた「そうですね」



1、郡さんは?
2、高嶋さんは?
3、藤森さんから話は聞いてる?
4、またこっちにいるつもり?


↓2
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/19(月) 22:02:39.53 ID:KTyUJtmPO
1
606 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/19(月) 22:04:08.75 ID:5745jkHs0
2
607 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/19(月) 22:48:35.37 ID:RaXb4RxV0
陽乃「高嶋さんは?」

ひなた「ゆうなさんは、現在大社の施設で預かられていますが……若葉ちゃんから聞いた話では、安静が必要だと」

外見に大きな影響が出ている歌野は特例中の特例と言えるが、
陽乃もまた、精神面に影響が出るというよりは身体を削るような形で、影響が出ている。
その一方で、友奈達は負傷も多いが、精神面に影響が出ているという。

陽乃「私達……というとあれかしら。私みたいなものなら楽なんだけど」

ひなた「久遠さんと同じだったら即死してます」

陽乃「そこまではいかないと思うわよ。私と同じ力を使うわけでもないんだから」

それに……と、陽乃は思う。
陽乃の力が特別なだけで、友奈達の力はそれよりは優しい力だ。
神樹様を経由してもいるから、ある程度は軽く済むはず。

少なくとも、寿命を削るようなことにはならないだろう。

陽乃「高嶋さんが再起不能だとすると……郡さんが面倒だわ。あの子、乃木さん達の手に余るでしょう」

ひなた「ご両親――」

陽乃「私はどうもする気はないわよ」

樹海化中に見た、千景が置かれている状況。
それを大きく変えるためにはまず、両親をどうにかするのが一番だろう。
けれど、それは、陽乃には関係のないことだ。
608 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/19(月) 23:15:33.97 ID:RaXb4RxV0

そもそも、両親を治してあげたところで、千景が平静さを取り戻せるとは思えない。
だから何だと、今更何なんだと。
千景が余計に荒れてしまう可能性もある。

陽乃「まったく、どこに逃げたんだか」

ひなた「現在の四国内には、空き家が多く点在していますから、そのいずれかを間借りしているかもしれないと、大社は考えているようです」

陽乃「普通に考えたらそうよね」

千景が行きそうな場所は皆目見当もつかないが、どこかに身を潜めておく必要がある。
大社がそれをしらみつぶしに探しているというなら見つかるのは時間の問題かもしれない。

けれど、今の千景を追い詰めるべきではないだろう。と、陽乃は目を細める。

陽乃「いっそのこと、襲撃が起きたら郡さんを叩き伏せるべきかしら」

ひなた「……危険です」

陽乃「私が? 郡さんが?」

ひなた「もちろん、久遠さんが」

迷うことのない答えに、陽乃は少し呆然として、それから少しだけからかうように笑う。

陽乃「私が郡さんに殺されるとでも?」

ひなた「今の千景さんは、久遠さんと違って手加減をしませんから」

陽乃「私もしないわよ。殺す気で来るならね」
609 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/19(月) 23:37:33.00 ID:RaXb4RxV0

殺意をもって近づいてくる相手にまで手加減をしてあげる義理はない。
だから、もしも本当に戦いになるのだとしたら、遠慮なく叩きのめすと陽乃は言うが、
ひなたはそれを、本気とは思えなかった。

陽乃はどうせ、不可抗力でない限り殺せないと。

陽乃「それよりも高嶋さんだわ。いつ頃復帰できるのよ」

ひなた「……それは」

ひなたの反応から暫く難しいと察して、陽乃はため息をつく。
歌野の力があればどうにかなるかもしれないが、
歌野は歌野で追い詰められている。

陽乃「そもそも本当に状況が悪いのかも分からないわよね。大社発表なんでしょ?」

ひなた「そうですけど」

それまで疑いますか? と言いたげなひなたの反応に、
陽乃は当然だと笑う。

陽乃「高嶋さんの居場所って、外に漏れてる?」

ひなた「そこまでは分かりませんが……」

まさか。なんてひなたは目を見開く。

ひなた「直接攻め込むと?」

陽乃「ないとは限らないじゃない」

ひなた「もし仮にそうなのだとしたら前代未聞――」

じゃない。のは、目の前にいる人物がすでに示しているし、
その被害者はひなただ。

陽乃「少なくとも私なら――そうするわ」
610 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/19(月) 23:39:12.59 ID:RaXb4RxV0
√ 2018年 10月11日目 昼:病院

↓1コンマ判定 一桁

1 ひなた(継続)
4 若葉
5 襲撃
7 球子

ぞろ目 特殊
611 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/19(月) 23:41:22.01 ID:KTyUJtmPO
612 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/19(月) 23:44:03.27 ID:RaXb4RxV0

では本日はここまでとさせていただきます
明日は可能であれば通常時間から
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/19(月) 23:50:16.45 ID:KTyUJtmPO

千景関連については高嶋さんの復活が鍵になりそうだな
どうにか居場所が分かればいいんだけど…
614 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/20(火) 06:56:14.99 ID:BROi83JwO
おつ
615 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/20(火) 23:16:23.99 ID:s9KkND9g0
√ 2018年 10月11日目 昼:病院


ひなたはあれから陽乃のところに留まり、様子を見守っていた。

水都のおかげで陽乃の体調は見違えるほどに良くなったものの、余談を許さないのが陽乃の力だ。
バーテックスとの戦闘さえなければ問題はないはずではあるけれど、何が起こる変わらない。

とはいえ……と、ひなたは考える。
せっかくある程度体の自由を取り戻したのに、いつまでもベッドの上で良いのだろうか。
少しくらいは外の風に当たるのもいいのではないだろうか。

ひなた「大社や病院の監視はつくかもしれませんが、気分転換に外出しませんか?」

陽乃「……監視されるって分かってて気分転換になると思う?」

ひなた「そこは、気にしないというのはどうでしょう」

おちゃらけたように笑うひなたを一瞥して、陽乃は鼻で笑う。

陽乃「ある程度なら九尾が補佐してくれるから、どこか行きたいなら行ってきたらいいじゃない」

ひなた「私は、陽乃さんと一緒に行きたいんです」

シンプルに。けれど……いや、だからこそだろうか。
ひなたは陽乃をまっすぐ見つめて答える。


1、良いわ。屋上に出られるかしら
2、乃木さんのところにでも行きましょ
3、白鳥さんのところに行きましょ
4、伊予島さんのところに行きましょ
5、気分じゃないわ。

↓1
616 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/20(火) 23:22:02.47 ID:3QBfAiWIO
4
617 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/21(水) 00:02:18.59 ID:JX/bW33a0

陽乃「そうね……なら、伊予島さんのところに行きましょ」

ひなた「……杏さんのところですか? 何かご用事でも?」

陽乃「大した用事があるわけでもないけど、せっかく動けるのなら行っておきたいじゃない」

別に杏である必要はないし、確認するのなら儀式を終えたばかりの若葉の様子を見に行く方が良いかもしれない。
だが、何かと話をするなら杏の方がはかどりそうではある。
球子からのご使命でもあるし。

千景のことなら友奈が良いかもしれないが、
友奈は今、どこかの大社関連施設に軟禁あるいは監禁中で接触は難しい。

ひなた「……そうですね」

少し、乗り気ではないような声色で、ひなたは呟く。

陽乃「何? 貴女と伊予島さんって、仲が悪いの?」

ひなた「いえ、そういうわけでは……そう、見えますか?」

陽乃「ほとんど見たことがないから何とも」

ひなたと杏の関係なんて、陽乃はほぼ知らない。
杏の性格上、嫌うというのはあまりなさそうだし、それはひなたも同じようなもののように思える。
とはいえ、絶対にそうとも言い切れない。

陽乃「貴女とあの子が仲たがいしていようと私には関係がないことだわ。貴女が行かなくても、私は行くわ」

ひなた「ご一緒します。病室の場所、知っていますから」
618 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/21(水) 00:14:17.35 ID:JX/bW33a0
ある程度体の自由を取り戻したと言っても、
松葉杖を使って自由に歩き回れるというほどではなく、仕方がなく車椅子に乗る。

九尾の力を借りて周囲の目をくらませながら、
ひなたの案内で病院を進み、杏のいる病室を目指した。

現在、暴走の心配のない杏と球子は同室、少し悪化しかけていた若葉と、完全に異変のおこっていた歌野は別室。
水都はさらに、また別の部屋を宛がわれているという話だ。

陽乃「私を伊予島さんのところに案内したら、乃木さんのところに言っていても大丈夫よ」

ひなた「大丈夫ですよ。仲違いしているわけではないので」

陽乃「場の空気を悪くされたくはないのよ」

今のところ、陽乃にことを荒立てるような思惑はない。
杏に対して厳しい物言いをするつもりもないし、単に、話があるからと言うだけだ。

ひなたがいた方が良いかもしれないけれど、
杏とあんまり……と言うのなら、無理に同席して貰う必要もなかった。

ひなた「……大丈夫です」

繰り返して答えるひなたの握る車椅子の持ち手が、小さな音を立てる。
陽乃は振り返ることもせずに「貴女が良いならいいけど」と、素っ気なく返した。
619 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/21(水) 00:15:18.29 ID:JX/bW33a0
では短いですがここまでとさせていただきます。
明日も可能であれば通常時間から
620 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/21(水) 00:23:37.94 ID:Ax1EKJFbO

これまた久々の杏回か
一方でひなたの変な反応が気になる…
621 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2022/09/21(水) 02:29:25.12 ID:HOBlcSCI0
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
622 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/21(水) 23:55:39.80 ID:eRJb9OXVO
今日は休載?
623 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/21(水) 23:56:33.03 ID:JX/bW33a0
すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日は可能であれば通常時間から
624 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/21(水) 23:59:22.05 ID:eRJb9OXVO
つい先走ってしまった…
いつも連絡乙です
625 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/23(金) 06:36:56.64 ID:MKP9B0sQ0
落ちてしまったので、本日は可能であればお昼過ぎから再開予定になります。
626 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/23(金) 07:37:33.59 ID:3g2dLdQwO
了解
楽しみに待ってます
627 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/23(金) 19:58:01.21 ID:MKP9B0sQ0

以前は杏一人だったが、千景の犯行と逃走が起こったことで球子との相部屋になっており、
球子は基本的に、杏と一緒に行動するようにしている。

殺されかけたのは陽乃で、狙われているのも陽乃だけであるかもしれないともされているが、
陽乃が狙われたのなら、その味方とも言える球子と杏も狙われる可能性は十分にあった。

もっとも、陽乃はあまり、味方だと認めてはいないが。

陽乃「入るわよ」

扉前で一声かけてから病室に入る。
球子も杏も目を覚ましていて、球子は陽乃が自分から病室に来たことに驚いて素っ頓狂な声を漏らした。

球子「なっ……なんだ? 何か悪いことでも起こるのか……?」

陽乃「なんで?」

球子「なんで? はタマが聞いてることだろ」

呆れたように陽乃を見つめる球子は、陽乃が答える気がないとみてか、「はぁ……」とため息をつく。

球子「動いて大丈夫……いや、そもそも動けるのか? 車椅子」

陽乃「平気だからここにいるのよ」
628 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/23(金) 20:21:05.98 ID:MKP9B0sQ0

実際には8割ほどひなたに頼って動いてるのだが、そのひなたが今は2人に見えていない。
だから一見、陽乃が自分で車椅子を動かしているように見えているのだろう。
陽乃が目を細めると、球子は「無理してなきゃいいんだ」と、視線を払うように手を振る。

思えば、ひなたがいることは2人には明かしていない。ような気がする。と、陽乃は目を伏せた。

明かしたような気もするけれど、それは歌野と水都……それと若葉くらいで、殆ど接触の機会がなかった杏と球子には隠したままだった。かもしれない。

ひなた「――陽乃さん」

陽乃「っ」

耳元でひなたの声が聞こえ、微かに漏れた吐息に擽られて、陽乃は思わず跳ねるようにして大げさな反応を見せてしまう。
陽乃が振り返ると、ひなたは「ごめんなさい」と言いつつ、正面を指さして「杏さんが」と誘導する。

杏「久遠さん?」

陽乃「え? あぁ……何?」

杏「この前話していた件について話にきたのかと……」

大丈夫かと心配そうな杏に目を向ける。
ひなたが見えていないから、不意に驚いて、振り向いて……と、2人から見た陽乃は挙動不審だったに違いない。



1、その前に紹介しておくわね。上里さん
2、そうね。その続き
3、大丈夫よ。気にしないで頂戴

↓1
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/23(金) 20:22:54.03 ID:WiScVVQQO
1
630 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/23(金) 21:33:04.48 ID:MKP9B0sQ0


正直に言うと、ひなたがここにいることはあんまり周囲に広めたくはないものだが、
現在この病院で生活している杏、球子、水都、歌野、若葉の中で、
すでに半数以上が知っていることだし、
球子はともかく、杏なら知っていても問題ないだろう。

それにそもそも考えてみれば、敵対している千景がひなたの存在を知ってしまっている為、杏や球子に黙っていたところで。と言うのもある。

陽乃がひなたに目を向けると、ひなたは意を酌んでか頷く。

陽乃「その話もあるけれど、その前に」

陽乃がそういうと、九尾の力が薄れて行ってひなたの姿があらわになっていく。
陽乃視点では何も変わらないが、2人は少しだけ驚いて。
杏が「やっぱり」と呟いた。

杏「そうですよね……そうなりますよね」

陽乃「何が?」

杏「いえ……タマっち先輩から聞いてた限りでは、まだまともに動けないはずだったから、無理しているのでは。とも、思ったんですが」

ひなたさんが一緒なら納得です。と杏は言うものの「無理していませんか?」と念をおしてくる。

陽乃「大丈夫よ。車椅子くらいなら、この子がいなくても動かせる程度にはね」
631 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/23(金) 22:50:19.83 ID:MKP9B0sQ0

球子「ひなたが何かしたのか?」

ひなた「いえ、私にはなにも……藤森さんと白鳥さんです」

残念そうに言うひなたは、少し肩を落としたように見える。

ひなたを庇ったために負傷した左手の代わりを務めるとは言ったものの、大したことは出来なかったと思っているからだろう。
聞いた球子も少しばつが悪そうに目を細めて「まぁ陽乃だからな」と、息をつく。

陽乃「私だから何なのよ」

球子「普通じゃどうにもならないだろ。陽乃の場合」

陽乃「それは間違いないわ」

陽乃の症状は医者にでさえどうにもできないことがあるし、死んでもおかしくない状態にもなることがあるため、神々に愛されている少女だからと言って、何かが出来るかと言うと、そうでもないのが現実だ。

陽乃の後ろで、まるで傍仕えのように控えるひなたは「そうですが」と、あまり納得は言っていないような呟きを漏らす。

あんまり、良い空気ではないと察してか、杏が陽乃を呼ぶ。

杏「例の、真鈴さんにお願いする件ですが、藤森さんにお話しはしてあります」


632 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/24(土) 00:15:45.38 ID:wLja98K10

陽乃「真鈴……?」

誰だったかと、少しだけ考える。
確か、少し前に話し合った杏達にとって仲の良い巫女の少女だ。と、陽乃は思い出して。

陽乃「そう。でもすぐには不可能でしょうね。それまでに襲撃がなければいいのだけど」

それに関してはバーテックスの気分……気分なんてものがバーテックスにあるのかは知らないが、それ次第になってしまう。
とはいえ、若葉と歌野は済ませてあるし、陽乃も多少は回復しているから完成型が現れなければ大した被害も出ずに済むはずだ。

球子「けど、本当にやるつもりなのか? 危険なんだろ?」

ひなた「私と藤森さんは済ませましたけど、大きな副作用などは出ていません」

ひなたは儀式については。と、後付けで加えると、実際に襲撃が起こり精霊を使った場合には相応のものはあるようです。と、水都のことを踏まえて、神妙な面持ちで答える。

ひなた「儀式については、巫女と勇者の繋がりが重要なのは確実と見ていいかと」

球子は悩まし気に唸るとやや不安の残る様子で顔を顰め、杏に目を向ける。

球子「ますずなら大丈夫だと思うか?」

杏「真鈴さんなら……とは思うけど、実際にどのくらい影響出ちゃうかは心配かな」


1、よく話し合うと良いわ
2、不安ならやめておく方が良いわ
3、ある程度なら白鳥さん達でどうにかできるわ
4、別に貴女達が死にたければそれでもいいのよ


↓1
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/24(土) 00:17:42.34 ID:GAhgvy5uO
3
634 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/24(土) 00:24:05.19 ID:wLja98K10

では本日はここまでとさせていただきます
明日は可能であればお昼ごろから
635 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/24(土) 00:27:49.14 ID:GAhgvy5uO

そういえば安芸先輩の場合は杏とタマの二人分あるけど大丈夫なんだろうか
636 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2022/09/24(土) 02:44:04.72 ID:VsrGL3oh0
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
637 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/24(土) 17:04:07.08 ID:wLja98K10
遅くなりましたが、少しずつ
638 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/24(土) 17:15:28.12 ID:wLja98K10

陽乃「ある程度なら、白鳥さん達でどうにかできるわ」

球子「そりゃそうだろうけど、それだけじゃ危ないからってこういう話になったんじゃないのか?」

陽乃「だからと言って無理強いさせる気はないってだけよ。そんなことしたところで犬死するだけだもの」

球子「そうは言ったって、危ないんだろ?」

陽乃「どっちも変わらないわ」

杏や球子、そして安芸真鈴という巫女が侵す危険も、歌野と水都が侵す危険もどちらも命にかかわることであり、ちょっとしたことで死に至るものだ。

であるならば、無理強いしてそのリスクを高めるよりも、それを覚悟のうえで合意し、踏み込んでいってくれる方が圧倒的にマシになる。

両者の感覚にも左右されることならば、なおのこと。

陽乃「生半可な覚悟で来られたって意味がないのよ」

杏「それは承知しています」

陽乃「貴女達はいいわ。どうせそもそも死ぬ覚悟があるんだから」

球子「そんなわけないだろ。出来るなら死にたくないに決まってる」

だけど。と、球子は続ける。

球子「いつかはそうかもしれないって、思わずにはいられない。だから、少しでも希望がある方に懸けたいって思う」
639 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/24(土) 17:17:46.07 ID:rBU0bQaXO
来てたか
640 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/24(土) 17:53:19.61 ID:wLja98K10

杏「私達は覚悟できています……タマっち先輩が言うように、出来る限り避けたいとは思っていても、現状、それが難しいことは分かっていますから」

以前は陽乃を含めても6人しかいなかった勇者が6人になった。
それも、本来なら失われていてもおかしくなかった諏訪の勇者が加わってくれたのだから、
士気は高まる……はずだった。

けれど、諏訪から勇者と生存者を連れ帰ってくるという功績に四国のリーダーとしての役目を与えられていた千景は嫉妬して歌野に厳しく接し、
それに加えて、完成型のバーテックスの出現による被害や、陽乃の件、家庭の事情など
不幸が重なって勇者達はボロボロになってしまったし、千景は反旗を翻してどこかへと行方をくらませてしまった。

安易な希望なんてものは抱くべきではないと、まさに、現実が知らしめていた。

杏「真鈴さんに関しては、水都さんに確認を取って貰ってからです。もし、真鈴さんが怖がったり、難しいと思っていたりするなら、諦めるしかないとも思っています」

杏はそう言いつつも、少しだけ不安そうな表情を見せる。
断られてしまう可能性が高く、今後に不安を覚えているのだろうか。
それとも、その真逆で、安芸真鈴が勇んで踏み込もうとしてくるだろう。と、思っているからだろうか。
641 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/24(土) 18:57:06.38 ID:wLja98K10

杏が言うように、巫女の意思次第なのは事実だ。
陽乃達だけであれこれと語っていても、結局のところ巫女である安芸真鈴が受け入れてくれなければやるだけ無駄、語るだけ無駄な話でしかない。

陽乃「まぁ、そうね。その巫女次第だわ」

ひなた「……何か、気になることでも?」

陽乃「?」

後に控えていたひなたには表情も見えていないはずなのに、
なぜだか、気がかりなことがあると確信しているかのような声色で、ひなたは訊ねてくる。

振り向けばひなたがいて、その表情はいつもと何ら変わりがない。
陽乃は、もしかしたら九尾が化けているのかもしれないと今更ながら目を細めたが、
ひなたは困ったように「陽乃さん?」と呟くくらいだった。

陽乃「気になることと言うほどでもないのだけど」

安芸真鈴が承諾しなければ無駄になる話だ。
今する必要もないことだが、おそらく、安芸真鈴には2人分を補えるほどの地力はない。
杏か球子どちらかを支えるので精いっぱいだろうし、もしもその限界を超えたいというのなら、
それはやはり、ひなたや水都のように陽乃との関わり合いが必要になってくるだろう。

もちろん、それでも一般の巫女であろう安芸真鈴には耐えがたい苦痛を伴う可能性はあるのだが。


1、伊予島さんと土居さん。どっちが助けて貰うつもりなの?
2、何もないわ
3、貴女、本当に上里さんなの?
4、郡さんの件よ。アレ、どうするのか考えてる?


↓2
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/24(土) 18:58:59.64 ID:+ld8oaNAO
1
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/24(土) 19:02:11.66 ID:Dxk7166oO
1
644 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/24(土) 19:39:52.02 ID:wLja98K10
陽乃「伊予島さんと土居さん。どっちが助けて貰うつもりなの?」

陽乃がそう問いかけると、杏と球子は揃って互いの名前を口にする。
分かってはいたことだが、球子は杏を救いたいと考えているし、
杏は球子を救いたいと考えている。
そうして恐らくだが安芸真鈴が承諾した場合、彼女は2人を助けたいと思っているだろう。

けれど、それは不可能だろうからどちらかに決めなければならない。
しかし、2人は互いを救いたいと言う。

陽乃「言っておくけれど、不可能よ」

球子「そりゃわかってるさ……ひなたも無理なんだろ?」

ひなた「私の場合、陽乃さんと若葉ちゃんだったので」

得心がいったかのように声を漏らす球子を一瞥した杏は、小さく笑って「重いですから」と呟く。
症状が重いのは間違いないと陽乃は思って。

陽乃「私は別に頼んでないし、断ったわよ」

球子「まぁだろうな。水都もおんなじ……というか、歌野の場合若葉以上だもんなぁ」

ひなた「そうですね……」
645 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/24(土) 20:22:47.38 ID:wLja98K10

陽乃「それで?」

球子「そう言われてもなぁ、あんず〜」

杏「タマっち先輩の方が前に出て行くんだから、タマっち先輩の方が良いと思う」

球子「いやいや、タマは丈夫だからな。全然へっちゃらだぞ」

杏「ただ我慢強いだけのくせに……」

なにおう。と、憤慨する球子と、本当のことだって言い返す杏。
2人からかやの外に追いやられた陽乃は、それを疎まし気に見つめてため息をつく。

ひなた「互いを思うが故、ですよ」

陽乃「そんなことは分かってるわよ。それとこれとは別の話だわ」

互いをどれだけ思いやっていようが、それが結局は足かせになる。
今はそういう状況なのだ。

ひなた「……陽乃さんは、どちらにすべきか考えはあるんですか?」

陽乃「私は別にどっちだって構いわしないわ」
646 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/24(土) 21:26:44.18 ID:wLja98K10

杏は遠距離タイプの戦闘スタイルで、球子も似たようなものではあるが、中距離の戦闘スタイルだ。
しかも球子に至ってはどんどんと前に出て行こうとする。

その為、杏が懸念するのも理解はできる。

――が、ひなたが聞きたいのはそうではないだろう。

陽乃はどっちもどっちな言い合いを繰り広げる2人から目を逸らすように目を瞑る。
どちらの方がより、優先されるべきか。
陽乃としては、何度も言うようにどっちだって構わない。
背中を預けて戦うわけではないし、どちらとも戦い方が違うからだ。

とはいえ。

見ていても仕方がない2人ではなく、ひなたの方に首を傾けると、ひなたは心配そうな表情を浮かべていた。
あのまま2人と安芸真鈴がすれ違っていたら上手くいくものもいかないだろう。
最悪の場合、死に至ることもあるため、ひなたは案じているのかもしれない。



1、伊予島さんね
2、土居さんだわ
3、貴女が仲裁に入ってあげたら?
4、2人の問題よ。私達が首を突っ込むことじゃないわ

↓2
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/24(土) 21:29:12.48 ID:eSMO9ZbJ0
2
648 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/24(土) 21:31:37.08 ID:i7SuBCz4O
2
649 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/24(土) 22:02:41.20 ID:wLja98K10
陽乃「個人的に……で、良いならだけど」

陽乃はあんまり言いたくはないと思わせるような前置きをしながら、杏達の方に目を向ける。

陽乃「どちらかと言えば土居さんだわ」

ひなた「それは、守ってくれ――」

陽乃「違うわ」

聞かれるだろうと思っていた陽乃は、ひなたに言い終わらせることなく否定する。
球子の武器は確かに楯だが、別に、それに守られたいとも、守ってくれそうだとも思っていない。

思っていようといまいと、ある程度庇ってくれようとするだろうとは思うけれど、それは関係がない。

陽乃「伊予島さんと一緒よ。土居さんは躊躇なく力を使うわ。白鳥さんと同じくらいに」

それがどれだけ傷つくことか言って聞かせたとしても、
使わざるを得なかったのだと、球子は堂々と力を使おうとするだろう。

それをしなければ杏達を守れなかったかもしれない。ただその可能性だけで、躊躇をしない。
650 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/09/24(土) 22:35:56.22 ID:wLja98K10

杏はそもそも球子が少しでも無事でいられるようにと思ってのことだろうけれど、
きっと、球子が精霊の力を安易に使えないように制限したいと考えているだろう。

自分の命だけならば躊躇しないが、それが安芸真鈴の命もかかわってくるとなったら、
球子は本当に必要な時にしか精霊を使えなくなるだろう。
もちろん、その一瞬の躊躇いが命取りになりかねないのがバーテックスとの戦いであるため、
正直に言ってしまえば、デメリットしかないとも言える。

けれど、それはあくまで、人の命を軽んじた場合だ。

陽乃「土居さんが死のうが、伊予島さんが死のうが、私にとっては……」

――どうだっていい。

そう言いかけた陽乃は、口を噤んで飲み込む。
一応は気遣ってあげるとしたのだから、多少は言葉を選んであげるべきだと思って。

陽乃「大して影響がないけれど、まぁ、土居さんはともかく、伊予島さんのご両親には恩もあるから」

そののちに色々とあったものだから、帳消しになったと吐き捨てても構わないとは思うものの、
それはそれ、これはこれだ。

陽乃「だから、伊予島さんの味方をしてあげるのよ」
407.92 KB Speed:0.8   VIP Service SS速報R 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)